説明

好適に円形エッジを有する物体の品質を光学的に制御する光学的試験方法及び光学的試験装置

【課題】好適に円形エッジを有する物体の品質を、物体のエッジの確実で再現可能な検査を非常に高精度で可能なように、光学的に試験するための冒頭に記載したタイプの方法と装置を改良しさらに展開すること。
【解決手段】好適に円形エッジを有する物体の品質を、該円形エッジに光を当てる光学的に試験するための方法において、反射、屈折及び/又は回折により該物体から放射する光が測定ユニット(1)により検出され、該物体の表面及び/又は内部の欠陥が検出画像信号によって判定されることを特徴とする、物体の品質を光学的に試験する光学的試験方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は好適に円形エッジを有する物体の品質(物性)を、該円形エッジに光を当てて、光学的に試験するための方法に関する。さらに、本発明は、該物体のエッジに光を当てるための少なくとも1つの発光照明ユニットを用いて好適に円形エッジを有する物体の品質を光学的に試験する、特に本発明の方法を実施するための装置に関する。
【背景技術】
【0002】
議論中のこの種の方法と装置は長年の間、実際の作業から公知となっており、それらは物体、特に工業生産の製品の完全な検査の範囲内で益々重要な役割を果たしている。これらの方法と装置は、納品前あるいは総合的な受入れ試験前の、完成品のできる限りの完全な検査だけに関するものではない。むしろ、個々の製造工程間で中間製品の品質を既に繰り返し確保し、従って製品欠陥あるいはまた製造エラーの早期検出を可能にする開発傾向もある。
【0003】
従って、半導体産業の分野では、ウェーハの製造において多種の基準を検出する複数の検査システムがここ数年に亘って確立されてきた。これらのシステムの有効性は、製品「ウェーハ」の品質の国際標準規格(SEMIスタンダード、国際半導体製造装置材料協会)を確立して半導体産業で事業する全ての企業に世界的な一定の定義を利用できるベースを意味している。
【0004】
ウェーハの品質の非常に重要な特徴は、個々の粒子、汚染、粗さ及び欠陥が非常に高解像度で検出されることが重要であるウェーハ表面の状態である。その一方で、ウェーハ製造者は最終検査の範囲内で各製造ラインの末端で品質検査ばかりでなく、製造プロセスの幾つかのポイントでそのような検査も行い、また、高コストに関連する製造でのさらなる処理と、顧客へ欠陥のあるシリコン薄片の納品をも防止する目的で、可能な最も早期にそのタイプ又は欠陥の分布の関数としてそのような欠陥のあるシリコン薄片が確実に区分けされる。
【0005】
視覚的に検出可能な欠陥は、−これら欠陥がはっきりしなく、特殊な照明や拡大光学システムによってのみ見える場合でも−顧客の側で以下の問題を招いている。
・ 欠陥の早期検出(例えば、受入れ試験の範囲内で)は通常苦情と納品ウェーハの返却を招く。その結果、例えばさらなる処理、従ってそれに伴う製造時間の損失による遅延となる。
・ 欠陥がさらなる製造プロセスやさらなる処理の最後でのみ検出されたら、全体として高コスト製造の高価な製品を分けることが必要になろう。これは一方では、実際の生産能力を必ずしも低下させることにはならないが、他方では、不良品のコストがさらなる処理の範囲内に既に織り込まれている。
・ 未検出欠陥がさらなる処理過程でウェーハの破損をも招くと、この場合、単なる材料コストにそれ自体既にかなりの合計金額になる場合であるが、そのような発生後の高価なクリーンルーム状態の回復やそれに関連する全体の製造ラインの停止を付加しなければならないだろう。
【0006】
現在の技術水準では、粒子、粗さ及び欠陥に関してウェーハ表面の自動検査ではそのウェーハのエッジ領域を検査から除外している。このエッジ領域はウェーハの表面から裏面までの移行領域として、しかもエッジ領域から開始してウェーハの表面までの3ミリメートルのそれぞれの範囲としてSEMIスタンダードにより規定されている。
【0007】
ウェーハのエッジ領域(=エッジ+エッジゾーンの一部、特に表面検査における現在のSEMIスタンダードにより規定されているような除外ゾーン)は、ウェーハ表面の品質標準規格の定義から全体として除外されるため、ウェーハのエッジ領域は現在のところ作業者により手動の目視検査にだけかけられる。この検査では、非常に強力な光源を補助装置として使用してウェーハのエッジの起こりうる欠陥を検出することができる。このプロセスでは、凹凸により生じる光の反射に対して特にエッジを検査する。しかし、製造及びさらなる処理の観点から、この目視法の確実性と再現性は最悪と考えられ、今まで表側と裏側に同様の品質標準規格を規定することを妨げてきた。
