説明

半導体記憶装置へのデータの書込み方法及び半導体記憶装置

【課題】半導体記憶装置のメモリセルの参照セルとなる副記憶領域の読出し電流の変動を抑制して、メモリセルの読出し電流の判定時における誤判定を低減することができる半導体記憶装置へのデータの書込み方法及び半導体記憶装置を提供する。
【解決手段】メモリセルの第1不純物領域及び第2不純物領域に印加される電圧の大小関係が互いに異なる2つのデータ書込みステップによってメモリセルにデータの書込みをなす。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体記憶装置の副記憶領域への基準データの書込み方法、及び当該基準データが書込まれた半導体記憶装置に関する。
【背景技術】
【0002】
デジタル情報を取り扱う各種の電子装置に使用されるメモリを大別すると、ハードディスクドライブ、DVD、CDのような物理的な動作を必要とする記憶装置と、物理的な動作を必要としない半導体メモリを用いた記憶装置とに分類することができる。更に、記憶保持方法により、半導体メモリを2種類に分けることができる。具体的には、電源を切ると記憶情報が失われる揮発性半導体メモリと、電源を切っても記憶情報が保存される不揮発性メモリと、に分類することができる。
【0003】
不揮発性メモリは、1つのメモリセルに1つの電荷蓄積部を有し、当該電荷蓄積部に電荷が蓄積されていない状態又は所定量未満の電荷が蓄積されている状態(未書込み状態)を“1”、当該電荷蓄積部に所定量以上の電荷が蓄積された状態(書込み状態)を“0”とすることによって記憶情報を保存する。このようなメモリセルには、例えば、n型のMOSFET(Metal-Oxide-Semiconductor Field-Effect Transistor)構造を有し、MOSFETのゲート酸化膜中に、他の部分から電気的に絶縁された多結晶シリコンからなる浮遊ゲート(FG:Floating Gate)が埋め込まれているものがある。また、他のメモリセルとして、n型MOSFET構造を有し、MOSFETのゲート絶縁膜が酸化膜によって窒化膜が挟まれた(すなわち、酸化膜、窒化膜、酸化膜を順次堆積した)構造を有するものがある。特に、かかる構造は、MONOS(Metal Oxide Nitride Oxide Silicon)構造又はSONOS(Silicon Oxide Nitride Oxide Silicon)構造と呼ばれている。そして、当該浮遊ゲート及び窒化膜が電荷蓄積部に該当する。かかるメモリセルへのデータ書込み、読出し、及び消去について、MONOS構造のメモリセルを例として以下に説明する。なお、以下のデータ書込み、読出し、及び消去において、ドレイン(ドレイン端子及びドレイン領域)及びソース(ソース端子及びソース領域)とは、記憶されたデータの読出しを行う際に決定されるドレイン及びソースを書込み及び消去においてもドレイン及びソースと定義する。すなわち、データ書込み、読出し、及び消去において、記憶されたデータの読出しを行う際に決定されるドレイン及びソースは常に一定であり、データ書込み及び消去においてドレイン及びソースを逆転して定義をしないものとする。
【0004】
窒化膜にデータ“0”を書込む場合には、ソース端子及びゲート端子に正電圧を印加し、ドレイン端子を接地電圧とする。これにより、チャンネル中をドレイン領域からソース領域に向かって移動する電子がソース領域近傍で高い運動エネルギーを獲得してホットエレクトロンになり、当該ホットエレクトロンがゲートに印加された正電圧によってゲート端子直下まで引き上げられ、当該引き上げられた電子が窒化膜に保持される。窒化膜に所定量以上のホットエレクトロンが保持されることにより、データ“0”が書込まれる。
【0005】
窒化膜に記憶されたデータの読出しを行う場合には、ドレイン端子及びゲート端子に正電圧を印加し、ソース端子を接地電圧とする。この時、窒化膜に電荷が蓄積されていない場合又は所定量未満の電荷が蓄積されている場合(すなわち、窒化膜がデータ“1”を記憶されている場合)には、比較的に大きな読出し電流が得られる。一方、窒化膜に所定量以上の電荷が蓄積されている場合(すなわち、窒化膜がデータ“0”を記憶されている場合)には、蓄積された電荷の影響によって読出し電流はデータ“1”が記憶された状態と比較して小さくなる。このように、窒化膜内の電荷の有無により、読出し電流の大きさに差異が生じるため、読出し電流の大小を判定することによってデータ読出しを行うことが可能になる。読出し電流の大小の判定の詳細な方法としては、不揮発性メモリの所定のメモリセルに、データ“1”が記憶されたメモリセルの窒化膜に蓄積された電荷量と、データ“0”が記憶されたメモリセルの窒化膜に蓄積された電荷量との中間の電荷量(すなわち、上述した所定量)が蓄積されるようにあらかじめデータの書込みを行う。そして、当該あらかじめ書込みがなされたメモリセル(以下、副記録領域、参照セル又はリファレンスセルとも称する)に流れる電流と、他のメモリセル(すなわち、読出し対象のメモリセル(以下、主記憶領域とも称する))に流れる電流とを比較し、他のメモリセルに流れる電流が参照セルに流れる電流よりも大なる場合は当該他のメモリセルにはデータ“0”が記憶されていると判定し、他のメモリセルに流れる電流が参照セルに流れる電流よりも小なる場合は当該他のメモリセルにはデータ“1”が記憶されていると判定する。
