基板処理装置および基板処理方法
【課題】基板の処理内容に応じて基板を良好に処理することができる基板処理装置および方法を提供する。
【解決手段】第1支持ピンF1〜F12が基板裏面に当接して基板を支持しながら基板表面に供給される窒素ガスによって基板Wを保持する第1保持モードと、第2支持ピンS1〜S12が、基板Wが水平方向に移動した際に基板Wの端面に当接して基板Wの水平方向の移動を規制しつつ、基板裏面に当接して基板を支持しながら基板表面に供給される窒素ガスによって基板を保持する第2保持モードと、第1および第2支持ピンF1〜F12、S1〜S12が基板裏面に当接して基板を支持しながら基板表面に供給される窒素ガスによって基板を保持する第3保持モードを有し、基板の処理内容に応じて保持モードを選択的に切り換える。
【解決手段】第1支持ピンF1〜F12が基板裏面に当接して基板を支持しながら基板表面に供給される窒素ガスによって基板Wを保持する第1保持モードと、第2支持ピンS1〜S12が、基板Wが水平方向に移動した際に基板Wの端面に当接して基板Wの水平方向の移動を規制しつつ、基板裏面に当接して基板を支持しながら基板表面に供給される窒素ガスによって基板を保持する第2保持モードと、第1および第2支持ピンF1〜F12、S1〜S12が基板裏面に当接して基板を支持しながら基板表面に供給される窒素ガスによって基板を保持する第3保持モードを有し、基板の処理内容に応じて保持モードを選択的に切り換える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、半導体ウエハ、フォトマスク用ガラス基板、液晶用ガラス基板、光ディスク用基板等に対して洗浄処理などの所定の処理を施す基板処理装置および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体ウエハ等の基板に対して一連の処理工程を施す製造プロセスにおいては、基板の表面にフォトレジスト等の薄膜を形成するための成膜工程を有しているが、この成膜工程では基板の裏面あるいは基板表面の周縁部にも成膜されることがある。しかしながら、一般的には基板において成膜が必要なのは基板表面の中央部の回路形成領域のみであり、基板の裏面あるいは基板表面の周縁部に成膜されてしまうと、成膜工程の後工程において、他の装置との接触により基板表面の周縁部に形成された薄膜が剥がれたりすることがある。そして、これが原因となって歩留まりの低下や基板処理装置自体のトラブルが起こることがある。
【0003】
そこで、基板表面の周縁部に形成された薄膜を除去するために、例えば特許文献1に記載された装置が提案されている。この装置では、その表面に薄膜が形成された基板を上方に向けて配置するとともに、該基板の周縁に対応して設けられた複数(6個)のチャックピン等の挟持部材によって該基板が保持される。そして、このように複数の挟持部材により保持された状態で基板を回転させる。また、回転している基板の裏面(下面)に対して処理液として薬液を供給する。このとき、基板の表面(上面)に対向する対向面を有し、かつ基板の表面と所定の間隔離れた遮断部材を回転させると、基板の回転および遮断部材の回転によって、薬液は基板裏面全体に広がって基板裏面の不要物をエッチング除去するのみならず、基板の端面を介して基板表面の周縁部に回り込み、該周縁部に付着している不要物をもエッチング除去する。同様にして、処理液として純水を基板表面の周縁部に回り込ませることによって該周縁部に対してリンス処理を実行することができる。
【0004】
この装置では、基板の周縁に設けられた6個の挟持部材を2つの挟持部材群、つまり3個の第1挟持部材からなる第1挟持部材群と3個の第2挟持部材からなる第2挟持部材群とに分けて各挟持部材群を独立に制御することが可能となっている。そして、第1挟持部材群と第2挟持部材群とが交互に基板に当接し、常に第1および第2挟持部材群のいずれか一方が基板を挟持する。このため、エッチング不良やリンス不良などの処理不良が発生するのが防止される。すなわち、第1挟持部材群により基板を挟持し、第2挟持部材群は基板を挟持していない状態から、第1および第2挟持部材群により基板を挟持した状態を経て、第2挟持部材群により基板を挟持し、第1挟持部材群は基板を挟持しない状態へと移行させることで、基板の周縁部の各部を処理液によりくまなく処理している。こうして、基板裏面および基板表面の周縁部のみにおいて薄膜がエッチング除去された後、基板が高速回転されて、基板の上下面の水分が振り切られ、乾燥処理(スピンドライ)が行われる。
【0005】
【特許文献1】特開2004−111902号公報(図2)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載された装置では、処理液による処理の実行中に2つの挟持部材群の間で基板の保持態様を切り換えることにより、基板と挟持部材との当接位置についても処理が可能となるものの、基板の周縁を挟持部材によって保持しているため、次のような問題があった。すなわち、2つの挟持部材群の間で基板の保持態様を切り換えても、基板の周縁を挟持部材によって保持する限り、裏面から基板の端面を介して基板表面の周縁部に回り込む処理液が挟持部材に当たり、回り込んでくる処理液の回り込み量に乱れを生じさせるとともに、処理液の跳ね返りを発生させる結果となっていた。その結果、基板の表面周縁部のうち挟持部材によって基板が保持されている部分とそうでない部分とで薬液が回り込んでくる量が異なり、端面から内側に向かって処理される処理幅を均一にして処理することが困難なものとなっていた。つまり、基板に処理液を供給して該基板を処理する際には、処理液の跳ね返りの発生を防止する観点から基板の端面に当接する部材は存在しない方が望ましい。一方で、基板を高速回転させて乾燥処理を行う際には、基板を確実に保持する観点から、挟持部材のような基板の端面に当接可能な部位を有することが望ましい。ところが、上記した従来装置では、このような基板の処理内容に応じて適切な基板の保持態様を提供しているとはいえず、基板の処理内容に応じて基板を良好に処理することができなかった。
【0007】
この発明は上記課題に鑑みなされたものであり、基板の処理内容に応じて基板を良好に処理することができる基板処理装置および方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明にかかる基板処理装置は、基板を略水平姿勢で回転させながら該基板に対して所定の処理を施す基板処理装置であって、上記目的を達成するため、回転自在に設けられた回転部材と、回転部材を所定の回転速度で回転させる回転手段と、回転部材の上方に向けて昇降自在に回転部材に設けられるとともに、その先端部が基板の下面に当接して該基板を略水平姿勢で支持可能に構成された、少なくとも3個以上の第1支持部材を有する第1支持手段と、基板の下面に当接して該基板を略水平姿勢で支持可能に構成された支持部位と、支持部位に対し基板の周縁側に配置されて基板が水平方向に移動した際に基板の端面に当接して基板の水平方向の移動を規制する規制部位とをその先端部に備え、回転部材の上方に向けて昇降自在に回転部材に設けられた、少なくとも3個以上の第2支持部材を有する第2支持手段と、第1支持部材および第2支持部材を昇降させる昇降手段と、基板の上面にガスを供給することによって基板を第1支持部材および/または第2支持部材に向けて押圧可能に構成された押圧手段と、昇降手段および押圧手段を制御することで、第1支持部材で基板を支持するとともに押圧手段により基板を第1支持部材に向けて押圧して回転部材に保持させる第1保持モードと、第2支持部材で基板を支持するとともに押圧手段により基板を第2支持部材に向けて押圧して回転部材に保持させる第2保持モードとに、基板の処理の内容に応じて選択的に切り換える制御手段とを備えたことを特徴としている。
【0009】
このように構成された発明では、基板がその下面に当接する少なくとも3個以上の支持部材によって支持されるとともに、基板の上面に供給されるガスによって支持部材に押圧されて回転部材に保持される。そして、回転部材を回転させることで、支持部材に向けて押圧された基板は支持部材と基板との間に発生する摩擦力によって支持部材に支持されながら、回転部材とともに回転することとなる。これにより、基板はその端面に接触するチャックピン等の挟持部材がない状態で、回転部材に保持されて回転する。したがって、基板の端面を挟持することに起因して発生する不具合、例えば基板に供給された処理液が挟持部材に当たって基板に向けて跳ね返るような不具合を防止することができる。
【0010】
また、本発明では2種類の支持部材が設けられるとともに、互いに異なる2つの保持モードが基板の処理の内容に応じて選択的に切換可能となっている。このため、基板の処理の内容に応じて基板を常に適切な態様で保持しつつ、基板を回転させながら該基板を良好に処理することができる。もちろん、2種類の支持部材を有しているため、第1および第2支持部材で基板を支持する、第3保持モードをさらに設けてもよい。この場合、第1ないし第3保持モードから適宜保持態様を選択することができる。特に、第3保持モードにより基板を保持した際には、基板の下面を支持する支持部材の個数が第1および第2保持モードよりも多くなり、支持部材と基板との間に発生する摩擦力を高めることができる。つまり、基板をより確実に保持することができる。
【0011】
また、本発明では、上記したように支持部材と基板との間に発生する摩擦力により基板を保持しているため、基板の回転速度は増大するのにしたがって基板にかかる遠心力も増大する。そこで、回転速度に応じて基板の保持モードを切り換えるように構成してもよい。例えば、基板に対する処理を、回転部材を第1回転速度(低速)で回転させた状態で行う時と、回転部材を第2回転速度(高速)で回転させた状態で行う時とで、保持モードの切換を行うことができる。より具体的には、第1回転速度で回転させている時には基板に作用する遠心力は比較的小さいため、第1保持モードにより基板を確実に保持することができる。これに対し、回転速度が増大して第2回転速度になると、基板に作用する遠心力が増大するため、該遠心力により基板が水平移動する可能性が高まる。したがって、第2回転速度で基板処理を行う場合には、このような可能性を考慮して第2保持モードまたは第3保持モードで基板を保持するのが望ましく、該保持モードを採用することで基板の水平移動を確実に規制して基板の破損などを未然に防止することができる。
【0012】
特に、回転部材を高速の第2回転速度で回転させている時に、第3保持モードで基板を保持することで、基板は第1支持部材と第2支持部材の両方で支持されることから、高速回転時における基板の反りの発生を抑えながら、支持部材と基板との間に発生する摩擦力を高めて基板を安定して回転部材に保持させることができる。
【0013】
また、基板の上面周縁部に処理液を供給して該上面周縁部を処理液によって処理する周縁処理ノズルを設けて、該周縁処理ノズルから基板に処理液を供給する際には、保持モードを第1保持モードに設定するのが好ましい。これにより、基板はその下面に当接する第1支持部材のみで支持されながら基板の上面に供給されるガスによって、回転部材に保持される。このため、基板の上面周縁部に供給され基板外に排出される処理液が基板に向けて跳ね返るのを防止して、端面から内側に向かって処理される処理幅を均一にして処理することができる。
【0014】
また、基板の下面に処理液を供給して基板下面を処理液によって処理する下面処理ノズルを設けて、下面処理ノズルから基板に処理液を供給する際には、第1、第2および第3保持モードの間で保持モードを切り換えるように構成してもよい。このように保持モードを切り換えることにより、第1支持部材と基板との当接部分および第2支持部材と基板との当接部分にも処理液が供給され、基板の下面全体をくまなく処理できる。
【0015】
また、第1支持手段が有する第1支持部材の個数と第2支持手段が有する第2支持部材の個数とを同数とするのが好ましい。これにより、第1保持モードと第2保持モードとの間で保持モードを切り換える際にも、基板の保持状態の安定性を損なうことなく切り換えを実行することができる。
【0016】
また、第1支持部材を昇降させる第1昇降部と、第2支持部材を昇降させる第2昇降部とを設けて、第1昇降部と第2昇降部とを独立に制御して第1支持部材および第2支持部材を昇降駆動することが好ましい。この構成によれば、第1支持部材と第2支持部材とを独立して昇降させることができることから、上記した第1、第2および第3保持モードに自在に切り換えを実行できる。
【0017】
また、第1支持部材と第2支持部材とを、回転部材から所定距離だけ上方に離間した、同一の支持位置で基板を支持可能に構成すると、保持モードの切り換え時に基板の高さ位置が変化することなく、基板の押圧条件を変動させることがない。すなわち、基板と支持部材との間の摩擦力を変動させることなく、安定して基板を保持させることができる。
【0018】
また、押圧手段が、基板の上面に対向し、ガス噴出口が設けられた対向面を有する板状部材と、ガス噴出口からガスを噴出させることによって対向面と基板の上面との間に形成される空間にガスを供給するガス供給部とを有するようにしてもよい。この構成によれば、対向面に設けられたガス噴出口からガスが噴出されることで対向面と基板の上面との間に形成される空間にガスが供給される。その結果、該空間に供給されたガスの押圧力により基板をその下面に当接して支持する支持部材に押圧させることが可能となる。
【0019】
ここで、板状部材を固定した状態で回転する基板に対してガスを供給して基板を回転部材に保持させるようにしてもよいし、板状部材を基板とともに回転させた状態で基板を回転部材に保持させるようにしてもよい。板状部材を基板とともに回転させた場合は、基板と板状部材との間に回転に伴う余分な気流が発生するのを防止することができ、より良好な基板処理を行うことができる。
【0020】
また、第2支持部材が有する規制部位の高さを支持部位で支持された基板の上面の高さ位置よりも低く構成するのが好ましい。このように構成することで、基板に処理液を供給する場合でも、基板に向けて処理液の跳ね返りが発生するのを抑制することができる。また、押圧手段として、板状部材を基板の上面に対向させて板状部材の対向面と基板の上面との間に形成される空間にガスを供給して基板を支持部材に押圧させる場合でも、板状部材と基板とが接触するのを回避して板状部材を基板に十分に近接させることできる。
【0021】
また、この発明にかかる基板処理方法は、基板を略水平姿勢で回転させながら該基板に対して所定の処理を施す基板処理方法であって、上記目的を達成するため、回転する回転部材の上方に向けて回転部材に設けられた、少なくとも3個以上の第1支持部材が基板の下面に当接して該基板を支持しながら基板の上面に供給されるガスによって、基板を第1支持部材に向けて押圧して回転部材に保持させる第1保持モードと、回転する回転部材の上方に向けて回転部材に設けられた、少なくとも3個以上の第2支持部材が基板が水平方向に移動した際に基板の端面に当接して基板の水平方向の移動を規制しつつ、基板の下面に当接して該基板を支持しながら基板の上面に供給されるガスによって、基板を第2支持部材に向けて押圧して回転部材に保持させる第2保持モードとを備え、基板の処理の内容に応じて第1保持モードと第2保持モードとに選択的に切り換えることを特徴としている。
【0022】
このように構成された発明では、第1保持モードと第2保持モードとを有するとともに、基板の処理の内容に応じてこれら互いに異なる2つの保持モードの間で保持モードを切り換え可能となっていることから、基板の処理の内容に適応し、基板を良好に処理することができる。例えば、基板を回転させながら基板の上面周縁部に処理液を供給して該上面周縁部を処理液によって処理する上面処理工程では、保持モードを第1保持モードに設定することにより、基板の上面周縁部に供給され基板外に排出される処理液が基板に向けて跳ね返るのを防止しながら、端面から内側に向かって処理される処理幅を均一にして処理することができる。また、基板を回転させながら基板を乾燥させる乾燥処理工程では、保持モードを第2保持モードに設定することにより、基板の水平移動を確実に規制して基板の破損などを未然に防止することができる。
【0023】
また、第1支持部材および第2支持部材が基板の下面に当接して該基板を支持しながら基板の上面に供給されるガスによって、基板を第1支持部材および第2支持部材に向けて押圧して回転部材に保持させる第3保持モードをさらに設けて、基板の処理の内容に応じて、第1、第2および第3保持モードのいずれかに選択的に切り換えてもよい。このように、第1ないし第3保持モードから適宜保持モードを選択することにより、さらに適切な保持モードを提供することが可能となり、基板を良好に処理することができる。例えば、基板を回転させながら基板の下面に処理液を供給して該基板下面を前記処理液によって処理する下面処理工程では、第1、第2および第3保持モードの間で保持モードを切り換えることにより、第1支持部材と基板との当接部分および第2支持部材と基板との当接部分にも処理液が供給され、基板の下面全体をくまなく処理できる。また、基板を回転させながら基板を乾燥させる乾燥処理工程では、保持モードを第3保持モードに設定することにより、基板の下面を支持する支持部材の個数が第1および第2保持モードよりも多くなり、基板の反りを防止するとともに、支持部材と基板との間に発生する摩擦力を高めて、基板をより確実に保持することができる。
【発明の効果】
【0024】
この発明によれば、基板下面に当接する支持部材により基板を支持しながら基板上面にガスを供給することによって基板を支持部材に押圧させて回転部材に保持させている。そして、このように基板端面に接触するチャックピン等の挟持部材がない状態で回転部材に保持された基板を回転させている。そのため、基板の端面を挟持することに起因して発生する不具合を防止することができる。また、本発明では、2種類の支持部材が設けられるとともに、互いに異なる2つの保持モードが基板の処理の内容に応じて選択的に切換可能となっている。このため、基板の処理の内容に応じて基板を常に適切な態様で保持しつつ、基板を回転させながら該基板を良好に処理することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
図1は、この発明にかかる基板処理装置の一実施形態を示す図である。また、図2は図1の基板処理装置の制御構成を示すブロック図である。この基板処理装置は、半導体ウエハ等の基板表面Wfの周縁部からメタル層やフォトレジスト層などの薄膜をエッチング除去する装置である。具体的には、その表面Wf(デバイス形成面)に薄膜が形成された基板Wの周縁部TRに対して化学薬品または有機溶剤等の薬液や純水またはDIW等のリンス液(以下「処理液」という)を供給することで該表面周縁部TRから薄膜をエッチング除去するとともに、基板裏面Wbに処理液を供給して裏面Wb全体を洗浄する装置である。
【0026】
この基板処理装置は、基板Wをその表面Wfを上方に向けた状態で水平に保持して回転させるスピンチャック1と、スピンチャック1に保持された基板Wの下面(裏面Wb)の中央部に向けて処理液(薬液やリンス液)を供給する下面処理ノズル15と、スピンチャック1に保持された基板Wの上面に対向配置される遮断板5と、スピンチャック1に保持された基板Wの表面周縁部TRに処理液を供給する周縁処理ノズル3を備えている。さらに、この基板処理装置には、基板Wの水平方向の位置を補正するための位置補正ユニット40がスピンチャック1の側方に配設されている。
【0027】
スピンチャック1は、中空の回転支柱11がモータを含むチャック回転駆動機構12の回転軸に連結されており、チャック回転駆動機構12の駆動により鉛直方向に伸びる回転軸J回りに所定の回転速度で回転可能となっている。この回転支柱11の上端部には、スピンベース13が一体的にネジなどの締結部品によって連結されている。したがって、装置全体を制御する制御ユニット4からの動作指令に応じてチャック回転駆動機構12を駆動させることによりスピンベース13が回転軸J回りに回転する。このように、この実施形態では、チャック回転駆動機構12が本発明の「回転手段」に、スピンベース13が本発明の「回転部材」に相当している。
【0028】
チャック回転駆動機構12にはロータリーエンコーダ等の回転位置(回転角度)検出計が内蔵されており、スピンベース13の所定の基準位置からの回転位置を検出して制御ユニット4に送出する。また、制御ユニット4は回転位置検出計から送出された信号に基づいてチャック回転駆動機構12を駆動させてスピンベース13を所望の回転位置に位置決めすることが可能となっている。
【0029】
中空の回転支柱11には、処理液供給管14が挿通されており、その上端に下面処理ノズル15が結合されている。処理液供給管14は薬液供給ユニット16およびリンス液供給ユニット17と接続されており、薬液またはリンス液が選択的に供給される。また、回転支柱11の内壁面と処理液供給管14の外壁面の隙間は、円筒状のガス供給路19を形成している。このガス供給路19はガス供給ユニット18(ガス供給部)と接続されており、基板Wの下面とスピンベース13の対向面との間に形成される空間に窒素ガスを供給することができる。なお、この実施形態では、ガス供給ユニット18から窒素ガスを供給しているが、空気や他の不活性ガスなどを吐出するように構成してもよい。
【0030】
図3はスピンベース13を上方から見た平面図である。スピンベース13には、その中心部に開口が設けられるとともに、その周縁部付近には本発明の第1支持部材として機能する複数個(この実施形態では12個)の第1支持ピンF1〜F12と、本発明の第2支持部材として機能する複数個(この実施形態では12個)の第2支持ピンS1〜S12が鉛直方向に昇降自在に設けられている。第1支持ピンF1〜F12は、回転中心A0を中心として放射状に略等角度間隔でスピンベース13から上方に向けて突出して設けられるとともに、第2支持ピンS1〜S12は、円周方向に沿って各第1支持ピンF1〜F12の間に位置するように、回転中心A0を中心として放射状に略等角度間隔でスピンベース13から上方に向けて突出して設けられている。つまり、第1および第2支持ピンからなる一対の支持ピンが円周方向に沿って回転中心A0を中心として放射状に12対、スピンベース13の周縁部に上方に向けて設けられている。
【0031】
第1支持ピンF1〜F12および第2支持ピンS1〜S12の各々は、基板裏面Wbと当接することによって、スピンベース13から所定距離だけ上方に離間させた状態で基板Wを略水平姿勢で支持可能となっている。これらのうち、周方向に沿って1つ置きに配置された12個の第1支持ピンF1〜F12は、第1支持ピン群(第1支持手段)を構成し、これらは連動して基板Wを支持し、または基板Wの裏面Wbから離間してその支持を解除するように動作する。一方で、残る12個の第2支持ピンS1〜S12は、第2支持ピン群(第2支持手段)を構成し、これらは連動して基板Wを支持し、または基板Wの裏面Wbから離間してその支持を解除するように動作する。なお、基板Wを水平に支持するためには、各支持ピン群が有する支持ピンの個数は少なくとも3個以上であればよいが、各支持ピン群が有する支持ピンの個数を12個とすることにより安定して基板Wを支持することができる。
【0032】
また、第1支持ピン群を構成する第1支持ピンの個数と第2支持ピン群を構成する第2支持ピンの個数とを同数としていることから、第1支持ピン群と第2支持ピン群との間で基板Wの支持状態の切り換え(基板の支持/支持の解除)を行う際にも、基板の支持状態の安定性を損なうことなく切り換えを実行することができる。
【0033】
図4および図5は、スピンチャック1に関連する構成を説明するための断面図(図10のA−A’線断面)である。図4は、支持ピンが上昇した状態を示し、図5は、支持ピンが下降した状態を示す。また、図6は、スピンベース13内に備えられた動作伝達機構の構成を説明するための平面図である。図4および図5では、第1支持ピンが連動して昇降する様子のみが図示されているが、第2支持ピンも第1支持ピンと同様に連動して昇降可能となっている。
【0034】
