説明

水溶性洗浄剤組成物

【課題】本発明は、エレクトロニクス材料等の洗浄工程で要求される製品表面の高清浄度を実現することができ、かつ、リンス時に洗浄剤成分が素早く除去できる水溶性洗浄剤組成物を提供する
【解決手段】
(A)1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸、
(B)式:R−(PO)−(EO)−OH
で表される非イオン性界面活性剤、
(C)式:R−(EO)−OH
で表される非イオン性界面活性剤、及び
(D)有機酸
を含有する水溶性洗浄剤組成物であって、以下の(1)及び(2)の関係式を同時に満たす水溶性洗浄剤組成物。


[式中の(A)、(B)、(C)及び(D)は各々の成分の重量%を示す。]

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水溶性洗浄剤組成物であり、特に、エレクトロニクス材料、金属、ガラス、サファイア、樹脂等の洗浄に供する水溶性洗浄剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、エレクトロニクス材料、金属、ガラス、サファイア、樹脂等を洗浄する工程において、製品表面の清浄度はかつてにも増して求められており、製品の品質や歩留まりの悪化を抑えるべく、製品表面上の十分な清浄度が望まれている。さらに、製品の増産すなわち洗浄時間の短縮化の観点から考えると、洗浄工程後の水等によるリンス工程において洗浄剤成分が素早く除去できることが望ましい。しかしながら、特許文献1から8に記載された洗浄剤組成物を用いると、水等によるリンス工程後に製品表面に洗浄剤成分が残りやすく、リンス工程の時間を短縮することが難しい、または、十分な表面の清浄度を得ることが難しいといった問題点があった。
【特許文献1】特開平10−324900号公報
【特許文献2】特開2001−64675号公報
【特許文献3】特開2004−182801号公報
【特許文献4】特開2007−291328号公報
【特許文献5】特開2007−297461号公報
【特許文献6】特開2008−38195号公報
【特許文献7】特開2008−150460号公報
【特許文献8】特開2008−182221号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、エレクトロニクス材料、金属、ガラス、サファイア、樹脂等の洗浄工程で要求される製品表面の高清浄度を実現することができ、かつ、リンス時に洗浄剤成分が素早く除去でき、リンス工程の時間短縮に繋がる水溶性洗浄剤組成物を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明者は、製品表面の清浄度及びリンス性について研究を行った結果、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸、特定の非イオン性界面活性剤及び有機酸を特定割合で混合することにより、製品表面の洗浄性に加えて、リンス工程における洗浄剤の除去性にも優れた水溶性洗浄剤組成物が得られることを見出し、更に鋭意検討を重ねて本発明を完成するに至った。本発明は、下記項1〜4に示す水溶性洗浄剤組成物を提供する。
項1. (A)1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸、
(B)式:R−(PO)−(EO)−OH
[式中、Rは炭素数6〜18の炭化水素基であって、該炭化水素基は、飽和直鎖、飽和分岐鎖、不飽和直鎖、不飽和分岐鎖、脂環式又は芳香族であり、POはオキシプロピレン基、EOはオキシエチレン基、n、mは付加モル数を示し、nは1〜4の整数、mは3〜20の整数である。]
で表される非イオン性界面活性剤、
(C)式:R−(EO)−OH
[式中、Rは炭素数6〜18の炭化水素基であって、該炭化水素基は、飽和直鎖、飽和分岐鎖、不飽和直鎖、不飽和分岐鎖、脂環式又は芳香族であり、EOはオキシエチレン基、lは付加モル数を示し、lは3〜20の整数である。]
で表される非イオン性界面活性剤、及び
(D)有機酸
を含有する水溶性洗浄剤組成物であって、以下の(1)及び(2)の関係式を同時に満たす水溶性洗浄剤組成物。
【0005】
【数1】

【0006】
[式中の(A)、(B)、(C)及び(D)は各々の成分の重量%を示す。]
項2. さらに(E)キレート剤を含有し、以下の(1)’、(2)及び(3)の関係式を同時に満たす項1に記載の水溶性洗浄剤組成物。
【0007】
【数2】

