説明

基板昇降移送装置及び基板処理移送システム

【課題】基板昇降移送装置7の平面スペースを十分に削減して、工場のスペースの有効利用を図ること。
【解決手段】第1基板処理装置3の一側に第1姿勢切替用保持具37を備えた第1姿勢切替部材29が水平な軸心周りに揺動可能に設けられ、第2基板処理装置5の一側に第2姿勢切替用保持具49を備えた第2姿勢切替部材41が水平な軸心周りに揺動可能に設けられ、第1姿勢切替部材29の一側に立設した支持フレーム53に上下方向へ延びた無端状部材63が循環走行可能に設けられ、無端状部材63に複数の昇降用保持具69が周方向に間隔を置いて設けられたこと。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クリーン搬送等の分野において用いられる基板昇降移送装置及び基板処理移送システムに関する。
【0002】
等に関する。
【背景技術】
【0003】
クリーン搬送の分野において、下階フロアに配設された第1基板処理装置と上階フロアに配設された第2基板処理装置との間で、ガラス基板等の基板の昇降移送(移送)を行う基板昇降移送装置が用いられることがあり、一般的な基板昇降移送装置の構成等は、次のようになる。
【0004】
即ち、第1基板処理装置の近傍には、上下方向へ延びた昇降ガイドが設けられており、この昇降ガイドには、基板を支持する昇降テーブルが昇降可能に設けられている。また、昇降ガイドの適宜位置には、昇降テーブルを昇降させる昇降用モータが設けられている。ここで、昇降テーブルは、第1基板処理装置に対応する高さ位置に位置したときに、第1基板処理装置に対して基板を引き出し及び送り出し可能になっており、第2基板処理装置に対応する高さ位置に位置したときに、第2基板処理装置に対して基板を引き出し及び送り出し可能になっている。
【0005】
従って、昇降用モータの駆動により昇降体を下降させて、第1基板処理装置に対応する高さ位置に位置させる。次に、第1基板処理装置から昇降テーブルに基板を引き出す。そして、昇降用モータの駆動により昇降体を上昇させて、第2基板処理装置に対応する高さ位置に位置させる。更に、昇降テーブルから第2基板処理装置に基板を送り出す。
【0006】
以上により、第1基板処理装置から第2基板処理装置への基板の昇降移送を行うことができる。また、基板昇降移送装置に前述の動作と逆の動作をさせることにより、前記第2基板処理装置から前記第1基板処理装置への基板の昇降移送を行うことができる。
【0007】
なお、本発明に関連する先行技術として特許文献1に示すものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平1−318247号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、前述のように、一般的な基板昇降移送装置にあっては、昇降ガイドに基板を支持する昇降テーブルが昇降可能に設けられているため、基板を倒伏姿勢に保ちつつ昇降させることになり、基板昇降移送装置の平面スペース(設置スペース)として少なくとも基板一枚分の平面積(平面スペース)以上必要になる。そのため、基板昇降移送装置の平面スペースが増大して、工場のスペースの有効利用を図ることが難しくなる。特に、近年、基板の大型化が急速に進んでおり、前述の問題はより顕著になってきている。
【0010】
そこで、本発明は、前述の問題を解決することができる、新規な構成の基板昇降移送装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の第1の特徴は、下階フロアに配設されかつ基板に対して処理を行う第1基板処理装置と、上階フロアに配設されかつ基板に対して処理を行う第2基板処理装置との間で、基板の昇降移送を行う基板昇降移送装置において、前記第1基板処理装置の一側に水平な軸心周りに揺動可能に設けられ、基板を保持する第1姿勢切替用保持具を備え、基板の姿勢を倒伏姿勢と起立姿勢(倒伏姿勢/起立姿勢)とに切り替える第1姿勢切替部材と、前記第1姿勢切替部材を揺動させる第1姿勢切替用アクチュエータと、前記第2基板処理装置の一側に水平な軸心周りに揺動可能に設けられ、基板を保持する第2姿勢切替用保持具を備え、基板の姿勢を倒伏姿勢と起立姿勢(倒伏姿勢/起立姿勢)とに切り替える第2姿勢切替部材と、前記第2姿勢切替部材を揺動させる第2姿勢切替用アクチュエータと、前記第1姿勢切替部材の一側に立設した支持フレームに循環走行可能に設けられ、上下方向へ延びた無端状部材と、前記無端状部材を循環走行させる走行用アクチュエータと、前記無端状部材に周方向に間隔を置いて設けられ、起立姿勢の基板を保持する複数の昇降用保持具と、を具備したことを要旨とする。
