説明

基板処理装置および基板処理方法

【課題】基板上の不要物を良好に除去することができる基板処理装置および基板処理方法を提供すること。
【解決手段】バキュームチャック11の上方には、ほぼ円錐形状の遮断板12が配置されている。遮断板12の下面121には、それぞれエッチング液、純水および窒素ガスを吐出する開口122a,122b,122cが形成されている。エッチング液、純水および窒素ガスは、ウエハWの回転半径外方に向かうにつれてウエハWに近づくように傾斜した方向に吐出されて、それぞれウエハWの表面のエッチング液供給位置Pe、純水供給位置Pdおよび窒素ガス供給位置Pnに供給される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、基板から不要物を除去するための装置および方法に関する。各種基板には
、半導体ウエハ、液晶表示装置用ガラス基板、PDP(プラズマ・ディスプレイ・パネル
用ガラス基板などが含まれる。
【背景技術】
【0002】
半導体装置の製造工程においては、半導体ウエハ(以下、単に「ウエハ」という。)の
表面、裏面および端面の全域に銅薄膜などの金属薄膜を形成した後、この金属薄膜の不要
部分をエッチング除去する処理が行われる場合がある。たとえば、配線形成のための銅薄
膜はウエハの表面のデバイス形成領域に形成されていればよく、ウエハの表面の周縁部(
たとえば、ウエハの周縁から幅3mm程度の部分)、裏面および端面に形成された銅薄膜は
不要となるから、この不要な銅薄膜を除去する処理が行われる。
【0003】
また、ウエハの表面に金属薄膜が選択的に形成された場合であっても、ウエハの表面の
金属薄膜を形成した領域以外の領域やウエハの端面および裏面に付着した金属イオンを除
去する処理が行われる場合がある。
たとえば、ウエハの表面の周縁部に形成されている金属薄膜または金属イオンを除去す
る装置は、ウエハをほぼ水平に保持した状態で回転するスピンチャックと、このスピンチ
ャックに保持されているウエハの表面の周縁部に向けてエッチング液を吐出するエッジリ
ンスノズルと、スピンチャックに保持されたウエハの表面のほぼ中心に純水を供給するた
めの純水ノズルとを備えている。
【0004】
金属薄膜を除去する際には、スピンチャックによってウエハが回転され、その回転して
いるウエハの表面の周縁部に向けてエッジリンスノズルからエッチング液が吐出される。
エッジリンスノズルからエッチング液が吐出されている間、純水ノズルからウエハの表面
の中心に向けて純水が供給される。
これにより、ウエハの表面の中央部の領域(デバイス形成領域)は純水に覆われた状態
となり、エッジリンスノズルからウエハの表面に供給されたエッチング液は、ウエハの表
面の中央部から周縁に向けて流れる純水により押し流される。したがって、ウエハの表面
中央部のデバイス形成領域に向けてエッチング液のミストが飛散しても、そのエッチング
液のミストは、デバイス形成領域上に形成された金属薄膜に直に付着するおそれがない。
ゆえに、デバイス形成領域の金属薄膜がエッチング液による腐食を受けるおそれがない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、最近になって、デバイス形成領域を覆っている純水が、デバイス形成領域に
作り込まれているデバイスにダメージを与えるおそれがあることが判ってきた。
そこで、この発明の目的は、基板上の不要物を良好に除去することができる基板処理装
置および基板処理方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記の目的を達成するための請求項1記載の発明は、複数の吐出手段(122)を備え
、前記吐出手段を基板(W)の周縁部に沿って相対的に移動させつつ、基板上の不要物を
除去する基板処理装置であって、前記複数の吐出手段は、基板の中心から周縁に向けて延
びる直線上に並べて配置されており、前記複数の吐出手段のうち、相対的に外側に配置さ
れた吐出手段(122a)は、基板に対して不要物を除去するための薬液を吐出し、相対
的に内側に配置された吐出手段(122b)は、基板に対してリンス液を吐出する、基板