【0006】
窒化膜に記憶されたデータの消去を行う場合には、ソース端子に正電圧を印加し、ゲート端子に接地電圧又は負電圧を印加し、ドレイン端子をオープン状態とする。これにより、ソース領域近傍で発生したホットホールが窒化膜に注入され、窒化膜に蓄積されている電荷が中和されることによってデータの消去がなされる。
【0007】
特許文献1には、窒化膜が酸化膜によって挟まれることによって形成された電荷蓄積部をゲート電極のドレイン端子側及びソース端子側に設けられた構造を有するメモリセルが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2005−64295号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、MONOS構造のメモリセルにおいて、上述した方法を用いて参照セルに所定の電荷を蓄積すると、窒化膜のソース端子側に電荷が蓄積され、窒化膜のドレイン端子側には電荷が蓄積されることがないため、参照セルに対する読出し動作の際に電界ストレスによって窒化膜のドレイン端子側に電荷が蓄積されたり、他のメモリセルへの書込み動作によって参照セルの窒化膜のドレイン端子側に電荷が蓄積されることがある。このように、参照セルの窒化膜に蓄積された電荷量が変化すると、参照セルの読出し電流が初期設定から低下してしまい、読出し対象のメモリセルと参照セルとの読出し電流を比較して判定する際に、誤判定が生じてしまう。かかる誤判定は、引用文献1に記載されたメモリセルの場合にも生じる。
【0010】
本発明は、以上の如き事情に鑑みてなされたものであり、半導体記憶装置のメモリセルの参照セルとなる副記憶領域の読出し電流の変動を抑制して、メモリセルの読出し電流の判定時における誤判定を低減することができる半導体記憶装置へのデータの書込み方法及び半導体記憶装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上述した課題を解決するために、チャネル領域を挟んで第1不純物領域及び第2不純物領域を設ける半導体基板上にゲート電極を有すると共に前記第1不純物領域と前記ゲート電極との間に第1電荷蓄積部、及び前記第2不純物領域と前記ゲート電極との間に第2電荷蓄積部を有する複数のメモリセル内に主記憶領域と前記主記憶領域の主データを判定するための基準データを記憶する副記憶領域を備える半導体記憶装置において、前記副記憶領域に前記基準データ書き込むための半導体記憶装置へのデータの書込み方法であって、前記第1不純物領域及び前記ゲート電極に正電圧を印加し、前記第2不純物領域に前記正電圧よりも低い電圧を印加して前記第1電荷蓄積部に電荷を蓄積する第1の書込みステップと、前記第2不純物領域及び前記ゲート電極に正電圧を印加し、前記第1不純物領域に前記正電圧よりも低い電圧を印加して前記第2電荷蓄積部に電荷を蓄積する第2の書込みステップと、を有することを特徴とする。
【0012】
また、上述した課題を解決するために、本発明の半導体記憶装置は、チャネル領域を挟んで第1不純物領域及び第2不純物領域を設ける半導体基板上にゲート電極を有すると共に前記第1不純物領域と前記ゲート電極との間に第1電荷蓄積部、及び前記第2不純物領域と前記ゲート電極との間に第2電荷蓄積部を有する複数のメモリセル内に主記憶領域と当該主記憶領域の主データを判定するための基準データを記憶する副記憶領域を備える半導体記憶装置であって、前記副記憶領域の前記第1電荷蓄積部及び前記第2電荷蓄積部のそれぞれに電荷を蓄積したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明の半導体記憶装置へのデータの書込み方法によれば、メモリセルの第1不純物領域及び第2不純物領域に印加される電圧の大小関係が互いに異なる2つのデータ書込みステップによってメモリセルにデータの書込みがなされる。これにより、前記第1電荷蓄積部及び前記第2電荷蓄積部に電荷が蓄積され、半導体記憶装置のメモリセルの読出し電流の変動を抑制して、メモリセルの読出し電流の判定時における誤判定を低減することができる半導体記憶装置へのデータの書込み方法及び半導体記憶装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本実施例に係る半導体記憶装置の概略構成図である。
【図2】本実施例に係る半導体記憶装置を構成するメモリセルの断面図である。
【図3】本実施例に係る半導体記憶装置を構成する参照セルへのデータの書込み方法を示すフロー図である。
【図4】本実施例に係る半導体記憶装置を構成する参照セルへのデータの書込み方法の各ステップを示す断面図である。
【図5】本実施例に係る半導体記憶装置を構成する参照セルへのデータの書込み方法の各ステップを示す断面図である。
【図6】本実施例に係る半導体記憶装置へのデータ書込み方法を用いた場合と従来の半導体記憶装置へのデータ書込み方法を用いた場合とにおける参照セルの読出し時の電流劣化量を比較するためのグラフである。
【図7】本実施例に係る半導体記憶装置を構成するメモリセルの他の例としての断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施例について添付図面を参照しつつ詳細に説明する。
