半導体装置の製造方法
【目的】膜切れの無い均一なシード膜を形成する半導体装置の製造方法を提供することを目的とする。
【構成】本発明の一態様の半導体装置の製造方法は、基体上に絶縁膜を形成する工程(S102)と、絶縁膜に開口部を形成する工程(S104)と、開口部内に光触媒膜を形成する工程(S110)と、Cuを含有する溶液に光触媒膜を浸漬させた状態で光触媒膜に紫外線を照射する工程(S112)と、開口部内に電解めっき法によりCuを埋め込む工程(S114)と、を備えたことを特徴とする。
【構成】本発明の一態様の半導体装置の製造方法は、基体上に絶縁膜を形成する工程(S102)と、絶縁膜に開口部を形成する工程(S104)と、開口部内に光触媒膜を形成する工程(S110)と、Cuを含有する溶液に光触媒膜を浸漬させた状態で光触媒膜に紫外線を照射する工程(S112)と、開口部内に電解めっき法によりCuを埋め込む工程(S114)と、を備えたことを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置の製造方法に係り、例えば、絶縁膜に形成された開口部内に銅(Cu)膜を形成する工程を有する半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体集積回路(LSI)の高集積化、及び高性能化に伴って新たな微細加工技術が開発されている。特に、最近はLSIの高速化を達成するために、配線材料を従来のアルミ(Al)合金から低抵抗の銅(Cu)或いはCu合金(以下、まとめてCuと称する。)に代える動きが進んでいる。Cuは、Al合金配線の形成において頻繁に用いられたドライエッチング法による微細加工が困難であるので、溝加工が施された絶縁膜上にCu膜を堆積し、溝内に埋め込まれた部分以外のCu膜を化学機械研磨(CMP)により除去して埋め込み配線を形成する、いわゆるダマシン(damascene)法が主に採用されている。Cu膜はスパッタ法などで薄いシード層を形成した後に電解めっき法により数100nm程度の厚さの積層膜を形成することが一般的である(例えば、特許文献1参照)。さらに、多層Cu配線を形成する場合は、特に、デュアルダマシン構造と呼ばれる配線形成方法を用いることもできる。かかる方法では、下層配線上に絶縁膜を堆積し、所定のヴィアホール(孔)及び上層配線用のトレンチ(配線溝)を形成した後に、ヴィアホールとトレンチに配線材料となるCuを同時に埋め込み、さらに、上層の不要なCuをCMPにより除去し平坦化することにより埋め込み配線を形成する。
【0003】
そして、最近は層間絶縁膜として比誘電率の低い低誘電率材料膜(low−k膜)を用いることが検討されている。すなわち、比誘電率kが、約4.2のシリコン酸化膜(SiO2膜)から比誘電率kが2.6以下の低誘電率材料膜(low−k膜)を用いることにより、配線間の寄生容量を低減することが試みられている。特に、低誘電率化のために絶縁膜中に微細な空孔を有する、いわゆる多孔性絶縁膜を用いたプロセスが開発されている。そして、上述したダマシン法によりCu配線を形成する際に、Cuがlow−k膜中へと拡散することを防止するためにバリアメタル膜がCuとlow−k膜との間に形成される。
【0004】
ここで、ヴィアホールやトレンチ内に電解めっき法でCu膜を埋め込むには、カソード極となるシード膜が必要となるが、高集積化に伴ってヴィアホール径やトレンチ幅が狭くなると、それに伴いシード膜を薄くかつ均一に形成する必要がある。シード膜が薄くなるに伴ない、スパッタ法では、特に溝の側面において膜が形成されない領域が生じ、所謂膜切れが起こってしまうといった問題があった。膜切れが起こってしまうとその部分ではCuがめっきされないので埋め込み不良の原因となってしまう。膜切れのない均一なシード膜を形成するためには、CVD、エレクトログラフティング技術などが考慮されるものの、密着性などに問題があり、実現に至っていない。
【特許文献1】特開2007−317702号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上述した問題点を克服し、膜切れの無い均一なCu膜を形成できる半導体装置の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様の半導体装置の製造方法は、基体上に絶縁膜を形成する工程と、前記絶縁膜に開口部を形成する工程と、前記開口部内に光触媒膜を形成する工程と、銅(Cu)を含有する溶液に前記光触媒膜を浸漬させた状態で前記光触媒膜にエネルギーを照射して前記開口部内の前記光触媒膜上にCuを堆積させる工程と、を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、光触媒膜の光電変換作用により開口部内に膜切れの無い均一なCu膜を形成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
実施の形態1.
実施の形態1では、光触媒膜を露出面側から形成する場合について説明する。以下、図面を用いて、実施の形態1について説明する。
【0009】
図1は、実施の形態1における半導体装置の製造方法の要部を表すフローチャートである。図1において、本実施の形態では、low−k膜形成工程(S102)と、開口部形成工程(S104)と、ガス抜き及びアニール工程(S106)と、チタン(Ti)膜形成工程(S108)と、酸化チタン(TiO2)膜形成工程(S110)と、紫外線照射工程(S112)と、電解めっき及びアニール工程(S114)と、研磨工程(S116)と、拡散防止膜形成工程(S118)と、low−k膜形成工程(S120)と、開口部形成工程(S122)と、ガス抜き及びアニール工程(S124)と、Ti膜形成工程(S126)と、TiO2膜形成工程(S128)と、紫外線照射工程(S130)と、電解めっき及びアニール工程(S132)と、研磨工程(S134)という一連の工程を実施する。
【0010】
図2は、図1のフローチャートに対応して実施される工程を表す工程断面図である。
図2では、図1のlow−k膜形成工程(S102)からTiO2膜形成工程(S110)までを示している。それ以降の工程は後述する。
【0011】
