説明

液晶表示装置

【課題】画質の低下を防ぐことができる液晶表示装置及びその駆動方法の提案を課題の一とする。周囲が明るい環境でも薄暗い環境でもその環境に合わせて画像表示を認識できる液晶表示装置を提供する。或いは、外光を照明光源とする反射モードと、光源を用いる透過モードの両モードでの画像表示を可能とした液晶表示装置を提供する。
【解決手段】第1の領域及び第2の領域を有する画素部と複数の光源とを有し、第1の領域及び第2の領域は、入力される画像信号の電圧に従って透過率が制御される液晶素子と、電圧の保持を制御するトランジスタとを有する。フルカラー画像の表示を行う場合、光源から、第1の領域に異なる色相を有する光が第1の輪番に従い順次供給されると共に、第2の領域にも異なる色相を有する光が、第1の輪番とは異なる第2の輪番に従い順次供給される。モノクロ画像の表示は画素電極が有する反射領域で外光を反射することで行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
トランジスタを画素に有するアクティブマトリクス型の液晶表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
透過型の液晶表示装置の場合、バックライトの消費電力が液晶表示装置全体の消費電力に大きく影響を及ぼすため、パネルの内部における光の損失を如何に低減できるかが消費電力削減の重要なポイントとなる。パネルの内部における光の損失は、層間絶縁膜における光の屈折や、カラーフィルタによる光の吸収などによりもたらされる。特に、カラーフィルタは、色素による光の吸収を利用することで白色光から特定の波長領域の光を取り出すため、原理的に光の損失が大きい。実際にバックライトからの光のエネルギーは、カラーフィルタにより70%以上も吸収される。よって、カラーフィルタは液晶表示装置の低消費電力化を阻む要因の一つといえる。
【0003】
カラーフィルタによる光の損失の問題を回避するためには、フィールドシーケンシャル駆動(FS駆動)が有効である。FS駆動は、異なる色相の光を発する複数の光源を順次点灯させることでカラーの画像を表示する駆動方法である。FS駆動ではカラーフィルタを用いる必要がないため、パネルの内部における光の損失を低減することができ、パネルの透過率を高めることができる。よって、バックライトからの光の利用効率を高めることができ、液晶表示装置全体の消費電力を低減させることができる。また、FS駆動では、1つの画素で各色の表示を行うことができるため、高精細な画像の表示を行うことができる。
【0004】
下記特許文献1には、通常はフィールドシーケンシャル方式でのカラー画像の表示を行い、文字などの画像のときにはモノクロ表示に切り換える液晶表示装置について開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−248463号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、FS駆動には、各色の画像が合成されずに個別に視認される、カラーブレイクと呼ばれる現象が起こりやすい。特に、カラーブレイクは動画を表示する際に顕著に起こりやすい。
【0007】
また、上述したように、フィールドシーケンシャル駆動を用いる場合、カラーフィルタを用いる場合に比べて、液晶表示装置の消費電力を低減させることができる。しかし、携帯用電子機器の普及に伴い液晶表示装置への低消費電力化の要求は厳しさを増しており、更なる消費電力の低減が求められている。
【0008】
上述の課題に鑑み、本発明は、画質の低下を防ぐことができる液晶表示装置及びその駆動方法の提案を課題の一つとする。或いは、本発明は、消費電力の低減を実現することができる液晶表示装置及びその駆動方法の提案を課題の一つとする。
【0009】
また、液晶表示装置の周囲が明るい環境でも、薄暗い環境でも、その環境に合わせて画像表示を認識できる液晶表示装置を提供することを課題の一とする。
【0010】
また、外光を照明光源とする反射モードと、バックライトを用いる透過モードの両モードでの画像表示を可能とした液晶表示装置を提供することを課題の一とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一態様に係る液晶表示装置は、バックライトが、異なる色相の光を発する複数の光源を有する。そして、フルカラー画像の表示を行う場合と、モノクロ画像の表示を行う場合とで、光源の駆動方法を切り換える。
【0012】
フルカラー画像の表示を行う場合は、画素部を複数の領域に分割し、領域ごとに上記光源の点灯を制御する。画素部は、透明領域と反射領域有する画素電極を有する。具体的に、本発明の一態様では、画素部が第1の領域及び第2の領域を少なくとも有し、異なる色相を有する複数の光が、画素電極の透明領域を介して第1の領域に第1の輪番に従い順次供給されると共に、第2の領域にも異なる色相を有する複数の光が、第1の輪番とは異なる第2の輪番に従い、順次供給される。
【0013】
モノクロ画像の表示を行う場合は、光の供給を停止し、画素電極が有する反射領域で外光を反射することで画像を表示する。なお、必要に応じて画素部全体、或いは領域ごとに光の供給を行い、表示画像の視認性を高めることもできる。
【0014】
さらに、本発明の一態様では、上記モノクロ画像が静止画である場合に、モノクロ画像が動画である場合よりも、その駆動周波数を低くする。そして、本発明の一態様では、駆動周波数を低くするために、液晶表示装置の画素部に、液晶素子と、当該液晶素子に与えられる電圧の保持を制御するための、オフ電流が極めて小さい絶縁ゲート電界効果型トランジスタ(以下、単にトランジスタとする)とを設ける。オフ電流の極めて小さいトランジスタを用いることで、液晶素子に与えられる電圧が保持される期間を長くすることができる。そのため、静止画のように、連続する幾つかのフレーム期間に渡って、画素部に同じ画像情報を有する画像信号が書き込まれる場合などは、駆動周波数を低くしても、言い換えると一定期間内における画像信号の書き込み回数を少なくしても、画像の表示を維持することができる。
【0015】
また、画素電極に液晶層を介して入射する光(以下、外光ともいう)を反射して表示を行う反射領域と、バックライトからの光を透過して表示を行う透過領域とを設け、透過モードと反射モードの切り換えを行うことのできる液晶表示装置とする。透過モードの場合には、バックライトからの光を用いて画像の表示を行い、反射モードの場合は外光を用いて画像の表示を行う。
【0016】
また、本発明の一態様では、異なる色相の光を発する複数の光源と、画素部とを有し、画素部は、透明領域及び反射領域を有する画素電極と、画素電極に電気的に接続されたトランジスタを有し、画素部を、複数の領域に分割し、光源の点灯を制御して、複数の領域にそれぞれ異なる色相の光を供給し、異なる色相の光に応じたフルカラー表示用の画像信号を、トランジスタを介して画素電極に加えてフルカラー画像の表示を行う。また、光源を消灯し、モノクロ表示用の画像信号を、トランジスタを介して画素電極に加え、外光を反射領域で反射することでモノクロ画像の表示を行う。
【0017】
上記トランジスタは、シリコン半導体よりもバンドギャップが広く、真性キャリア密度がシリコン半導体よりも低い半導体材料を、チャネル形成領域に含むことを特徴とする。上述したような特性を有する半導体材料をチャネル形成領域に含むことで、オフ電流が極めて低いトランジスタを実現することができる。このような半導体材料としては、例えば、シリコンの約3倍程度の大きなバンドギャップを有する、酸化物半導体が挙げられる。上記構成を有するトランジスタを、液晶素子に与えられる電圧を保持するためのスイッチング素子として用いることで、通常のシリコンやゲルマニウムなどの半導体材料で形成されたトランジスタを用いた場合に比べて、液晶素子からの電荷のリークを防ぐことができる。
【0018】
具体的に、本発明の一態様に係る液晶表示装置は、透明電極及び反射電極を画素電極として有する画素部、及び、画素部への画像信号の入力を制御する駆動回路が設けられたパネルと、画素部に色相の異なる光を供給する複数の光源とを有する。画素部は、入力される画像信号の電圧に従って透過率が制御される液晶素子と、電圧の保持を制御するトランジスタとを有する。そして、トランジスタは、そのチャネル形成領域に、例えば酸化物半導体などの、バンドギャップがシリコン半導体よりも広く、真性キャリア密度がシリコン半導体よりも低い半導体材料を含んでいる。
【0019】
また、具体的に、本発明の一態様に係る液晶表示装置の駆動方法では、フルカラー画像の表示を行う場合、画素部が第1の領域及び第2の領域を少なくとも有し、第1の領域に、異なる色相を有する複数の光が、第1の輪番に従い順次供給されると共に、第2の領域にも異なる色相を有する複数の光が、第1の輪番とは異なる第2の輪番に従い、順次供給される。画素部の各領域には、供給される光の色相に応じたフルカラー表示用の画像信号が入力される。また、モノクロ画像の表示を行う場合、画素部には、モノクロ表示用の画像信号が供給される。モノクロ画像の表示を行う場合は、一定期間内における画像信号の書き込み回数を切り換えることができる。
【0020】
なお、電子供与体(ドナー)となる水分または水素などの不純物が低減された後、酸素の添加により酸素欠損が低減された酸化物半導体(purified OS)は、i型(真性半導体)又はi型に限りなく近い。そのため、上記酸化物半導体を用いたトランジスタは、オフ電流が著しく低いという特性を有する。具体的に、上記酸化物半導体は、二次イオン質量分析法(SIMS:Secondary Ion Mass Spectrometry)による水素濃度の測定値が、5×1019/cm以下、好ましくは5×1018/cm以下、より好ましくは5×1017/cm以下、さらに好ましくは1×1016/cm以下とする。また、ホール効果測定により測定できる酸化物半導体膜のキャリア密度は、1×1014/cm未満、好ましくは1×1012/cm未満、さらに好ましくは1×1011/cm未満とする。また、酸化物半導体のバンドギャップは、2eV以上、好ましくは2.5eV以上、より好ましくは3eV以上である。不純物濃度を低減し、さらに酸素欠損を低減することでi型または実質的にi型である酸化物半導体膜を用いることにより、トランジスタのオフ電流を下げることができる。
【0021】
なお、異なる色相を有する複数の光源を用いてカラー画像の表示を行う場合、単色の光源とカラーフィルタを組み合わせる場合とは異なり、上記複数の光源を順次切り換えて発光させる必要がある。そして、上記光源の切り換えが行われる周波数は、単色の光源を用いた場合のフレーム周波数よりも高い値に設定する必要がある。例えば、単色の光源を用いた場合のフレーム周波数を60Hzとすると、赤、緑、青の各色に対応する光源を用いてFS駆動を行う場合、光源の切り替えを行う周波数は、約3倍の180Hzとなる。よって、駆動回路も上記光源の周波数に合わせて動作させるので、非常に高い周波数で動作を行うことになる。従って、駆動回路における消費電力が、単色の光源とカラーフィルタを組み合わせる場合に比べて高くなりやすい。
【0022】
しかし、本発明の一態様では、画素部にオフ電流の極めて小さいトランジスタを用いることで、液晶素子に与えられる電圧が保持される期間を長くすることができる。そのため、静止画を表示する際の駆動周波数を、動画を表示する際の駆動周波数よりも低くすることができる。
【0023】
ここで、酸化物半導体膜中の、水素濃度の分析について触れておく。酸化物半導体膜中及び導電膜中の水素濃度測定は、二次イオン質量分析法(SIMS:Secondary Ion Mass Spectrometry)で行う。SIMS分析は、その原理上、試料表面近傍や、材質が異なる膜との積層界面近傍のデータを正確に得ることが困難であることが知られている。そこで、膜中における水素濃度の厚さ方向の分布をSIMSで分析する場合、対象となる膜が存在する範囲において、値に極端な変動が無く、ほぼ一定の値が得られる領域における平均値を、水素濃度として採用する。また、測定の対象となる膜の厚さが小さい場合、隣接する膜内の水素濃度の影響を受けて、ほぼ一定の値が得られる領域を見いだせない場合がある。この場合、当該膜が存在する領域における、水素濃度の最大値または最小値を、当該膜中の水素濃度として採用する。さらに、当該膜が存在する領域において、最大値を有する山型のピーク、最小値を有する谷型のピークが存在しない場合、変曲点の値を水素濃度として採用する。
【0024】
具体的に、i型または実質的にi型である酸化物半導体膜を活性層として用いたトランジスタのオフ電流が低いことは、いろいろな実験により証明できる。例えば、チャネル幅が1×10μmでチャネル長が10μmの素子であっても、ソース電極とドレイン電極間の電圧(ドレイン電圧)が1Vから10Vの範囲において、オフ電流(ゲート電極とソース電極間の電圧を0V以下としたときのドレイン電流)が、半導体パラメータアナライザの測定限界以下、すなわち1×10−13A以下という特性を得ることができる。この場合、オフ電流をトランジスタのチャネル幅で除した数値に相当するオフ電流密度は、100zA/μm以下であることが分かる。また、容量素子とトランジスタとを接続して、容量素子に流入または容量素子から流出する電荷を当該トランジスタで制御する回路を用いて、オフ電流密度の測定を行った。当該測定では、トランジスタに上記酸化物半導体膜をチャネル形成領域に用い、容量素子の単位時間あたりの電荷量の推移から当該トランジスタのオフ電流密度を測定した。その結果、トランジスタのソース電極とドレイン電極間の電圧が3Vの場合に、数十yA/μmという、さらに低いオフ電流密度が得られることが分かった。したがって、本発明の一態様に係る半導体装置では、上記酸化物半導体膜を活性層として用いたトランジスタのオフ電流密度を、ソース電極とドレイン電極間の電圧によっては、100yA/μm以下、好ましくは10yA/μm以下、更に好ましくは1yA/μm以下にすることができる。従って、上記酸化物半導体膜を活性層として用いたトランジスタは、オフ電流が、結晶性を有するシリコンを用いたトランジスタに比べて著しく低い。
【0025】
なお、酸化物半導体として、酸化インジウム、酸化スズ、酸化亜鉛、二元系金属の酸化物であるIn−Zn系酸化物、Sn−Zn系酸化物、Al−Zn系酸化物、Zn−Mg系酸化物、Sn−Mg系酸化物、In−Mg系酸化物、In−Ga系酸化物、三元系金属の酸化物であるIn−Ga−Zn系酸化物(IGZOとも表記する)、In−Al−Zn系酸化物、In−Sn−Zn系酸化物、Sn−Ga−Zn系酸化物、Al−Ga−Zn系酸化物、Sn−Al−Zn系酸化物、In−Hf−Zn系酸化物、In−La−Zn系酸化物、In−Ce−Zn系酸化物、In−Pr−Zn系酸化物、In−Nd−Zn系酸化物、In−Sm−Zn系酸化物、In−Eu−Zn系酸化物、In−Gd−Zn系酸化物、In−Tb−Zn系酸化物、In−Dy−Zn系酸化物、In−Ho−Zn系酸化物、In−Er−Zn系酸化物、In−Tm−Zn系酸化物、In−Yb−Zn系酸化物、In−Lu−Zn系酸化物、四元系金属の酸化物であるIn−Sn−Ga−Zn系酸化物、In−Hf−Ga−Zn系酸化物、In−Al−Ga−Zn系酸化物、In−Sn−Al−Zn系酸化物、In−Sn−Hf−Zn系酸化物、In−Hf−Al−Zn系酸化物を用いることができる。
【0026】
なお、例えば、In−Ga−Zn系酸化物とは、InとGaとZnを有する酸化物という意味であり、InとGaとZnの比率は問わない。また、InとGaとZn以外の金属元素が入っていてもよい。また、酸化物半導体として、InMO(ZnO)(m>0)で表記される材料を用いてもよい。なお、Mは、Ga、Fe、Mn及びCoから選ばれた一の金属元素または複数の金属元素を示す。また、酸化物半導体として、InSnO(ZnO)(n>0)で表記される材料を用いてもよい。
【発明の効果】
【0027】
本発明の一態様に係る液晶表示装置は、画素部を複数の領域に分割し、領域ごとに異なる色相の光を順次供給することで、カラー画像の表示を行う。よって、特定の時刻に着目すると、隣接する領域に供給される光の色相を、互いに異ならせることができる。よって、各色の画像が合成されずに個別に視認されるのを防ぐことができ、動画の表示を行う際に起きやすかったカラーブレイクの発生を防ぐことができる。
【0028】
本発明の一態様に係る液晶表示装置は、液晶表示装置の周囲が明るい環境でも、薄暗い環境でも、その環境に合わせて、外光を照明光源とする反射モードと、バックライトを用いる透過モードの両モードでの画像表示を可能とした液晶表示装置を実現できる。例えば、動画を表示する場合には透過モードとし、静止画を表示する場合には反射モードとすることもできる。
【0029】
本発明の一態様に係る液晶表示装置は、画素部にオフ電流の極めて小さいトランジスタを用いることで、液晶素子に与えられる電圧が保持される期間を長くすることができる。そのため、静止画を表示する際の駆動周波数を、動画を表示する際の駆動周波数よりも低くすることができる。そのため、消費電力を低減することができる液晶表示装置を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】液晶表示装置の構成を示すブロック図。
【図2】パネルと画素の構成を示す図。
【図3】液晶表示装置とバックライトの動作を模式的に示した図。
【図4】各領域に供給される光の色相の一例を、模式的に示す
【図5】各領域に供給される光の消灯の一例を、模式的に示す図。
【図6】走査線駆動回路の構成を示す図。
【図7】第xのパルス出力回路20_xを、模式的に示した図。
【図8】パルス出力回路の構成と、そのタイミングチャートを示す図。
【図9】走査線駆動回路のタイミングチャートを示す図。
【図10】走査線駆動回路のタイミングチャートを示す図。
【図11】信号線駆動回路の構成を示す図。
【図12】信号線に供給される画像信号(DATA)のタイミングの一例を示す図。
【図13】選択信号の走査のタイミングと、バックライトの点灯のタイミングとを示す図。
【図14】選択信号の走査のタイミングと、バックライトの消灯のタイミングとを示す図。
【図15】パネルと画素の構成を示す図。
【図16】走査線駆動回路の構成を示す図。
【図17】走査線駆動回路のタイミングチャートを示す図。
【図18】信号線駆動回路の構成を示す図。
【図19】パルス出力回路の構成を示す図。
【図20】パルス出力回路の構成を示す図。
【図21】トランジスタの作製方法を示す断面図。
【図22】トランジスタの断面図。
【図23】液晶表示装置の作製方法を示す断面図。
【図24】液晶表示装置の上面図の一例。
【図25】液晶表示装置の上面図及び断面図。
【図26】液晶表示装置の構成を示す斜視図。
【図27】画素の構成を示す上面図及び断面図。
【図28】画素の構成を示す上面図及び断面図。
【図29】画素の構成を示す断面図。
【図30】トランジスタの構成を説明する図
【図31】Vthの定義を示す図。
【図32】光負バイアス試験結果を示す図。
【図33】電子機器の図。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下では、本発明の実施の形態について図面を用いて詳細に説明する。ただし、本発明は以下の説明に限定されず、本発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更し得ることは、当業者であれば容易に理解される。したがって、本発明は、以下に示す実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。
【0032】
(実施の形態1)
<液晶表示装置の構成例>
図1に示す液晶表示装置400は、複数の画像メモリ401と、画像データ選択回路402と、セレクタ403と、CPU404と、コントローラ405と、パネル406と、バックライト407と、バックライト制御回路408とを有する。
【0033】
複数の画像メモリ401には、液晶表示装置400に入力された、フルカラー画像に対応する画像データ(フルカラー画像データ410)が記憶される。上記フルカラー画像データ410には、複数の色相にそれぞれ対応する画像データが含まれている。複数の各画像メモリ401には、各色相に対応する画像データがそれぞれ記憶されている。
【0034】
画像メモリ401は、例えばDRAM(Dynamic Random Access Memory)、SRAM(Static Random Access Memory)等の記憶回路を用いることができる。
【0035】
画像データ選択回路402は、コントローラ405からの命令に従って複数の画像メモリ401に記憶されている、各色相に対応するフルカラー画像データを読み出し、セレクタ403に送る。
【0036】
また、液晶表示装置400には、モノクロ画像に対応する画像データ(モノクロ画像データ411)も入力される。入力されたモノクロ画像データ411は、セレクタ403に入力される。
【0037】
なお、異なる色相の色を複数用い、各色の階調により表示される画像をフルカラー画像とする。また、単一の色相の色を用い、その色の階調により表示される画像をモノクロ画像とする。
【0038】
また、本実施の形態では、モノクロ画像データ411が直接セレクタ403に入力される構成を示しているが、本発明はこの構成に限定されない。フルカラー画像データ410と同様に、モノクロ画像データ411も、画像メモリ401において一旦記憶し、画像データ選択回路402において読み出すようにしても良い。この場合、セレクタ403が画像データ選択回路402に含まれる構成となる。
【0039】
また、モノクロ画像データ411は、フルカラー画像データ410を液晶表示装置400において合成することで、作製されていても良い。
【0040】
CPU404は、フルカラー画像の表示を行う場合と、モノクロ画像の表示を行う場合とで、セレクタ403とコントローラ405の動作が切り替わるように制御する。
【0041】
具体的に、フルカラー画像の表示を行う場合、セレクタ403は、CPU404からの命令に従って、入力されたフルカラー画像データ410を選択し、パネル406に供給する。また、コントローラ405は、CPU404からの命令に従って、フルカラー画像データ410に同期した駆動信号またはフルカラー画像の表示を行う際に用いられる電源電位を、パネル406に供給する。
【0042】
或いは、モノクロ画像の表示を行う場合、セレクタ403は、CPU404からの命令に従って、入力されたモノクロ画像データ411を選択し、パネル406に供給する。また、コントローラ405は、CPU404からの命令に従って、モノクロ画像データ411に同期した駆動信号またはモノクロ画像の表示を行う際に用いられる電源電位を、パネル406に供給する。
【0043】
パネル406は、各画素に液晶素子を有する画素部412と、信号線駆動回路413、走査線駆動回路414などの駆動回路とを有する。セレクタ403からのフルカラー画像データ410またはモノクロ画像データ411は、信号線駆動回路413に与えられる。また、コントローラ405からの駆動信号または電源電位は、信号線駆動回路413または走査線駆動回路414に与えられる。
【0044】
なお、駆動信号には、信号線駆動回路413の動作を制御する信号線駆動回路用スタートパルス信号(SSP)、信号線駆動回路用クロック信号(SCK)、走査線駆動回路414の動作を制御する走査線駆動回路用スタートパルス信号(GSP)、走査線駆動回路用クロック信号(GCK)などが含まれる。
【0045】
バックライト407には、色相の異なる光を発する複数の光源が配置されている。コントローラ405は、バックライト制御回路408を介してバックライト407が有する光源の駆動を制御する。
【0046】
なお、フルカラー画像の表示とモノクロ画像の表示の切り替えは、人為的に行うことができる。この場合、入力装置420を液晶表示装置400に設け、入力装置420からの信号に従って、CPU404が上記切り替えを制御するようにすれば良い。
