説明

半導体装置およびその製造方法

【課題】nチャネル型MISFETとpチャネル型MISFETで異なる金属膜を使用する場合であっても、両方のゲート電極を同時に加工できる技術を提供する。
【解決手段】pチャネル型MISFET形成領域に改質膜11を形成している。改質膜11は、ポリシリコン膜9にリンを導入することにより形成されている。この改質膜11は、ポリシリコン膜9よりもエッチング速度が速くなる性質がある。このことから、pチャネル型MISFET形成領域において、改質膜11とポリシリコン膜9をすべてエッチングする際、nチャネル型MISFET形成領域においては、ポリシリコン膜9がすべてエッチングされずに一部が残存する。これにより、pチャネル型MISFET形成領域に形成されている膜の総膜厚と、nチャネル型MISFET形成領域に形成されている膜の総膜厚の差が緩和される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置およびその製造技術に関し、特に、半導体基板上にnチャネル型MISFET(Metal Insulator Semiconductor Field Effect Transistor)とpチャネル型MISFETとからなるCMISFET(Complementary MISFET)およびその製造技術に適用して有効な技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特開2003−258121号公報(特許文献1)には、nチャネル型MISFETとpチャネル型MISFETの両方でしきい値を低く調整するために、nチャネル型MISFETのゲート電極とpチャネル型MISFETのゲート電極に異なる金属膜を使用する技術が記載されている。
【0003】
特開2005−303256号公報(特許文献2)には、nチャネル型MISFETのゲート電極とpチャネル型MISFETのゲート電極を別々のエッチング工程で形成する技術が記載されている。
【特許文献1】特開2003−258121号公報
【特許文献2】特開2005−303256号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
半導体基板に形成される回路としてCMISFETを使用する回路がある。CMISFETとは相補型MISFETとも呼ばれるものである。CMISFETを使用する回路では、エンハンス型のnチャネル型MISFETとpチャネル型MISFETを使用し、nチャネル型MISFETのゲート電極とpチャネル型MISFETのゲート電極を接続して入力端子とする。一方、nチャネル型MISFETとpチャネル型MISFETを直列に接続して、接地電位(0V)と電源電位(5Vなど)の間に設ける。このとき、nチャネル型MISFETは接地電位に近いローサイド側に配置され、pチャネル型MISFETは電源電位に近いハイサイド側に配置される。そして、nチャネル型MISFETとpチャネル型MISFETの接続部を出力端子とするものである。
【0005】
この回路によれば、0Vに近い入力電圧に対して、pチャネル型MISFETが導通状態(ON状態)となり、nチャネル型MISFETが遮断状態(OFF状態)となる。これにより、出力端子からは、電源電圧に近い高い電圧が出力される。一方、5Vに近い入力電圧が入力端子に入力されると、pチャネル型MISFETが遮断状態(OFF状態)となり、nチャネル型MISFETが導通状態(ON状態)となる。これにより、出力端子からは、0Vに近い電圧が出力される。
【0006】
この回路は、入力信号の切り替え時を除いてほとんど電流が流れないため、消費電力が非常に低くなるという特徴を有している。そして、動作電圧範囲も広く雑音にも強い利点がある。このことから、上述した回路は、半導体基板に形成する集積回路の基本回路として使用されている。
【0007】
CMISFETは、nチャネル型MISFETとpチャネル型MISFETから構成されているが、通常、nチャネル型MISFETのゲート電極とpチャネル型MISFETのゲート電極は、ポリシリコン膜から形成されている。そして、nチャネル型MISFETのしきい値電圧を低くするために、nチャネル型MISFETのゲート電極では、ポリシリコン膜にリンや砒素などのn型不純物を導入している。これにより、ゲート電極の仕事関数(フェルミ準位)をシリコンの伝導帯近傍にすることができるので、ゲート電極のしきい値電圧を低くすることができる。一方、pチャネル型MISFETでも、しきい値電圧を低くするために、pチャネル型MISFETのゲート電極では、ポリシリコン膜にホウ素などのp型不純物を導入している。これにより、ゲート電極の仕事関数をシリコンの価電子帯近傍にすることができるので、ゲート電極のしきい値を低くすることができる。以上のように、CMISFETでは、通常、nチャネル型MISFETのゲート電極とpチャネル型MISFETの電極の両方で、ポリシリコン膜を使用し、それぞれのしきい値電圧を低くするために、nチャネル型MISFETではリンや砒素などのn型不純物を導入する一方、pチャネル型MISFETではホウ素などのp型不純物を導入している。
【0008】
このような構成を有するCMISFETでは、半導体基板上にポリシリコン膜を形成した後、nチャネル型MISFETのゲート電極とpチャネル型MISFETのゲート電極を同時に加工している。すなわち、nチャネル型MISFETのゲート電極とpチャネル型MISFETのゲート電極とは、導入されている不純物に相違があるが主成分としてポリシリコン膜を使用している点では共通するため、同時にエッチングすることができるのである。これにより、ゲート電極を形成する際に使用されるパターニングを一度で行なうことができるので、複数回のパターニングを行なうことにより生じる合わせずれも起きず、かつ、製造コストも低減できる。
【0009】
近年、半導体装置の微細化および高集積化が進展している。このため、MISFETを構成するゲート電極のゲート長も縮小化されてきている。すなわち、MISFETを微細化するために、ゲート電極のゲート長を縮小化することにより横方向の微細化を行なっている。ただし、横方向の微細化だけを進めると、短チャネル効果を抑制することができないため、横方向の微細化とともに縦方向の微細化も進める必要がある。
【0010】
そこで、縦方向の微細化を進めるため、ゲート絶縁膜の膜厚を薄くすることが行なわれている。しかし、ゲート絶縁膜の膜厚を薄くする場合、ゲート電極の空乏化が無視できなくなってきている。つまり、ゲート電極をポリシリコン膜から構成すると、ゲート電極とゲート絶縁膜の境界でゲート電極を構成するポリシリコン膜が空乏化する。この空乏化は、ゲート絶縁膜の膜厚が厚い場合にはあまり問題とならなかったが、ゲート絶縁膜の膜厚が薄くなるにつれて問題として顕在化してきている。すなわち、ゲート絶縁膜を薄くしたにもかかわらず、ゲート電極の空乏化により実質的にゲート絶縁膜の膜厚が厚くなってしまうのである。ゲート電極の空乏化により発生した空乏層は、絶縁膜として機能するので、ゲート絶縁膜の膜厚を薄くしても空乏層の分だけ厚くなってしまうのである。
【0011】
このことから、ゲート電極の空乏化を抑制するため、ゲート電極をポリシリコン膜から構成するのではなく、金属膜から構成する技術が注目されてきている。金属膜によれば、空乏化が生じないので実質的にゲート絶縁膜の膜厚が厚くなることを防止できる利点がある。
【0012】
ゲート電極に金属膜を使用する技術でも、nチャネル型MISFETとpチャネル型MISFETでしきい値電圧を調整する必要がある。ゲート電極をポリシリコン膜から形成している場合には、ポリシリコン膜に導入する不純物をnチャネル型MISFETとpチャネル型MISFETで変えることで容易にしきい値電圧を調整することができた。しかし、ゲート電極に金属膜を使用する場合には、金属膜に不純物を導入してしきい値電圧を調整することは困難である。このため、ゲート電極に金属膜を使用する場合には、nチャネル型MISFETとpチャネル型MISFETで異なる金属膜を使用することが行なわれている。つまり、nチャネル型MISFETに適した仕事関数を有する金属膜をnチャネル型MISFETのゲート電極に使用し、pチャネル型MISFETに適した仕事関数を有する金属膜をpチャネル型MISFETのゲート電極に使用することが行なわれている。
【0013】
このように、nチャネル型MISFETとpチャネル型MISFETで異なる金属膜を使用する場合であっても、nチャネル型MISFETのゲート電極とpチャネル型MISFETのゲート電極とを同時に加工することが、パターニングの合わせずれや製造コストの増大を抑制する観点から望ましい。
【0014】
しかし、nチャネル型MISFETとpチャネル型MISFETで異なる金属膜を使用する場合、例えば、ドライエッチングでゲート電極を加工する工程において、それぞれの金属膜が異なることに起因してエッチング速度やエッチング選択比といったエッチング特性がnチャネル型MISFETとpチャネル型MISFETで異なることになる。nチャネル型MISFETのゲート電極とpチャネル型MISFETのゲート電極としてポリシリコン膜を使用する構造では、イオン注入による不純物の種類や濃度の違いに起因したエッチング特性の差である。これに対し、nチャネル型MISFETのゲート電極とpチャネル型MISFETのゲート電極に異なる金属膜を使用する構造では、材料に起因したエッチング特性の差となるため、より大きな差となる。
【0015】
さらに、nチャネル型MISFETのゲート電極とpチャネル型MISFETのゲート電極を形成する際、加工する金属膜の膜厚が異なることも考慮する必要がある。具体的には、例えば、半導体基板上にゲート絶縁膜を形成した後、このゲート絶縁膜上に第1金属膜を形成する。この第1金属膜は、pチャネル型MISFETのしきい値電圧を調整する膜であるため、半導体基板のpチャネル型MISFET形成領域には、第1金属膜を残す一方、nチャネル型MISFET形成領域に形成されている第1金属膜を除去する。続いて、半導体基板上に、nチャネル型MISFETのしきい値を調整する第2金属膜を形成する。これにより、pチャネル型MISFET形成領域では、ゲート絶縁膜上に第1金属膜と第2金属膜の積層膜が形成され、nチャネル型MISFET形成領域では、ゲート絶縁膜上に第2金属膜が形成されることになる。このため、pチャネル型MISFET形成領域では、第1金属膜と第2金属膜の積層膜をエッチングしてゲート電極を形成する一方、nチャネル型MISFET形成領域では、第2金属膜をエッチングしてゲート電極を形成する。つまり、nチャネル型MISFETのゲート電極とpチャネル型MISFETのゲート電極を形成する際、加工する金属膜の膜厚が異なることになる。
【0016】
したがって、通常の技術では、異なる膜厚の異なる金属膜を同時に加工して、nチャネル型MISFETのゲート電極とpチャネル型MISFETのゲート電極を形成することは困難である。このことから、ゲート電極に金属膜を使用する場合、nチャネル型MISFETのゲート電極とpチャネル型MISFETのゲート電極を別々のエッチングで加工することが検討されている。
【0017】
しかし、nチャネル型MISFETのゲート電極とpチャネル型MISFETのゲート電極とを別々のフォトリソグラフィ技術とエッチング技術で形成する場合、別々のフォトリソグラフィ技術が使用されるため、マスクパターンの合わせずれによって、nチャネル型MISFETのゲート電極とpチャネル型MISFETのゲート電極の位置ずれを起こしやすい問題点がある。特に、ゲート電極は微細であるため、位置ずれが生じやすい。
【0018】
さらに、フォトリソグラフィ技術やアッシング、洗浄といった工程も別々に実施する必要があるため、工程数が増加し、半導体装置の製造コストが増大する問題点がある。
【0019】
以上のことから、nチャネル型MISFETとpチャネル型MISFETで異なる金属膜を使用する場合であっても、nチャネル型MISFETのゲート電極とpチャネル型MISFETのゲート電極とを同時に加工することが、パターニングの合わせずれや製造コストの増大を抑制する観点から望ましいことがわかる。
【0020】
本発明の目的は、nチャネル型MISFETとpチャネル型MISFETで異なる金属膜を使用する場合であっても、nチャネル型MISFETのゲート電極とpチャネル型MISFETのゲート電極とを容易に加工できる技術を提供することにある。
【0021】
本発明の前記ならびにその他の目的と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0022】
本願において開示される発明のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、次のとおりである。
【0023】
本発明による半導体装置は、(a)半導体基板と、(b)前記半導体基板の第1領域上に形成された第1MISFETと、(c)前記半導体基板の第2領域上に形成された第2MISFETとを備え、前記第1MISFETは、(b1)前記半導体基板上に形成された第1ゲート絶縁膜と、(b2)前記第1ゲート絶縁膜上に形成された第1ゲート電極とを有し、前記第2MISFETは、(c1)前記半導体基板上に形成された第2ゲート絶縁膜と、(c2)前記第2ゲート絶縁膜上に形成された第2ゲート電極とを有する。そして、前記第1ゲート電極は、(d1)前記第1ゲート絶縁膜と接するように形成された第1金属含有膜と、(d2)前記第1金属含有膜上に形成された第2金属含有膜と、(d3)前記第2金属含有膜上に形成された第1導体膜とを含み、前記第2ゲート電極は、(e1)前記第2ゲート絶縁膜と接するように形成された前記第2金属含有膜と、(e2)前記第2金属含有膜上に形成された前記第1導体膜とを含む。ここで、前記第1ゲート電極を構成する前記第1導体膜は、前記第1導体膜を改質した改質膜を含むことを特徴とするものである。
【0024】
また、本発明による半導体装置の製造方法は、半導体基板の第1領域に第1MISFETを形成し、前記半導体基板の第2領域に第2MISFETを形成する半導体装置の製造方法であって、(a)前記半導体基板上にゲート絶縁膜を形成する工程と、(b)前記ゲート絶縁膜上に第1金属含有膜を形成する工程と、(c)前記半導体基板の前記第2領域に形成されている前記第1金属含有膜を選択的に除去する工程と、(d)前記半導体基板の前記第1領域では、前記第1金属含有膜上に第2金属含有膜を形成し、前記半導体基板の前記第2領域では、前記第1金属含有膜が除去されて露出している前記ゲート絶縁膜上に前記第2金属含有膜を形成する工程と、(e)前記第2金属含有膜上に第1導体膜を形成する工程と、(f)前記第1領域に形成されている前記第1導体膜あるいは前記第2領域に形成されている前記第1導体膜のいずれかの領域に形成されている前記第1導体膜に対して、選択的に改質処理を実施する工程と、(g)前記第1領域に形成されている前記第1導体膜、前記第2金属含有膜および前記第1金属含有膜をエッチングして前記第1MISFETの第1ゲート電極を形成するとともに、前記第2領域に形成されている前記第1導体膜および前記第2金属含有膜をエッチングして前記第2MISFETの第2ゲート電極を形成する工程とを備えることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0025】
