説明

有料道路料金所の通行案内装置

【課題】有料道路料金所を安全に通行できるように運転者を案内する有料道路の通行案内装置を提供する。
【解決手段】車両前方を撮像する車載カメラ20を備え、画像解析手段122により、その車載カメラ20によって撮像された画像を解析して料金所ゲートにETCレーンがあるか否かを判断する。そして、第1通知手段124では、画像解析手段122によって判断されたETCレーンの有無に基づいて運転者に通知するレーン案内情報を決定する。このように、車載カメラ20によって撮像した画像を解析することによってETCレーンの有無を判断すれば、ETCレーンと一般レーンとを誤って認識したり、稼動していないレーンをETCレーンであると認識してしまったりすることはないので、誤った内容のレーン案内情報を通知することがなくなる。従って、運転者は、通知されるレーン案内情報に従うことにより、有料道路料金所を安全に通行できるようになる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有料道路料金所を安全に通行できるようにするための案内を行う通行案内装置に関し、特に、ETCレーンをより安全に通行できるようにする通行案内装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、マイクロ波による路車間狭域通信を利用したETCシステムが導入されており、有料道路の料金所ゲートには、ETCレーンが設けられている場合が多い。また、それに対応してETC車載器を搭載した車両も増加しており、ETCシステムを利用することができる車両は、停車することなくETCレーンを通過することができる。
【0003】
その一方で、ETC車載器を搭載していない車両も多く存在することから、料金所には、一旦停止して、現金またはハイウェイカードを支払うことにより通過できる一般レーンも設けられている。
【0004】
従って、料金所ゲートには、ETCレーンと一般レーンとが混在していることになり、ETCレーンを利用したい運転者は、複数のレーンからETCレーンを探し出して通行しなければならず、逆に、一般レーンを利用したい運転者は複数のレーンから一般レーンを探し出して通行しなければならない。
【0005】
そこで、運転者が複数のレーンから所望のレーンを探し出す負担を軽減させるための装置が提案されている。たとえば、特許文献1に記載のナビゲーション装置がそれである。特許文献1に記載にナビゲーション装置では、車両の現在位置が有料道路の出口料金所にさしかかった場合に、車両をETCレーンおよび一般レーンのいずれに案内すべきかを決定し、その決定したレーンに案内するための表示または音声を出力している。
【特許文献1】特開2003−294473号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1の装置では、記憶されている地図情報に基づいてレーンを案内しているため、地図情報の記憶された時点以降に工事等により、ETCレーンであった位置が一般レーンになったり、逆に、一般レーンであった位置がETCレーンになったりした場合には、誤ったレーンに案内してしまうという問題がある。また、レーンの種別が変更になっていなくても、そのレーンが稼動していない場合にも、誤ったレーンに案内してしまう恐れがある。誤ったレーンへ案内してしまうと、運転者は戸惑うことになり、料金所を安全に通行することが困難になってしまう。
【0007】
本発明は、この事情に基づいて成されたものであり、その目的とするところは、有料道路料金所を安全に通行できるように運転者を案内する有料道路の通行案内装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
その目的を達成するための請求項1記載の発明は、車両前方を撮像するカメラと、そのカメラによって撮像された画像を解析して料金所ゲートにETCレーンがあるか否かを判断する画像解析手段と、その画像解析手段によって判断されたETCレーンの有無に基づいて定まるレーン案内情報を運転者に通知する第1通知手段とを含むことを特徴とする有料道路料金所の通行案内装置である。
【0009】
この請求項1に記載の発明によれば、カメラによって撮像した画像を解析することによってETCレーンの有無を判断していることから、ETCレーンと一般レーンとを誤って認識したり、稼動していないレーンをETCレーンであると認識してしまったりすることはない。そして、その判断結果に基づいて運転者に通知するレーン案内情報が定められるので、誤った内容のレーン案内情報を通知することがなくなる。従って、運転者は、通知されるレーン案内情報に従うことにより、有料道路料金所を安全に通行できるようになる。
【0010】