【0047】
また、実施の形態で例示される液晶表示装置400は、測光回路421を有していても良い。測光回路421は当該液晶表示装置400が使用されている環境の明るさを測定する回路である。そして、測光回路421において検知された明るさに従って、CPU404がフルカラー画像の表示とモノクロ画像の表示の切り替えを制御しても良い。
【0048】
例えば、本実施の形態で例示される液晶表示装置400を薄暗い環境で利用する場合、測光回路421からの信号に従って、CPU404がフルカラー画像の表示を選択し、明るい環境で利用する場合、測光回路421からの信号に従って、CPU404がモノクロ画像の表示を選択しても良い。なお、測光回路421にあらかじめしきい値を設定し、使用環境の明るさがしきい値を下回ると、バックライト407が点灯するように設定してもよい。
【0049】
<パネルの構成例>
次いで、本発明の一態様に係る液晶表示装置の、パネルの具体的な構成について、一例を挙げて説明する。
【0050】
図2(A)は、液晶表示装置の構成例を示す図である。図2(A)に示す液晶表示装置は、画素部10と、走査線駆動回路11と、信号線駆動回路12とを有する。本発明の一態様では、画素部10が複数の領域に分割されている。具体的に、図2(A)では、画素部10が、3つの領域(領域101乃至領域103)に分割されている場合を例示している。そして、各領域は、マトリクス状に配設された複数の画素15を有する。
【0051】
また、画素部10には、走査線駆動回路11によって電位が制御されるm本の走査線GLと、信号線駆動回路12によって電位が制御されるn本の信号線SLとが設けられている。そして、m本の走査線GLは、画素部10が有する領域の数に合わせて、複数のグループに分割されている。例えば、図2(A)の場合、画素部10が3つの領域に分割されているので、m本の走査線GLも3つのグループに分割されている。そして、各グループに属する走査線GLは、当該グループに対応する領域が有する複数の画素15に、接続されている。具体的に、各走査線GLは、各領域においてマトリクス状に配設された複数の画素15のうち、いずれかの行に配設されたn個の画素15に接続される。
【0052】
また、各信号線SLは、上記領域に係わらず、画素部10においてm行n列に配設された複数の画素15のうち、いずれかの列に配設されたm個の画素15に接続される。
【0053】
なお、本明細書において接続とは電気的な接続を意味しており、電流、電圧または電位が、供給可能、或いは伝送可能な状態に相当する。従って、接続している状態とは、直接接続している状態を必ずしも指すわけではなく、電流、電圧または電位が、供給可能、或いは伝送可能であるように、配線、抵抗、ダイオード、トランジスタなどの回路素子を介して間接的に接続している状態も、その範疇に含む。
【0054】
なお、回路図上は独立している構成要素どうしが接続されている場合であっても、実際には、例えば配線の一部が電極としても機能する場合など、一の導電膜が、複数の構成要素の機能を併せ持っている場合もある。本明細書において接続とは、このような、一の導電膜が、複数の構成要素の機能を併せ持っている場合も、その範疇に含める。
【0055】
また、トランジスタが有するソース電極とドレイン電極は、トランジスタの極性及び各電極に与えられる電位の高低差によって、その呼び方が入れ替わる。一般的に、nチャネル型トランジスタでは、低い電位が与えられる電極がソース電極と呼ばれ、高い電位が与えられる電極がドレイン電極と呼ばれる。また、pチャネル型トランジスタでは、低い電位が与えられる電極がドレイン電極と呼ばれ、高い電位が与えられる電極がソース電極と呼ばれる。本明細書では、ソース電極とドレイン電極のいずれか一方を第1端子、他方を第2端子とし、トランジスタの接続関係を説明する。
【0056】
図2(B)は、図2(A)に示す液晶表示装置が有する画素15の回路図の一例を示す図である。図2(B)に示す画素15は、スイッチング素子として機能するトランジスタ16と、トランジスタ16を介して与えられた画像信号の電位に従って、その透過率が制御される液晶素子18と、容量素子17とを有する。
【0057】
液晶素子18は、画素電極と、対向電極と、画素電極と対向電極間の電圧が印加される液晶を含んだ液晶層とを有している。画素電極は液晶層を介して入射する光を反射する領域(反射領域)と、透光性を有する領域(透過領域)を有している。そして、容量素子17は、液晶素子18が有する画素電極と対向電極間の電圧を保持する機能を有している。
【0058】
液晶層に用いられる液晶材料の一例としては、ネマチック液晶、コレステリック液晶、スメクチック液晶、ディスコチック液晶、サーモトロピック液晶、リオトロピック液晶、低分子液晶、高分子分散型液晶(PDLC)、強誘電液晶、反強誘電液晶、主鎖型液晶、側鎖型高分子液晶、バナナ型液晶などを挙げることができる。
【0059】
また、配向膜を用いないブルー相を示す液晶を用いてもよい。ブルー相は液晶相の一つであり、コレステリック液晶を昇温していくと、コレステリック相から等方相へ転移する直前に発現する相である。ブルー相は狭い温度範囲でしか発現しないため、カイラル剤や紫外線硬化樹脂を添加して温度範囲を改善する。ブルー相を示す液晶とカイラル剤とを含む液晶組成物は、応答速度が10μsec.以上100μsec.以下と短く、光学的等方性であるため配向処理が不要であり、視野角依存性が小さいため好ましい。
【0060】
また液晶の駆動方法としては、TN(Twisted Nematic)モード、STN(Super Twisted Nematic)モード、VA(Vertical Alignment)モード、MVA(Multi−domain Vertical Alignment)モード、IPS(In−Plane Switching)モード、OCB(Optically Compensated Birefringence)モード、ECB(Electrically Controlled Birefringence)モード、FLC(Ferroelectric Liquid Crystal)モード、AFLC(AntiFerroelectric Liquid Crystal)モード、PDLC(Polymer Dispersed Liquid Crystal)モード、PNLC(Polymer Network Liquid Crystal)モード、ゲストホストモードなどを適用することが可能である。
【0061】
画素15は、必要に応じて、トランジスタ、ダイオード、抵抗素子、容量素子、インダクタンスなどのその他の回路素子を、さらに有していても良い。
【0062】
具体的に、図2(B)では、トランジスタ16のゲート電極が走査線GLに接続されている。トランジスタ16は、その第1端子が信号線SLに接続され、その第2端子が液晶素子18の画素電極に接続されている。容量素子17は、一方の電極が液晶素子18の画素電極に接続されており、他方の電極が、特定の電位の与えられているノードに接続されている。なお、液晶素子18が有する対向電極にも特定の電位が与えられている。そして、対向電極に与えられる電位は、容量素子17が有する他方の電極に与えられる電位と共通であっても良い。
【0063】
そして、本発明の一態様では、上記スイッチング素子として機能するトランジスタ16のチャネル形成領域に、シリコン半導体よりもバンドギャップが広く、真性キャリア密度がシリコン半導体よりも低い半導体を含んでいても良い。上記半導体の一例として、炭化珪素(SiC)、窒化ガリウム(GaN)などの化合物半導体、酸化亜鉛(ZnO)などの金属酸化物でなる酸化物半導体などを適用することができる。この中でも酸化物半導体は、スパッタリング法や湿式法(印刷法など)により作製可能であり、量産性に優れるといった利点がある。また、炭化シリコンのプロセス温度は約1500℃、窒化ガリウムのプロセス温度は約1100℃であるが、酸化物半導体の成膜温度は、300℃以上ガラス転移点以下と低く、安価で入手しやすいガラス基板上への成膜が可能である。また、基板の大型化にも対応が可能である。よって、上述したワイドギャップ半導体の中でも、特に酸化物半導体は量産性が高いというメリットを有する。また、トランジスタの性能(例えば電界効果移動度)を向上させるために結晶性の酸化物半導体を得ようとする場合でも、450℃から800℃の熱処理によって容易に結晶性の酸化物半導体を得ることができる。
【0064】
以下の説明では、バンドギャップが大きい半導体として、上記のような利点を有する酸化物半導体を用いる場合を例に挙げている。
【0065】
なお、特に断りがない限り、本明細書でオフ電流とは、nチャネル型トランジスタにおいては、ドレイン電極をソース電極とゲート電極よりも高い電位とした状態において、ゲート電極とソース電極間の電圧が0以下であるときに、ソース電極とドレイン電極の間に流れる電流のことを意味する。或いは、本明細書でオフ電流とは、pチャネル型トランジスタにおいては、ドレイン電極をソース電極とゲート電極よりも低い電位とした状態において、ゲート電極とソース電極間の電圧が0以上であるときに、ソース電極とドレイン電極の間に流れる電流のことを意味する。
【0066】
また、図2(B)では、画素15において、一のトランジスタ16をスイッチング素子として用いている場合について示しているが、本発明はこの構成に限定されない。一のスイッチング素子として機能する複数のトランジスタを用いていても良い。複数のトランジスタが一のスイッチング素子として機能する場合、上記複数のトランジスタは並列に接続されていても良いし、直列に接続されていても良いし、直列と並列が組み合わされて接続されていても良い。
【0067】
本明細書において、トランジスタが直列に接続されている状態とは、例えば、第1のトランジスタの第1端子と第2端子のいずれか一方のみが、第2のトランジスタの第1端子と第2端子のいずれか一方のみに接続されている状態を意味する。また、トランジスタが並列に接続されている状態とは、第1のトランジスタの第1端子が第2のトランジスタの第1端子に接続され、第1のトランジスタの第2端子が第2のトランジスタの第2端子に接続されている状態を意味する。
【0068】
上述したような特性を有する半導体材料をチャネル形成領域に含むことで、オフ電流が極めて低く、なおかつ高耐圧であるトランジスタ16を実現することができる。そして、上記構成を有するトランジスタ16をスイッチング素子として用いることで、通常のシリコンやゲルマニウムなどの半導体材料で形成されたトランジスタを用いた場合に比べて、液晶素子18に蓄積された電荷のリークを防ぐことができる。
【0069】
オフ電流の極めて小さいトランジスタ16を用いることで、液晶素子18に与えられる電圧が保持される期間を長く確保することができる。そのため、静止画のように、連続する幾つかのフレーム期間に渡って、画素部10に同じ画像情報を有する画像信号が書き込まれる場合などは、駆動周波数を低くする、言い換えると一定期間内における画素部10への画像信号の書き込み回数を少なくしても、画像の表示を維持することができる。例えば、上述したようなi型または実質的にi型である酸化物半導体膜を活性層として用いたトランジスタ16を用いることで、画像信号の書き込みの間隔を10秒以上、好ましくは30秒以上、さらに好ましくは1分以上にすることができる。そして、画像信号が書き込まれる間隔を長くすればするほど、より消費電力を低減することができる。
【0070】
また、複数回の画像信号の書き込みによる画像を視認する際、複数回にわたって切り替わる画像を人間の目は視認することとなる。そのため、人間の目には疲労として現れることもあり得る。本実施の形態で説明したように、画像信号の書き込み回数を削減する構成とすることで、目の疲労を減らすといった効果もある。
【0071】
また、画像信号の電位をより長い期間に渡って保持することができるため、画像信号の電位を保持するために、液晶素子18に容量素子17を接続しなくても、表示される画質が低下するのを防ぐことができる。よって、容量素子17を設けないことによって、或いは容量素子17のサイズを小さくすることによって、開口率を高めることができるため、液晶表示装置の消費電力を低減させることができる。
【0072】
また、画像信号の電位の極性を、対向電極の電位を基準として反転させる反転駆動を行うことで、焼き付きと呼ばれる液晶の劣化を防ぐことができる。しかし、反転駆動を行うと、画像信号の極性が変化する際に信号線に与えられる電位の変化が大きくなるため、スイッチング素子として機能するトランジスタ16のソース電極とドレイン電極の電位差が大きくなる。よって、トランジスタ16は、しきい値電圧がシフトするなどの特性劣化が生じやすい。また、液晶素子18に保持されている電圧を維持するために、ソース電極とドレイン電極の電位差が大きくても、オフ電流が低いことが要求される。本発明の一態様では、トランジスタ16に、シリコンまたはゲルマニウムよりもバンドギャップが大きく、真性キャリア密度が低い酸化物半導体などの半導体を用いているので、トランジスタ16の耐圧性を高め、オフ電流を著しく低くすることができる。よって、通常のシリコンやゲルマニウムなどの半導体材料で形成されたトランジスタを用いた場合に比べて、トランジスタ16の劣化を防ぎ、液晶素子18に保持されている電圧を維持することができる。
【0073】
<パネルとバックライトの動作例>
次いで、パネルの動作の一例について、バックライトの動作とともに説明する。図3は、液晶表示装置とバックライトの動作を模式的に示した図である。図3に示すように、本発明の一態様に係る液晶表示装置の動作は、フルカラー画像を表示する期間(フルカラー画像表示期間301)と、モノクロ画像の動画を表示する期間(モノクロ動画表示期間302)と、モノクロ画像の静止画を表示する期間(モノクロ静止画表示期間303)とに大別される。
【0074】
フルカラー画像表示期間301では、複数のサブフレーム期間により1フレーム期間が構成されている。そして、サブフレーム期間ごとに画素部への画像信号の書き込みが行われている。そして、走査線駆動回路や信号線駆動回路などの駆動回路には、画像の表示を行っている間において、連続して駆動信号が供給されている。よって、フルカラー画像表示期間301では、駆動回路は動作している状態にある。また、フルカラー画像表示期間301では、バックライトにより画素部に供給される光の色相が、サブフレーム期間ごとに切り換わる。そして、各色相に対応した画像信号を画素部へ順に書き込んでいき、1フレーム期間内に全ての色相に対応した画像信号を書き込むことで1画像が形成される。そのため、フルカラー画像表示期間301では、1フレーム期間における画素部への画像信号の書き込み回数は複数回であり、その数はバックライトから供給される光の色相の数により決まる。
【0075】
モノクロ動画表示期間302では、1フレーム期間ごとに画素部への画像信号の書き込みが行われている。そして、走査線駆動回路や信号線駆動回路などの駆動回路には、画像の表示を行っている間において、連続して駆動信号が供給されている。よって、モノクロ動画表示期間302では、駆動回路は動作している状態にある。また、モノクロ動画表示期間302では、バックライトを消灯とし、画素電極が有する反射領域で外光を反射することで画像を表示する。このため、複数の色相に対応した画像信号を画素部へ順に書き込む必要はなく、1フレーム期間内に、一の色相に対応した画像信号を画素部へ書き込むことで、1画像を形成することができる。そのため、モノクロ動画表示期間302では、1フレーム期間における画素部への画像信号の書き込み回数を1回とすることができる。
【0076】
モノクロ静止画表示期間303では、1フレーム期間ごとに画素部への画像信号の書き込みが行われている。しかし、フルカラー画像表示期間301やモノクロ動画表示期間302とは異なり、画素部への画像信号の書き込み時に駆動回路に駆動信号が供給され、書き込みが終了した後は駆動回路への駆動信号の供給が停止する。よって、モノクロ静止画表示期間303では、画像信号の書き込み時以外は、駆動回路は非動作の状態にある。また、モノクロ静止画表示期間303では、バックライトを消灯とし、外光を画素電極が有する反射領域で反射することで画像を表示する。このため、複数の色相に対応した画像信号を画素部へ順に書き込む必要はなく、1フレーム期間内に、一の色相に対応した画像信号を画素部へ書き込むことで、1画像を形成することができる。そのため、モノクロ静止画表示期間303では、1フレーム期間における画素部への画像信号の書き込み回数を1回とすることができる。
【0077】
なお、モノクロ動画表示期間302では、フリッカ等の画像のちらつきが視認されるのを防ぐために、1秒間に60フレーム期間以上設けることが望ましい。モノクロ静止画表示期間303では、1フレーム期間を極端に長く、例えば1分以上とすることができる。1フレーム期間を長くすることで、駆動回路が非動作の期間を長くすることができるので、液晶表示装置の消費電力を低減させることができる。また、画像の表示にバックライトを用いる必要がないため、液晶表示装置の消費電力をさらに低減させることができる。
【0078】
また、本発明の一態様に係る液晶表示装置は、カラーフィルタを用いる必要がない。よって、カラーフィルタを用いた液晶表示装置に比べて、消費電力を低減することができる。
【0079】
なお、モノクロ動画表示期間302またはモノクロ静止画表示期間303であっても、必要に応じて画素部全体、或いは領域ごとにバックライトを点灯させ、表示画像の視認性を高めることもできる。
【0080】
なお、フルカラー画像表示期間301では、1フレーム期間において、画素部の各領域に色相の異なる複数の光を順次供給する。図4に、各領域に供給される光の色相の一例を、模式的に示す。なお、図4では、図2(A)に示したように、画素部が3つの領域に分割されている場合を例示している。さらに、図4では、画素部に、バックライトから赤(R)の光、青(B)の光、緑(G)の光が供給される場合を例示している。
【0081】
まず、図4(A)に、最初のサブフレーム期間において、領域101に赤(R)の光、領域102に緑(G)の光、領域103に青(B)の光が、それぞれ供給されている様子を示す。そして、図4(B)に、次のサブフレーム期間において、領域101に緑(G)の光、領域102に青(B)の光、領域103に赤(R)の光が、それぞれ供給されている様子を示す。そして、図4(C)に、さらに次のサブフレーム期間において、領域101に青(B)の光、領域102に赤(R)の光、領域103に緑(G)の光が、それぞれ供給されている様子を示す。
【0082】
そして、上記全てのサブフレーム期間が終了することで、1フレーム期間が終了する。1フレーム期間において、各領域に供給される光の色相が一巡することで、フルカラーの画像を表示することができる。なお、各領域に着目すると、領域101では、供給される光の色相が、赤(R)、緑(G)、青(B)の順に変化している。また、領域102では、供給される光の色相が、緑(G)、青(B)、赤(R)の順に変化している。また、領域103では、供給される光の色相が、青(B)、赤(R)、緑(G)の順に変化している。よって、各領域には、異なる色相を有する複数の光が、互いに異なる輪番に従い順次供給されていることが分かる。
【0083】
なお、図4では、各サブフレーム期間において、一の領域に対し一の色相の光だけが供給されている例を示しているが、本発明の一態様はこの構成に限定されない。例えば、各領域内において、画像信号の書き込みが終了した部分から順に供給される光の色相を切り換えていくようにしても良い。この場合、各色相の光が供給される領域と、画素部が分割されることで形成される領域とは必ずしも一致しない。
【0084】
また、モノクロ動画表示期間302及びモノクロ静止画表示期間303では、光の供給を停止する。図5(A)は、領域101、領域102、及び領域103に対応するバックライトを消灯した状態を示している。
【0085】
また、必要に応じて画素部全体、或いは領域ごとにバックライトを点灯させ、表示画像の視認性を高めることもできる。図5(B)は、バックライトから領域101に赤(R)の光、青(B)の光、緑(G)の光が並行して供給されている様子を示す。赤(R)の光、青(B)の光、緑(G)の光が混ざることで、領域101には白(W)の光が供給される。
【0086】
また、図5(B)では、異なる色相を有する複数の光を混色させることで、一の色相を有する光を画素部に供給する例を示しているが、一の色相を有する光を画素部に供給しても良い。図5(C)に、バックライトから領域101に緑(G)の光が供給されている様子を示す。
【0087】
<走査線駆動回路11の構成例>
図6は、図2(A)に示す走査線駆動回路11の構成例を示す図である。図6に示す走査線駆動回路11は、第1のパルス出力回路20_1乃至第mのパルス出力回路20_mを有している。第1のパルス出力回路20_1乃至第mのパルス出力回路20_mから出力される選択信号は、それぞれm本の走査線GL(走査線GL1乃至走査線GLm)に供給される。
【0088】
また、走査線駆動回路11には、第1の走査線駆動回路用クロック信号(GCK1)乃至第4の走査線駆動回路用クロック信号(GCK4)と、第1のパルス幅制御信号(PWC1)乃至第6のパルス幅制御信号(PWC6)と、走査線駆動回路用スタートパルス信号(GSP)とが、駆動信号として供給されている。
【0089】
なお、図6では、第1のパルス出力回路20_1乃至第jのパルス出力回路20_j(jは、m/2未満の4の倍数)が、領域101に配設された走査線GL1乃至走査線GLjに接続されている場合を例示している。また、図6では、第j+1のパルス出力回路20_j+1乃至第2jのパルス出力回路20_2jが、領域102に配設された走査線GLj+1乃至走査線GL2jに接続されている場合を例示している。また、図6では、第2j+1のパルス出力回路20_2j+1乃至第mのパルス出力回路20_mが領域103に配設された走査線GL2j+1乃至走査線GLmに接続されている場合を例示している。
【0090】
第1のパルス出力回路20_1乃至第mのパルス出力回路20_mは、第1のパルス出力回路20_1に入力される走査線駆動回路用スタートパルス信号(GSP)に従って動作を開始し、パルスが順次シフトした選択信号を出力する。
【0091】
第1のパルス出力回路20_1乃至第mのパルス出力回路20_mには、同一の構成を有する回路を適用することができる。第1のパルス出力回路20_1乃至第mのパルス出力回路20_mの具体的な接続関係について、図7を参照して説明する。
【0092】
図7は、第xのパルス出力回路20_x(xは、m以下の自然数)を、模式的に示した図である。第1のパルス出力回路20_1乃至第mのパルス出力回路20_mのそれぞれは、端子21乃至端子27を有する。なお、端子21乃至端子24及び端子26は入力端子であり、端子25及び端子27は出力端子である。
【0093】
まず、端子21について述べる。第1のパルス出力回路20_1の端子21は、走査線駆動回路用スタートパルス信号(GSP)を供給する配線に接続され、第2のパルス出力回路20_2乃至第mのパルス出力回路20_mの端子21は、前段のパルス出力回路の端子27に接続される。
【0094】
次いで、端子22について述べる。第(4a−3)のパルス出力回路20_(4a−3)(aは、m/4以下の自然数)の端子22は、第1の走査線駆動回路用クロック信号(GCK1)を供給する配線に接続され、第(4a−2)のパルス出力回路20_(4a−2)の端子22は、第2の走査線駆動回路用クロック信号(GCK2)を供給する配線に接続され、第(4a−1)のパルス出力回路20_(4a−1)の端子22は、第3の走査線駆動回路用クロック信号(GCK3)を供給する配線に接続され、第4aのパルス出力回路20_4aの端子22は、第4の走査線駆動回路用クロック信号(GCK4)を供給する配線に接続される。
