説明

半導体製造方法と装置

【課題】部分的に絶縁膜が形成されているシリコン基板上を単結晶で覆うことができる半導体装置の製造方法及び基板処理装置を提供する。
【解決手段】部分的に絶縁膜が形成されたSi基板10上に、a−Si膜14を成膜する(図1(b))。このSi基板10を熱処理すると、基板のSi結晶を種としてa−Siが固相Epi化される(図1(c))。基板の厚さ方向に対して充分にEpi結晶化された範囲を保護するようにレジスト膜18を形成し(図1(d))、エッチング処理を行い(図1(e))、その後、アッシング処理によってレジスト膜18を剥離し、このSi基板10上に再度a−Si膜を成膜する(図1(f))。再度、上記熱処理を行うことで、a−Siが固相Epi化される(図1(g))。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シリコンウエハ等の基板に膜を形成する半導体装置の製造方法及び基板処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
SOI(Silicon on Insulator)構造を用いたLSIが盛んに研究されている。これは、寄生容量の低減による動作速度の高速化や、素子間分離が簡単なため高集積化しやすい等の利点があるためである。
SOI構造を形成する方法として、SIMOX(Separation by Implanted Oxygen)に代表される表面単結晶分離法が有名である。これは、表面単結晶シリコン(以下、Siと称す)層を保持しつつ内部に絶縁膜を形成する方法である。
【0003】
SOI構造を形成する方法として、横方向エピタキシャル(以下、Epiと称す)成長法がある。これは、表面の一部に絶縁膜を形成したSi基板を用いて、絶縁膜上の横方向Epi成長により、単結晶Si層を形成する方法である。部分的に絶縁膜を形成したSi基板上にアモルファスシリコン(以下、a−Siと称す)を成膜し、続いて、約500〜700℃で熱処理を行うと、Si開口部のSi結晶を種として、絶縁膜上のa−Siが単結晶化される。
【0004】
従来の技術の一つとして、酸化膜が形成されたシリコン基板に清浄なシード表面を形成した後、電子ビーム蒸着により非晶質シリコン膜を堆積し、続いて真空中450℃で熱処理を行うことで非晶質シリコン膜を緻密化し、その後、600℃の窒素雰囲気中でアニールによる非晶質シリコン膜の固相成長を行うことが公知となっている(特許文献1)。
【0005】
また、他の従来技術として、ポリシリコンなどの層を600℃程度の比較的低温で半導体基板上及びゲートを保護する絶縁膜上に堆積させ、続いて、熱処理でこれを固相成長させて半導体基板上にシリコン単結晶層を形成し、その後、単結晶化しなかった絶縁膜上のポリシリコンなどの選択エッチングを行うことが公知となっている(特許文献2)。
【0006】
ここで、横方向固相Epi成長法においては、(1)a−Siと基板との界面の高清浄化及び(2)a−Siと絶縁膜との界面の微結晶粒形成抑制、が重要な要素となる。
【0007】
上記(1)については、a−SiはSi開口部が種となって単結晶化されるため、基板に自然酸化膜や汚染物質が残っていると種結晶とならず、単結晶化が阻害されてしまうからである。この問題は、Epi成長用途の高清浄縦型CVD装置が開発されたことで解決された。
【0008】
上記(2)については、a−Siが熱処理する前に微結晶粒を含んでいると、単結晶化するために熱処理する際、この微結晶粒が成長してしまい、単結晶化が阻害されてしまうからである。微結晶粒はa−Siと絶縁膜との界面に形成されやすく、微結晶粒の形成を抑制するにはa−Siを低温で成膜する必要がある。
【0009】
例えば、SiHによるCVD法の場合、600℃がa−Siとポリシリコン(以下、Poly−Siと称す)の境界であり、580℃以下ではほとんどがa−Siとなるが、微結晶粒の形成を抑制するには低温であるほどよい。
【0010】
しかし、低温化した場合、成膜速度が遅くなる問題がある。例えば、SiHにて成膜圧力が80Paのときa−Siの成膜速度は、580℃では約6nm/minであるが、530℃では約2nm/minになる。このため、枚葉処理装置では生産性が著しく低下するが、バッチ処理装置を適用することにより量産化の目処を得た。
【0011】
一般的なバッチ式縦型減圧CVD装置では、まず、ウエハカセットにより投入されたウエハ(Si基板)は、基板移載機によりウエハカセットからボートへ移載される。全てのウエハの移載が完了するとボートは処理室内に挿入され、真空排気系により減圧される。そして、所望の温度に加熱し温度が安定したところで原料ガスを供給し、基板上にCVD反応によりSi等をEpi成長させる。
【0012】
【特許文献1】特開昭64−44060
【特許文献2】特許第4010724号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
