説明

基板処理装置

【課題】急激な圧力変動に伴うガス流量制御器の制御異常を解決し、大流量のN2ガス等によりウェーハを冷却することでスループットの向上を図る。
【解決手段】基板を処理する処理室54と、該処理室に隣設された予備室36と、該予備室にガスを供給するガス供給ライン41と、該ガス供給ラインに設けられ、設定圧力値に基づき前記予備室に流すガスの圧力を調整する減圧弁79と、前記ガス供給ラインに於ける前記減圧弁と前記予備室との間に設けられ、前記予備室に流すガスの流量を調整するガス流量調整弁58と、前記ガス供給ラインからガスを前記予備室に供給する際に、前記減圧弁の設定圧力を可変させる制御部82とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シリコンウェーハ、ガラス基板等の基板に、薄膜を生成し、或は不純物の拡散、エッチング、アニール処理等の処理を行う基板処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
シリコンウェーハ等の基板から半導体装置を製造する工程に、熱CVD法による薄膜の生成、不純物の拡散、エッチング、アニール処理等の基板処理が有り、斯かる基板処理を行うものとして基板処理装置が有る。
【0003】
該基板処理装置は、基板を加熱処理する処理炉を具備し、該処理炉はヒータと該ヒータ内に設けられ、基板を収納する処理室とから構成され、該処理室で基板が加熱状態で処理される様になっており、処理後は基板を所定温度迄冷却している。
【0004】
基板処理に於いては、シリコンウェーハ等の被処理基板(以下、ウェーハと称す)を処理室直下の退避位置に降下したボートに装填し、ボート昇降機構を用いて処理室に装入する(ローディング)。その後、前記ウェーハに所定の膜を堆積し、成膜完了後には前記ボートを再び退避位置に引出しする(アンローディング)。その後、ウェーハ搬送機構を用いてボート上から前記ウェーハを搬出する。
【0005】
引出し直後の前記ウェーハは、上記の成膜時の熱影響により高温状態、例えば300℃程度となっている。このままの高温状態で前記ウェーハ搬送機構により前記ウェーハを搬送すると、該ウェーハからの放熱の影響により、前記ウェーハ搬送機構に熱劣化を生じさせる、或は高温化された前記ウェーハと冷えた前記ウェーハ搬送機構の基板支持具の接触によって起こる応力、歪みにより前記ウェーハが破損してしまう等の問題があった。
【0006】
前記ウェーハ搬送機構の熱劣化や前記ウェーハの破損を防ぐ為、前記ウェーハ引出し後、前記ウェーハ搬送機構による前記ウェーハの搬送迄の間に放熱時間(遅延時間)を設けている。放熱時間を設けることにより、熱せられた前記ウェーハからの放熱が前記ウェーハ搬送機構に熱劣化を生じさせない温度迄前記ウェーハの温度を低下させることができる。前記ウェーハ搬送機構への熱劣化が生じにくくなる温度、例えば前記ウェーハの温度を100℃以下迄下げた後に前記ウェーハ搬送機構により前記ボートから払出している。
【0007】
又、スループットの向上を図る為には、放熱時間を短縮する必要があり、時間の短縮化に於いては、如何にアンローディング後のウェーハを素早く冷却するかが課題となっている。この課題を解決する手段の1つとして、大量のN2 ガス等の冷却ガスをアンローディング後のウェーハに供給するものがある。
【0008】
然し乍ら、大量の冷却ガスをウェーハに供給する為には、ガスの上流側の1次圧を高く設定する必要があり、1次圧が高い状態でガス流量制御器(以下、MFCと称す)の上流側のエアバルブ(以下、AVと称す)を開けた際には、前記MFCが急激な圧力変動に耐えきれず、一瞬無制御状態に陥ることで、大量の過流ガスを流してしまう(図6参照)。この際、圧力条件によっては前記MFCのフルスケール値迄流れる虞れがある。
【0009】
