説明

半導体装置、及び半導体装置の作製方法

【課題】トランジスタが有するしきい値相当分の電圧/電流のロスを低減し、プロセスの簡略化、及び回路構成の簡素化を目的とした整流特性を有する半導体装置(RFID)を提供する。
【解決手段】無線によりデータの交信が可能な半導体装置(RFID)を構成する素子に整流回路を設ける。整流回路において、電波を受信するアンテナと整流回路のトランジスタのゲートとドレイン端子との間に、コイルを重ねて配置することで、電波を受信するアンテナとコイルの結合を利用して、ダイオード単体と比較しダイオードとコイルが出力する電圧を大きくし、整流効率を向上させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、整流回路を有する半導体装置に関する。また、当該半導体装置の作製方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、データを無線で送受信する半導体装置の開発が盛んに進められている。データを無線で送受信する半導体装置は、RFID(Radio Frequency Identification)タグ、IDタグ、ICタグ、ICチップ、RFタグ、無線タグ、電子タグ、無線チップ、トランスポンダ等と呼ばれ、現在実用化されているものは、シリコン基板を用いたものが主流である。
【0003】
上記データを無線で送受信する半導体装置(以下、RFIDと称する)においては、無線信号(搬送波、または搬送波に変調波を重畳して生成された振幅変調波)を、RFID内部に設けられた整流回路により直流電圧に変換する機能を有し、この直流電圧を用いてRFID内部の回路が動作する。
【0004】
RFID内部に設けられた整流回路は、一般的にトランジスタを用いたダイオードにより構成されている。
【0005】
トランジスタを用いたダイオードを整流回路に用いた場合、理想的なダイオードが出力する電圧や電流と比べて、トランジスタの性能の一つである、しきい値相当分のロスが発生するといった問題があった。
【0006】
また、整流回路に電圧制御回路を設けて安定化させる方法も知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2008−236961号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1に記載の方法では、プロセスが複雑になり、また同時に回路構成も複雑になるといった課題を有している。
【0009】
本発明の一形態は、以上のような問題を鑑みてなされたものであり、トランジスタを用いたダイオードを整流回路に用いた場合、トランジスタが有するしきい値相当分のロスを低減し、プロセスの簡略化、及び回路構成の簡素化を目的とした整流特性を有する半導体装置(RFID)を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
整流回路を構成するトランジスタのゲート端子とドレイン端子の間にコイルを接続することで、整流効率を向上させる。
【0011】
具体的には、電波を受信するアンテナと整流回路のトランジスタのゲートとドレイン端子との間に、コイルを配置することで、電波を受信するアンテナとコイルの結合を利用して、ダイオード単体と比較しダイオードとコイルが出力する電圧を大きくし、整流効率を向上させる。より詳細には以下の通りである。
【0012】
本発明の一形態は、アンテナと、アンテナを介して受信した搬送波または振幅変調波を整流する整流回路と、を有し、整流回路は、第1のトランジスタと、第2のトランジスタと、第1の容量素子と、第2の容量素子と、第1のコイルと、第2のコイルと、を有し、第1のトランジスタは、第1のゲート電極と、第1のソース電極と、第1のドレイン電極と、を有し、第2のトランジスタは、第2のゲート電極と、第2のソース電極と、第2のドレイン電極と、を有し、第1のゲート電極と、第1のドレイン電極との間に、第1のコイルを接続させ、第2のゲート電極と、第2のドレイン電極との間に、第2のコイルを接続させ、アンテナから受信した搬送波または振幅変調波が、第1のコイル、及び第2のコイルにより増幅されることを特徴とする半導体装置である。
【0013】
上記構成において、半導体装置は、アンテナと電気的に接続された復調回路と、復調回路と電気的に接続された変調回路と、整流回路と電気的に接続された定電圧回路と、復調回路、変調回路、及び定電圧回路と電気的に接続された論理回路とを有してもよい。
【0014】
上記構成において、半導体装置は、アンテナと電気的に接続された復調回路と、復調回路と電気的に接続された変調回路と、整流回路と電気的に接続された定電圧回路と、復調回路、変調回路、及び定電圧回路と電気的に接続された論理回路と、定電圧回路と、論理回路との間に接続されたクロック生成回路とを有してもよい。
【0015】
上記構成において、第1のコイル、及び第2のコイルは、絶縁層を介してアンテナと、重ねて配置されてもよい。
【0016】
上記構成において、第1のコイル、及び第2のコイルは、アルミニウム、クロム、タンタル、チタン、モリブデン、タングステン、銀、銅、金、白金、ニッケル、パラジウムから選択された元素を含む導電層であってもよい。
【0017】
上記構成において、第1のトランジスタ、及び第2のトランジスタは、酸化物半導体材料を含んで構成されてもよい。
【0018】
また、本発明の他の一形態は、基板上に第1の絶縁層を形成し、第1の絶縁層上に半導体層を形成し、半導体層上にゲート絶縁層を形成し、ゲート絶縁層上にゲート電極層を形成し、ゲート電極層上に第2の絶縁層を形成し、第2の絶縁層上に半導体層と接するソース電極層、及びドレイン電極層を形成し、第2の絶縁層、ソース電極層、及びドレイン電極層上に第3の絶縁層を形成し、第3の絶縁層上に第1のコイル、及び第2のコイルを形成し、第3の絶縁層、第1のコイル、及び第2のコイル上に第4の絶縁層を形成し、第4の絶縁層上にアンテナを形成することを特徴とする半導体装置の作製方法である。
【0019】
また、本発明の他の一形態は、基板上に第1の絶縁層を形成し、第1の絶縁層上に半導体層を形成し、半導体層上にゲート絶縁層を形成し、ゲート絶縁層上にゲート電極層を形成し、ゲート電極層上に第2の絶縁層を形成し、第2の絶縁層上に半導体層と接するソース電極層、及びドレイン電極層を形成し、第2の絶縁層、ソース電極層、及び前記ドレイン電極層上に第3の絶縁層を形成し、第3の絶縁層上に第1のコイルを形成し、第3の絶縁層、及び第1のコイル上に第4の絶縁層を形成し、第4の絶縁層上に第2のコイルを形成し、第4の絶縁層、及び第2のコイル上に第5の絶縁層を形成し、第5の絶縁層上にアンテナを形成することを特徴とする半導体装置の作製方法である。
【0020】
上記構成において、第1のコイル、及び第2のコイルは、アルミニウム、クロム、タンタル、チタン、モリブデン、タングステン、銀、銅、金、白金、ニッケル、パラジウムから選択された元素を含む導電層であってもよい。
【0021】
上記構成において、半導体層は、酸化物半導体材料により形成してもよい。
【発明の効果】
【0022】
本発明の一形態に係わる半導体装置(RFID)は、トランジスタにより形成されたダイオードを整流回路に用いた場合、トランジスタでの整流効率の低下を減らし、整流効率を向上させることができる。
【0023】
また、アンテナと回路部を同じ基板に直接形成することが可能ため、製造工程の簡略化及びコストを低減させることができる。また、アンテナをトランジスタ作製工程中に回路部と同時に形成するため、トランジスタとアンテナの後付けの接点がないため、アンテナと回路部の接続不良を防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の一態様に係るRFID全体、整流回路を示すブロック図。
【図2】本発明の一態様に係るRFID全体を示すブロック図。
【図3】本発明の一態様に係るRFIDの一例を示す平面図。
【図4】本発明の一態様に係るRFIDの一例を示す断面図。
【図5】本発明の一態様に係るRFIDの一例を示す断面図。
【図6】本発明の一態様に係るRFIDの一例を示す断面図。
【図7】本発明の一態様に係るRFIDの一例を示す断面図。
【図8】本発明の一態様に係るRFIDの一例を示す断面図。
【図9】本発明の一態様に係るRFIDの一例を示す断面図。
【図10】本発明の一態様に係るトランジスタの一例を示す断面図。
【図11】本発明の一態様に係るトランジスタの一例を示す断面図。
【図12】本発明の一態様に係るRFIDの使用例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下では、本発明の実施の形態について図面を用いて詳細に説明する。ただし、本発明は以下の説明に限定されず、その形態および詳細を様々に変更し得ることは、当業者であれば容易に理解される。また、本発明は以下に示す実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。
【0026】
また、本発明の一態様における半導体装置(RFID)は、リーダ/ライタと交信する周波数帯に依存性はなく、任意の周波数帯域に用いるRFIDに適用可能である。具体的には、周波数3MHz〜30MHz(例えば13.56MHz)のHF帯、周波数300MHz〜3GHz(例えば433MHz、953MHz、2.45GHz)のUHF帯、周波数135kHzのいずれの場合にも本発明の一態様におけるRFIDは適用可能である。
【0027】
本発明の一態様における半導体装置(RFID)は、RFタグ、IDタグ、ICタグ、ICチップ、無線タグ、電子タグ等の無線によりデータの交信が可能なものであれば、全てその範疇に含まれるものとする。
【0028】
なお、第1、第2、又は第3として付される序数詞は便宜上用いるものであり、工程順又は積層順を示すものではない。また、本明細書において発明を特定するための事項として固有の名称を示すものではない。
【0029】
(実施の形態1)
本実施の形態では、整流回路を用いた半導体装置(RFID)の一形態を図1及び図2を用いて説明する。
【0030】
図1(A)は、本発明の一態様として用いるRFID全体のブロック図を示すものである。RFID100は、受信されたデータに基づいて、応答信号を生成するなどといった機能的処理を行う論理回路101と、リーダ/ライタと信号の送受信(交信)を行うアンテナ回路102と、アンテナ回路102において受信された振幅変調波(搬送波に変調波を重畳して生成されたもの)を復調し、パルス信号を取り出す復調回路103と、論理回路101から出力される応答信号に従ってリーダ/ライタから出力されている搬送波を変調し、リーダ/ライタに応答信号を返信する変調回路104と、アンテナ回路102において受信された搬送波または振幅変調波から直流電圧を生成するための整流回路113と、電力の大きさによって変化する直流電圧VDCを一定の電位にするための定電圧回路114と、を有する。
【0031】
なお、アンテナ110はリーダ/ライタ側のアンテナを示している。
【0032】
アンテナ回路102は、アンテナ111及び共振容量112を有する。アンテナ111は、その形状や巻き数によってリーダ/ライタからの搬送波の受信能力が異なるものであるが、本発明においては特に限定されるものではない。共振容量112は、アンテナ111との組み合わせによって、アンテナ回路102の共振周波数を、リーダ/ライタからの搬送波の周波数に最適化するために設けられる容量である。なお、本実施の形態では共振容量112を設ける構成としているが、必ずしも設ける必要はなく、この場合はアンテナ111のみでリーダ/ライタからの搬送波の周波数に対して最適化すればよい。
【0033】
整流回路113は、アンテナ回路102で受信した搬送波または振幅変調波を整流し、直流電圧VDCを生成する機能を有する。整流回路113が生成する直流電圧VDCの電位は、搬送波または振幅変調波の振幅電圧によって変化する。電力が大きい場合は、直流電圧VDCも高くなり、電力が小さい場合は、直流電圧VDCも低くなる。
【0034】
次に、図1(B)に整流回路113の詳細を示す。整流回路113は、第1のコイル121、第2のコイル124、第1の容量素子120、第2の容量素子126、第1のトランジスタ123、第2のトランジスタ125を有する。第1のコイル121は第1のトランジスタ123のゲート端子とドレイン端子の間に接続され、第2のコイル124は第2のトランジスタ125のゲート端子とドレイン端子の間に接続されている。
【0035】
なお、図1(B)の回路図においては、アンテナ111、第1のコイル121、及び第2のコイル124は平面上に分けて配置されているが、実際にはアンテナ111と第1のコイル121及び第2のコイル124は少なくとも一部分は重ねて配置される。重ねて配置することによって、アンテナ回路102で受信した搬送波または振幅変調波は、アンテナ111と第1のコイル121及び第2のコイル124の間で電磁結合を利用して増幅される。
【0036】