【実施例】
【0016】
先ず、図1を参照しつつ本実施例に係る半導体記憶装置及について説明する。図1は、本実施例に係る半導体記憶装置の概略構成図である。
【0017】
図1に示されているように、半導体記憶装置10は、複数のメモリセルから構成されたメモリアレイ11と、メモリアレイ11に供給する電圧を生成するための電圧生成回路12と、メモリアレイ11と電圧生成回路12との間に設けられた第1スイッチ素子群13と、第1スイッチ素子群13に駆動信号を供給する第1カラムデコーダ14と、メモリアレイ11に駆動信号を供給するロウデコーダ15と、メモリアレイ11に接続された第2スイッチ素子群16と、第2スイッチ素子群16に駆動信号を供給する第2カラムデコーダ17と、第2スイッチ素子群16に接続されたセンスアンプ18と、から構成されている。
【0018】
メモリアレイ11には、P本(P:1以上の整数)のビット線BL、BL、・・・、BLと、ビット線BL、BL、・・・、BLと直交するように配置されたQ本(Q:1以上の整数)のワード線WL、WL、・・・、WLが設けられている。ここで、ビット線BL、BL、・・・、BLが列方向、ワード線WL、WL、・・・、WLが行方向に設けられていると定義する。以下、いずれかのビット線BL、BL、・・・、BLを指定しない場合には単にビット線BL、いずれかのワード線WL、WL、・・・、WLを指定しない場合には単にワード線WLとも称する。
【0019】
また、ビット線BLと、ワード線WLとの各交差部には、MONOS(Metal Oxide Nitride Oxide Silicon)構造を有する。(S×T)個(S及びT:1以上の整数)のメモリセル20(1−1)、・・・、20(1−S))、20(2−1)、・・・、20(2−S)、・・・、20(T−1)、・・・、20(T−S)が配置されている。以下、いずれかのメモリセルを指定しない場合においては、単にメモリセル20とも称する。例えば、メモリアレイ11は、9本(P=9)のビット線BL、8本(Q=8)のワード線WL、64個(S×T=8×8)のメモリセル20から構成されている。各数量は、半導体記憶装置10のメモリ容量、同時にデータを書込むメモリセル20の数量によって適宜調整される。
【0020】
各メモリセル20のゲート端子はワード線WL、WL、・・・、WLに、各メモリセル20のソース端子及びドレイン端子はビット線BL、BL、・・・、BLに接続されている。図1において、例えば、各メモリセル20のマイナス行方向側をドレイン端子とし、プラス行方向側をソース端子とすると、メモリセル20(1−1)のゲート端子はワード線WLに接続され、ドレイン端子はビット線BLに接続され、ソース端子はビット線BLに接続されている。なお、ビット線BL間に書込み電圧が供給されることにより、各メモリセル20のドレイン−ソース間に当該書込み電圧が供給される。
【0021】
メモリセル20にはデータ“0”及びデータ“1”の2種類のデータ(すなわち、2値)を書込むことが可能である。また、本実施例1においては、メモリアレイ11を構成するメモリセル20(T−S)にはあらかじめ所定の基準データ(参照データ)が書込まれている。参照データとは、他のメモリセル20からデータを読出す場合に、当該読出したデータがデータ“0”又はデータ“1”であるかを判定するために用いられるデータ(すなわち、比較用のデータ)である。以下において、メモリセル20(T−S)を参照セル(リファレンスセル)30とも称する。すなわち、メモリセル20(T−S)以外のメモリセル20が主記憶領域となり、メモリセル20(T−S)が副記憶領域となる。
【0022】
なお、本実施例においては、メモリセル20(T−S)のみを参照セルとしてが、複数のメモリセル20を参照セルに設定してもよい。例えば、メモリセル20に多値データを記憶する場合には、同一のワード線WL(すなわち、列方向)に接続されている複数のメモリセル20を参照セルとし、各参照セルの参照データを互いに異なるものとしてもよい。また、同一のワード線WLに限られず同一のビット線BLに挟まれた(すなわち、行方向に接続された)複数のメモリセル20を参照セルとしてもよい。
【0023】
ロウデコーダ15は、ワード線WLのそれぞれを介してメモリアレイ11に接続されている。ロウデコーダ15は、制御回路(図示せず)から供給される制御信号に基づいてワード線WLのいずれかを選択し、選択した1つのワード線にゲート信号を供給する。例えば、ワード線WLを選択した場合には、メモリセル20(1−1)、・・・、20(1−S)のゲート端子にゲート信号(所定の電圧)が供給される。なお、本実施例の半導体記憶装置10による書込み処理においては、各メモリセル20のゲート端子には、記憶データの値にかかわらず共通のゲート信号が供給される。
【0024】