図2(a)において、low−k膜形成工程(S102)として、基板200の上に多孔質の低誘電率絶縁性材料を用いたlow−k膜220を例えば120nmの厚さで形成する。low−k膜220を形成することで、比誘電率kが3.5よりも低い層間絶縁膜を得ることができる。low−k膜220の材料として、例えば、SiOCが挙げられる。形成方法は、例えば、化学気相成長(CVD)法を用いればよいが、CVD法に限らず、例えば、溶液をスピンコートし熱処理して薄膜を形成するSOD(spin on dielectric coating)法を用いることができる。例えば、比誘電率が2.5未満の低誘電率絶縁材料となるポリメチルシロキサンを成分としたLKD(Low−K Dielectric material:JSR製)を用いてlow−k膜220を形成することもできる。low−k膜220の材料としては、CVD法で形成したSiOCやSOD法によるポリメチルシロキサンの他に、例えば、ポリシロキサン、ハイドロジェンシロセスキオキサン、メチルシロセスキオキサンなどのシロキサン骨格を有する膜、ポリアリーレンエーテル、ポリベンゾオキサゾール、ポリベンゾシクロブテンなどの有機樹脂を主成分とする膜、および多孔質シリカ膜などのポーラス膜からなる群から選択される少なくとも一種を用いて形成しても構わない。かかるlow−k膜220の材料では、比誘電率が2.5未満の低誘電率を得ることができる。例えば、スピナーで成膜し、このウェハをホットプレート上で窒素雰囲気中でのベークを行った後、最終的にホットプレート上で窒素雰囲気中ベーク温度よりも高温でキュアを行なうことにより形成することができる。low−k材料や形成条件などを適宜調節することにより、所定の物性値を有する多孔質の絶縁膜が得られる。また、基板200として、例えば、直径300ミリのシリコンウェハを用いる。ここでは、下層配線層やデバイス部分の形成を省略している。
【0012】
図2(b)において、開口部形成工程(S104)として、リソグラフィー工程とドライエッチング工程でダマシン配線を作製するための配線溝構造である開口部150をlow−k膜220内に形成する。例えば、60nmの幅で開口する。図示していないレジスト塗布工程、露光工程等のリソグラフィー工程を経てlow−k膜220の上にレジスト膜が形成された基板200に対し、露出したlow−k膜220を異方性エッチング法により除去して開口部150を形成すればよい。異方性エッチング法を用いることで、基板200の表面に対し、略垂直に開口部150を形成することができる。例えば、一例として、反応性イオンエッチング法により開口部150を形成すればよい。
【0013】
次に、ガス抜き及びアニール工程(S106)として、開口部150が形成された基板200に対し減圧下でガス抜き(デガス)を行う。例えば、250℃の温度条件で30秒間行う。これにより、水(H2O)や酸素(O2)を排出する。続いて、水素(H2)雰囲気下において350℃でアニール処理を行う。
【0014】
図2(c)において、Ti膜形成工程(S108)として、開口部150及びlow−k膜220表面にTi膜240を形成する。物理気相成長(physical vapor deposition:PVD)法の1つであるスパッタ法を用いるスパッタリング装置内でTi膜240を例えば膜厚5nm堆積し、Ti膜240を形成する。形成方法としては、PVD法に限らず、原子層気相成長(atomic layer deposition:ALD、あるいは、atomic layer chemical vapor deposition:ALCVD)法やCVD法などを用いることができる。PVD法を用いる場合より被覆率を良くすることができる。また、Ti膜240の代わりに、ジルコニウム(Zr)膜を用いてもよい。
【0015】
図2(d)において、TiO2膜形成工程(S110)として、O2雰囲気下でTi膜240が表面に形成された基板200を例えば400℃以下で加熱することで、Ti膜240の表面側の一部に光触媒膜となるTiO2膜242を形成する。このようにして開口部150内の側面と底面に光触媒膜を形成する。ここでは、Ti膜240を全部酸化させるのではなく、表面の一部を酸化させる。これにより、アナターゼ型の結晶構造を有するTiO2膜242を形成することができる。アナターゼ型とすることでルチル型と異なり導電性を確保することができる。また、Ti膜240を残すことでCuに対するバリア性を確保することができる。ここでは、開口部150外の表面と開口部150内の側面と底面にそれぞれTiO2膜242が散りばめられるように形成されているが、少なくとも開口部150内の側面にTiO2膜242を散りばめられればよい。また、Ti膜240の代わりにZr膜を用いた場合にはかかる処理によりアナターゼ型の結晶構造を有する酸化ジルコニウム(ZrO)膜をZr膜表面の一部に形成することができる。かかるZrOも光触媒膜として用いることができる。
【0016】
図3は、図1のフローチャートに対応して実施される工程を表す工程断面図である。
図3では、図1の紫外線照射工程(S112)から拡散防止膜形成工程(S118)までを示している。それ以降の工程は後述する。
【0017】
図3(a)において、紫外線照射工程(S112)として、Cuを含有する溶液にTiO2膜242を浸漬させた状態でTiO2膜242に紫外線を照射する。TiO2膜242に紫外線を照射することで、開口部150内壁にCuのシード膜250を形成することができる。ここでは、次の工程の電解めっき工程(S114)で用いるめっき槽内でTiO2膜242に紫外線を照射する。
【0018】
図4は、実施の形態1における電解めっき装置内で紫外線照射を行う場合の装置構成の一例を示す概念図である。図4において、電解めっきに用いるめっき液502が入っためっき槽500にホルダー520に表面を下向きに保持された基板300を回転させながら入槽させる。また、入槽させる際に、基板300とめっき液502との間に空気が残らないように基板を所定の角度だけ傾けた状態で入槽させるとなおよい。ここでの基板300は、上述した各工程を実施後のTiO2膜242が形成された基板を用いる。基板300表面側の負極、及び基板300と対向する位置に配置されたアノード電極510間には電圧が印加されないようにスイッチ540をOFFにしておく。かかる状態で、めっき槽500内に配置された紫外線ランプ530からTiO2膜242に紫外線532を照射する。また、基板300を回転させているため、均一に紫外線をTiO2膜242に照射することができる。
【0019】
図5は、実施の形態1における紫外線ランプの一例を示す概念図である。紫外線ランプ530は、基板300表面全体に紫外線532が当たるように図5に示すような棒状ランプが複数回折り返す形状にすると好適である。或いは、渦巻き形状としても好適である。基板300とアノード電極510間に隙間を空けておくことで次の電解めっき工程における電流を流すことができる。
【0020】
図6は、実施の形態1におけるシード膜形成のプロセスを説明するための概念図である。TiO2膜242に紫外線532が照射されると光触媒作用により光電変換される。光電変換により電子が放射され、めっき液502中のCuイオンがCuとなって開口部150内壁および基板300の表面に堆積する。TiO2膜242における光電変換には3.2eVのエネルギーが必要となるがこれを波長に換算すると400nm程度となるため、エネルギー線として波長が400nm以下の紫外線を照射することでCuを堆積させることができる。その際、TiO2膜242は等方的に電子が放射されるのでTiO2膜242が隙間を空けてまばらに形成されていても開口部150内壁および基板300の表面に均一にCuを堆積させることができる。このようにして、Cuのシード膜250を例えば15nm形成する。紫外線照射でシード膜250を形成することで薄くかつ膜切れのない均一な膜を形成することができる。
