説明

3次元形状観察装置

【課題】 干渉光学系以外の光学系における観察光学系によって、干渉光学系と干渉光学系以外の光学系におけるサンプルの高さ情報の取得範囲を設定でき、サンプルの3次元形状画像を短時間に容易に取得することができる3次元形状観察装置を提供する。
【解決手段】 フィルタ切換機構19は、バンドパスフィルタ21を光軸上に配置し、第1の撮像素子16は、可視光による光学顕微鏡観察像を撮像し、制御本体部51は、光学顕微鏡観察画像を用いてサンプル17の観察位置の調整と、フォーカス位置の調整と、干渉光学系と光学顕微鏡光学系の両方の高さ情報の取得範囲(取得範囲D1,D2)を設定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サンプルの3次元形状を観察する3次元形状観察装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に微細なサンプルの3次元形状を非接触にて観察する際に、例えば共焦点レーザ走査型顕微鏡や干渉顕微鏡などを使用することが知られている。
【0003】
例えば、特許文献1には、共焦点レーザ走査型顕微鏡によるサンプルの3次元形状(画像)の取得方法と観察方法が開示されている。この共焦点レーザ走査型顕微鏡において、レーザ光源から出射されたレーザ光は、対物レンズによってサンプル表面に集光する。次に共焦点レーザ走査型顕微鏡は、集光されたレーザ光をサンプルに対して平面方向に走査させ、サンプルから反射した反射レーザ光を受光する。その際、共焦点レーザ走査型顕微鏡は、対物レンズとサンプルとの相対距離を変えながら反射レーザ光を受光する。これにより共焦点レーザ走査型顕微鏡は、サンプルの表面情報を有する高精度な観察画像(全焦点画像)を取得する。さらに、共焦点レーザ走査型顕微鏡は、反射レーザ光の受光強度が最大になったときの対物レンズとサンプルとの相対距離情報(サンプルの高さ情報)と、上述した全焦点画像とを組み合わせる。これによりサンプルの表面情報と高さ情報を有する3次元形状画像を取得する。共焦点レーザ走査型顕微鏡は、この3次元形状画像からサンプルの形状を観察する。
【0004】
一般的に、共焦点レーザ走査型顕微鏡は、レーザ光源から出射される光にレーザ光を使用することでサンプル表面における集光性を増加させている。また、共焦点レーザ走査型顕微鏡には、対物レンズによって集光されたレーザ光の集光位置と共役な位置にピンホールが配置され、共焦点レーザ走査型顕微鏡はピンホールを通過した反射レーザ光のみを受光する。これにより、共焦点レーザ走査型顕微鏡は、フレアが少なく、コントラストの高い高分解能な3次元形状画像を取得することができるという利点を有する。
【0005】
しかし、共焦点レーザ走査型顕微鏡の分解能は、対物レンズのNAに依存するため、一般的にNAが小さい低倍率の対物レンズでは分解能が落ちる。したがって、より高精度な3次元形状画像を取得するためには、一般的にNAが大きい高倍率の対物レンズを使用する必要がある。しかし、高倍率の対物レンズでは、一般にサンプルの観察視野が狭くなるという欠点が生じる。
【0006】
このように、共焦点レーザ走査型顕微鏡において、サンプルの表面情報及び高さ情報を有するサンプルの3次元形状画像を広範囲の領域に渡って高分解能に取得することは容易ではなく、また、広範囲の領域の観察も容易ではない。
【0007】
また、例えば、特許文献2には、干渉顕微鏡によるサンプルの3次元形状の取得方法と観察方法が開示されている。干渉顕微鏡において、可干渉性が抑えられている低コヒーレントな照明光が出射され、例えば、ビームスプリッタ等によって分割される。分割した一方の光は対物レンズによってサンプル表面に集光し、分割した他方の光は参照ミラーなどに集光する。サンプル表面から反射した反射光と参照ミラーから反射した反射光は干渉し、干渉顕微鏡は、この干渉光から干渉像を取得する。干渉顕微鏡は、この干渉像を対物レンズとサンプルの相対距離を変えながら取得し、この干渉像の強度分布から高精度なサンプルの高さ情報を有する観察画像を形成する。干渉顕微鏡は、この画像からサンプルの形状を観察する。
【0008】
一般的に、干渉顕微鏡は、NAの小さい低倍率の対物レンズでも、高精度な高さ情報を取得することができるという利点を有する。
【0009】
しかし、干渉顕微鏡によって取得される観察画像は、フレアがかかったコントラストの悪い画像になりやすい。また、干渉縞がサンプルの輝度画像に重畳されるため、サンプル表面の状態はわかりにくくなる。また、干渉顕微鏡における光源には、低コヒーレントな白色光を出射する例えば白色光源などが用いられる。対物レンズを出射した白色光のサンプル表面における集光性は、レーザ光の集光性に比べて高くはない。そのため、干渉顕微鏡と共焦点レーザ走査型顕微鏡で取得されるサンプルの表面情報を比較すると、干渉顕微鏡は観察画像の平面方向の分解能が劣るという欠点が生じる。つまり、干渉顕微鏡は、ダイナミックフォーカス的な処理による全焦点画像を構築しても表面情報を高精度に取得することが出来ない。
【0010】
したがって、サンプルの3次元形状を広範囲かつ高精度に観察する場合、低い倍率の対物レンズを用いて観察視野を広くさせた状態で、高精度な(高分解能でコントラストの高い)表面情報を有する全焦点画像を取得することができる共焦点レーザ走査型顕微鏡と、高精度な高さ情報を取得することができる干渉顕微鏡を併用する必要がある。そのために、共焦点レーザ走査型顕微鏡と干渉顕微鏡の両方が使用可能となる3次元形状観察装置が望まれている。
【0011】
図12に、共焦点レーザ走査型顕微鏡の構成と干渉顕微鏡の構成を組み合わせた従来の3次元形状観察装置の構成を示す。
【0012】
3次元形状観察装置100は、サンプル17を載置するステージ200と、サンプル17の上方に配置される干渉対物レンズ300と、ステージ200と干渉対物レンズ300を有する顕微鏡本体400と、駆動機構40と、制御本体部51とメモリ52を有する制御部500と、から構成されている。
【0013】
顕微鏡本体400は、干渉対物レンズ300の上方に、共焦点レーザ走査型顕微鏡における共焦点レーザ走査型顕微鏡光学系400aと、干渉顕微鏡における干渉光学系400bを搭載している。共焦点レーザ走査型顕微鏡光学系400aは、干渉光学系400bとは異なる光学系である。共焦点レーザ走査型顕微鏡光学系400aと、干渉光学系400bは、サンプル17に光を照射する。共焦点レーザ走査型顕微鏡光学系400aと、干渉光学系400bは、サンプル17から反射した光を観察する観察光学系をそれぞれ有している。共焦点レーザ走査型顕微鏡光学系400aにおける観察光学系(第2の観察光学系)は、例えばレーザ用受光素子11であり、干渉光学系400bにおける観察光学系(第1の観察光学系)は、例えば撮像素子16である。また、これら観察光学系は、共焦点レーザ走査型顕微鏡光学系400aと、干渉光学系400bにて兼用される部材である例えば干渉対物レンズ300を兼用する。
【0014】
共焦点レーザ走査型顕微鏡における共焦点レーザ走査型顕微鏡光学系400aについて説明する。この共焦点レーザ走査型顕微鏡光学系400aには、直線偏光の特性を有するレーザ光2を出射するレーザ光源1と、レーザ光源1から出射されたレーザ光2を透過させ、また、後述するサンプル17から反射したレーザ光2を反射する偏光ビームスプリッタ3と、回動することによって、偏光ビームスプリッタ3を透過したレーザ光2をサンプル17の表面に対して2次元方向に走査する2次元走査機構4が順次配置されている。偏光ビームスプリッタ3は、レーザ光2が有する偏光特性に応じてレーザ光2を透過、または反射させる。2次元走査機構4は、例えば、レゾナントスキャナやガルバノスキャナなどであり、後述する対物レンズ31の瞳と共役な位置に配置されている。
【0015】
また、共焦点レーザ走査型顕微鏡光学系400aには、2次元走査機構4によって走査されるレーザ光2の光路上に瞳投影レンズ5と、第1の結像レンズ6と、1/4波長板7と、第1のビームスプリッタ8が順次配置されている。1/4波長板7は、2次元走査機構4によって走査され、瞳投影レンズ5と、第1の結像レンズ6を透過したレーザ光2の偏光方向を1/4波長分だけ変換する。これにより、レーザ光源1から出射されたレーザ光2は、円偏光に変換される。第1のビームスプリッタ8は、例えば、ダイクロイックプリズムやダイクロイックミラーであり、レーザ光2を反射し、また、後述するサンプル17から反射した白色光13(干渉光)を透過させる。なお、第1のビームスプリッタ8の反射透過率特性については後述する。
【0016】
第1のビームスプリッタ8の反射光路上には、後述する干渉光学系400bに配置されている第2のビームスプリッタ14と、干渉対物レンズ300と、サンプル17を載置しているステージ200が順次配置されている。第2のビームスプリッタ14は、第1のビームスプリッタ8によって反射されたレーザ光2やサンプル17から反射したレーザ光2を透過させ、後述する白色光13を一定の分割比で分割(反射、または透過)させる。第2のビームスプリッタ14の反射透過率特性については後述する。干渉対物レンズ300に設けられている対物レンズ31は、レーザ光2をサンプル17の表面上に結像(集光)させる。なお、干渉対物レンズ300には、対物レンズ31の下方に第1のハーフミラー32が設けられており、第1のハーフミラー32はレーザ光2を透過させる。なお、第1のハーフミラー32の反射透過特性については後述する。このように、共焦点レーザ走査型顕微鏡光学系400aは、レーザ光源1から出射されたレーザ光2を対物レンズ31によってサンプル17に照射する。
【0017】
また、レーザ光2は、サンプル17から反射された後、上述した同じ光路を通り、偏光ビームスプリッタ3に戻る。その際、1/4波長板7は、サンプル17から反射されたレーザ光2の偏光方向を1/4波長分だけ変換する。これにより、レーザ光2は、再び直線偏光に変換される。直線偏光に変換されたレーザ光2は、レーザ光源1から出射されたレーザ光2に対して直交する直線偏光の特性を有する。そのため偏光ビームスプリッタ3は、レーザ光2を反射する。
【0018】
また、共焦点レーザ走査型顕微鏡光学系400aには、偏光ビームスプリッタ3によって反射されるレーザ光2の反射光路上に第2の結像レンズ9と、ピンホール10と、レーザ用受光素子11が順次配置されている。ピンホール10は、対物レンズ31の焦点位置と共役な位置に配置されており、対物レンズ31によってサンプル17の表面上に集光され、サンプル17の表面上にてピントのあったレーザ光2のみを通過させる。レーザ用受光素子11は、ピンホール10を透過したレーザ光2を受光し、受光したレーザ光2の光量(強度)に応じて変化する出力信号を制御本体部51に出力する。制御本体部51は、出力信号から輝度情報(I)を形成する。レーザ用受光素子11には、例えば光電子増倍管やフォトダイオードなどが用いられる。
【0019】
このように、共焦点レーザ走査型顕微鏡光学系400aは、サンプル17から反射したレーザ光2(反射光)をレーザ用受光素子11に受光させ、受光したレーザ光2の強度に対応する第1の出力信号をレーザ用受光素子11から出力させる。
【0020】
なお、干渉対物レンズ300とサンプル17の光軸方向における距離(以下、相対距離)は、駆動機構40によって一定のピッチだけ変わり、静止される。レーザ用受光素子11は、この相対距離における出力信号を制御本体部51に出力する。制御本体部51は、出力信号からこの相対距離における輝度情報(I)を形成する。このように輝度情報(I)は、相対距離が変化するたびに形成される。相対距離毎に形成された複数の輝度情報(I)が制御本体部51によって合成されると、フレアの少ない高分解能で高コントラストなサンプル17の表面情報を有する全焦点画像が形成され、観察される。
