説明

半導体装置の製造方法、半導体ウエハおよび半導体装置

歩留まり良く、スクライブ領域をダイシングできる半導体装置の製造方法を提供する。 半導体装置の製造方法は、(a)半導体素子を形成した複数のチップ領域と、前記複数のチップ領域を分離し、切断用ダイシング領域を内包するスクライブ領域とを有し、前記スクライブ領域内のダイシング領域より外側に各チップ領域を囲む様に溝形成領域が画定された半導体ウエハを準備する工程と、(b)前記半導体ウエハの上方に、層間絶縁膜と配線層とを交互に形成した多層配線構造とダミー配線を配置する工程と、(c)前記多層配線構造を覆って、パッシベーション層を含むカバー層を形成する工程と、(d)前記溝形成領域において、前記複数のチップ領域の各々を取り囲む溝を上方から、少なくとも前記パッシベーション層を貫通して形成する工程と、を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
本発明は、半導体装置の製造方法、半導体ウエハおよび半導体装置に関し、特に多層配線構造を有する半導体装置の製造方法、半導体ウエハおよび半導体装置に関する。
【背景技術】
半導体集積回路装置の製造においては、半導体ウエハにスクライブ領域で分割された多数のチップ領域を画定する。各チップ領域に多数の半導体素子を形成し、その上に配線層と層間絶縁膜とを交互に積層した多層配線構造を形成する。各チップ領域に半導体集積回路構造を形成した後、スクライブ領域でダイシングを行ない各チップを分離する。ダイシングは、半導体ウエハの全厚をダイシングソーで切断するチッピングによって行なわれるようになった。
スクライブ領域は回路として用いられる領域ではなく、従来、位置合わせマークやテストエレメントグループは形成されるが、その他の領域は半導体ウエハ表面が露出した状態でダイシングが行われた。チッピングにより分離された半導体チップの断面はバリ状に凹凸を示す。
特開平4−282852号は、スクライブ領域の中心線の両側に幅の狭い絶縁層を残し、絶縁層の間の領域でダイシングを行なうことを提案している。絶縁層は、半導体より硬く、切断面の凹凸がスクライブ領域を越えて、チップ内部に広がろうとするのを防止すると説明されている。
ダイシングブレードで半導体ウエハを切断する際に、半導体チップ上の最上の絶縁膜がダイシングブレードに巻き込まれ剥がれてしまい、配線や電極が部分的に露出し、短絡、損傷、腐食等の問題を生じることがある。特開平9−199449号は、最上の絶縁層に剥離止め溝を形成することを提案する。
図22Aは特開平9−199449号に開示された剥離止め溝の構成を示す。シリコン基板101の表面に半導体素子が形成され、その上に層間絶縁膜102が形成される。層間絶縁膜102の上に配線110が形成され、その上に層間絶縁膜104が形成される。配線110に接続されたボンディングパッド113を形成し、その上に最上の絶縁層として酸化シリコン層ないしは酸化シリコン層と窒化シリコン層の積層で形成された絶縁層105およびポリイミド保護層107が形成される。ボンディングパッド113の表面を露出するため、保護層107、絶縁層105を貫通するエッチングを行なう際、同時にチップ外周に沿って、保護層107、絶縁層105を貫通する剥離止め溝108を形成する。ダイシング時に、チップ端面でダイシングブレードに巻き込まれて、保護層107、絶縁層105が剥がれても、剥離防止溝108が存在するので、剥離は剥離防止溝108で停止される。
半導体集積回路装置の集積度の向上、動作速度の向上のため、構成要素である半導体素子は微細化されてきた。微細化と共に、露光工程に高い分解能が要求され、口径比は大きく、焦点深度は浅くなっている。淺い焦点深度内に画像を結像させるためには、レジストの下地は平坦であることが望まれる。化学機械研磨(CMP)等の平坦化工程が多用されるようになった。
特開平10−335333号は、WやAlの配線を用いた集積回路を開示し、配線を形成した後、層間絶縁膜を形成し、CMPを行なっても、表面を完全に平坦化することはできず、表面を平坦化するためには配線間隔を高々2倍までのような一定の範囲内にすることが必要であると教示する。チップ領域のみでなく、スクライブ領域にもダミー配線を配置することにより、ウエハ全面で平坦な表面を有する絶縁層を形成することが可能になる。
図22Bは、特開平10−335333号に開示された、チップ領域、スクライブ領域全面にダミー配線を配置した半導体装置の構成例を示す。図中、右側にパッド・周辺回路領域Bを示し、左側にスクライブ領域Aを示す。
シリコン基板101の表面に、シャロートレンチアイソレーション(STI)により、素子分離領域103が形成されている。シリコン基板の活性領域上に、ゲート絶縁膜、ゲート電極が形成され、MOSトランジスタが形成される。同時に素子分離領域103の上にも、ゲート電極と同一材料で配線106が形成される。ゲート電極を覆って、層間絶縁膜109が形成される。
層間絶縁膜109の上に、配線110とダミー配線111とを有する配線層が形成される。ダミー配線111は、パッド・周辺回路領域Bのみでなく、スクライブ領域Aにも配置されている。配線層110,111は層間絶縁膜112で覆われ、表面を平坦化される。同様に、層間絶縁膜112の上に、配線114及びダミー配線115が形成され、層間絶縁膜116で覆われる。層間絶縁膜116の表面が平坦化され、その上に、配線117及びダミー配線118が形成され、層間絶縁膜119で覆われる。層間絶縁膜119の上に、配線120及びダミー配線121が形成され、層間絶縁膜122で覆われる。
層間絶縁膜122の上に、パッド113、配線123を含む最上配線層が形成され、絶縁層124、パッシベーション層125で構成されるカバー層により覆われる。パッド113の表面は、パッシベーション層125、絶縁層124を選択的にエッチングすることによって露出される。
このような構成により、ウエハ全面において平坦性を実現する完全平坦化が可能になると説明されている。スクライブ領域は、最上配線層がカバー層で覆われた構成を有する。
また、素子の微細化と共に、配線の密度は上がり、断面積も減少させる必要が生じた。断面積の減少により配線の抵抗が増加すると、半導体集積回路装置の動作速度を低下させることになる。配線抵抗の増加を抑制するため、アルミニウム配線に代って、銅配線が採用されるようになった。
銅層は、アルミニウム層の様にホトレジストマスクを用いリアクティブイオンエッチング(RIE)で高精度にパターニングすることができない。銅配線は、ダマシンプロセスを用いて形成される。すなわち、絶縁層に溝や孔状の凹部を形成し、銅層で凹部を埋め込み、絶縁層上の不要な銅層を化学機械研磨(CMP)で除去して凹部内に配線を残す。
CMPは、銅配線層を研磨するように条件が設定される。配線密度に粗密があると、配線密度の高い領域で研磨が進み、絶縁層表面が引き下げられるエロージョンが生じる。すなわち、配線密度に応じて表面にレベル差が生じる。半導体ウエハの表面のレベル差は、ホトリソグラフィ工程のプロセスマージンを減少させる。また、配線層のCMPにおいて、凹部上の配線層が除去しにくくなり、Cu残を生じることになる。
CMPにおけるエロージョンを防止するため、ダミー配線を配置し、配線密度を均一化することが行われる。ダミー配線は、配線と同一材料で形成されるが、配線としての機能は有さないパターンである。CMPにおけるエロージョン防止のためのダミー配線は、電気信号を伝達する機能は持たず、CMPの研磨速度を均一化するために形成される、配線と同一材料のパターンである。配線がデュアルダマシン配線である場合、ダミー配線は同一構造を有する必要はなく、シングルダマシン構造を有してもよい。
なお、化学気相堆積(CVD)、エッチングなどの工程においても対象とするパターン密度に粗密の差が存在するとプロセスの安定性が損なわれることがある。このような場合にも、プロセスの均一性を確保するためダミーを用いることができる。ダミーは、プロセスの均一性を確保できればよく、延在する必要はなく、配線の寄生容量を不用意に増加したりして設計の自由度を制限しないよう、通常は分布するパターン状の形態をとる。種々のダミーを総称してダミーパターンと言うことがある。