しかしながら、横方向固相Epi成長距離には限界があるため、成長距離を延長させる手段が必要となる場合がある。
【0014】
本発明の目的は、横方向固相Epi成長距離が不足した場合でも、固相Epi膜を延長させることにより、絶縁膜上を完全に単結晶で覆うことを可能とする半導体装置の製造方法及び基板処理装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記目的を達成するために、本発明に係る半導体装置の製造方法は、部分的に絶縁膜を形成したSi基板上にa−Si膜を形成する第1の工程と、前記Si基板を熱処理して前記a−Si膜を単結晶化する第2の工程と、前記単結晶化した部分にレジスト膜を形成する第3の工程と、前記単結晶化しなかった部分を除去する第4の工程と、前記レジスト膜を剥離する第5の工程と、前記Si基板上に前記a−Si膜を形成する第6の工程と、前記Si基板を熱処理して前記a−Si膜を単結晶化する第7の工程と、を有する。
【0016】
好適には、前記半導体装置の製造方法は、前記a−Si膜が全て単結晶化するまで前記第1の工程乃至前記第5の工程を所定回数繰り返す。
【0017】
好適には、前記半導体装置の製造方法は、前記第2の工程ではSi膜を形成し、前記第7の工程ではシリコンゲルマニウム(以下、SiGeと称す)膜を形成する。
【0018】
好適には、前記半導体装置の製造方法は、前記レジスト膜を形成する前記第3の工程では、予め取得したデータを基にマスクをしてエッチングを行う。
【0019】
好適には、前記半導体装置の製造方法は、前記第2の工程ではSiGe膜を形成し、前記第7の工程ではSi膜を形成する。
【0020】
また、本発明に係る基板処理装置は、部分的に絶縁膜を形成したSi基板を処理する処理室と、前記Si基板を加熱するヒータと、前記Si基板上に少なくともSi膜又はSiGe膜のいずれかを形成するための原料ガスを供給するガス供給手段と、前記Si基板上にレジスト膜を形成するレジスト膜形成方法と、前記Siレジスト膜を形成しない部分を除去するエッチング手段と、前記レジスト膜を剥離する剥離手段と、前記構成部位を制御する制御部とを有し、該制御部は、前記Si基板上にa−Si膜を形成する第1の工程と、前記Si基板を熱処理して前記a−Si膜を単結晶化する第2の工程と、前記単結晶化した部分に前記レジスト膜形成手段により前記レジスト膜を形成する第3の工程と、前記単結晶化しなかった部分を前記エッチング手段により除去する第4の工程と、前記剥離手段により前記レジスト膜を剥離する第5の工程と、前記Si基板上に前記a−Si膜を形成する第6の工程と、前記Si基板を熱処理して前記a−Si膜を単結晶化する第7の工程とを有するように制御する。
【0021】
好適には、前記基板処理装置は、一度に複数枚の基板の処理が可能であるバッチ式の装置である。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、絶縁膜上の横方向固相Epi成長距離を延ばすことができるため絶縁膜上全面を単結晶膜で覆うことが可能となる。これにより、3次元的に回路を集積化する場合の構造設計の自由度が増す利点がある。また、異種金属の単結晶構造の組合せもが容易になる。さらに、レジスト膜形成により、基板上の単結晶部分とそうでない部分をより正確に分けることができ、一度形成された単結晶部分がエッチングされることがなく効率よくEpi成長できるため、品質や歩留まりが向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
図1を参照にして、本発明の製造工程の一実施形態について説明する。
まずSi基板10上に部分的に絶縁膜12を形成する(図1(a))。次に、部分的に絶縁膜が形成されたSi基板10上に、a−Si膜14を成膜する(図1(b))。a−Si膜14が成膜されたSi基板10を約500〜700℃で熱処理すると、基板のSi結晶を種としてa−Siが単結晶化15、つまり固相Epi化される。横方向固相Epi成長できる範囲の外側のa−Si膜は、Epi結晶化されずに、a−SiもしくはPoly−Si又はこれらが混在した状態16で存在する(図1(c))。次に、基板の厚さ方向に対して充分にEpi結晶化された範囲を保護するようにフォトレジスト膜18を形成する(図1(d))。フォトレジスト膜18が形成されたSi基板10にエッチング処理を行い、Epi結晶化されてないa−Si膜等を除去する(図1(e))。アッシング処理によってフォトレジスト膜18を剥離し、このSi基板10上に再度a−Si膜を成膜する(図1(f))。再度、上記熱処理を行うことで、再度成膜したa−Siが固相Epi化される(図1(g))。
横方向固相Epi成長距離及びEpi結晶化範囲に応じて、絶縁膜上全体がEpi結晶化されるまで、上記工程を繰り返し適用することもできる。
