説明

半導体装置のデュアルゲート構造物及びその形成方法

【課題】高誘電膜を含むCMOSトランジスタの形成に適合した構造を有するデュアルゲート構造物及びその形成方法を提供する。
【解決手段】デュアルゲート構造物は、第1及び第2領域が区分される基板と、前記第1領域の基板上に形成され、金属酸化膜、第1仕事関数を有する金属物質からなる第1金属パターン、シリコン拡散防止膜パターン、及びシリコンを含む導電膜パターンが積層された第1ゲート構造物と、前記第2領域の基板上に形成され、金属酸化膜、前記金属物質及びシリコン元素を含み前記第1仕事関数より低い第2仕事関数を有する第2金属パターン、及び前記シリコンを含む導電膜パターンが積層された第2ゲート構造物と、を含む。前記デュアルゲート構造物は各領域に形成されるゲート電極が同一の金属物質からなるので前記金属物質の一部を除去しなくてもよいので前記除去工程の際発生する金属酸化膜の損傷を防止することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は半導体装置のデュアルゲート構造物及びその形成方法に関する。より詳細には、高誘電膜を含むCMOSトランジスタの形成に適合した構造を有するデュアルゲート構造物及びその形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置で非常に重要とされる単位素子の一つとしてMOSトランジスタがある。前記MOSトランジスタはゲート酸化膜、ゲート電極及び前記ゲート電極両側の基板に形成されたソース/ドレイン領域で構成される。通常、前記半導体装置内にはNMOSトランジスタ及びPMOSトランジスタが共に具備されるCMOSトランジスタが含まれる。
【0003】
前記CMOSトランジスタにおいて、ゲート酸化膜として熱酸化工程によって形成されたシリコン酸化膜が幅広く使用されている。また、ゲート電極は不純物がドーピングされたポリシリコンを主に使用している。
【0004】
しかし、前記シリコン酸化膜及びポリシリコン膜が積層された形態のゲートを使用する場合、高性能を有しながら高集積化された最近の半導体装置を具現するに限界がある。
【0005】
具体的には、半導体装置が高集積化されるにつれ前記ゲート酸化膜の厚さを従来に比べてさらに減少しなければならない。ところが、前記シリコン酸化膜を過度に薄く蒸着する場合には漏洩電流の増加のような問題が発生する。従って、ゲート酸化膜として前記シリコン酸化膜よりさらに高い誘電率を有しながら安定された動作特性を有する新規な物質にてゲート酸化膜を形成しなければならない。前記物質としては主に高誘電率を有する金属酸化膜を使用している。
【0006】
一方、ゲート酸化膜として金属酸化膜を使用する場合にはPMOSトランジスタのゲート電極にポリシリコンを使用することは望ましくない。それは前記金属酸化膜上にポリシリコンを蒸着する場合前記金属酸化膜とポリシリコンとが容易に反応し、この場合、前記ポリシリコンのフェルミレベルが一定の値で固定され不純物のドーピングなどによっても前記フェルミレベルが変化しない、いわゆるフェルミレベルピニング現象が発生するからである。そのため、前記PMOSトランジスタで要求されるしきい電圧を収得することが非常に難しい。
【0007】
従って、前記ゲート酸化膜として金属酸化膜を使用しながらも前記のような問題が発生しない工程方法が開発されつつある。
【0008】
例えば、特許文献1によると、P型不純物がドーピングされた基板上にN−ウェルを形成する。以後、ゲート酸化膜を形成しタンタルシリコン窒化膜を前記N−ウェル上のみに選択的に形成した後、基板全面にポリシリコンを形成する。その後、パターニング工程を実施することでポリシリコンパターンからなるN型ゲート電極とタンタルシリコン窒化膜パターン及びポリシリコンパターンからなるP型ゲート電極を完成させる。
【0009】
前記工程によると、N型及びP型トランジスタに採用されるゲート電極が互いに異なる物質から形成される。従って、前記N型及びP型トランジスタそれぞれに適合した仕事関数を有するゲート電極を形成することができる。
【0010】
しかし、前記工程を通じてN型及びP型トランジスタを形成する場合、P型トランジスタが形成される領域に選択的にタンタルシリコン窒化膜パターンを形成するための乾式エッチング工程を実施する時に前記N−ウェルが形成されていない部位のゲートの酸化膜の表面にはエッチングダメージが発生する。それにより、前記ゲート酸化膜の特性が劣化しMOSトランジスタの動作性能が低下する。また、前記N型及びP型トランジスタに適合したゲート電極を形成するための工程が複雑となり半導体装置の製造費用が上昇し不良発生率が増加する。
