ゲート誘電体上にゲート金属または他の導体材料または半導体材料を電着するための方法(ゲート誘電体貫通電流を用いた電気化学処理によるゲート・スタック技術)
【課題】 ゲート誘電体等の誘電体の上に直接ゲート金属または他の導体材料または半導体材料を電気めっきするための方法を提供する。
【解決手段】 この方法は、基板、誘電体の層、および電解液または溶融物を選択することを含み、基板、誘電体層、および電解液または溶融物の組み合わせによって、基板から誘電体層を介して電解液または溶融物へと電気化学電流を流すことができる。また、誘電体貫通電流を用いて誘電体の電気化学的な変更を行うための方法も提供する。
【解決手段】 この方法は、基板、誘電体の層、および電解液または溶融物を選択することを含み、基板、誘電体層、および電解液または溶融物の組み合わせによって、基板から誘電体層を介して電解液または溶融物へと電気化学電流を流すことができる。また、誘電体貫通電流を用いて誘電体の電気化学的な変更を行うための方法も提供する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゲート電極を形成するためのゲート誘電体の電気めっきに関する。一般的には、本発明は、少なくとも1つの誘電層に電流が流れるように実施される、電着、電気エッチング(electroetching)、あるいは電気変更(electromodification)またはそれら全ての電気化学プロセスに関する。
【背景技術】
【0002】
不動態酸化物形成および電気エッチングの技術において、金属および半導体上の酸化物の電気化学処理は周知である。基板上の不動態自然酸化物(native oxide)の形成は、自己限定的な傾向がある。なぜなら、このプロセスは、電気化学的に形成された酸化物が電流を妨げるのに充分な厚さになると停止するからである。プロセス条件を正しく制御することによって、良好なコーティングを得ることができる。この点に関しては、例えば、Birss等の米国公開出願第2002/0104761 A1を参照のこと。この開示は、引用によりその全体が本願に含まれるものとする。
【0003】
電気化学陽極処理および従来の酸化物形成技法を組み合わせて、p型Siの上に信頼性の高いSiO2ゲート酸化物を形成することが、W−J.Lia等によって、J. Electrochem. Soc.151(9)G549〜G553(2004年)に示されている。この開示は、引用によりその全体が本願に含まれるものとする。希土類金属の塩を含む有機および水成電解質から、希土酸化物が基板上に直接付着される。例えば、Y.Matsuda等は、YCl3およびEuCl3塩を添加したジメチルホルムアミド(DMF)を用いて、導電性SnO2基板上に、Y2O3およびY2O3:Eu(III)を電着させた。これは、Journal of Alloys andCompounds、193、277〜279(1993年)に記載されている。この開示は、引用によりその全体が本願に含まれるものとする。更に、M.A.Petit等は、K3IrCl6、シュウ酸、および炭酸カリウムの水溶液から、SnO2基板上に導電性酸化イリジウム膜を電着させた。これは、Electroanal. Chem.444、247〜252(1998年)に記載されている。この開示は、引用によりその全体が本願に含まれるものとする。
【0004】
ゲート酸化物を電気化学的に変更するための従来技術の手法が、Hwu等の米国特許第6,352,939号に記載されている。この開示は、引用によりその全体が本願に含まれるものとする。この手法においては、低レベルの電流(0.1〜10μA/cm2)を、Si(基板)/ゲート酸化物/電解質構造におけるゲート誘電体を通って、水成電解質溶液中の金属板へ向かうように流す。次いで、誘電体の厚さ全体での結合の破壊を、後処理アニーリングによって修復する。SiO2、Si3N4、およびTa2O5について、誘電特性の改善が報告された。しかしながら、用いた非反応溶液化学成分(希釈水成HF)では、化学的な変更(すなわち誘電体に存在しない新しい元素の導入)は予想されず、処理は誘電体の表面でなくその大部分の変更を対象とする。
【0005】
半導体を製造するためおよび誘電体上に金属構造を製造するための電着の技術において、電着される金属は、ほぼ必ず、電着以外の方法(例えば物理気相付着(PVD)、化学気相付着(CVD)等)によって基板上に形成された金属シードまたはめっきベース層上に付着される。電着を駆動する電流の主な経路は、シード層の縁部に設けられたコンタクトからシード層を通る横方向である。基板自体およびそれに含まれるいずれかの誘電体層を通る電流は、通常、完全に無視することができる。シード層の上に直接付着した絶縁マスキング層の開口を通してめっきを行うスルー・マスク(through-mask)めっき技法を用いることによって、シード層の選択した領域にめっきを制限することができる。
【特許文献1】米国公開出願第2002/0104761 A1
【特許文献2】米国特許第6,352,939号
【特許文献3】米国特許出願第10/694,793号
【非特許文献1】W−J.Lia等のJ. Electrochem. Soc.151(9)G549〜G553(2004年)
【非特許文献2】Y.Matsuda等のJournal of Alloys andCompounds、193、277〜279(1993年)
【非特許文献3】M.A.Petit等のElectroanal. Chem.444、247〜252(1998年)
【非特許文献4】A.De Vrieze等のPhys. Chem. Chem. Phys.、3、5297〜5303(2001年)
【非特許文献5】P.M.Vereecken等のAppl. Phys. Lett.、75、3135(1999年)
【非特許文献6】K.Strubbe等のJ. Electrochem. Soc.146、1412(1999年)
【非特許文献7】P.M.Vereecken等のJ. Chem. Soc. FaradayTrans.、92、4069(1996年)
【非特許文献8】Hobbs等のVLSI 2003 Digest、9ページ
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
高性能のCMOSデバイスは、高kゲート誘電体および金属ゲートをますます多く組み込むようになると予想することができる。金属ゲートの製造において、従来の手法はサブトラクティブである。すなわち、金属ゲート材料は表面全体を覆う層として適用され、次いでこれが必要でない領域から選択的に除去する。上述の電着手法は、「Field Effect Transistor with Electroplated Metal Gate」と題する米国特許出願第10/694,793号において、電界効果トランジスタのための金属ゲートを形成する付加的な方法として記載されている。この開示は、引用によりその全体が本願に含まれるものとする。表面全体の導電性シード層にスルー・マスクめっきを行うことによって、所望のゲート領域上に選択的に金属ゲートを付着することができる。このシード層は通常、めっきプロセスの後にマスキングされた領域から除去される。この従来技術は、更に、n−FETおよびp−FETデバイスのゲートが異なる仕事関数を有し、異なる金属を含むことを開示する。これは、この付加的なスルー・マスクめっき手法を2度以上行わなければならないことを意味する。
【0007】
従って、シード層を必要とせずに、ゲート誘電体上に直接ゲート金属をめっきする方法を提供することができれば望ましい。また、第1のマスク開口サブセットに第1の材料を選択的にめっきし、次いで第2のマスク開口サブセットに第2の材料を選択的にめっきすることができ、第1および第2のマスク開口サブセット間でゲート誘電体下の半導体材料のドーピングが異なるスルー・マスクめっき方法があれば望ましい。更に、ゲート材料の特性を表面変更によって変質または微調整することができるゲート誘電体界面技術の方法があれば望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、ゲート誘電体上にゲート金属または他の導体材料または半導体材料を電着するための方法に関する。この方法は、基板、誘電体の層、および電解液または溶融物を選択することを含み、基板、誘電体層、および電解液または溶融物の組み合わせによって、基板から誘電体層を介して電解液または溶融物へと電気化学電流を流すことができる。この方法は、更に、基板および誘電体層の少なくとも1つに対して少なくとも1つの電気コンタクトを設けること、電解液または溶融物と接触した少なくとも1つの補助電極を設けること、および、誘電体層の上にゲート金属または導体材料または半導体材料を電気めっきすることを含む。更に、本発明は、上述の方法に従って誘電体層上に電気めっきされたゲート金属または他の導体材料または半導体材料を含むゲート電極に関する。
【0009】
本発明は、誘電体の厚みを貫通する電流を用いることによって、少なくとも1つの誘電層を含む誘電体上に直接金属を形成するための電着方法を提供する。更に一般的には、本発明は、合金、半導体、導電性酸化物、複合物、導電性ポリマあるいは半導体ポリマまたはそれら両方等、金属または他のめっき可能な材料を絶縁層上に形成するための方法を提供する。
【0010】
本発明の第1の態様において、電着は非選択的であり、導体または半導体の基板上に配置した誘電体層の表面上で比較的均一である。基板は平面状とすることができ、または、非平面状になる何らかのトポロジを有する場合もある。
【0011】
本発明の第2の態様において、電着は空間的に選択性がある。選択的な付着は、
選択した領域において誘電体の厚さを増すまたは減じることによって(電流に対して抵抗が低い薄い誘電体領域上で電着が選択的に行われるという事実を利用する)、
例えば、誘電体に損傷を与えること、これを他の材料と反応させること、またはこれを他の誘電体と置換することあるいは他の誘電体によって増強することまたはそれら両方を行うことによって、選択した領域において誘電体材料を変更して電流に対する抵抗を大きくまたは小さくすることによって、あるいは
選択した基板領域をドーピングして、これらの基板領域上で誘電体に電着が行われる(または行われない)ようにすると共に、そのようにドーピングしない基板領域上では電着が行われない(または行われる)ようにすることによって、
またはこれら全てによって達成可能である。
【0012】
前記少なくとも1つの誘電体が、電気化学的な処理が必要とされる少なくとも1つの第1の領域において第1の合計厚さを有し、電気化学的な処理が必要とされない少なくとも1つの第2の領域において第2の合計厚さを有するようにすることによって、誘電体の厚さによって引き起こされる選択性を生じさせることができる。
【0013】
電気化学処理が必要とされる第1のキャリア・タイプおよび密度を有する少なくとも第1の基板領域、および、電気化学処理が必要とされない第2のキャリア・タイプおよび密度を有する少なくとも1つの第2の基板領域を有する基板を選択することによって、ドーパントによって引き起こされる選択性を生じさせることができる。
【0014】
電気化学処理が必要とされる第1の組成を有する少なくとも1つの第1の基板領域、および、電気化学処理が必要とされない第2の組成を有する少なくとも1つの第2の基板領域を有する基板を選択することによって、組成によって引き起こされる選択性を生じさせることができる。
【0015】
上述の選択的な付着を引き起こす方法は、めっき電位の適切な変動によって、および光等の他の外的なめっきを可能とするものを導入することによって、強化することあるいは可能とすることまたはその双方とすることができる。
【0016】
本発明の第3の態様において、仕事関数の制御、厚さの規定、および熱安定性について、ゲート誘電体の表面変更のための電気化学的方法を提供する。表面変更は、空間的に選択性があるかまたは非選択的とすることができる。
【0017】
本発明の第4の態様において、誘電体貫通電流によって薄い誘電体を電気エッチングするため、あるいは薄い誘電体上に追加の絶縁膜を電着するため、またはその両方のための電気化学的な方法を提供する。電気エッチングあるいは電着またはその両方は、空間的に選択性があるかまたは非選択的とすることができる。
【0018】
本発明の第5の態様は、本発明の方法によって生成される構造を提供する。具体的には、本発明は、ゲート誘電体上に直接電着によって形成した金属ゲートを含むFETデバイスを提供する。
【0019】
本発明のこれらおよび他の特徴は、本発明の以下の詳細な説明を図面と関連付けて読んで検討すれば明らかとなろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
絶縁性材料または絶縁体の電気化学処理を行うことができるのは、典型的に金属または半導体上の薄い酸化物コーティングである絶縁体が電流に対していくらかのコンダクタンスを有する場合である。薄いコーティングでは、電子トンネリングが電気化学処理のために利用可能な誘電体の導電性即ち電流漏れの主な機構となり得る。また、欠陥は、絶縁体のバンドギャップにおいて多くの電子状態を提供することができ、高密度のギャップ状態では、これらは電流のための可能な経路を形成することができる。また、酸化物の価電子帯または伝導帯を直接通る電荷転送によって、コンダクタンスが与えられる。後者のケースは、TiO2、ZnO、およびTa2O5等の半導体酸化物、ならびにいずれかのn型の広いバンドギャップの半導体と共に機能する場合は重要になる。
【0021】
電気めっきは一般的に溶液中で行われるので、酸化物/電解質界面における電気化学電流の可能性は、いくつかのファクタに依存する。これらのファクタには、酸化物およびその下にある半導体基板の価電子帯端および伝導帯端に対する電解質の電子状態のエネルギ位置および密度が含まれる。電流が発生するか否かは、これらのファクタに鑑みて、界面の両側に同一のエネルギが存在する場合には界面における電荷転送は充填電子状態と空の電子状態との間で生じるという原理に依存する。
【0022】
図1に、この原理を概略的に示す。溶液中の空のオキシダント(oxidant)状態が半導体の伝導帯の電子状態と重複する場合(図1)、オキシダントの電界還元は、nドープ基板(伝導帯電子が利用可能である)において可能であるが、pドープ基板(暗所では伝導帯電子は利用可能でない)においては可能でない。後者は照明によって活性化されて、伝導帯に光電子を生成可能であることに留意すべきである。しかしながら、オキシダント状態のガウス分布が半導体のバンドギャップのエネルギに対応する場合、電荷転送は可能でなく、この特定の基板においてオキシダントは不活性であると予想することができる(図2)。最後に、溶液中のオキシダント状態が半導体の価電子帯と重複する場合、nドープ基板およびpドープ基板の双方について電荷転送が可能である(図3)。しかしながら、酸化物が存在すると、価電子帯を通る電荷転送が妨げられる場合がある。要約すると、絶縁体および半導体基板の電子構造を、溶液中の酸化還元電解質の電子構造と組み合わせると、一般に、ある電荷転送の組み合わせのみが可能となる。
【0023】
図4および図5は、本発明の範囲内に該当するコンタクト機構を示す。シリコン等の1つ以上の基板層3、4(導体または半導体)の上に、薄いゲート酸化物等の誘電体層(絶縁層または絶縁体とも称する)2が配置されている。下にある導体または半導体基板の少なくとも1つに対して、ウェハの裏側に対するバック・コンタクト等、電気コンタクト5が形成されている。絶縁層2が半導体であり(例えばn−ZnO、n−TiO2、またはn−Ta2O5のような広いバンドギャップ半導体)、これに対するオーム接触機構が既知である場合、この絶縁層に対して直接に電気コンタクトを形成することができる。この層に電解液または溶融物1が接しており、ウェハの表側は完全に浸されているか、または処理が望まれる領域のみ浸されている。この層を有する構造が一方の電極として機能し、第2の補助電極6は電解液または溶融物中に挿入されている。図4の(半)導体基板4および絶縁層2は平面状に示すが、基板4は何らかのトポグラフィ(topography)を有する場合があり、絶縁層2はコンフォーマルな(conformal)コーティングである場合があることに留意すべきである。
【0024】
電気化学処理のために、電源7および電気リード8を介して双方の電極間に、電気バイアス、電圧、または電流を印加する。所望の場合、例えば、いわゆる基準電極のような一定の電気化学電位を有する第3の電極を導入することによって、構造/電解質または構造/溶融物界面の電気化学電位をいっそう正確に制御することができる。基準電極の例には、飽和カロメル電極(SCE:saturated calomel electrode)および銀−塩化銀(Ag/AgCl)基準電極が含まれる。図5は、構造/電解質または構造/溶融物界面に、すなわち誘電体または絶縁層2の上に直接形成しためっき金属膜9を示す。
【0025】
電子転送プロセスの著しい抵抗性の性質のために、電気化学処理は、最も導電性の高い領域で優先的に行われると予想することができる。電流は最も抵抗の低い経路を通るからである。この点で、絶縁体を通る電流転送による直接電気化学処理は、極めて選択性の高いプロセスとして記述することができる。いくつかのファクタまたはパラメータによって選択性を決定することができ、それらには、絶縁体の厚さ、絶縁体の種類、下にある基板、電解液、物理的な遮蔽、光、および他の外的な手段が含まれる。これらのパラメータまたはファクタの各々について、以下で論じる。
【0026】
絶縁体の厚さ
電流は、薄い酸化物または絶縁体の領域を優先的に通る。例えば、SiO2等の厚い誘電マスクに囲まれたHfO2等の薄いゲート誘電体の場合、図6から図13に示すように、薄いゲート誘電体上で優先的に直接めっきが行われる。
【0027】
図6から図9は、図4において説明したものと同様の構成を用い、図6に示すように誘電体2の上に絶縁マスク10を追加した、スルー・マスクめっきの概略を断面図で示す。図7に結果として得られた構造に示すように、マスク開口の内部で露出したゲート誘電体上でのみめっきが行われると予想することができる。図8に示すように、マスク10を除去した後、ゲート誘電体の上にパターニングされた金属構造が得られる。図9に示すように、誘電体を選択的にエッチングすることによって、パターニングされた金属ゲート構造が得られる。
【0028】
図10から図13は、図6において説明したものと同様の構成を用いたスルー・マスクめっきの代替的な概略を断面図で示す。この場合、ゲート酸化物は絶縁マスクの上に付着されている。図10は電気化学金属付着のための構成を示す。図11は金属めっきの後の構造を示す。フィールドのゲート誘電体と共に絶縁マスクを除去することによって、図12に示すパターニングした金属ゲート構造が得られる。必要な場合、電気コンタクト層5も除去して、図13に示すパターニングした構造を残すことができる。
【0029】
図6から図13に示す双方のケースにおいては、ゲート誘電体がマスクの下にあるか上にあるかには関わらず、電流は、厚い誘電マスクが存在しない領域において薄いゲート誘電体を通る。この点に関して、図14から図17を参照すると、図6から図13において説明したものと同様の構成を用いたスルー・マスクめっきの代替的な一体型の機構が示されている。この場合、同一の誘電体層2が厚い領域2’および薄い領域2のパターンを有する。図14は電気化学金属付着のための構成を示す。必要な金属は薄い領域で選択的に電着されると考えられ、この結果、図15〜図17に示すような構造が得られる。部分的に充填された金属(図15)、完全に充填された金属(図16)、過度に充填された金属(図17)が図示されている。
【0030】
絶縁体の種類
異なる誘電定数または電子構造を有する異なる酸化物または絶縁体によって、電流に対する抵抗が低い酸化物または絶縁体に優先的に電流を通すことができる。この点に関して、図18および図19を参照すると、図4において説明したものと同様の構成を用いた、マスクを使用しない選択的なめっきのための一体型の機構が示されている。この場合、誘電体は、ゲート誘電体2よりも電流に対する抵抗が高い領域11を有する。これは、例えば、表面全体を覆う薄い誘電体層の一部領域を化学的に変更することによって得ることができる。あるいは、2つの異なる誘電体材料(例えばHfO2およびSiO2)を同一の厚さで配置することができる。めっきは、溶液中の電流に対して抵抗が低い領域で行われると考えることができる。
【0031】
この点に関して、図20を参照すると、n−Si/SiON(1nm)/HfO2(3nm)およびn−Si/SiO2(4nm)のためのルテニウムめっき浴における電流−電圧曲線を示す。図20において、電流密度iは1平方センチメートル当たりのミリアンペア(mA/cm2)で、電極電位Uは電圧対標準水素電極(NHE:Normal Hydrogen Electrode)で与えられている。スキャン・レートは毎秒50ミリボルトであり、電極回転率は400rpmであった。
【0032】
図20に示すように、SiON/HfO2ゲート酸化物スタック上のRu電着は−2Vで開始し、一方、同じ公称厚さ4nmのSiO2層上のRu電着は−2.5Vで開始する。すなわち、電着はSiON/HfO2スタック上で優先的に行われる。
【0033】
酸化物の電気コンダクタンスは、一般的に、欠陥および不純物の存在と相関している。従って、表面全体を覆う酸化物の一部領域に意図的に損傷を与えるかまたは注入を行って導電性を高め、それらの領域で優先的に電気化学処理を行うことができる。例えば、図21〜図24は、イオンまたは電子ビーム(「eビーム」)によってイオン注入または損傷を与えた後の、絶縁膜の一部領域の選択的なめっきおよびエッチングを示す。具体的には、図21および図22は、図4において説明したものと同様の構成を示す。これは、eビームおよびイオン・ビーム書き込み等の技法によって製造された投射粒子ビームによって損傷を受けた領域12によってパターニングされている。図21は電着のための構成を示し、図22は得られた構造を示す。図23および図24は、eビームおよびイオン・イーム書き込みによって行われるような投射粒子ビームによって損傷を受けたパターニング領域12の誘電体貫通電流による選択的な電気化学エッチングのための同様の機構を断面図で示す。図23は電気エッチングのための構成を示し、図24は電気エッチングの後のパターニングされた構造を示す。かかる方法によって、酸化物におけるeビーム書き込みパターンの電気化学エッチングは、例えば、イオン・ミリングに用いられる保護マスクの必要性をなくすことができる。
【0034】
下にある基板および付着電位
電流−電圧特性、従って電極反応速度(electrode kinetics)は、下にある基板(複数の基板)の構成によって決定する。これらの特性は、例えば、用いる基板材料の種類および用いるドーピングの種類に従って大きく変動し得る。このため、そういった特性は、金属、n型半導体、p型半導体、およびそれらの組み合わせについて異なると考えられる。例えば、金属電着用の溶液からの金属イオンの電気化学還元は、n型半導体基板については、伝導帯(電子捕獲プロセス)または価電子帯(ホール注入プロセス)のいずれかによって達成可能であるが、電解還元は、p型半導体基板(暗所)ではホール注入プロセスによってのみ可能であるか、または転化されるように駆動された場合である。本発明の場合、薄い誘電体膜またはゲート酸化物が半導体を覆っているので、低エネルギのホールのトンネリングは妨害され、電荷転送はおそらく電子蓄積モードにおいてまたはその近傍においてのみ行われる。更に、半導体材料(そのバンドギャップおよびバンド端のエネルギを含む)およびドーパント濃度(そのフラット・バンド・ポテンシャルおよび空乏層厚さを含む)が、半導体/絶縁体/電解質(SIE)コンタクトの電気化学特性を決定することができる。
【0035】
この点に関して、図25を参照すると、暗所および白色光照明(21V、150Wハロゲン・ランプ)のもとで、負の電位へと動電位スキャンを行う(順方向スキャン)間の、硫酸ニッケル浴(0.1MのNiSO4+0.1MのH3BO3)中のn型およびp型Si/SiO2/HfO2基板についての電流−電圧特性(負の電圧に向かってスキャンした)を示す。図25において、電流密度iは1平方センチメートル当たりのミリアンペアで、電極電位Uはボルト対標準水素電極(NHE)で与えられている。スキャン・レートは毎秒50ミリボルトであり、電極回転率は250rpmであった。
【0036】
図25に示すように、n型基板は、暗所および照明のもとで、−2Vを超える負の電圧において電流の指数的な増大を示す。p型基板は、暗所では電流を示さず、サンプルが白色光で照明された場合のみ−1.5V未満でNi2+の還元についてカソード電流を示す。この現象によって、マスク開口を通して同時に露出したn型およびp型領域を選択的にめっきすることができる。例えば、n型基板を暗所で電着によって選択的に金属化し、p型領域を光電着によって別の金属を選択して金属化することができる。後者の場合、n型およびp型を双方ともめっきする(すなわち、n型領域上にすでに付着した金属はその上に別の金属コーティングを施される)か、または、付着電位を正しく選択することによって、p型領域を選択的に金属化する(n型領域に追加のめっきは行わない)。
