説明

電子写真感光体の検査方法

【課題】生産性を低下させることなく、精度の向上した電子写真感光体の検査方法を提供する。
【解決手段】光学検査第一工程で、電子写真感光体に白色の光を照射し、その反射光を測定し測定された電流値に基づいて、感光体の被疑欠陥の有無を判定し、電気検査第一工程で、感光体表面に導電性ローラを圧接して感光体を回転させながら直流電圧を印加し、導電性ローラから感光体へ流れる電流を測定し、測定された電流値に基づいて、感光体の欠陥の有無を判定する。検査した感光体のうち、光学検査第一工程で被疑欠陥が検出され電気検査第一工程で欠陥が検出されなかった感光体のみに対して、レーザー光を照射し、その光の反射光を測定し、測定された電流値に基づいて、感光体の被疑欠陥の有無を判定する光学検査第二工程を実施する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真感光体の検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真装置に用いられる像保持部材として、電子写真感光体(以下、単に「感光体」ということもある)があり、中でも、高生産性、材料設計の容易性および将来性の観点から、有機光導電性物質を使用する有機電子写真感光体の開発が盛んに行われている。
電子写真感光体、例えば、有機電子写真感光体は、一般に、有機光導電性物質を結着樹脂に溶解または分散させて感光層塗布液を作製し、それを導電性支持体上に塗布、乾燥することにより製造される。
このような電子写真感光体には、導電性支持体上に存在する突起状の欠陥、感光層塗布液内の異物又は電子写真感光体の製造工程中に付着する異物に起因する欠陥が存在することがある。これらの欠陥は、電子写真画像上の黒点及び白点等の画像欠陥となったり、感光体の絶縁破壊の原因となったりする。従って、実際の使用上に問題となる感光体の欠陥に関しては、検査にて検出し、取り除く必要がある。このような検査としては、従来、人による目視検査が行われていたが、大量の検査を人手で行うには多くの人員が必要であり、また、人によって検査結果にバラツキが生じ、また疲労により検査能力が低下する等の問題がある。そのため、近年、人の目視検査に代わる電子写真感光体の欠陥の検査方法及びその方法を実施する装置が提案されている。その代表的なものとして光学的な技術(例えば、特許文献1、2参照)と電気的な技術(例えば、特許文献3、4参照)が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平6−137844号公報
【特許文献2】特開平11−118449号公報
【特許文献3】特公平2−43134号公報
【特許文献4】特開平9−325169号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1〜4に提案されている技術は、単独での感光体欠陥の検出精度の向上にはなっていたが、実際の感光体ドラムにおいて生じうる多様な欠陥を検出するには十分とはいえなかった。なぜなら、光学検査方法及び電気検査方法には、それぞれ検出が容易な欠陥と検出が困難な欠陥とがあるからである。例えば、導電性支持体としての金属基体の微小突起に起因する感光体の欠陥は、感光体の絶縁破壊の原因となり、また得られる画像の欠陥の原因となり得る欠陥であるが、その欠陥は小さい場合も多く、光学検査方法による検出が困難な傾向がある。これらの微小突起に起因する感光体の欠陥を検出するように閾値を設定すると、今度は本来欠陥でないのに欠陥として検出する誤検出の確率が上昇してしまい、感光体の生産性が低下する傾向があった。また、光学検査の精度を向上させようとして、分解能を上げると、検査視野が小さくなることによって検査時間が増大し、生産性が低下する傾向があった。一方で、導電性でない異物の付着や膜厚ムラは、一般的に電気検査方法では検出が困難な傾向がある。また、電気検査の精度を向上させようと感光体に対して高圧印加を行うと、欠陥がなくとも感光体が絶縁破壊する確率が増大し、生産性が低下する傾向があった。よって、更なる改善が望まれていた。そして、単純に光学検査方法と電気検査方法とを組み合わせるだけでは、効果が十分でない場合があった。
【0005】
そこで、本発明の目的は、生産性に優れ、精度の向上した電子写真感光体の検査方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、鋭意検討した結果、特定のフローで検査工程を実施することで、生産性に優れ、精度の向上した電子写真感光体の検査方法となることを見いだし、本発明をなすに至った。
【0007】
即ち、本発明は、電子写真感光体に白色の光を照射し、該光の反射光を光電変換素子からなる受光手段により測定し、測定された電流値に基づいて、電子写真感光体の被疑欠陥の有無を判定する光学検査第一工程と、電子写真感光体の表面に導電性ローラを圧接して、電子写真感光体を回転させながら直流電圧を印加し、導電性ローラから電子写真感光体へ流れる電流を、電流測定手段により測定し、測定された電流値に基づいて、電子写真感光体の欠陥の有無を判定する電気検査第一工程とを有する電子写真感光体の検査方法であって、検査した電子写真感光体を、該光学検査第一工程において被疑欠陥が検出されず、該電気検査第一工程において欠陥が検出されなかった電子写真感光体と、該電気検査第一工程において欠陥が検出された電子写真感光体と、該光学検査第一工程において被疑欠陥が検出され、該電気検査第一工程において欠陥が検出されなかった電子写真感光体とに分類して、該光学検査第一工程において被疑欠陥が検出され、該電気検査第一工程において欠陥が検出されなかった電子写真感光体のみについて、該電子写真感光体にレーザー光を照射し、該光の反射光を光電変換素子からなる受光手段により測定し、測定された電流値に基づいて、電子写真感光体の被疑欠陥の有無を判定する光学検査第二工程を実施することを特徴とする電子写真感光体の検査方法である。
【0008】
また、本発明は、上記の電子写真感光体の検査方法において、該光学検査第二工程における検出情報と所定の閾値に基づいて、該当する電子写真感光体の被疑欠陥を、欠陥でないと判断できるもの、欠陥であると判断できるもの、又はそのどちらであるか判断できないものとに分類して、被疑欠陥がどちらであるか判断できない電子写真感光体のみについて、該電子写真感光体の表面に、第一の導電性ローラを圧接して、電子写真感光体を回転させながら直流電圧に交流電圧を重畳した電圧を印加する第1の工程、及び、第1の工程の後に、電子写真感光体表面に第二の導電性ローラを圧接して、電子写真感光体を回転させながら直流電圧を印加する第2の工程を有し、第2の工程により、第二の導電性ローラから電子写真感光体へ流れる電流を、電流測定手段により測定し、測定された電流値に基づいて、電子写真感光体の欠陥の有無を判定する電気検査第二工程を実施することを特徴とする検査方法である。
【0009】
さらに、本発明は、上記の電子写真感光体の検査方法において、該光学検査第二工程における検出情報と所定の閾値に基づいて、該当する電子写真感光体の被疑欠陥を、欠陥でないと判断できるもの、欠陥であると判断できるもの、又はそのどちらであるか判断できないものとに分類して、被疑欠陥がどちらであるか判断できない電子写真感光体のみについて、第一の導電性ローラを該電子写真感光体の表面に圧接し、該電子写真感光体を回転させながら直流電圧を印加するとともに、該導電性ローラと該電子写真感光体との間で発生する放電領域に対して、電子写真感光体が感度を有する光を照射する第1の工程、及び、第1の工程の後に、電子写真感光体表面に第二の導電性ローラを圧接して、電子写真感光体に直流電圧を印加する第2の工程を有し、第2の工程により、導電性ローラから電子写真感光体へ流れる電流を、電流測定手段により測定し、測定された電流値に基づいて、電子写真感光体の欠陥の有無を判定する電気検査第二工程を実施することを特徴とする検査方法である。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、検査精度の向上した、電子写真感光体の検査方法を提供することが出来る。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明をより詳細に説明する。