【0008】
[式中の(A)、(B)、(C)、(D)及び(E)は各々の成分の重量%を示す。]
項3. さらに水酸化アルカリ、水酸化テトラメチルアンモニウム、及びアミンからなる群から選ばれる少なくとも一種を含有する項1又は2に記載の水溶性洗浄剤組成物。
項4. 水の含有量が40〜99.99重量%である項1〜3のいずれかに記載の水溶性洗浄剤組成物。
【発明の効果】
【0009】
本発明の水溶性洗浄剤組成物を用いることにより、エレクトロニクス材料、金属、ガラス、サファイア、樹脂等の洗浄工程及びリンス工程で要求されるリンス時間を短縮しつつ、製品表面の高清浄度を実現でき、製品の品質や歩留まりの悪化を抑えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明の水溶性洗浄剤組成物は、
(A)1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸、
(B)式:R−(PO)−(EO)−OH
[式中、Rは炭素数6〜18の炭化水素基であって、該炭化水素基は、飽和直鎖、飽和分岐鎖、不飽和直鎖、不飽和分岐鎖、脂環式又は芳香族であり、POはオキシプロピレン基、EOはオキシエチレン基、n、mは付加モル数を示し、nは1〜4の整数、mは3〜20の整数である。]
で表される非イオン性界面活性剤、
(C)式:R−(EO)−OH
[式中、Rは炭素数6〜18の炭化水素基であって、該炭化水素基は、飽和直鎖、飽和分岐鎖、不飽和直鎖、不飽和分岐鎖、脂環式又は芳香族であり、EOはオキシエチレン基、lは付加モル数を示し、lは3〜20の整数である。]
で表される非イオン性界面活性剤、及び
(D)有機酸
を含有し、かつ、以下の(1)及び(2)の関係式
【0011】
【数3】