【0012】
なお、本願の特許請求の範囲及び明細書中において、「設けられ」とは、直接的に設けられたことの他に、介在部材を介して間接的に設けられたことを含む意であって、同様に、「配設され」とは、直接的に設けられたことの他に、介在部材を介して間接的に設けられたことを含む意である。また、「基板の処理」とは、基板の搬送処理、基板のプロセス処理、基板の保管処理等を含む意であって、プロセス処理には、エッチング処理、CVD処理、PVD処理等が含まれる。
【0013】
第1の特徴によると、前記第1姿勢切替用保持具によって前記第1基板処理装置の所定位置に位置した基板を保持する。次に、前記第1姿勢切替用アクチュエータの駆動により前記第1姿勢切替部材を揺動させて、基板の姿勢を倒伏姿勢から起立姿勢に切り替える。そして、前記第1基板処理装置に対応する高さ位置に位置した前記昇降用保持具によって起立姿勢の基板を保持し、前記第1姿勢切替用保持具による保持状態を解除する。更に、前記走行アクチュエータの駆動により前記無端状部材を一方向へ循環走行させて、基板を起立姿勢に保ちつつ上昇せる。前述の動作を繰り返すことにより、複数の基板を前記第1基板処理装置側から前記基板昇降移送装置側へ送り出すことができる。
【0014】
前記第1姿勢切替用保持具による保持状態を解除した後に、前記走行用アクチュエータの駆動により前記無端状部材を一方向へ循環走行させて、基板を保持した前記昇降用保持具を前記第2基板処理装置に対応する高さ位置に位置させる。次に、前記第2姿勢切替用保持具によって基板を保持し、前記昇降用保持具による保持状態を解除する。そして、前記第2姿勢切替用アクチュエータの駆動により前記第2姿勢切替部材を揺動させて、基板の姿勢を起立姿勢から倒伏姿勢に切り替え、前記第2姿勢切替用保持具による保持状態を解除する。前述の動作を繰り返すことにより、複数の基板を前記基板昇降移送装置側から前記第2基板処理装置側へ送り出すことができる。
【0015】
以上により、前記第1基板処理装置から前記第2基板処理装置への基板の昇降移送(移送)を行うことができる。また、前述の動作と逆の動作を行うことにより、前記第2基板処理装置から前記第1基板処理装置への基板の昇降移送を行うことができる。
【0016】
要するに、前記第1基板処理装置の一側に前記第1姿勢切替用保持具を有した前記第1姿勢切替部材が水平な軸心周りに揺動可能に設けられ、前記第2基板処理装置の一側に前記第2姿勢切替用保持具を有した前記第2姿勢切替部材が水平な軸心周りに揺動可能に設けられ、前記無端状部材に複数の前記昇降用保持具が周方向に間隔を置いて設けられているため、前述のように、基板を起立姿勢に保ちつつ昇降させることができ、前記基板昇降移送装置の平面スペースを基板一枚分の平面積未満に抑えることができる。
【0017】
また、前記支持フレームに上下方向へ延びた前記無端状部材が循環走行可能に設けられ、前記無端状部材に複数の前記昇降用保持具が周方向に間隔を置いて設けられているため、複数の基板を前記第1基板処理装置から前記第2基板処理装置へ又は前記第2基板処理装置から前記第2基板処理装置へ連続的に昇降移送することができる。
【0018】
本発明の第2の特徴は、基板に対して処理及び昇降移送を行う基板処理移送システムにおいて、下段フロアに配設され、基板に対して処理を行う第1基板処理装置と、上段フロアに配設され、基板に対して処理を行う第2基板処理装置と、前記第1基板処理装置と前記第2基板処理装置の間で基板の昇降移送を行う第1の特徴からなる基板昇降移送装置と、を備えたことを要旨とする。
【0019】
