説明

半導体装置の作製方法

【課題】 レジスト材料の利用効率を向上させて、作製コストの削減を目的としたレジス
トパターンの作製方法、レジストパターンの除去方法、半導体装置の作製方法を提供する
ことを課題とする。
【解決手段】 本発明は、減圧下で、被加工物上に、感光剤を含む組成物を吐出してレジ
ストパターンを形成するステップを有することを特徴とする。また、前記レジストパター
ンをマスクとして前記被加工物をエッチングするステップ、若しくは、前記レジストパタ
ーンに、フォトマスクを介して前記感光剤の感光波長域の光を照射するステップ、前記レ
ジストパターンをマスクとして前記被加工物をエッチングするステップ、前記被加工物上
の前記レジストパターンを除去するステップを有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レジストパターンの作製方法に関し、より詳しくはインクジェット方式によ
るレジストパターンの作製方法及びその除去方法、並びに半導体装置の作製方法に関する

【0002】
また、組成物を吐出する方式を用いたレジストパターンの作製方法及びその除去方法、
並びに半導体装置の作製方法に関する。
【背景技術】
【0003】
絶縁表面上の薄膜を用いて形成された薄膜トランジスタ(TFT)は集積回路等に広く
応用され、多くの場合スイッチング素子として用いられる。TFTを使用した表示パネル
は、携帯端末や大型の表示装置に用途が大きく拡大していることから、更に、画面の高精
細化、高開口率化、高信頼性、大型化の要求が高まっている。
【0004】
このような薄膜トランジスタの作製には、基板上に感光性樹脂(フォトレジスト)の被
膜を形成し、パターンが描かれたマスクと紫外線を用いて露光現像するリソグラフイ技術
が用いられる。この技術により形成したレジストパターンはドライエッチング処理やウェ
ットエッチング処理の際にマスクとして用いられる(特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−359246号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
レジストの被膜は、レジストの液を滴下し、基板を回転(スピン)させてその遠心力で
被膜を作製するスピンコータを用いて形成される場合が多い。この場合、スピン塗布のと
きに滴下したレジストの95%程度は飛び散ってしまう。そこで、レジストの材料、スピ
ンコータの回転速度、回転の仕方に工夫が試みられているが、それでもレジストの90%
程度は無駄になってしまう。このような問題は、大型基板上に形成する場合に深刻な問題
となる。
【0007】
また、スピン塗布を行うと、基板周辺の端部にまでレジストが塗布される。そうすると
基板のハンドリング時に端部のレジストが削れて、基板に付着しパターン欠陥となってし
まう。そのため、有機溶剤などにより端部のレジストを除去する端面洗浄の工程が必要と
なる。つまり、スピン塗布によりレジストの被膜を形成する場合、無駄となってしまうレ
ジスト材料が存在し、さらに、必要に応じて端面洗浄の工程が増えてしまう。
【0008】
本発明はこのような問題点を鑑みてなされたものであり、レジスト材料の利用効率を向
上させて、作製コストの削減を目的としたレジストパターンの作製方法、レジストパター
ンの除去方法、半導体装置の作製方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した従来技術の課題を解決するために、本発明においては以下の手段を講じる。
【0010】
本発明は、被加工物上に感光剤を含む組成物をインクヘッドから吐出してレジストパタ
ーンを作製することを特徴とする。また本発明は、被加工物上に感光剤を含む組成物をイ
ンクヘッドから吐出してレジストパターンを作製し、前記レジストパターンを大気圧下で
アッシング処理を行うことを特徴とする。さらに本発明は、被加工物上に感光剤を含む組
成物をインクヘッドから吐出してレジストパターンを形成し、フォトマスクを用いて前記
感光剤の感光波長域の光を照射した前記レジストパターンを現像液で現像処理した後、前
記レジストパターンをマスクとして前記被加工物をエッチングし、前記被加工物上の前記
レジストパターンを除去することを特徴とする。
【0011】
さらに本発明は、減圧下で処理を行うことを特徴とする。減圧下とは、大気圧よりも低
い圧力下であることを指し、窒素、希ガスその他の不活性ガスで充填された雰囲気では1
×102〜2×104Pa(好ましくは、5×102〜5×103Pa)とすれば良いし、さ
らなる減圧下では、1〜5×104Pa(好ましくは、1×102〜1×103Pa)とす
れば良い。減圧下にしておくことで、液滴は基板上の薄膜に到達するまでの間、常に液滴
から溶媒が揮発し、その体積は減少していく。そのため、後に行う加熱工程をより短時間
で済ませることが可能である。
【0012】
インクジェット方式は、吐出口と被処理物との相対的な距離を保ちつつ、吐出口と被処
理物の一方を移動させ、なおかつ吐出口から組成物を吐出して、被処理物上に組成物から
なる薄膜を形成する方式である。従って、ここでいうインクジェット方式には、ディスペ
ンサー方式等の他の方式も含まれる。
【0013】
インクジェット方式を用いる本発明は、印刷ロールや印刷すべきパターンが彫り込まれ
た凸版を用いて、溶液を塗布後、焼成して薄膜(代表的には発光層)を作成するスクリー
ン印刷法と比較すると、膜厚の均一性が優れている等の優位点を有する。
【0014】
上記構成を有する本発明は、1辺が1メートルを超える大型基板に対しても簡単にレジ
ストパターンを形成することができる。また、スピン塗布工程を必要としない本発明は、
無駄な材料が僅かとなることから材料の利用効率の向上、さらには、作製費用の削減を実
現することができる。
【発明の効果】
【0015】
上記構成を有する本発明は、1辺が1メートルを超える大型基板に対しても簡単にレジ
ストパターンを形成することができる。また、スピン塗布工程を必要としない本発明は、
無駄な材料が僅かとなることから材料の利用効率の向上、さらには、作製費用の削減を実
現することができる。
【0016】
また、減圧下でレジストパターンを形成する本発明は、レジストパターンに混入するご
みの発生を抑制したり、被処理物の表面が酸化してしまうといった表面の改質を防止した
りすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の作製方法を説明する断面図(実施の形態1)。
【図2】本発明の作製方法を説明する斜視図(実施の形態1)。
【図3】本発明の作製方法を説明する断面図(実施の形態1)。
【図4】インクジェット用装置を説明する図(実施例1)。
【図5】マルチチャンバーを示す図(実施例1)。
【図6】レジスト剥離装置を説明する図(実施例1)。
【図7】薄膜トランジスタの断面図と上面図及び一画素の回路図(実施例3)。
【図8】プラズマ処理装置の上面図と断面図(実施例2)。
【図9】表示パネルを示す図(実施例4)。
【図10】電子機器を示す図(実施例5)。
【図11】薄膜トランジスタの断面図(実施例3)。
【図12】本発明の作製方法を説明する断面図(実施の形態2)。
【図13】本発明の作製方法を説明する断面図(実施の形態2)。
【図14】本発明の作製方法を説明する断面図(実施の形態2)。
【図15】表示パネルを示す図(実施の形態2)。
【図16】表示パネルの断面図(実施の形態2)。
【発明を実施するための形態】
【0018】
(実施の形態1)
本発明の実施の形態について図面を用いて詳細に説明する。但し、本発明は以下の説明
に限定されず、本発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々
に変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。従って、本発明は以下に示す実施
の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。尚、以下に説明する本発明の構成
において、同じものを指す符号は異なる図面間で共通して用いる。
【0019】
本発明に係る実施の形態の一態様について図1〜3を参照して説明する。本発明は、ガ
ラス、石英、半導体、プラスチック、プラスチックフィルム、金属、ガラスエポキシ樹脂
、セラミックなどの各種素材を基板101とする。本発明は、基板101上に形成される
配線パターンやコンタクトホールをはじめ、任意のパターンの形成を目的とした、フォト
レジストによるマスクパターンを用いる全ての工程に適用することができる。
【0020】
本発明は、インクジェット方式、つまり組成物を吐出することにより、減圧下でレジス
