説明

チャージトラップインシュレータメモリ装置

【課題】ナノスケールチャージトラップインシュレータメモリ装置において維持特性を向上させ、多数のセル絶縁層を用いて多数のチャージトラップインシュレータセルアレイが垂直方向に積層してセル集積容量を高める技術を開示する。
【解決手段】
多数の上部ワードライン及び下部ワードラインと、多数のビットライン及びセンシングラインと、上部/下部ワードラインとビットラインの交差領域に配置される多数のメモリセルアレイと、チャージトラップインシュレータからビットラインに格納データが出力される多数のメモリセルと、メモリセルをビットライン及びセンシングラインと各々選択的に連結する第1のスイッチング素子及び第2のスイッチング素子とを含み、チャージトラップインシュレータの極性に従い抵抗変化するP型フロートチャンネルと、その両側に形成されたP型ドレイン領域及びP型ソース領域とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、チャージトラップインシュレータ(Charge trap insulator)メモリ装置に関し、より詳しくはナノスケール(Nano scale)チャージトラップインシュレータメモリ装置で維持(retention)特性を向上させ、多数のセル絶縁層を用いて多数のチャージトラップインシュレータセルアレイが垂直方向に積層してセル集積容量を高める技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
図1は、従来技術に係るチャージトラップインシュレータメモリ装置のメモリセルの断面図である。
【0003】
チャージトラップインシュレータメモリ装置のメモリセルはP型基板2上に形成されたN型ドレイン領域4と、N型ソース領域6を含み、チャンネル領域の上部に順次形成される第1の絶縁層8、チャージトラップインシュレータ10、第2の絶縁層12及びワードライン14を含む。
【0004】
このような構成を有する従来のチャージトラップインシュレータメモリ装置のメモリセルは、チャージトラップインシュレータ10に格納された電荷(Charge)状態によりメモリセルのチャンネル抵抗が変化することになる。
【0005】
即ち、チャージトラップインシュレータ10に電子が格納されていればチャンネルに陽(+)のチャンネル電荷を誘導するので、メモリセルは高抵抗チャンネル状態となりオフ状態となる。
【0006】
一方、チャージトラップインシュレータ10に正孔が格納されていればチャンネルに陰(−)のチャンネル電荷を誘導するので、メモリセルは低抵抗チャンネル状態となりオン状態となる。
【0007】
このように、チャージトラップインシュレータの電荷の種類を選択して書き込むことにより非揮発性メモリセルとして動作することができる。
【0008】
しかし、前記の従来のチャージトラップインシュレータメモリ装置のメモリセルは、セルの大きさが小さくなると(Scale Down)維持(retention)特性などにより正常の動作の具現が難しくなるという問題がある。
【0009】
特に、ナノスケールレベル(Nano Scale Level)のチャージトラップインシュレータ構造のメモリセルは、維持特性が低電圧ストレスでも弱くなり読出し時にワードラインに任意の電圧を印加する方法を適用することができないという問題点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】米国特許第6617629号明細書
【特許文献2】米国特許第6211005号明細書
【特許文献3】米国特許第5955774号明細書
【特許文献4】米国特許第5471417号明細書
【特許文献5】米国特許第6784473号明細書
【特許文献6】米国特許第6614066号明細書
【特許文献7】米国特許第6469334号明細書
【特許文献8】米国特許第5780886号明細書
【特許文献9】特開平3−108192号公報
【特許文献10】特開平2−140973号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
前記のような問題点を解決するための本発明の目的は、ナノスケールレベルのチャージトラップインシュレータ構造のメモリセルが低電圧で動作可能にすることにある。
【0012】