【0008】
本来誤りが多いと考えられるに違いない目視による散乱光検査の他に、ウェーハを検査する唯一の自動装置、すなわちウェーハのエッジ、−この場合エッジゾーンではなく−を検査するRaytex(レイテックス)社製の「エッジスキャン」装置が現在ある。しかし、エッジに対して垂直に向けられるレーザー光線の散乱光評価に基づいているこのシステムは顧客の要求を不十分にしか満たしていない。一方で、このことは、該システムの余りにも低い解像度(ウェーハ円周の25ミクロンの1つの測定値)と、その結果得られる限定感度とによるものである。さらに、使用されているような散乱光評価は、その理想的な形状からのウェーハのずれ(反り)、製造されるエッジ輪郭及び測定時のウェーハの取り扱い(レーザー光線の軸に対しウェーハを傾斜させる)に影響を受けやすい。
【0009】
目視検査の範囲内のより具体的なタイプ(汚染、引っ掻き傷、チッピング、コーティング、粒子など)による欠陥の分類は、より詳細に損傷ウェーハを顕微鏡を使用して検査することでさらに時間がかかる工程でのみこれまで可能であった。この使用可能な自動システムの場合、検出される欠陥の評価が作業者によってのみ同様に確保され、この作業者は最終的に各欠陥のカメラ映像を分析しなければならない。それにより、より広範囲の統計値試験と体系的エラーの検出がこれまで同様に可能でなく実現されなかった。
【0010】
ウェーハのエッジが益々重要になっており、このことはSEMIスタンダードにより推奨されているように300ミリメートルの直径のウェーハエッジ取り扱いから生じる。この領域は付加的な機械的応力にさらされ、この応力は、検出される欠陥を部分的に生じるかあるいは今ある欠陥に対して微妙に反応する。
【0011】
大ウェーハ径の要求が着実に増加し、品質要求が同程度に大きくなっているため、特にウェーハ製造者側では、欠陥や粗さに対してウェーハエッジを検査する完全自動システム、すなわち、シリコン薄片を標準規格に対して高精度に、汚染と破壊がない状態で、ウェーハ製造の対応する製造工程間で測定でき、そして欠陥を検出、分類できる状況にあるシステム、のニーズがある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
従って、本発明の目的は、好適に円形エッジを有する物体の品質を、物体のエッジの確実で再現可能な検査を非常に高精度で可能なように、光学的に試験するための冒頭に記載したタイプの方法と装置を改良しさらに展開することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
この発明によれば、上記目的は好適に円形エッジを有する物体の品質を請求項1の工程で光学的に試験する方法で達成される。従って、好適に円形エッジを有する物体の光学的試験の冒頭で説明した種類の方法は、反射、屈折及び/又は回折により該物体から放射する光が測定ユニットにより検出され、該物体の表面及び/又は内部の欠陥が検出画像信号によって判定されるように改良される。
【0014】
この発明によれば、第一に、好適に円形エッジを有する物体のエッジ領域の試験に益々大きな重要性があると考えられることが分かった。さらに、作業者によるエッジ領域の現在のところ唯一の品質目視検査がエラーを大きく受けて、殆んど再現不可能であることが分かった。この発明によれば、測定ユニットを使用して反射、屈折及び/又は回折によって物体から放射する光を検出する。最後に、この発明により物体の表面及び/又は内部の欠陥を検出画像信号により確実で再現可能にまた高精度で検出できることが分かった。
【0015】
この発明の方法は表面チェックの範囲内で複数の検査作業に適用することができる。この物体は原則的にどのタイプの物体でもよいが、工業生産により得られる加工品又は完成品、例えばロッド及び管、打抜き品、圧延素材などが好ましい。この物体は少なくとも一部が透明でもよく、すなわちその物体がレンズでもよい。しかし、上記のように、主要な応用分野は半導体薄片、特にシリコンウェーハの品質試験である。この理由から、以下、ウェーハ薄片のみについて言及する。
