ロボットハンドおよび基板搬送ロボット
【課題】 既存のロボット本体を交換することなく、基板の搬送可能領域を大きくすることができる基板搬送ロボットのロボットハンドを提供する。
【解決手段】 ロボットハンド20を伸縮状態とすることによって、ロボットアームの先端部の可動領域では、ウェハ21の搬送に必要な可動領域に達しない場合であっても、ウェハ21の搬送に必要なウェハ21の可動領域を得ることができる。これによってロボット本体を交換することなく、搬送元位置または搬送先位置の変更可能な範囲を広げることができる。またロボットハンド20を縮退状態とすることで、ロボットアームを構成するアーム部分が他の装置と干渉する可能性を減らすことができ、ロボットの移動における制約を少なくすることができる。
【解決手段】 ロボットハンド20を伸縮状態とすることによって、ロボットアームの先端部の可動領域では、ウェハ21の搬送に必要な可動領域に達しない場合であっても、ウェハ21の搬送に必要なウェハ21の可動領域を得ることができる。これによってロボット本体を交換することなく、搬送元位置または搬送先位置の変更可能な範囲を広げることができる。またロボットハンド20を縮退状態とすることで、ロボットアームを構成するアーム部分が他の装置と干渉する可能性を減らすことができ、ロボットの移動における制約を少なくすることができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板を支持するロボットハンドおよび基板搬送ロボットに関し、特に半導体ウェハを搬送するロボットハンドおよび基板搬送ロボットに関する。
【背景技術】
【0002】
半導体処理設備内で半導体ウェハを搬送するために、ウェハ搬送ロボットが半導体処理設備内に設けられる。従来技術のウェハ搬送ロボットは、ロボットアームの先端部に、基板を支持するためのロボットハンドが装着される(たとえば特許文献1参照)。ロボットハンドがウェハを支持した状態で、ロボットアームがロボットハンドを変位移動させることで、搬送元位置にあるウェハを搬送先位置に搬送することができる。
【0003】
【特許文献1】特開平11−116047号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
半導体処理設備として完成してから、搬送位置の設計変更が行われてウェハの搬送距離が延びると、既存のロボットから可動領域の大きい別のロボットに交換しなければならない場合がある。この場合、ロボットを交換するために費用および時間がかかってしまう。
【0005】
またウェハ搬送ロボットは、搬送元位置から搬送先位置にウェハを搬送可能としたうえで、アーム移動時に他の装置との干渉が生じないよう構成され、さらに半導体処理設備に占める容積の小形化が望まれる。また半導体ウェハ以外の基板、たとえばガラス基板などの基板搬送ロボットであっても同様の問題が生じる。
【0006】
したがって本発明の目的は、既存のロボットを交換することなく、基板の搬送可能領域を大きくすることができる基板搬送ロボットのロボットハンドを提供することである。
【0007】
また本発明の他の目的は、基板搬送ロボットとして、移動時に他の装置との干渉が防がれ、基板の搬送可能領域を大きくすることができる基板搬送ロボットを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、多関節ロボットのロボットアームの先端部に装着されるハンド基端部と、
基板を支持可能に形成され、基板を支持した状態で、ハンド基端部に対して変位自在に設けられる基板支持部と、
基板支持部をハンド基端部に対して変位駆動するハンド駆動手段とを含むことを特徴とするロボットハンドである。
【0009】
また本発明は、ハンド駆動手段によって駆動されて、基板支持部に支持される基板を基板支持部に対して固定する固定手段をさらに含み、
固定手段は、基板支持部が予め定める設定位置へ移動するに連動して、基板支持部に支持される基板の基板支持部に対する固定を解除し、
基板支持部が前記設定位置からハンド基端部に近接するに連動して、基板支持部に支持される基板を基板支持部に対して固定することを特徴とする。
【0010】
また本発明は、ハンド駆動手段は、空気圧アクチュエータによって実現されることを特徴とする。
【0011】
また本発明は、ハンド駆動手段は、サーボモータによって実現されることを特徴とする。
【0012】
また本発明は、前記ロボットハンドと、
水平多関節型ロボットであって、ロボットアームの先端部にロボットハンドが着脱可能に装着されるロボット本体と、
ロボットハンドとロボット本体とを制御する制御手段とを含むことを特徴とする基板搬送ロボットである。
【0013】
また本発明は、基板支持部がハンド基端部に向けて変位移動することで、ロボットの可動回転半径が最小となることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
請求項1記載の本発明に従えば、ハンド駆動手段が基板支持部をハンド基端部に対して離反移動させることによって、ロボットハンドの全長寸法を長くすることができる。これによってロボットアームに起因する基板支持部の移動可能領域よりも、基板支持部をさらに遠くに移動させることができる。またハンド駆動手段が基板支持部をハンド基端部に対して近接移動させることによって、ロボットハンドの全長寸法を短くすることができる。これによってロボットハンドおよびロボットハンドが装着されたロボットが、他の装置と干渉することを防ぐことができる。このように基板支持部をハンド基端部に対して変位自在とすることで、基板の搬送可能な領域を増やすとともに他の装置との干渉を防ぐことができる。
【0015】
本発明によれば、既存のロボットに本発明のロボットハンドを搭載することで、基板搬送ロボットの基板の搬送可能領域を増やすことができる。たとえば基板搬送ロボットが基板処理装置に設置された後に、基板の搬送距離が長くなるように設計変更がなされた場合であっても、本発明のロボットハンドに取り替えることで基板の搬送可能領域を増やすことができる。この場合、可動領域の広いロボットに交換する場合に比べて、交換費用および準備期間を短縮することができる。またハンド基端部に対して基板支持部を変位移動させることで、ロボットアームを構成するアーム部分が他の装置と干渉する可能性を減らすことができる。
【0016】
また請求項2記載の本発明に従えば、ハンド駆動手段が基板支持部を設定位置に移動させると、基板支持部の移動に連動して固定手段は開放状態となる。固定手段が開放状態となると、搬送元位置にある基板を、基板支持部が支持可能な状態となる。また基板支持部が基板を支持した状態で、ハンド駆動手段が基板支持部を設定位置からハンド基端部に向けて移動させると、固定手段が固定状態となり、基板支持部に基板が固定される。また基板支持部が基板を支持した状態で、固定手段が開放状態となると、基板の固定が解除されて、支持した基板の搬送先位置への移載が可能な状態となる。
【0017】
このように本発明によれば、固定手段は、基板支持部の移動に連動して、基板の固定および固定解除を行う。したがってハンド駆動手段が、基板支持部を変位移動させるだけで、基板の固定および固定解除を行うことができ、固定手段を駆動する駆動手段を別途必要とすることがない。これによってロボットハンドの小形化および軽量化を図ることができ、簡単な構成によって実現することができる。
【0018】
また基板の固定および固定解除と、基板支持部の移動とを同時に行うことができ、サイクルタイムを短縮することができる。また基板支持部に支持される基板が固定手段によって固定された状態で、基板支持部を移動することで、基板支持部から基板がずれることが防がれ、基板支持部を高速で移動させることができる。
【0019】
請求項3記載の本発明に従えば、ハンド駆動手段が空気が供給されることによって動作する空気圧アクチュエータによって実現されることで、電気モータに比べて小形にハンド駆動手段を実現することができ、ロボットハンド全体の小形化および軽量化を図ることができる。また基板支持部を滑らかに変位移動させることができ、基板支持部を移動するのに発生する衝撃および振動を抑えることができる。たとえば空気圧アクチュエータは、可動部を直線駆動するエアシリンダまたは可動部を回転駆動するロータリーアクチュエータによって実現される。
【0020】
請求項4記載の本発明に従えば、ハンド駆動手段がサーボモータによって実現されることで、ハンド基端部に対する基板支持部の移動量を精度よく制御することができる。これによって基板支持部の移動量を把握するためのセンサを別途設ける必要がない。またハンド基端部に対して任意の位置に基板支持部を移動させることができ、移動速度の調整も容易である。これによって基板支持部を所望とする移動状態で移動させることができ、利便性を向上することができる。
【0021】
請求項5記載の本発明に従えば、ロボット本体に、上述したロボットハンドが装着されることによって、基板搬送ロボットの基板搬送可能領域を広くすることができる。これによって既存のロボット本体を用いて、安価に基板搬送可能領域を広くすることができる。たとえば基板処理設備において、基板の搬送距離が変更されたとしても、可動領域の大きい別の多関節ロボットに交換する必要がなく、交換費用および交換準備時間を短縮することができる。
【0022】
またロボット本体が多関節ロボットによって実現されることで、ロボットハンドの姿勢を任意の姿勢にすることができ、ロボットによる基板搬送動作を柔軟に行うことができる。これによって搬送元位置と搬送先位置とが複数ある場合、障害物を避けて基板搬送動作を行わなければならない場合などでも、基板搬送を行うことができる。
【0023】
請求項6記載の本発明に従えば、基板支持部を基板の搬送元位置および搬送先位置に向かって移動させるにあたって、ロボットの向きを変える必要がある場合、ロボットの可動回転半径を最小となるように、ロボットハンドの全長を縮退させるとともにアームを変位させてロボットを角変位させて、ロボットの向きを変える。これによってロボットの向きを変えるときに必要な動作領域を最小にすることができ、他の装置との干渉を防ぐことができ、狭隘な空間に基板搬送ロボットを配置することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
図1は、本発明の第1実施形態であるロボットハンド20を示す正面図であり、図2は、図1の矢符A2−A2からロボットハンド20を見て示す断面図である。また図3は、図2の矢符A3−A3からロボットハンド20を見て示す断面図である。本実施の形態のロボットハンド20は、円板状の半導体ウェハ21を搬送するための基板搬送ロボットの一部を構成する。基板搬送ロボットは、クリーンルーム内において、予め設定される搬送元位置にあるウェハ21を支持し、支持したウェハ21を搬送先位置に移載する。
【0025】
基板搬送ロボットは、多関節ロボットであるロボット本体22と、ロボットハンド20と、ロボット本体22およびロボットハンド20を制御するロボットコントローラとを含む。本実施の形態では、ロボット本体22は、水平多関節ロボット、いわゆるスカラ型ロボットによって実現される。
【0026】
ロボットハンド20は、ハンド基端部30と、基板支持部31と、ハンド駆動手段32とを含んで構成される。ハンド基端部30は、ロボット本体22のロボットアームの先端部23に装着される。ハンド基端部30は、ロボットアームの先端部23に設定される基準軸線L1まわりに、基板支持部31を角変位可能に支持する。ここで基準軸線L1は、ロボットアームの先端部23を通過し、鉛直に延びる軸線である。
【0027】
基板支持部31は、ウェハ21を支持可能に形成され、ハンド基端部30に対して変位自在に設けられる。具体的には、基板支持部31は、ウェハ21を支持した状態で、前記基準軸線L1に垂直な移動軸線L2に沿う伸縮方向19に変位自在に形成される。本実施の形態では、移動軸線L2は、基板支持部31に固定的に設定されて水平に延びる。したがって基板支持部31が基準軸線L1まわりに角変位するにともなって、移動軸線L2もまた、基準軸線L1まわりに角変位する。以下、伸縮方向19のうち、基板支持部31がハンド基端部30に近づく方向を伸縮方向一方19Aとし、基板支持部31がハンド基板部30から遠ざかる方向を伸張方向他方19Bと称する。
【0028】
基板支持部31は、ハンド基端部30に支持される基部35と、基部35に連結されて水平に延びるブレード36とを有する。ブレード36は、基部35から伸張方向他方19Bに進むにつれて2つに分岐する略V字板状に形成されて、2つの先端部が形成される。ブレード36は、移動軸線L2に関して対称に形成される。
【0029】
ブレード36は、ハンド基端部30に対して予め定める間隔をあけて上方に配置される。これによって基板支持部31が伸縮方向19に変位したとしても、ブレード36に支持したウェハ21が、ハンド基端部30に接触することが防がれる。本実施の形態では、ロボットハンド20は、エッジクリップ型に形成される。この場合、ブレード36は、ウェハ21を乗載するための複数の乗載部37を有する。乗載部37は、残余のブレード部分に比べて、上方に突出する。そして各乗載部37の乗載面にウェハ21の下面の一部が乗載されることによって、ウェハ21が基板支持部31に支持される。
【0030】
乗載部37は、ウェハ21の周縁部のうちそれぞれ異なる3箇所以上、本実施の形態では4箇所に接触して、ウェハ21を下方から支持する。なお、隣接する乗載部37の周方向間隔は、ウェハ21が支持された場合のウェハ中心に対して180度以下に配置される。具体的には、ブレード36の2つの先端部に第1乗載部37Aおよび第2乗載部37Bがそれぞれ形成される。またブレードの基部35には、第3乗載部37Cおよび第4乗載部37Dがそれぞれ形成される。
【0031】
第1乗載部37Aおよび第2乗載部37Bの乗載面は、伸縮方向一方19Aに向かうにつれて、下方に傾斜する。また第3乗載部37Cおよび第4乗載部37Dの乗載面は、伸縮方向他方19Bに向かうにつれて、下方に傾斜する。また第1乗載部37Aおよび第2乗載部37Bには、乗載面の伸縮方向他方19B側にウェハ21の周面に当接する当接部67が形成される。当接部67は、乗載面から上方に突出する。ウェハ21は、その周面が第1および第2乗載部37A,37Bの当接部67に当接することによって、ブレード36に対して位置合わせされた状態となる。