【0021】
このように、共焦点レーザ走査型顕微鏡光学系400aは、干渉対物レンズ300を干渉光学系400bと兼用し、レーザ光源1から出射され、対物レンズ31によってサンプル17に照射され、サンプル17から反射するレーザ光2からサンプル17の表面情報を観察する第2の観察光学系を有する。
【0022】
次に、干渉顕微鏡における干渉光学系400bについて説明する。この干渉光学系400bには、可干渉性が抑えられた低コヒーレントな照明光である白色光13を出射する白色光源12と、白色光源12から出射された白色光13を、白色光13の波長域に応じて一定の分割比で分割する第2のビームスプリッタ14が順次配置されている。白色光源12は、例えば可視域から赤外域までの広い領域の光を出射するハロゲンランプや水銀ランプなどである。第2のビームスプリッタ14は、分割した白色光13の一部を干渉対物レンズ300に向けて反射させる。
【0023】
干渉対物レンズ300において、対物レンズ31は、第2のビームスプリッタ14によって反射された白色光13をサンプル17の表面に結像(集光・照射)させる。その際、光分割部材である第1のハーフミラー32は、対物レンズ31を透過した白色光13を白色光13の波長域に応じて一定の分割比にて分割させる。詳細には第1のハーフミラー32は、一方の白色光13をサンプル17に向けて透過させ、他方の白色光13を参照板(参照面)33に向けて反射させる。第1のハーフミラー32の反射透過率特性については後述する。このように干渉光学系400bは、白色光源12から出射された白色光13をサンプル17と参照板33に照射する。
【0024】
参照板33は、第1のハーフミラー32から反射した白色光13を第1のハーフミラー32に向けて反射する。第1のハーフミラー32は、参照板33から反射した白色光13を対物レンズ31に向けて反射する。また第1のハーフミラー32を透過した白色光13は、サンプル17によって反射される。第1のハーフミラー32は、サンプル17から反射したこの白色光13を対物レンズ31に向けて透過させる。これによりサンプル17の表面から反射した白色光13と参照板33から反射した白色光13は、干渉する。
【0025】
なお、第1のビームスプリッタ8は、第2のビームスプリッタ14によって分割された干渉光を透過させる。
【0026】
また、干渉光学系400bにおいて、第1のビームスプリッタ8の透過光路上には、第1のビームスプリッタ8を透過した干渉光を結像させる第3の結像レンズ15と、第3の結像レンズ15の焦点位置に配置され、サンプル17の干渉像を撮像する第1の撮像素子16が順次配置されている。干渉像とは、干渉しあうサンプル17の表面から反射した白色光13と参照板33から反射した白色光13である。第1の撮像素子16には、例えばCCDカメラやCMOSセンサなどが用いられる。第1の撮像素子16によって撮像される干渉像には、サンプル17の表面画像に干渉縞(干渉像情報)が重なっている。第1の撮像素子16は、この干渉像情報を出力信号(第2の出力信号)として制御本体部51に出力する。
【0027】
このように、干渉光学系400bは、干渉しあうサンプル17から反射する光と参照板33から反射する光と結像させて干渉像を観察する第1の観察光学系を有している。
【0028】
なお、上述したように相対距離は駆動機構40によって一定のピッチだけ変わり、静止される。干渉像は、相対距離が変化するたびに形成される。相対距離毎に形成された干渉像は、制御本体部51に取得され、取得した複数の干渉像から干渉による輝度の変化が制御本体部51によって算出される。これにより、サンプル17の表面の高さ情報(高さ画像)が制御本体部51によって形成される。上述したようにNAの小さい低倍率の対物レンズでも高分解能な高さが取得される。
【0029】
次に、干渉対物レンズ300の構成について説明する。干渉対物レンズ300は、上述したようにレーザ光2と、白色光13をサンプル17の表面に照射させる対物レンズ31と、レーザ光2を透過させ、白色光13を分割させる(白色光13の一方をサンプル17に向けて透過させ、白色光13の他方を反射させる)第1のハーフミラー32と、第1のハーフミラー32から反射される白色光13によって照射される参照板33を有している。第1のハーフミラー32は、対物レンズ31とサンプル17の間に配置されている。参照板33は、第1のハーフミラー32を介して干渉対物レンズ300の物体側焦点位置と光学的に共役な位置(第1のハーフミラー32によって分割された光路上)に配置されている。参照板33の表面(第1のハーフミラー32に対向する面)は、鏡面であるため、照射された白色光13を第1のハーフミラー32に反射する。第1のハーフミラー32は、この白色光13を対物レンズ31に反射する。また参照板33は、第1のハーフミラー32によって分割された光路上に配置されている。このように対物レンズ31と、第1のハーフミラー32と、参照板33は、干渉対物レンズ300の光軸上に配置されており、ミラウ型の干渉対物レンズを構成している。
【0030】
干渉対物レンズ300(対物レンズ31)は、共焦点レーザ走査型顕微鏡と干渉顕微鏡にて兼用(共有)される部材であるため、共焦点レーザ走査型顕微鏡における観察視野と干渉顕微鏡における観察視野を同一のものにしている。
【0031】
なお、図12ではミラウ型の干渉対物レンズを例として示しているが、図13に示すようにマイケルソン型の干渉対物レンズでも基本構成、動作、作用は同様である。
【0032】
図13に示すようにマイケルソン型の干渉対物レンズ300は、対物レンズ31と、レーザ光2と白色光13の一方を透過させ、白色光13の他方を反射させる対物用ビームスプリッタ34と、対物用ビームスプリッタ34によって反射された白色光13によって照射される参照ミラー(参照面)35と、を有している。対物レンズ31と、対物用ビームスプリッタ34は、干渉対物レンズ300の光軸上に配置されている。参照ミラー35は、対物用ビームスプリッタ34の反射光路上に配置され、対物用ビームスプリッタ34を介して対物レンズ31の物体側焦点位置と光学的に共役な位置に配置されている。参照ミラー35の表面(対物用ビームスプリッタ34に対向する面)は、鏡面であるため、照射された白色光13を対物用ビームスプリッタ34に反射する。対物用ビームスプリッタ34は、この白色光13を対物レンズ31に反射する。対物用ビームスプリッタ34の反射透過率特性は、後述する。このように、対物レンズ31と、対物用ビームスプリッタ34と、参照ミラー35は、マイケルソン型の干渉対物レンズを構成している。
【0033】
次に、第1のビームスプリッタ8の反射透過率特性について図14を参照して説明する。この反射透過率特性とは、第1のビームスプリッタ8の反射率と透過率と、第1のビームスプリッタ8を反射、または透過する光(レーザ光2、白色光13)の波長域の関係である。また、第2のビームスプリッタ14と、第1のハーフミラー32と、対物用ビームスプリッタ34の反射透過率特性について図15を参照して説明する。この反射透過率特性とは、第2のビームスプリッタ14と、第1のハーフミラー32と、対物用ビームスプリッタ34の反射率と透過率と、第2のビームスプリッタ14と、第1のハーフミラー32と、対物用ビームスプリッタ34を反射、または透過する光(レーザ光2、白色光13)の波長域の関係である。
【0034】
図14と、図15に示すように第1のビームスプリッタ8と、第2のビームスプリッタ14と、第1のハーフミラー32と、対物用ビームスプリッタ34は、光の波長域に応じて反射率及び透過率がそれぞれ異なる。このように、第1のビームスプリッタ8は、所望する光の波長域に応じて光を反射、または透過させる。また、第2のビームスプリッタ14と、第1のハーフミラー32と、対物用ビームスプリッタ34は、所望する光の波長域に応じて光を所望する比率にて分割する。分割した光は、透過、または反射される。つまり、第1のビームスプリッタ8は、レーザ光2を略100%反射させ、白色光13を略100%透過させる分光特性を有する。また、第2のビームスプリッタ14と、第1のハーフミラー32と、対物用ビームスプリッタ34は、レーザ光2を略100%透過させ、白色光13を略50%反射させ、略50%透過させる分光特性を有する。
【0035】
上述した制御本体部51は、駆動機構40を介して干渉対物レンズ300と接続している。この駆動機構40は、例えば干渉対物レンズ300を焦点方向(Z方向、光軸方向)に移動させ、サンプル17の表面に位置する位置決めを行う。このように駆動機構40は、干渉対物レンズ300、またはステージ200の少なくとも1つを光軸18に沿って移動させて、光軸方向における干渉対物レンズ300とサンプル17の相対距離を変える。
【0036】
次に、高さ情報を取得するための取得範囲を設定する際の3次元形状観察装置100の動作について説明する。
この取得範囲とは、高さ情報を取得するためのサンプル17と干渉対物レンズ300の光軸方向の相対距離における上限位置から下限位置までの範囲である。
【0037】
制御本体部51は、共焦点レーザ走査型顕微鏡光学系400aから観察画像を取得し、この観察画像を基にサンプル17の表面に焦点を合わせる。次に、制御本体部51は、共焦点レーザ走査型顕微鏡光学系400aから取得された観察画像を基に駆動機構40によって共焦点レーザ走査型顕微鏡光学系400aの取得範囲(相対距離における上限位置と下限位置)を設定する。次に、制御本体部51は、設定した共焦点レーザ走査型顕微鏡光学系400aの取得範囲をメモリ52に記憶させる。
【0038】
また、制御本体部51は、干渉光学系400bから観察画像を取得し、この観察画像を基にサンプル17の表面に大まかに焦点を合わせる。次に、制御本体部51は、観察画像に干渉縞が生じるように微細に焦点を合わせる。次に、制御本体部51は、干渉光学系400bから取得された観察画像を基に駆動機構40によって干渉光学系400bの取得範囲を設定する。次に、制御本体部51は、設定した干渉光学系400bの取得範囲をメモリ52に記憶させる。
【0039】
上述したように共焦点レーザ走査型顕微鏡光学系400aと干渉光学系400bに対してそれぞれ取得範囲を設定する理由は、共焦点レーザ走査型顕微鏡と干渉顕微鏡の光学的な特性の違いと、同焦が一致していないためである。
【0040】
このように制御本体部51は、設定後、相対距離(上限位置と下限位置の間)において、干渉対物レンズ300を駆動機構40によって光軸18に沿って移動させ、輝度情報(I)と干渉像を取得する。これにより3次元形状観察装置100は、サンプル17の3次元形状画像を取得し、この3次元形状画像を参照して観察する。
【特許文献1】特開平09−068413号公報
【特許文献2】特開2004−028647号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0041】
しかしながら、上述した3次元形状観察装置100は、共焦点レーザ走査型顕微鏡光学系400aと干渉光学系400bに対してそれぞれ取得範囲を設定するため、操作性が悪く、サンプル17の3次元形状画像を取得するまでに時間がかかってしまう。
【0042】
よって、本発明は上記事情を鑑みて、干渉光学系以外の光学系における観察光学系によって、干渉光学系と干渉光学系以外の光学系におけるサンプルの高さ情報の取得範囲を設定でき、サンプルの3次元形状画像を短時間に容易に取得することができる3次元形状観察装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0043】
