説明

半導体記憶装置及び半導体記憶装置の製造方法

【課題】 不揮発性メモリの製造工程に於いて電荷蓄積構造形成のために追加される工程を低減して製造工程を簡略化することにある。また、不揮発性メモリの小型化を図ることにある。
【解決手段】 半導体基板101上に第1の酸化膜102、第1の窒化膜103を順次形成する工程と、素子分離領域1010Bに於いて第1の酸化膜102、第1の窒化膜103を除去する工程と、第1の酸化膜102の縁部を洗浄またはウェットエッチングにより除去して、第1の窒化膜103を第1の酸化膜102に対してオーバハングさせる工程と、第1の酸化膜102の側方で他の部分よりも膜の密度が粗になる低密度部105cが形成されるように第1の絶縁膜105(素子分離絶縁膜)を形成する工程と、低密度部105cを露出する工程と、洗浄又はウェットエッチングによって低密度部105cを浸食して第1の絶縁膜105に孔を形成する工程と、孔に電荷蓄積膜を形成する工程とを含む、半導体記憶装置の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体記憶装置及び半導体記憶装置の製造方法に関する。より詳細には、本発明は、電荷量の変化を電流量の変化に変換する機能を有する電界効果トランジスタからなる半導体記憶装置、及び、その半導体記憶装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、電荷蓄積層を備えたMOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)からなる不揮発性の半導体記憶素子が知られている。この半導体記憶素子では、絶縁膜を介して電荷蓄積層に電荷を注入してデジタルビットの情報を格納させ、その電荷量の変化に応じたMOSFETのコンダクタンスの変化に基づいて情報を読み出す。例えば、MONOS(Metal-Oxide-Nitride-Oxide-Semiconductor)型の半導体記憶素子は、シリコン窒化膜を電荷蓄積層として用いたMOSFETからなり、ポリシリコンによって形成された浮遊ゲートを用いた半導体装置よりも、低電圧書込または低電圧消去の可能性から盛んに研究されている。
【0003】
特許文献1及び2には、ゲート絶縁膜に電荷蓄積機能を持たせたMOSFETからなるNOMOS型の半導体記憶素子が記載されている。この半導体記憶素子は、ソース領域及びドレイン領域を有する半導体基板と、半導体基板上にソース領域とドレイン領域との間において形成された積層構造体からなるゲート絶縁膜と、ゲート絶縁膜上に形成されたゲート電極とを備えている。ゲート絶縁膜は、電荷蓄積層としてのシリコン窒化膜を第1のシリコン酸化膜及び第2のシリコン酸化膜で挟んだ、いわゆるONO(Oxide Nitride Oxide)構造からなる。このような半導体記憶素子では、ゲート電極、ソース領域、ドレイン領域、半導体基板に印加する電圧を調整することにより、ソース領域とドレイン領域との間に形成されるチャンネル層から、第1のシリコン酸化膜を介してシリコン窒化膜に電荷を注入し、注入された電荷をシリコン窒化膜と第1のシリコン酸化膜の界面またはシリコン窒化膜中に形成されるトラップ準位に閉じこめることにより、デジタルビットの情報が記憶される。
【0004】
また、特許文献3には、MOSFETのゲート絶縁膜の両側壁にゲート絶縁膜とは独立に、ゲート幅方向に延びる棒状の電荷蓄積部を設けた半導体記憶素子が記載されている。この半導体記憶素子は、ソース領域及びドレイン領域を有する半導体基板と、半導体基板上に形成されたゲート絶縁膜及びゲート電極と、ゲート絶縁膜の側方に配置された棒状の電荷蓄積部とを備えている。電荷蓄積部は、電荷蓄積層として棒状に形成された炭素系物質膜と、炭素系物質膜を囲む筒状の絶縁体とからなる。このような半導体記憶素子では、ゲート電極、ソース領域、ドレイン領域、半導体基板に印加する電圧を調整することにより、ソース領域とドレイン領域との間に形成されるチャンネル層から、絶縁体を介して炭素系物質に電荷を注入し、注入された電荷を炭素系物質と絶縁体の界面または炭素系物質中に形成されるトラップ準位に閉じこめることにより、デジタルビットの情報が記憶される。この半導体記憶素子では、電荷蓄積部をゲート絶縁膜から独立させ、電荷荷保持部が担うメモリ機能とゲート絶縁膜が担うトランジスタ機能とを分離して、これにより、十分なメモリ機能を有したままゲート絶縁膜を薄膜化することを目的としている。
【特許文献1】米国特許第6137718号明細書
【特許文献2】米国特許第6049995号明細書
【特許文献3】特開2004−335595
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
半導体記憶装置は、一般に、上述したような半導体記憶素子をセルトランジスタとし、複数のセルトランジスタを行列状に配置して構成されるメモリセルアレイと、その周辺回路とから構成される。周辺回路は、メモリセルアレイでの情報の書込、読出、消去を行うための駆動回路等を含み、CMOS回路によって構成される。上述した従来の半導体記憶装置では、メモリセルアレイと同一基板上にCMOS回路によって周辺回路を形成する際に、CMOS回路に対して追加する工程が多く、半導体記憶装置のコストアップを招く。
【0006】
また、特許文献1に記載の半導体記憶素子では、ゲート絶縁膜に電荷蓄積機能を持たせるために、ゲート絶縁膜をONO構造からなる3層構造にする必要があり、ゲート絶縁膜の薄膜化が困難である。
【0007】
特許文献3に記載の半導体記憶装置では、棒状からなる炭素系物質を絶縁体で囲む構造からなる電荷蓄積部をゲート電極の両側壁に形成する工程を通常のCMOS工程に追加する必要があり、コストアップを招く。また、ゲート電極の両側にゲート長方向に沿って、ゲート電極とは独立に電荷蓄積部を形成する場合には、プロセスのマージンを取るためにゲート電極間の距離が大きくなり、半導体記憶装置の微細化を妨げる虞がある。
【0008】
そこで、本発明の目的は、上述した問題を解決することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る半導体記憶装置は、素子形成領域と素子分離領域とを有する半導体基板と、前記素子分離領域に形成された素子分離絶縁膜としての第1の絶縁膜と、前記半導体基板の前記素子形成領域に形成された第1の拡散領域及び第2の拡散領域と、前記半導体基板上の前記素子形成領域に於いて前記第1の拡散領域と第2の拡散領域との間に形成されたゲート絶縁膜と、前記ゲート絶縁膜上に形成されたゲート電極と、前記第1の絶縁膜中に設けられた電荷蓄積部と、を備えたものとしている。
【0010】
本発明に係る半導体記憶装置の製造方法は、半導体基板を準備する工程と、前記半導体基板上に第1の酸化膜、第1の窒化膜を順次形成する工程と、素子分離領域に於いて前記第1の酸化膜、第1の窒化膜を除去し、さらに素子形成領域に於いて前記半導体基板に凹部を形成する工程と、前記素子形成領域において前記第1の酸化膜の縁部を洗浄またはウェットエッチングにより除去し、前記第1の窒化膜を前記第1の酸化膜に対してオーバハングさせる工程と、前記素子形成領域及び前記素子分離領域に於いて、前記第1の酸化膜の側方で他の部分よりも膜の密度が粗になる低密度部が形成されるように第1の絶縁膜を形成する工程と、前記第1の絶縁膜を前記第1の窒化膜が露出するまで平坦化する工程と、前記第1の酸化膜及び前記第1の窒化膜を除去して、前記素子形成領域において前記半導体基板の表面を露出する工程と、半導体基板の露出された表面にゲート絶縁膜を形成する工程と、前記ゲート絶縁膜上及び前記第1の絶縁膜上にゲート電極を形成する工程と、前記ゲート絶縁膜の両側において前記半導体基板に第1の拡散領域及び第2の拡散領域を形成する工程と、前記ゲート電極で覆われていない前記第1の絶縁膜を所定量除去し、前記低密度部を露出する工程と、洗浄又はウェットエッチングによって前記低密度部を浸食して前記第1の絶縁膜に孔を形成する工程と、前記孔に前記電荷蓄積膜を形成する工程と、を含む。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る半導体記憶装置は、素子分離絶縁膜中に電荷蓄積部を備えるため、記憶素子を構成するトランジスタの大型化を招くことなく、トランジスタに電荷蓄積機能を与えることができる。
【0012】