ここで、前記有料道路料金所の通行案内装置は、請求項2記載のように、前記車両がETCレーンを利用可能な状態であるか否かを判断する利用可否判断手段をさらに備え、前記第1通知手段は、その利用可否判断手段における判断結果と前記第1画像解析手段における解析結果とに基づいて、運転者に通知するレーン案内情報を決定するようになっていることが好ましい。
【0011】
このようにすれば、運転者に通知するレーン案内情報が、料金所ゲート側の情報である画像解析結果に加えて、車両側の情報である車両がETCレーンを利用可能な状態であるか否かに基づいて決定されることになるので、レーン案内情報をより詳細な内容とすることができる。従って、運転者は、通知されるレーン案内情報に従うことにより、有料道路料金所をより安全に通行できるようになる。
【0012】
また、請求項2のように、車両がETCレーンを利用可能であるか否かを判断するようになっている場合、好ましくは、請求項3または4のように、レーン案内情報は、上記車両がETCレーンを利用可能であるか否かの情報と、ETCレーンの数や位置とに基づいて決定することが好ましい。
【0013】
すなわち、請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の有料道路料金所の通行案内装置において、前記画像解析手段は、前記カメラによって撮像された画像を解析して、ETCレーンの数も判断するものであり、前記第1通知手段は、前記利用可否判断手段における判断結果と、その画像解析手段によって判断されたETCレーンの数とに基づいて、運転者に通知するレーン案内情報を決定するようになっていることを特徴とする。
【0014】
また、請求項4に記載の発明は、請求項2または3に記載の有料道路料金所の通行案内装置において、前記画像解析手段は、前記カメラによって撮像された画像を解析して、ETCレーンの位置も判断するものであり、前記第1通知手段は、前記利用可否判断手段における判断結果と、その画像解析手段によって判断されたETCレーンの位置とに基づいて、運転者に通知するレーン案内情報を決定するようになっていることを特徴とする。
【0015】
これら請求項3または4のようにすれば、より詳細なレーン案内情報が決定されることになるので、運転者は、通知されるレーン案内情報に従うことによって、有料道路料金所をより安全に通行できるようになる。
【0016】
さらに、請求項2乃至4に記載の有料道路料金所の通行案内装置は、請求項5記載のように、前記車両と料金所ゲートとの間の距離が、その車両が通過するレーンを予測することができる所定の予測可能距離以下となったときに、その車両が通過するレーンがETCレーンであるか否かを決定する通過予測レーン決定手段と、前記画像解析手段によってETCレーンがあると判断された場合に、前記通過予測レーン決定手段によって決定された結果と、前記利用可否判断手段における判断結果とに基づいて、運転者に通過予測レーンに関する所定のレーン注意情報を通知する第2通知手段とをさらに含むことが好ましい。
【0017】
このようにすれば、ETCレーンが存在し、且つ、車両がどのレーンを通過するかが予測されたときに、その通過が予測されるレーンがETCレーンであるか否か、および、車両がETCレーンを利用可能であるか否かに基づいて、通過が予測されるレーンに関するレーン注意情報が通知されるので、運転者は、その通知されるレーン注意情報から、通過しようとしているレーンが適当であるかを確認することができる。従って、不適当なレーンを通行しようとしている場合には、レーン注意情報からそのことに気づくことができるので、有料道路料金所を一層安全に通行できるようになる。
【0018】
上記請求項5の通過予測レーン決定手段は、たとえば、請求項6に記載されているように、前記車両と料金所ゲートとの間の距離が前記予測可能距離以下となったときに前記カメラによって撮像された画像に基づいて、その車両が通過するレーンがETCレーンであるか否かを決定する。
【0019】
また、通過予測レーンがETCレーンである場合、通常、前走車がゲートを停止せずに通過するとの前提で自車も走行しているが、前走車がETCレーンを利用できない車両である場合には、前走車がゲートで突然停止してしまうことがあり、前走車がゲートで突然停止してしまうと自車と前走車とが衝突してしまう危険がある。そこで、請求項7のようにすることが好ましい。
【0020】
その請求項7記載の有料道路料金所の通行案内装置は、請求項5または6に記載の有料道路料金所の通行案内装置において、前記通過予測レーン決定手段によって通過予測レーンがETCレーンであると決定された場合に、自車と前記ETCレーンに設置されている開閉バーとの間に他車両が存在するか否かを判断する他車両判断手段と、その他車両判断手段によって他車両が存在すると判断された場合に、その他車両と自車との間の車間距離および自車の車速を取得する走行情報取得手段と、その走行情報取得手段によって取得された車間距離および車速に基づいて、前記他車両に衝突しないようにするための所定の注意情報を運転者に通知する第3通知手段とをさらに含むことを特徴とする。
