説明

半導体装置

【課題】 LOCOSオフセット構造を採らなくても、トランジスタの耐圧が高い半導体装置の提供を提供する。
【解決手段】 MOSトランジスタ100のゲート電極11とドレインプラグ17との間のシリコン基板1上に、絶縁膜7を介して電界集中緩和用のスポットプラグ19が設けられており、このスポットプラグ19は、ゲート電極21の上方まで延ばされたソース電極21に接続している。このような構成であれば、ゲート電極11下とドレイン領域5との境界部分は、スポットプラグの影響を受けて電界集中が緩和され、その勾配が緩やかになる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置に関し、特に、LOCOSオフセット構造を採らなくてもトランジスタの耐圧が高い半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の従来技術としては、例えば特許文献1に開示されたものがある。即ち、この特許文献1には、ゲート絶縁膜とドレイン領域との間にLOCOS層が設けられ、そのLOCOS層の下にオフセット不純物層が形成された、いわゆるLOCOSオフセット構造のMOSトランジスタが開示されている。かかるMOSトランジスタにあっては、LOCOS層及びオフセット不純物層によって、ゲート絶縁膜下とドレイン領域との間で空乏層が伸び電界の集中が緩和されるので、高耐圧であった。
【特許文献1】特開平11−8388号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来技術では、電界集中を緩和するためにLOCOS層等が必要であったが、LOCOS層を形成する際には、マスクであるシリコン窒化膜の下にもその開口端から酸素が入り込みバーズビークが形成される。そのため、このバーズビーク周辺で結晶欠陥が生じやすく、この欠陥によってデバイス特性が劣化してしまうおそれがあった(第1の問題点)。
また、このLOCOS層は、素子分離用LOCOSと同時に作ることも別々に作ることも可能であるが、同時に作る場合にはLOCOS層は素子分離用LOCOSと同じ厚さとなるため不都合な点が多く、それゆえ別々に作ることが多い。ここで、別々に作る場合には、LOCOSプロセスを素子分離用と、オフセット用とに分けて行う(即ち、2回行う。)ことになるので、プロセスのサーマルバジェット(熱履歴)が大きい、という問題があった(第2の問題点)。
【0004】
本発明は、このような解決すべき問題に着目してなされたものであって、LOCOSオフセット構造を採らなくても、トランジスタの耐圧が高い半導体装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
〔発明1〕 上記目的を達成するために、発明1の半導体装置は、基板にトランジスタを有する半導体装置であって、前記トランジスタのゲート電極と当該トランジスタのドレイン領域との間の前記基板上に絶縁膜を介して電界集中緩和用のスポット電極が設けられている、ことを特徴とするものである。ここで、スポット電極には、その周囲の電界を小さくするような電圧(例えば、0[V])が印加される。
【0006】
このような構成であれば、ゲート電極下とドレイン領域との境界部分は、スポット電極の影響を受けて電界集中が緩和され、その勾配が緩やかになる。従って、トランジスタの耐圧を高めることができる。
これにより、従来技術で説明したようなLOCOSオフセット構造を採らずに済むので、バーズビーク周辺での結晶欠陥の発生を減らす、又は無くすことが可能である。また、LOCOSプロセスを2回行う必要もなくなるので、サーマルバジェット(熱履歴)を減らすことが可能である。
【0007】
〔発明2〕 発明2の半導体装置は、発明1の半導体装置において、前記スポット電極は、前記トランジスタのソース領域に繋がるソース電極に接続していることを特徴とするものである。
【0008】
このような構成であれば、ゲート電極下とドレイン領域との境界部分は、スポット電極からソース電位の影響を受けて電界集中が緩和され、その勾配が緩やかになる。スポット電極とソース電極とを接続するだけでよく、スポット電極を他の素子に接続する必要がないので、回路構成が簡単である。
【0009】
〔発明3〕 発明3の半導体装置は、発明2の半導体装置において、前記絶縁膜を第1の絶縁膜としたとき、前記ソース電極は、第2の絶縁膜を介して前記ゲート電極の上側の少なくとも一部を覆うように形成されていることを特徴とするものである。
このような構成であれば、ゲート電極下とドレイン領域との境界部分は、ゲート電極方向からソース電位の影響も受けるので、電界集中のさらなる緩和が期待でき、トランジスタの高耐圧化に有利である。