ダミー配線の採用により、エロージョンが防止されて、CMP後の表面が平坦化され、ホトリソグラフィ工程のプロセスマージンが増加する。その後のダマシン型配線形成工程における配線層の残も防止できる。
LSIの高速化に伴い、配線層の遅延が回路動作に与える影響が増加してきている。配線層の付随容量の低減が求められ、層間絶縁膜に酸化シリコンより明らかに誘電率が低い低誘電率(low−k)材料の採用が進められている。LSIの高集積化と共に、配線は多層化されている。多層配線は層により要求が異なることも多く、低誘電率の層間絶縁膜は、主に下層配線用に用いられる。低誘電率材料は一般的に物理的強度が弱い。
このため、低誘電率の層間絶縁膜を形成すると層間強度が落ちることとなり、ウエハからチップを切り出すダイシング工程では、ダイシング時の衝撃で下層層間絶縁膜の界面などで層間剥離が発生し、これがチップ内部にまで進行することで歩留まりが低下するなどの問題を生じる。特にチップの角部では、縦方向ダイシング、横方向ダイシングの2回のダイシング工程の影響を受けるので剥離が発生し易い。
通常、カバー層は応力を内臓する。従来構造のスクライブ領域では、カバー層をダイシング領域全体で除去することにより、カバー層の剥離(クラック)、チップ内部にクラックが進行することを抑制していた。低誘電率材料の層間絶縁膜は密着性にも弱く、カバー層より下の層間絶縁膜の界面に剥離が生じやすい。
【発明の開示】
本発明の目的は、歩留まり良く、スクライブ領域をダイシングできる半導体装置の製造方法を提供することである。
本発明の他の目的は、ダイシング工程に制限されるプロセスマージンを向上した半導体装置の製造方法を提供することである。
本発明のさらに他の目的は、プロセスマージン高く、歩留まり良く製造することの可能な半導体ウエハ、および半導体装置を提供することである。
本発明の他の目的は、ダミー配線の採用による悪影響を抑制し、ダイシング工程における絶縁層の剥離を抑制できる半導体装置の製造方法、半導体ウエハ、または半導体装置を提供することである。
本発明の1観点によれば、(a)半導体素子を形成した複数のチップ領域と、前記複数のチップ領域を分離し、切断用ダイシング領域を内包するスクライブ領域とを有し、前記スクライブ領域内のダイシング領域より外側に各チップ領域を囲む様に溝形成領域が画定された半導体ウエハを準備する工程と、(b)前記半導体ウエハの上方に、層間絶縁膜と配線層とを交互に形成した多層配線構造を形成する工程であって、配線層の配線密度が疎な領域にはダミー配線を配置する工程と、(c)前記多層配線構造を覆って、パッシベーション層を含むカバー層を形成する工程と、(d)前記溝形成領域において、前記複数のチップ領域の各々を取り囲む溝を上方から、少なくとも前記パッシベージョン層を貫通して形成する工程と、を含む半導体装置の製造方法が提供される。
本発明の他の観点によれば、半導体素子を形成した複数のチップ領域と、前記複数のチップ領域を分離し、切断用ダイシング領域を内包するスクライブ領域とを有し、前記スクライブ領域内のダイシング領域より外側に各チップ領域を囲む様に溝形成領域が画定された半導体ウエハと、前記半導体ウエハの上方に形成された、層間絶縁膜と配線層とを交互に積層した多層配線構造であって、配線層の配線密度が疎な領域に配置されたダミー配線を含む多層配線構造と、前記多層配線構造を覆って形成された、パッシベーション層を含むカバー層と、前記溝形成領域において、前記複数のチップ領域の各々を取り囲むように上方から、少なくとも前記パッシベーション層を貫通して形成された溝と、を含む半導体ウエハが提供される。
本発明のさらに他の観点によれば、半導体素子を形成したチップ領域と、前記チップ領域周囲のスクライブ領域とを有し、前記スクライブ領域内に各チップ領域を囲む様に溝形成領域が画定された半導体基板と、前記半導体基板の上方に形成された、層間絶縁膜と配線層とを交互に積層した多層配線構造であって、配線層の配線密度が疎な領域に配置されたダミー配線を含む多層配線構造と、前記多層配線構造を覆って形成された、パッシベーション層を含むカバー層と、前記溝形成領域において、上方から、少なくとも前記パッシベーション層を貫通して形成された溝と、を含む半導体装置が提供される。
最上配線層以外の配線層は、低抵抗の銅配線とすることが好ましい。多層配線においては、下層の層間絶縁膜は低誘電率材料を用いて形成することが好ましい。
【図面の簡単な説明】
図1は、本発明の実施例による半導体ウエハの概略平面図である。
図2A−2Eは、本発明の実施例による半導体装置の製造方法の主要工程を示す断面図である。
図3A−3Iは、図2Aの配線を形成する工程をより詳細に示す断面図である。
図4A、4Bは、本発明の他の実施例による半導体装置の製造方法の主要工程を示す断面図である。
図5は、本発明の他の実施例による半導体ウエハの概略平面図である。
図6A、6Bは、図5の実施例による半導体装置の製造方法の主要工程を示す断面図である。
図7A、7Bは、図5の実施例による半導体装置の他の製造方法の主要工程を示す断面図である。
図8A、8Bは、図5の実施例による半導体装置の他の製造方法の主要工程を示す断面図である。
図9は、本発明の他の実施例による半導体ウエハの概略平面図である。
図10A、10Bは、図9の実施例による半導体装置の他の製造方法の主要工程を示す断面図である。
図11は、本発明の他の実施例による半導体ウエハの概略平面図である。
図12A、12Bは、図11の実施例による半導体装置の他の製造方法の主要工程を示す断面図である。
図13は、10層配線を有する半導体装置の第1の実施例の構成を概略的に示す断面図である。
図14は、10層配線を有する半導体装置の第1の実施例の変形例の構成を概略的に示す断面図である。
図15は、10層配線を有する半導体装置の第2の実施例の構成を概略的に示す断面図である。
図16は、10層配線を有する半導体装置の第2の実施例の変形例の構成を概略的に示す断面図である。
図17は、10層配線を有する半導体装置の第3の実施例の構成を概略的に示す断面図である。
図18は、10層配線を有する半導体装置の第4の実施例の構成を概略的に示す断面図である。
図19A−19Eは、図5に示す有機絶縁層中のダマシン配線を形成する工程を概略的に示す断面図である。
図20A,20Bは、図17の構成に従い、ウエハをダイシングした状態の上面の顕微鏡写真である。
図21A−22Dは、溝形成領域に形成する溝の形状の変形例を示す略図である。
図22A、22Bは、従来技術による半導体チップダイシング時の剥離防止溝の構成、およびダミー配線を備えた半導体装置の構成を示す概略断面図である。
図23は、従来技術に対して本発明者が行なった検討結果を示す断面図である。
図24は、本発明者が行なった他の検討結果を概略的に示す断面図である。
図25は、本発明者の見出した現象を示す概略断面図である。
【発明を実施するための最良の形態】
本発明の実施例の説明の前に、本発明者が行なった検討結果を説明する。
図22Bに示す構成のように、スクライブ領域にもダミー配線を配置すれば、ウエハ全面で平坦性を確保することが容易になる。スクライブ領域には、パッド・周辺回路領域同様に、ダミー配線が形成され、パッシベーション層125を含むカバー層で覆われている。
図23は、本発明者が行なった検討に実際に用いた半導体装置の構成を概略的に示す断面図である。半導体基板10の上に半導体素子を形成し、絶縁層21で覆う。その上方に多層配線を形成した。多層配線用絶縁層の積層は、層間絶縁膜IL1、エッチストッパ兼銅拡散防止層ES2、層間絶縁膜IL2、エッチストッパ兼銅拡散防止層ES3、層間絶縁膜IL3、エッチストッパ兼銅拡散防止層ES4、層間絶縁膜IL4、最上絶縁層IS、パッシベーション層PSの積層を含む。
エッチストッパ層ESiと層間絶縁膜ILiとの絶縁積層の中にそれぞれダミー配線を有する第1金属(銅)配線層W1、第2金属(銅)配線層W2、第3金属(銅)配線層W3を埋め込んだ。第3金属配線層W3の上にビア部を介してアルミニウム層を含む最上配線層を形成した。最上配線層は、ダミー配線を有さず、その一部はパッドPであり、他の一部はシールリングSRを構成する。最上配線層は、最上絶縁層IS、パッシベーション層PSを含むカバー層で覆われる。パッシベーション層PS、最上絶縁層ISを貫通する開口を形成して、パッドPの上面を露出する。