第2の特徴によると、第1の特徴による作用と同様の作用を奏する。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、前記基板昇降移送装置の平面スペースを基板一枚分の平面積未満に抑えることができるため、前記基板昇降移送装置の平面スペースを十分に削減して、工場のスペースの有効利用を図ることができる。
【0021】
また、複数の基板を前記第1基板処理装置から前記第2基板処理装置へ又は前記第2基板処理装置から前記第2基板処理装置へ連続的に昇降移送することができるため、基板の昇降移送のサイクルタイム(タクトタイム)を短くして、基板に関する一連の作業の能率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の実施形態に係る基板処理移送システムを示す側断面図である。
【図2】本発明の実施形態に係る基板処理移送システムの動作を示す側断面図である。
【図3】本発明の実施形態に係る基板処理移送システムの動作を示す側断面図である。
【図4】図1におけるIV-IV線に沿った図である。
【図5】図1におけるV-V線に沿った図である。
【図6】昇降用クランパの周辺の斜視図である。
【図7】昇降用クランパのアンクランプ動作を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明の実施形態について図1から図7を参照して説明する。なお、図面中、「FF」は、前方向、「FR」は、後方向、「L」は、左方向、「R」は、右方向を指してある。
【0024】
図1に示すように、本発明の実施形態に係る基板処理移送システム1は、例えばガラス基板等の基板Wに対して搬送処理(処理の一例)及び昇降移送を行うシステムである。そして、基板処理移送システム1は、下階フロアLFに配設されかつ基板Wに対して搬送処理を行う第1基板搬送処理装置(第1基板処理装置の一例)3と、上階フロアUFに配設されかつ基板Wに対して搬送処理を行う第2基板搬送処理装置(第2基板処理装置の一例)5と、第1基板搬送処理装置3と第2基板搬送処理装置5の間で基板Wに対して昇降移送を行う基板昇降移送装置7とを備えている。
【0025】
基板処理移送システム1の第1基板搬送処理装置3の構成は、次のようになる。
【0026】
即ち、図1及び図4に示すように、下階フロアLFには、第1処理装置本体9が設けられており、この第1処理装置本体9は、第1基板搬送処理装置3のベースを構成するものである。また、第1処理装置本体9には、基板Wをエアの圧力によって浮上させる複数の第1浮上ユニット11が設けられており、各第1浮上ユニット11の上面には、エアを噴出する枠状のノズル11nがそれぞれ形成されており、各ノズル11nは、特開2006−182563号公報に示すように、鉛直方向に対してユニット中心側へ傾斜するように構成されている。
【0027】
なお、各第1浮上ユニット11の上面に枠状のノズル11nが形成される代わりに、複数の丸穴状のノズルが形成されるようにしても構わない。
【0028】
第1処理装置本体9には、搬送方向(左右方向)へ延びた一対の第1ローラ支持部材13が搬送幅方向(前後方向)に離隔して設けられており、各第1ローラ支持部材13には、基板Wを搬送可能に支持する複数の第1搬送ローラ15が水平な軸心周りに回転可能かつ搬送方向に間隔を置いてそれぞれ設けられている。そして、各第1ローラ支持部材13の適宜位置には、複数の第1搬送ローラ15を回転させる第1搬送用モータ17がそれぞれ設けられており、各第1搬送用モータ17の出力軸(図示省略)は、複数の第1搬送ローラ15の回転軸(図示省略)にウォーム及びホイール等からなる連動機構(図示省略)を介して連動連結してある。
【0029】
基板処理移送システム1の第2基板搬送処理装置5の構成は、次のようになる。
【0030】
即ち、図1及び図5に示すように、上階フロアUFには、第2処理装置本体19が設けられており、この第2処理装置本体19は、第2基板搬送処理装置5のベースを構成するものである。また、第2処理装置本体19には、基板Wをエアの圧力によって浮上させる複数の第2浮上ユニット21が設けられており、各第2浮上ユニット21の上面には、第1浮上ユニット11と同様に、エアを噴出する枠状のノズル21nがそれぞれ形成されている。
