説明

半導体装置およびその製造方法

【課題】不揮発性メモリを有する半導体装置の性能を向上させる。
【解決手段】スプリットゲート型の不揮発性メモリのメモリゲート電極MGとp型ウエルPW1との間および制御ゲート電極CGとメモリゲート電極MGとの間には、絶縁膜5が形成されている。この絶縁膜5のうち、メモリゲート電極MGの下面と半導体基板1の上面との間の部分は、酸化シリコン膜6a,6cと酸化シリコン膜6a,6cに挟まれた窒化シリコン膜6bとを有している。絶縁膜5のうち、制御ゲート電極CGの側面とメモリゲート電極MGの側面との間の部分は、酸化シリコン膜6a,6cと酸化シリコン膜6a,6cに挟まれた空洞CAVとを有し、窒化シリコン膜6bを有していない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置およびその製造方法に関し、特に、不揮発性メモリを有する半導体装置およびその製造方法に適用して有効な技術に関する。
【背景技術】
【0002】
電気的に書込・消去が可能な不揮発性半導体記憶装置として、EEPROM(Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory)が広く使用されている。現在広く用いられているフラッシュメモリに代表されるこれらの記憶装置(メモリ)は、MISFETのゲート電極下に、酸化膜で囲まれた導電性の浮遊ゲート電極やトラップ性絶縁膜を有しており、浮遊ゲートやトラップ性絶縁膜での電荷蓄積状態を記憶情報とし、それをトランジスタの閾値として読み出すものである。このトラップ性絶縁膜とは、電荷の蓄積可能な絶縁膜をいい、一例として、窒化シリコン膜などがあげられる。このような電荷蓄積領域への電荷の注入・放出によってMISFETのしきい値をシフトさせ記憶素子として動作させる。このフラッシュメモリとしては、MONOS(Metal-Oxide-Nitride-Oxide-Semiconductor)膜を用いたスプリットゲート型セルがある。かかるメモリにおいては、電荷蓄積領域として窒化シリコン膜を用いることで、導電性の浮遊ゲート膜と比べ、離散的に電荷を蓄積するためにデータ保持の信頼性に優れ、また、データ保持の信頼性に優れているために窒化シリコン膜上下の酸化膜を薄膜化でき、書込み・消去動作の低電圧化が可能である、等の利点を有する。
【0003】
特開2005−259843号公報(特許文献1)、特開2009−212399号公報(特許文献2)、特開2006−41227号公報(特許文献3)および特開2007−324188号公報(特許文献4)には、MONOS型不揮発性メモリに関する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−259843号公報
【特許文献2】特開2009−212399号公報
【特許文献3】特開2006−41227号公報
【特許文献4】特開2007−324188号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明者の検討によれば、次のことが分かった。
【0006】
スプリットゲート型の不揮発性メモリには、積層ゲート絶縁膜が形成され、不揮発性メモリの制御ゲート電極とメモリゲート電極とは、この積層ゲート絶縁膜を介して隣接している。近年、上記不揮発性メモリにおいて、隣接するゲート電極間の耐圧を向上させることや、積層ゲート絶縁膜の信頼性を確保することや、電気的性能を向上させることなどが望まれている。
【0007】
本発明の目的は、半導体装置の電気的性能を向上できる技術を提供することにある。また、本発明のその他の目的は、半導体装置の信頼性を向上できる技術を提供することである。また、本発明のその他の目的は、半導体装置の電気的性能を向上できる技術を提供し、かつ、半導体装置の信頼性を向上できる技術を提供することである。
【0008】
本発明の前記ならびにその他の目的と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本願において開示される発明のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、次のとおりである。
【0010】
代表的な実施の形態による半導体装置は、不揮発性メモリのメモリセルを備える半導体装置であって、半導体基板の上部にゲート絶縁膜を介して形成された第1ゲート電極と、前記半導体基板の上部に形成されて前記第1ゲート電極と隣り合う第2ゲート電極と、前記第1ゲート電極と前記半導体基板との間および前記第1ゲート電極と前記第2ゲート電極との間に形成された絶縁膜とを有している。前記絶縁膜のうち、前記第2ゲート電極の下面と前記半導体基板の上面との間の第1の部分は、第1酸化シリコン膜と第2酸化シリコン膜と前記第1および第2酸化シリコン膜に挟まれた窒化シリコン膜とを有し、前記窒化シリコン膜は、メモリセルの電荷蓄積部として機能する。前記絶縁膜のうち、前記第1ゲート電極の側面と前記第2ゲート電極の側面との間の第2の部分は、前記第1酸化シリコン膜と前記第2酸化シリコン膜と前記第1および第2酸化シリコン膜に挟まれた空洞とを有し、前記窒化シリコン膜を有していない。
【0011】
また、代表的な実施の形態による半導体装置の製造方法は、不揮発性メモリのメモリセルを備える半導体装置の製造方法であって、(a)半導体基板を用意する工程、(b)前記半導体基板の主面上に第1ゲート絶縁膜を介して前記メモリセルを構成する第1ゲート電極を形成する工程を有している。更に、(c)前記半導体基板の主面と前記第1ゲート電極の側面上に、第1酸化シリコン膜、窒化シリコン膜および第2酸化シリコン膜の積層膜からなる絶縁膜を形成する工程、(d)前記絶縁膜上に、前記第1ゲート電極と前記絶縁膜を介して隣り合い、前記メモリセルを構成する第2ゲート電極を形成する工程、(e)前記第2ゲート電極で覆われていない部分の前記絶縁膜を除去する工程を有している。更に、(f)前記(e)工程後、前記第2ゲート電極の側壁であって、前記第1ゲート電極に隣接する側とは反対側の側壁上に、側壁絶縁膜を形成する工程、(g)前記(f)工程後、前記絶縁膜のうち、前記第1ゲート電極の側面と前記第2ゲート電極の側面との間の部分の前記窒化シリコン膜を除去して空洞を形成する工程を有している。
【発明の効果】
【0012】
本願において開示される発明のうち、代表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば以下のとおりである。
【0013】
代表的な実施の形態によれば、半導体装置の電気的性能を向上させることができる。また、半導体装置の信頼性を向上させることができる。また、電気的性能を向上させることができ、かつ、半導体装置の信頼性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の一実施の形態である半導体装置の要部断面図である。
【図2】図1の一部を拡大した部分拡大断面図である。
【図3】メモリセルの等価回路図である。
【図4】「書込」、「消去」および「読出」時における選択メモリセルの各部位への電圧の印加条件の一例を示す表である。
【図5】本発明の一実施の形態である半導体装置の製造工程の一部を示すプロセスフロー図である。
【図6】本発明の一実施の形態の半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【図7】図6に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【図8】図7に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【図9】図8に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【図10】図9に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【図11】図10に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【図12】図11に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【図13】図12に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【図14】図13に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【図15】図14に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【図16】図15の部分拡大断面図である。
【図17】図15に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【図18】図17に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【図19】図18の部分拡大断面図である。
【図20】図18に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【図21】図20に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【図22】図21の部分拡大断面図である。
【図23】図21に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【図24】図23の部分拡大断面図である。
【図25】図23に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【図26】図25の部分拡大断面図である。
【図27】図25に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【図28】図27に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【図29】図28に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【図30】図29に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【図31】図30に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【図32】図31に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【図33】比較例の半導体装置の要部断面図である。
【図34】図33の一部を拡大した部分拡大断面図である。
【図35】本発明の一実施の形態である半導体装置の説明図である。
【図36】空洞と窒化シリコン膜の形成領域を説明するための説明図である。
【図37】空洞と窒化シリコン膜の形成領域を説明するための説明図である。
【図38】空洞と窒化シリコン膜の形成領域を説明するための説明図である。
【図39】空洞と窒化シリコン膜の形成領域を説明するための説明図である。
【図40】空洞と窒化シリコン膜の形成領域を説明するための説明図である。
【図41】本発明の他の実施の形態である半導体装置の要部断面図である。
【図42】図41の一部を拡大した部分拡大断面図である。
【図43】本発明の他の実施の形態の半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【図44】本発明の他の実施の形態の半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【図45】本発明の他の実施の形態の半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【図46】本発明の他の実施の形態の半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【図47】本発明の他の実施の形態の半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【図48】本発明の他の実施の形態の半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【図49】本発明の他の実施の形態の半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下の実施の形態においては便宜上その必要があるときは、複数のセクションまたは実施の形態に分割して説明するが、特に明示した場合を除き、それらはお互いに無関係なものではなく、一方は他方の一部または全部の変形例、詳細、補足説明等の関係にある。また、以下の実施の形態において、要素の数等(個数、数値、量、範囲等を含む)に言及する場合、特に明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されるものではなく、特定の数以上でも以下でも良い。さらに、以下の実施の形態において、その構成要素(要素ステップ等も含む)は、特に明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。同様に、以下の実施の形態において、構成要素等の形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に明らかにそうでないと考えられる場合等を除き、実質的にその形状等に近似または類似するもの等を含むものとする。このことは、上記数値および範囲についても同様である。
【0016】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための全図において、同一の機能を有する部材には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。また、以下の実施の形態では、特に必要なとき以外は同一または同様な部分の説明を原則として繰り返さない。
【0017】
また、実施の形態で用いる図面においては、断面図であっても図面を見易くするためにハッチングを省略する場合もある。また、平面図であっても図面を見易くするためにハッチングを付す場合もある。
【0018】
(実施の形態1)
本発明は、不揮発性メモリ(不揮発性記憶素子、フラッシュメモリ、不揮発性半導体記憶装置)を備えた半導体装置であり、不揮発性メモリは、主として電荷蓄積部にトラップ性絶縁膜(電荷を蓄積可能な絶縁膜)を用いたものである。以下の実施の形態では、不揮発性メモリは、nチャネル型MISFET(MISFET:Metal Insulator Semiconductor Field Effect Transistor)を基本としトラップ性絶縁膜を用いたメモリセルをもとに説明を行う。また、以下の実施の形態での極性(書込・消去・読出時の印加電圧の極性やキャリアの極性)は、nチャネル型MISFETを基本としたメモリセルの場合の動作を説明するためのものであり、pチャネル型MISFETを基本とする場合は、印加電位やキャリアの導電型等の全ての極性を反転させることで、原理的には同じ動作を得ることができる。
【0019】
本実施の形態の半導体装置およびその製造方法を図面を参照して説明する。
【0020】
図1は、本実施の形態の半導体装置の要部断面図である。本実施の形態の半導体装置は、不揮発性メモリを備えた半導体装置であり、図1には、不揮発性メモリのメモリセル領域の要部断面図が示されている。図2は、本実施の形態の半導体装置におけるメモリセルMCの部分拡大断面図(要部断面図)であり、図1の一部が拡大して示してある。図3は、メモリセルMCの等価回路図である。なお、図2は、理解を簡単にするために、図1の構造のうち、制御ゲート電極CG、メモリゲート電極MG、絶縁膜3,5および側壁絶縁膜SW1と、それらの直下の基板領域(p型ウエルPW1を構成する半導体基板1の一部)のみが図示されている。
【0021】
図1に示されるように、例えば1〜10Ωcm程度の比抵抗を有するp型の単結晶シリコンなどからなる半導体基板(半導体ウエハ)1には、素子を分離するための素子分離領域(後述の素子分離領域2に対応するが、ここでは図示されていない)が形成されており、この素子分離領域で分離(規定)された活性領域に、p型ウエルPW1が形成されている。メモリセル領域のp型ウエルPW1には、図1に示されるようなメモリトランジスタおよび制御トランジスタ(選択トランジスタ)からなる不揮発性メモリのメモリセルMCが形成されている。各メモリセル領域には複数のメモリセルMCがアレイ状に形成されており、各メモリセル領域は、素子分離領域によって他の領域から電気的に分離されている。
【0022】
図1〜図3に示されるように、本実施の形態の半導体装置における不揮発性メモリのメモリセルMCは、スプリットゲート型のメモリセルであり、制御ゲート電極(選択ゲート電極)CGを有する制御トランジスタ(選択トランジスタ)とメモリゲート電極(メモリ用ゲート電極)MGを有するメモリトランジスタとの2つのMISFETを接続したものである。
【0023】
ここで、電荷蓄積部(電荷蓄積層)を含むゲート絶縁膜およびメモリゲート電極MGを備えるMISFET(Metal Insulator Semiconductor Field Effect Transistor)をメモリトランジスタ(記憶用トランジスタ)といい、また、ゲート絶縁膜および制御ゲート電極CGを備えるMISFETを制御トランジスタ(選択トランジスタ、メモリセル選択用トランジスタ)という。従って、メモリゲート電極MGは、メモリトランジスタのゲート電極であり、制御ゲート電極CGは、制御トランジスタのゲート電極であり、制御ゲート電極CGおよびメモリゲート電極MGは、不揮発性メモリ(のメモリセル)を構成するゲート電極である。
【0024】
以下に、メモリセルMCの構成を具体的に説明する。
【0025】
図1および図2に示されるように、不揮発性メモリのメモリセルMCは、半導体基板1のp型ウエルPW1中に形成されたソースおよびドレイン用のn型の半導体領域MS,MDと、半導体基板1(p型ウエルPW1)の上部に形成された制御ゲート電極CGと、半導体基板1(p型ウエルPW1)の上部に形成されて制御ゲート電極CGと隣合うメモリゲート電極MGとを有している。そして、不揮発性メモリのメモリセルMCは、更に、制御ゲート電極CGおよび半導体基板1(p型ウエルPW1)間に形成された絶縁膜(ゲート絶縁膜)3と、メモリゲート電極MGおよび半導体基板1(p型ウエルPW1)間とメモリゲート電極MGおよび制御ゲート電極CG間とに形成された絶縁膜5とを有している。