【0024】
なお、上記実施形態においては、絶縁膜上に単結晶Si膜を形成する方法について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば他に、単結晶SiGe膜又は単結晶炭化シリコン(以下、SiCと称す)膜等の形成についても適用することもできる。
【0025】
さらに、上記実施形態を用いて、絶縁膜上に単結晶Si層や単結晶SiGe層等の異種金属を平面的又は立体的に組合わせて構成することができる。単結晶Si層15と単結晶SiGe層19を平面的に構成した状態を図2に示す。このような構成とすることにより、例えば単結晶Si層をnMOS(Negative Metal Oxide Semiconductor)で使用し、単結晶SiGe層をpMOS(Positive Metal Oxide Semiconductor)で使用するなど、応用できる幅が拡がる。
【0026】
次に、本発明の実施形態に用いられる基板処理装置について図面に基づいて説明する。
図3は、本発明の一実施形態としての基板処理装置20の構成のブロック図を示す。基板処理装置20は、成膜装置22、フォトレジスト膜形成装置24、ドライエッチング装置26、アッシング装置28及びこれらの構成装置を制御する制御部30を備える。また基板処理装置20は、図示しないインターフェイス機構を備え、このインターフェイス機構によって基板は各構成装置間を連絡される。
【0027】
図4及び図5は、成膜装置22の概略構成図を示す。成膜装置22は処理炉32を有し、この処理炉32は加熱機構としてのヒータ34を備える。ヒータ34は円筒形状であり、ヒータ素線とその周囲に設けられた断熱部材より構成され、図示しない保持体に支持されることにより垂直に据え付けられている。
【0028】
ヒータ34の内側には、このヒータ34と同心円状に反応管としてのアウターチューブ36が配設されている。アウターチューブ36は、石英(SiO)またはSiC等の耐熱材料からなり、上端が閉塞し下端が開口した円筒形状に形成されている。アウターチューブ36の内側の筒中空部には、処理室38が形成されており、基板としてのウエハ40を後述するボート42によって水平姿勢で垂直方向に多段に整列した状態で収容可能に構成されている。
【0029】
アウターチューブ36の下方には、このアウターチューブ36と同心円状にマニホールド44が配設されている。マニホールド44は、例えば、ステンレス等からなり、上端及び下端が開口した円筒形状に形成されている。このマニホールド44はアウターチューブ36を支持するように設けられている。尚、マニホールド44とアウターチューブ36との間には、シール部材としてのOリングが設けられている。このマニホールド44が図示しない保持体に支持されることにより、アウターチューブ36は垂直に据え付けられた状態となっている。このアウターチューブ36とマニホールド44により反応容器が形成される。
【0030】
マニホールド44には、ガス排気管46が設けられると共に、ガス供給管48が貫通するよう設けられている。ガス供給管48は、上流側で3つに分かれており、バルブ50、52、54とガス流量制御装置としてのMFC(mass flow controller)56、58、60を介して第1のガス供給源62、第2のガス供給源64、第3のガス供給源66にそれぞれ接続されている。MFC56、58、60及びバルブ50、52、54には、ガス流量制御部68が電気的に接続されており、供給するガスの流量が所望の流量となるよう所望のタイミングにて制御するように構成されている。ガス排気管46の下流側には、図示しない圧力検出器としての圧力センサ及び圧力調整器としてのAPCバルブ70を介して真空ポンプ等の真空排気装置72が接続されている。圧力センサ及びAPCバルブ70には、圧力制御部74が電気的に接続されており、圧力制御部74は、圧力センサにより検出された圧力に基づいてAPCバルブ70の開度を調節することにより、処理室38内の圧力が所望の圧力となるよう所望のタイミングにて制御するよう構成されている。
【0031】
マニホールド44の下方には、このマニホールド44の下端開口を気密に閉塞するための炉口蓋体としてのシールキャップ76が設けられている。シールキャップ76は、例えばステンレス等の金属よりなり、円板状に形成されている。シールキャップ76の上面には、マニホールド44の下端と当接するシール部材としてのOリングが設けられている。シールキャップ76には、回転機構78が設けられている。回転機構78の回転軸80はシールキャップ76を貫通して後述するボート42に接続されており、このボート42を回転させることでウエハ40を回転させるように構成されている。シールキャップ76は、処理炉32の外側に設けられた昇降機構としての後述する昇降モータ82によって垂直方向に昇降されるように構成されており、これによりボート42を処理室38に対し搬入搬出することが可能となっている。回転機構78及び昇降モータ82には、駆動制御部84が電気的に接続されており、所望の動作をするよう所望のタイミングにて制御するよう構成されている。