トを形成することを大きな特徴としており、本発明のレジストパターンの作製方法を用い
た導電層の作製工程について、図1、2に従って説明する。まず、図1(A)に示すよう
に、ガラス基板101上に絶縁膜からなる下地膜70を形成し、その後、基板101を覆
うようにプラズマCVD法やスパッタリング法を用いて、導電性材料を含む材料により導
電膜73を形成する。
【0021】
そして、導電膜73上に、減圧下でインクジェット方式、つまり組成物を吐出すること
により、紫外線に反応するフォトレジスト(感光性樹脂)を塗布し、レジスト74、75
、76を形成する。このように、インクジェット方式でレジストを形成する本発明は、ス
ピン塗布工程が不要であるため、レジスト材料の利用効率が大幅に向上する。また、スピ
ン塗布を用いると、基板周辺の端部にレジストが作製されてしまうが、本発明では、所望
の箇所のみにレジストを成膜すればよいため、スピン塗布工程を行う場合に必要な端面洗
浄の工程を削減することができる。
【0022】
また本工程における斜視図を図2に示す。図2において、101は基板、102は水平
走査駆動回路、103は垂直走査駆動回路、104はインクヘッド、71はレジストマス
ク、72は導電膜である。インクヘッド104は、1個又は複数個用いて、上下左右に基
板101の表面に対して平行に走査することで、溶液塗布が行われる。本構成により、所
望の箇所のみにレジストを塗布することができる。
【0023】
図2には、3つのノズルを有するインクヘッドを示したが、1個のみのノズルを並列に
配置したインクヘッドを用いてもよい。また、ノズル径の異なるインクヘッドを複数用意
し、用途に応じて、ノズル径の異なるインクヘッドを使い分けてもよい。なお、通常のイ
ンクヘッドのノズル径は50〜100μm(より広くは0.01〜100μm)であり、
このノズル径にも依存するが、スループットを考慮して、一度の走査で形成できるように
するために、一行又は一列(基板の一辺)と同じ長さになるように、複数のノズルを並列
に配置してもよい。但し、任意の個数のノズルを配置して、複数回走査しても構わないし
、また同じ箇所を複数回走査することで重ね塗りをしてもよい。さらに、インクヘッド1
04を走査することが好ましいが、基板101を移動させても構わない。なお基板101
とインクヘッド104との距離は、所望の箇所に滴下するために、できるだけ近づけてお
くことが好ましく、具体的には、0.1〜2ミリ程度が好ましい。
【0024】
また、図3(C)(D)にはインクヘッド104の断面図を示し、インクヘッド104
からの組成物の2つの吐出方法を示す。図3(C)には、インクヘッド104からの組成
物の吐出が停止することなく、連続的に吐出させて形成する方法を示し、図3(D)には
、インクヘッド104からの組成物を滴下して形成する方法、つまり選択的に吐出させて
形成する方法を示す。なお図3(C)(D)において、61は組成物、62はインクヘッ
ドである。本発明では、どちらの吐出方法を用いてもよい。
【0025】
インクヘッドから吐出する組成物には、感光剤を含む組成物を用いればよく、例えば、
代表的なポジ型レジストである、ノボラック樹脂と感光剤であるナフトキノンジアジド化
合物、ネガ型レジストであるベース樹脂、ジフェニルシランジオール及び酸発生剤などを
、溶媒に溶解又は分散させたものを用いる。溶媒としては、酢酸ブチル、酢酸エチル等の
エステル類、イソプロピルアルコール、エチルアルコール等のアルコール類、メチルエチ
ルケトン、アセトン等の有機溶剤などを用いる。溶媒の濃度は、レジストの種類などに応
じて適宜設定するとよい。
【0026】
また、吐出した組成物をそのままマスクとして用いる場合、吐出口から吐出する組成物
は、絶縁体を溶媒に溶解又は分散させたものを用いる。絶縁体には、エポキシ樹脂、アク
リル樹脂、フェノール樹脂、ノボラック樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂等の樹脂材料
を用いる。なおこれらの樹脂材料を用いる場合、その粘度は、溶媒を用いて溶解又は分散
することで調整する。また、絶縁体には、シロキサン系ポリマー等の重合によってできた
化合物材料、水溶性ホモポリマーと水溶性共重合体を含む組成物等を用いる。シロキサン
系ポリマーは、珪素と酸素との結合で骨格構造が構成され置換基に少なくとも水素を含む
材料、又は、置換基にフッ素、アルキル基、または芳香族炭化水素のうち少なくとも1種
を有する材料の代表例として挙げたものであり、上記条件の範疇にある様々な材料を用い
ることができる。このシロキサン系ポリマーは、平坦性に優れており、また透明性や耐熱
性をも有し、シロキサン系ポリマーからなる絶縁体を形成後に300度〜600度程度以
下の温度で加熱処理を行うことができる。
【0027】
インクヘッド104から1回に吐出する組成物の量は10〜70pl(より広くは0.
001〜100pl)、粘度は100cp以下、粒径0.1μm以下(より広くは1μm
以下)が好ましく、その膜厚は0.5〜5μm程度が好ましい。これは、乾燥が起こるこ
とを防ぎ、また粘度が高すぎると、吐出口から組成物を円滑に吐出できなくなったりする
ためである。用いる溶媒や、用途に合わせて組成物の粘度、表面張力、乾燥速度などは適
宜調節する。またインクヘッド104から吐出される組成物は、基板上で連続して滴下し
て線状に形成することが好ましい。しかし、例えば1ドット毎などの所定の箇所毎に滴下
してもよい。また、インクヘッド104のノズル径にもよるが、組成物を吐出するインク
ヘッド104の個数を制御することで、レジストパターンの幅を制御することもできる。
【0028】
レジストの成膜が終了したら、レジストの硬化を目的として、100℃程度で焼成する
プリベーク処理を行う。この加熱処理は、加熱源にハロゲンなどのランプを用いて、直接
基板を高速加熱するランプアニール装置や、レーザー光を照射するレーザー照射装置を用
いる。両者とも加熱源を走査することで、所望の箇所のみに加熱処理を施すことができる
。その他の方法として、所定の温度に設定されたファーネスアニール炉を用いてもよい。
但し、レーザー光を用いる場合、レーザー発振装置から発振されるレーザー光の基板にお
けるビームスポットの形状は、列又は行の長さと同じ長さになるように線状に成形するこ
とが好ましい。そうすると、一度の走査でレーザー照射を終了させることができる。
【0029】
次に、露光処理を行う(図1(B))。露光処理とは、予め目的のパターンが書き込ま
れたマスク77をレジスト74、75、76の上に重ねて、その上から紫外線を照射する
処理をよぶ。本処理は、基板全面を数カ所ずつ分けて、紫外線ランプなどの光源を用いて
、感光剤の感光波長域の光を照射する。
【0030】
続いて、露光で紫外線が照射された部分のレジストを現像液に浸して取り去る現像処理
を行って、露光で焼き付けたパターンを実際のレジストパターン78〜80にする(図1
(C))。そして、再び120℃程度で焼成するポストベーク処理を行う。
【0031】
次に、レジストパターン78〜80で覆われていない部分の膜にエッチング処理を行っ
て除去する(図1(D))。このエッチング処理は、硫酸、硝酸、リン酸、フッ酸などの
薬液で腐食を行うウェットエッチング、又は、代表的にはRIE(reactive・ion・etchi
ng、反応性イオンエッチング)を用いるドライエッチングのどちらを用いてもよく、その
目的や用途に応じて適宜選択するとよい。またエッチングガスは、被加工物に応じて適宜
選択すればよく、CF4、NF3、SF6などのフッ素系、Cl2、BCl3などの塩素系の
エッチングガスを用いて行う。本実施の形態では、エッチング処理の際、酸素を混合した
ガスを用いると、有機物であるレジストもエッチングされることを利用して、導電層は、
テーパー形状にエッチングする。
【0032】
最後に、レジスト剥離液を用いて、マスクとして機能したレジストパターン84〜86
の除去を行って、導電層81〜83を形成する(図1(E))。レジストの除去には、プ
ラズマ化したガスとレジストを反応させ、レジストを気化させて取り除くプラズマアッシ
ャ、O3(オゾン)を分解して反応性ガスの酸素ラジカルに変えて、この酸素ラジカルと
レジストを反応させて、レジストを気化させるオゾンアッシャ、レジストを溶かすのに最
適な薬液の槽を搭載したウェットステーションのいずれかを用いればよい。
【0033】
なおプラズマアッシャでは、一般には酸素ガスが用いられ、レジストが炭素、酸素、水
素からできた固体の物質であることから、酸素プラズマと化学反応するとCO2、H2O、
2のような気体となる現象を利用している。この原理はオゾンアッシャにも同様である
。なお、プラズマアッシャ、オゾンアッシャを用いた場合には、実際のレジストが含有す
る重金属などの不純物は除去されないので、ウェットステーションで洗浄することが好ま
