ハイブリッド乗り物用の複数の伝達経路を有している走行駆動装置とこれを用いる方法
本発明は、ハイブリッド乗り物用の走行駆動装置であって、軸(12)を備えている熱機関(10)、特に内燃エンジンと、電池(18)によって給電されているロータ(16)を備えている少なくとも1つの電気機械(14)と、軸とロータとの間の係合解除可能な連結部分(22)と、乗り物の車輪を駆動する被駆動軸(42)とを有する装置に関する。本発明によれば、装置は、熱機関(10)の軸(12)と被駆動軸(42)との間で運動を伝達する第1の経路(36)と、電気機械(14)のロータ(16)と被駆動軸との間で運動を伝達する第2の経路(40)とを有している。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハイブリッド型乗り物用の牽引駆動や推進駆動の駆動装置に関する。
【0002】
この種類の乗り物は、主に内燃エンジンである熱機関と、乗り物を推進するための1つまたは2つ以上の蓄電池といった電源に接続されている電気機械とを一般に組み合わせている。この組み合わせによって、総燃料消費を減少させ、排気ガスを制限しながら、駆動装置のエネルギー効率を最適化することができる。
【背景技術】
【0003】
特許文献1に記載の例においては、熱機関は可変速度駆動部などの可変変速装置の運動する部分を駆動する出力軸を有しており、その伝達受け取り部分は乗り物の運動する軸に接続されている。出力軸は、熱機関と可変速駆動部との間に、電池に接続されている電気機械と、熱機関と電気機械との間の第1のクラッチと電気機械と可変駆動部との間の第2のクラッチとの2つのクラッチと、を備えている。
【0004】
乗り物が、都市部でのように、排気ガスの排出と騒音の発生とを制限しながら、広い速度範囲にわたって得られる高トルクで駆動される場合、電気機械は乗り物の運動する軸と、その結果この乗り物の駆動輪の駆動に使用されることが好ましい。
【0005】
他方、高エンジン駆動動力と広い動作範囲が必要な場合、動く軸の駆動と、したがって乗り物の移動の供給と、のために熱機関が使用される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】フランス特許出願公開明細書第2,670,440号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
この駆動装置は十分であるもののいくつかの顕著な欠点がある。
【0008】
実際に、乗り物の駆動に電気機械だけが使用される場合、乗り物を駆動するためだけでなく可変変速装置のすべての抵抗(慣性、摩擦、...)に打ち勝つのに十分なトルクおよび/または動力が必要である。さらに、乗り物の制動動作中には、それによって放出されるエネルギーの一部が可変変速駆動部によって吸収され、このエネルギーの他の部分だけが回収され、それから電気機械によって変換される。
【0009】
機械的なギヤボックスが可変速駆動部の代わりに使用された場合、制動エネルギーを回収するためにはギヤ比の変更が必須である。そのため、運動する軸を係合解除することが必要であって、それによって、運動の伝達が遮断され、制動エネルギーの回収が中断されることになる。
【0010】
本発明は、さまざまな使用のために複雑な制御装置を必要としない簡単な駆動装置によって前述の欠点を克服することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
そのため本発明は、ハイブリッド乗り物用の走行駆動装置であって、軸を備えている熱機関、特に内燃エンジンと、電池によって給電されているロータを備えている少なくとも1つの電気機械と、軸とロータとの間の係合解除可能な連結部分と、乗り物の車輪を駆動する被駆動軸とを有する駆動装置において、熱機関の軸と被駆動軸との間の運動伝達のための第1の伝達経路と、電気機械のロータと被駆動軸との間の第2の伝達経路とを有することを特徴とする走行駆動装置に関する。
【0012】
両経路の少なくとも一方は可変ギヤ変速装置を有していてもよい。
【0013】
変速装置は連続可変ギヤ変速装置であってもよい。
【0014】
連続可変ギヤ変速装置はベルトによって接続されている2対の可変間隔プーリを有していてもよい。
【0015】
その代わりに、可変ギヤ変速装置はギヤボックスであってもよい。
【0016】
両経路の少なくとも一方は固定ギヤ変速装置を有していてもよい。
【0017】
固定ギヤ変速装置はベルトで接続されている2つのプーリを有していてもよい。
【0018】
装置は、電気機械のロータと第2の伝達経路との間の係合解除可能な連結部分を有していてもよい。
【0019】
装置は、第1の伝達経路とエンジンの軸との間の連結部分を有していてもよい。
【0020】
装置は、被駆動軸と第1の伝達経路との間に少なくとも1つの連結部分を有していてもよい。
【0021】
連結部分は遠心連結部分を有していてもよい。
【0022】
連結部分は一方向連結部分を有していてもよい。
【0023】
連結部分は係合解除可能な連結部分を有していてもよい。
【0024】
装置は、熱機関によって駆動される追加の電気機械を有していてもよい。
【0025】
本発明は、軸を備えている熱機関、特に内燃エンジンと、電池によって給電されているロータを備えている少なくとも1つの電気機械と、軸とロータとの間の係合解除可能な連結部分と、乗り物の車輪を駆動する被駆動軸とを有するハイブリッド乗り物用の走行駆動の方法であって、被駆動軸を第1の運動伝達経路によって熱機関の軸に接続することおよび/または第2の経路によって電気機械のロータに接続することに存することを特徴とするハイブリッド乗り物用の走行駆動の方法にも関する。
【0026】
本方法は、熱機関を始動するために、電気機械を電気スタータのように動作させるように電気機械に電池によって給電し、電気機械のロータを熱機関の軸に連結部分を介して接続してもよい。
【0027】
本方法は、熱機関の動作と第1の伝達経路による被駆動軸の駆動とに連携して、熱機関の軸と電気機械のロータとの間の連結部分を通して電気機械を作動させることによって、電池を充電してもよい。
【0028】
本方法は、熱機関の動作と第1の伝達経路による被駆動軸の駆動とに連携して、電気機械のロータを熱機関の軸に接続することによって、被駆動軸を電気機械を通して駆動してもよい。
【0029】
本方法は、熱機関の動作と第1の伝達経路による被駆動軸の駆動とに連携して、第2の伝達経路によって、被駆動軸を電気機械を通して駆動してもよい。
【0030】
本方法は、熱機関の動作と第2の伝達経路による被駆動軸の駆動とに連携して、熱機関の軸をロータに連結部分を介して接続することによって、被駆動軸を熱機関を駆動してもよい。
【0031】
本方法は、乗り物の減速期間中に、被駆動軸の機械的エネルギーを電気機械のロータに伝達するために、ロータを第2の伝達経路に連結部分を通して接続することによって、機械的エネルギーを回収してもよい。
【0032】
本方法は、乗り物の減速期間中に、被駆動軸の機械的エネルギーを電気機械のロータに伝達するために、ロータを第2の伝達経路に連結部分を通して接続することによって、機械的エネルギーを回収し、機械的エネルギーを機関の軸にロータと軸との間の連結部分を動作させることによって伝達してもよい。
【0033】
本発明のその他の特徴と利点は、添付の図面を参照して、非限定的な例により説明する以降の説明を読むことで明らかになろう。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明のハイブリッド乗り物用の駆動装置を示している図である。
【図2】図1の装置の第1の動作構成の図である。
【図3】図1の装置の第2の動作構成の図である。
【図4】図1の装置の第3の動作構成の図である。
【図5】図1の装置の第4の動作構成の図である。
【図6】図1の装置の第5の動作構成の図である。
【図7】図1の装置の第6の動作構成の図である。
【図8】図1の装置の第7の動作構成の図である。
【図9】図1の装置の第8の動作構成の図である。
【図10】図1の装置の第9の動作構成の図である。
【図11】図1の装置の第10の動作構成の図である。
【図12】図1の装置の第11の動作構成の図である。
【図13】図1の装置の第12の動作構成の図である。
【図14】図1の装置の第13の動作構成の図である。
【図15】本発明の装置の変形例の図である。
【図16】本発明の装置の変形例の図である。
【図17】本発明の装置の変形例の図である。
【図18】本発明の装置の変形例の図である。
【図19】本発明の装置の変形例の図である。
【図20】本発明の装置の変形例の図である。
【図21】本発明の装置の変形例の図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
図1に示しているように、ハイブリッド乗り物を駆動する装置は、軸12を備えている熱機関10、特に内燃エンジンと、電気モータモードまたは電気エネルギー発生器モードで動作可能なロータ16を備えている電気機械14とを有している。この電気機械は、制御装置20によって制御されながら、蓄電池18(つまり電池)によって給電される。
【0036】
熱機関10の軸12と電気機械14のロータ16とは、係合解除可能な連結部分22によって、互いに接続されている。この連結部分は、ロータ16に対してこのロータ16の端部によって回転運動と並進運動について固定保持されているハウジング24を有している。この連結部分は、軸12の端部によって回転運動については固定保持されており、この軸上を軸線方向に自由に並進運動をするように筐体内に配置されている連結円盤26も有している。連結部分は、筐体24内に配置されており、円盤と筐体との間の連結を実現し、ロータと軸とが同時に回転できるようにすることができる圧力手段28も有している。例として、これらの圧力手段は一般的に皿ばねやコイルばねの構成の弾性手段の作動を受けるプレッシャープレート30を有している。
【0037】
軸12は、連結部分22と熱機関10との間で、可変ギヤであることが好ましい第1の運動伝達経路36の要素34も保持しているのに対して、ロータ16は、連結部分22と電気機械14との間で、固定ギヤであることが有利な第2の運動伝達経路40の要素38を保持している。
【0038】
互いに平行に配置されていることが好ましいこれら2つの伝達経路は、軸とロータとに平行に配置されていることが有利な被駆動軸42を、独立してまたは同時に制御するように設けられている。この被駆動軸は、熱機関の駆動輪(不図示)が駆動できるように、動く軸に直接または差動ブリッジなどの変速装置によって接続されている。
【0039】
これらの運動伝達経路によって、ロータおよび/または軸のあらゆる回転運動ばかりでなく、この軸および/またはこのロータによって発生したトルクおよび/または動力を被駆動軸に伝達することができる。
【0040】
本明細書では連続可変ギヤを備えている第1の可変ギヤ伝達経路は、可変プーリを備えている速度可変器の構成である。この可変器は、台形ベルトによって駆動される2つの対の対向している円錐状の円盤から概ねなる。対向している円錐状の円盤の第1の対は、軸12上に回転運動と並進運動とについて固定して保持されている円錐状の円盤44と、回転運動について固定され、しかし並進運動については自由にこの軸上に取り付けられている移動可能な他の円盤46と、を有している。円錐状円盤46の並進運動による変位の制御のための手段48は、これら2つの円錐状円盤の間の間隔を制御できるように設けられている。公知のように、これらの手段は、一方では、並進運動と回転運動について固定されており、軸12に実質的に垂直に軸12によって保持されているフランジ52上に配置されており、他方では移動円錐状の円盤46の外側面上に配置されている重り50を備えている遠心手段であることが有利である。
【0041】