【0032】
基板保持具としてのボート42は、例えば石英や炭化珪素等の耐熱性材料からなり、複数枚のウエハ40を水平姿勢でかつ互いに中心を揃えた状態で整列させて多段に保持するように構成されている。尚、ボート42の下部には、例えば石英や炭化珪素等の耐熱性材料からなる円板形状をした断熱部材としての断熱板86が水平姿勢で多段に複数枚配置されており、ヒータ34からの熱がマニホールド44側に伝わりにくくなるよう構成されている。
【0033】
ヒータ34近傍には、処理室38内の温度を検出する温度検出体としての図示しない温度センサが設けられる。ヒータ34及び温度センサには、電気的に温度制御部88が接続されており、温度センサにより検出された温度情報に基づきヒータ34への通電具合を調節することにより処理室38内の温度が所望の温度分布となるよう所望のタイミングにて制御するように構成されている。
【0034】
この処理炉32の構成において、第1の処理ガスは、第1のガス供給源62から供給され、MFC56でその流量が調節された後、バルブ50を介して、ガス供給管48により処理室38内に導入される。
第2の処理ガスは、第2のガス供給源64から供給され、MFC58でその流量が調節された後、バルブ58を介してガス供給管48により処理室38内に導入される。
第3の処理ガスは、第3のガス供給源66から供給され、MFC60でその流量が調節された後、バルブ54を介してガス供給管48により処理室38内に導入される。
また、処理室38内のガスは、ガス排気管46に接続された真空排気装置72により、処理室38から排気される。
【0035】
次に、本発明の実施形態で用いられる成膜装置22の処理炉32周辺の構成について説明する。
【0036】
予備室としてのロードロック室90の外面に下基板92が設けられる。下基板92には昇降台94と嵌合するガイドシャフト96及びこの昇降台94と螺合するボール螺子98が設けられる。下基板92に立設したガイドシャフト96及びボール螺子98の上端に上基板100が設けられる。ボール螺子98は上基板100に設けられた昇降モータ82により回転される。ボール螺子98が回転することにより昇降台94が昇降するように構成されている。
【0037】
昇降台94には中空の昇降シャフト102が垂設され、昇降台94と昇降シャフト102の連結部は気密となっている。昇降シャフト102は昇降台94と共に昇降するようになっている。昇降シャフト102はロードロック室90の天板104を遊貫する。昇降シャフト102が貫通する天板104の貫通穴は、この昇降シャフト102に対して接触することがない様充分な余裕がある。ロードロック室90と昇降台94との間には昇降シャフト102の周囲を覆うように伸縮性を有する中空伸縮体としてのベローズ106が、ロードロック室90を気密に保つために設けられる。ベローズ106は昇降台94の昇降量に対応できる充分な伸縮量を有し、このベローズ106の内径は昇降シャフト102の外形に比べ充分に大きく、ベローズ106の伸縮により接触することがないように構成されている。
【0038】
昇降シャフト102の下端には昇降基板108が水平に固着される。昇降基板108の下面にはOリング等のシール部材を介して駆動部カバー110が気密に取付けられる。昇降基板108と駆動部カバー110とで駆動部収納ケース112が構成されている。この構成により、駆動部収納ケース112内部はロードロック室90内の雰囲気と隔離される。
【0039】
また、駆動部収納ケース112の内部にはボート42の回転機構78が設けられ、この回転機構78の周辺は、冷却機構114により、冷却される。
【0040】
電力供給ケーブル116は、昇降シャフト102の上端からこの昇降シャフト102の中空部を通り回転機構78に導かれて接続されている。また、冷却機構114及びシールキャップ76には冷却流路118が形成されている。冷却水配管120は、昇降シャフト102の上端からこの昇降シャフト102の中空部を通り、冷却流路118に導かれて接続されている。
【0041】
昇降モータ82が駆動されボール螺子98が回転することで、昇降台94及び昇降シャフト102を介して駆動部収納ケース112を昇降させる。
【0042】
駆動部収納ケース112が上昇することにより、昇降基板108に気密に設けられるシールキャップ76が処理炉32の開口部である炉口122を閉塞し、ウエハ処理が可能な状態となる。駆動部収納ケース112が下降することにより、シールキャップ76とともにボート42が降下され、ウエハ40を外部に搬出できる状態となる。
【0043】
