説明

半導体装置および半導体装置の製造方法

【課題】工程数を増やすことなく安価にカーボンナノチューブからなる横方向の配線を提供することである。
【解決手段】半導体装置は、半導体基板または導電層(第1の導電層)101と、第2の導電層107と、触媒層106と、導電体104とを備えている。第2の導電層107は、第1の導電層101とは間隔を開けて第1の導電層101と略平行に配置されており、カーボンナノチューブからなる。触媒層106は、第2の導電層107の側面に設けられ、カーボンナノチューブを形成するための触媒を含んでいる。導電体104は、第1の導電層101に対して垂直に配置され、第1の導電層101に電気的に接続されているとともに触媒層106を介して第2の導電層107に電気的に接続されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置の微細化に伴って金属配線の信頼性が低下するという課題に対する対策として、カーボンナノチューブを半導体装置のローカル配線およびグローバル配線等の横方向(半導体基板に対して平行な方向)の配線に用いることに関わる。
【背景技術】
【0002】
半導体装置では、従来、配線として銅およびアルミニウムなどの金属を用いており、また、近年では、半導体装置の高性能且つ微細化が要求されている。しかし、半導体装置を高性能且つ微細化とすると、配線において金属特有の結晶の存在または散乱電子の影響などにより抵抗が上昇し、電流密度が稼げないという半導体装置の信頼性および性能上の課題が存在する。
【0003】
ところで、カーボンナノチューブは、グラファイトのシートを巻いて筒状にしたものであるが、最大電流密度が1平方センチメートルあたり100万アンペアであり、銅線の1000倍以上の電流密度に断線することなく耐えることが可能である。
【0004】
このようなカーボンナノチューブの電気的特長を生かした配線構造が提案されている。例えば、図17に示す半導体装置では、半導体基板901の上に層間絶縁膜902および金属電極903が順に設けられており、カーボンナノチューブ904が層間絶縁膜902を厚み方向に貫通して半導体基板901と金属電極903とを接続している。カーボンナノチューブ904は、下面に設けられた触媒905を核として半導体基板901に対して垂直方向に成長したものであり、ビア配線などに用いられている。なお、触媒905の下には、チタン膜または窒化チタン膜906が設けられている(特許文献1)。
【0005】
また、半導体装置における配線の高信頼性を実現させるために、図18に示すように、ビア配線にカーボンナノチューブ915を用い、ローカル配線およびグローバル配線にはカーボンナノチューブ913の電気的特性を生かした配線構造が提案されている。このような配線構造では、カーボンナノチューブ913を半導体基板に対して平行に配線するために、金属ブロック914を用いたローカル配線およびグローバル配線が提案されている。なお、このカーボンナノチューブ913, 915は、それぞれ、特許文献1と同じく、触媒912,916を核として成長したものである(非特許文献1および2)。
【特許文献1】特開2005−1090465号公報
【非特許文献1】International Interconnect Technology Conference 2005,「 Low-resistance Multi-Walled Carbon Nanotube Via With Parallel Channel Conduction of Inner Shells 」
【非特許文献2】Japanese Journal of Applied Physics,Vol.41(2002),pp.4370-4374,「 New Prospects for Microelectronics: Carbon Nanotubes 」
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、図17に示す配線構造(特許文献1)では、縦方向(半導体基板に対して垂直な方向)の配線にはカーボンナノチューブ904を使用しているが、ローカル配線およびグローバル配線等の横方向の配線(金属電極903)には銅若しくはアルミニウムなどの金属を用いている。よって、半導体装置の使用中に、金属電極903中にボイド等が発生し、半導体装置の信頼性が低下する虞がある。
【0007】
また、図18に示す配線構造(非特許文献1および2)では、カーボンナノチューブを横方向に成長させるために、チタン若しくは窒化チタンが表面に存在する金属ブロック914を形成する必要がある。この金属ブロック914は、層間絶縁膜911にホール若しくは溝を形成し、そのホール若しくは溝に金属ブロック914を形成するための金属を埋め込み、埋め込まれた金属をCMP(Chemical Mechanical Polishing)により平坦化することにより、形成される。このように金属ブロックを形成する為の工程が新たに発生するので、工程数が多く非常に高価である。
