説明

基板処理装置に用いられるプロセスモニター装置、プロセスモニター方法、および基板処理装置

【課題】光学的手法を用いて被処理基板の構造をより高精度に評価することができるプロセスモニター装置を提供する。
【解決手段】プロセスモニター装置11は、光を出射する光源部と、光の強度を検知可能な光検知部と、光源部から出射された光をウェハWまで導き、ウェハWから反射した反射波を光検知部まで導く第一光経路21と、第一光経路21と同等の光伝搬特性を有するように構成され、光源部から出射された光を、ウェハWを経由することなく光検知部まで導く第二光経路と、第二光経路を通して光検知部により検知された光の強度情報に基づいて、第一光経路21を通して光検知部により検知された光の強度情報を補正し、ウェハWの構造を解析するコントローラ17とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板処理装置に用いられるプロセスモニター装置、プロセスモニター方法、および基板処理装置に関するものであって、特に、被処理基板の構造を評価するためのプロセスモニター装置、プロセスモニター方法、および基板処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
半導体製造分野においては、半導体装置のさらなる微細化や高密度化が求められている。このような背景の下、より付加価値の高い半導体装置を製造するために、例えばCVD(Chemical Vapor Deposition)処理により成膜された膜の膜厚や、エッチング処理をする際の膜厚、またはウェハ表面の構造等を、プロセス過程において計測し、その計測値とリファレンス値とを比較することによって、各種処理パラメータを補正することが行われている。このため、従来から、ウェハに光を照射し、その反射波を検知/解析することによって、ウェハ表面の構造等を決定するためのプロセスモニター装置が、開発されてきた。このような装置として、特開2005−33187号公報(特許文献1)においては、ウェハの表面構造を、エリプソメトリ法等の光学的手法を用いて計測する装置および方法が、開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−33187号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記した特許文献1に記載の装置をはじめ、光学的手法を用いて被処理基板の構造計測を行うプロセスモニター装置においては、以下に示す課題があるため、正確な計測を行うことができない虞があった。
【0005】
被処理基板処理時に被処理基板表面に光を照射するためには、光源から処理容器内に光を導入する必要がある。一般的に、光源と処理容器とは、光ファイバーケーブルを用いて接続されている。
【0006】
ここで、光ファイバーケーブルを継続して使用すると、光の紫外線成分によって光ファイバーが経時劣化し、光ファイバーケーブル内を通過する紫外線成分を徐々に減衰させてしまう現象が起こる。このため、被処理基板からの反射波の強度(インテンシティー)スペクトルを検出し、この強度に係る情報を一つのパラメータとして被処理基板の表面構造の分析を行うような場合においては、長時間継続して装置を使用すると、被処理基板の表面構造の正確な計測を行うことができなくなるといった課題があった。特に、数nm程度の極薄い薄膜の膜厚を計測する場合等においては、より波長の短い紫外線を用いる必要がある。したがって、上記のように光の紫外線成分が減衰してしまうと、計測結果に誤差を生じさせ、正確な計測ができなくなる虞があった。
【0007】
そこで、本発明の目的は、上記課題に鑑み、光学的手法を用いて被処理基板の構造をより高精度に計測することができるプロセスモニター装置を提供することである。
【0008】
本発明の他の目的は、光学的手法を用いて被処理基板の構造をより高精度に評価することができるプロセスモニター方法を提供することである。
【0009】
本発明のさらに他の目的は、光学的手法を用いて被処理基板の構造をより高精度に評価することができる基板処理装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係るプロセスモニター装置は、基板処理装置の処理容器内に設置された被処理基板の表面に光を照射し、その反射波を検知することによって被処理基板の構造を評価するための装置である。このプロセスモニター装置は、光を発生させて外部へと出射する光源部と、外部から入射された光の強度を検知可能な光検知部と、光源部から出射された光を被処理基板まで導き、被処理基板から反射した反射波を光検知部まで導く第一光経路と、第一光経路と同等の光伝搬特性を有するように構成され、光源部から出射された光を、被処理基板を経由することなく光検知部まで導く第二光経路と、第二光経路を通して光検知部により検知された光の強度情報に基づいて、第一光経路を通して光検知部により検知された光の強度情報を補正し、被処理基板の構造を解析するコントローラとを備える。
【0011】
この構成によれば、継続使用による第一光経路の経時劣化を要因として引き起こされる光の強度の変動を、上記第一光経路と同等の光伝搬特性を有する第二光経路を経て光検知部に導入された光の強度の変動を計測することによって、正確に把握することができる。その結果、上記変動に係る情報に基づいて、第一光経路を経て光検知部に導入された光の強度情報を補正することが可能となる。すなわち、第一光経路を経て光検知部によって計測された光の強度情報から、第一光経路の経時劣化の影響を排除することができるため、被処理基板からの反射波の強度を正確に計測することが可能となる。これにより、被処理基板の構造を高精度に評価することができる。
【0012】
好ましくは、第一光経路および第二光経路は、それぞれの経路中において、同一材料且つ同一総長さの光ファイバーケーブルを有する。この構成によれば、第一光経路および第二光経路を、同一の光伝搬特性を有する材料によって構成することができるため、第一光経路の経時劣化による光の強度の変動を、より正確に検出することが可能となる。したがって、被処理基板の構造をより高精度に評価することができる。
【0013】
好ましくは、光源部から出射された光を反射可能に設置され、その反射方向を変更可能な第一ミラーと、第一ミラーによって反射された光をさらに反射可能に設置された第二ミラーとをさらに備える。ここで、第一ミラーは、被処理基板へ向けて光を反射する方向と、第二ミラーに向けて光を反射する方向との間で、その反射方向を周期的に変更可能に構成される。そして、第一光経路は、光源部から出射された光を、第一ミラーを経て被処理基板に照射し、その反射波を光検知部まで導く。また、第二光経路は、光源部から出射された光を、第一ミラーおよび第二ミラーを経て光検知部まで導く。
【0014】
さらに好ましくは、光源部から出射された光を第一ミラーまで導く光ファイバーケーブルを備える。そして、第一光経路は、光源部から出射された光を、上記光ファイバーケーブルおよび第一ミラーを経て被処理基板に照射し、その反射波を第一ミラーおよび上記光ファイバーケーブルを経て光検知部まで導く。また、第二光経路は、光源部から出射された光を、上記光ファイバーケーブルおよび第一ミラーを経て第二ミラーに照射し、その反射波を第一ミラーおよび上記光ファイバーケーブルを経て光検知部へと導く。
【0015】
この構成によれば、第一光経路および第二光経路に、共通の光ファイバーケーブルを採用することが可能となる。これにより、第一光経路の経時劣化による光の強度の変動を、さらに正確に検出することが可能となるため、被処理基板の構造をより高精度に評価することができる。また、第一光経路と第二光経路とを、反射方向を変更可能な第一ミラーを制御することによって任意に切り換えることができるため、被処理基板の構造評価を任意に制御することが可能となる。また、第一光経路および第二光経路の一部を共通とすることができ、且つ、第一光経路と第二光経路との切り替えを単純なミラー部材によって実現することができるため、プロセスモニター装置をより簡易な構成とすることができる。
【0016】
好ましくは、コントローラは、第二光経路を通して光検知部により検知された光の強度情報と、プロセス開始当初に第二光経路を通して光検知部により検知された光の強度情報との差に基づいて、第一光経路を通して光検知部により検知された光の強度情報を補正することによって、被処理基板の構造を解析する。この構成によれば、経時劣化が生じていないプロセス開始当初からの光強度の変動を正確に検出することができるため、第一光経路の経時劣化の影響をより確実に排除することができる。したがって、被処理基板の構造をより高精度に評価することができる。