被駆動軸42は、円盤44、46の第1の対に対向して配置されている、対向している円錐状円盤54、56の第2の対を保持している。円錐状円盤46に対向している円錐状円盤54は被駆動軸42に対して同心のスリーブ58に固定されており、このスリーブはこの軸に対して回転運動については自由であるが、並進運動については固定されている。円錐状円盤44に対向している他方の円錐状円盤56は、円盤54に対して回転運動について固定されているが、弾性手段60が作動している状態でスリーブ58上を並進運動によって移動可能である。これらの弾性手段は、本明細書では円錐状円盤56の外側面上とスリーブ58に対して垂直なプレート64上とに配置されているばね62の態様である。
【0042】
2対の円錐状円盤は台形ベルト66または他の任意の同等の手段によって動力学的に互いに接続されている。
【0043】
したがって、制御手段48の影響の下にある円錐状円盤44、46の第1の対の段階における両円盤の間隔の任意の変動は、弾性手段と、軸12、42に対する垂直方向のベルト66の変位と、の組み合わされた影響の下にある両円錐状円盤54、56の間隔の変動に変換される。そのため、被駆動軸42は円錐状円盤の間隔に依存して速度が変化する。
【0044】
固定ギヤであることが好ましい他方の伝達経路は、ノッチが形成されており、ロータ16上に固定されずに取り付けられているが、係合解除可能な連結部分70の影響の下で回転運動についてこのロータに接続可能なプーリ68を有している。そのため、プーリは、連結部分22の筐体24と、軸16に固定接続されているフランジ74によって保持されている複数圧力手段72と、の間に配置されている。
【0045】
圧力手段72は、前述のものと同様に、プレッシャープレート76と弾性手段78とを備えていることが有利である。この第2の伝達経路は、ノッチが形成されていることが好ましく、被駆動軸42上に固定されている他のプーリ80も有している。ノッチが形成されているベルトなどであることが好ましい運動伝達手段82は、両プーリの一方の回転運動を他方に伝達することを可能にしている。
【0046】
フリーホイールなどの一方向連結部分86によって制御されている遠心性であることが好ましい連結部分84は、被駆動軸42上に配置されている固定プーリ80と1対の円錐状円盤54、56との間に収容されている。
【0047】
それ自体は知られているように、フリーホイール86はスリーブ58に接続されている内側の輪88と、内側の輪および、軸線方向のカラー94に接続されている外側の輪92の上とに載せられているローラ90(または玉)と、を有している。
【0048】
遠心連結部分84は、カラー94と固定プーリ80に保持されている固定軸線方向ドラム96との間に配置されている。例として、この連結部分は、関節のある半径方向アーム98をカラー上にピン100の位置で保持している。これらのアームはリターンスプリング104の作動を受ける摩擦パッド102を保持しており、それらは、カラーおよび/またはドラムの回転によってもたらされる遠心力の影響の下で、このドラムとこのカラーとの間のクラッチ連結を実現することができる。
【0049】
前述の連結部分22、70の圧力手段28、72は、ジャッキ(不図示)の作動を受ける旋回レバーなどの制御手段106、108の作動の下でそれぞれ制御される。
【0050】
計算機110は、駆動装置の動作モードを起動するように、制御手段106、108が2つの制御線112によって制御できるようにしている。この計算機は、熱機関10および/または電気機械14を線114を通して制御できるようにもしており、主にドライバの要求に応じて電気機械14、熱機関10、またはその両方を起動できるようにするマッピングやデータチャートを有している。
【0051】
駆動装置の動作を図2から14に示しているさまざまな構成に関連して、また以下の表を参照して説明する。
【0052】
【表1】
【0053】
【表2】
【0054】
この表において、参照番号22、70、84および86は前述のさまざまな連結部分に関連し、参照番号36と40とは伝達経路に関連し、参照番号10と14とは熱機関と電気機械にそれぞれ関連し、参照番号42は被駆動軸に関連している。値0または1は、連結部分22、70、および84の連結状態または連結解除状態、一方向連結部分86のフリーホイールまたは駆動ホイール状態、両伝達経路の非運動伝達状態または運動伝達状態(追加の値2はエンジンブレーキの場合の伝達受け入れ状態、値3は動力伝達なしの運動伝達状態)、および熱機関10、電気機械14、および被駆動軸42の非作動状態または作動状態を表している。
【0055】
一方向連結部分86はスリーブ58の回転速度(Nf)が固定プーリ80の回転速度(Np)よりも高いときに駆動ホイール状態(値1)にある。同様に、遠心連結部分84は一方向連結部分86が駆動輪状態にあって、スリーブの回転速度(Nf)がしきい値(Ne)よりも高いときに動作位置にある。
【0056】
図2は乗り物が静止しており、計算機110が電池18の充電をさせないように、制御手段20を管理しているときの、熱機関の始動を示している。この構成では、計算機110が線112を通して、連結部分22の圧力手段28だけが作動するように連結部分22、70を制御する制御手段106、108を制御している。したがって、円盤26は回転動作についてハウジング24に接続され(図2の2つの交差している傾斜している線によって表す)、連結部分70の圧力手段72は非作動状態のままで、したがってプーリ68を自由な状態のままにしている。そのためエンジン10の軸12は、電気機械14のロータ16に直接接続されている。それから計算機はこの電気機械の給電を回転制御のために制御手段20と電池18とによって制御する。これによって、この電気機械はロータ16によって回転軸12を駆動して、熱機関を始動することによって、電気スタータとして動作することができる。
【0057】
この始動段階の間に、軸12の回転運動は円錐状円盤54、56の第2の対に円盤44、46の第1の対とベルト66とを通して伝達される。それから、この回転運動はスリーブ58と、このスリーブとカラー94との間のリンクを実現して駆動輪構成となるフリーホイール86と、に伝達される。このカラーの段階での回転速度は、しきい値Ne未満であるため、ドラム96との遠心連結は達成されず、このドラムに接続されている固定プーリ80は回転駆動されない。そのため被駆動軸42もベルト82も回転駆動されない。
【0058】
エンジン始動後、電気機械14の制御手段20は、電気機械の給電が停止して圧力手段28が作動状態のままである場合には、ロータ16が軸12によって駆動されるように計算機によって制御される。この回転の影響の下で、電気機械14は電気エネルギー発生器として動作することが可能で、それによって供給される電力は電池18への給電に使用される。
【0059】
図3は、乗り物が、電気モータとして動作している電気機械14の作動の下で、好ましくは前進ギヤで回っている時に、熱機関が始動される構成を示している。
【0060】
そのため計算機110は、連結部分70、22が動作可能で、制御手段20が電気機械に電池18によって給電して電気機械を回転駆動するように、制御手段106、108を制御する。したがって、連結部分22は電気機械14のロータ16を熱機関の軸12に接続できるようにする。ロータ16が回転している時に、軸12は熱機関10が始動するまで回転する。熱機関が始動するとすぐに、連結部分22、70は動作状態を維持して、電気機械14への給電は停止する。
【0061】
始動期間中とその後に、乗り物の運動は、第2の伝達経路40が常に作動状態にあることによって実現される。実際に、エンジンの始動のために駆動しているか、この始動期間後に駆動されているか、のいずれかの固定されていないプーリ68を連結部分70によってロータ16に接続することができる。このプーリの回転運動は、ベルト82によって、被駆動軸42を回転するように駆動することによって、被駆動軸42に固定接続されている固定プーリ80に伝達される。
【0062】
図2に関連して前述したように、この始動段階の間に、軸12の回転運動は、円盤44、46の第1の対とベルト66とを通して、円錐状円盤54、56の第2の対に伝達される。それから、この回転運動はスリーブ58と、このスリーブとカラー94との間のリンクを実現して駆動輪構成となるフリーホイール86とに伝達される。ドラム96を備えている遠心連結部分は作動せず、これは、プーリ80の回転速度(Np)に相当するカラーの回転速度がしきい値Ne未満のためであるが、プーリ80を通して被駆動軸の回転を妨げることはない。
【0063】
熱機関の始動後の他の状況は、乗り物の駆動を電気モータで維持しながら、連結部分22を開放している。それから、熱機関は遠心連結部分84が動作するまで回転を上げることができる。それから、運動は第1の伝達経路36によって乗り物に伝達される。
【0064】
同様に、エンジン10の始動後に、計算機は、電気機械14が電池18や必要に応じて乗り物のアクセサリに給電するために軸12によって駆動される電気エネルギー発生器として動作するように、電気機械14の制御手段20を制御する。
【0065】
したがって、図2の構成だけではなく、図3の構成でも、電気機械14は熱機関の始動を実現するように使用され、それから、乗り物の様々な装置とアクセサリに給電するおよび/または乗り物の電池を充電する電気エネルギー発生器としての役割を果たすことができる。
【0066】
図4に示しているように、電気駆動(前進ギヤまたは後退ギヤ)での乗り物の動作のために、電気機械14は、制御手段20の制御の下で、電池18から給電されながら、電気モータのように動作する。この動作モードでは、計算機110の制御の下で、プーリ68をロータ16に接続できるようにすることによって、連結部分70だけが動作する。プーリ68の回転運動は、ベルト82によって、被駆動軸42を回転状態に駆動する固定プーリ80に伝達され、被駆動軸42はそれを受けて、直接的または間接的に乗り物の車輪を駆動する。
【0067】
連結部分22は動作していないため、乗り物の駆動を妨げることなく、またフリーホイール86を動かさずに、熱機関10は動作していたりしていなかったりする。
【0068】
図5は、乗り物が熱機関10によって駆動されている状態での、駆動装置の動作モードを示している。
【0069】
この場合、2つの連結部分22と70のいずれもが動作状態ではなく熱機関10の動作によって軸12が回転する。
【0070】
この回転の影響の下で、円錐状円盤44、46の第1の対は回転するように駆動され、ベルト66によって回転が円盤54、56の第2の対とスリーブ58とに伝達される。スリーブの速度は固定プーリ80の速度よりも高いため(プーリはオフの位置)、フリーホイール86は運動し、カラー94を回転させる。回転速度と遠心力との影響の下で、遠心連結部分84のパッド102がドラム96の内側に接触し、その間はドラム96を駆動し、その結果被駆動軸42を回転させる。
【0071】
固定プーリ80の回転はロータ16には影響しないが、これは連結部分70が作動しておらず、プーリ68は、ベルト82が作動しているときに、このロータ上を自由に回転できるからである。
【0072】
図6から8は、熱機関がこの電気機械を低伝達率(図6)または高伝達率(図7)の同じ速度で、またはさまざまな速度(図8)で駆動しているときに、乗り物が電気エネルギー発生器として動作している電気機械14によって電池18を充電しながら熱機関10によって駆動されている構成の装置を示している。
【0073】
図6の場合、連結部分70が非動作位置にあるのに対して、内燃エンジンが動作し、連結部分22が作動するように、計算機110は線114を通して熱機関10を制御し、2つの線112を通して2つの制御手段106と108を制御する。この構成において、エンジンが軸12を回転するように駆動し、それを受けて軸12が連結部分22を介してロータ16を同じ回転速度で駆動する。したがって、ロータの回転は、制御手段20の制御の下で電気エネルギー発生器として動作する電気機械14によって、電池18を充電することを可能にする。
【0074】
