説明

画像形成装置

【課題】トナー容器内の交換により発生するトナー付着量の検出誤差を抑制し、正確なトナー付着量に基づいた制御を行う。
【解決手段】新しいトナーを収容するトナー容器80を現像装置60に交換可能に設けた画像形成装置で、トナー容器に収容されるトナーの微粉含有率データを記憶する記憶手段としてのIDチップ85を設ける。トナー容器80が交換されると、トナー容器のIDチップに記憶された微粉含有率データを読取り、光学的付着量検出手段は、読取手段により読取った微粉含有率データを参照して、トナーパッチの光反射率に基づきトナー付着量を検出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、プリンタ、ファクシミリ等の画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、画像形成装置で画像濃度安定化のために、像担持体上にトナー付着量検出用トナーパターンであるトナーパッチを作成してそのトナー付着量を光学的付着量検出手段で検出し、検出したトナー付着量に基づき画像形成条件を制御することが知られている。
【0003】
特許文献1には、現像装置の経時の使用条件に応じてトナー粒径の変化を予測して、光学的付着量検出手段により検出されるトナー付着量の演算に適当な補正を加える装置が記載されている。光学的付着量検出手段は、トナーパッチに光を照射してその光反射率を光センサで検知し、検知した光反射率に基づきトナー粒径をある特定のものと想定してトナー付着量を算出している。このため、トナー消費により経時でトナーパッチを形成するトナー粒径が変化すると、光学的付着量検出手段はトナー付着量算出時に誤差を生じてしまい、トナー付着量を正確に検出することができないおそれがある。特許文献1の装置は、経時の使用条件に応じて予測したトナー粒径に基づき、トナー付着量の演算に適当な補正をくわえることにより、経時のトナー粒径変化に起因するトナー付着量の検出誤差を抑制するものである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一方、画像形成装置では、新しいトナーを収容するトナー容器を現像装置に交換可能に設け、交換によりトナー容器より現像装置内に新しいトナーを補給する構成が広く用いられている。トナー容器に収容される新しいトナーは、トナー粒径を示す平均粒径等の特性は製造工程で管理されて常に厳密な仕様範囲内におさめられている。しかしながら、平均粒径より極端に小さい微粉トナーがトナー中に含まれる割合である微粉含有率に関しては各製造ロットによってある程度の差を有しているのが現状である。製造工程中に微粉を除去する工程を加えることもできるが、コスト高になるうえに歩留まりも悪くなるため好ましくない。このため、トナー容器を交換する構成の画像形成装置では、トナー容器の交換により異なる製造ロットのトナーが現像装置に供給されて、現像装置内のトナーの微粉含有率が変化してしまうおそれがある。
【0005】
上記、検知した光反射率に基づきトナー粒径をある特定のものと想定してトナー付着量を算出する光学的付着量検出手段では、現像装置内のトナーの微粉含有率の変化によりトナーパッチを形成するトナー粒径が変化すると、トナー付着量を正確に検出できないおそれがある。詳しくは、図6に示すように、微粉を多く含むトナーは、微粉を含まないトナーに較べて、実際の付着量は少ないにも関わらず像担持体の表面を微粉トナーで隙間なく覆ってしまう。このため、検知した光反射率に基づき付着量を算出すると実際よりも付着量が多く検出されてしまう。この問題は、新しいトナー容器に交換されて異なる製造ロットのトナーが現像装置内に供給されることにより発生するものであり、上記特許文献1のトナー消費による経時のトナー粒径変化に対応するものでは解決することはできない。
【0006】
本発明は以上の問題点に鑑みなされたものであり、その目的は、トナー容器の交換により発生するトナー付着量の検出誤差を抑制し、正確なトナー付着量に基づいた制御を行うことのできる画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、新しいトナーを収容するトナー容器を交換可能に設けた現像装置を用いて像担持体上にトナー像を形成するトナー像形成手段と、該像担持体上に形成されたトナーパッチの光反射率に基づきトナー付着量を検出する光学的付着量検出手段と、該光学的付着量検出手段の検出結果に基づき該トナー像形成手段を制御するトナー像形成手段制御手段とを備えた画像形成装置において、上記トナー容器に当該トナー容器に収容されるトナーの微粉含有率データを記憶する記憶手段を設け、上記光学的付着量検出手段は該トナー容器の記憶手段に記憶された微粉含有率データを参照してトナー付着量を検出することを特徴とするものである。
【0008】
本発明においては、光学的付着量検出手段はトナー容器の記憶手段に記憶された微粉含有率データを参照してトナー付着量を検出する。このため、トナー容器の交換により微粉含有率の異なるトナーが現像装置内に供給されたとしても、微粉含有率に起因するトナー付着量の検出誤差を抑制することができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、トナー容器の交換により発生するトナー付着量の検出誤差を抑制し、正確なトナー付着量に基づいた制御を行うことができるという優れた効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】実施形態1に係るカラー複写機の概略構成図。
【図2】実施形態1に係る作像ユニットの現像装置にトナーを補給するトナー補給装置を示す斜視図。
【図3】実施形態1に係るトナー容器の斜視図。
【図4】実施形態1に係るカラー複写機の制御部ブロック図。
【図5】実施形態1に係る微粉含有率と付着量補正倍率の関係の一例をしめすグラフ。
【図6】実施形態1に係る微粉含有率の多いトナーでトナー付着量検出誤差発生を説明するモデル図。
【図7】実施形態1に係る標準的な微粉率のトナーに対して最適化した光学的付着量検出手段で微粉率が高いトナーのトナー付着量を検出した値と実測した結果との関係の一例を示したグラフ。
【図8】実施形態2に係るトナーの入れ替わり計算モデル。
【図9】実施形態2に係るトナー入れ替わり計算結果の例。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[実施形態1]
以下、本発明を適用した画像形成装置の一実施形態(以下、実施形態1という)について説明する。まず、本実施形態1に係る画像形成装置の全体構成及び動作について説明する。