【0012】
[式中の(A)、(B)、(C)及び(D)は各々の成分の重量%を示す。]
を同時に満たすことを特徴とする。
【0013】
本発明の水溶性洗浄剤組成物に含まれる上記(A)1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸(以下、(A)成分ということがある)は、公知の化合物であり、市販品が容易に入手可能である。
【0014】
本発明の水溶性洗浄剤組成物に含まれる上記(B)の非イオン性界面活性剤(以下、(B)成分ということがある)は、式:R−(PO)−(EO)−OHで表される化合物である。
【0015】
(B)成分の式中、Rは炭素数6〜18の炭化水素基であって、該炭化水素基は、飽和直鎖、飽和分岐鎖、不飽和直鎖、不飽和分岐鎖、脂環式又は芳香族であり、POはオキシプロピレン基、EOはオキシエチレン基、n、mは付加モル数を示し、nは1〜4の整数、mは3〜20の整数である。より好ましくは、Rの炭素数は6〜16、nは1〜3の整数、mは5〜16の整数である。特に好ましくは、Rの炭素数は8〜16、nは1〜3の整数、mは5〜14の整数である。(B)成分は一種単独で使用してもよいし、二種以上を混合して使用してもよい。また、(B)成分は市販品を使用すればよい。
【0016】
(B)成分の具体例としては、シクロヘキシルアルコールPO,EO付加物、オクチルアルコールPO,EO付加物、イソオクチルアルコールPO,EO付加物、デシルアルコールPO,EO付加物、イソデシルアルコールPO,EO付加物、トリデシルアルコールPO,EO付加物、イソトリデシルアルコールPO,EO付加物、オレイルアルコールPO,EO付加物、イソステアリルアルコールPO,EO付加物、ベンジルアルコールPO,EO付加物、ノニルフェノールPO,EO付加物、オクチルフェノールPO,EO付加物等が挙げられ、特に好ましくは、オクチルアルコールPO,EO付加物、イソオクチルアルコールPO,EO付加物、デシルアルコールPO,EO付加物、イソデシルアルコールPO,EO付加物、トリデシルアルコールPO,EO付加物、イソトリデシルアルコールPO,EO付加物、ノニルフェノールPO,EO付加物、オクチルフェノールPO,EO付加物等が挙げられる。
【0017】
本発明の水溶性洗浄剤組成物に含まれる上記(C)の非イオン性界面活性剤(以下、(C)成分ということがある)は、式:R−(EO)−OHで表される化合物である。
【0018】
(C)成分の式中、Rは炭素数6〜18の炭化水素基であって、該炭化水素基は、飽和直鎖、飽和分岐鎖、不飽和直鎖、不飽和分岐鎖、脂環式又は芳香族であり、EOはオキシエチレン基、lは付加モル数を示し、lは3〜20の整数である。より好ましくは、Rの炭素数は6〜16、lは5〜16の整数である。特に好ましくは、Rの炭素数は8〜16であり、lは5〜14の整数である。(C)成分は一種単独で使用してもよいし、二種以上を混合して使用してもよい。また、(C)成分は市販品を使用すればよい。
【0019】
(C)成分の具体例としては、シクロヘキシルアルコールEO付加物、オクチルアルコールEO付加物、イソオクチルアルコールEO付加物、デシルアルコールEO付加物、イソデシルアルコールEO付加物、トリデシルアルコールEO付加物、イソトリデシルアルコールモルEO付加物、オレイルアルコールEO付加物、イソステアリルアルコールモルEO付加物、ベンジルアルコールEO付加物、ノニルフェノールEO付加物、オクチルフェノールEO付加物等が挙げられ、特に好ましくはオクチルアルコールEO付加物、イソオクチルアルコールEO付加物、デシルアルコールEO付加物、イソデシルアルコールEO付加物、トリデシルアルコールEO付加物、イソトリデシルアルコールEO付加物、ノニルフェノールEO付加物、オクチルフェノールEO付加物等が挙げられる。
【0020】
本発明の水溶性洗浄剤組成物に含まれる上記(D)の有機酸(以下、(D)成分ということがある)としては、例えば、ペラルゴン酸、イソノナン酸、オクタン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、オレイン酸、安息香酸、tert−ブチル安息香酸、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸、アゼライン酸、ドデカン二酸等のカルボン酸類、トルエンスルホン酸、ドデシルスルホン酸、ラウリルアルコールEO付加物硫酸エステル、ドデシルベンゼンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、スチレン化ベンゼンスルホン酸等のスルホン酸類、オクチルホスホン酸、デシルホスホン酸、ラウリルホスホン酸、ラウリルアルコールモノリン酸エステル等のリン酸類等が挙げられる。(D)成分は一種単独で使用してもよいし、二種以上を混合して使用してもよい。また、(D)成分は市販品を使用すればよい。
【0021】
(D)成分は、これらの中でも、ペラルゴン酸、イソノナン酸、オクタン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、安息香酸、p−tert−ブチル安息香酸、セバシン酸、アゼライン酸、ドデカン二酸等のカルボン酸類、パラトルエンスルホン酸、ドデシルスルホン酸、ラウリルアルコールEO付加物硫酸エステル、ドデシルベンゼンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸等のスルホン酸類が好ましい。
【0022】
本発明の水溶性洗浄剤組成物は、前記(A)〜(D)成分を含み、かつ、前記(1)及び(2)の関係式(混合比率)を同時に満たすことにより、エレクトロニクス材料、金属等の洗浄工程で要求される製品表面の高清浄度を実現することができ、かつ、従来の洗浄剤に比して、リンス工程において洗浄剤成分が素早く除去され、リンス時間の短縮化が可能である。一方、前記(A)〜(D)成分を含んでも、これら(1)及び(2)の関係式の1つでも満たさない場合は、洗浄性又はリンス性が悪くなる。
【0023】
本発明の水溶性洗浄剤組成物には、前記(A)、(B)、(C)及び(D)成分に加えて、必要に応じて、(E)キレート剤(以下、(E)成分ということがある)を使用してもよい。
【0024】
(E)のキレート剤は、本発明の水溶性洗浄剤組成物の効果を阻害しない限り特に限定されず、公知のキレート剤を使用すればよい。(E)成分としては、例えば、シュウ酸、クエン酸、アスパラギン酸、マレイン酸、マロン酸、グルコン酸、リンゴ酸、酒石酸、チオグリコール酸、ニトリロトリ酢酸、ニトリロトリスメチレンホスホン酸、エチレンジアミン4酢酸、ジエチレントリアミン5酢酸、ピロリン酸カリウム等のオキシ酸ないしアラニン、アルギニン、グアノシン、グリシン、システイン、セリン、トリプトファン、スレオニン、ニコチン酸、ヒスチジン、フェニルアラニン、プロリン、メチオニン、リジン、ロイシン等のアミノ酸類、ポリアクリル酸、ポリマレイン酸等のポリカルボン酸類、アセチルアセトン等のケトン類が挙げられ、これらは単体もしくは塩の形態であってもよく、1種又は2種以上含有してもよい。(E)成分は市販品を使用すればよい。
【0025】
(E)成分は、これらの中でも、ニトリロトリスメチレンホスホン酸、エチレンジアミン4酢酸、ヒドロキシエチレンジアミン3酢酸、ニトリロ3酢酸、ジエチレントリアミン5酢酸、ピロリン酸カリウムが好ましい。
【0026】
(E)成分を使用する場合、本発明の水溶性洗浄剤組成物は、以下の(1)’、(2)及び(3)の関係式を同時に満たすことを要する。
【0027】
【数4】