この様な急激なガスの流れは、ウェーハを振動させてしまい、ウェーハの振動によるウェーハとボートのウェーハ載置部とのこすれ等によりパーティクルを発生させる。更に、前記ボート上のウェーハを移動させウェーハ載置位置がずれてしまい、その後のウェーハ搬送を行う際に前記ウェーハ搬送機構との干渉を引起こす、或は予期せぬ接触を引起こす等ウェーハの搬送に支障をきたす虞れがあった。
【0010】
上記の問題を解決する為、従来では2系統以上のガス供給管を具備し、系統毎に流量範囲と圧力を設定し、順次系統を切換えていくという方法がある。2系統以上のガス供給管それぞれに電磁弁が取付けられ、切換え可能に設けられている。又、前記ガス供給管にはレギュレータとMFCが取付けられている為、ガスの減圧と流量制御が可能となっている。
【0011】
例えば、2本のガス供給管を用いる場合、第2の電磁弁をOFFにしたまま第1の電磁弁をONにすることで、ガスは第1のガス供給管へと送られる。該第1のガス供給管に設けられた前記レギュレータで真空よりもいくらか高い程度の圧力迄減圧され、前記MFCによって所定の時間、冷却ガスがウェーハに供給される。その後、前記第1の電磁弁をOFFにし、前記第2の電磁弁をONにすることで、ガスは第2のガス供給管へと送られる。該第2のガス供給管では、ガスが大気圧よりも高い圧力に設定され、前記MFCによってウェーハに供給される。
【0012】
この様に、2段階のガス供給を行うことによって、処理室内の圧力上昇速度を緩やかにさせることができる。
【0013】
然し乍ら、上記の方法でも、第2のガス供給管側では2系統以上のガス供給管を具備しない場合と同条件の為、急激な圧力変動が発生して無制御状態となる。又、高価な部品が複数取付くことによるコスト面、設置スペース増加によるスペース面等の問題があった。
【0014】
【特許文献1】特開2007−88337号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明は斯かる実情に鑑み、急激な圧力変動に伴うガス流量制御器の制御異常を解決し、大流量の冷却ガス等によりウェーハを冷却することでスループットの向上を図るものである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明は、基板を処理する処理室と、該処理室に隣設された予備室と、該予備室にガスを供給するガス供給ラインと、該ガス供給ラインに設けられ、設定圧力値に基づき前記予備室に流すガスの圧力を調整する減圧弁と、前記ガス供給ラインに於ける前記減圧弁と前記予備室との間に設けられ、前記予備室に流すガスの流量を調整するガス流量調整弁と、前記ガス供給ラインからガスを前記予備室に供給する際に、前記減圧弁の設定圧力を可変させる制御部とを有する基板処理装置に係るものである。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、基板を処理する処理室と、該処理室に隣設された予備室と、該予備室にガスを供給するガス供給ラインと、該ガス供給ラインに設けられ、設定圧力値に基づき前記予備室に流すガスの圧力を調整する減圧弁と、前記ガス供給ラインに於ける前記減圧弁と前記予備室との間に設けられ、前記予備室に流すガスの流量を調整するガス流量調整弁と、前記ガス供給ラインからガスを前記予備室に供給する際に、前記減圧弁の設定圧力を可変させる制御部とを有するので、大流量の冷却ガスでウェーハを冷却しスループットの向上を図ることができ、又、エアーバルブを開放した直後のガス流量制御器の制御異常によって大流量のガスが流出することが無く、パーティクルの発生や搬送時の不具合を抑制できるという優れた効果を発揮する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、図面を参照しつつ本発明を実施する為の最良の形態を説明する。
【0019】
先ず、本発明が実施される基板処理装置の構成について説明する。
【0020】
尚、以下に説明する基板処理装置の一例は、縦型炉を有し、該縦型炉内に処理室が形成され、該処理室に連設された気密な予備室を有する基板処理装置1を示している。又、該基板処理装置1では、ウェーハ2は密閉式の基板収納容器(以下、ポッドと称す)3に収納され、保管、搬送される様になっている。