【0012】
本発明の電子写真感光体の検査方法は、電子写真感光体に白色の光を照射し、該光の反射光を光電変換素子からなる受光手段により測定し、測定された電流値に基づいて、電子写真感光体の被疑欠陥の有無を判定する光学検査第一工程と、電子写真感光体の表面に導電性ローラを圧接して、電子写真感光体を回転させながら直流電圧を印加し、導電性ローラから電子写真感光体へ流れる電流を、電流測定手段により測定し、測定された電流値に基づいて、電子写真感光体の欠陥の有無を判定する電気検査第一工程とを有する電子写真感光体の検査方法であって、検査した電子写真感光体を、該光学検査第一工程において被疑欠陥が検出されず、該電気検査第一工程において欠陥が検出されなかった電子写真感光体と、該電気検査第一工程において欠陥が検出された電子写真感光体と、該光学検査第一工程において被疑欠陥が検出され、該電気検査第一工程において欠陥が検出されなかった電子写真感光体とに分類して、該光学検査第一工程において被疑欠陥が検出され、該電気検査第一工程において欠陥が検出されなかった電子写真感光体のみについて、該電子写真感光体にレーザー光を照射し、該光の反射光を光電変換素子からなる受光手段により測定し、測定された電流値に基づいて、電子写真感光体の被疑欠陥の有無を判定する光学検査第二工程を実施する電子写真感光体の検査方法である。
【0013】
以下に本発明の実施の形態を添付図面に基づいて、説明する。
【0014】
図1及び2は本発明の特徴を最も良く表す動作の流れを示すフローチャートである。図1及び2において、本発明における光学検査第一工程10とは、被疑欠陥が存在するか、しないかを明確に判定するために実施される工程である。それに応じた閾値が設定される。光学検査第一工程10には、上記要求を満たす範囲で任意の構成の光学検査方法を用いることが可能である。
【0015】
本発明における電気検査第一工程20とは、電子写真装置において初期より電子写真感光体の絶縁破壊の原因となり、画像不良となる欠陥が存在するかどうかを明確に判定するために実施される工程である。それに応じた閾値が設定される。電気検査第一工程20には、上記要求を満たす範囲で任意の構成の電気検査方法を用いることが可能である。
【0016】
本発明において、被検体としての電子写真感光体の検査は、まず、光学検査第一工程10、電気検査第一工程20、分別工程30の順で、あるいは、電気検査第一工程20、光学検査第一工程10、分別工程30の順で、実施される。
分別工程30において、光学検査第一工程で被疑欠陥が検出されず、電気検査第一工程で欠陥が検出されなかった電子写真感光体31は、ピンホール、打痕、擦り傷、気泡の巻き込み、クラック、ゴミ等の付着による欠陥や感光層の膜厚のムラ、液ダレや基体の微小欠陥等が存在している可能性が極めて低いと判断されるため、欠陥なしと判定する。
【0017】
本発明における電気第一検査工程で欠陥が検出された電子写真感光体33は、クラック、ゴミ等の付着による欠陥や感光層の膜厚のムラ、液ダレや基体の微小欠陥等により、電子写真感光体の絶縁破壊しいては画像不良を引き起こす可能性が高いと判断されるため、欠陥ありと判定する。
【0018】
本発明における光学第一検査工程で被疑欠陥が検出され、電気第一検査工程で欠陥が検出されなかった電子写真感光体32は、被疑欠陥の解析を行うために、光学検査第二工程40へとすすめる。
【0019】
本発明における光学検査第二工程40では、光学検査第一工程10において検出された被疑欠陥が欠陥かどうかの判定を行うための検出情報が得られる。さらには、該当する被疑欠陥が光学検査では欠陥かどうかの判定が不能であり、精密な電気検査第二工程へすすめると判定するための検出情報が得られると尚、好ましい。そのために、光学検査第一工程10に比べて、光学検査第二工程40では、光源をレーザー光源とした分解能の高い装置を使用することが好ましい。光学検査第二工程40には、上記要求を満たす範囲で、任意の構成の光学検査方法を用いることができる。
【0020】
本発明における光学検査第二工程40の結果、該検出情報と所定の閾値に基づき、該当する電子写真感光体の被疑欠陥が欠陥でない41か、欠陥である43かの分別を行う。あるいは、検出情報と所定の閾値に基づき、該当する電子写真感光体の被疑欠陥は欠陥でない51か、欠陥である53か、光学検査では欠陥かどうか判定不能で、電気検査第二工程を実施する52、のいずれかの判断を行う判断工程50を実施すると尚、好ましい。分別工程及び判断工程における、被疑欠陥が欠陥であるか、欠陥でないかの基準は下記のとおりである。
【0021】
欠陥でない41、51とは、被疑欠陥が、電子写真画像上の黒点や白点、濃度ムラ等の画像欠陥となったり、繰り返し使用により感光体の絶縁破壊の原因となることはないと考えられる場合である。例えば、異常が、導電性のない異物の付着物であり、極めて小さくて電子写真装置の現像性に影響を与えない大きさである場合が挙げられる。また、異常が、軽微な膜厚ムラで、電子写真装置の現像性に影響を与えない大きさである場合が挙げられる。また、電子写真感光体の塗工乾燥後のゴミの付着や、光学系のノイズ混入による光学検査第一工程の誤検知の場合も、含まれる。
【0022】
欠陥である43、53とは、被疑欠陥が、電子写真画像上の黒点や白点、濃度ムラ等の画像欠陥となったり、繰り返し使用により感光体の絶縁破壊の原因となる可能性が高いと考えられる場合である。43の場合には、電子写真画像上の黒点や白点、濃度ムラ等の画像欠陥とならないが、繰り返し使用により感光体の絶縁破壊の原因となる可能性がある場合も含まれる。例えば、異常が、比較的大きな異物の付着物であり、電子写真装置の現像性に影響を与え、黒点や白点等の画像欠陥となる場合が挙げられる。また、異常が、比較的大きな膜厚ムラであり、電子写真装置の現像性に影響を与え、濃度ムラ等の画像欠陥となる場合が挙げられる。
【0023】
光学検査では被疑欠陥が欠陥かどうか判定不能で、電気検査第二工程を実施する52とは、被疑欠陥が、電子写真画像上の黒点や白点、濃度ムラ等の画像欠陥とならないが、繰り返し使用により感光体の絶縁破壊の原因となる可能性がある場合をいう。例えば、被疑欠陥が異物の付着物であり、極めて小さくて電子写真装置の現像性に影響を与えない大きさであるが、異物が導電性かどうか判らない場合が挙げられる。
【0024】
本発明における電気検査第二工程60は、判断工程で繰り返し使用により感光体の絶縁破壊の原因となる可能性があると判断された被疑欠陥について、絶縁破壊の可能性を明確にするために実施される。電子写真装置において想定される繰り返し使用条件も加味し、適切な検査条件及び閾値が設定される。該検出情報と所定の閾値に基づき、該被疑欠陥が絶縁破壊の原因となる欠陥かどうかを検出し、欠陥なし61か、欠陥あり63かの分別を行う。本発明における電気検査第二工程では、上記要求を満たす範囲で、任意の構成の電気検査手法を用いることが可能である。