第1スイッチ素子群13は、n型のMOSFET(Metal-Oxide-Semiconductor Field-Effect Transistor)構造を有するP個のセレクタ素子13a、13a、・・・、13aから構成されている。以下、いずれかのセレクタ素子13a、13a、・・・、13aを指定しない場合には単にセレクタ素子13aとも称する。セレクタ素子13aのそれぞれは、ビット線BLを介してメモリセル20のドレイン端子又はソース端子に接続されている。具体的には、セレクタ素子13aのドレイン端子は、ビット線BLを介してメモリセル20(1−1)、20(2−1)、・・・、20(T−1)のそれぞれのドレイン端子に接続されている。そして、セレクタ13aのドレイン端子は、ビット線BLを介してメモリセル20(1−2)、20(2−2)、・・・、20(T−2)のそれぞれのソース端子、及びメモリセル20(1−3)、20(2−3)、・・・、20(T−3)のそれぞれのドレイン端子に接続されている。
【0025】
また、セレクタ素子13aのそれぞれのソース端子は、接続点T、T、・・・、T及び電圧供給ラインVLを介して電圧生成回路12に接続されている。更に、セレクタ素子13aのそれぞれのゲート端子は、ゲート信号供給ラインGL11、GL12、・・・、GL1Pによって第1カラムデコーダ14に接続されている。以下、いずれかのゲート信号供給ラインGL11、GL12、・・・、GL1Pを指定しない場合には単にゲート信号供給ラインGLとも称する。
【0026】
第1カラムデコーダ13は、制御回路(図示せず)から供給される制御信号に基づいてゲート信号供給ラインGLのいずれかを選択し、選択した1つのゲート信号供給ラインにゲート信号を供給する。選択された1つのゲート信号供給ラインGLにゲート信号が供給されることにより、電圧生成回路12から供給される所定の電圧が、選択された1つのゲート信号供給ラインGLに接続されたセレクタ素子13aに接続されたビット線BLに印加される。そして、当該ビット線BLに接続されたメモリセル20のドレイン端子又はソース端子に所定の電圧が供給(印加)される。具体的には、ゲート信号供給ラインGL11が選択されると、セレクタ素子13aがオン状態に移行し、ビット線BLを介してメモリセル20(1−1)、20(2−1)、・・・、20(T−1)のドレイン端子に所定の電圧が印加される。
【0027】
第2スイッチ素子群16は、n型のMOSFET構造を有するP個のセレクタ素子16a、16a、・・・、16aから構成されている。以下、いずれかのセレクタ素子16a、16a、・・・、16aを指定しない場合には単にセレクタ素子16aとも称する。セレクタ素子16aのそれぞれは、ビット線BLを介してメモリセル20のドレイン端子又はソース端子に接続されている。具体的には、セレクタ素子16aのソース端子は、ビット線BLを介してメモリセル20(1−1)、20(2−1)、・・・、20(T−1)のそれぞれのドレイン端子に接続されている。そして、セレクタ16aのソース端子は、ビット線BLを介してメモリセル20(1−2)、20(2−2)、・・・、20(T−2)のそれぞれのソース端子、及びメモリセル20(1−3)、20(2−3)、・・・、20(T−3)のそれぞれのドレイン端子に接続されている。
【0028】
また、セレクタ素子16aのそれぞれのドレイン端子は、センスアンプ18に接続されている。更に、セレクタ素子16aのそれぞれのゲート端子は、ゲート信号供給ラインGL21、GL22、・・・、GL2Pによって第2カラムデコーダ17に接続されている。以下、いずれかのゲート信号供給ラインGL21、GL22、・・・、GL2Pを指定しない場合には単にゲート信号供給ラインGLとも称する。
【0029】
第2カラムデコーダ17は、制御回路(図示せず)から供給される制御信号に基づいてゲート信号供給ラインGLのいずれかを選択し、選択した1つのゲート信号供給ラインにゲート信号を供給する。ここでセンスアンプ18は、接地電位(グランド電位)に接続されているため、選択された1つのゲート信号供給ラインGLにゲート信号が供給されることにより、選択された1つのゲート信号供給ラインGLに接続されたセレクタ素子13aに接続されたビット線BLの電位は接地電位になる。そして、当該ビット線BLに接続されたメモリセル20のドレイン端子又はソース端子の電位が接地電位になる。具体的には、ゲート信号供給ラインGL21が選択されると、セレクタ素子16aがオン状態に移行し、ビット線BLを介してメモリセル20(1−1)、20(2−1)、・・・、20(T−1)のドレイン端子の電位が接地電位になる。
【0030】
センスアンプ18は、セレクタ素子16aのドレイン端子に接続されている。読出しの際に、第1カラムデコーダ14、ロウデコーダ15、第2カラムデコーダ17によって選択されたメモリセル20の状態に応じて生じた読出し電流がセンスアンプ18に供給され、且つ、第1カラムデコーダ14、ロウデコーダ15、第2カラムデコーダ17によって選択された参照セル30からセンスアンプ18に参照用の読出し電流が供給されると、センスアンプは、当該2つの読出し電流の大小を比較して、メモリセル20に書込まれたデータを判別する。具体的には、センスアンプ18は、参照セルから供給される電流が読出し対象のメモリセル20の電流よりも大きい場合は当該メモリセル20に記憶されたデータを“1”と判定し、参照セルから供給される電流が読出し対象のメモリセル20の電流よりも小さい場合は当該メモリセル20に記憶されたデータを“0”と判定する。
【0031】
次に、図2を参照しつつ半導体記憶装置10を構成するメモリセル20の構造、及びメモリセル20へのデータの書込み、読出し、消去の原理について説明する。図2は、本実施例に係る半導体記憶装置10を構成するメモリセル20の断面図である。
