説明

鞍乗り型車両の定速走行制御装置

【課題】定速走行制御が解除されるとき、目標スロットル開度制御においてスロットル開度が運転者の予期しない値とならず、走行フィーリングを損ねることがないと共に、不要な機関出力を生じないようにした鞍乗り型車両の定速走行制御装置を提供する。
【解決手段】定速走行制御を実行する定速走行制御実行手段を少なくとも備えた鞍乗り型車両の定速走行制御装置において、実スロットル開度が指令スロットル開度APSなどから設定される目標スロットル開度となるようにアクチュエータを駆動するスロットル目標開度制御を実行するスロットル目標開度制御実行手段を備えると共に、指令スロットル開度APSと実スロットル開度TPSが所定の関係にあるか否か判定し(S60)、肯定されると共に、解除条件が成立すると判断される場合(S62からS66)、定速走行制御からスロットル目標開度制御に切り換える(S50)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、自動二輪車、スクータ、ATV(All Terrain Vehicle)などの鞍乗り型車両の定速走行制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、鞍乗り型車両の定速走行制御装置として、特許文献1記載の技術が知られている。その提案技術にあっては、運転者が所望する車速に達したとき、車速セットスイッチを操作することで定速走行制御が開始されると共に、スロットルグリップ(アクセルレータ)を閉じ方向に戻すだけで定速走行制御を一時的に解除できるように構成されている。即ち、ブレーキ操作やクラッチ操作による定速走行制御の解除に加え、スロットルグリップを閉じ方向に戻すことで定速走行制御を一時的に解除させると共に、再び開き方向に廻すことで復帰させるように構成することで、減速によるエンジンブレーキの使用を容易にしている。
【特許文献1】実公昭64−5616号公報
【0003】
ところで、鞍乗り型車両以外の四輪自動車においては、車両運転席床面に配置されたアクセル(アクセラレータペダル)とスロットルバルブの機械的な連結を除去し、スロットルバルブに電動モータなどのアクチュエータを接続し、アクセル開度(アクセルの踏み込み量)を検出し、検出されたアクセル開度などに応じて設定される目標スロットル開度となるようにスロットルバルブの開度を制御することで、エミッション性能や燃費性能を向上させるスロットル制御、いわゆるDrive By Wire方式のスロットル制御が広く提案されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そのようなDBW方式のスロットル目標開度制御装置を鞍乗り型車両に搭載し、上記した定速走行制御と組み合わせてスロットル目標開度制御と定速走行制御を任意に切り換えることも考えられる。その場合、両者の利点を享受できる効果があると共に、定速走行制御のためには車速セットスイッチのみを追加すれば良い点で、構成においても簡易となる利点がある。
【0005】
しかしながら、四輪自動車にあってはアクセラレータが車両運転席床面に配置されて運転者の足で操作されるが、鞍乗り型車両にあってはアクセラレータが操舵装置(ハンドルバー)に設けられて運転者の手で操作されるスロットルグリップからなるため、運転者は操舵の際にスロットルグリップを無意識に廻してしまうことがある。鞍乗り型車両にあっては、スロットルグリップを介して入力された運転者の指令スロットル開度などに基づいて目標スロットル開度が設定されるため、定速走行制御が解除されてスロットル目標開度制御に切り換えられたとき、実スロットル開度が運転者の予期しない値となって走行フィーリングを損ねると共に、不要な機関出力を生じる場合がある。
【0006】
従って、この発明の目的は上記した不都合を解消し、定速走行制御装置に加えてDBW方式のスロットル目標開度制御装置を備えると共に、定速走行制御が解除されるとき、実スロットル開度が運転者の予期しない値とならず、よって走行フィーリングを損ねることがないと共に、不要な機関出力を生じないようにした鞍乗り型車両の定速走行制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を解決するために、請求項1にあっては、ハンドルバーの一端に運転者の操作自在に設けられたスロットルグリップからなるアクセラレータ、内燃機関の吸気管に設けられて前記内燃機関に吸入される空気量を調整するスロットルバルブ、前記スロットルバルブを駆動するアクチュエータ、運転者の操作自在に設けられた車速セットスイッチ、車速を所定時間ごとに検出する車速検出手段、前記車速セットスイッチが操作されたときに検出された車速を目標車速として記憶し、前記所定時間ごとに検出される車速が前記記憶された目標車速となるように前記アクチュエータを駆動して定速走行させる定速走行制御を実行する定速走行制御実行手段を少なくとも備えた鞍乗り型車両の定速走行制御装置において、前記スロットルバルブの実開度を所定時間ごとに検出するスロットル開度検出手段、前記アクセラレータから運転者が指令した指令スロットル開度を所定時間ごとに検出する指令スロットル開度検出手段、少なくとも前記検出された指令スロットル開度に応じて所定時間ごとに目標スロットル開度を設定すると共に、前記検出された実スロットル開度が前記目標スロットル開度となるように、前記アクチュエータを駆動するスロットル目標開度制御を実行するスロットル目標開度制御実行手段を備えると共に、前記指令スロットル開度と前記目標スロットル開度のいずれかと、前記実スロットル開度とが所定の関係にあるか否か判定するスロットル開度判定手段、および前記指令スロットル開度と前記目標スロットル開度のいずれかと前記実スロットル開度とが所定の関係にあると判定されると共に、解除条件が成立すると判断される場合、前記定速走行制御から前記スロットル目標開度制御に切り換える制御切り換え手段を備える如く構成した。
【0008】
請求項2に係る鞍乗り型車両の定速走行制御装置にあっては、前記制御切り換え手段は、前記指令スロットル開度と前記目標スロットル開度のいずれかが前記実スロットル開度の近傍にあるとき、前記所定の関係にあると判定し、前記解除条件が成立すると判断される場合、前記定速走行制御から前記スロットル目標開度制御に切り換える如く構成した。
【0009】
請求項3に係る鞍乗り型車両の定速走行制御装置にあっては、前記制御切り換え手段は、前記指令スロットル開度と前記目標スロットル開度のいずれかと前記実スロットル開度の差が±5度の範囲内にあるとき、前記所定の関係にあると判定し、前記解除条件が成立すると判断されるとき、前記定速走行制御から前記スロットル目標開度制御に切り換える如く構成した。
【0010】
請求項4に係る鞍乗り型車両の定速走行制御装置にあっては、前記制御切り換え手段は、前記指令スロットル開度と前記目標スロットル開度のいずれかが前記実スロットル開度以下であるとき、前記所定の関係にあると判定し、前記解除条件が成立すると判断される場合、前記定速走行制御から前記スロットル目標開度制御に切り換える如く構成した。
【0011】
請求項5に係る鞍乗り型車両の定速走行制御装置にあっては、前記制御切り換え手段は、前記指令スロットル開度の前記所定時間当たりの変化量を算出する指令スロットル開度変化量算出手段、および前記算出された変化量をしきい値と比較する比較手段を備え、前記算出された変化量が負方向において前記しきい値以上であるとき、前記解除条件が成立したと判断し、前記定速走行制御から前記スロットル目標開度制御に切り換える如く構成した。
【0012】
請求項6に係る鞍乗り型車両の定速走行制御装置にあっては、前記制御切り換え手段は、前記車速セットスイッチが操作されたときに検出された前記指令スロットル開度を記憶する記憶手段、前記記憶された指令スロットル開度から所定値を減算した差を算出する指令スロットル開度差算出手段、および前記算出された差を前記所定時間ごとに検出される指令スロットル開度の最新値と比較する比較手段を備え、前記指令スロットル開度の最新値が前記算出された差以下であるとき、前記解除条件が成立したと判断し、前記定速走行制御から前記スロットル目標開度制御に切り換える如く構成した。
【0013】
請求項7に係る鞍乗り型車両の定速走行制御装置にあっては、前記制御切り換え手段は、前記目標車速から所定値を減算した差を算出する車速差算出手段、および前記算出された差を前記所定時間ごとに検出された車速の最新値と比較する比較手段を備え、前記車速の最新値が前記算出された差以下であるとき、前記解除条件が成立したと判断し、前記定速走行制御から前記スロットル目標開度制御に切り換える如く構成した。
【0014】
請求項8に係る鞍乗り型車両の定速走行制御装置にあっては、前記定速走行制御実行手段は、前記所定時間ごとに検出される車速の最新値が前記目標車速に到達したか否か判定する車速到達判定手段、および前記車速の最新値が前記目標車速に到達したと判定されるとき、前記目標車速を所定値増加する目標車速増加手段を備える如く構成した。
【0015】
請求項9に係る鞍乗り型車両の定速走行制御装置にあっては、前記定速走行制御実行手段は、ブレーキ操作を検出するブレーキ操作検出手段、前記定速走行制御の実行中に前記ブレーキ操作が検出されたとき、前記所定時間ごとに検出される車速の最新値を前記目標車速と比較して前記車速の最新値が前記目標車速以下であるか否か判定する車速判定手段、および前記車速の最新値が前記目標車速以下であると判定されるとき、前記車速の最新値を前記目標車速とする目標車速変更手段を備える如く構成した。
【0016】
請求項10に係る鞍乗り型車両の定速走行制御装置にあっては、前記定速走行制御実行手段は、前記所定時間ごとに検出される車速の最新値を前記目標車速と比較して前記車速の最新値が前記目標車速以下であるか否か判定する車速判定手段、および前記車速の最新値が前記目標車速以下であると判定されるとき、前記車速の最新値を前記目標車速とする目標車速変更手段を備える如く構成した。
【0017】
請求項11にあっては、ハンドルバーの一端に運転者の操作自在に設けられたスロットルグリップからなるアクセラレータ、内燃機関の吸気管に設けられて前記内燃機関に吸入される空気量を調整するスロットルバルブ、前記スロットルバルブを駆動するアクチュエータ、前記内燃機関と変速機を断続するクラッチ、運転者の操作自在に設けられた車速セットスイッチ、車速を所定時間ごとに検出する車速検出手段、前記車速セットスイッチが操作されたときに検出された車速を目標車速として記憶し、前記所定時間ごとに検出される車速が前記記憶された目標車速となるように前記アクチュエータを駆動して定速走行させる定速走行制御を実行する定速走行制御実行手段を少なくとも備えた鞍乗り型車両の定速走行制御装置において、前記スロットルバルブの実開度を所定時間ごとに検出するスロットル開度検出手段、前記アクセラレータの開度から運転者が指令した指令スロットル開度を所定時間ごとに検出する指令スロットル開度検出手段、少なくとも前記検出された指令スロットル開度に応じて所定時間ごとに目標スロットル開度を設定すると共に、前記検出された実スロットル開度が前記目標スロットル開度となるように、前記アクチュエータを駆動するスロットル目標開度制御を実行するスロットル目標開度制御実行手段、前記検出された実スロットル開度が全閉開度となるように、前記アクチュエータを駆動するスロットル全閉開度制御を実行するスロットル全閉開度制御実行手段を備えると共に、前記クラッチが操作されたか否か判定するクラッチ操作判定手段、および前記クラッチが操作されたと判定されるとき、前記定速走行制御から前記スロットル全閉開度制御に切り換える制御切り換え手段を備える如く構成した。
【0018】
請求項12に係る鞍乗り型車両の定速走行制御装置にあっては、前記クラッチ操作判定手段は、前記内燃機関の回転数を所定時間ごとに検出する機関回転数検出手段、前記車速セットスイッチが操作されたときに検出された機関回転数を定速走行制御開始機関回転数として記憶する機関回転数記憶手段、前記所定時間ごとに検出された機関回転数の最新値が前記記憶された定速走行制御開始機関回転数を所定値以上超えているか否か判定する機関回転数判定手段、および前記車速の最新値が前記目標車速以下であるか否か判定する車速判定手段を備え、前記機関回転数の最新値が前記定速走行制御開始機関回転数を所定値以上超えていると判定されると共に、前記車速の最新値が前記目標車速以下であると判定されるとき、前記クラッチが操作されたと判定する如く構成した。