ウェーハのエッジ領域の欠陥の自動光学検出に加えて、発見された欠陥の自動分類を有利な方法で実施することが可能であろう。
【0016】
画像処理コンポーネント、例えばカメラ、レンズ、あるいは照明モジュール、及び有効な画像処理アルゴリズムを組み合わせることで、エッジ検査システムは、カメラにより得られるウェーハエッジの画像データから欠陥と粒子を検出する。発見した欠陥は、次に、パラメータで表示可能な範囲に亘り形態的特徴又は強度の特徴によるか、欠陥のカタログに基づいて画像処理ソフトウェアを使用して自動的に分類することができる。欠陥のカタログは先行する測定値から前もって得られる画像データに基づいて作製することができる。さらに、発見した欠陥の自動分類は、1種類の多数のサンプル欠陥画像に基づいて自習システムとして訓練が可能である。その後、ニューラルネットワークで自動分類を行うことが可能であろう。
【0017】
エッジ検査システムは、ウェーハを回転させながらウェーハエッジを「フィルムに写し」、画像処理ソフトウェアにより欠陥に関して受信した画像信号を分析する。欠陥検出の判定基準は、例えば記録画像データの輝度の差として分かる反射光強度のばらつきと同様に、主として形態の変化、すなわち形状、寸法の特徴である。検出欠陥は最終的には分類にかけられるが、この分類は典型的な欠陥のコレクションと比較することで測定結果に従って行われる。この目的のため、測定された訓練とともにニューラルネットワークを使用することができよう。より広範囲な処理として、例えば品質の程度の違いを示す個々の種類への分類結果に基づいてウェーハを区分けすることが可能である。
【0018】
同時及びリアルタイム対応画像取得及び画像評価の場合、最適化画像処理ソフトウェアモジュールが提供され、このモジュールにより供給データで確実な再現可能な欠陥の検出のオンライン化が可能となる。測定工程時に、このオンライン評価に加えて、この測定に続く処理工程、すなわち生データのオフライン評価において、画像データからの欠陥を同様に検出することが可能となる。
上記のように、欠陥分類の基本として複数種類への区分を備えた欠陥のカタログを使用することが可能であるが、このカタログは、測定システムにより早期に検出された各種類の典型的な欠陥から構成され、別の種類でいつでも増やすか、あるいは個々の実施例を付加したり、削除したりすることで種類内で変更することができる。
【0019】
有利な方法では、ウェーハと測定ユニットとの間の距離を自動的に測定することが可能であろう。測定ユニットとウェーハとの間の相対位置のトラッキングによって、測定時に生じる距離のばらつきから生じる画像品質の欠陥を有効に防止することができよう。そのようなトラッキングシステムとウェーハ形状寸法の寸法公差を補整するため、非常に短い反応時間内で試験物体と測定ユニット間の実際の相対的位置変化に応答し、対応する調整プロセスを介して測定時にできるだけ一定の距離を保持する知能制御及び調整インターフェースを実装することが可能だろう。これにより、固定保持ウェーハに対する測定ユニットと固定保持測定ユニットに対するウェーハの双方を、すなわち全ての軸と、選択的に個々の軸に対して双方を追従することが可能である。
【0020】
ウェーハのエッジ領域にある欠陥の自動検出が行われるが、たとえば1ミクロンより小さな欠陥サイズが有効であり、さらなる微細解像が基本的に可能である。この目的のため、測定ユニットはウェーハの円周の全ての2ミクロンとエッジ輪郭の方向の2ミクロンに対して1つの測定値を与える。当技術のシステムと比較して、この測定ユニットは解像度が1000倍以上の増加と、さらにエッジ領域の完全な有効範囲の増加を意味している。
【0021】
この装置について、冒頭で説明した目的は請求項18に記載の特徴によって達成される。従って、物体のエッジに光を当てる少なくとも1つの発光照明ユニットを用いて好適に円形エッジを有する物体の品質を光学的に試験する装置は、光学画像システム及び前記光学画像システムによって反射、屈折及び/回折によって前記物体から放射する光の映像化を可能にする少なくとも1つのカメラとから成る測定ユニットと、検出画像信号によって前記物体の表面の及び/又は内部の欠陥を判定可能にする評価ユニットによって特徴づけられる。本願発明の装置は請求項1ないし請求項17のいずれか1項に記載の方法を実施するために好適に使用されるものであり、本明細書の上記部分が繰り返しを避けるために参照として組み込まれる。
