説明

半導体ウエーハ搬送用ハンド

【課題】ウエーハのノッチの位置合せを実行することができ、かつ、径の異なるウエーハを搬送した場合でも、ウエーハ処理装置に対するウエーハの中心位置を位置合せすることができる半導体ウエーハ搬送用ハンドを提供する。
【解決手段】容器からウエーハWを取り出し、ウエーハWを処理する処理装置に搬送する半導体ウエーハ搬送用ハンド10であって、ハンド部材本体12と、ハンド部材本体12に対して移動可能なハンド部材14と、ハンド部材14に対して移動可能な保持部材36と、ウエーハWと接触する第1回転部材24と、第1回転部材24と共にウエーハWを回転させる第2回転部材56と、第1回転部材24と第2回転部材56が相互に離間する方向又は相互に接近する方向に沿って同じ距離だけ移動させる移動手段と、ウエーハWのノッチを検出するノッチ検出手段と、を有する構成とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体ウエーハを搬送する半導体ウエーハ搬送用ハンドに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、容器に収容された半導体ウエーハ(以下、適宜、「ウエーハ」は、ハンドで容器から取り出され、一度、アライナ装置上に載置される。アライナ装置上に載置されたウエーハは、アライナ装置によりノッチが検出され、所定の位置になるように位置合せされる。アライナ装置により位置合せされたウエーハは、ハンドによりアライナ装置から取り出されて、ウエーハを処理するウエーハ処理装置に搬送される。
【0003】
ところで、上記方法では、アライナ装置によりウエーハのノッチを検出したとしても、アライナ装置からハンド上にウエーハを移動させる際に、ウエーハの位置がずれてしまうことになる。これにより、ハンドからウエーハ処理装置にウエーハを移動させたときに、ウエーハのウエーハ処理装置に対する位置ずれが生じ、高精度なウエーハ処理を実行することができない問題が生じる。また、ウエーハをアライナ装置に載せて位置合せするための時間がかかることやアライナ装置を設けるスペースを確保する必要があるなど、他にも多くの支障が生じる。
【0004】
これに対して、容器からハンドでウエーハを取り出し、ハンド上で位置合せしてウエーハ処理装置に搬送する方法が知られている(下記特許文献1参照)。この方法では、ハンド上でウエーハ保持部によりウエーハを保持した状態で回転させてノッチセンサによりノッチを検出し、ウエーハの位置合せが実行される。
【特許文献1】特開2004−165280号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来の技術では、ウエーハを回転させてノッチを検出することはできるが、あくまでもノッチの位置が判明するだけである。すなわち、ウエーハ処理装置にウエーハを載置する場合には、ウエーハのノッチの位置の他に、ウエーハの中心位置をウエーハ処理装置に対して位置合せする必要が生じる。上記従来技術の方法では、様々な径のウエーハをウエーハ処理装置に載置するときに、径の大きさによってウエーハの中心位置がウエーハ処理装置に対して位置ずれしてしまい、高精度なウエーハ処理を実行することができなくなる。
【0006】
そこで、本発明は、上記事情を考慮し、ウエーハのノッチの位置合せを実行することができ、かつ、径の異なるウエーハを搬送した場合でも、ウエーハ処理装置に対するウエーハの中心位置を位置合せすることができる半導体ウエーハ搬送用ハンドを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願第1の発明は、半導体ウエーハを収容する容器から前記半導体ウエーハを取り出し、前記半導体ウエーハを処理する処理装置に搬送する半導体ウエーハ搬送用ハンドであって、ハンド部材本体と前記ハンド部材本体に設けられ前記ハンド部材本体に対して移動可能なハンド部材と、前記ハンド部材本体又は前記ハンド部材に設けられ前記ハンド部材に対して移動可能な保持部材と、前記ハンド部材に回転可能に設けられ前記半導体ウエーハと接触する第1回転部材と、前記保持部材に回転可能に設けられ前記半導体ウエーハと接触し前記第1回転部材と共に前記半導体ウエーハを回転させる第2回転部材と、前記ハンド部材と前記保持部材を、前記第1回転部材と前記第2回転部材が相互に離間する方向又は相互に接近する方向に沿って同じ距離だけ移動させる移動手段と、前記半導体ウエーハのノッチを検出するノッチ検出手段と、を有することを特徴とする。