【特許文献1】韓国特許第2004−4657号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
従って、本発明の第1目的は簡単な工程によって形成することができるデュアルゲート構造物を提供することにある。
【0012】
本発明の第2目的は、前記したデュアルゲート構造物の形成方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
前記第1目的を達成するために本発明の一実施例によるデュアルゲート構造物には、第1及び第2領域が区分される基板が具備される。前記第1領域の基板上に形成され、金属酸化膜、第1仕事関数を有する金属物質からなる第1金属パターン、シリコン拡散防止膜パターン及びシリコンを含む導電膜パターンが積層された第1ゲート構造物が具備される。前記第2領域の基板上に形成され、金属酸化膜、前記金属物質及びシリコン元素を含み前記第1仕事関数より低い第2仕事関数を有する第2金属パターン及び前記シリコンを含む導電膜パターンが積層された第2ゲート構造物を含む。
【0014】
前記第1仕事関数は4.7〜5.2eVであることが望ましい。前記第1仕事関数を有する金属物質の例としては、チタン、タンタル、モリブデン、タングステン、ハフニウム、ジルコニウム、チタン窒化物、タンタル窒化物、モリブデン窒化物、タングステン窒化物、ハフニウム窒化物、ジルコニウム窒化物などを挙げることができる。これらは単独または互いに混合して使用することができる。
【0015】
前記シリコンを含む導電膜パターンは、不純物がドーピングされたポリシリコンからなることができる。また、前記シリコンを含む導電膜パターンは金属シリサイドからなることができる。前記金属シリサイドはニッケルシリサイドまたはコバルトシリサイドであることができる。
【0016】
前記シリコンを含む導電膜パターンは不純物がドーピングされたポリシリコンからなることができる。または、前記シリコンを含む導電膜パターンは金属シリサイドからなることができる。前記金属シリサイドはニッケルシリサイドまたはコバルトシリサイドであることができる。
【0017】
前記第2目的を達成するために、本発明の一実施例によるデュアルゲート構造物の形成方法では、まず、第1及び第2領域が区分される基板を備える。前記第1及び第2領域の基板上に金属酸化膜及び第1仕事関数を有する金属物質からなる第1金属膜を形成する。前記第1領域の第1金属膜上に予備シリコン拡散防止膜パターンを形成する。前記予備シリコン拡散防止膜パターン及び前記第1金属膜上にシリコンを含む導電膜を形成する。前記導電膜に含まれたシリコンを前記第2領域の第1金属膜に拡散させ、前記第2領域の第1金属膜をシリコン元素が含まれ前記第1仕事関数より低い第2仕事関数を有する第2金属膜に転換する。前記シリコンを含む導電膜、予備シリコン拡散防止膜パターン、第1金属膜、第2金属膜をパターニングし、前記第1領域に金属酸化膜、第1金属パターン、シリコン拡散防止膜パターン、及びシリコンを含む導電膜パターンが積層された第1ゲート構造物と、前記第2領域に金属酸化膜、第2金属パターン、及び前記シリコンを含む導電膜パターンが積層された第2ゲート構造物を形成する。
【0018】
本発明によると、N型及びP型トランジスタそれぞれのゲート電極として同一の金属物質を使用するので、ゲートパターニングを実施する前に、前記ゲート電極で使用するための金属物質の一部分をエッチングする工程を実施しなくてもよい。従って、前記ゲート電極の下に位置する金属酸化物がエッチングによるアタックを受けなくなり高性能及び高信頼性を有する半導体装置を形成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、図面を参照して本発明の望ましい一実施例をより詳細に説明する。
【0020】
図1は本発明の一実施例によるデュアルゲート構造物を示す断面図である。
【0021】
図1に示すように、第1及び第2領域が区分される基板100が具備される。前記第1領域はPMOSトランジスタを形成するための領域であり、前記第2領域はNMOSトランジスタを形成するための領域である。前記基板100にはトレンチ素子分離工程によって形成された素子分離膜102が具備されることでアクティブ領域と素子分離領域が具備される。
【0022】