【0021】
図1、図2中、4は気密な筐体を示し、該筐体4の正面壁5の下部にはメンテナンス用の正面メンテナンス口6が開設され、該正面メンテナンス口6は正面メンテナンス扉7,7によって開閉される様になっている。
【0022】
前記正面壁5の、前記正面メンテナンス扉7の上側にはポッド授受ステージ(基板収納容器渡し台)8が設けられ、該ポッド授受ステージ8と前記筐体4内部とは、ポッド搬入搬出口(基板収納容器搬入搬出口)9を介して連通し、該ポッド搬入搬出口9はフロントシャッタ(基板収納容器搬入搬出開閉機構)11によって開閉される様になっている。
【0023】
前記ポッド授受ステージ8に対しては外部搬送装置(図示せず)により、前記ポッド3の搬送、授受が行われる様になっている。
【0024】
前記筐体4内の前後方向の略中央部に於ける上部には、回転式ポッド棚(基板収納容器載置棚)12が設置されており、該回転式ポッド棚12は複数個の前記ポッド3を保管する様に構成されている。
【0025】
前記回転式ポッド棚12は、垂直に立設されて間欠回転される支柱13と、該支柱13に上中下段の各位置に於いて放射状に設けられた複数枚の棚板(基板収納容器載置台)14とを備えており、該複数枚の棚板14には前記ポッド3が複数個宛それぞれ載置される様に構成されている。
【0026】
前記ポッド授受ステージ8と前記回転式ポッド棚12との間には、ポッド搬送装置(基板収納容器搬送装置)15が設置されており、該ポッド搬送装置15は、前記ポッド3を保持して昇降可能なポッドエレベータ(基板収納容器昇降機構)16と進退可能な搬送機構としてのポッド搬送機構(基板収納容器搬送機構)17とで構成されており、前記ポッド搬送装置15は前記ポッドエレベータ16とポッド搬送機構17との協働により、前記ポッド授受ステージ8、前記回転式ポッド棚12、後述するポッドオープナ(基板収納容器蓋体開閉機構)18との間で、前記ポッド3を搬送する様に構成されている。
【0027】
前記筐体4内の前後方向の略中央部に於ける下部には、気密な筐体から構成される内部筐体19が後端に亘って設けられている。該内部筐体19の正面壁21にはウェーハ2を前記内部筐体19内に対して搬入搬出する為のウェーハ搬入搬出口(基板搬入搬出口)22,22が垂直方向に上下二段に開口されており、該ウェーハ搬入搬出口22,22にはポッドオープナ18,18がそれぞれ設置されている。
【0028】
該ポッドオープナ18は前記ポッド3を載置する載置台23,23と、前記ポッド3のキャップ(蓋体)を着脱するキャップ着脱機構(蓋体着脱機構)24,24とを備えている。前記ポッドオープナ18は前記載置台23に載置された前記ポッド3のキャップを前記キャップ着脱機構24によって着脱することにより、前記ポッド3のウェーハ出入り口を開閉する様に構成されている。
【0029】
前記内部筐体19は気密な移載室25を構成し、該移載室25の前側領域にはウェーハ移載機構(基板移載機構)26が設置されており、該ウェーハ移載機構26は、ウェーハ2を水平方向に回転、進退可能なウェーハ移載装置(基板移載装置)27及び該ウェーハ移載装置27を昇降させる為のウェーハ移載装置エレベータ(基板移載装置昇降機構)28とで構成されている。
【0030】
前記ウェーハ移載機構26は、前記ウェーハ搬入搬出口22に対峙して設けられ、前記ウェーハ移載装置エレベータ28及び前記ウェーハ移載装置27の協働により、該ウェーハ移載装置27のツイーザ(基板保持体)29でウェーハ2をボート(基板保持具)31に対して装填(チャージング)及び脱装(ディスチャージング)する様に構成されている。該ボート31は、ウェーハ2を所定枚数、例えば50枚〜125枚程度、水平姿勢で多段に保持する様になっている。
【0031】
