説明

半導体装置及びその製造方法

【課題】絶縁膜に設けたホールパターンに形成された導電体膜の断線を防止できる構造を備えた半導体装置を提供する。
【解決手段】半導体装置の製造方法は、第1の導電体膜上に絶縁膜を形成し、絶縁膜を露出する開口部を有するマスク膜を用いた異方性エッチングにより、開口部に露出した絶縁膜の上部に凹部を形成すると共に、マスク膜の側壁部下部に反応生成物を付着させる。次に、等方性エッチングにより、マスク膜の側壁部を水平方向に後退させると共に、異方性エッチングにより、凹部の底部に露出した絶縁膜を垂直方向に掘り下げながら、マスク膜の側壁部下部に付着した反応生成物を除去する。次に、異方性エッチングにより、凹部の周囲に存在する絶縁膜を鉛直方向に掘り下げて段差部を形成すると共に、凹部の底部を貫通させて第1の導電体膜を露出させる。その後、第1の導電体膜の上に第2の導電体膜を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置及びその製造方法、特に、導電体膜のコンタクトホールの上部における断線を防止できる構造を備えた半導体装置及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、メモリモリには、DRAM(Dynamic Randam Access Memory)、SRAM(Static Randam Access Memory)、フラッシュメモリ、及びFeRAM(Ferroelectric Random Access Memory)などがある。DRAMやSRAMは、電源を切ってしまうとメモリの記憶を失ってしまうのに対し、FeRAMやフラッシュメモリは、電源を切っても記憶を失わないことが特徴である。
【0003】
このFeRAMは、強誘電体材料の特性を応用した不揮発性メモリであって、白金(Pt)若しくはイリジウム(Ir)などの貴金属、又はPZT(Pb(Zr1−xTi)O)若しくはSBT(SrBiTa)と言われる強誘電体材料が用いられている。これらの材料は加工技術が難しいため、FeRAMの製造工程は通常のLSIやDRAM、SRAM、フラッシュメモリなどに比べると複雑である。
【0004】
例えば、強誘電体材料の形成に関し、その形成方法としては、MOCVD(Metal Organic Chemical Vapor Deposition)やMOD(Metal Organic Decomposition)が用いられるが、強誘電性を発現させるためには、後処理として700〜800℃程度の酸素雰囲気による焼結が必要である。そのため、強誘電体キャパシタの電極材料としては、酸化しても導電性を保持できる材料である白金などが用いられているが、白金は熱処理によって収縮するため、断線しやすい材料でもある。したがって、白金膜の下地形状は、白金膜が断線しにくいような形状にすることが重要であって、特に、ホールパターンを有する強誘電体材料上に白金を形成する際には断線が生じやすい。
【0005】
ところで、ホールパターンに形成される導電体膜の断線を防止する構造として、例えば特許文献1に記載の従来の半導体装置が提案されている。
【0006】
図6(a)〜(e)は、上記従来の半導体装置の製造方法を工程順に示す要部工程断面図である。
【0007】
図6(a)に示すように、半導体基板101上に層間絶縁膜102を形成した後、該層間絶縁膜102の上に、所定領域を開口するレジストパターン103を形成する。
【0008】
次に、図6(b)に示すように、レジストパターン103を用いた異方性エッチングにより、層間絶縁膜102に所定の深さまで開口されたホール104を形成する。
【0009】
次に、図6(c)に示すように、ホール104内を含む半導体基板101上の全面に、デポジション膜(重合膜)105を形成する。
【0010】
次に、図6(d)に示すように、異方性エッチングにより、デポジション膜(重合膜)105をエッチングすると、ホール104の側壁部のみにデポジション膜(重合膜)105が残存する。さらに、ホール104の側壁部のみに残存したデポジション膜(重合膜)105をマスクとして異方性エッチングを続けると、ホール104の底部の層間絶縁膜102を貫通して半導体基板101を露出するホール106を形成する。
【0011】
次に、図6(e)に示すように、ホール104内に残存するデポジション膜(重合膜)104と層間絶縁膜102の上面上に残存するレジストパターン103をエッチングにより除去する。これにより、層間絶縁膜102には、その上部に位置する開口径の広いホール107と、該ホール107と連通し、ホール107の開口径よりも小さい開口径を有するホール106が形成されて、層間絶縁膜102におけるホール106及び107に露出する部分に階段形状が形成される。
【0012】
以上のように、上記従来の半導体装置の製造方法によると、ホールパターンに露出する部分に段差形状を設けることで、ホールパターンに対する導電体膜のカバレッジを向上させて、断線の発生を抑制している。
【特許文献1】特開平4−125925号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
しかしながら、強誘電体材料にホールパターンを形成する場合には、強誘電体材料がドライエッチングによるパターン加工の難しい材料であるため、フェンス、ラビットイヤー、又はクラウンと呼ばれる加工不良が発生しやすい。すなわち、ドライエッチング技術では、プラズマにより真空中において、メタル又はSiOをCl、F、又はBrなどのハロゲン元素と反応させることにより、融点の低い(蒸気圧の低い)化合物にして揮発させることで、所望の形状にパターン加工することができるが、強誘電体材料を構成している元素の多くは、ハロゲン元素と反応させても揮発しにくい化合物が形成される。例えば、アルミニウム(Al)の塩化物であるAlClの融点は193℃であるのに対し、SBTを構成している元素であるストロンチウム(Sr)の塩化物SrClの融点は874℃と高いため、パターンを形成させるためのマスクであるレジストパターンの側壁に反応生成物が付着する。