同時に、軸12の回転は、第1の伝達経路36(円盤44、46の第1の対、ベルト66、円盤54、56の第2の対)によってスリーブ58に伝達される。スリーブ58の速度(Nf)はフリーホイール86を動かすのに十分であるため、フリーホイール86はカラー94を回転するように駆動する。この回転の影響の下で、連結部分84は動作可能で、ドラム96と固定プーリ80をスリーブ58に回転に関して固定する。この位置で、ドラムは被駆動軸42に固定接続されているため、被駆動軸42は回転するように駆動され、その結果、乗り物の移動が間接的または直接的に実現される。
【0075】
固定プーリ80の回転はロータ16には影響しないが、これは連結部分70が作動しておらず、プーリ68は、ベルト82が作動しているときに、このロータ上を自由に回転できるからである。
【0076】
図7は、電池18を電気機械14によって充電しながら、乗り物が熱機関10によって駆動される他の構成を示しており、熱機関はこの電気機械を高伝達率によって同じ速度で駆動している。
【0077】
この場合、計算機110は、内燃エンジンが動作し、連結部分22、70が動作して、一方では軸12をロータ16に固定し、他方ではロータ16をプーリ68に固定するように、エンジン10を線114によって、制御手段106と108とを線112によって制御する。
【0078】
したがって、熱機関は軸12を回転するように駆動し、それを受けて軸12がロータ16を連結部分22によって同じ回転速度で駆動する。したがって、ロータの回転は、電気エネルギー発生器として動作する電気機械14によって、電池18を充電することを可能にする。
【0079】
さらに、このロータの回転は、第2の伝達経路(プーリ68、ベルト82、固定プーリ80)によって被駆動軸42に伝達され、したがって、ロータの回転は、この被駆動軸を回転駆動することができる。
【0080】
軸12の回転は、ベルト66を通して、円錐状円盤44、46の第1の対からスリーブ58に接続されている円盤54、56の第2の対に伝達される。固定プーリ80の速度(Np)は、スリーブ(Nf)の速度よりも高いため、フリーホイール86は動作しない。そのため、伝達経路36と被駆動軸42との間では運動の伝達は発生しない。
【0081】
図8の場合、電気機械14によって電池18が充電されており、熱機関の回転速度は電気機械14の回転速度とは異なる(より高いまたはより低い)状態で、乗り物は熱機関10によって駆動される。
【0082】
そのため、計算機110は、ロータ16を軸12から分離することによって連結部分22が非動作の状態で、内燃エンジンが動作し、また、プーリ68をロータ16に固定することによって連結部分70が作動するように、線114を通して熱機関10を制御し、また、線112を通して制御手段106、108を制御する。
【0083】
軸12の回転は、ベルト66を通して、円錐状円盤44、46の第1の対とベルト66から円盤54、56の第2の対とスリーブ58とに伝達される。スリーブ58の速度は、フリーホイール86が運動状態になって、カラー94を回転させるような速度である。この回転の影響の下で、遠心連結部分84は動作可能で、ドラム96と固定プーリ80をカラーに、そしてその結果スリーブ58に回転に関して固定できるようにする。ドラムは被駆動軸42に固定接続されているため、被駆動軸42は回転するように駆動され、したがって、乗り物の移動が間接的または直接的に実現される。
【0084】
さらに、固定プーリ80は、ベルト82によって、回転に関してロータ16に固定されているプーリ68を回転するように駆動する。このプーリ68の回転の作動の下で、ロータ16は回転するように駆動され、したがって、電池18を電気エネルギー発生器として動作する電気機械14によって充電できるようにする。
【0085】
図9から11は、低い(図9)または高い(図10)伝達率で熱機関と電気機械とが同じ回転速度であるときに、または両者が異なる回転速度のときに(図11)、乗り物が熱機関10と電気機械14の両方に駆動されている構成の乗り物駆動装置を示している。
【0086】
図9から11に示している構成は、図6から8の構成とは、乗り物を移動させるように、電気機械14が電気モータとして熱機関と共に動作していることだけが異なる。
【0087】
したがって、様々な連結部分の位置が図6のそれらに対応している図9の構成において、連結部分22は作動しており、連結部分70は作動しておらず、フリーホイール86は運動しており、遠心連結部分84も作動しており、熱機関10は動作しており、電気機械14は動作が計算機110によって制御手段20を通して制御されている電池18から給電されている電気モータとして動作している。
【0088】
そのため、電気モータ14の電力は、ロータ16から熱機関の軸12へ連結部分22を通して伝達される。この動力は、熱機関によってこの軸に伝達される動力に追加され、その結果の動力は、第1の伝達経路36(両円錐状円盤44、46、ベルト66、両円錐状54、56)を通して被駆動軸42にスリーブ58、フリーホイール86、カラー94、遠心連結部分84、ドラム96、および被駆動軸に接続されている固定プーリ80)を通して伝達される。
【0089】
図6について前述したように、固定プーリ80の回転はロータ16に影響しないが、これは、ベルト82が動作しており、連結部分70が動作していない状態で、プーリ68がこのロータ上で自由に回転できるためである。
【0090】
図10の構成(連結部分の位置が図7のそれらに対応している)については、連結部分22、70は動作しており、フリーホイール86は運動しておらず、遠心連結部分84は動作しておらず、熱機関は動作しており、図9に示しているように、電気機械14は計算機110の制御の下で制御手段20を介して電池18から給電されている電気駆動モータとして動作している。
【0091】
熱機関10によって発生した動力は軸12に伝達され、それから、連結部分22を通してロータ16に伝達される。この動力は、電気モータ14の動力とロータ16を通して組み合わされる。連結部分70は作動しているため、それからこれらの動力の組み合わせは被駆動軸42に第2の伝達経路40(プーリ68、ベルト82、および固定プーリ80)を通して伝達される。
【0092】
フリーホイール86は運動していないため、一方で、固定プーリ80の回転運動は、スリーブ58に伝達できないが、他方で、第1の伝達経路36によってスリーブ58に伝達された軸12の回転運動は、この固定プーリには伝達できない。
【0093】
図11の構成(図8の構成に対応)によれば、連結部分22は作動しておらず、連結部分70は動作しており、フリーホイール86は運動しており、遠心連結部分84は作動しており、熱機関10は動作しており、電気機械14は電池18によって給電されている電気駆動モータとして動作している。
【0094】
この構成において、電気モータ14によって発生した動力は、ロータ16から被駆動軸42へ第2の伝達経路40(プーリ68、ベルト82、および固定プーリ80)と連結部分70によって伝達される。同時に、熱機関の動力は、連結部分22が非作動の状態で、第1の伝達経路36(両円錐状円盤44と46、ベルト66、両円錐状円盤54と56)、フリーホイール86、カラー94、遠心連結部分84、ドラム96、固定プーリ80)によって、軸12から被駆動軸42へ伝達される。
【0095】
図12の構成は、制動時などに乗り物が減速するときの、電気エネルギー回収期間における装置の状態を示している。
【0096】
そのため、乗り物が熱機関10、電気機械14またはその両方10と14によって駆動されている構成から、計算機110は乗り物の減速期間中に、連結部分70が作動位置で連結部分22が非作動状態の位置になるように制御する。この計算機は、作動している場合にはアイドリングさせるか停止されるように熱機関も制御する。そのため、スリーブ58に第1の経路36によって伝達される軸12の回転速度は、フリーホイール86を運動させるのには十分ではない。
【0097】
この減速エネルギーを回収して、それを電気エネルギーに変換するために、計算機は電気機械が電池18を充電する電気エネルギー発生器として動作するように、電気機械14を制御する。
【0098】
したがって、減速期間中は、乗り物の駆動輪は被駆動軸42に直接的または間接的に伝達される回転運動を発生する。それから、この回転運動は、連結部分70が作動している状態で、ロータ16に固定プーリ80、ベルト82、プーリ68を通して第2の伝達経路40によって伝達される。ロータ16の回転によって、計算機と制御手段20との制御の下で、電気機械14を機械エネルギーを受け取る機械として動作させることが可能で、この機械エネルギーは、使用したり電池18に保存するために、発電機のように、電気エネルギーに変換させる。
【0099】
図13に示している構成では、図12のエネルギー回収に加えて、エンジンブレーキも乗り物の制動の補助として実現される。
【0100】
そのため、連結部部70の作動に加えて、当初、図12に示したように、連結部分22も作動している。
【0101】
したがって、乗り物の減速期間中に、被駆動軸42の回転運動は、第2の伝達経路40を通してロータ16に伝達される。連結部分22が作動していると、この回転運動は熱機関に対する抵抗トルクとそのためエンジンブレーキとを発生する軸12にも伝達される。
【0102】
なお、電池18が完全に充電されている場合は、計算機110は電気機械14を電気的に非作動にするように電気機械14を制御する。これによってエンジンブレーキがさらに改善される。
【0103】
図14については、電池18を確実に充電するように、熱機関10がエネルギーを供給することを除いて構成は図12の構成と同一である。
【0104】
この場合、乗り物の減速によって発生したエネルギーはロータ16に伝達され、これは、図12に関しては無効にされていた。計算機110は、熱機関10が軸12を回転駆動するように、さらに熱機関10を制御する。この軸の回転運動と、その結果のエネルギーは、連結部分22によってロータ16に伝達され、そのためロータ16にはさらにエネルギーが供給され、電気エネルギー発生器として動作する電気機械14を介して電池18の充電を行う。
【0105】
図15は図1の変形例を示しており、軸12に保持されている円錐状円盤の第1の対は、一方向連結部分(フリーホイール)の位置が図1に示している位置に対して変更されるように、図1に対して修正されている。したがって、当初、図1(円錐状円盤44)において固定されていた円錐状円盤120は、軸12を囲んでいる筒122の一方の端部に固定保持されている。円錐状円盤120を備えているこの筒は自由に回転するが、軸12に沿っての並進運動については固定されている。この筒の他方の端部も図1に関して前述した制御手段48のフランジと同じ役割を果たしているフランジ124に固定保持されている。対向している移動する円錐状円盤126は、並進運動については自由であるが回転運動については筒122に固定された状態で、円錐状円盤120とフランジ124との間に取り付けられている。この移動する円盤の円錐状円盤120の方向への軸線方向の変位は、フランジ124上と円錐状円盤126の外側に配置されている重り50などの制御手段48によって制御されている。
【0106】
図15に示しているように、筒122は、フリーホイール128などの一方向連結部分によって軸12に接続されている。このフリーホイールは、軸12に接続されている内側の輪130と、フランジ124によって筒122に接続されている内側の輪と外側の輪134との上に配置されているローラ132とを、有している。
【0107】
この変形例の動作は、図2から14について説明した動作と概ね同一である。ただし、乗り物の減速期間の間、第1の伝達経路36は被駆動軸42によって駆動され、これはエネルギー回収について前述した構成とは異なっている。
【0108】
図16の変形例においては、ドラム96とフリーホイール86との間の図1の遠心連結部分は、係合解除可能な連結部分136に置き換えられている。
【0109】
そのため、カラー94は連結円盤138を、回転運動についてはこのカラーに固定し、また、このカラー上の軸線方向の並進運動については好ましくは自由に保持している。ドラムは、反応プレート140と、円盤138とこのプレート140との間の連結を実現できるようにする圧力手段142とを固定保持している。圧力手段は、ばね手段146の作動の対象となる例えば支持プレート144を有している。