具体的には、前記基板100はP型不純物でドーピングされている。そして、前記第1領域の基板100表面の下にはN型不純物でドーピングされたN−ウェルが形成されている。
【0023】
前記第1領域の基板100上には金属酸化膜パターン106a、金属物質からなる第1金属パターン108a、シリコン拡散防止膜パターン110a、及びシリコンを含む導電膜パターン112aが積層された第1ゲート構造物120が具備される。前記第1ゲート構造物120はPMOSトランジスタに適合した構造を有する。以下、前記第1ゲート構造物に対してより具体的に説明する。
【0024】
前記第1ゲート構造物に含まれる金属酸化膜パターン106aはシリコン酸化物に比べて高誘電率を有する物質からなる。使用可能な金属酸化膜パターン106aの例としてはタンタル酸化膜パターン、チタン酸化膜パターン、ハフニウム酸化膜パターン、ジルコニウム酸化膜パターン、ハフニウムシリケートパターン、ジルコニウムシリケートパターン、窒化ハフニウムシリケートパターン、窒化ジルコニウムシリケートパターン、アルミニウム酸化膜パターン、窒化アルミニウム酸化膜パターン、ハフニウムアルミン酸塩パターン、イットリウム酸化膜パターン、ニオブ酸化膜パターン、セシウム酸化膜パターン、インジウム酸化膜パターン、イリジウム酸化膜パターン、ランタン酸化膜パターン、BST膜パターン、PZT膜パターン、ストロンチウムチタン酸化膜パターン、鉛チタン酸化膜パターン、ストロンチウムルテニウム酸化膜パターン、カルシウムルテニウム酸化膜パターン、鉛ジルコニウム酸化膜パターン、ランタンジルコニウム酸化膜パターン及びランタンチタン酸化膜パターンなどを挙げることができる。これらは単独または互いに混合して使用することができる。本実施例においては、前記金属酸化膜パターン106aは高誘電率を有しながら半導体工程に適合したハフニウム酸化膜パターンからなる。
【0025】
前記第1金属パターン108aに提供される金属物質はPMOSトランジスタのしきい電圧を確保することができるように固有の仕事関数が4.7〜5.2eVであることが望ましい。前記第1金属パターン108aとして使用することができる金属物質の例としてチタン、タンタル、モリブデン、タングステン、ハフニウム、ジルコニウム、チタン窒化物、タンタル窒化物、モリブデン窒化物、タングステン窒化物、ハフニウム窒化物、ジルコニウム窒化物などを挙げることができる。これらは単独または互いに混合して使用することができる。本実施例においては、前記第1金属パターン108aは固有の仕事関数が約4.9eV程度であるチタンからなる。
【0026】
前記シリコン拡散防止膜パターン110aはシリコン元素が第1金属パターン108aに拡散されることを防止するために提供される。前記シリコン拡散防止膜パターン110aは非晶質性を有する金属物質からなる。前記シリコン拡散防止膜パターン110aとして使用可能な物質の例としては、チタンシリコン窒化物、タンタルシリコン窒化物、タングステンシリコン窒化物、モリブデンシリコン窒化物、ハフニウムシリコン窒化物、ジルコニウムシリコン窒化物などを挙げることができる。これらは単独または互いに混合して使用することができる。
【0027】
前記シリコンを含む導電膜パターン112aはポリシリコンからなる。または、前記シリコンを含む導電膜パターン112aはコバルトシリサイド、ニッケルシリサイドなどのような金属シリサイドからなることができる。
【0028】
前記のように、金属酸化膜パターン106a上にPMOSトランジスタに使用されるのに適合した固有の仕事関数を有する第1金属パターン108aが積層されることで半導体装置が要求するしきい電圧を確保することができる。また、従来のように金属酸化膜パターン106a上に直接的にシリコンを含む導電膜パターンが接触しないのでポリシリコンと金属酸化膜との反応によって前記金属酸化膜パターン106aが厚くなるなどの問題が発生しなくなる。
【0029】
一方、前記第2領域の基板100上には金属酸化膜パターン106a、第1金属物質及びシリコン元素を含む第2金属パターン109a、及びシリコンを含む導電膜パターン112aが積層された第2ゲート構造物122が具備される。前記第2ゲート構造物はNMOSトランジスタに適合した構造を有する。以下、前記第2ゲート構造物に対してより具体的に説明する。
【0030】
前記第2ゲート構造物122に含まれる金属酸化膜パターン106aは前記第1ゲート構造物に含まれた金属酸化膜パターン106aと同一の工程によって同一の物質から形成される。
【0031】