前記ウェーハ移載装置エレベータ28と対向し、前記移載室25に清浄化した雰囲気又は不活性ガスであるクリーンエア32を供給する様供給ファン及び防塵フィルタで構成されたクリーンユニット33が設置されており、該クリーンユニット33と前記ウェーハ移載装置27との間には、ウェーハ2の円周方向の位置を整合させる基板整合装置としてのノッチ合わせ装置34が設置されている。
【0032】
前記クリーンユニット33から吹出されたクリーンエア32は、前記ノッチ合わせ装置34及び前記ウェーハ移載機構26に流通された後に、図示しないダクトにより吸込まれて、前記筐体4の外部に排気されるか、若しくは前記クリーンユニット33の吸込み側で
ある一次側(供給側)に循環され、再び前記クリーンユニット33によって、前記移載室25に吹出される様に構成されている。
【0033】
該移載室25の後側領域には、大気圧未満の圧力(以下、負圧と称す)を維持可能な気密性能を有する耐圧筐体35が設置されており、該耐圧筐体35により前記ボート31を収容可能な容積を有し、処理室で処理したウェーハ2の放熱を行うロードロック方式の予備室であるロードロック室36が、前記処理室に隣接して形成されている。
【0034】
前記耐圧筐体35の正面壁37にはウェーハ搬入搬出開口(基板搬入搬出開口)38が開設されており、該ウェーハ搬入搬出開口38はゲートバルブ(基板搬入搬出開口開閉機構)39によって開閉される様になっている。前記耐圧筐体35の一対の側壁には前記ロードロック室36へ窒素ガスを給気する為のガス供給管41と、前記ロードロック室36を負圧に排気する為の排気管42とがそれぞれ接続されている。
【0035】
前記ロードロック室36上方には、処理炉43が設けられている。該処理炉43下端の炉口部は炉口ゲートバルブ(炉口開閉機構)44により開閉される様に構成されている。前記正面壁37の上端部には、炉口部開放時に前記炉口ゲートバルブ44を収納する炉口ゲートバルブカバー45が取付けられている。
【0036】
前記ロードロック室36には前記ボート31を昇降させる為のボートエレベータ(基板保持具昇降機構)46が設置されている。該ボートエレベータ46は水平方向に延出するアーム47を有し、該アーム47には蓋体としてのシールキャップ48が水平に設けられており、該シールキャップ48は前記ボート31を垂直に支持し、前記炉口部を閉塞可能な様に構成されている。
【0037】
次に本発明が実施される基板処理装置の作用について説明する。
【0038】
前記ポッド3が前記ポッド授受ステージ8に供給されると、前記ポッド搬入搬出口9が前記フロントシャッタ11によって開放され、前記ポッド授受ステージ8の上の前記ポッド3は前記ポッド搬送装置15によって前記筐体4の内部へ前記ポッド搬入搬出口9から搬入される。
【0039】
搬入された前記ポッド3は前記回転式ポッド棚12の指定された前記棚板14へ前記ポッド搬送装置15によって搬送されて載置され、一時的に保管された後、前記棚板14から一方の前記ポッドオープナ18に搬送されて前記載置台23に移載されるか、若しくは直接前記ポッドオープナ18に搬送されて前記載置台23に移載される。この際、前記ウェーハ搬入搬出口22は前記キャップ着脱機構24によって閉じられており、前記移載室25にはクリーンエア32が流通され、充満されている。例えば、前記移載室25にはクリーンエア32として窒素ガスが充満することにより、酸素濃度が20ppm以下と、前記筐体4の内部(大気雰囲気)の酸素濃度よりも遙かに低く設定されている。
【0040】
前記載置台23に載置された前記ポッド3はその開口部側面端が前記ウェーハ搬入搬出口22の開口縁辺部に押付けられ、前記ポッド3のキャップは前記キャップ着脱機構24によって取外され、ウェーハ出入り口が開放される。
【0041】
又、前記ロードロック室36が大気圧状態とされていた前記耐圧筐体35の前記ウェーハ搬入搬出開口38が前記ゲートバルブ39によって開放される。
【0042】
