説明

半導体装置およびその作製方法

【課題】酸化物半導体を用いた薄膜トランジスタにおいて、金属材料からなるソース電極及びドレイン電極と、インジウム(In)、ガリウム(Ga)、及び亜鉛(Zn)を含む酸化物半導体層が直接接する構造は、コンタクト抵抗が高くなる恐れがある。酸化物半導体層とソース電極層またはドレイン電極層のコンタクト抵抗を低減した半導体装置およびその作製方法を提供する。
【解決手段】インジウム、ガリウム、亜鉛、酸素及び窒素を含むバッファ層を、酸化物半導体層とソース電極層及び、酸化物半導体層とドレイン電極層との間に設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はチャネル形成領域に酸化物半導体膜を用いた半導体装置およびその作製方法に関する。例えば、薄膜トランジスタや、薄膜トランジスタを有する液晶表示パネルに代表される電気光学装置や有機発光素子を有する発光表示装置を部品として搭載した電子機器に関する。
【0002】
なお、本明細書中において半導体装置とは、半導体特性を利用することで機能しうる装置全般を指し、電気光学装置、半導体回路および半導体素子を利用する電子機器は全て半導体装置である。
【背景技術】
【0003】
近年、マトリクス状に配置された表示画素毎に薄膜トランジスタ(以下、TFTという)からなるスイッチング素子を設けたアクティブマトリクス型の表示装置(液晶表示装置や発光表示装置や電気泳動式表示装置)が盛んに開発されている。アクティブマトリクス型の表示装置は、画素(又は1ドット)毎にスイッチング素子が設けられており、画素数が増えた場合に単純マトリクス方式に比べて低電圧駆動できるので有利である。
【0004】
また、チャネル形成領域に酸化物半導体を用いて薄膜トランジスタ(TFT)などを作製し、電子デバイスや光デバイスに応用する技術が注目されている。例えば、チャネル形成領域にZnOを用いる薄膜トランジスタや、チャネル形成領域にインジウム、ガリウム、及び亜鉛を含む酸化物を用いる薄膜トランジスタをその例に挙げることができる。また、透光性を有する基板上に、これらのチャネル形成領域に酸化物半導体を用いた薄膜トランジスタを形成し、画像表示装置のスイッチング素子などに用いる技術が特許文献1、特許文献2などで開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−123861号公報
【特許文献2】特開2007−96055号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
チャネル形成領域に酸化物半導体を用いる薄膜トランジスタには、動作速度が速く、製造工程が比較的簡単であり、十分な信頼性であることが求められている。
【0007】
薄膜トランジスタを形成するにあたり、ソース電極及びドレイン電極を含む導電層は、低抵抗な金属材料を用いる。特に、大面積の表示を行う表示装置を製造する際、配線の抵抗による信号の遅延問題が顕著になってくる。従って、配線や電極の材料としては、電気抵抗値の低い金属材料を用いることが望ましい。しかし、金属材料からなるソース電極及びドレイン電極と、酸化物半導体層とが直接接する薄膜トランジスタ構造とすると、コンタクト抵抗が高くなる恐れがある。なお、コンタクト抵抗が高くなる原因は、ソース電極及びドレイン電極と、酸化物半導体層との接触面でショットキー接合が形成されることが要因の一つと考えられる。
【0008】
本発明の一態様は、チャネル形成領域の酸化物半導体層とソース電極及びドレイン電極のコンタクト抵抗を低減した半導体装置およびその作製方法を提供することを課題の一つとする。
【0009】
また、酸化物半導体を用いる半導体装置の電気特性のバラツキを低減することも課題の一つとする。例えば、液晶表示装置や有機発光素子を用いた表示装置においては、その半導体装置のトランジスタ特性のバラツキに起因する表示ムラが発生する恐れがある。特に、発光素子を有する表示装置においては、画素電極に一定の電流が流れるように配置されたTFT(駆動回路または画素に配置される発光素子に電流を供給するTFT)のオン電流(Ion)のバラツキが大きい場合、画素に配置された発光素子の発光輝度にバラツキが生じる恐れがある。以上、本発明の一態様は上記課題の少なくとも一つを解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本明細書中で用いる酸化物半導体の一例は、InMO(ZnO)(m>0)で表記される。当該酸化物半導体からなる薄膜をチャネル形成領域に用いて薄膜トランジスタを作製する。なお、Mは、Ga、Fe、Ni、Mn及びCoから選ばれた一の金属元素又は複数の金属元素を示す。例えばMとして、Gaの場合があることの他、GaとNi又はGaとFeなど、Ga以外の上記金属元素が含まれる場合がある。また、上記酸化物半導体において、Mとして含まれる金属元素の他に、不純物元素としてFe、Niその他の遷移金属元素、又は該遷移金属の酸化物が含まれているものがある。本明細書においてはこの薄膜をインジウム、ガリウム、及び亜鉛を含む酸化物半導体膜もしくはIn−Ga−Zn−O系非単結晶膜とも呼ぶ。なお、In−Ga−Zn−O系非単結晶膜に含まれるナトリウム(Na)の濃度は5×1018/cm以下、好ましくは1×1018/cm以下である。
【0011】
また、インジウム、ガリウム、及び亜鉛を含む酸化物を成分とするターゲットを、窒素ガスを含む雰囲気中でスパッタリングして、インジウム、ガリウム、及び亜鉛を含む酸窒化物膜を成膜し、さらに当該酸窒化物膜を加熱処理することにより、優れた導電膜を得ることができる。
【0012】
そこで、チャネル形成領域にインジウム、ガリウム、及び亜鉛を含む酸化物半導体層を用い、当該酸化物半導体層とソース電極およびドレイン電極の間にインジウム、ガリウム、及び亜鉛を含む酸窒化物を含むバッファ層を挿入して、薄膜トランジスタのコンタクト抵抗を低減すればよい。
【0013】
なお、インジウム、ガリウム、及び亜鉛を含む酸化物を成分とするターゲットを、窒素ガスを含む雰囲気中でスパッタリングして成膜した、インジウム、ガリウム、及び亜鉛を含む酸窒化物膜において、成膜雰囲気中の窒素ガス濃度が高いほど、当該酸窒化物膜の組成に占める窒素の割合が増加し、酸素の割合が減少する。このことから、窒素原子は主に酸素原子を置換しており、価数の異なる窒素原子が酸素原子を置換することで導電性を発現していると言える。
【0014】
本発明の半導体装置の一様態は、インジウム、ガリウム、及び亜鉛を含む酸化物半導体層を有する半導体装置であって、半導体層とソース電極及びドレイン電極との間にインジウム、ガリウム、亜鉛、酸素及び窒素を含むバッファ層を設けた薄膜トランジスタおよびその作製方法を含むことを要旨とする。
【0015】
本発明の一態様は、ゲート電極と、ゲート電極を覆うゲート絶縁膜と、ゲート絶縁膜上でゲート電極と重畳する酸化物半導体層と、酸化物半導体層上でゲート電極と端部が重畳する第1電極及び第2電極を有する。また、酸化物半導体層と第1電極に接してその間に第1バッファ層を有し、酸化物半導体層と第2電極に接してその間に第2バッファ層を有する。そして、第1バッファ層及び第2バッファ層がインジウム、ガリウム、亜鉛、酸素及び窒素を含む薄膜トランジスタである。
【0016】
また本発明の一態様は、ゲート電極を覆うゲート絶縁膜と、ゲート絶縁膜上でゲート電極と端部が重畳する第1電極及び第2電極と、第1電極上に第1バッファ層と、第2電極上に第2バッファ層と、第1電極及び第2電極の端部に重畳する酸化物半導体層を有する。また、酸化物半導体層は第1電極及び第2電極の側面と、第1バッファ層及び第2バッファ層の上面と側面に接し、第1バッファ層及び第2バッファ層がインジウム、ガリウム、亜鉛、酸素及び窒素を含む薄膜トランジスタである。
【0017】
また本発明の一態様は、バッファ層が含む酸素(O)に対する窒素(N)の割合(N/O)が、5原子%以上80原子%以下である上記の薄膜トランジスタである。
【0018】
また本発明の一態様は、酸化物半導体層がインジウム、ガリウム、亜鉛を含む、上記の薄膜トランジスタである。
【0019】
また本発明の一態様は、基板上にゲート電極を形成し、ゲート電極上にゲート絶縁膜を形成し、ゲート絶縁膜上にゲート電極と重畳するインジウム、ガリウム、及び亜鉛を含む酸化物半導体層を形成し、酸化物半導体層上にバッファ層を形成し、バッファ層上に第1電極及び第2電極を形成する半導体装置の作製方法である。なお、バッファ層は窒素ガスを含む雰囲気でインジウム、ガリウム、及び亜鉛を含む酸化物を成分とするターゲットをスパッタリングして形成する。
【0020】
また本発明の一態様は、基板上にゲート電極を形成し、ゲート電極上にゲート絶縁膜を形成し、ゲート絶縁膜上にゲート電極と端部が重畳する第1電極及び第2電極を形成し、第1電極及び第2電極上にバッファ層を形成し、バッファ層上にインジウム、ガリウム、及び亜鉛を含む酸化物半導体層を形成する半導体装置の作製方法である。なお、バッファ層は窒素ガスを含む雰囲気でインジウム、ガリウム、及び亜鉛を含む酸化物を成分とするターゲットをスパッタリングして形成する。
【発明の効果】
【0021】
本発明の一態様によって、寄生抵抗が小さくオン・オフ比の高い薄膜トランジスタを得ることができる。よって、電気特性が高く信頼性のよい半導体装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の一態様の半導体装置を説明する上面図及び断面図。
【図2】本発明の一態様の半導体装置の作製工程を説明する断面図。
【図3】本発明の一態様の半導体装置の作製工程を説明する断面図。
【図4】本発明の一態様の半導体装置を説明する上面図及び断面図。
【図5】本発明の一態様の半導体装置の作製工程を説明する断面図。
【図6】本発明の一態様の半導体装置の作製工程を説明する断面図。
【図7】本発明の一態様の電子ペーパーの断面図。
【図8】本発明の一態様の半導体装置のブロック図を説明する図。
【図9】信号線駆動回路の構成を説明する図。
【図10】信号線駆動回路の動作を説明するタイミングチャート。
【図11】信号線駆動回路の動作を説明するタイミングチャート。
【図12】シフトレジスタの構成を説明する図。
【図13】図11に示すフリップフロップの接続構成を説明する図。
【図14】本発明の一態様の半導体装置を説明する上面図及び断面図。
【図15】本発明の一態様の半導体装置を説明する断面図。
【図16】本発明の一態様の半導体装置の画素等価回路を説明する図。
【図17】本発明の一態様の半導体装置を説明する図。
【図18】本発明の一態様の半導体装置を説明する上面図及び断面図。
【図19】電子ペーパーの使用形態の例を説明する図。
【図20】電子書籍の一例を示す外観図。
【図21】テレビジョン装置およびデジタルフォトフレームの例を示す外観図。
【図22】遊技機の例を示す外観図。
【図23】携帯電話機の一例を示す外観図。
【図24】(A)本発明の一態様の半導体装置の断面図、(B)等価回路図、(C)上面図。
【図25】エッチング廃液中に含まれる酸化物半導体の再利用サイクルを説明する図。
【図26】エッチング廃液中に含まれる酸化物半導体を再利用する工程を説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下では、本発明の実施の形態について図面を用いて詳細に説明する。ただし、本発明は以下の説明に限定されず、本発明の趣旨およびその範囲から逸脱することなくその形態および詳細を様々に変更し得ることは、当業者であれば容易に理解される。したがって、本発明は以下に示す実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。なお、以下に説明する本発明の構成において、同一部分又は同様な機能を有する部分には同一の符号を異なる図面間で共通して用い、その繰り返しの説明は省略する。
【0024】
(実施の形態1)
本実施の形態では、半導体装置の薄膜トランジスタおよびその作製工程について説明する。具体的には薄膜トランジスタを有する表示装置の画素部の作製工程について説明する。
【0025】
図1に本実施の形態の薄膜トランジスタを示す。図1(A)は上面図であり、図1(B)は図1(A)におけるA1−A2およびB1−B2で切断した断面図である。
【0026】
図1に示す薄膜トランジスタ150の酸化物半導体層113は、相対する第1電極115a及び第2電極115bの下にゲート絶縁膜を介してゲート電極111を被覆するように設けられている。すなわち酸化物半導体層113は、ゲート電極111と重畳し、ゲート絶縁膜102の上面部とバッファ層(114a、114b)の下面部と接するように設けられている。ここで、バッファ層114aは第1電極115aと酸化物半導体層113の間に積層され、同様に、バッファ層114bは第2電極115bと酸化物半導体層113の間に積層された構成を有している。
【0027】
酸化物半導体層はIn−Ga−Zn−O系非単結晶膜からなる。In−Ga−Zn−O系非単結晶膜の組成比は成膜条件により変化する。金属酸化物の組成比をIn:Ga:ZnO=1:1:1としたターゲット(金属元素の組成比は、In:Ga:Zn=1:1:0.5)を用い、スパッタリング法により成膜する。ここで、アルゴンガス流量を40sccmとした成膜条件を条件1とし、アルゴンガス流量を10sccm、酸素流量を5sccmとした成膜条件を条件2とする。
【0028】
異なる成膜条件で成膜した酸化物半導体膜の組成比を誘導結合プラズマ質量分析法(ICP−MS : Inductively Coupled Plasma Mass Spectrometry)により測定したところ、代表的な酸化物半導体膜の組成比は、条件1で成膜した場合はInGa0.95Zn0.413.33であり、条件2で成膜した場合は、InGa0.94Zn0.403.31である。
【0029】
また、測定方法をラザフォード後方散乱分析法(RBS : Rutherford Backscattering Spectrometry)に変えて定量化した代表的な酸化物半導体膜の組成比は、条件1で成膜した場合はInGa0.93Zn0.443.49であり、条件2で成膜した場合はInGa0.92Zn0.453.86である。
【0030】
なお、スパッタリング法で成膜した酸化物半導体膜は、200℃〜500℃、代表的には300〜400℃で10分〜100分の熱処理が施される。X線回折法(XRD:X−ray diffraction)による分析では、アモルファス構造が観察され、非単結晶膜である。
【0031】
バッファ層114aは酸化物半導体層113と第1電極115aに接してその間に設けられ、バッファ層114bは酸化物半導体層113と第2電極115bに接してその間に設けられている。また、バッファ層(114a、114b)はインジウム、ガリウム、及び亜鉛を含む酸窒化物からなり、酸化物半導体層113よりも高い電気伝導率を有している。それゆえ、本形態の薄膜トランジスタ150においてバッファ層(114a、114b)は、トランジスタのソース領域及びドレイン領域と同様の機能を発現する。
【0032】
このように、酸化物半導体層113と第1電極115aとの間及び酸化物半導体層113と第2電極115bとの間に、酸化物半導体層よりも電気伝導率が高いバッファ層(114a、114b)を設けることで、薄膜トランジスタ150を安定に動作させることができる。また、接合リークが低減し薄膜トランジスタ150の特性を向上できる。
【0033】
次に、図1(A)、(B)の薄膜トランジスタ150の作製方法を図2及び図3を用いて説明する。
【0034】
図2(A)において、基板100は、バリウムホウケイ酸ガラス、アルミノホウケイ酸ガラス、若しくはアルミノシリケートガラスなど、フュージョン法やフロート法で作製される無アルカリガラス基板、セラミック基板の他、本作製工程の処理温度に耐えうる耐熱性を有するプラスチック基板等を用いることができる。例えば、成分比としてホウ酸(B)よりも酸化バリウム(BaO)を多く含み、歪み点が730℃以上のガラス基板を用いると好ましい。酸化物半導体層を700℃程度の高温で熱処理する場合でも、ガラス基板が歪まないで済むからである。
【0035】
