説明

半導体集積回路

【課題】差動アンプ回路の出力信号の出力をより正確に制御することが可能な半導体集積回路を提供する。
【解決手段】半導体集積回路は、第4のMOSトランジスタと第5のMOSトランジスタとの間の接点の第1の電圧に応じた信号とイネーブル信号とが入力され、イネーブル信号が第1のレベルであり且つ第1の電圧が規定電圧以上の場合に差動アンプ回路の出力信号を出力端子に出力するための第1の信号を出力し、イネーブル信号が第2のレベルまたは第1の電圧が規定電圧未満の場合に第2の信号を出力する演算回路と、差動アンプ回路の出力信号と演算回路が出力した信号とが入力され、第1の信号が入力された場合には、出力信号を出力端子に出力し、第2の信号が入力された場合には、出力端子へ或る論理に固定した信号を出力する出力バッファ回路と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、差動アンプ回路を備える半導体集積回路に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の半導体集積回路には、入力信号を遮断するトランスファーゲートを設け、信号を入力するタイミングと、差動アンプ回路を起動させるタイミングとを制御するものがある(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
これにより、上記従来の半導体集積回路は、差動増幅開始時における入力信号の電位変動を抑える。
【0004】
しかし、上記従来の半導体集積回路は、インバータチェーンで構成される遅延回路を用いているため、インバータのバラツキによる誤動作が生じ得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−142608号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、差動アンプ回路の出力信号の出力をより正確に制御することが可能な半導体集積回路を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様に係る半導体集積回路は、第1の信号と前記第1の信号の位相を反転した第2の信号の電位差を検出し、この検出結果に応じた出力信号を出力する差動アンプ回路と、電源に一端が接続され、ダイオード接続された第1導電型の第1のMOSトランジスタと、前記第1のMOSトランジスタの他端と接地との間に接続され、イネーブル信号が第1のレベルの場合に定電流を出力し、前記イネーブル信号が前記第1のレベルと異なる第2のレベルの場合に前記定電流の出力を停止する定電流回路と、前記電源に一端が接続され、前記差動アンプ回路に他端が接続され、前記第1のMOSトランジスタのゲートにゲートが接続され、前記第1のMOSトランジスタに流れる電流をカレントミラーした電流を、前記差動アンプ回路の動作電流として供給する第1導電型の第2のMOSトランジスタと、前記電源に一端が接続され、前記第1のMOSトランジスタの他端に他端が接続され、前記イネーブル信号がゲートに入力され、前記イネーブル信号が前記第1のレベルの場合にオフし、前記イネーブル信号が前記第2のレベルの場合にオンする第1導電型の第3のMOSトランジスタと、前記電源に一端が接続され、前記第1のMOSトランジスタの他端にゲートが接続された第1導電型の第4のMOSトランジスタと、前記第4のMOSトランジスタの他端と前記接地との間に接続され、前記イネーブル信号の位相を反転した反転信号がゲートに入力され、前記反転信号が前記第1のレベルの場合にオンし、前記反転信号が前記第2のレベルの場合にオフする第2導電型の第5のMOSトランジスタと、前記第4のMOSトランジスタと前記第5のMOSトランジスタとの間の接点の第1の電圧に応じた信号と前記イネーブル信号とが入力され、前記イネーブル信号が前記第1のレベルであり且つ前記第1の電圧が規定電圧以上の場合に前記差動アンプ回路の出力信号を出力端子に出力するための第1の信号を出力し、前記イネーブル信号が前記第2のレベルまたは前記第1の電圧が前記規定電圧未満の場合に第2の信号を出力する演算回路と、前記差動アンプ回路の出力信号と前記演算回路が出力した信号とが入力され、前記第1の信号が入力された場合には、前記出力信号を前記出力端子に出力し、前記第2の信号が入力された場合には、前記出力端子へ或る論理に固定した信号を出力する出力バッファ回路と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係る半導体集積回路によれば、差動アンプ回路の出力信号の出力をより正確に制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】比較例となる半導体集積回路100aの回路構成の一例を示す回路図である。