【0010】
〔発明4〕 発明4の半導体装置は、発明2又は発明3の半導体装置において、前記ソース電極は、前記ドレイン領域上に設けられたドレイン電極の前記ゲート電極側の少なくとも一部を包囲するように形成されていることを特徴とするものである。
【0011】
このような構成であれば、ドレイン電極のソース電極によって包囲された部分の電界はソース電極に引き付けられ、包囲された部分から「ゲート電極下とドレイン領域との境界部分」への電界はある程度抑えられるので、電界集中のさらなる緩和が期待でき、トランジスタの高耐圧化に有利である。
本発明は、特に、30〜100[V]程度の高耐圧型のMOSトランジスタを有する半導体装置に適用して極めて好適である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
(1)第1実施形態
図1は、本発明の第1実施形態に係る高耐圧N型MOSトランジスタ(以下、単に「MOSトランジスタ」という。)100の構成例を示す断面図である。図1に示すように、このMOSトランジスタ100は、ソース領域3と、ドレイン領域5と、絶縁膜7と、ゲート電極11と、層間絶縁膜13と、ソースプラグ15と、ドレインプラグ17と、スポットプラグ19と、ソース電極21と、ドレイン電極23と、を含んだ構成となっている。
【0013】
図1に示すように、ソース領域3は例えばリン又はヒ素等のN型不純物がP型シリコン基板1にイオン注入され、熱拡散して形成された領域である。また、ドレイン領域5も例えばリン又はヒ素等のN型不純物がP型のシリコン基板1にイオン注入され、熱拡散して形成された領域である。このソース領域3とドレイン領域5とに挟まれたシリコン基板1の上層部分が、MOSトランジスタ100の駆動時にチャネルとなる領域(以下「チャネル領域」という。)である。
【0014】
また、図1に示すように、このMOSトランジスタ100では、ドレイン領域5でのN型不純物濃度はチャネル領域側とドレインプラグ17側とで異なり、チャネル領域側よりもドレインプラグ17側の方が濃くなっている(濃度差をN−,N+で示している。)。これは、ソース領域3とドレイン領域5との間に電圧が印加されたときに、チャネル領域とドレイン領域5との境界部分での電界集中を抑制するためである。
【0015】
絶縁膜7は、シリコン基板1のチャネル領域上からドレイン領域5上にかけて設けられている。この絶縁膜7は例えばシリコン酸化膜である。絶縁膜7のうちのシリコン基板1とゲート電極11とに挟まれた部分がゲート絶縁膜である。絶縁膜7の厚さは、例えば500〜2000[Å]程度である。
ゲート電極11は例えばリン又はボロン等の不純物を含むポリシリコンからなる。また、層間絶縁膜13は、例えばシリコン酸化膜からなり、その厚さは例えば5000〜20000[Å]程度である。図1に示すように、この層間絶縁膜13によって、ゲート電極11はその上方及び側方が覆われている。
【0016】
ソースプラグ15は、ソース領域3上に形成されたプラグ電極であり、その材質は例えばタングステン(W)である。また、ドレインプラグ17は、ドレイン領域5上に形成されたプラグ電極であり、その材質も例えばタングステンである。ソースプラグ15、ドレインプラグ17のいずれも、その下面とシリコン基板1との間にはTi/TiN等のバリアメタル(図示せず)が形成されており、かつ、プラグの上面は層間絶縁膜13から露出している。
【0017】
図1に示すように、スポットプラグ19は、ゲート電極11とドレインプラグ17との間のシリコン基板1上に絶縁膜7を介して設けられている。このスポットプラグ19の材質は、例えばタングステンである。図1に示すように、このスポットプラグ19はドレインプラグ17から完全に離れており、その間には層間絶縁膜13が介在している。また、このスポットプラグ19の上面は層間絶縁膜13から露出している。
【0018】
ソース電極21は層間絶縁膜13上に形成されており、ゲート電極11を跨ぐような形でソースプラグ15の上面とスポットプラグ19の上面とにそれぞれ接続している。また、ドレイン電極23は層間絶縁膜13上に形成されており、ドレインプラグ17の上面に接続している。ソース電極21及びドレイン電極23の材質は例えばアルミニウム合金である。
【0019】
図1に示すMOSトランジスタ100では、例えば、その駆動時にソース電極21に0[V]が、ドレイン電極23に10[V]が印加される。つまり、ソースプラグ15だけでなく、スポットプラグ19にも0[V]が印加される。このような状態では、チャネル領域とドレイン領域5との境界部分は、スポットプラグ19の影響を受けて電界集中が緩和され、その勾配(ポテンシャルの勾配)が緩やかになる。従って、従来技術で説明したようなLOCOSオフセット構造を採ることなく、トランジスタの耐圧を高めることができる。