【0008】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、工程数を増やすことなく安価にカーボンナノチューブからなる横方向の配線を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明にかかる半導体装置では、タングステンプラグのバリアとして利用されているチタンまたは窒化チタンを核として、カーボンナノチューブを成長させている。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、工程数を増やすことなく安価にカーボンナノチューブからなる横方向の配線を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0012】
《第1の実施形態》
図1に、第1の実施形態にかかる半導体装置の断面構造図を示す。図2(a)〜(f)に、第1の実施形態にかかる半導体装置の作製方法を示す。
【0013】
本実施形態にかかる半導体装置は、以下に示す方法に従って作製される。具体的には、まず、図2(a)に示すように、シリコン基板(第1の導電層)101に形成されたトランジスタ等(たとえばコバルトまたはニッケルを用いたシリサイド層など)の上に、層間絶縁膜(絶縁層)102を形成する。
【0014】
次に、図2(b)に示すように、層間絶縁膜102の膜厚方向に貫通するようにホール(貫通孔,例えばコンタクトホール)102aを形成する。ホール102aは、シリコン基板101に形成されたトランジスタに達するように貫通していることが好ましく、その深さは、50nm以上300nm以下であることが好ましい。
【0015】
続いて、図2(c)に示すように、ホール102a内に導電体104を形成する。具体的には、ホール102aの下面および側面を覆うようにバリア膜(例えば、チタン層または窒化チタン層)103を形成し、バリア膜103をバリアとしてタングステンプラグ(プラグ)105を形成する。
【0016】
続いて、図2(d)に示すように、所定の位置に開口111aが形成されたレジスト111を層間絶縁膜102の上に設ける。
【0017】
続いて、図2(e)に示すように、レジスト111をマスクとしてエッチングし、深さが50nm以上300nm以下の凹部102bを層間絶縁膜102に形成する。ここで、図2(d)に示す工程においてレジスト111を所望の位置に精度良く形成することができるので、エッチングを行ってもタングステンが露出することを抑制することができる。
【0018】
続いて、レジスト111を除去した後、図2(f)に示すように凹部102bの内壁面に触媒層(たとえばコバルト層またはニッケル層など)106を形成する。
【0019】
その後、触媒層106を核としてカーボンナノチューブを成長させる。これにより、凹部102b内に第2の導電層107を形成することができる。このようにして、図1に示す半導体装置を作製することができる。
【0020】
このように本実施形態にかかる半導体装置では、シリコン基板101の上に層間絶縁膜102が設けられている。層間絶縁膜102には、導電体104が膜厚方向に貫通するように形成されている。導電体104よりも内側では、層間絶縁膜102の上に第2の導電層107が設けられており、導電体104と第2の導電層107との間には触媒層106が設けられている。導電体104は、シリコン基板101に電気的に接続されているとともに、触媒層106を介して第2の導電層107に電気的に接続されている。
【0021】
以上説明したように本実施形態では、第2の導電層107としてカーボンナノチューブを用いているので、第2の導電層として銅またはアルミ等の金属を用いる場合に比べて信頼性の高い配線構造を提供することができる。具体的には、ローカル配線およびグローバル配線等の横方向の配線の信頼性を向上させることができる。その結果、半導体装置の信頼性を向上させることができる。
【0022】
《第2の実施形態》
図3に、第2の実施形態にかかる半導体装置の断面構造図を示す。図4(a)および(b)に、第2の実施形態にかかる半導体装置の作製方法を示す。
【0023】
本実施形態にかかる半導体装置は、上記第1の実施形態にかかる半導体装置とは異なり、シリコン基板の代わりに層間絶縁膜201を備えており、層間絶縁膜201の上には配線層202が設けられており、配線層202の上には導電体104が設けられている。以下では、上記第1の実施形態とは異なる箇所を主に示す。
【0024】