スピンチャック1には、第1支持ピンF1〜F12を連動して昇降動作させるための第1動作伝達機構FT1と、第2支持ピンS1〜S12を連動して昇降動作させるための第2動作伝達機構FT2とが設けられている。第1動作伝達機構FT1は、図6(a)に示すように、第1支持ピンF1〜F12をそれぞれ作動させるための12個の上下アーム71と、これらの上下アーム71を連動して昇降させるための第1上下リング72とを備えている。上下アーム71の各々は、回転中心A0を中心として互いに等角度(30°)間隔で放射状に径方向に伸びるようにして、第1上下リング72にネジなどの締結部品によって連結されており、各上下アーム71の先端部には、第1支持ピンF1〜F12が立設される。同様に、第2動作伝達機構FT2は、図6(b)に示すように、第2支持ピンS1〜S12をそれぞれ作動させるための12個の上下アーム73と、これらの上下アーム73を連動して昇降させるための第2上下リング74とを備えている。上下アーム73の各々は、回転中心A0を中心として互いに等角度(30°)間隔で放射状に径方向に伸びるようにして、第2上下リング74にネジなどの締結部品によって連結されており、各上下アーム73の先端部には、第2支持ピンS1〜S12が立設される。
【0035】
第1上下リング72および第2上下リング74は、スピンベース13の回転中心A0に対して同心に配置されたほぼ円環状の部材であり、第2上下リング74は、その中央に設けられた開口部74aを大きくすることより、開口部74aに第1上下リング72の一部を包囲しながら、第1上下リング72の上方に配置されている(図4および図5)。これらの第1および第2上下リング72,74は、スピンベース13の回転軸J(鉛直軸)に沿って昇降可能となっており、第1上下リング72を昇降させることによって、第1支持ピンF1〜F12を一体的に昇降させることができ、第2上下リング74を昇降させることによって、第2支持ピンS1〜S12を一体的に昇降させることができる。
【0036】
スピンベース13は、上板131と下板132とをボルトで固定して構成されており、上板131の周縁部には、第1支持ピンF1〜F12および第2支持ピンS1〜S12を昇降自在に配設するために貫通孔131aが形成されている。また、上板131と下板132との間に第1および第2動作伝達機構FT1,FT2を収容する収容空間が形成されている。上板131および下板132の中央部には、スピンベース13を貫通する貫通孔133が形成されている。この貫通孔133を通り、さらに、スピンチャック1の回転支柱11を挿通するように、処理液供給管14が配置されている。この処理液供給管14の上端には、スピンチャック1に保持された基板Wの下面中央に対向する下面処理ノズル15が固定されている。
【0037】
図7は、スピンベース13を背面から見たときの平面図である。第1および第2上下リング72,74はそれぞれ、第1および第2上下リング72,74を昇降させるための第1および第2連動リング75、76と係合している。第1および第2連動リング75、76は、回転中心A0に対して同心に配置された円環状の部材であり、第2連動リング76は、第1連動リング75よりも外側に配置されている。第1および第2連動リング75、76はそれぞれ、スピンベース13の下板132に形成された貫通孔134,135を介して下板132に対して上下方向に伸びるように形成され、それらの上方端が第1および第2上下リング72、74と係合している。これらの第1および第2連動リング75、76は、スピンベース13の回転軸Jに沿って昇降可能となっており、第1連動リング75を昇降させることによって、第1上下リング72を介して第1支持ピンF1〜F12を昇降させることができ、第2連動リング76を昇降させることによって、第2上下リング74を介して第2支持ピンS1〜S12を昇降させることができる。
【0038】
次に、図8および図9を用いて第1支持ピンF1〜F12と第2支持ピンS1〜S12の構成について説明する。図8は、第1支持ピンの構成を示す図である。なお、第1支持ピンF1〜F12はいずれも同一構成を有しているため、ここでは1つの第1支持ピンの構成について説明する。第1支持ピンF1は、上下アーム71の上に立設された可動本体部材101と、可動本体部材101上に設けられ基板Wの下面周縁部と当接して基板Wを支持可能に構成された支持部材102と、可動本体部材101を取り囲むようにスピンベース13の上板131に嵌挿されたベローズ103と、ベローズ103の上方に取り付けられ、その上面に支持部材102を載置可能に構成されたリング部材105とを備えている。
【0039】
可動本体部材101の頂部には支持部材102を装着可能なネジ孔101aが形成されており、ネジ孔101aに支持部材102を嵌挿させることで可動本体部材101上に支持部材102を立設する。支持部材102は、ネジ形状の部材であり、上部のネジ頭部(ネジ山)が支持部位102aとして基板Wの下面に当接して基板Wを支持可能に構成されるとともに、下部のネジ部が可動本体部材101のネジ孔101aと螺合可能に構成されている。ベローズ103の上端部103aは、可動本体部材101の頂部(ネジ孔101aの周縁部)を覆うようにして可動本体部材101と係合することにより、可動本体部材101を保護するとともに、貫通孔131aからスピンベース13内部に液が侵入するのを防止している。ベローズ103は、例えばPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)より形成され、薬液等により基板Wを処理する際に、ステンレス鋼(SUS)またはアルミニウム等から形成される可動本体部材101を保護する。また、スピンベース13の上板131とベローズ103の端部材との間には、シール部材201が配設され、スピンベース13の内部空間を外部雰囲気から遮断している。
【0040】
リング部材105は、支持部材102のネジ部の径に合わせて開口した円環状の部材であり、ベローズ103の上端部103aの上に載置され、支持部材102が可動本体部材101のネジ孔101aにねじ込まれることで固定される。支持部材102のネジ部とリング部材105との間にはシール部材104が配置され、支持部材102とリング部材105との間から可動本体部材101のネジ孔101aに液が侵入するのを防止している。支持部材102およびリング部材105は、耐薬性を考慮して、PCTFE(ポリクロロトリフルオロエチレン)で形成されるのが好ましい。一方、耐薬性を考慮する必要がない場合には、ゴム系材質で形成するようにしてもよい。
【0041】
第1支持ピンF1の下方には、圧縮コイルばね202をその伸縮方向を鉛直方向に沿って配置するとともに収容したばねケース203がスピンベース13の下板132に設置されている。これにより、第1支持ピンF1は、上下アーム71を介して上方に向かって付勢されており、その結果として、図4に示すように、第1支持ピンF1は、支持部位102aが、基板Wの下面に当接して基板Wを支持する支持位置PSに位置決めされる。なお、このような第1支持ピンF1の高さ位置は、スピンベース13内部に固定配置されたストッパー204が可動本体部材101の下端のフランジ部101bに係合することによって第1支持ピンF1の上限位置が規定される。一方、図5に示すように、後述するようにして第1支持ピンF1が下降された場合には、ばねケース203の上端面203aがストッパーの役割を果たし、上下アーム71の下方端がばねケース203の上端面203aに係合することによって第1支持ピンF1の下限位置が規定される。
【0042】
図9は、第2支持ピンの構成を示す図である。第1支持ピンF1〜F12と第2支持ピンS1〜S12とは、基板Wの下面に当接して基板Wを支持可能に構成されている点において共通する。その一方で、第2支持ピンS1〜S12は、支持部位102aに支持された基板Wが水平方向に移動した際に、当該移動を規制することが可能となっている点で相違する。そのため、第2支持ピンS1〜S12については、第1支持ピンF1〜F12との相違点についてのみ説明することとし、第1支持ピンF1〜F12と同一の構成については、同一符号を付して説明を省略する。なお、各第2支持ピンS1〜S12はいずれも同一構成を有している。
【0043】
第2支持ピンS1〜S12は、ベローズ103(上端部103a)と支持部材102との間に介装されるリング部材106が、基板Wの端面に当接可能に仕上げられている。つまり、リング部材106は、支持部材102に対して基板Wの周縁側に配置された規制部位106aを有し、規制部位106aによって基板Wが水平方向に移動した際に、基板Wの端面に当接して基板Wの水平方向の移動を規制することが可能となっている。そして、このような規制部位106aが第2支持ピンS1〜S12の各々に設けられることで、支持部位102aに支持された基板Wが水平方向においてどのように移動したとしても基板Wの端面が規制部位106aに当接して、基板Wの径方向外側への飛び出しを防止することが可能となっている。
【0044】
各第2支持ピンS1〜S12の規制部位106aは、支持部位102aに支持された基板Wの端面と対向しながら該基板端面から所定の間隙を隔てるようにして設けられている。具体的には、各第2支持ピンS1〜S12の規制部位106aをそれぞれ結んで描かれる仮想円VC(図3参照)の直径が、基板Wの直径に対して若干大きくなるように、規制部位106aが設けられている。したがって、第2支持ピンS1〜S12により基板Wを支持させるためには、後述する基板位置補正処理において、基板Wの水平位置を上記した仮想円VCの内側に位置決めしておく必要がある。
【0045】
また、図9(b)に示すように、規制部位106aの高さは、支持部位102aによって支持された基板Wの上面の高さ位置WTよりも低くなるように形成されている。このように構成することで、後述する遮断板5が基板Wの上面(表面Wf)に対向しながら近接配置される場合であっても、遮断板5と規制部位106aとが接触するのを防止できる。また、基板Wに処理液を供給する際に、基板Wの径方向外側に流れ基板上から排出される処理液が基板Wに向けて跳ね返るのを抑制することができる。
【0046】
なお、その他の第2支持ピンの構成は第1支持ピンの構成と同様である。ここで、各第2支持ピンS1〜S12は、上下アーム73の先端部に立設されているが、上下アーム73が上昇した際に当接するストッパー204の高さ位置は、第1支持ピンF1の下方に配置されるストッパー204の高さ位置と同一である。そのため、第2支持ピンS1〜S12は、第1支持ピンF1〜F12と同一の支持位置PSで基板Wの下面に当接して基板Wを支持可能となっている。
【0047】
図4および図5に戻って説明を続ける。回転支柱11はチャック回転駆動機構12のモータの駆動軸と一体化しており、チャック回転駆動機構12を貫通して設けられている。チャック回転駆動機構12を包囲するようにケーシング21が配置されており、このケーシング21は、さらに、筒状のカバー部材22によって包囲されている。カバー部材22の上端はスピンベース13の下面近傍にまで及んでおり、その上端付近の内面にはシール機構23が配置されている。このシール機構23はスピンベース13の下面に固定されたシール部材24に摺接するようになっており、これにより、シール機構23と回転支柱11との間には、外部雰囲気から遮断された機構部収容空間MSが形成されている。
【0048】
また、図1に示すように、カバー部材22の周囲には、受け部材25が固定的に取り付けられている。カバー部材22の外壁面と受け部材25の内壁面との間の空間は排液槽26を構成しており、排液槽26の底部には、回収ドレイン27に連通接続された排液口26aが設けられている。そして、回収ドレイン27から排液された処理液(薬液およびリンス液)は必要に応じて再利用または廃棄される。
【0049】
また、排液槽26の上方には、スピンチャック1及び該スピンチャック1に保持された基板Wを包囲するように筒状の飛散防止カップ28が昇降自在に設けられている。この飛散防止カップ28は、基板Wに供給され該基板から除去された処理液が飛散するのを防止するために設けられており、制御ユニット4からの動作指令に応じてカップ昇降駆動機構29を駆動させることで回転軸Jに沿って昇降する。すなわち、飛散防止カップ28を上方位置(図1の実線で示す位置)に位置させることでスピンチャック1及び該スピンチャック1に保持された基板Wを側方位置から取り囲み、基板Wに供給され飛散する処理液を捕集可能となっている。一方で、図示していない搬送手段が未処理の基板Wをスピンベース13上の支持ピンに載置したり、処理済の基板Wを支持ピンから受け取る際には、下方位置(図1の破線で示す位置)に駆動される。
【0050】
図10は、第1および第2支持ピンを駆動するための駆動機構の構成を説明するための平面図である。機構部収容空間MS内において、ケーシング21の上蓋部21a上には、回転支柱11を取り囲むほぼ円環状のギヤケース61が取り付けられている。ギヤケース61上には、図10の平面図に示すように、第1モータM1および第2モータM2が、それぞれ本発明の「第1昇降部」および「第2昇降部」として回転支柱11に対して対称な位置に固定されている。ギヤケース61の内部には、図4および図5に示されているように、その内壁面の内周側および外周側にそれぞれベアリング62,63が圧入されている。ベアリング62,63は回転支柱11に対して同軸に配置されている。内側のベアリング62の回転側リングには、回転支柱11を包囲するリング状の第1ギヤ64が固定されており、外側のベアリング63の回転側リングには回転支柱11を包囲するリング状の第2ギヤ65が固定されている。したがって、ギヤケース61内において、第1ギヤ64および第2ギヤ65は回転支柱11に対して同軸的に回転可能であり、第2ギヤ65は第1ギヤ64よりも外側に位置している。第1ギヤ64は、外周側にギヤ歯を有し、第2ギヤ65は、内周側にギヤ歯を有している。
【0051】
第1モータM1の駆動軸に固定されたピニオン66は、第1ギヤ64と第2ギヤ65との間に入り込み、内側に配置された第1ギヤ64に噛合している。同様に、図10に示されているとおり、第2モータM2の駆動軸に固定されたピニオン67は、第1ギヤ64と第2ギヤ65との間に位置し、外側に配置された第2ギヤ65に噛合している。ギヤケース61上にはさらに、モータM1,M2を回避した位置に、一対の第1ボールねじ機構81が回転支柱11を挟んで対向する位置(すなわち、回転支柱11の側方)に配置されている。さらに、ギヤケース61上には、モータM1,M2および第1ボールねじ機構81を回避した位置に、他の一対の第2ボールねじ機構82が、回転支柱11を挟んで対向するように位置(すなわち、回転支柱11の側方)に配置されている。
【0052】
第1ボールねじ機構81は、図4および図5に示されているように、回転支柱11と平行に配置されたねじ軸83と、このねじ軸83に螺合するボールナット84とを備えている。ねじ軸83は、ギヤケース61の上蓋部に軸受け部85を介して取り付けられており、その下端は、ギヤケース61の内部に及んでいる。このねじ軸83の下端には、ギヤ86が固定されており、このギヤ86は第1ギヤ64と第2ギヤ65との間に入り込み、内側に配置された第1ギヤ64に噛合している。
【0053】
一方、ボールナット84には第1非回転側可動部材88が取り付けられている。この第1非回転側可動部材88は、回転支柱11を取り囲む環状の部材であって、その内周面には、回転支柱11を取り囲むように設けられた第1ベアリング77の非回転側リング77fが固定されている。第1ベアリング77の回転側リング77rは非回転側リング77fよりも回転支柱11に対して内方側に配置されている。この回転側リング77rは、回転支柱11を取り囲む環状の第1回転側可動部材89の外周面側に固定されている。第1回転側可動部材89は、回転支柱11の外周面に突出して設けられた案内レール90に係合している。この案内レール90は、回転支柱11に平行な方向に沿って形成されており、これにより、第1回転側可動部材89は、回転支柱11に沿う方向に案内されて移動可能な状態で、回転支柱11に結合されている。
【0054】
第1モータM1を駆動してピニオン66を回転させると、この回転は第1ギヤ64に伝達される。これによって、第1ギヤ64に噛合しているギヤ86が回転して、第1ボールねじ機構81のねじ軸83が回転する。これによって、ボールナット84およびこれに結合された第1非回転側可動部材88が回転支柱11に沿って昇降することになる。回転支柱11とともに回転することになる第1回転側可動部材89は、第1ベアリング77を介して第1非回転側可動部材88に結合されているから、この第1非回転側可動部材88の昇降により、回転支柱11の回転中であっても、案内レール90に沿って昇降されることになる。
【0055】
第1ボールねじ機構81によって昇降されるリング状の第1非回転側可動部材88の外方には、別のリング状の第2非回転側可動部材91が配置されている。第2ボールねじ機構82は、上記第1ボールねじ機構81と同様な構成を有しているが、そのねじ軸の下端に設けられたギヤは、ギヤケース61内の第1ギヤ64と第2ギヤ65との間において、第2ギヤ65に内側から噛合している。したがって、同じく第2ギヤ65に噛合しているピニオン67を第2モータM2によって駆動すれば、第2ボールねじ機構82のボールナット(図示せず)が昇降することになる。このボールナットが、第2非回転側可動部材91に結合されている。
【0056】
第2非回転側可動部材91の外周面には、回転支柱11を取り囲むように設けられた第2ベアリング78の非回転側リング78fが固定されている。この第2ベアリング78の回転側リング78rは、回転支柱11を取り囲むリング状の第2回転側可動部材92の内周面に固定されている。第2回転側可動部材92の上面には、回転伝達ピン93が回転支柱11に沿う鉛直方向に2本、回転支柱11を挟んで回転支柱11を中心として略対称な位置に挿入されている(図7)。回転伝達ピン93は、スピンベース13の上板131および下板132を貫通するようにしてスピンベース13に固定されており、その下端が第2回転側可動部材92を昇降自在にしながら第2回転側可動部材92と係合している。そして、第2ボールねじ機構82のボールナットとともに第2非回転側可動部材91が昇降するとき、第2ベアリング78を介して結合された第2回転側可動部材92も同時に昇降する。第2回転側可動部材92は昇降可能な状態で回転伝達ピン93を介してスピンベース13に結合されているからスピンベース13とともに(すなわち回転支柱11とともに)回転されるが、この回転中であっても、第2ボールねじ機構82からの駆動力を得て、昇降が可能である。
【0057】
第1回転側可動部材89には、その上方側に鉛直方向に伸びて第1連動リング75と係合する上下駆動ピン891が4本設けられている。具体的には、第1連動リング75には、図7に示すように、上下駆動ピン891の各々に対応して上下駆動ピン891に係合可能な切欠部751が形成されており、各切欠部751に上下駆動ピン891が挿入されている。そして、図5に示すように、第1回転側可動部材89が下降されることで、上下駆動ピン891の肩部891aが第1連動リング75に係合して、つまり4本の上下駆動ピン891が第1連動リング75を下方に引き下げるようにして、第1連動リング75を降下させる。これにより、上下アーム71の下方に配置された圧縮コイルばね202の付勢力に抗して、第1連動リング75に係合する第1上下リング72および第1上下リング72に連結された上下アーム71を一体的に降下させて上下アーム71の各々に立設された第1支持ピンF1〜F12を降下させることができる。
【0058】
さらに、第2支持ピンS1〜S12の降下動作についても、第1支持ピンF1〜F12の降下動作とほぼ同様である。すなわち、第2連動リング76には、第2回転側可動部材92が有する上下駆動ピン(図示せず)の各々に対応して上下駆動ピンに係合可能な挿入孔761が形成されており、各挿入孔761に上下駆動ピンが挿入される。そして、第2回転側可動部材92が下降することで、上下駆動ピンが第2連動リング76に係合して、第2連動リング76を降下させる。これにより、上下アーム73の下方に配置された圧縮コイルばね202の付勢力に抗して、第2連動リング76に係合する第2上下リング74および第2上下リング74に連結された上下アーム73を一体的に降下させて上下アーム73の各々に立設された第2支持ピンS1〜S12を降下させることができる。
【0059】
したがって、制御ユニット4の動作指令に応じて第1および第2モータM1、M2を回転駆動させることで、第1支持ピンF1〜F12からなる第1支持ピン群と、第2支持ピンS1〜S12からなる第2支持ピン群とを同時に、または独立して昇降させることが可能となっている。これにより、次に示す3種類の態様で基板Wを支持することができる。すなわち、第1および第2モータM1、M2を駆動させない状態では、第1および第2支持ピンF1〜F12、S1〜S12の全ての支持ピンが支持位置PSに位置して基板Wを第1支持ピン群と第2支持ピン群とで支持することができる。また、第1モータM1を駆動させることで第1支持ピンF1〜F12を降下させて該第1支持ピンF1〜F12を基板Wの下面から離間させ、第2支持ピンS1〜S12のみにより基板Wを支持することができる。その一方で、第2モータM2を駆動させることで第2支持ピンS1〜S12を降下させて該第2支持ピンS1〜S12を基板Wの下面から離間させ、第1支持ピンF1〜F12のみにより基板Wを支持することができる。
【0060】
図1に戻って説明を続ける。スピンチャック1の上方には、スピンベース13に対向する円盤状の遮断板5が本発明の「板状部材」として水平に配設されている。この遮断板5は、スピンチャック1の回転支柱11と同軸上に配置された回転支柱51の下端部に一体回転可能に取り付けられている。この回転支柱51には、遮断板回転駆動機構52が連結されており、制御ユニット4からの動作指令に応じて遮断板回転駆動機構52のモータを駆動させることにより遮断板5を回転軸J回りに回転させる。制御ユニット4は、遮断板回転駆動機構52のモータをチャック回転駆動機構12のモータと同期するように制御することで、スピンチャック1と同じ回転方向および同じ回転速度で遮断板5を回転駆動させることができる。このように、この実施形態では、遮断板回転駆動機構52が本発明の「板状部材回転手段」として機能している。
【0061】
また、遮断板5は、遮断板昇降駆動機構53と接続され、遮断板昇降駆動機構53の昇降駆動用アクチェータ(例えばエアシリンダーなど)を作動させることで、遮断板5をスピンベース13に近接して対向させたり、逆に離間させることが可能となっている。具体的には、制御ユニット4は遮断板昇降駆動機構53を作動させることで、基板処理装置に対して基板Wを搬入出、あるいは後述する位置補正ユニット40により基板Wの位置補正を行う際には、スピンチャック1の上方の退避位置に遮断板5を上昇させる。その一方で、基板Wをスピンベース13から所定距離だけ上方に離間した基板処理位置(支持位置PSに位置決めされた支持ピンにより支持された基板Wの高さ位置)で該基板に対して洗浄処理を施す際には、スピンチャック1に保持された基板Wの表面Wfのごく近傍に設定された所定の対向位置(図1に示す位置)まで遮断板5を下降させる。これにより、遮断板5の下面(対向面501)と基板表面Wfとが近接した状態で離間して対向配置される。
【0062】
遮断板5の中心の開口および回転支軸51の中空部は、ガス供給路54を形成している。このガス供給路54はガス供給ユニット18と接続されており、基板Wの上面(表面Wf)と遮断板5の対向面501との間に形成される空間SPに窒素ガスを供給することができる。
【0063】
図11は遮断板5の底面図である。遮断板5は、その下面(底面)が基板Wの上面(表面Wf)と略平行に対向する対向面501となっており、その平面サイズは基板Wの直径と同等以上の大きさに形成されている。このため遮断板5が対向位置に配置されると基板Wの表面全体を覆って基板表面Wf上の雰囲気を外部雰囲気から遮断することが可能となっている。また、遮断板5の周縁部には遮断板5を上下方向(鉛直軸方向)に貫通する、略円筒状の内部空間を有する貫通孔502が形成されており、後述する周縁処理ノズル3が挿入可能となっている。この貫通孔502はスピンチャック1に保持される基板Wの表面周縁部TRに対向する位置に形成されているため、周縁処理ノズル3を貫通孔502に挿入させることで周縁処理ノズル3を表面周縁部TRに対向して配置させることができる。
【0064】