【図2】図1に示す比較例の半導体集積回路100aの各構成における電圧波形の一例を示す波形図である。
【図3】図1に示す比較例の半導体集積回路100aの各構成における電圧波形の他の例を示す波形図である。
【図4】図1に示す比較例の半導体集積回路100aの各構成における電圧波形のさらに他の例を示す波形図である。
【図5】本発明の一態様である実施例1に係る半導体集積回路100の構成を示す図である。
【図6】図5に示す半導体集積回路100の各構成における電圧波形の一例を示す波形図である。
【図7】本発明の一態様である実施例2に係る半導体集積回路200の構成を示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
差動アンプ回路は、小振幅の差動信号を増幅する為の差動信号増幅器や一方の入力に基準電位を入力し、もう一方の入力に信号を入力することで、その信号の電位を検出する。この差動アンプ回路は、コンパレータ回路など、アナログ回路には欠かせない回路である。
【0011】
一般的に、差動アンプ回路の起動時は、差動アンプ回路を構成するMOSトランジスタの動作点が安定しないため、入力信号や温度、電圧等、外部環境条件によって、入力信号と反対の信号を誤出力する場合もある。
【0012】
製品の仕様によっては、回路の起動時における出力信号も有効な信号になる場合もあり、回路起動時に差動アンプ回路が誤出力することを防止する対策が必要となる。
【0013】
(比較例)
ここで、図1は、比較例となる半導体集積回路100aの回路構成の一例を示す回路図である。
【0014】
図1に示すように、半導体集積回路100aは、非反転入力端子1aと、反転入力端子2aと、差動アンプ回路3aと、イネーブル信号入力端子5aと、遅延回路6aと、AND回路7aと、AND回路8aと、を備える。
【0015】
遅延回路6aは、イネーブル信号ENを一定の時間遅延させる。この遅延回路6aは、インバータを複数段接続したチェーン構成からなる。
【0016】
ここで、図2は、図1に示す比較例の半導体集積回路100aの各構成における電圧波形の一例を示す波形図である。
【0017】
図2に示すように、時間t0(0ns)において、イネーブル信号ENは、論理“0”(0V、“Low”レベル)、である。なお、差動アンプ回路3aは、第1、第2の入力信号P、Nに応じて、論理“0”を出力しているものとする。
【0018】
次に、時間t1(例えば、100ns)において、イネーブル信号ENが論理“1”(“High”レベル)になる。このとき、差動アンプ回路3aに電流が供給され、回路が起動する。
【0019】
そして、或る時間t2(例えば140ns)において、回路のMOSトランジスタの動作点の条件によっては、差動アンプ回路3aは、誤信号である論理“1”を出力する。しかし、遅延回路6aの出力が論理“0”を出力しているので、結果として、半導体集積回路100aは、出力端子4aに論理“0”を出力する。
【0020】
次に、時間t3(例えば、150ns)において、遅延回路6aが論理“1”を出力する。このとき、既に差動アンプ回路3aを構成する各MOSトランジスタは安定状態になっている。これにより、差動アンプ回路3aは第1、第2の入力信号P、Nに応じて論理“0”を出力する。
【0021】
そして、時間t4(例えば、200ns)において、製品の差動アンプ回路3aの起動時間は100nsとなる。
【0022】
回路起動時に差動アンプ回路3aが論理“1”(“High”レベル)を誤出力したとしても、遅延回路6aとAND回路7a、8aにより、半導体集積回路100aは論理“0”を出力する。
【0023】
次に、遅延回路6aの遅延時間が、製造プロセス条件や、温度、電圧により、所定の時間より、短い場合を考える。
【0024】