【0019】
請求項13に係る鞍乗り型車両の定速走行制御装置にあっては、前記クラッチ操作判定手段は、前記クラッチが操作されるとき出力を生じるクラッチ操作検出手段を備えると共に、前記クラッチ操作検出手段の出力に基づいて前記クラッチが操作されたと判定する如く構成した。
【0020】
請求項14に係る鞍乗り型車両の定速走行制御装置にあっては、前記制御切り換え手段は、前記指令スロットル開度と前記実スロットル開度の差を求め、前記求めた差の絶対値を所定値と比較するスロットル開度差算出手段を備え、前記求めた差の絶対値が前記所定値未満であるとき、前記スロットル全閉開度制御から前記スロットル目標開度制御に切り換える如く構成した。
【0021】
請求項15に係る鞍乗り型車両の定速走行制御装置にあっては、前記制御切り換え手段は、前記内燃機関の回転数を所定時間ごとに検出する機関回転数検出手段、前記車速セットスイッチが操作されたときに検出された機関回転数を定速走行制御開始機関回転数として記憶する機関回転数記憶手段、前記定速走行制御開始機関回転数を前記目標車速で除算して得られる比を第1の比として算出する第1比算出手段、前記所定時間ごとに検出された機関回転数の最新値を前記所定時間ごとに検出された車速の最新値で除算して得られる比を第2の比として算出する第2比算出手段、および前記第1の比と第2の比の差を算出する比差算出手段を備え、前記スロットル全閉開度制御実行中に、前記算出された第1の比と第2の比の差の絶対値が所定値未満であるときは前記スロットル全閉開度制御から前記定速走行制御に切り換える一方、前記算出された第1の比と第2の比の差の絶対値が前記所定値以上であるときは前記スロットル全閉開度制御を継続する如く構成した。
【0022】
請求項16にあっては、ハンドルバーの一端に運転者の操作自在に設けられたスロットルグリップからなるアクセラレータ、内燃機関の吸気管に設けられて前記内燃機関に吸入される空気量を調整するスロットルバルブ、前記スロットルバルブを駆動するアクチュエータ、前記内燃機関と変速機を断続するクラッチ、運転者の操作自在に設けられた車速セットスイッチ、車速を所定時間ごとに検出する車速検出手段、前記車速セットスイッチが操作されたときに検出された車速を目標車速として記憶し、前記所定時間ごとに検出される車速が前記記憶された目標車速となるように前記アクチュエータを駆動して定速走行させる定速走行制御を実行する定速走行制御実行手段を少なくとも備えた鞍乗り型車両の定速走行制御装置において、前記スロットルバルブの実開度を所定時間ごとに検出するスロットル開度検出手段、前記アクセラレータの開度から運転者が指令した指令スロットル開度を所定時間ごとに検出する指令スロットル開度検出手段、少なくとも前記検出された指令スロットル開度に応じて所定時間ごとに目標スロットル開度を設定すると共に、前記検出された実スロットル開度が前記目標スロットル開度となるように、前記アクチュエータを駆動するスロットル目標開度制御を実行するスロットル目標開度制御実行手段、前記検出された実スロットル開度が全閉開度となるように、前記アクチュエータを駆動するスロットル全閉開度制御を実行するスロットル全閉開度制御実行手段、および運転状態に応じて前記定速走行制御と前記スロットル全閉開度制御と前記スロットル目標開度制御の間で制御を切り換える制御切り換え手段を備える如く構成した。
【0023】
請求項17に係る鞍乗り型車両の定速走行制御装置にあっては、前記制御切り換え手段は、前記定速走行制御実行中に解除条件が成立するとき、前記スロットル全閉開度制御を実行してから前記スロットル目標開度制御に切り換える如く構成した。
【0024】
請求項18に係る鞍乗り型車両の定速走行制御装置にあっては、前記解除条件が、前記クラッチが操作されたときである如く構成した。
【0025】
請求項19に係る鞍乗り型車両の定速走行制御装置にあっては、前記制御切り換え手段は、前記指令スロットル開度と前記実スロットル開度の差が所定値未満であるとき、前記スロットル全閉開度制御から前記スロットル目標開度制御に切り換える如く構成した。
【発明の効果】
【0026】
請求項1に係る鞍乗り型車両の定速走行制御装置においては、実スロットル開度が目標スロットル開度となるようにアクチュエータを駆動するスロットル目標開度制御を実行するスロットル目標開度制御実行手段を備えると共に、指令スロットル開度と目標スロットル開度のいずれかと実スロットル開度とが所定の関係にあるか否か判定し、所定の関係にあると判定されると共に、解除条件が成立すると判断される場合、定速走行制御からスロットル目標開度制御に切り換える如く構成したので、所定の関係を適宜設定することで運転者が予期し得る実スロットル開度で定速走行制御を解除してスロットル開度目標開度制御に移行させることができ、よってスロットル目標開度制御に切り換えられたとき、走行フィーリングを損ねることがないと共に、不要な機関出力を生じることもない。
【0027】
また、スロットル目標開度制御装置と定速走行制御装置とを組み合わせて任意に切り換えることで、両者の利点を享受できると共に、定速走行制御のためには車速セットスイッチのみを追加すれば良い点で構成においても簡易となる。
【0028】
請求項2に係る鞍乗り型車両の定速走行制御装置にあっては、指令スロットル開度と目標スロットル開度のいずれかが実スロットル開度の近傍にあるとき、所定の関係にあると判定し、解除条件が成立すると判断される場合、定速走行制御からスロットル目標開度制御に切り換える如く構成したので、同様に、定速走行制御が解除されるとき、実スロットル開度が指令スロットル開度あるいは指令スロットル開度などから設定される目標スロットル開度の近傍にあるので、同様にスロットル目標開度制御に切り換えられたとき、実スロットル開度が運転者の予期しない値とならず、よって走行フィーリングを損ねることがないと共に、不要な機関出力を生じることもない。
【0029】
請求項3に係る鞍乗り型車両の定速走行制御装置にあっては、指令スロットル開度と目標スロットル開度のいずれかと実スロットル開度の差が±5度の範囲内にあるとき、所定の関係にあると判定し、解除条件が成立すると判断される場合、定速走行制御からスロットル目標開度制御に切り換える如く構成したので、同様に、定速走行制御が解除されるとき、実スロットル開度が指令スロットル開度あるいは指令スロットル開度などから設定される目標スロットル開度の近傍にあるので、スロットル目標開度制御に切り換えられたとき、実スロットル開度は運転者が一層良く認識し得る値となり、よって走行フィーリングを損ねることがないと共に、不要な機関出力を生じることもない。
【0030】
請求項4に係る鞍乗り型車両の定速走行制御装置にあっては、指令スロットル開度と目標スロットル開度のいずれかが実スロットル開度以下であるとき、所定の関係にあると判定し、解除条件が成立すると判断されるとき、定速走行制御からスロットル目標開度制御に切り換える如く構成したので、同様に実スロットル開度が運転者の認識できる状態で定速走行制御が解除されるため、実スロットル開度が運転者の予期しない値とならず、よって走行フィーリングを損ねることがないと共に、不要な機関出力を生じることもない。
【0031】
請求項5に係る鞍乗り型車両の定速走行制御装置にあっては、指令スロットル開度の所定時間当たりの変化量を算出し、算出された変化量をしきい値と比較し、算出された変化量が負方向においてしきい値以上であるとき、解除条件が成立したと判断し、定速走行制御からスロットル目標開度制御に切り換える如く構成したので、上記した効果に加え、ブレーキスイッチを設けることなく運転者の瞬間的な減速意図を検知することができ、運転者の意図に良く沿って定速走行制御を解除することができる。さらに、運転者がアクセラレータ(スロットルグリップ)をスロットル全閉開度相当位置まで戻さなくても、減速意図を検知できるため、不要な機関回転数の低下、即ち、不要な機関出力の低下を招くことがなく、走行フィーリングを損なうことがない。
【0032】
請求項6に係る鞍乗り型車両の定速走行制御装置にあっては、車速セットスイッチが操作されたときに検出された指令スロットル開度を記憶し、記憶された指令スロットル開度から所定値を減算した差を算出し、算出された差を所定時間ごとに検出される指令スロットル開度の最新値と比較すると共に、指令スロットル開度の最新値が差以下であるとき、解除条件が成立したと判断し、定速走行制御からスロットル目標開度制御に切り換える如く構成したので、上記した効果に加え、同様にブレーキスイッチを設けることなく運転者の減速意図を検知することができ、運転者の意図に良く沿って定速走行制御を解除することができると共に、運転者がアクセラレータをスロットル全閉開度相当位置まで戻さなくても、減速意図を検知できるため、不要な機関回転数の低下、即ち、不要な機関出力の低下を招くことがなく、走行フィーリングを損なうことがない。さらに、アクセラレータを徐々に戻すような請求項5で述べた構成では運転者の解除意図を検知できない場合でも、この構成によってそれを検知することができる。
【0033】
請求項7に係る鞍乗り型車両の定速走行制御装置にあっては、目標車速から所定値を減算した差を算出し、算出された差を車速の最新値と比較し、車速の最新値が差以下であるとき、解除条件が成立したと判断し、定速走行制御からスロットル目標開度制御に切り換える如く構成したので、上記した効果に加え、登坂路を走行するときなど高負荷状態が続くとき、定速走行制御を解除することで、内燃機関への負担を軽減することができ、エミッション性能の低下を回避することができる。
【0034】
請求項8に係る鞍乗り型車両の定速走行制御装置にあっては、車速の最新値が目標車速に到達したか否か判定し、到達したと判定されるとき、目標車速を所定値増加する如く構成したので、上記した効果に加え、新たにスイッチなどを設けることなく、目標車速を簡易に増加することができる。また、車速の最新値が目標車速に到達したとき変更することで、不要な増加を防止することができる。
【0035】
請求項9に係る鞍乗り型車両の定速走行制御装置にあっては、ブレーキ操作を検出するブレーキ操作検出手段を備えると共に、定速走行制御の実行中にブレーキ操作が検出されたとき、車速の最新値が目標車速以下か否か判定し、肯定されるとき、車速の最新値を目標車速とする如く構成したので、上記した効果に加え、新たにスイッチなどを設けることなく、目標車速を簡易に減少させることができる。また、ブレーキ操作によって減速した車速を新たな目標車速とすることで、スロットルバルブの開き方向への移動を阻止することができ、内燃機関の負担を軽減することができる。
【0036】
請求項10に係る鞍乗り型車両の定速走行制御装置にあっては、車速の最新値が目標車速以下か否か判定し、肯定されるとき、車速の最新値を目標車速とする如く構成したので、上記した効果に加え、新たにスイッチなどを設けることなく、目標車速を簡易に減少させることができる。また、スロットルバルブをさらに積極的に閉じ方向に駆動させるため、内燃機関の負担を一層軽減させることで、内燃機関の負担を一層軽減することができる。
【0037】
請求項11に係る鞍乗り型車両の定速走行制御装置にあっては、スロットル目標開度制御実行手段に加え、検出された実スロットル開度が全閉開度となるようにアクチュエータを駆動するスロットル全閉開度制御を実行するスロットル全閉開度制御実行手段を備えると共に、クラッチが操作されたか否か判定し、クラッチが操作されたと判定されるとき、定速走行制御からスロットル全閉開度制御に切り換える如く構成したので、クラッチが切られたときの機関回転数の吹き上がりを防止することができる。また、クラッチが操作されたと判定されるとき、スロットルバルブを全閉開度に制御することで、運転者に対して装置側の認識結果を報知することができる。
【0038】
