説明

半導体装置とその製造方法

【課題】半導体装置とその製造方法において、ヒューズの微細化を図ること。
【解決手段】シリコン基板1に素子分離絶縁膜2を形成する工程と、素子分離絶縁膜2の上に第1の絶縁膜13を形成する工程と、第1の絶縁膜13にスリット13xを形成する工程と、スリット13xを通じて素子分離絶縁膜2をウエットエッチングして凹部2bを形成する工程と、凹部2bとスリット13xの各々の内面に第2の絶縁膜24を形成することにより、第2の絶縁膜24によりスリット13xを塞ぎつつ、凹部2b内にボイド24aを形成する工程と、ボイド24aの上の第2の絶縁膜24にホール25bを形成し、ホール25b内にボイド24aを露出させる工程と、露出したボイド24aとホール25bのそれぞれの中に導電膜27を形成することによりヒューズFを形成する工程とを有する半導体装置の製造方法による。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置とその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
LSI等の半導体装置では、トランジスタや抵抗素子等の他に、ヒューズが形成されることがある。
【0003】
ヒューズの用途には様々なものがある。例えば、半導体基板を個片化して得られたチップの識別子としてヒューズを用いる場合がある。その場合、チップ内の複数のヒューズのうち、切断されたヒューズの個数や場所を特定することで、そのチップがもとの半導体基板のどこに位置していたかが分かり、半導体装置の不良解析等に役立てることができる。
【0004】
また、半導体装置の回路特性を調節する目的で、半導体装置が完成した後に複数のヒューズの一部を切断することもある。
【0005】
ヒューズの切断方法には、レーザによる切断と電気的な切断とがある。
【0006】
このうち、レーザを用いる場合は、高価なレーザの照射装置を導入する必要があり、半導体装置のコスト増を招いてしまう。
【0007】
一方、電気的な切断は、切断対象となるヒューズに電流を流すことによりそのヒューズを切断するというものであり、切断のための特別な装置が不要で、ヒューズの切断を簡単且つ低コストで行うというメリットがある。
【0008】
そのようなヒューズは、半導体装置の小型化や切断の容易さ等の観点から、なるべく微細に形成するのが好ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2006−135035号公報
【特許文献2】特開2000−36566号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
半導体装置とその製造方法において、ヒューズの微細化を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
以下の開示の一観点によれば、半導体基板に素子分離絶縁膜を形成する工程と、前記素子分離絶縁膜の上に第1の絶縁膜を形成する工程と、前記第1の絶縁膜にスリットを形成する工程と、前記スリットが形成された前記第1の絶縁膜をマスクとして前記素子分離絶縁膜をウエットエッチングすることにより、前記スリットの下の前記素子分離絶縁膜に凹部を形成する工程と、前記凹部と前記スリットの各々の内面に第2の絶縁膜を形成することにより、前記第2の絶縁膜により前記スリットを塞ぎつつ、前記凹部内にボイドを形成する工程と、前記ボイドの上の前記第2の絶縁膜にホールを形成し、該ホール内に該ボイドを露出させる工程と、露出した前記ボイドと前記ホールのそれぞれの中に導電膜を形成することにより、前記ボイド内にヒューズを形成する工程とを有する半導体装置の製造方法が提供される。
【0012】
また、その開示の他の観点によれば、半導体基板の第1の領域に素子分離絶縁膜を形成する工程と、前記半導体基板の第2の領域にゲート絶縁膜を介してゲート電極を形成する工程と、前記素子分離絶縁膜と前記ゲート電極を形成した後、前記半導体基板の前記第1の領域と前記第2の領域に第1の絶縁膜を形成する工程と、前記第1の絶縁膜をパターニングすることにより、前記第1の領域において前記第1の絶縁膜にスリットを形成し、かつ、前記第2の領域において前記ゲート電極の側壁に絶縁性サイドウォールを形成する工程と、前記第1の絶縁膜をパターニングした後、前記スリットの下の前記素子分離絶縁膜に凹部を形成する工程と、前記凹部を形成した後、前記第1の領域と前記第2の領域に第2の絶縁膜を形成することにより、前記第1の領域において前記ゲート電極を前記第2の絶縁膜で覆うと共に、前記第2の領域において、前記凹部内にボイドを形成しながら、前記第2の絶縁膜により前記スリットを塞ぐ工程と、前記第2の絶縁膜をパターニングすることにより、前記第1の領域において前記ゲート電極の横に第1のホールを形成し、かつ、前記第2の領域において前記ボイドの上に第2のホールを形成し、該第2のホール内に前記ボイドを露出させる工程と、前記第1のホール、前記第2のホール、及び前記ボイドのそれぞれの中に導電膜を形成することにより、前記第1のホールと前記第2のホールの中にそれぞれ第1の導電性プラグと第2の導電性プラグを形成し、かつ、前記ボイド内にヒューズを形成する工程とを有する半導体装置の製造方法が提供される。
【0013】
更に、その開示の別の観点によれば、半導体基板と、前記半導体基板に形成され、上面に凹部が形成された素子分離絶縁膜と、前記素子分離絶縁膜の上に形成され、前記凹部の上にスリットを備えた第1の絶縁膜と、前記凹部内でボイドを生成するように該凹部と前記スリットの各々の内面に形成され、かつ、前記ボイドに繋がるホールを備えた第2の絶縁膜と、前記ボイド内に形成されたヒューズと、前記ホール内に形成され、前記ヒューズに接続された導電性プラグとを備えた半導体装置が提供される。
【発明の効果】
【0014】
以下の開示によれば、素子分離絶縁膜の凹部に意図的に形成されたボイド中にヒューズを形成するので、ヒューズの微細化を図ることができる。また、その凹部をウエットエッチングにより形成するので、エッチング液の濃度等によって凹部の大きさを自在に調節でき、凹部内に所定の大きさのボイドを形成するのが容易となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】図1(a)、(b)は、本実施形態に係る半導体装置の製造途中の断面図(その1)である。