【0095】
次いで、端子23について述べる。第(4a−3)のパルス出力回路20_(4a−3)の端子23は、第2の走査線駆動回路用クロック信号(GCK2)を供給する配線に接続され、第(4a−2)のパルス出力回路20_(4a−2)の端子23は、第3の走査線駆動回路用クロック信号(GCK3)を供給する配線に接続され、第(4a−1)のパルス出力回路20_(4a−1)の端子23は、第4の走査線駆動回路用クロック信号(GCK4)を供給する配線に接続され、第4aのパルス出力回路20_4aの端子23は、第1の走査線駆動回路用クロック信号(GCK1)を供給する配線に接続される。
【0096】
次いで、端子24について述べる。第(2b−1)のパルス出力回路20_(2b−1)(bは、j/2以下の自然数)の端子24は、第1のパルス幅制御信号(PWC1)を供給する配線に接続され、第2bのパルス出力回路20_2bの端子24は、第4のパルス幅制御信号(PWC4)を供給する配線に接続され、第(2c−1)のパルス出力回路20_(2c−1)(cは、(j/2+1)以上j以下の自然数)の端子24は、第2のパルス幅制御信号(PWC2)を供給する配線に接続され、第2cのパルス出力回路20_2cの端子24は、第5のパルス幅制御信号(PWC5)を供給する配線に接続され、第(2d−1)のパルス出力回路20_(2d−1)(dは、(j+1)以上m/2以下の自然数)の端子24は、第3のパルス幅制御信号(PWC3)を供給する配線に接続され、第2dのパルス出力回路20_2dの端子24は、第6のパルス幅制御信号(PWC6)を供給する配線に接続される。
【0097】
次いで、端子25について述べる。第xのパルス出力回路20_xの端子25は、x行目に配設された走査線GLxに接続される。
【0098】
次いで、端子26について述べる。第yのパルス出力回路20_y(yは、m−1以下の自然数)の端子26は、第(y+1)のパルス出力回路20_(y+1)の端子27に接続され、第mのパルス出力回路20_mの端子26は、第mのパルス出力回路用ストップ信号(STP)を供給する配線に接続される。なお、第mのパルス出力回路用ストップ信号(STP)は、第(m+1)のパルス出力回路20_(m+1)が設けられている場合に、当該第(m+1)のパルス出力回路20_(m+1)の端子27から出力される信号に相当する。具体的に、これらの信号は、実際にダミー回路として第(m+1)のパルス出力回路20_(m+1)を設けること、又は外部から当該信号を直接入力することなどによって、第mのパルス出力回路20_mに供給することができる。
【0099】
各パルス出力回路の端子27の接続関係は既出である。そのため、ここでは前述の説明を援用することとする。
【0100】
<パルス出力回路の構成例1>
次いで、図8(A)に、図7に示す第xのパルス出力回路20_xの、具体的な構成の一例を示す。図8(A)に示すパルス出力回路は、トランジスタ31乃至トランジスタ39を有する。
【0101】
トランジスタ31は、そのゲート電極が端子21に接続されている。また、トランジスタ31は、その第1端子が高電源電位(Vdd)の与えられているノードに接続され、その第2端子がトランジスタ33のゲート電極及びトランジスタ38のゲート電極に接続されている。
【0102】
トランジスタ32は、そのゲート電極がトランジスタ34のゲート電極及びトランジスタ39のゲート電極に接続されている。トランジスタ32は、その第1端子が低電源電位(Vss)の与えられているノードに接続され、その第2端子がトランジスタ33のゲート電極及びトランジスタ38のゲート電極に接続されている。
【0103】
トランジスタ33は、その第1端子が端子22に接続され、その第2端子が端子27に接続されている。
【0104】
トランジスタ34は、その第1端子が低電源電位(Vss)の与えられているノードに接続され、その第2端子が端子27に接続されている。
【0105】
トランジスタ35は、そのゲート電極が端子21に接続されている。また、トランジスタ35は、その第1端子が低電源電位(Vss)の与えられているノードに接続され、その第2端子がトランジスタ34のゲート電極及びトランジスタ39のゲート電極に接続されている。
【0106】
トランジスタ36は、そのゲート電極が端子26に接続されている。また、トランジスタ36は、その第1端子が高電源電位(Vdd)の与えられているノードに接続され、その第2端子がトランジスタ34のゲート電極及びトランジスタ39のゲート電極に接続されている。なお、トランジスタ36の第1端子が、低電源電位(Vss)よりも高電位であり且つ高電源電位(Vdd)よりも低電位である電源電位(Vcc)の与えられているノードに接続される構成とすることもできる。
【0107】
トランジスタ37は、そのゲート電極が端子23に接続されている。また、トランジスタ37は、その第1端子が高電源電位(Vdd)の与えられているノードに接続され、その第2端子がトランジスタ34のゲート電極及びトランジスタ39のゲート電極に接続されている。なお、トランジスタ37の第1端子が、電源電位(Vcc)の与えられているノードに接続される構成とすることもできる。
【0108】
トランジスタ38は、その第1端子が端子24に接続され、その第2端子が端子25に接続されている。
【0109】
トランジスタ39は、その第1端子が低電源電位(Vss)の与えられているノードに接続され、その第2端子が端子25に接続されている。
【0110】
次いで、図8(B)に、図8(A)に示したパルス出力回路のタイミングチャートの一例を示す。なお、図8(B)に示す期間t1乃至期間t7は、同じ長さの期間を示している。そして、上記期間t1乃至期間t7は、第1の走査線駆動回路用クロック信号(GCK1)乃至第4の走査線駆動回路用クロック信号(GCK4)のパルス幅の1/3にそれぞれ相当し、第1のパルス幅制御信号(PWC1)乃至第6のパルス幅制御信号(PWC6)のパルス幅の1/2にそれぞれ相当する。
【0111】
図8(A)に示したパルス出力回路は、期間t1及び期間t2において、端子21に入力される電位がハイレベル、端子22、端子23、端子24及び端子26に入力される電位がローレベルとなるため、端子25からローレベルの電位、端子27からローレベルの電位が出力される。
【0112】
次いで、期間t3において、端子21及び端子24に入力される電位がハイレベル、端子22、端子23及び端子26に入力される電位がローレベルとなるため、端子25からハイレベルの電位、端子27からローレベルの電位が出力される。
【0113】
次いで、期間t4において、端子22及び端子24に入力される電位がハイレベル、端子21、端子23及び端子26に入力される電位がローレベルとなるため、端子25からハイレベルの電位、端子27からハイレベルの電位が出力される。
【0114】
次いで、期間t5及び期間t6において、端子22に入力される電位がハイレベル、端子21、端子23、端子24及び端子26に入力される電位がローレベルとなるため、端子25からローレベルの電位、端子27からハイレベルの電位が出力される。
【0115】
次いで、期間t7において、端子23及び端子26に入力される電位がハイレベル、端子21、端子22及び端子24に入力される電位がローレベルとなるため、端子25からローレベルの電位、端子27からローレベルの電位が出力される。
【0116】
次いで、図8(C)に、図8(A)に示したパルス出力回路のタイミングチャートの、別の一例を示す。なお、図8(C)に示す期間t1乃至期間t7は、同じ長さの期間を示している。そして、上記期間t1乃至期間t7は、第1の走査線駆動回路用クロック信号(GCK1)乃至第4の走査線駆動回路用クロック信号(GCK4)のパルス幅の1/3にそれぞれ相当し、第1のパルス幅制御信号(PWC1)乃至第6のパルス幅制御信号(PWC6)のパルス幅の1/3にそれぞれ相当する。
【0117】
図8(A)に示したパルス出力回路は、期間t1乃至期間t3において、端子21に入力される電位がハイレベル、端子22、端子23、端子24及び端子26に入力される電位がローレベルとなるため、端子25からローレベルの電位、端子27からローレベルの電位が出力される。
【0118】
次いで、期間t4乃至期間t6において、端子22及び端子24に入力される電位がハイレベル、端子21、端子23及び端子26に入力される電位がローレベルとなるため、端子25からハイレベルの電位、端子27からハイレベルの電位が出力される。
【0119】
<フルカラー画像表示期間301における走査線駆動回路の動作例>
次いで、図6、図7、図8(A)を用いて説明した走査線駆動回路11を例に挙げて、図3において示したフルカラー画像表示期間301における、走査線駆動回路11の動作について説明する。
【0120】
図9に、フルカラー画像表示期間301における、走査線駆動回路11のタイミングチャートの一例を示す。図9では、サブフレーム期間SF1、サブフレーム期間SF2、サブフレーム期間SF3が、1フレーム期間に設けられている場合を例示している。そして、サブフレーム期間SF1のタイミングチャートを、図9に代表例として示している。ただし、図9では、m=3jの場合を例示している。
【0121】
図9では、走査線GL1乃至走査線GLjは、領域101の画素に接続され、走査線GLj+1乃至走査線GL2jは、領域102の画素に接続され、走査線GL2j+1乃至走査線GL3jは、領域103の画素に接続されている場合のタイミングチャートを例示する。
【0122】
第1の走査線駆動回路用クロック信号(GCK1)は、周期的にハイレベルの電位(高電源電位(Vdd))とローレベルの電位(低電源電位(Vss))を繰り返す、デューティー比が1/4の信号である。また、第2の走査線駆動回路用クロック信号(GCK2)は、第1の走査線駆動回路用クロック信号(GCK1)から1/4周期分位相が遅れた信号であり、第3の走査線駆動回路用クロック信号(GCK3)は、第1の走査線駆動回路用クロック信号(GCK1)から1/2周期位相が遅れた信号であり、第4の走査線駆動回路用クロック信号(GCK4)は、第1の走査線駆動回路用クロック信号(GCK1)から3/4周期位相が遅れた信号である。
【0123】
第1のパルス幅制御信号(PWC1)は、周期的にハイレベルの電位(高電源電位(Vdd))とローレベルの電位(低電源電位(Vss))を繰り返す、デューティー比が1/3の信号である。また、第2のパルス幅制御信号(PWC2)は、第1のパルス幅制御信号(PWC1)から1/6周期位相が遅れた信号であり、第3のパルス幅制御信号(PWC3)は、第1のパルス幅制御信号(PWC1)から1/3周期位相が遅れた信号であり、第4のパルス幅制御信号(PWC4)は、第1のパルス幅制御信号(PWC1)から1/2周期位相が遅れた信号であり、第5のパルス幅制御信号(PWC5)は、第1のパルス幅制御信号(PWC1)から2/3周期位相が遅れた信号であり、第6のパルス幅制御信号(PWC6)は、第1のパルス幅制御信号(PWC1)から5/6周期位相が遅れた信号である。
【0124】
そして、図9では、第1の走査線駆動回路用クロック信号(GCK1)乃至第4の走査線駆動回路用クロック信号(GCK4)のパルス幅と第1のパルス幅制御信号(PWC1)乃至第6のパルス幅制御信号(PWC6)のパルス幅の比は、3:2とする。
【0125】
各サブフレーム期間SFは、走査線駆動回路用スタートパルス信号(GSP)のパルスが有する電位の立ち下がりに従って開始する。走査線駆動回路用スタートパルス信号(GSP)のパルス幅は、第1の走査線駆動回路用クロック信号(GCK1)乃至第4の走査線駆動回路用クロック信号(GCK4)と同程度である。そして、走査線駆動回路用スタートパルス信号(GSP)のパルスが有する電位の立ち下がりと、第1の走査線駆動回路用クロック信号(GCK1)のパルスが有する電位の立ち上がりが、同期している。また、走査線駆動回路用スタートパルス信号(GSP)のパルスが有する電位の立ち下がりは、第1のパルス幅制御信号(PWC1)のパルスが有する電位の立ち上がりから、第1のパルス幅制御信号(PWC1)の1/6周期分遅れたタイミングで出現する。
【0126】
そして、上記信号により、図8(A)に示したパルス出力回路は、図8(B)に示したタイミングチャートに従って動作する。よって、図9に示すように、領域101に対応する走査線GL1乃至走査線GLjには、パルスの順次シフトした選択信号が与えられる。なおかつ、走査線GL1乃至走査線GLjに与えられる選択信号のパルスは、パルス幅の2分の3に相当する期間、位相が遅れるようにシフトしている。なお、走査線GL1乃至走査線GLjに与えられる選択信号のパルス幅は、第1のパルス幅制御信号(PWC1)乃至第6のパルス幅制御信号(PWC6)のパルス幅と同程度である。
【0127】
また、領域101の場合と同様に、領域102に対応する走査線GLj+1乃至走査線GL2jには、パルスの順次シフトした選択信号が与えられる。なおかつ、走査線GLj+1乃至走査線GL2jに与えられる選択信号のパルスは、パルス幅の2分の3に相当する期間、位相が遅れるようにシフトしている。なお、走査線GLj+1乃至走査線GL2jに与えられる選択信号のパルス幅は、第1のパルス幅制御信号(PWC1)乃至第6のパルス幅制御信号(PWC6)のパルス幅と同程度である。
【0128】
また、領域101の場合と同様に、領域103に対応する走査線GL2j+1乃至走査線GL3jには、パルスの順次シフトした選択信号が与えられる。なおかつ、走査線GL2j+1乃至走査線GL3jに与えられる選択信号のパルスは、パルス幅の2分の3に相当する期間、位相が遅れるようにシフトしている。なお、走査線GL2j+1乃至走査線GL3jに与えられる選択信号のパルス幅は、第1のパルス幅制御信号(PWC1)乃至第6のパルス幅制御信号(PWC6)のパルス幅と同程度である。
【0129】
そして、走査線GL1、走査線GLj+1、走査線GL2j+1に与えられる選択信号のパルスは、パルス幅の2分の1に相当する期間、位相が遅れるように順次シフトしている。
【0130】
<モノクロ静止画表示期間303における走査線駆動回路の動作例>
次いで、図6、図7、図8(A)を用いて説明した走査線駆動回路11を例に挙げて、図3において示したモノクロ静止画表示期間303における、走査線駆動回路11の動作について説明する。
【0131】
図10に、モノクロ静止画表示期間303における、走査線駆動回路11のタイミングチャートの一例を示す。図10では、画像信号の画素への書き込みを行う書き込み期間と、上記画像信号の保持を行う保持期間とが、1フレーム期間に設けられている場合を例示している。
【0132】
第1の走査線駆動回路用クロック信号(GCK1)乃至第4の走査線駆動回路用クロック信号(GCK4)には、図9の場合と同様の信号を用いることができる。
【0133】
第1のパルス幅制御信号(PWC1)、第4のパルス幅制御信号(PWC4)は、書き込み期間における最初の1/3の期間において、周期的にハイレベルの電位(高電源電位(Vdd))とローレベルの電位(低電源電位(Vss))を繰り返す、デューティー比が1/2の信号であり、なおかつ、それ以外の期間はローレベルの電位を有する信号である。そして、第4のパルス幅制御信号(PWC4)は、第1のパルス幅制御信号(PWC1)から1/2周期位相が遅れた信号である。
【0134】
また、第2のパルス幅制御信号(PWC2)、第5のパルス幅制御信号(PWC5)は、書き込み期間における真ん中の1/3の期間において、周期的にハイレベルの電位(高電源電位(Vdd))とローレベルの電位(低電源電位(Vss))を繰り返す、デューティー比が1/2の信号であり、なおかつ、それ以外の期間はローレベルの電位を有する信号である。そして、第5のパルス幅制御信号(PWC5)は、第2のパルス幅制御信号(PWC2)から1/2周期位相が遅れた信号である。
【0135】
また、第3のパルス幅制御信号(PWC3)、第6のパルス幅制御信号(PWC6)は、書き込み期間における最後の1/3の期間において、周期的にハイレベルの電位(高電源電位(Vdd))とローレベルの電位(低電源電位(Vss))を繰り返す、デューティー比が1/2の信号であり、なおかつ、それ以外の期間はローレベルの電位を有する信号である。そして、第6のパルス幅制御信号(PWC6)は、第3のパルス幅制御信号(PWC3)から1/2周期位相が遅れた信号である。
【0136】
そして、図10では、第1の走査線駆動回路用クロック信号(GCK1)乃至第4の走査線駆動回路用クロック信号(GCK4)のパルス幅と第1のパルス幅制御信号(PWC1)乃至第6のパルス幅制御信号(PWC6)のパルス幅の比は、1:1とする。
【0137】
フレーム期間Fは、走査線駆動回路用スタートパルス信号(GSP)のパルスが有する電位の立ち下がりに従って開始する。走査線駆動回路用スタートパルス信号(GSP)のパルス幅は、第1の走査線駆動回路用クロック信号(GCK1)乃至第4の走査線駆動回路用クロック信号(GCK4)と同程度である。そして、走査線駆動回路用スタートパルス信号(GSP)のパルスが有する電位の立ち下がりと、第1の走査線駆動回路用クロック信号(GCK1)のパルスが有する電位の立ち上がりが、同期している。また、走査線駆動回路用スタートパルス信号(GSP)のパルスが有する電位の立ち下がりと、第1のパルス幅制御信号(PWC1)のパルスが有する電位の立ち上がりとが、同期している。
【0138】
そして、上記信号により、図8(A)に示したパルス出力回路は、図8(C)に示したタイミングチャートに従って動作する。よって、図10に示すように、領域101に対応する走査線GL1乃至走査線GLjには、パルスの順次シフトした選択信号が与えられる。なおかつ、走査線GL1乃至走査線GLjに与えられる選択信号のパルスは、パルス幅に相当する期間、位相が遅れるようにシフトしている。なお、走査線GL1乃至走査線GLjに与えられる選択信号のパルス幅は、第1のパルス幅制御信号(PWC1)乃至第6のパルス幅制御信号(PWC6)のパルス幅と同程度である。
【0139】
また、領域101に対応する走査線GL1乃至走査線GLjの全てにパルスの順次シフトした選択信号が与えられると、次いで、領域102に対応する走査線GLj+1乃至走査線GL2jにも、パルスの順次シフトした選択信号が与えられる。なおかつ、走査線GLj+1乃至走査線GL2jに与えられる選択信号のパルスは、パルス幅に相当する期間、位相が遅れるようにシフトしている。なお、走査線GLj+1乃至走査線GL2jに与えられる選択信号のパルス幅は、第1のパルス幅制御信号(PWC1)乃至第6のパルス幅制御信号(PWC6)のパルス幅と同程度である。
【0140】
また、領域102に対応する走査線GLj+1乃至走査線GL2jの全てにパルスの順次シフトした選択信号が与えられると、次いで、領域103に対応する走査線GL2j+1乃至走査線GL3jにも、パルスの順次シフトした選択信号が与えられる。なおかつ、走査線GL2j+1乃至走査線GL3jに与えられる選択信号のパルスは、パルス幅に相当する期間、位相が遅れるようにシフトしている。なお、走査線GL2j+1乃至走査線GL3jに与えられる選択信号のパルス幅は、第1のパルス幅制御信号(PWC1)乃至第6のパルス幅制御信号(PWC6)のパルス幅と同程度である。
【0141】
次いで、保持期間では、走査線駆動回路11への駆動信号及び電源電位の供給を停止する。具体的には、まず、走査線駆動回路用スタートパルス信号(GSP)の供給を停止することで、走査線駆動回路11におけるパルス出力回路からの選択信号の出力を停止し、全ての走査線におけるパルスによる選択を終了させる。その後、走査線駆動回路11への電源電位Vddの供給を停止する。なお、入力又は供給の停止とは、例えば信号又は電位が入力されていた配線を浮遊状態にすること、或いは、信号又は電位が入力されていた配線に、ローレベルの電位を与えることを意味する。上記方法により、動作を停止する際に、走査線駆動回路11が誤動作するのを防ぐことができる。さらに、上記構成に加えて、第1の走査線駆動回路用クロック信号(GCK1)乃至第4の走査線駆動回路用クロック信号(GCK4)、第1のパルス幅制御信号(PWC1)乃至第6のパルス幅制御信号(PWC6)の走査線駆動回路11への供給を停止しても良い。
【0142】
走査線駆動回路11への駆動信号及び電源電位の供給を停止することで、走査線GL1乃至走査線GLjと、走査線GLj+1乃至走査線GL2jと、走査線GL2j+1乃至走査線GL3jとには、全てローレベルの電位が与えられる。
【0143】
なお、モノクロ動画表示期間302については、書き込み期間における走査線駆動回路11の動作がモノクロ静止画表示期間303と同じである。
【0144】
本発明の一態様では、オフ電流の極めて小さいトランジスタを画素に用いることで、液晶素子に与えられる電圧が保持される期間を長くすることができる。そのため、図10に示す保持期間を長く確保することができ、図9に示した動作を行う場合よりも、走査線駆動回路11の駆動周波数を低くすることができる。そのため、消費電力を低減することができる液晶表示装置を実現することができる。
【0145】
<信号線駆動回路12の構成例>
図11は、図2(A)に示す液晶表示装置が有する信号線駆動回路12の構成例を示す図である。図11に示す信号線駆動回路12は、第1の出力端子乃至第nの出力端子を有するシフトレジスタ120と、画像信号(DATA)の信号線SL1乃至信号線SLnへの供給を制御するスイッチング素子群123とを有する。
【0146】
具体的に、スイッチング素子群123は、トランジスタ121_1乃至トランジスタ121_nを有している。トランジスタ121_1乃至トランジスタ121_nは、その第1端子が、画像信号(DATA)を供給する配線に接続されており、その第2端子が信号線SL1乃至信号線SLnのそれぞれに接続されている。トランジスタ121_1乃至トランジスタ121_nのゲート電極は、第1の出力端子乃至第nの出力端子にそれぞれ接続されている。
【0147】
なお、シフトレジスタ120は、信号線駆動回路用スタートパルス信号(SSP)と、信号線駆動回路用クロック信号(SCK)などの駆動信号に従って動作を行い、パルスが順次シフトした信号を第1の出力端子乃至第nの出力端子から出力する。上記信号がゲート電極に入力されることで、トランジスタ121_1乃至トランジスタ121_nは、順次オンとなる。
【0148】
図12(A)は、フルカラー画像表示期間301における、信号線に供給される画像信号(DATA)のタイミングの一例を示す図である。図11に示す信号線駆動回路12では、図12(A)に示すように、2つの走査線に入力される選択信号のパルスが重なっている期間において、パルスが先に出現した走査線に対応する画像信号(DATA)がサンプリングされて、各信号線に入力される。具体的には、走査線GL1に入力される選択信号のパルスと、走査線GLj+1に入力される選択信号のパルスとが、パルス幅の1/2に相当する期間t4において重なっている。なお、走査線GL1と走査線GLj+1とでは、パルスが先に出現しているのは走査線GL1である。そして、上記パルスが重なっている期間において、画像信号(DATA)のうち、走査線GL1に対応する画像信号(data1)がサンプリングされ、信号線SL1乃至信号線SLnに入力される。
【0149】
同様に、期間t5において、走査線GLj+1に対応する画像信号(dataj+1)がサンプリングされ、信号線SL1乃至信号線SLnに入力される。期間t6において、走査線GL2j+1に対応する画像信号(data2j+1)がサンプリングされ、信号線SL1乃至信号線SLnに入力される。期間t7において、走査線GL2に対応する画像信号(data2)がサンプリングされ、信号線SL1乃至信号線SLnに入力される。そして、期間t8以降においても、同様の動作が繰り返されることで、画素部に画像信号(DATA)が書き込まれる。
【0150】