請求項12に係る鞍乗り型車両の定速走行制御装置にあっては、内燃機関の回転数を所定時間ごとに検出し、車速セットスイッチが操作されたときに検出された機関回転数を定速走行制御開始機関回転数として記憶し、所定時間ごとに検出された機関回転数の最新値が記憶された定速走行制御開始機関回転数を所定値以上超えているか否か判定し、検出された機関回転数の最新値が記憶された定速走行制御開始機関回転数を所定値以上超えていると判定されると共に、車速の最新値が目標車速以下であると判定されるとき、前記クラッチが操作されたと判定する如く構成したので、クラッチスイッチを設けることなく、請求項11で述べた効果を得ることができる。
【0039】
請求項13に係る鞍乗り型車両の定速走行制御装置にあっては、クラッチが操作されるとき出力を生じるクラッチ操作検出手段を備えると共に、その出力に基づいてクラッチが操作されたと判定する如く構成したので、クラッチスイッチの出力を介してクラッチ操作を一層良く検出することができ、請求項10で述べた効果を一層良く達成することができる。
【0040】
請求項14に係る鞍乗り型車両の定速走行制御装置にあっては、指令スロットル開度と実スロットル開度の差を求め、求めた差の絶対値を所定値と比較し、求めた差の絶対値が所定値未満であるとき、スロットル全閉開度制御からスロットル目標開度制御に切り換える如く構成したので、走行フィーリングを損なうことがない。即ち、鞍乗り型車両にあっては、変速を行う場合、通常、クラッチを切り、アクセラレータを戻して(機関回転数を低下させて)変速する。請求項11の構成においてはクラッチ操作が検知された時点で定速走行制御が解除されてスロットル全閉開度制御に切り換えられるが、その後、指令スロットル開度と実スロットル開度の差が所定値未満であるときにスロットル目標開度制御に切り換えることで、運転者の変速意図に良く沿うことができ、よって走行フィーリングを損なうことがない。
【0041】
請求項15に係る鞍乗り型車両の定速走行制御装置にあっては、内燃機関の回転数を所定時間ごとに検出し、車速セットスイッチが操作されたときに検出された機関回転数を定速走行制御開始機関回転数として記憶し、定速走行制御開始機関回転数を目標車速で除算して得られる比を第1の比として算出する一方、機関回転数の最新値を車速の最新値で除算して得られる比を第2の比として算出し、第1の比と第2の比の差を算出し、スロットル全閉開度制御実行中に、第1の比と第2の比の差の絶対値が所定値未満であるときはスロットル全閉開度制御から定速走行制御に切り換える一方、算出された第1の比と第2の比の差の絶対値が所定値以上であるときはスロットル全閉開度制御を継続する如く構成したので、スロットル全閉開度制御実行中に、定速走行制御中での変速比と最新の変速比を比較することとなり、単にクラッチが操作されただけなのか、変速まで行われたのかを判定することができる。その結果、単にクラッチが操作されただけであれば定速走行制御に復帰させることで運転者の意図に良く合致すると共に、変速を伴った場合には、指令スロットル開度と検出スロットル開度の差が所定範囲内にあるかどうか判定することで、検出スロットル開度が全閉方向にあるにも関わらず、指令スロットル開度が大きい場合にはスロットルバルブを全閉状態に維持することで運転者にアクセラレータの戻しを促すことができ、不用意な加速あるいは減速を回避することができる。
【0042】
請求項16に係る鞍乗り型車両の定速走行制御装置にあっては、スロットル目標開度制御実行手段とスロットル全閉開度制御実行手段を備えると共に、運転状態に応じて定速走行制御とスロットル全閉開度制御とスロットル目標開度制御の間で制御を切り換える制御切り換え手段を備える如く構成したので、運転状態に応じ、例えばクラッチ操作を判定して定速走行制御からスロットル全閉開度制御に切り換えて機関回転数の吹き上がりを防止した後、スロットル目標開度制御に切り換えて運転者の増減速意図に合致させることも可能となる。また、運転状態に応じ、例えば指令スロットル開度が実スロットル開度を大きく超えているときなどには、それが解消するまで定速走行制御の切り換えを遅延させることで、走行フィーリングを損ねることがないと共に、不要な機関出力を生じることもない。
【0043】
また、スロットル目標開度制御装置(およびスロットル全閉開度制御装置)と定速走行制御装置と組み合わせて任意に切り換えることで、両者の利点を享受できると共に、定速走行制御のためには車速セットスイッチのみを追加すれば良い点で構成においても簡易となる。
【0044】
請求項17に係る鞍乗り型車両の定速走行制御装置にあっては、定速走行制御実行中に解除条件が成立するとき、スロットル全閉開度制御を実行してからスロットル目標開度制御に切り換える如く構成したので、例えば指令スロットル開度が実スロットル開度を大きく超えているときなどには、それが解消するまで定速走行制御の切り換えを遅延させることで、走行フィーリングを損ねることがないと共に、不要な機関出力を生じることもない。
【0045】
請求項18に係る鞍乗り型車両の定速走行制御装置にあっては、解除条件はクラッチが操作されたときである如く構成したので、定速走行制御からスロットル全閉開度制御に切り換えて機関回転数の吹き上がりを確実に防止することができる。
【0046】
請求項19に係る鞍乗り型車両の定速走行制御装置にあっては、指令スロットル開度と実スロットル開度の差が所定値未満であるとき、スロットル全閉開度制御からスロットル目標開度制御に切り換える如く構成したので、定速走行制御が解除されるとき、実スロットル開度が運転者の予期しない値とならず、よって走行フィーリングを損ねることがないと共に、不要な機関出力を生じることもない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0047】
以下、添付図面に即してこの発明に係る鞍乗り型車両の定速走行制御装置を実施するための最良の形態について説明する。
【実施例1】
【0048】
図1はこの発明の第1実施例に係る鞍乗り型車両の定速走行制御装置を模式的に示す概略図である。鞍乗り型車両は自動二輪車、スクータ、ATV(All Terrain Vehicle)など、運転者がシート(サドル)に跨って乗る型の全ての車両を意味するが、この実施例においては鞍乗り型車両として自動二輪車を例にとる。
【0049】
図1において符号10はその自動二輪車を示す。自動二輪車10は、前輪12のテレスコピックフォーク(図示せず)の上方に取り付けられたハンドルバー14と、フレーム(図示せず)の中央位置に配置される内燃機関(以下「エンジン」という)16と、フレームの後方にリアショックアブソーバ(図示せず)を介して取り付けられた後輪20を備える。符号16aはエンジン16のクランクケースを示す。
【0050】
エンジン16の出力は変速機(図で「T/M」と示す)22で変速されて後輪20に伝達され、自動二輪車を走行させる。エンジン16と変速機22の間にはクラッチ24が介挿され、操作されるとき、エンジン16と変速機22を断続する。変速機22は、前進6速のギヤ列を備えた手動変速機からなる。
【0051】
ハンドルバー14の右端(運転者から見て)にはアクセラレータ、より正確にはスロットルグリップからなるアクセラレータ26が運転者の操作自在に設けられると共に、前輪ブレーキレバー30も運転者の操作自在に設けられる。前輪ブレーキレバー30は油圧シリンダ(図示せず)を介して前輪ブレーキ32に機械的に接続され、運転者によって操作(把持)されるとき、前輪ブレーキ32を作動させて前輪12を制動する。
【0052】
ハンドルバー14の左端には運転者が把持自在なグリップ34が設けられると共に、クラッチレバー36が設けられる。クラッチレバー36はケーブル(図示せず)を介してクラッチ24に機械的に接続され、運転者によって操作(把持)されるとき、クラッチ24を作動させ、エンジン16から変速機22への動力伝達を断続、即ち、接続あるいは遮断する。尚、フレームの下方の左側のフットステップの付近には変速レバー(図示せず)が設けられ、運転者の足先の操作で上下動して前進6速のいずれかのギヤ(変速段あるいは変速比)を確立する。
【0053】
エンジン16は4サイクル4気筒の水冷式で、排気量600cc程度のガソリン・エンジンからなる。図1ではその内の1気筒のみ示す。
【0054】
エンジン16の吸気管40にはスロットルバルブ42が配置され、エアクリーナ44から吸入され、吸気管40を通って流れる空気の量を調整する。吸気管40においてスロットルバルブ42の下流の吸気マニホルド(図示せず)のそれぞれの分岐管の終端付近の吸気ポートにはインジェクタ46が配置され、スロットルバルブ42で調整された吸入空気にガソリン燃料を噴射する。噴射された燃料は吸入空気と混合して混合気を形成し、混合気は、吸気バルブ50が開弁するとき、燃焼室52に流入する。
【0055】
燃焼室52に流入した混合気は、点火コイル54から供給された高電圧で点火プラグ56から火花放電により点火されて燃焼し、ピストン60を図において下方に駆動してクランクシャフト62を回転させる。燃焼によって生じた排ガスは、排気バルブ64が開弁するとき、排気マニホルドと排気管からなる排気系66を流れる。排気系66には触媒装置70が配置され、排ガス中の有害成分を除去する。触媒装置70で浄化された排ガスはさらに下流に流れ、エンジン16の外部に排出される。
【0056】
図示の如く、スロットルバルブ42はアクセラレータ(スロットルグリップ)26との機械的な連結が断たれる。即ち、スロットルバルブ42は減速ギヤ機構72を介して電動モータ(DCモータ。アクチュエータ)74に接続され、電動モータ74の駆動によって開閉させられる。このようにスロットルバルブ42は、電動モータ74によって駆動されるDBW方式とされる。
【0057】
スロットルバルブ42の付近にはポテンシオメータからなるスロットル開度センサ(スロットル開度検出手段)80が設けられ、スロットルバルブ42の0度付近から90度付近までの間の実開度(以下「実スロットル開度」)を示す出力TPSを生じる。また、アクセラレータ26の付近には同様にポテンシオメータからなるアクセラレータ開度センサ(アクセラレータ位置検出手段)82が設けられ、アクセラレータ26の開度(より具体的にはスロットルグリップの回転量)に応じた出力APSを生じる。
【0058】
アクセラレータ26の開度は回転されない位置がスロットル開度0度付近に相当すると共に、最大限回転されたときがスロットル開度90度付近に相当するように設定されることから、出力APSは、運転者が指令する指令スロットル開度に相当する。
【0059】
吸気管40のスロットルバルブ42の上流には吸気温センサ84が設けられて吸入空気の温度を示す出力TAを生じると共に、下流側には絶対圧センサ86が設けられ、吸気管内絶対圧(エンジン負荷)を示す出力PBAを生じる。エシジン16のシリンダブロックの冷却水通路(図示せず)には水温センサ90が取り付けられ、エンジン冷却水温に応じた出力TWを生じる。
【0060】
エンジン16のクランクシャフト62の付近にはクランク角センサ(機関回転数検出手段)92が取り付けられて特定気筒(例えば第1気筒)の所定クランク角度位置でクランク角度信号を出力する。
【0061】
排気系66において触媒装置70の上流側には酸素センサ94が設けられ、排ガス中の酸素濃度に応じた出力を生じる。また、変速機22の出力軸(図示せず)の付近には車速センサ100が配置され、出力軸の1回転ごとに出力を生じる。
【0062】
ハンドルバー14の適宜位置には、車速セットスイッチ102が運転者の操作自在に配置される。車速セットスイッチ102は、操作されるとき、運転者の定速走行制御の実行指令を示す出力を生じる。ハンドルバー14の適宜位置には、さらにスピードメータ104が設けられる。
【0063】
上記したセンサ群および車速セットスイッチ102ならびにスピードメータ104はECU(Electronic Control Unit。電子制御ユニット)110と電気的に接続される。ECU110はマイクロコンピュータからなり、センサなどの出力を入力し、クランク角センサ92と車速センサ100の出力をカウントし、エンジン回転数(機関回転数)NEMと自動二輪車10の車速VSPを検出(算出)する。ECU110は、それら検出値と他の入力値に基づき、後述するように定速走行制御と、スロットル目標開度制御と、スロットル全閉開度制御とを実行する。
【0064】