【0008】
本願第2の発明は、請求項1に記載の半導体ウエーハ搬送用ハンドにおいて、前記第1回転部材及び前記第2回転部材に、前記半導体ウエーハの径方向外側端部との接触を回避する溝部を形成したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
第1の発明によれば、ハンド上の半導体ウエーハは、第1回転部材と第2回転部材とにより保持される。このとき、ハンド部材及び保持部材は、移動手段の作用により、第1回転部材と第2回転部材が相互に離間又は相互に接近する方向に沿って同じ距離だけ移動する。これにより、比較的径の大きな半導体ウエーハを保持する場合には、第1回転部材と第2回転部材は、第1回転部材と第2回転部材が相互に離間する方向に同じ距離だけ移動する。一方、比較的径の小さな半導体ウエーハを保持する場合には、第1回転部材と第2回転部材は、第1回転部材と第2回転部材が相互に接近する方向に同じ距離だけ移動する。このように、第1回転部材と第2回転部材とは、半導体ウエーハの径の大きさに対応させるようにして同じ距離だけ移動するため、各回転部材により保持される半導体ウエーハは、径の異なるものであっても、その中心位置が常に一致して位置合せされる。
【0010】
加えて、第2回転部材に対して駆動手段から回転駆動力が加えられると、半導体ウエーハが回転し、これに伴い、第1回転部材も従動的に回転する。そして、ノッチ検出手段により半導体ウエーハのノッチが検出され、ノッチが所定の位置になるように半導体ウエーハの位置合せが実行される。
【0011】
以上のように、本発明によれば、ウエーハのノッチの位置合せを実行することができ、同時に、径の異なるウエーハを搬送した場合でも、処理装置に対するウエーハの中心位置を位置合せすることができる。
【0012】
第2の発明によれば、第1回転部材及び第2回転部材に溝部を形成したことにより、半導体ウエーハが各回転部材により保持されているときや回転されるときに、半導体ウエーハの径方向外側端部が各回転部材に接触することがない。これにより、半導体ウエーハの径方向外側端部に外力が作用して、半導体ウエーハが破損したり、あるいはひび割れてしまうことを防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
次に、本発明の一実施形態に係る半導体ウエーハ搬送用ハンドについて、図面を参照して説明する。
【0014】
図1乃至図6に示すように、半導体ウエーハ搬送用ハンド10は、ロボット1のリンク機構3に接続可能なハンド部材本体12を備えている。このハンド部材本体12の上面には、ハンド部材14が前後方向に移動可能に設けられている。すなわち、ハンド部材14の下面には移動方向に延びた突出部(図示省略)が形成されており、ハンド部材本体12には突出部が挿入する凹部(図示省略)が形成されており、突出部が凹部に沿って移動することにより、ハンド部材14のハンド部材本体12に対する適正な移動が実現される。
【0015】
図5に示すように、ハンド部材本体12とハンド部材14との間には、ハンド部材14のハンド部材本体12に対する移動を可能にする第1空気圧シリンダ16が設けられている。この第1空気圧シリンダ16は、シリンダ部材と、空気圧によりシリンダ部材の内部に収納され又はシリンダ部材から引き出されるロッド部材と、で構成されている。また、図9に示すように、第1空気圧シリンダ16には、空気供給源18とコントローラ20が接続されており、コントローラ20により空気圧が制御されてロッド部材のシリンダ部材に対する移動距離が調整される。
【0016】
図2乃至図5に示すように、ハンド部材14は、全体として平板状に形成されており、その先端部は、2つの突状部22が形成されている。この各突状部22には、回転ローラ24が取り付けられている。この回転ローラ24は、各突状部22に回転可能に支持された回転軸26と、回転軸26に取り付けられたローラ部28と、で構成されている。
【0017】