【0022】
具体的には、照明ユニットとして、LED、冷光源、特に制御可能な高出力冷光源、レーザーあるいはまた、従来の光源も使用することが可能だろう。有利な方法では、照明ユニットの光束密度が可変調節に適用でき、それにより例えば粗い表面を試験するためには低光強度に及び磨き面には高光密度に調節することが可能である。特に、光束密度を、小さな欠陥に対して高感度を生じあるいは大きな不良欠陥の詳細な構造物に対しては低感度を生じるように、選択することが可能であろう。さらに、あるいはその代わりに、照明の角度を例えば照明ユニットを旋回させることで変えることもできる。
【0023】
有利な方法では、測定ユニットが複数のカメラから成るカメラシステムを備えることができる。この場合、マトリックスアレーカメラ及びリニアアレーカメラの双方を使用することができよう。具体的には、このカメラは例えばウェーハと対称関係で半円に配置できる。特に複数のカメラが旋回可能に配置されて、種々の視野角から物体の写真を撮ることができる。
【0024】
エッジを把持しながら、ウェーハの完全なエッジを検査するために、連続する2回の測定が必要とされる。この2回の測定の間、ウェーハを再度異なった場所に把持して第1回の測定時に取り扱いで被覆された第2の測定領域で検査することが可能である。すなわちウェーハの取り扱いで被覆される可能性のある領域を再把持すること無く全て300ミリメートルのウェーハに対する15〜20秒未満の測定時間で、あるいはウェーハの第1回転時の取り扱いで被覆された領域の再把持と測定を含み、同時にウェーハを供給するためにロボット操作をいつも除外して各ウェーハ当たり30〜40秒未満の測定時間で、このシステムが、1時間につき60枚以上のウェーハを処理する生産において実際使用されるように適応されている。これは、処理量に関して、1走査ラインを採用する場合の露光時間は数マイクロ秒の範囲であるべきという要求から生じており、また、従って使用する際のリニアアレーカメラの感度や、光学画像システムの光の強度や、照明の光源の強度に関する特別な要求を満たすことになる。そのような短い組み入れ時間のため、高感度遅延組み込み(TDI)センサーの使用が該リニアアレーカメラサイドに有利であることが分かった。従来のリニアアレーカメラと違って、本発明のリニアアレーカメラは複数の平行配置の個々のコンポーネントを使用し、被覆されている物体の1つの同じリニア断面を遅延で撮影する。後続のそれぞれ個々の信号の統合により、カメラは明確に改良した画像信号を提供し、それと共に、高感度も一緒に達成される。
【0025】
複数画像を撮影するために、さらに高解像度、最大解像力深さと同時に高光透過率で画像を識別して望ましい検出感度を達成できる特殊な光学拡大システムを使用することができる。
照明として、各カメラには、向きに関係なく欠陥検出可能な半径方向に対称的な暗視野照明を使用することが可能であろう。暗視野照明の場合、光入射が、大きな情報密度の目的のために、例えば第1回の測定を20°の光入射で、次の測定は45°の光入射で物体に対して複数の測定を行うことができるように、変えることができる。光束密度、照明角度、カメラの視野角度など、単一系による変化された調整を伴う連続測定に代わるものとして、品質検査時に処理量を減らさないように調整を変えながら測定を行うことができる複数の系をそれぞれ異なった装置と一体化することも可能である。
【0026】
しかし、そのような光学系の基本的にすなわち理論的に達成可能な解像力深さには上限がある。この理由から、カメラと照明システムに追従してウェーハのエッジから一定の距離を維持して、ウェーハそれ自体の許容できる寸法のばらつきと、ウェーハ取り扱いシステムによるウェーハの回転時の屈曲とを補整できるようにする手段を使用する。
同じ構造のシステム間の測定値の比較可能性は製造上非常に問題となるため、較正の意味で異なったシステムの相互適用を一体化した機構を使用することができるだろう。
【0027】
例えば、照明の光源の光強度の変化の形態における個々のコンポーネントのエイジングプロセスのため、及び例えば温度の影響などの環境の影響による測定結果の長期変動が、規則的に実施されたチェック測定値と測定システムの長期安定化に対するこれらの結果の統計値評価に基づいて一体化方法によって測定ユニットに関して補整することができる。