本願において開示される発明のうち、代表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば以下のとおりである。
【0026】
nチャネル型MISFETのゲート電極とpチャネル型MISFETのゲート電極のいずれか一方を改質することで、nチャネル型MISFETのゲート電極およびpチャネル型MISFETのゲート電極を同時にエッチングする際、エッチング速度差を生じさせることができる。したがって、nチャネル型MISFETのゲート電極とpチャネル型MISFETのゲート電極に異なるゲート電極材料を用いることにより生じるエッチング速度差を、nチャネル型MISFETのゲート電極とpチャネル型MISFETのゲート電極のいずれか一方を改質することで生じるエッチング速度差で補完する(吸収する)ことができる。このため、容易に、nチャネル型MISFETのゲート電極とpチャネル型MISFETのゲート電極とを同時にエッチングすることができる。このことから、加工工程を簡略化することができ、フォトリソグラフィ技術による合わせずれの低減および半導体装置の製造コストを低減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下の実施の形態においては便宜上その必要があるときは、複数のセクションまたは実施の形態に分割して説明するが、特に明示した場合を除き、それらはお互いに無関係なものではなく、一方は他方の一部または全部の変形例、詳細、補足説明等の関係にある。
【0028】
また、以下の実施の形態において、要素の数等(個数、数値、量、範囲等を含む)に言及する場合、特に明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されるものではなく、特定の数以上でも以下でもよい。
【0029】
さらに、以下の実施の形態において、その構成要素(要素ステップ等も含む)は、特に明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。
【0030】
同様に、以下の実施の形態において、構成要素等の形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に明らかにそうではないと考えられる場合等を除き、実質的にその形状等に近似または類似するもの等を含むものとする。このことは、上記数値および範囲についても同様である。
【0031】
また、実施の形態を説明するための全図において、同一の部材には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。なお、図面をわかりやすくするために平面図であってもハッチングを付す場合がある。
【0032】
(実施の形態1)
まず、CMISFETを使用した基本回路構成(インバータ)について説明する。図1は、本実施の形態1におけるCMISFETの基本回路構成を示す図である。図1において、CMISFETは、pチャネル型MISFETQとnチャネル型MISFETQから構成されている。具体的に、pチャネル型MISFETQとnチャネル型MISFETQは、電源電位Vcc(例えば、5V)と接地電位GNDとの間に直列に接続されている。このとき、電源電位Vcc側のハイサイドにpチャネル型MISFETQが配置され、接地電位側のローサイドにnチャネル型MISFETQが配置されている。すなわち、pチャネル型MISFETQのドレイン領域D1が電源電位Vccを供給する電源端子と電気的に接続され、pチャネル型MISFETQのソース領域S1とnチャネル型MISFETQのドレイン領域D2が電気的に接続される。そして、nチャネル型MISFETQのソース領域S2と接地電位GNDを供給するGND端子と電気的に接続される。このように構成されたCMISFETにおいて、pチャネル型MISFETQのゲート電極G1とnチャネル型MISFETQのゲート電極G2とを接続して入力端子INとしている。一方、pチャネル型MISFETQとnチャネル型MISFETQとの接続部分から出力端子OUTを取り出している。
【0033】
本実施の形態1におけるCMISFETを使用した基本回路は上記のように構成されており、その動作について説明する。まず、入力端子INに0Vの入力信号(「Lo」レベルの信号)が入力されると、pチャネル型MISFETQのゲート電極G1とnチャネル型MISFETQのゲート電極G2に0Vの電位が印加される。すると、pチャネル型MISFETQは導通状態(オン状態)となり、nチャネル型MISFETQは遮断状態(オフ状態)となる。このため、出力端子OUTは電源電位Vccと同電位となり、出力端子から「Hi」レベルの信号が出力される。一方、入力端子INに5Vの入力信号(「Hi」レベルの信号)が入力されると、pチャネル型MISFETQのゲート電極G1とnチャネル型MISFETQのゲート電極G2に5Vの電位が印加される。このため、pチャネル型MISFETQは遮断状態(オフ状態)となり、nチャネル型MISFETQは導通状態(オン状態)となる。したがって、出力端子OUTは接地電位GNDと同電位となり、出力端子OUTから「Lo」レベルの信号が出力される。このように、本実施の形態1におけるCMISFETを使用した回路は、入力信号と反対の信号が出力端子から出力されるインバータである。このインバータは、論理回路の基本となる回路である。
【0034】
CMISFETを使用したインバータは、入力信号の切り替え時を除いてほとんど電流が流れないため、消費電力が非常に低くなるという特徴を有している。そして、動作電圧範囲も広く雑音にも強い利点がある。このことから、上述した回路は、半導体基板に形成する集積回路の基本回路として使用されている。
【0035】
次に、本実施の形態1におけるCMISFETの構造について説明する。図2は、本実施の形態1におけるCMISFET(半導体装置)を示す断面図である。図2において、半導体基板1には、素子分離領域2が形成されており、この素子分離領域2によって活性領域が区分けされている。すなわち、素子分離領域2によってpチャネル型MISFET形成領域とnチャネル型MISFET形成領域が分けられている。
【0036】
nチャネル型MISFET形成領域の半導体基板1の内部には、p型ウェル3が形成され、pチャネル型MISFET形成領域の半導体基板1の内部には、n型ウェル4が形成されている。以下に、n型ウェル4上に形成されてpチャネル型MISFETQの構成について説明する。
【0037】
pチャネル型MISFETQは、n型ウェル4上にゲート絶縁膜5を有しており、このゲート絶縁膜5上にゲート電極14bが形成されている。ゲート絶縁膜5は、例えば、酸化シリコン膜よりも誘電率の高い高誘電率膜から構成されている。高誘電率膜としては、例えば、ハフニウムシリコンオキシナイトライド膜(HfSiON膜)が使用される。なお、ゲート絶縁膜5として、高誘電率膜の他に酸化シリコン膜を使用することもできる。
【0038】
ゲート電極14bは、第1金属膜(金属含有膜)6、第2金属膜(金属含有膜)8、ポリシリコン膜9の積層膜から構成されている。そして、ポリシリコン膜9に改質膜11が形成され、ポリシリコン膜9の表面にコバルトシリサイド膜20が形成されている。ゲート電極14bの最下層に形成されている第1金属膜6はゲート絶縁膜5と直接接触しており、ゲート電極14bのしきい値電圧を調整する機能を有している。この第1金属膜6を特定の金属膜とすることにより、ゲート電極14bの仕事関数を調整することができ、pチャネル型MISFETQのしきい値電圧を下げることが可能となる。すなわち、第1金属膜6はpチャネル型MISFETQのしきい値を調整するものであり、シリコンの価電子帯近傍の仕事関数を有する材料から構成することが望ましい。具体的に、第1金属膜6は、アルミニウム膜(Al)、コバルト膜(Co膜)、クロム膜(Cr膜)、ゲルマニウム膜(Ge膜)、ハフニウム膜(Hf膜)、ランタン膜(La膜)、モリブデン膜(Mo膜)、ニオブ膜(Nb膜)、ニッケル膜(Ni膜)、プラチナ膜(Pt膜)、ルテニウム膜(Ru膜)、タンタル膜(Ta膜)、チタン膜(Ti膜)、バナジウム膜(V膜)、タングステン膜(W膜)、ジルコニウム膜(Zr膜)などの金属や、これらの金属を使用した合金から構成することができる。本実施の形態1では、第1金属膜6として、例えば、窒化チタン膜(TiN膜)を使用している。なお、本実施の形態1における金属膜には、単体の金属からなる膜のほか、合金膜や金属を含む金属含有膜も含まれている。
【0039】
次に、第1金属膜6上には第2金属膜8が形成されている。この第2金属膜8はpチャネル型MISFETQにおいては特別な機能を有してはいない。この第2金属膜8は後述するようにnチャネル型MISFETQのしきい値電圧を調整するために設けられる膜である。このとき、第2金属膜8はpチャネル型MISFETQ上にも形式的に形成されるので、pチャネル型MISFETQでは第1金属膜6上に第2金属膜8が形成された構成となっている。第2金属膜8は、ゲート絶縁膜5と直接接触していないので、pチャネル型MISFETQのしきい値電圧に及ぼす影響は少ない。
【0040】
第2金属膜8上には、ポリシリコン膜9が形成されている。このポリシリコン膜9は、ゲート電極14bの加工を容易にする機能を有している。つまり、ゲート電極14bをすべて金属膜から形成することもできるが、特定種類の金属膜を所定形状にエッチングすることは容易ではないため、加工の容易なポリシリコン膜9を第2金属膜8上に形成している。このことを考慮すると、ゲート電極14bをすべてポリシリコン膜9から構成することも考えられるが、ポリシリコン膜9はゲート電極14bに電圧を印加すると、ゲート絶縁膜5との境界で空乏化する性質がある。このため、ポリシリコン膜9をゲート絶縁膜5上に直接形成すると、実質的にポリシリコン膜9が空乏化した分だけ、ゲート絶縁膜5の膜厚が厚くなる。そこで、本実施の形態1では、ゲート絶縁膜5と直接接触する領域に空乏化しない第1金属膜6を形成し、この第1金属膜6として特定の材料を選択することで、ゲート電極14bの空乏化を防止しつつ、pチャネル型MISFETQのしきい電圧を調整している。
【0041】
ポリシリコン膜9は、ゲート電極14bの加工を容易にする機能を有しているが、さらに、本実施の形態1では、ポリシリコン膜9にエッチング速度を調整する改質膜11を容易に形成できる機能も有している。ポリシリコン膜9には改質膜11が形成されているが、改質膜11は、ゲート電極14bのエッチング速度を速める機能を有するものである。つまり、ポリシリコン膜9のエッチング速度よりも改質膜11のエッチング速度が速くなるように改質膜11が形成されている。pチャネル型MISFETQのゲート電極14bに改質膜11を形成する点が本発明の特徴の1つである。
【0042】
改質膜11は、ポリシリコン膜9にリンや砒素などのn型不純物を導入することにより形成されている。つまり、改質膜11の主成分はポリシリコン膜であるが、このポリシリコン膜に不純物としてn型不純物を導入することにより改質膜11を形成している。本実施の形態1では、ポリシリコン膜9にリンを導入して改質膜11を形成している。ポリシリコン膜9にリンを導入すると、不純物を導入しないポリシリコン膜9に比べてエッチング速度が速くなる性質がある。この性質に着目して、本実施の形態1では、pチャネル型MISFETQのゲート電極14bに改質膜11を設けている。これにより、後述するように、pチャネル型MISFETQのゲート電極14bとnチャネル型MISFETQのゲート電極14aの材質の差および膜厚の差によるエッチング速度差を調整してゲート電極14bのエッチングとゲート電極14aのエッチングとをほぼ同時に実施することができるのである。つまり、pチャネル型MISFETQのゲート電極14bに改質膜11を形成することによって、エッチング速度を調整することができるのである。
【0043】
改質膜11上のゲート電極14bの表面には、コバルトシリサイド膜20が形成されている。このコバルトシリサイド膜20は、ゲート電極14bの低抵抗化のために形成される。以上のように、pチャネル型MISFETQのゲート電極14bは、第1金属膜6、第2金属膜8、ポリシリコン膜9、改質膜11およびコバルトシリサイド膜20の積層膜から形成されている。
【0044】
次に、ゲート電極14bの両側の側壁には、サイドウォール(スペーサ)17が形成されており、このサイドウォール17直下のn型ウェル4内には、一対の低濃度p型不純物拡散領域16が形成されている。低濃度p型不純物拡散領域16は、ホウ素(B)などのp型不純物をシリコン中に導入した領域であり、ゲート電極14bに整合した半導体領域である。そして、低濃度p型不純物拡散領域16の外側には、一対の高濃度p型不純物拡散領域19が形成されている。高濃度p型不純物拡散領域19もホウ素(B)などのp型不純物をシリコン中に導入した領域であり、サイドウォール17に整合した半導体領域である。この高濃度p型不純物拡散領域19は、低濃度p型不純物拡散領域16よりも深い領域まで形成されており、高濃度p型不純物拡散領域19の表面には、低抵抗化のためにコバルトシリサイド膜20が形成されている。
【0045】
一対の低濃度p型不純物拡散領域16の一方と一対の高濃度p型不純物拡散領域19の一方およびこの高濃度p型不純物拡散領域19上に形成されたコバルトシリサイド膜20により、pチャネル型MISFETQのソース領域が形成される。同様に、一対の低濃度p型不純物拡散領域16の他方と一対の高濃度p型不純物拡散領域19の他方およびこの高濃度p型不純物拡散領域19上に形成されたコバルトシリサイド膜20により、pチャネル型MISFETQのドレイン領域が形成される。
【0046】
以上のようにして、半導体基板1のpチャネル型MISFET形成領域にpチャネル型MISFETQが形成されている。
【0047】
次に、p型ウェル3上に形成されているnチャネル型MISFETQの構成について説明する。
【0048】
nチャネル型MISFETQは、p型ウェル3上にゲート絶縁膜5を有しており、このゲート絶縁膜5上にゲート電極14aが形成されている。ゲート絶縁膜5は、例えば、酸化シリコン膜よりも誘電率の高い高誘電率膜から構成されている。高誘電率膜としては、例えば、ハフニウムシリコンオキシナイトライド膜(HfSiON膜)が使用される。なお、ゲート絶縁膜5として、高誘電率膜の他に酸化シリコン膜を使用することもできる。
【0049】
ゲート電極14aは、第2金属膜8、ポリシリコン膜9の積層膜から構成されている。そして、ポリシリコン膜9の表面にコバルトシリサイド膜20が形成されている。ここで、nチャネル型MISFETQのゲート電極14aは、pチャネル型MISFETQのゲート電極14bと構成が相違しており、第1金属膜6および改質膜11は形成されていない。第1金属膜6は、pチャネル型MISFETQのしきい値電圧を調整する膜であるため、nチャネル型MISFETQでは使用しないのである。nチャネル型MISFETQのしきい値電圧を調整する機能を有する膜は、第2金属膜8である。
【0050】
