パターンドメディアの検査方法及びその装置
【課題】
スキャトロメトリを用いることにより、基板上に形成された線幅数100nm以下のパターンの断面形状を、例えばディスク全面を数マイクロメータ程度の領域毎に検査・測定することも可能となる。しかし、ディスク全面を数マイクロメータ程度の領域毎に検査・測定したパターンの幅や高さ等を全て表示することは困難であり、また全て表示することが必ずしも有効であるとはいえない。
【解決手段】
本発明では、パターンの幅や高さ、特にデバイスの性能に直接影響を及ぼすパターン断面の磁性体部分の断面積(単位長さあたりの体積)等の分布を独立に、又は組み合わせて表示する。また、結果の特徴を強調して表示する。さらに、リードライトテスト結果との相関を予め評価しておくことにより、パターン断面形状の検査・測定時に最終的な不良箇所の特定を可能とし、不良の発生を事前に防止することができる。
スキャトロメトリを用いることにより、基板上に形成された線幅数100nm以下のパターンの断面形状を、例えばディスク全面を数マイクロメータ程度の領域毎に検査・測定することも可能となる。しかし、ディスク全面を数マイクロメータ程度の領域毎に検査・測定したパターンの幅や高さ等を全て表示することは困難であり、また全て表示することが必ずしも有効であるとはいえない。
【解決手段】
本発明では、パターンの幅や高さ、特にデバイスの性能に直接影響を及ぼすパターン断面の磁性体部分の断面積(単位長さあたりの体積)等の分布を独立に、又は組み合わせて表示する。また、結果の特徴を強調して表示する。さらに、リードライトテスト結果との相関を予め評価しておくことにより、パターン断面形状の検査・測定時に最終的な不良箇所の特定を可能とし、不良の発生を事前に防止することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板上に形成された線幅100nm以下のパターンの断面形状を検査する方法に関し、例えば次世代のハードディスクメディアであるパターンドメディアや半導体デバイスの、パターン断面形状の検査または測定結果の表示方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ハードディスクドライブの記録容量は、近年益々大容量化の傾向にある。しかし、従来の基板ディスク上に磁性膜を成膜しただけのいわゆる連続媒体では、記録密度が1Tbit/in2程度が限界であり、それ以上の記録密度を実現する技術としてパターンドメディアの導入が計画されている。
【0003】
パターンドメディアとは、図11に示す様にディスク1101面上に、記録トラック0102を同心円状に形成するディスクリートトラックメディアと、記録単位(ビット)を独立させた島状のパターン0103として形成するビットパターンドメディアの2方式が検討されている。いずれの場合も、従来の連続媒体とは異なり、ディスクメディア上に数十nmピッチのパターンを形成するという特徴がある。
【0004】
そのため、新たにパターン形成のための製造プロセスが加わることとなり、同プロセスに起因する不良が発生することが懸念されている。例えば、図12はパターンの断面を模式的に示した図であるが、正常なパターン1201と比較してパターン断面形状が変形1202してしまうことや、パターンそのものが抜けてしまうこと1203等が欠陥として考えられる。
【0005】
これらのようなパターンの欠陥を検査する手段としては、原子間力顕微鏡(以下、AFM(atomic force microscope)と略す)や電子顕微鏡(以下、SEM(scanning electron microscope)と略す)等の手段の他に、いわゆるスキャットロメトリと呼ばれる光学式の検査方法がある。AFM及びSEMは当該技術分野において既知の技術である。
【0006】
スキャットロメトリとは一般的には、図13に示すように分光検出光学系1301で検査対象1302表面の分光反射率1303を検出し、検出した分光反射率1303に基づいて検査対象1302表面上に一様に形成された繰り返しパターン1304の断面形状を検出する手法を指す。一様に形成された繰り返しパターンの断面形状が異なると、その表面の分光反射率も異なることを利用し、検査対称表面の分光反射率から検査対象表面に一様に形成された繰り返しパターンの形状を検出することができる。形状の検出にはモデルフィッティングやライブラリマッチング等の手法が用いられる。
【0007】
光学式の手法であるスキャットロメトリは、AFMやSEMと比較して高速で検査が可能であるという特徴がある。
【0008】
スキャトロメトリを用いてパターンの正確な形状が計測でき、且つスループットの大きな検査方法が、下記特許文献1に開示されている。
【0009】
また、特許文献2には、パターンドメディアに複数波長の光を照射して、その分光反射率分布を求めて、フィッティングによりパターンの形状を求める方法について開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2007−133985号公報
【特許文献2】特開2009−150832号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
上述の通り、AFM,SEM又はスキャトロメトリを用いることにより、基板上に形成された線幅数100nm以下のパターンの断面形状を、検査・測定することができる。その結果、例えばディスク全面を数マイクロメータ程度の領域毎に検査・測定することも可能となる。
【0012】
しかし、ディスク全面を数マイクロメータ程度の領域毎に検査・測定したパターンの幅や高さ等を全て表示することは困難であり、また全て表示することが必ずしも有効であるとはいえない。パターンドメディアの製造プロセスを管理するためには、パターンドメディアの形状不良の分布に関して様々な情報が必要であるが、従来、このような形状不良の分布に関する情報を選択して提供できるパターンドメディアの検査装置が無かった。
【0013】
本発明の目的は、上記した従来技術の問題点を解決してパターンドメディアのディスク全面を検出し、ユーザが要求する検査結果の情報を見やすくに表示することが可能なパターンドメディアの検査装置及びその方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記した課題を解決するために、本発明では、パターンドメディアの検査装置を、ディスク上に多層膜からなるパターンが形成されたパターンドメディアを載置して回転と平面内での移動が可能なテーブル手段と、テーブル手段に載置されたパターンドメディアの表面に複数の波長の光を照射する光照射手段と、光照射手段により光が照射されたパターンドメディアの表面からの反射光を波長ごとに分光して検出する分光検出光学系手段と、分光検出光学系手段で波長ごとに分光して検出した分光反射率の情報を用いてディスク上に形成されたパターンの多層膜のうちの特定の膜の膜厚の分布を算出する膜厚分布算出手段と、膜厚分布算出手段で算出した特定の膜の膜厚のディスク上の分布に関する情報を画面上に表示する表示手段とを備えて構成した。
【0015】
また、上記した課題を解決するために、本発明では、パターンドメディアの検査方法において、ディスク上に多層膜からなるパターンが形成されたパターンドメディアの表面に複数の波長の光を照射し、光が照射されたパターンドメディアの表面からの反射光を波長ごとに分光して検出し、波長ごとに分光して検出したそれぞれの信号を用いてディスク上に形成されたパターンの多層膜のうちの特定の膜の膜厚の分布を算出し、算出した特定の膜の膜厚のディスク上の分布に関する情報を画面上に表示するようにした。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、検査・測定結果を直感的に理解することができる。また、最終的な検査工程であるR/Wテストまで待たずに不良となるか否かを特定することができ、早期のプロセスフィードバックが可能となる。さらに、その結果、不良発生を防止でき、コスト削減が期待できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1A】パターンドメディア検査装置の基本構成を示したブロック図である。
【図1B】ステージ部の構成の一例を示したブロック図である。
【図1C】分光検出光学系の構成の一例を示したブロック図である。
【図2】パターンドメディア検査装置の動作を示すフロー図である。
【図3】幅の異なる2つのバターン群の表面の分光反射率分布を示すグラフである。
【図4A】正常な形状のパターンの断面形状を示すパターンの断面図である。
【図4B】細い形状のパターンの断面形状を示すパターンの断面図である。
【図4C】太い形状のパターンの断面形状を示すパターンの断面図である。
【図5】磁性体の断面積に基づく不良判定の手順を示すフロー図である。
【図6】磁性体の断面積のディスク内分布とそれに基づく不良の判定結果を示す画面の正面図である。