【0026】
制御ゲート電極CGおよびメモリゲート電極MGは、それらの対向側面(側壁)の間に絶縁膜5を介した状態で、半導体基板1の主面に沿って延在し、並んで配置されている。制御ゲート電極CGおよびメモリゲート電極MGの延在方向は、図1の紙面に垂直な方向である。制御ゲート電極CGおよびメモリゲート電極MGは、半導体領域MDおよび半導体領域MS間の半導体基板1(p型ウエルPW1)の上部に絶縁膜3,5を介して(但し、制御ゲート電極CGは絶縁膜3を介し、メモリゲート電極MGは絶縁膜5を介して)形成されており、半導体領域MS側にメモリゲート電極MGが位置し、半導体領域MD側に制御ゲート電極CGが位置している。
【0027】
制御ゲート電極CGとメモリゲート電極MGとは、間に絶縁膜5を介在して互いに隣り合っており、メモリゲート電極MGは、制御ゲート電極CGの側壁上に絶縁膜5を介してサイドウォールスペーサ状に形成されている。また、絶縁膜5は、メモリゲート電極MGと半導体基板1(p型ウエルPW1)の間の領域と、メモリゲート電極MGと制御ゲート電極CGの間の領域の、両領域にわたって延在している。
【0028】
制御ゲート電極CGと半導体基板1(p型ウエルPW1)の間に形成された絶縁膜3(すなわち制御ゲート電極CGの下の絶縁膜3)が、制御トランジスタのゲート絶縁膜として機能し、メモリゲート電極MGと半導体基板1(p型ウエルPW1)の間の絶縁膜5(すなわちメモリゲート電極MGの下の絶縁膜5)が、メモリトランジスタのゲート絶縁膜(内部に電荷蓄積部を有するゲート絶縁膜)として機能する。
【0029】
絶縁膜3は、例えば酸化シリコン膜または酸窒化シリコン膜などにより形成することができる。また、絶縁膜3は、上述の酸化シリコン膜または酸窒化シリコン膜など以外にも、酸化ハフニウム膜、酸化アルミニウム膜(アルミナ)または酸化タンタル膜など、窒化シリコン膜よりも高い誘電率を有する金属酸化膜を使用してもよい。
【0030】
絶縁膜5は、メモリゲート電極MGと半導体基板1(p型ウエルPW1)の間の領域と、メモリゲート電極MGと制御ゲート電極CGの間の領域の、両領域にわたって延在しているが、メモリゲート電極MGと半導体基板1(p型ウエルPW1)の間の領域と、メモリゲート電極MGと制御ゲート電極CGの間の領域とで、絶縁膜5の構成(構造)が異なっている。
【0031】
すなわち、絶縁膜5は、酸化シリコン膜(酸化シリコン層)6aと、酸化シリコン膜6a上の窒化シリコン膜(窒化シリコン層、電荷蓄積層)6bと、窒化シリコン膜6b上の酸化シリコン膜(酸化シリコン層)6cとの積層構造を有している領域と、酸化シリコン膜6a,6cは有しているが、酸化シリコン膜6a,6c間に窒化シリコン膜6bが無く、代わりに空洞CAVが存在している領域とを有している。詳細は後述するが、絶縁膜5は、その形成時には、酸化シリコン膜6aと酸化シリコン膜6a上の窒化シリコン膜6bと窒化シリコン膜6b上の酸化シリコン膜6cとの積層膜として形成されていたものが、その後に窒化シリコン膜6bの一部を除去することで、窒化シリコン膜6bが除去された部分が空洞CAVとなったものである。従って、絶縁膜5は、窒化シリコン膜6bを有している領域(すなわち酸化シリコン膜6aと窒化シリコン膜6bと酸化シリコン膜6cとの積層膜となっている領域)には、空洞CAVが無く、一方、酸化シリコン膜6a,6c間に空洞CAVが形成されている領域には、窒化シリコン膜6bが無い状態となっている。このため、空洞CAVと窒化シリコン膜6bとは互いに隣接しており、窒化シリコン膜6bの端部が、空洞CAVに隣接して空洞CAVの内壁の一部を形成している。また、窒化シリコン膜6bが除去された部分が空洞CAVとなっているため、空洞CAVの厚みと窒化シリコン膜6bの厚みとは、ほぼ同じである。ここで、空洞CAVの厚みは、空洞CAVを挟む酸化シリコン膜6a,6cの厚み方向に平行な方向の厚み(寸法)に対応する。また、絶縁膜5全体にわたって、酸化シリコン膜6aは一体的に形成されており、また、絶縁膜5全体にわたって、酸化シリコン膜6cは一体的に形成されている。
【0032】
メモリゲート電極MGと半導体基板1(p型ウエルPW1)との間に位置する部分の絶縁膜5は、メモリトランジスタのゲート絶縁膜として機能する。一方、メモリゲート電極MGと制御ゲート電極CGとの間に位置する部分の絶縁膜5は、メモリゲート電極MGと制御ゲート電極CGとの間を絶縁(電気的に分離)するための絶縁膜として機能する。
【0033】
メモリトランジスタのゲート絶縁膜は、電荷蓄積部を有するが、この電荷蓄積部となるのが窒化シリコン膜6bである。すなわち、絶縁膜5において、窒化シリコン膜6bは、電荷を蓄積するための絶縁膜であり、電荷蓄積層(電荷蓄積部)として機能する。つまり、窒化シリコン膜6bは、絶縁膜5中に形成されたトラップ性絶縁膜である。このため、絶縁膜5のうち、酸化シリコン膜6aと窒化シリコン膜6bと酸化シリコン膜6cとの積層膜となっている部分は、内部に電荷蓄積部(電荷蓄積層、ここでは窒化シリコン膜6b)を有する絶縁膜とみなすことができる。窒化シリコン膜6bの上下に位置する酸化シリコン膜6cおよび酸化シリコン膜6aは、電荷ブロック層(電荷ブロック膜、電荷閉じ込め層)として機能することができる。窒化シリコン膜6bを酸化シリコン膜6cおよび酸化シリコン膜6aで挟んだ構造とすることで、窒化シリコン膜6bへの電荷の蓄積が可能となる。
【0034】
本実施の形態では、メモリゲート電極MGと半導体基板1(p型ウエルPW1)の間に位置する部分の絶縁膜5が、酸化シリコン膜6a,6cに挟まれた窒化シリコン膜6bを有し、この窒化シリコン膜6bが電荷蓄積部として機能し、一方、メモリゲート電極MGと制御ゲート電極CGの間に位置する部分の絶縁膜5が空洞CAVを有するようにしている。すなわち、絶縁膜5のうち、メモリゲート電極MGの下面と半導体基板1(p型ウエルPW1)の上面との間の部分は、酸化シリコン膜6a,6cと酸化シリコン膜6a,6cに挟まれた窒化シリコン膜とを有し、絶縁膜5のうち、制御ゲート電極CGの側面とメモリゲート電極MGの側面との間の部分は、酸化シリコン膜6a,6cと酸化シリコン膜6a,6cに挟まれた空洞CAVとを有し、窒化シリコン膜6bを有さないようにしている。
【0035】
このように、メモリゲート電極MGと半導体基板1(p型ウエルPW1)の間に位置する部分の絶縁膜5は、主として、酸化シリコン膜6aと窒化シリコン膜6bと酸化シリコン膜6cとの積層構造を有し、一方、メモリゲート電極MGと制御ゲート電極CGの間に位置する部分の絶縁膜5は、主として、酸化シリコン膜6aおよび酸化シリコン膜6cと、酸化シリコン膜6a,6c間の空洞CAVとで構成されている。
【0036】
絶縁膜5をこのような構成とした理由については、後でより詳細に説明する。
【0037】
空洞CAVの上部は、酸化シリコン膜6aと酸化シリコン膜6cとによって挟まれた絶縁膜部分(絶縁体部分)10aによって塞がれている状態(蓋をされた状態)となっている。この絶縁膜部分10aは、詳細は後述するが、サイドウォールスペーサSW2を形成するための絶縁膜(後述の絶縁膜10に対応)の一部によって形成されており、絶縁体(サイドウォールスペーサSW2の少なくとも一部と同種の絶縁体材料)からなるが、好ましくは酸化シリコンからなる。従って、空洞CAVは、酸化シリコン膜6a,6c、窒化シリコン膜6bおよび絶縁膜部分10aによって囲まれており、酸化シリコン膜6a,6c、窒化シリコン膜6bおよび絶縁膜部分10aによって空洞CAVの内壁が形成されている。
【0038】
半導体領域MSは、ソース領域またはドレイン領域の一方として機能する半導体領域であり、半導体領域MDは、ソース領域またはドレイン領域の他方として機能する半導体領域である。ここでは、半導体領域MSはソース領域として機能する半導体領域、半導体領域MDはドレイン領域として機能する半導体領域である。半導体領域MS,MDは、n型の不純物が導入された半導体領域(n型不純物拡散層)よりなり、それぞれLDD(lightly doped drain)構造を備えている。すなわち、ソース用の半導体領域MSは、n型半導体領域(エクステンション領域)9aと、n型半導体領域9aよりも高い不純物濃度を有するn型半導体領域(ソース領域)11aとを有し、ドレイン用の半導体領域MDは、n型半導体領域(エクステンション領域)9bと、n型半導体領域9bよりも高い不純物濃度を有するn型半導体領域(ドレイン領域)11bとを有している。n型半導体領域11aは、n型半導体領域9aよりも接合深さが深くかつ不純物濃度が高く、また、n型半導体領域11bは、n型半導体領域9bよりも接合深さが深くかつ不純物濃度が高い。
【0039】
メモリゲート電極MGおよび制御ゲート電極CGの側壁(互いに隣接していない側の側壁)上には、絶縁体(絶縁膜)からなる側壁絶縁膜(サイドウォール、側壁スペーサ、サイドウォールスペーサ、オフセットスペーサ)SW1が形成されている。更に、メモリゲート電極MGおよび制御ゲート電極CGの側壁(互いに隣接していない側の側壁)上には、この側壁絶縁膜SW1を介して、絶縁体(絶縁膜)からなるサイドウォールスペーサ(サイドウォール、側壁スペーサ、側壁絶縁膜)SW2が形成されている。すなわち、絶縁膜5を介して制御ゲート電極CGに隣接する側とは逆側のメモリゲート電極MGの側壁(側面)上と、絶縁膜5を介してメモリゲート電極MGに隣接する側とは逆側の制御ゲート電極CGの側壁(側面)上とに、側壁絶縁膜SW1およびサイドウォールスペーサSW2が形成されており、メモリゲート電極MGおよび制御ゲート電極CGに近い側に側壁絶縁膜SW1が、遠い側にサイドウォールスペーサSW2が配置されている。
【0040】
ソース部のn型半導体領域9aはメモリゲート電極MGの側壁上の側壁絶縁膜SW1に対して自己整合的に形成され、n型半導体領域11aはメモリゲート電極MGの側壁上に側壁絶縁膜SW1を介して形成されたサイドウォールスペーサSW2に対して自己整合的に形成されている。このため、低濃度のn型半導体領域9aはメモリゲート電極MGの側壁上のサイドウォールスペーサSW2の下に形成され、高濃度のn型半導体領域11aは低濃度のn型半導体領域9aの外側に形成されている。従って、低濃度のn型半導体領域9aはメモリトランジスタのチャネル領域に隣接するように形成され、高濃度のn型半導体領域11aは低濃度のn型半導体領域9aに接し、メモリトランジスタのチャネル領域からn型半導体領域9aの分だけ離間するように形成されている。
【0041】
ドレイン部のn型半導体領域9bは制御ゲート電極CGの側壁上の側壁絶縁膜SW1に対して自己整合的に形成され、n型半導体領域11bは制御ゲート電極CGの側壁上に側壁絶縁膜SW1を介して形成されたサイドウォールスペーサSW2に対して自己整合的に形成されている。このため、低濃度のn型半導体領域9bは制御ゲート電極CGの側壁上のサイドウォールスペーサSW2の下に形成され、高濃度のn型半導体領域11bは低濃度のn型半導体領域9bの外側に形成されている。従って、低濃度のn型半導体領域9bは制御トランジスタのチャネル領域に隣接するように形成され、高濃度のn型半導体領域11bは低濃度のn型半導体領域9bに接し、制御トランジスタのチャネル領域からn型半導体領域9bの分だけ離間するように形成されている。
【0042】
メモリゲート電極MG下の絶縁膜5の下にメモリトランジスタのチャネル領域が形成され、制御ゲート電極CG下の絶縁膜3の下に制御トランジスタのチャネル領域が形成される。制御ゲート電極CG下の絶縁膜3の下の制御トランジスタのチャネル形成領域には、制御トランジスタのしきい値調整用の半導体領域(p型半導体領域またはn型半導体領域)が必要に応じて形成され、メモリゲート電極MG下の絶縁膜5の下のメモリトランジスタのチャネル形成領域には、メモリトランジスタのしきい値調整用の半導体領域(p型半導体領域またはn型半導体領域)が必要に応じて形成されている。
【0043】
制御ゲート電極CGは導電体(導電体膜)からなるが、好ましくはn型ポリシリコン膜(n型不純物を導入した多結晶シリコン膜、ドープトポリシリコン膜)のようなシリコン膜4nからなる。シリコン膜4nは、好ましくはn型のシリコン膜であり、n型不純物が導入されて低抵抗率とされている。具体的には、制御ゲート電極CGは、パターニングされたシリコン膜4nからなる。
【0044】
メモリゲート電極MGは導電体(導電体膜)からなるが、好ましくはシリコン膜7nからなる。シリコン膜7nは、好ましくはn型のシリコン膜であり、n型不純物が導入されて低抵抗率とされている。シリコン膜7nは、より好ましくは、n型ポリシリコン膜(n型不純物を導入した多結晶シリコン膜、ドープトポリシリコン膜)である。メモリゲート電極MGは、後述するように、半導体基板1上に制御ゲート電極CGを覆うように形成したシリコン膜7nを異方性エッチングし、制御ゲート電極CGの側壁上に絶縁膜5を介してこのシリコン膜7nを残存させることにより形成されている。このため、メモリゲート電極MGは、制御ゲート電極CGの側壁上に絶縁膜5を介してサイドウォールスペーサ状に形成されている。
【0045】
メモリゲート電極MG(を構成するシリコン膜7n)の上部(上面)と制御ゲート電極CG(を構成するシリコン膜4n)の上部(上面)とn型半導体領域11a,11bの上部(上面、表面)には、サリサイド(Salicide:Self Aligned Silicide)技術などにより、金属シリサイド層(金属シリサイド膜)13が形成されている。金属シリサイド層13は、例えばコバルトシリサイド層またはニッケルシリサイド層などからなる。金属シリサイド層13により、拡散抵抗やコンタクト抵抗を低抵抗化することができる。制御ゲート電極CGを構成するシリコン膜4nと、その上部の金属シリサイド層13とを合わせたものを、制御電極CGとみなすこともでき、また、メモリゲート電極MGを構成するシリコン膜7nと、その上部の金属シリサイド層13とを合わせたものを、メモリゲート電極MGとみなすこともできる。また、メモリゲート電極MGと制御ゲート電極CGとの間のショートをできるだけ防止するという観点から、メモリゲート電極MGと制御ゲート電極CGの一方または両方の上部に金属シリサイド層13を形成しない場合もあり得る。
【0046】
半導体基板1上には、制御ゲート電極CG、メモリゲート電極MG、側壁絶縁膜SW1およびサイドウォールスペーサSW2を覆うように、絶縁膜14と絶縁膜14上の絶縁膜15とが形成されている。絶縁膜14は、絶縁膜15よりも薄く、好ましくは窒化シリコン膜からなる。絶縁膜15は、絶縁膜14よりも厚く、好ましくは酸化シリコン膜からなる。後述するように、絶縁膜14,15にコンタクトホールCNTが形成され、コンタクトホールCNTにプラグPGが埋め込まれ、プラグPGが埋め込まれた絶縁膜15上に配線M1などが形成されているが、図1および図2では図示を省略している。なお、絶縁膜15は、層間絶縁膜として機能し、絶縁膜14は、絶縁膜15に後述のコンタクトホールCNTを形成する際のエッチングストッパ膜として機能することができる。
【0047】
図4は、本実施の形態の「書込」、「消去」および「読出」時における選択メモリセルの各部位への電圧の印加条件の一例を示す表である。図4の表には、「書込」、「消去」および「読出」時のそれぞれにおいて、図1および図2に示されるようなメモリセル(選択メモリセル)のメモリゲート電極MGに印加する電圧Vmg、ソース領域(半導体領域MS)に印加する電圧Vs、制御ゲート電極CGに印加する電圧Vcg、ドレイン領域(半導体領域MD)に印加する電圧Vd、およびp型ウエルPW1に印加されるベース電圧Vbが記載されている。なお、図4の表に示したものは電圧の印加条件の好適な一例であり、これに限定されるものではなく、必要に応じて種々変更可能である。また、本実施の形態では、メモリトランジスタの絶縁膜5中の電荷蓄積部(電荷蓄積層)である窒化シリコン膜6bへの電子の注入を「書込」、ホール(hole:正孔)の注入を「消去」と定義する。
【0048】
なお、図4の表において、Aの欄は、書込み方法がSSI方式で、かつ消去方法がBTBT方式の場合に対応し、Bの欄は、書込み方法がSSI方式で、かつ消去方法がFN方式の場合に対応し、Cの欄は、書込み方法がFN方式で、かつ消去方法がBTBT方式の場合に対応し、Dの欄は、書込み方法がFN方式で、かつ消去方法がFN方式の場合に対応している。
【0049】
SSI方式は、窒化シリコン膜6bにホットエレクトロンを注入することによってメモリセルの書込みを行う動作法とみなすことができ、BTBT方式は、窒化シリコン膜6bにホットホールを注入することによってメモリセルの消去を行う動作法とみなすことができ、FN方式は、電子またはホールのトンネリングによって書込みまたは消去を行う動作法とみなすことができる。FN方式について、別の表現で言うと、FN方式の書込みは、窒化シリコン膜6bにFNトンネル効果により電子を注入することによってメモリセルの書込みを行う動作方式とみなすことができ、FN方式の消去は、窒化シリコン膜6bにFNトンネル効果によりホールを注入することによってメモリセルの消去を行う動作方式とみなすことができる。以下、具体的に説明する。
【0050】
書込み方式は、いわゆるSSI(Source Side Injection:ソースサイド注入)方式と呼ばれるソースサイド注入によるホットエレクトロン注入で書込みを行う書込み方式(ホットエレクトロン注入書込み方式)と、いわゆるFN方式と呼ばれるFN(Fowler Nordheim)トンネリングにより書込みを行う書込み方式(トンネリング書込み方式)とがある。
【0051】
SSI方式の書込みでは、例えば図4の表のAの欄またはBの欄の「書込動作電圧」に示されるような電圧(Vmg=10V,Vs=5V,Vcg=1V,Vd=0.5V,Vb=0V)を、書込みを行う選択メモリセルの各部位に印加し、選択メモリセルの絶縁膜5中の窒化シリコン膜6b中に電子(エレクトロン)を注入することで書込みを行う。この際、ホットエレクトロンは、2つのゲート電極(メモリゲート電極MGおよび制御ゲート電極CG)間の下のチャネル領域(ソース、ドレイン間)で発生し、メモリゲート電極MGの下の絶縁膜5中の電荷蓄積部である窒化シリコン膜6bにホットエレクトロンが注入される。注入されたホットエレクトロン(電子)は、絶縁膜5中の窒化シリコン膜6b中のトラップ準位に捕獲され、その結果、メモリトランジスタのしきい値電圧が上昇する(書込み状態となる)。