【0110】
図1の係合解除可能な連結部分に関して説明したように、係合解除可能な連結部分136と、より具体的にはその圧力手段142とは、制御手段(不図示)によって制御される。
【0111】
この変形例の動作も、図1の動作と同じであるが、連結部分136の係合と係合解除の範囲を制御できるようにする利点を備えている。
【0112】
図17の変形例については、固定プーリ80とフリーホイール86との間に当初設けられていた(遠心または係合解除可能な)連結部分は省略されている。
【0113】
そのため、フリーホイールは、外側の輪92を固定プーリ80に固定接続する平坦なリング148によって固定プーリに直接接続されている。
【0114】
この構成は、乗り物が停止しているときに熱機関10が組織的に停止させられることを意図している場合には、特に有利である。乗り物を静止した位置から移動させるには、電気機械14が電気駆動モータとして使用される。この電気機械14は、連結部分22を動作状態にすることによって、熱機関10のスタータとしても使用可能である。熱機関がいったん始動すると、その動力は固定プーリ80に第1の伝達経路36つまりスリーブ58とフリーホイール86とを通して伝達される(連結部分22、70は非作動)。
【0115】
より正確には図16の変形例である図18の変形例においては、係合解除可能な連結部分136の連結円盤138とスリーブ58との間に当初設けられていたカラーとフリーホイールとは省略されている。
【0116】
そのため、円盤138は回転運動については固定されており、並進運動については自由にスリーブ58に取り付けられている。
【0117】
この構成は、乗り物の減速期間中に追加のエネルギー回収経路を実現する利点を提供する。さらに、伝達経路36は、より広いエンジン回転速度範囲において熱機関においてエンジンブレーキを実現することができる。
【0118】
図19では、遠心連結部分84とスリーブ58との間に設けられているフリーホイールが省略されている。
【0119】
したがって、連結部分84を保持しているカラー94はスリーブ58に側面150を介して固定接続されている。
【0120】
この構成によって、第1の伝達経路36を熱機関10および/または電気機械14のエンジンブレーキとして使用することができる。
【0121】
図20の変形例については、主に電気エネルギー発生器として使用される電気機械152が熱機関10の軸上に配置されている。電気機械152は、伝達経路36の1対の円錐状円盤44、46と熱機関との間、または、図20に示しているように、軸12の反対側の軸の延長部分153上に正確に配置されている。
【0122】
この電気エネルギー発生器は、電池を充電したり、乗り物を単独でまたは熱機関と組み合わされて駆動したり、またはこの熱機関を始動するように、制御手段20に接続したり、計算機によって制御される特定の制御手段(不図示)を有することができる。
【0123】
これによって、熱機関10の回転数が連結部分84を動作可能にできない場合に、連続ハイブリッド動作が実現される。
【0124】
この構成は、電池18が後退のために電気機械14にエネルギーを供給しながら、熱機関10が電池を充電できるようにするので、後退ギヤでの乗り物の連続動作時間に関して制限をなくすことがさらに可能になる。
【0125】
図21に示している変形例では、追加の係合解除可能な連結部分154が伝達経路36と熱機関10との間の軸上12に構成されており、したがってこの軸を2つの部分、熱機関とこの連結部分143との間の第1の部分12Aと、この連結部分と連結部分22との間の第2の部分12Bとに分割している。さらに、駆動軸42の段階でのフリーホイール、カラー、およびドラムが省略されているのに対して、円錐状円盤54は回転運動と並進運動とに関して被駆動軸42に固定されている。
【0126】
追加の連結部分は、軸の第1の部分12Aの自由な端部によって回転運動と並進運動について固定されている筐体156と、軸の第2の部分12Bの一方の端部によって回転運動については固定されており、軸線方向の並進運動については自由に筐体内に配置されている連結円盤158とを有しており、図1に関してすでに説明したように、この軸の他方の端部は連結部分22の連結円盤26を保持している。この追加の連結部分は、筐体156内に配置され、軸12の両部分12A、12Bが同時に回転できるように円盤158と筐体156との間の連結を実現する圧力手段160(圧力プレート162と弾性手段164)も有している。
【0127】
これによって、連結部分154を係合解除することによって、または軸12の部分12Bと被駆動軸42との間で、ギヤボックスなどの非連続変化手段などの任意の他の変速手段を設定することによって、伝達経路36を中立にする利点を提供する。したがって、これらのギヤを(手動または自動で)変更することは、連結部分154を係合解除することによって便利に実施されることになる。
【0128】
他の変形例として、図17から20の変形例の動作モードは、図1の装置の動作モードに全体的に類似している。
【0129】
本発明は、前述の例には限定されておらず、あらゆる変形例つまり同等のものを含んでいる。
【0130】
同様に前述した熱機関は、ガソリン、ディーゼル燃料、ガスなどの化石燃料だけでなくエタノールタイプのバイオ燃料やその他の燃料で動作する内燃エンジンを網羅している。
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハイブリッド型乗り物用の牽引駆動や推進駆動の駆動装置に関する。
【0002】
この種類の乗り物は、主に内燃エンジンである熱機関と、乗り物を推進するための1つまたは2つ以上の蓄電池といった電源に接続されている電気機械とを一般に組み合わせている。この組み合わせによって、総燃料消費を減少させ、排気ガスを制限しながら、駆動装置のエネルギー効率を最適化することができる。
【背景技術】
【0003】
特許文献1に記載の例においては、熱機関は可変速度駆動部などの可変変速装置の運動する部分を駆動する出力軸を有しており、その伝達受け取り部分は乗り物の運動する軸に接続されている。出力軸は、熱機関と可変速駆動部との間に、電池に接続されている電気機械と、熱機関と電気機械との間の第1のクラッチと電気機械と可変駆動部との間の第2のクラッチとの2つのクラッチと、を備えている。
【0004】
乗り物が、都市部でのように、排気ガスの排出と騒音の発生とを制限しながら、広い速度範囲にわたって得られる高トルクで駆動される場合、電気機械は乗り物の運動する軸と、その結果この乗り物の駆動輪の駆動に使用されることが好ましい。
【0005】
他方、高エンジン駆動動力と広い動作範囲が必要な場合、動く軸の駆動と、したがって乗り物の移動の供給と、のために熱機関が使用される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】フランス特許出願公開明細書第2,670,440号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
この駆動装置は十分であるもののいくつかの顕著な欠点がある。
【0008】
実際に、乗り物の駆動に電気機械だけが使用される場合、乗り物を駆動するためだけでなく可変変速装置のすべての抵抗(慣性、摩擦、...)に打ち勝つのに十分なトルクおよび/または動力が必要である。さらに、乗り物の制動動作中には、それによって放出されるエネルギーの一部が可変変速駆動部によって吸収され、このエネルギーの他の部分だけが回収され、それから電気機械によって変換される。
【0009】
機械的なギヤボックスが可変速駆動部の代わりに使用された場合、制動エネルギーを回収するためにはギヤ比の変更が必須である。そのため、運動する軸を係合解除することが必要であって、それによって、運動の伝達が遮断され、制動エネルギーの回収が中断されることになる。
【0010】
本発明は、さまざまな使用のために複雑な制御装置を必要としない簡単な駆動装置によって前述の欠点を克服することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
そのため本発明は、ハイブリッド乗り物用の走行駆動装置であって、軸を備えている熱機関、特に内燃エンジンと、電池によって給電されているロータを備えている少なくとも1つの電気機械と、軸とロータとの間の係合解除可能な連結部分と、乗り物の車輪を駆動する被駆動軸とを有する駆動装置において、熱機関の軸と被駆動軸との間の運動伝達のための第1の伝達経路と、電気機械のロータと被駆動軸との間の第2の伝達経路とを有することを特徴とする走行駆動装置に関する。
【0012】
両経路の少なくとも一方は可変ギヤ変速装置を有していてもよい。
【0013】
変速装置は連続可変ギヤ変速装置であってもよい。
【0014】
連続可変ギヤ変速装置はベルトによって接続されている2対の可変間隔プーリを有していてもよい。
【0015】
その代わりに、可変ギヤ変速装置はギヤボックスであってもよい。
【0016】
両経路の少なくとも一方は固定ギヤ変速装置を有していてもよい。
【0017】
固定ギヤ変速装置はベルトで接続されている2つのプーリを有していてもよい。
【0018】
装置は、電気機械のロータと第2の伝達経路との間の係合解除可能な連結部分を有していてもよい。
【0019】
装置は、第1の伝達経路とエンジンの軸との間の連結部分を有していてもよい。
【0020】
装置は、被駆動軸と第1の伝達経路との間に少なくとも1つの連結部分を有していてもよい。
【0021】
連結部分は遠心連結部分を有していてもよい。
【0022】
連結部分は一方向連結部分を有していてもよい。
【0023】
連結部分は係合解除可能な連結部分を有していてもよい。
【0024】
装置は、熱機関によって駆動される追加の電気機械を有していてもよい。
【0025】
本発明は、軸を備えている熱機関、特に内燃エンジンと、電池によって給電されているロータを備えている少なくとも1つの電気機械と、軸とロータとの間の係合解除可能な連結部分と、乗り物の車輪を駆動する被駆動軸とを有するハイブリッド乗り物用の走行駆動の方法であって、被駆動軸を第1の運動伝達経路によって熱機関の軸に接続することおよび/または第2の経路によって電気機械のロータに接続することに存することを特徴とするハイブリッド乗り物用の走行駆動の方法にも関する。
【0026】
本方法は、熱機関を始動するために、電気機械を電気スタータのように動作させるように電気機械に電池によって給電し、電気機械のロータを熱機関の軸に連結部分を介して接続してもよい。
【0027】
本方法は、熱機関の動作と第1の伝達経路による被駆動軸の駆動とに連携して、熱機関の軸と電気機械のロータとの間の連結部分を通して電気機械を作動させることによって、電池を充電してもよい。
【0028】
本方法は、熱機関の動作と第1の伝達経路による被駆動軸の駆動とに連携して、電気機械のロータを熱機関の軸に接続することによって、被駆動軸を電気機械を通して駆動してもよい。
【0029】
本方法は、熱機関の動作と第1の伝達経路による被駆動軸の駆動とに連携して、第2の伝達経路によって、被駆動軸を電気機械を通して駆動してもよい。
【0030】
本方法は、熱機関の動作と第2の伝達経路による被駆動軸の駆動とに連携して、熱機関の軸をロータに連結部分を介して接続することによって、被駆動軸を熱機関を駆動してもよい。
【0031】
本方法は、乗り物の減速期間中に、被駆動軸の機械的エネルギーを電気機械のロータに伝達するために、ロータを第2の伝達経路に連結部分を通して接続することによって、機械的エネルギーを回収してもよい。
【0032】
本方法は、乗り物の減速期間中に、被駆動軸の機械的エネルギーを電気機械のロータに伝達するために、ロータを第2の伝達経路に連結部分を通して接続することによって、機械的エネルギーを回収し、機械的エネルギーを機関の軸にロータと軸との間の連結部分を動作させることによって伝達してもよい。
【0033】