しい。
【0034】
なお図3(A)に示すように、導電層730、740の形成にインクジェット方式を用
いて、その後、図3(B)に示すようにレジストパターンの形成を行っても構わない。そ
うすると、インクヘッドに充填する組成物の材料の交換、又は組成物が充填されたインク
ヘッドの交換を行うだけで、導電層とレジストの形成を連続的に行うことができる。また
、導電層730、740は、導電性を有するゲート電極、ソース配線、ドレイン配線や、
画素電極、対向電極などに成りうる。本発明は、このような導電層をインクジェット方式
で作製し、次いで、所望のパターンとする際に用いるレジストの作製を連続的に行うこと
ができる。
【0035】
以上のようにして、ガラス基板101上に導電層81〜83のパターンを形成すること
ができる。尚、本実施の形態では、ガラス基板101上に導電性材料からなるパターンを
形成する一態様を例示するが、本発明はこれに限定されず、半導体集積回路の配線形成工
程やコンタクトホール形成工程、液晶パネルやELパネルを作るTFT基板のシリコンア
イランド形成工程、配線形成工程、コンタクトホール形成工程など様々な分野に適用する
ことができる。すなわち、本発明はここで例示した金属膜に限定されず、酸化シリコンや
アクリル樹脂などの絶縁膜、多結晶シリコンや非晶質シリコンなどの半導体膜上に本発明
のレジストパターンの作製方法を適用することができる。つまり、本発明のレジストパタ
ーンの作製方法を用いて、薄膜技術を用いて形成される半導体装置を形成することができ
る。
【0036】
(実施の形態2)
本実施の形態では、本発明を用いて非晶質半導体(アモルファスシリコン)により構成
されるトランジスタを用いて形成する液晶表示パネルについて図面を用いて説明する。本
実施の形態では、本発明のレジストパターンの作製方法をゲート電極の形成に適用する。
【0037】
ガラス、石英、半導体、プラスチック、プラスチックフィルム、金属、ガラスエポキシ
樹脂、セラミックなどの各種素材を基板101とし、基板101を覆うようにプラズマC
VD法やスパッタリング法を用いて、導電性材料を含む材料により導電膜550を形成す
る(図12(A))。
【0038】
そして、導電膜550上に、減圧下でインクジェット方式により、紫外線に反応するフ
ォトレジスト(感光性樹脂)を塗布し、レジスト551、552を形成する(図12(B
))。このように、インクジェット方式でレジストを形成する本発明は、スピン塗布工程
が不要であるため、レジスト材料の利用効率が大幅に向上する。また、スピン塗布を用い
ると、基板周辺の端部にレジストが作製されてしまうが、本発明では、所望の箇所のみに
レジストを成膜すればよいため、スピン塗布工程を行う場合に必要な端面洗浄の工程を削
減することができる。
【0039】
レジスト551、552の成膜が終了したら、レジストの硬化を目的として、100℃
程度で焼成するプリベーク処理を行う。次に、露光処理を行う(図12(C))。露光処
理では、予め目的のパターンが書き込まれたマスク(図示せず)をレジスト551、55
2の上に重ねて、その上から紫外線を照射する処理をよぶ。本処理は、基板全面を数カ所
ずつ分けて、紫外線ランプなどの光源を用いて、感光剤の感光波長域の光を照射する。
【0040】
続いて、露光処理により紫外線が照射された部分のレジストを現像液に浸して取り去る
現像処理を行う。本処理により、露光で焼き付けたパターンを実際のレジストパターン5
53、554にする(図12(D))。そして、再び120℃程度で焼成するポストベー
ク処理を行う。
【0041】
次に、レジストパターン553、554で覆われていない部分の膜にエッチング処理を
行って除去する(図12(E))。このエッチング処理は、ウェットエッチング、ドライ
エッチングのどちらを用いてもよく、その目的や用途に応じて適宜選択するとよい。本実
施の形態では、エッチング処理の際、酸素を混合したガスを用いると、有機物であるレジ
ストもエッチングされることを利用して、テーパー形状になるように導電層557、55
8をエッチングする。
【0042】
最後に、マスクとして機能したレジストパターン555、556をレジスト剥離液によ
り、レジストの除去を行う(図12(F))。レジストの除去には、プラズマアッシャ、
オゾンアッシャ、ウェットステーションのいずれかを用いればよい。
【0043】
続いて、CVD法などの公知の方法により、ゲート絶縁膜570を形成する。本実施の
形態では、ゲート絶縁膜570として、大気圧下でCVD法により窒化珪素膜を形成する
(図13(A))。続いて、公知の方法(スパッタリング法、LPCVD法、プラズマC
VD法等)により25〜80nm(好ましくは30〜60nm)の厚さで半導体膜559
を成膜する。なおこの半導体膜559としては、非晶質半導体膜、非晶質珪素ゲルマニウ
ム膜などの非晶質構造を有する化合物半導体膜などを用いる。次いで、半導体膜559上
に窒化珪素膜などのチャネル保護膜580を形成する。次に、チャネル保護膜580上に
、減圧下でインクジェット方式により、レジスト560を形成する。
【0044】
そして、上述したように、電極557を用いた裏面露光処理、レジストの露光された部
分を薬液で溶かす現像処理、エッチング処理、最後にレジスト剥離処理を経て、チャネル
保護層564を形成する(図13(B))。
【0045】
続いて、N型(一導電型)を付与する不純物元素が添加された半導体膜562を成膜す
る。そして、この半導体膜562上に、減圧下でインクジェット方式により、レジスト5
63を形成する(図13(C))。次いで、上述したように、露光処理、現像処理、エッ
チング処理及びレジスト剥離処理を経て、N+半導体層565を形成する(図13(D)
)。
【0046】
次に、減圧下でインクジェット方式により、導電膜567を形成する(図14(A))
。この導電膜567は、インクヘッド104に充填する組成物の交換、又は組成物が充填
されたインクヘッドの交換を行って、インクジェット方式により形成する。インクヘッド
104から吐出する組成物は、タンタル(Ta)、タングステン(W)、チタン(Ti)
、モリブデン(Mo)、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、クロム(Cr)、ニオブ(
Nd)から選択された元素、または前記元素を主成分とする合金材料若しくは化合物材料
などから適宜選択された導電性の材料を溶媒に溶解又は分散させたものを用いる。但し、
パネル内の光の進行方向によっては、導電膜567は透明材料で作製する必要があるため
、適宜材料を選択する。なお、導電膜567は、インクジェット方式ではなく、スパッタ
リング法などの公知の方法を用いて基板101の全面に成膜して、その後、所望の形状に
パターン加工してもよい。但し、導電膜567をインクジェット方式により形成すると、
所望の箇所のみに成膜すればよいため、無駄な材料を削減し、材料の利用効率の向上につ
ながる。
【0047】
そして、導電膜567を形成後、本発明のレジストパターンの作製方法を用いて、減圧
下でインクジェット方式によりレジスト571を形成する(図14(B))。そして、上
述したように、パターンが形成されたフォトマスクを用いた露光処理、レジストの露光さ
れた部分を薬液で溶かす現像処理、エッチング処理、最後にレジスト剥離処理を経て、所
望の形状にパターン加工された導電層572を形成する(図14(C))。
【0048】
続いて、上記の導電膜572の形成と同様に、減圧下でインクジェット方式によりソー
ス及びドレイン配線である導電膜568、569を形成する(図14(D))。インクジ
ェット方式で作製する場合には、インクヘッドのノズル径にもよるが、露光工程などを必
要とせずに、所望の形状に形成できる場合がある。その場合には、露光工程などの工程を
省略してもよく、本実施の形態では、該工程を省略する。
【0049】
そして、ソース及びドレイン配線である導電膜568、569をマスクとして、選択的
にエッチング処理を行って、N+半導体層566a、566bを形成する(図14(E)
)。そして、窒化珪素などからなる保護膜513を作製したら、共通電極515、カラー
フィルタ516、ブラックマトリックス517などが形成された対向基板518と貼り合
わせて、液晶522を注入する。
【0050】
なお、図15(B)には、TFTなどを有する画素部531が形成されたアレイ基板5
30と、コモン電極533が形成されたカラーフィルタ基板532を示し、図15(C)
に示すようにこの2枚の周囲をシール材534で5〜6μmの間隔で接着して貼り合わせ
る。2枚の基板の間隔を正確に保つため、シール材にはシール材スペーサが設けられ、2
枚の基板間には、面内スペーサが配置され、その間隔には液晶が満たされている。
【0051】