図1は、本実施形態1に係る画像形成装置の一例であるカラー複写機の全体の概略構成図である。このカラー複写機は、中央に複写機本体100、その下部にテーブル状に構成された給紙部200が配置され、複写機本体100の上方にスキャナ300、スキャナ300の上方に自動原稿搬送装置400を配置した構成となっている。
【0012】
複写機本体100には、複数のローラ14、15、16に巻き掛けられた可撓性を有する無端ベルトにより構成された像担持体としての中間転写ベルト10が設けられている。この中間転写ベルト10は、複数のローラ14,15,16のうち1つのローラが図示していない駆動装置によって回転駆動され、これにより中間転写ベルト10が矢印で示す図中時計回りに走行駆動され、他のローラが従動回転する。このように走行する中間転写ベルト10の上部走行辺には、ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の各作像ユニット18が横に並んで配置されている。すなわち、ローラ14とローラ15間のベルト走行辺上に、4つの作像ユニット18を配置してタンデム作像部20を構成している。
【0013】
各作像ユニット18は、中間転写ベルト10に接する潜像担持体としての感光体ドラム40をそれぞれ有している。この感光体ドラム40の周りには、帯電装置、現像装置、クリーニング装置、除電装置等が配置され、さらに感光体ドラム40が中間転写ベルト10に接する位置における中間転写ベルト10の内側には転写装置62が設けられている。本実施形態1の場合、4個の作像ユニット18は、同一構造に構成されているが、現像装置のトナーの色がブラック、シアン、マゼンタ、イエローの4色に異なっている。
【0014】
各作像ユニット18の上方には光変調されたレーザ光を各感光体ドラム表面に照射する露光装置21が配置され、このレーザ光は帯電装置と現像装置の間で各感光体ドラム40に照射する。露光装置21は、各作像ユニット18毎に設けてもよいが、共通の露光装置21を用いればコストの点で有利である。
【0015】
中間転写ベルト10を挟んでタンデム作像部20と反対の側には、2次転写装置22が設けられている。2次転写装置22は、図示例では、2つのローラ23間に、無端ベルトである2次転写ベルト24を巻き掛け、該ベルトが中間転写ベルト10を介してローラ16に押し当てられるように配置されている。また、図1において、2次転写装置22の左横には、シート上に担持された転写画像を定着するための定着装置25が設けられている。本実施形態1の定着装置25は、加圧ローラ27と、該加圧ローラ27に押し当てた無端ベルトである定着ベルト26とを具備している。上述した2次転写装置22は、画像転写後のシートを定着装置25へと搬送するシート搬送機能も備えている。もちろん、2次転写装置22として、非接触のチャージャを配置してもよく、そのような場合は、転写後のシートを定着装置25まで搬送するシート搬送装置を、別途設ける必要が生ずる。なお、図示例では、このような2次転写装置22及び定着装置25の下に、上述したタンデム作像部20と平行に、シートの両面に画像を記録すべくシートを反転するシート反転装置28を備えている。
【0016】
さて、上記のように構成されたカラー複写機を用いてコピーをとる場合について説明する。まず、自動原稿搬送装置400の原稿台30上に原稿をセットする。または、自動原稿搬送装置400を開いてスキャナ300のコンタクトガラス32上に原稿をセットし、自動原稿搬送装置400を閉じてそれで押さえる。そして、図示していないスタートスイッチを押すと、自動原稿搬送装置400に原稿をセットしたときは、原稿を搬送してコンタクトガラス32上へと移動した後、他方コンタクトガラス32上に原稿をセットしたときは、直ちにスキャナ300を駆動し、第1走行体33及び第2走行体34を走行する。そして、第1走行体33で光源から光を発射するとともに原稿面からの反射光をさらに反射して第2走行体34に向け、第2走行体34のミラーで反射して結像レンズ35を通して読み取りセンサ36に入れ、原稿内容を読み取る。
【0017】
また、図示していないスタートスイッチを押すと、中間転写ベルト10が回転走行し、同時に、個々の作像ユニット18でその感光体ドラム40を回転して各感光体ドラム40上にそれぞれ、ブラック・イエロ・マゼンタ・シアンの単色画像を形成する。そして、中間転写ベルト10の走行とともに、それらの単色画像を順次転写して中間転写ベルト10上に合成カラー画像を形成する。さらに、スタートスイッチを押すことで、給紙部200の給紙ローラ42の1つを選択的に回転駆動し、ペーパーバンク43に多段に備える給紙カセット44の1つからシートを繰り出し、分離ローラ45で1枚ずつ分離して給紙路46に入れ、搬送ローラ47で搬送して複写機本体100内の給紙路48に導き、レジストローラ49に突き当てて止める。または、手差し給紙を選択した場合には給紙ローラ50を回転して手差しトレイ51上のシートを繰り出し、分離ローラ52で1枚ずつ分離して手差し給紙路53に入れ、同じくレジストローラ49に突き当てて止める。
【0018】
そして、中間転写ベルト10上の合成カラー画像にタイミングを合わせてレジストローラ49を回転し、中間転写ベルト10と2次転写装置22との間にシートを送り込み、2次転写装置22で転写してシート上に一括してフルカラー画像を記録する。画像転写後のシートは、2次転写装置22で搬送して定着装置25へと送り込み、定着装置25で熱と圧力とを加えて転写画像を定着した後、切換爪55で切り換えて排出ローラ56で排出し、排紙トレイ57上にスタックする。または、切換爪55で切り換えてシート反転装置28に入れ、そこで反転して再び転写位置へと導き、裏面にも画像を記録して後、排出ローラ56で排紙トレイ57上に排出する。
【0019】
一方、画像転写後の中間転写ベルト10は、中間転写体クリーニング装置17で、画像転写後に中間転写ベルト10上に残留する残留トナーを除去し、タンデム作像部20による再度の画像形成に備える。
【0020】
図2は、本実施形態1に係る作像ユニット18の現像装置にトナーを補給するトナー補給装置を示す斜視図である。この図において、符号60は各色作像ユニット18毎に設けられる現像装置であり、その各現像装置60へ補給するトナーを収納したトナー収納手段としてのトナー容器80は、本例では図2の左下から右上に向かって、ブラック・マゼンタ・シアン・イエローの4つが複写機本体100に設けられたセット部(図示せず)にセットされて配置されている。各色トナー容器80から各現像装置60へトナーを補給する機構は同一であるので、図2で一番手前に位置するブラック用の機器に符号を付して代表して説明する。
【0021】
トナー補給装置のトナー容器80をセットするセット部には、2本の係合レール92と、トナー容器80内に挿入されるノズル90が図示していない機枠に設けられており、ノズル90と粉体ポンプ70とがトナー補給チューブ91で接続されている。