本発明のその他の特徴と利点は、添付の図面を参照して、非限定的な例により説明する以降の説明を読むことで明らかになろう。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明のハイブリッド乗り物用の駆動装置を示している図である。
【図2】図1の装置の第1の動作構成の図である。
【図3】図1の装置の第2の動作構成の図である。
【図4】図1の装置の第3の動作構成の図である。
【図5】図1の装置の第4の動作構成の図である。
【図6】図1の装置の第5の動作構成の図である。
【図7】図1の装置の第6の動作構成の図である。
【図8】図1の装置の第7の動作構成の図である。
【図9】図1の装置の第8の動作構成の図である。
【図10】図1の装置の第9の動作構成の図である。
【図11】図1の装置の第10の動作構成の図である。
【図12】図1の装置の第11の動作構成の図である。
【図13】図1の装置の第12の動作構成の図である。
【図14】図1の装置の第13の動作構成の図である。
【図15】本発明の装置の変形例の図である。
【図16】本発明の装置の変形例の図である。
【図17】本発明の装置の変形例の図である。
【図18】本発明の装置の変形例の図である。
【図19】本発明の装置の変形例の図である。
【図20】本発明の装置の変形例の図である。
【図21】本発明の装置の変形例の図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
図1に示しているように、ハイブリッド乗り物を駆動する装置は、軸12を備えている熱機関10、特に内燃エンジンと、電気モータモードまたは電気エネルギー発生器モードで動作可能なロータ16を備えている電気機械14とを有している。この電気機械は、制御装置20によって制御されながら、蓄電池18(つまり電池)によって給電される。
【0036】
熱機関10の軸12と電気機械14のロータ16とは、係合解除可能な連結部分22によって、互いに接続されている。この連結部分は、ロータ16に対してこのロータ16の端部によって回転運動と並進運動について固定保持されているハウジング24を有している。この連結部分は、軸12の端部によって回転運動については固定保持されており、この軸上を軸線方向に自由に並進運動をするように筐体内に配置されている連結円盤26も有している。連結部分は、筐体24内に配置されており、円盤と筐体との間の連結を実現し、ロータと軸とが同時に回転できるようにすることができる圧力手段28も有している。例として、これらの圧力手段は一般的に皿ばねやコイルばねの構成の弾性手段の作動を受けるプレッシャープレート30を有している。
【0037】
軸12は、連結部分22と熱機関10との間で、可変ギヤであることが好ましい第1の運動伝達経路36の要素34も保持しているのに対して、ロータ16は、連結部分22と電気機械14との間で、固定ギヤであることが有利な第2の運動伝達経路40の要素38を保持している。
【0038】
互いに平行に配置されていることが好ましいこれら2つの伝達経路は、軸とロータとに平行に配置されていることが有利な被駆動軸42を、独立してまたは同時に制御するように設けられている。この被駆動軸は、熱機関の駆動輪(不図示)が駆動できるように、動く軸に直接または差動ブリッジなどの変速装置によって接続されている。
【0039】
これらの運動伝達経路によって、ロータおよび/または軸のあらゆる回転運動ばかりでなく、この軸および/またはこのロータによって発生したトルクおよび/または動力を被駆動軸に伝達することができる。
【0040】
本明細書では連続可変ギヤを備えている第1の可変ギヤ伝達経路は、可変プーリを備えている速度可変器の構成である。この可変器は、台形ベルトによって駆動される2つの対の対向している円錐状の円盤から概ねなる。対向している円錐状の円盤の第1の対は、軸12上に回転運動と並進運動とについて固定して保持されている円錐状の円盤44と、回転運動について固定され、しかし並進運動については自由にこの軸上に取り付けられている移動可能な他の円盤46と、を有している。円錐状円盤46の並進運動による変位の制御のための手段48は、これら2つの円錐状円盤の間の間隔を制御できるように設けられている。公知のように、これらの手段は、一方では、並進運動と回転運動について固定されており、軸12に実質的に垂直に軸12によって保持されているフランジ52上に配置されており、他方では移動円錐状の円盤46の外側面上に配置されている重り50を備えている遠心手段であることが有利である。
【0041】
被駆動軸42は、円盤44、46の第1の対に対向して配置されている、対向している円錐状円盤54、56の第2の対を保持している。円錐状円盤46に対向している円錐状円盤54は被駆動軸42に対して同心のスリーブ58に固定されており、このスリーブはこの軸に対して回転運動については自由であるが、並進運動については固定されている。円錐状円盤44に対向している他方の円錐状円盤56は、円盤54に対して回転運動について固定されているが、弾性手段60が作動している状態でスリーブ58上を並進運動によって移動可能である。これらの弾性手段は、本明細書では円錐状円盤56の外側面上とスリーブ58に対して垂直なプレート64上とに配置されているばね62の態様である。
【0042】
2対の円錐状円盤は台形ベルト66または他の任意の同等の手段によって動力学的に互いに接続されている。
【0043】
したがって、制御手段48の影響の下にある円錐状円盤44、46の第1の対の段階における両円盤の間隔の任意の変動は、弾性手段と、軸12、42に対する垂直方向のベルト66の変位と、の組み合わされた影響の下にある両円錐状円盤54、56の間隔の変動に変換される。そのため、被駆動軸42は円錐状円盤の間隔に依存して速度が変化する。
【0044】
固定ギヤであることが好ましい他方の伝達経路は、ノッチが形成されており、ロータ16上に固定されずに取り付けられているが、係合解除可能な連結部分70の影響の下で回転運動についてこのロータに接続可能なプーリ68を有している。そのため、プーリは、連結部分22の筐体24と、軸16に固定接続されているフランジ74によって保持されている複数圧力手段72と、の間に配置されている。
【0045】
圧力手段72は、前述のものと同様に、プレッシャープレート76と弾性手段78とを備えていることが有利である。この第2の伝達経路は、ノッチが形成されていることが好ましく、被駆動軸42上に固定されている他のプーリ80も有している。ノッチが形成されているベルトなどであることが好ましい運動伝達手段82は、両プーリの一方の回転運動を他方に伝達することを可能にしている。
【0046】
フリーホイールなどの一方向連結部分86によって制御されている遠心性であることが好ましい連結部分84は、被駆動軸42上に配置されている固定プーリ80と1対の円錐状円盤54、56との間に収容されている。
【0047】
それ自体は知られているように、フリーホイール86はスリーブ58に接続されている内側の輪88と、内側の輪および、軸線方向のカラー94に接続されている外側の輪92の上とに載せられているローラ90(または玉)と、を有している。
【0048】
遠心連結部分84は、カラー94と固定プーリ80に保持されている固定軸線方向ドラム96との間に配置されている。例として、この連結部分は、関節のある半径方向アーム98をカラー上にピン100の位置で保持している。これらのアームはリターンスプリング104の作動を受ける摩擦パッド102を保持しており、それらは、カラーおよび/またはドラムの回転によってもたらされる遠心力の影響の下で、このドラムとこのカラーとの間のクラッチ連結を実現することができる。
【0049】
前述の連結部分22、70の圧力手段28、72は、ジャッキ(不図示)の作動を受ける旋回レバーなどの制御手段106、108の作動の下でそれぞれ制御される。
【0050】
計算機110は、駆動装置の動作モードを起動するように、制御手段106、108が2つの制御線112によって制御できるようにしている。この計算機は、熱機関10および/または電気機械14を線114を通して制御できるようにもしており、主にドライバの要求に応じて電気機械14、熱機関10、またはその両方を起動できるようにするマッピングやデータチャートを有している。
【0051】
駆動装置の動作を図2から14に示しているさまざまな構成に関連して、また以下の表を参照して説明する。
【0052】
【表1】
【0053】
【表2】
【0054】
この表において、参照番号22、70、84および86は前述のさまざまな連結部分に関連し、参照番号36と40とは伝達経路に関連し、参照番号10と14とは熱機関と電気機械にそれぞれ関連し、参照番号42は被駆動軸に関連している。値0または1は、連結部分22、70、および84の連結状態または連結解除状態、一方向連結部分86のフリーホイールまたは駆動ホイール状態、両伝達経路の非運動伝達状態または運動伝達状態(追加の値2はエンジンブレーキの場合の伝達受け入れ状態、値3は動力伝達なしの運動伝達状態)、および熱機関10、電気機械14、および被駆動軸42の非作動状態または作動状態を表している。
【0055】
一方向連結部分86はスリーブ58の回転速度(Nf)が固定プーリ80の回転速度(Np)よりも高いときに駆動ホイール状態(値1)にある。同様に、遠心連結部分84は一方向連結部分86が駆動輪状態にあって、スリーブの回転速度(Nf)がしきい値(Ne)よりも高いときに動作位置にある。
【0056】
図2は乗り物が静止しており、計算機110が電池18の充電をさせないように、制御手段20を管理しているときの、熱機関の始動を示している。この構成では、計算機110が線112を通して、連結部分22の圧力手段28だけが作動するように連結部分22、70を制御する制御手段106、108を制御している。したがって、円盤26は回転動作についてハウジング24に接続され(図2の2つの交差している傾斜している線によって表す)、連結部分70の圧力手段72は非作動状態のままで、したがってプーリ68を自由な状態のままにしている。そのためエンジン10の軸12は、電気機械14のロータ16に直接接続されている。それから計算機はこの電気機械の給電を回転制御のために制御手段20と電池18とによって制御する。これによって、この電気機械はロータ16によって回転軸12を駆動して、熱機関を始動することによって、電気スタータとして動作することができる。
【0057】
この始動段階の間に、軸12の回転運動は円錐状円盤54、56の第2の対に円盤44、46の第1の対とベルト66とを通して伝達される。それから、この回転運動はスリーブ58と、このスリーブとカラー94との間のリンクを実現して駆動輪構成となるフリーホイール86と、に伝達される。このカラーの段階での回転速度は、しきい値Ne未満であるため、ドラム96との遠心連結は達成されず、このドラムに接続されている固定プーリ80は回転駆動されない。そのため被駆動軸42もベルト82も回転駆動されない。
【0058】
エンジン始動後、電気機械14の制御手段20は、電気機械の給電が停止して圧力手段28が作動状態のままである場合には、ロータ16が軸12によって駆動されるように計算機によって制御される。この回転の影響の下で、電気機械14は電気エネルギー発生器として動作することが可能で、それによって供給される電力は電池18への給電に使用される。
【0059】
図3は、乗り物が、電気モータとして動作している電気機械14の作動の下で、好ましくは前進ギヤで回っている時に、熱機関が始動される構成を示している。
【0060】
そのため計算機110は、連結部分70、22が動作可能で、制御手段20が電気機械に電池18によって給電して電気機械を回転駆動するように、制御手段106、108を制御する。したがって、連結部分22は電気機械14のロータ16を熱機関の軸12に接続できるようにする。ロータ16が回転している時に、軸12は熱機関10が始動するまで回転する。熱機関が始動するとすぐに、連結部分22、70は動作状態を維持して、電気機械14への給電は停止する。
【0061】