【0014】
この点、反応生成物の組成は被エッチング膜を構成する材料とエッチングガスを構成する材料とによって変わるところ、例えば、SBTを塩素系ガスでエッチングした場合には、SBTを構成している元素であるSr、Bi、及びTaのそれぞれの塩化物並びにその元素そのものが反応生成物としてレジストパターンの側壁にフェンスとなって付着する。一方で、例えば、SBTをフッ素系ガスでエッチングした場合は、Sr、Bi、及びTaのそれぞれのフッ化物並びにその元素そのものが反応生成物としてレジストパターンの側壁にフェンスとなって付着する。
【0015】
さらに、物理的なスパッタエッチングの要素が支配的である場合には、被エッチング膜がスパッタされて、反応生成物としてレジストパターンの側壁に付着する。レジストパターンの側壁に付着した不揮発性の反応生成物は、レジストパターン除去後にも残留し、フェンス、ラビットイヤー、又はクラウンと呼ばれるパターン異常となる。特に、コンタクトホールのドライエッチングでは、フォトレジストによるマスクパターンの開口が小さいためにフェンスが発生しやすい。
【0016】
このように、強誘電体材料にホールパターンを形成する場合には、レジストパターンの側壁に反応生成物が付着してフェンスが形成され易い結果、ホールパターンを有する強誘電体材料上に形成される導電体膜がより断線しやすい、という問題がある。
【0017】
一方で、強誘電体材料に限らず、シリコン酸化膜等の種々の絶縁膜に対してホールパターンを形成する場合であっても、Arスパッタリングのような物理的エッチングを用いる場合には、レジストパターンの側壁にフェンスが形成され易く、同様に、導電体膜の断線が生じやすいという問題がある。
【0018】
この点、上記従来の半導体装置の製造方法では、強誘電体材料にホールパターンを形成する場合はもちろん、レジストパターンの側壁にフェンスが形成される場合を考慮した断線の抑制については何ら開示がなされていない。
【0019】
前記に鑑み、本発明の目的は、絶縁膜に設けたホールパターンに形成された導電体膜の断線を防止できる構造を備えた半導体装置及びその製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本発明の一形態の半導体装置の製造方法は、基板上に、第1の導電体膜を形成する工程(a)と、第1の導電体膜上に、絶縁膜を形成する工程(b)と、絶縁膜上に、絶縁膜を露出する開口部を有するマスク膜を形成する工程(c)と、開口部に露出した絶縁膜を異方性エッチングすることにより、開口部に露出した絶縁膜の上部に凹部を形成すると共に、マスク膜の開口部の側壁部の下部に、絶縁膜を構成する材料と異方性エッチングに用いたエッチングガスを構成する材料との反応生成物を付着させる工程(d)と、反応生成物をマスクに用いた等方性エッチングにより、マスク膜の開口部の側壁部を基板の主面に対して水平方向に後退させると共に、異方性エッチングにより、凹部の底部に露出した絶縁膜を基板の主面に対して鉛直方向に掘り下げながら、マスク膜の開口部の側壁部の下部に付着した反応生成物を除去する工程(e)と、工程(e)の後に、残存しているマスク膜をマスクに用いた異方性エッチングにより、凹部の周囲に存在する絶縁膜を基板の主面に対して鉛直方向に掘り下げて絶縁膜に段差部を形成すると共に、凹部の底部に露出した絶縁膜を貫通させて第1の導電体膜を露出させる工程(f)と、残存するマスク膜を除去した後に、凹部に露出した第1の導電体膜及び絶縁膜の上に第2の導電体膜を形成する工程(g)とを備える。
【0021】
本発明の一形態の半導体装置の製造方法において、絶縁膜の上面から段差部を構成する絶縁膜の下面までの距離は、第2の導電体膜の膜厚と等しい。
【0022】
本発明の一形態の半導体装置の製造方法において、工程(d)、(e)及び(f)は、同一のエッチング条件で連続して行われる。
【0023】
本発明の一形態の半導体装置の製造方法において、エッチング条件は、エッチングガスが、ArとCF又はClガスの混合ガスであり、チャンバー内のエッチング圧力が、1.0Pa以上で且つ2.0Pa以下に制御され、印加するエッチングパワーのバイアスが、150W以上で且つ300W以下に制御された条件である。
【0024】
本発明の一形態の半導体装置の製造方法において、第1の導電体膜及び第2の導電体膜は、白金、イリジウム、及びルテニウムよりなる金属群より選択される1つの金属、又は前記金属群から選択される1つの金属の化合物である。
【0025】
本発明の一形態の半導体装置の製造方法において、絶縁膜は強誘電体材料を含む。
【0026】
本発明の一形態の半導体装置の製造方法において、強誘電体材料はSBT又はPZTからなる。
【0027】
本発明の一形態の半導体装置は、基板上に形成された第1の導電体膜と、第1の導電体膜上に形成され、第1の導電体膜を露出する開口部を有する絶縁膜と、開口部に露出する第1の導電体膜及び絶縁膜の上に形成された第2の導電体膜とを備え、絶縁膜は、開口部が、第1の導電体膜を露出する第1の凹部と、第1の凹部と連通し、開口径が第1の凹部の開口径よりも大きい第2の凹部とからなるように、段差部を有している。
【0028】
本発明の一形態の半導体装置において、第1の導電体膜及び第2の導電体膜は、白金、イリジウム、及びルテニウムよりなる金属群より選択される1つの金属、又は前記金属群から選択される1つの金属の化合物である。
【0029】
本発明の一形態の半導体装置において、絶縁膜は強誘電体材料を含む。
【0030】
本発明の一形態の半導体装置において、強誘電体材料はSBT又はPZTからなる。