処理装置である。
【0007】
また、請求項2に記載の発明は、複数の吐出手段(122)を備え、前記吐出手段を基
板(W)の周縁部に沿って相対的に移動させつつ、基板上の不要物を除去する基板処理装
置であって、前記複数の吐出手段は、基板の周辺から内側に向かう方向に沿って並べて配
置されており、前記複数の吐出手段のうち、相対的に外側に配置された吐出手段(122
a)は、基板に対して不要物を除去するための薬液を吐出し、相対的に内側に配置された
吐出手段(122b)は、基板に対してリンス液を吐出する、基板処理装置である。
【0008】
これらの構成によれば、薬液が基板の中央部に向けて流れることを防止しつつ、基板上
における薬液供給位置よりも外側の領域にむらなく薬液を供給することができ、基板上の
不要物を良好に除去することができる。
請求項3記載の発明は、基板の表面において、リンス液が供給される領域は、薬液が供
給される領域よりも広い、請求項1または2に記載の基板処理装置である。
【0009】
請求項4記載の発明は、相対的に外側に配置された吐出手段から吐出される薬液は、相
対的に内側に配置された吐出手段から吐出されて基板の表面を流れるリンス液の領域内に
供給される、請求項1〜3のいずれか一項に記載の基板処理装置である。
これらの構成によれば、リンス液の流れにより、リンス液の供給位置よりも外側の位置
に供給された薬液が押し流されるので、薬液が基板の中央部に向けて流れることを一層防
止できる。
【0010】
請求項5に記載のように、前記リンス液が純水であってもよい。
請求項6に記載の発明は、前記複数の吐出手段を、基板の中心から離れる方向に傾斜さ
せて指向させた、請求項1〜5のいずれか一項に記載の基板処理装置である。
この構成によれば、基板上に供給された薬液および純水が基板の中央部に向けて流れる
ことを良好に防止できる。
【0011】
請求項7に記載の発明は、前記複数の吐出手段において、相対的に内側に配置された吐
出手段は、相対的に外側に配置された吐出手段よりも早いタイミングで流体を吐出するよ
うに制御される、請求項1〜6のいずれか一項に記載の基板処理装置である。
この構成によれば、リンス液の流れにより、リンス液の供給位置よりも外側の位置に供
給された薬液が押し流されるので、薬液が基板の中央部に向けて流れることを一層防止で
きる。
【0012】
請求項8に記載のように、前記基板処理装置は、前記複数の吐出手段から基板に供給さ
れた流体の飛散を防止する遮断板(23)を備え、前記複数の吐出手段が前記遮断板に設
けられていてもよい。
また、請求項9に記載のように、前記基板処理装置は、基板上面に近接した位置と基板
上面から離れた位置との間で相対的に移動する遮断板(23)を備えていてもよい。
【0013】
請求項10に記載の発明は、前記遮断板と基板との間に不活性ガスを吐出する、請求項
9に記載の基板処理装置である。
請求項11に記載の発明は、基板の表面において、リンス液が供給される領域よりも内
側に不活性ガスを供給する吐出手段(122c)を備えている、請求項1〜10のいずれ
か一項に記載の基板処理装置である。
【0014】
これらの構成によれば、薬液のミストが発生しても、そのミストを不活性ガスによって
基板の外方へと吹き飛ばすことができる。よって、基板の中央部が薬液のミストによる腐
食を受けるおそれがない。さらに、基板の中央部にリンス液が供給されないので、その中
央部がリンス液によるダメージを受けるおそれがない。
請求項12に記載の発明は、基板の周辺から内側に向かう方向に並べて配置された複数
の吐出手段(122)を基板の周縁部に沿って相対的に移動させつつ、前記複数の吐出手
段(122a)から基板の周縁部にそれぞれ異なる流体を供給して、基板上の不要物を除
去するにあたり、相対的に内側に配置された吐出手段(122b)から基板に供給された
リンス液の領域内に、相対的に外側に配置された吐出手段から不要物を除去するための薬
液を供給して、当該薬液を基板の中心から離れる方向に押し流す、基板処理方法である。
【0015】
この方法によれば、請求項2に関連して述べた効果と同様な効果を達成することができ
る。
請求項13に記載のように、前記リンス液が純水であってもよい。