ゲート電極14aの最下層に形成されている第2金属膜8はゲート絶縁膜5と直接接触しており、ゲート電極14aのしきい値電圧を調整する機能を有している。この第2金属膜8を特定の金属膜とすることにより、ゲート電極14aの仕事関数を調整することができ、nチャネル型MISFETQのしきい値電圧を下げることが可能となる。すなわち、第2金属膜8はnチャネル型MISFETQのしきい値を調整するものであり、シリコンの伝導帯近傍の仕事関数を有する材料から構成することが望ましい。具体的に、第2金属膜8は、アルミニウム膜(Al)、コバルト膜(Co膜)、クロム膜(Cr膜)、ゲルマニウム膜(Ge膜)、ハフニウム膜(Hf膜)、ランタン膜(La膜)、モリブデン膜(Mo膜)、ニオブ膜(Nb膜)、ニッケル膜(Ni膜)、プラチナ膜(Pt膜)、ルテニウム膜(Ru膜)、タンタル膜(Ta膜)、チタン膜(Ti膜)、バナジウム膜(V膜)、タングステン膜(W膜)、ジルコニウム膜(Zr膜)などの金属や、これらの金属を使用した合金から構成することができる。本実施の形態1では、第2金属膜8として、例えば、タンタルシリコンナイトライド膜(TaSiN膜)を使用している。なお、本実施の形態1における金属膜には、単体の金属からなる膜のほか、合金膜や金属を含む金属含有膜も含まれている。
【0051】
第2金属膜8上には、ポリシリコン膜9が形成されている。このポリシリコン膜9は、ゲート電極14bと同様にゲート電極14aの加工を容易にする機能を有している。つまり、ゲート電極14aをすべて金属膜から形成することもできるが、特定種類の金属膜を所定形状にエッチングすることは容易ではないため、加工の容易なポリシリコン膜9を第2金属膜8上に形成している。このことを考慮すると、ゲート電極14aをすべてポリシリコン膜9から構成することも考えられるが、ポリシリコン膜9はゲート電極14aに電圧を印加すると、ゲート絶縁膜5との境界で空乏化する性質がある。このため、ポリシリコン膜9をゲート絶縁膜5上に直接形成すると、実質的にポリシリコン膜9が空乏化した分だけ、ゲート絶縁膜5の膜厚が厚くなる。そこで、本実施の形態1では、ゲート絶縁膜5と直接接触する領域に空乏化しない第2金属膜8を形成し、この第2金属膜8として特定の材料を選択することで、ゲート電極14aの空乏化を防止しつつ、nチャネル型MISFETQのしきい電圧を調整している。
【0052】
ここで、nチャネル型MISFETQのゲート電極14aでは、ポリシリコン膜9に改質膜11を形成していない。これは、pチャネル型MISFETQを構成するゲート電極14bのエッチング速度と、nチャネル型MISFETQを構成するゲート電極14aのエッチング速度の差を調整するためである。すなわち、pチャネル型MISFETQを構成するゲート電極14bとnチャネル型MISFETQを構成するゲート電極14aの両方に改質膜11を設けると、エッチング速度の差を調整することができないからである。このため、nチャネル型MISFETQを構成するゲート電極14aには、改質膜11は設けられていない。
【0053】
ポリシリコン膜9上のゲート電極14aの表面には、コバルトシリサイド膜20が形成されている。このコバルトシリサイド膜20は、ゲート電極14aの低抵抗化のために形成される。以上のように、nチャネル型MISFETQのゲート電極14aは、第2金属膜8、ポリシリコン膜9およびコバルトシリサイド膜20の積層膜から形成されている。
【0054】
次に、ゲート電極14aの両側の側壁には、サイドウォール(スペーサ)17が形成されており、このサイドウォール17直下のp型ウェル3内には、一対の低濃度n型15が形成されている。低濃度n型不純物拡散領域15は、リン(P)や砒素(As)などのn型不純物をシリコン中に導入した領域であり、ゲート電極14aに整合した半導体領域である。そして、低濃度n型不純物拡散領域15の外側には、一対の高濃度n型不純物拡散領域18が形成されている。高濃度n型不純物拡散領域18もリンや砒素などのn型不純物をシリコン中に導入した領域であり、サイドウォール17に整合した半導体領域である。この高濃度n型不純物拡散領域18は、低濃度n型不純物拡散領域15よりも深い領域まで形成されており、高濃度n型不純物拡散領域18の表面には、低抵抗化のためにコバルトシリサイド膜20が形成されている。
【0055】
一対の低濃度n型不純物拡散領域15の一方と一対の高濃度n型不純物拡散領域18の一方およびこの高濃度n型不純物拡散領域18上に形成されたコバルトシリサイド膜20により、nチャネル型MISFETQのソース領域が形成される。同様に、一対の低濃度n型不純物拡散領域15の他方と一対の高濃度n型不純物拡散領域18の他方およびこの高濃度n型不純物拡散領域18上に形成されたコバルトシリサイド膜20により、nチャネル型MISFETQのドレイン領域が形成される。
【0056】
以上のようにして、半導体基板1のnチャネル型MISFET形成領域にnチャネル型MISFETQが形成されている。
【0057】
次に、本実施の形態1におけるCMISFETの1つの特徴点について説明する。本実施の形態1におけるCMISFETの1つの特徴は、pチャネル型MISFETQのゲート電極14bの構成と、nチャネル型MISFETQのゲート電極14aの構成が異なる点である。通常、ゲート電極14a、14bをポリシリコン膜から構成する場合には、しきい値電圧を調整するために導入される不純物に相違があるものの主成分としてポリシリコン膜を使用する点ではゲート電極14aとゲート電極14bで共通する。このため、pチャネル型MISFETQのゲート電極14bとnチャネル型MISFETQのゲート電極14aとは、ポリシリコン膜という同じ材質の膜で構成することができる。そして、同じポリシリコン膜を使用することができることから、1種類のポリシリコン膜を加工してゲート電極14aとゲート電極14bを形成することができる。エッチングする際、ポリシリコン膜の膜厚が同じであるので、不純物の相違によるエッチング速度の差はあるもののpチャネル型MISFETQのゲート電極14bとnチャネル型MISFETQのゲート電極14aとを同時に加工することができる。
【0058】
しかし、ゲート電極をポリシリコン膜から構成すると、ゲート絶縁膜とゲート電極の界面で発生する空乏化の影響により、ゲート絶縁膜の実質的な膜厚が増加する問題点が発生する。すなわち、MISFETの微細化により、ゲート絶縁膜の薄膜化も要求されるが、ゲート絶縁膜の薄膜化を進めるとゲート電極の空乏化の影響が無視できなくなるのである。
【0059】
そこで、ゲート電極をポリシリコン膜ではなく金属膜から構成することが考えられている。金属膜をゲート電極に使用する場合、ポリシリコン膜のように導入する不純物の種類を変えることによってしきい値電圧を調整することが困難である。したがって、pチャネル型MISFETとnチャネル型MISFETでそれぞれのしきい値電圧の調整に適した別々の金属膜を使用する必要がある。このことから、本実施の形態1のようにpチャネル型MISFETQでは、第1金属膜6をしきい値電圧調整用の金属膜として使用し、nチャネル型MISFETQでは、第2金属膜8をしきい値電圧調整用の金属膜として使用している。
【0060】
このとき、第1金属膜6を形成した後に第2金属膜8を形成する場合、後述する製造方法で説明するように、pチャネル型MISFETQでは第1金属膜6上に第2金属膜8が形成される構成となり、nチャネル型MISFETQは第2金属膜が形成される構成となる。したがって、pチャネル型MISFETQのゲート電極14bとnチャネル型MISFETQのゲート電極14aでは、電極材料および膜厚が異なることになる。この後、ゲート電極14a、14b上に導体膜としてポリシリコン膜を形成するが、このポリシリコン膜の膜厚は、pチャネル型MISFETQのゲート電極14bとnチャネル型MISFETQのゲート電極14aで同じであるため、依然として、電極材料の相違および膜厚の相違が残存することになる。
【0061】
この状態で、pチャネル型MISFETQのゲート電極14bとnチャネル型MISFETQのゲート電極14aとを同時にエッチングしても、エッチング材料の相違およびエッチング膜厚の相違により同時に加工することが困難である。つまり、実施の形態1では、膜厚の薄いnチャネル型MISFETQの方が早くエッチングが終了すると考えられる。すると、pチャネル型MISFETQを構成する膜厚の厚いゲート電極14bのエッチングを終了するまで、nチャネル型MISFETQを構成する膜厚の薄いゲート電極14aがオーバエッチングされることになる。エッチングは、縦方向だけでなく横方向にも進むので、過剰なオーバエッチングが実施されると、ゲート電極14aのゲート長が設計値よりも細くなり規定の特性を得ることができなくなるおそれがある。
【0062】
そこで、本実施の形態1では、pチャネル型MISFETQを構成する膜厚の厚いゲート電極14bにおいて、ポリシリコン膜9に改質膜11を形成している。改質膜11には、リンが不純物として導入されているので、エッチング速度を速める効果を得ることができる。このため、nチャネル型MISFETQを構成するゲート電極14aのポリシリコン膜9のエッチング速度よりも、pチャネル型MISFETQを構成するゲート電極14bの改質膜11のエッチング速度が速くなる。したがって、改質膜11を設けることにより、電極材料の相違および膜厚の相違によるエッチング差を緩和するようにエッチングすることができる。すなわち、nチャネル型MISFETとpチャネル型MISFETで異なる金属膜および異なる膜厚のゲート電極を構成する場合であっても、nチャネル型MISFETのゲート電極とpチャネル型MISFETのゲート電極とを同時に加工できるという顕著な効果を得ることができるのである。
【0063】
特に、pチャネル型MISFETQを構成するゲート電極14bの一部として、リンを不純物として導入した改質膜11を形成する点は斬新な構成といえる。通常、pチャネル型MISFETのゲート電極をポリシリコン膜から構成する場合、ポリシリコン膜には、リンなどのn型不純物ではなく、ホウ素などのp型不純物を導入してしきい値電圧を調整している。つまり、pチャネル型MISFETを構成するゲート電極としてホウ素を導入したポリシリコン膜を使用することが一般的である。
【0064】
これに対し、本実施の形態1では、pチャネル型MISFETQにもかかわらず、ゲート電極14bの一部を構成する膜としてリンを導入したポリシリコン膜9(改質膜11)を使用している点が斬新である。このような構成をとるのは、本実施の形態1では、改質膜11がpチャネル型MISFETQのしきい値電圧を調整するために設けられているものではなく、エッチング速度を速めるために設けられているからである。本実施の形態1では、図2に示すように、pチャネル型MISFETQのゲート電極14bがnチャネル型MISFETQのゲート電極14aに比べて、第1金属膜6と第2金属膜8を積層する分だけ膜厚が厚くなっている。このため、ほぼ同時にエッチングを終了するためには、pチャネル型MISFETQを構成するゲート電極14bのエッチング速度を高める必要があり、ゲート電極14bに改質膜11を設けることにより実現している。
【0065】
以上のようにして、本実施の形態1におけるCMISFETが構成されている。続いて、CMISFETを接続する配線構造について図2を参照しながら説明する。
【0066】
図2において、pチャネル型MISFETQおよびnチャネル型MISFETQを覆うように酸化シリコン膜21が形成されている。この酸化シリコン膜21は、例えば、酸化シリコン膜から形成されている。そして、この酸化シリコン膜21を貫通するように複数のコンタクトホールCNTが形成されている。この複数のコンタクトホールCNTは、pチャネル型MISFETQおよびnチャネル型MISFETQのソース領域およびドレイン領域に達するように形成されている。
【0067】
コンタクトホールCNTの内部には、チタン/窒化チタン膜22aおよびタングステン膜22bからなる積層膜が埋め込まれており、プラグPLGが形成されている。プラグPLGが形成されている酸化シリコン膜21上には、配線L1が形成されている。配線L1は、例えば、チタン/窒化チタン膜23a、アルミニウム膜23bおよびチタン/窒化チタン膜23cの積層膜から形成されている。この第1配線層である配線L1上にも層間絶縁膜を介して多層配線が形成されているが、本明細書での説明は省略する。
【0068】
本実施の形態1におけるCMISFETは上記のように構成されており、以下に、その製造方法について説明する。
【0069】
まず、図3に示すように、ホウ素(B)などのp型不純物を導入したシリコン単結晶よりなる半導体基板1を用意する。このとき、半導体基板1は、略円盤形状をした半導体ウェハの状態になっている。そして、半導体基板1のCMISFET形成領域に素子間を分離する素子分離領域2を形成する。素子分離領域2は、素子が互いに干渉しないようにするために設けられる。この素子分離領域2は、例えばLOCOS(local Oxidation of silicon)法やSTI(shallow trench isolation)法を用いて形成することができる。例えば、STI法では、以下のようにして素子分離領域2を形成している。すなわち、半導体基板1にフォトリソグラフィ技術およびエッチング技術を使用して素子分離溝を形成する。そして、素子分離溝を埋め込むように半導体基板上に酸化シリコン膜を形成し、その後、化学的機械的研磨法(CMP;chemical mechanical polishing)により、半導体基板上に形成された不要な酸化シリコン膜を除去する。これにより、素子分離溝内にだけ酸化シリコン膜を埋め込んだ素子分離領域2を形成することができる。
【0070】
次に、素子分離領域2で分離された活性領域に不純物を導入してウェルを形成する。例えば、活性領域のうちnチャネル型MISFET形成領域には、p型ウェル3を形成し、pチャネル型MISFET形成領域には、n型ウェル4を形成する。p型ウェル3は、例えばホウ素などのp型不純物をイオン注入法により半導体基板に導入することで形成される。同様に、n型ウェル4は、例えばリン(P)や砒素(As)などのn型不純物をイオン注入法により半導体基板1に導入することで形成される。
【0071】
続いて、p型ウェル3の表面領域およびn型ウェル4の表面領域にチャネル形成用の半導体領域(図示せず)を形成する。このチャネル形成用の半導体領域は、チャネルを形成するしきい値電圧を調整するために形成される。
【0072】
次に、図4に示すように、半導体基板1上にゲート絶縁膜5を形成する。ゲート絶縁膜5は、例えば、酸化シリコン膜より誘電率の高い高誘電率膜から形成することができる。従来、絶縁耐性が高い、シリコン−酸化シリコン界面の電気的・物性的安定性などが優れているとの観点から、ゲート絶縁膜5として酸化シリコン膜が使用されている。しかし、素子の微細化に伴い、ゲート絶縁膜5の膜厚について、極薄化が要求されるようになってきている。このように薄い酸化シリコン膜をゲート絶縁膜5として使用すると、MISFETのチャネルを流れる電子が酸化シリコン膜によって形成される障壁をトンネルしてゲート電極に流れる、いわゆるトンネル電流が発生してしまう。
【0073】
そこで、酸化シリコン膜より誘電率の高い材料を使用することにより、容量が同じでも物理的膜厚を増加させることができる高誘電体膜が使用されるようになってきている。高誘電体膜によれば、容量を同じにしても物理的膜厚を増加させることができるので、リーク電流を低減することができる。
【0074】