前記のような問題点を解決するための本発明の他の目的は、多数のセル絶縁層を用いて多数のチャージトラップインシュレータセルアレイが垂直方向に積層しセル集積容量を高めることにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明に係るチャージトラップインシュレータメモリ装置はロー方向に配列され、互いに平行の多数の上部ワードライン及び多数の下部ワードラインと、カラム方向に配列された多数のビットラインと、前記多数のビットラインと垂直方向に配列された多数のセンシングラインと、前記多数の上部ワードライン及び前記多数の下部ワードラインと前記多数のビットラインが交差する領域に配置される多数のメモリセルアレイと、前記多数のビットラインと一対一対応し、前記ビットライン上のデータをセンシング及び増幅する多数のセンスアンプとを含むチャージトラップインシュレータメモリ装置において、前記多数のメモリセルアレイのそれぞれは前記ワードライン及び下部ワードラインに印加される電位によりビットラインを介して印加されたデータがチャージトラップインシュレータに格納されるか、前記チャージトラップインシュレータに格納されたデータが前記ビットラインに出力される直列に連結された多数のメモリセルと、第1の選択信号の状態に従いビットラインと前記多数のメモリセルを選択的に連結する第1のスイッチング素子と、第2の選択信号の状態に従いセンシングラインと前記複数個のメモリセルを選択的に連結する第2のスイッチング素子とを含み、前記多数のメモリセルは前記下部ワードラインの上部に形成された第1の絶縁層と、前記第1の絶縁層の上部に形成され前記チャージトラップインシュレータの極性に従い抵抗が変化するP型フロートチャンネルと、前記P型フロートチャンネルの両側に形成されたP型ドレイン領域及びP型ソース領域と、前記P型フロートチャンネルの上部に形成された第2の絶縁層と、前記第2の絶縁層の上部に形成された前記チャージトラップインシュレータと、前記チャージトラップインシュレータの上部及び前記上部ワードラインの下部に形成された第3の絶縁層とを含み、前記チャージトラップインシュレータは、下部全面が前記第2の絶縁層の上部全面に接触し、前記第2の絶縁層及び前記第3の絶縁層と電気的に絶縁された連続的な1つの層で形成されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係るチャージトラップインシュレータメモリ装置はナノスケールレベルのチャージトラップインシュレータを利用したメモリセル構造でスケールダウン現象を克服することができるという効果が得られる。
【0015】
さらに、本発明に係るチャージトラップインシュレータメモリ装置は多数のセル絶縁層を利用して多数のチャージトラップインシュレータセルアレイを断面方向に積層し、セルの集積容量をセルアレイの積層数ほど高めることができるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】従来の技術に係るチャージトラップインシュレータメモリ装置のメモリセルの断面図である。
【図2A】本発明に係るチャージトラップインシュレータメモリ装置の単位メモリセルの断面図である。
【図2B】本発明に係るチャージトラップインシュレータメモリ装置の単位メモリセルの断面図である。
【図2C】本発明の単位メモリセルの模式図である。
【図3A】本発明に係るチャージトラップインシュレータメモリ装置のハイレベルデータ「1」を書き込む動作を説明するための図である。
【図3B】本発明に係るチャージトラップインシュレータメモリ装置のハイレベルデータ「1」を読み出す動作を説明するための図である。
【図4】図3Bに示したデータ「1」の読出し動作を示す詳細概念図である。
【図5A】本発明に係るチャージトラップインシュレータメモリ装置のローレベルデータ「0」を書き込む動作を説明するための図である。
【図5B】本発明に係るチャージトラップインシュレータメモリ装置のローレベルデータ「0」を読み出す動作を説明するための図である。
【図6】図5Bに示したローレベルデータ「0」の読出し動作を示す詳細な概念図である。
【図7】本発明に係るチャージトラップインシュレータメモリ装置のレイアウト平面図である。
【図8A】図5のレイアウト平面図において上部ワードラインWLと平行のA−A’方向の断面図である。
【図8B】図7のレイアウト平面図において上部ワードラインWLと垂直であるB−B’方向の断面図である。
【図9】本発明に係るチャージトラップインシュレータメモリ装置が多層構造を有する場合を示す断面図である。
【図10】本発明に係るチャージトラップインシュレータメモリ装置の単位メモリセルアレイを示す図である。
【図11】図10に示した単位メモリセルアレイにおいてローデータ「0」の読出し動作を説明するための概念図である。
【図12】図10に示した単位メモリセルアレイにおいてローデータ「0」の読出し動作を説明するための概念図である。
【図13A】図10に示したメモリセルQ1,Qmとスイッチング素子N1の連結関係を示す断面図である。
【図13B】図10に示したメモリセルQ1,Qmとスイッチング素子N2の連結関係を示す断面図である。
【図14】本発明に係るチャージトラップインシュレータメモリ装置のメモリセルアレイ構造を示す回路図である。
【図15】本発明に係るチャージトラップインシュレータメモリ装置の書込み動作を説明するための図である。
【図16】本発明に係るチャージトラップインシュレータメモリ装置のデータ「1」の書込み動作を示すタイミング図である。
