説明

ハイブリッド車およびその制御方法

【課題】蓄電装置から過大な電力が出力されるのを抑制しつつ浄化触媒を暖機する。
【解決手段】エンジンが運転停止された状態で浄化触媒の暖機要求がなされているときにおいて、要求パワーPr*がバッテリの出力制限Woutからヒータへの基本供給電力Phtmpを減じて得られる値(Wout−Phtmp)以下のときには基本供給電力Phtmpがヒータに供給されるようスイッチを制御し(S130,S140)、要求パワーPr*が値(Wout−Phtmp)よりも大きくバッテリの出力制限Wout以下のときには出力制限Woutと要求パワーPr*との差の電力がヒータに供給されるようスイッチを制御する(S130,S150)。これにより、バッテリから過大な電力が出力されるのを抑制しつつ浄化触媒を暖機することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハイブリッド車およびその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のハイブリッド車としては、エンジンからの動力やモータからの動力を用いて走行するものにおいて、車両が一般道路から高速道路の入口に設けられたETCゲートに進入したときに、ETCゲートに設けられたETC路側装置からの信号を受信し、エンジンが作動していないことを条件として、エンジンの排気経路に設けられた電気加熱式触媒をヒータによって加熱するものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。このハイブリッド車では、このタイミングで電気加熱式触媒を加熱することにより、高速道路の走行で高出力を得るためにエンジンを始動するときに、エンジンの始動直後でも電気加熱式触媒が十分に浄化性能を発揮できるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−265357号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述のハイブリッド車では、ヒータによって電気加熱式触媒を加熱している最中に走行に要求されるパワーが大きくなると、走行用のパワーとヒータに供給する電力とをバッテリからの電力で賄うためにバッテリから過大な電力が出力される場合が生じ得る。
【0005】
本発明のハイブリッド車およびその制御方法は、蓄電装置から過大な電力が出力されるのを抑制しつつ浄化触媒を暖機することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のハイブリッド車およびその制御方法は、上述の主目的を達成するために以下の手段を採った。
【0007】
本発明のハイブリッド車は、
排気を浄化する浄化触媒を有する浄化装置が排気系に取り付けられ走行用の動力を出力可能な内燃機関と、走行用の動力を入出力可能な電動機と、該電動機と電力のやりとりが可能な蓄電手段と、を備えるハイブリッド車であって、
電力の供給を受けて前記浄化触媒を加熱する触媒加熱手段と、
前記蓄電手段からの電力の前記触媒加熱手段への供給を司る電力供給手段と、
前記蓄電手段の状態に基づいて該蓄電手段から放電してもよい最大許容電力としての出力制限を設定する出力制限設定手段と、
走行に要求される要求トルクおよび要求パワーを設定する要求値設定手段と、
前記内燃機関が運転停止された状態で前記浄化触媒の暖機要求がなされているときに前記設定された要求パワーが前記設定された出力制限以下のとき、前記内燃機関が運転停止された状態で前記設定された要求トルクによって走行するよう前記内燃機関と前記電動機とを制御すると共に前記設定された出力制限と前記設定された要求パワーとの差以下の電力が前記触媒加熱手段に供給されるよう前記電力供給手段を制御する制御手段と、
を備えることを要旨とする。
【0008】
この本発明のハイブリッド車では、内燃機関が運転停止された状態で浄化触媒の暖機要求がなされているときに走行に要求される要求パワーが蓄電手段から放電してもよい最大許容電力としての出力制限以下のとき、内燃機関が運転停止された状態で走行に要求される要求トルクによって走行するよう内燃機関と電動機とを制御すると共に出力制限と要求パワーとの差以下の電力が触媒加熱手段に供給されるよう電力供給手段を制御する。これにより、要求パワーと触媒加熱手段に供給される電力との和が蓄電手段の出力制限以下となる範囲内で、要求トルクによって走行すると共に触媒加熱手段によって浄化触媒を暖機することができる。したがって、蓄電手段から過大な電力が出力されるのを抑制しつつ浄化触媒を暖機することができる。もとより、内燃機関を運転停止した状態で浄化触媒を暖機するから、浄化触媒の暖機のための内燃機関の運転による燃料消費を抑制することができる。
【0009】
こうした本発明のハイブリッド車において、前記制御手段は、前記浄化触媒の暖機要求がなされているときに前記設定された要求パワーが前記設定された出力制限以下のとき、前記触媒加熱手段に供給すべき電力の基本値としての基本供給電力を設定し、前記設定された要求パワーが前記設定された出力制限と前記設定した基本供給電力との差以下のときには前記設定した基本供給電力が前記触媒加熱手段に供給されるよう前記電力供給手段を制御し、前記設定された要求パワーが前記設定された出力制限と前記設定した基本供給電力との差よりも大きいときには前記設定された出力制限と前記設定された要求パワーとの差の電力が前記触媒加熱手段に供給されるよう前記電力供給手段を制御する手段である、ものとすることもできる。この態様の本発明のハイブリッド車において、前記内燃機関をモータリング可能なモータリング手段を備え、前記制御手段は、前記内燃機関が運転停止された状態で前記浄化触媒の暖機要求がなされているときに前記設定された要求パワーが前記設定された出力制限以下のとき、前記設定された要求パワーが前記設定された出力制限と前記設定した基本供給電力との差よりも大きい所定超過状態であることを含む所定の始動条件が成立したときには、前記モータリング手段によって前記内燃機関がモータリングされて始動されるよう前記内燃機関と前記モータリング手段とを制御する手段である、ものとすることもできる。こうすれば、浄化触媒の暖機要求がなされているときにおいて、要求パワーが蓄電手段の出力制限よりも大きくなるまで内燃機関を始動しないものに比して内燃機関をより始動しやすくすることが可能となる。この結果、要求パワーが出力制限よりも大きくなったときなどに、要求パワーにより迅速に対応することが可能となる。この態様の本発明のハイブリッド車において、前記所定の始動条件は、前記所定超過状態が予め定められた所定時間以上に亘って継続したとき、または、前記所定超過状態になる頻度が予め定められた所定頻度以上のときに成立する条件である、ものとすることもできる。
【0010】
さらに、本発明のハイブリッド車において、前記制御手段は、前記内燃機関が運転されていて前記浄化触媒の暖機要求がなされているとき、前記浄化触媒の温度が低いほど遅くなる傾向のタイミングでの点火を伴って前記内燃機関が運転されるよう前記内燃機関を制御する手段である、ものとすることもできる。
【0011】
あるいは、本発明のハイブリッド車において、前記制御手段は、前記内燃機関が運転されていて前記浄化触媒の暖機要求がなされているとき、前記浄化触媒の温度が該浄化触媒の暖機要求がなされる温度範囲の上限よりも低い温度として予め定められた所定温度以下のときには前記触媒加熱手段への電力供給が行なわれるよう前記電力供給手段を制御し、前記浄化触媒の温度が前記所定温度よりも高いときには前記触媒加熱手段への電力供給が行なわれないよう前記電力供給手段を制御する手段である、ものとすることもできる。
【0012】