【0017】
好ましくは、光源部によって生成される光は、300nm以下の波長を有する。この構成によれば、比較的に波長の短い光を用いることによって、より寸法の小さな構造の評価を行うことが可能となる。
【0018】
本発明の他の局面として、本発明に係るプロセスモニター方法は、基板処理装置の処理容器内に設置された被処理基板の表面に光を照射し、その反射波を検知することによって被処理基板の構造を評価するための方法である。このプロセスモニター方法は、光源部から出射された光を被処理基板まで導き、被処理基板から反射した反射波を、光の強度を検知可能な光検知部まで導く第一光導波ステップと、光源部から出射された光を、被処理基板を経由することなく光検知部まで導く第二光導波ステップと、第二光導波ステップを経て光検知部により検知された光の強度情報に基づいて、第一光導波ステップを経て光検知部により検知された光の強度情報を補正し、被処理基板の構造を解析する解析ステップとを備える。ここで、第一光導波ステップにおいて光が通過する第一光経路と、第二光導波ステップにおいて光が通過する第二光経路とは、その光伝搬特性が同等となるように構成される。
【0019】
この構成によれば、継続使用による第一光経路の経時劣化を要因として引き起こされる光の強度の変動を、上記第一光経路と同等の光伝搬特性を有する第二光経路を経て光検知部に導入された光の強度の変動を計測することによって、正確に把握することができる。その結果、上記変動に係る情報に基づいて、第一光導波ステップを経て光検知部に導入された光の強度情報を補正することが可能となる。すなわち、第一光導波ステップを経て光検知部によって計測された光の強度情報から、第一光経路の経時劣化の影響を排除することができるため、被処理基板からの反射波の強度を正確に計測することが可能となる。これにより、被処理基板の構造を高精度に評価することができる。
【0020】
好ましくは、第一光経路および第二光経路は、それぞれの経路中において、同一材料且つ同一総長さの光ファイバーケーブルを有する。この構成によれば、第一光経路および第二光経路を、同一の光伝搬特性を有する材料によって構成することができるため、第一光経路の経時劣化による光の強度の変動を、より正確に検出することが可能となる。したがって、被処理基板の構造をより高精度に評価することができる。
【0021】
好ましくは、第一光導波ステップは、光源部から出射された光を、反射方向を変更可能な第一反射手段に導くステップと、第一反射手段によって被処理基板に向けて光を反射するステップと、被処理基板から反射された光を光検知部に導くステップとを有する。また、第二光導波ステップは、光源部から出射された光を第一反射手段に導くステップと、第一反射手段によって反射された光をさらに反射可能な第二反射手段に向けて、第一反射手段により光を反射するステップと、第二反射手段から反射された光を光検知部に導くステップとを有する。ここで、第一反射手段は、被処理基板へ向けて光を反射する方向と、第二反射手段に向けて光を反射する方向との間で、その反射方向を周期的に変更するように制御される。 さらに好ましくは、第一光導波ステップにおいて、被処理基板から反射された光は、第一反射手段を再度経由して光検知部に導かれ、第二光導波ステップにおいて、第二反射手段から反射された光は、第一反射手段を再度経由して光検知部に導かれる。
【0022】
この構成によれば、第一光導波ステップおよび第二光導波ステップにおいて、光源部と第一反射手段との間の光経路を、共通とすることが可能となる。すなわち、この共通の経路を、例えば一つ光ファイバーケーブルにより構成することが可能となる。これにより、第一光経路の経時劣化による光の強度の変動を、さらに正確に検出することが可能となるため、被処理基板の構造をより高精度に評価することができる。また、第一光経路と第二光経路とを、反射方向を変更可能な第一反射手段を制御するによって任意に切り換えることができるため、被処理基板の構造の評価を任意に制御することが可能となる。
【0023】
好ましくは、解析ステップは、第一光導波ステップを経て光検知部により検知された光の強度を計測する第一計測ステップと、第二光導波ステップを経て光検知部により検知された光の強度を計測する第二計測ステップと、プロセス開始当初に第二光導波ステップを通して光検知部により検知された光の強度と、第二計測ステップによって計測された光の強度との差を計算するステップと、計算ステップによって算出された光の強度差に係る情報に基づいて、第一計測ステップによって計測された光の強度を補正するステップと、補正された光の強度情報に基づいて、被処理基板の構造を解析するステップとを有する。この構成によれば、経時劣化が生じていないプロセス開始当初からの光強度の変動を正確に検出することができるため、第一光経路の経時劣化の影響をより確実に排除することができる。したがって、被処理基板の構造をより高精度に評価することができる。
【0024】
本発明のさらに他の局面として、本発明に係る基板処理装置は、内部において被処理基板にプラズマ処理を行う処理容器と、処理容器内に設置され、被処理基板を載置可能な載置台と、処理容器内にプロセスガスを供給するガス供給部と、処理容器内にプラズマを生成するプラズマ生成部と、被処理基板の表面に光を照射し、その反射波を検知することによって被処理基板の構造を評価するためのプロセスモニター装置とを備える。ここで、プロセスモニター装置は、光を発生させて外部へと出射する光源部と、外部から入射された光の強度を検知可能な光検知部と、光源部から出射された光を被処理基板まで導き、被処理基板から反射した反射波を光検知部まで導く第一光経路と、第一光経路と同等の光伝搬特性を有するように構成され、光源部から出射された光を、被処理基板を経由することなく光検知部まで導く第二光経路と、第二光経路を通して光検知部により検知された光の強度情報に基づいて、第一光経路を通して光検知部により検知された光の強度情報を補正し、被処理基板の構造を解析するコントローラとを有する。
【0025】
この構成によれば、被処理基板に対してプラズマ処理を行いつつ、被処理基板の構造を高精度に評価することが可能な基板処理装置を提供することができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、継続使用による第一光経路の経時劣化を要因として引き起こされる光の強度の変動を、上記第一光経路と同等の光伝搬特性を有する第二光経路を経て光検知部に導入された光の強度の変動を計測することによって、正確に把握することができる。その結果、上記変動に係る情報に基づいて、第一光経路を経て光検知部に導入された光の強度情報を補正することが可能となる。すなわち、第一光経路を経て光検知部によって計測された光の強度情報から、第一光経路の経時劣化の影響を排除することができるため、被処理基板からの反射波の強度を正確に計測することが可能となる。したがって、被処理基板の構造を高精度に評価することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の一実施形態に係るプロセスモニター装置を概略的に示す図であって、光学モニタから出射された光が、第一光経路を通過している状態を示す概略図である。
【図2】本発明の一実施形態に係るプロセスモニター装置を概略的に示す図であって、光学モニタから出射された光が、第二光経路を通過している状態を示す概略図である。
【図3】本発明の一実施形態に係るプロセスモニター方法のフローチャートを示す。
【図4】本発明の一実施形態に係るプロセス開始ステップにおける計測結果を示すグラフである。
【図5】光学モニタの光源部のON/OFF信号と、第一ミラーの制御信号の時間波形を示す。
【図6】本発明の一実施形態に係る解析ステップのフローチャートを示す。
【図7】光ファイバーケーブルを継続的に使用した場合における紫外線強度と、計測開始からの時間との関係を示すグラフである。
【図8】本発明の一実施形態に係るプロセスモニター装置が設置されたマイクロ波プラズマ処理装置の要部を示す概略断面図であって、プロセスモニター装置によって光が第一光経路を通過している状態を示す。