また図15(A)には、液晶表示パネルの上面図を示す。501は回路を制御するコン
トローラ、502はソースドライバ、503はゲートドライバ、504は表示部である。
このように、非晶質半導体で形成する場合には、モノリシック化せず、表示部以外の回路
は、IC(集積回路)などを実装する。
【0052】
続いて、図16を用いて、アクティブマトリクス型の液晶表示装置の作製工程を以下に
示す。
【0053】
最初に、透光性を有する基板600を用いてアクティブマトリクス基板を作製する。基
板サイズとしては、600mm×720mm、680mm×880mm、1000mm×
1200mm、1100mm×1250mm、1150mm×1300mm、1500m
m×1800mm、1800mm×2000mm、2000mm×2100mm、220
0mm×2600mm、または2600mm×3100mmのような大面積基板を用い、
製造コストを削減することが好ましい。用いることのできる基板として、コーニング社の
#7059ガラスや#1737ガラスなどに代表されるバリウムホウケイ酸ガラスやアル
ミノホウケイ酸ガラスなどのガラス基板を用いることができる。更に他の基板として、石
英基板、プラスチック基板などの透光性基板を用いることもできる。
【0054】
まず、スパッタ法を用いて絶縁表面を有する基板600上に導電層を基板全面に形成し
た後、第1のフォトリソグラフィー工程を行い、レジストマスクを形成し、エッチングに
より不要な部分を除去して配線及び電極(ゲート電極、保持容量配線、及び端子など)を
形成する。なお、必要があれば、基板600上に下地絶縁膜を形成する。以下、フォトリ
ソグラフィー工程には、本発明を適用する。レジストマスクの形成にインクジェット方式
を用いる本発明は、スピン塗布を行う必要がないため、レジスト材料の利用効率が大幅に
向上し、作製費用の低減につながる。
【0055】
上記の配線及び電極の材料としては、Ti、Ta、W、Mo、Cr、Ndから選ばれた
元素、前記元素を成分とする合金、または前記元素を成分とする窒化物で形成する。さら
に、Ti、Ta、W、Mo、Cr、Ndから選ばれた元素、前記元素を成分とする合金、
または前記元素を成分とする窒化物から複数選択し、それを積層することもできる。
【0056】
また、画面サイズが大画面化するとそれぞれの配線の長さが増加して、配線抵抗が高く
なる問題が発生し、消費電力の増大を引き起こす。よって、配線抵抗を下げ、低消費電力
を実現するために、上記の配線及び電極の材料としては、Cu、Al、Ag、Au、Cr
、Fe、Ni、Ptまたはこれらの合金を用いることもできる。
【0057】
次に、PCVD法によりゲート絶縁膜を全面に成膜する。ゲート絶縁膜は窒化シリコン
膜と酸化シリコン膜の積層を用い、膜厚を50〜200nmとし、好ましくは150nm
の厚さで形成する。尚、ゲート絶縁膜は積層に限定されるものではなく酸化シリコン膜、
窒化シリコン膜、酸化窒化シリコン膜、酸化タンタル膜などの絶縁膜を用いることもでき
る。
【0058】
次に、ゲート絶縁膜上に、50〜200nm、好ましくは100〜150nmの膜厚で
第1の非晶質半導体膜を、プラズマCVD法やスパッタ法などの公知の方法で全面に成膜
する。代表的には非晶質シリコン(a−Si)膜を100nmの膜厚で成膜する。なお、
大面積基板に成膜する際、チャンバーも大型化するためチャンバー内を真空にすると処理
時間がかかり、成膜ガスも大量に必要となるため、大気圧で線状のプラズマCVD装置を
用いて非晶質シリコン(a−Si)膜の成膜を行ってもよい。
【0059】
次に、一導電型(n型またはp型)の不純物元素を含有する第2の非晶質半導体膜を2
0〜80nmの厚さで成膜する。一導電型(n型またはp型)を付与する不純物元素を含
む第2の非晶質半導体膜は、プラズマCVD法やスパッタ法などの公知の方法で全面に成
膜する。本実施の形態ではリンが添加されたシリコンターゲットを用いてn型の不純物元
素を含有する第2の非晶質半導体膜を成膜する。
【0060】
次に、第2のフォトリソグラフィー工程によりレジストマスクを形成し、エッチングに
より不要な部分を除去して島状の第1の非晶質半導体膜、および島状の第2の非晶質半導
体膜を形成する。この際のエッチング方法としてウェットエッチングまたはドライエッチ
ングを用いる。
【0061】
次に、島状の第2の非晶質半導体膜を覆う導電層をスパッタ法で形成した後、第3のフ
ォトリソグラフィー工程を行い、レジストマスクを形成し、エッチングにより不要な部分
を除去して配線及び電極(ソース配線、ドレイン電極、保持容量電極など)を形成する。
上記の配線及び電極の材料としては、Al、Ti、Ta、W、Mo、Cr、Nd、Cu、
Ag、Au、Cr、Fe、Ni、Ptから選ばれた元素、または前記元素を成分とする合
金で形成する。
【0062】
次に、第4のフォトリソグラフィー工程によりレジストマスクを形成し、エッチングに
より不要な部分を除去してソース配線、ドレイン電極、容量電極を形成する。この際のエ
ッチング方法としてウェットエッチングまたはドライエッチングを用いる。この段階でゲ
ート絶縁膜と同一材料からなる絶縁膜を誘電体とする保持容量が形成される。そして、ソ
ース配線、ドレイン電極をマスクとして自己整合的に第2の非晶質半導体膜の一部を除去
し、さらに第1の非晶質半導体膜の一部を薄膜化する。薄膜化された領域はTFTのチャ
ネル形成領域となる。
【0063】
次に、プラズマCVD法により150nm厚の窒化シリコン膜からなる保護膜と、15
0nm厚の酸化窒化シリコン膜から成る第1の層間絶縁膜を全面に成膜する。なお、大面
積基板に成膜する際、チャンバーも大型化するためチャンバー内を真空にすると処理時間
がかかり、成膜ガスも大量に必要となるため、大気圧で線状のプラズマCVD装置を用い
て窒化シリコン膜からなる保護膜の成膜を行ってもよい。この後、水素化を行い、チャネ
ルエッチ型のTFTが作製される。
【0064】
なお、本実施の形態ではTFT構造としてチャネルエッチ型とした例を示したが、TF
T構造は特に限定されず、チャネルストッパー型のTFT、トップゲート型のTFT、或
いは順スタガ型のTFTとしてもよい。
【0065】
次に、第5のフォトリソグラフィー工程を行い、レジストマスクを形成して、その後ド
ライエッチング工程により、ドレイン電極や保持容量電極に達するコンタクトホールを形
成する。また、同時にゲート配線と端子部を電気的に接続するためのコンタクトホール(
図示しない)を端子部分に形成し、ゲート配線と端子部を電気的に接続する金属配線(図
示しない)を形成してもよい。また、同時にソース配線に達するコンタクトホール(図示
しない)を形成し、ソース配線から引き出すための金属配線を形成してもよい。これらの
金属配線を形成した後にITO等の画素電極を形成してもよいし、ITO等の画素電極を
形成した後にこれらの金属配線を形成してもよい。
【0066】
次に、ITO(酸化インジウム酸化スズ合金)、酸化インジウム酸化亜鉛合金(In2
3―ZnO)、酸化亜鉛(ZnO)等の透明電極膜を110nmの厚さで成膜する。そ
の後、第6のフォトリソグラフィー工程とエッチング工程を行うことにより、画素電極6
01を形成する。
【0067】
以上、画素部においては、6回のフォトリソグラフィー工程により、ソース配線と、逆
スタガ型のTFT及び保持容量と、端子部で構成されたアクティブマトリクス基板を作製
することができる。
【0068】
次いで、アクティブマトリクス基板上に配向膜623を形成しラビング処理を行う。な
お、本実施の形態では配向膜623を形成する前に、アクリル樹脂膜等の有機樹脂膜をパ
ターニングすることによって基板間隔を保持するための柱状のスペーサ602を所望の位
置に形成する。また、柱状のスペーサに代えて、球状のスペーサを基板全面に散布しても
よい。
【0069】
次いで、対向基板625を用意する。この対向基板625には、各画素に対応して、着
色層及び遮光層が配置されたカラーフィルタ620が設けられている。また、このカラー
フィルタ620とを覆う平坦化膜626を設けている。次いで、平坦化膜626上に透明
導電膜からなる対向電極621を画素部と重なる位置に形成し、対向基板625の全面に
配向膜622を形成し、ラビング処理を施す。
【0070】
そして、アクティブマトリクス基板の画素部を囲むようにシール材607を描画した後
、減圧下でシール材に囲まれた領域にインクジェット法で液晶624を吐出する。次いで
、大気にふれることなく、減圧下でアクティブマトリクス基板と対向基板とをシール材6
07で貼り合わせる。シール材607にはフィラー(図示しない)が混入されていて、こ
のフィラーと柱状スペーサ602によって均一な間隔を持って2枚の基板が貼り合わせら
れる。インクジェット法で液晶を吐出する方法を用いることによって作製プロセスで使用