【図17】本発明に係るチャージトラップインシュレータメモリ装置のデータ「1」の維持又はデータ「0」の書込み動作を示すタイミング図である。
【図18】本発明に係るチャージトラップインシュレータメモリ装置のメモリセルに格納されたデータをセンシングする動作を示すタイミング図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
前述した目的及びその他の目的と本発明の特徴及び長所は、図面と関連した次の詳細な説明を介してより明らかになるはずである。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を詳しく説明する。
【0018】
図2Aは、ワードラインと平行方向に切断した単位メモリセルの断面図である。
先ず、下部(bottom)ワードライン16が最下部層に形成され、上部ワードライン18が最上部層に形成される。下部ワードライン16と上部ワードライン18は互いに平行に配置される。
【0019】
下部ワードライン10の上部には第1の絶縁層20、フロートチャンネル22、第2の絶縁層24、チャージトラップインシュレータ26及び第3の絶縁層28が順次形成される。ここで、フロートチャンネル22はP型半導体を用いて形成する。
【0020】
図2Bは、ワードラインと垂直方向に切断した単位メモリセルの断面図である。
先ず、下部(bottom)ワードライン16が最下部層に形成され、上部ワードライン18が最上部層に形成される。下部ワードライン16と上部ワードライン18は互いに平行に配置される。
【0021】
下部ワードライン10の上部には第1の絶縁層20、フロートチャンネル22、第2の絶縁層24、チャージトラップインシュレータ26及び第3の絶縁層28が順次形成される。ここで、フロートチャンネル22の両側にP型ドレイン30、及びP型ソース32が形成される。
【0022】
さらに、フロートチャンネル22、P型ドレイン30及びP型ソース32は炭素ナノチューブ(Carbon Nano Tube)形態となるか、シリコン(Silicon)、ゲルマニウム(Ge)、有機半導体(Organic Semiconductor)などその他の材料で形成することができる。
【0023】
このように形成された本発明に係るチャージトラップインシュレータメモリ装置の単位メモリセルは、チャージトラップインシュレータ26に格納された電荷状態に従いメモリセルのチャンネル抵抗が変化する。
【0024】
即ち、チャージトラップインシュレータ26に電子が格納されていれば、メモリセルのチャンネルに陽(+)のチャンネル電荷を誘導するので、メモリセルは高抵抗チャンネル状態としてオフ状態となる。
【0025】
一方、チャージトラップインシュレータ26に正孔が格納されていればチャンネルに陰(−)の電荷を誘導するので、メモリセルは低抵抗チャンネル状態としてオン状態となる。
【0026】
このように、チャージトラップインシュレータ26の電荷の種類を選択して書き込むことにより非揮発性メモリセルとして動作することができる。
【0027】
このような構成を有する本発明の単位メモリセルは図2Cに示したシンボルのように表現しようとする。
【0028】
図3A及び図3Bは、本発明に係るチャージトラップインシュレータメモリ装置のハイレベルデータ「1」を書込み及び読出しする動作を説明するための図である。
【0029】
先ず、図3Aはハイレベルデータ「1」の書込み動作を示す概念図である。
下部ワードライン16に接地電圧GNDを印加し、上部ワードライン18に陰の電圧−Vを印加する。このとき、ドレイン領域30とソース領域32は接地電圧GND状態となるようにする。
【0030】
このような場合、第1の絶縁層20、第2の絶縁層24及び第3の絶縁層28の間のキャパシタの電圧分配によりチャージトラップインシュレータ26とチャンネル領域22との間に電圧が加えられると、チャージトラップインシュレータ26に陽の電荷が蓄積されるべく電子がチャンネル22領域に放出される。従って、チャージトラップインシュレータ26は陽の電荷が蓄積された状態となる。
【0031】
一方、図3Bはハイレベルデータ「1」の読出し動作を示す概念図である。
上部ワードライン18に接地電圧GNDを印加し、下部ワードライン16に陽の電圧+Vreadを印加すれば、チャンネル領域22の上部22aと下部22bに陰の電荷が誘導され、空乏(Depletion)層がそれぞれ形成されて電流経路を遮断しチャンネル領域22はオフ状態となる。
【0032】
図4は、図3Bに示したデータ「1」の読出し動作を示す詳細な概念図である。
チャージトラップインシュレータ26に格納された陽の電荷によりチャンネル22の上部22aに空乏層が形成され、下部ワードライン16に陽の電圧+Vreadを印加すれば、チャンネル22の下部22bにも空乏層が形成されて上部と下部の空乏層22a、22bによりチャンネル22の電流経路が遮断されて高抵抗状態となりオフ状態となる。
【0033】