【図9】本発明の他の実施形態に係るプロセスモニター装置を概略的に示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき詳細に説明する。まず、図1および図2を用いて、本発明の一実施形態に係るプロセスモニター装置11の構成について説明する。図1は、光学モニタ12から出射された光が、第一光経路21を通過している状態を示し、図2は、光学モニタ12から出射された光が、第二光経路22を通過している状態を示している。なお、以下の説明中における上下方向は、図1の紙面上下方向を示すものとする。また、図1および図2においては、理解の容易の観点から、構成部材の一部を断面として表し、ハッチングを省略して示している。
【0029】
図1および図2を参照して、本発明の一実施形態に係るプロセスモニター装置11は、プラズマ処理装置101に設置される装置であって、被処理基板としてのウェハWの基板表面に形成された薄膜の膜厚を光学的手法により計測するための装置である。
【0030】
プラズマ処理装置101は、内部でウェハWにプラズマエッチング処理を行う処理容器102と、処理容器102内にエッチング処理用のガスを供給するガス供給部103と、ウェハWを下方から支持する円板状の支持台104と、処理容器102内にプラズマを発生させるプラズマ生成部105と、処理容器102の下部に設けられた排気管106を介して処理容器102内のガスを排気する排気装置107と、プラズマ処理装置101全体を制御するプロセスコントローラ(図示せず)とを備える。プロセスコントローラは、プラズマ処理用ガス供給部103におけるガス流量や、処理容器102内の圧力等、プラズマ処理装置101全体の制御を行う。
【0031】
本実施形態に係るプロセスモニター装置11は、処理容器102内においてウェハWにエッチング処理が行われている間に、ウェハWの表面に光を照射し、その反射波を検知することによって、ウェハWの基板表面に形成された薄膜の膜厚を計測する装置である。
【0032】
プロセスモニター装置11は、光を発生させて外部へと出射する光源部、および外部から入射された光の強度を検知可能な光検知部(ともに図示せず)を有する光学モニタ12と、処理容器102の上方に設置され、光学モニタ12から出射された光を反射可能な第一ミラー13と、第一ミラー13によって反射された光をさらに反射可能に設置された第二ミラー14と、光学モニタ12から出射された光を第一ミラー13まで導く光ファイバーケーブル15とを備える。
【0033】
光学モニタ12は、光を発生させ、光出射口Aから出射する光源部を有する。光を発生する光源としては、例えばキセノンランプが適用可能である。この場合、紫外線領域から赤外線領域に亘る広帯域スペクトルを有する光が生成され、光出射口Aから出射される。
【0034】
また、光学モニタ12は、入射された光を受光し、その光の強度を計測する光検知部を有する。光検知部は、例えばキセノンランプを光源とする白色光を受光した場合、内蔵する分光器によって白色光を各周波数帯に分光し、ウェハWの構造を評価するのに適した周波数帯のスペクトル強度を抽出する。そして、このように得た光の強度情報を、コントローラ17へと出力する。コントローラ17の動作については後述する。
【0035】
光ファイバーケーブル15は、光を伝達可能な可撓性のケーブルであって、所定の長さを有している。一般的に光学モニタ12は、処理容器102から離隔した位置に設置される。したがって、光ファイバーケーブル15は、光学モニタ12からの光を、処理容器102の上方領域にまで導くために用いられる。
【0036】
第一ミラー13は、光ファイバーケーブル15を介して導入された光を、処理容器102内に設置されたウェハWの方向と、第一ミラー13の近傍に配置された第二ミラー14の方向との間で、その反射方向を変更可能となるように制御される。第一ミラー13の制御および動作については後述する。
【0037】
第二ミラー14は、その鏡面が第一ミラー13の方向に向くように、第一ミラー13の近傍に固定されている。なお、本実施形態においては、第一ミラー13と第二ミラー14との間に、第二ミラー14から第一ミラー13へと反射する反射率を一定に制御するためのスリット板16が、設けられている。そして、第一ミラー13、第二ミラー14、およびスリット板16が、中空のケース18の内部に収容されている。
【0038】
以下、図1および図2における光の経路について詳細に説明する。図1に示す状態においては、第一ミラー13は、光ファイバーケーブル15から導入された光を、ウェハWに向けて反射する角度に設定されている。ウェハWは、処理容器102内に設けられた支持台104上に載置されており、本実施形態においては、第一ミラー13は、ウェハWの直上付近に配置されている。また、処理容器102の上部108およびプラズマ生成部105には、第一ミラー13によって反射された光が干渉を受けることなく透過可能とするための、光通路部109が形成されている。光通路部109は、例えば、石英より構成され、処理容器102内の雰囲気を保つためのシール部材(図示せず)を備える。なお、石英以外でも、光を透過可能であれば如何なる材料によって光通路部109を構成してもよい。
【0039】
図1に示す状態において、光学モニタ12の光出射口Aから光が出射されると、この光は、光ファイバーケーブル15を通って第一ミラー13に導入され、第一ミラー13鏡面上の反射点Bにおいて反射する。反射した光は、光通路部109内を透過して処理容器102内のウェハWに照射され、ウェハW表面の反射点Cにおいて反射する。ウェハWは、略水平に支持されているため、ウェハWから反射した光は、上記と同じ経路を通過することとなる。すなわち、第一ミラー13に到達し、第一ミラー13の点Bにおいて再度反射し、光ファイバーケーブル15を経て光入射口Aへと回帰する。そして、光学モニタ12によって、ウェハWからの反射波が検知される。
【0040】
図2に示す状態においては、第一ミラー13は、光ファイバーケーブル15から導入された光を、第二ミラー14に向けて反射する角度に設定されている。この場合、光学モニタ12の光出射口Aから出射された光は、光ファイバーケーブル15を通って第一ミラー13に導入され、第一ミラー13上の反射点Dにおいて反射する。反射した光は、スリット板16を通過して第二ミラー14に照射され、第二ミラー14鏡面の反射点Eにおいて反射する。第二ミラー14は、その鏡面が入射光と直交するように設置されており、第二ミラー14から反射した光は、上記と同じ経路を通過することとなる。すなわち、第一ミラー13に到達し、第一ミラー13の点Dにおいて再度反射し、光ファイバーケーブル15を経て光入射口Aへと回帰する。こうして、図1に示す第一光経路21と共通の光ファイバーケーブル15内を往復し、且つウェハWを経由せずに回帰した光の強度が、光学モニタ12によって検知される。
【0041】
このように、本実施形態に係るプロセスモニター装置11においては、光学モニタ12から出射された光が、光ファイバーケーブル15および第一ミラー13によって導かれ、図1に示す点A→点B→点C→点B→点Aに至る第一光経路21が、形成される。また、光学モニタ12から出射された光が、光ファイバーケーブル15、第一ミラー13、および第二ミラー14によって導かれて、図2に示す点A→点D→点E→点D→点Aに至る第二光経路22が、形成される。そして、第一光経路21と第二光経路22とは、第一ミラー13の角度を制御することによって切り換え可能な構成となっている。
【0042】
第一光経路21および第二光経路22のそれぞれを経由して光学モニタ12に入射された光は、上記したように、分光器によって計測に適した周波数成分のみが取り出される。そして、これら光強度に係る情報が、コントローラ17に送られる。コントローラ17は、後述する方法に基づいて、ウェハWに形成された薄膜の膜厚を計算する。なお、コントローラ17は、上記したプロセスコントローラと通信可能に接続されている。
【0043】
次に、本実施形態に係るプロセスモニター装置11を用いて膜厚を計測するプロセスモニター方法について、図1〜図7を参照して説明する。
【0044】