すなわち、信号線SL1乃至信号線SLnへの画像信号の入力は、走査線GLs(sは、j未満の自然数)に接続された画素、次いで、走査線GLj+sに接続された画素、次いで、走査線GL2j+sに接続された画素、次いで、走査線GLs+1に接続された画素、という順序で行われる。
【0151】
図12(B)は、モノクロ動画表示期間302及びモノクロ静止画表示期間303が有する書き込み期間における、信号線に供給される画像信号(DATA)のタイミングの一例を示す図である。図11に示す信号線駆動回路12では、図12(B)に示すように、各走査線に入力される選択信号のパルスが出現している期間において、当該走査線に対応する画像信号(DATA)がサンプリングされて、各信号線に入力される。具体的には、走査線GL1に入力される選択信号のパルスが出現している期間において、画像信号(DATA)のうち、走査線GL1に対応する画像信号(data1)がサンプリングされ、信号線SL1乃至信号線SLnに入力される。
【0152】
同様に、以下、走査線GL1以降の全ての各走査線においても同様の動作が繰り返されることで、画素部に画像信号(DATA)が書き込まれる。
【0153】
なお、モノクロ静止画表示期間303が有する保持期間では、シフトレジスタ120への信号線駆動回路用スタートパルス信号(SSP)の供給と、画像信号(DATA)の、信号線駆動回路12への供給を停止する。具体的には、まず、信号線駆動回路用スタートパルス信号(SSP)の供給を停止することで、信号線駆動回路12における画像信号のサンプリングを停止させる。その後、信号線駆動回路12への画像信号の供給と、電源電位の供給とを停止する。上記方法により、動作を停止する際に、信号線駆動回路12が誤動作するのを防ぐことができる。さらに、上記構成に加えて、信号線駆動回路12への、信号線駆動回路用クロック信号(SCK)の供給を停止しても良い。
【0154】
<液晶表示装置の動作例>
図13は、フルカラー画像表示期間301における、上述した液晶表示装置における選択信号の走査のタイミングと、バックライトの点灯のタイミングとを示す図である。なお、図13において縦軸は画素部における行を表し、横軸は時間を表している。
【0155】
図13に示すように、本実施の形態で示した液晶表示装置では、フルカラー画像表示期間301において、走査線GL1に対して選択信号を供給した後にj行分先の走査線GLj+1に対して選択信号を供給するような駆動方法を用いることが可能である。そのため、同一のサブフレーム期間SFにおいて、走査線GL1に接続されたn個の画素から走査線GLjに接続されたn個の画素を順次選択し、且つ、走査線GLj+1に接続されたn個の画素から走査線GL2jに接続されたn個の画素を順次選択し、且つ、走査線GL2j+1に接続されたn個の画素から走査線GL3jに接続されたn個の画素を順次選択することで、各画素に画像信号を入力することが可能である。
【0156】
具体的に、図13では、第1のサブフレーム期間SF1において、走査線GL1から走査線GLjに接続された画素に赤(R)に対応する画像信号を書き込んだ後、当該走査線に接続された画素に、赤(R)の光を供給する。上記構成により、走査線GL1から走査線GLjに対応する画素部の領域101において、赤(R)に対応する画像を表示することができる。
【0157】
また、第1のサブフレーム期間SF1において、走査線GLj+1から走査線GL2jに接続された画素に緑(G)に対応する画像信号を書き込んだ後、当該走査線に接続された画素に、緑(G)の光を供給する。上記構成により、走査線GLj+1から走査線GL2jに対応する画素部の領域102において、緑(G)に対応する画像を表示することができる。
【0158】
また、第1のサブフレーム期間SF1において、走査線GL2j+1から走査線GL3jに接続された画素に青(B)に対応する画像信号を書き込んだ後、当該走査線に接続された画素に、青(B)の光を供給する。上記構成により、走査線GL2j+1から走査線GL3jに対応する画素部の領域103において、青(B)に対応する画像を表示することができる。
【0159】
次いで、第2のサブフレーム期間SF2及び第3のサブフレーム期間SF3においても、第1のサブフレーム期間SF1と同様の動作を繰り返す。ただし、第2のサブフレーム期間SF2では、走査線GL1から走査線GLjに対応する画素部の領域101において、青(B)に対応する画像を表示し、走査線GLj+1から走査線GL2jに対応する画素部の領域102において、赤(R)に対応する画像を表示し、走査線GL2j+1から走査線GL3jに対応する画素部の領域103において、緑(G)に対応する画像を表示する。また、第3のサブフレーム期間SF3では、走査線GL1から走査線GLjに対応する画素部の領域101において、緑(G)に対応する画像を表示し、走査線GLj+1から走査線GL2jに対応する画素部の領域102において、青(B)に対応する画像を表示し、走査線GL2j+1から走査線GL3jに対応する画素部の領域103において、赤(R)に対応する画像を表示する。
【0160】
そして、全ての走査線GLにおいて第1のサブフレーム期間SF1乃至第3のサブフレーム期間SF3が終了する、すなわち1フレーム期間が終了することで、フルカラーの画像を画素部に表示することができる。
【0161】
なお、本発明の一態様では、各領域をさらに分割し、その分割された領域において画像信号の書き込みが終了した時点で、バックライトの点灯を順次開始するようにしても良い。例えば、領域101のうち、走査線GL1から走査線GLh(hはj/4以下の自然数とする)に接続された画素に赤(R)に対応する画像信号を書き込んだ後、走査線GLh+1から走査線GL2hに接続された画素に赤(R)に対応する画像信号を書き込むのと並行して、走査線GL1から走査線GLhに接続された画素に赤(R)の光を供給するようにしても良い。
【0162】
また、図14は、モノクロ静止画表示期間303における、上述した液晶表示装置における選択信号の走査のタイミングと、バックライトの点灯のタイミングとを示す図である。なお、図14において縦軸は画素部における行を表し、横軸は時間を表している。
【0163】
図14に示すように、本実施の形態で示した液晶表示装置では、モノクロ静止画表示期間303において、走査線GL1乃至走査線GL3jに対して順次選択信号を供給する。
【0164】
具体的に、図14では、例えば、領域101のうち、走査線GL1から走査線GLhに接続された画素に画像信号を書き込んだ後、バックライトを点灯させずに消灯のままとする。
そして、以降の全ての走査線に接続された画素において同様の動作を行うことで、モノクロの画像を画素部に表示することができる。その後、駆動回路への駆動信号の供給を停止し、駆動回路を非動作状態とする。
【0165】
なお、モノクロ動画表示期間302の場合は、全ての走査線に接続された画素において上記動作が行われた後、駆動回路を非動作状態とせず再度同じ動作を繰り返し、モノクロの画像を連続して画素部に表示すれば良い。
【0166】
なお、本発明の一態様に係る液晶表示装置では、バックライトとして赤(R)、緑(G)、青(B)の3色に対応する光源を用いる構成について示したが、本発明の液晶表示装置は、当該構成に限定されない。すなわち、本発明の液晶表示装置では、任意の色を呈する光源を用いたバックライトを組み合わせて用いることが可能である。例えば、赤(R)、緑(G)、青(B)、白(W)、若しくは赤(R)、緑(G)、青(B)、黄(Y)の4色を組み合わせて用いること、又はシアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の3色を組み合わせて用いることなどが可能である。
【0167】
また、白(W)の光を混色により形成するのではなく、白(W)の光を発する光源をさらにバックライトに設けるようにしても良い。白(W)の光を発する光源は、発光効率が高いため、当該光源を用いてバックライトを構成することで、消費電力を低減することが可能である。また、バックライトが補色の関係にある2色の光を発する光源を有する場合(例えば、青(B)と黄(Y)の2色を有する場合)、当該2色を呈する光を混色することで白(W)を呈する光を形成することも可能である。さらに、淡色の赤(R)、緑(G)、及び青(B)、並びに濃色の赤(R)、緑(G)、及び青(B)の6色を組み合わせて用いること、又は赤(R)、緑(G)、青(B)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の6色を組み合わせて用いることなども可能である。
【0168】
なお、例えば、赤(R)、緑(G)、及び青(B)の光源を用いて表現できる色は、色度図上のそれぞれの発光色に対応する3点が描く三角形の内側に示される色に限られる。従って、色度図上の該三角形の外側に発光色が存在する光源を別途加えることで、当該液晶表示装置において表現できる色域を拡大し、色再現性を豊かにすることができる。
【0169】
例えば、色度図の中心から、色度図上の青色の光源Bに対応する点に向かって概ね外側に位置する点で表される深い青色(Deep Blue:DB)や、色度図の中心から赤色の光源Rに対応する色度図上の点に向かって概ね外側に位置する点で表されるより深い赤色(Deep Red:DR)を発する光源を、赤(R)、緑(G)、及び青(B)の光源を有するバックライトに加えて使用することができる。
【0170】
バックライトの光源としては、冷陰極蛍光ランプよりも消費電力を低減でき、光の強弱を調節できる発光ダイオード(LED)を複数用いることが好ましい。バックライトにLEDを用いることによって部分的に光の強弱を調節し、コントラストが大きく、色の視認性の高い画像表示を行うことができる。
【0171】
また、画素部において1枚の画像を形成する期間の前後に、選択信号の走査及びバックライトユニットの点灯が行われない期間(消灯期間)を設ける構成とすることも可能である。
【0172】
また、バックライトにおける色の点灯順が互いに異なる複数のフレーム期間を設けることで、カラーブレイクの発生をより抑えることができる。
【0173】
<パルス出力回路の構成例2>
また、図19(A)に、パルス出力回路の別の構成例を示す。図19(A)に示すパルス出力回路は、図8(A)に示したパルス出力回路にトランジスタ50を付加した構成を有する。トランジスタ50は、その第1端子が高電源電位の与えられているノードに接続され、その第2端子がトランジスタ32のゲート電極、トランジスタ34のゲート電極、及びトランジスタ39のゲート電極に接続されている。またトランジスタ50は、そのゲート電極がリセット端子(Reset)に接続されている。
【0174】
なお、当該リセット端子には、画素部においてバックライトの色相の切り替えが一巡した後の期間において、ハイレベルの電位が入力され、その他の期間においてはローレベルの電位が入力される。なお、トランジスタ50は、ハイレベルの電位が入力されることでオン状態となるトランジスタである。これにより、バックライトの点灯が行われた後の期間において、各ノードの電位を初期化することができるので、誤動作を防止することが可能となる。
【0175】
なお、当該初期化を行う場合には、画素部に1枚の画像が形成される期間どうしの間に初期化期間を設ける必要がある。また、画素部に1画像を形成した後にバックライトを消灯する場合、消灯する期間において当該初期化を行うことが可能である。
【0176】
また、図19(B)に、パルス出力回路の別の構成例を示す。図19(B)に示すパルス出力回路は、図8(A)に示したパルス出力回路にトランジスタ51を付加した構成を有する。トランジスタ51は、その第1端子がトランジスタ31の第2端子及びトランジスタ32の第2端子に接続され、その第2端子がトランジスタ33のゲート電極及びトランジスタ38のゲート電極に接続されている。また、トランジスタ51は、そのゲート電極が高電源電位の与えられているノードに接続されている。
【0177】
なお、トランジスタ51は、図8(B)及び図8(C)に示した期間t1乃至期間t6において、オフとなる。そのため、トランジスタ51を付加した構成とすることで、期間t1乃至期間t6において、トランジスタ33のゲート電極及びトランジスタ38のゲート電極と、トランジスタ31の第2端子及びトランジスタ32の第2端子との接続を遮断することが可能となる。これにより、期間t1乃至期間t6に含まれる期間において、当該パルス出力回路で行われるブートストラップ動作時の負荷を低減することが可能である。
【0178】
また、図20(A)に、パルス出力回路の別の構成例を示す。図20(A)に示すパルス出力回路は、図19(B)に示したパルス出力回路にトランジスタ52を付加した構成を有する。トランジスタ52は、その第1端子がトランジスタ33のゲート電極及びトランジスタ51の第2端子に接続され、その第2端子がトランジスタ38のゲート電極に接続されている。また、トランジスタ52は、そのゲート電極が、高電源電位の与えられているノードに接続されている。
【0179】
トランジスタ52を設けることによって、当該パルス出力回路で行われるブートストラップ動作時の負荷を低減することが可能である。特に、当該パルス出力回路がトランジスタ33のソース電極とゲート電極の容量結合のみによって、トランジスタ33のゲート電極に接続されているノードの電位を上昇させる場合、当該負荷を低減する効果が大きい。
【0180】
また、図20(B)に、パルス出力回路の別の構成例を示す。図20(B)に示すパルス出力回路は、図20(A)に示したパルス出力回路からトランジスタ51を削除し、トランジスタ53を付加した構成を有する。トランジスタ53は、その第1端子がトランジスタ31の第2端子、トランジスタ32の第2端子、及びトランジスタ52の第1端子に接続され、その第2端子がトランジスタ33のゲート電極に接続されている。また、トランジスタ53は、そのゲート電極が高電源電位の与えられているノードに接続されている。
【0181】
トランジスタ53を設けることによって、当該パルス出力回路で行われるブートストラップ動作時の負荷を低減することが可能である。また、当該パルス出力回路に生じる不正パルスが、トランジスタ33及びトランジスタ38のスイッチングに与える影響を軽減することが可能である。
【0182】
本実施の形態で示したように、本発明の一態様に係る液晶表示装置は、画素部を複数の領域に分割し、領域ごとに異なる色相の光を順次供給することで、カラー画像の表示を行う。よって、特定の時刻に着目すると、隣接する領域に供給される光の色相を、互いに異ならせることができる。よって、各色の画像が合成されずに個別に視認されるのを防ぐことができ、動画の表示を行う際に起きやすかったカラーブレイクの発生を防ぐことができる。
【0183】
なお、異なる色相を有する複数の光源を用いてカラー画像の表示を行う場合、単色の光源とカラーフィルタを組み合わせる場合とは異なり、上記複数の光源を順次切り換えて発光させる必要がある。そして、上記光源の切り換えが行われる周波数は、単色の光源を用いた場合のフレーム周波数よりも高い値に設定する必要がある。例えば、単色の光源を用いた場合のフレーム周波数を60Hzとすると、赤、緑、青の各色に対応する光源を用いてFS駆動を行う場合、光源の切り替えを行う周波数は、約3倍の180Hzとなる。よって、駆動回路も上記光源の周波数に合わせて動作させるので、非常に高い周波数で動作を行うことになる。従って、駆動回路における消費電力が、単色の光源とカラーフィルタを組み合わせる場合に比べて高くなりやすい。
【0184】
しかし、本発明の一態様では、オフ電流の極めて小さいトランジスタを用いることで、液晶素子に与えられる電圧が保持される期間を長くすることができる。そのため、静止画を表示する際の駆動周波数を、動画を表示する際の駆動周波数よりも低くすることができる。そのため、消費電力を低減することができる液晶表示装置を実現することができる。
【0185】
(実施の形態2)
本実施の形態では、実施の形態1とパネルの構成が異なる、本発明の一態様に係る液晶表示装置の一例について説明する。
<パネルの構成例>
本発明の一態様に係るパネルの具体的な構成について、一例を挙げて説明する。
【0186】
図15(A)は、液晶表示装置の構成例を示す図である。図15(A)に示す液晶表示装置は、画素部60と、走査線駆動回路61と、信号線駆動回路62とを有する。本発明の一態様では、画素部60が複数の領域に分割されている。具体的に、図15(A)では、画素部60が、3つの領域(領域601〜領域603)に分割されている場合を例示している。そして、各領域は、マトリクス状に配設された複数の画素615を有する。
【0187】
また、画素部60には、走査線駆動回路61によって電位が制御されるm本の走査線GLと、信号線駆動回路62によって電位が制御される3×n本の信号線SLとが設けられている。そして、m本の走査線GLは、画素部60が有する領域の数に合わせて、複数のグループに分割されている。例えば、図15(A)の場合、画素部60が3つの領域に分割されているので、m本の走査線GLも3つのグループに分割されている。そして、各グループに属する走査線GLは、当該グループに対応する領域が有する複数の画素615に、接続されている。具体的に、各走査線GLは、各領域においてマトリクス状に配設された複数の画素615のうち、いずれかの行に配設されたn個の画素615に接続される。
【0188】
また、信号線SLも、画素部60が有する領域の数に合わせて、複数のグループに分割されている。例えば、図15(A)の場合、画素部60が3つの領域に分割されているので、3×n本の信号線SLも3つのグループに分割されている。そして、各グループに属する信号線SLは、当該グループに対応する領域が有する複数の画素615に、接続されている。
【0189】
具体的に、図15(A)では、3×n本の信号線SLが、n本の信号線SLaと、n本の信号線SLbと、n本の信号線SLcとで構成されている場合を例示している。そして、図15(A)では、n本の信号線SLaが、領域601においてマトリクス状に配設された複数の画素615のうち、いずれかの列に配設された画素615に接続されている場合を例示している。また、図15(A)では、n本の信号線SLbが、領域602においてマトリクス状に配設された複数の画素615のうち、いずれかの列に配設された画素615に接続されている場合を例示している。また、図15(A)では、n本の信号線SLcが、領域603においてマトリクス状に配設された複数の画素615のうち、いずれかの列に配設された画素615に接続されている場合を例示している。
【0190】
図15(B)、図15(C)、図15(D)は、それぞれ、領域601における画素615、領域602における画素615、領域603における画素615の回路図に相当する。画素615の構成は全ての領域において同じである。具体的には、スイッチング素子として機能するトランジスタ616と、トランジスタ616を介して与えられた画像信号の電位に従って、その透過率が制御される液晶素子618と、液晶素子618が有する画素電極と対向電極間の電圧を保持する容量素子617とを有する。
【0191】
ただし、図15(B)に示すように、領域601では、画素615に隣接するように信号線SLa、信号線SLb、信号線SLcが設けられている。そして、領域601において画素615は、トランジスタ616のゲート電極が走査線GLに接続されている。トランジスタ616は、その第1端子が信号線SLaに接続され、その第2端子が液晶素子618の画素電極に接続されている。容量素子617は、一方の電極が液晶素子618の画素電極に接続されており、他方の電極が、特定の電位の与えられているノードに接続されている。
【0192】
また、図15(C)に示すように、領域602では、画素615に隣接するように信号線SLb、信号線SLcが設けられている。そして、領域602において画素615は、トランジスタ616のゲート電極が走査線GLに接続されている。トランジスタ616は、その第1端子が信号線SLbに接続され、その第2端子が液晶素子618の画素電極に接続されている。容量素子617は、一方の電極が液晶素子618の画素電極に接続されており、他方の電極が、特定の電位の与えられているノードに接続されている。
【0193】
また、図15(D)に示すように、領域603では、画素615に隣接するように信号線SLcが設けられている。そして、領域603において画素615は、トランジスタ616のゲート電極が走査線GLに接続されている。トランジスタ616は、その第1端子が信号線SLcに接続され、その第2端子が液晶素子618の画素電極に接続されている。容量素子617は、一方の電極が液晶素子618の画素電極に接続されており、他方の電極が、特定の電位の与えられているノードに接続されている。
【0194】
なお、全ての画素615において、液晶素子618が有する対向電極にも特定の電位が与えられている。そして、対向電極に与えられる電位は、容量素子617が有する他方の電極に与えられる電位と共通であっても良い。
【0195】
画素615は、必要に応じて、トランジスタ、ダイオード、抵抗素子、容量素子、インダクタンスなどのその他の回路素子を、さらに有していても良い。
【0196】
そして、本発明の一態様では、上記スイッチング素子として機能するトランジスタ616のチャネル形成領域に、シリコン半導体よりもバンドギャップが広く、真性キャリア密度がシリコン半導体よりも低い半導体を含んでいても良い。上述したような特性を有する半導体材料をチャネル形成領域に含むことで、オフ電流が極めて低く、なおかつ高耐圧であるトランジスタ616を実現することができる。そして、上記構成を有するトランジスタ616をスイッチング素子として用いることで、通常のシリコンやゲルマニウムなどの半導体材料で形成されたトランジスタを用いた場合に比べて、液晶素子618に蓄積された電荷のリークを防ぐことができる。
【0197】
オフ電流の極めて小さいトランジスタ616を用いることで、液晶素子618に与えられる電圧が保持される期間を長く確保することができる。そのため、静止画のように、連続する幾つかのフレーム期間に渡って、画素部60に同じ画像情報を有する画像信号が書き込まれる場合などは、駆動周波数を低くする、言い換えると一定期間内における画素部60への画像信号の書き込み回数を少なくしても、画像の表示を維持することができる。例えば、上述したような、i型または実質的にi型である酸化物半導体膜を活性層として用いたトランジスタ616を用いることで、画像信号の書き込みの間隔を10秒以上、好ましくは30秒以上、さらに好ましくは1分以上にすることができる。そして、画像信号が書き込まれる間隔を長くすればするほど、より消費電力を低減することができる。
【0198】
また、画像信号の電位をより長い期間に渡って保持することができるため、画像信号の電位を保持するために、液晶素子618に容量素子617を接続しなくても、表示される画質が低下するのを防ぐことができる。よって、容量素子617を設けずとも、或いは容量素子617のサイズを小さく抑えても、開口率を高めることができるため、液晶表示装置の消費電力を低減させることができる。
【0199】
また、画像信号の電位の極性を、対向電極の電位を基準として反転させる反転駆動を行うことで、焼き付きと呼ばれる液晶の劣化を防ぐことができる。しかし、反転駆動を行うと、画像信号の極性が変化する際に信号線に与えられる電位の変化が大きくなるため、スイッチング素子として機能するトランジスタ616のソース電極とドレイン電極の電位差が大きくなる。よって、トランジスタ616は、しきい値電圧がシフトするなどの特性劣化が生じやすい。また、液晶素子618に保持されている電圧を維持するために、ソース電極とドレイン電極の電位差が大きくても、オフ電流が低いことが要求される。本発明の一態様では、トランジスタ616に、シリコンまたはゲルマニウムよりもバンドギャップが大きく、真性キャリア密度が低い酸化物半導体などの半導体を用いているので、トランジスタ616の耐圧性を高め、オフ電流を著しく低くすることができる。よって、通常のシリコンやゲルマニウムなどの半導体材料で形成されたトランジスタを用いた場合に比べて、トランジスタ616の劣化を防ぎ、液晶素子618に保持されている電圧を維持することができる。