例えば、高誘電体膜として、ハフニウム酸化物の一つである酸化ハフニウム膜(HfO膜)が使用されるが、酸化ハフニウム膜に代えて、ハフニウムアルミネート膜、HfON膜(ハフニウムオキシナイトライド膜)、HfSiO膜(ハフニウムシリケート膜)、HfSiON膜(ハフニウムシリコンオキシナイトライド膜)、HfAlO膜のような他のハフニウム系絶縁膜を使用することもできる。さらに、これらのハフニウム系絶縁膜に酸化タンタル、酸化ニオブ、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化ランタン、酸化イットリウムなどの酸化物を導入したハフニウム系絶縁膜を使用することもできる。ハフニウム系絶縁膜は、酸化ハフニウム膜と同様、酸化シリコン膜や酸窒化シリコン膜より誘電率が高いので、酸化ハフニウム膜を用いた場合と同様の効果が得られる。本実施の形態1では、高誘電率膜の1つであるハフニウムシリコンオキシナイトライド膜(HfSiON膜)を使用している。このハフニウムシリコンオキシナイトライド膜の膜厚は、例えば、約2nmである。
【0075】
なお、ゲート絶縁膜5は、例えば、酸化シリコン膜から形成することもできる。この酸化シリコン膜は、例えば熱酸化法を使用して形成することができる。ただし、ゲート絶縁膜5は、酸化シリコン膜に限定されるものではなく種々変更可能であり、例えば、ゲート絶縁膜5を酸窒化シリコン膜(SiON)としてもよい。すなわち、ゲート絶縁膜5と半導体基板1との界面に窒素を偏析させる構造としてもよい。酸窒化シリコン膜は、酸化シリコン膜に比べて膜中における界面準位の発生を抑制したり、電子トラップを低減する効果が高い。したがって、ゲート絶縁膜5のホットキャリア耐性を向上でき、絶縁耐性を向上させることができる。また、酸窒化シリコン膜は、酸化シリコン膜に比べて不純物が貫通しにくい。このため、ゲート絶縁膜5に酸窒化シリコン膜を用いることにより、ゲート電極中の不純物が半導体基板側に拡散することに起因するしきい値電圧の変動を抑制することができる。酸窒化シリコン膜を形成するのは、例えば、半導体基板1をNO、NOまたはNHといった窒素を含む雰囲気中で熱処理すればよい。また、半導体基板1の表面に酸化シリコン膜からなるゲート絶縁膜5を形成した後、窒素を含む雰囲気中で半導体基板1を熱処理し、ゲート絶縁膜5と半導体基板1との界面に窒素を偏析させることによっても同様の効果を得ることができる。
【0076】
続いて、図5に示すように、ゲート絶縁膜5上に第1金属膜6を形成する。第1金属膜6は、仕事関数がpチャネル型MISFETに適している導電材料から形成される。例えば、第1金属膜6は、アルミニウム膜(Al)、コバルト膜(Co膜)、クロム膜(Cr膜)、ゲルマニウム膜(Ge膜)、ハフニウム膜(Hf膜)、ランタン膜(La膜)、モリブデン膜(Mo膜)、ニオブ膜(Nb膜)、ニッケル膜(Ni膜)、プラチナ膜(Pt膜)、ルテニウム膜(Ru膜)、タンタル膜(Ta膜)、チタン膜(Ti膜)、バナジウム膜(V膜)、タングステン膜(W膜)、ジルコニウム膜(Zr膜)などの金属や、これらの金属を使用した合金から構成することができる。本実施の形態1では、第1金属膜6として、例えば、窒化チタン膜(TiN膜)を使用している。窒化チタン膜は、例えば、スパッタリング法を使用することにより形成でき、その膜厚は、例えば、約30nmである。
【0077】
次に、図6に示すように、第1金属膜6上にレジスト膜7を塗布した後、フォトリソグラフィ技術を使用してレジスト膜7をパターニングする。レジスト膜7のパターニングは、pチャネル型MISFET形成領域を覆い、nチャネル型MISFET形成領域を露出するように行なわれる。
【0078】
そして、図7に示すように、パターニングしたレジスト膜7をマスクとしたウェットエッチングにより、露出している第1金属膜6を除去する。つまり、nチャネル型MISFET形成領域に露出している第1金属膜6を除去する。その後、パターニングしたレジスト膜7を除去する。
【0079】
続いて、図8に示すように、半導体基板1上に第2金属膜8を形成する。これにより、pチャネル型MISFET形成領域では、第1金属膜6上に第2金属膜8が形成され、nチャネル型MISFET形成領域では、ゲート絶縁膜5上に第2金属膜8が形成される。この第2金属膜8は、仕事関数がnチャネル型MISFETに適している導電材料から形成される。例えば、第2金属膜8は、アルミニウム膜(Al)、コバルト膜(Co膜)、クロム膜(Cr膜)、ゲルマニウム膜(Ge膜)、ハフニウム膜(Hf膜)、ランタン膜(La膜)、モリブデン膜(Mo膜)、ニオブ膜(Nb膜)、ニッケル膜(Ni膜)、プラチナ膜(Pt膜)、ルテニウム膜(Ru膜)、タンタル膜(Ta膜)、チタン膜(Ti膜)、バナジウム膜(V膜)、タングステン膜(W膜)、ジルコニウム膜(Zr膜)などの金属や、これらの金属を使用した合金から構成することができる。本実施の形態1では、第2金属膜8として、例えば、タンタルシリコンナイトライド膜(TaSiN膜)を使用している。タンタルシリコンナイトライド膜の膜厚は、例えば、約30nmである。
【0080】
以上のようにして、本実施の形態1では、pチャネル型MISFET形成領域とnチャネル型MISFET形成領域で、異なる金属材料をゲート絶縁膜5上に形成している。これにより、nチャネル型MISFETおよびnチャネル型MISFETのそれぞれに適する材料を用いてしきい値電圧を調整することができる。つまり、pチャネル型MISFETのしきい値電圧を調整するため、pチャネル型MISFET形成領域では、ゲート絶縁膜5上に第1金属膜6を形成している。一方、nチャネル型MISFETのしきい値電圧を調整するため、nチャネル型MISFET形成領域では、ゲート絶縁膜5上に第2金属膜8を形成している。このとき、半導体基板1上に第1金属膜6を形成した後に、第2金属膜8を形成しているので、pチャネル型MISFET形成領域では、ゲート絶縁膜5上に第1金属膜6と第2金属膜8の積層膜が形成され、nチャネル型MISFET形成領域では、ゲート絶縁膜5上に第2金属膜8が形成された構成となっている。したがって、pチャネル型MISFET形成領域に形成されている膜(第1金属膜6と第2金属膜8)の膜厚は、nチャネル型MISFET形成領域に形成されている膜(第2金属膜8)の膜厚に比べて厚くなっている。
【0081】
次に、図9に示すように、第2金属膜8上にポリシリコン膜9を形成する。ポリシリコン膜9は、例えば、CVD(Chemical Vapor Deposition)法を使用して形成することができ、その膜厚は、例えば、約150nmである。なお、ポリシリコン膜9の代わりにアモルファスシリコン膜を形成してもよい。このようにして、pチャネル型MISFET形成領域では、第1金属膜6、第2金属膜8およびポリシリコン膜9の積層膜が形成され、nチャネル型MISFET形成領域では、第2金属膜8とポリシリコン膜9の積層膜が形成される。このため、pチャネル型MISFET形成領域に形成されている膜の総膜厚とnチャネル型MISFET形成領域に形成されている膜の総膜厚が異なる。
【0082】
続いて、図10に示すように、ポリシリコン膜9上にレジスト膜10を塗布した後、フォトリソグラフィ技術を用いてレジスト膜10をパターニングする。レジスト膜10のパターニングは、pチャネル型MISFET形成領域を露出し、nチャネル型MISFET形成領域を覆うように行なわれる。そして、pチャネル型MISFET形成領域に露出しているポリシリコン膜9に改質処理を実施することにより、改質膜11を形成する。改質膜11は、例えば、ポリシリコン膜9にリン(n型不純物)を導入することにより形成される。つまり、pチャネル型MISFET形成領域では、イオン注入法を用いてポリシリコン膜9にリンを導入することにより、リンを導入したポリシリコン膜9よりなる改質膜11が形成される。
【0083】
この改質膜11は、第1金属膜6によるしきい値電圧の調整を妨げないようにするため、あまり深い領域まで形成しないことが望ましい。具体的には、第1金属膜6上に形成されている第2金属膜8に接しないように浅く形成することが望ましい。さらに、改質膜11が第1金属膜6によるしきい値電圧の調整を妨げないようにするために、改質膜11と第2金属膜8の間にポリシリコン膜9とは材料が異なる中間層を挿入することも有効である。
【0084】
次に、レジスト膜10を除去した後、図11に示すように、半導体基板1上に反射防止膜12を形成する。そして、反射防止膜12上にレジスト膜を塗布した後、フォトリソグラフィ技術を使用することにより、レジスト膜をパターニングする。このパターニングにより、レジスト膜13aおよびレジスト膜13bを残存させる。つまり、パターニングは、nチャネル型MISFET形成領域のうちゲート電極形成領域にレジスト膜13aが残るように行なわれ、かつ、pチャネル型MISFET形成領域のうちゲート電極形成領域にレジスト膜13bが残るように行なわれる。
【0085】
続いて、pチャネル型MISFET形成領域およびnチャネル型MISFET形成領域でゲート電極を加工するプラズマエッチングを実施する。ゲート電極のエッチング加工は、エッチング条件の異なる複数のステップで実施することが一般的である。本実施の形態1では、3段階のステップでゲート電極を加工する例を示す。
【0086】
まず、図12に示すように、レジスト膜13a、13bをマスクにして反射防止膜12をエッチングする(第1エッチングステップ)。このエッチングは、例えば、塩素と酸素からなる混合ガスを使用したプラズマエッチングで実施することができる。pチャネル型MISFET形成領域に形成されている反射防止膜12と、nチャネル型MISFET形成領域に形成されている反射防止膜12は、ほぼ同じ膜厚であるので、ほぼ同時に加工することができる。
【0087】
次に、図13に示すように、pチャネル型MISFET形成領域では、改質膜11とポリシリコン膜9をエッチングし、nチャネル型MISFET形成領域では、ポリシリコン膜9をエッチングする(第2エッチングステップ)。ここで、pチャネル型MISFET形成領域には改質膜11が形成されており、nチャネル型MISFET形成領域には改質膜11が形成されていないので、エッチング条件を適切に選べば両領域の間でエッチング速度に差を生じさせることができる。本実施の形態1では、ポリシリコン膜9にリンをイオン注入することにより改質膜11を形成している。
【0088】
そこで、例えば、アルゴン、臭化水素および塩素からなる混合ガスを使用してプラズマエッチングを実施すると、改質膜11のエッチング速度をポリシリコン膜9のエッチング速度よりも速くすることができる。つまり、ポリシリコン膜9にリンを導入することにより、リンを導入しないポリシリコン膜9に比べてエッチング速度を速くすることができるのである。このため、図13に示すように、pチャネル型MISFET形成領域において、改質膜11とポリシリコン膜9をすべてエッチングする際、nチャネル型MISFET形成領域においては、ポリシリコン膜9がすべてエッチングされずに一部が残存する。この結果、pチャネル型MISFET形成領域の総膜厚とnチャネル型MISFET形成領域の総膜厚の差を緩和することができる。
【0089】
すなわち、pチャネル型MISFET形成領域は、第1金属膜6、第2金属膜8および改質膜11(一部ポリシリコン膜9が存在する)の積層膜から形成され、nチャネル型MISFET形成領域は、第2金属膜8とポリシリコン膜9から形成されている。このため、pチャネル型MISFET形成領域に改質膜11を形成しない場合、pチャネル型MISFET形成領域とnチャネル型MISFET形成領域でポリシリコン膜9が同時にエッチングされることになる。すると、ポリシリコン膜9をエッチングした後、pチャネル型MISFET形成領域では、第1金属膜6と第2金属膜8の積層膜が残存し、nチャネル型MISFET形成領域では、第2金属膜8が残存することになる。したがって、pチャネル型MISFET形成領域に残存する総膜厚とnチャネル型MISFET形成領域に残存する総膜厚にかなりの差が生じることになる。すると、pチャネル型MISFET形成領域で実施される第1金属膜6と第2金属膜8のエッチングと、nチャネル型MISFET形成領域で実施される第2金属膜8のエッチングとをほぼ同時に終了することが困難になる。
【0090】
そこで、本実施の形態1では、pチャネル型MISFET形成領域のポリシリコン膜9に改質膜11を形成している。改質膜11は、ポリシリコン膜9にリンを導入することにより形成されている。このように構成された改質膜11は、リンを導入していないポリシリコン膜9よりもエッチング速度が速くなる性質がある。このことから、pチャネル型MISFET形成領域において、改質膜11とポリシリコン膜9をすべてエッチングする際、nチャネル型MISFET形成領域においては、ポリシリコン膜9がすべてエッチングされずに一部が残存する。これにより、第2エッチングステップを終了すると、pチャネル型MISFET形成領域では、第1金属膜6と第2金属膜8が残存し、nチャネル型MISFET形成領域では、第2金属膜8と一部のポリシリコン膜9が残存することになる。したがって、pチャネル型MISFET形成領域に形成されている膜の総膜厚と、nチャネル型MISFET形成領域に形成されている膜の総膜厚の差が緩和される。
【0091】
続いて、図14に示すように、pチャネル型MISFET形成領域では、第1金属膜6と第2金属膜8をエッチングすると同時に、nチャネル型MISFET形成領域では、残存するポリシリコン膜9と第2金属膜8をエッチングする(第3エッチングステップ)。このとき、pチャネル型MISFET形成領域に形成されている膜とnチャネル型MISFET形成領域に形成されている膜とは、材料が異なるが総膜厚はほぼ等しくなっている。このため、エッチング材料間でエッチング速度に差を生じないようにすれば、pチャネル型MISFET形成領域とnチャネル型MISFET形成領域でほぼ同時にエッチングを終了することができる。この後、レジスト膜13a、13bと反射防止膜12をアッシング技術と洗浄技術で除去することにより、ゲート電極14aとゲート電極14bをほぼ同時に形成することができる。
【0092】
以上のことから、pチャネル型MISFETのゲート電極の一部を改質することで、nチャネル型MISFETのゲート電極およびpチャネル型MISFETのゲート電極を同時にエッチングする際、エッチング速度差を生じさせることができる。したがって、nチャネル型MISFETのゲート電極とpチャネル型MISFETのゲート電極に異なる膜厚のゲート電極材料を用いることにより生じるエッチング速度差を、pチャネル型MISFETのゲート電極の一部を改質することで生じるエッチング速度差で補完する(吸収する)ことができる。このため、容易に、nチャネル型MISFETのゲート電極とpチャネル型MISFETのゲート電極とを同時にエッチングすることができる。このことから、加工工程を簡略化することができ、フォトリソグラフィ技術による合わせずれの低減および半導体装置の製造コストを低減することができる。つまり、改質膜11を形成するには、pチャネル型MISFET形成領域を露出するフォトリソグラフィ技術が使用されるが、このパターニングにはゲート電極自体の加工のように微細加工を要求されるものではないので、改質膜11を形成する工程を追加しても半導体装置の製造工程をそれほど複雑化させることはない。それよりも、改質膜11を設けることで、異なる膜厚で、かつ、異なる材料のゲート電極を同時に加工できるという顕著な効果を得ることができる利点の方が大きい。
【0093】