【0021】
このように、ETCレーンに設置されている開閉バーと自車との間に他車両が存在する場合に、その他車両との間の車間距離および自車の車速とに基づいて、その他車両に衝突しないようにするための所定の注意情報を通知するようにすれば、その他車両と衝突してしまう可能性を少なくすることができる。従って、運転者は、有料道路料金所をより安全に通行できるようになる。
【0022】
また、他車両だけでなく、自車がETCレーンを利用できない場合もあり、自車がETCレーンを利用できないにも係わらず、ETCレーンを通行しようとすると、開閉バーが開かずに、その開閉バーと衝突してしまう可能性もある。そこで、請求項8のようにすることが好ましい。
【0023】
請求項8に記載の発明は、請求項5乃至7のいずれかに記載の有料道路料金所の通行案内装置において、前記通過予測レーン決定手段によって前記車両が通過するレーンがETCレーンであると決定された場合に、その車両とETCレーンに設置されている開閉バーとの間の距離を算出する距離算出手段と、前記カメラによって撮像された画像に基づいて前記開閉バーの開閉状態を判断する開閉状態判断手段と、前記距離算出手段によって算出される車両と開閉バーとの間の距離が予め設定された所定距離以下であるが、前記開閉状態判断手段によって開閉バーが閉じていると判断されたことに基づいて、開閉バーが閉じていることを運転者に通知する第4通知手段とをさらに含むことを特徴とする。
【0024】
このように、車両と開閉バーとの間の距離が所定距離以下であるが、開閉バーが閉じている場合に、開閉バーが閉じていることを運転者に通知するようにすれば、運転者は開閉バーの開閉状態を注意深く確認するようになるので、車両が開閉バーに衝突してしまう可能性が少なくなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、本発明の実施の形態を、図面に基づいて説明する。図1は、本発明が適用された有料道路料金所の通行案内装置(以下、単に通行案内装置という)10の構成を示すブロック図である。
【0026】
通行案内装置10は、車載カメラ20とナビゲーション装置100とから構成されている。車載カメラ20は、車両前方を撮像できるように、車両の所定位置(たとえば、バックミラーの背面側)に固定されている。この車載カメラ20は、車幅方向を比較的広角に撮像できるようになっており、ナビゲーション装置100によって制御されることにより画像を撮像して、撮像した画像のデータをナビゲーション装置100へ出力する。
【0027】
ナビゲーション装置100には、車載カメラ20からの信号だけでなく、レーダ22、車速センサ24、ETC車載器26からの信号も供給される。
【0028】
レーダ22は、車両前方へ向けて信号波(レーザまたは電波)を照射するとともに、その信号波の反射波を受信して、その受信した反射波に基づいて前方の障害物を検出する。車速センサ24は、車輪と同期して回転する所定の回転体の回転速度に基づいて車速を検出して、その車速を表す車速信号をナビゲーション装置100へ出力する。
【0029】
ETC車載器26は、ETCカードと呼ばれるICカード28が抜き差し可能に装着されるようになっており、ICカード28が装着された状態では、そのICカード28の認証を行うとともに、その認証結果をナビゲーション装置100へ出力する。また、ETC車載器26は、有料道路料金所のETCレーンの路側に設置されている路側器30との間でDSRC(Dedicated Short Range Communication:専用狭域通信)による路車間通信を行う機能を有しており、ICカード28に記憶された情報やETC車載器26自身に記憶されている情報を路側器30へ送信する。
【0030】
図2は、ナビゲーション装置100の構成を示すブロック図である。ナビゲーション装置100は、位置検出器101、地図データ入力器106、操作スイッチ群107、外部メモリ109、ディスプレイ110、送受信機111、音声コントローラ112、スピーカ113、音声認識装置114、マイク115、リモコンセンサ116、リモートコントロール端末(以下、リモコンと称する)117と、これら各装置が接続された制御装置108を備えている。
【0031】
制御装置108は、通常のコンピュータであり、内部には周知のCPU、ROM、RAM、I/Oおよびこれらの構成を接続するためのバスラインを備えている。ROMには、制御装置108が実行するためのプログラムが書き込まれており、このプログラムに従ってCPU等が所定の演算処理を実行する。
【0032】