請求項14に記載の発明は、前記複数の吐出手段において、相対的に内側に配置された
吐出手段は、相対的に外側に配置された吐出手段よりも早いタイミングで流体を吐出する
ように制御される、請求項12または13に記載の基板処理方法である。
【0016】
この方法によれば、請求項7に関連して述べた効果と同様な効果を達成することができ
る。
請求項15に記載の発明は、基板の表面において、リンス液が供給される領域よりも内
側に不活性ガスを供給する、請求項12〜14のいずれか一項に記載の基板処理方法であ
る。
【0017】
この方法によれば、請求項11に関連して述べた効果と同様な効果を達成することがで
きる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】この発明の一実施形態に係る基板処理装置の構成を図解的に示す図である。
【図2】図1に示す遮断板の下面の構成を示す図である。
【図3】図1の基板処理装置における処理について説明するための図である。
【図4】この発明の他の実施形態に係る基板処理装置の構成を図解的に示す図である。
【図5】図4の基板処理装置における処理について説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下では、この発明の実施の形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。
図1は、この発明の一実施形態(第1の実施形態)に係る基板処理装置の構成を図解的
に示す図である。この基板処理装置は、ほぼ円形の基板であるウエハWの表面および端面
に金属薄膜(たとえば、銅薄膜)が形成された後、そのウエハWの表面の周縁部および端
面に形成されている不要な金属薄膜を除去するための装置である。
【0020】
この基板処理装置には、バキュームチャック11が備えられている。バキュームチャッ
ク11は、ほぼ鉛直に配置されたチャック軸111と、このチャック軸111の上端にほ
ぼ水平に固定された円板状の吸着ベース112とを含む。チャック軸111は、たとえば
、円筒状に形成されることによって吸気路113を内部に有しており、この吸気路113
の上端は、吸着ベース112の内部に形成された吸着路を介して、吸着ベース112の上
面に形成された吸着口に連通されている。また、チャック軸111には、モータなどを含
む回転駆動機構114から回転力が入力されるようになっている。
【0021】
これにより、バキュームチャック11は、吸着ベース112上にウエハWが表面(デバ
イス形成面)を上方に向けて載置された状態で、吸気路113の内部を排気することによ
り、ウエハWの裏面(非デバイス形成面)を真空吸着してほぼ水平に保持することができ
る。そして、この状態で、回転駆動機構114からチャック軸111に回転力を入力する
ことにより、吸着ベース112で吸着保持したウエハWを、そのほぼ中心を通る鉛直軸線
(チャック軸111の中心軸線)Oまわりに回転させることができる。
【0022】
バキュームチャック11の上方には、ほぼ円錐形状の遮断板12と、この遮断板12の
傾斜面を洗浄するための純水を吐出する遮断板洗浄ノズル13とが配置されている。
遮断板12は、バキュームチャック11に対向する下面121がウエハWとほぼ同じ径
の円形平面になっており、この下面121がバキュームチャック11に保持されたウエハ
Wの上面とほぼ平行をなして対向するように設けられている。また、遮断板12は、昇降
可能に設けられており、バキュームチャック11に対するウエハWの搬入出時には上方に
大きく退避され、ウエハWに対する処理時にはウエハWに近接した位置まで下降される。
【0023】
遮断板12の下面121には、図2に示すように、その下面121の中心CEを中心と
する3重の同心円周C1,C2,C3とその中心CEから半径方向に放射状に延びる複数
本の直線との各交点に、たとえば円形の小さな開口122が形成されている。同心円周C
1,C2,C3は、下面121の周縁部に設定されていて、下面121の中央部には、開
口122は形成されていない。
【0024】
遮断板12の内部には、ウエハWに供給すべきエッチング液、純水および窒素ガスがそ