【0032】
ハンド駆動手段32は、ハンド基端部30に設けられ、基板支持部31をハンド基端部30に対して変位駆動する。具体的には、ハンド駆動手段32は、ハンド基端部30に対して伸縮方向19に変位自在に設けられる可動部34と、可動部34を伸縮方向19に変位駆動する駆動部38とを含んで構成される。可動部34は、基部31に形成される連結部41によって基板支持部31に固定される。これによって駆動部38が可動部34を伸縮方向一方19Aに変位駆動することで、基板支持部31が可動部34とともに伸縮方向一方19Aに移動する。また駆動部38が可動部34を伸縮方向他方19Bに変位駆動することで、基板支持部31が可動部とともに伸縮方向他方19Bに変位駆動する。
【0033】
本実施の形態では、ハンド駆動手段32の駆動部38は、複動型ロッドレスエアシリンダを含んで実現され、エア供給源からエアが供給されることによって、伸縮方向一方19Aおよび他方19Bに可動部34を変位駆動する。またハンド基端部30には、基板支持部31の基部35を伸縮方向19に案内する2つのレール33が設けられ、レール33は、伸縮方向19に平行に延びる。基板支持部31の基部35は、レール33に嵌合する嵌合部分40を有することで、伸縮方向19以外にずれることが防がれる。
【0034】
図4は、基板支持部31が伸縮方向一方19Aに移動した状態を示す正面図であり、図5は、図4の矢符A5−A5からロボットハンド20を見て示す断面図である。ハンド駆動手段32によって基板支持部31を伸縮方向一方19Aに移動させた場合には、ハンド基端部30と基板支持部31とを合わせた伸縮方向19のロボットハンド全長寸法B2が、移動前のロボットハンド全長寸法B1に比べて小さくなる。
【0035】
言い換えると、基板支持部31を伸縮方向他方19Bに移動させた状態を伸張状態とし、基板支持部31を伸縮方向一方19Aに移動させた状態を縮退状態とすると、縮退状態の全長寸法B2よりも、伸張状態の全長寸法B1を長くすることができる。たとえば本実施の形態では、縮退状態の全長寸法B1に比べて、伸張状態の全長寸法を約100mm大きくすることができる。
【0036】
このようにハンド駆動手段32によって基板支持部31を伸縮方向19に移動させることによって、ロボットハンド全長寸法を変化させることができる。ロボットハンド20の全長寸法を長くすることで、ロボットアームの先端部23に対して、基板支持部31をさらに遠くに移動させることができる。またロボットハンド20の全長寸法を短くすることで、ロボットハンドを小形化することができ、他の装置とロボットハンド20との干渉を防ぐことができる。なお本発明では、ハンド基端部30に対して、基板支持部30が伸縮方向19に変位可能な構成であればよく、上述した構成に限定されない。
【0037】
図6は、固定手段27を説明するためにロボットハンド20の一部を拡大して示す断面図である。本実施の形態では、ロボットハンド20は、基板支持部31に支持されるウェハ21を基板支持部31に対して固定する固定手段27をさらに含む。図6(1)は、伸張状態のロボットハンド20の一部を示し、図6(2)は、縮退状態のロボットハンド20の一部を示す。
【0038】
固定手段27は、基板支持部31が予め定める設定位置から伸縮方向一方19Aに移動すると、その移動動作に連動して、基板支持部31によって支持されるウェハ21の変位を阻止する固定状態となる。また固定手段27は、基板支持部31が設定位置から伸縮方向他方19Bに移動すると、その移動動作に連動して、開放状態となる。開放状態となると、基板支持部31がウェハ21を支持していない状態で、基板支持部31によるウェハ21の支持が可能な状態となる。また開放状態となると、基板支持部31がウェハ21を支持した状態で、支持したウェハ21の移載が可能な状態となる。本実施の形態では、設定位置は、基板支持部31が伸縮方向他方19Bに最も移動した最大伸張位置の近傍に設定され、たとえば最大伸張位置から数ミリ手前の位置に設定される。
【0039】
本実施の形態では、固定手段27は、各乗載部37に乗載されたウェハ21の周面に当接し、ウェハ21を伸縮方向他方19Bに変位させる当接部60と、当接部60を支持する支持部61と、基板支持部31の基部35に固定されて支持部61を案内する案内部62と、ハンド基端部30に固定される突起部63と、ばね力発生部である圧縮コイルばね64とを含んで構成される。
【0040】
支持部61は、基板支持部31に対して、伸縮方向19に変位自在に設けられ、案内部62によって案内される。具体的には、支持部61は、案内部62に形成されるレール65に嵌合する嵌合部分69が形成されることによって、伸縮方向19に変位自在に案内部62によって案内される。また支持部61と案内部62とは、圧縮コイルばね64によって接続される。圧縮コイルばね64は、その軸線が伸縮方向19に延びる。これによって圧縮コイルばね64は、伸縮方向19に力が与えられることで自然状態に比べて縮退する。また伸縮方向19の力が解除されることで縮退状態から自然状態に復帰する。基板支持部31とともに案内部62が伸縮方向19に移動すると、支持部61は、圧縮コイルばね64によって案内部62に接続されているので、案内部62とともに移動する。
【0041】
支持部61は、突起部63と当接するための接触部分66が形成される。図6(1)に示すように、基板支持部31とともに移動する案内部62につられて、支持部61が伸縮方向他方19Bに移動して、基板支持部31が設定位置に達した場合には、支持部61の接触部分66は、突起部63に当接する。そして支持部61の伸縮方向他方19Bへのさらなる移動が阻止される。
【0042】
基板支持部31が、設定位置を超えてさらに伸縮方向他方19Bに移動した場合には、支持部61が伸縮方向19に移動することが阻止されているので、圧縮コイルばね64が圧縮変形する。このとき支持部61は、相対的に基板支持部31に対して伸縮方向一方19Aに移動し、支持部61に支持される当接部60と、乗載部37の当接部67との間が広がる。
【0043】
支持部61に支持される当接部60と、乗載部37の当接部67との間の距離が、ウェハ21の直径よりも大きくなることで、基板支持部31がウェハ21を支持していない状態では、搬送元位置からウェハ21を乗載部37に乗載可能となる。また基板支持部31がウェハ21を支持している状態では、ウェハ21の変位が許容された状態となり、ウェハ21を搬送先位置に移載可能となる。
【0044】
また図6(2)に示すように、乗載部37にウェハ21を乗載している状態で、基板支持部31が設定位置よりも伸縮方向一方19Aに移動した場合には、支持部61の接触部分66と突起部63との当接状態が解除されて、圧縮コイルばね64が復元する方向に変形して、支持部61が基板支持部31に対して伸縮方向他方19Bに移動する。これによって、圧縮コイルばね64の復元力によって、当接部60は、ウェハ21の外周部に当接し、乗載部37の当接部67に向かう力をウェハ21に与える。これによって固定手段27の当接部60と、乗載部37の当接部67とによって協働して、ウェハ21を挟持することができる。これによって乗載部37にウェハ21を乗載するとともに、各当接部60,67によってウェハ21を挟持することで、ウェハ21の基板支持部31に対するずれを確実に防ぐことができる。
【0045】
このように本実施形態によれば、固定手段27は、基板支持部31の移動に連動して、ウェハ21の固定および固定解除を行う。これによってハンド駆動手段32が、基板支持部31を変位移動させるだけで、ウェハ21の固定および固定解除を行うことができ、固定手段32を駆動する駆動手段を別途必要とすることがない。これによってロボットハンド20の小形化および軽量化を図ることができ、簡単な構成によって実現することができる。
【0046】
またウェハ21の固定および固定解除と、基板支持部31の移動とを同時に行うことができ、サイクルタイムを短縮することができる。また基板支持部31を設定位置よりもハンド基端部31寄りに移動させた状態で、ロボットアームの先端部23が移動する場合には、基板支持部31に支持されるウェハ21が固定手段32によって固定された状態であり、高速で移動させてもウェハ21が基板支持部31の所定位置からずれることを防ぐことができる。また圧縮コイルばね64による復元力を利用してウェハ21を挟持することで、予め定める力で挟持する挟持状態を容易に保つことができる。また固定手段37の当接部60がウェハ21に当接したときの衝撃力を抑えることができる。
【0047】
また本実施の形態では、設定位置が最大伸張位置近傍に設定されることによって、基板支持部31が最大伸張位置に位置したときには、必ず固定手段27を開放状態にすることができる。これによってエアシリンダをハンド駆動手段32として用いても、確実にウェハ21の固定解除を行うことができる。また固定手段27が開放状態となる基板支持部31の領域を小さくすることができ、ウェハ21の変位が許容された状態で、ウェハ21が移動する移動量を小さくすることができる。
【0048】
また本実施の形態では、ハンド駆動手段32がエアシリンダによって実現される。これによって電気モータに比べて小形にハンド駆動手段32を実現することができ、ロボットハンド全体の小形化および軽量化を図ることができる。また基板支持部31を滑らかに変位移動させることができ、基板支持部31を移動するのに発生する衝撃および振動を抑えることができる。さらにハンド駆動手段32がロッドレスシリンダによって実現されることで、シリンダロッドが突出することがない。またハンド駆動手段32がハンド基端部30に設けられることによって、既存のロボットハンドから本実施の形態のロボットハンド20に付け替えるだけでよい。したがって、ロボットアームの構成を変更する必要がなく、既存のロボット本体22に本実施の形態のロボットハンド20を容易に着け換えることができる。
【0049】
図7は、ロボットハンド20が装着される基板搬送ロボット18を示す正面図であり、図8は、基板搬送ロボット18の電気的構成を示すブロック図である。基板搬送ロボット18のロボット本体22は、基台50と、胴部51と、ロボットアームとを含む。ロボットアームは、第1アーム52と、第2アーム53とを含んで構成される。基台50は、床面などに固定される。胴部51は、円筒状に形成され、一端部が基台50に没入し、他端部が基台51から突出する。基台50は、鉛直に延びる基台角変位軸線L3が設定される。そして胴部51を基台角変位軸線L3まわりに角変位自在でかつ、基台角変位軸線L3に沿って直線変位自在に支持する。
【0050】
第1アーム52は、その基端部が胴部51の他端部に固定される。第1アーム52の先端部には、第2アーム53の基端部が連結される。第1アーム52は、鉛直に延びる第1アーム角変位軸線L4が設定される。第1アーム52は、第2アーム53を第1アーム角変位軸線L4まわりに角変位可能に支持する。第2アーム53の先端部には、ロボットハンド20のハンド基端部30が連結される。第2アーム53は、鉛直に延びる基準軸線L1が設定される。第2アーム53は、ロボットハンド20を基準軸線L1まわりに角変位可能に支持する。各アーム52,53およびロボットハンドは、水平方向に延びる。
【0051】
図8に示すように、ロボット本体22は、胴部51を基台角変位軸線L3まわりに角変位駆動する第1アーム角変位駆動手段70と、胴部51を基台角変位軸線L3に沿って変位駆動する第1アーム直進駆動手段71と、第2アーム53を第1アーム角変位軸線線L4まわりに角変位駆動する第2アーム角変位駆動手段72と、装着されるロボットハンド20を基準軸線L1まわりに角変位駆動するロボットハンド角変位駆動手段73とを含む。
【0052】
これら各駆動手段70〜73が、それぞれ個別に動作することによって、ロボットハンド20を任意の位置および姿勢に移動させることができる。各駆動手段70〜73は、ロボットコントローラ17によって制御される。ロボットコントローラ17は、各駆動手段70〜73に動力を与えることによって、ロボットハンド20を目的とする移動経路および移動速度で移動させることができる。またロボットコントローラ17は、ロボットハンド20のハンド駆動手段32も制御する。これによってロボットハンド20の移動と、ロボットハンドの伸縮変化と、ウェハ21の固定および固定解除とのタイミングを合わせることができる。
【0053】
このような基板搬送ロボット18は、クリーンルーム内などの狭い空間内に設置される。基板搬送ロボット18は、ポッドに収容される複数のウェハ21を順番に取り出し、基板処理位置にウェハ21を搬送する。また一方の基板処理位置から他方の基板処理位置にウェハ21を搬送する。また基板処理位置で処理されたウェハ21をポッドに収容し直す。
【0054】
図9は、基板搬送ロボット18のウェハ21の最大搬送位置を説明するための正面図である。図9(1)は、第1比較例の基板搬送ロボット16を示し、図9(2)は、本実施の形態の基板搬送ロボット18を示し、図9(3)は、第2比較例の基板搬送ロボット15を示す。第1および第2比較例の基板搬送ロボット16,15は、装着されるロボットハンドの構成が異なる。第1および第2の比較例のロボットハンド14,13は、伸縮可能には構成されていない。水平型多関節ロボットでは、一直線に並ぶように各アーム52,53およびロボットハンド20を角変位した状態で、基台角変位軸線L3から最も遠くにウェハ21を搬送することができる。
【0055】
第1比較例のロボットハンド14のうち、基準軸線L1から先端部までの寸法C1は、本実施の形態のロボットハンド20が最も伸張した状態における寸法C2よりも小さい。また第2比較例のロボットハンド13の寸法C3は、本実施の形態のロボットハンド20が最も伸張した状態における寸法C2と等しい。
【0056】