する液晶の量を削減することができ、特に、大面積基板を用いる場合に大幅なコスト低減
を実現することができる。
【0071】
つまり、本実施の形態では、インクジェット法によって基板上に設けられた画素電極上
、即ち画素部上のみに液晶材料の噴射(または滴下)を行った後、シール材が設けられた
対向基板と貼り合わせる。また、対向基板にシール材描画と液晶滴下との両方をおこなっ
てもよいし、画素部が設けられた基板にシール描画と液晶滴下との両方をおこなってもよ
い。
【0072】
インクジェット法としては、インク滴の制御性に優れインク選択の自由度の高いことか
らインクジェットプリンターで利用されているピエゾ方式を用いてもよい。なお、ピエゾ
方式には、MLP(Multi Layer Piezo)タイプとMLChip(Multi Layer Ceramic H
yper Integrated Piezo Segments)タイプがある。
【0073】
なお本実施の形態において、画素電極に向けて微量の液晶を複数滴噴射(または滴下)
を行うことで、液晶表示装置を作成するものである。インクジェット法を用いることによ
って、吐出回数、または吐出ポイントの数などで微量な液晶の量を自由に調節することが
できる。
【0074】
また、インクジェット法による液晶の噴射(または滴下)は、不純物が混入しないよう
に減圧下で行うことが好ましい。また、液晶の噴射(または滴下)を行っている間、基板
を加熱して液晶を所望の粘度にする。また、必要であればインクジェット法による液晶の
滴下後にスピンを行って膜厚の均一化を図ってもよい。また、貼り合わせの作業は、貼り
合わせる際に気泡が入らないように減圧下で行うことが好ましい。
【0075】
このように、必要な箇所のみに必要な量の液晶が滴下されるため、材料のロスがなくな
る。また、シールパターンは閉ループとする。従って、液晶の注入口のシールパターンは
不要となる。従って、液晶注入時に生じる不良(例えば、配向不良など)がなくなる。
【0076】
また、液晶材料を光硬化材料や熱硬化材料などと混合させて、滴下後に一対の基板間の
接着強度を高めてもよい。
【0077】
また、シール材としては、液晶に溶解しない材料を選択することが好ましい。
【0078】
また、一対の基板間隔は、スペーサ球を散布したり、樹脂からなる柱状のスペーサを形
成したり、シール材にフィラーを含ませることによって維持すればよい。
【0079】
このようにしてアクティブマトリクス型液晶表示装置が完成する。そして、必要があれば
、アクティブマトリクス基板または対向基板を所望の形状に分断する。さらに、公知の技
術を用いて偏光板603等の光学フィルムを適宜設ける。そして、公知の技術を用いてF
PCを貼りつける。
【0080】
以上の工程によって得られた液晶モジュールに、バックライト604、導光板605を
設け、カバー606で覆えば、図16にその断面図の一部を示したようなアクティブマト
リクス型液晶表示装置(透過型)が完成する。なお、カバーと液晶モジュールは接着剤や
有機樹脂を用いて固定する。また、透過型であるので偏光板603は、アクティブマトリ
クス基板と対向基板の両方に貼り付ける。
【0081】
また、本実施の形態は透過型の例を示したが、特に限定されず、反射型や半透過型の液
晶表示装置も作製することができる。反射型の液晶表示装置を得る場合は、画素電極とし
て光反射率の高い金属膜、代表的にはアルミニウムまたは銀を主成分とする材料膜、また
はそれらの積層膜等を用いればよい。
【実施例1】
【0082】
本発明の実施例について、図4〜6を用いて説明する。図4は、インクジェット法を用
いた印刷装置の構成を示す。
【0083】
図4において、インクヘッド201から吐出される組成物により、基板215上で連続
したレジストパターンが形成されるように、吐出する周期と基板の移動速度を調節する。
なおインクヘッド201に隣接して、組成物の平滑化手段として気体を噴出するノズル2
02を具備してもよい。このノズル202から噴出する気体により、基板215上に吐出
された組成物を平滑化する。そして、インクヘッド201と基板とを相対的に動かすこと
で、線状のパターンが形成されるが、このとき、気体を噴出させて、このパターンを平滑
化することができる。また、吐出した組成物の着弾位置の精度を高めるために、インクヘ
ッド201と基板215との間隔を1ミリ以下に近づけることが好ましい。そのためには
、インクヘッド201が上下に動く移動機構204とその制御手段203を設け、パター
ン形成時のみ基板215に近づける構成とする。
【0084】
その他、基板215を固定しXYθ方向に可動して、基板215を真空チャック等で固
定する基板ステージ205、インクヘッド201に組成物を供給する手段206、ノズル
202に気体を供給する手段207、処理室を真空にする真空排気手段216などから構
成される。筐体210はインクヘッド201、基板ステージ205等を覆う。その他付随
する要素として、処理する基板を保持するキャリア212、そのキャリア212から搬出
入させる搬送手段211、清浄な空気を送り出し作業領域の埃を低減するクリーンユニッ
ト213などを備えても良い。
【0085】
シャワーヘッド209は、処理室を適切な雰囲気に制御する役割を担う。
【0086】
次いで、上記の印刷装置が組み込まれたマルチチャンバーの構成を図5に示す。搬送室
223は基板の搬入または搬出を行い、ロード・アンロード室とも呼ばれる。ここには、
基板をセットしたキャリア224が配置される。共通室220は基板221を搬送する機
構(搬送機構)222を含む。搬送機構222としては、基板のハンドリングを行うロボ
ットアームなどが挙げられる。
【0087】
共通室220にはゲート232〜236を介して複数の処理室が連結されている。図5
の構成では共通室220を減圧(真空)の状態にしており、各処理室はゲート232〜2
36によって共通室220と遮断されている。各処理室には排気ポンプを設けて、真空下
での処理を行う。排気ポンプとしては、油回転ポンプ、メカニカルブースターポンプ、タ
ーボ分子ポンプ若しくはクライオポンプを用いることが可能であるが、水分の除去に効果
的なクライオポンプが好ましい。
【0088】
また、真空排気用処理室226は、共通室220を真空にする真空ポンプを有する処理
室である。
【0089】
そして、本発明では、インクジェット用処理室227でレジストパターンの形成を行う
。インクジェット用処理室227には基板保持手段や図4に示した装置等が設けられてい
る。また、加熱処理は、レーザー照射室228で行う。レーザー照射室228は、大気と
遮断されており、基板を載置して、該基板の位置を制御する位置制御手段、レーザー発振
装置230、光学系229、ステージ231、中央演算処理装置及びメモリ等の記憶手段
を兼ね備えたコンピュータ等を有する。
【0090】
成膜用処理室225は、パッシベーション膜を形成するための処理室である。パッシベ
ーション膜としては窒化珪素膜または窒化酸化珪素膜等をプラズマCVD法で形成する。
従って、図示していないが、シラン(SiH4)、酸化窒素(N2O)、アンモニア(NH
3)などのガス供給系、高周波電源を用いたプラズマ発生手段、基板加熱手段などが設け
られている。なお、本マルチチャンバーには、パッシべーション膜だけでなく、他の薄膜
を目的として成膜室を設けてもよい。
【0091】
以上の構成を有する本装置は、レジストパターンの形成がインクジェット方式により行
われる点に特徴があり、また、レーザー照射室やパッシべーション膜の成膜室がマルチチ
ャンバー方式で全て搭載されている点に特徴がある。従って、例えば、被膜の成膜からレ
ジストパターンの形成の工程を一度も外気に晒すことなく行うことが可能である。なおこ
のマルチチャンバーには、以下の図6に示すレジスト剥離装置などの他の装置を搭載させ
てもよい。
【0092】
図6で示すレジスト剥離装置は、被処理基板を1枚ずつ連続的に処理することのできる
枚葉処理方式のものであり、搬送室900を中心として、その周辺に露光処理室902、
剥離処理室903、904、洗浄室905、ロード/アンロード室901が備えられてい
る。被処理基板はロード/アンロード室901に備えられた基板カセット910から供給
され、基板カセット911に回収される。基板は搬送室900に備えられた搬送手段90
6により各処理室に搬送される。剥離処理室903、904はスピン塗布方式の処理室で
あり、レジスト剥離液を供給してレジスト剥離処理や、IPAや純水を供給して剥離後の
リンス処理を行う。洗浄室905はシャワーノズル908とエアーブローで成る乾燥手段
909を備えたライン式の洗浄方式を図示しているが、スピン方式の洗浄を行っても良い
。また、IR室911はハロゲンランプ又は赤外線ランプを用いた加熱手段912により