【0021】
図3(b)において、電解めっき及びアニール工程(S114)として、シード膜250をカソード極とした電解めっきによる電気化学成長法により、Cu膜260を開口部150内及び基板200表面に堆積させる。ここでは、例えば膜厚300nmのCu膜260を堆積させる。かかる電解めっき法により開口部150全体が埋まるようにCuを埋め込む。そして、Cu膜260を堆積させた後にデガス処理とアニール処理を行なう。デガス処理は、減圧下で、例えば、250℃の温度条件で30秒間行う。これにより、H2OやO2を排出する。続いて、H2雰囲気下において例えば350℃でアニール処理を60秒間行ってCuを還元する。
【0022】
図7は、図4に示す装置で電解めっきを行う場合を説明するための概念図である。図7において、シード膜250が形成された後にめっき槽500内で引き続き電解めっきを行う。スイッチ540をONにして、アノード電極510を陽極(アノード)、めっき面となる基板300のシード膜250を陰極(カソード)として所定の電流密度の電流を流し、電解めっきを行なう。紫外線ランプ530はアノードとカソード間の電流を妨げないように隙間が形成されており、また、基板300は回転させているので、均一にCuをシード膜250上にめっきすることができる。
【0023】
ここで、言い換えれば、実施の形態1では、電解めっき処理の前半で通電せずに紫外線照射を行って開口部150内壁にシード膜250を形成し、後半で、通電して開口部150の残りを完全に埋め込む。ここでは、電解めっき法により開口部150全体を埋め込んでいるが、配線幅が狭い場合には紫外線照射時のCuの堆積により開口部全体を埋め込んでも構わない。
【0024】
図3(c)において、研磨工程(S116)として、CMP法によって、基板200の表面を研磨して、開口部以外に表面に堆積したシード膜250を含むCu膜260とTiO2膜242を含むTi膜240を研磨除去して、図3(c)に示すように平坦化する。以上のようにして、ダマシン配線を形成することができる。多層配線を形成するべく、次に、上層側の配線を形成する場合について説明する。
【0025】
図3(d)において、拡散防止膜形成工程(S118)として、CVD法を用いて、平坦化された基板200表面に拡散防止膜222を例えば30nm形成する。拡散防止膜222の材料として、例えば、炭窒化シリコン(SiCN)を用いればよい。拡散防止膜222を形成することで、上層の絶縁膜への下層のCu配線中のCuの拡散を防止することができる。
【0026】
図8は、図1の研磨工程(S134)が終了した段階での半導体装置の工程断面図である。上層側の配線を形成する各工程は、上述した下層配線層の形成方法と同様である。まず、low−k膜形成工程(S120)として、拡散防止膜222上にlow−k膜270を例えば210nmの厚さで形成する。low−k膜270は、ヴィアプラグ層と上層配線層の層間絶縁膜となる。
【0027】
次に、開口部形成工程(S122)として、リソグラフィー工程とドライエッチング工程でデュアルダマシン配線を作製するためのヴィアホールとトレンチをlow−k膜270内に形成する。例えば、ヴィアホールを60nmの径でトレンチ幅も60nmで開口する。どちらを先に形成しても構わない。いずれも図示していないレジスト塗布工程、露光工程等のリソグラフィー工程を経てlow−k膜270の上にレジスト膜が形成された基板200に対し、露出したlow−k膜270を異方性エッチング法により除去して形成すればよい。ヴィアホールを形成する際には、拡散防止膜222をエッチングストッパとして開口すればよい。そして、low−k膜270中のヴィアホール下で露出した拡散防止膜222をエッチングすることで下層配線へと続くヴィアホールを完成することができる。
【0028】
次に、ガス抜き及びアニール工程(S124)として、ヴィアホールとトレンチが形成された基板200に対し減圧下でデガス処理を行う。例えば、250℃の温度条件で30秒間行う。そして、Ti膜形成工程(S126)として、ヴィアホールとトレンチ内及びlow−k膜270表面にTi膜244を形成する。形成方法は、Ti膜240と同様で構わない。また、ここでもTi膜244の代わりに、ジルコニウム(Zr)膜を用いてもよい。
【0029】
次に、TiO2膜形成工程(S128)として、O2雰囲気下でTi膜244が表面に形成された基板200を例えば400℃以下で加熱することで、Ti膜244の表面側の一部に光触媒膜となるTiO2膜246を形成する。このようにしてヴィアホールとトレンチ内の側面と底面に光触媒膜を形成する。ここでも、Ti膜244を全部酸化させるのではなく、表面の一部を酸化させる。これにより、アナターゼ型の結晶構造を有するTiO2膜246を形成することができる。また、Ti膜244の代わりにZr膜を用いた場合にはかかる処理によりアナターゼ型の結晶構造を有する酸化ジルコニウム(ZrO)膜をZr膜表面の一部に形成することができる。かかるZrOも光触媒膜として用いることができる。
【0030】
そして、紫外線照射工程(S130)として、電解めっき用のめっき液にTiO2膜246を浸漬させた状態でTiO2膜246に紫外線を照射する。TiO2膜246に紫外線を照射することで図示しないCuのシード膜を例えば15nm形成する。そして、電解めっき及びアニール工程(S132)として、めっき槽内で引き続き、シード膜をカソード極として、電解めっきによる電気化学成長法によりCu膜262をヴィアホール及びトレンチ内及び基板200表面に堆積させる。そして、Cu膜262を堆積させた後にデガス処理とアニール処理を行なう。デガス処理は、減圧下で、例えば、250℃の温度条件で30秒間行う。これにより、H2OやO2を排出する。続いて、H2雰囲気下において例えば350℃でアニール処理を60秒間行ってCuを還元する。そして、研磨工程(S134)として、CMP法によって、基板200の表面を研磨して、開口部以外に表面に堆積したシード膜を含むCu膜262とTiO2膜246を含むTi膜244を研磨除去して、図8に示すように平坦化する。以上のようにして、ヴィアプラグと上層配線を同時に埋め込んだデュアルダマシン配線を形成することができる。
【0031】
以上のようにして、多層配線を形成後、図示しないSiCキャップ膜を形成し、その後、パッシベ−ション膜として、d−TEOS、p−SiNを形成する。そして、更にAlパッドを形成することにより、Cuを大気に触れさせること無くAl電極を多層配線構造の表層に形成すればよい。
【0032】
実施の形態2.