このとき、ドレイン30とソース32との間に僅かな電圧差を与えると、チャンネル22はオフになっているので少量のオフ電流が流れる。
【0034】
図5A及び図5Bは、本発明に係るチャージトラップインシュレータメモリ装置のローレベルデータ「0」を書込み及び読出しする動作を説明するための図である。
【0035】
先ず、図5Aはローレベルデータ「0」の書込み動作を示す概念図である。
ドレイン領域30、ソース領域32及び下部ワードライン18に陰の電圧−Vを印加し、上部ワードライン18に接地電圧GNDを印加すれば、チャンネル領域22の電子がチャージトラップインシュレータ26に移動しチャージトラップインシュレータ26に電子が蓄積される。
【0036】
図5Bは、ローレベルデータ「0」の読出し動作を示す概念図である。
下部ワードライン16及び上部ワードライン18に接地電圧GNDを印加し、ドレイン領域30及びソース領域32の間に僅かな電圧差を与えると、チャンネルがオンになっているので多量のオン電流が流れる。
【0037】
図6は、図5Bに示したローレベルデータ「0」の読出し動作を示す概念図である。
下部ワードライン16に陽の電圧+Vreadが印加されチャンネル22の下部22bに空乏層が形成されるが、チャンネル22の上部には空乏層が形成されないのでこの領域を介して電流が流れる。
【0038】
このとき、ドレイン30とソース32との間に僅かな電圧差を与えると、チャンネル22がオンになっているので多量のオン電流が流れる。
【0039】
このように、読出しモードでは上部ワードライン18及び下部ワードライン16を接地電圧GNDに設け、チャージトラップインシュレータ26に電圧ストレスが加えられないのでメモリセルの維持特性が向上される。
【0040】
従って、本発明のナノスケールレベルのチャージトラップインシュレータ構造の空乏層チャンネルメモリセル(Depletion Channel Memory Cell)は低電圧動作が可能である。
【0041】
図7は、本発明に係るチャージトラップインシュレータメモリ装置のレイアウト平面図である。
【0042】
図7に示されているように、多数の上部ワードラインWLと多数のビットラインBLの交差点に単位メモリセルUCが配置される。
上部ワードラインWLと下部ワードラインBWLが互いに同一の方向に平行に配置され、ビットラインBLは上部ワードラインWLと垂直方向に配置される。
【0043】
図8Aは、図5のレイアウト平面図において上部ワードラインWLと平行のA−A'方向の断面図である。
【0044】
図8Aに示されているように、同一の下部ワードライン16BWL_1及び上部ワードライン18WL_1にカラム方向に多数の単位メモリセルUCが形成される。
【0045】
図8Bは、図7のレイアウト平面図において上部ワードラインWLと垂直のB−B'方向の断面図である。
図8Bに示されているように、同一のビットラインBL_1にロー方向に多数の単位メモリセルUCが形成される。
【0046】
図9は、本発明に係るチャージトラップインシュレータメモリ装置が多層構造を有する場合を示す断面図である。
図9に示されているように、多数のセル絶縁層(Cell Oxide Layer)COL_1〜COL_4を形成し多数のチャージトラップインシュレータセルアレイが断面方向に積層される構造である。従って、同一の面積にセルの集積容量を積層数ほど高めることができる。
【0047】
図10は、本発明に係るチャージトラップインシュレータメモリ装置の単位メモリセルアレイ44を示す断面図である。
【0048】
単位メモリセルアレイ44は、多数のメモリセルQ1〜Qm及びスイッチング素子N1,N2を含む。ここで、多数のメモリセルQ1〜Qmは直列に連結され、第1のスイッチング素子N1はゲート端子に第1の選択信号SEL_1が印加されてビットラインBLとメモリセルQ1を選択的に連結し、第2のスイッチング素子N2はゲート端子に第2の選択信号SEL_2が印加されてセンシングラインS/LとメモリセルQmを選択的に連結する。
【0049】
複数個のメモリセルQ1〜Qmはスイッチング素子N1,N2の間に直列に連結されて同一のローアドレスデコーダにより駆動される上部ワードラインWL_1〜WL_mと、下部ワードラインBWL_1〜BWL_mにより選択的にスイッチング動作する。ここで、メモリセルQ1〜Qmのそれぞれの詳細な構成は図2A及び図2Bに示された通りである。
【0050】
図11は、図10に示した単位メモリセルアレイにおいてローデータ「0」の読出し動作を説明するための概念図である。ここでは、全てのメモリセルQ1〜Q5にハイレベルデータ「1」が格納されている場合を例にあげて説明する。
【0051】
このような場合、全ての上部ワードラインWL_1〜WL_5に接地電圧GNDが印加され、選択されたメモリセルQ1の下部ワードラインBWL_1に陽の値を有する読出し電圧+Vreadが印加される。そして、選択されない残りの下部ワードラインBWL_1に接地電圧GNDが印加される。
