説明

ムラ検査装置およびムラ検査方法

【課題】ムラ検査装置において光学フィルタの透過波長帯を精度良く調整する。
【解決手段】ムラ検査装置1は、基板9を保持するステージ2、基板9の膜92に向けて線状光を出射する光出射部3、基板9からの反射光を受光する受光部4、受光部4にて受光される光の波長帯を切り替える波長帯切替機構5、ステージ2を移動する移動機構21、および、受光した光の強度分布に基づいて膜厚ムラを検査する検査部7を備える。波長帯切替機構5は、複数の光学フィルタ51、および、各光学フィルタ51の傾きを変更するフィルタチルト機構を備える。ムラ検査装置1では、フィルタチルト機構により選択光学フィルタ51aの光路に対する傾きを変更することにより、選択光学フィルタ51aの透過波長帯を精度良く調整することができる。その結果、選択波長帯を膜92の特性に合わせて調整することにより、膜厚ムラをの検出精度を向上することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、対象物上に形成された膜の膜厚ムラを検査する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、表示装置用のガラス基板や半導体基板等(以下、単に「基板」という。)の主面上に形成されたレジスト膜等の薄膜を検査する場合、光源からの光を薄膜に照射し、薄膜からの反射光や透過光における光干渉を利用して膜厚のムラが検査される。
【0003】
このような膜厚ムラの検査において、ナトリウムランプ等の単色光源を用いた場合、薄膜の厚さや屈折率によっては十分な感度を得られない(すなわち、光干渉による干渉縞が明確に表れない)ことがある。そこで、目視による検査では、基板を傾けることにより光の入射角を変更して干渉縞を明確化することにより確実にムラ検出を行うことが行われている。また、基板に対して複数の波長の光を同時に照射することも行われているが、各波長に対応した干渉縞が同時に表れるため、全体として感度が低下してしまう可能性がある。
【0004】
特許文献1では、被検体表面上の欠陥検査を行う表面欠陥検査装置において、被検体からの反射光の波長帯を制限する複数の狭帯域フィルタのうちの1つを、被検体表面上の薄膜の特性(材質、屈折率、膜厚、反射率等)に合わせて光路上に挿入することにより、適切な波長帯にて検査を行う技術が開示されている。また、被検体に光を照射する照明部の角度(すなわち、被検体に対する照明光の入射角)を薄膜の特性に合わせて変更する技術も開示されている。
【特許文献1】特開2002−267416号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、狭帯域フィルタは、同一の透過波長帯となるように製造されていてもフィルタ毎に僅かな中心波長のずれ等の製造誤差があるため、複数の装置間でフィルタの透過波長帯を精度良く一致させることは困難である。また、市販の狭帯域フィルタは通常、20〜30nmの間隔をあけて中心波長が決められているため、任意の中心波長の狭帯域フィルタを入手することが難しく、薄膜の種類や膜厚に合わせて最適な狭帯域フィルタにより検査することができない場合が多い。
【0006】
特許文献1の表面欠陥検査装置では、狭帯域フィルタを切り替えることによりムラ検出の感度を向上することはできるが、各狭帯域フィルタの透過波長帯を調整することはできない。
【0007】
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、ムラ検査装置において光学フィルタの透過波長帯を精度良く調整することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に記載の発明は、基板上に形成された膜の膜厚ムラを検査するムラ検査装置であって、主面上に光透過性の膜が形成されている基板を保持する保持部と、前記膜に向けて前記主面に沿う所定の方向に伸びる線状光を出射する光出射部と、前記膜にて反射された、または、前記膜を透過した後の光を受光して前記主面上の前記所定の方向に伸びる線状の照射領域からの光の強度分布を取得するセンサと、前記光出射部から前記センサに至る光路上に配置されるとともに特定の波長帯の光を透過する光学フィルタと、前記光学フィルタの前記光路に対する傾きを変更するフィルタチルト機構と、前記主面に沿うとともに前記所定の方向に垂直な移動方向に前記保持部を前記光出射部、前記センサおよび前記光学フィルタに対して相対的に移動する移動機構とを備える。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のムラ検査装置であって、前記フィルタチルト機構が、前記所定の方向を向く軸を中心として前記光学フィルタを回動する。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載のムラ検査装置であって、前記光学フィルタとは異なる波長帯の光を透過するもう1つの光学フィルタと、前記光学フィルタおよび前記もう1つの光学フィルタのうち前記光路上に配置されている一の光学フィルタを他の光学フィルタに切り替える光学フィルタ切替機構と、前記もう1つの光学フィルタの前記光路に対する傾きを前記光学フィルタとは個別に変更するもう1つのフィルタチルト機構とをさらに備える。
【0011】