加えて、本発明のハイブリッド車において、前記制御手段は、前記浄化触媒の温度が高いほど小さくなる傾向に前記基本供給電力を設定する手段である、ものとすることもできる。
【0013】
本発明のハイブリッド車の制御方法は、
排気を浄化する浄化触媒を有する浄化装置が排気系に取り付けられ走行用の動力を出力可能な内燃機関と、走行用の動力を入出力可能な電動機と、該電動機と電力のやりとりが可能な蓄電手段と、電力の供給を受けて前記浄化触媒を加熱する触媒加熱手段と、前記蓄電手段からの電力の前記触媒加熱手段への供給を司る電力供給手段と、を備えるハイブリッド車の制御方法であって、
前記内燃機関が運転停止された状態で前記浄化触媒の暖機要求がなされているときに走行に要求される要求パワーが前記蓄電手段から放電してもよい最大許容電力としての出力制限以下のとき、前記内燃機関が運転停止された状態で走行に要求される要求トルクによって走行するよう前記内燃機関と前記電動機とを制御すると共に前記出力制限と前記要求パワーとの差以下の電力が前記触媒加熱手段に供給されるよう前記電力供給手段を制御する、
ことを特徴とする。
【0014】
この本発明のハイブリッド車の制御方法では、内燃機関が運転停止された状態で浄化触媒の暖機要求がなされているときに走行に要求される要求パワーが蓄電手段から放電してもよい最大許容電力としての出力制限以下のとき、内燃機関が運転停止された状態で走行に要求される要求トルクによって走行するよう内燃機関と電動機とを制御すると共に出力制限と要求パワーとの差以下の電力が触媒加熱手段に供給されるよう電力供給手段を制御する。これにより、要求パワーと触媒加熱手段に供給される電力との和が蓄電手段の出力制限以下となる範囲内で、要求トルクによって走行すると共に触媒加熱手段によって浄化触媒を暖機することができる。したがって、蓄電手段から過大な電力が出力されるのを抑制しつつ浄化触媒を暖機することができる。もとより、内燃機関を運転停止した状態で浄化触媒を暖機するから、浄化触媒の暖機のための内燃機関の運転による燃料消費を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一実施例としてのハイブリッド自動車20の構成の概略を示す構成図である。
【図2】エンジン22の構成の概略を示す構成図である。
【図3】ハイブリッド用電子制御ユニット70により実行されるモータ運転モード触媒暖機要求時制御ルーチンの一例を示すフローチャートである。
【図4】要求トルク設定用マップの一例を示す説明図である。
【図5】基本供給電力設定用マップの一例を示す説明図である。
【図6】モータ運転モードで走行しているときの動力分配統合機構30の回転要素における回転数とトルクとの力学的な関係を示す共線図を示す説明図である。
【図7】ハイブリッド用電子制御ユニット70により実行されるエンジン運転触媒暖機要求時制御ルーチンの一例を示すフローチャートである。
【図8】点火時期補正値設定用マップの一例を示す説明図である。
【図9】エンジン22の動作ラインの一例と目標回転数Ne*と目標トルクTe*とを設定する様子を示す説明図である。
【図10】エンジン22が運転されている状態で走行しているときの動力分配統合機構30の回転要素における回転数とトルクとの力学的な関係を示す共線図を示す説明図である。
【図11】変形例のハイブリッド自動車120の構成の概略を示す構成図である。
【図12】変形例のハイブリッド自動車220の構成の概略を示す構成図である。
【図13】変形例のハイブリッド自動車320の構成の概略を示す構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
次に、本発明を実施するための形態を実施例を用いて説明する。
【実施例】
【0017】
図1は、本発明の一実施例としてのハイブリッド自動車20の構成の概略を示す構成図である。実施例のハイブリッド自動車20は、図示するように、エンジン22と、エンジン22の出力軸としてのクランクシャフト26にダンパ28を介して接続された3軸式の動力分配統合機構30と、動力分配統合機構30に接続された発電可能なモータMG1と、動力分配統合機構30に接続された駆動軸としてのリングギヤ軸32aに取り付けられた減速ギヤ35と、この減速ギヤ35に接続されたモータMG2と、車両全体をコントロールするハイブリッド用電子制御ユニット70とを備える。
【0018】
エンジン22は、例えばガソリンまたは軽油などの炭化水素系の燃料により動力を出力可能な内燃機関として構成されており、図2に示すように、エアクリーナ122により清浄された空気をスロットルバルブ124を介して吸入すると共に燃料噴射弁126からガソリンを噴射して吸入された空気とガソリンとを混合し、この混合気を吸気バルブ128を介して燃料室に吸入し、点火プラグ130による電気火花によって爆発燃焼させて、そのエネルギにより押し下げられるピストン132の往復運動をクランクシャフト26の回転運動に変換する。エンジン22からの排気は、一酸化炭素(CO)や炭化水素(HC),窒素酸化物(NOx)の有害成分を浄化する浄化触媒134aを有する浄化装置134を介して外気へ排出される。この浄化装置134には、通電すると通電抵抗により発熱する発熱部材(例えば、ステンレスなど)としてのヒータ134bが取り付けられている。ヒータ134bは、一端が導電ラインによりスイッチ134cを介してバッテリ50の正極端子に接続されており、他端が導電ラインにより接地されている。したがって、スイッチ134cをオンとすることによりバッテリ50からヒータ134bに電力を供給して浄化触媒134aを加熱することができ、スイッチ134cのデューティ比を調整する(以下、デューティ制御という)ことにより、バッテリ50からヒータ134bに供給する電力を調整することができる。
【0019】
エンジン22は、エンジン用電子制御ユニット(以下、エンジンECUという)24により制御されている。エンジンECU24は、CPU24aを中心とするマイクロプロセッサとして構成されており、CPU24aの他に処理プログラムを記憶するROM24bと、データを一時的に記憶するRAM24cと、図示しない入出力ポートおよび通信ポートとを備える。エンジンECU24には、エンジン22の状態を検出する種々のセンサからの信号、例えば、クランクシャフト26の回転位置を検出するクランクポジションセンサ140からのクランクポジションやエンジン22の冷却水の温度を検出する水温センサ142からの冷却水温,燃焼室内に取り付けられた図示しない圧力センサからの筒内圧力,燃焼室へ吸排気を行なう吸気バルブ128や排気バルブを開閉するカムシャフトの回転位置を検出するカムポジションセンサ144からのカムポジション,スロットルバルブ124のポジションを検出するスロットルバルブポジションセンサ146からのスロットルポジション,吸気管に取り付けられたエアフローメータ148からのエアフローメータ信号,同じく吸気管に取り付けられた温度センサ149からの吸気温,浄化装置134に取り付けられた温度センサ134dからの触媒温度Tc,空燃比センサ135aからの空燃比,酸素センサ135bからの酸素信号などが入力ポートを介して入力されている。また、エンジンECU24からは、エンジン22を駆動するための種々の制御信号、例えば、燃料噴射弁126への駆動信号や、スロットルバルブ124のポジションを調節するスロットルモータ136への駆動信号、イグナイタと一体化されたイグニッションコイル138への制御信号、吸気バルブ128の開閉タイミングの変更可能な可変バルブタイミング機構150への制御信号,スイッチ134cへの駆動信号などが出力ポートを介して出力されている。なお、エンジンECU24は、ハイブリッド用電子制御ユニット70と通信しており、ハイブリッド用電子制御ユニット70からの制御信号によりエンジン22を運転制御すると共に必要に応じてエンジン22の運転状態に関するデータを出力する。なお、エンジンECU24は、クランクポジションセンサ140からのクランクポジションに基づいてクランクシャフト26の回転数、即ちエンジン22の回転数Neも演算している。