前記第2金属パターン109aは前記第1金属パターン108aを成す金属物質とシリコン元素を含む。具体的には、前記第2金属パターン109aは前記第1金属パターン108aが積層されている状態で上部に形成されたシリコンを含む導電膜パターンからシリコンが拡散され前記シリコンと前記第1金属パターン108aとの一部分が反応することで生成されるのである。前記第2金属パターン109aはシリコン元素が含まれることにより前記第1金属パターン108aの仕事関数に比べて多少低い仕事関数を有する。従って、前記第2金属パターン109aはNMOSトランジスタのゲート電極として使用するのに適合している。
【0032】
前記シリコンを含む導電膜パターン112aは前記第1ゲート構造物120で使用されたシリコンを含む導電膜パターン112aと同一の工程によって同一の物質から形成される。
【0033】
図2乃至図6は図1に示されたデュアルゲート構造物の形成方法を示すための断面図である。以下、説明するデュアルゲート構造物の最上部にはシリコンを含む導電膜としてポリシリコン膜が形成される。
【0034】
図2に示すように、第1及び第2領域が区分される基板100を備える。前記第1領域はPMOSトランジスタを形成するための領域であり、前記第2領域はNMOSトランジスタを形成するための領域である。前記基板100の全領域にはP型不純物がドーピングされている。
【0035】
前記基板100にアクティブ領域を画定するための素子分離膜102を形成する。前記素子分離膜102はシャロートレンチ素子分離工程を使用して形成することが望ましい。
【0036】
以後、前記第1領域の基板100表面の下にN型不純物をドーピングすることでPMOSトランジスタのチャンネル領域に提供するN−ウェル104を形成する。
【0037】
前記第1及び第2領域の基板100上に金属酸化膜106を形成する。前記金属酸化膜106はシリコン酸化物に比べて高い誘電定数を有する高誘電物質を蒸着させ形成する。使用することができる金属酸化膜106の例としては、タンタル酸化膜、チタン酸化膜、ハフニウム酸化膜、ジルコニウム酸化膜、ハフニウムシリケート、ジルコニウムシリケート、窒化ハフニウムシリケート、窒化ジルコニウムシリケート、アルミニウム酸化膜、窒化アルミニウム酸化膜、ハフニウムアルミン酸塩、イットリウム酸化膜、ニオブ酸化膜、セシウム酸化膜、インジウム酸化膜、イリジウム酸化膜、ランタン酸化膜、BST膜、PZT膜、ストロンチウムチタン酸化膜、鉛チタン酸化膜、ストロンチウムルテニウム酸化膜、カルシウムルテニウム酸化膜 、鉛ジルコニウム酸化膜、ランタンジルコニウム酸化膜、及びランタンチタン酸化膜などを挙げることができる。これらは単独または互いに混合して使用することができる。本実施例においては、前記金属酸化膜106は、高誘電率を有しながらも半導体工程に適合したハフニウム酸化膜に形成される。
【0038】
図3に示すように、前記金属酸化膜106上にPMOSトランジスタのゲート電極として使用されるのに適合した固有の仕事関数を有する金属物質を蒸着させ第1金属膜108を形成する。具体的には、前記金属物質の固有の仕事関数は、4.7〜5.2eVであることが望ましい。前記第1金属膜108として使用可能な物質の例としては、チタン、タンタル、モリブデン、タングステン、ハフニウム、ジルコニウム、チタン窒化物、タンタル窒化物、モリブデン窒化物、タングステン窒化物、ハフニウム窒化物、ジルコニウム窒化物などを挙げることができる。これらは単独または互いに混合して使用することができる。本実施例においては前記第1金属膜108として固有の仕事関数が約4.9eV程度に高いチタンを使用する。前記第1金属膜108は化学気相蒸着工程、物理気相蒸着工程または原子層積層工程によって形成することができる。
【0039】
一般的に、前記第1金属膜108として使用される金属物質は異方性エッチング工程によって容易にエッチングされなく、配線として主に使用されるアルミニウムや銅に比べて比抵抗も相対的に高い。そのため、前記第1金属膜108はゲート電極で機能できるほどの薄い厚さに形成することが望ましい。具体的には、前記第1金属膜は30〜1000Åの厚さに形成する。望ましくは、30〜100Åの厚さに形成する。
【0040】
図4に示すように、前記第1金属膜108上にシリコン拡散防止膜(図示せず)を形成する。前記シリコン拡散防止膜は以後に形成されるシリコンを含む導電膜からシリコン元素が拡散されることを防止するために提供される。また、前記シリコン拡散防止膜は導電性を有する物質に形成されなければならない。従って、前記シリコン拡散防止膜は非晶質性を有する金属物質から形成することが望ましい。