【図7A】パターン形状が正常な場合のパターンのディスク面内分布を模式化して示したディスクの斜視図である。
【図7B】一部にパターン抜けがある場合のパターンのディスク面内分布を模式化して示したディスクの斜視図である。
【図8A】一部にパターン抜けがある場合のパターンのディスク面内分布のうち拡大して模式化して表示する領域を表示したディスクの斜視図である。
【図8B】一部にパターン抜けがある場合のパターンのディスク面内分布を拡大して模式化して表示した図である。
【図9】検査結果を表示する画面の正面図である。
【図10】検査結果にR/Wテストとの相関から求めた推定不良個所を重ねて表示する画面の正面図である。
【図11】パターンドメディアの概要を示すディスクの斜視図である。
【図12】パターンドメディアの欠陥の概要を示すディスクの断面図である。
【図13】スキャットロメトリの概要を示す分光検出光学系を含むシステムの概略構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
前述したAFM,SEM,スキャトロメトリ等で検査・測定した、その結果を表示する表示方法に関し、主として次世代のハードディスクメディアであるパターンドメディアの検査を例として説明する。
【0019】
図4A〜Cは、パターンドメディアの断面を模式的に示した図である(例として2トラック分0410A〜Cと0420A〜Cの断面図を示している)。同図に示すように、パターンは単一の材質でできているのではなく、複数の層で構成されている。0400A〜Cは基板、0401A〜Cは下地膜、0402A〜Cは磁性体、0403A〜Cは保護膜を表している。
【0020】
ハードディスクメディアは、基板上に形成された磁性体を磁化することにより、情報を記録することができる。そのため、ディスク基板上の磁性体の量は、記録媒体としての性能を左右する一因となる。例えば、磁性体の量が一定量よりも小さい場合には、磁化による記録自体はできるが、磁性体からの漏れ磁界が小さくなるために記録した情報を読み込むことができなくなる。
【0021】
パターンドメディアに関しても同様であり、パターン形成後のパターンを構成する磁性体の量がある一定値以上であることが必要となる。図4Aはパターン幅WAが適正でパターン0410Aとパターン0420Aとの間隔dAが適正な場合、図4Bはパターンの幅WBが小さい場合(この場合、パターン0410Bとパターン0420Bとの間隔dBは適正な範囲よりも大きくなっている)を示す。図4Cはパターン幅WCが大きすぎてパターン0410Cとパターン0420Cとの間隔dCが狭くなり、隣接パターン (トラック)との間を絶縁するための溝幅dCが狭くなっている状態を示す。このことから、磁性体0402A〜C層の量、即ち断面積(単位長さあたりの体積)がである範囲内にあることを検出する必要がある。
パターンを構成する磁性体0402A〜Cの断面積は、検査・測定したパターン0410A〜Cの断面形状からとパターン0410A〜Cの層構成とから特定することができる。パターン0410A〜Cを構成する各層の膜厚は予め測定しておき、パターン断面形状の検査・測定結果と組み合わせることで、各層の断面積を算出することができるのである。
まず、パターンドメディアの基板(ディスク)上に形成されたパターン形状の検査・測定を行う装置(パターンドメディア検査装置)について説明する。図1Aは本発明に係るパターンドメディア検査装置の基本構成を示したものである。本発明による検査装置は、検査対象であるパターンドメディアに検出光を照射しパターンドクメディアからの反射光を分光検出する分光検出光学系0101と、検査対象であるパターンドメディア0105を保持しパターンドメディア0105上の任意の位置で分光検出できるように光学系との位置を相対的に移動できるステージ部0102、分光器やステージの動作を制御する制御部0103及び分光検出データに基づいて対象表面に形成されたパターンの形状または形状異常を検出するデータ処理部0104、処理条件や検査条件を入力するとともにデータ処理した結果を表示する表示手段0105と他の検査装置でパターンドメディア0105を検査して得た情報や、設計情報を入力して記憶しておく記憶手段0106とを有する入出力部0107を備えて構成される。
【0022】
図1Bはステージ部の一例を示した概要図で、同図に示すとおりステージはディスク面と平行に移動するXステージ01021と、ディスク面に垂直な方向に移動するZステージ01022およびディスクを回転させるθステージ01023によって構成される。
【0023】
Zステージ01022は、分光検出光学系0101のフォーカス位置に検査対象ディスク0105を移動させるためのものであり、Xステージ01021とθステージ01023とは検査対象ディスク0105表面の任意の位置を分光検出光学系0101の検出視野内に移動させるためのものである。検査対象ディスク0105表面の任意の位置を分光検出光学系0101の検出視野内に移動させる方法としては、XYステージを用いる方法も考えられるが、検査対象がディスクであり検査対象となるパターンも同心円状または同心円上に形成されていることからXθステージの方が適している。また、例えばディスク0105表面全面を高速に検査することを目的とした場合には、XYステージよりもXθステージの方が単純な動作となるためより適している。
【0024】
図1Cは本発明による分光検出光学系の一例を示した図である。同図に示したように検出光学系は主として、光源01011、集光レンズ01012、ハーフミラー01013、偏光素子01014、対物レンズ01015、結像レンズ01016および分光器01017で構成される。光源01011から発射された光は集光レンズ01012で集光されてハーフミラー01013でその向きをかえ、偏光素子01014および対物レンズ01015を介して検査対象であるディスク0105に照射される。ディスク0105からの反射光は再び対物レンズ01015および偏光素子01014を通って結像レンズ01016で結像されて分光検出器01017に導かれる。
【0025】
このとき、分光検出器01017の入射口位置を結像レンズ01016の結像位置としておくと、入射口の形状よってディスク0105上の分光検出する領域を制限することができる。例えば、入射口の大きさをφ200μmとし、結像面での倍率を20倍とすると、ディスク0105上の分光検出領域の大きさはφ10μmとなる。
【0026】
より微細な欠陥を分光検出により検出するために大気中で検出可能な波長の限界である200nm付近の波長を利用しようとする場合、適用できる光学素子等は限られたものとなる。光源01011には、波長200nm付近以上の光を射出するキセノンランプや重水素ランプ等を用いることができる。ただし、検査対象によっては波長400nm程度以上でも十分性能を発揮できる場合もあり、その場合はハロゲンランプ等の可視光から赤外光の光を射出する光源を用いてもよい。
【0027】
本実施例の光学系では対物レンズ01014に反射型対物レンズを用いる。一般的に用いられる光透過型のレンズで構成された屈折型の対物レンズでは200nm付近から可視光までをブロードに適用できるものはほとんど無い。反射型対物レンズはミラーで構成されており、波長200nm付近から使用することができる。
【0028】
分光器には、ZEISSや浜松ホトニクス社等市販の分光器で200nm付近から適用できるものがあるので、これらを用いればよい。
【0029】
次に上記に構成を説明したパターンドメディア検査装置の動作を図2に示す。まず、必要に応じて予め中心と方向とを検出(アライメント)した検査対象ディスクをステージ上に設置する(S201)。次にZステージを駆動させて、検査対象ディスクを検出光学系のフォーカス位置に移動する(S202)。続いてXθステージを駆動させて、検査位置が検出光学系の直下となるように検査対象ディスクを移動する(S203)。ここで、検査対象ディスク表面の分光反射強度を検出し(S204)、上記データ処理部にてパターン形状・欠陥を検出する(S205)。これらステージの移動,分光検出およびデータ処理を繰返し(S206)、検査が終了した後に検査対象ディスクを取り出す(S207)。なお、ディスクのアライメント,ステージへの設置および取り出しに関する説明は割愛する。
【0030】
Xステージ01021およびθステージ01023をそれぞれ連続的に動作させて、検査を実行した場合には、ディスク上の螺旋状の領域を検査することができる。例えば、θステージ01023が一回転する間にXステージ01021が検出スポットサイズ分だけ移動するような動作を繰り返すことにより、ディスク全面を検査することができる。
【0031】