【0052】
このとき、選択されない残りのメモリセルQ2〜Q5は、上部ワードラインWL_2〜WL_5と下部ワードラインBWL_2〜BWL_5に接地電圧GNDが印加される。これにより、チャンネル領域22の上部22aにはチャージトラップインシュレータ26に格納された電荷により空乏層が形成されるが、下部22bには空乏層が形成されないようになりチャンネルがオン状態となる。
【0053】
その反面、選択されたメモリセルQ1は下部ワードラインBWL_1に印加される読出し電圧+Vreadによりチャンネル領域22の下部に空乏層22bが形成され、チャージトラップインシュレータ26に格納された電荷の極性に従いチャンネル領域22の上部に空乏層22bが形成される。これにより、チャンネル領域22に形成された空乏層22a,22bによりチャンネル22がオフされソース領域32からドレイン領域30に電流経路が遮断される。従って、読出し動作モード時に選択されたメモリセルQ1に格納されたデータ「1」を読み出すことができるようになる。
【0054】
図12は、図10に示した単位メモリセルアレイにおいてローデータ「0」の読出し動作を説明するための概念図である。ここでは、選択されたメモリセルQ1にローレベルデータ「0」が格納されており、残りの全てのメモリセルQ2〜Q5にハイレベルデータ「1」が格納されている場合を例にあげて説明する。
【0055】
このような場合、全てのワードラインWL_1〜WL_5にグラウンド電圧GNDが印加され、選択されたメモリセルQ1の下部ワードラインBWL_1に陽の値を有する読出し電圧+Vreadが印加される。そして、選択されない残りの全ての下部ワードラインBWL_2〜BWL_5に接地電圧GNDが印加される。
【0056】
これにより、選択されたメモリセルQ1の下部ワードラインBWL_1に陽の値を有する読出し電圧+Vreadが印加されチャンネル領域22の下部22bには空乏層が形成されるが、チャージトラップインシュレータ26に格納された電荷の極性によりチャンネル領域22の上部22aには空乏層が形成されないためオン状態となる。さらに、選択されていないメモリセルQ2〜Q5に格納された電荷の極性によりチャンネル領域22の上部22aには空乏層が形成されるが、下部ワードラインBWL_1に接地電圧GNDが印加されチャンネル領域22の下部22bには空乏層が形成されないためオン状態となる。
【0057】
これにより、全てのメモリセルQ1〜Q5のチャンネル領域22がターンオンとなりソース領域32からドレイン領域30に電流が流れるようになる。従って、読出し動作モード時に選択されたメモリセルQ1に格納されたデータ「0」を読み出すことができるようになる。
【0058】
図13A及び図13Bは、図10に示したメモリセルQ1,Qmとスイッチング素子N1,N2の連結関係を示す断面図である。
【0059】
スイッチング素子N1,N2は、ゲート34の上部に形成された絶縁層36、絶縁層36の上部に形成されたP型チャンネル領域38、及びP型チャンネル領域38の両側に形成されたN型ドレイン領域40とN型ソース領域42を含む。
【0060】
図13Aに示されているように、スイッチング素子N1のN型ソース領域42はビットラインBLとコンタクトプラグを介して連結され、N型ドレイン領域40はメモリセルQmのP型ソース領域32とコンタクトプラグ及びラインCL1を介し連結される。
【0061】
さらに、図13Bに示されているように、スイッチング素子N2のN型ソース領域42はセンシングラインS/Lとコンタクトプラグを介して連結され、N型ドレイン領域40はメモリセルQmのP型ソース領域32とコンタクトプラグ及び連結ラインCL1を介して連結される。
【0062】
ここで、メモリセルQ1,Qmとスイッチング素子N1,N2を連結する連結ラインCL1は金属製導体からなる。
【0063】
図14は、本発明に係るチャージトラップインシュレータメモリ装置のメモリセルアレイ構造を示す回路図である。
【0064】
チャージトラップインシュレータメモリ装置のメモリセルアレイ構造は、図7に示した多数の単位メモリセルアレイ44を含み、カラム方向に多数のビットラインBL_1〜BL_nに共通に連結され、ロー方向に多数の上部ワードラインWL_1〜WL_m、下部ワードラインBWL_1〜BWL_m、第1の選択信号SEL_1、第2の選択信号SEL_2及びセンシングラインS/L_〜S/L_nに共通に連結される。ここで、多数のビットラインBL_1〜BL_nは多数のセンスアンプ46と一対一対応して接続される。
【0065】
図15は、本発明に係るチャージトラップインシュレータメモリ装置の書込み動作を説明するための図である。
【0066】
本発明に係るチャージトラップインシュレータメモリ装置の書込み動作サイクルは、二つのサーブ動作領域に区分することができる。即ち、第1のサーブ動作領域ではデータ「1」を書き込み、第2のサーブ動作領域では第1のサーブ動作領域で書込んだデータ「1」を保存するかデータ「0」を書き込む。