れぞれ流通するエッチング液供給路123、純水供給路124および窒素ガス供給路12
5が形成されている。
エッチング液供給路123は、遮断板12の下面121の半径方向外方に向かうにつれ
て下方に傾斜した傾斜部123aを有しており、この傾斜部123aの先端で、同心円周
C1,C2,C3のうちで最も径の大きな円周C1上に配置された開口122aに連通し
ている。傾斜部123aの傾斜角度は、開口122aから傾斜部123aと平行に延ばし
た直線が、ウエハWの表面の中央部のデバイス形成領域を取り囲むウエハ周縁領域(たと
えば、ウエハWの周縁から幅3mm程度の部分)上であって、ウエハWの回転軸線Oを中心
とする円周上に設定されたエッチング液供給位置Peで、バキュームチャック11に保持
されたウエハWの表面に交差するような角度に設定されている。これにより、エッチング
液供給路123を流通するエッチング液は、開口122aからエッチング液供給路123
の傾斜部123aの傾斜方向(ウエハWの回転半径外方に向かうにつれてウエハWに近づ
くように傾斜した方向)に吐出されて、ウエハWの表面のエッチング液供給位置Peに供
給される。
【0025】
純水供給路124は、エッチング液供給路123の傾斜部123aとほぼ平行に傾斜し
た傾斜部124aを有しており、この傾斜部124aの先端で、円周C1の次に大きな径
の円周C2上に配置された開口122bに連通している。これにより、純水供給路124
を流通する純水は、開口122bからエッチング液の吐出方向と平行な方向に吐出されて
、上記ウエハ周縁領域上であって、ウエハWの表面のエッチング液供給位置Peよりもウ
エハWの回転軸線Oに近い純水供給位置Pdに供給される。純水供給位置Pdは、ウエハ
Wの回転軸線Oを中心とする円周上に設定されている。
【0026】
また、窒素ガス供給路125は、エッチング液供給路123の傾斜部123aとほぼ平
行に傾斜した傾斜部125aを有しており、この傾斜部125aの先端で、最も径の小さ
な円周C3上に配置された開口122cに連通している。これにより、窒素ガス供給路1
25を流通する純水は、開口122cからエッチング液の吐出方向と平行な方向に吐出さ
れて、ウエハWの表面の純水供給位置PdよりもウエハWの回転軸線Oに近い窒素ガス供
給位置Pnに供給される。窒素ガス供給位置Pnは、ウエハWの回転軸線Oを中心とする
円周上に設定されている。
【0027】
図3は、この基板処理装置における処理について説明するための図解図である。処理対
象のウエハWは、図示しない搬送ロボットによって搬入されてきて、バキュームチャック
11に受け渡される。このとき、遮断板12(図1参照)は、ウエハWの搬入を阻害しな
いように上方に大きく退避している。バキュームチャック11にウエハWが保持されると
、遮断板12がウエハWの表面に近づけられ、バキュームチャック11(すなわち、ウエ
ハW)が予め定める回転速度で回転され始める。
【0028】
その後、図3(a)に示すように、開口122cから窒素ガスの吐出が開始され、ウエハ
Wの表面の窒素ガス供給位置Pnに斜め上方から窒素ガスが供給される。また、窒素ガス
の吐出が開始された後、つづいて、図3(b)に示すように、開口122bから純水の吐出
が開始され、ウエハWの表面の純水供給位置Pdに斜め上方から純水が供給される。さら
に、純水の吐出が開始された後、図3(c)に示すように、開口122aからエッチング液
の吐出が開始され、ウエハWの表面のエッチング液供給位置Peに斜め上方からエッチン
グ液が供給される。
【0029】
ウエハWの表面への窒素ガス、純水およびエッチング液の供給が予め定める時間にわた
って続けられると、図3(d)に示すように、まず、開口122aからのエッチング液の吐
出が停止される。つづいて、図3(e)に示すように、開口122bからの純水の吐出が停
止され、その後、図3(f)に示すように、開口122cからの窒素ガスの吐出が停止され
る。これでウエハWの周縁部および端面から不要な金属薄膜を除去するための処理は終了
であり、この処理後のウエハWは、遮断板12が上方に退避した後、図示しない搬送ロボ