【0037】
この点に関して、図26および図27を参照すると、ニッケル、ルテニウム、およびレニウムめっき浴中で、照明のもとでのn型(図26)およびp型(図27)のSi/SiON(1nm)/HfO2(3nm)についての電流−電圧曲線(順方向および逆方向スキャン)の例を示す。図26および図27において、電流密度iは1平方センチメートル当たりのミリアンペアで与え、電極電位Uはボルト対標準水素電極(NHE)で与えられている。スキャン・レートは毎秒50ミリボルトであり、電極回転率は、ニッケルで250rpm、ルテニウムで400rpm、レニウムで100rpmであった。
【0038】
図26および図27に示すように、ベアn型基板上の金属付着は、電流−電圧曲線の順方向(負の電位へ向かう)スキャンにおいて、3つ全ての溶液について約−2Vで開始する。スキャン方向を反転すると(正の電位へ向かう)、ベアから金属で覆ったHfO2への変化のため、または金属ゲート電極の形成のため、ヒステリシスが見られる。電流は、Ruでは約−1.8Vまで、NiおよびReでは−0.75Vまで継続する。照明(21V/150Wハロゲン・ランプ)のもとでのp型基板では、ベアHfO2上の金属付着は、Niでは−1.6Vで、Ruでは−1.2Vで、Reでは−0.9Vで開始する。金属付着は、NiおよびRuで覆われたHfO2上では−0.9Vまで、p−Si/SiON/HfO2/Re上では−0.4Vまで継続する。p型半導体では、充分に負の印加電位において、光強度によって電流が制限されることに留意すべきである。投射される光子束、従って測定される光電流は、光が溶液および付着した金属によって吸収されると低減する。p型基板におけるめっきのための電流密度は、光強度によって制御することができる。例えば、光ビームをストロボにするまたは分割することによって、一定の電位でパルスめっきを行うことができる。電流−電圧特性は、n型およびp型基板上の金属付着の選択性を示す。上述の所与の例では、Ni、Ru、およびReを、−2Vよりも負の電位で(一定の電圧または一定の電流を印加することによって)、n型領域上に暗所で選択的に付着することができる。n型領域にRuを付着する場合、ReおよびNiは、Niについて−0.9Vと−1.8Vとの間、Reについて−1.6Vと−1.8Vとの間の電位で、照明のもとでp型領域に選択的に付着することができる。n型領域にNiおよびReを付着する場合、Ru、Re、またはNiの付着は、非選択的に行われるか、または、照明のもとでベアp型領域に行うと共にすでに金属化されたn型領域において行われると考えられる。
【0039】
CMOSデバイスを製造するために、多くの場合、p型シリコン基板が用いられる。p−FETは、ある領域のn型をドーピングすることによって製造することができる(nウェルとして既知である)のに対し、n−FETは、p型基板または領域上に追加のpドーピングによって形成することができる。かかる場合、p−n接合が形成され、p型領域およびnウェル領域の双方の電着(p−n接合)のために照明を行うことが望ましい。しかしながら、電流−電圧特性の相違によって、なお選択性を得ることができる。すなわち、nウェルあるいはp型領域またはそれら両方を、異なる付着電位で選択的に金属化することができる。
【0040】
電解液
上述のように、固体/電解質界面における電荷転送は、同様の電子エネルギ・レベル間でのみ行われると考えられる。従って、電解質側の電子状態の分布および密度が、電気化学プロセスの可能性および動力学を決定すると予想することができる。この点に関して、電解質の電子構成を(例えば濃度、錯体形成、溶剤、pHによって)調整して、ある基板/絶縁体の組み合わせで電荷転送が優先的に起こるようにし、従って溶液組成によって電気化学処理のための選択性を与えることができる。例えば、電解質中のアクセプタ状態の密度がエネルギにおいて高く、半導体基板の伝導帯端に近くなるように溶液条件を選択することによって、電気化学金属付着は、p型領域に対してn型領域において優先的に起こると考えられる。
【0041】
物理的な遮蔽
また、物理的な遮蔽によってゲート誘電型酸化物上の一部の領域を不活性化することで選択性を得ることも可能である。すなわち、フォトレジストもしくはSiO2誘電体等の絶縁性マスク、または有機分子の吸収層(例えば著しく吸収されたS終端分子または吸収ポリマ膜)を、典型的なフォトリソグラフィ、eビーム・リソグラフィ、またはスタンピング技法によって適用する。この点に関して、図6から図9を参照すると、薄い誘電体膜の上に配置した遮蔽マスクが図示されている。これによって、マスクのある領域の電流を遮蔽し、マスク開口内の領域に電流を通すことができる。
【0042】
光
p型半導体におけるカソード伝導帯プロセスおよびn型半導体基板におけるアノード価電子帯プロセスを可能とするために、バンドギャップ上での価電子帯電子の光励起が必要である。これは、例えば、絶縁体を介した照明または裏側からの照明によって基板を照明することで達成可能である。いくつかの方法で選択性を得ることができる。例えば、光波長を注意深く選択することで、完全なバンドギャップをまたぐことができるか、または界面もしくはギャップ状態を活性化して電極反応を仲介することができる基板または酸化物においてのみ電気化学プロセスを活性化する。細いレーザ・ビームを用いて直接にエッチング・パターンまたは付着パターンを書き込むことで、空間選択性を得ることも可能である。あるいは、マスクを用いて、絶縁体表面のある領域のみを照明することができる。この場合、誘電体の前に配置したかまたは誘電体上に付着した光遮蔽マスクを用いる。
【0043】
この点に関して、図28および図29を参照すると、図4に示したものと同様の構成を示すが、この場合、表面全体のゲート誘電体2上の金属パターン9の選択的な光電着が、光源20を用いてマスク13のいくつかの開口を通して基板を照明することによって行われ、一方で、電気コンタクト5および補助電極6が備えられている場合、基板3および4間に電位または電流を印加する。図28は光電着の構成を示し、図29は、マスクによって遮蔽されない照明領域において得られるパターニング金属を示す。
【0044】
更に、X線励起等の極めて高いエネルギ源を用いる場合、絶縁体において伝導帯電子が発生する可能性がある。更に、他の電磁放射を用いて、半導体、酸化物、または金属を励起することができる。
【0045】
他の外的手段
また、導電プローブまたは磁界等の他の外的手段によって選択性を得ることも可能である。この点に関して、図30および図31を参照すると、図4に示したものと同様の構成を示すが、この場合、原子間力顕微鏡(AFM)または走査トンネル顕微鏡(STM)チップ14の下で、局所化されためっきが行われる。
【0046】
AFMまたはSTMチップは導電性とし、局所補助電極として用いて、プローブの直下で電気化学処理を行うことができる(図30)。あるいは、チップは導電性である必要はなく、この場合、これを補助電極と共に用い、これによってチップの近接に充分な一時的な欠陥およびギャップ状態が生じ、チップ領域の下でのみ電気化学処理のための電流経路を生成することができる(図31)。チップを動かすことで、絶縁体の上にパターンを付着させ、または絶縁体にパターンをエッチングすることができる。
【0047】
上述したように、本発明を用いて、異なる方法でドーピングされた基板における電極反応速度の大きな相違を利用して、選択性を与えることができる。本発明の範囲内で、単一のマスクを用いてnFETゲートおよびpFETゲートを同時に露出させることができ、異なるドーピング基板上に特定の金属を選択的に付着することができる。
【0048】
一実施形態においては、ゲート酸化物で覆ったn型半導体領域上に、pFET金属を選択的に電着する。次いで、nFETを配置することができる。この配置は、(1)p型領域に選択的に(すなわち付着電位の選択によって)、(2)マスク上ではなくn型およびp型領域の双方に電着によって半選択的に、または(3)物理気相付着(PVD)、化学気相付着(CVD)、または原子層付着(ALD)等の方法によって完全に非選択的に行い、マスク、n型領域、およびp型領域を含むウェハ全体を、金属またはポリシリコンで覆う。
【0049】
別の実施形態では、最初にゲート酸化物で覆ったp型半導体領域上に、nFET金属を選択的に電着する。次いで、p型金属を、上述したようにn型領域に選択的に、または非選択的に配置することができる。
【0050】
別の実施形態においては、n型およびp型の電界効果トランジスタ(FET)を同時に形成するために、単一の浴を作り出すことができる。例えば、Ni、Ru、Rh、Pt、およびRe等のpFET金属は、Si/SiO2/HfO2およびSi/SiO2/HfSiOウェハ上に良好に電着し、SiO2は約1nm、高k酸化物は約3〜4nmとすることができる。
【0051】
この点に関して、図32および図33は、n−Si/SiO2(1nm)/HfO2(3nm)ウェハ上の厚いSiO2マスクにおける1ミクロン四方の0.3ミクロン深さの開口に、約20nmの電着Ruを充填し、厚い電着Niによってキャッピングした、集束イオン・ビーム(FIB:Focused Ion Beam)画像の上面図(図32)および断面図(図33)である。Ruは、10mA/cm2の電流密度で120秒間、室温でRuCl3系の浴において電着した。この膜を、形成ガス中で30分間、550℃でアニーリングした。次いで、ニッケル・キャップを、10mA/cm2で120秒間、室温でワッツ浴において電着した。厚いニッケル・キャップは、電気試験のためにRuゲートを調べるため付着したもので、機能的FETデバイスには必ずしも適用されないことに留意すべきである。この場合、薄いRu膜は観察が難しいので、厚いニッケル・キャップは選択性を例証するのにも役立つ。薄いRu膜はマスク開口内にのみ存在し、Niは四角形の開口から周囲のマスク上へとキノコ状になるように成長した。ウェハの裏側は、オーム接触のためにAs注入を行った(20KeV As;4x1015cm−2、その後で5秒間1000℃の活性化アニーリングを行った)。
【0052】
本発明の更に別の態様においては、基板のトポグラフィを利用して、マスクを用いることなく、絶縁層上に直接パターニングした電着物を生成する。基板のトポグラフィ上に、薄い誘電体層(例えばゲート誘電体)をコンフォーマルに付着する。典型的な基板トポグラフィは、例えば、基板の上面のレベルより下に延出するトレンチ、バイア・ホール等の形状のくぼみを含むことができる。次いで、誘電体を介して表面全体に電気めっきを行って、基板トポグラフィのくぼみを充填および過剰充填する。次いで、例えば化学機械研磨(CMP)のような当技術分野において既知の平坦化プロセスによって、基板の上面のレベルより上にある電着材料を除去して、基板のくぼみ内にパターニングした電気めっき構造体を残すことができる。
【0053】
上述の説明によれば、多数の付着層を有する構造は、薄いゲート状の誘電体または酸化物を通る電流を必要とする少なくとも1つの電気化学ステップを伴う限り、本発明の範囲内に該当する。これらの層は、金属、合金、半導体、酸化物、絶縁体、ポリマ、および有機物およびバイオマテリアルを含むいずれかの材料を含むことができる。
【0054】
更に、高k誘電体の活性化またはシーディング(seeding)を行うことができる。例えば、誘電体表面上に電気化学金属付着を行う間にいっそう良好な核生成を得るために、無電解めっきプロセスのために通常用いられるパラジウム活性化ステップを導入することができる。無電解めっきにおいて、自触媒無電解金属付着を開始するためには、Pd触媒が必要だと考えられることに留意すべきである。しかしながら、かかる場合、Pdクラスタは、ゲート誘電体を通る電流を用いた電気化学金属付着のための核生成部位として用いられる。通常、Pdがマスク表面を含む全表面を覆うとしても、電流は薄いゲート状誘電体のみを流れると考えられ、薄い誘電体上に位置するPd部位でのみ金属化が生じると考えられる。更に、ある特定の場合に、Pd活性化ステップによって電着が容易になり、膜付着および均一性に有用であるとしても、例えばこれは金属ゲートの電気的特性を決定すると考えられる。
【0055】
この点に関して、実験を行った。Pd活性化ステップを用いて、n−Si/SiON(1nm)/HfO2(3nm)上にパターニングしたSiO2−マスク(マスク開口は1μm四方から400μm四方までの範囲)において、Niを電着した。サンプルを、SnCl2の溶液に5分間浸漬し(1gのSnCl2+40mlのHCL(38wt%)+120mlの水)、その後、PdCl2溶液に5分間浸漬した(0.1gのPdCl2+40mlのHCl(38wt%)+120mlの水)。次いで、サンプルを、ワッツ浴からのNi電着のための電気化学セルにロードした(300g/lのNiSO4+30g/lのH3BO3+30g/lのNiCl2;10mA/cm2で120秒間)。付着したサンプルのキャパシタンス−電圧(CP−V)特性は、強いpFET特性を示し、フラット・バンド・ポテンシャルVfb=1.0Vであり、主にHfO2/金属界面におけるPdによって決定したのに対して、アニーリング後のC−V曲線はギャップ中央へとシフトし(Vfb=0.31V)、電着Niについていっそう典型的であった。
【0056】
あるいは、基板/誘電体/金属シード・スタックを介しためっきの前に、物理気相技法(PVD、ALD、またはCVD)によって金属シード層を配置することができる。
【0057】
電気ゲート特性の電気化学制御
金属ゲート、電解効果トランジスタ(FET)のため等、得られた構造の電気的特性が主な目的である場合、電気化学条件によって、フラット・バンド・ポテンシャル(Vfb)および金属ゲートの仕事関数およびFETの閾値電圧(VT)等、所望の物理特性を決定するのに役立てることができる。例えば、金属/半導体ショットキ・コンタクトの製造において、Si、GaAs、およびGaP(ゲート酸化物なし)等の半導体上に金属を直接電着するには、形成したダイオードまたはショットキ・バリアのバリア高さが、付着電位、温度、および電解質組成等の付着条件に大きく依存することが示されている。この点に関して、例えば、A.De Vrieze等のPhys. Chem. Chem. Phys.、3、5297〜5303(2001年)、P.M.Vereecken等のAppl. Phys. Lett.、75、3135(1999年)、K.Strubbe等のJ. Electrochem. Soc.146、1412(1999年)、およびP.M.Vereecken等のJ. Chem. Soc. Faraday Trans.、92、4069(1996年)を参照のこと。これらの開示は、引用により全体が本願に含まれるものとする。
【0058】
ほとんどの場合、得られたバリア高さの相違は、金属/半導体界面における組成のわずかな違いによるものであり、これは、電極電位ならびに電解質の組成およびpHによって決定される。また、ゲート酸化物の場合、金属/ゲート酸化物界面のわずかな変更が電気的特性に反映されると考えられる。これらの原理を考慮すると、用いる電気化学条件によって電気的特性を制御することができる。ゲート酸化物の直接的な電気化学変更は1つの可能性であり、これについて以下で論じる。更に、金属/ゲート酸化物界面の特性は、例えば、付着電位、付着電流、および溶液組成(pH、金属イオン濃度および添加物)によって、金属付着中にその場で(in-situ)制御することができる。
【0059】
この点に関して図38を参照すると、以下で詳しく述べるが、溶液中のRe濃度が異なる過レニウム酸アンモニウム溶液からn型Si/SiON(1nm)/HfO2(4nm)上のRe電着によって製造したRe/HfO2/SiON/Siゲートのキャパシタンス−電圧特性(CP−V)を示す。Reゲートの電気的特性は、溶液中のRe濃度によって調整することができる。この点に関して、良好なpFET特性(1Vに近いフラット・バンド・ポテンシャル)および良好な最大キャパシタンス値(1.7マイクロF/cm2に近いCp,max)の双方を有するReゲートは、10g/lのNH4ReO4に近いRe濃度で得ることができる。
【0060】
直接電気めっきしたMOSゲートの熱的特性
原子層付着(ALD)および金属有機化学気相付着(MOCVD)を含む、蒸着およびマグネトロン・スパッタリングおよび化学気相付着(CVD)技法等の物理気相付着(PVD)技法によって付着したHfO2およびHfSiO等の高k誘電体上の金属ゲートに伴って再び発生する問題は、金属酸化膜半導体(MOS)構造のフラット・バンド・ポテンシャル、従って測定される金属仕事関数が、高温では安定しないことである。RuおよびRe等の金属が付着直後に良好なpFET特性(半導体の価電子帯端に近い金属仕事関数)を示す場合、窒素等の不活性雰囲気における急速熱アニーリング(RTA)の後に、仕事関数は半導体バンドギャップの中央(ミッド・ギャップ)へ向かって大きくシフトする。後の1000℃での集積ステップの間、注入したソースおよびドレイン領域の活性化のためにRTAが必要であるので、安定した仕事関数を有するpFET金属が必要である。ゲート・スタック貫通電流によって高k誘電体上に直接電気めっきした金属ゲートは、高温でアニーリングした後であってもpFET特性を維持可能であることがわかった。
【0061】
この点に関して、図40は、RuCl3系浴(10mA/cm2で120秒間、400rpm)においてn−Si/SiON(1nm)/HfO2(3nm)上でのRuの選択的な電着によって製造したいくつかのRu/HfO2/SiON/Si MOS試験構造(100マイクロメートル四方)のキャパシタンス−電圧特性を示す。付着後、試験構造を窒素のもとで異なる温度でアニーリングした(5秒のRTA)。比較のため、550℃で30分間の形成ガス(FGA)における試験構造のアニーリングを示す。サンプルごとの体系化された拡散とは別に、MOSは800℃まで良好なpFET特性を維持した。
【0062】
本発明の範囲内に該当するプロセスにおいて、バック・コンタクト配置によって、導体またはSi等の半導体基板に電気コンタクトを形成することができる。更に、例えば酸化物層の開口を介して、ウェハまたはデバイス上のどこにでも、下にある導体基板に対する電気コンタクトを形成することができる。コンタクトの箇所から基板上の誘電体までの導電または電気経路は、1つ以上の界面を通る場合があり、電気化学プロセスに電流経路を提供する。電気コンタクトは、例えば、乾式固体コンタクトまたは湿式電気化学コンタクトを含むことができる。
【0063】
半導体に対する乾式固体コンタクトを形成するため、オーム接触を設けなければならない。かかるコンタクトは、通常、ドーパント元素の注入によって高度にドーピングした(約1019cm-3)表面を設けること、または表面欠陥の生成によって生成される。あるいは、半導体表面にある金属を適用することができる。例えば、In等の低仕事関数を有する金属はn型基板にオーム接触を与えることができ、高仕事関数を有する金属はp型基板にオーム接触を与えることができる。
【0064】
例えば、Siに対してIn−Ga共晶を適用することは、n型およびp型の双方の基板に対してオーム接触を形成するための迅速な方法である。この点に関して、図4から図19、図21から図24、および図28から図31は、各々、ウェハの裏側に乾式固体電気コンタクトを有することを示す。集積または汚染の問題のために乾式コンタクトの使用が難しい場合、湿式コンタクトを用いることも可能である。この場合、基板に可逆性の電極反応を与える電解質に基板を接触させることができる。半導体は通常ダイオードとしてふるまうので、半導体価電子帯において優先的に電気化学的にアクティブになる適切な酸化および還元剤を選ばなければならない。例えば、Fe(III/II)、Cu(II/I)およびメチルビオロゲンMV(II/I)を用いた溶液である。この点に関して、図34は、湿式電気化学コンタクトを用いた薄いゲート型誘電体の電気化学処理を概略図で示す。1つ以上の基板3および4の上の薄いゲート型誘電体膜2から成る加工物が、2つの補助電極6の間に配置されている。その一方はアノードとして、他方はカソードとして機能する。薄い誘電体2は、誘電体の電気化学処理に用いられる溶液1に露呈され、基板4は、電気化学コンタクトを与える接触電解質19に露呈されている。電気化学コンタクトは、ウェハの裏側においてのみ形成されるわけではなく、例えば基板が露呈するウェハの縁部の周囲において形成することができる。
【0065】
図35に、nFETおよびpFETデバイスを製造するための基板を介した電流転送のためのコンタクト機構を示す。バルクSi基板(すなわちSOIを用いない。以下を参照のこと)上に形成したデバイスの場合、電流は、オーム接触を形成するための注入領域等のバック・コンタクト5から、導体基板3を介して、トランジスタ4のゲート下のnまたはpドーピング領域へ、ゲート誘電体2を介して、絶縁マスク10を介して露呈する溶液内へと通ることができる。マスク10は、浅いトレンチ分離(STI)16ならびにソースおよびドレイン領域15の上に示す。図35は、電気コンタクト5からバルク・シリコンを通りゲート酸化物を通って電流転送が行われるバルク・シリコン・デバイスの場合を示す。
【0066】
図36に、酸化物上シリコン(SOI)技術の場合の電流転送のためのコンタクト機構を示す。この場合、ゲート空乏層のためのSi、SiGe、またはGe等のドープ半導体が、厚い絶縁材料内に封入されている。その下に埋め込み酸化物(「BOX」)17があり、両側には絶縁性の浅いトレンチ分離(「STI」)スペーサがある。多くの場合、BOXには接地としてポリシリコン・スタッド18が存在する。Siスタッドは、ゲート誘電体の直下に示すドーピング半導体層に直接接続することはできないが、実際には、ソースおよびドレイン領域15との接触を介して間接的に接続することができる。
【0067】
上述の説明は、nPFETおよびpFETのために高kゲート酸化物上に金属ゲートを直接電着することに焦点を当てているが、本発明はこれに限定されない。本発明の範囲は、例えば、別個のまたは一体化されたプロセス・ステップの双方で、電気エッチングおよび表面変更等、半導体デバイス上で薄い絶縁体の電気化学処理を行うことに拡張される。また、ゲート誘電体の直接電気化学処理は、不揮発性フラッシュ・メモリ等の誘電体−半導体構造を用いるCMOS技術を超えた用途を有する。更に、例えば、金属基板上の絶縁材料の電気化学処理のように、非半導体用途にも対応する。他の可能な用途には、半導体または金属ゲートがナノサイズのドットまたはワイヤであるナノ構造トランジスタ・デバイスが含まれる。これは、酸化物の活性化領域上で(例えばeビームによって書き込まれる)、または原子間力顕微鏡(AFM)もしくは走査トンネル顕微鏡(STM)プローブを用いることによって、選択的にめっきされる。ナノ構造デバイスの場合、異なるデバイスを接続するための相互接続ラインを同様の方法で形成することができる。
【0068】
本発明が包含する電気化学プロセスには、水性、非水性、または混合電解質溶液もしくは溶融物からの、全てのめっき可能な金属、合金、複合物、半導体、あるいはポリマまたはそれら全てのめっきが含まれる。薄い絶縁体または酸化物上の直接めっきの用途は、下にあるn型およびp型半導体上に、HfO2、HfOSi2、およびTa2O5等の薄いSiO2または高kゲート酸化物上に製造したMOS電解効果トランジスタを、n型およびp型MOSFETのもの等の直接電気めっきした金属ゲートまたは直接めっきした半導体ゲートと組み合わせたものを含む。かかる場合における選択的なめっきの方法の例は、図6から図13に概略的に示す。
【0069】
本発明の範囲内に該当する方法を実行するために用いる印加電圧または電流のプログラムは、所望音電気化学プロセスに依存し、一定、変動、またはパルスの電圧または電流を含むことができる。従って、本発明に対応する方法においてめっきを達成するために必要な電流密度は限定されず、極めて広い範囲をカバーすることができる。電流密度は、用途、めっきプロセス、めっきした材料、およびめっき浴中の金属イオン濃度に応じて、例えば約10μA/cm2から約2A/cm2までの範囲に及ぶことができる。電流密度は、典型的に約0.1mA/cm2から約100mA/cm2の範囲であると考えられ、例えば約1mA/cm2から約20mA/cm2等である。電圧は、酸化物または誘電体の厚さ、その誘電定数、めっきプロセス、電気コンタクト、ツールの構成、および基準電極(第3の電極)を用いるか否かに応じて異なる。限定されないが、用いる電圧は、典型的に約0から約100ボルトまでの範囲であり、例えば約0から約10ボルト、または約0から約5ボルト等である。
【0070】
本発明と関連付けて用いる電解液は、水性、非水性、または混合溶剤、または溶融物とすることができ、溶液コンダクタンスのためおよび活性成分として、金属および非金属塩を含む。例えば、電解液は、金属付着のための金属イオン、電気化学エッチング中の溶解のための錯化配位子(complexing ligands)、窒素化合物等の不純物源、あるいはゲート酸化物の電気化学変更のためのハロゲンまたはそれら全てを含むことができる。ある特定の場合、例えば金属ゲートの電着において、不純物またはめっき添加物は回避するのが良い。なぜなら、それらは製造される金属ゲートの電気的特性に有害な影響を及ぼし得るからである。他の場合、いくつかの不純物を意図的に追加して、付着中に高k/金属界面をその場で変更することによって電気的特性を制御することができる。