【0022】
図3は、本実施形態1に係るトナー容器80の拡大斜視図である。トナー容器80は、トナーTを収容するための収容空間を形成する袋状のトナー収容体81とこれに連結する取付け部材(排出部材)82とで構成されている。トナー収容体81は軟包材と呼ばれる厚さ50〜300μm程度のフィルム状の樹脂を溶着して袋状にしたものに成形樹脂で形成される枠部81bを有している。トナー収容体81の下部にはテーパーが形成されており、取付け部材(排出部材)82はこのテーパーの末端に連結されている。取付け部材(排出部材)82は、ノズル挿入穴83、係合溝84などを有している。ノズル挿入穴83は、上述の図2のノズル90を挿入するためのものである。このノズル挿入穴83には、図示しない円柱状の栓部材がスライド移動可能に係合しており、図3の状態では、取付け部材(排出部材)82内に流入したトナーTが栓部材によって堰き止められるため、ノズル挿入穴83からトナーTが漏洩することはない。
【0023】
このようなトナー容器80がトナー補給装置にセットされると、図2のように、トナー補給装置における2本の係合レール92が、トナー容器80の取付け部材82に設けられた2本の係合溝(図3の84)に係合する。これにより、取付け部材82が位置決めされる。このとき、同時に、トナー補給装置におけるノズル90の先端部がトナー容器80の取付け部材82のノズル挿入穴83に挿入され、それまでノズル挿入穴83に係合していた栓部材(不図示)は、ノズル挿入穴83から押し出される。これにより、取付け部材82内のトナーTがノズル90内に流入可能になり、トナー容器80内と粉体ポンプ70が連通する。上記粉体ポンプ70は、駆動モータ71により回転駆動される駆動シャフト72に装着された駆動シャフトギヤ73から連絡ギヤ74を介して駆動される。粉体ポンプ70としては周知の構成のモーノポンプを採用することが可能である。粉体ポンプ70により移送されたトナーは、一旦サブホッパ75に収納され、サブホッパ下部のトナー補給口76より現像装置60へトナーが供給される。
【0024】
本実施形態1のカラー複写機では、画像の濃度を安定させる目的で、トナーパッチを作成してトナー付着量を測定し、その結果に応じてトナー像形成条件を制御している。具体的には、紙間やジョブの前後に、各作像ユニット18の感光体ドラム40上にトナーパッチを作成し、トナーパッチを中間転写ベルト10に転写する。転写されたトナーパッチのトナー付着量を検出し、検出された付着量が少なければ各作像ユニット18のトナー補給や現像ポテンシャル増大、付着量過多ならトナー補給停止や強制消費、現像ポテンシャル減少といった方法によって画像濃度を一定に保つような制御を行う。図4は、本実施形態1に係るカラー複写機の制御部ブロック図である。
【0025】
トナー付着量検出手段としては、中間転写ベルト10とトナー像とで光の反射率に差があることを利用し反射率から算出する光学的付着量検出手段を用いる。具体的には、光学的付着量検出手段を構成する反射型の光センサ11を中間転写ベルト10に対向するよう設ける。トナーの色によって正反射型と拡散反射型の光センサを使い分ける。そして、光センサ11により、トナーパッチを形成するトナーにより像担持体の表面がどれだけ覆われているかという隠蔽率によって変化する光反射率を検知する。そして、検知した光反射率に基づき、トナー粒径をある特定のものと想定してトナー付着量を算出する。光学的付着量検出手段は、非接触、短時間で付着量を測定できる利点がある。しかしながら、このような光学的付着量検出手段では、トナーパッチを形成するトナーの粒径の変化によって算出されたトナー付着量に誤差が含まれてしまう。
【0026】
ここで、市場に出回ってカラー複写機に使用されるトナーは、トナー粒径等の特性は製造工程で管理されて厳密な仕様範囲内に収められるが、微粉含有率に関しては製造ロットによってある程度の差を有している。製造工程中に微粉を除去する工程を加えることもできるが、コスト高になるうえに歩留まりも悪くなるため好ましくない。このため、従来の複写機では、トナー容器80が新しいものに交換されて異なるロットのトナーが現像装置60に供給されると、現像装置60内のトナーの微粉含有率が変化してしまうのが現状である。
【0027】
光学的付着量検出手段を用いて付着量を検出する装置では、トナー容器80が交換されて異なるロットのトナーが供給されると、トナー付着量の検出誤差が発生する虞がある。これは、トナーの微粉含有率の変化すると、トナーパッチを形成するトナー粒径が変化することによるものである。図6は、本実施形態1に係る微粉含有率の多いトナーでトナー付着量検出誤差発生を説明するモデル明図である。図6(a)は微粉を含まないトナーのモデル図、図6(b)は微粉を多く含むトナーのモデル図である。図6に示すように、中間転写ベルト10上に形成されたトナーパッチのトナーに対して、光センサ11の発光素子(不図示)により光が入射され、受光素子(不図示)により反射光が検出される。ここで、図6(b)の微粉を多く含むトナーは、図6(a)の微粉を含まないトナーに較べて、実際の付着量は少ないにも関わらず中間転写ベルト10の表面を微粉トナーで隙間なく覆ってしまう。このため、光反射率に基づき付着量を演算すると、実際よりも付着量が多く検出されてしまう。
【0028】
上述のように、トナーはその製造ロットによって含まれる微粉の比率が異なるため、あるロットに合わせて光学的付着量検出手段の付着量検出を最適化しても、トナー容器が交換されて異なるロットのトナーが供給されると検知誤差が発生する。図7は、本実施形態1に係る標準的な微粉率のトナーに対して最適化した光学的付着量検出手段で、微粉率が高いトナーのトナー付着量を検出した値と実測した結果との関係の一例を示したグラフである。図6の例では、微粉率が高いトナーでは、光学的付着量検出手段センサの検出値が実測値より20%程度大きくなっている。実際のトナー付着量と検出値が乖離すると、画像濃度を一定に保つような制御が正確に行われなくなり、画質劣化を招いてしまう。
例えば、光学的付着量検出手段が、実際のトナー付着量よりも過大に誤検知した場合は、検出値に応じてトナー像形成条件を制御すると、付着量不足により画像薄くなるという不具合が発生するおそれがある。一方、光学的付着量検出手段が、実際のトナー付着量よりも過少に誤検知した場合は、検出値に応じてトナー像形成条件を制御すると、付着量過多により定着オフセットなどの不具合が発生するおそれがある。
【0029】