【発明の効果】
【0031】
本発明の半導体装置及びその製造方法によれば、半導体製造工程においてコンタクトホールに形成した導電体膜が断線することを防止できる。さらには、加工寸法ばらつきを抑えることができ、高歩留を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
以下に、本発明の各実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、本発明は、絶縁膜に設けたホールパターンに形成された導電体膜の断線を防止できる構造を備えた半導体装置及びその製造方法を提供するものであって、各実施形態では、以下で説明するように、強誘電体材料に設けたホールパターンに導電体膜を形成する場合、及びシリコン酸化膜等の絶縁膜に設けたホールパターンに導電体膜を形成する場合を例として説明するが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想を具現化する態様であれば種々の形態に適用可能である。
【0033】
(第1の実施形態)
以下、本発明の第1の実施形態に係る半導体装置及びその製造方法について説明する。
【0034】
図1(a)〜(g)は、本発明の第1の実施形態に係る半導体装置の製造方法を工程順に示す工程断面図である。
【0035】
まず、図1(a)に示すように、半導体基板11上に、例えば白金(Pt)からなる膜厚100nmの導電体膜12を形成した後、該導電体膜12上に、例えばSBTからなる膜厚200nmの強誘電体膜13を形成する。続いて、強誘電体膜13上に、フォトリソグラフィによって所定領域が開口されたレジストマスクパターン14を形成する。
【0036】
次に、図1(b)に示すように、レジストマスクパターン14をマスクに用いた異方性エッチングを行う。具体的には、レジストマスクパターン14をマスクとし、Ar/CFの混合ガスを用いて、チャンバー内のエッチング圧力として1.0Pa以上で且つ2.0Pa以下の範囲程度で制御された雰囲気において、印加するエッチングパワーのバイアスを200W以上で且つ300W以下の条件で、強誘電体膜13に対してドライエッチングを行うことにより、強誘電体膜103が所定の深さまでエッチング除去されてなる凹部16を形成する。このエッチングの最中に、レジストマスクパターン14の下部の側壁部上には、エッチング加工が困難な材料である強誘電体材料からなる強誘電体膜13をエッチングする際に発生するエッチングガスの材料と強誘電体材料との反応生成物からなるレジスト側壁保護膜15が堆積される。このレジスト側壁保護膜15の高さは、100nm以上で且つ200nm以下である。
【0037】
次に、図1(c)に示すように、等方性エッチング及び異方性エッチングを行う。具体的には、等方性エッチングにより、レジストパターン14の側壁を半導体基板11の主面に対して水平方向(以下、単に水平方向と称する)に後退させながら、異方性エッチングにより、強誘電体膜13の開口部16の底部に露出する部分を除去して、半導体基板11の主面に対して垂直方向(以下、単に垂直方向と称する)にその底部を掘り下げる。ここでのドライエッチング条件としては、レジストマスクパターン14が水平方向に後退する条件に設定する必要があり、具体的なエッチング条件として、例えば微量の酸素を添加し、高圧力でエッチングすればよい。
【0038】
このとき、レジストマスクパターン14の下部の側壁部上には、レジスト側壁保護膜15が形成されているため、レジストマスクパターン14の下部の側壁部は水平方向に後退しない。これは、水平方向へのエッチング2bは化学的な反応によるものであり、レジスト側壁保護膜15は化学的に反応しても除去できない反応生成物で形成されているためである。ただし、レジストマスクパターン14内における垂直方向のエッチング2cも同時進行するため、レジスト側壁保護膜15の高さはエッチングが進行するに連れて減少する。これは、レジストマスクパターン内における垂直方向のエッチング2cは、イオン衝突による物理的なエッチング作用で進行するためである。また、垂直方向へのエッチング2a及びレジストマスクパターン14内における垂直方向へのエッチング2cにより、レジストマスクパターン14が全体的に垂直方向に後退する。
【0039】
ここで、レジストマスクパターン14が単位時間当りに後退する量(レジストエッチングレート)と被エッチング膜である強誘電体膜13が単位時間当りにエッチングされる量(強誘電体膜エッチングレート)とは、エッチング条件によって制御することができ、レジストマスクパターン14に対する強誘電体膜13のエッチングレート比(以後、エッチング選択比と称する)を変化させることができる。特に、プラズマ源にICP(Inductively Coupled Plasma)を用い、下部電極にバイアスを独立で印加できるエッチング装置においては、レジストエッチングレートの制御はICP出力により、強誘電体膜エッチングレートの制御はバイアス出力により行うことができる。例えば、ICP出力を高くすることにより、化学的な反応によるエッチングが促進されるため、被エッチング膜が強誘電体材料のようなエッチング加工が困難な材料である場合には、レジストマスクパターン14のレジストエッチングレートが強誘電体膜エッチングレートよりも高くなるため、エッチング選択比は低くなる。一方で、バイアス出力を高くすることにより、エッチングにおけるスパッタ成分を増加させることができるため、強誘電体膜エッチングレートがレジストマスクパターン14のレジストエッチングレートよりも高くなるため、エッチング選択比は高くなる。
【0040】