本実施形態にかかる半導体装置は、以下に示す方法に従って作製される。具体的には、まず、図4(a)に示すように、層間絶縁膜201の上に配線層202を形成し、配線層202の上に層間絶縁膜102を形成する。配線層202としては、アルミまたは銅からなる配線層を用いることが好ましい。
【0025】
次に、図4(b)に示すように、層間絶縁膜102の厚み方向に貫通するホール(例えばビアホール)102aを形成する。このとき、配線層202に達するようにホール102aを形成することが好ましい。その後は、上記第1の実施形態における図2(c)〜図2(f)に記載の工程を行う。これにより、図3に示す半導体装置を作製することができる。
【0026】
このように本実施形態にかかる半導体装置では、上記第1の実施形態と異なり層間絶縁膜201の上に配線層202が設けられているが、横方向の配線はカーボンナノチューブからなっている。よって、上記第1の実施形態において説明したように、信頼性に優れた配線構造を提供することができる。
【0027】
《第3の実施形態》
図5に、第3の実施形態にかかる半導体装置の断面構造図を示す。図6(a)〜(f)に、第3の実施形態にかかる半導体装置の作成方法を示す。
【0028】
本実施形態にかかる半導体装置は、絶縁層と第2の導電層との間にエッチングストップ層を備えている。以下では、上記第1の実施形態とは異なる箇所を主に示す。
【0029】
本実施形態にかかる半導体装置は、以下に示す方法に従って作製される。具体的には、まず、図6(a)に示すように、導電層またはシリコン基板(第1の導電層)301の上に形成されたトランジスタの上に、層間絶縁膜302を設ける。
【0030】
次に、図6(b)に示すように、層間絶縁膜302の上に、エッチングストップ層303を設ける。エッチングストップ層303は、層間絶縁膜302に比べてエッチングレートが遅い層であればよく、層間絶縁膜302に比べてエッチングレートが遅い層間絶縁膜であってもよい。また、このようにエッチングストップ層303を設けることにより、後述のエッチング工程においてエッチングストップ層303よりも下の層がエッチングされることを防止することができる。
【0031】
続いて、図6(c)に示すように、エッチングストップ層303の上に層間絶縁膜304を設け、層間絶縁膜302,304およびエッチングストップ層303を厚み方向に貫通するようにホール(例えば、ビアホール)102aを形成する。このとき、層間絶縁膜304としては、層間絶縁膜302と同一の材質からなってもよいし、層間絶縁膜302とは相異なる材質からなっても良い。
【0032】
続いて、図6(d)に示すように、ホール102aにバリア膜103およびタングステンプラグ105を順に形成して導電体104を形成し、所定の位置に開口111aが形成されたレジスト111を設ける。
【0033】
続いて、レジスト111をマスクとしてエッチングを行って図6(e)に示す凹部102bを形成する。本実施形態では、層間絶縁膜302と層間絶縁膜304との間にエッチングストップ層303が設けられているので、図6(e)に示すように層間絶縁膜304はエッチングされるが層間絶縁膜302はエッチングされない。エッチングが終了すれば、レジスト111を除去する。
【0034】
その後、図6(f)に示すように凹部102bの内壁面に触媒層106を設け、その触媒層106に含まれた触媒を核としてカーボンナノチューブを成長させることにより第2の導電層107を形成する。これにより、図5に示す半導体装置を作製することができる。
【0035】
このように本実施形態にかかる半導体装置では、上記第1の実施形態と同じく信頼性の高い配線構造を提供できるだけでなく、エッチングストップ層303が設けられているので凹部102bの深さ(第2の導電層107の厚み)を制御することができる。
【0036】
《第4の実施形態》
図7に、第4の実施形態にかかる半導体装置の断面構造図を示す。図8(a)〜(d)に、第4の実施形態にかかる半導体装置の作製方法を示す。
【0037】
本実施形態にかかる半導体装置は、上記第1の実施形態とは異なり、エッチングレートが互いに異なる2層の絶縁層を備えている。以下では、上記第1の実施形態とは異なる箇所を主に示す。
【0038】
本実施形態にかかる半導体装置は、以下に示す方法に従って作製される。具体的には、まず、図8(a)に示すように導電層またはシリコン基板301の上に形成されたトランジスタの上に第1層間絶縁膜401および第2層間絶縁膜402を順に設け、第1および第2層間絶縁膜401,402を厚み方向に貫通するようにホール(例えば、コンタクトホールまたはビアホール)102aを形成する。ここで、第1層間絶縁膜(第1絶縁層)401は第2層間絶縁膜(第2絶縁層)402に比べてエッチングレートが遅いので、第1層間絶縁膜401が上記第3の実施形態におけるエッチングストップ層として機能する。