ここで、図7に示すように、ローラ部28の外周面には、溝部30が形成されている。この溝部30は、円周方向に沿って形成された中心溝32と、中心溝32から径方向外側に形成された傾斜溝34と、で構成されている。半導体ウエーハWの外周面は、断面(側面)視にて、径方向内側から径方向外側に向かって先細り状に形成されており、その径方向外側端部には、尖端部r1が形成されている。このため、半導体ウエーハWの外周面には、傾斜部t1が形成されている。
【0018】
回転ローラ24により半導体ウエーハWが保持された状態では、半導体ウエーハWの自重により、ローラ部28の下側の傾斜溝34と半導体ウエーハWの傾斜部t1とが接触する。このとき、半導体ウエーハWの尖端部r1は、ローラ部28の中心溝32近傍に位置しているため、尖端部r1がローラ部28に接触することがない。これにより、半導体ウエーハWの尖端部r1にローラ部28から外力が作用することがなく、尖端部r1が破損したり、尖端部r1にひび割れが入ることがないため、半導体ウエーハWが劣化してしまうことを防止できる。
【0019】
図2乃至図5に示すように、ハンド部材本体12の上面には、保持部材36が前後方向に移動可能に設けられている。すなわち、保持部材36とハンド部材14とは、同じ方向に移動可能となるように構成されており、保持部材36とハンド部材14は、相互に離間する方向に移動したり、相互に接近する方向に移動することが可能になる。
【0020】
保持部材36は、平面視にて、略U字状のベース部材38を備えている。このベース部材38の下面には、移動方向に延びた一対の支持片(図示省略)が形成されている。また、ハンド部材本体12の上面には、この支持片の間に挿入するガイド部(図示省略)が形成されており、支持片の間にガイド部が挿入した状態で保持部材36がガイド部に沿って移動することにより、保持部材36のハンド部材14に対する適正な移動が実現される。
【0021】
図2及び図3に示すように、ベース部材38の上面には、駆動部44が設けられている。この駆動部44は、駆動モータ46と、複数の駆動力伝達ローラ48と、駆動モータ46の回転軸に取り付けられたプーリと複数の駆動力伝達ローラ48とに掛け渡されたベルト50と、これらの構成部材を覆う筐体52と、で構成されている。これにより、駆動モータ46が駆動すると、その駆動力がプーリを介してベルト50に伝わる。そして、駆動力は、ベルト50を介して複数の駆動力伝達ローラ48に伝達される。このようにして、複数の駆動力伝達ローラ48は、ベルト50と共に回転する。
【0022】
図9に示すように、駆動部44の前方側面には、ノッチ検出センサ54が取り付けられている。このノッチ検出センサ54は、半導体ウエーハWのノッチを検出するものであり、発光部と受光部とを備えた光センサ等で構成されている。ノッチ検出センサ54は、ハンド部材14やハンド部材本体12に設けられていてもよい。なお、このノッチ検出センサ54は、従来から周知のものであるため、その詳細な構成の説明は省略する。
【0023】
また、複数の駆動力伝達ローラ48のうち前方側の2つの駆動力伝達ローラ48Aの下端部には、半導体ウエーハWを保持して回転させる位置決めローラ56が設けられている。すなわち、位置決めローラ56は、駆動力伝達ローラ48Aの回転軸に取り付けられており、駆動力伝達ローラ48Aと共に回転するように構成されている。
【0024】
ここで、図8に示すように、位置決めローラ56は、回転軸に取り付けられたローラ部58を備えており、回転ローラ24と同様に、ローラ部58の外周面には、溝部60が形成されている。この溝部60は、円周方向に沿って形成された中心溝62と、中心溝62から径方向外側に形成された傾斜溝64と、で構成されている。
【0025】
これにより、位置決めローラ56により半導体ウエーハWが保持された状態では、回転ローラ24により半導体ウエーハWが保持される場合と同様にして、半導体ウエーハWの自重により、ローラ部58の下側の傾斜溝64と半導体ウエーハWの傾斜部t1とが接触する。このとき、半導体ウエーハWの尖端部r1は、ローラ部58の中心溝62近傍に位置しているため、尖端部r1がローラ部58に接触することがない。これにより、半導体ウエーハWの尖端部r1にローラ部58から外力が作用することがなく、尖端部r1が破損したり、尖端部r1にひび割れが入ることがないため、半導体ウエーハWの不良が発生してしまうことを防止できる。