従って、第1のトランジスタ123は、第1のコイル121により電流が増幅され、第2のトランジスタ125は第2のコイル124により電流が増幅される。これらにより、第1のコイル121、及び第2のコイル124によって増幅された分の直流電圧VDCが、従来のトランジスタのみで構成されたダイオードよりも整流効率を向上させることが出来る。
【0037】
次に整流回路113の動作を説明する。なお、アンテナは平衡デバイスであるため、RFIDにおけるアンテナの一端とアンテナの他端とには、それぞれある周波数の正弦波が入力される。アンテナの一端とアンテナの他端の信号は、180°位相がずれた関係にある。しかし、回路の説明を簡単にするために、アンテナの他端の電位を固定の電位(0V)として、以下説明する。
【0038】
第1の容量素子120、第1のトランジスタ123、及び第2のトランジスタ125は、半波2倍圧整流回路(半波倍電圧整流回路ともいう)を構成する。第1の容量素子120は、低電源電位(VSS)を基準として、交流信号である搬送波または振幅変調波の振幅電圧をプラス側にシフトさせる役割を有する。アンテナ111においてリーダ/ライタからの搬送波または振幅変調波を受信すると、第1のコイル121、及び第2のコイル124が、アンテナ111との間で電磁結合により搬送波または振幅変調波が増幅される。その後、この増幅された搬送波または振幅変調波を第1のトランジスタ123及び第2のトランジスタ125を有するダイオードによって直流電圧VDCに整流(変換)する。直流電圧VDCは、第2の容量素子126に電荷がたまることで保持される。この直流電圧VDCが生成されることにより、整流回路の後段に設けられる定電圧回路、及び論理回路等の回路の電源を確保し、これら回路の動作が可能となる。
【0039】
なお、本実施の形態では、ダイオード接続したトランジスタについて例示しているが、ダイオードの種類は特に限定されず、PNダイオードや、PINダイオード、ショットキーバリアダイオード、定電圧ダイオード(ツェナーダイオード)等を用いることができる。
【0040】
また、本実施の形態では、ゲートとソースまたはドレインの一方とをダイオード接続したNチャネル型のトランジスタを用いることができる。また、ゲートとソースまたはドレインの一方とをダイオード接続したPチャネル型のトランジスタを用いることもできる。また、本実施の形態においては、ダイオード接続したトランジスタを2個直列に接続したトランジスタ群を用いたが、これに限定されず、2個以上の複数のトランジスタを直列に接続してもよい。また、PNダイオードやPINダイオードを用いる場合は、それぞれ横接合型のものとすることが好ましい。ダイオードとして、横接合型のPNダイオードまたは横接合型のPINダイオードを用いる場合、RFIDのような半導体装置を構成する上で必要とされるトランジスタと併せて同一基板上にこれらのダイオードを作製する際に、既存のプロセスを変更することなく作製することが可能となるためである。
【0041】
次に定電圧回路114の動作を説明する。定電圧回路114は、電力の大きさによって変化する直流電圧VDCを一定の電源電位Vdd(高電源電位と呼ぶことができる)にして、論理回路101に供給する機能を有する。論理回路101は、供給される電位が変化してしまうと、動作が不安定になる。このため、論理回路101には一定の電位が供給される必要がある。本実施の形態では、定電圧回路114によって論理回路101に一定の電源電位Vddが供給されている。なお、RFID100を構成する各々の回路において、低電源電位(以下、VSS)は共通であり、例えばVSSをGND(=0V)とすることができる。
【0042】
なお、図1(A)に示すRFID100の構成は、アンテナ111で受信した搬送波または振幅変調波を論理回路101の内部に含まれる回路で適宜加工して、論理回路101の動作に必要なクロック信号CLKを生成する場合の構成である。アンテナ111で受信した搬送波または振幅変調波を参照せずに、論理回路101の動作に必要なクロック信号CLKを生成する場合は、RFID100の内部にクロック生成回路を別途有する構成とすればよい。特に、300MHz〜3GHz(UHF帯)の周波数帯でリーダ/ライタとデータのやり取りを行う遠隔型のRFIDにおいては、クロック生成回路を別途有する構成とすることが好ましい。
【0043】
図2にクロック生成回路を有するRFID150全体のブロック図を示す。
【0044】
クロック生成回路117には、一定の周波数のクロック信号CLKを安定して論理回路101に供給する機能が求められる。このため、先に説明した論理回路101と同様に、クロック生成回路117には一定の電位が供給される必要がある。
【0045】
クロック生成回路117に供給する一定の電位としては、論理回路101と同様に、定電圧回路114で生成された電源電位Vddを用いてもよい。しかしながら、電源電位Vddは他の回路にも供給されるものであり、他の回路の動作によって電源電位Vddが変動するおそれがある場合は、他の回路に供給される電源電位Vddとは別の電源電位Vdd_CLKを定電圧回路114で生成し、その電源電位Vdd_CLKをクロック生成回路117に供給する構成とすることが好ましい。この構成を採用することにより、クロック生成回路117は一定の周波数のクロック信号CLKを安定して論理回路101に供給することが容易となる。
【0046】
なお、図2に示すRFID150において、クロック生成回路117以外の回路は、図1(A)に示すRFID100の有する回路と同様のものを用いることができ、整流回路113に用いるコイルを有するトランジスタも図1(B)に示すトランジスタと同様のものを用いることができるので、ここでは説明を省略する。
【0047】
以上の回路構成により、RFID150を形成することができる。
【0048】
以上のように本実施の形態においては、整流回路が有するトランジスタのゲート、及びドレインの間に、第1のコイル及び第2のコイルを接続することで、アンテナが受信した搬送波または振幅変調波をアンテナと第1のコイル及び第2のコイルの電磁結合を利用して増幅させることができる。
【0049】
よって、トランジスタを用いたダイオードによる整流回路は、トランジスタの性能のしきい値相当分の電圧/電流のロスが発生しても、第1のコイル、及び第2のコイルにより増幅され整流効率を向上させて、安定した電力を生成する整流回路を有する半導体装置(RFID)を提供することができる。
【0050】
本実施の形態は、他の実施の形態に記載した構成と適宜組み合わせて実施することが可能である。
【0051】
(実施の形態2)
本実施の形態では実施の形態1で示した半導体装置(RFID)の作製方法について、図3乃至図7を用いて説明を行う。なお、以下に説明する部分には同一の符号を異なる図面間で共通して用い、その繰り返しの説明は省略する。
【0052】
図3(A)乃至図3(F)は半導体装置(RFID)の平面図である。図3(A)乃至図3(C)はアンテナ形成前の平面図を示しており、図3(D)乃至図3(F)は、図3(A)乃至図3(C)に、それぞれアンテナを形成した後の平面図となる。図3(A)乃至図3(C)においては、第1のコイルと第2のコイルの配置方法が異なる点以外は同一の構成となっている。なお、半導体装置(RFID)の平面図において、回路部などは煩雑になるため図示していない。
【0053】
半導体装置300、半導体装置310、半導体装置320は、RFIDの外形を示し、アンテナ422は搬送波または振幅変調波を受信するためのアンテナを示す。
【0054】
図3(A)においては、第1のコイル301、第2のコイル302を示しており、第2のコイル302は第1のコイル301の内側に配置されている。図3(B)においては、第1のコイル311(第2のコイル312に重なっているため、図示していない)の上方に第2のコイル312を配置している。また、図3(C)においては、第1のコイル321と第2のコイル322は平面上に隣接して配置されている。
【0055】
図3(A)乃至図3(C)に示したように、整流回路のトランジスタに形成する第1のコイル、及び第2のコイルの配置は、特に限定はなく、アンテナと電磁結合できればよい。ただし、図3(B)に示したようにアンテナ422の最外周と同一の形状とすることで、アンテナ422と、第1のコイル及び第2のコイルの間の結合を大きくすることができるため、より好ましい。
【0056】
また、本実施の形態では、第1のコイル、及び第2のコイルは平面上で1巻(完全に巻かれていない、コの字型、またはそれに準拠する形状も1巻とする。)のコイルを例示したが、特に限定はなく、複数巻のコイルを形成してもよく、コイルの巻き数を増やすことで、コイルの2端子間に発生する電圧を大きくすることができるため、より好ましい。
【0057】
次に、図4(A)乃至図4(C)に図3(D)乃至図3(F)に示した半導体装置(RFID)の断面図をそれぞれ示す。図4(A)は図3(D)の破線X1−X2の断面、図4(B)は図3(E)の破線X3−X4の断面、図4(C)は図3(F)の破線X5−X6の断面図に相当する。
【0058】
図4(A)に示す本実施の形態に係わる半導体装置300は、基板401上に第1の絶縁層402を有し、第1の絶縁層402上に、集積回路を有している。集積回路はトランジスタ450a、及びトランジスタ450bにより構成されている。また、トランジスタ450aはアンテナ422及び第2のコイル302と電気的に接合しており、トランジスタ450bはアンテナ422及び第1のコイル301と電気的に接合している。
【0059】
第1のコイル301は、接続電極層412cを介して、トランジスタ450bのゲート電極とドレイン電極と接続しており、アンテナ422の下方に設置されている。第2のコイル302は接続電極層412aを介して、トランジスタ450aのゲート電極とドレイン電極と接続しており、アンテナ422の下方に設置され、且つ、第1のコイル301の内側に配置されている。
【0060】
図4(B)に示す本実施の形態に係わる半導体装置310は、基板401上に第1の絶縁層402を有し、第1の絶縁層402上に、集積回路を有している。集積回路はトランジスタ450a、及びトランジスタ450bにより構成されている。また、トランジスタ450aはアンテナ422及び第2のコイル312と電気的に接続されており、トランジスタ450bはアンテナ422、及び第1のコイル311と電気的に接続している。
【0061】
第1のコイル311は、接続電極層412cを介してトランジスタ450bのゲート電極とドレイン電極と接続しており、第2のコイル312は接続電極層331a及び接続電極層412aを介してトランジスタ450aのゲート電極とドレイン電極と接続しており、第1のコイル311の上方に第2のコイル312を形成している。第1のコイル311の上方に第2のコイル312を設けることで、集積化が可能になる、また、第1のコイル311、及び第2のコイル312ともアンテナ422の最外周と同一の形状とすることで、アンテナ422との電磁結合が強くなるため、好ましい。
【0062】
図4(C)に示す本実施の形態に係わる半導体装置320は、基板401上に第1の絶縁層402を有し、第1の絶縁層402上に、集積回路を有している。集積回路はトランジスタ450a、及びトランジスタ450bにより構成されている。また、トランジスタ450aは、アンテナ422及び第2のコイル322と電気的に接続されており、トランジスタ450bは、アンテナ422、及び第1のコイル321と電気的に接続されている。
【0063】
第1のコイル321は、接続電極層412cを介してトランジスタ450bのゲート電極とドレイン電極と接続しており、第2のコイル322は接続電極層412aを介してとトランジスタ450aのゲート電極とドレイン電極と接続している。
【0064】
また、本実施の形態においては、第1のコイル及び第2のコイルは、接続電極層を介して形成しているが、図4(A)乃至図4(C)に示すゲート電極層、及びソース/ドレイン電極層を形成する工程で第1のコイル、第2のコイルを形成することも可能である。この場合、他の回路と同一のレイヤーで形成するため、トランジスタや回路構成を十分考慮してコイルを配置する必要がある。
【0065】
以上のように本実施の形態においては、アンテナの下方に第1のコイル及び第2のコイルを配置し、第1のコイル及び第2のコイルは整流回路が有するトランジスタのゲート、及びドレインの間に接続することで、アンテナが受信した搬送波または振幅変調波をアンテナと第1のコイル及び第2のコイルの電磁結合を利用して増幅させることができる。
【0066】
よって、トランジスタを用いたダイオードによる整流回路は、トランジスタの性能のしきい値相当分の電圧/電流のロスが発生しても、第1のコイル、及び第2のコイルにより増幅され整流効率を向上させて、安定した電力を生成する整流回路を有する半導体装置(RFID)を提供することができる。
【0067】
ここで、図4(A)に示した半導体装置300の作製方法の一例を図5乃至図7を用いて詳細に説明する。なお、以下に説明する部分には同一の符号を異なる図面間で共通して用い、その繰り返しの説明は省略する。また、図4(C)に示した半導体装置320は、図4(A)に示した半導体装置300と第1のコイル、及び第2のコイルの配置が異なるのみであるため、作製方法の説明は省略する。