【0020】
次に、図1に示したMOSトランジスタ100の製造方法について説明する。
図2(A)〜(D)は、MOSトランジスタ100の製造方法を示す工程図である。図2(A)では、LOCOSプロセス、またはSTIプロセスにより図示しない素子分離層を形成した後で、シリコン基板1上に絶縁膜7とゲート電極11とを順次形成する。絶縁膜7は、例えば熱酸化により形成する。次に、ゲート電極11下から露出したシリコン基板1にN型の不純物をイオン注入し熱拡散させてソース領域3及びドレイン領域5を形成し、シリコン基板1上に層間絶縁膜13を形成する。層間絶縁膜13は、例えばCVD法により形成する。
【0021】
次に、図2(B)に示すように、フォトリソグラフィによって、ソースプラグ、ドレインプラグ及びスポットプラグの各形成領域上だけを開口し、その他の領域を覆うレジストパターン51を層間絶縁膜13上に形成する。そして、このレジストパターン51をマスクに層間絶縁膜13をドライエッチングして、図2(C)に示すように、コンタクトホールH及びスポットホールHを形成する。
【0022】
ここで、層間絶縁膜13はCVD法により形成した膜であり、その膜厚はシリコン基板1の全面でほぼ同じ値である。また、絶縁膜7は熱酸化により形成した膜である。そして、CVD法で形成した層間絶縁膜13よりも、熱酸化膜で形成した絶縁膜7の方が膜質が緻密でエッチングされにくい傾向がある。そのため、レジストパターン51(図2(B)参照。)をマスクにコンタクトホールH等を形成した場合、コンタクトホールHの底面にソース領域3、ドレイン領域5の表面が露出するとほぼ同時に、スポットホールHの底面にも絶縁膜7の表面が露出するが、絶縁膜7はエッチングされにくい膜質なので、層間絶縁膜13を多少オーバエッチングしても、スポットホールH底面の絶縁膜7が無くなることはない。
【0023】
次に、コンタクトホールH及びスポットホールHを形成した層間絶縁膜13上に、図示しないバリアメタルと、タングステン膜とを順次形成する。そして、タングステン膜及びバリアメタルをCMPで研磨して、コンタクトホールH及びスポットホールH以外の層間絶縁膜13上からタングステン膜を取り除く。これにより、図2(D)に示すように、ソースプラグ15及びドレインプラグ17、スポットプラグ19を形成する。CMPによるタングステン膜の研磨工程では、バリアメタル下から露出した層間絶縁膜13の上面も多少研磨されるので、図2(D)に示すように、その上面は平坦化される。
【0024】
その後、層間絶縁膜13上の全面にアルミニウム合金膜を形成し、フォトリソグラフィ及びドライエッチングによって、アルミニウム合金膜からソース電極21とドレイン電極23とを形成する。これにより、MOSトランジスタ100を完成させる。
このように、本発明の第1実施形態に係るMOSトランジスタ100を含む半導体装置によれば、ソース電極21はスポットプラグ19に接続しているので、チャネル領域とドレイン領域5との境界部分は、薄い絶縁膜7を介してスポットプラグ19からソース電位の影響を受ける。このため、後頁のシミュレーション結果で示す通り、上記境界部分では電界集中が緩和され、その勾配(ポテンシャルの勾配)が緩やかになる。従って、トランジスタの耐圧を高めることができる。
【0025】
これにより、従来技術で説明したようなLOCOSオフセット構造を採らずに済むので、バーズビーク周辺での結晶欠陥の発生を減らす、又は無くすことが可能である。また、LOCOSプロセスを2回行う必要もなくなるので、サーマルバジェット(熱履歴)を減らすことが可能である。
また、このMOSトランジスタ100は、ソース電極21がゲート電極11の上方を覆う構造(即ち、フィールドプレート構造)となっているので、上記境界部分はスポットプラグ19だけでなく、ゲート電極11方向からもソース電位の影響を受ける。従って、電界集中のさらなる緩和が期待でき、トランジスタの高耐圧化に有利である。
【0026】
この第1実施形態では、シリコン基板1が本発明の「基板」に対応し、MOSトランジスタ100が本発明の「トランジスタ」に対応している。また、ドレインプラグ17が本発明の「ドレイン電極」に対応し、ソースプラグ15及びソース電極21が本発明の「ソース電極」に対応している。さらに、絶縁膜7が本発明の「(第1の)絶縁膜」に対応し、スポットプラグ19が本発明の「スポット電極」に対応している。また、層間絶縁膜13が本発明の「第2の絶縁膜」に対応している。
【0027】
(2)第2実施形態