図2は、ECU110が行うスロットル目標開度制御を示すブロック図である。
【0065】
図示の如く、アクセラレータ開度センサ82の出力はA/D変換され、A/D変換値は適宜な特性に従ってスロットル開度において0度付近から90度付近の値に相当する値、即ち、指令スロットル開度APSに変換される(指令スロットル開度APSが検出される)。次いで指令スロットル開度APSと、クランク角センサ92の出力パルスをカウントして検出されたエンジン回転数NEMとから適宜な特性に従って目標スロットル開度が設定される。
【0066】
他方、スロットル開度センサ80の出力もA/D変換され、A/D変換値は同様に適宜な特性に従ってスロットルバルブ42の0度付近から90度付近までの間の値、即ち、実スロットル開度TPSに変換される(実スロットル開度TPSが検出される)。ECU110は、検出された実スロットル開度TPSが、指令スロットル開度APSなどから設定される(より具体的には指令スロットル開度APSとエンジン回転数NEMから設定される)目標スロットル開度となるように、指令値を算出し、モータドライバ112を介して電動モータ74に出力して駆動する。
【0067】
尚、上記はスロットル目標開度制御における目標スロットル開度の設定であり、定速走行制御においては車速VSPが目標車速VSPCRSとなるように電動モータ74の動作が制御される。
【0068】
図3はこの実施例に係る鞍乗り型車両の定速走行制御装置の動作を示すフロー・チャートである。図示のプログラムはECU110によって所定時間間隔、例えば100msec(ミリ秒)ごとに実行される。
【0069】
以下説明すると、S10において指令スロットル開度の前回値APS1から今回値APSを減算して差DAPSを算出し、S12に進み、指令スロットル開度の今回値APSをその前回値APS1と置き換える。これは次のプログラムループでのS10の処理に備えるためである。
【0070】
次いでS14に進み、フラグF_CRSONのビットが1にセットされているか否か判断する。このフラグのビットは初期値が0であることから、最初のプログラムループにおいてS14の判断は通例否定されてS16に進み、車速セットスイッチ102の出力の読み込みを実行する。図示しない別処理において運転者に操作されて車速セットスイッチ102の出力が生じる度に、フラグF_CRSSWのビットが1にセットされることから、S16の処理においてはそのフラグのビットを参照することで、運転者が車速セットスイッチ102を操作したか否か判断する。
【0071】
次いでS18に進み、フラグF_DBWCLSのビットが1にセットされているか否か判断する。このフラグのビットも初期値が0であることから、最初のプログラムループにおいてS18の判断は否定されてS20に進み、前記したフラグF_CRSONのビットが1にセットされているか否か再び判断する。
【0072】
最初のプログラムループでは通例ここでも否定されてS22に進み、検出された車速VSPが所定値#VSPCRMIN以上か否か判断する。所定値#VSPCRMINは定速走行制御許可車速を意味し、例えば25km/hから30km/h程度の値に設定する。定速走行制御許可車速をこの程度の値に設定するのは、定速走行制御は本来的に高速走行を予定しているからである。
【0073】
従ってS22で否定されるときは以降の処理をスキップすると共に、肯定されるときはS24に進み、フラグF_CRSSWのビットが1にセットされているか否か再び判断する。S24で否定されるときは以降の処理をスキップすると共に、肯定されて車速セットスイッチ102が操作されたと判断されるときはS26に進み、車速セットスイッチ102が操作されたときに検出された車速VSPを目標車速VSPCRSと置き換える(記憶する)。
【0074】
次いでS28に進み、検出された指令スロットル開度APSを車速セットスイッチ102が操作されたときに設定された指令スロットル開度APSCRSと置き換え(記憶し)、S30に進み、検出されたエンジン回転数NEMを定速走行制御開始エンジン(機関)回転数NEMCRSと置き換える(記憶する)。尚、車速VSPとエンジン回転数NEMは、ECU110において当該センサ出力が入力されるたびにカウントされて検出されるが、図3プログラムが所定時間(100msec)ごとにループされることから、車速VSPとエンジン回転数NEMは所定時間ごとに検出されることになる。
【0075】
次いでS32に進み、フラグF_CRSONのビットを1にセットする。このフラグのビットが1にセットされることは定速走行制御が実行される(定速走行制御モードにある)ことを、0にリセットされることは定速走行制御が実行されない(定速走行制御モードにない)ことを意味する。上に述べた如く、定速走行制御においては、車速VSPが目標車速VSPCRSに一致するように、電動モータ74の動作が制御される。
【0076】
従って、次回のプログラムループにおいてS10,S12の処理を経てS14に進むとき、そこでの判断は肯定されてS34に進み、(今回のプログラムループで)検出されたエンジン回転数(換言すれば所定時間ごとに検出されたエンジン回転数の最新値)NEMが定速走行制御開始エンジン回転数NEMCRSに所定値#DNEMCRS(例えば1000rpm)を加算して得た和を超えるか、換言すればエンジン回転数NEMが定速走行開始エンジン回転数NEMCRSを所定値以上超えるか否か判断する。
【0077】
S34で肯定されるときはエンジン回転数NEMが上昇していると判断されることから、S36に進み、(今回のプログラムループで)検出された車速(換言すれば所定時間ごとに検出された車速の最新値)VSPが目標車速VSPCRS以下であるか否か判断し、肯定されるときはS38に進み、フラグF_DBWCLSのビットを1にセットすると共に、フラグF_CLSONのビットを0にリセットする。フラグF_CLSONのビットを0にリセットすると共に、フラグF_DBWCLSのビットを1にセットすることは定速走行制御を解除し、スロットル全閉開度制御(スロットル全閉開度モード)に切り換える(移行する)ことを意味する。
【0078】
S34とS36の処理は、具体的にはクラッチ24が運転者によって操作されたか否か判定することに相当し、検出されたエンジン回転数の最新値NEMが定速走行制御開始エンジン回転数NEMCRSを所定値#DNEMCRS以上超えていると判定されると共に、検出された車速の最新値VSPが目標車速VSPCRS以下であると判定されるとき、クラッチ24が操作されたと判定し、定速走行制御からスロットル全閉開度制御に切り換えるようにした。
【0079】
尚、S34で否定されるときはクラッチ24が操作されたと判定されないことからS36,S38の処理をスキップすると共に、S36で否定されるときも同様の理由でS38の処理をスキップする。
【0080】
ここで、図4を参照してこの実施例に係る定速走行制御装置の制御を概説すると、この装置にあっては定速走行制御とスロットル目標開度制御とスロットル全閉開度制御の3種の制御モードを備え、運転状態に応じて3種の制御モードの中で制御を切り換えるように構成した。具体的には、ある種の解除条件が成立するときは、定速走行制御から、実スロットル開度TPSを全閉開度も含む目標スロットル開度に制御する目標スロットル開度制御に切り換えると共に、それ以外の解除条件(即ち、上記したクラッチ操作)が成立するときは、定速走行制御から、実スロットル開度TPSを全閉開度に閉じるように制御するスロットル全閉開度制御に切り換えるようにした。
【0081】
さらに、ある移行あるいは復帰条件が成立するときは、スロットル目標開度制御あるいはスロットル全閉開度制御から定速走行制御に移行あるいは復帰するようにした。また、ある遷移条件が成立するときはスロットル全閉開度制御からスロットル目標開度制御に切り換えるが、その逆はないようにした。
【0082】
図3フロー・チャートの説明に戻ると、次いでS16を経てS18に進み、フラグF_DBWCLSのビットが1にセットされているか否か判断する。S38を経てS18に進んだときはS18の判断は肯定されてS40に進み、今回のプログラムループで検出された)指令スロットル開度APSと実スロットル開度TPSとの差(換言すれば所定時間ごとに検出される実スロットル開度と指令スロットル開度の最新値の差)を求め、所定値#DPSCRSと求めた差の絶対値を比較し、所定値#DPSCRSが求めた差の絶対値以上か、換言すれば差が所定値#DPSCRS未満か否か判断する。
【0083】
S40において否定されるときはS42に進み、定速走行制御開始エンジン回転数NEMCRSを目標車速VSPCRSで除算して得られる比NVCRSRTOを第1の比として算出し、S44に進み、(今回のプログラムループで)検出されたエンジン回転数(所定時間ごとに検出されたエンジン回転数の最新値)NEMを(今回のプログラムループで)検出された車速(換言すれば所定時間ごとに検出された車速の最新値)VSPで除算して得られる比NVRTOを第2の比として算出する。
【0084】
次いでS46に進み、第1の比NVCRSRTOと第2の比NVRTOの差を算出すると共に、スロットル全閉開度制御実行中に算出された第1の比と第2の比の差の絶対値が所定値#DNVRTO未満であるか否か判断する。
【0085】
S42からS46の処理は変速比に変化があったか否か、具体的にはS34,S36の処理でクラッチが切られた(エンジン16と変速機22の接続が遮断された)と判定された(クラッチ操作ありと判定された)後、再び同一のギヤに接続されたか否か判定する処理であり、S46で第1の比と第2の比の差の絶対値が所定値#DNVRTO未満と判断されるときは変速比に大きな変化が見られず、従って元のギヤが再び接続されたと判断し、S48に進み、フラグF_CRSONのビットを1にセットすると共に、F_DBWCLSのビットを0にリセットする。即ち、スロットル全閉開度制御から定速走行制御に切り換える(復帰する)。
【0086】
一方、前記算出された第1の比と第2の比の差の絶対値が前記所定値以上と判断されるきは変速比の変化が大きく、同一ギヤが再接続されたとは考えられ難いので、S48の処理をスキップする。換言すれば、スロットル全閉開度制御を継続する。
【0087】
他方、S40において肯定される、換言すれば指令スロットル開度APSと実スロットル開度TSPの差の絶対値が所定値#DPSCRS未満と判断されるときはS50に進み、フラグF_CRSONのビットを0にリセットすると共に、F_DBWCLSのビットを0にリセットする。換言すれば、スロットル全閉開度制御からスロットル目標開度制御に切り換える。
【0088】
図5はS34,S38のクラッチ操作判定による定速走行制御からスロットル全閉開度制御への切り換えと、S40からS48のスロットル全閉開度制御の維持あるいはスロットル目標開度制御への切り換えを示すタイム・チャートである。
【0089】
図示の如く、クラッチレバー36を介してクラッチ24が操作されたか否か判定し、クラッチ24が操作されたと判定されるとき、定速走行制御からスロットル全閉開度制御に切り換える如く構成したので、クラッチ24が切られたときのエンジン回転数NEMの吹き上がりを防止することができる。また、クラッチ24が操作されたと判定されるとき、スロットルバルブ42を全閉開度に制御することで、運転者に対して装置側の認識結果を報知することができる。
【0090】
そのとき、検出されたエンジン回転数の最新値NEMが定速走行制御開始エンジン回転数NEMCRSを所定値#DNEMCRS以上超えているか否か判定し、肯定されるとき、クラッチ24が操作されたと判定する如く構成したので、クラッチスイッチを設けることなく、上記した効果を得ることができる。
【0091】
また、所定時間ごとに検出される指令スロットル開度APSと実スロットル開度TPSの最新値の差を求め、求めた差の絶対値を所定値#DPSCRSと比較し、求めた差の絶対値が所定値以下であるとき、スロットル全閉開度制御からスロットル目標開度制御に切り換える如く構成したので、走行フィーリングを損なうことがない。
【0092】