図の構成において、半導体ウエハは複数のチップ領域C1、C2を有し、その間にスクライブ領域SCが画定される。スクライブ領域SC内の領域dcをダイシングすることによって各チップC1,C2が分離される。カバー層は応力を内臓するので、カバー層が存在する状態でダイシングを行うと、ダイシングの衝撃により、絶縁層の界面で剥離が生じやすい。例えば、図に示すように、ダイシング時の衝撃により、チップC1のカバー層の最上絶縁層ISがその下の層間絶縁膜IL4との界面で剥離し、剥離がチップ内部に向う。カバー層の界面のみでなく、下方の層間絶縁膜の界面でも剥離は生じる。剥離はチップ周辺に留まらず、回路領域内部まで侵入し易い。剥離がチップ内部に達すると、チップは不良となり、歩留まりを低下させる。多層配線の層間絶縁膜に低誘電率(low−k)材料を用いると、その界面で剥離が生じ易くなる。
パッシベーション層PSは、窒化シリコンや酸化窒化シリコンで形成され、応力を内蔵する。ダイシング工程において、パッシベーション層を切断することは、応力を切断面に集中させ、剥離を起こさせる原因になると考えられる。
そこで、ダイシング工程の前に、少なくともスクライブ領域におけるパッシベーション層PSを除去することを検討した。スクライブ領域上のパッシベーション層PSを除去すれば,切断面をパッシベーション層との間の距離が広がり,切断面での応力が緩和されると考えられる。パッドを開口する際に、パッシベーション膜及びその下の絶縁層を含むカバー層のエッチングが行なわれる。このパッド開口エッチングと同時に、スクライブ領域においてエッチングを行なえば、パッシベーション層を含むカバー層は除去できる。
図24は、図23に示す構成の半導体ウエハのボンディングパッド開口工程において、隣接チップC1,C2のシールリングSR間のスクライブ領域SCのカバー層もエッチングしようとした状態を概略的に示す半導体ウエハの断面図である。半導体ウエハは、図23の構成同様であり、パッドP,シールリングSR最上層を含む最上配線層を形成し、最上絶縁層IS、パッシベーション層PSで覆った後、パッシベーション層PSの上に、パッドP及びスクライブ領域SCを開口するホトレジストパターンPRを形成した。
プラズマを用いたドライエッチングでパッシベーション層PS、最上絶縁層ISのエッチングを行ない、パッドPを露出させる。最上絶縁層ISがエッチされてパッドPが露出する頃、スクライブ領域においては、最上絶縁層ISがエッチングされて、その下の第4層間絶縁膜IL4が露出する。この際、オーバーエッチングが行われ、スクライブ領域においては最上絶縁層ISの下の第4層間絶縁膜IL4、第4エッチストッパ層ES4、第3層間絶縁膜IL3もエッチングされる。
すると、第3層間絶縁膜IL3に埋め込まれていたダミー配線がプラズマ中に露出し、絶縁層のエッチングに伴い飛散してしまう。プラズマ中で飛散したダミー配線は、半導体ウエハの表面に付着し、純水洗浄を行なっても容易には脱離しない。
このように、スクライブ領域にダミー配線を配置し、絶縁層、パッシベーション層で覆ったままダイシングを行なうと、絶縁層間で剥離が生じる、またカバー層を除去するようにドライエッチングを行なうと、オーバーエッチングでダミー配線が飛び散る、という問題が生じる。
本発明者は、スクライブ領域全面のカバー層を除去するのではなく、スクライブ領域内でチップ領域を取り囲むように、カバー層を貫通する、幅の限られた溝を形成した時、ダイシング時に切断面から侵入する剥離が溝の付近で止められることを見出した。
図25は、この現象を概略的に示す。半導体装置の構成は図23、24の構成と同様であり、チップ領域C、スクライブ領域SCにダミー配線を配置した多層配線を有する。最上絶縁層ISが平坦化された状態を示しているが、平坦化してしない場合も同様の現象が見出された。カバー層PS,ISは、パッドP上で除去されてパッドを露出すると共に、チップ領域Cを取り囲むスクライブ領域SCの外側部でループ状に除去されて溝Gを形成している。
図中、右側面をダイシングで切断し、チップ端部から剥離が生じた時、溝より外側の部分で剥離より上の層がZで示すように剥がれ落ち、剥離は、溝で停止されることが見出された。剥離の生じ得る深さより深い溝を形成すれば、剥離を溝で停止させることができるのは当然であろうが、浅い溝を形成することによっても剥離を停止できることになる。
何故、深い位置の剥離が浅い溝で停止できるのかは、例えば以下のように考えられよう。パッシベーション層PSは引っ張り応力を内蔵し溝Gの外側内壁部Z1では、矢印で示すように内側に拡がろうとする応力を蓄積する。溝Gの底面外側Z2を支点と考えると、点Z1での内側に向かう応力は、支点Z2より下側の層を外側に押し出そうとする。剥離CLが生じてその上下の層の結合が消滅すると、外側に向かう力は剥離より上の層に集中する。そのため、剥離CLから支点Z2に向かって、劈開が生じる。劈開により応力が解放されると剥離は停止する。
この現象を利用すれば、スクライブ領域にカバー層を残した状態でチップ領域内部に向かう剥離を防止することが可能となる。スクライブ領域にダミー配線を形成した時も、幅の制限された溝の形成時にダミー配線を飛散させないようにすればよい。溝は少なくともパッシベーション層より深く、より実際的にはカバー層より深いことが望ましいが、剥離の生じ得る深さまで達する必要はない。以下、より具体的な本発明の実施例を説明する。
図1は、本発明の実施例による半導体ウエハの特にスクライブ領域の平面構成例を概略的に示す。図2A−2Eは、図1に示す半導体ウエハを作成し、ダイシングして半導体チップとする半導体装置の製造方法の主要工程を示す、図1の一点破線II−IIに沿った断面図である。
図1中4隅にチップ領域C1〜C4が画定されている。チップ領域C1〜C4は、その中に多層配線を有する半導体集積回路構造を作成する領域である。チップ領域の周辺部にはパッドPが配置される。
チップ領域C1〜C4の外周を囲むように、水分の侵入等を防止するためのシールリングSR1〜SR4が形成されている。シールリングSR1〜SR4よりも外側の領域がスクライブ領域SCとなる。スクライブ領域SC内にもダミー配線DWが配置されている。スクライブ領域の中心線CCの両側に一定の幅を有する領域がダイシング領域DCとなり、半導体ウエハを切断するダイシングはこのダイシング領域DCにおいて行なわれる。
ダイシング領域DCの外側に、各チップ領域Cを取り囲むように、パッシベーション層を貫通する溝を形成するための、幅を制限した溝形成領域GRを画定する。パッシベーション層を除去するエッチングが及び得る配線層においては、溝形成領域GR内にはダミー配線DWを配置しない。この場合、ダミー配線を配置しないことによる平坦性の劣化を抑制するため、溝形成領域の幅は、スクライブ領域の幅の1/3以下であることが望ましい。
溝形成領域GRにおいて、少なくともパッシベーション層を貫通する溝G1〜G4をパッド窓開口のエッチング工程と同時にエッチングする。溝Gの幅は、0.5μm〜10μmの範囲であることが望ましい。溝の幅を狭くしすぎるとエッチングが不足したり、応力を十分解放できない可能性が生じる。幅を広くしすぎるとダイシング領域の幅が制限され、平坦性の確保に不足を生じ得る。
ダイシング領域DCの外側の溝形成領域GRに溝Gが形成され、ダイシング領域DC内でダイシングが行われ、ダイシング後のチップ端部と溝Gとの間にはパッシベーション層の残る領域がある。
例えば、スクライブ領域SCの幅が126μmの時、ダイシング領域DCのセンターラインCCから54μm〜61μmの範囲を溝形成領域GRとし、センターラインCCから55μm〜60μmの領域でパッシベーション層及びその下の絶縁層をエッチングして溝G1〜G4を形成する。ダイシングはセンターラインCCから幅40〜50μmの領域で行なわれる。
溝形成領域の幅が、溝の幅よりも片側で1μmずつ大きいのは、マスク合わせ誤差を考慮したものである。マスク合わせ精度が高い場合には、このマージンを減少することもできる。マスク合わせ精度に応じてマージン幅を0.1〜5μm程度設定することが好ましいであろう。溝形成領域の両側に、ダミー配線DWが配置されている。