請求項4に記載の発明は、請求項1または2に記載のムラ検査装置であって、前記光学フィルタとは異なる波長帯の光を透過するもう1つの光学フィルタと、前記光学フィルタおよび前記もう1つの光学フィルタのうち前記光路上に配置されている一の光学フィルタを他の光学フィルタに切り替える光学フィルタ切替機構とをさらに備え、前記フィルタチルト機構が、前記光学フィルタを前記もう1つの光学フィルタと共に傾ける。
【0012】
請求項5に記載の発明は、請求項1ないし4のいずれかに記載のムラ検査装置であって、前記センサが、前記膜にて反射された後の光を受光する。
【0013】
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載のムラ検査装置であって、前記光出射部からの光が、前記基板の前記主面に対して傾斜して入射する。
【0014】
請求項7に記載の発明は、請求項1ないし6のいずれかに記載のムラ検査装置であって、前記膜が、前記基板の前記主面上に塗布液を塗布することにより形成されたものである。
【0015】
請求項8に記載の発明は、基板上に形成された膜の膜厚ムラを検査するムラ検査方法であって、主面上に光透過性の膜が形成されている基板を経由しつつ光出射部からセンサに至る光路上に配置されるとともに特定の波長帯の光を透過する光学フィルタを傾けて前記光学フィルタの前記光路に対する傾きを変更する工程と、前記主面に沿う移動方向に前記基板に対して相対的に移動する前記光出射部から、前記主面に沿うとともに前記移動方向に垂直な所定の方向に伸びる線状光を前記膜に向けて出射する工程と、前記基板に対して前記光出射部と共に相対的に移動する前記センサにより、前記膜にて反射された、または、前記膜を透過した後の前記特定の波長帯の光を受光して前記主面上の前記所定の方向に伸びる線状の照射領域からの光の強度分布を繰り返し取得する工程とを備える。
【発明の効果】
【0016】
本発明では、光学フィルタの透過波長帯を精度良く調整することができる。請求項2の発明では、膜厚ムラの検出精度の低下を防止することができる。請求項3および4の発明では、膜厚ムラを精度良く検出することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
図1は、本発明の第1の実施の形態に係るムラ検査装置1の構成を示す図である。ムラ検査装置1は、液晶表示装置等の表示装置に用いられるガラス基板(以下、単に「基板」という。)9において、一方の主面91上に形成されたパターン形成用のレジスト膜(以下、単に「膜」という。)92の膜厚ムラを検査する装置である。基板9上の膜92は、基板9の主面91上にレジスト液を塗布することにより形成される。
【0018】
図1に示すように、ムラ検査装置1は、主面91(以下、「上面91」という。)上に膜92が形成された基板9を上面91を上側(図1中の(+Z)側)に向けて保持する保持部であるステージ2、ステージ2に保持された基板9の上面91上の膜92に向けて光を出射する光出射部3、光出射部3から出射されて膜92にて反射された後の光を受光する受光部4、基板9と受光部4との間に配置されて受光部4にて受光される光の波長帯を切り替える波長帯切替機構5、ステージ2を光出射部3、受光部4および波長帯切替機構5に対して相対的に移動する移動機構21、受光部4にて受光した光の強度分布(上面91の領域に対応する分布)に基づいて膜92の膜厚ムラを検査する検査部7、並びに、これらの構成を制御する制御部8を備える。なお、図1では、図示の都合上、波長帯切替機構5の一部を断面にて示す(図9および図10についても同様)。
【0019】
ステージ2の(+Z)側の表面は、好ましくは黒色艶消しとされる。移動機構21は、モータ211にボールねじ(図示省略)が接続された構成とされ、モータ211が回転することにより、ステージ2がガイド212に沿って基板9の上面91に沿う図1中のX方向に移動する。
【0020】
光出射部3は、白色光(すなわち、可視領域の全ての波長帯の光を含む光)を出射する光源であるハロゲンランプ31、ステージ2の移動方向に垂直な図1中のY方向に伸びる円柱状の石英ロッド32、および、Y方向に伸びるシリンドリカルレンズ33を備える。光出射部3では、ハロゲンランプ31が石英ロッド32の(+Y)側の端部に取り付けられており、ハロゲンランプ31から石英ロッド32に入射した光は、Y方向に伸びる線状光(すなわち、光束断面がY方向に長い線状となる光)に変換されて石英ロッド32の側面から出射され、シリンドリカルレンズ33を介して基板9の上面91へと導かれる。換言すれば、石英ロッド32およびシリンドリカルレンズ33は、ハロゲンランプ31からの光を、ステージ2の上面91に沿うとともに移動方向に垂直な線状光に変換して基板9の上面91上の膜92へと導く照明光学系となっている。
【0021】
図1では、光出射部3から基板9に至る光路を一点鎖線にて示している(基板9から受光部4に至る光路についても同様)。光出射部3から出射されて基板9の上面91上の膜92に対して傾斜して(すなわち、0°よりも大きい入射角にて)入射した光の一部は、基板9の上面91上の膜92の(+Z)側の上面にて反射される。膜92は光出射部3からの光に対して光透過性を有しており、光出射部3からの光のうち膜92の上面にて反射されなかった光は、膜92を透過して基板9の上面91(すなわち、膜92の下面)にて反射される。ムラ検査装置1では、基板9における膜92の上面にて反射された光と基板9の上面91にて反射された光との干渉光(以下、単に「反射光」という。)が、波長帯切替機構5を経由して受光部4に入射する。