即ち、鞍乗り型車両にあっては、変速を行う場合、通常、クラッチ24を切り、アクセラレータ(スロットルグリップ)26を戻して(エンジン回転数を低下させて)変速する。上記した構成においてはクラッチ操作が検知された時点で定速走行制御が解除されてスロットル全閉開度制御に切り換えられるが、その後、指令スロットル開度APSと実スロットル開度TPSの差の絶対値が所定値#DPSCRS以下であるとき、即ち、近傍にあるときにスロットル目標開度制御に切り換えることで、運転者の意図に良く沿うことができ、よって走行フィーリングを損なうことがない。
【0093】
また、エンジン回転数NEMと車速VSPとから第1、第2の比を算出してその差を算出し、スロットル全閉開度実行中に、第1の比と第2の比の差の絶対値が所定値未満であるときはスロットル全閉開度制御から定速走行制御に切り換える一方、算出された第1の比と第2の比の差の絶対値が所定値以上であるときはスロットル全閉開度制御を継続する如く構成したので、スロットル全閉開度制御実行中に、定速走行制御中での変速比と最新の変速比を比較することとなり、単にクラッチ24が操作されただけなのか、変速まで行われたのかを判定することができる。
【0094】
その結果、単にクラッチ24が操作されただけであれば定速走行制御に復帰させることで運転者の意図に良く合致すると共に、変速を伴った場合には、指令スロットル開度APSと実スロットル開度TPSの差が所定範囲内にあるかどうか判定することで、実スロットル開度TPSが全閉方向にあるにも関わらず、指令スロットル開度APSが大きい場合にはスロットルバルブ42を全閉状態に維持することで運転者にアクセラレータ26の戻しを促すことができ、不用意な加速を回避することができる。
【0095】
図3フロー・チャートの説明に戻ると、S48を経てプログラムを終了したときは次回のプログラムループにおいてS18で否定されると共に、S20に進むとき、肯定されてS52に進み、フラグF_CRSSWのビットが1にセットされているか否か判断し、肯定されるときはS54に進み、(今回のプログラムループで)検出された車速(所定時間ごとに検出された車速の最新値)VSPが目標車速VSPCRSに等しいか、換言すれば車速の最新値VSPが目標車速VSPCRSに到達したか否か判断(判定)する。
【0096】
S54で肯定されるときはS56に進み、定速走行制御実行中に車速セットスイッチ102が操作されたときに検出されたエンジン回転数NEMを定速走行制御開始エンジン回転数NEMCRSとして記憶し、S58に進み、目標車速VSPCRSに所定値#CRSACCを加算して得た和を目標車速VSPCRSとする。即ち、車速の最新値VSPが目標車速VSPCRSに到達したと判定されるとき、目標車速VSPCRSを所定値#CRSACCだけ増加する。
【0097】
図6はその処理を示すタイム・チャートである。図示の如く、目標車速VSPCRSは、車速セットスイッチ102が操作されることで増加させられる。これにより、新たにスイッチなどを設けることなく、目標車速VSPCRSを簡易に増加することができる。また、車速の最新値VSPが目標車速VSPCRSに到達したとき所定値だけ変更することで、換言すれば、車速の最新値VSPが目標車速VSPCRSに到達するまでの間に車速セットスイッチ102が操作されても増加しないようにしたので、不要な増速を防止することができる。
【0098】
図3フロー・チャートの説明に戻ると、次いでS60に進み、指令スロットル開度APSが実スロットル開度TPS以下であるか否か、換言すれば指令スロットル開度APSと実スロットル開度TPSとが所定の関係にあるか否か判断(判定)し、肯定されるときは前記所定の関係にあると判断する。
【0099】
S60で肯定されるときはS62に進み、S10で指令スロットル開度APSの所定時間当たりの変化量DAPSをしきい値#DAPSBRKと比較し、算出された変化量DAPSがしきい値#DAPSBRK以下か否か判断する。しきい値#DAPBRKとしては負値が設定されることから、S62の処理は、変化量DAPSが負方向においてしきい値#DAPSBRK以上であるか、即ち、スロットルバルブ42が閉じ方向にあり、その閉じ方向の変化量がしきい値(負値)#DAPSBRKと同じであるかそれより大きいか否か、より具体的にはアクセラレータ26が急閉されたか否か判断することに相当する。
【0100】
S62で肯定されるときは定速走行制御の解除条件が成立したと判断してS50に進み、フラグF_CRSONとF_DBWCLSのビットを共に0にリセットしてスロットル目標開度制御に切り換える(移行する)。他方、否定されるときはS64に進み、車速セットスイッチ102が操作されたときに検出された指令スロットル開度APSCRSから所定値#DAPSOFFを減算した差を算出すると共に、算出された差を(今回のプログラムループで)検出された指令スロットル開度(所定時間ごとに検出される指令スロットル開度の最新値)APSと比較する。そして指令スロットル開度の最新値が算出された差以下であるとき、解除条件が成立したと判断してS50に進む(定速走行制御からスロットル目標開度制御に切り換える)。
【0101】
S64で否定されるときはS66に進み、目標車速VSPCRSから所定値#DVSPOFFを減算した差を算出すると共に、算出された差を(今回のプログラムループで)検出された車速(所定時間ごとに検出された車速の最新値)VSPと比較する。そして検出された車速の最新値が算出された差以下であるとき、解除条件が成立したと判断してS50に進む(定速走行制御から前記スロットル目標開度制御に切り換える)。
【0102】
尚、S66で否定されるときは以降の処理をスキップする。S60で否定されるときも同様である。
【0103】
上記について図7以降を参照して説明する。
【0104】
図7は、S60からS62およびS50の処理を示すタイム・チャートである。
【0105】
図7に示す如く、この実施例に係る鞍乗り型車両の定速走行制御装置においては、車速VSPが目標車速VSPCRSとなるように電動モータ74を駆動する定速走行制御と、実スロットル開度TPSが目標スロットル開度となるように電動モータ74を駆動する目標開度スロットル制御を実行すると共に、指令スロットル開度APSと目標スロットル開度のいずれかと実スロットル開度TPSが所定の関係にあるか、具体的には指令スロットル開度APSと実スロットル開度TPSが所定の関係にあるか、より具体的には指令スロットル開度APSが実スロットル開度TPS以下か否か判定し、所定の関係にあると判定されると共に、解除条件が成立すると判断される場合、定速走行制御からスロットル目標開度制御に切り換える如く構成した。
【0106】
これによって、所定の関係を適宜設定することで、具体的には指令スロットル開度APSが実スロットル開度TPS以下であるときを所定の関係とすることで、運転者が予期し得る実スロットル開度TPSで定速走行制御を解除してスロットル開度目標開度制御に移行させることができ、同様に実スロットル開度が運転者の認識できる状態で定速走行制御が解除されるため、実スロットル開度TPSが運転者の予期しない値とならず、よって走行フィーリングを損ねることがよってスロットル目標開度制御に切り換えられたとき、走行フィーリングを損ねることがないと共に、不要なエンジン出力を生じることもない。
【0107】
また、スロットル目標開度制御装置と定速走行制御装置と組み合わせて任意に切り換えることで、両者の利点を享受できると共に、定速走行制御のためには車速セットスイッチ102のみを追加すれば良い点で構成においても簡易となる。
【0108】
解除条件に関しては、指令スロットル開度APSの所定時間(100msec)当たりの変化量DAPSを算出し、算出された変化量DAPSをしきい値と比較し、算出された変化量DPSがしきい値#DAPSBRK(負値)以下か、換言すれば算出された変化量DAPSが負方向においてしきい値以上であるとき、解除条件が成立したと判断し、定速走行制御からスロットル目標開度制御に切り換える如く構成したので、上記した効果に加え、ブレーキスイッチを設けることなく運転者の減速意図を検知することができ、運転者の意図に良く沿って定速走行制御を解除することができる。
【0109】
さらに、運転者がアクセラレータ(スロットルグリップ)26をスロットル全閉開度相当位置まで戻さなくても、減速意図を検知できるため、不要なエンジン回転数の低下、即ち、不要なエンジン出力の低下を招くことがなく、走行フィーリングを損なうことがない。
【0110】
上記以外の解除条件について説明する。
【0111】
図8は、S64およびS50の処理を示すタイム・チャートである。
【0112】
図示の如く、車速セットスイッチ102が操作されたときに検出された指令スロットル開度APSCRSを記憶し、記憶された指令スロットル開度APSCRSから所定値#DAPSOFFを減算した差を算出し、算出された差を所定時間(100msec)ごとに検出される指令スロットル開度の最新値APSと比較すると共に、指令スロットル開度の最新値APSが算出された差以下であるとき、解除条件が成立したと判断し、定速走行制御からスロットル目標開度制御に切り換える如く構成したので、同様に、ブレーキスイッチを設けることなく運転者の減速意図を検知することができ、運転者の意図に良く沿って定速走行制御を解除することができると共に、運転者がアクセラレータ26をスロットル全閉開度相当位置まで戻さなくても、減速意図を検知できるため、不要なエンジン回転数NEMの低下、即ち、不要なエンジン出力の低下を招くことがなく、走行フィーリングを損なうことがない。さらに、アクセラレータ26を徐々に戻すような場合、S62の処理では運転者の解除意図を検知できないときも、この構成によってそれを検知することができる。
【0113】
図9は、S66およびS50の処理を示すタイム・チャートである。
【0114】
図示の如く、目標車速VSPから所定値#DVSOFFを減算した差を算出し、算出された差を車速の最新値VSPと比較し、車速の最新値VSPが算出された差以下であるとき、解除条件が成立したと判断し、定速走行制御からスロットル目標開度制御に切り換える如く構成したので、同様に、登坂路を走行するときなど高負荷状態が続くとき、定速走行制御を解除することで、エンジン16への負担を軽減することができ、エミッション性能の低下を回避することができる。
【0115】
再び、図4を参照してこの装置を概説すると、この装置にあっては定速走行制御とスロットル目標開度制御とスロットル全閉開度制御の3種の制御モードを備え、運転状態に応じて3種の制御モードの中で制御を切り換えるように構成したので、運転状態に応じ、例えばクラッチ操作を判定して定速走行制御からスロットル全閉開度制御に切り換えてエンジン回転数NEMの吹き上がりを防止した後、スロットル目標開度制御に切り換えて運転者の増減速意図に合致させることも可能となる。また、運転状態に応じ、例えば指令スロットル開度APSが実スロットル開度TPSを大きく超えているときなどには、それが解消するまで定速走行制御の切り換えを遅延させることで、走行フィーリングを損ねることがないと共に、不要なエンジン出力を生じることもない。
【0116】
また、スロットル目標開度制御装置(およびスロットル全閉開度制御装置)と定速走行制御装置と組み合わせて任意に切り換えることで、両者の利点を享受できると共に、定速走行制御のためには車速セットスイッチ102のみを追加すれば良い点で構成においても簡易となる。
【0117】
さらに、クラッチ24が操作されたときを解除条件の一つとしたので、定速走行制御からスロットル全閉開度制御に切り換えることができ、エンジン回転数NEMの吹き上がりを確実に防止することができる。
【実施例2】
【0118】
次いで、この発明の第2実施例に係る鞍乗り型車両の定速走行制御装置を説明する。
【0119】
図10は、第2実施例に係る装置の動作を部分的に示す、図3フロー・チャートの一部と同様のフロー・チャートである。
【0120】
以下、相違点に焦点をおいて説明すると、第2実施例にあっては、S58の後、S60aに進み、指令スロットル開度APSが実スロットル開度TPSと略等しいか、即ち、指令スロットル開度APSと目標スロットル開度のいずれかが、より具体的には指令スロットル開度APSが実スロットル開度TPSの近傍にあるか否か判定し、肯定されるとき指令スロットル開度APSと実スロットル開度TPSとが所定の関係にあるか否か判断(判定)するようにした。