【0068】
まず、基板401の表面に第1の絶縁層402および半導体層403(例えば、非晶質珪素を含む膜)を形成する(図5(A)参照)。第1の絶縁層402および半導体層403は、連続して形成することができる。連続して形成することにより、大気に曝されないため不純物の混入を防ぐことができる。
【0069】
基板401としては、ガラス基板、石英基板、サファイア基板、セラミック基板、金属基板などを用いることができる。また、本実施の形態の処理温度に耐えうる耐熱性を有するプラスチック基板を用いてもよい。半導体装置の作製工程において、その行う工程に合わせて作製基板を適宜選択することができる。
【0070】
また、ガラス基板としては、後の加熱処理の温度が高い場合には、歪み点が730℃以上のものを用いると良い。また、ガラス基板には、例えば、アルミノシリケートガラス、アルミノホウケイ酸ガラス、バリウムホウケイ酸ガラスなどのガラス材料が用いられている。なお、酸化バリウム(BaO)を多く含ませることで、より実用的な耐熱ガラスが得られる。他にも、結晶化ガラスなどを用いることができる。
【0071】
第1の絶縁層402は、基板401からの不純物元素の拡散を防止する機能があり、窒化シリコン膜、酸化シリコン膜、窒化酸化シリコン膜、又は酸化窒化シリコン膜から選ばれた一又は複数の膜による積層構造により形成することができる。
【0072】
また、本実施の形態においては、基板401上に第1の絶縁層402および半導体層403を直接形成する方法について例示しているが、基板401と第1の絶縁層402との間にタングステン等からなる剥離層を形成し、基板401から半導体装置(RFID)を剥離し、フレキシブル基板等へ半導体装置(RFID)を転置することもできる。
【0073】
半導体層403は、スパッタリング法、LPCVD法、プラズマCVD法等により形成することができる。本実施の形態では、プラズマCVD法により非晶質珪素膜を66nmの厚さで形成する。なお、半導体層として、非晶質珪素膜を用いる場合、25nm以上300nm以下、好ましくは50nm以上70nm以下で形成する。
【0074】
次に、半導体層403にレーザー光を照射して結晶化を行う。なお、レーザー光の照射と、RTA又はファーネスアニール炉を用いる熱結晶化法、結晶化を助長する金属元素を用いる熱結晶化法とを組み合わせた方法等により半導体層403の結晶化を行ってもよい。その後、得られた結晶質半導体膜を所望の形状にエッチングして、半導体層403a、半導体層403bを形成し、これらを覆うようにゲート絶縁層404を形成する(図5(B)参照)。
【0075】
半導体層403a、半導体層403bの作製工程の一例を以下に簡単に説明する。まず、プラズマCVD法を用いて、非晶質半導体膜(例えば、非晶質珪素膜)を形成する。次に、結晶化を助長する金属元素であるニッケルを含む溶液を非晶質半導体膜上に保持させた後、非晶質半導体膜に脱水素化の処理(500℃、1時間)と、熱結晶化の処理(550℃、4時間)を行って結晶質半導体膜を形成する。その後、結晶化の程度に基づき、必要に応じて、レーザー発振器からレーザー光を照射し、フォトリソグラフィ法を用いることよって半導体層403a、半導体層403bを形成する。なお、結晶化を助長する金属元素を用いる熱結晶化を行わずに、レーザー光の照射だけで非晶質半導体膜の結晶化を行ってもよい。
【0076】
また、半導体層に対し、連続発振レーザー光又は10MHz以上の周波数で発振するレーザー光を照射しながら一方向に走査して結晶化させて得られた半導体層403a、半導体層403bを形成することができる。このような結晶化の場合、そのレーザー光の走査方向に結晶が成長する特性がある。その走査方向をチャネル長方向(チャネル形成領域が形成されたときにキャリアが流れる方向)に合わせてトランジスタを配置するとよい。
【0077】
次に、半導体層403a、半導体層403bを覆うゲート絶縁層404を形成する。ゲート絶縁層404は、プラズマCVD法やスパッタリング法等により、珪素の酸化物又は珪素の窒化物を含む膜を、単層構造又は積層構造で形成する。具体的には、酸化珪素膜、酸化窒化珪素膜、窒化酸化珪素膜を、単層構造又は積層構造で形成する。
【0078】
また、ゲート絶縁層404は、半導体層403a、半導体層403bに対しプラズマ処理を行い、表面を酸化又は窒化することで形成しても良い。例えば、He、Ar、Kr、Xeなどの希ガスと、酸素、二酸化窒素(NO)、アンモニア、窒素、水素などの混合ガスを導入したプラズマ処理で形成する。この場合のプラズマの励起は、マイクロ波を用いて行うと、低電子温度で高密度のプラズマを生成することができる。この高密度プラズマで生成された酸素ラジカル(OHラジカルを含む場合もある)や窒素ラジカル(NHラジカルを含む場合もある)によって、半導体層の表面を酸化又は窒化することができる。
【0079】
このような高密度プラズマを用いた処理により、1nm以上20nm以下程度、代表的には5nm以上10nm以下の絶縁膜が半導体層に形成される。この場合の反応は、固相反応であるため、当該絶縁層と半導体層との界面準位密度をきわめて低くすることができる。このような、プラズマ処理は、半導体層(結晶性シリコン、或いは多結晶シリコン)を直接酸化(又は窒化)するため、形成される絶縁層の膜厚のばらつきをきわめて小さくすることができる。加えて、結晶性シリコンの結晶粒界でも酸化が進行するということがないため、非常に好ましい状態となる。すなわち、ここで示す高密度プラズマ処理で半導体層の表面を固相酸化することにより、結晶粒界において異常に酸化反応をさせることなく、均一性が良く、界面準位密度が低い絶縁層を形成することができる。
【0080】
ゲート絶縁層404は、プラズマ処理によって形成される絶縁層のみを用いても良いし、それに加えてプラズマや熱反応を利用したCVD法で酸化シリコン、酸窒化シリコン、窒化シリコンなどの絶縁膜を堆積し、積層させても良い。いずれにしても、プラズマ処理により形成した絶縁膜をゲート絶縁膜の一部又は全部に含んで形成されるトランジスタは、特性のばらつきを小さくすることができ、好ましい。
【0081】
また、半導体層に対し、連続発振レーザー光又は10MHz以上の周波数で発振するレーザー光を照射しながら一方向に走査して結晶化させて得られた半導体層403a、半導体層403bを形成する場合は、上記プラズマ処理を行ったゲート絶縁層を組み合わせることで、特性ばらつきが小さく、しかも電界効果移動度が高い薄膜トランジスタ(TFT)を得ることができる。
【0082】
次に、ゲート絶縁層404上に、導電層を形成する。本実施の形態では、100nm以上500nm以下の厚さの導電層を形成する。用いる材料としては、アルミニウム、クロム、タンタル、チタン、モリブデン、タングステン、銀、銅、金、白金、ニッケル、パラジウム等から選択された元素を含む材料、これらの元素を主成分とする合金材料、又はこれらの元素を主成分とする化合物材料を用いることができる。導電層を積層構造で形成する場合には、例えば、窒化タンタル膜とタングステン膜の積層構造、窒化タングステン膜とタングステン膜の積層構造、窒化モリブデン膜とモリブデン膜の積層構造を用いることができる。例えば、窒化タンタル30nmと、タングステン150nmとの積層構造を用いることができる。タングステンや窒化タンタルは、耐熱性が高いため、導電層を形成した後に、熱活性化を目的とした加熱処理を行うことができる。また、導電層を3層以上の積層構造としても良く、例えば、モリブデン膜とアルミニウム膜とモリブデン膜の積層構造を採用することができる。
【0083】
次に、上記の導電層上に、フォトリソグラフィ法を用いてレジストからなるマスクを形成し、ゲート電極とゲート配線を形成するためのエッチング処理を行って、半導体層403a、半導体層403bの上方にゲート電極層405を形成する(図5(C)参照)。
【0084】
次に、フォトリソグラフィ法により、レジストからなるマスクを形成して、半導体層403a、半導体層403bに、イオンドープ法またはイオン注入法により、n型又はp型を付与する不純物元素を低濃度に添加する。本実施の形態においては、半導体層403a、半導体層403bに、n型を付与する不純物元素を低濃度に添加する。n型を付与する不純物元素は、15族に属する元素を用いれば良く、リン(P)、砒素(As)などを用いることができる。また、p型を付与する不純物元素としては、13族に属する元素を用いれば良く、硼素(B)などを用いることができる。
【0085】
なお、本実施の形態においては、n型TFTについてのみ示しているが、本発明はこれに限定して解釈されない。p型TFTのみを用いる構成としても良い。また、n型TFTとp型TFTを併せて形成しても良い。n型TFTとp型TFTを併せて形成する場合、後にp型TFTとなる半導体層を覆うマスクを形成してn型を付与する不純物元素を添加し、後にn型TFTとなる半導体層を覆うマスクを形成してp型を付与する不純物元素を添加することで、n型を付与する不純物元素とp型を付与する不純物元素を選択的に添加することができる。
【0086】
次に、ゲート絶縁層404とゲート電極層405を覆うように、保護絶縁層を形成する。保護絶縁層は、プラズマCVD法やスパッタリング法等により、珪素、珪素の酸化物又は珪素の窒化物の無機材料を含む膜や、有機樹脂などの有機材料を含む膜を、単層又は積層して形成する。保護絶縁層を、垂直方向を主体とした異方性エッチングにより選択的にエッチングして、ゲート電極層405の側面に接する保護絶縁層406(サイドウォールともよばれる)を形成する。保護絶縁層406は、後にLDD(Lightly Doped Drain)領域を形成する際の不純物元素を添加するためのマスクとして用いる。
【0087】
次に、フォトリソグラフィ法により形成したレジストからなるマスクと、ゲート電極層405および保護絶縁層406をマスクとして用いて、半導体層403a、及び半導体層403bにn型を付与する不純物元素を添加する。これにより、チャネル形成領域407a、第1の不純物領域407b、第2の不純物領域407cが形成される(図5(C)参照)。第1の不純物領域407bは薄膜トランジスタのソース領域又はドレイン領域として機能し、第2の不純物領域407cはLDD領域として機能する。第2の不純物領域407cが含む不純物元素の濃度は、第1の不純物領域407bが含む不純物元素の濃度よりも低い。
【0088】
続いて、ゲート電極層405、保護絶縁層406等を覆うように、第2の絶縁層を単層構造又は積層構造で形成する。本実施の形態では、第2の絶縁層は、絶縁層408、絶縁層409、絶縁層410を3層構造とする場合を例示する(図6(A)参照)。これら絶縁層(絶縁層408、絶縁層409、絶縁層410)は、プラズマCVD法により形成することができ、絶縁層408は酸化窒化珪素膜50nm、絶縁層409は窒化酸化珪素膜200nm、絶縁層410は酸化窒化珪素膜400nmとして形成することができる。これら絶縁膜の表面は、その膜厚にもよるが、下層に設けられた層の表面形状に沿って形成される。すなわち、絶縁層408は膜厚が薄いため、その表面はゲート電極層405、及び保護絶縁層406の表面形状に大きく沿っている。膜厚が厚くなるにつれ表面形状は平坦に近づくため、3層構造のうち膜厚が最も厚い絶縁層410の表面形状は平坦に近い。しかしながら、有機材料とは異なるため、平坦な表面形状とは異なっている。すなわち、表面形状を平坦にしたいのであれば、ポリイミド、ポリアミド、ベンゾシクロブテン、アクリル、エポキシ等の有機材料やシロキサン材料等を用いればよい。またこれら絶縁層(絶縁層408、絶縁層409、絶縁層410)の作製方法は、プラズマCVD法以外に、スパッタリング法、SOG法、液滴吐出法、スクリーン印刷法等を採用することができる。
【0089】
そして、フォトリソグラフィ法を用いて絶縁層408、絶縁層409、絶縁層410等をエッチングして、第1の不純物領域407bに達する開口部を形成した後、薄膜トランジスタのソース電極及びドレイン電極として機能するソース電極層411a、ドレイン電極層411b、ソース電極層411c、ドレイン電極層411d、及び接続電極層として機能する接続電極層412a、接続電極層412b、接続電極層412cを形成する。
【0090】
ソース電極層411a、ドレイン電極層411b、ソース電極層411c、ドレイン電極層411dは、開口部を充填するように導電層を形成し、当該導電層を選択的にエッチングすることで形成することができる。なお、導電層を形成する前に、開口部において露出した第1の不純物領域407bの表面にシリサイドを形成して、抵抗を低くしてもよい。
【0091】
ソース電極層411a、ドレイン電極層411b、ソース電極層411c、ドレイン電極層411dは、低抵抗材料を用いて形成すると信号遅延を生じることがなく、好ましい。低抵抗材料は耐熱性が低い場合も多くあるため、低抵抗材料の上下には耐熱性の高い材料を設けるとよい。例えば、低抵抗材料としてアルミニウムを300nm形成し、アルミニウムの上下にチタンを100nmずつ設ける構成がよい。また接続電極層412a、接続電極層412b、接続電極層412cは、接続電極層として機能しているが、ソース電極層411a、ドレイン電極層411b、ソース電極層411c、ドレイン電極層411d、と同じ積層構造で形成することで、接続電極層の低抵抗化と耐熱性の向上を図ることができる。