検査の対象とされる電子写真感光体が接触帯電方式の電子写真装置に用いられる電子写真感光体である場合には、より好適に本発明の効果を得ることができる。
【0025】
次に、本発明の、電子写真感光体の検査方法における、各検査工程の構成について説明する。
【0026】
本発明の光学検査第一工程とは、電子写真感光体に白色の光を照射し、該光の反射光を光電変換素子からなる受光手段により測定し、測定された電流値に基づいて、電子写真感光体の被疑欠陥の有無を判定する工程である。
ここで、本発明の光学検査第一工程における白色の光の照射とは、例えばハロゲンランプを白色光源として用い、また光ファイバーと光学フィルターを利用し、ハロゲンランプからの光を帯状光束として電子写真感光体へ投光することである。反射光とは、正反射光及び散乱反射光が挙げられる。光電変換素子からなる受光手段とは、例えばラインセンサー型CCDカメラが挙げられる。判定に用いる閾値は、欠陥がある電子写真感光体を検査した際の光電変換センサーの電流値に基づいて欠陥である可能性がある異常が被疑欠陥として検出されるレベルに、設定される。
【0027】
図3は本発明の光学検査第一工程を実施する装置の一例の概略構成を示した図である。同図において、白色光源3001から白色光3002を電子写真感光体3に軸方向に一様に照射させる。その反射光3004をラインセンサー型CCDカメラ3005にて受光する。ラインセンサー型CCDカメラ3005において、反射光情報は、電気信号に変換され、不図示の処理装置に送られて、予め設定されていた閾値に基づき、被疑欠陥あるいは欠陥の判定が行われる。尚、図示していないが、照射光及び反射光を調整する光学系を必要に応じて有しても良い。
例えば、ビームエクスパンダー、反射ミラー、シリンドリカルレンズ、マスク板、コリメータレンズ、fθレンズなどである。
被疑欠陥あるいは欠陥の判定方法には様々な方法があるが、一例として、電気信号に変換された反射光情報をある閾値によって2値化し、被疑欠陥あるいは欠陥の大きさや面積より閾値を設定して、欠陥を判定する方法が挙げられる。
【0028】
本発明の光学検査第二工程とは、電子写真感光体にレーザー光を照射し、該光の反射光を光電変換素子からなる受光手段により測定し、測定された電流値に基づいて、電子写真感光体の被疑欠陥の有無を判定する工程である。
本発明の光学検査第二工程におけるレーザー光の照射とは、例えばHe−Neレーザーを光源として用い、ビームエキスパンダーあるいはマスク板を利用して、電子写真感光体に投光することである。反射光とは、正反射光及び散乱反射光が挙げられる。光電変換素子からなる受光手段とは、例えばラインセンサー型CCDカメラ又は光電子倍増管(フォトマル)が挙げられる。判定に用いる閾値は、欠陥がある電子写真感光体を検査した際の光電変換センサーの電流値に基づいて欠陥である異常が欠陥として検出されるレベルに、設定される。この際、光学検査第二工程でのレーザー光は光学検査第一工程よりも高分解能であるため、より精度の高い欠陥の検出が可能である。さらには、欠陥かどうか判定不能な場合は、それらも識別できるように、所定の閾値を設定できると尚、好ましい。
【0029】
図4は本発明の光学検査第二工程を実施する装置の一例の概略構成を示した図である。同図において、光源4001からのレーザ光ビーム4002を、反射ミラー4003及びポリゴンミラー4004を介して電子写真感光体4005の軸方向に走査するように照射させる。その反射光4006を光電子増倍管7にて受光する。
【0030】
光電子増倍管4007おいて、反射光情報は、電気信号に変換され、不図示の処理装置に送られて、予め設定されていた閾値に基づき、欠陥の判定が行われる。尚、図示していないが、照射光及び反射光を調整する光学系を必要に応じて有しても良い。
例えば、ビームエクスパンダー、反射ミラー、シリンドリカルレンズ、マスク板、コリメータレンズ、fθレンズなどである。
被疑欠陥あるいは欠陥の判定方法には様々な方法があるが、一例として、電気信号に変換された反射光情報をある閾値によって2値化し、被疑欠陥あるいは欠陥の大きさや面積に閾値を設定して、欠陥を判定する方法が挙げられる。
【0031】
光学検査第二工程においてレーザー光を用いて光学検査を行うことにより、分解能の向上および欠陥検出精度の向上を図ることが可能であるが、同時に検査に要する時間は増加する傾向にある。レーザー光の分解能を高めることによって、検査視野は狭くなる、すなわち、単位時間あたりの検査面積が小さくなるためである。よって、検査時間の増加による生産性の低下が懸念となる。本発明においては、欠陥をもっている疑いのある検査体にのみ検査を行うことで、生産性の低下を抑制している。そのために、電子写真感光体の生産性を損なうことなく、欠陥検出の精度を向上させることができる。
【0032】
本発明の電気検査第一工程とは、電子写真感光体表面に導電性ローラを圧接して、電子写真感光体を回転させながら直流電圧を印加し、導電性ローラから電子写真感光体へ流れる電流を、電流測定手段により測定し、測定された電流値に基づいて、電子写真感光体の欠陥の有無を判定する工程である。
【0033】
図5は本発明の電気検査第一工程を実施するための装置の一例の概略構成を示した図である。図5において、5001は円筒状支持体上に感光層を形成した電子写真感光体であり、矢印の方向に所定の周速度で回転駆動される。電子写真感光体5001には、回転過程において、電子写真感光体5001に圧接された導電性ローラ5002により直流電圧のみを印加される。電子写真感光体5001を1周以上回転駆動させながら、電流値検出手段5004により電子写真感光体1を流れる電流が検出される。検出された電流値を電流値処理手段5005により読み取り、所定の閾値に基づいて欠陥の有無を判定する。具体的には、一定以上電流が流れた場合を欠陥ありと判断し、それより小さい電流が流れた場合は欠陥なしと判断する。なお、5003は高圧電源を示す。
【0034】
本発明の電気検査第二工程には、二つの態様がある。第1態様の電気検査第二工程としては、例えば、第一の導電性ローラを電子写真感光体表面に圧接し、電子写真感光体を回転させながら直流電圧に交流電圧を重畳した電圧を印加する第1の工程と、第二の導電性ローラを電子写真感光体表面に圧接し、電子写真感光体を回転させながら直流電圧を印加する第2の工程であって、導電性ローラから電子写真感光体へ流れる電流を電流測定手段により測定し、測定された電流値に基づいて、電子写真感光体の欠陥の有無を判定する工程とをこの順に実施する電気検査工程であることが望ましい。なお、上記第2の工程には、電流を測定する手段に加えて、電流値を処理する手段を用いるのが好ましい。また、第2態様の電気検査第二工程は、第一の導電性ローラを電子写真感光体表面に圧接し、電子写真感光体を回転させながら直流電圧を印加するとともに、導電性ローラと電子写真感光体との間で発生する放電領域に対して、電子写真感光体が感度を有する光を照射する第1の工程と、第二の導電性ローラを電子写真感光体表面に圧接し、電子写真感光体に直流電圧を印加する第2の工程であって、導電性ローラから電子写真感光体へ流れる電流を電流測定手段により測定し、測定された電流値に基づいて、電子写真感光体の欠陥の有無を判定する工程をこの順に実施する電気検査工程であることが望ましい。この場合においても、上記第2の工程には、電流を測定する手段に加えて、電流値を処理する手段を用いることが好ましい。
【0035】