【図2】図2(a)、(b)は、本実施形態に係る半導体装置の製造途中の断面図(その2)である。
【図3】図3は、本実施形態に係る半導体装置の製造途中の断面図(その3)である。
【図4】図4は、本実施形態に係る半導体装置の製造途中の断面図(その4)である。
【図5】図5は、本実施形態に係る半導体装置の製造途中の断面図(その5)である。
【図6】図6は、本実施形態に係る半導体装置の製造途中の断面図(その6)である。
【図7】図7は、本実施形態に係る半導体装置の製造途中の断面図(その7)である。
【図8】図8は、本実施形態に係る半導体装置の製造途中の断面図(その8)である。
【図9】図9は、本実施形態に係る半導体装置の製造途中の断面図(その9)である。
【図10】図10は、本実施形態に係る半導体装置の製造途中の断面図(その10)である。
【図11】図11は、本実施形態に係る半導体装置の製造途中の平面図(その1)である。
【図12】図12は、本実施形態に係る半導体装置の製造途中の平面図(その2)である。
【図13】図13は、本実施形態に係る半導体装置の製造途中の平面図(その3)である。
【図14】図14は、本実施形態に係る半導体装置の製造途中の平面図(その4)である。
【図15】図15は、本実施形態に係る半導体装置の製造途中の平面図(その5)である。
【図16】図16は、本実施形態に係る半導体装置の製造途中の平面図(その6)である。
【図17】図17は、本実施形態に係る半導体装置の製造途中の平面図(その7)である。
【図18】図18は、本実施形態に係る半導体装置の製造途中の平面図(その8)である。
【図19】図19は、本実施形態に係る半導体装置の製造途中の平面図(その9)である。
【図20】図20は、フッ酸溶液に対する酸化シリコン膜のエッチング速度を調査して得られたグラフである。
【図21】図21は、本実施形態に係る半導体装置が備えるヒューズの拡大断面図である。
【図22】図22は、本実施形態に係る半導体装置の回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
次に、本実施形態に係る半導体装置の製造方法について説明する。
【0017】
図1〜図10は、本実施形態に係る半導体装置の製造途中の断面図であり、図11〜図19はその平面図である。
【0018】
本実施形態では、以下のようにして、一つの半導体装置にMOSトランジスタ、抵抗素子、及びヒューズを混載する。
【0019】
まず、図1(a)に示すように、第1〜第3の領域I〜IIIを備えたシリコン基板1を用意する。
【0020】
これらの領域のうち、第1の領域Iには後の工程でMOSトランジスタが形成され、第2の領域IIには抵抗素子が形成される。そして、第3の領域IIIにヒューズが形成される。
【0021】
なお、図1〜図10では、第3の領域IIIの断面として切断面が互いに垂直な第1の断面と第2の断面とを併記する。
【0022】
次いで、シリコン基板1に素子分離溝1aを形成し、その素子分離溝1a内に素子分離絶縁膜2として酸化シリコン膜を形成する。そのような素子分離構造はSTI(Shallow Trench Isolation)と呼ばれるが、STIに代えてLOCOS(Local Oxidation of Silicon)法により素子分離を行ってもよい。
【0023】
そして、第1の領域Iにおけるシリコン基板1にp型不純物をイオン注入してpウェル3を形成した後、シリコン基板1の表面を熱酸化して厚さが約1nm〜8nm程度のゲート絶縁膜4を形成する。
【0024】
図11は本工程を終了した後の平面図であり、上記した図1(a)の第1及び第2の領域I、IIの各断面はそれぞれ図11のA1−A1線、B1−B1線に沿う断面に相当する。
【0025】
また、図1(a)に示した第3の領域IIIのうち、第1断面は図11のC1−C1線に沿う断面図に相当し、第2断面は図11のD1−D1線に沿う断面に相当する。
【0026】
なお、図11では、図が煩雑になるのでゲート絶縁膜4を省略してある。
【0027】
図11に示すように、第1の領域Iでは、トランジスタの活性領域となる矩形領域が素子分離絶縁膜2によって画定される。
【0028】
次いで、図1(b)に示すように、素子分離絶縁膜2とゲート絶縁膜4の上に第1の導電膜6としてCVD(Chemical Vapor Deposition)法によりポリシリコン膜を100nm〜120nm程度の厚さに形成する。
【0029】
次に、図2(a)に示すように、第1の導電膜6の上にフォトレジストを塗布し、それを露光、現像して第1のレジストパターン8を形成する。
【0030】
露光に使用する露光光は特に限定されない。本実施形態では、露光光としてArFエキシマレーザ光を使用し、第1のレジストパターン8の線幅D1をArFエキシマレーザ光で達成し得る最小線幅(80nm〜90nm)とする。
【0031】
その後に、第1のレジストパターン8をマスクにして第1の導電膜6をドライエッチングすることにより、第1の領域Iにゲート電極6aを形成すると共に、第2の領域IIにおいてゲート電極6aと同一層内に抵抗パターン6bを形成する。
【0032】
このようにして得られたゲート電極6aの線幅は、第1のレジストパターン8の線幅D1と同程度の値となり、ArFエキシマレーザ光を用いたフォトリソグラフィで達成し得る最小線幅(80nm〜90nm)となる。
【0033】
この後に、第1のレジストパターン8は除去される。
【0034】
図12は本工程を終了した後の平面図であり、上記した図2(a)の第1及び第2の領域I、IIの各断面はそれぞれ図12のA2−A2線、B2−B2線に沿う断面に相当する。
【0035】
また、図2(a)に示した第3の領域IIIのうち、第1断面は図12のC2−C2線に沿う断面図に相当し、第2断面は図12のD2−D2線に沿う断面に相当する。
【0036】
図12に示すように、第2の領域IIに形成された抵抗パターン6bは長方形状の平面形状を有し、その両端にはパッド部6cが設けられる。
【0037】
続いて、図2(b)に示すように、第1の領域Iのゲート電極6aをマスクにしながらシリコン基板1にn型不純物として砒素又はリンをイオン注入することにより、ゲート電極6aの横のシリコン基板1にn型エクステンション11を形成する。
【0038】
その後、図3に示すように、シリコン基板1の各領域I〜IIIに下地絶縁膜12としてCVD法で酸化シリコン膜を10nm〜30nm程度の厚さに形成する。
【0039】