【0031】
第2処理装置本体19には、搬送方向へ延びた一対の第2ローラ支持部材23が搬送幅方向に離隔して設けられており、各第2ローラ支持部材23には、基板Wを搬送可能に支持する複数の第2搬送ローラ25が水平な軸心周りに回転可能かつ搬送方向に間隔を置いてそれぞれ設けられている。そして、各第2ローラ支持部材23の適宜位置には、複数の第2搬送ローラ25を回転させる第2搬送用モータ27がそれぞれ設けられており、各第2搬送用モータ27の出力軸(図示省略)は、複数の第2搬送ローラ25の回転軸(図示省略)にウォーム及びホイール等からなる連動機構(図示省略)を介して連動連結してある。
【0032】
基板処理移送システム1の基板昇降移送装置7の具体的な構成は、次のようになる。
【0033】
図1及び図4に示すように、第1基板搬送処理装置3の第1処理装置本体9の左側近傍には、基板Wの姿勢を起立姿勢(図1において仮想線で示す姿勢)と倒伏姿勢(図1において実線で示す姿勢)とに切り替える第1姿勢切替部材29が一対のブラケット31を介して水平な軸心周りに揺動可能(回動可能)に設けられている。また、第1姿勢切替部材29は、第1基板搬送処理装置3の第1処理装置本体9の左側近傍に一対のブラケット31を介して回転可能に設けられた第1揺動シャフト33と、この第1揺動シャフト33の外周面に一体的に形成されかつ平行に延びた一対の第1揺動アーム35と、各第1揺動アーム35に長手方向に間隔を置いてそれぞれ設けられかつ基板Wの裏面を吸着する複数の第1姿勢切替用吸着パッド(第1姿勢切替用保持具の一例)37とを備えている。そして、一方のブラケット31には、第1姿勢切替部材29を揺動させる第1姿勢切替用モータ(第1姿勢切替用アクチュエータの一例)39が設けられており、この第1姿勢切替用モータ39の出力軸(図示省略)は、第1揺動シャフト33にカップリング(図示省略)等を介して連動連結してある。ここで、第1姿勢切替部材29を揺動させても、一対の第1揺動アーム35は第1浮上ユニット11に干渉しないようになっている。
【0034】
なお、第1揺動アーム35に第1姿勢切替用吸着パッド37が設けられる代わりに、他の第1姿勢切替用保持具として、基板Wの裏面を非接触で保持する第1姿勢切替用ベルヌーイチャック(図示省略)又は基板Wの端部を把持(保持の一例)する第1姿勢切替用クランパ(図示省略)が設けられるようにしても構わない。
【0035】
図1、図3、及び図5に示すように、第2基板搬送処理装置5の第2処理装置本体19の左側近傍には、基板Wの姿勢を起立姿勢(図3において実線で示す姿勢)と倒伏姿勢(図3において仮想線で示す姿勢)とに切り替える第2姿勢切替部材41が一対のブラケット43を介して水平な軸心周りに揺動可能(回動可能)に設けられている。また、第2姿勢切替部材41は、第2基板搬送処理装置5の第2処理装置本体19の左側近傍に一対のブラケット43を介して回転可能に設けられた第2揺動シャフト45と、この第2揺動シャフト45の外周面に一体的に形成されかつ平行に延びた一対の第2揺動アーム47と、各第2揺動アーム47に長手方向に間隔を置いてそれぞれ設けられかつ基板Wの裏面を吸着する複数の第2姿勢切替用吸着パッド(第2姿勢切替用保持具の一例)49とを備えている。そして、一方のブラケット43には、第2姿勢切替部材41を揺動させる第2姿勢切替用モータ(第2姿勢切替用アクチュエータの一例)51が設けられており、この第2姿勢切替用モータ51の出力軸(図示省略)は、第2揺動シャフト45にカップリング(図示省略)等を介して連動連結してある。ここで、第2姿勢切替部材41を揺動させても、一対の第2揺動アーム47は第2浮上ユニット21に干渉しないようになっている。
【0036】
なお、第2揺動アーム47に第2姿勢切替用吸着パッド49が設けられる代わりに、他の第2姿勢切替用保持具として、基板Wの裏面を非接触で保持する第2姿勢切替用ベルヌーイチャック(図示省略)又は基板Wの端部を把持(保持の一例)する第2姿勢切替用クランパ(図示省略)が設けられるようにしても構わない。
【0037】