図3は、図1に示す比較例の半導体集積回路100aの各構成における電圧波形の他の例を示す波形図である。
【0025】
図3に示すように、時間t0(0ns)において、イネーブル信号ENは、論理“0”(0V、“Low”レベル)、である。なお、差動アンプ回路3は、第1、第2の入力信号P、Nに応じて、論理“0”を出力しているものとする。
【0026】
次に、時間t1において、イネーブル信号ENが論理“1”になる。このとき、差動アンプ回路3aに電流が供給され、回路が起動する。
【0027】
その後、遅延回路6aは、差動アンプ回路3aが論理“1”を出力する時間t2より前に、時間t3(例えば、130ns)において、論理“1”を出力する。
【0028】
そして、時間t2(例えば、140ns)において、回路のMOSトランジスタの動作点の条件によっては、差動アンプ回路3aは、誤信号である論理“1”を出力する。このとき、遅延回路6a、AND回路7aの出力が論理“1”になっているので、半導体集積回路100aは論理“1”を出力してしまう。
【0029】
つまり、遅延回路6aの遅延時間ばらつきにより、差動アンプ回路3aの起動時における誤出力がそのままの出力端子4aに出力され得るという問題が生じ得る。
【0030】
次に、遅延回路6aの遅延時間が、製造プロセス条件や、温度、電圧により、所定の時間よりも長い場合を考える。
【0031】
図4は、図1に示す比較例の半導体集積回路100aの各構成における電圧波形のさらに他の例を示す波形図である。
【0032】
図4に示すように、時間t0(0ns)において、イネーブル信号ENは、論理“0”(0V、“Low”レベル)、である。なお、差動アンプ回路3は、第1、第2の入力信号P、Nに応じて、論理“0”を出力しているものとする。
【0033】
次に、時間t1(例えば、100ns)において、イネーブル信号ENが論理“1”になる。このとき、差動アンプ回路3aに電流が供給され、回路が起動する。
【0034】
その後、或る時間t2(例えば、150ns)において、差動アンプ回路3aは、回路のMOSトランジスタの動作点の条件によっては、差動アンプ回路3aは、誤信号である論理“1”を出力する。このとき、遅延回路6aは、論理“0”を出力しているので、半導体集積回路100aは、論理“0”を出力する。
【0035】
その後、時間t3(例えば、210ns)において、遅延回路6aは、論理“1”を出力する。
【0036】
ここで、製品の仕様により、回路の起動時間が100ns以内と規定されている場合がある。この場合、差動アンプ回路3aに有効な信号が入力されたとしても、半導体集積回路は例えば110nsまでは論理“0”を出力したままとなる。
【0037】
これにより、回路が誤出力をしなくても、製品の起動時間の仕様を満たすことができないという問題が生じ得る。
【0038】
以下、上記問題に対応して、本発明を適用した実施例について図面を参照しながら説明する。
【実施例1】
【0039】
図5は、本発明の一態様である実施例1に係る半導体集積回路100の構成を示す図である。
【0040】
図5に示すように、半導体集積回路100は、非反転入力端子1と、反転入力端子2と、差動アンプ回路3と、出力端子4と、イネーブル信号入力端子5と、第1のMOSトランジスタ6と、定電流回路7と、第2のMOSトランジスタ8と、第3のMOSトランジスタ9と、第4のMOSトランジスタ10と、第5のMOSトランジスタ11と、演算回路12と、出力バッファ回路13と、容量14と、インバータ回路15と、インバータ16と、を備える。
【0041】
非反転入力端子1は、第1の信号(アナログ信号)Pが入力されるようになっている
反転入力端子2は、第1の信号Pの位相を反転した第2の信号(アナログ信号)Nが入力されるようになっている。
【0042】
差動アンプ回路3は、第1の信号Pと第2の信号Nの電位差を検出し、この検出結果に応じた出力信号を出力するようになっている。この差動アンプ回路3は、動作電流を供給されることにより起動し、所定時間経過後、その動作が安定する。
【0043】
出力端子4は、出力バッファ回路13から出力された出力信号OUTを出力するようになっている。
【0044】
イネーブル信号入力端子5は、イネーブル信号ENが入力されるようになっている。
【0045】