本発明に係る半導体記憶素子の製造方法によれば、洗浄またはウェットエッチングにより、第1の窒化膜を第1の酸化膜に対してオーバハングさせるので、第1の絶縁膜を形成する際に、第1の酸化膜の側方において他の部分よりも膜の密度が粗になる低密度部分を含む第1の絶縁膜を形成することができる。また、ゲート電極で覆われている部分を含む第1の部分の側面に低密度部分を露出させて、その後に洗浄またはウェットエッチングにより、低密度部分を選択的に除去して第1の絶縁膜中に孔を形成することができる。その後、電荷蓄積膜を孔に埋め込むことにより、トランジスタに電荷蓄積機能を与えることができる。
【0013】
上記ウェットエッチングは、通常の洗浄工程と同じ種類の薬液の濃度を変えることにより行うことが可能であり、実質的に工程が追加されるものではない。また、層間絶縁膜の平坦化のためのシリコン窒化膜を孔に埋め込んで、シリコン窒化膜を電荷蓄積膜として用いれば、電荷蓄積膜の形成も工程の追加なく行うことができる。従って、この製造方法では、通常のCMOS製造工程に電荷蓄積膜の形成のための特別な工程を殆ど追加することなく、トランジスタに電荷蓄積機能を持たせることができる。これにより、半導体記憶装置の製造工程を簡略化し、コストダウンを図ることができる。また、電荷蓄積膜を形成する孔は、フォトリソグラフィー、エッチングといった微細加工技術により形成されるものではなく、膜密度の粗密差異に対するエッチングレートの差異を利用して低密度部に薬液を急速に浸透させると共に毛細管現象を利用して低密度部を急速に浸食することにより形成される。したがって、世代毎の微細加工技術とは無関係に孔を形成することができる。この結果、電荷蓄積膜を微細化して記憶素子の微細化することが可能となり、半導体記憶素子の小型化を図ることができる。
【0014】
また、素子分離絶縁膜としての第1の絶縁膜中に電荷蓄積膜を備えるため、電荷蓄積膜形成によって記憶素子(トランジスタ)のサイズに影響を与えず、微細加工技術の最小寸法で記憶素子を形成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
〔構造〕
本発明の一実施形態に係る半導体記憶装置1は、図1に示すように、不揮発性メモリ素子からなるメモリセルアレイ1000と、メモリセルアレイ1000を駆動するためのワードドライバ1002及びデータドライバ1003とを備えている。
【0016】
メモリセルアレイ1000は、ワード線131と、ワード線131と交差して配置されたビット線132と、ワード線131とビット線132との交差部に複数形成されたメモリセルPとを備えている。各メモリセルPは、後述するセルトランジスタTrを含み、セルトランジスタTrは電荷蓄積機能を有するMOSFETによって構成されている。
【0017】
ワード線131は、セルトランジスタTrのゲート電極107と一体に形成され、複数が平行に並んで配置されている。ワード線131は、ワードドライバ1002に接続されており、ワードドライバ1002から出力される制御信号(ゲート電圧)が供給される。ビット線132は、ワード線132と交差するように複数配置されており、セルトランジスタTrのドレイン電極と電気的に接続されている。ビット線132は、データドライバ1003と接続されており、データドライバ1003から出力されるデータ信号(ドレイン電圧)をセルトランジスタTrに供給すると共に、セルトランジスタTrに記憶されている情報を読み取る際、セルトランジスタTrのドレイン電流をデータドライバ1003に供給する。
【0018】
図2は、メモリセルアレイ1001のセルトランジスタTrの一部を図示した概略平面図であり、図3(A)は図2のA−A’に沿った断面図、図3(B)は図2のB−B’に沿った断面図、図4は図2のC−C’に沿った断面図である。
【0019】
セルトランジスタTrは、図2乃至図4に示すように、半導体基板101に形成される。また、ワードドライバ1002及びデータドライバ1003を含む周辺回路も半導体基板101にCMOS回路として形成される。
【0020】
半導体基板101は、素子分離絶縁膜105によって素子分離領域1010B(フィールド領域ともいう)と素子形成領域1010A(アクティブ領域ともいう)とに区画されている。
【0021】
素子形成領域1010Aにおいて、半導体基板101には、ソース領域109と、ドレイン領域110とが各セルトランジスタTrごとに形成されている。半導体基板101上において、ソース領域109とドレイン領域110との間の領域にはゲート絶縁膜106が各セルトランジスタTrごとに形成されており、ゲート絶縁膜106上にはゲート電極107が形成されている。また、半導体基板101に於いてソース領域109とドレイン領域110との間の表面付近は、セルトランジスタTrの動作時にチャンネル層が形成されるチャンネル領域である。ゲート電極107は、図1に示すメモリセルアレイ1001の同一行に配置されるセルトランジスタTrに共通なワード線131として形成される。ゲート電極107(ワード線131)の両側壁には、ゲート電極107(ワード線131)に沿ってサイドウォール108が形成されている。
【0022】
ゲート絶縁膜106は、シリコン酸化膜、シリコン窒化膜、或いは、その他の絶縁膜で構成される。ゲート電極107(ワード線131)は、多結晶シリコン、アモルファスシリコンからなる配線層として形成される。ゲート電極107(ワード線131)は、多結晶シリコン、アモルファスシリコンからなる層と、高融点金属を含むシリコンからなるシリサイド層とを含む配線層として構成しても良い。
【0023】
ソース領域109は、図2及び図3(B)に示すように、ソース領域109側のサイドウォール108の下方に形成される低濃度拡散領域(いわゆるLDD領域)109aと、ソース領域109側のサイドウォール108の外側に形成される高濃度拡散領域109bとを含む。ドレイン領域110は、図2及び図3(B)に示すように、ドレイン領域110側のサイドウォール108の下方に形成される低濃度拡散領域(いわゆるLDD領域)110aと、ドレイン領域110側のサイドウオール108の外側に形成される高濃度拡散領域110bとを含む。
【0024】
素子分離絶縁膜105は、シリコン酸化膜、シリコン窒化膜等で形成される絶縁膜である。また、素子分離絶縁膜105は、素子形成領域1010aに形成される各セルトランジスタTrを半導体基板1に於いて電気的に絶縁する機能を持つ膜であれば、導体を含む複合膜であっても良い。
【0025】
素子分離絶縁膜105は、図2及び図3(A)に示す第1の部分1051と、図2、図3(B)及び図4に示す第2の部分1052とから構成されている。第1の部分1051は、図2及び図3(A)に示すように、ゲート電極107(ワード線131)及び両側のサイドウォール108に覆われた部分であり、素子形成領域1010aの半導体基板101の表面よりも突出して形成されている。第2の部分1052は、図2、図3(B)及び図4に示すように、ゲート電極107(ワード線131)及び両側のサイドウォール108に覆われていない部分であり、素子形成領域1010aに於ける半導体基板101の表面と略同一の高さに形成されている。即ち、第2の部分1052は第1の部分1051よりも低く形成されている。なお、後述するが、メモリセルアレイ1001の領域以外の周辺回路領域では、素子分離絶縁膜105は、素子形成領域1010aの半導体基板101の表面と略同一の高さに形成される。
【0026】
なお、本実施形態では、サイドウォール108を備えたセルトランジスタTrを示すが、セルトランジスタTrの構造にはサイドウォール108を備えないものもある。サイドウォール108を備えないセルトランジスタTrの場合には、素子分離絶縁膜105の第1の部分1051及び第2の部分1052は以下のようになる。第1の部分1051は、ゲート電極107(ワード線131)に覆われている部分となり、ゲート電極107(ワード線131)に覆われている部分が素子形成領域1010aの半導体基板101の表面よりも突出して形成される。第2の部分1052は、ゲート電極107(ワード線131)に覆われていない部分となり、ゲート電極107(ワード線131)に覆われていない部分が素子形成領域1010aの半導体基板101の表面と略同一の高さに形成される。この場合、第1の部分1051は、ゲート電極107(ワード線131)に覆われている素子分離絶縁膜105の部分のみとなる。
【0027】