【0022】
波長帯切替機構5は、互いに異なる複数の狭い波長帯の光を選択的にそれぞれ透過する複数の光学フィルタ(例えば、半値幅10nmの干渉フィルター)51、複数の光学フィルタ51を保持する円板状のフィルタホイール52、および、フィルタホイール52の中心に取り付けられてフィルタホイール52を回転するフィルタ回転モータ53を備える。フィルタホイール52は、その法線方向が基板9から受光部4に至る光路に平行になるように配置される。
【0023】
図2は、波長帯切替機構5を基板9側からフィルタホイール52に垂直な方向に沿って見た図である。図2に示すように、フィルタホイール52には、6つの円形の開口521が周方向に等間隔に形成されており、そのうちの5つの開口521には互いに透過波長帯が異なる5種類の円板状の光学フィルタ51が取り付けられている。
【0024】
図1に示す波長帯切替機構5では、制御部8に制御されるフィルタ回転モータ53によりフィルタホイール52が回転し、5つの光学フィルタ51(図2参照)のうち、検査対象となる膜92の膜厚や屈折率等に応じていずれか1つの光学フィルタ51(以下、他の光学フィルタ51と区別するために、「選択光学フィルタ51a」という。)が選択され、基板9から受光部4に至る光路上に配置される。これにより、基板9からの反射光(すなわち、5つの光学フィルタ51に対応する5つの透過波長帯の光を含む白色光の反射光)のうち、光路上に配置された選択光学フィルタ51aに対応する特定の波長帯(以下、「選択波長帯」という。)の光のみが、選択光学フィルタ51aを透過して受光部4へと導かれる。
【0025】
そして、フィルタ回転モータ53によりフィルタホイール52が回転すると、複数の光学フィルタ51のうち光出射部3から受光部4に至る光路上に配置された選択光学フィルタ51aが他の光学フィルタ51に切り替えられ、受光部4が受光する光の波長帯(すなわち、選択波長帯)が変更される。このように、フィルタ回転モータ53およびフィルタホイール52は光学フィルタ切替機構となっている。
【0026】
図2に示すように、各光学フィルタ51は円環状のフィルタ枠54の内側に取り付けられており、フィルタ枠54と共に光学フィルタ51の中心を通るフィルタ回転軸55(図2中に一点鎖線にて示す。)を中心として回転可能に支持されている。フィルタ回転軸55は、光学フィルタ51が基板9から受光部4へと至る光路上に配置された状態(すなわち、選択光学フィルタ51aとされた状態)において、光出射部3からの線状光の伸びる方向である図1中のY方向を向くように設けられる。
【0027】
図3は、波長帯切替機構5の選択光学フィルタ51a近傍を拡大して示す正面図であり、選択光学フィルタ51aおよびフィルタ枠54の外側の部位についてはその断面を示す。図3に示すように、波長帯切替機構5は、選択光学フィルタ51aの基板9から受光部4(図1参照)へと至る光路90(図3中に一点鎖線にて示す。)に対する傾きを変更するフィルタチルト機構56をさらに備える。波長帯切替機構5では、フィルタチルト機構56により選択光学フィルタ51aの光路90に対する傾きが変更されることにより、基板9からの反射光に対する選択光学フィルタ51aの透過波長帯(すなわち、選択波長帯)が変更される。
【0028】
フィルタチルト機構56は、フィルタ枠54の下端部に当接するマイクロメータ561、および、フィルタ枠54の上端部に取り付けられた弾性体であるバネ562を備える。波長帯切替機構5では、マイクロメータ561によりフィルタ枠54の下端部が押し出されることにより、選択光学フィルタ51aがフィルタ枠54と共にフィルタ回転軸55を中心として図3中の時計回りに回動し、これにより、選択光学フィルタ51aの光路90に対する傾きが変更される。また、マイクロメータ561が元の状態に戻されることにより、収縮状態のバネ562の反発力により選択光学フィルタ51aが反時計回りに回動し、これにより、選択光学フィルタ51aが光路90に垂直な状態に戻される。
【0029】
フィルタチルト機構56により選択光学フィルタ51aが光路90に対して傾けられると、基板9からの反射光に対する選択光学フィルタ51aの透過波長帯の中心波長が短波長側にシフトされる。図4は、選択光学フィルタ51aの光路90に対する傾斜角度と透過波長帯の中心波長の短波長側へのシフト量との関係を示す図である。なお、選択光学フィルタ51aの傾斜角は、図3中の選択光学フィルタ51aが光路90に対して垂直な状態を0°とする。
【0030】
図4中の複数の点301は、選択光学フィルタ51aを傾けて計測した透過波長帯の中心波長のシフト量であり、線302は、シフト量の計測値の近似直線である。図3に示すように、波長帯切替機構5では、選択光学フィルタ51aが1°傾けられることにより、透過波長帯が約0.5nmだけ短波長側にシフトされる。
【0031】
また、波長帯切替機構5では、図2に示すように、5つの光学フィルタ51のそれぞれに対してフィルタチルト機構56が設けられており、これにより、各光学フィルタ51の光路90(図3参照)に対する傾きが他の光学フィルタ51とは個別に変更される。
【0032】