第1のMOSトランジスタ6は、pMOSトランジスタであり、電源VDDに一端(ソース)が接続され、ダイオード接続されている。
【0046】
定電流回路7は、第1のMOSトランジスタ6の他端(ドレイン)と接地GNDとの間に接続されている。
【0047】
この定電流回路7は、イネーブル信号ENが第1のレベル(“High”レベル、例えば、電源電圧(1.8V))の場合に定電流Icを出力するようになっている。定電流回路7が定電流Icを出力することにより、第1のMOSトランジスタ6に電流Icが流れることとなる。
【0048】
一方、定電流回路7は、イネーブル信号ENが第1のレベルと異なる第2のレベル(“Low”レベル、例えば、接地電圧(0V))の場合に定電流Icの出力を停止するようになっている。
【0049】
なお、以下では、例えば、“High”レベルが論理“1”に対応し、“Low”レベルが論理“0”に対応するものとする。
【0050】
第2のMOSトランジスタ8は、pMOSトランジスタであり、電源VDDに一端(ソース)が接続され、差動アンプ回路3に他端(ドレイン)が接続され、第1のMOSトランジスタ6のゲートにゲートが接続されている。
【0051】
この第2のMOSトランジスタ8は、第1のMOSトランジスタ6に流れる電流Icをカレントミラーした電流Iopeを、差動アンプ回路3の動作電流として供給するようになっている。差動アンプ回路3は、この動作電流を供給されることにより、起動する。
【0052】
第3のMOSトランジスタ9は、pMOSトランジスタであり、電源VDDに一端が接続され、第1のMOSトランジスタ6の他端(ドレイン)に他端(ドレイン)が接続され、イネーブル信号ENがゲートに入力されている。この第3のMOSトランジスタ9は、イネーブル信号ENが第1のレベル(“High”レベル)の場合にオフし、イネーブル信号ENが第2のレベル(“Low”レベル)の場合にオンするようになっている。
【0053】
第4のMOSトランジスタ10は、pMOSトランジスタであり、電源VDDに一端(ソース)が接続され、第1のMOSトランジスタ6の他端にゲートが接続されている。
【0054】
第5のMOSトランジスタ11は、nMOSトランジスタであり、第4のMOSトランジスタ10の他端(ドレイン)と接地GNDとの間に接続され、イネーブル信号ENの位相を反転した反転信号ENBがゲートに入力されている。
【0055】
この第5のMOSトランジスタ11は、反転信号ENBが第1のレベル(“High”レベル)の場合にオンし、反転信号ENBが第2のレベル(“Low”レベル)の場合にオフするようになっている。
【0056】
なお、反転信号ENBは、例えば、図5に示すように、イネーブル信号入力端子5と第5のMOSトランジスタ11との間に接続されたインバータ16により、イネーブル信号ENの位相を反転させることにより生成される。
【0057】
演算回路12は、第4のMOSトランジスタ10と第5のMOSトランジスタ11との間の接点18の第1の電圧INV_INに応じた信号(第2の電圧INV_OUT)とイネーブル信号とが入力されるようになっている。
【0058】
この演算回路12は、イネーブル信号ENが第1のレベル(“High”レベル)であり且つ第1の電圧INV_INが規定電圧以上(例えば、電源電圧、1.8V)の場合に差動アンプ回路3の出力信号を出力端子4に出力するための第1の信号を出力するようになっている。
【0059】
一方、演算回路12は、イネーブル信号ENが第2のレベル(“Low”レベル)または第1の電圧INV_INが該規定電圧未満(例えば、接地電圧、0V)の場合に第2の信号を出力するようになっている。
【0060】
この演算回路12は、例えば、図5に示すように、第1の電圧INV_INに応じた信号とイネーブル信号ENとが入力され、該第1の信号または該第2の信号を出力バッファ回路13に出力するAND回路である。この場合、該第1の信号が“High”レベル(論理“1”)に相当し、該第2の信号が“Low”レベル(論理“0”)に相当する。
【0061】
出力バッファ回路13は、差動アンプ回路3の出力信号と演算回路12が出力した信号とが入力されるようになっている。
【0062】
この出力バッファ回路13は、演算回路12から該第1の信号(“High”レベル、論理“1”)が入力された場合には、差動アンプ回路3が出力した該出力信号を出力端子4に出力するようになっている。