【0039】
次に、図8(b)に示すように、ホール102a内にバリア膜103およびタングステンプラグ105を順に形成して導電体104を形成し、その後、所定の位置に開口111aが形成されたレジスト111を設ける。
【0040】
続いて、レジスト111をマスクとしてエッチングを行って図8(c)に示す凹部102bを形成する。本実施形態では第2層間絶縁膜402の下に第1層間絶縁膜401が設けられているので、図8(c)に示すように第2層間絶縁膜402のみが除去され第1層間絶縁膜401の上面が露出する。エッチングが終了すれば、レジスト111を除去する。
【0041】
その後、図8(d)に示すように凹部102bの内壁面に触媒層106を設け、その触媒層106に含まれた触媒を核としてカーボンナノチューブを成長させることにより第2の導電層107を形成する。これにより、図7に示す半導体装置を作製することができる。
【0042】
このように本実施形態にかかる半導体装置では、上記第1の実施形態と同じく信頼性の高い配線構造を提供できるだけでなく、エッチングレートの遅い層間絶縁膜の上にエッチングレートの速い層間絶縁膜が設けられているので凹部102bの深さ(第2の導電層107の厚み)を制御することができる。これにより、タングステンプラグ105がバリア膜103とともにホール102aの側面から剥離することを防止可能なプロセスを提供することができる。
【0043】
《第5の実施形態》
図9に、第5の実施形態にかかる半導体装置の断面構造図を示す。図10(a)および(b)に、第5の実施形態にかかる半導体装置の作製方法を示す。
【0044】
本実施形態では、上記第1の実施形態とは異なり、導電層またはシリコン基板301と第2の導電層107との間には絶縁層ではなく空洞部502が設けられている。以下では、上記第1の実施形態とは異なる箇所を主に示す。
【0045】
本実施形態にかかる半導体装置は、以下に示す方法に従って作製される。具体的には、まず、図10(a)に示すように、導電層またはシリコン基板301の上に形成されたトランジスタの上に層間絶縁膜102を設け、層間絶縁膜102を厚み方向に貫通するようにホール(例えば、コンタクトホールまたはビアホール)102aを形成する。
【0046】
次に、ホール102a内に導電体104を設け、エッチングにより層間絶縁膜102に凹部102bを形成したのち、凹部102bの側面に触媒層106を設け、触媒層106の触媒を核としてカーボンナノチューブを成長させて第2の導電層107を形成する(図10(b))。
【0047】
その後、エッチングにより層間絶縁膜102を除去する。これにより、導電層またはシリコン基板301と第2の導電層107との間には空洞部502が形成され、図9に示す半導体装置を形成することができる。
【0048】
このように本実施形態にかかる半導体装置では、上記第1の実施形態に記載のように信頼性の高い配線構造を提供できるだけでなく、空洞部502を有しているので配線間容量を低減可能な半導体装置を提供することができる。
【0049】
《第6の実施形態》
図11に、第6の実施形態にかかる半導体装置の断面構造図を示す。図12(a)〜(d)に、第6の実施形態にかかる半導体装置の作製方法を示す。
【0050】
本実施形態では、上記第1の実施形態とは異なり、導電体104のバリア膜103の外側に触媒層106が設けられている。以下では、上記第1の実施形態とは異なる箇所を主に示す。
【0051】
本実施形態にかかる半導体装置は、以下に示す方法に従って作製される。具体的には、まず、図12(a)に示すように、導電層またはシリコン基板301の上に形成されたトランジスタの上に層間絶縁膜102を形成し、層間絶縁膜102に厚み方向に貫通するホール(例えば、コンタクトホールまたはビアホール)102aを形成する。
【0052】
次に、図12(b)に示すように、ホール102aの内壁面および底面に触媒層106を形成する。
【0053】
続いて、図12(c)に示すように、触媒層106の上にバリア膜103およびタングステンプラグ105を順に形成して導電体104を形成する。
【0054】
続いて、所定の位置に開口111aが形成されたレジスト111を層間絶縁膜102の上に設けた後、レジスト111をマスクとして層間絶縁膜102をエッチングする。このとき、触媒層106の側面のうち上側部分が露出するように、層間絶縁膜102がエッチングされる。このエッチングにより、図12(d)に示すように、層間絶縁膜102には凹部102bが形成されるが、触媒層106のうちエッチングにより露出した部分がその凹部102bの側面となる。エッチングが終了すると、レジスト111を除去する。
【0055】