【0071】
例えば、pFET金属ゲート構造のためのRu、Re、Rh、Pd、およびPt等の貴金属の電着では、貴金属の無機塩および無機酸等の単純な組成を有するめっき溶液を用いることができる。例えば、めっきする材料がRuである場合、電解液は、塩化ルテニウム塩および塩酸を含むことができる。また、市販の貴金属めっき溶液も使用可能である(例えば、Technic Inc.、Enthone OMI、Rohm and Haas Electronic Materials L.L.C.)。
【0072】
めっき溶液および条件は、例えば、HfO2およびHfSiOゲート誘電スタック上の金属電着を含むことができる。かかる実施形態において、金属膜は典型的に約1nmから約100nm厚さとすることができ、例えば約10nmから約50nmの厚さ等である。基板は、例えば、n型およびp型のSi/SiON/高kおよびSi/SiO2/高kとすることができ、約3nmおよび約4nmのHfO2またはHfSiO膜(MOCVD)を有する。典型的に、白金のメッシュまたはシートを補助電極として使用可能であり、任意に、基準電極として、飽和カロメル電極(SCE;Hg/Hg2Cl2;KCl、飽和)、銀−塩化銀電極(Ag/AgCl/3モル/リットル NaCl)、または飽和硫酸水銀電極(Hg/Hg2SO4/K2SO4,sat)を用いることができる。電着のために有用な電源は、1A未満の電流ではAutolab PGSTAT30ポテンショスタット(Brinkman Instruments)であり、200mmの表面全体の付着用等のもっと高い電流ではKEPCO電源である。p型基板の金属付着では、直径が約20mmまでの小さいサンプルには、21V、150Wのハロゲン・ランプを用いることができ、200mmウェハには、120V、500Wのハロゲン・ランプを用いることができる。
【0073】
かかるめっき条件は、例えば、白金、ロジウム、ルテニウム、およびレニウムの電着のために使用可能である。これについて、以下で更に詳細に論じる。
【0074】
白金電着
約0.001モル/リットルから約0.1モル/リットルの範囲の濃度を有する(NH4)2PtCl6および約1モル/リットルまでの濃度を有するNa2HPO4を含み、pHが約2から約9までの範囲であるめっき溶液を用いることができる。例えば、めっき溶液は、約0.01モル/リットルの濃度を有する(NH4)2PtCl6および約0.4モル/リットルの濃度を有するNa2HPO4を含み、pHは約7とすることができる。
【0075】
代替的な実施形態においては、めっき溶液は、Technic Inc.からの「Platinum TP」および「Platinum AP」、ならびにEnthoneInc.からの「Platanex」として既知のめっき浴等の少なくとも1つの市販の白金めっき浴を含むことができる。
【0076】
上述のめっき浴を用いた電気めっきプロセスでは、電流または電圧を印加するいくつかの方法のうち1つ以上を用いることができる。これらには、例えば、約3mA/cm2および約50mA/cm2間の一定電流または同等の電位(−2Vから−3V対NHEの電極電位)の印加、ならびに、約5mA/cm2および約250mA/cm2間の第1の電流を約20ミリ秒から約5秒、例えば約0.1秒等印加し、更に、0mAから約2mAまでの第2の電流を約0.1秒から約10秒用いるパルスめっきが含まれ、これには、約1サイクルから約500サイクルまで、例えば約25サイクル等の−2Vから3.5V対NHEの電位を用いたパルスめっきが含まれる。かかる処理の間の温度は、例えば約20℃から約90℃までの範囲とすることができる。かかる処理は、かくはんを行ってまたは行わずに実行することができる。
【0077】
上述の処理条件内には、以下の印加が含まれる。
(1)約25mA/cm2のパルス電流波形を約0.2秒、その後に0電流を約5秒、室温で約50rpmの回転率で約25サイクル繰り返す。
(2)約25mA/cm2のパルス電流波形を約0.2秒、その後に0電流を約5秒、約50度の温度で約50rpmの回転率で約25サイクル繰り返す。
(3)約50mA/cm2のパルス電流波形を約0.2秒、その後に0電流を約5秒、約50度の温度で約50rpmの回転率で約50サイクル繰り返す。
(4)約250mA/cm2のパルス電流波形を約0.1秒、その後に10μA/cm2電流を約5秒、室温でかくはんせずに約5サイクル繰り返す。
【0078】
ロジウム電着
約1から約30g/lのRh2SO4および約1から約100m/lのH2SO4を含むめっき溶液を用いることができる。かかる溶液は、任意に、他の無機成分(臭化物、ヨウ化物、フッ化物、硫化物、硫酸塩、ホウ酸、ホウ酸塩、金属塩等)、有機添加物(界面活性剤または光沢剤)、あるいは応力緩和剤またはそれら全てを含むことができる。例えば、めっき溶液は、約10g/lのRh2SO4および約10ml/lのH2FO4を含むことができる。
【0079】
代替的な実施形態において、めっき溶液は、Technic, Inc.からの「Techni-Rhodium」および「Rhodium S-less」、ならびに、Enthone Inc.からの「Rhodex」として既知のめっき浴等、少なくとも1つの市販のロジウムめっき浴を含むことができる。
【0080】
上述のめっき浴を用いた電気めっきプロセスでは、電流または電圧を印加するいくつかの方法のうち1つ以上を用いることができる。これらには、例えば、約1mA/cm2および約50mA/cm2間の一定電流または同等の電位(−2Vから−3V対NHEの電極電位)の印加、ならびに、約5mA/cm2および約250mA/cm2間の第1の電流を約20ミリ秒から約5秒、例えば約0.1秒等印加し、更に、0mAから約2mAまでの第2の電流を約0.1秒から約10秒用いるパルスめっきが含まれ、これには、約1サイクルから約500サイクルまで、例えば約25サイクル等の同等の電位(−2Vから−3.5V対NHE)を用いたパルスめっきが含まれる。かかる処理の間の温度は、例えば約20℃から約90℃までの範囲とすることができる。かかる処理は、かくはんを行ってまたは行わずに実行することができる。
【0081】
上述の処理条件内には、以下の印加が含まれる。すなわち、25mA/cm2の電流を約0.1秒、その後に約1mA/cm2の電流を約5秒、室温でかくはんせずに約25サイクル繰り返す。
【0082】
ルテニウム電着
約1g/lから約20g/lのRuCl3.xH2O、約1g/lから約10g/lのNaNO2、約40ml/lまでのNH4OH(28wt%)、および約40ml/lまでのHCl(38wt%)を含み、pHが約1から約9までの範囲であるめっき溶液を用いることができる。この溶液を約10分から約1時間、沸騰するまで加熱し、溶液を不透明な黒から澄んだオレンジ−茶色にすることができる。例えば、溶液は、約5.2g/lのRuCl3.xH2O、約5.2g/lのNaNO2、約8ml/lのNH4OH、および約4ml/lのHClを含み、pHは約2.3とすることができる。RuCl3.xH2Oに加えて、他のルテニウム塩を用いることも可能である。例えば、無水塩化ルテニウム、塩化ルテニウムニトロシル、硫酸ルテニウムニトロシル、および硝酸ルテニウムニトロシルである。更に、他の無機成分(臭化物、ヨウ化物、フッ化物、硫化物、硫酸塩、ホウ酸、ホウ酸塩、金属塩等)、有機添加物(界面活性剤または光沢剤)、あるいは応力緩和剤またはそれら全てを追加することができる。
【0083】
代替的な実施形態では、約0.001モル/リットルから約0.025モル/リットルのRuCl3、約1モル/リットルまでのHCl、および約1モル/リットルまでのH3BO3を含むめっき溶液を用いることができる。例えば、めっき溶液は、約0.02モル/リットルのRuCl3、0.05モル/リットルのHCl、および約0.4モル/リットルのH3BO3を含むことができる。RuCl3に加えて、他のルテニウム塩も用いることができる。例えば、無水塩化ルテニウム、塩化ルテニウムニトロシル、硫酸ルテニウムニトロシル、および硝酸ルテニウムニトロシルである。HClに加えて、他の無機塩化物も用いることができる。更に、他の無機成分(臭化物、ヨウ化物、フッ化物、硫化物、硫酸塩、ホウ酸、ホウ酸塩、および金属塩等)、および有機添加物(界面活性剤等)、あるいは応力緩和剤またはそれら全てを追加することも可能である。
【0084】
更に代替的な実施形態では、めっき溶液は、Enthone Inc.からの「Ruthenex」およびTechnic Inc.からの「Ruthenium U」として知られるめっき浴等、少なくとも1つの市販のルテニウムめっき浴を含むことができる。
【0085】
上述のめっき浴を用いた電気めっきプロセスでは、電流または電圧を印加するいくつかの方法のうち1つ以上を用いることができる。これらには、例えば、約3mA/cm2および約50mA/cm2間の一定電流または同等の電位(−2Vから−3V対NHEの電極電位)の印加、ならびに、約5mA/cm2および約250mA/cm2間の第1の電流を約20ミリ秒から約5秒、例えば約0.1秒等印加し、更に、0mAから約2mAまでの第2の電流を約0.1秒から約10秒用いるパルスめっきが含まれ、これには、約1サイクルから約500サイクルまで、例えば約25サイクル等の同等の電位(−2Vから−3.5V対NHE)を用いたパルスめっきが含まれる。かかる処理の間の温度は、例えば約20℃から約90℃までの範囲とすることができる。かかる処理は、かくはんを行ってまたは行わずに実行することができる。
【0086】
上述の処理条件内には、以下の印加が含まれる。すなわち、10mA/cm2の一定電流を約120秒、室温で約400rpmでかくはんしながら印加する。
【0087】
レニウム電着
約1g/lから約100g/lのNH4ReO4および約1ml/lから約250ml/lのHCl(38%)を含むめっき溶液を用いることができる。例えば、この溶液は、10g/lのNH4ReO4および約10ml/lのHCl(38%)を含み、pHは約1から約2とすることができる。NH4ReO4に加えて、他の過レニウム酸塩および無機レニウム塩を用いることができる。HClに加えて、他の塩化物を用いることも可能である。更に、他の無機成分(臭化物、ヨウ化物、フッ化物、硫化物、硫酸塩、ホウ酸、ホウ酸塩、金属塩等)、有機添加物(界面活性剤等)を追加することができる。
【0088】
上述のめっき浴を用いた電気めっきプロセスでは、電流または電圧を印加するいくつかの方法のうち1つ以上を用いることができる。これらには、例えば、約1mA/cm2および約50mA/cm2間の一定電流または同等の電位(n型には−2Vから−3V対NHEの電極電位、p型には−1.5から−5V)の印加、ならびに、約1mA/cm2および約250mA/cm2間の第1の電流を約20ミリ秒から約5秒、例えば約0.1秒等印加し、更に、0mA/cm2から約2mA/cm2または同等の電位(n型には−2Vから−3.5V対NHE、p型には−1.5から−5V対NHE)の第2の電流を約0.1秒から約10秒、約1から約500サイクル、例えば約25サイクル用いるパルスめっきが含まれる。かかる処理の間の温度は、例えば約20℃から約90℃までの範囲とすることができる。かかる処理は、かくはんを行ってまたは行わずに実行することができる。
【0089】
上述の処理条件内には、以下の印加が含まれる。すなわち、10mA/cm2の一定電流を約120秒、室温で約100rpmでかくはんしながら印加する。
【0090】
保護キャップまたは金属導体の電着などの他の場合、浴の組成は重要性が低く、明るい付着物のために添加物を用いることができる。例えば、めっきする材料が銅である場合、電解液は、任意に鉱酸を含む銅塩、および、任意に、水可溶化群(water solubilizing groups)を有する有機硫黄化合物、浴可溶性酸素含有化合物、浴可溶性ポリエステル化合物、または少なくとも1つの硫黄原子を含むことができる浴可溶性有機窒素化合物から成る群から選択される1つ以上の添加物を含むことができる。
【0091】
一般的に、絶縁層は、例えば、SiO2、SiN、およびSiC、およびそれらの組み合わせを含む、金属酸化物、金属窒化物、金属酸窒化物、金属炭化物、金属ホウ化物の単一の層、多層、あるいは混合層またはそれら全てを含むことができる。付着する誘電体は、例えば、金属酸化物、金属酸窒化物、金属酸化シリコン、金属シリケート、金属シリコン酸窒化物、金属ゲルマン酸、金属ゲルマニウム酸窒化物、および、上述の材料の合金、混合物、または多層から成る群から選択することができる。誘電体は、更に、基板界面において無金属の誘電体の界面層を含むことができる。上述の金属酸化物、金属酸窒化物、金属酸化シリコン、金属シリケート、金属シリコン酸窒化物、あるいは金属ゲルマン酸またはそれら全てにおいて用いることができる希土類金属を含む金属を、例えば、Al、Ba、Be、Bi、C、Ca、Ce、Co、Cr、Dy、Fe、Ga、Gd、Ge、Hf、In、La、Li、Mg、Mn、Mo、Nb、Ni、Pr、Si、Ta、Ti、V、W、Y、Zn、およびZr、ならびにこれの合金、混合物、および多層から成る群から選択することができる。
【0092】
ゲート酸化物の典型的な例は、SiO2、シリコン酸窒化物(SiON)、およびAl2O3を含む。高kゲート酸化物の典型的な例は、HfO2、HfSiO、Ta2O5、La2O5、ZrO2、およびY2O3を含む。更に、SiC等の真性および低ドーピングの広いバンドギャップの化合物半導体、ならびに、例えば、Cd、Zn、Sr、Se、S、およびTeから成る群から選択される元素を含むII−VI半導体を、絶縁体として用いることができる。
【0093】
基板材料は、導体材料、半導体材料、およびこれら2つを組み合わせた層を含むことができる。基板は、更に、連続している場合もあるしそうでない場合もある埋め込み絶縁層を含むことができる。導体基板材料の例は、金属、導電性金属酸化物、導電性金属硫化物、導電性金属リン化物、導電性金属ホウ化物、導電性金属窒化物、導電性金属シリサイド、導電性金属炭化物、導電性ポリマ、ならびにその合金、混合物、および多層を含み、この場合の金属は、Ag、Al、As、Au、Cd、Co、Cu、Hf、Ir、Ga、Ge、Fe、In、Mo、Nb、Ni、P、Pb、Pd、Pt、Ru、Re、Rh、Se、Si、Sb、Sn、Ta、Ti、W、V、Zn、およびZrから成る群から選択される。導体基板は、更に、ポリアニリン(polyanyline)およびポリ(3、4−エチレンジオキシチオフェン/ポリ(ステレンスルホン酸(sterenesulfonate))等の導電性ポリマから選択することができる。
【0094】
半導体基板材料の例には、例えばSi、Ge、およびその組み合わせ、およびCを含むその組み合わせ等、ドーピングされたおよびドーピングされていないIV群の半導体が含まれる。更に、半導体基板材料は、Ga、As、P、Sb、In、Se、およびAlを含むドーピングされたおよびドーピングされていない2成分、3成分、および4成分の半導体を含むことができる。例えば、GaAs;Cd、Zn、Te、Se、およびSを含むドーピングされていないII−VI半導体;TiO2およびZnO等のドーピングされたおよびドーピングされていない酸化物半導体;CuおよびSr系の半導体;ポリアセチレン、ポリ(ジアルコキシp−フェニレン−ビニレン、ポリ(ジアルキルフロレン)およびそれらの誘導体等の半導体またはエレクトロルミネッセント・ポリマ;半導体多層および混合層;シリコン・オン・インシュレータ(SOI)、歪みシリコン・オン・インシュレータ(SSOI)、ゲルマニウム・オン・インシュレータ(GOI)、およびシリコン・ゲルマニウム・オン・インシュレータ(SGOI)の組み合わせ等の絶縁体上半導体である。
【0095】
本発明の範囲内に該当するプロセスに従ってめっきすることができる金属は、例えば、Ru、Re、Ni、Pd、Co、Tc、Pt、Rh、Cr、Mn、これらの合金、混合物、および多層から成る群から選択されるものを含むことができる。めっきすることができる他の金属は、例えば、Os、Ir、Sb、Bi、Sn、In、Fe、Zn、Cd、Se、Te、Cu、Ag、Au、Pb、これらの合金、混合物、および多層、ならびに、上述の金属のいずれかとAl、Mg、W、V、Ti、Ta、Mo、Ce、Ga、Gd、Hf、Zr、La、Y、Sr、Tl、Eu、Dy、Ho、Nbとの合金、混合物、および多層から成る群から選択されるものを含むことができる。更に、上述の金属のいずれかの酸化物、硫化物、リン化物、およびホウ化物、ならびに、上述の金属のいずれかとSi、C、Ge、As、O、P、S、あるいはBまたはそれら全てとの合金、混合物、または多層を用いることも可能である。
【0096】
めっきすることができる金属には、更に、SiおよびGe等の元素半導体が含まれる。これには、C、H、あるいはFまたはそれら全て、その合金、混合物、および多層を含むことができる。更に、めっきすることができる金属は、ZnOおよびTiO2等の半導体酸化物、InAs、InP、InSb、およびGaS等のIII−V半導体、CdSe,CdS、CdTe、ZnS、ZnSe、ZnTe等のii−VI半導体、上述の組み合わせおよびCu、Sr、Baを用いたもの、およびその合金、混合物、および多層の4成分半導体化合物を含む。更に、めっきすることができる材料は、導電性酸化物であって、その金属がCd、Sn、Ga、In、Cu、Ru、Re、およびPb、その合金、混合物、および多層から成る群から選択されるもの、例えばポリピロールおよびポリアニリンのような導体ポリマ、半導体ポリマ、ならびにバイオミネラル(biomineral)を含む。
【0097】
めっきすることができる材料の最終的な厚さは、限定ではないが、例えば約1nmから約100ミクロンまでの範囲とすることができ、例えば約10nmから約1ミクロンであり、約10nmから約50nmまでを含む。基板の厚さは、例えば約1cmから約0.1ミクロンの範囲とすることができ、例えば約1nmから約300μmである。ゲート酸化物の厚さは、例えば約1nmから約20nmの範囲とすることができ、例えば約2nmから約4nmまでである。
【0098】
付着するめっき材料の量は、めっき時間の関数であり、図14から図17に示すように、ゲート開口は、部分的に、完全に、または過剰に充填することができる。例えば、典型的なめっき時間は約0.1秒から約3時間までの範囲とすることができ、例えば約10秒から約30分までであり、約10秒から約2分までを含む。完全なゲート・スタックの形成は、例えばPVD、ALD、およびCVD等の他の付着技法と組み合わせることができる。例えば、本発明の方法に従った誘電体貫通めっきによって誘電体の上に第1の金属層を形成してゲート電極の下部を形成し、その後に第2の層を付着してゲート電極の上部を形成することができる。第2の層は、電着、物理気相付着、化学気相付着等によって付着することができ、任意に下にある金属と合金化するか、あるいはこれに加えてアニーリングを行って最終的なゲート電極を形成することができる。例えば、かかるプロセスにおいて使用可能な材料は、純粋な金属または金属合金の1つ以上の層、金属または金属合金シリサイド、金属または金属合金ゲルマナイド(germanide)、または金属含有導電性酸化物もしくは窒化物を含むことができ、これらの層の少なくとも1つはデバイスのゲート誘電体に接触している。金属および金属合金元素は、例えば、Al、Co、Cr、Fe、Ir、Hf、Mg、Mo、Mn、Ni、Pd、Pt、Ri、La、Os、Nb、Rh、Re、Ru、Sn、Ta、Ti、V、W、Y、およびZr、その合金、混合物、および多層から成る群から選択することができる。また、これらの層は、非金属元素によってドーピングすることも可能である。金属および合金元素は、例えば、化学気相付着(CVD)、金属有機CVD(MOCVD:metalorganic CVD)、またはスパッタリング等、当技術分野において周知のいずれかの方法によって付着することができる。この点に関して、例えばSi等の半導体のゲート誘電体上への付着は、高温ステップを行う必要なく制御することができる(CVDとは対照的である)。従って、本発明の範囲内に該当する方法を用いて、ゲート付着の前およびゲート付着中に界面技術の全く新しい方法を作り出すことができる。かかるプロセスは、例えば、界面Hf−Si結合形成を防ぐのに役立てることができ、または、付着中にSiをその場でドーピングすることを可能にし、これによってポリシリコン空乏を低減することができる。
【0099】
上述のことに従って、n型およびp型のSi/SiON/HfO2の表面全体の膜上にNiを付着することにより、ゲート誘電体上の表面全体を覆う金属付着の一例を用意した。図37に、結果として得られた表面全体のSi/SiON/HfO2/Ni MOSキャパシタの電流−電圧特性を示す。典型的なダイオード型の電流−電圧曲線またはショットキ・タイプの挙動が観察された。
【0100】
記載した実施形態に従って、高k/SiON/Siおよび高k/SiO2/Siスタック上に、1マイクロメートル四方から400マイクロメートル四方までの範囲の開口を有する厚いSiO2マスクを用いて、パターニング試験構造においてReおよびRu金属を電着することによって、パターニングしたMOS構造を製造するための選択的な電着の例を用意した。高k材料はHfO2およびHfSiOであり、3nmおよび4nmの厚さで、MOCVDによって用意した。SiONまたはシリコン酸窒化物を急速熱酸化によって用意し、SiO2は化学酸化物であった。双方とも厚さは1nmであった。
【0101】
図38および図39は、n型およびp型のSi基板について過レニウム酸アンモニウムの濃度が変化する溶液を用いて製造した100マイクロメートル四方のMOS試験構造において測定したReゲートのキャパシタンス−電圧特性の典型的な例を示す。n型基板では、Reは定電流で付着された(10mA/cm2で120秒、100rpm、室温)。p型基板では、Reは、白色照明のもとで定電位で付着された(−3V対SCE、21V/150Wハロゲン光、100rpm)。これらの例は、異なる基板について金属ゲートの電気的特性を調整するため、ゲート・スタック貫通電着技法の例外的な機能を示す。
【0102】
図40は、n−Si/SiON(1nm)/HfO2(4nm)上で、RuCl3系の溶液からの定電流電着(10mA/cm2で120秒、400rpm)によって製造し、異なる条件のもとでアニーリングした100マイクロメートル四方のMOS試験構造において測定したRuゲートのキャパシタンス−電圧特性の典型的な例を示す。これらの例は、ゲート・スタック貫通電流によって電着した金属ゲートの熱処理後の安定したp−FET特性を示す。
【0103】
本発明の範囲内に該当するプロセスは、更に、酸化物または絶縁体の全てまたは一部を選択的に除去するための電解研磨、電気化学エッチングまたは電気エッチングを含む場合がある。かかるプロセスの具体的な用途は、マスクの使用または、eビームもしくはイオン・ビームによって書き込まれた損傷トラック・パターンによる、浅いトレンチ・パターンのエッチングを含むことができる。更に、電気エッチング・プロセスは、多孔Si等の多孔膜の形成を含むことができる。
【0104】
本発明の範囲内に該当する電気化学プロセスは、更に、陽極酸化等の電気化学陽極処理を含むことができ、この場合、酸化物層の厚さは選択的に増大させることができるか、または、第1の酸化物層の上に少なくとも1つの追加の酸化物層を付着することができる。かかる方法では、通常、マスク酸化物層は所望の最終的な酸化物よりも厚くなければならないか、または、成長させる酸化物の導電性は周囲の誘電体の導電性よりも充分に低くなければならない。
【0105】
上述のことに加えて、本発明の範囲内に該当する電気化学プロセスは、酸化物絶縁体の電気化学的な変更を含むことができる。かかるプロセスには、例えば、Cl、Br、およびI等のハロゲンを組み込むことにより、あるいは、N、C、P、Oや、Hf、Zr、Al、あるいはTiまたはそれら全て等の金属を含む他の元素または材料、ならびにSiおよびGe等の半導体として機能することができる材料を組み込むことによって、またはそれら両方によって、絶縁体の表面化学成分を変更することが必要な場合がある。これらの材料は、絶縁体の表面またはゲート誘電体の大部分に組み込むことができる。かかる電気化学的な変更のプロセスは、例えば以下のものを含むことができる。
(1)トラップまたは界面状態等、構造的または電気的な欠陥状態の集中を低減させるための、ゲート誘電体の陽極酸化または窒化。
(2)界面の金属−シリコン結合の形成を最小限に抑えるための、Siゲート電極の付着前の、HfO2等の金属含有ゲート誘電体の陽極酸化または窒化(かかる結合は、ポリシリコン・ゲートを有するHf系の誘電体を含むpFETにおいて「Vtシフト問題」を起こすことが示されている。この場合、閾値電圧がSiO2系デバイスについて常に約0.6V以上負であることがわかっている。Hobbs等のVLSI 2003Digest、9ページを参照のこと)。