また、対向面501には複数のガス噴出口506が開口している。複数のガス噴出口506はスピンチャック1に保持される基板Wの表面中央部の非処理領域NTRに対向する位置に、回転中心A0を中心とする円周に沿って等角度間隔に形成されている。これらのガス噴出口506は、遮断板5の内部のガス流通空間505に連通しており、ガス流通空間505に窒素ガスが供給されると、ガス噴出口506を介して窒素ガスが空間SPに供給される。なお、ガス噴出口は複数の開口に限らず、単一の開口、例えば、回転中心A0を中心として全周にわたってリング状に開口したものであってもよい。但し、複数のガス噴出口とした方が、ガス噴出圧の均一性を得る点で有利である。
【0065】
そして、この空間SPに窒素ガスが供給されることで空間SPの内部圧力を高めて基板Wをその下面に当接する支持ピン(第1支持ピンF1〜F12および/または第2支持ピンS1〜S12)に押圧させることができる。これによって、支持ピンに押圧された基板Wは、チャック回転駆動機構12がスピンベース13を回転させることで基板Wの下面と支持ピンとの間に発生する摩擦力によって支持ピンに支持されながらスピンベース13とともに回転する。なお、供給された窒素ガスは空間SPを基板Wの中心付近から径方向外側へと流れていく。このように、この実施形態では、遮断板5の対向面501、ガス噴出口506、ガス供給路54およびガス供給ユニット18が、本発明の「押圧手段」として機能している。
【0066】
したがって、制御ユニット4が、ガス供給ユニット18を制御して空間SPに窒素ガスを供給しながら、第1および第2モータM1、M2を回転駆動させることにより、次の3種類の保持モードで基板Wを保持可能としながら、該3種類の保持モードの間で保持モードを選択的に切り換えることができる。すなわち、制御ユニット4は、
(1)第2支持ピンS1〜S12を下降させて第1支持ピンF1〜F12(第1支持ピン群)で基板Wを支持しながら、空間SPに供給される窒素ガスによって基板Wを第1支持ピンF1〜F12に向けて押圧してスピンベース13に保持させる第1保持モード、
(2)第1支持ピンF1〜F12を下降させて第2支持ピンS1〜S12(第2支持ピン群)で基板Wを支持しながら、空間SPに供給される窒素ガスによって基板Wを第2支持ピンS1〜S12に向けて押圧してスピンベース13に保持させる第2保持モード、
(3)第1および第2支持ピンF1〜F12、S1〜S12(第1および第2支持ピン群)で基板Wを支持しながら、空間SPに供給される窒素ガスによって基板Wを第2支持ピンS1〜S12に向けて押圧してスピンベース13に保持させる第3保持モード
とに保持モードを選択的に切り換え可能となっている。
【0067】
次に、周縁処理ノズル3について説明する。周縁処理ノズル3は、ノズルアーム31の一方端に固着されている。ノズルアーム31の他方端はアーム軸32により軸支され、アーム軸32が回動することで周縁処理ノズル3がアーム軸32を中心として所定の角度範囲で揺動可能となっている。また、アーム軸32には、ノズルアーム31と該ノズルアーム31に固着された周縁処理ノズル3とを一体的に駆動させるノズル移動機構33が連結されている。このノズル移動機構33は、周縁処理ノズル3とノズルアーム31とを揺動させるモータ等の揺動駆動源331と、周縁処理ノズル3とノズルアーム31とを上下方向に昇降させるシリンダ等の昇降駆動源332とを備えている。これらの構成により、周縁処理ノズル3を、揺動駆動源331により基板表面Wfに平行に水平移動させるとともに、昇降駆動源332により上下移動させることが可能となっている。このため、制御ユニット4からの動作指令に応じてノズル移動機構33が駆動されることで、周縁処理ノズル3を遮断板5の貫通孔502に挿入させて表面周縁部TRに処理液を供給可能な処理位置P1(図1の実線で示す位置)と、周縁処理ノズル3を表面周縁部TRから離間した離間位置P2(図1の破線で示す位置)とに移動させることができる。
【0068】
図12は、周縁処理ノズルと遮断板に設けられた貫通孔の構成を示す図である。周縁処理ノズル3は遮断板5の貫通孔502の形状に合わせて略円筒状に形成され、貫通孔502に挿入されることで、周縁処理ノズル3の先端側が表面周縁部TR(図1)に対向して配置される。周縁処理ノズル3の内部には、処理液供給路301が形成されており、処理液供給路301の先端部(下端部)が周縁処理ノズル3の吐出口301aを構成している。そして、周縁処理ノズル3が貫通孔502に挿入される際には、周縁処理ノズル3の吐出口301a周囲の先端面3aが遮断板5の対向面501と面一の位置まで挿入される。周縁処理ノズル3の直径(ノズルの外径)は、遮断板5の貫通孔502に挿入させる関係上、必要以上に貫通孔502の孔径を大きくすることのないように、例えばφ5〜6mm程度に構成される。
【0069】
周縁処理ノズル3の吐出口301aは基板Wの径方向外側に向けて開口しており、吐出口301aから薬液およびリンス液を表面周縁部TRに選択的に供給可能になっている。処理液供給路301はノズル後端部においてチューブ等を介して薬液供給ユニット16およびリンス液供給ユニット17と接続されており、薬液またはリンス液が供給される。このため、例えば制御ユニット4からの動作指令に応じて薬液供給ユニット16から薬液が圧送されると、周縁処理ノズル3の吐出口301aから薬液が吐出され、表面周縁部TRに供給されるとともに、基板Wの径方向外側に向かって流れ、基板外に排出される。したがって、薬液の供給位置よりも基板内周側の非処理領域NTRには薬液は供給されず、その結果、基板表面Wfの周縁部は基板Wの端面から内側に向かって一定の幅(周縁エッチング幅)で薄膜がエッチング除去される。また、制御ユニット4からの動作指令に応じてリンス液供給ユニット17からリンス液が圧送されると、周縁処理ノズル3の吐出口301aからリンス液が吐出され、表面周縁部TRに供給されるとともに、基板Wの径方向外側に向かって流れ、基板外に排出される。
【0070】
周縁処理ノズル3は、略円筒状に形成されたノズル胴部の断面積がノズル先端側と後端側で異なるように構成されている。具体的には、ノズル先端側の胴部303の断面積がノズル後端側の胴部304の断面積に対して小さくなるように構成されており、ノズル先端側の胴部303とノズル後端側の胴部304との間に段差面3bを有している。すなわち、ノズル先端側の胴部303の外形面(側面)とノズル後端側の胴部304の外形面(側面)とは段差面3bを介して結合されている。段差面3bは胴部の結合部分においてノズル先端側の胴部303周囲を取り囲む円環状に形成されるとともに、スピンチャック1に保持された基板表面Wfに略平行に形成されている。
【0071】
なお、周縁処理ノズル3およびノズルアーム31は耐薬性を考慮して樹脂材料により形成されている。具体的には、周縁処理ノズル3は、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)にて、ノズルアーム31はPVC(ポリ塩化ビニル)にて形成されている。周縁処理ノズル3の段差面3bは、例えば上記樹脂材料で形成された円筒状のノズルの先端側を切削加工することにより形成することができる。
【0072】
一方で、遮断板5の貫通孔502の内壁には、周縁処理ノズル3の段差面3bと当接可能な段差部503が設けられている。この段差部503は、周縁処理ノズル3が処理位置P1に位置決めされた際に周縁処理ノズル3と当接する、円環状の当接面5aを有している。当接面5aは、遮断板5の対向面501と略平行に、つまり基板表面Wfと略平行に形成されており、周縁処理ノズル3の段差面3bと面接触することが可能となっている。このため、段差面3bおよび当接面5aを基板表面Wfに平行に形成しない場合に比べて、周縁処理ノズル3の外形部分および貫通孔502の内壁の加工を容易として、周縁処理ノズル3を処理位置P1に位置決めする際に、基板Wに対するノズルの位置精度を高めることができる。さらに、周縁処理ノズル3を処理位置P1に位置決めする際に、周縁処理ノズル3の段差面3bが遮断板5の当接面5aに押し付けられることにより、周縁処理ノズル3が遮断板5に当接固定され、処理位置P1に安定して位置決めすることができる。
【0073】
また、遮断板5の貫通孔502の内壁には、ガス導入部504が開口されており、ガス導入部504から貫通孔502の内部空間に窒素ガスを供給することが可能となっている。ガス導入部504は遮断板5の内部に形成されたガス流通空間505を介してガス供給ユニット18に連通している。したがって、制御ユニット4からの動作指令に応じてガス供給ユニット18から窒素ガスが圧送されると、貫通孔502の内部空間に窒素ガスが供給され、周縁処理ノズル3が離間位置P2(図1の破線で示す位置)に移動された状態、すなわち、周縁処理ノズル3が貫通孔502に挿入されていない状態では、貫通孔502の上下双方の開口から窒素ガスが噴出される。
【0074】
ガス導入部504は、貫通孔502の内壁に形成された当接面5aに対して、基板Wから離間する方向、つまり当接面5aを中心として基板Wが位置する方向と反対側に開口されている。このため、周縁処理ノズル3が処理位置P1に位置決めされた際に、周縁処理ノズル3の段差面3bと当接面5aとが当接することにより基板W側へのガス流路が塞がれ、窒素ガスが当接部分を越えて貫通孔502から基板表面Wfと対向面501とで挟まれた空間SPに噴出するのが防止される。なお、ガス導入部504を介して貫通孔502に導入された窒素ガスは貫通孔502の上方、つまり基板Wの反対側の開口から排出される。
【0075】
次に、図13ないし図15を用いて、位置補正ユニット40について説明する。この基板処理装置には、スピンチャック1の側方に基板Wの水平方向の位置を補正するための位置補正ユニット40が配設されている。基板Wの端面から内側に向かってエッチング除去される幅(周縁エッチング幅)を正確にコントロールするためには、スピンベース13の回転中心A0と基板Wの中心W0とを一致させることが重要となっている。基板中心W0とスピンベース13の回転中心とが位置ずれ(偏心)していると、周縁エッチング幅を均一にして処理することができなくなるからである。ここで、例えば基板Wの周縁を挟持するチャックピン等の挟持部材を3個以上設けた場合には、各挟持部材が基板Wの端面に当接して基板Wを保持することで、スピンベース13等の回転部材の回転中心と基板中心とを所定の範囲に位置決めすることが可能である。その一方で、本発明のように挟持部材がない状態では、基板Wが装置内に搬入され支持ピンに載置された後、スピンベース13に対する基板Wの偏心量(スピンベース13の回転中心A0と基板中心W0との間の距離)を測定するとともに、基板Wが偏心している場合には基板Wの水平位置を補正する必要がある。そこで、この実施形態では、位置補正ユニット40により、次のようにしてスピンベース13の回転中心A0と基板中心W0とを一致させている。
【0076】
図13は、位置補正ユニットの構成を示す図である。この位置補正ユニット40は、支持ピンに滑動自在に支持された基板Wの端面に当接して該基板Wを水平方向に押圧する押圧ブロック41と、押圧ブロック41を支持するロッド42と、該ロッド42に接続され、押圧ブロック41をスピンベース13の回転中心A0を通る線上(スピンベース13の径方向)に沿って水平方向に移動させるブロック移動機構43と、基板Wの周縁に配置されて該基板Wの端面位置を検出する検出センサ44とを備えている。
【0077】
ここで、上記したように、基板Wは第1および第2支持ピンF1〜F12、S1〜S12により支持可能に構成されているが、基板Wの位置補正を行う際には、制御ユニット4は、第2支持ピンS1〜S12を基板Wの下面から離間させて第1支持ピンF1〜F12のみにより基板Wを支持させる。
【0078】
押圧ブロック41は円筒形状をなしており、その上面にロッド42が固着されている。そのため、ブロック移動機構43がロッド42を水平方向に駆動させることで、押圧ブロック41の側面41aを基板Wの端面に当接させつつ基板Wを水平方向に押動することが可能となっている。具体的には、押圧ブロック41(側面41a)が、第1支持ピンF1〜F12に滑動自在に支持された基板Wに当接しつつ押圧することで、基板裏面Wb(下面)と第1支持ピンF1〜F12との間に発生する摩擦力よりも大きな力を作用させて基板Wを第1支持ピンF1〜F12上で滑動させて押圧方向に基板Wを移動させることが可能となっている。
【0079】
また、ロッド42と検出センサ44とは、図示省略するブラケット等の取付け具を介して連結されている。このため、制御ユニット4からの動作指令に応じてブロック移動機構43が作動することで、1つの駆動系で押圧ブロック41と検出センサ44とが一体的に駆動するように構成されている。
【0080】
ここで、押圧ブロック41の横断面形状である円の直径は、基板Wの周縁部に形成された切欠部の影響を考慮して次のように構成されている。すなわち、処理対象としている基板Wには、切欠部が施されていることが多い。例えば、基板Wとして半導体ウエハでは、ウエハ面内の結晶学的基準方位を示すために、ノッチなどの切欠部が形成されている。この場合、押圧ブロック41と切欠部とが対向したときには、押圧ブロック41が切欠部に入り込んで的確に基板Wを押動することができない。そこで、切欠部の存在を考慮して以下のように押圧ブロック41を構成している。ここでは、基板Wの周縁部にノッチNTが形成されている場合について説明する。
【0081】
図14は、基板のノッチと押圧ブロック41の形状との関係を説明する図である。基板Wは略円盤形状を有するとともに、周縁部にノッチNTが形成されてなるものである。図5に示すように、押圧ブロック41の横断面形状である円の直径Dは、基板Wの円周がノッチNTによって切り取られる弧の長さLよりも十分に大きくなるように構成されている。したがって、押圧ブロック41と対向する基板Wの端面位置にノッチNTが存在する場合でも、ノッチNTに押圧ブロック41が入り込むのを防止して基板Wの位置ずれを抑制することができる。
【0082】
図15は、図13の位置補正ユニットの動作を説明するための図である。ブロック移動機構43は、ロッド42(および検出センサ44)を駆動させることで、当接部位41a(押圧ブロック41の側面)をスピンベース13の回転中心A0から水平方向に基板Wの半径に対応して定められた距離Rだけ離れた既定位置P11(図15の破線位置)と、基板Wから側方に離間した離間位置P12(図15の実線位置)とに位置決めするように構成されている。
【0083】
ここで、既定位置P11として、例えばスピンベース13の回転中心A0から水平方向に基板Wの半径に位置決め目標精度の正の許容値を加えた距離Rだけ離れた位置に、押圧ブロック41の当接部位41aがブロック移動機構43によって位置決めされる。例えば、基板Wの直径が300mm、位置決め目標精度を+0.05/−0.05mmとした場合には、既定位置P11として、スピンベース3の回転中心A0から150.05mmだけ離れた位置に当接部位41aが移動される。なお、既定位置P11として、そのまま回転中心A0から水平方向に基板Wの半径だけ離れた位置としてもよい。
【0084】
検出センサ44は、基板Wの側方に配置され、スピンベース13を回転させることでスピンベース13上に支持された基板Wの端面位置を検知することで検出センサ44から基板Wの端面までの距離を検出する。ここで、検出センサ44とスピンベース13の回転中心A0との間の相対距離は一定であるので、基板中心W0がスピンベース13の回転中心A0から偏心している場合には、検出センサ44から基板Wの端面までの距離が基板Wの回転に伴って変動する。このため、基板Wを回転させながら検出センサ44が基板Wの端面までの距離を検出することで、回転中心A0から最も離れた端面位置(以下「偏心位置」という)を知ることができる。
【0085】
なお、検出センサ44には例えば投光部と受光部とを備え、反射光の位置から三角測量法により距離を測定する光学式距離センサ、あるいは測定対象物との間の容量を検出することにより距離(または距離の変位量)を測定する静電容量式の近接覚センサなどを用いることができる。
【0086】
次に、上記のように構成された基板処理装置の動作について図16ないし図22を参照しつつ詳述する。図16は、図1の基板処理装置の動作を示すフローチャートである。先ず、飛散防止カップ28を下方位置(図1の破線で示す位置)に位置させて、スピンチャック1を飛散防止カップ28の上方から突出させるとともに、遮断板5をスピンチャック1の上方の退避位置に位置させて、遮断板5とスピンチャック1との間隔を広げる。この状態で搬送手段(図示せず)が未処理の基板Wを装置内に搬入する(ステップS1)。
【0087】
この装置では、基板Wの表面Wfにメタル層などの薄膜TFが形成された基板Wを薄膜形成面を上方に向けた状態で搬入させ、制御ユニット4が図16のフローチャートに示す一連の基板位置補正処理を実行する(ステップS2)。ここで、基板位置補正処理を実行に先立って、制御ユニット4は、第1支持ピンF1〜F12からなる第1支持ピン群のみにより基板Wを支持させる。これにより、第2支持ピンF1〜F12に設けられた規制部位106aが検出センサ44と基板端面との間を遮ったり、押圧ブロック41を基板端面に当接させて押し込む際に、規制部位106aと接触するのを回避することができる。
【0088】
図17は基板位置補正処理を示すフローチャートである。また、図18は、図17の基板位置補正処理の動作を説明するための図である。先ず、検出センサ44による基板Wの端面までの距離の検出を開始する(ステップS11)。そして、検出センサ44による検出動作を実行した状態で、制御ユニット4はチャック回転駆動機構12を作動させて基板Wを回転させる(ステップS12)。このとき、基板Wは基板Wの下面と第1支持ピンF1〜F12との間に発生する摩擦力で第1支持ピンF1〜F12に保持されながら回転中心A0回りに回転する。ここで、スピンベース13の回転位置はチャック回転駆動機構12に内蔵された回転位置検出計により検出され、制御ユニット4に送出される。その結果、基板Wの周方向位置と基板Wの端面までの距離について基板Wの全周を計測することで、図19に示すような計測結果を得ることができる。
【0089】
図19は検出センサによる検出結果を示すグラフである。具体的には基板Wを略一周回転させた際に得られる、基板Wの周方向位置に対する検出センサ44から基板Wの端面までの距離を示すグラフである。図19に示すように、回転中心A0と基板中心W0とがずれている(偏心している)場合には、検出センサ44から基板Wの端面までの距離が変化して、当該距離が最小となる極小点PAと当該距離が最大となる極大点PBとが検出される。ここで、図18(a)に示すように、極小点PAは回転中心A0から最も離れた端面位置(偏心位置)、すなわち回転中心A0から基板中心W0の方向(偏心方向)に伸びる仮想線PLを想定した場合に該仮想線PLと基板Wの外径とが交わる位置に相当する。そして、制御ユニット4は、回転位置検出計から送出される信号と検出センサ44からの検出信号に基づいて偏心位置PA(回転方向の位置)を算出する(ステップS13)。
【0090】
ここで、制御ユニット4は、極小点(偏心位置)PAと極大点PBとの間の距離が位置決め目標精度TAの範囲内にあるか否かを判断して(ステップS14)、目標精度TAの範囲内にある場合(ステップS14でYES)には基板Wの位置補正をすることなく、そのまま処理を終了する。一方、目標精度TAの範囲内にない場合(ステップS14でNO)には基板Wの位置補正を実行する。
【0091】
基板Wの位置補正を実行する場合(ステップS14でNO)、制御ユニット4は偏心位置PAが押圧ブロック41に対向する位置(図18(b)の実線で示す基板Wの位置)にくるように基板Wを回転させる。そして、該対向位置で基板Wの回転を停止させて位置決めする(ステップS15)。
【0092】
次に、制御ユニット4は、ブロック移動機構43の作動により押圧ブロック41を駆動させて当接部位41a(押圧ブロック41の側面)を回転中心A0の方向に既定位置P11(図18(b)の破線で示す位置)まで押動させる(ステップS16)。このとき基板Wは第1支持ピンF1〜F12に滑動自在に支持されているので、押圧ブロック41が基板Wの下面と第1支持ピンF1〜F12との間に発生する摩擦力よりも大きな力で基板Wを押圧することで、基板Wが押圧ブロック41に当接しつつ第1支持ピンF1〜F12上を水平方向に滑動する。その結果、基板Wが押圧ブロック41に押動されて偏心位置PAが既定位置P11に合わされる。ここでは、既定位置P11として回転中心A0から水平方向に基板Wの半径に目標精度TAの正の許容値を加えた距離Rだけ離れた位置としている。したがって、偏心位置PAを既定位置P11に一致させることで回転中心A0から基板中心W0までの距離が目標精度TA内となるように基板Wの位置が補正される。
【0093】
こうして、基板Wの位置補正が完了すると、制御ユニット4はブロック移動機構43を駆動させて押圧ブロック41(および検出センサ44)を基板Wから側方に離間した離間位置P12に退避させる(ステップS17)。また、第1支持ピンF1〜F12のみによる基板支持を継続させたまま、飛散防止カップ28を上方位置(図1の実線で示す位置)に位置させることでスピンベース13および第1支持ピンF1〜F12で支持された基板Wを側方位置から取り囲み、後述するベベルエッチング処理および裏面洗浄処理において飛散する処理液を捕集可能な状態とする。
【0094】
続いて、制御ユニット4が装置各部を以下のように制御して基板Wに対してベベルエッチング処理および裏面洗浄処理(エッチング工程+リンス工程+乾燥工程)を実行する(ステップS3)。より具体的には、制御ユニット4は、図20のフローチャートに示す一連の処理を実行する。
【0095】
図20はベベルエッチング処理および裏面洗浄処理の動作を示すフローチャートである。また、図21は支持ピンの動作を示すタイミングチャートである。さらに、図22は周縁処理ノズル3の動作を示す模式図である。なお、図21において、第1および第2支持ピンF1〜F12、S1〜S12について、「ON」とあるのは、支持ピンが基板Wの下面(裏面Wb)に当接して基板Wを支持している状態を表す一方で、「OFF」とあるのは、支持ピンが降下され基板Wの下面(裏面Wb)から離間している状態を表す。
【0096】
制御ユニット4は遮断板5を対向位置まで降下させて、第1支持ピンF1〜F12に支持された基板Wに近接して対向配置させる(ステップS21)。そして、ガス噴出口506から窒素ガスを吐出させるとともに、ガス供給路54から基板表面Wfの中央部に向けて窒素ガスを供給する(ステップS22)。つまり、制御ユニット4は保持モードを第1保持モードに設定する。これによって、遮断板5の対向面501と基板表面Wfとの間に形成される空間SPの内部圧力が高められ、基板Wはその下面(裏面Wb)に当接する第1支持ピンF1〜F12に向けて押圧されスピンベース13に保持される。また、基板表面Wfは遮断板5の対向面501にごく近接した状態で覆われることによって、基板Wの周辺の外部雰囲気から確実に遮断される。
【0097】
次に、制御ユニット4はノズル移動機構33を作動させることで周縁処理ノズル3を離間位置P2から処理位置P1に移動させる(ステップS23)。具体的には、揺動駆動源331の作動により周縁処理ノズル3が水平方向に沿って遮断板5の貫通孔502の上方位置に移動するとともに、昇降駆動源332の作動により周縁処理ノズル3が降下してノズル先端面3aが遮断板5の対向面501と面一となる位置まで貫通孔502に挿入される。このとき、周縁処理ノズル3の外形部分に形成された段差面3bと、貫通孔502の内壁に形成された当接面5aとが当接して、周縁処理ノズル3が遮断板5(段差部503)に基板Wに向かって、つまり鉛直方向下向きに押し付けられる。これによって、周縁処理ノズル3が遮断板5に当接固定され、処理位置P1に安定して位置決めされる。
【0098】
それに続いて、制御ユニット4は遮断板5を停止させた状態で、チャック回転駆動機構12を駆動してスピンベース13を回転させることにより、基板Wを回転させる(ステップS24)。具体的には、制御ユニット4はスピンベース13を比較的低速(例えば600rpm)の第1回転速度V1で回転させる。このとき、第1支持ピンF1〜F12に押圧された基板Wは第1支持ピンF1〜F12と基板Wの下面との間に発生する摩擦力でスピンベース15に保持されながら、スピンベース15とともに回転することとなる。このように低速の第1回転速度V1で回転させているときは、基板Wに作用する遠心力は比較的小さいため、第1保持モードにより基板Wを確実に保持することができる。