較正と長期安定化の双方のため、物体、すなわち何回か測定され、正規製造から採取された比較(基準)片だけでなく、試験物体、すなわち特殊に製造され、これらのタスクに規定されたマスター片を使用するようになっている。
【0028】
滑らかな面、特にウェーハ表面の品質を検出するように現在適用されている測定原理(構築された光と散乱光評価)は湾曲面に移行できないため、明確に低減された要件でも、またウェーハ表面の検査で通常のナノメートル範囲の精度と比較して、画像処理方法を用いた光学検査は別のアプローチを示している。さらに、このアプローチは該システムの一体化コンポーネントとして目視分類と比較できる訓練可能な分類の可能性を提供する。
【0029】
これからの数年では、ウェーハのエッジゾーンは、SEMIスタンダード内で推奨されているようにエッジ取り扱いの使用が目に見えて増大している結果として、シリコン薄片の益々決定的な品質基準を示すだろう。両面で処理可能な300ミリメートル範囲にあるウェーハの製造の場合、今まで裏側で広範囲に適用された真空取り扱いは、そのようなウェーハの接触がいつも表面に汚染を伴うため省かれるだろう。従って、この技術はエッジ把持及びエッジ取り扱いによるウェーハの製造とさらなる処理を行う可能性のみを残している。
【0030】
同様に、ウェーハ処理の工業分野では、ウェーハエッジの自動検査システムのニーズが、エッジ取り扱いによりウェーハエッジに機械的応力が増大している結果、新規製造ラインで増している。この方法(受け入れ試験の範囲内での応用を始めとして)の正常な使用の場合、このセクターでは特定の製造ライン内で何回もの使用を期待することもできる。
【0031】
有利な方法で本発明の教示を改良しさらに展開できる種々の可能性がある。この目的のため、一方では、請求項1と請求項18に従属する複数の請求項を、他方では、図面を参照してこの発明の好ましい実施形態の以下の説明を、参照することができる。図面を参照したこの発明の好ましい実施形態の説明に関連して、この教示の一般に好ましい改良点とさらなる展開が説明されている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
図1は、好ましくは円形エッジを有する物体、特にシリコンから製造されたウェーハの品質を光学的に試験するための本発明に係る装置の1つの実施形態の斜視図を概略的に示している。
以下、より詳細に説明する実際の測定ユニット1が、振動の無い方法でできるだけ多く支持されているベース2に配置されている。このベース2に加え、合計6つの高出力冷光源4から成る照明ユニット3が設けられている。各光源4には、測定ユニット1へ光源4の光を供給する導光器5が対応付けられている。照明ユニット3の下には、増幅器ユニット6が電動起動用に設けられ、種々の焦点の意味で測定ユニット1(図2参照)の光学画像システム7の特性を再調整する。
【0033】
さらに図示した評価ユニット8が合計6つの工業評価パソコン9から構成されている。このパソコン9は6つのカメラシステム10,11,12,13,14,15に割り当てられて、それぞれ1つのパソコン9が1つのカメラシステム10〜15の測定データを処理する。ハブ16がネットワーク結線を介してハブ16へ接続する評価コンピュータ9間で交信の役割を果たす。
均一な、中心オペレーターインターフェースがマウス19、キーボード20及び画面21用のスイッチ18を使用して1つのワークステーション17により設けられている。
【0034】
図2は図1のある部分の拡大図であり、測定ユニット1の斜視図をより詳細に模式的に示している。試験される物体はウェーハ22であり、そのエッジが光学的品質検査にかけられる。ウェーハ22は図示しないハンドリング(取り扱い)ロボットにより測定ユニット1に供給される。この目的のため、積込みピン23を使用してハンドリングロボットからウェーハ22を受け、あるいは測定作業が完了した後、ハンドリングロボットへウェーハ22を移す。チャックドライブ24はウェーハ22の回転用に備えられている。
【0035】
