説明

液晶枚葉洗浄装置

【課題】稼動中に装置が使用する電力、エア、純水の消費量を、待機中のとき大幅削減し、且つ、再稼動において、直ちに洗浄を開始することができる液晶枚葉洗浄装置を提供する。
【解決手段】搬送手段15を具備するロードバッファ部10とアンロードバッファ部50と、ブラシ洗浄手段25を具備するロールブラシ部20と、バブルジェット手段35を具備するバブルジェットアクアナイフ部30と、エア噴射手段45を具備するエアナイフ部40と、純水供給制御手段64を具備する純水供給部60と、装置コントロール手段75を具備する装置制御部70とを有し、装置コントロール手段75は、待機のとき、待機信号により純水供給機能以外の全ての機能を停止させ、純水供給制御手段64は、待機信号を受けて純水供給手段62の純水の供給を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶基板を枚葉洗浄処理する液晶枚葉洗浄装置に係り、詳しくは、稼動中に装置が使用する電力、エア、純水の消費量を待機中のとき大幅削減し、且つ、再稼動において直ちに洗浄を開始することができる液晶枚葉洗浄装置に関する。
【背景技術】
【0002】
被洗浄物の搬入部、洗浄部、リンス部、乾燥部、搬出部等から構成される湿式洗浄装置は、搬送ローラ、洗浄ブラシ等を駆動するモータ、洗浄及びリンスのための純水を供給するポンプ等、及び洗浄及びリンスのための純水、乾燥のための圧縮エア等を用いて洗浄動作を行っている。ところで、従来の湿式洗浄装置は、稼動中、待機中に関わらず、これらモータ、ポンプ等の電源は常にON状態を維持し、純水、圧縮エアも常に供給されていた。
【0003】
これにより、再稼動時においても、常に同じ条件で直ちに洗浄を開始することが可能となる。ところがこの運用方法によると、稼働時間が待機時間に比べて十分に長い場合は問題とならないが、稼働時間が待機時間に近づくにつれ、電力、純水、及び圧縮エアの使用量が問題となり、ランニングコストが増加する結果となる。
【0004】
特許文献1には、洗浄処理装置内に、同じ洗浄処理液を貯留する処理容器を複数配設しておき、被処理体例えばウエハを洗浄処理する処理容器に使用不可能な事態、例えば登録されている処理容器がウエハ投入予定時刻に液交換中となっている場合や洗浄処理液供給用ポンプの故障等が生じた場合に、この処理容器と同じ洗浄処理液を貯留する他の処理容器を代替の処理容器としてウエハを投入して、洗浄処理する、旨の記載がある。
【特許文献1】特開平11−162902号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、このような問題を解決するためになされたものであり、その目的は、稼動中に装置が使用する電力、エア、純水の消費量を、待機中のとき大幅削減し、且つ、再稼動において、直ちに洗浄を開始することができる液晶枚葉洗浄装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の液晶枚葉洗浄装置は、液晶基板を枚葉洗浄処理する液晶枚葉洗浄装置において、ロードバッファ部とロールブラシ部とバブルジェットアクアナイフ部とエアナイフ部とアンロードバッファ部と純水供給部と装置制御部とを有し、ロードバッファ部は、液晶基板を上流工程より受け入れて搬送するための搬送手段を具備し、ロールブラシ部は、搬送手段と、純水供給部により供給される純水をシャワー化して回転ブラシにより液晶基板を洗浄するブラシ洗浄手段とを具備し、バブルジェットアクアナイフ部は、搬送手段と、純水供給部により供給される純水をバブルジェット化して液晶基板をリンスするバブルジェット手段とを具備し、エアナイフ部は、搬送手段と、エアの噴射により液晶基板を乾燥するエア噴射手段とを具備し、アンロードバッファ部は、液晶基板を下流工程へ払い出すための搬送手段を具備し、純水供給部は、純水供給手段と、純水をON/OFF制御する純水供給制御手段とを具備し、装置制御部は、装置の稼動及び待機のための信号を出力する装置コントロール手段を具備し、装置制御部の装置コントロール手段は、待機のとき、待機信号により純水供給機能、回転ブラシを除くブラシ洗浄手段、バブルジェット手段以外の全ての機能を停止させ、純水供給部の純水供給制御手段、回転ブラシを除くブラシ洗浄手段、バブルジェット手段は、待機信号を受けて純水供給手段の純水の供給を制御することを特徴とする。
【0007】
本発明の液晶枚葉洗浄装置の純水供給部は、純水供給手段及び純水供給制御手段の他に、さらに、純水を温める加熱手段を具備することを特徴とする。
【0008】