そこで、本実施形態1では、図3に示すように、トナー容器80の取付け部材82にトナー容器80内に収容されるトナーに固有のID情報を記憶する記憶手段をとしてのIDチップ85を設ける。トナーに固有のID情報としては、少なくとも微粉含有率データを含む。トナー補給装置に新しいトナー容器80がセットされた際、トナー補給装置のノズル90側に設けられた情報読取手段(不図示)によりトナー容器80のIDチップ85に記憶された微粉含有率データを読取り、読取った微粉含有率に基づき光学的付着量検出手段がトナー付着量の検出結果を補正する。
【0030】
詳しくは、トナーの製造段階にてロット毎にトナーの微粉含有率を予め測定しておき、トナー容器80へのトナー充填時に収容するトナーの微粉含有率のデータをIDチップ85に記憶させる。このため、トナーの製造ロット毎にトナーの微粉含有率が測定されて、同じ製造ロットのトナーが充填されるトナー容器80のIDチップ85には、同じ微粉含有率が記憶される。記憶手段をとしては、ICチップ、バーコード等を用いることができ、本体側の情報読取手段による自動読み込みが可能でありものが好ましい。また、IDチップ85には、微粉含有率のほか、収容されるトナーに固有のID情報が記憶する。固有のID情報としては、例えばトナーの製造年月、製造ロット、トナーの帯電特性や粉体特性をはじめとする種々特性値などが挙げられる。トナー補給装置に新しいトナー容器80がセットされた際、これらのID情報を情報読取手段(不図示)にて読取り、必要に応じて画像形成条件にフィードバックすることができる。例えば、特開2010−134060号に記載されるように、収容されるトナーの着色度についての情報をIDチップ85に記憶し、情報読取手段によりトナーの着色度の情報を読取って、その情報に基いてトナー像のトナー付着量を補正するよう画像形成条件を制御することができる。
【0031】
さらに詳しくは、トナーのどのサイズを微粉とするかは光学的付着量検出手段の光センサ11の特性によって適切に決定すればよく、例えば3μm以下というように所定の値を閾値としても良いし、体積平均粒径の1/2以下といったように決めても良い。トナー容器80を交換すると、トナー補給装置の読取手段(不図示)がトナー容器80のIDチップ85を読取り、トナー容器80のID情報が更新される。ID情報の更新に伴い、微粉含有率も更新される。更新された微粉含有率に応じて、微粉含有率が高ければトナーパッチの反射率に対して付着量を小さく検出し、微粉含有率が低ければトナーパッチの反射率に対して付着量を大きく検知するように補正を行う。図5は、本実施形態1の微粉含有率と付着量補正倍率の関係の一例を示すグラフであり、補正内容は、図5に示す、微粉含有率と付着量補正倍率の関係を予め取得し、更新された微粉含有率に基づき補正倍率を得て、補正を行うというものである。これにより、トナー容器80に収容されたトナーの微粉含有率にバラツキが生じていても、トナー付着量の検出誤差を抑制し、正確なトナー付着量に基づいた制御を行うことができ、出力画像を良好化かつ安定化することができる。
【0032】
また、本実施形態1では、光学的付着量検出手段の光センサ11を中間転写ベルト10に対向するように設け、光センサ11により、中間転写ベルト10上のトナーパッチに入射させた光の反射光を検知している。これに対して、光センサを感光体ドラム40に対向するように設け、感光体ドラム40上のトナーパッチに光を入射し、その反射光を光センサで検知し付着量検出を行う構成も考えられる。しかしながら、感光体ドラム40は光に対して敏感であり、感光体ドラム40上での反射率測定は感光体の劣化を促進する恐れがある。そこで、中間転写ベルト10上のトナーパッチの付着量を測定することで、感光体の劣化を促進させて装置寿命を短くする恐れがないというメリットがある。
【0033】
上述の光学的付着量検出手段では、測定対象となる像担持体表面の反射率がトナーの反射率と大きく異なることが望ましい。しかし、中間転写ベルト10の材質によってはトナーとの反射率差が小さく、付着量検出に適さない場合がある。このような場合は、トナーパッチを中間転写ベルト10から2次転写ベルト24に転写し、転写された2次転写ベルト24上のトナーパッチの付着量検出をおこなう構成としても良い。この場合、2次転写率の誤差が影響するため付着量測定の精度は若干低下するが、中間転写ベルト10の材料選択の選択肢を増やし、光センサの取付け位置について設計上の自由度を上げることができる。
【0034】
なお、中間転写ベルト等の中間転写体を設けない直接転写方式の画像形成装置では、光センサを感光体ドラム40に対向するように設け、感光体ドラム40上で付着量検出をおこなう構成とするとよい。また、感光体ドラム40上で付着量検出を行う構成は、転写率などの誤差要因を排除でき、より正確な付着量検出をおこなえるというメリットもある。
【0035】
また、中間転写ベルト10上に形成されたトナーパッチは、光センサ11による反射率検知後に、中間転写体クリーニング装置17で除去され、タンデム作像部20による再度の画像形成に備える。これにより、付着量測定用のトナーパッチが転写紙に転写されて画像品質を劣化させたり、カラー複写機内をトナーで汚染したりすることを防止できる。感光体ドラム40上でも、同様にトナーパッチまたはトナーパッチの転写残は感光体ドラム40上より除去される。クリーニング手段としては、公知のブレードを当接させて掻き落とす方法や、回転する清掃用ブラシで掻き取る方法などを用いることができる。また、単一色で画像を出力する画像形成装置においては回収したトナーを再利用することも可能であり、生産性の向上・廃棄物の抑制に寄与する。
【0036】
また、トナーパッチを作成する位置によって複写機の生産性を低下させずに、実際に形成されている画像とほぼ同じ付着量測定を行うことができる。転写紙がカット紙等の非連続的な媒体であれば、画像形成動作中の転写紙にトナー像が転写されないタイミングでトナーパッチを作成する。具体的には、画像形成動作中の紙間に対応するタイミングでトナーパッチを作成する。このようなタイミングでトナーパッチを作成して付着量を検出することにより、形成中の画像に悪影響を及ぼすことなく、画像形成動作を継続したまま、実際に形成されている画像とほぼ同じ付着量を測定できる。
【0037】
また、転写紙が連帳紙のように連続的な媒体であれば、転写紙の進行方向に対して垂直な方で画像形成領域の外側(媒体の幅の外側)にトナーパッチを作成する。この場合、画像形成領域からは垂直方向に位置がずれた場所での付着量検出となってしまうが、形成中の画像に悪影響を及ぼすことなく、連続的な媒体に対して画像形成動作を継続しながら付着量検出をおこなうことができる。この方法は、生産性向上のために紙間を極端に短くする場合にも適用できる。
【0038】