【0028】
[関係式中の(A)、(B)、(C)、(D)及び(E)は各々の成分の重量%を示す。]
(E)成分を使用する場合、本発明の水溶性洗浄剤組成物は、前記(A)〜(E)成分を含み、かつ、前記(1)、(2)及び(3)の関係を同時に満たすことにより、エレクトロニクス材料、金属等の洗浄工程、リンス工程で要求される製品表面の高清浄度を実現することができ、かつ、従来の洗浄剤に比して、リンス工程において洗浄剤成分が素早く除去され、リンス時間の短縮化が可能である。一方、(E)成分を使用する場合、(A)、(B)、(C)、(D)及び(E)成分を含んでいても、これら3つの関係式(混合比率)の1つでも満たさない場合は、洗浄性又はリンス性が悪くなる。
【0029】
本発明の水溶性洗浄剤組成物において、(A)、(B)、(C)及び(D)成分のさらに好ましい関係式(混合比率)は、以下の通りである。
【0030】
【数5】

【0031】
また、本発明の水溶性洗浄剤組成物において、(E)成分を使用する場合、(A)、(B)、(C)、(D)成分、及び必要に応じて使用される(E)成分のさらに好ましい混合比率は、以下の通りである。
【0032】
【数6】

【0033】
本発明の水溶性洗浄剤組成物は、(A)、(B)、(C)、(D)成分、及び必要に応じて使用される(E)成分に加えて、さらに水酸化アルカリ、水酸化テトラメチルアンモニウム、及びアミンからなる群から選ばれる少なくとも一種を含有していてもよい。
【0034】
水酸化アルカリとしては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等が挙げられる。
【0035】
また、アミンとしては、例えば、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン、N−メチルモノエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、N,N−ジエチルエタノールアミン、ノルマルブタノールアミン、イソブタノールアミン、tert−ブタノールアミン、モルホリン、N−メチルモルホリン、N−エチルモルホリン、エチレンジアミン、N−ヒドロキシエチルスチレンジアミン、ジメチルアミノプロピルアミン、シクロヘキシルアミン、n−ブチルアミン、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、N−(2−アミノエチル)ピペラジン、1,2−ジアミノシクロヘキサン、m−キシリレンジアミン等が挙げられる。これらの中でも、特に好ましいアミンとしては、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、N−メチルモノエタノールアミン、モルホリン、N−ヒドロキシエチルエチレンジアミン、エチレンジアミン、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、N−(2−アミノエチル)ピペラジン等のアミンが挙げられる。
【0036】
本発明の水溶性洗浄剤組成物中の水の含有量は、通常、40〜99.99重量%程度、好ましくは40〜98重量%程度であり、これを原液とすればよい。水の含有量が40重量%未満では原液が得られにくく、得られたとしても原液の粘度が高くなり取り扱いにくい。一方、水の含有量が99.99重量%を超えると十分な洗浄性が得られなくなるおそれがある。
【0037】
原液に用いる水は、通常、水道水、イオン交換水、純水、超純水であり、好ましくは、イオン交換水、純水、超純水である。
【0038】
本発明の水溶性洗浄剤組成物は、前記原液をそのまま洗浄剤として使用してもよいし、原液をさらに水により希釈して洗浄剤として使用してもよい。希釈する場合、希釈水の種類は、原液に用いた水を用いればよい。原液の希釈度は、要求される性能に応じて決めればよいが、通常は前記原液を0.1重量%以上100重量%以下に希釈して用いる。好ましくは、0.5重量%以上30重量%以下に希釈して用いる。
【0039】
本発明の水溶性洗浄剤組成物のpHは、特に限定するものではないが、好ましくは7〜15程度である。
【0040】
本発明の水溶性洗浄剤組成物は、エレクトロニクス材料、金属等を浸漬洗浄、シャワー洗浄、スプレー洗浄、スクラブ洗浄等する際の洗浄剤として好適に使用することができる。特に、本発明の水溶性洗浄剤組成物は、例えば、洗浄工程においてエレクトロニクス材料等の製品表面を洗浄した後、リンス工程(例えば、水に浸漬する方法)においてに素早く除去することができ、リンス時間を短縮することができる。
【0041】
浸漬洗浄を採用する場合、微粒子の除去等の観点から、超音波が発振されている条件下で浸漬することが望ましい(超音波洗浄法)。
【0042】
本発明の水溶性洗浄剤組成物を使用する洗浄工程における洗浄温度は、通常、5〜80℃程度、好ましくは10〜70℃程度、洗浄時間は1秒〜120分程度、好ましくは10秒〜60分程度である。また、洗浄工程後のリンス工程における水の温度は、通常5〜80℃程度、好ましくは10〜70℃程度、リンス時間は1秒〜10分程度、好ましくは10秒〜5分程度である。
【実施例】
【0043】
以下に、本発明の水溶性洗浄剤組成物の評価を挙げて、本発明を一層明らかにするが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0044】
1.洗浄性評価
以下の条件で洗浄試験の評価を行った。
(i)十分に脱脂した、ステンレス板(SUS304:0.8×25×50mm)を6枚1組として重量を測定した。
(ii)ステンレス板に加工油(新日本石油社製ユニカットテラミAH30)を塗布し、乾燥後重量を測定し加工油の付着量を算出した。
(iii)テストピース6枚を表1及び表2に記載の配合割合で調製した洗浄剤の5重量%希釈液に浸漬させ、攪拌回転数100rpmで2分間、常温にて洗浄操作を行った。
(iv)洗浄後、常温で1分間イオン交換水に浸漬させることにより水洗を行い、十分に自然乾燥させた。
(v)テストピース6枚分の合計重量をそれぞれ測定し、加工油の除去量・除去率を算出した。
(vi)洗浄性の判定は、除去率50%未満を×、50%以上60%未満を○、60%以上を◎として行った。
洗浄性評価結果を表1及び2に示す。
【0045】
2.リンス性評価
以下の条件でリンス性試験の評価を行った。
(i)十分に脱脂した、冷間圧延鋼鈑(SPCC-SD:70×150mm)の重量を測定した。
(ii)表1及び2に記載の配合割合で調製した洗浄剤(常温)に1分間浸漬した。
(iii)5秒間イオン交換水(常温)にて浸漬による水洗を行った。
(iv)55℃の温風乾燥機にて乾燥させた。
(v)重量を測定し、浸漬前後の重量差を計算した。
(vi)リンス性の判定は、残存量1mg以上を×、0.5mg以上1mg未満を○、0.5mg未満を◎とした。
リンス性評価の結果を表1及び2に示す。
【0046】
【表1】