【0032】
図2に示されているように、メモリセル20は、p型のシリコン基板21の上面に、SiOからなるトンネル酸化膜22、SiNからなる電荷蓄積膜23、SiOからなる絶縁膜24、リシリコンからなるゲート電極25を積層した構造を有している。シリコン基板21の表面上のトンネル酸化膜22を挟む位置に、n型不純物を高濃度に含有する第1不純物領域26及び第2不純物領域27が形成されている。トンネル酸化膜22直下のシリコン基板21の表面領域は、n型のMOSFETの動作時において電流路が形成されるチャンネル領域28である。第1不純物領域26、第2不純物領域27及びチャンネル領域28を囲むように素子分離酸化層29がシリコン基板21の内部に設けられている。なお、参照セル30も上述したメモリセル20の構造と同一である。
【0033】
また、トンネル酸化膜22、電荷蓄積膜23、及び絶縁膜24から電荷蓄積構造40が構成さている。更に、電荷蓄積膜23の一端であって第2不純物領域27上に位置する部分を第1電荷蓄積部23a、電荷蓄積膜23の一端であって第1不純物領域26上に位置する部分を第2電荷蓄積部23bと称する。
【0034】
次に、かかる構造のメモリセル20へのデータの書込み、読出し、消去の動作について説明する。ここで、以下のデータ書込み、読出し、及び消去において、ドレイン(ドレイン端子及びドレイン領域)及びソース(ソース端子及びソース領域)とは、記憶されたデータの読出しを行う際に決定されるドレイン及びソースを書込み及び消去においてもドレイン及びソースと定義する。すなわち、データ書込み、読出し、及び消去において、記憶されたデータの読出しを行う際に決定されるドレイン及びソースは常に一定であり、データ書込み及び消去においてドレイン及びソースを逆転して定義をしないものとする。なお、本実施例においては、第1不純物領域26をドレイン領域と、第2不純物領域をソース領域とする。
【0035】
先ず、メモリセル20にデータを書込む場合には、ゲート電極25に正電圧(例えば、+5V)を印加し、ドレイン領域である第2不純物領域27にも正電圧(例えば、+5V)を印加し、ソース領域である第1不純物領域26及びシリコン基板21を接地電位(0V)にする。これにより、チャネル領域28中を第1不純物領域26から第2不純物領域27に向かって移動する電子は、第2不純物領域27の近傍で高い運動エネルギーを獲得し、ホットエレクトロンになる。そして、ゲート電極25に高い電圧が印加されていることにより、当該ホットエレクトロンの一部がトンネル酸化膜22を飛び越えて電荷蓄積膜23に引き上げられる(すなわち、当該ホットエレクトロンが電荷蓄積膜23に蓄積される)。ここで、電荷蓄積膜23に引き上げられたホットエレクトロンは、電荷蓄積膜23の第2不純物領域27側部分(すなわち、第1電荷蓄積部23a)に蓄積され、第1不純物領域26側部分(すなわち、第2電荷蓄積部23b)には蓄積されることがない。すなわち、ホットエレクトロンは、電荷蓄積膜23のソース領域側部分に蓄積され、ドレイン領域側部分には蓄積されることがない。なお、第1電荷蓄積部23aに蓄積された電荷量が所定量以上の状態がメモリセル20にデータ“0”が書込まれた状態になり、第1電荷蓄積部23aに蓄積された電荷量が所定値未満の状態が、メモリセル20にデータ“0”がメモリセル20にデータ“1”が書込まれた状態になる。なお、参照セル30におけるデータの書込みは上述した方法とは異なるため後述する。
【0036】
次に、メモリセル20に記憶されたデータを読出す場合には、ゲート電極25に正電圧(例えば、+3V)を印加し、ドレイン領域である第1不純物領域26に読出し電圧である正電圧(例えば、+1.5V)を印加し、ソース領域である第2不純物領域27及びシリコン基板21を接地電位(0V)にする。これにより、第1不純物領域26から第2不純物領域27に向けて読出し電流が流れる。読出し電流の大きさは第1電荷蓄積部23aに蓄積されている電荷量に応じて変化する。すなわち、第1電荷蓄積部23aに蓄積されている電荷量が多いほど読出し電流は低くなる。また、参照セル30についても同様の読出し方法により、参照セル30に蓄積された電荷量に応じた読出し電流を読出す。そして、センスアンプ18は、読出し対象のメモリセル20から供給される読出し電流と、参照セル30から供給される読出し電流とを比較することにより、読出し対象のメモリセル20にデータ“0”又はデータ“1”のいずれかが記憶されているかを判定する。
【0037】
次に、メモリセル20に記憶されたデータを消去する場合には、ソース領域である第2不純物領域27に正電圧(例えば、+5V)を印加し、ゲート電極25に0V又は負電圧(例えば、−5V)を印加し、ドレイン領域である第1不純物領域26及びシリコン基板21を接地電位(0V)にする。これにより、第2不純物領域27の周辺で発生したホットホールが電荷蓄積膜23に注入される。その結果、第1電荷蓄積部23aに保持された電荷(電子)が中和され、データの消去を行うことができる。
【0038】
なお、電荷蓄積膜23の第1不純物領域26側に電荷を蓄積する場合には、第1不純物領域26に印加すべき電圧と第2不純物領域27側に印加すべき電圧を入れ替えことによってこれを行うことができる。