【0067】
もし、データ「1」を保存しようとする場合、一定区間の間ビットラインBLにハイ電圧を印加すれば、第1のサーブ動作領域で書き込まれたデータ「1」の値がメモリセルに保存される。
【0068】
図16は、本発明に係るチャージトラップインシュレータメモリ装置のデータ「1」書込み動作を示すタイミング図である。ここでは、図14に示した第1の単位メモリセルアレイ44の第1のメモリセルQ1が選択される場合の例にあげて説明する。
【0069】
先ず、t0区間はメモリセルのプリチャージ区間で、全ての信号及びラインが設置電圧VSSにプリチャージされる。
【0070】
t1及びt2区間で第1の選択信号SEL_1及び第2の選択信号SEL_2がハイレベルに遷移し、スイッチング素子N1,N2がターンオンされると、ビットラインBL_1とメモリセルQ1のソース端子が連結され、センシングラインS/LとメモリセルQmのドレイン端子が連結される。このとき、多数の上部ワードラインWL_1〜WL_m、多数の下部ワードラインBWL_1〜BWL_m、ビットラインBWL_1及びセンシングラインS/L_1はローレベル状態を維持する。
【0071】
t3及びt4区間で選択されたメモリセルQ1と連結されたワードラインWL_1に陰の電圧VNEGを印加すれば、図3Aに示されているように上部ワードラインWL_1とチャンネル領域22との間の空乏チャンネル層に高い電圧がかかりチャンネル領域22に電子が放出されてデータ「1」を書き込むことができる。
【0072】
t5及びt6区間で上部ワードラインWL_1が接地電圧VSSに遷移され書込み動作を完了する。
t7区間で第1の選択信号SEL_1及び第2の選択信号SEL_2がローレベルに遷移され、スイッチング素子N1,N2がターンオフされてプリチャージ区間となる。
【0073】
図17は、本発明に係るチャージトラップインシュレータメモリ装置のデータ「1」の維持又はデータ「0」の書込み動作を示すタイミング図である。ここでは、図14に示した第1の単位メモリセルアレイ44の第1のメモリセルQ1が選択される場合を例にあげて説明する。
【0074】
先ず、t0区間はメモリセルのプリチャージ区間で全ての信号及びラインが接地電圧VSSにプリチャージされる。
【0075】
t1及びt2区間で第1の選択信号SEL_1がハイレベルに遷移すれば、第1のスイッチング素子N1がターンオンされてビットラインBL_1と選択されたメモリセルQ1のソース端子が連結される。
【0076】
このとき、第2の選択信号SEL_2が陰の電圧VNEGとなり第2のスイッチング素子N2がターンオフされ、選択されたメモリセルQ1が連結されない残りの下部ワードラインBWL_2〜BWL_mが陰の電圧VNEGとなり電流経路を形成する。
【0077】
これにより、ビットラインBLに印加されたデータが全てのセルQ1〜Qmに伝達できるようになる。
このとき、多数の上部ワードラインWL_1〜WL_m、ビットラインBL_1及びセンシングラインS/L_1はローレベル状態を維持する。
【0078】
t3区間で選択されたメモリセルQ1に書き込むデータが「0」である場合ビットラインBL_1は陰の電圧VNEGに遷移し、選択されたメモリセルQ1に格納されたデータ「1」を維持しようとする場合、ビットラインBL_1はローレベルを維持する。
【0079】
次に、t4区間で選択されたメモリセルQ1が連結された下部ワードラインBWL_1が陰の電圧VNEGに遷移すれば、図5Aに示されているように、上部ワードラインWL_1により選択されたメモリセルQ1のP型チャンネル領域22に電子が積み重なることになる。従って、下部ワードラインBWL_1に陰の電圧VNEGが印加され臨界電圧差が発生するとチャージトラップインシュレータ26にチャンネル電子が流入される。これにより、選択されたメモリセルQ1にデータ「0」を書き込むことができる。
【0080】
一方、選択されたメモリセルQ1に格納されたデータ「1」をそのまま維持しようとする場合ビットラインBL_1を接地電圧VSSに維持し、選択されたメモリセルQ1の上部ワードラインWL_1とP型チャンネル領域22の電圧差が発生しないためデータ「1」を保存することができる。
【0081】
t5区間で下部ワードラインBWL_1が再び接地電圧VSS状態に遷移され、t6区間でビットラインBL_1が接地電圧VSS状態に遷移されてハイデータ「1」の維持動作又はローデータ「0」の書込み動作が完了する。
【0082】
t7区間で第1の選択信号SEL_1、第2の選択信号SEL_2、及び選択されない残りの下部ワードラインBWL_2〜BWL_mがローレベルに遷移されプリチャージ区間となる。
【0083】
図18は、本発明に係るチャージトラップインシュレータメモリ装置のメモリ装置に格納されたデータをセンシングする動作を示すタイミング図である。ここでは、図14に示した第1の単位メモリセルアレイ44の第1のメモリセルQ1が選択される場合を例にあげて説明する。