(3)熱安定性を高め、酸素拡散およびホウ素浸透を高効率で抑えて誘電体を形成するための、ゲート誘電体膜内への窒素の組み込み(かかる高い安定性は、ソース/ドレイン活性化等、デバイスの熱処理中にゲート・スタックの構造的変化を防ぐために重要であると考えられる)。
(4)空位形成の熱力学を変更し、これによって電気的欠陥の集中を最小限に抑えるための、誘電体内へのS、Se、およびCl等の元素の組み込み。
(5)例えばポテンシャル・プログラムの正しい選択によって界面状態の集中を低減させるための、誘電体−基板界面におけるダングリング・ボンドの水素化。
(6)高誘電率、高バンド・ギャップ、または高熱安定性等のいっそう望ましい特性を有する誘電体を形成するための、ゲート誘電体膜内への金属または半導体の組み込み。
(7)ゲート誘電体スタックの一部を形成するために後で酸化または窒化される、誘電体上の薄い金属または半導体膜の形成。
(8)後に形成される導体ゲートの仕事関数および閾値電圧を変更するための、誘電体表面上のB、Al、In、As、またはSb等のドーパント元素の吸収。
【0106】
本発明について例示的に記載したが、用いた用語は、限定ではなく記述または説明のために意図されることは理解されよう。更に、本発明についていくつかの例示的な実施形態に関連付けて説明したが、当業者によってこれらの教示が本発明の他の可能な変形に容易に応用されることは認められよう。
【図面の簡単な説明】
【0107】
【図1】半導体基板における伝導帯および価電子帯の電子構成ならびにオキシダント含有溶液の概略図を、電子状態の密度のガウス分布によって示す。
【図2】半導体基板における伝導帯および価電子帯の電子構成ならびにオキシダント含有溶液の概略図を、電子状態の密度のガウス分布によって示す。
【図3】半導体基板における伝導帯および価電子帯の電子構成ならびにオキシダント含有溶液の概略図を、電子状態の密度のガウス分布によって示す。
【図4】ゲート誘電体貫通電流を用いた表面全体の電着の概略を断面図で示す。
【図5】ゲート誘電体貫通電流を用いた表面全体の電着の概略を断面図で示す。
【図6】絶縁マスクを用いたスルー・マスクめっきの概略を断面図で示す。
【図7】絶縁マスクを用いたスルー・マスクめっきの概略を断面図で示す。
【図8】絶縁マスクを用いたスルー・マスクめっきの概略を断面図で示す。
【図9】絶縁マスクを用いたスルー・マスクめっきの概略を断面図で示す。
【図10】絶縁マスクの上にゲート酸化物を付着したスルー・マスクめっきの概略を断面図で示す。
【図11】絶縁マスクの上にゲート酸化物を付着したスルー・マスクめっきの概略を断面図で示す。
【図12】絶縁マスクの上にゲート酸化物を付着したスルー・マスクめっきの概略を断面図で示す。
【図13】絶縁マスクの上にゲート酸化物を付着したスルー・マスクめっきの概略を断面図で示す。
【図14】スルー・マスクめっきのための代替的な一体型の機構を断面図で示す。
【図15】スルー・マスクめっきのための代替的な一体型の機構を断面図で示す。
【図16】スルー・マスクめっきのための代替的な一体型の機構を断面図で示す。
【図17】スルー・マスクめっきのための代替的な一体型の機構を断面図で示す。
【図18】マスクを用いない選択的なめっきのための代替的な一体型の機構を断面図で示す。
【図19】マスクを用いない選択的なめっきのための代替的な一体型の機構を断面図で示す。
【図20】負の電位へ向かう動電位スキャン中に得られた電流−電圧曲線を示す。
【図21】投射粒子ビームによって損傷を受けたパターニング領域の薄い誘電体上に金属を選択的にめっきするための機構を断面図で示す。
【図22】投射粒子ビームによって損傷を受けたパターニング領域の薄い誘電体上に金属を選択的にめっきするための機構を断面図で示す。
【図23】投射粒子ビームによって損傷を受けたパターニング領域を選択的にエッチングするための機構を断面図で示す。
【図24】投射粒子ビームによって損傷を受けたパターニング領域を選択的にエッチングするための機構を断面図で示す。
【図25】暗所および白色光照明のもとでの硫酸ニッケル溶液中のn型およびp型Si/SiO2(1nm)/HfO2(3nm)についての電流−電圧特性を示す。
【図26】硫酸ニッケル系、塩化ルテニウム系、および過レニウム酸系の溶液中で、負の電位へ向かう動電位スキャン(順方向スキャン)の間、および、正の電位へ向かってスキャン方向を逆転させた(逆方向スキャン)後の、n型Si/SiO2(1nm)/HfO2(3nm)についての電流−電圧曲線を示す。
【図27】硫酸ニッケル系、塩化ルテニウム系、および過レニウム酸系の溶液中で、負の電位へ向かう動電位スキャン(順方向スキャン)の間、および、正の電位へ向かってスキャン方向を逆転させた(逆方向スキャン)後の、照明のもとでのp型Si/SiO2(1nm)/HfO2(3nm)についての電流−電圧曲線を示す。
【図28】電位または電流を印加しながらマスクを介して基板を照明することによって、表面全体を覆うゲート電極上の金属パターンの選択的な光電着の概略を断面図で示す。
【図29】電位または電流を印加しながらマスクを介して基板を照明することによって、表面全体を覆うゲート電極上の金属パターンの選択的な光電着の概略を断面図で示す。
【図30】AFMまたはSTMチップのもとでの選択的なめっきの概略を断面図で示す。
【図31】AFMまたはSTMチップのもとでの選択的なめっきの概略を断面図で示す。
【図32】HfO2(3nm)高k誘電体上に選択的にめっきした電着Ru/Ni二重構造の集束イオン・ビーム(FIB)画像を示す。
【図33】HfO2(3nm)高k誘電体上に選択的にめっきした電着Ru/Ni二重構造の集束イオン・ビーム(FIB)画像を示す。
【図34】電気化学的バック・コンタクトを用いて薄いゲート状誘電体に電気化学処理を行うための機構の概略を断面図で示す。
【図35】ゲート酸化物を露出させる絶縁マスク、トランジスタを分離する浅いトレンチ分離すなわちSTI、ならびにソースおよびドレイン領域を有する金属ゲート・トランジスタの製造のための構造を断面図で示す。
【図36】ゲート酸化物を露出させる絶縁マスク、トランジスタを分離する浅いトレンチ分離すなわちSTI、ならびにソースおよびドレイン領域を有する金属ゲート・トランジスタの製造のための構造を断面図で示す。
【図37】0.1モル/リットルのNiSO4+0.25モル/リットルのH3BO3中でn型およびp型のSi/RTNO(1nm)/HfO2(3nm)上にNi電着により用意した表面全体を覆うNi/HfO2/SiON/Si金属キャパシタ構造の電流−電圧(I−V)特性を示す。
【図38】n型Si/SiON(1nm)/HfO2(4nm)基板について、濃度が1から54グラム/リットルの範囲である過レニウム酸アンモニウム(NH4ReO4)のReめっき溶液から定電流付着(10mA/cm2で120秒)によって製造し、後に形成ガス中において550℃で30分アニーリングした電着pFET Re/HfO2/SiON/Si MOS試験構造(100マイクロメートル四方)のキャパシタンス−電圧(CP−V)特性を示す。
【図39】p型Si/SiO2(1nm)/HfO2(3nm)基板について、濃度が1から54グラム/リットルの範囲である過レニウム酸アンモニウム(NH4ReO4)のReめっき溶液から定電流付着(10mA/cm2で120秒)によって製造し、後に形成ガス中において550℃で30分アニーリングした電着pFET Re/HfO2/SiON/Si MOS試験構造(100マイクロメートル四方)のキャパシタンス−電圧(CP−V)特性を示す。
【図40】RuCl3系のめっき溶液から定電流付着(10mA/cm2で120秒)によって製造し、後に窒素ガス中において(異なる温度で5分間のRTA)および形成ガス中において(550℃で30分)アニーリングした電着pFET Ru/HfO2/SiON/Si MOS試験構造(100マイクロメートル四方)のキャパシタンス−電圧(CP−V)特性を示す。
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゲート電極を形成するためのゲート誘電体の電気めっきに関する。一般的には、本発明は、少なくとも1つの誘電層に電流が流れるように実施される、電着、電気エッチング(electroetching)、あるいは電気変更(electromodification)またはそれら全ての電気化学プロセスに関する。
【背景技術】
【0002】
不動態酸化物形成および電気エッチングの技術において、金属および半導体上の酸化物の電気化学処理は周知である。基板上の不動態自然酸化物(native oxide)の形成は、自己限定的な傾向がある。なぜなら、このプロセスは、電気化学的に形成された酸化物が電流を妨げるのに充分な厚さになると停止するからである。プロセス条件を正しく制御することによって、良好なコーティングを得ることができる。この点に関しては、例えば、Birss等の米国公開出願第2002/0104761 A1を参照のこと。この開示は、引用によりその全体が本願に含まれるものとする。
【0003】
電気化学陽極処理および従来の酸化物形成技法を組み合わせて、p型Siの上に信頼性の高いSiO2ゲート酸化物を形成することが、W−J.Lia等によって、J. Electrochem. Soc.151(9)G549〜G553(2004年)に示されている。この開示は、引用によりその全体が本願に含まれるものとする。希土類金属の塩を含む有機および水成電解質から、希土酸化物が基板上に直接付着される。例えば、Y.Matsuda等は、YCl3およびEuCl3塩を添加したジメチルホルムアミド(DMF)を用いて、導電性SnO2基板上に、Y2O3およびY2O3:Eu(III)を電着させた。これは、Journal of Alloys andCompounds、193、277〜279(1993年)に記載されている。この開示は、引用によりその全体が本願に含まれるものとする。更に、M.A.Petit等は、K3IrCl6、シュウ酸、および炭酸カリウムの水溶液から、SnO2基板上に導電性酸化イリジウム膜を電着させた。これは、Electroanal. Chem.444、247〜252(1998年)に記載されている。この開示は、引用によりその全体が本願に含まれるものとする。
【0004】
ゲート酸化物を電気化学的に変更するための従来技術の手法が、Hwu等の米国特許第6,352,939号に記載されている。この開示は、引用によりその全体が本願に含まれるものとする。この手法においては、低レベルの電流(0.1〜10μA/cm2)を、Si(基板)/ゲート酸化物/電解質構造におけるゲート誘電体を通って、水成電解質溶液中の金属板へ向かうように流す。次いで、誘電体の厚さ全体での結合の破壊を、後処理アニーリングによって修復する。SiO2、Si3N4、およびTa2O5について、誘電特性の改善が報告された。しかしながら、用いた非反応溶液化学成分(希釈水成HF)では、化学的な変更(すなわち誘電体に存在しない新しい元素の導入)は予想されず、処理は誘電体の表面でなくその大部分の変更を対象とする。
【0005】
半導体を製造するためおよび誘電体上に金属構造を製造するための電着の技術において、電着される金属は、ほぼ必ず、電着以外の方法(例えば物理気相付着(PVD)、化学気相付着(CVD)等)によって基板上に形成された金属シードまたはめっきベース層上に付着される。電着を駆動する電流の主な経路は、シード層の縁部に設けられたコンタクトからシード層を通る横方向である。基板自体およびそれに含まれるいずれかの誘電体層を通る電流は、通常、完全に無視することができる。シード層の上に直接付着した絶縁マスキング層の開口を通してめっきを行うスルー・マスク(through-mask)めっき技法を用いることによって、シード層の選択した領域にめっきを制限することができる。
【特許文献1】米国公開出願第2002/0104761 A1
【特許文献2】米国特許第6,352,939号
【特許文献3】米国特許出願第10/694,793号
【非特許文献1】W−J.Lia等のJ. Electrochem. Soc.151(9)G549〜G553(2004年)
【非特許文献2】Y.Matsuda等のJournal of Alloys andCompounds、193、277〜279(1993年)
【非特許文献3】M.A.Petit等のElectroanal. Chem.444、247〜252(1998年)
【非特許文献4】A.De Vrieze等のPhys. Chem. Chem. Phys.、3、5297〜5303(2001年)
【非特許文献5】P.M.Vereecken等のAppl. Phys. Lett.、75、3135(1999年)
【非特許文献6】K.Strubbe等のJ. Electrochem. Soc.146、1412(1999年)
【非特許文献7】P.M.Vereecken等のJ. Chem. Soc. FaradayTrans.、92、4069(1996年)
【非特許文献8】Hobbs等のVLSI 2003 Digest、9ページ
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
高性能のCMOSデバイスは、高kゲート誘電体および金属ゲートをますます多く組み込むようになると予想することができる。金属ゲートの製造において、従来の手法はサブトラクティブである。すなわち、金属ゲート材料は表面全体を覆う層として適用され、次いでこれが必要でない領域から選択的に除去する。上述の電着手法は、「Field Effect Transistor with Electroplated Metal Gate」と題する米国特許出願第10/694,793号において、電界効果トランジスタのための金属ゲートを形成する付加的な方法として記載されている。この開示は、引用によりその全体が本願に含まれるものとする。表面全体の導電性シード層にスルー・マスクめっきを行うことによって、所望のゲート領域上に選択的に金属ゲートを付着することができる。このシード層は通常、めっきプロセスの後にマスキングされた領域から除去される。この従来技術は、更に、n−FETおよびp−FETデバイスのゲートが異なる仕事関数を有し、異なる金属を含むことを開示する。これは、この付加的なスルー・マスクめっき手法を2度以上行わなければならないことを意味する。
【0007】
従って、シード層を必要とせずに、ゲート誘電体上に直接ゲート金属をめっきする方法を提供することができれば望ましい。また、第1のマスク開口サブセットに第1の材料を選択的にめっきし、次いで第2のマスク開口サブセットに第2の材料を選択的にめっきすることができ、第1および第2のマスク開口サブセット間でゲート誘電体下の半導体材料のドーピングが異なるスルー・マスクめっき方法があれば望ましい。更に、ゲート材料の特性を表面変更によって変質または微調整することができるゲート誘電体界面技術の方法があれば望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、ゲート誘電体上にゲート金属または他の導体材料または半導体材料を電着するための方法に関する。この方法は、基板、誘電体の層、および電解液または溶融物を選択することを含み、基板、誘電体層、および電解液または溶融物の組み合わせによって、基板から誘電体層を介して電解液または溶融物へと電気化学電流を流すことができる。この方法は、更に、基板および誘電体層の少なくとも1つに対して少なくとも1つの電気コンタクトを設けること、電解液または溶融物と接触した少なくとも1つの補助電極を設けること、および、誘電体層の上にゲート金属または導体材料または半導体材料を電気めっきすることを含む。更に、本発明は、上述の方法に従って誘電体層上に電気めっきされたゲート金属または他の導体材料または半導体材料を含むゲート電極に関する。
【0009】
本発明は、誘電体の厚みを貫通する電流を用いることによって、少なくとも1つの誘電層を含む誘電体上に直接金属を形成するための電着方法を提供する。更に一般的には、本発明は、合金、半導体、導電性酸化物、複合物、導電性ポリマあるいは半導体ポリマまたはそれら両方等、金属または他のめっき可能な材料を絶縁層上に形成するための方法を提供する。
【0010】
本発明の第1の態様において、電着は非選択的であり、導体または半導体の基板上に配置した誘電体層の表面上で比較的均一である。基板は平面状とすることができ、または、非平面状になる何らかのトポロジを有する場合もある。
【0011】
本発明の第2の態様において、電着は空間的に選択性がある。選択的な付着は、
選択した領域において誘電体の厚さを増すまたは減じることによって(電流に対して抵抗が低い薄い誘電体領域上で電着が選択的に行われるという事実を利用する)、
例えば、誘電体に損傷を与えること、これを他の材料と反応させること、またはこれを他の誘電体と置換することあるいは他の誘電体によって増強することまたはそれら両方を行うことによって、選択した領域において誘電体材料を変更して電流に対する抵抗を大きくまたは小さくすることによって、あるいは
選択した基板領域をドーピングして、これらの基板領域上で誘電体に電着が行われる(または行われない)ようにすると共に、そのようにドーピングしない基板領域上では電着が行われない(または行われる)ようにすることによって、
またはこれら全てによって達成可能である。
【0012】
前記少なくとも1つの誘電体が、電気化学的な処理が必要とされる少なくとも1つの第1の領域において第1の合計厚さを有し、電気化学的な処理が必要とされない少なくとも1つの第2の領域において第2の合計厚さを有するようにすることによって、誘電体の厚さによって引き起こされる選択性を生じさせることができる。
【0013】
電気化学処理が必要とされる第1のキャリア・タイプおよび密度を有する少なくとも第1の基板領域、および、電気化学処理が必要とされない第2のキャリア・タイプおよび密度を有する少なくとも1つの第2の基板領域を有する基板を選択することによって、ドーパントによって引き起こされる選択性を生じさせることができる。
【0014】
電気化学処理が必要とされる第1の組成を有する少なくとも1つの第1の基板領域、および、電気化学処理が必要とされない第2の組成を有する少なくとも1つの第2の基板領域を有する基板を選択することによって、組成によって引き起こされる選択性を生じさせることができる。
【0015】
上述の選択的な付着を引き起こす方法は、めっき電位の適切な変動によって、および光等の他の外的なめっきを可能とするものを導入することによって、強化することあるいは可能とすることまたはその双方とすることができる。
【0016】
本発明の第3の態様において、仕事関数の制御、厚さの規定、および熱安定性について、ゲート誘電体の表面変更のための電気化学的方法を提供する。表面変更は、空間的に選択性があるかまたは非選択的とすることができる。
【0017】
本発明の第4の態様において、誘電体貫通電流によって薄い誘電体を電気エッチングするため、あるいは薄い誘電体上に追加の絶縁膜を電着するため、またはその両方のための電気化学的な方法を提供する。電気エッチングあるいは電着またはその両方は、空間的に選択性があるかまたは非選択的とすることができる。
【0018】
本発明の第5の態様は、本発明の方法によって生成される構造を提供する。具体的には、本発明は、ゲート誘電体上に直接電着によって形成した金属ゲートを含むFETデバイスを提供する。
【0019】
本発明のこれらおよび他の特徴は、本発明の以下の詳細な説明を図面と関連付けて読んで検討すれば明らかとなろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
絶縁性材料または絶縁体の電気化学処理を行うことができるのは、典型的に金属または半導体上の薄い酸化物コーティングである絶縁体が電流に対していくらかのコンダクタンスを有する場合である。薄いコーティングでは、電子トンネリングが電気化学処理のために利用可能な誘電体の導電性即ち電流漏れの主な機構となり得る。また、欠陥は、絶縁体のバンドギャップにおいて多くの電子状態を提供することができ、高密度のギャップ状態では、これらは電流のための可能な経路を形成することができる。また、酸化物の価電子帯または伝導帯を直接通る電荷転送によって、コンダクタンスが与えられる。後者のケースは、TiO2、ZnO、およびTa2O5等の半導体酸化物、ならびにいずれかのn型の広いバンドギャップの半導体と共に機能する場合は重要になる。
【0021】
電気めっきは一般的に溶液中で行われるので、酸化物/電解質界面における電気化学電流の可能性は、いくつかのファクタに依存する。これらのファクタには、酸化物およびその下にある半導体基板の価電子帯端および伝導帯端に対する電解質の電子状態のエネルギ位置および密度が含まれる。電流が発生するか否かは、これらのファクタに鑑みて、界面の両側に同一のエネルギが存在する場合には界面における電荷転送は充填電子状態と空の電子状態との間で生じるという原理に依存する。
【0022】
図1に、この原理を概略的に示す。溶液中の空のオキシダント(oxidant)状態が半導体の伝導帯の電子状態と重複する場合(図1)、オキシダントの電界還元は、nドープ基板(伝導帯電子が利用可能である)において可能であるが、pドープ基板(暗所では伝導帯電子は利用可能でない)においては可能でない。後者は照明によって活性化されて、伝導帯に光電子を生成可能であることに留意すべきである。しかしながら、オキシダント状態のガウス分布が半導体のバンドギャップのエネルギに対応する場合、電荷転送は可能でなく、この特定の基板においてオキシダントは不活性であると予想することができる(図2)。最後に、溶液中のオキシダント状態が半導体の価電子帯と重複する場合、nドープ基板およびpドープ基板の双方について電荷転送が可能である(図3)。しかしながら、酸化物が存在すると、価電子帯を通る電荷転送が妨げられる場合がある。要約すると、絶縁体および半導体基板の電子構造を、溶液中の酸化還元電解質の電子構造と組み合わせると、一般に、ある電荷転送の組み合わせのみが可能となる。
【0023】
図4および図5は、本発明の範囲内に該当するコンタクト機構を示す。シリコン等の1つ以上の基板層3、4(導体または半導体)の上に、薄いゲート酸化物等の誘電体層(絶縁層または絶縁体とも称する)2が配置されている。下にある導体または半導体基板の少なくとも1つに対して、ウェハの裏側に対するバック・コンタクト等、電気コンタクト5が形成されている。絶縁層2が半導体であり(例えばn−ZnO、n−TiO2、またはn−Ta2O5のような広いバンドギャップ半導体)、これに対するオーム接触機構が既知である場合、この絶縁層に対して直接に電気コンタクトを形成することができる。この層に電解液または溶融物1が接しており、ウェハの表側は完全に浸されているか、または処理が望まれる領域のみ浸されている。この層を有する構造が一方の電極として機能し、第2の補助電極6は電解液または溶融物中に挿入されている。図4の(半)導体基板4および絶縁層2は平面状に示すが、基板4は何らかのトポグラフィ(topography)を有する場合があり、絶縁層2はコンフォーマルな(conformal)コーティングである場合があることに留意すべきである。
【0024】
電気化学処理のために、電源7および電気リード8を介して双方の電極間に、電気バイアス、電圧、または電流を印加する。所望の場合、例えば、いわゆる基準電極のような一定の電気化学電位を有する第3の電極を導入することによって、構造/電解質または構造/溶融物界面の電気化学電位をいっそう正確に制御することができる。基準電極の例には、飽和カロメル電極(SCE:saturated calomel electrode)および銀−塩化銀(Ag/AgCl)基準電極が含まれる。図5は、構造/電解質または構造/溶融物界面に、すなわち誘電体または絶縁層2の上に直接形成しためっき金属膜9を示す。
【0025】
電子転送プロセスの著しい抵抗性の性質のために、電気化学処理は、最も導電性の高い領域で優先的に行われると予想することができる。電流は最も抵抗の低い経路を通るからである。この点で、絶縁体を通る電流転送による直接電気化学処理は、極めて選択性の高いプロセスとして記述することができる。いくつかのファクタまたはパラメータによって選択性を決定することができ、それらには、絶縁体の厚さ、絶縁体の種類、下にある基板、電解液、物理的な遮蔽、光、および他の外的な手段が含まれる。これらのパラメータまたはファクタの各々について、以下で論じる。
【0026】
絶縁体の厚さ
電流は、薄い酸化物または絶縁体の領域を優先的に通る。例えば、SiO2等の厚い誘電マスクに囲まれたHfO2等の薄いゲート誘電体の場合、図6から図13に示すように、薄いゲート誘電体上で優先的に直接めっきが行われる。
【0027】
図6から図9は、図4において説明したものと同様の構成を用い、図6に示すように誘電体2の上に絶縁マスク10を追加した、スルー・マスクめっきの概略を断面図で示す。図7に結果として得られた構造に示すように、マスク開口の内部で露出したゲート誘電体上でのみめっきが行われると予想することができる。図8に示すように、マスク10を除去した後、ゲート誘電体の上にパターニングされた金属構造が得られる。図9に示すように、誘電体を選択的にエッチングすることによって、パターニングされた金属ゲート構造が得られる。