本発明の液晶枚葉洗浄装置の純水供給部の純水供給制御手段は、待機のとき、純水の供給を一定の時間間隔で供給するインタ−バルランニングにより純水供給手段を制御することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、稼動中に装置が使用する電力、エア、純水の消費量を、待機中のとき大幅削減し、且つ、再稼動において、直ちに洗浄を開始することができる液晶枚葉洗浄装置を提供することが可能となる。これにより、電力量、純水使用量、及びエア使用量を削減できるだけでなく、各停止動作による装置部品の長寿命化が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明の実施の形態について、図を用いて説明する。図1は、本発明による液晶枚葉洗浄装置の構成を示す装置構成図である。図1において、液晶枚葉洗浄装置100は、ロードバッファ部10とロールブラシ部20とバブルジェットアクアナイフ部30とエアナイフ部40とアンロードバッファ部50と純水供給部60と装置制御部70とを有している。
【0011】
ロードバッファ部10は、上流工程から液晶基板80を受け入れて搬送するための搬送手段15を具備している。ロールブラシ部20は、搬送手段15と、純水供給部60により供給される純水をシャワー化して回転ブラシにより液晶基板80を洗浄するブラシ洗浄手段25とを具備している。バブルジェットアクアナイフ部30は、搬送手段15と、純水供給部60により供給される純水をバブルジェット化して液晶基板80をリンスするバブルジェット手段35とを具備している。
【0012】
エアナイフ部40は、搬送手段15と、エアの噴射により液晶基板80を乾燥するエア噴射手段45とを具備している。アンロードバッファ部50は、液晶基板80を下流工程へ払い出すための搬送手段15を具備している。純水供給部60は、純水供給手段62と、純水の供給をON/OFF制御する純水供給制御手段64と純水を温める加熱手段66とを具備している。装置制御部70は、装置の稼動及び待機のための信号を出力する装置コントロール手段75を具備している。
【0013】
搬送手段15は、液晶基板80を搬送するため、純水供給部60以外の各部の両側に位置し、シャフトにより連結された回転ローラと、回転ローラを駆動する搬送モータと、搬送モータの回転を回転ローラに伝達するベルトとを具備している。ブラシ洗浄手段25は、液晶基板80を洗浄するため、回転ブラシと、回転ブラシを駆動するブラシ回転モータと、モータの回転を回転ブラシに伝達する駆動シャフトと、純水供給部60からの純水を回転ブラシに供給する純水供給パイプと、純水をシャワー化するためのバブルジェット用ポンプとを具備している。
【0014】
バブルジェット手段35は、純水供給部60から供給される純水をバブルジェット用ポンプへ供給し、且つ、バブルジェット化した純水をバブルジェットアクアナイフへ供給する純水供給パイプと、純水をバブルジェット化するためのバブルジェット用ポンプと、バブルジェット化した純水により液晶基板80をリンスするアクアナイフとを具備している。エア噴射手段45は、乾燥した圧縮エアを、電磁弁を介してエアナイフへ供給するエア供給パイプと、エアの噴射により液晶基板80を乾燥するエアナイフとを具備している。
【0015】
純水供給手段62は、フィルタ類と、電磁弁及び流量調整バルブを介してブラシ洗浄手段25及びバブルジェット手段35へ供給する純水供給パイプとを具備している。純水供給制御手段64は、電磁弁及び流量調整バルブを制御することにより、供給する純水の供給をON/OFF制御する制御回路を具備している。加熱手段66は、純水を温めるヒータ等の熱源を具備している。装置コントロール手段75は、装置100の稼動及び待機のための信号を出力する制御回路を具備している。
【0016】
図1において、液晶枚葉洗浄装置100が稼動する場合は、装置制御部70の装置コントロール手段75は、通常の洗浄工程を実行するための稼動信号を各部へ出力する。この信号を入力した純水供給部60の純水供給制御手段64は、純水供給手段62から純水を供給するため、電磁弁を開け、所定の水量に流量調整バルブを調節して純水をブラシ洗浄手段25及びバブルジェット手段35へ供給する。また、純水が温水である場合は、加熱手段66が起動し、純水を所定の温度に温めるヒータ等の熱源が動作する。
【0017】