【0026】
図5に示すように、ハンド部材本体12と保持部材36との間には、保持部材36のハンド部材本体12に対する移動を可能にする第2空気圧シリンダ66が設けられている。この第2空気圧シリンダ66は、シリンダ部材と、空気圧によりシリンダ部材の内部に収納され又はシリンダ部材から引き出されるロッド部材と、で構成されている。また、図9に示すように、第2空気圧シリンダ66には、空気供給源18とコントローラ20が接続されており、コントローラ20により空気圧が制御されてロッド部材のシリンダ部材に対する移動距離が調整される。
【0027】
ここで、図5及び図9に示すように、コントローラ20は、第1空気圧シリンダ16のロッド部材の伸縮動作と第2空気圧シリンダ66のロッド部材の伸縮動作が一定の関係となるように制御する。すなわち、コントローラ20は、回転ローラ24と位置決めローラ56とが相互に離間する方向(図6中矢印M方向)又は同じ距離だけ相互に接近する方向(図6中矢印N方向)に同じ距離だけ移動するように、ハンド部材14と保持部材36との移動を制御する。これにより、径の小さな半導体ウエーハWをハンド部材14の回転ローラ24と保持部材36の位置決めローラ56とで保持した後、径の大きな半導体ウエーハWをハンド部材14の回転ローラ24と保持部材36の位置決めローラ56で保持するときには、ハンド部材14(回転ローラ24)と保持部材36(位置決めローラ56)とが相互に離間する方向に同じ距離だけ移動する。一方、径の大きな半導体ウエーハWをハンド部材14の回転ローラ24と保持部材36の位置決めローラ56とで保持した後、径の小さな半導体ウエーハWをハンド部材14の回転ローラ24と保持部材36の位置決めローラ56で保持するときには、ハンド部材14(回転ローラ24)と保持部材36(位置決めローラ56)とが相互に接近する方向に同じ距離だけ移動する。これにより、ハンド部材14の回転ローラ24と保持部材36の位置決めローラ56で保持される半導体ウエーハWの中心Oの位置は、径の大小によらず、常に一定の位置に定めることができ、半導体ウエーハWの中心Oを位置合わせすることが可能になる。
【0028】
次に、本実施形態の半導体ウエーハ搬送用ハンド10の作用について説明する。
【0029】
図1に示すように、半導体ウエーハWが収容された容器68に半導体ウエーハ搬送用ハンド10が進入し、半導体ウエーハWが半導体ウエーハ搬送用ハンド10のハンド部材14と保持部材36で保持される。
【0030】
図6に示すように、半導体ウエーハWは、ハンド部材14の回転ローラ24と保持部材36の位置決めローラ56により挟まれる形で保持される。そして、駆動モータ46が駆動することにより、位置決めローラ56が回転し、この位置決めローラ56の回転力が半導体ウエーハWに伝達されて、半導体ウエーハWが回転する。このとき、回転ローラ24は、従動ローラとして機能しているため、半導体ウエーハWの回転と共に、従動的に回転する。このように、回転ローラ24と位置決めローラ56で保持された半導体ウエーハWが回転し、ノッチ検出センサ54により半導体ウエーハWのノッチが検出され、ノッチの位置合せが完了する。
【0031】
ここで、図7及び図8に示すように、回転ローラ24と位置決めローラ56の各ローラ部28、58には、中心溝32、62がそれぞれ形成されているため、保持された半導体ウエーハWの径方向外側端部の尖端部r1が回転ローラ24と位置決めローラ56が接触することがない。このため、回転ローラ24と位置決めローラ56で保持されて回転される半導体ウエーハWの径方向外側端部の尖端部r1に対して回転ローラ24及び位置決めローラ56から外力が作用することがない。これにより、半導体ウエーハWの位置合せ中に、半導体ウエーハWが破損したり、あるいはひび割れが発生してしまうことを防止できる。この結果、半導体ウエーハWの位置合せ作業において、半導体ウエーハWの不良が発生することを防止できる。
【0032】
ノッチが検出されてノッチの位置合せが完了した半導体ウエーハWは、半導体ウエーハ搬送用ハンド10により所定のウエーハ処理装置70(図1参照)に搬送され、各処理が実行される。
【0033】