前記ポッド3が前記ポッドオープナ18によって開放され、前記ウェーハ搬入搬出開口38が開放されると、前記ウェーハ2は前記ポッド3から前記ツイーザ29によってウェーハ出入れ口を通じてピックアップされ、前記ノッチ合わせ装置34により整合された後、前記ウェーハ搬入搬出開口38を通して前記ロードロック室36に搬入される。該ロードロック室36では、予め前記ボートエレベータ46により前記ボート31が降下(アンロード)され、待機状態となっており、該ボート31に前記ウェーハ2が前記ウェーハ移載装置27により装填される。
【0043】
前記ボート31に前記ウェーハ2を装填した前記ウェーハ移載装置27は前記ポッド3に戻り、次のウェーハ2を前記ボート31に装填する。
【0044】
上段又は下段の一方のポッドオープナ18のウェーハ2が前記ウェーハ移載機構26により装填されている作業中に、他方(下段又は上段)のポッドオープナ18には前記回転式ポッド棚12から別のポッド3が前記ポッド搬送装置15によって搬送され、前記ポッドオープナ18による前記ポッド3の開放作業が同時進行される。
【0045】
予め指定された枚数のウェーハ2が前記ボート31に装填されると、前記ウェーハ搬入搬出開口38が前記ゲートバルブ39によって閉じられ、前記ロードロック室36は前記排気管42から真空引されることで減圧される。
【0046】
前記ロードロック室36が前記処理炉43の処理室と同圧に減圧されると、炉口部が前記炉口ゲートバルブ44によって開放され、該炉口ゲートバルブ44は前記炉口ゲートバルブカバー45に収納される。前記ボートエレベータ46により前記ボート31が上昇され、前記処理室に装入(ロード)される。該ボート31が装入されると、前記炉口部は前記シールキャップ48により気密に閉塞される。
【0047】
ローディング後は、前記処理炉43により、後述する様に、ウェーハ2に対して所要の処理が実施される。
【0048】
処理後は、前記ノッチ合わせ装置34でのウェーハ2の整合工程を除き、上述の逆の手順で、前記ウェーハ2及び前記ポッド3は前記筐体4の外部へ払出される。
【0049】
次に、図3により、前記処理炉43及び基板処理について説明する。尚、以下は処理炉の一例として減圧CVD処理炉について説明する。
【0050】
外管(以下、アウタチューブと称す)49は、例えば石英(SiO2 )等から成り、上端が閉塞され、下端に開口部を有する円筒形状をしている。内管(以下、インナチューブと称す)51は、上端及び下端の両端に開口部を持つ円筒形状であり、前記アウタチューブ49内に同心に配置されている。該アウタチューブ49と前記インナチューブ51の間には筒状空間52が形成され、前記インナチューブ51の上部開口から上昇したガスは、前記筒状空間52を降下して排気管53から排気される様になっている。前記アウタチューブ49、前記インナチューブ51によって反応管が構成され、該反応管の内部に処理室54が画成される。
【0051】
前記アウタチューブ49及び前記インナチューブ51の下端には、例えばステンレス等より成るマニホールド55が係合され、該マニホールド55に前記アウタチューブ49及び前記インナチューブ51が保持されている。前記マニホールド55は所要の保持手段によりヒータベース56に固定される。前記アウタチューブ49の下端部及び前記マニホールド55の上端開口端部には、それぞれ環状のフランジが設けられ、これらのフランジ間にはOリング等のシール部材が挾設され、両者の間が気密にシールされている。
【0052】
前記マニホールド55の下端開口部は炉口部を構成し、例えばステンレス等より成る前記シールキャップ48がOリング等のシール部材を介して気密シール可能に開閉する。前記シールキャップ48には、処理ガスを供給するガス供給管57が貫通する様設けられている。該ガス供給管57はガスの流量調整弁(以下、マスフローコントローラ(MFC)と称す)58に連結されており、該MFC58はガス流量制御部61に接続されており、供給するガスの流量を所定の量に制御し得る。
【0053】
尚、図中62は、温度制御部63、前記ガス流量制御部61、圧力制御部64、駆動制御部65等のサブ制御部から構成される主制御部であり、基板処理装置全体を統括している。
