説明

タンパク質フォールディング障害を治療するための化合物および方法

本発明は、タンパク質フォールディング障害を治療するための化合物および方法に関する。特定の実施形態において、本発明は、アルツハイマー病、タウオパシー、脳アミロイド血管症、びまん性レビー小体病、認知症、ハンチントン病、プリオン性海綿状脳症等の神経変性疾患を治療するための化合物および方法に関する。本発明はさらに、タウタンパク質、Aβプロテイン、またはα−シヌクレインタンパク質の凝集を阻害する化合物、方法および医薬組成物に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タンパク質フォールディング障害を治療するための化合物および方法に関する。特定の実施形態において、本発明は、アルツハイマー病、タウオパシー、脳アミロイド血管症、びまん性レビー小体病、認知症、ハンチントン病、プリオン性海綿状脳症等の神経変性疾患を治療するための化合物および方法に関する。本発明はさらに、タウタンパク質、Aβプロテイン、またはα−シヌクレインタンパク質の凝集を阻害する化合物、方法および医薬組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
タンパク質フォールディング障害として、例えば、アルツハイマー病、認知症、ハンチントン病、パーキンソン病およびプリオン性海綿状脳症(例えばクロイツフェルトヤコブ病)等の神経変性疾患ならびに、例えば、2型糖尿病および全身性アミロイドーシス等の非神経タンパク質フォールディング障害が挙げられる。
【0003】
アルツハイマー病(AD)は、進行性の神経変性疾患であり、はじめは軽度の認知症状、記憶症状および行動症状を伴って顕在化し、次第にそれらの症状は重症度が悪化し、最終的には認知症に至る。本疾患は、認知症の最も一般的な原因であり、種々の研究において決定されているように、症例の42から81%を占める(非特許文献1)。本疾患は、65〜74歳の人々の2.5%、75〜79歳の人々の4%、80〜84歳の人々の11%および85〜93歳の人々の24%を冒す(非特許文献2)。ADは、北アメリカ単独で年間100,000件の死亡例をもたらし、心疾患、癌および脳卒中のみに続く、第4番目の主要な死亡原因である(非特許文献3)。ADは、あらゆる人種および民族の個人を冒し、女性における発生率の方が、男性よりも若干高い。
【0004】
アルツハイマー病の進行には寛解もなければ、現在のところ、本疾患を安定化させる入手可能な薬物は1つも存在しない(非特許文献4)。したがって、本疾患の発症に続き、精神的および身体的な能力が漸進的に喪失し、自立生活が不能になり、養老院へ収容され、死亡に至るのは避けられない。症状の出現から死亡まで、通常8〜10年の期間があるが、患者がADとはじめて診断されてから20年以上生存する場合がある(Siegel)。
【0005】
多くの証拠は、アルツハイマー病を、タンパク質ミスフォールディングおよび凝集の症候群と見なし得ることを示唆している(非特許文献5)。この症候群は、上記の疾患の顕著な特徴:主にAβペプチドからなる神経細胞外の斑、および主に過リン酸化タウタンパク質からなる神経細胞内神経原線維変化(NFT)として認識される顕微鏡的特徴の原因となる(非特許文献6)。Aβおよびタウに加えて、α-シヌクレインの凝集体もアルツハイマー病(AD)の発症に関与しており(非特許文献7)、またアルツハイマー病(AD)の脳において、広範囲に及ぶ細胞(特にコリン作動性ニューロン)喪失の原因となり得る。このため、これらのタンパク質のミスフォールディング/凝集を抑制すること、および特に3種のタンパク質全てを一度に抑制することには、大きな治療上の利益がある。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】Nussbaum, RL; Ellis, CE. N Engl J Med, 2003, 348: 1356-64
【非特許文献2】Siegel, GJ; Agranoff, BW; Albers, RW; Molinoff, PB, Basic Neurochemistry. Fifth ed. 1994, New York: Raven Press, 1054 pp
【非特許文献3】Schenk, DB; Rydel, RE; May, P; Little, S; Panetta, J; Lieberburg, I; Sinha, S. J Med Chem, 1995, 38: 4141-54
【非特許文献4】Selkoe, DJ; Schenk, D. Annu Rev Pharmacol Toxicol, 2003, 43: 545-84
【非特許文献5】Selkoe D.J.ら, Arch Neurol (2005) 62: 192-5, Walsh D.M.ら, Protein Pept. Lett. (2004) 11: 213-28
【非特許文献6】Mirra S.S.ら, Neurology (1991) 41: 479-86
【非特許文献7】Duda J.E.ら, J Neurosci. Res. (2000) 61: 121-7
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、当技術分野においては、アルツハイマー病およびその他のタンパク質フォールディング障害の治療のために使用することができる薬剤の必要性が存在する。
【0008】
2006年5月30日に出願された米国出願第11/443,396号、米国特許出願公開第2007-0015813号は、その全体が参照により本明細書に組み入れられるものとする。本明細書において参照される他の文献は全て、それらの全体が参照により組み入れられるものとする。
【0009】
本発明の目的は、タンパク質フォールディング障害を治療するための化合物および方法を提供することである。
【0010】
本発明の特定の実施形態の目的は、例えば、アルツハイマー病、タウオパシー、脳アミロイド血管症、レビー小体病(例えば、パーキンソン病)、認知症、タウオパシー、脳アミロイド血管症、ハンチントン病およびプリオン性海綿状脳症等の神経変性疾患を治療するための化合物および方法を提供することである。
【0011】
本発明の特定の実施形態の目的は、例えば、続発性全身性アミロイド症等の全身性アミロイド症、特に、末梢神経、脾臓、腎臓、心臓、腸、平滑筋または膵臓を冒すものを治療するための化合物および方法を提供することである。
【0012】
本発明の目的は、タンパク質フォールディング障害を治療するための有効量の化合物を含む薬学的組成物を提供することである。
【0013】
本発明の特定の実施形態の目的は、例えば、アルツハイマー病、タウオパシー、脳アミロイド血管症、レビー小体病(例えば、パーキンソン病)、認知症、ハンチントン病、プリオン性海綿状脳症およびそれらの組合せ等の神経変性疾患を治療するための有効量の化合物を含む薬学的組成物を提供することである。
【0014】
本発明の特定の実施形態の目的は、全身性アミロイド症、特に、末梢神経、脾臓、腎臓、心臓、腸、平滑筋または膵臓を冒すものを治療するための有効量の化合物を含む薬学的組成物を提供することである。
【0015】
本発明の特定の実施形態の目的は、対象または患者においてタウタンパク質の凝集を抑制するための化合物、方法および薬学的組成物を提供することである。
【0016】
本発明の特定の実施形態の目的は、対象または患者においてAβの凝集を抑制するための化合物、方法および医薬組成物を提供することである。
【0017】
本発明の特定の実施形態の目的は、α-シヌクレインの凝集を抑制するための化合物、方法および医薬組成物を提供することである。
【0018】
本発明のその他の目的および利点は、本明細書の開示から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0019】
特定の実施形態では、本発明の対象は、式(I):

の化合物またはその薬学的に許容される塩である:
(式中、
AおよびBはそれぞれ独立に、置換されたもしくは置換されていない単環式、二環式もしくは三環式の芳香族置換基または単環式、二環式もしくは三環式のヘテロ芳香族置換基[ここで上記の置換された単環式、二環式もしくは三環式の芳香族置換基または単環式、二環式もしくは三環式のヘテロ芳香族置換基は、アルキル、アルケニル、アルキニル、アミド、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキニル、アリール、アリールアルキル、アルキルアリール、アルキルアリールスルホニル、アルキルカルボニル、アルキルエステル、アルコキシ、トリハロメトキシ、アリールオキシ、アリールカルボニル、アルコキシカルボニル、アリールオキシカルボニル、アミノ、ヒドロキシ、チオ、チオエーテル、シアノ、ニトロ、ハロゲン、カルボン酸、スルホン酸、フェニル、ベンジル、インドリル、メトキシまたはエトキシ基;

(ここで、Gはアルコキシ[例えばメトキシ、エトキシ、プロポキシ]、ヒドロキシ、

カルボキシ、アミノ、アミド、シアノである)からなる群から選択される1個以上の置換基でそれぞれ独立に置換されていてよい]であり;
Zは、結合、炭素、またはジアミノフェニル[例えば

]、

[ここで、Kは、H、OH、OCH3、COOH、およびNO2からなる群から選択される]であり;
n1およびn2は、それぞれ独立に0〜1の整数であり;かつ
R1およびR2は、水素、アルキル、シクロアルキル、アルコキシ、ヒドロキシ、ハロゲン、およびアリールからなる群からそれぞれ独立に選択され、または共に基=Oもしくは=Sを表す)。
【0020】
本明細書で使用する場合、「アルキル」という用語は、単一の基および1〜10個の炭素原子を有する直鎖または分枝の飽和脂肪族炭化水素基を意味する。アルキル基の例として、メチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチルおよびペンチルがあげられる。分枝アルキルとは、例えば、メチル、エチルまたはプロピル等の1つまたは複数のアルキル基が、線状アルキル鎖の-CH2-基中の1つまたは両方の水素を置換することを意味する。「低級アルキル」という用語は、1〜4個の炭素原子のアルキルを意味する。
【0021】
「ハロアルキル」という用語は、ハロゲンラジカル(例えばフッ素、塩素、ヨウ素、臭素、またはアスタチン)に結合した、上記に定義される「アルキル」を意味する。
【0022】
「アルコキシ」という用語は、酸素基に結合した「アルキル」を意味し、「アルキル」の定義は上記に従う。
【0023】
「シクロアルキル」という用語は、単一の基および3〜12個の炭素原子を有する非芳香族、単環式または多環式の炭化水素環系を意味する。例示的な単環式シクロアルキル環として、シクロプロピル、シクロペンチルおよびシクロヘキシルがあげられる。例示的な多環式シクロアルキル環として、アダマンチルおよびノルボルニルがあげられる。
【0024】
「アルケニル」という用語は、単一の基および2〜10個の炭素原子を有し、炭素-炭素二重結合を含有する直鎖または分枝の脂肪族炭化水素基を意味する。
【0025】
「分枝」アルケニルという用語は、例えば、メチル、エチルまたはプロピル等の1つまたは複数のアルキル基が、-CH2-または-CH=線状アルケニル鎖中の1つまたは両方の水素を置換することを意味する。例示的なアルケニル基として、エテニル、1-および2-プロペニル、1-、2-および3-ブテニル、3-メチルブタ-2-エンイル、ヘプテニル、オクテニルならびにデセニルがあげられる。
【0026】
「シクロアルケニル」という用語は、単一の基および3から12個の炭素原子を有し、炭素-炭素二重結合を含有する置換されたまたは置換されていない非芳香族、単環式または多環式の炭化水素環系を意味する。例示的な単環式シクロアルケニル環として、シクロプロペニル、シクロペンテニル、シクロヘキセニルまたはシクロヘプテニルがあげられる。例示的な多環式シクロアルケニル環として、ノルボルネニルがあげられる。
【0027】
「アルキニル」という用語は、単一の基および2〜10個の炭素原子を有し、炭素-炭素三重結合を含有する直鎖または分枝の脂肪族炭化水素基を意味する。
【0028】
「分枝」アルキニルという用語は、例えば、メチル、エチルまたはプロピル等の1つまたは複数のアルキル基が、-CH2-線状アルキニル鎖中の1つまたは両方の水素を置換することを意味する。
【0029】
「シクロアルキニル」という用語は、単一の基および3から12個の炭素原子を有し、炭素-炭素三重結合を含有する非芳香族、単環式または多環式の炭化水素環系を意味する。
【0030】
「アリール」という用語は、1つ、2つまたは3つの、一緒になって懸垂するように付加する、または融合することができる環を含有し、単一の基を含有する芳香族炭素環系を意味する。例示的なアリール基として、フェニル、ナフチル、およびアセナフチルが挙げられる。「アリール」は、ヘテロアリールを含む。
【0031】
「ヘテロアリール」という用語は、不飽和複素環基を意味する。例示的なヘテロアリール基として、例えば、ピロリル、ピリジル、ピリミジルおよびピラジニル等の1から4個の窒素原子を含有する3から6員の不飽和へテロ単環基;例えば、インドリル、キノリルおよびイソキノリル等の1から5個の窒素原子を含有する不飽和縮合ヘテロ環基;例えば、フリル等の1個の酸素原子を含有する3から6員の不飽和へテロ単環基;例えば、チエニル等の1個のイオウ原子を含有する3から6員の不飽和へテロ単環基;例えば、オキサゾリル等の1から2個の酸素原子および1から3個の窒素原子を含有する3から6員の不飽和へテロ単環基;例えば、ベンゾオキサゾリル等の1から2個の酸素原子および1から3個の窒素原子を含有する不飽和縮合ヘテロ環基;例えば、チアゾリル等の1から2個のイオウ原子および1から3個の窒素原子を含有する3から6員の不飽和へテロ単環基;ならびに例えば、ベンゾチアゾリル等の1から2個のイオウ原子および1から3個の窒素原子を含有する不飽和縮合ヘテロ環基があげられる。また、「ヘテロアリール」という用語は、不飽和複素環基も含み、「複素環」は上記の記載に従い、複素環基がアリール基と融合しており、アリール基は上記の記載に従う。例示的な融合基として、ベンゾフラン、ベンゾジオキソールおよびベンゾチオフェンがあげられる。
【0032】
「カルボニル」という用語は、単独で使用する場合でも、例えば、「アルコキシカルボニル」等、その他の用語と共に使用する場合でも、(C=O)である。
【0033】
「アルキルカルボニル」という用語は、カルボニル基に付加したアルキル基を有する基を含み、アルキル基の定義は上記に従う。
【0034】
「カルボン酸」という用語は、CO2Hである。
【0035】
本明細書に開示する環状構造は全て、当業者が認識するように、結合が可能であるいずれかの点で付加させることができる。
【0036】
「ビ-インドール」および「ビス-インドール」は、区別なく使用される。
【0037】
本明細書で使用する場合、「対象」という用語は、ヒト、または例えば、愛玩動物もしくは家畜等の動物を含む。
【0038】
「有効量」という用語は、例えば研究者または臨床医によって求められる、組織、系、動物もしくはヒトの生物学的または医学的応答を誘発する薬または医薬品の量を意味する。さらに、「治療上有効量」という用語は、かかる量を投与されていない対応する被験体と比較して、疾患、障害、または副作用の治療、治癒、予防もしくは寛解の改善、または疾患もしくは障害の進行速度の低下をもたらす任意の量を意味する。この用語の範囲内には、通常の生理学的機能を強化するのに有効な量も含まれる。
【0039】
さらに、本明細書中で用いられる「有効量」または「治療上有効な」量は、意味のある患者の利益を示すのに十分な、本発明の方法の活性化合物の総量を指すことも意図する。この用語は、誘導される細胞傷害に関して、部分的であれ完全であれ、正常な生理学的または生物学的パラメーターに戻る量を指すことをさらに意図する。本発明の医薬組成物の有効用量範囲の非限定的な例は、体重1kg当たり1日当たり0.01〜500mg、より好ましくは体重1kg当たり1日当たり0.01〜50mg、さらに好ましくは体重1kg当たり1日当たり0.05〜50mgである。
【0040】
「患者」という用語は、治療処置を必要とする対象を含む。
【0041】
本明細書で使用する場合、「ハロゲン」または「ハロ」という用語は、「ハロゲン化合物」という用語と区別無く用いられ、フッ化物、臭化物、塩化物、ヨウ化物またはアスタチン化物を含む。
【0042】
本発明のためには、「Trp」という略語は、トリプトファンを意味する。
【0043】
本発明の目的のために、略語「Aβ40」と「Aβ1-40」とは同義であり、同様に、「Aβ42」と「Aβ1-42」とは同義である。
【0044】
本明細書に開示する発明は、開示する化合物の全ての薬学的に許容される塩を包含することを意図する。薬学的に許容される塩として、これらに限定されないが、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、セシウム塩およびその他等の金属塩;例えば、カルシウム塩、マグネシウム塩およびその他等のアルカリ土類金属塩;例えば、トリエチルアミン塩、ピリジン塩、ピコリン塩、エタノールアミン塩、トリエタノールアミン塩、ジシクロヘキシルアミン塩、N,N'-ジベンジルエチレンジアミン塩およびその他等の有機アミン塩;例えば、塩酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩、リン酸塩およびその他等の無機酸塩;例えば、ギ酸塩、酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、酒石酸塩およびその他等の有機酸塩;例えば、メタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩およびその他等のスルホン酸塩;ならびに例えば、アルギニン酸塩、アスパラギン酸塩、グルタミン酸塩およびその他等のアミノ酸塩があげられる。
【0045】
本明細書中に開示される本発明は、開示される化合物の全てのプロドラッグを包含することも意図されている(Bundgaard, H.(編), “Design of Prodrugs”, Elsevier, Amsterdam発行(1985)を参照)。プロドラッグは、in vivoで活性な親ドラッグを放出する、任意の共有結合した担体であると考えられている。プロドラッグの例は、in vivoでカルボン酸またはその塩に処理されるエステルであろう。
【0046】
また、本明細書に開示する発明は、開示する化合物のin vivo代謝産物を包含することも意図する。そのような産物は、例えば、投与した化合物の、主として酵素作用による酸化、還元、加水分解、アミド化、エステル化およびその他から生じることができる。したがって、本発明は、本発明の化合物の代謝産物を産生するのに十分な期間、当該化合物を哺乳動物と接触させるステップを含む過程によって生成する化合物を含む。そのような産物は、典型的には、放射標識された本発明の化合物を調製し、それを例えば、ラット、マウス、モルモット、サル等の動物またはヒトに検出可能な用量で非経口的に投与して、十分な期間、代謝させた後、尿、血液またはその他の生体試料から変換産物を単離することによって同定される。Mordenti, Man versus Beast: Pharmacokinetic Scaling in Mammals, 1028, Journal of Pharmaceutical Sciences, Vol. 75, No. 11, November 1986で議論されているように、種間薬物動態学スケーリングを使用すれば、種間における薬物傾向の根本的な類似点(および相違点)を研究すること、未試験の種における薬物傾向を予測すること、様々な種における薬物動態学的な等価物を定義すること、および実験動物モデルのための投与計画をデザインすることが可能であることを当業者であれば認識する。
【0047】
また、本明細書に開示する発明は、1つまたは複数の原子を、異なる原子質量または質量数を有する原子で置換することによって、同位体的に標識されている開示の化合物を包含することも意図する。開示の化合物内に組み入れることができる同位体の例として、例えば、2H、3H、13C、14C、15N、18O、17O、31P、32P、35S、18Fおよび36Cl等の水素、炭素、窒素、酸素、リン、フッ素および塩素のそれぞれの同位体があげられる。本明細書に開示する化合物のいくつかは、1つまたは複数の不斉中心を含有する場合があり、したがって、鏡像異性体、ジアステレオマーおよびその他の立体異性体をもたらすことができる。また、本発明は、全てのそのような考え得る形態、さらに、それらのラセミ体および分割体ならびにそれらの混合物を包含することも意図する。本明細書に記載する化合物がオレフィン二重結合またはその他の幾何学的に非対称な中心を含有し、別段の記載がない場合、E幾何学異性体およびZ幾何学異性体の両方を含むことを意図する。本発明は、全ての互変異生体も包含することを意図する。
【0048】
本明細書で使用する場合、「立体異性体」は、空間における原子の配向のみが異なる個々の分子の全ての異性体を指す一般的な用語である。立体異性体は、鏡像異性体、ならびに互いに鏡像ではない、2つ以上のキラル中心を有する化合物の異性体(ジアステレオマー)を含む。
【0049】
「キラル中心」という用語は、4つの異なる基が付加する炭素原子を指す。
【0050】
「鏡像異性体」または「鏡像異性の」という用語は、その鏡像の上には重ね合わせることができず、したがって、光学的に活性である分子を指し、鏡像異性体が偏光面を1つの方向に回転させると、その鏡像は偏光面を逆の方向に回転させる。
【0051】
「ラセミの」という用語は、鏡像異性体の等量の混合物を指し、この混合物は、光学的に不活性である。
【0052】
「分割」という用語は、分子の2種の鏡像異性体のうちの1種を分離するまたは濃縮するまたは枯渇させることを意味する。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】図1は、実施例50AにおいてQR-0161について行った細胞生存率アッセイの細胞の生存%のグラフである。
【図2】図2および3は、実施例50AにおいてQR-0112について行った細胞生存率アッセイの細胞の生存%のグラフである。
【図3】図2および3は、実施例50AにおいてQR-0112について行った細胞生存率アッセイの細胞の生存%のグラフである。
【図4】図4は、実施例52のアッセイの、QR-0292のグラフ(時間に対する相対蛍光強度)である。
【図5】図5は、実施例52のアッセイの、QR-0319のグラフ(時間に対する相対蛍光強度)である。
【図6】図6は、実施例52のアッセイの、QR-0217のグラフ(濃度に対する凝集%)である。
【図7】図7は、実施例52のアッセイの、QR-0244のグラフ(濃度に対する凝集%)である。
【図8】図8は、Aβ1-42の自己集合に対するQR-0273の影響を示すSDS-PAGE技術である。
【図9】図9は、実施例52のThT凝集アッセイ後の、Aβ1-40の自己集合に対する化合物の影響を示すSDS-PAGE技術である。
【図10】図10は、実施例52のThS凝集アッセイ後の、タウ441の自己集合に対する化合物の効果を示すSDS-PAGE技術である。
【図11−1】図11は、実施例52のThT凝集アッセイ後に撮影した、化合物の非存在下(a)および存在下(b,c)でインキュベートしたAβ1-40(20μM)のTEM顕微鏡写真である。
【図11−2】図11は、実施例52のThT凝集アッセイ後に撮影した、化合物の非存在下(a)および存在下(b,c)でインキュベートしたAβ1-40(20μM)のTEM顕微鏡写真である。
【図12】図12は、ThTの非存在下かつ化合物の非存在下(a)または存在下(b,c)でインキュベートしたAβ1-40(20μM)のTEM顕微鏡写真である。
【図13】図13は、ThTの非存在下かつ化合物の非存在下(a)または存在下(b,c)でインキュベートしたAβ1-42(20μM)のTEM顕微鏡写真である。
【図14】図14は、実施例52のThS凝集アッセイ後に撮影した、化合物の非存在下(a)および存在下(b,c)でインキュベートしたタウ441(6μM)のTEM顕微鏡写真である。
【図15】図15は、実施例52の24時間のインキュベーション(37℃)後に、化合物(QR-0244、QR-0263、QR-0281、およびQR-0262、それぞれA〜D)が、タウ441の凝集に与える影響のグラフである。
【図16】図16は、実施例52の96時間のインキュベーション(37℃)後に、化合物(QR-0189、QR-0194、QR-0212、QR-0217、QR-0176、それぞれA〜E、およびレスベラトロール、F)が、100μM(白棒)および20μM(黒棒)においてα-シヌクレイン(4μM)の凝集に与える影響のグラフである。
【図17】図17は、実施例52の96時間のインキュベーション(37℃)後に、化合物(QR-0164、QR-0147、およびQR-0162、それぞれG〜I)が、50μM(白棒)および10μM(黒棒)においてα-シヌクレインの凝集(4μM)に与える影響のグラフである。
【図18】図18は、APP/PS1トランスジェニックマウスの海馬スライス中のLTPの障害を有意に(P=0.022)回復する化合物QR-0217(50μM)(Aβ神経毒性によって引き起こされる記憶障害を低下させるQR-0217の能力)を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0054】
詳細な説明
タンパク質凝集体の毒性種は、アルツハイマー病(AD)に関与するタンパク質として特徴付けられることは少ないが、「small-n」オリゴマー、場合により三量体(Townsend M,ら, J. Physiol. (2006) 572(Pt 2): 477-92)、またはAβの場合には12量体(Lesne, S.,ら, Nature (2006) 440: 352-7)が、神経毒性の主要なメディエーターであるという証拠が増えている。Aβ、タウおよびα-シヌクレイン凝集体のサイズに関わらず、毒性凝集体に結合しおよび/またはその分布を変化させる化合物は、これらの凝集体が神経細胞に与える毒性作用を阻害する可能性が高く、これらの凝集体の毒性を低下させる可能性を有し得る。
【0055】
これは、多くの異なる経路で起こり得る。例えば:1)化合物は、神経毒性を誘導する単量体または凝集体より小さい単量体または凝集体を安定化させ、これにより毒性凝集体プールを減少させることができる;2)化合物が毒性凝集体に結合し、神経細胞におけるこれらの有害な相互作用を遮断し得る;3)毒性凝集体への結合において、化合物は、この毒性凝集体が、より小さな非毒性の凝集体へと分解することを促進し得る;4)Aβの代謝/クリアランスは、より小さな凝集体サイズへの移行を促す化合物によって容易にされ得る等である。これらの経路の1つ以上を通じて機能し得る抗Aβ薬候補としては、現在フェーズIIIヒト臨床試験段階にあるトラミプロセート(Kisilvesky, Szarek & Weaver, 1997-2005; Gervaisら, 2006)、およびイノシトールのアイソマー(McLaurin, 2006)が挙げられる。
【0056】
化合物
本発明の化合物は、アルツハイマー病(AD)に関与するアミロイド生成性タンパク質、すなわちAβ、タウおよびα-シヌクレインの凝集に結合し、またこれを調節しまたは変化させ(例えば抑制し)得る、最近開発された小有機分子(例えば「二芳香族」)である(Carterら、米国特許出願第11/443,396号、米国特許出願公開第2007-0015813号)。
【0057】
本発明の化合物および方法からは、カチオン-アニオン相互作用というよりはむしろカチオン-π相互作用によるAβのHis13-His14-Gln15-Lys16領域への結合によって、治療成果が得られると考えられている (The HHQK Domain of (-Amyloid Provides a Structural Basis for the Immunopathology of Alzeheimer's Disease, The Journal of Biological Chemistry, Vol. 274, No. 45, pp 29719-29726, 1988を参照) 。理論に縛られることなく、2つの芳香族基を含有する本発明の化合物は、His13-His14-Gln15-Lys16領域内の3つのカチオン性残基のうちの2つにおいて、カチオン-π相互作用を形成し、それによって、Aβの凝集を妨げるであろうと考えられている。
【0058】
さらに、特定の実施形態では、Aβに対してのみ作用することが示唆されているトラミプロセート(Gervais, F.,ら, “Targeting soluble Abeta peptide with Tramiprosate for the treatment of brain amyloidosis.” Neurobiol Aging, オンライン投稿, May 1, 2006)およびイノシトール(McLaurin, J.,ら, Nat. Med. (2006) 12: 801-8)とは異なり、本発明の化合物(例えば二芳香族)は、Aβに対する作用に加えて、タウおよび/またはα-シヌクレインに対しても作用し、これにより付加的な、または特定の実施形態では相乗的な効果を提供することができる(すなわち、アルツハイマー病(AD)の3種類の異なる標的に作用することにより、本発明の化合物の正味の効果は、個々の効果の合計よりも大きくなるだろう)。さらに、特定の実施形態では、これらの実施形態の化合物が、非ペプチド性の小有機分子であるため、これらの化合物は、薬物動態の悪さ(例えばプロテアーゼによる分解)などのペプチド性化合物の欠点を克服することを期待されている。
【0059】
特定の実施形態では、本発明の対象は、式(I):