【0052】
FN方式の書込みでは、例えば図4の表のCの欄またはDの欄の「書込動作電圧」に示されるような電圧(Vmg=−12V,Vs=0V,Vcg=0V,Vd=0V,Vb=0V)を、書込みを行う選択メモリセルの各部位に印加し、選択メモリセルにおいて、メモリゲート電極MGから電子をトンネリングさせて絶縁膜5中の窒化シリコン膜6bに注入することで書込みを行う。この際、電子はメモリゲートMGからFNトンネリング(FNトンネル効果)により酸化シリコン膜6cをトンネリングして絶縁膜5中に注入され、絶縁膜5中の窒化シリコン膜6b中のトラップ準位に捕獲され、その結果、メモリトランジスタのしきい値電圧が上昇する(書込み状態となる)。
【0053】
なお、FN方式の書込みにおいて、半導体基板1から電子をトンネリングさせて絶縁膜5中の窒化シリコン膜6bに注入することで書込みを行うこともでき、この場合、書込動作電圧は、例えば図4の表のCの欄またはDの欄の「書込動作電圧」の正負を反転させたものとすることができる。
【0054】
消去方法は、いわゆるBTBT方式と呼ばれるBTBT(Band-To-Band Tunneling:バンド間トンネル現象)によるホットホール注入により消去を行う消去方式(ホットホール注入消去方式)と、いわゆるFN方式と呼ばれるFN(Fowler Nordheim)トンネリングにより消去を行う消去方式(トンネリング消去方式)とがある。
【0055】
BTBT方式の消去では、BTBT(Band-To-Band Tunneling)により発生したホール(正孔)を電荷蓄積部(絶縁膜5中の窒化シリコン膜6b)に注入することにより消去を行う。例えば図4の表のAの欄またはCの欄の「消去動作電圧」に示されるような電圧(Vmg=−6V,Vs=6V,Vcg=0V,Vd=open,Vb=0V)を、消去を行う選択メモリセルの各部位に印加する。これにより、BTBT(Band-To-Band Tunneling)現象によりホール(正孔)を発生させ電界加速することで選択メモリセルの絶縁膜5中の窒化シリコン膜6b中にホールを注入し、それによってメモリトランジスタのしきい値電圧を低下させる(消去状態となる)。
【0056】
FN方式の消去では、例えば図4の表のBの欄またはDの欄の「消去動作電圧」に示されるような電圧(Vmg=12V,Vs=0V,Vcg=0V,Vd=0V,Vb=0V)を、消去を行う選択メモリセルの各部位に印加し、選択メモリセルにおいて、メモリゲート電極MGからホール(正孔)をトンネリングさせて絶縁膜5中の窒化シリコン膜6bに注入することで消去を行う。この際、ホールはメモリゲートMGからFNトンネリング(FNトンネル効果)により酸化シリコン膜6cをトンネリングして絶縁膜5中に注入され、絶縁膜5中の窒化シリコン膜6b中のトラップ準位に捕獲され、その結果、メモリトランジスタのしきい値電圧が低下する(消去状態となる)。
【0057】
なお、FN方式の消去において、半導体基板1からホールをトンネリングさせて絶縁膜5中の窒化シリコン膜6bに注入することで消去を行うこともでき、この場合、消去動作電圧は、例えば図4の表のBの欄またはDの欄の「消去動作電圧」の正負を反転させたものとすることができる。
【0058】
また、FN方式で書込みまたは消去を行う場合(すなわち動作方式B,C,Dの場合)でメモリゲート電極MGから電荷をトンネリングさせて窒化シリコン膜6bに注入する場合には、酸化シリコン膜6cの膜厚を酸化シリコン膜6aの膜厚よりも薄くしておくことが好ましい。一方、FN方式で書込みまたは消去を行う場合(すなわち動作方式B,C,Dの場合)で半導体基板1から電荷をトンネリングさせて窒化シリコン膜6bに注入する場合には、酸化シリコン膜6aの膜厚を酸化シリコン膜6cの膜厚よりも薄くしておくことが好ましい。また、書込みがSSI方式でかつ消去がBTBT方式の場合(すなわち動作方式Aの場合)は、酸化シリコン膜6cの膜厚を酸化シリコン膜6aの膜厚以上としておくことが好ましい。
【0059】
読出し時には、例えば図4の表のAの欄、Bの欄、Cの欄またはDの欄の「読出動作電圧」に示されるような電圧を、読出しを行う選択メモリセルの各部位に印加する。読出し時のメモリゲート電極MGに印加する電圧Vmgを、書込み状態におけるメモリトランジスタのしきい値電圧と消去状態におけるしきい値電圧との間の値にすることで、書込み状態と消去状態とを判別することができる。
【0060】
なお、以下では、簡略化のために、書込みがSSI方式でかつ消去がBTBT方式の場合を動作方式Aと称し、書込みがSSI方式でかつ消去がFN方式の場合を動作方式Bと称し、書込みがFN方式でかつ消去がBTBT方式の場合を動作方式Cと称し、書込みがFN方式でかつ消去がFN方式の場合を動作方式Dと称することとする。動作方式Aでは、例えば図4の表のAの欄の動作電圧を使用することができ、動作方式Bでは、例えば図4の表のBの欄の動作電圧を使用することができ、動作方式Cでは、例えば図4の表のCの欄の動作電圧を使用することができ、動作方式Dでは、例えば図4の表のDの欄の動作電圧を使用することができる。
【0061】
次に、本実施の形態の半導体装置の製造方法について説明する。
【0062】
図5は、本実施の形態の半導体装置の製造工程の一部を示すプロセスフロー図である。図6〜図32は、本実施の形態の半導体装置の製造工程中の要部断面図である。このうち、図6〜図15、図17、図18、図20、図21、図23、図25および図27〜図32の断面図には、メモリセル領域(不揮発性メモリのメモリセルMCが形成される領域)1Aおよび周辺回路領域(不揮発性メモリ以外の回路が形成される領域)1Bの要部断面図が示されており、メモリセル領域1AにメモリセルMCが、周辺回路領域1BにMISFETが、それぞれ形成される様子が示されている。また、図16は図15の部分拡大断面図に対応し、図19は図18の部分拡大断面図に対応し、図22は図21の部分拡大断面図に対応し、図24は図23の部分拡大断面図に対応し、図26は図25の部分拡大断面図に対応している。メモリセル領域1Aと周辺回路領域1Bとは同じ半導体基板1に形成されている。メモリセル領域1Aと周辺回路領域1Bは隣り合っていなくともよいが、理解を簡単にするために、図6〜図15、図17、図18、図20、図21、図23、図25および図27〜図32の断面図においては、メモリセル領域1Aの隣に周辺回路領域1Bを図示している。ここで、周辺回路とは、例えばCPUなどのプロセッサ、制御回路、センスアンプ、カラムデコーダ、ロウデコーダ、入出力回路などである。
【0063】
また、本実施の形態においては、メモリセル領域1Aにnチャネル型のMISFET(制御トランジスタおよびメモリトランジスタ)を形成する場合について説明するが、導電型を逆にしてpチャネル型のMISFET(制御トランジスタおよびメモリトランジスタ)をメモリセル領域1Aに形成することもできる。同様に、本実施の形態においては、周辺回路領域1Bにnチャネル型のMISFETを形成する場合について説明するが、導電型を逆にしてpチャネル型のMISFETを周辺回路領域1Bに形成することもでき、また、周辺回路領域1BにCMISFET(Complementary MISFET)などを形成することもできる。
【0064】
図6に示されるように、まず、例えば1〜10Ωcm程度の比抵抗を有するp型の単結晶シリコンなどからなる半導体基板(半導体ウエハ)1を用意(準備)する(図5のステップS1)。それから、半導体基板1の主面に、活性領域を規定(画定)する素子分離領域(素子間分離絶縁領域)2を形成する(図5のステップS2)。素子分離領域2は、酸化シリコンなどの絶縁体からなり、例えばSTI(Shallow Trench Isolation)法またはLOCOS(Local Oxidization of Silicon )法などにより形成することができる。例えば、半導体基板1の主面に素子分離用の溝を形成した後、この素子分離用の溝内に、例えば酸化シリコンからなる絶縁膜を埋め込むことで、素子分離領域2を形成することができる。
【0065】
次に、図7に示されるように、半導体基板1のメモリセル領域1Aにp型ウエルPW1を、周辺回路領域1Bにp型ウエルPW2を形成する(図5のステップS3)。p型ウエルPW1,PW2は、例えばホウ素(B)などのp型の不純物を半導体基板1にイオン注入することなどによって形成することができる。p型ウエルPW1,PW2は、半導体基板1の主面から所定の深さにわたって形成される。
【0066】
次に、メモリセル領域1Aに後で形成される制御トランジスタのしきい電圧を調整するために、必要に応じて、メモリセル領域1Aのp型ウエルPW1の表面部(表層部)に対してチャネルドープイオン注入を行う。また、周辺回路領域1Bに後で形成されるMISFETのしきい電圧を調整するために、必要に応じて、周辺回路領域1Bのp型ウエルPW2の表面部(表層部)に対してチャネルドープイオン注入を行う。
【0067】
次に、希釈フッ酸洗浄などによって半導体基板1(p型ウエルPW1,PW2)の表面を清浄化した後、半導体基板1の主面(p型ウエルPW1,PW2の表面)に、ゲート絶縁膜用の絶縁膜3を形成する(図5のステップS4)。絶縁膜3は、例えば薄い酸化シリコン膜または酸窒化シリコン膜などにより形成することができる。絶縁膜3の膜厚(形成膜厚)は、例えば2〜3nm程度とすることができる。
【0068】
次に、図8に示されるように、半導体基板1の主面(主面全面)上に、すなわち絶縁膜3上に、ゲート電極用の導体膜としてシリコン膜4を形成(堆積)する(図5のステップS5)。シリコン膜4は、多結晶シリコン膜からなり、CVD(Chemical Vapor Deposition:化学的気相成長)法などを用いて形成することができる。シリコン膜4の膜厚(堆積膜厚)は、例えば50〜250nm程度とすることができる。成膜時はシリコン膜4をアモルファスシリコン膜として形成してから、その後の熱処理でアモルファスシリコン膜を多結晶シリコン膜とすることもできる。
【0069】
シリコン膜4を形成した後、シリコン膜4上にフォトリソグラフィ法を用いてフォトレジストパターン(ここでは図示しないけれども、周辺回路領域1B全体にこのフォトレジストパターンが形成される)を形成し、このフォトレジストパターンをマスクとして用いて、メモリセル領域1A(のシリコン膜4)にn型不純物をイオン注入法などによって導入することにより、メモリセル領域1Aにn型のシリコン膜4nを形成する。すなわち、メモリセル領域1Aのシリコン膜4にn型不純物が導入されて、メモリセル領域1Aのシリコン膜4が、n型不純物が導入されたn型のシリコン膜4nとなる。
【0070】
次に、図9に示されるように、メモリセル領域1Aのn型のシリコン膜4nをエッチングによりパターニングして制御ゲート電極CGを形成する(図5のステップS6)。ステップS6のパターニング工程は、例えば次のようにして行うことができる。
【0071】
すなわち、シリコン4n,4上にフォトリソグラフィ法を用いてフォトレジストパターン(ここでは図示しないけれども、制御ゲート電極CG形成予定領域と周辺回路領域1B全体にこのフォトレジストパターンが形成される)を形成し、このフォトレジストパターンをエッチングマスクとして用いて、メモリセル領域1Aのシリコン膜4nをエッチング(ドライエッチング)してパターニングする。その後、このフォトレジストパターンを除去する。
【0072】
このようにして、ステップS6でシリコン膜4nがパターニングされ、図9に示されるように、メモリセル領域1Aに、パターニングされたシリコン膜4nからなる制御ゲート電極CGが形成される。このとき、周辺回路領域1Bでは、上述したようにフォトレジストパターンを形成していたため、シリコン膜4のパターニングは行われていない。また、メモリセル領域1Aにおいて、制御ゲート電極CGの下に残存する絶縁膜3が、制御トランジスタのゲート絶縁膜となる。従って、シリコン膜4nからなる制御ゲート電極CGは、半導体基板1(p型ウエルPW1)上にゲート絶縁膜としての絶縁膜3を介して形成された状態となる。
【0073】
メモリセル領域1Aにおいて、制御ゲート電極CGで覆われた部分以外の絶縁膜3(すなわちゲート絶縁膜となる部分以外の絶縁膜3)は、ステップS6のパターニング工程で行うドライエッチングや、あるいはそのドライエッチング後にウェットエッチングを行うことによって除去され得る。
【0074】
次に、メモリセル領域1Aに後で形成されるメモリトランジスタのしきい値電圧を調整するために、必要に応じて、メモリセル領域1Aのp型ウエルPW1の表面部(表層部)に対してチャネルドープイオン注入を行う。
【0075】
次に、洗浄処理を行って、半導体基板1の主面を清浄化処理した後、図10に示されるように、半導体基板1の主面(表面)と制御ゲート電極CGの表面(上面および側面)上に、酸化シリコン膜6aと窒化シリコン膜6bと酸化シリコン膜6cとの積層膜からなる絶縁膜5を形成する(図5のステップS7)。
【0076】
絶縁膜5は、メモリトランジスタのゲート絶縁膜用の絶縁膜であり、内部に電荷蓄積部(電荷蓄積層)を有する絶縁膜であり、下から順に形成された酸化シリコン膜(酸化膜)6a、窒化シリコン膜(窒化膜)6bおよび酸化シリコン膜(酸化膜)6cの積層膜(ONO膜)からなる。すなわち、絶縁膜5は、酸化シリコン膜(酸化膜)6aと、酸化シリコン膜6a上の窒化シリコン膜(窒化膜)6bと、窒化シリコン膜6b上の酸化シリコン膜(酸化膜)6cとの積層膜からなる。ステップS7において、図10に示されるように、絶縁膜5は、制御ゲート電極CGおよびシリコン膜4で覆われていない部分の半導体基板1の表面と、制御ゲート電極CGの表面(側面および上面)と、シリコン膜4の表面(側面および上面)とに形成される。
【0077】
絶縁膜5のうち、酸化シリコン膜6a,6cは、例えば酸化処理(熱酸化処理)またはCVD法あるいはその組み合わせにより形成することができる。この際の酸化処理(熱酸化処理)には、ISSG(In Situ Steam Generation)酸化を用いることも可能である。絶縁膜5のうち、窒化シリコン膜6bは、例えばCVD法により形成することができる。
【0078】
絶縁膜5を形成するには、例えば、まず、半導体基板1の表面上と制御ゲート電極CGの表面(側面および上面)上とシリコン膜4の表面(側面および上面)上とに酸化シリコン膜6aを熱酸化法(好ましくはISSG酸化)により形成してから、酸化シリコン膜6a上に窒化シリコン膜6bをCVD法で堆積し、更に窒化シリコン膜6b上に酸化シリコン膜6cをCVD法または熱酸化あるいはその両方で形成する。これにより、酸化シリコン膜6a、窒化シリコン膜6bおよび酸化シリコン膜6cの積層膜からなる絶縁膜5を形成することができる。
【0079】
酸化シリコン膜6aの厚みは、例えば2〜10nm程度とすることができ、窒化シリコン膜6bの厚みは、例えば5〜15nm程度とすることができ、酸化シリコン膜6cの厚みは、例えば2〜10nm程度とすることができる。最後の酸化膜(絶縁膜5のうちの最上層の酸化シリコン膜6c)は、例えば窒化膜(絶縁膜5のうちの中間層の窒化シリコン膜6b)の上層部分を酸化して形成することで、高耐圧膜を形成することもできる。
【0080】
絶縁膜5は、後で形成されるメモリゲート電極MGのゲート絶縁膜として機能し、電荷保持機能を有する。従って、絶縁膜5は、メモリトランジスタの電荷保持(電荷蓄積)機能を有するゲート絶縁膜として機能できるように、少なくとも3層の積層構造を有し、外側の層(酸化シリコン膜6a,6c)のポテンシャル障壁高さに比べ、内側の層(窒化シリコン膜6b)のポテンシャル障壁高さが低くなる。これは、本実施の形態のように、絶縁膜5を、酸化シリコン膜6aと、酸化シリコン膜6a上の窒化シリコン膜6bと、窒化シリコン膜6b上の酸化シリコン膜6cとを有する積層膜とすることで達成できる。ステップS7で絶縁膜5を形成した段階では、絶縁膜5全体が、酸化シリコン膜6aと窒化シリコン膜6bと酸化シリコン膜6cとの積層膜で構成されており、空洞CAVはまだ形成されていない。
【0081】
次に、図11に示されるように、半導体基板1の主面(主面全面)上に、すなわち絶縁膜5上に、メモリセル領域1Aにおいては制御ゲート電極CGを覆うように、周辺回路領域1Bにおいてはシリコン膜4を覆うように、メモリゲート電極MG形成用の導電体膜としてシリコン膜7nを形成(堆積)する(図5のステップS8)。
【0082】
シリコン膜7nは、多結晶シリコン膜からなり、CVD法などを用いて形成することができる。シリコン膜7nの膜厚(堆積膜厚)は、例えば30〜150nm程度とすることができる。成膜時はシリコン膜7nをアモルファスシリコン膜として形成してから、その後の熱処理でアモルファスシリコン膜を多結晶シリコン膜とすることもできる。
【0083】
シリコン膜7nは、n型不純物が導入されて低抵抗とされている。シリコン膜7nの成膜後のイオン注入でシリコン膜7nにn型不純物を導入することもできるが、シリコン膜7nの成膜時にシリコン膜7nにn型不純物を導入することもできる。シリコン膜7nの成膜時にn型不純物を導入する場合には、シリコン膜7nの成膜用のガスにドーピングガス(n型不純物添加用のガス)を含ませることで、n型不純物が導入されたシリコン膜7nを成膜することができる。いずれにしても、メモリセル領域1Aおよび周辺回路領域1Bに、n型不純物が導入されたシリコン膜7nが形成される。
【0084】
次に、異方性エッチング技術により、シリコン膜7nをエッチバック(エッチング、ドライエッチング、異方性エッチング)する(図5のステップS9)。
【0085】
ステップS9のエッチバック工程では、シリコン膜7nの堆積膜厚の分だけシリコン膜7nを異方性エッチング(エッチバック)することにより、制御ゲート電極CGの両方の側壁上に(絶縁膜5を介して)シリコン膜7nをサイドウォールスペーサ状に残し、他の領域のシリコン膜7nを除去する。これにより、図12に示されるように、メモリセル領域1Aにおいて、制御ゲート電極CGの両方の側壁のうち、一方の側壁上に絶縁膜5を介してサイドウォールスペーサ状に残存したシリコン膜7nにより、メモリゲート電極MGが形成され、また、他方の側壁上に絶縁膜5を介してサイドウォールスペーサ状に残存したシリコン膜7nにより、シリコンスペーサSP1が形成される。メモリゲート電極MGは、絶縁膜5上に、制御ゲート電極CGと絶縁膜5を介して隣り合うように形成される。