次に、図1(d)に示すように、図1(c)を用いて説明したエッチング条件で、等方性エッチング及び異方性エッチングをさらに進めると、レジストマスクパターン14内における垂直方向のエッチング2cにより、凹部16の外周部3aにおいて、強誘電体膜13の表面が露出する。このとき、レジスト側壁保護膜15もまた、レジストマスクパターン14内における垂直方向のエッチング2cによって除去される。さらにこのとき、強誘電体膜13の凹部16の底部に露出する部分が除去されて凹部16の底部が垂直方向にさらに掘り下げられる。
【0041】
次に、図1(e)に示すように、上記のエッチング条件で等方性エッチング及び異方性エッチングを進めると、強誘電体膜13の凹部16の深さがさらに深くなり、最終的に強誘電体膜13を貫通して、導電体膜12が露出する。一方で、凹部16の外周部3aにおいて露出した強誘電体膜13の部分がエッチングされることにより、凹部16の外周部に段差部17が形成される。このように、開口径が凹部16よりも大きい凹部が凹部16と連通するようにして段差部17が形成され、強誘電体膜13にホールパターンが形成される。
【0042】
ここで、膜厚200nmの強誘電体膜13に対して、段差部17における上部の深さ3bが最終的に100nm程度(膜厚の約半分)なるようにエッチングすることが、後の工程で形成する導電体膜18のカバレッジを良好にする上で好ましい。このようにするためには、凹部16の外周部3aにおいて、強誘電体膜13の表面が露出する時点で(図1(c)に示す工程)、凹部16の中央部における底部に対する強誘電体膜13のその露出した表面高さが100nm以上になっている必要がある。なぜならば、凹部16の外周部3aにおいて強誘電体膜13の表面が露出する時点で、凹部16の中央部における底部に対する強誘電体膜13のその表面高さが100nmよりも小さい場合、凹部16の中央部において強誘電体膜13が完全にエッチング除去されたとき(膜厚200nm分が最終的にエッチング除去されたとき)、つまり、凹部16の中央部で強誘電体膜13が貫通して導電体膜12の上面が露出したとき、凹部16の外周部3aにおける段差部17における上部の深さ3bが100nmを超えることになり、強誘電体膜13における凹部16の中央部と外周部3aでの膜厚差が100nmよりも小さくなるためである。
【0043】
一方で、凹部16の外周部3aにおいて強誘電体膜13の表面が露出した時点で、凹部16の中央部における底部に対する強誘電体膜13のその表面高さが100nmを超えていても、凹部16の中央部において下地の導電体膜12が露出した後のオーバーエッチング時間を調整することによって、凹部16の外周部3aの段差部17における上部の深さが100nmになるように調整することができる。
【0044】
次に、図1(f)に示すように、レジストマスクパターン14を除去することにより、凹部16の外周部3aに段差部17を有する強誘電体膜13を得ることができる。
【0045】
次に、図1(g)に示すように、凹部16内を含む段差部17を有する強誘電体膜13上に導電体膜18を形成する。このとき、凹部16の外周部3aが段差形状となっているため、この部分における導電体膜18は薄膜化することなくカバレッジは非常に良好であり、導電体膜12と導電体膜18とが安定して電気的に接続される。なお、導電体膜18の材料としては、白金、イリジウム、及びルテニウムよりなる金属群より選択される1つの金属、又は金属群から選択される1つの金属の化合物を用いるとよい。なお、導電膜12も導電膜18と同様である。
【0046】
また、凹部16の底部に露出する部分の面積は、エッチング初期段階に形成されたレジスト側壁保護膜15によって決定されるため、導電体膜12との接触面積バラツキが抑制され、その結果、コンタクト抵抗バラツキを抑えることができる。
【0047】
また、導電体膜18の膜厚3cと段差部17における上部の深さ3bとが同一であることが望ましい。つまり、段差部17における上部の深さ3bが100nmである場合、導電体膜18の膜厚も100nmであることが望ましい。以下に、その理由について、図2(a)及び(b)を参照しながら説明する。
【0048】
図2(a)及び(b)は、本発明の第1の実施形態に係る半導体装置における段差部17の上部深さについて説明するための要部工程断面図である。
【0049】
図2(a)は、導電体膜18の凹部16の上部の平坦部における膜厚3cが、段差部17の深さ3bよりも小さい場合を示しており、 導電体膜18の凹部16の上部の平坦部における膜厚3cが、段差部17の深さ3bとほぼ同じ場合を示している。
【0050】
一般的に、導電体膜18における凹部16の側壁部に形成される膜厚3gは、導電体膜18における上部の膜厚3cよりも薄くなる。この現象は、特にスパッタによる成膜では顕著であり、一般的なスパッタ装置では、スパッタ粒子の指向性が低いために、導電体膜18における凹部16の底部の膜厚もまた、導電体膜18における上部の膜厚3cよりも薄くなる。よって、凹部16に形成される導電体膜18の形状は、オーバーハング形状となる。反対に、スパッタ粒子の指向性がランダムに近いほど、凹部16を構成する強誘電体膜13の上部角部における導電体膜18の膜厚3fは、導電体膜18における上部の膜厚3cと同じになる。
【0051】
このため、図2(a)に示す場合では、凹部16を構成する強誘電体膜13の下部角部付近が、凹部16を構成する強誘電体膜13の上部角部に形成された導電体膜18の影になるため、凹部16を構成する強誘電体膜13の下部角部付近の膜厚3eは、凹部16を構成する強誘電体膜13の上部角部に形成された導電体膜18の膜厚3dよりも薄くなる結果、断線が発生しやすくなる。
【0052】