また、ステンレス合金などの金属基板の表面に絶縁膜を設けた基板を適用しても良い。基板100がマザーガラスの場合、基板の大きさは、第1世代(320mm×400mm)、第2世代(400mm×500mm)、第3世代(550mm×650mm)、第4世代(680mm×880mm、または730mm×920mm)、第5世代(1000mm×1200mmまたは1100mm×1250mm)、第6世代1500mm×1800mm)、第7世代(1900mm×2200mm)、第8世代(2160mm×2460mm)、第9世代(2400mm×2800mm、2450mm×3050mm)、第10世代(2950mm×3400mm)等を用いることができる。
【0036】
また、基板100上に下地膜として絶縁膜を形成してもよい。下地膜としては、CVD法やスパッタリング法等を用いて、酸化珪素膜、窒化珪素膜、酸化窒化珪素膜、または窒化酸化珪素膜を単層、又は積層して形成すればよい。
【0037】
次に、ゲート電極111を含むゲート配線と容量配線および端子部となる導電膜を成膜する。導電膜は、チタン(Ti)、タンタル(Ta)、タングステン(W)、モリブデン(Mo)、クロム(Cr)、白金(Pt)、銅(Cu)、金(Au)、銀(Ag)などを用いることができる。中でもアルミニウム(Al)や銅(Cu)などの低抵抗導電性材料で形成することが望ましいが、アルミニウム単体では耐熱性が劣り、また腐蝕しやすい等の課題があるので耐熱性導電性材料と組み合わせて導電膜を形成する。
【0038】
導電膜としては、チタン(Ti)、タンタル(Ta)、タングステン(W)、モリブデン(Mo)、クロム(Cr)、Nd(ネオジム)、Sc(スカンジウム)、ニッケル(Ni)、白金(Pt)、銅(Cu)、金(Au)、銀(Ag)、マンガン(Mn)、炭素(C)、又はシリコン(Si)などの元素が添加されたアルミニウムを主成分とする膜、これらの元素を主成分とする合金材料、もしくは化合物が添加されたアルミニウム合金を用いることが好ましい。
【0039】
また、低抵抗な導電膜上に耐熱性導電材料からなる導電膜を積層して用いることもできる。耐熱性導電性材料としては、チタン(Ti)、タンタル(Ta)、タングステン(W)、モリブデン(Mo)、クロム(Cr)、Nd(ネオジム)、Sc(スカンジウム)から選ばれた元素、または上述した元素を成分とする合金か、上述した元素を組み合わせた合金膜、または上述した元素を成分とする窒化物で形成する。
【0040】
また、透明導電膜でもよく、材料としては酸化インジウム酸化スズ合金(In―SnO、ITOと略記する)、珪素もしくは酸化珪素を含有したインジウム錫酸化物、インジウム亜鉛酸化物、酸化亜鉛などを用いることもできる。
【0041】
ゲート電極111となる導電膜は、スパッタリング法や真空蒸着法により、厚さ50nm以上300nm以下で形成する。ゲート電極111となる導電膜の厚さを300nm以下とすることで、後に形成される半導体膜や配線の段切れ防止が可能である。また、ゲート電極111となる導電膜の厚さを50nm以上とすることで、ゲート電極111の抵抗を低減することが可能であり、大面積化が可能である。
【0042】
なお、本実施の形態では基板100全面に導電膜としてアルミニウムを第1成分とする膜とチタン膜をスパッタリング法により積層して成膜する。
【0043】
次いで、本実施の形態における第1のフォトマスクを用いて形成したレジストマスクを使い、基板100上に形成された導電膜の不要な部分をエッチングして除去して配線及び電極(ゲート電極111を含むゲート配線、容量配線、及び端子)を形成する。このとき少なくともゲート電極111の端部にテーパー形状が形成されるようにエッチングする。
【0044】
次にゲート絶縁膜102を形成する。ゲート絶縁膜102として利用できる絶縁膜としては、酸化珪素膜、窒化珪素膜、酸化窒化珪素膜、窒化酸化珪素膜、酸化アルミニウム膜、窒化アルミニウム膜、酸化マグネシウム膜、酸化イットリウム膜、酸化ハフニウム膜、酸化タンタル膜をその例に挙げることができる。
【0045】
ここで酸化窒化珪素膜とは、その組成として、窒素よりも酸素の含有量が多いものであって、濃度範囲として酸素が55〜65原子%、窒素が1〜20原子%、Siが25〜35原子%、水素が0.1〜10原子%の範囲で含まれるものをいう。また、窒化酸化珪素膜とは、その組成として、酸素よりも窒素の含有量が多いものであって、濃度範囲として酸素が15〜30原子%、窒素が20〜35原子%、Siが25〜35原子%、水素が15〜25原子%の範囲で含まれるものをいう。
【0046】
ゲート絶縁膜102は単層であっても、絶縁膜を2層または3層積層して形成してもよい。例えば、基板に接するゲート絶縁膜102を窒化珪素膜、または窒化酸化珪素膜を用いて形成すると、基板100とゲート絶縁膜102の密着力が高まり、また、基板100からの不純物が酸化物半導体層113に拡散するのを防止することが可能であり、さらにゲート電極111を含む導電層の酸化を防止できる。即ち、膜剥れを防止することができると共に、後に形成される薄膜トランジスタの電気特性を向上させることができる。
【0047】
また、ゲート絶縁膜102の厚さは50〜250nmとする。ゲート絶縁膜102の厚さが50nm以上であると、ゲート電極111を含む導電層の凹凸を被覆できるため好ましい。
【0048】
本実施の形態では、ゲート絶縁膜102としてプラズマCVD法またはスパッタリング法により100nmの厚みの酸化珪素膜を成膜する。この段階での断面図を図2(A)に示す。
【0049】
次に、酸化物半導体膜を形成する前のゲート絶縁膜102にプラズマ処理を行ってもよい。本実施の形態では、基板を搬入したスパッタリング装置に酸素ガスとアルゴンガスを導入し、プラズマを発生させ、露出しているゲート絶縁膜102の表面に逆スパッタを行い、酸素ラジカル、酸素等を照射する。こうして、表面に付着しているゴミを除去する。
【0050】
プラズマ処理を施したゲート絶縁膜102を大気に曝すことなく、その上に酸化物半導体膜を成膜する。プラズマ処理されたゲート絶縁膜102を大気に曝すことなく酸化物半導体膜を成膜することは、ゲート絶縁膜102と酸化物半導体膜の界面にゴミや水分を付着させない点で有効である。なお、酸化物半導体膜の成膜は、先に逆スパッタを行ったチャンバーと同一チャンバーを用いてもよいし、大気に曝すことなく成膜できるのであれば、先に逆スパッタを行ったチャンバーと異なるチャンバーで成膜してもよい。
【0051】
本実施の形態では、直径8インチのIn、Ga、及びZnを含む酸化物半導体ターゲット(組成比として、In:Ga:ZnO=1:1:1)を用いて、酸化物半導体膜を成膜する。成膜方法としてスパッタリング法を用い、基板とターゲットの間との距離を170mm、圧力0.4Pa、直流(DC)電源0.5kW、アルゴン又は酸素雰囲気下で成膜する。なお、パルス直流(DC)電源を用いると、ごみが軽減でき、膜厚分布も均一となるために好ましい。酸化物半導体膜の膜厚は、5nm〜200nmとする。本実施の形態では酸化物半導体膜の膜厚は、100nmとする。
【0052】
バッファ層はインジウム、ガリウム、及び亜鉛を含む導電性酸窒化物を用いる。バッファ層に用いるインジウム、ガリウム、及び亜鉛を含む酸窒化物中の酸素(O)に対する窒素(N)の割合(N/O)は、5原子%以上80原子%以下の範囲、好ましくは、10原子%以上50原子%以下の範囲とする。バッファ層に用いるインジウム、ガリウム、及び亜鉛を含む導電性酸窒化物膜は、窒素を含む雰囲気でインジウム、ガリウム、及び亜鉛を含む酸化物を成分とするターゲットを用いて、スパッタリング法により成膜し、加熱処理して形成できる。
【0053】
本実施の形態では、直径12インチのインジウム、ガリウム及び亜鉛を含む酸化物を焼結したターゲット(In:Ga:ZnO=1:1:1)を用いて、基板とターゲットの間との距離を60mm、圧力0.4Pa、直流(DC)電源0.5kW、アルゴンおよび窒素の混合ガス雰囲気下で成膜する。酸窒化物膜の膜厚は2nm〜100nmとする。混合ガスの総流量を40sccmとして、窒素ガスを1sccmから40sccmの範囲で混合して成膜する。本実施の形態ではバッファ層に用いる導電性酸窒化物膜の膜厚は5nmとする。
【0054】
また、望ましくは酸化物半導体膜を成膜後に大気に曝すことなく、酸窒化物膜を連続して成膜する。本実施の形態では複数の成膜室がロードロック室で分離され、搬送室を介して接続されたマルチチャンバー型のスパッタリング装置を用いて、酸化物半導体膜と酸窒化物膜を異なる成膜室で成膜する形態を説明する。なお、同じ成膜室で成膜雰囲気を変えて酸化物半導体膜と酸窒化物膜を成膜することもできる。具体的には、アルゴン又は酸素を含む雰囲気下で酸化物半導体膜を成膜し、アルゴンおよび窒素の混合ガス雰囲気下で導電性酸窒化物膜を成膜することができる。また、同じ組成のターゲットを異なる成膜雰囲気でスパッタリングして、酸化物半導体膜と酸窒化物膜を作り分けることもできる。同じ成膜室で成膜雰囲気を変えて酸化物半導体膜と酸窒化物膜を作り分けると、基板を他の成膜室へ搬送する必要がないため、製造時間を短縮できるだけでなく、小型の成膜装置を利用できる。なお、パルス直流(DC)電源を用いると、ごみが軽減でき、膜厚分布も均一となるために好ましい。
【0055】
インジウム、ガリウム、及び亜鉛を含む酸窒化物膜に含まれる窒素の割合が少なすぎると、加熱処理を施してもキャリアの生成が不足するため、電気伝導率を十分に高めることができない。また、インジウム、ガリウム、及び亜鉛を含む酸窒化物膜に含まれる窒素の割合が多すぎると、加熱処理を施しても欠陥が増えるため、電気伝導率を十分に高めることができない。このような理由から、バッファ層となるインジウム、ガリウム、及び亜鉛を含む酸窒化物膜の酸素(O)に対する窒素(N)の割合(N/O)には適正な範囲が存在する。
【0056】
インジウム、ガリウム、及び亜鉛を含む酸窒化物膜は電気伝導率を高めるために成膜後に加熱処理を施す必要がある。加熱処理は200℃〜600℃、代表的には300℃〜500℃の加熱処理を行うことが好ましい。本実施の形態では炉に入れ、窒素雰囲気下または大気雰囲気下で350℃、1時間の熱処理を行う。この熱処理により酸窒化物膜を構成しているIn−Ga−Zn−O−N系非単結晶膜の原子レベルの再配列が行われる。この熱処理によりキャリアの移動を阻害する歪が解放されるため、ここでの熱処理(光アニールも含む)は重要である。なお、導電性酸窒化物膜の熱処理は成膜後であればいつ行っても良い。例えば、後に実施する酸化物半導体膜への加熱処理が、導電性酸窒化物膜の熱処理を兼ねても良く、例えば後に形成する画素電極128の後に、導電性酸窒化物膜の熱処理を行ってもよい。
【0057】
次に、第2のフォトマスクを用いて形成したレジストマスク131を使い、エッチングにより酸化物半導体膜およびバッファ層114となる酸窒化物膜の不要な部分を除去する。本実施の形態ではITO07N(関東化学社製)を用いたウェットエッチングにより、不要な部分を除去する。なお、酸化物半導体膜およびバッファ層114となる酸窒化物膜のエッチングは、ウェットエッチングに限定されずドライエッチングを用いてもよい。この段階での断面図を図2(B)に示す。
【0058】
次に、バッファ層114とゲート絶縁膜102の上に、導電膜105をスパッタリング法や真空蒸着法で形成する。導電膜105の材料としては、ゲート電極111の説明で例示したものと同じ材料を使うことができる。また、200℃〜600℃の熱処理を行う場合には、この熱処理に耐える耐熱性を導電膜に持たせることが好ましい。
【0059】
本実施の形態では、導電膜105としてTi膜と、そのTi膜上に重ねてNdを含むアルミニウム(Al−Nd)膜を積層し、さらにその上にTi膜を成膜する3層構造とする。また、導電膜105は、2層構造としてもよく、アルミニウムを第1成分とする膜上にチタン膜を積層してもよい。また、導電膜105は、シリコンを含むアルミニウムを第1成分とする膜からなる単層構造や、チタン膜の単層構造としてもよい。この段階での断面図を図2(C)に示す。
【0060】
次に、第3のフォトマスクを用いて形成したレジストマスク132を使い、エッチングにより導電膜105の不要な部分を除去して配線及び電極(信号線、容量配線、第1電極115a及び第2電極115bを含む電極及び端子)を形成する(図3(A)参照)。この際のエッチング方法としてウェットエッチングまたはドライエッチングを用いる。本実施の形態では、SiClとClとBClの混合ガスを反応ガスとしたドライエッチングによりAl膜とTi膜を順次積層した導電膜をエッチングして第1電極115a及び第2電極115bを形成する。
【0061】
次に、導電膜105のエッチングと同じレジストマスク132を用いて、バッファ層114をエッチングする。本実施の形態では導電膜のエッチングに引き続きドライエッチングにより、不要な部分を除去してバッファ層114a、114bを形成する。なお、ここでのエッチングはドライエッチングに限定されず、ウェットエッチングを用いてもよい。ウェットエッチングは例えばITO07N(関東化学社製)を用いることができる。また、エッチング条件にもよるがバッファ層114のエッチング工程において、酸化物半導体層113の露出領域も一部エッチングされる。よってバッファ層114a、114bと重なっていない酸化物半導体層113の一部は図3(A)に示すように膜厚の薄い領域となる。
【0062】
次いで露出した酸化物半導体層113にプラズマ処理を行う。プラズマ処理を行うことにより、酸化物半導体層113に生じたエッチングによるダメージを回復することができる。プラズマ処理はO、NO、好ましくは酸素を含むN、酸素を含むHe、または酸素を含むAr雰囲気下で行うことが好ましい。また、上記雰囲気にCl、CFを加えた雰囲気下で行ってもよい。なお、プラズマ処理は、無バイアスで行うことが好ましい。
【0063】
次いで、200℃〜600℃、代表的には300℃〜500℃の熱処理を行うことが好ましい。本実施の形態では炉に入れ、窒素雰囲気下または大気雰囲気下で350℃、1時間の熱処理を行う。この熱処理により酸化物半導体膜を構成しているIn−Ga−Zn−O系非単結晶膜の原子レベルの再配列が行われる。この熱処理によりキャリアの移動を阻害する歪が解放されるため、ここでの熱処理(光アニールも含む)は重要である。なお、熱処理を行うタイミングは、酸化物半導体膜の成膜後であれば特に限定されず、例えば後に形成する画素電極128の後に行ってもよい。
【0064】
以上の工程で酸化物半導体層113をチャネル形成領域とする薄膜トランジスタ150が作製できる。
【0065】
次いで、薄膜トランジスタ150を覆う層間絶縁膜109を形成する。層間絶縁膜109はスパッタリング法などを用いて得られる窒化シリコン膜、酸化シリコン膜、酸化窒化シリコン膜、酸化アルミニウム膜、窒化アルミニウム膜、酸化タンタル膜などを用いることができる。
【0066】
次に、本実施の形態における第4のフォトマスクを用いて形成したレジストマスクを使って、層間絶縁膜109をエッチングして、配線や第2電極115bに達するコンタクトホール(124、125)を形成する。なお、マスク数を削減するため、同じレジストマスクを用いてさらにゲート絶縁膜102をエッチングして配線118に達するコンタクトホール126を形成することが好ましい。この段階での断面図を図3(B)に示す。
【0067】
次いで、レジストマスクを除去した後、ゲート電極111、第1電極115a及び第2電極115bに次ぐ画素電極128となる透明導電膜を成膜する。透明導電膜の材料としては、酸化インジウム(In)や酸化インジウム酸化スズ合金(In―SnO、ITOと略記する)などをスパッタリング法や真空蒸着法などを用いて形成する。このような材料のエッチング処理は塩酸系の溶液により行う。しかし、特にITOのエッチングは残渣が発生しやすいので、エッチング加工性を改善するために酸化インジウム酸化亜鉛合金(In―ZnO)を用いても良い。
【0068】
次に、第5のフォトマスクを用いて形成したレジストマスクを使って、透明導電膜をエッチングして、不要な部分を除去して画素電極128を形成する。また、ゲート絶縁膜102及び層間絶縁膜109を誘電体として、容量配線123と画素電極128とで保持容量部を形成できる。また、端子部に透明導電膜を残し、FPCとの接続に用いる電極または配線や、ソース配線の入力端子として機能する接続用の端子電極を形成する。この段階での断面図を図3(C)に示す。
【0069】