【0039】
次に、図3及び図4を参照しつつ、本実施例に係る半導体記憶装置を構成するメモリアレイ内の参照セルへのデータ書込み方法を説明する。図3は、メモリアレイ中の参照セルへのデータ書込みを示すフロー図である。また、図4は、メモリアレイ中の参照セルへのデータ書込み時における参照セルの断面図である。
【0040】
先ず、参照セル30にデータ書込みがなされていない状態として、N=0とする(ステップS1)。
【0041】
次に、参照セル30の電荷蓄積膜23の第2不純物領域27側部分(すなわち、第1電荷蓄積部23a)に電荷が蓄積されるように、参照データの第1書込みを行う(ステップS2、第1の書込みステップ)。具体的には、ゲート電極25に正電圧(例えば、+5V)を印加し、ドレイン領域である第2不純物領域27にも正電圧(例えば、+5V)を印加し、ソース領域である第1不純物領域26及びシリコン基板21を接地電位(0V)にする(図4(a))。これにより、チャネル領域28中を第1不純物領域26から第2不純物領域27に向かって移動する電子は、第2不純物領域27の近傍で高い運動エネルギーを獲得し、ホットエレクトロンになる。そして、ゲート電極25に高い電圧が印加されていることにより、当該ホットエレクトロンの一部がトンネル酸化膜22を飛び越えて電荷蓄積膜23の第2不純物領域27側部分(すなわち、第1電荷蓄積部23a)に引き上げられる(図4(b))。なお、図4(b)は模式的な図のため、2つの電子が第1電荷蓄積部23aに蓄積されているように示されているが、実際にはより多くの電子が第1電荷蓄積部23aに蓄積されている。
【0042】
次に、Nの値を判別し(ステップS3)、N>0でない場合には、ステップS4に進み、N>0の場合にはステップS5に進む。ステップS4においては、現在のNの値に1を加え、N=1とする。ステップS4が行われた後に、ステップS6に進む。ここで、ステップS4に進む場合とは、上述した第1書込み及び後述する第2書込みをそれぞれ1回も行なっていない場合のことである。
【0043】
次に、ステップS3において、N>0(すなわち、N=1)の場合には、参照セル30に書込まれた参照データを読出し、読出し時に流れる読出し電流が所定値(書込み設定値)以上であるか否かを判定する(ステップS5)。具体的には、ゲート電極25に正電圧(例えば、+3V)を印加し、ドレイン領域である第1不純物領域26に読出し電圧である正電圧(例えば、+1.5V)を印加し、ソース領域である第2不純物領域27及びシリコン基板21を接地電位(0V)にする(図4(c))。これにより、第1不純物領域26から第2不純物領域27に向けて読出し電流が流れる。ここで書込み設定値とは、メモリセル20に電荷が一切蓄積されていない状態(すなわち、データ“1”が記憶された状態)で流れる読出し電流の値と、メモリセル20に多量の電荷が蓄積された状態(すなわち、データ“0”が記憶された状態)で流れる読出し電流の値との中間の電流値である。なお、当該書込み設定値は適宜調整することができ、かかる調整によってデータ“0”が書込まれた状態とデータ“1”が書込まれた状態とを区別するための境界を変更することができる。
【0044】
次に、ステップS4の後又は参照セル30に書込まれた参照データを読出した時に流れる読出し電流が書込み設定値未満である場合には、参照セル30の電荷蓄積膜23の第1不純物領域26側部分(すなわち、第2電荷蓄積部23b)に電荷が蓄積されるように、参照データの第2書込みを行う(ステップS6、第2の書込みステップ)。具体的には、ゲート電極25に正電圧(例えば、+5V)を印加し、ドレイン領域である第1不純物領域26にも正電圧(例えば、+5V)を印加し、ソース領域である第2不純物領域27及びシリコン基板21を接地電位(0V)にする(図5(a))。これにより、チャネル領域28中を第2不純物領域27から第1不純物領域26に向かって移動する電子は、第1不純物領域26の近傍で高い運動エネルギーを獲得し、ホットエレクトロンになる。そして、ゲート電極25に高い電圧が印加されていることにより、当該ホットエレクトロンの一部がトンネル酸化膜22を飛び越えて電荷蓄積膜23の第1不純物領域26側部分(すなわち、第2電荷蓄積部23b)に引き上げられる(図5(b))。一方、ステップS5において、参照セル30に書込まれた参照データを読出した時に流れる読出し電流が書込み設定値以上である場合には、参照セル30への参照データの書込み処理が終了する。
【0045】
ステップS6の完了後、参照セル30に書込まれた参照データを再び読出し、読出し時に流れる読出し電流が所定値(書込み設定値)以上であるか否かを判定する(ステップS7(判定ステップ))。具体的には、ゲート電極25に正電圧(例えば、+3V)を印加し、第1不純物領域26に読出し電圧である正電圧(例えば、+1.5V)を印加し、第2不純物領域27及びシリコン基板21を接地電位(0V)にする(図5(c))。これにより、第1不純物領域26から第2不純物領域27に向けて読出し電流が流れる。ステップS7において、参照セル30に書込まれた参照データを読出した時に流れる読出し電流が書込み設定値未満である場合には、ステップS1に戻り、参照セル30の電荷蓄積膜23の第2不純物領域27側部分(すなわち、第1電荷蓄積部23a)に電荷が蓄積されるように、参照データの書込みを再度行う(すなわち、第1及び第2書込みを繰り返して実行する繰り返しステップを行う)。なお、参照データの書込みを再度行う場合には、N=1になっているため、ステップS3からステップS5を経由するフローとなる。すなわち、参照データの書込みを再度行う場合には、第1書込み後に読出し電流値が書込み設定値以上であるか否かの判定がなされる。一方、ステップS4において、参照セル30に書込まれた参照データを読出した時に流れる読出し電流が書込み設定値以上である場合には、参照セル30への参照データの書込み処理が終了する。