さらに、中間転写ベルト10の表面移動方向に対して垂直な幅方向の複数の箇所に光センサ11を設け、各光センサ11に対応するよう複数のトナーパッチを作成し、垂直方向の複数箇所で付着量検出を行うようにしても良い。中間転写ベルト10の幅方向には転写圧力の偏差や各種部品の精度、磨耗状態等によって恒常的な濃度偏差が発生してしまう可能性がある。このような濃度偏差がある場合に、ある特定位置のみで付着量検出をおこなっていると、測定位置では適正なトナー付着量でも全体的には付着量が適正な範囲ではないといったことが起こりやすい。これに対して、幅方向に対して複数箇所で付着量検出を行うことで、より正確なトナー付着量に基づいた制御を行うことができ、出力画像を良好化かつ安定化することができる。
【0039】
また、上記実施形態1のカラー複写機においては、トナー容器に新しいトナーのみを収容していたが、トナーと磁性キャリアとを収容し、現像装置60に新しいトナーとともに新しいキャリアを補給しても良い。この場合、トナー容器80から現像装置60に新しいトナーとともに新しいキャリアを補給することでトナー濃度の回復を図りながら、増加量分の現像剤を現像装置60から排出させる構成とする。この構成では、現像剤の補給と排出によって、現像剤中の古くなった磁性キャリアを少しずつ新たなものに交換することができる。このため、現像装置内の磁性キャリアの劣化が進行しにくく、現像剤交換作業を行う頻度を下げることができる。本発明は、このような構成の現像装置にも適用可能である。
【0040】
[実施形態2]
本発明を適用した画像形成装置の他の実施形態(以下、実施形態2という)について、複数の実施例を挙げて説明する。ここで、本実施形態2に係るプリンタの基本的な構成は、実施形態1に係るプリンタの構成と同様なので、その説明は省略する。また、実施形態1と本実施形態2とでは、光学的付着量検出手段によるトナー付着量の検出結果を補正する時期等の制御に係る点のみ異なる。したがって、実施形態1と同様な、構成・動作、及び効果については、適宜、省略して説明する。また、各色トナー容器80から各現像装置60へトナーを補給する機構は同一であるので、実施形態1と同様に、実施形態1の説明で用いた図2で一番手前に位置するブラック用の機器に符号を付して代表して説明する。
【0041】
本実施形態2は、次の理由により実施形態1と、光学的付着量検出手段によるトナー付着量の検出結果を補正する時期等の制御に係る点を異ならせている。
トナー容器80を交換した時点では現像装置60内部には交換前のトナーしか入っておらず、交換後にトナーが補給されることで徐々に交換後のトナー比率が高くなっていく。従って、トナー容器80の交換後にトナーが補給されることで徐々に交換後のトナー比率が高くなっていくというトナーの入れ替わり挙動を考慮しないと、交換直後には適切な付着量補正ができない虞がある。特に、大型の画像形成装置においては、現像装置内に保持されるトナー量も多くなるためこの影響が顕著となってしまう。
以下、本実施形態2の特徴である、光学的付着量検出手段によるトナー付着量の検出結果を補正する時期等の制御に係る点について、複数の実施例を挙げて説明する。
【0042】
(実施例1)
本実施形態2の第1の実施例を説明する。
本実施例の複写機は、光学的付着量検出手段が、トナー容器80が交換された後所定の時期に、交換前のトナー容器80のIDチップ85に記憶されたトナーの微粉含有率データから、交換後のトナー容器80のIDチップ85に記憶されたトナーの微粉含有率データに基づくトナー付着量の検出結果の補正に切り替えることを特徴している。
【0043】
交換後のトナー容器80のIDチップ85に記憶されたトナーの微粉含有率データに基づくトナー付着量の検出結果の補正に切換える時期としては、次のような時期が考えられる。例えば、標準的な使用条件で現像装置60内のトナーの半分が交換後トナーに入れ替わる印刷枚数や動作時間等の時期を規定することができる。そして、トナー容器80交換後に、規定した時期がきた時点で交換後のトナー容器80のIDチップ85に記憶されたトナーの微粉含有率データに基づくトナー付着量の検出結果の補正に切り替える。すなわち、所定の条件下で現像装置60内のトナーが所定量、交換後トナーに入れ替わる印刷枚数や動作時間等の時期を規定する。そして、トナー容器80交換後に、規定した時期がきた時点で交換後のトナー容器80のIDチップ85に記憶されたトナーの微粉含有率データに基づくトナー付着量の検出結果の補正に切換える。
このように切り替えることで、交換直後の光学的付着量検出手段によるトナー付着量の検出結果の補正誤差を小さくできる。
【0044】
実際の使用条件を検知しないため入れ替わりを正確に測定するわけではないが、ごく簡便であり、トナーの微粉含有率のロット差が小さい場合や装置のコスト抑制を重視する場合には有効な方法である。トナー付着量の検出結果の補正方法については、例えば実施形態1の説明で用いた図5に示すように、予め微粉含有率と付着量補正倍率の関係を規定しておくといった方法がある。
【0045】
(実施例2)
本実施形態2の第2の実施例を説明する。
実施例1では、交換後のトナー容器80のトナーの微粉含有率データに基づくトナー付着量の検出結果の補正に切換える時期として、所定の条件下で現像装置60内のトナーが所定量、交換後トナーに入れ替わる印刷枚数や動作時間等の時期を規定するようにした。これに対し、本実施例の複写機では、交換後のトナー容器80のトナーの微粉含有率データに基づくトナー付着量の検出結果の補正に切換える時期として、トナー容器80から補給されるトナーの補給量を計数する手段により計数した補給量に基づき時期を規定することとした。
【0046】
交換後のトナー容器80から実際に補給されたトナー量を計数することで、使用条件の違いも考慮した補正が可能となる。トナーの補給量が現像装置60内のトナー量に対して所定の量になった時に、付着量補正倍率等の補正値を切り替えることで、より適切な時期に変更することができる。特にカラーの画像形成を主として行う画像形成装置では、各色のトナー消費量に偏りができやすく、印刷枚数や動作時間と各現像装置60へのトナー補給量が比例しないため本発明が有効となる。また、トナーの微粉含有率等のトナー特性値の切り替え時期を所定量のトナーが補給されたときと規定することで、簡単に切り替え時期を決定できる。
【0047】
また、上記トナーの微粉含有率等のトナー特性値の切り替えを、1度に行うのではなく、複数回に分けて段階的に行うことも可能である。例えば、下記表1のトナー補給量と付着量検知補正倍率の例に示すような予め用意したテーブルと、交換前及び交換後のトナーの微粉含有率データとに基づいて、段階的にトナー付着量の検出結果を補正することもできる。表1では、トナー補給量が10gから40gに達する10g毎に、交換前のトナーの微粉含有率データに基づく付着量検知補正倍率(A=1.00)から、交換後のトナーの微粉含有率データに基づく付着量検知補正倍率(A=1.05)に変化させるテーブルを例示している。