こうして、薄膜トランジスタに画素電極を形成すると、nチャネル型薄膜トランジスタを有する表示装置の画素部を作製できる。本実施の形態で例示した薄膜トランジスタは、酸化物半導体層よりも電気伝導率が高いインジウム、ガリウム、及び亜鉛を含んだ導電性酸窒化物を用いたバッファ層を介して酸化物半導体層と第1の電極及び第2の電極が電気的に接続する構成を有しているので、安定動作が可能になる。それにより、表示装置の機能を高め、動作の安定化を図ることができる。すなわち、本実施の形態に示した工程に従えば、表示装置の機能を高め動作の安定化を図ったアクティブマトリクス型の表示装置用基板を作製できる。
【0070】
(実施の形態2)
本実施の形態では、半導体装置の薄膜トランジスタおよびその作製工程について説明する。具体的には薄膜トランジスタを有する表示装置の画素部の作製工程について説明する。
【0071】
図4に本実施の形態の薄膜トランジスタを示す。図4(A)は平面図であり、図4(B)は図4(A)におけるA1−A2およびB1−B2で切断した断面図である。
【0072】
図4(A)及び(B)に示す薄膜トランジスタ151は、基板100上にゲート電極111が形成され、ゲート電極111上にゲート絶縁膜102が形成され、ソース電極及びドレイン電極となる第1電極115a及び第2電極115bが端部をゲート電極111に重畳してゲート絶縁膜102上に形成されている。酸化物半導体層113は、ゲート電極111と重畳し、ゲート絶縁膜102、第1電極115a及び第2電極115bの側面部と、第1電極115a及び第2電極115b上に形成されたバッファ層(114a、114b)の側面部と上面部と接するように設けられている。
【0073】
言い換えると、薄膜トランジスタ151を含む全領域においてゲート絶縁膜102が存在し、ゲート絶縁膜102と基板100の間にはゲート電極111が設けられている。ゲート絶縁膜102上にはソース電極及びドレイン電極となる第1電極115a及び第2電極115bと配線が設けられ、第1電極115a及び第2電極115b上には酸化物半導体層113が設けられ、酸化物半導体層113と第1電極115aの間にはバッファ層114aが設けられ、酸化物半導体層113と第2電極115bの間にはバッファ層114bが設けられ、配線は酸化物半導体層の外周部より外側に延在している。
【0074】
本実施の形態では、薄膜トランジスタ151のソース領域及びドレイン領域は、ゲート絶縁膜102側から第1電極115aとバッファ層114aと酸化物半導体層113が積層された構造と、第2電極115bとバッファ層114bと酸化物半導体層113が積層された構造を有している。
【0075】
次に、図4の薄膜トランジスタ151の作製方法を図5及び図6を用いて説明する。
【0076】
本実施の形態で用いる基板100は、実施の形態1と同様の基板を使うことができる。また下地膜として絶縁膜を形成しても良い。
【0077】
ゲート電極111となる導電膜は、実施の形態1と同様の方法で形成する。本実施の形態では、ゲート電極111となる導電膜としてアルミニウムを第1成分とする膜とチタン膜をスパッタリング法により積層した導電膜を用いる。次に本実施の形態における第1のフォトマスクを用いて形成したレジストマスクを使い、基板100上に形成された導電膜の不要な部分をエッチングして除去して配線及び電極(ゲート電極111を含むゲート配線、容量配線、及び端子)を形成する。このとき少なくともゲート電極111の端部にテーパー形状が形成されるようにエッチングする。
【0078】
本実施の形態のゲート絶縁膜102は、実施の形態1と同様の方法で形成する。本実施の形態では、ゲート絶縁膜102としてプラズマCVD法またはスパッタリング法により100nmの厚みの酸化珪素膜を成膜する。
【0079】
配線及び電極となる導電膜105は、実施の形態1と同様の導電材料を用いる。ソース電極及びドレイン電極となる導電膜の厚みは、50nm以上500nm以下が好ましい。500nm以下とすることで、後に形成される半導体膜や配線の段切れ防止に有効である。また、導電膜105は、スパッタリング法や真空蒸着法を用いて成膜する。本実施の形態では、導電膜105として、Ti膜とそのTi膜上に重ねてNdを含むアルミニウム(Al−Nd)膜を積層し、さらにその上にTi膜を成膜する3層構造とする。
【0080】
次に、バッファ層となる導電性酸窒化物膜104を成膜する。バッファ層となる導電性酸窒化物膜104は、成膜後の導電膜105を大気に曝すことなく連続して成膜するのが望ましい。連続して成膜することにより、導電膜とバッファ層となる導電性酸窒化物膜104の界面が、大気により汚染されるのを防ぐことができる。
【0081】
本実施の形態では、バッファ層となる導電性酸窒化物膜104はインジウム、ガリウム及び亜鉛を含む酸化物を焼結したターゲット(組成比として、In:Ga:ZnO=1:1:1)を実施の形態1と同様の条件でスパッタリングして導電性酸窒化物膜を成膜する。本実施の形態ではバッファ層に用いる導電性酸窒化物膜の膜厚は10nmとする。この段階での断面図を図5(A)に示す。
【0082】
インジウム、ガリウム、及び亜鉛を含む酸窒化物膜は電気伝導率を高めるために成膜後に加熱処理を施す必要がある。加熱処理は200℃〜600℃、代表的には300℃〜500℃の加熱処理を行うことが好ましい。本実施の形態では炉に入れ、窒素雰囲気下または大気雰囲気下で350℃、1時間の熱処理を行う。この熱処理により酸窒化物膜を構成しているIn−Ga−Zn−O−N系非単結晶膜の原子レベルの再配列が行われる。この熱処理によりキャリアの移動を阻害する歪が解放されるため、ここでの熱処理(光アニールも含む)は重要である。なお、導電性酸窒化物膜の熱処理は成膜後であればいつ行っても良い。例えば、後に実施する酸化物半導体膜への加熱処理が、導電性酸窒化物膜の熱処理を兼ねても良く、例えば後に形成する画素電極128の後に、導電性酸窒化物膜の熱処理を行ってもよい。
【0083】
次に、本実施の形態における第2のフォトマスクを用いてバッファ層となる導電性酸窒化物膜104上にレジストマスク131を形成する。レジストマスク131を用いて導電性酸窒化物膜104の不要な部分を選択的にエッチングして除去し、バッファ層(114a、114b)を形成する(図5(B)参照)。この際のエッチング方法としてウェットエッチングまたはドライエッチングを用いる。本実施の形態では、ITO07N(関東化学社製)を用いてウェットエッチングしてバッファ層(114a、114b)を形成する。
【0084】
次に、同じレジストマスク131を用いて導電膜105の不要な部分を除去して第1電極115a及び第2電極115bを形成する。本実施の形態では、SiClとClとBClの混合ガスを反応ガスとしたドライエッチングによりAl膜とTi膜を順次積層した導電膜をエッチングして第1電極115a及び第2電極115bを形成する。なお、ここでのエッチングはドライエッチング限定されずウェットエッチングを用いてもよい。この段階での断面図を図5(B)に示す。
【0085】
なお、酸化物半導体膜103を形成する前に、バッファ層(114a、114b)とゲート絶縁膜102にプラズマ処理を行ってもよい。本実施の形態では、基板を搬入したスパッタリング装置に酸素ガスとアルゴンガスを導入し、プラズマを発生させ、露出しているゲート絶縁膜102の表面に逆スパッタを行い、酸素ラジカルや酸素等を照射する。こうして、表面に付着しているゴミを除去することができる。
【0086】
プラズマ処理を施した場合は、処理面を大気に曝すことなくインジウム、ガリウム、及び亜鉛を含む酸化物半導体膜103を成膜する。プラズマ処理後、大気に曝すことなく酸化物半導体膜103を成膜することは、バッファ層(114a、114b)と酸化物半導体膜103の界面、またはゲート絶縁膜102と酸化物半導体膜103の界面にゴミを付着させない点で有効である。なお、酸化物半導体膜103の成膜は、先に逆スパッタを行ったチャンバーと同一チャンバーを用いてもよいし、大気に曝すことなく成膜できるのであれば、先に逆スパッタを行ったチャンバーと異なるチャンバーで成膜してもよい。
【0087】
酸化物半導体膜103の成膜を行う。本実施の形態では、直径8インチのIn、Ga、及びZnを含む酸化物半導体ターゲット(組成比として、In:Ga:ZnO=1:1:1)を用いて、基板とターゲットの間との距離を170mm、圧力0.4Pa、直流(DC)電源0.5kW、アルゴン又は酸素雰囲気下で成膜する。なお、パルス直流(DC)電源を用いると、ごみが軽減でき、膜厚分布も均一となるために好ましい。酸化物半導体膜の膜厚は、5nm〜200nmとする。本実施の形態では酸化物半導体膜の膜厚は、100nmとする。この段階での断面図を図5(C)に示す。
【0088】
次に、第3のフォトマスクを用いて形成したレジストマスク132を使い、エッチングにより酸化物半導体膜103およびバッファ層(114a、114b)の不要な部分を除去する。本実施の形態ではITO07N(関東化学社製)を用いたウェットエッチングにより、不要な部分を除去する。酸化物半導体膜103およびバッファ層(114a、114b)のエッチングはウェットエッチングに限定されずドライエッチングを用いてもよい。この段階での断面図を図6(A)に示す。
【0089】
次に、実施の形態1と同様に酸化物半導体層113にプラズマ処理を行う。プラズマ処理を行うことにより、酸化物半導体層113のバックチャネル部のダメージを回復することができる。
【0090】
次いで、実施の形態1と同様に200℃〜600℃、代表的には300℃〜500℃の熱処理を行うことが好ましい。なお、熱処理を行うタイミングは、酸化物半導体膜の成膜後であれば特に限定されず、例えば後に形成する画素電極128の後に行ってもよい。
【0091】
以上の工程で酸化物半導体層113をチャネル形成領域とする薄膜トランジスタ151が作製できる。
【0092】
次いで、実施の形態1と同様に薄膜トランジスタ151を覆う層間絶縁膜109を形成する。
【0093】
次に、本実施の形態における第4のフォトマスクを用いて形成したレジストマスクを使って、層間絶縁膜109をエッチングして、配線や第2電極115bに達するコンタクトホール(124、125)を形成する。なお、マスク数を削減するため、同じレジストマスクを用いてさらにゲート絶縁膜102をエッチングして配線118に達するコンタクトホール126を形成することが好ましい。この段階での断面図を図6(B)に示す。
【0094】
次いで、実施の形態1と同様にレジストマスクを除去した後、ゲート電極111、第1電極115a及び第2電極115bに次ぐ画素電極128となる透明導電膜を成膜する。
【0095】
次に、実施の形態1と同様に第5のフォトマスクを用いて形成したレジストマスクを使って、透明導電膜をエッチングして、不要な部分を除去して画素電極128を形成する。また、保持容量部、端子電極を形成する。この段階での断面図を図6(C)に示す。
【0096】
こうして、薄膜トランジスタに画素電極を形成すると、nチャネル型薄膜トランジスタを有する表示装置の画素部を作製できる。本実施の形態で例示した薄膜トランジスタは、酸化物半導体層よりも電気伝導率が高いインジウム、ガリウム、及び亜鉛を含んだ導電性酸窒化物膜を用いたバッファ層を介して酸化物半導体層と第1の電極及び第2の電極が電気的に接続する構成を有しているので、安定動作が可能になる。それにより、表示装置の機能を高め、動作の安定化を図ることができる。すなわち、本実施の形態に示した工程に従えば、表示装置の機能を高め動作の安定化を図ったアクティブマトリクス型の表示装置用基板を作製できる。
【0097】
(実施の形態3)
ここでは本発明の一態様として、実施の形態2と同様の方法で作製した2つのnチャネル型の薄膜トランジスタを用いてインバータ回路を構成する例を以下に説明する。
【0098】
画素部を駆動するための駆動回路は、インバータ回路、容量、抵抗などを用いて構成する。2つのnチャネル型TFTを組み合わせてインバータ回路を形成する場合、エンハンスメント型トランジスタとデプレッション型トランジスタとを組み合わせて形成する場合(以下、EDMOS回路という)と、エンハンスメント型TFT同士で形成する場合(以下、EEMOS回路という)がある。なお、nチャネル型TFTのしきい値電圧が正の場合は、エンハンスメント型トランジスタと定義し、nチャネル型TFTのしきい値電圧が負の場合は、デプレッション型トランジスタと定義し、本明細書を通してこの定義に従うものとする。
【0099】
画素部と駆動回路は、同一基板上に形成し、画素部においては、マトリクス状に配置したエンハンスメント型トランジスタを用いて画素電極への電圧印加のオン・オフを切り替える。この画素部に配置するエンハンスメント型トランジスタは、酸化物半導体を用いた本発明の一態様の薄膜トランジスタであり、その電気特性は、ゲート電圧±20Vにおいて、オン・オフ比が10以上であるため、リーク電流が少なく、低消費電力駆動を実現することができる。
【0100】
駆動回路のインバータ回路の断面構造を図24(A)に示す。図24(A)において、基板400上に第1のゲート電極401及び第2のゲート電極402を設ける。第1のゲート電極401及び第2のゲート電極402の材料は、モリブデン、チタン、クロム、タンタル、タングステン、アルミニウム、銅、ネオジム、スカンジウム等の金属材料又はこれらを主成分とする合金材料を用いて、単層で又は積層して形成することができる。
【0101】
例えば、第1のゲート電極401及び第2のゲート電極402に適用する導電膜としては、アルミニウム層上にモリブデン層が積層された二層の積層構造、または銅層上にモリブデン層を積層した二層構造、または銅層上に窒化チタン層若しくは窒化タンタルを積層した二層構造、窒化チタン層とモリブデン層とを積層した二層構造とすることが好ましい。また、三層の積層構造としては、タングステン層または窒化タングステンと、アルミニウムとシリコンの合金またはアルミニウムとチタンの合金と、窒化チタンまたはチタン層とを積層した積層とすることが好ましい。
【0102】
また、第1のゲート電極401及び第2のゲート電極402を覆うゲート絶縁膜403上には、第1配線409、第2配線410、及び第3配線411を設け、第2の配線410は、ゲート絶縁膜403に形成されたコンタクトホール404を介して第2のゲート電極402と直接接続する。
【0103】
また、第1のゲート電極401と重なる位置に第1配線409及び第2配線410上にバッファ層(406a、406b)を介して接する第1の酸化物半導体層405と、第2のゲート電極402と重なる位置に第2配線410及び第3配線411上にバッファ層(408a、408b)を介して接する第2の酸化物半導体層407とを設ける。
【0104】
なお、第1の酸化物半導体層405または第2の酸化物半導体層407を形成する前に、インジウム、ガリウム、亜鉛、酸素及び窒素を含むバッファ層の表面とゲート絶縁膜403の露出した表面にプラズマ処理を行うことが好ましい。例えば、酸化物半導体膜をスパッタ法により成膜する前に、アルゴンガスを導入してプラズマを発生させる逆スパッタを行い、ゲート絶縁膜403の露出した表面及びコンタクトホール404の底面に付着しているゴミを除去することが好ましい。逆スパッタとは、ターゲット側に電圧を印加せずに、アルゴン雰囲気下で基板側にRF電源を用いて電圧を印加して基板にプラズマを形成して表面を改質する方法である。なお、アルゴン雰囲気に代えて窒素、ヘリウムなどを用いてもよい。また、アルゴン雰囲気に酸素、水素、NOなどを加えた雰囲気で行ってもよい。また、アルゴン雰囲気にCl、CFなどを加えた雰囲気で行ってもよい。なお、逆スパッタ処理に曝されたゲート絶縁膜403やバッファ層(406a、406b、408a、408b)は、図24(A)に示すごとく、表面が削られてわずかに薄くなったり、端部が丸くなったりする場合がある。
【0105】
第1の薄膜トランジスタ430は、第1のゲート電極401と、ゲート絶縁膜403を介して第1のゲート電極401と重なる第1の酸化物半導体層405とを有し、第1配線409は、接地電位の電源線(接地電源線)である。この接地電位の電源線は、負の電圧VDLが印加される電源線(負電源線)としてもよい。
【0106】
また、第2の薄膜トランジスタ431は、第2のゲート電極402と、ゲート絶縁膜403を介して第2のゲート電極402と重なる第2の酸化物半導体層407とを有し、第3配線411は、正の電圧VDDが印加される電源線(正電源線)である。