図6は本発明の電気検査第二工程の第1態様の第1の工程を実施するための装置の一例の概略構成を示した図である。図6において、6001は円筒状支持体上に形成された電子写真感光体であり、矢印の方向に所定の周速度で回転駆動される。電子写真感光体6001は、回転過程において、電子写真感光体6001に圧接された導電性ローラ6002により直流電圧に交流電圧を重畳した電圧を印加される。電子写真感光体内に微小欠陥があると、その部分に集中的に電流が流れることにより微小欠陥部が劣化し、欠陥が顕在化される。電子写真感光体6001は、1周以上回転駆動しながら電圧印加を受けた後、必要に応じて除電工程を行い、顕在化された欠陥を検出するための電気検査第二工程の第2の工程に移動される。なお、6003は高圧電源を示す。
【0036】
本発明においては、下記式(1)で示される電気検査第二工程の第1態様の第1の工程の最大印加電圧Vmaxが、1000V以上3000V以下であり、かつ、Vmaxが電子写真装置の最大暗部電位より大きいことが検査精度の向上及び生産性の点から好ましい。

最大印加電圧Vmax=|直流電圧Vdc|+交流ピーク間電圧Vp×1/2 (1)

最大印加電圧Vmaxが1000Vより低いと、微小欠陥に流れる電流が不十分となるため、直流電圧に交流電圧を重畳した電圧を印加しても微小欠陥が存在する部分の感光層が絶縁破壊を起こし難くなる。そのため、電気検査第二工程において欠陥が検出され難くなる。一方、3000Vより高いと、欠陥以外の電子写真感光体の絶縁破壊が起こり易くなる。
また、最大印加電圧Vmaxが電子写真装置の最大暗部電位より大きいほうが検査精度の向上の点から好ましい。
【0037】
また、電子写真感光体の回転スピードは100mm/sec以下にすることが検査精度の点から好ましい。電子写真感光体の回転スピードを遅くして電子写真感光体に電圧を印加し続ける時間を長くすることで、微小欠陥が加速的に劣化し、電気検査第二工程において検出され易くなる。
【0038】
更に、本発明の電気検査第二工程の第1態様の第1の工程においては、印加する交流電圧の周波数が500Hz以上であることが検査精度の点から好ましく、特には1000Hz以上であることが好ましい。交流電圧の周波数が高い方が、微小欠陥が加速的に劣化し、電気検査第二工程において検出され易くなる。
図7は本発明の電気検査第二工程の第2態様における第1の工程を実施するための装置の概略構成を示した図である。図7において、7001は円筒状支持体上に感光層を形成した電子写真感光体であり、矢印の方向に所定の周速度で回転駆動される。電子写真感光体7001には、その回転過程において、電子写真感光体7001に圧接された導電性ローラ7002と電子写真感光体7001との放電領域に電子写真感光体が感度を有する光が照射される。電子写真感光体内に微小欠陥があると、その部分に集中的に電流が流れることにより微小欠陥部が劣化し、欠陥が顕在化される。電子写真感光体7001は1周以上回転駆動しながら電圧印加を受けた後、必要に応じて除電工程を行い、顕在化された欠陥を検出する電気検査第二工程の第2の工程に移動される。なお、7003は高圧電源を、7004は電流地検出手段を、7005は電流地処理手段を、7006は光源を示す。
【0039】
本発明においては、導電性ローラに直流電圧のみを印加する場合、電子写真感光体の静電容量に応じた所定の電位に帯電されると放電が終了してしまう。
その場合、より多くの電流を流して微少欠陥を加速的に劣化させることが困難である。そのために、電子写真感光体が所定の電位にいたる前に、電子写真感光体に光を照射して表面電位を低下させることで、より多くの電流を流すことができる。
電流の流れる大きさ(電流値)は、電子写真感光体の静電容量や帯電バイアスによっても変わるが、電子写真感光体に照射する光量を変えることでも変動することが分かっている。そこで本発明では、照射する光量を変更した場合は、電流値によって光量の大小を判断するものとする。
【0040】
残留電位になるまで除電した電子写真感光体を、暗所中にて帯電したときに流れる電流値をIとした場合、前述の第一工程での光量は、電流値がI×1.5以上になるような光量設定が、検査精度の向上および生産性の点から好ましい。
また、電子写真感光体の回転スピードは100mm/sec以下にすることが検査精度の点から好ましい。
電子写真感光体の回転スピードを遅くして電子写真感光体に電圧を印加し続ける時間を長くすることで微小欠陥が加速的に劣化し、電気検査第二工程において検出され易くなる。
【0041】
次に、本発明の電気検査第二工程の第1態様及び第2態様における第2の工程について詳細に説明する。
電気検査第二工程における第2の工程では、電子写真感光体の繰り返し使用によって顕在化される微小欠陥を精度よく検出できる構成の装置を任意に用いることができる。
【0042】
図5は、前述したように、本発明の電気検査第一工程を実施するための装置の一例の概略構成を示した図であるが、この装置は本発明の電気検査第二工程の第1態様及び第2態様における第2の工程を実施するためにも用いることができる。図5において、5001は円筒状支持体上に形成された電子写真感光体であり、矢印の方向に所定の周速度で回転駆動される。電子写真感光体5001には、その回転過程において、電子写真感光体5001に圧接された導電性ローラ5002により直流電圧のみを印加される。電子写真感光体5001を1周以上回転駆動させながら電流値検出手段5004により電子写真感光体を流れる電流を検出する。検出した電流値を電流値処理手段5005により読み取り、所定の閾値に基づいて欠陥の有無を判定する。具体的には、一定以上電流が流れた場合を欠陥ありと判断し、それより小さい電流が流れた場合は欠陥なしと判断する。
本発明においては、電気検査第二工程の第1態様及び第2態様における第二工程は暗所で行うことが検査精度の向上の点から好ましい。
【0043】
次に、本発明の検査方法が適用される電子写真感光体の構成例について説明する。
【0044】
電子写真感光体は、支持体と、該支持体上に設けられた有機感光層(以下、単に「感光層」ともいう。)とを有する。電子写真感光体としては、一般的には、円筒状支持体上に感光層を形成した円筒状有機電子写真感光体が広く用いられるが、ベルト状或いはシート状の形状も可能である。
【0045】
感光層は、電荷輸送物質と電荷発生物質とを同一の層に含有する単層型感光層であっても、電荷発生物質を含有する電荷発生層と電荷輸送物質を含有する電荷輸送層とに分離した積層型(機能分離型)感光層であってもよい。電子写真感光体は、電子写真特性の観点から、積層型感光層が好ましい。また、積層型感光層は、支持体側から電荷発生層、電荷輸送層の順に積層した順層型感光層であっても、支持体側から電荷輸送層、電荷発生層の順に積層した逆層型感光層であってもよい。電子写真感光体において、積層型感光層を採用する場合、電子写真特性の観点から、順層型感光層が好ましい。また、電荷発生層を積層構造としてもよく、また、電荷輸送層を積層構成としてもよい。更に、耐久性能向上等を目的とし感光層上に保護層を設けることも可能である。
【0046】
支持体としては、導電性を有するもの(導電性支持体)が好ましく、例えば、アルミニウム、アルミニウム合金又はステンレスのような金属製の支持体を用いることができる。アルミニウム又はアルミニウム合金の場合は、ED管、EI管や、これらを切削、電解複合研磨(電解作用を有する電極と電解質溶液による電解及び研磨作用を有する砥石による研磨)、湿式又は乾式ホーニング処理したものも用いることができる。また、アルミニウム、アルミニウム合金又は酸化インジウム−酸化スズ合金を真空蒸着によって被膜形成された層を有する上記金属製支持体や樹脂製支持体(ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、フェノール樹脂、ポリプロピレン又はポリスチレン樹脂)を用いることもできる。また、カーボンブラック、酸化スズ粒子、酸化チタン粒子又は銀粒子のような導電性粒子を樹脂や紙に含浸した支持体や、導電性結着樹脂を有するプラスチックを用いることもできる。