ットによって、ウエハWの裏面から不要な金属イオンを除去するための装置に向けて搬出
される。
【0030】
以上のように、この実施形態に係る基板処理装置では、ウエハWの表面の周縁部および
端面から金属薄膜を除去するためのエッチング液が、回転しているウエハWの表面のエッ
チング液供給位置Peに、そのエッチング液供給位置Peよりも上方であって、ウエハW
の回転半径方向内方に配置された開口122aから供給される。これにより、エッチング
液供給位置Peに供給されたエッチング液がウエハWの中央部に向けて流れることを防止
しつつ、エッチング液供給位置PeよりもウエハWの回転半径方向外方の領域(ウエハW
の表面の金属薄膜を除去すべき領域)EAにむらなくエッチング液を供給することができ
、この領域EAおよび端面に形成されている金属薄膜を良好に除去することができる。
【0031】
また、窒素ガス、純水およびエッチング液の供給(吐出)開始および停止が上述のよう
な順序で行われることにより、エッチング液供給位置Peにエッチング液が供給されてい
る間、エッチング液供給位置PeよりもウエハWの回転半径方向内方に設定された純水供
給位置Pdおよび窒素ガス供給位置Pnにそれぞれ純水および窒素ガスが供給されている
。純水供給位置Pdに供給された純水は、純水供給位置PdからウエハWの周縁に向けて
流れ、この純水の流れにより、純水供給位置PdよりもウエハWの回転半径方向外方のエ
ッチング液供給位置Peに供給されたエッチング液は押し流されるので、エッチング液が
ウエハWの中央部に向けて流れることを一層防止できる。さらに、エッチング液がエッチ
ング液供給位置Peに入射する際にエッチング液のミストが発生しても、そのエッチング
液のミストは窒素ガスによってウエハWの外方へと吹き飛ばされるので、ウエハWの中央
部(デバイス形成領域)の薄膜がエッチング液のミストによる腐食を受けるおそれがない

【0032】
さらにまた、ウエハWの中央部のデバイス形成領域に純水が供給されないので、デバイ
ス形成領域に作り込まれているデバイスが純水によるダメージを受けるおそれがない。
図4は、この発明の他の実施形態(第2の実施形態)に係る基板処理装置の構成を図解
的に示す図である。この実施形態に係る基板処理装置は、上述の実施形態に係る基板処理
装置においてウエハWの表面の周縁部および端面に形成されている不要な金属薄膜が除去
された後、そのウエハWの裏面から不要な金属イオン(金属汚染)または金属薄膜を除去
するためのものである。
【0033】
この基板処理装置には、スピンチャック21が備えられている。スピンチャック21は
、ほぼ鉛直に配置されたチャック軸211と、このチャック軸211の上端にほぼ水平に
固定されたスピンベース212と、スピンベース212上に立設された複数本のチャック
ピン213とを有している。
スピンベース212は、たとえば、平面視において放射状に延びた複数本(たとえば、
6本)のアームを有しており、各アームの先端にチャックピン213が立設されている。
たとえば、一本おきのアーム(たとえば、全部で3本のアーム)の先端には、ウエハWの
裏面の周縁部を受ける水平面と、ウエハWの端面に対向してウエハWの移動を規制する鉛
直面とを有する固定チャックピン213が固定されている。そして、残余の一本おきのア
ーム(たとえば、全部で3本のアーム)の先端には、鉛直軸まわりに回転(自転)可能な
可動チャックピン213が取り付けられている。この可動チャックピン213は、ウエハ
Wの裏面の周縁部を受ける水平面と、この水平面から立ち上がり、ウエハWの端面に当接
して、対向する固定チャックピン213と協働してウエハWを挟持する第1鉛直面と、同
じく当該水平面から立ち上がり、第1鉛直面よりもウエハWの半径方向外方に後退してウ
エハWの端面を規制可能な第2鉛直面とを有している。したがって、可動チャックピン2
13を、鉛直軸まわりに回転させることにより、第1鉛直面または第2鉛直面をウエハW
の端面に対向させることができ、これにより、ウエハWを挟持したり、ウエハWの挟持を
弛めたりすることができる。
【0034】
また、チャック軸211には、たとえばモータなどの駆動源を含む回転駆動機構214