【0028】
図10から図13は、図6において説明したものと同様の構成を用いたスルー・マスクめっきの代替的な概略を断面図で示す。この場合、ゲート酸化物は絶縁マスクの上に付着されている。図10は電気化学金属付着のための構成を示す。図11は金属めっきの後の構造を示す。フィールドのゲート誘電体と共に絶縁マスクを除去することによって、図12に示すパターニングした金属ゲート構造が得られる。必要な場合、電気コンタクト層5も除去して、図13に示すパターニングした構造を残すことができる。
【0029】
図6から図13に示す双方のケースにおいては、ゲート誘電体がマスクの下にあるか上にあるかには関わらず、電流は、厚い誘電マスクが存在しない領域において薄いゲート誘電体を通る。この点に関して、図14から図17を参照すると、図6から図13において説明したものと同様の構成を用いたスルー・マスクめっきの代替的な一体型の機構が示されている。この場合、同一の誘電体層2が厚い領域2’および薄い領域2のパターンを有する。図14は電気化学金属付着のための構成を示す。必要な金属は薄い領域で選択的に電着されると考えられ、この結果、図15〜図17に示すような構造が得られる。部分的に充填された金属(図15)、完全に充填された金属(図16)、過度に充填された金属(図17)が図示されている。
【0030】
絶縁体の種類
異なる誘電定数または電子構造を有する異なる酸化物または絶縁体によって、電流に対する抵抗が低い酸化物または絶縁体に優先的に電流を通すことができる。この点に関して、図18および図19を参照すると、図4において説明したものと同様の構成を用いた、マスクを使用しない選択的なめっきのための一体型の機構が示されている。この場合、誘電体は、ゲート誘電体2よりも電流に対する抵抗が高い領域11を有する。これは、例えば、表面全体を覆う薄い誘電体層の一部領域を化学的に変更することによって得ることができる。あるいは、2つの異なる誘電体材料(例えばHfO2およびSiO2)を同一の厚さで配置することができる。めっきは、溶液中の電流に対して抵抗が低い領域で行われると考えることができる。
【0031】
この点に関して、図20を参照すると、n−Si/SiON(1nm)/HfO2(3nm)およびn−Si/SiO2(4nm)のためのルテニウムめっき浴における電流−電圧曲線を示す。図20において、電流密度iは1平方センチメートル当たりのミリアンペア(mA/cm2)で、電極電位Uは電圧対標準水素電極(NHE:Normal Hydrogen Electrode)で与えられている。スキャン・レートは毎秒50ミリボルトであり、電極回転率は400rpmであった。
【0032】
図20に示すように、SiON/HfO2ゲート酸化物スタック上のRu電着は−2Vで開始し、一方、同じ公称厚さ4nmのSiO2層上のRu電着は−2.5Vで開始する。すなわち、電着はSiON/HfO2スタック上で優先的に行われる。
【0033】
酸化物の電気コンダクタンスは、一般的に、欠陥および不純物の存在と相関している。従って、表面全体を覆う酸化物の一部領域に意図的に損傷を与えるかまたは注入を行って導電性を高め、それらの領域で優先的に電気化学処理を行うことができる。例えば、図21〜図24は、イオンまたは電子ビーム(「eビーム」)によってイオン注入または損傷を与えた後の、絶縁膜の一部領域の選択的なめっきおよびエッチングを示す。具体的には、図21および図22は、図4において説明したものと同様の構成を示す。これは、eビームおよびイオン・ビーム書き込み等の技法によって製造された投射粒子ビームによって損傷を受けた領域12によってパターニングされている。図21は電着のための構成を示し、図22は得られた構造を示す。図23および図24は、eビームおよびイオン・イーム書き込みによって行われるような投射粒子ビームによって損傷を受けたパターニング領域12の誘電体貫通電流による選択的な電気化学エッチングのための同様の機構を断面図で示す。図23は電気エッチングのための構成を示し、図24は電気エッチングの後のパターニングされた構造を示す。かかる方法によって、酸化物におけるeビーム書き込みパターンの電気化学エッチングは、例えば、イオン・ミリングに用いられる保護マスクの必要性をなくすことができる。
【0034】
下にある基板および付着電位
電流−電圧特性、従って電極反応速度(electrode kinetics)は、下にある基板(複数の基板)の構成によって決定する。これらの特性は、例えば、用いる基板材料の種類および用いるドーピングの種類に従って大きく変動し得る。このため、そういった特性は、金属、n型半導体、p型半導体、およびそれらの組み合わせについて異なると考えられる。例えば、金属電着用の溶液からの金属イオンの電気化学還元は、n型半導体基板については、伝導帯(電子捕獲プロセス)または価電子帯(ホール注入プロセス)のいずれかによって達成可能であるが、電解還元は、p型半導体基板(暗所)ではホール注入プロセスによってのみ可能であるか、または転化されるように駆動された場合である。本発明の場合、薄い誘電体膜またはゲート酸化物が半導体を覆っているので、低エネルギのホールのトンネリングは妨害され、電荷転送はおそらく電子蓄積モードにおいてまたはその近傍においてのみ行われる。更に、半導体材料(そのバンドギャップおよびバンド端のエネルギを含む)およびドーパント濃度(そのフラット・バンド・ポテンシャルおよび空乏層厚さを含む)が、半導体/絶縁体/電解質(SIE)コンタクトの電気化学特性を決定することができる。
【0035】
この点に関して、図25を参照すると、暗所および白色光照明(21V、150Wハロゲン・ランプ)のもとで、負の電位へと動電位スキャンを行う(順方向スキャン)間の、硫酸ニッケル浴(0.1MのNiSO4+0.1MのH3BO3)中のn型およびp型Si/SiO2/HfO2基板についての電流−電圧特性(負の電圧に向かってスキャンした)を示す。図25において、電流密度iは1平方センチメートル当たりのミリアンペアで、電極電位Uはボルト対標準水素電極(NHE)で与えられている。スキャン・レートは毎秒50ミリボルトであり、電極回転率は250rpmであった。
【0036】
図25に示すように、n型基板は、暗所および照明のもとで、−2Vを超える負の電圧において電流の指数的な増大を示す。p型基板は、暗所では電流を示さず、サンプルが白色光で照明された場合のみ−1.5V未満でNi2+の還元についてカソード電流を示す。この現象によって、マスク開口を通して同時に露出したn型およびp型領域を選択的にめっきすることができる。例えば、n型基板を暗所で電着によって選択的に金属化し、p型領域を光電着によって別の金属を選択して金属化することができる。後者の場合、n型およびp型を双方ともめっきする(すなわち、n型領域上にすでに付着した金属はその上に別の金属コーティングを施される)か、または、付着電位を正しく選択することによって、p型領域を選択的に金属化する(n型領域に追加のめっきは行わない)。
【0037】
この点に関して、図26および図27を参照すると、ニッケル、ルテニウム、およびレニウムめっき浴中で、照明のもとでのn型(図26)およびp型(図27)のSi/SiON(1nm)/HfO2(3nm)についての電流−電圧曲線(順方向および逆方向スキャン)の例を示す。図26および図27において、電流密度iは1平方センチメートル当たりのミリアンペアで与え、電極電位Uはボルト対標準水素電極(NHE)で与えられている。スキャン・レートは毎秒50ミリボルトであり、電極回転率は、ニッケルで250rpm、ルテニウムで400rpm、レニウムで100rpmであった。
【0038】
図26および図27に示すように、ベアn型基板上の金属付着は、電流−電圧曲線の順方向(負の電位へ向かう)スキャンにおいて、3つ全ての溶液について約−2Vで開始する。スキャン方向を反転すると(正の電位へ向かう)、ベアから金属で覆ったHfO2への変化のため、または金属ゲート電極の形成のため、ヒステリシスが見られる。電流は、Ruでは約−1.8Vまで、NiおよびReでは−0.75Vまで継続する。照明(21V/150Wハロゲン・ランプ)のもとでのp型基板では、ベアHfO2上の金属付着は、Niでは−1.6Vで、Ruでは−1.2Vで、Reでは−0.9Vで開始する。金属付着は、NiおよびRuで覆われたHfO2上では−0.9Vまで、p−Si/SiON/HfO2/Re上では−0.4Vまで継続する。p型半導体では、充分に負の印加電位において、光強度によって電流が制限されることに留意すべきである。投射される光子束、従って測定される光電流は、光が溶液および付着した金属によって吸収されると低減する。p型基板におけるめっきのための電流密度は、光強度によって制御することができる。例えば、光ビームをストロボにするまたは分割することによって、一定の電位でパルスめっきを行うことができる。電流−電圧特性は、n型およびp型基板上の金属付着の選択性を示す。上述の所与の例では、Ni、Ru、およびReを、−2Vよりも負の電位で(一定の電圧または一定の電流を印加することによって)、n型領域上に暗所で選択的に付着することができる。n型領域にRuを付着する場合、ReおよびNiは、Niについて−0.9Vと−1.8Vとの間、Reについて−1.6Vと−1.8Vとの間の電位で、照明のもとでp型領域に選択的に付着することができる。n型領域にNiおよびReを付着する場合、Ru、Re、またはNiの付着は、非選択的に行われるか、または、照明のもとでベアp型領域に行うと共にすでに金属化されたn型領域において行われると考えられる。
【0039】
CMOSデバイスを製造するために、多くの場合、p型シリコン基板が用いられる。p−FETは、ある領域のn型をドーピングすることによって製造することができる(nウェルとして既知である)のに対し、n−FETは、p型基板または領域上に追加のpドーピングによって形成することができる。かかる場合、p−n接合が形成され、p型領域およびnウェル領域の双方の電着(p−n接合)のために照明を行うことが望ましい。しかしながら、電流−電圧特性の相違によって、なお選択性を得ることができる。すなわち、nウェルあるいはp型領域またはそれら両方を、異なる付着電位で選択的に金属化することができる。
【0040】
電解液
上述のように、固体/電解質界面における電荷転送は、同様の電子エネルギ・レベル間でのみ行われると考えられる。従って、電解質側の電子状態の分布および密度が、電気化学プロセスの可能性および動力学を決定すると予想することができる。この点に関して、電解質の電子構成を(例えば濃度、錯体形成、溶剤、pHによって)調整して、ある基板/絶縁体の組み合わせで電荷転送が優先的に起こるようにし、従って溶液組成によって電気化学処理のための選択性を与えることができる。例えば、電解質中のアクセプタ状態の密度がエネルギにおいて高く、半導体基板の伝導帯端に近くなるように溶液条件を選択することによって、電気化学金属付着は、p型領域に対してn型領域において優先的に起こると考えられる。
【0041】
物理的な遮蔽
また、物理的な遮蔽によってゲート誘電型酸化物上の一部の領域を不活性化することで選択性を得ることも可能である。すなわち、フォトレジストもしくはSiO2誘電体等の絶縁性マスク、または有機分子の吸収層(例えば著しく吸収されたS終端分子または吸収ポリマ膜)を、典型的なフォトリソグラフィ、eビーム・リソグラフィ、またはスタンピング技法によって適用する。この点に関して、図6から図9を参照すると、薄い誘電体膜の上に配置した遮蔽マスクが図示されている。これによって、マスクのある領域の電流を遮蔽し、マスク開口内の領域に電流を通すことができる。
【0042】
光
p型半導体におけるカソード伝導帯プロセスおよびn型半導体基板におけるアノード価電子帯プロセスを可能とするために、バンドギャップ上での価電子帯電子の光励起が必要である。これは、例えば、絶縁体を介した照明または裏側からの照明によって基板を照明することで達成可能である。いくつかの方法で選択性を得ることができる。例えば、光波長を注意深く選択することで、完全なバンドギャップをまたぐことができるか、または界面もしくはギャップ状態を活性化して電極反応を仲介することができる基板または酸化物においてのみ電気化学プロセスを活性化する。細いレーザ・ビームを用いて直接にエッチング・パターンまたは付着パターンを書き込むことで、空間選択性を得ることも可能である。あるいは、マスクを用いて、絶縁体表面のある領域のみを照明することができる。この場合、誘電体の前に配置したかまたは誘電体上に付着した光遮蔽マスクを用いる。
【0043】
この点に関して、図28および図29を参照すると、図4に示したものと同様の構成を示すが、この場合、表面全体のゲート誘電体2上の金属パターン9の選択的な光電着が、光源20を用いてマスク13のいくつかの開口を通して基板を照明することによって行われ、一方で、電気コンタクト5および補助電極6が備えられている場合、基板3および4間に電位または電流を印加する。図28は光電着の構成を示し、図29は、マスクによって遮蔽されない照明領域において得られるパターニング金属を示す。
【0044】
更に、X線励起等の極めて高いエネルギ源を用いる場合、絶縁体において伝導帯電子が発生する可能性がある。更に、他の電磁放射を用いて、半導体、酸化物、または金属を励起することができる。
【0045】
他の外的手段
また、導電プローブまたは磁界等の他の外的手段によって選択性を得ることも可能である。この点に関して、図30および図31を参照すると、図4に示したものと同様の構成を示すが、この場合、原子間力顕微鏡(AFM)または走査トンネル顕微鏡(STM)チップ14の下で、局所化されためっきが行われる。
【0046】
AFMまたはSTMチップは導電性とし、局所補助電極として用いて、プローブの直下で電気化学処理を行うことができる(図30)。あるいは、チップは導電性である必要はなく、この場合、これを補助電極と共に用い、これによってチップの近接に充分な一時的な欠陥およびギャップ状態が生じ、チップ領域の下でのみ電気化学処理のための電流経路を生成することができる(図31)。チップを動かすことで、絶縁体の上にパターンを付着させ、または絶縁体にパターンをエッチングすることができる。
【0047】
上述したように、本発明を用いて、異なる方法でドーピングされた基板における電極反応速度の大きな相違を利用して、選択性を与えることができる。本発明の範囲内で、単一のマスクを用いてnFETゲートおよびpFETゲートを同時に露出させることができ、異なるドーピング基板上に特定の金属を選択的に付着することができる。
【0048】
一実施形態においては、ゲート酸化物で覆ったn型半導体領域上に、pFET金属を選択的に電着する。次いで、nFETを配置することができる。この配置は、(1)p型領域に選択的に(すなわち付着電位の選択によって)、(2)マスク上ではなくn型およびp型領域の双方に電着によって半選択的に、または(3)物理気相付着(PVD)、化学気相付着(CVD)、または原子層付着(ALD)等の方法によって完全に非選択的に行い、マスク、n型領域、およびp型領域を含むウェハ全体を、金属またはポリシリコンで覆う。
【0049】
別の実施形態では、最初にゲート酸化物で覆ったp型半導体領域上に、nFET金属を選択的に電着する。次いで、p型金属を、上述したようにn型領域に選択的に、または非選択的に配置することができる。
【0050】
別の実施形態においては、n型およびp型の電界効果トランジスタ(FET)を同時に形成するために、単一の浴を作り出すことができる。例えば、Ni、Ru、Rh、Pt、およびRe等のpFET金属は、Si/SiO2/HfO2およびSi/SiO2/HfSiOウェハ上に良好に電着し、SiO2は約1nm、高k酸化物は約3〜4nmとすることができる。
【0051】
この点に関して、図32および図33は、n−Si/SiO2(1nm)/HfO2(3nm)ウェハ上の厚いSiO2マスクにおける1ミクロン四方の0.3ミクロン深さの開口に、約20nmの電着Ruを充填し、厚い電着Niによってキャッピングした、集束イオン・ビーム(FIB:Focused Ion Beam)画像の上面図(図32)および断面図(図33)である。Ruは、10mA/cm2の電流密度で120秒間、室温でRuCl3系の浴において電着した。この膜を、形成ガス中で30分間、550℃でアニーリングした。次いで、ニッケル・キャップを、10mA/cm2で120秒間、室温でワッツ浴において電着した。厚いニッケル・キャップは、電気試験のためにRuゲートを調べるため付着したもので、機能的FETデバイスには必ずしも適用されないことに留意すべきである。この場合、薄いRu膜は観察が難しいので、厚いニッケル・キャップは選択性を例証するのにも役立つ。薄いRu膜はマスク開口内にのみ存在し、Niは四角形の開口から周囲のマスク上へとキノコ状になるように成長した。ウェハの裏側は、オーム接触のためにAs注入を行った(20KeV As;4x1015cm−2、その後で5秒間1000℃の活性化アニーリングを行った)。
【0052】
本発明の更に別の態様においては、基板のトポグラフィを利用して、マスクを用いることなく、絶縁層上に直接パターニングした電着物を生成する。基板のトポグラフィ上に、薄い誘電体層(例えばゲート誘電体)をコンフォーマルに付着する。典型的な基板トポグラフィは、例えば、基板の上面のレベルより下に延出するトレンチ、バイア・ホール等の形状のくぼみを含むことができる。次いで、誘電体を介して表面全体に電気めっきを行って、基板トポグラフィのくぼみを充填および過剰充填する。次いで、例えば化学機械研磨(CMP)のような当技術分野において既知の平坦化プロセスによって、基板の上面のレベルより上にある電着材料を除去して、基板のくぼみ内にパターニングした電気めっき構造体を残すことができる。
【0053】
上述の説明によれば、多数の付着層を有する構造は、薄いゲート状の誘電体または酸化物を通る電流を必要とする少なくとも1つの電気化学ステップを伴う限り、本発明の範囲内に該当する。これらの層は、金属、合金、半導体、酸化物、絶縁体、ポリマ、および有機物およびバイオマテリアルを含むいずれかの材料を含むことができる。
【0054】
更に、高k誘電体の活性化またはシーディング(seeding)を行うことができる。例えば、誘電体表面上に電気化学金属付着を行う間にいっそう良好な核生成を得るために、無電解めっきプロセスのために通常用いられるパラジウム活性化ステップを導入することができる。無電解めっきにおいて、自触媒無電解金属付着を開始するためには、Pd触媒が必要だと考えられることに留意すべきである。しかしながら、かかる場合、Pdクラスタは、ゲート誘電体を通る電流を用いた電気化学金属付着のための核生成部位として用いられる。通常、Pdがマスク表面を含む全表面を覆うとしても、電流は薄いゲート状誘電体のみを流れると考えられ、薄い誘電体上に位置するPd部位でのみ金属化が生じると考えられる。更に、ある特定の場合に、Pd活性化ステップによって電着が容易になり、膜付着および均一性に有用であるとしても、例えばこれは金属ゲートの電気的特性を決定すると考えられる。
【0055】
この点に関して、実験を行った。Pd活性化ステップを用いて、n−Si/SiON(1nm)/HfO2(3nm)上にパターニングしたSiO2−マスク(マスク開口は1μm四方から400μm四方までの範囲)において、Niを電着した。サンプルを、SnCl2の溶液に5分間浸漬し(1gのSnCl2+40mlのHCL(38wt%)+120mlの水)、その後、PdCl2溶液に5分間浸漬した(0.1gのPdCl2+40mlのHCl(38wt%)+120mlの水)。次いで、サンプルを、ワッツ浴からのNi電着のための電気化学セルにロードした(300g/lのNiSO4+30g/lのH3BO3+30g/lのNiCl2;10mA/cm2で120秒間)。付着したサンプルのキャパシタンス−電圧(CP−V)特性は、強いpFET特性を示し、フラット・バンド・ポテンシャルVfb=1.0Vであり、主にHfO2/金属界面におけるPdによって決定したのに対して、アニーリング後のC−V曲線はギャップ中央へとシフトし(Vfb=0.31V)、電着Niについていっそう典型的であった。
【0056】
あるいは、基板/誘電体/金属シード・スタックを介しためっきの前に、物理気相技法(PVD、ALD、またはCVD)によって金属シード層を配置することができる。
【0057】
電気ゲート特性の電気化学制御
金属ゲート、電解効果トランジスタ(FET)のため等、得られた構造の電気的特性が主な目的である場合、電気化学条件によって、フラット・バンド・ポテンシャル(Vfb)および金属ゲートの仕事関数およびFETの閾値電圧(VT)等、所望の物理特性を決定するのに役立てることができる。例えば、金属/半導体ショットキ・コンタクトの製造において、Si、GaAs、およびGaP(ゲート酸化物なし)等の半導体上に金属を直接電着するには、形成したダイオードまたはショットキ・バリアのバリア高さが、付着電位、温度、および電解質組成等の付着条件に大きく依存することが示されている。この点に関して、例えば、A.De Vrieze等のPhys. Chem. Chem. Phys.、3、5297〜5303(2001年)、P.M.Vereecken等のAppl. Phys. Lett.、75、3135(1999年)、K.Strubbe等のJ. Electrochem. Soc.146、1412(1999年)、およびP.M.Vereecken等のJ. Chem. Soc. Faraday Trans.、92、4069(1996年)を参照のこと。これらの開示は、引用により全体が本願に含まれるものとする。
【0058】
ほとんどの場合、得られたバリア高さの相違は、金属/半導体界面における組成のわずかな違いによるものであり、これは、電極電位ならびに電解質の組成およびpHによって決定される。また、ゲート酸化物の場合、金属/ゲート酸化物界面のわずかな変更が電気的特性に反映されると考えられる。これらの原理を考慮すると、用いる電気化学条件によって電気的特性を制御することができる。ゲート酸化物の直接的な電気化学変更は1つの可能性であり、これについて以下で論じる。更に、金属/ゲート酸化物界面の特性は、例えば、付着電位、付着電流、および溶液組成(pH、金属イオン濃度および添加物)によって、金属付着中にその場で(in-situ)制御することができる。
【0059】
この点に関して図38を参照すると、以下で詳しく述べるが、溶液中のRe濃度が異なる過レニウム酸アンモニウム溶液からn型Si/SiON(1nm)/HfO2(4nm)上のRe電着によって製造したRe/HfO2/SiON/Siゲートのキャパシタンス−電圧特性(CP−V)を示す。Reゲートの電気的特性は、溶液中のRe濃度によって調整することができる。この点に関して、良好なpFET特性(1Vに近いフラット・バンド・ポテンシャル)および良好な最大キャパシタンス値(1.7マイクロF/cm2に近いCp,max)の双方を有するReゲートは、10g/lのNH4ReO4に近いRe濃度で得ることができる。
【0060】
直接電気めっきしたMOSゲートの熱的特性
原子層付着(ALD)および金属有機化学気相付着(MOCVD)を含む、蒸着およびマグネトロン・スパッタリングおよび化学気相付着(CVD)技法等の物理気相付着(PVD)技法によって付着したHfO2およびHfSiO等の高k誘電体上の金属ゲートに伴って再び発生する問題は、金属酸化膜半導体(MOS)構造のフラット・バンド・ポテンシャル、従って測定される金属仕事関数が、高温では安定しないことである。RuおよびRe等の金属が付着直後に良好なpFET特性(半導体の価電子帯端に近い金属仕事関数)を示す場合、窒素等の不活性雰囲気における急速熱アニーリング(RTA)の後に、仕事関数は半導体バンドギャップの中央(ミッド・ギャップ)へ向かって大きくシフトする。後の1000℃での集積ステップの間、注入したソースおよびドレイン領域の活性化のためにRTAが必要であるので、安定した仕事関数を有するpFET金属が必要である。ゲート・スタック貫通電流によって高k誘電体上に直接電気めっきした金属ゲートは、高温でアニーリングした後であってもpFET特性を維持可能であることがわかった。
【0061】
この点に関して、図40は、RuCl3系浴(10mA/cm2で120秒間、400rpm)においてn−Si/SiON(1nm)/HfO2(3nm)上でのRuの選択的な電着によって製造したいくつかのRu/HfO2/SiON/Si MOS試験構造(100マイクロメートル四方)のキャパシタンス−電圧特性を示す。付着後、試験構造を窒素のもとで異なる温度でアニーリングした(5秒のRTA)。比較のため、550℃で30分間の形成ガス(FGA)における試験構造のアニーリングを示す。サンプルごとの体系化された拡散とは別に、MOSは800℃まで良好なpFET特性を維持した。
【0062】
本発明の範囲内に該当するプロセスにおいて、バック・コンタクト配置によって、導体またはSi等の半導体基板に電気コンタクトを形成することができる。更に、例えば酸化物層の開口を介して、ウェハまたはデバイス上のどこにでも、下にある導体基板に対する電気コンタクトを形成することができる。コンタクトの箇所から基板上の誘電体までの導電または電気経路は、1つ以上の界面を通る場合があり、電気化学プロセスに電流経路を提供する。電気コンタクトは、例えば、乾式固体コンタクトまたは湿式電気化学コンタクトを含むことができる。