実施の形態1では、Ti膜240,244の露出面(表面)側の一部を酸化させることによりTiO2膜242,246を形成したが、これに限るものではない。実施の形態2では、絶縁膜側(裏面側)の一部を酸化させることによりTiO2膜242,246を形成する場合について説明する。半導体装置の製造方法の要部工程を表すフローチャートは、図1と同様である。また、TiO2膜形成工程(S110)及びTiO2膜形成工程(S128)の内容以外は、実施の形態1で説明した内容と同様である。
【0033】
図9は、実施の形態2におけるTiO2膜形成工程(S110)と研磨工程(S134)終了後の半導体装置の工程断面図である。
【0034】
図9(a)において、TiO2膜形成工程(S110)として、図1のTi膜形成工程(S108)後の状態からO2を供給せずにTi膜240が表面に形成された基板200を例えば400℃以下で加熱することで、Ti膜240のlow−k膜220側の一部に光触媒膜となるTiO2膜242を形成する。
【0035】
図10は、実施の形態2におけるTiO2膜の形成の様子を説明するための概念図である。TiO2膜242は、Ti膜240がlow−k膜220中の酸化成分によりlow−k膜220側から酸化されることによって形成される。例えば、加熱された状態でlow−k膜220中のH2OやO2がTi膜240と接触することでTiO2膜242が形成される。ここでは、開口部150の側壁にTiO2膜242が散らばって形成される。low−k膜220中の酸化成分によりTi膜240の一部を酸化させることでO2コストを低減することができる。
【0036】
そして、以下、紫外線照射工程(S112)からTi膜形成工程(S126)までが実施の形態1と同様に実施される。そして、TiO2膜形成工程(S128)も実施の形態2におけるTiO2膜形成工程(S110)と同様に実施される。そして、残りの紫外線照射工程(S130)から研磨工程(S134)が実施の形態1と同様に実施される。以上のように各工程を実施することにより図9(b)に示す多層配線を形成することができる。
【0037】
実施の形態2では、開口部150の底面にTiO2膜242が形成されないが、上述したように、TiO2膜242は、紫外線が照射されると等方的に電子を放射するため、開口部150の底面にTiO2膜242が形成されなくても、実施の形態1と同様、シード膜250を膜切れなく均一に形成することができる。
【0038】
実施の形態3.
実施の形態1,2では、Ti膜240,244を形成後、一部を酸化させることでTiO2膜242,246を形成したが、これに限るものではない。実施の形態3では、他の方法でTiO2膜242,246を形成する場合について説明する。半導体装置の製造方法の要部工程を表すフローチャートは、図1と同様である。また、TiO2膜形成工程(S110)及びTiO2膜形成工程(S128)の内容以外は、実施の形態1で説明した内容と同様である。
【0039】
図11は、実施の形態3におけるTiO2膜形成工程(S110)と研磨工程(S134)終了後の半導体装置の工程断面図である。
【0040】
図11(a)において、TiO2膜形成工程(S110)として、図1のTi膜形成工程(S108)後の状態から、スパッタ法の一種であるSIS(Self ionized Sputter)法を用いて、Ti膜240上の一部に光触媒膜となるTiO2膜242を形成する。このように、スパッタ法でTiO2膜242を形成しても好適である。
【0041】
或いは、Ti膜形成工程(S108)でTi膜240を形成する際に、O2ガスを微量流すことで、Ti膜240上の一部或いはTi膜240中の一部に光触媒膜となるTiO2膜242を形成しても好適である。かかる場合には、Ti膜形成工程(S108)とTiO2膜形成工程(S110)とを同時に行うことになる。よって、工程数を減らすことができる。
【0042】
以上のようにTiO2膜形成工程(S110)を実施しても、実施の形態1と同様、開口部150の側壁及び底面にTiO2膜242が散らばって形成される。そして、以下、紫外線照射工程(S112)からTi膜形成工程(S126)までが実施の形態1と同様に実施される。そして、TiO2膜形成工程(S128)も実施の形態3におけるTiO2膜形成工程(S110)と同様に実施される。そして、残りの紫外線照射工程(S130)から研磨工程(S134)が実施の形態1と同様に実施される。以上のように各工程を実施することにより図11(b)に示す多層配線を形成することができる。
【0043】
実施の形態3におけるTiO2膜形成工程(S110)によって、TiO2膜242を形成しても実施の形態1と同様にシード膜250を膜切れなく均一に形成することができる。
【0044】
以上、具体例を参照しつつ実施の形態について説明した。しかし、本発明は、これらの具体例に限定されるものではない。
【0045】
また、層間絶縁膜の膜厚や、開口部のサイズ、形状、数などについても、半導体集積回路や各種の半導体素子において必要とされるものを適宜選択して用いることができる。
【0046】
その他、本発明の要素を具備し、当業者が適宜設計変更しうる全ての半導体装置の製造方法は、本発明の範囲に包含される。
【0047】
また、説明の簡便化のために、半導体産業で通常用いられる手法、例えば、フォトリソグラフィプロセス、処理前後のクリーニング等は省略しているが、それらの手法が含まれ得ることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】実施の形態1における半導体装置の製造方法の要部を表すフローチャートである。
【図2】図1のフローチャートに対応して実施される工程を表す工程断面図である。
【図3】図1のフローチャートに対応して実施される工程を表す工程断面図である。
【図4】実施の形態1における電解めっき装置内で紫外線照射を行う場合の装置構成の一例を示す概念図である。
【図5】実施の形態1における紫外線ランプの一例を示す概念図である。
【図6】実施の形態1におけるシード膜形成のプロセスを説明するための概念図である。
【図7】図4に示す装置で電解めっきを行う場合を説明するための概念図である。
【図8】図1の研磨工程(S134)が終了した段階での半導体装置の工程断面図である。
【図9】実施の形態2におけるTiO2膜形成工程(S110)と研磨工程(S134)終了後の半導体装置の工程断面図である。
【図10】実施の形態2におけるTiO2膜の形成の様子を説明するための概念図である。
【図11】実施の形態3におけるTiO2膜形成工程(S110)と研磨工程(S134)終了後の半導体装置の工程断面図である。
【符号の説明】
【0049】
150 開口部、200,300 基板、220 low−k膜、240,244 Ti膜、242,246 TiO2膜、250 シード膜、260 Cu膜、502 めっき液、532 紫外線