【0047】
支持体の表面は、レーザー光の散乱による干渉縞の防止を目的として、切削処理、粗面化処理、アルマイト処理を施してもよい。
【0048】
支持体の体積抵抗率は、支持体の表面が導電性を付与するために設けられた層である場合、その層の体積抵抗率は、1×1010Ω・cm以下であることが好ましく、特には1×10Ω・cm以下であることがより好ましい。
【0049】
支持体と、後述の中間層又は感光層(電荷発生層、電荷輸送層)との間には、レーザー光の散乱による干渉縞の防止や、支持体の傷の被覆を目的とした導電層を設けてもよい。これは、導電性粉体を適当な結着樹脂に分散させた塗布液を塗工することにより形成される層である。
【0050】
このような導電性粉体としては、以下のようなものが挙げられる。カーボンブラック、アセチレンブラック;アルミニウム、ニッケル、鉄、ニクロム、銅、亜鉛又は銀のような金属粉;導電性酸化スズ又はITOのような金属酸化物粉体。
【0051】
また、同時に用いられる結着樹脂としては、ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアリレート樹脂、フェノキシ樹脂、ポリカーボネート、酢酸セルロース樹脂、エチルセルロース樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリビニルトルエン、ポリ−N−ビニルカルバゾール、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂及びアルキッド樹脂等の熱可塑樹脂、熱硬化性樹脂又は光硬化性樹脂が挙げられる。
【0052】
導電層は、上記導電性粉体と結着樹脂を、テトラヒドロフラン又はエチレングリコールジメチルエーテルのようなエーテル系溶剤;メタノールのようなアルコール系溶剤;メチルエチルケトンのようなケトン系溶剤;トルエンのような芳香族炭化水素溶剤に分散し、又は溶解し、これを塗布することにより形成することができる。導電層の平均膜厚は0.2μm以上であり、かつ40μm以上であることが好ましく、1μm以上であり、かつ35μm以下であることがより好ましく、更には5μm以上であり、かつ30μm以下であることがより一層好ましい。
導電性顔料や抵抗調節顔料を分散させた導電層は、その表面が粗面化される傾向にある。
【0053】
支持体又は導電層と、感光層(電荷発生層、電荷輸送層)との間には、バリア機能や接着機能を有する中間層を設けてもよい。中間層は、例えば、感光層の接着性改良、塗工性改良、支持体からの電荷注入性改良、感光層の電気的破壊に対する保護のために形成される。
【0054】
中間層は、硬化性樹脂を塗布後硬化させて樹脂層を形成する、あるいは、結着樹脂を含有する中間層用塗布液を導電層上に塗布し、乾燥することによって形成することができる。
中間層の結着樹脂としては、ポリビニルアルコール、ポリビニルメチルエーテル、ポリアクリル酸類、メチルセルロース、エチルセルロース、ポリグルタミン酸又はカゼインのような水溶性樹脂;ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリアミド酸樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂及びポリグルタミン酸エステル樹脂等が挙げられる。電気的バリア性を効果的に発現させるためには、また、塗工性、密着性、耐溶剤性及び抵抗のような観点から、中間層の結着樹脂は熱可塑性樹脂が好ましい。具体的には、熱可塑性ポリアミド樹脂が好ましい。ポリアミド樹脂としては、溶液状態で塗布できるような低結晶性又は非結晶性の共重合ナイロンが好ましい。中間層の平均膜厚は、0.05μm以上であり、かつ7μm以下であることが好ましく、更には0.1μm以上であり、かつ2μm以下であることがより好ましい。
【0055】
また、中間層において電荷(キャリア)の流れが滞らないようにするために、中間層中に、半導電性粒子を分散させる、あるいは、電子輸送物質(アクセプターのような電子受容性物質)を含有させてもよい。
【0056】
次に、電子写真感光体の感光層について説明する。
【0057】
電子写真感光体に用いられる電荷発生物質としては、以下のものが挙げられる。モノアゾ、ジスアゾ又はトリスアゾのようなアゾ顔料;金属フタロシアニン又は非金属フタロシアニンのようなフタロシアニン顔料;インジゴ又はチオインジゴのようなインジゴ顔料;ペリレン酸無水物又はペリレン酸イミドのようなペリレン顔料;アンスラキノン又はピレンキノンのような多環キノン顔料;スクワリリウム色素、ピリリウム塩又はチアピリリウム塩、トリフェニルメタン色素;セレン、セレン−テルル又はアモルファスシリコンのような無機物質;キナクリドン顔料、アズレニウム塩顔料、シアニン染料、キサンテン色素、キノンイミン色素又はスチリル色素。これら電荷発生材料は1種のみ用いてもよく、2種以上用いてもよい。これらの中でも、特にオキシチタニウムフタロシアニン、ヒドロキシガリウムフタロシアニンあるいはクロロガリウムフタロシアニンのような金属フタロシアニンは、高感度であるため好ましい。
【0058】
感光層が積層型感光層である場合、電荷発生層に用いる結着樹脂としては、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアリレート樹脂、ブチラール樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ジアリルフタレート樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、酢酸ビニル樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂、ポリスルホン樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体樹脂、アルキッド樹脂、エポキシ樹脂、尿素樹脂及び塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂等が挙げられる。特には、ブチラール樹脂が好ましい。これらは、単独、混合又は共重合体として1種又は2種以上用いることができる。
【0059】
電荷発生層は、電荷発生物質を結着樹脂及び溶剤と共に分散して得られる電荷発生層用塗布液を塗布し、乾燥することによって形成することができる。また、電荷発生層は、電荷発生物質の蒸着膜としてもよい。分散方法としては、ホモジナイザー、超音波、ボールミル、サンドミル、アトライター又はロールミルを用いた方法が挙げられる。電荷発生物質と結着樹脂との割合は、質量比で10:1〜1:10の範囲が好ましく、特には3:1〜1:1の範囲がより好ましい。
【0060】
電荷発生層用塗布液に用いる溶剤は、使用する結着樹脂や電荷発生物質の溶解性や分散安定性から選択される。有機溶剤としては、アルコール系溶剤、スルホキシド系溶剤、ケトン系溶剤、エーテル系溶剤、エステル系溶剤及び芳香族炭化水素溶剤が挙げられる。
【0061】
電荷発生層の平均膜厚は5μm以下であることが好ましく、特には0.1μm以上2μm以下であることがより好ましい。
【0062】
また、電荷発生層には、種々の増感剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤及び/又は可塑剤を必要に応じて添加することもできる。また、電荷発生層において電荷(キャリア)の流れが滞らないようにするために、電荷発生層には、電子輸送物質(アクセプターのような電子受容性物質)を含有させてもよい。