【0200】
なお、図15(B)乃至15(D)では、画素615において、一のトランジスタ616をスイッチング素子として用いている場合について示しているが、本発明はこの構成に限定されない。一のスイッチング素子として機能する複数のトランジスタを用いていても良い。複数のトランジスタが一のスイッチング素子として機能する場合、上記複数のトランジスタは並列に接続されていても良いし、直列に接続されていても良いし、直列と並列が組み合わされて接続されていても良い。
【0201】
<走査線駆動回路61の構成例>
図16は、図15に示す液晶表示装置が有する、走査線駆動回路61の構成例を示す図である。図16に示す走査線駆動回路61は、j個の出力端子を有するシフトレジスタ611乃至613を有する。なお、シフトレジスタ611が有する出力端子のそれぞれは、領域601に配設されたj本の走査線GLのいずれかに接続され、シフトレジスタ612が有する出力端子のそれぞれは、領域602に配設されたj本の走査線GLのいずれかに接続され、シフトレジスタ613が有する出力端子のそれぞれは、領域603に配設されたj本の走査線GLのいずれかに接続される。すなわち、シフトレジスタ611は、領域601において選択信号を走査するシフトレジスタであり、シフトレジスタ612は、領域602において選択信号を走査するシフトレジスタであり、シフトレジスタ613は、領域603において選択信号を走査するシフトレジスタである。
【0202】
具体的に、シフトレジスタ611は、走査線駆動回路用スタートパルス信号(GSP)のパルスが入力されると、上記パルスに従って、走査線GL1乃至走査線GLjに、順次パルスが1/2周期毎にシフトする選択信号を供給する。シフトレジスタ612は、走査線駆動回路用スタートパルス信号(GSP)のパルスが入力されると、上記パルスに従って、走査線GLj+1乃至走査線GL2jに、順次パルスが1/2周期毎にシフトする選択信号を供給する。シフトレジスタ613は、走査線駆動回路用スタートパルス信号(GSP)のパルスが入力されると、上記パルスに従って、走査線GL2j+1乃至走査線GL3jに、順次パルスが1/2周期毎にシフトする選択信号を供給する。
【0203】
上述した走査線駆動回路61の、フルカラー画像表示期間301と、モノクロ静止画表示期間303の動作例について、図17を参照して説明する。
【0204】
なお、図17では、走査線駆動回路用クロック信号(GCK)、走査線GL1乃至走査線GLjに入力される選択信号、走査線GLj+1乃至走査線GL2jに入力される選択信号、走査線GL2j+1乃至走査線GL3jに入力される選択信号の、タイミングチャートを示している。
【0205】
まず、フルカラー画像表示期間301における走査線駆動回路61の動作について説明する。フルカラー画像表示期間301では、走査線駆動回路用スタートパルス信号(GSP)のパルスに従って、第1のサブフレーム期間SF1が開始する。第1のサブフレーム期間SF1では、走査線GL1乃至走査線GLjに、順次パルスが1/2周期毎にシフトする選択信号が供給される。また、走査線GLj+1乃至走査線GL2jにも、順次パルスが1/2周期毎にシフトする選択信号が供給される。また、走査線GL2j+1乃至走査線GL3jにも、順次パルスが1/2周期毎にシフトする選択信号が供給される。
【0206】
そして、再び走査線駆動回路用スタートパルス信号(GSP)のパルスが走査線駆動回路61に入力されると、上記パルスに従って、第2のサブフレーム期間SF2が開始する。第2のサブフレーム期間SF2では、第1のサブフレーム期間SF1と同様に、走査線GL1乃至走査線GLj、走査線GLj+1乃至走査線GL2j、走査線GL2j+1乃至走査線GL3jに、順次パルスのシフトした選択信号が入力される。
【0207】
そして、再び走査線駆動回路用スタートパルス信号(GSP)のパルスが走査線駆動回路61に入力されると、上記パルスに従って、第3のサブフレーム期間SF3が開始する。第3のサブフレーム期間SF3では、第1のサブフレーム期間SF1と同様に、走査線GL1乃至走査線GLj、走査線GLj+1乃至走査線GL2j、走査線GL2j+1乃至走査線GL3jに、順次パルスのシフトした選択信号が入力される。
【0208】
第1のサブフレーム期間SF1乃至第3のサブフレーム期間SF3が終了することで1フレーム期間が終了し、画素部に画像が表示される。
【0209】
次いで、モノクロ静止画表示期間303における走査線駆動回路61の動作について説明する。モノクロ静止画表示期間303では、画像信号の書き込み期間において、フルカラー画像表示期間301における各サブフレーム期間と同様の動作が走査線駆動回路61で行われる。
【0210】
次いで、保持期間では、走査線駆動回路61への駆動信号及び電源電位の供給を停止する。具体的には、まず、走査線駆動回路用スタートパルス信号(GSP)の供給を停止することで、走査線駆動回路61からの選択信号の出力を停止し、全ての走査線GLにおけるパルスによる選択を終了させる。その後、走査線駆動回路61への電源電位の供給を停止する。上記方法により、走査線駆動回路61の動作を停止する際に、走査線駆動回路61が誤動作するのを防ぐことができる。さらに、上記構成に加えて、第1の走査線駆動回路用クロック信号(GCK1)乃至第4の走査線駆動回路用クロック信号GCK4の走査線駆動回路61への供給を停止しても良い。
【0211】
走査線駆動回路61への駆動信号または電源電位の供給を停止することで、走査線GL1乃至走査線GLjと、走査線GLj+1乃至走査線GL2jと、走査線GL2j+1乃至走査線GL3jとには、全てローレベルの電位が与えられる。
【0212】
なお、モノクロ動画表示期間302については、書き込み期間における走査線駆動回路61の動作がモノクロ静止画表示期間303と同じである。
【0213】
本発明の一態様では、オフ電流の極めて小さいトランジスタを画素に用いることで、液晶素子に与えられる電圧が保持される期間を長くすることができる。そのため、モノクロ静止画表示期間303では、図17に示す保持期間を長く確保することができ、フルカラー画像表示期間301よりも、走査線駆動回路61の駆動周波数を低くすることができる。そのため、消費電力を低減することができる液晶表示装置を実現することができる。
【0214】
<信号線駆動回路62の構成例>
図18は、図15(A)に示す信号線駆動回路62の構成例を示す図である。図18に示す信号線駆動回路62は、第1の出力端子乃至第nの出力端子を有するシフトレジスタ620と、領域601に入力される画像信号(DATA1)、領域602に入力される画像信号(DATA2)、領域603に入力される画像信号(DATA3)の、信号線SLa乃至信号線SLcへの供給を制御するスイッチング素子群623とを有する。
【0215】
具体的に、スイッチング素子群623は、トランジスタ65a1乃至トランジスタ65anと、トランジスタ65b1乃至トランジスタ65bnと、トランジスタ65c1乃至トランジスタ65cnとを有している。
【0216】
トランジスタ65a1乃至トランジスタ65anは、その第1端子が、画像信号(DATA1)を供給する配線に接続されており、その第2端子が信号線SLa1乃至信号線SLanのそれぞれに接続されている。トランジスタ65a1乃至トランジスタ65anのゲート電極は、シフトレジスタ620の第1の出力端子乃至第nの出力端子にそれぞれ接続されている。
【0217】
トランジスタ65b1乃至トランジスタ65bnは、その第1端子が、画像信号(DATA2)を供給する配線に接続されており、その第2端子が信号線SLb1乃至信号線SLbnのそれぞれに接続されている。トランジスタ65b1乃至トランジスタ65bnのゲート電極は、シフトレジスタ620の第1の出力端子乃至第nの出力端子にそれぞれ接続されている。
【0218】
トランジスタ65c1乃至トランジスタ65cnは、その第1端子が、画像信号(DATA3)を供給する配線に接続されており、その第2端子が信号線SLc1乃至信号線SLcnのそれぞれに接続されている。トランジスタ65c1乃至トランジスタ65cnのゲート電極は、シフトレジスタ620の第1の出力端子乃至第nの出力端子にそれぞれ接続されている。
【0219】
なお、シフトレジスタ620は、信号線駆動回路用スタートパルス信号(SSP)と、信号線駆動回路用クロック信号(SCK)などの駆動信号に従って動作を行い、パルスが順次シフトした信号を第1の出力端子乃至第nの出力端子から出力する。上記信号がゲート電極に入力されることで、トランジスタ65a1乃至トランジスタ65anと、トランジスタ65b1乃至トランジスタ65bnと、トランジスタ65c1乃至トランジスタ65cnは、順次オンとなる。そして、信号線SLaに画像信号(DATA1)が入力され、信号線SLbに画像信号(DATA2)が入力され、信号線SLcに画像信号(DATA3)が入力され、画像が表示される。
【0220】
なお、モノクロ静止画表示期間303が有する保持期間では、シフトレジスタ620への信号線駆動回路用スタートパルス信号(SSP)の供給と、画像信号(DATA1)乃至画像信号(DATA3)の、信号線駆動回路62への供給を停止する。具体的には、まず、信号線駆動回路用スタートパルス信号(SSP)の供給を停止することで、信号線駆動回路62における画像信号のサンプリングを停止させる。その後、信号線駆動回路62への画像信号の供給と、電源電位の供給とを停止する。上記方法により、動作を停止する際に、信号線駆動回路62が誤動作するのを防ぐことができる。さらに、上記構成に加えて、信号線駆動回路62への、信号線駆動回路用クロック信号(SCK)の供給を停止しても良い。
【0221】
本実施の形態は、上記実施の形態と適宜組み合わせて実施することが可能である。
【0222】
(実施の形態3)
本実施の形態では、酸化物半導体を用いたトランジスタの作製方法について説明する。
【0223】
まず、図21(A)に示すように、基板700の絶縁表面上に、絶縁膜701を形成し、絶縁膜701上にゲート電極702を形成する。
【0224】
基板700として使用することができる基板は透光性を有していれば良く、その他には特に大きな制限はないが、少なくとも、後の加熱処理に耐えうる程度の耐熱性を有していることが必要となる。例えば、基板700には、フュージョン法やフロート法で作製されるガラス基板、石英基板、セラミック基板等を用いることができる。ガラス基板としては、後の加熱処理の温度が高い場合には、歪み点が730℃以上のものを用いると良い。プラスチック等の可撓性を有する合成樹脂からなる基板は、一般的に上記基板と比較して耐熱温度が低い傾向にあるが、作製工程における処理温度に耐え得るのであれば用いることが可能である。
【0225】
絶縁膜701は、後の作製工程における加熱処理の温度に耐えうる材料を用いる。具体的に、絶縁膜701として、酸化珪素、窒化珪素、窒化酸化珪素、酸化窒化珪素、窒化アルミニウム、酸化アルミニウムなどを用いるのが望ましい。
【0226】
なお、本明細書において酸化窒化物とは、その組成として、窒素よりも酸素の含有量が多い物質であり、また、窒化酸化物とは、その組成として、酸素よりも窒素の含有量が多い物質を意味する。
【0227】
ゲート電極702の材料は、モリブデン、チタン、クロム、タンタル、タングステン、ネオジム、スカンジウム、マグネシウム等の金属材料、これら金属材料を主成分とする合金材料を用いた導電膜、或いはこれら金属の窒化物を、単層で又は積層で用いることができる。なお、後の工程において行われる加熱処理の温度に耐えうるのであれば、上記金属材料としてアルミニウム、銅を用いることもできる。アルミニウムまたは銅は、耐熱性や腐食性の問題を回避するために、高融点金属材料と組み合わせて用いると良い。高融点金属材料としては、モリブデン、チタン、クロム、タンタル、タングステン、ネオジム、スカンジウム等を用いることができる。
【0228】
例えば、二層の積層構造を有するゲート電極702として、アルミニウム膜上にモリブデン膜が積層された二層の積層構造、銅膜上にモリブデン膜を積層した二層構造、銅膜上に窒化チタン膜若しくは窒化タンタル膜を積層した二層構造、または、窒化チタン膜とモリブデン膜とを積層した二層構造とすることが好ましい。3層の積層構造を有するゲート電極702としては、アルミニウム膜、アルミニウムとシリコンの合金膜、アルミニウムとチタンの合金膜またはアルミニウムとネオジムの合金膜を中間層とし、タングステン膜、窒化タングステン膜、窒化チタン膜またはチタン膜を上下層として積層した構造とすることが好ましい。
【0229】
また、ゲート電極702に酸化インジウム、酸化インジウム酸化スズ合金、酸化インジウム酸化亜鉛合金、酸化亜鉛、酸化亜鉛アルミニウム、酸窒化亜鉛アルミニウム、または酸化亜鉛ガリウム等の透光性を有する酸化物導電膜を用いることもできる。
【0230】
ゲート電極702の膜厚は、10nm以上400nm以下、好ましくは100nm以上200nm以下とする。本実施の形態では、タングステンターゲットを用いたスパッタ法により150nmのゲート電極用の導電膜を形成した後、該導電膜をエッチングにより所望の形状に加工(パターニング)することで、ゲート電極702を形成する。なお、形成されたゲート電極の端部がテーパー形状であると、上に積層するゲート絶縁膜の被覆性が向上するため好ましい。なお、レジストマスクをインクジェット法で形成してもよい。レジストマスクをインクジェット法で形成するとフォトマスクを使用しないため、製造コストを低減できる。
【0231】
次いで、図21(B)に示すように、ゲート電極702上にゲート絶縁膜703を形成した後、ゲート絶縁膜703上においてゲート電極702と重なる位置に、島状の酸化物半導体膜704を形成する。
【0232】
ゲート絶縁膜703は、プラズマCVD法又はスパッタリング法等を用いて、酸化珪素膜、窒化珪素膜、酸化窒化珪素膜、窒化酸化珪素膜、酸化アルミニウム膜、窒化アルミニウム膜、酸化窒化アルミニウム膜、窒化酸化アルミニウム膜、酸化ハフニウム膜または酸化タンタル膜を単層で又は積層させて形成することができる。ゲート絶縁膜703は、水分や、水素、酸素などの不純物を極力含まないことが望ましい。スパッタリング法により酸化珪素膜を成膜する場合には、ターゲットとしてシリコンターゲット又は石英ターゲットを用い、スパッタガスとして酸素又は、酸素及びアルゴンの混合ガスを用いる。
【0233】
不純物を除去することにより高純度化された酸化物半導体(高純度化された酸化物半導体)は界面準位、界面電荷に対して極めて敏感であるため、高純度化された酸化物半導体とゲート絶縁膜703との界面は重要である。そのため高純度化された酸化物半導体に接するゲート絶縁膜(GI)は、高品質化が要求される。
【0234】
例えば、μ波(周波数2.45GHz)を用いた高密度プラズマCVDは、緻密で絶縁耐圧の高い高品質な絶縁膜を形成できるので好ましい。高純度化された酸化物半導体と高品質ゲート絶縁膜とが密接することにより、界面準位を低減して界面特性を良好なものとすることができるからである。
【0235】
もちろん、ゲート絶縁膜703として良質な絶縁膜を形成できるものであれば、スパッタリング法やプラズマCVD法など他の成膜方法を適用することができる。また、成膜後の熱処理によって膜質や、酸化物半導体との界面特性が改善される絶縁膜であっても良い。いずれにしても、ゲート絶縁膜としての膜質が良好であることは勿論のこと、ゲート絶縁膜と酸化物半導体との界面準位密度を低減し、良好な界面を形成できるものであれば良い。
【0236】
バリア性の高い材料を用いた絶縁膜と、窒素の含有比率が低い酸化珪素膜、酸化窒化珪素膜などの絶縁膜とを積層させた構造を有するゲート絶縁膜703を形成しても良い。この場合、酸化珪素膜、酸化窒化珪素膜などの絶縁膜は、バリア性の高い絶縁膜と酸化物半導体膜の間に形成する。バリア性の高い絶縁膜として、例えば窒化珪素膜、窒化酸化珪素膜、窒化アルミニウム膜、酸化アルミニウム膜、または窒化酸化アルミニウム膜などが挙げられる。バリア性の高い絶縁膜を用いることで、水分または水素などの雰囲気中の不純物、或いは基板内に含まれるアルカリ金属、重金属などの不純物が、酸化物半導体膜内、ゲート絶縁膜703内、或いは、酸化物半導体膜と他の絶縁膜の界面とその近傍に入り込むのを防ぐことができる。また、酸化物半導体膜に接するように窒素の含有比率が低い酸化珪素膜、酸化窒化珪素膜などの絶縁膜を形成することで、バリア性の高い絶縁膜が直接酸化物半導体膜に接するのを防ぐことができる。
【0237】
例えば、第1のゲート絶縁膜としてスパッタリング法により膜厚50nm以上200nm以下の窒化珪素膜(SiN(y>0))を形成し、第1のゲート絶縁膜上に第2のゲート絶縁膜として膜厚5nm以上300nm以下の酸化珪素膜(SiO(x>0))を積層して、膜厚100nmのゲート絶縁膜703としても良い。ゲート絶縁膜703の膜厚は、トランジスタに要求される特性によって適宜設定すればよく350nm乃至400nm程度でもよい。
【0238】
本実施の形態では、スパッタ法で形成された膜厚50nmの窒化珪素膜上に、スパッタ法で形成された膜厚100nmの酸化珪素膜を積層させた構造を有する、ゲート絶縁膜703を形成する。
【0239】
なお、ゲート絶縁膜703は後に形成される酸化物半導体と接する。酸化物半導体は、水素が含有されると特性に悪影響を及ぼすので、ゲート絶縁膜703は水素、水酸基および水分が含まれないことが望ましい。ゲート絶縁膜703に水素、水酸基及び水分がなるべく含まれないようにするためには、成膜の前処理として、スパッタリング装置の予備加熱室でゲート電極702が形成された基板700を予備加熱し、基板700に吸着した水分または水素などの不純物を脱離し排気することが好ましい。なお、予備加熱の温度は、100℃以上400℃以下、好ましくは150℃以上300℃以下である。なお、予備加熱室に設ける排気手段はクライオポンプが好ましい。なお、この予備加熱の処理は省略することもできる。
【0240】
ゲート絶縁膜703上に形成した酸化物半導体膜を所望の形状に加工し、島状の酸化物半導体膜を形成する。上記酸化物半導体膜の膜厚は、2nm以上200nm以下、好ましくは3nm以上50nm以下、さらに好ましくは3nm以上20nm以下とする。酸化物半導体膜は、酸化物半導体をターゲットとして用い、スパッタ法により成膜する。また、酸化物半導体膜は、希ガス(例えばアルゴン)雰囲気下、酸素雰囲気下、又は希ガス(例えばアルゴン)及び酸素混合雰囲気下においてスパッタ法により形成することができる。
【0241】
なお、酸化物半導体膜をスパッタ法により成膜する前に、アルゴンガスを導入してプラズマを発生させる逆スパッタを行い、ゲート絶縁膜703の表面に付着している塵埃を除去することが好ましい。逆スパッタとは、ターゲット側に電圧を印加せずに、アルゴン雰囲気下で基板側にRF電源を用いて電圧を印加して基板近傍にプラズマを形成して表面を改質する方法である。なお、アルゴン雰囲気に代えて窒素、ヘリウムなどを用いてもよい。また、アルゴン雰囲気に酸素、亜酸化窒素などを加えた雰囲気で行ってもよい。また、アルゴン雰囲気に塩素、四フッ化炭素などを加えた雰囲気で行ってもよい。
【0242】
酸化物半導体膜には、酸化インジウム、酸化スズ、酸化亜鉛、二元系金属の酸化物であるIn−Zn系酸化物、Sn−Zn系酸化物、Al−Zn系酸化物、Zn−Mg系酸化物、Sn−Mg系酸化物、In−Mg系酸化物、In−Ga系酸化物、三元系金属の酸化物であるIn−Ga−Zn系酸化物(IGZOとも表記する)、In−Al−Zn系酸化物、In−Sn−Zn系酸化物、Sn−Ga−Zn系酸化物、Al−Ga−Zn系酸化物、Sn−Al−Zn系酸化物、In−Hf−Zn系酸化物、In−La−Zn系酸化物、In−Ce−Zn系酸化物、In−Pr−Zn系酸化物、In−Nd−Zn系酸化物、In−Sm−Zn系酸化物、In−Eu−Zn系酸化物、In−Gd−Zn系酸化物、In−Tb−Zn系酸化物、In−Dy−Zn系酸化物、In−Ho−Zn系酸化物、In−Er−Zn系酸化物、In−Tm−Zn系酸化物、In−Yb−Zn系酸化物、In−Lu−Zn系酸化物、四元系金属の酸化物であるIn−Sn−Ga−Zn系酸化物、In−Hf−Ga−Zn系酸化物、In−Al−Ga−Zn系酸化物、In−Sn−Al−Zn系酸化物、In−Sn−Hf−Zn系酸化物、In−Hf−Al−Zn系酸化物を用いることができる。
【0243】
酸化物半導体は、好ましくはInを含有する酸化物半導体、さらに好ましくは、In、及びGaを含有する酸化物半導体である。酸化物半導体膜をi型(真性)とするため、後に説明する脱水化または脱水素化と、酸化物半導体膜への酸素の供与による酸素欠損の低減は、有効である。
【0244】
本実施の形態では、酸化物半導体膜としてIn(インジウム)、Ga(ガリウム)、及びZn(亜鉛)を含むターゲットを用いて、スパッタ法により膜厚30nmのIn−Ga−Zn系酸化物半導体膜を成膜する。
【0245】
酸化物半導体膜をスパッタリング法で作製するためのターゲットとしては、例えば、組成比として、In:Ga:ZnO=1:1:1[mol数比]の酸化物ターゲットを用い、In−Ga−Zn−O層を成膜する。また、このターゲットの材料及び組成に限定されず、例えば、In:Ga:ZnO=1:1:2[mol数比]の酸化物ターゲットを用いてもよい。
【0246】
また、酸化物半導体膜としてIn−Zn系酸化物の材料を用いる場合、用いるターゲットの組成比は、原子数比で、In:Zn=50:1から1:2(モル数比に換算するとIn:ZnO=25:1から1:4)、好ましくはIn:Zn=20:1から1:1(モル数比に換算するとIn:ZnO=10:1から1:2)、さらに好ましくはIn:Zn=15:1から1.5:1(モル数比に換算するとIn:ZnO=15:2から3:4)とする。例えば、In−Zn系酸化物半導体層の形成に用いるターゲットは、原子数比がIn:Zn:O=X:Y:Zのとき、Z>1.5X+Yとする。
【0247】
また、酸化物ターゲットの相対密度は90%以上100%以下、好ましくは95%以上99.9%以下である。相対密度の高いターゲットを用いることにより、成膜した酸化物半導体膜を緻密な膜とすることができる。
【0248】
本実施の形態では、減圧状態に保持された処理室内に基板を保持し、処理室内の残留水分を除去しつつ水素及び水分が除去されたスパッタガスを導入し、上記ターゲットを用いて基板700上に酸化物半導体膜を成膜する。成膜時に、基板温度を100℃以上600℃以下、好ましくは200℃以上400℃以下としても良い。基板を加熱しながら成膜することにより、成膜した酸化物半導体膜に含まれる不純物濃度を低減することができる。また、スパッタリングによる損傷が軽減される。処理室内の残留水分を除去するためには、吸着型の真空ポンプを用いることが好ましい。例えば、クライオポンプ、イオンポンプ、チタンサブリメーションポンプを用いることが好ましい。また、排気手段としては、ターボポンプにコールドトラップを加えたものであってもよい。クライオポンプを用いて処理室を排気すると、例えば、水素原子、水(HO)など水素原子を含む化合物(より好ましくは炭素原子を含む化合物も)等が排気されるため、当該処理室で成膜した酸化物半導体膜に含まれる不純物の濃度を低減できる。
【0249】
成膜条件の一例としては、基板とターゲットの間との距離を100mm、圧力0.6Pa、直流(DC)電源電力0.5kW、酸素(酸素流量比率100%)雰囲気下の条件が適用される。なお、パルス直流(DC)電源を用いると、成膜時に発生する塵埃が軽減でき、膜厚分布も均一となるために好ましい。
【0250】