更に、下地絶縁膜12の上に、CVD法で窒化シリコン膜を60nm〜80nm程度の厚さに形成し、その窒化シリコン膜を第1の絶縁膜13とする。
【0040】
その後に、第1の絶縁膜13の上にフォトレジストを塗布し、それを露光、現像して第2のレジストパターン14を形成する。
【0041】
その露光に使用する露光光は特に限定されないが、第1のレジストパターン8(図2(a)参照)を形成したときと同様に、本工程でもArFエキシマレーザ光を使用するのが好ましい。
【0042】
その第2のレジストパターン14は、第2の領域IIにおいては抵抗パターン6bの上方に島状に形成される。また、そして、第3の領域IIIにおいては、島状のレジストパターン14が間隔をおいて二つ形成され、それらの間の空間がレジストの窓14aとして供される。
【0043】
窓14aの幅D2はなるべく小さくするのが好ましい。後述のように、第2のレジストパターン14は、その下の第1の絶縁膜13のエッチング時のマスクとして使用される。このようにエッチングの対象が絶縁膜である場合は、エッチングにより絶縁膜にパターン不良が発生しても、絶縁膜自体が回路の電流経路となるわけではないので、エッチングの対象が導電膜である場合と比較して回路が不良となる危険性は少ない。
【0044】
しかも、第1の絶縁膜13の膜厚は60nm〜80nmであり、第1の導電膜6の膜厚(100nm〜120nm)よりも薄いため、図2(a)の工程で導電膜6をパターニングするときと比較して、エッチングにより第1の絶縁膜13を微細に加工するのが容易である。
【0045】
これらにより、本工程では、窓14aの幅D2を、図2(a)の工程で達成し得る最小の線幅D1よりも更に狭くすることができ、60nm〜80nm程度の微細な値にすることができる。
【0046】
次に、図4に示すように、第2のレジストパターン14をマスクに用いながら、第1の絶縁膜13と下地絶縁膜12とをドライエッチングする。
【0047】
そのドライエッチングでは、窒化シリコンを含む第1の絶縁膜13に対するエッチングガスとしてCHF3、O2、及びArの混合ガスを使用し、酸化シリコンを含む下地絶縁膜12のエッチングガスとしてC4F8とArとの混合ガスを使用する。
【0048】
このドライエッチングにより、第1の領域Iにおいては、第1の絶縁膜13がゲート電極6aの側壁に絶縁性サイドウォール13aとして残される。
【0049】
ゲート電極6aの側壁とシリコン基板1の上面との間には寄生容量が存在するが、その寄生容量の値は、絶縁性サイドウォール13aの誘電率等により定まる。そして、絶縁性サイドウォール13aの下の下地絶縁膜12は、絶縁性サイドウォール13aと協働して、その寄生容量を調節する役割を担う。
【0050】
なお、寄生容量の調整を絶縁性サイドウォール13aのみで行える場合は、下地絶縁膜12は不要である。
【0051】
また、第1の領域Iのシリコン基板1上にこれらの絶縁膜12、13が残らないように、このドライエッチングはオーバーエッチング気味に行われ、それにより素子分離絶縁膜2の上面の高さがシリコン基板1のそれよりも低くなる。
【0052】
一方、第2の領域IIでは、抵抗パターン6bを覆うように各絶縁膜12、13が残され、これらの絶縁膜12、13と抵抗パターン6bとを備えた抵抗素子Rの基本構造が完成する。抵抗パターン6b上の第2の絶縁膜13は、後の工程で抵抗パターン6がシリサイド化されるのを防止する役割を担うものであり、シリサイドブロックとも呼ばれる。
【0053】
そして、第3の領域IIIでは、各絶縁膜12、13の間にスリット13xが形成されると共に、上記のオーバーエッチングによってスリット13xを通じて素子分離絶縁膜2の上面がドライエッチングされ、素子分離絶縁膜2に溝2aが形成される。
【0054】
その溝2aの深さΔHは、例えば10nm〜20nm程度の値となる。また、溝2aの幅は、第2のレジストパターン14の窓14aの幅D2と同程度であり、約60nm〜80nm程度の値となる。既述のように、この値は、ArFエキシマレーザ光で達成し得るゲート電極6aの最小の線幅(80nm〜90nm)よりも小さな値である。
【0055】
この後に、第2のレジストパターン14は除去される。
【0056】
図13は、本工程を終了した後の平面図であり、上記した図4の第1及び第2の領域I、IIの各断面はそれぞれ図13のA3−A3線、B3−B3線に沿う断面に相当する。
【0057】
また、図4に示した第3の領域IIIのうち、第1断面は図13のC3−C3線に沿う断面図に相当し、第2断面は図13のD3−D3線に沿う断面に相当する。
【0058】
図13に示すように、第2の領域IIでは、二つのパッド部6cの間の抵抗パターン6bの一部領域A上に第1の絶縁膜13が残される。
【0059】
また、第3の領域IIIでは、二つの島状の第1の絶縁膜13が互いに間隔をおいて形成される。
【0060】
次に、図5に示す断面構造を得るまでの工程について説明する。
【0061】
まず、シリコン基板1の各領域I〜IIIにフォトレジストを塗布し、それを露光、現像して第3のレジストパターン17を形成する。
【0062】
第1の領域Iにおけるシリコン基板1は第3のレジストパターン17で覆われずに露出する。
【0063】
また、第3の領域IIIにおける第3のレジストパターン17には窓17aが形成され、その窓17aから溝2aが露出する。
【0064】
次いで、第3のレジストパターン17をマスクにしてシリコン基板1にn型不純物として砒素をイオン注入する。n型不純物は砒素に限定されず、リンをイオン注入してもよい。
【0065】
これにより、第1の領域Iでは、ゲート電極6aの横のシリコン基板1にn型ソースドレイン領域15が形成され、ゲート電極6aやn型ソースドレイン領域15を備えたMOSトランジスタTRの基本構造が完成する。
【0066】
また、第3の領域IIIでは、溝2aの表面から砒素がイオン注入され、素子分離絶縁膜2にn型不純物領域20が形成される。
【0067】
図14は、本工程を終了した後の平面図であり、上記した図5の第1及び第2の領域I、IIの各断面はそれぞれ図14のA4−A4線、B4−B4線に沿う断面に相当する。
【0068】
また、図5に示した第3の領域IIIのうち、第1断面は図14のC4−C4線に沿う断面図に相当し、第2断面は図14のD4−D4線に沿う断面に相当する。
【0069】
図14に示されるように、第3の領域IIIでは、第3のレジストパターン17の窓17aから溝2aが露出する。