【0063】
電子写真感光体に用いられる電荷輸送物質としては、トリアリールアミン化合物、ヒドラゾン化合物、スチリル化合物、スチルベン化合物、ピラゾリン化合物、オキサゾール化合物、チアゾール化合物及びトリアリルメタン化合物が挙げられる。これら電荷輸送物質は1種のみ用いてもよく、2種以上用いてもよい。
【0064】
電荷輸送層は、電荷輸送物質と結着樹脂とを溶剤に溶解させることによって得られる電荷輸送層用塗布液を塗布し、これを乾燥させることによって形成することができる。また、上記電荷輸送物質のうち単独で成膜性を有するものは、結着樹脂を用いずにそれ単独で成膜し、電荷輸送層とすることもできる。
【0065】
感光層が積層型感光層である場合、電荷輸送層に用いる結着樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、スチレン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリサルホン樹脂、ポリフェニレンオキシド樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、アルキッド樹脂及び不飽和樹脂等が挙げられる。特には、ポリメチルメタクリレート樹脂、ポリスチレン樹脂、スチレン−アクリロニトリル共重合体樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂及びジアリルフタレート樹脂が好ましい。これらは、単独、混合又は共重合体として1種又は2種以上用いることができる。
【0066】
電荷輸送層は、電荷輸送物質と結着樹脂を溶剤に溶解して得られる電荷輸送層用塗布液を塗布し、乾燥することによって形成することができる。電荷輸送物質と結着樹脂との割合は、質量比で2:1〜1:2の範囲が好ましい。
電荷輸送層用塗布液に用いる溶剤としては、以下のものが挙げられる。アセトン又はメチルエチルケトンのようなケトン系溶剤;酢酸メチル又は酢酸エチルのようなエステル系溶剤;テトラヒドロフラン、ジオキソラン、ジメトキシメタン又はジメトキシエタンのようなエーテル系溶剤;トルエン、キシレン又はクロロベンゼンのような芳香族炭化水素溶剤。これら溶剤は、単独で使用してもよいが、2種類以上を混合して使用してもよい。これらの溶剤の中でも、エーテル系溶剤又は芳香族炭化水素溶剤を使用することが、樹脂溶解性のような観点から好ましい。
電荷輸送層の平均膜厚は、5μm以上50μm以下であることが好ましく、特には10μm以上35μm以下であることがより好ましい。
また、電荷輸送層には、例えば酸化防止剤、紫外線吸収剤及び/又は可塑剤を必要に応じて添加することもできる。
【0067】
電子写真感光体の各層には各種添加剤を添加することができる。添加剤としては、酸化防止剤や紫外線吸収剤の劣化防止剤や、フッ素原子含有樹脂粒子の潤滑剤が挙げられる。
【0068】
次に、電子写真装置について詳細に説明する。
図8に電子写真装置の一例の概略を示す。同図において、8100はドラム状の電子写真感光体であり、矢印方向に所定の周速度で回転駆動される。感光体8100は、回転過程において、一次帯電手段8117によりその周面に正又は負の所定電位の均一帯電を受け、次いで、スリット露光やレーザービーム走査露光等の露光手段8121から出力される目的の画像情報の時系列電気デジタル画像信号に対応して強調変調された露光光8123を受ける。こうして感光体8100の周面に対し、目的の画像情報に対応した静電潜像が順次形成されていく。
【0069】
形成された静電潜像は、次いで現像手段8140によりトナー現像され、不図示の給紙部から感光体8100と転写手段8114との間に感光体100の回転と同期して取り出されて給紙された転写材8124に、感光体8100の表面に形成担持されているトナー画像が転写手段8114により順次転写されていく。
【0070】
トナー画像の転写を受けた転写材8114は、感光体面から分離されて搬送ベルト8125により像定着手段8126へ導入されて像定着を受けることにより画像形成物(プリント、コピー)として装置外へプリントアウトされる。
【0071】
像転写後の感光体8100の表面は、クリーニング手段8116によって転写残りトナーの除去を受けて清浄面化され、更に前露光手段(不図示)からの前露光光(不図示)により除電処理された後、繰り返し画像形成に使用される。なお、一次帯電手段8117が帯電ローラー等を用いた接触帯電手段である場合は前露光は必ずしも必要ではない。
【0072】
本発明においては、少なくとも上述の電子写真感光体8100及び現像手段8140を容器に納めてプロセスカートリッジとして一体に結合して構成し、このプロセスカートリッジを複写機やレーザービームプリンター等の電子写真装置本体に対して着脱自在な構成にしてもよい。例えば、一次帯電手段8117、現像手段8140及びクリーニング手段8116を感光体8100と共に一体に支持してカートリッジ化して、装置本体に着脱自在なプロセスカートリッジとすることができる。
【0073】
また、露光光8123は、電子写真装置が複写機やプリンターである場合には、原稿からの反射光や透過光、あるいは、センサーで原稿を読取り、信号化し、この信号に従って行われるレーザービームの走査、LEDアレイの駆動及び液晶シャッターアレイの駆動等により照射される光である。
【実施例】
【0074】
以下に、具体的な実施例を挙げて本発明をより詳細に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。なお、実施例中の「部」は「質量部」を意味する。
【0075】
<評価用電子写真感光体の作製>
直径24mm、長さ246mmのアルミニウムシリンダーを支持体とした。
次に、10質量%酸化アンチモンを含有する酸化スズで被覆した酸化チタン粒子50部、レゾール型フェノール樹脂25部、メトキシプロパノール30部、メタノール20部及びシリコーンオイル(ポリジメチルシロキサンポリオキシアルキレン共重合体、重量平均分子量3000)0.002部を、直径1mmのガラスビーズを用いたサンドミル装置で2時間分散することによって、導電層用塗布液を調製した。この導電層用塗布液を支持体上に浸漬塗布し、これを20分間140℃で硬化させることによって、膜厚が20μmの導電層を形成した。
【0076】
次に、N−メトキシメチル化6ナイロン5部をメタノール95部に溶解させることによって、中間層用塗布液を調製した。
この中間層用塗布液を支持体上に浸漬塗布し、これを20分間100℃で乾燥させることによって、膜厚が0.8μmの中間層を形成した。
【0077】
次に、CuKα特性X線回折におけるブラッグ角2θ±0.2°の7.5°、9.9°、12.5°、16.3°、18.6°、25.1°および28.3°に強いピークを有する結晶形のヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶(電荷発生物質)10部、下記式(1)で示される構造を有する化合物0.1部、
【化1】

ポリビニルブチラール樹脂(商品名:エスレックBX−1、積水化学工業(株)製)5部、並びに、シクロヘキサノン250部を、直径1mmのガラスビーズを用いたサンドミル装置で4時間分散し、その後、酢酸エチル250部を加えることによって、電荷発生層用塗布液を調製した。
この電荷発生層用塗布液を中間層上に浸漬塗布し、これを10分間100℃で乾燥させることによって、膜厚が0.2μmの電荷発生層を形成した。