図1に示すように、受光部4は、複数の受光素子であるCCD(Charge Coupled Device)がY方向に直線状に配列されたラインセンサ41、および、基板9からラインセンサ41に至る光路上であってラインセンサ41と波長帯切替機構5の選択光学フィルタ51aとの間に配置される集光レンズ42を備える。集光レンズ42は、光出射部3から出射されて基板9の上面91上においてY方向に伸びる直線状の照射領域(以下、「線状照射領域」という。)の膜92にて反射された後の線状光のうち、選択光学フィルタ51aを透過した選択波長帯の光をラインセンサ41に向けて集光する。ラインセンサ41は、集光レンズ42により集光されるとともに結像された選択波長帯の光を受光し、受光した光の強度分布(すなわち、各CCDからの出力値のY方向における分布)を取得して検査部7に出力する。ムラ検査装置1では、基板9の上面91上に形成された膜92からの反射光の強度分布が、基板9およびステージ2の移動中にラインセンサ41により繰り返し取得される。
【0033】
検査部7は、ラインセンサ41からの出力を受け付けて基板9の上面91の2次元画像を生成する画像生成部71、および、画像生成部71により生成された2次元画像の各画素の値から膜92の膜厚ムラを検出するムラ検出部72を備える。
【0034】
次に、ムラ検査装置1による膜厚ムラの検査の流れについて説明する。図5および図6は、ムラ検査装置1による検査の流れを示す図である。図1に示すムラ検査装置1により基板9の上面91上の膜92の膜厚ムラが検査される際には、まず、検査対象である膜92の材質や膜厚等の特性に対して適切な透過波長帯を有する選択光学フィルタ51aが光路上に配置された状態で、必要に応じて選択光学フィルタ51aのフィルタチルト機構56により作業者が選択光学フィルタ51aを傾け、選択光学フィルタ51aの基板9からラインセンサ41に至る光路に対する傾きが変更される(あるいは、予め傾きが変更されている。)。これにより、選択光学フィルタ51aの透過波長帯の中心波長が短波長側にシフトされ、選択波長帯が膜92の膜厚ムラの検出に対してより適切な範囲となるよう調整される(ステップS11)。
【0035】
次に、図1中に実線にて示す検査開始位置に位置するステージ2上に基板9が保持された後、基板9およびステージ2の(+X)方向への移動が開始される(ステップS12)。そして、光出射部3から出射されて基板9の上面91に対して入射角60°にて入射する線状光が、基板9の上面91上の線状照射領域に照射され(ステップS13)、線状照射領域が基板9に対して相対的に移動する。
【0036】
光出射部3からの光は基板9の上面91にて反射され、波長帯切替機構5の選択光学フィルタ51aを透過することにより、特定の波長帯(例えば、中心波長が550nm、半値幅が10nm)の光のみが取り出された後、受光部4へと導かれる。受光部4では、基板9の上面91における反射後の選択波長帯の光が集光レンズ42を介してラインセンサ41により受光され(ステップS14)、基板9上の線状照射領域からの反射光の選択波長帯における強度分布が取得される(ステップS15)。ラインセンサ41の各CCDからの出力値は、検査部7の画像生成部71へと送られる。
【0037】
ムラ検査装置1では、制御部8により、基板9およびステージ2が図1中に二点鎖線にて示す検査終了位置まで移動したか否かが基板9の移動中に繰り返し確認されており(ステップS16)、検査終了位置まで移動していない場合には、ステップS14に戻って反射光のうちの選択波長帯の受光および線状照射領域における選択波長帯の強度分布の取得(ステップS14,S15)が繰り返される。ムラ検査装置1では、ステージ2が(+X)方向に移動している間、ステップS14〜S16の動作が繰り返されて基板9上の線状照射領域からの反射光の強度分布が繰り返し取得されることにより、基板9の全体について上面91からの反射光の選択波長帯における強度分布が取得される。
【0038】
そして、基板9およびステージ2が検査終了位置まで移動すると(ステップS16)、移動機構21による基板9およびステージ2の移動が停止され、照明光の照射も停止される(ステップS17)。検査部7の画像生成部71では、受光部4により取得された上面91からの反射光の選択波長帯における強度分布に対して、膜厚の変動に起因する輝度値の差を強調する画像処理(例えば、上面91上の強度分布を示す2次元画像(以下、「元画像」という。)に対してメディアンフィルタにより平滑化処理を行って平滑化画像を求め、元画像の各画素の値を平滑化画像の対応する画素の値で除算することにより、膜厚変動によるものよりも大きく広範囲に亘る輝度値の変動を除去する等の処理)が行われることにより、強調された膜厚変動が画素値の変動として表現された上面91の2次元画像(以下、「強調画像」という。)が生成される(ステップS21)。
【0039】
生成された強調画像は、必要に応じてディスプレイ等の表示装置に表示され、さらに、検査部7のムラ検出部72により、強調画像に基づいて膜厚ムラの検出が行われる(ステップS22)。
【0040】
図7は、基板9の上面91上に形成された膜92の膜厚と反射率との関係を示す図である。図7中の線101は、波長550nmの光に対する反射率を示しており、波長が変更されると膜厚と反射率との関係も変化する。
【0041】
図7に示すように、膜92の膜厚が異なると膜92の反射率も異なるため、受光部4にて受光する反射光の強度も異なる。したがって、膜92の膜厚分布にムラが存在している場合には、検査部7の画像生成部71により生成された基板9の上面91の2次元画像(元画像および強調画像)にも画素の値にムラが生じる。ムラ検査装置1では、検査部7のムラ検出部72により、上面91の強調画像における各画素の値のばらつきの程度が検査され、予め設定されているムラ閾値よりもばらつきの程度が大きい領域が存在する場合、上面91上の対応する領域が許容範囲を超える膜厚ムラが存在する領域として検出される。