【0063】
一方、出力バッファ回路13は、演算回路12から該第2の信号(“Low”レベル、論理“0”)が入力された場合には、出力端子4へ或る論理(例えば、“0”)に固定した信号を出力する。
【0064】
容量14は、第5のMOSトランジスタの一端(ドレイン)に一端が接続され、接地GNDに他端が接続されている。これにより、接点18の第1の電圧INV_INの変化を制御することができる。さらに、第1の電圧INV_INに対するノイズの影響を受け難くすることができる。
【0065】
インバータ回路15は、接点18に入力側が接続され、演算回路12の入力に出力側が接続され、複数(ここでは、偶数)のインバータ15a、15bが直列に接続されて構成されている。このインバータ回路15は、第1の電圧INV_INに応じた信号INV_OUTを出力するようになっている。このインバータ回路15により、第1の電圧INV_INの波形を成形した信号INV_OUTを生成することができる。
【0066】
次に、以上のような構成を有する半導体集積回路100の動作の一例について、説明する。
【0067】
図6は、図5に示す半導体集積回路100の各構成における電圧波形の一例を示す波形図である。図6においては、イネーブル信号EN、第1のMOSトランジスタ6のゲート電圧PGATE、第1の電圧(インバータ回路15の入力)INV_IN、第2の電圧(インバータ回路15の出力)INV_OUTの各電圧の時間変化をプロットしている
図6に示すように、時間t0(0ns)において、イネーブル信号ENは、論理“0”(0V、“Low”レベル)、である。なお、差動アンプ回路3は、第1、第2の入力信号P、Nに応じて、論理“0”を出力しているものとする。
【0068】
これにより、第5のMOSトランジスタ11のゲートに論理“1”(1.8V、“High”レベル)が入力される。したがって、インバータ回路15の入力される第1の電圧INV_INは、第5のMOSトランジスタ11のドレインにより、接地電圧0V付近に固定される。
【0069】
また、第3のMOSトランジスタ9のゲートには0(0V)が入力される。これにより、第1のMOSトランジスタ6のゲート電圧PGATEは、第3のMOSトランジスタ9のドレインにより、電源電圧(1.8V)付近に固定されている。
【0070】
次に、時間t1(100ns)において、イネーブル信号ENは、論理“1”(1.8V、“High”レベル)になる。このとき、定電流回路7が定電流Icの出力を開始する。これにより、第1ないし第4のMOSトランジスタ6、8、9、10へ電流が流れ出す。
【0071】
これにより、差動アンプ回路3に動作電流Iopeが供給され、差動アンプ回路3が起動する。
【0072】
また、演算回路(AND回路)12の一方の入力にはイネーブル信号ENの論理“1”が入力されるが、他方の入力に入力されるインバータ回路15の出力は0V(“Low”レベル、論理“0”)のままである。これにより、演算回路(AND回路)12の出力は論理“0”(0V、“Low”レベル)のままとなる。
【0073】
これにより、出力バッファ回路13は、差動アンプ回路3が誤って論理“1”を出力したとしても、論理“0”を出力したままである。
【0074】
その後、第1のMOSトランジスタ6のゲートに電流が供給されることによりゲート電圧PGATEが下がってくる。これにより、第4のMOSトランジスタ10がオン状態となり、第4のMOSトランジスタ10は、電流を流し始める。
【0075】
このとき、反転信号ENBは論理“0”(0V、“Low”レベル)であるので、第5のMOSトランジスタ11は、オフ状態になっている。このため、第4のMOSトランジスタ10が電流を流し始めると、第1の電圧INV_INは徐々に上昇し、最終的に電源電圧付近(1.8 V)まで上昇する。
【0076】
第1の電圧INV_INがインバータ回路15のインバータ15aの閾値電位を超えると、インバータ15aは論理“0”(“Low”レベル)を出力し、後段のインバータ15bは論理“1”(“High”レベル)を出力する。すなわち、インバータ回路15は、第1の電圧INV_INが該規定電圧以上になると、論理“1”(“High”レベル)の信号を出力する。
【0077】
これにより、演算回路(AND回路)12は、インバータ回路15が出力した論理“1”とイネーブル信号ENの論理“1”に応じて、論理“1”を出力する。