ここで、改質膜11のエッチング速度は、ポリシリコン膜9に導入するリンの濃度および改質膜11の膜厚によって調整することができる。つまり、pチャネル型MISFET形成領域において、改質膜11とポリシリコン膜9をすべてエッチングする際、nチャネル型MISFET形成領域においては、ポリシリコン膜9がすべてエッチングされずに一部が残存するが、この残存するポリシリコン膜9の膜厚は、改質膜11に導入するリンの濃度および改質膜11の膜厚で調整することができる。これにより、pチャネル型MISFET形成領域に形成されている膜とnチャネル型MISFET形成領域に形成されている膜において、材料が異なることによるエッチング速度の差が生じる場合であっても、この差をnチャネル型MISFET形成領域に残存するポリシリコン膜9の膜厚で調整することができる。つまり、nチャネル型MISFET形成領域に残存するポリシリコン膜9と第2金属膜8の総膜厚は、pチャネル型MISFET形成領域に形成されている第1金属膜6と第2金属膜8を合わせた膜厚とほぼ同じにする必要はなく、第3エッチングステップにおける第1金属膜6、第2金属膜8およびポリシリコン膜9のエッチング速度差を考慮して、残存するポリシリコン膜9の膜厚を調整することができる。このようにすることで、pチャネル型MISFET形成領域とnチャネル型MISFET形成領域でほぼ同時にエッチングを終了することができ、ゲート電極14aとゲート電極14bをほぼ同時に形成することができる。
【0094】
さらに、ゲート絶縁膜5でエッチングを止めることができるように、第3エッチングステップでは、ゲート絶縁膜5のエッチング速度が小さい必要がある。具体的に、このようなエッチングは、アルゴン、臭化水素および塩素からなる混合ガスを使用したプラズマエッチングで実現できる。以上のように、第2エッチングステップの開始前は、pチャネル型MISFET形成領域に形成されている膜の総膜厚と、nチャネル型MISFET形成領域に形成されている膜の総膜厚が異なっていても、第3エッチングステップを開始する際には、この膜厚差が緩和されている。このため、ゲート電極14aとゲート電極14bをほぼ同時に形成することができ、エッチング加工マージンを広げることができるようになる。なお、本発明は、エッチングステップ数や混合ガスの種類などのエッチング条件は上述した例に限定されず、エッチング条件の異なる場合であっても同様の効果を得ることができる。
【0095】
続いて、図15に示すように、フォトリソグラフィ技術およびイオン注入法を使用することにより、nチャネル型MISFETのゲート電極14aに整合した浅い低濃度n型不純物拡散領域15を形成する。浅い低濃度n型不純物拡散領域15は、半導体領域である。同様に、pチャネル型MISFET形成領域に浅い低濃度p型不純物拡散領域16を形成する。浅い低濃度p型不純物拡散領域16は、pチャネル型MISFETのゲート電極14bに整合して形成される。この浅い低濃度p型不純物拡散領域16は、フォトリソグラフィ技術およびイオン注入法を使用することにより形成することができる。
【0096】
次に、半導体基板1上に酸化シリコン膜を形成する。酸化シリコン膜は、例えば、CVD法を使用して形成することができる。そして、図16に示すように、酸化シリコン膜を異方性エッチングすることにより、サイドウォール17をゲート電極14a、14bの側壁に形成する。サイドウォール17は、酸化シリコン膜の単層膜から形成するようにしたが、これに限らず、例えば、窒化シリコン膜と酸化シリコン膜の積層膜からなるサイドウォールを形成してもよい。
【0097】
続いて、図17に示すように、フォトリソグラフィ技術およびイオン注入法を使用することにより、nチャネル型MISFET形成領域にサイドウォール17に整合した深い高濃度n型不純物拡散領域18を形成する。深い高濃度n型不純物拡散領域18は、半導体領域である。この深い高濃度n型不純物拡散領域18と浅い低濃度n型不純物拡散領域15によってソース領域が形成される。同様に、深い高濃度n型不純物拡散領域18と浅い低濃度n型不純物拡散領域15によってドレイン領域が形成される。このようにソース領域とドレイン領域を浅い低濃度n型不純物拡散領域15と深い高濃度n型不純物拡散領域18で形成することにより、ソース領域およびドレイン領域をLDD(Lightly Doped Drain)構造とすることができる。
【0098】
同様に、pチャネル型MISFET形成領域にサイドウォール17に整合した深い高濃度p型不純物拡散領域19を形成する。この深い高濃度p型不純物拡散領域19と浅い低濃度p型不純物拡散領域16によってソース領域およびドレイン領域が形成される。したがって、pチャネル型MISFETにおいてもソース領域およびドレイン領域はLDD構造をしている。
【0099】
このようにして、深い高濃度n型不純物拡散領域18および深い高濃度p型不純物拡散領域19を形成した後、1000℃程度の熱処理を行なう。これにより、導入した不純物の活性化が行なわれる。
【0100】
その後、半導体基板1上にコバルト膜を形成する。このとき、ゲート電極14a、14bに直接接するようにコバルト膜が形成される。同様に、深い高濃度n型不純物拡散領域18および深い高濃度p型不純物拡散領域19にもコバルト膜が直接接する。
【0101】
コバルト膜は、例えば、スパッタリング法を使用して形成することができる。そして、図18に示すように、コバルト膜を形成した後、熱処理を施すことにより、ゲート電極14aの一部を構成するポリシリコン膜9とコバルト膜を反応させて、コバルトシリサイド膜20を形成する。同様に、ゲート電極14bの一部を構成する改質膜11とコバルト膜を反応させて、コバルトシリサイド膜20を形成する。コバルトシリサイド膜20は、ゲート電極14a、14bの低抵抗化のために形成される。同様に、上述した熱処理により、深い高濃度n型不純物拡散領域18および深い高濃度p型不純物拡散領域19の表面においてもシリコンとコバルト膜が反応してコバルトシリサイド膜20が形成される。このため、深い高濃度n型不純物拡散領域18および深い高濃度p型不純物拡散領域19においても低抵抗化を図ることができる。
【0102】
そして、未反応のコバルト膜は、半導体基板1上から除去される。なお、本実施の形態1では、コバルトシリサイド膜20を形成するように構成しているが、例えば、コバルトシリサイド膜20に代えてニッケルシリサイド膜やチタンシリサイド膜を形成するようにしてもよい。以上のようにして、半導体基板1上にpチャネル型MISFETQとnチャネル型MISFETQを形成することができる。
【0103】
次に、配線工程について説明する。図2に示すように、半導体基板1の主面上に層間絶縁膜となる酸化シリコン膜21を形成する。この酸化シリコン膜21は、例えばTEOS(tetra ethyl ortho silicate)を原料としたCVD法を使用して形成することができる。その後、酸化シリコン膜21の表面を、例えばCMP(Chemical Mechanical Polishing)法を使用して平坦化する。
【0104】
続いて、フォトリソグラフィ技術およびエッチング技術を使用して、酸化シリコン膜21にコンタクトホールCNTを形成する。そして、コンタクトホールCNTの底面および内壁を含む酸化シリコン膜21上にチタン/窒化チタン膜22aを形成する。チタン/窒化チタン膜22aは、チタン膜と窒化チタン膜の積層膜から構成され、例えばスパッタリング法を使用することにより形成することができる。このチタン/窒化チタン膜22aは、例えば、後の工程で埋め込む膜の材料であるタングステンがシリコン中へ拡散するのを防止する、いわゆるバリア性を有する。
【0105】
続いて、コンタクトホールCNTを埋め込むように、半導体基板1の主面の全面にタングステン膜22bを形成する。このタングステン膜22bは、例えばCVD法を使用して形成することができる。そして、酸化シリコン膜21上に形成された不要なチタン/窒化チタン膜22aおよびタングステン膜22bを例えばCMP法を除去することにより、プラグPLGを形成することができる。
【0106】
次に、酸化シリコン膜21およびプラグPLG上にチタン/窒化チタン膜23a、銅を含有するアルミニウム膜23b、チタン/窒化チタン膜23cを順次、形成する。これらの膜は、例えばスパッタリング法を使用することにより形成することができる。続いて、フォトリソグラフィ技術およびエッチング技術を使用することにより、これらの膜のパターニングを行い、配線L1を形成する。さらに、配線L1の上層に配線を形成するが、ここでの説明は省略する。このようにして、本実施の形態におけるCMISFET(半導体装置)を形成することができる。
【0107】
本実施の形態1では、pチャネル型MISFETQのゲート電極14bを第1金属膜6、第2金属膜8、ポリシリコン膜9、改質膜11およびコバルトシリサイド膜20から構成し、nチャネル型MISFETQのゲート電極14aを第2金属膜8、ポリシリコン膜9およびコバルトシリサイド膜20から構成している。ただし、この構成に限らず、nチャネル型MISFETQのゲート電極14aを第1金属膜6、第2金属膜8、ポリシリコン膜9、改質膜11およびコバルトシリサイド膜20から構成し、pチャネル型MISFETQのゲート電極14bを第2金属膜8、ポリシリコン膜9およびコバルトシリサイド膜20から構成してもよい。この場合、第1金属膜6は、仕事関数がnチャネル型MISFETに適している導電材料から形成される。例えば、第1金属膜6は、タンタルシリコンナイトライド膜(TaSiN膜)から形成される。一方、第2金属膜8は、仕事関数がpチャネル型MISFETに適している導電材料から形成される。例えば、第2金属膜8は、窒化チタン膜(TiN膜)から形成される。なお、製造工程は、図3〜図18において、pチャネル型MISFET形成領域とnチャネル型MISFET形成領域とを入れ替えたものとなる。
【0108】
(実施の形態2)
前記実施の形態1では、改質膜としてポリシリコン膜にリンを導入することにより、リンを導入しないポリシリコン膜よりもエッチング速度を速くする例について説明している。これにより、nチャネル型MISFETのゲート電極とpチャネル型MISFETのゲート電極に異なる膜厚の異なるゲート電極材料を用いることにより生じるエッチング速度差を、pチャネル型MISFETのゲート電極の一部を改質することで生じるエッチング速度差で補完することができるとしている。
【0109】
これに対し、本実施の形態2では、改質膜としてポリシリコン膜にホウ素を導入することにより、ホウ素を導入しないポリシリコン膜よりもエッチング速度を遅くする例について説明する。これにより、nチャネル型MISFETのゲート電極とpチャネル型MISFETのゲート電極に異なる膜厚の異なるゲート電極材料を用いることにより生じるエッチング速度差を、nチャネル型MISFETのゲート電極の一部を改質することで生じるエッチング速度差で補完することができるものである。
【0110】
図19は、本実施の形態2におけるCMISFETの構成を示す断面図である。図19は、前記実施の形態1におけるCMISFETの構成を示す図2とほぼ同様の構成をしているため、異なる構成について説明する。
【0111】
本実施の形態2におけるCMISFETが前記実施の形態1におけるCMISFETと異なる点は、pチャネル型MISFETQのゲート電極32bとnチャネル型MISFETQのゲート電極32aの構成である。
【0112】
図19において、pチャネル型MISFETQのゲート電極32bは、ゲート絶縁膜5上に形成された第1金属膜6とこの第1金属膜6上に形成された第2金属膜8を有している。そして、この第2金属膜8上にポリシリコン膜9が形成され、ポリシリコン膜9の表面にコバルトシリサイド膜20が形成されている。ポリシリコン膜9には改質膜が形成されていない点が前記実施の形態1と異なる点である。第1金属膜6は、前記実施の形態1と同様に、仕事関数がpチャネル型MISFETに適している導電材料から形成される。例えば、第1金属膜6は、窒化チタン膜(TiN膜)から形成される。第2金属膜8は、前記実施の形態1と同様に、仕事関数がnチャネル型MISFETに適している導電材料から形成される。例えば、第2金属膜8は、タンタルシリコンナイトライド膜から形成される。
【0113】
一方、nチャネル型MISFETQのゲート電極32aは、ゲート絶縁膜5上に形成された第2金属膜8とこの第2金属膜8上に形成されたポリシリコン膜9を有している。そして、このポリシリコン膜9に改質膜31が形成され、改質膜31の表面にコバルトシリサイド膜20が形成されている。ポリシリコン膜9に改質膜31が形成されている点が前記実施の形態1と異なる点である。
【0114】
この改質膜31は、ポリシリコン膜9にホウ素を導入して形成された膜である。ポリシリコン膜9にホウ素を導入すると、ポリシリコン膜9にホウ素を導入しない膜に比べてエッチング速度が遅くなるという性質がある。この性質を利用して、本実施の形態2では、nチャネル型MISFETQのゲート電極32aに改質膜31を形成している。すなわち、図19に示すように、pチャネル型MISFETQのゲート電極32bの総膜厚の方が、nチャネル型MISFETQのゲート電極32aの総膜厚よりも厚くなっている。したがって、nチャネル型MISFETQのゲート電極32aに改質膜31を形成しない場合には、ゲート電極32aおよびゲート電極32bのポリシリコン膜9がほぼ同じ膜厚であることから、同時にエッチングされる。このため、ポリシリコン膜9をエッチングした後、pチャネル型MISFET形成領域には、第1金属膜6と第2金属膜8からなる積層膜が残存する一方、nチャネル型MISFET形成領域には、第2金属膜8が残存することになる。この場合、pチャネル型MISFET形成領域に形成されている膜(第1金属膜6と第2金属膜8)の膜厚と、nチャネル型MISFET形成領域に形成されている膜(第2金属膜8)の膜厚が異なることから、ほぼ同時にエッチングを終了してゲート電極32aとゲート電極32bを形成することは困難となる。
【0115】
そこで、本実施の形態2では、nチャネル型MISFET形成領域に形成されているポリシリコン膜9にホウ素を導入して改質膜31を形成している。これにより、改質膜31のエッチング速度をポリシリコン膜9のエッチング速度よりも遅くすることができる。つまり、ポリシリコン膜9にホウ素を導入することにより、ホウ素を導入しないポリシリコン膜9に比べてエッチング速度を遅くすることができるのである。このため、pチャネル型MISFET形成領域において、ポリシリコン膜9をすべてエッチングする際、nチャネル型MISFET形成領域においては、改質膜31とポリシリコン膜9がすべてエッチングされずに一部が残存する。この結果、pチャネル型MISFET形成領域の総膜厚とnチャネル型MISFET形成領域の総膜厚の差を緩和することができる。このことから、pチャネル型MISFET形成領域とnチャネル型MISFET形成領域でほぼ同時にエッチングを終了することができ、ゲート電極14aとゲート電極14bをほぼ同時に形成することができる。
【0116】
次に、本実施の形態2におけるCMISFETの製造方法について説明する。図3から図9に示す工程は前記実施の形態1と同様である。そして、図20に示すように、ポリシリコン膜9上にレジスト膜30を塗布した後、フォトリソグラフィ技術を用いてレジスト膜30をパターニングする。レジスト膜30のパターニングは、nチャネル型MISFET形成領域を露出し、pチャネル型MISFET形成領域を覆うように行なわれる。続いて、nチャネル型MISFET形成領域に露出しているポリシリコン膜9に改質処理を実施することにより、改質膜31を形成する。改質膜31は、例えば、ポリシリコン膜9にホウ素(p型不純物)を導入することにより形成される。つまり、nチャネル型MISFET形成領域では、イオン注入法を用いてポリシリコン膜9にホウ素を導入することにより、ホウ素を導入したポリシリコン膜9よりなる改質膜31が形成される。