このような場合、ロボットアームの可動領域C4は同じであるので、ロボットハンドの寸法が短い第1の比較例の基板搬送ロボット16は、ウェハ21の搬送可能な距離が短くなってしまう。これに対して本実施の形態の基板搬送ロボット18および第2比較例の基板搬送ロボット15は、第1の比較例の基板搬送ロボット16よりも、ロボットハンドの寸法が大きい分、ウェハ21の搬送可能な距離が長い場合であっても、ウェハ21を搬送することができる。
【0057】
図10は、基板搬送ロボットの最小回転半径を説明するための正面図である。図10(1)は、上述した第1比較例の基板搬送ロボット16を示し、図10(2)は、本実施の形態の基板搬送ロボット18を示し、図10(3)は、上述した第2比較例の基板搬送ロボット15を示す。基板搬送ロボットの最小回転半径は、基台角変位軸線L3まわりに胴部51を回転させた場合における基板搬送ロボットの最小可動領域を意味し、最小可動領域の外縁から基台角変位軸線L3までの距離である。本実施の形態のロボットハンド20が最も縮退した状態における寸法C5は、第1実施例のロボットハンド14の寸法C1と等しい。
【0058】
本実施の形態では、基板搬送ロボットの最小回転半径が、ロボットハンドの全長寸法に依存する。したがってロボットハンド20を縮退させることによって、その全長寸法を小さくすることができ、第2比較例よりも最小回転半径を小さくすることができる。これによって狭隘な空間にロボットが配置される場合であっても、ロボットの向きを変えることができる。
【0059】
ここで、ロボットの最小回転半径がロボットハンドの寸法に依存する場合とは、第1アーム52の先端部から基台角変位軸線L3までの寸法C6が、ロボットハンド20の寸法C5の半分よりも小さく、かつ第2アーム53の先端部から基端部までの寸法C7がロボットハンドの全長寸法C5よりも小さい場合である。アームが2つ以上設けられる場合であれば、第2〜第nアームの先端部から基端部までの寸法C7がロボットハンドの寸法C5よりも小さい場合である。
【0060】
以上のように、本実施形態の基板搬送ロボット18は、上述したロボットハンド20が装着される。そして図9に示すように、ロボットハンド20を伸張させることで、ウェハ21の搬送可能な距離を長くすることができる。また図10に示すように、ロボットハンド20を縮退させるとともに各アーム52,53を角変位することによって最小回転半径を小さくすることができ、他の装置との干渉を防ぐことができる。また最小回転半径となるように各アーム52,53を角変位させた状態でなくとも、ロボットハンド20を縮退させてロボットハンド20を小形化することで、図10(2)に示す第2比較例のロボット15に比べて、干渉の可能性を少なくすることができる。
【0061】
図11は、ウェハ21を搬送元位置から搬送先位置に移動させる場合のロボットコントローラ17の制御手順を示すフローチャートである。ウェハ21が搬送元位置に配置されるとともに、搬送先位置のウェハ処理準備が完了した状態で、作業者または他の装置からウェハ搬送指令が与えられると、ステップs1に進み、コントローラ17は、制御動作を開始する。
【0062】
ステップs1では、第1アーム角変位駆動手段70、第1アーム直進駆動手段71、第2アーム角変位駆動手段72、ロボットハンド角変位駆動手段73などのロボット本体22の駆動手段70〜73を動作させて、ロボットハンド19を搬送元位置近傍に配置し、ステップs2に進む。
【0063】
ステップs2では、ハンド駆動手段32を動作させて、ロボットハンド20を伸張状態とするとともにウェハ21を支持可能な開放状態とし、ステップs3に進む。ステップs3では、ロボット本体22の駆動手段70〜73を動作させて、ウェハ21の下方からブレード36を近づけて、ウェハ収容装置からブレード36の乗載部37にウェハ21を移載して、ウェハ21を支持させて、ステップs4に進む。
【0064】
ステップs4では、ハンド駆動手段32を動作させて、ロボットハンド20を縮退状態とするとともに支持したウェハ21の変位を阻止した状態とし、ステップs5に進む。ステップs5では、各駆動手段70〜73を動作させて、図10に示す最小回転半径で基板搬送ロボット18が回転可能な状態となるように、各アーム52,53およびロボットハンド20を角変位させる。そして最小回転半径でロボットが回転可能な状態となると、ステップs6に進む。ステップs6では、胴部51を胴部回転軸線L3まわりに回転させ、ロボットが搬送先位置に向くようにし、ステップs7に進む。
【0065】
ステップs7では、ロボット本体22の駆動手段70〜73を動作させて、ロボットハンド20を搬送先位置近傍に配置し、ステップs8に進む。ステップs8では、ハンド駆動手段32を動作させて、ロボットハンド20を伸張状態とするとともにウェハ21を支持解除可能な開放状態とし、ステップs9に進む。ステップs9では、ロボット本体22の駆動手段70〜73を動作させて、ウェハ21の搬送先位置に対して上方からブレード36を近づけて、ブレード36の乗載部37から搬送先位置にウェハ21を移載させ、ウェハ21の搬送動作を終了する。
【0066】
このようにロボットコントローラ17によって基板搬送ロボット18は、ロボットハンド20を伸張させた状態で、ウェハ21の支持と支持解除を行い、回転最小半径となるように各アーム52,53およびロボットハンド20を角変位させた状態で、搬送元位置から搬送先位置へロボットの向きを変える。これによって図9(1)に示す比較例1のロボットよりも遠くに基板支持部31を移動させることができ、図10(2)に示す比較例2のロボットよりも他の装置との干渉のおそれを防ぐことができる。このように本実施形態によれば、他の装置と干渉することを防いでかつ、大きい可動領域を得ることができる。なお、図11に示す制御手順は、ロボット動作の一例であって、干渉のおそれが低い場合などには、回転最小半径となる状態にアーム52,53およびロボットハンド20を角変位させずに、ロボットの向きを換えてもよい。またウェハ21支持および支持解除の詳細についても、適宜変更可能である。
【0067】
本実施の形態の基板搬送ロボット18は、ロボット本体22については既存のロボット本体を用いることができるので、ロボットハンドを着け換えるだけで安価に基板搬送可能領域を広くすることができる。たとえば基板処理設備において、ウェハ21の搬送距離が変更されたとしても、可動領域の大きい別の多関節ロボットに交換する必要がなく、交換費用および交換準備時間を短縮することができる。また本実施のロボットハンドに着け換えたとしても、干渉する可能性が大きくなることがない。
【0068】
また図7に示すように、基板搬送ロボットにおけるロボット本体22が多関節ロボットによって実現されることで、ロボットハンド20の姿勢を任意の姿勢にすることができ、基板搬送動作を柔軟に行うことができる。これによって搬送元位置と搬送先位置とが複数ある場合、障害物を避けて基板搬送動作を行わなければならない場合などでも、基板搬送を行うことができる。
【0069】
図12は、本発明の第2実施形態であるロボットハンド320の一部を示す断面図であり、図13は、ロボットハンド320の一部を切断して示す平面図である。第2実施形態のロボットハンド220は、第1実施形態のロボットハンド20と類似した構成を示し、対応する構成については、第1実施形態のロボットハンド20の参照符号に300を付した参照符号を付する。
【0070】
第2実施形態であるロボットハンド320は、第1実施形態に比べてハンド駆動手段332の構成が異なる以外は、第1実施形態と同様である。したがってハンド駆動手段332の構成を説明し、残余の構成については説明を省略する。
【0071】
ハンド駆動手段332は、ハンド基端部330に対して、伸縮方向19に変位自在に設けられる可動部334と、可動部334を伸縮方向19に変位駆動する駆動部338とを含んで構成される。可動部338は、連結部341によって基板支持部331の基部335に固定される。これによって駆動部338が可動部334を伸縮方向19に変位駆動することで、基板支持部331が可動部334とともに伸縮方向19に移動する。
【0072】
駆動部338は、空気圧駆動式のロータリーアクチュエータ400と、無端帯状のベルト402と、ベルト402が巻回される複数のプーリ401a〜401cとを含んで実現される。ロータリーアクチュエータ400は、エア供給源からエアが供給されることによって、出力軸403を回転駆動する。複数のプーリ401a〜401cは、回転可能にハンド基端部330に支持される。複数のプーリ401a〜401cのうち1つは、ロータリーアクチュエータ400の出力軸403に連結される駆動プーリ401aとなる。駆動プーリ401aは、ロータリーアクチュエータ400の出力軸403を介して動力が与えられることによって回転する。
【0073】
ベルト402は、その内周面に各プーリ401a〜401cが当接し、各プーリ401a〜401cによって張られる。これによって駆動プーリ401aが回転すると、プーリ401とベルト402との間の摩擦によって、ベルトが駆動プーリ401aの回転方向に移動する。複数のプーリ401a〜401cのうち2つの従動プーリ401b,401cは、伸縮方向19に並んで配置される。これによってベルト402のうちで、2つの従動プーリ401b,401cによって張られるベルト部分404は、伸縮方向19に延びる。このベルト部分404に可動部334が連結される。
【0074】
ロータリーアクチュエータ400によって駆動プーリ401aが回転すると、駆動プーリ401aとともにベルト402が移動する。この場合、従動プーリ401b,401c間のベルトは、一方のプーリから他方のプーリに向かって、伸縮方向19に移動するので、ベルトに固定される可動部334もまた伸縮方向19に移動する。またハンド基端部330には、基板支持部331の基部335を伸縮方向19に案内する2つのレール333が設けられ、レール333は、伸縮方向19に平行に延びる。基板支持部31の基部35は、レール333に嵌合する嵌合部分40を有することで、伸縮方向19以外にずれることが防がれる。
【0075】
このようにエア駆動式のロータリーアクチュエータ400を用いた場合であっても、第1実施形態と同様の効果を達成することができる。またロータリーアクチュエータ400を用いることで、第1実施形態に比べて、シリンダおよびシリンダロッドを必要とせず、ハンド基端部330の構成を小形化することができる。また2つの従動プーリ401b,401cの間に駆動プーリ401aを配置することによって、駆動プーリ401aおよびロータリーアクチュエータが多少大形化しても、ハンド基端部330の大形化を抑えることができる。またロータリーアクチュエータ400の回転量を調整することで、基板支持部331の伸縮方向19の移動量を調整することができるので、設計の自由度をふやすことができる。
【0076】
図14は、本発明の第3実施形態であるロボットハンド120を示す正面図であり、図15は、図14のロボットハンド120を示す側面図である。また図16は、縮退状態のロボットハンド120を示す正面図であり、図17は、図16のロボットハンド120を示す側面図である。
【0077】
第3実施形態のロボットハンド120は、第1実施形態のロボットハンド20と類似した構成を示し、対応する構成については、第1実施形態のロボットハンド20の参照符号に100を付した参照符号を付する。
【0078】
ロボットハンド120は、ハンド基端部130と、基板支持部131と、ハンド駆動手段132とを含んで構成される。ハンド基端部130は、ロボット本体22のロボットアームの先端部に装着される。ハンド基端部130は、基板支持部131を支持し、ロボットアームの先端部に設定される基準軸線L1まわりに角変位可能に形成される。
【0079】
基板支持部131は、ウェハ21を支持可能に形成され、ハンド基端部130に対して変位自在に設けられる。具体的には、基板支持部131は、ウェハ21を支持した状態で、前記伸縮方向19に変位自在に形成される。
【0080】
基板支持部131は、第1支持部分100と第2支持部分101と連結部分102とを有する。第1支持部分100は、ハンド基端部130の一方の側部に設けられ、第2支持部分101は、ハンド基端部130の他方の側部に設けられる。また第1支持部分100と第2支持部分101とは、連結部分102によって連結される。各支持部分100,101は、伸縮方向19に沿って延び、ハンド基端部130に対して伸縮方向19に移動可能に連結される。各支持部分100は、ハンド基端部130に設けられるレール121に嵌合する嵌合部120が形成される。嵌合部120は、レール121に嵌合した状態で、伸縮方向19に移動可能に案内される。
【0081】
第1支持部分100には、第1乗載部37Aと第3乗載部37Cとが形成される。第2支持部分101には、第2乗載部37Bと第4乗載部37Dとが形成される。第1および第2乗載部37A,37Bは、伸縮方向他方19B側でウェハ21を支持し、第3および第4乗載部37C,37Dは、伸縮方向一方19A側でウェハ21を支持する。
【0082】
ハンド駆動手段132は、サーボモータ110と、サーボモータ110の出力軸113の回転力を伸縮方向19の移動力に変換して伝達する動力伝達手段111とを含んで構成される。本実施の形態では、サーボモータ110は、ハンド基端部130に設けられる。また動力伝達手段111は、サーボモータ110の出力軸113に対して伸縮方向他方19Bに配置される従動軸114と、従動軸114および出力軸113に巻掛けられるベルト115とを含む。これによってサーボモータ110によって出力軸113を回転させることによって、ベルト115の一円周部分が伸縮方向19に移動する。
【0083】
ベルト115の一円周部分には第1支持部分101、第2支持部分、連結部分102のいずれかが連結される。本実施の形態では、第2支持部分102がベルト115の一円周部分に固定される。これによってサーボモータ110によって出力軸113を回転させることによって、ハンド基端部130に対して基板支持部131を伸縮方向19に移動させることができる。
【0084】