【0063】
半導体に対する乾式固体コンタクトを形成するため、オーム接触を設けなければならない。かかるコンタクトは、通常、ドーパント元素の注入によって高度にドーピングした(約1019cm-3)表面を設けること、または表面欠陥の生成によって生成される。あるいは、半導体表面にある金属を適用することができる。例えば、In等の低仕事関数を有する金属はn型基板にオーム接触を与えることができ、高仕事関数を有する金属はp型基板にオーム接触を与えることができる。
【0064】
例えば、Siに対してIn−Ga共晶を適用することは、n型およびp型の双方の基板に対してオーム接触を形成するための迅速な方法である。この点に関して、図4から図19、図21から図24、および図28から図31は、各々、ウェハの裏側に乾式固体電気コンタクトを有することを示す。集積または汚染の問題のために乾式コンタクトの使用が難しい場合、湿式コンタクトを用いることも可能である。この場合、基板に可逆性の電極反応を与える電解質に基板を接触させることができる。半導体は通常ダイオードとしてふるまうので、半導体価電子帯において優先的に電気化学的にアクティブになる適切な酸化および還元剤を選ばなければならない。例えば、Fe(III/II)、Cu(II/I)およびメチルビオロゲンMV(II/I)を用いた溶液である。この点に関して、図34は、湿式電気化学コンタクトを用いた薄いゲート型誘電体の電気化学処理を概略図で示す。1つ以上の基板3および4の上の薄いゲート型誘電体膜2から成る加工物が、2つの補助電極6の間に配置されている。その一方はアノードとして、他方はカソードとして機能する。薄い誘電体2は、誘電体の電気化学処理に用いられる溶液1に露呈され、基板4は、電気化学コンタクトを与える接触電解質19に露呈されている。電気化学コンタクトは、ウェハの裏側においてのみ形成されるわけではなく、例えば基板が露呈するウェハの縁部の周囲において形成することができる。
【0065】
図35に、nFETおよびpFETデバイスを製造するための基板を介した電流転送のためのコンタクト機構を示す。バルクSi基板(すなわちSOIを用いない。以下を参照のこと)上に形成したデバイスの場合、電流は、オーム接触を形成するための注入領域等のバック・コンタクト5から、導体基板3を介して、トランジスタ4のゲート下のnまたはpドーピング領域へ、ゲート誘電体2を介して、絶縁マスク10を介して露呈する溶液内へと通ることができる。マスク10は、浅いトレンチ分離(STI)16ならびにソースおよびドレイン領域15の上に示す。図35は、電気コンタクト5からバルク・シリコンを通りゲート酸化物を通って電流転送が行われるバルク・シリコン・デバイスの場合を示す。
【0066】
図36に、酸化物上シリコン(SOI)技術の場合の電流転送のためのコンタクト機構を示す。この場合、ゲート空乏層のためのSi、SiGe、またはGe等のドープ半導体が、厚い絶縁材料内に封入されている。その下に埋め込み酸化物(「BOX」)17があり、両側には絶縁性の浅いトレンチ分離(「STI」)スペーサがある。多くの場合、BOXには接地としてポリシリコン・スタッド18が存在する。Siスタッドは、ゲート誘電体の直下に示すドーピング半導体層に直接接続することはできないが、実際には、ソースおよびドレイン領域15との接触を介して間接的に接続することができる。
【0067】
上述の説明は、nPFETおよびpFETのために高kゲート酸化物上に金属ゲートを直接電着することに焦点を当てているが、本発明はこれに限定されない。本発明の範囲は、例えば、別個のまたは一体化されたプロセス・ステップの双方で、電気エッチングおよび表面変更等、半導体デバイス上で薄い絶縁体の電気化学処理を行うことに拡張される。また、ゲート誘電体の直接電気化学処理は、不揮発性フラッシュ・メモリ等の誘電体−半導体構造を用いるCMOS技術を超えた用途を有する。更に、例えば、金属基板上の絶縁材料の電気化学処理のように、非半導体用途にも対応する。他の可能な用途には、半導体または金属ゲートがナノサイズのドットまたはワイヤであるナノ構造トランジスタ・デバイスが含まれる。これは、酸化物の活性化領域上で(例えばeビームによって書き込まれる)、または原子間力顕微鏡(AFM)もしくは走査トンネル顕微鏡(STM)プローブを用いることによって、選択的にめっきされる。ナノ構造デバイスの場合、異なるデバイスを接続するための相互接続ラインを同様の方法で形成することができる。
【0068】
本発明が包含する電気化学プロセスには、水性、非水性、または混合電解質溶液もしくは溶融物からの、全てのめっき可能な金属、合金、複合物、半導体、あるいはポリマまたはそれら全てのめっきが含まれる。薄い絶縁体または酸化物上の直接めっきの用途は、下にあるn型およびp型半導体上に、HfO2、HfOSi2、およびTa2O5等の薄いSiO2または高kゲート酸化物上に製造したMOS電解効果トランジスタを、n型およびp型MOSFETのもの等の直接電気めっきした金属ゲートまたは直接めっきした半導体ゲートと組み合わせたものを含む。かかる場合における選択的なめっきの方法の例は、図6から図13に概略的に示す。
【0069】
本発明の範囲内に該当する方法を実行するために用いる印加電圧または電流のプログラムは、所望音電気化学プロセスに依存し、一定、変動、またはパルスの電圧または電流を含むことができる。従って、本発明に対応する方法においてめっきを達成するために必要な電流密度は限定されず、極めて広い範囲をカバーすることができる。電流密度は、用途、めっきプロセス、めっきした材料、およびめっき浴中の金属イオン濃度に応じて、例えば約10μA/cm2から約2A/cm2までの範囲に及ぶことができる。電流密度は、典型的に約0.1mA/cm2から約100mA/cm2の範囲であると考えられ、例えば約1mA/cm2から約20mA/cm2等である。電圧は、酸化物または誘電体の厚さ、その誘電定数、めっきプロセス、電気コンタクト、ツールの構成、および基準電極(第3の電極)を用いるか否かに応じて異なる。限定されないが、用いる電圧は、典型的に約0から約100ボルトまでの範囲であり、例えば約0から約10ボルト、または約0から約5ボルト等である。
【0070】
本発明と関連付けて用いる電解液は、水性、非水性、または混合溶剤、または溶融物とすることができ、溶液コンダクタンスのためおよび活性成分として、金属および非金属塩を含む。例えば、電解液は、金属付着のための金属イオン、電気化学エッチング中の溶解のための錯化配位子(complexing ligands)、窒素化合物等の不純物源、あるいはゲート酸化物の電気化学変更のためのハロゲンまたはそれら全てを含むことができる。ある特定の場合、例えば金属ゲートの電着において、不純物またはめっき添加物は回避するのが良い。なぜなら、それらは製造される金属ゲートの電気的特性に有害な影響を及ぼし得るからである。他の場合、いくつかの不純物を意図的に追加して、付着中に高k/金属界面をその場で変更することによって電気的特性を制御することができる。
【0071】
例えば、pFET金属ゲート構造のためのRu、Re、Rh、Pd、およびPt等の貴金属の電着では、貴金属の無機塩および無機酸等の単純な組成を有するめっき溶液を用いることができる。例えば、めっきする材料がRuである場合、電解液は、塩化ルテニウム塩および塩酸を含むことができる。また、市販の貴金属めっき溶液も使用可能である(例えば、Technic Inc.、Enthone OMI、Rohm and Haas Electronic Materials L.L.C.)。
【0072】
めっき溶液および条件は、例えば、HfO2およびHfSiOゲート誘電スタック上の金属電着を含むことができる。かかる実施形態において、金属膜は典型的に約1nmから約100nm厚さとすることができ、例えば約10nmから約50nmの厚さ等である。基板は、例えば、n型およびp型のSi/SiON/高kおよびSi/SiO2/高kとすることができ、約3nmおよび約4nmのHfO2またはHfSiO膜(MOCVD)を有する。典型的に、白金のメッシュまたはシートを補助電極として使用可能であり、任意に、基準電極として、飽和カロメル電極(SCE;Hg/Hg2Cl2;KCl、飽和)、銀−塩化銀電極(Ag/AgCl/3モル/リットル NaCl)、または飽和硫酸水銀電極(Hg/Hg2SO4/K2SO4,sat)を用いることができる。電着のために有用な電源は、1A未満の電流ではAutolab PGSTAT30ポテンショスタット(Brinkman Instruments)であり、200mmの表面全体の付着用等のもっと高い電流ではKEPCO電源である。p型基板の金属付着では、直径が約20mmまでの小さいサンプルには、21V、150Wのハロゲン・ランプを用いることができ、200mmウェハには、120V、500Wのハロゲン・ランプを用いることができる。
【0073】
かかるめっき条件は、例えば、白金、ロジウム、ルテニウム、およびレニウムの電着のために使用可能である。これについて、以下で更に詳細に論じる。
【0074】
白金電着
約0.001モル/リットルから約0.1モル/リットルの範囲の濃度を有する(NH4)2PtCl6および約1モル/リットルまでの濃度を有するNa2HPO4を含み、pHが約2から約9までの範囲であるめっき溶液を用いることができる。例えば、めっき溶液は、約0.01モル/リットルの濃度を有する(NH4)2PtCl6および約0.4モル/リットルの濃度を有するNa2HPO4を含み、pHは約7とすることができる。
【0075】
代替的な実施形態においては、めっき溶液は、Technic Inc.からの「Platinum TP」および「Platinum AP」、ならびにEnthoneInc.からの「Platanex」として既知のめっき浴等の少なくとも1つの市販の白金めっき浴を含むことができる。
【0076】
上述のめっき浴を用いた電気めっきプロセスでは、電流または電圧を印加するいくつかの方法のうち1つ以上を用いることができる。これらには、例えば、約3mA/cm2および約50mA/cm2間の一定電流または同等の電位(−2Vから−3V対NHEの電極電位)の印加、ならびに、約5mA/cm2および約250mA/cm2間の第1の電流を約20ミリ秒から約5秒、例えば約0.1秒等印加し、更に、0mAから約2mAまでの第2の電流を約0.1秒から約10秒用いるパルスめっきが含まれ、これには、約1サイクルから約500サイクルまで、例えば約25サイクル等の−2Vから3.5V対NHEの電位を用いたパルスめっきが含まれる。かかる処理の間の温度は、例えば約20℃から約90℃までの範囲とすることができる。かかる処理は、かくはんを行ってまたは行わずに実行することができる。
【0077】
上述の処理条件内には、以下の印加が含まれる。
(1)約25mA/cm2のパルス電流波形を約0.2秒、その後に0電流を約5秒、室温で約50rpmの回転率で約25サイクル繰り返す。
(2)約25mA/cm2のパルス電流波形を約0.2秒、その後に0電流を約5秒、約50度の温度で約50rpmの回転率で約25サイクル繰り返す。
(3)約50mA/cm2のパルス電流波形を約0.2秒、その後に0電流を約5秒、約50度の温度で約50rpmの回転率で約50サイクル繰り返す。
(4)約250mA/cm2のパルス電流波形を約0.1秒、その後に10μA/cm2電流を約5秒、室温でかくはんせずに約5サイクル繰り返す。
【0078】
ロジウム電着
約1から約30g/lのRh2SO4および約1から約100m/lのH2SO4を含むめっき溶液を用いることができる。かかる溶液は、任意に、他の無機成分(臭化物、ヨウ化物、フッ化物、硫化物、硫酸塩、ホウ酸、ホウ酸塩、金属塩等)、有機添加物(界面活性剤または光沢剤)、あるいは応力緩和剤またはそれら全てを含むことができる。例えば、めっき溶液は、約10g/lのRh2SO4および約10ml/lのH2FO4を含むことができる。
【0079】
代替的な実施形態において、めっき溶液は、Technic, Inc.からの「Techni-Rhodium」および「Rhodium S-less」、ならびに、Enthone Inc.からの「Rhodex」として既知のめっき浴等、少なくとも1つの市販のロジウムめっき浴を含むことができる。
【0080】
上述のめっき浴を用いた電気めっきプロセスでは、電流または電圧を印加するいくつかの方法のうち1つ以上を用いることができる。これらには、例えば、約1mA/cm2および約50mA/cm2間の一定電流または同等の電位(−2Vから−3V対NHEの電極電位)の印加、ならびに、約5mA/cm2および約250mA/cm2間の第1の電流を約20ミリ秒から約5秒、例えば約0.1秒等印加し、更に、0mAから約2mAまでの第2の電流を約0.1秒から約10秒用いるパルスめっきが含まれ、これには、約1サイクルから約500サイクルまで、例えば約25サイクル等の同等の電位(−2Vから−3.5V対NHE)を用いたパルスめっきが含まれる。かかる処理の間の温度は、例えば約20℃から約90℃までの範囲とすることができる。かかる処理は、かくはんを行ってまたは行わずに実行することができる。
【0081】
上述の処理条件内には、以下の印加が含まれる。すなわち、25mA/cm2の電流を約0.1秒、その後に約1mA/cm2の電流を約5秒、室温でかくはんせずに約25サイクル繰り返す。
【0082】
ルテニウム電着
約1g/lから約20g/lのRuCl3.xH2O、約1g/lから約10g/lのNaNO2、約40ml/lまでのNH4OH(28wt%)、および約40ml/lまでのHCl(38wt%)を含み、pHが約1から約9までの範囲であるめっき溶液を用いることができる。この溶液を約10分から約1時間、沸騰するまで加熱し、溶液を不透明な黒から澄んだオレンジ−茶色にすることができる。例えば、溶液は、約5.2g/lのRuCl3.xH2O、約5.2g/lのNaNO2、約8ml/lのNH4OH、および約4ml/lのHClを含み、pHは約2.3とすることができる。RuCl3.xH2Oに加えて、他のルテニウム塩を用いることも可能である。例えば、無水塩化ルテニウム、塩化ルテニウムニトロシル、硫酸ルテニウムニトロシル、および硝酸ルテニウムニトロシルである。更に、他の無機成分(臭化物、ヨウ化物、フッ化物、硫化物、硫酸塩、ホウ酸、ホウ酸塩、金属塩等)、有機添加物(界面活性剤または光沢剤)、あるいは応力緩和剤またはそれら全てを追加することができる。
【0083】
代替的な実施形態では、約0.001モル/リットルから約0.025モル/リットルのRuCl3、約1モル/リットルまでのHCl、および約1モル/リットルまでのH3BO3を含むめっき溶液を用いることができる。例えば、めっき溶液は、約0.02モル/リットルのRuCl3、0.05モル/リットルのHCl、および約0.4モル/リットルのH3BO3を含むことができる。RuCl3に加えて、他のルテニウム塩も用いることができる。例えば、無水塩化ルテニウム、塩化ルテニウムニトロシル、硫酸ルテニウムニトロシル、および硝酸ルテニウムニトロシルである。HClに加えて、他の無機塩化物も用いることができる。更に、他の無機成分(臭化物、ヨウ化物、フッ化物、硫化物、硫酸塩、ホウ酸、ホウ酸塩、および金属塩等)、および有機添加物(界面活性剤等)、あるいは応力緩和剤またはそれら全てを追加することも可能である。
【0084】
更に代替的な実施形態では、めっき溶液は、Enthone Inc.からの「Ruthenex」およびTechnic Inc.からの「Ruthenium U」として知られるめっき浴等、少なくとも1つの市販のルテニウムめっき浴を含むことができる。
【0085】
上述のめっき浴を用いた電気めっきプロセスでは、電流または電圧を印加するいくつかの方法のうち1つ以上を用いることができる。これらには、例えば、約3mA/cm2および約50mA/cm2間の一定電流または同等の電位(−2Vから−3V対NHEの電極電位)の印加、ならびに、約5mA/cm2および約250mA/cm2間の第1の電流を約20ミリ秒から約5秒、例えば約0.1秒等印加し、更に、0mAから約2mAまでの第2の電流を約0.1秒から約10秒用いるパルスめっきが含まれ、これには、約1サイクルから約500サイクルまで、例えば約25サイクル等の同等の電位(−2Vから−3.5V対NHE)を用いたパルスめっきが含まれる。かかる処理の間の温度は、例えば約20℃から約90℃までの範囲とすることができる。かかる処理は、かくはんを行ってまたは行わずに実行することができる。
【0086】
上述の処理条件内には、以下の印加が含まれる。すなわち、10mA/cm2の一定電流を約120秒、室温で約400rpmでかくはんしながら印加する。
【0087】
レニウム電着
約1g/lから約100g/lのNH4ReO4および約1ml/lから約250ml/lのHCl(38%)を含むめっき溶液を用いることができる。例えば、この溶液は、10g/lのNH4ReO4および約10ml/lのHCl(38%)を含み、pHは約1から約2とすることができる。NH4ReO4に加えて、他の過レニウム酸塩および無機レニウム塩を用いることができる。HClに加えて、他の塩化物を用いることも可能である。更に、他の無機成分(臭化物、ヨウ化物、フッ化物、硫化物、硫酸塩、ホウ酸、ホウ酸塩、金属塩等)、有機添加物(界面活性剤等)を追加することができる。
【0088】
上述のめっき浴を用いた電気めっきプロセスでは、電流または電圧を印加するいくつかの方法のうち1つ以上を用いることができる。これらには、例えば、約1mA/cm2および約50mA/cm2間の一定電流または同等の電位(n型には−2Vから−3V対NHEの電極電位、p型には−1.5から−5V)の印加、ならびに、約1mA/cm2および約250mA/cm2間の第1の電流を約20ミリ秒から約5秒、例えば約0.1秒等印加し、更に、0mA/cm2から約2mA/cm2または同等の電位(n型には−2Vから−3.5V対NHE、p型には−1.5から−5V対NHE)の第2の電流を約0.1秒から約10秒、約1から約500サイクル、例えば約25サイクル用いるパルスめっきが含まれる。かかる処理の間の温度は、例えば約20℃から約90℃までの範囲とすることができる。かかる処理は、かくはんを行ってまたは行わずに実行することができる。
【0089】
上述の処理条件内には、以下の印加が含まれる。すなわち、10mA/cm2の一定電流を約120秒、室温で約100rpmでかくはんしながら印加する。
【0090】
保護キャップまたは金属導体の電着などの他の場合、浴の組成は重要性が低く、明るい付着物のために添加物を用いることができる。例えば、めっきする材料が銅である場合、電解液は、任意に鉱酸を含む銅塩、および、任意に、水可溶化群(water solubilizing groups)を有する有機硫黄化合物、浴可溶性酸素含有化合物、浴可溶性ポリエステル化合物、または少なくとも1つの硫黄原子を含むことができる浴可溶性有機窒素化合物から成る群から選択される1つ以上の添加物を含むことができる。
【0091】
一般的に、絶縁層は、例えば、SiO2、SiN、およびSiC、およびそれらの組み合わせを含む、金属酸化物、金属窒化物、金属酸窒化物、金属炭化物、金属ホウ化物の単一の層、多層、あるいは混合層またはそれら全てを含むことができる。付着する誘電体は、例えば、金属酸化物、金属酸窒化物、金属酸化シリコン、金属シリケート、金属シリコン酸窒化物、金属ゲルマン酸、金属ゲルマニウム酸窒化物、および、上述の材料の合金、混合物、または多層から成る群から選択することができる。誘電体は、更に、基板界面において無金属の誘電体の界面層を含むことができる。上述の金属酸化物、金属酸窒化物、金属酸化シリコン、金属シリケート、金属シリコン酸窒化物、あるいは金属ゲルマン酸またはそれら全てにおいて用いることができる希土類金属を含む金属を、例えば、Al、Ba、Be、Bi、C、Ca、Ce、Co、Cr、Dy、Fe、Ga、Gd、Ge、Hf、In、La、Li、Mg、Mn、Mo、Nb、Ni、Pr、Si、Ta、Ti、V、W、Y、Zn、およびZr、ならびにこれの合金、混合物、および多層から成る群から選択することができる。
【0092】
ゲート酸化物の典型的な例は、SiO2、シリコン酸窒化物(SiON)、およびAl2O3を含む。高kゲート酸化物の典型的な例は、HfO2、HfSiO、Ta2O5、La2O5、ZrO2、およびY2O3を含む。更に、SiC等の真性および低ドーピングの広いバンドギャップの化合物半導体、ならびに、例えば、Cd、Zn、Sr、Se、S、およびTeから成る群から選択される元素を含むII−VI半導体を、絶縁体として用いることができる。
【0093】
基板材料は、導体材料、半導体材料、およびこれら2つを組み合わせた層を含むことができる。基板は、更に、連続している場合もあるしそうでない場合もある埋め込み絶縁層を含むことができる。導体基板材料の例は、金属、導電性金属酸化物、導電性金属硫化物、導電性金属リン化物、導電性金属ホウ化物、導電性金属窒化物、導電性金属シリサイド、導電性金属炭化物、導電性ポリマ、ならびにその合金、混合物、および多層を含み、この場合の金属は、Ag、Al、As、Au、Cd、Co、Cu、Hf、Ir、Ga、Ge、Fe、In、Mo、Nb、Ni、P、Pb、Pd、Pt、Ru、Re、Rh、Se、Si、Sb、Sn、Ta、Ti、W、V、Zn、およびZrから成る群から選択される。導体基板は、更に、ポリアニリン(polyanyline)およびポリ(3、4−エチレンジオキシチオフェン/ポリ(ステレンスルホン酸(sterenesulfonate))等の導電性ポリマから選択することができる。
【0094】
半導体基板材料の例には、例えばSi、Ge、およびその組み合わせ、およびCを含むその組み合わせ等、ドーピングされたおよびドーピングされていないIV群の半導体が含まれる。更に、半導体基板材料は、Ga、As、P、Sb、In、Se、およびAlを含むドーピングされたおよびドーピングされていない2成分、3成分、および4成分の半導体を含むことができる。例えば、GaAs;Cd、Zn、Te、Se、およびSを含むドーピングされていないII−VI半導体;TiO2およびZnO等のドーピングされたおよびドーピングされていない酸化物半導体;CuおよびSr系の半導体;ポリアセチレン、ポリ(ジアルコキシp−フェニレン−ビニレン、ポリ(ジアルキルフロレン)およびそれらの誘導体等の半導体またはエレクトロルミネッセント・ポリマ;半導体多層および混合層;シリコン・オン・インシュレータ(SOI)、歪みシリコン・オン・インシュレータ(SSOI)、ゲルマニウム・オン・インシュレータ(GOI)、およびシリコン・ゲルマニウム・オン・インシュレータ(SGOI)の組み合わせ等の絶縁体上半導体である。
【0095】
本発明の範囲内に該当するプロセスに従ってめっきすることができる金属は、例えば、Ru、Re、Ni、Pd、Co、Tc、Pt、Rh、Cr、Mn、これらの合金、混合物、および多層から成る群から選択されるものを含むことができる。めっきすることができる他の金属は、例えば、Os、Ir、Sb、Bi、Sn、In、Fe、Zn、Cd、Se、Te、Cu、Ag、Au、Pb、これらの合金、混合物、および多層、ならびに、上述の金属のいずれかとAl、Mg、W、V、Ti、Ta、Mo、Ce、Ga、Gd、Hf、Zr、La、Y、Sr、Tl、Eu、Dy、Ho、Nbとの合金、混合物、および多層から成る群から選択されるものを含むことができる。更に、上述の金属のいずれかの酸化物、硫化物、リン化物、およびホウ化物、ならびに、上述の金属のいずれかとSi、C、Ge、As、O、P、S、あるいはBまたはそれら全てとの合金、混合物、または多層を用いることも可能である。
【0096】
めっきすることができる金属には、更に、SiおよびGe等の元素半導体が含まれる。これには、C、H、あるいはFまたはそれら全て、その合金、混合物、および多層を含むことができる。更に、めっきすることができる金属は、ZnOおよびTiO2等の半導体酸化物、InAs、InP、InSb、およびGaS等のIII−V半導体、CdSe,CdS、CdTe、ZnS、ZnSe、ZnTe等のii−VI半導体、上述の組み合わせおよびCu、Sr、Baを用いたもの、およびその合金、混合物、および多層の4成分半導体化合物を含む。更に、めっきすることができる材料は、導電性酸化物であって、その金属がCd、Sn、Ga、In、Cu、Ru、Re、およびPb、その合金、混合物、および多層から成る群から選択されるもの、例えばポリピロールおよびポリアニリンのような導体ポリマ、半導体ポリマ、ならびにバイオミネラル(biomineral)を含む。
【0097】
めっきすることができる材料の最終的な厚さは、限定ではないが、例えば約1nmから約100ミクロンまでの範囲とすることができ、例えば約10nmから約1ミクロンであり、約10nmから約50nmまでを含む。基板の厚さは、例えば約1cmから約0.1ミクロンの範囲とすることができ、例えば約1nmから約300μmである。ゲート酸化物の厚さは、例えば約1nmから約20nmの範囲とすることができ、例えば約2nmから約4nmまでである。