【表1】

【0048】
上記方法では、製造ロットによってトナーの微粉含有率の差が大きくても付着量検知の補正値(付着量検知補正倍率)が急に大きく切り替るのを防ぐことができ、トナー付着量の検出結果の補正誤差に起因した付着量異常等の問題の防止が期待できる。
【0049】
(実施例3)
本実施形態2の第3の実施例を説明する。
実施例2では、交換後のトナー容器80のトナーの微粉含有率データに基づくトナー付着量の検出結果の補正に切換える時期として、トナー容器80から補給されるトナーの補給量を計数する手段により計数した補給量に基づき時期を規定していた。本実施例では、トナー付着量の検出結果の補正を行う際に、現像装置60内でのトナーの入れ替わり挙動を、より考慮した補正を行うこととした。
【0050】
現像装置60内には新しいトナーが供給されつつ混合され、その一部が作像により消費される。このため、トナー容器80交換前のトナーは徐々に比率を下げながら長期間現像装置60内に残留することになる。トナーの微粉含有率等のトナー特性値を用いてトナー付着量の検出結果の補正を行う際には、この現像装置60内のトナーの入れ替わり挙動を考慮することが望ましい。
【0051】
そこで、本実施例では、簡単かつ精度良くトナーの入れ替わり挙動を把握するため、図8に示すモデルに従いトナーの入れ替わりを算出することとした。
このモデルは、次の2つの仮定に基づいて導いている。
・補給されるトナー量は消費されるトナー量に等しい。
・現像装置内のトナーは均一に混合されており、現像装置60内の交換前トナー比率C(p)と、消費トナー中の交換前トナー比率C(p)は等しい。
【0052】
上記仮定に基づいて、微少期間(Δp)での交換前トナーの収支を考えると、
ΔC(p)×W=C(p)×w×Δp
この式の左辺は現像装置60内の交換前トナー減少分であり、Wは現像装置60内のトナーの総量、ΔC(p)は、微少期間(Δp)でのトナー比率C(p)の変化量である。そして、右辺は消費されたトナー中の交換前トナーの量であり、C(p)は、消費トナー中の交換前のトナー比率、wは微小期間(Δp)での平均トナー消費速度である。
この式を変形して両辺積分すると、
ln(C(p))=−(w×p/W)+C (Cは積分定数)
C(p)=exp(−w×p/W+C)
また、p=0では交換後トナーはまだ供給されておらずC(0)=1なので、これを初期条件とする。ここから積分定数C=0となるので、
C(p)=exp(−w×p/W) ・・・(式1)
となる。
【0053】
ここで、pを作像回数(印刷枚数)と考えると、任意の交換前トナー比率となる印刷枚数pを算出することが可能となる。図9に、W=50[g]、w=0.10[g/page]とした場合の印刷枚数と現像装置60内の交換前トナー比率の関係を示す。これは、A4サイズに画像面積率約30%で作像する場合に相当する。また、混合を考慮せず、交換後のトナーが供給された分、単純に交換前トナーのみが消費されると考えた場合のグラフを破線で示した。初期では両者の差が小さいが、印刷枚数を増やすにつれて交換前トナーの比率に大きな差が出ている。破線のグラフにも基づいて目標濃度変更の時期を決定すると現像装置60内のトナーの状態と乖離が生じ、異常画像の原因となる恐れがある。
【0054】
また、w×pはトナー補給量の合計に相当するので、入れ替わり比率を補給量に換算して、下記表2に示すようなテーブルを予め作成し、これに基づいて付着量検知補正を変更することで簡単かつ精度よく付着量を補正できる。すなわち、計数したトナー補給量との対比で容易に付着量検知補正を行うこともできる。
【表2】

【0055】
また、w及びpは単位走行距離当たりの補給速度[g/L]及び走行距離[L]や、単位駆動時間当たりの補給速度[g/t]及び駆動時間[t]等に置き換えることも可能である。
【0056】
さらに、トナー補給量の累計から交換前トナー比率を随時算出できるため、例えば、下記(式2)に示すように、トナー補給量の関数として補正値を更新していくこともできる。
付着量検知補正倍率=(C(p)×交換前トナーの付着量検知補正倍率)+((1−C(p))×交換後トナーの付着量検知補正倍率) ・・・(式2)
【0057】
また、本実施形態2においても、実施形態1と同様に、トナー容器80内のトナー物性情報を記録する手段として、非接触で読み取り可能なバーコードやICチップを利用するとトナー容器の着脱が容易である。特にICチップを利用することで多くの情報を保持でき、またトナーの使用状況の記録などデータの更新も可能となるため有用である。
【0058】
以上に説明したものは一例であり、本発明は、次の態様毎に特有の効果を奏する。
(態様A)
新しいトナーを収容するトナー容器80を交換可能に設けた現像装置60を用いて像担持体上にトナー像を形成するトナー像形成手段と、像担持体上に形成されたトナーパッチの光反射率に基づきトナー付着量を検出する光センサ11等の光学的付着量検出手段と、光学的付着量検出手段の検出結果に基づきナー像形成手段を制御するトナー像形成手段制御手段とを備えた画像形成装置において、トナー容器に当該トナー容器に収容されるトナーの微粉含有率データを記憶するIDチップ85等の記憶手段を設け、上記光学的付着量検出手段はトナー容器の記憶手段に記憶された微粉含有率データを参照してトナー付着量を検出する。
これによれば、上記実施形態1について説明したように、トナー容器内に収容されているトナーの微粉含有率に関わらずトナー付着量の検出誤差を抑制でき、正確なトナー付着量を検出することができる。
(態様B)
(態様A)において、光学的付着量検出手段は、予めトナーの標準的微粉含有率データを記憶し、記憶手段に記憶された微粉含有率データを該標準的微粉含有率データとを比較してトナー付着量の検出結果を補正する。これによれば、上記実施形態1について説明したように、トナー容器内に収容されているトナーの微粉含有率に関わらずトナー付着量の検出誤差を抑制でき、正確なトナー付着量を検出することができる。
(態様C)
(態様A)または(態様B)において、上記像担持体は中間転写ベルト10等の中間転写体である。これによれば、上記実施形態1について説明したように、感光体ドラム40等の潜像担持体上でトナーパッチに入射させた光の反射光を検知する構成に較べて、潜像担持体の劣化を促進してしまい装置寿命を短くする恐れがないというメリットがある。
(態様D)
(態様A)または(態様B)において、上記像担持体は2次転写ベルト24等の2次転写体である。これによれば、上記実施形態1について説明したように、中間転写ベルト10の材料選択の選択肢を増やし、光学的付着量検出手段の取付け位置について設計上の自由度を上げることができる。
(態様E)