一方、図2(b)に示す場合では、導電体膜18における上部の膜厚3cと、凹部16を構成する強誘電体膜13の下部角部に形成された導電体膜18の膜厚3eとが同程度になる。このため、図2(a)で示したようなオーバーハング形状は形成されにくい。すなわち、図2(b)では、オーバーハング形状は、凹部16を構成する強誘電体膜13の下部角付近に形成されることになるが、強誘電体膜13の下部角部における膜厚による影となる領域が、図2(a)の場合に比べて凹部16の底部において減少するため、導電体膜18は段差部17を含む領域においてカバレッジが滑らかになり、断線が発生しにくい。
【0053】
次に、上記図1(b)〜(e)におけるドライエッチングの条件について、具体的に説明する。
【0054】
上記図1(b)〜(e)に示した工程では、それぞれ独立した異なるエッチング条件を用いて実施することも可能であるが、エッチング条件を最適化することにより、主たるエッチング条件を同一としながら、エッチングパラメータを調整する程度の条件変更を行って実施することができる。以下に、この最適化されたエッチング条件について説明する。
【0055】
ドライエッチングは、等方性エッチング及び異方性エッチングの2つに大きく分類することができる。等方性エッチングでは、露出した表面が化学反応的にエッチングされるのに対し、異方性エッチングでは、電界によりイオン化されたエッチング種が一定方向に進行し、イオン化されたエッチング種の進行方向に対して垂直方向の面がエッチングされる。つまり、異方性エッチングの場合、図1(c)に示した工程において、レジストマスクパターン14の上部では垂直方向へのエッチング2aが支配的になると共に、レジストマスクパターン14の内側では垂直方向へのエッチング2cが支配的となる。
【0056】
ここで、本発明でのエッチングでは、図1(c)に示した工程において、レジストマスクパターン14に対して、水平方向へのエッチング2bが必要となる。つまり、レジストマスクパターン14に対しては、等方性エッチングの条件が必要となる。さらに、強誘電体膜13に形成する凹部16は寸法のバラツキを抑えるために、異方性エッチングを行う必要がある。つまり、レジストマスクパターン104に対しては等方性エッチングとなると共に、強誘電体膜13に対しては異方性エッチングとなる条件が必要である。
【0057】
この点、レジストマスクパターン14は有機系材料であるため、酸素雰囲気にすることにより、酸素と化学的に反応し、等方的にエッチングをすることができる。また、エッチングする際の圧力を高圧側にすることより、エッチングの化学的反応成分が増大し、レジストマスクパターン14の単位時間当りの後退量(レジストエッチングレート)が増加することが一般的に知られている。また、プラズマ源にICPを用いたドライエッチング設備の場合、IPのパワーを高くすることでエッチングの科学的反応成分が増大し、レジストマスクパターン14の単位時間当りの後退量(レジストエッチングレート)が増加する。
【0058】
一方、強誘電体膜13のエッチングは、フッ素系又は塩素系のガスを用いる場合が多いが、強誘電体材料を構成する主な元素は、フッ素や塩素などのエッチング種と化学的に反応しても、融点が高いために揮発しにくく、反応生成物が基板表面に残る。そのため、スパッタ成分を加えることにより、基板表面から離脱するエネルギーを加えることでエッチングするのが一般的である。スパッタ成分はバイアスを印加することでエッチング種に指向性を持たせるため、エッチング作用としては異方性となる。反対に、強誘電体膜13のエッチングは化学的にエッチングすることが難しいため、等方性エッチングは困難である。また、エッチングガスにArを添加することにより、エッチングにおけるスパッタ成分をより増加させることができる。
【0059】
また、強誘電体膜13のエッチングに使用するガスとしては、フッ素系ではCF、Cl系ではClが望ましい。フッ素系では、他に、CHF又はCといったガスが主にドライエッチングに使用されるが、これらのガスはエッチング時にポリマーを形成し、レジストマスクパターン14の側壁に堆積してエッチング保護膜を形成する。そのため、レジストマスクパターン14の単位時間当りの後退量が減少する。一方で、CFはポリマーを形成しにくいため、レジストマスクパターン14が後退しやすい。また、CF及びCl共に添加するガスの量が多い方が、レジスト後退量が大きくなる傾向がある。
【0060】
以上から、本実施形態におけるドライエッチングの条件としては、ArとCF又はClとの混合ガスに、Oが添加されてなるガスを用いることで、レジストマスクパターン14に対しては、Oとの化学的反応による等方性エッチング、強誘電体膜13に対してはスパッタ性による異方性エッチングとすることができ、レジストマスクパターン14を水平方向に後退させると同時に、強誘電体膜13に対しては垂直方向にエッチングすることができる。このため、上記図1(b)〜(e)の一連の工程におけるドライエッチング条件として同一の条件で行うことが可能である。
【0061】
以上に鑑み、本発明では、エッチングガスとしてArとCF又はClとの混合ガスに微量の酸素を添加して実施した。酸素を添加することにより、水平方向へのレジスト後退量が増大すると共に、CF系のガスを使用する場合、酸素の添加によりエッチング時に発生するカーボンと酸素が結合し、ポリマー形成を阻害するため、レジストマスクパターン14の側壁に保護膜が形成されにくくすることができる。
【0062】
また、プラズマ源にICPを用いたエッチング装置を用いた場合の具体的なエッチング条件としては、Ar/CF又はAr/Cl比が1/1以下(例えばAr:30×10−3ml/min、CF:20×10−3ml/min)であり、圧力が1.0Pa以上で且つ2.0Pa以下の範囲程度であることが望ましい。また、添加する酸素の量は総流量の10%程度が望ましい(例えばAr:30×10−3ml/min、CF:20×10−3ml/min、O:5×10−3ml/min)。酸素の添加量が余りに多くなると、単位時間当りの水平方向へのレジスト後退量が増大し、エッチング中にレジストマスクパターン14が消失してしまう懸念があるからである。