【0078】
次に、下記式(CT−1)
【化2】

で示される電荷輸送物質5部と、下記式(CT−2)
【化3】

で示される電荷輸送物質3部と、下記式(CTB−1)
【化4】

で示される繰り返し単位を有するポリカーボネート樹脂(重量平均分子量:50000)10部とをモノクロロベンゼン55部とジメトキシメタン15部の混合溶媒に溶解し、電荷輸送層用塗布液を調製した。これを電荷発生層上に浸漬塗布法で塗布し、110℃、1時間乾燥して、膜厚が12μmの電荷輸送層を形成した。
【0079】
こうして得られた電子写真感光体1000本より、実際の使用上問題となる層中欠陥品及び基体欠陥品を選別した。層中欠陥とは、塗工中に導電性の異物が存在することによる欠陥で、繰り返し使用によって、感光体の絶縁破壊の原因となるものである。また、基体欠陥とは、基体の微小欠陥が存在することによる欠陥で、繰り返し使用によって、感光体の絶縁破壊の原因となるものである。尚、実際の使用上問題となる欠陥かどうかの判定は、次に示す画像評価装置によって評価し、実際の使用上問題となる欠陥の形状を特定することにより行った。
【0080】
画像形成装置として、概ね図8に示されるものを用いた。また、電子写真感光体として、上記の感光体製造例で作成したものを用いた。この感光体に、一次帯電部材としてゴムローラー帯電器を当接させ(当接圧60g/cm)、直流電圧のみを印加して感光体上を一様に帯電する。一次帯電に次いで、レーザー光で画像部分を露光することにより静電潜像を形成する。この時、暗部電位Vd=−450V、明部電位VL=−100Vとした。
【0081】
感光体と現像スリーブとの間隙は280μmとし、トナー担持体として下記の構成の層厚約7μm、JIS中心線平均粗さ(Ra)1.3μmの樹脂層を、表面が鏡面である直径20のアルミニウム円筒上に形成した現像スリーブを使用し、現像磁極95mT(950ガウス)、トナー規制部材として厚み1.0mm、自由長10mmのウレタンゴム製ブレードを14.7N/m(15kg/m)の線圧で当接させた。
フェノール樹脂 100部
グラファイト(粒径約7μm) 90部
カーボンブラック 10部
次いで、現像バイアスとして直流バイアス成分Vdc=−300V、重畳する交流バイアス成分Vpp=1600V、f=2000Hzを用いた。また、現像スリーブの周速は感光体周速(120mm/sec)に対して順方向に110%のスピード(132mm/sec)とした。
【0082】
また、転写ローラー(導電性カーボンを分散したエチレン−プロピレンゴム製、導電性弾性層の体積抵抗値108Ωcm、表面ゴム硬度24゜、直径20mm、当接圧59 N/m(6kg/m))を感光体回転方向の周速(120mm/sec)に対して等速とし、転写バイアスは直流1.5kVとした。
定着方法としては熱ローラー定着装置を用いた。
【0083】
この画像形成装置を用い、電子写真感光体の製造例で作製した電子写真感光体から得られる画像の評価を行った。電子写真感光体を上述の画像形成装置に装着し、ハーフトーン画像、ベタ白画像、ベタ黒画像を出力し、初期画像とした。また4000枚の耐久を行い、耐久画像とした。初期画像及び耐久画像より、実際の使用上問題となる欠陥を設定した。
【0084】
<光学検査第一工程>
検査装置として、図3で示される検査装置を用いた。白色光源には、ハロゲンランプを用い、評価用電子写真感光体で確認された層中欠陥、基体欠陥、及び画像不良となる膜厚ムラが被疑欠陥として検出できるよう、光学系と閾値を設定した。閾値に基づいて被疑欠陥を検出した。
【0085】
<光学検査第二工程>
検査装置として、図4で示される検査装置を用いた。レーザー光源には、He−Neレーザーを用い下記の選別がそれぞれ独立して可能なように、光学系と閾値を設定した。
(層中欠陥及び基体欠陥を対象として)
○:存在せず
△:実際の使用上黒点、白点欠陥とならないサイズが存在
×:実際の使用上黒点、白点欠陥となるサイズが存在(膜厚ムラを対象として)
○:実際の使用上画像欠陥となるムラは存在せず
×:実際の使用上画像欠陥となるムラが存在
【0086】
<電気検査第一工程>
検査装置として、図5で示される検査装置を用いた。この工程は、暗所で行った。電子写真感光体表面に導電性ローラを圧接して電子写真感光体を回転駆動させた後、2周回転させながら直流電圧を印加した。導電性ローラから電子写真感光体に流れる電流値を電流値測定手段5004により測定した。測定した電流値を電流値処理手段5005により、所定の閾値に基づいて欠陥を検出した。これを、表2において電気検査工程Aとする。
【0087】
<判断工程>
表1に示される基準に従って、欠陥なし51、電気検査第二工程へすすめる52、欠陥あり53の判断を行った。
【0088】
<電気検査第二工程>
電気検査第二工程の第1態様における検査装置として、図6及び図5で示される検査装置を用いた。 電気検査第二工程の第1態様における第1の工程は、暗所で行った。電子写真感光体表面に導電性ローラを圧接して電子写真感光体を回転駆動させた後、2周回転させながら直流電圧に交流電圧を重畳した電圧を印加した。
次に、直流電圧の電圧を0Vにして電子写真感光体を1周回転させて除電を行った。その後、第2の工程を行った。
【0089】
電気検査第二工程の第2の工程は暗所で行った。電子写真感光体表面に導電性ローラを圧接して電子写真感光体を回転駆動させた後、2周回転させながら直流電圧を印加した。
導電性ローラから電子写真感光体に流れる電流値を電流値測定手段5004により測定した。測定した電流値を電流値処理手段5005により、所定の閾値に基づいて欠陥の有無を検出した。これを、表2において電気検査工程Bとする。
また、電気検査第二工程の第2態様における第1の工程及び第2の工程についても、下記の方法で実施した。
検査装置としては、図7及び図5で示される検査装置を用いた。
電気検査第二工程の第2態様における第1の工程は暗所で行い、図7に示すように導電性ローラと電子写真感光体との間で発生する放電領域に光を照射した。電子写真感光体を回転駆動させた後、2周回転させながら放電領域に光を照射した。次に、直流電圧の電圧を0Vにして電子写真感光体を1周回転させて光を照射して除電を行った。その後、電気検査第二工程の第2の工程を行った。
【0090】
電気検査第二工程の第2の工程も、暗所で行った。電子写真感光体表面に導電性ローラを圧接して電子写真感光体を回転駆動させた後、2周回転させながら直流電圧を印加した。
【0091】
導電性ローラから電子写真感光体に流れる電流値を電流値検出手段5004により検出した。検出した電流値を電流値処理手段5005により読み取り、所定の閾値に基づいて欠陥の有無を判定した。具体的には、一定以上電流が流れた場合を欠陥ありと判断し、それより小さい電流が流れた場合は欠陥なしと判断する。これを、表2において電気検査工程Cとする。
【0092】
<実施例1〜4、比較例1、2>
上述の諸工程を図9及び表2に示すような順に(第1工程〜第6工程)実施し、上記のように作製した評価用電子写真感光体の検査を行った。この際、比較例の光学検査においては、被疑欠陥として検出されたものを欠陥とした。
尚、欠陥なしの精度とは、欠陥が存在しない電子写真感光体のうち、欠陥なしの判定を受けたものの割合を示す。
また、欠陥ありの精度とは、欠陥ありの判定を受けたもののうち、欠陥が存在するものの割合を示す。結果を表2に示す。
【0093】
【表1】

【0094】
【表2−1】

【0095】
【表2−2】

【0096】
表2に示した結果から明らかな様に、本発明の検査方法によれば、従来の方法を単純に組み合わせた場合に比べて、より精度良く欠陥を検出できることが判った。