【0020】
動力分配統合機構30は、外歯歯車のサンギヤ31と、このサンギヤ31と同心円上に配置された内歯歯車のリングギヤ32と、サンギヤ31に噛合すると共にリングギヤ32に噛合する複数のピニオンギヤ33と、複数のピニオンギヤ33を自転かつ公転自在に保持するキャリア34とを備え、サンギヤ31とリングギヤ32とキャリア34とを回転要素として差動作用を行なう遊星歯車機構として構成されている。動力分配統合機構30は、キャリア34にはエンジン22のクランクシャフト26が、サンギヤ31にはモータMG1が、リングギヤ32にはリングギヤ軸32aを介して減速ギヤ35がそれぞれ連結されており、モータMG1が発電機として機能するときにはキャリア34から入力されるエンジン22からの動力をサンギヤ31側とリングギヤ32側にそのギヤ比に応じて分配し、モータMG1が電動機として機能するときにはキャリア34から入力されるエンジン22からの動力とサンギヤ31から入力されるモータMG1からの動力を統合してリングギヤ32側に出力する。リングギヤ32に出力された動力は、リングギヤ軸32aからギヤ機構60およびデファレンシャルギヤ62を介して、最終的には車両の駆動輪63a,63bに出力される。
【0021】
モータMG1およびモータMG2は、いずれも発電機として駆動することができると共に電動機として駆動できる周知の同期発電電動機として構成されており、インバータ41,42を介してバッテリ50と電力のやりとりを行なう。インバータ41,42とバッテリ50とを接続する電力ライン54は、各インバータ41,42が共用する正極母線および負極母線として構成されており、モータMG1,MG2のいずれかで発電される電力を他のモータで消費することができるようになっている。したがって、バッテリ50は、モータMG1,MG2のいずれかから生じた電力や不足する電力により充放電されることになる。なお、モータMG1,MG2により電力収支のバランスをとるものとすれば、バッテリ50は充放電されない。モータMG1,MG2は、いずれもモータ用電子制御ユニット(以下、モータECUという)40により駆動制御されている。モータECU40には、モータMG1,MG2を駆動制御するために必要な信号、例えばモータMG1,MG2の回転子の回転位置を検出する回転位置検出センサ43,44からの信号や図示しない電流センサにより検出されるモータMG1,MG2に印加される相電流などが入力されており、モータECU40からは、インバータ41,42へのスイッチング制御信号が出力されている。モータECU40は、ハイブリッド用電子制御ユニット70と通信しており、ハイブリッド用電子制御ユニット70からの制御信号によってモータMG1,MG2を駆動制御すると共に必要に応じてモータMG1,MG2の運転状態に関するデータをハイブリッド用電子制御ユニット70に出力する。なお、モータECU40は、回転位置検出センサ43,44からの信号に基づいてモータMG1,MG2の回転数Nm1,Nm2も演算している。
【0022】
バッテリ50は、バッテリ用電子制御ユニット(以下、バッテリECUという)52によって管理されている。バッテリECU52には、バッテリ50を管理するのに必要な信号、例えば、バッテリ50の端子間に設置された電圧センサ51aからの端子間電圧Vb,バッテリ50の出力端子に接続された電力ライン54に取り付けられた電流センサ51bからの充放電電流Ib,バッテリ50に取り付けられた温度センサ51cからの電池温度Tbなどが入力されており、必要に応じてバッテリ50の状態に関するデータを通信によりハイブリッド用電子制御ユニット70に出力する。また、バッテリECU52は、バッテリ50を管理するために電流センサ51bにより検出された充放電電流Ibの積算値に基づいて残容量(SOC)を演算したり、演算した残容量(SOC)と電池温度Tbとに基づいてバッテリ50を充放電してもよい最大許容電力としての入出力制限Win,Woutを演算している。なお、バッテリ50の入出力制限Win,Woutは、電池温度Tbに基づいて入出力制限Win,Woutの基本値を設定し、バッテリ50の残容量(SOC)に基づいて出力制限用補正係数と入力制限用補正係数とを設定し、設定した入出力制限Win,Woutの基本値に補正係数を乗じることにより設定することができる。
【0023】
ハイブリッド用電子制御ユニット70は、CPU72を中心とするマイクロプロセッサとして構成されており、CPU72の他に処理プログラムを記憶するROM74と、データを一時的に記憶するRAM76と、図示しない入出力ポートおよび通信ポートとを備える。ハイブリッド用電子制御ユニット70には、イグニッションスイッチ80からのイグニッション信号,シフトレバー81の操作位置を検出するシフトポジションセンサ82からのシフトポジションSP,アクセルペダル83の踏み込み量を検出するアクセルペダルポジションセンサ84からのアクセル開度Acc,ブレーキペダル85の踏み込み量を検出するブレーキペダルポジションセンサ86からのブレーキペダルポジションBP,車速センサ88からの車速Vなどが入力ポートを介して入力されている。ハイブリッド用電子制御ユニット70は、前述したように、エンジンECU24やモータECU40,バッテリECU52と通信ポートを介して接続されており、エンジンECU24やモータECU40,バッテリECU52と各種制御信号やデータのやりとりを行なっている。
【0024】
こうして構成された実施例のハイブリッド自動車20は、運転者によるアクセルペダル83の踏み込み量に対応するアクセル開度Accと車速Vとに基づいて駆動軸としてのリングギヤ軸32aに出力すべき要求トルクを計算し、この要求トルクに対応する要求動力がリングギヤ軸32aに出力されるように、エンジン22とモータMG1とモータMG2とが運転制御される。エンジン22とモータMG1とモータMG2の運転制御としては、要求動力に見合う動力がエンジン22から出力されるようにエンジン22を運転制御すると共にエンジン22から出力される動力のすべてが動力分配統合機構30とモータMG1とモータMG2とによってトルク変換されてリングギヤ軸32aに出力されるようモータMG1およびモータMG2を駆動制御するトルク変換運転モードや要求動力とバッテリ50の充放電に必要な電力との和に見合う動力がエンジン22から出力されるようにエンジン22を運転制御すると共にバッテリ50の充放電を伴ってエンジン22から出力される動力の全部またはその一部が動力分配統合機構30とモータMG1とモータMG2とによるトルク変換を伴って要求動力がリングギヤ軸32aに出力されるようモータMG1およびモータMG2を駆動制御する充放電運転モード、エンジン22の運転を停止してモータMG2からの要求動力に見合う動力をリングギヤ軸32aに出力するよう運転制御するモータ運転モードなどがある。
【0025】
次に、こうして構成された実施例のハイブリッド自動車20の動作、特に、浄化装置134の浄化触媒134aを暖機する際の動作について説明する。図3はハイブリッド用電子制御ユニット70により実行されるモータ運転モード触媒暖機要求時制御ルーチンの一例を示すフローチャートである。このルーチンは、モータ運転モードで走行していて浄化触媒134aの暖機要求がなされているときに所定時間毎(例えば数msec毎)に繰り返し実行される。なお、浄化触媒134aの暖機要求は、実施例では、温度センサ134dからの触媒温度Tcが浄化浄化触媒134aが活性化する温度範囲の下限として定められた活性化温度Tcact(例えば、400℃や450℃など)未満のときになされるものとした。
【0026】