【0121】
S60aにおいて指令スロットル開度APSと実スロットル開度TPSが略等しいか、即ち、指令スロットル開度APSが実スロットル開度TPSの近傍にあるか否かは、具体的には、指令スロットル開度APSと実スロットル開度TPSの差が±5度(より正確には全閉を0度、全開を90度とするとき、±5度)の範囲内にあるか否か判断することで行う。
【0122】
S60aで肯定されるときは第1実施例と同様、S62以降を進み、S62以降の解除条件が成立すると判断されるとき、S50に進み、定速走行制御からスロットル目標開度制御に切り換える。即ち、差が±5度の範囲内にあれば、指令スロットル開度APSが実スロットル開度TPSを5度の範囲で上回っていても、運転者の予期しない値とならないと考えられることから、解除条件が成立すれば、定速走行制御からスロットル目標開度制御に切り換えるようにした。その意味で±5度は例示であり、要は、運転者が予期しない程度の値であれば良い。
【0123】
第2実施例にあっては上記の如く構成したので、第1実施例と同様に、定速走行制御が解除されるとき、実スロットル開度TPSが指令スロットル開度APSの近傍にあるので、スロットル目標開度制御に切り換えられたとき、目標スロットル開度は運転者が一層良く認識し得る値となり、よって走行フィーリングを損ねることがないと共に、不要なエンジン出力を生じることもない。
【0124】
尚、残余の構成および効果は、第1実施例のそれと異ならない。
【実施例3】
【0125】
次いで、この発明の第3実施例に係る鞍乗り型車両の定速走行制御装置を説明する。
【0126】
図11は、第3実施例に係る装置の動作を示す、図3フロー・チャートと同様のフロー・チャートである。尚、図3フロー・チャートと同一の処理を行うスッテプには同一の符号を付して説明を省略する。
【0127】
以下、相違点に焦点をおいて説明すると、第3実施例にあっては、S14で肯定されるとS200に進み、ブレーキ操作判断を行うようにした。
【0128】
即ち、第3実施例にあっては、図1に想像線で示す如く、前輪ブレーキレバー30に、運転者によって前輪ブレーキレバー30が操作されるとき(自動二輪車10が制動されるとき)、オン信号を出力するブレーキスイッチ(ブレーキ操作検出手段)120を設けると共に、クラッチレバー36に、運転者によってクラッチレバー36が操作されるとき(クラッチ24が切られるとき)、オン信号を出力するクラッチスイッチ(クラッチ操作検出手段)122を設けるようにした。ブレーキスイッチ120とクラッチスイッチ122の出力は、ECU110に送られる。
【0129】
図11フロー・チャートにあっては、S200においてF_BRKSWのビットが1にセットされているか否か判断する。このフラグは図示しない別処理において、ブレーキスイッチ120がオン信号を出力するとき、そのビットが1にセットされることから、S200の処理は、運転者によってブレーキ操作(前輪ブレーキ32の操作)がなされたか否か判断することに相当する。
【0130】
S200で肯定、即ち、ブレーキ操作が検出されたときはS202に進み、(今回のプログラムループで)検出された車速(換言すれば所定時間ごとに検出された車速の最新値)VSPを目標車速VSPCRSと比較し、車速の最新値VSPが目標車速VSPCRS以下か否か判断(判定)する。S202で肯定されて車速の最新値VSPが目標車速VSPCRS以下と判定されるとき、S204に進んで車速の最新値VSPを目標車速VSPCRSとし、S204に進んで定速走行開始エンジン回転数NEMCRSをエンジン回転数NEMに変更する。尚。S202で否定されるときは、S204からS206の処理をスキップする。尚、上記の処理を図6に示す。
【0131】
他方、S200で否定されるときはS208に進み、F_CLTCHSWのビットが1にセットされているか否か判断する。このフラグは図示しない別処理において、クラッチスイッチ122がオン信号を出力するとき、そのビットが1にセットされることから、S208の処理は、運転者によってクラッチ操作(クラッチ24が切られる操作)がなされたか否か判断することに相当する。
【0132】
S208で肯定されるときはS38に進み、フラグF_DBWCLSのビットを1にセットすると共に、フラグF_CLSONのビットを0にリセットし、定速走行制御を解除してスロットル全閉開度制御(スロットル全閉開度モード)に切り換える(移行する)。
【0133】
第3実施例は上記の如く、クラッチ24が操作されたか否か判定し、クラッチ24が操作されたと判定されるとき、定速走行制御からスロットル全閉開度制御に切り換える如く構成したので、クラッチ24が切られたときのエンジン回転数NEMの吹き上がりを防止することができる。また、クラッチ24が操作されたと判定されるとき、スロットルバルブ42を全閉開度に制御することで、運転者に対して装置側の認識結果を報知することができる。
【0134】
また、クラッチ24が操作されるとき出力を生じるクラッチスイッチ(クラッチ操作検出手段)122を備えると共に、その出力に基づいてクラッチ24が操作されたと判定する如く構成したので、クラッチスイッチ122の出力を介してクラッチ操作を一層良く検出することができ、上記で述べた効果を一層良く達成することができる。
【0135】
さらに、定速走行制御の実行中にブレーキ操作が検出されたとき、車速の最新値VSPが目標車速VSPCRS以下となったか否か判定し、肯定されるとき、車速の最新値VSPを目標車速VSPCRSとする(変更する)如く構成したので、上記した効果に加え、新たにスイッチなどを設けることなく、目標車速VSPCRSを簡易に減少することができる。また、車速の最新値VSPが目標車速VSPCRS以下となったとき変更することで、不要な減速を防止することができる。
【0136】
尚、第3実施例において、定速走行制御の実行中にブレーキ操作の有無を検出することなく、車速の最新値VSPが目標車車速の最新値VSPが目標車速VSPCRS以下となったか否か判定し、肯定されるとき、車速の最新値VSPを目標車速VSPCRSとする(変更する)ように構成しても良い。
【0137】
また、ブレーキスイッチ120を前輪ブレーキレバー30の付近に配置して前輪ブレーキ32の操作を検出したが、フットブレーキ(図示せず)の付近に配置して後輪ブレーキ(図示せず)の操作を検出しても良い。
【0138】
残余の構成および効果は、従前の実施例と異ならない。
【0139】
以上の如く、第1から第3実施例にあっては、ハンドルバー14の一端に運転者の操作自在に設けられたスロットルグリップからなるアクセラレータ26、エンジン(内燃機関)16の吸気管40に設けられて前記エンジン(内燃機関)に吸入される空気量を調整するスロットルバルブ42、前記スロットルバルブを駆動するアクチュエータ(電動モータ)74、運転者の操作自在に設けられた車速セットスイッチ102、車速VSPを所定時間(100msec)ごとに検出する車速検出手段(車速センサ100,ECU110)、前記車速セットスイッチが操作されたときに検出された車速VSPを目標車速VSPとして記憶し(S26)、前記所定時間ごとに検出される車速が前記記憶された目標車速となるように前記アクチュエータを駆動して定速走行させる定速走行制御を実行する定速走行制御実行手段(ECU110)を少なくとも備えた鞍乗り型車両(自動二輪車10)の定速走行制御装置において、前記スロットルバルブの実開度TPSを所定時間ごとに検出するスロットル開度検出手段(スロットル開度センサ80,ECU110)、前記アクセラレータ26の開度から運転者が指令した指令スロットル開度APSを所定時間ごとに検出する指令スロットル開度検出手段(アクセラレータ開度センサ82,ECU110)、少なくとも前記検出された指令スロットル開度APS、より具体的には前記検出された指令スロットル開度APSとエンジン回転数NEMに応じて所定時間ごとに目標スロットル開度を設定すると共に、前記検出された実スロットル開度TPSが前記目標スロットル開度となるように、前記アクチュエータを駆動するスロットル目標開度制御を実行するスロットル目標開度制御実行手段(ECU110)を備えると共に、前記指令スロットル開度APSと目標スロットル開度のいずれか、より具体的には指令スロットル開度APSと前記実スロットル開度TPSが所定の関係にあるか否か判定するスロットル開度判定手段(S60)、および前記指令スロットル開度APSと目標スロットル開度のいずれかと前記実スロットル開度TPSが所定の関係にあると判定されると共に、解除条件が成立すると判断される場合(S62からS66)、前記定速走行制御から前記スロットル目標開度制御に切り換える制御切り換え手段(S50)を備える如く構成した。
【0140】
また、前記制御切り換え手段は、前記指令スロットル開度APSと目標スロットル開度のいずれかが前記実スロットル開度TPSの近傍にあるとき、前記所定の関係にあると判定し(S60a)、前記解除条件が成立すると判断される場合(S62からS66)、前記定速走行制御から前記スロットル目標開度制御に切り換える(S50)如く構成した。
【0141】
また、前記制御切り換え手段は、前記指令スロットル開度APSと目標スロットル開度のいずれかと前記実スロットル開度の差が±5度の範囲内にあるとき、前記所定の関係にあると判定し(S60a)、前記解除条件が成立すると判断される場合(S62からS66)、前記定速走行制御から前記スロットル目標開度制御に切り換える(S50)如く構成した。
【0142】
また、前記制御切り換え手段は、前記指令スロットル開度APSと目標スロットル開度のいずれかが前記実スロットル開度TPS以下であるとき、前記所定の関係にあると判定し(S60)、前記解除条件が成立すると判断される場合(S62からS66)、前記定速走行制御から前記スロットル目標開度制御に切り換える(S50)如く構成した。
【0143】
また、前記制御切り換え手段は、前記指令スロットル開度APSの前記所定時間当たりの変化量DAPSを算出する指令スロットル開度変化量算出手段(S10)、および前記算出された変化量DAPSをしきい値#DAPSBRKと比較する比較手段(S62)を備え、前記算出された変化量が負方向において前記しきい値以上であるとき、前記解除条件が成立したと判断し、前記定速走行制御から前記スロットル目標開度制御に切り換える(S50)如く構成した。
【0144】
また、前記制御切り換え手段は、前記車速セットスイッチ102が操作されたときに検出された前記指令スロットル開度APSCRSを記憶する記憶手段(S28)、前記記憶された指令スロットル開度から所定値#DAPSOFFを減算した差APSCRS−#DAPSOFFを算出する指令スロットル開度差算出手段(S64)、および前記算出された差を前記所定時間ごとに検出される指令スロットル開度の最新値APSと比較する比較手段(S64)を備え、前記指令スロットル開度の最新値が前記算出された差以下であるとき、前記解除条件が成立したと判断し、前記定速走行制御から前記スロットル目標開度制御に切り換える(S50)如く構成した。
【0145】
また、前記制御切り換え手段は、前記目標車速VSPから所定値#DVSPOFFを減算した差VSP−#DVSPOFFを算出する車速差算出手段(S66)、および前記算出された差を前記所定時間ごとに検出された車速の最新値VSPと比較する比較手段(S66)を備え、前記検出された車速の最新値が前記算出された差以下であるとき、前記解除条件が成立したと判断し、前記定速走行制御から前記スロットル目標開度制御に切り換える(S50)如く構成した。
【0146】
また、前記定速走行制御実行手段は、前記所定時間ごとに検出される車速の最新値VSPが前記目標車速VSPCRSに到達したか否か判定する車速到達判定手段(S54)を備え、前記車速の最新値が前記目標車速に到達したと判定されるとき、前記目標車速を所定値#CRSACC増加する目標車速増加手段(S58)を備える如く構成した。
【0147】