【0099】
基板表面Wfと対向面501とで挟まれた空間SPに供給された窒素ガスは、基板Wの回転に伴う遠心力によって回転軸Jを中心として径方向外側に均等に流れ、基板外に排出されていく。ここで、ガス導入部504を介して貫通孔502にも窒素ガスが流れ込むが、基板W側への流路は周縁処理ノズル3の段差面3bと貫通孔502の内壁に形成された当接面5aとの当接により塞がれており、貫通孔502から窒素ガスが空間SPに入り込むことがなく、貫通孔502の内壁と周縁処理ノズル3(ノズル後端側の胴部304)の隙間から遮断板5の上方から抜けていく。このため、遮断板5の周縁部に形成された1つの貫通孔502から空間SPに回転軸Jに対して不均一に窒素ガスが入り込み、回転中心A0を中心として径方向外側に均等に流れていく気流を乱すのを防止することができる。
【0100】
この状態で、薬液供給ユニット16からエッチング処理に適した薬液が周縁処理ノズル3に圧送されて、表面周縁部TRに処理液として薬液が供給される(図22(a))。基板Wの径方向外側に向けて吐出された薬液は基板Wの回転による遠心力を受けて基板Wの周縁に向かって流れ、基板の端面を伝って流下する。これにより、表面周縁部TRの全体に薬液が供給されて該表面周縁部TRがエッチング処理される。このとき、周縁処理ノズル3は遮断板5の段差部503に押し当てられた状態で処理位置P1に位置決めされているので、遮断板5に対して周縁処理ノズル3が固定され、ノズル位置、特に上下方向(高さ方向)の位置が正確に定まる。このため、基板Wの回転に伴う気流や振動等の影響により周縁処理ノズル3からの吐出位置が不安定になるのを防止できる。すなわち、樹脂等の剛性が比較的低い材質で形成されたノズルアーム31およびこれに固着された小径の周縁処理ノズル3は気流や振動等の影響を受け易いが、これらに比べて物理的(体積および質量、配置条件等)に振動等の影響を受けにくい遮断板5に周縁処理ノズル3が押し付けられることで、吐出位置が変動するのが防止される。
【0101】
特に、この実施形態では、薬液を鉛直方向ではなく、基板Wの径方向外側に向けて斜めに吐出させているので、基板Wと周縁処理ノズル3との間の距離が一定とされることで、周縁エッチング幅EHが変動するのを防止することができる。また、ノズル先端面3aが対向面501よりも上方に位置ずれした際に、周縁処理ノズル3から吐出された薬液が貫通孔502の内壁に当たって跳ね返りが発生するのを防止することができる。その結果、表面周縁部TR以外の非処理領域NTRがエッチングされてしまうのを回避することができる。
【0102】
また、保持モードを第1保持モードに設定して、基板Wを第1支持ピンF1〜F12のみにより支持しているため、基板Wの表面周縁部TRに供給され基板外に排出される薬液が基板Wに向けて跳ね返るのが防止される。つまり、第1保持モードで基板Wが保持された状態では、基板Wの端面に当接または対向して配置される部位が存在しないことから、このような部位による薬液の衝突による飛散が防止される。また、基板Wの周縁付近の気流を乱す要因がないことからミスト状の薬液の基板表面Wf側への巻き込みが軽減される。したがって、表面周縁部TRから不要物(薄膜TF)が一定の周縁エッチング幅EHで全周にわたって均一にエッチング除去される(ステップS25−1;上面処理工程)。
【0103】
さらに、周縁処理ノズル3は遮断板5の貫通孔502に挿入されるため、薬液が飛散して周縁処理ノズル3に向けて跳ね返ってくるような場合でも薬液は遮断板5の対向面501に遮られ、周縁処理ノズル3の周囲(側面)に薬液が付着するようなことがない。
【0104】
表面周縁部TRに対するエッチング処理が終了すると、リンス液が周縁処理ノズル3に圧送されて、表面周縁部TRにリンス液が供給される。これにより、基板Wの表面周縁部TRに付着している薬液がリンス液によって洗い流される(ステップS25−2;上面処理工程)。
【0105】
こうして、表面周縁部TRに対するリンス処理が終了すると、制御ユニット4は周縁処理ノズル3へのリンス液の圧送を停止して、周縁処理ノズル3を貫通孔502から抜き出して表面周縁部TRから離間した離間位置P2に移動させる(ステップS26)。このとき、ガス導入部504から貫通孔502に導入される窒素ガスが遮断板5の上下の開口から貫通孔502の上下方向に噴出する(図22(b))。このため、周縁処理ノズル3が貫通孔502から抜き出された状態であっても、処理液が貫通孔502に入り込み基板表面Wfに向けて跳ね返るのが抑制される。
【0106】
続いて、制御ユニット4は遮断板回転駆動機構52を制御してスピンベース13の回転数とほぼ同一の回転数で同一方向に遮断板5を回転させる(ステップS27)。その後、下面処理ノズル15からスピンベース13とともに回転される基板Wの裏面Wbに処理液が供給され、裏面Wbに対して裏面洗浄処理が実行される。具体的には、下面処理ノズル15から基板裏面Wbの中央部に向けて処理液として薬液とリンス液とが順次供給されることにより、裏面全体と裏面Wbに連なる基板端面部分に対してエッチング処理(ステップS28―1)とリンス処理(ステップS28―2)が実行される(下面処理工程)。このとき、基板Wとともに遮断板5を回転させることで、遮断板5に付着する処理液がプロセスに悪影響を及ぼすのを防止するとともに、基板Wと遮断板5との間に回転に伴う余分な気流が発生するのを抑制して基板表面Wfへの処理液の巻き込みを防止することができる。
【0107】
ここで、制御ユニット4は、裏面Wbに対する洗浄処理が実行される間に、保持モードの切り換えを行う。すなわち、図21に示すように、裏面Wbに対するエッチング処理中にタイミングT1で第2支持ピンS1〜S12を上昇させて第1および第2支持ピンF1〜F12、S1〜S12とで基板Wを支持した状態(第3保持モードに設定)に切り換えた後、タイミングT2で第1支持ピンF1〜F12を下降させて第2支持ピンS1〜S12のみで基板Wを支持した状態(第2保持モードに設定)に切り換える。これにより、第1および第2支持ピンと基板裏面Wbとの当接部分にも薬液を回り込ませて当該部分をエッチング処理することができる。こうして、基板Wの裏面全体と裏面Wbに連なる基板端面部分のエッチング処理が完了すると、薬液の供給を停止させる。
【0108】
その後、タイミングT3で第1支持ピンF1〜F12を上昇させ、第1および第2支持ピンF1〜F12、S1〜S12とで基板Wを支持した状態(第3保持モードに設定)に移行させた後、リンス液を下面処理ノズル15に圧送して裏面Wbに供給する。そして、タイミングT4で第2支持ピンS1〜S12を下降させて第1支持ピンF1〜F12のみで基板Wを支持した状態(第1保持モードに設定)に切り換える。続いて、タイミングT5で第1および第2支持ピンF1〜F12、S1〜S12とで基板Wを支持した状態(第3保持モードに設定)に移行させた後、タイミングT6で第1支持ピンF1〜F12を下降させて第2支持ピンS1〜S12のみで基板Wを支持した状態(第2保持モードに設定)に切り換える。そして、タイミングT7で第1および第2支持ピンF1〜F12、S1〜S12とで基板Wを支持した状態(第3保持モードに設定)に最終的に移行させる。こうして、第1および第2支持ピンF1〜F12、S1〜S12と基板裏面Wbとの当接部分にもリンス液を回り込ませながら、基板Wの裏面全体と裏面Wbに連なる基板端面部分のリンス処理が完了する。
【0109】
裏面Wbに対するリンス処理が終了すると、制御ユニット4は基板Wの回転を継続したまま下面処理ノズル15へのリンス液の圧送を停止して、基板Wに残留する液体成分を振り切り、基板外に排出する(ステップS29)。
【0110】
続いて、制御ユニット4はチャック回転駆動機構12および遮断板回転駆動機構52のモータの回転速度を高めて基板Wおよび遮断板5を高速回転させる。具体的には、制御ユニット4はスピンベース13を第1回転速度V1から該第1回転速度V1よりも高速の第2回転速度V2(例えば1500rpm)で回転させる。これにより、基板Wの乾燥(スピンドライ処理)が実行される(ステップS30;乾燥処理工程)。また、上記した基板表面Wfへの窒素ガス供給と併せて、ガス供給路19からも窒素ガスを供給することで、基板Wの表裏面に窒素ガスを供給させる。これにより、基板Wの表裏面の乾燥が促進される。
【0111】
このとき、回転速度の増大により基板Wに作用する遠心力が増大するため、該遠心力により基板Wが水平移動する可能性が高まる。しかしながら、第2支持ピンS1〜S12の各々に設けられた規制部位106aが基板Wの水平移動を確実に規制することにより、基板Wの破損などを未然に防止することができる。また、第1および第2支持ピンF1〜F12、S1〜S12のすべての支持ピンで支持した状態(第3保持モードに設定)となっていることから、基板Wの下面を支持する支持ピンの個数が第1および第2保持モードよりも多くなり、基板Wの反りを防止するとともに、支持ピンと基板Wとの間に発生する摩擦力を高めて、基板Wをより確実に保持すること可能となっている。
【0112】
こうして、基板Wのスピンドライ処理が終了すると、制御ユニット4は遮断板回転駆動機構52のモータを制御して遮断板5の回転を停止させるとともに(ステップS31)、チャック回転駆動機構12を制御して基板Wの回転を停止させる(ステップS32)。そして、ガス供給路54およびガス噴出口506からの窒素ガスの供給が停止され、基板Wの第1および第2支持ピンF1〜F12,S1〜S12への押圧保持が解除される(ステップS33)。これにより、ベベルエッチング処理および裏面洗浄処理が終了する。
【0113】
その後、制御ユニット4は、遮断板5をスピンチャック1の上方の退避位置に上昇させるとともに、飛散防止カップ28を下方位置(図1の破線で示す位置)に位置させて、スピンチャック1を飛散防止カップ28の上方から突出させる。この状態で搬送手段(図示せず)が処理済の基板Wを装置から搬出して、1枚の基板Wに対する洗浄処理が終了する(ステップS4)。
【0114】
以上のように、この実施形態によれば、互いに異なる第1支持ピンF1〜F12と第2支持ピンS1〜S12の2種類の支持ピンが設けられており、基板Wの処理内容に応じて保持モードを選択的に切り換え可能となっているので、基板Wの処理の内容に応じて基板を常に適切な態様で保持しつつ、基板Wを回転させながら該基板を良好に処理することができる。
【0115】
すなわち、この実施形態によれば、スピンベース13を第1回転速度V1(低速)で回転させている時には基板Wに作用する遠心力は比較的小さいため、第1保持モードにより基板Wを確実に保持することができる。その一方で、第2回転速度V2(高速)で基板処理を行う場合には、第3保持モードで基板Wを保持することで基板Wの水平移動を確実に規制して基板Wの破損などを未然に防止することが可能となっている。
【0116】
さらに、スピンベース13を第2回転速度V2で回転させている時に、第3保持モードで基板Wを保持することで、基板Wは第1支持ピンF1〜F12と第2支持ピンS1〜S12の両方で支持されることから、高速回転時における基板Wの反りの発生を抑えながら、基板Wを安定してスピンベース13に保持させることができる。
【0117】
また、この実施形態によれば、基板Wの表面周縁部TRに処理液を供給して該表面周縁部TRを処理する際に、保持モードを第1保持モードに設定している。これにより、基板Wの表面周縁部TRに供給され基板外に排出される処理液が基板Wに向けて跳ね返るのを防止して、周縁エッチング幅EHを全周にわたって均一にして処理することができる。
【0118】
また、この実施形態によれば、基板Wの裏面Wbに処理液を供給して裏面Wbを処理する際に、第1、第2および第3保持モードの間で保持モードを切り換えることにより、第1支持ピンF1〜F12と基板Wとの当接部分および第2支持ピンS1〜S12と基板Wとの当接部分にも処理液が供給され、裏面全体をくまなく処理できる。しかも、第1保持モードから第2保持モードに移行させる際に、第3保持モードを経由して保持モードを切り換えているので、基板Wの回転を継続させながらも基板Wを確実に保持することができる。
【0119】
また、この実施形態によれば、第1および第2支持ピンF1〜F12、S1〜S12を同一の支持位置PSで基板Wを支持可能に構成しているので、保持モードの切り換え時に基板Wの高さ位置が変化することがない。このため、保持モードの切り換え時においても、基板Wの上面(表面Wf)と遮断板5の対向面501との間の間隔を変化させることなく、空間SPの内部圧力を一定に保つことが可能となっている。その結果、基板Wと支持ピンとの間の摩擦力を変動させることなく、安定して基板Wを保持させることができる。
【0120】
なお、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したもの以外に種々の変更を行うことが可能である。例えば上記実施形態では、スピンドライ処理を実行する際に、保持モードを第3保持モードに設定しているが、第2保持モードに設定するようにしてもよい。このように保持モードを設定しても、基板Wの水平移動を規制して基板Wの破損などを未然に防止することができる。
【0121】
また、上記実施形態では、第1モータM1および第2モータM2を独立に制御して、第1支持ピンF1〜F12および第2支持ピンS1〜S12を昇降駆動させているが、第1支持ピンF1〜F12と第2支持ピンS1〜S12とを連動させて昇降駆動させるようにしてもよい。
【0122】
また、上記実施形態では、基板Wの表面周縁部TRに形成されている不要な薄膜TFをエッチング除去するベベルエッチング処理と裏面Wbを洗浄する裏面洗浄処理を実行しているが、ベベルエッチング処理のみ、あるいは裏面洗浄処理のみ実行する基板処理装置に適用可能である。また、裏面Wbから処理液を供給して表面周縁部TRに回り込ませて該表面周縁部TRを処理する基板処理装置にも適用可能である。
【産業上の利用可能性】
【0123】
この発明は、半導体ウエハ、フォトマスク用ガラス基板、液晶表示用ガラス基板、プラズマ表示用ガラス基板、光ディスク用基板などを含む基板全般の表面に対して基板を略水平姿勢で回転させながら該基板に対して所定の処理を施す基板処理装置に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0124】
【図1】この発明にかかる基板処理装置の一実施形態を示す図である。
【図2】図1の基板処理装置の制御構成を示すブロック図である。
【図3】スピンベースを上方から見た平面図である。
【図4】スピンチャックに関連する構成を説明するための断面図であって、支持ピンが上昇した状態を示す図である。
【図5】スピンチャックに関連する構成を説明するための断面図であって、支持ピンが下降した状態を示す図である。
【図6】スピンベース内に備えられた動作伝達機構の構成を説明するための平面図である。
【図7】スピンベースを背面から見たときの平面図である。
【図8】第1支持ピンの構成を示す図である。
【図9】第2支持ピンの構成を示す図である。
【図10】第1および第2支持ピンを駆動するための駆動機構の構成を説明するための平面図である。
【図11】遮断板の底面図である。
【図12】周縁処理ノズルと遮断板に設けられた貫通孔の構成を示す図である。
【図13】位置補正ユニットの構成を示す図である。
【図14】基板のノッチと押圧ブロックの形状との関係を説明する図である。
【図15】図13の位置補正ユニットの動作を説明するための図である。
【図16】図1の基板処理装置の動作を示すフローチャートである。
【図17】基板位置補正処理を示すフローチャートである。
【図18】図17の基板位置補正処理の動作を説明するための図である。
【図19】検出センサによる検出結果を示すグラフである。
【図20】ベベルエッチング処理および裏面洗浄処理の動作を示すフローチャートである。
【図21】支持ピンの動作を示すタイミングチャートである。
【図22】周縁処理ノズルの動作を示す模式図である。
【符号の説明】
【0125】
3…周縁処理ノズル
5…遮断板(板状部材、押圧手段)
12…チャック回転駆動機構(回転手段)
13…スピンベース(回転部材)
15…下面処理ノズル
18…ガス供給ユニット(ガス供給部、押圧手段)
52…遮断板回転駆動機構(板状部材回転手段)
54…ガス供給路(押圧手段)
102a…支持部位
106a…規制部位
501…(遮断版の)対向面(押圧手段)
506…(遮断版の)ガス噴出口(押圧手段)
F1〜F12…第1支持ピン(第1支持部材)
M1…第1モータ(第1昇降部)
M2…第2モータ(第2昇降部)
PS…支持位置
S1〜S12…第2支持ピン(第2支持部材)
SP…(対向面と基板の上面との間に形成される)空間
V1…第1回転速度
V2…第2回転速度
WT…基板の上面の高さ位置
W…基板
【技術分野】
【0001】
この発明は、半導体ウエハ、フォトマスク用ガラス基板、液晶用ガラス基板、光ディスク用基板等に対して洗浄処理などの所定の処理を施す基板処理装置および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体ウエハ等の基板に対して一連の処理工程を施す製造プロセスにおいては、基板の表面にフォトレジスト等の薄膜を形成するための成膜工程を有しているが、この成膜工程では基板の裏面あるいは基板表面の周縁部にも成膜されることがある。しかしながら、一般的には基板において成膜が必要なのは基板表面の中央部の回路形成領域のみであり、基板の裏面あるいは基板表面の周縁部に成膜されてしまうと、成膜工程の後工程において、他の装置との接触により基板表面の周縁部に形成された薄膜が剥がれたりすることがある。そして、これが原因となって歩留まりの低下や基板処理装置自体のトラブルが起こることがある。
【0003】
そこで、基板表面の周縁部に形成された薄膜を除去するために、例えば特許文献1に記載された装置が提案されている。この装置では、その表面に薄膜が形成された基板を上方に向けて配置するとともに、該基板の周縁に対応して設けられた複数(6個)のチャックピン等の挟持部材によって該基板が保持される。そして、このように複数の挟持部材により保持された状態で基板を回転させる。また、回転している基板の裏面(下面)に対して処理液として薬液を供給する。このとき、基板の表面(上面)に対向する対向面を有し、かつ基板の表面と所定の間隔離れた遮断部材を回転させると、基板の回転および遮断部材の回転によって、薬液は基板裏面全体に広がって基板裏面の不要物をエッチング除去するのみならず、基板の端面を介して基板表面の周縁部に回り込み、該周縁部に付着している不要物をもエッチング除去する。同様にして、処理液として純水を基板表面の周縁部に回り込ませることによって該周縁部に対してリンス処理を実行することができる。
【0004】
この装置では、基板の周縁に設けられた6個の挟持部材を2つの挟持部材群、つまり3個の第1挟持部材からなる第1挟持部材群と3個の第2挟持部材からなる第2挟持部材群とに分けて各挟持部材群を独立に制御することが可能となっている。そして、第1挟持部材群と第2挟持部材群とが交互に基板に当接し、常に第1および第2挟持部材群のいずれか一方が基板を挟持する。このため、エッチング不良やリンス不良などの処理不良が発生するのが防止される。すなわち、第1挟持部材群により基板を挟持し、第2挟持部材群は基板を挟持していない状態から、第1および第2挟持部材群により基板を挟持した状態を経て、第2挟持部材群により基板を挟持し、第1挟持部材群は基板を挟持しない状態へと移行させることで、基板の周縁部の各部を処理液によりくまなく処理している。こうして、基板裏面および基板表面の周縁部のみにおいて薄膜がエッチング除去された後、基板が高速回転されて、基板の上下面の水分が振り切られ、乾燥処理(スピンドライ)が行われる。
【0005】
【特許文献1】特開2004−111902号公報(図2)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載された装置では、処理液による処理の実行中に2つの挟持部材群の間で基板の保持態様を切り換えることにより、基板と挟持部材との当接位置についても処理が可能となるものの、基板の周縁を挟持部材によって保持しているため、次のような問題があった。すなわち、2つの挟持部材群の間で基板の保持態様を切り換えても、基板の周縁を挟持部材によって保持する限り、裏面から基板の端面を介して基板表面の周縁部に回り込む処理液が挟持部材に当たり、回り込んでくる処理液の回り込み量に乱れを生じさせるとともに、処理液の跳ね返りを発生させる結果となっていた。その結果、基板の表面周縁部のうち挟持部材によって基板が保持されている部分とそうでない部分とで薬液が回り込んでくる量が異なり、端面から内側に向かって処理される処理幅を均一にして処理することが困難なものとなっていた。つまり、基板に処理液を供給して該基板を処理する際には、処理液の跳ね返りの発生を防止する観点から基板の端面に当接する部材は存在しない方が望ましい。一方で、基板を高速回転させて乾燥処理を行う際には、基板を確実に保持する観点から、挟持部材のような基板の端面に当接可能な部位を有することが望ましい。ところが、上記した従来装置では、このような基板の処理内容に応じて適切な基板の保持態様を提供しているとはいえず、基板の処理内容に応じて基板を良好に処理することができなかった。
【0007】
この発明は上記課題に鑑みなされたものであり、基板の処理内容に応じて基板を良好に処理することができる基板処理装置および方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明にかかる基板処理装置は、基板を略水平姿勢で回転させながら該基板に対して所定の処理を施す基板処理装置であって、上記目的を達成するため、回転自在に設けられた回転部材と、回転部材を所定の回転速度で回転させる回転手段と、回転部材の上方に向けて昇降自在に回転部材に設けられるとともに、その先端部が基板の下面に当接して該基板を略水平姿勢で支持可能に構成された、少なくとも3個以上の第1支持部材を有する第1支持手段と、基板の下面に当接して該基板を略水平姿勢で支持可能に構成された支持部位と、支持部位に対し基板の周縁側に配置されて基板が水平方向に移動した際に基板の端面に当接して基板の水平方向の移動を規制する規制部位とをその先端部に備え、回転部材の上方に向けて昇降自在に回転部材に設けられた、少なくとも3個以上の第2支持部材を有する第2支持手段と、第1支持部材および第2支持部材を昇降させる昇降手段と、基板の上面にガスを供給することによって基板を第1支持部材および/または第2支持部材に向けて押圧可能に構成された押圧手段と、昇降手段および押圧手段を制御することで、第1支持部材で基板を支持するとともに押圧手段により基板を第1支持部材に向けて押圧して回転部材に保持させる第1保持モードと、第2支持部材で基板を支持するとともに押圧手段により基板を第2支持部材に向けて押圧して回転部材に保持させる第2保持モードとに、基板の処理の内容に応じて選択的に切り換える制御手段とを備えたことを特徴としている。
【0009】
このように構成された発明では、基板がその下面に当接する少なくとも3個以上の支持部材によって支持されるとともに、基板の上面に供給されるガスによって支持部材に押圧されて回転部材に保持される。そして、回転部材を回転させることで、支持部材に向けて押圧された基板は支持部材と基板との間に発生する摩擦力によって支持部材に支持されながら、回転部材とともに回転することとなる。これにより、基板はその端面に接触するチャックピン等の挟持部材がない状態で、回転部材に保持されて回転する。したがって、基板の端面を挟持することに起因して発生する不具合、例えば基板に供給された処理液が挟持部材に当たって基板に向けて跳ね返るような不具合を防止することができる。
【0010】
また、本発明では2種類の支持部材が設けられるとともに、互いに異なる2つの保持モードが基板の処理の内容に応じて選択的に切換可能となっている。このため、基板の処理の内容に応じて基板を常に適切な態様で保持しつつ、基板を回転させながら該基板を良好に処理することができる。もちろん、2種類の支持部材を有しているため、第1および第2支持部材で基板を支持する、第3保持モードをさらに設けてもよい。この場合、第1ないし第3保持モードから適宜保持態様を選択することができる。特に、第3保持モードにより基板を保持した際には、基板の下面を支持する支持部材の個数が第1および第2保持モードよりも多くなり、支持部材と基板との間に発生する摩擦力を高めることができる。つまり、基板をより確実に保持することができる。