【0092】
また、ソース電極層411a、ドレイン電極層411b、ソース電極層411c、ドレイン電極層411d、及び接続電極層412a、接続電極層412b、接続電極層412cは、その他の導電性材料、例えば、アルミニウム、クロム、タンタル、チタン、モリブデン、タングステン、銀、銅、金、白金、ニッケル、パラジウムから選択された元素を含む材料、これらの元素を主成分とする合金材料、これらの元素を主成分とする化合物材料を用いて、単層構造又は積層構造で形成することができる。また、ソース電極層411a、ドレイン電極層411b、ソース電極層411c、ドレイン電極層411d、及び接続電極層412a、接続電極層412b、接続電極層412cは、スパッタリング法等により形成することができる。
【0093】
以上により、トランジスタ450a、及びトランジスタ450bを含む素子層450が得られる(図6(A)参照)。
【0094】
なお、絶縁層408、絶縁層409、絶縁層410を形成する前、または絶縁層408を形成した後、又は絶縁層409、絶縁層410を形成した後に、半導体層403a、半導体層403bの結晶性の回復や半導体層403a、半導体層403bに添加された不純物元素の活性化、半導体層403a、半導体層403bの水素化を目的とした加熱処理を行うとよい。加熱処理には、熱アニール法、レーザーアニール法、RTA法などを適用するとよい。
【0095】
次に、ソース電極層411a、ドレイン電極層411b、ソース電極層411c、ドレイン電極層411d、及び接続電極層412a、接続電極層412b、接続電極層412cを覆うように、無機絶縁層413、第3の絶縁層414を形成する。(図6(B)参照)。本実施の形態では、無機絶縁層413には100nmの膜厚を有する窒化珪素膜を形成し、第3の絶縁層414には1500nmの膜厚を有するポリイミドを用いて形成する。第3の絶縁層414の表面形状は平坦性が高いと好ましい。そのため、ポリイミドである有機材料の特徴に加えて、厚膜化する構成、例えば750nm以上3000nm以下の膜厚によって、第3の絶縁層414の平面形状の平坦性を高めている。また、当該無機絶縁層413、第3の絶縁層414に対しては、開口部を形成する。本実施の形態では、接続電極層412a、接続電極層412b及び接続電極層412cが露出する開口部415a、開口部415b、及び開口部415cを形成する場合を例示する。このような開口部415a、開口部415b、開口部415cにおいて(詳しくは点線で囲まれた領域416a、領域416b、及び領域416cにおいて)、無機絶縁層413の端部は、第3の絶縁層414で覆われている。上層の第3の絶縁層414で下層の無機絶縁層413の端部を覆うことで、その後開口部415a、開口部415b、開口部415cに形成される配線の段切れを防止することができる。よって、本実施の形態では、第3の絶縁層414が有機材料であるポリイミドを用いているため、開口部415a、開口部415b、開口部415cにおいて、第3の絶縁層414はなだらかなテーパを有することができ、効率的に段切れを防止することができる。このような段切れ防止効果を得ることのできる第3の絶縁層414の材料は、ポリイミド以外に、ポリアミド、ベンゾシクロブテン、アクリル、エポキシ等の有機材料やシロキサン材料等が挙げられる。また無機絶縁層413には、窒化珪素膜の代わりに、酸化窒化珪素膜や窒化酸化珪素膜を用いてもよい。また、無機絶縁層413、及び第3の絶縁層414の作製方法は、プラズマCVD法、スパッタリング法、SOG法、液滴吐出法またはスクリーン印刷法等を用いることができる。
【0096】
次に、無機絶縁層413、第3の絶縁層414、接続電極層412a、接続電極層412b、及び接続電極層412c上に第1のコイル301、第2のコイル302、及び接続電極層417を形成し、当該第1のコイル301、第2のコイル302、及び接続電極層417上に第4の絶縁層418を形成する(図6(C)参照)。第1のコイル301、第2のコイル302、及び接続電極層417は、ソース電極層411a、ドレイン電極層411b、ソース電極層411c、ドレイン電極層411d、及び接続電極層412a、接続電極層412b、接続電極層412cと同じ材料で形成することができ、例えばチタン100nm、アルミニウム200nm、チタン100nmの積層構造を採用することができる。また、第1のコイル301は、開口部415cで接続電極層412cと接続し、第2のコイル302は開口部415aで接続電極層412aと接続するため、チタン同士が接触することでコンタクト抵抗を抑えることができる。
【0097】
また、接続電極層417はトランジスタ450aと、アンテナ(おって形成される)と電気的に接合されるため、配線抵抗は低い方が好ましい。そのため、アルミニウム等の低抵抗材料を用いるとよい。
【0098】
なお、第1のコイル301及び第2のコイル302は、図3(A)乃至図3(C)に例示したように、実施の形態に合わせて適宜形状を変えて形成することができる。
【0099】
また、第4の絶縁層418は、その表面形状に平坦性を要求されるため、有機材料で形成するとよく、2000nmのポリイミドを用いる場合を例示する。第4の絶縁層418は、1500nmの膜厚で形成された第3の絶縁層414の開口部415a、開口部415b、及び開口部415cに形成された第1のコイル301、第2のコイル302、及び接続電極層417の表面の凹凸を平坦にする必要があり、第3の絶縁層414の膜厚よりも厚い2000nmの膜厚で形成されている。そのため、第4の絶縁層418は第3の絶縁層414の1.1倍〜2倍以上、好ましくは1.2〜1.5倍の膜厚を有するとよく、第3の絶縁層414が750nm以上3000nm以下の膜厚を有するのであれば、第4の絶縁層418は900nm以上4500nm以下の膜厚とすると好ましい。また、第4の絶縁層418には、膜厚を考慮しつつ、さらに平坦性の高い材料を用いるとよい。平坦性の高い材料として第4の絶縁層418に用いられる材料は、ポリイミド以外に、ポリアミド、ベンゾシクロブテン、アクリル、エポキシ等の有機材料やシロキサン材料等が挙げられる。第4の絶縁層418上にアンテナを形成する場合、このように第4の絶縁層418の表面形状の平坦性を考慮する必要がある。
【0100】
次に、第4の絶縁層418上にアンテナ422を形成する(図7参照)。そして、アンテナ422とソース電極層411aとを開口部(図示しない)を介して接続させる。開口部はアンテナ422の下方に設け、集積化を図る。なおアンテナ422は、ソース電極層411aに直接接続させてもよいが、本実施の形態のように接続電極層417を設けることにより、アンテナ422との接続のための開口部の形成にマージンを持たせることができ、高集積化を図ることができ好ましい。そのため、接続電極層417の上にさらなる導電層を設けて、アンテナ422を接続してもよい。すなわちアンテナ422は、トランジスタを構成するソース電極層411aと電気的に接続されればよく、複数の導電層を介した接続構造によって高集積化を図ることができる。このような接続電極層417をはじめとする複数の導電層は、膜厚が厚くなると半導体装置にも厚みが出てしまうため、薄い方が好ましい。そのため、ソース電極層411aと比較すると、接続電極層417等はその膜厚を薄くすることが好ましい。
【0101】
アンテナ422は、第1の導電層419、第2の導電層420の積層構造を採用することができ、本実施の形態では第1の導電層419としては、チタン100nm、第2の導電層420としては、アルミニウム2000nmの積層構造の場合を例示する。第1の導電層419として用いるチタンは、アンテナの耐湿性を高めることができ、第4の絶縁層418とアンテナ422との密着性を高めることもできる。さらにチタンは、接続電極層417との接触抵抗を低くすることができる。これは接続電極層417の最上層には、チタンが形成されているため、アンテナのチタンと同一材料同士が接触していることによる。また、このようなチタンはドライエッチングを用いて形成されるため、端部が切り立った状態となることが多い。また、第2の導電層420として用いるアルミニウムは低電気抵抗材料であるため、アンテナ422に好適である。アルミニウムを厚膜化していることにより、抵抗をより低くすることができる。アンテナ422の抵抗が低くなることで、通信距離を伸ばすことができ、好ましい。このようなアルミニウムはウェットエッチングを用いて形成されるため、端部における側面にテーパが付くことが多い。本実施の形態におけるテーパは、アルミニウム側に凸部が形成された、つまり内側に凹んだ形で形成されている。チタン端部がアルミニウム端部より突出していることで、その後に形成される絶縁層の段切れを防止することができ、アンテナ422の耐性を高めることができる。
【0102】
アンテナ422は、チタンやアルミニウム以外に、アルミニウム、クロム、タンタル、チタン、モリブデン、タングステン、銀、銅、金、白金、ニッケル、パラジウム等の金属元素を含む材料、当該金属元素を含む合金材料、当該金属元素を含む化合物材料を導電性材料として用いることができ、スパッタリング法、スクリーン印刷やグラビア印刷等の印刷法、液滴吐出法、ディスペンサ法、メッキ法等を用いて形成することができる。また本実施の形態では、積層構造を例示したが、上述したいずれの材料の単層構造で形成してもよい。
【0103】
次に、アンテナ422を覆って、無機絶縁層421を形成する。本実施の形態では、無機絶縁層421を200nmの窒化珪素膜で形成する。無機絶縁層421により、アンテナ422の耐湿性をより高めることができ、好ましい。無機絶縁層421はチタン端部がアルミニウム端部より突出しているため、段切れすることなく形成できる。このような無機絶縁層421は窒化珪素膜以外に、酸化窒化珪素膜、窒化酸化珪素膜、その他の無機材料から形成することができる。
【0104】
また、半導体装置の周辺部として、周辺部423を例示している。無機絶縁層421と、無機絶縁層413は、無機絶縁層421の外側、つまり回路部におけるアンテナの外側(具体的には領域424)で接していると好ましい。本実施の形態では、無機絶縁層421と無機絶縁層413はともに窒化珪素膜で形成するため、同一材料同士が密着する構成となり、同一材料とすることで密着性が高く、外部からの水分や酸素の進入防止を効果的に防止することができる。
【0105】
以上の工程により、図4(A)に示す整流回路が有するトランジスタのゲート、及びドレインの間に、第1のコイル及び第2のコイルが接続された半導体装置300を作製することができる。
【0106】
よって、トランジスタを用いたダイオードによる整流回路は、トランジスタの性能のしきい値相当分の電圧/電流のロスが発生しても、第1のコイル、及び第2のコイルにより増幅され整流効率を向上させて、安定した電力を生成する整流回路を有する半導体装置(RFID)を提供することができる。
【0107】
本実施の形態は、他の実施の形態に記載した構成と適宜組み合わせて実施することが可能である。
【0108】
(実施の形態3)
本実施の形態では実施の形態2で示した図4(B)に示した半導体装置(RFID)の作製方法の一例について、図8及び図9を用いて詳細に説明する。なお、以下に説明する部分には同一の符号を異なる図面間で共通して用い、その繰り返しの説明は省略する。また、図4(B)は、図4(A)に示した半導体装置300と同一の作製方法が多く、同一の作製方法は省略して説明する。なお、図8(A)に示した断面図は図6(B)に示した断面図と同一であり、図5(A)乃至図5(C)、及び図6(A)の作製方法に準拠して図8(A)が作製される。
【0109】
無機絶縁層413、第3の絶縁層414、接続電極層412a、接続電極層412b、及び接続電極層412c上に第1のコイル311、接続電極層331a、及び接続電極層331bを形成し、当該第1のコイル311、接続電極層331a、及び接続電極層331b上に第4の絶縁層801を形成し、当該第4の絶縁層801上に第2のコイル312を形成する(図8(B)参照)。
【0110】
第1のコイル311、接続電極層331a、及び接続電極層331bは、チタン100nm、アルミニウム200nm、チタン100nmの積層構造を採用することができる。また、第1のコイル311は、開口部415cで接続電極層412cと接続するため、チタン同士が接触することでコンタクト抵抗を抑えることができる。
【0111】
また、接続電極層331bはトランジスタ450aと、アンテナ(おって形成される)と電気的に接合されるため、配線抵抗は低い方が好ましい。そのため、アルミニウム等の低抵抗材料を用いるとよい。
【0112】
なお、第1のコイル311及び第2のコイル312は、図3(A)乃至図3(C)に例示したように、実施の形態に合わせて適宜形状を変えて形成することができる。
【0113】