【0046】
以上のように、本実施例による参照セル30への参照データの書込み方法によれば、電荷蓄積膜23の第1不純物領域26側部分(すなわち、第2電荷蓄積部23b)と、電荷蓄積膜23の第2不純物領域27側部分(すなわち、第1電荷蓄積部23a)とに交互に電荷が蓄積されるように参照データの書込みを行っているため、電荷蓄積膜23においては第1電荷蓄積部23a及び第2電荷蓄積部23bに電荷が蓄積される。このように、電荷蓄積膜23の一端及び他端(すなわち、両端)に電荷が蓄積されていると、参照セル30の読出し時の電界ストレスによるホットエレクトロンのゲート電極方向への侵入が当該電荷蓄積膜23に蓄積された電荷により抑制される。また、他のメモリセル30への書込み動作等による参照セル30の電荷蓄積膜23への電荷の侵入も抑制される。従って、参照データの書込み動作以外の動作によって参照セル30の電荷蓄積膜23に電荷が注入されることがなくなり、参照セル30の読出し電流が変化することが抑制される。
【0047】
上述した書込みフローにおいては、書込むべき参照データ(すなわち、蓄積すべき電荷量)を複数回に分けて書込めるように、1回の書込みにおける書込み量(すなわち、蓄積する電荷量)を少量にすることが好ましい。これにより、第1電荷蓄積部23a及び第2電荷蓄積部23bに蓄積される電荷量の均一化を図ることが可能になり、参照セル30の読出し電流の変化の抑制を図りやすくなる。更に、参照セル30の読出し時の電界ストレスによるホットエレクトロンのゲート電極方向への侵入を効率よく抑制するために、本実施例においては、参照セル30の電荷蓄積膜23の第2電荷蓄積部23bに蓄積される電荷量を、参照セル30の電荷蓄積膜23の第1電荷蓄積部23aに蓄積される電荷量よりも多くしてもよい。これは、本実施例の参照セル30の読出し時において、電荷蓄積膜23の第2電荷蓄積部23bに電荷が侵入しやすいためである。
【0048】
また、上述したデータの書込み方法を用いることにより、半導体記憶装置10は、電荷蓄積膜23の両端に電荷が蓄積された参照セル30を有することができる。また、参照セル30への参照データの書込みを複数回に分けることにより、半導体記憶装置10は、両端における電荷の蓄積量が等しい参照セル30を有することができる。
【0049】
なお、上述したフローにおいて、第1及び第2の書込みステップにおけるデータの書込み量があらかじめ決まっているような場合には、ステップS5、S7の判定ステップを設けなくてもよい。また、第1及び第2の書込みステップによって参照データの書込みがなされた後に、電荷蓄積膜23の両端に蓄積された電荷量を測定して、上述した判定を行ってもよい(すなわち、ステップS5を設けないフローとしてもよい)。
【0050】
次に、図6を参照しつつ、本実施例に係る参照セル30への参照データの書込み方法を用いた場合と、従来の参照セル30への参照データ書込み方法を用いた場合とにおいて、それぞれの場合に参照セルの読出し時における読出し電流の劣化量を比較して、本実施例に係る参照セル30への参照データの書込み方法の効果を説明する。図6の横軸は参照データの読出し時間(秒)であり、縦軸は読出し電流の劣化量(μA)ある。なお、横軸は対数表示である。
【0051】
図6に示されているように、参照セル30の参照データの読出し時間が100秒においては、実施例に係るデータ書込み方法を用いれば参照セルの読出し電流の劣化量を従来の約1割程度に低減することができることが判った。また、1000秒間の参照データの読出しを行ったとしても、読出し電流の劣化量は約0.5μAあると推定され、従来の約2割程度に低減できると見込まれる。
【0052】
なお、上述した実施例においては、メモリセル20の構造がMONOS構造であったが、これに限定されることはなく、例えばサイドウォール部のそれぞれに電荷蓄積部が設けられた構造であっても、本発明のデータ書込み方法を適用することができる。図7を参照しつつ、サイドウォール構造を有するメモリセル100の構造について説明する。
【0053】
図7に示されているように、メモリセル100は、p型のシリコン基板101の上面にSiOからなるゲート酸化膜102を介してポリシリコンからなるゲート電極103が形成された構造を有している。シリコン基板101の表面上のゲート電極103を挟む位置に、n型不純物を高濃度に含有する第1不純物領域104及び第2不純物領域105が形成されている。ゲート電極103直下のシリコン基板101の表面領域は、n型のMOSFETの動作時において電流路が形成されるチャンネル領域110である。チャンネル領域110と第1不純物領域104との間、及びチャンネル領域60と第2不純物領域105との間には第1不純物領域104及び第2不純物領域105に隣接して比較的不純物濃度の低いn型のエクステンション領域106、107が形成される。