データ処理部0104は大きく分けて次の二つの処理を実行する。一つはディスク0105表面の反射率の算出であり、もう一つはディスク0105表面に形成されたパターン形状・欠陥検出処理である。本発明では検査対象のディスク0105表面の分光反射率に基づいて検査対象パターンの形状・欠陥を検出する。しかし、分光検出光学系0101で検出が可能なのは検査対象ディスク0105表面の分光強度分布である。そこで、予め分光検出光学系0101で鏡面Si基板の分光強度分布を検出しておき、これに対する比、すなわち相対反射率を用いる。比を求める際、分光検出器01017によっては分光強度データにバックグラウンドノイズが重畳している場合があり、これも予め検出しておき相対反射率算出の際には差し引いておく。このように算出した相対分光反射率に対して、パターン形状・欠陥検出処理を実行することにより、パターンの形状・欠陥を検出することができる。
本発明が主として対象としているパターンドメディアの場合には、ディスック0105上に大きさが数十nm程度の周期的なパターンが形成されている。このとき、パターンの高さや幅等が変化すると、パターンが形成された表面全体の分光反射率が変化する。一例を挙げると、図3は図4A及びBに示す幅の異なる2つのバターン群の場合の表面の分光反射率分布を示したものである。図3のグラフ中(a)は図4Aのパターンからの反射光を検出した信号波形に相当し、図3の(b)は図4Bのパターンからの反射光を検出した信号波形に相当する。図3から、パターン形状が異なると分光反射率分布も異なることがわかる。そのため、検出対象表面の分光反射率分布を求めることにより、対象パターンの形状を検出することができるのである。
【0032】
この様な周期的で微細なパターンの形状を検出する方法としては、いわゆるスキャットロメトリがある。例えばRCWA(Rigorous coupled−wave analysis)等の電磁波解析手法を用いることにより、パターン形状及びパターン材料の光学定数から検出対象表面の分光反射率分布を求めることができる。
【0033】
そこで、データ処理部0104でパターン高さや幅、層構造などのパターン形状を表す値をパラメータとして、予め様々なパラメータで検出対象表面の分光反射率分布を算出しておいて、実際に検出したディスク表面からの分光反射率分布と比較し最も近いものを抽出すれば、磁性体の断面を含む対象パターンの形状を検出することができる。
【0034】
または、実際に検出したディスク表面からの分光反射率分布に対して、上記RCWA等を用いて算出した分光反射率分布を、パターン高さや幅等パターン形状を表す値をパラメータとして合わせ込むことにより(フィッティング)、磁性体の断面を含む対象パターンの形状を検出することができる。
【0035】
この様に求めたパターンの磁性体の断面積が、予め設定したしきい値以上であるかどうかを判定することにより、該当部分が不良であるかどうかを判定することができる。すなわち、検査・測定して得た磁性体の断面積が、設定された値の範囲内であれば良とし、設定値の範囲から外れた場合には不良とする。
【0036】
また、上記の良否判定をディスク面内全域で実施することにより、該当ディスク自体が良品であるか不良であるかを判定することができる。すなわち磁性体の断面積に関して、ディスク面内の分布を求め、上記の不良個所が該当ディスク前面に占める割合が、ある一定値以上であればそのディスクは不良であると判断することができる。
【0037】
上記の判定手順の一例を図5に示す。まず、パターン断面形状の検査・測定を行い(S501),その結果に基づいて磁性体の断面積を算出し(S502)、その値が予め設定した下限しきい値以上かどうかをチェックして(S503)、下限しきい値よりも小さい場合には磁性体不足不良(C501)と分類する。次に上限しきい値と比較して(S504)、上限しきい値よりも大きい場合には絶縁不良(CS502)と分類する。この動作を検査対象領域全面の検査が終了するまで繰り返し(S505)、検査対象領域全面の検査が終了した後、最後にS503で不良個所数を予め設定したしきい値と比較し(S506),不良個所数がしきい値以下であれば、そのディスクは良品(C503)と分類し、しきい値以上の場合には不良品(C504)と分類する。
【0038】
以上は、記録性能に直接影響を及ぼす磁性体の断面積について述べたが、磁性体以外の層の断面積や、パターンの高さや幅、溝深さ、傾斜角その他パターンの形状を表す値が、性能に大きな影響を及ぼす例があり、同様の判定方法が適用できる場合がある。
【0039】
図6にディスク0601の面内の分布を入出力部0106の表示手段0105の画面0600上に表示する方法の一例を示す。同図は、図中画面0600の左上のボックス0650に示すパターン0610の断面において、下地膜0611上に形成されて上面を保護膜0613で覆われている磁性体0612部分の断面積の分布を示した場合を表している。同図に示す様に等高線0603を用いて示す方法が最も簡単な方法である。また、立体的に3D表示する方法でもよい(図示せず)。
【0040】
この様に分布を表示することで、ディスク0601の面内でのパターン0610の断面形状の傾向を把握することができる。
【0041】
分布を表示と重ねて上記の良否判定による不良個所を表示することもできる。図6のディスク0601上に斜線でハッチングした部分0604及び0605が不良個所を表している。不良個所0604は、図5で説明した上限しきい値以上の不良C502を表しおり、不良個所0605は同様に下限しきい値以下の不良C501を示している。図6ではハッチングの種類により識別する例を示しているが、色分けする方がわかりやすい(図示せず)。
【0042】
この様に分布を表示することで、ディスク上のどこでどの様な不良が発生しているかが一目でわかるようになる。
【0043】
しかし、この様な方法ではパターン高さや幅等の形状を表すパラメータを複数同時に示すことはできない。そこで、パターンの幅に対しては色を割り当てる方法が考えられる。例えば、一般的なカラー表示の地図において、高さに対して色を割り当てる様に、パターンの幅に対して色を割り当て等高線または3D表示と色とを組み合わせれば、2つの項目を表示することが可能である(図示せず)。
【0044】
ただし、このような組み合わせにおいても、表示可能な項目は多くて2つまでであり、その他の形状を表すパラメータを同時に示すことができず、パターンの断面形状を直感的に知ることはできない。
【0045】
そこで、本発明では、図7A及びBに示すように、パターン形状の分布を模式化して表示する。同図は、例としてビットパターンドメディアの場合を示しており、ディディスク0701上に模式化したパターン0702を示している。同図では、省略してディスク上の一部しか模式化したパターンを示していないが、実際には全面に表示する。
【0046】
SEM等を用いなければ実際にパターンの形状を確認することはできないが、パターン断面形状検査・測定結果を、特定の大きさの領域で平均化、もしくはパターンの抜けやショート等の不良を特徴として抽出して表示することにより、面内でのパターンの分布や不良を直感的に認識することが可能となる。
【0047】
例えば、形状の分布については比較的緩やかな形状変化しかなければ、図7Aに示すような表示となる。この場合、表示の最小単位である1つのパターンの形状は、同じ領域内での検査・測定結果の平均形状として表示する。
【0048】
一方、形状変化が急峻で、表示の最小単位である1周期分のパターンよりも十分小さい領域で生じている場合には、単純に平均化してしまうと、その様な変化は埋没してしまうことが考えられる。この場合は、単純に平均化するのではなく、急峻な変化を、この部分の特徴として表示する。
【0049】
パターンが形成されていない等その他の不良等についても同様に、それらの不良をその部分の特徴として表示する。図7Bに、パターンが形成されてない部分0703がある場合の例を示す
また、図7Bに示す形状の急峻な変化が表示された場合には、その不良の原因を解析するために、正確な場所を特定する必要がある。そのため結果の表示は、必要に応じて拡大または縮小することができる。
【0050】
表示を拡大または縮小する場合、図8Aに示したように表示を単純に拡大または縮小しただけでは、パターンが大きくまたは小さく表示されるだけで特に有用ではない。そこで、拡大または縮小の倍率に応じて、平均化または特徴抽出する領域の大きさ(表示の最小単位)も変化させる。図8Bに拡大した場合の例を示す。同図8Bは図8Aに太線0710で示す領域を拡大して表示した例を示している。この例では、拡大にともない表示の最小単位を小さくして半径方向の分解能を高くした場合を示している。この様に平均化等の領域を小さくすれば、より詳細なパターン形状を確認することができる。
【0051】
表示を拡大していくと、ついにはパターン形状検査・計測結果と同じものとなる。この場合はパターン形状検査・測定結果をそのまま表示する。
【0052】
表示拡大を最大にすることなしに、パターン形状検査・測定結果を表示することも可能である。
【0053】
上述した、拡大や縮小等の操作は煩雑となりがちである。そこで、以下に示すようにマウスで操作する。