図6に示すように、次にノッチの位置合せが実行される半導体ウエーハWの径が直前に位置合せが完了した半導体ウエーハWの径よりも大きい場合には、ハンド部材14と保持部材36は相互に離間する方向に沿って同じ距離だけ移動する。ここで、図5及び図9に示すように、ハンド部材14と保持部材36は、各空気圧シリンダ16、66を介して実現される。空気供給源18から各空気圧シリンダ16、66に対する空気流入は、コントローラ20により制御されており、コントローラ20により各空気圧シリンダ16、66の動作が適切に制御されることにより、ハンド部材14と保持部材36が相互に離間する方向に沿って同じ距離だけ移動する動作が実現する。
【0034】
これにより、図6に示すように、径の大きな半導体ウエーハWを保持してノッチの位置合せを実行する場合でも、位置合せされる半導体ウエーハWの中心Oの位置が常に一定の位置になるため、異なる径の半導体ウエーハWを保持した場合でも、半導体ウエーハWの中心Oの位置合せが可能になる。
【0035】
一方、次にノッチの位置合せが実行される半導体ウエーハWの径が直前に位置合せが完了した半導体ウエーハWの径よりも小さい場合には、ハンド部材14と保持部材36は相互に接近する方向に沿って同じ距離だけ移動する。ここで、図5及び図9に示すように、ハンド部材14と保持部材36は、各空気圧シリンダ16、66を介して実現される。空気供給源18から各空気圧シリンダ16、66に対する空気流入は、コントローラ20により制御されており、コントローラ20により各空気圧シリンダ16、66の動作が適切に制御されることにより、ハンド部材14と保持部材36が相互に接近する方向に沿って同じ距離だけ移動する動作が実現する。
【0036】
これにより、図6に示すように、径の小さな半導体ウエーハWを保持してノッチの位置合せを実行する場合でも、位置合せされる半導体ウエーハWの中心Oの位置が常に一定の位置になるため、異なる径の半導体ウエーハWを保持した場合でも、半導体ウエーハWの中心Oの位置合せが可能になる。
【0037】
以上のように、本実施形態の半導体ウエーハ搬送用ハンド10を用いることにより、半導体ウエーハWの径の大小にかかわらず、半導体ウエーハWのノッチ位置と中心O位置の両方を同時に位置合せ(位置決め)することができる。加えて、アライナ装置を用意してアライナ装置でノッチの位置合せを実行する必要がなくなるので、アライナ装置のスペースが不要になり、装置のコストを低減でき、装置を小型化することができる。また、半導体ウエーハ搬送用ハンド10上でノッチ及び中心位置を位置合せして、そのままウエーハ処理装置70に搬送することができるため、アライナ装置を別途設けた構成と比較して、半導体ウエーハWを容器68から取り出してウエーハ処理装置70に供給するまでの時間を短縮することができる。同時に、半導体ウエーハWをウエーハ処理装置70に搬送したときの半導体ウエーハWのウエーハ処理装置70に対する位置ずれを低減することができる。この結果、ウエーハ処理装置70における半導体ウエーハWの処理精度を高めることができる。
【0038】
なお、図10及び図11に示すように、ハンド部材14の各突状部22には、複数の回転ローラ24A、24Bが取り付けられている構成が好ましい。すなわち、各突状部22には、半導体ウエーハWの円周方向に沿うように2つの回転ローラ24A、24Bが回転可能となるように並んで取り付けられている。このため、2つの突状部22には、合計4個の回転ローラが取り付けられた構成になる。ここで、各突状部22に1個の回転ローラ24だけを取り付けた構成では、回転ローラ24が小径となるため、半導体ウエーハWのノッチNに回転ローラ24が落ち込んで半導体ウエーハWの回転位置がずれてしまったり、また半導体ウエーハWのノッチNに回転ローラ24が落ちた衝撃で半導体ウエーハWが破損してしまうおそれがある。しかしながら、各突状部22に2個以上の回転ローラ24A、24Bを設けた構成では、2個の回転ローラ24A、24Bのうち一方の回転ローラ24Aが半導体ウエーハWのノッチNに落ち込もうとしたときに、他方の回転ローラ24Bが半導体ウエーハWの外周面上に接触することによって干渉するため、一方の回転ローラ24Aの半導体ウエーハWのノッチNへの落ち込みが阻止される。このように、2個の回転ローラ24A、24Bのうち、一方の回転ローラ24A(24B)が他方の回転ローラ24B(24A)の半導体ウエーハWのノッチNへの落ち込みを常に阻止することになるため、半導体ウエーハWの回転位置ずれや破損を防止することができる。