上述したように、第1の部分1051は第2の部分1052よりも高く形成されており、第1の部分1051はソース領域109側とドレイン領域110側とに側面を露出する。第1の部分1051のソース領域側109側に露出する側面(ソース側側面)と、ドレイン領域側に露出する側面(ドレイン側側面)とは互いに対向している。第1の部分1051には、ソース側側面からドレイン側側面に亘って貫通する孔105dが形成されており、この孔105dには電荷蓄積膜としてのシリコン窒化膜120が埋め込まれている。孔105dは、例えば、断面円形状のパイプ状に形成されるが、断面の形状は特に限定するものではない。孔105dは、後述するように、素子分離絶縁膜105の膜密度の粗密差異を利用して、洗浄またはウェットエッチング時に、膜密度の低い低密度部105cに薬液を浸透させ、また毛細管現象によって急速に浸食することよって形成する。孔105dは、0.05マイクロメートル以下の直径を有する。
【0028】
電荷蓄積膜としてのシリコン窒化膜120は、素子分離絶縁膜105の第1の部分1051のソース側側面からドレイン側側面に貫通して棒状に形成されている。すなわち、シリコン窒化膜120は、ソース側側面からドレイン側側面に向かう方向、即ちゲート長方向またはチャンネル長方向に沿って形成されている。シリコン窒化膜120は、1つのセルトランジスタTrにつき、ゲート電極107(ワード線131)の両側に在る第1の部分1051に、それぞれ1つずつ形成されている。即ち、シリコン窒化膜120は、1つのセルトランジスタTrにつき、2つずつ形成されている。
【0029】
図3及び図4に示すように、素子形成領域1010a及び素子分離領域1010bの全面、即ち、ゲート電極107上、ソース領域109上、ドレイン領域110上、素子分離絶縁膜105の第2の部分1052上にもシリコン窒化膜111が形成されている。このシリコン窒化膜111は、上層の配線層形成時にコンタクトホールをエッチングする際のストッパ膜である。電荷蓄積膜としてのシリコン窒化膜120は、ストッパ膜としてのシリコン窒化膜111の形成時において、窒化シリコンが孔105dに入り込んで形成されたものであり、シリコン窒化膜111と同一の材料で形成されている。
【0030】
シリコン窒化膜120は、上述したように、第1の部分1051に於いてソース側側面からドレイン側側面に亘って貫通する孔105dに埋め込まれるため、シリコン窒化膜120の断面形状は孔105dの形状に依存する。孔105dの断面形状が円形状である場合にはシリコン窒化膜120の断面形状も円形状となる。但し、シリコン窒化膜120の断面形状は特に限定するものではない。製造プロセスによっては、孔105dの断面が矩形状等の多角形状になる場合には、シリコン窒化膜120の断面が多角形状になっても良い。上述したように、シリコン窒化膜120が0.05マイクロメートル以下の径の孔105dに埋め込まれるため、シリコン窒化膜120は0.05マイクロメートル以下の径を有する。
【0031】
シリコン窒化膜120は、図3(A)に示すように、ゲート電極107(ワード線131)から素子分離絶縁膜105により距離L1で分離されており、半導体基板101のチャンネル領域から素子分離絶縁膜105により距離L2で分離されている。また、図3(B)に示すように、シリコン窒化膜120のソース領域109側の一部は、ソース領域109とオーバラップするように形成されており、シリコン窒化膜120のドレイン領域110側の一部は、ドレイン領域110とオーバラップするように形成されている。より詳細には、シリコン窒化膜120のソース領域109側の一部は、ソース領域109の低濃度拡散領域109bと主にオーバラップし、シリコン窒化膜120のドレイン領域110側の一部は、ドレイン領域110の低濃度拡散領域110bと主にオーバラップしている。
【0032】
なお、ここでは、電荷蓄積膜の例としてシリコン窒化膜を示すが、電荷蓄積膜は、減圧状態で孔105dに埋め込むことができる膜種であればシリコン窒化膜に限定されるものではない。例えば、素子分離絶縁膜105をシリコン窒化膜で構成する場合には、孔105dに埋め込む電荷蓄積膜をシリコン膜または導電膜とすることができる。
【0033】
〔作用効果〕
不揮発性メモリ素子構造に於いては、通常電荷を蓄積するシリコン窒化膜等の電荷蓄積膜をフォトリソ、エッチングといった微細加工技術によって形成するため、電荷蓄積膜の最小パターンサイズは微細加工技術の世代毎に可能な最小寸法によって制限される。露光にI線(365nm)の光を使用する場合には0.3マイクロメートル程度、KrFレーザーを使用する場合には0.15マイクロメートル程度の最小寸法が物理的な限界と言われている。
【0034】
それに対して、本発明では、電荷蓄積膜としてのシリコン窒化膜120がフォトリソ、エッチングといった微細加工技術により形成されるものではなく、素子分離絶縁膜105の膜密度の粗密差異を利用して薬液を素子分離絶縁膜105の低密度部105cに急速に浸透させると共に、毛細管現象によって素子分離絶縁膜105を急速に浸食するため、微細加工技術の世代とは無関係に電荷蓄積膜を形成することができる。
【0035】
また、シリコン窒化膜120を素子分離絶縁膜105に埋め込むため、すなわち、通常のCMOS製造工程で形成される素子分離絶縁膜105の内部にシリコン窒化膜120を埋め込むため、シリコン窒化膜120の形成によってセルトランジスタTrが大型化することがない。即ち、MOSFETにシリコン窒化膜120を設ける場合に、シリコン窒化膜120の工程によって寸法が増加することがなく、現在利用可能な微細加工技術の最小寸法で電荷蓄積機能を持ったMOSFETを構成することができる。
【0036】
本発明では、後述するように、シリコン窒化膜120を形成するための工程を追加して積極的に形成するのではなく、通常のCMOS構造の製造工程で副次的に形成することが可能であるため、殆ど追加の工程なしに不揮発性メモリの製造を通常のCMOS工程に付加することができる。具体的には、書込時に電荷を通過させる絶縁膜も、電荷蓄積膜(シリコン窒化膜120)とゲート電極107(ワード線108)とを絶縁する絶縁膜も、素子分離領域1010bを形成する際に通常用いられるシリコン酸化膜等の素子分離絶縁膜をそのまま利用することができる。
【0037】
また、電荷をトラップし保持するシリコン窒化膜120は、上層の配線層形成時にコンタクトホールをエッチングする際のストッパ膜として用いるシリコン窒化膜をそのまま使用でき、通常のCMOS構造の製造工程と非常に高い親和性を有している。
【0038】
〔メモリ動作〕
本発明に係る不揮発性メモリセル構造は、電荷蓄積膜であるシリコン窒化膜120に電荷を注入して情報の書込を行い、セルトランジスタTrの閾値を変化させ、閾値の差異を検出して情報の読出を行うことで、メモリセルPに保持されている0又は1の情報を判定する方式の不揮発性メモリセル構造である。
【0039】
以下、本発明に係る不揮発性メモリセル構造の書込動作、読出動作、消去動作を具体的に説明する。
【0040】
<セルトランジスタTrがpchの場合>
図11は、セルトランジスタTrがpchの場合に於ける情報の書込時にセルトランジスタTrの各端子に印加する電圧と、書込原理を説明する図である。
【0041】
〔書込動作〕
メモリセルPへの情報の書込は、Band-to-Bandトンネリングと呼ばれるトンネリング電流を発生させて行う。Band-to-Bandトンネリングを発生させるために、セルトランジスタTrのゲート電極107とドレイン電極との間に10V程度の電位差を印加する。具体的には、図11に示すように、ゲート電極107に−0.1V、ドレイン電極(ドレイン領域110)に−10V、ソース電極を開放(OPEN)、半導体基板101又はウェルを接地電位(0V)とする。
【0042】
この結果、ゲート電極107の直下に於いて価電子帯から伝導帯に電子がトンネリングする結果、ホールが発生する。このホールが空乏層内部の電界によりホット化してホットホールとなり、その一部が素子分離絶縁膜105(図3のL1の部分)を通過してシリコン窒化膜120に到達する。このように、シリコン窒化膜120にホールが注入されてシリコン窒化膜120が正に帯電することにより、情報が書き込まれる。
【0043】
シリコン窒化膜120に到達したホールは、シリコン窒化膜120の界面またはシリコン窒化膜120中のトラップ準位に保持され、その後、外部から消去電圧を加えない限り容易に位置を変えず、シリコン窒化膜120を安定して正に帯電する。
【0044】
〔読出動作〕
メモリセルPからの読出は、書込動作によってシリコン窒化膜120が正に帯電することでpchセルトランジスタTrの閾値が見かけ上上昇することを利用する。即ち、書込動作によってシリコン窒化膜120が正に帯電しているセルトランジスタTrの閾値が、書込をされていないシリコン窒化膜120が正に帯電していないセルトランジスタTrの閾値に比較して、ドレイン電流が小さいことを利用して、セルトランジスタTrに蓄積されている情報が「0」か「1」かを判定する。具体的には、メモリセルPのpchセルトランジスタTrから読み出したドレイン電流と、シリコン窒化膜120が正に帯電していない(即ち、書込を行っていない)メモリセルPのセルトランジスタTrの閾値と比較することで、当該メモリセルPに保持されている情報が0であるか1であるかを判定する。