図1、図4、及び図5に示すように、第1姿勢切替部材29の左側近傍には、上下方向へ延びた一対の支持フレーム53が立設されており、一対の支持フレーム53は、前後に離隔しかつ一体的に連結してある。また、各支持フレーム53の上部には、上部プーリ又は上部スプロケット等の上部回転車55が共通の上部回転軸57を介して回転可能に設けられており、各支持フレーム53の下部には、下部プーリ又は下部スプロケット等の下部回転車59が共通の下部回転軸61を介して回転可能に設けられている。更に、対応関係にある上部回転車55と下部回転車59には、上下方向へ延びかつ循環走行可能な無端ベルト又は無端チェーン等の無端状部材63が巻回して設けられている。換言すれば、各支持フレーム53には、無端状部材63が上部回転車55及び下部回転車59を介して循環走行可能に設けられている。そして、一方の支持フレーム53の上部の適宜位置には、一対の無端状部材63を循環走行させる走行用モータ(走行用アクチュエータの一例)65が設けられており、この走行用モータ65の出力軸(図示省略)は、共通の上部回転軸57にカップリング(図示省略)を介して連動連結してある。
【0038】
図1、図6、及び図7に示すように、一対の無端状部材63には、前後方向へ延びた複数の連結バー67が周方向に間隔を置きかつ連結するように設けられており、各連結バー67の両端部には、起立姿勢の基板Wの端部を把持する昇降用クランパ(昇降用保持具の一例)69が設けられている。換言すれば、一対の無端状部材63には、複数の昇降用クランパ69が複数の連結バー67を介して周方向に間隔を置いて設けられている。そして、各昇降用クランパ69は、連結バー67に設けられたクランパ本体71と、このクランパ本体71に一体的に設けられ(形成され)固定クランプ爪73と、クランパ本体71にクランプ方向・アンクランプ方向へクランプピン75を介して揺動(回動)可能に設けられかつ固定クランプ爪73との協働により基板Wの端部を把持する可動クランプ爪77と、この可動クランプ爪77の基部に一体的に設けられた作動レバー79と、クランパ本体71における連結バー67と作動レバー79の間に設けられかつ可動クランプ爪77をクランプ方向へ付勢するスプリング81とを備えている。
【0039】
各支持フレーム53の下部の適宜位置には、第1アンクランプ用エアシリンダ(第1アンクランプ用アクチュエータの一例)83が上部取付アーム85を介して設けられており、この第1アンクランプ用エアシリンダ83は、第1基板搬送処理装置3に対応する高さ位置に位置した昇降用クランパ69における作動レバー79を押圧して、可動クランプ爪77をスプリング81の付勢力に抗してアンクランプ方向へ揺動(移動の一例)させるものである。同様に、各支持フレーム53の上部の適宜位置には、第2アンクランプ用エアシリンダ(第2アンクランプ用アクチュエータの一例)87が下部取付アーム89を介して設けられており、この第2アンクランプ用エアシリンダ87は、第2基板搬送処理装置5に対応する高さ位置に位置した昇降用クランパ69における作動レバー79を押圧して、可動クランプ爪77をスプリング81の付勢力に抗してアンクランプ方向へ揺動させるものである。
【0040】
なお、一対の無端状部材63に昇降用クランパ69が連結バー67を介して設けられる代わりに、他の昇降用保持具として、基板Wの表面を吸着する昇降用吸着パッド(図示省略)が連結バー67等を介して設けられるようにしても構わない。
【0041】
続いて、本発明の実施形態の作用及び効果について説明する。
【0042】
複数の第1浮上ユニット11のノズル11nからエアを噴出させつつ、一対の第1搬送用モータ17の駆動により複数の第1搬送ローラ15を回転させることにより、基板Wを左方向へ浮上搬送し、待機した一対の第1揺動アーム35の上側(第1基板搬送処理装置3の所定位置)に位置させることができる(図4参照)。
【0043】