モータ運転モード触媒暖機要求時制御ルーチンが実行されると、ハイブリッド用電子制御ユニット70のCPU72は、まず、アクセルペダルポジションセンサ84からのアクセル開度Accや車速センサ88からの車速V,温度センサ134dからの触媒温度Tc,モータMG2の回転数Nm2,バッテリ50の出力制限Woutなど制御に必要なデータを入力する処理を実行する(ステップS100)。ここで、モータMG2の回転数Nm2は、回転位置検出センサ44により検出されたモータMG2の回転子の回転位置に基づいて演算されたものをモータECU40から通信により入力するものとした。また、バッテリ50の出力制限Woutは、バッテリ50の電池温度Tbとバッテリ50の残容量(SOC)とに基づいて設定されたものをバッテリECU52から通信により入力するものとした。
【0027】
こうしてデータを入力すると、入力したアクセル開度Accと車速Vとに基づいて走行のために車両に要求されるトルクとして駆動輪63a,63bに連結された駆動軸としてのリングギヤ軸32aに出力すべき要求トルクTr*と走行のために車両に要求される要求パワーPr*とを設定する(ステップS110)。ここで、要求トルクTr*は、実施例では、アクセル開度Accと車速Vと要求トルクTr*との関係を予め定めて要求トルク設定用マップとしてROM74に記憶しておき、アクセル開度Accと車速Vとが与えられると記憶したマップから対応する要求トルクTr*を導出して設定するものとした。図4に要求トルク設定用マップの一例を示す。また、要求パワーPe*は、設定した要求トルクTr*にリングギヤ軸32aの回転数Nrを乗じたものと損失としてのロスLossとの和として計算することができる。なお、リングギヤ軸32aの回転数Nrは、車速Vに換算係数kを乗じること(Nr=k・V)によって求めたり、モータMG2の回転数Nm2を減速ギヤ35のギヤ比Grで割ること(Nr=Nm2/Gr)によって求めたりすることができる。
【0028】
続いて、触媒温度Tcに基づいて、ヒータ134bに供給すべき電力の基本値としての基本供給電力Phtmpを設定する(ステップS120)。ここで、基本供給電力Phtmpは、実施例では、触媒温度Tcと基本供給電力Phtmpとの関係を予め定めて基本供給電力設定用マップとしてROM74に記憶しておき、触媒温度Tcが与えられると記憶したマップから対応する基本供給電力Phtmpを導出して設定するものとした。基本供給電力設定用マップの一例を図5に示す。基本供給電力Phtmpは、図示するように、触媒温度Tcが活性化温度Tcact(例えば、400℃や450℃など)よりも低い所定温度Tcref(例えば、250℃や300℃など)以下の温度範囲では、浄化触媒134aを迅速に暖機するために、比較的大きな所定電力Ph1を設定し、触媒温度Tcが所定温度Tcrefより高く活性化温度Tcact未満の温度範囲では、ヒータ134bへの電力供給を抑制しつつ浄化触媒134aを暖機するために、触媒温度Tcが高いほど所定電力Ph1から小さくなる傾向に設定するものとした。
【0029】
次に、要求パワーPr*をバッテリ50の出力制限Woutおよびバッテリ50の出力制限Woutからヒータ134bへの基本供給電力Phtmpを減じて得られる値(Wout−Phtmp)と比較し(ステップS130)、要求パワーPr*が値(Wout−Phtmp)以下のときには、基本供給電力Phtmpをヒータ134bに供給すべき目標供給電力Ph*として設定してエンジンECU24に送信し(ステップS140)、モータMG1から出力すべきトルク指令Tm1*に値0を設定し(ステップS190)、要求トルクTr*を減速ギヤ35のギヤ比Grで除したものをモータMG2から出力すべきトルク指令Tm2*として設定し(ステップS200)、設定したモータMG1,MG2のトルク指令Tm1*,Tm2*をモータECU40に送信して(ステップS210)、本ルーチンを終了する。目標供給電力Ph*を受信したエンジンECU24は、ヒータ134bへの供給電力が目標供給電力Ph*になるようスイッチ134cをデューティ制御する。また、トルク指令Tm1*,Tm2*を受信したモータECU40は、トルク指令Tm1*でモータMG1が駆動されると共にトルク指令Tm2*でモータMG2が駆動されるようインバータ41,42のスイッチング素子のスイッチング制御を行なう。こうした制御により、バッテリ50の出力制限Woutの範囲内で、ヒータ134bによって浄化触媒134aを加熱することができると共にモータMG2から駆動軸としてのリングギヤ軸32aに要求トルクTr*を出力して走行することができる。もとより、エンジン22を運転停止した状態で浄化触媒134aを暖機するから、浄化触媒134aの暖機に適した運転状態(以下、触媒暖気運転状態という)でエンジン22を運転することによって浄化触媒134aを暖機するものに比して浄化触媒を134aを暖機する際のエンジン22による燃料消費を抑制することができる。モータ運転モードで走行しているときの動力分配統合機構30の回転要素における回転数とトルクとの力学的な関係を示す共線図を図6に示す。図中、左のS軸はモータMG1の回転数Nm1であるサンギヤ31の回転数を示し、C軸はエンジン22の回転数Neであるキャリア34の回転数を示し、R軸はモータMG2の回転数Nm2を減速ギヤ35のギヤ比Grで除したリングギヤ32の回転数Nrを示す。
【0030】
ステップS130で要求パワーPr*がバッテリ50の出力制限Woutより大きいときには、運転者の要求に対応するために、エンジン22を始動して(ステップS230)、本ルーチンを終了する。ここで、エンジン22の始動は、モータMG1からトルクを出力すると共にこのトルクの出力に伴って駆動軸としてのリングギヤ軸32aに出力されるトルクをモータMG2によりキャンセルするトルクを出力することによりエンジン22をクランキングし、エンジン22の回転数Neが所定回転数(例えば1000rpmなど)以上に至ったときに燃料噴射制御や点火制御などを開始することにより行なわれる。この場合、モータMG2から出力すべきトルクは、要求トルクTr*をリングギヤ軸32aに出力するためのトルクとエンジン22をクランキングする際にリングギヤ軸32aに作用するトルクをキャンセルするためのトルクとの和のトルクとなる。なお、実施例では、エンジン22を始動するときには、運転者の要求により十分に対応しつつエンジン22を迅速に始動するために、バッテリ50の出力制限Woutの範囲内ではなく、超過を許可する出力分としての所定超過出力Wsetを出力制限Woutに加えた上限出力(Wout+Wset)以下の範囲内でモータMG1,MG2を制御し、バッテリ50の上限出力(Wout+Wset)からモータMG1,MG2の消費電力の総和を減じて得られる値以下の電力がヒータ134bに供給されるようスイッチ134cをデューティ制御するものとした。こうして、浄化触媒134aの暖機の完了前にエンジン22が始動されると、本ルーチンの実行を終了し、図7に例示する後述のエンジン運転触媒暖機要求時制御ルーチンの実行を開始する。
【0031】
ステップS130で要求パワーPr*が値(Wout−Phtmp)よりも大きくバッテリ50の出力制限Wout以下のときには、バッテリ50の出力制限Woutから要求パワーPr*を減じて得られる値(Wout−Pr*)をヒータ134bへの目標供給電力Ph*として設定してエンジンECU24に送信する(ステップS150)。この場合、基本供給電力Phtmpではなく値(Wout−Pr*)をヒータ134aへの目標供給電力Ph*として設定してスイッチ134cをデューティ制御することにより、バッテリ50から過大な電力が出力されるのを抑制しつつ浄化触媒134aを暖機することができる。
【0032】