始動期間中とその後に、乗り物の運動は、第2の伝達経路40が常に作動状態にあることによって実現される。実際に、エンジンの始動のために駆動しているか、この始動期間後に駆動されているか、のいずれかの固定されていないプーリ68を連結部分70によってロータ16に接続することができる。このプーリの回転運動は、ベルト82によって、被駆動軸42を回転するように駆動することによって、被駆動軸42に固定接続されている固定プーリ80に伝達される。
【0062】
図2に関連して前述したように、この始動段階の間に、軸12の回転運動は、円盤44、46の第1の対とベルト66とを通して、円錐状円盤54、56の第2の対に伝達される。それから、この回転運動はスリーブ58と、このスリーブとカラー94との間のリンクを実現して駆動輪構成となるフリーホイール86とに伝達される。ドラム96を備えている遠心連結部分は作動せず、これは、プーリ80の回転速度(Np)に相当するカラーの回転速度がしきい値Ne未満のためであるが、プーリ80を通して被駆動軸の回転を妨げることはない。
【0063】
熱機関の始動後の他の状況は、乗り物の駆動を電気モータで維持しながら、連結部分22を開放している。それから、熱機関は遠心連結部分84が動作するまで回転を上げることができる。それから、運動は第1の伝達経路36によって乗り物に伝達される。
【0064】
同様に、エンジン10の始動後に、計算機は、電気機械14が電池18や必要に応じて乗り物のアクセサリに給電するために軸12によって駆動される電気エネルギー発生器として動作するように、電気機械14の制御手段20を制御する。
【0065】
したがって、図2の構成だけではなく、図3の構成でも、電気機械14は熱機関の始動を実現するように使用され、それから、乗り物の様々な装置とアクセサリに給電するおよび/または乗り物の電池を充電する電気エネルギー発生器としての役割を果たすことができる。
【0066】
図4に示しているように、電気駆動(前進ギヤまたは後退ギヤ)での乗り物の動作のために、電気機械14は、制御手段20の制御の下で、電池18から給電されながら、電気モータのように動作する。この動作モードでは、計算機110の制御の下で、プーリ68をロータ16に接続できるようにすることによって、連結部分70だけが動作する。プーリ68の回転運動は、ベルト82によって、被駆動軸42を回転状態に駆動する固定プーリ80に伝達され、被駆動軸42はそれを受けて、直接的または間接的に乗り物の車輪を駆動する。
【0067】
連結部分22は動作していないため、乗り物の駆動を妨げることなく、またフリーホイール86を動かさずに、熱機関10は動作していたりしていなかったりする。
【0068】
図5は、乗り物が熱機関10によって駆動されている状態での、駆動装置の動作モードを示している。
【0069】
この場合、2つの連結部分22と70のいずれもが動作状態ではなく熱機関10の動作によって軸12が回転する。
【0070】
この回転の影響の下で、円錐状円盤44、46の第1の対は回転するように駆動され、ベルト66によって回転が円盤54、56の第2の対とスリーブ58とに伝達される。スリーブの速度は固定プーリ80の速度よりも高いため(プーリはオフの位置)、フリーホイール86は運動し、カラー94を回転させる。回転速度と遠心力との影響の下で、遠心連結部分84のパッド102がドラム96の内側に接触し、その間はドラム96を駆動し、その結果被駆動軸42を回転させる。
【0071】
固定プーリ80の回転はロータ16には影響しないが、これは連結部分70が作動しておらず、プーリ68は、ベルト82が作動しているときに、このロータ上を自由に回転できるからである。
【0072】
図6から8は、熱機関がこの電気機械を低伝達率(図6)または高伝達率(図7)の同じ速度で、またはさまざまな速度(図8)で駆動しているときに、乗り物が電気エネルギー発生器として動作している電気機械14によって電池18を充電しながら熱機関10によって駆動されている構成の装置を示している。
【0073】
図6の場合、連結部分70が非動作位置にあるのに対して、内燃エンジンが動作し、連結部分22が作動するように、計算機110は線114を通して熱機関10を制御し、2つの線112を通して2つの制御手段106と108を制御する。この構成において、エンジンが軸12を回転するように駆動し、それを受けて軸12が連結部分22を介してロータ16を同じ回転速度で駆動する。したがって、ロータの回転は、制御手段20の制御の下で電気エネルギー発生器として動作する電気機械14によって、電池18を充電することを可能にする。
【0074】
同時に、軸12の回転は、第1の伝達経路36(円盤44、46の第1の対、ベルト66、円盤54、56の第2の対)によってスリーブ58に伝達される。スリーブ58の速度(Nf)はフリーホイール86を動かすのに十分であるため、フリーホイール86はカラー94を回転するように駆動する。この回転の影響の下で、連結部分84は動作可能で、ドラム96と固定プーリ80をスリーブ58に回転に関して固定する。この位置で、ドラムは被駆動軸42に固定接続されているため、被駆動軸42は回転するように駆動され、その結果、乗り物の移動が間接的または直接的に実現される。
【0075】
固定プーリ80の回転はロータ16には影響しないが、これは連結部分70が作動しておらず、プーリ68は、ベルト82が作動しているときに、このロータ上を自由に回転できるからである。
【0076】
図7は、電池18を電気機械14によって充電しながら、乗り物が熱機関10によって駆動される他の構成を示しており、熱機関はこの電気機械を高伝達率によって同じ速度で駆動している。
【0077】
この場合、計算機110は、内燃エンジンが動作し、連結部分22、70が動作して、一方では軸12をロータ16に固定し、他方ではロータ16をプーリ68に固定するように、エンジン10を線114によって、制御手段106と108とを線112によって制御する。
【0078】
したがって、熱機関は軸12を回転するように駆動し、それを受けて軸12がロータ16を連結部分22によって同じ回転速度で駆動する。したがって、ロータの回転は、電気エネルギー発生器として動作する電気機械14によって、電池18を充電することを可能にする。
【0079】
さらに、このロータの回転は、第2の伝達経路(プーリ68、ベルト82、固定プーリ80)によって被駆動軸42に伝達され、したがって、ロータの回転は、この被駆動軸を回転駆動することができる。
【0080】
軸12の回転は、ベルト66を通して、円錐状円盤44、46の第1の対からスリーブ58に接続されている円盤54、56の第2の対に伝達される。固定プーリ80の速度(Np)は、スリーブ(Nf)の速度よりも高いため、フリーホイール86は動作しない。そのため、伝達経路36と被駆動軸42との間では運動の伝達は発生しない。
【0081】
図8の場合、電気機械14によって電池18が充電されており、熱機関の回転速度は電気機械14の回転速度とは異なる(より高いまたはより低い)状態で、乗り物は熱機関10によって駆動される。
【0082】
そのため、計算機110は、ロータ16を軸12から分離することによって連結部分22が非動作の状態で、内燃エンジンが動作し、また、プーリ68をロータ16に固定することによって連結部分70が作動するように、線114を通して熱機関10を制御し、また、線112を通して制御手段106、108を制御する。
【0083】
軸12の回転は、ベルト66を通して、円錐状円盤44、46の第1の対とベルト66から円盤54、56の第2の対とスリーブ58とに伝達される。スリーブ58の速度は、フリーホイール86が運動状態になって、カラー94を回転させるような速度である。この回転の影響の下で、遠心連結部分84は動作可能で、ドラム96と固定プーリ80をカラーに、そしてその結果スリーブ58に回転に関して固定できるようにする。ドラムは被駆動軸42に固定接続されているため、被駆動軸42は回転するように駆動され、したがって、乗り物の移動が間接的または直接的に実現される。
【0084】
さらに、固定プーリ80は、ベルト82によって、回転に関してロータ16に固定されているプーリ68を回転するように駆動する。このプーリ68の回転の作動の下で、ロータ16は回転するように駆動され、したがって、電池18を電気エネルギー発生器として動作する電気機械14によって充電できるようにする。
【0085】
図9から11は、低い(図9)または高い(図10)伝達率で熱機関と電気機械とが同じ回転速度であるときに、または両者が異なる回転速度のときに(図11)、乗り物が熱機関10と電気機械14の両方に駆動されている構成の乗り物駆動装置を示している。
【0086】
図9から11に示している構成は、図6から8の構成とは、乗り物を移動させるように、電気機械14が電気モータとして熱機関と共に動作していることだけが異なる。
【0087】
したがって、様々な連結部分の位置が図6のそれらに対応している図9の構成において、連結部分22は作動しており、連結部分70は作動しておらず、フリーホイール86は運動しており、遠心連結部分84も作動しており、熱機関10は動作しており、電気機械14は動作が計算機110によって制御手段20を通して制御されている電池18から給電されている電気モータとして動作している。
【0088】
そのため、電気モータ14の電力は、ロータ16から熱機関の軸12へ連結部分22を通して伝達される。この動力は、熱機関によってこの軸に伝達される動力に追加され、その結果の動力は、第1の伝達経路36(両円錐状円盤44、46、ベルト66、両円錐状54、56)を通して被駆動軸42にスリーブ58、フリーホイール86、カラー94、遠心連結部分84、ドラム96、および被駆動軸に接続されている固定プーリ80)を通して伝達される。
【0089】
図6について前述したように、固定プーリ80の回転はロータ16に影響しないが、これは、ベルト82が動作しており、連結部分70が動作していない状態で、プーリ68がこのロータ上で自由に回転できるためである。
【0090】
図10の構成(連結部分の位置が図7のそれらに対応している)については、連結部分22、70は動作しており、フリーホイール86は運動しておらず、遠心連結部分84は動作しておらず、熱機関は動作しており、図9に示しているように、電気機械14は計算機110の制御の下で制御手段20を介して電池18から給電されている電気駆動モータとして動作している。
【0091】
熱機関10によって発生した動力は軸12に伝達され、それから、連結部分22を通してロータ16に伝達される。この動力は、電気モータ14の動力とロータ16を通して組み合わされる。連結部分70は作動しているため、それからこれらの動力の組み合わせは被駆動軸42に第2の伝達経路40(プーリ68、ベルト82、および固定プーリ80)を通して伝達される。
【0092】
フリーホイール86は運動していないため、一方で、固定プーリ80の回転運動は、スリーブ58に伝達できないが、他方で、第1の伝達経路36によってスリーブ58に伝達された軸12の回転運動は、この固定プーリには伝達できない。
【0093】
図11の構成(図8の構成に対応)によれば、連結部分22は作動しておらず、連結部分70は動作しており、フリーホイール86は運動しており、遠心連結部分84は作動しており、熱機関10は動作しており、電気機械14は電池18によって給電されている電気駆動モータとして動作している。
【0094】
この構成において、電気モータ14によって発生した動力は、ロータ16から被駆動軸42へ第2の伝達経路40(プーリ68、ベルト82、および固定プーリ80)と連結部分70によって伝達される。同時に、熱機関の動力は、連結部分22が非作動の状態で、第1の伝達経路36(両円錐状円盤44と46、ベルト66、両円錐状円盤54と56)、フリーホイール86、カラー94、遠心連結部分84、ドラム96、固定プーリ80)によって、軸12から被駆動軸42へ伝達される。
【0095】
図12の構成は、制動時などに乗り物が減速するときの、電気エネルギー回収期間における装置の状態を示している。
【0096】
そのため、乗り物が熱機関10、電気機械14またはその両方10と14によって駆動されている構成から、計算機110は乗り物の減速期間中に、連結部分70が作動位置で連結部分22が非作動状態の位置になるように制御する。この計算機は、作動している場合にはアイドリングさせるか停止されるように熱機関も制御する。そのため、スリーブ58に第1の経路36によって伝達される軸12の回転速度は、フリーホイール86を運動させるのには十分ではない。