【0045】
シリコン窒化膜120が正に帯電した場合に、セルトランジスタTrの閾値が見かけ上上昇する理由は、シリコン窒化膜120近傍のチャンネル領域(ソース領域109とドレイン領域110との間の領域)にシリコン窒化膜120から正の電界が侵入し、チャンネル領域のポテンシャルエネルギーが上昇するためである。チャンネル領域のポテンシャルエネルギーが上昇すると、pchセルトランジスタTrの場合、キャリアであるホールにとって高いエネルギーとなり、同じゲート電圧を印加しても、シリコン窒化膜120が正に帯電していない場合のチャンネル領域と比較して、チャンネル領域に反転層が形成されにくくなる。この結果、シリコン窒化膜120にホールが注入されている場合にはホールが注入されていない場合に比較してセルトランジスタTrの閾値が高くなる。
【0046】
具体的には、図11に示すように、ゲート電極107に−2.5V、ドレイン電極に−2.5V、ソース電極を接地(0V)、半導体基板101又はウェルを接地電位(0V)とする。この結果、チャンネル領域の表面に反転層が形成され、ドレイン領域110とソース領域109との間でドレイン電流が流れる。このドレイン電流を検出し、書込がされていないセルトランジスタTrのドレイン電流と比較することにより、情報が0か1かを判定する。
【0047】
〔消去動作〕
メモリセルPに書き込まれた情報、すなわち、シリコン窒化膜120に注入されたホールの消去はFN(Fowler-Norheim)トンネル電流を発生させてシリコン窒化膜120中に電子を注入して電気的に中和することで、pchセルトランジスタTrを初期状態に戻す。
【0048】
具体的には、図11に示すように、ゲート電極107に+12V、ドレイン電極を接地(0V)、ソース電極を接地(0V)、半導体基板101又はウェルを接地電位(0V)とする。この結果、シリコン窒化膜120からドレイン領域110にFNトンネル電流が流れ、それによりシリコン窒化膜120に電子が注入され、シリコン窒化膜120が中和される。
【0049】
<セルトランジスタTrがnchの場合>
図12は、セルトランジスタTrがnchの場合に於ける情報の書込時にセルトランジスタTrの各端子に印加する電圧と、書込原理を説明する図である。
【0050】
〔書込動作〕
メモリセルPへの情報の書込は、Band-to-Bandトンネリングと呼ばれるトンネリング電流を発生させて行う。Band-to-Bandトンネリングを発生させるために、セルトランジスタTrのゲート電極107とドレイン電極との間に10V程度の電位差を印加する。具体的には、図12に示すように、ゲート電極107に+0.1V、ドレイン電極(ドレイン領域110)に+10V、ソース電極を開放(OPEN)、半導体基板101又はウェルを接地電位(0V)とする。
【0051】
この結果、ゲート電極107の直下のドレイン領域110に於いて価電子帯から伝導帯に電子がトンネリングする結果、電子が発生する。この電子が空乏層内部の電界によりホット化してホットエレクトロンとなり、その一部が素子分離絶縁膜105(図3のL1の部分)を通過してシリコン窒化膜120に到達する。このように、シリコン窒化膜120にホールが注入されてシリコン窒化膜120が負に帯電することにより、情報が書き込まれる。
【0052】
シリコン窒化膜120に到達した電子は、シリコン窒化膜120の界面またはシリコン窒化膜120中のトラップ準位に保持され、その後、外部から消去電圧を加えない限り容易に位置を変えず、シリコン窒化膜120を安定して負に帯電する。
【0053】
〔読出動作〕
メモリセルPからの読出は、書込動作によってシリコン窒化膜120が負に帯電することでnchセルトランジスタTrの閾値が見かけ上上昇することを利用する。即ち、書込動作によってシリコン窒化膜120が負に帯電しているセルトランジスタTrの閾値が、書込をされていないシリコン窒化膜120が負に帯電していないセルトランジスタTrの閾値に比較して、ドレイン電流が小さいことを利用して、セルトランジスタTrに蓄積されている情報が「0」か「1」かを判定する。具体的には、メモリセルPのnchセルトランジスタTrから読み出したドレイン電流と、シリコン窒化膜120が負に帯電していない(即ち、書込を行っていない)メモリセルPのセルトランジスタTrの閾値と比較することで、当該メモリセルPに保持されている情報が0であるか1であるかを判定する。
【0054】
シリコン窒化膜120が負に帯電した場合に、セルトランジスタTrの閾値が見かけ上上昇する理由は、シリコン窒化膜120近傍のチャンネル領域(ソース領域109とドレイン領域110との間の領域)にシリコン窒化膜120から負の電界が侵入し、チャンネル領域のポテンシャルエネルギーが下降するためである。チャンネル領域のポテンシャルエネルギーが下降すると、nchセルトランジスタTrの場合、キャリアである電子にとって高いエネルギーとなり、同じゲート電圧を印加しても、シリコン窒化膜120が負に帯電していない場合のチャンネル領域と比較して、チャンネル領域に反転層が形成されにくくなる。この結果、シリコン窒化膜120に電子が注入されている場合には電子が注入されていない場合に比較してセルトランジスタTrの閾値が高くなる。
【0055】
具体的には、図12に示すように、ゲート電極107に+2.5V、ドレイン電極に+2.5V、ソース電極を接地(0V)、半導体基板101又はウェルを接地電位(0V)とする。この結果、チャンネル領域の表面に反転層が形成され、ドレイン領域110とソース領域109との間でドレイン電流が流れる。このドレイン電流を検出し、書込がされていないセルトランジスタTrのドレイン電流と比較することにより、情報が0か1かを判定する。
【0056】
〔消去動作〕
メモリセルPに書き込まれた情報、すなわち、シリコン窒化膜120に注入された電子の消去はFN(Fowler-Norheim)トンネル電流を発生させてシリコン窒化膜120中にホールを注入して電気的に中和することで、nchセルトランジスタTrを初期状態に戻す。
【0057】
具体的には、図12に示すように、ゲート電極107に−12V、ドレイン電極を接地(0V)、ソース電極を接地(0V)、半導体基板101又はウェルを接地電位(0V)とする。この結果、ドレイン領域110からシリコン窒化膜120にFNトンネル電流が流れ、それによりシリコン窒化膜120にホールが注入され、シリコン窒化膜120が中和される。
【0058】
〔製造方法〕
次に、図5乃至図9を参照して本発明に係る半導体記憶装置1の製造方法を説明する。
【0059】
図5(a)に示すように、半導体基板1表面を熱酸化することによりシリコン酸化膜からなるバッファ酸化膜102を形成し、バッファ酸化膜102上にCVD(Chemical Vapor Deposition)法によりシリコン窒化膜を堆積させることにより、シリコン窒化膜103を形成する。
【0060】
次に、図5(b)に示すように、公知のフォトリソグラフィー技術を用いて素子分離領域1010bとなる領域以外をレジスト膜で覆い、このレジスト膜をマスクとして素子分離領域1010bのシリコン窒化膜103及びバッファ酸化膜102を除去する。引き続き、同じレジスト膜をマスクとして、シリコン窒化膜103及びバッファ酸化膜102が除去されて露出した半導体基板1の表面を350nm〜500nm除去し、半導体基板101に凹部101aを形成する。
【0061】
なお、図5(a)及び(b)はメモリセルアレイ1001について図示しているが、周辺回路領域でも図5(a)及び(b)と同様にバッファ酸化膜102、シリコン窒化膜103の形成、除去、半導体基板101での凹部101aの形成が行われる。
【0062】