ガス流量制御部68、圧力制御部74、駆動制御部84、温度制御部88は、操作部及び入出力部を構成し、成膜装置22全体を制御する主制御部124に電気的に接続されている。これら、ガス流量制御部68、圧力制御部74、駆動制御部84、温度制御部88、主制御部124は、コントローラ126として構成されている。
【0044】
次に、上記構成に係る処理炉32を用いて、半導体デバイスの製造工程の一工程として、ウエハ40などの基板上に、例えばEpi−Si膜を形成する方法について説明する。尚、以下の説明において、成膜装置22を構成する各部の動作は、コントローラ126により制御される。
【0045】
複数枚のウエハ40がボート42に装填されると、図4に示されるように、複数枚のウエハ40を保持したボート42は、昇降モータ82による昇降台94及び昇降シャフト102の昇降動作により処理室38内に搬入(ボートローディング)される。この状態で、シールキャップ76はOリングを介してマニホールド44の下端をシールした状態となる。
【0046】
処理室38内が所望の圧力(真空度)となるように真空排気装置72によって真空排気される。この際、処理室38内の圧力は、圧力センサで測定され、この測定された圧力に基づきAPCバルブ70がフィードバック制御される。また、処理室38内が所望の温度となるようにヒータ34により加熱される。この際、処理室38内が所望の温度分布となるように温度センサが検出した温度情報に基づきヒータ34への通電具合がフィードバック制御される。続いて、回転機構78により、ボート42が回転されることでウエハ40が回転される。
【0047】
第1のガス供給源62、第2のガス供給源64、第3のガス供給源66には、処理ガスとして、それぞれSiH又はSi、GeH、Hが封入されており、これら処理ガス供給源からそれぞれの処理ガスが供給される。所望の流量となるようにMFC56、58、60の開度が調節された後、バルブ50、52、54が開かれ、それぞれの処理ガスがガス供給管48を流通して、処理室38の上部から、この処理室38内に導入される。導入されたガスは、処理室38内を通り、ガス排気管46から排気される。処理ガスは、処理室38内を通過する際にウエハ40と接触し、ウエハ40の表面上にa−Si膜が堆積(デポジション)される。なお、例えばa−Si膜を堆積させたい場合には、例えば第1のガス供給源よりSiHを供給し、処理室内の温度を530℃〜580℃に設定する。
【0048】
予め設定された時間が経過すると、図示しない不活性ガス供給源から不活性ガス(例えばNガス)が供給され、処理室38内が不活性ガスで置換されると共に、処理室内の温度を500℃〜700℃に加熱し、a−Si膜が堆積された基板の熱処理を行う。
【0049】
予め設定された時間が経過すると、処理室内の加熱を停止し、圧力を常圧に復帰する。
【0050】
その後、昇降モータ82によりシールキャップ76が下降されて、マニホールド44の下端が開口されると共に、処理済ウエハ40がボート42に保持された状態でマニホールド44の下端からアウターチューブ36の外部に搬出(ボートアンローディング)される。その後、処理済のウエハ40は、ボート42より取出される(ウエハディスチャージ)。
【0051】
横方向固相Epi成長において、a−Siの成膜及び熱処理にかかる時間を短縮するため、生産性を考慮すると、枚葉処理装置よりもバッチ処理装置の方が、好ましい。
【0052】
なお、上記実施形態においては、Si膜を形成する方法について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば他に、SiGe膜あるいは、Si及びSiGe等からなる異種金属の単結晶膜についても絶縁膜上に平面的または立体的に組合わせて適用することができる。
【0053】
図6は、フォトレジスト膜形成装置24の概略構成図を示す。フォトレジスト膜形成装置24は、インデクサー部130、塗布機構132、現像機構134、露光装置136及び搬送機構138を備える。この搬送機構138によりウエハ40はフォトレジスト膜形成装置24の各所に搬送され配置される。
【0054】
インデクサー部130は、図示しないインターフェイス機構により搬送された基板収納容器としてのカセット140の授受を行う保持具授受部材であるカセットステージ142を有し、このカセット140にはフォトレジスト膜形成前後のウエハ40が収蔵される。
【0055】
塗布機構132は、ウエハ40にフォトレジストを塗布する回転式塗布装置144と、ウエハ40に加熱処理を行うプレベーク用ホットプレート146と、ウエハ40を冷却するクーリングプレート148とを有する。塗布機構132は上記構成に限られず、回転式塗布装置144に代えて、ローラー式コーター等の塗布装置を適用することもできる。また、プレベーク用ホットプレート146に代えて、ベーク炉等を適用することもできる。
【0056】