【0086】
シリコンスペーサSP1は、導電体からなるサイドウォールスペーサ、すなわち導電体スペーサとみなすこともできる。メモリゲート電極MGとシリコンスペーサSP1とは、制御ゲート電極CGの互いに反対側となる側壁上に形成されており、制御ゲート電極CGを挟んでほぼ対称な構造を有している。また、周辺回路領域1Bに残存させているシリコン膜4の側壁上にも、絶縁膜5を介してシリコンスペーサSP1が形成され得る。
【0087】
ステップS9のエッチバック工程を行った段階で、メモリゲート電極MGとシリコンスペーサSP1で覆われていない領域の絶縁膜5が露出される。メモリセル領域1Aにおけるメモリゲート電極MGの下の絶縁膜5が、メモリトランジスタのゲート絶縁膜となる。シリコン膜7nの堆積膜厚によってメモリゲート長(メモリゲート電極MGのゲート長)が決まるので、上記ステップS8で堆積するシリコン膜7nの堆積膜厚を調整することで、メモリゲート長を調整することができる。
【0088】
次に、フォトリソグラフィ技術を用いて、メモリゲート電極MGが覆われかつシリコンスペーサSP1が露出されるようなフォトレジストパターン(図示せず)を半導体基板1上に形成してから、このフォトレジストパターンをエッチングマスクとしたドライエッチングにより、シリコンスペーサSP1を除去する(図5のステップS10)。その後、このフォトレジストパターンを除去する。ステップS10のエッチング工程により、図13に示されるように、シリコンスペーサSP1が除去されるが、メモリゲート電極MGは、フォトレジストパターンで覆われていたので、エッチングされずに残存する。
【0089】
次に、図14に示されるように、絶縁膜5のうち、メモリゲート電極MGで覆われずに露出する部分をエッチング(例えばウェットエッチング)によって除去する(図5のステップS11)。この際、メモリセル領域1Aにおいて、メモリゲート電極MGの下とメモリゲート電極MGおよび制御ゲート電極CG間とに位置する絶縁膜5は、除去されずに残存し、他の領域の絶縁膜5は除去される。
【0090】
次に、周辺回路領域1Bに形成されているシリコン膜4上にフォトリソグラフィ法を用いてフォトレジストパターン(ここでは図示しないけれども、メモリセル領域1A全体と周辺回路領域1Bのpチャネル型MISFET形成予定領域にこのフォトレジストパターンが形成される)を形成し、このフォトレジストパターンをマスクとして用いて、周辺回路領域1Bのシリコン膜4にn型不純物をイオン注入法などによって導入する。これにより、周辺回路領域1Bにn型のシリコン膜(周辺回路領域1Bにおいてn型不純物が導入されたシリコン膜4に対応)が形成される。その後、このn型のシリコン膜上にフォトリソグラフィ法を用いてフォトレジストパターン(ここでは図示しないけれども、メモリセル領域1A全体と周辺回路領域1Bのゲート電極GE形成予定領域とにこのフォトレジストパターンが形成される)を形成し、このフォトレジストパターンをエッチングマスクとして用いて、前記n型のシリコン膜をエッチング(ドライエッチング)してパターニングする。このとき、メモリセル領域1Aは、フォトレジストパターンで覆われており、エッチングされない。その後、このフォトレジストパターンを除去する。これにより、図15に示されるように、パターニングされたn型のシリコン膜(すなわち周辺回路領域1Bにおいてn型不純物が導入されたシリコン膜4をパターニングしたもの)からなるゲート電極GEが形成される。
【0091】
図16は、図15の部分拡大断面図であり、図15におけるメモリセル領域1Aの一部が拡大して示されている。図16からも分かるように、絶縁膜5は、メモリゲート電極MGと半導体基板1(p型ウエルPW1)の間の領域と、メモリゲート電極MGと制御ゲート電極CGの間の領域の、両領域にわたって連続的に延在しており、絶縁膜5全体が、酸化シリコン膜6aと窒化シリコン膜6bと酸化シリコン膜6cとの積層膜で構成されている。この段階では、絶縁膜5にまだ空洞CAVは形成されていない。
【0092】
次に、図17に示されるように、半導体基板1の主面(主面全面)上に、制御ゲート電極CG、メモリゲート電極MGおよびゲート電極GEを覆うように、絶縁膜8を形成する(図5のステップS12a)。
【0093】
絶縁膜8は、好ましくは酸化シリコン膜からなり、その形成膜厚(厚み)は、例えば5〜20nm程度とすることができる。また、絶縁膜8は、例えばCVD法などを用いて形成することができる。
【0094】
次に、図18に示されるように、異方性エッチング技術により、絶縁膜8をエッチバック(エッチング、ドライエッチング、異方性エッチング)する(図5のステップS12b)。図19は、図18の部分拡大断面図であり、図18におけるメモリセル領域1Aの一部が拡大して示されている。
【0095】
ステップS12bのエッチバック工程では、絶縁膜8の堆積膜厚の分だけ絶縁膜8を異方性エッチング(エッチバック)することにより、制御ゲート電極CG、メモリゲート電極MGおよびゲート電極GEの側壁上に絶縁膜8を残し、他の領域の絶縁膜8を除去する。これにより、図18および図19に示されるように、制御ゲート電極CG、メモリゲート電極MGおよびゲート電極GEの各側壁上に残存する絶縁膜8からなる側壁絶縁膜(サイドウォールスペーサ、オフセットスペーサ)SW1が形成される。
【0096】
側壁絶縁膜SW1は、ゲート電極GEの両側壁上と、制御ゲート電極CGの側壁のうち、絶縁膜5を介してメモリゲート電極MGに隣接している側の側壁とは反対側の側壁上と、メモリゲート電極MGの側壁のうち、絶縁膜5を介して制御ゲート電極CGに隣接している側の側壁とは反対側の側壁上とに形成される。
【0097】
本実施の形態では、後で空洞CAVを的確に形成できるように、メモリゲート電極MGの側壁であって、制御ゲート電極CGに(絶縁膜5を介して)隣接する側とは反対側の側壁上に、側壁絶縁膜SW1が形成されることが重要である。この側壁絶縁膜SW1は、後述のように、エクステンション領域(n型半導体領域9a,9b,9cに対応)形成時のイオン注入素子マスクとしても機能し得る。
【0098】
次に、イオン注入法などを用いて例えばヒ素(As)またはリン(P)などのn型の不純物を、制御ゲート電極CG、メモリゲート電極MGおよびゲート電極GEとそれらの側壁上の側壁絶縁膜SW1とをマスク(イオン注入阻止マスク)として用いて半導体基板1(p型ウエルPW1,PW2)に導入(ドーピング)することで、図20のように、n型半導体領域(不純物拡散層)9a,9b,9cを形成する(図5のステップS13)。
【0099】
この際、n型半導体領域9aは、メモリセル領域1Aにおいて、メモリゲート電極MGの側壁(絶縁膜5を介して制御ゲート電極CGと隣り合う側とは反対側の側壁)上の側壁絶縁膜SW1の側面(制御ゲート電極CGに接している側とは反対側の側面)に自己整合して形成される。また、n型半導体領域9bは、メモリセル領域1Aにおいて、制御ゲート電極CGの側壁(絶縁膜5を介してメモリゲート電極MGと隣り合う側とは反対側の側壁)上の側壁絶縁膜SW1の側面(メモリゲート電極MGに接している側とは反対側の側面)に自己整合して形成される。また、n型半導体領域9cは、周辺回路領域1Bにおいて、ゲート電極GEの両側壁上の側壁絶縁膜SW1の側面(ゲート電極GEに接している側とは反対側の側面)に自己整合して形成される。n型半導体領域9aおよびn型半導体領域9bは、メモリセル領域1Aに形成されるメモリセルのソース・ドレイン領域の一部として機能し、n型半導体領域9cは周辺回路領域1Bに形成されるMISFETのソース・ドレイン領域の一部として機能することができる。
【0100】
次に、図21に示されるように、メモリゲート電極MGと半導体基板1(p型ウエルPW1)の間の領域と、メモリゲート電極MGと制御ゲート電極CGの間の領域の、両領域にわたって延在している絶縁膜5のうち、窒化シリコン膜6bの一部をエッチングによって除去する(図5のステップS14)。窒化シリコン膜6bが除去された部分は空洞CAVとなる。図22は、図21の部分拡大断面図であり、図21におけるメモリセル領域1Aの一部が拡大して示されている(なお図22では、n型半導体領域9a,9bは図示を省略してp型ウエルPW1に含めてある)。
【0101】
このステップS14では、絶縁膜5のうち、制御ゲート電極CGの側面とメモリゲート電極MGの側面との間の部分の窒化シリコン膜6bを除去して空洞CAVを形成する。
【0102】
ステップS14を行う前の段階では、絶縁膜5は、メモリゲート電極MGと半導体基板1(p型ウエルPW1)の間の領域と、メモリゲート電極MGと制御ゲート電極CGの間の領域の、両領域にわたって連続的に延在しており、この絶縁膜5全体が、酸化シリコン膜6aと窒化シリコン膜6bと酸化シリコン膜6cとの積層膜(ONO膜)によって構成されている(図19の状態に対応)。この段階において、メモリゲート電極MGと制御ゲート電極CGの間に位置する部分の絶縁膜5は、その上端部5aが露出した状態となっている。ここで、絶縁膜5の上端部5aは、絶縁膜5において、メモリゲート電極MGの上部と制御ゲート電極CGの上部とで挟まれた側の端部に対応している。
【0103】
ステップS14では、好ましくはウェットエッチングを行うが、この際、絶縁膜5を構成する窒化シリコン膜6bを選択的にエッチングできるようなエッチング液を使用する。すなわち、窒化シリコン膜6bのエッチング速度が、酸化シリコン膜6a,6cのエッチング速度およびシリコン膜4n,7n,4(すなわち制御ゲート電極CG、メモリゲート電極MGおよびゲート電極GEを構成する各シリコン膜)のエッチング速度よりも大きくなるようなエッチング液を使用する。換言すれば、窒化シリコン膜6bがエッチングされやすく、酸化シリコン膜6a,6cやシリコン膜4n,6n,4が窒化シリコン膜6bに比べてエッチングされにくいようなエッチング液を使用する。エッチング液としては、例えば熱燐酸などを用いることができる。これにより、ステップS14では、絶縁膜5を構成する窒化シリコン膜6bの一部をエッチングにより選択的に除去するとともに、絶縁膜5を構成する酸化シリコン膜6a,6cや、制御ゲート電極CG、メモリゲート電極MGおよびゲート電極GEを構成するシリコン膜4n,6n,4がエッチングされるのを抑制または防止することができる。
【0104】
本実施の形態においては、絶縁膜5を酸化シリコン膜6aと窒化シリコン膜6bと酸化シリコン膜6cとの積層膜(ONO膜)によって形成し、その後、所望の場所の窒化シリコン膜6bを除去している。しかし、上記窒化シリコン膜6bのエッチング工程において、窒化シリコン膜6bを選択的にエッチングすることが可能であれば、酸化シリコン膜6aと酸化シリコン膜6cとを酸化シリコン膜だけでなく、その他の絶縁膜で形成することも可能である。例えば、酸化シリコン膜を形成した後に窒素を導入した酸窒化シリコン膜などは、窒素が導入されている量が多くなく、窒化シリコン膜のエッチング速度が十分に速ければ、酸化シリコン膜6a及び酸化シリコン膜6cとを酸窒化シリコン膜などで形成することも可能である。
【0105】
ステップS14のエッチング工程の直前段階において、メモリゲート電極MGと制御ゲート電極CGの間に位置する部分の絶縁膜5は、その上端部5aが露出されており、一方、メモリゲート電極MGと半導体基板1(p型ウエルPW1)の間に位置する部分の絶縁膜5は、露出部を有していない。これは、メモリゲート電極MGの側壁(絶縁膜5を介して制御ゲート電極CGと隣り合う側とは反対側の側壁)上には側壁絶縁膜SW1が形成されているため、メモリゲート電極MGと半導体基板1(p型ウエルPW1)の間に位置する部分の絶縁膜5の端部(側壁絶縁膜SW1に接する端部)5bは、側壁絶縁膜SW1で覆われて、露出していないからである。つまり、ステップS12bで側壁絶縁膜SW1を形成した後は、絶縁膜5におけるメモリゲート電極MGと半導体基板1(p型ウエルPW1)とで挟まれた側の端部5bは、側壁絶縁膜SW1で覆われて、露出していない。
【0106】
絶縁膜5を構成する窒化シリコン膜6bは、酸化シリコン膜6a,6cで挟まれているため、窒化シリコン膜6bが露出するのは、絶縁膜5の端部である。このため、ステップS14のエッチング工程で窒化シリコン膜6bのエッチングを行おうとすると、絶縁膜5の端部のうちの露出部から窒化シリコン膜6bのエッチングが進行し得る。しかしながら、絶縁膜5の露出する端部は、上端部5aであるため、ステップS14のエッチング工程では、絶縁膜5の上端部5a側から窒化シリコン膜6bのエッチングが進行する。すなわち、ステップS14のエッチング工程では、絶縁膜5における制御ゲート電極CGの上部とメモリゲート電極MGの上部とで挟まれた上端部5a側から、窒化シリコン6b膜のエッチングが進行する。窒化シリコン膜6bの端部5b側からは、窒化シリコン膜6bのエッチングは進行しない。
【0107】
ステップS14のエッチング工程におけるエッチング時間などを調整することで、窒化シリコン膜6bがエッチングされて除去される距離を制御することができる。絶縁膜5において、窒化シリコン膜6bが除去された部分は、空洞(空間)CAVとなる。すなわち、ステップS14のエッチング工程によって、絶縁膜5における窒化シリコン膜6bの一部が除去されて、空洞CAVとなる。空洞CAVには、絶縁膜5の材料が存在しない。
【0108】
ステップS14のエッチング工程において、窒化シリコン膜6bは、絶縁膜5の上端部5a側からエッチングされるが、メモリゲート電極MG側面と制御ゲート電極CG側面との間に位置する部分の絶縁膜5中の窒化シリコン膜6bが全て除去されるまでは、エッチングを継続することが好ましい。これにより、ステップS14のエッチング工程が終了すると、図22にも示されるように、メモリゲート電極MGの側面と制御ゲート電極CGの側面との間に位置する部分の絶縁膜5は、窒化シリコン膜6bを有しておらず、酸化シリコン膜6aおよび酸化シリコン膜6cと、酸化シリコン膜6a,6c間の空洞CAVとで構成された状態とすることができる。
【0109】
しかしながら、ステップS14のエッチング時間が長すぎると、絶縁膜5から全ての窒化シリコン膜6bが除去されてしまい、メモリゲート電極MGと半導体基板1(p型ウエルPW1)の間に位置する部分の絶縁膜5も、窒化シリコン膜6bを有していない状態となるが、この場合、絶縁膜5に電荷蓄積部が存在しなくなるため、不揮発性メモリとしての動作を行えなくなってしまう。このため、ステップS14のエッチング工程は、メモリゲート電極MGと半導体基板1(p型ウエルPW1)の間に位置する部分の絶縁膜5から全ての窒化シリコン膜6bが除去されてしまう前にエッチングを終了する。これにより、ステップS14のエッチング工程後に、メモリゲート電極MGと半導体基板1(p型ウエルPW1)の間に位置する部分の絶縁膜5が、窒化シリコン膜6bを有している状態となり、この窒化シリコン膜6bが電荷蓄積部として機能できるため、不揮発性メモリとしての動作を行うことが可能になる。すなわち、ステップS14(窒化シリコン膜6bのエッチング工程)で除去されずにメモリゲート電極MGと半導体基板1(p型ウエルPW1)との間に残存する窒化シリコン膜6bは、メモリセルの電荷蓄積部(電荷蓄積層)として機能することができる。
【0110】
次に、図23に示されるように、半導体基板1の主面(主面全面)上に、制御ゲート電極CG、メモリゲート電極MG、ゲート電極GEおよび側壁絶縁膜SW1を覆うように、絶縁膜10を形成する(図5のステップS15)。図24は、図23の部分拡大断面図であり、図23におけるメモリセル領域1Aの一部が拡大して示されている(なお図24では、n型半導体領域9a,9bは図示を省略してp型ウエルPW1に含めてある)。
【0111】
絶縁膜10は、好ましくは、酸化シリコン膜の単体膜、下から順に酸化シリコン膜および窒化シリコン膜の積層膜、あるいは、下から順に酸化シリコン膜、窒化シリコン膜および酸化シリコン膜の積層膜からなる。絶縁膜10の形成膜厚(厚み)は、例えば30〜100nm程度とすることができる。また、絶縁膜10は、例えばCVD法などを用いて形成することができる。上記空洞CAVは、絶縁膜10によって塞がれた(蓋をされた)状態となり、閉空間となる。
【0112】
図24にも示されるように、ステップS15で絶縁膜10を形成すると、空洞CAVは絶縁膜10で覆われるが、絶縁膜10の一部が空洞CAVの上部に侵入し、空洞CAVが絶縁膜10の一部(空洞CAVの上部に侵入した部分)で塞がれた(蓋をされた)状態となる。このため、ステップS14で空洞を形成した後で、ステップS15で絶縁膜10を形成する前は、空洞CAVは、上部(上端部5aに対応する部分)が開放された開空間であったが、ステップS15で絶縁膜10を形成すると、空洞CAVは、上部(上端部5aに対応する部分)が絶縁膜10で塞がれた(閉じられた)閉空間となる。
【0113】
次に、図25に示されるように、異方性エッチング技術により、絶縁膜10をエッチバック(エッチング、ドライエッチング、異方性エッチング)する(図5のステップS16)。図26は、図25の部分拡大断面図であり、図25におけるメモリセル領域1Aの一部が拡大して示されている(なお図26では、n型半導体領域9a,9bは図示を省略してp型ウエルPW1に含めてある)。
【0114】
ステップS16のエッチバック工程では、絶縁膜10の堆積膜厚の分だけ絶縁膜10を異方性エッチング(エッチバック)することにより、制御ゲート電極CG、メモリゲート電極MGおよびゲート電極GEの側壁上に絶縁膜10をサイドウォールスペーサ状に残し、他の領域の絶縁膜10を除去する。これにより、図25および図26に示されるように、制御ゲート電極CG、メモリゲート電極MGおよびゲート電極GEの各側壁上に、残存する絶縁膜10からなるサイドウォールスペーサ(サイドウォール、側壁スペーサ、側壁絶縁膜)SW2が形成される。サイドウォールスペーサSW2は、残存する絶縁膜10からなるが、制御ゲート電極CG、メモリゲート電極MGおよびゲート電極GEの各側壁上に、側壁絶縁膜SW1を介して、サイドウォールスペーサSW2が形成される。