の化合物またはその薬学的に許容される塩である:
(式中、
AおよびBはそれぞれ独立に、置換されたもしくは置換されていない単環式、二環式もしくは三環式の芳香族置換基または単環式、二環式もしくは三環式のヘテロ芳香族置換基[ここで、上記の置換された単環式、二環式もしくは三環式の芳香族置換基または単環式、二環式もしくは三環式のヘテロ芳香族置換基は、アルキル、アルケニル、アルキニル、アミド、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキニル、アリール、アリールアルキル、アルキルアリール、アルキルアリールスルホニル、アルキルカルボニル、アルキルエステル、アルコキシ、トリハロメトキシ、アリールオキシ、アリールカルボニル、アルコキシカルボニル、アリールオキシカルボニル、アミノ、ヒドロキシ、チオ、チオエーテル、シアノ、ニトロ、ハロゲン、カルボン酸、スルホン酸、フェニル、ベンジル、インドリル、メトキシまたはエトキシ基(ここで、これらの置換基はいずれも置換されているかまたは置換されていない)、

(ここで、Gはアルコキシ[例えばメトキシ、エトキシ、プロポキシ]、ヒドロキシ、カルボキシ、アミノ、アミド、シアノ、

である)からなる群から選択される1個以上の置換基でそれぞれ独立に置換されていてよい]であり;
Zは、結合、炭素、またはジアミノフェニル[例えば

]、

[ここで、Kは、H、OH、OCH3、COOH、ハロゲン、およびNO2からなる群から選択される]であり;
n1およびn2は、それぞれ独立に0〜1の整数であり;かつ
R1およびR2は、水素、アルキル、シクロアルキル、アルコキシ、ヒドロキシ、ハロゲン、およびアリールからなる群からそれぞれ独立に選択され、または共に基=Oもしくは=Sを表す)。
【0060】
特定の実施形態では、式(I)のAおよびBは、置換されたもしくは置換されていないインドリル、ベンゾフラニル、ナフタリニル、ナフチル、ベンゾフラニル、ベンゾジオキサニル、フェニル、ベンゾール、フェノール、ベンゾチオフェニル、ベンゾピペリジニル、ピリジル、ピロリル、チオフェニル、フラニル、トリアゾリル、キノリニル、イソキノリニル、ベンゾオキサゾリルおよびベンズイミダゾリルからなる群からそれぞれ独立に選択され、ここで上記の置換基は、存在する場合、アルキル、ハロアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキニル、アリール、アリールアルキル、アルキルアリール、アルキルアリールスルホニル、アルキルカルボニル、アルキルエステル、アリールエステル、アルコキシ、トリハロメトキシ、アリールオキシ、アリールカルボニル、アルコキシカルボニル、アリールオキシカルボニル、アミノ、ヒドロキシ、チオ、チオエーテル、シアノ、ニトロ、ハロゲン、カルボン酸、スルホン酸、ベンジル、メトキシまたはエトキシ基からなる群から選択される1個以上の置換基を有する。
【0061】
特定の実施形態では、AおよびBの少なくとも1つが、インドリル、ベンゾフラニル、ナフタリニル、ベンゾフラニル、ベンゾジオキサニル、ベンゾピペリジニル、フェノリル、メトキシベンジル、およびエトキシベンジルからなる群から選択され、これらは全て置換されていないか、または上記に定義される置換基で置換されている。
【0062】
特定の実施形態では、式(I)のAおよびBの両方が、置換されていないインドリル、または上記に定義される置換基で置換されているインドリルである。
【0063】
特定の実施形態では、本発明の対象は、式(II):

の化合物またはその薬学的に許容される塩である:
(式中、
R3、R3a、R4、R5、R5a、R6、R7、R8、R8b、およびR8cは、水素、ハロゲン、ニトロ、アルコキシ[例えばメトキシ、エトキシ、プロパキシ等]、アルキル、アミド[例えば-CONH2]、ハロアルキル、アリール、アルキルアリール、ヒドロキシ、カルボキシ、シアノ、カルボキシアルキル[例えばCH3O2C-等]、アルキルカルボニル、アルキルエステルおよびカルボン酸[ここで上記のハロゲンは、フッ素、塩素、ヨウ素、臭素、またはアスタチンである]からなる群からそれぞれ独立に選択され;
R8aは、水素、低級アルキルまたはカルボン酸であり;
R9は、水素、置換されたもしくは置換されていないベンジルであり、または存在せず;
Tは、結合、炭素、

[ここで、Kは、H、OH、OCH3、COOH、およびNO2からなる群から選択される]であり;
LおよびYは、炭素、窒素、酸素および硫黄からなる群からそれぞれ独立に選択され;かつ
Zは、炭素および窒素からなる群から選択される)。当業者であれば、例えば式(II)のような化合物において、Lが酸素である場合、その原子価が満たされるためR9は存在せず、同様に、Zが窒素である場合、R6は存在しないということを理解するだろう。
【0064】
特定の実施形態では、LおよびYは両方とも窒素であり、R3a、R4およびR8はそれぞれ水素である。
【0065】
特定の実施形態では、式(II)の化合物は、3-(2-メトキシナフタレン-6-イル)-1H-インドール-5-カルボン酸である。
【0066】
特定の実施形態では、式(II)の化合物は、3-(2-ヒドロキシナフタレン-6-イル)-1H-インドール-5-カルボン酸である。
【0067】
特定の実施形態では、本発明の対象は、式(III):

の化合物またはその薬学的に許容される塩である:
(式中、
R10、R10a、R10b、R11、R12、R13、R13a、R13b、R13c、R13d、R13eおよびR14は、水素、ハロゲン、ニトロ、アルコキシ[例えばメトキシ、エトキシ、プロポキシ等]、アルキル[例えばメチル、エチル、プロピル等]、アミド[例えば-CONH2];ハロアルキル、ヒドロキシ、カルボキシ、カルボキシアルキル[例えばCH3O2C-等]、シアノ、アルキルカルボニル、アルキルエステルおよびカルボン酸[ここで上記のハロゲンは、フッ素、塩素、ヨウ素、臭素、またはアスタチンである]からなる群からそれぞれ独立に選択され;
R10cは、水素または置換されたもしくは置換されていないベンジルであり、
YおよびLは、炭素、窒素、酸素および硫黄からなる群からそれぞれ独立に選択される)。本発明の特定の実施形態では、R10aはカルボン酸であり、R11およびR12はそれぞれ独立にヒドロキシである。
【0068】
特定の実施形態では、Lは酸素または窒素であり、Yは炭素であり、R10、R10b、R13、R13a、R13b、R13c、R13d、およびR14はそれぞれ水素である。
【0069】
特定の実施形態では、本発明の対象は、式(IV):

の化合物またはその薬学的に許容される塩である:
(式中、
R16、R16a、R16b、R17、R18、R18a、R18b、R19、R19a、R19b、R19cおよびR20は、水素、ハロゲン、ニトロ、アルコキシ[例えばメトキシ、エトキシ、プロポキシ等]、アルキル、アミド[例えば-CONH2]、ハロアルキル、ヒドロキシ、カルボキシ、カルボキシアルキル[例えばCH3O2C-等]、シアノ、アルキルカルボニル、アルキルエステルおよびカルボン酸[ここで上記のハロゲンは、フッ素、塩素、ヨウ素、臭素、またはアスタチンである]からなる群からそれぞれ独立に選択され;
R15は、水素または置換されたもしくは置換されていないベンジルであり;
YおよびLは、炭素、窒素、酸素および硫黄からなる群からそれぞれ独立に選択される)。
【0070】
特定の実施形態では、R15はベンジルであり、R17はヒドロキシ基である。
【0071】
特定の実施形態では、本発明の対象は、式(V):

の化合物またはその薬学的に許容される塩である:
(式中、R21、R22、R22a、R22b、R23、R24、R25、R25a、R25b、R25cは、水素、ハロゲン、ニトロ、アルコキシ[例えばメトキシ、エトキシ、プロポキシ等]、アルキル、アミド[例えば-CONH2]、ハロアルキル、ヒドロキシ、カルボキシ、シアノ、アルキルカルボニル、アルキルエステルおよびカルボン酸[ここで上記のハロゲンは、フッ素、塩素、ヨウ素、臭素、またはアスタチンである]からなる群からそれぞれ独立に選択される)。
【0072】
特定の実施形態では、本発明の対象は、式(VI):

の化合物またはその薬学的に許容される塩である:
(式中、
R26およびR27は、水素、ハロゲン、ニトロ、アミノ、アミド、アルコキシ[例えばメトキシ、エトキシ、プロポキシ等]、アルキル、アミド[例えば-CONH2]、ハロアルキル、ヒドロキシ、カルボキシ、シアノ、アルキルカルボニル、アルキルエステルおよびカルボン酸[ここで上記のハロゲンは、フッ素、塩素、ヨウ素、臭素、またはアスタチンである]からなる群からそれぞれ独立に選択され;
かつm1およびm2は、それぞれ独立に0〜5の整数である)。
【0073】
特定の実施形態では、本発明の対象は、式(VII):

の化合物またはその薬学的に許容される塩である:
(式中、
R28およびR29は、水素、ハロゲン、ニトロ、アミノ、アミド[例えば-CONH2]、アルコキシ[例えばメトキシ、エトキシ、プロポキシ等]、アルキル、ハロアルキル、ヒドロキシ、カルボキシ、シアノ、アルキルカルボニル、アルキルエステルおよびカルボン酸[ここで上記のハロゲンは、フッ素、塩素、ヨウ素、臭素、またはアスタチンである]からなる群からそれぞれ独立に選択され;
Jは酸素またはNHであり;
E1およびE2は、E1およびE2が両方とも窒素ではないことを条件として、それぞれ独立に炭素または窒素であり;
かつm1およびm2は、それぞれ独立に0〜5の整数である)。特定の実施形態では、式(VII)のE1およびE2は両方とも窒素ではない。
【0074】
特定の実施形態では、本発明の対象は、式(VIII):

の化合物またはその薬学的に許容される塩である:
(式中、
VおよびWは、炭素、窒素、酸素および硫黄からなる群からそれぞれ独立に選択され;
R30、R30a、R30bおよびR30cは、水素、ハロゲン、ニトロ、アミド[例えば-CONH2]、アルコキシ[例えばメトキシ、エトキシ、プロポキシ等]、アルキル、ハロアルキル、ヒドロキシ、カルボキシ、シアノ、アルキルカルボニル、アルキルエステルおよびカルボン酸[ここで上記のハロゲンは、フッ素、塩素、ヨウ素、臭素、またはアスタチンである]からなる群からそれぞれ独立に選択され;
かつq1およびq2は、それぞれ独立に0〜4の整数であり;
R31およびR31aは、水素および置換されていないもしくは置換されたベンジルからなる群からそれぞれ独立に選択される)。
【0075】
特定の実施形態では、本発明の対象は、式(IX):

の化合物またはその薬学的に許容される塩である:
(式中、
DおよびGは、炭素、窒素、酸素および硫黄からなる群からそれぞれ独立に選択され;
R100およびR101は、水素、ハロゲン、ニトロ、アミド[例えば-CONH2]、アルコキシ[例えばメトキシ、エトキシ、プロポキシ等]、アルキル、ハロアルキル、ヒドロキシ、カルボキシ、シアノ、アルキルカルボニル、アルキルエステルおよびカルボン酸[ここで上記のハロゲンは、フッ素、塩素、ヨウ素、臭素、またはアスタチンである]からなる群からそれぞれ独立に選択され;かつ
1およびq2は、それぞれ独立に1〜4の整数である)。
【0076】
特定の実施形態では、本発明の対象は、式(X):

の化合物である:
(式中、
Uは、炭素、窒素、酸素および硫黄からなる群から選択され;
Lは、炭素および窒素からなる群から選択され;
R32、R32aおよびR32bは、水素、ハロゲン、ニトロ、アミド[例えば-CONH2]、アルコキシ[例えばメトキシ、エトキシ、プロポキシ等]、アルキル、ハロアルキル、ヒドロキシ、カルボキシ、シアノ、アルキルカルボニル、アルキルエステルおよびカルボン酸[ここで上記のハロゲンは、フッ素、塩素、ヨウ素、臭素、またはアスタチンである]の群からそれぞれ独立に選択され;かつ
qは、0〜4の整数である)。
【0077】
特定の実施形態では、本発明の対象は、式(XI):

の化合物またはその薬学的に許容される塩である:
(式中、
R200は、ハロゲン、ヒドロキシ、アルキル、アルコキシおよびカルボン酸からなる群から選択され;かつ
Xは、窒素、酸素および硫黄からなる群から選択される)。特定の実施形態では、R200はカルボン酸であり、Xは窒素である。
【0078】
特定の実施形態では、本発明の対象は、式(XIIaまたはXIIb):

の化合物またはその薬学的に許容される塩である。
【0079】
特定の実施形態では、本発明の対象は、式(XIII):