次に、前回にこのルーチンが実行されたときに要求パワーPr*が値(Wout−Phtmp)よりも大きくバッテリ50の出力制限Wout以下の状態としての所定超過状態ではなかったとき、即ち、今回に所定超過状態になったときには、所定超過状態の継続時間texの計時を値0から開始する(ステップS160,S170)。なお、前回以前にこのルーチンが実行されたときから所定超過状態を継続しているときには、継続時間texの計時を継続する。
【0033】
そして、計時中の継続時間texを閾値texrefと比較し(ステップS180)、所定超過状態の継続時間texが閾値texref未満のときには、モータMG1のトルク指令Tm1*に値0を設定し(ステップS190)、要求トルクTr*を減速ギヤ35のギヤ比Grで除したものをモータMG2のトルク指令Tm2*として設定し(ステップS200)、トルク指令Tm1*,Tm2*をモータECU40に送信して(ステップS210)、本ルーチンを終了する。ここで、閾値texrefは、要求パワーPr*がバッテリ50の出力制限Woutよりも大きくなったときにより迅速に対応するためにエンジン22を始動しておくことが好ましいと判断するのに要する時間であり、例えば、数秒〜数十秒などを用いることができる。
【0034】
所定超過状態が継続して継続時間texが閾値texref以上に至ると(ステップS180)、エンジン22を始動して(ステップS230)、本ルーチンを終了し、図7に例示するエンジン運転触媒暖機要求時制御ルーチンの実行を開始する。このように所定超過状態の継続時間texが閾値texref以上に至ったときにエンジン22を始動することにより、要求パワーPr*が出力制限Woutよりも大きくなるまでエンジン22を始動しないものに比してエンジン22をより始動しやすくなるから、要求パワーPr*がバッテリ50の出力制限Woutよりも大きくなったときにエンジン22からのパワーを用いて運転者の要求により迅速に対応しやすくすることができる。
【0035】
以上、モータ運転モード触媒暖機要求時制御ルーチンについて説明した。次に、図7に例示するエンジン運転触媒暖機要求時制御ルーチンについて説明する。このルーチンは、エンジン22の始動後で浄化触媒134aの暖機要求がなされているときに所定時間毎(例えば、数msec毎)に繰り返し実行される。
【0036】
エンジン運転触媒暖機要求時制御ルーチンが実行されると、ハイブリッド用電子制御ユニット70のCPU72は、まず、アクセルペダルポジションセンサ84からのアクセル開度Accや車速センサ88からの車速V,温度センサ134dからの触媒温度Tc,モータMG1,MG2の回転数Nm1,Nm2,バッテリ50の出力制限Woutなど制御に必要なデータを入力する処理を実行する(ステップS300)。ここで、モータMG2の回転数Nm2やバッテリ50の出力制限Woutの入力については上述した。モータMG1の回転数Nm1は、モータMG2の回転数Nm2と同様に入力することができる。
【0037】
こうしてデータを入力すると、図4の要求トルク設定用マップを用いてアクセル開度Accと車速Vとに基づいて駆動軸としてのリングギヤ軸32aに出力すべき要求トルクTr*を設定すると共に設定した要求トルクTr*にリングギヤ軸32aの回転数Nrを乗じたものと損失としてのロスLossとの和と要求パワーPr*を設定し(ステップS310)、触媒温度Tcに基づいて基本供給電力Phtmpを設定する(ステップS320)。エンジン22が運転されているときの基本供給電力Phtmpは、実施例では、エンジン22が運転停止されているときと同様に図5の基本供給電力設定用マップを用いて触媒温度Tcに基づいて設定するものとした。
【0038】
次に、要求パワーPr*をバッテリ50の出力制限Woutおよび値(Wout−Phtmp)と比較し(ステップS330)、要求パワーPr*が値(Wout−Phtmp)以下のときには基本供給電力Phtmpをヒータ134bへの目標供給電力Ph*として設定してエンジンECU24に送信し(ステップS340)、要求パワーPr*が値(Wout−Phtmp)よりも大きくバッテリ50の出力制限Wout以下のときには値(Wout−Pr*)をヒータ134bへの目標供給電力Ph*として設定してエンジンECU24に送信する(ステップS350)。
【0039】
続いて、触媒暖機運転状態でエンジン22が運転されるよう触媒暖機用の回転数Nsetをエンジン22の目標回転数Ne*に設定すると共に触媒暖機用のトルクTsetをエンジン22の目標トルクTe*に設定し(ステップS360)、触媒温度Tcに基づいて、エンジン22における点火時期を遅くするための補正値としての点火時期補正値ΔTfを設定し(ステップS400)、設定した目標回転数Ne*と目標トルクTe*と点火時期補正値ΔTfとをエンジンECU24に送信する(ステップS410)。目標回転数Ne*と目標トルクTe*と点火時期補正値ΔTfとを受信したエンジンECU24は、エンジン22を効率よく運転するための点火時期よりも点火時期補正値ΔTfだけ遅いタイミングでの点火を伴って目標回転数Ne*と目標トルクTe*とによって示される運転ポイントでエンジン22が運転されるようにエンジン22の吸入空気量制御や燃料噴射制御,点火制御を行なう。ここで、点火時期補正値ΔTfは、実施例では、触媒温度Tcと点火時期補正値ΔTfとの関係を予め定めて点火時期補正値設定用マップとして記憶しておき、触媒温度Tcが与えられると記憶したマップから対応する点火時期補正値ΔTfを導出して設定するものとした。点火時期補正値設定用マップの一例を図8に示す。点火時期補正値ΔTfは、図示するように、触媒温度Tcが低いほど点火時期を遅くする傾向に設定される。これは、触媒温度Tcが低いときにはエンジン22の燃焼エネルギの多くを熱として後段の浄化装置134に供給して浄化触媒134aの暖機を促進し、触媒温度Tcがある程度高いときには燃焼効率の向上と浄化触媒134aの暖機との両立を図るためである。このようにエンジン22を触媒暖機運転状態で運転することにより、ヒータ134bによる加熱とエンジン22からの排気との両方によって浄化触媒134aを暖機することができる。
【0040】
そして、エンジン22の目標回転数Ne*とモータMG2の回転数Nm2と動力分配統合機構30のギヤ比ρと減速ギヤ35のギヤ比Grとを用いて次式(1)によりモータMG1の目標回転数Nm1*を計算すると共に計算した目標回転数Nm1*と入力したモータMG1の回転数Nm1とエンジン22の目標トルクTe*と動力分配統合機構30のギヤ比ρとに基づいて式(2)によりモータMG1から出力すべきトルク指令Tm1*を計算し(ステップS420)、トルク指令Tm1*を動力分配統合機構30のギヤ比ρで除したものを要求トルクTr*に加えて更に減速ギヤ35のギヤ比Grで除してモータMG2のトルク指令Tm2*を次式(3)により計算し(ステップS430)、エンジン22の目標回転数Ne*や目標トルクTe*,点火時期補正値ΔTTfについてはエンジンECU24に、トルク指令Tm1*,Tm2*についてはモータECU40に送信して(ステップS440)、本ルーチンを終了する。エンジン22が運転されている状態で走行しているときの動力分配統合機構30の回転要素における回転数とトルクとの力学的な関係を示す共線図の一例を図10に示す。式(1)および式(3)は、図10の共線図を用いれば容易に導くことができる。また、式(2)は、モータMG1を目標回転数Nm1*で回転させるためのフィードバック制御における関係式であり、式(2)中、右辺第2項の「k1」は比例項のゲインであり、右辺第3項の「k2」は積分項のゲインである。
【0041】
Nm1*=Ne*・(1+ρ)/ρ-Nm2/(Gr・ρ) (1)
Tm1*=-ρ・Te*/(1+ρ)+k1・(Nm1*-Nm1)+k2・∫(Nm1*-Nm1)dt (2)
Tm2*=(Tr*+Tm1*/ρ)/Gr (3)
【0042】