【0107】
図24(A)に示すように、第1の酸化物半導体層405と第2の酸化物半導体層407の両方に電気的に接続する第2の配線410は、ゲート絶縁膜403に形成されたコンタクトホール404を介して第2の薄膜トランジスタ431の第2のゲート電極402と直接接続する。第2の配線410と第2のゲート電極402とを直接接続させることにより、良好なコンタクトを得ることができ、接触抵抗を低減することができる。第2のゲート電極402と第2配線410を他の導電膜、例えば透明導電膜を介して接続する場合に比べて、コンタクトホールの数の低減、コンタクトホールの数の低減による占有面積の縮小を図ることができる。
【0108】
また、駆動回路のインバータ回路の上面図を図24(C)に示す。図24(C)において、鎖線Z1−Z2で切断した断面が図24(A)に相当する。
【0109】
また、EDMOS回路の等価回路を図24(B)に示す。図24(A)及び図24(C)に示す回路接続は、図24(B)に相当し、第1の薄膜トランジスタ430をエンハンスメント型のnチャネル型トランジスタとし、第2の薄膜トランジスタ431をデプレッション型のnチャネル型トランジスタとする例である。
【0110】
同一基板上にエンハンスメント型のnチャネル型トランジスタとデプレッション型のnチャネル型トランジスタとを作製する方法は、例えば、第1の酸化物半導体層405と第2の酸化物半導体層407とを異なる材料や異なる成膜条件を用いて作製する。また、酸化物半導体層の上下にゲート電極を設けてしきい値制御を行い、一方のTFTがノーマリーオンとなるようにゲート電極に電圧をかけ、もう一方のTFTがノーマリーオフとなるようにしてEDMOS回路を構成してもよい。
【0111】
本実施の形態のインバータ回路はコンタクト抵抗が低減された薄膜トランジスタを用い、またコンタクトホールの数の低減により接触抵抗が低減されているため、動作特性が優れている。また、コンタクトホールの数の低減により、占有面積を縮小することができる。
【0112】
(実施の形態4)
本実施の形態では、本発明の半導体装置の一例である表示装置として電子ペーパーの例を示す。
【0113】
図7は、本発明の一態様を適用した表示装置の例としてアクティブマトリクス型の電子ペーパーを示す。表示装置に用いられる薄膜トランジスタ581としては、実施の形態1と同様に作製でき、ソース電極層及びドレイン電極層と酸化物半導体層の接触抵抗が小さく動作の安定性に優れた薄膜トランジスタである。
【0114】
図7の電子ペーパーは、ツイストボール表示方式を用いた表示装置の例である。ツイストボール表示方式とは、白と黒に塗り分けられた球形粒子を表示素子に用いる電極層である第1の電極層及び第2の電極層の間に配置し、第1の電極層及び第2の電極層に電位差を生じさせての球形粒子の向きを制御することにより、表示を行う方法である。
【0115】
薄膜トランジスタ581のソース電極層又はドレイン電極層は、第1の電極層587と絶縁層585に形成された開口を介して接しており電気的に接続している。第1の電極層587と第2の電極層588との間には、黒色領域590aと白色領域590bと、黒色領域590aと白色領域590bの周りに設けられ液体で満たされているキャビティ594とを有する球形粒子589が設けられており、球形粒子589の周囲は樹脂等の充填材595で充填されている(図7参照。)。なお、図7において580は基板、583は層間絶縁膜、584は保護膜、596は基板である。
【0116】
また、ツイストボールの代わりに、電気泳動素子を用いることも可能である。透明な液体と、正に帯電した白い微粒子と負に帯電した黒い微粒子とを封入した直径10μm〜200μm程度のマイクロカプセルを用いる。第1の電極層と第2の電極層との間に設けられるマイクロカプセルは、第1の電極層と第2の電極層によって、電場が与えられると、白い微粒子と、黒い微粒子が逆の方向に移動し、白または黒を表示することができる。この原理を応用した表示素子が電気泳動表示素子であり、一般的に電子ペーパーとよばれている。電気泳動表示素子は、液晶表示素子に比べて反射率が高いため、補助ライトは不要であり、また消費電力が小さく、薄暗い場所でも表示部を認識することが可能である。また、表示部に電源が供給されない場合であっても、一度表示した像を保持することが可能である。従って、例えば電源供給源となる電波発信源から表示機能付き半導体装置(単に表示装置、又は表示装置を具備する半導体装置ともいう)を遠ざけた場合であっても、表示された像を保存しておくことが可能となる。
【0117】
以上の工程により、動作の安定性に優れた薄膜トランジスタを搭載した電子ペーパーを作製できる。本実施例の電子ペーパーは動作の安定性に優れた薄膜トランジスタを搭載しているため信頼性が高い。
【0118】
本実施の形態は、実施の形態1または2に記載した構成と適宜組み合わせて実施することが可能である。
【0119】
(実施の形態5)
本実施の形態では、本発明の半導体装置の一例である表示装置として、同一基板上に少なくとも駆動回路の一部と、画素部に配置する薄膜トランジスタを作製する例について図8乃至図13を用いて以下に説明する。
【0120】
同一基板上に配置する薄膜トランジスタは、その一例として実施の形態1または2と同様に形成する。また、形成した薄膜トランジスタはnチャネル型TFTであるため、駆動回路のうち、nチャネル型TFTで構成することができる駆動回路の一部を画素部の薄膜トランジスタと同一基板上に形成する。
【0121】
本発明の半導体装置の一例であるアクティブマトリクス型液晶表示装置のブロック図の一例を図8(A)に示す。図8(A)に示す表示装置は、基板5300上に表示素子を備えた画素を複数有する画素部5301と、各画素を選択する走査線駆動回路5302と、選択された画素へのビデオ信号の入力を制御する信号線駆動回路5303とを有する。
【0122】
画素部5301は、信号線駆動回路5303から列方向に伸張して配置された複数の信号線S1〜Sm(図示せず。)により信号線駆動回路5303と接続され、走査線駆動回路5302から行方向に伸張して配置された複数の走査線G1〜Gn(図示せず。)により走査線駆動回路5302と接続され、信号線S1〜Sm並びに走査線G1〜Gnに対応してマトリクス状に配置された複数の画素(図示せず。)を有する。そして、各画素は、信号線Sj(信号線S1〜Smのうちいずれか一)、走査線Gi(走査線G1〜Gnのうちいずれか一)と接続される。
【0123】
また、実施の形態1または2と同様の方法で形成できる薄膜トランジスタは、nチャネル型TFTであり、nチャネル型TFTで構成する信号線駆動回路について図9を用いて説明する。
【0124】
図9に示す信号線駆動回路の一例は、ドライバIC5601、スイッチ群5602_1〜5602_M、第1の配線5611、第2の配線5612、第3の配線5613及び配線5621_1〜5621_Mを有する。スイッチ群5602_1〜5602_Mそれぞれは、第1の薄膜トランジスタ5603a、第2の薄膜トランジスタ5603b及び第3の薄膜トランジスタ5603cを有する。
【0125】
ドライバIC5601は第1の配線5611、第2の配線5612、第3の配線5613及び配線5621_1〜5621_Mに接続される。そして、スイッチ群5602_1〜5602_Mそれぞれは、第1の配線5611、第2の配線5612、第3の配線5613及びスイッチ群5602_1〜5602_Mそれぞれに対応した配線5621_1〜5621_Mに接続される。そして、配線5621_1〜5621_Mそれぞれは、第1の薄膜トランジスタ5603a、第2の薄膜トランジスタ5603b及び第3の薄膜トランジスタ5603cを介して、3つの信号線に接続される。例えば、J列目の配線5621_J(配線5621_1〜配線5621_Mのうちいずれか一)は、スイッチ群5602_Jが有する第1の薄膜トランジスタ5603a、第2の薄膜トランジスタ5603b及び第3の薄膜トランジスタ5603cを介して、信号線Sj−1、信号線Sj、信号線Sj+1に接続される。
【0126】
なお、第1の配線5611、第2の配線5612、第3の配線5613には、それぞれ信号が入力される。
【0127】
なお、ドライバIC5601は、単結晶基板上に形成されていることが望ましい。さらに、スイッチ群5602_1〜5602_Mは、画素部と同一基板上に形成されていることが望ましい。したがって、ドライバIC5601とスイッチ群5602_1〜5602_MとはFPCなどを介して接続するとよい。
【0128】
次に、図9に一例を示した信号線駆動回路の動作について、図10のタイミングチャートを参照して説明する。なお、図10のタイミングチャートは、i行目の走査線Giが選択されている場合のタイミングチャートを示している。さらに、i行目の走査線Giの選択期間は、第1のサブ選択期間T1、第2のサブ選択期間T2及び第3のサブ選択期間T3に分割されている。さらに、図9の信号線駆動回路は、他の行の走査線が選択されている場合でも図10と同様の動作をする。
【0129】
なお、図10のタイミングチャートは、J列目の配線5621_Jが第1の薄膜トランジスタ5603a、第2の薄膜トランジスタ5603b及び第3の薄膜トランジスタ5603cを介して、信号線Sj−1、信号線Sj、信号線Sj+1に接続される場合について示している。
【0130】
なお、図10のタイミングチャートは、i行目の走査線Giが選択されるタイミング、第1の薄膜トランジスタ5603aのオン・オフのタイミング5703a、第2の薄膜トランジスタ5603bのオン・オフのタイミング5703b、第3の薄膜トランジスタ5603cのオン・オフのタイミング5703c及びJ列目の配線5621_Jに入力される信号5721_Jを示している。
【0131】
なお、配線5621_1〜配線5621_Mには第1のサブ選択期間T1、第2のサブ選択期間T2及び第3のサブ選択期間T3において、それぞれ別のビデオ信号が入力される。例えば、第1のサブ選択期間T1において配線5621_Jに入力されるビデオ信号は信号線Sj−1に入力され、第2のサブ選択期間T2において配線5621_Jに入力されるビデオ信号は信号線Sjに入力され、第3のサブ選択期間T3において配線5621_Jに入力されるビデオ信号は信号線Sj+1に入力される。さらに、第1のサブ選択期間T1、第2のサブ選択期間T2及び第3のサブ選択期間T3において、配線5621_Jに入力されるビデオ信号をそれぞれData_j−1、Data_j、Data_j+1とする。
【0132】
図10に示すように、第1のサブ選択期間T1において第1の薄膜トランジスタ5603aがオンし、第2の薄膜トランジスタ5603b及び第3の薄膜トランジスタ5603cがオフする。このとき、配線5621_Jに入力されるData_j−1が、第1の薄膜トランジスタ5603aを介して信号線Sj−1に入力される。第2のサブ選択期間T2では、第2の薄膜トランジスタ5603bがオンし、第1の薄膜トランジスタ5603a及び第3の薄膜トランジスタ5603cがオフする。このとき、配線5621_Jに入力されるData_jが、第2の薄膜トランジスタ5603bを介して信号線Sjに入力される。第3のサブ選択期間T3では、第3の薄膜トランジスタ5603cがオンし、第1の薄膜トランジスタ5603a及び第2の薄膜トランジスタ5603bがオフする。このとき、配線5621_Jに入力されるData_j+1が、第3の薄膜トランジスタ5603cを介して信号線Sj+1に入力される。
【0133】
以上のことから、図9の信号線駆動回路は、1ゲート選択期間を3つに分割することで、1ゲート選択期間中に1つの配線5621から3つの信号線にビデオ信号を入力することができる。したがって、図9の信号線駆動回路は、ドライバIC5601が形成される基板と、画素部が形成されている基板との接続数を信号線の数に比べて約1/3にすることができる。接続数が約1/3になることによって、図9の信号線駆動回路は、信頼性、歩留まりなどを向上できる。
【0134】
なお、図9のように、1ゲート選択期間を複数のサブ選択期間に分割し、複数のサブ選択期間それぞれにおいて、ある1つの配線から複数の信号線それぞれにビデオ信号を入力することができれば、薄膜トランジスタの配置や数、駆動方法などは限定されない。
【0135】
例えば、3つ以上のサブ選択期間それぞれにおいて1つの配線から3つ以上の信号線それぞれにビデオ信号を入力する場合は、薄膜トランジスタ及び薄膜トランジスタを制御するための配線を追加すればよい。ただし、1ゲート選択期間を4つ以上のサブ選択期間に分割すると、1つのサブ選択期間が短くなる。したがって、1ゲート選択期間は、2つ又は3つのサブ選択期間に分割されることが望ましい。
【0136】
別の例として、図11のタイミングチャートに示すように、1つの選択期間をプリチャージ期間Tp、第1のサブ選択期間T1、第2のサブ選択期間T2、第3のサブ選択期間T3に分割してもよい。さらに、図11のタイミングチャートは、i行目の走査線Giが選択されるタイミング、第1の薄膜トランジスタ5603aのオン・オフのタイミング5803a、第2の薄膜トランジスタ5603bのオン・オフのタイミング5803b、第3の薄膜トランジスタ5603cのオン・オフのタイミング5803c及びJ列目の配線5621_Jに入力される信号5821_Jを示している。図11に示すように、プリチャージ期間Tpにおいて第1の薄膜トランジスタ5603a、第2の薄膜トランジスタ5603b及び第3の薄膜トランジスタ5603cがオンする。このとき、配線5621_Jに入力されるプリチャージ電圧Vpが第1の薄膜トランジスタ5603a、第2の薄膜トランジスタ5603b及び第3の薄膜トランジスタ5603cを介してそれぞれ信号線Sj−1、信号線Sj、信号線Sj+1に入力される。第1のサブ選択期間T1において第1の薄膜トランジスタ5603aがオンし、第2の薄膜トランジスタ5603b及び第3の薄膜トランジスタ5603cがオフする。このとき、配線5621_Jに入力されるData_j−1が、第1の薄膜トランジスタ5603aを介して信号線Sj−1に入力される。第2のサブ選択期間T2では、第2の薄膜トランジスタ5603bがオンし、第1の薄膜トランジスタ5603a及び第3の薄膜トランジスタ5603cがオフする。このとき、配線5621_Jに入力されるData_jが、第2の薄膜トランジスタ5603bを介して信号線Sjに入力される。第3のサブ選択期間T3では、第3の薄膜トランジスタ5603cがオンし、第1の薄膜トランジスタ5603a及び第2の薄膜トランジスタ5603bがオフする。このとき、配線5621_Jに入力されるData_j+1が、第3の薄膜トランジスタ5603cを介して信号線Sj+1に入力される。
【0137】
以上のことから、図11のタイミングチャートを適用した図9の信号線駆動回路は、サブ選択期間の前にプリチャージ期間を設けることによって、信号線をプリチャージできるため、画素へのビデオ信号の書き込みを高速に行うことができる。なお、図11において、図10と同様なものに関しては共通の符号を用いて示し、同一部分又は同様な機能を有する部分の詳細な説明は省略する。
【0138】
また、走査線駆動回路の構成の一例について説明する。走査線駆動回路は、シフトレジスタ、バッファを有している。また場合によってはレベルシフタを有していても良い。走査線駆動回路において、シフトレジスタにクロック信号(CLK)及びスタートパルス信号(SP)が入力されることによって、選択信号が生成される。生成された選択信号はバッファにおいて緩衝増幅され、対応する走査線に供給される。走査線には、1ライン分の画素のトランジスタのゲート電極層が接続されている。そして、1ライン分の画素のトランジスタを一斉にONにしなくてはならないので、バッファは大きな電流を流すことが可能なものが用いられる。
【0139】
走査線駆動回路の一部に用いるシフトレジスタの一形態について図12及び図13を用いて説明する。
【0140】
図12にシフトレジスタの回路構成を示す。図12に示すシフトレジスタは、フリップフロップ5701_i〜5701_nという複数のフリップフロップ(フリップフロップ5701_1〜5701_n)で構成される。また、第1のクロック信号、第2のクロック信号、スタートパルス信号、リセット信号が入力されて動作する。