露光装置136は、例えばステッパであり、所定のパターンを有するレチクルをマスクとして、フォトレジストが塗布されたウエハ40上に露光を行い、フォトレジストにパターンを転写する。露光装置はステッパに限られず、例えばミラー式等投影露光装置等としてもよい。
【0057】
ここで、横方向の固相Epi成長距離は、電子後方散乱パターン(EBSP:electron backscattering pattern)解析により測定する。EBSP解析により、上方から観察した場合に固相Epiの成長距離を確認できる。フォトレジストマスク形成前のアニール条件によって、固相Epi成長距離は決定されるため、これを考慮することでマスク寸法を決定することができる。
【0058】
現像機構134は、露光後のウエハ40に現像処理を行う回転式現像装置150と、加熱処理を行うポストベーク用ホットプレート152と、加熱処理が施されたウエハ40を冷却するクーリングプレート154とを有する。現像機構134は上記構成に限られず、回転式現像装置150に代えて、ウエハ40を現像液に浸漬させるディップ方式等の現像装置を適用することもできる。また、ポストベーク用ホットプレート152に代えて、ベーク炉等を適用することもできる。
【0059】
次に、上記構成のフォトレジスト膜形成装置24を用いて、ウエハ40上にフォトレジスト膜を形成する方法について説明する。
ウエハ40が収蔵されたウエハカセット140は、図示しないインターフェイス機構によってカセットステージ142に搬送される。その後、ウエハカセット140に収蔵されているウエハ40は、搬送機構138によって回転式塗布装置144に搬送される。この回転式塗布装置144は、水平な状態で回転するウエハ40上にフォトレジストを滴下させることで、フォトレジストの塗布を行う。
【0060】
フォトレジストを塗布されたウエハ40は、プレベーク用ホットプレート146に搬送され、熱処理が行われる。この熱処理(プレベーク)は、塗布されたフォトレジスト膜中の残留溶剤を取り除き、フォトレジストとウエハ40との密着性を向上させる目的で行われる。露光前の熱処理であるため、このプレベークは低温(80℃程度)で行うことが好ましい。
プレベーク用ホットプレート146での熱処理後、ウエハ40はクーリングプレート148へ搬送され冷却される。
【0061】
続いて、ウエハ40は露光装置136へ搬送され、露光によって所定のパターンがフォトレジストに転写される。
【0062】
露光装置136で露光を行った後、ウエハ40は回転式現像装置150へ搬送される。この回転式現像装置150は、水平な状態で回転するウエハ40上に、アルカリ性または有機溶剤系の現像液を滴下することで現像を行う。
【0063】
現像後、ウエハ40はポストベーク用ホットプレート152に搬送され熱処理が行われる。この熱処理(ポストベーク)は、有機溶剤や付着水分を蒸発させて除去し、後の処理工程においてフォトレジストからのガス放出を減少させたり、フォトレジストとウエハ40との密着性や、エッチング耐性等を向上させたりする目的で行われる。ポストベークの処理温度及び処理時間は、形成されたフォトレジストの形状が変形しない範囲で設定される。
ポストベーク用ホットプレート152での熱処理後、ウエハ40はクーリングプレート154へ搬送され冷却される。
上述したようにして、ウエハ40上にフォトレジストがパターニングされる。つまり、以上の工程により、基板表面上の単結晶化した部分にフォトレジスト膜が形成される。なお、フォトレジスト膜以外にも単結晶化した部分を覆うことができれば、どのようなレジスト膜でもよい。
【0064】
図7は、ドライエッチング装置26の概略構成図を示す。ドライエッチング装置26は、エッチングチャンバ160と、このエッチングチャンバ160内の底面中央に設けられた載置ステージ162と、エッチングチャンバ160の上面部に設けられた上部電極164と、を有する。
【0065】
載置ステージ162は、下部電極166及びこの下部電極166を支持する支持体168からなり、この下部電極166は、高周波調整器170を介して高周波電力を発生する発振器172に接続されている。
上部電極164は、中空状に形成されており、この上部電極164の上面中央にはガスを供給するためのガス供給口174が配置され、下部面にはガスシャワーヘッド176が配置されている。ガスシャワーヘッド176は、エッチングチャンバ内へ処理ガスを分散して供給するための多数のガス供給孔178が例えば均等に配置されている。
【0066】
排気口180は、エッチングチャンバ160の底面に設けられ、エッチングチャンバ160内を減圧するように構成されている。
搬送口182はエッチングチャンバ160の壁面に設けられ、この搬送口182はゲートバルブ184によって開閉可能となっている。
【0067】
次に、このドライエッチング装置26を用いたエッチング方法について説明する。