【0042】
ところで、膜92の反射率は、図7に示すように、膜厚の変動に対して周期性をもって変動する。図8は、膜92の膜厚が1nmだけ変動した場合の反射率の変動を示す図である。図7および図8に示すように、反射率の極大点近傍および極小点近傍では、膜厚の変動に対する反射率の変動が非常に小さくなる。このため、膜厚の変動が僅かである場合には、画像生成部71により生成された2次元画像(元画像および強調画像)において画素の値がほとんど変動せず、ムラ検出部72によるムラ(すなわち、膜厚の変動)の検出の精度が低下してしまう。以下、膜厚の変動に対する反射率の変動の割合が非常に小さい膜厚の領域を、「低感度領域」という。
【0043】
仮に、基板9上の膜92の膜厚が図7中の線101の低感度領域において変動しているとすると、このような膜厚ムラを線101のみに基づいて高精度に検出することは難しい。そこで、ムラ検査装置1では、上述のように1つの光学フィルタ51を選択光学フィルタ51aとして1回目の膜厚ムラの検出を行った後(ステップS23)、制御部8により波長帯切替機構5のフィルタ回転モータ53が駆動されてフィルタホイール52が回転し、他の光学フィルタ51が基板9から受光部4に至る光路上に配置されて波長帯切替機構5における選択波長帯が変更される(ステップS231)。選択波長帯が変更されることにより、膜厚の低感度領域も移動する。
【0044】
その後、必要であれば、あるいは、予めフィルタチルト機構56により新たな選択光学フィルタ51aの光路に対する傾きが変更されて選択波長帯が調整され、移動機構21によりステージ2が検査開始位置に戻されて再び基板9およびステージ2の移動が開始される(ステップS11,S12)。ムラ検査装置1では、ステージ2が検査終了位置に到達するまで、光出射部3からの光の基板9における反射光のうち、1回目のムラ検出時とは異なる選択波長帯の光が受光部4により受光され、基板9上の線状照射領域からの反射光の強度分布が繰り返し取得されて検査部7の画像生成部71へと送られた後、基板9およびステージ2の移動が停止され、照明光の照射も停止される(ステップS13〜S17)。
【0045】
そして、検査部7の画像生成部71により、基板9の上面91の強調画像が生成され(ステップS21)、ムラ検出部72により、上面91上の膜92の膜厚ムラが検出される(ステップS22)。2回目の膜厚ムラの検出が終了すると(ステップS23)、1回目および2回目の検出結果に基づき、基板9の上面91上に形成された膜92の膜厚ムラが最終的に検出されてムラ検査装置1による膜厚ムラの検出が終了する。
【0046】
ムラ検査装置1では、波長帯切替機構5の複数の光学フィルタ51により互いに異なる複数の波長帯の間で選択波長帯を切り替えることにより、1回目のムラ検出と2回目のムラ検出とで膜厚の低感度領域を異ならせている。これにより、膜92の膜厚の変動幅の一部(または全部)が、例えば1回目のムラ検出時の低感度領域に含まれている場合であっても、2回目のムラ検出時には低感度領域が異なっているため、1回目のムラ検出時に低感度領域に含まれていた部分についても高感度に検出することができ、膜厚ムラを精度良く検出することができる。
【0047】
基板9の上面91上の膜92は、多くの場合、塗布液を塗布することにより容易に形成されており、ムラ検査装置1は、膜厚ムラを精度良く検出することができるため、このような塗布液の塗布により形成された膜92の膜厚ムラ(すなわち、塗布ムラ)の検出に特に適している。
【0048】
ところで、ムラ検査装置1では、フィルタチルト機構56により選択光学フィルタ51aの基板9からラインセンサ41に至る光路に対する傾きを変更することにより、基板9からの反射光に対する選択光学フィルタ51aの透過波長帯(すなわち、選択波長帯)を精度良く調整することができる。その結果、選択波長帯を膜92の材質や膜厚等の特性に合わせて調整することにより、膜厚ムラをの検出精度を向上することができる。また、複数台のムラ検査装置において、選択光学フィルタの透過波長帯に製造誤差(例えば、中心波長において3nm程度の誤差)がある場合であっても、中心波長が最も短い選択光学フィルタに他の装置の選択光学フィルタの透過波長帯を合わせることにより、選択光学フィルタの透過波長帯を精度良く一致させることができ、複数台の装置間の個体差を除去して安定した検査を実現することができる。
【0049】
波長帯切替機構5では、複数の光学フィルタ51のそれぞれに対してフィルタチルト機構56が設けられているため、各光学フィルタ51の光路に対する傾きを個別に変更することにより、各光学フィルタ51の透過波長帯を膜92の特性に合わせて個別に調整することができる。ムラ検査装置1では通常、複数枚の同種類の基板9の膜厚ムラが連続的に検査されるが、検査に利用される2つの光学フィルタ51の透過波長帯が個別に調整可能であるため、光学フィルタ51の傾きの変更は1枚目の基板9の検査時のみでよく、その後は、傾きの変更は不要となる。このように、ムラ検査装置1では、複数枚の基板9の膜厚ムラを連続的に検査する場合に、光学フィルタ51の透過波長帯の調整に係る作業を簡素化することができる。
【0050】