の化合物またはその薬学的に許容される塩である:
(式中、R35、R36、R37、R38、R39、R40、R41、R42、R43、R44、R45、R46、R47、およびR48は、水素、ハロゲン、ニトロ、アミド[例えば-CONH2]、アルコキシ[例えばメトキシ、エトキシ、プロポキシ等]、アルキル、ハロアルキル、ヒドロキシ、カルボキシ、シアノ、アルキルカルボニル、アルキルエステルおよびカルボン酸[ここで上記のハロゲンは、フッ素、塩素、ヨウ素、臭素、またはアスタチンである]からなる群からそれぞれ独立に選択される)。特定の実施形態では、R35、R39およびR48はヒドロキシ基であり、R36、R37、R38、R40、R41、R42、R43、R44、R45、R46、およびR47はそれぞれ水素である。
【0080】
特定の実施形態では、本発明の対象は、式(XIV):

の化合物またはその薬学的に許容される塩である:
(式中、R50、R51、R52、R53、R54、R55、R56、R57、R58、R59、R60、R61、R62、およびR63は、水素、ハロゲン、ニトロ、アミド[例えば-CONH2]、アルコキシ[例えばメトキシ、エトキシ、プロポキシ等]、アルキル、ハロアルキル、ヒドロキシ、カルボキシ、シアノ、アルキルカルボニル、アルキルエステルおよびカルボン酸[ここで上記のハロゲンは、フッ素、塩素、ヨウ素、臭素、またはアスタチンである]からなる群からそれぞれ独立に選択される)。
【0081】
特定の実施形態では、本発明の対象は、式(XV):

の化合物またはその薬学的に許容される塩である:
(式中、
R65、R66、R67、R68、R69、R70、R71、R72、R73、R74、R75、R76、R77、およびR78は、水素、ハロゲン、ニトロ、アミド[例えば-CONH2]、アルコキシ[例えばメトキシ、エトキシ、プロポキシ等]、アルキル、ハロアルキル、ヒドロキシ、カルボキシ、シアノ、アルキルカルボニル、置換されていないもしくは置換されたベンジル、アルキルエステルおよびカルボン酸[ここで上記のハロゲンは、フッ素、塩素、ヨウ素、臭素、またはアスタチンである]からなる群からそれぞれ独立に選択され;
L、YおよびZは、炭素、窒素、酸素および硫黄からなる群からそれぞれ独立に選択され;
R79は、水素、低級アルキル、または置換されていないもしくは置換されたベンジルである)。
【0082】
特定の実施形態では、本発明の対象は、式(XVI):

の化合物またはその薬学的に許容される塩である:
(式中、R80、R81、R82、R83、R84、R85、R86、およびR87は、水素、ハロゲン、ニトロ、アミド[例えば-CONH2]、アルコキシ[例えばメトキシ、エトキシ、プロポキシ等]、アルキル、ハロアルキル、ヒドロキシ、カルボキシ、シアノ、アルキルカルボニル、置換されていないもしくは置換されたベンジル、アルキルエステルおよびカルボン酸[ここで上記のハロゲンは、フッ素、塩素、ヨウ素、臭素、またはアスタチンである]からなる群からそれぞれ別個に選択される)。特定の実施形態では、R83はハロゲンであり、R84およびR85はいずれもヒドロキシ基であり、R80、R81、R82、R86、およびR87は全て水素である。特定の実施形態では、R84およびR85はいずれもヒドロキシ基であり、R80、R81、R82、R83、R86、およびR87は全て水素である。
【0083】
特定の実施形態では、本発明の対象は、式(XVII):

の化合物またはその薬学的に許容される塩である:
(式中、
R90、R91、R92、R93は、水素、ハロゲン、ニトロ、アミド[例えば-CONH2]、アルコキシ[例えばメトキシ、エトキシ、プロポキシ等]、アルキル、ハロアルキル、ヒドロキシ、カルボキシ、シアノ、アルキルカルボニル、置換されていないもしくは置換されたベンジル、アルキルエステルおよびカルボン酸[ここで上記のハロゲンは、フッ素、塩素、ヨウ素、臭素、またはアスタチンである]からなる群からそれぞれ独立に選択され;
R94は、水素、置換されていないもしくは置換されているベンジル、または

[ここで、Wはアルコキシ(例えばメトキシ、エトキシ、プロポキシ)、ヒドロキシ、カルボキシ、アミノ、アミド、シアノであり、かつpは0または1の整数である]であり;
R95およびR96は、水素、

[ここで、Gはアルコキシ(例えばメトキシ、エトキシ、プロポキシ)、ヒドロキシ、カルボキシ、アミノ、アミド、シアノ、

である]である)。
【0084】
特定の実施形態では、本発明の対象は、式(XVIII):

の化合物またはその薬学的に許容される塩である:
(式中、Qは結合、置換されたもしくは置換されていない低級アルキル、

である)。
【0085】
製造方法
本発明の化合物は、化学技術分野において現在用いられている多くの方法で合成することができる。
【0086】
例えば、本発明の化合物は、鈴木カップリング反応を用いて製造することができる。鈴木カップリング反応は、パラジウム(0)錯体によって触媒される、アリールまたはビニルボロン酸とハロゲン化アリールまたはハロゲン化ビニルとの有機反応である。ボロン酸の代わりに、トリフルオロホウ酸カリウムおよび有機ボランまたはボロン酸エステルを使用し得る。一部の偽ハロゲン化物(例えばトリフラート)もカップリングパートナーとして使用することができる。
【0087】
上記の反応の第1ステップは、パラジウムをハロゲン化物に酸化的付加させて、有機パラジウム種を形成することである。通常、酸化的付加は、ハロゲン化ビニルの立体化学を保持しながら進行する一方、ハロゲン化アリルおよびハロゲン化ベンジルの立体化学の反転を与える。酸化的付加は、最初にシス-パラジウム錯体を形成し、これが急速にトランス錯体へと異性化する。上記の反応の次のステップは塩基との反応であり、この反応が中間体を与え、この中間体が、ボロネート錯体との金属交換を経て有機パラジウム種を形成する。最終的に、所望の生成物の還元的除去が元のパラジウム触媒を回復させ、所望の化合物を残す。通常、還元的除去は、立体化学を保持したまま進行すると考えられている。
【0088】
本発明の化合物は、根岸カップリング反応によって合成することもできる。この根岸カップリング反応は、有機亜鉛化合物、有機ハロゲン化物(すなわち、アリール、ビニル、ベンジル、またはアリル)および新たな炭素-炭素共有結合を作るニッケルまたはパラジウム触媒を含むクロスカップリング反応である。一般的に、根岸カップリング反応は、以下のスキームで表すことができる。
【0089】

【0090】
この反応における上記の活性触媒はゼロ価(M0)であり、反応は、一般に有機ハロゲン化物の酸化的付加のステップを経て進行し、その後亜鉛化合物との金属交換反応が起こり、次いで還元的除去が生じる。
【0091】
本発明の化合物は、同様にパラジウム(Pd)またはニッケル(Ni)で触媒されたクロスカップリング反応である熊田カップリング反応によって合成することもできる。この反応は、例えばニッケル触媒下での、グリニャール試薬と、ハロゲン化アルキル、ハロゲン化ビニルまたはハロゲン化アリールとの直接カップリングである。この反応は以下のスキームで表される:

【0092】
熊田カップリング反応において、グリニャール試薬と、ハロゲン化アルキル、ハロゲン化ビニルまたはハロゲン化アリールとのカップリングは、経済的変化をもたらす。熊田カップリング反応は、本発明の非対称ビアリールを低コストで合成するための方法の選択肢であり得る。
【0093】
本発明の化合物は、Stille反応によって合成することもできる。Stille反応は、パラジウムによって触媒される、有機スズ化合物とsp3混成有機ハロゲン化物とをカップリングする化学反応である。この反応は以下のスキームで表される:

Xは、典型的にはハロゲン化物、または偽ハロゲン化物(例えばトリフラート(CF3SO3)など)である。上記の反応は、通常、脱水、脱気した溶媒を用いて不活性雰囲気下で行う。これは、酸素がパラジウム触媒の酸化を引き起こし、有機スタンニル化合物のホモカップリングを促進し、またこれらの副反応が所望のクロスカップリング反応の収率の低下をもたらすからである。
【0094】
特定の実施形態では、カップリング反応(例えば、鈴木カップリング反応)を行う前に、例えば、ハロゲン化アルキル、ハロゲン化ビニルまたはハロゲン化アリール;アリールまたはビニルボロン酸;有機亜鉛化合物;またはグリニャール試薬上のヒドロキシ置換基(存在する場合)を、例えばカップリング反応の前にこのヒドロキシ置換基をアルコキシ基(すなわち、メトキシ-、-エトキシ、または-プロポキシ)と変換することによって保護し、その後、上記のカップリング反応が完了した時点で、上記のアルコキシ基を変換してヒドロキシ基に戻すことができる。
【0095】
特定の反応条件(すなわち、温度、成分の相対量等)は、例えば、以下の実施例および当技術分野で得られる一般的知識から、当業者には明らかであろう。
【0096】
治療方法
本発明の化合物を、タンパク質フォールディング疾患または全身性アミロイド症の治療を必要とするいずれかの対象に投与することができる。例えば、アルツハイマー病を治療する場合、アルツハイマー病の発病の予防または遅延を援助する場合、MCI(軽度認知機能障害)からアルツハイマー病に進行する恐れのある患者において、MCIを治療し、ADの発病を予防するまたは遅延させる場合、ダウン症候群を治療する場合、オランダ型のアミロイドーシスを伴う遺伝性脳出血を有するヒトを治療する場合、脳アミロイド血管症を治療し、潜在的な結果、即ち、単回および反復性の脳葉出血を予防する場合、血管性と変性性との混合起源の認知症、パーキンソン病に関連する認知症、進行性の核上性麻痺に関連する認知症、大脳皮質基底核変性症に関連する認知症、タウオパシーに関連する認知症、ならびにびまん性レビー小体型アルツハイマー病を含む、その他の変性認知症を治療する場合に、本化合物は有用である。好ましくは、本発明の化合物および組成物は、特に、アルツハイマー病の治療および予防に有用である。
【0097】
特定の実施形態では、本発明の対象は、本明細書中に開示される化合物または医薬組成物を、タンパク質フォールディング障害について治療される被験体に投与するステップを含んでなる、タンパク質フォールディング障害を治療するための方法である。
【0098】
特定の実施形態では、本発明の対象は、本明細書中に開示される化合物または医薬組成物の有効量を、これを必要とする患者に投与するステップを含んでなる、タンパク質フォールディング障害を治療するための方法である。
【0099】
本発明の化合物の好ましい用量は、体重1kg当たり1日当たり0.01〜500mgであり、より好ましくは体重1kg当たり1日当たり0.01〜50mgであり、またさらに好ましくは体重1kg当たり1日当たり0.05〜50mgである。
【0100】
特定の実施形態では、本発明の対象は、上記の式(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)、(VI)、(VII)、(VIII)、(IX)、(X)、(XI)、(XII)、(XIII)、(XIV)、(XV)、(XVI)、(XVII)および(XVIII)のいずれかの化合物を投与するステップを含んでなる、タンパク質フォールディング障害を治療するための方法である。
【0101】
特定の実施形態では、式(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)、(VI)、(VII)、(VIII)、(IX)、(X)、(XI)、(XII)、(XIII)、(XIV)、(XV)、(XVI)、(XVII)および(XVIII)のいずれかの化合物を、例えば、体重1kg当たり1日当たり0.01〜500mg、より好ましくは体重1kg当たり1日当たり0.01〜50mg、またさらに好ましくは体重1kg当たり1日当たり0.05〜50mgの用量で投与する。
【0102】
本発明の特定の実施形態では、治療対象のタンパク質フォールディング障害は、神経変性疾患である。
【0103】
本発明の特定の実施形態では、上記の神経変性疾患は、タウオパシー、脳アミロイド血管症、レビー小体病、アルツハイマー病、認知症、ハンチントン病、パーキンソン病、プリオン性海綿状脳症およびこれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0104】
特定の実施形態では、本発明の対象は、本明細書中に開示される式(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)、(VI)、(VII)、(VIII)、(IX)、(X)、(XI)、(XII)、(XIII)、(XIV)、(XV)、(XVI)、(XVII)および(XVIII)の化合物またはその薬学的に許容される塩を被験体に投与するステップを含んでなる、タウタンパク質凝集を抑制するための方法である。
【0105】
特定の実施形態では、本発明の対象は、本明細書中に開示される式(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)、(VI)、(VII)、(VIII)、(IX)、(X)、(XI)、(XII)、(XIII)、(XIV)、(XV)、(XVI)、(XVII)および(XVIII)の化合物またはその薬学的に許容される塩を被験体に投与するステップを含んでなる、Aβタンパク質凝集を抑制するための方法である。
【0106】
特定の実施形態では、本発明の対象は、本明細書中に開示される式(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)、(VI)、(VII)、(VIII)、(IX)、(X)、(XI)、(XII)、(XIII)、(XIV)、(XV)、(XVI)、(XVII)および(XVIII)の化合物またはその薬学的に許容される塩を被験体に投与するステップを含んでなる、α-シヌクレインタンパク質凝集を抑制するための方法である。
【0107】
開示される方法の特定の実施形態では、上記の神経変性疾患は、タウオパシー、脳アミロイド血管症、レビー小体病(例えばパーキンソン病)、アルツハイマー病、認知症、ハンチントン病、プリオン性海綿状脳症およびこれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0108】
開示される方法の特定の実施形態では、上記の神経変性疾患は、アルツハイマー病である。
【0109】
組成物
特定の実施形態では、本発明の対象は、タンパク質フォールディング障害(例えば、タウオパシー、脳アミロイド血管症、レビー小体病(例えばパーキンソン病)、アルツハイマー病、認知症、ハンチントン病、プリオン性海綿状脳症およびこれらの組み合わせなどの神経変性疾患)を治療するための、薬学的に許容される賦形剤ならびに有効量の式(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)、(VI)、(VII)、(VIII)、(IX)、(X)、(XI)、(XII)、(XIII)、(XIV)、(XV)、(XVI)、(XVII)および(XVIII)の化合物を含む医薬組成物である。
【0110】
特定の実施形態では、本発明の対象は、全身性アミロイドーシス(特に末梢神経、脾臓および膵臓に影響を及ぼす全身性アミロイドーシス)を治療するための、薬学的に許容される賦形剤ならびに有効量の式(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)、(VI)、(VII)、(VIII)、(IX)、(X)、(XI)、(XII)、(XIII)、(XIV)、(XV)、(XVI)、(XVII)および(XVIII)の化合物を含む医薬組成物である。
【0111】
錠剤、ゲルキャップ剤(gelcap)、カプセル剤、カプレット剤(caplet)、顆粒剤、ドロップ剤および原末散剤等の固形の剤型、ならびに例えば、乳剤、液剤および懸濁剤等の液状の剤型を含む、種々の経口剤型を使用することができる。本発明の化合物を、単独で投与してもよいし、当業者に既知の種々の薬学的に許容される担体または賦形剤、これらに限定されないが、希釈剤、懸濁化剤、可溶化剤、結合剤、崩壊剤、保存剤、着色剤、滑沢剤およびその他と組み合せてもよい。
【0112】
本発明の化合物を経口錠剤に組み入れる場合、そのような錠剤は、圧縮錠、錠剤の粉砕物、腸溶錠、糖衣錠、被覆錠、複数圧縮(multiply compressed)錠または多層錠であることができる。
【0113】
液状の経口剤型は、水溶液、非水溶液、乳剤、懸濁剤および液剤、ならびに/または適切な溶媒、保存剤、乳化剤、懸濁化剤、希釈剤、甘味剤、着色剤および香味剤を含有する非発泡性の顆粒剤から再構成した懸濁剤を含む。
【0114】
または、本発明の化合物を吸入させようとする場合、それらの化合物は、乾燥エアロゾル中に配合してもよいし、水性または部分的に水性の溶液中に配合してもよい。
【0115】
その上、本発明の化合物を経口剤型中に組み入れる場合、そのような剤型は、本化合物の、消化管内への即時放出、あるいは別法として消化管を通しての制御放出および/または持続放出を提供できることをねらっている。多種多様な制御放出および/または持続性放出の配合が当技術分野で周知であり、それを本発明の製剤に関連させて使用することをねらっている。制御放出および/または持続放出を、例えば、経口剤型を被覆することによって、あるいは本発明の化合物を制御放出および/または持続放出のマトリックス中に組み入れることによって提供することができる。
【0116】
経口剤型を製剤化するために使用することができる薬学的に許容される担体および賦形剤の特異的な例が、Handbook of Pharmaceutical Excipients, American Pharmaceutical Association (1986)に記載されている。固形の経口剤型を作るための手法および組成物が、Marcel Dekker, Inc.から出版されているPharmaceutical Dosage Forms: Tablets (Lieberman, Lachman and Schwartz, editors) 2nd editionに記載されている。また、錠剤(圧縮錠剤および成型錠剤)、カプセル剤(硬カプセル剤および軟ゼラチンカプセル剤)および丸剤を作るための手法および組成物も、Remington's Pharmaceutical Sciences (Arthur Osol, editor), 1553B1593 (1980)に記載されている。液状の経口剤型を作るための手法および組成物は、Marcel Dekker, Inc.から出版されているPharmaceutical Dosage Forms: Disperse Systems, (Lieberman, Rieger and Banker, editors)に記載されている。
【0117】
本発明の化合物を、注射による非経口投与(例えば、連続注入または大量瞬時投与)のために組み入れる場合、非経口投与のための製剤は、懸濁剤、液剤、あるいは油性または水性のビヒクル中の乳剤の剤型であることができ、そのような製剤は、例えば、安定化剤、懸濁化剤、分散剤およびその他等の薬学的に許容される必要な添加剤をさらに含むことができる。また、本発明の化合物は、注射可能な製剤として再構成するための散剤の剤型であることもできる。本発明の化合物は、例えば、等張滅菌溶液の形態であってもよい。
【0118】
水性組成物中では、活性化合物の好ましい濃度は10M〜500mM、より好ましくは10M〜100mM、さらに好ましくは10M〜50mM、またさらに好ましくは100M〜50mMである。
【0119】
本発明の化合物および組成物を、多回用量または1回用量の容器内に納めることができる。容器に納めた化合物または組成物を、キットとして提供することができ、このキットは、例えば、使用に向けて組み立てる成分部品を含む。また、このキットは、所望により使用のための指示を何らかの媒体で含むこともできる。例えば、指示は、紙の形態であってもよいし、電子的形態であってもよい。例えば、凍結乾燥形態の本発明の化合物と適切な希釈剤とを、使用時に組み合せるための別々の成分部品として提供することができる。キットは、同時投与するために、本発明の化合物および第2の治療薬を含むことができる。本発明の化合物と第2の治療薬とは、別々の成分部品として提供することができる。キットは、多数の容器を含むことができ、各容器は、本発明の化合物の1つまたは複数の単位用量を収容する。そのような容器は、好ましくは、これらに限定されないが、経口投与のためには、錠剤、ゲルカプセル剤(gel capsule)、持続放出カプセル剤およびその他;非経口投与のためには、デポー製品、充填済み注射器、アンプル剤、バイアル剤およびその他;ならびに局所投与のためには、パッチ剤、メディパッド剤(medipad)、クリーム剤およびその他を含む、所望の投与形態に適合している。
【0120】
薬物組成物中の活性化合物の濃度は、活性化合物の吸収、不活性化および排泄の速度、投与計画、ならびに投与量、さらに、当業者に既知のその他の要因によって決まる。
【0121】
これらの疾患を治療または予防する場合、本発明の化合物は、個別にまたは組み合わせて用いることができる。例えば、投与は経口的に、局所的に、坐薬、吸入によって、皮下に、静脈内に、頬側に、舌下に、または非経口的に投与を行うことができる。
【0122】
活性成分を、一時に投与してもよいし、数回に分けて、より少ない量を時間をおいて投与してもよい。正確な投与量および治療期間は、治療する疾患の相関的要素であり、既知の試験プロトコルを使用して、またはin vivoもしくはin vitroの試験データから外挿することによって、経験的に決定することができることが理解されよう。また、濃度および投与量の値は、緩和しようとする状態の重症度によって変化することにも留意されたい。さらに、いずれの特定の対象に対しても、特異的な投与計画を、個人の必要性および本化合物の投与を担当または監督する専門家の判断に従って、時間の経過と共に調節する必要があり、本明細書に記載する濃度範囲は、単に例示的なものに過ぎず、特許請求した組成物の範囲およびその実施を制限するためのものではないことも理解されたい。
【0123】
本発明の化合物を、複数組み合せて使用してもよいし、上記のタンパク質フォールディング障害を治療もしくは予防するために使用するその他の治療薬またはアプローチと組み合せて使用してもよい。そのような治療薬として、例えば、コリンエステラーゼ阻害薬(例えば、アセチルコリンエステラーゼ阻害薬およびブチリルコリンエステラーゼ阻害薬等);γセクレターゼ阻害薬;βセクレターゼ阻害薬;抗炎症薬;抗酸化薬;免疫学的アプローチ;NMDAアンタゴニスト;コレステロール低下薬(例えば、スタチン等);および直接的または間接的な向神経薬があげられる。
【0124】
アセチルコリンエステラーゼ阻害薬として、例えば、タクリン(テトラヒドロアミノアクリジン、Cognex (登録商標)として市販)、塩酸ドネペジル(Aricept (登録商標)として市販)、リバスチグミン(Exelon (登録商標)として市販)、およびガランタミン(Reminyl (登録商標)として市販)等の化合物があげられる。
【0125】
抗酸化剤として、例えば、トコフェロール、アスコルビン酸、βカロテン、リポ酸、セレン、グルタチオン、システイン、補酵素Q、ビタミンE、およびギンゴライド等の化合物があげられる。
【0126】
NMDA(N-メチル-D-アスパラギン酸)アンタゴニストとして、例えば、メマンチン(Namenda (登録商標))があげられる。
【0127】
免疫学的アプローチとして、例えば、βアミロイドペプチド(またはその断片)を用いた免疫化、または抗-βアミロイド抗体の投与があげられる。
【0128】
直接的または間接的な向神経薬として、例えば、Cerebrolysin (登録商標)、およびAIT-082(Emilieu, 2000, Arch. Neurol. 57:454)があげられる。
【0129】
抗炎症薬として、例えば、Cox-II阻害薬があり、具体的には、ロフェコキシブ、セレコキシブ、DUP-697、フロスリド、メロキシカム、6-MNA、L-745337、ナブメトン、ニメスリド、NS-398、SC-5766、T-614、L-768277、GR-253035、JTE-522、RS-57067-000、SC-58125、SC-078、PD-138387、NS-398、フロスリド、D-1367、SC-5766、PD-164387、エトリコキシブ、バルデコキシブ、パレコキシブ、およびそれらの薬学的に許容される塩等があげられる。その他の抗炎症薬として、例えば、アスピリン、イブプロフェン、ジクロフェナク、ナプロキセン、ベノキサプロフェン、フルルビプロフェン、フェノプロフェン、フルブフェン、ケトプロフェン、インドプロフェン、ピロプロフェン、カプロフェン、オキサプロジン、プラモプロフェン、ムロプロフェン、トリオキサプロフェン、スプロフェン、アミノプロフェン、チアプロフェン酸、フルプロフェン、ブクロキシ酸、インドメタシン、スリンダク、トルメチン、ゾメピラック、チオピナク、ジドメタシン、アセメタシン、フェンチアザク、クリダナク、オキシピナク、メフェナム酸、メクロフェナム酸、フルフェナム酸、ニフルミン酸、トルフェナム酸、ジフルリサル、フルフェニサール、ピロキシカム、スドキシカム、イソキシカム、およびそれらの薬学的に許容される塩があげられる。
【0130】
スタチンとして、例えば、アトルバスタチン、シンバスタチン、プラバスタチン、セリバスタチン、メバスタチン、ベロスタチン、フルバスタチン、ロバスタチン、ダルバスタチン、ロスバスタチン、フルインドスタチン、ダルバステイン(dalvastain)、およびそれらの薬学的に許容される塩があげられる。
【0131】
その他のコレステロール低下化合物として、胆汁酸吸着化合物(例えば、コレスチポールおよびコレスチラミン);フィブリン(例えば、ゲムフィブロジル、フェノフィブラート、サイリウム、小麦ふすま、カラスムギふすま、米糠、コーンブラン、コンニャク粉、キクイモ粉、果実線維、およびその他の栄養機能食品製品)、および例えば、ニコチン酸(ナイアシン)等のその他の薬剤があげられる。
【0132】
その上また、本発明の化合物は、P-糖タンパク質(P-gp)の阻害薬と共に使用することができる。P-gp阻害薬の使用は、当業者には既知である。例えば、Cancer Research, 53, 4595-4602 (1993), Clin. Cancer Res., 2, 7-12 (1996), Cancer Research, 56, 4171-4179 (1996)、ならびに国際公開第WO99/64001号および第WO01/10387号を参照。P-gp阻害薬は、P-gpが本発明の化合物の脳血液レベルを低下させるのを抑制することによって効果を示す。適切なP-gp阻害薬として、シクロスポリンA、ベラパミル、タモキシフェン、キニジン、ビタミンE-TGPS、リトナビル、酢酸メゲストロール、プロゲステロン、ラパマイシン、10,11-メタノジベンゾスベラン(10,11-methanodibenzosuberane)、フェノチアジン、例えば、GF120918、FK506、VX-710、LY335979、PSC-833、GF-102,918等のアクリジン誘導体、およびその他のステロイドがあげられる。
【0133】
上記の追加の薬剤は全て、本発明の化合物と同時にもしくは異なる時点で投与することができ、および/または本化合物の投与経路と同一の経路もしくは異なる経路から投与することができる。
【0134】
以下の実施例は、本発明の様々な態様を例示するものであるが、いかなる場合においても、特許請求の範囲を制限する意味のものではない。
【実施例】
【0135】
実施例1:鈴木カップリング反応による製造
化合物QR-0159、QR-0160、およびQR-0162を、鈴木カップリング反応によって製造した。この合成反応を以下のスキーム1に示す(Tsはパラトルエンスルホン酸である)。