ステップS330で要求パワーPr*がバッテリ50の出力制限Woutより大きいときには、目標供給電力Ph*に値0を設定してエンジンECU24に送信し(ステップS370)、要求パワーPr*から出力制限Woutを減じて得られる値をエンジン22に要求される要求パワーPe*として設定し(ステップS380)、設定したエンジン22の要求パワーPe*とエンジン22を効率よく動作させる動作ラインとに基づいてエンジン22を運転すべき運転ポイントとしての目標回転数Ne*と目標トルクTe*とを設定し(ステップS390)、触媒温度Tcに基づいて点火時期補正値ΔTfを設定し(ステップS400)、設定した目標回転数Ne*と目標トルクTe*とをエンジンECU24に送信し(ステップS410)、モータMG1,MG2のトルク指令Tm1*,Tm2*を設定してモータECU40に送信して(ステップS420〜S440)、本ルーチンを終了する。エンジン22の動作ラインの一例と目標回転数Ne*と目標トルクTe*とを設定する様子を図9に示す。図示するように、目標回転数Ne*と目標トルクTe*は、動作ラインと要求パワーPe*(Ne*×Te*)が一定の曲線との交点により求めることができる。このようにエンジン22を負荷運転することにより、運転者の要求に対応することができる。
【0043】
以上説明した実施例のハイブリッド自動車20によれば、エンジン22が運転停止された状態で浄化触媒134aの暖機要求がなされているときにおいて、要求パワーPr*がバッテリ50の出力制限Woutからヒータ134bへの基本供給電力Phtmpを減じて得られる値(Wout−Phtmp)以下のときには基本供給電力Phtmpがヒータ134bに供給されるようスイッチ134cを制御し、要求パワーPr*が値(Wout−Phtmp)よりも大きくバッテリ50の出力制限Wout以下のときにはバッテリ50の出力制限Woutと要求パワーPr*との差の電力がヒータ134bに供給されるようスイッチ134cを制御するから、バッテリ50から過大な電力が出力されるのを抑制しつつ浄化触媒134aを暖機することができる。
【0044】
実施例のハイブリッド自動車20では、要求パワーPr*が値(Wout−Phtmp)よりも大きくバッテリ50の出力制限Wout以下のときには、バッテリ50の出力制限Woutから要求パワーPr*を減じて得られる値(Wout−Pr*)を目標供給電力Ph*として設定するものとしたが、値(Wout−Pr*)以下の範囲内で目標供給電力Ph*を設定するものであれば如何なるものとしても構わない。
【0045】
実施例のハイブリッド自動車20では、モータ運転モードで走行しながら浄化触媒134aを暖機しているときにおいて、要求パワーPr*がバッテリ50の出力制限Wout以下のときには、所定超過状態の継続時間texが閾値tex以上に至ったときにエンジン22を始動するものとしたが、これに限られず、例えば、所定時間(例えば、数十秒〜数分など)内に所定超過状態に至った回数が所定回数(例えば、3回や5回など)以上のときや、所定時間(例えば、数十秒〜数分など)のうち所定超過状態となっていた時間の割合が所定割合(例えば、30%や50%など)以上のときなどに、エンジン22を始動するものとしてもよい。また、所定超過状態は、要求パワーPr*が値(Wout−Phtmp)よりも大きくバッテリ50の出力制限Wout以下の状態に限定されるものではなく、例えば、要求パワーPr*がバッテリ50の出力制限Woutよりも所定値ΔW(例えば、基本供給電力Phtmpよりも若干小さい値や若干大きい値など)だけ小さい値(Wout−ΔW)よりも大きく出力制限Wout以下の状態などとしてもよい。
【0046】
実施例のハイブリッド自動車20では、モータ運転モードで走行しながら浄化触媒134aを暖機しているときにおいて、要求パワーPr*がバッテリ50の出力制限Woutより大きいときや、要求パワーPr*がバッテリ50の出力制限Wout以下で所定超過状態の継続時間texが閾値texref以上に至ったときに、エンジン22を始動するものとしたが、要求パワーPr*がバッテリ50の出力制限Wout以下のときには、所定超過状態の継続時間texが閾値texref以上に至ったときや、所定時間内に所定超過状態に至った回数が所定回数以上のとき,所定時間のうち所定超過状態となっていた時間の割合が所定割合以上のときなどでもエンジン22を始動しないものとしてもよい。
【0047】
実施例のハイブリッド自動車20では、浄化触媒134aの暖機要求がなされているときには、図5に例示したように、触媒温度Tcが所定温度Tcref以下の温度範囲では所定電力Ph1をヒータ134bへの基本供給電力Phtmpに設定し、触媒温度Tcが所定温度Tcrefより高く活性化温度Tcact未満の温度範囲では触媒温度Tcが高いほど所定電力Ph1から小さくなる傾向にヒータ134bへの基本供給電力Phtmpを設定するものとしたが、触媒温度Tcと所定温度Tcrefとの大小関係に拘わらず、一定の電力(例えば、所定電力Ph1など)をヒータ134bへの基本供給電力Phtmpに設定するものとしてもよいし、触媒温度Tcが高いほど小さくなる傾向にヒータ134bへの基本供給電力Phtmpを設定するものとしてもよい。
【0048】
実施例のハイブリッド自動車20では、エンジン22を始動するときには、所定超過出力Wsetをバッテリ50の出力制限Woutに加えた上限出力(Wout+Wset)以下の範囲内でモータMG1,MG2を制御し、バッテリ50の上限出力(Wout+Wset)からモータMG1,MG2の消費電力の総和を減じて得られる値以下の電力がヒータ134bに供給されるようスイッチ134cをデューティ制御するものとしたが、バッテリ50の出力制限Woutの範囲内でモータMG1,MG2を制御し、出力制限WoutからモータMG1,MG2の消費電力の総和を減じて得られる値以下の電力がヒータ134bに供給されるようスイッチ134cをデューティ制御するものとしてもよい。
【0049】
実施例のハイブリッド自動車20では、エンジン22が運転されていて浄化触媒134aの暖機要求がなされているときのヒータ134への基本供給電力Phtmpは、エンジン22が運転停止されているときと同様に設定するものとしたが、例えば、触媒温度Tcが活性化温度Tcactよりも低い所定温度Tcref2(例えば、所定温度Tcrefと同一の温度など)以下の温度範囲ではエンジン22が運転停止されているときと同様に設定し、触媒温度Tcが所定温度Tcref2よりも高く活性化温度Tcact未満の温度範囲では値0を設定するものとしてもよいし、触媒温度Tcに拘わらず値0を設定するものとしてもよい。なお、ヒータ134bへの基本供給電力Phtmpが値0で目標供給電力Ph*が値0となるときには、ヒータ134bへの電力供給を行なわず、触媒暖機運転状態でのエンジン22の運転によって浄化触媒134aを暖機することになる。
【0050】
実施例のハイブリッド自動車20では、エンジン22が運転されていて浄化触媒134aの暖機要求がなされているときには、触媒温度Tcが低いほど点火時期を遅くする傾向に点火時期補正値ΔTfを設定するものとしたが、触媒温度Tcに拘わらず、点火時期を遅くする側の固定値を点火時期補正値ΔTfに設定するものとしてもよい。
【0051】
実施例のハイブリッド自動車20では、浄化装置134に取り付けられた温度センサ134dにより触媒温度Tcを検出するものとしたが、温度センサ134dを備えず、吸入空気量Qaの積算値や吸気温Ta,冷却水温Twなどに基づいて浄化触媒134aの温度を推定するものとしてもよい。
【0052】