【0070】
この後に、第3のレジストパターン17は除去される。
【0071】
続いて、図6に示すように、第1の領域Iに露出しているシリコン基板1の表面をフッ酸溶液に曝すことで、当該表面に形成されている自然酸化膜等をウエットエッチングにより除去し、シリコン基板1の表面を清浄化する。
【0072】
また、本工程では、第3の領域IIIにおける素子分離絶縁膜2がスリット13xを通じてウエットエッチングされる。ウエットエッチングは等方的に進行するため、スリット13xの下の溝2aが拡幅されて凹部2bが形成される。
【0073】
なお、窒化シリコンを含む第1の絶縁膜13のフッ酸溶液に対するエッチング速度は、酸化シリコンを含む素子分離絶縁膜2のエッチング速度よりも遅い。そのため、このウエットエッチングによってスリット13xが広がることはなく、幅Wがスリット13xの幅D2よりも広い凹部2bを形成することができる。
【0074】
更に、凹部2bの深さYと幅Wは、本工程のフッ酸溶液の濃度や、図4の工程で溝2aを形成するときのドライエッチング条件等によってコントロールすることができる。そのため、これらの条件を適当に調節することで、凹部2aの形状が基板面内でばらつくのを抑制しつつ、所定の大きさの凹部2aを形成することができる。
【0075】
本実施例では、凹部2aの幅Wは140nm〜170nm程度となり、深さYは80nm〜90nm程度となる。
【0076】
ここで、本実施形態では素子分離絶縁膜2として酸化シリコン膜を形成したが、フッ酸溶液に対する酸化シリコン膜のエッチング速度は、n型不純物領域20(図5参照)を形成した部分では増加する。
【0077】
これは、n型不純物領域20においては砒素のイオン注入によって膜中にAs-O結合が形成され、そのAs-O結合の解離エネルギがもともとのSi-O結合のそれよりも低く、フッ酸溶液によってAs-O結合が簡単に切断されるためである。
【0078】
図20は、フッ酸溶液に対する酸化シリコン膜のエッチング速度を調査して得られたグラフである。
【0079】
この調査では、不純物が注入されていないシリコン熱酸化膜のエッチング深さ(X1)と、砒素をイオン注入したシリコン熱酸化膜のエッチング深さ(X2)とを測定した。そして、これらの深さの差ΔX(=X2−X1)とX1の各々の値をプロットし、図20のようなグラフを得た。
【0080】
図20に示されるように、ΔXは、X1に略比例し、常に正の値となる。このことから、砒素のようなn型不純物をイオン注入することで、酸化シリコン膜のエッチング速度が増加することが確かめられた。
【0081】
このようなエッチング速度の相違を利用して、上記の図6の工程では、n型不純物が注入されていない部分の素子分離絶縁膜2がエッチングされるのを抑制しつつ、n型不純物領域20のみを選択的にウエットエッチングし、所定の部分のみに凹部2bを形成できる。
【0082】
なお、そのようなエッチング速度の増加は、砒素やリン等のn型不純物をイオン注入した場合に顕著に現れ、酸化シリコン膜にp型不純物をイオン注入した場合には、フッ酸溶液に対する酸化シリコン膜のエッチング速度は上記とは逆に低下する。
【0083】
これは、ボロン等のp型不純物をイオン注入したときに酸化シリコン膜中に形成されるB-O結合の解離エネルギがもともとのSi-O結合のそれよりも高くなるためである。
【0084】
なお、図15は、本工程を終了した後の平面図であり、上記した図6の第1及び第2の領域I、IIの各断面はそれぞれ図15のA5−A5線、B5−B5線に沿う断面に相当する。
【0085】
また、図6に示した第3の領域IIIのうち、第1断面は図15のC5−C5線に沿う断面図に相当し、第2断面は図15のD5−D5線に沿う断面に相当する。
【0086】
図15に示されるように、第3の領域IIIでは、ウエットエッチングによって凹部2bが形成された結果、凹部2bの縁部から第1の絶縁膜13が張り出すようになる。
【0087】
また、第2の領域IIでは、本工程のウエットエッチングにより、第1の絶縁膜13が形成されていないパッド部6cの表面も清浄化される。
【0088】
次に、図7に示すように、シリコン基板1の各領域I〜IIIにスパッタ法で高融点金属膜としてコバルト膜を形成し、そのコバルト膜をアニールしてシリコンと反応させることにより、コバルトシリサイド層等の高融点金属シリサイド層21を形成する。その後に、素子分離絶縁膜2や絶縁性サイドウォール13a等の上で未反応となっているコバルト膜をウエットエッチングにより除去する。
【0089】
このとき、第1の領域Iでは、図6の工程でウエットエッチングにより予めシリコン基板1の表面を清浄化しているので、高融点金属膜とシリコンとの反応が自然酸化膜等によって阻害されず、良質な高融点金属シリサイド層21が形成される。
【0090】
その高融点金属シリサイド層21はn型ソースドレイン領域15の低抵抗化に寄与する。また、ゲート電極6aの上面にも高融点金属シリサイド層21が形成され、これによりゲート電極6aも低抵抗化される。
【0091】
一方、第2の領域IIでは、抵抗パターン6bの上に残存する第1の絶縁膜13bによって抵抗パターン6bのシリサイド化が阻止され、抵抗パターン6bを高抵抗に維持することができる。
【0092】
図16は、本工程を終了した後の平面図であり、上記した図7の第1及び第2の領域I、IIの各断面はそれぞれ図16のA6−A6線、B6−B6線に沿う断面に相当する。
【0093】
また、図7に示した第3の領域IIIのうち、第1断面は図16のC6−C6線に沿う断面図に相当し、第2断面は図16のD6−D6線に沿う断面に相当する。
【0094】
図16に示されるように、上記の高融点金属シリサイド層21は、第2の領域IIのパッド部6c上にも形成される。そのパッド部6cの表面は、図6のウエットエッチングによって予め清浄化されているので、パッド部6c上の自然酸化膜等が原因で高融点金属シリサイド層21の成長が妨げられるのを防止できる。
【0095】
次に、図8に示す断面構造を得るまでの工程について説明する。
【0096】
まず、成膜ガスとしてシラン(SiH4)とアンモニア(NH3)との混合ガスを用いて、シリコン基板1の各領域I〜IIIに第2の絶縁膜24としてCVD法により窒化シリコン膜を20nm〜40nm程度の厚さに形成する。
【0097】
第1の領域Iに形成された第2の絶縁膜24は、MOSトランジスタTRを保護する保護絶縁膜として機能する。
【0098】