【0141】
図12のシフトレジスタの接続関係について説明する。図12のシフトレジスタは、i段目のフリップフロップ5701_i(フリップフロップ5701_1〜5701_nのうちいずれか一)は、図13に示した第1の配線5501が第7の配線5717_i−1に接続され、図13に示した第2の配線5502が第7の配線5717_i+1に接続され、図13に示した第3の配線5503が第7の配線5717_iに接続され、図13に示した第6の配線5506が第5の配線5715に接続される。
【0142】
また、図13に示した第4の配線5504が奇数段目のフリップフロップでは第2の配線5712に接続され、偶数段目のフリップフロップでは第3の配線5713に接続され、図13に示した第5の配線5505が第4の配線5714に接続される。
【0143】
ただし、1段目のフリップフロップ5701_1の図13に示す第1の配線5501は第1の配線5711に接続され、n段目のフリップフロップ5701_nの図13に示す第2の配線5502は第6の配線5716に接続される。
【0144】
なお、第1の配線5711、第2の配線5712、第3の配線5713、第6の配線5716を、それぞれ第1の信号線、第2の信号線、第3の信号線、第4の信号線と呼んでもよい。さらに、第4の配線5714、第5の配線5715を、それぞれ第1の電源線、第2の電源線と呼んでもよい。
【0145】
次に、図12に示すフリップフロップの詳細について、図13に示す。図13に示すフリップフロップは、第1の薄膜トランジスタ5571、第2の薄膜トランジスタ5572、第3の薄膜トランジスタ5573、第4の薄膜トランジスタ5574、第5の薄膜トランジスタ5575、第6の薄膜トランジスタ5576、第7の薄膜トランジスタ5577及び第8の薄膜トランジスタ5578を有する。なお、第1の薄膜トランジスタ5571、第2の薄膜トランジスタ5572、第3の薄膜トランジスタ5573、第4の薄膜トランジスタ5574、第5の薄膜トランジスタ5575、第6の薄膜トランジスタ5576、第7の薄膜トランジスタ5577及び第8の薄膜トランジスタ5578は、nチャネル型トランジスタであり、ゲート・ソース間電圧(Vgs)がしきい値電圧(Vth)を上回ったとき導通状態になるものとする。
【0146】
次に、図13に示すフリップフロップの接続構成について、以下に示す。
【0147】
第1の薄膜トランジスタ5571の第1の電極(ソース電極またはドレイン電極の一方)が第4の配線5504に接続され、第1の薄膜トランジスタ5571の第2の電極(ソース電極またはドレイン電極の他方)が第3の配線5503に接続される。
【0148】
第2の薄膜トランジスタ5572の第1の電極が第6の配線5506に接続され、第2の薄膜トランジスタ5572第2の電極が第3の配線5503に接続される。
【0149】
第3の薄膜トランジスタ5573の第1の電極が第5の配線5505に接続され、第3の薄膜トランジスタ5573の第2の電極が第2の薄膜トランジスタ5572のゲート電極層に接続され、第3の薄膜トランジスタ5573のゲート電極層が第5の配線5505に接続される。
【0150】
第4の薄膜トランジスタ5574の第1の電極が第6の配線5506に接続され、第4の薄膜トランジスタ5574の第2の電極が第2の薄膜トランジスタ5572のゲート電極層に接続され、第4の薄膜トランジスタ5574のゲート電極層が第1の薄膜トランジスタ5571のゲート電極層に接続される。
【0151】
第5の薄膜トランジスタ5575の第1の電極が第5の配線5505に接続され、第5の薄膜トランジスタ5575の第2の電極が第1の薄膜トランジスタ5571のゲート電極層に接続され、第5の薄膜トランジスタ5575のゲート電極層が第1の配線5501に接続される。
【0152】
第6の薄膜トランジスタ5576の第1の電極が第6の配線5506に接続され、第6の薄膜トランジスタ5576の第2の電極が第1の薄膜トランジスタ5571のゲート電極層に接続され、第6の薄膜トランジスタ5576のゲート電極層が第2の薄膜トランジスタ5572のゲート電極層に接続される。
【0153】
第7の薄膜トランジスタ5577の第1の電極が第6の配線5506に接続され、第7の薄膜トランジスタ5577の第2の電極が第1の薄膜トランジスタ5571のゲート電極層に接続され、第7の薄膜トランジスタ5577のゲート電極層が第2の配線5502に接続される。第8の薄膜トランジスタ5578の第1の電極が第6の配線5506に接続され、第8の薄膜トランジスタ5578の第2の電極が第2の薄膜トランジスタ5572のゲート電極層に接続され、第8の薄膜トランジスタ5578のゲート電極層が第1の配線5501に接続される。
【0154】
なお、第1の薄膜トランジスタ5571のゲート電極層、第4の薄膜トランジスタ5574のゲート電極層、第5の薄膜トランジスタ5575の第2の電極、第6の薄膜トランジスタ5576の第2の電極及び第7の薄膜トランジスタ5577の第2の電極の接続箇所をノード5543とする。さらに、第2の薄膜トランジスタ5572のゲート電極層、第3の薄膜トランジスタ5573の第2の電極、第4の薄膜トランジスタ5574の第2の電極、第6の薄膜トランジスタ5576のゲート電極層及び第8の薄膜トランジスタ5578の第2の電極の接続箇所をノード5544とする。
【0155】
なお、第1の配線5501、第2の配線5502、第3の配線5503及び第4の配線5504を、それぞれ第1の信号線、第2の信号、第3の信号線、第4の信号線と呼んでもよい。さらに、第5の配線5505を第1の電源線、第6の配線5506を第2の電源線と呼んでもよい。
【0156】
また、信号線駆動回路及び走査線駆動回路を、実施の形態1または2と同様の方法で形成できるnチャネル型TFTのみをつかって作製することも可能である。実施の形態1または2と同様の方法で形成できるnチャネル型TFTはトランジスタの移動度が大きいため、駆動回路の駆動周波数を高くすることが可能となる。例えば、実施の形態1または2と同様の方法で形成できるnチャネル型TFTを用いた走査線駆動回路は、高速に動作させることが出来るため、フレーム周波数を高くすること、または、黒画面挿入などを実現することが出来る。
【0157】
さらに、走査線駆動回路のトランジスタのチャネル幅を大きくすることや、複数の走査線駆動回路を配置することなどによって、さらに高いフレーム周波数を実現することが出来る。複数の走査線駆動回路を配置する場合は、偶数行の走査線を駆動する為の走査線駆動回路を片側に配置し、奇数行の走査線を駆動するための走査線駆動回路をその反対側に配置することにより、フレーム周波数を高くすることを実現することができる。また、複数の走査線駆動回路により、同じ走査線に信号を出力すると、表示装置の大型化に有利である。
【0158】
また、本発明を適用した半導体装置の一例であるアクティブマトリクス型発光表示装置を作製する場合、少なくとも一つの画素に複数の薄膜トランジスタを配置するため、走査線駆動回路を複数配置することが好ましい。アクティブマトリクス型発光表示装置のブロック図の一例を図8(B)に示す。
【0159】
図8(B)に示す発光表示装置は、基板5400上に表示素子を備えた画素を複数有する画素部5401と、各画素を選択する第1の走査線駆動回路5402及び第2の走査線駆動回路5404と、選択された画素へのビデオ信号の入力を制御する信号線駆動回路5403とを有する。
【0160】
図8(B)に示す発光表示装置の画素に入力されるビデオ信号をデジタル形式とする場合、画素はトランジスタのオンとオフの切り替えによって、発光もしくは非発光の状態となる。よって、面積階調法または時間階調法を用いて階調の表示を行うことができる。面積階調法は、1画素を複数の副画素に分割し、各副画素を独立にビデオ信号に基づいて駆動させることによって、階調表示を行う駆動法である。また時間階調法は、画素が発光する期間を制御することによって、階調表示を行う駆動法である。
【0161】
発光素子は、液晶素子などに比べて応答速度が高いので、液晶素子よりも時間階調法に適している。具体的に時間階調法で表示を行なう場合、1フレーム期間を複数のサブフレーム期間に分割する。そしてビデオ信号に従い、各サブフレーム期間において画素の発光素子を発光または非発光の状態にする。複数のサブフレーム期間に分割することによって、1フレーム期間中に画素が実際に発光する期間のトータルの長さを、ビデオ信号により制御することができ、階調を表示することができる。
【0162】
なお、図8(B)に示す発光表示装置では、一つの画素に2つのスイッチング用TFTを配置する場合、一方のスイッチング用TFTのゲート配線である第1の走査線に入力される信号を第1走査線駆動回路5402で生成し、他方のスイッチング用TFTのゲート配線である第2の走査線に入力される信号を第2の走査線駆動回路5404で生成している例を示しているが、第1の走査線に入力される信号と、第2の走査線に入力される信号とを、共に1つの走査線駆動回路で生成するようにしても良い。また、例えば、1つの画素が有するスイッチング用TFTの数によって、スイッチング素子の動作を制御するのに用いられる走査線が、各画素に複数設けられることもあり得る。この場合、複数の走査線に入力される信号を、全て1つの走査線駆動回路で生成しても良いし、複数の各走査線駆動回路で生成しても良い。
【0163】
また、発光表示装置においても、駆動回路のうち、nチャネル型TFTで構成することができる駆動回路の一部を画素部の薄膜トランジスタと同一基板上に形成することができる。また、信号線駆動回路及び走査線駆動回路を実施の形態1または2と同様の方法で形成できるnチャネル型TFTのみで作製することも可能である。
【0164】
また、上述した駆動回路は、液晶表示装置や発光表示装置に限らず、スイッチング素子と電気的に接続する素子を利用して電子インクを駆動させる電子ペーパーに用いてもよい。電子ペーパーは、電気泳動表示装置(電気泳動ディスプレイ)も呼ばれており、紙と同じ読みやすさ、他の表示装置に比べ低消費電力、薄くて軽い形状とすることが可能という利点を有している。
【0165】
電気泳動ディスプレイは、様々な形態が考えられ得るが、プラスの電荷を有する第1の粒子と、マイナスの電荷を有する第2の粒子とを含むマイクロカプセルが溶媒または溶質に複数分散されたものであり、マイクロカプセルに電界を印加することによって、マイクロカプセル中の粒子を互いに反対方向に移動させて一方側に集合した粒子の色のみを表示するものである。なお、第1の粒子または第2の粒子は染料を含み、電界がない場合において移動しないものである。また、第1の粒子の色と第2の粒子の色は異なるもの(無色を含む)とする。
【0166】
このように、電気泳動ディスプレイは、誘電定数の高い物質が高い電界領域に移動する、いわゆる誘電泳動的効果を利用したディスプレイである。電気泳動ディスプレイは、液晶表示装置が必要とする偏光板や対向基板を必要としないため、厚さや重さが半減する。
【0167】
上記マイクロカプセルを溶媒中に分散させたものが電子インクと呼ばれるものであり、この電子インクはガラス、プラスチック、布、紙などの表面に印刷することができる。また、カラーフィルタや色素を有する粒子を用いることによってカラー表示も可能である。
【0168】
また、アクティブマトリクス基板上に適宜、二つの電極の間に挟まれるように上記マイクロカプセルを複数配置すればアクティブマトリクス型の表示装置が完成し、マイクロカプセルに電界を印加すれば表示を行うことができる。例えば、実実施の形態1または2と同様の方法で形成できる薄膜トランジスタによって得られるアクティブマトリクス基板を用いることができる。
【0169】
なお、マイクロカプセル中の第1の粒子および第2の粒子は、導電体材料、絶縁体材料、半導体材料、磁性材料、液晶材料、強誘電性材料、エレクトロルミネセント材料、エレクトロクロミック材料、磁気泳動材料から選ばれた一種の材料、またはこれらの複合材料を用いればよい。
【0170】
以上の工程により、酸化物半導体層よりも電気伝導率が高い導電性酸窒化物層を設けたことで、機能を高め動作が安定化した薄膜トランジスタを搭載した信頼性の高い表示装置を作製することができる。
【0171】
本実施の形態は、他の実施の形態に記載した構成と適宜組み合わせて実施することが可能である。
【0172】
(実施の形態6)
本実施の形態では、本発明の半導体装置の一例として、実施の形態1または2と同様に形成した薄膜トランジスタを画素部、さらには駆動回路に用いて表示機能を有する半導体装置(表示装置ともいう)を作製することができる。また、実施の形態1または2と同様に形成した薄膜トランジスタを駆動回路の一部または全体を、画素部と同じ基板上に一体形成し、システムオンパネルを形成することができる。
【0173】
表示装置は表示素子を含む。表示素子としては液晶素子(液晶表示素子ともいう)、発光素子(発光表示素子ともいう)を用いることができる。発光素子は、電流または電圧によって輝度が制御される素子をその範疇に含んでおり、具体的には無機EL(Electro Luminescence)、有機EL等が含まれる。また、電子インクなど、電気的作用によりコントラストが変化する表示媒体も適用することができる。
【0174】
また、表示装置は、表示素子が封止された状態にあるパネルと、該パネルにコントローラを含むIC等を実装した状態にあるモジュールとを含む。さらに本発明の一態様は、該表示装置を作製する過程における、表示素子が完成する前の一形態に相当する素子基板に関し、該素子基板は、電流を表示素子に供給するための手段を複数の各画素に備える。素子基板は、具体的には、表示素子の画素電極層のみが形成された状態であっても良いし、画素電極層となる導電膜を成膜した後であって、エッチングして画素電極層を形成する前の状態であっても良いし、あらゆる形態があてはまる。
【0175】
なお、本明細書中における表示装置とは、画像表示デバイス、表示デバイス、もしくは光源(照明装置含む)を指す。また、コネクター、例えばFPC(Flexible printed circuit)もしくはTAB(Tape Automated Bonding)テープもしくはTCP(Tape Carrier Package)が取り付けられたモジュール、TABテープやTCPの先にプリント配線板が設けられたモジュール、または表示素子にCOG(Chip On Glass)方式によりIC(集積回路)が直接実装されたモジュールも全て表示装置に含むものとする。
【0176】
本実施の形態では、本発明の半導体装置の一形態に相当する液晶表示パネルの外観及び断面について、図14を用いて説明する。図14は、第1の基板4001上に実施の形態2と同様に形成した薄膜トランジスタ4010、4011、及び液晶素子4013を、第1の基板4001と第2の基板4006との間にシール材4005によって封止した、パネルの上面図であり、図14(B)は、図14(A1)(A2)のM−Nにおける断面図に相当する。
【0177】
第1の基板4001上に設けられた画素部4002と、走査線駆動回路4004とを囲むようにして、シール材4005が設けられている。また画素部4002と、走査線駆動回路4004の上に第2の基板4006が設けられている。よって画素部4002と、走査線駆動回路4004とは、第1の基板4001と第2の基板4006によって、液晶層4008と共に封止されている。また第1の基板4001上のシール材4005によって囲まれている領域とは異なる領域に、別途用意された基板上に単結晶半導体膜又は多結晶半導体膜で形成された信号線駆動回路4003が実装されている。
【0178】
なお、別途形成した駆動回路の接続方法は、特に限定されるものではなく、COG方法、ワイヤボンディング方法、或いはTAB方法などを用いることができる。図14(A1)は、COG方法により信号線駆動回路4003を実装する例であり、図14(A2)は、TAB方法により信号線駆動回路4003を実装する例である。
【0179】
また第1の基板4001上に設けられた画素部4002と、走査線駆動回路4004は、薄膜トランジスタを複数有しており、図14(B)では、画素部4002に含まれる薄膜トランジスタ4010と、走査線駆動回路4004に含まれる薄膜トランジスタ4011とを例示している。薄膜トランジスタ4010、4011上には絶縁層4020、4021が設けられている。