【0115】
具体的には、制御ゲート電極CGの側壁のうち、メモリゲート電極MGに隣接している側の側壁とは反対側の側壁上に、側壁絶縁膜SW1を介してサイドウォールスペーサSW2が形成され、メモリゲート電極MGの側壁のうち、制御ゲート電極CGに隣接している側の側壁とは反対側の側壁上に、側壁絶縁膜SW1を介してサイドウォールスペーサSW2が形成された状態となる。また、ゲート電極GEの両側壁上に、側壁絶縁膜SW1を介してサイドウォールスペーサSW2が形成された状態となる。すなわち、制御ゲート電極CGおよびメモリゲート電極MGにおいては、互いに隣接する側とは反対側の側壁上に、(側壁絶縁膜SW1を介して)サイドウォールスペーサSW2が形成された状態となる。
【0116】
ステップS15で絶縁膜10を形成すると、絶縁膜10の一部が空洞CAVの上部に侵入し、空洞CAVが絶縁膜10の一部(空洞CAVの上部に侵入した部分)で塞がれた(蓋をされた)状態となるが、この状態でステップS16のエッチバック工程を行って絶縁膜10を異方性エッチングすると、空洞CAVの上部に侵入していた部分の絶縁膜10は、除去されずに残存し、絶縁膜部分(絶縁体部分)10aとなる。すなわち、ステップS16のエッチバック工程後、空洞CAVの上部に絶縁膜10の一部が絶縁膜部分10aとして残存する。
【0117】
絶縁膜部分10aは、絶縁膜10の一部(酸化シリコン膜6aと酸化シリコン膜6cとの間に残存する部分)によって形成される。このため、空洞CAVの上部が、酸化シリコン膜6aと酸化シリコン膜6cとによって挟まれた絶縁膜部分10aによって塞がれた(蓋をされた)状態となる。つまり、空洞CAVは、酸化シリコン膜6a,6c、窒化シリコン膜6bおよび絶縁膜部分10aによって囲まれた閉空間になり、酸化シリコン膜6a,6c、窒化シリコン膜6bおよび絶縁膜部分10aによって空洞CAVの内壁が形成されることになる。空洞CAVが絶縁膜部分10aで塞がれて以降は、空洞CAVが閉空間であることが維持され得る。空洞CAVが絶縁膜部分10aで塞がれたことで、不要なもの(例えば洗浄工程などで使用する各種の液体、フォトレジスト材料、あるいは後述の金属膜12など)が空洞CAVに侵入してしまうのを防止することができる。この観点から、上記ステップS14で窒化シリコン膜6bをエッチングして空洞CAVを形成した後、フォトリソグラフィ工程や他のエッチング工程を行わずに、上記ステップS15で絶縁膜10を形成することが好ましい。
【0118】
絶縁膜部分10aは、絶縁膜10の下層部分からなるため、絶縁膜10が、酸化シリコン膜の単体膜、酸化シリコン膜および窒化シリコン膜の積層膜、あるいは、酸化シリコン膜、窒化シリコン膜および酸化シリコン膜の積層膜のいずれの場合も、絶縁膜部分10aは酸化シリコンからなる。このため、絶縁膜部分10aは、好ましくは酸化シリコンからなる。サイドウォールスペーサSW2と絶縁膜部分10aは、いずれも絶縁膜10の一部によって形成されるため、絶縁膜部分10aは、サイドウォールスペーサSW2の少なくとも一部と同種の絶縁体材料からなる。
【0119】
次に、図27に示されるように、n型半導体領域(不純物拡散層)11a,11b,11cをイオン注入法などを用いて形成する(図5のステップS17)。例えばヒ素(As)またはリン(P)などのn型の不純物を、制御ゲート電極CG、メモリゲート電極MGおよびゲート電極GEとそれらの側壁上の側壁絶縁膜SW1およびサイドウォールスペーサSW2とをマスク(イオン注入阻止マスク)として用いて半導体基板1(p型ウエルPW1,PW2)に導入することで、n型半導体領域11a,11b,11cを形成することができる。この際、n型半導体領域11aは、メモリセル領域1Aにおいて、メモリゲート電極MGの側壁上のサイドウォールスペーサSW2に自己整合して形成され、n型半導体領域11bは、メモリセル領域1Aにおいて、制御ゲート電極CGの側壁上のサイドウォールスペーサSW2に自己整合して形成される。また、n型半導体領域11cは、周辺回路領域1Bにおいて、ゲート電極GEの両側壁上のサイドウォールスペーサSW2に自己整合して形成される。これにより、LDD(lightly doped drain)構造が形成される。
【0120】
このようにして、n型半導体領域9aとそれよりも高不純物濃度のn型半導体領域11aとにより、メモリトランジスタのソース領域として機能するn型の半導体領域MSが形成され、n型半導体領域9bとそれよりも高不純物濃度のn型半導体領域11bとにより、制御トランジスタのドレイン領域として機能するn型の半導体領域MDが形成される。また、n型半導体領域9cとそれよりも高不純物濃度のn型半導体領域11cとにより、周辺回路領域1BのMISFETのソース・ドレイン領域として機能するn型の半導体領域SDが形成される。
【0121】
次に、ソースおよびドレイン用のn型の半導体領域MS,MD,SD(n型半導体領域9a,9b,9cおよびn型半導体領域11a,11b,11c)に導入された不純物を活性化するための熱処理である活性化アニールを行う。
【0122】
このようにして、メモリセル領域1Aに不揮発性メモリのメモリセルMCが形成され、周辺回路領域1BにMISFETが形成される。
【0123】
次に、半導体基板1の主面全面上に酸化シリコン膜をCVD法などにより形成する。次にフォトリソグラフィ法、エッチング法を用いてn型半導体領域11a,11b,11cの上面(表面)と制御ゲート電極CGの上面とメモリゲート電極MGの上面とゲート電極GEの上面のシリコン面(シリコン領域、シリコン膜)を露出させる。それから、図28に示されるように、n型半導体領域11a,11b,11cの上面(表面)上とメモリゲート電極MGの上面(サイドウォールスペーサSW2で覆われていない部分)上と制御ゲート電極CGの上面上とゲート電極GEの上面上とを含む半導体基板1の主面全面上に、制御ゲート電極CG、メモリゲート電極MG、ゲート電極GEおよびサイドウォールスペーサSW2を覆うように、金属膜12を形成(堆積)する。金属膜12は、例えばコバルト(Co)膜またはニッケル(Ni)膜などからなり、スパッタリング法などを用いて形成することができる。
【0124】
次に、半導体基板1に対して熱処理を施すことによって、n型半導体領域11a,11b,11c、制御ゲート電極CG、メモリゲート電極MGおよびゲート電極GEの上層部分(表層部分)を金属膜12と反応さる。これにより、図29に示されるように、n型半導体領域11a,11b,11c、制御ゲート電極CG、メモリゲート電極MGおよびゲート電極GEの上部(上面、表面、上層部)に、それぞれ金属シリサイド層13が形成される。金属シリサイド層13は、例えばコバルトシリサイド層(金属膜12がコバルト膜の場合)またはニッケルシリサイド層(金属膜12がニッケル膜の場合)とすることができる。その後、未反応の金属膜12を除去する。図29にはこの段階の断面図が示されている。このように、いわゆるサリサイドプロセスを行うことによって、n型半導体領域11a,11b,11c、制御ゲート電極CG、メモリゲート電極MGおよびゲート電極GEの上部に金属シリサイド層13を形成し、それによって、ソース、ドレインや各ゲート電極(CG,MG,GE)の抵抗を低抵抗化することができる。
【0125】
次に、図30に示されるように、半導体基板1の主面全面上に、制御ゲート電極CG、メモリゲート電極MG、ゲート電極GEおよびサイドウォールスペーサSW2を覆うように、絶縁膜14を形成(堆積)し、絶縁膜14上に絶縁膜15を形成(堆積)する。それから、必要に応じてCMP(Chemical Mechanical Polishing)法などを用いて絶縁膜15の上面を平坦化する。
【0126】
絶縁膜14は好ましくは窒化シリコン膜からなり、絶縁膜14上の絶縁膜15は好ましくは酸化シリコン膜などからなり、それぞれCVD法などを用いて形成することができる。絶縁膜14の膜厚は、絶縁膜15の膜厚よりも薄い。厚い絶縁膜15は、層間絶縁膜として機能し、薄い絶縁膜14は、絶縁膜15にコンタクトホールを形成する際のエッチングストッパ膜としてとして機能する。
【0127】
次に、図31に示されるように、フォトリソグラフィ法を用いて絶縁膜15上に形成したフォトレジストパターン(図示せず)をエッチングマスクとして、絶縁膜15および絶縁膜14をドライエッチングすることにより、絶縁膜14,15にコンタクトホール(開口部、貫通孔)CNTを形成する。コンタクトホールCNTを形成する際には、まず絶縁膜15をドライエッチングして絶縁膜14をエッチングストッパ膜として機能させ、その後、コンタクトホールCNTの底部の絶縁膜14をドライエッチングで除去して、絶縁膜14,15を貫通するコンタクトホールCNTを形成する。このように、絶縁膜14を、絶縁膜(層間絶縁膜)15をエッチングする際のエッチングストッパとして機能させることで、コンタクトホールCNTをエッチングにより形成する際に、その掘り過ぎにより下層に損傷を与えたり、加工寸法精度が劣化したりすることを回避することができる。
【0128】
コンタクトホールCNTは、n型半導体領域11a,11b,11c、制御ゲート電極CG、メモリゲート電極MG、ゲート電極GEの上部などに形成される。コンタクトホールCNTの底部では、半導体基板1の主面の一部、例えばn型半導体領域11a,11b,11c(の表面上の金属シリサイド層13)の一部、制御ゲート電極CG(の表面上の金属シリサイド層13)の一部、メモリゲート電極MG(の表面上の金属シリサイド層13)の一部、あるいはゲート電極GE(の表面上の金属シリサイド層13)の一部などが露出される。なお、図31の断面図においては、n型半導体領域11b,11c(の表面上の金属シリサイド層13)の一部がコンタクトホールCNTの底部で露出した断面が示されている。
【0129】
次に、コンタクトホールCNT内に、タングステン(W)などからなる導電性のプラグ(接続用導体部)PGを形成する。プラグPGを形成するには、例えば、コンタクトホールCNTの内部(底部および側壁上)を含む絶縁膜15上に、バリア導体膜(例えばチタン膜、窒化チタン膜、あるいはそれらの積層膜)を形成する。それから、このバリア導体膜上にタングステン膜などからなる主導体膜をコンタクトホールCNTを埋めるように形成し、絶縁膜15上の不要な主導体膜およびバリア導体膜をCMP法またはエッチバック法などによって除去することにより、プラグPGを形成することができる。なお、図面の簡略化のために、図31では、プラグPGを構成するバリア導体膜および主導体膜(タングステン膜)を一体化して示してある。
【0130】
次に、図32に示されるように、プラグPGが埋め込まれた絶縁膜15上に、絶縁膜16を形成する。絶縁膜16は、複数の絶縁膜の積層膜で形成することもできる。
【0131】
次に、シングルダマシン法により第1層目の配線である配線M1を形成する。具体的には、次のようにして配線M1を形成することができる。まず、フォトレジストパターン(図示せず)をマスクとしたドライエッチングによって絶縁膜16の所定の領域に配線溝を形成した後、配線溝の底部および側壁上を含む絶縁膜16上にバリア導体膜(例えば窒化チタン膜、タンタル膜または窒化タンタル膜など)を形成する。続いて、CVD法またはスパッタリング法などによりバリア導体膜上に銅のシード層を形成し、さらに電解めっき法などを用いてシード層上に銅めっき膜を形成して、銅めっき膜により配線溝の内部を埋め込む。それから、配線溝以外の領域の主導体膜(銅めっき膜およびシード層)とバリア導体膜をCMP法により除去して、配線溝に埋め込まれた銅を主導電材料とする第1層目の配線M1を形成する。図面の簡略化のために、配線M1は、バリア導体膜、シード層および銅めっき膜を一体化して示してある。
【0132】
配線M1はプラグPGを介して、メモリトランジスタのソース領域(半導体領域MS)、制御トランジスタのドレイン領域(半導体領域MD)、周辺回路領域1BのMISFETのソース・ドレイン領域(半導体領域SD)、制御ゲート電極CG、メモリゲート電極MGあるいはゲート電極GEなどと電気的に接続される。その後、デュアルダマシン法などにより2層目以降の配線を形成するが、ここでは図示およびその説明は省略する。また、配線M1およびそれよりも上層の配線は、ダマシン配線に限定されず、配線用の導電体膜をパターニングして形成することもでき、例えばタングステン配線またはアルミニウム配線などとすることもできる。
【0133】
以上のようにして、本実施の形態の半導体装置が製造される。
【0134】
次に、比較例を参照しながら、本実施の形態の構成や効果について、より詳細に説明する。
【0135】
まず、比較例の半導体装置について説明する。図33および図34は、比較例の半導体装置の要部断面図であり、本実施の形態の上記図1および図2にそれぞれ相当するものである。
【0136】
図33および図34に示される比較例の半導体装置は、不揮発性メモリのメモリセルを有する半導体装置であり、半導体基板101のp型ウエルPW101の上部に、不揮発性メモリセルを構成する制御ゲート電極CG101とメモリゲート電極MG101とが互いに隣合うように形成されている。制御ゲート電極CG101とp型ウエルPW101との間には、ゲート絶縁膜としての絶縁膜103が形成されている。また、メモリゲート電極MG101とp型ウエルPW101との間および制御ゲート電極CG101とメモリゲート電極MG101との間には、酸化シリコン膜106a、窒化シリコン膜106bおよび酸化シリコン膜106cの積層膜からなる絶縁膜105が形成されている。制御ゲート電極CG101およびメモリゲート電極MG101は、それぞれn型ポリシリコン膜により形成されている。p型ウエルPW101には、ソース領域として機能する半導体領域が、n型半導体領域109aとそれよりも高不純物濃度のn型半導体領域111aとにより形成され、ドレイン領域として機能する半導体領域が、n型半導体領域109bとそれよりも高不純物濃度のn型半導体領域111bとにより形成されている。制御ゲート電極CG101およびメモリゲート電極MG101の互いに隣接する側とは反対側の側壁上には側壁絶縁膜SW101が形成されている。また、n型半導体領域111a,111b、制御ゲート電極CG101およびメモリゲート電極MG101の上部には金属シリサイド層113が形成されている。半導体基板101上には、制御ゲート電極CG101、メモリゲート電極MG101およびサイドウォールスペーサSW102を覆うように、層間絶縁膜として、絶縁膜114,115の積層膜が形成されている。
【0137】
図33および図34に示される比較例の半導体装置では、絶縁膜105は、メモリゲート電極MG101と半導体基板101(p型ウエルPW101)の間の領域と、メモリゲート電極MG101と制御ゲート電極CG101の間の領域の、両領域にわたって連続的に延在しており、絶縁膜105全体が、酸化シリコン膜106aと窒化シリコン膜106bと酸化シリコン膜106cとの積層膜で構成されている。このため、窒化シリコン膜106bは、メモリゲート電極MG101と半導体基板101(p型ウエルPW101)の間の絶縁膜105中だけでなく、メモリゲート電極MG101と制御ゲート電極CG101の間の絶縁膜105中にも存在している。
【0138】
このような構造の比較例の半導体装置は、次のような課題(第1の課題および第2の課題)を有している。
【0139】
まず、第1の課題について説明する。メモリゲート電極MG101と制御ゲート電極CG101とは、薄い絶縁膜105を介在して隣接しており、メモリゲート電極MG101と制御ゲート電極CG101との間の絶縁耐圧は、この絶縁膜105に依存している。しかしながら、絶縁膜105は、メモリゲート電極MG101と半導体基板101(p型ウエルPW101)の間の領域と、メモリゲート電極MG101と制御ゲート電極CG101の間の領域の、両領域にわたって延在している。絶縁膜105を構成する酸化シリコン膜106a,106cおよび窒化シリコン膜106bの各厚みは、メモリトランジスタのゲート絶縁膜および電荷蓄積膜としての機能を考慮して決めることから、メモリゲート電極MG101と制御ゲート電極CG101の間の絶縁膜105の厚みを調整して、メモリゲート電極MG101と制御ゲート電極CG101との間の耐圧を向上させることは容易ではない。
【0140】
また、メモリゲート電極MG101と制御ゲート電極CG101との間の耐圧向上のために、絶縁膜105を構成する酸化シリコン膜106a,106cおよび窒化シリコン膜106bの各厚みを調整することで、メモリゲート電極MG101と制御ゲート電極CG101との間の絶縁膜105の厚みを厚くした場合には、不揮発性メモリの読出し電流の減少や、あるいは、書込み速度の低下などが引き起こされる虞がある。
【0141】
すなわち、絶縁膜105の厚みを厚くした場合には、メモリゲート電極MG101と制御ゲート電極CG101との間の距離L101(この距離L101は図34に示されており、絶縁膜105の厚みが距離L101に相当したものとなる)が大きくなる。p型ウエルPW101において、メモリゲート電極MG101と制御ゲート電極CG101との間に介在する絶縁膜105の下方には、メモリゲート電極MG101によっても、制御ゲート電極CG101によっても電界が印加されにくく、チャネル領域が形成されにくい領域121(この領域121は図33に示されている)が形成されている。この領域121のゲート長方向の寸法は、メモリゲート電極MG101と制御ゲート電極CG101との間の距離L101(すなわちメモリゲート電極MG101と制御ゲート電極CG101との間に介在する絶縁膜105の厚み)が大きくなるほど、大きくなる。この領域121は、抵抗成分となるため、上記距離L101(絶縁膜105の膜厚に相当)が大きくなって、領域121のゲート長方向の寸法が大きくなると、不揮発性メモリのメモリセルの読出し電流(読出し動作時にソース・ドレイン間に流れる電流値)の減少や、あるいは、書込み速度の低下などを引き起こしてしまう。このため、メモリゲート電極MG101と制御ゲート電極CG101との間の距離L101を大きくしなくとも、メモリゲート電極MG101と制御ゲート電極CG101との間の耐圧を向上できる技術が望まれる。
【0142】