【0078】
そして、演算回路(AND回路)12の出力が論理“1”になることで、出力バッファ回路13は差動アンプ回路3の出力に応じた信号を出力する。
【0079】
図6から見てわかるように、差動アンプ回路3のカレントシンクとなる第1のMOSトランジスタ6のゲート電圧PGATEが安定し始めた後、演算回路(AND回路)12が論理“1”(“High”レベル)を出力していることがわかる。
【0080】
既述のように、従来のインバータチェーンを使った遅延素子の遅延時間のバラツキは、差動アンプ回路の起動時間のバラツキと必ずしも連動していなかった。
【0081】
しかし、本実施例1では、差動アンプ回路3のカレントシンクとなる第2のMOSトランジスタ8のゲート電圧PGATEを利用して、遅延信号を発生(第1の電圧INV_INを上昇)させている。これにより、該遅延信号が差動アンプ回路3の起動時間より早くなるという問題は生じない。
【0082】
これにより、半導体集積回路100は、差動アンプ回路3の起動時に出力し得る誤信号をより確実に出力させないようにすることができる。
【0083】
このため、インバータチェーンの遅延時間より早く差動アンプ回路を起動させる必要が無くなり、差動アンプ回路の消費電流を抑えることができる。
【0084】
また、インバータチェーンの遅延回路より遅延時間のバラツキが小さいため、回路の起動時間の仕様を短くできる。
【0085】
以上のように、本実施例に係る半導体集積回路によれば、差動アンプ回路の出力信号の出力をより正確に制御することができる。
【実施例2】
【0086】
実施例1では、第1の電圧INV_INの波形を成形するために、第1の電圧INV_INを、インバータ回路15を介して、演算回路12に出力する構成の一例について説明した。
【0087】
本実施例2では、第1の電圧INV_INへのノイズの影響を低減するために、シュミットトリガ回路を備えた構成の一例について述べる。
【0088】
図7は、本発明の一態様である実施例2に係る半導体集積回路200の構成を示す回路図である。なお、図7において図5の符号と同じ符号が付された構成は、実施例1と同様の構成である。
【0089】
図7に示すように、半導体集積回路200は、実施例1の半導体集積回路100と比較して、シュミットトリガ回路17をさらに備える。
【0090】
このシュミットトリガ回路17は、接点18に入力が接続され、第1の電圧INV_INが入力されるようになっている。このシュミットトリガ回路17は、閾値電圧にヒステリシスを有する。このシュミットトリガ回路17は、第1の電圧INV_INに応じた信号を出力するようになっている。
【0091】
また、インバータ回路15は、シュミットトリガ回路17の出力に入力側が接続され、演算回路12の入力に出力側が接続されている。したがって、このインバータ回路15は、第1の電圧INV_INに応じた信号を出力する。
【0092】
すなわち、演算回路12には、シュミットトリガ回路17の出力に応じた信号が入力されることになる。
【0093】
ここで、第1の電位INV_INが、電源ノイズなどの影響を受けて後段のインバータ15aの閾値付近で振動したとする。しかし、上述のように、シュミットトリガ回路17は閾値電圧にヒステリシスを有している。このため、そのノイズの影響がインバータ回路15に電圧するのを抑制することができる。
【0094】
半導体集積回路200のその他の動作は、実施例1の半導体集積回路100の動作と同様である。
【0095】
したがって、半導体集積回路200は、実施例1と同様に、差動アンプ回路3の起動時に出力し得る誤信号をより確実に出力させないようにすることができる。
【0096】
以上のように、本実施例に係る半導体集積回路によれば、実施例1と同様に、差動アンプ回路の出力信号の出力をより正確に制御することができる。
【符号の説明】
【0097】
1、1a 非反転入力端子
2、2a 反転入力端子
3、3a 差動アンプ回路
4、4a 出力端子
5、5a イネーブル信号入力端子
6 第1のMOSトランジスタ
6a 遅延回路
7 定電流回路
7a AND回路
8 第2のMOSトランジスタ
8a AND回路
9 第3のMOSトランジスタ
10 第4のMOSトランジスタ