基板Wを待機した一対の第1揺動アーム35の上側に位置させた後に、複数の第1姿勢切替用吸着パッド37によって基板Wの裏面を吸着すると共に、図1に示すように、各第1アンクランプ用エアシリンダ83の駆動により第1基板搬送処理装置3に対応する高さ位置に位置した昇降用クランパ69における可動クランプ爪77をスプリング81の付勢力に抗してアンクランプ方向へ揺動させる(図7参照)。次に、図1に示すように、第1姿勢切替用モータ39の駆動により第1姿勢切替部材29を揺動させて、基板Wの姿勢を倒伏姿勢から起立姿勢に切り替える。そして、各第1アンクランプ用エアシリンダ83の駆動停止により第1基板搬送処理装置3に対応する高さ位置に位置した昇降用クランパ69によって起立姿勢の基板Wの端部を把持し、複数の第1姿勢切替用吸着パッド37による吸着状態を解除する。更に、図2に示すように、走行用モータ65の駆動により無端状部材63を一方向へ循環走行させて、基板Wを起立姿勢に保ちつつ上昇させる。前述の動作を繰り返すことにより、複数の基板Wを第1基板搬送処理装置3側から基板昇降移送装置7側へ送り出すことができる。
【0044】
複数の第1姿勢切替用吸着パッド37による吸着状態を解除した後に、図3に示すように、走行用モータ65の駆動により無端状部材63を一方向へ循環走行させて、基板Wの端部を把持した昇降用クランパ69を第2基板搬送処理装置5に対応する高さ位置に位置させる。次に、複数の第2姿勢切替用吸着パッド49によって基板Wの裏面を吸着し、各第2アンクランプ用エアシリンダ87の駆動により第2基板搬送処理装置5に対応する高さ位置に位置した昇降用クランパ69における可動クランプ爪77をスプリング81の付勢力に抗してアンクランプ方向へ揺動させて、昇降用クランパ69による把持状態を解除する(図7参照)。そして、図3に示すように、第2姿勢切替用モータ51の駆動により第2姿勢切替部材41を揺動させて、基板Wの姿勢を起立姿勢から倒伏姿勢に切り替え、複数の第2姿勢切替用吸着パッド49による吸着状態を解除する。前述の動作を繰り返すことにより、複数の」基板Wを基板昇降移送装置7側から第2基板搬送処理装置5側へ送り出すことができる。
【0045】
複数の第2姿勢切替用吸着パッド49による吸着状態を解除した後に、複数の第2浮上ユニット21のノズル21nからエアを噴出させつつ、一対の第2搬送用モータ27の駆動により複数の第2搬送ローラ25を回転させることにより、基板Wを右方向へ浮上搬送して、第2基板搬送処理装置5の所定位置に位置させることができる(図5参照)。
【0046】
以上により、第1基板搬送処理装置3による基板Wの搬送処理、第1基板搬送処理装置3から第2基板搬送処理装置5への基板Wの昇降移送、及び第2基板搬送処理装置5による基板Wの搬送処理を順次行うことができる。また、前述の動作と逆の動作を行うことにより、第2基板搬送処理装置5による基板Wの搬送処理、第2基板搬送処理装置5から第1基板搬送処理装置3への基板Wの昇降移送、及び第1基板搬送処理装置3による基板Wの搬送処理を順次行うことができる。
【0047】
要するに、第1基板搬送処理装置3の左側近傍に複数の第1姿勢切替用吸着パッド37を有した第1姿勢切替部材29が水平な軸心周りに揺動可能に設けられ、第2基板搬送処理装置5の左側近傍に複数の第2姿勢切替用吸着パッド49を有した第2姿勢切替部材41が水平な軸心周りに揺動可能に設けられ、一対の無端状部材63に複数の昇降用クランパ69が周方向に間隔を置いて設けられているため、前述のように、基板Wを起立姿勢に保ちつつ昇降させることができ、基板昇降移送装置7の平面スペースを基板W一枚分の平面積未満に抑えることができる。
【0048】
また、一対の支持フレーム53に上下方向へ延びた一対の無端状部材63が循環走行可能に設けられ、一対の無端状部材63に複数の昇降用クランパ69が周方向に間隔を置いて設けられているため、複数の基板Wを第1基板搬送処理装置3から第2基板搬送処理装置5へ又は第2基板搬送処理装置5から第1基板搬送処理装置3へ連続的に昇降移送することができる。
【0049】
従って、本発明の実施形態によれば、基板昇降移送装置7の平面スペースを基板W一枚分の平面積未満に抑えることができるため、基板昇降移送装置7の平面スペースを十分に削減して、工場のスペースの有効利用を図ることができる。
【0050】
また、複数の基板Wを第1基板搬送処理装置3から第2基板搬送処理装置5へ又は第2基板搬送処理装置5から第1基板搬送処理装置3へ連続的に昇降移送することができるため、基板Wの昇降移送のサイクルタイムを短くして、基板Wに関する一連の作業の能率を向上させることができる。