【0084】
先ず、t0区間はメモリセルのプリチャージ区間で全ての信号及びラインが接地電圧VSSにプリチャージされる。
【0085】
t1区間で第1の選択信号SEL_1及び第2の選択信号SEL_2がハイレベルに遷移してスイッチング素子N1,N2がターンオンされ、ビットラインBL_1と選択されたメモリセルQ1のソース端子が連結され、センシングラインS/LとメモリセルQmのドレイン端子が連結される。このとき、多数の上部ワードラインWL_1〜WL_m、多数の下部ワードラインBWL_1〜BWL_m、ビットラインBL_1及びセンシングラインS/L_1はローレベル状態を維持する。
【0086】
t2区間で選択されたメモリセルQ1と連結された下部ワードラインBWL_1がハイレベルに遷移し、残りの多数の下部ワードラインBWL_2〜BWL_mはローレベルを維持する。これにより、選択されたメモリセルQ1を除いた多数のメモリセルQ2〜Qmが全てターンオンされメモリセルQ1のソース端子が接地電圧VSSに接続される。
【0087】
このとき、全てのワードラインWL_1〜WL_mが接地電圧VSS状態を維持し、選択されたメモリセルQ1に形成された極性に従いビットラインBL_1とセンシングラインS/Lとの間の電流の流れが決定される。
【0088】
t3区間でセンスアンプイネーブル信号S/Aがハイレベルとなり、センスアンプ46が動作してセンシング電圧VSがビットラインBL_1に印加される場合、選択されたメモリセルQ1に格納された極性状態に従ってビットラインBL_1の電流の流れが決定される。
【0089】
即ち、図3Bに示されているようにビットラインBL_1に電流が印加されない場合、選択されたメモリセルQ1にデータ「1」が格納されていることが分かる。
【0090】
その反面、図5Bに示されているようにビットラインBL_1に一定値以上の電流が流れると選択されたメモリセルQ1にデータ「0」が格納されていることが分かる。
【0091】
t4区間でセンスアンプイネーブル信号S/Aが接地電圧VSSとなり、センスアンプ46の動作が中止されるとビットラインBL_1がローレベルに遷移してセンシング動作を完了する。
【0092】
t5区間で選択されたメモリセルQ1が連結された下部ワードラインBWL_1が接地電圧に遷移する。
t6区間で第1の選択信号SEL_1及び第2のSEL_2がローレベルに遷移され、スイッチング素子N1,N2がターンオフされる。
【0093】
以上で説明したように、本発明はNDRO(Non Destructive Read Out)方式を用いて読出し動作時にセルのデータが破壊されない。
【0094】
なお、本発明について、好ましい実施の形態を基に説明したが、これらの実施の形態は、例を示すことを目的として開示したものであり、当業者であれば、本発明に係る技術思想の範囲内で、多様な改良、変更、付加等が可能である。このような改良、変更等も、特許請求の範囲に記載した本発明の技術的範囲に属することは言うまでもない。
【符号の説明】
【0095】
2 P型基板
4,40 N型ドレイン領域
6,42 N型ソース領域
8、20 第1の絶縁層
10,26 チャージトラップインシュレータ
12,24 第2の絶縁層
14 ワードライン
16 下部ワードライン
18 上部ワードライン
22 フロートチャンネル
28 第3の絶縁層
30 P型ドレイン
32 P型ソース
34 ゲート
36 絶縁層
38 P型チャンネル領域
44 単位メモリセルアレイ
46 センスアンプ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロー方向に配列され、互いに平行の多数の上部ワードライン及び多数の下部ワードラインと、カラム方向に配列された多数のビットラインと、前記多数のビットラインと垂直方向に配列された多数のセンシングラインと、前記多数の上部ワードライン及び前記多数の下部ワードラインと前記多数のビットラインが交差する領域に配置される多数のメモリセルアレイと、前記多数のビットラインと一対一対応して前記ビットライン上のデータをセンシング及び増幅する多数のセンスアンプとを含むチャージトラップインシュレータメモリ装置において、
前記多数のメモリセルアレイのそれぞれは
上部ワードライン及び下部ワードラインに印加される電位に従いビットラインを介して印加されたデータがチャージトラップインシュレータに格納されるか、前記チャージトラップインシュレータに格納されたデータが前記ビットラインに出力される直列に連結された多数のメモリセルと、
第1の選択信号の状態に従いビットラインと前記多数のメモリセルを選択的に連結する第1のスイッチング素子と、
第2の選択信号の状態に従いセンシング素子と前記複数個のメモリセルを選択的に連結する第2のスイッチング素子とを含み、
前記多数のメモリセルは
前記下部ワードラインの上部に形成された第1の絶縁層と、