一方、第3の領域IIIにおいては、上記の成膜ガスが凹部2b内に入り込み、凹部2bとスリット13xの各々の内面に第2の絶縁膜24が形成される。そして、第2の絶縁膜24の膜厚を調節することにより、スリット13xを第2の絶縁膜24で塞ぎつつ、凹部2b内にボイド24aを形成する。
【0099】
ここで、上記のように凹部2bをウエットエッチングにより形成したことで、ウエットエッチング時のフッ酸溶液の濃度等によって凹部2bの幅や深さを自在に調節でき、凹部2b内に所定の大きさのボイド24aを形成するのが容易となる。
【0100】
しかも、凹部2bの幅よりもスリット13xの幅の方が狭いので、第2の絶縁膜24でスリット13xを確実に塞ぐことができる。
【0101】
よって、第2の絶縁膜24の膜厚が基板面内でばらついても、凹部2b内に所定の大きさのボイド24aを形成しながらスリット13xを塞ぐことができ、第2の絶縁膜24の膜厚のばらつきに影響されずに高精度にボイド24aを形成することが可能となる。
【0102】
続いて、第2の絶縁膜24の上に第3の絶縁膜25としてプラズマCVD法によりPSG(Phospho Silicate Glass)膜を700nm〜900nm程度の厚さに形成する。
【0103】
このとき、第1の領域Iでは、第3の絶縁膜25を成膜するときのプラズマ雰囲気によりトランジスタTRがダメージを受けるのを第2の絶縁膜24によって抑制することができる。
【0104】
その後に、CMP(Chemical Mechanical Polishing)法により第3の絶縁膜25の上面を研磨して平坦化する。
【0105】
図17は、本工程を終了した後の平面図であり、上記した図8の第1及び第2の領域I、IIの各断面はそれぞれ図17のA7−A7線、B7−B7線に沿う断面に相当する。
【0106】
また、図8に示した第3の領域IIIのうち、第1断面は図17のC7−C7線に沿う断面図に相当し、第2断面は図17のD7−D7線に沿う断面に相当する。
【0107】
なお、図17では、図が煩雑になるのを防ぐため、第3の絶縁膜25については省略してある。
【0108】
図17に示されるように、第3の領域IIIに形成されたボイド24aは、上から見たときに縦に長い形状を有する。
【0109】
次に、図9に示すように、第3の絶縁膜25の上に第4のレジストパターン30を形成し、その第4のレジストパターン30をマスクにして第1及び第2の絶縁膜24、25をドライエッチングする。これにより、第1の領域Iではゲート電極6aの横に第1のホール25aが形成され、第3の領域IIIではボイド24aの上に第2のホール25bが形成される。
【0110】
そのドライエッチングは2ステップで行われ、最初の第1のステップではエッチングガスとしてC4F6、O2、及びArの混合ガスを使用し、PSGを含む第3の絶縁膜25をエッチングする。このエッチングガスに対して第2の絶縁膜24中の窒化シリコンはエッチング耐性を有するため、このエッチングは第2の絶縁膜24の上で自動停止する。
【0111】
そして、次の第2のステップでは、エッチングガスをCHF3、O2、及びArの混合ガスに切り替え、窒化シリコンを含む第2の絶縁膜24をドライエッチングする。
【0112】
そのエッチングガスに対し、第1の領域Iに形成されている高融点金属シリサイド層21はエッチングストッパとして機能するので、第1の領域Iでは第1のホール24aが高融点金属シリサイド層21を突き抜けることがない。
【0113】
一方、第3の領域IIIでは、エッチングストッパとなる高融点金属シリサイド層21が存在しないので、オーバーエッチングによって第2のホール25bの下の素子分離絶縁膜2もエッチングされることになる。
【0114】
そして、このようにして形成された第2のホール25b内に、上記のボイド24aが露出する。
【0115】
この後に、第4のレジストパターン30は除去される。
【0116】
図18は、本工程を終了した後の平面図であり、上記した図9の第1及び第2の領域I、IIの各断面はそれぞれ図18のA8−A8線、B8−B8線に沿う断面に相当する。
【0117】
また、図9に示した第3の領域IIIのうち、第1断面は図18のC8−C8線に沿う断面図に相当し、第2断面は図18のD8−D8線に沿う断面に相当する。
【0118】
なお、図18では、図が煩雑になるのを防ぐため、第3の絶縁膜25については省略してある。
【0119】
図18に示されるように、第3の領域IIIにおける第2のホール25bは、縦長のボイド24aの両端に重なるように形成される。
【0120】
また、第2の領域IIにおいては、上記の第1及び第2のホール25a、25bの形成と同時に、パッド部6c上の高融点金属シリサイド層21が露出する第3のホール25cが形成される。
【0121】
次に、図10に示す断面構造を得るまでの工程について説明する。
【0122】
まず、各ホール25a、25bの内面と第3の絶縁膜25の上面に、バリアメタル膜26として窒化チタン膜を8nm〜20nm程度の厚さに形成する。
【0123】
バリアメタル膜26の成膜方法は特に限定されないが、CVD法でバリアメタル膜26を形成するのが好ましい。その場合、成膜ガスとしては、四塩化チタン(TiCl4)とアンモニア(NH3)との混合ガスが使用される。
【0124】
CVD法を用いることで、上記の成膜ガスが第3の領域IIIのボイド24a内にも入り込み、ボイド24aの内面にもバリアメタル膜26を形成することができる。
【0125】
次いで、バリアメタル膜26の上に第2の導電膜27としてCVD法でタングステン膜を形成し、そのタングステン膜により各ホール25a、25b内とボイド24a内とを完全に埋め込む。
【0126】
その後に、第3の絶縁膜25の上の余分なバリアメタル膜26、27をCMP法により研磨して除去し、これらの膜を各ホール25a、25b内とボイド24a内にのみ残す。
【0127】
これにより、各ホール25a、25b内にはそれぞれ第1の導電性プラグ28aと第2の導電性プラグ28bが形成されることになる。
【0128】
また、第3の領域IIIのボイド24a内には、バリアメタル膜26と第2の導電膜27とを備えたヒューズFが形成される。
【0129】
そのヒューズFは、両端が第2の導電性プラグ28bに接続されており、二つのプラグ28b間に電流を流すことで切断することができる。
【0130】