【0136】
下記の一般的手順を用いた。
【0137】
鈴木カップリング反応の一般的手順
DMF(4.0〜6.0mL)に溶解させたハロゲン化アリール(84、86、87または90、スキーム1および2)の脱気した溶液に、アリールボロン酸(53、55、63または85、1.2当量)、Pd(OAc)2(0.05当量)およびK2CO3(2当量)を室温で加えた。アルゴンで脱気およびパージした後(3回実施)、上記の反応混合物を90℃で攪拌した。反応時間は1.5時間〜12時間と様々であった。この混合物を室温まで冷却し、H2O(15mL)で希釈した。この水溶液を酢酸エチル(5x15mL)で抽出し、混合有機層を減圧下で濃縮した。
【0138】
上記の残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィーで精製し、下記の化合物を得た。
【0139】
6-[1-(トルエン-4-スルホニル)-インドール-6-イル)-ナフタレン-2-オール(QR-0158)。ベージュの固体。収率40%。

【0140】
6-(インドール-6-イル)-ナフタレン-2-オール(QR-0159)。白色の固体。収率83%。

【0141】
6'-ヒドロキシ-[1,2']-ビナフタレニル-8-カルボン酸メチルエステル(QR-0160)。白色の固体。収率43%。

【0142】
1-ベンジル-3-(6-メトキシナフタレン-2-イル)-インドール-5-カルボン酸メチルエステル(88a)。白色の固体。収率22%。


【0143】
1-ベンジル-3-(6-ヒドロキシナフタレン-2-イル)-インドール-5-カルボン酸メチルエステル(88b)。白色の固体。収率26%。

【0144】
1-ベンジル-3-(6-ヒドロキシナフタレン-2-イル)-インドール-5-カルボン酸(QR-0162)。白色の固体。収率75%。

【0145】
実施例2:O-メチル基の脱保護
O-メチル基を脱保護し、化合物QR-0164、QR-0165およびQR-0166を得た。これらの合成を以下のスキーム2に示す。

【0146】
下記の一般的手順を用いた。
【0147】
O-メチル基の脱保護の一般的手順
-78℃において、CH2Cl2に溶解させた91、92、または93(スキーム2)の溶液に、BBr3(2〜4当量)を滴加した。この反応混合物を-78℃で15分間攪拌し、室温まで徐々に温めた。反応時間は2時間〜12時間と様々であった。この反応を水でクエンチした。有機溶媒は減圧下で蒸発させた。HCl(1.0N、3〜5ml)を加え、上記の混合物を室温で24時間攪拌した。酢酸エチル(3x5.0mL)を用いて、上記の水溶液から生成物を抽出した。混合有機層を乾燥させ(MgSO4)、濾過して真空下で濃縮した。
【0148】
上記の残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィーで精製し、下記の化合物を得た。
【0149】
2-(2,3-ジメトキシナフタレン-1-イル)-ベンゾフラン(91)。白色の固体。収率60%。

【0150】
2-(2,3-ジヒドロキシナフタレン-1-イル)-ベンゾフラン(QR-0164)。白色の固体。収率72%。

【0151】
2-(2,3-ジメトキシナフタレン-1-イル)ベンゾチオフェン(92)。白色の固体。収率58%。

【0152】
2-(2,3-ジヒドロキシナフタレン-1-イル)ベンゾチオフェン(QR-0165)。白色の固体。収率57%。

【0153】
2,3,6'-トリメトキシ[1,2']-ビナフタレン(93)。収率51%。

【0154】
2,3,6'-トリヒドロキシ[1,2']-ビナフタレン(QR-0166)。紫色の油。収率63%。

【0155】
実施例3:根岸カップリング反応による製造
化合物QR-0183、QR-0195、QR-0203、QR-0264、QR-0226、およびQR-0262を、根岸カップリング反応によって製造した。これらの合成を、以下のスキーム3および5に示す。


【0156】
下記の一般的手順を用いた:
根岸カップリング反応の一般的手順
-78℃において、t-BuLi(1.5当量)またはn-BuLi(1.5当量)を、THFに溶解させたハロゲン化アリール(1当量)の溶液に加えた。-78℃で25分間攪拌した後、ZnCl2溶液(1.0M、1.5当量)を滴加した。結果として得られた溶液を25分間攪拌し、さらに室温で30分間攪拌した(溶液A)。
【0157】
次いで、溶液A(3当量)を、置換3-ヨードインドール(1当量)およびPd(PPh3)4(0.05当量)の脱気した溶液に加えた。この混合物を、65℃〜80℃で4〜12時間攪拌した。室温まで冷却した後、反応をブラインでクエンチした。水層は酢酸エチルで抽出し、混合有機層は乾燥させ(MgSO4)、濾過して減圧下で濃縮した。
【0158】
上記の粗生成物をフラッシュカラムクロマトグラフィーで精製し、下記の化合物を得た。
【0159】
3-(2,3-ジメトキシナフタレン-1-イル)-1-トシル-1H-インドール-5-カルボン酸メチル、94(スキーム3)。白色の固体。収率70%。

【0160】
3-(2,3-ジメトキシナフタレン-1-イル)-1-トシル-1H-インドール-5-カルボン酸、QR-0183(スキーム3)。白色の固体。収率96%。

【0161】
3-(2,3-ジヒドロキシナフタレン-1-イル)-1-トシル-1H-インドール-5-カルボン酸、QR-0194(スキーム3)。ベージュの固体。収率77%。

【0162】
3-(2,3-ジメトキシナフタレン-1-イル)-1-トシル-1H-インドール、
95(スキーム3)。黄色の固体。収率72%。

【0163】
3-(2,3-ジヒドロキシナフタレン-1-イル)-1-トシル-1H-インドール、QR-0189(スキーム3)。黄色の固体。収率40%。

【0164】
3-(2,3-ジメトキシナフタレン-1-イル)-5-ニトロ-1-トシル-1H-インドール、97(スキーム3)。白色の固体。収率67%。


【0165】
3-(2,3-ジメトキシナフタレン-1-イル)-5-ニトロ-1H-インドール、QR-0195(スキーム3)。黄色の固体。収率68%。

【0166】
5-メトキシ-3-(2,3-ジメトキシナフタレン-1-イル)-1-トシル-1H-インドール、98(スキーム3)。黄色の固体。収率99%。

【0167】
5-ヒドロキシ-3-(2,3-ジヒドロキシナフタレン-1-イル)-1H-インドール、QR-0212(スキーム3)。灰色の固体。収率89%。


【0168】
3-(2,3-ジメトキシナフタレン-1-イル)-1-トシル-1H-ピロロ[2,3-b]ピリジン、100(スキーム3)。白色の固体。収率87%。

【0169】
3-(2,3-ジメトキシナフタレン-1-イル)-1H-ピロロ[2,3-b]ピリジン、QR-0203(スキーム3)。黄色の固体。収率85%。

【0170】
3-(2,3-ジヒドロキシナフタレン-1-イル)-1H-ピロロ[2,3-b]ピリジン、QR-0204(スキーム3)。ベージュの固体。収率65%。


【0171】
3-(2,3-ジメトキシナフタレン-1-イル)-1-トシル-1H-インドール-7-カルボン酸メチル、101(スキーム3)。白色の固体。収率65%。

【0172】
3-(2,3-ジメトキシナフタレン-1-イル)-1-トシル-1H-インドール-7-カルボン酸、QR-0264(スキーム3)。薄茶色の固体。収率92%。

【0173】
3-(2,3-ジヒドロキシナフタレン-1-イル)-1-トシル-1H-インドール-7-カルボン酸、QR-0273(スキーム3)。黄色の固体。収率20%。


【0174】
5-メトキシ-3-(2-メトキシナフタレン-6-イル)-1-トシル-1H-インドール、103(スキーム5)。薄黄色の固体。収率70%。

【0175】
5-メトキシ-3-(2-メトキシナフタレン-6-イル)-1H-インドール 104(スキーム5)。薄黄色の固体。収率95%。

【0176】
5-ヒドロキシ-3-(2-ヒドロキシナフタレン-6-イル)-1H-インドール QR-0225(スキーム5)。黄色の固体。収率66%。

【0177】
3-(2-メトキシナフタレン-6-イル)-1-トシル-1H-ピロロ[2,3-b]ピリジン、105(スキーム5)。黄色の固体。収率40%。

【0178】
3-(2-メトキシナフタレン-6-イル)-1H-ピロロ[2,3-b]ピリジン、QR-0226(スキーム5)。黄色の固体。収率76%。

【0179】
3-(2-ヒドロキシナフタレン-6-イル)-1H-ピロロ[2,3-b]ピリジン、QR-0257(スキーム5)。薄黄色の固体。

【0180】
3-(2-メトキシナフタレン-6-イル)-1-トシル-1H-インドール-7-カルボン酸メチル、106(スキーム5)。白色の固体。収率45%。


【0181】
3-(2-メトキシナフタレン-6-イル)-1H-インドール-7-カルボン酸、QR-0262(スキーム5)。黄色の固体。収率88%。

【0182】
3-(2-ヒドロキシナフタレン-6-イル)-1H-インドール-7-カルボン酸、QR-0258(スキーム5)。黄橙色の固体。収率83%。

【0183】
実施例4:鈴木カップリング反応による製造
化合物102、107、108、109、111、112、113、114、115、116、118、119、121、QR-0220、QR-0221、QR-0223、QR-0242、QR-0234を、鈴木カップリング反応によって合成した。この反応を、以下のスキーム4、6、7、8、9、10、および11に示す。



【0184】
下記の一般的手順に従った。DMFに溶解させたハロゲン化アリール(1当量)の脱気した溶液に、アリールボロン酸(1.2当量)、K2CO3(2当量)およびボロン酸(1.2当量)を室温で加えた。アルゴンで脱気およびパージした(3回実施)後、反応混合物を90℃で攪拌した。反応時間は2時間〜12時間と様々であった。この反応混合物を室温まで冷却し、水で希釈した。水層は酢酸エチルで数回抽出し、混合有機層は乾燥させて(MgSO4)減圧下で濃縮した。
【0185】
上記の残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィーで精製し、下記の化合物を得た。
【0186】
4-ベンゾ[b]チオフェン-2-イル)ナフタレン-1-カルボン酸メチル、
102(スキーム4)。白色の固体。収率95%。

【0187】
4-ベンゾ[b]チオフェン-2-イル)ナフタレン-1-カルボン酸、QR-0220(スキーム4)。白色の固体。収率96%。

【0188】
4-(ベンゾフラン-2-イル)ナフタレン-1-カルボン酸メチル、QR-0221(スキーム4)。薄黄色の固体。収率97%。


【0189】
4-(ベンゾフラン-2-イル)ナフタレン-1-カルボン酸、QR-0222(スキーム4)。黄色の固体。収率82%。

【0190】
4-(2-ヒドロキシナフタレン-6-イル)ナフタレン-1-カルボン酸メチル、QR-0223(スキーム4)。薄黄色の固体。収率85%。

【0191】
4-(2-ヒドロキシナフタレン-6-イル)ナフタレン-1-カルボン酸、QR-0224(スキーム4)。黄色の固体。収率56%。


【0192】
4-(2,3-ジヒドロベンゾ[b][1,4]ジオキシン-7-イル)ナフタレン-1-カルボン酸メチル、107(スキーム6)。白色の固体。収率65%。

【0193】
2,3-ジヒドロ-6-(2-メトキシナフタレン-6-イル)ベンゾ[1,4]ジオキシン、108(スキーム6)。白色の固体。収率99%。

【0194】
2,3-ジヒドロ-6-(2,3-ジメトキシナフタレン-4-イル)ベンゾ[b][1,4]ジオキシン、109(スキーム6)。黄色の固体。収率80%。

【0195】
4,7-ジブロモ-3-メトキシナフタレン-2-カルボン酸メチル、110(スキーム7)。薄黄色の固体。

【0196】
4-ブロモ-7-(2-ヒドロキシナフタレン-6-イル)-3-メトキシナフタレン-2-カルボン酸メチルエステル、QR-0242(スキーム7)。黄色の固体。

【0197】
4-ブロモ-3-メトキシ-7-(2-ヒドロキシナフタレン-6-イル)-3-メトキシナフタレン-2-カルボン酸メチルエステル、111(スキーム7)。白色の固体。収率47%。

【0198】
4-ブロモ-3-メトキシ-7-(2-メトキシナフタレン-6-イル)ナフタレン-2-カルボン酸、QR-0243(スキーム7)。白色の固体。収率87%。

【0199】
4-ブロモ-3-ヒドロキシ-7-(2-ヒドロキシナフタレン-6-イル)ナフタレン-2-カルボン酸、QR-0263(スキーム7)。鮮黄色の固体。収率71%。

【0200】
7-(ベンゾフラン-2-イル)-4-ブロモ-3-メトキシナフタレン-2-カルボン酸メチル、112(スキーム7)。薄黄色の固体。収率58%。

【0201】
7-(ベンゾフラン-2-イル)-4-ブロモ-3-メトキシナフタレン-2-カルボン酸、QR-0237(スキーム7)。薄黄色の固体。収率93%。

【0202】
7-(ベンゾフラン-2-イル)-4-ブロモ-3-ヒドロキシナフタレン-2-カルボン酸 QR-0244(スキーム7)。鮮黄色の固体。収率92%。

【0203】
7-(ベンゾ[b]チオフェン-2-イル-4-ブロモ-3-メトキシナフタレン-2-カルボン酸メチル、113(スキーム7)。白色の固体。収率84%。

【0204】
7-(ベンゾ[b]チオフェン-2-イル-4-ブロモ-3-メトキシナフタレン-2-カルボン酸、QR-0245(スキーム7)。薄黄色の固体。収率71%。

【0205】
7-(ベンゾ[b]チオフェン-2-イル-4-ブロモ-3-ヒドロキシナフタレン-2-カルボン酸、QR-0255(スキーム7)。鮮黄色の固体。収率77%。


【0206】
4-ブロモ-7-(2,3-ジヒドロベンゾ[b][1,4]ジオキシン-7-イル)-3-メトキシナフタレン-2-カルボン酸メチル、114(スキーム7)。白色の固体。収率57%。