【0054】
図9は結果表示画面0900の一例を示している。同図には、パターン断面モデルの表示領域0910、ディスク全体の表示領域0920、パターン形状検査・測定結果の模式図の表示領域0930及びパターン形状検査・測定結果そのものの表示領域0940で構成される。
パターン断面モデルの表示領域0910には、図6の領域0650に表示したものと同じパターン形状検査・測定におけるモデルの構造0610を表示しており、このモデル構造0610の特定部位を図示していないマウスでクリックすると、ディスク全体の表示でクリックした項目の分布が表示される。
ディスク全体の表示領域0920には、図6に示した検査結果のディスク0601上の分布が表示される。また、ディスク全体の表示領域0920では、アライメントパターン等の検出により、常にディスク0601の方向が特定されるように表示をする。また、領域0930及び0940に現在表示している、パターン形状検査・測定結果の模式図及び結果そのものの、ディスク上での位置を矢印0905や×印0906で表示する。すなわち、ディスク全体の表示領域0920の矢印0905がパターン形状検査・測定結果の模式図表示領域0930で表示しているディスク0701上に表示した矢印0931で示した直線0932の方向を示しており、同図中の×印0906がパターン形状検査・測定結果表示領域0940で表示しているパターン形状0941のディスク0701上の場所を示している。
【0055】
パターン形状検査・測定結果の模式図の表示領域0930には、例としてディスク0701を鳥瞰図的に表示した場合を示している。
【0056】
パターン形状検査・測定結果そのものの表示領域0940では、検査・測定したパターンの形状を表示する(同図は指定個所と左右それぞれ2つのパターンを示している)。
【0057】
ディスク全体の表示領域0920およびパターン形状検査・測定結果の模式図の表示領域0930の表示箇所は、ディスク全体図の表示領域0920に表示されたディスク0601上をマウスでクリックすることにより指定する。詳細な位置指定については、パターン形状検査・測定結果の模式図の表示領域0930に表示されたディスク0701上でマウスを左右に動かすことでディスクのr方向の操作を、マウスを前後方向に動かすことでθ方向の操作を実行する。
【0058】
拡大と縮小については、マウスのホイールの回転方向に拡大と縮小を割り当てることにより操作する。
【0059】
上記操作方法は一例であり、各操作にマウスのボタンを割り当ててもよいし、一部の操作をキーボードに割り当ててもよい。
【0060】
パターン形状検査・測定の結果、上述のように不良個所の特定ができる。特定した不良個所は、上記の結果表示にて特定個所として明示する。
【0061】
また、特定した不良個所は、その後の工程を経ても回復することはなく、最終的な検査工程であるR/Wテストに於いても不良と判断されることが多い。そこで、予めR/Wテストとパターン形状検査・測定結果との相関を評価しておくことにより、R/Wテストを待たずに不良の発生を確認することが可能となる。
【0062】
図10は図6に示した表示場面上でディスク0601の全体図に、予め評価した相関に基づいてパターン形状検査・測定結果から求めたR/Wテストでの推定不良個所を重ねて表示した画面1010の例を示している。黒く塗りつぶした部分1001と1992がR/Wテストでの推定不良個所である。同図に示すとおり、磁性体の断面積に基づいて判定して不良個所0604及び0605と、R/Wテストとの相関に基づいて判定した不良個所1001及び1992とが概ね一致していることがわかる。
【0063】
このことから、少なくともパターン形状検査・測定結果に基づいて磁性体の断面積を評価することにより、R/Wテストでの不良個所を推定することができる。
【0064】
同様に他の種類の不良についても、相関を評価しておけば、R/Wテストを待たずに不良を検出することができる。
【0065】
上述と同様に、不良個所がディスク面内で占める割合が一定以上となった場合には、そのディスクは不良と判断することができ、その後の工程に進めない等の判断をすることが可能となる。
【符号の説明】
【0066】
0101・・・パターンドメディアディスク 0102・・・トラックパターン 0103・・・ビットパターン 0201・・・正常なパターン断面
0202・・・形状が変形したパターン断面 0203・・・パターンの抜け 0301・・・分光検出光学系 0302・・・検査対象基板 0304・・・繰り返しパターン 0401・・・パターン断面形状 0402・・・磁性体 0604・・・形状不良個所(磁性体不足)
0605・・・形状不良個所(絶縁不良) 0710・・・ディスク
0903・・・パターン形状検査・測定結果の模式図が表示された画面
0904・・・パターン形状検査・測定結果そのものが表示された画面
1001・・・R/Wテストでの推定不良個所。
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板上に形成された線幅100nm以下のパターンの断面形状を検査する方法に関し、例えば次世代のハードディスクメディアであるパターンドメディアや半導体デバイスの、パターン断面形状の検査または測定結果の表示方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ハードディスクドライブの記録容量は、近年益々大容量化の傾向にある。しかし、従来の基板ディスク上に磁性膜を成膜しただけのいわゆる連続媒体では、記録密度が1Tbit/in2程度が限界であり、それ以上の記録密度を実現する技術としてパターンドメディアの導入が計画されている。
【0003】
パターンドメディアとは、図11に示す様にディスク1101面上に、記録トラック0102を同心円状に形成するディスクリートトラックメディアと、記録単位(ビット)を独立させた島状のパターン0103として形成するビットパターンドメディアの2方式が検討されている。いずれの場合も、従来の連続媒体とは異なり、ディスクメディア上に数十nmピッチのパターンを形成するという特徴がある。
【0004】
そのため、新たにパターン形成のための製造プロセスが加わることとなり、同プロセスに起因する不良が発生することが懸念されている。例えば、図12はパターンの断面を模式的に示した図であるが、正常なパターン1201と比較してパターン断面形状が変形1202してしまうことや、パターンそのものが抜けてしまうこと1203等が欠陥として考えられる。
【0005】
これらのようなパターンの欠陥を検査する手段としては、原子間力顕微鏡(以下、AFM(atomic force microscope)と略す)や電子顕微鏡(以下、SEM(scanning electron microscope)と略す)等の手段の他に、いわゆるスキャットロメトリと呼ばれる光学式の検査方法がある。AFM及びSEMは当該技術分野において既知の技術である。
【0006】
スキャットロメトリとは一般的には、図13に示すように分光検出光学系1301で検査対象1302表面の分光反射率1303を検出し、検出した分光反射率1303に基づいて検査対象1302表面上に一様に形成された繰り返しパターン1304の断面形状を検出する手法を指す。一様に形成された繰り返しパターンの断面形状が異なると、その表面の分光反射率も異なることを利用し、検査対称表面の分光反射率から検査対象表面に一様に形成された繰り返しパターンの形状を検出することができる。形状の検出にはモデルフィッティングやライブラリマッチング等の手法が用いられる。
【0007】
光学式の手法であるスキャットロメトリは、AFMやSEMと比較して高速で検査が可能であるという特徴がある。
【0008】
スキャトロメトリを用いてパターンの正確な形状が計測でき、且つスループットの大きな検査方法が、下記特許文献1に開示されている。
【0009】
また、特許文献2には、パターンドメディアに複数波長の光を照射して、その分光反射率分布を求めて、フィッティングによりパターンの形状を求める方法について開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2007−133985号公報
【特許文献2】特開2009−150832号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
上述の通り、AFM,SEM又はスキャトロメトリを用いることにより、基板上に形成された線幅数100nm以下のパターンの断面形状を、検査・測定することができる。その結果、例えばディスク全面を数マイクロメータ程度の領域毎に検査・測定することも可能となる。
【0012】
しかし、ディスク全面を数マイクロメータ程度の領域毎に検査・測定したパターンの幅や高さ等を全て表示することは困難であり、また全て表示することが必ずしも有効であるとはいえない。パターンドメディアの製造プロセスを管理するためには、パターンドメディアの形状不良の分布に関して様々な情報が必要であるが、従来、このような形状不良の分布に関する情報を選択して提供できるパターンドメディアの検査装置が無かった。