図1〜図7を参照して、本発明の一実施形態に係るプロセスモニター方法は、エッチング処理されているウェハWの薄膜の膜厚を、上記プロセスモニター装置11を用いて計測するための方法である。このプロセスモニター方法は、膜厚の計測をするために必要となるレファレンスデータを得るためのプロセス開始ステップ31と、光学モニタ12の光源部から出射された光を、第二光経路22を通過させて光学モニタ12の光検知部に導く第二光導波ステップ32と、光学モニタ12の光源部から出射された光を、第一光経路21を通過させて光学モニタ12の光検知部に導く第一光導波ステップ33と、第二光導波ステップ32および第一光導波ステップ33のそれぞれを経て得られた光の強度情報に基づいてウェハWに形成された薄膜の膜厚を計算する解析ステップ34と、予め記録された所定のデータに基づいて膜厚の計測を終了させるプロセス終了ステップ35とを備える。
【0045】
ウェハWに形成された薄膜の膜厚を計算するために、まず、プロセス開始ステップ31において、光学モニタ12により検知されるウェハWからの反射波の光強度と、膜厚との間の相関関係に係るレファレンスデータを取得する。まず、基板上に所定の膜厚を有する薄膜が形成されたレファレンスウェハを用意し、その膜厚を、電子顕微鏡等を用いて計測する。次いで、レファレンスウェハに光を照射させ、その反射波の紫外線成分の強度を計測する。そして、レファレンスウェハに対してエッチング処理を施しながら、反射波の紫外線強度を順次計測していく。そして、所定時間経過後にエッチング処理を終了し、その時の膜厚を、電子顕微鏡等を用いて計測する。
【0046】
図4に、このステップ31において行われたレファレンス光強度計測の計測結果を示す。図4において、横軸はエッチング処理時間を示し、縦軸は反射波の紫外線強度を示す。また、図4中の実線37は、強度の実測値を示し、一点鎖線38は、その平均値を示す。このレファレンス光強度計測においては、レファレンスウェハに成膜された薄膜の初期の膜厚は、12.4nmであり、その時の紫外線の相対強度は、約1300であった(図4中の点36)。
【0047】
図4に示すように、ウェハにエッチング処理を施し、薄膜の膜厚が減ぜられるにつれて、それと相関して光強度が増加していく。このメカニズムについて、以下に簡単に説明する。基板上に所定の膜厚の薄膜が形成されているウェハに光を照射した場合、薄膜の表面において反射する光と、薄膜を透過しウェハの基板表面にて反射する光とが生じる。これら反射波は、互いに重なり合って干渉するため、反射波の光強度に影響を与えることとなる。このような光の干渉は、薄膜の膜厚に依存して変動する。すなわち、反射波の強度と、ウェハに形成された薄膜の膜厚とは、図4に示すように互いに相関関係を有している。したがって、このように光強度を計測することによって、膜厚を定量的に評価することが可能となる。
【0048】
図4に示すように、所定時間エッチング処理を行った結果の膜厚は1.9nmとなり、この時に計測された紫外線の相対強度は、約1400であった(図4中の点39)。すなわち、膜厚が1nm変化した場合の光強度の変化量δLは、
δL=(1400−1300)/(12.4−1.9)=9.5[相対強度/nm]
となる。この変化量δLは、光強度と膜厚との間の相関関係を示すレファレンスデータであり、光強度に基づいた膜厚の計算に必要となるデータとなる。
【0049】
プロセス開始ステップ31の後に、実際に処理を行うウェハWへのエッチング処理が開始される。そして、ウェハWへエッチング処理が行われる間に、後述する第二光導波ステップ32、第一光導波ステップ33、および解析ステップ34が実施される。なお、実際の量産工程においては、複数のウェハに対して連続的に処理を行うこととなる。このような場合、プロセス開始ステップ31においてレファレンスウェハをエッチングし、上記レファレンスデータδLを取得する作業は、プロセスの最初に少なくとも一度行えばよい。すなわち、プロセス開始当初に一度レファレンスデータを得れば、その後の処理においてはそのレファレンスデータを利用することができるからである。また、同一の処理を行う場合においては、レファレンスデータを共用してもよい。
【0050】
次に、第二光導波ステップ32において、まず、第一ミラー13の角度が、図2に示す状態にセットされる。この状態にて、光学モニタ12の光源部が光を出射する。光出射口Aから出射された光は、光ファイバーケーブル15、第一ミラー13、および第二ミラー14を介して、図2に示す点A→点D→点E→点D→点Aと至る第二光経路22を通過するように導かれ、光学モニタ12の光検知部に入射される。
【0051】
次いで、第一光導波ステップ33において、第一ミラー13の角度が、図1に示す状態にセットされる。この状態にて、光学モニタ12の光源部が再度光を出射する。光出射口Aから出射された光は、光ファイバーケーブル15および第一ミラー13を介して、図1に示す点A→点B→点C→点B→点Aに至る第一光経路21を通過するように導かれ、光学モニタ12の光検知部に入射される。
【0052】
図5に、光学モニタ12の光源部のON/OFF信号と、第一ミラー13の制御信号の時間波形を示す。光源部がONとなっている期間T、Tに、光源部から光が出射される。また、第一ミラー13の制御信号がONとなっている期間Tは、第一ミラー13が図2に示す角度となるように制御され、第一ミラー13の制御信号がOFFとなっている期間Tは、第一ミラー13が図1に示す角度となるように制御される。すなわち、第一ミラー13は、その角度を電気的に制御可能な方向可変ミラーであって、このようなミラーとして、例えばガルバノミラーを適用することができる。
【0053】
第二光導波ステップ32は、期間Tの間に行われる。すなわち、期間Tの間に、光源部から光が出射され、光の強度計測が行われる。そして、期間Tの間は、光の生成が停止される。第一光導波ステップ33は、期間Tの間に行われる。すなわち、期間Tの間に光源部から光が出射され、光の強度計測が行われる。そして、期間Tの間は、光の生成が停止される。図5に示すON/OFF信号の周期の実施例としては、T=T=T=T=50msec〜100msecとなるように設定してもよい。すなわち、第一ミラー13を、2.5Hz〜5Hzの周波数で切り換えるように制御してもよい。このように、本実施形態に係るプロセスモニター方法は、図5に示すような制御信号によって電気的に制御可能に行われる。
【0054】
次いで、解析ステップ34において、第二光経路22および第一光経路21のそれぞれを通過した光の強度が計測され、それら強度情報に基づいて、ウェハWに形成された薄膜の膜厚計算が行われる。図6に本発明の一実施形態に係る解析ステップの34のフローチャートを示す。解析ステップ34は、第二光導波ステップ32を経て光学モニタ12の光検知部により検知された光の強度を計測する第二計測ステップ341と、第一光導波ステップ33を経て光検知部により検知された光の強度を計測する第一計測ステップ342と、上記第二計測ステップ341によって計測された光の強度を、膜厚計測プロセスの開始当初に計測されたデータと比較し、その差を計算するステップ343と、強度差計算ステップ343によって算出された光の強度差に係る情報に基づいて、第一計測ステップ342によって計測された光の強度を補正するステップ344と、補正された光の強度情報に基づいて、ウェハWの膜厚を計算するステップ345とを有する。
【0055】
本実施形態においては、光検知部により検知した光の周波数成分の内、紫外線成分の光強度を検出することによって、膜厚計算を行う。すなわち、第二計測ステップ341および第一計測ステップ342においては、上記分光器を用いて、光学モニタ12に入射された光の紫外線強度を計測する。
【0056】
ここで、参考データとして、図7に、光ファイバーケーブル15を継続的に使用することによって生じる紫外線強度の減少に関するグラフを提示する。図7は、光ファイバーケーブル15を通した後にエッチング処理を行っていない定常状態のウェハに光を照射し、その反射波の紫外線強度を継続的に計測したときの紫外線強度と、計測開始からの時間との関係を示すグラフである。図7において、横軸は時間を示し、縦軸は光の紫外線強度を示す。なお、実線40は紫外線強度の実測値を示し、一点鎖線41はその平均値を示す。また、図7に示す測定結果は、処理条件として、雰囲気をN、圧力を100mTとし、ベアシリコン上にSiO膜を成膜したウェハに対し、200nmの波長の紫外線を照射した場合における結果を示すものである。また、サンプリング時間は、0.1秒である。
【0057】