が結合されている。これにより、複数本のチャックピン213でウエハWを狭持した状態
で、回転駆動機構214によってチャック軸211を回転させることにより、ウエハWを
水平面内で回転させることができる。
さらに、チャック軸211は、円筒状に形成されており、その内部には、裏面リンス配
管22が非回転状態に挿通されている。裏面リンス配管22の先端は、チャック軸211
の先端で開口していて、これにより、チャック軸211の先端に、チャックピン213で
挟持されたウエハWの裏面中央にエッチング液を供給するための裏面リンスノズル221
が形成されている。
【0035】
スピンチャック21の上方には、ほぼ円錐形状の遮断板23と、この遮断板23の傾斜
面を洗浄するための純水を吐出する遮断板洗浄ノズル24とが配置されている。遮断板2
3は、図1に示す遮断板12から、エッチング液を供給するための開口122aおよびエ
ッチング液供給路123を省略した構成であり、その下面231がスピンチャック21に
保持されたウエハWの上面とほぼ平行をなして対向するように設けられている。
【0036】
なお、図4および後述する図5において、遮断板23と図1に示す遮断板12とで共通
する部分には、図1の場合と同一の参照符号を付して示している。また、その同一の参照
符号を付した部分についての説明は省略する。
図5は、この第2の実施形態に係る基板処理装置における処理について説明するための
図解図である。処理対象のウエハWは、上述の図1に示す基板処理装置において表面の周
縁部および端面に形成された金属薄膜を除去するための処理を受けた後、その図1に示す
基板処理装置から搬入されてきて、スピンチャック21に表面を上方に向けた状態で受け
渡される。このとき、遮断板23(図4参照)は、ウエハWの搬入を阻害しないように上
方に大きく退避している。スピンチャック21にウエハWが保持されると、遮断板23が
ウエハWの表面に近づけられ、スピンチャック21(すなわち、ウエハW)が予め定める
回転速度で回転され始める。
【0037】
その後、図5(a)に示すように、開口122cから窒素ガスの吐出が開始され、ウエハ
Wの表面の窒素ガス供給位置Pnに斜め上方から窒素ガスが供給される。また、窒素ガス
の吐出が開始された後、つづいて、図5(b)に示すように、開口122bから純水の吐出
が開始され、ウエハWの表面の純水供給位置Pdに斜め上方から純水が供給される。さら
に、純水の吐出が開始された後、図5(c)に示すように、裏面リンスノズル221からエ
ッチング液の吐出が開始され、ウエハWの裏面中央にエッチング液が供給される。
【0038】
ウエハWの表面への窒素ガス、純水およびエッチング液の供給が予め定める時間にわた
って続けられると、図5(d)に示すように、まず、裏面リンスノズル221からのエッチ
ング液の吐出が停止される。つづいて、図5(e)に示すように、開口122bからの純水
の吐出が停止され、その後、図5(f)に示すように、開口122cからの窒素ガスの吐出
が停止される。これでウエハWの裏面から金属イオンまたは金属薄膜を除去するための処
理は終了であり、その後は、ウエハWの裏面に純水が供給されて、ウエハWの裏面に付着
したエッチング液が洗い流される。ウエハWの裏面を水洗するための純水は、裏面リンス
ノズル221にエッチング液または純水を切り替えて供給できるように構成して、裏面リ
ンスノズル221からウエハWの裏面に供給するようにしてもよいし、裏面リンスノズル
221とは別に設けられたノズルからウエハWの裏面に供給するようにしてもよい。この
水洗処理後のウエハWは、遮断板23が上方に退避した後、図示しない搬送ロボットによ
って搬出される。
【0039】
以上のように、この第2の実施形態に係る基板処理装置では、ウエハWの裏面に付着し
ている金属イオンまたは金属薄膜を除去するためのエッチング液が、回転しているウエハ
Wの裏面中央に供給される。これにより、ウエハWの裏面全域にまんべんなくエッチング
液を供給することができ、このエッチング液により、ウエハWの裏面から金属イオンまた
は金属薄膜を良好に除去することができる。
【0040】
また、窒素ガス、純水およびエッチング液の供給(吐出)開始および停止が上述のよう