【0117】
この改質膜11は、第1金属膜6によるしきい値電圧の調整を妨げないようにするため、あまり深い領域まで形成しないことが望ましい。具体的には、第2金属膜8に接しないように浅く形成することが望ましい。さらに、改質膜31が第2金属膜8によるしきい値電圧の調整を妨げないようにするために、改質膜31と第2金属膜8の間にポリシリコン膜9とは材料が異なる中間層を挿入することも有効である。
【0118】
次に、レジスト膜30を除去した後、図21に示すように、半導体基板1上に反射防止膜12を形成する。そして、反射防止膜12上にレジスト膜を塗布した後、フォトリソグラフィ技術を使用することにより、レジスト膜をパターニングする。このパターニングにより、レジスト膜13aおよびレジスト膜13bを残存させる。つまり、パターニングは、nチャネル型MISFET形成領域のうちゲート電極形成領域にレジスト膜13aが残るように行なわれ、かつ、pチャネル型MISFET形成領域のうちゲート電極形成領域にレジスト膜13bが残るように行なわれる。
【0119】
続いて、図22に示すように、レジスト膜13a、13bをマスクにして反射防止膜12をエッチングする(第1エッチングステップ)。このエッチングは、例えば、塩素と酸素からなる混合ガスを使用したプラズマエッチングで実施することができる。pチャネル型MISFET形成領域に形成されている反射防止膜12と、nチャネル型MISFET形成領域に形成されている反射防止膜12は、ほぼ同じ膜厚であるので、ほぼ同時に加工することができる。
【0120】
次に、図23に示すように、pチャネル型MISFET形成領域では、ポリシリコン膜9をエッチングし、nチャネル型MISFET形成領域では、改質膜31とポリシリコン膜9をエッチングする(第2エッチングステップ)。ここで、nチャネル型MISFET形成領域には改質膜31が形成されており、pチャネル型MISFET形成領域には改質膜31が形成されていないので、エッチング条件を適切に選べば両領域の間でエッチング速度に差を生じさせることができる。
【0121】
そこで、例えば、アルゴン、臭化水素および塩素からなる混合ガスを使用してプラズマエッチングを実施すると、改質膜31のエッチング速度をポリシリコン膜9のエッチング速度よりも遅くすることができる。つまり、ポリシリコン膜9にホウ素を導入することにより、ホウ素を導入しないポリシリコン膜9に比べてエッチング速度を遅くすることができるのである。このため、図23に示すように、pチャネル型MISFET形成領域において、ポリシリコン膜9をすべてエッチングする際、nチャネル型MISFET形成領域においては、ポリシリコン膜9がすべてエッチングされずに一部が残存する。この結果、pチャネル型MISFET形成領域の総膜厚とnチャネル型MISFET形成領域の総膜厚の差を緩和することができる。
【0122】
続いて、図24に示すように、pチャネル型MISFET形成領域では、第1金属膜6と第2金属膜8をエッチングすると同時に、nチャネル型MISFET形成領域では、残存するポリシリコン膜9と第2金属膜8をエッチングする(第3エッチングステップ)。このとき、pチャネル型MISFET形成領域に形成されている膜とnチャネル型MISFET形成領域に形成されている膜とは、材料が異なるが総膜厚はほぼ等しくなっている。このため、エッチング材料間でエッチング速度に差を生じないようにすれば、pチャネル型MISFET形成領域とnチャネル型MISFET形成領域でほぼ同時にエッチングを終了することができる。この後、レジスト膜13a、13bと反射防止膜12をアッシング技術と洗浄技術で除去することにより、ゲート電極14aとゲート電極14bをほぼ同時に形成することができる。
【0123】
ここで、改質膜31のエッチング速度は、ポリシリコン膜9に導入するホウ素の濃度および改質膜31の膜厚によって調整することができる。つまり、pチャネル型MISFET形成領域において、ポリシリコン膜9をすべてエッチングする際、nチャネル型MISFET形成領域においては、ポリシリコン膜9がすべてエッチングされずに一部が残存するが、この残存するポリシリコン膜9の膜厚は、改質膜31に導入するホウ素の濃度および改質膜31の膜厚で調整することができる。
【0124】
つまり、nチャネル型MISFET形成領域に残存するポリシリコン膜9と第2金属膜8の総膜厚は、pチャネル型MISFET形成領域に形成されている第1金属膜6と第2金属膜8を合わせた膜厚とほぼ同じにする必要はなく、第3エッチングステップにおける第1金属膜6、第2金属膜8およびポリシリコン膜9のエッチング速度差を考慮して、残存するポリシリコン膜9の膜厚を調整することができる。このようにすることで、pチャネル型MISFET形成領域とnチャネル型MISFET形成領域でほぼ同時にエッチングを終了することができ、ゲート電極14aとゲート電極14bをほぼ同時に形成することができる。その後の工程は、前記実施の形態1と同様である。このようにして、本実施の形態2におけるCMISFETを製造することができる。
【0125】
なお、前記実施の形態1の構成と本実施の形態2の構成を組み合わせてもよい。pチャネル型MISFETのゲート電極を、第1金属膜6、第2金属膜8、ポリシリコン膜9、改質膜11(リン導入)およびコバルトシリサイド膜20から構成する。一方、nチャネル型MISFETのゲート電極を、第2金属膜8、ポリシリコン膜9、改質膜31(ホウ素導入)およびコバルトシリサイド膜20から構成する。このように構成することで、改質膜11によるエッチング速度の高速化および改質膜31によるエッチング速度の遅延化を実現することができるので、チャネル型MISFET形成領域の総膜厚とnチャネル型MISFET形成領域の総膜厚の差をさらに緩和することができる。
【0126】
(実施の形態3)
前記実施の形態1および前記実施の形態2では、pチャネル型MISFETのゲート電極の一部およびnチャネル型MISFETのゲート電極の一部にポリシリコン膜を使用し、改質膜としてポリシリコン膜に不純物を導入する例について説明した。本実施の形態3では、ポリシリコン膜の代わりに金属膜を使用し、改質膜としてこの金属膜の表面を窒化処理する例について説明する。
【0127】
図25は、本実施の形態3におけるCMISFETの構成を示す断面図である。図25は、前記実施の形態1におけるCMISFETの構成を示す図2とほぼ同様の構成をしているため、異なる構成について説明する。
【0128】
本実施の形態3におけるCMISFETが前記実施の形態1におけるCMISFETと異なる点は、pチャネル型MISFETQのゲート電極38bとnチャネル型MISFETQのゲート電極38aの構成である。
【0129】
図25において、pチャネル型MISFETQのゲート電極38bは、ゲート絶縁膜5上に形成された第1金属膜6とこの第1金属膜6上に形成された第2金属膜8を有している。そして、この第2金属膜8上にタングステン膜35が形成されている。ポリシリコン膜9に代えてタングステン膜35を形成している点が前記実施の形態1と異なる点である。第1金属膜6は、前記実施の形態1と同様に、仕事関数がpチャネル型MISFETに適している導電材料から形成される。例えば、第1金属膜6は、窒化チタン膜(TiN膜)から形成される。第2金属膜8は、前記実施の形態1と同様に、仕事関数がnチャネル型MISFETに適している導電材料から形成される。例えば、第2金属膜8は、タンタルシリコンナイトライド膜から形成される。
【0130】
一方、nチャネル型MISFETQのゲート電極38aは、ゲート絶縁膜5上に形成された第2金属膜8とこの第2金属膜8上に形成されたタングステン膜35を有している。そして、このタングステン膜35に改質膜37が形成されている。タングステン膜35に改質膜37が形成されている点が前記実施の形態1と異なる点である。
【0131】
この改質膜37は、タングステン膜35の表面に窒化処理を実施して形成された窒化タングステン膜である。窒化タングステン膜37は、タングステン膜35に比べてエッチング速度が遅くなるという性質がある。この性質を利用して、本実施の形態3では、nチャネル型MISFETQのゲート電極38aに改質膜37を形成している。このため、pチャネル型MISFET形成領域において、タングステン膜35をすべてエッチングする際、nチャネル型MISFET形成領域においては、改質膜37とタングステン膜35がすべてエッチングされずに一部が残存する。この結果、pチャネル型MISFET形成領域の総膜厚とnチャネル型MISFET形成領域の総膜厚の差を緩和することができる。このことから、pチャネル型MISFET形成領域とnチャネル型MISFET形成領域でほぼ同時にエッチングを終了することができ、ゲート電極38aとゲート電極38bをほぼ同時に形成することができる。
【0132】
次に、本実施の形態3におけるCMISFETの製造方法について説明する。図3から図8に示す工程は前記実施の形態1と同様である。その後、図26に示すように、第2金属膜8上にタングステン膜35を形成する。タングステン膜35は、例えば、CVD法を使用して形成することができる。
【0133】
そして、タングステン膜35上にレジスト膜36を塗布した後、フォトリソグラフィ技術を用いてレジスト膜36をパターニングする。レジスト膜36のパターニングは、nチャネル型MISFET形成領域を露出し、pチャネル型MISFET形成領域を覆うように行なわれる。続いて、nチャネル型MISFET形成領域に露出しているタングステン膜35に改質処理を実施することにより、改質膜37を形成する。改質膜37は、例えば、窒素を含む雰囲気中でプラズマ処理、電子線照射、あるいは、紫外線照射などを施すことによりタングステン膜35の表面を窒化することにより形成される。つまり、nチャネル型MISFET形成領域では、タングステン膜35の表面を窒化することにより、窒化タングステンよりなる改質膜37が形成される。
【0134】
次に、レジスト膜36を除去した後、図27に示すように、半導体基板1上に反射防止膜12を形成する。そして、反射防止膜12上にレジスト膜を塗布した後、フォトリソグラフィ技術を使用することにより、レジスト膜をパターニングする。このパターニングにより、レジスト膜13aおよびレジスト膜13bを残存させる。つまり、パターニングは、nチャネル型MISFET形成領域のうちゲート電極形成領域にレジスト膜13aが残るように行なわれ、かつ、pチャネル型MISFET形成領域のうちゲート電極形成領域にレジスト膜13bが残るように行なわれる。
【0135】
続いて、図28に示すように、レジスト膜13a、13bをマスクにして反射防止膜12をエッチングする(第1エッチングステップ)。このエッチングは、例えば、塩素と酸素からなる混合ガスを使用したプラズマエッチングで実施することができる。pチャネル型MISFET形成領域に形成されている反射防止膜12と、nチャネル型MISFET形成領域に形成されている反射防止膜12は、ほぼ同じ膜厚であるので、ほぼ同時に加工することができる。
【0136】
次に、図29に示すように、pチャネル型MISFET形成領域では、タングステン膜35をエッチングし、nチャネル型MISFET形成領域では、改質膜37とタングステン膜35をエッチングする(第2エッチングステップ)。ここで、nチャネル型MISFET形成領域には改質膜37が形成されており、pチャネル型MISFET形成領域には改質膜37が形成されていないので、エッチング条件を適切に選べば両領域の間でエッチング速度に差を生じさせることができる。
【0137】
つまり、タングステン膜35の表面に窒化タングステン膜を形成することにより、タングステン膜35に比べてエッチング速度を遅くすることができるのである。このため、図29に示すように、pチャネル型MISFET形成領域において、タングステン膜35をすべてエッチングする際、nチャネル型MISFET形成領域においては、タングステン膜35がすべてエッチングされずに一部が残存する。この結果、pチャネル型MISFET形成領域の総膜厚とnチャネル型MISFET形成領域の総膜厚の差を緩和することができる。
【0138】
続いて、図30に示すように、pチャネル型MISFET形成領域では、第1金属膜6と第2金属膜8をエッチングすると同時に、nチャネル型MISFET形成領域では、残存するタングステン膜35と第2金属膜8をエッチングする(第3エッチングステップ)。このとき、pチャネル型MISFET形成領域に形成されている膜とnチャネル型MISFET形成領域に形成されている膜とは、材料が異なるが総膜厚はほぼ等しくなっている。このため、エッチング材料間でエッチング速度に差を生じないようにすれば、pチャネル型MISFET形成領域とnチャネル型MISFET形成領域でほぼ同時にエッチングを終了することができる。この後、レジスト膜13a、13bと反射防止膜12をアッシング技術と洗浄技術で除去することにより、ゲート電極38aとゲート電極38bをほぼ同時に形成することができる。
【0139】
ここで、改質膜37のエッチング速度は、窒化タングステン膜の膜厚によって調整することができる。つまり、pチャネル型MISFET形成領域において、タングステン膜35をすべてエッチングする際、nチャネル型MISFET形成領域においては、タングステン膜35がすべてエッチングされずに一部が残存するが、この残存するタングステン膜35の膜厚は、改質膜37を構成する窒化タングステンの膜厚で調整することができる。
【0140】
つまり、nチャネル型MISFET形成領域に残存するタングステン膜35と第2金属膜8の総膜厚は、pチャネル型MISFET形成領域に形成されている第1金属膜6と第2金属膜8を合わせた膜厚とほぼ同じにする必要はなく、第3エッチングステップにおける第1金属膜6、第2金属膜8およびタングステン膜35のエッチング速度差を考慮して、残存するタングステン膜35の膜厚を調整することができる。このようにすることで、pチャネル型MISFET形成領域とnチャネル型MISFET形成領域でほぼ同時にエッチングを終了することができ、ゲート電極38aとゲート電極38bをほぼ同時に形成することができる。その後の工程は、前記実施の形態1と同様である。このようにして、本実施の形態3におけるCMISFETを製造することができる。
【0141】
(実施の形態4)
本実施の形態4では、pチャネル型MISFETのゲート電極を第1金属膜と第2金属膜から構成し、nチャネル型MISFETのゲート電極を第2金属膜と改質膜41から構成する例について説明する。すなわち、本実施の形態4では、ゲート電極にポリシリコン膜やタングステン膜を使用せず、しきい値電圧を調整するための金属膜からゲート電極を形成する例について説明する。
【0142】
図31は、本実施の形態4におけるCMISFETの構成を示す断面図である。図31は、前記実施の形態1におけるCMISFETの構成を示す図2とほぼ同様の構成をしているため、異なる構成について説明する。
【0143】