次に、図5(c)に示すように、酸化前洗浄工程としてHFを含む溶液で洗浄するか、洗浄程とは別にHFを含む溶液を使用したウェットエッチング処理を行うことで、バッファー酸化膜102をシリコン窒化膜103の端部から5nm〜20nm程度後退させる。これにより、シリコン窒化膜103がバッファー酸化膜102からオーバハングする構造を得る。バッファー酸化膜102を後退させる工程を洗浄によって行う場合には、0.3〜1%のHF溶液を洗浄液に使用する。バッファ酸化膜102は、1%HF溶液でおおよそ6nm/分の速度(HF濃度に比例)でエッチングされる。従って、HF溶液の濃度、後退させるバッファ酸化膜103の膜厚を考慮して、洗浄時間を決める。また、バッファー酸化膜103を後退させる工程は、洗浄工程とは別のウェットエッチング処理で行っても良い。ウェットエッチング処理には、1%程度のHF溶液を用いる。ウェットエッチング処理の時間は、バッファ酸化膜102が1%HF溶液でおおよそ6nm/分の速度でエッチングされることに基づいて、HF溶液の濃度、後退させるバッファ酸化膜103の膜厚を考慮して、決める。このように、バッファ酸化膜102を後退させて、シリコン窒化膜103がバッファ酸化膜102に対してオーバハングする構造(オーバハング部102a)を設けると、その後に素子分離絶縁膜105を形成する際に、オーバハング部102aの近傍には、膜密度が他の部分よりも低い低密度領域105c(図6参照)が形成される。続いて、素子分離領域1010bにおいて半導体基板101が露出した領域、すなわち、凹部101aを公知の熱酸化技術を用いて熱酸化し、シリコン酸化膜104を得る。
【0063】
なお、図5(c)はメモリセルアレイ1001について図示しているが、周辺回路領域でも図5(c)と同様にバッファ酸化膜102の除去、シリコン酸化膜104の形成が行われる。
【0064】
次に、図6(d)に示すように、高密度プラズマCVD(High Density Plasma Chemical Vapor Depositon:以下、単にHD−CVDという)法を用いて、シリコン酸化膜を成膜して素子分離絶縁膜105を形成する。HD−CVD法によるシリコン酸化膜の成膜は、2段階で行う。具体的には、第1の条件で膜密度が粗な(低い)膜質のシリコン酸化膜を成膜する第1成膜ステップと、第2の条件で第1成膜ステップのシリコン酸化膜よりも膜密度が密な(高い)膜質のシリコン酸化膜を成膜する第2成膜ステップとの2段階でシリコン酸化膜を成膜する。
【0065】
第1成膜ステップでは、第1の条件として成膜温度を300℃にして20nm程度シリコン酸化膜を成膜し、その後に、第2成膜ステップでは、第2の条件として成膜温度を650℃として、第1成膜ステップ及び第2成膜ステップでの膜厚の合計が400nm〜800nmになるまでシリコン酸化膜を成膜する。成膜温度の制御は、例えば、バックサイドヘリウムによってチャンバ内温度を調整することによって行う。具体的には、第1のステップではバックサイドヘリウムを流してウエハ温度を下げて成膜温度を300℃とし、第2のステップではバックサイドヘリウムを流さないで成膜温度を650℃とする。
【0066】
また、上記第1の条件及び第2の条件に変えて、第1の条件及び第2の条件を以下のようにしても良い。第1成膜ステップでは、第1の条件としてPE−CVD(Plasma Enhanced-Chemical Vapor Deposition)法又はAP−CVD(atmospheric Presure- Chemical Vapor Deposition)法を用いて20nm程度シリコン酸化膜を成膜し、その後に、第2成膜ステップでは、第2の条件としてHD−CVD法を用いて第1成膜ステップ及び第2成膜ステップでの膜厚の合計が400nm〜800nmになるまでシリコン酸化膜を成膜する。PE−CVD法及びAP−CVDのように常圧下のCVDにより成膜されるシリコン酸化膜は、HD−CVD法によるシリコン酸化膜に比較して膜密度が粗であるため、HF溶液に対するエッチングレートが大きい。
【0067】
このように、初期の第1成膜ステップで、成膜温度を下げて成膜するか、PE−CVD法又はAP−CVD法を用いてシリコン酸化膜を成膜すると、最初に形成される膜厚20nmのシリコン酸化膜は膜密度が粗な膜質になる。さらに、シリコン窒化膜103がバッファ酸化膜102からオーバハングしているオーバハング部102aではさらにシリコン酸化膜が密に堆積しにくく、オーバハング部102aで膜密度が粗になり易い。したがって、オーバハング部102aでは膜密度が他の部分よりも粗である低密度部105cが形成される。この低密度部105cは、バッファ酸化膜102及びシリコン窒化膜103の縁部に沿って形成される。言い換えれば、低密度部105cは、素子形成領域1010aと素子分離領域1010bとの境界に沿って形成される。図6(d)では、第1成膜ステップで形成されるシリコン酸化膜を105a、第2成膜ステップで形成されるシリコン酸化膜を105bで示している。
【0068】
シリコン酸化膜をHF溶液で洗浄またはウェットエッチングする場合、HF溶液によるシリコン酸化膜の除去のレートは、シリコン酸化膜の膜密度の粗密に依存する。例えば、図6(d)に於いて、熱酸化膜104は最も緻密で(膜密度が高く)HFレートが遅い膜であり、熱酸化膜104のHFレートは約30nm/分である。低密度部105c以外のHD−CVDによるシリコン酸化膜105bのHFレートは、熱酸化膜のHFレートの1.5倍程度であり、約45nm/分である。一方、低密度部105cのHFレートは、熱酸化膜のHFレートの5〜10倍程度になり、約150〜300nm/分である。即ち、本実施形態では、低密度部105cの膜密度は、HFレートに換算して、他の密な部分のHFレートの約3.3〜6.7倍のHFレートとなる膜密度である。
【0069】
なお、図6(d)はメモリセルアレイ1001について図示しているが、周辺回路領域でも図6(d)と同様に素子分離絶縁膜105が形成される。
【0070】
次に、図6(e)に示すように、CMP(Chemical Mecanical Polishing)法を使用して素子分離絶縁膜105を平坦化するための研磨をする。CMP法によるシリコン酸化膜の研磨は、シリコン窒化膜102をストッパ膜として、シリコン窒化膜102が露出するまで行う。その後、シリコン窒化膜103及びシリコン酸化膜102を除去する前に、素子分離領域1010bに於いて最終的に残留する素子分離絶縁膜105の半導体基板101との相対的な高さを調整するために、素子分離絶縁膜105をHF溶液で除去する工程を行う。このとき、メモリセルアレイ1001では、素子分離絶縁膜105の第1の部分1051が、素子形成領域1010Aに於ける半導体基板101の表面から50nm〜1500nm程度上に突出するように調整する。なお、図6(e)以降では、熱酸化膜104は素子分離絶縁膜105に含まれているとして図示を省略する。
【0071】
図9及び図10は、メモリセルアレイ1001以外の領域、即ち、周辺回路の領域における製造工程を示す図である。
【0072】
周辺回路領域では、最終的に素子分離絶縁膜105の高さが、素子形成領域1010aに於ける半導体基板101の表面と略同じ高さとなることが好ましいため、図9(e)に示すように公知のフォトリソグラフィー技術、エッチング技術を用いて、素子分離絶縁膜105を選択的に下げておく。図9(e)では、素子形成領域1010aに於ける半導体基板101の表面と同じ高さに調整された素子分離絶縁膜105を第3の部分1053として示す。
【0073】
次に、図6(f)及び図9(f)に示すように、リン酸を含む溶液を使用した公知のウェットエッチング技術を用いてシリコン窒化膜103とバッファ酸化膜102とを除去する。
【0074】
次に、素子形成領域1010Aに於いて半導体基板101にウェルを形成し、トランジスタのVt調整のための表面濃度調整を行った後、図7(g)及び図9(g)に示すように、公知の熱酸化技術を用いて4nm〜15nmのゲート酸化膜106を形成する。さらに、公知の減圧CVD(Low Pressure-Chemical Vaper Deposition:LP−CVD)法を使用して、100nm〜250nm程度のポリシリコン膜107を形成する。ここで、半導体基板101にn型基板を用いる場合には、n型基板の表面を用いてp型トランジスタを形成すると共に、n型基板上にn型トランジスタも併せて形成するためにp型不純物拡散領域のウェルを形成する。一方、半導体基板101にp型基板を用いる場合には、p型基板の表面にn型トランジスタを形成すると共に、p型基板上にp型トランジスタを形成するためにn型不純物拡散領域からなるウェルを形成する。
【0075】
ポリシリコン膜107の形成後、公知のフォトリソグラフィー技術、エッチング技術を用いて、図2に示すように、ポリシリコン膜107をゲート電極107と一体のワード線131へとパターニングする。また、ゲート絶縁膜106は、ポリシリコン107のエッチング時に除去されて薄くなり、その後の洗浄工程等で除去されるかいくらか残存する。
【0076】