位置検出器101は、車両の絶対方位を検出するための地磁気センサ2、車両の相対方位を検出するためのジャイロスコープ3、車両の走行距離を検出する距離センサ4、および衛星からの電波に基づいて車両の位置を測定するグローバルポジショニングシステム(GPS)のためのGPS受信機5を有している。これらのセンサ等2、3、4、5は、いずれも周知のものである。これらのセンサ等2、3、4、5は各々が性質の異なる誤差を持っているため、複数のセンサ等2、3、4、5により各々を補完しながら使用するように構成されている。なお、精度によっては、上述したうちの一部で位置検出器101を構成してもよく、更に、図示しないステアリングの回転センサ、各転動輪の車速センサ等を用いてもよい。
【0033】
地図データ入力器106は、たとえばDVD−ROM、CD−ROMなどの図示しない記憶媒体を備え、その記憶媒体には、道路データ、背景データ、文字データおよび施設データなどを含むデジタル地図データが格納されており、それらのデータを制御装置108に入力する。
【0034】
操作スイッチ群107は、ディスプレイ110と一体になったタッチスイッチもしくはディスプレイ110の周辺に設けられるメカニカルなスイッチ等からなる。リモコン117には、図示しない複数の操作スイッチが設けられ、その操作スイッチの操作により操作スイッチ群107と同様の入力操作が行える。リモコン117に入力された入力操作を表す信号は、リモコンセンサ116を介して制御装置108へ供給される。
【0035】
外部メモリ109は、たとえば、メモリカードやハードディスク等であり、書き込み可能な記憶媒体を備えている。この外部メモリ109には、ユーザによって設定された自宅位置や、テキストデータ、画像データ、音声データ等の各種データが記憶される。
【0036】
ディスプレイ110は、たとえば液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイによって構成され、所定の地図表示領域には車両周辺の道路地図が表示される。また、ディスプレイ110には、その他に、現在時刻、渋滞情報などの他の情報表示を付加的に表示することもできる。
【0037】
送受信機111は、外部と無線通信するための通信機であり、道路に敷設されたビーコンや各地のFM放送局を介してVICS(Vehicle Information and Communication System)(登録商標)センサと接続される。VICSセンサは、VICSセンタから提供される道路交通情報、気象情報、日付情報、施設情報、広告情報を受信するものであるので、これらの情報がVICSセンサを介して送受信機111に受信される。送受信機111は、この受信した情報を制御装置108へ送信する。また、上記制御装置108で処理した情報を送受信機111から出力することもできる。
【0038】
スピーカ113は、音声コントローラ112から入力された音声出力信号に基づき所定の音声(案内のための音声や画面操作の説明、音声認識結果等)を外部に出力する。マイク115は、操作者が発声した音声を電気信号として音声認識装置114に入力する。音声認識装置114は、マイク115から入力された操作者の入力音声と、内部に記憶する認識辞書(不図示)中の語彙データ(比較対照パターン)とを照合し、最も一致度の高いものを認識結果として音声コントローラ112に入力する。
【0039】
音声コントローラ112は、音声認識装置114を制御するとともに、音声入力のあった操作者に対し、スピーカ113を通じてトークバック出力制御(音声出力)する。また、音声認識装置114の認識結果を制御装置108に入力する処理も行う。
【0040】
制御装置108は、音声認識装置114からの情報に基づき、操作者の発声に対する所定の処理および操作スイッチ群107あるいはリモコン117の入力操作に対する所定の処理(たとえば、メモリ9への地図データの記憶処理、地図縮尺変更処理、メニュー表示選択処理、目的地設定処理、経路探索実行処理、経路案内開始処理、現在位置修正処理、表示画面変更処理、音量調整処理等)を実行する。また、制御装置108で処理された経路案内音声情報等は、音声コントローラ112を介してスピーカ113から適宜報知される。
【0041】
また、制御装置108は、車両が有料道路料金所に接近した場合に、運転者がその料金所を安全に通行できるようにするための案内を行う機能を備えている。図3は、その機能を示すブロック図である。
【0042】
利用可否判断手段120は、車両がETCレーンを利用可能な状態かどうかを判断するものであり、より詳しくは、図4に示す処理を実行するものである。
【0043】
図4において、まず、ステップS40では、ICカード28がETC車載器26に挿入されたか否かを判断する。この判断が否定された場合には、本ルーチンを終了する。一方、肯定された場合には、続くステップS41において、ETC車載器26とICカード28との間で情報の授受を行い、予め決められた認証方式でICカード28の認証を行う。
【0044】
そして、続くステップS42では、ステップS41における認証の結果、ICカード28が利用可能かどうかを判断する。そして、ステップS43では、ステップS42における判断結果を、制御装置8内のRAM等の所定の記憶装置に記憶する。