【0063】
また、エッチング条件においてバイアス出力を調整することにより、図1(b)に示した工程において、レジストマスクパターン14の下部側壁に付着させる反応生成物を制御することができる。バイアス出力により、エッチングにおけるスパッタ成分を増大させ、その結果、揮発しにくい反応生成物がレジストマスクパターン14の下部側壁に付着する。なお、上記したように、図1(b)に示した工程で形成されるレジストマスクパターン14の下部側壁に堆積した反応生成物の組成は、例えば、SBTを塩素系ガスでエッチングした場合には、Sr、Bi、Taのそれぞれの塩化物及びその元素そのものであり、SBTをフッ素系ガスでエッチングした場合には、Sr、Bi、Taのそれぞれのフッ化物及びその元素そのものである。
【0064】
また、本発明でのエッチング条件では、エッチング中にレジストマスクパターン14の側壁が水平方向に後退するため、揮発しにくい反応生成物がレジストマスクパターン14の側壁に付着するのは、レジストマスクパターン14の側壁における後退量が少ないエッチング初期段階でのみ発生する。これは、レジストマスクパターン14の側壁が後退することで、レジストマスクパターン14の側壁がテーパー形状になり、テーパー部分に付着した反応生成物は、エッチングのスパッタ成分によって常に除去されるためである。
【0065】
また、以上では、強誘電体膜13にエッチングにより凹部16を形成する強誘電体メモリを製造する方法である場合について説明したが、被エッチング膜は強誘電体膜に限定されるものではなく、ドライエッチングによる反応生成物の揮発性が低いエッチング加工が困難な材料に対して凹部を形成する場合であっても、本発明は上記と同様に実施可能である。また、シリコン酸化膜等の絶縁膜に対して凹部を形成する場合に適用することも可能である。
【0066】
(第2の実施形態)
以下、本発明の第2の実施形態に係る半導体装置及びその製造方法について説明する。
【0067】
本発明の第2の実施形態では、上記第1の実施形態に係る半導体装置の製造方法を例えば強誘電体メモリの製造方法に適用した場合について説明する。
【0068】
図3(a)〜(d)は、本発明の第2の実施形態に係る半導体装置の製造方法を工程順に示す工程断面図である。
【0069】
まず、図3(a)に示すように、半導体基板31に、素子形成領域を区画する素子分離領域32を形成した後に、該素子分離領域32によって区画された半導体基板31の領域に、活性化領域33a及び活性化領域33bを形成する。続いて、半導体基板31上の全面に、層間絶縁膜34を形成した後、該層間絶縁膜34の上に水素バリア膜35を形成する。続いて、水素バリア膜35及び層間絶縁膜34を貫通して、活性領域33a及び33bにそれぞれ接続する下部プラグ36を形成する。続いて、水素バリア膜35の上に、下部プラグ36に接続する下部電極37と、下部プラグ36に接続して後述の上部電極の電位を下方に引き出す上部プラグ38とを層間絶縁膜39によって囲まれるように形成する。なお、上部プラグ38の構造と下部電極37の構造は、Ti系材料の積層膜からなる導電性水素バリア膜38aとPt又はIr系材料からなる酸素バリア膜38bの積層膜からなる同一の膜構造を有している。続いて、層間絶縁膜39、下部電極37、及び上部プラグ38の上面を平坦化した後に、強誘電体膜40を形成する。続いて、強誘電体膜40の上に、上部プラグ38の直上に開口部41aが形成されたレジストパターン41を形成する。
【0070】
次に、図3(b)に示すように、レジストマスクパターン41を用いたエッチングにより、上部プラグ38上の強誘電体膜40に、上部プラグ38を露出する開口部43を形成する。このときのエッチングは、上記第1の実施形態で説明した条件で行う。このようにすると、上記図1(f)と同様に、段差部42が形成される。
【0071】
次に、図3(c)に示すように、段差部42を有する開口部43内を含む強誘電体膜40上に、導電体膜(上部電極)44を形成する。このとき、導電体膜44における開口部43内における部分は、段差部42によってステップカバレッジが緩和されているため、良好なカバレッジが実現される。これにより、後工程における熱収縮による導電体膜(上部電極)44の断線を防止することができる。なお、導電体膜44の材料としては、白金、イリジウム、及びルテニウムよりなる金属群より選択される1つの金属、又は金属群から選択される1つの金属の化合物を用いるとよい。
【0072】
次に、図3(d)に示すように、強誘電体膜40及び導電体膜44の端部をエッチング除去して層間絶縁膜39の一部を露出させた後に、半導体基板31上の全面に層間絶縁膜45を形成する。続いて、層間絶縁膜45、層間絶縁膜39及び水素バリア膜35の端部をエッチング除去した後に、半導体基板31上の全面に水素バリア膜46を形成する。このようにすると、水素バリア膜46は、下部電極37、強誘電体膜40、及び導電体膜(上部電極)44からなる複数の強誘電体キャパシタのキャパシタアレイを一括して覆うと共に、その周縁部において水素バリア膜35と接続している。これにより、キャパシタアレイ全体が水素バリア膜で完全に覆われた構造が実現される。
【0073】
また、導電体膜(上部電極)44は、上部プラグ38を介して、活性化領域33bに電気的に接続されている。上部プラグ38は、上記のように導電性水素バリア膜38aと酸素バリア膜38bとがこの順に形成された積層構造となっており、キャパシタアレイが水素バリア膜46で完全に囲まれた状態で、導電体膜(上部電極)44は、活性化領域33bに接続されている。活性化領域33bはさらに上部配線層に電気的に接続されており、導電体膜(上部電極)44への電位を外部に伝達することが可能になっている。
【0074】
(第3の実施形態)
以下、本発明の第3の実施形態に係る半導体装置及びその製造方法について説明する。