【0013】
本発明の目的は、上記した従来技術の問題点を解決してパターンドメディアのディスク全面を検出し、ユーザが要求する検査結果の情報を見やすくに表示することが可能なパターンドメディアの検査装置及びその方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記した課題を解決するために、本発明では、パターンドメディアの検査装置を、ディスク上に多層膜からなるパターンが形成されたパターンドメディアを載置して回転と平面内での移動が可能なテーブル手段と、テーブル手段に載置されたパターンドメディアの表面に複数の波長の光を照射する光照射手段と、光照射手段により光が照射されたパターンドメディアの表面からの反射光を波長ごとに分光して検出する分光検出光学系手段と、分光検出光学系手段で波長ごとに分光して検出した分光反射率の情報を用いてディスク上に形成されたパターンの多層膜のうちの特定の膜の膜厚の分布を算出する膜厚分布算出手段と、膜厚分布算出手段で算出した特定の膜の膜厚のディスク上の分布に関する情報を画面上に表示する表示手段とを備えて構成した。
【0015】
また、上記した課題を解決するために、本発明では、パターンドメディアの検査方法において、ディスク上に多層膜からなるパターンが形成されたパターンドメディアの表面に複数の波長の光を照射し、光が照射されたパターンドメディアの表面からの反射光を波長ごとに分光して検出し、波長ごとに分光して検出したそれぞれの信号を用いてディスク上に形成されたパターンの多層膜のうちの特定の膜の膜厚の分布を算出し、算出した特定の膜の膜厚のディスク上の分布に関する情報を画面上に表示するようにした。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、検査・測定結果を直感的に理解することができる。また、最終的な検査工程であるR/Wテストまで待たずに不良となるか否かを特定することができ、早期のプロセスフィードバックが可能となる。さらに、その結果、不良発生を防止でき、コスト削減が期待できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1A】パターンドメディア検査装置の基本構成を示したブロック図である。
【図1B】ステージ部の構成の一例を示したブロック図である。
【図1C】分光検出光学系の構成の一例を示したブロック図である。
【図2】パターンドメディア検査装置の動作を示すフロー図である。
【図3】幅の異なる2つのバターン群の表面の分光反射率分布を示すグラフである。
【図4A】正常な形状のパターンの断面形状を示すパターンの断面図である。
【図4B】細い形状のパターンの断面形状を示すパターンの断面図である。
【図4C】太い形状のパターンの断面形状を示すパターンの断面図である。
【図5】磁性体の断面積に基づく不良判定の手順を示すフロー図である。
【図6】磁性体の断面積のディスク内分布とそれに基づく不良の判定結果を示す画面の正面図である。
【図7A】パターン形状が正常な場合のパターンのディスク面内分布を模式化して示したディスクの斜視図である。
【図7B】一部にパターン抜けがある場合のパターンのディスク面内分布を模式化して示したディスクの斜視図である。
【図8A】一部にパターン抜けがある場合のパターンのディスク面内分布のうち拡大して模式化して表示する領域を表示したディスクの斜視図である。
【図8B】一部にパターン抜けがある場合のパターンのディスク面内分布を拡大して模式化して表示した図である。
【図9】検査結果を表示する画面の正面図である。
【図10】検査結果にR/Wテストとの相関から求めた推定不良個所を重ねて表示する画面の正面図である。
【図11】パターンドメディアの概要を示すディスクの斜視図である。
【図12】パターンドメディアの欠陥の概要を示すディスクの断面図である。
【図13】スキャットロメトリの概要を示す分光検出光学系を含むシステムの概略構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
前述したAFM,SEM,スキャトロメトリ等で検査・測定した、その結果を表示する表示方法に関し、主として次世代のハードディスクメディアであるパターンドメディアの検査を例として説明する。
【0019】
図4A〜Cは、パターンドメディアの断面を模式的に示した図である(例として2トラック分0410A〜Cと0420A〜Cの断面図を示している)。同図に示すように、パターンは単一の材質でできているのではなく、複数の層で構成されている。0400A〜Cは基板、0401A〜Cは下地膜、0402A〜Cは磁性体、0403A〜Cは保護膜を表している。
【0020】
ハードディスクメディアは、基板上に形成された磁性体を磁化することにより、情報を記録することができる。そのため、ディスク基板上の磁性体の量は、記録媒体としての性能を左右する一因となる。例えば、磁性体の量が一定量よりも小さい場合には、磁化による記録自体はできるが、磁性体からの漏れ磁界が小さくなるために記録した情報を読み込むことができなくなる。
【0021】
パターンドメディアに関しても同様であり、パターン形成後のパターンを構成する磁性体の量がある一定値以上であることが必要となる。図4Aはパターン幅WAが適正でパターン0410Aとパターン0420Aとの間隔dAが適正な場合、図4Bはパターンの幅WBが小さい場合(この場合、パターン0410Bとパターン0420Bとの間隔dBは適正な範囲よりも大きくなっている)を示す。図4Cはパターン幅WCが大きすぎてパターン0410Cとパターン0420Cとの間隔dCが狭くなり、隣接パターン (トラック)との間を絶縁するための溝幅dCが狭くなっている状態を示す。このことから、磁性体0402A〜C層の量、即ち断面積(単位長さあたりの体積)がである範囲内にあることを検出する必要がある。
パターンを構成する磁性体0402A〜Cの断面積は、検査・測定したパターン0410A〜Cの断面形状からとパターン0410A〜Cの層構成とから特定することができる。パターン0410A〜Cを構成する各層の膜厚は予め測定しておき、パターン断面形状の検査・測定結果と組み合わせることで、各層の断面積を算出することができるのである。
まず、パターンドメディアの基板(ディスク)上に形成されたパターン形状の検査・測定を行う装置(パターンドメディア検査装置)について説明する。図1Aは本発明に係るパターンドメディア検査装置の基本構成を示したものである。本発明による検査装置は、検査対象であるパターンドメディアに検出光を照射しパターンドクメディアからの反射光を分光検出する分光検出光学系0101と、検査対象であるパターンドメディア0105を保持しパターンドメディア0105上の任意の位置で分光検出できるように光学系との位置を相対的に移動できるステージ部0102、分光器やステージの動作を制御する制御部0103及び分光検出データに基づいて対象表面に形成されたパターンの形状または形状異常を検出するデータ処理部0104、処理条件や検査条件を入力するとともにデータ処理した結果を表示する表示手段0105と他の検査装置でパターンドメディア0105を検査して得た情報や、設計情報を入力して記憶しておく記憶手段0106とを有する入出力部0107を備えて構成される。
【0022】
図1Bはステージ部の一例を示した概要図で、同図に示すとおりステージはディスク面と平行に移動するXステージ01021と、ディスク面に垂直な方向に移動するZステージ01022およびディスクを回転させるθステージ01023によって構成される。
【0023】
Zステージ01022は、分光検出光学系0101のフォーカス位置に検査対象ディスク0105を移動させるためのものであり、Xステージ01021とθステージ01023とは検査対象ディスク0105表面の任意の位置を分光検出光学系0101の検出視野内に移動させるためのものである。検査対象ディスク0105表面の任意の位置を分光検出光学系0101の検出視野内に移動させる方法としては、XYステージを用いる方法も考えられるが、検査対象がディスクであり検査対象となるパターンも同心円状または同心円上に形成されていることからXθステージの方が適している。また、例えばディスク0105表面全面を高速に検査することを目的とした場合には、XYステージよりもXθステージの方が単純な動作となるためより適している。
【0024】
図1Cは本発明による分光検出光学系の一例を示した図である。同図に示したように検出光学系は主として、光源01011、集光レンズ01012、ハーフミラー01013、偏光素子01014、対物レンズ01015、結像レンズ01016および分光器01017で構成される。光源01011から発射された光は集光レンズ01012で集光されてハーフミラー01013でその向きをかえ、偏光素子01014および対物レンズ01015を介して検査対象であるディスク0105に照射される。ディスク0105からの反射光は再び対物レンズ01015および偏光素子01014を通って結像レンズ01016で結像されて分光検出器01017に導かれる。