図7に示すように、上記測定系において紫外線強度を継続的に計測していくと、時間とともに強度が漸減していく傾向があることが明らかである。ここで、この計測においては、エッチング処理が施されていない定常状態のウェハからの反射波の紫外線強度を計測しているのみであるため、計測される紫外線強度は、本来は一定となるべきものである。しかしながら、実際には、光ファイバーケーブル15を継続的に使用することによって、紫外線強度が時間とともに減衰する。これは、上記したように、光の紫外線成分によって光ファイバーが経時劣化し、光ファイバーケーブル15内を通過する光の紫外線成分を減衰させてしまう現象に起因する。
【0058】
図7に示すように、紫外線強度計測プロセスの開始当初に計測された相対強度は、約2125であった(図7中の点42)。計測プロセスの継続とともにその強度は減少し、所定時間経過後には、相対強度は、約2100となった。すなわち、光ファイバーケーブル15の経時劣化によって、エッチングによる膜厚の減少とは無関係に、紫外線の相対強度がδx=25だけ減衰してしまった。この相対強度の減衰量δx=25は、上記変化量δLに基づいて薄膜の厚みの変化量δtに変換すると、
δt=25/9.5≒2.63nm
に相当する。この結果から明らかなように、膜厚計測プロセスにおいて、光ファイバー15を継続的に使用すると、計測結果に上記δtに相当する誤差が包含されることとなるため、正確な膜厚の計測を行うことが困難となってしまう。
【0059】
そこで、本実施形態に係る解析ステップ34においては、膜厚計算ステップの前に、上記減衰δxを算出する強度差計算ステップ343と、減衰δxの情報に基づいて光強度情報を補正する補正ステップ344が設けられている。
【0060】
強度差計算ステップ343においては、第二計測ステップ341により計測された光の強度情報を、プロセスの開始当初に第二計測ステップ341により計測された強度情報と比較し、減衰δxの値を算出する。すなわち、図7を用いて説明すれば、図7中の点42に示される強度(プロセス開始当初に第二計測ステップ341により計測された紫外線強度)と、点43に示される強度(現計測時に第二計測ステップ341により計測された紫外線強度)との差δxを算出する。そして、補正ステップ344において、第一計測ステップ342により計測された、ウェハWからの反射波の強度に、減衰δxを加算する補正を行う。このような補正を行うことによって、第一計測ステップ342により得られた光強度情報から、光ファイバーケーブル15の経時劣化による影響を排除することができる。
【0061】
補正ステップ344の後、膜厚計算ステップ345において、上記補正後の光強度情報に基づいて、ウェハWに形成された薄膜の膜厚計算が行われる。この膜厚計算は、上記プロセス開始ステップ31において得られた変化量δLを用いて行われる。以下に膜厚計算ステップ345における膜厚計算の具体例を示す。
【0062】
プロセス開始前のウェハWに形成された薄膜の膜厚をt、プロセス開始直後に第一計測ステップ342にて計測された光強度をLとする。そして、エッチング処理の結果、第一計測ステップ342にて計測された光強度がLとなり、その時に強度差計算ステップ343にて得られた減衰が、δxであったとする。この場合、補正ステップ344において、第一計測ステップ342にて計測された光強度Lが補正され、L+δxとされる。この補正後の光強度情報に基づいて、プロセス開始からエッチングによって削られた厚みtが以下の式により計算される。
=(L+δx−L)/9.5
したがって、この時点においてウェハWに残留している薄膜の膜厚tは、
=t−t=t−(L+δx−L)/9.5
として計算されることとなる。このようにして、膜厚計算ステップ345において、ウェハWに残留する薄膜の膜厚tを、光強度情報に基づいて定量的に算出することができる。
【0063】
解析ステップ34により上記のように膜厚計算を行ったあと、第二光導波ステップ32に戻り、ウェハWに対してエッチング処理を施すとともに、膜厚の計算を順次行う。そして、ウェハWに形成された薄膜の膜厚が所定の厚みとなったときに、プロセス終了ステップ35が、プロセスを終了させる。すなわち、要求されるエッチング処理後の膜厚に係るデータを予め記録しておき、上記解析ステップ34により算出された残留薄膜の膜厚tが要求される膜厚となったときに、プロセス終了ステップ35が、図3に示すサイクルを終了させる。
【0064】
本実施形態によれば、プロセスモニター装置11を継続的に使用した場合においても、より高精度な膜厚計算を行うことができる。これについて以下に説明する。
【0065】
図7に示したように、光ファイバーケーブル15を継続使用すると、光の紫外線成分によって光ファイバーが経時劣化し、紫外線成分を減衰させる。上記したように、これは正確な膜厚計測を妨げる要因となる。
【0066】
本実施形態に係るプロセスモニター方法は、膜厚計算のための光強度情報を得る第一光導波ステップ33の前に、上記経時劣化による光強度の減衰値δxを得るための第二光導波ステップ32を設け、解析ステップ34において、膜厚計算用の光強度情報を、減衰値δxにより随時補正する構成となっている。なお、紫外線による光ファイバーの経時劣化は、数分単位で進行していくことが分かっている。これに対して、本実施形態においては、図5に示すように、100〜200msecの間隔で、補正用の光強度情報を得る計測と、膜厚計算用の光強度情報を得る計測とを、交互に行っている。したがって、この二つの計測の間の光ファイバーの経時劣化の影響は、無視することができる。
【0067】
さらに、第一光経路21および第二光経路22は、その経路中において、同一の光ファイバーケーブル15を共有している。また、第一光経路21における点B〜点C間の経路、および第二光経路22における点D〜点E間の経路は、通過する光の特性に影響を与えるものではなく、紫外線の減衰等を生じさせることもない。したがって、第一光経路21と第二光経路22とは、経時劣化による紫外線減衰等といった光伝搬特性が同一であるとみなすことができる。
【0068】
すなわち、本実施形態によれば、第一光経路21において光ファイバーケーブル15の経時劣化を要因として引き起こされる光の強度の変動を、第二光経路22を経た光の強度の変動を計測することによって、正確に把握することができる。これにより、第一光導波ステップ33を経て得られた膜厚計算用の光強度情報を、上記変動を相殺するように補正することが可能となる。すなわち、膜厚計算用の光強度情報から、光ファイバーケーブル15の経時劣化によってもたらされる影響を排除することができる。したがって、ウェハWに形成された薄膜の膜厚を正確に計測することが可能となる。
【0069】
また、本実施形態によれば、第一光経路21と第二光経路22とを、反射方向を変更可能な第一ミラー13を電気的に制御することによって任意に切り換え可能な構成となっている。すなわち、本測定と補正用測定とを任意に制御することができる。これにより、ウェハWの膜厚計測を、より制御された形態として実行することができる。また、第一光経路21と第二光経路22との切り替えを、汎用部材であるガルバノミラーによって実現することができるため、プロセスモニター装置11をより容易に構成することができる。
【0070】
なお、本実施形態に係るプロセスモニター装置11は、マイクロ波をプラズマ源とするマイクロ波プラズマ処理装置や、平行平板型プラズマ処理装置、ICP(Inductively−Coupled Plasma)プラズマ処理装置、またはECR(Electron Cyclotron Resonance)プラズマ処理装置等、如何なるプラズマ処理装置にも適用可能である。以下に、一つの適用例として、スロットアンテナを用いたマイクロ波プラズマ処理装置にプロセスモニター装置11を適用した実施形態について説明する。
【0071】
図8は、本実施形態に係るプロセスモニター装置11が設置されたマイクロ波プラズマ処理装置111の要部を示す概略断面図であって、プロセスモニター装置11によって光が第一光経路を通過している状態を示す。
【0072】
図8を参照して、プラズマ処理装置111は、内部でウェハWにプラズマ処理を行う処理容器112と、処理容器112内にプラズマ処理用のガスを供給するプラズマ処理用ガス供給部113と、ウェハWを下方から支持する円板状の支持台114と、処理容器112内にプラズマを発生させるプラズマ発生機構119と、プラズマ処理装置111全体を制御するプロセスコントローラ(図示せず)とを備える。プロセスコントローラは、プラズマ処理用ガス供給部113におけるガス流量、処理容器112内の圧力等、プラズマ処理装置111全体の制御を行う。プロセスモニター装置は、コントローラ17を介してプロセスコントローラと通信可能に接続されている。