ロールブラシ部20のブラシ洗浄手段25は、ブラシ回転モータを起動し、所定の回転数に回転ブラシを設定し、純水供給部60から供給される純水をシャワー用ポンプへ供給し、シャワー化した純水を回転ブラシ及び、洗浄槽内へ供給する。バブルジェットアクアナイフ部30のバブルジェットアクアナイフ手段35は、純水供給部60から供給される純水をバブルジェット用ポンプへ供給し、バブルジェット化した純水を洗浄槽内へ供給する。また、純水供給部60から供給される純水を直接アクアナイフへ供給する。エアナイフ部40のエア噴射手段45は、電磁弁を開けて乾燥した圧縮エアをエアナイフへ供給する。また各部の具備する搬送手段15は、搬送モータ起動し、回転ローラを所定の回転数に設定する。
【0018】
上流工程から搬送されてきた液晶基板80は、ロードバッファ部10において一旦受け入れられた後、ロールブラシ部20へ搬送される。次に、ロールブラシ部20において、シャワー化した純水と回転ブラシにより洗浄される。次に、バブルジェットアクアナイフ部30において、バブルジェット化した純水によりリンスされる。次に、エアナイフ部40において、噴射される乾燥するエアにより乾燥される。次に、アンロードバッファ部50において、一旦受け入れられた後、下流工程へ搬送される。装置内に処理する液晶基板80が無くなると、装置コントロール手段75は、洗浄処理を継続するのか、待機するのかの制御信号を出力する。
【0019】
次に、液晶枚葉洗浄装置100が待機する場合は、装置制御部70の装置コントロール手段75は、待機動作を実行するため待機信号を各部へ出力する。待機信号を入力した各部の搬送手段15は、搬送モータの動作を停止する。また、ロールブラシ部20は、ブラシ回転モータを止め、回転ブラシの動作を停止する。エアナイフ部40は、電磁弁を閉じてエアナイフへの乾燥エアの供給を停止する。
【0020】
純水供給部60の純水供給制御手段64、ブラシ洗浄手段25及びバブルジェット手段35は、純水の供給及びポンプのON/OFFを一定の時間間隔で繰り返すインタ−バルランニングによる純水供給手段62の制御を開始する。すなわち、所定の時間間隔により純水の供給と停止、ポンプのON/OFFが繰り返されるインタ−バルランニングにより、ブラシ洗浄手段25及びバブルジェット手段35への純水の供給が維持される。
【0021】
これにより、純水の供給及び、ポンプ循環状態が維持されるため、供給される純水にバクテリアが発生し、直ちに再稼動できないという問題を解決することができる。また、純水供給部60、ブラシ洗浄手段25及びバブルジェット手段35以外の各部は、待機信号を入力すると、純水供給機能、回転ブラシを除くブラシ洗浄手段、バブルジェット手段以外の全ての手段の機能を停止するため、電力、エア、さらに純水の使用量を削減できると共に、各停止動作による装置部品の長寿命化が可能となる。したがって、再び稼動信号が各部へ出力されると、直ちに上記稼動時の動作を開始することができる。
【0022】
ロールブラシ部20の回転ブラシに供給される純水には、洗浄用薬液が混合されても良い。また、純水供給手段62による純水の供給は、外部の純水供給手段により行なわれても良い。さらに、純水供給制御手段64は、装置コントロール手段75により直接行なわれても良い。
【0023】
図2は、本発明の液晶枚葉洗浄装置の待機モード動作を示すフローチャートである。図2において、液晶枚葉洗浄装置100の装置制御部70は動作を開始し、自動運転による通常の洗浄工程を実行するため稼動信号を各部へ出力する。これにより、上流工程から搬送されてきた液晶基板80は、ロードバッファ部10において一旦受け入れられた後、ロールブラシ部20へ搬送される。次に、ロールブラシ部20において、シャワー化した純水供給部60から供給された所定の温度の純水と回転ブラシにより洗浄される。次に、バブルジェットアクアナイフ部30において、バブルジェット化した純水供給部60から供給された所定の温度の純水によりリンスされる。次に、エアナイフ部40において、噴射される乾燥したエアにより乾燥される。次に、アンロードバッファ部50において、一旦受け入れられた後、下流工程へ搬送される。この工程が繰り返されて複数の液晶基板80の洗浄が行なわれる(ステップ200、ステップ210、ステップ290、ステップ300)。処理する液晶基板80が無くなると、装置コントロール手段75は、洗浄処理を継続するのか、待機するのかの指令を出す(ステップ300、ステップ200)。
【0024】