本発明は、目的を達成するために、光を出射する光源と、前記光源から出射された前記光をサンプルに照射する対物レンズと、前記対物レンズと前記サンプルの間に配置され、前記対物レンズを透過した光を分割することで一方の前記光を透過させ、他方の前記光を反射させる光分割部材と、前記光分割部材によって分割された光路上に配置され、前記光分割部材から反射された他方の前記光によって照射される参照面と、を有する干渉対物レンズと、干渉しあう前記サンプルから反射する前記光と前記参照面から反射する前記光を結像させて干渉像を観察する第1の観察光学系と、を有する干渉光学系と、前記干渉対物レンズを前記干渉光学系と兼用し、前記サンプルから反射された前記光から前記サンプルの表面情報を観察する第2の観察光学系と、を有する、前記干渉光学系とは異なる光学系と、前記干渉対物レンズと前記サンプルとの光軸方向における相対距離を調整する移動機構と、前記移動機構が前記相対距離を調整する際に、前記第2の観察光学系によって観察される前記表面情報を基に前記光学系における前記サンプルの高さ情報を取得するための第1の取得範囲を算出し、算出された前記第1の取得範囲から前記干渉光学系における前記サンプルの高さ情報を取得するための第2の取得範囲を算出する制御部と、を具備することを特徴とする3次元形状観察装置を提供する。
【0044】
また本発明は、目的を達成するために、光を出射する光源と、光軸上に配置された際に、前記光源から出射された前記光をサンプルに照射する第1の対物レンズと、前記第1の対物レンズと前記サンプルの間に配置され、前記第1の対物レンズを透過した光を分割することで一方の前記光を透過させ、他方の前記光を反射させる光分割部材と、前記光分割部材によって分割された光路上に配置され、前記光分割部材から反射された他方の前記光によって照射される参照面と、を有する干渉対物レンズと、干渉しあう前記サンプルから反射された前記光と前記参照面から反射された前記光を結像させて干渉像を観察する第1の観察光学系と、を有する干渉光学系と、前記第1の対物レンズを有する前記干渉対物レンズとは異なる第2の対物レンズを有し、前記サンプルの表面情報を観察する第2の観察光学系と、を有する、前記干渉光学系とは異なる光学系と、前記光軸上に配置される前記干渉対物レンズまたは前記第2の対物レンズと前記サンプルとの光軸方向における相対距離を調整する移動機構と、前記第2の対物レンズが前記光軸上に配置され、前記移動機構が前記相対距離を調整する際に、前記第2の観察光学系によって観察される前記表面情報を基に前記光学系における前記サンプルの高さ情報を取得するための第1の取得範囲を算出し、算出された前記第1の取得範囲から前記干渉光学系における前記サンプルの高さ情報を取得するための第2の取得範囲を算出する制御部と、を具備することを特徴とする3次元形状観察装置を提供する。
【発明の効果】
【0045】
本発明によれば、干渉光学系以外の光学系における観察光学系によって、干渉光学系と干渉光学系以外の光学系におけるサンプルの高さ情報の取得範囲を設定でき、サンプルの3次元形状画像を短時間に容易に取得することができる3次元形状観察装置を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0046】
以下、本発明に係る実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
図1は、第1の実施形態に係る3次元形状観察装置の構成図である。図2は、複数の干渉対物レンズを保持するレボルバの概略図である。図3は、第3のビームスプリッタ36の反射透過率特性を示す図である。図4は、バンドパスフィルタ20の透過率特性を示す図である。図5は、バンドパスフィルタ21の透過率特性を示す図である。図6は、面17aと面17bに対応する干渉光学系における光軸方向の干渉強度の変化を示す。前述した図12に示す3次元形状観察装置と同一部材には同じ参照符号を付し、その詳細な説明は省略する。また、以下の説明において相対距離とは、干渉対物レンズ300とサンプル17の光軸方向における距離を示す。
【0047】
本実施形態における3次元形状観察装置100は、ステージ200と、干渉対物レンズ300と、顕微鏡本体400と、制御部500と、サンプル17の3次元形状画像を表示する表示部600と、3次元形状観察装置100にサンプル17の3次元形状を観察させる指示を出力する指示部700と、駆動機構40から構成されている。
【0048】
駆動機構40は、干渉対物レンズ300、またはステージ200の少なくとも1つを光軸方向に沿って移動させて、相対距離を調整する。なお、本実施形態において相対距離は、手動で調整されてもよく、相対距離の調整は特に限定されない。
【0049】
また、本実施形態において、図2に示すように対物レンズ配置部であるレボルバ45によって、光学特性(例えばNAや倍率)の異なる複数の干渉対物レンズ300が保持されていても良い。この場合、本実施形態は、一方の干渉対物レンズ300aのNA(以下、低いNAを有する干渉対物レンズ300aと称する)を他方の干渉対物レンズ300bのNA(以下、高いNAを有する干渉対物レンズ300bと称する)よりも低く設定する。低いNAを有する干渉対物レンズ300a(第1の対物レンズ)と高いNAを有する干渉対物レンズ300b(第2の対物レンズ)は、異なる光学特性(観察視野)を有する。レボルバ45は、低いNAを有する干渉対物レンズ300aと、高いNAを有する干渉対物レンズ300bを保持し、いずれか1つを光軸上に配置する。これにより本実施形態は、観察視野の広さを調整でき、後述する表面光学像情報と干渉像情報を取り込む時間を調整することができる。なお、光学特性は、観察視野の広さを調整できればNA等に限定する必要はない。この場合、駆動機構40は、レボルバ45を光軸18に沿って移動させ、光軸上に配置される低いNAを有する干渉対物レンズ300と、高いNAを有する干渉対物レンズ300のいずれか1つとサンプル17との相対距離を変える。もちろんステージ200を光軸18に沿って移動させてもよい。
【0050】
本実施形態における干渉対物レンズ300には、第3のビームスプリッタ36が配置されている。第3のビームスプリッタ36は、図3に示すように透過する光の波長域に応じて反射率及び透過率がそれぞれ異なる。詳細には、第3のビームスプリッタ36は、波長略780nm以下の光(以下、可視光と称する)の略100%をサンプル17に向けて透過させ、波長略780nm以上の光(以下、赤外光と称する)の略50%をサンプル17に向けて透過させ、また、赤外光の略50%を参照板33に向けて反射する。
【0051】
本実施形態における顕微鏡本体400には、第2のビームスプリッタ14と同等の機能を有する第2のハーフミラー23が配置されている。
【0052】
また、第2のハーフミラー23と、第3の結像レンズ15の間の光軸上には、バンドパスフィルタ20、またはバンドパスフィルタ21の少なくとも一方が配置される。
【0053】
バンドパスフィルタ20の透過率特性は、図4に示すように透過する光の波長域に応じて異なる透過率を有する。バンドパスフィルタ20は、所望する波長略900nmを中心とする波長域の光(赤外光)を透過させる。
【0054】
バンドパスフィルタ21の透過率特性は、図5に示すように透過する光の波長域に応じて異なる透過率を有する。バンドパスフィルタ21は、所望する波長略550nmを中心とする波長域の光(可視光)を透過させる。
【0055】
このようにバンドパスフィルタ20とバンドパスフィルタ21は、所望する波長により透過率が異なる。バンドパスフィルタ20とバンドパスフィルタ21は、フィルタ切換機構19に保持されている。フィルタ切換機構19は、例えばモータである第1の駆動部22によって中心軸22aを中心に所望する回転速度で回転する。第1の駆動部22は、制御本体部51によって制御される。制御本体部51が第1の駆動部22を駆動させることで、フィルタ切換機構19が回転する。これによりバンドパスフィルタ20、バンドパスフィルタ21の少なくとも一方が光軸上に配置される。
【0056】
本実施形態における第1の撮像素子16は、バンドパスフィルタ20が光軸上に配置された際、赤外光による干渉像を撮像し、撮像した赤外光に対応する出力信号を制御本体部51に出力する。また、第1の撮像素子16は、バンドパスフィルタ21が光軸上に配置された際、可視光による光学顕微鏡観察像を撮像し、撮像した可視光に対応する出力信号を制御本体部51に出力する。光学顕微鏡観察像とは、サンプル表面の表面情報を示す。
【0057】
このように、本実施形態における3次元形状観察装置100には、バンドパスフィルタ21が光軸上に配置されることで光学顕微鏡光学系が形成され、バンドパスフィルタ20が光軸上に配置されることで干渉光学系が形成される。このように3次元形状観察装置100は、光学顕微鏡光学系と干渉光学系の両方を有している。光学顕微鏡光学系は、干渉光学系以外の光学系である。光学顕微鏡光学系と、干渉光学系は、それぞれ観察光学系を有し、観察光学系は、光学顕微鏡光学系と、干渉光学系にて兼用(共有)される部材である例えば干渉対物レンズ300の対物レンズ31を有する。
【0058】
制御部500には、制御本体部(例えばCPU)51と、制御本体部51と接続しているメモリ52と画像処理部53が設けられている。
【0059】
制御本体部51は、白色光源12の照明強度と、第1の撮像素子16の感度調節と、第1の撮像素子16のシャッタ速度と、光軸上に配置する干渉対物レンズ300を切り替えるためレボルバ45を回転させる動作と、第1の駆動部22の駆動動作などを制御する。
【0060】
また、制御本体部51は、バンドパスフィルタ21が光軸上に配置されている際、第1の撮像素子16から出力される出力信号を取得する。また、制御本体部51は、バンドパスフィルタ20が光軸上に配置されている際、第1の撮像素子16から出力される出力信号を取得し、第1の撮像素子16によって撮像された干渉像情報を算出する。また、制御本体部51は、後述する動作によって干渉像情報からサンプル17の高さ情報を形成する。この高さ情報は、サンプル17の高さを表す。
【0061】
メモリ52は、制御本体部51で取得された可視光による対応する出力信号(光学顕微鏡観察像)と、制御本体部51によって形成された干渉像情報や高さ情報を記憶する。また、メモリ52は、画像処理部53がサンプル17の3次元形状画像を形成する際に使用される設定パラメータや、駆動機構40が相対距離を調整する際に、例えば、干渉対物レンズ300が光軸18に沿って移動するための移動量(一定のピッチ)を記憶する。なお、設定パラメータとは、例えば、制御本体部51が出力信号を取得するための最適なピッチや、干渉対物レンズ300の移動速度である。3次元形状観察装置100が3次元形状画像を取得する際に、設定パラメータは制御本体部51に出力される。また、メモリ52は、後述する上限位置と、下限位置と、取得範囲D1と、取得範囲D2と、加算範囲ARLと、加算範囲ARHと、同焦補正テーブルを記憶する。
【0062】
ピッチは、光軸上に配置される干渉対物レンズ300の光学特性(例えばNA)によって予め設定されている。よって、メモリ52には、干渉対物レンズ300の光学特性と、この光学特性に応じたピッチの組み合わせが記憶されている。例えば、上述したように低いNAを有する干渉対物レンズ300aに代わって高いNAを有する干渉対物レンズ300bが光軸上に配置されると、ピッチも変わる。制御本体部51は、駆動機構40に入力されたピッチだけ光軸上に配置されている干渉対物レンズ300を光軸18に沿って移動させ、相対距離を調整させる。