【0025】
このとき、分光検出器01017の入射口位置を結像レンズ01016の結像位置としておくと、入射口の形状よってディスク0105上の分光検出する領域を制限することができる。例えば、入射口の大きさをφ200μmとし、結像面での倍率を20倍とすると、ディスク0105上の分光検出領域の大きさはφ10μmとなる。
【0026】
より微細な欠陥を分光検出により検出するために大気中で検出可能な波長の限界である200nm付近の波長を利用しようとする場合、適用できる光学素子等は限られたものとなる。光源01011には、波長200nm付近以上の光を射出するキセノンランプや重水素ランプ等を用いることができる。ただし、検査対象によっては波長400nm程度以上でも十分性能を発揮できる場合もあり、その場合はハロゲンランプ等の可視光から赤外光の光を射出する光源を用いてもよい。
【0027】
本実施例の光学系では対物レンズ01014に反射型対物レンズを用いる。一般的に用いられる光透過型のレンズで構成された屈折型の対物レンズでは200nm付近から可視光までをブロードに適用できるものはほとんど無い。反射型対物レンズはミラーで構成されており、波長200nm付近から使用することができる。
【0028】
分光器には、ZEISSや浜松ホトニクス社等市販の分光器で200nm付近から適用できるものがあるので、これらを用いればよい。
【0029】
次に上記に構成を説明したパターンドメディア検査装置の動作を図2に示す。まず、必要に応じて予め中心と方向とを検出(アライメント)した検査対象ディスクをステージ上に設置する(S201)。次にZステージを駆動させて、検査対象ディスクを検出光学系のフォーカス位置に移動する(S202)。続いてXθステージを駆動させて、検査位置が検出光学系の直下となるように検査対象ディスクを移動する(S203)。ここで、検査対象ディスク表面の分光反射強度を検出し(S204)、上記データ処理部にてパターン形状・欠陥を検出する(S205)。これらステージの移動,分光検出およびデータ処理を繰返し(S206)、検査が終了した後に検査対象ディスクを取り出す(S207)。なお、ディスクのアライメント,ステージへの設置および取り出しに関する説明は割愛する。
【0030】
Xステージ01021およびθステージ01023をそれぞれ連続的に動作させて、検査を実行した場合には、ディスク上の螺旋状の領域を検査することができる。例えば、θステージ01023が一回転する間にXステージ01021が検出スポットサイズ分だけ移動するような動作を繰り返すことにより、ディスク全面を検査することができる。
【0031】
データ処理部0104は大きく分けて次の二つの処理を実行する。一つはディスク0105表面の反射率の算出であり、もう一つはディスク0105表面に形成されたパターン形状・欠陥検出処理である。本発明では検査対象のディスク0105表面の分光反射率に基づいて検査対象パターンの形状・欠陥を検出する。しかし、分光検出光学系0101で検出が可能なのは検査対象ディスク0105表面の分光強度分布である。そこで、予め分光検出光学系0101で鏡面Si基板の分光強度分布を検出しておき、これに対する比、すなわち相対反射率を用いる。比を求める際、分光検出器01017によっては分光強度データにバックグラウンドノイズが重畳している場合があり、これも予め検出しておき相対反射率算出の際には差し引いておく。このように算出した相対分光反射率に対して、パターン形状・欠陥検出処理を実行することにより、パターンの形状・欠陥を検出することができる。
本発明が主として対象としているパターンドメディアの場合には、ディスック0105上に大きさが数十nm程度の周期的なパターンが形成されている。このとき、パターンの高さや幅等が変化すると、パターンが形成された表面全体の分光反射率が変化する。一例を挙げると、図3は図4A及びBに示す幅の異なる2つのバターン群の場合の表面の分光反射率分布を示したものである。図3のグラフ中(a)は図4Aのパターンからの反射光を検出した信号波形に相当し、図3の(b)は図4Bのパターンからの反射光を検出した信号波形に相当する。図3から、パターン形状が異なると分光反射率分布も異なることがわかる。そのため、検出対象表面の分光反射率分布を求めることにより、対象パターンの形状を検出することができるのである。
【0032】
この様な周期的で微細なパターンの形状を検出する方法としては、いわゆるスキャットロメトリがある。例えばRCWA(Rigorous coupled−wave analysis)等の電磁波解析手法を用いることにより、パターン形状及びパターン材料の光学定数から検出対象表面の分光反射率分布を求めることができる。
【0033】
そこで、データ処理部0104でパターン高さや幅、層構造などのパターン形状を表す値をパラメータとして、予め様々なパラメータで検出対象表面の分光反射率分布を算出しておいて、実際に検出したディスク表面からの分光反射率分布と比較し最も近いものを抽出すれば、磁性体の断面を含む対象パターンの形状を検出することができる。
【0034】
または、実際に検出したディスク表面からの分光反射率分布に対して、上記RCWA等を用いて算出した分光反射率分布を、パターン高さや幅等パターン形状を表す値をパラメータとして合わせ込むことにより(フィッティング)、磁性体の断面を含む対象パターンの形状を検出することができる。
【0035】
この様に求めたパターンの磁性体の断面積が、予め設定したしきい値以上であるかどうかを判定することにより、該当部分が不良であるかどうかを判定することができる。すなわち、検査・測定して得た磁性体の断面積が、設定された値の範囲内であれば良とし、設定値の範囲から外れた場合には不良とする。
【0036】
また、上記の良否判定をディスク面内全域で実施することにより、該当ディスク自体が良品であるか不良であるかを判定することができる。すなわち磁性体の断面積に関して、ディスク面内の分布を求め、上記の不良個所が該当ディスク前面に占める割合が、ある一定値以上であればそのディスクは不良であると判断することができる。
【0037】
上記の判定手順の一例を図5に示す。まず、パターン断面形状の検査・測定を行い(S501),その結果に基づいて磁性体の断面積を算出し(S502)、その値が予め設定した下限しきい値以上かどうかをチェックして(S503)、下限しきい値よりも小さい場合には磁性体不足不良(C501)と分類する。次に上限しきい値と比較して(S504)、上限しきい値よりも大きい場合には絶縁不良(CS502)と分類する。この動作を検査対象領域全面の検査が終了するまで繰り返し(S505)、検査対象領域全面の検査が終了した後、最後にS503で不良個所数を予め設定したしきい値と比較し(S506),不良個所数がしきい値以下であれば、そのディスクは良品(C503)と分類し、しきい値以上の場合には不良品(C504)と分類する。
【0038】
以上は、記録性能に直接影響を及ぼす磁性体の断面積について述べたが、磁性体以外の層の断面積や、パターンの高さや幅、溝深さ、傾斜角その他パターンの形状を表す値が、性能に大きな影響を及ぼす例があり、同様の判定方法が適用できる場合がある。
【0039】
図6にディスク0601の面内の分布を入出力部0106の表示手段0105の画面0600上に表示する方法の一例を示す。同図は、図中画面0600の左上のボックス0650に示すパターン0610の断面において、下地膜0611上に形成されて上面を保護膜0613で覆われている磁性体0612部分の断面積の分布を示した場合を表している。同図に示す様に等高線0603を用いて示す方法が最も簡単な方法である。また、立体的に3D表示する方法でもよい(図示せず)。
【0040】
この様に分布を表示することで、ディスク0601の面内でのパターン0610の断面形状の傾向を把握することができる。
【0041】
分布を表示と重ねて上記の良否判定による不良個所を表示することもできる。図6のディスク0601上に斜線でハッチングした部分0604及び0605が不良個所を表している。不良個所0604は、図5で説明した上限しきい値以上の不良C502を表しおり、不良個所0605は同様に下限しきい値以下の不良C501を示している。図6ではハッチングの種類により識別する例を示しているが、色分けする方がわかりやすい(図示せず)。
【0042】
この様に分布を表示することで、ディスク上のどこでどの様な不良が発生しているかが一目でわかるようになる。
【0043】
しかし、この様な方法ではパターン高さや幅等の形状を表すパラメータを複数同時に示すことはできない。そこで、パターンの幅に対しては色を割り当てる方法が考えられる。例えば、一般的なカラー表示の地図において、高さに対して色を割り当てる様に、パターンの幅に対して色を割り当て等高線または3D表示と色とを組み合わせれば、2つの項目を表示することが可能である(図示せず)。