【0011】
また、本発明では、上記したように支持部材と基板との間に発生する摩擦力により基板を保持しているため、基板の回転速度は増大するのにしたがって基板にかかる遠心力も増大する。そこで、回転速度に応じて基板の保持モードを切り換えるように構成してもよい。例えば、基板に対する処理を、回転部材を第1回転速度(低速)で回転させた状態で行う時と、回転部材を第2回転速度(高速)で回転させた状態で行う時とで、保持モードの切換を行うことができる。より具体的には、第1回転速度で回転させている時には基板に作用する遠心力は比較的小さいため、第1保持モードにより基板を確実に保持することができる。これに対し、回転速度が増大して第2回転速度になると、基板に作用する遠心力が増大するため、該遠心力により基板が水平移動する可能性が高まる。したがって、第2回転速度で基板処理を行う場合には、このような可能性を考慮して第2保持モードまたは第3保持モードで基板を保持するのが望ましく、該保持モードを採用することで基板の水平移動を確実に規制して基板の破損などを未然に防止することができる。
【0012】
特に、回転部材を高速の第2回転速度で回転させている時に、第3保持モードで基板を保持することで、基板は第1支持部材と第2支持部材の両方で支持されることから、高速回転時における基板の反りの発生を抑えながら、支持部材と基板との間に発生する摩擦力を高めて基板を安定して回転部材に保持させることができる。
【0013】
また、基板の上面周縁部に処理液を供給して該上面周縁部を処理液によって処理する周縁処理ノズルを設けて、該周縁処理ノズルから基板に処理液を供給する際には、保持モードを第1保持モードに設定するのが好ましい。これにより、基板はその下面に当接する第1支持部材のみで支持されながら基板の上面に供給されるガスによって、回転部材に保持される。このため、基板の上面周縁部に供給され基板外に排出される処理液が基板に向けて跳ね返るのを防止して、端面から内側に向かって処理される処理幅を均一にして処理することができる。
【0014】
また、基板の下面に処理液を供給して基板下面を処理液によって処理する下面処理ノズルを設けて、下面処理ノズルから基板に処理液を供給する際には、第1、第2および第3保持モードの間で保持モードを切り換えるように構成してもよい。このように保持モードを切り換えることにより、第1支持部材と基板との当接部分および第2支持部材と基板との当接部分にも処理液が供給され、基板の下面全体をくまなく処理できる。
【0015】
また、第1支持手段が有する第1支持部材の個数と第2支持手段が有する第2支持部材の個数とを同数とするのが好ましい。これにより、第1保持モードと第2保持モードとの間で保持モードを切り換える際にも、基板の保持状態の安定性を損なうことなく切り換えを実行することができる。
【0016】
また、第1支持部材を昇降させる第1昇降部と、第2支持部材を昇降させる第2昇降部とを設けて、第1昇降部と第2昇降部とを独立に制御して第1支持部材および第2支持部材を昇降駆動することが好ましい。この構成によれば、第1支持部材と第2支持部材とを独立して昇降させることができることから、上記した第1、第2および第3保持モードに自在に切り換えを実行できる。
【0017】
また、第1支持部材と第2支持部材とを、回転部材から所定距離だけ上方に離間した、同一の支持位置で基板を支持可能に構成すると、保持モードの切り換え時に基板の高さ位置が変化することなく、基板の押圧条件を変動させることがない。すなわち、基板と支持部材との間の摩擦力を変動させることなく、安定して基板を保持させることができる。
【0018】
また、押圧手段が、基板の上面に対向し、ガス噴出口が設けられた対向面を有する板状部材と、ガス噴出口からガスを噴出させることによって対向面と基板の上面との間に形成される空間にガスを供給するガス供給部とを有するようにしてもよい。この構成によれば、対向面に設けられたガス噴出口からガスが噴出されることで対向面と基板の上面との間に形成される空間にガスが供給される。その結果、該空間に供給されたガスの押圧力により基板をその下面に当接して支持する支持部材に押圧させることが可能となる。
【0019】
ここで、板状部材を固定した状態で回転する基板に対してガスを供給して基板を回転部材に保持させるようにしてもよいし、板状部材を基板とともに回転させた状態で基板を回転部材に保持させるようにしてもよい。板状部材を基板とともに回転させた場合は、基板と板状部材との間に回転に伴う余分な気流が発生するのを防止することができ、より良好な基板処理を行うことができる。
【0020】
また、第2支持部材が有する規制部位の高さを支持部位で支持された基板の上面の高さ位置よりも低く構成するのが好ましい。このように構成することで、基板に処理液を供給する場合でも、基板に向けて処理液の跳ね返りが発生するのを抑制することができる。また、押圧手段として、板状部材を基板の上面に対向させて板状部材の対向面と基板の上面との間に形成される空間にガスを供給して基板を支持部材に押圧させる場合でも、板状部材と基板とが接触するのを回避して板状部材を基板に十分に近接させることできる。
【0021】
また、この発明にかかる基板処理方法は、基板を略水平姿勢で回転させながら該基板に対して所定の処理を施す基板処理方法であって、上記目的を達成するため、回転する回転部材の上方に向けて回転部材に設けられた、少なくとも3個以上の第1支持部材が基板の下面に当接して該基板を支持しながら基板の上面に供給されるガスによって、基板を第1支持部材に向けて押圧して回転部材に保持させる第1保持モードと、回転する回転部材の上方に向けて回転部材に設けられた、少なくとも3個以上の第2支持部材が基板が水平方向に移動した際に基板の端面に当接して基板の水平方向の移動を規制しつつ、基板の下面に当接して該基板を支持しながら基板の上面に供給されるガスによって、基板を第2支持部材に向けて押圧して回転部材に保持させる第2保持モードとを備え、基板の処理の内容に応じて第1保持モードと第2保持モードとに選択的に切り換えることを特徴としている。
【0022】
このように構成された発明では、第1保持モードと第2保持モードとを有するとともに、基板の処理の内容に応じてこれら互いに異なる2つの保持モードの間で保持モードを切り換え可能となっていることから、基板の処理の内容に適応し、基板を良好に処理することができる。例えば、基板を回転させながら基板の上面周縁部に処理液を供給して該上面周縁部を処理液によって処理する上面処理工程では、保持モードを第1保持モードに設定することにより、基板の上面周縁部に供給され基板外に排出される処理液が基板に向けて跳ね返るのを防止しながら、端面から内側に向かって処理される処理幅を均一にして処理することができる。また、基板を回転させながら基板を乾燥させる乾燥処理工程では、保持モードを第2保持モードに設定することにより、基板の水平移動を確実に規制して基板の破損などを未然に防止することができる。
【0023】
また、第1支持部材および第2支持部材が基板の下面に当接して該基板を支持しながら基板の上面に供給されるガスによって、基板を第1支持部材および第2支持部材に向けて押圧して回転部材に保持させる第3保持モードをさらに設けて、基板の処理の内容に応じて、第1、第2および第3保持モードのいずれかに選択的に切り換えてもよい。このように、第1ないし第3保持モードから適宜保持モードを選択することにより、さらに適切な保持モードを提供することが可能となり、基板を良好に処理することができる。例えば、基板を回転させながら基板の下面に処理液を供給して該基板下面を前記処理液によって処理する下面処理工程では、第1、第2および第3保持モードの間で保持モードを切り換えることにより、第1支持部材と基板との当接部分および第2支持部材と基板との当接部分にも処理液が供給され、基板の下面全体をくまなく処理できる。また、基板を回転させながら基板を乾燥させる乾燥処理工程では、保持モードを第3保持モードに設定することにより、基板の下面を支持する支持部材の個数が第1および第2保持モードよりも多くなり、基板の反りを防止するとともに、支持部材と基板との間に発生する摩擦力を高めて、基板をより確実に保持することができる。
【発明の効果】
【0024】
この発明によれば、基板下面に当接する支持部材により基板を支持しながら基板上面にガスを供給することによって基板を支持部材に押圧させて回転部材に保持させている。そして、このように基板端面に接触するチャックピン等の挟持部材がない状態で回転部材に保持された基板を回転させている。そのため、基板の端面を挟持することに起因して発生する不具合を防止することができる。また、本発明では、2種類の支持部材が設けられるとともに、互いに異なる2つの保持モードが基板の処理の内容に応じて選択的に切換可能となっている。このため、基板の処理の内容に応じて基板を常に適切な態様で保持しつつ、基板を回転させながら該基板を良好に処理することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
図1は、この発明にかかる基板処理装置の一実施形態を示す図である。また、図2は図1の基板処理装置の制御構成を示すブロック図である。この基板処理装置は、半導体ウエハ等の基板表面Wfの周縁部からメタル層やフォトレジスト層などの薄膜をエッチング除去する装置である。具体的には、その表面Wf(デバイス形成面)に薄膜が形成された基板Wの周縁部TRに対して化学薬品または有機溶剤等の薬液や純水またはDIW等のリンス液(以下「処理液」という)を供給することで該表面周縁部TRから薄膜をエッチング除去するとともに、基板裏面Wbに処理液を供給して裏面Wb全体を洗浄する装置である。
【0026】
この基板処理装置は、基板Wをその表面Wfを上方に向けた状態で水平に保持して回転させるスピンチャック1と、スピンチャック1に保持された基板Wの下面(裏面Wb)の中央部に向けて処理液(薬液やリンス液)を供給する下面処理ノズル15と、スピンチャック1に保持された基板Wの上面に対向配置される遮断板5と、スピンチャック1に保持された基板Wの表面周縁部TRに処理液を供給する周縁処理ノズル3を備えている。さらに、この基板処理装置には、基板Wの水平方向の位置を補正するための位置補正ユニット40がスピンチャック1の側方に配設されている。
【0027】
スピンチャック1は、中空の回転支柱11がモータを含むチャック回転駆動機構12の回転軸に連結されており、チャック回転駆動機構12の駆動により鉛直方向に伸びる回転軸J回りに所定の回転速度で回転可能となっている。この回転支柱11の上端部には、スピンベース13が一体的にネジなどの締結部品によって連結されている。したがって、装置全体を制御する制御ユニット4からの動作指令に応じてチャック回転駆動機構12を駆動させることによりスピンベース13が回転軸J回りに回転する。このように、この実施形態では、チャック回転駆動機構12が本発明の「回転手段」に、スピンベース13が本発明の「回転部材」に相当している。
【0028】
チャック回転駆動機構12にはロータリーエンコーダ等の回転位置(回転角度)検出計が内蔵されており、スピンベース13の所定の基準位置からの回転位置を検出して制御ユニット4に送出する。また、制御ユニット4は回転位置検出計から送出された信号に基づいてチャック回転駆動機構12を駆動させてスピンベース13を所望の回転位置に位置決めすることが可能となっている。
【0029】
中空の回転支柱11には、処理液供給管14が挿通されており、その上端に下面処理ノズル15が結合されている。処理液供給管14は薬液供給ユニット16およびリンス液供給ユニット17と接続されており、薬液またはリンス液が選択的に供給される。また、回転支柱11の内壁面と処理液供給管14の外壁面の隙間は、円筒状のガス供給路19を形成している。このガス供給路19はガス供給ユニット18(ガス供給部)と接続されており、基板Wの下面とスピンベース13の対向面との間に形成される空間に窒素ガスを供給することができる。なお、この実施形態では、ガス供給ユニット18から窒素ガスを供給しているが、空気や他の不活性ガスなどを吐出するように構成してもよい。
【0030】
図3はスピンベース13を上方から見た平面図である。スピンベース13には、その中心部に開口が設けられるとともに、その周縁部付近には本発明の第1支持部材として機能する複数個(この実施形態では12個)の第1支持ピンF1〜F12と、本発明の第2支持部材として機能する複数個(この実施形態では12個)の第2支持ピンS1〜S12が鉛直方向に昇降自在に設けられている。第1支持ピンF1〜F12は、回転中心A0を中心として放射状に略等角度間隔でスピンベース13から上方に向けて突出して設けられるとともに、第2支持ピンS1〜S12は、円周方向に沿って各第1支持ピンF1〜F12の間に位置するように、回転中心A0を中心として放射状に略等角度間隔でスピンベース13から上方に向けて突出して設けられている。つまり、第1および第2支持ピンからなる一対の支持ピンが円周方向に沿って回転中心A0を中心として放射状に12対、スピンベース13の周縁部に上方に向けて設けられている。
【0031】
第1支持ピンF1〜F12および第2支持ピンS1〜S12の各々は、基板裏面Wbと当接することによって、スピンベース13から所定距離だけ上方に離間させた状態で基板Wを略水平姿勢で支持可能となっている。これらのうち、周方向に沿って1つ置きに配置された12個の第1支持ピンF1〜F12は、第1支持ピン群(第1支持手段)を構成し、これらは連動して基板Wを支持し、または基板Wの裏面Wbから離間してその支持を解除するように動作する。一方で、残る12個の第2支持ピンS1〜S12は、第2支持ピン群(第2支持手段)を構成し、これらは連動して基板Wを支持し、または基板Wの裏面Wbから離間してその支持を解除するように動作する。なお、基板Wを水平に支持するためには、各支持ピン群が有する支持ピンの個数は少なくとも3個以上であればよいが、各支持ピン群が有する支持ピンの個数を12個とすることにより安定して基板Wを支持することができる。
【0032】
また、第1支持ピン群を構成する第1支持ピンの個数と第2支持ピン群を構成する第2支持ピンの個数とを同数としていることから、第1支持ピン群と第2支持ピン群との間で基板Wの支持状態の切り換え(基板の支持/支持の解除)を行う際にも、基板の支持状態の安定性を損なうことなく切り換えを実行することができる。
【0033】
図4および図5は、スピンチャック1に関連する構成を説明するための断面図(図10のA−A’線断面)である。図4は、支持ピンが上昇した状態を示し、図5は、支持ピンが下降した状態を示す。また、図6は、スピンベース13内に備えられた動作伝達機構の構成を説明するための平面図である。図4および図5では、第1支持ピンが連動して昇降する様子のみが図示されているが、第2支持ピンも第1支持ピンと同様に連動して昇降可能となっている。
【0034】
スピンチャック1には、第1支持ピンF1〜F12を連動して昇降動作させるための第1動作伝達機構FT1と、第2支持ピンS1〜S12を連動して昇降動作させるための第2動作伝達機構FT2とが設けられている。第1動作伝達機構FT1は、図6(a)に示すように、第1支持ピンF1〜F12をそれぞれ作動させるための12個の上下アーム71と、これらの上下アーム71を連動して昇降させるための第1上下リング72とを備えている。上下アーム71の各々は、回転中心A0を中心として互いに等角度(30°)間隔で放射状に径方向に伸びるようにして、第1上下リング72にネジなどの締結部品によって連結されており、各上下アーム71の先端部には、第1支持ピンF1〜F12が立設される。同様に、第2動作伝達機構FT2は、図6(b)に示すように、第2支持ピンS1〜S12をそれぞれ作動させるための12個の上下アーム73と、これらの上下アーム73を連動して昇降させるための第2上下リング74とを備えている。上下アーム73の各々は、回転中心A0を中心として互いに等角度(30°)間隔で放射状に径方向に伸びるようにして、第2上下リング74にネジなどの締結部品によって連結されており、各上下アーム73の先端部には、第2支持ピンS1〜S12が立設される。
【0035】
第1上下リング72および第2上下リング74は、スピンベース13の回転中心A0に対して同心に配置されたほぼ円環状の部材であり、第2上下リング74は、その中央に設けられた開口部74aを大きくすることより、開口部74aに第1上下リング72の一部を包囲しながら、第1上下リング72の上方に配置されている(図4および図5)。これらの第1および第2上下リング72,74は、スピンベース13の回転軸J(鉛直軸)に沿って昇降可能となっており、第1上下リング72を昇降させることによって、第1支持ピンF1〜F12を一体的に昇降させることができ、第2上下リング74を昇降させることによって、第2支持ピンS1〜S12を一体的に昇降させることができる。
【0036】
スピンベース13は、上板131と下板132とをボルトで固定して構成されており、上板131の周縁部には、第1支持ピンF1〜F12および第2支持ピンS1〜S12を昇降自在に配設するために貫通孔131aが形成されている。また、上板131と下板132との間に第1および第2動作伝達機構FT1,FT2を収容する収容空間が形成されている。上板131および下板132の中央部には、スピンベース13を貫通する貫通孔133が形成されている。この貫通孔133を通り、さらに、スピンチャック1の回転支柱11を挿通するように、処理液供給管14が配置されている。この処理液供給管14の上端には、スピンチャック1に保持された基板Wの下面中央に対向する下面処理ノズル15が固定されている。
【0037】
図7は、スピンベース13を背面から見たときの平面図である。第1および第2上下リング72,74はそれぞれ、第1および第2上下リング72,74を昇降させるための第1および第2連動リング75、76と係合している。第1および第2連動リング75、76は、回転中心A0に対して同心に配置された円環状の部材であり、第2連動リング76は、第1連動リング75よりも外側に配置されている。第1および第2連動リング75、76はそれぞれ、スピンベース13の下板132に形成された貫通孔134,135を介して下板132に対して上下方向に伸びるように形成され、それらの上方端が第1および第2上下リング72、74と係合している。これらの第1および第2連動リング75、76は、スピンベース13の回転軸Jに沿って昇降可能となっており、第1連動リング75を昇降させることによって、第1上下リング72を介して第1支持ピンF1〜F12を昇降させることができ、第2連動リング76を昇降させることによって、第2上下リング74を介して第2支持ピンS1〜S12を昇降させることができる。
【0038】
次に、図8および図9を用いて第1支持ピンF1〜F12と第2支持ピンS1〜S12の構成について説明する。図8は、第1支持ピンの構成を示す図である。なお、第1支持ピンF1〜F12はいずれも同一構成を有しているため、ここでは1つの第1支持ピンの構成について説明する。第1支持ピンF1は、上下アーム71の上に立設された可動本体部材101と、可動本体部材101上に設けられ基板Wの下面周縁部と当接して基板Wを支持可能に構成された支持部材102と、可動本体部材101を取り囲むようにスピンベース13の上板131に嵌挿されたベローズ103と、ベローズ103の上方に取り付けられ、その上面に支持部材102を載置可能に構成されたリング部材105とを備えている。
【0039】
可動本体部材101の頂部には支持部材102を装着可能なネジ孔101aが形成されており、ネジ孔101aに支持部材102を嵌挿させることで可動本体部材101上に支持部材102を立設する。支持部材102は、ネジ形状の部材であり、上部のネジ頭部(ネジ山)が支持部位102aとして基板Wの下面に当接して基板Wを支持可能に構成されるとともに、下部のネジ部が可動本体部材101のネジ孔101aと螺合可能に構成されている。ベローズ103の上端部103aは、可動本体部材101の頂部(ネジ孔101aの周縁部)を覆うようにして可動本体部材101と係合することにより、可動本体部材101を保護するとともに、貫通孔131aからスピンベース13内部に液が侵入するのを防止している。ベローズ103は、例えばPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)より形成され、薬液等により基板Wを処理する際に、ステンレス鋼(SUS)またはアルミニウム等から形成される可動本体部材101を保護する。また、スピンベース13の上板131とベローズ103の端部材との間には、シール部材201が配設され、スピンベース13の内部空間を外部雰囲気から遮断している。
【0040】
リング部材105は、支持部材102のネジ部の径に合わせて開口した円環状の部材であり、ベローズ103の上端部103aの上に載置され、支持部材102が可動本体部材101のネジ孔101aにねじ込まれることで固定される。支持部材102のネジ部とリング部材105との間にはシール部材104が配置され、支持部材102とリング部材105との間から可動本体部材101のネジ孔101aに液が侵入するのを防止している。支持部材102およびリング部材105は、耐薬性を考慮して、PCTFE(ポリクロロトリフルオロエチレン)で形成されるのが好ましい。一方、耐薬性を考慮する必要がない場合には、ゴム系材質で形成するようにしてもよい。
【0041】
第1支持ピンF1の下方には、圧縮コイルばね202をその伸縮方向を鉛直方向に沿って配置するとともに収容したばねケース203がスピンベース13の下板132に設置されている。これにより、第1支持ピンF1は、上下アーム71を介して上方に向かって付勢されており、その結果として、図4に示すように、第1支持ピンF1は、支持部位102aが、基板Wの下面に当接して基板Wを支持する支持位置PSに位置決めされる。なお、このような第1支持ピンF1の高さ位置は、スピンベース13内部に固定配置されたストッパー204が可動本体部材101の下端のフランジ部101bに係合することによって第1支持ピンF1の上限位置が規定される。一方、図5に示すように、後述するようにして第1支持ピンF1が下降された場合には、ばねケース203の上端面203aがストッパーの役割を果たし、上下アーム71の下方端がばねケース203の上端面203aに係合することによって第1支持ピンF1の下限位置が規定される。
【0042】
図9は、第2支持ピンの構成を示す図である。第1支持ピンF1〜F12と第2支持ピンS1〜S12とは、基板Wの下面に当接して基板Wを支持可能に構成されている点において共通する。その一方で、第2支持ピンS1〜S12は、支持部位102aに支持された基板Wが水平方向に移動した際に、当該移動を規制することが可能となっている点で相違する。そのため、第2支持ピンS1〜S12については、第1支持ピンF1〜F12との相違点についてのみ説明することとし、第1支持ピンF1〜F12と同一の構成については、同一符号を付して説明を省略する。なお、各第2支持ピンS1〜S12はいずれも同一構成を有している。
【0043】
第2支持ピンS1〜S12は、ベローズ103(上端部103a)と支持部材102との間に介装されるリング部材106が、基板Wの端面に当接可能に仕上げられている。つまり、リング部材106は、支持部材102に対して基板Wの周縁側に配置された規制部位106aを有し、規制部位106aによって基板Wが水平方向に移動した際に、基板Wの端面に当接して基板Wの水平方向の移動を規制することが可能となっている。そして、このような規制部位106aが第2支持ピンS1〜S12の各々に設けられることで、支持部位102aに支持された基板Wが水平方向においてどのように移動したとしても基板Wの端面が規制部位106aに当接して、基板Wの径方向外側への飛び出しを防止することが可能となっている。
【0044】