【0180】
薄膜トランジスタ4010、4011は、例えば実施の形態1または2に示す薄膜トランジスタを適用することができる。本実施の形態において、薄膜トランジスタ4010、4011はnチャネル型薄膜トランジスタである。
【0181】
また、液晶素子4013が有する画素電極層4030は、薄膜トランジスタ4010と電気的に接続されている。そして液晶素子4013の対向電極層4031は第2の基板4006上に形成されている。画素電極層4030と対向電極層4031と液晶層4008とが重なっている部分が、液晶素子4013に相当する。なお、画素電極層4030、対向電極層4031はそれぞれ配向膜として機能する絶縁層4032、4033が設けられ、絶縁層4032、4033を介して液晶層4008を挟持している。
【0182】
なお、第1の基板4001、第2の基板4006としては、ガラス、金属(代表的にはステンレス)、セラミックス、プラスチックを用いることができる。プラスチックとしては、FRP(Fiberglass−Reinforced Plastics)板、PVF(ポリビニルフルオライド)フィルム、ポリエステルフィルムまたはアクリル樹脂フィルムを用いることができる。また、アルミニウムホイルをPVFフィルムやポリエステルフィルムで挟んだ構造のシートを用いることもできる。
【0183】
また4035は絶縁膜を選択的にエッチングすることで得られる柱状のスペーサであり、画素電極層4030と対向電極層4031との間の距離(セルギャップ)を制御するために設けられている。なお球状のスペーサを用いていても良い。また、対向電極層4031は、薄膜トランジスタ4010と同一基板上に設けられる共通電位線と導電性粒子を介して電気的に接続される。なお、導電性粒子はシール材4005に含有させる。
【0184】
また、配向膜を用いないブルー相を示す液晶を用いてもよい。ブルー相は液晶相の一つであり、コレステリック液晶を昇温していくと、コレステリック相から等方相へ転移する直前に発現する相である。ブルー相は狭い温度範囲でしか発現しないため、温度範囲を改善するために5重量%以上のカイラル剤を混合させた液晶組成物を用いて液晶層4008を形成する。ブルー相を示す液晶とカイラル剤とを含む液晶組成物は、応答速度が10μs〜100μsと短く、光学的等方性であるため配向処理が不要であり、視野角依存性が小さい。
【0185】
なお本実施の形態は透過型液晶表示装置の例であるが、本発明の一態様は反射型液晶表示装置でも半透過型液晶表示装置でも適用できる。
【0186】
また、本実施の形態の液晶表示装置では、基板の外側(視認側)に偏光板を設け、内側に着色層、表示素子に用いる電極層という順に設ける例を示すが、偏光板は基板の内側に設けてもよい。また、偏光板と着色層の積層構造も本実施の形態に限定されず、偏光板及び着色層の材料や作製工程条件によって適宜設定すればよい。また、ブラックマトリクスとして機能する遮光膜を設けてもよい。
【0187】
また、本実施の形態では、薄膜トランジスタの表面凹凸を低減するため、及び薄膜トランジスタの信頼性を向上させるため、実施の形態2で得られた薄膜トランジスタを保護膜や平坦化絶縁膜として機能する絶縁層(絶縁層4020、絶縁層4021)で覆う構成となっている。なお、保護膜は、大気中に浮遊する有機物や金属物、水蒸気などの汚染不純物の侵入を防ぐためのものであり、緻密な膜が好ましい。保護膜は、スパッタ法を用いて、酸化珪素膜、窒化珪素膜、酸化窒化珪素膜、窒化酸化珪素膜、酸化アルミニウム膜、窒化アルミニウム膜、酸化窒化アルミニウム膜、又は窒化酸化アルミニウム膜の単層、又は積層で形成すればよい。本実施の形態では保護膜をスパッタ法で形成する例を示すが、特に限定されず種々の方法で形成すればよい。
【0188】
本実施の形態では、保護膜として積層構造の絶縁層4020を形成する。本実施の形態では、絶縁層4020の一層目として、スパッタ法を用いて酸化珪素膜を形成する。保護膜として酸化珪素膜を用いると、ソース電極層及びドレイン電極層として用いるアルミニウム膜のヒロック防止に効果がある。
【0189】
また、本実施の形態では、絶縁層4020の二層目として、スパッタ法を用いて窒化珪素膜を形成する。保護膜として窒化珪素膜を用いると、ナトリウム等の可動イオンが半導体領域中に侵入して、TFTの電気特性を変化させることを抑制することができる。
【0190】
また、保護膜を形成した後に、インジウム、ガリウム、及び亜鉛を含む酸化物半導体層のアニール(300℃〜400℃)を行ってもよい。
【0191】
また、平坦化絶縁膜として絶縁層4021を形成する。絶縁層4021としては、ポリイミド、アクリル、ベンゾシクロブテン、ポリアミド、エポキシ等の、耐熱性を有する有機材料を用いることができる。また上記有機材料の他に、低誘電率材料(low−k材料)、シロキサン系樹脂、PSG(リンガラス)、BPSG(リンボロンガラス)等を用いることができる。シロキサン系樹脂は、置換基としては有機基(例えばアルキル基やアリール基)やフルオロ基を用いても良い。また、有機基はフルオロ基を有していても良い。なお、これらの材料で形成される絶縁膜を複数積層させることで、絶縁層4021を形成してもよい。
【0192】
なおシロキサン系樹脂とは、シロキサン系材料を出発材料として形成されたSi−O−Si結合を含む樹脂に相当する。
【0193】
絶縁層4021の形成法は、特に限定されず、その材料に応じて、スパッタ法、SOG法、スピンコート、ディップ、スプレー塗布、液滴吐出法(インクジェット法、スクリーン印刷、オフセット印刷等)、ドクターナイフ、ロールコーター、カーテンコーター、ナイフコーター等を用いることができる。絶縁層4021を材料液を用いて形成する場合、ベークする工程で同時に、インジウム、ガリウム、及び亜鉛を含む酸化物半導体層のアニール(300℃〜400℃)を行ってもよい。絶縁層4021の焼成工程とインジウム、ガリウム、及び亜鉛を含む酸化物半導体層のアニールを兼ねることで効率よく半導体装置を作製することが可能となる。
【0194】
画素電極層4030、対向電極層4031は、酸化タングステンを含むインジウム酸化物、酸化タングステンを含むインジウム亜鉛酸化物、酸化チタンを含むインジウム酸化物、酸化チタンを含むインジウム錫酸化物、インジウム錫酸化物(以下、ITOと示す。)、インジウム亜鉛酸化物、酸化ケイ素を添加したインジウム錫酸化物などの透光性を有する導電性材料を用いることができる。
【0195】
また、画素電極層4030、対向電極層4031として、導電性高分子(導電性ポリマーともいう)を含む導電性組成物を用いて形成することができる。導電性組成物を用いて形成した画素電極層は、シート抵抗が10000Ω/□以下、波長550nmにおける透光率が70%以上であることが好ましい。また、導電性組成物に含まれる導電性高分子の抵抗率が0.1Ω・cm以下であることが好ましい。
【0196】
導電性高分子としては、いわゆるπ電子共役系導電性高分子を用いることができる。例えば、ポリアニリンまたはその誘導体、ポリピロールまたはその誘導体、ポリチオフェンまたはその誘導体、若しくはこれらの2種以上の共重合体などがあげられる。
【0197】
また別途形成された信号線駆動回路4003と、走査線駆動回路4004と、画素部4002に与えられる各種信号及び電位は、FPC4018から供給されている。
【0198】
本実施の形態では、接続端子電極4015が、液晶素子4013が有する画素電極層4030と同じ導電膜から形成され、端子電極4016は、薄膜トランジスタ4010、4011のソース電極層及びドレイン電極層と同じ導電膜で形成されている。
【0199】
接続端子電極4015は、FPC4018が有する端子と、異方性導電膜4019を介して電気的に接続されている。
【0200】
また図14においては、信号線駆動回路4003を別途形成し、第1の基板4001に実装している例を示しているが、本実施の形態はこの構成に限定されない。走査線駆動回路を別途形成して実装しても良いし、信号線駆動回路の一部または走査線駆動回路の一部のみを別途形成して実装しても良い。
【0201】
図15は、本発明の一態様を適用して作製されるTFT基板2600を用いて半導体装置として液晶表示モジュールを構成する一例を示している。
【0202】
図15は液晶表示モジュールの一例であり、TFT基板2600と対向基板2601がシール材2602により固着され、その間にTFT等を含む画素部2603、液晶層を含む表示素子2604、着色層2605が設けられ表示領域を形成している。着色層2605はカラー表示を行う場合に必要であり、RGB方式の場合は、赤、緑、青の各色に対応した着色層が各画素に対応して設けられている。TFT基板2600と対向基板2601の外側には偏光板2606、偏光板2607、拡散板2613が配設されている。光源は冷陰極管2610と反射板2611により構成され、回路基板2612は、フレキシブル配線基板2609によりTFT基板2600の配線回路部2608と接続され、コントロール回路や電源回路などの外部回路が組みこまれている。また偏光板と、液晶層との間に位相差板を有した状態で積層してもよい。
【0203】
液晶表示モジュールには、TN(Twisted Nematic)モード、IPS(In−Plane−Switching)モード、FFS(Fringe Field Switching)モード、MVA(Multi−domain Vertical Alignment)モード、PVA(Patterned Vertical Alignment)、ASM(Axially Symmetric aligned Micro−cell)モード、OCB(Optical Compensated Birefringence)モード、FLC(Ferroelectric Liquid Crystal)モード、AFLC(AntiFerroelectric Liquid Crystal)などを用いることができる。
【0204】
以上の工程により、動作の安定性に優れた薄膜トランジスタを搭載した表示装置を作製できる。本実施の形態の液晶表示装置は動作の安定性に優れた薄膜トランジスタを搭載しているため信頼性が高い。
【0205】
本実施の形態は、他の実施の形態に記載した構成と適宜組み合わせて実施することが可能である。
【0206】
(実施の形態7)
本実施の形態では、本発明の半導体装置の一例として発光表示装置を示す。表示装置の有する表示素子としては、本実施の形態ではエレクトロルミネッセンスを利用する発光素子を用いて示す。エレクトロルミネッセンスを利用する発光素子は、発光材料が有機化合物であるか、無機化合物であるかによって区別され、一般的に、前者は有機EL素子、後者は無機EL素子と呼ばれている。
【0207】
有機EL素子は、発光素子に電圧を印加することにより、一対の電極から電子および正孔がそれぞれ発光性の有機化合物を含む層に注入され、電流が流れる。そして、それらキャリア(電子および正孔)が再結合することにより、発光性の有機化合物が励起状態を形成し、その励起状態が基底状態に戻る際に発光する。このようなメカニズムから、このような発光素子は、電流励起型の発光素子と呼ばれる。
【0208】
無機EL素子は、その素子構成により、分散型無機EL素子と薄膜型無機EL素子とに分類される。分散型無機EL素子は、発光材料の粒子をバインダ中に分散させた発光層を有するものであり、発光メカニズムはドナー準位とアクセプター準位を利用するドナー−アクセプター再結合型発光である。薄膜型無機EL素子は、発光層を誘電体層で挟み込み、さらにそれを電極で挟んだ構造であり、発光メカニズムは金属イオンの内殻電子遷移を利用する局在型発光である。なお、本実施の形態では、発光素子として有機EL素子を用いて説明する。
【0209】
図16は、本発明の一態様を適用した半導体装置の例としてデジタル時間階調駆動を適用可能な画素構成の一例を示す図である。
【0210】
デジタル時間階調駆動を適用可能な画素の構成及び画素の動作について説明する。本実施の形態では実施の形態1または2で示したインジウム、ガリウム、及び亜鉛を含む酸化物半導体層をチャネル形成領域に用いるnチャネル型のトランジスタを1つの画素に2つ用いる例を示す。
【0211】
画素6400は、スイッチング用トランジスタ6401、駆動用トランジスタ6402、発光素子6404及び容量素子6403を有している。スイッチング用トランジスタ6401はゲートが走査線6406に接続され、第1電極(ソース電極及びドレイン電極の一方)が信号線6405に接続され、第2電極(ソース電極及びドレイン電極の他方)が駆動用トランジスタ6402のゲートに接続されている。駆動用トランジスタ6402は、ゲートが容量素子6403を介して電源線6407に接続され、第1電極が電源線6407に接続され、第2電極が発光素子6404の第1電極(画素電極層)に接続されている。発光素子6404の第2電極は共通電極6408に相当する。共通電極6408は、同一基板上に形成される共通電位線と電気的に接続される。
【0212】
なお、発光素子6404の第2電極(共通電極6408)には低電源電位が設定されている。なお、低電源電位とは、電源線6407に設定される高電源電位を基準にして低電源電位<高電源電位を満たす電位であり、低電源電位としては例えばGND、0Vなどが設定されていても良い。この高電源電位と低電源電位との電位差を発光素子6404に印加して、発光素子6404に電流を流して発光素子6404を発光させるため、高電源電位と低電源電位との電位差が発光素子6404の順方向しきい値電圧以上となるようにそれぞれの電位を設定する。
【0213】
なお、容量素子6403は駆動用トランジスタ6402のゲート容量を代用して省略することも可能である。駆動用トランジスタ6402のゲート容量については、チャネル領域とゲート電極層との間で容量が形成されていてもよい。
【0214】
ここで、電圧入力電圧駆動方式の場合には、駆動用トランジスタ6402のゲートには、駆動用トランジスタ6402が十分にオンするか、オフするかの二つの状態となるようなビデオ信号を入力する。つまり、駆動用トランジスタ6402は線形領域で動作させる。駆動用トランジスタ6402は線形領域で動作させるため、電源線6407の電圧よりも高い電圧を駆動用トランジスタ6402のゲートにかける。なお、信号線6405には、(電源線電圧+駆動用トランジスタ6402のVth)以上の電圧をかける。
【0215】
また、デジタル時間階調駆動に代えて、アナログ階調駆動を行う場合、信号の入力を異ならせることで、図16と同じ画素構成を用いることができる。
【0216】
アナログ階調駆動を行う場合、駆動用トランジスタ6402のゲートに発光素子6404の順方向電圧+駆動用トランジスタ6402のVth以上の電圧をかける。発光素子6404の順方向電圧とは、所望の輝度とする場合の電圧を指しており、少なくとも順方向しきい値電圧を含む。なお、駆動用トランジスタ6402が飽和領域で動作するようなビデオ信号を入力することで、発光素子6404に電流を流すことができる。駆動用トランジスタ6402を飽和領域で動作させるため、電源線6407の電位は、駆動用トランジスタ6402のゲート電位よりも高くする。ビデオ信号をアナログとすることで、発光素子6404にビデオ信号に応じた電流を流し、アナログ階調駆動を行うことができる。
【0217】
なお、図16に示す画素構成は、これに限定されない。例えば、図16に示す画素に新たにスイッチ、抵抗素子、容量素子、トランジスタ又は論理回路などを追加してもよい。
【0218】
次に、発光素子の構成について、図17を用いて説明する。本実施の形態では、駆動用TFTがn型の場合を例に挙げて、画素の断面構造について説明する。図17(A)(B)(C)の半導体装置に用いられる駆動用TFT7001、7011、7021は、実施の形態1で示す薄膜トランジスタと同様に作製できる。
【0219】
発光素子は発光を取り出すために少なくとも陽極又は陰極の一方が透明であればよい。そして、基板上に薄膜トランジスタ及び発光素子を形成し、基板とは逆側の面から発光を取り出す上面射出や、基板側の面から発光を取り出す下面射出や、基板側の面及び基板とは反対側の面から発光を取り出す両面射出構造の発光素子があり、本発明の一態様の画素構成はどの射出構造の発光素子にも適用することができる。
【0220】
上面射出構造の発光素子について図17(A)を用いて説明する。