なお、酸化物半導体膜に水素、水酸基及び水分がなるべく含まれないようにするために、成膜の前処理として、スパッタリング装置の予備加熱室でゲート絶縁膜703までが形成された基板700を予備加熱し、基板700に吸着した水分または水素などの不純物を脱離し排気することが好ましい。なお、予備加熱の温度は、100℃以上400℃以下、好ましくは150℃以上300℃以下である。また、予備加熱室に設ける排気手段はクライオポンプが好ましい。なお、この予備加熱の処理は省略することもできる。また、この予備加熱は、後に行われる絶縁膜707の成膜前に、導電膜705、導電膜706まで形成した基板700にも同様に行ってもよい。
【0251】
なお、島状の酸化物半導体膜704を形成するためのエッチングは、ドライエッチングでもウェットエッチングでもよく、両方を用いてもよい。ドライエッチングに用いるエッチングガスとしては、塩素を含むガス(塩素系ガス、例えば塩素(Cl)、塩化硼素(BCl)、四塩化珪素(SiCl)、四塩化炭素(CCl)など)が好ましい。また、フッ素を含むガス(フッ素系ガス、例えば四弗化炭素(CF)、六弗化硫黄(SF)、三弗化窒素(NF)、トリフルオロメタン(CHF)など)、臭化水素(HBr)、これらのガスにヘリウム(He)やアルゴン(Ar)などの希ガスを添加したガス、などを用いることができる。
【0252】
ドライエッチング法としては、平行平板型RIE(Reactive Ion Etching)法や、ICP(Inductively Coupled Plasma:誘導結合型プラズマ)エッチング法を用いることができる。所望の加工形状にエッチングできるように、エッチング条件(コイル型の電極に印加される電力量、基板側の電極に印加される電力量、基板側の電極温度等)を適宜調節する。
【0253】
ウェットエッチングに用いるエッチング液として、ITO−07N(関東化学社製)を用いてもよい。
【0254】
島状の酸化物半導体膜704を形成するためのレジストマスクをインクジェット法で形成してもよい。レジストマスクをインクジェット法で形成するとフォトマスクを使用しないため、製造コストを低減できる。
【0255】
なお、次工程の導電膜を形成する前に逆スパッタを行い、島状の酸化物半導体膜704及びゲート絶縁膜703の表面に付着しているレジスト残渣などを除去することが好ましい。
【0256】
なお、スパッタ等で成膜された酸化物半導体膜中には、不純物としての水分または水素(水酸基を含む)が多量に含まれていることがある。水分または水素はドナー準位を形成しやすいため、酸化物半導体にとっては不純物である。そこで、本発明の一態様では、酸化物半導体膜中の水分または水素などの不純物を低減(脱水化または脱水素化)するために、島状の酸化物半導体膜704に対して、減圧雰囲気下、窒素や希ガスなどの不活性ガス雰囲気下、酸素ガス雰囲気下、または超乾燥エア(CRDS(キャビティリングダウンレーザー分光法)方式の露点計を用いて測定した場合の水分量が20ppm(露点換算で−55℃)以下、好ましくは1ppm以下、好ましくは10ppb以下の空気)雰囲気下で、島状の酸化物半導体膜704に加熱処理を施す。
【0257】
島状の酸化物半導体膜704に加熱処理を施すことで、島状の酸化物半導体膜704中の水分または水素を脱離させることができる。具体的には、250℃以上750℃以下、好ましくは400℃以上基板の歪み点未満の温度で加熱処理を行えば良い。例えば、500℃、3分間以上6分間以下程度で行えばよい。加熱処理にRTA法を用いれば、短時間に脱水化または脱水素化が行えるため、ガラス基板の歪点を超える温度でも処理することができる。
【0258】
本実施の形態では、加熱処理装置の一つである電気炉を用いる。
【0259】
なお、加熱処理装置は電気炉に限られず、抵抗発熱体などの発熱体からの熱伝導または熱輻射によって、被処理物を加熱する装置を備えていてもよい。例えば、GRTA(Gas Rapid Thermal Anneal)装置、LRTA(Lamp Rapid Thermal Anneal)装置等のRTA(Rapid Thermal Anneal)装置を用いることができる。LRTA装置は、ハロゲンランプ、メタルハライドランプ、キセノンアークランプ、カーボンアークランプ、高圧ナトリウムランプ、高圧水銀ランプなどのランプから発する光(電磁波)の輻射により、被処理物を加熱する装置である。GRTA装置は、高温のガスを用いて加熱処理を行う装置である。気体には、アルゴンなどの希ガス、または窒素のような、加熱処理によって被処理物と反応しない不活性気体が用いられる。
【0260】
なお、加熱処理においては、窒素、またはヘリウム、ネオン、アルゴン等の希ガスに、水分または水素などが含まれないことが好ましい。または、加熱処理装置に導入する窒素、またはヘリウム、ネオン、アルゴン等の希ガスの純度を、6N(99.9999%)以上、好ましくは7N(99.99999%)以上、(即ち不純物濃度を1ppm以下、好ましくは0.1ppm以下)とすることが好ましい。
【0261】
以上の工程により、島状の酸化物半導体膜704中の水素の濃度を低減し、高純度化することができる。それにより酸化物半導体膜の安定化を図ることができる。また、ガラス転移点以下の加熱処理で、水素に起因するキャリアが少なく、バンドギャップの広い酸化物半導体膜を形成することができる。このため、大面積基板を用いてトランジスタを作製することができ、量産性を高めることができる上記加熱処理は、酸化物半導体膜の成膜以降であれば、いつでも行うことができる。
【0262】
なお、酸化物半導体膜を加熱する場合、酸化物半導体膜の材料や加熱条件にもよるが、その表面に板状結晶が形成されることがある。板状結晶は、酸化物半導体膜の表面に対して略垂直にc軸配向した単結晶体であることが好ましい。また、単結晶体でなくともチャネル形成領域で各結晶のab面が一致するか、a軸、或いは、b軸が全てにおいて一致し、かつ、酸化物半導体膜の表面に対して略垂直にc軸配向した多結晶体又は単結晶であることが好ましい。なお、酸化物半導体膜が形成される層の表面に凹凸がある場合、板状結晶は多結晶体となる。したがって、酸化物半導体膜が形成される層の表面は、可能な限り平坦であることが望まれる。具体的には、酸化物半導体膜が形成される層の表面の平均面粗さ(Ra)を1nm以下、好ましくは0.3nm以下、より好ましくは0.1nm以下のとするとよい。Raは原子間力顕微鏡(AFM:Atomic Force Microscope)にて評価可能である。
【0263】
次いで、図21(C)に示すように、ソース電極、ドレイン電極として機能する導電膜705、導電膜706と、上記導電膜705、導電膜706、及び島状の酸化物半導体膜704上に、絶縁膜707を形成する。
【0264】
導電膜705、導電膜706は、島状の酸化物半導体膜704を覆うように、スパッタ法や真空蒸着法で導電膜を形成したあと、エッチング等により該導電膜をパターニングすることで、形成することができる。
【0265】
導電膜705及び導電膜706は、島状の酸化物半導体膜704に接している。導電膜705、導電膜706となる導電膜の材料としては、アルミニウム、クロム、銅、タンタル、チタン、モリブデン、タングステン、ネオジム、スカンジウム、マグネシウム等から選ばれた元素、または上述した元素を成分とする合金か、上述した元素を組み合わせた合金膜等が挙げられる。また、アルミニウムまたは銅は、耐熱性や腐食性の問題を回避するために、高融点金属材料と組み合わせて用いると良い。高融点金属材料としては、モリブデン、チタン、クロム、タンタル、タングステン、ネオジム、スカンジウム、イットリウム等を用いることができる。
【0266】
また、導電膜は、単層構造でも、2層以上の積層構造としてもよい。例えば、シリコンを含むアルミニウム膜の単層構造、アルミニウム膜上にチタン膜を積層する2層構造、チタン膜と、そのチタン膜上に重ねてアルミニウム膜を積層し、さらにその上にチタン膜を成膜する3層構造などが挙げられる。
【0267】
また、導電膜705、導電膜706となる導電膜としては、導電性の金属酸化物で形成しても良い。導電性の金属酸化物としては酸化インジウム、酸化スズ、酸化亜鉛、酸化インジウム酸化スズ合金、酸化インジウム酸化亜鉛合金または金属酸化物材料にシリコン若しくは酸化シリコンを含ませたものを用いることができる。
【0268】
導電膜形成後に加熱処理を行う場合には、この加熱処理に耐える耐熱性を導電膜に持たせることが好ましい。
【0269】
なお、導電膜のエッチングの際に、島状の酸化物半導体膜704がなるべく除去されないようにそれぞれの材料及びエッチング条件を適宜調節する。エッチング条件によっては、島状の酸化物半導体膜704の露出した部分が一部エッチングされることで、溝部(凹部)が形成されることもある。
【0270】
本実施の形態では、導電膜にチタン膜を用いる。そのため、アンモニアと過酸化水素を含む溶液(アンモニア過水)を用いて、選択的に導電膜をウェットエッチングすることができる。アンモニア過水を含む溶液は、具体的には、31重量%過酸化水素水と、28重量%アンモニア水と、水を、体積比2:1:1で混合した水溶液を用いる。或いは、塩素(Cl)、塩化硼素(BCl)などを含むガスを用いて、導電膜をドライエッチングしても良い。
【0271】
なお、フォトリソグラフィ工程で用いるフォトマスク数及び工程数を削減するため、透過した光に多段階の強度をもたせる多階調マスクによって形成されたレジストマスクを用いてエッチング工程を行ってもよい。多階調マスクを用いて形成したレジストマスクは複数の膜厚を有する形状となり、エッチングを行うことでさらに形状を変形することができるため、異なるパターンに加工する複数のエッチング工程に用いることができる。よって、一枚の多階調マスクによって、少なくとも二種類以上の異なるパターンに対応するレジストマスクを形成することができる。よって露光マスク数を削減することができ、対応するフォトリソグラフィ工程も削減できるため、工程の簡略化が可能となる。
【0272】
なお、絶縁膜707を形成する前に、NO、N、またはArなどのガスを用いたプラズマ処理を島状の酸化物半導体膜704に対して行う。このプラズマ処理によって露出している島状の酸化物半導体膜704の表面に付着した吸着水などを除去する。また、酸素とアルゴンの混合ガスを用いてプラズマ処理を行ってもよい。
【0273】
絶縁膜707は、水分や、水素などの不純物を極力含まないことが望ましく、単層の絶縁膜であっても良いし、積層された複数の絶縁膜で構成されていても良い。絶縁膜707に水素が含まれると、その水素が酸化物半導体膜へ侵入し、又は水素が酸化物半導体膜中の酸素を引き抜き、島状の酸化物半導体膜704のバックチャネル部が低抵抗化(n型化)してしまい、寄生チャネルが形成されるおそれがある。よって、絶縁膜707はできるだけ水素を含まない膜になるように、成膜方法に水素を用いないことが重要である。上記絶縁膜707には、バリア性の高い材料を用いるのが望ましい。例えば、バリア性の高い絶縁膜として、窒化珪素膜、窒化酸化珪素膜、窒化アルミニウム膜、酸化アルミニウム膜、または窒化酸化アルミニウム膜などを用いることができる。複数の積層された絶縁膜を用いる場合、窒素の含有比率が低い酸化珪素膜、酸化窒化珪素膜などの絶縁膜を、上記バリア性の高い絶縁膜よりも、島状の酸化物半導体膜704に近い側に形成する。そして、窒素の含有比率が低い絶縁膜を間に挟んで、導電膜705、導電膜706及び島状の酸化物半導体膜704と重なるように、バリア性の高い絶縁膜を形成する。バリア性の高い絶縁膜を用いることで、島状の酸化物半導体膜704内、ゲート絶縁膜703内、或いは、島状の酸化物半導体膜704と他の絶縁膜の界面とその近傍に、水分または水素などの不純物が入り込むのを防ぐことができる。また、島状の酸化物半導体膜704に接するように窒素の比率が低い酸化珪素膜、酸化窒化珪素膜などの絶縁膜を形成することで、バリア性の高い材料を用いた絶縁膜が直接島状の酸化物半導体膜704に接するのを防ぐことができる。
【0274】
本実施の形態では、スパッタ法で形成された膜厚200nmの酸化珪素膜上に、スパッタ法で形成された膜厚100nmの窒化珪素膜を積層させた構造を有する、絶縁膜707を形成する。成膜時の基板温度は、室温以上300℃以下とすればよく、本実施の形態では100℃とする。
【0275】
なお、絶縁膜707を形成した後に、加熱処理を施しても良い。加熱処理は、窒素、超乾燥空気、または希ガス(アルゴン、ヘリウムなど)の雰囲気下において、好ましくは200℃以上400℃以下、例えば250℃以上350℃以下)で行う。上記ガスは、水の含有量が20ppm以下、好ましくは1ppm以下、好ましくは10ppb以下であることが望ましい。本実施の形態では、例えば、窒素雰囲気下で250℃、1時間の加熱処理を行う。或いは、導電膜705、導電膜706を形成する前に、水分または水素を低減させるための酸化物半導体膜に対して行った先の加熱処理と同様に、高温短時間のRTA処理を行っても良い。酸素を含む絶縁膜707が設けられた後に加熱処理が施されることによって、先の加熱処理により、島状の酸化物半導体膜704に酸素欠損が発生していたとしても、絶縁膜707から島状の酸化物半導体膜704に酸素が供与される。そして、島状の酸化物半導体膜704に酸素が供与されることで、島状の酸化物半導体膜704において、ドナーとなる酸素欠損を低減し、化学量論比を満たすことが可能である。島状の酸化物半導体膜704には、化学量論比を超える量の酸素が含まれていることが好ましい。その結果、島状の酸化物半導体膜704をi型に近づけることができ、酸素欠損によるトランジスタの電気特性のばらつきを軽減し、電気特性の向上を実現することができる。この加熱処理を行うタイミングは、絶縁膜707の形成後であれば特に限定されず、他の工程、例えば樹脂膜形成時の加熱処理や、透光性を有する導電膜を低抵抗化させるための加熱処理と兼ねることで、工程数を増やすことなく、島状の酸化物半導体膜704をi型に近づけることができる。
【0276】
また、酸素雰囲気下で島状の酸化物半導体膜704に加熱処理を施すことで、酸化物半導体に酸素を添加し、島状の酸化物半導体膜704中においてドナーとなる酸素欠損を低減させても良い。加熱処理の温度は、例えば100℃以上350℃未満、好ましくは150℃以上250℃未満で行う。上記酸素雰囲気下の加熱処理に用いられる酸素ガスには、水、水素などが含まれないことが好ましい。または、加熱処理装置に導入する酸素ガスの純度を、6N(99.9999%)以上、好ましくは7N(99.99999%)以上、(即ち酸素中の不純物濃度を1ppm以下、好ましくは0.1ppm以下)とすることが好ましい。
【0277】
或いは、イオン注入法またはイオンドーピング法などを用いて、島状の酸化物半導体膜704に酸素を添加することで、ドナーとなる酸素欠損を低減させても良い。例えば、2.45GHzのマイクロ波でプラズマ化した酸素を島状の酸化物半導体膜704に添加すれば良い。
【0278】
なお、絶縁膜707上に導電膜を形成した後、該導電膜をパターニングすることで、島状の酸化物半導体膜704と重なる位置にバックゲート電極を形成しても良い。バックゲート電極を形成した場合は、バックゲート電極を覆うように絶縁膜を形成するのが望ましい。バックゲート電極は、ゲート電極702、或いは導電膜705、導電膜706と同様の材料、構造を用いて形成することが可能である。
【0279】
バックゲート電極の膜厚は、10nm以上400nm以下、好ましくは100nm以上200nm以下とする。例えば、チタン膜、アルミニウム膜、チタン膜が積層された構造を有する導電膜を形成した後、フォトリソグラフィ法などによりレジストマスクを形成し、エッチングにより不要な部分を除去して、該導電膜を所望の形状に加工(パターニング)することで、バックゲート電極を形成すると良い。
【0280】
以上の工程により、トランジスタ708が形成される。
【0281】
トランジスタ708は、ゲート電極702と、ゲート電極702上のゲート絶縁膜703と、ゲート絶縁膜703上においてゲート電極702と重なっている島状の酸化物半導体膜704と、島状の酸化物半導体膜704上に形成された一対の導電膜705または導電膜706とを有する。さらに、トランジスタ708は、絶縁膜707を、その構成要素に含めても良い。図21(C)に示すトランジスタ708は、導電膜705と導電膜706の間において、島状の酸化物半導体膜704の一部がエッチングされたチャネルエッチ構造である。
【0282】
なお、トランジスタ708はシングルゲート構造のトランジスタを用いて説明したが、必要に応じて、電気的に接続された複数のゲート電極702を有することで、チャネル形成領域を複数有する、マルチゲート構造のトランジスタも形成することができる。
【0283】
本実施の形態は、他の実施の形態と適宜組み合わせて実施することが可能である。
【0284】
(実施の形態4)
本実施の形態では、トランジスタの構成例について説明する。なお、上記実施の形態と同一部分又は同様な機能を有する部分、及び工程は、上記実施の形態と同様に行うことができ、本実施の形態での繰り返しの説明は省略する。なお、同じ箇所の詳細な説明も省略する。
【0285】
図22(A)に示すトランジスタ2450は、基板2400上にゲート電極2401が形成され、ゲート電極2401上にゲート絶縁膜2402が形成され、ゲート絶縁膜2402上に酸化物半導体膜2403が形成され、酸化物半導体膜2403上に、ソース電極2405a、及びドレイン電極2405bが形成されている。また、酸化物半導体膜2403、ソース電極2405a、及びドレイン電極2405b上に絶縁膜2407が形成されている。また、絶縁膜2407上に保護絶縁膜2409を形成してもよい。トランジスタ2450は、ボトムゲート構造のトランジスタの一つであり、逆スタガ型トランジスタの一つでもある。
【0286】
図22(B)に示すトランジスタ2460は、基板2400上にゲート電極2401が形成され、ゲート電極2401上にゲート絶縁膜2402が形成され、ゲート絶縁膜2402上に酸化物半導体膜2403が形成され、酸化物半導体膜2403上にチャネル保護層2406が形成され、チャネル保護層2406及び酸化物半導体膜2403上に、ソース電極2405a、及びドレイン電極2405bが形成されている。また、ソース電極2405a、及びドレイン電極2405b上に保護絶縁膜2409を形成してもよい。トランジスタ2460は、チャネル保護型(チャネルストップ型ともいう)と呼ばれるボトムゲート構造のトランジスタの一つであり、逆スタガ型トランジスタの一つでもある。チャネル保護層2406は、他の絶縁膜と同様の材料及び方法を用いて形成することができる。
【0287】
図22(C)に示すトランジスタ2470は、基板2400上に下地膜2436が形成され、下地膜2436上に酸化物半導体膜2403が形成され、酸化物半導体膜2403、及び下地膜2436上に、ソース電極2405a、及びドレイン電極2405bが形成され、酸化物半導体膜2403、ソース電極2405a、及びドレイン電極2405b上にゲート絶縁膜2402が形成され、ゲート絶縁膜2402上にゲート電極2401が形成されている。また、ゲート電極2401上に保護絶縁膜2409を形成してもよい。トランジスタ2470は、トップゲート構造のトランジスタの一つである。
【0288】
図22(D)に示すトランジスタ2480は、基板2400上に、第1のゲート電極2411が形成され、第1のゲート電極2411上に第1のゲート絶縁膜2413が形成され、第1のゲート絶縁膜2413上に酸化物半導体膜2403が形成され、酸化物半導体膜2403、及び第1のゲート絶縁膜2413上に、ソース電極2405a、及びドレイン電極2405bが形成されている。また、酸化物半導体膜2403、ソース電極2405a、及びドレイン電極2405b上に第2のゲート絶縁膜2414が形成され、第2のゲート絶縁膜2414上に第2のゲート電極2412が形成されている。また、第2のゲート電極2412上に保護絶縁膜2409を形成してもよい。
【0289】
トランジスタ2480は、トランジスタ2450とトランジスタ2470を併せた構造を有している。第1のゲート電極2411と第2のゲート電極2412を電気的に接続して一つのゲート電極として機能させることができる。また、第1のゲート電極2411と第2のゲート電極2412のうち、どちらか一方を単にゲート電極と呼び、他方をバックゲート電極と呼ぶことがある。
【0290】
バックゲート電極の電位を変化させることで、トランジスタのしきい値電圧を変化させることができる。バックゲート電極は、酸化物半導体膜2403のチャネル形成領域と重なるように形成する。バックゲート電極は、電気的に絶縁しているフローティングの状態であっても良いし、電位が与えられる状態であっても良い。後者の場合、バックゲート電極には、ゲート電極と同じ高さの電位が与えられていても良いし、グラウンドなどの固定電位が与えられていても良い。バックゲート電極に与える電位の高さを制御することで、トランジスタ2480のしきい値電圧を制御することができる。
【0291】
また、バックゲート電極により酸化物半導体膜2403を覆うことで、バックゲート電極側から酸化物半導体膜2403に光が入射するのを防ぐことができる。よって、酸化物半導体膜2403の光劣化を防ぎ、トランジスタのしきい値電圧がシフトするなどの特性の劣化が引き起こされるのを防ぐことができる。
【0292】
酸化物半導体膜2403に接する絶縁膜(本実施の形態においては、ゲート絶縁膜2402、絶縁膜2407、チャネル保護層2406、下地膜2436、第1のゲート絶縁膜2413、第2のゲート絶縁膜2414が相当する。)は、第13族元素および酸素を含む絶縁材料を用いることが好ましい。酸化物半導体材料には第13族元素を含むものが多く、第13族元素を含む絶縁材料は酸化物半導体との相性が良く、これを酸化物半導体膜に接する絶縁膜に用いることで、酸化物半導体膜との界面の状態を良好に保つことができる。
【0293】
第13族元素を含む絶縁材料とは、絶縁材料に一または複数の第13族元素を含むことを意味する。第13族元素を含む絶縁材料としては、例えば、酸化ガリウム、酸化アルミニウム、酸化アルミニウムガリウム、酸化ガリウムアルミニウムなどがある。ここで、酸化アルミニウムガリウムとは、ガリウムの含有量(原子%)よりアルミニウムの含有量(原子%)が多いものを示し、酸化ガリウムアルミニウムとは、ガリウムの含有量(原子%)がアルミニウムの含有量(原子%)以上のものを示す。
【0294】
例えば、ガリウムを含有する酸化物半導体膜に接して絶縁膜を形成する場合に、絶縁膜に酸化ガリウムを含む材料を用いることで酸化物半導体膜と絶縁膜の界面特性を良好に保つことができる。例えば、酸化物半導体膜と酸化ガリウムを含む絶縁膜とを接して設けることにより、酸化物半導体膜と絶縁膜の界面における水素のパイルアップを低減することができる。なお、絶縁膜に酸化物半導体膜の成分元素と同じ族の元素を用いる場合には、同様の効果を得ることが可能である。例えば、酸化アルミニウムを含む材料を用いて絶縁膜を形成することも有効である。なお、酸化アルミニウムは、水を透過させにくいという特性を有しているため、当該材料を用いることは、酸化物半導体膜への水の侵入防止という点においても好ましい。
【0295】
また、酸化物半導体膜2403に接する絶縁膜は、酸素雰囲気下による熱処理や、酸素ドープなどにより、絶縁材料を化学量論的組成比より酸素が多い状態とすることが好ましい。酸素ドープとは、酸素をバルクに添加することをいう。なお、当該バルクの用語は、酸素を薄膜表面のみでなく薄膜内部に添加することを明確にする趣旨で用いている。また、酸素ドープには、プラズマ化した酸素をバルクに添加する酸素プラズマドープが含まれる。また、酸素ドープは、イオン注入法またはイオンドーピング法を用いて行ってもよい。
【0296】
例えば、酸化物半導体膜2403に接する絶縁膜として酸化ガリウムを用いた場合、酸素雰囲気下による熱処理や、酸素ドープを行うことにより、酸化ガリウムの組成をGa(X=3+α、0<α<1)とすることができる。
【0297】
また、酸化物半導体膜2403に接する絶縁膜として酸化アルミニウムを用いた場合、酸素雰囲気下による熱処理や、酸素ドープを行うことにより、酸化アルミニウムの組成をAl(X=3+α、0<α<1)とすることができる。