ウエハ40はゲートバルブ184を介してエッチングチャンバ160内の載置ステージ162上に水平に載置される。ドライエッチング装置26へのウエハ40の搬入・搬出は、図示しないトランスファチャンバを介してゲートバルブ184の開閉と連動させて行い、エッチングチャンバ160内を外気にさらすことなくエッチング雰囲気を維持できるように構成されている。
続いて、図示しない排気系統により排気口180を介してエッチングチャンバ160内の真空排気を行う。真空排気後、ガス供給口174より所定の反応ガスを供給し、発振器172a及び172bの出力する高周波電力をそれぞれ高周波調整器170a及び170bを介して、上部電極164及び下部電極166に供給する。これにより反応ガスがプラズマ化され、ウエハ40にエッチング処理が行われる。以上の工程により、基板表面上の単結晶化しなかった部分が除去される。
【0068】
なお、エッチング装置は、所定の範囲の金属種をエッチングすることができればよく、上記構成に限られるものではない。例えば他に、誘導結合型、ナローギャップ型、ヘリコン波型等の装置、あるいはウエットエッチング装置を用いることができる。
【0069】
図8は、アッシング装置28の概略構成図を示す。アッシング装置28は、アッシングチャンバ190と、このアッシングチャンバ190内の底面中央に設けられた載置ステージ192と、を有する。
【0070】
アッシングチャンバ190は、このアッシングチャンバ190上部中央に配置されたガス供給口194と、上部に配置されたガスシャワーヘッド196、下部周面に配置された排気口198と、壁面に配置された搬送口200と、を有する。この搬送口200はゲートバルブ202によって開閉可能となっている。
高周波リング電極204は、アッシングチャンバ190の周囲に設けられ、この高周波リング電極204は高周波調整器206を介して高周波電力を発生する発振器208に接続されている。永久磁石リング210は、アッシングチャンバ190の周囲であって高周波リング電極204よりも外側の位置に、高周波リング電極204の上下に離間するようにして設けられている。
【0071】
載置ステージ192は、下部電極212及びこの下部電極212を支持する支持体214からなり、下部電極212は、高周波調整器216に接続されている。
【0072】
次に、このアッシング装置28を用いたアッシング方法について説明する。
ウエハ40はゲートバルブ202を介してアッシングチャンバ190内の載置ステージ192上に水平に載置される。アッシング装置28へのウエハ40の搬入・搬出は、図示しないトランスファチャンバを介してゲートバルブ202の開閉と連動させて行い、アッシングチャンバ190内を外気にさらすことなくアッシング雰囲気を維持できるように構成されている。
続いて、図示しない排気系統により排気口198を介してアッシングチャンバ190内の真空排気を行う。真空排気後、ガス供給口194より所定の反応ガスを供給し、発振器208の出力する高周波電力を高周波調整器206を介して、高周波リング電極204に供給する。これにより反応ガスがプラズマ化され、ウエハ40にアッシング処理が行われる。以上の工程により、基板表面上に形成されているフォトレジスト膜を剥離することができる。
【0073】
なお、アッシング装置は所定のフォトレジストを除去することができればよく、上記構成に限られるものではない。例えば他に、光励起アッシング装置等を用いることができる。
【0074】
次に、基板処理装置20を用いた、絶縁膜上全体に例えば単結晶Si膜を形成する製造工程について説明する。基板処理装置20の各構成装置間での基板の連絡はインターフェイス機構によって行われ、各構成装置及びインターフェイス機構は制御部30によって制御される。
【0075】
まず、部分的に絶縁膜12が形成されたSi基板10(図1(a))を成膜装置22に搬送する。成膜装置22において、このSi基板10上にa−Si膜14を成膜し(図1(b))、横方向固相Epi成長できる範囲まで熱処理を行うと、Si基板10は混在膜16が存在する状態となる(図1(c))。
次に、この混在膜16が存在する状態のSi基板10を、フォトレジスト膜形成装置24に搬送する。ここで所定の処理を行い、Epi結晶化された範囲を保護するように、Si基板10上にフォトレジスト膜20を形成する(図1(d))。
続いて、このSi基板10をドライエッチング装置26に搬送しエッチング処理を行うことで、フォトレジスト膜20によって保護されていない混在膜16を除去する(図1(e))。
エッチング処理後、このSi基板10をアッシング装置28に搬送しアッシング処理を行うことで、Si基板10上のフォトレジスト膜20を剥離する。
フォトレジスト膜20を除去したSi基板10を成膜装置22に搬送し、再度、a−Si膜14を成膜し(図1(f))、固相Epi化熱処理を行うことで、固相Epi膜15を延長させる(図1(g))。
【0076】