11 第5のMOSトランジスタ
12 演算回路
13 出力バッファ回路
14 容量
15 インバータ回路
15a、15b、16 インバータ
17 シュミットトリガ回路
18 接点
100、200、100a 半導体集積回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の信号と前記第1の信号の位相を反転した第2の信号の電位差を検出し、この検出結果に応じた出力信号を出力する差動アンプ回路と、
電源に一端が接続され、ダイオード接続された第1導電型の第1のMOSトランジスタと、
前記第1のMOSトランジスタの他端と接地との間に接続され、イネーブル信号が第1のレベルの場合に定電流を出力し、前記イネーブル信号が前記第1のレベルと異なる第2のレベルの場合に前記定電流の出力を停止する定電流回路と、
前記電源に一端が接続され、前記差動アンプ回路に他端が接続され、前記第1のMOSトランジスタのゲートにゲートが接続され、前記第1のMOSトランジスタに流れる電流をカレントミラーした電流を、前記差動アンプ回路の動作電流として供給する第1導電型の第2のMOSトランジスタと、
前記電源に一端が接続され、前記第1のMOSトランジスタの他端に他端が接続され、前記イネーブル信号がゲートに入力され、前記イネーブル信号が前記第1のレベルの場合にオフし、前記イネーブル信号が前記第2のレベルの場合にオンする第1導電型の第3のMOSトランジスタと、
前記電源に一端が接続され、前記第1のMOSトランジスタの他端にゲートが接続された第1導電型の第4のMOSトランジスタと、
前記第4のMOSトランジスタの他端と前記接地との間に接続され、前記イネーブル信号の位相を反転した反転信号がゲートに入力され、前記反転信号が前記第1のレベルの場合にオンし、前記反転信号が前記第2のレベルの場合にオフする第2導電型の第5のMOSトランジスタと、
前記第4のMOSトランジスタと前記第5のMOSトランジスタとの間の接点の第1の電圧に応じた信号と前記イネーブル信号とが入力され、前記イネーブル信号が前記第1のレベルであり且つ前記第1の電圧が規定電圧以上の場合に前記差動アンプ回路の出力信号を出力端子に出力するための第1の信号を出力し、前記イネーブル信号が前記第2のレベルまたは前記第1の電圧が前記規定電圧未満の場合に第2の信号を出力する演算回路と、
前記差動アンプ回路の出力信号と前記演算回路が出力した信号とが入力され、前記第1の信号が入力された場合には、前記出力信号を前記出力端子に出力し、前記第2の信号が入力された場合には、前記出力端子へ或る論理に固定した信号を出力する出力バッファ回路と、を備える
ことを特徴とする半導体集積回路。
【請求項2】
前記第5のMOSトランジスタの一端に一端が接続され、前記接地に他端が接続された容量を、さらに備える
ことを特徴とする請求項1に記載の半導体集積回路。
【請求項3】
前記接点に入力が接続され、前記第1の電圧が入力され、閾値電圧にヒステリシスを有するシュミットトリガ回路をさらに備え、
前記演算回路は、前記シュミットトリガ回路の出力に応じた信号が入力されることを特徴とする請求項1または2に記載の半導体集積回路。
【請求項4】
前記接点に入力側が接続され、前記演算回路の入力に出力側が接続され、複数のインバータが直列に接続されて構成され、前記第1の電圧に応じた信号を出力するインバータ回路をさらに備える
ことを特徴とする請求項1に記載の半導体集積回路。
【請求項5】
前記第1のレベルは、“High”レベルであり、
前記第2のレベルは“Low”レベルであり、
前記演算回路は、前記第1の電圧に応じた信号と前記イネーブル信号とが入力され、前記第1の信号または前記第2の信号を前記出力バッファ回路に出力するAND回路である
ことを特徴とする請求項1ないし4の何れかに記載の半導体集積回路。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−206493(P2010−206493A)
【公開日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−49434(P2009−49434)
【出願日】平成21年3月3日(2009.3.3)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】