その後、触媒層106のうちエッチングにより露出した部分に含まれる触媒を核としてカーボンナノチューブを成長させて、第2の導電層107を形成する。これにより、図11に示す半導体装置を作製することができる。
【0056】
このように本実施形態では、上記第1の実施形態と同じく信頼性の高い半導体装置を提供できるだけでなく、導電体104を形成する前に触媒層106を形成するので簡略化した半導体装置の製造プロセスを提供することができる。
【0057】
《第7の実施形態》
図13に、第7の実施形態にかかる半導体装置の断面構造図を示す。図14(a)〜(g)に、第7の実施形態にかかる半導体装置の作製方法を示す。
【0058】
本実施形態では、上記第1の実施形態などとは異なり、プラグ705はタングステン製ではなくカーボンナノチューブ製である。以下では、上記第1の実施形態とは異なる箇所を主に示す。
【0059】
本実施形態にかかる半導体装置は、以下に示す方法に従って作製される。具体的には、まず、図14(a)に示すように、導電層またはシリコン基板301上に形成されたトランジスタの上に層間絶縁膜102を形成し、層間絶縁膜102の厚み方向に貫通するホール(例えば、コンタクトホールまたはビアホール)102aを形成する。
【0060】
次に、指向性の高い成膜方法を用いて、ホール102a内にカーボンナノチューブのプラグを形成するために必要なチタン膜または窒化チタン膜703をホール102aの底面に形成する。指向性の高い成膜方法としては、例えば、スパッタ法またはCVD(Chemical Vapor Deposition)法を挙げることができる。このように指向性の高い成膜方法を用いてチタン膜または窒化チタン膜703をホール102aの底面に形成するので、ホール102aの側面にはチタン膜または窒化チタン膜703が形成されることを抑制することができる。その後、チタン膜または窒化チタン膜703の上に触媒層106を形成する。これにより、図14(b)に示すように、ホール102aの底面の上に、チタン膜または窒化チタン膜703と触媒層106とを積層させることができる。
【0061】
続いて、触媒層106の触媒を核としてホール102a内にカーボンナノチューブを成長させて、第2の導電層107を形成する。これにより、図14(c)に示すようにカーボンナノチューブからなるプラグ705を触媒層106の上に形成することができる。
【0062】
続いて、図14(d)に示すように、所定の位置に開口111aが形成されたレジスト111を層間絶縁膜102の上に設けた後、レジスト111をマスクとして層間絶縁膜102をエッチングする。これにより、図14(e)に示すように、層間絶縁膜102に凹部102bが形成され、エッチングが終了すればレジスト111を除去する。
【0063】
続いて、図14(f)に示すように、スパッタ法またはCVD法を用いて凹部102bの底面および側面と層間絶縁膜102の上面にチタン膜または窒化チタン膜703を形成し、チタン膜または窒化チタン膜703の上に触媒層106を形成する。
【0064】
その後、図14(g)に示すように、異方性エッチング(例えば、アルゴンイオンを用いたスパッタリング)により、チタン膜または窒化チタン膜703および触媒層106のうち凹部102bの側面の上に設けられた部分のみが残存するように、チタン膜または窒化チタン膜703および触媒層106を除去する。一般にエッチング法を用いて凹部を形成すると形成された凹部はテーパー状となるので、凹部102bの底面の上に設けられたチタン膜または窒化チタン膜703および触媒層106はエッチングされるが、凹部102bの側面の上に設けられたチタン膜または窒化チタン膜703および触媒層106はエッチングされずに残る。
【0065】
その後、エッチングされずに残った触媒層106に含まれる触媒を核として凹部102b内にカーボンナノチューブを成長させて、第2の導電層107を形成する。これにより、図13に示す半導体装置を作製することができる。
【0066】
このように本実施形態では、上記第1の実施形態と同じく信頼性に優れた半導体装置を提供することができるだけでなく、縦方向の配線としてもカーボンナノチューブを用いているのでさらに信頼性の高い半導体装置を提供することができる。
【0067】
《第8の実施形態》
図15に、第8の実施形態にかかる半導体装置の断面構造図を示す。図16(a)〜(e)に、第8の実施形態にかかる半導体装置の作製方法を示す。
【0068】
本実施形態にかかる半導体装置は上記第7の実施形態にかかる半導体装置と略同一の構成を有しているが、本実施形態と上記第7の実施形態とでは半導体装置の製造方法が相異なる。以下では、上記第7の実施形態とは異なる箇所を主に示す。
【0069】