【0221】
図17(A)に、駆動用TFT7001がn型で、発光素子7002から発せられる光が発光層7004に対して陽極7005側(基板とは反対側)に抜ける場合の、画素の断面図を示す。図17(A)では、発光素子7002の陰極7003と駆動用TFT7001が電気的に接続されており、陰極7003上に発光層7004、陽極7005が順に積層されている。陰極7003は仕事関数が小さく、なおかつ光を反射する導電膜であれば様々の材料を用いることができる。例えば、Ca、Al、CaF、MgAg、AlLi等が望ましい。そして発光層7004は、単数の層で構成されていても、複数の層が積層されるように構成されていてもどちらでも良い。複数の層で構成されている場合、陰極7003上に電子注入層、電子輸送層、発光層、ホール輸送層、ホール注入層の順に積層する。なおこれらの層を全て設ける必要はない。陽極7005は光を透過する透光性を有する導電性材料を用いて形成し、例えば酸化タングステンを含むインジウム酸化物、酸化タングステンを含むインジウム亜鉛酸化物、酸化チタンを含むインジウム酸化物、酸化チタンを含むインジウム錫酸化物、インジウム錫酸化物(以下、ITOと示す。)、インジウム亜鉛酸化物、酸化ケイ素を添加したインジウム錫酸化物などの透光性を有する導電性導電膜を用いても良い。
【0222】
陰極7003及び陽極7005で発光層7004を挟んでいる領域が発光素子7002に相当する。図17(A)に示した画素の場合、発光素子7002から発せられる光は、矢印で示すように陽極7005側に射出する。
【0223】
次に、下面射出構造の発光素子について図17(B)を用いて説明する。駆動用TFT7011がn型で、発光素子7012から発せられる光が発光層に対して陰極7013側(基板側)に射出する場合の、画素の断面図を示す。図17(B)では、駆動用TFT7011と電気的に接続された透光性を有する導電膜7017上に、発光素子7012の陰極7013が成膜されており、陰極7013上に発光層7014、陽極7015が順に積層されている。なお、陽極7015が透光性を有する場合、陽極上を覆うように、光を反射または遮蔽するための遮蔽膜7016が成膜されていてもよい。陰極7013は、図17(A)の場合と同様に、仕事関数が小さい導電性材料であれば様々な材料を用いることができる。ただしその膜厚は、光を透過する程度(好ましくは、5nm〜30nm程度)とする。例えば20nmの膜厚を有するアルミニウム膜を、陰極7013として用いることができる。そして発光層7014は、図17(A)と同様に、単数の層で構成されていても、複数の層が積層されるように構成されていてもどちらでも良い。陽極7015は光を透過する必要はないが、図17(A)と同様に、透光性を有する導電性材料を用いて形成することができる。そして遮蔽膜7016は、例えば光を反射する金属等を用いることができるが、金属膜に限定されない。例えば黒の顔料を添加した樹脂等を用いることもできる。
【0224】
陰極7013及び陽極7015で、発光層7014を挟んでいる領域が発光素子7012に相当する。図17(B)に示した画素の場合、発光素子7012から発せられる光は、矢印で示すように陰極7013側に射出する。
【0225】
次に、両面射出構造の発光素子について、図17(C)を用いて説明する。図17(C)では、駆動用TFT7021と電気的に接続された透光性を有する導電膜7027上に、発光素子7022の陰極7023が成膜されており、陰極7023上に発光層7024、陽極7025が順に積層されている。陰極7023は、図17(A)の場合と同様に、仕事関数が小さい導電性材料であれば様々な材料を用いることができる。ただしその膜厚は、光を透過する程度とする。例えば20nmの膜厚を有するAlを、陰極7023として用いることができる。そして発光層7024は、図17(A)と同様に、単数の層で構成されていても、複数の層が積層されるように構成されていてもどちらでも良い。陽極7025は、図17(A)と同様に、光を透過する透光性を有する導電性材料を用いて形成することができる。
【0226】
陰極7023と、発光層7024と、陽極7025とが重なっている部分が発光素子7022に相当する。図17(C)に示した画素の場合、発光素子7022から発せられる光は、矢印で示すように陽極7025側と陰極7023側の両方に射出する。
【0227】
なお、本実施の形態では、発光素子として有機EL素子について述べたが、発光素子として無機EL素子を設けることも可能である。
【0228】
なお本実施の形態では、発光素子の駆動を制御する薄膜トランジスタ(駆動用TFT)と発光素子が電気的に接続されている例を示したが、駆動用TFTと発光素子との間に電流制御用TFTが接続されている構成であってもよい。
【0229】
なお本実施の形態で示す半導体装置は、図17に示した構成に限定されるものではなく、本発明の技術的思想に基づく各種の変形が可能である。
【0230】
次に、本発明の半導体装置の一形態に相当する発光表示パネル(発光パネルともいう)の外観及び断面について、図18を用いて説明する。図18(A)は第1の基板上に実施の形態1と同様に形成したインジウム、ガリウム、及び亜鉛を含む酸化物半導体層を用いた薄膜トランジスタと、発光素子を第1の基板と第2の基板との間にシール材によって封止したパネルの上面図であり、図18(B)は、図18(A)のH−Iにおける断面図に相当する。
【0231】
第1の基板4501上に設けられた画素部4502、信号線駆動回路4503a、4503b、及び走査線駆動回路4504a、4504bを囲むようにして、シール材4505が設けられている。また画素部4502、信号線駆動回路4503a、4503b、及び走査線駆動回路4504a、4504bの上に第2の基板4506が設けられている。よって画素部4502、信号線駆動回路4503a、4503b、及び走査線駆動回路4504a、4504bは、第1の基板4501とシール材4505と第2の基板4506とによって、充填材4507と共に密封されている。このように外気に曝されないように気密性が高く、脱ガスの少ない保護フィルム(貼り合わせフィルム、紫外線硬化樹脂フィルム等)やカバー材でパッケージング(封入)することが好ましい。
【0232】
また第1の基板4501上に設けられた画素部4502、信号線駆動回路4503a、4503b、及び走査線駆動回路4504a、4504bは、薄膜トランジスタを複数有しており、図18(B)では、画素部4502に含まれる薄膜トランジスタ4510と、信号線駆動回路4503aに含まれる薄膜トランジスタ4509とを例示している。
【0233】
薄膜トランジスタ4509、4510はnチャネル型薄膜トランジスタであり、実施の形態1に示す薄膜トランジスタを適用することができる。
【0234】
また発光素子4511が有する画素電極層である第1の電極層4517は、薄膜トランジスタ4510のソース電極層またはドレイン電極層と電気的に接続されている。なお発光素子4511の構成は、第1の電極層4517、電界発光層4512、第2の電極層4513の積層構造であるが、本実施の形態に示した構成に限定されない。発光素子4511から取り出す光の方向などに合わせて、発光素子4511の構成は適宜変えることができる。
【0235】
隔壁4520は、有機樹脂膜、無機絶縁膜または有機ポリシロキサンを用いて形成する。特に感光性の材料を用い、第1の電極層4517上に開口部を形成し、その開口部の側壁が連続した曲率を持って形成される傾斜面となるように形成することが好ましい。
【0236】
電界発光層4512は、単数の層で構成されていても、複数の層が積層されるように構成されていてもどちらでも良い。
【0237】
発光素子4511に酸素、水素、水分、二酸化炭素等が侵入しないように、第2の電極層4513及び隔壁4520上に保護膜を形成してもよい。保護膜としては、窒化珪素膜、窒化酸化珪素膜、DLC膜等を形成することができる。
【0238】
また、信号線駆動回路4503a、4503b、走査線駆動回路4504a、4504b、または画素部4502に与えられる各種信号及び電位は、FPC4518a、4518bから供給されている。
【0239】
本実施の形態では、接続端子電極4515が、発光素子4511が有する第1の電極層4517と同じ導電膜から形成され、端子電極4516は、薄膜トランジスタ4509、4510が有するソース電極層及びドレイン電極層と同じ導電膜から形成されている。
【0240】
接続端子電極4515は、FPC4518aが有する端子と、異方性導電膜4519を介して電気的に接続されている。
【0241】
発光素子4511からの光の取り出し方向に位置する第2の基板は透光性でなければならない。その場合には、ガラス板、プラスチック板、ポリエステルフィルムまたはアクリルフィルムのような透光性を有する材料を用いる。
【0242】
また、充填材4507としては窒素やアルゴンなどの不活性な気体の他に、紫外線硬化樹脂または熱硬化樹脂を用いることができ、PVC(ポリビニルクロライド)、アクリル、ポリイミド、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、PVB(ポリビニルブチラル)またはEVA(エチレンビニルアセテート)を用いることができる。本実施の形態は充填材として窒素を用いる。
【0243】
また、必要であれば、発光素子の射出面に偏光板、又は円偏光板(楕円偏光板を含む)、位相差板(λ/4板、λ/2板)、カラーフィルタなどの光学フィルムを適宜設けてもよい。また、偏光板又は円偏光板に反射防止膜を設けてもよい。例えば、表面の凹凸により反射光を拡散し、映り込みを低減できるアンチグレア処理を施すことができる。
【0244】
信号線駆動回路4503a、4503b、及び走査線駆動回路4504a、4504bは、別途用意された基板上に単結晶半導体膜又は多結晶半導体膜によって形成された駆動回路で実装されていてもよい。また、信号線駆動回路のみ、或いは一部、又は走査線駆動回路のみ、或いは一部のみを別途形成して実装しても良く、本実施の形態は図18の構成に限定されない。
【0245】
以上の工程により、動作の安定性に優れた薄膜トランジスタを搭載した表示装置を作製できる。本実施例の発光表示装置(表示パネル)は動作の安定性に優れた薄膜トランジスタを搭載しているため信頼性が高い。
【0246】
本実施の形態は、他の実施の形態に記載した構成と適宜組み合わせて実施することが可能である。
【0247】
(実施の形態8)
本発明の一態様の表示装置は、電子ペーパーとして適用することができる。電子ペーパーは、情報を表示するものであればあらゆる分野の電子機器に用いることが可能である。例えば、電子ペーパーを用いて、電子書籍(電子ブック)、ポスター、電車などの乗り物の車内広告、クレジットカード等の各種カードにおける表示等に適用することができる。電子機器の一例を図19、図20に示す。
【0248】
図19(A)は、電子ペーパーで作られたポスター2631を示している。広告媒体が紙の印刷物である場合には、広告の交換は人手によって行われるが、本発明の一態様を適用した電子ペーパーを用いれば短時間で広告の表示を変えることができる。また、表示も崩れることなく安定した画像が得られる。なお、ポスターは無線で情報を送受信できる構成としてもよい。
【0249】
また、図19(B)は、電車などの乗り物の車内広告2632を示している。広告媒体が紙の印刷物である場合には、広告の交換は人手によって行われるが、本発明の一態様を適用した電子ペーパーを用いれば人手を多くかけることなく短時間で広告の表示を変えることができる。また表示も崩れることなく安定した画像が得られる。なお、車内広告は無線で情報を送受信できる構成としてもよい。
【0250】
また、図20は、電子書籍2700の一例を示している。例えば、電子書籍2700は、筐体2701および筐体2703の2つの筐体で構成されている。筐体2701および筐体2703は、軸部2711により一体とされており、該軸部2711を軸として開閉動作を行うことができる。このような構成により、紙の書籍のような動作を行うことが可能となる。
【0251】
筐体2701には表示部2705が組み込まれ、筐体2703には表示部2707が組み込まれている。表示部2705および表示部2707は、続き画面を表示する構成としてもよいし、異なる画面を表示する構成としてもよい。異なる画面を表示する構成とすることで、例えば右側の表示部(図20では表示部2705)に文章を表示し、左側の表示部(図20では表示部2707)に画像を表示することができる。
【0252】
また、図20では、筐体2701に操作部などを備えた例を示している。例えば、筐体2701において、電源2721、操作キー2723、スピーカ2725などを備えている。操作キー2723により、頁を送ることができる。なお、筐体の表示部と同一面にキーボードやポインティングディバイスなどを備える構成としてもよい。また、筐体の裏面や側面に、外部接続用端子(イヤホン端子、USB端子、またはACアダプタおよびUSBケーブルなどの各種ケーブルと接続可能な端子など)、記録媒体挿入部などを備える構成としてもよい。さらに、電子書籍2700は、電子辞書としての機能を持たせた構成としてもよい。
【0253】
また、電子書籍2700は、無線で情報を送受信できる構成としてもよい。無線により、電子書籍サーバから、所望の書籍データなどを購入し、ダウンロードする構成とすることも可能である。
【0254】
以上の工程により、動作の安定性に優れた薄膜トランジスタを搭載した表示装置を作製できる。動作の安定性に優れた薄膜トランジスタを搭載した表示装置は信頼性が高い。
【0255】
(実施の形態9)
本発明の一態様に係る半導体装置は、さまざまな電子機器(遊技機も含む)に適用することができる。電子機器としては、例えば、テレビジョン装置(テレビ、またはテレビジョン受信機ともいう)、コンピュータ用などのモニタ、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、デジタルフォトフレーム、携帯電話機(携帯電話、携帯電話装置ともいう)、携帯型ゲーム機、携帯情報端末、音響再生装置、パチンコ機などの大型ゲーム機などが挙げられる。
【0256】
図21(A)は、テレビジョン装置9600の一例を示している。テレビジョン装置9600は、筐体9601に表示部9603が組み込まれている。表示部9603により、映像を表示することが可能である。また、本実施の形態では、スタンド9605により筐体9601を支持した構成を示している。
【0257】
テレビジョン装置9600の操作は、筐体9601が備える操作スイッチや、別体のリモコン操作機9610により行うことができる。リモコン操作機9610が備える操作キー9609により、チャンネルや音量の操作を行うことができ、表示部9603に表示される映像を操作することができる。また、リモコン操作機9610に、当該リモコン操作機9610から出力する情報を表示する表示部9607を設ける構成としてもよい。
【0258】
なお、テレビジョン装置9600は、受信機やモデムなどを備えた構成とする。受信機により一般のテレビ放送の受信を行うことができ、さらにモデムを介して有線または無線による通信ネットワークに接続することにより、一方向(送信者から受信者)または双方向(送信者と受信者間、あるいは受信者間同士など)の情報通信を行うことも可能である。
【0259】
図21(B)は、デジタルフォトフレーム9700の一例を示している。例えば、デジタルフォトフレーム9700は、筐体9701に表示部9703が組み込まれている。表示部9703は、各種画像を表示することが可能であり、例えばデジタルカメラなどで撮影した画像データを表示させることで、通常の写真立てと同様に機能させることができる。
【0260】
なお、デジタルフォトフレーム9700は、操作部、外部接続用端子(USB端子、USBケーブルなどの各種ケーブルと接続可能な端子など)、記録媒体挿入部などを備える構成とする。これらの構成は、表示部と同一面に組み込まれていてもよいが、側面や裏面に備えるとデザイン性が向上するため好ましい。例えば、デジタルフォトフレームの記録媒体挿入部に、デジタルカメラで撮影した画像データを記憶したメモリを挿入して画像データを取り込み、取り込んだ画像データを表示部9703に表示させることができる。
【0261】