溝は、少なくとも応力を内蔵するパッシベーション層を分離し、絶縁積層の厚さを減少し、絶縁積層の強度を局所的に弱める。ダイシング領域においては、応力を内蔵したパッシベーション層が残されているので、ダイシング時にダイシング側面からクラックが生じて、絶縁層間で剥離が生じ得る。剥離が溝底面より上であれば、剥離は当然溝で終旦する。
剥離が溝底面より下方の場合、剥離が溝下方にまで達すると、剥離面から上方の溝に向って絶縁層が劈開し、応力が解放される。パッシベーション層に蓄積された応力と局所的に弱められた強度により剥離面から上の絶縁積層が屈服するとも考えられるであろう。この観点から、溝は、応力の解放を促進する機能を有する。
なお、図示のように、矩形のチップ領域の角部においては、シールリングSRを角部を落した平面形状とし、これに合わせ溝形成領域及び溝も角部を落した平面形状とすることが好ましい。この場合、角部においては前述の数値範囲は成立しない。
ダイシングは、ほぼ直交する2方向で行なわれるため、チップ角部においてはダイシングの影響を2回受ける。角部がほぼ直角の場合には、2回の衝撃により、溝を設けても応力の集中により角部から回路領域内まで、剥離が生じ得る。溝を角部を落とした平面形状とすることにより、応力の集中を避け、剥離をさらに有効にブロックすることができる。
以下、図1の構成を有する3層(パッド層以外)の多層配線層を有する半導体装置を例にとって、その製造方法の主要工程を説明する。
図2Aに示すシリコン基板10は、スクライブ領域SCとその両側にチップ領域C3、C4を画定する。スクライブ領域SC内にダイシング領域DCとその両側に溝形成領域GRを画定する。溝形成領域GRの外側にもダミー配線を配置するスクライブ領域が残る形態を示すが、平坦性の要求が低い場合、溝形成領域GRがスクライブ領域の外周に達するようにしてもよい。シリコン基板10の表面に素子分離領域、半導体素子を形成した後、シリコン酸化膜等の絶縁層21で覆う。引出し用導電性プラグを形成した後、絶縁層21の上に、酸素遮蔽機能、銅拡散防止機能を有するエッチストッパ層ES1を成膜し、その上に層間絶縁膜IL1を形成する。層間絶縁膜IL1、エッチストッパ層ES1内に配線用溝及びビア孔を形成し、第1配線W1、ダミー配線DW1を含む第1配線層をダマシンプロセスにより形成する。ダマシン配線の形成工程は後述する。
同様、第1配線層を覆って銅拡散防止機能を有するエッチストッパ層ES2を形成し、その上に層間絶縁膜IL2を成膜する。ダマシン用凹部を形成し、第2配線W2,第2ダミー配線DW2を含む第2配線層を埋め込む。さらに第3エッチストッパ層ES、第3層間絶縁膜IL3を成膜し、ダマシン用凹部を形成して第3配線W3、第3ダミー配線DW3を含む第3配線層を埋め込む。
図3A〜3Fは、デュアルダマシンプロセスの例を示す断面図である。
図3Aに示すように、シリコン基板10の表面にSTIによる素子分離領域11を形成し、活性領域を画定する。活性領域表面に熱酸化によるゲート絶縁膜12を形成し、その上に多結晶シリコン層ないしポリサイド層によるゲート電極13を形成する。ゲート電極13両側にソース/ドレイン領域15を形成してMOSトランジスタ構造を得る。ゲート電極13を覆って、窒化シリコン層21a、酸化シリコン層21bの積層による絶縁層21を形成する。絶縁層21を貫通してMOSトランジスタの電極に達するW等の導電性プラグ17を形成する。
導電性プラグ17、絶縁層21を覆って、窒化シリコン等の酸素遮蔽能を有するエッチングストッパ層22、酸化シリコン等の層間絶縁膜23の積層を形成する。積層の上にホトレジストマスクを形成し、配線層パターンを開口する。絶縁層23、エッチングストッパ層22の所要部分を除去して配線用溝を形成し、銅の拡散を遮蔽できるバリアメタル層24、メッキ用シードメタル(銅)層をスパッタリングで形成し、その上に銅層25をメッキで堆積する。絶縁層23上の不要の金属層を除去し、下層配線層を形成する。
下地配線層を覆うように、プラズマ促進化学気相堆積(PE−CVD)で、窒化シリコン層31を厚さ50nm、酸化シリコン層32を厚さ300nm、窒化シリコン層33を厚さ30nm、酸化シリコン層34を厚さ300nm、反射防止膜となる窒化シリコン層35を厚さ50nm成膜する。なお、中間の窒化シリコン層33は、配線パターンをエッチングする時のエッチストッパとして機能する。中間のエッチストッパ層無しでデュアルダマシンプロセスを行うこともできる。
反射防止用窒化シリコン層35の上に、レジスト層を塗布し、露光現像を行なうことにより、ビア孔に対応した開口部を有するレジストパターンPR1を形成する。レジストパターンPR1をマスクとし、反射防止用窒化シリコン層35、酸化シリコン層34、窒化シリコン層33、酸化シリコン層32のエッチングを行なう。その後レジストパターンPR1は除去する。
図3Bに示すように、形成したビア孔内にレジストと同様の組成を有し、感光性を有さない樹脂を埋め込み、酸素プラズマによりエッチバックし、所定の高さにする。例えば、図に示すように、上部酸化シリコン層34と下部酸化シリコン層32のほぼ中間の高さとする。
図3Cに示すように、反射防止用窒化シリコン層35の上に、配線溝に対応した開口を有するレジストパターンPR2を形成する。このレジストパターン38をマスクとして、窒化シリコン層35、酸化シリコン層34をエッチングする。このエッチングにおいて、窒化シリコン層33はエッチストッパとして機能する。先に形成したビア孔内は、樹脂の詰め物37により保護されている。その後、OとCFのプラズマによりアッシングを行なってレジストパターンPR2、有機樹脂の詰物37を除去する。
図3Dに示すように、配線用トレンチ底に露出した窒化シリコン層33、ビア孔の底に露出した窒化シリコン層31をエッチングする。下層配線の表面が露出する。この時、Arスパッタ、Hプラズマ、H雰囲気中アニール等の前処理を行ない、露出した下層配線層表面を還元処理し、存在し得る自然酸化膜(ケミカルオキサイドを含む)を除去しても良い。
図3Dに示すように、スパッタリングにより例えばTa層38aを厚さ25nm成膜し、さらにシード用Cu層を厚さ100nm成膜する。シード層の上に、電解メッキによりCu層を成膜し、十分な厚さCu層38bを得る。
図3Eに示すように、化学機械研磨(CMP)により、窒化シリコン層35表面上の金属層を除去し、Ta層38a、Cu層38bからなるCu配線38を得る。多層配線を形成する場合は、同様の工程を繰り返す。なお、本明細書においては、添加物を含むCu合金層もCu層と呼び、添加物を含むAl合金層もAl層と呼ぶ。
図2Aに戻って、第3配線層W3の上にエッチストッパ層ES4、第4層間絶縁膜IL4を成膜し、ビア孔を形成して、ビア導電体TVを埋め込む。第4層間絶縁膜IL4の上に、ビア導電体に接続されたアルミニウム最上配線層を形成し、パターニングしてパッドP、シールリングSRを形成する。アルミニウム最上配線層より上では、平坦性の要求が弱いため、アルミニウム最上配線層にはダミー配線は配置しなくてよい。以下、この工程を詳述する。
図3F〜3Iは、最上配線層の製造工程を概略的に示す。
図3Fに示すように、第3銅配線W3の上に、PE−CVDで厚さ70nmの窒化シリコン層で形成されたエッチストッパ層ES4、厚さ600nmの酸化シリコン層で形成された第4層間絶縁膜IL4を成膜する。ビアパターンの開口を有するレジストパターンPR3を形成し、厚さ600nmの第4層間絶縁膜IL4をエッチングする。エッチストッパ層ES4はこのエッチングにおけるストッパとして機能する。その後レジストパターンPR3はアッシングして除去する。
図3Gに示すように、ビア孔を形成した第4層間絶縁膜IL4をマスクとし、その下の窒化シリコンのエッチストッパ層ES4をエッチングする。下層配線W3の表面が露出する。
図3Hに示すように、Arスパッタリングで露出した下層配線の表面を処理した後、スパッタリング等で厚さ50nmのTiN層39aの成膜を行なう。TiN層39aの上に、CVDで厚さ300nmのW層39bを成膜し、ビア孔を埋める。その後、CMPにより、層間絶縁膜IL4表面上のW層39b、TiN層39aを除去する。ビア孔内に埋め込まれたビア導電体が得られる。