続いて、公知のフォトリソグラフィー技術、イオンプランテーション技術を用いて、半導体基板101の素子形成領域1010aに不純物を注入して低濃度拡散領域109a,110aを形成し、低濃度拡散領域109a,110aの濃度調整を行う。
【0077】
次に、公知のLP−CVD法を用いてシリコン窒化膜を形成し、公知のドライエッチングを用いてシリコン窒化膜をエッチバックして、図2に示すようにゲート電極107(ワード線131)の側壁にサイドウォール108を形成する。このドライエッチングは、素子形成領域1010Aで半導体基板101の表面が露出するまで行い、素子分離領域1010Bでは、図8に示すようにゲート電極107(ワード線131)で覆われていない部分が半導体基板101の表面と略同一の高さまで下げられる。これにより、図8に示すように、素子分離領域1010Bでは、ゲート電極107(ワード線131)に覆われた第1の部分1051の側面がソース領域109側とドレイン領域110側とで露出する。素子分離絶縁膜105のゲート電極107(ワード線131)に覆われていない部分は、第1の部分1051よりも低い第2の部分1052となる。
【0078】
本実施形態では、サイドウォール108の材料としてシリコン窒化膜107を示したが、シリコン酸化膜、ポリシリコン等でも良い。但し、後の工程で、ゲート電極107(ワード線131)及びサイドウォール108をマスクとして素子分離絶縁膜105をエッチングするため、サイドウォール108の材料は素子分離絶縁膜105の材料に対してエッチングの選択比があることが好ましい。したがって、素子分離絶縁膜105をシリコン酸化膜で形成する場合には、サイドウォール108をシリコン窒化膜やポリシリコンで形成することが好ましい。一方、素子分離絶縁膜105をシリコン窒化膜で形成する場合には、サイドウォール108をシリコン酸化膜、ポリシリコンで形成することが好ましい。
【0079】
続いて、次工程のイオンプランテーションに於ける表面保護とチャンネリング防止のために、図7(h)に示すように、公知のLPCVD法を用いて全面にシリコン酸化膜からなる保護膜112を10nm形成する。さらに、公知のフォトリソグラフィー技術、エッチング技術を用いてゲート電極107(ワード線131)及びサイドウォール108をマスクとして、保護膜112を介してイオンプランテーションを行う。これにより、ゲート電極107(ワード線131)及びサイドウォール108の両側に高濃度拡散領域109b,110bを形成する。これにより、図8に示すように、低濃度拡散領域109a及び高濃度拡散領域109bからなるソース領域109と、低濃度拡散領域110a及び高濃度拡散領域110bからなるドレイン領域110とが形成される。
【0080】
次に、フォトリソグラフィー技術、エッチング技術を用いて、ポリ抵抗、拡散抵抗を下げたくない領域、例えば、ESD用トランジスタを形成する領域やアナログ回路を形成する領域等を除いて、素子形成領域1010Aのゲート電極107、ソース領域109及びドレイン領域110等を露出するように、保護膜112をエッチングする。このエッチングは、1%HF溶液で90秒程度の条件で行う。このとき、HF溶液によるエッチングにより、素子分離絶縁膜105の第1の部分1051のソース側側面とドレイン側側面に積層された保護膜が除去されて、ソース側側面とドレイン側側面とに低密度部105cが露出する。前述したように低密度部105cのHFレートは他の部分に比較して大きいため、第1の部分1051のソース側側面とドレイン側側面に低密度部105cが露出すると、素子分離絶縁膜105(シリコン酸化膜)の膜密度の粗密差異によって、HF溶液がソース側側面とドレイン側側面の他の部分に比較して低密度部105cに急速に浸透し、さらにHF溶液によって素子分離絶縁膜105が除去された部分に毛細管現象によりHF溶液が急速に浸食し、図7(h)及び図8に示すように、第1の部分1051の低密度部105cを中心にソース側側面からドレイン側側面にかけて貫通する孔105dが形成される。孔105dは、0.05マイクロメートル以下の直径を持つパイプ状の空孔である。
【0081】
シリコン酸化膜のHF溶液によるウェットエッチングのレートは、シリコン酸化膜の膜密度に強く依存する。即ち、シリコン酸化膜は、膜密度が粗な(低い)部分が膜密度が密な(高い)部分よりも高いレートでエッチングされる。素子分離絶縁膜105は、低密度部105cの周りをより高密度なシリコン酸化膜で囲まれた構成であるので、HF溶液によるエッチングレートの差異から、低密度部105cにHF溶液を急速に浸透させて、さらに、毛細管現象によりHF溶液でシリコン酸化膜を浸食させることにより、高い制御性で孔105の直径を制御することができる。このとき、周辺回路領域では、素子分離絶縁膜105が除去されて下げられているため、結果的に局所的な低密度部105cが除去されて存在しない。従って、周辺回路領域に於いて、素子分離絶縁膜105中には孔105dが形成されない。
【0082】
ここで、素子分離絶縁膜105のゲート電極107(ワード線131)及びサイドウォール108で覆われている部分を第1の部分1051、ゲート電極107(ワード線131)及びサイドウォール108で覆われていない部分を第2の部分1052とすると、第1の部分1051は第2の部分1052よりも高い。
【0083】
ここでは、シリコン酸化膜からなる保護膜をHF溶液でエッチングする工程で孔105dを形成したが、後に、シリコン窒化膜でストッパ膜を形成する工程に先立って行われる洗浄工程またはウェットエッチング工程で孔105dを形成しても良い。
【0084】
次に、公知のスパッタリング技術でソース領域109及びドレイン領域110の表面にCo、Ti等の高融点金属を形成し、その後熱処理を行うことでシリコン表面が露出している領域のみにCoSi、TiSi等のシリサイド膜を形成する。このとき、シリコン酸化膜上のCo、Ti等はシリサイド反応を起こさないためCo、Ti等のまま残るため、その後にアルカリ系溶液で洗浄することで容易にCo、Ti等のみ除去され、シリコン上のみにCoSiが残る。
【0085】
その後、次工程のシリコン窒化膜の形成に先立って、HFを含む溶液で全面を洗浄、或いは、又は、洗浄工程とは別にHFを含む溶液を使用したウェットエッチング処理を行う。保護膜112のエッチング工程で孔105dを形成していない場合には、この工程で孔105dの形成を行う。この工程では、素子分離絶縁膜105(シリコン酸化膜)の膜密度の粗密差異を利用して、第1部分1051の側面に露出した局所的な低密度の部分である低密度部分105dに急速にHF溶液を浸透させ、且つ、毛細管現象を利用してHF溶液によってシリコン酸化膜を急速に浸食させることで、図7(h)及び図8に示すように、素子分離絶縁膜105中に低密度部105cを中心に0.05マイクロメートル以下の直径を持つパイプ状の空孔である孔105dを形成する。
【0086】
シリコン酸化膜のHF溶液によるウェットエッチングのレートは、シリコン酸化膜の膜密度に強く依存する。即ち、シリコン酸化膜は、膜密度が粗な(低い)部分が膜密度が密な(高い)部分よりも高いレートでエッチングされる。素子分離絶縁膜105は、低密度部105cの周りをより高密度なシリコン酸化膜で囲まれた構成であるので、HF溶液によるエッチングレートの差異から、低密度部105cにHF溶液を急速に浸透させて、さらに、毛細管現象によりHF溶液でシリコン酸化膜を浸食させることにより、高い制御性で孔105の直径を制御することができる。このとき、周辺回路領域では、素子分離絶縁膜105が除去されて下げられているため、結果的に局所的な低密度部105cが除去されて存在しない。従って、周辺回路領域に於いて、素子分離絶縁膜105中には孔105dが形成されない。
【0087】
この工程を洗浄によって行う場合には、0.3〜1%のHF溶液を洗浄液に使用する。シリコン酸化膜は、1%HF溶液でおおよそ6nm/分の速度でエッチングされる。従って、HF溶液の濃度と、第1の部分1051のソース側側面からドレイン側側面に在る低密度部分の長さを考慮して洗浄時間を決める。また、この工程は、洗浄工程とは別のウェットエッチング処理で行っても良い。ウェットエッチング処理には、1%程度のHF溶液を用いる。ウェットエッチング処理の時間は、シリコン酸化膜が1%HF溶液でおおよそ6nm/分の速度(HF濃度に比例)でエッチングされることに基づいて、HF溶液の濃度、第1の部分1051のソース側側面からドレイン側側面に在る低密度部分の長さを考慮して決める。
【0088】