図3は、本発明の第2実施形態に係るMOSトランジスタ200の構成例を示す断面図である。図3において、図1に示したMOSトランジスタ100と同一部分には同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0028】
図3に示すように、このMOSトランジスタ200は、ソース領域3と、ドレイン領域5と、絶縁膜7と、ゲート電極11と、層間絶縁膜13と、ソースプラグ15と、ドレインプラグ17と、スポットプラグ19と、ソース電極21´と、ドレイン電極23と、スポット電極25と、を含んだ構成となっている。
第1実施形態で説明したMOSトランジスタ100とは異なり、このMOSトランジスタ200では、ソース電極21´はスポットプラグ19に接続していない。その代わりに、スポット電極25が層間絶縁膜13上に形成され、スポットプラグ19の上面に接続している。このスポット電極25は、ソース電極21及びドレイン電極23と同時に形成されたものであり、その材質は例えばアルミニウム合金である。
【0029】
図3に示すMOSトランジスタ200では、例えば、その駆動時にソース電極21に0[V]が、ドレイン電極23に10[V]が印加される。また、スポット電極25には、その周囲の電界を小さくするような電圧(例えば、0[V])が印加される。この「周囲の電界を小さくするような電圧」の大きさは、例えば、チャネル領域とドレイン領域5との境界部分上の絶縁膜7の厚さや、上記境界部分に集中する電界の大きさ等によって決められるが、その絶対値は少なくともドレイン電極23に印加される電圧よりも小さい。
【0030】
図3に示すMOSトランジスタ200において、スポット電極25に印加する電圧が0[V]の場合には、スポット電極25に対する電圧印加を常時行うようにする。
また、スポット電極25に印加する電圧が0[V]でない場合には、その電圧印加を必ずしも常時行う必要は無い。この場合には、ドレイン電極23に10[V]の電圧を印加している間(即ち、チャネル領域とドレイン領域5との境界部分で電界が集中する間)だけ、スポット電極25に「周囲の電界を小さくするような電圧」を印加すれば良い。ドレイン電極23に10[V]の電圧を印加していない間は、上記境界部分に電界は集中しないので、スポット電極25への電圧印加を省いても構わない。
【0031】
このように、本発明の第2実施形態に係るMOSトランジスタ200によれば、チャネル領域とドレイン領域5との境界部分は、薄い絶縁膜7を介してスポットプラグ19から「周囲の電界を小さくするような電圧」の影響を受ける。このため、上記境界部分では電界集中が緩和され、その勾配が緩やかになるので、トランジスタの耐圧を高めることができる。
【0032】
この第2実施形態では、ソースプラグ15及びソース電極21´が本発明の「ソース電極」に対応し、スポットプラグ19及びスポット電極25が本発明の「スポット電極」に対応し、MOSトランジスタ200が本発明の「トランジスタ」に対応している。
【0033】
(3)第3実施形態
図4は、本発明の第3実施形態に係るMOSトランジスタ300の構成例を示す断面図である。図4において、図1に示したMOSトランジスタ100と同一部分には同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0034】
図4に示すように、このMOSトランジスタ300は、ソース領域3と、ドレイン領域5と、絶縁膜7と、ゲート電極11と、第1層間絶縁膜13と、ソースプラグ15と、第1ドレインプラグ17と、スポットプラグ19と、ソース電極21´´と、第2層間絶縁膜31と、第2ドレインプラグ33と、ドレイン電極23´と、を含んだ構成となっている。
【0035】
第1実施形態で説明したMOSトランジスタ100とは異なり、このMOSトランジスタ300では、第1層間絶縁膜13上に第2層間絶縁膜31が設けられており、この第2層間絶縁膜31によってソース電極21´´は覆われている。また、第2層間絶縁膜31には第1ドレインプラグ17の上面を底面とするビアホールが形成され、このビアホール内に第2ドレインプラグ33が埋め込まれている。図4に示すように、ドレイン電極23´は第2層間絶縁膜31上に形成されており第2ドレインプラグ33の上面に接続している。
【0036】
さらに、このMOSトランジスタ300では、ソース電極21´´はゲート電極11の上方まで延ばされ、かつ第2ドレインプラグ33の周りを平面視で囲むように形成されている。
このような構成であれば、第2ドレインプラグ33のソース電極21´´で囲まれた部分の電界はソース電極21に引き付けられ、この囲まれた部分から「チャネル領域とドレイン領域5との境界部分」への電界はある程度抑えられるので、電界集中のさらなる緩和が期待でき、トランジスタの高耐圧化に有利である。
【0037】