【0097】
この減速エネルギーを回収して、それを電気エネルギーに変換するために、計算機は電気機械が電池18を充電する電気エネルギー発生器として動作するように、電気機械14を制御する。
【0098】
したがって、減速期間中は、乗り物の駆動輪は被駆動軸42に直接的または間接的に伝達される回転運動を発生する。それから、この回転運動は、連結部分70が作動している状態で、ロータ16に固定プーリ80、ベルト82、プーリ68を通して第2の伝達経路40によって伝達される。ロータ16の回転によって、計算機と制御手段20との制御の下で、電気機械14を機械エネルギーを受け取る機械として動作させることが可能で、この機械エネルギーは、使用したり電池18に保存するために、発電機のように、電気エネルギーに変換させる。
【0099】
図13に示している構成では、図12のエネルギー回収に加えて、エンジンブレーキも乗り物の制動の補助として実現される。
【0100】
そのため、連結部部70の作動に加えて、当初、図12に示したように、連結部分22も作動している。
【0101】
したがって、乗り物の減速期間中に、被駆動軸42の回転運動は、第2の伝達経路40を通してロータ16に伝達される。連結部分22が作動していると、この回転運動は熱機関に対する抵抗トルクとそのためエンジンブレーキとを発生する軸12にも伝達される。
【0102】
なお、電池18が完全に充電されている場合は、計算機110は電気機械14を電気的に非作動にするように電気機械14を制御する。これによってエンジンブレーキがさらに改善される。
【0103】
図14については、電池18を確実に充電するように、熱機関10がエネルギーを供給することを除いて構成は図12の構成と同一である。
【0104】
この場合、乗り物の減速によって発生したエネルギーはロータ16に伝達され、これは、図12に関しては無効にされていた。計算機110は、熱機関10が軸12を回転駆動するように、さらに熱機関10を制御する。この軸の回転運動と、その結果のエネルギーは、連結部分22によってロータ16に伝達され、そのためロータ16にはさらにエネルギーが供給され、電気エネルギー発生器として動作する電気機械14を介して電池18の充電を行う。
【0105】
図15は図1の変形例を示しており、軸12に保持されている円錐状円盤の第1の対は、一方向連結部分(フリーホイール)の位置が図1に示している位置に対して変更されるように、図1に対して修正されている。したがって、当初、図1(円錐状円盤44)において固定されていた円錐状円盤120は、軸12を囲んでいる筒122の一方の端部に固定保持されている。円錐状円盤120を備えているこの筒は自由に回転するが、軸12に沿っての並進運動については固定されている。この筒の他方の端部も図1に関して前述した制御手段48のフランジと同じ役割を果たしているフランジ124に固定保持されている。対向している移動する円錐状円盤126は、並進運動については自由であるが回転運動については筒122に固定された状態で、円錐状円盤120とフランジ124との間に取り付けられている。この移動する円盤の円錐状円盤120の方向への軸線方向の変位は、フランジ124上と円錐状円盤126の外側に配置されている重り50などの制御手段48によって制御されている。
【0106】
図15に示しているように、筒122は、フリーホイール128などの一方向連結部分によって軸12に接続されている。このフリーホイールは、軸12に接続されている内側の輪130と、フランジ124によって筒122に接続されている内側の輪と外側の輪134との上に配置されているローラ132とを、有している。
【0107】
この変形例の動作は、図2から14について説明した動作と概ね同一である。ただし、乗り物の減速期間の間、第1の伝達経路36は被駆動軸42によって駆動され、これはエネルギー回収について前述した構成とは異なっている。
【0108】
図16の変形例においては、ドラム96とフリーホイール86との間の図1の遠心連結部分は、係合解除可能な連結部分136に置き換えられている。
【0109】
そのため、カラー94は連結円盤138を、回転運動についてはこのカラーに固定し、また、このカラー上の軸線方向の並進運動については好ましくは自由に保持している。ドラムは、反応プレート140と、円盤138とこのプレート140との間の連結を実現できるようにする圧力手段142とを固定保持している。圧力手段は、ばね手段146の作動の対象となる例えば支持プレート144を有している。
【0110】
図1の係合解除可能な連結部分に関して説明したように、係合解除可能な連結部分136と、より具体的にはその圧力手段142とは、制御手段(不図示)によって制御される。
【0111】
この変形例の動作も、図1の動作と同じであるが、連結部分136の係合と係合解除の範囲を制御できるようにする利点を備えている。
【0112】
図17の変形例については、固定プーリ80とフリーホイール86との間に当初設けられていた(遠心または係合解除可能な)連結部分は省略されている。
【0113】
そのため、フリーホイールは、外側の輪92を固定プーリ80に固定接続する平坦なリング148によって固定プーリに直接接続されている。
【0114】
この構成は、乗り物が停止しているときに熱機関10が組織的に停止させられることを意図している場合には、特に有利である。乗り物を静止した位置から移動させるには、電気機械14が電気駆動モータとして使用される。この電気機械14は、連結部分22を動作状態にすることによって、熱機関10のスタータとしても使用可能である。熱機関がいったん始動すると、その動力は固定プーリ80に第1の伝達経路36つまりスリーブ58とフリーホイール86とを通して伝達される(連結部分22、70は非作動)。
【0115】
より正確には図16の変形例である図18の変形例においては、係合解除可能な連結部分136の連結円盤138とスリーブ58との間に当初設けられていたカラーとフリーホイールとは省略されている。
【0116】
そのため、円盤138は回転運動については固定されており、並進運動については自由にスリーブ58に取り付けられている。
【0117】
この構成は、乗り物の減速期間中に追加のエネルギー回収経路を実現する利点を提供する。さらに、伝達経路36は、より広いエンジン回転速度範囲において熱機関においてエンジンブレーキを実現することができる。
【0118】
図19では、遠心連結部分84とスリーブ58との間に設けられているフリーホイールが省略されている。
【0119】
したがって、連結部分84を保持しているカラー94はスリーブ58に側面150を介して固定接続されている。
【0120】
この構成によって、第1の伝達経路36を熱機関10および/または電気機械14のエンジンブレーキとして使用することができる。
【0121】
図20の変形例については、主に電気エネルギー発生器として使用される電気機械152が熱機関10の軸上に配置されている。電気機械152は、伝達経路36の1対の円錐状円盤44、46と熱機関との間、または、図20に示しているように、軸12の反対側の軸の延長部分153上に正確に配置されている。
【0122】
この電気エネルギー発生器は、電池を充電したり、乗り物を単独でまたは熱機関と組み合わされて駆動したり、またはこの熱機関を始動するように、制御手段20に接続したり、計算機によって制御される特定の制御手段(不図示)を有することができる。
【0123】
これによって、熱機関10の回転数が連結部分84を動作可能にできない場合に、連続ハイブリッド動作が実現される。
【0124】
この構成は、電池18が後退のために電気機械14にエネルギーを供給しながら、熱機関10が電池を充電できるようにするので、後退ギヤでの乗り物の連続動作時間に関して制限をなくすことがさらに可能になる。
【0125】
図21に示している変形例では、追加の係合解除可能な連結部分154が伝達経路36と熱機関10との間の軸上12に構成されており、したがってこの軸を2つの部分、熱機関とこの連結部分143との間の第1の部分12Aと、この連結部分と連結部分22との間の第2の部分12Bとに分割している。さらに、駆動軸42の段階でのフリーホイール、カラー、およびドラムが省略されているのに対して、円錐状円盤54は回転運動と並進運動とに関して被駆動軸42に固定されている。
【0126】
追加の連結部分は、軸の第1の部分12Aの自由な端部によって回転運動と並進運動について固定されている筐体156と、軸の第2の部分12Bの一方の端部によって回転運動については固定されており、軸線方向の並進運動については自由に筐体内に配置されている連結円盤158とを有しており、図1に関してすでに説明したように、この軸の他方の端部は連結部分22の連結円盤26を保持している。この追加の連結部分は、筐体156内に配置され、軸12の両部分12A、12Bが同時に回転できるように円盤158と筐体156との間の連結を実現する圧力手段160(圧力プレート162と弾性手段164)も有している。
【0127】
これによって、連結部分154を係合解除することによって、または軸12の部分12Bと被駆動軸42との間で、ギヤボックスなどの非連続変化手段などの任意の他の変速手段を設定することによって、伝達経路36を中立にする利点を提供する。したがって、これらのギヤを(手動または自動で)変更することは、連結部分154を係合解除することによって便利に実施されることになる。
【0128】
他の変形例として、図17から20の変形例の動作モードは、図1の装置の動作モードに全体的に類似している。
【0129】
本発明は、前述の例には限定されておらず、あらゆる変形例つまり同等のものを含んでいる。
【0130】
同様に前述した熱機関は、ガソリン、ディーゼル燃料、ガスなどの化石燃料だけでなくエタノールタイプのバイオ燃料やその他の燃料で動作する内燃エンジンを網羅している。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハイブリッド乗り物用の走行駆動装置であって、軸(12)を備えている熱機関(10)、特に内燃エンジンと、電池(18)によって給電されているロータ(16)を備えている少なくとも1つの電気機械(14)と、前記軸と前記ロータとの間の係合解除可能な連結部分(22)と、前記乗り物の車輪を駆動する被駆動軸(42)とを有する駆動装置において、前記熱機関(10)の前記軸(12)と前記被駆動軸(42)との間の運動伝達のための第1の伝達経路(36)と、前記機械(14)の前記ロータ(16)と前記被駆動軸との間の運動伝達のための第2の伝達経路(40)とを有することを特徴とする駆動装置。
【請求項2】
前記両経路の少なくとも一方は可変ギヤ変速装置(36)を有することを特徴とする、請求項1に記載の駆動装置。
【請求項3】
前記変速装置は連続可変ギヤ変速装置であることを特徴とする、請求項2に記載の駆動装置。
【請求項4】
前記連続可変ギヤ変速装置はベルト(66)によって接続されている2対の可変間隔プーリ(44、46;54、56)を有することを特徴とする、請求項3に記載の駆動装置。
【請求項5】
前記可変ギヤ変速装置はギヤボックスを有することを特徴とする、請求項2に記載の駆動装置。
【請求項6】
前記両経路の少なくとも一方は固定ギヤ変速装置(40)を有することを特徴とする、請求項1に記載の駆動装置。
【請求項7】
前記固定ギヤ変速装置(40)はベルト(82)で接続されている2つのプーリ(68、80)を有することを特徴とする、請求項6に記載の駆動装置。
【請求項8】
前記電気機械(14)の前記ロータ(16)と前記第2の伝達経路との間の係合解除可能な連結部分(70)を有することを特徴とする、請求項1から7のいずれか1項に記載の駆動装置。
【請求項9】
前記第1の伝達経路(36)と前記エンジン(10)の前記軸(12)との間の連結部分(128、154)を有することを特徴とする、請求項1から8のいずれか1項に記載の駆動装置。