な順序で行われることにより、ウエハWの裏面にエッチング液が供給されている間、ウエ
ハWの表面の純水供給位置Pdおよび窒素ガス供給位置Pnにそれぞれ純水および窒素ガ
スが供給されている。純水供給位置Pdに供給された純水は、ウエハWの表面を純水供給
位置PdからウエハWの周縁へ向かって流れて、ウエハWの周縁から流下するので、裏面
リンスノズル221からウエハWの裏面に供給されたエッチング液がウエハWの表面に回
り込むおそれがない。
【0041】
さらに、スピンチャック21のチャックピン213がウエハWの裏面を伝って側方に飛
散するエッチング液を横切ることによってエッチング液のミストが発生しても、そのエッ
チング液のミストは窒素ガスによってウエハWの外方へと吹き飛ばされるので、ウエハW
の中央部(デバイス形成領域)の薄膜がエッチング液のミストによる腐食を受けるおそれ
がない。
【0042】
さらにまた、ウエハWの中央部のデバイス形成領域に純水が供給されないので、デバイ
ス形成領域に作り込まれているデバイスが純水によるダメージを受けるおそれがない。
以上、この発明の2つの実施形態について説明したが、この発明は、さらに他の形態で
実施することもできる。たとえば、上述の第1の実施形態では、遮断板12の下面121
に円形の小さな開口122a,122b,122cが形成され、これらの開口122a,
122b,122cからそれぞれエッチング液、純水および窒素ガスが吐出されるとした
が、遮断板12の下面121に、その下面121の中心CEを中心とする3つの同心円環
状の開口が形成され、この3つの環状開口からそれぞれエッチング液、純水および窒素ガ
スが吐出されてもよい。また、これと同様な変形を上述の第2の実施形態に施してもよい

【0043】
また、上述の第1の実施形態では、開口122a,122b,122cはそれぞれ複数
個形成されているが、開口122a,122b,122cはそれぞれ、少なくとも1つ形
成されていればよい。たとえば、開口122a,122b,122cがそれぞれ1つずつ
だけ形成される場合には、下面121の中心CEを通る下面121上の直線に沿うように
、開口122a,122b,122cが形成されるのが好ましい(図2の二点鎖線で囲う
開口群A)。これによると、窒素ガス供給位置Pn、エッチング液供給位置Pe、および
純水供給位置PdはウエハWの回転中心を通る直線に沿って設けられる。
【0044】
あるいは、エッチング液が吐出される開口122aが1つだけ形成され、純水および窒
素ガスが吐出される開口122bおよび122cが複数個形成されるようにしてもよい。
この場合、複数の開口122bおよび122cは、中心CEから見て1つの開口122a
を覆うように設けられるのが好ましい。これによれば、ウエハの回転中心から見て、エッ
チング液供給位置Peは、純水供給位置Pdおよび窒素ガス供給位置Pnで覆われること
となる(図2の二点鎖線で囲う開口群B)。
【0045】
さらにまた、遮断板12の中心付近に開口が形成され、この開口から窒素ガスが供給さ
れるようにしてもよい。
さらには、遮断板12,23の開口122cからウエハWの表面に窒素ガスが供給され
るとしたが、窒素ガス以外の不活性ガス(たとえば、ヘリウムガスまたはアルゴンガス)
がウエハWの表面に供給されてもよい。
【0046】
さらには、基板の一例として半導体ウエハを取り上げたが、この発明は、液晶表示装置
用ガラス基板、プラズマディプレイパネル用ガラス基板、フォトマスク用ガラス基板など
の他の種類の基板に対して処理を施すための装置にも適用することができる。
その他、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能で
ある。
【符号の説明】
【0047】
12 遮断板
122 開口(吐出手段)
122a 開口(吐出手段)
122b 開口(吐出手段)
122c 開口(吐出手段)
23 遮断板
W ウエハ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の吐出手段を備え、前記吐出手段を基板の周縁部に沿って相対的に移動させつつ、
基板上の不要物を除去する基板処理装置であって、