図3Iに示すように、厚さ40nmのTi層40a、厚さ30nmのTiN層40b、厚さ1μmのAl層40c、厚さ50nmのTiN層40dをスパッタリングで積層する。この積層アルミニウム配線層の上に、レジストパターンを形成し、エッチングを行うことにより所望形状の最上配線パターンを形成する。最上配線層をアルミニウム配線とした場合、パッドの表面がアルミニウムとなり、ワイアボンディング等に好適となる。
図2Aに戻って、最上配線層を形成した後、この上にカバー層として厚さ1400nmの高密度プラズマ(HDP)酸化シリコン層IS、厚さ500nmの窒化シリコン層PSを成膜する。窒化シリコン層は、耐湿性を有するパッシベーション膜となる。
図2Bに示すように、パッシベーション層PSの上にレジスト層PR4を塗布し、露光現像することによりパッド上の窓PW及び溝を開口する窓GWを開口する。このレジストパターンPR4をマスクとし、パッシベーション層PS、絶縁層ISをエッチングし、さらにパッド表面のTiN層もエッチングする。アルミニウム表面を有するパッドが露出される。
スクライブ領域においては、パッシベーション層PS、層間絶縁膜ISがエッチングされた後、さらにその下の第4層間絶縁膜IL4、エッチストッパ層ES4、第3層間絶縁膜IL3がエッチングされる。オーバーエッチングの程度によっては、さらに下までエッチングされる。このエッチングよってエッチされる領域には、ダミー配線は配置しないようにする。図の状態においては、第3層間絶縁膜IL3までエッチングされるが、その下の第2配線層は露出しないとしている。
図2Cは、エッチング終了後、レジストパターンPR4を除去した状態を示す。表面のTiN層が除去され、アルミニウム表面が露出したパッドP及びスクライブ領域SC内、ダイシング領域DCより外側に各チップ領域を囲む形状の溝Gが形成されている。溝形成領域の少なくともエッチングされ得る配線層にはダミー配線を配置しないため、溝Gのエッチングによってはダミー配線は飛散しない。ダイシング領域DC内の領域dcをダイシングすることにより、各チップは分離される。
図2Dに示すように、ダイシング領域DC内の領域dcをウエハの全厚さに亘って切断するダイシングを行ない、各チップを分離する。ダイシング時に、切断部側面から絶縁層間の剥離が生じ得るが、剥離が回路領域まで侵入することは防止される。
図2Eに示すように、ダイシング工程における衝撃力の印加により、絶縁層界面PLで剥離が生じた場合、剥離が溝G下部にまで達すると、溝Gに向ってクラックが走り、剥離はそれ以上内部には進行しない。
このように、ダイシング工程による剥離を防止しつつ、カバー層エッチングによるダミー配線飛散を防止することができる。溝形成領域においてダミー配線を配置しない配線層は、最上配線層とその近傍の配線層に限定できるため、その下の配線層に関してはスクライブ領域全領域にダミー配線を配置することができる。溝形成領域でダミー配線を配置しない配線層においても、溝形成領域の幅は限られているため、その他の領域にダミー配線を配置することにより、平坦性の悪化は無視できる範囲内に制限することが可能である。
ワイヤボンディングを行なう場合には、アルミニウム表面を有するパッドを設けることが好ましいが、バンプによりアセンブリを行なう場合には、最上層にアルミニウムを用いる必要は無い。全配線層を銅配線で形成することができる。この場合、最上配線層にもダミー配線を配置することが好ましい。
図4A、4Bは、アルミニウム配線層を形成しない場合の実施例を示す。
図4Aに示すように、シリコン基板上に、第3配線層W3までを先の実施例同様にして形成する。
カバー層として厚さ50nmの窒化シリコン層43、厚さ400nmのPE−CVD酸化シリコン層IS、厚さ500nmの窒化シリコン層PSを成膜する。窒化シリコン層のパッシベーション層PSの上に、パッド用窓PWと応力解放溝用窓GWを有するレジストパターンPR5を形成する。レジストパターンPR5をマスクとして、パッシベーション層PS、絶縁層ISをエッチングする。その後、レジストパターンPR5を除去する。パッシベーション層PS、絶縁層ISをマスクとして、窒化シリコン層43をエッチングする。
図4Bに示すように、第3配線層のパッドPが露出する。溝Gにおいては、オーバーエッチングにより第3配線層用の第3層間絶縁膜IL3までエッチングされる。エッチングされる領域にダミー配線を配置しておくと、ダミー配線が飛び散ることになる。エッチングされ得る深さまで、溝形成領域にはダミー配線を配置しないことにより、ダミー配線の飛び散りは生じない。
なお、以上の実施例においては、ダミー配線の形成を制限してパッド用の開口と溝形成を同時に行なっているが、選択エッチングやコントロールエッチングを行ってダミー配線の飛び散りを防ぐこともできる。他にエッチング工程等がある場合、パッド開口と別のエッチング工程により溝をエッチングしても良い。これらの場合、溝の下を含め、スクライブ領域全面にダミー配線を配置することもできる。
図5は、本発明の他の実施例による半導体ウエハの平面図を示す。本実施例においては、ダミー配線DWがスクライブ領域SCの全領域に配置されている。溝G1〜G4は、ダミー配線GWよりも高いレベルに底面を有する。従って、溝G1〜G4とダミー配線GWが重なっても、ダミー配線DWは飛び散らない。
その他の点は、図1の半導体ウエハと同様であるが、溝G1〜G4の下方にもダミー配線DWが形成されるため、溝G1〜G4の幅等に対する制約は緩和される。
図6A−6B、7A−7B、8A−8Bは、図5の構成を実現する3種類の製造方法を概略的に示す断面図である。
図6Aは、図2Aに対応する工程であるが、溝形成領域GRの下方にも、ダミー配線DWが配置されている。
パッシベーション層PSの上に、パッド開口用及び溝形成用の窓を有するレジストパターンを(図2Bに示すように)形成し、パッシベーション層PS、最上絶縁層ISのエッチングを行なう。パッドPの上のパッシベーション層PS、最上絶縁層ISがエッチングされた時点で、溝Gにおいても、パッシベーション層PS、最上絶縁層ISがほぼエッチングされている。オーバエッチングを行なうと、その下の第4層間絶縁膜IL4がエッチングされる。このエッチングにおいて、例えばエッチングガスを窒化シリコンと酸化シリコンに対して選択性の高いエッチングガスとすることにより、第4層間絶縁膜IL4がエッチングされても、その下の第4エッチストッパ層ES4はほとんどエッチングされずに残る。従って、第4エッチストッパ層ES4の下に配置されたダミー配線DW3は露出せず、飛び散ることがない。
図6Bは、パッシベーションPS上のホトレジストパターンを除去した状態を示す。パッドPが開口され、溝Gはパッシベーション層PS表面から、最上絶縁層IS、第4層間絶縁膜IL4を通り、第4エッチングストッパ層ES4の表面まで達しているが、第4エッチングストッパ層ES4のほとんどは残り、ダミー配線DW3は露出していない。
このような選択性のあるエッチングガスとしては、例えばパッシベーション層PSの窒化シリコン層をCFを主エッチングガスとするエッチングで除去した後、CFにCHFを混合したエッチングガスを用いることができる。混合比を上昇させることにより、酸化シリコン層に対する窒化シリコン層のエッチング速度を低く設定することが可能である。
図7A−7Bは、図5の構成を実現する他の製造方法を概略的に示す。
図7Aに示すように、図2A同様の積層構造を形成する際、最上絶縁層ISを成膜した後、その表面をCMP等により平坦化する。パッドP上の最上絶縁層ISの厚さは、溝形成領域GRの最上絶縁層ISの厚さよりも明確に薄くなる。平坦化した最上絶縁層ISの上にパッシベーション層PSを成膜する。
図7Bに示すように、パッシベーション層PSの上にパッド及び溝を開口するホトレジストパターンPR4を形成し、パッシベーションPS及び最上絶縁層ISのエッチングを行なう。パッシベーション層PSは全領域でほぼ同一の厚さを有するため、パッドP上及び溝G上でほぼ同時にエッチングが終了する。最上絶縁層ISのエッチングを行うと、パッドP上の最上絶縁層ISは薄いので、溝Gの下に最上絶縁層ISが未だ残っている時点でパッドP上のエッチングは終了する。エッチング時間をコントロールしたコントロールエッチングを行うことにより、オーバーエッチングを行っても、溝Gは最上絶縁層内に留めることが可能である。なお、オーバーエッチングをより多く行い、最上絶縁層IS及びその下の第4層間絶縁膜IL4をエッチングしてもよい。又、エッチングガスを選択性の高いエッチングガスとし、酸化シリコンと窒化シリコンに対するエッチング選択比を持たせてもよい。溝Gは、少なくともパッシベーション層PSを貫通していればその効果が期待できる。