【0098】
付着するめっき材料の量は、めっき時間の関数であり、図14から図17に示すように、ゲート開口は、部分的に、完全に、または過剰に充填することができる。例えば、典型的なめっき時間は約0.1秒から約3時間までの範囲とすることができ、例えば約10秒から約30分までであり、約10秒から約2分までを含む。完全なゲート・スタックの形成は、例えばPVD、ALD、およびCVD等の他の付着技法と組み合わせることができる。例えば、本発明の方法に従った誘電体貫通めっきによって誘電体の上に第1の金属層を形成してゲート電極の下部を形成し、その後に第2の層を付着してゲート電極の上部を形成することができる。第2の層は、電着、物理気相付着、化学気相付着等によって付着することができ、任意に下にある金属と合金化するか、あるいはこれに加えてアニーリングを行って最終的なゲート電極を形成することができる。例えば、かかるプロセスにおいて使用可能な材料は、純粋な金属または金属合金の1つ以上の層、金属または金属合金シリサイド、金属または金属合金ゲルマナイド(germanide)、または金属含有導電性酸化物もしくは窒化物を含むことができ、これらの層の少なくとも1つはデバイスのゲート誘電体に接触している。金属および金属合金元素は、例えば、Al、Co、Cr、Fe、Ir、Hf、Mg、Mo、Mn、Ni、Pd、Pt、Ri、La、Os、Nb、Rh、Re、Ru、Sn、Ta、Ti、V、W、Y、およびZr、その合金、混合物、および多層から成る群から選択することができる。また、これらの層は、非金属元素によってドーピングすることも可能である。金属および合金元素は、例えば、化学気相付着(CVD)、金属有機CVD(MOCVD:metalorganic CVD)、またはスパッタリング等、当技術分野において周知のいずれかの方法によって付着することができる。この点に関して、例えばSi等の半導体のゲート誘電体上への付着は、高温ステップを行う必要なく制御することができる(CVDとは対照的である)。従って、本発明の範囲内に該当する方法を用いて、ゲート付着の前およびゲート付着中に界面技術の全く新しい方法を作り出すことができる。かかるプロセスは、例えば、界面Hf−Si結合形成を防ぐのに役立てることができ、または、付着中にSiをその場でドーピングすることを可能にし、これによってポリシリコン空乏を低減することができる。
【0099】
上述のことに従って、n型およびp型のSi/SiON/HfO2の表面全体の膜上にNiを付着することにより、ゲート誘電体上の表面全体を覆う金属付着の一例を用意した。図37に、結果として得られた表面全体のSi/SiON/HfO2/Ni MOSキャパシタの電流−電圧特性を示す。典型的なダイオード型の電流−電圧曲線またはショットキ・タイプの挙動が観察された。
【0100】
記載した実施形態に従って、高k/SiON/Siおよび高k/SiO2/Siスタック上に、1マイクロメートル四方から400マイクロメートル四方までの範囲の開口を有する厚いSiO2マスクを用いて、パターニング試験構造においてReおよびRu金属を電着することによって、パターニングしたMOS構造を製造するための選択的な電着の例を用意した。高k材料はHfO2およびHfSiOであり、3nmおよび4nmの厚さで、MOCVDによって用意した。SiONまたはシリコン酸窒化物を急速熱酸化によって用意し、SiO2は化学酸化物であった。双方とも厚さは1nmであった。
【0101】
図38および図39は、n型およびp型のSi基板について過レニウム酸アンモニウムの濃度が変化する溶液を用いて製造した100マイクロメートル四方のMOS試験構造において測定したReゲートのキャパシタンス−電圧特性の典型的な例を示す。n型基板では、Reは定電流で付着された(10mA/cm2で120秒、100rpm、室温)。p型基板では、Reは、白色照明のもとで定電位で付着された(−3V対SCE、21V/150Wハロゲン光、100rpm)。これらの例は、異なる基板について金属ゲートの電気的特性を調整するため、ゲート・スタック貫通電着技法の例外的な機能を示す。
【0102】
図40は、n−Si/SiON(1nm)/HfO2(4nm)上で、RuCl3系の溶液からの定電流電着(10mA/cm2で120秒、400rpm)によって製造し、異なる条件のもとでアニーリングした100マイクロメートル四方のMOS試験構造において測定したRuゲートのキャパシタンス−電圧特性の典型的な例を示す。これらの例は、ゲート・スタック貫通電流によって電着した金属ゲートの熱処理後の安定したp−FET特性を示す。
【0103】
本発明の範囲内に該当するプロセスは、更に、酸化物または絶縁体の全てまたは一部を選択的に除去するための電解研磨、電気化学エッチングまたは電気エッチングを含む場合がある。かかるプロセスの具体的な用途は、マスクの使用または、eビームもしくはイオン・ビームによって書き込まれた損傷トラック・パターンによる、浅いトレンチ・パターンのエッチングを含むことができる。更に、電気エッチング・プロセスは、多孔Si等の多孔膜の形成を含むことができる。
【0104】
本発明の範囲内に該当する電気化学プロセスは、更に、陽極酸化等の電気化学陽極処理を含むことができ、この場合、酸化物層の厚さは選択的に増大させることができるか、または、第1の酸化物層の上に少なくとも1つの追加の酸化物層を付着することができる。かかる方法では、通常、マスク酸化物層は所望の最終的な酸化物よりも厚くなければならないか、または、成長させる酸化物の導電性は周囲の誘電体の導電性よりも充分に低くなければならない。
【0105】
上述のことに加えて、本発明の範囲内に該当する電気化学プロセスは、酸化物絶縁体の電気化学的な変更を含むことができる。かかるプロセスには、例えば、Cl、Br、およびI等のハロゲンを組み込むことにより、あるいは、N、C、P、Oや、Hf、Zr、Al、あるいはTiまたはそれら全て等の金属を含む他の元素または材料、ならびにSiおよびGe等の半導体として機能することができる材料を組み込むことによって、またはそれら両方によって、絶縁体の表面化学成分を変更することが必要な場合がある。これらの材料は、絶縁体の表面またはゲート誘電体の大部分に組み込むことができる。かかる電気化学的な変更のプロセスは、例えば以下のものを含むことができる。
(1)トラップまたは界面状態等、構造的または電気的な欠陥状態の集中を低減させるための、ゲート誘電体の陽極酸化または窒化。
(2)界面の金属−シリコン結合の形成を最小限に抑えるための、Siゲート電極の付着前の、HfO2等の金属含有ゲート誘電体の陽極酸化または窒化(かかる結合は、ポリシリコン・ゲートを有するHf系の誘電体を含むpFETにおいて「Vtシフト問題」を起こすことが示されている。この場合、閾値電圧がSiO2系デバイスについて常に約0.6V以上負であることがわかっている。Hobbs等のVLSI 2003Digest、9ページを参照のこと)。
(3)熱安定性を高め、酸素拡散およびホウ素浸透を高効率で抑えて誘電体を形成するための、ゲート誘電体膜内への窒素の組み込み(かかる高い安定性は、ソース/ドレイン活性化等、デバイスの熱処理中にゲート・スタックの構造的変化を防ぐために重要であると考えられる)。
(4)空位形成の熱力学を変更し、これによって電気的欠陥の集中を最小限に抑えるための、誘電体内へのS、Se、およびCl等の元素の組み込み。
(5)例えばポテンシャル・プログラムの正しい選択によって界面状態の集中を低減させるための、誘電体−基板界面におけるダングリング・ボンドの水素化。
(6)高誘電率、高バンド・ギャップ、または高熱安定性等のいっそう望ましい特性を有する誘電体を形成するための、ゲート誘電体膜内への金属または半導体の組み込み。
(7)ゲート誘電体スタックの一部を形成するために後で酸化または窒化される、誘電体上の薄い金属または半導体膜の形成。
(8)後に形成される導体ゲートの仕事関数および閾値電圧を変更するための、誘電体表面上のB、Al、In、As、またはSb等のドーパント元素の吸収。
【0106】
本発明について例示的に記載したが、用いた用語は、限定ではなく記述または説明のために意図されることは理解されよう。更に、本発明についていくつかの例示的な実施形態に関連付けて説明したが、当業者によってこれらの教示が本発明の他の可能な変形に容易に応用されることは認められよう。
【図面の簡単な説明】
【0107】
【図1】半導体基板における伝導帯および価電子帯の電子構成ならびにオキシダント含有溶液の概略図を、電子状態の密度のガウス分布によって示す。
【図2】半導体基板における伝導帯および価電子帯の電子構成ならびにオキシダント含有溶液の概略図を、電子状態の密度のガウス分布によって示す。
【図3】半導体基板における伝導帯および価電子帯の電子構成ならびにオキシダント含有溶液の概略図を、電子状態の密度のガウス分布によって示す。
【図4】ゲート誘電体貫通電流を用いた表面全体の電着の概略を断面図で示す。
【図5】ゲート誘電体貫通電流を用いた表面全体の電着の概略を断面図で示す。
【図6】絶縁マスクを用いたスルー・マスクめっきの概略を断面図で示す。
【図7】絶縁マスクを用いたスルー・マスクめっきの概略を断面図で示す。
【図8】絶縁マスクを用いたスルー・マスクめっきの概略を断面図で示す。
【図9】絶縁マスクを用いたスルー・マスクめっきの概略を断面図で示す。
【図10】絶縁マスクの上にゲート酸化物を付着したスルー・マスクめっきの概略を断面図で示す。
【図11】絶縁マスクの上にゲート酸化物を付着したスルー・マスクめっきの概略を断面図で示す。
【図12】絶縁マスクの上にゲート酸化物を付着したスルー・マスクめっきの概略を断面図で示す。
【図13】絶縁マスクの上にゲート酸化物を付着したスルー・マスクめっきの概略を断面図で示す。
【図14】スルー・マスクめっきのための代替的な一体型の機構を断面図で示す。
【図15】スルー・マスクめっきのための代替的な一体型の機構を断面図で示す。
【図16】スルー・マスクめっきのための代替的な一体型の機構を断面図で示す。
【図17】スルー・マスクめっきのための代替的な一体型の機構を断面図で示す。
【図18】マスクを用いない選択的なめっきのための代替的な一体型の機構を断面図で示す。
【図19】マスクを用いない選択的なめっきのための代替的な一体型の機構を断面図で示す。
【図20】負の電位へ向かう動電位スキャン中に得られた電流−電圧曲線を示す。
【図21】投射粒子ビームによって損傷を受けたパターニング領域の薄い誘電体上に金属を選択的にめっきするための機構を断面図で示す。
【図22】投射粒子ビームによって損傷を受けたパターニング領域の薄い誘電体上に金属を選択的にめっきするための機構を断面図で示す。
【図23】投射粒子ビームによって損傷を受けたパターニング領域を選択的にエッチングするための機構を断面図で示す。
【図24】投射粒子ビームによって損傷を受けたパターニング領域を選択的にエッチングするための機構を断面図で示す。
【図25】暗所および白色光照明のもとでの硫酸ニッケル溶液中のn型およびp型Si/SiO2(1nm)/HfO2(3nm)についての電流−電圧特性を示す。
【図26】硫酸ニッケル系、塩化ルテニウム系、および過レニウム酸系の溶液中で、負の電位へ向かう動電位スキャン(順方向スキャン)の間、および、正の電位へ向かってスキャン方向を逆転させた(逆方向スキャン)後の、n型Si/SiO2(1nm)/HfO2(3nm)についての電流−電圧曲線を示す。
【図27】硫酸ニッケル系、塩化ルテニウム系、および過レニウム酸系の溶液中で、負の電位へ向かう動電位スキャン(順方向スキャン)の間、および、正の電位へ向かってスキャン方向を逆転させた(逆方向スキャン)後の、照明のもとでのp型Si/SiO2(1nm)/HfO2(3nm)についての電流−電圧曲線を示す。
【図28】電位または電流を印加しながらマスクを介して基板を照明することによって、表面全体を覆うゲート電極上の金属パターンの選択的な光電着の概略を断面図で示す。
【図29】電位または電流を印加しながらマスクを介して基板を照明することによって、表面全体を覆うゲート電極上の金属パターンの選択的な光電着の概略を断面図で示す。
【図30】AFMまたはSTMチップのもとでの選択的なめっきの概略を断面図で示す。
【図31】AFMまたはSTMチップのもとでの選択的なめっきの概略を断面図で示す。
【図32】HfO2(3nm)高k誘電体上に選択的にめっきした電着Ru/Ni二重構造の集束イオン・ビーム(FIB)画像を示す。
【図33】HfO2(3nm)高k誘電体上に選択的にめっきした電着Ru/Ni二重構造の集束イオン・ビーム(FIB)画像を示す。
【図34】電気化学的バック・コンタクトを用いて薄いゲート状誘電体に電気化学処理を行うための機構の概略を断面図で示す。
【図35】ゲート酸化物を露出させる絶縁マスク、トランジスタを分離する浅いトレンチ分離すなわちSTI、ならびにソースおよびドレイン領域を有する金属ゲート・トランジスタの製造のための構造を断面図で示す。
【図36】ゲート酸化物を露出させる絶縁マスク、トランジスタを分離する浅いトレンチ分離すなわちSTI、ならびにソースおよびドレイン領域を有する金属ゲート・トランジスタの製造のための構造を断面図で示す。
【図37】0.1モル/リットルのNiSO4+0.25モル/リットルのH3BO3中でn型およびp型のSi/RTNO(1nm)/HfO2(3nm)上にNi電着により用意した表面全体を覆うNi/HfO2/SiON/Si金属キャパシタ構造の電流−電圧(I−V)特性を示す。
【図38】n型Si/SiON(1nm)/HfO2(4nm)基板について、濃度が1から54グラム/リットルの範囲である過レニウム酸アンモニウム(NH4ReO4)のReめっき溶液から定電流付着(10mA/cm2で120秒)によって製造し、後に形成ガス中において550℃で30分アニーリングした電着pFET Re/HfO2/SiON/Si MOS試験構造(100マイクロメートル四方)のキャパシタンス−電圧(CP−V)特性を示す。
【図39】p型Si/SiO2(1nm)/HfO2(3nm)基板について、濃度が1から54グラム/リットルの範囲である過レニウム酸アンモニウム(NH4ReO4)のReめっき溶液から定電流付着(10mA/cm2で120秒)によって製造し、後に形成ガス中において550℃で30分アニーリングした電着pFET Re/HfO2/SiON/Si MOS試験構造(100マイクロメートル四方)のキャパシタンス−電圧(CP−V)特性を示す。
【図40】RuCl3系のめっき溶液から定電流付着(10mA/cm2で120秒)によって製造し、後に窒素ガス中において(異なる温度で5分間のRTA)および形成ガス中において(550℃で30分)アニーリングした電着pFET Ru/HfO2/SiON/Si MOS試験構造(100マイクロメートル四方)のキャパシタンス−電圧(CP−V)特性を示す。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの誘電体を処理するための方法であって、
(i)導体基板あるいは半導体基板またはそれら両方の上にある少なくとも1つの誘電体を準備するステップであって、前記少なくとも1つの誘電体が少なくとも部分的に電解液または溶融物に浸漬され、前記電解液または溶融物が電気化学プロセスのための少なくとも1つの活性成分を含む、ステップと、
(ii)前記電解液または溶融物に少なくとも部分的に浸漬された少なくとも1つの補助電極を設けるステップと、
(iii)前記基板と補助電極との間に電流または電圧を印加し、前記電流を前記誘電体経由で前記補助電極に通して、前記誘電体において電気化学プロセスを可能とするステップと、
を含む、前記方法。
【請求項2】
前記電気化学プロセスが、
(i)前記誘電体上の導体または半導体材料の電気めっきまたは電着、
(ii)前記誘電体の電気化学的な変更、
(iii)電気化学エッチング、
(iv)電解研磨、
(v)前記電解液からの絶縁体または酸化物の電着、
から成る群から選択される少なくとも1つのステップまたは結果を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記少なくとも1つの誘電体が、導体層または半導体層の少なくとも部分的な保護膜を有する誘電体を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記電気化学プロセスが非選択的であり、前記誘電体の層の表面にわたって比較的均一である、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記電気化学プロセスが選択的であり、前記誘電体の選択した領域上のみで行われる、請求項2に記載の方法。
【請求項6】
前記少なくとも1つの誘電体が、電気化学処理が必要とされる少なくとも1つの第1の領域において第1の合計厚さを有し、電気化学処理が必要とされない少なくとも1つの第2の領域において第2の合計厚さを有するようにすることによって、前記選択的な電気化学プロセスを実行する、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
選択した領域における前記誘電体の材料を変更して前記誘電体の電流に対する抵抗を大きくまたは小さくすることによって前記選択的な電気化学プロセスを実行し、前記方法が、前記誘電体に損傷を与えることと、前記誘電体を別の材料と反応させることと、前記誘電体を別の誘電体によって置換することと、前記誘電体を別の誘電体によって増強させることと、から成る群から選択される少なくとも1つのステップを含む、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
電気化学処理が必要とされる第1のキャリア・タイプおよび密度を有する少なくとも第1の基板領域、および、電気化学処理が必要とされない第2のキャリア・タイプおよび密度を有する少なくとも1つの第2の基板領域を有する基板を選択することによって、前記選択的な電気化学処理を実行する、請求項5に記載の方法。
【請求項9】
電気化学処理が必要とされる第1の組成を有する少なくとも1つの第1の基板領域、および、電気化学処理が必要とされない第2の組成を有する少なくとも1つの第2の基板領域を有する基板を選択することによって、前記選択的な電気化学処理を実行する、請求項5に記載の方法。
【請求項10】
光照明に対するパターニング露光によって前記選択的な電気化学処理を実行し、第1の電気化学プロセスが必要とされる少なくとも1つの第1の基板領域を光照明に露光し、電気化学処理が必要とされない少なくとも1つの第2の基板領域を光照明に露光しない、請求項5に記載の方法。
【請求項11】
前記パターニング露光が書き込み可能レーザによって実行される、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記パターニング露光が、前記誘電体の前に配置されたかまたは前記誘電体上に配置された光遮蔽マスクによって実行される、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
原子間力顕微鏡(AFM)チップまたは走査トンネル顕微鏡(STM)チップによって前記選択的な電気化学処理を実行し、前記チップが電気化学処理を必要とする少なくとも1つの基板領域上に配置され、前記チップを前記誘電体の表面上で所望のパターンを追って移動させることによって電気処理された構造の書き込みを行う、請求項5に記載の方法。
【請求項14】
前記誘電体の厚さが0.2nmから100nmまでの範囲である、請求項2に記載の方法。
【請求項15】
前記誘電体の厚さが1nmから25nmまでの範囲である、請求項2に記載の方法。
【請求項16】
前記印加する電流密度が10μA/cm2から1A/cm2までの範囲である、請求項2に記載の方法。
【請求項17】
前記印加する電圧の結果、10μA/cm2から1A/cm2までの範囲の電流密度が生じる、請求項2に記載の方法。
【請求項18】
前記電気化学プロセスが包括的な光照明によって補助され、前記プロセスが前面あるいは裏面またはそれら両方の照明を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項19】
前記誘電体の層が、金属酸化物、金属窒化物、金属炭化物、金属ホウ化物、金属酸窒化物、金属シリコン酸化物、金属シリコン酸窒化物、金属ゲルマン酸、および金属ゲルマニウム酸窒化物から成ると共に導体を除いた群から選択され、前記金属が、Al、Ba、Be、Bi、C、Ca、Ce、Co、Cr、Dy、Fe、Ga、Gd、Ge、Hf、In、La、Li、Mg、Mn、Mo、Nb、Ni、Pr、Si、Ta、Ti、V、W、Y、Zn、およびZr、ならびにその合金、混合物、および多層から成る群から選択される、請求項2に記載の方法。
【請求項20】
前記基板が、金属、導電性金属酸化物、導電性金属硫化物、導電性金属リン化物、導電性金属ホウ化物、導電性金属窒化物、導電性金属シリサイド、導電性金属炭化物、導電性ポリマ、ならびにその合金、混合物、および多層から成る群から選択される、請求項2に記載の方法。
【請求項21】
前記金属が、Ag、Al、As、Au、Cd、Co、Cu、Hf、Ir、Ga、Ge、Fe、In、Mo、Nb、Ni、P、Pb、Pd、Pt、Ru、Re、Rh、Se、Si、Sb、Sn、Ta、Ti、W、V、Zn、およびZr、ならびにその合金、混合物、および多層から成る群から選択される、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記基板が非平面のトポロジを有する、請求項2に記載の方法。
【請求項23】
電着した材料を平坦化して前記誘電体の少なくとも1つの選択した領域を露出させるステップを更に含む、請求項5に記載の方法。
【請求項24】
前記基板が、
(i)Si、Ge、およびその組み合わせ、およびCを含むその組み合わせを含む、1つ以上のドーピングされたまたはドーピングされていない半導体、
(ii)Ga、As、P、Sb、In、Se、およびAlから成る群から選択された少なくとも2つの材料を含む、ドーピングされたまたはドーピングされていない、2成分、3成分、および4成分の半導体、
(iii)Cd、Zn、Te、Se、およびSを含む、ドーピングされたまたはドーピングされていないII−VI半導体、
(iv)ドーピングされたまたはドーピングされていない酸化物半導体、
(v)半導体またはエレクトロルミネッセント・ポリマ、
(vi)半導体多層および混合層、
(vii)絶縁体上半導体の組み合わせ、
から成る群から選択された少なくとも1つの材料を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項25】
前記誘電体の層が、SiO2、シリコン酸窒化物(SiON)、GeO2、GeON、Al2O3、HfO2、Ta2O5、La2O5、ZrO2、およびY2O3、ならびにこれの合金、混合物、および多層であって窒素、シリコン、および炭素を含むものから成る群から選択される、請求項2に記載の方法。
【請求項26】
前記電気めっきした導体材料が、金属、金属酸化物、金属リン化物、金属硫化物、および金属ホウ化物から成る群から選択される材料を含み、前記金属が、Ru、Re、Ni、Pd、Co、Tc、Pt、Rh、Cr、Mn、Os、Ir、Si、Ge、Sb、Bi、Sn、In、Fe、Zn、Cd、Se、Te、Cu、Ag、Au、Pb、これらの合金、混合物、および多層、ならびに、これとAl、Mg、W、V、Ti、Ta、Mo、Ce、Ga、Gd、Hf、Zr、La、Y、Sr、Tl、Eu、Dy、Ho、Nbから成る群から選択される少なくとも1つの追加の金属との合金、混合物、および多層から成る群から選択される、請求項2に記載の方法。
【請求項27】
前記電着した材料の厚さが1nmから5000nmまでの範囲である、請求項2に記載の方法。
【請求項28】
前記電解液が、
(i)0.001モル/リットルから0.1モル/リットルの範囲の濃度を有する(NH4)2PtCl6および1モル/リットルまでの濃度を有するNa2HPO4を含み、pHが2から9までの範囲であるめっき溶液、
(ii)1から30g/lのRh2SO4および1から100m/lのH2SO4を含むめっき溶液、
(iii)1g/lから20g/lのRuCl3.xH2O、1g/lから10g/lのNaNO2、40ml/lまでのNH4OH(28wt%)、および40ml/lまでのHCl(38wt%)を含み、pHが1から9までの範囲であるめっき溶液、
(iv)0.001モル/リットルから0.025モル/リットルのRuCl3、1モル/リットルまでのHCl、および1モル/リットルまでのH3BO3を含むめっき溶液、
(v)1g/lから100g/lのNH4ReO4および1ml/lから250ml/lのHCl(38%)を含むめっき溶液、
から成る群から選択される、請求項2に記載の方法。
【請求項29】
前記電解液が、
(i)0.01モル/リットルの濃度を有する(NH4)2PtCl6および0.4モル/リットルの濃度を有するNa2HPO4を含み、pHが7であるめっき溶液、
(ii)10g/lのRh2SO4および10m/lのH2SO4を含むめっき溶液、