また、デジタルフォトフレーム9700は、無線で情報を送受信出来る構成としてもよい。無線により、所望の画像データを取り込み、表示させる構成とすることもできる。
【0262】
図22(A)は携帯型遊技機であり、筐体9881と筐体9891の2つの筐体で構成されており、連結部9893により、開閉可能に連結されている。筐体9881には表示部9882が組み込まれ、筐体9891には表示部9883が組み込まれている。また、図22(A)に示す携帯型遊技機は、その他、スピーカ部9884、記録媒体挿入部9886、LEDランプ9890、入力手段(操作キー9885、接続端子9887、センサ9888(力、変位、位置、速度、加速度、角速度、回転数、距離、光、液、磁気、温度、化学物質、音声、時間、硬度、電場、電流、電圧、電力、放射線、流量、湿度、傾度、振動、におい又は赤外線を測定する機能を含むもの)、マイクロフォン9889)等を備えている。もちろん、携帯型遊技機の構成は上述のものに限定されず、少なくとも本発明の一態様に係る半導体装置を備えた構成であればよく、その他付属設備が適宜設けられた構成とすることができる。図22(A)に示す携帯型遊技機は、記録媒体に記録されているプログラム又はデータを読み出して表示部に表示する機能や、他の携帯型遊技機と無線通信を行って情報を共有する機能を有する。なお、図22(A)に示す携帯型遊技機が有する機能はこれに限定されず、様々な機能を有することができる。
【0263】
図22(B)は大型遊技機であるスロットマシン9900の一例を示している。スロットマシン9900は、筐体9901に表示部9903が組み込まれている。また、スロットマシン9900は、その他、スタートレバーやストップスイッチなどの操作手段、コイン投入口、スピーカなどを備えている。もちろん、スロットマシン9900の構成は上述のものに限定されず、少なくとも本発明の一態様に係る半導体装置を備えた構成であればよく、その他付属設備が適宜設けられた構成とすることができる。
【0264】
図23は、携帯電話機1000の一例を示している。携帯電話機1000は、筐体1001に組み込まれた表示部1002の他、操作ボタン1003、外部接続ポート1004、スピーカ1005、マイク1006などを備えている。
【0265】
図23に示す携帯電話機1000は、表示部1002を指などで触れることで、情報を入力ことができる。また、電話を掛ける、或いはメールを打つなどの操作は、表示部1002を指などで触れることにより行うことができる。
【0266】
表示部1002の画面は主として3つのモードがある。第1は、画像の表示を主とする表示モードであり、第2は、文字等の情報の入力を主とする入力モードである。第3は表示モードと入力モードの2つのモードが混合した表示+入力モードである。
【0267】
例えば、電話を掛ける、或いはメールを作製する場合は、表示部1002を文字の入力を主とする文字入力モードとし、画面に表示させた文字の入力操作を行えばよい。この場合、表示部1002の画面のほとんどにキーボードまたは番号ボタンを表示させることが好ましい。
【0268】
また、携帯電話機1000内部に、ジャイロ、加速度センサ等の傾きを検出するセンサを有する検出装置を設けることで、携帯電話機1000の向き(縦か横か)を判断して、表示部1002の画面表示を自動的に切り替えるようにすることができる。
【0269】
また、画面モードの切り替えは、表示部1002を触れること、又は筐体1001の操作ボタン1003の操作により行われる。また、表示部1002に表示される画像の種類によって切り替えるようにすることもできる。例えば、表示部に表示する画像信号が動画のデータであれば表示モード、テキストデータであれば入力モードに切り替える。
【0270】
また、入力モードにおいて、表示部1002の光センサで検出される信号を検知し、表示部1002のタッチ操作による入力が一定期間ない場合には、画面のモードを入力モードから表示モードに切り替えるように制御してもよい。
【0271】
表示部1002は、イメージセンサとして機能させることもできる。例えば、表示部1002に掌や指を触れることで、掌紋、指紋等を撮像することで、本人認証を行うことができる。また、表示部に近赤外光を発光するバックライトまたは近赤外光を発光するセンシング用光源を用いれば、指静脈、掌静脈などを撮像することもできる。
【0272】
以上の工程により、動作の安定性に優れた薄膜トランジスタを搭載した表示装置を作製できる。以上の電子機器は動作の安定性に優れた薄膜トランジスタを搭載しているため、信頼性が高い。
【0273】
(実施の形態10)
本実施の形態では、酸化物半導体を半導体層として用いた薄膜トランジスタを作製する場合において、酸化物半導体膜のパターニングの際に生じるエッチングの廃液から酸化物半導体を再生して、再利用する方法について説明する。
【0274】
図25、26に再利用サイクルについて示す。
【0275】
まず、図25の工程1(7101)において、酸化物半導体膜をスパッタリング法、またはパルスレーザ蒸着法(レーザパルス蒸着法)により成膜する。図26(A)(B)に成膜時の具体的な一例を示す。図26(A)では、基板7201上にゲート電極7202およびゲート絶縁膜7203が形成されており、ゲート絶縁膜7203上にスパッタリング法を用いて酸化物半導体膜7205が形成される(図26(B)。)。このとき用いるターゲット7204は、In、Ga、及びZnを含む酸化物半導体ターゲットであり、組成比としては、例えば、In:Ga:Zn=1:1:0.5なるターゲットを用いることができる。
【0276】
次に、図25の工程2(7102)において、酸化物半導体膜のパターニングを行う。図26(C)に示すようにフォトマスクを用いて形成したレジストマスク7206を用い、ウェットエッチング法により酸化物半導体膜7205の不要な部分を除去する。なお、本明細書中におけるバッファ層のエッチングを同時に行っても良い。これにより、所望の形状の酸化物半導体膜7207を得ることができる。
【0277】
次に、図25の工程3(7103)において、工程2(7102)で生じたエッチングの廃液を回収する(図26(E)。)。なお、エッチングの廃液を回収する際には、エッチング廃液を中和しておいてもよい。作業性の良さを考慮すると、中和されたエッチング廃液を処理する方が安全性が高く好ましいためである。
【0278】
次に、図25の工程4(7104)において、エッチング廃液から水分を除去する固体化処理を行い、固体物7209を得る(図26(F)。)。なお、水分を除去するためには、エッチング廃液を加熱すればよい。また、固体物7209を得た後、後の工程において再生するターゲットの組成比が所望の組成比となるように組成分析等を行った上で不足成分を追加するなどして組成比の調整を行う。
【0279】
次に、図25の工程5(7105)において、固体物7209を所望の形状のダイスに入れ、加圧および焼成することにより、焼結体7210を得る。さらに、焼結体7210を接着剤によりバッキングプレート7211に貼り付けることにより、ターゲット7212を形成する(図26(G)。)。ただし、焼成温度は、700℃以上が好ましい。また、膜厚は5nm以上10nm以下とするのが好ましい。なお、図25の工程4(7104)において、In、Ga、及びZnの組成比を調整しているため、所望の組成比を有するターゲット7212を得ることができる。
【0280】
なお、得られたターゲット7212は、図25の工程1(7101)における成膜時に用いることができる。
【0281】
以上により、酸化物半導体を半導体層として用いた薄膜トランジスタを作製する場合におけるエッチングの廃液から酸化物半導体を再生して、再利用することができる。
【0282】
なお、酸化物半導体に含まれているインジウムやガリウムは、希少価値のある金属であることが知られていることから、本実施の形態に示す再利用方法を用いることにより、省資源化を図ることができると共に酸化物半導体を用いて形成される製品のコストダウンを図ることができる。
【符号の説明】
【0283】
100 基板
102 ゲート絶縁膜
103 酸化物半導体膜
104 導電性酸窒化物膜
105 導電膜
109 層間絶縁膜
111 ゲート電極
113 酸化物半導体層
114 バッファ層
114a バッファ層
114b バッファ層
115a 電極
115b 電極
118 配線
123 容量配線
126 コンタクトホール
128 画素電極
131 レジストマスク
132 レジストマスク
150 薄膜トランジスタ
151 薄膜トランジスタ
400 基板
401 ゲート電極
402 ゲート電極
403 ゲート絶縁膜
404 コンタクトホール
405 酸化物半導体層
407 酸化物半導体層
409 配線
410 配線
411 配線
430 薄膜トランジスタ
431 薄膜トランジスタ
581 薄膜トランジスタ
585 絶縁層
587 電極層
588 電極層
589 球形粒子
590a 黒色領域
590b 白色領域
594 キャビティ
595 充填材
1000 携帯電話機
1001 筐体
1002 表示部
1003 操作ボタン
1004 外部接続ポート
1005 スピーカ
1006 マイク
2600 TFT基板
2601 対向基板
2602 シール材
2603 画素部
2604 表示素子
2605 着色層
2606 偏光板
2607 偏光板
2608 配線回路部
2609 フレキシブル配線基板
2610 冷陰極管
2611 反射板
2612 回路基板
2613 拡散板
2631 ポスター
2632 車内広告
2700 電子書籍
2701 筐体
2703 筐体
2705 表示部
2707 表示部
2711 軸部
2721 電源
2723 操作キー
2725 スピーカ
4001 基板
4002 画素部
4003 信号線駆動回路
4004 走査線駆動回路
4005 シール材
4006 基板
4008 液晶層
4010 薄膜トランジスタ
4011 薄膜トランジスタ
4013 液晶素子
4015 接続端子電極
4016 端子電極
4018 FPC
4019 異方性導電膜
4020 絶縁層
4021 絶縁層
4030 画素電極層
4031 対向電極層
4032 絶縁層
4501 基板
4502 画素部
4503a 信号線駆動回路
4504a 走査線駆動回路
4505 シール材
4506 基板
4507 充填材
4509 薄膜トランジスタ
4510 薄膜トランジスタ
4511 発光素子
4512 電界発光層
4513 電極層
4515 接続端子電極
4516 端子電極
4517 電極層
4518a FPC
4519 異方性導電膜
4520 隔壁
5300 基板
5301 画素部
5302 走査線駆動回路
5303 信号線駆動回路
5400 基板
5401 画素部
5402 走査線駆動回路
5403 信号線駆動回路
5404 走査線駆動回路
5501 配線
5502 配線
5503 配線
5504 配線
5505 配線
5506 配線
5543 ノード
5544 ノード
5571 薄膜トランジスタ
5572 薄膜トランジスタ
5573 薄膜トランジスタ
5574 薄膜トランジスタ
5575 薄膜トランジスタ
5576 薄膜トランジスタ
5577 薄膜トランジスタ
5578 薄膜トランジスタ
5601 ドライバIC
5602 スイッチ群
5603a 薄膜トランジスタ
5603b 薄膜トランジスタ
5603c 薄膜トランジスタ
5611 配線
5612 配線
5613 配線
5621 配線
5701 フリップフロップ
5703a タイミング
5703b タイミング
5703c タイミング
5711 配線
5712 配線
5713 配線
5714 配線
5715 配線
5716 配線
5717 配線
5721 信号
5803a タイミング
5803b タイミング
5803c タイミング
5821 信号
6400 画素
6401 スイッチング用トランジスタ
6402 駆動用トランジスタ
6403 容量素子
6404 発光素子
6405 信号線
6406 走査線
6407 電源線
6408 共通電極
7001 駆動用TFT
7002 発光素子
7003 陰極
7004 発光層
7005 陽極
7011 駆動用TFT
7012 発光素子
7013 陰極
7014 発光層
7015 陽極
7016 遮蔽膜
7017 導電膜
7021 駆動用TFT
7022 発光素子
7023 陰極
7024 発光層
7025 陽極
7027 導電膜
7201 基板
7202 ゲート電極
7203 ゲート絶縁膜
7204 ターゲット
7205 酸化物半導体膜
7206 レジストマスク
7207 酸化物半導体膜
7209 固体物
7210 焼結体
7211 バッキングプレート
7212 ターゲット
9600 テレビジョン装置
9601 筐体
9603 表示部
9605 スタンド
9607 表示部
9609 操作キー
9610 リモコン操作機
9700 デジタルフォトフレーム
9701 筐体
9703 表示部
9881 筐体
9882 表示部
9883 表示部
9884 スピーカ部
9885 入力手段(操作キー
9886 記録媒体挿入部
9887 接続端子
9888 センサ
9889 マイクロフォン
9890 LEDランプ
9891 筐体
9893 連結部
9900 スロットマシン
9901 筐体
9903 表示部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゲート電極と、
前記ゲート電極を覆うゲート絶縁膜と、
前記ゲート絶縁膜上で前記ゲート電極と重畳する酸化物半導体層と、
前記酸化物半導体層上で前記ゲート電極と端部が重畳する第1電極及び第2電極と、
前記酸化物半導体層と前記第1電極に接してその間に第1バッファ層と、
前記酸化物半導体層と前記第2電極に接してその間に第2バッファ層を有し、
前記第1バッファ層及び前記第2バッファ層がインジウム、ガリウム、亜鉛、酸素及び窒素を含む薄膜トランジスタ。
【請求項2】
ゲート電極と、
前記ゲート電極を覆うゲート絶縁膜と、
前記ゲート絶縁膜上で前記ゲート電極と端部が重畳する第1電極及び第2電極と、
前記第1電極上に第1バッファ層と、
前記第2電極上に第2バッファ層と、
前記第1電極及び前記第2電極の前記端部に重畳する酸化物半導体層を有し、
前記酸化物半導体層が第1電極及び第2電極の側面と、前記第1バッファ層及び前記第2バッファ層の上面と側面に接し、
前記第1バッファ層及び前記第2バッファ層がインジウム、ガリウム、亜鉛、酸素及び窒素を含む薄膜トランジスタ。
【請求項3】
前記バッファ層が含む酸素(O)に対する窒素(N)の割合(N/O)が、5原子%以上80原子%以下である請求項1又は2記載の薄膜トランジスタ。
【請求項4】
前記酸化物半導体層がインジウム、ガリウム、亜鉛を含む、請求項1乃至3記載の薄膜トランジスタ。
【請求項5】
基板上にゲート電極を形成し、
前記ゲート電極上にゲート絶縁膜を形成し、
前記ゲート絶縁膜上に前記ゲート電極と重畳するインジウム、ガリウム、及び亜鉛を含む酸化物半導体層を形成し、
前記酸化物半導体層上にバッファ層と前記バッファ層上に第1電極及び第2電極を形成する方法であって、
前記バッファ層を窒素ガスを含む雰囲気でインジウム、ガリウム、及び亜鉛を含む酸化物を成分とするターゲットをスパッタリングして形成する半導体装置の作製方法。
【請求項6】
基板上にゲート電極を形成し、
前記ゲート電極上にゲート絶縁膜を形成し、
前記ゲート絶縁膜上に前記ゲート電極と端部が重畳する第1電極及び第2電極を形成し、
前記第1電極及び第2電極上にバッファ層と前記バッファ層上にインジウム、ガリウム、及び亜鉛を含む酸化物半導体層を形成する方法であって、
前記バッファ層を窒素ガスを含む雰囲気でインジウム、ガリウム、及び亜鉛を含む酸化物を成分とするターゲットをスパッタリングして形成する半導体装置の作製方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【公開番号】特開2010−135774(P2010−135774A)
【公開日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−252755(P2009−252755)
【出願日】平成21年11月4日(2009.11.4)
【出願人】(000153878)株式会社半導体エネルギー研究所 (5,264)
【Fターム(参考)】