実施例のハイブリッド自動車20では、エンジン22と、モータMG1と、エンジン22のクランクシャフト26とモータMG1の回転軸と駆動軸としてのリングギヤ軸32aとに接続された動力分配統合機構30と、リングギヤ軸32aに動力を出力するよう取り付けたモータMG2と、を備えるものとしたが、図11の変形例のハイブリッド自動車120に例示するように、駆動軸としてのリングギヤ軸32aが接続された車軸(駆動輪63a,63bが接続された車軸)とは異なる車軸(図11における車輪64a,64bに接続された車軸)に動力を出力するようモータMG2を取り付けるものとしてもよいし、図12のハイブリッド自動車220に例示するように、駆動輪63a,63bに接続された駆動軸に変速機230を介してモータMGを取り付け、モータMGの回転軸にクラッチ229を介してエンジン22を接続する構成とし、エンジン22からの動力をモータMGの回転軸と変速機230とを介して駆動軸に出力すると共にモータMGからの動力を変速機230を介して駆動軸に出力するものとしてもよい。また、図13の変形例のハイブリッド自動車320に例示するように、エンジン22からの動力を変速機330を介して駆動輪63a,63bに接続された車軸に出力すると共にモータMGからの動力を駆動輪63a,63bが接続された車軸とは異なる車軸(図13における車輪64a,64bに接続された車軸)に出力するものとしてもよい。
【0053】
また、こうしたハイブリッド自動車に適用するものに限定されるものではなく、自動車以外の車両の形態としてもよい。また、ハイブリッド車の制御方法の形態としてもよい。
【0054】
実施例の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係について説明する。実施例では、浄化触媒134aを有する浄化装置134が排気系に取り付けられたエンジン22が「内燃機関」に相当し、モータMG2が「電動機」に相当し、バッテリ50が「蓄電手段」に相当し、ヒータ134bが「触媒加熱手段」に相当し、スイッチ134cが「電力供給手段」に相当し、バッテリ50の充放電電流Ibの積算値に基づくバッテリ50の残容量(SOC)とバッテリ50の電池温度Tbとに基づいてバッテリ50から放電してもよい最大許容電力としての出力制限Woutを演算するバッテリECU52が「出力制限設定手段」に相当し、アクセル開度Accと車速Vとに基づいて要求トルクTr*を設定すると共に設定した要求トルクTr*と駆動軸としてのリングギヤ軸32aの回転数Nrとに基づいて要求パワーPr*を設定する図3のモータ運転モード触媒暖機要求時制御ルーチンのステップS110の処理や図7のエンジン運転触媒暖機要求時制御ルーチンのステップS310の処理を実行するハイブリッド用電子制御ユニット70が「要求値設定手段」に相当し、エンジン22が運転停止された状態で浄化触媒134aの暖機要求がなされているときにおいて、要求パワーPr*がバッテリ50の出力制限Wout以下のときに、要求パワーPr*がバッテリ50の出力制限Woutからヒータ134bへの基本供給電力Phtmpを減じて得られる値(Wout−Phtmp)以下のときには基本供給電力Phtmpをヒータ134bへの目標供給電力Ph*に設定してエンジンECU24に送信し、要求パワーPr*が値(Wout−Phtmp)よりも大きくバッテリ50の出力制限Wout以下のときにはバッテリ50の出力制限Woutと要求パワーPr*との差の電力をヒータ134bへの目標供給電力Ph*に設定してエンジンECU24に送信し、エンジン22が運転停止された状態で要求トルクTr*によって走行するようモータMG1,MG2のトルク指令Tm1*,Tm2*を設定してモータECU40に送信する図3のモータ運転モード触媒暖機要求時制御ルーチンを実行するハイブリッド用電子制御ユニット70と、トルク指令Tm1*,Tm2*に基づいてモータMG1,MG2を制御するモータECU40と、目標供給電力Ph*がヒータ134bに供給されるようスイッチ134cを制御するエンジンECU24と、が「制御手段」に相当する。
【0055】
ここで、「内燃機関」としては、ガソリンまたは軽油などの炭化水素系の燃料により動力を出力する内燃機関に限定されるものではなく、水素エンジンなど、排気を浄化する浄化触媒を有する浄化装置が排気系に取り付けられ走行用の動力を出力可能なものであれば如何なるタイプの内燃機関であっても構わない。「電動機」としては、同期発電電動機として構成されたモータMG2に限定されるものではなく、誘導電動機など、走行用の動力を入出力可能なものであれば如何なるタイプの電動機であっても構わない。「蓄電手段」としては、二次電池としてのバッテリ50に限定されるものではなく、キャパシタなど、電動機と電力のやりとりが可能なものであれば如何なるものとしても構わない。「触媒加熱手段」としては、ヒータ134bに限定されるものではなく、電力の供給を受けて浄化触媒を加熱するものであれば如何なるものとしても構わない。「電力供給手段」としては、スイッチ134cに限定されるものではなく、蓄電手段からの電力の触媒加熱手段への供給を司るものであれば如何なるものとしても構わない。「出力制限設定手段」としては、バッテリ50の充放電電流Ibの積算値に基づくバッテリ50の残容量(SOC)とバッテリ50の電池温度Tbとに基づいてバッテリ50から放電してもよい最大許容電力としての出力制限Woutを設定するものに限定されるものではなく、残容量(SOC)や電池温度Tbの他に例えばバッテリ50の内部抵抗などに基づいて出力制限Woutを設定するものなど、蓄電手段の状態に基づいて蓄電手段から放電してもよい最大許容電力としての出力制限を設定するものであれば如何なるものとしても構わない。「要求値設定手段」としては、アクセル開度Accと車速Vとに基づいて要求トルクTr*を設定すると共に設定した要求トルクTr*と駆動軸としてのリングギヤ軸32aの回転数Nrとに基づいて要求パワーPr*を設定するものに限定されるものではなく、アクセル開度Accだけに基づいて要求トルクを設定するものなど、走行に要求される要求トルクおよび要求パワーを設定するものであれば如何なるものとしても構わない。「制御手段」としては、ハイブリッド用電子制御ユニット70とエンジンECU24とモータECU40とからなる組み合わせに限定されるものではなく単一の電子制御ユニットにより構成されるなどとしてもよい。また、「制御手段」としては、エンジン22が運転停止された状態で浄化触媒134aの暖機要求がなされているときにおいて、要求パワーPr*がバッテリ50の出力制限Wout以下のときに、エンジン22が運転停止された状態で要求トルクTr*によって走行するようエンジン22とモータMG1,MG2とを制御し、要求パワーPr*がバッテリ50の出力制限Woutからヒータ134bへの基本供給電力Phtmpを減じて得られる値(Wout−Phtmp)以下のときには基本供給電力Phtmpがヒータ134bに供給されるようスイッチ134cを制御し、要求パワーPr*が値(Wout−Phtmp)よりも大きくバッテリ50の出力制限Wout以下のときにはバッテリ50の出力制限Woutと要求パワーPr*との差の電力がヒータ134bに供給されるようスイッチ134cを制御するものに限定されるものではなく、内燃機関が運転停止された状態で浄化触媒の暖機要求がなされているときに要求パワーが出力制限以下のとき、内燃機関が運転停止された状態で要求トルクによって走行するよう内燃機関と電動機とを制御すると共に出力制限と要求パワーとの差以下の電力が触媒加熱手段に供給されるよう電力供給手段を制御するものであれば如何なるものとしても構わない。
【0056】
なお、実施例の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係は、実施例が課題を解決するための手段の欄に記載した発明を実施するための形態を具体的に説明するための一例であることから、課題を解決するための手段の欄に記載した発明の要素を限定するものではない。即ち、課題を解決するための手段の欄に記載した発明についての解釈はその欄の記載に基づいて行なわれるべきものであり、実施例は課題を解決するための手段の欄に記載した発明の具体的な一例に過ぎないものである。