前記複数の吐出手段は、基板の中心から周縁に向けて延びる直線上に並べて配置されて
おり、
前記複数の吐出手段のうち、相対的に外側に配置された吐出手段は、基板に対して不要
物を除去するための薬液を吐出し、相対的に内側に配置された吐出手段は、基板に対して
リンス液を吐出する、基板処理装置。
【請求項2】
複数の吐出手段を備え、前記吐出手段を基板の周縁部に沿って相対的に移動させつつ、
基板上の不要物を除去する基板処理装置であって、
前記複数の吐出手段は、基板の周辺から内側に向かう方向に沿って並べて配置されてお
り、
前記複数の吐出手段のうち、相対的に外側に配置された吐出手段は、基板に対して不要
物を除去するための薬液を吐出し、相対的に内側に配置された吐出手段は、基板に対して
リンス液を吐出する、基板処理装置。
【請求項3】
基板の表面において、リンス液が供給される領域は、薬液が供給される領域よりも広い
、請求項1または2に記載の基板処理装置。
【請求項4】
相対的に外側に配置された吐出手段から吐出される薬液は、相対的に内側に配置された
吐出手段から吐出されて基板の表面を流れるリンス液の領域内に供給される、請求項1〜
3のいずれか一項に記載の基板処理装置。
【請求項5】
前記リンス液が純水である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の基板処理装置。
【請求項6】
前記複数の吐出手段を、基板の中心から離れる方向に傾斜させて指向させた、請求項1
〜5のいずれか一項に記載の基板処理装置。
【請求項7】
前記複数の吐出手段において、相対的に内側に配置された吐出手段は、相対的に外側に
配置された吐出手段よりも早いタイミングで流体を吐出するように制御される、請求項1
〜6のいずれか一項に記載の基板処理装置。
【請求項8】
前記複数の吐出手段から基板に供給された流体の飛散を防止する遮断板を備え、
前記複数の吐出手段が前記遮断板に設けられている、請求項1〜7のいずれか一項に記
載の基板処理装置。
【請求項9】
基板上面に近接した位置と基板上面から離れた位置との間で相対的に移動する遮断板を
備えている、請求項1〜8のいずれか一項に記載の基板処理装置。
【請求項10】
前記遮断板と基板との間に不活性ガスを吐出する、請求項9に記載の基板処理装置。
【請求項11】
基板の表面において、リンス液が供給される領域よりも内側に不活性ガスを供給する吐
出手段を備えている、請求項1〜10のいずれか一項に記載の基板処理装置。
【請求項12】
基板の周辺から内側に向かう方向に並べて配置された複数の吐出手段を基板の周縁部に
沿って相対的に移動させつつ、前記複数の吐出手段から基板の周縁部にそれぞれ異なる流
体を供給して、基板上の不要物を除去するにあたり、
相対的に内側に配置された吐出手段から基板に供給されたリンス液の領域内に、相対的
に外側に配置された吐出手段から不要物を除去するための薬液を供給して、当該薬液を基
板の中心から離れる方向に押し流す、基板処理方法。
【請求項13】
前記リンス液が純水である、請求項12に記載の基板処理方法。
【請求項14】
前記複数の吐出手段において、相対的に内側に配置された吐出手段は、相対的に外側に
配置された吐出手段よりも早いタイミングで流体を吐出するように制御される、請求項1
2または13に記載の基板処理方法。
【請求項15】
基板の表面において、リンス液が供給される領域よりも内側に不活性ガスを供給する、
請求項12〜14のいずれか一項に記載の基板処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−205110(P2011−205110A)
【公開日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−104385(P2011−104385)
【出願日】平成23年5月9日(2011.5.9)
【分割の表示】特願2008−257521(P2008−257521)の分割
【原出願日】平成13年5月30日(2001.5.30)
【出願人】(000207551)大日本スクリーン製造株式会社 (2,640)
【Fターム(参考)】