、基板を予備加熱するところである。なおこのレジスト剥離装置には、アッシング装置又
はドライエッチング装置など搭載させてもよい。すなわち、多室分離式のアッシング装置
又はドライエッチング装置の一室として上記のようなレジスト剥離室を付加しても良い。
【0093】
露光処理室902には、レジストパターンに感光剤の感光波長域の光を照射する為の処
理ユニット907が備えられている。感光剤の感光波長域の光としては、感光剤にもよる
が、一般的には波長350〜450nmの光が必要である。当該波長域を満足する光源と
しては、多波長光の等倍投影露光装置や単波長光の等倍投影露光装置の光源として一般的
に使用されている超高圧水銀灯が好適な一例として挙げられ、超高圧水銀灯のスペクトル
光であるg線(436nm)とh線(405nm)とi線(365nm)とから成る多波
長光を照射する構成となっている。これには、光学フィルタと、光源の超高圧水銀灯と超
高圧水銀灯に電力を供給する為の電力供給ラインなどから構成されるものである。光学フ
ィルタとしては、吸収フィルタや薄膜干渉フィルタが考えられ、これらの吸収フィルタや
薄膜干渉フィルタを適切に積層して、g線(436nm)とh線(405nm)とi線(
365nm)とから成る多波長光を分光透過する。尚、光照射の処理時間は露光装置での
露光時間の様に厳密なものではないが、レジストパターンの軟化形状に影響する為、所定
時間の光照射処理が行われる装置構成が必要である。この様な装置構成としては、図示し
てないが、シャッター機構を設けるとか、所定時間の間のみ超高圧水銀灯への電力供給を
行う機構を設ける等の手段が考えられる。
【0094】
本発明は、上記の実施の形態と自由に組み合わせることが可能である。
【実施例2】
【0095】
図8(A)は本発明に係るプラズマ処理装置の上面図であり、図8(B)は断面図であ
る。同図において、3021は被処理物3012のカセット室である。カセット室302
1には、表面処理が行われるガラス基板、樹脂基板、半導体基板等の被処理物3012が
セットされる。被処理物3012としては、大型基板(例えば300mm×360mm)
、通常基板(例えば127mm×127mm)問わず、所望のサイズの基板が用いられる
。なおカセット室3021にセットされる基板には、洗浄などの前処理をあらかじめ行っ
ておくことが好ましい。
【0096】
3022は搬送室であり、搬送機構3020により、カセット室3021に配置された
被処理物3012を、ロボットアームによりプラズマ処理室3023に搬送する。搬送室
3022に隣接するプラズマ処理室3023には、防塵のために外気を遮断するように空
気の流れをつくり、且つ被処理物3012の搬送も行う搬送手段3018、加熱手段30
19及びプラズマ発生手段3025が設けられる。加熱手段3019は、ハロゲンランプ
等の公知の加熱手段を用いればよく、被処理物3012の下面から加熱する。3018は
搬送手段、3026はガスの吹き出し口であり、ガス供給手段3029から供給される不
活性ガスなどの搬送用ガスを用いて気流の制御を行う。本発明では、大気圧又は大気圧近
傍下で動作させるため、搬送手段3018により、プラズマ発生手段3025付近の気流
を制御することのみで、外部からの汚染や反応生成物の逆流を防止することができる。つ
まり、外界との分離はこの搬送手段3018のみで行うことも可能であり、プラズマ処理
室3023を完全に密閉する必要がない。また本発明は、減圧装置に必要である真空引き
や大気開放の時間が必要なく、複雑な真空系を配置する必要がない。
【0097】
また、ガス供給手段3029から供給されるガスは、加熱手段3028により所望の温
度(50度〜800度)に加熱され、この加熱されたガスを被処理物3012に吹き付け
ることで、この被処理物3012を加熱する。この加熱手段3028は、気体を加熱でき
るものであれば、特に限定されず、公知のものを用いればよい。本発明では、加熱された
ガスを被処理物3012の下面に吹き付けて加熱し、さらに、加熱手段3019により被
処理物3012の上面を加熱する。このように、被処理物3012の両面を加熱すること
で、当該被処理物3012を均一に加熱する。また、ガス供給手段3029から供給され
る搬送用ガスには、不活性ガスを用いればよい。
【0098】
プラズマ発生手段3025は、第1の電極及び第2の電極により構成され、高周波電源
3017、排気系、ガス供給手段などに接続される。プラズマ処理室3023において、
所定の表面処理が終了した被処理物3012は、搬送室3024に搬送され、この搬送室
3024から別の処理室に搬送される。
【0099】
なお、第1の電極及び第2の電極の一方又は両方は、固体誘電体で覆うとよい。固体誘
電体としては、酸化アルミニウム、二酸化ジルコニウム、二酸化チタン等の金属酸化物、
ポリエチレンテレフタラ−ト、ポリテトラフルオロエチレン等の有機物、二酸化珪素、ガ
ラス、チタン酸バリウム等の酸化物等が挙げられる。固体誘電体の形状は、シ−ト状でも
フィルム状でもよいが、厚みが0.05〜4mmであることが好ましい。これは、放電プ
ラズマを発生するのに高電圧を要するため、薄すぎると、電圧印可時に絶縁破壊が起こっ
て、ア−ク放電が発生してしまうからである。
【0100】
また、プラズマ処理装置内のCPUに、所望の箇所、つまり、アッシング処理を行うレ
ジストが配置された箇所及びその周辺のみに、プラズマ処理を行うことができるプログラ
ムを内蔵させておく。そうすると、供給するガスの節約につながり、作製コストを削減す
ることができる。
【0101】
本構成のプラズマ処理装置は、加熱したガスを吹き付けることで被処理物を均一に加熱
し、また前記ガスにより被処理物を水平かつ非接触状態で浮上させるとともに移動させて
、効率よくプラズマ処理を行うプラズマ処理装置及びプラズマ処理方法を提供する。また
、垂直方向と斜め方向に気体を噴射する気流制御手段により被処理物(特に大型な基板に
好適)全面を移動させ、かつ気流制御手段において被処理物に対し吹き付けと吸引を同時
に行って被処理物の浮上高さを調整し、また被処理物の水平精度をガス流量で調整して被
処理物の高さを精密に調整する。上記構成を有する本発明は、プラズマと被処理物の間の
制御を容易に行うことができる。さらに本発明は、被処理物の大きさに制約されず、また
被処理物の表面の形状に沿わせて搬送することで、適正且つ容易にプラズマ処理すること
ができる。
【0102】
また、大気圧下で処理を行う上記プラズマ処理装置は、CVD法などによる被膜の成膜
速度、エッチング処理の速度、アッシング処理の速度が向上する。さらに、同じ処理室内
に、プラズマ発生手段を順に配置することで、複数回の表面処理を連続的に行うことがで
きるため、製造装置が簡略化する。なおCVD法による被膜の成膜に際し、プラズマ発生
手段を線状に形成し、その線状のプラズマを走査することで被膜を成膜することが好まし
い。
【0103】
本実施例は、上記の実施の形態と自由に組み合わせることが可能である。
【実施例3】
【0104】
本発明の実施例について、図7、11を用いて説明する。本実施例では、本発明のレジ
ストパターンの作製方法を半導体層の形成、ゲート電極の形成、ソース配線、ドレイン配
線などの形成に適用して作製されたTFTを具備した表示装置の断面構造について説明す
る。
【0105】
絶縁表面上に駆動回路部及び画素部に配置されるトランジスタを形成する(図7(A)
)。なお図7(A)には、駆動回路部に配置されるTFTとしてN型TFT109、P型
TFT110を図示し、画素部に配置されるTFTとしてスイッチ用TFT106、駆動
用TFT107を図示する。そして、駆動用TFT107の配線26と電気的に接続され
るように、透明導電膜からなる第1の電極40を形成する。透明導電膜としては仕事関数
の大きい材質を用いて作製することが望ましく、一例としては、酸化インジウムと酸化ス
ズの化合物(ITO)、酸化インジウムと酸化亜鉛の化合物、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化
インジウム、窒化チタンなどが挙げられる。本実施の形態では第1の電極40として、ス
パッタリング法で、0.1μmの厚さでITO膜を形成する。
【0106】
なお本実施例では、配線26を形成後、該配線26に電気的に接続されるように透明導
電膜を形成する方法を示すが、他の方法で形成してもよい。例えば、透明導電膜を形成し
、該透明導電膜をパターン加工した後、TFTの配線26を形成してもよい。そのときの
断面構造を図7(D)に示す。また、TFTの配線26を形成した後、絶縁膜を形成し、
その後配線26に達するように絶縁膜にコンタクトホールを開口する。そして、配線26
と電気的に接続されるように透明導電膜を形成してもよい。そのときの断面構造を図7(