【0057】
以上、本発明を実施するための形態について実施例を用いて説明したが、本発明はこうした実施例に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々なる形態で実施し得ることは勿論である。
【産業上の利用可能性】
【0058】
本発明は、ハイブリッド車の製造産業などに利用可能である。
【符号の説明】
【0059】
20,120,220,320 ハイブリッド自動車、22 エンジン、24 エンジン用電子制御ユニット(エンジンECU)、24a CPU、24b ROM、24c RAM、26 クランクシャフト、28 ダンパ、30 動力分配統合機構、31 サンギヤ、32 リングギヤ、32a リングギヤ軸、33 ピニオンギヤ、34 キャリア、35 減速ギヤ、40 モータ用電子制御ユニット(モータECU)、41,42 インバータ、43,44 回転位置検出センサ、50 バッテリ、51 温度センサ、52 バッテリ用電子制御ユニット(バッテリECU)、54 電力ライン、60 ギヤ機構、62 デファレンシャルギヤ、63a,63b 駆動輪、64a,64b 車輪、70 ハイブリッド用電子制御ユニット、72 CPU、74 ROM、76 RAM、80 イグニッションスイッチ、81 シフトレバー、82 シフトポジションセンサ、83 アクセルペダル、84 アクセルペダルポジションセンサ、85 ブレーキペダル、86 ブレーキペダルポジションセンサ、88 車速センサ、122 エアクリーナ、124 スロットルバルブ、126 燃料噴射弁、128 吸気バルブ、130 点火プラグ、132 ピストン、134 浄化装置、134a 触媒、134b ヒータ、134c スイッチ、134d 温度センサ、135a 空燃比センサ、135b 酸素センサ、136,スロットルモータ、138 イグニッションコイル、140 クランクポジションセンサ、142 水温センサ、143 圧力センサ、144 カムポジションセンサ、146 スロットルバルブポジションセンサ、148 エアフローメータ、149 温度センサ、150 可変バルブタイミング機構、229 クラッチ、230,330 変速機、MG,MG1,MG2 モータ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
排気を浄化する浄化触媒を有する浄化装置が排気系に取り付けられ走行用の動力を出力可能な内燃機関と、走行用の動力を入出力可能な電動機と、該電動機と電力のやりとりが可能な蓄電手段と、を備えるハイブリッド車であって、
電力の供給を受けて前記浄化触媒を加熱する触媒加熱手段と、
前記蓄電手段からの電力の前記触媒加熱手段への供給を司る電力供給手段と、
前記蓄電手段の状態に基づいて該蓄電手段から放電してもよい最大許容電力としての出力制限を設定する出力制限設定手段と、
走行に要求される要求トルクおよび要求パワーを設定する要求値設定手段と、
前記内燃機関が運転停止された状態で前記浄化触媒の暖機要求がなされているときに前記設定された要求パワーが前記設定された出力制限以下のとき、前記内燃機関が運転停止された状態で前記設定された要求トルクによって走行するよう前記内燃機関と前記電動機とを制御すると共に前記設定された出力制限と前記設定された要求パワーとの差以下の電力が前記触媒加熱手段に供給されるよう前記電力供給手段を制御する制御手段と、
を備えるハイブリッド車。
【請求項2】
請求項1記載のハイブリッド車であって、
前記制御手段は、前記浄化触媒の暖機要求がなされているときに前記設定された要求パワーが前記設定された出力制限以下のとき、前記触媒加熱手段に供給すべき電力の基本値としての基本供給電力を設定し、前記設定された要求パワーが前記設定された出力制限と前記設定した基本供給電力との差以下のときには前記設定した基本供給電力が前記触媒加熱手段に供給されるよう前記電力供給手段を制御し、前記設定された要求パワーが前記設定された出力制限と前記設定した基本供給電力との差よりも大きいときには前記設定された出力制限と前記設定された要求パワーとの差の電力が前記触媒加熱手段に供給されるよう前記電力供給手段を制御する手段である、
ハイブリッド車。
【請求項3】
請求項2記載のハイブリッド車であって、
前記内燃機関をモータリング可能なモータリング手段を備え、
前記制御手段は、前記内燃機関が運転停止された状態で前記浄化触媒の暖機要求がなされているときに前記設定された要求パワーが前記設定された出力制限以下のとき、前記設定された要求パワーが前記設定された出力制限と前記設定した基本供給電力との差よりも大きい所定超過状態であることを含む所定の始動条件が成立したときには、前記モータリング手段によって前記内燃機関がモータリングされて始動されるよう前記内燃機関と前記モータリング手段とを制御する手段である、
ハイブリッド車。
【請求項4】
請求項3記載のハイブリッド車であって、
前記所定の始動条件は、前記所定超過状態が予め定められた所定時間以上に亘って継続したとき、または、前記所定超過状態になる頻度が予め定められた所定頻度以上のときに成立する条件である、
ハイブリッド車。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれか1つの請求項に記載のハイブリッド車であって、
前記制御手段は、前記内燃機関が運転されていて前記浄化触媒の暖機要求がなされているとき、前記浄化触媒の温度が低いほど遅くなる傾向のタイミングでの点火を伴って前記内燃機関が運転されるよう前記内燃機関を制御する手段である、
ハイブリッド車。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれか1つの請求項に記載のハイブリッド車であって、
前記制御手段は、前記内燃機関が運転されていて前記浄化触媒の暖機要求がなされているとき、前記浄化触媒の温度が該浄化触媒の暖機要求がなされる温度範囲の上限よりも低い温度として予め定められた所定温度以下のときには前記触媒加熱手段への電力供給が行なわれるよう前記電力供給手段を制御し、前記浄化触媒の温度が前記所定温度よりも高いときには前記触媒加熱手段への電力供給が行なわれないよう前記電力供給手段を制御する手段である、
ハイブリッド車。
【請求項7】
排気を浄化する浄化触媒を有する浄化装置が排気系に取り付けられ走行用の動力を出力可能な内燃機関と、走行用の動力を入出力可能な電動機と、該電動機と電力のやりとりが可能な蓄電手段と、電力の供給を受けて前記浄化触媒を加熱する触媒加熱手段と、前記蓄電手段からの電力の前記触媒加熱手段への供給を司る電力供給手段と、を備えるハイブリッド車の制御方法であって、
前記内燃機関が運転停止された状態で前記浄化触媒の暖機要求がなされているときに走行に要求される要求パワーが前記蓄電手段から放電してもよい最大許容電力としての出力制限以下のとき、前記内燃機関が運転停止された状態で走行に要求される要求トルクによって走行するよう前記内燃機関と前記電動機とを制御すると共に前記出力制限と前記要求パワーとの差以下の電力が前記触媒加熱手段に供給されるよう前記電力供給手段を制御する、
ことを特徴とするハイブリッド車の制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2011−105133(P2011−105133A)
【公開日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−262083(P2009−262083)
【出願日】平成21年11月17日(2009.11.17)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】