なお、上記製造工程においては、Si膜を形成する方法について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば他に、SiGe膜あるいは、Si及びSiGe等からなる異種金属膜についても適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】本発明の一実施形態を示す製造工程の概略図である。
【図2】本発明の他の実施形態を示す製造工程の概略図である。
【図3】本発明の一実施形態の基板処理装置20の構成を示すブロック図である。
【図4】本発明の一実施形態の基板処理装置20を構成する成膜装置22の断面図である。
【図5】本発明の一実施形態の基板処理装置20を構成する成膜装置22のコントローラ126を示すブロック図である。
【図6】本発明の一実施形態の基板処理装置20を構成するレジスト膜形成装置24の概略図である。
【図7】本発明の一実施形態の基板処理装置20を構成するドライエッチング装置26の断面図である。
【図8】本発明の一実施形態の基板処理装置20を構成するアッシング装置28の断面図である。
【符号の説明】
【0078】
10 Si基板
12 絶縁膜
14 a−Si
15 単結晶化Si
16 混在膜
18 フォトレジスト
20 基板処理装置
22 成膜装置
24 フォトレジスト膜形成装置
26 ドライエッチング装置
28 アッシング装置
30 制御部
32 処理炉
34 ヒータ
36 アウターチューブ
38 処理室
40 ウエハ
42 ボート
44 マニホールド
46 ガス排気管
48 ガス供給管
50、52、54 バルブ
56、58、60 MFC
62 第1のガス供給口
64 第2のガス供給口
66 第3のガス供給口
68 ガス流量制御部
124 主制御部
126 コントローラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
部分的に絶縁膜を形成したシリコン基板上にアモルファスシリコン膜を形成する第1の工程と、
前記シリコン基板を熱処理して前記アモルファスシリコン膜を単結晶化する第2の工程と、
前記単結晶化した部分にレジスト膜を形成する第3の工程と、
前記単結晶化しなかった部分を除去する第4の工程と、
前記レジスト膜を剥離する第5の工程と、
前記シリコン基板上にアモルファスシリコン膜を形成する第6の工程と、
前記シリコン基板を熱処理して前記アモルファスシリコン膜を単結晶化する第7の工程と、
を有する半導体装置の製造方法。
【請求項2】
前記アモルファスシリコン膜が全て単結晶化するまで前記第1の工程乃至前記第5の工程を所定回数繰り返す、
請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項3】
前記第2の工程ではシリコン膜を形成し、前記第7の工程ではシリコンゲルマニウム膜を形成する、
請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項4】
前記レジスト膜を形成する前記第3の工程では、予め取得したデータを基にマスクをしてエッチングを行う、
請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項5】
部分的に絶縁膜を形成したシリコン基板を処理する処理室と、
前記シリコン基板を加熱するヒータと、
前記シリコン基板上に少なくともシリコン膜又はシリコンゲルマニウム膜のいずれかを形成するための原料ガスを供給するガス供給手段と、
前記シリコン基板上にレジスト膜を形成するレジスト膜形成手段と、
前記レジスト膜を形成しない部分を除去するエッチング手段と、
前記レジスト膜を剥離する剥離手段と、
前記構成部位を制御する制御部と、
を有し、
該制御部は、前記シリコン基板上にアモルファスシリコン膜を形成する第1の工程と、
前記シリコン基板を熱処理して前記アモルファスシリコン膜を単結晶化する第2の工程と、
前記単結晶化した部分に前記レジスト膜形成手段により前記レジスト膜を形成する第3の工程と、
前記単結晶化しなかった部分を前記エッチング手段により除去する第4の工程と、
前記剥離手段により前記レジスト膜を剥離する第5の工程と、
前記シリコン基板上に前記アモルファスシリコン膜を形成する第6の工程と、
前記シリコン基板を熱処理してアモルファスシリコン膜を単結晶化する第7の工程と、
を有するように制御する基板処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−147142(P2010−147142A)
【公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−320826(P2008−320826)
【出願日】平成20年12月17日(2008.12.17)
【出願人】(000001122)株式会社日立国際電気 (5,007)
【Fターム(参考)】