【0063】
画像処理部53は、メモリ52に記憶されている出力信号から後述する光学顕微鏡観察画像(表面情報)を形成し、メモリ52に記憶されている高さ情報から高さ画像(3次元形状画像)を形成する。
【0064】
表示部600は、画像処理部53によって形成された光学顕微鏡観察画像(表面情報)と、高さ画像(3次元形状画像)の少なくとも1つを表示し、3次元形状観察装置100を使用する使用者が3次元形状観察装置100への動作指示をする制御画面を有している。表示部600は、例えば、液晶ディスプレイまたはCRTディスプレイである。
【0065】
指示部700は、例えばマウス、キーボード、タッチパネルなどである。また、指示部700は、制御本体部51に高さ情報を取得するための取得範囲の設定を指示する。この取得範囲とは、高さ情報を取得する際のサンプル17と対物レンズ31の光軸方向の相対距離における上限位置から下限位置までの範囲である。
【0066】
このような制御部500、表示部600、指示部700は、サンプル17の3次元形状を観察する専用のコントローラユニットやPCなどである。
【0067】
次に、本実施形態における3次元形状観察装置100の動作方法について説明する。
白色光源12から出射された白色光13は、第2のハーフミラー23によって図15に示すように一定の分割比にて分割される。分割によって下方(干渉対物レンズ300側)に反射された白色光13は、対物レンズ31を透過する。透過した白色光13は、第3のビームスプリッタ36によって分割される。分割によって第3のビームスプリッタ36を透過した一方の白色光13は、サンプル17を照射する。また、分割によって反射した他方の白色光13は、参照板33の表面を照射する。参照板33の表面は鏡面であるため、この白色光13は、参照板33によって反射される。
【0068】
サンプル17には、第3のビームスプリッタ36の反射透過率特性によって、可視光の略100%の光量と、赤外光の略50%の光量が照射される。また、参照板33には、第3のビームスプリッタ36の反射透過率特性によって、赤外光の略50%の光量が照射される。参照板33には、第3のビームスプリッタ36の反射透過率特性によって、可視光は照射されない。また、参照板33は、第3のビームスプリッタ36で反射した赤外光の光を反射する。
【0069】
サンプル17から反射した白色光13は、上述した第3のビームスプリッタ36の反射透過率特性に基づいて再び第3のビームスプリッタ36と、対物レンズ31を透過する。また、参照板33から反射した白色光13は、上述した第3のビームスプリッタ36の反射透過率特性に基づいて再び第3のビームスプリッタ36によって反射され、対物レンズ31を透過する。このとき、参照板33から反射した反射光は、赤外光のみである。よって、サンプル17から反射した反射光とは、この波長域についてのみ光の干渉が生じる。そのため対物レンズ31を透過する透過光には、このような干渉情報を有する波長域の光(赤外光)と、干渉情報を有さない波長域の光(可視光)が含まれている。
【0070】
対物レンズ31を透過した白色光(干渉光)13は、第2のハーフミラー23と、光軸上に配置されているバンドパスフィルタ20、またはバンドパスフィルタ21を透過する。バンドパスフィルタ20、またはバンドパスフィルタ21を透過した透過光は、第3の結像レンズ15によって結像され、第1の撮像素子16によって撮像される。
【0071】
なお、フィルタ切換機構19によってバンドパスフィルタ20が光軸上に配置されている場合、図4に示すバンドパスフィルタ20の透過率特性によって、第1の撮像素子16は、波長略900nmを中心とする赤外光による干渉像を撮像する。
【0072】
また、フィルタ切換機構19によってバンドパスフィルタ21が光軸上に配置されている場合、図5に示すバンドパスフィルタ21の透過率特性によって、第1の撮像素子16は波長略550nmを中心とする可視光による光学顕微鏡観察像を撮像する。
【0073】
このようにフィルタ切換機構19が光軸上に配置されるバンドパスフィルタを切り換えることで、第1の撮像素子16は赤外光(干渉像)または可視光(光学顕微鏡観察像)を撮像する。
【0074】
第1の撮像素子16は赤外光または可視光を撮像した際、制御本体部51に出力信号を出力する。制御本体部51は、取得した出力信号より光学顕微鏡観察像(表面情報)と、高さ情報を形成する。形成された光学顕微鏡観察像(表面情報)と高さ情報は、メモリ52に記憶される。画像処理部53は、メモリ52に記憶されている光学顕微鏡観察像から観察画像(光学顕微鏡観察画像)を形成し、メモリ52に記憶されている高さ情報から高さ画像(3次元形状画像)を形成する。表示部600は、光学顕微鏡観察画像(表面情報)と、高さ画像(3次元形状画像)、の少なくとも1つを表示する。
【0075】
次に、サンプル17の高さ情報を取得するために取得範囲を設定する際の3次元形状観察装置100の動作方法について説明する。
3次元形状画像を取得するために必要な光学特性(例えば観察視野)を有する干渉対物レンズ300が光軸上に配置される。なお、図2に示すようにレボルバ45によって複数の干渉対物レンズ300が保持されている場合、サンプル17の3次元形状を観察する際に使用する所望な光学特性を有する干渉対物レンズ300が光軸上に配置される。
【0076】
次に、指示部700は、制御本体部51にサンプル17の表面における3次元形状画像の取得を指示する。制御本体部51は、第1の駆動部22を駆動させて、フィルタ切換機構19を回転させる。フィルタ切換機構19は、光軸上にバンドパスフィルタ21を配置する。これにより3次元形状観察装置100は、光学顕微鏡光学系を形成する。
【0077】
制御本体部51は、白色光源12を制御する。白色光源12は、白色光13を出射する。白色光13は、第2のハーフミラー23によって反射され、対物レンズ31、第3のビームスプリッタ36を透過しサンプル17を照射する。また、白色光13は、第2のハーフミラー23によって反射され、対物レンズ31を透過し、第3のビームスプリッタ36によって反射され参照板33を照射する。参照板33とサンプル17から反射した白色光13は、対物レンズ31、第2のハーフミラー23を透過し、バンドパスフィルタ21に入射する。バンドパスフィルタ21は、透過率特性に基づいて可視光のみを透過させる。これにより第1の撮像素子16は、可視光を撮像する。また、第1の撮像素子16は、制御本体部51に出力信号を出力する。これにより表示部600には、光学顕微鏡光学系によって取得された光学顕微鏡観察像を基に形成された観察画像(以下、光学顕微鏡観察画像と称する)が表示される。
【0078】
制御本体部51は、光学顕微鏡光学系によって取得された光学顕微鏡観察画像に基づいて駆動機構40によって相対距離を調整し、サンプル17にピントを合わせ、観察位置を調整し、フォーカス位置を調整する。
【0079】
次に、指示部700は、制御本体部51にサンプル17の高さ情報を取得するために取得範囲を設定することを指示する。これにより制御本体部51は、上限位置と下限位置を設定する。例えば、制御本体部51は、干渉対物レンズ300のみを光軸18に沿って移動させて相対距離を調整する際、干渉対物レンズ300の上限位置と下限位置を設定する。この上限位置とは、サンプル17から離れた位置であり、下限位置とは、サンプル17に近接する位置である。また、例えば制御本体部51は、ステージ200のみを光軸18に沿って移動させて相対距離を調整する際、ステージ200の上限位置と下限位置を設定する。この上限位置とは、干渉対物レンズ300に近接する位置であり、下限位置とは、干渉対物レンズ300から離れた位置である。
【0080】
図6を参照して本実施形態における高さ情報の取得範囲の設定方法について説明する。
図6に示すようにサンプル17は、高さの異なる面17aと面17bを有している。図6は、面17aと面17bに対応する干渉光学系における光軸方向の干渉強度の変化を示す。また、本実施形態では、光軸方向における面17aから面17bまでの表面形状を観察、または面17aから面17bまでの高さを観察(計測)する場合について説明する。
【0081】
制御本体部51は、光学顕微鏡光学系によって取得された光学顕微鏡観察画像を基にして、面17aにピントを合わせる。その際、指示部700は、面17aを下限位置に設定(指定)する。メモリ52は、面17aに対応する光軸方向におけるフォーカス位置ZLが下限位置であることを記憶する。
【0082】
次に、制御本体部51は、光学顕微鏡光学系によって取得される光学顕微鏡観察画像を基に面17bにピントを合わせる。その際、指示部700は、面17bを上限位置に設定(指定)する。メモリ52は、面17bに対応する光軸方向におけるフォーカス位置ZHが上限位置であることを記憶する。
【0083】
制御本体部51は、設定したフォーカス位置ZLからフォーカス位置ZHまでの範囲を光学顕微鏡光学系の取得範囲D1として設定(算出)する。メモリ52は、この取得範囲D1を記憶する。取得範囲D1(上限位置から下限位置までの範囲)が設定されると、制御本体部51は、予めメモリ52に記憶された加算範囲ARLと加算範囲ARHを取得範囲D1に加算する。この加算範囲ARLと加算範囲ARHは、所望する距離を有し、加算範囲ARLはフォーカス位置ZLの下方に位置し、加算範囲ARHはフォーカス位置ZHの上方に位置する。加算範囲ARLと、加算範囲ARHと、取得範囲D1は、連続している。制御本体部51は、加算結果を取得範囲D2として設定(算出)する。取得範囲D2は、干渉光学系の高さ情報取得範囲である。メモリ52は、この取得範囲D2を記憶する。
【0084】
次に加算範囲ARL、加算範囲ARHについて説明する。
図6に示すように任意の1画素に注目した際、干渉光学系における干渉強度は、フォーカス位置ZHまたはフォーカス位置ZH付近と、フォーカス位置ZLまたはフォーカス位置ZL付近にてピークを有し、フォーカス位置ZHまたはフォーカス位置ZH付近と、フォーカス位置ZLまたはフォーカス位置ZL付近から離れるに従い徐々に減衰する。
【0085】
制御本体部51は、干渉光学系における干渉強度のピーク位置を取得するために、バンドパスフィルタ20をフィルタ切換機構19によって光軸上に配置し、干渉光学系を形成する。その際、制御本体部51は、第1の撮像素子16から出力信号を取得し、フォーカス位置ZHまたはフォーカス位置ZH付近と、フォーカス位置ZLまたはフォーカス位置ZL付近の中から干渉強度のピーク位置を適当なアルゴリズムを用いて全画素に対して算出する。これにより画像処理部53は、3次元形状画像を形成する。
【0086】
したがって、制御本体部51は、面17a,17bに対してピーク位置を算出するために、面17aのフォーカス位置ZLから加算範囲ARLだけ駆動機構40によって干渉対物レンズ300を光軸方向に移動させ、フォーカス位置ZLまたはフォーカス位置ZL付近の干渉強度の状態を第1の撮像素子16から取得する。その際、制御本体部51は、フォーカス位置ZLまたはフォーカス位置ZL付近の干渉強度の中から、干渉強度のピーク位置を取得する。
【0087】
また、制御本体部51は、サンプル17の面17bのフォーカス位置ZHから加算範囲ARHだけ駆動機構40によって干渉対物レンズ300を光軸方向に移動させ、フォーカス位置ZHまたはフォーカス位置ZH付近の干渉強度の状態を第1の撮像素子16から取得する。その際、制御本体部51は、フォーカス位置ZHまたはフォーカス位置ZH付近の干渉強度の中から、干渉強度のピーク位置を取得する。
【0088】