基板支持部131は、ハンド基端部130に対して、図14および図15に示すように伸縮方向他方19Bに移動した伸張状態と、図16および図17に示すように伸縮方向一方19Aに移動した縮退状態とに切換可能となる。伸張状態におけるロボットハンド全長B1は、縮退状態におけるロボットハンド全長B2に比べて大きくなる。
【0085】
図18は、固定手段127を示す図であり、図19は、固定手段127を示す断面図である。ロボットハンド120は、基板支持部131に支持されるウェハ21を基板支持部131に対して固定する固定手段127をさらに含む。固定手段127は、基板支持部131がハンド基端部30に近接する位置へ移動するに連動して、基板支持部131に支持されるウェハ21を基板支持部131に対して固定する。また固定手段127は、基板支持部131がハンド基端部130から離反する設定位置へ移動するに連動して、基板支持部131に支持されるウェハ21の基板支持部131に対する固定を解除する。
【0086】
本実施の形態では、固定手段127は、ウェハ21の周面に当接し、ウェハ21を伸縮方向他方19Bに変位させる当接部160と、当接部160を支持する支持部161と、基板支持部131の基部135に固定されて支持部161を回転可能に案内する案内部162と、ハンド基端部130に固定される突起部163と、ばね力発生手段であるねじりばね164とを含んで構成される。
【0087】
支持部161は、基板支持部131に対して、伸縮方向19に垂直でかつ水平な角変位軸線L6まわりに角変位自在に設けられ、案内部62によって案内される。たとえば案内部62は、外輪が基板支持部131に固定され、内輪が支持部161に固定される軸受けによって実現される。また支持部161には、基板支持部131に固定されるねじりばね164が係合する。ねじりばね164は、角変位軸線L6まわりに角変位させる力に抗する復元力を、支持部161に与える。
【0088】
支持部161は、突起部163と当接するための接触部分166が形成される。基板支持部131とともに支持部161が伸縮方向他方19Bに移動して、基板支持部131が設定位置に達した場合に、接触部分166は、突起部163に当接して伸縮方向他方19Bへのさらなる移動を阻止する。これによって支持部161に支持される当接部160は、角変位軸線L6まわりに角変位し、乗載部37の当接部67よりも伸縮方向一方19Aに退避する。
【0089】
したがって図19(1)に示すように、基板支持部131にウェハ21を支持させる場合には、ハンド基端部130に対して、基板支持部131を設定位置よりも伸縮方向他方19Bに移動させることで、固定手段127の当接部160を伸縮方向一方19Aに退避させることができ、ウェハ21を各乗載部37に乗載させて支持することができる。
【0090】
この状態で、図19(2)に示すように、基板支持部131を伸縮方向一方19Aに移動させることによって、基板支持部31に対して、固定手段127の当接部160を伸縮方向他方19Bに移動させることができ、ウェハ21の周縁部を固定手段127の当接部160と乗載部37の当接部67とによって挟持させることができる。
【0091】
またウェハ21を基板支持部131に固定した状態で、図19(1)に示すように、ハンド基端部130に対して、基板支持部131を設定位置よりも伸縮方向他方19Bに移動させる。これによって基板支持部131に対して、固定手段127の当接部160を伸縮方向一方19Aに退避させることができ、当接部160によるウェハ21の挟持を解除することができる。そしてウェハ21を予め定める位置に配置することができる。
【0092】
以上のような第3実施形態であっても、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。すなわち他の装置と干渉することを防いでかつ、大きい基板搬送領域を得ることができる。また第3実施形態では、ハンド駆動手段132がサーボモータによって実現されることで、ハンド基端部130に対する基板支持部131の移動量を精度よく制御することができる。これによって基板支持部131の移動量を把握するためのセンサを別途設ける必要がない。
【0093】
またハンド基端部130に対する基板支持部131の移動時の速度および移動量の調整も容易である。たとえば基板支持部131を伸縮方向19の任意の位置に位置合わせした状態で搬送することができ、利便性を向上することができる。また固定手段127が固定状態では基板支持部131の移動速度を速めて、固定手段127が開放状態では基板支持部131の移動速度を遅くしてもよい。これによって固定手段127が開放状態のときに、ウェハ21のずれを防ぐことができる。また本実施の形態の固定手段127を用いることで、第1実施形態の固定手段127に比べて小形化することができる。
【0094】
また本実施の形態では、基板支持部131は、第1支持部分100と第2支持部分101とを含んで構成されるとしたが、第1実施形態と同様に略V字状に形成されるブレード36によってウェハ21を支持してもよい。また本実施の形態では、固定手段127が各支持部分100,101に設けられるとしたが、固定手段127が1つであってもよい。
【0095】
またサーボモータ110がハンド基端部130に搭載されるとしたが、ロボット本体22から基板支持部131を伸縮方向19に移動させる動力が与えられてもよい。この場合、たとえば基台50内にサーボモータ110を配置し、歯車伝達によってベルト111を回転させる動力を伝達してもよい。このように基台50にサーボモータ110を配置することによって、ロボットハンド120をさらに小形化することができる。
【0096】
図20は、本発明の第4実施形態であるロボットハンド220を簡略化して示す正面図であり、図20(1)は、伸張状態のロボットハンド220を示し、図20(2)は、縮退状態のロボットハンド220を示し、図20(3)は、マッピング動作状態のロボットハンド220を示す。本実施の形態では、上述した第3実施形態と類似した構成を示し、対応する構成については説明を省略して同様の参照符号を付する。
【0097】
ロボットハンド220は、第1支持部分100および第2支持部分101の先端部が、ハンド基端部130に対して移動可能に形成される。そして各支持部分100,101が変位した状態では、ハンド基端部130の伸縮方向他方19B側端部となる先端部200が露出する。またハンド基端部130の先端部200には、ウェハ21の有無などを検出するためのマッピングセンサ201が設けられる。マッピングセンサ201は、図20(1)に示すようにロボットハンド220が伸張状態となる場合には、第1支持部分100および第2支持部分101の下方に配置される。また図20(2)に示すように、各基板支持部分100,101を伸縮方向一方19Aに変位させて、ロボットの回転半径が最小となる縮退状態でも、各支持部分100,101の下方に配置される。そして図20(3)に示すように、縮退状態からさらに各支持部分100,101を伸縮方向一方19Aに変位させると、マッピングセンサ201が外方に露出するマッピング可能状態となる。
【0098】
図21は、マッピングセンサ201を示す斜視図である。本実施の形態では、マッピングセンサ201は、伸縮方向19に関して、ウェハ21の有無を検出するマッピングセンサ201Aを含む。
【0099】
マッピングセンサ201Aは、平行光を投光する投光部210と、投光部210を支持する投光部支持部211と、投光部210から投光された光を受光する受光部212と、受光部212を支持する受光部支持部213とを含む。投光部210は、伸縮方向19に垂直でかつ水平な第1交差方向10に平行光を投光する。また受光部212は、交差方向10に関して投光部210に対向した配置される。投光部支持部211および受光部支持部213は、ハンド基端部130の側面から伸縮方向19に突出し、伸縮状態の各支持部分100,101の下方に配置される。投光部210と受光部212との間にウェハ21が配置されると、投光部210から投光された光は、ウェハ21によって遮られる。これによって受光部212は、投光部210から投光された光を受光することがない。
【0100】
受光部212は、受光量を示す情報をコントローラに与える。これによってコントローラは、ウェハ21の有無などを把握することができる。第4実施形態では、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。またマッピングセンサ201がロボットハンド220に設けられることで、別途マッピングセンサを駆動する駆動手段を設ける必要がない。またロボットハンド220に設けられるマッピングセンサ201は、通常は各支持部分100,101に覆われているので、腐食したり汚染したりすることが防がれて、耐久性を向上することができる。またロボットの方向を変更する場合には、図20(2)に示す縮退状態とすることで、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0101】
また縮退状態において、マッピングセンサ201が外方に露出するようにしてもよい。この場合、マッピングセンサ201が突出する分だけ、ロボットの最小回転半径が大きくなるが、マッピングセンサ201の突出量がもともと小さいので、ロボット方の装置などに干渉する問題は少ない。
【0102】
上述した実施形態は、本発明の例示に過ぎず、発明の範囲内において構成を変更することができる。たとえば本実施の形態では、ハンド駆動手段として、エアシリンダまたはサーボモータを用いたが、これに限定されず他の駆動源を用いて、基板支持部31を変位移動させてもよい。またロボットハンドが支持する基板として、円板状の半導体ウェハであるとしたが、ガラス基板などの半導体ウェハ21以外の基板であっても、同様の効果を得ることができる。また基板支持部31,131は、エッジクリップ型以外であってもよい。たとえば基板の複数の周面部のみに接触して基板を支持するエッジホールドハンド型または、真空吸着して基板を支持するバキュームハンド型であっても、同様の効果を得ることができる。すなわちロボットハンドが伸縮自在であればよく、基板支持部31の形状および支持形態については限定されない。また本実施の形態では、各角変位軸線L1,L3,L4が鉛直に延び、移動軸線L2が水平に延びるとしたが、これに限らずウェハ21をロボットハンドで支持可能な構成であれば、各角変位軸線L1,L3,L4および移動軸線L2は、他の方向に延びていてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0103】
【図1】本発明の第1実施形態であるロボットハンド20を示す正面図である。
【図2】図1の矢符A2−A2からロボットハンド20を見て示す断面図である。
【図3】図2の矢符A3−A3からロボットハンド20を見て示す断面図である。
【図4】基板支持部31が伸縮方向一方19Aに移動した状態を示す正面図である。
【図5】図4の矢符A5−A5からロボットハンド20を見て示す断面図である。
【図6】固定手段27を説明するためにロボットハンド20の一部を拡大して示す断面図である。
【図7】ロボットハンド20が装着される基板搬送ロボット18を示す正面図である。
【図8】基板搬送ロボット18の電気的構成を示すブロック図である。
【図9】基板搬送ロボット18のウェハ21の最大搬送位置を説明するための正面図である。
【図10】基板搬送ロボットの最小回転半径を説明するための正面図である。
【図11】ウェハ21を搬送元位置から搬送先位置に移動させる場合のロボットコントローラ17の制御手順を示すフローチャートである。
【図12】本発明の第2実施形態であるロボットハンド320の一部を示す断面図である。
【図13】ロボットハンド320の一部を切断して示す平面図である。
【図14】本発明の第3実施形態であるロボットハンド120を示す正面図である。
【図15】図14のロボットハンド120を示す側面図である。
【図16】縮退状態のロボットハンド120を示す正面図である。
【図17】図16のロボットハンド120を示す側面図である。
【図18】固定手段127を示す図である。
【図19】固定手段127を示す断面図である。
【図20】本発明の第4実施形態であるロボットハンド220を簡略化して示す正面図である。
【0104】
【図21】マッピングセンサ201を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0105】
20 ロボットハンド
21 半導体ウェハ
22 ロボット本体
27 固定手段
30 ハンド基端部
31 基板支持部
32 ハンド駆動手段
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板を支持するロボットハンドおよび基板搬送ロボットに関し、特に半導体ウェハを搬送するロボットハンドおよび基板搬送ロボットに関する。
【背景技術】
【0002】
半導体処理設備内で半導体ウェハを搬送するために、ウェハ搬送ロボットが半導体処理設備内に設けられる。従来技術のウェハ搬送ロボットは、ロボットアームの先端部に、基板を支持するためのロボットハンドが装着される(たとえば特許文献1参照)。ロボットハンドがウェハを支持した状態で、ロボットアームがロボットハンドを変位移動させることで、搬送元位置にあるウェハを搬送先位置に搬送することができる。
【0003】
【特許文献1】特開平11−116047号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
半導体処理設備として完成してから、搬送位置の設計変更が行われてウェハの搬送距離が延びると、既存のロボットから可動領域の大きい別のロボットに交換しなければならない場合がある。この場合、ロボットを交換するために費用および時間がかかってしまう。
【0005】
またウェハ搬送ロボットは、搬送元位置から搬送先位置にウェハを搬送可能としたうえで、アーム移動時に他の装置との干渉が生じないよう構成され、さらに半導体処理設備に占める容積の小形化が望まれる。また半導体ウェハ以外の基板、たとえばガラス基板などの基板搬送ロボットであっても同様の問題が生じる。
【0006】
したがって本発明の目的は、既存のロボットを交換することなく、基板の搬送可能領域を大きくすることができる基板搬送ロボットのロボットハンドを提供することである。