【0041】
前記シリコン拡散防止膜として使用することができる金属物質の具体的な例としてはチタンシリコン窒化物、タンタルシリコン窒化物、タングステンシリコン窒化物、モリブデンシリコン窒化物、ハフニウムシリコン窒化物、ジルコニウムシリコン窒化物などを挙げることができる。これらは単独または互いに混合して使用することができる。前記シリコン拡散防止膜は化学気相蒸着工程、物理気相蒸着工程または原子層積層工程によって形成される。
【0042】
前記シリコン拡散防止膜上にスピンコーティングを通じてフォトレジスト膜(図示せず)を形成する。前記フォトレジスト膜を選択的に露光し現像することで前記第2領域に位置するシリコン拡散防止膜を選択的に露出するフォトレジストパターンを形成する。
【0043】
前記フォトレジストパターンをエッチングマスクとして使用して前記シリコン拡散防止膜をエッチングする。前記工程によって、前記第1領域の第1金属膜108上には予備シリコン拡散防止膜110が形成され、前記第2領域の第1金属膜108はその表面が外部に露出される。
【0044】
前記エッチング工程を実施するとき、前記第1金属膜108はエッチングされないので、前記第1金属膜108の下に位置する金属酸化膜106はエッチングダメージを殆ど受けなくなる。従って、従来、ゲート電極に提供されるための金属膜を部分的にエッチングする工程の際頻繁に発生していたゲート酸化膜の損傷問題が発生しない。さらに、前記予備シリコン拡散防止膜110をエッチングする条件下では前記第1金属膜108が殆どエッチングされないので前記第1金属膜108が消耗されることを最小化することができる。
【0045】
図5に示すように、前記予備シリコン拡散防止膜110及び前記第1金属膜108上にシリコンを含む導電膜を形成する。以下では、前記シリコンを含む導電膜としてポリシリコン膜113を使用することとして限定して説明する。前記ポリシリコン膜113は化学気相蒸着工程を通じて形成することができる。
【0046】
前記ポリシリコン膜113は前記第2領域に位置する第1金属膜108にシリコンを拡散させるために形成される。
【0047】
また、前記ポリシリコン膜113は前記第1金属膜108のパターニング及びコンタクト形成などを容易にする。即ち、前記第1金属膜108が30〜1000Åの厚さに薄く形成されるので、前記第1金属膜108をパターニングすることが難しく、前記第1金属膜108と直接接続するコンタクトを形成することが容易ではない。従って、前記第1金属膜108上に前記シリコンを含む導電膜を形成することでより安定して後続のパターニング及びコンタクト形成工程を実施することができる。
【0048】
前記ポリシリコン膜113を形成すると、前記ポリシリコン膜113のシリコン元素が第2領域に位置する第1金属膜108に拡散され前記第1金属膜108と反応する。前記のように、第2領域の第1金属膜108にシリコン元素が拡散されることによって、前記第2領域の第1金属膜108はシリコン元素を含む第2金属膜109に転換される。そのとき、前記第1予備領域には予備シリコン拡散防止膜パターン110が形成されているので前記シリコン元素が第1金属膜108に拡散されない。前記第2金属膜109はシリコン元素を含むことにより前記第1金属膜108とは異なる仕事関数を有する。具体的には、前記第2金属膜109は前記第1金属膜108より低い仕事関数を有する。
【0049】
前記のように、第2金属膜109が前記第1金属膜108より低い仕事関数を有することで、NMOSトランジスタのゲート電極に使用することができる。前記第2金属膜109の仕事関数が前記第1金属膜108と異なる理由から前記シリコン元素の拡散によって高誘電率を有する誘電膜でフェルミレベル現象が起こるためであると思われる。
【0050】
図6に示すように、前記ポリシリコン膜113上にゲート電極が形成される部位をマスキングするエッチングマスクパターン(図示せず)を形成する。前記エッチングマスクパターンはシリコン窒化物からなるハードマスクであることが望ましい。前記エッチングマスクパターンは前記第1領域及び第2領域それぞれに少なくとも一つ以上が形成されている。
【0051】