このように制御本体部51は、干渉光学系における高さ情報の取得範囲を設定する際に、取得範囲D2において干渉像を取得する必要がある。
【0089】
なお、加算範囲ARL,ARHは、白色光源12の可干渉距離に依存する。また、干渉対物レンズ300は、光学顕微鏡光学系と干渉光学系の同焦点距離を一致させることも可能である。しかしながら、同焦が一致していない場合、メモリ52は、予め同焦ずれ量をテーブル(同焦補正テーブル)として記憶する。制御本体部51は、取得範囲D1と、加算範囲ARL,ARHと、同焦補正テーブルに基づいて取得範囲D2、すなわち干渉光学系による高さ情報の取得範囲を算出する。
【0090】
上記の高さ情報の取得範囲の設定が完了した時点で、制御本体部51は、サンプル17の表面形状の高さ情報の取得を開始する。この際、バンドパスフィルタ20がフィルタ切換機構19により光軸18上に配置されると、第1の撮像素子16は赤外光を撮像する。次に、干渉対物レンズ300は、駆動機構40によって光軸方向において取得範囲D2を移動し、第1の撮像素子16は順次赤外光を撮像し、制御本体部51は順次干渉像を取得し、高さ情報を形成する。
【0091】
これにより画像処理部53は、光学顕微鏡観察画像(表面情報)と高さ画像(3次元形状画像)を形成し、表示部600は表示する。
【0092】
このように、本実施形態の3次元形状観察装置100は、干渉光学系と、干渉光学系とは異なる光学顕微鏡光学系の2つの光学系を有し、光学顕微鏡光学系の観察光学系によって取得される光学顕微鏡観察画像を用いてサンプル17の観察位置の調整を行うことで、干渉光学系の高さ情報の取得範囲を自動で設定できる。
【0093】
従来の3次元形状観察装置の干渉光学系は、取得した観察画像に干渉縞が生じているために観察位置とフォーカス位置の調整に手間がかかり、操作性が悪く、サンプルの3次元形状画像を取得に対して時間がかかる。
【0094】
しかしながら、本実施形態の3次元形状観察装置100は、光学顕微鏡光学系の観察光学系によって取得される光学顕微鏡観察画像を用いる。光学顕微鏡観察画像は、バンドパスフィルタ21が可視光のみを透過させるために、焦点深度が深く、干渉縞のない画像である。よって、本実施形態の3次元形状観察装置100は、光学顕微鏡観察画像によって観察位置の調整と、フォーカス位置の調整を容易に素早く行うことができる。また、本実施形態の3次元形状観察装置100は、光学顕微鏡光学系によって取得される光学顕微鏡観察画像から干渉光学系の高さ情報の取得範囲を設定することができる。これにより、本実施形態の3次元形状観察装置100は、サンプル17の3次元形状画像を短時間に容易に操作性良く取得することができる。
【0095】
より詳細には、干渉光学系によって高さ情報の取得範囲を設定する際に、干渉縞を探す作業は、手間と時間がかかる。本実施形態は、光学顕微鏡光学系の観察光学系によって干渉光学系の高さ情報の取得範囲を設定することができる。そのため、本実施形態は、干渉光学系によって高さ情報の取得範囲を設定する必要はない。よって、本実施形態は、干渉縞を探す作業を不用とし、サンプル17の3次元形状画像を短時間に容易に操作性良く取得することができる。
【0096】
なお、本実施形態では、透過率特性の異なる2種類のバンドパスフィルタ20,21を用いたが、この数に限定する必要はない。
【0097】
また、フィルタ切換機構19は、回転式に限定されるものではない。例えばフィルタスライダに装着されたバンドパスフィルタ20,21を光軸18上から挿脱させて交換させてもよい。このようにバンドパスフィルタ20,21を光軸18上に配置できれば、フィルタ切換機構19の構成は限定されない。
【0098】
また、第3のビームスプリッタ36の反射透過率特性を図3に、バンドパスフィルタ20,21の透過率特性を図4、図5に示したが、これに限定することはなく、所望する波長域で所望する反射率あるいは透過率を有してよい。また、光学顕微鏡による取得範囲の設定は、最初にフォーカス位置ZL、次にフォーカス位置ZHを設定したが、逆でも構わない。
【0099】
次に、図7、図8を参照して本発明に係る第2の実施形態について説明する。
前述した図1(第1の実施形態)と、図12に示す3次元形状観察装置と同一部材には同じ参照符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0100】
図7は、第2の実施形態に係る3次元形状観察装置の構成図である。
本実施形態におけるステージ200と、干渉対物レンズ300と、顕微鏡本体400は、図12に示した3次元形状観察装置100と略同一であるため詳細な説明は省略する。また、本実施形態における制御部500と、表示部600と、指示部700と、駆動機構40は、前述した第1の実施形態と略同一であるため詳細な説明は省略する。
【0101】
本実施形態における相対距離は、第1の実施形態と同様に駆動機構40、または手動によって調整され、相対距離の調整は、特に限定されない。
【0102】
また、本実施形態において、第1の実施形態と同様に対物レンズ配置部であるレボルバ45によって光学特性(例えばNAや倍率)の異なる複数の干渉対物レンズ300が保持されていても良い。
【0103】
なお、本実施形態における制御本体部51は、レーザ光源1の照明強度、2次元走査機構4の走査、レーザ用受光素子11の感度調節、白色光源12の照明強度、第1の撮像素子16の感度調節、第1の撮像素子16のシャッタ速度、光軸上に配置する干渉対物レンズ300を切り替えるためレボルバ45を回転させる動作などを制御する。
【0104】
また、制御本体部51は、相対距離が変わった際にレーザ用受光素子11から出力される出力信号を取得し、この出力信号を輝度情報(I)として処理する。これにより制御本体部51は、サンプル17の表面上にてピントのあった部分だけの輝度情報(I)を取得する。制御本体部51は、この輝度情報(I)を演算し、演算結果からサンプル表面の光学的な特徴である表面情報を形成する。また、制御本体部51は、相対距離が変わった際に第1の撮像素子16から出力される出力信号を取得し、第1の撮像素子16によって撮像された干渉像情報を算出する。また、制御本体部51は、後述する動作によって干渉像情報から第1の撮像素子16により取得されるサンプル17の高さ情報を形成する。
【0105】
メモリ52と画像処理部53は、第1の実施形態と略同様であるため詳細な説明については省略する。なお、本実施形態におけるメモリ52は、上下位置と、下限位置と、取得範囲d1と、取得範囲d2と、減算範囲RRLと、減算範囲RRHと、加算範囲ARLと、加算範囲ARHと、同焦補正テーブルを記憶する。
【0106】
本実施形態における3次元形状観察装置100の動作方法について説明する。
まず、本実施形態における共焦点レーザ走査型顕微鏡光学系400aの動作方法について説明する。
レーザ光源1から出射されたレーザ光2は、偏光ビームスプリッタ3を透過し、2次元走査機構4によって反射され、サンプル17の表面に対して2次元方向に走査される。その際、走査されたレーザ光2は、瞳投影レンズ5を透過し、第1の結像レンズ6によって結像され、1/4波長板7を通過する。1/4波長板7を通過したレーザ光2は、第1のビームスプリッタ8によって反射される。反射されたレーザ光2は、第2のビームスプリッタ14を透過し、対物レンズ31によってサンプル17の表面上に結像される。なお、レーザ光2は、第1のハーフミラー32を透過する。
【0107】
透過したレーザ光2は、回折により点(スポット)状の光を生じ、サンプル17を照射する。
【0108】
サンプル17から反射されたレーザ光2(反射光)は、サンプル17に入射した時と全く同じ経路を逆に通過して偏光ビームスプリッタ3に入射する。偏光ビームスプリッタ3に入射したレーザ光2は、偏光ビームスプリッタ3によって反射される。
【0109】
偏光ビームスプリッタ3により反射されたレーザ光2は、第2の結像レンズ9へと導かれる。
【0110】
レーザ光2は、第2の結像レンズ9によって点状に絞られ、ピンホール10を通過する。上述したようにピンホール10は、対物レンズ31を通過したレーザ光2の結像位置(対物レンズ31の焦点位置)と共役な位置に配置され、サンプル17の表面上にピントのあったレーザ光2のみを通過させる。これにより、レーザ用受光素子11には、対物レンズ31によってサンプル17の表面に集光され、サンプル17の表面から反射され、ピンホール10を通過したレーザ光2のみが受光される。このように、レーザ光2は、対物レンズ31によりサンプル17にて結像した場合のみ、ピンホール10によって遮光されることなく、レーザ用受光素子11にて受光される。レーザ用受光素子11は、受光したレーザ光2の光量に応じた出力信号を制御本体部51に出力する。
【0111】
次に、本実施形態における干渉光学系400bの動作方法について説明する。
【0112】
白色光源12から出射された白色光13は、第2のビームスプリッタ14によって図15に示すように一定の分割比にて分割される。分割によって下方(干渉対物レンズ300側)に反射された白色光13は、対物レンズ31を透過する。透過した白色光13は、第1のハーフミラー32によって分割される。分割によって第1のハーフミラー32を透過した一方の白色光13は、サンプル17を照射する。また、分割によって反射した他方の白色光13は、参照板33の表面を照射する。参照板33の表面は鏡面であるため、この白色光13は、参照板33によって反射される。
【0113】
サンプル17から反射した白色光13は、第1のハーフミラー32と、対物レンズ31を透過する。また、参照板33から反射した白色光13は、第1のハーフミラー32によって反射され、対物レンズ31を透過する。これにより、サンプル17の表面から反射した白色光13と、参照板33から反射した白色光13は、干渉する。この干渉している白色光13(干渉光)は、第2のビームスプリッタ14と、第1のビームスプリッタ8を透過した後、第3の結像レンズ15によって第1の撮像素子16の撮像面に結像される。この白色光13は、干渉像を有しており、第1の撮像素子16は、干渉像(サンプル17の表面画像に干渉縞が重なっている)を有した画像を撮像する。
【0114】
第1の撮像素子16は、撮像した画像に含まれる干渉像情報を出力信号として制御本体部51に出力する。
【0115】
制御本体部51は、取得した出力信号から表面情報と高さ情報を形成する。形成された表面情報(表面光学像情報)と高さ情報は、メモリ52に記憶される。画像処理部53は、メモリ52に記憶されている表面情報から全焦点画像を形成し、メモリ52に記憶されている高さ情報から高さ画像を形成する。また、画像処理部53は、全焦点画像と高さ画像を合成し、サンプル17の3次元形状を示す3次元形状画像を形成する。表示部600は、全焦点画像、高さ画像、3次元形状画像の少なくとも1つを表示する。
【0116】
次に、高さ情報を取得するための取得範囲を設定する際の3次元形状観察装置100の動作方法について説明する。
3次元形状画像を取得するために必要な光学特性(例えば観察視野)を有する干渉対物レンズ300が光軸上に配置される。なお、図2に示すようにレボルバ45によって複数の干渉対物レンズ300が保持されている場合、サンプル17の3次元形状を観察する際に使用する所望な光学特性を有する干渉対物レンズ300が光軸上に配置される。
【0117】
次に、指示部700は、制御本体部51にサンプル17の表面における3次元形状画像の取得を指示する。これにより、制御本体部51は、レーザ光源1を制御し、レーザ光2を出射させる。
【0118】