前記第1の絶縁層の上部に形成され前記チャージトラップインシュレータの極性に従い抵抗が変化するP型フロートチャンネルと、
前記P型フロートチャンネルの両側に形成されたP型ドレイン領域及びP型ソース領域と、
前記P型フロートチャンネルの上部に形成された第2の絶縁層と、
前記第2の絶縁層の上部に形成された前記チャージトラップインシュレータと、
前記チャージトラップインシュレータの上部及び前記上部ワードラインの下部に形成された第3の絶縁層とを含むことを特徴とするチャージトラップインシュレータメモリ装置。
【請求項2】
前記選択されたメモリセルにハイレベルデータを書き込む場合、前記第1のスイッチング素子と前記第2のスイッチング素子がターンオン状態を維持し、前記上部ワードラインに陰の電圧を印加し、前記下部ワードライン、前記ビットライン及び前記センシングラインを接地電圧に連結することを特徴とする請求項1に記載のチャージトラップインシュレータメモリ装置。
【請求項3】
前記選択されたメモリセルを除いた他の全てのメモリセルの前記上部ワードラインは、接地電圧に連結されることを特徴とする請求項2に記載のチャージトラップインシュレータメモリ装置。
【請求項4】
前記選択されたメモリセルに格納されたハイレベルデータを維持する場合、前記第1のスイッチング素子はターンオン状態を維持し、前記第2の選択信号が陰の電圧となって前記第2のスイッチング素子がターンオフ状態を維持し、前記選択された下部ワードラインに陰の電圧を印加し、前記上部ワードライン及び前記ビットラインは接地電圧を維持することを特徴とする請求項2に記載のチャージトラップインシュレータメモリ装置。
【請求項5】
前記選択されたメモリセルを除いた他の全てのメモリセルの前記下部ワードラインは、陰の電圧に連結されることを特徴とする請求項4に記載のチャージトラップインシュレータメモリ装置。
【請求項6】
前記選択されたメモリセルにローレベルデータを書き込む場合、前記第1のスイッチング素子はターンオン状態を維持し、前記第2の選択信号が陰の電圧となって第2のスイッチング素子がターンオフ状態を維持し、前記選択された下部ワードラインに陰の電圧を印加し、前記上部ワードラインは接地電圧を維持し、前記ビットラインに陰の電圧に印加されることを特徴とする請求項2に記載のチャージトラップインシュレータメモリ装置。
【請求項7】
前記選択されたメモリセルを除いた他の全てのメモリセルの前記下部ワードラインは陰の電圧に連結されることを特徴とする請求項6に記載のチャージトラップインシュレータメモリ装置。
【請求項8】
前記選択されたメモリセルに格納されたデータをセンシングする場合、前記第1のスイッチング素子及び第2のスイッチング素子はターンオン状態を維持し、上部ワードライン及び前記センシングラインは接地電圧に連結され、前記選択されたメモリセルが連結された前記下部ワードラインにハイレベルの読出し電圧を印加し、前記ビットラインにセンシング電圧が印加されることを特徴とする請求項1に記載のチャージトラップインシュレータメモリ装置。
【請求項9】
前記選択されたメモリセルを除いた他の全てのメモリセルの前記下部ワードラインは、接地電圧に連結されることを特徴とする請求項8に記載のチャージトラップインシュレータメモリ装置。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6】
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【図7】
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【図8A】
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【図8B】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13A】
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【図13B】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2012−191227(P2012−191227A)
【公開日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−119068(P2012−119068)
【出願日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【分割の表示】特願2005−161116(P2005−161116)の分割
【原出願日】平成17年6月1日(2005.6.1)
【出願人】(310024033)エスケーハイニックス株式会社 (122)
【氏名又は名称原語表記】SK hynix Inc.
【住所又は居所原語表記】2091, Gyeongchung−daero,Bubal−eub,Icheon−si,Gyeonggi−do,Korea
【Fターム(参考)】