【0075】
本発明の第3の実施形態では、上記第1の実施形態に係る半導体装置の製造方法を例えば強誘電体メモリの製造方法におけるシリコン酸化膜等の絶縁膜に設けたホールパターンに導電体膜を形成する場合に適用した場合について説明する。
【0076】
図4(a)〜(c)並びに図5(a)及び(b)は、本発明の第3の実施形態に係る半導体装置の製造方法を工程順に示す工程断面図である。
【0077】
まず、図4(a)に示すように、半導体基板31に、素子形成領域を区画する素子分離領域32を形成した後に、該素子分離領域32によって区画された半導体基板31の領域に、活性化領域33a及び活性化領域33bを形成する。続いて、半導体基板31上の全面に、層間絶縁膜34を形成した後、該層間絶縁膜34の上に水素バリア膜35を形成する。続いて、水素バリア膜35及び層間絶縁膜34を貫通して、活性領域33a及び33bにそれぞれ接続する下部プラグ36を形成する。続いて、水素バリア膜35の上に、下部プラグ36に接続する下部電極37と、下部プラグ36に接続して後述の上部電極の電位を下方に引き出す上部プラグ38とをシリコン酸化膜からなる層間絶縁膜39によって囲まれるように形成する。なお、上部プラグ38の構造と下部電極37の構造は、Ti系材料の積層膜からなる導電性水素バリア膜38aとPt又はIr系材料からなる酸素バリア膜38bの積層膜からなる同一の膜構造を有している。続いて、層間絶縁膜39、下部電極37、及び上部プラグ38の上面を平坦化した後に、シリコン酸化膜からなる層間絶縁膜39aを形成し、該層間絶縁膜39aに、下部電極37に到達する開口部39bをフォトリソグラフィー及びエッチング技術により形成する。続いて、開口部(キャパシタ形成用ホール)39bの側壁に立体電極47を形成した後、層間絶縁膜39aの上部、開口部39bの底面及び立体電極47の上に強誘電体膜40を形成する。なお、強誘電体膜40は、上部プラグ38の上では取り除かれており、また、立体電極47は、下部電極37、上部プラグ38及び後述の上部電極44と同じ材料からなる。続いて、開口部39a内を含む強誘電体膜40及び層間絶縁膜39aの上に、上部プラグ38上に開口部41aを有するレジストパターン41を形成する。
【0078】
次に、図4(b)に示すように、レジストマスクパターン41を用いて、層間絶縁膜39aをエッチングする。ここでは、例えばArガスからなる不活性ガスのみを使用したスパッタエッチングを行うことにより、レジストマスクパターン41の側壁(開口部41aの側壁)に、層間絶縁膜39aを構成するシリコン酸化膜が付着してなるレジスト側壁保護膜48を形成することができる。
【0079】
次に、図4(c)に示すように、レジスト側壁保護膜48をマスクに用いて、層間絶縁膜39aに対してさらにエッチングを行って、層間絶縁膜39aに開口部43を形成する。ここでは、CF系のガスを使用してエッチングを行う。エッチング時に添加する酸素流量によって、レジストマスクパターン41の側壁の後退量を調整することができる。また、層間絶縁膜39aに形成する開口部43の深さがレジストマスクパターン41の膜厚よりも深い場合には、レジスト耐性の強いシリコン酸化膜のエッチング条件により、所望の深さまでエッチングしてから、レジストマスクパターン41の側壁が後退する条件に変更することが望ましい。このようにして、層間絶縁膜39aのエッチングを進行することで、層間絶縁膜39aに開口部43を形成すると共に該開口部43の外周部における層間絶縁膜39aの上面39cを露出させる。
【0080】
次に、図5(a)に示すように、層間絶縁膜39aに対してさらにエッチングを行うことにより、層間絶縁膜39aに設けた開口部43を上部プラグ38の上面まで貫通させる。この際、開口部43の外周部に露出した層間絶縁膜39aの上面部分がさらに掘り下げられて、段差部42が形成される。
【0081】
次に、図5(b)に示すように、段差部42を有する開口部43内を含む強誘電体膜40及び層間絶縁膜39a上に、導電体膜(上部電極)44を形成する。このとき、導電体膜44における開口部43内における部分は、段差部42によってステップカバレッジが緩和されているため、良好なカバレッジが実現される。これにより、後工程における熱収縮による導電体膜(上部電極)44の断線を防止することができる。なお、導電体膜44の材料としては、白金、イリジウム、及びルテニウムよりなる金属群より選択される1つの金属、又は金属群から選択される1つの金属の化合物を用いるとよい。この工程により、導電体膜(上部電極)44と上部プラグ38及び下部プラグ36が接続される。
【産業上の利用可能性】
【0082】
以上説明したように、本発明の半導体装置及びその製造方法は、絶縁膜に設けたホールパターンに形成される導電体膜の断線を防止できるものであって、特に、強誘電体材料にコンタクトホールを形成する際に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【図1】(a)〜(g)は、本発明の第1の実施形態に係る半導体装置の製造方法を工程順に示す要部断面図である。
【図2】(a)及び(b)は、本発明の第1の実施形態に係る半導体装置の段差部の形状を説明するための要部断面図である。
【図3】(a)〜(d)は、本発明の第2の実施形態に係る半導体装置の製造方法を工程順に示す要部断面図である。
【図4】(a)〜(c)は、本発明の第3の実施形態に係る半導体装置の製造方法を工程順に示す要部断面図である。
【図5】(a)及び(b)は、本発明の第3の実施形態に係る半導体装置の製造方法を工程順に示す要部断面図である。
【図6】(a)〜(e)は、従来に係る半導体装置の製造方法を工程順に示す要部断面図である。
【符号の説明】
【0084】
11 半導体基板
12 導電体膜
13 強誘電体膜