このようにヒューズFを切断するとその周囲に熱的なダメージが及ぶことがある。但し、本実施形態では、ヒューズFをゲート電極6aから離して形成するので、ヒューズFの切断時のダメージがゲート電極6aに及ぶのを抑制できる。
【0131】
また、ヒューズFとして形成されたバリアメタル膜26と第2の導電膜27は、窒化チタンやタングステン等のように高抵抗の材料を含むため、低電流でも多くのジュール熱を発生し、ヒューズFを低電流で切断することができるようになる。
【0132】
図19は、本工程を終了した後の平面図であり、上記した図10の第1及び第2の領域I、IIの各断面はそれぞれ図19のA9−A9線、B9−B9線に沿う断面に相当する。
【0133】
また、図10に示した第3の領域IIIのうち、第1断面は図19のC9−C9線に沿う断面図に相当し、第2断面は図19のD9−D9線に沿う断面に相当する。
【0134】
図19に示すように、第2の領域IIにおいては、上記の導電性プラグ28a、28bの形成と同時に、抵抗パターン6bに電流を供給するための第3の導電性プラグ28cが第3のホール25c内に形成される。
【0135】
一方、第3の領域IIIでは、第2の導電性プラグ28bは、当該領域IIIに残存する第1の絶縁膜13に重なるように形成される。このように形成しても、第1の絶縁膜13は導電性がないため電流経路とはなりえない。
【0136】
よって、第1の絶縁膜13との重なりを気にせずに各プラグ28b同士の間隔を狭め、ヒューズFの長さLを短くすることができる。このようにヒューズFを微細化できることで、低電流でヒューズFを切断できると共に、半導体装置のサイズを縮小化することができる。
【0137】
更に、第1の絶縁膜13と各プラグ28bとの重なりを気にする必要がないため、半導体装置の平面レイアウトの自由度も増す。
【0138】
なお、第1の絶縁膜13に代えて導電膜を形成することも考えられる。しかし、これでは当該導電膜と各プラグ28bとが重なったときに、各プラグ28bを流れる電流が導電膜にリークするので、当該導電膜との重なりを防止すべく各プラグ28b同士の間隔を本実施形態よりも広くせざるを得ず、ヒューズFの微細化が困難となる。
【0139】
図21は、このヒューズFとその周囲の拡大断面図である。
【0140】
上記したような微細化によってヒューズFの長さLは130nm〜150nm程度の値となる。また、ヒューズFの厚さTは50nm〜70nm程度の値となり、第2の導電性プラグ28bの直径Hは110nm〜130nm程度の値となる。
【0141】
以上により、本実施形態に係る半導体装置の基本構造が完成する。
【0142】
上記した本実施形態によれば、図6の工程で形成した凹部2bは、ゲート電極6aの最小線幅D1(図2(a))よりも狭い幅D2のスリット13xを通じて素子分離絶縁膜2をウエットエッチングして形成されるので、極めて微細な大きさとなる。
【0143】
そのため、図10に示したように、凹部2b内に形成されるボイド24aも微細となり、ボイド24a内のヒューズFの幅D3をゲート電極6aの最小線幅D1よりも狭くすることが可能となる。その結果、低電流でもヒューズFを確実に切断することができるようになり、基板1内の複数のヒューズFを切断する場合に未切断のヒューズFが発生するのを防止できる。
【0144】
しかも、図6の工程でウエットエッチングにより溝2aを拡幅して凹部2bとするので、ウエットエッチング時のフッ酸溶液の濃度等によって凹部2bの幅や深さを自在に調節でき、凹部2b内に所定の大きさのボイド24aを形成するのが容易となる。
【0145】
更に、ヒューズFはトランジスタTRや抵抗素子Rの製造工程を利用して形成され、ヒューズFを形成するのに特有の工程は不要であるから、工程数の増大もない。例えば、図6の工程で凹部2bを形成する工程では、第2の領域IIにおいてシリサイドブロックとして形成した第1の絶縁膜13をウエットエッチングのマスクに流用しており、凹部2bの形成とシリサイドブロックの形成とを両立させることができる。
【0146】
なお、上記したヒューズFの使用用途は特に限定されない。図22は、半導体チップの多量な情報が必要なChipTrace(識別子)としてヒューズFを使用する場合に好適な回路図である。
【0147】
この例では、一つの半導体装置内に複数のヒューズFを設けると共に、各ヒューズFの一端を接地線35に接続する。そして、その半導体装置がシリコン基板1を個片化した後のどの半導体チップに属するのかに応じ、どのヒューズFを切断するかを予め決めておく。例えば、図22では、右の二つのヒューズFを切断している。
【0148】
このようにすると、個片化後の半導体チップにおいて、どのヒューズFが切断されているのかを調べることで、その半導体チップがもとのシリコン基板1のどこに位置していたのかが分かる。
【0149】
以上説明した本実施形態に関し、更に以下の付記を開示する。
【0150】
(付記1) 半導体基板に素子分離絶縁膜を形成する工程と、
前記素子分離絶縁膜の上に第1の絶縁膜を形成する工程と、
前記第1の絶縁膜にスリットを形成する工程と、
前記スリットが形成された前記第1の絶縁膜をマスクとして前記素子分離絶縁膜をウエットエッチングすることにより、前記スリットの下の前記素子分離絶縁膜に凹部を形成する工程と、
前記凹部と前記スリットの各々の内面に第2の絶縁膜を形成することにより、前記第2の絶縁膜により前記スリットを塞ぎつつ、前記凹部内にボイドを形成する工程と、
前記ボイドの上の前記第2の絶縁膜にホールを形成し、該ホール内に該ボイドを露出させる工程と、
露出した前記ボイドと前記ホールのそれぞれの中に導電膜を形成することにより、前記ボイド内にヒューズを形成する工程と、
を有することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【0151】
(付記2) 前記凹部を形成する前に、前記スリットが形成された前記第1の絶縁膜をマスクとして前記素子分離絶縁膜をドライエッチングすることにより、前記スリットの下の前記素子分離絶縁膜に溝を形成する工程を更に有し、
前記凹部を形成する工程は、前記ウエットエッチングにより前記溝の幅を拡げることにより行われることを特徴とする付記1に記載の半導体装置の製造方法。
【0152】
(付記3) 前記ウエットエッチングの前に、前記溝の表面に不純物を注入する工程を更に有することを特徴とする付記2に記載の半導体装置の製造方法。
【0153】
(付記4) 前記不純物はn型不純物であることを特徴とする付記3に記載の半導体装置の製造方法。