【0044】
ただし、このような組み合わせにおいても、表示可能な項目は多くて2つまでであり、その他の形状を表すパラメータを同時に示すことができず、パターンの断面形状を直感的に知ることはできない。
【0045】
そこで、本発明では、図7A及びBに示すように、パターン形状の分布を模式化して表示する。同図は、例としてビットパターンドメディアの場合を示しており、ディディスク0701上に模式化したパターン0702を示している。同図では、省略してディスク上の一部しか模式化したパターンを示していないが、実際には全面に表示する。
【0046】
SEM等を用いなければ実際にパターンの形状を確認することはできないが、パターン断面形状検査・測定結果を、特定の大きさの領域で平均化、もしくはパターンの抜けやショート等の不良を特徴として抽出して表示することにより、面内でのパターンの分布や不良を直感的に認識することが可能となる。
【0047】
例えば、形状の分布については比較的緩やかな形状変化しかなければ、図7Aに示すような表示となる。この場合、表示の最小単位である1つのパターンの形状は、同じ領域内での検査・測定結果の平均形状として表示する。
【0048】
一方、形状変化が急峻で、表示の最小単位である1周期分のパターンよりも十分小さい領域で生じている場合には、単純に平均化してしまうと、その様な変化は埋没してしまうことが考えられる。この場合は、単純に平均化するのではなく、急峻な変化を、この部分の特徴として表示する。
【0049】
パターンが形成されていない等その他の不良等についても同様に、それらの不良をその部分の特徴として表示する。図7Bに、パターンが形成されてない部分0703がある場合の例を示す
また、図7Bに示す形状の急峻な変化が表示された場合には、その不良の原因を解析するために、正確な場所を特定する必要がある。そのため結果の表示は、必要に応じて拡大または縮小することができる。
【0050】
表示を拡大または縮小する場合、図8Aに示したように表示を単純に拡大または縮小しただけでは、パターンが大きくまたは小さく表示されるだけで特に有用ではない。そこで、拡大または縮小の倍率に応じて、平均化または特徴抽出する領域の大きさ(表示の最小単位)も変化させる。図8Bに拡大した場合の例を示す。同図8Bは図8Aに太線0710で示す領域を拡大して表示した例を示している。この例では、拡大にともない表示の最小単位を小さくして半径方向の分解能を高くした場合を示している。この様に平均化等の領域を小さくすれば、より詳細なパターン形状を確認することができる。
【0051】
表示を拡大していくと、ついにはパターン形状検査・計測結果と同じものとなる。この場合はパターン形状検査・測定結果をそのまま表示する。
【0052】
表示拡大を最大にすることなしに、パターン形状検査・測定結果を表示することも可能である。
【0053】
上述した、拡大や縮小等の操作は煩雑となりがちである。そこで、以下に示すようにマウスで操作する。
【0054】
図9は結果表示画面0900の一例を示している。同図には、パターン断面モデルの表示領域0910、ディスク全体の表示領域0920、パターン形状検査・測定結果の模式図の表示領域0930及びパターン形状検査・測定結果そのものの表示領域0940で構成される。
パターン断面モデルの表示領域0910には、図6の領域0650に表示したものと同じパターン形状検査・測定におけるモデルの構造0610を表示しており、このモデル構造0610の特定部位を図示していないマウスでクリックすると、ディスク全体の表示でクリックした項目の分布が表示される。
ディスク全体の表示領域0920には、図6に示した検査結果のディスク0601上の分布が表示される。また、ディスク全体の表示領域0920では、アライメントパターン等の検出により、常にディスク0601の方向が特定されるように表示をする。また、領域0930及び0940に現在表示している、パターン形状検査・測定結果の模式図及び結果そのものの、ディスク上での位置を矢印0905や×印0906で表示する。すなわち、ディスク全体の表示領域0920の矢印0905がパターン形状検査・測定結果の模式図表示領域0930で表示しているディスク0701上に表示した矢印0931で示した直線0932の方向を示しており、同図中の×印0906がパターン形状検査・測定結果表示領域0940で表示しているパターン形状0941のディスク0701上の場所を示している。
【0055】
パターン形状検査・測定結果の模式図の表示領域0930には、例としてディスク0701を鳥瞰図的に表示した場合を示している。
【0056】
パターン形状検査・測定結果そのものの表示領域0940では、検査・測定したパターンの形状を表示する(同図は指定個所と左右それぞれ2つのパターンを示している)。
【0057】
ディスク全体の表示領域0920およびパターン形状検査・測定結果の模式図の表示領域0930の表示箇所は、ディスク全体図の表示領域0920に表示されたディスク0601上をマウスでクリックすることにより指定する。詳細な位置指定については、パターン形状検査・測定結果の模式図の表示領域0930に表示されたディスク0701上でマウスを左右に動かすことでディスクのr方向の操作を、マウスを前後方向に動かすことでθ方向の操作を実行する。
【0058】
拡大と縮小については、マウスのホイールの回転方向に拡大と縮小を割り当てることにより操作する。
【0059】
上記操作方法は一例であり、各操作にマウスのボタンを割り当ててもよいし、一部の操作をキーボードに割り当ててもよい。
【0060】
パターン形状検査・測定の結果、上述のように不良個所の特定ができる。特定した不良個所は、上記の結果表示にて特定個所として明示する。
【0061】
また、特定した不良個所は、その後の工程を経ても回復することはなく、最終的な検査工程であるR/Wテストに於いても不良と判断されることが多い。そこで、予めR/Wテストとパターン形状検査・測定結果との相関を評価しておくことにより、R/Wテストを待たずに不良の発生を確認することが可能となる。
【0062】
図10は図6に示した表示場面上でディスク0601の全体図に、予め評価した相関に基づいてパターン形状検査・測定結果から求めたR/Wテストでの推定不良個所を重ねて表示した画面1010の例を示している。黒く塗りつぶした部分1001と1992がR/Wテストでの推定不良個所である。同図に示すとおり、磁性体の断面積に基づいて判定して不良個所0604及び0605と、R/Wテストとの相関に基づいて判定した不良個所1001及び1992とが概ね一致していることがわかる。
【0063】
このことから、少なくともパターン形状検査・測定結果に基づいて磁性体の断面積を評価することにより、R/Wテストでの不良個所を推定することができる。
【0064】
同様に他の種類の不良についても、相関を評価しておけば、R/Wテストを待たずに不良を検出することができる。
【0065】
上述と同様に、不良個所がディスク面内で占める割合が一定以上となった場合には、そのディスクは不良と判断することができ、その後の工程に進めない等の判断をすることが可能となる。
【符号の説明】
【0066】
0101・・・パターンドメディアディスク 0102・・・トラックパターン 0103・・・ビットパターン 0201・・・正常なパターン断面
0202・・・形状が変形したパターン断面 0203・・・パターンの抜け 0301・・・分光検出光学系 0302・・・検査対象基板 0304・・・繰り返しパターン 0401・・・パターン断面形状 0402・・・磁性体 0604・・・形状不良個所(磁性体不足)
0605・・・形状不良個所(絶縁不良) 0710・・・ディスク
0903・・・パターン形状検査・測定結果の模式図が表示された画面
0904・・・パターン形状検査・測定結果そのものが表示された画面
1001・・・R/Wテストでの推定不良個所。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディスク上に多層膜からなるパターンが形成されたパターンドメディアを載置して回転と平面内での移動が可能なテーブル手段と、
該テーブル手段に載置されたパターンドメディアの表面に複数の波長の光を照射する光照射手段と、
該光照射手段により光が照射された前記パターンドメディアの表面からの反射光を波長ごとに分光して検出する分光検出光学系手段と、
該分光検出光学系手段で波長ごとに分光して検出した分光反射率の情報を用いて前記ディスク上に形成されたパターンの多層膜のうちの特定の膜の膜厚の分布を算出する膜厚分布算出手段と、
該膜厚分布算出手段で算出した前記特定の膜の膜厚の前記ディスク上の分布に関する情報を画面上に表示する表示手段と
を備えたことを特徴とするパターンドメディアの検査装置。
【請求項2】