(態様A)または(態様B)において、上記像担持体は感光体である。これにより、上記実施形態1について説明したように、直接転写方式の画像形成装置での適用が可能であり、転写率などの誤差要因を排除でき、より正確な付着量検出をおこなえるというメリットがある。
(態様F)
(態様A)、(態様B)、(態様C)、(態様D)または(態様E)において、上記像担持体上に作成されたトナーパッチを清掃する清掃手段を備える。これにより、上記実施形態1について説明したように、付着量測定用のトナーパッチが転写紙に転写されて画像品質を劣化させたり、画像形成装置内をトナーで汚染したりすることを防止できる。
(態様G)
(態様A)、(態様B)、(態様C)、(態様D)、(態様E)または(態様F)において、画像形成動作中に像担持体上の紙間のタイミングで像担持体上にトナーパッチを作成する。これにより、上記実施形態1について説明したように、転写紙がカット紙等の非連続的な媒体において、形成中の画像に悪影響を及ぼすことなく、画像形成動作を継続したまま、実際に形成されている画像とほぼ同じ付着量を測定できる。
(態様H)
(態様A)、(態様B)、(態様C)、(態様D)、(態様E)または(態様F)において、画像形成動作中に像担持体上の画像形成領域外となる幅方向端部にトナーパッチを作成する。これにより、上記実施形態1について説明したように、転写紙が連帳紙のように連続的な媒体において、形成中の画像に悪影響を及ぼすことなく、画像形成動作を継続しながら付着量検出をおこなうことができる。また、生産性向上のために紙間を極端に短くする場合にも適用できる。
(態様I)
(態様A)、(態様B)、(態様C)、(態様D)、(態様E)、(態様F)(態様G)または(態様H)において、光学的付着量検出手段を像担持体の表面移動方向に対して垂直方向の複数の箇所に設ける。これにより、上記実施形態1について説明したように、より正確なトナー付着量に基づいた制御を行うことができ、出力画像を良好化かつ安定化することができる。
(態様J)
(態様A)、(態様B)、(態様C)、(態様D)、(態様E)、(態様F)(態様G)、(態様H)または(態様I)において、現像装置はトナー容器内に、トナーのほかに新しいキャリアを収容する。上記実施形態1によれば、トナー容器80に新しいトナーのみを収容していたが、トナーと磁性キャリアとを収容し、現像装置60に新しいトナーとともに新しいキャリアを補給しても良い。この場合、トナー容器80から現像装置60に新しいトナーとともに新しいキャリアを補給することでトナー濃度の回復を図りながら、増加量分の現像剤を現像装置60から排出させる構成とする。この構成では、現像剤の補給と排出によって、現像剤中の古くなった磁性キャリアを少しずつ新たなものに交換することができる。このため、現像装置内の磁性キャリアの劣化が進行しにくく、現像剤交換作業を行う頻度を下げることができる。
(態様K)
(態様A)、(態様B)、(態様C)、(態様D)、(態様E)、(態様F)(態様G)、(態様H)、(態様I)または(態様J)において、光学的付着量検出手段は、トナー容器80が交換された後所定の時期に、交換後のトナー容器の記憶手段に記憶されたトナーの微粉含有率データに基づいて、トナー付着量の検出結果を補正する。これによれば、上記実施形態2について説明したように、トナー容器80交換直後のトナー付着量の検出誤差を抑制でき、正確なトナー付着量を検出することができる。
(態様L)
(態様K)において、トナー容器80から補給されるトナー、又はトナー及びキャリアの補給量を計数する手段を有し、上記所定の時期は、トナー容器80交換後、トナー容器80からの補給量が所定量に達した時である。これによれば、上記実施形態2について説明したように、トナーの微粉含有率データの切り替え時期を所定量のトナーが補給されたときとすることで簡単にタイミングを決定することができる。
(態様M)
(態様K)において、トナー容器80から補給されるトナー、又はトナー及びキャリアの補給量を計数する手段を有し、光学的付着量検出手段は、トナー容器80交換後、計数した補給量が所定量に達する毎に、予め用意されたテーブルと、交換前及び交換後のトナーの微粉含有率データとに基づいて、段階的にトナー付着量の検出結果を補正する。これによれば、上記実施形態2について説明したように、現像装置60内のトナーの入れ替りに応じて段階的かつ簡便に補正を切り替えることで、付着量検知結果が急激に変動しないようにすることができる。
(態様N)
(態様M)において、トナー付着量の検知結果の補正の切り替え時期を、下記(式1)により得られる現像装置60内に残った交換前トナーの比率に基づいて決定する。
C(p)=exp(−w×p/W) ・・・(式1)
C(p):交換前トナーの比率[−]
w:交換後トナーの補給速度[g/page]
p:作像回数[page]
W:現像装置内のトナー総量[g]
(w及びpは単位走行距離当たりの補給速度[g/L]及び走行距離[L]や、単位駆動時間当たりの補給速度[g/t]及び駆動時間[t]等に置き換えることも可能。)
これによれば、上記実施形態2について説明したように、w×pはトナー補給量の合計に相当するので、入れ替わり比率を補給量に換算して、例えば表2に示すようなテーブルを予め作成し、これに基づいて付着量検知補正を変更することで簡単かつ精度よく付着量を補正できる。すなわち、計数したトナー補給量との対比で容易に付着量検知補正を行うことができる。
(態様O)
(態様L)において、トナー付着量検知補正値を、上記(式1)より得られるC(p)、交換前トナーの微粉率、交換後トナーの微粉率の関数として決定する。これによれば、上記実施形態2について説明したように、トナー補給量の累計から交換前トナー比率を随時算出できるため、例えば、下式(式2)のようにトナー補給量の関数として補正値を更新していくこともできる。
付着量検知補正倍率=(C(p)×交換前トナーの付着量検知補正倍率)+((1−C(p))×交換後トナーの付着量検知補正倍率) ・・・(式2)
(態様P)
(態様A)、(態様B)、(態様C)、(態様D)、(態様E)、(態様F)(態様G)、(態様H)、(態様I)、(態様J)、(態様K)、(態様L)、(態様M)、(態様N)または(態様O)において、トナー容器80に設けられる上記記憶手段は、トナーの微粉含有率データを含むトナー特性値データを記憶するICチップである。
これによれば、上記実施形態1、2について説明したように、トナー容器80内のトナーの微粉含有率データなどのトナー物性情報を記録する手段として、非接触で読み取り可能なバーコードやICチップを利用するとトナー容器の着脱が容易である。特にICチップを利用することで多くの情報を保持でき、またトナーの使用状況の記録などデータの更新も可能となるため有用である。
【符号の説明】
【0059】