次に、図7(i)及び図9(i)に示すように、上層の配線層形成時にコンタクトホールを形成する際にストッパ膜として機能するシリコン窒化膜111をLP−CVD法で堆積させる。このとき、素子分離絶縁膜105の第1の部分1051には空孔である孔105dが形成されているので、シリコン窒化膜が孔105d中に堆積し、結果的にパイプ状のシリコン窒化膜120が孔105d中に形成される。
【0089】
その後、通常の配線工程を実施することにより全工程を終了する。シリコン窒化膜111上に層間絶縁膜を形成し、公知のフォトリソグラフィー、エッチング技術を用いてゲート電極107、ソース領域109、ドレイン領域110上の層間絶縁膜を除去してコンタクトホールを形成する。このとき、層間絶縁膜の下にはシリコン窒化膜111が存在するので、このシリコン窒化膜111がエッチングのストッパ膜として機能する。さらに、ゲート電極107、ソース領域109、ドレイン領域110上のシリコン窒化膜111を除去してゲート電極107、ソース領域109、ドレイン領域110を露出させて、ゲート電極107、ソース領域109、ドレイン領域110にそれぞれコンタクトを形成し、層間絶縁膜上に各コンタクトと接続される配線層を形成する。
【0090】
〔作用効果〕
本実施形態では、不揮発性メモリ構造を形成する際、構造上追加しなければならない工程は、周辺回路領域の素子分離絶縁膜105を下げるためのフォトリソグラフィー1工程、エッチング1工程であり、エッチングはウェットエッチングで十分な構造形成が可能なため非常に安価に電荷蓄積部の構成を通常のCMOS工程に付加することができる。
【0091】
また、従来、電荷蓄積機能を有するシリコン窒化膜120は、フォトリソグラフィー技術、エッチング技術といった微細加工技術によって形成されるため、その最小パターンサイズはその世代毎に可能な最小寸法に制限される。露光にi線(波長365nm)の光を使用する場合には0.3マイクロメートル程度、KrFレーザ(波長256nm)を用いる場合には0.15マイクロメートル程度が物理的な限界となる。これに対して、本実施形態では、シリコン窒化膜120がフォトリソグラフィー技術、エッチング技術といった微細加工技術により形成されるものではなく、膜密度の粗密差異をと毛細管現象とを利用して孔105dを形成するので、世代毎の技術とは無関係にシリコン窒化膜120を微細化することができる。本実施形態によれば、電荷蓄積膜として機能するパイプ状のシリコン窒化膜120の直径は0.05マイクロメートル以下で形成できることが確認されている。
【0092】
〔その他の実施形態〕
なお、上記では、サイドウォール108のエッチバック時に、第1の部分1051の側面に低密度部105cを露出させたが、サイドウォール108のエッチバック時に低密度部105cが一部露出または完全に露出しない状態まで、素子分離絶縁膜105をエッチングしても良い。この場合、後の保護膜112のパターニング時、あるいは、ストッパ膜(シリコン窒化膜111)形成前の洗浄またはウェットエッチング時に低密度部105cを露出させても良い。例えば、保護膜112のパターニング時に低密度部105cを露出させ、ストッパ膜(シリコン窒化膜111)形成前の洗浄またはウェットエッチング時に孔105dを形成させても良いし、あるいは、ストッパ膜(シリコン窒化膜111)形成前の洗浄またはウェットエッチング時に低密度部105cを露出させるとともに、さらに孔105dを形成しても良い。
【0093】
上記実施形態においては、図2に示されるように、電荷蓄積部であるシリコン窒化膜120が、素子分離絶縁膜105の第1の部分1051のソース側側面とからドレイン側側面に貫通して棒状に形成されているものであるが、さらに多値化に対応可能とすべく以下のような変形例とすることもできる。
【0094】
図13,14は、本発明の変形例に係る半導体記憶装置を説明するための図である。図13は、上記実施形態の説明図である図8に対応する部分の断面図であり、図14は、上記実施形態の説明図である図2に対応する部分の平面図である。図13,14において、それぞれ図8,図2と同様な部分については同じ符号を用いている。
【0095】
図13,14に示されるように、電荷蓄積部であるシリコン窒化膜120は、第1の蓄積部と第2の蓄積部とに分かれている。つまり、第1の蓄積部は素子分離絶縁膜105の第1の部分1051のソース側側面に沿って形成され、第2の蓄積部は素子分離絶縁膜105の第1の部分1051のドレイン側側面に沿って形成されている。第1の蓄積部と第2の蓄積部との間は絶縁分離されている。このような構成とすることで、1つのセルトランジスタTrにつき4つのシリコン窒化膜120が形成されることとなる。このように、電荷蓄積部を多数設けることにより多値(2ビット以上)のデータを保持することも可能とすることができる。
【0096】
ここで、上記変形例の半導体記憶装置の製造方法について説明する。製造方法自体は図5〜図7とほぼ同様である。つまり、図5〜図7(h)に示す保護膜112の形成までは上述の実施形態と同様である。変形例のようにするためには、図7(h)に示された保護膜112のエッチングにおいて、そのエッチング時間を制御することで実現できる。上述したように、保護膜112のエッチングにて、低密度部分105cにHF溶液が浸透することで孔105dが形成される。このHF溶液の浸透による低密度部分105cのエッチングはソース側側面とドレイン側側面とで同時にほぼ同一の速度で進む。このため、HF溶液でエッチングする時間を制御することにより、ソース側側面からのエッチングで形成される孔とドレイン側側面からのエッチングで形成される孔とがつながる前にエッチングを止めればよい。この結果、ソース側側面とドレイン側側面にそれぞれ0.05マイクロメートル以下の直径を持つパイプ状の空孔を形成することができる。この空孔の長さとしては、サイドウォール領域の幅(0.1マイクロメートル)よりも長く、ゲート領域の3分の1(ゲートポリシリコンの幅が0.24マイクロメートルであれば0.08マイクロメートルを超えない長さ、つまり、ゲートポリシリコンの端部からの距離が3分の1を超えないようにするのがよい。
空孔を形成した後の工程は、上記実施形態と同様でよい。
【0097】
以上のように、変形例のような構造の半導体記憶装置は、保護膜112のエッチング時間を制御する以外は実施形態と同様な工程で実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0098】
【図1】本発明に係る半導体記憶装置のレイアウトを示す概略平面図である。
【図2】本発明に係る半導体記憶装置のメモリセルアレイの一部を抜き出した平面図である。
【図3】本発明に係る半導体記憶装置のメモリセルアレイの一部を図2のA−A’及びB−B’に沿った断面図である。
【図4】本発明に係る半導体記憶装置のメモリセルアレイの一部を図2のC−C’に沿った
【図5】本発明に係る半導体記憶装置のメモリセルアレイにおける製造工程を示す図である。
【図6】本発明に係る半導体記憶装置のメモリセルアレイにおける製造工程を示す図である。
【図7】本発明に係る半導体記憶装置のメモリセルアレイにおける製造工程を示す図である。
【図8】本発明に係る半導体記憶装置のメモリセルアレイの一部の図2のD−D’に沿って切り欠いた状態の斜視図である。
【図9】本発明に係る半導体記憶装置の周辺回路領域における製造工程を示す図である。
【図10】本発明に係る半導体記憶装置の周辺回路領域における製造工程を示す図である。
【図11】セルトランジスタがpchMOSFETである場合に於いて情報を書き込み、読み出し、消去する際に、セルトランジスタの各端子に印加する電圧、及び、書き込み、読み出し、消去の動作原理を説明する図である。
【図12】セルトランジスタがnchMOSFETである場合に於いて情報を書き込み、読み出し、消去する際に、セルトランジスタの各端子に印加する電圧、及び、書き込み、読み出し、消去の動作原理を説明する図である。
【図13】本発明の変形例に係る半導体記憶装置のメモリセルアレイの一部の図2のD−D’に沿って切り欠いた状態の斜視図である。
【図14】本発明の変形例に係る半導体記憶装置のメモリセルアレイの一部を抜き出した平面図である。
【符号の説明】
【0099】
1000 半導体記憶装置
1001 メモリセルアレイ
1002 ワードドライバ
1003 データドライバ
101 半導体基板
1010A 素子形成領域
1010B 素子分離領域
101a 凹部
102 バッファ酸化膜
103 シリコン窒化膜
104 熱酸化膜
105 素子分離絶縁膜
105a 膜密度が粗な部分
105b 膜密度が密な部分
105c 低密度部
105d 孔
1051 第1の部分
1052 第2の部分
1053 第3の部分
106 ゲート絶縁膜
107 ゲート電極