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置の製造方法に係り、例えば、絶縁膜に形成された開口部内に銅(Cu)膜を形成する工程を有する半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体集積回路(LSI)の高集積化、及び高性能化に伴って新たな微細加工技術が開発されている。特に、最近はLSIの高速化を達成するために、配線材料を従来のアルミ(Al)合金から低抵抗の銅(Cu)或いはCu合金(以下、まとめてCuと称する。)に代える動きが進んでいる。Cuは、Al合金配線の形成において頻繁に用いられたドライエッチング法による微細加工が困難であるので、溝加工が施された絶縁膜上にCu膜を堆積し、溝内に埋め込まれた部分以外のCu膜を化学機械研磨(CMP)により除去して埋め込み配線を形成する、いわゆるダマシン(damascene)法が主に採用されている。Cu膜はスパッタ法などで薄いシード層を形成した後に電解めっき法により数100nm程度の厚さの積層膜を形成することが一般的である(例えば、特許文献1参照)。さらに、多層Cu配線を形成する場合は、特に、デュアルダマシン構造と呼ばれる配線形成方法を用いることもできる。かかる方法では、下層配線上に絶縁膜を堆積し、所定のヴィアホール(孔)及び上層配線用のトレンチ(配線溝)を形成した後に、ヴィアホールとトレンチに配線材料となるCuを同時に埋め込み、さらに、上層の不要なCuをCMPにより除去し平坦化することにより埋め込み配線を形成する。
【0003】
そして、最近は層間絶縁膜として比誘電率の低い低誘電率材料膜(low−k膜)を用いることが検討されている。すなわち、比誘電率kが、約4.2のシリコン酸化膜(SiO2膜)から比誘電率kが2.6以下の低誘電率材料膜(low−k膜)を用いることにより、配線間の寄生容量を低減することが試みられている。特に、低誘電率化のために絶縁膜中に微細な空孔を有する、いわゆる多孔性絶縁膜を用いたプロセスが開発されている。そして、上述したダマシン法によりCu配線を形成する際に、Cuがlow−k膜中へと拡散することを防止するためにバリアメタル膜がCuとlow−k膜との間に形成される。
【0004】
ここで、ヴィアホールやトレンチ内に電解めっき法でCu膜を埋め込むには、カソード極となるシード膜が必要となるが、高集積化に伴ってヴィアホール径やトレンチ幅が狭くなると、それに伴いシード膜を薄くかつ均一に形成する必要がある。シード膜が薄くなるに伴ない、スパッタ法では、特に溝の側面において膜が形成されない領域が生じ、所謂膜切れが起こってしまうといった問題があった。膜切れが起こってしまうとその部分ではCuがめっきされないので埋め込み不良の原因となってしまう。膜切れのない均一なシード膜を形成するためには、CVD、エレクトログラフティング技術などが考慮されるものの、密着性などに問題があり、実現に至っていない。
【特許文献1】特開2007−317702号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上述した問題点を克服し、膜切れの無い均一なCu膜を形成できる半導体装置の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様の半導体装置の製造方法は、基体上に絶縁膜を形成する工程と、前記絶縁膜に開口部を形成する工程と、前記開口部内に光触媒膜を形成する工程と、銅(Cu)を含有する溶液に前記光触媒膜を浸漬させた状態で前記光触媒膜にエネルギーを照射して前記開口部内の前記光触媒膜上にCuを堆積させる工程と、を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、光触媒膜の光電変換作用により開口部内に膜切れの無い均一なCu膜を形成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
実施の形態1.
実施の形態1では、光触媒膜を露出面側から形成する場合について説明する。以下、図面を用いて、実施の形態1について説明する。
【0009】
図1は、実施の形態1における半導体装置の製造方法の要部を表すフローチャートである。図1において、本実施の形態では、low−k膜形成工程(S102)と、開口部形成工程(S104)と、ガス抜き及びアニール工程(S106)と、チタン(Ti)膜形成工程(S108)と、酸化チタン(TiO2)膜形成工程(S110)と、紫外線照射工程(S112)と、電解めっき及びアニール工程(S114)と、研磨工程(S116)と、拡散防止膜形成工程(S118)と、low−k膜形成工程(S120)と、開口部形成工程(S122)と、ガス抜き及びアニール工程(S124)と、Ti膜形成工程(S126)と、TiO2膜形成工程(S128)と、紫外線照射工程(S130)と、電解めっき及びアニール工程(S132)と、研磨工程(S134)という一連の工程を実施する。
【0010】
図2は、図1のフローチャートに対応して実施される工程を表す工程断面図である。
図2では、図1のlow−k膜形成工程(S102)からTiO2膜形成工程(S110)までを示している。それ以降の工程は後述する。
【0011】
図2(a)において、low−k膜形成工程(S102)として、基板200の上に多孔質の低誘電率絶縁性材料を用いたlow−k膜220を例えば120nmの厚さで形成する。low−k膜220を形成することで、比誘電率kが3.5よりも低い層間絶縁膜を得ることができる。low−k膜220の材料として、例えば、SiOCが挙げられる。形成方法は、例えば、化学気相成長(CVD)法を用いればよいが、CVD法に限らず、例えば、溶液をスピンコートし熱処理して薄膜を形成するSOD(spin on dielectric coating)法を用いることができる。例えば、比誘電率が2.5未満の低誘電率絶縁材料となるポリメチルシロキサンを成分としたLKD(Low−K Dielectric material:JSR製)を用いてlow−k膜220を形成することもできる。low−k膜220の材料としては、CVD法で形成したSiOCやSOD法によるポリメチルシロキサンの他に、例えば、ポリシロキサン、ハイドロジェンシロセスキオキサン、メチルシロセスキオキサンなどのシロキサン骨格を有する膜、ポリアリーレンエーテル、ポリベンゾオキサゾール、ポリベンゾシクロブテンなどの有機樹脂を主成分とする膜、および多孔質シリカ膜などのポーラス膜からなる群から選択される少なくとも一種を用いて形成しても構わない。かかるlow−k膜220の材料では、比誘電率が2.5未満の低誘電率を得ることができる。例えば、スピナーで成膜し、このウェハをホットプレート上で窒素雰囲気中でのベークを行った後、最終的にホットプレート上で窒素雰囲気中ベーク温度よりも高温でキュアを行なうことにより形成することができる。low−k材料や形成条件などを適宜調節することにより、所定の物性値を有する多孔質の絶縁膜が得られる。また、基板200として、例えば、直径300ミリのシリコンウェハを用いる。ここでは、下層配線層やデバイス部分の形成を省略している。
【0012】
図2(b)において、開口部形成工程(S104)として、リソグラフィー工程とドライエッチング工程でダマシン配線を作製するための配線溝構造である開口部150をlow−k膜220内に形成する。例えば、60nmの幅で開口する。図示していないレジスト塗布工程、露光工程等のリソグラフィー工程を経てlow−k膜220の上にレジスト膜が形成された基板200に対し、露出したlow−k膜220を異方性エッチング法により除去して開口部150を形成すればよい。異方性エッチング法を用いることで、基板200の表面に対し、略垂直に開口部150を形成することができる。例えば、一例として、反応性イオンエッチング法により開口部150を形成すればよい。