【0007】
また本発明の他の目的は、基板搬送ロボットとして、移動時に他の装置との干渉が防がれ、基板の搬送可能領域を大きくすることができる基板搬送ロボットを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、多関節ロボットのロボットアームの先端部に装着されるハンド基端部と、
基板を支持可能に形成され、基板を支持した状態で、ハンド基端部に対して変位自在に設けられる基板支持部と、
基板支持部をハンド基端部に対して変位駆動するハンド駆動手段とを含むことを特徴とするロボットハンドである。
【0009】
また本発明は、ハンド駆動手段によって駆動されて、基板支持部に支持される基板を基板支持部に対して固定する固定手段をさらに含み、
固定手段は、基板支持部が予め定める設定位置へ移動するに連動して、基板支持部に支持される基板の基板支持部に対する固定を解除し、
基板支持部が前記設定位置からハンド基端部に近接するに連動して、基板支持部に支持される基板を基板支持部に対して固定することを特徴とする。
【0010】
また本発明は、ハンド駆動手段は、空気圧アクチュエータによって実現されることを特徴とする。
【0011】
また本発明は、ハンド駆動手段は、サーボモータによって実現されることを特徴とする。
【0012】
また本発明は、前記ロボットハンドと、
水平多関節型ロボットであって、ロボットアームの先端部にロボットハンドが着脱可能に装着されるロボット本体と、
ロボットハンドとロボット本体とを制御する制御手段とを含むことを特徴とする基板搬送ロボットである。
【0013】
また本発明は、基板支持部がハンド基端部に向けて変位移動することで、ロボットの可動回転半径が最小となることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
請求項1記載の本発明に従えば、ハンド駆動手段が基板支持部をハンド基端部に対して離反移動させることによって、ロボットハンドの全長寸法を長くすることができる。これによってロボットアームに起因する基板支持部の移動可能領域よりも、基板支持部をさらに遠くに移動させることができる。またハンド駆動手段が基板支持部をハンド基端部に対して近接移動させることによって、ロボットハンドの全長寸法を短くすることができる。これによってロボットハンドおよびロボットハンドが装着されたロボットが、他の装置と干渉することを防ぐことができる。このように基板支持部をハンド基端部に対して変位自在とすることで、基板の搬送可能な領域を増やすとともに他の装置との干渉を防ぐことができる。
【0015】
本発明によれば、既存のロボットに本発明のロボットハンドを搭載することで、基板搬送ロボットの基板の搬送可能領域を増やすことができる。たとえば基板搬送ロボットが基板処理装置に設置された後に、基板の搬送距離が長くなるように設計変更がなされた場合であっても、本発明のロボットハンドに取り替えることで基板の搬送可能領域を増やすことができる。この場合、可動領域の広いロボットに交換する場合に比べて、交換費用および準備期間を短縮することができる。またハンド基端部に対して基板支持部を変位移動させることで、ロボットアームを構成するアーム部分が他の装置と干渉する可能性を減らすことができる。
【0016】
また請求項2記載の本発明に従えば、ハンド駆動手段が基板支持部を設定位置に移動させると、基板支持部の移動に連動して固定手段は開放状態となる。固定手段が開放状態となると、搬送元位置にある基板を、基板支持部が支持可能な状態となる。また基板支持部が基板を支持した状態で、ハンド駆動手段が基板支持部を設定位置からハンド基端部に向けて移動させると、固定手段が固定状態となり、基板支持部に基板が固定される。また基板支持部が基板を支持した状態で、固定手段が開放状態となると、基板の固定が解除されて、支持した基板の搬送先位置への移載が可能な状態となる。
【0017】
このように本発明によれば、固定手段は、基板支持部の移動に連動して、基板の固定および固定解除を行う。したがってハンド駆動手段が、基板支持部を変位移動させるだけで、基板の固定および固定解除を行うことができ、固定手段を駆動する駆動手段を別途必要とすることがない。これによってロボットハンドの小形化および軽量化を図ることができ、簡単な構成によって実現することができる。
【0018】
また基板の固定および固定解除と、基板支持部の移動とを同時に行うことができ、サイクルタイムを短縮することができる。また基板支持部に支持される基板が固定手段によって固定された状態で、基板支持部を移動することで、基板支持部から基板がずれることが防がれ、基板支持部を高速で移動させることができる。
【0019】
請求項3記載の本発明に従えば、ハンド駆動手段が空気が供給されることによって動作する空気圧アクチュエータによって実現されることで、電気モータに比べて小形にハンド駆動手段を実現することができ、ロボットハンド全体の小形化および軽量化を図ることができる。また基板支持部を滑らかに変位移動させることができ、基板支持部を移動するのに発生する衝撃および振動を抑えることができる。たとえば空気圧アクチュエータは、可動部を直線駆動するエアシリンダまたは可動部を回転駆動するロータリーアクチュエータによって実現される。
【0020】
請求項4記載の本発明に従えば、ハンド駆動手段がサーボモータによって実現されることで、ハンド基端部に対する基板支持部の移動量を精度よく制御することができる。これによって基板支持部の移動量を把握するためのセンサを別途設ける必要がない。またハンド基端部に対して任意の位置に基板支持部を移動させることができ、移動速度の調整も容易である。これによって基板支持部を所望とする移動状態で移動させることができ、利便性を向上することができる。
【0021】
請求項5記載の本発明に従えば、ロボット本体に、上述したロボットハンドが装着されることによって、基板搬送ロボットの基板搬送可能領域を広くすることができる。これによって既存のロボット本体を用いて、安価に基板搬送可能領域を広くすることができる。たとえば基板処理設備において、基板の搬送距離が変更されたとしても、可動領域の大きい別の多関節ロボットに交換する必要がなく、交換費用および交換準備時間を短縮することができる。
【0022】
またロボット本体が多関節ロボットによって実現されることで、ロボットハンドの姿勢を任意の姿勢にすることができ、ロボットによる基板搬送動作を柔軟に行うことができる。これによって搬送元位置と搬送先位置とが複数ある場合、障害物を避けて基板搬送動作を行わなければならない場合などでも、基板搬送を行うことができる。
【0023】
請求項6記載の本発明に従えば、基板支持部を基板の搬送元位置および搬送先位置に向かって移動させるにあたって、ロボットの向きを変える必要がある場合、ロボットの可動回転半径を最小となるように、ロボットハンドの全長を縮退させるとともにアームを変位させてロボットを角変位させて、ロボットの向きを変える。これによってロボットの向きを変えるときに必要な動作領域を最小にすることができ、他の装置との干渉を防ぐことができ、狭隘な空間に基板搬送ロボットを配置することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
図1は、本発明の第1実施形態であるロボットハンド20を示す正面図であり、図2は、図1の矢符A2−A2からロボットハンド20を見て示す断面図である。また図3は、図2の矢符A3−A3からロボットハンド20を見て示す断面図である。本実施の形態のロボットハンド20は、円板状の半導体ウェハ21を搬送するための基板搬送ロボットの一部を構成する。基板搬送ロボットは、クリーンルーム内において、予め設定される搬送元位置にあるウェハ21を支持し、支持したウェハ21を搬送先位置に移載する。
【0025】
基板搬送ロボットは、多関節ロボットであるロボット本体22と、ロボットハンド20と、ロボット本体22およびロボットハンド20を制御するロボットコントローラとを含む。本実施の形態では、ロボット本体22は、水平多関節ロボット、いわゆるスカラ型ロボットによって実現される。
【0026】
ロボットハンド20は、ハンド基端部30と、基板支持部31と、ハンド駆動手段32とを含んで構成される。ハンド基端部30は、ロボット本体22のロボットアームの先端部23に装着される。ハンド基端部30は、ロボットアームの先端部23に設定される基準軸線L1まわりに、基板支持部31を角変位可能に支持する。ここで基準軸線L1は、ロボットアームの先端部23を通過し、鉛直に延びる軸線である。
【0027】
基板支持部31は、ウェハ21を支持可能に形成され、ハンド基端部30に対して変位自在に設けられる。具体的には、基板支持部31は、ウェハ21を支持した状態で、前記基準軸線L1に垂直な移動軸線L2に沿う伸縮方向19に変位自在に形成される。本実施の形態では、移動軸線L2は、基板支持部31に固定的に設定されて水平に延びる。したがって基板支持部31が基準軸線L1まわりに角変位するにともなって、移動軸線L2もまた、基準軸線L1まわりに角変位する。以下、伸縮方向19のうち、基板支持部31がハンド基端部30に近づく方向を伸縮方向一方19Aとし、基板支持部31がハンド基板部30から遠ざかる方向を伸張方向他方19Bと称する。
【0028】
基板支持部31は、ハンド基端部30に支持される基部35と、基部35に連結されて水平に延びるブレード36とを有する。ブレード36は、基部35から伸張方向他方19Bに進むにつれて2つに分岐する略V字板状に形成されて、2つの先端部が形成される。ブレード36は、移動軸線L2に関して対称に形成される。
【0029】
ブレード36は、ハンド基端部30に対して予め定める間隔をあけて上方に配置される。これによって基板支持部31が伸縮方向19に変位したとしても、ブレード36に支持したウェハ21が、ハンド基端部30に接触することが防がれる。本実施の形態では、ロボットハンド20は、エッジクリップ型に形成される。この場合、ブレード36は、ウェハ21を乗載するための複数の乗載部37を有する。乗載部37は、残余のブレード部分に比べて、上方に突出する。そして各乗載部37の乗載面にウェハ21の下面の一部が乗載されることによって、ウェハ21が基板支持部31に支持される。
【0030】
乗載部37は、ウェハ21の周縁部のうちそれぞれ異なる3箇所以上、本実施の形態では4箇所に接触して、ウェハ21を下方から支持する。なお、隣接する乗載部37の周方向間隔は、ウェハ21が支持された場合のウェハ中心に対して180度以下に配置される。具体的には、ブレード36の2つの先端部に第1乗載部37Aおよび第2乗載部37Bがそれぞれ形成される。またブレードの基部35には、第3乗載部37Cおよび第4乗載部37Dがそれぞれ形成される。
【0031】
第1乗載部37Aおよび第2乗載部37Bの乗載面は、伸縮方向一方19Aに向かうにつれて、下方に傾斜する。また第3乗載部37Cおよび第4乗載部37Dの乗載面は、伸縮方向他方19Bに向かうにつれて、下方に傾斜する。また第1乗載部37Aおよび第2乗載部37Bには、乗載面の伸縮方向他方19B側にウェハ21の周面に当接する当接部67が形成される。当接部67は、乗載面から上方に突出する。ウェハ21は、その周面が第1および第2乗載部37A,37Bの当接部67に当接することによって、ブレード36に対して位置合わせされた状態となる。
【0032】
ハンド駆動手段32は、ハンド基端部30に設けられ、基板支持部31をハンド基端部30に対して変位駆動する。具体的には、ハンド駆動手段32は、ハンド基端部30に対して伸縮方向19に変位自在に設けられる可動部34と、可動部34を伸縮方向19に変位駆動する駆動部38とを含んで構成される。可動部34は、基部31に形成される連結部41によって基板支持部31に固定される。これによって駆動部38が可動部34を伸縮方向一方19Aに変位駆動することで、基板支持部31が可動部34とともに伸縮方向一方19Aに移動する。また駆動部38が可動部34を伸縮方向他方19Bに変位駆動することで、基板支持部31が可動部とともに伸縮方向他方19Bに変位駆動する。
【0033】
本実施の形態では、ハンド駆動手段32の駆動部38は、複動型ロッドレスエアシリンダを含んで実現され、エア供給源からエアが供給されることによって、伸縮方向一方19Aおよび他方19Bに可動部34を変位駆動する。またハンド基端部30には、基板支持部31の基部35を伸縮方向19に案内する2つのレール33が設けられ、レール33は、伸縮方向19に平行に延びる。基板支持部31の基部35は、レール33に嵌合する嵌合部分40を有することで、伸縮方向19以外にずれることが防がれる。
【0034】
図4は、基板支持部31が伸縮方向一方19Aに移動した状態を示す正面図であり、図5は、図4の矢符A5−A5からロボットハンド20を見て示す断面図である。ハンド駆動手段32によって基板支持部31を伸縮方向一方19Aに移動させた場合には、ハンド基端部30と基板支持部31とを合わせた伸縮方向19のロボットハンド全長寸法B2が、移動前のロボットハンド全長寸法B1に比べて小さくなる。
【0035】
言い換えると、基板支持部31を伸縮方向他方19Bに移動させた状態を伸張状態とし、基板支持部31を伸縮方向一方19Aに移動させた状態を縮退状態とすると、縮退状態の全長寸法B2よりも、伸張状態の全長寸法B1を長くすることができる。たとえば本実施の形態では、縮退状態の全長寸法B1に比べて、伸張状態の全長寸法を約100mm大きくすることができる。
【0036】
このようにハンド駆動手段32によって基板支持部31を伸縮方向19に移動させることによって、ロボットハンド全長寸法を変化させることができる。ロボットハンド20の全長寸法を長くすることで、ロボットアームの先端部23に対して、基板支持部31をさらに遠くに移動させることができる。またロボットハンド20の全長寸法を短くすることで、ロボットハンドを小形化することができ、他の装置とロボットハンド20との干渉を防ぐことができる。なお本発明では、ハンド基端部30に対して、基板支持部30が伸縮方向19に変位可能な構成であればよく、上述した構成に限定されない。
【0037】