【0207】
4-ブロモ-7-(2,3-ジヒドロベンゾ[b][1,4]ジオキシン-7-イル)-3-メトキシナフタレン-2-カルボン酸、QR-0282(スキーム7)。白色の固体。収率92%。

【0208】
4-ブロモ-7-(2,3-ジヒドロベンゾ[b][1,4]ジオキシン-7-イル)-3-ヒドロキシナフタレン-2-カルボン酸、QR-0281(スキーム7)。鮮黄色の固体。収率70%。


【0209】
3-ベンゾフラン-2-イル)-1H-インドール-7-カルボン酸、QR-0256(スキーム8)。薄黄色の固体。収率50%。

【0210】
3-ベンゾ[b]チオフェン-2-イル)-1-トシル-1H-インドール-7-カルボン酸メチル、116(スキーム8)。薄黄色の固体。収率44%。

【0211】
3-ベンゾ[b]チオフェン-2-イル)-1H-インドール-7-カルボン酸、QR-0261(スキーム8)。黄色の固体。収率67%。

【0212】
1-ベンジル-3-ヨード-1H-インドール-7-カルボン酸メチル、117(スキーム9)。黄色の固体。収率58%。


【0213】
3-ベンゾフラン-2-イル-1-ベンジル-1H-インドール-7-カルボン酸メチル、118(スキーム9)。薄黄色の固体。収率51%。

【0214】
3-ベンゾフラン-2-イル-1-ベンジル-1H-インドール-7-カルボン酸、QR-0284(スキーム9)。ベージュの固体。収率76%。

【0215】
3-(ベンゾ[b]チオフェン-2-イル)-1-ベンジル-1H-インドール-7-カルボン酸メチル、119(スキーム9)。薄黄色の固体。収率53%。


【0216】
3-(ベンゾ[b]チオフェン-2-イル)-1-ベンジル-1H-インドール-7-カルボン酸、QR-0287(スキーム9)。ベージュの固体。収率87%。

【0217】
6-(3-(ピリジン-2-イルオキシ)フェニル)ナフタレン-2-オール、QR-0234(スキーム11)。白色の固体。収率65%。

【0218】
実施例4:O-メチル基の脱保護の一般的手順
O-メチル基を脱保護し、化合物QR-0229、QR-0297、QR-0231、QR-0246、およびQR-0247を得た。これらの合成反応は、上記の実施例3のスキーム6およびスキーム10、ならびに以下のスキーム12に示す。

【0219】
下記の手順を用いてO-メチル基を脱保護した。CH2Cl2に溶解させたメトキシ含有化合物の溶液に、BBr3(2〜4当量)を-78℃で滴加した。この反応混合物を-78℃で20分間攪拌し、室温まで徐々に温めた。反応時間は、3時間〜12時間と様々であった。この反応を飽和NaHCO3水溶液でクエンチした。ボロン錯体が残っていないことを確認するため、場合によっては上記の混合物にHCl(1.0M、2〜3ml)を加えて、15〜20分間攪拌した。複数の層を分離し、水層はCH2Cl2で3回抽出した。混合有機層は乾燥させ(MgSO4)、濾過して真空下で濃縮した。
【0220】
上記の残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィーで精製し、下記の化合物を得た。
【0221】
4-(2,3-ジヒドロベンゾ[b][1,4]ジオキシン-7-イル)ナフタレン-1-カルボン酸、QR-0228(スキーム6)。白色の固体。収率69%。


【0222】
6-(2,3-ジヒドロベンゾ[b][1,4]ジオキシン-7-イル)ナフタレン-2-オール、QR-0229 (スキーム6)。ベージュの固体。収率97%。

【0223】
1-(2,3-ジヒドロベンゾ[b][1,4]ジオキシン-7-イル)-2,3-ジヒドロキシナフタレン、QR-0231(スキーム6)。茶色の固体。

【0224】
1,6-ジブロモ-2-メトキシナフタレン、120(スキーム10)。薄茶色の固体。収率94.43%。

【0225】
2-(1-ブロモ-2-メトキシナフタレン-6-イル)ベンゾフラン、121(スキーム10)。白色の固体。収率64%。


【0226】
6-(ベンゾフラン-2-イル)-1-ブロモナフタレン-2-オール、QR-0297(スキーム10)。薄橙色の固体。収率67%。

【0227】
1-ブロモ-2,3-ジヒドロキシナフタレン(QR-0246)(スキーム12)。ベージュの固体。収率79%。

【0228】
2,3-ジヒドロキシナフタレン(QR-0247)(スキーム12)。ベージュの固体。収率62%。

【0229】
実施例5:5-メトキシ-3-(トリブチルスタンニル)-1-(トルエン-4-スルホニル)-インドール (217)の製造
5-メトキシ-3-(トリブチルスタンニル)-1-(トルエン-4-スルホニル)-インドール (217)を、以下のスキーム13に示す反応によって製造した。

【0230】
米国特許出願第11/443,396号、米国特許出願公開第2007/0015813号の実施例7の手順206を使用した。
【0231】
実施例6:3-(5-メトキシ-1-(トルエン-4-スルホニル)-インドール-3-イル)-1-(トルエン-4-スルホニル)-インドール-2-カルボン酸メチルエステル (218)の製造
米国特許出願第11/443,396号、米国特許出願公開第2007/0015813号の実施例7の207と同じ手順を用いて、3-(5-メトキシ-1-(トルエン-4-スルホニル)-インドール-3-イル)-1-(トルエン-4-スルホニル)-インドール-2-カルボン酸メチルエステル (218)(スキーム4)を80%の収率で製造した。
【0232】
フラッシュクロマトグラフィーの後、最終生成物を得た。3-(5-メトキシ-1-(トルエン-4-スルホニル)-インドール-3-イル)-1-(トルエン-4-スルホニル)-インドール-2-カルボン酸メチルエステル (218)。

【0233】
実施例7:3-(5-メトキシ-インドール-3-イル)-1-(トルエン-4-スルホニル)-インドール-2-カルボン酸 (QR-0169)の製造
3-(5-メトキシ-インドール-3-イル)-1-(トルエン-4-スルホニル)-インドール-2-カルボン酸 (QR-0169)(スキーム14)を、米国特許出願第11/443,396号、米国特許出願公開第2007/0015813号の実施例7の208と同じ手順を用いて76%の収率で製造した。
【0234】
フラッシュクロマトグラフィーの後、最終生成物を得た。3-(5-メトキシ-インドール-3-イル)-1-(トルエン-4-スルホニル)-インドール-2-カルボン酸 (QR-0169)。

【0235】
実施例8:3-(5-メトキシ-インドール-3-イル)-インドール-2-カルボン酸 (QR-0168)の製造
3-(5-メトキシ-インドール-3-イル)-インドール-2-カルボン酸 (QR-0168)を、以下のスキーム14に示す反応によって、また米国特許出願公開第2007/0015813号の実施例7の手順209を用いて、82%の収率で製造した。

【0236】
フラッシュクロマトグラフィーの後、最終生成物を得た。3-(5-メトキシ-インドール-3-イル)-インドール-2-カルボン酸 (QR-0168)。

【0237】
実施例9:3-ヨード-1-(トルエン-4-スルホニル)-インドール-2-カルボン酸メチルエステル (203)の製造
3-ヨード-1-(トルエン-4-スルホニル)-インドール-2-カルボン酸メチルエステル (203)を、下記のとおりに製造した。
【0238】
DMF(20mL)に溶解させた3-ヨードインドール-2-カルボン酸メチルエステル (202)(0.604g、2mmol)とNaH(60%、0.192g、2.4mmol)との混合物に、p-トルエンスルホニルクロリド(0.381g、2mmol)を室温で加えた。1時間攪拌した後、酢酸エチル(50mL)を上記の反応混合物に加えた。この混合物をブライン(3x30mL)で洗浄した。有機層をMgSO4で乾燥させ、濾過して真空下で濃縮した。上記の残渣をフラッシュクロマトグラフィー(10%酢酸エチル/ヘキサン V:V)で精製し、203(0.68g、76%)を得た。


【0239】
実施例10:5-ニトロ-3-ヨード-1-(トルエン-4-スルホニル)-インドール (222)の製造
5-ニトロ-3-ヨード-1-(トルエン-4-スルホニル)-インドール (222)を、米国特許出願公開第2007/0015813号の実施例7の手順212に従って、以下のスキーム15に示す反応により製造した。

【0240】
実施例11:3-(1-(トルエン-4-スルホニル)-インドール-3-イル)-5-ニトロ-1-(トルエン-4-スルホニル)-インドール (223)の製造
3-(1-(トルエン-4-スルホニル)-インドール-3-イル)-5-ニトロ-1-(トルエン-4-スルホニル)-インドール (223)を、以下のとおりに製造した。
【0241】
DMF(10mL)に溶解させた222(0.331g、0.748mmol)、粗206(0.42g、0.748mmol)、触媒量のCuIとテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウムの溶液を、アルゴンで10分間脱気した(スキーム16)。この混合物を50℃にして5時間攪拌した。上記の溶媒を真空中で除去し、残渣をフラッシュクロマトグラフィー(20%酢酸エチル/ヘキサン V:V)で精製して、223(0.22g、50%)を得た。

【0242】
実施例12:3-(1-(トルエン-4-スルホニル)-インドール-3-イル)-5-ニトロインドール (QR-0170)の製造
3-(1-(トルエン-4-スルホニル)-インドール-3-イル)-5-ニトロインドール (QR-0170)を、以下のスキーム16に示す反応によって製造した。

【0243】
下記の手順を用いた。
【0244】
THF/MeOH/H2O(5:5:1)に溶解させた223(0.2g、0.34mmol)の溶液に、LiOH(0.052g、2.2mmol)(スキーム16)を加えた。この反応混合物を50℃で0.5時間攪拌した。上記の溶液を室温まで冷却して濃縮した。水(10mL)を加え、1N HClでpHを7に調整した。水相は酢酸エチル(3×10mL)で抽出した。混合有機相はMgSO4で乾燥させ、溶媒は真空中で除去した。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘキサン、1:1、V:V)で精製し、QR-0170(0.13g、89%)を得た。

【0245】
実施例13:ビス(3-インドリル)メタノン (229)の製造
最初に、米国特許出願第11/443,396号、米国特許出願公開第2007/0015813号の実施例7の205と同じ手順を用いて、以下のスキーム17に示す反応により化合物226(スキーム17)を製造した。

次いで、ビス(3-インドリル)メタノン(229)を、以下のスキーム18に示す反応によって製造した。

【0246】
下記の手順を用いた。
【0247】
乾燥THF(10mL)に溶解させた205(397mg、1mmol)の溶液に、n-BuLi(0.8mL、2.5M)を、-78℃で10分間超加えた(スキーム18)。15分間攪拌した後、乾燥THF(10mL)に溶解させた226(400mg、1.5mmol)を5分間超加え、結果として得られた混合物を5時間攪拌した。水性HCl(1%、40mL)を加え、この混合物を酢酸エチル(3×20mL)で抽出した。混合有機層を飽和NaHCO3溶液とブラインで洗浄し、MgSO4で乾燥させた。溶媒を蒸発させ、残渣をカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘキサン、3:7、V: V)で精製し、227(383mg、67%)を得た。

【0248】
乾燥CH2Cl2(10mL)に溶解させた227(285mg、0.5mmol)の溶液に、PDC(重クロム酸ピリジニウム)(940mg、2.5mmol)とPTEA(トリフルオロ酢酸ピリジニウム)(190mg、1mmol)を加えた(スキーム18)。この混合物を室温で2時間攪拌した。固体のクロム廃棄物を濾過によって除去し、溶媒は蒸発させ、残渣をシリカゲル上のカラムクロマトグラフィー(CH2Cl2/ヘキサン、2:1、V:V)で精製し、228(263mg、93%)を得た。

【0249】
MeOH/THF/H2O(1:1:1、15 mL)に溶解させたLiOH(12mg、0.5mmol)と228(100mg、0.176mmol)を、還流下で2時間加熱した(スキーム18)。結果として得られた混合物を濃縮し、残渣を酢酸エチルで溶解させた。この溶液をブラインで洗浄し、有機層をMgSO4で乾燥させた。溶媒は蒸発させ、残渣をカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/CH2Cl2、1:1、V:V)で精製し、229(38mg、83%)を得た。

【0250】
実施例14:QR-0174の製造
上記の実施例の229を製造するための手順を用いて、以下のスキーム19に示す反応によってQR-0173(スキーム19)を製造した。

この手順から、下記の化合物を得た。
【0251】
231(収率58%)。

【0252】
QR-0173(収率84%)。

【0253】
次いで、一般的手順Aを用いてQR-0173のo-メチル基を脱保護することによってQR-0174を合成した。
【0254】
一般的手順A
乾燥CH2Cl2に溶解させたメトキシ基を含む化合物の溶液に、BBr3(2〜10当量)を-78℃で加えた。この混合物を一晩攪拌し、室温まで温めた。水を加え、上記の混合物を酢酸エチルで抽出した。有機層をブラインで洗浄し、MgSO4で乾燥させた。溶媒は蒸発させ、残渣をカラムクロマトグラフィーで精製し、下記の化合物を得た。
【0255】
QR-0174(収率87%)。

【0256】
実施例15:QR-0171の製造
米国特許出願第11/443,396号、米国特許出願公開第2007/0015813号の実施例7の214と同じ手順を用いてQR-0171(スキーム20)を合成した。使用した反応を、以下のスキーム20に示す。

【0257】
カラムクロマトグラフィー後、下記の化合物を回収した。
【0258】
234(収率64%)。

【0259】
QR-0171(収率48%)。

【0260】
実施例16:4-メトキシル-3-(トリブチルスタンニル)-1-(トルエン-4-スルホニル)-インドール (238)の製造
米国特許出願第11/443,396号、米国特許出願公開第2007/0015813号の実施例7の206と同じ手順を用いて、4-メトキシル-3-(トリブチルスタンニル)-1-(トルエン-4-スルホニル)-インドール (238)(スキーム21)を製造した。反応を以下のスキーム21に示す。

【0261】
実施例17:QR-0179の製造
QR-0179(スキーム22)を、米国特許出願公開第2007/0015813号の実施例7の手順214を用いて製造した。使用した反応を、以下のスキーム22に示す。

【0262】
カラムクロマトグラフィー後、下記の化合物を回収した:
239(収率73%)。

【0263】
QR-0179(収率32%)。

【0264】
実施例18:QR-0178の製造
QR-0178を、以下のスキーム23に示す反応によって製造した。

【0265】
1,1'-カルボニルジイミダゾール(「CDI」)(324mg、2mmol)を、乾燥DMF(5mL)に溶解させたインドール-5-カルボン酸(161mg、1mmol)の溶液に0℃で加えた(スキーム23)。この混合物を1時間攪拌した後、濃縮アンモニア水(0.4mL)を加え、溶液を室温で一晩攪拌した。上記の混合物に水(25mL)を加え、この水溶液を酢酸エチル(3×25mL)で抽出した。混合有機相をMgSO4で乾燥させ、濾過して真空下で濃縮した。上記の残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィーで精製して、下記の化合物を得た。
【0266】
QR-0178(収率60%)。

【0267】
実施例19:QR-0177の製造
QR-0177(スキーム24)を、実施例18の手順を用いて、以下のスキーム24に示す反応によって製造した。

【0268】
下記の化合物を得た。
【0269】
QR-0177(収率56%)。

【0270】
実施例20:メタン結合ビス-インドールの製造
化合物243、QR-0192、QR-0193、QR-0182、QR-0181、QR-0191、およびQR-0190を、以下のスキーム25に示す反応によって製造した。

【0271】
下記の一般的手順Bを用いて、メタン結合ビス-インドールを製造した。
【0272】
一般的手順B
アセトニトリル(10mL)に溶解させた4-置換ベンズアルデヒド(1mmol)、5-置換インドール(2mmol)およびI2(0.2mmol)の混合物を、室温で5〜30分間攪拌した。反応が完了した後、混合物を水性Na2SO3(5%、10mL)で処理し、必要であればこの混合物をHCl(1N)でpH7または2に調整した。この混合物を酢酸エチルで抽出し、有機層はブラインで洗浄してMgSO4で乾燥させた。溶媒は蒸発させ、残渣はカラムクロマトグラフィーで精製して下記を得た:
【0273】
243(収率92%)。

【0274】
QR-0192(収率88%)。

【0275】
QR-0193(収率75%)。


【0276】
QR-0182(収率89%)。

【0277】
QR-0181(収率90%)。

【0278】
QR-0191(収率65%)。

【0279】
QR-0190(収率84%)。

【0280】
実施例21:QR-0198、QR-0197およびQR-0206の製造
化合物QR-0198、QR-0197およびQR-0206を、以下のスキーム26に示す反応によって製造した。

【0281】
下記の手順を用いた。THF(50mL)に溶解させたインドール(1.17g、10mmol)の懸濁液を-20℃まで冷却し、エチルマグネシウムブロミド(3.7mL、THF中3.0M)を滴加した。この混合物を室温まで3時間温め、乾燥THF(30mL)に溶解させた4-アニソールカルボン酸クロリド(1.70g、10mmol)を滴加した。一晩攪拌した後、酢酸エチル(150mL)を加え、上記の混合物をブラインで洗浄した。有機層をMgSO4で乾燥させた後、溶媒は蒸発させ、残渣をカラムクロマトグラフィーで精製して下記を得た:
【0282】
QR-0198(収率42%)。

【0283】
QR-0197(収率38%)。

【0284】
QR-0206を、実施例14の一般的手順Aを用いてQR-0198のo-メチル基を脱保護することによって製造した。下記の化合物を得た。
【0285】
QR-0206(収率76%)。

【0286】
実施例22:QR-0205の製造
化合物253を、実施例21におけるQR-0198のための手順を用いて、以下のスキーム27に示す反応によって製造した。

【0287】
下記の化合物を回収した。253(収率72%)。

【0288】
次いで、実施例14の一般的手順Aに従って化合物QR-0205を製造し、QR-0205(70%)を得た。

【0289】
実施例23:QR-0196の製造
化合物QR-0196を、以下のスキーム28に示す反応によって製造した。

【0290】
下記の手順を用いた。
【0291】
5-ニトロインドール(162mg、1mmol)を乾燥THF(5mL)に溶解させ、THF(10mL)に溶解させたKH(137mg、35%、1.2mmol)の懸濁液に滴加し、-15℃まで冷却した。30分後、4-アニソールカルボン酸クロリド(170mg、1mmol)を加え、この反応を室温で4時間攪拌した。水(10mL)を加え、水層をEtOAc(30mL)で抽出した。有機層はMgSO4で乾燥させ、生成物をカラムクロマトグラフィーで精製し、下記の化合物を得た。
【0292】
QR-0196(収率51%)。

【0293】
実施例24:メチレン結合インドール-テトラヒドロイソキノリン化合物の製造
化合物QR-0266、QR-0267、QR-0268、QR-0269、QR-0271、およびQR-0276を、以下のスキーム29に示す反応によって製造した。

【0294】
下記の一般的手順Cを使用した。
【0295】
一般的手順C
AcOH-THF(1:2、6mL)に溶解させた1,2,3,4-テトラヒドロンイソキノリン(4.4mmol)の溶液に、ホルムアルデヒド(0.327mL、4.4mmol、37%水溶液)を加えた。この溶液を15分間攪拌した後、置換インドール(4mmol)を加えた。結果として得られた混合物を室温で一晩攪拌した。上記の混合物にEtOAc(50mL)を加え、この混合物をブラインで洗浄した。有機相をMgSO4で乾燥させた後、溶媒を減圧下にフラッシュクロマトグラフィーで除去し、下記の化合物を回収した。
【0296】
QR-0266(収率88%)。

【0297】
QR-0267(収率59%)。

【0298】
QR-0268(収率67%)。

【0299】
QR-0269(収率91%)。

【0300】
QR-0271(収率88%)。

【0301】
QR-0276(収率82%)。

【0302】
実施例25:QR-0272の製造
化合物QR-0272を、以下のスキーム30に示す反応を用いて製造した。

【0303】
下記の手順を用いた。
【0304】
1,1'-カルボニルジイミダゾール(178mg、1.1mmol)を、乾燥THF(10mL)に溶解させたインドール-2-カルボン酸(161mg、1mmol)の溶液に0℃で加えた。この混合物を1時間攪拌した後、1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン(0.14mL、1.1mmol)を加えた。この溶液を室温で5時間攪拌した。上記の混合物を真空下で濃縮し、残渣をフラッシュクロマトグラフィーで精製して下記を得た。
【0305】
QR-0272(収率60%)。