パッシベーション層PSを成膜した後に行われるエッチングは、パッド開口用のエッチングに限らない。パッド開口とは独立のエッチング工程がある場合、その別のエッチング工程を用いて溝を形成することもできる。溝形成用のエッチング工程を設けてもよい。
図8Aは、パッド開口用のエッチング工程を示す。最上絶縁層IS、パッシベーション層PSを成膜した後、パッド上に開口を有するホトレジストパターンPR6を形成する。ホトレジストパターンPR6をエッチングマスクとし、パッド上のパッシベーション層PS、最上絶縁層ISのエッチングを行う。パッドPを開口した後、ホトレジストパターンPR6は除去する。
他のエッチング工程において、ホトレジストパターンPR7を形成する。このホトレジストパターンPR7には、溝上に溝形成用窓GWを開口する。他のエッチング工程において、開口GWにおいて少なくともパッシベーション層PSのエッチングを行う。パッドPは既に開口されているため、このエッチングは、パッド開口の条件とは独立の条件で行なうことができる。
このような方法により、スクライブ領域SC全面にダミー配線を配置しても、スクライブ領域に溝G1〜G4を選択的に形成することができる。
なお、銅配線の多層配線を形成した後、その上にパッド形成用のアルミニウム配線を形成するような場合、最上銅配線層の上における平坦性はさほど要求されない。従って、最上銅配線層のダミー配線は省略してもよい場合もある。
図9は、スクライブ領域SCにおいて、最上銅配線層にはダミー配線を配置しない場合を示す。シールリングSRよりも内側に各チップ領域においてはダミー配線を配置してもよい。
図10A、10Bは、図9の1点破線X−Xに沿う断面図である。
図10Aは、図2Aに対応する断面であるが、第3配線層において、配線W3と共にチップ内のダミー配線DW3は形成されているが、スクライブ領域SCにおいてはダミー配線は形成されていない。その他の点は図2Aと同様である。
その後、図2Bに示すエッチング工程と同様のエッチング工程を行い、パッドを開口する。
図10Bは、パッド開口用のエッチングを終了し、ホトレジストパターンを除去した状態を示す。パッドP上では、最上配線層IS、パッシベーション層PSがエッチングされ、パッド表面が露出している。溝Gは、パッシベーション層PSを貫通し、最上絶縁層IS、第4層間絶縁膜IL4、第4エッチングストッパ層ES4を貫通し、さらに第3層間絶縁膜IL3にまで達している。しかしながら、スクライブ領域において第3配線層のダミー配線は配置されていないため、溝Gがダミー配線を飛び散らせることはない。チップ領域においてはダミー配線が配置されているため、必要な平坦性は確保できる。スクライブ領域において第3配線のダミー配線を省略したことによる平坦性の劣化は、最小限に留めることができる。なお、チップ領域においてもさほどの平坦性が必要ない場合は、第3配線層のダミー配線をチップ領域においても省略してもよい。
以上の実施例においては、スクライブ領域SCの両側に、各チップ領域を取り囲む溝を形成した。すなわち、スクライブ領域には2本の溝が形成されている。溝の数は2本に限ることはない。ダイシングされる領域のパッシベーション層を除去してもよい。ダイシングされる領域のパッシベーション層を除去すると、ダイシングが簡単化される。
図11は、スクライブ領域に3本の溝を形成した他の実施例を示す平面図である。スクライブ領域SCの中央に、中心線に沿って比較的幅の広い溝CGが形成されている。中央の溝CGは、実際にダイシングされる領域dc内に収めることが好ましい。その他の点は図1の構成と同様である。
図12A、12Bは、図11の1点破線XII−XIIに沿う断面図である。
図12Aに示すように、図2Aに示す構成と同様の構成を有する半導体ウエハの上に、ホトレジストパターンPR8を形成する。ホトレジストパターンPR8は、前述の実施例同様パッドを開口するためのパッド窓PW、溝を開口するための溝窓GWを有する他、ダイシングされる領域DC内に中央溝用の窓CWを有する。ホトレジストパターンPR8をエッチングマスクとし、パッシベーション層PS、最上絶縁層ISを含む絶縁層のエッチングを行う。このエッチング自身は前述の実施例と同様に行うことができる。例えば、窒化シリコン膜をエッチングストッパとす選択エッチングでエッチングを終了させる。
図12Bは、ホトレジストパターンPR8を取り除いた状態を示す断面図である。パッドPが開口され、溝Gが形成される点は前述の実施例と同様であり、さらにスクライブされる領域内に中央溝CGがエッチングされている。中央溝CGを形成することにより、領域dcをダイシングするダイシング工程が簡単になる。ダイシング後の状態としては、前述の実施例と同様であり、前述の実施例同様の効果が期待できる。
以上の実施例においては、層間絶縁膜として酸化シリコン、エッチストッパとして窒化シリコンを主に用いる場合を説明した。層間絶縁膜として酸化シリコン以外の絶縁材料を用いることもできる。特に、多層配線を有する半導体装置において、酸化シリコンよりも誘電率の低いフッ素含有酸化シリコン、酸化炭化シリコンSiOC、有機絶縁層等を用い、配線の寄生容量を低減することもできる。エッチストッパ層としては、窒化シリコンの他SiC等を用いることもできる。
図13、14は、多層配線を有する本発明の他の実施例による半導体装置の製造プロセスを示す半導体ウエハの断面図である。
図13に示すように、シリコン基板10の表面に、シャロートレンチアイソレーション(STI)による素子分離領域11を形成し、素子分離領域11で画定された活性領域内にトランジスタを形成する。トランジスタ構造は、チャネル領域上のゲート絶縁膜12、ゲート絶縁膜上の多結晶シリコンによるゲート電極13、ソース/ドレイン領域15等を含んで形成される。ゲート電極を覆う酸化シリコン等の絶縁層21を成膜し、ソース/ドレイン領域等に達する導電体プラグ17がW等によって形成される。
その表面上に、酸素遮蔽機能を有するエッチストッパ層ES1、第1層間絶縁膜IL1が成膜され、第1層間絶縁膜IL1、エッチストッパ層ES1に第1配線層形成用凹部が形成され、銅配線による第1配線層W1が埋め込まれる。
第1配線層W1の上に、第2エッチストッパ層ES2、第2層間絶縁膜IL2が成膜され、第2銅配線層W2が埋め込まれる。第2配線層W2の上に、エッチストッパ層ES3、層間絶縁膜IL3が成膜され、第3配線層W3が埋め込まれる。第3配線層W3の上に、エッチストッパ層ES4、層間絶縁膜IL4が成膜され、第4配線層W4が埋め込まれる。なお、第1配線層から第4配線層を収納する層間絶縁膜はSiLK等の有機絶縁層で形成される。
図19A〜19Eは、有機絶縁層にダマシン配線を形成するデュアルダマシンプロセスの例を示す。
図19Aに示すように、下層配線50を形成した後、その表面を銅拡散防止層51で覆う。銅拡散防止層は、SiN又はSiCで形成され、エッチストッパ、酸素遮蔽の機能も有する。例えば厚さ30nmのSiC層51を成膜する。SiC層51の上に、SiLKをスピンコートし、400℃で30分間キュアリングを行ない、厚さ450nmのSiLK層52を成膜する。SiLK層52の上に、厚さ50nmのSiC層53をPE−CVDで成膜し、その上にさらに厚さ100nmの酸化シリコン層54をPE−CVDで成膜する。
酸化シリコン層54の上に、配線トレンチ用開口を有するレジストパターンPR1を形成し、酸化シリコン層54をエッチングする。酸化シリコン層54に、配線トレンチ用のパターンが転写される。その後レジストパターンPR1はアッシングして除去する。
図19Bに示すように、ビア孔用開口を有するレジストパターンPR2を形成する。レジストパターンPR2をマスクとし、SiC層53をエッチングする。次ぎに、酸素を含むプラズマでエッチングを行ない、レジストパターンPR2をアッシングすると共に、SiLK層52を途中までエッチングする。レジストパターンPR2は消滅する。
図19Cに示すように、酸化シリコン層54をハードマスクとしてその下に露出しているSiC層53をエッチングする。酸化シリコン層54とSiC層53がハードマスクを構成する。