各第2支持ピンS1〜S12の規制部位106aは、支持部位102aに支持された基板Wの端面と対向しながら該基板端面から所定の間隙を隔てるようにして設けられている。具体的には、各第2支持ピンS1〜S12の規制部位106aをそれぞれ結んで描かれる仮想円VC(図3参照)の直径が、基板Wの直径に対して若干大きくなるように、規制部位106aが設けられている。したがって、第2支持ピンS1〜S12により基板Wを支持させるためには、後述する基板位置補正処理において、基板Wの水平位置を上記した仮想円VCの内側に位置決めしておく必要がある。
【0045】
また、図9(b)に示すように、規制部位106aの高さは、支持部位102aによって支持された基板Wの上面の高さ位置WTよりも低くなるように形成されている。このように構成することで、後述する遮断板5が基板Wの上面(表面Wf)に対向しながら近接配置される場合であっても、遮断板5と規制部位106aとが接触するのを防止できる。また、基板Wに処理液を供給する際に、基板Wの径方向外側に流れ基板上から排出される処理液が基板Wに向けて跳ね返るのを抑制することができる。
【0046】
なお、その他の第2支持ピンの構成は第1支持ピンの構成と同様である。ここで、各第2支持ピンS1〜S12は、上下アーム73の先端部に立設されているが、上下アーム73が上昇した際に当接するストッパー204の高さ位置は、第1支持ピンF1の下方に配置されるストッパー204の高さ位置と同一である。そのため、第2支持ピンS1〜S12は、第1支持ピンF1〜F12と同一の支持位置PSで基板Wの下面に当接して基板Wを支持可能となっている。
【0047】
図4および図5に戻って説明を続ける。回転支柱11はチャック回転駆動機構12のモータの駆動軸と一体化しており、チャック回転駆動機構12を貫通して設けられている。チャック回転駆動機構12を包囲するようにケーシング21が配置されており、このケーシング21は、さらに、筒状のカバー部材22によって包囲されている。カバー部材22の上端はスピンベース13の下面近傍にまで及んでおり、その上端付近の内面にはシール機構23が配置されている。このシール機構23はスピンベース13の下面に固定されたシール部材24に摺接するようになっており、これにより、シール機構23と回転支柱11との間には、外部雰囲気から遮断された機構部収容空間MSが形成されている。
【0048】
また、図1に示すように、カバー部材22の周囲には、受け部材25が固定的に取り付けられている。カバー部材22の外壁面と受け部材25の内壁面との間の空間は排液槽26を構成しており、排液槽26の底部には、回収ドレイン27に連通接続された排液口26aが設けられている。そして、回収ドレイン27から排液された処理液(薬液およびリンス液)は必要に応じて再利用または廃棄される。
【0049】
また、排液槽26の上方には、スピンチャック1及び該スピンチャック1に保持された基板Wを包囲するように筒状の飛散防止カップ28が昇降自在に設けられている。この飛散防止カップ28は、基板Wに供給され該基板から除去された処理液が飛散するのを防止するために設けられており、制御ユニット4からの動作指令に応じてカップ昇降駆動機構29を駆動させることで回転軸Jに沿って昇降する。すなわち、飛散防止カップ28を上方位置(図1の実線で示す位置)に位置させることでスピンチャック1及び該スピンチャック1に保持された基板Wを側方位置から取り囲み、基板Wに供給され飛散する処理液を捕集可能となっている。一方で、図示していない搬送手段が未処理の基板Wをスピンベース13上の支持ピンに載置したり、処理済の基板Wを支持ピンから受け取る際には、下方位置(図1の破線で示す位置)に駆動される。
【0050】
図10は、第1および第2支持ピンを駆動するための駆動機構の構成を説明するための平面図である。機構部収容空間MS内において、ケーシング21の上蓋部21a上には、回転支柱11を取り囲むほぼ円環状のギヤケース61が取り付けられている。ギヤケース61上には、図10の平面図に示すように、第1モータM1および第2モータM2が、それぞれ本発明の「第1昇降部」および「第2昇降部」として回転支柱11に対して対称な位置に固定されている。ギヤケース61の内部には、図4および図5に示されているように、その内壁面の内周側および外周側にそれぞれベアリング62,63が圧入されている。ベアリング62,63は回転支柱11に対して同軸に配置されている。内側のベアリング62の回転側リングには、回転支柱11を包囲するリング状の第1ギヤ64が固定されており、外側のベアリング63の回転側リングには回転支柱11を包囲するリング状の第2ギヤ65が固定されている。したがって、ギヤケース61内において、第1ギヤ64および第2ギヤ65は回転支柱11に対して同軸的に回転可能であり、第2ギヤ65は第1ギヤ64よりも外側に位置している。第1ギヤ64は、外周側にギヤ歯を有し、第2ギヤ65は、内周側にギヤ歯を有している。
【0051】
第1モータM1の駆動軸に固定されたピニオン66は、第1ギヤ64と第2ギヤ65との間に入り込み、内側に配置された第1ギヤ64に噛合している。同様に、図10に示されているとおり、第2モータM2の駆動軸に固定されたピニオン67は、第1ギヤ64と第2ギヤ65との間に位置し、外側に配置された第2ギヤ65に噛合している。ギヤケース61上にはさらに、モータM1,M2を回避した位置に、一対の第1ボールねじ機構81が回転支柱11を挟んで対向する位置(すなわち、回転支柱11の側方)に配置されている。さらに、ギヤケース61上には、モータM1,M2および第1ボールねじ機構81を回避した位置に、他の一対の第2ボールねじ機構82が、回転支柱11を挟んで対向するように位置(すなわち、回転支柱11の側方)に配置されている。
【0052】
第1ボールねじ機構81は、図4および図5に示されているように、回転支柱11と平行に配置されたねじ軸83と、このねじ軸83に螺合するボールナット84とを備えている。ねじ軸83は、ギヤケース61の上蓋部に軸受け部85を介して取り付けられており、その下端は、ギヤケース61の内部に及んでいる。このねじ軸83の下端には、ギヤ86が固定されており、このギヤ86は第1ギヤ64と第2ギヤ65との間に入り込み、内側に配置された第1ギヤ64に噛合している。
【0053】
一方、ボールナット84には第1非回転側可動部材88が取り付けられている。この第1非回転側可動部材88は、回転支柱11を取り囲む環状の部材であって、その内周面には、回転支柱11を取り囲むように設けられた第1ベアリング77の非回転側リング77fが固定されている。第1ベアリング77の回転側リング77rは非回転側リング77fよりも回転支柱11に対して内方側に配置されている。この回転側リング77rは、回転支柱11を取り囲む環状の第1回転側可動部材89の外周面側に固定されている。第1回転側可動部材89は、回転支柱11の外周面に突出して設けられた案内レール90に係合している。この案内レール90は、回転支柱11に平行な方向に沿って形成されており、これにより、第1回転側可動部材89は、回転支柱11に沿う方向に案内されて移動可能な状態で、回転支柱11に結合されている。
【0054】
第1モータM1を駆動してピニオン66を回転させると、この回転は第1ギヤ64に伝達される。これによって、第1ギヤ64に噛合しているギヤ86が回転して、第1ボールねじ機構81のねじ軸83が回転する。これによって、ボールナット84およびこれに結合された第1非回転側可動部材88が回転支柱11に沿って昇降することになる。回転支柱11とともに回転することになる第1回転側可動部材89は、第1ベアリング77を介して第1非回転側可動部材88に結合されているから、この第1非回転側可動部材88の昇降により、回転支柱11の回転中であっても、案内レール90に沿って昇降されることになる。
【0055】
第1ボールねじ機構81によって昇降されるリング状の第1非回転側可動部材88の外方には、別のリング状の第2非回転側可動部材91が配置されている。第2ボールねじ機構82は、上記第1ボールねじ機構81と同様な構成を有しているが、そのねじ軸の下端に設けられたギヤは、ギヤケース61内の第1ギヤ64と第2ギヤ65との間において、第2ギヤ65に内側から噛合している。したがって、同じく第2ギヤ65に噛合しているピニオン67を第2モータM2によって駆動すれば、第2ボールねじ機構82のボールナット(図示せず)が昇降することになる。このボールナットが、第2非回転側可動部材91に結合されている。
【0056】
第2非回転側可動部材91の外周面には、回転支柱11を取り囲むように設けられた第2ベアリング78の非回転側リング78fが固定されている。この第2ベアリング78の回転側リング78rは、回転支柱11を取り囲むリング状の第2回転側可動部材92の内周面に固定されている。第2回転側可動部材92の上面には、回転伝達ピン93が回転支柱11に沿う鉛直方向に2本、回転支柱11を挟んで回転支柱11を中心として略対称な位置に挿入されている(図7)。回転伝達ピン93は、スピンベース13の上板131および下板132を貫通するようにしてスピンベース13に固定されており、その下端が第2回転側可動部材92を昇降自在にしながら第2回転側可動部材92と係合している。そして、第2ボールねじ機構82のボールナットとともに第2非回転側可動部材91が昇降するとき、第2ベアリング78を介して結合された第2回転側可動部材92も同時に昇降する。第2回転側可動部材92は昇降可能な状態で回転伝達ピン93を介してスピンベース13に結合されているからスピンベース13とともに(すなわち回転支柱11とともに)回転されるが、この回転中であっても、第2ボールねじ機構82からの駆動力を得て、昇降が可能である。
【0057】
第1回転側可動部材89には、その上方側に鉛直方向に伸びて第1連動リング75と係合する上下駆動ピン891が4本設けられている。具体的には、第1連動リング75には、図7に示すように、上下駆動ピン891の各々に対応して上下駆動ピン891に係合可能な切欠部751が形成されており、各切欠部751に上下駆動ピン891が挿入されている。そして、図5に示すように、第1回転側可動部材89が下降されることで、上下駆動ピン891の肩部891aが第1連動リング75に係合して、つまり4本の上下駆動ピン891が第1連動リング75を下方に引き下げるようにして、第1連動リング75を降下させる。これにより、上下アーム71の下方に配置された圧縮コイルばね202の付勢力に抗して、第1連動リング75に係合する第1上下リング72および第1上下リング72に連結された上下アーム71を一体的に降下させて上下アーム71の各々に立設された第1支持ピンF1〜F12を降下させることができる。
【0058】
さらに、第2支持ピンS1〜S12の降下動作についても、第1支持ピンF1〜F12の降下動作とほぼ同様である。すなわち、第2連動リング76には、第2回転側可動部材92が有する上下駆動ピン(図示せず)の各々に対応して上下駆動ピンに係合可能な挿入孔761が形成されており、各挿入孔761に上下駆動ピンが挿入される。そして、第2回転側可動部材92が下降することで、上下駆動ピンが第2連動リング76に係合して、第2連動リング76を降下させる。これにより、上下アーム73の下方に配置された圧縮コイルばね202の付勢力に抗して、第2連動リング76に係合する第2上下リング74および第2上下リング74に連結された上下アーム73を一体的に降下させて上下アーム73の各々に立設された第2支持ピンS1〜S12を降下させることができる。
【0059】
したがって、制御ユニット4の動作指令に応じて第1および第2モータM1、M2を回転駆動させることで、第1支持ピンF1〜F12からなる第1支持ピン群と、第2支持ピンS1〜S12からなる第2支持ピン群とを同時に、または独立して昇降させることが可能となっている。これにより、次に示す3種類の態様で基板Wを支持することができる。すなわち、第1および第2モータM1、M2を駆動させない状態では、第1および第2支持ピンF1〜F12、S1〜S12の全ての支持ピンが支持位置PSに位置して基板Wを第1支持ピン群と第2支持ピン群とで支持することができる。また、第1モータM1を駆動させることで第1支持ピンF1〜F12を降下させて該第1支持ピンF1〜F12を基板Wの下面から離間させ、第2支持ピンS1〜S12のみにより基板Wを支持することができる。その一方で、第2モータM2を駆動させることで第2支持ピンS1〜S12を降下させて該第2支持ピンS1〜S12を基板Wの下面から離間させ、第1支持ピンF1〜F12のみにより基板Wを支持することができる。
【0060】
図1に戻って説明を続ける。スピンチャック1の上方には、スピンベース13に対向する円盤状の遮断板5が本発明の「板状部材」として水平に配設されている。この遮断板5は、スピンチャック1の回転支柱11と同軸上に配置された回転支柱51の下端部に一体回転可能に取り付けられている。この回転支柱51には、遮断板回転駆動機構52が連結されており、制御ユニット4からの動作指令に応じて遮断板回転駆動機構52のモータを駆動させることにより遮断板5を回転軸J回りに回転させる。制御ユニット4は、遮断板回転駆動機構52のモータをチャック回転駆動機構12のモータと同期するように制御することで、スピンチャック1と同じ回転方向および同じ回転速度で遮断板5を回転駆動させることができる。このように、この実施形態では、遮断板回転駆動機構52が本発明の「板状部材回転手段」として機能している。
【0061】
また、遮断板5は、遮断板昇降駆動機構53と接続され、遮断板昇降駆動機構53の昇降駆動用アクチェータ(例えばエアシリンダーなど)を作動させることで、遮断板5をスピンベース13に近接して対向させたり、逆に離間させることが可能となっている。具体的には、制御ユニット4は遮断板昇降駆動機構53を作動させることで、基板処理装置に対して基板Wを搬入出、あるいは後述する位置補正ユニット40により基板Wの位置補正を行う際には、スピンチャック1の上方の退避位置に遮断板5を上昇させる。その一方で、基板Wをスピンベース13から所定距離だけ上方に離間した基板処理位置(支持位置PSに位置決めされた支持ピンにより支持された基板Wの高さ位置)で該基板に対して洗浄処理を施す際には、スピンチャック1に保持された基板Wの表面Wfのごく近傍に設定された所定の対向位置(図1に示す位置)まで遮断板5を下降させる。これにより、遮断板5の下面(対向面501)と基板表面Wfとが近接した状態で離間して対向配置される。
【0062】
遮断板5の中心の開口および回転支軸51の中空部は、ガス供給路54を形成している。このガス供給路54はガス供給ユニット18と接続されており、基板Wの上面(表面Wf)と遮断板5の対向面501との間に形成される空間SPに窒素ガスを供給することができる。
【0063】
図11は遮断板5の底面図である。遮断板5は、その下面(底面)が基板Wの上面(表面Wf)と略平行に対向する対向面501となっており、その平面サイズは基板Wの直径と同等以上の大きさに形成されている。このため遮断板5が対向位置に配置されると基板Wの表面全体を覆って基板表面Wf上の雰囲気を外部雰囲気から遮断することが可能となっている。また、遮断板5の周縁部には遮断板5を上下方向(鉛直軸方向)に貫通する、略円筒状の内部空間を有する貫通孔502が形成されており、後述する周縁処理ノズル3が挿入可能となっている。この貫通孔502はスピンチャック1に保持される基板Wの表面周縁部TRに対向する位置に形成されているため、周縁処理ノズル3を貫通孔502に挿入させることで周縁処理ノズル3を表面周縁部TRに対向して配置させることができる。
【0064】
また、対向面501には複数のガス噴出口506が開口している。複数のガス噴出口506はスピンチャック1に保持される基板Wの表面中央部の非処理領域NTRに対向する位置に、回転中心A0を中心とする円周に沿って等角度間隔に形成されている。これらのガス噴出口506は、遮断板5の内部のガス流通空間505に連通しており、ガス流通空間505に窒素ガスが供給されると、ガス噴出口506を介して窒素ガスが空間SPに供給される。なお、ガス噴出口は複数の開口に限らず、単一の開口、例えば、回転中心A0を中心として全周にわたってリング状に開口したものであってもよい。但し、複数のガス噴出口とした方が、ガス噴出圧の均一性を得る点で有利である。
【0065】
そして、この空間SPに窒素ガスが供給されることで空間SPの内部圧力を高めて基板Wをその下面に当接する支持ピン(第1支持ピンF1〜F12および/または第2支持ピンS1〜S12)に押圧させることができる。これによって、支持ピンに押圧された基板Wは、チャック回転駆動機構12がスピンベース13を回転させることで基板Wの下面と支持ピンとの間に発生する摩擦力によって支持ピンに支持されながらスピンベース13とともに回転する。なお、供給された窒素ガスは空間SPを基板Wの中心付近から径方向外側へと流れていく。このように、この実施形態では、遮断板5の対向面501、ガス噴出口506、ガス供給路54およびガス供給ユニット18が、本発明の「押圧手段」として機能している。
【0066】
したがって、制御ユニット4が、ガス供給ユニット18を制御して空間SPに窒素ガスを供給しながら、第1および第2モータM1、M2を回転駆動させることにより、次の3種類の保持モードで基板Wを保持可能としながら、該3種類の保持モードの間で保持モードを選択的に切り換えることができる。すなわち、制御ユニット4は、
(1)第2支持ピンS1〜S12を下降させて第1支持ピンF1〜F12(第1支持ピン群)で基板Wを支持しながら、空間SPに供給される窒素ガスによって基板Wを第1支持ピンF1〜F12に向けて押圧してスピンベース13に保持させる第1保持モード、
(2)第1支持ピンF1〜F12を下降させて第2支持ピンS1〜S12(第2支持ピン群)で基板Wを支持しながら、空間SPに供給される窒素ガスによって基板Wを第2支持ピンS1〜S12に向けて押圧してスピンベース13に保持させる第2保持モード、
(3)第1および第2支持ピンF1〜F12、S1〜S12(第1および第2支持ピン群)で基板Wを支持しながら、空間SPに供給される窒素ガスによって基板Wを第2支持ピンS1〜S12に向けて押圧してスピンベース13に保持させる第3保持モード
とに保持モードを選択的に切り換え可能となっている。
【0067】
次に、周縁処理ノズル3について説明する。周縁処理ノズル3は、ノズルアーム31の一方端に固着されている。ノズルアーム31の他方端はアーム軸32により軸支され、アーム軸32が回動することで周縁処理ノズル3がアーム軸32を中心として所定の角度範囲で揺動可能となっている。また、アーム軸32には、ノズルアーム31と該ノズルアーム31に固着された周縁処理ノズル3とを一体的に駆動させるノズル移動機構33が連結されている。このノズル移動機構33は、周縁処理ノズル3とノズルアーム31とを揺動させるモータ等の揺動駆動源331と、周縁処理ノズル3とノズルアーム31とを上下方向に昇降させるシリンダ等の昇降駆動源332とを備えている。これらの構成により、周縁処理ノズル3を、揺動駆動源331により基板表面Wfに平行に水平移動させるとともに、昇降駆動源332により上下移動させることが可能となっている。このため、制御ユニット4からの動作指令に応じてノズル移動機構33が駆動されることで、周縁処理ノズル3を遮断板5の貫通孔502に挿入させて表面周縁部TRに処理液を供給可能な処理位置P1(図1の実線で示す位置)と、周縁処理ノズル3を表面周縁部TRから離間した離間位置P2(図1の破線で示す位置)とに移動させることができる。
【0068】
図12は、周縁処理ノズルと遮断板に設けられた貫通孔の構成を示す図である。周縁処理ノズル3は遮断板5の貫通孔502の形状に合わせて略円筒状に形成され、貫通孔502に挿入されることで、周縁処理ノズル3の先端側が表面周縁部TR(図1)に対向して配置される。周縁処理ノズル3の内部には、処理液供給路301が形成されており、処理液供給路301の先端部(下端部)が周縁処理ノズル3の吐出口301aを構成している。そして、周縁処理ノズル3が貫通孔502に挿入される際には、周縁処理ノズル3の吐出口301a周囲の先端面3aが遮断板5の対向面501と面一の位置まで挿入される。周縁処理ノズル3の直径(ノズルの外径)は、遮断板5の貫通孔502に挿入させる関係上、必要以上に貫通孔502の孔径を大きくすることのないように、例えばφ5〜6mm程度に構成される。
【0069】
周縁処理ノズル3の吐出口301aは基板Wの径方向外側に向けて開口しており、吐出口301aから薬液およびリンス液を表面周縁部TRに選択的に供給可能になっている。処理液供給路301はノズル後端部においてチューブ等を介して薬液供給ユニット16およびリンス液供給ユニット17と接続されており、薬液またはリンス液が供給される。このため、例えば制御ユニット4からの動作指令に応じて薬液供給ユニット16から薬液が圧送されると、周縁処理ノズル3の吐出口301aから薬液が吐出され、表面周縁部TRに供給されるとともに、基板Wの径方向外側に向かって流れ、基板外に排出される。したがって、薬液の供給位置よりも基板内周側の非処理領域NTRには薬液は供給されず、その結果、基板表面Wfの周縁部は基板Wの端面から内側に向かって一定の幅(周縁エッチング幅)で薄膜がエッチング除去される。また、制御ユニット4からの動作指令に応じてリンス液供給ユニット17からリンス液が圧送されると、周縁処理ノズル3の吐出口301aからリンス液が吐出され、表面周縁部TRに供給されるとともに、基板Wの径方向外側に向かって流れ、基板外に排出される。
【0070】
周縁処理ノズル3は、略円筒状に形成されたノズル胴部の断面積がノズル先端側と後端側で異なるように構成されている。具体的には、ノズル先端側の胴部303の断面積がノズル後端側の胴部304の断面積に対して小さくなるように構成されており、ノズル先端側の胴部303とノズル後端側の胴部304との間に段差面3bを有している。すなわち、ノズル先端側の胴部303の外形面(側面)とノズル後端側の胴部304の外形面(側面)とは段差面3bを介して結合されている。段差面3bは胴部の結合部分においてノズル先端側の胴部303周囲を取り囲む円環状に形成されるとともに、スピンチャック1に保持された基板表面Wfに略平行に形成されている。
【0071】
なお、周縁処理ノズル3およびノズルアーム31は耐薬性を考慮して樹脂材料により形成されている。具体的には、周縁処理ノズル3は、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)にて、ノズルアーム31はPVC(ポリ塩化ビニル)にて形成されている。周縁処理ノズル3の段差面3bは、例えば上記樹脂材料で形成された円筒状のノズルの先端側を切削加工することにより形成することができる。
【0072】
一方で、遮断板5の貫通孔502の内壁には、周縁処理ノズル3の段差面3bと当接可能な段差部503が設けられている。この段差部503は、周縁処理ノズル3が処理位置P1に位置決めされた際に周縁処理ノズル3と当接する、円環状の当接面5aを有している。当接面5aは、遮断板5の対向面501と略平行に、つまり基板表面Wfと略平行に形成されており、周縁処理ノズル3の段差面3bと面接触することが可能となっている。このため、段差面3bおよび当接面5aを基板表面Wfに平行に形成しない場合に比べて、周縁処理ノズル3の外形部分および貫通孔502の内壁の加工を容易として、周縁処理ノズル3を処理位置P1に位置決めする際に、基板Wに対するノズルの位置精度を高めることができる。さらに、周縁処理ノズル3を処理位置P1に位置決めする際に、周縁処理ノズル3の段差面3bが遮断板5の当接面5aに押し付けられることにより、周縁処理ノズル3が遮断板5に当接固定され、処理位置P1に安定して位置決めすることができる。
【0073】
また、遮断板5の貫通孔502の内壁には、ガス導入部504が開口されており、ガス導入部504から貫通孔502の内部空間に窒素ガスを供給することが可能となっている。ガス導入部504は遮断板5の内部に形成されたガス流通空間505を介してガス供給ユニット18に連通している。したがって、制御ユニット4からの動作指令に応じてガス供給ユニット18から窒素ガスが圧送されると、貫通孔502の内部空間に窒素ガスが供給され、周縁処理ノズル3が離間位置P2(図1の破線で示す位置)に移動された状態、すなわち、周縁処理ノズル3が貫通孔502に挿入されていない状態では、貫通孔502の上下双方の開口から窒素ガスが噴出される。
【0074】