また、前記定速走行制御実行手段は、ブレーキ操作を検出するブレーキ操作検出手段(ブレーキスイッチ120,ECU110,S200)、前記定速走行制御の実行中に前記ブレーキ操作が検出されたとき、前記所定時間ごとに検出された車速の最新値VSPを前記目標車速VSPCRSと比較して前記車速の最新値VSPが前記目標車速VSPCRS以下であるか判定する車速判定手段(S202)を備え、前記車速の最新値が前記目標車速以下であると判定されるとき、前記車速の最新値を前記目標車速とする目標車速変更手段(S204)を備える如く構成した。
【0148】
また、前記定速走行制御実行手段は、前記所定時間ごとに検出された車速の最新値VSPを前記目標車速VSPCRSと比較して前記車速の最新値VSPが前記目標車速VSPCRS以下であるか判定する車速判定手段(S202)を備え、前記車速の最新値が前記目標車速以下であると判定されるとき、前記車速の最新値を前記目標車速とする目標車速変更手段(S204)を備える如く構成した。
【0149】
また、ハンドルバー14の一端に運転者の操作自在に設けられたスロットルグリップからなるアクセラレータ26、内燃機関(エンジン)15の吸気管40に設けられて前記エンジン(内燃機関)に吸入される空気量を調整するスロットルバルブ42、前記スロットルバルブを駆動するアクチュエータ(電動モータ)74、前記エンジン(内燃機関)と変速機22を断続するクラッチ24、運転者の操作自在に設けられた車速セットスイッチ102、車速VSPを所定時間ごとに検出する車速検出手段(車速センサ100,ECU110)、前記車速セットスイッチが操作されたときに検出された車速VSPを目標車速VSPCRSとして記憶し、前記所定時間ごとに検出される車速が前記記憶された目標車速となるように前記アクチュエータを駆動して定速走行させる定速走行制御を実行する定速走行制御実行手段(ECU110)を少なくとも備えた鞍乗り型車両の定速走行制御装置において、前記スロットルバルブの実開度TPSを所定時間ごとに検出するスロットル開度検出手段、前記アクセラレータの開度から運転者が指令した指令スロットル開度APSを所定時間ごとに検出する指令スロットル開度検出手段(アクセラレータ開度センサ82)、少なくとも前記検出された指令スロットル開度APS、より具体的には前記検出された指令スロットル開度APSとエンジン回転数NEMに応じて所定時間ごとに目標スロットル開度を設定すると共に、前記検出された実スロットル開度TPSが前記目標スロットル開度となるように、前記アクチュエータを駆動するスロットル目標開度制御を実行するスロットル目標開度制御実行手段(ECU110)、前記検出された実スロットル開度TPSが全閉開度となるように、前記アクチュエータを駆動するスロットル全閉開度制御を実行するスロットル全閉開度制御実行手段(ECU110)を備えると共に、前記クラッチが操作されたか否か判定するクラッチ操作判定手段(S34,S36,S208)、および前記クラッチが操作されたと判定されるとき、前記定速走行制御から前記スロットル全閉開度制御に切り換える制御切り換え手段(S38)を備える如く構成した。
【0150】
また、前記クラッチ操作判定手段は、前記エンジン回転数(内燃機関の回転数)NEMを所定時間ごとに検出する機関回転数検出手段(クランク角センサ92、ECU110)、前記車速セットスイッチが操作されたときに検出されたエンジン(機関)回転数NEMを定速走行制御開始エンジン(機関)回転数NEMCRSとして記憶する機関回転数記憶手段(S30)、前記所定時間ごとに検出されたエンジン(機関)回転数の最新値が前記記憶された定速走行制御開始エンジン(機関)回転数を所定値以上超えているか否か判定する機関回転数判定手段(S34)、および前記所定時間ごとに検出された車速の最新値VSPが前記目標車速VSPCRS以下であるか否か判定する車速判定手段(S36)を備え、前記検出されたエンジン(機関)回転数の最新値が前記定速走行制御開始機関回転数を所定値以上超えていると判定されると共に、前記検出された車速の最新値が前記目標車速以下であると判定されるとき、前記クラッチが操作されたと判定する(S38)如く構成した。
【0151】
また、前記クラッチ操作判定手段は、前記クラッチ24が操作されるとき出力を生じるクラッチ操作検出手段(クラッチスイッチ122,ECU110)を備えると共に、前記クラッチ操作検出手段の出力に基づいて前記クラッチが操作されたと判定する(S208)如く構成した。
【0152】
また、前記制御切り換え手段は、前記指令スロットル開度APSと前記実スロットル開度TPSの差APS−TPSを求め、前記求めた差の絶対値を所定値#DPSCRSと比較するスロットル開度差算出手段(S40)を備え、前記求めた差の絶対値が前記所定値未満であるとき、前記スロットル全閉開度制御から前記スロットル目標開度制御に切り換える(S50)如く構成した。
【0153】
また、前記制御切り換え手段は、前記エンジン(機関)回転数NEMを所定時間ごとに検出する機関回転数検出手段(クランク角センサ92,ECU110)、および前記車速セットスイッチ102が操作されたときに検出されたエンジン(機関)回転数を定速走行制御開始エンジン(機関)回転数NEMCRSとして記憶する機関回転数記憶手段(S30)、および前記定速走行制御開始エンジン(機関)回転数NEMCRSを前記目標車速VSPCRSで除算して得られる比を第1の比として算出する第1比算出手段(S42)、前記所定時間ごとに検出されたエンジン(機関)回転数の最新値NEMを前記所定時間ごとに検出された車速の最新値VSPで除算して得られる比を第2の比として算出する第2比算出手段(S44)、および前記第1の比と第2の比の差を算出する比差算出手段(S46)を備え、前記スロットル全閉開度実行中に、前記算出された第1の比と第2の比の差の絶対値が所定値未満であるときは前記スロットル全閉開度制御から前記定速走行制御に切り換える一方(S48)、前記算出された第1の比と第2の比の差の絶対値が前記所定値以上であるときは前記スロットル全閉開度制御を継続する如く構成した。
【0154】
また、ハンドルバー14の一端に運転者の操作自在に設けられたスロットルグリップからなるアクセラレータ26、エンジン(内燃機関)16の吸気管40に設けられて前記エンジン(内燃機関)に吸入される空気量を調整するスロットルバルブ42、前記スロットルバルブを駆動するアクチュエータ(電動モータ)74、前記エンジン(内燃機関)と変速機22を断続するクラッチ24、運転者の操作自在に設けられた車速セットスイッチ102、車速VSPを所定時間ごとに検出する車速検出手段(車速センサ100,ECU110)、前記車速セットスイッチが操作されたときに検出された車速VSPを目標車速VSPCRSとして記憶し、前記所定時間ごとに検出される車速が前記記憶された目標車速となるように前記アクチュエータを駆動して定速走行させる定速走行制御を実行する定速走行制御実行手段(ECU110)を少なくとも備えた鞍乗り型車両の定速走行制御装置において、前記スロットルバルブの実開度TPSを所定時間ごとに検出するスロットル開度検出手段(スロットル開度センサ80)、前記アクセラレータの開度から運転者が指令した指令スロットル開度APSを所定時間ごとに検出する指令スロットル開度検出手段(アクセラレータ開度センサ82)、少なくとも前記検出された指令スロットル開度APS、より具体的には前記検出された指令スロットル開度APSとエンジン(機関)回転数NEMに応じて目標スロットルを所定時間ごとに設定すると共に、前記検出された実スロットル開度TPSが目標スロットル開度となるように、前記アクチュエータを駆動するスロットル目標開度制御を実行するスロットル目標開度制御実行手段、前記検出されたスロットル開度TPSが全閉開度となるように、前記アクチュエータを駆動するスロットル全閉開度制御を実行するスロットル全閉開度制御実行手段(ECU110)、および運転状態に応じて前記定速走行制御と前記スロットル全閉開度制御と前記スロットル目標開度制御の間で制御を切り換える制御切り換え手段(S38,S48,S50)を備える如く構成した。
【0155】
また、前記制御切り換え手段は、前記定速走行制御実行中に解除条件が成立するとき、前記スロットル全閉開度制御を実行してから前記スロットル目標開度制御に切り換える(S38,S18,S40,S48)如く構成した。
【0156】
また、前記解除条件が、前記クラッチが操作されたときである(S38)如く構成した。
【0157】
また、前記制御切り換え手段は、前記指令スロットル開度APSと前記実スロットル開度TPSの差APS−TPSが所定値#DPSCRS未満であるとき、前記スロットル全閉開度制御から前記スロットル目標開度制御に切り換える(S40,S50)如く構成した。
【0158】
尚、上記において、指令スロットル開度APSと実スロットル開度TPSが所定の関係にあるか否か判定したが、指令スロットル開度APSに代え、目標スロットル開度と実スロットル開度TPSが所定の関係にあるか否か判定しても良い。請求項の記載は、それに基づく。
【0159】
また、鞍乗り型車両の例として二輪自動車を挙げたが、それに限られるものではなく、他の車両であっても良い。
【図面の簡単な説明】
【0160】
【図1】この発明の第1実施例に係る鞍乗り型車両の定速走行制御装置を模式的に示す概略図である。
【図2】図1に示すECUが行うスロットル目標開度制御を示すブロック図である。
【図3】図1に示す装置の動作を示すフロー・チャートである。
【図4】図1に示す装置の動作である3種の制御モードおよびその間の遷移を示す状態遷移図である。
【図5】図3に示す装置の動作を示すタイム・チャートである。
【図6】同様に、図3に示す装置の動作を示すタイム・チャートである。
【図7】同様に、図3に示す装置の動作を示すタイム・チャートである。
【図8】同様に、図3に示す装置の動作を示すタイム・チャートである。
【図9】同様に、図3に示す装置の動作を示すタイム・チャートである。
【図10】この発明の第2実施例に係る鞍乗り型車両の定速走行制御装置の動作を部分的に示す、図3フロー・チャートの一部と同様のフロー・チャートである。
【図11】この発明の第3実施例に係る鞍乗り型車両の定速走行制御装置の動作を示す、図3フロー・チャートと同様のフロー・チャートである。
【符号の説明】
【0161】
10 自動二輪車(鞍乗り型車両)、14 ハンドルバー、16 エンジン(内燃機関)、24 クラッチ、26 アクセラレータ(スロットルグリップ)、30 前輪ブレーキレバー、36 クラッチレバー、42 スロットルバルブ、74 電動モータ(アクチュエータ)、80 スロットル開度センサ、82 アクセラレータ開度センサ、92 クランク角センサ、100 車速センサ、110 ECU(電子制御ユニット)、120 ブレーキスイッチ、122 クラッチスイッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a.ハンドルバーの一端に運転者の操作自在に設けられたスロットルグリップからなるアクセラレータ、
b.内燃機関の吸気管に設けられて前記内燃機関に吸入される空気量を調整するスロットルバルブ、
c.前記スロットルバルブを駆動するアクチュエータ、
d.運転者の操作自在に設けられた車速セットスイッチ、
e.車速を所定時間ごとに検出する車速検出手段、
f.前記車速セットスイッチが操作されたときに検出された車速を目標車速として記憶し、前記所定時間ごとに検出される車速が前記記憶された目標車速となるように前記アクチュエータを駆動して定速走行させる定速走行制御を実行する定速走行制御実行手段、
を少なくとも備えた鞍乗り型車両の定速走行制御装置において、
g.前記スロットルバルブの実開度を所定時間ごとに検出するスロットル開度検出手段、
h.前記アクセラレータから運転者が指令した指令スロットル開度を所定時間ごとに検出する指令スロットル開度検出手段、
i.少なくとも前記検出された指令スロットル開度に応じて所定時間ごとに目標スロットル開度を設定すると共に、前記検出された実スロットル開度が前記目標スロットル開度となるように、前記アクチュエータを駆動するスロットル目標開度制御を実行するスロットル目標開度制御実行手段、
を備えると共に、
j.前記指令スロットル開度と前記目標スロットル開度のいずれかと、前記実スロットル開度とが所定の関係にあるか否か判定するスロットル開度判定手段、
および