【0306】
実施例26:QR-274の製造
化合物QR-274を、以下のスキーム31に示す反応によって製造した。

【0307】
下記の手順を用いた。
【0308】
DMF(5mL)に溶解させた1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン(0.253mL、2mmol)の溶液に、K2CO3(552mg、4mmol)と4-メトキシベンジルクロリド(0.288mL、2mmol)を加えた。結果として得られた混合物を、室温で一晩攪拌した。EtOAc(50mL)を混合物に加え、この混合物をブラインで洗浄した。有機層をMgSO4で乾燥させた後、溶媒を蒸発させてフラッシュクロマトグラフィーにかけ、下記の生成物を得た。
【0309】
QR-0274(収率95%)。

【0310】
実施例27:QR-259の製造
化合物QR-0259を、以下のスキーム32に示す反応によって製造した。

【0311】
下記の手順を用いた。
【0312】
THF(15mL)に溶解させた1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン(0.253mL、2mmol)の溶液に、Et3N(0.306mL、2.2mmol)とp-トルエンスルホニルクロリド(420mg、2.2mmol)を加えた。結果として得られた混合物を、室温で10時間攪拌した。EtOAc(20mL)を加え、上記の混合物をブラインで洗浄した。有機層をMgSO4で乾燥させた後、溶媒を蒸発させてフラッシュクロマトグラフィーにかけた。下記の化合物を回収した。
【0313】
QR-0259(収率92%)。

【0314】
実施例28:QR-0260の製造
化合物QR-0260を、スキーム33に示す反応によって製造した。

【0315】
下記の手順を用いた。
【0316】
THF(15mL)に溶解させた1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン(0.253mL、2mmol)の溶液に、Et3N(0.306mL、2.2mmol)と4-アニソールカルボン酸クロリド(374mg、2.2mmol)を加えた。結果として得られた混合物を、室温で10時間攪拌した。EtOAc(20mL)を加え、上記の混合物をブラインで洗浄した。有機層をMgSO4で乾燥させた後、溶媒を蒸発させてフラッシュクロマトグラフィーにかけ、下記の生成物を生成した。
【0317】
QR-0260(収率89%)。

【0318】
実施例29:ビスインドール含有融合環の製造
化合物QR-0278、QR-0288、QR-0279、QR-0291、QR-0290、および250を、以下のスキーム34に示す反応によって製造した。

【0319】
下記の一般的手順Dを用いた。
【0320】
一般的手順D
アセトニトリル(10mL)に溶解させたフタルアルデヒド(1mmol)、5-置換インドール(2mmol)およびI2(0.2mmol)の混合物を、室温で30分間〜10時間攪拌した。反応が完了した後、水性Na2SO3溶液(5%、10mL)を加え、必要であればHCl(1N)でpHを7または2に調整した。この混合物を酢酸エチルで抽出し、有機層はブラインで洗浄してMgSO4で乾燥させた。溶媒は蒸発させ、残渣をカラムクロマトグラフィーで精製して下記の化合物を得た。
【0321】
QR-0278(収率68%)。


【0322】
QR-0288(収率65%)。

【0323】
QR-0279(収率51%)。

【0324】
QR-0291(収率72%)。

【0325】
QR-0290(収率75%)。

【0326】
250(収率74%)。

【0327】
実施例30:QR-0209とQR-0214の製造
化合物251、QR-0209およびQR-0214を、以下のスキーム35に示す反応によって製造した。

【0328】
下記の一般的手順Eを用いた。
【0329】
一般的手順E
アルゴン下、フラスコに臭化アリール(3mmol)と乾燥THF(20mL)を添加した。この溶液を-78℃まで冷却し、次いで、隔膜を通してシリンジでt-BuLi(2.35mL、4mmol、ヘキサン中1.7M)を加え、溶液を-78℃で20分間攪拌した。次いで、シリンジでZnCl2(4mL、4mmol、エーテル中1M)を加えた。上記の混合物を-78℃で30分間攪拌し、フラスコを冷却バスから取り出して室温で30分間攪拌した。この混合物を、アルゴン下で、Pd(PPh3)4(0.05mmol)触媒とヨードインドール(1mmol)を含む別のフラスコに移した。次いで、上記の混合物を50〜70℃で3〜5時間攪拌した。その後反応混合物を室温まで冷却し、水(15mL)で希釈し、EtOAc(3×15mL)で抽出した。混合有機相をMgSO4で乾燥させ、減圧下で濃縮した。粗物質をフラッシュクロマトグラフィーで精製して251を得た。251(収率68%)。

【0330】
メタノール(10mL)に溶解させたLiOH(2mmol)と251(0.5mmol)を還流下で2時間加熱した。結果として得られた混合物を濃縮し、残渣を酢酸エチルで溶解させた。この溶液をブラインで洗浄し、MgSO4で乾燥させた。次いで溶媒を蒸発させ、残渣をカラムクロマトグラフィーで精製し、QR-0209を得た(収率90%)。


【0331】
実施例14の一般的手順AによってQR-0214を製造した。QR-0209のO-メチル基を脱保護してQR-0214を得た(収率83%)。

【0332】
実施例31:QR-0208とQR-0215の製造
以下のスキーム36に示す反応により、化合物QR-0208とQR-0215を製造した。

【0333】
実施例30の一般的手順Eを用いて化合物252を得た(収率71%)。

【0334】
MeOH/H2O(1:1、10mL)に溶解させたLiOH(2mmol)と252(0.5mmol)を、還流下で2時間加熱した。結果として得られた混合物を室温まで冷却して濃縮した。残渣は1N HClでpH2に調整した。EtOAc(30mL)を加え、結果として得られた混合物をブラインで洗浄し、MgSO4で乾燥させた。溶媒は蒸発させ、残渣をカラムクロマトグラフィーで精製してQR-0208を得た(収率89%)。

【0335】
実施例14の一般的手順Aを用いてQR-0215を製造した(収率82%)。

【0336】
実施例31A:QR-0216とQR-0217の製造
化合物254、QR-0216およびQR-0217を、以下のスキーム37に示す反応によって製造した。

【0337】
下記の手順を用いた。
【0338】
実施例30の一般的手順Eを用いて254を製造した(収率64%)。

【0339】
QR-0208を製造するための実施例31の手順によりQR-0216を製造し、QR-0216を得た(収率93%)。

【0340】
実施例14の一般的手順Aを用いてQR-0217を得た(収率86%)。


【0341】
実施例32:QR-0207の製造
以下のスキーム38に示す反応によってQR-0207を製造した。

【0342】
実施例30の一般的手順Eを用いてQR-0207を製造した(収率58%)。

【0343】
実施例33:ビスインドール含有7-アザインドールの製造
ビスインドール含有7-アザインドールを、以下のスキーム39に示す反応によって製造した。

【0344】
下記の一般的手順Fを用いた。
【0345】
一般的手順F
5-置換イサチン(5mmol)、7-アザインドール(5mmol)、およびピペリジン(0.5mmol)の溶液を、エタノール中で、45℃で一晩攪拌した。TLCが反応の完了を示すと、反応混合物を濃縮し、その生成物をEtOAc/ヘキサンですすいだ。この生成物は、さらに精製することなく次のステップで使用した。
【0346】
0℃において、乾燥THFに溶解させた上記の生成物(4mmol)の溶液に、BH3・THF(10mL、10mmol)を10分超滴加した。この溶液を室温で一晩攪拌し、次いでMeOH(30mL)の滴加によってクエンチした。真空下で溶媒を除去し、酢酸と1M HCl(1:1、30mL)の溶液を加えた。上記の混合物を2時間攪拌し、ピリジン窒素において結合しているあらゆるBH3を除去した。K2CO3を加えてpHを7.0に調整し、この水溶液を酢酸エチル(3×50mL)で抽出した。上記の混合有機相をMgSO4で乾燥させ、濾過して真空下で濃縮した。残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィーで精製し、下記の化合物を得た。
【0347】
QR-0218(収率68%)。

【0348】
QR-0230(収率65%)。

【0349】
255(収率60%)。

【0350】
256(収率62%)。

【0351】
実施例34:QR-0241の製造
化合物QR-0241を、以下のスキーム40に示す反応を用いて製造した。

【0352】
下記の一般的手順Gを用いた。.
一般的手順G
ブロモインドール含有化合物(1mmol)、シアン化銅(2〜4mmol)およびDMF(5mL)を、アルゴン下で、150℃で3〜5時間攪拌した。次いでこの混合物を室温まで冷却し、水(25mL)を加えた。水層はEtOAc(3×25mL)で抽出し、混合有機層はMgSO4で乾燥させ、濾過して真空下で濃縮した。この残渣をフラッシュクロマトグラフィーで精製し、QR-0241を得た(収率52%)。

【0353】
実施例35:QR-0239とQR-0240の製造
化合物QR-0239とQR-0240を、以下のスキーム41に示す反応によって製造した。

【0354】
実施例34の一般的手順Gを用いて下記の化合物を得た。
【0355】
QR-239(収率15%)。

【0356】
QR-240(収率37%)。

【0357】
実施例36:QR-0238とQR-0276の製造
以下のスキーム42に示す反応によって化合物QR-0238とQR-0276を製造した。

【0358】
実施例30の一般的手順Eを用いてQR-0238を得た(収率55%)。

【0359】
実施例14の一般的手順Aを用いてQR-0276を得た(収率53%)。

【0360】
実施例37:QR-0235とQR-0236の製造
化合物QR-0235とQR-0236を、以下のスキーム43に示す反応によって製造した。

【0361】
下記の手順を用いた。
【0362】
5-ブロモイサチン(5mmol)、5-メトキシ-2-メチルインドール(5mmol)、およびピペリジン(0.5mmol)の溶液を、エタノール中で、45℃で一晩攪拌した。TLCが反応の完了を示すと、反応混合物を濃縮して、生成物をEtOAcとヘキサンで洗浄した。この生成物を、さらに精製することなく次のステップで用いた。0℃において、乾燥THFに溶解させた上記の生成物(3mmol)の溶液にBH3・THF(7.5mL、7.5mmol)を10分超滴加した。この溶液を室温で一晩攪拌し、その後MeOH(30mL)の滴加によってクエンチした。溶媒は減圧下で除去し、残渣をフラッシュクロマトグラフィーで精製して257を得た(収率48%)。

【0363】
ブロモインドール種257(1.0mmol)を乾燥THF(10mL)に溶解させ、THF(10mL)に溶解させたKH(2.2当量、油中35重量%)の懸濁液に0℃で滴加した。20分後、上記の反応を-78℃まで冷却してt-BuLi(3当量、ペンタン中1.7M)を滴加した。さらに20分間攪拌した後、大過剰のCO2ガスをバルーンによって加えた。2時間攪拌した後、pHが2に達するまで水(10mL)とHCl(1N)を加えることによって反応をクエンチした。水層はEtOAc(2x20mL)で抽出し、有機層はMgSO4で乾燥させた。濃縮後、生成物をフラッシュカラムクロマトグラフィーで精製してQR-0235を得た(収率46%)。


【0364】
実施例14の一般的手順Aを用いてQR-0236を得た(収率67%)。

【0365】
実施例38:QR-0252とQR-0253の製造
以下のスキーム44に示す反応によって化合物QR-0252とQR-0253を製造した。

【0366】
258の製造は実施例37の257の製造と同じ手順に従い、258を得た(収率70%)。


【0367】
QR-0252の製造は実施例37のQR-0235の製造と同じ手順に従い、QR-0252を得た(収率66%)。

【0368】
実施例14の一般的手順Aを用いて、QR-0253を製造した(収率70%)。

【0369】
実施例39:QR-0303とQR-0289の製造
以下のスキーム45に示す反応によって化合物QR-0303とQR-0289を製造した。

【0370】
手順は以下のとおりであった。
【0371】
5-置換イサチン(5mmol)、インドール-7-カルボン酸メチルエステル(5mmol)、およびピペリジン(0.5mmol)の溶液を、エタノール中で、室温で2〜4日間攪拌した。TLCが反応の完了を示すと、反応混合物を濃縮し、その生成物をEtOAcとヘキサンで洗浄した。この生成物は、さらに精製することなく次のステップで使用した。0℃において、乾燥THFに溶解させた上記の生成物(4mmol)の溶液に、BH3・THF(10mL、10mmol)を10分超滴加した。溶液を室温で一晩攪拌し、その後MeOH(30mL)の滴加によってクエンチした。溶媒は真空下で除去し、粗生成物を得て、これをMeOH/H2O(1:1、40mL)中でLiOH(10mmol)と共に70℃で2時間攪拌した。上記の混合物を濃縮し、1N HClでpHを2に調整した。水層はEtOAc(2x20mL)で抽出し、有機層はMgSO4で乾燥させた。最終生成物をフラッシュカラムクロマトグラフィーで精製し、下記の化合物を得た。
【0372】
QR-0303(収率32%)。


【0373】
QR-0289(収率27%)。

【0374】
実施例40:QR-0254の製造
化合物QR-0254を、以下のスキーム46に示す反応によって製造した。

【0375】
下記の手順を用いた。
【0376】
5-ニトロイサチン(5mmol)、インドール-5-カルボン酸メチルエステル(5mmol)、およびK2CO3(10mmol)の溶液を、エタノール中で、室温で一晩攪拌した。TLCが反応の完了を示すと、反応混合物を濃縮した。この生成物をEtOAcとヘキサンで洗浄した。生成物は、さらに精製することなく次のステップで使用した。0℃において、乾燥THFに溶解させた生成物(4mmol)の溶液に、BH3・THF(10mL、10mmol)を10分超滴加した。この溶液を室温で一晩攪拌し、その後MeOH(30mL)の滴加によってクエンチした。溶媒は真空下で除去し、粗生成物を得て、これをMeOH/H2O(1:1、40mL)中でLiOH(10mmol)と共に70℃で2時間攪拌した。上記の混合物を濃縮し、1N HClでpHを2に調整した。水層はEtOAc(2x20mL)で抽出し、有機層はMgSO4で乾燥させた。最終生成物をフラッシュカラムクロマトグラフィーで精製し、QR-0254を得た(収率38%)。

【0377】
実施例41:QR-0251の製造
化合物QR-0251を、以下のスキーム47に示す反応によって製造した。

【0378】
実施例40の手順を用いてQR-0251を得た(収率18%)。

【0379】
実施例42:QR-0327の製造
以下のスキーム48に示す反応によって化合物QR-0327を製造した。

【0380】
実施例40の手順を用いて、QR-0327を得た(収率36%)。

【0381】
実施例43:QR-0295の製造
化合物QR-0295を、以下のスキーム49に示す反応によって製造した。

【0382】
実施例40の手順を用いて、QR-0295を得た(収率5%)。

【0383】
実施例44:QR-0311の製造
化合物QR-0311を、以下のスキーム50に示す反応によって製造した。

【0384】
下記の一般的手順Hを用いた。
【0385】
一般的手順H
DMF(5mL)に溶解させた臭化アリールまたはヨウ化アリール(1mmol)、ホウ酸(1.2mmol)およびPd(OAc)2(0.05mmol)を、アルゴン下で、60〜90℃で5〜16時間攪拌した。その後、上記の混合物を室温まで冷却し、酢酸エチル(50mL)を加えて、この混合物をブラインで3回(50mL)洗浄した。有機層をMgSO4で乾燥させて濃縮した。残渣はフラッシュカラムクロマトグラフィーで精製した。
【0386】
一般的手順Hを用いて259を得た(収率63%)。

【0387】
メタノール(10mL)に溶解させたLiOH(2mmol)と259(0.5mmol)を、室温で2時間攪拌した。次いでこの混合物を濃縮し、残渣を酢酸エチルに溶解させた。この溶液をブラインで洗浄し、有機層をMgSO4で乾燥させた。溶媒は蒸発させ、残渣をカラムクロマトグラフィーで精製してQR-0311を得た(収率82%)。

【0388】
実施例45:QR-0310の製造
化合物QR-0310を、以下のスキーム51に示す反応によって製造した。

【0389】
実施例44の一般的手順Hを用いて、QR-0310を得た(収率50%)。

【0390】
実施例46:QR-0292とQR-0306の合成
化合物QR-0292を、下記のスキームに示す反応を用いて製造した。

【0391】
下記の手順を用いた。
【0392】
乾燥トルエン(10mL)に溶解させた1,4-ジブロモベンゼン(0.236g、1.00mmol)、4-メトキシアニリン(0.369g、3.00mmol)、Pd(dba)2(28.8mg、0.05mmol)、P(t-Bu)3(8.1mg、0.04mmol)およびナトリウムtert-ブトキシド(288mg、3.00mmol)の混合物を、アルゴン雰囲気下で一緒に還流させた。この反応を薄層クロマトグラフィーでモニタリングした。完了すると、上記の混合物を室温まで冷却し、蒸留水を加え、この混合物を酢酸エチル(3×30mL)で抽出した。混合酢酸エチル抽出物をブラインで洗浄した後、MgSO4で乾燥させた。溶液を減圧下で濃縮し、生成物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(20% EtOAc/ヘキサン)で精製して、QR-0292(51mg、16%)を無色の固体として得た。

【0393】
化合物QR-0306を、下記のスキームに示す反応によって製造した。

【0394】
QR-0292について上記したのと同じ手順を用いて、QR-0306を得た(収率:12%)。


【0395】
実施例47:QR-0293、QR-0294、QR-0304の製造
QR-0293、QR-0294およびQR-0304を、下記のスキームに示す反応によって製造した:

【0396】
下記の手順を用いた。DMF(10mL)に溶解させた3,6-ジクロロピリダジン(0.298g、2.00mmol)、m-アミノフェノール(0.480g、4.40mmol)、炭酸カリウム(0.414g、3.00mmol)の溶液を12時間還流させた。完了すると、上記の混合物を室温まで冷却して蒸留水(50mL)を加え、この混合物を酢酸エチル(3×40mL)で抽出した。上記の混合有機抽出物をブラインで洗浄した後、MgSO4で乾燥させた。この溶液を減圧下で濃縮し、残渣をEt2O(20mL×3)とヘキサン(20mL×2)で洗浄し、下記の化合物を得た。
【0397】
無色の固体としてのQR-0293(0.419mg、71%)。

【0398】

【0399】
収率39%;

【0400】

【0401】
収率:84%;

【0402】
実施例48:QR-0315、QR-0316、QR-0317の製造
化合物QR-0315、QR-0316、およびQR-0317を、下記のスキームに示す反応によって製造した:

【0403】
下記の手順を用いた。THF(10mL)に溶解させた1,3-ベンゼンジアミン(0.216g、2.00mmol)、3-ブロモアニソール(0.767g、4.1mmol)、トリス(ジベンジリジンアセトン)ジパラジウム(Pd2(dba)3)(36.6mg、0.04mmol)、(R)-BINAP(62.3mg、0.10mmol)、およびナトリウムtert-ブトキシド(0.499g、5.20mmol)の混合物を12時間還流させ、第2の部分の(Pd2(dba)3(18.0mg)を加え、この混合物をさらに12時間還流させた。完了すると、上記の反応混合物を濃縮して酢酸エチル(30mL)とブライン(20mL)を加えた。複数の層を分離し、水層は酢酸エチル(3×20mL)でさらに抽出した。混合有機層はブライン(20mL)で洗浄し、MgSO4で乾燥させ、真空下で濃縮した。残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(20% EtOAc/ヘキサン)にかけ、下記の化合物を得た。
【0404】
無色の固体としてのQR-0315(0.486、76%)。

【0405】

【0406】
収率:96%;

【0407】

【0408】
収率:63%;

【0409】
実施例49:QR-0319、QR-0325、QR-0326の製造
化合物QR-0319、QR-0325、およびQR-0326を、下記のスキームに示す反応によって製造した:

【0410】
下記の手順を用いた。-78℃まで冷却した、乾燥CH2Cl2(50mL)に溶解させた化合物QR-315(0.215g、0.672mmol)の懸濁液に、BBr3(0.38mL、4.03mmol)を滴加した。この反応混合物を放置して室温まで一晩温めた。この混合物を飽和水性NaHCO3(20mL)で洗浄し、水層はCH2Cl2(3×30mL)でさらに抽出し、混合CH2Cl2抽出物はブライン(30mL)で洗浄した。この有機層をMgSO4で乾燥させ、真空下で濃縮した。残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(20% EtOAc/ヘキサン)にかけ、下記の化合物を得た。
【0411】
ジヒドロキシル化合物QR-0319(0.188g、96%)を無色の固体として得た。

【0412】

【0413】
収率:78%;

【0414】

【0415】
収率:75%;

【0416】
実施例50:Aβ凝集に対する活性
Chalifour, R.J.,ら, J. Biol. Chem. (2003) 278: 34874-81に記載のアッセイと類似の動的チオフラビンT(ThT)蛍光アッセイにおいて、本発明の化合物を、Aβ凝集に対する活性について評価した。
【0417】
下記の手順を用いた。本発明の化合物を円偏光二色性(CD)によって試験してこれらの抗アミロイド生成性活性を確認し、チオフラビンS(ThS)色素結合蛍光アッセイおよびThT色素結合蛍光アッセイのそれぞれにおいて、タウ凝集とα-シヌクレイン凝集の両方の抑制についてさらに評価した。本発明の化合物は、MTT[3-(4,5-ジメチルチアゾール-2-イル)-2,5-ジフェニルテトラゾリウムブロミド]細胞生存率アッセイ(Kaneko, I.ら, J. Neurochem. (1995) 65: 2585-93)においても評価した。薬物動態(PK)試験も行った。マウスに投与(IP(腹腔内)またはPO(経口)投与)した化合物は、300mg/kg以下の用量では無毒であり、投与後4時間超脳内に存在していた。
【0418】
上記のin-vitro試験の多くは、2006年5月30日に出願された米国特許出願第11/443,396号、米国特許出願公開第2007-0015813号(参照により本明細書に組み入れられる)に開示される方法に従って行われた。
【0419】
特定の化合物の構造、in vitro活性およびPKデータを以下にまとめた。
【0420】

上記の化合物は、Aβ40とAβ42の予め形成された凝集体に加えると、これらの両方の凝集を抑制すること、ならびに両種の凝集を逆転させることが見出された。
【0421】
実施例50A:細胞生存率アッセイ
実施例50のQR-0112とQR-0161について、細胞生存率アッセイを行った。
【0422】
このアッセイは、Conteとその同僚によって報告されたアッセイ(Conte, A., Pellegrini, s. & Tagliazucchi, D. 2Q03. Brain Res. Bull. 62, 29-38)に基づいていた。簡単に言えば、Aβl-40(1.0mg)をトリス塩基(15mL、20マイクロM、pH約10)中に直接溶解させた。濃縮HClを用いてpHを7.4まで下げ、この溶液を、10%ウシ胎仔血清、ペニシリン-G(10,000単位/mL)およびストレプトマイシン(10mg/mL)を含有するダルベッコ改変イーグル培地(高グルコース)で構成される成長培地で10倍に希釈し、20μMのAβ40を得た。非Aβ含有対照として、成長培地をトリス緩衝液(20mM、pH7.4)で10%希釈した。SH-SY5Y神経芽細胞腫細胞を、被覆した96ウェル透明ポリスチレンプレートに1ウェル当たり約20,000細胞で播種し、37℃、5%C02で24時間インキュベートした。上清を捨てた後、Aβ-40またはビヒクル(対照)を含有する成長培地(200μL)をウェルに加え、その後DMSO(0.5μL)に溶解させた試験化合物またはDMSO単独(対照)を加えた。インキュベーションは全て、5回以上反復した。6〜10時間(37℃、5% C02)インキュベートした後、各ウェルに色素3-(4,5-ジメチルチアゾール-2-イル)-2,5-ジフェニルテトラゾリウムブロミド(MTT、20マイクロL、PBS中5mg/mL)を加え、このプレートをさらに2時間インキュベートした。培地を捨て、DMSO(100μL)を加えて振盪させることによってホルマザン生成物を溶解させた。Tecan Geniosマイクロプレートリーダー中で、540nmで吸光度を測定した。この実験の開始時には、Aβ40も試験化合物も含まないウェルの吸光度値は100%であったが、細胞を溶解させるために20% Triton X-100(0.5μL)を加えたウェルは、細胞機能を完全に抑制していた(0%)。
【0423】
アッセイの結果を、図1、図2および図3にグラフで示す。
【0424】
QR-0112(p<0.05)は、50μMにおいて顕著に防御し、2μMおよび10μMの低濃度においては防御する傾向にあり;またQR-0161は、20μMと50μMのいずれにおいても著しく活性であって、SH-SY5Y細胞をAβ40(20μM)から防御する、と結論付けられた。
【0425】
実施例51:ThT蛍光アッセイにおけるAβ1-40凝集の抑制
本発明の多数の化合物について、ThT蛍光アッセイにおけるAβ1-40凝集の抑制のIC50値を測定した。値は、カレイダグラフ4.0(Synergy Software社)を用いて、式 y=(m2)/(1+(x/m3)^m4)(式中、yは凝集パーセントであり、xは化合物濃度であり、m3は、50%の凝集を与える濃度(すなわちIC50)である)を解くことによって計算した。得られたデータを、以下の表1にまとめる。
【表1】





【0426】
実施例52:Aβ、タウおよびα-シヌクレインについての、チオフラビンT(ThT)およびチオフラビンS(ThS)凝集アッセイ
1)Aβ、タウおよびα-シヌクレインについての、チオフラビンT(ThT)およびチオフラビンS(ThS)凝集アッセイ
Aβ、タウおよびα-シヌクレインについての色素結合ThT/ThSタンパク質凝集アッセイを、米国特許出願公開第2007/0015813号の実施例8に記載されるとおりに行った。
【0427】
2)トリス-トリシンSDS-PAGE:
プレキャストポリアクリルアミドゲルを、NuSep社から購入した(10〜20%トリス-トリシン-SDS)。これらは、その分離範囲が2.5〜205kDaと大きいことを理由として選んだ。分子量マーカーはSigma Aldrich社から購入し、個別の使用について20倍希釈した。この技術について、3種類の緩衝液を用いた:1)サンプル緩衝液(1.25mL 0.5Mトリス-HCl(pH6.8)、2.5mL グリセロール、2.0mL 10%SDS、0.2mL 0.5%ブロモフェノールブルー、3.55mLの蒸留水)、ゲル中のリーディングバンドとして使用した。2)カソード緩衝液(12.11g トリス塩基、17.92g トリシン、1g SDS、蒸留水で1Lまで希釈)、タンクアセンブリ中の内部緩衝液とした。3)アノード緩衝液(5X濃縮:1Lの蒸留水に溶解させた121.1g トリス塩基、濃縮HClでpH8.9に調整)、外部緩衝液として1X濃縮でローディングした。Aβ1-40とAβ1-42は、いずれもAnaspecから購入した。
【0428】
銀染色プロトコルを用いてゲルを染色するために、5種類の溶液を必要とした:1)固定溶液1(40%メタノール、10%酢酸、Milli-Q水で1Lまで希釈) 2)固定溶液2(45g無水酢酸ナトリウム、300mLメタノール、5mL 25%グルタルアルデヒド、Milli-Q水で1Lまで希釈)。3)a)銀染色溶液A(15mLの25%アンモニア溶液、0.8g水酸化ナトリウム、Milli-Q水で950mLまで希釈)。b)銀染色溶液B(50mL Milli-Q水に溶解させた6gの硝酸銀)。次いで溶液Bを溶液Aに徐々に加えた。4)発色溶液(0.1g クエン酸、1mL ホルムアルデヒド、Milli-Q水で1Lまで希釈)。5)停止溶液(50mL 酢酸、Milli-Q水で1Lまで希釈)。
【0429】
サンプル調製:Aβ1-40とタウ441
米国特許出願公開第2007/0015813号の実施例8に記載のThT(Aβ1-40)またはThS(タウ441)凝集アッセイに従って、サンプルを速やかに吸引して遠心管に保存した。10μLの各サンプルをマイクロフュージ管に移し、サンプル緩衝液で1:1に希釈した後、30分間インキュベート(37℃)し、プレキャストゲルにローディングした(各ウェルに15μL)。次いで、このゲルを100Vで約1時間、またはリーディングバンドがゲルの底に達するまで運転した。
【0430】
サンプル調製:Aβ1-42処理
Aβ1-42を1.15mLトリス塩基(pH〜10)に溶解させ、ボルテックスおよび超音波分解し、濃度200μMを得た。次いで、濃縮HClを用いてpHを7.4まで下げ、この溶液をPBSで10倍に希釈し、20μLのアリコートとしてマイクロフュージ管に移した。化合物は、DMSOストック溶液の0.2μL添加として加えた。その後サンプルをサンプル緩衝液で1:1に希釈し、30分間インキュベート(37℃)した後、プレキャストゲルにローディングした。ローディング量は15μLで、上記のゲルを100Vで約1時間、またはリーディングバンドがゲルの底に達するまで運転した。
【0431】
銀染色
ゲルの運転が終わると、このゲルをプラスチックケースから外して、染色用トレーの中に置いた。全溶液について、約200〜250mL量を用いた。まず上記のゲルを蒸留水で簡単に洗浄し、タンクに由来する過剰な緩衝液を洗い流した。次いで、このゲルを固定溶液1に30分間、その後固定溶液2に30分間浸した。次いで、ゲルが固定されると、このゲルを3回の水洗浄(1回の洗浄当たり10分間)に供した。水洗浄後、銀染色溶液を用いてゲルを30分間染色した。過剰な染色剤は、3〜4分間水洗浄して除去した。その後、ゲルを発色溶液に浸して染色剤を視覚化した。これを、約5分間または所望の強度が達成されるまで行った。発色工程を速やかに停止させるため、ゲルを停止溶液中に10分間置いた。
【0432】
3)透過電子顕微鏡法(TEM)
TEM分析については、Cohenら(Biochemistry 2006, 45: 4727-35)の手順の改変版に従った。酢酸ウラニルを陰性染色剤(Electron Microscopy Sciences社)として使用し、3%溶液として作製して暗中において5℃で保存し、光崩壊を減少させた。TEM分析では、ThT(Aβ1-40)およびThS(タウ441)凝集アッセイで得られた吸引サンプル、または化合物の存在下および非存在下において30分間インキュベート(37℃)したAβ1-42を使用した。サンプルは、ホルムバール被覆された400メッシュの銅グリッド(Electron Microscopy Sciences社)上に、10μLの液滴として注意深くローディングした。60秒間攪拌した後、過剰な液体を濾紙で穏やかに除去した。次に、3%酢酸ウラニルをグリッド上に液滴として添加し、さらに60秒間放置した。濾紙で過剰な液体を再度除去した。サンプルを30分以上乾燥させ、その後80kVで作動させた電子顕微鏡で見た。
【0433】
4) 結果
ThT蛍光アッセイにおける、Aβ1-40の凝集に対するQR-0292(0.08〜10マイクロM)の影響。
【0434】
ThT蛍光アッセイにおける、Aβ1-40の凝集に対するQR-0319(0.16〜100μM)の影響を図5にグラフで示す。
【0435】
ThTアッセイにおける、Aβ1-40の凝集に対するQR-0217のIC50曲線を図6にグラフで示す。QR-0217のIC50値は7.5μMである。表1を参照のこと。
【0436】
ThTアッセイにおける、Aβ1-40の凝集に対するQR-0244のIC50曲線を図7にグラフで示す。QR-0244のIC50値は5.6μMである。表1を参照のこと。
【0437】
Aβ1-42の自己集合に対するQR-0273の影響を示すSDS-PAGE技術を、図8に示す。この化合物は、単量体および5量体の存在ならびに2量体の出現の増加を引き起こし、さらに場合によっては、対照(レーン2)と比べて濃い高分子量のスメア(レーン1)を生じさせた。レーン3は、分子量マーカーである。
【0438】
ThT凝集アッセイ後に、化合物がAβ1-40の自己集合に及ぼす影響を示すSDS-PAGE技術を図9に示す。QR-0276とQR-0279(レーン2および3)は、対照(レーン1)と比較した場合、様々な集合状態のうち、Aβ1-40の分布にほとんど影響を及ぼさないように見えた。しかし、QR-0280、QR-0282、QR-0112、およびQR-0142(レーン4〜7)は、Aβ1-40単量体の濃度の増加を引き起こした。QR-0280とQR-0282は、2量体バンドの出現も引き起こし、これらがAβ1-40の凝集を調節する能力をさらに示していた。
【0439】
ThS凝集アッセイ後に、化合物がタウ441の自己集合に及ぼす影響を示すSDS-PAGE技術を図10に示す。QR-0244、QR-0263、およびQR-0281(レーン3〜6)を含むインキュベーションは、対照(レーン2)と比較したタウ441単量体のフラグメンテーション、ならびに2量体バンドおよび3量体バンドの出現を低下させた。逆に、QR-0262(レーン7)は、このアッセイにおいて、タウ441の自己集合に対して明らかな影響を及ぼさなかった。レーン1は分子量マーカーである。タウ441のフラグメンテーションを抑制する化合物の能力は、このタンパク質のその後の凝集および神経毒性におけるフラグメンテーションとの関連を考えると、特に興味深い(YP Wangら, Proc Nat'l Acad Sci USA 2007, 104:10252-7)。
【0440】
ThT凝集アッセイ後に撮影した、化合物の非存在下(a)および存在下(b,c)でインキュベートしたAβ1-40(20μM)の透過電子顕微鏡写真(TEM)を、図11に示す。化合物QR-0112(b)とQR-0194(c)(いずれも20μM)は、線維形成の増加を引き起こしたが、これらの線維は、対照のインキュベーション(a)中に存在する形態とは異なる形態であった。QR-0295を20μM(d)で含むインキュベーションは、対照と類似形態の線維を有していたが、線維の量は減少しているように見えた。これらの結果は、本発明の化合物がAβ1-40の凝集を崩壊させる様々なメカニズムが存在することを総合的に示唆し、これらのメカニズムの2種以上が治療上有効であると考えられる。左側の顕微鏡写真のスケールバーは1μmであり、右側の顕微鏡写真のスケールバーは200nmである。
【0441】
ThTの非存在下ならびに化合物の非存在下(a)または存在下(b,c)でインキュベートしたAβ1-40(20μM)の透過電子顕微鏡写真(TEM)を、図12に示す。QR-0263(b)(20μM)は、対照(a)と比較して線維の減少を生じさせたように見えたが、QR-0273(c)(100μM)は、線維数の増加を示した。しかし、QR-0273インキュベーション中の線維は、対照と比較すると異なる形態であるように見え、上記の化合物が、線維形成の調節作用を有することを示唆していた。非ネイティブで無毒の凝集体の形成を促進することによるAβ1-40の正常な凝集の崩壊は、治療上有効であり得る。左側の顕微鏡写真のスケールバーは1μmであり、右側の顕微鏡写真のスケールバーは200nmである。
【0442】
ThTの非存在下および化合物の非存在下(a)または存在下(b,c)でインキュベートしたAβ1-42(20μM)の透過電子顕微鏡写真(TEM)を、図13に示す。QR-0185(b)(100μM)は、対照(a)と比較して線維の減少を生じさせたように見え、この化合物がAβ1-42の凝集を抑制し得ることを示唆していた。QR-0194(c)(20μM)は、対照(a)と比較して、存在する線維数の明らかな増加を生じさせた。しかし、これらの線維は、対照と比較すると異なる形態であるように見え、上記化合物が、Aβ1-42の正常な凝集を毒性の凝集体へと崩壊させ得ることを示唆していた。左側の顕微鏡写真のスケールバーは1μmであり、右側の顕微鏡写真のスケールバーは200nmである。
【0443】
ThS凝集アッセイ後に撮影した、化合物の非存在下(a)および存在下(b,c)でインキュベートしたタウ441(6μM)の透過電子顕微鏡写真(TEM)を、図14に示す。QR-0281(b)とQR-0262(c)(いずれも20μM)は、対照(a)と比較して線維形成の増加を生じさせたが、異なる形態の線維を与えた。QR-0281とQR-0262を含むインキュベーションは、対照には存在しない球体集合も有していた。これらの結果は、上記の化合物がタウ441の線維形成を調節し、これによってこのタンパク質の病理学的凝集を崩壊させ得ることを示唆する。左側の顕微鏡写真のスケールバーは1μmであり、右側の顕微鏡写真のスケールバーは200nmである。
【0444】
図15に関して、ThS蛍光アッセイは、24時間インキュベーション(37℃)した後に、化合物がタウ441の凝集に及ぼす影響を示す。QR-0244、QR-0263、およびQR-0281(それぞれA〜C)が、50μM(白棒)および10μM(黒棒)においてタウ441(6μM)の凝集を著しく抑制することが示されて。QR-0262(D)のみが、これらの濃度においてタウ441の凝集を穏やかに抑制した。エラーバーは、n=3回の標準偏差を表す。
【0445】
図16に関して、ThT蛍光アッセイは、化合物がα-シヌクレインの凝集に及ぼす影響を示す。QR-0189、QR-0194、QR-0212、QR-0217、QR-0176、およびレスベラトロール(それぞれA〜F)の全てが、96時間のインキュベーション(37℃)後に、100μM(白棒)および20μM(黒棒)においてα-シヌクレイン(4μM)の凝集の抑制を示したことが表されている。エラーバーは、n=3回の標準偏差を表す。α-シヌクレイン凝集体は、例えばパーキンソン病(AL Fink, Acc Chem Res 2006, 39: 628-634)およびアルツハイマー病(JE Dudaら, J Neurosci Res 2000, 61:127-127)などの多数の神経変性疾患の病因に関与しているため、このタンパク質の凝集を抑制する化合物は治療上有効であり得る。
【0446】
ThT蛍光アッセイは、化合物がα-シヌクレインの凝集に及ぼす影響を示す。図17は、QR-0164、QR-0147、およびQR-0162(G〜I)の全てが、96時間のインキュベーション(37℃)後に、50μM(白棒)および10μM(黒棒)においてα-シヌクレイン(4μM)の凝集の抑制を示したことを表している。エラーバーは、n=3回の標準偏差を表す。
【0447】
細胞培養中の神経細胞間のシナプス結合は、スライス標本およびin vivoでの幾つかの重要な方法における長期増強(LTP)に類似した、シナプス強度の持続的な増強を経る可能性がある(Malgaroli, A.ら, Nature (1992) 357: 134-9; Arancio, O.ら, Nature (1995) 376: 74-80; Arancio, O.ら Cell (1996) 87: 1025-35; Arancio, O.ら J. Physiol. (1994) 481( Pt 2): 395-405; Arancio, O.ら, J. Neurophysiol. (1991) 65: 899-913)。例えば:a)LTP誘導はNMDA受容体の活性化を必要とし、b)LTP誘導は後シナプスのNMDA受容体チャンネルを通じたCa2+流入を必要とし、c)前シナプスの神経細胞の高周波刺激は確実にLTPを誘導し、d)前シナプスの神経細胞の低周波刺激と後シナプスの神経細胞の脱分極との組み合わせを通じて増強を誘導することもできる。このように細胞培養標本は、ADのトランスジェニックモデルにおいてシナプス伝達が変化するか否かを試験し、潜在的な治療薬の適用を通じてシナプス伝達の変化の救済を試みるには優れた系である。この目的を達成するため、Aβ上昇によって生じるシナプス伝達の変化を調べるためにAPP/PS1マウスの海馬に由来する解離細胞培養のモデルを開発した(Trinchese, F.ら, J. Mol. Neurosci. (2004) 24: 15-21)。これらの研究は、培地中に2つの主要な種類のAβペプチド(Aβ40とAβ42)を放出する、APP/PS1マウスに由来する培養海馬神経細胞が、in vivo局在化とAβ42の蓄積を繰り返し、グルタミン酸誘導性の活性放出部位数の持続的増加の欠如に関連している、機能的前シナプス放出部位の数の増加を示すことを実証している。
【0448】
雄で電子生理学的分析を行った(Gong, B.ら, Cell (2006) 126: 775-88中の詳細な説明を参照のこと)。海馬スライス(400mm)を組織チョッパーで切断し、インターフェースチャンバー中に29℃で90分間保持した後に記録した。簡単に言えば、CA1層帯中に刺激電極と記録電極の両方を配置することによってCA1 fEPSPを記録した。fEPSPの傾きに対する刺激電圧をプロットすることによって基底シナプス伝達をアッセイした。LTP実験については、〜35%の最大誘発応答を生じさせる強度で、15分間のベースラインを毎分記録した。θバースト刺激(100Hzで4パルス、5Hzでバーストを繰り返し、各強縮は、15秒毎に分けられた3つの10バーストトレインを含む)を用いてLTPを誘導した。
【0449】
図18に見られるとおり、化合物QR-0217(50μM)は、APP/PS1トランスジェニックマウスの海馬スライスにおいてLTPの障害を顕著に救済した。このことは、本発明の化合物が、Aβ神経毒性によって引き起こされる記憶障害を低下させ得ることを示唆している。
【0450】
上記の明細書中で、本発明は、特定の例となる実施形態について記載されている。当業者であれば、日常的な実験を用いるだけで、本明細書中に記載される方法の特定の実施形態に対する多くの均等物を認識し、または確認することができるであろう。かかる均等物は、下記の請求の範囲に包含されることを意図する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)の化合物:

またはその薬学的に許容される塩[式中、AおよびBはそれぞれ独立して置換されたもしくは置換されていない 単環式、二環式もしくは三環式の環状芳香族またはヘテロ芳香族置換基であり;
該置換された単環式、二環式もしくは三環式の環状芳香族またはヘテロ芳香族置換基はそれぞれ独立して、アルキル、アルケニル、アルキニル、アミド、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキニル、アリール、アリールアルキル、アルキルアリール、アルキルアリールスルホニル、アルキルカルボニル、アルキルエステル、アルコキシ、トリハロメトキシ、アリールオキシ、アリールカルボニル、アルコキシカルボニル、アリールオキシカルボニル、アミノ、ヒドロキシ、チオ、チオエーテル、シアノ、ニトロ、ハロゲン、カルボン酸、スルホン酸、フェニル、ベンジル、インドリル、メトキシおよびエトキシ基からなる群から選択される少なくとも一つの置換基(これらの置換基はいずれも置換されているか未置換である)で置換されているか、または

[式中、Gはアルコキシ(例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ)、ヒドロキシ、カルボキシ、アミノ、アミド、シアノ、または

である]で置換されており、
Zは結合、炭素もしくはジアミノフェニル(例えば、

であり(KはH, OH, OCH3, COOH および NO2からなる群から選択される)、
n1および n2 はそれぞれ独立して0〜1の整数であり、
R1およびR2 はそれぞれ独立して、水素、アルキル、シクロアルキル、アルコキシ、ヒドロキシ、ハロゲンおよびアリールからなる群から選択されるかまたは一緒になって=Oまたは=S基を表す]。
【請求項2】
請求項1記載の化合物であって、該化合物が、式(II)の化合物:

またはその薬学的に許容される塩[式中、R3, R3a, R4, R5, R5a, R6, R7, R8, R8bおよびR8cはそれぞれ独立して、水素、ハロゲン、ニトロ、アルコキシ(例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ等)、アルキル、アミド(例えば、‐CONH2)、ハロアルキル、アリール、アルキルアリール、ヒドロキシ、カルボキシ、シアノ、カルボキシアルキル、(例えば、CH3O2C‐等)、アルキルカルボニル、アルキルエステル、およびカルボン酸(該ハロゲンはフッ素、塩素、ヨウ素、臭素、またはアスタチンである)からなる群から選択され、
R8aは水素、低級アルキルまたはカルボン酸であり;
R9は水素、または置換もしくは置換されていないベンジルであり、
Tは結合、炭素、

(Kは、H, OH, OCH3, COOH および NO2からなる群から選択される)であり;ならびに
L、YおよびZはそれぞれ独立して、炭素、窒素、酸素および硫黄からなる群から選択される]である、上記化合物。
【請求項3】
請求項1記載の化合物であって、該化合物が、式(III)の化合物

またはその薬学的に許容される塩[式中、R10, R10a, R10b, R11, R12, R13, R13a, R13b, R13c, R13d, R13eおよびR14はそれぞれ独立して、水素、ハロゲン、ニトロ、アルコキシ(例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ等)、アルキル、(例えば、メチル、エチル、プロピル等)、アミド(例えば、‐CONH2)、ハロアルキル、ヒドロキシ、カルボキシ、カルボキシアルキル、(例えば、CH3O2C‐等)、シアノ、アルキルカルボニル、アルキルエステル、およびカルボン酸(該ハロゲンはフッ素、塩素、ヨウ素、臭素、またはアスタチンである)からなる群から選択され;
R10cは水素、または置換もしくは置換されていないベンジルであり、
YおよびLはそれぞれ独立して、炭素、窒素、酸素および硫黄からなる群から選択される(本発明の特定の実施形態において、R10aはカルボン酸であり、R11 およびR12は独立してヒドロキシである)]である、上記化合物。
【請求項4】
式(IV)の化合物:

またはその薬学的に許容される塩[式中、R16, R16a, R16b, R17, R18, R18a, R18b, R19, R19a, R19b, R19cおよびR20はそれぞれ独立して、水素、ハロゲン、ニトロ、アルコキシ(例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ等)、アルキル、アミド(例えば、‐CONH2)、ハロアルキル、ヒドロキシ、カルボキシ、カルボキシアルキル、(例えば、CH3O2C‐等)、シアノ、アルキルカルボニル、アルキルエステル、およびカルボン酸(該ハロゲンはフッ素、塩素、ヨウ素、臭素、またはアスタチンである)からなる群から選択され;
R15は水素、または置換もしくは置換されていないベンジルであり;
YおよびLはそれぞれ独立して、炭素、窒素、酸素および硫黄からなる群から選択される]。
【請求項5】
式(V)の化合物:

またはその薬学的に許容される塩[式中、R21, R22, R22a, R22b, R23, R24, R25, R25a, R25b, R25cはそれぞれ独立して、水素、ハロゲン、ニトロ、アルコキシ(例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ等)、アルキル、アミド(例えば、‐CONH2)、ハロアルキル、ヒドロキシ、カルボキシ、シアノ、アルキルカルボニル、アルキルエステル、およびカルボン酸(該ハロゲンはフッ素、塩素、ヨウ素、臭素、またはアスタチンである)からなる群から選択される]。
【請求項6】
式(VI)の化合物:

またはその薬学的に許容される塩
[式中、R26 およびR27はそれぞれ独立して、水素、ハロゲン、ニトロ、アミノ、アミド、アルコキシ(例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ等)、アルキル、アミド(例えば、‐CONH2)、ハロアルキル、ヒドロキシ、カルボキシ、シアノ、アルキルカルボニル、アルキルエステル、およびカルボン酸(該ハロゲンはフッ素、塩素、ヨウ素、臭素、またはアスタチンである)からなる群から選択され;ならびに
m1およびm2はそれぞれ独立して0〜5の整数である]。
【請求項7】
式(VII)の化合物:

またはその薬学的に許容される塩[式中、R28 およびR29はそれぞれ独立して、水素、ハロゲン、ニトロ、アミノ、アミド(例えば、‐CONH2)、アルコキシ(例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ等)、アルキル、ハロアルキル、ヒドロキシ、カルボキシ、シアノ、アルキルカルボニル、アルキルエステル、およびカルボン酸(該ハロゲンはフッ素、塩素、ヨウ素、臭素、またはアスタチンである)からなる群から選択され;
Jは酸素またはNHであり;
E1およびE2はそれぞれ独立して炭素または窒素であるが、ただしE1およびE2は共に窒素ではなく;ならびに
m1およびm2はそれぞれ独立して0〜5の整数である]。
【請求項8】
式(VIII)の化合物:

またはその薬学的に許容される塩[式中、VおよびWはそれぞれ独立して、炭素、窒素、酸素および硫黄からなる群から選択され;
R30, R30a, R30b, R30cはそれぞれ独立して、水素、ハロゲン、ニトロ、アミド(例えば、‐CONH2)、アルコキシ(例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ等)、アルキル、ハロアルキル、ヒドロキシ、カルボキシ、シアノ、アルキルカルボニル、アルキルエステル、およびカルボン酸(該ハロゲンはフッ素、塩素、ヨウ素、臭素、またはアスタチンである)からなる群から選択され;
q1およびq2はそれぞれ独立して0〜4の整数であり;
R31 およびR31aはそれぞれ独立して、水素、および置換されたもしくは置換されていないベンジルからなる群から選択される]。
【請求項9】
式(IX)の化合物:

またはその薬学的に許容される塩[式中、DおよびGはそれぞれ独立して、水素、炭素、窒素、酸素および硫黄からなる群から選択され;
R100 およびR101はそれぞれ独立して、水素、ハロゲン、ニトロ、アミド(例えば、‐CONH2)、アルコキシ(例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ等)、アルキル、ハロアルキル、ヒドロキシ、カルボキシ、シアノ、アルキルカルボニル、アルキルエステル、およびカルボン酸(該ハロゲンはフッ素、塩素、ヨウ素、臭素、またはアスタチンである)からなる群から選択され;ならびに
q1およびq2はそれぞれ独立して0〜4の整数である]。
【請求項10】
式(X)の化合物:

[式中、UおよびLはそれぞれ独立して、炭素、窒素、酸素および硫黄からなる群から選択され;
R32, R32aおよびR32bはそれぞれ独立して、水素、ハロゲン、ニトロ、アミド(例えば、‐CONH2)、アルコキシ(例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ等)、アルキル、ハロアルキル、ヒドロキシ、カルボキシ、シアノ、アルキルカルボニル、アルキルエステル、およびカルボン酸(該ハロゲンはフッ素、塩素、ヨウ素、臭素、またはアスタチンである)からなる群から選択され;ならびに
qは0〜4の整数である]。
【請求項11】
式(XI)の化合物:

またはその薬学的に許容される塩[式中、R200は、ハロゲン、ヒドロキシ、アルキル、アルコキシ およびカルボン酸からなる群から選択され;ならびにXは、窒素、酸素および硫黄からなる群から選択される]。
【請求項12】
式(XII)の化合物:

またはその薬学的に許容される塩。
【請求項13】
式(XIII)の化合物:

またはその薬学的に許容される塩[式中、R35, R36, R37, R38, R39, R40, R41, R42, R43, R44, R45, R46, R47およびR48はそれぞれ独立して、水素、ハロゲン、ニトロ、アミド(例えば、‐CONH2)、アルコキシ(例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ等)、アルキル、ハロアルキル、ヒドロキシ、カルボキシ、シアノ、アルキルカルボニル、アルキルエステル、およびカルボン酸(該ハロゲンはフッ素、塩素、ヨウ素、臭素、またはアスタチンである)からなる群から選択される]。
【請求項14】
式(XIV)の化合物:

またはその薬学的に許容される塩[式中、R50, R51, R52, R53, R54, R55, R56, R57, R58, R59, R60, R61, R62およびR63はそれぞれ独立して、水素、ハロゲン、ニトロ、アミド(例えば、‐CONH2)、アルコキシ(例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ等)、アルキル、ハロアルキル、ヒドロキシ、カルボキシ、シアノ、アルキルカルボニル、アルキルエステル、およびカルボン酸(該ハロゲンはフッ素、塩素、ヨウ素、臭素、またはアスタチンである)からなる群から選択される]。
【請求項15】
式(XV)の化合物:

またはその薬学的に許容される塩[式中、R65, R66, R67, R68, R69, R70, R71, R72, R73, R74, R75, R76, R77およびR78はそれぞれ独立して、水素、ハロゲン、ニトロ、アミド(例えば、‐CONH2)、アルコキシ(例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ等)、アルキル、ハロアルキル、ヒドロキシ、カルボキシ、シアノ、アルキルカルボニル、置換されていないもしくは置換されたベンジル、アルキルエステル、およびカルボン酸(該ハロゲンはフッ素、塩素、ヨウ素、臭素、またはアスタチンである)からなる群から選択され;
L、YおよびZはそれぞれ独立して、炭素、窒素、酸素および硫黄からなる群から選択され:
R79は水素、低級アルキル、または置換されていないもしくは置換されたベンジルである]。
【請求項16】
式(XVI)の化合物:

またはその薬学的に許容される塩[式中、R80, R81, R82, R83, R84, R85, R86およびR87 はそれぞれ独立して、水素、ハロゲン、ニトロ、アミド(例えば、‐CONH2)、アルコキシ(例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ等)、アルキル、ハロアルキル、ヒドロキシ、カルボキシ、シアノ、アルキルカルボニル、置換されていないもしくは置換されたベンジル、アルキルエステル、およびカルボン酸(該ハロゲンはフッ素、塩素、ヨウ素、臭素、またはアスタチンである)からなる群から選択される(特定の実施形態において、R83 はハロゲンであり、R84 およびR85 は共にヒドロキシ基であり、ならびにR80, R81, R82, R86およびR87は全て水素である。特定の実施形態において、R84 およびR85 は共にヒドロキシ基であり、ならびにR80, R81, R82, R83, R86およびR87は全て水素である)]。
【請求項17】
式(XVII)の化合物:

またはその薬学的に許容される塩[式中、R90, R91, R92, R93はそれぞれ独立して、水素、ハロゲン、ニトロ、アミド(例えば、‐CONH2)、アルコキシ(例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ等)、アルキル、ハロアルキル、ヒドロキシ、カルボキシ、シアノ、アルキルカルボニル、置換されていないもしくは置換されたベンジル、アルキルエステル、およびカルボン酸(該ハロゲンはフッ素、塩素、ヨウ素、臭素、またはアスタチンである)からなる群から選択され;
R94は水素、置換されていないもしくは置換されたベンジルまたは

であり(Wはアルコキシ(例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ)、ヒドロキシ、カルボキシ、アミノ、アミド、シアノであり、pは0または1の整数である);
R95 およびR96は水素、

である(式中、Gはアルコキシ(例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ)、ヒドロキシ、カルボキシ、アミノ、アミド、シアノ、

である]。
【請求項18】
式(XVIII)の化合物:

またはその薬学的に許容される塩[式中、Qは結合、炭素、

である]。
【請求項19】
式(XIX)の化合物:

またはその薬学的に許容される塩[式中、R1, R2 およびR3 は独立して、ハロゲン、ヒドロキシ、アルキル、アルコキシおよびカルボン酸からなる群から選択される]。
【請求項20】
R1がカルボン酸であり、R2 およびR3が独立してヒドロキシである、請求項19記載の化合物。
【請求項21】
タンパク質フォールディング障害を治療するための方法であって、式(I)の化合物:

またはその薬学的に許容される塩を毎日300 mg以下投与することを含む、上記方法。
【請求項22】
式(I)の化合物を毎日0.01〜300 mg/kg投与することを含む、請求項21記載の方法。
【請求項23】
式(I)の化合物を毎日0.01〜250 mg/kg投与することを含む、請求項21記載の方法。
【請求項24】
タンパク質フォールディング障害を治療するための方法であって、式(II)の化合物:

またはその薬学的に許容される塩を、毎日0.01〜300 mg/kg投与することを含む、上記方法。
【請求項25】
式(II)の化合物を毎日0.01〜300 mg/kg投与することを含む、請求項24記載の方法。
【請求項26】
式(II)の化合物を毎日約0.01〜250 mg/kg投与することを含む、請求項24記載の方法。
【請求項27】
請求項1〜4のいずれか1項記載の化合物を対象に投与することを含む、タンパク質フォールディング障害を治療するための方法。
【請求項28】
請求項1〜4のいずれか1項記載の化合物を毎日0.01mg〜300 mg投与することを含む、請求項27記載の方法。
【請求項29】
請求項1〜4のいずれか1項記載の化合物を毎日100〜300mg投与することを含む、請求項28記載の方法。
【請求項30】
請求項1〜4のいずれか1項記載の化合物を毎日150〜250 mg投与することを含む、請求項28記載の方法。
【請求項31】
治療されるべきタンパク質フォールディング障害が神経変性疾患である、請求項21〜30のいずれか1項記載の方法。
【請求項32】
神経変性疾患が、タウオパシー、脳アミロイド血管症、びまん性レビー小体病、アルツハイマー病、パーキンソン病、認知症、ハンチントン病、プリオン性海綿状脳症およびこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項31記載の方法。
【請求項33】
神経変性疾患がアルツハイマー病である、請求項32記載の方法。
【請求項34】
薬学的に許容される賦形剤およびタンパク質フォールディング障害を治療するのに有効量の請求項1〜4のいずれか1項記載の化合物を含む、医薬組成物。
【請求項35】
薬学的に許容される賦形剤およびタンパク質フォールディング障害を治療するのに有効量の請求項1〜4のいずれか1項記載の化合物を含む医薬組成物であって、300 mg以下の該化合物を対象に投与するための、上記医薬組成物。
【請求項36】
100〜300 mgの前記化合物を対象に投与する、請求項35記載の医薬組成物。
【請求項37】
150〜250 mgの前記化合物を対象に投与する、請求項35記載の医薬組成物。
【請求項38】
薬学的に許容される賦形剤および式(XX)の化合物:

またはその薬学的に許容される塩を含む医薬組成物であって、該組成物が100〜300 mgの前記化合物を対象に投与する、上記医薬組成物。
【請求項39】
前記組成物が100〜300 mgの前記化合物を対象に投与する、請求項38記載の医薬組成物。
【請求項40】
前記組成物が150〜250 mgの前記化合物を対象に投与する、請求項38記載の医薬組成物。
【請求項41】
薬学的に許容される賦形剤および式(XXI)の化合物:

またはその薬学的に許容される塩を含む医薬組成物であって、該組成物が100〜300 mgの前記化合物を対象に投与する、上記医薬組成物。
【請求項42】
100〜300 mgの前記化合物を対象に投与する、請求項41記載の医薬組成物。
【請求項43】
150〜250 mgの前記化合物を対象に投与する、請求項41記載の医薬組成物。
【請求項44】
治療されるべきタンパク質フォールディング障害が神経変性疾患である、請求項34〜43のいずれか1項記載の医薬組成物。
【請求項45】
神経変性疾患が、タウオパシー、脳アミロイド血管症、びまん性レビー小体病、アルツハイマー病、パーキンソン病、認知症、ハンチントン病、プリオン性海綿状脳症およびこれらの組み合わせである、請求項44記載の医薬組成物。
【請求項46】
神経変性疾患がアルツハイマー病である、請求項45記載の医薬組成物。
【請求項47】
対象に本明細書中に開示される式(III)もしくは(IV)の化合物またはその薬学的に許容される塩を投与することを含む、タウタンパク質の凝集を阻害するための方法。
【請求項48】
対象に本明細書中に開示される式(III)もしくは(IV)の化合物またはその薬学的に許容される塩を投与することを含む、Aβタンパク質の凝集を阻害するための方法。
【請求項49】
対象に本明細書中に開示される式(III)もしくは(IV)の化合物またはその薬学的に許容される塩を投与することを含む、α‐シヌクレインタンパク質の凝集を阻害するための方法。
【請求項50】
3‐(2‐メトキシ、ナフタレン‐6‐イル)‐1H‐インドール‐5‐カルボン酸(QR-0216)および3‐(2-ヒドロキシ、ナフタレン‐6‐イル)‐1H‐インドール‐5‐カルボン酸(QR‐0217)からなる群から選択される、請求項2記載の化合物。
【請求項51】
前記化合物の構造が、表1に示される、請求項1記載の化合物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11−1】
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【図11−2】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公表番号】特表2010−510177(P2010−510177A)
【公表日】平成22年4月2日(2010.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−536575(P2009−536575)
【出願日】平成19年11月19日(2007.11.19)
【国際出願番号】PCT/CA2007/002096
【国際公開番号】WO2008/058402
【国際公開日】平成20年5月22日(2008.5.22)
【出願人】(391018835)クイーンズ ユニバーシティ アット キングストン (9)
【氏名又は名称原語表記】QUEEN’S UNIVERSITY AT KINGSTON
【Fターム(参考)】