次に、第2の課題について説明する。上述したように、不揮発性メモリへの書込み方式は、SSI方式とFN方式とがあり、消去方法は、BTBT方式とFN方式とがある。不揮発性メモリへの書込み時には、SSI方式とFN方式のいずれの場合も、メモリゲート電極MG101と半導体基板101(p型ウエルPW101)の間の絶縁膜105中の窒化シリコン膜106bに電子を注入する。不揮発性メモリの消去時には、BTBT方式とFN方式のいずれの場合も、メモリゲート電極MG101と半導体基板101(p型ウエルPW101)の間の絶縁膜105中の窒化シリコン膜106bにホール(正孔)を注入する。
【0143】
SSI方式で書込む際には、メモリゲート電極MG101と半導体基板101(p型ウエルPW101)の間の絶縁膜105中の窒化シリコン膜106bにおいて、均一に電子が注入されるのではなく、ホットエレクトロンの発生場所に起因して、ソース領域側の領域よりも、制御ゲート電極CGに近い側(すなわちドレイン領域に近い側)の領域に高密度に電子が注入されてしまう傾向にある。
【0144】
また、FN方式の書込みでは、SSI方式の書込みに比べると、窒化シリコン膜106bに比較的均一に電子が注入されやすい。しかしながら、そのFN方式の書込みでも、メモリゲート電極MG101と半導体基板101(p型ウエルPW101)の間の絶縁膜105中の窒化シリコン膜106bにおいて、メモリゲート電極MG101の角部MG101aでの電界集中に起因して、ソース領域側の領域よりも、制御ゲート電極CGに近い側(すなわちドレイン領域に近い側)の領域に高密度に電子が注入されてしまう傾向にある。
【0145】
従って、SSI方式の書込みとFN方式の書込みのいずれの場合にも、メモリゲート電極MG101と半導体基板101(p型ウエルPW101)の間の絶縁膜105中の窒化シリコン膜106bにおいて、制御ゲート電極CGに近い側(すなわちドレイン領域に近い側)の領域に高密度に電子が注入されてしまう傾向がある。
【0146】
一方、BTBT方式の消去では、メモリゲート電極MG101と半導体基板101(p型ウエルPW101)の間の絶縁膜105中の窒化シリコン膜106bにおいて、均一にホールが注入されるのではなく、ホットホールの発生場所に起因して、制御ゲート電極CGに近い側(すなわちドレイン領域に近い側)の領域よりも、ソース領域側の領域に高密度に電子が注入されてしまう傾向にある。
【0147】
また、FN方式の消去では、メモリゲート電極MG101と半導体基板101(p型ウエルPW101)の間の絶縁膜105中の窒化シリコン膜106bにおいて、メモリゲート電極MG101の角部MG101aでの電界集中に起因して、ソース領域側の領域よりも、制御ゲート電極CGに近い側(すなわちドレイン領域に近い側)の領域に高密度にホールが注入されてしまう傾向にある。
【0148】
このため、書込みがSSI方式でかつ消去がBTBT方式の場合(動作方式A)と、書込みがFN方式でかつ消去がBTBT方式の場合(動作方式C)とでは、絶縁膜105中の窒化シリコン膜106bにおいて、書込み時に電子が注入されやすい位置と、消去時にホールが注入されやすい位置とがずれているため、消去動作後に、電荷の消し残りが生じてしまう。すなわち、図34において点線で囲まれた領域122における窒化シリコン膜106b中に、SSI方式またはFN方式の書込み時に電子が他の領域よりも高密度に注入されるが、BTBT方式の消去時には、この領域122の窒化シリコン膜106b中にはホールが注入されにくいため、消去後に、この領域122の窒化シリコン膜106b中に消し残りの電子が残りやすい。窒化シリコン膜106b中に消し残りの電子があると、この消し残りの電子に起因してメモリトランジスタのしきい値電圧が変動してしまう虞があり、不揮発性メモリを備える半導体装置の性能低下を招く虞がある。
【0149】
また、書込みがSSI方式でかつ消去がFN方式の場合(動作方式B)と、書込みがFN方式でかつ消去がFN方式の場合(動作方式D)とでは、絶縁膜105中の窒化シリコン膜106bにおいて、書込み時に電子が注入されやすい位置と、消去時にホールが注入されやすい位置とがほぼ一致しているため、消去動作後に、電荷の消し残りが生じにくい。すなわち、図34において点線で囲まれた領域122における窒化シリコン膜106b中に、SSI方式またはFN方式の書込み時に電子が他の領域よりも高密度に注入されるが、FN方式の消去時には、この領域122の窒化シリコン膜106b中にホールが注入されやすいため、消去後に、この領域122の窒化シリコン膜106b中に消し残りの電子が残りにくい。このため、窒化シリコン膜106bにおける消し残りの電荷に起因したメモリトランジスタのしきい値電圧の変動は生じにくい。しかしながら、動作方式Bの場合と、動作方式Dの場合とでは、メモリゲート電極MG101の角部MG101aでの電界集中に起因して、メモリゲート電極MG101の角部MG101aと半導体基板101(p型ウエルPW101)との間の絶縁膜105の中の窒化シリコン膜106b(領域122の窒化シリコン膜106bにほぼ対応)に多量に電荷が注入される。このため、メモリゲート電極MG101の角部MG101aと半導体基板101(p型ウエルPW101)との間の絶縁膜105(領域122の絶縁膜105にほぼ対応)が劣化して絶縁膜105の信頼性が低下する虞があり、不揮発性メモリを備える半導体装置の性能低下を招く虞がある。
【0150】
このように、上記比較例の半導体装置は、第1の課題と第2の課題を有している。
【0151】
それに対して、本実施の形態では、絶縁膜5は、メモリゲート電極MGと半導体基板1(p型ウエルPW1)の間の領域と、メモリゲート電極MG1と制御ゲート電極CG1の間の領域の、両領域にわたって延在しているが、両領域で絶縁膜5の構成(構造)が異なっている。
【0152】
すなわち、本実施形態では、絶縁膜5のうち、メモリゲート電極MGの下面24と半導体基板1(p型ウエルPW1)の上面との間の部分(第1の部分、ゲート絶縁膜部分)5cは、酸化シリコン膜6aと酸化シリコン膜6cと酸化シリコン膜6a,6cに挟まれた窒化シリコン膜6bとを有している。そして、絶縁膜5のうち、制御ゲート電極CGの側面26とメモリゲート電極MGの側面25との間の部分(第2の部分、絶縁部分)5dは、酸化シリコン膜6aと酸化シリコン膜6cと酸化シリコン膜6a,6cに挟まれた空洞CAVとを有しており、窒化シリコン膜6bは有していない。
【0153】
ここで、絶縁膜5を、ゲート絶縁膜部分5cと絶縁部分5dと角部分5eとに仮想的に分けて考えることとする。図35は、本実施の形態の半導体装置の説明図であり、ゲート絶縁膜部分5c、絶縁部分5dおよび角部分5eが絶縁膜5のどの部分を指しているのかを模式的に示してある。図35は、上記図2と同じ断面領域が示されており、図35では、絶縁膜5を、ゲート絶縁膜部分5c、絶縁部分5dおよび角部分5eに仮想的に分けて示してあるが、実際には、絶縁膜5は上記図2のような断面構造を有しており、絶縁膜5は、酸化シリコン膜6a,6c、窒化シリコン膜6bおよび空洞CAVによって形成されている。
【0154】
絶縁膜5のうち、メモリゲート電極MGの下面24と半導体基板1(p型ウエルPW1)の上面との間の部分5cを、「ゲート絶縁膜部分5c」と称することとする。また、絶縁膜5のうち、制御ゲート電極CGの側面26とメモリゲート電極MGの側面25との間の部分5dを、「絶縁部分5d」と称することとする。また、絶縁膜5のうち、ゲート絶縁膜部分5c(すなわちメモリゲート電極MGの下面24と半導体基板1(p型ウエルPW1)の上面との間の部分5c)と絶縁部分5d(すなわち制御ゲート電極CGの側面26とメモリゲート電極MGの側面25との間の部分5d)との間の部分(第3の部分)5eを、「角部分5e」と称することとする。ゲート絶縁膜部分5cと絶縁部分5dとの間に、角部分5eが介在している。なお、制御ゲート電極CGの側面26は、絶縁膜5を介してメモリゲート電極MGに対向する側の側面であり、メモリゲート電極MGの側面25は、絶縁膜5を介して制御ゲート電極CGに対向する側の側面である。また、メモリゲート電極MGの下面24は、ゲート絶縁膜部分5cに接している面である。
【0155】
ゲート絶縁膜部分5cは、メモリゲート電極MGの下面24と半導体基板1(p型ウエルPW1)の上面との間に位置しているため、メモリトランジスタのゲート絶縁膜として機能することができる。ゲート絶縁膜部分5cにおける窒化シリコン膜6bは、メモリセルの電荷蓄積部(電荷蓄積層)として機能することができる。
【0156】
絶縁部分5dは、制御ゲート電極CGの側面26とメモリゲート電極MGの側面25との間に位置しているため、制御ゲート電極CGとメモリゲート電極MGとを絶縁分離するよう機能することができる。
【0157】
角部分5eは、断面(図1および図2の断面に対応)がL字型の絶縁膜5の角部に位置している。このため、ゲート絶縁膜部分5cと角部5eとは、半導体基板1の主面に沿って(すなわち半導体基板1の主面にほぼ平行に)延在しており、また、絶縁部分5dと角部5eとは、上下方向(すなわち半導体基板1の主面に略垂直な方向)に延在しており、絶縁膜5において、横方向(半導体基板1の主面に平行な方向)から上下方向(半導体基板1の主面に略垂直な方向)への折れ曲がりの角部分が、角部分5eに対応している。
【0158】
絶縁膜5において、ゲート絶縁膜部分5cはメモリゲート電極MGの直下に位置しているが、絶縁部分5dと角部分5eとは、メモリゲート電極MGの直下には位置していない。図35からも分かるように、絶縁部分5dと角部分5eとの境界は、角部分5e近傍におけるメモリゲート電極MGの下面24の延長面と一致し、ゲート絶縁膜部分5cと角部5eとの境界は、角部分5e近傍におけるメモリゲート電極MGの側面25の延長面と一致している。
【0159】
本実施の形態では、絶縁膜5のうち、メモリゲート電極MGの下面24と半導体基板1(p型ウエルPW1)の上面との間に位置するゲート絶縁膜部分5cが、酸化シリコン膜6a,6cに挟まれた窒化シリコン膜6bを有していることで、この窒化シリコン膜6bに電荷を蓄積させることができ、それによって、メモリトランジスタに情報を記憶させることができる。
【0160】
そして、本実施の形態では、絶縁膜5のうち、制御ゲート電極CGの側面26とメモリゲート電極MGの側面25との間に位置する絶縁部分5dが、酸化シリコン膜6a,6cと酸化シリコン膜6a,6cに挟まれた空洞CAVとを有し、窒化シリコン膜6bを有していないことで、メモリゲート電極MGと制御ゲート電極CGとの間の耐圧(絶縁耐圧)を向上させることができる。すなわち、制御ゲート電極CGの側面26とメモリゲート電極MGの側面25との間に位置する絶縁部分5dに絶縁膜6bが無く、代わりに空洞CAVがあることで、上記図33および図34の比較例の半導体装置に比べて、メモリゲート電極MGと制御ゲート電極CGとの間の耐圧を向上させることができる。すなわち、上記第1の課題を解決または改善することができる。
【0161】
具体的に説明すると、上記比較例の半導体装置を参照して説明したように、メモリゲート電極MG101と制御ゲート電極CG101との間の絶縁膜105の厚みを厚くした場合には、不揮発性メモリの読出し電流(読出し時にソース・ドレイン間に流れる電流値)の減少や、あるいは、書込み速度の低下などが引き起こされ、不揮発性メモリを有する半導体装置の性能が低下してしまう虞がある。それに対して、本実施の形態では、メモリゲート電極MGと制御ゲート電極CGとの間の絶縁部分5dの厚みを厚くしなくとも、空洞CAVの存在によりメモリゲート電極MGと制御ゲート電極CGとの間の耐圧を向上させることができるため、メモリゲート電極MGと制御ゲート電極CGとの間の耐圧の向上と、メモリゲート電極MGと制御ゲート電極CGとの間の絶縁膜5(すなわち絶縁部分5d)の厚みの抑制とを両立することができる。本実施の形態では、メモリゲート電極MGと制御ゲート電極CGとの間の絶縁膜5(すなわち絶縁部分5d)の厚みを抑制できることで、メモリゲート電極MGと制御ゲート電極CGとの間の距離L1を小さくすることができ、上記領域121に相当する領域のゲート長方向の寸法を小さくして、不揮発性メモリのメモリセルの読出し電流を増大でき、また、書込み速度を向上することができる。従って、不揮発性メモリを有する半導体装置の性能を向上させることができる。なお、距離L1は上記図2に示されており、絶縁部分5dの厚みが距離L1に相当したものとなる。また、上記領域121に相当する領域とは、絶縁部分5dおよび角部分5eの下方に位置し、メモリゲート電極MGによっても制御ゲート電極CGによっても電界が印加されにくく、チャネル領域が形成されにくい基板領域に対応する。
【0162】
また、本実施の形態では、空洞CAVの上部は、酸化シリコン膜6aと酸化シリコン膜6cとに挟まれた絶縁膜部分10aによって塞がれた(蓋をされた)状態となっている。この絶縁膜部分10aは、好ましくは酸化シリコンからなり、サイドウォールスペーサSW2を形成するための上記絶縁膜10の一部によって形成されている。空洞CAVの上部が、酸化シリコン膜6a,6c間に挟まれた絶縁膜部分10aによって塞がれた状態となっていることで、半導体装置の製造中および製造後において、空洞CAV内に不要な材料が侵入することを防止し、空洞CAVを的確に形成しかつ維持することができる。
【0163】
また、本実施の形態では、絶縁膜5の形成時(具体的には上記ステップ7)には、絶縁膜5を酸化シリコン膜6a、窒化シリコン膜6bおよび酸化シリコン膜6cの積層膜として形成し、その後(具体的には上記ステップS14)に窒化シリコン膜6bをエッチングすることで空洞CAVを形成しているため、空洞CAVを容易かつ的確に形成することができる。このため、空洞CAVは、窒化シリコン膜6bが除去された領域であることから、製造された半導体装置において、窒化シリコン膜6bの端部23が、空洞CAVに隣接した状態となる。
【0164】
また、本実施の形態では、絶縁膜5のうち、制御ゲート電極CGの側面26とメモリゲート電極MGの側面25との間の部分5d(すなわち絶縁部分5d)が窒化シリコン膜6bを有していないことも、主要な特徴の一つとしている。
【0165】
図36〜図40は、絶縁膜5における空洞CAVと窒化シリコン膜6bの形成領域を説明するための説明図(要部断面図、部分拡大断面図)であり、上記図2の一部を拡大したものに対応している。
【0166】
図36〜図40に示されるように、窒化シリコン膜6bの端部23は空洞CAV(の端部)と隣接しており、窒化シリコン膜6bの端部6bが空洞CAVの内壁の一部を形成している。この空洞CAVに隣接する窒化シリコン膜6bの端部23の位置が、図36〜図40のそれぞれで相違している。
【0167】
図36の場合は、窒化シリコン膜6bの端部23は絶縁部分5d内に位置している。このため、図36の場合は、絶縁部分5dに、空洞CAVと窒化シリコン膜6bの両方が存在している。
【0168】
図36の場合のように、窒化シリコン膜6bが、制御ゲート電極CGの側面とメモリゲート電極MGの側面との間の絶縁部分5d中にも延在していると、その窒化シリコン膜6bが存在する部分の絶縁部分5dは、空洞CAVが存在する部分の絶縁部分5dに比べて、制御ゲート電極CGとメモリゲート電極MGとの間の耐圧が低下してしまう。
【0169】
そこで、本実施の形態では、絶縁膜5のうち、制御ゲート電極CGの側面26とメモリゲート電極MGの側面25との間の絶縁部分5dには、窒化シリコン膜6bが延在しないようにすることが好ましく、図37〜図40は、この条件を満たしている。図37〜図40では、制御ゲート電極CGの側面26とメモリゲート電極MGの側面25との間の絶縁部分5dには窒化シリコン膜6bが延在しておらず、代わりに空洞CAVが延在しているため、制御ゲート電極CGとメモリゲート電極MGとの間の耐圧を的確に向上させることができる。
【0170】
また、図37〜図40の各図の構造では、制御ゲート電極CGの側面26とメモリゲート電極MGの側面25との間の絶縁部分5dには窒化シリコン膜6bが延在しておらず、代わりに空洞CAVが延在している点は共通であり、空洞CAVを設けたことによる制御ゲート電極CGとメモリゲート電極MGとの間の耐圧向上効果の観点では、ほぼ同じである。しかしながら、上記第2の課題を解決または改善するためには、窒化シリコン膜6bの端部23の位置は重要である。
【0171】
図37の場合は、窒化シリコン膜6bの端部23が、メモリゲート電極MGの下面24と同じ高さ位置に位置している。すなわち、窒化シリコン膜6bの端部23が、絶縁部分5dと角部分5eとの境界に位置している。このため、図37の場合は、絶縁膜5のうち、ゲート絶縁膜部分5cと角部分5eとは、酸化シリコン膜6aと窒化シリコン膜6bと酸化シリコン膜6cとが積層された積層構造を有している。
【0172】
図37の場合は、上述のように上記第1の課題を解決または改善できる効果を得られ、その効果は、図38〜図40の場合とほぼ同等である。しかしながら、図38〜図40の場合は、更に、上記第2の課題を解決または改善できる効果も得ることができる。
【0173】
図38の場合は、絶縁膜5の角部分5eにも窒化シリコン膜6bが延在しているが、絶縁膜5の角部分5eに延在する窒化シリコン膜6bの長さは、図36や図37の場合に比べて短い。図39や図40の場合は、絶縁膜5の角部分5eには、窒化シリコン膜6bは延在していない。
【0174】
上記第2の課題を解決または改善するためには、絶縁膜5の角部分5eに存在する窒化シリコン膜6bを少なくすることが有効であり、絶縁膜5の角部分5eに窒化シリコン膜6bが存在しないようにすることが、より好ましい。その理由は、次のようなものである。
【0175】
上記図33および図34の比較例の半導体装置では、上記第2の課題に関連して説明したように、動作方式Aの場合と動作方式Cの場合は、絶縁膜105中の窒化シリコン膜106bにおいて、書込み時に電子が注入されやすい位置と、消去時にホールが注入されやすい位置とがずれているため、消去動作後に、電荷の消し残りが生じてしまい、この消し残りの電子に起因してメモリトランジスタのしきい値電圧が変動してしまう虞がある。これは、上記図34において点線で囲まれた領域122における窒化シリコン膜106b中に、書込み時に電子が他の領域よりも高密度に注入され、消去時には、この領域122の窒化シリコン膜106b中にはホールが注入されにくいため、消去後に、この領域122の窒化シリコン膜106b中に消し残りの電子が残りやすいことに起因している。