この第3実施形態では、ソースプラグ15及びソース電極21´´が本発明の「ソース電極」に対応し、第1ドレインプラグ17及び第2ドレインプラグ33が本発明の「ドレイン電極」に対応している。また、MOSトランジスタ300が本発明の「トランジスタ」に対応している。
【0038】
(4)シミュレーション結果
図5(A)は、従来からよく知られている一般的なMOSトランジスタのポテンシャル分布のシミュレーション結果を模式的に示した図である。また、図5(B)は、本発明に係るMOSトランジスタのポテンシャル分布のシミュレーション結果を模式的に示した図である。
【0039】
両図の違いは、図5(B)では、ソース電極がゲート電極の上方まで延ばされ、さらにゲート電極を跨いでドレイン電極の近くまで延ばされている点だけである。基板内の各領域(ソース、ドレイン、チャネル等)に含まれる不純物及びその濃度の設定は、両図でそれぞれ同じである。
【0040】
図5(A)及び(B)では、ポテンシャルの大小をハッチングの密度で示しており、ハッチングの密度が高い部分ほどポテンシャルが大きいことを示している。即ち、ポテンシャルの大きさは、領域a>領域b>領域c>領域d>領域eである。また、両図において、各電極のバイアスは、ソース電圧(Vs)=ゲート電圧(Vg)=基板電圧(Vsub)=0[V]、ドレイン電圧(Vg)=10[V]である。
【0041】
図5(A)及び(B)を比較して分かるように、図5(B)では、チャネルとドレインとの境界部分において、ポテンシャルの分布がドレイン側へ緩やかに広がっている。つまり、上記境界部分では電界の集中が緩和され、その勾配が緩やかになっている。そのため、図5(A)に示すMOSトランジスタよりも、図5(B)に示すMOSトランジスタの方が高耐圧といえる。
【0042】
なお図5(B)では、ゲート電極下とドレインとの間の基板上に絶縁膜を介して配置されたソース電極の端部が、本発明の「スポット電極」に対応している。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】第1実施形態に係るMOSトランジスタ100の構成例を示す図。
【図2】MOSトランジスタ100の製造方法を示す図。
【図3】第2実施形態に係るMOSトランジスタ200の構成例を示す図。
【図4】第3実施形態に係るMOSトランジスタ300の構成例を示す図。
【図5】シミュレーション結果を模式的に示した図。
【符号の説明】
【0044】
1 シリコン基板、3 ソース領域、5 ドレイン領域、7 絶縁膜、11 ゲート電極、13 (第1)層間絶縁膜、15 ソースプラグ、17 (第1)ドレインプラグ、19 スポットプラグ、21,21´,21´´ ソース電極、23,23´ ドレイン電極、25 スポット電極、31 第2層間絶縁膜、33 第2ドレインプラグ、100,200,300 MOSトランジスタ、H コンタクトホール、H スポットホール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板にトランジスタを有する半導体装置であって、
前記トランジスタのゲート電極と当該トランジスタのドレイン領域との間の前記基板上に絶縁膜を介して電界集中緩和用のスポット電極が設けられている、ことを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
前記スポット電極は、前記トランジスタのソース領域に繋がるソース電極に接続していることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記絶縁膜を第1の絶縁膜としたとき、
前記ソース電極は、第2の絶縁膜を介して前記ゲート電極の上側の少なくとも一部を覆うように形成されていることを特徴とする請求項2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記ソース電極は、前記ドレイン領域上に設けられたドレイン電極の前記ゲート電極側の少なくとも一部を包囲するように形成されていることを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の半導体装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−310580(P2006−310580A)
【公開日】平成18年11月9日(2006.11.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−131847(P2005−131847)
【出願日】平成17年4月28日(2005.4.28)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】