【0013】
次に、ガス抜き及びアニール工程(S106)として、開口部150が形成された基板200に対し減圧下でガス抜き(デガス)を行う。例えば、250℃の温度条件で30秒間行う。これにより、水(H2O)や酸素(O2)を排出する。続いて、水素(H2)雰囲気下において350℃でアニール処理を行う。
【0014】
図2(c)において、Ti膜形成工程(S108)として、開口部150及びlow−k膜220表面にTi膜240を形成する。物理気相成長(physical vapor deposition:PVD)法の1つであるスパッタ法を用いるスパッタリング装置内でTi膜240を例えば膜厚5nm堆積し、Ti膜240を形成する。形成方法としては、PVD法に限らず、原子層気相成長(atomic layer deposition:ALD、あるいは、atomic layer chemical vapor deposition:ALCVD)法やCVD法などを用いることができる。PVD法を用いる場合より被覆率を良くすることができる。また、Ti膜240の代わりに、ジルコニウム(Zr)膜を用いてもよい。
【0015】
図2(d)において、TiO2膜形成工程(S110)として、O2雰囲気下でTi膜240が表面に形成された基板200を例えば400℃以下で加熱することで、Ti膜240の表面側の一部に光触媒膜となるTiO2膜242を形成する。このようにして開口部150内の側面と底面に光触媒膜を形成する。ここでは、Ti膜240を全部酸化させるのではなく、表面の一部を酸化させる。これにより、アナターゼ型の結晶構造を有するTiO2膜242を形成することができる。アナターゼ型とすることでルチル型と異なり導電性を確保することができる。また、Ti膜240を残すことでCuに対するバリア性を確保することができる。ここでは、開口部150外の表面と開口部150内の側面と底面にそれぞれTiO2膜242が散りばめられるように形成されているが、少なくとも開口部150内の側面にTiO2膜242を散りばめられればよい。また、Ti膜240の代わりにZr膜を用いた場合にはかかる処理によりアナターゼ型の結晶構造を有する酸化ジルコニウム(ZrO)膜をZr膜表面の一部に形成することができる。かかるZrOも光触媒膜として用いることができる。
【0016】
図3は、図1のフローチャートに対応して実施される工程を表す工程断面図である。
図3では、図1の紫外線照射工程(S112)から拡散防止膜形成工程(S118)までを示している。それ以降の工程は後述する。
【0017】
図3(a)において、紫外線照射工程(S112)として、Cuを含有する溶液にTiO2膜242を浸漬させた状態でTiO2膜242に紫外線を照射する。TiO2膜242に紫外線を照射することで、開口部150内壁にCuのシード膜250を形成することができる。ここでは、次の工程の電解めっき工程(S114)で用いるめっき槽内でTiO2膜242に紫外線を照射する。
【0018】
図4は、実施の形態1における電解めっき装置内で紫外線照射を行う場合の装置構成の一例を示す概念図である。図4において、電解めっきに用いるめっき液502が入っためっき槽500にホルダー520に表面を下向きに保持された基板300を回転させながら入槽させる。また、入槽させる際に、基板300とめっき液502との間に空気が残らないように基板を所定の角度だけ傾けた状態で入槽させるとなおよい。ここでの基板300は、上述した各工程を実施後のTiO2膜242が形成された基板を用いる。基板300表面側の負極、及び基板300と対向する位置に配置されたアノード電極510間には電圧が印加されないようにスイッチ540をOFFにしておく。かかる状態で、めっき槽500内に配置された紫外線ランプ530からTiO2膜242に紫外線532を照射する。また、基板300を回転させているため、均一に紫外線をTiO2膜242に照射することができる。
【0019】
図5は、実施の形態1における紫外線ランプの一例を示す概念図である。紫外線ランプ530は、基板300表面全体に紫外線532が当たるように図5に示すような棒状ランプが複数回折り返す形状にすると好適である。或いは、渦巻き形状としても好適である。基板300とアノード電極510間に隙間を空けておくことで次の電解めっき工程における電流を流すことができる。
【0020】
図6は、実施の形態1におけるシード膜形成のプロセスを説明するための概念図である。TiO2膜242に紫外線532が照射されると光触媒作用により光電変換される。光電変換により電子が放射され、めっき液502中のCuイオンがCuとなって開口部150内壁および基板300の表面に堆積する。TiO2膜242における光電変換には3.2eVのエネルギーが必要となるがこれを波長に換算すると400nm程度となるため、エネルギー線として波長が400nm以下の紫外線を照射することでCuを堆積させることができる。その際、TiO2膜242は等方的に電子が放射されるのでTiO2膜242が隙間を空けてまばらに形成されていても開口部150内壁および基板300の表面に均一にCuを堆積させることができる。このようにして、Cuのシード膜250を例えば15nm形成する。紫外線照射でシード膜250を形成することで薄くかつ膜切れのない均一な膜を形成することができる。
【0021】
図3(b)において、電解めっき及びアニール工程(S114)として、シード膜250をカソード極とした電解めっきによる電気化学成長法により、Cu膜260を開口部150内及び基板200表面に堆積させる。ここでは、例えば膜厚300nmのCu膜260を堆積させる。かかる電解めっき法により開口部150全体が埋まるようにCuを埋め込む。そして、Cu膜260を堆積させた後にデガス処理とアニール処理を行なう。デガス処理は、減圧下で、例えば、250℃の温度条件で30秒間行う。これにより、H2OやO2を排出する。続いて、H2雰囲気下において例えば350℃でアニール処理を60秒間行ってCuを還元する。
【0022】
図7は、図4に示す装置で電解めっきを行う場合を説明するための概念図である。図7において、シード膜250が形成された後にめっき槽500内で引き続き電解めっきを行う。スイッチ540をONにして、アノード電極510を陽極(アノード)、めっき面となる基板300のシード膜250を陰極(カソード)として所定の電流密度の電流を流し、電解めっきを行なう。紫外線ランプ530はアノードとカソード間の電流を妨げないように隙間が形成されており、また、基板300は回転させているので、均一にCuをシード膜250上にめっきすることができる。
【0023】
ここで、言い換えれば、実施の形態1では、電解めっき処理の前半で通電せずに紫外線照射を行って開口部150内壁にシード膜250を形成し、後半で、通電して開口部150の残りを完全に埋め込む。ここでは、電解めっき法により開口部150全体を埋め込んでいるが、配線幅が狭い場合には紫外線照射時のCuの堆積により開口部全体を埋め込んでも構わない。
【0024】