【0054】
前記マニホールド55の上部には、前記排気管53に接続され該排気管53の下流側に向って圧力調節器(例えばAPC(自動排気圧コントロールシステム)、N2 バラスト制御器があり、以下ここではAPCと称す)66及び、排気装置(以下、真空ポンプと称す)67が接続されており、前記アウタチューブ49と前記インナチューブ51との間の前記筒状空間52を流れるガスを排出し、前記アウタチューブ49内を前記APC66で圧力を制御することにより、所定の圧力の減圧雰囲気にする様圧力検出手段(以下、圧力センサと称す)68により検出し、前記圧力制御部64により制御する。
【0055】
前記シールキャップ48には、回転手段69が設けられ、該回転手段69の回転軸71を介してボート載置台72が連結されており、該ボート載置台72には前記ボート31が載置される様になっている。前記回転手段69により、前記ボート載置台72を介して前記ボート31、及び該ボート31に保持されているウェーハ2を回転させる。又、前記シールキャップ48は前記アーム47を介して前記ボートエレベータ46に連結されている。
【0056】
前記回転手段69、前記ボートエレベータ46は、前記駆動制御部65により所定のスピードで駆動する様に制御される。
【0057】
前記アウタチューブ49の外周には加熱手段(以下、ヒータ73と称す)が前記アウタチューブ49と同心に配設されている。前記ヒータ73は、前記アウタチューブ49内の温度を所定の処理温度にする様温度検出手段(以下、熱電対74と称す)により温度を検出し、温度制御部63によって制御する。
【0058】
上記した処理炉43による減圧CVD処理方法の一例を説明すると、先ず、前記ボートエレベータ46により前記ボート31を前記ロードロック室36に下降させる。前記ウェーハ移載装置27により、前記ボート31に所定枚数のウェーハ2を装填する。次いで、前記ヒータ73により加熱しながら、前記アウタチューブ49内の温度を所定の処理温度にする。
【0059】
前記MFC58により予め前記アウタチューブ49内を不活性ガスで充填しておき、前記ボートエレベータ46により、前記ボート31を上昇させて前記処理室54に装入し、該処理室54の温度を所定の処理温度に維持する。該処理室54を所定の真空状態迄排気した後、前記回転手段69により、前記ボート31及び該ボート31に保持されているウェーハ2を回転させる。同時に前記ガス供給管57から処理用のガスを供給する。供給されたガスは、前記インナチューブ51内を上昇し、ウェーハ2に対して均等に供給される。
【0060】
減圧CVD処理中の前記アウタチューブ49内は、前記排気管53を介して処理ガスが排気され、所定の真空状態になる様前記APC66により圧力が制御され、所定時間減圧CVD処理を行う。
【0061】
この様にして、減圧CVD処理が終了すると、前記アウタチューブ49内を不活性ガスで置換すると共に、圧力を常圧にし、その後、前記ボートエレベータ46により前記ボート31を下降させ、該ボート31及び処理済みのウェーハ2を前記処理室54から前記ロードロック室36に取出す。前記処理室54から取出された前記ボート31上の処理済みのウェーハ2は、前記ロードロック室36で所要の温度迄冷却される。
【0062】
前記ウェーハ移載装置27により、処理済みウェーハ2が払出され、更に未処理ウェーハ2が前記ボート31に装填される。再度前述と同様にして前記処理室54内に前記ボート31が上昇され、減圧CVD処理がなされる。
【0063】
尚、一例迄、本実施例の処理炉43にて処理される処理条件は、窒化膜の成膜に於いて、ウェーハ温度750℃、ガス種供給量はDCS(ジクロロシラン)、0.5SLM、NH3 (アンモニア)、1.0SLM、処理圧力は20Paである。
【0064】
次に、本発明におけるウェーハ2の冷却装置について、図4を参照して説明する。尚、図4中、インナチューブ51、ボートエレベータ46等は図示を省略している。又、図4中、図1〜図3で示したものと同一のものには同符号を付し、その説明を省略する。