図19Dに示すように、酸化シリコン層54、SiC層53をマスクとして、SiLK層52をエッチングする。このエッチングにおいて、ビア孔底のSiLK層52もエッチングされ、SiC層51が露出する。例えば、配線用トレンチとしてSiLK層52を深さ200nmまでエッチングする。次ぎに、ビア孔底に露出したSiC層51をエッチングし、下層配線の表面を露出する。
図19Eに示すように、スパッタリングにより厚さ25nmのTa層57aを成膜し、その上にシード用Cu層を厚さ100nm程度スパッタリングで成膜する。なお、下地配線層50が露出した段階で、ArスパッタやHプラズマ、H雰囲気中アニール等で前処理を行ない、下地銅配線層50の表面の自然酸化膜を除去しても良い。シード用Cu層の上に、電解メッキによりCu層を成膜する。配線用溝内にCu層が埋め込まれる。その後、CMPを行ない、酸化シリコン層54表面上の余分な金属層を除去する。なお、CMPにより酸化シリコン層54は消滅してもよい。
図13に戻って、第4配線層の上に、エッチストッパES5,層間絶縁膜IL5を成膜し、配線トレンチ、ビア孔を形成し、配線層W5を埋め込む。同様、その上に、エッチストッパ層ES6、層間絶縁膜IL6、配線層W6による第6配線構造を形成し、エッチストッパ層ES7、層間絶縁膜IL7、配線層W7による第7配線構造を形成し、エッチストッパ層ES8、層間絶縁膜IL8、配線層W8による第8配線層を形成する。第5配線層から第8配線層までを収容する層間絶縁膜IL5〜IL8は、SiOCで形成される。
第8配線層の上にエッチストッパ層ES9、層間絶縁膜IL9、配線層W9による第9配線構造を形成し、その上にエッチストッパ層ES10、層間絶縁膜IL10、配線層W10による第10配線構造を形成する。第9配線層と第10配線層を収容する層間絶縁膜IL9、IL10は、ノンドープの酸化シリコン層(USG)で形成される。
第10配線層の上に、エッチストッパ層ES11、層間絶縁膜IL11を形成し、前述の実施例同様のビア導電体TVを形成する。その後、表面上にパッドP及びシールリングSR最上層を構成するアルミニウム配線層を前述の実施例同様に形成する。最上配線層を覆って、酸化シリコン等により絶縁層ISを成膜し、平坦化した後、その上に窒化シリコン又は窒化酸化シリコンによるパッシベーション層PSを前述の実施例同様形成する。
図14に示すように、パッシベーション層PS上にホトレジスト層PR10を形成し、パッドP及び溝上に開口を形成する。ホトレジストパターンPR10をマスクとしてパッシベーション層PS、最上絶縁層ISのエッチングを行なう。パッド上の領域においては、パッシベーション層PS、絶縁層ISをエッチングし、パッド用窓を形成する。溝Gにおいては、選択エッチング又はコントロールエッチングを行うことにより、パッド窓形成のエッチングと同時に第11層間絶縁膜IL11まで到達する溝Gをエッチングする。
第10配線層W10のダミー配線の上には、エッチングストッパ層ES11がエッチングされずに残り、ダミー配線が飛び散ることはない。
図15は、ダイシング領域においては、最上銅配線層にはダミー配線を形成しない場合の構成を示す。スクライブ領域SCにおいては、第10配線層W10のダミー配線は形成しない。パッドP開口及び溝G形成のエッチングにおいて、溝Gが第10層間絶縁層ILGに侵入するが、第10配線層にはダミー配線は形成されておらず、ダミー配線が飛び散ることが防止される。第10配線層のスクライブ領域においてダミー配線を形成しないが、その上の配線層は少なく、ダミー配線層を形成しないことによる悪影響は最小限にとどめられる。
図16は、パッド開口と溝形成のエッチングを別工程で行なった場合の構成例を示す。パッドPを開口するエッチングと独立に、溝Gを形成するエッチングを行なうため、パッドPを開口するエッチングとは独立に、溝Gを形成するエッチング条件を選択することができる。従って、溝Gをエッチングするエッチング条件を選択することにより、配線層のダミー配線を飛び散らせることを防止することが可能となる。
図17は、パッドPの開口と、溝Gのエッチングを同時に行うが、溝G形成のエッチングが及び得る領域においては、ダミー配線を形成しない場合の構成を示す。図の構成においては、第10配線層W10のダミー配線は、溝形成領域においては作成しない。従って、溝Gが、第10層間絶縁層IL10中に進行しても、そこにはダミー配線は形成されていないため、エッチングによってダミー配線が飛び散ることは防止できる。
図18は、スクライブ領域において、両側の溝Gと共に、ダイシングされるべき領域内に中央溝CGを形成する場合の構成を示す。ダイシングされるべき領域の中央部に溝CGが形成されることにより、ダイシングが簡単化される。ダイシングは中央溝CGより広い領域において行われるため、ダイシングされた後の構成においては、他の実施例と同様の効果が期待される。
図20Aは、図17に示した構成のサンプルをダイシングした状態の上面の顕微鏡写真である。中央の黒い部分dcがダイシングを行なってウエハがなくなった領域である。ダイシング領域の上方に白く見える領域を介して細い溝Gが見える。図中左側領域には、溝に対応する位置から下方の部分Zが一部消失している。ダイシングされた領域から剥離が生じ、溝まで達し、上方にクラックが走り、表面層が消失したと考えられる。溝の上方に見える黒い筋状の部分は耐湿シールリングSRである。さらに上方の大きな矩形領域はパッドPである。
図20Aのサンプルにおいては、第1〜第4層間絶縁膜を有機絶縁層で形成した。有機絶縁層は最も誘電率が低く、配線の寄生容量を低減することができる。第5層間絶縁膜から第8層間絶縁膜IL5〜IL8は、SiOC層で形成した。SiOC層は、有機絶縁層よりは誘電率が高いが、酸化シリコンよりは誘電率が低く、配線の寄生容量を低減することができる。
第9層間絶縁膜と第10層間絶縁膜IL9、IL10は酸化シリコン層で形成した。酸化シリコン層は、有機絶縁層やSiOCよりも誘電率が高いが、非常に安定な絶縁体であり、信頼性が高い。配線層は上層に行くほど配線ピッチが広がり、配線の寄生容量の制限がゆるくなる。従って、下層配線程寄生容量を低減することが望まれる。3種類の層間絶縁膜を用い、この要求を満たしている。
第1〜第4配線層の層間絶縁膜を有機絶縁層からSiOCに変更したサンプルも作成した。
図20Bは、このサンプル上面の顕微鏡写真を示す。下の黒い部分dcがダイシングによりウエハが消失した領域である。下端から一定の距離を隔てた所に溝Gが形成され、さらにその上方にはシールリングSRが形成されている。右側領域においては、ダイシングされた側面から溝にかけて表面部分が消失している。ダイシングされた側面から剥離が生じ、溝下方まで侵入したが、そこで上方にクラックが生じ、表面層が消失したものと考えられる。このように、溝を用いて積極的に応力を解放させることにより、剥離がチップ内部まで侵入することを防止できる。
溝の形状は、上述のものに限定されず、種々可能である。
図21Aは、上述の実施例同様の溝GMの角部内側に補助溝GSを形成した形状である。角部における剥離の侵入をより確実にブロックできる。
図21Bは、上述の溝GMの内側に、さらにループ状の補助溝GSを形成した形状である。全周において、剥離の侵入をより確実にブロックできる。
図21Cは、角部の落し方の変形を示す。矩形の角部を1つの直線で切り落とす代りに、3つの直線で切り落とした形状である。直線の数は複数であればよく、3つに限らない。
図21Dは、角部を落していない形状を示す。剥離の侵入に対する抵抗力は弱くなるが、これでも十分な場合には角部を落とさなくてもよい。
図21Eは、4つの溝LGM1〜LGM4でチップ領域を取り囲んだ形状を示す。溝LGM1〜LGM4は連続した溝ではないが、チップ領域を方位角度的に取り囲んでいる。
以上実施例に沿って本発明を説明したが、本発明はこれらに制限されるものではない。材料や数値は目的などに応じ種々に変更できる。種々の変更、改良、組み合わせが可能なことは当業者に自明であろう。
【産業上の利用の可能性】
多層配線を有する半導体装置に利用できる。特に、銅配線を用いCMPで余分な金属層を除去する半導体装置の製造方法に有効である。
【図1】