レーザ光源1から出射されたレーザ光2は、上述したようにサンプル17を照射し、サンプル17から反射された後、レーザ用受光素子11にて受光される。また、レーザ用受光素子11は、制御本体部51に出力信号を出力する。これにより、表示部600には、共焦点レーザ走査型顕微鏡光学系400aによって取得された光学顕微鏡観察像を基に形成された観察画像(以下、光学顕微鏡観察画像と称する)が表示される。
【0119】
制御本体部51は、共焦点レーザ走査型顕微鏡光学系400aによって取得された光学顕微鏡観察画像に基づいて駆動機構40によって相対距離を調整し、サンプル17にピントを合わせ、観察位置を調整し、フォーカス位置を調整する。
【0120】
次に、制御本体部51は、サンプル17の高さ情報を取得するために取得範囲を設定する。つまり制御本体部51は、上限位置と下限位置を設定する。
【0121】
図8を参照して本実施形態における高さ情報の取得範囲の設定方法について説明する。
図8に示すようにサンプル17は、高さの異なる面17aと面17bを有している。また、図8は、面17aと面17bに対応する共焦点レーザ走査型顕微鏡における光軸方向の位置とピンホール10を通過するレーザ光2の光量との関係(以下、IZカーブと称する)を示す。また図8は、面17aと面17bに対応する干渉顕微鏡における光軸方向の干渉強度の変化を示す。本実施形態では、光軸方向における面17aから面17bまでの表面形状を観察、または面17aから面17bまでの高さを観察(計測)する場合について説明する。
【0122】
制御本体部51は、共焦点レーザ走査型顕微鏡光学系400aによって取得された光学顕微鏡観察画像を基に面17aにピントを合わせる。面17aに対応する光軸方向における位置をフォーカス位置ZLとする。次に、制御本体部51は、光学顕微鏡観察画像を基に面17aの輝度が下がったデフォーカス位置ZLLまで駆動機構40によって例えば干渉対物レンズ300を移動させ、デフォーカスさせる。デフォーカス位置ZLLは、フォーカス位置ZLよりも光軸方向において下方(ステージ200側)に位置する。その際、指示部700は、デフォーカス位置ZLLを下限位置と設定(指定)する。メモリ52は、このデフォーカス位置ZLLが下限位置であることを記憶する。
【0123】
次に、制御本体部51は、共焦点レーザ走査型顕微鏡光学系400aによって取得された光学顕微鏡観察画像を基に面17bにピントを合わせる。面17bに対応する光軸方向における位置をフォーカス位置ZHとする。次に、制御本体部51は、光学顕微鏡観察画像を基に面17bの輝度が下がったデフォーカス位置ZHHまで例えば干渉対物レンズ300を移動させ、デフォーカスさせる。デフォーカス位置ZHHは、フォーカス位置ZHよりも光軸方向において上方(干渉対物レンズ300側)に位置する。その際、指示部700は、デフォーカス位置ZHHを上限位置と設定(指定)する。メモリ52は、このデフォーカス位置ZHHが相対距離の上限位置であることを記憶する。
【0124】
なお、制御本体部51は、上限位置、下限位置を自動で設定してもよい。この場合、制御本体部51は、レーザ用受光素子11から出力される出力信号(サンプル17から反射したレーザ光の光量)の変位から上限位置と下限位置を設定する。制御本体部51は、上限位置と下限位置を設定する際、制御本体部51は、下限位置のみを設定し、次にレーザ用受光素子11から出力される出力信号によって、高さ情報を取得しながら上限位置を設定する。
【0125】
制御本体部51は、設定されたデフォーカス位置ZLLからデフォーカス位置ZHHまでの範囲を、共焦点レーザ走査型顕微鏡光学系400aの取得範囲d1として設定(算出)する。メモリ52は、この取得範囲d1を記憶する。取得範囲d1(上限位置から下限位置までの範囲)が設定されると、制御本体部51は、取得範囲d1から予めメモリ52に記憶された減算範囲RRLと、減算範囲RRHを減算し、この演算結果に加算範囲ARLと、加算範囲ARHを加算する。この減算範囲RRLと、減算範囲RRHと、加算範囲ARLと、加算範囲ARHは、所望する距離を有する。本実施形態における加算範囲ARLと、加算範囲ARHは、前述した第1の実施形態における加算範囲ARLと、加算範囲ARHと同じ距離であっても良い。減算範囲RRLと、加算範囲ARLはフォーカス位置ZLの下方に位置し、減算範囲RRHと、加算範囲ARHはフォーカス位置ZHの上方に位置する。制御本体部51は、演算結果を取得範囲d2として設定(算出)する。取得範囲d2は、干渉光学系400bの高さ情報取得範囲である。メモリ52は、この取得範囲d2を記憶する。
【0126】
次に、減算範囲RRL、減算範囲RRH、加算範囲ARL、加算範囲ARHについて説明する。
図8に示すようにIZカーブは、フォーカス位置ZHまたはフォーカス位置ZH付近と、フォーカス位置ZLまたはフォーカス位置ZL付近にてピークを有し、フォーカス位置ZHまたはフォーカス位置ZH付近と、フォーカス位置ZLまたはフォーカス位置ZL付近から離れるに従い徐々に減衰する。
【0127】
制御本体部51は、共焦点レーザ走査型顕微鏡光学系400aにおけるIZカーブのピーク位置を取得するために、レーザ用受光素子11から出力される出力信号を取得する際、フォーカス位置ZHまたはフォーカス位置ZH付近と、フォーカス位置ZLまたはフォーカス位置ZL付近の中からピーク位置を算出する。また、制御本体部51は、ピーク位置に対する輝度情報(I)を算出する。画像処理部53は、これらを基にして全焦点画像を形成する。
【0128】
したがって、制御本体部51は、サンプル17の面に対してIZカーブのピーク位置を算出するために、面17aのフォーカス位置ZLから少なくとも減算範囲RRLだけ駆動機構40によって干渉対物レンズ300を光軸方向に移動させる。制御本体部51は、減算範囲RRLだけ干渉対物レンズ300を移動させた際、フォーカス位置ZLまたはフォーカス位置ZL付近のIZカーブの状態をレーザ用受光素子11から取得する。その際、制御本体部51は、フォーカス位置ZLまたはフォーカス位置ZL付近のIZカーブの状態の中から、IZカーブのピーク位置を取得する。
【0129】
また、制御本体部51は、同様にサンプル17の面17bのフォーカス位置ZHから少なくとも減算範囲RRHだけ駆動機構40によって干渉対物レンズ300を光軸方向に移動させる。制御本体部51は、減算範囲RRHだけ干渉対物レンズ300を移動させた際、フォーカス位置ZHまたはフォーカス位置ZH付近のIZカーブの状態をレーザ用受光素子11から取得する。その際、制御本体部51は、フォーカス位置ZHまたはフォーカス位置ZH付近のIZカーブの状態の中から、IZカーブのピーク位置を取得する。
【0130】
このように、制御本体部51は、共焦点レーザ走査型顕微鏡光学系400aにおける高さ情報の取得範囲d1を設定する際に、減算範囲RRLと、減算範囲RRHを取り込む必要がある。
【0131】
また、干渉光学系400bの取得範囲d2において、制御本体部51は、面17a,17bに対して干渉強度のピーク位置を算出する必要がある。そのため制御本体部51は、面17aのフォーカス位置ZLから少なくとも加算範囲ARLだけ駆動機構40によって干渉対物レンズ300を光軸方向に移動させ、フォーカス位置ZLまたはフォーカス位置ZL付近の干渉強度の状態を第1の撮像素子16から取得する。その際、制御本体部51は、フォーカス位置ZLまたはフォーカス位置ZL付近の干渉強度の中から、干渉強度のピーク位置を取得する。
【0132】
また、制御本体部51は、同様に面17bのフォーカス位置ZHから少なくとも加算範囲ARHだけ駆動機構40によって干渉対物レンズ300を光軸方向に移動させ、フォーカス位置ZHまたはフォーカス位置ZH付近の干渉強度の状態を第1の撮像素子16から取得する。その際、制御本体部51は、フォーカス位置ZHまたはフォーカス位置ZH付近の干渉強度の中から、干渉強度のピーク位置を取得する。
【0133】
このように、制御本体部51は、干渉光学系400bにおける高さ情報の取得範囲d2を設定する際に、減算範囲RRLと、減算範囲RRHを取り込む必要がある。
【0134】
したがって、制御本体部51は、共焦点レーザ走査型顕微鏡光学系400aによって設定される取得範囲d1から干渉光学系400bによって設定される取得範囲d2を算出する場合、取得範囲d1から減算範囲RRLと減算範囲RRHを減算し、加算範囲ARLと加算範囲ARHを加算する。
【0135】
共焦点レーザ走査型顕微鏡光学系400aにおいて、減算範囲RRLと減算範囲RRHは、対物レンズ31のNAに依存し、干渉光学系400bにおいて、加算範囲ARLと加算範囲ARHは、白色光源12の可干渉距離に依存する。
【0136】
また、第1の実施形態と同様に共焦点レーザ走査型顕微鏡光学系400aと干渉光学系400bに同焦ずれが生じる場合、メモリ52は、予め同焦ずれ量をテーブル(同焦補正テーブル)として記憶する。制御本体部51は、取得範囲d1と、減算範囲RRLと、減算範囲RRHと、加算範囲ARLと、加算範囲ARHと、同焦補正テーブルに基づいて取得範囲d2、すなわち干渉光学系400bによる高さ情報の取得範囲を算出する。
【0137】
上記の高さ情報の取得範囲の設定が完了した時点で、制御本体部51は、サンプル17の表面形状の高さ情報の取得を開始する。干渉対物レンズ300は、駆動機構40によって光軸方向において取得範囲d2を移動し、第1の撮像素子16は順次白色光を撮像し、制御本体部51は順次干渉像を取得し、高さ情報を形成する。
【0138】
また、干渉対物レンズ300は、駆動機構40によって光軸方向において取得範囲d1を移動し、レーザ用受光素子11は順次レーザ光2を受光し、制御本体部51は順次光学顕微鏡観察像を取得し、表面情報を形成する。
【0139】
なお、干渉対物レンズ300が取得範囲d1を移動する動作と、干渉対物レンズ300が取得範囲d2を移動する動作は、同時、または、別々に行っても良い。
【0140】
これにより、画像処理部53は、上述したように全焦点画像と、高さ画像と、3次元形状画像を形成する。表示部600は、全焦点画像と、高さ画像と、3次元形状画像の少なくとも1つを表示する。
【0141】
このように、本実施形態の3次元形状観察装置100は、干渉光学系400bと、干渉光学系400bとは異なる光学系(共焦点レーザ走査型顕微鏡光学系400a)の2つの光学系を有し、共焦点レーザ走査型顕微鏡光学系400aの観察光学系によって取得される光学顕微鏡観察画像を用いて、サンプル17の観察位置の調整と、フォーカス位置の調整と、共焦点レーザ走査型顕微鏡光学系400aと干渉光学系400bの両方の高さ情報の取得範囲を自動で設定できる。
【0142】
従来の3次元形状観察装置の干渉光学系は、取得した観察画像に干渉縞が生じているために観察位置とフォーカス位置の調整に手間がかかり、操作性が悪く、サンプル17の3次元形状画像を取得に対して時間がかかる。
【0143】
しかしながら、本実施形態の3次元形状観察装置100は、共焦点レーザ走査型顕微鏡光学系400aの観察光学系によって取得される光学顕微鏡観察画像を用いる。この光学顕微鏡観察画像は、焦点深度が深く、干渉縞のない画像である。よって本実施形態の3次元形状観察装置100は、観察位置の調整と、フォーカス位置の調整を容易に素早く行うことができる。
【0144】
また、本実施形態の3次元形状観察装置100は、共焦点レーザ走査型顕微鏡光学系400aの観察光学系によって取得される光学顕微鏡観察画像から共焦点レーザ走査型顕微鏡光学系400aと干渉光学系400bの両方の高さ情報の取得範囲を設定することができる。これにより、本実施形態の3次元形状観察装置100は、サンプル17の3次元形状画像を短時間に容易に操作性良く取得することができる。