【0045】
図5は、図3の画像解析手段122および第1通知手段124の処理内容を説明するフローチャートである。なお、ステップS51乃至S53は画像解析手段における処理であり、ステップS50、S54、S55は第1通知手段124における処理である。
【0046】
まず、ステップS50では、位置検出器101によって逐次検出される車両の現在位置と、地図データ入力器106から入力される地図データとに基づいて、車両が料金所に接近したか否か、具体的には、車両と料金所ゲートとの間の距離が、料金所ゲートを車載カメラ20によって撮像できる距離として予め設定された撮像可能距離以下となったか否かを判断する。この判断が否定された場合には、一旦、本ルーチンを終了して、所定時間後に再度この図5に示す処理を実行する。
【0047】
一方、ステップS50の判断が肯定された場合には、ステップS51において、車載カメラ20により前方の画像を撮像させて、その撮像した画像データを取得する。そして、続くステップS52において、その画像データの解析処理を行う。この解析処理は、撮像した画像内から「ETC専用」(または「ETC」のみ)の標識、および「一般」の標識を検索する処理である。
【0048】
続くステップS53では、上記ステップS52における解析結果に基づいて、ETCレーンの有無および数を判断する。そして、続くステップS54では、上記ステップS53における判断結果と、利用可否判断手段120で判断したETCレーンの利用可否とに基づいて、予め記憶されている4種類のレーン案内情報から、次のステップS55で出力するレーン案内情報を決定する。
【0049】
上記4種類のレーン案内情報は、ETCレーンの有無および車両がETCレーンを利用可能な状態か否かによっていずれの情報を出力するかが定まるようになっている。上記4種類のレーン案内情報を具体的に説明する。まず、(1)ETCレーンがあり、且つ、車両がETCレーンを利用可能な状態である場合には、レーン案内情報は、ETCレーンへ誘導するものとなり、(2)ETCレーンはあるが、車両がETCレーンを利用可能な状態ではない場合には、レーン案内情報は、一般レーンへ誘導するものとなる。また、(3)ETCレーンがないが、車両はETCレーンが利用可能な状態である場合には、レーン案内情報は、ETCが利用できないことを通知するものとなり、(4)ETCレーンがなく、且つ、車両もETCレーンを利用可能な状態にない場合には、レーン案内情報は、一般レーンを利用しなければならないことを通知するものとなる。
【0050】
なお、(4)の場合に、一般レーンを利用しなければならないことを通知する代わりに、何も通知しないようになっていてもよい。また、(1)の場合には、レーン案内情報にETCレーンの数も含ませる。たとえば、(1)の場合のレーン案内情報は、「ETCレーンが3箇所あります。ETCの標識を目印にお進みください。」といった内容になり、(2)の場合のレーン案内情報は、「ETCレーンは利用できません。一般の標識を目印にお進みください。」といった内容になり、(3)の場合のレーン案内情報は、「ETCレーンがありません。一般レーンの利用となりますので、ご注意ください。」といった内容になる。
【0051】
そして、ステップS55では、ステップS54で決定した内容のレーン案内情報を、出力部126(ディスプレイ110およびスピーカ113の少なくとも一方であるが、スピーカ113を含むことが好ましい)から出力する。
【0052】
続くステップS60では図6に示す処理を実行する。なお、ステップS61、S62、S65が通過予測レーン決定手段128における処理であり、ステップS63、S64は画像解析手段122における処理であり、ステップS66、S67が第2通知手段130における処理である。
【0053】
まず、ステップS61では、図5のステップS53でETCレーンが検出されているか否かを判断する。この判断が否定された場合には、本ルーチンを終了する。一方、肯定された場合には、ステップS62において、位置検出器101によって逐次検出される車両の現在位置と、地図データ入力器106から入力される地図データとに基づいて、車両と料金所ゲートとの間の距離が、車両が通過するレーンを予測することができる距離として予め設定された予測可能距離以下となったか否かをさらに判断する。この予測可能距離は、車速によらない一定値(たとえば50m程度)とされるが、車速が速いほど予測可能距離を長くするようにしてもよい。この判断が否定された場合にも、本ルーチンを終了する。
【0054】
一方、ステップS62の判断も肯定された場合には、ステップS63において、車載カメラ20により前方の画像を撮像させて、その撮像した画像データを取得する。そして、続くステップS64において、その画像データの解析処理を行う。この解析処理は、撮像した画像内において車両正面に位置する標識の種類を解析する処理である。
【0055】