前記エッチングマスクパターンをエッチングマスクとして使用して前記ポリシリコン膜113、予備シリコン拡散防止膜110、第1金属膜108、第2金属膜109及び金属酸化膜106を順次にパターニングすることで前記第1領域には金属酸化膜パターン106a、第1金属パターン108a、シリコン拡散防止膜パターン110a及びポリシリコン膜パターン113aが積層された第1ゲート構造物120を形成し、前記第2領域には金属酸化膜パターン106a、シリコン元素が含まれた第2金属パターン109a及び前記ポリシリコン膜パターン113aが積層された第2ゲート構造物122を形成する。前記工程によって、第1領域にはP型トランジスタ用第1ゲート構造物120が完成され、前記第2領域にはN型トランジスタ用第2ゲート構造物122が完成される。
【0052】
本発明によると、N型及びP型トランジスタに採用されるそれぞれのゲート電極を同一の金属物質を使用して形成する。また、前記N型トランジスタ用ゲート電極を形成する際前記P型トランジスタ用ゲート電極として使用される金属膜をエッチングする工程を実施しなくてもよい。従って、前記金属膜をエッチングする中に下部に形成された金属酸化膜にアタックが加えられることを防止することができる。
【0053】
図7及び図8は図1に示されたデュアルゲート構造物を形成するための他の方法を説明するための断面図である。以下、説明するゲート構造物は最上部には金属シリサイド膜が形成される。従って、金属シリサイド膜を形成することを除いては前記第2乃至図6を参照して説明したデュアルゲート構造物形成方法と同一である。
【0054】
図2乃至図4を参照して説明したのと同一の工程を実施することで、図4に示されたように、金属酸化膜106、第1金属膜108及び予備シリコン拡散防止膜パターン110が形成された構造を形成する。
【0055】
図7に示すように、前記予備シリコン拡散防止膜パターン110及び第1金属膜108上にポリシリコン膜114を形成する。前記ポリシリコン膜114は化学気相蒸着工程を通じて形成することができる。
【0056】
次に、前記ポリシリコン膜114上にシリサイド化反応をするための第3金属膜116を形成する。使用可能な第3金属膜116の例としては、ニッケル、銅などを挙げることができる。
【0057】
図8に示すように、前記ポリシリコン膜114と前記第3金属膜116とが反応するように熱処理工程を実施することで、前記予備シリコン拡散防止膜パターン110及び第1金属膜108上に金属シリサイド膜118を形成する。
【0058】
前記工程を実施することで、シリコンを含む導電膜として金属シリサイド膜118を形成することができる。
【0059】
以後、前記金属シリサイド膜118、予備シリコン拡散防止膜パターン110、第1金属膜108、第2金属膜109及び金属酸化膜106を順次にパターニングすることで前記第1領域には金属酸化膜パターン106a、第1金属パターン108a、シリコン拡散防止膜パターン110a及び金属シリサイドパターン118aが積層された第1ゲート構造物120を形成し、前記第2領域には金属酸化膜パターン106a、シリコン元素が含まれた第2金属パターン109a及び金属シリサイドパターンが積層された第2ゲート構造物122を形成する。前記のように最上部に金属シリサイドパターンが具備されることでより低い抵抗を有するゲート構造物を形成することができる。

〈ゲート電極上に形成される導電性物質によるフラットバンド電圧評価〉
【0060】
チタン窒化物からなるゲート電極上に形成される導電性物質別にフラットバンド電圧を測定した。
【0061】
具体的には、第1サンプルはP型にドーピングされた基板上に25Åのハフニウム酸化膜、100Åのチタン窒化膜、1250Åのポリシリコン膜及びキャッピング膜として100Åのチタン窒化膜が積層されたゲート構造物を形成した。
【0062】
前記第1サンプルと比較するための第2サンプルはP型にドーピングされた基板上に25Åのハフニウム酸化膜、100Åのチタン窒化膜、1000Åのタングステン膜及びキャッピング膜として100Åのチタン窒化膜が積層されたゲート構造物を形成した。
【0063】
図9は図1及び図2サンプルからMOSキャパシタのC−V特性及びフラットバンド電圧を測定したグラフである。
【0064】
図9に示すように、前記チタン窒化膜上にタングステンが積層された第2サンプル202の場合にはチタン窒化膜の固有の仕事関数に該当するフラットバンド電圧である−0.22Vを示している。
【0065】
一方、チタン窒化膜上にポリシリコン膜が積層された第1サンプル200の場合には前記チタン窒化膜にシリコン元素が拡散されることによりN型トランジスタに適合した仕事関数に該当するフラットバンド電圧である−0.57Vを示している。
【0066】