図6は、固定手段27を説明するためにロボットハンド20の一部を拡大して示す断面図である。本実施の形態では、ロボットハンド20は、基板支持部31に支持されるウェハ21を基板支持部31に対して固定する固定手段27をさらに含む。図6(1)は、伸張状態のロボットハンド20の一部を示し、図6(2)は、縮退状態のロボットハンド20の一部を示す。
【0038】
固定手段27は、基板支持部31が予め定める設定位置から伸縮方向一方19Aに移動すると、その移動動作に連動して、基板支持部31によって支持されるウェハ21の変位を阻止する固定状態となる。また固定手段27は、基板支持部31が設定位置から伸縮方向他方19Bに移動すると、その移動動作に連動して、開放状態となる。開放状態となると、基板支持部31がウェハ21を支持していない状態で、基板支持部31によるウェハ21の支持が可能な状態となる。また開放状態となると、基板支持部31がウェハ21を支持した状態で、支持したウェハ21の移載が可能な状態となる。本実施の形態では、設定位置は、基板支持部31が伸縮方向他方19Bに最も移動した最大伸張位置の近傍に設定され、たとえば最大伸張位置から数ミリ手前の位置に設定される。
【0039】
本実施の形態では、固定手段27は、各乗載部37に乗載されたウェハ21の周面に当接し、ウェハ21を伸縮方向他方19Bに変位させる当接部60と、当接部60を支持する支持部61と、基板支持部31の基部35に固定されて支持部61を案内する案内部62と、ハンド基端部30に固定される突起部63と、ばね力発生部である圧縮コイルばね64とを含んで構成される。
【0040】
支持部61は、基板支持部31に対して、伸縮方向19に変位自在に設けられ、案内部62によって案内される。具体的には、支持部61は、案内部62に形成されるレール65に嵌合する嵌合部分69が形成されることによって、伸縮方向19に変位自在に案内部62によって案内される。また支持部61と案内部62とは、圧縮コイルばね64によって接続される。圧縮コイルばね64は、その軸線が伸縮方向19に延びる。これによって圧縮コイルばね64は、伸縮方向19に力が与えられることで自然状態に比べて縮退する。また伸縮方向19の力が解除されることで縮退状態から自然状態に復帰する。基板支持部31とともに案内部62が伸縮方向19に移動すると、支持部61は、圧縮コイルばね64によって案内部62に接続されているので、案内部62とともに移動する。
【0041】
支持部61は、突起部63と当接するための接触部分66が形成される。図6(1)に示すように、基板支持部31とともに移動する案内部62につられて、支持部61が伸縮方向他方19Bに移動して、基板支持部31が設定位置に達した場合には、支持部61の接触部分66は、突起部63に当接する。そして支持部61の伸縮方向他方19Bへのさらなる移動が阻止される。
【0042】
基板支持部31が、設定位置を超えてさらに伸縮方向他方19Bに移動した場合には、支持部61が伸縮方向19に移動することが阻止されているので、圧縮コイルばね64が圧縮変形する。このとき支持部61は、相対的に基板支持部31に対して伸縮方向一方19Aに移動し、支持部61に支持される当接部60と、乗載部37の当接部67との間が広がる。
【0043】
支持部61に支持される当接部60と、乗載部37の当接部67との間の距離が、ウェハ21の直径よりも大きくなることで、基板支持部31がウェハ21を支持していない状態では、搬送元位置からウェハ21を乗載部37に乗載可能となる。また基板支持部31がウェハ21を支持している状態では、ウェハ21の変位が許容された状態となり、ウェハ21を搬送先位置に移載可能となる。
【0044】
また図6(2)に示すように、乗載部37にウェハ21を乗載している状態で、基板支持部31が設定位置よりも伸縮方向一方19Aに移動した場合には、支持部61の接触部分66と突起部63との当接状態が解除されて、圧縮コイルばね64が復元する方向に変形して、支持部61が基板支持部31に対して伸縮方向他方19Bに移動する。これによって、圧縮コイルばね64の復元力によって、当接部60は、ウェハ21の外周部に当接し、乗載部37の当接部67に向かう力をウェハ21に与える。これによって固定手段27の当接部60と、乗載部37の当接部67とによって協働して、ウェハ21を挟持することができる。これによって乗載部37にウェハ21を乗載するとともに、各当接部60,67によってウェハ21を挟持することで、ウェハ21の基板支持部31に対するずれを確実に防ぐことができる。
【0045】
このように本実施形態によれば、固定手段27は、基板支持部31の移動に連動して、ウェハ21の固定および固定解除を行う。これによってハンド駆動手段32が、基板支持部31を変位移動させるだけで、ウェハ21の固定および固定解除を行うことができ、固定手段32を駆動する駆動手段を別途必要とすることがない。これによってロボットハンド20の小形化および軽量化を図ることができ、簡単な構成によって実現することができる。
【0046】
またウェハ21の固定および固定解除と、基板支持部31の移動とを同時に行うことができ、サイクルタイムを短縮することができる。また基板支持部31を設定位置よりもハンド基端部31寄りに移動させた状態で、ロボットアームの先端部23が移動する場合には、基板支持部31に支持されるウェハ21が固定手段32によって固定された状態であり、高速で移動させてもウェハ21が基板支持部31の所定位置からずれることを防ぐことができる。また圧縮コイルばね64による復元力を利用してウェハ21を挟持することで、予め定める力で挟持する挟持状態を容易に保つことができる。また固定手段37の当接部60がウェハ21に当接したときの衝撃力を抑えることができる。
【0047】
また本実施の形態では、設定位置が最大伸張位置近傍に設定されることによって、基板支持部31が最大伸張位置に位置したときには、必ず固定手段27を開放状態にすることができる。これによってエアシリンダをハンド駆動手段32として用いても、確実にウェハ21の固定解除を行うことができる。また固定手段27が開放状態となる基板支持部31の領域を小さくすることができ、ウェハ21の変位が許容された状態で、ウェハ21が移動する移動量を小さくすることができる。
【0048】
また本実施の形態では、ハンド駆動手段32がエアシリンダによって実現される。これによって電気モータに比べて小形にハンド駆動手段32を実現することができ、ロボットハンド全体の小形化および軽量化を図ることができる。また基板支持部31を滑らかに変位移動させることができ、基板支持部31を移動するのに発生する衝撃および振動を抑えることができる。さらにハンド駆動手段32がロッドレスシリンダによって実現されることで、シリンダロッドが突出することがない。またハンド駆動手段32がハンド基端部30に設けられることによって、既存のロボットハンドから本実施の形態のロボットハンド20に付け替えるだけでよい。したがって、ロボットアームの構成を変更する必要がなく、既存のロボット本体22に本実施の形態のロボットハンド20を容易に着け換えることができる。
【0049】
図7は、ロボットハンド20が装着される基板搬送ロボット18を示す正面図であり、図8は、基板搬送ロボット18の電気的構成を示すブロック図である。基板搬送ロボット18のロボット本体22は、基台50と、胴部51と、ロボットアームとを含む。ロボットアームは、第1アーム52と、第2アーム53とを含んで構成される。基台50は、床面などに固定される。胴部51は、円筒状に形成され、一端部が基台50に没入し、他端部が基台51から突出する。基台50は、鉛直に延びる基台角変位軸線L3が設定される。そして胴部51を基台角変位軸線L3まわりに角変位自在でかつ、基台角変位軸線L3に沿って直線変位自在に支持する。
【0050】
第1アーム52は、その基端部が胴部51の他端部に固定される。第1アーム52の先端部には、第2アーム53の基端部が連結される。第1アーム52は、鉛直に延びる第1アーム角変位軸線L4が設定される。第1アーム52は、第2アーム53を第1アーム角変位軸線L4まわりに角変位可能に支持する。第2アーム53の先端部には、ロボットハンド20のハンド基端部30が連結される。第2アーム53は、鉛直に延びる基準軸線L1が設定される。第2アーム53は、ロボットハンド20を基準軸線L1まわりに角変位可能に支持する。各アーム52,53およびロボットハンドは、水平方向に延びる。
【0051】
図8に示すように、ロボット本体22は、胴部51を基台角変位軸線L3まわりに角変位駆動する第1アーム角変位駆動手段70と、胴部51を基台角変位軸線L3に沿って変位駆動する第1アーム直進駆動手段71と、第2アーム53を第1アーム角変位軸線線L4まわりに角変位駆動する第2アーム角変位駆動手段72と、装着されるロボットハンド20を基準軸線L1まわりに角変位駆動するロボットハンド角変位駆動手段73とを含む。
【0052】
これら各駆動手段70〜73が、それぞれ個別に動作することによって、ロボットハンド20を任意の位置および姿勢に移動させることができる。各駆動手段70〜73は、ロボットコントローラ17によって制御される。ロボットコントローラ17は、各駆動手段70〜73に動力を与えることによって、ロボットハンド20を目的とする移動経路および移動速度で移動させることができる。またロボットコントローラ17は、ロボットハンド20のハンド駆動手段32も制御する。これによってロボットハンド20の移動と、ロボットハンドの伸縮変化と、ウェハ21の固定および固定解除とのタイミングを合わせることができる。
【0053】
このような基板搬送ロボット18は、クリーンルーム内などの狭い空間内に設置される。基板搬送ロボット18は、ポッドに収容される複数のウェハ21を順番に取り出し、基板処理位置にウェハ21を搬送する。また一方の基板処理位置から他方の基板処理位置にウェハ21を搬送する。また基板処理位置で処理されたウェハ21をポッドに収容し直す。
【0054】
図9は、基板搬送ロボット18のウェハ21の最大搬送位置を説明するための正面図である。図9(1)は、第1比較例の基板搬送ロボット16を示し、図9(2)は、本実施の形態の基板搬送ロボット18を示し、図9(3)は、第2比較例の基板搬送ロボット15を示す。第1および第2比較例の基板搬送ロボット16,15は、装着されるロボットハンドの構成が異なる。第1および第2の比較例のロボットハンド14,13は、伸縮可能には構成されていない。水平型多関節ロボットでは、一直線に並ぶように各アーム52,53およびロボットハンド20を角変位した状態で、基台角変位軸線L3から最も遠くにウェハ21を搬送することができる。
【0055】
第1比較例のロボットハンド14のうち、基準軸線L1から先端部までの寸法C1は、本実施の形態のロボットハンド20が最も伸張した状態における寸法C2よりも小さい。また第2比較例のロボットハンド13の寸法C3は、本実施の形態のロボットハンド20が最も伸張した状態における寸法C2と等しい。
【0056】
このような場合、ロボットアームの可動領域C4は同じであるので、ロボットハンドの寸法が短い第1の比較例の基板搬送ロボット16は、ウェハ21の搬送可能な距離が短くなってしまう。これに対して本実施の形態の基板搬送ロボット18および第2比較例の基板搬送ロボット15は、第1の比較例の基板搬送ロボット16よりも、ロボットハンドの寸法が大きい分、ウェハ21の搬送可能な距離が長い場合であっても、ウェハ21を搬送することができる。
【0057】
図10は、基板搬送ロボットの最小回転半径を説明するための正面図である。図10(1)は、上述した第1比較例の基板搬送ロボット16を示し、図10(2)は、本実施の形態の基板搬送ロボット18を示し、図10(3)は、上述した第2比較例の基板搬送ロボット15を示す。基板搬送ロボットの最小回転半径は、基台角変位軸線L3まわりに胴部51を回転させた場合における基板搬送ロボットの最小可動領域を意味し、最小可動領域の外縁から基台角変位軸線L3までの距離である。本実施の形態のロボットハンド20が最も縮退した状態における寸法C5は、第1実施例のロボットハンド14の寸法C1と等しい。
【0058】
本実施の形態では、基板搬送ロボットの最小回転半径が、ロボットハンドの全長寸法に依存する。したがってロボットハンド20を縮退させることによって、その全長寸法を小さくすることができ、第2比較例よりも最小回転半径を小さくすることができる。これによって狭隘な空間にロボットが配置される場合であっても、ロボットの向きを変えることができる。
【0059】
ここで、ロボットの最小回転半径がロボットハンドの寸法に依存する場合とは、第1アーム52の先端部から基台角変位軸線L3までの寸法C6が、ロボットハンド20の寸法C5の半分よりも小さく、かつ第2アーム53の先端部から基端部までの寸法C7がロボットハンドの全長寸法C5よりも小さい場合である。アームが2つ以上設けられる場合であれば、第2〜第nアームの先端部から基端部までの寸法C7がロボットハンドの寸法C5よりも小さい場合である。
【0060】
以上のように、本実施形態の基板搬送ロボット18は、上述したロボットハンド20が装着される。そして図9に示すように、ロボットハンド20を伸張させることで、ウェハ21の搬送可能な距離を長くすることができる。また図10に示すように、ロボットハンド20を縮退させるとともに各アーム52,53を角変位することによって最小回転半径を小さくすることができ、他の装置との干渉を防ぐことができる。また最小回転半径となるように各アーム52,53を角変位させた状態でなくとも、ロボットハンド20を縮退させてロボットハンド20を小形化することで、図10(2)に示す第2比較例のロボット15に比べて、干渉の可能性を少なくすることができる。
【0061】
図11は、ウェハ21を搬送元位置から搬送先位置に移動させる場合のロボットコントローラ17の制御手順を示すフローチャートである。ウェハ21が搬送元位置に配置されるとともに、搬送先位置のウェハ処理準備が完了した状態で、作業者または他の装置からウェハ搬送指令が与えられると、ステップs1に進み、コントローラ17は、制御動作を開始する。
【0062】