【0154】
(付記6) 前記n型不純物は砒素又はリンであることを特徴とする付記4に記載の半導体装置の製造方法。
【0155】
(付記7) 前記ウエットエッチングは、前記第1の絶縁膜のエッチング速度が前記素子分離絶縁膜のエッチング速度よりも遅くなるエッチング液を使用して行われることを特徴とする付記2〜6のいずれかに記載の半導体装置の製造方法。
【0156】
(付記8) 前記素子分離絶縁膜として酸化シリコン膜を形成し、
前記第1の絶縁膜として窒化シリコン膜を形成し、
前記エッチング液としてフッ酸溶液を使用することを特徴とする付記7に記載の半導体装置の製造方法。
【0157】
(付記9) 前記ヒューズを形成する工程は、
前記ボイドと前記ホールのそれぞれの内面に、CVD法によりバリアメタル膜を形成する工程と、
前記バリアメタル膜の上に前記導電膜としてタングステン膜を形成する工程とを更に有することを特徴とする付記1〜8のいずれかに記載の半導体装置の製造方法。
【0158】
(付記10) 半導体基板の第1の領域に素子分離絶縁膜を形成する工程と、
前記半導体基板の第2の領域にゲート絶縁膜を介してゲート電極を形成する工程と、
前記素子分離絶縁膜と前記ゲート電極を形成した後、前記半導体基板の前記第1の領域と前記第2の領域に第1の絶縁膜を形成する工程と、
前記第1の絶縁膜をパターニングすることにより、前記第1の領域において前記第1の絶縁膜にスリットを形成し、かつ、前記第2の領域において前記ゲート電極の側壁に絶縁性サイドウォールを形成する工程と、
前記第1の絶縁膜をパターニングした後、前記スリットの下の前記素子分離絶縁膜に凹部を形成する工程と、
前記凹部を形成した後、前記第1の領域と前記第2の領域に第2の絶縁膜を形成することにより、前記第1の領域において前記ゲート電極を前記第2の絶縁膜で覆うと共に、前記第2の領域において、前記凹部内にボイドを形成しながら、前記第2の絶縁膜により前記スリットを塞ぐ工程と、
前記第2の絶縁膜をパターニングすることにより、前記第1の領域において前記ゲート電極の横に第1のホールを形成し、かつ、前記第2の領域において前記ボイドの上に第2のホールを形成し、該第2のホール内に前記ボイドを露出させる工程と、
前記第1のホール、前記第2のホール、及び前記ボイドのそれぞれの中に導電膜を形成することにより、前記第1のホールと前記第2のホールの中にそれぞれ第1の導電性プラグと第2の導電性プラグを形成し、かつ、前記ボイド内にヒューズを形成する工程と、
を有することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【0159】
(付記11) 前記凹部を形成する工程は、前記第1の領域においてウエットエッチングにより前記半導体基板の表面を清浄化し、かつ、前記第2の領域において前記スリットを通じて前記素子分離絶縁膜をウエットエッチングすることにより行われることを特徴とする付記10に記載の半導体装置の製造方法。
【0160】
(付記12) 前記第1の絶縁膜をパターニングする工程において、ドライエッチングにより前記スリットの下の前記素子分離絶縁膜に溝を形成し、
前記凹部を形成する工程において、前記ウエットエッチングにより前記溝をもとよりも拡幅して前記凹部とすることを特徴とする付記11に記載の半導体装置の製造方法。
【0161】
(付記13) 前記ウエットエッチングの前に、前記第1の領域において前記ゲート電極の横の前記半導体基板に不純物を注入してソースドレイン領域を形成し、かつ、前記溝の表面に前記不純物を注入する工程を更に有することを特徴とする付記12に記載の半導体装置の製造方法。
【0162】
(付記14) 前記ゲート電極を形成する工程において、前記半導体基板の第3の領域に抵抗パターンを形成し、
前記第1の絶縁膜を形成する工程において、半導体基板の前記第3の領域に前記第1の絶縁膜を形成し、
前記第1の絶縁膜をパターニングする工程において、前記抵抗パターンの一部領域上に前記第1の絶縁膜を残し、
前記半導体基板の前記表面を清浄化する工程において、前記第1の絶縁膜が残されていない部分の前記抵抗パターンの表面を前記ウエットエッチングにより清浄化し、
前記清浄化の後、前記第1領域における前記半導体基板の前記表面と、前記第3の領域にける前記抵抗パターンの前記表面に高融点金属シリサイド層を形成することを特徴とする付記10〜13のいずれかに記載の半導体装置の製造方法。
【0163】
(付記15) 半導体基板と、
前記半導体基板に形成され、上面に凹部が形成された素子分離絶縁膜と、
前記素子分離絶縁膜の上に形成され、前記凹部の上にスリットを備えた第1の絶縁膜と、
前記凹部内でボイドを生成するように該凹部と前記スリットの各々の内面に形成され、かつ、前記ボイドに繋がるホールを備えた第2の絶縁膜と、
前記ボイド内に形成されたヒューズと、
前記ホール内に形成され、前記ヒューズに接続された導電性プラグと、
を備えたことを特徴とする半導体装置。
【0164】
(付記16) 前記ヒューズは、前記ボイドの内面に形成されたバリアメタル膜と、該バリアメタル膜の上に形成されたタングステン膜とを有することを特徴とする付記15に記載の半導体装置。
【0165】
(付記17) 前記スリットの幅は、前記凹部の幅よりも狭いことを特徴とする付記15又は付記16に記載の半導体装置。
【0166】
(付記18) 前記半導体基板の上にゲート絶縁膜を介して形成されたゲート電極と、
前記ゲート電極の横に形成され、前記第1の絶縁膜と同じ材料からなる絶縁性サイドウォールとを更に有することを特徴とする付記15〜17のいずれかに記載の半導体装置。
【0167】
(付記19) 前記ゲート電極と同一層内に形成され、該ゲート電極と同一の材料からなる抵抗パターンを更に有し、
前記抵抗パターンの一部領域上に、前記第1の絶縁膜が形成されたことを特徴とする付記18に記載の半導体装置。
【0168】
(付記20) 前記素子分離絶縁膜は酸化シリコン膜であり、
前記第1の絶縁膜は窒化シリコン膜であることを特徴とする付記15〜19のいずれかに記載の半導体装置。
【符号の説明】
【0169】