自動運転停止(待機モード)であれば、液晶枚葉洗浄装置100の装置制御部70の装置コントロール手段75は、待機動作を実行するため待機信号を各部へ出力する。待機信号を入力した各部の搬送手段15は、搬送モータの動作を停止する。また、ロールブラシ部20は、回転ブラシの動作を停止し、エアナイフ部40は乾燥用エアを停止する。純水供給部60の純水供給制御手段64、ブラシ洗浄手段25及びバブルジェット手段35は、純水の供給、ポンプのON/OFFを一定の時間間隔で繰り返すインタ−バルランニングによる純水供給手段62の制御を開始する。すなわち、所定の時間間隔により供給と停止、ポンプのON/OFFが繰り返されるインタ−バルランニングが行なわれ、ブラシ洗浄手段25及びバブルジェット手段35への純水の供給は維持される(ステップ210−ステップ270)。インターバルランニングが終了すると、自動運転による通常の洗浄工程が直ちに実行され、処理する液晶基板80が無くなると、装置コントロール手段75は、洗浄処理を継続するのか、待機するのかの指令を出す(ステップ270、ステップ290、ステップ300、ステップ200)。
【0025】
以上説明したように本発明によれば、稼動中に装置が使用する電力、エア、純水の消費量を、待機中のとき大幅削減し、且つ、再稼動において、直ちに洗浄を開始することができる液晶枚葉洗浄装置を提供することが可能となる。これにより、電力量、純水使用量、及びエア使用量を削減できるだけでなく、各停止動作による装置部品の長寿命化が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明による液晶枚葉洗浄装置の構成を示す装置構成図。
【図2】本発明の液晶枚葉洗浄装置の待機モード動作を示すフローチャート。
【符号の説明】
【0027】
10 ロードバッファ部
15 搬送手段
20 ロールブラシ部
25 ブラシ洗浄手段
30 バブルジェットアクアナイフ部
35 バブルジェット手段
40 エアナイフ部
45 エア噴出手段
50 アンロードバッファ部
60 純水供給部
62 純水供給手段
64 純水供給制御手段
66 加熱手段
70 装置制御部
75 装置コントローラ
80 液晶基板
100 液晶枚葉洗浄装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液晶基板を枚葉洗浄処理する液晶枚葉洗浄装置において、
ロードバッファ部とロールブラシ部とバブルジェット(登録商標)アクアナイフ部とエアナイフ部とアンロードバッファ部と純水供給部と装置制御部とを有し、
前記ロードバッファ部は、前記液晶基板を上流工程より受け入れて搬送するための搬送手段を具備し、
前記ロールブラシ部は、前記搬送手段と、前記純水供給部により供給される純水をシャワー化して回転ブラシにより前記液晶基板を洗浄するブラシ洗浄手段とを具備し、
前記バブルジェットアクアナイフ部は、前記搬送手段と、前記純水供給部により供給される純水をバブルジェット化して前記液晶基板をリンスするバブルジェット手段とを具備し、
前記エアナイフ部は、前記搬送手段と、エアの噴射により前記液晶基板を乾燥するエア噴射手段とを具備し、
前記アンロードバッファ部は、前記液晶基板を下流工程へ払い出すための前記搬送手段を具備し、
前記純水供給部は、純水供給手段と、純水の供給をON/OFF制御する純水供給制御手段とを具備し、
前記装置制御部は、前記装置の稼動及び待機のための信号を出力する装置コントロール手段を具備し、
前記装置制御部の装置コントロール手段は、待機のとき、待機信号により純水供給機能、回転ブラシを除くブラシ洗浄手段、バブルジェット手段以外の全ての機能を停止させ、前記純水供給部の前記純水供給制御手段、回転ブラシを除くブラシ洗浄手段、バブルジェット手段は、前記待機信号を受けて前記純水供給手段の純水の供給を制御することを特徴とする液晶枚葉洗浄装置。
【請求項2】
前記純水供給部は、前記純水供給手段及び前記純水供給制御手段の他に、さらに、前記純水を温める加熱手段を具備することを特徴とする請求項1に記載の液晶枚葉洗浄装置
【請求項3】
前記純水供給部の前記純水供給制御手段は、前記待機のとき、前記純水の供給を一定の時間間隔で供給するインタ−バルランニングにより前記純水供給手段を制御することを特徴とする請求項1又は2のいずれかに記載の液晶枚葉洗浄装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2010−131509(P2010−131509A)
【公開日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−309035(P2008−309035)
【出願日】平成20年12月3日(2008.12.3)
【出願人】(000219004)島田理化工業株式会社 (205)
【Fターム(参考)】