ガス導入部504は、貫通孔502の内壁に形成された当接面5aに対して、基板Wから離間する方向、つまり当接面5aを中心として基板Wが位置する方向と反対側に開口されている。このため、周縁処理ノズル3が処理位置P1に位置決めされた際に、周縁処理ノズル3の段差面3bと当接面5aとが当接することにより基板W側へのガス流路が塞がれ、窒素ガスが当接部分を越えて貫通孔502から基板表面Wfと対向面501とで挟まれた空間SPに噴出するのが防止される。なお、ガス導入部504を介して貫通孔502に導入された窒素ガスは貫通孔502の上方、つまり基板Wの反対側の開口から排出される。
【0075】
次に、図13ないし図15を用いて、位置補正ユニット40について説明する。この基板処理装置には、スピンチャック1の側方に基板Wの水平方向の位置を補正するための位置補正ユニット40が配設されている。基板Wの端面から内側に向かってエッチング除去される幅(周縁エッチング幅)を正確にコントロールするためには、スピンベース13の回転中心A0と基板Wの中心W0とを一致させることが重要となっている。基板中心W0とスピンベース13の回転中心とが位置ずれ(偏心)していると、周縁エッチング幅を均一にして処理することができなくなるからである。ここで、例えば基板Wの周縁を挟持するチャックピン等の挟持部材を3個以上設けた場合には、各挟持部材が基板Wの端面に当接して基板Wを保持することで、スピンベース13等の回転部材の回転中心と基板中心とを所定の範囲に位置決めすることが可能である。その一方で、本発明のように挟持部材がない状態では、基板Wが装置内に搬入され支持ピンに載置された後、スピンベース13に対する基板Wの偏心量(スピンベース13の回転中心A0と基板中心W0との間の距離)を測定するとともに、基板Wが偏心している場合には基板Wの水平位置を補正する必要がある。そこで、この実施形態では、位置補正ユニット40により、次のようにしてスピンベース13の回転中心A0と基板中心W0とを一致させている。
【0076】
図13は、位置補正ユニットの構成を示す図である。この位置補正ユニット40は、支持ピンに滑動自在に支持された基板Wの端面に当接して該基板Wを水平方向に押圧する押圧ブロック41と、押圧ブロック41を支持するロッド42と、該ロッド42に接続され、押圧ブロック41をスピンベース13の回転中心A0を通る線上(スピンベース13の径方向)に沿って水平方向に移動させるブロック移動機構43と、基板Wの周縁に配置されて該基板Wの端面位置を検出する検出センサ44とを備えている。
【0077】
ここで、上記したように、基板Wは第1および第2支持ピンF1〜F12、S1〜S12により支持可能に構成されているが、基板Wの位置補正を行う際には、制御ユニット4は、第2支持ピンS1〜S12を基板Wの下面から離間させて第1支持ピンF1〜F12のみにより基板Wを支持させる。
【0078】
押圧ブロック41は円筒形状をなしており、その上面にロッド42が固着されている。そのため、ブロック移動機構43がロッド42を水平方向に駆動させることで、押圧ブロック41の側面41aを基板Wの端面に当接させつつ基板Wを水平方向に押動することが可能となっている。具体的には、押圧ブロック41(側面41a)が、第1支持ピンF1〜F12に滑動自在に支持された基板Wに当接しつつ押圧することで、基板裏面Wb(下面)と第1支持ピンF1〜F12との間に発生する摩擦力よりも大きな力を作用させて基板Wを第1支持ピンF1〜F12上で滑動させて押圧方向に基板Wを移動させることが可能となっている。
【0079】
また、ロッド42と検出センサ44とは、図示省略するブラケット等の取付け具を介して連結されている。このため、制御ユニット4からの動作指令に応じてブロック移動機構43が作動することで、1つの駆動系で押圧ブロック41と検出センサ44とが一体的に駆動するように構成されている。
【0080】
ここで、押圧ブロック41の横断面形状である円の直径は、基板Wの周縁部に形成された切欠部の影響を考慮して次のように構成されている。すなわち、処理対象としている基板Wには、切欠部が施されていることが多い。例えば、基板Wとして半導体ウエハでは、ウエハ面内の結晶学的基準方位を示すために、ノッチなどの切欠部が形成されている。この場合、押圧ブロック41と切欠部とが対向したときには、押圧ブロック41が切欠部に入り込んで的確に基板Wを押動することができない。そこで、切欠部の存在を考慮して以下のように押圧ブロック41を構成している。ここでは、基板Wの周縁部にノッチNTが形成されている場合について説明する。
【0081】
図14は、基板のノッチと押圧ブロック41の形状との関係を説明する図である。基板Wは略円盤形状を有するとともに、周縁部にノッチNTが形成されてなるものである。図5に示すように、押圧ブロック41の横断面形状である円の直径Dは、基板Wの円周がノッチNTによって切り取られる弧の長さLよりも十分に大きくなるように構成されている。したがって、押圧ブロック41と対向する基板Wの端面位置にノッチNTが存在する場合でも、ノッチNTに押圧ブロック41が入り込むのを防止して基板Wの位置ずれを抑制することができる。
【0082】
図15は、図13の位置補正ユニットの動作を説明するための図である。ブロック移動機構43は、ロッド42(および検出センサ44)を駆動させることで、当接部位41a(押圧ブロック41の側面)をスピンベース13の回転中心A0から水平方向に基板Wの半径に対応して定められた距離Rだけ離れた既定位置P11(図15の破線位置)と、基板Wから側方に離間した離間位置P12(図15の実線位置)とに位置決めするように構成されている。
【0083】
ここで、既定位置P11として、例えばスピンベース13の回転中心A0から水平方向に基板Wの半径に位置決め目標精度の正の許容値を加えた距離Rだけ離れた位置に、押圧ブロック41の当接部位41aがブロック移動機構43によって位置決めされる。例えば、基板Wの直径が300mm、位置決め目標精度を+0.05/−0.05mmとした場合には、既定位置P11として、スピンベース3の回転中心A0から150.05mmだけ離れた位置に当接部位41aが移動される。なお、既定位置P11として、そのまま回転中心A0から水平方向に基板Wの半径だけ離れた位置としてもよい。
【0084】
検出センサ44は、基板Wの側方に配置され、スピンベース13を回転させることでスピンベース13上に支持された基板Wの端面位置を検知することで検出センサ44から基板Wの端面までの距離を検出する。ここで、検出センサ44とスピンベース13の回転中心A0との間の相対距離は一定であるので、基板中心W0がスピンベース13の回転中心A0から偏心している場合には、検出センサ44から基板Wの端面までの距離が基板Wの回転に伴って変動する。このため、基板Wを回転させながら検出センサ44が基板Wの端面までの距離を検出することで、回転中心A0から最も離れた端面位置(以下「偏心位置」という)を知ることができる。
【0085】
なお、検出センサ44には例えば投光部と受光部とを備え、反射光の位置から三角測量法により距離を測定する光学式距離センサ、あるいは測定対象物との間の容量を検出することにより距離(または距離の変位量)を測定する静電容量式の近接覚センサなどを用いることができる。
【0086】
次に、上記のように構成された基板処理装置の動作について図16ないし図22を参照しつつ詳述する。図16は、図1の基板処理装置の動作を示すフローチャートである。先ず、飛散防止カップ28を下方位置(図1の破線で示す位置)に位置させて、スピンチャック1を飛散防止カップ28の上方から突出させるとともに、遮断板5をスピンチャック1の上方の退避位置に位置させて、遮断板5とスピンチャック1との間隔を広げる。この状態で搬送手段(図示せず)が未処理の基板Wを装置内に搬入する(ステップS1)。
【0087】
この装置では、基板Wの表面Wfにメタル層などの薄膜TFが形成された基板Wを薄膜形成面を上方に向けた状態で搬入させ、制御ユニット4が図16のフローチャートに示す一連の基板位置補正処理を実行する(ステップS2)。ここで、基板位置補正処理を実行に先立って、制御ユニット4は、第1支持ピンF1〜F12からなる第1支持ピン群のみにより基板Wを支持させる。これにより、第2支持ピンF1〜F12に設けられた規制部位106aが検出センサ44と基板端面との間を遮ったり、押圧ブロック41を基板端面に当接させて押し込む際に、規制部位106aと接触するのを回避することができる。
【0088】
図17は基板位置補正処理を示すフローチャートである。また、図18は、図17の基板位置補正処理の動作を説明するための図である。先ず、検出センサ44による基板Wの端面までの距離の検出を開始する(ステップS11)。そして、検出センサ44による検出動作を実行した状態で、制御ユニット4はチャック回転駆動機構12を作動させて基板Wを回転させる(ステップS12)。このとき、基板Wは基板Wの下面と第1支持ピンF1〜F12との間に発生する摩擦力で第1支持ピンF1〜F12に保持されながら回転中心A0回りに回転する。ここで、スピンベース13の回転位置はチャック回転駆動機構12に内蔵された回転位置検出計により検出され、制御ユニット4に送出される。その結果、基板Wの周方向位置と基板Wの端面までの距離について基板Wの全周を計測することで、図19に示すような計測結果を得ることができる。
【0089】
図19は検出センサによる検出結果を示すグラフである。具体的には基板Wを略一周回転させた際に得られる、基板Wの周方向位置に対する検出センサ44から基板Wの端面までの距離を示すグラフである。図19に示すように、回転中心A0と基板中心W0とがずれている(偏心している)場合には、検出センサ44から基板Wの端面までの距離が変化して、当該距離が最小となる極小点PAと当該距離が最大となる極大点PBとが検出される。ここで、図18(a)に示すように、極小点PAは回転中心A0から最も離れた端面位置(偏心位置)、すなわち回転中心A0から基板中心W0の方向(偏心方向)に伸びる仮想線PLを想定した場合に該仮想線PLと基板Wの外径とが交わる位置に相当する。そして、制御ユニット4は、回転位置検出計から送出される信号と検出センサ44からの検出信号に基づいて偏心位置PA(回転方向の位置)を算出する(ステップS13)。
【0090】
ここで、制御ユニット4は、極小点(偏心位置)PAと極大点PBとの間の距離が位置決め目標精度TAの範囲内にあるか否かを判断して(ステップS14)、目標精度TAの範囲内にある場合(ステップS14でYES)には基板Wの位置補正をすることなく、そのまま処理を終了する。一方、目標精度TAの範囲内にない場合(ステップS14でNO)には基板Wの位置補正を実行する。
【0091】
基板Wの位置補正を実行する場合(ステップS14でNO)、制御ユニット4は偏心位置PAが押圧ブロック41に対向する位置(図18(b)の実線で示す基板Wの位置)にくるように基板Wを回転させる。そして、該対向位置で基板Wの回転を停止させて位置決めする(ステップS15)。
【0092】
次に、制御ユニット4は、ブロック移動機構43の作動により押圧ブロック41を駆動させて当接部位41a(押圧ブロック41の側面)を回転中心A0の方向に既定位置P11(図18(b)の破線で示す位置)まで押動させる(ステップS16)。このとき基板Wは第1支持ピンF1〜F12に滑動自在に支持されているので、押圧ブロック41が基板Wの下面と第1支持ピンF1〜F12との間に発生する摩擦力よりも大きな力で基板Wを押圧することで、基板Wが押圧ブロック41に当接しつつ第1支持ピンF1〜F12上を水平方向に滑動する。その結果、基板Wが押圧ブロック41に押動されて偏心位置PAが既定位置P11に合わされる。ここでは、既定位置P11として回転中心A0から水平方向に基板Wの半径に目標精度TAの正の許容値を加えた距離Rだけ離れた位置としている。したがって、偏心位置PAを既定位置P11に一致させることで回転中心A0から基板中心W0までの距離が目標精度TA内となるように基板Wの位置が補正される。
【0093】
こうして、基板Wの位置補正が完了すると、制御ユニット4はブロック移動機構43を駆動させて押圧ブロック41(および検出センサ44)を基板Wから側方に離間した離間位置P12に退避させる(ステップS17)。また、第1支持ピンF1〜F12のみによる基板支持を継続させたまま、飛散防止カップ28を上方位置(図1の実線で示す位置)に位置させることでスピンベース13および第1支持ピンF1〜F12で支持された基板Wを側方位置から取り囲み、後述するベベルエッチング処理および裏面洗浄処理において飛散する処理液を捕集可能な状態とする。
【0094】
続いて、制御ユニット4が装置各部を以下のように制御して基板Wに対してベベルエッチング処理および裏面洗浄処理(エッチング工程+リンス工程+乾燥工程)を実行する(ステップS3)。より具体的には、制御ユニット4は、図20のフローチャートに示す一連の処理を実行する。
【0095】
図20はベベルエッチング処理および裏面洗浄処理の動作を示すフローチャートである。また、図21は支持ピンの動作を示すタイミングチャートである。さらに、図22は周縁処理ノズル3の動作を示す模式図である。なお、図21において、第1および第2支持ピンF1〜F12、S1〜S12について、「ON」とあるのは、支持ピンが基板Wの下面(裏面Wb)に当接して基板Wを支持している状態を表す一方で、「OFF」とあるのは、支持ピンが降下され基板Wの下面(裏面Wb)から離間している状態を表す。
【0096】
制御ユニット4は遮断板5を対向位置まで降下させて、第1支持ピンF1〜F12に支持された基板Wに近接して対向配置させる(ステップS21)。そして、ガス噴出口506から窒素ガスを吐出させるとともに、ガス供給路54から基板表面Wfの中央部に向けて窒素ガスを供給する(ステップS22)。つまり、制御ユニット4は保持モードを第1保持モードに設定する。これによって、遮断板5の対向面501と基板表面Wfとの間に形成される空間SPの内部圧力が高められ、基板Wはその下面(裏面Wb)に当接する第1支持ピンF1〜F12に向けて押圧されスピンベース13に保持される。また、基板表面Wfは遮断板5の対向面501にごく近接した状態で覆われることによって、基板Wの周辺の外部雰囲気から確実に遮断される。
【0097】
次に、制御ユニット4はノズル移動機構33を作動させることで周縁処理ノズル3を離間位置P2から処理位置P1に移動させる(ステップS23)。具体的には、揺動駆動源331の作動により周縁処理ノズル3が水平方向に沿って遮断板5の貫通孔502の上方位置に移動するとともに、昇降駆動源332の作動により周縁処理ノズル3が降下してノズル先端面3aが遮断板5の対向面501と面一となる位置まで貫通孔502に挿入される。このとき、周縁処理ノズル3の外形部分に形成された段差面3bと、貫通孔502の内壁に形成された当接面5aとが当接して、周縁処理ノズル3が遮断板5(段差部503)に基板Wに向かって、つまり鉛直方向下向きに押し付けられる。これによって、周縁処理ノズル3が遮断板5に当接固定され、処理位置P1に安定して位置決めされる。
【0098】
それに続いて、制御ユニット4は遮断板5を停止させた状態で、チャック回転駆動機構12を駆動してスピンベース13を回転させることにより、基板Wを回転させる(ステップS24)。具体的には、制御ユニット4はスピンベース13を比較的低速(例えば600rpm)の第1回転速度V1で回転させる。このとき、第1支持ピンF1〜F12に押圧された基板Wは第1支持ピンF1〜F12と基板Wの下面との間に発生する摩擦力でスピンベース15に保持されながら、スピンベース15とともに回転することとなる。このように低速の第1回転速度V1で回転させているときは、基板Wに作用する遠心力は比較的小さいため、第1保持モードにより基板Wを確実に保持することができる。
【0099】
基板表面Wfと対向面501とで挟まれた空間SPに供給された窒素ガスは、基板Wの回転に伴う遠心力によって回転軸Jを中心として径方向外側に均等に流れ、基板外に排出されていく。ここで、ガス導入部504を介して貫通孔502にも窒素ガスが流れ込むが、基板W側への流路は周縁処理ノズル3の段差面3bと貫通孔502の内壁に形成された当接面5aとの当接により塞がれており、貫通孔502から窒素ガスが空間SPに入り込むことがなく、貫通孔502の内壁と周縁処理ノズル3(ノズル後端側の胴部304)の隙間から遮断板5の上方から抜けていく。このため、遮断板5の周縁部に形成された1つの貫通孔502から空間SPに回転軸Jに対して不均一に窒素ガスが入り込み、回転中心A0を中心として径方向外側に均等に流れていく気流を乱すのを防止することができる。
【0100】
この状態で、薬液供給ユニット16からエッチング処理に適した薬液が周縁処理ノズル3に圧送されて、表面周縁部TRに処理液として薬液が供給される(図22(a))。基板Wの径方向外側に向けて吐出された薬液は基板Wの回転による遠心力を受けて基板Wの周縁に向かって流れ、基板の端面を伝って流下する。これにより、表面周縁部TRの全体に薬液が供給されて該表面周縁部TRがエッチング処理される。このとき、周縁処理ノズル3は遮断板5の段差部503に押し当てられた状態で処理位置P1に位置決めされているので、遮断板5に対して周縁処理ノズル3が固定され、ノズル位置、特に上下方向(高さ方向)の位置が正確に定まる。このため、基板Wの回転に伴う気流や振動等の影響により周縁処理ノズル3からの吐出位置が不安定になるのを防止できる。すなわち、樹脂等の剛性が比較的低い材質で形成されたノズルアーム31およびこれに固着された小径の周縁処理ノズル3は気流や振動等の影響を受け易いが、これらに比べて物理的(体積および質量、配置条件等)に振動等の影響を受けにくい遮断板5に周縁処理ノズル3が押し付けられることで、吐出位置が変動するのが防止される。
【0101】
特に、この実施形態では、薬液を鉛直方向ではなく、基板Wの径方向外側に向けて斜めに吐出させているので、基板Wと周縁処理ノズル3との間の距離が一定とされることで、周縁エッチング幅EHが変動するのを防止することができる。また、ノズル先端面3aが対向面501よりも上方に位置ずれした際に、周縁処理ノズル3から吐出された薬液が貫通孔502の内壁に当たって跳ね返りが発生するのを防止することができる。その結果、表面周縁部TR以外の非処理領域NTRがエッチングされてしまうのを回避することができる。
【0102】
また、保持モードを第1保持モードに設定して、基板Wを第1支持ピンF1〜F12のみにより支持しているため、基板Wの表面周縁部TRに供給され基板外に排出される薬液が基板Wに向けて跳ね返るのが防止される。つまり、第1保持モードで基板Wが保持された状態では、基板Wの端面に当接または対向して配置される部位が存在しないことから、このような部位による薬液の衝突による飛散が防止される。また、基板Wの周縁付近の気流を乱す要因がないことからミスト状の薬液の基板表面Wf側への巻き込みが軽減される。したがって、表面周縁部TRから不要物(薄膜TF)が一定の周縁エッチング幅EHで全周にわたって均一にエッチング除去される(ステップS25−1;上面処理工程)。
【0103】
さらに、周縁処理ノズル3は遮断板5の貫通孔502に挿入されるため、薬液が飛散して周縁処理ノズル3に向けて跳ね返ってくるような場合でも薬液は遮断板5の対向面501に遮られ、周縁処理ノズル3の周囲(側面)に薬液が付着するようなことがない。
【0104】
表面周縁部TRに対するエッチング処理が終了すると、リンス液が周縁処理ノズル3に圧送されて、表面周縁部TRにリンス液が供給される。これにより、基板Wの表面周縁部TRに付着している薬液がリンス液によって洗い流される(ステップS25−2;上面処理工程)。
【0105】
こうして、表面周縁部TRに対するリンス処理が終了すると、制御ユニット4は周縁処理ノズル3へのリンス液の圧送を停止して、周縁処理ノズル3を貫通孔502から抜き出して表面周縁部TRから離間した離間位置P2に移動させる(ステップS26)。このとき、ガス導入部504から貫通孔502に導入される窒素ガスが遮断板5の上下の開口から貫通孔502の上下方向に噴出する(図22(b))。このため、周縁処理ノズル3が貫通孔502から抜き出された状態であっても、処理液が貫通孔502に入り込み基板表面Wfに向けて跳ね返るのが抑制される。
【0106】
続いて、制御ユニット4は遮断板回転駆動機構52を制御してスピンベース13の回転数とほぼ同一の回転数で同一方向に遮断板5を回転させる(ステップS27)。その後、下面処理ノズル15からスピンベース13とともに回転される基板Wの裏面Wbに処理液が供給され、裏面Wbに対して裏面洗浄処理が実行される。具体的には、下面処理ノズル15から基板裏面Wbの中央部に向けて処理液として薬液とリンス液とが順次供給されることにより、裏面全体と裏面Wbに連なる基板端面部分に対してエッチング処理(ステップS28―1)とリンス処理(ステップS28―2)が実行される(下面処理工程)。このとき、基板Wとともに遮断板5を回転させることで、遮断板5に付着する処理液がプロセスに悪影響を及ぼすのを防止するとともに、基板Wと遮断板5との間に回転に伴う余分な気流が発生するのを抑制して基板表面Wfへの処理液の巻き込みを防止することができる。
【0107】
ここで、制御ユニット4は、裏面Wbに対する洗浄処理が実行される間に、保持モードの切り換えを行う。すなわち、図21に示すように、裏面Wbに対するエッチング処理中にタイミングT1で第2支持ピンS1〜S12を上昇させて第1および第2支持ピンF1〜F12、S1〜S12とで基板Wを支持した状態(第3保持モードに設定)に切り換えた後、タイミングT2で第1支持ピンF1〜F12を下降させて第2支持ピンS1〜S12のみで基板Wを支持した状態(第2保持モードに設定)に切り換える。これにより、第1および第2支持ピンと基板裏面Wbとの当接部分にも薬液を回り込ませて当該部分をエッチング処理することができる。こうして、基板Wの裏面全体と裏面Wbに連なる基板端面部分のエッチング処理が完了すると、薬液の供給を停止させる。
【0108】
その後、タイミングT3で第1支持ピンF1〜F12を上昇させ、第1および第2支持ピンF1〜F12、S1〜S12とで基板Wを支持した状態(第3保持モードに設定)に移行させた後、リンス液を下面処理ノズル15に圧送して裏面Wbに供給する。そして、タイミングT4で第2支持ピンS1〜S12を下降させて第1支持ピンF1〜F12のみで基板Wを支持した状態(第1保持モードに設定)に切り換える。続いて、タイミングT5で第1および第2支持ピンF1〜F12、S1〜S12とで基板Wを支持した状態(第3保持モードに設定)に移行させた後、タイミングT6で第1支持ピンF1〜F12を下降させて第2支持ピンS1〜S12のみで基板Wを支持した状態(第2保持モードに設定)に切り換える。そして、タイミングT7で第1および第2支持ピンF1〜F12、S1〜S12とで基板Wを支持した状態(第3保持モードに設定)に最終的に移行させる。こうして、第1および第2支持ピンF1〜F12、S1〜S12と基板裏面Wbとの当接部分にもリンス液を回り込ませながら、基板Wの裏面全体と裏面Wbに連なる基板端面部分のリンス処理が完了する。
【0109】
裏面Wbに対するリンス処理が終了すると、制御ユニット4は基板Wの回転を継続したまま下面処理ノズル15へのリンス液の圧送を停止して、基板Wに残留する液体成分を振り切り、基板外に排出する(ステップS29)。
【0110】
続いて、制御ユニット4はチャック回転駆動機構12および遮断板回転駆動機構52のモータの回転速度を高めて基板Wおよび遮断板5を高速回転させる。具体的には、制御ユニット4はスピンベース13を第1回転速度V1から該第1回転速度V1よりも高速の第2回転速度V2(例えば1500rpm)で回転させる。これにより、基板Wの乾燥(スピンドライ処理)が実行される(ステップS30;乾燥処理工程)。また、上記した基板表面Wfへの窒素ガス供給と併せて、ガス供給路19からも窒素ガスを供給することで、基板Wの表裏面に窒素ガスを供給させる。これにより、基板Wの表裏面の乾燥が促進される。
【0111】
このとき、回転速度の増大により基板Wに作用する遠心力が増大するため、該遠心力により基板Wが水平移動する可能性が高まる。しかしながら、第2支持ピンS1〜S12の各々に設けられた規制部位106aが基板Wの水平移動を確実に規制することにより、基板Wの破損などを未然に防止することができる。また、第1および第2支持ピンF1〜F12、S1〜S12のすべての支持ピンで支持した状態(第3保持モードに設定)となっていることから、基板Wの下面を支持する支持ピンの個数が第1および第2保持モードよりも多くなり、基板Wの反りを防止するとともに、支持ピンと基板Wとの間に発生する摩擦力を高めて、基板Wをより確実に保持すること可能となっている。