【0039】
また、本実施形態の半導体ウエーハ搬送用ハンド10は、ハンド部材14が半導体ウエーハWの下側平面に接触して位置合せする構成と、ハンド部材14が半導体ウエーハWの下側平面に非接触の状態(ベルヌイ方式)で位置合せする構成の両方タイプに適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明の一実施形態に係る半導体ウエーハ搬送用ハンドの概念図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る半導体ウエーハ搬送用ハンドの斜視図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る半導体ウエーハ搬送用ハンドの平面図である。
【図4】本発明の一実施形態に係る半導体ウエーハ搬送用ハンドの裏面図である。
【図5】本発明の一実施形態に係る半導体ウエーハ搬送用ハンドの駆動機構を示す図である。
【図6】本発明の一実施形態に係る半導体ウエーハ搬送用ハンドで径の異なる半導体ウエーハを保持したときを比較した図である。
【図7】本発明の一実施形態に係る半導体ウエーハ搬送用ハンドの第1回転部材で半導体ウエーハが保持されるときの状態を示した断面図である。
【図8】本発明の一実施形態に係る半導体ウエーハ搬送用ハンドの第2回転部材で半導体ウエーハが保持されるときの状態を示した断面図である。
【図9】本発明の一実施形態に係る半導体ウエーハ搬送用ハンドの制御システムを示したブロック図である。
【図10】本発明の一実施形態に係る半導体ウエーハ搬送用ハンドの変形例の平面図である。
【図11】本発明の一実施形態に係る半導体ウエーハ搬送用ハンドの変形例の回転ローラと半導体ウエーハのノッチとの位置関係を示す部分的な拡大図である。
【符号の説明】
【0041】
10 半導体ウエーハ搬送用ハンド
12 ハンド部材本体
14 ハンド部材
16 第1空気圧シリンダ(移動手段)
24 回転ローラ(第1回転部材)
33 溝部
36 保持部材
54 ノッチ検出センサ(ノッチ検出手段)
56 位置決めローラ(第2回転部材)
60 溝部
66 第2空気圧シリンダ(移動手段)
W 半導体ウエーハ(ウエーハ)
68 容器
70 ウエーハ処理装置(処理装置)


【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体ウエーハを収容する容器から前記半導体ウエーハを取り出し、前記半導体ウエーハを処理する処理装置に搬送する半導体ウエーハ搬送用ハンドであって、
ハンド部材本体と
前記ハンド部材本体に設けられ前記ハンド部材本体に対して移動可能なハンド部材と、
前記ハンド部材本体又は前記ハンド部材に設けられ前記ハンド部材に対して移動可能な保持部材と、
前記ハンド部材に回転可能に設けられ前記半導体ウエーハと接触する第1回転部材と、
前記保持部材に回転可能に設けられ前記半導体ウエーハと接触し前記第1回転部材と共に前記半導体ウエーハを回転させる第2回転部材と、
前記ハンド部材と前記保持部材を、前記第1回転部材と前記第2回転部材が相互に離間する方向又は相互に接近する方向に沿って同じ距離だけ移動させる移動手段と、
前記半導体ウエーハのノッチを検出するノッチ検出手段と、
を有することを特徴とする半導体ウエーハ搬送用ハンド。
【請求項2】
前記第1回転部材及び前記第2回転部材に、前記半導体ウエーハの径方向外側端部との接触を回避する溝部を形成したことを特徴とする請求項1に記載の半導体ウエーハ搬送用ハンド。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2010−74093(P2010−74093A)
【公開日】平成22年4月2日(2010.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−242990(P2008−242990)
【出願日】平成20年9月22日(2008.9.22)
【出願人】(501114693)株式会社ウインズ (23)
【Fターム(参考)】