【0047】
【表2】

【0048】
実施例の洗浄剤においては、洗浄性及びリンス性共に優れた結果を示した。
【産業上の利用可能性】
【0049】
本発明の水溶性洗浄剤組成物を用いることにより、製品表面の清浄を実現することができ、製品の品質悪化や歩留まりを抑えることができるだけでなく、リンス時間の短縮により生産効率の向上に寄与し得る。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸、
(B)式:R−(PO)−(EO)−OH
[式中、Rは炭素数6〜18の炭化水素基であって、該炭化水素基は、飽和直鎖、飽和分岐鎖、不飽和直鎖、不飽和分岐鎖、脂環式又は芳香族であり、POはオキシプロピレン基、EOはオキシエチレン基、n、mは付加モル数を示し、nは1〜4の整数、mは3〜20の整数である。]
で表される非イオン性界面活性剤、
(C)式:R−(EO)−OH
[式中、Rは炭素数6〜18の炭化水素基であって、該炭化水素基は、飽和直鎖、飽和分岐鎖、不飽和直鎖、不飽和分岐鎖、脂環式又は芳香族であり、EOはオキシエチレン基、lは付加モル数を示し、lは3〜20の整数である。]
で表される非イオン性界面活性剤、及び
(D)有機酸
を含有する水溶性洗浄剤組成物であって、以下の(1)及び(2)の関係式を同時に満たす水溶性洗浄剤組成物。
【数1】

[式中の(A)、(B)、(C)及び(D)は各々の成分の重量%を示す。]
【請求項2】
さらに(E)キレート剤を含有し、以下の(1)’、(2)及び(3)の関係式を同時に満たす請求項1に記載の水溶性洗浄剤組成物。
【数2】

[式中の(A)、(B)、(C)、(D)及び(E)は各々の成分の重量%を示す。]
【請求項3】
さらに水酸化アルカリ、水酸化テトラメチルアンモニウム、及びアミンからなる群から選ばれる少なくとも一種を含有する請求項1又は2に記載の水溶性洗浄剤組成物。
【請求項4】
水の含有量が40〜99.99重量%である請求項1〜3のいずれかに記載の水溶性洗浄剤組成物。

【公開番号】特開2010−77342(P2010−77342A)
【公開日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−250090(P2008−250090)
【出願日】平成20年9月29日(2008.9.29)
【出願人】(000135265)株式会社ネオス (95)
【Fターム(参考)】