合計6つのカメラシステム10〜15が設けられ、2つのカメラシステム10,11がウェーハ22の上端から上エッジゾーンまで垂直に向けられ、同様に2つのカメラシステム12,13が底部から下エッジゾーンへ向けられ、また2つのカメラシステム14,15がウェーハの横エッジに水平に向けられている。このカメラシステム10〜15の各々には、組み合わされた拡大光学画像システム7が対応付けられており、それぞれのカメラシステム10〜15の反射、屈折、及び/又は回折によるウェーハ22から放射する光の映像化を可能にしている。
【0036】
分かりやすくするために、図2にその端部だけが示されている6つの導光器5は高出力冷光源4から光を供給する。2つのカメラ10,11を備えた上測定ヘッド25の場合、及び2つのカメラ12,13を備えた下測定ヘッド26の場合、導光器5により受けた光が暗視野照明を発生する光学コンポーネント27にそれぞれ供給される。暗視野照明の使用により、ゼロ番目の非回折中央極大が光学軸には無く、従って観察ができないようになっている。それにより、目に見える、薄い直線の構造物、例えばエッジあるいは引っ掻き傷を作ることは可能で、非常に有利である。
【0037】
2つのカメラシステム14,15を備えた水平配置中間測定ヘッド28が2つの異なった照度で作動する。後方のカメラシステム14の場合には、光が、前述のようにウェーハ22の横エッジに暗視野照明の意味で同様に照射される。しかし、前方のカメラシステム15の場合、明視野照明を発生させるように使用される光学コンポーネント29が設けられている。明視野照明の場合、照明と観察のための光束が一致し、カメラシステム15により撮影された画像は光の背景の前では暗く見える。
【0038】
ウェーハ22と個々の測定ヘッド25,26,28との間の正確な相対的位置を調節するために、種々の供給装置、すなわち、一方では、ウェーハ22を水平に及び垂直に進めるための水平追従ユニット30と垂直追従ユニット31と、他方では、ウェーハ22のエッジに沿って測定ヘッド28を垂直に追従するための別の垂直追従ユニット32が設けられている。この追従ユニット30,31,32は、最も短い反応時間内でウェーハ22と測定ヘッド25,26,28との間の相対的位置の変化に応答して対応する調整プロセスによりその位置を修正する制御及び調整ユニットによって指示されることができる。
【0039】
評価コンピュータ9には、ウェーハ22のエッジに対し測定ヘッド25,26,28の実際の位置を検出する画像ソフトウェアが実装されている。ウェーハ22のエッジ領域の受信画像データから、該ソフトウェアによって欠陥が検出され抽出され、その後、分類にかけられる。最終的に、評価データは、ユーザーニーズに処理され、画面21上で確認し、さらなる分析をするためワークステーション17で使用される。
最後に、上記実施形態は請求された教示内容だけを説明しているが、その教示を実施形態に限定するものでないことを特に指摘する必要がある。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】好適には円形エッジを有する物体の品質を光学的に試験するための本発明に係る装置の1つの実施形態の斜視図である。
【図2】図1の装置の測定ユニットの拡大詳細斜視図である。
【符号の説明】
【0041】
1 測定ユニット
2 ベース
3 照明ユニット
4 高出力冷光源
5 導光器
6 増幅器ユニット
7 光学画像システム
8 評価ユニット
9 工業評価パソコン
10,11,12,13,14,15 カメラシステム
16 ハブ
17 ワークステーション
18 スイッチ
19 マウス
20 キーボード
21 画面
22 ウェーハ
23 積込みピン
24 チャックドライブ
25 上測定ヘッド
26 下測定ヘッド
27 光学コンポーネント
28 中間測定ヘッド
29 光学コンポーネント

【特許請求の範囲】
【請求項1】
好適に円形エッジを有する物体の品質を、該円形エッジに光を当てる光学的に試験する方法において、
反射、屈折及び/又は回折により該物体から放射する光が測定ユニット(1)により検出され、該物体の表面及び/又は内部の欠陥が検出画像信号によって判定されることを特徴とする、物体の品質を光学的に試験する光学的試験方法。
【請求項2】
前記物体が少なくとも一部透明であることを特徴とする、請求項1に記載の光学的試験方法。
【請求項3】
前記物体がウェーハ(22)であることを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載の光学的試験方法。
【請求項4】