14 レジストマスクパターン
15 レジスト側壁保護膜
16 凹部
17 段差部
18 導電体膜
2a、2c 垂直方向のエッチング
2b 水平方向のエッチング
3a 開口部の外周部
3b 段差部の深さ
3c 導電体膜の強誘電体膜の上部上の膜厚
3d 開口部の上端部における導電体膜の膜厚
3e 開口部の下端部における導電体膜の膜厚
3f 開口部の上端部における導電体膜の水平方向の膜厚(オーバーハング部)
3g 開口部の段差部の側壁部における導電体膜の膜厚
31 半導体基板
32 素子分離領域
33a、33b 活性化領域
34 層間絶縁膜
35 水素バリア膜
36 下部プラグ
37 下部電極
38 上部プラグ
38a、38b 積層膜
39 層間絶縁膜
39a 層間絶縁膜
39b 開口部(キャパシタ用ホール)
39c 開口部外周部に露出する層間絶縁膜の上面部分
40 強誘電体膜
41 レジストマスクパターン
41a 開口部
42 段差部
43 開口部
44 導電体膜(上部電極)
45 層間絶縁膜
46 水素バリア膜
47 立体電極
48 レジスト側壁保護膜

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に、第1の導電体膜を形成する工程(a)と、
前記第1の導電体膜上に、絶縁膜を形成する工程(b)と、
前記絶縁膜上に、前記絶縁膜を露出する開口部を有するマスク膜を形成する工程(c)と、
前記開口部に露出した前記絶縁膜を異方性エッチングすることにより、前記開口部に露出した前記絶縁膜の上部に凹部を形成すると共に、前記マスク膜の前記開口部の側壁部の下部に、前記絶縁膜を構成する材料と前記異方性エッチングに用いたエッチングガスを構成する材料との反応生成物を付着させる工程(d)と、
前記反応生成物をマスクに用いた等方性エッチングにより、前記マスク膜の前記開口部の側壁部を前記基板の主面に対して水平方向に後退させると共に、異方性エッチングにより、前記凹部の底部に露出した前記絶縁膜を前記基板の主面に対して鉛直方向に掘り下げながら、前記マスク膜の開口部の側壁部の下部に付着した前記反応生成物を除去する工程(e)と、
前記工程(e)の後に、残存している前記マスク膜をマスクに用いた異方性エッチングにより、前記凹部の周囲に存在する前記絶縁膜を前記基板の主面に対して鉛直方向に掘り下げて前記絶縁膜に段差部を形成すると共に、前記凹部の底部に露出した前記絶縁膜を貫通させて前記第1の導電体膜を露出させる工程(f)と、
残存する前記マスク膜を除去した後に、前記凹部に露出した前記第1の導電体膜及び前記絶縁膜の上に第2の導電体膜を形成する工程(g)とを備える、半導体装置の製造方法。
【請求項2】
請求項1に記載の半導体装置の製造方法において、
前記絶縁膜の上面から前記段差部を構成する前記絶縁膜の下面までの距離は、前記第2の導電体膜の膜厚と等しい、請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の半導体装置の製造方法において、
前記工程(d)、(e)及び(f)は、同一のエッチング条件で連続して行われる、半導体装置の製造方法。
【請求項4】
請求項3に記載の半導体装置の製造方法において、
前記エッチング条件は、エッチングガスが、ArとCF又はClガスの混合ガスであり、チャンバー内のエッチング圧力が、1.0Pa以上で且つ2.0Pa以下に制御され、印加するエッチングパワーのバイアスが、150W以上で且つ300W以下に制御された条件である、半導体装置の製造方法。
【請求項5】
請求項1〜4のうちのいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法において、
前記第1の導電体膜及び前記第2の導電体膜は、白金、イリジウム、及びルテニウムよりなる金属群より選択される1つの金属、又は前記金属群から選択される1つの金属の化合物である、半導体装置の製造方法。
【請求項6】
請求項1〜5のうちのいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法において、
前記絶縁膜は強誘電体材料を含む、半導体装置の製造方法。
【請求項7】
請求項6に記載の半導体装置の製造方法において、
前記強誘電体材料はSBT又はPZTからなる、半導体装置の製造方法。
【請求項8】
基板上に形成された第1の導電体膜と、
前記第1の導電体膜上に形成され、前記第1の導電体膜を露出する開口部を有する絶縁膜と、
前記開口部に露出する前記第1の導電体膜及び前記絶縁膜の上に形成された第2の導電体膜とを備え、
前記絶縁膜は、前記開口部が、前記第1の導電体膜を露出する第1の凹部と、前記第1の凹部と連通し、開口径が前記第1の凹部の開口径よりも大きい第2の凹部とからなるように、段差部を有している、半導体装置。
【請求項9】
請求項8に記載の半導体装置において、
前記第1の導電体膜及び前記第2の導電体膜は、白金、イリジウム、及びルテニウムよりなる金属群より選択される1つの金属、又は前記金属群から選択される1つの金属の化合物である、半導体装置。
【請求項10】
請求項8又は9に記載の半導体装置において、
前記絶縁膜は強誘電体材料を含む、半導体装置。
【請求項11】
請求項10に記載の半導体装置において、
前記強誘電体材料はSBT又はPZTからなる、半導体装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−218364(P2009−218364A)
【公開日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−60040(P2008−60040)
【出願日】平成20年3月10日(2008.3.10)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】