前記実験を通じて、同一のチタン窒化膜をゲート電極として使用しても前記チタン窒化膜上に形成される導電膜を異なるようにすることで、互いに異なる仕事関数を有するそれぞれのゲート電極を形成することができることがわかる。従って、本発明の方法によって同一の金属物質からなりNMOS及びPMOSトランジスタのそれぞれに適合したデュアルゲート構造物を形成することがわかる。
【産業上の利用可能性】
【0067】
前述したように、本発明によると、N型及びP型トランジスタのそれぞれに形成されるためのデュアルゲート構造物でゲート電極として同一の金属物質を使用する。従って、前記デュアルゲート構造物を形成すること際に、ゲート電極として使用するための金属物質の一部分をエッチングする工程が実施されない。それにより、前記ゲート電極の下に位置する金属酸化物がエッチングによるアタックを受けなくなり高性能及び信頼性を有する半導体装置を形成することができる。
【0068】
以上、本発明の実施例によって詳細に説明したが、本発明はこれに限定されず、本発明が属する技術分野において通常の知識を有する者であれば、本発明の思想と精神を離れることなく、本発明を修正または変更できる。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】本発明の一実施例によるデュアルゲート構造物を示す断面図である。
【図2】図1に示されたデュアルゲート構造物の形成方法を示すための断面図である。
【図3】図1に示されたデュアルゲート構造物の形成方法を示すための断面図である。
【図4】図1に示されたデュアルゲート構造物の形成方法を示すための断面図である。
【図5】図1に示されたデュアルゲート構造物の形成方法を示すための断面図である。
【図6】図1に示されたデュアルゲート構造物の形成方法を示すための断面図である。
【図7】図1に示されたデュアルゲート構造物を形成するための他の方法を説明するための断面図である。
【図8】図1に示されたデュアルゲート構造物を形成するための他の方法を説明するための断面図である。
【図9】第1及び第2サンプルからMOSキャパシタのC−V特性及びフラットバンド電圧を測定したグラフである。
【符号の説明】
【0070】
100 基板
102 素子分離膜
106a 金属酸化膜パターン
108a 第1金属パターン
109a 第2金属パターン
110a シリコン拡散防止膜パターン
112a シリコンを含む導電膜パターン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1領域及び第2領域が区分される基板と、
前記第1領域の基板上に形成され、金属酸化膜と、第1仕事関数を有する金属物質からなる第1金属パターンと、シリコン拡散防止膜パターンと、シリコンを含む導電膜パターンとが積層された第1ゲート構造物と、
前記第2領域の基板上に形成され、金属酸化膜と、前記金属物質及びシリコン元素を含み前記第1仕事関数より低い第2仕事関数を有する第2金属パターンと、前記シリコンを含む導電膜パターンとが積層された第2ゲート構造物と、
を含むことを特徴とするデュアルゲート構造物。
【請求項2】
前記金属酸化膜は、タンタル酸化膜、チタン酸化膜、ハフニウム酸化膜、ジルコニウム酸化膜、ハフニウムシリケート、ジルコニウムシリケート、窒化ハフニウムシリケート、窒化ジルコニウムシリケート、アルミニウム酸化膜、窒化アルミニウム酸化膜、ハフニウムアルミン酸塩、イットリウム酸化膜、ニオブ酸化膜、セシウム酸化膜、インジウム酸化膜、イリジウム酸化膜、ランタン酸化膜、BST膜、PZT膜、ストロンチウムチタン酸化膜、鉛チタン酸化膜、ストロンチウムルテニウム酸化膜、カルシウムルテニウム酸化膜、鉛ジルコニウム酸化膜、ランタンジルコニウム酸化膜、及びランタンチタン酸化膜からなる群れのうちから選択された少なくとも一つであることを特徴とする請求項1記載のデュアルゲート構造物。
【請求項3】
前記第1仕事関数は、4.7〜5.2eVであることを特徴とする請求項1記載のゲート構造物。
【請求項4】
前記金属物質は、チタン、タンタル、モリブデン、タングステン、ハフニウム、ジルコニウム、チタン窒化物、タンタル窒化物、モリブデン窒化物、タングステン窒化物、ハフニウム窒化物、ジルコニウム窒化物からなる群のうちから選択された少なくとも一つを含むことを特徴とする請求項3記載のデュアルゲート構造物。
【請求項5】
前記シリコンを含む導電膜パターンは、不純物がドーピングされたポリシリコンからなることを特徴とする請求項1記載のデュアルゲート構造物。
【請求項6】
前記シリコンを含む導電膜パターンは、金属シリサイドからなることを特徴とする請求項1記載のデュアルゲート構造物。
【請求項7】