品質検査を自動化して行うことを特徴とする、請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の光学的試験方法。
【請求項5】
前記判定された欠陥を自動的に分類することを特徴とする、請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の光学的試験方法。
【請求項6】
前記判定された欠陥を画像処理方法により分類することを特徴とする、請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の光学的試験方法。
【請求項7】
前記判定された欠陥をパラメータで表示可能な範囲に亘り形態及び強度の特徴によって分類することを特徴とする、請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載の光学的試験方法。
【請求項8】
前記判定された欠陥を、予め検出された画像信号により欠陥のカタログ内で分類することを特徴とする、請求項1ないし請求項7のいずれか1項に記載の光学的試験方法。
【請求項9】
測定結果をディスプレーと記録用に作製することを特徴とする、請求項1ないし請求項8のいずれか1項に記載の光学的試験方法。
【請求項10】
前記物体と前記測定ユニット(1)との間の間隔を自動的に測定することを特徴とする、請求項1ないし請求項9のいずれか1項に記載の光学的試験方法。
【請求項11】
前記測定ユニット(1)を電動ユニットにより、前記物体と前記測定ユニット(1)との間で検出される間隔の関数として水平に及び/又は垂直に自動的に追従することを特徴とする、請求項10に記載の光学的試験方法。
【請求項12】
前記物体のエッジに対し前記測定ユニット(1)の実際の位置を受信画像信号から判定することを特徴とする、請求項1ないし請求項11のいずれか1項に記載の光学的試験方法。
【請求項13】
前記物体のエッジに対し前記測定ユニット(1)の実際の位置を別のセンサー装置によって判定することを特徴とする、請求項1ないし請求項11のいずれか1項に記載の光学的試験方法。
【請求項14】
前記物体のエッジに対し前記測定ユニット(1)の実際の位置を容量測定によって及び/又はレーザー三角法によって判定することを特徴とする、請求項13に記載の光学的試験方法。
【請求項15】
前記物体の円周に沿って、2ミクロンの距離で測定値を採ることを特徴とする、請求項1ないし請求項14のいずれか1項に記載の光学的試験方法。
【請求項16】
前記物体のエッジ領域で、測定値を2ミクロンの距離でエッジ輪郭に向かう方向で採ることを特徴とする、請求項1ないし請求項15のいずれか1項に記載の光学的試験方法。
【請求項17】
前記物体のエッジ領域で、欠陥を1ミクロン未満の大きさを有効として検出することを特徴とする、請求項1ないし請求項16のいずれか1項に記載の光学的試験方法。
【請求項18】
好適に円形エッジを有する物体の品質を光学的に試験する、特に、前記物体のエッジに光を当てる少なくとも1つの発光照明ユニット(3)を用いて請求項1ないし請求項17のいずれか1項に記載の方法を実施するための装置において、
光学画像システム(7)及び前記光学画像システム(7)によって反射、屈折及び/回折による前記物体から放射する光の映像化を可能にする少なくとも1つのカメラとから成る測定ユニット(1)と、検出画像信号によって前記物体の表面の及び/又は内部の欠陥を判定可能にする評価ユニット(8)とを特徴とする、物体の品質を光学的に試験する光学的試験装置。
【請求項19】
前記照明ユニット(3)がLED、冷光源(4)、レーザー又は従来の光源から成ることを特徴とする、請求項18に記載の光学的試験装置。
【請求項20】
前記照明ユニット(3)がミラー及び/又はレンズ及び/又はフィルターを備えていることを特徴とする、請求項18又は請求項19に記載の光学的試験装置。
【請求項21】
前記照明ユニット(3)が異なった光束密度の発生を可能にすることを特徴とする、請求項18ないし請求項20のいずれか1項に記載の光学的試験装置。
【請求項22】
前記照明ユニット(3)が異なった照明角度の調節を可能にすることを特徴とする、請求項18ないし請求項21のいずれか1項に記載の光学的試験装置。
【請求項23】