【0298】
また、酸化物半導体膜2403に接する絶縁膜として酸化ガリウムアルミニウム(酸化アルミニウムガリウム)を用いた場合、酸素雰囲気下による熱処理や、酸素ドープを行うことにより、酸化ガリウムアルミニウム(酸化アルミニウムガリウム)の組成をGaAl2−X3+α(0<X<2、0<α<1)とすることができる。
【0299】
酸素ドープ処理を行うことにより、化学量論的組成比より酸素が多い領域を有する絶縁膜を形成することができる。このような領域を備える絶縁膜と酸化物半導体膜が接することにより、絶縁膜中の過剰な酸素が酸化物半導体膜に供給され、酸化物半導体膜中、または酸化物半導体膜と絶縁膜の界面における酸素欠損を低減し、酸化物半導体膜をi型またはi型に限りなく近い酸化物半導体とすることができる。
【0300】
なお、化学量論的組成比より酸素が多い領域を有する絶縁膜は、酸化物半導体膜2403に接する絶縁膜のうち、上層に位置する絶縁膜または下層に位置する絶縁膜のうち、どちらか一方のみに用いても良いが、両方の絶縁膜に用いる方が好ましい。化学量論的組成比より酸素が多い領域を有する絶縁膜を、酸化物半導体膜2403に接する絶縁膜の、上層及び下層に位置する絶縁膜に用い、酸化物半導体膜2403を挟む構成とすることで、上記効果をより高めることができる。
【0301】
また、酸化物半導体膜2403の上層または下層に用いる絶縁膜は、上層と下層で同じ構成元素を有する絶縁膜としても良いし、異なる構成元素を有する絶縁膜としても良い。例えば、上層と下層とも、組成がGa(X=3+α、0<α<1)の酸化ガリウムとしても良いし、上層と下層の一方を組成がGa(X=3+α、0<α<1)の酸化ガリウムとし、他方を組成がAl(X=3+α、0<α<1)の酸化アルミニウムとしても良い。
【0302】
また、酸化物半導体膜2403に接する絶縁膜は、化学量論的組成比より酸素が多い領域を有する絶縁膜の積層としても良い。例えば、酸化物半導体膜2403の上層に組成がGa(X=3+α、0<α<1)の酸化ガリウムを形成し、その上に組成がGaAl2−X3+α(0<X<2、0<α<1)の酸化ガリウムアルミニウム(酸化アルミニウムガリウム)を形成してもよい。なお、酸化物半導体膜2403の下層を、化学量論的組成比より酸素が多い領域を有する絶縁膜の積層としても良いし、酸化物半導体膜2403の上層及び下層の両方を、化学量論的組成比より酸素が多い領域を有する絶縁膜の積層としても良い。
【0303】
本実施の形態は、他の実施の形態と適宜組み合わせて実施することが可能である。
【0304】
(実施の形態5)
本実施の形態では、本発明の一態様に係る液晶表示装置において用いられる、基板の一形態について、図23と図24を用いて説明する。
【0305】
まず、基板6200上に、剥離層6201を介して、被剥離層6116を形成する(図23(A)参照)。
【0306】
基板6200としては、石英基板、サファイア基板、セラミック基板や、ガラス基板、金属基板などを用いることができる。なお、これら基板は、可撓性を明確に表さない程度に厚みのあるものを使用することで、精度良くトランジスタなどの素子を形成することができる。可撓性を明確に表さない程度とは、通常液晶ディスプレイを作製する際に使用されているガラス基板の弾性率程度、もしくはより弾性率が大きいことを意味する。
【0307】
剥離層6201は、スパッタリング法やプラズマCVD法、塗布法、印刷法等により、タングステン(W)、モリブデン(Mo)、チタン(Ti)、タンタル(Ta)、ニオブ(Nb)、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)、ジルコニウム(Zr)、亜鉛(Zn)、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、パラジウム(Pd)、オスミウム(Os)、イリジウム(Ir)、珪素(Si)から選択された元素、又は元素を主成分とする合金材料、又は元素を主成分とする化合物材料からなる層を、単層又は積層して形成する。
【0308】
剥離層6201が単層構造の場合、好ましくは、タングステン層、モリブデン層、又はタングステンとモリブデンの混合物を含む層を形成する。又は、タングステンの酸化物若しくは酸化窒化物を含む層、モリブデンの酸化物若しくは酸化窒化物を含む層、又はタングステンとモリブデンの混合物の酸化物若しくは酸化窒化物を含む層を形成する。なお、タングステンとモリブデンの混合物とは、例えば、タングステンとモリブデンの合金に相当する。
【0309】
剥離層6201が積層構造の場合、好ましくは、1層目として金属層を形成し、2層目として金属酸化物層を形成する。代表的には1層目としてタングステン層、モリブデン層、又はタングステンとモリブデンの混合物を含む層を形成し、2層目として、タングステン、モリブデン又はタングステンとモリブデンの混合物の酸化物、窒化物、酸化窒化物又は窒化酸化物を形成すると良い。2層目の金属酸化物層の形成は、1層目の金属層上に、酸化物層(例えば酸化シリコンなどの絶縁層として利用できるもの)を形成することで金属層表面に当該金属の酸化物が形成されることを応用しても良い。
【0310】
被剥離層6116としては、トランジスタや層間絶縁膜、配線、画素電極及び場合に応じて対向電極や遮蔽膜、配向膜など、素子基板として必要な要素が含まれる。これらは、剥離層6201上に、通常通り作製することができる。これらの材料、作製方法及び構造などに関しては上記実施の形態において示したものと同様であるため、説明を省略する。このように、トランジスタや電極は公知の材料や方法を用いて精度良く作製することができる。
【0311】
次いで、剥離用接着剤6203を用いて被剥離層6116を仮支持基板6202に接着した後、被剥離層6116を基板6200の剥離層6201から剥離して転置する(図23(B)参照)。これにより被剥離層6116は、仮支持基板側に設けられる。なお、本明細書において、作製用基板から仮支持基板に剥離層を転置する工程を転置工程という。
【0312】
仮支持基板6202は、ガラス基板、石英基板、サファイア基板、セラミック基板、金属基板などを用いることができる。また、以降の処理温度に耐えうる耐熱性を有するプラスチック基板を用いても良い。
【0313】
また、ここで用いる剥離用接着剤6203は、水や溶媒に可溶なものや、紫外線などの照射により可塑化させることが可能であるような、必要時に仮支持基板6202と被剥離層6116とを分離することが可能な接着剤を用いる。
【0314】
なお、仮支持基板6202への転置工程は、様々な方法を適宜用いることができる。例えば、剥離層6201として、被剥離層6116と接する側に金属酸化膜を含む膜を形成した場合は、当該金属酸化膜を結晶化させることにより脆弱化して、被剥離層6116を基板6200から剥離することができる。また、基板6200と被剥離層6116の間に、剥離層6201として水素を含む非晶質珪素膜を形成した場合は、レーザ光の照射またはエッチングにより当該水素を含む非晶質珪素膜を除去して、被剥離層6116を基板6200から剥離することができる。また、剥離層6201として窒素、酸素や水素等を含む膜(例えば、水素を含む非晶質珪素膜、水素含有合金膜、酸素含有合金膜など)を用いた場合には、剥離層6201にレーザ光を照射して剥離層6201内に含有する窒素、酸素や水素をガスとして放出させ、被剥離層6116と基板6200との分離を促進することができる。他の方法として、剥離層6201と被剥離層6116との界面に液体を浸透させて基板6200から被剥離層6116を剥離してもよい。剥離層6201をタングステンで形成し、アンモニア過水により剥離層6201をエッチングしながら剥離を行う方法もある。
【0315】
また、上記剥離方法を複数組み合わせることでより容易に転置工程を行うことができる。レーザ光の照射、ガスや溶液などによる剥離層へのエッチング、鋭いナイフやメスなどによる機械的な除去を部分的に行い、剥離層と被剥離層とを剥離しやすい状態にしてから、物理的な力(機械等による)によって剥離を行う工程などがこれに当たる。剥離層6201を金属と金属酸化物との積層構造により形成した場合、レーザ光の照射によって形成される溝や鋭いナイフやメスなどによる傷などをきっかけとして、剥離層から物理的に引き剥がすことも容易となる。
【0316】
また、これら剥離を行う際に水などの液体をかけながら行ってもよい。
【0317】
被剥離層6116を基板6200から分離する方法としては、他に、被剥離層6116が形成された基板6200を、機械的に研磨などを行って除去する方法や、溶液やNF、BrF、ClF等のフッ化ハロゲンガスによるエッチングで除去する方法等も用いることができる。この場合は、剥離層6201を設けなくとも良い。
【0318】
続いて、基板6200から剥離され、露出した剥離層6201、若しくは被剥離層6116表面に剥離用接着剤6203とは異なる接着剤による第1の接着剤層6111を用いて転置基板6110を接着する(図23(C)参照)。
【0319】
第1の接着剤層6111の材料としては、紫外線硬化型接着剤など光硬化型の接着剤、反応硬化型接着剤、熱硬化型接着剤、または嫌気型接着剤など各種硬化型接着剤を用いることができる。
【0320】
転置基板6110としては、じん性が大きい各種基板を用い、例えば、有機樹脂のフィルムや金属基板などを好適に使用することができる。じん性の大きい基板は耐衝撃性に優れ、破損し難い基板である。有機樹脂のフィルムは軽量であり、また、金属基板も薄いものは軽量であることから、通常のガラス基板を使用する場合と比較して、大幅な軽量化が可能となる。このような基板を用いることによって、軽く、破損しにくい液晶表示装置を作製することができるようになる。
【0321】
透過型もしくは半透過型の液晶表示装置の場合には、転置基板6110としては、じん性が大きく且つ可視光に対する透光性を有する基板を用いれば良い。このような基板を構成する材料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)又はポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ポリアクリルニトリル樹脂、ポリイミド樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂、ポリカーボネート樹脂(PC)、ポリエーテルスルフォン樹脂(PES)、ポリアミド樹脂、シクロオレフィン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂等などが挙げられる。これら有機樹脂からなる基板は、じん性が大きいことから、耐衝撃性にも優れ、破損しにくい基板である。また、これら有機樹脂のフィルムは軽量であることから、通常のガラス基板と比較して、非常に軽量化された液晶表示装置を作製することが可能となる。また、この場合、転置基板6110は、少なくとも各画素の光が透過する領域と重なる部分に開口が設けられた金属板6206をさらに備えることが好ましい構成である。この構成とすることによって、寸法変化を抑制しながらじん性が大きく、耐衝撃性が高く破損しにくい転置基板6110を構成できる。さらに、金属板6206の厚さを薄くすることで、従来のガラス基板よりも軽い転置基板6110を構成できる。このような基板を用いることによって、軽く、破損しにくい液晶表示装置を作製することができるようになる。(図23(D)参照)。
【0322】
図24(A)は液晶表示装置における上面図の一例である。図24(A)のように、第1の配線層6210と第2の配線層6211とが交差し、第1の配線層6210と第2の配線層6211に囲まれた領域が光の透過する領域6212である液晶表示装置の場合、図24(B)のように、第1の配線層6210及び第2の配線層6211と重なる部分が残り、碁盤の目状に開口が設けられた金属板6206を用いれば良い。図24(C)に示すように、このような金属板6206を貼り合わせて用いることにより、有機樹脂からなる基板を用いたことによる合わせ精度の悪化や基板の伸びによる寸法変化を抑制することができる。なお、偏光板(図示せず)が必要な場合には、転置基板6110と金属板6206の間に設けても、金属板6206のさらに外側に設けても良い。偏光板はあらかじめ金属板6206に貼り付けられていても良い。なお、軽量化の観点からは、金属板6206として上記寸法安定化の効果を奏する範囲内において薄い基板を採用することが好ましい。
【0323】
その後、被剥離層6116から仮支持基板6202を分離する。剥離用接着剤6203は必要時に仮支持基板6202と被剥離層6116とを分離することが可能な材料で形成されているので、当該材料に合った方法により仮支持基板6202を分離すれば良い。なお、バックライトは図面矢印のように照射される(図23(E)参照)。
【0324】
以上により、トランジスタから画素電極までが形成された被剥離層6116(必要に応じて対向電極、遮蔽膜、配向膜などが設けられていても良い)を転置基板6110上に作製することができ、軽量かつ耐衝撃性の高い素子基板を作製することができる。
【0325】
<変形例>
上述した構成を有する液晶表示装置は、本発明の一態様であり、当液晶表示装置と異なる構成を備える以下の液晶表示装置も、本発明に含まれる。上述の転置工程(図23(B))の後、転置基板6110を貼り付ける前に、露出した剥離層6201、若しくは被剥離層6116表面に、金属板6206を貼り付けても良い(図23(C’)参照)。この場合、金属板6206からの汚染物質が、被剥離層6116におけるトランジスタの特性に悪影響を及ぼすことを防ぐため、バリア層6207を間に設けると良い。バリア層6207を設ける場合は、露出した剥離層6201、若しくは被剥離層6116表面にバリア層6207を設けてから、金属板6206を貼り付ければ良い。バリア層6207は無機材料や有機材料などにより形成すれば良く、代表的には窒化シリコンなどが挙げられるが、トランジスタの汚染を防止することができれば、これらに限られることはない。バリア層は透光性を有する材料で形成するか、もしくは透光性を有する程度に薄い膜とするなど、少なくとも可視光に対する透光性を有するように作製する。なお、金属板6206は、剥離用接着剤6203とは異なる接着剤を用いて第2の接着剤層(図示せず)を形成し、接着すればよい。
【0326】
この後、第1の接着剤層6111を金属板6206表面に形成し、転置基板6110を貼り付け(図23(D’))、被剥離層6116から仮支持基板6202を分離する(図23(E’))ことにより、軽量且つ耐衝撃性の高い素子基板を作製することができる。なお、バックライトからは、図面矢印のように光が照射される。
【0327】
このように作製した軽量かつ耐衝撃性の高い素子基板と、対向基板とを液晶層を間に挟持させてシール材で固着することによって、軽量かつ耐衝撃性の高い液晶表示装置を作製することができる。対向基板としては、じん性が大きく、可視光に対する透光性を有する基板(転置基板6110に用いることが可能なプラスチック基板と同様のもの)を用いることができる。必要に応じてこれに偏光板、遮蔽膜や対向電極及び配向膜が設けられていても良い。液晶層を形成する方法としては、従来同様ディスペンサ法や注入法などを適用することができる。
【0328】
以上のように作製された軽量かつ耐衝撃性の高い液晶表示装置は、トランジスタなどの微細な素子の作製を、寸法安定性が比較的良好なガラス基板上などで行うことができ、また、従来どおりの作製方法の適用が可能であることから、微細な素子であっても精度良く形成することができる。このため、耐衝撃性を有しながらも、高精細で高品質な画像を提供でき、且つ軽量な液晶表示装置を提供することが可能となる。
【0329】
さらに、上記のように作製した液晶表示装置は、可撓性を有せしめることも可能である。
【0330】
本実施の形態は、上記実施の形態と適宜組み合わせて実施することが可能である。
【0331】
(実施の形態6)
次いで、本発明の一態様に係る液晶表示装置のパネルついて、図25を用いて説明する。図25(A)は、基板4001と対向基板4006とをシール材4005によって接着させたパネルの上面図であり、図25(B)は、図25(A)の破線A−A’における断面図に相当する。
【0332】
基板4001上に設けられた画素部4002と、走査線駆動回路4004とを囲むように、シール材4005が設けられている。また、画素部4002、走査線駆動回路4004の上に対向基板4006が設けられている。よって、画素部4002と走査線駆動回路4004は、基板4001とシール材4005と対向基板4006とによって、液晶4007と共に封止されている。
【0333】
また、基板4001上のシール材4005によって囲まれている領域とは異なる領域に、信号線駆動回路4003が形成された基板4021が、実装されている。図25では、信号線駆動回路4003に含まれるトランジスタ4009を例示している。
【0334】
また、基板4001上に設けられた画素部4002、走査線駆動回路4004は、トランジスタを複数有している。図25(B)では、画素部4002に含まれるトランジスタ4010、トランジスタ4022を例示している。トランジスタ4010、トランジスタ4022は、酸化物半導体をチャネル形成領域に含んでいる。そして、対向基板4006に形成されている遮蔽膜4040は、トランジスタ4010、トランジスタ4022と重なっている。トランジスタ4010、トランジスタ4022を遮光することで、酸化物半導体の光による劣化を防ぎ、トランジスタ4010、トランジスタ4022のしきい値電圧がシフトするなどの特性の劣化を防ぐことができる。
【0335】
また、液晶素子4011が有する画素電極4030は、反射電極4032及び透明電極4033を有し、トランジスタ4010と電気的に接続されている。そして、液晶素子4011の対向電極4031は、対向基板4006に形成されている。画素電極4030と対向電極4031と液晶4007とが重なっている部分が、液晶素子4011に相当する。
【0336】
また、スペーサ4035が、画素電極4030と対向電極4031との間の距離(セルギャップ)を制御するために設けられている。なお、図25(B)では、スペーサ4035が、絶縁膜をパターニングすることで形成されている場合を例示しているが、球状スペーサを用いていても良い。
【0337】
また、信号線駆動回路4003、走査線駆動回路4004、画素部4002に与えられる各種信号及び電位は、配線4014及び配線4015を介して、接続端子4016から供給されている。接続端子4016は、FPC4018が有する端子と、異方性導電膜4019を介して電気的に接続されている。
【0338】
なお、基板4001、対向基板4006、基板4021には、ガラス、セラミックス、プラスチックを用いることができる。プラスチックには、FRP(Fiberglass−Reinforced Plastics)板、PVF(ポリビニルフルオライド)フィルム、ポリエステルフィルムまたはアクリル樹脂フィルムなどが含まれる。また、アルミニウムホイルをPVFフィルムで挟んだ構造のシートを用いることもできる。
【0339】
但し、液晶素子4011からの光の取り出し方向に位置する基板には、ガラス板、プラスチック、ポリエステルフィルムまたはアクリルフィルムのような透光性を有する材料を用いる。
【0340】
図26は、本発明の一態様に係る液晶表示装置の構造を示す、斜視図の一例である。図26に示す液晶表示装置は、画素部を有するパネル1601と、第1の拡散板1602と、プリズムシート1603と、第2の拡散板1604と、導光板1605と、バックライトパネル1607と、回路基板1608と、信号線駆動回路の形成された基板1611とを有している。
【0341】
パネル1601と、第1の拡散板1602と、プリズムシート1603と、第2の拡散板1604と、導光板1605と、バックライトパネル1607とは、順に積層されている。バックライトパネル1607は、複数の光源で構成されたバックライト1612を有している。導光板1605内部に拡散されたバックライト1612からの光は、第1の拡散板1602、プリズムシート1603及び第2の拡散板1604によって、パネル1601に照射される。
【0342】
なお、本実施の形態では、第1の拡散板1602と第2の拡散板1604とを用いているが、拡散板の数はこれに限定されず、単数であっても3以上であっても良い。そして、拡散板は導光板1605とパネル1601の間に設けられていれば良い。よって、プリズムシート1603よりもパネル1601に近い側にのみ拡散板が設けられていても良いし、プリズムシート1603よりも導光板1605に近い側にのみ拡散板が設けられていても良い。
【0343】
またプリズムシート1603は、図26に示した断面が鋸歯状の形状に限定されず、導光板1605からの光をパネル1601側に集光できる形状を有していれば良い。
【0344】
回路基板1608には、パネル1601に入力される各種信号を生成する回路、またはこれら信号に処理を施す回路などが設けられている。そして、図26では、回路基板1608とパネル1601とが、COFテープ1609を介して接続されている。また、信号線駆動回路の形成された基板1611が、COF(Chip ON Film)法を用いてCOFテープ1609に接続されている。
【0345】
図26では、バックライト1612の駆動を制御する制御系の回路が回路基板1608に設けられており、該制御系の回路とバックライトパネル1607とがFPC1610を介して接続されている例を示している。ただし、上記制御系の回路はパネル1601に形成されていても良く、この場合はパネル1601とバックライトパネル1607とがFPCなどにより接続されるようにする。
【0346】
本実施の形態は、他の実施の形態と適宜組み合わせて実施することが可能である。
【0347】
(実施の形態7)
本実施の形態では、本発明の一態様に係る液晶表示装置の画素構成の一例について、図27乃至図29を用いて説明する。図27(A)は液晶表示装置に用いられる画素部の平面図であり、1画素分の画素を示している。図27(B)は図27(A)の線Y1−Y2、及び線Z1−Z2における断面図である。
【0348】
図27(A)において、複数のソース配線(ソース電極又はドレイン電極505aを含む)が互いに平行(図中上下方向に延伸)かつ互いに離間した状態で配置されている。複数のゲート配線(ゲート電極501を含む)は、ソース配線に略直交する方向(図中左右方向)に延伸し、かつ互いに離間するように配置されている。容量配線508は、複数のゲート配線それぞれに隣接する位置に配置されており、ゲート配線に概略平行な方向、つまり、ソース配線に概略直交する方向(図中左右方向)に延伸している。
【0349】
図27(A)(B)の液晶表示装置は、半透過型液晶表示装置であり、画素領域は反射領域598及び透過領域599で構成されている。反射領域598では透明電極546上に画素電極として反射電極547が積層され、透過領域599では画素電極として透明電極546のみが形成されている。なお、図27(A)(B)では、層間膜513上に、透明電極546、反射電極547の順に積層する例を示したが、層間膜513上に、反射電極547、透明電極546の順に積層する構造であってもよい。トランジスタ550上には絶縁膜507、509、及び層間膜513が設けられ、絶縁膜507、509、及び層間膜513に形成された開口(コンタクトホール)において、透明電極546及び反射電極547はトランジスタ550と電気的に接続されている。
【0350】
図27(B)に示すように、第2の基板542には共通電極(対向電極ともいう)548が形成され、第1の基板541上の透明電極546及び反射電極547と、液晶層544を介して対向している。なお、図27(A)(B)の液晶表示装置では、透明電極546及び反射電極547と液晶層544との間に配向膜560aが設けられ、共通電極548と液晶層544との間には配向膜560bが設けられている。配向膜560a、560bは、液晶の配向を制御する機能を有する絶縁層であり、液晶材料によっては設けなくてもよい。