108 サイドウォール
109 ソース領域
110 ドレイン領域
111 シリコン窒化膜(ストッパ膜)
112 保護膜
120 シリコン窒化膜(電荷蓄積膜)
131 ワード線
132 ビット線対

【特許請求の範囲】
【請求項1】
素子形成領域と素子分離領域とを有する半導体基板と、
前記素子分離領域に形成された素子分離絶縁膜としての第1の絶縁膜と、
前記半導体基板の前記素子形成領域に形成された第1の拡散領域及び第2の拡散領域と、
前記半導体基板上の前記素子形成領域に於いて前記第1の拡散領域と第2の拡散領域との間に形成されたゲート絶縁膜と、
前記ゲート絶縁膜上に形成されたゲート電極と、
前記第1の絶縁膜中に設けられた電荷蓄積部と、を備えた半導体記憶装置。
【請求項2】
前記素子分離絶縁膜は、前記素子形成領域に於ける前記半導体基板の表面よりも突出した第1の部分と、前記第1の部分よりも低い第2の部分とを有しており、前記電荷蓄積部は前記第1の部分に形成されている、請求項1に記載の半導体記憶装置。
【請求項3】
前記ゲート電極は、前記第1の絶縁膜上まで延在しており、
前記第1の部分は、前記ゲート電極で覆われる部分に形成されており、前記第2の部分は、前記ゲート電極で覆われない部分に形成されている、請求項2に記載の半導体記憶装置。
【請求項4】
前記第1の部分は、前記第1の拡散領域側の側面及び前記第2の拡散領域側の側面とを有し、前記電荷蓄積部は前記第1の拡散領域側の側面から前記第2の拡散領域側の側面に亘って形成されている、請求項2又は3の何れかに記載の半導体記憶装置。
【請求項5】
前記第1の部分は、前記第1の拡散領域側の側面及び前記第2の拡散領域側の側面とを有し、前記電荷蓄積部は前記第1の拡散領域側の側面に沿ってに設けられた第1の蓄積部と前記第2の拡散領域側の側面に沿ってに設けられた第2の蓄積部とで構成されている、請求項2又は3の何れかに記載の半導体記憶装置。
【請求項6】
前記第2の部分上にコンタクトホール形成の際のストッパ膜として形成された第2の絶縁膜をさらに備え、
前記電荷蓄積膜は、前記第2の絶縁膜と同一の材料で形成されている、請求項2に記載の半導体記憶装置。
【請求項7】
前記電荷蓄積部は、前記ゲート絶縁膜の側方に略同一の高さで形成されている、請求項1に記載の半導体記憶装置。
【請求項8】
前記電荷蓄積部は、少なくとも一部が前記第1の拡散領域から前記第2の拡散領域に向かう方向に沿って前記第1の拡散領域及び前記第2の拡散領域とオーバラップしている、
請求項1に記載の半導体記憶装置。
【請求項9】
前記ゲート絶縁膜及び前記ゲート電極の両側壁に形成されたサイドウォールをさらに備え、
前記電荷蓄積部は、少なくとも一部が前記第1の拡散領域から前記第2の拡散領域に向かう方向に沿って前記サイドウォールとオーバラップしている、請求項1に記載の半導体記憶装置。
【請求項10】
前記電荷蓄積部は、前記ゲート絶縁膜の両側に形成されている、請求項1に記載の半導体記憶装置。
【請求項11】
前記半導体基板は、メモリセルアレイ領域とCMOS回路からなる周辺回路領域とを有し、前記素子形成領域及び前記素子分離領域はメモリセルアレイ領域と周辺回路領域とにそれぞれ含まれており、
前記周辺回路領域では、前記素子分離絶縁膜は、前記素子形成領域に於ける前記半導体基板の表面と略同一の高さに形成されている、請求項2に記載の半導体記憶装置。
【請求項12】
半導体基板を準備する工程と、
前記半導体基板上に第1の酸化膜、第1の窒化膜を順次形成する工程と、
素子分離領域に於いて前記第1の酸化膜、第1の窒化膜を除去し、さらに素子形成領域に於いて前記半導体基板に凹部を形成する工程と、
前記素子形成領域において前記第1の酸化膜の縁部を洗浄またはウェットエッチングにより除去し、前記第1の窒化膜を前記第1の酸化膜に対してオーバハングさせる工程と、
前記素子形成領域及び前記素子分離領域に於いて、前記第1の酸化膜の側方で他の部分よりも膜の密度が粗になる低密度部が形成されるように第1の絶縁膜を形成する工程と、
前記第1の絶縁膜を前記第1の窒化膜が露出するまで平坦化する工程と、
前記第1の酸化膜及び前記第1の窒化膜を除去して、前記素子形成領域において前記半導体基板の表面を露出する工程と、
半導体基板の露出された表面にゲート絶縁膜を形成する工程と、
前記ゲート絶縁膜上及び前記第1の絶縁膜上にゲート電極を形成する工程と、
前記ゲート絶縁膜の両側において前記半導体基板に第1の拡散領域及び第2の拡散領域を形成する工程と、
前記ゲート電極で覆われていない前記第1の絶縁膜を所定量除去し、前記低密度部を露出する工程と、
洗浄又はウェットエッチングによって前記低密度部を浸食して前記第1の絶縁膜に孔を形成する工程と、
前記孔に前記電荷蓄積膜を形成する工程と、
を含む半導体記憶装置の製造方法。
【請求項13】
前記第1の絶縁膜を形成する工程は、第1の温度で前記第1の絶縁膜を形成した後、前記第1の温度より高い第2の温度で前記第1の絶縁膜を形成することにより、前記低密度部を形成する、請求項12に記載の半導体記憶装置の製造方法。
【請求項14】
前記第1の絶縁膜を形成する工程は、PE−CVDまたはAP−CVDで前記第1の絶縁膜を形成した後、HD−CVDで前記第1の絶縁膜を形成することにより、前記低密度部を形成する、請求項12に記載の半導体記憶装置の製造方法。
【請求項15】
前記ゲート電極で覆われていない前記第1の絶縁膜は、前記素子形成領域に於ける前記半導体基板の表面と略同一の高さまで露出され、
前記孔は、前記ゲート絶縁膜の側方に略同一の高さで形成される、請求項12に記載の半導体記憶装置の製造方法。
【請求項16】
前記ゲート電極で覆われている前記第1の絶縁膜は、前記第1の拡散領域側と前記第2の拡散領域側とにおいて側面が露出され、各側面に前記低密度部が露出され、
前記孔は、前記低密度部を浸食することにより前記第1の拡散領域側の側面から前記第2の拡散領域の側面に貫通して形成される、請求項12に記載の半導体記憶装置の製造方法。
【請求項17】
全面に第2の絶縁膜を形成した後に前記第2の絶縁膜をエッチバックして、前記ゲート電極の両側に前記第2の絶縁膜からなるサイドウォールを形成する工程をさらに含み、
前記低密度部を露出する工程は、前記第2の絶縁膜をエッチバックする工程で行われる、請求項12に記載の半導体記憶装置の製造方法。
【請求項18】
全面に第2の絶縁膜を形成した後に前記第2の絶縁膜をエッチバックして、前記ゲート電極の両側に前記第2の絶縁膜からなるサイドウォールを形成する工程をさらに含み、
前記低密度部を露出する工程は、前記第2の絶縁膜をエッチバックする工程と、その後の洗浄またはウェットエッチングとによって行われる、請求項12に記載の半導体記憶装置の製造方法。
【請求項19】
前記第1の拡散領域及び前記第2の拡散領域を形成する工程は、
前記サイドウォールの形成工程の後、全面に保護膜を形成する工程と、
前記ゲート電極及び前記サイドウォールの両側に於いて前記保護膜を介して前記半導体基板に不純物を注入して前記第1の拡散領域及び前記第2の拡散領域を形成する工程と、を含み、
第1の拡散領域及び第2の拡散領域を形成する工程の後に、前記保護膜をウェットエッチングする工程をさらに含み、
前記低密度部を浸食する工程は、前記保護膜をウェットエッチングする工程で行われる、請求項17又は18に記載の半導体記憶装置の製造方法。
【請求項20】
前記第1の拡散領域及び前記第2の拡散領域を形成する工程の後に於いて、コンタクトホール形成時のストッパ膜を全面に形成する前に、洗浄またはウェットエッチングを行う工程を含み、
前記低密度部を浸食する工程は、当該洗浄またはウェットエッチングによって行われる、請求項17又は18に記載の半導体記憶装置の製造方法。
【請求項21】
前記半導体基板にメモリセルアレイ領域とCMOS回路からなる周辺回路領域とを形成する半導体記憶装置の製造方法であり、
前記周辺回路領域では、前記第1の絶縁膜は、前記素子形成領域に於ける前記半導体基板の表面と略同一の高さに形成する、請求項12に記載の半導体記憶装置の製造方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate


【公開番号】特開2007−43088(P2007−43088A)
【公開日】平成19年2月15日(2007.2.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−139327(P2006−139327)
【出願日】平成18年5月18日(2006.5.18)
【出願人】(000000295)沖電気工業株式会社 (6,645)
【Fターム(参考)】