(iii)5.2g/lのRuCl3.xH2O、5.2g/lのNaNO2、8ml/lのNH4OH、および4ml/lのHClを含み、pHが2.3であるめっき溶液、
(iv)0.02モル/リットルのRuCl3、0.05モル/リットルのHCl、および0.4モル/リットルのH3BO3を含むめっき溶液、
(v)10g/lのNH4ReO4および10ml/lのHCl(38%)を含み、pHが1から2であるめっき溶液、
から成る群から選択される、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
乾式固体コンタクトおよび湿式電気化学コンタクトから成る群から選択されるコンタクト構成によって前記基板に対する電気コンタクトを生成する、請求項2に記載の方法。
【請求項31】
前記乾式固体コンタクトが、As、P、B、Si、Al、およびSbから成る群から選択される少なくとも1つの元素によるイオン注入によって生成される、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記乾式固体コンタクトが金属付着によって形成され、前記金属が、Zn、In、Ga、Sn、Pb、Au、Ag、Cu、これの合金、混合物、および多層から成る群から選択される、請求項30に記載の方法。
【請求項33】
前記電気化学的な変更が、
(i)ハロゲン(F、Cl、Br、およびI)、
(ii)金属Hf、Zr、Ta、La、Al、Ti、Sb、およびIn、
(iii)N、C、B、P、O、S、Si、Ge、As、およびこれらの組み合わせから成る群から選択される他の元素、
から成る群から選択される少なくとも1つの元素を組み込むことによる前記誘電体の表面に対する変更を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項34】
前記電気化学的な変更が、
(i)ハロゲン(F、Cl、Br、およびI)、
(ii)金属Hf、Zr、Ta、La、Al、Ti、Sb、およびIn、
(iii)N、C、B、P、O、S、Si、Ge、As、およびこれらの組み合わせから成る群から選択される他の元素、
から成る群から選択される少なくとも1つの元素を組み込むことによる前記誘電体の大部分に対する変更を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項35】
前記電気化学的な変更が、トラップまたは界面状態等の構造的または電気的な欠陥状態の集中を低減させるための、前記誘電体の陽極酸化または窒化を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項36】
前記電気化学的な変更が、界面の金属−シリコン結合の形成を最小限に抑えるための、Siゲート電極を付着する前の金属含有ゲート誘電体の陽極酸化または窒化を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項37】
前記電気化学的な変更が、熱安定性を高めて酸素拡散およびホウ素浸透を高効率で抑えて誘電体を形成するための、ゲート誘電体膜内への窒素の組み込みを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項38】
前記電気化学的な変更が、界面状態の集中を低減させるための前記誘電体−基板界面におけるダングリング・ボンドの水素化を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項39】
前記電気化学的な変更が、高誘電率、高バンド・ギャップ、および高熱安定性から成る群から選択される少なくとも1つの特性を高めた誘電体を形成するための、ゲート誘電体膜内への金属または半導体の組み込みを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項40】
前記電気化学的な変更が、前記ゲート誘電体スタックの一部を形成するために後で酸化または窒化される前記誘電体上の薄い金属または半導体膜の形成を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項41】
前記方法が、後に形成される導体ゲートの仕事関数および閾値電圧を変更するように行われる、請求項2に記載の方法。
【請求項42】
請求項2に記載の方法に従って誘電体層上に電気めっきされた金属または他の導体または半導体材料を含むゲート電極。
【請求項43】
請求項3に記載の方法に従って少なくとも部分的に被覆された誘電体の層上に電気めっきされた金属または他の導体または半導体材料を含むゲート電極。
【請求項44】
前記ゲート電極にはアニーリング・ステップが行われている、請求項42に記載のゲート電極。
【請求項45】
前記電気めっきされたゲート電極上に付着した少なくとも1つの他の金属または他の導体または半導体材料を更に含む、請求項42に記載のゲート電極。
【請求項46】
前記ゲート電極にはアニーリング・ステップが行われている、請求項45に記載のゲート電極。
【請求項47】
基板と、少なくとも1つの誘電体と、前記誘電体の上に直接電気めっきされた少なくとも1つの金属と、を含む、金属酸化膜半導体(MOS)。
【請求項48】
前記少なくとも1つの電気めっきされた金属が、電解液によって与えられる5原子%未満の不純物を含む、請求項47に記載の金属酸化膜半導体(MOS)。
【請求項49】
前記基板がSiを含み、前記誘電体が、SiO2、SiON、HfO2、およびHfSiOから成る群から選択される少なくとも1つの層を含み、前記誘電体の上に直接電気めっきされた前記金属が、Ru、Re、Pt、Rh、およびNiから成る群から選択される、請求項47に記載の金属酸化膜半導体(MOS)。
【請求項50】
同一平面上にあるゲート電極を含み、前記同一平面上にあるゲート電極が異なる仕事関数を有する金属を含む、請求項47に記載の金属酸化膜半導体(MOS)。
【請求項51】
請求項47に記載の金属酸化膜半導体(MOS)を含む電界効果トランジスタ(FET)。
【請求項52】
複数のFETを含む電子回路であって、前記複数のFETが請求項47に記載のMOS構造を有する少なくとも1つのFETを含む、電子回路。
【請求項53】
前記複数のFETが少なくとも1つの第1のFETおよび少なくとも1つの第2のFETを含み、前記第1および第2のFETが請求項47に記載のMOS構造を有し、前記少なくとも1つの第1のFETの金属が第1の金属を含み、前記少なくとも1つの第2のFETの金属が第2の金属を含み、前記第1の金属が前記第2の金属とは異なる、請求項52に記載の電子回路。
【請求項1】
少なくとも1つの誘電体を処理するための方法であって、
(i)導体基板あるいは半導体基板またはそれら両方の上にある少なくとも1つの誘電体を準備するステップであって、前記少なくとも1つの誘電体が少なくとも部分的に電解液または溶融物に浸漬され、前記電解液または溶融物が電気化学プロセスのための少なくとも1つの活性成分を含む、ステップと、
(ii)前記電解液または溶融物に少なくとも部分的に浸漬された少なくとも1つの補助電極を設けるステップと、
(iii)前記基板と補助電極との間に電流または電圧を印加し、前記電流を前記誘電体経由で前記補助電極に通して、前記誘電体において電気化学プロセスを可能とするステップと、
を含む、前記方法。
【請求項2】
前記電気化学プロセスが、
(i)前記誘電体上の導体または半導体材料の電気めっきまたは電着、
(ii)前記誘電体の電気化学的な変更、
(iii)電気化学エッチング、
(iv)電解研磨、
(v)前記電解液からの絶縁体または酸化物の電着、
から成る群から選択される少なくとも1つのステップまたは結果を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記少なくとも1つの誘電体が、導体層または半導体層の少なくとも部分的な保護膜を有する誘電体を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記電気化学プロセスが非選択的であり、前記誘電体の層の表面にわたって比較的均一である、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記電気化学プロセスが選択的であり、前記誘電体の選択した領域上のみで行われる、請求項2に記載の方法。
【請求項6】
前記少なくとも1つの誘電体が、電気化学処理が必要とされる少なくとも1つの第1の領域において第1の合計厚さを有し、電気化学処理が必要とされない少なくとも1つの第2の領域において第2の合計厚さを有するようにすることによって、前記選択的な電気化学プロセスを実行する、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
選択した領域における前記誘電体の材料を変更して前記誘電体の電流に対する抵抗を大きくまたは小さくすることによって前記選択的な電気化学プロセスを実行し、前記方法が、前記誘電体に損傷を与えることと、前記誘電体を別の材料と反応させることと、前記誘電体を別の誘電体によって置換することと、前記誘電体を別の誘電体によって増強させることと、から成る群から選択される少なくとも1つのステップを含む、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
電気化学処理が必要とされる第1のキャリア・タイプおよび密度を有する少なくとも第1の基板領域、および、電気化学処理が必要とされない第2のキャリア・タイプおよび密度を有する少なくとも1つの第2の基板領域を有する基板を選択することによって、前記選択的な電気化学処理を実行する、請求項5に記載の方法。
【請求項9】
電気化学処理が必要とされる第1の組成を有する少なくとも1つの第1の基板領域、および、電気化学処理が必要とされない第2の組成を有する少なくとも1つの第2の基板領域を有する基板を選択することによって、前記選択的な電気化学処理を実行する、請求項5に記載の方法。
【請求項10】
光照明に対するパターニング露光によって前記選択的な電気化学処理を実行し、第1の電気化学プロセスが必要とされる少なくとも1つの第1の基板領域を光照明に露光し、電気化学処理が必要とされない少なくとも1つの第2の基板領域を光照明に露光しない、請求項5に記載の方法。
【請求項11】
前記パターニング露光が書き込み可能レーザによって実行される、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記パターニング露光が、前記誘電体の前に配置されたかまたは前記誘電体上に配置された光遮蔽マスクによって実行される、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
原子間力顕微鏡(AFM)チップまたは走査トンネル顕微鏡(STM)チップによって前記選択的な電気化学処理を実行し、前記チップが電気化学処理を必要とする少なくとも1つの基板領域上に配置され、前記チップを前記誘電体の表面上で所望のパターンを追って移動させることによって電気処理された構造の書き込みを行う、請求項5に記載の方法。
【請求項14】
前記誘電体の厚さが0.2nmから100nmまでの範囲である、請求項2に記載の方法。
【請求項15】
前記誘電体の厚さが1nmから25nmまでの範囲である、請求項2に記載の方法。
【請求項16】
前記印加する電流密度が10μA/cm2から1A/cm2までの範囲である、請求項2に記載の方法。
【請求項17】
前記印加する電圧の結果、10μA/cm2から1A/cm2までの範囲の電流密度が生じる、請求項2に記載の方法。
【請求項18】
前記電気化学プロセスが包括的な光照明によって補助され、前記プロセスが前面あるいは裏面またはそれら両方の照明を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項19】
前記誘電体の層が、金属酸化物、金属窒化物、金属炭化物、金属ホウ化物、金属酸窒化物、金属シリコン酸化物、金属シリコン酸窒化物、金属ゲルマン酸、および金属ゲルマニウム酸窒化物から成ると共に導体を除いた群から選択され、前記金属が、Al、Ba、Be、Bi、C、Ca、Ce、Co、Cr、Dy、Fe、Ga、Gd、Ge、Hf、In、La、Li、Mg、Mn、Mo、Nb、Ni、Pr、Si、Ta、Ti、V、W、Y、Zn、およびZr、ならびにその合金、混合物、および多層から成る群から選択される、請求項2に記載の方法。
【請求項20】
前記基板が、金属、導電性金属酸化物、導電性金属硫化物、導電性金属リン化物、導電性金属ホウ化物、導電性金属窒化物、導電性金属シリサイド、導電性金属炭化物、導電性ポリマ、ならびにその合金、混合物、および多層から成る群から選択される、請求項2に記載の方法。
【請求項21】
前記金属が、Ag、Al、As、Au、Cd、Co、Cu、Hf、Ir、Ga、Ge、Fe、In、Mo、Nb、Ni、P、Pb、Pd、Pt、Ru、Re、Rh、Se、Si、Sb、Sn、Ta、Ti、W、V、Zn、およびZr、ならびにその合金、混合物、および多層から成る群から選択される、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記基板が非平面のトポロジを有する、請求項2に記載の方法。
【請求項23】
電着した材料を平坦化して前記誘電体の少なくとも1つの選択した領域を露出させるステップを更に含む、請求項5に記載の方法。
【請求項24】
前記基板が、
(i)Si、Ge、およびその組み合わせ、およびCを含むその組み合わせを含む、1つ以上のドーピングされたまたはドーピングされていない半導体、
(ii)Ga、As、P、Sb、In、Se、およびAlから成る群から選択された少なくとも2つの材料を含む、ドーピングされたまたはドーピングされていない、2成分、3成分、および4成分の半導体、
(iii)Cd、Zn、Te、Se、およびSを含む、ドーピングされたまたはドーピングされていないII−VI半導体、
(iv)ドーピングされたまたはドーピングされていない酸化物半導体、
(v)半導体またはエレクトロルミネッセント・ポリマ、
(vi)半導体多層および混合層、
(vii)絶縁体上半導体の組み合わせ、
から成る群から選択された少なくとも1つの材料を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項25】
前記誘電体の層が、SiO2、シリコン酸窒化物(SiON)、GeO2、GeON、Al2O3、HfO2、Ta2O5、La2O5、ZrO2、およびY2O3、ならびにこれの合金、混合物、および多層であって窒素、シリコン、および炭素を含むものから成る群から選択される、請求項2に記載の方法。
【請求項26】
前記電気めっきした導体材料が、金属、金属酸化物、金属リン化物、金属硫化物、および金属ホウ化物から成る群から選択される材料を含み、前記金属が、Ru、Re、Ni、Pd、Co、Tc、Pt、Rh、Cr、Mn、Os、Ir、Si、Ge、Sb、Bi、Sn、In、Fe、Zn、Cd、Se、Te、Cu、Ag、Au、Pb、これらの合金、混合物、および多層、ならびに、これとAl、Mg、W、V、Ti、Ta、Mo、Ce、Ga、Gd、Hf、Zr、La、Y、Sr、Tl、Eu、Dy、Ho、Nbから成る群から選択される少なくとも1つの追加の金属との合金、混合物、および多層から成る群から選択される、請求項2に記載の方法。
【請求項27】
前記電着した材料の厚さが1nmから5000nmまでの範囲である、請求項2に記載の方法。
【請求項28】
前記電解液が、
(i)0.001モル/リットルから0.1モル/リットルの範囲の濃度を有する(NH4)2PtCl6および1モル/リットルまでの濃度を有するNa2HPO4を含み、pHが2から9までの範囲であるめっき溶液、
(ii)1から30g/lのRh2SO4および1から100m/lのH2SO4を含むめっき溶液、
(iii)1g/lから20g/lのRuCl3.xH2O、1g/lから10g/lのNaNO2、40ml/lまでのNH4OH(28wt%)、および40ml/lまでのHCl(38wt%)を含み、pHが1から9までの範囲であるめっき溶液、
(iv)0.001モル/リットルから0.025モル/リットルのRuCl3、1モル/リットルまでのHCl、および1モル/リットルまでのH3BO3を含むめっき溶液、
(v)1g/lから100g/lのNH4ReO4および1ml/lから250ml/lのHCl(38%)を含むめっき溶液、
から成る群から選択される、請求項2に記載の方法。
【請求項29】
前記電解液が、
(i)0.01モル/リットルの濃度を有する(NH4)2PtCl6および0.4モル/リットルの濃度を有するNa2HPO4を含み、pHが7であるめっき溶液、
(ii)10g/lのRh2SO4および10m/lのH2SO4を含むめっき溶液、
(iii)5.2g/lのRuCl3.xH2O、5.2g/lのNaNO2、8ml/lのNH4OH、および4ml/lのHClを含み、pHが2.3であるめっき溶液、
(iv)0.02モル/リットルのRuCl3、0.05モル/リットルのHCl、および0.4モル/リットルのH3BO3を含むめっき溶液、
(v)10g/lのNH4ReO4および10ml/lのHCl(38%)を含み、pHが1から2であるめっき溶液、
から成る群から選択される、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
乾式固体コンタクトおよび湿式電気化学コンタクトから成る群から選択されるコンタクト構成によって前記基板に対する電気コンタクトを生成する、請求項2に記載の方法。
【請求項31】
前記乾式固体コンタクトが、As、P、B、Si、Al、およびSbから成る群から選択される少なくとも1つの元素によるイオン注入によって生成される、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記乾式固体コンタクトが金属付着によって形成され、前記金属が、Zn、In、Ga、Sn、Pb、Au、Ag、Cu、これの合金、混合物、および多層から成る群から選択される、請求項30に記載の方法。
【請求項33】
前記電気化学的な変更が、
(i)ハロゲン(F、Cl、Br、およびI)、
(ii)金属Hf、Zr、Ta、La、Al、Ti、Sb、およびIn、
(iii)N、C、B、P、O、S、Si、Ge、As、およびこれらの組み合わせから成る群から選択される他の元素、
から成る群から選択される少なくとも1つの元素を組み込むことによる前記誘電体の表面に対する変更を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項34】
前記電気化学的な変更が、
(i)ハロゲン(F、Cl、Br、およびI)、
(ii)金属Hf、Zr、Ta、La、Al、Ti、Sb、およびIn、
(iii)N、C、B、P、O、S、Si、Ge、As、およびこれらの組み合わせから成る群から選択される他の元素、
から成る群から選択される少なくとも1つの元素を組み込むことによる前記誘電体の大部分に対する変更を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項35】
前記電気化学的な変更が、トラップまたは界面状態等の構造的または電気的な欠陥状態の集中を低減させるための、前記誘電体の陽極酸化または窒化を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項36】
前記電気化学的な変更が、界面の金属−シリコン結合の形成を最小限に抑えるための、Siゲート電極を付着する前の金属含有ゲート誘電体の陽極酸化または窒化を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項37】
前記電気化学的な変更が、熱安定性を高めて酸素拡散およびホウ素浸透を高効率で抑えて誘電体を形成するための、ゲート誘電体膜内への窒素の組み込みを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項38】
前記電気化学的な変更が、界面状態の集中を低減させるための前記誘電体−基板界面におけるダングリング・ボンドの水素化を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項39】
前記電気化学的な変更が、高誘電率、高バンド・ギャップ、および高熱安定性から成る群から選択される少なくとも1つの特性を高めた誘電体を形成するための、ゲート誘電体膜内への金属または半導体の組み込みを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項40】
前記電気化学的な変更が、前記ゲート誘電体スタックの一部を形成するために後で酸化または窒化される前記誘電体上の薄い金属または半導体膜の形成を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項41】
前記方法が、後に形成される導体ゲートの仕事関数および閾値電圧を変更するように行われる、請求項2に記載の方法。
【請求項42】
請求項2に記載の方法に従って誘電体層上に電気めっきされた金属または他の導体または半導体材料を含むゲート電極。
【請求項43】
請求項3に記載の方法に従って少なくとも部分的に被覆された誘電体の層上に電気めっきされた金属または他の導体または半導体材料を含むゲート電極。
【請求項44】
前記ゲート電極にはアニーリング・ステップが行われている、請求項42に記載のゲート電極。
【請求項45】
前記電気めっきされたゲート電極上に付着した少なくとも1つの他の金属または他の導体または半導体材料を更に含む、請求項42に記載のゲート電極。
【請求項46】
前記ゲート電極にはアニーリング・ステップが行われている、請求項45に記載のゲート電極。
【請求項47】
基板と、少なくとも1つの誘電体と、前記誘電体の上に直接電気めっきされた少なくとも1つの金属と、を含む、金属酸化膜半導体(MOS)。
【請求項48】
前記少なくとも1つの電気めっきされた金属が、電解液によって与えられる5原子%未満の不純物を含む、請求項47に記載の金属酸化膜半導体(MOS)。
【請求項49】
前記基板がSiを含み、前記誘電体が、SiO2、SiON、HfO2、およびHfSiOから成る群から選択される少なくとも1つの層を含み、前記誘電体の上に直接電気めっきされた前記金属が、Ru、Re、Pt、Rh、およびNiから成る群から選択される、請求項47に記載の金属酸化膜半導体(MOS)。
【請求項50】
同一平面上にあるゲート電極を含み、前記同一平面上にあるゲート電極が異なる仕事関数を有する金属を含む、請求項47に記載の金属酸化膜半導体(MOS)。
【請求項51】
請求項47に記載の金属酸化膜半導体(MOS)を含む電界効果トランジスタ(FET)。
【請求項52】
複数のFETを含む電子回路であって、前記複数のFETが請求項47に記載のMOS構造を有する少なくとも1つのFETを含む、電子回路。
【請求項53】
前記複数のFETが少なくとも1つの第1のFETおよび少なくとも1つの第2のFETを含み、前記第1および第2のFETが請求項47に記載のMOS構造を有し、前記少なくとも1つの第1のFETの金属が第1の金属を含み、前記少なくとも1つの第2のFETの金属が第2の金属を含み、前記第1の金属が前記第2の金属とは異なる、請求項52に記載の電子回路。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38】
【図39】
【図40】
【図2】
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【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38】
【図39】
【図40】
【公表番号】特表2008−529300(P2008−529300A)
【公表日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−553097(P2007−553097)
【出願日】平成17年12月2日(2005.12.2)
【国際出願番号】PCT/US2005/043466
【国際公開番号】WO2006/080980
【国際公開日】平成18年8月3日(2006.8.3)
【出願人】(390009531)インターナショナル・ビジネス・マシーンズ・コーポレーション (4,084)
【氏名又は名称原語表記】INTERNATIONAL BUSINESS MASCHINES CORPORATION
【Fターム(参考)】
【公表日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年12月2日(2005.12.2)
【国際出願番号】PCT/US2005/043466
【国際公開番号】WO2006/080980
【国際公開日】平成18年8月3日(2006.8.3)
【出願人】(390009531)インターナショナル・ビジネス・マシーンズ・コーポレーション (4,084)
【氏名又は名称原語表記】INTERNATIONAL BUSINESS MASCHINES CORPORATION
【Fターム(参考)】
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