【0054】
エクステンション領域107の上部には第1電荷蓄積部108が設けられ、エクステンション領域106の上部には第2電荷蓄積部109が設けられている。第1及び第2電荷蓄積部108、109は、シリコン酸化膜111、シリコン窒化膜112、シリコン酸化膜113からなるONO積層絶縁膜により構成される。第1及び第2電荷蓄積部108、109はそれぞれエクステンション領域106、107からゲート電極103の側壁に亘って延在している。これにより、電荷の蓄積及び保持を確実に行うことができる。また、第1及び第2電荷蓄積部108、109は、互いに離間して形成されているので、各電荷蓄積部に対して別個独立に電荷を蓄積保持できるようになっている。
【符号の説明】
【0055】
10 半導体記憶装置
11 メモリアレイ
12 電圧生成回路
13 第1スイッチ素子群
14 第1カラムデコーダ
15 ロウデコーダ
16 第2スイッチ素子群
17 第2カラムデコーダ
18 センスアンプ
20 メモリセル
21 p型のシリコン基板
22 トンネル酸化膜
23 電荷蓄積膜
23a 第1電荷蓄積部
23b 第2電荷蓄積部
24 絶縁膜
25 ゲート電極
26 第1不純物領域
27 第2不純物領域
30 参照セル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
チャネル領域を挟んで第1不純物領域及び第2不純物領域を設ける半導体基板上にゲート電極を有すると共に前記第1不純物領域と前記ゲート電極との間に第1電荷蓄積部、及び前記第2不純物領域と前記ゲート電極との間に第2電荷蓄積部を有する複数のメモリセル内に主記憶領域と前記主記憶領域の主データを判定するための基準データを記憶する副記憶領域を備える半導体記憶装置において、前記副記憶領域に前記基準データ書き込むための半導体記憶装置へのデータの書込み方法であって、
前記第1不純物領域及び前記ゲート電極に正電圧を印加し、前記第2不純物領域に前記正電圧よりも低い電圧を印加して前記第1電荷蓄積部に電荷を蓄積する第1の書込みステップと、
前記第2不純物領域及び前記ゲート電極に正電圧を印加し、前記第1不純物領域に前記正電圧よりも低い電圧を印加して前記第2電荷蓄積部に電荷を蓄積する第2の書込みステップと、を有することを特徴とする書込み方法。
【請求項2】
前記第1及び第2の書込みステップ後に前記第1電荷蓄積部に蓄積された電荷量を測定し、前記第1電荷蓄積部に蓄積された電荷量の測定値が所定値以上であるか否かを判定する判定ステップと、
前記判定ステップにおいて前記第1電荷蓄積部に蓄積された電荷量の測定値が前記所定値未満であると判定した場合に、前記第1及び第2の書込みステップを繰り返して実行する繰り返しステップと、を有することを特徴とする請求項1に記載の書込み方法。
【請求項3】
前記繰り返しステップにおいて、前記第1の書込みステップ後に前記第1電荷蓄積部に蓄積された電荷量を測定し、前記第1電荷蓄積部に蓄積された電荷量の測定値が所定値以上であるか否かを判定し、前記第1電荷蓄積部に蓄積された電荷量の測定値が前記所定値以上であると判定した場合に、前記繰り返しステップを停止することを特徴とする請求項2に記載の書込み方法。
【請求項4】
前記第1の書込みステップによって蓄積される電荷量と、前記第2の書込みステップによって蓄積される電荷量とを等しくすることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1に記載の書込み方法。
【請求項5】
前記第1の書込みステップによって蓄積される電荷量を、前記第2の書込みステップによって蓄積される電荷量よりも小とすることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1に記載の書込み方法。
【請求項6】
チャネル領域を挟んで第1不純物領域及び第2不純物領域を設ける半導体基板上にゲート電極を有すると共に前記第1不純物領域と前記ゲート電極との間に第1電荷蓄積部、及び前記第2不純物領域と前記ゲート電極との間に第2電荷蓄積部を有する複数のメモリセル内に主記憶領域と当該主記憶領域の主データを判定するための基準データを記憶する副記憶領域を備える半導体記憶装置であって、
前記副記憶領域の前記第1電荷蓄積部及び前記第2電荷蓄積部のそれぞれに電荷を蓄積したことを特徴とする半導体記憶装置。
【請求項7】
前記副記憶領域の前記第1電荷蓄積部及び前記第2電荷蓄積部に蓄積された電荷量が互いに等しいことを特徴とする請求項6に記載の半導体記憶装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2012−142042(P2012−142042A)
【公開日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−292451(P2010−292451)
【出願日】平成22年12月28日(2010.12.28)
【出願人】(308033711)ラピスセミコンダクタ株式会社 (898)
【Fターム(参考)】