続くステップS65では、上記ステップS64における解析結果に基づいて、通過予測レーンの種別を決定する。すなわち、ステップS64で車両正面の標識が「ETC専用」である決定された場合には、通過予測レーンをETC専用レーンに決定する一方、ステップS64で車両正面の標識が「一般」であると決定された場合には、通過予測レーンを一般レーンに決定する。
【0056】
続くステップS66では、上記ステップS65で決定した通過予測レーンの種別と、利用可否判断手段120で判断したETCレーンの利用可否とに基づいて、予め記憶されている4種類のレーン注意情報から、次のステップS67で出力するレーン注意情報を決定する。
【0057】
上記4種類のレーン注意情報は、通過予測レーンがETCレーンであるか、および、車両がETCレーンを利用可能な状態か否かによっていずれの情報を出力するかが定まるようになっている。上記4種類のレーン注意情報を具体的に説明する。まず、(1)通過予測レーンがETCレーンであり、且つ、車両がETCレーンを利用可能な状態である場合には、レーン注意情報を通知しない(すなわちレーン通知情報なし)と決定し、(2)通過予測レーンがETCレーンであるが、車両がETCレーンを利用可能な状態ではない場合には、たとえば、「前方はETC専用レーンです。通過できませんのでご注意ください」のように、レーン注意情報は、車両が通過できないことを知らせるものとなる。また、(3)通過予測レーンが一般レーンであるが、車両はETCレーンを利用可能な状態である場合には、たとえば、「前方はETCレーンではありません。ご注意ください。」のように、レーン注意情報は、通過予測レーンがETCレーンではないことを知らせるものとなる。また、(4)通過予測レーンが一般レーンであり、且つ、車両がETCレーンを利用可能な状態にない場合にも、レーン注意情報を通知しない(すなわちレーン通知情報なし)と決定する。
【0058】
そして、ステップS67では、ステップS66で決定した内容のレーン注意情報を、出力部126から出力する。
【0059】
図3に戻って、他車両判断手段134は、通過予測レーン決定手段128によって通過予測レーンがETCレーンであると決定された場合に、位置検出器101によって逐次検出される車両の現在位置と、地図データ入力器106から入力される地図データとに基づいて車両と料金所ゲートとの間の距離を算出し、その距離と、レーダ22によって検出される前方車両までの距離とに基づいて、自車とETCレーンに設置されている開閉バーとの間に他車両が存在するか否かを判断する。
【0060】
走行情報取得手段136は、他車両判断手段134において自車とETCレーンに設置されている開閉バーとの間に他車両が存在すると判断された場合に、車速センサ24からの車速信号に基づいて自車の速度を取得するとともに、レーダ22によって検出される前方車両までの距離すなわち車間距離を取得する。
【0061】
第3通知手段138は、走行情報取得手段136によって取得された車間距離および車速が、予め設定された注意喚起必要範囲の値であるか否かを判断する。そして、注意喚起必要範囲である場合には、前方車両に衝突しないようにするために、たとえば、「前走車の停止を考慮し、車間距離を開けてください」のような所定の注意情報を、出力部126から出力させる。
【0062】
距離算出手段140は、通過予測レーン決定手段128によって通過予測レーンがETCレーンであると決定された場合に、位置検出器101によって逐次検出される車両の現在位置と、地図データ入力器106から入力される地図データとに基づいて、自車とそのETCレーンに設置されている開閉バーとの間の距離を、比較的短い所定の周期で逐次算出する。
【0063】
開閉状態判断手段142は、距離算出手段140において自車と開閉バーとの間の距離を逐次算出している状態において、車載カメラ20によって前方の画像を撮像させ、その撮像された画像を解析することによって、開閉バーの開閉状態を比較的短い所定の周期で逐次判断する。
【0064】
第4通知手段144は、距離算出手段140によって算出される自車と開閉バーとの間の距離が予め設定された所定距離以下であるが、開閉状態判断手段142によって開閉バーが閉じていると判断された場合には、たとえば、「バーが開いていません」など、開閉バーが閉じていること示す通知を出力部126から出力させる。
【0065】
以上、説明した本実施形態によれば、車載カメラ20によって撮像した画像を解析することによってETCレーンの有無を判断していることから、ETCレーンと一般レーンとを誤って認識したり、稼動していないレーンをETCレーンであると認識してしまったりすることはない。そして、その判断結果に基づいて運転者に通知するレーン案内情報を決定しているので、誤った内容のレーン案内情報を通知することがなくなる。
【0066】