図3(c)において、研磨工程(S116)として、CMP法によって、基板200の表面を研磨して、開口部以外に表面に堆積したシード膜250を含むCu膜260とTiO2膜242を含むTi膜240を研磨除去して、図3(c)に示すように平坦化する。以上のようにして、ダマシン配線を形成することができる。多層配線を形成するべく、次に、上層側の配線を形成する場合について説明する。
【0025】
図3(d)において、拡散防止膜形成工程(S118)として、CVD法を用いて、平坦化された基板200表面に拡散防止膜222を例えば30nm形成する。拡散防止膜222の材料として、例えば、炭窒化シリコン(SiCN)を用いればよい。拡散防止膜222を形成することで、上層の絶縁膜への下層のCu配線中のCuの拡散を防止することができる。
【0026】
図8は、図1の研磨工程(S134)が終了した段階での半導体装置の工程断面図である。上層側の配線を形成する各工程は、上述した下層配線層の形成方法と同様である。まず、low−k膜形成工程(S120)として、拡散防止膜222上にlow−k膜270を例えば210nmの厚さで形成する。low−k膜270は、ヴィアプラグ層と上層配線層の層間絶縁膜となる。
【0027】
次に、開口部形成工程(S122)として、リソグラフィー工程とドライエッチング工程でデュアルダマシン配線を作製するためのヴィアホールとトレンチをlow−k膜270内に形成する。例えば、ヴィアホールを60nmの径でトレンチ幅も60nmで開口する。どちらを先に形成しても構わない。いずれも図示していないレジスト塗布工程、露光工程等のリソグラフィー工程を経てlow−k膜270の上にレジスト膜が形成された基板200に対し、露出したlow−k膜270を異方性エッチング法により除去して形成すればよい。ヴィアホールを形成する際には、拡散防止膜222をエッチングストッパとして開口すればよい。そして、low−k膜270中のヴィアホール下で露出した拡散防止膜222をエッチングすることで下層配線へと続くヴィアホールを完成することができる。
【0028】
次に、ガス抜き及びアニール工程(S124)として、ヴィアホールとトレンチが形成された基板200に対し減圧下でデガス処理を行う。例えば、250℃の温度条件で30秒間行う。そして、Ti膜形成工程(S126)として、ヴィアホールとトレンチ内及びlow−k膜270表面にTi膜244を形成する。形成方法は、Ti膜240と同様で構わない。また、ここでもTi膜244の代わりに、ジルコニウム(Zr)膜を用いてもよい。
【0029】
次に、TiO2膜形成工程(S128)として、O2雰囲気下でTi膜244が表面に形成された基板200を例えば400℃以下で加熱することで、Ti膜244の表面側の一部に光触媒膜となるTiO2膜246を形成する。このようにしてヴィアホールとトレンチ内の側面と底面に光触媒膜を形成する。ここでも、Ti膜244を全部酸化させるのではなく、表面の一部を酸化させる。これにより、アナターゼ型の結晶構造を有するTiO2膜246を形成することができる。また、Ti膜244の代わりにZr膜を用いた場合にはかかる処理によりアナターゼ型の結晶構造を有する酸化ジルコニウム(ZrO)膜をZr膜表面の一部に形成することができる。かかるZrOも光触媒膜として用いることができる。
【0030】
そして、紫外線照射工程(S130)として、電解めっき用のめっき液にTiO2膜246を浸漬させた状態でTiO2膜246に紫外線を照射する。TiO2膜246に紫外線を照射することで図示しないCuのシード膜を例えば15nm形成する。そして、電解めっき及びアニール工程(S132)として、めっき槽内で引き続き、シード膜をカソード極として、電解めっきによる電気化学成長法によりCu膜262をヴィアホール及びトレンチ内及び基板200表面に堆積させる。そして、Cu膜262を堆積させた後にデガス処理とアニール処理を行なう。デガス処理は、減圧下で、例えば、250℃の温度条件で30秒間行う。これにより、H2OやO2を排出する。続いて、H2雰囲気下において例えば350℃でアニール処理を60秒間行ってCuを還元する。そして、研磨工程(S134)として、CMP法によって、基板200の表面を研磨して、開口部以外に表面に堆積したシード膜を含むCu膜262とTiO2膜246を含むTi膜244を研磨除去して、図8に示すように平坦化する。以上のようにして、ヴィアプラグと上層配線を同時に埋め込んだデュアルダマシン配線を形成することができる。
【0031】
以上のようにして、多層配線を形成後、図示しないSiCキャップ膜を形成し、その後、パッシベ−ション膜として、d−TEOS、p−SiNを形成する。そして、更にAlパッドを形成することにより、Cuを大気に触れさせること無くAl電極を多層配線構造の表層に形成すればよい。
【0032】
実施の形態2.
実施の形態1では、Ti膜240,244の露出面(表面)側の一部を酸化させることによりTiO2膜242,246を形成したが、これに限るものではない。実施の形態2では、絶縁膜側(裏面側)の一部を酸化させることによりTiO2膜242,246を形成する場合について説明する。半導体装置の製造方法の要部工程を表すフローチャートは、図1と同様である。また、TiO2膜形成工程(S110)及びTiO2膜形成工程(S128)の内容以外は、実施の形態1で説明した内容と同様である。
【0033】
図9は、実施の形態2におけるTiO2膜形成工程(S110)と研磨工程(S134)終了後の半導体装置の工程断面図である。
【0034】
図9(a)において、TiO2膜形成工程(S110)として、図1のTi膜形成工程(S108)後の状態からO2を供給せずにTi膜240が表面に形成された基板200を例えば400℃以下で加熱することで、Ti膜240のlow−k膜220側の一部に光触媒膜となるTiO2膜242を形成する。
【0035】
図10は、実施の形態2におけるTiO2膜の形成の様子を説明するための概念図である。TiO2膜242は、Ti膜240がlow−k膜220中の酸化成分によりlow−k膜220側から酸化されることによって形成される。例えば、加熱された状態でlow−k膜220中のH2OやO2がTi膜240と接触することでTiO2膜242が形成される。ここでは、開口部150の側壁にTiO2膜242が散らばって形成される。low−k膜220中の酸化成分によりTi膜240の一部を酸化させることでO2コストを低減することができる。
【0036】
そして、以下、紫外線照射工程(S112)からTi膜形成工程(S126)までが実施の形態1と同様に実施される。そして、TiO2膜形成工程(S128)も実施の形態2におけるTiO2膜形成工程(S110)と同様に実施される。そして、残りの紫外線照射工程(S130)から研磨工程(S134)が実施の形態1と同様に実施される。以上のように各工程を実施することにより図9(b)に示す多層配線を形成することができる。
【0037】
実施の形態2では、開口部150の底面にTiO2膜242が形成されないが、上述したように、TiO2膜242は、紫外線が照射されると等方的に電子を放射するため、開口部150の底面にTiO2膜242が形成されなくても、実施の形態1と同様、シード膜250を膜切れなく均一に形成することができる。
【0038】
実施の形態3.