また、第4の絶縁層801は、その表面形状に平坦性を要求されるため、有機材料で形成するとよく、2000nmのポリイミドを用いる場合を例示する。第4の絶縁層801は、1500nmの膜厚で形成された第3の絶縁層414の開口部415a、開口部415b、及び開口部415cに形成された第1のコイル311、接続電極層331a、接続電極層331bの表面の凹凸を平坦にする必要があり、第3の絶縁層414の膜厚よりも厚い2000nmの膜厚で形成されている。そのため、第4の絶縁層801は第3の絶縁層414の1.1倍〜2倍以上、好ましくは1.2〜1.5倍の膜厚を有するとよく、第3の絶縁層414が750nm以上3000nm以下の膜厚を有するのであれば、第4の絶縁層801は900nm以上4500nm以下の膜厚とすると好ましい。第4の絶縁層801には、膜厚を考慮しつつ、さらに平坦性の高い材料を用いるとよい。平坦性の高い材料として第4の絶縁層801に用いられる材料は、ポリイミド以外に、ポリアミド、ベンゾシクロブテン、アクリル、エポキシ等の有機材料やシロキサン材料等が挙げられる。
【0114】
また、第2のコイル312は、チタン100nm、アルミニウム200nm、チタン100nmの積層構造を採用することができる。第2のコイル312は開口部802において接続電極層331aと接続するため、チタン同士が接触することでコンタクト抵抗を抑えることができる。
【0115】
次に、第4の絶縁層801、及び第2のコイル312上に第5の絶縁層803を形成する(図8(C)参照)。第5の絶縁層803は、その表面形状に平坦性を要求されるため、有機材料で形成すると良く、3000nmのポリイミドを用いる場合を例示する。第5の絶縁層803は、2000nmの膜厚で形成された第4の絶縁層801の開口部802に形成された第2のコイル312の表面の凹凸を平坦にする必要があり、第4の絶縁層801よりも厚い3000nmの膜厚で形成されている。そのため、第5の絶縁層803は第4の絶縁層801の1.1倍〜2倍以上、好ましくは1.2倍〜1.5倍の膜厚を有するとよく、第4の絶縁層801が900nm以上4500nm以下の膜厚を有するのであれば、第5の絶縁層803は1080nm以上6750nm以下の膜厚とすると好ましい。第5の絶縁層803には、膜厚を考慮しつつ、さらに平坦性の高い材料を用いるとよい。平坦性の高い材料として第5の絶縁層803に用いられる材料は、ポリイミド以外に、ポリアミド、ベンゾシクロブテン、アクリル、エポキシ等の有機材料やシロキサン材料等が挙げられる。第5の絶縁層803上にアンテナを形成する場合、このように第5の絶縁層803の表面形状の平坦性を考慮する必要がある。
【0116】
次に、第5の絶縁層803上にアンテナ422を形成する(図9参照)。そして、アンテナ422と接続電極層331bとを開口部(図示しない)を介して接続させる。開口部はアンテナ422の下方に設け、集積化を図る。なおアンテナ422は、ソース電極層411aに直接接続させてもよいが、本実施の形態のように接続電極層331bを設けることにより、アンテナ422との接続のための開口部の形成にマージンを持たせることができ、高集積化を図ることができ好ましい。すなわちアンテナ422は、トランジスタを構成するソース電極層411aと電気的に接続されればよく、複数の導電層を介した接続構造によって高集積化を図ることができる。このような接続電極層331bをはじめとする複数の導電層は、膜厚が厚くなると半導体装置にも厚みが出てしまうため、薄い方が好ましい。そのため、ソース電極層411aと比較すると、接続電極層331bはその膜厚を薄くすることが好ましい。
【0117】
アンテナ422は、第1の導電層804、第2の導電層805の積層構造を採用することができ、本実施の形態では第1の導電層804としては、チタン100nm、第2の導電層805としては、アルミニウム2000nmの積層構造の場合を例示する。第1の導電層804として用いるチタンは、アンテナの耐湿性を高めることができ、第5の絶縁層803とアンテナ422との密着性を高めることもできる。さらにチタンは、接続電極層331bとの接触抵抗を低くすることができる。これは接続電極層331bの最上層には、チタンが形成されているため、アンテナのチタンと同一材料同士が接触していることによる。また、このようなチタンはドライエッチングを用いて形成されるため、端部が切り立った状態となることが多い。第2の導電層805として用いるアルミニウムは低抵抗材料であるため、アンテナに好適である。アルミニウムを厚膜化していることにより、抵抗をより低くすることができる。アンテナの抵抗が低くなることで、通信距離を伸ばすことができ、好ましい。このようなアルミニウムはウェットエッチングを用いて形成されるため、端部における側面にテーパが付くことが多い。本実施の形態におけるテーパは、アルミニウム側に凸部が形成された、つまり内側に凹んだ形で形成されている。チタン端部がアルミニウム端部より突出していることで、その後に形成される絶縁層の段切れを防止することができ、アンテナ422の耐性を高めることができる。
【0118】
アンテナ422はチタンやアルミニウム以外に、アルミニウム、クロム、タンタル、チタン、モリブデン、タングステン、銀、銅、金、白金、ニッケル、パラジウム等の金属元素を含む材料、当該金属元素を含む合金材料、当該金属元素を含む化合物材料を導電性材料として用いることができ、スパッタリング法、スクリーン印刷やグラビア印刷等の印刷法、液滴吐出法、ディスペンサ法、メッキ法等を用いて形成することができる。また本実施の形態では、積層構造を例示したが、上述したいずれの材料の単層構造で形成してもよい。
【0119】
次に、アンテナ422を覆って、無機絶縁層806を形成する。本実施の形態では、無機絶縁層806を200nmの窒化珪素膜で形成する。無機絶縁層806により、アンテナ422の耐湿性をより高めることができ、好ましい。無機絶縁層806はチタン端部がアルミニウム端部より突出しているため、段切れすることなく形成できる。このような無機絶縁層806は窒化珪素膜以外に、酸化窒化珪素膜、窒化酸化珪素膜、その他の無機材料から形成することができる。
【0120】
また、半導体装置の周辺部として、周辺部807を例示している。無機絶縁層806と、無機絶縁層413とは、無機絶縁層806の外側、つまり回路部におけるアンテナの外側(具体的には領域808)で接していると好ましい。本実施の形態では、無機絶縁層806と無機絶縁層413はともに窒化珪素膜で形成するため、同一材料同士が密着する構成となり、同一材料とすることで密着性が高く、外部からの水分や酸素の進入防止を効果的に防止することができる。
【0121】
以上の工程により、図4(B)に示す整流回路が有するトランジスタのゲート、及びドレインの間に、第1のコイル311及び第2のコイル312を接続された半導体装置310を作製することができる。
【0122】
よって、トランジスタを用いたダイオードによる整流回路は、トランジスタの性能のしきい値相当分の電圧/電流のロスが発生しても、第1のコイル、及び第2のコイルにより増幅され整流効率を向上させて、安定した電力を生成する整流回路を有する半導体装置(RFID)を提供することができる。
【0123】
本実施の形態は、他の実施の形態に記載した構成と適宜組み合わせて実施することが可能である。
【0124】
(実施の形態4)
上記実施の形態1乃至3において、トランジスタの半導体層に用いることのできる他の材料の例を説明する。
【0125】
半導体素子が有する半導体層を形成する材料は、シランやゲルマンに代表される半導体材料ガスを用いて気相成長法やスパッタリング法で作製される非晶質(アモルファス)半導体、該非晶質半導体を光エネルギーや熱エネルギーを利用して結晶化させた多結晶半導体、或いは微結晶半導体などを用いることができる。半導体層はスパッタリング法、LPCVD法、またはプラズマCVD法等により成膜することができる。
【0126】
微結晶半導体膜は、周波数が数十MHz〜数百MHzの高周波プラズマCVD装置、または周波数が1GHz以上のマイクロ波プラズマCVD装置により形成することができる。代表的には、SiH、Si、SiHCl、SiHCl、SiCl、SiFなどの水素化珪素を水素で希釈して形成することができる。また、水素化珪素及び水素に加え、ヘリウム、アルゴン、クリプトン、ネオンから選ばれた一種または複数種の希ガス元素で希釈して微結晶半導体膜を形成することができる。これらのときの水素化珪素に対して水素の流量比を5倍以上200倍以下、好ましくは50倍以上150倍以下、更に好ましくは100倍とする。
【0127】
アモルファス半導体としては、代表的には水素化アモルファスシリコン、結晶性半導体としては代表的にはポリシリコンなどがあげられる。ポリシリコン(多結晶シリコン)には、800℃以上のプロセス温度を経て形成されるポリシリコンを主材料として用いた所謂高温ポリシリコンや、600℃以下のプロセス温度で形成されるポリシリコンを主材料として用いた所謂低温ポリシリコン、また結晶化を促進する元素などを用いて、非晶質シリコンを結晶化させたポリシリコンなどを含んでいる。もちろん、前述したように、微結晶半導体又は半導体層の一部に結晶相を含む半導体を用いることもできる。
【0128】
半導体層に、結晶性半導体膜を用いる場合、その結晶性半導体膜の作製方法は、種々の方法(レーザー結晶化法、熱結晶化法、またはニッケルなどの結晶化を助長する元素を用いた熱結晶化法等)を用いれば良い。また、SAS(Semi Amorphous Semiconductor)である微結晶半導体をレーザー照射して結晶化し、結晶性を高めることもできる。結晶化を助長する元素を導入しない場合は、非晶質珪素膜にレーザー光を照射する前に、窒素雰囲気下500℃で1時間加熱することによって非晶質珪素膜の含有水素濃度を1×1020atoms/cm以下にまで放出させる。これは水素を多く含んだ非晶質珪素膜にレーザー光を照射すると非晶質珪素膜が破壊されてしまうからである。
【0129】
非晶質半導体層への金属元素の導入の仕方としては、当該金属元素を非晶質半導体膜の表面又はその内部に存在させ得る手法であれば特に限定はなく、例えばスパッタリング法、CVD法、プラズマ処理法(プラズマCVD法も含む)、吸着法、金属塩の溶液を塗布する方法を使用することができる。このうち溶液を用いる方法は簡便であり、金属元素の濃度調整が容易であるという点で有用である。また、このとき非晶質半導体膜の表面の濡れ性を改善し、非晶質半導体膜の表面全体に水溶液を行き渡らせるため、酸素雰囲気中でのUV光の照射、熱酸化法、ヒドロキシラジカルを含むオゾン水又は過酸化水素による処理等により、酸化膜を成膜することが望ましい。
【0130】
また、非晶質半導体膜を結晶化し、結晶性半導体膜を形成する結晶化工程で、非晶質半導体膜に結晶化を促進する元素(触媒元素、金属元素とも示す)を添加し、熱処理(550℃〜750℃で3分〜24時間)により結晶化を行ってもよい。結晶化を助長(促進)する元素としては、鉄(Fe)、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、パラジウム(Pd)、オスミウム(Os)、イリジウム(Ir)、白金(Pt)、銅(Cu)及び金(Au)から選ばれた一種又は複数種類を用いることができる。
【0131】
結晶化を助長する元素を結晶性半導体膜から除去、又は軽減するため、結晶性半導体膜に接して、不純物元素を含む半導体膜を形成し、ゲッタリングシンクとして機能させる。不純物元素としては、n型を付与する不純物元素、p型を付与する不純物元素や希ガス元素などを用いることができ、例えばリン(P)、窒素(N)、ヒ素(As)、アンチモン(Sb)、ビスマス(Bi)、ボロン(B)、ヘリウム(He)、ネオン(Ne)、アルゴン(Ar)、クリプトン(Kr)、キセノン(Xe)から選ばれた一種または複数種を用いることができる。結晶化を促進する元素を含む結晶性半導体膜に、希ガス元素を含む半導体膜を形成し、熱処理(550℃〜750℃で3分〜24時間)を行う。結晶性半導体膜中に含まれる結晶化を促進する元素は、希ガス元素を含む半導体膜中に移動し、結晶性半導体膜中の結晶化を促進する元素は除去、又は軽減される。その後、ゲッタリングシンクとなった希ガス元素を含む半導体膜を除去する。
【0132】
非晶質半導体膜の結晶化は、熱処理とレーザー光照射による結晶化を組み合わせてもよく、熱処理やレーザー光照射を単独で、複数回行っても良い。
【0133】
また、結晶性半導体膜を、直接基板にプラズマ法により形成しても良い。また、プラズマ法を用いて、結晶性半導体膜を選択的に基板に形成してもよい。
【0134】
本実施の形態は、他の実施の形態に記載した構成と適宜組み合わせて実施することが可能である。
【0135】
(実施の形態5)
本実施の形態では、上記実施の形態1乃至4において、トランジスタの半導体層に用いることのできる他の材料として、酸化物半導体層を用いたトランジスタの一例を、図10を用いて説明する。なお、トランジスタの構造は特に限定されず、例えば、トップゲート構造またはボトムゲート構造の、スタガ型またはプレーナ型など、適当な構造を採用することができる。また、トランジスタはチャネル形成領域を一つ有するシングルゲート構造でも、二つ有するダブルゲート構造であっても、三つ有するトリプルゲート構造であっても良い。また、チャネル領域の上下にゲート絶縁層を介して配置された2つのゲート電極を有する、デュアルゲート型でもよい。なお、以下に説明する部分には同一の符号を異なる図面間で共通して用い、その繰り返しの説明は省略する。