【0073】
処理容器112は、支持台114の下方側に位置する底部121と、底部121の外周から上方向に延びる側壁122とを含む。側壁122は、略円筒状である。処理容器112の底部121には、その一部を貫通するように排気用の排気管123が設けられている。処理容器112の上部側は開口しており、処理容器112の上部側に配置される環状部124、後述する誘電体窓116、および誘電体窓116と環状部124との間に介在するシール部材としてのOリング125によって、処理容器112の内部が密封されている。
【0074】
プラズマ処理用ガス供給部113は、ウェハWの中央に向かってガスを供給する第一のプラズマ処理用ガス供給部126と、ウェハWの外側からガスを供給する第二のプラズマ処理用ガス供給部127とを含む。第一のプラズマ処理用ガス供給部126は、誘電体窓116の径方向中央部に設けられたガス供給孔130aを介して、処理容器112内にガスを供給している。第一のプラズマ処理用ガス供給部126は、第一のプラズマ処理用ガス供給部126に接続されたガス供給系129により流量等を調整しながらプラズマ処理用ガスを供給する。第二のプラズマ処理用ガス供給部127は、側壁122の上部側の一部に設けられた複数のガス供給孔130bを介して、処理容器112内にプラズマ処理用ガスを供給している。複数のガス供給孔130bは、周方向に略等配に設けられている。
【0075】
支持台114は、静電チャック(図示せず)によりその上にウェハWを保持可能である。なお、この静電チャックは、省略してもよい。支持台114は、内部に設けられた温度調整機構(図示せず)により所望の温度に設定可能である。支持台114は、底部121の下方側から垂直上方に延びる絶縁性の筒状支持部131に支持されている。上記した排気管123は、処理容器112の底部121の一部を貫通するように設けられている。排気管123の下方側には排気装置(図示せず)が接続されている。排気装置は、ターボ分子ポンプなどの真空ポンプを有している。排気装置により、処理容器112内を所定の圧力まで減圧することができる。
【0076】
プラズマ発生機構119は、処理容器112外に設けられるプラズマ励起用のマイクロ波を発生させるマイクロ波発生装置120と、支持台114と対向する位置に配置され、マイクロ波発生装置120により発生させたマイクロ波を処理容器112内に導入する誘電体窓116と、誘電体窓116の上方側に配置され、マイクロ波を誘電体窓116に放射するスロットアンテナ板117と、スロットアンテナ板117の上方側に配置され、導入されたマイクロ波を径方向に伝播する誘電体部材118と、マイクロ波発生装置120によって送信されたマイクロ波を誘電体部材118に導入する導波官128とを含む。誘電体部材118の上方には、カバープレート115が、誘電体部材118を上方から覆うようにして設置されている。
【0077】
誘電体窓116は、略円板状の誘電体から構成されており、処理容器112の上部開口を閉鎖するように上記環状部124上に配置される。なお、誘電体窓116の具体的な材質としては、石英やアルミナ等が挙げられる。
【0078】
スロットアンテナ板117は、薄板状の円板部材である。スロットアンテナ板117には、複数のスロット117sが設けられている。誘電体部材118からスロットアンテナ板117に導入されたマイクロ波は、このスロット117sを通過し、誘電体窓116へと放射される。
【0079】
誘電体部材118は、円形状の薄板状部材であって、誘電体窓116と同心に配置されている。また、誘電体部材118は、誘電体部材118の下端面と誘電体窓116の上端面とが対面するように配置されている。この誘電体部材118は、導波管128から導入されたマイクロ波を外径方向に伝搬させ、スロットアンテナ板117へと導入する。
【0080】
導波管128は、断面円形状または矩形状の導電体から構成されており、一端がマイクロ波発生装置120に接続され、他端がスロットアンテナ板117の中心部に接続されている。
【0081】
マイクロ波発生装置120から供給されたマイクロ波は、導波管128内を伝搬し、誘電体部材118に導入される。そして、誘電体部材118の内部を外径方向に伝搬し、スロットアンテナ板117に設けられた複数のスロット117sから誘電体窓116に放射される。誘電体窓116に導入されたマイクロ波は、誘電体窓116の内部に電界を形成する。そして、誘電体窓116を透過したマイクロ波が、誘電体窓116の直下に電界を生じさせる。そして、処理容器112内のプラズマ処理用ガスを励起することによって、プラズマが生成される。
【0082】
本実施形態においては、プロセスモニター装置11が、カバープレート115上の中心からやや外径側の位置に設置されている。誘電体窓116、スロットアンテナ板117、誘電体部材118、およびカバープレート115には、プロセスモニター装置11のケース18の直下の位置において、上下方向に貫通するように光通路部139が設けられている。光通路部139には、処理容器112内の減圧状態を保ちつつ光を透過させるための光透過部材が設けられている。この光透過部材は、通過する光の特性に影響を与えることのない材料、例えば、石英により構成される。なお、光透過部材は、誘電体窓116に一体的に設けられていてもよい。また、上記実施形態のように紫外線を用いてウェハWの膜厚計測を行う場合においては、この光通路部139に、短波長の電磁波に対する透過率が高い合成石英を適用することができる。この場合、光が光通路部139を通過する際に、紫外線強度が減衰してしまうことを効果的に抑えることができる。
【0083】
このように、本実施形態に係るプロセスモニター装置11を、図8に示すようにプラズマ処理装置111に設置することによって、処理容器112内にてウェハWにプラズマ処理を施しつつ、ウェハWの膜厚を好適にモニターすることができる。
【0084】
次に、本発明の他の実施形態に係るプロセスモニター装置51について、図9を用いて説明する。なお、上記した実施形態と同様の構成部材には、同じ符号を付し、詳しい説明を省略する。また、図9においては、理解の容易の観点から、構成部材の一部を断面として表し、ハッチングを省略して示している。
【0085】
図9を参照して、本発明の他の実施形態に係るプロセスモニター装置51は、プラズマ処理装置101に設置されるウェハWの膜厚計測用の装置であって、光を発生させて外部へと出射する光源部52と、外部から入射された光の強度を検知可能な光検知部53と、光検知部53に接続され、光検知部53に入射された光の強度情報に基づいて、ウェハWに形成された薄膜の膜厚計算するコントローラ54とを備える。
【0086】
ここで、本実施形態に係るプロセスモニター装置51は、光源部52の第一光出射口Aから出射された光を、ウェハWまで導く第一光ファイバーケーブル55と、ウェハWから反射した反射波を光検知部53の第一光入射口Bまで導く第二光ファイバーケーブル56と、光源部52の第二光出射口Aから出射された光を、ウェハWを経由せずに光検知部53の第二光入射口Bまで導く第三光ファイバーケーブル57とを備える。
【0087】
第一光ファイバーケーブル55のウェハW側の端部には、光ファイバーを通して伝達された光をウェハWに向けて照射する発光部58が設けられている。また、第二光ファイバーケーブル56のウェハW側の端部には、ウェハWから反射した光を受光して、第二光ファイバーケーブル56に送り込む受光部59が設けられている。
【0088】
本実施形態においては、図9に示すように、第一光経路61が、第一光ファイバーケーブル55、発光部58、受光部59、および第二光ファイバーケーブル56によって形成されている。より具体的には、光源部52の第一光出射口Aから出射された光は、第一光ファイバーケーブル55内を通過し、発光部58によってウェハWに照射され、ウェハW表面の反射点Cにて反射する。反射した光は、受光部59によって受光され、第二光ファイバーケーブル56を経て光検知部53の第一光入射口Bに入射される。このように、光源部52から出射された光が、点A→点C→点Bを経るように導かれ、第一光経路61が形成されている。
【0089】
第二光経路62は、第三光ファイバーケーブル57によって形成されている。すなわち、光源部52から出射された光が、第三光ファイバーケーブル57によって、ウェハWを経由することなく、点A→点Bと辿るように導かれている。
【0090】