実施の形態1,2では、Ti膜240,244を形成後、一部を酸化させることでTiO2膜242,246を形成したが、これに限るものではない。実施の形態3では、他の方法でTiO2膜242,246を形成する場合について説明する。半導体装置の製造方法の要部工程を表すフローチャートは、図1と同様である。また、TiO2膜形成工程(S110)及びTiO2膜形成工程(S128)の内容以外は、実施の形態1で説明した内容と同様である。
【0039】
図11は、実施の形態3におけるTiO2膜形成工程(S110)と研磨工程(S134)終了後の半導体装置の工程断面図である。
【0040】
図11(a)において、TiO2膜形成工程(S110)として、図1のTi膜形成工程(S108)後の状態から、スパッタ法の一種であるSIS(Self ionized Sputter)法を用いて、Ti膜240上の一部に光触媒膜となるTiO2膜242を形成する。このように、スパッタ法でTiO2膜242を形成しても好適である。
【0041】
或いは、Ti膜形成工程(S108)でTi膜240を形成する際に、O2ガスを微量流すことで、Ti膜240上の一部或いはTi膜240中の一部に光触媒膜となるTiO2膜242を形成しても好適である。かかる場合には、Ti膜形成工程(S108)とTiO2膜形成工程(S110)とを同時に行うことになる。よって、工程数を減らすことができる。
【0042】
以上のようにTiO2膜形成工程(S110)を実施しても、実施の形態1と同様、開口部150の側壁及び底面にTiO2膜242が散らばって形成される。そして、以下、紫外線照射工程(S112)からTi膜形成工程(S126)までが実施の形態1と同様に実施される。そして、TiO2膜形成工程(S128)も実施の形態3におけるTiO2膜形成工程(S110)と同様に実施される。そして、残りの紫外線照射工程(S130)から研磨工程(S134)が実施の形態1と同様に実施される。以上のように各工程を実施することにより図11(b)に示す多層配線を形成することができる。
【0043】
実施の形態3におけるTiO2膜形成工程(S110)によって、TiO2膜242を形成しても実施の形態1と同様にシード膜250を膜切れなく均一に形成することができる。
【0044】
以上、具体例を参照しつつ実施の形態について説明した。しかし、本発明は、これらの具体例に限定されるものではない。
【0045】
また、層間絶縁膜の膜厚や、開口部のサイズ、形状、数などについても、半導体集積回路や各種の半導体素子において必要とされるものを適宜選択して用いることができる。
【0046】
その他、本発明の要素を具備し、当業者が適宜設計変更しうる全ての半導体装置の製造方法は、本発明の範囲に包含される。
【0047】
また、説明の簡便化のために、半導体産業で通常用いられる手法、例えば、フォトリソグラフィプロセス、処理前後のクリーニング等は省略しているが、それらの手法が含まれ得ることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】実施の形態1における半導体装置の製造方法の要部を表すフローチャートである。
【図2】図1のフローチャートに対応して実施される工程を表す工程断面図である。
【図3】図1のフローチャートに対応して実施される工程を表す工程断面図である。
【図4】実施の形態1における電解めっき装置内で紫外線照射を行う場合の装置構成の一例を示す概念図である。
【図5】実施の形態1における紫外線ランプの一例を示す概念図である。
【図6】実施の形態1におけるシード膜形成のプロセスを説明するための概念図である。
【図7】図4に示す装置で電解めっきを行う場合を説明するための概念図である。
【図8】図1の研磨工程(S134)が終了した段階での半導体装置の工程断面図である。
【図9】実施の形態2におけるTiO2膜形成工程(S110)と研磨工程(S134)終了後の半導体装置の工程断面図である。
【図10】実施の形態2におけるTiO2膜の形成の様子を説明するための概念図である。
【図11】実施の形態3におけるTiO2膜形成工程(S110)と研磨工程(S134)終了後の半導体装置の工程断面図である。
【符号の説明】
【0049】
150 開口部、200,300 基板、220 low−k膜、240,244 Ti膜、242,246 TiO2膜、250 シード膜、260 Cu膜、502 めっき液、532 紫外線
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基体上に絶縁膜を形成する工程と、
前記絶縁膜に開口部を形成する工程と、
前記開口部内に光触媒膜を形成する工程と、
銅(Cu)を含有する溶液に前記光触媒膜を浸漬させた状態で前記光触媒膜にエネルギー線を照射して前記開口部内の前記光触媒膜上にCuを堆積させる工程と、
を備えたことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項2】
前記光触媒膜として、酸化チタン(TiO2)膜を用いることを特徴とする請求項1記載の半導体装置の製造方法。
【請求項3】
前記溶液は、電解めっき液であり、電解めっき法により前記開口部内全体をCuで埋め込む工程をさらに備えたことを特徴とする請求項1又は2記載の半導体装置の製造方法。
【請求項4】
前記光触媒膜を形成する前に、前記開口部内にチタン(Ti)膜を形成する工程をさらに備え、
前記TiO2膜は、前記Ti膜が前記絶縁膜中の酸化成分により前記絶縁膜側から酸化されることによって形成されることを特徴とする請求項2記載の半導体装置の製造方法。
【請求項5】
前記TiO2膜は、アナターゼ型の結晶構造を有することを特徴とする請求項2又は4記載の半導体装置の製造方法。
【請求項1】
基体上に絶縁膜を形成する工程と、
前記絶縁膜に開口部を形成する工程と、
前記開口部内に光触媒膜を形成する工程と、
銅(Cu)を含有する溶液に前記光触媒膜を浸漬させた状態で前記光触媒膜にエネルギー線を照射して前記開口部内の前記光触媒膜上にCuを堆積させる工程と、
を備えたことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項2】
前記光触媒膜として、酸化チタン(TiO2)膜を用いることを特徴とする請求項1記載の半導体装置の製造方法。
【請求項3】
前記溶液は、電解めっき液であり、電解めっき法により前記開口部内全体をCuで埋め込む工程をさらに備えたことを特徴とする請求項1又は2記載の半導体装置の製造方法。
【請求項4】
前記光触媒膜を形成する前に、前記開口部内にチタン(Ti)膜を形成する工程をさらに備え、
前記TiO2膜は、前記Ti膜が前記絶縁膜中の酸化成分により前記絶縁膜側から酸化されることによって形成されることを特徴とする請求項2記載の半導体装置の製造方法。
【請求項5】
前記TiO2膜は、アナターゼ型の結晶構造を有することを特徴とする請求項2又は4記載の半導体装置の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2010−3767(P2010−3767A)
【公開日】平成22年1月7日(2010.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−159674(P2008−159674)
【出願日】平成20年6月18日(2008.6.18)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年1月7日(2010.1.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年6月18日(2008.6.18)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】
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