【0136】
図10(A)乃至図10(D)には、トランジスタの断面構造の例を示す。図10(A)乃至図10(D)に示すトランジスタは、半導体として酸化物半導体を用いるものである。酸化物半導体を用いることのメリットは、簡単なプロセス、低温のプロセスで、高い移動度と低いオフ電流が実現できることといえる。
【0137】
図10(A)に示すトランジスタ610は、ボトムゲート構造のトランジスタの一例であり、逆スタガ型トランジスタともいう。
【0138】
トランジスタ610は、絶縁表面を有する基板600上の、ゲート電極601、ゲート絶縁層602、酸化物半導体層603、ソース電極またはドレイン電極605a、及びソース電極またはドレイン電極605bを含む。また、トランジスタ610を覆い、酸化物半導体層603に接する絶縁層607が設けられている。絶縁層607上にはさらに保護絶縁層609が形成されている。
【0139】
図10(B)に示すトランジスタ620は、チャネル保護型(チャネルストップ型ともいう)と呼ばれるボトムゲート構造のトランジスタの一例であり、逆スタガ型トランジスタともいう。
【0140】
トランジスタ620は、絶縁表面を有する基板600上の、ゲート電極601、ゲート絶縁層602、酸化物半導体層603、チャネル保護層として機能する絶縁層627、ソース電極またはドレイン電極605a、及びソース電極またはドレイン電極605bを含む。また、トランジスタ620を覆う保護絶縁層609が設けられている。
【0141】
図10(C)に示すトランジスタ630は、ボトムゲート型のトランジスタの一例である。トランジスタ630は、絶縁表面を有する基板600上の、ゲート電極601、ゲート絶縁層602、ソース電極またはドレイン電極605a、ソース電極またはドレイン電極605b、及び酸化物半導体層603を含む。また、トランジスタ630を覆い、酸化物半導体層603に接する絶縁層607が設けられている。絶縁層607上にはさらに保護絶縁層609が形成されている。
【0142】
トランジスタ630においては、ゲート絶縁層602は基板600及びゲート電極601上に接して設けられ、また、ゲート絶縁層602上には、ソース電極またはドレイン電極605a、ソース電極またはドレイン電極605bが接して設けられている。そして、ゲート絶縁層602、及びソース電極またはドレイン電極605a、ソース電極またはドレイン電極605b上に酸化物半導体層603が設けられている。
【0143】
図10(D)に示すトランジスタ640は、トップゲート構造のトランジスタの一例である。トランジスタ640は、絶縁表面を有する基板600上の、絶縁層637、酸化物半導体層603、ソース電極またはドレイン電極605a、及びソース電極またはドレイン電極605b、ゲート絶縁層602、ゲート電極601を含む。そして、ソース電極またはドレイン電極605a、ソース電極またはドレイン電極605bにそれぞれ配線636a、配線636bが接して設けられている。
【0144】
本実施の形態では、半導体層として酸化物半導体層603を用いる。酸化物半導体層603に用いる酸化物半導体としては、四元系金属酸化物であるIn−Sn−Ga−Zn−O系酸化物半導体や、三元系金属酸化物であるIn−Ga−Zn−O系、In−Sn−Zn−O系、In−Al−Zn−O系、Sn−Ga−Zn−O系、Al−Ga−Zn−O系、Sn−Al−Zn−O系酸化物半導体や、二元系金属酸化物であるIn−Zn−O系、Sn−Zn−O系、Al−Zn−O系、Zn−Mg−O系、Sn−Mg−O系、In−Mg−O系酸化物半導体や、In−O系、Sn−O系、Zn−O系酸化物半導体などがある。また、上記酸化物半導体にSiOを添加してもよい。ここで、例えば、In−Ga−Zn−O系酸化物半導体とは、少なくともInとGaとZnを含む酸化物であり、その組成比に特に制限はない。また、InとGaとZn以外の元素を含んでもよい。
【0145】
また、酸化物半導体層603は、化学式InMO(ZnO)(m>0)で表記される酸化物半導体を用いることができる。ここで、Mは、Ga、Al、MnおよびCoから選ばれた一または複数の金属元素を示す。例えば、Mとしては、Ga、Ga及びAl、Ga及びMn、またはGa及びCoなどがある。
【0146】
酸化物半導体層603を用いたトランジスタ610、トランジスタ620、トランジスタ630、及びトランジスタ640は、リーク電流を十分に低減することが可能である。よって、これを整流回路に用いることにより、電位の保持時間を長くし、整流回路の整流効率の向上を図ることができる。
【0147】
絶縁表面を有する基板600に使用することができる基板に大きな制限はない。例えば、液晶表示装置などに用いられるガラス基板や、石英基板などを用いることができる。また、シリコンウェハ上に絶縁層を形成した基板などを用いても良い。
【0148】
ボトムゲート構造のトランジスタ610、トランジスタ620、トランジスタ630において、下地となる絶縁層を基板とゲート電極の間に設けてもよい。当該絶縁層は、基板からの不純物元素の拡散を防止する機能があり、窒化シリコン膜、酸化シリコン膜、窒化酸化シリコン膜、又は酸化窒化シリコン膜から選ばれた一又は複数の膜により形成することができる。
【0149】
ゲート電極601は、モリブデン、チタン、クロム、タンタル、タングステン、アルミニウム、銅、ネオジム、スカンジウム等の金属材料またはこれらを主成分とする合金材料を用いて形成することができる。また、その構造は、単層構造としても良いし、積層構造としても良い。
【0150】
ゲート絶縁層602は、プラズマCVD法やスパッタリング法などを用いて、酸化シリコン膜、窒化シリコン膜、酸化窒化シリコン膜、窒化酸化シリコン膜、酸化アルミニウム膜、窒化アルミニウム膜、酸化窒化アルミニウム膜、窒化酸化アルミニウム膜、酸化ハフニウム膜などから選ばれた一又は複数の膜により形成することができる。例えば、第1のゲート絶縁層としてプラズマCVD法により膜厚50nm以上200nm以下の窒化シリコン膜(SiN(y>0))を形成し、第1のゲート絶縁層上に第2のゲート絶縁層としてスパッタリング法により膜厚5nm以上300nm以下の酸化シリコン膜(SiO(x>0))を形成して、合計膜厚500nmのゲート絶縁層とすることができる。
【0151】
ソース電極またはドレイン電極605a、ソース電極またはドレイン電極605bは、モリブデン、チタン、クロム、タンタル、タングステン、アルミニウム、銅、ネオジム、スカンジウム等の金属材料またはこれらを主成分とする合金材料を用いて形成することができる。例えば、アルミニウムや銅などの金属層と、チタン、モリブデン、タングステンなどの高融点金属層との積層構造とすることができる。ヒロックやウィスカーの発生を防止する元素(シリコン、ネオジム、スカンジウムなど)が添加されたアルミニウム材料を用いることで耐熱性を向上させても良い。
【0152】
また、ソース電極またはドレイン電極605a、ソース電極またはドレイン電極605b(これらと同じ層で形成される配線を含む)となる導電膜として、導電性の金属酸化物膜を用いても良い。導電性の金属酸化物としては酸化インジウム(In)、酸化スズ(SnO)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化インジウム酸化スズ合金(In―SnO、ITOと略記する場合がある)、酸化インジウム酸化亜鉛合金(In―ZnO)またはこれらの金属酸化物材料に酸化シリコンを含ませたもの、などを用いることができる。
【0153】
ソース電極またはドレイン電極605a、ソース電極またはドレイン電極605bに接する配線636a、配線636bについては、ソース電極またはドレイン電極605a、ソース電極またはドレイン電極605bと同様の材料を用いて形成することができる。
【0154】
絶縁層607、絶縁層627、絶縁層637としては、代表的には酸化シリコン膜、酸化窒化シリコン膜、酸化ガリウム、酸化アルミニウム膜、または酸化窒化アルミニウム膜などの無機絶縁膜を用いることができる。
【0155】
保護絶縁層609としては、窒化シリコン膜、窒化アルミニウム膜、窒化酸化シリコン膜、窒化酸化アルミニウム膜などの無機絶縁膜を用いることができる。
【0156】
また、保護絶縁層609上には、トランジスタ起因の表面凹凸を低減するための平坦化絶縁膜を形成してもよい。平坦化絶縁膜としては、ポリイミド、アクリル、ベンゾシクロブテン、等の有機材料を用いることができる。また、上記有機材料の他に、低誘電率材料(low−k材料)等を用いることができる。なお、これらの材料で形成される絶縁膜を複数積層させることで、平坦化絶縁膜を形成してもよい。
【0157】
以上、本実施の形態に示す構成、方法などは、他の実施の形態に示す構成、方法などと適宜組み合わせて用いることができる。
【0158】
(実施の形態6)
本実施の形態では、上記実施の形態5において、図10(A)に示した酸化物半導体層を用いたトランジスタの作製方法の一例を、図11を用いて詳細に説明する。
【0159】
図11(A)乃至図11(E)は、トランジスタの作製工程にかかる断面図である。なお、ここで示すトランジスタ510は、逆スタガ型トランジスタである。なお、トランジスタ510は実施の形態5において、例示した図10(A)のトランジスタと同一の構造となる。
【0160】
本実施の形態の半導体層に用いる酸化物半導体は、n型不純物である水素を酸化物半導体から除去し、酸化物半導体の構成元素以外の不純物が極力含まれないようにし、酸化物半導体に生じた酸素欠損を補填して、高純度化することによりI型(真性)の酸化物半導体、又はI型(真性)に限りなく近い酸化物半導体としたものである。
【0161】
なお、高純度化された酸化物半導体中ではキャリアが極めて少なく、キャリア濃度は1×1014/cm未満、好ましくは1×1012/cm未満、さらに好ましくは1×1011/cm未満となる。また、このようにキャリアが少ないことで、オフ状態における電流(オフ電流)は十分に小さくなる。
【0162】
具体的には、上述の酸化物半導体層を具備するトランジスタでは、室温(25℃)におけるチャネル幅1μmあたりのオフ電流密度を、100zA/μm(1×10−19A/μm)以下、さらには10zA/μm(1×10−20A/μm)以下にすることが可能である。
【0163】
また、高純度化された酸化物半導体層を具備するトランジスタ510は、オン電流の温度依存性がほとんど見られず、高温状態においてもオフ電流は非常に小さいままである。
【0164】
以下、図11(A)乃至図11(E)を用い、基板505上にトランジスタ510を作製する工程を説明する。
【0165】
まず、絶縁表面を有する基板505上に導電層を形成した後、第1のフォトリソグラフィ工程によりゲート電極511を形成する。なお、当該フォトリソグラフィ工程に用いるレジストマスクは、インクジェット法で形成してもよい。レジストマスクをインクジェット法で形成するとフォトマスクを使用しないため、製造コストを低減できる。
【0166】
絶縁表面を有する基板505には、上記実施の形態における基板600と同様の基板を用いることができる。本実施の形態では基板505としてガラス基板を用いる。
【0167】
なお、下地となる絶縁層を基板505とゲート電極511との間に設けてもよい。当該絶縁層には、基板505からの不純物元素の拡散を防止する機能があり、窒化シリコン膜、酸化シリコン膜、窒化酸化シリコン膜、酸化窒化シリコン膜などから選ばれた一または複数の膜により形成することができる。
【0168】
また、ゲート電極511は、モリブデン、チタン、クロム、タンタル、タングステン、アルミニウム、銅、ネオジム、スカンジウム等の金属材料またはこれらを主成分とする合金材料を用いて形成することができる。また、その構造は、単層構造としても良いし、積層構造としても良い。
【0169】
次いで、ゲート電極511上にゲート絶縁層507を形成する。ゲート絶縁層507は、プラズマCVD法やスパッタリング法などを用いて形成することができる。また、酸化シリコン膜、窒化シリコン膜、酸化窒化シリコン膜、窒化酸化シリコン膜、酸化アルミニウム膜、窒化アルミニウム膜、酸化窒化アルミニウム膜、窒化酸化アルミニウム膜、酸化ハフニウム膜などから選ばれた一又は複数の膜により形成することができる。
【0170】
なお、ゲート絶縁層507、酸化物半導体膜530に水素、水酸基及び水分がなるべく含まれないようにするために、酸化物半導体膜530の成膜の前処理として、スパッタリング装置の予備加熱室でゲート電極511が形成された基板505、またはゲート絶縁層507までが形成された基板505を予備加熱し、基板505が吸着している水素、水分などの不純物を脱離させることが好ましい。また、予備加熱室に設ける排気手段は、クライオポンプとすることが好ましい。また、当該予備加熱は、ソース電極またはドレイン電極515a及びソース電極またはドレイン電極515bまで形成した基板505に対して行っても良い。なお、この予備加熱の処理は省略することもできる。