E)に示す。
【0107】
次いで、第1の電極40の端面を覆うように絶縁膜42を形成する。絶縁膜42を形成
する材料は特に限定されず、無機又は有機の材料で形成することができるが、感光性の有
機物を使用して形成すると、開口部の形状が発光層を蒸着する際に段切れなどが起こりに
くいものとなるため好ましい。例えば、絶縁膜42の材料としてネガ型の感光性樹脂を用
いた場合、図11(A)のように、絶縁膜128の上端部に第1の曲率半径を有する曲面
、絶縁膜42の下端部に第2の曲率半径を有する曲面を有するように形成される。第1及
び第2の曲率半径は、0.2μm〜3μm、また前記開口部の壁面のITO(第1の電極
40)に対する角度は35°以上とすることが好ましい。また、ポジ型の感光性樹脂を用
いた場合、開口部の形状は図11(B)のように絶縁膜の上端部は曲率半径を有する曲面
となる。また、絶縁膜128の開口部をドライエッチングで作製した場合は図11(C)
に示すような形状となる。その後、PVA(ポリビニルアルコール)系の多孔質体を用い
て拭い、ゴミ等の除去を行う。本実施例では、PVAの多孔質体を用いた拭浄により、I
TO(第1の電極40)や絶縁膜をエッチングしたときに発生する微粉(ゴミ)の除去を
行う。
【0108】
次いで、第1の電極40と接するように電界発光層43を形成する。電界発光層43は
、蒸着法、塗布法(スピンコート法、インクジェット法など)により形成される。本実施
例では、蒸着装置を用いて、蒸着源を移動させながら蒸着を行う。例えば、真空度が5×
10-3Torr(0.665Pa)以下、好ましくは10-4〜10-6Torrまで真空排
気された成膜室で蒸着を行った。蒸着の際、抵抗加熱により、予め有機化合物は気化され
ており、蒸着時にシャッターが開くことによって基板の方向へ飛散する。つまり、気化さ
れた有機化合物は、上方に飛散し、メタルマスクに設けられた開口部を通って基板に蒸着
され、電界発光層43が形成された。
【0109】
なお、電界発光層43の蒸着前処理に、全体にPEDOTを塗布し、ベークを行っても
よい。このとき、PEDOTはITOとの濡れ性が良くないため、一旦PEDOTを塗布
後、水洗し、再度PEDOTを塗布することが好ましい。その後、常圧で加熱を行って水
分を飛ばしてから、減圧雰囲気で加熱を行う。
【0110】
本発明では、発光素子を構成する第1及び第2の電極間に設けられる一つ又は複数の層
を総称して電界発光層43とよぶ。電界発光層43は、低分子系有機化合物材料、高分子
系有機化合物材料、或いは、両者を適宣組み合わせて形成することが可能である。また、
電子輸送性材料と正孔輸送性材料を適宜混合させた混合層、又はそれぞれの接合界面に混
合領域を形成した混合接合を形成しても良い。また、有機系の材料のほかに無機系の発光
材料を使用しても良い。さらに、電界発光層43の構造も特に限定されず、低分子材料か
らなる層を積層した構造、高分子材料からなる層と低分子材料からなる層とを積層した構
造でもよい。
【0111】
続いて電界発光層43上に、第2の電極45を形成する。第2の電極45は、仕事関数
の小さい金属(Li、Mg、Cs)を含む薄膜、Li、Mg等を含む薄膜上に積層した透
明導電膜との積層膜で形成する。膜厚は陰極として作用するように適宜設定すればよいが
、0.01〜1μm程度の厚さに公知の方法(電子ビーム蒸着法など)で形成する。但し
、電子ビーム蒸着法を用いる場合、加速電圧が高すぎると放射線を発生し、TFTにダメ
ージを与えてしまう。しかし、加速電圧が低すぎても成膜速度が下がり、生産性が低下す
る。そのため、第2の電極45を陰極として作用しうる膜厚より過剰には成膜しないよう
にする。第2の電極45が薄いと、成膜速度が遅くても生産性に大きな影響は現れない。
しかしながら、陰極の膜厚が薄いことで高抵抗化してしまう問題も発生するが、陰極上に
低抵抗金属であるAlなどを抵抗加熱蒸着やスパッタリング法などで形成し、積層構造と
することで解決する。本実施例では、第2の電極45として電子ビーム蒸着法でAl−L
iを0.1μmの厚さで形成する。
【0112】
次に、絶縁膜42及び第2の電極45上に、保護膜46を成膜する。保護膜46は、水
分や酸素などの発光素子の劣化を促進させる原因となる物質を、他の絶縁膜と比較して透
過させにくい膜を用いる。代表的には、DLC膜、窒化炭素膜、RFスパッタリング法で
形成された窒化珪素膜等を用いるのが望ましい。またその膜厚は、10〜200nm程度
とするのが望ましい。本実施例では、スパッタリング法を用いて、窒化珪素膜を100n
mの厚さで形成する。
【0113】
これまでの工程において形成された、第1の電極40、発光層43及び第2の電極45
の積層体が図7(C)の発光素子111に相当する。第1の電極40は陽極、第2の電極
45は陰極に相当する。なお発光素子111の励起状態には一重項励起と三重項励起があ
るが、発光はどちらの励起状態を経てもよい。
【0114】
図7(B)には発光素子を用いた表示装置における一画素の上面図を示す。図7(B)
の上面図において、A−B−Cに対応した断面図が図7(A)に相当する。また図7(C
)は、図7(B)に対応した一画素の回路図を示す。図7(B)(C)において、16は
走査線、23は信号線、25は電源線、106はスイッチング用TFT、107は駆動用
TFT、108は容量素子、111は発光素子である。
【0115】
本実施例では基板101側(底面)から発光素子から発せられる光を取り出す、所謂下
面出射を行う場合を示す。しかし、基板101の表面から光を取り出す、所謂上面出射を
行うようにしてもよい。その場合、第1の電極40を陰極、第2の電極45を陽極に相当
するように形成し、さらに第2の電極45は透明材料で形成するとよい。また、駆動用T
FT107はNチャネル型TFTで形成することが好ましい。なお、駆動用TFT107
の導電型は適宜変更しても構わないが、容量素子108は該駆動用TFT107のゲート
・ソース間電圧を保持するように配置する。また本実施例では、発光素子を用いた発光装
置の場合を示すが、液晶表示装置などの他の表示装置に用いてもよい。
【0116】
本実施例は、上記の実施の形態と自由に組み合わせることができる。
【実施例4】
【0117】
本発明の実施例について、図9を用いて説明する。図9(A)は、トランジスタが形成
された基板をシーリング材によって封止することによって形成された表示パネルの上面図
であり、図9(B)は図9(A)のB-B’における断面図、図9(C)(D)は図9(
A)のA-A’における断面図である。
【0118】
図9(A)〜(C)において、基板401上には、画素部(表示部)402、該画素部
402を囲むように設けられた信号線駆動回路403、走査線駆動回路404a、404
bが配置され、これらを囲むようにしてシール材406が設けられている。シール材40
6としては、ガラス材、金属材(代表的にはステンレス材)、セラミックス材、プラスチ
ック材(プラスチックフィルムも含む)が用いられる。
【0119】
このシール材406は、信号線駆動回路403、走査線駆動回路404a、404bの
一部に重畳させて設けても良い。そして、シール材406を用いてシーリング材407が
設けられ、基板401、シール材406及びシーリング材407によって密閉空間408
が形成される。シーリング材407には予め凹部の中に吸湿剤(酸化バリウムもしくは酸
化カルシウム等)409が設けられ、上記密閉空間408の内部において、水分や酸素等
を吸着して清浄な雰囲気に保ち、発光素子の劣化を抑制する役割を果たす。この凹部は目
の細かいメッシュ状のカバー材410で覆われており、該カバー材410は、空気や水分
は通し、吸湿剤409は通さない。なお、密閉空間408は、窒素もしくはアルゴン等の
希ガスで充填しておけばよく、不活性であれば樹脂もしくは液体で充填することも可能で
ある。
【0120】
基板401上には、信号線駆動回路403及び走査線駆動回路404a、404bに信
号を伝達するための入力端子部411が設けられ、該入力端子部411へはFPC412
を介してビデオ信号等のデータ信号が伝達される。入力端子部411の断面は、図9(B
)に示す通りであり、走査線もしくは信号線と同時に形成された配線からなる入力配線4
13とFPC412側に設けられた配線415とを、導電体416を分散させた樹脂41
7を用いて電気的に接続してある。なお、導電体416としては、球状の高分子化合物に
金もしくは銀といったメッキ処理を施したものを用いれば良い。
【0121】
また図9(D)の表示パネルでは、シール材406を用いて透明な対向基板421が設
けられ、基板401、対向基板421及びシール材406によって密閉空間422が形成
される。対向基板421には、カラーフィルタ420と該カラーフィルタを保護する保護