前記光学画像システム(7)がレンズ及び/又はミラー及び/又はフィルターを備えていることを特徴とする、請求項18ないし請求項22のいずれか1項に記載の光学的試験装置。
【請求項24】
前記フィルターが偏光フィルター及び/又は波長フィルターであることを特徴とする、請求項23に記載の光学的試験装置。
【請求項25】
前記測定ユニット(1)がカメラシステム(10,11,12,13,14,15)を備えていることを特徴とする、請求項18ないし請求項24のいずれか1項に記載の光学的試験装置。
【請求項26】
前記カメラシステム(10,11,12,13,14,15)がマトリックスアレーカメラ及び/又はリニアアレーカメラを備えていることを特徴とする、請求項25に記載の光学的試験装置。
【請求項27】
前記カメラが該カメラの種々の視野角度を調節するために旋回可能に配置されていることを特徴とする、請求項26に記載の光学的試験装置。
【請求項28】
前記リニアアレーカメラが、画素当たり1画素の標準リニアアレーカメラであり、あるいは画素当たり複数画素の遅延組込みリニアアレーカメラであることを特徴とする、請求項26又は請求項27に記載の光学的試験装置。
【請求項29】
前記測定ユニット(1)と前記評価ユニット(8)との間の交信用接続を特徴とする、請求項18ないし請求項28のいずれか1項に記載の光学的試験装置。
【請求項30】
データを制御し分析するためのオペレーターインターフェースを特徴とする、請求項18ないし請求項29のいずれか1項に記載の光学的試験装置。
【請求項31】
前記物体の処理範囲内でタスクを制御する電動ユニットを特徴とする、請求項18ないし請求項30のいずれか1項に記載の光学的試験装置。
【請求項32】
前記電動ユニットが前記物体を回転するためのチャックドライブ(24)を備えていることを特徴とする、請求項31に記載の光学的試験装置。
【請求項33】
前記電動ユニットが、ロボットアームから前記物体を受け、前記ロボットアームに前記物体を移す積込みピン(23)を備えていることを特徴とする、請求項31又は請求項32に記載の光学的試験装置。
【請求項34】
光学コンポーネント(27,29)が入射光装置を備えていることを特徴とする、請求項18ないし請求項33のいずれか1項に記載の光学的試験装置。
【請求項35】
前記光学コンポーネント(27)が暗視野装置を備えていることを特徴とする、請求項18ないし請求項34のいずれか1項に記載の光学的試験装置。
【請求項36】
前記光入射が暗視野照明の場合に変えられることを特徴とする、請求項35に記載の光学的試験装置。
【請求項37】
前記光学画像システム(7)の焦点面を調節する装置を特徴とする、請求項18ないし請求項36のいずれか1項に記載の光学的試験装置。
【請求項38】
種々の焦点の意味で前記光学システムの画像特性を再調節するための装置を特徴とする、請求項18ないし請求項37のいずれか1項に記載の光学的試験装置。
【請求項39】
測定値の取得と画像の記録との間の制御/調節ユニットを特徴とする、請求項18ないし請求項38のいずれか1項に記載の光学的試験装置。
【請求項40】
固定保持ウェーハ(22)に対して前記測定ユニット(1)を追従し、及び/又は固定保持測定ユニット(1)に対してウェーハ(22)を追従するための装置を特徴とする、請求項18ないし請求項39のいずれか1項に記載の光学的試験装置。


【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2007−501942(P2007−501942A)
【公表日】平成19年2月1日(2007.2.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−529567(P2006−529567)
【出願日】平成16年3月10日(2004.3.10)
【国際出願番号】PCT/DE2004/000474
【国際公開番号】WO2004/104566
【国際公開日】平成16年12月2日(2004.12.2)
【出願人】(592093648)マイクロ−エプシロン・メステヒニク・ゲーエムベーハー・ウント・コンパニー・カー・ゲー (11)
【氏名又は名称原語表記】MICRO−EPSILON MESSTECHNIK GESELLSCHAFT MIT BESCHRANKTER HAFTUNG & COMPAGNIE KOMMANDITGESELLSCHAFT
【Fターム(参考)】