本実施形態にかかる半導体装置は、以下に示す方法に従って作製される。具体的には、まず、導電層またはシリコン基板301に形成されたトランジスタの上に層間絶縁膜102を形成し、層間絶縁膜102の厚み方向に貫通するホール(例えば、コンタクトホールまたはビアホール)102aを形成する。その後、指向性の高い成膜方法(例えば、スパッタ法またはCVD法)を用いて、ホール102a内にカーボンナノチューブのプラグを形成するために必要なチタン膜または窒化チタン膜703をホール102aの底面に形成し、チタン膜または窒化チタン膜703の上に触媒層106を形成する。これにより、図16(a)に示すように、ホール102aの底面の上に、チタン膜または窒化チタン膜703と触媒層106とを積層させることができる。
【0070】
次に、図16(b)に示すように、触媒層106の触媒を核としてホール102a内にカーボンナノチューブを成長させ、その後、所定の位置に開口111aが形成されたレジスト111を層間絶縁膜102の上に形成し、レジスト111をマスクとして層間絶縁膜102をエッチングして層間絶縁膜102に凹部102bを形成する。
【0071】
続いて、図16(c)に示すように、スパッタ法またはCVD法を用いて、チタン膜または窒化チタン膜703を凹部102bの底面および内壁面とレジスト111の上面および側面とに形成し、チタン膜または窒化チタン膜703の上に触媒層106を形成する。
【0072】
続いて、図16(d)に示すように、異方性エッチング(例えば、アルゴンイオンを用いたスパッタリング)により、チタン膜または窒化チタン膜703および触媒層106のうち凹部102bの内壁面とレジスト111の側面とに設けられた部分のみが残存するように、チタン膜または窒化チタン膜703および触媒層106を除去する。
【0073】
その後、図16(e)に示すようにレジスト111を除去する。その後、触媒層106内の触媒を核として凹部102b内にカーボンナノチューブを成長させて第2の導電層107を形成する。これにより、図15に示す半導体装置を作製することができる。
【0074】
このように本実施形態では、上記第1の実施形態と同じく信頼性に優れた半導体装置を提供することができるだけでなく、縦方向の配線としてもカーボンナノチューブを用いているのでさらに信頼性の高い半導体装置を提供することができる。
【産業上の利用可能性】
【0075】
本発明にかかる半導体装置およびその作製方法は、半導体装置の微細化に伴う金属配線の信頼性低下への対策としての優位性を有し、カーボンナノチューブを半導体装置のローカル配線およびグローバル配線等の横方向の配線等として有利である。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】本発明の第1の実施形態にかかる半導体装置の断面図である。
【図2】(a)〜(f)は、本発明の第1の実施形態にかかる半導体装置の作製方法を示すフロー図である。
【図3】本発明の第2の実施形態にかかる半導体装置の断面図である。
【図4】(a)および(b)は、本発明の第2の実施形態にかかる半導体装置の作製方法を示すフロー図である。
【図5】本発明の第3の実施形態にかかる半導体装置の断面図である。
【図6】(a)〜(f)は、本発明の第3の実施形態にかかる半導体装置の作製方法を示すフロー図である。
【図7】本発明の第4の実施形態にかかる半導体装置の断面図である。
【図8】(a)〜(d)は、本発明の第4の実施形態にかかる半導体装置の作製方法を示すフロー図である。
【図9】本発明の第5の実施形態にかかる半導体装置の断面図である。
【図10】(a)および(b)は、本発明の第5の実施形態にかかる半導体装置の作製方法を示すフロー図である。
【図11】本発明の第6の実施形態にかかる半導体装置の断面図である。
【図12】(a)〜(d)は、本発明の第6の実施形態にかかる半導体装置の作製方法を示すフロー図である。
【図13】本発明の第7の実施形態にかかる半導体装置の断面図である。
【図14】(a)〜(g)は、本発明の第7の実施形態にかかる半導体装置の作製方法を示すフロー図である。
【図15】本発明の第8の実施形態にかかる半導体装置の断面図である。
【図16】(a)〜(e)は、本発明の第8の実施形態にかかる半導体装置の作製方法を示すフロー図である。
【図17】従来の半導体装置の一例を示す断面図である。
【図18】従来の半導体装置の別の一例を示す断面図である。
【符号の説明】
【0077】
101 シリコン基板(第1の導電層)
102 層間絶縁膜
102a ホール
102b 凹部
103 バリア膜
104 導電体
105 タングステンプラグ(プラグ)
106 触媒層
107 第2の導電層
301 導電層またはシリコン基板(第1の導電層)
302 層間絶縁膜
303 エッチングストップ層
304 層間絶縁膜