他の検査装置で前記パターンドメディアを検査して得た情報を記憶しておく記憶手段を更に備え、
前記表示手段は前記膜厚分布算出手段で算出した前記特定の膜の膜厚の前記ディスク上の分布に関する情報を前記記憶手段に記憶しておいた他の検査装置で前記パターンドメディアを検査して得た情報と共に画面上に表示することを特徴とする請求項1記載のパターンドメディアの検査装置。
【請求項3】
前記パターンの多層膜のうちの特定の膜が磁性膜であることを特徴とする請求項1記載のパターンドメディアの検査装置。
【請求項4】
前記膜厚分布算出手段は、前記分光検出光学系手段で波長ごとに分光して検出した分光反射率分布の情報と予め記憶しておいた前記パターンの形状と分光反射率分布との関係の情報とを用いて前記ディスク上に形成されたパターンの多層膜のうちの特定の膜の膜厚の分布を算出することを特徴とする請求項1記載のパターンドメディアの検査装置。
【請求項5】
前記表示手段は、前記ディスクを模した画像を表示し、該画像上に前記特定の膜の膜厚の前記ディスク上の分布に関する情報を等高線で表示することを特徴とする請求項1記載のパターンドメディアの検査装置。
【請求項6】
前記表示手段は前記多層膜から成るパターンのモデル構造を表示し、該表示されたモデル構造上で指定された層の膜厚の前記ディスク上の分布に関する情報を表示することを特徴とする請求項1記載のパターンドメディアの検査装置。
【請求項7】
ディスク上に多層膜からなるパターンが形成されたパターンドメディアの表面に複数の波長の光を照射し、
該光が照射された前記パターンドメディアの表面からの反射光を波長ごとに分光して検出し、
該波長ごとに分光して検出したそれぞれの信号を用いて前記ディスク上に形成されたパターンの多層膜のうちの特定の膜の膜厚の分布を算出し、
該算出した前記特定の膜の膜厚の前記ディスク上の分布に関する情報を画面上に表示する
ことを特徴とするパターンドメディアの検査方法。
【請求項8】
他の検査装置で前記パターンドメディアを検査して得た情報を記憶しておく工程を更に備え、
画面上に表示する工程において前記算出した前記特定の膜の膜厚の前記ディスク上の分布に関する情報を前記記憶しておいた他の検査装置で前記パターンドメディアを検査して得た情報と共に画面上に表示することを特徴とする請求項7記載のパターンドメディアの検査方法。
【請求項9】
前記パターンの多層膜のうちの特定の膜が磁性膜であることを特徴とする請求項7記載のパターンドメディアの検査方法。
【請求項10】
前記特定の膜の膜厚の分布を算出することを、前記波長ごとに分光して検出した分光反射率分布の情報と予め記憶しておいた前記パターンの形状と分光反射率分布との関係の情報とを用いて算出することにより行うことを特徴とする請求項7記載のパターンドメディアの検査方法。
【請求項11】
前記画面上に、前記ディスクを模した画像を表示し、該画像上に前記特定の膜の膜厚の前記ディスク上の分布に関する情報を等高線で表示することを特徴とする請求項7記載のパターンドメディアの検査方法。
【請求項12】
前記画面上に前記多層膜から成るパターンのモデル構造を表示し、該表示されたモデル構造上で指定された層の膜厚の前記ディスク上の分布に関する情報を前記モデル構造が表示されている画面上に表示することを特徴とする請求項7記載のパターンドメディアの検査方法。
【請求項1】
ディスク上に多層膜からなるパターンが形成されたパターンドメディアを載置して回転と平面内での移動が可能なテーブル手段と、
該テーブル手段に載置されたパターンドメディアの表面に複数の波長の光を照射する光照射手段と、
該光照射手段により光が照射された前記パターンドメディアの表面からの反射光を波長ごとに分光して検出する分光検出光学系手段と、
該分光検出光学系手段で波長ごとに分光して検出した分光反射率の情報を用いて前記ディスク上に形成されたパターンの多層膜のうちの特定の膜の膜厚の分布を算出する膜厚分布算出手段と、
該膜厚分布算出手段で算出した前記特定の膜の膜厚の前記ディスク上の分布に関する情報を画面上に表示する表示手段と
を備えたことを特徴とするパターンドメディアの検査装置。
【請求項2】
他の検査装置で前記パターンドメディアを検査して得た情報を記憶しておく記憶手段を更に備え、
前記表示手段は前記膜厚分布算出手段で算出した前記特定の膜の膜厚の前記ディスク上の分布に関する情報を前記記憶手段に記憶しておいた他の検査装置で前記パターンドメディアを検査して得た情報と共に画面上に表示することを特徴とする請求項1記載のパターンドメディアの検査装置。
【請求項3】
前記パターンの多層膜のうちの特定の膜が磁性膜であることを特徴とする請求項1記載のパターンドメディアの検査装置。
【請求項4】
前記膜厚分布算出手段は、前記分光検出光学系手段で波長ごとに分光して検出した分光反射率分布の情報と予め記憶しておいた前記パターンの形状と分光反射率分布との関係の情報とを用いて前記ディスク上に形成されたパターンの多層膜のうちの特定の膜の膜厚の分布を算出することを特徴とする請求項1記載のパターンドメディアの検査装置。
【請求項5】
前記表示手段は、前記ディスクを模した画像を表示し、該画像上に前記特定の膜の膜厚の前記ディスク上の分布に関する情報を等高線で表示することを特徴とする請求項1記載のパターンドメディアの検査装置。
【請求項6】
前記表示手段は前記多層膜から成るパターンのモデル構造を表示し、該表示されたモデル構造上で指定された層の膜厚の前記ディスク上の分布に関する情報を表示することを特徴とする請求項1記載のパターンドメディアの検査装置。
【請求項7】
ディスク上に多層膜からなるパターンが形成されたパターンドメディアの表面に複数の波長の光を照射し、
該光が照射された前記パターンドメディアの表面からの反射光を波長ごとに分光して検出し、
該波長ごとに分光して検出したそれぞれの信号を用いて前記ディスク上に形成されたパターンの多層膜のうちの特定の膜の膜厚の分布を算出し、
該算出した前記特定の膜の膜厚の前記ディスク上の分布に関する情報を画面上に表示する
ことを特徴とするパターンドメディアの検査方法。
【請求項8】
他の検査装置で前記パターンドメディアを検査して得た情報を記憶しておく工程を更に備え、
画面上に表示する工程において前記算出した前記特定の膜の膜厚の前記ディスク上の分布に関する情報を前記記憶しておいた他の検査装置で前記パターンドメディアを検査して得た情報と共に画面上に表示することを特徴とする請求項7記載のパターンドメディアの検査方法。
【請求項9】
前記パターンの多層膜のうちの特定の膜が磁性膜であることを特徴とする請求項7記載のパターンドメディアの検査方法。
【請求項10】
前記特定の膜の膜厚の分布を算出することを、前記波長ごとに分光して検出した分光反射率分布の情報と予め記憶しておいた前記パターンの形状と分光反射率分布との関係の情報とを用いて算出することにより行うことを特徴とする請求項7記載のパターンドメディアの検査方法。
【請求項11】
前記画面上に、前記ディスクを模した画像を表示し、該画像上に前記特定の膜の膜厚の前記ディスク上の分布に関する情報を等高線で表示することを特徴とする請求項7記載のパターンドメディアの検査方法。
【請求項12】
前記画面上に前記多層膜から成るパターンのモデル構造を表示し、該表示されたモデル構造上で指定された層の膜厚の前記ディスク上の分布に関する情報を前記モデル構造が表示されている画面上に表示することを特徴とする請求項7記載のパターンドメディアの検査方法。
【図1A】
【図1B】
【図1C】
【図2】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図5】
【図6】
【図7A】
【図7B】
【図8A】
【図8B】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図1B】
【図1C】
【図2】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図5】
【図6】
【図7A】
【図7B】
【図8A】
【図8B】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2011−65726(P2011−65726A)
【公開日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−216813(P2009−216813)
【出願日】平成21年9月18日(2009.9.18)
【出願人】(501387839)株式会社日立ハイテクノロジーズ (4,325)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年9月18日(2009.9.18)
【出願人】(501387839)株式会社日立ハイテクノロジーズ (4,325)
【Fターム(参考)】
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