しかも、そのレーン案内情報は、車載カメラ20によって撮像された画像を解析して得られる料金所ゲート側の情報だけでなく、車両がETCレーンを利用可能な状態であるか否かも考慮されて決定されているので、レーン案内情報が詳細な内容となっている。さらに、レーン案内情報には、ETCレーンの数も含まれている。従って、運転者は、通知されるレーン案内情報に従うことにより、有料道路料金所を安全に通行できるようになる。
【0067】
また、本実施形態によれば、ETCレーンが存在し、且つ、自車がどのレーンを通過するかが予測されたときに、通過予測レーンがETCレーンであるか否か、および、車両がETCレーンを利用可能であるか否かに基づいて、第2の通知として、通過予測レーンに関するレーン注意情報が通知されるので、運転者は、そのレーン注意情報から、通過しようとしているレーンが適当であるかを確認することができる。従って、不適当なレーンを通行しようとしている場合には、レーン注意情報からそのことに気づくことができるので、有料道路料金所を一層安全に通行できるようになる。
【0068】
また、本実施形態によれば、ETCレーンに設置されている開閉バーと自車との間に他車両が存在する場合には、その他車両との間の車間距離および自車の車速とに基づいて、第3の通知として、その他車両に衝突しないようにするための所定の注意情報を通知しているので、その他車両と衝突してしまう可能性を少なくすることができる。
【0069】
また、本実施形態によれば、車両と開閉バーとの間の距離が所定距離以下であるが、開閉バーが閉じている場合には、第4の通知として、開閉バーが閉じていることを運転者に通知しているので、車両が開閉バーに衝突してしまう可能性が少なくなる。
【0070】
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、次の実施形態も本発明の技術的範囲に含まれ、さらに、下記以外にも要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することができる。
【0071】
たとえば、前述の実施形態では、通過予測レーン決定手段128は、位置検出器101によって逐次検出される車両の現在位置と、地図データ入力器106から入力される地図データとから、車両と料金所ゲートとの間の距離が予測可能距離以下となったか否かを判断していたが、車載カメラ20によって撮像される画像を用い、たとえば、画像内における所定の標識の大きさを判断するなどして、車両と料金所ゲートとの間の距離が予測可能距離以下となったか否かを判断してもよい。また、レーダ22を用いて予測可能距離以下となったか否かを判断してもよい。また、それらを組み合わせても良い。
【0072】
また、距離算出手段140も同様に、車載カメラ20によって撮像された画像を解析することにより、自車と開閉バーとの間の距離を算出してもよいし、レーダ22を用いてその距離を算出してもよいし、それらを組み合わせてもよい。
【0073】
また、前述の実施形態では、ステップS53において、車載カメラ20によって撮像された画像を解析することにより、ETCレーンの有無と数とを判断していたが、それに加えてETCレーンの位置を判断し、さらに、ステップS54で決定するレーン案内情報には、レーンの位置(たとえば、端から何番目かなど)を含ませてもよい。このようにすれば、運転者は、よりETCレーンを安全に通行しやすくなる。
【0074】
逆に、ステップS53において、ETCレーンの有無のみを判断してもよい。また、車両がETCレーンを利用可能な状態であるか否かを判断しなくてもよい。この場合であっても、実際のETCレーンの有無に基づいてレーン案内情報が決定されるので、誤った内容を通知してしまって、運転者に戸惑いを与えることは防止できる。従って、運転者は、レーン案内情報に従えば、有料道路料金所を安全に通行できるようになる。
【0075】
また、前述の実施形態において、開閉状態判断手段142は、開閉バーの開閉状態を比較的短い所定の周期で逐次判断していたが、所定のタイミングで一回のみ、その判断を実行するようにしてもよい。
【0076】
また、車載カメラ20は、前方の画像を所定の周期で連続的に撮像していてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】本発明が適用された有料道路料金所の通行案内装置10の構成を示すブロック図である。
【図2】図1のナビゲーション装置100の構成を示すブロック図である。
【図3】図2の制御装置108の機能のうち、車両が有料道路料金所に接近した場合に、運転者を案内する機能を示すブロック図である。
【図4】図3の利用可否判断手段120における処理を示すフローチャートである。
【図5】図3の画像解析手段122および第1通知手段124の処理内容を説明するフローチャートである。
【図6】図5のステップS60における処理を詳しく示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0078】
10:通行案内装置