【図面の簡単な説明】
【0097】
【図1】本発明の検査方法の特徴を最もよく表す動作の流れを示すフローチャートである。
【図2】本発明の検査方法の特徴を最もよく表す動作の流れを示すフローチャートである。
【図3】本発明の光学検査第一工程を実施するための装置の一例の概略構成を示す図である。
【図4】本発明の光学検査第二工程を実施するための装置の一例の概略構成を示す図である。
【図5】本発明の電気検査第一工程及び電気検査第二工程の第1、第2態様の第2の工程を実施するための装置の一例の概略構成を示す図である。
【図6】本発明の電気検査第二工程の第1態様の第1の工程を実施するための装置の一例の概略構成を示す図である。
【図7】本発明の電気検査第二工程の第2態様の第1の工程を実施するための装置の概略構成を示す図である。
【図8】本発明の検査方法の対象となる電子写真装置の一例の概略構成を示す図である。
【図9】本発明の実施例の動作の流れを示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0098】
10 光学検査第一工程
20 電気検査第一工程
30 分別工程
31 欠陥なしと判定される電子写真感光体
32 光学検査第二工程へ進む電子写真感光体
33 欠陥ありと判定される電子写真感光体
40 光学検査第二工程
41 光学検査第二工程で検査を終了する場合に欠陥なしと判定される電子写真感光体
43 光学検査第二工程で検査を終了する場合に欠陥ありと判定される電子写真感光体
50 判断工程
51 欠陥なしと判定される電子写真感光体
52 電気検査第二工程へ進む電子写真感光体
53 欠陥ありと判定される電子写真感光体
60 電気検査第二工程
61 欠陥なしと判定される電子写真感光体
63 欠陥ありと判定される電子写真感光体
3001 白色光光源
3002 白色光
3003 電子写真感光体
3004 反射光
3005 ラインセンサー型CCDカメラ
4001 レーザー光源
4002 レーザー光
4003 反射ミラー
4004 ポリゴンミラー
4005 電子写真感光体
4006 反射光
4007 光電子増倍管
5001 電子写真感光体
5002 導電性ローラ
5003 高圧電源
5004 電流値検出手段
5005 電流値処理手段
6001 電子写真感光体
6002 導電性ローラ
6003 高圧電源
7001 電子写真感光体
7002 導電性ローラ
7003 高圧電源
7004 電流値検出手段
7005 電流値処理手段
7006 光源
8100 電子写真感光体
8117 一次帯電手段
8121 露光手段
8123 露光光
8124 転写材
8140 現像手段
8114 転写手段
8125 搬送ベルト
8126 像定着手段
8116 クリーニング手段
9010 第1工程
9020 第2工程
9030 第3工程
9031 欠陥なしと判定される電子写真感光体
9032 第4工程へ進む電子写真感光体
9033 欠陥ありと判定される電子写真感光体
9040 第4工程
9041 第4工程で検査を終了する場合に欠陥なしと判定される電子写真感光体
9043 第4工程で検査を終了する場合に欠陥ありと判定される電子写真感光体
9050 第5工程
9051 欠陥なしと判定される電子写真感光体
9052 第6工程へ進む電子写真感光体
9053 欠陥ありと判定される電子写真感光体
9060 第6工程
9061 欠陥なしと判定される電子写真感光体
9063 欠陥ありと判定される電子写真感光体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子写真感光体に白色の光を照射し、該光の反射光を光電変換素子からなる受光手段により測定し、測定された電流値に基づいて、電子写真感光体の被疑欠陥の有無を判定する光学検査第一工程と、
電子写真感光体の表面に導電性ローラを圧接して、電子写真感光体を回転させながら直流電圧を印加し、導電性ローラから電子写真感光体へ流れる電流を、電流測定手段により測定し、測定された電流値に基づいて、電子写真感光体の欠陥の有無を判定する電気検査第一工程とを
有する電子写真感光体の検査方法であって、検査した電子写真感光体を、
該光学検査第一工程において被疑欠陥が検出されず、
該電気検査第一工程において欠陥が検出されなかった電子写真感光体と、
該電気検査第一工程において欠陥が検出された電子写真感光体と、
該光学検査第一工程において被疑欠陥が検出され、
該電気検査第一工程において欠陥が検出されなかった電子写真感光体と
に分類して、
該光学検査第一工程において被疑欠陥が検出され、
該電気検査第一工程において欠陥が検出されなかった電子写真感光体のみについて、
該電子写真感光体にレーザー光を照射し、該光の反射光を光電変換素子からなる受光手段により測定し、測定された電流値に基づいて、電子写真感光体の被疑欠陥の有無を判定する光学検査第二工程を実施することを特徴とする電子写真感光体の検査方法。
【請求項2】
該光学検査第二工程における検出情報と所定の閾値に基づいて、
該当する電子写真感光体の被疑欠陥を、
欠陥でないと判断できるもの、欠陥であると判断できるもの、又はそのどちらであるか判断できないものと
に分類して、被疑欠陥がどちらであるか判断できない電子写真感光体のみについて、該電子写真感光体の表面に、第一の導電性ローラを圧接して、電子写真感光体を回転させながら直流電圧に交流電圧を重畳した電圧を印加する第1の工程、及び、
第1の工程の後に、電子写真感光体表面に第二の導電性ローラを圧接して、電子写真感光体を回転させながら直流電圧を印加する第2の工程を有し、
第2の工程により、第二の導電性ローラから電子写真感光体へ流れる電流を、電流測定手段により測定し、測定された電流値に基づいて、電子写真感光体の欠陥の有無を判定する電気検査第二工程を実施することを特徴とする請求項1に記載の電子写真感光体の検査方法。
【請求項3】
該光学検査第二工程における検出情報と所定の閾値に基づいて、該当する電子写真感光体の被疑欠陥を、
欠陥でないと判断できるもの、欠陥であると判断できるもの、又はそのどちらであるか判断できないものと
に分類して、被疑欠陥がどちらであるか判断できない電子写真感光体のみについて、第一の導電性ローラを該電子写真感光体の表面に圧接し、該電子写真感光体を回転させながら直流電圧を印加するとともに、該導電性ローラと該電子写真感光体との間で発生する放電領域に対して、電子写真感光体が感度を有する光を照射する第1の工程、及び、
第1の工程の後に、電子写真感光体表面に第二の導電性ローラを圧接して、電子写真感光体を回転させながら直流電圧を印加する第2の工程を有し、
第2の工程により、導電性ローラから電子写真感光体へ流れる電流を、電流測定手段により測定し、測定された電流値に基づいて、電子写真感光体の欠陥の有無を判定する電気検査第二工程を実施することを特徴とする請求項1に記載の電子写真感光体の検査方法。
【請求項4】
該電子写真感光体が、接触帯電方式の電子写真装置に用いられる電子写真感光体であることを特徴とする請求項1〜3に記載の電子写真感光体の検査方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−210909(P2010−210909A)
【公開日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−56596(P2009−56596)
【出願日】平成21年3月10日(2009.3.10)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】