k.前記指令スロットル開度と前記目標スロットル開度のいずれかと前記実スロットル開度とが所定の関係にあると判定されると共に、解除条件が成立すると判断される場合、前記定速走行制御から前記スロットル目標開度制御に切り換える制御切り換え手段、
を備えたことを特徴とする鞍乗り型車両の定速走行制御装置。
【請求項2】
前記制御切り換え手段は、前記指令スロットル開度と前記目標スロットル開度のいずれかが前記実スロットル開度の近傍にあるとき、前記所定の関係にあると判定し、前記解除条件が成立すると判断される場合、前記定速走行制御から前記スロットル目標開度制御に切り換えることを特徴とする請求項1記載の鞍乗り型車両の定速走行制御装置。
【請求項3】
前記制御切り換え手段は、前記指令スロットル開度と前記目標スロットル開度のいずれかと前記実スロットル開度の差が±5度の範囲内にあるとき、前記所定の関係にあると判定し、前記解除条件が成立すると判断されるとき、前記定速走行制御から前記スロットル目標開度制御に切り換えることを特徴とする請求項2記載の鞍乗り型車両の定速走行制御装置。
【請求項4】
前記制御切り換え手段は、前記指令スロットル開度と前記目標スロットル開度のいずれかが前記実スロットル開度以下であるとき、前記所定の関係にあると判定し、前記解除条件が成立すると判断される場合、前記定速走行制御から前記スロットル目標開度制御に切り換えることを特徴とする請求項1記載の鞍乗り型車両の定速走行制御装置。
【請求項5】
前記制御切り換え手段は、
l.前記指令スロットル開度の前記所定時間当たりの変化量を算出する指令スロットル開度変化量算出手段、
および
m.前記算出された変化量をしきい値と比較する比較手段、
を備え、前記算出された変化量が負方向において前記しきい値以上であるとき、前記解除条件が成立したと判断し、前記定速走行制御から前記スロットル目標開度制御に切り換えることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の鞍乗り型車両の定速走行制御装置。
【請求項6】
前記制御切り換え手段は、
n.前記車速セットスイッチが操作されたときに検出された前記指令スロットル開度を記憶する記憶手段、
o.前記記憶された指令スロットル開度から所定値を減算した差を算出する指令スロットル開度差算出手段、
および
p.前記算出された差を前記所定時間ごとに検出される指令スロットル開度の最新値と比較する比較手段、
を備え、前記指令スロットル開度の最新値が前記算出された差以下であるとき、前記解除条件が成立したと判断し、前記定速走行制御から前記スロットル目標開度制御に切り換えることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の鞍乗り型車両の定速走行制御装置。
【請求項7】
前記制御切り換え手段は、
q.前記目標車速から所定値を減算した差を算出する車速差算出手段、
および
r.前記算出された差を前記所定時間ごとに検出された車速の最新値と比較する比較手段、
を備え、前記車速の最新値が前記算出された差以下であるとき、前記解除条件が成立したと判断し、前記定速走行制御から前記スロットル目標開度制御に切り換えることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の鞍乗り型車両の定速走行制御装置。
【請求項8】
前記定速走行制御実行手段は、
s.前記所定時間ごとに検出される車速の最新値が前記目標車速に到達したか否か判定する車速到達判定手段、
および
t.前記車速の最新値が前記目標車速に到達したと判定されるとき、前記目標車速を所定値増加する目標車速増加手段、
を備えることを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載の鞍乗り型車両の定速走行制御装置。
【請求項9】
前記定速走行制御実行手段は、
u.ブレーキ操作を検出するブレーキ操作検出手段、
v.前記定速走行制御の実行中に前記ブレーキ操作が検出されたとき、前記所定時間ごとに検出される車速の最新値を前記目標車速と比較して前記車速の最新値が前記目標車速以下であるか否か判定する車速判定手段、
および
w.前記車速の最新値が前記目標車速以下であると判定されるとき、前記車速の最新値を前記目標車速とする目標車速変更手段、
を備えることを特徴とする請求項1から8のいずれかに記載の鞍乗り型車両の定速走行制御装置。
【請求項10】
前記定速走行制御実行手段は、
x.前記所定時間ごとに検出される車速の最新値を前記目標車速と比較して前記車速の最新値が前記目標車速以下であるか否か判定する車速判定手段、
および
y.前記車速の最新値が前記目標車速以下であると判定されるとき、前記車速の最新値を前記目標車速とする目標車速変更手段、
を備えることを特徴とする請求項1から8のいずれかに記載の鞍乗り型車両の定速走行制御装置。
【請求項11】
a.ハンドルバーの一端に運転者の操作自在に設けられたスロットルグリップからなるアクセラレータ、
b.内燃機関の吸気管に設けられて前記内燃機関に吸入される空気量を調整するスロットルバルブ、
c.前記スロットルバルブを駆動するアクチュエータ、
d.前記内燃機関と変速機を断続するクラッチ、
e.運転者の操作自在に設けられた車速セットスイッチ、
f.車速を所定時間ごとに検出する車速検出手段、
g.前記車速セットスイッチが操作されたときに検出された車速を目標車速として記憶し、前記所定時間ごとに検出される車速が前記記憶された目標車速となるように前記アクチュエータを駆動して定速走行させる定速走行制御を実行する定速走行制御実行手段、
を少なくとも備えた鞍乗り型車両の定速走行制御装置において、
h.前記スロットルバルブの実開度を所定時間ごとに検出するスロットル開度検出手段、
i.前記アクセラレータの開度から運転者が指令した指令スロットル開度を所定時間ごとに検出する指令スロットル開度検出手段、
j.少なくとも前記検出された指令スロットル開度に応じて所定時間ごとに目標スロットル開度を設定すると共に、前記検出された実スロットル開度が前記目標スロットル開度となるように、前記アクチュエータを駆動するスロットル目標開度制御を実行するスロットル目標開度制御実行手段、
k.前記検出された実スロットル開度が全閉開度となるように、前記アクチュエータを駆動するスロットル全閉開度制御を実行するスロットル全閉開度制御実行手段、
を備えると共に、
l.前記クラッチが操作されたか否か判定するクラッチ操作判定手段、
および
m.前記クラッチが操作されたと判定されるとき、前記定速走行制御から前記スロットル全閉開度制御に切り換える制御切り換え手段、
を備えたことを特徴とする鞍乗り型車両の定速走行制御装置。
【請求項12】
前記クラッチ操作判定手段は、
n.前記内燃機関の回転数を所定時間ごとに検出する機関回転数検出手段、
o.前記車速セットスイッチが操作されたときに検出された機関回転数を定速走行制御開始機関回転数として記憶する機関回転数記憶手段、
p.前記所定時間ごとに検出された機関回転数の最新値が前記記憶された定速走行制御開始機関回転数を所定値以上超えているか否か判定する機関回転数判定手段、
および
q.前記車速の最新値が前記目標車速以下であるか否か判定する車速判定手段、
を備え、前記機関回転数の最新値が前記定速走行制御開始機関回転数を所定値以上超えていると判定されると共に、前記車速の最新値が前記目標車速以下であると判定されるとき、前記クラッチが操作されたと判定することを特徴とする請求項11記載の鞍乗り型車両の定速走行制御装置。
【請求項13】
前記クラッチ操作判定手段は、
r.前記クラッチが操作されるとき出力を生じるクラッチ操作検出手段、
を備えると共に、前記クラッチ操作検出手段の出力に基づいて前記クラッチが操作されたと判定することを特徴とする請求項11記載の鞍乗り型車両の定速走行制御装置。
【請求項14】
前記制御切り換え手段は、
s.前記指令スロットル開度と前記実スロットル開度の差を求め、前記求めた差の絶対値を所定値と比較するスロットル開度差算出手段、
を備え、前記求めた差の絶対値が前記所定値未満であるとき、前記スロットル全閉開度制御から前記スロットル目標開度制御に切り換えることを特徴とする請求項11から13のいずれかに記載の鞍乗り型車両の定速走行制御装置。
【請求項15】
前記制御切り換え手段は、
t.前記内燃機関の回転数を所定時間ごとに検出する機関回転数検出手段、
u.前記車速セットスイッチが操作されたときに検出された機関回転数を定速走行制御開始機関回転数として記憶する機関回転数記憶手段、
v.前記定速走行制御開始機関回転数を前記目標車速で除算して得られる比を第1の比として算出する第1比算出手段、
w.前記所定時間ごとに検出された機関回転数の最新値を前記所定時間ごとに検出された車速の最新値で除算して得られる比を第2の比として算出する第2比算出手段、
および
x.前記第1の比と第2の比の差を算出する比差算出手段、
を備え、前記スロットル全閉開度制御実行中に、前記算出された第1の比と第2の比の差の絶対値が所定値未満であるときは前記スロットル全閉開度制御から前記定速走行制御に切り換える一方、前記算出された第1の比と第2の比の差の絶対値が前記所定値以上であるときは前記スロットル全閉開度制御を継続することを特徴とする請求項11から14のいずれかに記載の鞍乗り型車両の定速走行制御装置。
【請求項16】
a.ハンドルバーの一端に運転者の操作自在に設けられたスロットルグリップからなるアクセラレータ、
b.内燃機関の吸気管に設けられて前記内燃機関に吸入される空気量を調整するスロットルバルブ、
c.前記スロットルバルブを駆動するアクチュエータ、
d.前記内燃機関と変速機を断続するクラッチ、
e.運転者の操作自在に設けられた車速セットスイッチ、
f.車速を所定時間ごとに検出する車速検出手段、
g.前記車速セットスイッチが操作されたときに検出された車速を目標車速として記憶し、前記所定時間ごとに検出される車速が前記記憶された目標車速となるように前記アクチュエータを駆動して定速走行させる定速走行制御を実行する定速走行制御実行手段、
を少なくとも備えた鞍乗り型車両の定速走行制御装置において、
h.前記スロットルバルブの実開度を所定時間ごとに検出するスロットル開度検出手段、
i.前記アクセラレータの開度から運転者が指令した指令スロットル開度を所定時間ごとに検出する指令スロットル開度検出手段、
j.少なくとも前記検出された指令スロットル開度に応じて所定時間ごとに目標スロットル開度を設定すると共に、前記検出された実スロットル開度が前記目標スロットル開度となるように、前記アクチュエータを駆動するスロットル目標開度制御を実行するスロットル目標開度制御実行手段、
k.前記検出された実スロットル開度が全閉開度となるように、前記アクチュエータを駆動するスロットル全閉開度制御を実行するスロットル全閉開度制御実行手段、
および
l.運転状態に応じて前記定速走行制御と前記スロットル全閉開度制御と前記スロットル目標開度制御の間で制御を切り換える制御切り換え手段、
を備えたことを特徴とする鞍乗り型車両の定速走行制御装置。
【請求項17】
前記制御切り換え手段は、前記定速走行制御実行中に解除条件が成立するとき、前記スロットル全閉開度制御を実行してから前記スロットル目標開度制御に切り換えることを特徴とする請求項16記載の鞍乗り型車両の定速走行制御装置。
【請求項18】
前記解除条件が、前記クラッチが操作されたときであることを特徴とする請求項17記載の鞍乗り型車両の定速走行制御装置。
【請求項19】
前記制御切り換え手段は、前記指令スロットル開度と前記実スロットル開度の差が所定値未満であるとき、前記スロットル全閉開度制御から前記スロットル目標開度制御に切り換えることを特徴とする請求項16から18のいずれかに記載の鞍乗り型車両の定速走行制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2007−137186(P2007−137186A)
【公開日】平成19年6月7日(2007.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−331885(P2005−331885)
【出願日】平成17年11月16日(2005.11.16)
【出願人】(000141901)株式会社ケーヒン (1,140)
【Fターム(参考)】