【0051】
更に、下階フロアLFと上階フロアUFの高さ間隔が大きい場合には、昇降用クランパ69の個数を増やして、基板昇降移送装置7を多数の基板Wを保管する装置として利用することができる。
【0052】
なお、本発明は、前述の実施形態の説明に限られるものではなく、種々の態様で実施可能である。また、本発明に包含される権利範囲は、これらの実施形態に限定されないものである。
【符号の説明】
【0053】
LF 下階フロア
UF 上階フロア
W 基板
1 基板処理移送システム
3 第1基板搬送処理装置
5 第2基板搬送処理装置
7 基板昇降移送装置
11 第1浮上ユニット
15 第1搬送ローラ
17 第1搬送用モータ
21 第2浮上ユニット
25 第2搬送ローラ
27 第2搬送用モータ
29 第1姿勢切替部材
33 第1揺動シャフト
35 第1揺動アーム
37 第1姿勢切替用吸着パッド
39 第1姿勢切替用モータ
41 第2姿勢切替部材
45 第2揺動シャフト
47 第2揺動アーム
49 第2姿勢切替用吸着パッド
51 第2姿勢切替用モータ
53 支持フレーム
55 上部回転車
59 下部回転車
63 無端状部材
65 走行用モータ
67 連結バー
69 昇降用クランパ
71 クランパ本体
73 固定クランプ爪
77 可動クランプ爪
79 作動レバー
81 スプリング
83 第1アンクランプ用エアシリンダ
87 第2アンクランプ用エアシリンダ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下階フロアに配設されかつ基板に対して処理を行う第1基板処理装置と、上階フロアに配設されかつ基板に対して処理を行う第2基板処理装置との間で、基板の昇降移送を行う基板昇降移送装置において、
前記第1基板処理装置の一側に水平な軸心周りに揺動可能に設けられ、基板を保持する第1姿勢切替用保持具を備え、基板の姿勢を倒伏姿勢と起立姿勢とに切り替える第1姿勢切替部材と、
前記第1姿勢切替部材を揺動させる第1姿勢切替用アクチュエータと、
前記第2基板処理装置の一側に水平な軸心周りに揺動可能に設けられ、基板を保持する第2姿勢切替用保持具を備え、基板の姿勢を倒伏姿勢と起立姿勢とに切り替える第2姿勢切替部材と、
前記第2姿勢切替部材を揺動させる第2姿勢切替用アクチュエータと、
前記第1姿勢切替部材の一側に立設した支持フレームに循環走行可能に設けられ、上下方向へ延びた無端状部材と、
前記無端状部材を循環走行させる走行用アクチュエータと、
前記無端状部材に周方向に間隔を置いて設けられ、起立姿勢の基板を保持する複数の昇降用保持具と、を具備したことを特徴とする基板昇降移送装置。
【請求項2】
各昇降用保持具は、一対のクランプ爪を備えかつ基板の端部を把持する昇降用クランパであって、
更に、前記第1基板処理装置に対応する高さ位置に位置した前記昇降用クランパにおける少なくとも一方の前記クランプ爪をアンクランプ方向へ移動させる第1アンクランプ用アクチュエータと、
前記第2基板処理装置に対応する高さ位置に位置した前記昇降用クランパにおける少なくとも一方の前記クランプ爪をアンクランプ方向へ移動させる第2アンクランプ用アクチュエータと、を具備したことを特徴とする請求項1に記載の基板昇降移送装置。
【請求項3】
基板に対して処理及び昇降移送を行う基板処理移送システムにおいて、
下段フロアに配設され、基板に対して処理を行う第1基板処理装置と、
上段フロアに配設され、基板に対して処理を行う第2基板処理装置と、
前記第1基板処理装置と前記第2基板処理装置の間で基板の昇降移送を行う請求項1又は請求項2に記載の基板昇降移送装置と、を備えたことを特徴とする基板処理移送システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−238764(P2010−238764A)
【公開日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−82699(P2009−82699)
【出願日】平成21年3月30日(2009.3.30)
【出願人】(000000099)株式会社IHI (5,014)
【Fターム(参考)】