前記金属シリサイドは、ニッケルシリサイドまたはコバルトシリサイドであることを特徴とする請求項6記載のデュアルゲート構造物。
【請求項8】
前記シリコン拡散防止膜パターンは、非結晶性を有する金属を含むことを特徴とする請求項1記載のデュアルゲート構造物。
【請求項9】
前記シリコン拡散防止膜パターンは、チタンシリコン窒化物、タンタルシリコン窒化物、タングステンシリコン窒化物、モリブデンシリコン窒化物、ハフニウムシリコン窒化物、ジルコニウムシリコン窒化物からなる群のうちから選択された少なくとも一つを含むことを特徴とする請求項8記載のデュアルゲート構造物。
【請求項10】
第1領域及び第2領域が区分される基板を備える段階と、
前記第1領域及び第2領域の基板上に金属酸化膜及び第1仕事関数を有する金属物質からなる第1金属膜を形成する段階と、
前記第1領域の第1金属膜上に予備シリコン拡散防止膜パターンを形成する段階と、
前記予備シリコン拡散防止膜パターン及び前記第1金属膜上にシリコンを含む導電膜を形成する段階と、
前記導電膜に含まれたシリコンを前記第2領域の第1金属膜に拡散させ、前記第2領域の第1金属膜をシリコン元素が含まれ前記第1仕事関数より低い第2仕事関数を有する第2金属膜に転換する段階と、
前記シリコンを含む導電膜、予備シリコン拡散防止膜パターン、第1金属膜、第2金属膜をパターニングし、前記第1領域に金属酸化膜、第1金属パターン、シリコン拡散防止膜パターン及びシリコンを含む導電膜パターンが積層された第1ゲート構造物と、前記第2領域に金属酸化膜、第2金属パターン及び前記シリコンを含む導電膜パターンが積層された第2ゲート構造物とを形成する段階と、
を含むことを特徴とするデュアルゲート構造物形成方法。
【請求項11】
前記金属酸化膜は、タンタル酸化膜、チタン酸化膜、ハフニウム酸化膜、ジルコニウム酸化膜、ハフニウムシリケート、ジルコニウムシリケート、窒化ハフニウムシリケート、窒化ジルコニウムシリケート、アルミニウム酸化膜、窒化アルミニウム酸化膜、ハフニウムアルミン酸塩、イットリウム酸化膜、ニオブ酸化膜、セシウム酸化膜、インジウム酸化膜、イリジウム酸化膜、ランタン酸化膜、BST膜、PZT膜、ストロンチウムチタン酸化膜、鉛チタン酸化膜、ストロンチウムルテニウム酸化膜、カルシウムルテニウム酸化膜、鉛ジルコニウム酸化膜、ランタンジルコニウム酸化膜、及びランタンチタン酸化膜からなる群のうちから選択された少なくとも一つであることを特徴とする請求項10記載のデュアルゲート構造物形成方法。
【請求項12】
前記第1仕事関数は、4.7〜5.2eVであることを特徴とする請求項10記載のデュアルゲート構造物形成方法。
【請求項13】
前記第1金属膜は、チタン、タンタル、モリブデン、タングステン、ハフニウム、ジルコニウム、チタン窒化物、タンタル窒化物、モリブデン窒化物、タングステン窒化物、ハフニウム窒化物、ジルコニウム窒化物からなる群れのうちから選択された少なくとも一つの物質を蒸着させ形成することを特徴とする請求項12記載のデュアルゲート構造物形成方法。
【請求項14】
前記シリコンを含む導電膜パターンは、不純物がドーピングされたポリシリコンを蒸着させ形成することを特徴とする請求項10記載のデュアルゲート構造物形成方法。
【請求項15】
前記シリコンを含む導電膜は、金属シリサイドから形成されることを特徴とする請求項10記載のデュアルゲート構造物形成方法。
【請求項16】
前記シリコン拡散防止膜パターンは、非結晶性を有する金属物質を使用して形成することを特徴とする請求項10記載のデュアルゲート構造物形成方法。
【請求項17】
前記シリコン拡散防止膜パターンは、チタンシリコン窒化物、タンタルシリコン窒化物、タングステンシリコン窒化物、モリブデンシリコン窒化物、ハフニウムシリコン窒化物、ジルコニウムシリコン窒化物からなる群のうちから選択された少なくとも一つの物質を蒸着させ形成することを特徴とする請求項16記載のデュアルゲート構造物形成方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−150285(P2007−150285A)
【公開日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−296403(P2006−296403)
【出願日】平成18年10月31日(2006.10.31)
【出願人】(390019839)三星電子株式会社 (8,520)
【氏名又は名称原語表記】Samsung Electronics Co.,Ltd.
【Fターム(参考)】