10 中間転写ベルト
11 光センサ
14,15,16 ローラ
17 中間転写体クリーニング装置
18 作像ユニット
20 タンデム作像部
21 露光装置
22 2次転写装置
24 2次転写ベルト
25 定着装置
28 シート反転装置
40 感光体ドラム
60 現像装置
70 粉体ポンプ
71 駆動モータ
80 トナー容器
81 トナー収容体
82 取付け部材
83 ノズル挿入穴
84 係合溝
85 IDチップ
90 ノズル
91 トナー補給チューブ
92 係合レール
100 複写機本体
【先行技術文献】
【特許文献】
【0060】
【特許文献1】特開特開2010‐101943号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
新しいトナーを収容するトナー容器を交換可能に設けた現像装置を用いて像担持体上にトナー像を形成するトナー像形成手段と、該像担持体上に形成されたトナーパッチの光反射率に基づきトナー付着量を検出する光学的付着量検出手段と、該光学的付着量検出手段の検出結果に基づき該トナー像形成手段を制御するトナー像形成手段制御手段とを備えた画像形成装置において、
上記トナー容器に当該トナー容器に収容されるトナーの微粉含有率データを記憶する記憶手段を設け、上記光学的付着量検出手段は該トナー容器の記憶手段に記憶された微粉含有率データを参照してトナー付着量を検出することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
請求項1の画像形成装置において、上記光学的付着量検出手段は、予めトナーの標準的微粉含有率データを記憶し、上記記憶手段に記憶された微粉含有率データを該標準的微粉含有率データとを比較してトナー付着量の検出結果を補正することを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
請求項1または2の画像形成装置において、上記像担持体は中間転写体であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
請求項1または2の画像形成装置において、上記像担持体は2次転写体であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
請求項1または2の画像形成装置において、上記像担持体は感光体であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
請求項1、2、3、4または5の何れかの画像形成装置において、上記像担持体上に作成されたトナーパッチを清掃する清掃手段を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
請求項1、2、3、4、5または6の何れかの画像形成装置において、画像形成動作中に上記像担持体上の紙間のタイミングで該像担持体上に上記トナーパッチを作成することを特徴とする画像形成装置。
【請求項8】
請求項1、2、3、4、5または6の何れかの画像形成装置において、画像形成動作中に上記像担持体上の画像形成領域外となる幅方向端部に上記トナーパッチを作成することを特徴とする画像形成装置。
【請求項9】
請求項1、2、3、4、5、6、7または8の何れかの画像形成装置において、上記光学的付着量検出手段を上記像担持体の表面移動方向に対して垂直方向の複数の箇所に設けたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項10】
請求項1、2、3、4、5、6、7、8または9の何れかの画像形成装置において、上記現像装置は上記トナー容器内に、トナーのほかに新しいキャリアを収容することを特徴とする画像形成装置。
【請求項11】
請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9または10の何れかの画像形成装置において、上記光学的付着量検出手段は、上記トナー容器が交換された後所定の時期に、交換後のトナー容器の上記記憶手段に記憶されたトナーの微粉含有率データに基づくトナー付着量の検出結果の補正に切り替えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項12】
請求項11の画像形成装置において、上記トナー容器から補給されるトナー、又はトナー及びキャリアの補給量を計数する手段を有し、上記所定の時期は、トナー容器交換後、トナー容器からの補給量が所定量に達する時期であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項13】
請求項11の画像形成装置において、上記トナー容器から補給されるトナー、又はトナー及びキャリアの補給量を計数する手段を有し、上記光学的付着量検出手段は、トナー容器交換後、計数した補給量が所定量に達する毎に、予め用意されたテーブルと、交換前及び交換後のトナーの微粉含有率データとに基づいて、段階的にトナー付着量の検出結果を補正することを特徴とする画像形成装置。
【請求項14】
請求項13の画像形成装置において、トナー付着量の検知結果の補正の切り替え時期を、下記(式1)により得られる現像装置内に残った交換前トナーの比率に基づいて決定することを特徴とする画像形成装置。
C(p)=exp(−w×p/W) ・・・(式1)
C(p):交換前トナーの比率[−]
w:交換後トナーの補給速度[g/page]
p:作像回数[page]
W:現像装置内のトナー総量[g]
(w及びpは単位走行距離当たりの補給速度[g/L]及び走行距離[L]や、単位駆動時間当たりの補給速度[g/t]及び駆動時間[t]等に置き換えることも可能。)
【請求項15】
請求項12の画像形成装置において、トナー付着量検知補正値を、上記(式1)より得られるC(p)、交換前トナーの微粉率、交換後トナーの微粉率の関数として決定することを特徴とする画像形成装置。
【請求項16】
請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14または15の何れかの画像形成装置において、上記トナー容器に設けられる上記記憶手段は、トナーの微粉含有率データを含むトナー特性値データを記憶するICチップであることを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−54337(P2013−54337A)
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−48876(P2012−48876)
【出願日】平成24年3月6日(2012.3.6)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】