【0065】
前記耐圧筐体35には、1壁面に沿って上下方向に延びるガス供給ノズル75が設けられ、該ガス供給ノズル75は前記ロードロック室36の高さと同等な長さを有し、所要間隔で図示しないガス噴出孔が穿設されている。前記ガス供給ノズル75には前記ガス供給管41を介してガス供給システム76が接続されている。
【0066】
該ガス供給システム76は、F(フィルタ)77、前記MFC(ガス流量調整弁)58、AV78、前記圧力センサ68、レギュレータ(減圧弁)79、ガス供給源81、シーケンサ(制御部)82とを具備し、前記ガス供給源81は窒素ガス等の清浄な不活性ガスを供給する様になっている。
【0067】
前記ガス供給管41には、上流側から前記レギュレータ79、前記AV78、前記MFC58、前記F77が設けられ、前記レギュレータ79と前記AV78の間には前記圧力センサ68が接続されている。又、前記シーケンサ82は前記レギュレータ79と前記AV78と前記MFC58とに接続されている。
【0068】
前記耐圧筐体35の内部で前記ガス供給ノズル75と対向する位置には、ガス排気ノズル83が設けられ、該ガス排気ノズル83は前記排気管42に接続され、該排気管42は図示しない排気ポンプ等を具備する排気手段に接続されている。又、前記ガス排気ノズル83には所要間隔で図示しない吸引孔が穿設されている。
【0069】
前記MFC58によるガス流量制御、前記AV78の開閉、前記レギュレータ79による圧力設定は前記ガス供給システム76の制御部である前記シーケンサ82によって行われ、該シーケンサ82に各ガス流量範囲夫々応じた圧力を予め設定しておく。
【0070】
ガス流量と設定圧力との一例を図5に示す。
【0071】
前記シーケンサ82は、前記AV78の開信号を元に、予め設定した設定値に合わせて徐々に圧力を上昇させ、圧力の上昇と連動させてガス流量を増量させる。
【0072】
又、前記ガス供給ノズル75から不活性ガスを供給している状態で、前記ガス排気ノズル83から排気することで、前記ロードロック室36に平行なガス流れが形成される。
【0073】
以下ウェーハ2の冷却作用について説明する。
【0074】
前記処理室54でウェーハ2の処理が行われている間に、前記ロードロック室36は減圧工程を含めた窒素ガス置換が行われ、該ロードロック室36の水分(酸素)濃度が低減される。
【0075】
ウェーハ2の処理が終わると、前記ボート31を前記処理室54から前記ロードロック室36へとアンローディングする。前記ボート31を完全に前記ロードロック室36へとアンローディングした段階で、前記MFC58の上流側に設けられた前記AV78を開放する。
【0076】
その後、該AV78の開信号を元に、前記MFC58で制御する設定ガス流量を0SLMから徐々に予め定めた所定のガス流量に増量させると共に、前記レギュレータ79の設定圧力を0MPaから徐々に所定の圧力迄上昇させる。
【0077】
圧力及び流量を制御された冷却ガスは、前記ガス供給ノズル75から噴出され、前記ボート31、ウェーハ2を横断して前記ガス排気ノズル83から排気される。
【0078】
上記の様に、前記MFC58、前記AV78、前記レギュレータ79を自動制御し、ガス流量とガス圧の変化を連動させることで、急激な流量や圧力の変化を防止することができる。又、急激な変化を防止することで、前記AV78を開いた直後の前記MFC58の制御異常を抑制することができる為、大流量の冷却ガスを供給した際に前記MFC58が制御異常を起こし、大流量のガスが流れ出してパーティクルを発生させたり振動によりウェーハ2を破損させたりすることがない。
【0079】
その為、ウェーハ2に制御可能な大流量の冷却ガスを吹付けることができ、又大流量の冷却ガスをウェーハ2に吹付けることでウェーハ2が急速に冷却され、降温速度が大幅に増大する。
【0080】