20:車載カメラ
120:利用可否判断手段
122:画像解析手段
124:第1通知手段
128:通過予測レーン決定手段
130:第2通知手段
134:他車両判断手段
136:走行情報取得手段
138:第3通知手段
140:距離算出手段
142:開閉状態判断手段
144:第4通知手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両前方を撮像するカメラと、
そのカメラによって撮像された画像を解析して料金所ゲートにETCレーンがあるか否かを判断する画像解析手段と、
その画像解析手段によって判断されたETCレーンの有無に基づいて定まるレーン案内情報を運転者に通知する第1通知手段と
を含むことを特徴とする有料道路料金所の通行案内装置。
【請求項2】
前記車両がETCレーンを利用可能な状態であるか否かを判断する利用可否判断手段をさらに備え、
前記第1通知手段は、その利用可否判断手段における判断結果と前記第1画像解析手段における解析結果とに基づいて、運転者に通知するレーン案内情報を決定するようになっていることを特徴とする請求項1に記載の有料道路料金所の通行案内装置。
【請求項3】
前記画像解析手段は、前記カメラによって撮像された画像を解析して、ETCレーンの数も判断するものであり、
前記第1通知手段は、前記利用可否判断手段における判断結果と、その画像解析手段によって判断されたETCレーンの数とに基づいて、運転者に通知するレーン案内情報を決定するようになっていることを特徴とする請求項2に記載の有料道路料金所の通行案内装置。
【請求項4】
前記画像解析手段は、前記カメラによって撮像された画像を解析して、ETCレーンの位置も判断するものであり、
前記第1通知手段は、前記利用可否判断手段における判断結果と、その画像解析手段によって判断されたETCレーンの位置とに基づいて、運転者に通知するレーン案内情報を決定するようになっていることを特徴とする請求項2または3に記載の有料道路料金所の通行案内装置。
【請求項5】
前記車両と料金所ゲートとの間の距離が、その車両が通過するレーンを予測することができる所定の予測可能距離以下となったときに、その車両が通過するレーンがETCレーンであるか否かを決定する通過予測レーン決定手段と、
前記画像解析手段によってETCレーンがあると判断された場合に、前記通過予測レーン決定手段によって決定された結果と、前記利用可否判断手段における判断結果とに基づいて、運転者に通過予測レーンに関する所定のレーン注意情報を通知する第2通知手段と
をさらに含むことを特徴とする請求項2乃至4のいずれかに記載の有料道路料金所の通行案内装置。
【請求項6】
前記通過予測レーン決定手段は、前記車両と料金所ゲートとの間の距離が前記予測可能距離以下となったときに前記カメラによって撮像された画像に基づいて、その車両が通過するレーンがETCレーンであるか否かを決定するものであることを特徴とする請求項5に記載の有料道路料金所の通行案内装置。
【請求項7】
前記通過予測レーン決定手段によって通過予測レーンがETCレーンであると決定された場合に、自車と前記ETCレーンに設置されている開閉バーとの間に他車両が存在するか否かを判断する他車両判断手段と、
その他車両判断手段によって他車両が存在すると判断された場合に、その他車両と自車との間の車間距離および自車の車速を取得する走行情報取得手段と、
その走行情報取得手段によって取得された車間距離および車速に基づいて、前記他車両に衝突しないようにするための所定の注意情報を運転者に通知する第3通知手段と
をさらに含むことを特徴とする請求項5または6に記載の有料道路料金所の通行案内装置。
【請求項8】
前記通過予測レーン決定手段によって前記車両が通過するレーンがETCレーンであると決定された場合に、その車両とETCレーンに設置されている開閉バーとの間の距離を算出する距離算出手段と、
前記カメラによって撮像された画像に基づいて前記開閉バーの開閉状態を判断する開閉状態判断手段と、
前記距離算出手段によって算出される車両と開閉バーとの間の距離が予め設定された所定距離以下であるが、前記開閉状態判断手段によって開閉バーが閉じていると判断されたことに基づいて、開閉バーが閉じていることを運転者に通知する第4通知手段と
をさらに含むことを特徴とする請求項5乃至7のいずれかに記載の有料道路料金所の通行案内装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−163232(P2007−163232A)
【公開日】平成19年6月28日(2007.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−358205(P2005−358205)
【出願日】平成17年12月12日(2005.12.12)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】