ここで、第一〜第三光ファイバーケーブル55、56、57は、第一光経路61と第二光経路62の光伝搬特性が同等となるように選択される。すなわち、その具体例としては、第三光ファイバーケーブル57の長さを、第一光ファイバーケーブル55と第二光ファイバーケーブル56の長さの和と同一とし、且つ、第一〜第三光ファイバーケーブル55、56、57を全て同種のものとすることが考えられる。このように構成することによって、第一光経路61と第二光経路62の光伝搬特性を同等とすることができる。すなわち、第一光経路61と第二光経路62において生じる紫外線による経時劣化の度合いも同等にすることができる。
【0091】
コントローラ54は、光検知部53に入射されたそれぞれの光の強度情報に基づいて、ウェハWに形成された薄膜の膜厚計算を行う。
【0092】
次に、本実施形態に係るプロセスモニター装置51の動作について説明する。プロセスモニター装置51は、上記した実施形態と同様に、図3および図6に示すフローチャートに従って動作する。したがって、上記実施形態と同様の部分については、詳しい説明を省略する。
【0093】
まず、プロセス開始ステップ31において、光の強度と膜厚との間の相関関係に係るレファレンスデータを取得する。すなわち、膜厚が1nm変化した場合の光強度の変化量δLに係るデータを取得する。次いで、第二光導波ステップ32において、光源部52から出射された光が、点A→点Bと経由する第二光経路62を通過するように導かれ、光検知部53に入射される。次いで、第一光導波ステップ33において、光源部52から出射された光が、点A→点C→点Bと経由する第一光経路61を通過するように導かれ、光検知部53に入射される。次いで、上記した解析ステップ34において、第二光経路62および第一光経路61のそれぞれを通過した光の強度が計測され、それら強度情報に基づいて、ウェハWに形成された薄膜の膜厚計算が行われる。
【0094】
解析ステップ34においては、まず、第二計測ステップ341により第二光経路62を通過した光の強度を計測する。そして、第一計測ステップ342により第一光経路61を通過した光の強度を計測する。次いで、強度差計算ステップ343において、この時点において第二計測ステップ341により計測された光の強度情報と、プロセスの開始当初に計測された強度情報とを比較し、減衰δxの値を算出する。次いで、補正ステップ344において、第一計測ステップ342にて計測された光の強度に減衰δxを加算する補正を行う。そして、膜厚計算ステップ345において、上記補正後の光強度情報と、レファレンスデータ:変化量δLとに基づいて、ウェハWに形成された薄膜の膜厚計算を行う。
【0095】
ここで、本実施形態においては、上記したように、第一光経路61と第二光経路62の光伝搬特性が同等となるように構成されており、プロセス継続中に第一光経路61および第二光経路62において生じる光の紫外線強度の減衰は、同等であるとみなすことができる。したがって、第一光導波ステップ33を経た膜厚計算用の光強度情報を、第二光導波ステップ32を経た補正用の光強度情報をもって補正することによって、膜厚計算のための光強度情報から光ファイバーケーブルの経時劣化による影響を排除することができる。これにより、ウェハWに形成された薄膜の膜厚を正確に計測することが可能となる。
【0096】
なお、上記実施形態においては、一例としてウェハに形成された薄膜の膜厚計測を行うための装置および方法について述べたが、本発明の概念は、被測定物を経由する第一経路を通過した光の強度情報(本測定用情報)を、被測定物を経由せず、且つ第一経路と特性が同等な第二経路を通過した光の強度情報(補正用情報)により補正することによって、本測定用情報から経路に起因する影響を排除することにある。したがって、本発明の概念は、薄膜の膜厚計測の用途のみならず、被測定物に光を照射して被測定物の構造の特性(寸法、表面形状、物質の組成等)を評価する用途であれば、如何なる用途にも適用可能である。
【0097】
また、上記の説明中において使用する「光伝搬特性」とは、通過する光の強度、波長、位相、偏光、歪み等といった、光に関するパラメータに影響を与え得るいずれの特性をも含むことを意図している点に留意されたい。したがって、本発明の概念は、上記実施形態のように、光の「強度」をもとに被測定物の構造評価を行う形態に限定されるものではなく、波長、位相、偏光、歪み等といったその他の光に関するパラメータに基づいて、被測定物の構造評価を行う形態にも及ぶものである。
【0098】
また、上記実施形態においては、図4に示す方法によりレファレンスデータδLを取得し、このδLと、取得した光の強度情報とに基づいて、膜厚を定量的に評価する場合について述べたが、これに限らず、光の強度に係る情報を一つのパラメータとしてウェハ構造の決定を行うものであれば、如何なる手法に基づいて構造の決定が行われてもよい。
【0099】
また、上記実施形態においては、被測定物を経由する本測定用の光経路と、被測定物を経由しない補正用の光経路とを、それぞれ一つの経路によって構成した場合について述べたが、これに限らず、本測定用の光経路および補正用の光経路が、それぞれ複数の経路によって構成されてもよい。
【0100】
また、上記実施形態においては、光ファイバーケーブルおよびミラーを用いて光経路が形成された場合について述べたが、これに限らず、光が通過可能であって、且つ、本測定用の光経路と、補正用の光経路とが、同等の光伝搬特性を有するものであれば、如何なる部材、手法を適用してもよい。
【0101】
また、上記実施形態における光ファイバーケーブルの特性として、光ファイバーケーブルの継続使用を一時休止し、再び紫外線強度を計測すると、紫外線強度の値が増加することが明らかとなっている。換言すれば、光ファイバーケーブルの経時劣化は、使用の中止により回復するものと言える。また、処理圧力や雰囲気によっても紫外線強度の値が変化することも明らかとなっている。このように、紫外線強度の増減は、様々な要因により引き起こされ、且つ、刻々と変化するものである。したがって、ウェハの膜厚計測を行う際には、上記実施形態のように、補正用の計測と膜厚計算用の計測とを交互に行い、紫外線強度の補正を順次行うことが効果的である。
【0102】
また、上記実施形態においては、エッチング処理における膜厚計測のための装置および方法について述べたが、これに限らず、CVD等の成膜処理やスパッタリング等、その他の如何なる半導体製造に係る処理における構造評価に適用されてもよい。
【0103】
また、上記実施形態においては、処理が施される被処理基板として半導体ウェハを対象とした場合について説明したが、これに限らず、本発明は、例えばフラットパネルディスプレイ用のガラス基板や、可撓性のプラスチック基板等、様々な基板の処理に適用することが可能である。
【0104】
また、上記実施形態においては、光源として、白色光を生成するキセノンランプを適用した場合について述べたが、これに限らず、より微細な構造を有利に評価するために、300nm以下の紫外線を生成可能な光源を採用し、紫外線のみを用いて被計測物の構造評価を行う構成であってもよいし、その他、如何なる所定の波長を有する電磁波を用いる構成であってもよい。
【0105】
また、図1、図2、図8、および図9においては、理解の容易の観点から、光経路を線として表現しているが、実際に光経路を通過する光は、所定の断面積を有する収束光(ビーム)として照射される点に留意されたい。
【0106】
以上、図面を参照して本発明の実施の形態を説明したが、本発明は、図示した実施の形態のものに限定されない。図示した実施の形態に対して、本発明と同一の範囲内において、あるいは均等の範囲内において、種々の修正や変形を加えることが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0107】
本発明は、光学的手法を用いてウェハの構造をより高精度に評価することができるプロセスモニター装置およびプロセスモニター方法を提供するものであって、半導体製造分野に有利に利用される。
【符号の説明】
【0108】