【図5】




【図9】


【図11】


【図13】

【図14】

【図15】

【図16】

【図17】

【図18】





【図23】

【図24】

【図25】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)半導体素子を形成した複数のチップ領域と、前記複数のチップ領域を分離し、切断用ダイシング領域を内包するスクライブ領域とを有し、前記スクライブ領域内のダイシング領域より外側に各チップ領域を囲む様に溝形成領域が画定された半導体ウエハを準備する工程と、
(b)前記半導体ウエハの上方に、層間絶縁膜と配線層とを交互に形成した多層配線構造とダミー配線を配置する工程と、
(c)前記多層配線構造を覆って、パッシベーション層を含むカバー層を形成する工程と、
(d)前記溝形成領域において、前記複数のチップ領域の各々を取り囲む溝を上方から、少なくとも前記パッシベーション層を貫通して形成する工程と、
を含む半導体装置の製造方法。
【請求項2】
前記工程(b)が、少なくとも最上配線層においては、溝形成領域にダミー配線を形成しない請求の範囲第1項記載の半導体装置の製造方法。
【請求項3】
前記配線層は銅配線層である銅配線層である請求の範囲第1項記載の半導体装置の製造方法。
【請求項4】
さらに、
(e)前記工程(d)の後、前記ダイシング領域において、前記半導体ウエハをダイシングする工程、
を含む請求の範囲第1項記載の半導体装置の製造方法。
【請求項5】
少なくとも最上配線層は前記スクライブ領域にダミー配線を含まず、その下の配線層は、溝形成領域以外でダミー配線を含む請求の範囲第1項記載の半導体装置の製造方法。
【請求項6】
前記最上配線層はアルミニウム配線層である請求の範囲第5項記載の半導体装置の製造方法。
【請求項7】
前記多層配線構造の最上配線層以外の配線層はダマシン構造の銅配線層である請求の範囲第6項記載の半導体装置の製造方法。
【請求項8】
前記銅配線層の上の層間絶縁膜は、銅の拡散を防止できる銅拡散防止層と、その上の絶縁層を含む請求の範囲第7項記載の半導体装置の製造方法。
【請求項9】
前記多層配線構造の最上配線層は、パッドを含み、前記工程(d)は前記カバー層を選択的に除去して前記パッドを露出させると共に、前記溝形成領域で前記カバー層とその下の層間絶縁膜とを選択的に除去するエッチング工程を含む請求の範囲第1項記載の半導体装置の製造方法。
【請求項10】
前記溝は、チップ領域の各角部の外側で角を落とした形状を有する請求の範囲第1項記載の半導体装置の製造方法。
【請求項11】
前記溝形成領域の幅は、前記スクライブ領域の幅の1/3以下である請求の範囲第1項記載の半導体装置の製造方法。
【請求項12】
前記溝の幅は、0.5μm〜10μmの範囲である請求の範囲第1項記載の半導体装置の製造方法。
【請求項13】
半導体素子を形成した複数のチップ領域と、前記複数のチップ領域を分離し、切断用ダイシング領域を内包するスクライブ領域とを有し、前記スクライブ領域内のダイシング領域より外側に各チップ領域を囲む様に溝形成領域が画定された半導体ウエハと、
前記半導体ウエハの上方に形成された、層間絶縁膜と配線層とを交互に積層した多層配線構造およびダミー配線を含む多層配線構造と、
前記多層配線構造を覆って形成された、パッシベーション層を含むカバー層と、
前記溝形成領域において、上方から、少なくとも前記パッシベーション層を貫通して形成された溝と、
を含む半導体ウエハ。
【請求項14】
前記多層配線構造は、少なくとも最上配線層においては、溝形成領域にダミー配線が配置されていない請求の範囲第13項記載の半導体ウエハ。
【請求項15】
前記溝の幅は、0.5μm〜10μmの範囲である請求の範囲第13項記載の半導体ウエハ。
【請求項16】
前記多層配線構造の最上配線層は、パッドを含み、
さらに、前記カバー層を貫通して前記パッドを露出するパッド用開口を含み、
前記溝は、前記カバー層を貫通し、その下の層間絶縁膜内に到達する請求の範囲第13項記載の半導体ウエハ。
【請求項17】
さらに、前記各チップ領域において、前記多層配線構造の外側に配置され、前記層間絶縁膜を貫通して、前記配線層と同一層により形成されたループ状の耐湿リングを有する請求の範囲第13項記載の半導体ウエハ。
【請求項18】
前記層間絶縁膜は、銅の拡散を防止できる銅拡散防止層と、その上の絶縁層を含み、下層と上層とで絶縁層の材料が異なる請求の範囲第13項記載の半導体ウエハ。
【請求項19】
前記溝は、チップ領域の各角部の外側で角を落とした形状を有する請求の範囲第13項記載の半導体ウエハ。
【請求項20】
半導体素子を形成したチップ領域と、前記チップ領域周囲のスクライブ領域とを有し、前記スクライブ領域内に各チップ領域を囲む様に溝形成領域が画定された半導体基板と、
前記半導体基板の上方に形成された、層間絶縁膜と配線層とを交互に積層した多層配線構造およびダミー配線を含む多層配線構造と、
前記多層配線構造を覆って形成された、パッシベーション層を含むカバー層と、
前記溝形成領域において、上方から、少なくとも前記パッシベーション層を貫通して形成された溝と、
を含む半導体装置。
【請求項21】
前記溝の幅は、0.5μm〜10μmの範囲である請求の範囲第20項記載の半導体装置。
【請求項22】
前記多層配線構造の最上配線層は、パッドを含み、
さらに、前記カバー層を貫通して前記パッドを露出するパッド用開口を含み、
前記溝は、前記カバー層を貫通し、その下の層間絶縁膜内に到達する請求の範囲第20項記載の半導体装置。
【請求項23】
さらに、前記各チップ領域において、前記多層配線構造の外側に配置され、前記層間絶縁膜を貫通して、前記配線層と同一層により形成されたループ状の耐湿リングを有する請求の範囲第20項記載の半導体装置。
【請求項24】
前記層間絶縁膜は、銅の拡散を防止できる銅拡散防止層と、その上の絶縁層を含み、下層と上層とで絶縁層の材料が異なる請求の範囲第20項記載の半導体装置。
【請求項25】
前記溝は、チップ領域の各角部の外側で角を落とした形状を有する請求の範囲第20項記載の半導体装置。
【請求項26】
前記溝の外側で、前記多層配線構造の層間絶縁膜が一部欠落している請求の範囲第20項記載の半導体装置。
【請求項27】
前記層間絶縁膜が欠落している部分の表面は、前記溝の底面より低い請求の範囲第26項記載の半導体装置。
【請求項28】
前記層間絶縁膜が欠落している部分の底面は層間絶縁膜の界面を含み、側面は前記界面から前記溝に達する劈開面を含む請求の範囲第27項記載の半導体装置。

【国際公開番号】WO2004/097917
【国際公開日】平成16年11月11日(2004.11.11)
【発行日】平成18年7月13日(2006.7.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−505818(P2005−505818)
【国際出願番号】PCT/JP2004/000583
【国際出願日】平成16年1月23日(2004.1.23)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】