波長帯切替機構5では、選択光学フィルタ51aが光出射部3からの線状光が伸びる方向であるY方向を向くフィルタ回転軸55を中心として回動することにより、選択光学フィルタ51aに入射する線状光の全長に亘って、線状光の選択光学フィルタ51aに対する入射角が一定とされる。これにより、線状光の中央部と両端部とにおいて、選択光学フィルタ51aに対する入射角のわずかな差異による透過波長帯の僅かなずれが防止され、膜厚ムラの検出精度の低下を防止することができる。
【0051】
ムラ検査装置1では、ラインセンサ41により基板9からの反射光を受光して膜厚ムラを検出するため、基板9が光透過性を有しない場合であっても、膜厚ムラを適切に検査することができる。また、光出射部3からの光を傾斜させて基板9に照射することにより、光出射部3と受光部4との近接による入射側および反射側の光路の重複を回避し、光出射部3や受光部4の構成や配置が複雑になってしまうことを防止することができる。
【0052】
次に、本発明の第2の実施の形態に係るムラ検査装置1aについて説明する。図9は、ムラ検査装置1aの構成を示す正面図である。ムラ検査装置1aでは、図3に示すムラ検査装置1のフィルタチルト機構56に代えて、図9に示すようにフィルタホイール52をフィルタ回転軸55aを中心として回動するフィルタチルト機構56aが設けられる。その他の構成は図1と同様であり、以下の説明において同符号を付す。
【0053】
図9に示すように、ムラ検査装置1aの波長帯切替機構5では、フィルタチルト機構56aがフィルタ回転モータ53のフィルタホイール52とは反対側に取り付けられており、フィルタチルト機構56aがY方向を向くフィルタ回転軸55aを中心として図9中の時計回りに回動することにより、フィルタ回転モータ53およびフィルタホイール52も時計回りに回動する。これにより、選択光学フィルタ51aが他の光学フィルタ51と共に傾けられ、選択光学フィルタ51aの基板9からラインセンサ41に至る光路に対する傾斜角度が変更されて選択波長帯(すなわち、基板9からの反射光に対する選択光学フィルタ51aの透過波長帯)も変更される。
【0054】
第2の実施の形態に係るムラ検査装置1aによる膜厚ムラの検査の流れは、第1の実施の形態とほぼ同様であり、以下、図5および図6を参照しつつ説明する。ムラ検査装置1aにより膜92の膜厚ムラの検査が行われる際には、まず、フィルタチルト機構56aにより選択光学フィルタ51aの傾きが自動的に変更されて選択波長帯の調整が行われる(ステップS11)。続いて、基板9およびステージ2の移動が開始され、光出射部3から線状の白色光が出射されて基板9上の線状照射領域に照射される(ステップS12,S13)。
【0055】
光出射部3からの光は、基板9の上面91にて反射され、波長帯切替機構5の選択光学フィルタ51aを透過することにより選択波長帯の光のみが取り出されて受光部4へと導かれる。受光部4では、波長帯切替機構5からの選択波長帯の光がラインセンサ41により受光され、基板9上の線状照射領域からの反射光の選択波長帯における強度分布が取得されて検査部7の画像生成部71へと送られる(ステップS14,S15)。
【0056】
ムラ検査装置1aでは、ステージ2が検査終了位置に到達するまで(ステップS16)、基板9上の線状照射領域からの反射光の強度分布が繰り返し取得されることにより、上面91からの反射光の選択波長帯における強度分布が取得される(ステップS14〜S16)。その後、基板9およびステージ2の移動、並びに、照明光の照射が停止され(ステップS17)、画像生成部71により強調画像が生成されるとともに上面91上に形成された膜92の膜厚ムラが検出される(ステップS21,S22)。
【0057】
1回目の膜厚ムラの検出が終了すると、波長帯切替機構5において選択光学フィルタ51aが切り替えられることにより選択波長帯が変更され(ステップS23,S231)、ステップS11に戻って必要に応じて選択光学フィルタ51aの傾きが自動的に変更された後、2回目の膜厚ムラの検出が行われる(ステップS11〜S17,S21〜S23)。そして、1回目および2回目の検出結果に基づき、基板9の上面91上に形成された膜92の膜厚ムラが最終的に検出されてムラ検査装置1aによる膜厚ムラの検出が終了する。
【0058】
以上に説明したように、ムラ検査装置1aでも、第1の実施の形態と同様に、選択波長帯を変更して2回の膜厚ムラの検出を行うことにより、膜厚ムラを精度良く検出することができる。また、フィルタチルト機構56aにより、選択光学フィルタ51aの光路に対する傾きを変更することにより、第1の実施の形態と同様に、選択光学フィルタ51aの基板9からの反射光に対する透過波長帯(すなわち、選択波長帯)を精度良く調整することができる。その結果、選択波長帯を膜92の特性に合わせて調整することにより、膜厚ムラの検出精度を向上させることができ、さらに、複数台のムラ検査装置において選択波長帯を精度良く一致させることができる。ムラ検査装置1aも、塗布液の塗布により形成された膜92の膜厚ムラ(すなわち、塗布ムラ)の検出に特に適している。
【0059】
ムラ検査装置1aの波長帯切替機構5では、特に、1つのフィルタチルト機構56aにより複数の光学フィルタ51の光路に対する傾きが一体的に変更されるため、複数の光学フィルタ51に対して透過波長帯の調整を行う機構を簡素化することができる。また、第1の実施の形態と同様に、選択光学フィルタ51aが光出射部3からの線状光が伸びる方向であるY方向を向くフィルタ回転軸55aを中心として回動することにより、線状光の選択光学フィルタ51aに対する入射角が線状光の全長に亘って一定とされ、膜厚ムラの検出精度の低下を防止することができる。