401 第1層間絶縁膜
402 第2層間絶縁膜
502 空洞部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体材料または導電材料を含む第1の導電層とは間隔を開けて前記第1の導電層と略平行に配置され、カーボンナノチューブからなる第2の導電層と、
前記第2の導電層の側面に設けられ、前記カーボンナノチューブを形成するための触媒を含む触媒層と、
前記第1の導電層に対して垂直に配置され、前記第1の導電層に電気的に接続されているとともに前記触媒層を介して前記第2の導電層に電気的に接続されている導電体と
を備えている、半導体装置。
【請求項2】
請求項1に記載の半導体装置において、
前記第1の導電層と前記第2の導電層との間には、絶縁層が設けられている、半導体装置。
【請求項3】
請求項2に記載の半導体装置において、
前記絶縁層は、前記導電体に対して前記第2の導電層とは反対側にも設けられており、
前記導電体に対して前記第2の導電層とは反対側では、第1絶縁層の上に、前記第1絶縁層よりもエッチングレートの速い第2絶縁層が設けられており、
前記第2の導電層は、前記第1絶縁層の上に設けられている、半導体装置。
【請求項4】
請求項1に記載の半導体装置において、
前記第1の導電層と前記第2の導電層との間には、空洞部が設けられている、半導体装置。
【請求項5】
請求項1から4の何れか1つに記載の半導体装置において、
前記導電体は、前記第2の導電層に対して垂直に延びるプラグと、前記プラグの側面の少なくとも一部分と下面とを覆うバリア膜とを有し、
前記プラグは、タングステンからなり、
前記バリア膜は、チタン膜または窒化チタン膜である、半導体装置。
【請求項6】
請求項1から5の何れか1つに記載の半導体装置において、
前記導電体は、カーボンナノチューブからなる、半導体装置。
【請求項7】
請求項1から6の何れか1つに記載の半導体装置において、
前記触媒層の前記触媒は、コバルトまたはニッケルである、半導体装置。
【請求項8】
半導体材料または導電材料を含む第1の導電層の上に絶縁層を設ける工程と、
前記絶縁層を厚み方向に貫通する貫通孔を形成する工程と、
前記貫通孔内に導電体を形成する工程と、
前記導電体の側面のうち上側部分が露出するように前記絶縁層の上側部分を除去して、前記絶縁層に凹部を形成するエッチング工程と、
前記エッチング工程において露出した前記凹部の内壁面にカーボンナノチューブを成長させるための触媒を設ける工程と、
前記凹部内で前記カーボンナノチューブを成長させて、前記絶縁層の上に第2の導電層を形成する工程とを備えている、半導体装置の製造方法。
【請求項9】
半導体材料または導電材料を含む第1の導電層の上に絶縁層を設ける工程と、
前記絶縁層を厚み方向に貫通する貫通孔を形成する工程と、
前記貫通孔の少なくとも側面にカーボンナノチューブを成長させるための触媒層を設ける工程と、
前記触媒層に接するように前記貫通孔内に導電体を形成する工程と、
前記触媒層の上側部分が露出するように前記絶縁層の上側部分を除去して、前記絶縁層に凹部を形成するエッチング工程と、
前記凹部内でカーボンナノチューブを成長させて、前記絶縁層の上に第2の導電層を形成する工程とを備えている、半導体装置の製造方法。
【請求項10】
請求項8または9に記載の半導体装置の製造方法において、
前記絶縁層を設ける工程では、前記第1の導電層の上に第1絶縁層を設け、前記第1絶縁層の上に第1絶縁層よりもエッチングレートの速い第2絶縁層を設け、
前記エッチング工程では、前記導電体の側面のうち前記上側部分が露出するように前記第2絶縁層を除去する、半導体装置の製造方法。
【請求項11】
請求項8から10の何れか1つに記載の半導体装置の製造方法において、
前記触媒層として、コバルト層またはニッケル層を用いる、半導体装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2009−111231(P2009−111231A)
【公開日】平成21年5月21日(2009.5.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−283172(P2007−283172)
【出願日】平成19年10月31日(2007.10.31)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)国等の委託研究の成果に係る特許出願(平成18年度独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構「次世代半導体材料・プロセス基盤(MIRAI)プロジェクト」委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】