ステップs1では、第1アーム角変位駆動手段70、第1アーム直進駆動手段71、第2アーム角変位駆動手段72、ロボットハンド角変位駆動手段73などのロボット本体22の駆動手段70〜73を動作させて、ロボットハンド19を搬送元位置近傍に配置し、ステップs2に進む。
【0063】
ステップs2では、ハンド駆動手段32を動作させて、ロボットハンド20を伸張状態とするとともにウェハ21を支持可能な開放状態とし、ステップs3に進む。ステップs3では、ロボット本体22の駆動手段70〜73を動作させて、ウェハ21の下方からブレード36を近づけて、ウェハ収容装置からブレード36の乗載部37にウェハ21を移載して、ウェハ21を支持させて、ステップs4に進む。
【0064】
ステップs4では、ハンド駆動手段32を動作させて、ロボットハンド20を縮退状態とするとともに支持したウェハ21の変位を阻止した状態とし、ステップs5に進む。ステップs5では、各駆動手段70〜73を動作させて、図10に示す最小回転半径で基板搬送ロボット18が回転可能な状態となるように、各アーム52,53およびロボットハンド20を角変位させる。そして最小回転半径でロボットが回転可能な状態となると、ステップs6に進む。ステップs6では、胴部51を胴部回転軸線L3まわりに回転させ、ロボットが搬送先位置に向くようにし、ステップs7に進む。
【0065】
ステップs7では、ロボット本体22の駆動手段70〜73を動作させて、ロボットハンド20を搬送先位置近傍に配置し、ステップs8に進む。ステップs8では、ハンド駆動手段32を動作させて、ロボットハンド20を伸張状態とするとともにウェハ21を支持解除可能な開放状態とし、ステップs9に進む。ステップs9では、ロボット本体22の駆動手段70〜73を動作させて、ウェハ21の搬送先位置に対して上方からブレード36を近づけて、ブレード36の乗載部37から搬送先位置にウェハ21を移載させ、ウェハ21の搬送動作を終了する。
【0066】
このようにロボットコントローラ17によって基板搬送ロボット18は、ロボットハンド20を伸張させた状態で、ウェハ21の支持と支持解除を行い、回転最小半径となるように各アーム52,53およびロボットハンド20を角変位させた状態で、搬送元位置から搬送先位置へロボットの向きを変える。これによって図9(1)に示す比較例1のロボットよりも遠くに基板支持部31を移動させることができ、図10(2)に示す比較例2のロボットよりも他の装置との干渉のおそれを防ぐことができる。このように本実施形態によれば、他の装置と干渉することを防いでかつ、大きい可動領域を得ることができる。なお、図11に示す制御手順は、ロボット動作の一例であって、干渉のおそれが低い場合などには、回転最小半径となる状態にアーム52,53およびロボットハンド20を角変位させずに、ロボットの向きを換えてもよい。またウェハ21支持および支持解除の詳細についても、適宜変更可能である。
【0067】
本実施の形態の基板搬送ロボット18は、ロボット本体22については既存のロボット本体を用いることができるので、ロボットハンドを着け換えるだけで安価に基板搬送可能領域を広くすることができる。たとえば基板処理設備において、ウェハ21の搬送距離が変更されたとしても、可動領域の大きい別の多関節ロボットに交換する必要がなく、交換費用および交換準備時間を短縮することができる。また本実施のロボットハンドに着け換えたとしても、干渉する可能性が大きくなることがない。
【0068】
また図7に示すように、基板搬送ロボットにおけるロボット本体22が多関節ロボットによって実現されることで、ロボットハンド20の姿勢を任意の姿勢にすることができ、基板搬送動作を柔軟に行うことができる。これによって搬送元位置と搬送先位置とが複数ある場合、障害物を避けて基板搬送動作を行わなければならない場合などでも、基板搬送を行うことができる。
【0069】
図12は、本発明の第2実施形態であるロボットハンド320の一部を示す断面図であり、図13は、ロボットハンド320の一部を切断して示す平面図である。第2実施形態のロボットハンド220は、第1実施形態のロボットハンド20と類似した構成を示し、対応する構成については、第1実施形態のロボットハンド20の参照符号に300を付した参照符号を付する。
【0070】
第2実施形態であるロボットハンド320は、第1実施形態に比べてハンド駆動手段332の構成が異なる以外は、第1実施形態と同様である。したがってハンド駆動手段332の構成を説明し、残余の構成については説明を省略する。
【0071】
ハンド駆動手段332は、ハンド基端部330に対して、伸縮方向19に変位自在に設けられる可動部334と、可動部334を伸縮方向19に変位駆動する駆動部338とを含んで構成される。可動部338は、連結部341によって基板支持部331の基部335に固定される。これによって駆動部338が可動部334を伸縮方向19に変位駆動することで、基板支持部331が可動部334とともに伸縮方向19に移動する。
【0072】
駆動部338は、空気圧駆動式のロータリーアクチュエータ400と、無端帯状のベルト402と、ベルト402が巻回される複数のプーリ401a〜401cとを含んで実現される。ロータリーアクチュエータ400は、エア供給源からエアが供給されることによって、出力軸403を回転駆動する。複数のプーリ401a〜401cは、回転可能にハンド基端部330に支持される。複数のプーリ401a〜401cのうち1つは、ロータリーアクチュエータ400の出力軸403に連結される駆動プーリ401aとなる。駆動プーリ401aは、ロータリーアクチュエータ400の出力軸403を介して動力が与えられることによって回転する。
【0073】
ベルト402は、その内周面に各プーリ401a〜401cが当接し、各プーリ401a〜401cによって張られる。これによって駆動プーリ401aが回転すると、プーリ401とベルト402との間の摩擦によって、ベルトが駆動プーリ401aの回転方向に移動する。複数のプーリ401a〜401cのうち2つの従動プーリ401b,401cは、伸縮方向19に並んで配置される。これによってベルト402のうちで、2つの従動プーリ401b,401cによって張られるベルト部分404は、伸縮方向19に延びる。このベルト部分404に可動部334が連結される。
【0074】
ロータリーアクチュエータ400によって駆動プーリ401aが回転すると、駆動プーリ401aとともにベルト402が移動する。この場合、従動プーリ401b,401c間のベルトは、一方のプーリから他方のプーリに向かって、伸縮方向19に移動するので、ベルトに固定される可動部334もまた伸縮方向19に移動する。またハンド基端部330には、基板支持部331の基部335を伸縮方向19に案内する2つのレール333が設けられ、レール333は、伸縮方向19に平行に延びる。基板支持部31の基部35は、レール333に嵌合する嵌合部分40を有することで、伸縮方向19以外にずれることが防がれる。
【0075】
このようにエア駆動式のロータリーアクチュエータ400を用いた場合であっても、第1実施形態と同様の効果を達成することができる。またロータリーアクチュエータ400を用いることで、第1実施形態に比べて、シリンダおよびシリンダロッドを必要とせず、ハンド基端部330の構成を小形化することができる。また2つの従動プーリ401b,401cの間に駆動プーリ401aを配置することによって、駆動プーリ401aおよびロータリーアクチュエータが多少大形化しても、ハンド基端部330の大形化を抑えることができる。またロータリーアクチュエータ400の回転量を調整することで、基板支持部331の伸縮方向19の移動量を調整することができるので、設計の自由度をふやすことができる。
【0076】
図14は、本発明の第3実施形態であるロボットハンド120を示す正面図であり、図15は、図14のロボットハンド120を示す側面図である。また図16は、縮退状態のロボットハンド120を示す正面図であり、図17は、図16のロボットハンド120を示す側面図である。
【0077】
第3実施形態のロボットハンド120は、第1実施形態のロボットハンド20と類似した構成を示し、対応する構成については、第1実施形態のロボットハンド20の参照符号に100を付した参照符号を付する。
【0078】
ロボットハンド120は、ハンド基端部130と、基板支持部131と、ハンド駆動手段132とを含んで構成される。ハンド基端部130は、ロボット本体22のロボットアームの先端部に装着される。ハンド基端部130は、基板支持部131を支持し、ロボットアームの先端部に設定される基準軸線L1まわりに角変位可能に形成される。
【0079】
基板支持部131は、ウェハ21を支持可能に形成され、ハンド基端部130に対して変位自在に設けられる。具体的には、基板支持部131は、ウェハ21を支持した状態で、前記伸縮方向19に変位自在に形成される。
【0080】
基板支持部131は、第1支持部分100と第2支持部分101と連結部分102とを有する。第1支持部分100は、ハンド基端部130の一方の側部に設けられ、第2支持部分101は、ハンド基端部130の他方の側部に設けられる。また第1支持部分100と第2支持部分101とは、連結部分102によって連結される。各支持部分100,101は、伸縮方向19に沿って延び、ハンド基端部130に対して伸縮方向19に移動可能に連結される。各支持部分100は、ハンド基端部130に設けられるレール121に嵌合する嵌合部120が形成される。嵌合部120は、レール121に嵌合した状態で、伸縮方向19に移動可能に案内される。
【0081】
第1支持部分100には、第1乗載部37Aと第3乗載部37Cとが形成される。第2支持部分101には、第2乗載部37Bと第4乗載部37Dとが形成される。第1および第2乗載部37A,37Bは、伸縮方向他方19B側でウェハ21を支持し、第3および第4乗載部37C,37Dは、伸縮方向一方19A側でウェハ21を支持する。
【0082】
ハンド駆動手段132は、サーボモータ110と、サーボモータ110の出力軸113の回転力を伸縮方向19の移動力に変換して伝達する動力伝達手段111とを含んで構成される。本実施の形態では、サーボモータ110は、ハンド基端部130に設けられる。また動力伝達手段111は、サーボモータ110の出力軸113に対して伸縮方向他方19Bに配置される従動軸114と、従動軸114および出力軸113に巻掛けられるベルト115とを含む。これによってサーボモータ110によって出力軸113を回転させることによって、ベルト115の一円周部分が伸縮方向19に移動する。
【0083】
ベルト115の一円周部分には第1支持部分101、第2支持部分、連結部分102のいずれかが連結される。本実施の形態では、第2支持部分102がベルト115の一円周部分に固定される。これによってサーボモータ110によって出力軸113を回転させることによって、ハンド基端部130に対して基板支持部131を伸縮方向19に移動させることができる。
【0084】
基板支持部131は、ハンド基端部130に対して、図14および図15に示すように伸縮方向他方19Bに移動した伸張状態と、図16および図17に示すように伸縮方向一方19Aに移動した縮退状態とに切換可能となる。伸張状態におけるロボットハンド全長B1は、縮退状態におけるロボットハンド全長B2に比べて大きくなる。
【0085】
図18は、固定手段127を示す図であり、図19は、固定手段127を示す断面図である。ロボットハンド120は、基板支持部131に支持されるウェハ21を基板支持部131に対して固定する固定手段127をさらに含む。固定手段127は、基板支持部131がハンド基端部30に近接する位置へ移動するに連動して、基板支持部131に支持されるウェハ21を基板支持部131に対して固定する。また固定手段127は、基板支持部131がハンド基端部130から離反する設定位置へ移動するに連動して、基板支持部131に支持されるウェハ21の基板支持部131に対する固定を解除する。
【0086】
本実施の形態では、固定手段127は、ウェハ21の周面に当接し、ウェハ21を伸縮方向他方19Bに変位させる当接部160と、当接部160を支持する支持部161と、基板支持部131の基部135に固定されて支持部161を回転可能に案内する案内部162と、ハンド基端部130に固定される突起部163と、ばね力発生手段であるねじりばね164とを含んで構成される。
【0087】
支持部161は、基板支持部131に対して、伸縮方向19に垂直でかつ水平な角変位軸線L6まわりに角変位自在に設けられ、案内部62によって案内される。たとえば案内部62は、外輪が基板支持部131に固定され、内輪が支持部161に固定される軸受けによって実現される。また支持部161には、基板支持部131に固定されるねじりばね164が係合する。ねじりばね164は、角変位軸線L6まわりに角変位させる力に抗する復元力を、支持部161に与える。
【0088】
支持部161は、突起部163と当接するための接触部分166が形成される。基板支持部131とともに支持部161が伸縮方向他方19Bに移動して、基板支持部131が設定位置に達した場合に、接触部分166は、突起部163に当接して伸縮方向他方19Bへのさらなる移動を阻止する。これによって支持部161に支持される当接部160は、角変位軸線L6まわりに角変位し、乗載部37の当接部67よりも伸縮方向一方19Aに退避する。
【0089】
したがって図19(1)に示すように、基板支持部131にウェハ21を支持させる場合には、ハンド基端部130に対して、基板支持部131を設定位置よりも伸縮方向他方19Bに移動させることで、固定手段127の当接部160を伸縮方向一方19Aに退避させることができ、ウェハ21を各乗載部37に乗載させて支持することができる。
【0090】
この状態で、図19(2)に示すように、基板支持部131を伸縮方向一方19Aに移動させることによって、基板支持部31に対して、固定手段127の当接部160を伸縮方向他方19Bに移動させることができ、ウェハ21の周縁部を固定手段127の当接部160と乗載部37の当接部67とによって挟持させることができる。
【0091】