11,51 プロセスモニター装置、12 光学モニタ、13 第一ミラー、14 第二ミラー、15,55,56,57 光ファイバーケーブル、16 スリット板、17,54 コントローラ、18 ケース、21,61 第一光経路、22,62 第二光経路、31,32,33,34,341,342,343,344,345,35 ステップ、36,39,42,43 点、37,38,40,41 線、52 光源部、53 光検知部、58 発光部、59 受光部、101,111 プラズマ処理装置、102,112 処理容器、103,113,126,127 ガス供給部、104,114 支持台、105 プラズマ生成部、106,123 排気管、107 排気装置、108 上部、109,139 光通路部、115 カバープレート、116 誘電体窓、117 スロットアンテナ板、117s スロット、118 誘電体部材、119 プラズマ発生機構、120 マイクロ波発生装置、121 底部、122 側壁、124 環状部、125 Oリング、128 導波管、129 ガス供給系、130a,130b ガス供給孔。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板処理装置の処理容器内に設置された被処理基板の表面に光を照射し、その反射波を検知することによって前記被処理基板の構造を評価するためのプロセスモニター装置であって、
光を発生させて外部へと出射する光源部と、
外部から入射された光の強度を検知可能な光検知部と、
前記光源部から出射された光を前記被処理基板まで導き、前記被処理基板から反射した反射波を前記光検知部まで導く第一光経路と、
前記第一光経路と同等の光伝搬特性を有するように構成され、前記光源部から出射された光を、前記被処理基板を経由することなく前記光検知部まで導く第二光経路と、
前記第二光経路を通して前記光検知部により検知された光の強度情報に基づいて、前記第一光経路を通して前記光検知部により検知された光の強度情報を補正し、前記被処理基板の構造を解析するコントローラと、を備える、プロセスモニター装置。
【請求項2】
前記第一光経路および前記第二光経路は、それぞれの経路中において、同一材料且つ同一総長さの光ファイバーケーブルを有する、請求項1に記載のプロセスモニター装置。
【請求項3】
前記光源部から出射された光を反射可能に設置され、その反射方向を変更可能な第一ミラーと、
前記第一ミラーによって反射された光をさらに反射可能に設置された第二ミラーと、をさらに備え、
前記第一ミラーは、前記被処理基板へ向けて光を反射する方向と、前記第二ミラーに向けて光を反射する方向との間で、その反射方向を周期的に変更可能に構成され、
前記第一光経路は、前記光源部から出射された光を、前記第一ミラーを経て前記被処理基板に照射し、その反射波を前記光検知部まで導き、
前記第二光経路は、前記光源部から出射された光を、前記第一ミラーおよび前記第二ミラーを経て前記光検知部まで導く、請求項1または2に記載のプロセスモニター装置。
【請求項4】
前記光源部から出射された光を前記第一ミラーまで導く光ファイバーケーブルを備え、
前記第一光経路は、前記光源部から出射された光を、前記光ファイバーケーブルおよび前記第一ミラーを経て前記被処理基板に照射し、その反射波を前記第一ミラーおよび前記光ファイバーケーブルを経て前記光検知部まで導き、
前記第二光経路は、前記光源部から出射された光を、前記光ファイバーケーブルおよび前記第一ミラーを経て前記第二ミラーに照射し、その反射波を前記第一ミラーおよび前記光ファイバーケーブルを経て前記光検知部へと導く、請求項3に記載のプロセスモニター装置。
【請求項5】
前記コントローラは、
前記第二光経路を通して前記光検知部により検知された光の強度情報と、プロセス開始当初に前記第二光経路を通して前記光検知部により検知された光の強度情報との差に基づいて、前記第一光経路を通して前記光検知部により検知された光の強度情報を補正することによって、前記被処理基板の構造を解析する、請求項1〜4のいずれかに記載のプロセスモニター装置。
【請求項6】
前記光源部によって生成される光は、300nm以下の波長を有する、請求項1〜5のいずれかに記載のプロセスモニター装置。
【請求項7】
基板処理装置の処理容器内に設置された被処理基板の表面に光を照射し、その反射波を検知することによって被処理基板の構造を評価するためのプロセスモニター方法であって、
光源部から出射された光を前記被処理基板まで導き、前記被処理基板から反射した反射波を、光の強度を検知可能な光検知部まで導く第一光導波ステップと、
前記光源部から出射された光を、前記被処理基板を経由することなく前記光検知部まで導く第二光導波ステップと、
前記第二光導波ステップを経て前記光検知部により検知された光の強度情報に基づいて、第一光導波ステップを経て前記光検知部により検知された光の強度情報を補正し、前記被処理基板の構造を解析する解析ステップと、を備え、
前記第一光導波ステップにおいて光が通過する第一光経路と、前記第二光導波ステップにおいて光が通過する第二光経路とは、その光伝搬特性が同等となるように構成される、プロセスモニター方法。
【請求項8】
前記第一光経路および前記第二光経路は、それぞれの経路中において、同一材料且つ同一総長さの光ファイバーケーブルを有する、請求項7に記載のプロセスモニター方法。
【請求項9】
前記第一光導波ステップは、
前記光源部から出射された光を、反射方向を変更可能な第一反射手段に導くステップと、
前記第一反射手段によって前記被処理基板に向けて光を反射するステップと、
前記被処理基板から反射された光を前記光検知部に導くステップと、を有し、
前記第二光導波ステップは、
前記光源部から出射された光を前記第一反射手段に導くステップと、
前記第一反射手段によって反射された光をさらに反射可能な第二反射手段に向けて、前記第一反射手段により光を反射するステップと、
前記第二反射手段から反射された光を前記光検知部に導くステップと、を有し、
前記第一反射手段は、前記被処理基板へ向けて光を反射する方向と、前記第二反射手段に向けて光を反射する方向との間で、その反射方向を周期的に変更するように制御される、請求項7または8に記載のプロセスモニター方法。
【請求項10】
前記第一光導波ステップにおいて、前記被処理基板から反射された光は、前記第一反射手段を再度経由して前記光検知部に導かれ、
前記第二光導波ステップにおいて、前記第二反射手段から反射された光は、前記第一反射手段を再度経由して前記光検知部に導かれる、請求項9に記載のプロセスモニター方法。
【請求項11】
前記解析ステップは、
前記第一光導波ステップを経て前記光検知部により検知された光の強度を計測する第一計測ステップと、
前記第二光導波ステップを経て前記光検知部により検知された光の強度を計測する第二計測ステップと、
プロセス開始当初に前記第二光導波ステップを通して前記光検知部により検知された光の強度と、前記第二計測ステップによって計測された光の強度との差を計算するステップと、
前記計算ステップによって算出された光の強度差に係る情報に基づいて、前記第一計測ステップによって計測された光の強度を補正するステップと、
前記補正された光の強度情報に基づいて、前記被処理基板の構造を解析するステップと、を有する、請求項7〜10のいずれかに記載のプロセスモニター方法。
【請求項12】
内部において被処理基板にプラズマ処理を行う処理容器と、
前記処理容器内に設置され、前記被処理基板を載置可能な載置台と、
前記処理容器内にプロセスガスを供給するガス供給部と、
前記処理容器内にプラズマを生成するプラズマ生成部と、
前記被処理基板の表面に光を照射し、その反射波を検知することによって前記被処理基板の構造を評価するためのプロセスモニター装置と、を備え、
前記プロセスモニター装置は、
光を発生させて外部へと出射する光源部と、
外部から入射された光の強度を検知可能な光検知部と、
前記光源部から出射された光を前記被処理基板まで導き、前記被処理基板から反射した反射波を前記光検知部まで導く第一光経路と、
前記第一光経路と同等の光伝搬特性を有するように構成され、前記光源部から出射された光を、前記被処理基板を経由することなく前記光検知部まで導く第二光経路と、
前記第二光経路を通して前記光検知部により検知された光の強度情報に基づいて、前記第一光経路を通して前記光検知部により検知された光の強度情報を補正し、前記被処理基板の構造を解析するコントローラと、を有する、基板処理装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−220359(P2012−220359A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−87179(P2011−87179)
【出願日】平成23年4月11日(2011.4.11)
【出願人】(000219967)東京エレクトロン株式会社 (5,184)
【Fターム(参考)】