膜423が設けられる。画素部402に配置された発光素子から発せられる光は、該カラ
ーフィルタ420を介して外部に放出され、表示パネルでは多色表示を行う。密閉空間4
22は、不活性な樹脂もしくは液体などで充填される。なお、多色表示を行う際には、発
光層がRGBの各々の色を発するように設定するか、白色発光をする発光層を設けた画素
を配置しカラーフィルタや色変換層を用いるように設定するとよい。
【0122】
次いで、同一の絶縁表面上に画素部と該画素部を制御する駆動回路だけでなく、記憶回
路及びCPUを搭載したパネルについて図9(E)を用いて説明する。
【0123】
図9(E)はパネルの外観を示し、該パネルは、基板3009上に複数の画素がマトリ
クス状に配置された画素部3000を有し、画素部3000の周辺には、画素部3000
を制御する走査線駆動回路3001、信号線駆動回路3002を有する。画素部3000
では、駆動回路から供給される信号に従って画像を表示する。対向基板は、画素部300
0及び駆動回路3001、3002上のみに設けてもよいし、全面に設けてもよい。但し
、発熱する恐れがあるCPU3008には、放熱板が接するように配置することが好まし
い。また前記パネルは、VRAM3003(video random access memory、画面表示専用
メモリ)、VRAM3003の周辺にデコーダ3004、3005、さらにはRAM(ran
dom access memory)3006、RAM3006の周辺にデコーダ3007、CPU30
08、FPC3010を有する。基板3009上の回路を構成する全ての素子は、非晶質
半導体に比べて電界効果移動度が高く、オン電流が大きい多結晶半導体(ポリシリコン)
により形成されており、それ故に同一の絶縁表面上における複数の回路の一体形成を実現
している。なお画素部に配置された複数の画素の構成は限定されないが、複数の画素の各
々にSRAMを配置することで、VRAM3003及びRAM3006の配置を省略して
もよい。
【0124】
なお本実施例では、発光素子を用いた表示パネルに本発明を適用した例を示すが、液晶
表示素子を用いた表示パネルに本発明を適用してもよい。また本実施例は、上記の実施の
形態と自由に組み合わせることができる。
【実施例5】
【0125】
本発明を用いて様々な電気器具を完成させることができる。その具体例について図10
を用いて説明する。
【0126】
図10(A)は表示装置であり、筐体2001、支持台2002、表示部2003、ス
ピーカー部2004、ビデオ入力端子2005等を含む。本発明は、表示部2003の作
製に適用される。特に、本発明は20〜80インチの大画面の表示装置に好適である。
【0127】
図10(B)は、ノート型パーソナルコンピュータであり、本体2201、筐体220
2、表示部2203、キーボード2204、外部接続ポート2205、ポインティングマ
ウス2206等を含む。本発明は、表示部2203の作製に適用される。
【0128】
図10(C)は記録媒体を備えた携帯型の画像再生装置(具体的にはDVD再生装置)
であり、本体2401、筐体2402、表示部A2403、表示部B2404、記録媒体
(DVD等)読み込み部2405、操作キー2406、スピーカー部2407等を含む。
表示部A2403は主として画像情報を表示し、表示部B2404は主として文字情報を
表示するが、本発明は、これら表示部A、B2403、2404の作製に適用される。
【0129】
以上の様に、本発明の適用範囲は極めて広く、本発明をあらゆる分野の電気器具の作製
に適用することが可能である。また、上記の実施の形態、実施例と自由に組み合わせるこ
とができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電層を形成し、
前記導電層上に、減圧下で、且つ、窒素雰囲気又は希ガス雰囲気で、第1の感光剤を含む第1の組成物をインクヘッドのノズルから吐出して選択的に第1のレジストパターンを形成し、
選択的に形成された前記第1のレジストパターンに、目的のパターンが書き込まれた第1のフォトマスクを介して前記第1の感光剤の感光波長域の光を照射し、
光が照射された前記第1のレジストパターンを現像して前記第1のレジストパターンの一部を除去することにより第2のレジストパターンを形成し、
前記第2のレジストパターンをマスクとして、前記導電層を前記目的のパターンにエッチングすることを特徴とする半導体装置の作製方法。
【請求項2】
導電層を形成し、
前記導電層上に、減圧下で、且つ、窒素雰囲気又は希ガス雰囲気で、第1の感光剤を含む第1の組成物をインクヘッドのノズルから吐出して選択的に第1のレジストパターンを形成し、
選択的に形成された前記第1のレジストパターンに、目的のパターンが書き込まれた第1のフォトマスクを介して前記第1の感光剤の感光波長域の光を照射し、
光が照射された前記第1のレジストパターンを現像して前記第1のレジストパターンの一部を除去することにより第2のレジストパターンを形成し、
前記第2のレジストパターンをマスクとして、前記導電層を前記目的のパターンにエッチングし、
前記導電層上にゲート絶縁膜、第1の半導体膜及びチャネル保護膜を順に形成し、
前記チャネル保護膜上に、減圧下で、且つ、窒素雰囲気又は希ガス雰囲気で、第2の感光剤を含む第2の組成物を吐出して第3のレジストパターンを形成し、
前記第3のレジストパターンに、前記導電層を介して前記第2の感光剤の感光波長域の光を照射し、
光が照射された前記第3のレジストパターンを現像して第4のレジストパターンを形成し、
前記第4のレジストパターンをマスクとして、前記チャネル保護膜をエッチングし、
エッチングした前記チャネル保護膜上に、第2の半導体膜を形成し、
前記第2の半導体膜上に、減圧下で、且つ、窒素雰囲気又は希ガス雰囲気で、第3の感光剤を含む第3の組成物を吐出して第5のレジストパターンを形成し、
前記第5のレジストパターンに、第2のフォトマスクを介して前記第3の感光剤の感光波長域の光を照射し、
光が照射された前記第5のレジストパターンを現像して第6のレジストパターンを形成し、
前記第6のレジストパターンをマスクとして、前記第1の半導体膜と前記第2の半導体膜をエッチングすることを特徴とする半導体装置の作製方法。
【請求項3】
請求項1において、
前記第1の組成物は、前記第1の感光剤を溶媒に分解又は分散させたものであることを特徴とする半導体装置の作製方法。
【請求項4】
請求項2において、
前記第1の組成物は、前記第1の感光剤を第1の溶媒に分解又は分散させたものであり、
前記第2の組成物は、前記第2の感光剤を第2の溶媒に分解又は分散させたものであり、
前記第3の組成物は、前記第3の感光剤を第3の溶媒に分解又は分散させたものであることを特徴とする半導体装置の作製方法。
【請求項5】
請求項2において、
前記導電層は、減圧下で、第1の導電性材料を含む第4の組成物を吐出して形成することを特徴とする半導体装置の作製方法。
【請求項6】
請求項2または請求項5において、
前記第1の半導体膜と前記第2の半導体膜をエッチングした後、
減圧下で、第2の導電性材料を含む第5の組成物を吐出して、画素電極を形成し、
減圧下で、第3の導電性材料を含む第6の組成物を吐出して、ソース及びドレイン配線を形成することを特徴とする半導体装置の作製方法。
【請求項7】
請求項5において、
前記第1の導電性材料は、金、銀または銅を含むことを特徴とする半導体装置の作製方法。
【請求項8】
請求項6において、
前記第2の導電性材料は、銀または銅を含み、
前記第3の導電性材料は、金、銀または銅を含むことを特徴とする半導体装置の作製方法。
【請求項9】
請求項1乃至請求項8のいずれか一項において、
前記第1のレジストパターンの形成は、前記インクヘッドに隣接する気体噴出ノズルから噴出された気体を、前記導電層上に形成される前記第1の組成物に吹き付けながら行われることを特徴とする半導体装置の作製方法。
【請求項10】
請求項1乃至請求項9のいずれか一項において、
前記インクヘッドを複数有し、
前記第1のレジストパターンの形成は、ノズル径が異なる前記インクヘッドを使い分けて行うことを特徴とする半導体装置の作製方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2010−258473(P2010−258473A)
【公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−158978(P2010−158978)
【出願日】平成22年7月13日(2010.7.13)
【分割の表示】特願2004−8872(P2004−8872)の分割
【原出願日】平成16年1月16日(2004.1.16)
【出願人】(000153878)株式会社半導体エネルギー研究所 (5,264)
【Fターム(参考)】