【請求項10】
前記被駆動軸(42)と前記第1の伝達経路(36)との間に少なくとも1つの連結部分(84、86、136)を有することを特徴とする、請求項1から9のいずれか1項に記載の駆動装置。
【請求項11】
前記連結部分は遠心連結部分(84)を有することを特徴とする、請求項9または10に記載の駆動装置。
【請求項12】
前記連結部分は一方向連結部分(86、128)を有することを特徴とする、請求項9または10に記載の駆動装置。
【請求項13】
前記連結部分は係合解除可能な連結部分(136、156)を有することを特徴とする、請求項9または10に記載の駆動装置。
【請求項14】
前記熱機関(10)によって駆動される追加の電気機械(152)を有することを特徴とする、請求項1に駆動装置。
【請求項15】
ハイブリッド乗り物用の走行駆動の方法であって、軸(12)を備えている熱機関(10)、特に内燃エンジンと、電池(18)によって給電されているロータ(16)を備えている少なくとも1つの電気機械(14)と、前記軸と前記ロータとの間の係合解除可能な連結部分(22)と、前記乗り物の車輪を駆動する被駆動軸(42)とを有するハイブリッド乗り物用の走行駆動の方法において、前記被駆動軸(42)を第1の運動伝達経路(36)によって前記熱機関(10)の前記軸(12)に接続し、および/または第2の経路(40)によって前記電気機械(14)の前記ロータ(16)によって接続することを特徴とするハイブリッド乗り物用の走行駆動の方法。
【請求項16】
前記熱機関(10)を始動するために、前記電気機械(14)を電気スタータのように動作させるように前記電気機械(14)に前記電池(18)によって給電することと、前記電気機械(14)の前記ロータ(16)を前記熱機関(10)の前記軸(12)に前記連結部分(22)を介して接続することを特徴とする、請求項15に記載のハイブリッド乗り物用の走行駆動の方法。
【請求項17】
前記熱機関(10)の動作と前記第1の伝達経路(36)による前記被駆動軸(42)の駆動とに連携して、前記熱機関の前記軸(12)と前記機械の前記ロータ(16)との間の前記連結部(22)を通して前記電気機械を作動させることによって、前記電池(18)を充電することを特徴とする、請求項15に記載のハイブリッド乗り物用の走行駆動の方法。
【請求項18】
前記熱機関(10)の動作と前記第1の伝達経路(36)による前記被駆動軸(42)の駆動とに連携して、前記電気機械(14)の前記ロータ(16)を前記熱機関(10)の前記軸(12)に接続することによって、前記被駆動軸を前記電気機械(14)を通して駆動することを特徴とする、請求項15に記載のハイブリッド乗り物用の走行駆動の方法。
【請求項19】
前記熱機関(10)の動作と前記第1の伝達経路(36)による前記被駆動軸(42)の駆動とに連携して、前記第2の伝達経路(40)によって、前記被駆動軸を前記電気機械(14)を通して駆動することを特徴とする、請求項15に記載のハイブリッド乗り物用の走行駆動の方法。
【請求項20】
前記熱機関(10)の動作と前記第2の伝達経路(40)による前記被駆動軸(42)の駆動とに連携して、前記熱機関の前記軸(12)を前記ロータ(16)に前記熱機関(10)を連結部分(70)を介して接続することによって、前記被駆動軸を、駆動することを特徴とする、請求項15に記載のハイブリッド乗り物用の走行駆動の方法。
【請求項21】
前記乗り物の減速期間中に、前記被駆動軸(42)の機械的エネルギーを前記電気機械(14)の前記ロータ(16)に伝達するために、前記ロータを前記第2の伝達経路(40)に連結部分(70)を通して接続することによって、前記機械的エネルギーを回収することを特徴とする、請求項15に記載のハイブリッド乗り物用の走行駆動の方法。
【請求項22】
前記乗り物の減速期間中に、前記被駆動軸(42)の機械的エネルギーを前記電気機械(14)の前記ロータ(16)に伝達するために、前記ロータを前記第2の伝達経路(40)に前記連結部分(70)を通して接続することによって、前記機械的エネルギーを回収することと、前記機械的エネルギーを前記機関(10)の前記軸(12)に前記ロータと前記軸との間の前記連結部分(22)を動作させることによって伝達することを特徴とする、請求項15に記載のハイブリッド乗り物用の走行駆動の方法。
【請求項1】
ハイブリッド乗り物用の走行駆動装置であって、軸(12)を備えている熱機関(10)、特に内燃エンジンと、電池(18)によって給電されているロータ(16)を備えている少なくとも1つの電気機械(14)と、前記軸と前記ロータとの間の係合解除可能な連結部分(22)と、前記乗り物の車輪を駆動する被駆動軸(42)とを有する駆動装置において、前記熱機関(10)の前記軸(12)と前記被駆動軸(42)との間の運動伝達のための第1の伝達経路(36)と、前記機械(14)の前記ロータ(16)と前記被駆動軸との間の運動伝達のための第2の伝達経路(40)とを有することを特徴とする駆動装置。
【請求項2】
前記両経路の少なくとも一方は可変ギヤ変速装置(36)を有することを特徴とする、請求項1に記載の駆動装置。
【請求項3】
前記変速装置は連続可変ギヤ変速装置であることを特徴とする、請求項2に記載の駆動装置。
【請求項4】
前記連続可変ギヤ変速装置はベルト(66)によって接続されている2対の可変間隔プーリ(44、46;54、56)を有することを特徴とする、請求項3に記載の駆動装置。
【請求項5】
前記可変ギヤ変速装置はギヤボックスを有することを特徴とする、請求項2に記載の駆動装置。
【請求項6】
前記両経路の少なくとも一方は固定ギヤ変速装置(40)を有することを特徴とする、請求項1に記載の駆動装置。
【請求項7】
前記固定ギヤ変速装置(40)はベルト(82)で接続されている2つのプーリ(68、80)を有することを特徴とする、請求項6に記載の駆動装置。
【請求項8】
前記電気機械(14)の前記ロータ(16)と前記第2の伝達経路との間の係合解除可能な連結部分(70)を有することを特徴とする、請求項1から7のいずれか1項に記載の駆動装置。
【請求項9】
前記第1の伝達経路(36)と前記エンジン(10)の前記軸(12)との間の連結部分(128、154)を有することを特徴とする、請求項1から8のいずれか1項に記載の駆動装置。
【請求項10】
前記被駆動軸(42)と前記第1の伝達経路(36)との間に少なくとも1つの連結部分(84、86、136)を有することを特徴とする、請求項1から9のいずれか1項に記載の駆動装置。
【請求項11】
前記連結部分は遠心連結部分(84)を有することを特徴とする、請求項9または10に記載の駆動装置。
【請求項12】
前記連結部分は一方向連結部分(86、128)を有することを特徴とする、請求項9または10に記載の駆動装置。
【請求項13】
前記連結部分は係合解除可能な連結部分(136、156)を有することを特徴とする、請求項9または10に記載の駆動装置。
【請求項14】
前記熱機関(10)によって駆動される追加の電気機械(152)を有することを特徴とする、請求項1に駆動装置。
【請求項15】
ハイブリッド乗り物用の走行駆動の方法であって、軸(12)を備えている熱機関(10)、特に内燃エンジンと、電池(18)によって給電されているロータ(16)を備えている少なくとも1つの電気機械(14)と、前記軸と前記ロータとの間の係合解除可能な連結部分(22)と、前記乗り物の車輪を駆動する被駆動軸(42)とを有するハイブリッド乗り物用の走行駆動の方法において、前記被駆動軸(42)を第1の運動伝達経路(36)によって前記熱機関(10)の前記軸(12)に接続し、および/または第2の経路(40)によって前記電気機械(14)の前記ロータ(16)によって接続することを特徴とするハイブリッド乗り物用の走行駆動の方法。
【請求項16】
前記熱機関(10)を始動するために、前記電気機械(14)を電気スタータのように動作させるように前記電気機械(14)に前記電池(18)によって給電することと、前記電気機械(14)の前記ロータ(16)を前記熱機関(10)の前記軸(12)に前記連結部分(22)を介して接続することを特徴とする、請求項15に記載のハイブリッド乗り物用の走行駆動の方法。
【請求項17】
前記熱機関(10)の動作と前記第1の伝達経路(36)による前記被駆動軸(42)の駆動とに連携して、前記熱機関の前記軸(12)と前記機械の前記ロータ(16)との間の前記連結部(22)を通して前記電気機械を作動させることによって、前記電池(18)を充電することを特徴とする、請求項15に記載のハイブリッド乗り物用の走行駆動の方法。
【請求項18】
前記熱機関(10)の動作と前記第1の伝達経路(36)による前記被駆動軸(42)の駆動とに連携して、前記電気機械(14)の前記ロータ(16)を前記熱機関(10)の前記軸(12)に接続することによって、前記被駆動軸を前記電気機械(14)を通して駆動することを特徴とする、請求項15に記載のハイブリッド乗り物用の走行駆動の方法。
【請求項19】
前記熱機関(10)の動作と前記第1の伝達経路(36)による前記被駆動軸(42)の駆動とに連携して、前記第2の伝達経路(40)によって、前記被駆動軸を前記電気機械(14)を通して駆動することを特徴とする、請求項15に記載のハイブリッド乗り物用の走行駆動の方法。
【請求項20】
前記熱機関(10)の動作と前記第2の伝達経路(40)による前記被駆動軸(42)の駆動とに連携して、前記熱機関の前記軸(12)を前記ロータ(16)に前記熱機関(10)を連結部分(70)を介して接続することによって、前記被駆動軸を、駆動することを特徴とする、請求項15に記載のハイブリッド乗り物用の走行駆動の方法。
【請求項21】
前記乗り物の減速期間中に、前記被駆動軸(42)の機械的エネルギーを前記電気機械(14)の前記ロータ(16)に伝達するために、前記ロータを前記第2の伝達経路(40)に連結部分(70)を通して接続することによって、前記機械的エネルギーを回収することを特徴とする、請求項15に記載のハイブリッド乗り物用の走行駆動の方法。
【請求項22】
前記乗り物の減速期間中に、前記被駆動軸(42)の機械的エネルギーを前記電気機械(14)の前記ロータ(16)に伝達するために、前記ロータを前記第2の伝達経路(40)に前記連結部分(70)を通して接続することによって、前記機械的エネルギーを回収することと、前記機械的エネルギーを前記機関(10)の前記軸(12)に前記ロータと前記軸との間の前記連結部分(22)を動作させることによって伝達することを特徴とする、請求項15に記載のハイブリッド乗り物用の走行駆動の方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【公表番号】特表2011−501713(P2011−501713A)
【公表日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−528442(P2010−528442)
【出願日】平成20年10月7日(2008.10.7)
【国際出願番号】PCT/FR2008/001399
【国際公開番号】WO2009/083661
【国際公開日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【出願人】(591007826)イエフペ エネルジ ヌヴェル (261)
【氏名又は名称原語表記】IFP ENERGIES NOUVELLES
【Fターム(参考)】
【公表日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年10月7日(2008.10.7)
【国際出願番号】PCT/FR2008/001399
【国際公開番号】WO2009/083661
【国際公開日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【出願人】(591007826)イエフペ エネルジ ヌヴェル (261)
【氏名又は名称原語表記】IFP ENERGIES NOUVELLES
【Fターム(参考)】
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