またウェハ21を基板支持部131に固定した状態で、図19(1)に示すように、ハンド基端部130に対して、基板支持部131を設定位置よりも伸縮方向他方19Bに移動させる。これによって基板支持部131に対して、固定手段127の当接部160を伸縮方向一方19Aに退避させることができ、当接部160によるウェハ21の挟持を解除することができる。そしてウェハ21を予め定める位置に配置することができる。
【0092】
以上のような第3実施形態であっても、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。すなわち他の装置と干渉することを防いでかつ、大きい基板搬送領域を得ることができる。また第3実施形態では、ハンド駆動手段132がサーボモータによって実現されることで、ハンド基端部130に対する基板支持部131の移動量を精度よく制御することができる。これによって基板支持部131の移動量を把握するためのセンサを別途設ける必要がない。
【0093】
またハンド基端部130に対する基板支持部131の移動時の速度および移動量の調整も容易である。たとえば基板支持部131を伸縮方向19の任意の位置に位置合わせした状態で搬送することができ、利便性を向上することができる。また固定手段127が固定状態では基板支持部131の移動速度を速めて、固定手段127が開放状態では基板支持部131の移動速度を遅くしてもよい。これによって固定手段127が開放状態のときに、ウェハ21のずれを防ぐことができる。また本実施の形態の固定手段127を用いることで、第1実施形態の固定手段127に比べて小形化することができる。
【0094】
また本実施の形態では、基板支持部131は、第1支持部分100と第2支持部分101とを含んで構成されるとしたが、第1実施形態と同様に略V字状に形成されるブレード36によってウェハ21を支持してもよい。また本実施の形態では、固定手段127が各支持部分100,101に設けられるとしたが、固定手段127が1つであってもよい。
【0095】
またサーボモータ110がハンド基端部130に搭載されるとしたが、ロボット本体22から基板支持部131を伸縮方向19に移動させる動力が与えられてもよい。この場合、たとえば基台50内にサーボモータ110を配置し、歯車伝達によってベルト111を回転させる動力を伝達してもよい。このように基台50にサーボモータ110を配置することによって、ロボットハンド120をさらに小形化することができる。
【0096】
図20は、本発明の第4実施形態であるロボットハンド220を簡略化して示す正面図であり、図20(1)は、伸張状態のロボットハンド220を示し、図20(2)は、縮退状態のロボットハンド220を示し、図20(3)は、マッピング動作状態のロボットハンド220を示す。本実施の形態では、上述した第3実施形態と類似した構成を示し、対応する構成については説明を省略して同様の参照符号を付する。
【0097】
ロボットハンド220は、第1支持部分100および第2支持部分101の先端部が、ハンド基端部130に対して移動可能に形成される。そして各支持部分100,101が変位した状態では、ハンド基端部130の伸縮方向他方19B側端部となる先端部200が露出する。またハンド基端部130の先端部200には、ウェハ21の有無などを検出するためのマッピングセンサ201が設けられる。マッピングセンサ201は、図20(1)に示すようにロボットハンド220が伸張状態となる場合には、第1支持部分100および第2支持部分101の下方に配置される。また図20(2)に示すように、各基板支持部分100,101を伸縮方向一方19Aに変位させて、ロボットの回転半径が最小となる縮退状態でも、各支持部分100,101の下方に配置される。そして図20(3)に示すように、縮退状態からさらに各支持部分100,101を伸縮方向一方19Aに変位させると、マッピングセンサ201が外方に露出するマッピング可能状態となる。
【0098】
図21は、マッピングセンサ201を示す斜視図である。本実施の形態では、マッピングセンサ201は、伸縮方向19に関して、ウェハ21の有無を検出するマッピングセンサ201Aを含む。
【0099】
マッピングセンサ201Aは、平行光を投光する投光部210と、投光部210を支持する投光部支持部211と、投光部210から投光された光を受光する受光部212と、受光部212を支持する受光部支持部213とを含む。投光部210は、伸縮方向19に垂直でかつ水平な第1交差方向10に平行光を投光する。また受光部212は、交差方向10に関して投光部210に対向した配置される。投光部支持部211および受光部支持部213は、ハンド基端部130の側面から伸縮方向19に突出し、伸縮状態の各支持部分100,101の下方に配置される。投光部210と受光部212との間にウェハ21が配置されると、投光部210から投光された光は、ウェハ21によって遮られる。これによって受光部212は、投光部210から投光された光を受光することがない。
【0100】
受光部212は、受光量を示す情報をコントローラに与える。これによってコントローラは、ウェハ21の有無などを把握することができる。第4実施形態では、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。またマッピングセンサ201がロボットハンド220に設けられることで、別途マッピングセンサを駆動する駆動手段を設ける必要がない。またロボットハンド220に設けられるマッピングセンサ201は、通常は各支持部分100,101に覆われているので、腐食したり汚染したりすることが防がれて、耐久性を向上することができる。またロボットの方向を変更する場合には、図20(2)に示す縮退状態とすることで、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0101】
また縮退状態において、マッピングセンサ201が外方に露出するようにしてもよい。この場合、マッピングセンサ201が突出する分だけ、ロボットの最小回転半径が大きくなるが、マッピングセンサ201の突出量がもともと小さいので、ロボット方の装置などに干渉する問題は少ない。
【0102】
上述した実施形態は、本発明の例示に過ぎず、発明の範囲内において構成を変更することができる。たとえば本実施の形態では、ハンド駆動手段として、エアシリンダまたはサーボモータを用いたが、これに限定されず他の駆動源を用いて、基板支持部31を変位移動させてもよい。またロボットハンドが支持する基板として、円板状の半導体ウェハであるとしたが、ガラス基板などの半導体ウェハ21以外の基板であっても、同様の効果を得ることができる。また基板支持部31,131は、エッジクリップ型以外であってもよい。たとえば基板の複数の周面部のみに接触して基板を支持するエッジホールドハンド型または、真空吸着して基板を支持するバキュームハンド型であっても、同様の効果を得ることができる。すなわちロボットハンドが伸縮自在であればよく、基板支持部31の形状および支持形態については限定されない。また本実施の形態では、各角変位軸線L1,L3,L4が鉛直に延び、移動軸線L2が水平に延びるとしたが、これに限らずウェハ21をロボットハンドで支持可能な構成であれば、各角変位軸線L1,L3,L4および移動軸線L2は、他の方向に延びていてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0103】
【図1】本発明の第1実施形態であるロボットハンド20を示す正面図である。
【図2】図1の矢符A2−A2からロボットハンド20を見て示す断面図である。
【図3】図2の矢符A3−A3からロボットハンド20を見て示す断面図である。
【図4】基板支持部31が伸縮方向一方19Aに移動した状態を示す正面図である。
【図5】図4の矢符A5−A5からロボットハンド20を見て示す断面図である。
【図6】固定手段27を説明するためにロボットハンド20の一部を拡大して示す断面図である。
【図7】ロボットハンド20が装着される基板搬送ロボット18を示す正面図である。
【図8】基板搬送ロボット18の電気的構成を示すブロック図である。
【図9】基板搬送ロボット18のウェハ21の最大搬送位置を説明するための正面図である。
【図10】基板搬送ロボットの最小回転半径を説明するための正面図である。
【図11】ウェハ21を搬送元位置から搬送先位置に移動させる場合のロボットコントローラ17の制御手順を示すフローチャートである。
【図12】本発明の第2実施形態であるロボットハンド320の一部を示す断面図である。
【図13】ロボットハンド320の一部を切断して示す平面図である。
【図14】本発明の第3実施形態であるロボットハンド120を示す正面図である。
【図15】図14のロボットハンド120を示す側面図である。
【図16】縮退状態のロボットハンド120を示す正面図である。
【図17】図16のロボットハンド120を示す側面図である。
【図18】固定手段127を示す図である。
【図19】固定手段127を示す断面図である。
【図20】本発明の第4実施形態であるロボットハンド220を簡略化して示す正面図である。
【0104】
【図21】マッピングセンサ201を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0105】
20 ロボットハンド
21 半導体ウェハ
22 ロボット本体
27 固定手段
30 ハンド基端部
31 基板支持部
32 ハンド駆動手段
【特許請求の範囲】
【請求項1】
多関節ロボットのロボットアームの先端部に装着されるハンド基端部と、
基板を支持可能に形成され、基板を支持した状態で、ハンド基端部に対して変位自在に設けられる基板支持部と、
基板支持部をハンド基端部に対して変位駆動するハンド駆動手段とを含むことを特徴とするロボットハンド。
【請求項2】
ハンド駆動手段によって駆動されて、基板支持部に支持される基板を基板支持部に対して固定する固定手段をさらに含み、
固定手段は、基板支持部が予め定める設定位置へ移動するに連動して、基板支持部に支持される基板の基板支持部に対する固定を解除し、
基板支持部が前記設定位置からハンド基端部に近接するに連動して、基板支持部に支持される基板を基板支持部に対して固定することを特徴とする請求項1記載のロボットハンド。
【請求項3】
ハンド駆動手段は、空気圧アクチュエータによって実現されることを特徴とする請求項1または2記載のロボットハンド。
【請求項4】
ハンド駆動手段は、サーボモータによって実現されることを特徴とする請求項1または2記載のロボットハンド。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1つに記載のロボットハンドと、
水平多関節型ロボットであって、ロボットアームの先端部にロボットハンドが着脱可能に装着されるロボット本体と、
ロボットハンドとロボット本体とを制御する制御手段とを含むことを特徴とする基板搬送ロボット。
【請求項6】
基板支持部がハンド基端部に向けて変位移動することで、ロボットの可動回転半径が最小となることを特徴とする請求項5記載の基板搬送ロボット。
【請求項1】
多関節ロボットのロボットアームの先端部に装着されるハンド基端部と、
基板を支持可能に形成され、基板を支持した状態で、ハンド基端部に対して変位自在に設けられる基板支持部と、
基板支持部をハンド基端部に対して変位駆動するハンド駆動手段とを含むことを特徴とするロボットハンド。
【請求項2】
ハンド駆動手段によって駆動されて、基板支持部に支持される基板を基板支持部に対して固定する固定手段をさらに含み、
固定手段は、基板支持部が予め定める設定位置へ移動するに連動して、基板支持部に支持される基板の基板支持部に対する固定を解除し、
基板支持部が前記設定位置からハンド基端部に近接するに連動して、基板支持部に支持される基板を基板支持部に対して固定することを特徴とする請求項1記載のロボットハンド。
【請求項3】
ハンド駆動手段は、空気圧アクチュエータによって実現されることを特徴とする請求項1または2記載のロボットハンド。
【請求項4】
ハンド駆動手段は、サーボモータによって実現されることを特徴とする請求項1または2記載のロボットハンド。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1つに記載のロボットハンドと、
水平多関節型ロボットであって、ロボットアームの先端部にロボットハンドが着脱可能に装着されるロボット本体と、
ロボットハンドとロボット本体とを制御する制御手段とを含むことを特徴とする基板搬送ロボット。
【請求項6】
基板支持部がハンド基端部に向けて変位移動することで、ロボットの可動回転半径が最小となることを特徴とする請求項5記載の基板搬送ロボット。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図2】
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【図4】
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【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【公開番号】特開2007−169007(P2007−169007A)
【公開日】平成19年7月5日(2007.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−370689(P2005−370689)
【出願日】平成17年12月22日(2005.12.22)
【出願人】(000000974)川崎重工業株式会社 (1,710)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年7月5日(2007.7.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年12月22日(2005.12.22)
【出願人】(000000974)川崎重工業株式会社 (1,710)
【Fターム(参考)】
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