【0176】
上記領域122の絶縁膜105は、本実施の形態では、絶縁膜5の角部分5eに相当している。このため、絶縁膜5の角部分5eに窒化シリコン膜6bが存在すると、その窒化シリコン膜6bに、消去動作後の電荷の消し残りが生じやすく、それに起因してメモリトランジスタのしきい値電圧の変動が生じる可能性がある。そこで、本実施の形態では、絶縁膜5の角部分5eに存在する窒化シリコン膜6bを、上記図33および図34の比較例の半導体装置に比べて少なくし、より好ましくは、絶縁膜5の角部分5eに窒化シリコン膜6bが存在しないようにしている。
【0177】
絶縁膜5の角部分5eに存在する窒化シリコン膜6bを、上記図33および図34の比較例の半導体装置に比べて少なくすれば、角部分5eに存在する窒化シリコン膜6b中に書込み時に注入される電子の量を少なくすることができるため、消去後に角部分5eの窒化シリコン膜6b中に消し残りの電子が残るのを抑制することができる。
【0178】
そして、絶縁膜5の角部分5eに窒化シリコン膜6bが存在しないようにすれば、書込み時には、角部分5eには窒化シリコン膜6bが無いため電子が注入されず、ゲート絶縁膜部分5cの窒化シリコン膜6bにのみ電子が注入される。消去動作時には、ゲート絶縁膜部分5cの窒化シリコン膜6bにはホールが注入されやすく、ホールが注入されにくいはずの角部分5eには窒化シリコン膜6bが無いため、消去後に絶縁膜5(の窒化シリコン膜6b)中に消し残りの電子が残るのを更に的確に抑制することができる。
【0179】
つまり、本実施の形態では、書込み時に電子が注入されやすいが消去時にホールが注入されにくい位置にある角部分5eにおいて、電荷をトラップする窒化シリコン膜6bを少なくするか、無くすことで、消去動作後の電荷の消し残りを抑制または防止することができる。このため、電荷の消し残りに起因してメモリトランジスタのしきい値電圧の変動が生じるのを、抑制または防止することができる。従って、不揮発性メモリを備える半導体装置の性能を向上することができる。
【0180】
また、上記図33および図34の比較例の半導体装置では、上記第2の課題に関連して説明したように、動作方式Bの場合と動作方式Dの場合は、メモリゲート電極MG101の角部MG101aでの電界集中に起因して、メモリゲート電極MG101の角部MG101aと半導体基板101との間の絶縁膜105の中の窒化シリコン膜106b(領域122の窒化シリコン膜106bにほぼ対応)に多量に電荷が注入される。このため、メモリゲート電極MG101の角部MG101aと半導体基板101(p型ウエルPW101)との間の絶縁膜105(領域122の絶縁膜105にほぼ対応)が劣化して絶縁膜105の信頼性が低下する虞がある。この絶縁膜105の劣化しやすい領域は、本実施の形態では、絶縁膜5の角部分5eに相当している。このため、絶縁膜5の角部分5eに窒化シリコン膜6bが存在すると、その窒化シリコン膜6bに、多量に電荷が注入されてしまい、角部分5eが劣化して絶縁膜5の信頼性が低下する可能性がある。そこで、本実施の形態では、絶縁膜5の角部分5eに存在する窒化シリコン膜6bを、上記図33および図34の比較例の半導体装置に比べて少なくし、より好ましくは、絶縁膜5の角部分5eに窒化シリコン膜6bが存在しないようにしている。
【0181】
絶縁膜5の角部分5eに存在する窒化シリコン膜6bを、上記図33および図34の比較例の半導体装置に比べて少なくすれば、角部分5eに存在する窒化シリコン膜6b中に注入される電荷の量を少なくすることができるため、絶縁膜5の角部分5eが劣化するのを抑制することができる。
【0182】
そして、絶縁膜5の角部分5eに窒化シリコン膜6bが存在しないようにすれば、絶縁膜5の角部分5eは窒化シリコン膜6bが無いため電荷が注入されず、絶縁膜5の角部分5eが劣化するのを更に的確に抑制することができる。
【0183】
つまり、本実施の形態では、電荷が多量に注入されやすい位置にある角部分5eにおいて、電荷をトラップする窒化シリコン膜6bを少なくするか、無くすことで、絶縁膜5の角部分5eが劣化するのを抑制または防止することができる。このため、絶縁膜5が劣化するのを抑制または防止できるため、絶縁膜5の信頼性を向上することができる。従って、不揮発性メモリを備える半導体装置の性能を向上することができる。
【0184】
窒化シリコン膜6bの端部23が、メモリゲート電極MGの直下に位置している場合は、絶縁膜5の角部分5eには窒化シリコン膜6bが存在しない。図39および図40のいずれの場合も、窒化シリコン膜6bの端部23は、メモリゲート電極MGの直下に位置しており、絶縁膜5の角部分5eには窒化シリコン膜6bが存在していない。このような構成をとると、不揮発性メモリの動作方式が動作方式Aまたは動作方式Cのいずれかの場合には、上述したように、消去後の電荷の消し残りを抑制でき、電荷の消し残りに起因したメモリトランジスタのしきい値電圧の変動を抑制または防止することができる。また、不揮発性メモリの動作方式が動作方式Bまたは動作方式Dのいずれかの場合には、上述したように、絶縁膜5の劣化を抑制または防止でき、絶縁膜5の信頼性を向上することができる。従って、不揮発性メモリの動作方式が動作方式A、動作方式B、動作方式Cまたは動作方式Dのいずれの場合にも、不揮発性メモリを備える半導体装置の性能を向上することができる。
【0185】
なお、窒化シリコン膜6bの端部23がメモリゲート電極MGの直下に位置している場合(図39または図40に対応)は、絶縁膜5の角部分5eは窒化シリコン膜6bを有しておらず、空洞CAVが角部分5eにも延在した状態となっている。
【0186】
窒化シリコン膜6bの端部23がメモリゲート電極MGの直下に位置している場合は、図39の場合と図40の場合とに分類される。
【0187】
図39の場合は、窒化シリコン膜6bの端部23は、メモリゲート電極MGの側面25の直下に位置しており、ゲート絶縁膜部分5c(より特定的にはゲート絶縁膜部分5c全体)は、酸化シリコン膜6aと窒化シリコン膜6bと酸化シリコン膜6cとが積層された積層構造を有している。
【0188】
図40の場合は、窒化シリコン膜6bの端部23は、メモリゲート電極MGの側面25の直下の位置よりも、制御ゲート電極CGから遠い(離れる)側(すなわちソース領域に近づく側)に位置している。このため、図40の場合は、ゲート絶縁膜部分5cは、酸化シリコン膜6aと窒化シリコン膜6bと酸化シリコン膜6cとが積層された部分(第4の部分)5fと、酸化シリコン膜6aと空洞CAVと酸化シリコン膜6cとを含みかつ窒化シリコン膜6bを含んでいない部分(第5の部分)5gとを有し、部分5gは部分5fと角部分5eとの間に位置したものとなる。より具体的に説明すると、ゲート絶縁膜部分5cは、酸化シリコン膜6aと窒化シリコン膜6bと酸化シリコン膜6cとが積層された部分5fと、窒化シリコン膜6bの代わりに空洞CAVを有する部分5gとで構成され、部分5gが角部分5eに隣接し、部分5fと部分5gとの境界に、窒化シリコン膜6bの端部23が位置している。
【0189】
図39の場合と図40の場合のいずれも、窒化シリコン膜6bの端部23がメモリゲート電極MGの直下に位置しており、絶縁膜5の角部分5eが窒化シリコン膜6bを有していないため、上述したメモリトランジスタのしきい値電圧の変動を抑制または防止できる効果(動作方式Aまたは動作方式Cの場合)、あるいは上述した絶縁膜5の信頼性を向上できる効果(動作方式Bまたは動作方式Dの場合)を得ることができる。しかしながら、図40の場合は、更に次のような効果を得ることができる。
【0190】
すなわち、上記ステップS14で窒化シリコン膜6bをエッチングすることで空洞CAVを形成するが、エッチング条件の変動などに起因して、窒化シリコン膜6bの端部23の位置が多少変動する可能性がある。このため、図40の場合のように、窒化シリコン膜6bの端部23を、メモリゲート電極MGの側面25の直下の位置よりも、制御ゲート電極CGから遠い(離れる)側に設定しておけば、窒化シリコン膜6bの端部23の位置が多少変動したとしても、窒化シリコン膜6bの端部23がメモリゲート電極MGの直下に位置し、絶縁膜5の角部分5eが窒化シリコン膜6bを有していない状態を維持することができる。これにより、多少工程変動(具体的には上記ステップS14の工程変動)が生じても、絶縁膜5の角部分5eが窒化シリコン膜6bを有していない状態を維持できるため、上述したメモリトランジスタのしきい値電圧の変動を抑制または防止することができる効果(動作方式Aまたは動作方式Cの場合)、あるいは上述した絶縁膜5の信頼性を向上することができる効果(動作方式Bまたは動作方式Dの場合)を、より的確に得ることができる。従って、不揮発性メモリを備える半導体装置の性能をより的確に向上させることができる。
【0191】
一方、図39の場合(図37や図38の場合も)は、ゲート絶縁膜部分5c全体が、酸化シリコン膜6aと窒化シリコン膜6bと酸化シリコン膜6cとが積層された積層構造を有しているため、書込み速度を向上する点では有利である。
【0192】
また、上記第2の課題を解決または改善するためには、絶縁膜5の角部分5eに窒化シリコン膜6bが存在しないようにすることが極めて有効であるが、絶縁膜5の角部分5eに窒化シリコン膜6bが存在していても、上記図33および図34の比較例の場合に比べて、絶縁膜5の角部分5eにおける窒化シリコン膜6bを少なくすれば、上記図33および図34の比較例の場合に比べて、上記第2の課題を改善することができる。この場合の例が、図38に対応している。
【0193】
すなわち、図38の場合は、窒化シリコン膜6bの端部23が、メモリゲート電極MGの下面24よりも低い位置で、かつ、メモリゲート電極MGの側面25の直下の位置よりも制御ゲート電極CGに近い側に位置している。この場合、窒化シリコン膜6bの端部23は、角部分5e内に位置しており、ゲート絶縁膜部分5c(ゲート絶縁膜部分5c全体)は、酸化シリコン膜6aと窒化シリコン膜6bと酸化シリコン膜6cとが積層された積層構造を有している。このような構造とすれば、上記図33および図34の比較例の場合に比べて、絶縁膜5の角部分5eにおける窒化シリコン膜6bが少なくなるため、上記図33および図34の比較例の場合に比べて、上記第2の課題を改善することができる。すなわち、上記図33および図34の比較例の場合に比べて、消去後の電荷の消し残りを抑制してメモリトランジスタのしきい値電圧の変動を抑制または防止することができる効果(動作方式Aまたは動作方式Cの場合)、あるいは絶縁膜5(の角部分5e)の劣化を抑制して絶縁膜5の信頼性を向上することができる効果(動作方式Bまたは動作方式Dの場合)を得ることができる。従って、不揮発性メモリを備える半導体装置の性能を向上させることができる。
【0194】
窒化シリコン膜6bの端部23の位置は、上記ステップS14のエッチング工程におけるエッチング条件(例えばエッチング時間など)を調整することで、制御することができる。例えば、図39または図40の構造(窒化シリコン膜6bの端部23がメモリゲート電極MGの直下に位置している構造)を得るためには、上記ステップS14のエッチング工程において、空洞CAVに隣接する窒化シリコン膜5の端部23が、メモリゲート電極MGの直下の位置になるまで、窒化シリコン膜6bのエッチングを行えばよい。また、上記ステップS14のエッチング工程において、空洞CAVに隣接する窒化シリコン膜6bの端部23が、メモリゲート電極MGの下面24と同じ高さ位置か、それよりも低い位置になるまで、窒化シリコン膜6bのエッチングを行えば、図36〜図40のいずれかの構造を得ることができる。但し、ゲート絶縁膜部分5cから全ての窒化シリコン膜6bが除去されてしまうと、電荷蓄積部が存在しなくなるため、ステップS14のエッチング工程は、ゲート絶縁膜部分5cから全ての窒化シリコン膜6bが除去される前にエッチングを終了し、ステップS14のエッチング工程後にゲート絶縁膜部分5c中に窒化シリコン膜6bの少なくとも一部が存在(残存)しているようにする。図40の構造の場合、ゲート絶縁膜部分5cにおいて、酸化シリコン膜6aと窒化シリコン膜6bと酸化シリコン膜6cとが積層された部分5fのゲート長方向(メモリゲート電極MGのゲート長方向)の寸法は、10nm以上であればより好ましく、これにより、電荷蓄積部としての機能をより的確に発揮させることができる。
【0195】
(実施の形態2)
本実施の形態は、上記実施の形態1の変形例に対応している。
【0196】
本実施の形態においては、上記実施の形態1の不揮発性メモリのメモリゲート電極MGの高さを制御ゲート電極CGの高さよりも高くなるように形成する場合について説明する。
【0197】
図41および図42は、本実施の形態の半導体装置の要部断面図である。図41は上記実施の形態1の上記図1に対応するものであり、不揮発性メモリのメモリセル領域の要部断面図が示されている。図42は上記実施の形態1の上記図2に対応するものであり、図41の一部が拡大して示してある。なお、図42は、理解を簡単にするために、図1の構造のうち、制御ゲート電極CG、メモリゲート電極MG、絶縁膜3,5および側壁絶縁膜SW2と、それらの直下の基板領域(p型ウエルPW1を構成する半導体基板1の一部)のみが図示されている。
【0198】
図41および図42に示されるように、本実施の形態における不揮発性メモリのメモリセルは、制御ゲート電極CGの高さがメモリゲート電極MGの高さよりも低くなるように形成されている。より具体的な構成を以下で説明する。
【0199】
制御ゲート電極CGおよびメモリゲート電極MGは、それらの対向側面(側壁)の間に絶縁膜5を介した状態で、半導体基板1の主面に沿って延在し、並んで配置されている。制御ゲート電極CGとメモリゲート電極MGとは、間に絶縁膜5を介在して互いに隣り合っており、メモリゲート電極MGは、制御ゲート電極CGの側壁上に絶縁膜5を介してサイドウォールスペーサ状に形成されている。ただし、上述したように、メモリゲート電極MGの高さは、制御ゲート電極CGの高さよりも高く形成されている。すなわち、制御ゲート電極CGの高さ(半導体基板1の主面に略垂直な方向の高さ)よりも、メモリゲート電極MGの高さ(半導体基板1の主面に略垂直な方向の高さ)の方が、高くなっている。
【0200】
また、絶縁膜5は、メモリゲート電極MGと半導体基板1(p型ウエルPW1)の間の領域と、メモリゲート電極MGと制御ゲート電極CGの間の領域の、両領域にわたって延在している。上記実施の形態1の場合と同様に、本実施の形態では、メモリゲート電極MGと半導体基板1(p型ウエルPW1)の間に位置する部分の絶縁膜5が、酸化シリコン膜6a,6cに挟まれた窒化シリコン膜6bを有し、この窒化シリコン膜6bが電荷蓄積部として機能し、一方、メモリゲート電極MGと制御ゲート電極CGの間に位置する部分の絶縁膜5が空洞CAVを有するようにしている。すなわち、絶縁膜5のうち、メモリゲート電極MGの下面と半導体基板1(p型ウエルPW1)の上面との間の部分は、酸化シリコン膜6a,6cと酸化シリコン膜6a,6cに挟まれた窒化シリコン膜とを有し、絶縁膜5のうち、制御ゲート電極CGの側面とメモリゲート電極MGの側面との間の部分は、酸化シリコン膜6a,6cと酸化シリコン膜6a,6cに挟まれた空洞CAVとを有し、窒化シリコン膜6bを有さないようにしている。
【0201】
空洞CAVの上部は、酸化シリコン膜6aと酸化シリコン膜6cとによって挟まれた絶縁膜部分(絶縁体部分)10aによって塞がれている状態(蓋をされた状態)となっている。この絶縁膜部分10aは、サイドウォールスペーサSW2を形成するための絶縁膜(後述の絶縁膜10に対応)の一部によって形成されており、絶縁体(サイドウォールスペーサSW2の少なくとも一部と同種の絶縁体材料)からなるが、好ましくは酸化シリコンからなる。従って、空洞CAVは、酸化シリコン膜6a,6c、窒化シリコン膜6bおよび絶縁膜部分10aによって囲まれており、酸化シリコン膜6a,6c、窒化シリコン膜6bおよび絶縁膜部分10aによって空洞CAVの内壁が形成されている。ただし、本実施の形態では、図42に示されるように、酸化シリコン膜6aと酸化シリコン膜6cとによって挟まれた絶縁膜部分10aによって空洞CAVが塞がれているだけでなく、制御ゲート電極CGの高さがメモリゲート電極MGの高さよりも低くなるように形成されているため、制御ゲート電極CGの上部でかつ、メモリゲート電極MGのドレイン領域側の側壁にもサイドウォールスペーサSW2が形成されている。なお、制御ゲート電極CGの上部でかつ、メモリゲート電極MGのドレイン領域側の側壁に形成されたサイドウォールスペーサSW2をサイドウォールスペーサSW2aと称することとする。
【0202】
また、本実施の形態では、絶縁膜部分10aは、サイドウォールスペーサSW2aと一体的に形成されている。すなわち、サイドウォールスペーサSW2aを構成している絶縁膜の一部が、制御ゲート電極CGとメモリゲート電極MGの間に侵入して絶縁膜部分10aとなっている。
【0203】
また、本実施の形態においては、後述するように、制御ゲート電極CGは最初シリコン膜4nと絶縁膜31との積層膜(積層パターン、積層構造)で構成され、絶縁膜31の一部が除去される際に、側壁絶縁膜SW1も除去されてしまうものとして、本実施の形態で記載しているが、側壁絶縁膜SW1が残る場合もあり得る。
【0204】
また、本実施の形態においては、制御ゲート電極CG上にもサイドウォールスペーサSW2aが形成されているため、制御ゲート電極CG上に関しては、サイドウォールスペーサSW2aが形成されている部分には、金属シリサイド層13が形成されず、サイドウォールスペーサSW2aが形成されていない部分に金属シリサイド層13が形成されることになる。すなわち、制御ゲート電極のCGの上面において、サイドウォールスペーサSW2aで覆われている領域には金属シリサイド層13は形成されずに、制御ゲート電極CGの上面において、サイドウォールスペーサSW2aで覆われていない領域には金属シリサイド層13が形成されている。そのため、制御ゲート電極CG上に形成された金属シリサイド層13とメモリゲート電極MGに形成された金属シリサイド層13との間に、サイドウォールスペーサSW2a分の距離が確保されることとなり、上記2箇所の金属シリサイド層13(すなわち制御ゲート電極CG上の金属シリサイド層13とメモリゲート電極MG上の金属シリサイド層13)同士のショートを効果的に回避することができる。従って、半導体装置の信頼性を、より向上させることが可能となる。