【0171】
次いで、ゲート絶縁層507上に、膜厚2nm以上200nm以下、好ましくは5nm以上30nm以下の酸化物半導体膜530を形成する(図11(A)参照)。
【0172】
酸化物半導体膜530には、上記実施の形態5に示した四元系金属酸化物、三元系金属酸化物、二元系金属酸化物、In−O系、Sn−O系、Zn−O系などを用いることができる。
【0173】
酸化物半導体膜530をスパッタリング法で作製するためのターゲットとして、酸化亜鉛を主成分とする金属酸化物のターゲットを用いることができる。また、金属酸化物のターゲットの他の例としては、In、Ga、及びZnを含む金属酸化物ターゲット(組成比として、In:Ga:ZnO=1:1:1[mol比]を用いることができる。また、In、Ga、及びZnを含む酸化物半導体ターゲットとして、In:Ga:ZnO=2:2:1[mol比]、又はIn:Ga:ZnO=1:1:4[mol比]の組成比を有するターゲットを用いることもできる。金属酸化物ターゲットの充填率は90%以上100%以下、好ましくは95%以上99.9%である。充填率の高い金属酸化物ターゲットを用いることにより、成膜した酸化物半導体膜は緻密な膜となる。
【0174】
酸化物半導体膜530の形成雰囲気は、希ガス(代表的にはアルゴン)雰囲気、酸素雰囲気、または、希ガス(代表的にはアルゴン)と酸素との混合雰囲気とするのが好適である。具体的には、例えば、水素、水、水酸基、水素化物などの不純物が、濃度1ppm以下(望ましくは濃度10ppb以下)にまで除去された高純度ガス雰囲気を用いるのが好適である。
【0175】
酸化物半導体膜530の形成の際には、例えば、減圧状態に保持された処理室内に被処理物を保持し、被処理物の温度が100℃以上550℃未満、好ましくは200℃以上450℃以下となるように被処理物を熱する。または、酸化物半導体膜530の形成の際の被処理物の温度は、室温(25℃±10℃)としてもよい。そして、処理室内の水分を除去しつつ、水素や水などが除去されたスパッタリングガスを導入し、上記ターゲットを用いて酸化物半導体膜530を形成する。被処理物を熱しながら酸化物半導体膜530を形成することにより、酸化物半導体層に含まれる不純物を低減することができる。また、スパッタによる損傷を軽減することができる。処理室内の水分を除去するためには、吸着型の真空ポンプを用いることが好ましい。例えば、クライオポンプ、イオンポンプ、チタンサブリメーションポンプなどを用いることができる。また、ターボ分子ポンプにコールドトラップを加えたものを用いてもよい。クライオポンプなどを用いて排気することで、処理室から水素や水などを除去することができるため、酸化物半導体膜530中の不純物濃度を低減できる。
【0176】
酸化物半導体膜530の形成条件としては、例えば、被処理物とターゲットの間との距離が170mm、圧力が0.4Pa、直流(DC)電力が0.5kW、雰囲気が酸素(酸素100%)雰囲気、またはアルゴン(アルゴン100%)雰囲気、または酸素とアルゴンの混合雰囲気、といった条件を適用することができる。なお、パルス直流(DC)電源を用いると、ごみ(成膜時に形成される粉状の物質など)を低減でき、膜厚分布も均一となるため好ましい。酸化物半導体膜530の厚さは、1nm以上50nm以下、好ましくは1nm以上30nm以下とする。このような厚さの酸化物半導体膜530を用いることで、微細化に伴う短チャネル効果を抑制することが可能である。ただし、適用する酸化物半導体材料や、半導体装置の用途などにより適切な厚さは異なるから、その厚さは、用いる材料や用途などに応じて選択することもできる。
【0177】
なお、酸化物半導体膜530をスパッタリング法により形成する前には、アルゴンガスを導入してプラズマを発生させる逆スパッタリングを行い、形成表面(例えばゲート絶縁層507の表面)の付着物を除去するのが好適である。ここで、逆スパッタリングとは、処理表面にイオンを衝突させることによってその表面を改質する方法のことをいう。処理表面にイオンを衝突させる方法としては、アルゴン雰囲気下で処理表面側に高周波電圧を印加して、被処理物付近にプラズマを生成する方法などがある。なお、アルゴン雰囲気に代えて窒素、ヘリウム、酸素などによる雰囲気を適用してもよい。
【0178】
次いで、酸化物半導体膜530を第2のフォトリソグラフィ工程により島状の酸化物半導体層に加工する。なお、当該フォトリソグラフィ工程に用いるレジストマスクは、インクジェット法で形成してもよい。レジストマスクをインクジェット法で形成するとフォトマスクを使用しないため、製造コストを低減できる。
【0179】
なお、ゲート絶縁層507に開口部を形成する場合、その工程は酸化物半導体膜530の加工と同時に行うことができる。
【0180】
酸化物半導体膜530のエッチングは、ドライエッチングでもウェットエッチングでもよく、両方を用いてもよい。例えば、酸化物半導体膜530のウェットエッチングに用いるエッチング液としては、燐酸と酢酸と硝酸とを混合させた溶液、アンモニア過水(31重量%過酸化水素水:28重量%アンモニア水:水=5:2:2)などを用いることができる。また、ITO07N(関東化学社製)を用いてもよい。
【0181】
その後、酸化物半導体層に対して、熱処理(第1の熱処理)を行い、酸化物半導体層531を得る(図10(B)参照)。この第1の熱処理によって酸化物半導体層中の過剰な水素(水や水酸基を含む)を除去し、酸化物半導体層の構造を整え、エネルギーギャップ中の欠陥準位を低減することができる。第1の熱処理の温度は、例えば、300℃以上650℃未満、好ましくは400℃以上500℃以下とする。
【0182】
熱処理は、例えば、抵抗発熱体などを用いた電気炉に被処理物を導入し、窒素雰囲気下、450℃、1時間の条件で行うことができる。この間、酸化物半導体層は大気に触れさせず、水や水素の混入が生じないようにする。
【0183】
熱処理装置は電気炉に限られず、加熱されたガスなどの媒体からの熱伝導、または熱輻射によって、被処理物を加熱する装置を用いても良い。例えば、GRTA(Gas Rapid Thermal Anneal)装置、LRTA(Lamp Rapid Thermal Anneal)装置等のRTA(Rapid Thermal Anneal)装置を用いることができる。LRTA装置は、ハロゲンランプ、メタルハライドランプ、キセノンアークランプ、カーボンアークランプ、高圧ナトリウムランプ、高圧水銀ランプなどのランプから発する光(電磁波)の輻射により、被処理物を加熱する装置である。GRTA装置は、高温のガスを用いて熱処理を行う装置である。ガスとしては、アルゴンなどの希ガス、または窒素のような、熱処理によって被処理物と反応しない不活性気体が用いられる。
【0184】
例えば、第1の熱処理として、熱せられた不活性ガス雰囲気中に被処理物を投入し、数分間熱した後、当該不活性ガス雰囲気から被処理物を取り出すGRTA処理を行ってもよい。GRTA処理を用いると短時間での高温熱処理が可能となる。また、被処理物の耐熱温度を超える温度条件であっても適用が可能となる。なお、処理中に、不活性ガスを、酸素を含むガスに切り替えても良い。酸素を含む雰囲気において第1の熱処理を行うことで、酸素欠損に起因するエネルギーギャップ中の欠陥準位を低減することができるためである。
【0185】
なお、不活性ガス雰囲気としては、窒素、または希ガス(ヘリウム、ネオン、アルゴン等)を主成分とする雰囲気であって、水、水素などが含まれない雰囲気を適用するのが望ましい。例えば、熱処理装置に導入する窒素や、ヘリウム、ネオン、アルゴン等の希ガスの純度を、6N(99.9999%)以上、好ましくは7N(99.99999%)以上(すなわち、不純物濃度が1ppm以下、好ましくは0.1ppm以下)とする。
【0186】
いずれにしても、第1の熱処理によって不純物を低減した酸化物半導体層を形成することで、極めて優れた特性のトランジスタを実現することができる。
【0187】
ところで、上述の熱処理(第1の熱処理)には水素や水などを除去する効果があるから、当該熱処理を、脱水化処理や、脱水素化処理などと呼ぶこともできる。当該脱水化処理や、脱水素化処理は、酸化物半導体膜530の形成後、島状の酸化物半導体層に加工する前において行うことも可能である。また、このような脱水化処理、脱水素化処理は、一回に限らず複数回行っても良い。
【0188】
なお、第1の加熱処理は、上記以外に、ソース電極およびドレイン電極を形成した後、ソース電極およびドレイン電極上に絶縁層を形成した後、などのタイミングにおいて行うことができる。
【0189】
次いで、ゲート絶縁層507、及び酸化物半導体層531上に、ソース電極またはドレイン電極(及びこれと同じ層で形成される配線)となる導電膜を形成する。ソース電極またはドレイン電極に用いる導電層としては、上記実施の形態5に示した材料を用いることができる。
【0190】
第3のフォトリソグラフィ工程により導電膜上にレジストマスクを形成し、選択的にエッチングを行ってソース電極またはドレイン電極515a、ソース電極またはドレイン電極515bを形成した後、レジストマスクを除去する(図11(C)参照)。
【0191】
第3のフォトリソグラフィ工程でのレジストマスク形成時の露光には、紫外線やKrFレーザー光やArFレーザー光を用いるとよい。なお、トランジスタのチャネル長(L)は、ソース電極とドレイン電極との間隔によって決定される。このため、チャネル長(L)が25nm未満のトランジスタの作製に用いるマスク形成時の露光には、数nm〜数10nmと波長の短い超紫外線(Extreme Ultraviolet)を用いるのが望ましい。超紫外線による露光は、解像度が高く焦点深度も大きい。従って、後に形成されるトランジスタのチャネル長(L)を、10nm以上1000nm(1μm)以下とすることも可能であり、回路の動作速度を高めることが可能である。また、微細化によって、半導体装置の消費電力を低減することも可能である。
【0192】
また、フォトリソグラフィ工程で用いるフォトマスク数及び工程数を削減するため、多階調マスクによって形成されたレジストマスクを用いてエッチング工程を行ってもよい。多階調マスクを用いて形成されたレジストマスクは異なる厚さの領域を有し、エッチングを行うことでさらに形状を変形することができるため、異なるパターンに加工するための複数のエッチング工程に用いることができる。よって、一枚の多階調マスクによって、少なくとも二種類以上の異なるパターンに対応するレジストマスクを形成することができる。これにより、露光マスク数を削減することができ、対応するフォトリソグラフィ工程も削減できるため、工程の簡略化が可能となる。
【0193】
なお、導電層のエッチングの際には、酸化物半導体層531がエッチングにより分断されることのないように、エッチング条件を最適化することが望まれる。しかしながら、導電膜のみをエッチングし、酸化物半導体層531を全くエッチングしないという条件を得ることは難しく、導電層のエッチングの際に、酸化物半導体層531の一部がエッチングされ溝部(凹部)が形成されることもある。
【0194】
導電層のエッチングには、ウェットエッチング、ドライエッチングのいずれを用いても良い。なお、素子の微細化という観点からはドライエッチングを用いるのが好適である。エッチングガスやエッチング液については被エッチング材料に応じて適宜選択することができる。本実施の形態では、導電膜としてチタン膜を用い、酸化物半導体層531にはIn−Ga−Zn−O系の材料を用いているため、例えばウェットエッチングを適用する場合には、エッチャントとしてアンモニア過水(31重量%過酸化水素水:28重量%アンモニア水:水=5:2:2)を用いることができる。
【0195】
次いで、NO、N、またはArなどのガスを用いたプラズマ処理を行い、露出している酸化物半導体層の表面に付着した水素や水などを除去するのが望ましい。当該プラズマ処理を行う場合、大気に触れない条件で、保護絶縁膜となる絶縁層516を形成する。
【0196】
絶縁層516は、少なくとも1nm以上の膜厚とし、スパッタリング法など、絶縁層516に水や水素等の不純物を混入させない方法を用いて形成することが望ましい。絶縁層516に水素が含まれると、その水素の酸化物半導体層への侵入や、水素による酸化物半導体層中の酸素の引き抜きなどが生じ、酸化物半導体層のバックチャネルが低抵抗化(n型化)して寄生チャネルが形成されるおそれがあるからである。また、絶縁層516には、酸化シリコン膜、酸化窒化シリコン膜、酸化アルミニウム膜、または酸化窒化アルミニウム膜、酸化ガリウム膜などを用いるのが望ましい。
【0197】
本実施の形態では、絶縁層516として膜厚200nmの酸化シリコン膜を、スパッタリング法を用いて成膜する。成膜時の基板温度は、室温(25℃)以上300℃以下とすればよく、本実施の形態では100℃とする。酸化シリコン膜のスパッタリング法による成膜は、希ガス(代表的にはアルゴン)雰囲気下、酸素雰囲気下、または希ガスと酸素の混合雰囲気下において行うことができる。また、ターゲットとして酸化シリコンターゲットまたはシリコンターゲットを用いることができる。