尚、前記MFC58に取付けられた流量センサによるガス流量の検出結果をフィードバックして該MFC58のガス流量を微調整し、前記圧力センサ68の検出結果をフィードバックして前記レギュレータ79の制御圧力を微調整することで、実流量や実圧力を測定しつつ制御可能となるので、より緻密な制御が可能となる。
【0081】
又、上述の流量毎に段階的に圧力を設定する制御方法ではなく、流量と圧力の関係を式で表し、連続した制御を行うことで更に緻密な制御が可能となることは言う迄もない。
【0082】
尚、本発明では前記MFC58、前記AV78、前記レギュレータ79の制御を前記シーケンサ82で行うこととしたが、前記MFC58、前記AV78、前記レギュレータ79の制御は前述した主制御部62を構成するサブ制御部で行ってもよい。
【0083】
(付記)
又、本発明は以下の実施の態様を含む。
【0084】
(付記1)基板を処理する処理室と、該処理室に隣設された予備室と、該予備室にガスを供給するガス供給ラインと、該ガス供給ラインに設けられ、設定圧力値に基づき前記予備室に流すガスの圧力を調整する減圧弁と、前記ガス供給ラインに於ける前記減圧弁と前記予備室との間に設けられ、前記予備室に流すガスの流量を調整するガス流量調整弁と、前記ガス供給ラインからガスを前記予備室に供給する際に、前記減圧弁の設定圧力を可変させる制御部とを有することを特徴とする基板処理装置。
【0085】
(付記2)前記ガス流量調整弁は、設定流量に基づき前記予備室に流すガスの流量を調整する様に設定されており、前記制御部は、予め設定された前記設定圧力と前記設定流量との相関関係に基づき、前記減圧弁と前記ガス流量調整弁とを制御する付記1の基板処理装置。
【0086】
(付記3)処理室で基板を処理する工程と、前記処理室から基板を予備室に搬出した後、減圧弁及びガス流量調整弁を有するガス供給ラインから前記予備室内にガスを供給しつつ、前記減圧弁の設定圧力を可変させる工程とを有することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【図面の簡単な説明】
【0087】
【図1】本発明の実施の形態に係る基板処理装置の側断面概略図である。
【図2】図1のA−A矢視図である。
【図3】本発明の基板処理装置に於ける処理炉の一例を示す断面概略図。
【図4】本発明の実施の形態を示す基板処理装置の概略図である。
【図5】本発明のガス流量とガス設定圧力の関係を示す説明図である。
【図6】従来のMFCの流量特性を示すグラフである。
【符号の説明】
【0088】
1 基板処理装置
2 ウェーハ
3 ポッド
12 回転式ポッド棚
18 ポッドオープナ
26 ウェーハ移載機構
27 ウェーハ移載装置
31 ボート
35 耐圧筐体
36 ロードロック室
43 処理炉
54 処理室
58 MFC
75 ガス供給ノズル
76 ガス供給システム
78 AV
79 レギュレータ
81 ガス供給源
82 シーケンサ
83 ガス排気ノズル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を処理する処理室と、該処理室に隣設された予備室と、該予備室にガスを供給するガス供給ラインと、該ガス供給ラインに設けられ、設定圧力値に基づき前記予備室に流すガスの圧力を調整する減圧弁と、前記ガス供給ラインに於ける前記減圧弁と前記予備室との間に設けられ、前記予備室に流すガスの流量を調整するガス流量調整弁と、前記ガス供給ラインからガスを前記予備室に供給する際に、前記減圧弁の設定圧力を可変させる制御部とを有することを特徴とする基板処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−86986(P2010−86986A)
【公開日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−250865(P2008−250865)
【出願日】平成20年9月29日(2008.9.29)
【出願人】(000001122)株式会社日立国際電気 (5,007)
【Fターム(参考)】