1…シリコン基板、1a…素子分離溝、2…素子分離絶縁膜、2a…溝、2b…凹部、3…pウェル、4…ゲート絶縁膜、6…第1の導電膜、6a…ゲート電極、6b…抵抗パターン、6c…パッド部、8…第1のレジストパターン、12…下地絶縁膜、13…第1の絶縁膜、13a…絶縁性サイドウォール、13x…スリット、14…第2のレジストパターン、14a…窓、17…第3のレジストパターン、17a…窓、21…高融点金属シリサイド層、24…第2の絶縁膜、24a…ボイド、25…第3の絶縁膜、25a〜25c…第1〜第3のホール、26…バリアメタル膜、27…第2の導電膜、28a〜28c…第1〜第3の導電性プラグ、30…第4のレジストパターン。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板に素子分離絶縁膜を形成する工程と、
前記素子分離絶縁膜の上に第1の絶縁膜を形成する工程と、
前記第1の絶縁膜にスリットを形成する工程と、
前記スリットが形成された前記第1の絶縁膜をマスクとして前記素子分離絶縁膜をウエットエッチングすることにより、前記スリットの下の前記素子分離絶縁膜に凹部を形成する工程と、
前記凹部と前記スリットの各々の内面に第2の絶縁膜を形成することにより、前記第2の絶縁膜により前記スリットを塞ぎつつ、前記凹部内にボイドを形成する工程と、
前記ボイドの上の前記第2の絶縁膜にホールを形成し、該ホール内に該ボイドを露出させる工程と、
露出した前記ボイドと前記ホールのそれぞれの中に導電膜を形成することにより、前記ボイド内にヒューズを形成する工程と、
を有することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項2】
前記凹部を形成する前に、前記スリットが形成された前記第1の絶縁膜をマスクとして前記素子分離絶縁膜をドライエッチングすることにより、前記スリットの下の前記素子分離絶縁膜に溝を形成する工程を更に有し、
前記凹部を形成する工程は、前記ウエットエッチングにより前記溝の幅を拡げることにより行われることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項3】
前記ウエットエッチングの前に、前記溝の表面に不純物を注入する工程を更に有することを特徴とする請求項2に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項4】
前記不純物はn型不純物であることを特徴とする請求項3に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項5】
半導体基板の第1の領域に素子分離絶縁膜を形成する工程と、
前記半導体基板の第2の領域にゲート絶縁膜を介してゲート電極を形成する工程と、
前記素子分離絶縁膜と前記ゲート電極を形成した後、前記半導体基板の前記第1の領域と前記第2の領域に第1の絶縁膜を形成する工程と、
前記第1の絶縁膜をパターニングすることにより、前記第1の領域において前記第1の絶縁膜にスリットを形成し、かつ、前記第2の領域において前記ゲート電極の側壁に絶縁性サイドウォールを形成する工程と、
前記第1の絶縁膜をパターニングした後、前記スリットの下の前記素子分離絶縁膜に凹部を形成する工程と、
前記凹部を形成した後、前記第1の領域と前記第2の領域に第2の絶縁膜を形成することにより、前記第1の領域において前記ゲート電極を前記第2の絶縁膜で覆うと共に、前記第2の領域において、前記凹部内にボイドを形成しながら、前記第2の絶縁膜により前記スリットを塞ぐ工程と、
前記第2の絶縁膜をパターニングすることにより、前記第1の領域において前記ゲート電極の横に第1のホールを形成し、かつ、前記第2の領域において前記ボイドの上に第2のホールを形成し、該第2のホール内に前記ボイドを露出させる工程と、
前記第1のホール、前記第2のホール、及び前記ボイドのそれぞれの中に導電膜を形成することにより、前記第1のホールと前記第2のホールの中にそれぞれ第1の導電性プラグと第2の導電性プラグを形成し、かつ、前記ボイド内にヒューズを形成する工程と、
を有することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項6】
前記凹部を形成する工程は、前記第1の領域においてウエットエッチングにより前記半導体基板の表面を清浄化し、かつ、前記第2の領域において前記スリットを通じて前記素子分離絶縁膜をウエットエッチングすることにより行われることを特徴とする請求項5に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項7】
前記ゲート電極を形成する工程において、前記半導体基板の第3の領域に抵抗パターンを形成し、
前記第1の絶縁膜を形成する工程において、半導体基板の前記第3の領域に前記第1の絶縁膜を形成し、
前記第1の絶縁膜をパターニングする工程において、前記抵抗パターンの一部領域上に前記第1の絶縁膜を残し、
前記半導体基板の前記表面を清浄化する工程において、前記第1の絶縁膜が残されていない部分の前記抵抗パターンの表面を前記ウエットエッチングにより清浄化し、
前記清浄化の後、前記第1領域における前記半導体基板の前記表面と、前記第3の領域にける前記抵抗パターンの前記表面に高融点金属シリサイド層を形成することを特徴とする請求項5又は請求項6に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項8】
半導体基板と、
前記半導体基板に形成され、上面に凹部が形成された素子分離絶縁膜と、
前記素子分離絶縁膜の上に形成され、前記凹部の上にスリットを備えた第1の絶縁膜と、
前記凹部内でボイドを生成するように該凹部と前記スリットの各々の内面に形成され、かつ、前記ボイドに繋がるホールを備えた第2の絶縁膜と、
前記ボイド内に形成されたヒューズと、
前記ホール内に形成され、前記ヒューズに接続された導電性プラグと、
を備えたことを特徴とする半導体装置。
【請求項9】
前記半導体基板の上にゲート絶縁膜を介して形成されたゲート電極と、
前記ゲート電極の横に形成され、前記第1の絶縁膜と同じ材料からなる絶縁性サイドウォールとを更に有することを特徴とする請求項8に記載の半導体装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公開番号】特開2012−54503(P2012−54503A)
【公開日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−197803(P2010−197803)
【出願日】平成22年9月3日(2010.9.3)
【出願人】(308014341)富士通セミコンダクター株式会社 (2,507)
【Fターム(参考)】