本実施の形態4におけるCMISFETが前記実施の形態1におけるCMISFETと異なる点は、pチャネル型MISFETQのゲート電極42bとnチャネル型MISFETQのゲート電極42aの構成である。
【0144】
図31において、pチャネル型MISFETQのゲート電極42bは、ゲート絶縁膜5上に形成された第1金属膜6とこの第1金属膜6上に形成された第2金属膜8を有している。第1金属膜6は、前記実施の形態1と同様に、仕事関数がpチャネル型MISFETに適している導電材料から形成される。例えば、第1金属膜6は、アルミニウム膜(Al)、コバルト膜(Co膜)、クロム膜(Cr膜)、ゲルマニウム膜(Ge膜)、ハフニウム膜(Hf膜)、ランタン膜(La膜)、モリブデン膜(Mo膜)、ニオブ膜(Nb膜)、ニッケル膜(Ni膜)、プラチナ膜(Pt膜)、ルテニウム膜(Ru膜)、タンタル膜(Ta膜)、チタン膜(Ti膜)、バナジウム膜(V膜)、タングステン膜(W膜)、ジルコニウム膜(Zr膜)などの金属や、これらの金属を使用した合金から構成することができる。第2金属膜8は、前記実施の形態1と同様に、仕事関数がnチャネル型MISFETに適している導電材料から形成される。例えば、第2金属膜8は、アルミニウム膜(Al)、コバルト膜(Co膜)、クロム膜(Cr膜)、ゲルマニウム膜(Ge膜)、ハフニウム膜(Hf膜)、ランタン膜(La膜)、モリブデン膜(Mo膜)、ニオブ膜(Nb膜)、ニッケル膜(Ni膜)、プラチナ膜(Pt膜)、ルテニウム膜(Ru膜)、タンタル膜(Ta膜)、チタン膜(Ti膜)、バナジウム膜(V膜)、タングステン膜(W膜)、ジルコニウム膜(Zr膜)などの金属や、これらの金属を使用した合金から構成することができる。
【0145】
一方、nチャネル型MISFETQのゲート電極42aは、ゲート絶縁膜5上に形成された第2金属膜8とこの第2金属膜8上に形成された改質膜41を有している。改質膜41は、第2金属膜8を窒化処理した膜である。
【0146】
この改質膜41は、第2金属膜8の表面に窒化処理を実施して形成された膜である。この窒化処理を施した膜は、第2金属膜8に比べてエッチング速度が遅くなるという性質がある。この性質を利用して、本実施の形態4では、nチャネル型MISFETQのゲート電極38aに改質膜41を形成している。このため、pチャネル型MISFET形成領域において、第2金属膜8をすべてエッチングする際、nチャネル型MISFET形成領域においては、改質膜41と第2金属膜8がすべてエッチングされずに一部が残存する。この結果、pチャネル型MISFET形成領域の総膜厚とnチャネル型MISFET形成領域の総膜厚の差を緩和することができる。このことから、pチャネル型MISFET形成領域とnチャネル型MISFET形成領域でほぼ同時にエッチングを終了することができ、ゲート電極42aとゲート電極42bをほぼ同時に形成することができる。
【0147】
次に、本実施の形態4におけるCMISFETの製造方法について説明する。図3から図4に示す工程は前記実施の形態1と同様である。その後、図32に示すように、ゲート絶縁膜5上に第1金属膜6を形成する。第1金属膜6は、仕事関数がpチャネル型MISFETに適している導電材料から形成される。例えば、第1金属膜6は、アルミニウム膜(Al)、コバルト膜(Co膜)、クロム膜(Cr膜)、ゲルマニウム膜(Ge膜)、ハフニウム膜(Hf膜)、ランタン膜(La膜)、モリブデン膜(Mo膜)、ニオブ膜(Nb膜)、ニッケル膜(Ni膜)、プラチナ膜(Pt膜)、ルテニウム膜(Ru膜)、タンタル膜(Ta膜)、チタン膜(Ti膜)、バナジウム膜(V膜)、タングステン膜(W膜)、ジルコニウム膜(Zr膜)などの金属や、これらの金属を使用した合金から構成することができる。この第1金属膜6の膜厚は、前記実施の形態1に比べて厚く形成する。
【0148】
次に、図33に示すように、第1金属膜6上にレジスト膜7を塗布した後、フォトリソグラフィ技術を使用してレジスト膜7をパターニングする。レジスト膜7のパターニングは、pチャネル型MISFET形成領域を覆い、nチャネル型MISFET形成領域を露出するように行なわれる。
【0149】
そして、図34に示すように、パターニングしたレジスト膜7をマスクとしたウェットエッチングにより、露出している第1金属膜6を除去する。つまり、nチャネル型MISFET形成領域に露出している第1金属膜6を除去する。その後、パターニングしたレジスト膜7を除去する。
【0150】
続いて、図35に示すように、半導体基板1上に第2金属膜8を形成する。これにより、pチャネル型MISFET形成領域では、第1金属膜6上に第2金属膜8が形成され、nチャネル型MISFET形成領域では、ゲート絶縁膜5上に第2金属膜8が形成される。この第2金属膜8は、仕事関数がnチャネル型MISFETに適している導電材料から形成される。例えば、第2金属膜8は、アルミニウム膜(Al)、コバルト膜(Co膜)、クロム膜(Cr膜)、ゲルマニウム膜(Ge膜)、ハフニウム膜(Hf膜)、ランタン膜(La膜)、モリブデン膜(Mo膜)、ニオブ膜(Nb膜)、ニッケル膜(Ni膜)、プラチナ膜(Pt膜)、ルテニウム膜(Ru膜)、タンタル膜(Ta膜)、チタン膜(Ti膜)、バナジウム膜(V膜)、タングステン膜(W膜)、ジルコニウム膜(Zr膜)などの金属や、これらの金属を使用した合金から構成することができる。この第2金属膜8の膜厚は、前記実施の形態1に比べて厚く形成する。
【0151】
そして、第2金属膜8上にレジスト膜40を塗布した後、フォトリソグラフィ技術を用いてレジスト膜40をパターニングする。レジスト膜40のパターニングは、nチャネル型MISFET形成領域を露出し、pチャネル型MISFET形成領域を覆うように行なわれる。続いて、図36に示すように、nチャネル型MISFET形成領域に露出している第2金属膜8に改質処理を実施することにより、改質膜41を形成する。改質膜41は、例えば、窒素を含む雰囲気中でプラズマ処理、電子線照射、あるいは、紫外線照射などを施すことにより第2金属膜8の表面を窒化することにより形成される。つまり、nチャネル型MISFET形成領域では、第2金属膜8の表面を窒化することにより、窒化膜よりなる改質膜41が形成される。
【0152】
次に、レジスト膜40を除去した後、図37に示すように、半導体基板1上に反射防止膜12を形成する。そして、反射防止膜12上にレジスト膜を塗布した後、フォトリソグラフィ技術を使用することにより、レジスト膜をパターニングする。このパターニングにより、レジスト膜13aおよびレジスト膜13bを残存させる。つまり、パターニングは、nチャネル型MISFET形成領域のうちゲート電極形成領域にレジスト膜13aが残るように行なわれ、かつ、pチャネル型MISFET形成領域のうちゲート電極形成領域にレジスト膜13bが残るように行なわれる。
【0153】
続いて、図38に示すように、レジスト膜13a、13bをマスクにして反射防止膜12をエッチングする(第1エッチングステップ)。このエッチングは、例えば、塩素と酸素からなる混合ガスを使用したプラズマエッチングで実施することができる。pチャネル型MISFET形成領域に形成されている反射防止膜12と、nチャネル型MISFET形成領域に形成されている反射防止膜12は、ほぼ同じ膜厚であるので、ほぼ同時に加工することができる。
【0154】
次に、図39に示すように、pチャネル型MISFET形成領域では、第2金属膜8をエッチングし、nチャネル型MISFET形成領域では、改質膜41と第2金属膜8をエッチングする(第2エッチングステップ)。ここで、nチャネル型MISFET形成領域には改質膜41が形成されており、pチャネル型MISFET形成領域には改質膜41が形成されていないので、エッチング条件を適切に選べば両領域の間でエッチング速度に差を生じさせることができる。
【0155】
つまり、第2金属膜8の表面に窒化膜を形成することにより、第2金属膜8に比べてエッチング速度を遅くすることができるのである。このため、図39に示すように、pチャネル型MISFET形成領域において、第2金属膜8をすべてエッチングする際、nチャネル型MISFET形成領域においては、第2金属膜8がすべてエッチングされずに一部が残存する。この結果、pチャネル型MISFET形成領域の総膜厚とnチャネル型MISFET形成領域の総膜厚の差を緩和することができる。
【0156】
続いて、図40に示すように、pチャネル型MISFET形成領域では、第1金属膜6をエッチングすると同時に、nチャネル型MISFET形成領域では、残存する第2金属膜8をエッチングする(第3エッチングステップ)。このとき、pチャネル型MISFET形成領域に形成されている膜とnチャネル型MISFET形成領域に形成されている膜とは、材料が異なるが総膜厚はほぼ等しくなっている。このため、エッチング材料間でエッチング速度に差を生じないようにすれば、pチャネル型MISFET形成領域とnチャネル型MISFET形成領域でほぼ同時にエッチングを終了することができる。この後、レジスト膜13a、13bと反射防止膜12をアッシング技術と洗浄技術で除去することにより、ゲート電極42aとゲート電極42bをほぼ同時に形成することができる。
【0157】
ここで、改質膜41のエッチング速度は、改質膜41の膜厚によって調整することができる。つまり、pチャネル型MISFET形成領域において、第2金属膜8をすべてエッチングする際、nチャネル型MISFET形成領域においては、第2金属膜8がすべてエッチングされずに一部が残存するが、この残存する第2金属膜8の膜厚は、改質膜41を構成する窒化膜の膜厚で調整することができる。
【0158】
このようにすることで、pチャネル型MISFET形成領域とnチャネル型MISFET形成領域でほぼ同時にエッチングを終了することができ、ゲート電極42aとゲート電極42bをほぼ同時に形成することができる。その後の工程は、前記実施の形態1と同様である。このようにして、本実施の形態4におけるCMISFETを製造することができる。
【0159】
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
【0160】
前記実施の形態1、2では、第2金属膜8上にポリシリコン膜9を形成し、前記実施の形態3では、第2金属膜8上にタングステン膜35を形成する例について説明したが、これに限らず、導電材料であればよい。例えば、アルミニウム膜(Al)、コバルト膜(Co膜)、クロム膜(Cr膜)、ゲルマニウム膜(Ge膜)、ハフニウム膜(Hf膜)、ランタン膜(La膜)、モリブデン膜(Mo膜)、ニオブ膜(Nb膜)、ニッケル膜(Ni膜)、プラチナ膜(Pt膜)、ルテニウム膜(Ru膜)、タンタル膜(Ta膜)、チタン膜(Ti膜)、バナジウム膜(V膜)、タングステン膜(W膜)、ジルコニウム膜(Zr膜)などの金属や、これらの金属を使用した合金から構成することができる。
【0161】
また、前記実施の形態1、2では、改質膜11、31を形成する改質処理としてイオン注入処理を実施し、前記実施の形態3では、改質膜37を形成する改質処理として、窒素を含む雰囲気中でプラズマ処理、電子線照射、あるいは、紫外線照射などを施す例を挙げている。しかし、改質処理はこれに限らず、導電材料に対する不純物注入処理、酸化処理、窒化処理、合金化処理、相変化処理、あるいはエッチング処理などによってエッチング特性を変える処理を幅広く適用することができる。これらの処理は、具体的に、イオン注入技術、プラズマ処理技術、電子線照射処理、レーザ照射処理、紫外線照射処理あるいは薬液処理などによって実現することができる。
【産業上の利用可能性】
【0162】
本発明は、半導体装置を製造する製造業に幅広く利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0163】
【図1】本発明の実施の形態1におけるCMISFETの基本回路構成を示す図である。
【図2】実施の形態1における半導体装置の構造を示す断面図である。
【図3】実施の形態1における半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図4】図3に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図5】図4に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図6】図5に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図7】図6に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図8】図7に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図9】図8に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図10】図9に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図11】図10に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図12】図11に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図13】図12に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図14】図13に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図15】図14に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図16】図15に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図17】図16に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図18】図17に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図19】実施の形態2における半導体装置の構造を示す断面図である。
【図20】実施の形態2における半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図21】図20に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図22】図21に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図23】図22に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図24】図23に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図25】実施の形態3における半導体装置の構造を示す断面図である。
【図26】実施の形態3における半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図27】図26に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図28】図27に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図29】図28に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図30】図29に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図31】実施の形態4における半導体装置の構造を示す断面図である。