【0060】
ムラ検査装置1aでは、第1の実施の形態と同様に、基板9からの反射光を受光して膜厚ムラを検出するため、基板9が光透過性を有しない場合であっても、膜厚ムラを適切に検査することができる。また、光出射部3からの光を傾斜させて基板9に照射することにより、光出射部3や受光部4の構成や配置が複雑になってしまうことを防止することができる。
【0061】
次に、本発明の第3の実施の形態に係るムラ検査装置1bについて説明する。図10はムラ検査装置1bの構成を示す正面図である。図10に示すように、ムラ検査装置1bでは、基板9に向けて光を出射する光出射部3が、基板9の(−Z)側(すなわち、基板9の膜92が形成された上面91とは反対側)に配置される。また、ステージ2aは、基板9に対応する開口を有しており、光透過性を有する基板9を周囲から保持する。その他の構成は図1ないし図3と同様であり、以下の説明において同符号を付す。
【0062】
光出射部3は、第1の実施の形態と同様に、白色光を出射するハロゲンランプ31、ステージ2aの移動方向に垂直な図10中のY方向に伸びる石英ロッド32およびシリンドリカルレンズ33を備える。ムラ検査装置1bでは、光出射部3から出射された線状光が、ステージ2aの開口を通過して基板9に(−Z)側から入射し、基板9および膜92を透過し、波長帯切替機構5の選択光学フィルタ51aを透過して選択波長帯の光に変換された後、受光部4のラインセンサ41により受光される。
【0063】
また、ムラ検査装置1bでは、第1の実施の形態と同様に、波長帯切替機構5の選択光学フィルタ51aが、上面91上に光透過性の膜92が形成されている基板9を経由しつつ光出射部3からラインセンサ41に至る光路上に配置されており、フィルタチルト機構56(図3参照)により選択光学フィルタ51aが傾けられることにより、選択光学フィルタ51aの光路に対する傾きが変更されて選択波長帯が調整される。
【0064】
ムラ検査装置1bによる膜厚ムラの検査の流れは、透過光を利用するという点を除いて第1の実施の形態と同様であり、選択波長帯を精度良く調整することができるため、膜厚ムラの検出精度を向上することができる。また、複数台のムラ検査装置において選択波長帯を精度良く一致させることができる。
【0065】
以上、本発明の実施の形態について説明してきたが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、様々な変更が可能である。
【0066】
例えば、基板9を保持するステージは、光出射部3、受光部4および波長帯切替機構5に対して相対的に移動すればよく、ステージが固定され、光出射部3、受光部4および波長帯切替機構5が、互いに固定された状態で移動されてもよい。
【0067】
上記実施の形態に係るムラ検査装置では、ハロゲンランプ31から出射される光に基板9上に形成された膜92に好ましくない影響を与える波長帯の光が含まれている場合、当該波長帯の光を透過しないフィルタ等がハロゲンランプ31から基板9に至る光路上に設けられる。また、基板9の上面91上の膜92が赤外線に対して透過性を有する場合、白色光を出射するハロゲンランプ31に代えて赤外線を出射する光源が光出射部3に設けられてもよい。
【0068】
光出射部3では、石英ロッド32に代えて複数の光ファイバが直線状に配列されたファイバアレイが設けられ、ハロゲンランプ31からの光がファイバアレイを通過することにより線状光に変換されてもよい。また、ハロゲンランプ31および石英ロッド32に代えて、直線状に配列された複数の光源要素が線状光を出射する光源として設けられてもよい。
【0069】
波長帯切替機構5は、光出射部3からラインセンサ41に至る光路上に配置されるのであれば、必ずしも基板9と受光部4との間に配置される必要はなく、例えば、光出射部3から基板9に至る光路上に配置されてもよい。
【0070】
フィルタチルト機構は、上述の構成以外の様々な構成とされてよく、例えば、第1および第3の実施の形態に係るフィルタチルト機構56では、各光学フィルタ51のフィルタ回転軸55の端部にステッピングモータが接続され、制御部8の制御によりステッピングモータが回転されることにより、光学フィルタ51が回動されて光路に対する傾きが自動的に変更されてもよい。また、フィルタチルト機構による光学フィルタ51の回転方向は、例えば、図3中における反時計回りであってもよい。
【0071】
上記実施の形態に係るムラ検査装置では、膜92の膜厚ムラは、ムラ検出部72により上面91の強調画像における各画素の値のばらつきの程度が検査されることにより検出されるが、膜厚ムラの検出は、ディスプレイ等に表示された上面91の強調画像を作業者が目視して参照用画像と比較することにより行われてもよい。
【0072】
上記実施の形態に係るムラ検査装置は、レジスト膜以外の他の膜、例えば、基板9上に形成された絶縁膜や導電膜の膜厚ムラの検出に利用されてよく、これらの膜は、塗布液の塗布以外の方法、例えば、蒸着法や化学気相成長法(CVD:Chemical Vapor Deposition)、スパッタリング等により形成されたものであってもよい。また、ムラ検査装置は、半導体基板等の他の基板上に形成された膜の膜厚ムラの検査に利用されてよい。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】第1の実施の形態に係るムラ検査装置の構成を示す図である。