【0198】
酸化物半導体膜530の成膜時と同様に、絶縁層516の成膜室内の残留水分を除去するためには、吸着型の真空ポンプ(クライオポンプなど)を用いることが好ましい。クライオポンプを用いて排気した成膜室で成膜することにより、絶縁層516に含まれる不純物の濃度を低減できる。また、絶縁層516の成膜室内の残留水分を除去するための排気手段として、ターボ分子ポンプにコールドトラップを加えたものを用いても良い。
【0199】
絶縁層516の成膜に用いるスパッタリングガスは、水素や水などの不純物が除去された高純度ガスであることが望ましい。
【0200】
次いで、不活性ガス雰囲気下、または酸素雰囲気下で第2の熱処理を行う。熱処理の温度は、200℃以上450℃以下、好ましくは250℃以上350℃以下とする。例えば、窒素雰囲気下で250℃、1時間の熱処理を行えばよい。第2の熱処理を行うことによって、トランジスタの電気的特性のばらつきを軽減することができる。また、絶縁層516から酸化物半導体層531への酸素の供給により、該酸化物半導体層531の酸素欠損を補填して、I型(真性半導体)またはI型に限りなく近い酸化物半導体層を形成することもできる。
【0201】
なお、本実施の形態では、絶縁層516の形成後に第2の熱処理を行っているが、第2の熱処理のタイミングはこれに限定されない。例えば、第1の熱処理に続けて第2の熱処理を行っても良いし、第1の熱処理に第2の熱処理を兼ねさせても良い。
【0202】
上述のように、第1の熱処理および第2の熱処理によって、酸化物半導体層531を、その構成元素以外の不純物が極力含まれないようにし、酸化物半導体に生じた酸素欠損を補填して、高純度化し、I型(真性)化することができる。
【0203】
以上の工程でトランジスタ510が形成される(図11(D)参照)。
【0204】
なお、絶縁層516上には、さらに保護絶縁層506を形成するのが望ましい(図11(E)参照)。保護絶縁層506は、水素や水などが外部からの侵入を防止する。保護絶縁層506としては、例えば、窒化シリコン膜、窒化アルミニウム膜などを用いることができる。成膜方法は特に限定されないが、RFスパッタリング法は量産性がよいため、保護絶縁層506の成膜方法として適している。また、保護絶縁層506として、ポリイミド、アクリル、ベンゾシクロブテン、等の有機材料を用いることができる。これらの有機材料を用いることにより、さらなる絶縁性の向上を図ることができる。また、保護絶縁層506は、上記の材料を積層した構造としても良く、例えば、窒化シリコン膜上にポリイミド膜を積層した構造とすることができる。このような構造にすることで、保護絶縁層506は、水素や水などの侵入を防ぎ、且つ絶縁性を向上させることができる。
【0205】
なお、保護絶縁層506の形成後には、さらに、大気中、100℃以上200℃以下、1時間以上30時間以下の条件で、熱処理を行ってもよい。
【0206】
このように、本実施の形態を用いて作製した、高純度化された酸化物半導体層を含むトランジスタを用いることにより、トランジスタのリーク電流を十分に低減することが可能である。よって、これを整流回路のトランジスタに用いることにより、電位の保持時間を長くし、整流回路の整流効率の向上を図ることができる。
【0207】
以上、本実施の形態に示す構成、方法などは、他の実施の形態に示す構成、方法などと適宜組み合わせて用いることができる。
【0208】
(実施の形態7)
本実施の形態では、本発明の一態様に係る整流回路を備えたRFタグの使用例について図12を用いながら説明する。RFIDの用途は広範にわたるが、例えば、紙幣、硬貨、有価証券類、無記名債券類、証書類(運転免許証や住民票等、図12(A)参照)、包装用容器類(包装紙やボトル等、図12(C)参照)、記録媒体(DVDソフトやビデオテープ等、図12(B)参照)、乗り物類(自転車等、図12(D)参照)、身の回り品(鞄や眼鏡等)、食品類、植物類、動物類、人体、衣類、生活用品類、または電子機器(液晶表示装置、EL表示装置、テレビジョン装置、または携帯電話)等の物品、若しくは各物品に取り付ける荷札(図12(E)、図12(F)参照)等に設けて使用することができる。
【0209】
本発明の一態様に係るRFID4000は、プリント基板に実装、表面に貼る、または埋め込むことにより、物品に固定される。例えば、本であれば紙に埋め込み、有機樹脂からなるパッケージであれば当該有機樹脂の内部に埋め込み、各物品に固定される。本発明の一態様に係るRFID4000は、小型、薄型、軽量を実現するため、物品に固定した後もその物品自体のデザイン性を損なうことがない。また、紙幣、硬貨、有価証券類、無記名債券類、または証書類等に本発明の一態様に係るRFID4000を設けることにより、認証機能を設けることができ、この認証機能を活用すれば、偽造を防止することができる。また、包装用容器類、記録媒体、身の回り品、食品類、衣類、生活用品類、または電子機器等に本発明の一態様に係るRFIDを取り付けることにより、検品システム等のシステムの効率化を図ることができる。また、乗り物類であっても、本発明の一態様に係るRFIDを取り付けることにより、盗難などに対するセキュリティ性を高めることができる。
【0210】
以上のように、本発明の一態様に係わる整流回路を搭載したRFIDを本実施の形態に挙げた各用途に用いることにより、所定の通信距離を有するRFIDにおいて、例えば通信距離が極端に長い信号を受信する場合においても、整流回路に用いるトランジスタにコイルが接続されており整流効率が向上し、安定した動作を実現できるため、物品の認証性、またはセキュリティ性に対する信頼性を高めることができる。
【符号の説明】
【0211】
100 RFID
101 論理回路
102 アンテナ回路
103 復調回路
104 変調回路
110 アンテナ
111 アンテナ
112 共振容量
113 整流回路
114 定電圧回路
117 クロック生成回路
120 容量素子
121 コイル
123 トランジスタ
124 コイル
125 トランジスタ
126 容量素子
150 RFID
300 半導体装置
301 コイル
302 コイル
310 半導体装置
311 コイル
312 コイル
320 半導体装置
321 コイル
322 コイル
331a 接続電極層
331b 接続電極層
401 基板
402 絶縁層
403 半導体層
403a 半導体層
403b 半導体層
404 ゲート絶縁層
405 ゲート電極層
406 保護絶縁層
407a チャネル形成領域
407b 不純物領域
407c 不純物領域
408 絶縁層
409 絶縁層
410 絶縁層
411a ソース電極層
411b ドレイン電極層
411c ソース電極層
411d ドレイン電極層
412a 接続電極層
412b 接続電極層
412c 接続電極層
413 無機絶縁層
414 絶縁層
415a 開口部
415b 開口部
415c 開口部
416a 領域
416b 領域
416c 領域
417 接続電極層
418 絶縁層
419 導電層
420 導電層
421 無機絶縁層
422 アンテナ
423 周辺部
424 領域
450 素子層
450a トランジスタ
450b トランジスタ
505 基板
506 保護絶縁層
507 ゲート絶縁層
510 トランジスタ
511 ゲート電極
515a ソース電極またはドレイン電極
515b ソース電極またはドレイン電極
516 絶縁層
530 酸化物半導体層
531 酸化物半導体層
600 基板
601 ゲート電極
602 ゲート絶縁層
603 酸化物半導体層
605a ソース電極またはドレイン電極
605b ソース電極またはドレイン電極
607 絶縁層
609 保護絶縁層
610 トランジスタ
620 トランジスタ
627 絶縁層
630 トランジスタ
636a 配線
636b 配線
637 絶縁層
640 トランジスタ
704 半導体層
801 絶縁層
802 開口部
803 絶縁層
804 導電層
805 導電層
806 無機絶縁層
807 周辺部
808 領域
4000 RFID

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アンテナと、
前記アンテナを介して受信した搬送波または振幅変調波を整流する整流回路と、を有し、
前記整流回路は、
第1のトランジスタと、第2のトランジスタと、第1の容量素子と、第2の容量素子と、第1のコイルと、第2のコイルと、を有し、
前記第1のトランジスタは、
第1のゲート電極と、第1のソース電極と、第1のドレイン電極と、を有し、
前記第2のトランジスタは、
第2のゲート電極と、第2のソース電極と、第2のドレイン電極と、を有し、
前記第1のゲート電極と、前記第1のドレイン電極との間に、前記第1のコイルを接続させ、前記第2のゲート電極と、前記第2のドレイン電極との間に、前記第2のコイルを接続させ、
前記アンテナから受信した搬送波または振幅変調波が、前記第1のコイル、及び前記第2のコイルにより増幅されることを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記半導体装置は、
前記アンテナと電気的に接続された復調回路と、
前記復調回路と電気的に接続された変調回路と、
前記整流回路と電気的に接続された定電圧回路と、
前記復調回路、前記変調回路、及び前記定電圧回路と電気的に接続された論理回路と、
を有することを特徴とする半導体装置。
【請求項3】
請求項1において、
前記半導体装置は、
前記アンテナと電気的に接続された復調回路と、
前記復調回路と電気的に接続された変調回路と、
前記整流回路と電気的に接続された定電圧回路と、
前記復調回路、前記変調回路、及び前記定電圧回路と電気的に接続された論理回路と、
前記定電圧回路と、前記論理回路との間に接続されたクロック生成回路と、
を有することを特徴とする半導体装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか一つにおいて、
前記第1のコイル、及び前記第2のコイルは、絶縁層を介して前記アンテナと、重ねて配置されることを特徴とする半導体装置。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれか一つにおいて、
前記第1のコイル、及び前記第2のコイルは、
アルミニウム、クロム、タンタル、チタン、モリブデン、タングステン、銀、銅、金、白金、ニッケル、パラジウムから選択された元素を含む導電層であることを特徴とする半導体装置。
【請求項6】
請求項1乃至請求項5のいずれか一つにおいて、
前記第1のトランジスタ、及び前記第2のトランジスタは、
酸化物半導体材料を含んで構成されることを特徴とする半導体装置。
【請求項7】
基板上に第1の絶縁層を形成し、
前記第1の絶縁層上に半導体層を形成し、
前記半導体層上にゲート絶縁層を形成し、
前記ゲート絶縁層上にゲート電極層を形成し、
前記ゲート電極層上に第2の絶縁層を形成し、
前記第2の絶縁層上に前記半導体層と接するソース電極層、及びドレイン電極層を形成し、
前記第2の絶縁層、前記ソース電極層、及び前記ドレイン電極層上に第3の絶縁層を形成し、
前記第3の絶縁層上に第1のコイル、及び第2のコイルを形成し、
前記第3の絶縁層、前記第1のコイル、及び前記第2のコイル上に第4の絶縁層を形成し、
前記第4の絶縁層上にアンテナを形成することを特徴とする半導体装置の作製方法。
【請求項8】
基板上に第1の絶縁層を形成し、
前記第1の絶縁層上に半導体層を形成し、
前記半導体層上にゲート絶縁層を形成し、
前記ゲート絶縁層上にゲート電極層を形成し、
前記ゲート電極層上に第2の絶縁層を形成し、
前記第2の絶縁層上に前記半導体層と接するソース電極層、及びドレイン電極層を形成し、
前記第2の絶縁層、前記ソース電極層、及び前記ドレイン電極層上に第3の絶縁層を形成し、
前記第3の絶縁層上に第1のコイルを形成し、
前記第3の絶縁層、及び前記第1のコイル上に第4の絶縁層を形成し、
前記第4の絶縁層上に第2のコイルを形成し、
前記第4の絶縁層、及び前記第2のコイル上に第5の絶縁層を形成し、
前記第5の絶縁層上にアンテナを形成することを特徴とする半導体装置の作製方法。
【請求項9】
請求項7または請求項8において、
前記第1のコイル、及び前記第2のコイルは、
アルミニウム、クロム、タンタル、チタン、モリブデン、タングステン、銀、銅、金、白金、ニッケル、パラジウムから選択された元素を含む導電層であることを特徴とする半導体装置の作製方法。
【請求項10】
請求項7または請求項8において、
前記半導体層は、
酸化物半導体材料により形成されることを特徴とする半導体装置の作製方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−50071(P2012−50071A)
【公開日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−158668(P2011−158668)
【出願日】平成23年7月20日(2011.7.20)
【出願人】(000153878)株式会社半導体エネルギー研究所 (5,264)
【Fターム(参考)】