【0145】
より詳細には、干渉光学系400bによって高さ情報の取得範囲を設定する際に、干渉縞を探す作業は、手間と時間がかかる。本実施形態は、共焦点レーザ走査型顕微鏡光学系400aの観察光学系によって干渉光学系400bの高さ情報の取得範囲を設定することができる。そのため本実施形態は、干渉光学系400bによって高さ情報の取得範囲を設定する必要はない。よって本実施形態は、干渉縞を探す作業を不用とし、サンプル17の3次元形状画像を短時間に容易に操作性良く取得することができる。
【0146】
また、共焦点レーザ走査型顕微鏡光学系400aの取得範囲の設定は、最初に下限位置(デフォーカス位置ZLL)、次に上限位置(デフォーカス位置ZHH)を設定したが、逆でも構わない。
【0147】
また、図8に示したように本実施形態は、取得範囲d1と、メモリ52に記憶されている減算範囲RRLと、減算範囲RRHと、加算範囲ARLと、加算範囲ARHと、同焦補正テーブルから取得範囲d2を算出し、高さ情報の取得を開始する。上述したように取得範囲d2が自動で設定される場合、面17a、フォーカス位置ZL、デフォーカス位置ZLLが自動で検出される。したがって、制御本体部51は、減算範囲RRL、減算範囲RRHを用いずに、検出されたフォーカス位置ZL、デフォーカス位置ZLLと加算範囲ARLと、加算範囲ARHおよび同焦補正テーブルに基づいて取得範囲d2、すなわち干渉顕微鏡における光学系による高さ情報の取得範囲d2を算出してもよい。
【0148】
次に、図9を参照して本発明に係る第3の実施形態について説明する。
図9は、本発明の第3の実施形態に係る3次元形状観察装置の構成図である。
前述した図1に示す3次元形状観察装置(第1の実施形態)と、図7に示す3次元形状観察装置(第2の実施形態)と、図12に示す3次元形状観察装置と、同一部材には同じ参照符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0149】
本実施形態における3次元形状観察装置100には、第2の実施形態における共焦点レーザ走査型顕微鏡光学系400aの代わりに、共焦点ディスクスキャン型顕微鏡の共焦点ディスクスキャン型顕微鏡光学系400cが配置されている。また、干渉光学系400bにおいて、第2のビームスプリッタ14の代わりに、第5のビームスプリッタ37が配置されている。第5のビームスプリッタ37の反射透過率特性は、図3に示す第3のビームスプリッタ36の反射透過率特性と略同一である。これ以外の構成は、第2の実施形態と略同様であるため詳細な説明は省略する。
【0150】
共焦点ディスクスキャン型顕微鏡光学系400cには、照明光である白色光(第2の光)70を出射する白色光源71と、白色光源71から出射された白色光70を反射させ、また、後述するサンプル17から反射した白色光70を透過させる第3のハーフミラー72が順次配置されている。
【0151】
なお、白色光源71は、例えば、可視域から赤外域までの広い領域の光を出射するハロゲンランプなどである。
【0152】
また、共焦点ディスクスキャン型顕微鏡光学系400cには、第3のハーフミラー72の反射光路上に、第3のハーフミラー72によって反射された反射光を通過させる回転ディスク73と、回転ディスク73を通過した白色光70を結像させる第5の結像レンズ78と、第5の結像レンズ78によって結像された白色光70を干渉対物レンズ300側に反射させる第4のビームスプリッタ77が順次配置されている。
【0153】
回転ディスク73は、マスクパターンを有する例えばニポウディスクである。この回転ディスク73には、例えば螺旋状に複数の図示しないピンホールが板厚方向に形成されている。白色光70(可視光)は、このピンホールを通過することで第5の結像レンズ78に入射する。
【0154】
回転ディスク73は、例えばモータである第2の駆動部74によって中心軸73aを中心に所望する回転速度で回転する。第2の駆動部74は、制御本体部51によって制御される。
【0155】
第4のビームスプリッタ77は、図10に示す反射透過率特性を有し、略100%の可視光を反射させ、略100%の赤外光を透過させる。
【0156】
また、共焦点ディスクスキャン型顕微鏡光学系400cには、第3のハーフミラー72の透過光路上に、第3のハーフミラー72を透過した可視光を結像する第4の結像レンズ75と、第4の結像レンズ75の結像位置に配置され、第4の結像レンズ75によって結像される可視光を撮像する第2の撮像素子76が配置されている。
【0157】
第2の撮像素子76には、例えばCCDカメラやCMOSセンサなどが用いられる。また、第2の撮像素子76は、可視光を撮像した際、制御本体部51に出力信号を出力する。
【0158】
次に、3次元形状観察装置100における共焦点ディスクスキャン型顕微鏡光学系400cの動作方法について説明する。
3次元形状画像を取得するために必要な光学特性(例えば観察視野)を有する干渉対物レンズ300が光軸上に配置される。なお、図2に示すようにレボルバ45によって複数の干渉対物レンズ300が保持されている場合、サンプル17の3次元形状を観察する際に使用する所望な光学特性を有する干渉対物レンズ300が光軸上に配置される。
【0159】
次に、指示部700は、制御本体部51にサンプル17の表面における3次元形状画像の取得を指示する。これにより制御本体部51は、白色光源71を制御し、白色光70を出射させる。また制御本体部51は、第2の駆動部74を制御し、回転ディスク73を所望する回転速度で回転させる。
【0160】
白色光源71から出射された白色光70は、第3のハーフミラー72によって反射される。反射された白色光70は、回転している回転ディスク73を照射する。その際、白色光70は、ピンホールを通過し、第5の結像レンズ78によって結像され、第4のビームスプリッタ77に入射する。その際、第4のビームスプリッタ77に白色光70における可視光のみがよって第5のビームスプリッタ37に反射される。
【0161】
反射された可視光は、第5のビームスプリッタ37と、対物レンズ31と、第3のビームスプリッタ36透過し、サンプル17を照射する。
【0162】
サンプル17から反射した可視光は、上述した第3のビームスプリッタ36の反射透過率特性に基づいて再び第3のビームスプリッタ36と、対物レンズ31と、第5のビームスプリッタ37と、を透過し、第4のビームスプリッタ77によって反射される。
【0163】
第4のビームスプリッタ77によって反射された可視光は、第5の結像レンズ78を透過し、回転ディスク73のピンホールを通過し、第3のハーフミラー72を透過し、第4の結像レンズ75によって結像される。結像された可視光は、第2の撮像素子76によって撮像される。第2の撮像素子76は、受光した可視光の光量に応じた出力信号を制御本体部51に出力する。
【0164】
本実施形態の3次元形状観察装置100における干渉光学系400bの動作方法は、第1、または第2の実施形態と略同様であるため、詳細な説明は省略する。
【0165】
これにより、制御本体部51は、第1の撮像素子16と第2の撮像素子76から取得した出力信号から表面情報と高さ情報を形成する。形成された表面情報(表面光学像情報)と高さ情報は、メモリ52に記憶される。画像処理部53は、メモリ52に記憶されている表面情報から全焦点画像を形成し、メモリ52に記憶されている高さ情報から高さ画像を形成する。また、画像処理部53は、全焦点画像と高さ画像を合成し、サンプル17の3次元形状を示す3次元形状画像を形成する。表示部600は、全焦点画像と、高さ画像と、3次元形状画像の少なくとも1つを表示する。
【0166】
また、本実施形態において、サンプル17の高さ情報を取得するために取得範囲を設定する際の3次元形状観察装置100の動作方法と、高さ情報の取得範囲の設定方法は、第2の実施形態における共焦点レーザ走査型顕微鏡光学系400aの代わりに共焦点ディスクスキャン型顕微鏡光学系400cを配置したため、第2の実施形態と略同様である。よって、詳細な説明は省略する。
【0167】
このように、共焦点レーザ走査型顕微鏡光学系400aの代わりに共焦点ディスクスキャン型顕微鏡光学系400cが配置されると、本実施形態の3次元形状観察装置100は、上述した第2の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0168】
また、共焦点ディスクスキャン型顕微鏡光学系400cは、例えば第1の実施形態の光学顕微鏡光学系よりも高分解な共焦点画像を取得することができる。また、共焦点ディスクスキャン型顕微鏡光学系400cは、例えば第2の実施形態における共焦点レーザ走査型顕微鏡光学系400aでは取得できないカラーを有する共焦点画像を取得することができる。
【0169】
また、共焦点ディスクスキャン型顕微鏡は、共焦点レーザ走査型顕微鏡に配置されるガルバノスキャナなどの高価な光学デバイスが不要である。よって、本実施形態の3次元形状観察装置100は、第2の実施形態の3次元形状観察装置100よりも安価にすることができる。
【0170】
また、共焦点ディスクスキャン型顕微鏡光学系400cは、共焦点レーザ走査型顕微鏡光学系400aに比べてサンプル17の3次元形状を取得するための取得時間を短くすることができる。
【0171】
このように、本実施形態における3次元形状観察装置100は、共焦点ディスクスキャン型顕微鏡光学系400cと干渉光学系400bを組み合わせることで、第2の実施形態とは異なる上述した効果を得ることができる。
【0172】
なお、本実施形態における3次元形状観察装置100には、白色光源12,71は配置されているが、白色光源71のみを配置しても構わない。この場合、第3のハーフミラー72は、白色光源71から出射された白色光70を所望する分割比によって反射、及び透過させる反射透過率特性を有する。また第3のハーフミラー72の透過光路上には、第3のハーフミラー72を透過した白色光を第5のビームスプリッタ37に向けて反射させる例えばミラーなどの反射部材が配置される。
【0173】
また、本実施形態における3次元形状観察装置100には、共焦点ディスクスキャン型顕微鏡光学系400cと干渉光学系400bの動作を別々にして、動作している一方にのみ白色光70を導入する光路切換え機構が配置されていても良い。これにより制御本体部51が取得する干渉像のS/Nを向上させることも可能である。
【0174】
また、第4のビームスプリッタ77は、所望する波長を境に所望する比率で光を分割(反射、透過)してもよい。
【0175】
また、第3のビームスプリッタ36の反射透過率特性は、図3に示したがこれに限定することはなく、所望する波長を境に所望する比率で光を分割(反射、透過)してもよい。
【0176】
なお、上述した第1乃至第3の実施形態における第1の変形例として、干渉光学系における観察光学系と、干渉光学系以外の光学系の観察光学系は、それぞれ異なる対物レンズを有していても良い。干渉光学系とは、例えば第1の実施形態のバンドパスフィルタ20が光軸上に配置された際の干渉光学系や、第2乃至第3の実施形態の干渉光学系400bである。また、干渉光学系以外の光学系とは、例えば第1の実施形態のバンドパスフィルタ21が光軸上に配置された際の光学顕微鏡光学系や、第2の実施形態における共焦点レーザ走査型顕微鏡光学系400aや、第3の実施形態における共焦点ディスクスキャン型顕微鏡における共焦点ディスクスキャン型顕微鏡光学系400cである。
【0177】