【0205】
本実施の形態のメモリセルの他の構成は、上記実施の形態1と同様であるので、ここではその説明は省略する。
【0206】
次に、本実施の形態の半導体装置の製造工程について説明する。図43〜図49は、本実施の形態の半導体装置の製造工程中の要部断面図である。図43〜図49のうち、図43〜図46、図48および図49には、上記実施の形態1における上記図6〜図15などとほぼ同じ断面領域が示されている。また、図47は図46の部分拡大断面図であり、図46におけるメモリセル領域1Aの一部が拡大して示されている(なお図47では、n型半導体領域9a,9bは図示を省略してp型ウエルPW1に含めてある)。なお、図45は、上記ステップS13まで行った段階(上記図20と同じ工程段階)が示されている。また、図46および図47は、上記ステップS14を行った後(上記ステップS15を行う前)の段階の断面図である。また、図48は、上記ステップS15を行った段階(上記図23と同じ工程段階)が示され、図49は、上記ステップS16を行った段階(上記図25と同じ工程段階)が示されている。
【0207】
本実施の形態の半導体装置の製造工程は、上記実施の形態1の半導体装置の製造工程と基本的には同じであるため、以下では、主として上記実施の形態1の製造工程との相違点について説明する。
【0208】
上記実施の形態1と同様にして上記図8の構造を得た後、本実施の形態では、上記ステップS5と上記ステップS6との間に、図43に示されるように、シリコン膜4(4n)上に絶縁膜31を形成する工程が追加される。絶縁膜31は、シリコン膜4n(4)上の絶縁膜31aと絶縁膜31a上の絶縁膜31bとの積層膜(積層膜パターン)で構成されており、絶縁膜31aは、絶縁膜31bより薄く形成されている。絶縁膜31aは、好ましくは酸化シリコン膜からなり、絶縁膜31bは、好ましくは窒化シリコン膜からなり、本実施の形態においては、絶縁膜31aを酸化シリコン膜で、絶縁膜31bを窒化シリコン膜で形成した場合として説明する。絶縁膜31形成工程は、シリコン膜4(4n)上に絶縁膜31aを形成する工程と、絶縁膜31a上に絶縁膜31bを形成する工程とを有している。
【0209】
それから、上記ステップS6において、上記実施の形態1ではシリコン膜4nをパターニングして制御ゲート電極CGを形成したが、本実施の形態では、シリコン膜4nと絶縁膜31との積層膜をパターニングすることで、図44に示されるように、シリコン膜4nと絶縁膜31との積層膜パターンからなる制御ゲート電極CGを形成する。それから、ステップS6とステップS7の間に、絶縁膜31を除去すべき領域(例えば周辺回路領域1Bなど)において、適宜絶縁膜31の除去を行う。
【0210】
その後、上記ステップS7〜S14を上記実施の形態1と同様に行う。図45からも分かるように、図45の段階までは、制御ゲート電極CGは、シリコン膜4nとシリコン膜4n上の絶縁膜31との積層膜によって形成された状態となっており、シリコン膜4nと絶縁膜31との積層膜からなる制御ゲート電極CGの側壁上に、絶縁膜5を介してメモリゲート電極MGがサイドウォールスペーサ状に形成される。一方、ステップS14においては、図46および図47に示されるように、窒化シリコン膜6bのエッチングにより、絶縁膜31bも同時にエッチングされ除去されてしまう。また、絶縁膜31aもその後の洗浄などによって除去され、前述のように、本実施の形態においてはその際に(絶縁膜31aが除去される際に)側壁絶縁膜SW1も除去されたものとして、上記図41、図42、図46〜図49を記載している。また、絶縁膜31aおよび側壁絶縁膜SW1が除去される際に、絶縁膜31とメモリゲート電極MGとの間に位置していた部分の酸化シリコン膜6a,6bも除去され得る。
【0211】
また、絶縁膜31bおよび絶縁膜31aが除去されたことで、図46〜図49からも分かるように、制御ゲート電極CGは、上部に絶縁膜31a,31bが形成されておらず、シリコン膜4nで構成された状態となる。メモリゲート電極MGは、シリコン膜4nと絶縁膜31との積層膜で構成されていた制御ゲート電極CGとほぼ同じ高さに形成されていたため、制御ゲート電極CGの上部の絶縁膜31が除去されて以降は、シリコン膜4nで構成された制御ゲート電極CGの高さは、シリコン膜7nで構成されたメモリゲート電極MGの高さよりも低くなる。
【0212】
その後、上記ステップS15〜S17を上記実施の形態1と同様に行う。図48および図49からも分かるように、本実施の形態では、ステップS16において、制御ゲート電極CGおよびメモリゲート電極MGの互いに隣接している側とは反対側の側壁上にサイドウォールスペーサSW2が形成されるだけでなく、制御ゲート電極CGの上部でかつ、メモリゲート電極MGのドレイン領域側の側壁にサイドウォールスペーサSW2aが形成される。これは、シリコン膜4nで構成された制御ゲート電極CGの高さがシリコン膜7nで構成されたメモリゲート電極MGの高さよりも低くなっているためである。
【0213】
以降の工程は、上記実施の形態1と基本的には同様であるため、ここではその説明は省略する。
【0214】
本実施の形態においても、上記実施の形態1と同様の効果を得ることができる。
【0215】
また、それに加えて、本実施の形態では、制御ゲート電極CGを最初シリコン膜4nと絶縁膜31(より特定的には絶縁膜31a,31b)との積層膜で形成するため、シリコン膜4(4n)を上記実施の形態1よりも薄く形成した場合においても、制御ゲート電極CGの側壁にサイドウォールスペーサ状に形成されるメモリゲート電極MGの高さを確保することができる。さらに、制御ゲート電極CG上に形成された金属シリサイド層13とメモリゲート電極MGに形成された金属シリサイド層13との間に、サイドウォールスペーサSW2a分の距離が確保されることとなり、上記2箇所の金属シリサイド層13(すなわち制御ゲート電極CG上の金属シリサイド層13とメモリゲート電極MG上の金属シリサイド層13)同士のショートを効果的に回避することができる。従って、半導体装置の信頼性を、より向上させることが可能となる。
【0216】
以上、本発明者によってなされた発明をその実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0217】
本発明は、半導体装置およびその製造技術に適用して有効である。
【符号の説明】
【0218】
1 半導体基板
1A メモリセル領域
1B 周辺回路領域
2 素子分離領域
3 絶縁膜
4,4n シリコン膜
5 絶縁膜
5a 上端部
5b 端部
5c ゲート絶縁膜部分
5d 絶縁部分
5e 角部分
5f,5g 部分
6a,6c 酸化シリコン膜
6b 窒化シリコン膜
7n シリコン膜
8 絶縁膜
9a,9b,9c n型半導体領域
10 絶縁膜
10a 絶縁膜部分
11a,11b,11c n型半導体領域
12 金属膜
13 金属シリサイド層
14,15,16 絶縁膜
23 端部
24 下面
25 側面
26 側面
31,31a,31b 絶縁膜
101 半導体基板
103 絶縁膜
105 絶縁膜
106a,106c 酸化シリコン膜
106b 窒化シリコン膜
109a,109b n型半導体領域
111a,111b n型半導体領域
113 金属シリサイド層
114,115 絶縁膜
121 領域
122 領域
CAV 空洞
CG,CG101 制御ゲート電極
CNT コンタクトホール
GE ゲート電極
L1,L2,L101 距離
M1 配線
MC メモリセル
MD,MS 半導体領域
MG,MG101 メモリゲート電極
MG101a 角部
PG プラグ
SD 半導体領域
SP1 シリコンスペーサ
PW1,PW2,PW101 p型ウエル
SW1 側壁絶縁膜
SW2,SW2a,SW102 サイドウォールスペーサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
不揮発性メモリのメモリセルを備える半導体装置であって、
半導体基板と、
前記半導体基板の上部に形成された、前記メモリセルを構成する第1ゲート電極と、
前記半導体基板の上部に形成され、前記第1ゲート電極と隣り合い、前記メモリセルを構成する第2ゲート電極と、
前記第1ゲート電極と前記半導体基板との間に形成された第1ゲート絶縁膜と、
前記第2ゲート電極と前記半導体基板との間および前記第1ゲート電極と前記第2ゲート電極との間に形成された絶縁膜と、
を有し、
前記絶縁膜のうち、前記第2ゲート電極の下面と前記半導体基板の上面との間の第1の部分は、第1酸化シリコン膜と第2酸化シリコン膜と前記第1および第2酸化シリコン膜に挟まれた窒化シリコン膜とを有し、
前記窒化シリコン膜は、前記メモリセルの電荷蓄積部として機能し、
前記絶縁膜のうち、前記第1ゲート電極の側面と前記第2ゲート電極の側面との間の第2の部分は、前記第1酸化シリコン膜と前記第2酸化シリコン膜と前記第1および第2酸化シリコン膜に挟まれた空洞とを有し、前記窒化シリコン膜を有していないことを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
請求項1記載の半導体装置において、
前記空洞の上部は、前記第1酸化シリコン膜と前記第2酸化シリコン膜とに挟まれた絶縁膜部分で塞がれていることを特徴とする半導体装置。
【請求項3】
請求項2記載の半導体装置において、
前記絶縁膜部分は、酸化シリコンからなることを特徴とする半導体装置。
【請求項4】
請求項3記載の半導体装置において、
前記窒化シリコン膜の第1の端部は、前記空洞に隣接していることを特徴とする半導体装置。
【請求項5】
請求項4記載の半導体装置において、
前記窒化シリコン膜の前記第1の端部が、前記第2ゲート電極の直下に位置していることを特徴とする半導体装置。
【請求項6】
請求項5記載の半導体装置において、
前記絶縁膜のうち、前記第1の部分と前記第2の部分との間の第3の部分は、前記窒化シリコン膜を有しておらず、前記空洞が前記第3の部分にも延在していることを特徴とする半導体装置。
【請求項7】
請求項6記載の半導体装置において、
前記窒化シリコン膜の前記第1の端部は、前記第2ゲート電極の側面の直下の位置よりも、前記第1ゲート電極から遠い側に位置し、
前記第1の部分は、前記第1酸化シリコン膜と前記窒化シリコン膜と前記第2酸化シリコン膜とが積層された第4の部分と、前記第1酸化シリコン膜と前記空洞と前記第2酸化シリコン膜とを含みかつ前記窒化シリコン膜を含んでいない第5の部分とを有し、
前記第5の部分は前記第4の部分と前記第3の部分との間に位置していることを特徴とする半導体装置。
【請求項8】
請求項6記載の半導体装置において、
前記窒化シリコン膜の前記第1の端部は、前記第2ゲート電極の側面の直下に位置し、
前記第1の部分は、前記第1酸化シリコン膜と前記窒化シリコン膜と前記第2酸化シリコン膜とが積層された積層構造を有していることを特徴とする半導体装置。
【請求項9】
請求項4記載の半導体装置において、
前記窒化シリコン膜の前記第1の端部が、前記第2ゲート電極の下面よりも低い位置で、かつ、前記第2ゲート電極の側面の直下の位置よりも前記第1ゲート電極に近い側に位置し、
前記第1の部分は、前記第1酸化シリコン膜と前記窒化シリコン膜と前記第2酸化シリコン膜とが積層された積層構造を有していることを特徴とする半導体装置。
【請求項10】
請求項4記載の半導体装置において、
前記窒化シリコン膜の前記第1の端部が、前記第2ゲート電極の下面と同じ高さ位置に位置し、
前記絶縁膜のうち、前記第1の部分と前記第2の部分との間の第3の部分と、前記第1の部分とは、前記第1酸化シリコン膜と前記窒化シリコン膜と前記第2酸化シリコン膜とが積層された積層構造を有していることを特徴とする半導体装置。
【請求項11】
請求項1記載の半導体装置において、
前記窒化シリコン膜にホットエレクトロンを注入することによって前記メモリセルの書込みを行い、
前記窒化シリコン膜に、ホットホールを注入することによって前記メモリセルの消去を行うことを特徴とする半導体装置。
【請求項12】
請求項1記載の半導体装置において、
前記窒化シリコン膜にホットエレクトロンを注入することによって前記メモリセルの書込みを行い、
前記窒化シリコン膜にFNトンネル効果によりホールを注入することによって前記メモリセルの消去を行うことを特徴とする半導体装置。
【請求項13】
請求項1記載の半導体装置において、
前記窒化シリコン膜にFNトンネル効果により電子を注入することによって前記メモリセルの書込みを行い、
前記窒化シリコン膜に、ホットホールを注入することによって前記メモリセルの消去を行うことを特徴とする半導体装置。
【請求項14】
請求項1記載の半導体装置において、
前記窒化シリコン膜にFNトンネル効果により電子を注入することによって前記メモリセルの書込みを行い、
前記窒化シリコン膜にFNトンネル効果によりホールを注入することによって前記メモリセルの消去を行うことを特徴とする半導体装置。
【請求項15】
不揮発性メモリのメモリセルを備える半導体装置の製造方法であって、
(a)半導体基板を用意する工程、
(b)前記半導体基板の主面上に第1ゲート絶縁膜を介して前記メモリセルを構成する第1ゲート電極を形成する工程、
(c)前記半導体基板の主面と前記第1ゲート電極の側面上に、第1酸化シリコン膜、窒化シリコン膜および第2酸化シリコン膜の積層膜からなる絶縁膜を形成する工程、
(d)前記絶縁膜上に、前記第1ゲート電極と前記絶縁膜を介して隣り合い、前記メモリセルを構成する第2ゲート電極を形成する工程、
(e)前記第2ゲート電極で覆われていない部分の前記絶縁膜を除去する工程、
(f)前記(e)工程後、前記第2ゲート電極の側壁であって、前記第1ゲート電極に隣接する側とは反対側の側壁上に、側壁絶縁膜を形成する工程、
(g)前記(f)工程後、前記絶縁膜のうち、前記第1ゲート電極の側面と前記第2ゲート電極の側面との間の部分の前記窒化シリコン膜を除去して空洞を形成する工程、
を有することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項16】
請求項15記載の半導体装置の製造方法において、
前記(g)工程では、ウェットエッチングにより前記窒化シリコン膜を除去することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項17】
請求項16記載の半導体装置の製造方法において、
前記(f)工程の後、前記絶縁膜における前記第2ゲート電極と前記半導体基板とで挟まれた側の端部は、前記側壁絶縁膜で覆われて、露出していないことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項18】
請求項17記載の半導体装置の製造方法において、
前記(g)工程では、前記絶縁膜における前記第1ゲート電極の上部と前記第2ゲート電極の上部とで挟まれた上端部側から前記窒化シリコン膜のエッチングが進行することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項19】
請求項18記載の半導体装置の製造方法において、
前記(g)工程後に、
(h)前記半導体基板上に、前記第1および第2ゲート電極を覆うように、第1絶縁膜を形成する工程、
(i)前記(h)工程後、前記第1絶縁膜を異方性エッチングして、前記第1および第2ゲート電極の互いに隣接する側とは反対側の側壁上にサイドウォールスペーサを形成する工程、
を更に有し、
前記(i)工程後、前記空洞の上部に、前記第1絶縁膜の一部が残存することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項20】
請求項19記載の半導体装置の製造方法において、
前記(e)工程で除去されずに前記第2ゲート電極と前記半導体基板との間に残存する前記窒化シリコン膜は、前記メモリセルの電荷蓄積部として機能することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項21】
請求項20記載の半導体装置の製造方法において、
前記(g)工程では、
前記空洞に隣接する前記窒化シリコン膜の端部が、記第2ゲート電極の下面と同じ高さ位置か、それよりも低い位置になるまで、前記窒化シリコン膜のエッチングを行うことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項22】
請求項20記載の半導体装置の製造方法において、
前記(g)工程では、
前記空洞に隣接する前記窒化シリコン膜の端部が、前記第2ゲート電極の直下の位置になるまで、前記窒化シリコン膜のエッチングを行うことを特徴とする半導体装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図42】
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【図43】
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【図44】
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【図45】
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【図46】
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【図47】
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【図48】
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【図49】
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【公開番号】特開2012−69652(P2012−69652A)
【公開日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−212042(P2010−212042)
【出願日】平成22年9月22日(2010.9.22)
【出願人】(302062931)ルネサスエレクトロニクス株式会社 (8,021)
【Fターム(参考)】