【図2】波長帯切替機構を示す図である。
【図3】選択光学フィルタ近傍を拡大して示す図である。
【図4】光学フィルタの傾斜角度と透過波長帯のシフト量との関係を示す図である。
【図5】膜厚ムラの検査の流れを示す図である。
【図6】膜厚ムラの検査の流れを示す図である。
【図7】膜厚と反射率との関係を示す図である。
【図8】膜厚と反射率の変動との関係を示す図である。
【図9】第2の実施の形態に係るムラ検査装置の構成を示す図である。
【図10】第3の実施の形態に係るムラ検査装置の構成を示す図である。
【符号の説明】
【0074】
1,1a,1b ムラ検査装置
2,2a ステージ
3 光出射部
9 基板
21 移動機構
41 ラインセンサ
51 光学フィルタ
51a 選択光学フィルタ
52 フィルタホイール
53 フィルタ回転モータ
55,55a フィルタ回転軸
56,56a フィルタチルト機構
90 光路
91 上面
92 膜
S11〜S17,S21〜S23,S231 ステップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に形成された膜の膜厚ムラを検査するムラ検査装置であって、
主面上に光透過性の膜が形成されている基板を保持する保持部と、
前記膜に向けて前記主面に沿う所定の方向に伸びる線状光を出射する光出射部と、
前記膜にて反射された、または、前記膜を透過した後の光を受光して前記主面上の前記所定の方向に伸びる線状の照射領域からの光の強度分布を取得するセンサと、
前記光出射部から前記センサに至る光路上に配置されるとともに特定の波長帯の光を透過する光学フィルタと、
前記光学フィルタの前記光路に対する傾きを変更するフィルタチルト機構と、
前記主面に沿うとともに前記所定の方向に垂直な移動方向に前記保持部を前記光出射部、前記センサおよび前記光学フィルタに対して相対的に移動する移動機構と、
を備えることを特徴とするムラ検査装置。
【請求項2】
請求項1に記載のムラ検査装置であって、
前記フィルタチルト機構が、前記所定の方向を向く軸を中心として前記光学フィルタを回動することを特徴とするムラ検査装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載のムラ検査装置であって、
前記光学フィルタとは異なる波長帯の光を透過するもう1つの光学フィルタと、
前記光学フィルタおよび前記もう1つの光学フィルタのうち前記光路上に配置されている一の光学フィルタを他の光学フィルタに切り替える光学フィルタ切替機構と、
前記もう1つの光学フィルタの前記光路に対する傾きを前記光学フィルタとは個別に変更するもう1つのフィルタチルト機構と、
をさらに備えることを特徴とするムラ検査装置。
【請求項4】
請求項1または2に記載のムラ検査装置であって、
前記光学フィルタとは異なる波長帯の光を透過するもう1つの光学フィルタと、
前記光学フィルタおよび前記もう1つの光学フィルタのうち前記光路上に配置されている一の光学フィルタを他の光学フィルタに切り替える光学フィルタ切替機構と、
をさらに備え、
前記フィルタチルト機構が、前記光学フィルタを前記もう1つの光学フィルタと共に傾けることを特徴とするムラ検査装置。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれかに記載のムラ検査装置であって、
前記センサが、前記膜にて反射された後の光を受光することを特徴とするムラ検査装置。
【請求項6】
請求項5に記載のムラ検査装置であって、
前記光出射部からの光が、前記基板の前記主面に対して傾斜して入射することを特徴とするムラ検査装置。
【請求項7】
請求項1ないし6のいずれかに記載のムラ検査装置であって、
前記膜が、前記基板の前記主面上に塗布液を塗布することにより形成されたものであることを特徴とするムラ検査装置。
【請求項8】
基板上に形成された膜の膜厚ムラを検査するムラ検査方法であって、
主面上に光透過性の膜が形成されている基板を経由しつつ光出射部からセンサに至る光路上に配置されるとともに特定の波長帯の光を透過する光学フィルタを傾けて前記光学フィルタの前記光路に対する傾きを変更する工程と、
前記主面に沿う移動方向に前記基板に対して相対的に移動する前記光出射部から、前記主面に沿うとともに前記移動方向に垂直な所定の方向に伸びる線状光を前記膜に向けて出射する工程と、
前記基板に対して前記光出射部と共に相対的に移動する前記センサにより、前記膜にて反射された、または、前記膜を透過した後の前記特定の波長帯の光を受光して前記主面上の前記所定の方向に伸びる線状の照射領域からの光の強度分布を繰り返し取得する工程と、
を備えることを特徴とするムラ検査方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2006−292487(P2006−292487A)
【公開日】平成18年10月26日(2006.10.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−111561(P2005−111561)
【出願日】平成17年4月8日(2005.4.8)
【出願人】(000207551)大日本スクリーン製造株式会社 (2,640)
【Fターム(参考)】