【図32】実施の形態4における半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図33】図32に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図34】図33に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図35】図34に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図36】図35に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図37】図36に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図38】図37に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図39】図38に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図40】図39に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【符号の説明】
【0164】
1 半導体基板
2 素子分離領域
3 p型ウェル
4 n型ウェル
5 ゲート絶縁膜
6 第1金属膜
7 レジスト膜
8 第2金属膜
9 ポリシリコン膜
10 レジスト膜
11 改質膜
12 反射防止膜
13a レジスト膜
13b レジスト膜
14a ゲート電極
14b ゲート電極
15 低濃度n型不純物拡散領域
16 低濃度p型不純物拡散領域
17 サイドウォール
18 高濃度n型不純物拡散領域
19 高濃度p型不純物拡散領域
20 コバルトシリサイド膜
21 酸化シリコン膜
22a チタン/窒化チタン膜
22b タングステン膜
23a チタン/窒化チタン膜
23b アルミニウム膜
23c チタン/窒化チタン膜
30 レジスト膜
31 改質膜
32a ゲート電極
32b ゲート電極
35 タングステン膜
36 レジスト膜
37 改質膜
38a ゲート電極
38b ゲート電極
40 レジスト膜
41 改質膜
42a ゲート電極
42b ゲート電極
CNT コンタクトホール
D1 ドレイン領域
D2 ドレイン領域
G1 ゲート電極
G2 ゲート電極
GND 接地電位
IN 入力端子
L1 配線
OUT 出力端子
PLG プラグ
S1 ソース領域
S2 ソース領域
pチャネル型MISFET
nチャネル型MISFET
Vcc 電源電位

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)半導体基板と、
(b)前記半導体基板の第1領域上に形成された第1MISFETと、
(c)前記半導体基板の第2領域上に形成された第2MISFETとを備え、
前記第1MISFETは、
(b1)前記半導体基板上に形成された第1ゲート絶縁膜と、
(b2)前記第1ゲート絶縁膜上に形成された第1ゲート電極とを有し、
前記第2MISFETは、
(c1)前記半導体基板上に形成された第2ゲート絶縁膜と、
(c2)前記第2ゲート絶縁膜上に形成された第2ゲート電極とを有する半導体装置であって、
前記第1ゲート電極は、
(d1)前記第1ゲート絶縁膜と接するように形成された第1金属含有膜と、
(d2)前記第1金属含有膜上に形成された第2金属含有膜と、
(d3)前記第2金属含有膜上に形成された第1導体膜とを含み、
前記第2ゲート電極は、
(e1)前記第2ゲート絶縁膜と接するように形成された前記第2金属含有膜と、
(e2)前記第2金属含有膜上に形成された前記第1導体膜とを含み、
前記第1ゲート電極を構成する前記第1導体膜は、前記第1導体膜を改質した改質膜を含むことを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
請求項1記載の半導体装置であって、
前記第1導体膜は、ポリシリコン膜であることを特徴とする半導体装置。
【請求項3】
請求項2記載の半導体装置であって、
前記改質膜は、前記ポリシリコン膜にn型不純物を導入した膜であることを特徴とする半導体装置。
【請求項4】
請求項3記載の半導体装置であって、
前記n型不純物は、リンであることを特徴とする半導体装置。
【請求項5】
請求項3記載の半導体装置であって、
前記第1MISFETは、pチャネル型MISFETであり、前記第2MISFETは、nチャネル型MISFETであることを特徴とする半導体装置。
【請求項6】
請求項5記載の半導体装置であって、
前記第1金属含有膜は、窒化チタン膜であり、前記第2金属含有膜は、タンタルシリコンナイトライド膜であることを特徴とする半導体装置。
【請求項7】
請求項3記載の半導体装置であって、
前記第1MISFETは、nチャネル型MISFETであり、前記第2MISFETは、pチャネル型MISFETであることを特徴とする半導体装置。
【請求項8】
請求項1記載の半導体装置であって、
前記第1ゲート絶縁膜および前記第2ゲート絶縁膜は、酸化シリコン膜よりも誘電率の高い高誘電率膜であることを特徴とする半導体装置。
【請求項9】
(a)半導体基板と、
(b)前記半導体基板の第1領域上に形成された第1MISFETと、
(c)前記半導体基板の第2領域上に形成された第2MISFETとを備え、
前記第1MISFETは、
(b1)前記半導体基板上に形成された第1ゲート絶縁膜と、
(b2)前記第1ゲート絶縁膜上に形成された第1ゲート電極とを有し、
前記第2MISFETは、
(c1)前記半導体基板上に形成された第2ゲート絶縁膜と、
(c2)前記第2ゲート絶縁膜上に形成された第2ゲート電極とを有する半導体装置であって、
前記第1ゲート電極は、
(d1)前記第1ゲート絶縁膜と接するように形成された第1金属含有膜と、
(d2)前記第1金属含有膜上に形成された第2金属含有膜と、
(d3)前記第2金属含有膜上に形成された第1導体膜とを含み、
前記第2ゲート電極は、
(e1)前記第2ゲート絶縁膜と接するように形成された前記第2金属含有膜と、
(e2)前記第2金属含有膜上に形成された前記第1導体膜とを含み、
前記第2ゲート電極を構成する前記第1導体膜は、前記第1導体膜を改質した改質膜を含むことを特徴とする半導体装置。
【請求項10】
請求項9記載の半導体装置であって、
前記第1導体膜は、ポリシリコン膜であることを特徴とする半導体装置。
【請求項11】
請求項10記載の半導体装置であって、
前記改質膜は、前記ポリシリコン膜にp型不純物を導入した膜であることを特徴とする半導体装置。
【請求項12】
請求項11記載の半導体装置であって、
前記改質膜は、前記ポリシリコン膜にホウ素を導入した膜であることを特徴とする半導体装置。
【請求項13】
請求項9記載の半導体装置であって、
前記第1導体膜は、第3金属含有膜であることを特徴とする半導体装置。
【請求項14】
請求項13記載の半導体装置であって、
前記改質膜は、前記第3金属含有膜の表面に形成され、前記第3金属含有膜を窒化した膜であることを特徴とする半導体装置。
【請求項15】
請求項14記載の半導体装置であって、
前記第3金属含有膜は、タングステン膜であり、前記改質膜は、窒化タングステン膜であることを特徴とする半導体装置。
【請求項16】
(a)半導体基板と、
(b)前記半導体基板の第1領域上に形成された第1MISFETと、
(c)前記半導体基板の第2領域上に形成された第2MISFETとを備え、
前記第1MISFETは、
(b1)前記半導体基板上に形成された第1ゲート絶縁膜と、
(b2)前記第1ゲート絶縁膜上に形成された第1ゲート電極とを有し、
前記第2MISFETは、
(c1)前記半導体基板上に形成された第2ゲート絶縁膜と、
(c2)前記第2ゲート絶縁膜上に形成された第2ゲート電極とを有する半導体装置であって、
前記第1ゲート電極は、
(d1)前記第1ゲート絶縁膜と接するように形成された第1金属含有膜と、
(d2)前記第1金属含有膜上に形成された第2金属含有膜とを含み、
前記第2ゲート電極は、
(e1)前記第2ゲート絶縁膜と接するように形成された前記第2金属含有膜とを含み
前記第2ゲート電極を構成する前記第2金属含有膜は、前記第2金属含有膜を改質した改質膜を含むことを特徴とする半導体装置。
【請求項17】
請求項16記載の半導体装置であって、
前記改質膜は、前記第2金属含有膜の表面に形成され、前記第2金属含有膜を窒化した膜であることを特徴とする半導体装置。
【請求項18】
半導体基板の第1領域に第1MISFETを形成し、前記半導体基板の第2領域に第2MISFETを形成する半導体装置の製造方法であって、
(a)前記半導体基板上にゲート絶縁膜を形成する工程と、
(b)前記ゲート絶縁膜上に第1金属含有膜を形成する工程と、
(c)前記半導体基板の前記第2領域に形成されている前記第1金属含有膜を選択的に除去する工程と、
(d)前記半導体基板の前記第1領域では、前記第1金属含有膜上に第2金属含有膜を形成し、前記半導体基板の前記第2領域では、前記第1金属含有膜が除去されて露出している前記ゲート絶縁膜上に前記第2金属含有膜を形成する工程と、
(e)前記第2金属含有膜上に第1導体膜を形成する工程と、
(f)前記第1領域に形成されている前記第1導体膜あるいは前記第2領域に形成されている前記第1導体膜のいずれかの領域に形成されている前記第1導体膜に対して、選択的に改質処理を実施する工程と、
(g)前記第1領域に形成されている前記第1導体膜、前記第2金属含有膜および前記第1金属含有膜をエッチングして前記第1MISFETの第1ゲート電極を形成するとともに、前記第2領域に形成されている前記第1導体膜および前記第2金属含有膜をエッチングして前記第2MISFETの第2ゲート電極を形成する工程とを備えることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項19】
請求項18記載の半導体装置の製造方法であって、
前記(f)工程で実施される前記改質処理は、前記(f)工程後に実施される前記(g)工程での前記第1ゲート電極を形成するエッチング速度と前記第2ゲート電極を形成するエッチング速度の差異を吸収する処理であることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項20】
請求項19記載の半導体装置の製造方法であって、
前記(f)工程で実施される前記改質処理は、イオン注入処理、プラズマ処理、電子線処理、レーザ照射処理、紫外線照射処理、あるいは、薬液処理のいずれかの処理であることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項21】
請求項18記載の半導体装置の製造方法であって、
前記第1導体膜は、ポリシリコン膜であり、
前記(f)工程で実施される前記改質処理は、前記第1領域に形成されている前記ポリシリコン膜に対して、n型不純物をイオン注入する処理であることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項22】
請求項21記載の半導体装置の製造方法であって、
前記n型不純物は、リンであることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項23】
請求項18記載の半導体装置の製造方法であって、
前記第1導体膜は、ポリシリコン膜であり、
前記(f)工程で実施される前記改質処理は、前記第2領域に形成されている前記ポリシリコン膜に対して、p型不純物をイオン注入する処理であることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項24】
請求項23記載の半導体装置の製造方法であって、
前記p型不純物は、ホウ素であることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項25】
請求項18記載の半導体装置の製造方法であって、
前記第1導体膜は、第3金属含有膜であり、
前記(f)工程で実施される前記改質処理は、前記第2領域に形成されている前記第3金属含有膜の表面を窒化する処理であることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項26】
請求項25記載の半導体装置の製造方法であって、
前記第3金属含有膜はタングステン膜であり、
前記(f)工程で実施される前記改質処理によって、前記第2領域に形成されている前記タングステン膜の表面に窒化タングステン膜を形成することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項27】
半導体基板の第1領域に第1MISFETを形成し、前記半導体基板の第2領域に第2MISFETを形成する半導体装置の製造方法であって、
(a)前記半導体基板上にゲート絶縁膜を形成する工程と、
(b)前記ゲート絶縁膜上に第1金属含有膜を形成する工程と、
(c)前記半導体基板の前記第2領域に形成されている前記第1金属含有膜を選択的に除去する工程と、
(d)前記半導体基板の前記第1領域では、前記第1金属含有膜上に第2金属含有膜を形成し、前記半導体基板の前記第2領域では、前記第1金属含有膜が除去されて露出している前記ゲート絶縁膜上に前記第2金属含有膜を形成する工程と、
(e)前記第2領域に形成されている前記第2金属含有膜に対して、選択的に改質処理を実施する工程と、
(f)前記第1領域に形成されている前記第2金属含有膜および前記第1金属含有膜をエッチングして前記第1MISFETの第1ゲート電極を形成するとともに、前記第2領域に形成されている前記第2金属含有膜をエッチングして前記第2MISFETの第2ゲート電極を形成する工程とを備えることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項28】
請求項27記載の半導体装置の製造方法であって、
前記(f)工程で実施される前記改質処理は、前記(f)工程後に実施される前記(g)工程での前記第1ゲート電極を形成するエッチング速度と前記第2ゲート電極を形成するエッチング速度の差異を吸収する処理であることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項29】
請求項28記載の半導体装置の製造方法であって、
前記(f)工程で実施される前記改質処理は、イオン注入処理、プラズマ処理、電子線処理、レーザ照射処理、紫外線照射処理、あるいは、薬液処理のいずれかの処理であることを特徴とする半導体装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【公開番号】特開2009−71042(P2009−71042A)
【公開日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−237965(P2007−237965)
【出願日】平成19年9月13日(2007.9.13)
【出願人】(503121103)株式会社ルネサステクノロジ (4,790)
【Fターム(参考)】