【0351】
トランジスタ550は、ボトムゲート構造の逆スタガ型トランジスタの例であり、ゲート電極501、ゲート絶縁膜502、酸化物半導体膜503、ソース電極又はドレイン電極505a、及びソース電極又はドレイン電極505bを含む。また、ゲート電極501と同工程で形成された容量配線508、ゲート絶縁膜502、及びソース電極又はドレイン電極505a、505bと同工程で形成された導電層549が積層し、容量を形成している。なお、容量配線508を覆うように、アルミニウム(Al)や銀(Ag)などの反射導電膜で形成される反射電極547を形成することが好ましい。
【0352】
また、反射電極547をトランジスタ550を覆うように形成することで、第2の基板542側から入射した光が酸化物半導体膜503に届かないようにし、酸化物半導体の光による劣化を防ぎ、トランジスタ550のしきい値電圧がシフトするなどの特性の劣化を防ぐことができる。なお、トランジスタ550は、ボトムゲート構造のトランジスタであるため、ゲート電極501に遮光性の導電材料を用いることで、第1の基板541側から入射した光を遮光することができる。
【0353】
本実施の形態における半透過型液晶表示装置は、トランジスタ550のオンオフ制御によって、透過領域599における動画のカラー表示と、反射領域598における静止画のモノクロ(白黒)表示を行うことができる。
【0354】
透過領域599においては、第1の基板541側に設けられたバックライトからの入射光によって表示を行うことができる。一方、反射領域598においては、第2の基板542側から入射した外光を反射電極547によって反射することで表示を行うことができる。
【0355】
図28は、図27とは異なり、トランジスタ550を反射電極547が覆っていない液晶表示装置の例を示している。また、図28に示す液晶表示装置では、トランジスタ550が有する酸化物半導体膜503を覆って、遮蔽膜555が形成されている。遮蔽膜555を設けることにより、反射電極547がトランジスタ550を覆わない構成とした場合でも、第2の基板542側から入射した光による酸化物半導体の劣化を防ぐことができる。
【0356】
遮蔽膜555は、遮光性を有する材料であればよく、ゲート電極、ソース電極またはドレイン電極、反射電極などと同様の材料及び方法で形成することができる。遮蔽膜555を遮光性及び導電性を有する材料を用いて形成し、バックゲート電極として機能させてもよい。
【0357】
次に、液晶表示装置において、反射電極547に凹凸を形成する例を図29に示す。図29は、反射領域598において、層間膜513表面を凹凸形状とすることで反射電極547に凹凸形状を形成する例である。層間膜513表面の凹凸形状は、選択的にエッチング加工を行うことで形成すればよい。例えば感光性の有機樹脂にフォトリソグラフィ工程を行って凹凸形状を有する層間膜513を形成することができる。
【0358】
図29に示すように、反射電極547表面に凹凸を有すると、入射した外光を乱反射させ、より良好な表示を行うことができる。よって、表示における視認性が向上する。
【0359】
本実施の形態は、他の実施の形態と適宜組み合わせて実施することが可能である。
【0360】
(実施の形態8)
本実施の形態では、他の実施の形態に示した作製方法を用いてトランジスタ951、及びバックゲート電極を有するトランジスタ952の2種類のトランジスタを作製し、光負バイアス試験前後でのしきい値電圧(Vth)変化量を評価した結果を示す。
【0361】
まず、図30(A)を用いてトランジスタ951の積層構成及び作製方法について説明する。基板900上に、下地膜936として、CVD法により窒化シリコン膜(厚さ200nm)と酸化窒化シリコン膜(厚さ400nm)の積層膜を形成した。次に、下地膜936上に、スパッタ法により窒化タンタル膜(厚さ30nm)と、タングステン膜(厚さ100nm)の積層膜を成膜し、選択的にエッチングしてゲート電極901を形成した。
【0362】
次に、ゲート電極901上に、ゲート絶縁膜902として、高密度プラズマCVD法により酸化窒化シリコン膜(厚さ30nm)を形成した。
【0363】
次に、ゲート絶縁膜902上に、スパッタ法によりIn−Ga−Zn系酸化物半導体ターゲットを用いて、酸化物半導体膜(厚さ30nm)を形成した。続いて、酸化物半導体膜を選択的にエッチングし、島状の酸化物半導体膜903を形成した。
【0364】
次に、窒素雰囲気下、450℃で60分間の第1の加熱処理を行った。
【0365】
次に、酸化物半導体膜903上にチタン膜(厚さ100nm)、アルミニウム膜(厚さ200nm)、及びチタン膜(厚さ100nm)の積層膜をスパッタ法により成膜し、選択的にエッチングしてソース電極905a及びドレイン電極905bを形成した。
【0366】
次に、窒素雰囲気下、300℃で60分間の第2の加熱処理を行った。
【0367】
次に、酸化物半導体膜903の一部に接し、ソース電極905a及びドレイン電極905b上に、絶縁膜907としてスパッタ法により酸化シリコン膜を形成し、絶縁膜907上に、絶縁膜908として、ポリイミド樹脂層(厚さ1.5μm)を形成した。
【0368】
次に、窒素雰囲気下、250℃で60分間の第3の加熱処理を行った。
【0369】
次に、絶縁膜908上に絶縁膜909として、ポリイミド樹脂層(厚さ2.0μm)を形成した。
【0370】
次に、窒素雰囲気下、250℃で60分間の第4の加熱処理を行った。
【0371】
図30(B)に示すトランジスタ952は、トランジスタ951と同様に作製することができる。なお、トランジスタ951とは、絶縁膜908と絶縁膜909の間にバックゲート電極912が形成されている点が異なる。バックゲート電極912は、絶縁膜908上に、チタン膜(厚さ100nm)、アルミニウム膜(厚さ200nm)、及びチタン膜(厚さ100nm)の積層膜をスパッタ法により成膜し、選択的にエッチングすることで形成した。バックゲート電極912は、ソース電極905aと電気的に接続させた。
【0372】
また、トランジスタ951及びトランジスタ952とも、チャネル長は3μm、チャネル幅は20μmとした。
【0373】
続いて、本実施の形態で作製したトランジスタ951及びトランジスタ952に対して行った光負バイアス試験について説明する。
【0374】
光負バイアス試験は加速試験の一種であり、光が照射されている環境下におけるトランジスタの特性変化を、短時間で評価することができる。特に、光負バイアス試験におけるトランジスタのVthの変化量は、信頼性を調べるための重要な指標となる。光負バイアス試験において、Vthの変化量が少ないほど、信頼性が高いトランジスタであるといえる。光負バイアス試験の前後におけるVthの変化量は、1V以下が好ましく、0.5V以下がさらに好ましい。
【0375】
具体的には、光負バイアス試験は、トランジスタが形成されている基板の温度(基板温度)を一定に維持し、トランジスタのソース電極及びドレイン電極を同電位とし、光を照射しながら、ゲート電極にソース電極及びドレイン電極よりも低い電位を一定時間印加することで行う。
【0376】
光負バイアス試験のストレス強度は、光照射条件、基板温度、ゲート絶縁膜に加えられる電界強度、電界印加時間により決定することができる。ゲート絶縁膜に加えられる電界強度は、ソース電極及びドレイン電極を同電位とし、ゲート電極と、ソース電極及びドレイン電極との電位差をゲート絶縁膜の厚さで除して決定される。例えば、厚さが100nmのゲート絶縁膜に印加する電界強度を2MV/cmとしたい場合は、電位差を20Vとすればよい。
【0377】
なお、光が照射されている環境下において、ソース電極及びドレイン電極の電位よりも高い電位をゲート電極に印加して行う試験を光正バイアス試験というが、光正バイアス試験よりも、光負バイアス試験の方が、トランジスタの特性変動が起きやすいため、本実施の形態では光負バイアス試験にて評価している。
【0378】
本実施の形態における光負バイアス試験は、基板温度を室温(25℃)とし、ゲート絶縁膜902に印加する電界強度を2MV/cmとし、光照射及び電界印加時間を1時間として行った。また、光照射の条件は、朝日分光社キセノン光源「MAX−302」を用いて、ピーク波長400nm(半値幅10nm)、放射照度326μW/cmとした。
【0379】
光負バイアス試験に先立ち、まず、試験対象となるトランジスタの初期特性を測定した。本実施の形態では、基板温度を室温(25℃)とし、ソース電極とドレイン電極間の電圧(以下、ドレイン電圧またはVdという)を3Vとし、ソース電極とゲート電極間の電圧(以下、ゲート電圧またはVgという)を−5Vから+5Vまで変化させた時の、ソース電極とドレイン電極間に流れる電流(以下、ドレイン電流またはIdという)の変化特性、すなわちVg−Id特性を測定した。
【0380】
次に、絶縁膜909側から光照射を開始し、トランジスタのソース電極及びドレイン電極の電位を0Vとし、トランジスタのゲート絶縁膜902へ印加される電界強度が2MV/cmとなるようにゲート電極901に負の電圧を印加した。ここでは、トランジスタのゲート絶縁膜902の厚さが30nmであるため、ゲート電極901に−6Vを印加し、そのまま1時間保持した。ここでは印加時間を1時間としたが、目的に応じて適宜時間を変更してもよい。
【0381】
次に、電圧の印加を終了し、光を照射したまま、初期特性の測定と同じ条件でVg−Id特性を測定し、光負バイアス試験後のVg−Id特性を得た。
【0382】
ここで、本実施の形態におけるVthの定義について図31を例示して説明しておく。図31の横軸はゲート電圧をリニアスケールで示しており、縦軸はドレイン電流の平方根(以下、√Idともいう)をリニアスケールで示している。曲線921は、Vg−Id特性におけるIdの値を平方根で表した曲線(以下、√Id曲線ともいう)である。
【0383】
まず、測定したVg−Id曲線から√Id曲線(曲線921)を求める。次に、√Id曲線上の、√Id曲線の微分値が最大になる点の接線924を求める。次に、接線924を延伸し、接線924上でIdが0Aとなる時のVg、すなわち接線924のゲート電圧軸切片925の値をVthとして定義する。
【0384】
図32に、光負バイアス試験前後におけるトランジスタ951及びトランジスタ952のVg−Id特性を示す。図32(A)及び図32(B)とも、横軸はゲート電圧(Vg)で、縦軸はゲート電圧に対するドレイン電流(Id)を対数目盛で示している。
【0385】
図32(A)は、光負バイアス試験前後におけるトランジスタ951のVg−Id特性を示している。初期特性931は、光負バイアス試験前のトランジスタ951のVg−Id特性であり、試験後特性932は、光負バイアス試験後のトランジスタ951のVg−Id特性である。初期特性931のVthは、1.01Vであり、試験後特性932のVthは、0.44Vであった。
【0386】
図32(B)は、光負バイアス試験前後におけるトランジスタ952のVg−Id特性を示している。また、図32(C)は、図32(B)中の部位945を拡大した図である。初期特性941は、光負バイアス試験前のトランジスタ952のVg−Id特性であり、試験後特性942は、光負バイアス試験後のトランジスタ952のVg−Id特性である。初期特性941のVthは、1.16Vであり、試験後特性942のVthは、1.10Vであった。なお、トランジスタ952のバックゲート電極912はソース電極905aと電気的に接続されているため、バックゲート電極912とソース電極905aの電位は同電位となる。
【0387】
図32(A)において、試験後特性932は、初期特性931に比べてVthがマイナス方向に0.57V変化しており、図32(B)において、試験後特性942は、初期特性941に比べてVthがマイナス方向に0.06V変化している。トランジスタ951及びトランジスタ952とも、Vthの変化量は1V以下であり、信頼性が高いトランジスタであることが確認できる。また、バックゲート電極912を設けたトランジスタ952は、Vthの変化量が0.1V以下であり、トランジスタ951よりもさらに信頼性の高いトランジスタであることが確認できる。
【実施例1】
【0388】
本発明の一態様に係る液晶表示装置を用いることで、高画質である画像の表示を行うことができる電子機器を提供することが可能である。或いは、本発明の一態様に係る液晶表示装置を用いることで、低消費電力の電子機器を提供することが可能である。特に電力の供給を常時受けることが困難な携帯用の電子機器の場合、本発明の一態様に係る液晶表示装置をその構成要素に追加することにより、連続使用時間が長くなるといったメリットも得られる。
【0389】
本発明の一態様に係る液晶表示装置は、表示装置、ノート型パーソナルコンピュータ、記録媒体を備えた画像再生装置(代表的にはDVD:Digital Versatile Disc等の記録媒体を再生し、その画像を表示しうるディスプレイを有する装置)に用いることができる。その他に、本発明の一態様に係る液晶表示装置を用いることができる電子機器として、携帯電話、携帯型ゲーム機、携帯情報端末、電子書籍、ビデオカメラ、デジタルスチルカメラ、ゴーグル型ディスプレイ(ヘッドマウントディスプレイ)、ナビゲーションシステム、音響再生装置(カーオーディオ、デジタルオーディオプレイヤー等)、複写機、ファクシミリ、プリンター、プリンター複合機、現金自動預け入れ払い機(ATM)、自動販売機などが挙げられる。これら電子機器の具体例を図33に示す。
【0390】
図33(A)は電子書籍であり、筐体7001、表示部7002等を有する。本発明の一態様に係る液晶表示装置は、表示部7002に用いることができる。表示部7002に本発明の一態様に係る液晶表示装置を用いることで、高画質である画像の表示が可能な電子書籍、或いは、低消費電力の電子書籍を提供することができる。また、可撓性を有する基板でパネルを作製し、なおかつタッチパネルにも可撓性を持たせることで、液晶表示装置に可撓性を持たせることができるので、フレキシブルかつ軽くて使い勝手の良い電子書籍を提供することができる。
【0391】
図33(B)は表示装置であり、筐体7011、表示部7012、支持台7013等を有する。本発明の一態様に係る液晶表示装置は、表示部7012に用いることができる。表示部7012に本発明の一態様に係る液晶表示装置を用いることで、高画質である画像の表示が可能な表示装置、或いは、低消費電力の表示装置を提供することができる。なお、表示装置には、パーソナルコンピュータ用、TV放送受信用、広告表示用などの全ての情報表示用表示装置が含まれる。
【0392】
図33(C)は現金自動預け入れ払い機であり、筐体7021、表示部7022、硬貨投入口7023、紙幣投入口7024、カード投入口7025、通帳投入口7026等を有する。本発明の一態様に係る液晶表示装置は、表示部7022に用いることができる。表示部7022に本発明の一態様に係る液晶表示装置を用いることで、高画質である画像の表示が可能な現金自動預け入れ払い機、或いは、低消費電力の現金自動預け入れ払い機を提供することができる。
【0393】
図33(D)は携帯型ゲーム機であり、筐体7031、筐体7032、表示部7033、表示部7034、マイクロホン7035、スピーカー7036、操作キー7037、スタイラス7038等を有する。本発明の一態様に係る液晶表示装置は、表示部7033、表示部7034に用いることができる。表示部7033、表示部7034に本発明の一態様に係る液晶表示装置を用いることで、高画質である画像の表示が可能な携帯型ゲーム機、或いは、低消費電力の携帯型ゲーム機を提供することができる。なお、図33(D)に示した携帯型ゲーム機は、2つの表示部7033と表示部7034とを有しているが、携帯型ゲーム機が有する表示部の数は、これに限定されない。
【0394】
図33(E)は携帯電話であり、筐体7041、表示部7042、音声入力部7043、音声出力部7044、操作キー7045、受光部7046等を有する。受光部7046において受信した光を電気信号に変換することで、外部の画像を取り込むことができる。本発明の一態様に係る液晶表示装置は、表示部7042に用いることができる。表示部7042に本発明の一態様に係る液晶表示装置を用いることで、高画質である画像の表示が可能な携帯電話、或いは、低消費電力の携帯電話を提供することができる。
【0395】
図33(F)は携帯情報端末であり、筐体7051、表示部7052、操作キー7053等を有する。図33(F)に示す携帯情報端末は、モデムが筐体7051に内蔵されていても良い。本発明の一態様に係る液晶表示装置は、表示部7052に用いることができる。表示部7052に本発明の一態様に係る液晶表示装置を用いることで、高画質である画像の表示が可能な携帯情報端末、或いは、低消費電力の携帯情報端末を提供することができる。
【0396】
本実施例は、上記実施の形態と適宜組み合わせて実施することが可能である。
【符号の説明】
【0397】
10 画素部
11 走査線駆動回路
12 信号線駆動回路
15 画素
16 トランジスタ
17 容量素子
18 液晶素子
20 パルス出力回路
21 端子
22 端子
23 端子
24 端子
25 端子
26 端子
27 端子
31 トランジスタ
32 トランジスタ
33 トランジスタ
34 トランジスタ
35 トランジスタ
36 トランジスタ
37 トランジスタ
38 トランジスタ
39 トランジスタ
50 トランジスタ
51 トランジスタ
52 トランジスタ
53 トランジスタ
60 画素部
61 走査線駆動回路
62 信号線駆動回路
101 領域
102 領域
103 領域
120 シフトレジスタ
121 トランジスタ
123 スイッチング素子群
301 フルカラー画像表示期間
302 モノクロ動画表示期間
303 モノクロ静止画表示期間
326 放射照度
400 液晶表示装置
401 画像メモリ
402 画像データ選択回路
403 セレクタ
404 CPU
405 コントローラ
406 パネル
407 バックライト
408 バックライト制御回路
410 フルカラー画像データ
411 モノクロ画像データ
412 画素部
413 信号線駆動回路
414 走査線駆動回路
420 入力装置
421 測光回路
501 ゲート電極
502 ゲート絶縁膜
503 酸化物半導体膜
507 絶縁膜
508 容量配線
513 層間膜
541 基板
542 基板
544 液晶層
546 透明電極
547 反射電極
548 共通電極
549 導電層
550 トランジスタ
555 遮蔽膜
598 反射領域
599 透過領域
601 領域
602 領域
603 領域
611 シフトレジスタ
612 シフトレジスタ
613 シフトレジスタ
615 画素
616 トランジスタ
617 容量素子
618 液晶素子
620 シフトレジスタ
623 スイッチング素子群
700 基板
701 絶縁膜
702 ゲート電極
703 ゲート絶縁膜
704 酸化物半導体膜
705 導電膜
706 導電膜
707 絶縁膜
708 トランジスタ
900 基板
901 ゲート電極
902 ゲート絶縁膜
903 酸化物半導体膜
907 絶縁膜
908 絶縁膜
909 絶縁膜
912 バックゲート電極
921 曲線
924 接線
925 ゲート電圧軸切片
931 初期特性
932 試験後特性
936 下地膜
941 初期特性
942 試験後特性
945 部位
951 トランジスタ
952 トランジスタ
1601 パネル
1602 拡散板
1603 プリズムシート
1604 拡散板
1605 導光板
1607 バックライトパネル
1608 回路基板
1609 COFテープ
1610 FPC
1611 基板
1612 バックライト
2400 基板
2401 ゲート電極
2402 ゲート絶縁膜
2403 酸化物半導体膜
2406 チャネル保護層
2407 絶縁膜
2409 保護絶縁膜
2411 ゲート電極
2412 ゲート電極
2413 ゲート絶縁膜
2414 ゲート絶縁膜
2436 下地膜
2450 トランジスタ
2460 トランジスタ
2470 トランジスタ
2480 トランジスタ
4001 基板
4002 画素部
4003 信号線駆動回路
4004 走査線駆動回路
4005 シール材
4006 対向基板
4007 液晶
4009 トランジスタ
4010 トランジスタ
4011 液晶素子
4014 配線
4015 配線
4016 接続端子
4018 FPC
4019 異方性導電膜
4021 基板
4022 トランジスタ
4030 画素電極
4031 対向電極
4032 反射電極
4033 透明電極
4035 スペーサ
4040 遮蔽膜
6110 転置基板
6111 接着剤層
6116 被剥離層
6200 基板
6201 剥離層
6202 仮支持基板
6203 剥離用接着剤
6206 金属板
6207 バリア層
6210 配線層
6211 配線層
6212 領域
7001 筐体
7002 表示部
7011 筐体
7012 表示部
7013 支持台
7021 筐体
7022 表示部
7023 硬貨投入口
7024 紙幣投入口
7025 カード投入口
7026 通帳投入口
7031 筐体
7032 筐体
7033 表示部
7034 表示部
7035 マイクロホン
7036 スピーカー
7037 操作キー
7038 スタイラス
7041 筐体
7042 表示部
7043 音声入力部
7044 音声出力部
7045 操作キー
7046 受光部
7051 筐体
7052 表示部
7053 操作キー
2405a ソース電極
2405b ドレイン電極
505a ドレイン電極
505b ドレイン電極
560a 配向膜
560b 配向膜
65a1 トランジスタ
65an トランジスタ
65b1 トランジスタ
65bn トランジスタ
65c1 トランジスタ
65cn トランジスタ
905a ソース電極
905b ドレイン電極

【特許請求の範囲】
【請求項1】
異なる色相の光を発する複数の光源と、画素部とを有し、
前記画素部は、透明領域及び反射領域を有する画素電極と、
前記画素電極に電気的に接続されたトランジスタを有し、
前記画素部を、複数の領域に分割し、
前記光源の点灯を制御して、前記複数の領域に、それぞれ前記異なる色相の光を供給し、
前記異なる色相の光に応じたフルカラー画像データを、前記トランジスタを介して前記画素電極に重なる液晶層に加えてフルカラー画像の表示を行い、
前記光源を消灯し、モノクロ画像データを、前記トランジスタを介して前記画素電極に重なる前記液晶層に加え、外光を前記反射領域で反射することでモノクロ画像の表示を行うことを特徴とする液晶表示装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記トランジスタは、酸化物半導体を含むことを特徴とする液晶表示装置。
【請求項3】
請求項2において、
前記酸化物半導体は、In−Ga−Zn系の酸化物半導体である液晶表示装置。
【請求項4】
請求項2または請求項3において、
前記酸化物半導体の水素濃度は、5×1019/cm以下である液晶表示装置。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれか1項において、
前記トランジスタのオフ電流密度は、100yA/μm以下である液晶表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【公開番号】特開2012−32801(P2012−32801A)
【公開日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−142984(P2011−142984)
【出願日】平成23年6月28日(2011.6.28)
【出願人】(000153878)株式会社半導体エネルギー研究所 (5,264)
【Fターム(参考)】