図11に示すように、干渉光学系の観察光学系に用いられる対物レンズ31a(第1の対物レンズ)を有する干渉対物レンズ300と、干渉光学系以外の光学系の観察光学系に用いられる対物レンズ31b(第2の対物レンズ)とは、対物レンズ配置部であるレボルバ45によって保持されている。レボルバ45は、対物レンズ31b、または対物レンズ31aのいずれか1つを光軸上に配置する。対物レンズ31a,31bは、手動、または自動で切り換る。
【0178】
駆動機構40は、光軸上に配置される干渉対物レンズ300または対物レンズ31bと、サンプル17の光軸方向における相対距離を変えて調整する。詳細にはなお駆動機構40は、レボルバ45を光軸に沿って移動させ、光軸上に配置されている干渉対物レンズ300または対物レンズ31bと、サンプル17との相対距離を変える。もちろんステージ200を光軸18に沿って移動させて相対距離を変えても良い。
【0179】
また、メモリ52は、干渉対物レンズ300に設けられている対物レンズ31aと、対物レンズ31bとで生じる視野ずれに対する補正値を記憶する。制御本体部51は、対物レンズが切り換わった際に補正値を基に視野ずれを補正すればよい。
【0180】
また、図11に示すレボルバ45の構成は、図2に示すレボルバ45の構成と組み合わせても良い。また、レボルバ45は、対物レンズ31aを有する複数の干渉対物レンズ300と、複数の対物レンズ31bを保持していても良い。
【0181】
第1の実施形態において、レボルバ45は所望する1つの対物レンズ31bを光軸上に配置する。この状態で制御本体部51が、観察位置の調整と、フォーカス位置の調整と、高さ情報の取得範囲を設定する。次に、レボルバ45は、対物レンズ31bから対物レンズ31aに切り換えて光軸上に配置する。制御本体部51は、画像処理部53を制御して、または、駆動機構40によってステージ200やレボルバ45を介して干渉対物レンズ300を平面方向に移動させて、視野ずれを自動調整する。調整後、制御本体部51は、高さ情報を取得する。
【0182】
第1乃至第3の実施形態は、干渉光学系の観察光学系と、干渉光学系以外の光学系の観察光学系において兼用される対物レンズ31を使用している。よって、干渉光学系の観察光学系に使用される波長域(赤外光の波長域)と干渉光学系以外の光学系の観察光学系に使用される波長域(可視光の波長域)が離れている場合、広波長域の光を全てサンプル17に結像させる高性能な対物レンズが配置される必要があり、3次元形状観察装置100は高価になってしまう。
【0183】
しかしながら、本変形例の3次元形状観察装置100は、対物レンズ31b、または、対物レンズ31aを配置することができるために、高性能な対物レンズを配置する必要がなく、3次元形状観察装置100を安価にすることができる。
【0184】
なお、上述した第1乃至第3の実施形態、第1の変形例において、干渉対物レンズ300は、ミラウ型の干渉対物レンズとしたが、これに限定する必要はなく、図13に示すようにマイケルソン型の干渉対物レンズでも基本構成、動作、作用は同様である。
【図面の簡単な説明】
【0185】
【図1】図1は、第1の実施形態に係る3次元形状観察装置の構成図である。
【図2】図2は、複数の干渉対物レンズを保持するレボルバの概略図である。
【図3】図3は、第1の実施形態における第3のビームスプリッタ36と、第3の実施形態における第5のビームスプリッタ37の反射透過率特性を示す図である。
【図4】図4は、バンドパスフィルタ20の透過率特性を示す図である。
【図5】図5は、バンドパスフィルタ21の透過率特性を示す図である。
【図6】図6は、面17aと面17bに対応する干渉顕微鏡における光軸方向の干渉強度の変化を示す図である。
【図7】図7は、第2の実施形態に係る3次元形状観察装置の構成図である。
【図8】図8は、IZカーブと、面17aと面17bに対応する干渉顕微鏡における光軸方向の干渉強度の変化を示す図である。
【図9】図9は、第3の実施形態に係る3次元形状観察装置の構成図である。
【図10】図10は、第4のビームスプリッタ77の反射透過率特性を示す図である。
【図11】図11は、対物レンズ31bと、対物レンズ31aを有する干渉対物レンズ300を保持するレボルバ45の概略図である。
【図12】図12は、従来の3次元形状観察装置の構成を示す構成図である。
【図13】図13は、マイケルソン型の干渉対物レンズの構成図である。
【図14】図14は、第1のビームスプリッタ8の反射透過率特性を示す図である。
【図15】図15は、第2のビームスプリッタ14と、第2のハーフミラー23と、第1のハーフミラー32と、対物用ビームスプリッタ34の反射透過率特性を示す図である。
【符号の説明】
【0186】
1…レーザ光源、2…レーザ光、3…偏光ビームスプリッタ、4…2次元走査機構、5…瞳投影レンズ、6…第1の結像レンズ、7…1/4波長板、8…第1のビームスプリッタ、9…第2の結像レンズ、10…ピンホール、11…レーザ用受光素子、12…白色光源、13…白色光、14…第2のビームスプリッタ、15…第3の結像レンズ、16…第1の撮像素子、17…サンプル、17a,17b…面、18…光軸、19…フィルタ切換機構、20,21…バンドパスフィルタ、22…第1の駆動部、23…第2のハーフミラー、31…対物レンズ、32…第1のハーフミラー、33…参照板、36…第3のビームスプリッタ、37…第5のビームスプリッタ、40…駆動機構、45…レボルバ、51…制御本体部、52…メモリ、53…画像処理部、100…3次元形状観察装置、200…ステージ、300…干渉対物レンズ、400…顕微鏡本体、400a…共焦点レーザ走査型顕微鏡光学系、400b…干渉光学系、400c…共焦点ディスクスキャン型顕微鏡光学系、500…制御部、600…表示部、700…指示部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光を出射する光源と、
前記光源から出射された前記光をサンプルに照射する対物レンズと、
前記対物レンズと前記サンプルの間に配置され、前記対物レンズを透過した光を分割することで一方の前記光を透過させ、他方の前記光を反射させる光分割部材と、
前記光分割部材によって分割された光路上に配置され、前記光分割部材から反射された他方の前記光によって照射される参照面と、
を有する干渉対物レンズと、
干渉しあう前記サンプルから反射する前記光と前記参照面から反射する前記光を結像させて干渉像を観察する第1の観察光学系と、
を有する干渉光学系と、
前記干渉対物レンズを前記干渉光学系と兼用し、前記サンプルの表面情報を観察する第2の観察光学系とを有する、前記干渉光学系とは異なる光学系と、
前記干渉対物レンズと前記サンプルとの光軸方向における相対距離を調整する移動機構と、
前記移動機構が前記相対距離を調整する際に、前記第2の観察光学系によって観察される前記表面情報を基に前記光学系における前記サンプルの高さ情報を取得するための第1の取得範囲を算出し、算出された前記第1の取得範囲から前記干渉光学系における前記サンプルの高さ情報を取得するための第2の取得範囲を算出する制御部と、
を具備することを特徴とする3次元形状観察装置。
【請求項2】
光を出射する光源と、
光軸上に配置された際に、前記光源から出射された前記光をサンプルに照射する第1の対物レンズと、
前記第1の対物レンズと前記サンプルの間に配置され、前記第1の対物レンズを透過した光を分割することで一方の前記光を透過させ、他方の前記光を反射させる光分割部材と、
前記光分割部材によって分割された光路上に配置され、前記光分割部材から反射された他方の前記光によって照射される参照面と、
を有する干渉対物レンズと、
干渉しあう前記サンプルから反射された前記光と前記参照面から反射された前記光を結像させて干渉像を観察する第1の観察光学系と、
を有する干渉光学系と、
前記第1の対物レンズを有する前記干渉対物レンズとは異なる第2の対物レンズを有し、前記サンプルの表面情報を観察する第2の観察光学系とを有する、前記干渉光学系とは異なる光学系と、
前記光軸上に配置される前記干渉対物レンズまたは前記第2の対物レンズと前記サンプルとの光軸方向における相対距離を調整する移動機構と、
前記第2の対物レンズが前記光軸上に配置され、前記移動機構が前記相対距離を調整する際に、前記第2の観察光学系によって観察される前記表面情報を基に前記光学系における前記サンプルの高さ情報を取得するための第1の取得範囲を算出し、算出された前記第1の取得範囲から前記干渉光学系における前記サンプルの高さ情報を取得するための第2の取得範囲を算出する制御部と、
を具備することを特徴とする3次元形状観察装置。
【請求項3】
前記光源は、低コヒーレントである前記光を出射することを特徴とする請求項1、または2に記載の3次元形状観察装置。
【請求項4】
前記光学系は、光学顕微鏡光学系であることを特徴とする請求項1、または2に記載の3次元形状観察装置。
【請求項5】
前記光学系は、共焦点光学系であることを特徴とする請求項1、または2に記載の3次元形状観察装置。
【請求項6】
前記共焦点光学系は、共焦点レーザ走査型顕微鏡光学系、または共焦点ディスクスキャン型顕微鏡光学系であることを特徴とする請求項5に記載の3次元形状観察装置。
【請求項7】
前記干渉光学系の可干渉距離に依存し、前記第1の取得範囲に対して加算される加算範囲を記憶する記憶部と、
を有し、
前記制御部は、前記第1の取得範囲と前記加算範囲から前記第2の取得範囲を算出することを特徴とする請求項1、または2に記載の3次元形状観察装置。
【請求項8】
前記記憶部は、さらに同焦補正テーブルを記憶し、
前記制御部は、前記第1の取得範囲と、前記加算範囲と、前記同焦補正テーブルから前記第2の取得範囲を算出することを特徴とする請求項7に記載の3次元形状観察装置。
【請求項9】
前記対物レンズの光学特性に依存し、前記第1の取得範囲に対して減算される減算範囲と、前記干渉光学系の可干渉距離に依存し、前記第1の取得範囲に対して加算される加算範囲を記憶する記憶部と、
を有し、
前記制御部は、前記第1の取得範囲と、前記減算範囲と、前記加算範囲から前記第2の取得範囲を算出することを特徴とする請求項1に記載の3次元形状観察装置。
【請求項10】
前記第2の対物レンズの光学特性に依存し、前記第1の取得範囲に対して減算される減算範囲と、前記干渉光学系の可干渉距離に依存し、前記第1の取得範囲に対して加算される加算範囲を記憶する記憶部と、
を有し、
前記制御部は、前記第1の取得範囲と、前記減算範囲と、前記加算範囲から前記第2の取得範囲を算出することを特徴とする請求項2に記載の3次元形状観察装置。
【請求項11】
前記記憶部は、さらに同焦補正テーブルを記憶し、
前記制御部は、前記第1の取得範囲と、前記加算範囲と、前記減算範囲と、前記同焦補正テーブから前記第2の取得範囲を算出することを特徴とする請求項9乃至請求項10に記載の3次元形状観察装置。
【請求項12】
前記干渉対物レンズと、前記第2の対物レンズを保持し、前記干渉対物レンズ、または前記第2の対物レンズのどちらか一方を前記光軸上に配置する対物レンズ保持部と、
を有することを特徴とする請求項2に記載の3次元形状観察装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2008−292240(P2008−292240A)
【公開日】平成20年12月4日(2008.12.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−136768(P2007−136768)
【出願日】平成19年5月23日(2007.5.23)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】