【0112】
こうして、基板Wのスピンドライ処理が終了すると、制御ユニット4は遮断板回転駆動機構52のモータを制御して遮断板5の回転を停止させるとともに(ステップS31)、チャック回転駆動機構12を制御して基板Wの回転を停止させる(ステップS32)。そして、ガス供給路54およびガス噴出口506からの窒素ガスの供給が停止され、基板Wの第1および第2支持ピンF1〜F12,S1〜S12への押圧保持が解除される(ステップS33)。これにより、ベベルエッチング処理および裏面洗浄処理が終了する。
【0113】
その後、制御ユニット4は、遮断板5をスピンチャック1の上方の退避位置に上昇させるとともに、飛散防止カップ28を下方位置(図1の破線で示す位置)に位置させて、スピンチャック1を飛散防止カップ28の上方から突出させる。この状態で搬送手段(図示せず)が処理済の基板Wを装置から搬出して、1枚の基板Wに対する洗浄処理が終了する(ステップS4)。
【0114】
以上のように、この実施形態によれば、互いに異なる第1支持ピンF1〜F12と第2支持ピンS1〜S12の2種類の支持ピンが設けられており、基板Wの処理内容に応じて保持モードを選択的に切り換え可能となっているので、基板Wの処理の内容に応じて基板を常に適切な態様で保持しつつ、基板Wを回転させながら該基板を良好に処理することができる。
【0115】
すなわち、この実施形態によれば、スピンベース13を第1回転速度V1(低速)で回転させている時には基板Wに作用する遠心力は比較的小さいため、第1保持モードにより基板Wを確実に保持することができる。その一方で、第2回転速度V2(高速)で基板処理を行う場合には、第3保持モードで基板Wを保持することで基板Wの水平移動を確実に規制して基板Wの破損などを未然に防止することが可能となっている。
【0116】
さらに、スピンベース13を第2回転速度V2で回転させている時に、第3保持モードで基板Wを保持することで、基板Wは第1支持ピンF1〜F12と第2支持ピンS1〜S12の両方で支持されることから、高速回転時における基板Wの反りの発生を抑えながら、基板Wを安定してスピンベース13に保持させることができる。
【0117】
また、この実施形態によれば、基板Wの表面周縁部TRに処理液を供給して該表面周縁部TRを処理する際に、保持モードを第1保持モードに設定している。これにより、基板Wの表面周縁部TRに供給され基板外に排出される処理液が基板Wに向けて跳ね返るのを防止して、周縁エッチング幅EHを全周にわたって均一にして処理することができる。
【0118】
また、この実施形態によれば、基板Wの裏面Wbに処理液を供給して裏面Wbを処理する際に、第1、第2および第3保持モードの間で保持モードを切り換えることにより、第1支持ピンF1〜F12と基板Wとの当接部分および第2支持ピンS1〜S12と基板Wとの当接部分にも処理液が供給され、裏面全体をくまなく処理できる。しかも、第1保持モードから第2保持モードに移行させる際に、第3保持モードを経由して保持モードを切り換えているので、基板Wの回転を継続させながらも基板Wを確実に保持することができる。
【0119】
また、この実施形態によれば、第1および第2支持ピンF1〜F12、S1〜S12を同一の支持位置PSで基板Wを支持可能に構成しているので、保持モードの切り換え時に基板Wの高さ位置が変化することがない。このため、保持モードの切り換え時においても、基板Wの上面(表面Wf)と遮断板5の対向面501との間の間隔を変化させることなく、空間SPの内部圧力を一定に保つことが可能となっている。その結果、基板Wと支持ピンとの間の摩擦力を変動させることなく、安定して基板Wを保持させることができる。
【0120】
なお、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したもの以外に種々の変更を行うことが可能である。例えば上記実施形態では、スピンドライ処理を実行する際に、保持モードを第3保持モードに設定しているが、第2保持モードに設定するようにしてもよい。このように保持モードを設定しても、基板Wの水平移動を規制して基板Wの破損などを未然に防止することができる。
【0121】
また、上記実施形態では、第1モータM1および第2モータM2を独立に制御して、第1支持ピンF1〜F12および第2支持ピンS1〜S12を昇降駆動させているが、第1支持ピンF1〜F12と第2支持ピンS1〜S12とを連動させて昇降駆動させるようにしてもよい。
【0122】
また、上記実施形態では、基板Wの表面周縁部TRに形成されている不要な薄膜TFをエッチング除去するベベルエッチング処理と裏面Wbを洗浄する裏面洗浄処理を実行しているが、ベベルエッチング処理のみ、あるいは裏面洗浄処理のみ実行する基板処理装置に適用可能である。また、裏面Wbから処理液を供給して表面周縁部TRに回り込ませて該表面周縁部TRを処理する基板処理装置にも適用可能である。
【産業上の利用可能性】
【0123】
この発明は、半導体ウエハ、フォトマスク用ガラス基板、液晶表示用ガラス基板、プラズマ表示用ガラス基板、光ディスク用基板などを含む基板全般の表面に対して基板を略水平姿勢で回転させながら該基板に対して所定の処理を施す基板処理装置に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0124】
【図1】この発明にかかる基板処理装置の一実施形態を示す図である。
【図2】図1の基板処理装置の制御構成を示すブロック図である。
【図3】スピンベースを上方から見た平面図である。
【図4】スピンチャックに関連する構成を説明するための断面図であって、支持ピンが上昇した状態を示す図である。
【図5】スピンチャックに関連する構成を説明するための断面図であって、支持ピンが下降した状態を示す図である。
【図6】スピンベース内に備えられた動作伝達機構の構成を説明するための平面図である。
【図7】スピンベースを背面から見たときの平面図である。
【図8】第1支持ピンの構成を示す図である。
【図9】第2支持ピンの構成を示す図である。
【図10】第1および第2支持ピンを駆動するための駆動機構の構成を説明するための平面図である。
【図11】遮断板の底面図である。
【図12】周縁処理ノズルと遮断板に設けられた貫通孔の構成を示す図である。
【図13】位置補正ユニットの構成を示す図である。
【図14】基板のノッチと押圧ブロックの形状との関係を説明する図である。
【図15】図13の位置補正ユニットの動作を説明するための図である。
【図16】図1の基板処理装置の動作を示すフローチャートである。
【図17】基板位置補正処理を示すフローチャートである。
【図18】図17の基板位置補正処理の動作を説明するための図である。
【図19】検出センサによる検出結果を示すグラフである。
【図20】ベベルエッチング処理および裏面洗浄処理の動作を示すフローチャートである。
【図21】支持ピンの動作を示すタイミングチャートである。
【図22】周縁処理ノズルの動作を示す模式図である。
【符号の説明】
【0125】
3…周縁処理ノズル
5…遮断板(板状部材、押圧手段)
12…チャック回転駆動機構(回転手段)
13…スピンベース(回転部材)
15…下面処理ノズル
18…ガス供給ユニット(ガス供給部、押圧手段)
52…遮断板回転駆動機構(板状部材回転手段)
54…ガス供給路(押圧手段)
102a…支持部位
106a…規制部位
501…(遮断版の)対向面(押圧手段)
506…(遮断版の)ガス噴出口(押圧手段)
F1〜F12…第1支持ピン(第1支持部材)
M1…第1モータ(第1昇降部)
M2…第2モータ(第2昇降部)
PS…支持位置
S1〜S12…第2支持ピン(第2支持部材)
SP…(対向面と基板の上面との間に形成される)空間
V1…第1回転速度
V2…第2回転速度
WT…基板の上面の高さ位置
W…基板
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を略水平姿勢で回転させながら該基板に対して所定の処理を施す基板処理装置において、
回転自在に設けられた回転部材と、
前記回転部材を所定の回転速度で回転させる回転手段と、
前記回転部材の上方に向けて昇降自在に前記回転部材に設けられるとともに、その先端部が前記基板の下面に当接して該基板を略水平姿勢で支持可能に構成された、少なくとも3個以上の第1支持部材を有する第1支持手段と、
前記基板の下面に当接して該基板を略水平姿勢で支持可能に構成された支持部位と、前記支持部位に対し前記基板の周縁側に配置されて前記基板が水平方向に移動した際に前記基板の端面に当接して前記基板の水平方向の移動を規制する規制部位とをその先端部に備え、前記回転部材の上方に向けて昇降自在に前記回転部材に設けられた、少なくとも3個以上の第2支持部材を有する第2支持手段と、
前記第1支持部材および前記第2支持部材を昇降させる昇降手段と、
前記基板の上面にガスを供給することによって前記基板を前記第1支持部材および/または前記第2支持部材に向けて押圧可能に構成された押圧手段と、
前記昇降手段および前記押圧手段を制御することで、前記第1支持部材で前記基板を支持するとともに前記押圧手段により前記基板を前記第1支持部材に向けて押圧して前記回転部材に保持させる第1保持モードと、前記第2支持部材で前記基板を支持するとともに前記押圧手段により前記基板を前記第2支持部材に向けて押圧して前記回転部材に保持させる第2保持モードとに、前記基板の処理の内容に応じて選択的に切り換える制御手段と
を備えたことを特徴とする基板処理装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記第1保持モードと前記第2保持モードに加えて、前記第1支持部材および前記第2支持部材で前記基板を支持するとともに前記押圧手段により前記基板を前記第1支持部材および前記第2支持部材に向けて押圧して前記回転部材に保持させる第3保持モードに、前記基板の処理の内容に応じて選択的に切り換える請求項1記載の基板処理装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記回転部材を第1回転速度で回転させながら前記基板に処理を施す際には、保持モードを前記第1保持モードに設定する一方、前記回転部材を前記第1回転速度よりも高速の第2回転速度で回転させながら前記基板に処理を施す際には、保持モードを前記第2保持モードに設定する請求項1または2記載の基板処理装置。
【請求項4】
前記制御手段は、前記回転部材を第1回転速度で回転させながら前記基板に処理を施す際には、保持モードを前記第1保持モードに設定する一方、前記回転部材を前記第1回転速度よりも高速の第2回転速度で回転させながら前記基板に処理を施す際には、保持モードを前記第3保持モードに設定する請求項2記載の基板処理装置。
【請求項5】
前記基板の上面周縁部に処理液を供給して該上面周縁部を前記処理液によって処理する周縁処理ノズルをさらに備え、
前記制御手段は、前記周縁処理ノズルから前記基板に処理液を供給する際に、保持モードを前記第1保持モードに設定する請求項1または2記載の基板処理装置。
【請求項6】
前記基板の下面に処理液を供給して前記基板下面を前記処理液によって処理する下面処理ノズルをさらに備え、
前記制御手段は、前記下面処理ノズルから前記基板に処理液を供給する際に、前記第1、第2および第3保持モードの間で保持モードを切り換える請求項2記載の基板処理装置。
【請求項7】
前記第1支持手段が有する前記第1支持部材の個数と前記第2支持手段が有する前記第2支持部材の個数とが同数である請求項1ないし6のいずれかに記載の基板処理装置。
【請求項8】
前記昇降手段は、前記第1支持部材を昇降させる第1昇降部と、前記第2支持部材を昇降させる第2昇降部とを有し、
前記制御手段は、前記第1昇降部と第2昇降部とを独立に制御して前記第1支持部材および前記第2支持部材を昇降駆動する請求項1ないし7のいずれかに記載の基板処理装置。
【請求項9】
前記第1支持部材と前記第2支持部材とは、前記回転部材から所定距離だけ上方に離間した、同一の支持位置で前記基板を支持可能に構成される請求項1ないし8のいずれかに記載の基板処理装置。
【請求項10】
前記第2支持部材が有する前記規制部位の高さは前記支持部位で支持された前記基板の上面の高さ位置よりも低い請求項1ないし9のいずれかに記載の基板処理装置。
【請求項11】
前記押圧手段は、基板の上面に対向し、ガス噴出口が設けられた対向面を有する板状部材と、前記ガス噴出口からガスを噴出させることによって前記対向面と前記基板の上面との間に形成される空間にガスを供給するガス供給部とを有する請求項1ないし10のいずれかに記載の基板処理装置。
【請求項12】
前記板状部材を略水平姿勢で回転させる板状部材回転手段をさらに備え、
前記押圧手段により基板が前記回転部材に保持された状態で、前記板状部材回転手段は前記板状部材を前記基板とともに回転させる請求項11記載の基板処理装置。
【請求項13】
基板を略水平姿勢で回転させながら該基板に対して所定の処理を施す基板処理方法において、
回転する回転部材の上方に向けて前記回転部材に設けられた、少なくとも3個以上の第1支持部材が前記基板の下面に当接して該基板を支持しながら前記基板の上面に供給されるガスによって、前記基板を前記第1支持部材に向けて押圧して前記回転部材に保持させる第1保持モードと、
回転する回転部材の上方に向けて前記回転部材に設けられた、少なくとも3個以上の第2支持部材が前記基板が水平方向に移動した際に前記基板の端面に当接して前記基板の水平方向の移動を規制しつつ、前記基板の下面に当接して該基板を支持しながら前記基板の上面に供給されるガスによって、前記基板を前記第2支持部材に向けて押圧して前記回転部材に保持させる第2保持モードと
を備え、
前記基板の処理の内容に応じて前記第1保持モードと前記第2保持モードとに選択的に切り換えることを特徴とする基板処理方法。
【請求項14】
基板を回転させながら前記基板の上面周縁部に処理液を供給して該上面周縁部を前記処理液によって処理する上面処理工程を有する請求項13記載の基板処理方法であって、
前記上面処理工程では、保持モードを前記第1保持モードに設定する基板処理方法。
【請求項15】
基板を回転させながら前記基板を乾燥させる乾燥処理工程を有する請求項13または14に記載の基板処理方法であって、
前記乾燥処理工程では、保持モードを前記第2保持モードに設定する基板処理方法。
【請求項16】
前記第1支持部材および前記第2支持部材が前記基板の下面に当接して該基板を支持しながら前記基板の上面に供給されるガスによって、前記基板を前記第1支持部材および前記第2支持部材に向けて押圧して前記回転部材に保持させる第3保持モードをさらに備え、
前記基板の処理の内容に応じて、保持モードを前記第1、第2および第3保持モードのいずれかに選択的に切り換える請求項13記載の基板処理方法。
【請求項17】
基板を回転させながら前記基板の下面に処理液を供給して該基板下面を前記処理液によって処理する下面処理工程を有する請求項16に記載の基板処理方法であって、
前記下面処理工程では、前記第1、第2および第3保持モードの間で保持モードを切り換える基板処理方法。
【請求項18】
基板を回転させながら該基板を乾燥させる乾燥処理工程を有する請求項16または17記載の基板処理方法であって、
前記乾燥処理工程では、保持モードを前記第3保持モードに設定する基板処理方法。
【請求項1】
基板を略水平姿勢で回転させながら該基板に対して所定の処理を施す基板処理装置において、
回転自在に設けられた回転部材と、
前記回転部材を所定の回転速度で回転させる回転手段と、
前記回転部材の上方に向けて昇降自在に前記回転部材に設けられるとともに、その先端部が前記基板の下面に当接して該基板を略水平姿勢で支持可能に構成された、少なくとも3個以上の第1支持部材を有する第1支持手段と、
前記基板の下面に当接して該基板を略水平姿勢で支持可能に構成された支持部位と、前記支持部位に対し前記基板の周縁側に配置されて前記基板が水平方向に移動した際に前記基板の端面に当接して前記基板の水平方向の移動を規制する規制部位とをその先端部に備え、前記回転部材の上方に向けて昇降自在に前記回転部材に設けられた、少なくとも3個以上の第2支持部材を有する第2支持手段と、
前記第1支持部材および前記第2支持部材を昇降させる昇降手段と、
前記基板の上面にガスを供給することによって前記基板を前記第1支持部材および/または前記第2支持部材に向けて押圧可能に構成された押圧手段と、
前記昇降手段および前記押圧手段を制御することで、前記第1支持部材で前記基板を支持するとともに前記押圧手段により前記基板を前記第1支持部材に向けて押圧して前記回転部材に保持させる第1保持モードと、前記第2支持部材で前記基板を支持するとともに前記押圧手段により前記基板を前記第2支持部材に向けて押圧して前記回転部材に保持させる第2保持モードとに、前記基板の処理の内容に応じて選択的に切り換える制御手段と
を備えたことを特徴とする基板処理装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記第1保持モードと前記第2保持モードに加えて、前記第1支持部材および前記第2支持部材で前記基板を支持するとともに前記押圧手段により前記基板を前記第1支持部材および前記第2支持部材に向けて押圧して前記回転部材に保持させる第3保持モードに、前記基板の処理の内容に応じて選択的に切り換える請求項1記載の基板処理装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記回転部材を第1回転速度で回転させながら前記基板に処理を施す際には、保持モードを前記第1保持モードに設定する一方、前記回転部材を前記第1回転速度よりも高速の第2回転速度で回転させながら前記基板に処理を施す際には、保持モードを前記第2保持モードに設定する請求項1または2記載の基板処理装置。
【請求項4】
前記制御手段は、前記回転部材を第1回転速度で回転させながら前記基板に処理を施す際には、保持モードを前記第1保持モードに設定する一方、前記回転部材を前記第1回転速度よりも高速の第2回転速度で回転させながら前記基板に処理を施す際には、保持モードを前記第3保持モードに設定する請求項2記載の基板処理装置。
【請求項5】
前記基板の上面周縁部に処理液を供給して該上面周縁部を前記処理液によって処理する周縁処理ノズルをさらに備え、
前記制御手段は、前記周縁処理ノズルから前記基板に処理液を供給する際に、保持モードを前記第1保持モードに設定する請求項1または2記載の基板処理装置。
【請求項6】
前記基板の下面に処理液を供給して前記基板下面を前記処理液によって処理する下面処理ノズルをさらに備え、
前記制御手段は、前記下面処理ノズルから前記基板に処理液を供給する際に、前記第1、第2および第3保持モードの間で保持モードを切り換える請求項2記載の基板処理装置。
【請求項7】
前記第1支持手段が有する前記第1支持部材の個数と前記第2支持手段が有する前記第2支持部材の個数とが同数である請求項1ないし6のいずれかに記載の基板処理装置。
【請求項8】
前記昇降手段は、前記第1支持部材を昇降させる第1昇降部と、前記第2支持部材を昇降させる第2昇降部とを有し、
前記制御手段は、前記第1昇降部と第2昇降部とを独立に制御して前記第1支持部材および前記第2支持部材を昇降駆動する請求項1ないし7のいずれかに記載の基板処理装置。
【請求項9】
前記第1支持部材と前記第2支持部材とは、前記回転部材から所定距離だけ上方に離間した、同一の支持位置で前記基板を支持可能に構成される請求項1ないし8のいずれかに記載の基板処理装置。
【請求項10】
前記第2支持部材が有する前記規制部位の高さは前記支持部位で支持された前記基板の上面の高さ位置よりも低い請求項1ないし9のいずれかに記載の基板処理装置。
【請求項11】
前記押圧手段は、基板の上面に対向し、ガス噴出口が設けられた対向面を有する板状部材と、前記ガス噴出口からガスを噴出させることによって前記対向面と前記基板の上面との間に形成される空間にガスを供給するガス供給部とを有する請求項1ないし10のいずれかに記載の基板処理装置。
【請求項12】
前記板状部材を略水平姿勢で回転させる板状部材回転手段をさらに備え、
前記押圧手段により基板が前記回転部材に保持された状態で、前記板状部材回転手段は前記板状部材を前記基板とともに回転させる請求項11記載の基板処理装置。
【請求項13】
基板を略水平姿勢で回転させながら該基板に対して所定の処理を施す基板処理方法において、
回転する回転部材の上方に向けて前記回転部材に設けられた、少なくとも3個以上の第1支持部材が前記基板の下面に当接して該基板を支持しながら前記基板の上面に供給されるガスによって、前記基板を前記第1支持部材に向けて押圧して前記回転部材に保持させる第1保持モードと、
回転する回転部材の上方に向けて前記回転部材に設けられた、少なくとも3個以上の第2支持部材が前記基板が水平方向に移動した際に前記基板の端面に当接して前記基板の水平方向の移動を規制しつつ、前記基板の下面に当接して該基板を支持しながら前記基板の上面に供給されるガスによって、前記基板を前記第2支持部材に向けて押圧して前記回転部材に保持させる第2保持モードと
を備え、
前記基板の処理の内容に応じて前記第1保持モードと前記第2保持モードとに選択的に切り換えることを特徴とする基板処理方法。
【請求項14】
基板を回転させながら前記基板の上面周縁部に処理液を供給して該上面周縁部を前記処理液によって処理する上面処理工程を有する請求項13記載の基板処理方法であって、
前記上面処理工程では、保持モードを前記第1保持モードに設定する基板処理方法。
【請求項15】
基板を回転させながら前記基板を乾燥させる乾燥処理工程を有する請求項13または14に記載の基板処理方法であって、
前記乾燥処理工程では、保持モードを前記第2保持モードに設定する基板処理方法。
【請求項16】
前記第1支持部材および前記第2支持部材が前記基板の下面に当接して該基板を支持しながら前記基板の上面に供給されるガスによって、前記基板を前記第1支持部材および前記第2支持部材に向けて押圧して前記回転部材に保持させる第3保持モードをさらに備え、
前記基板の処理の内容に応じて、保持モードを前記第1、第2および第3保持モードのいずれかに選択的に切り換える請求項13記載の基板処理方法。
【請求項17】
基板を回転させながら前記基板の下面に処理液を供給して該基板下面を前記処理液によって処理する下面処理工程を有する請求項16に記載の基板処理方法であって、
前記下面処理工程では、前記第1、第2および第3保持モードの間で保持モードを切り換える基板処理方法。
【請求項18】
基板を回転させながら該基板を乾燥させる乾燥処理工程を有する請求項16または17記載の基板処理方法であって、
前記乾燥処理工程では、保持モードを前記第3保持モードに設定する基板処理方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
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【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【公開番号】特開2007−173360(P2007−173360A)
【公開日】平成19年7月5日(2007.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−366298(P2005−366298)
【出願日】平成17年12月20日(2005.12.20)
【出願人】(000207551)大日本スクリーン製造株式会社 (2,640)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年7月5日(2007.7.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年12月20日(2005.12.20)
【出願人】(000207551)大日本スクリーン製造株式会社 (2,640)
【Fターム(参考)】
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