説明

半導体装置、半導体装置の製造方法、セルアレイ及びセルアレイの製造方法

【課題】 スイッチ機能が十分に得られ、常温においても十分にスイッチ動作ができ、微細化を図ることができるスイッチング素子を提供すること。
【解決手段】 基板101上に形成されたゲート絶縁膜102上に、第2絶縁膜105で隔てられた第1電極103と第2電極104を形成する。第1電極103は、ゲート絶縁膜102の表面に接する側の部分が鋭角断面を有するように、側面が傾斜している。ゲート絶縁膜102中に、20nm以下の直径を有すると共に、第1電極3と第2絶縁膜105との境界が含まれる平面と略同一の平面上に配列された金属微粒子106を形成する。第1絶縁膜2中の金属微粒子6の数を、第1絶縁膜2の膜厚と、第1絶縁膜2への金属元素の注入及びアニール条件とで制御できるので、微細加工の最小加工寸法の制約を受けない。また、ゲート長を、ゲート絶縁膜102の厚みによって設定できるので、微細加工の最小加工寸法の制約を受けない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置及びその製造方法に関し、特に、導電性微粒子を有して単一電子で動作するスイッチング素子に好適な半導体装置及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
スイッチング素子は、電子デバイスの基本的な構成要素である。そのため、スイッチング素子の低消費電力化を行うことで、電子デバイスの低消費電力化を行うことができる。また、スイッチング素子の低消費電力化は、スイッチング素子及び電子デバイスの発熱を抑制することができる。
【0003】
スイッチング素子の低消費電力化は、バッテリー駆動の電子デバイスのみでなく、例えば発熱を抑えるために処理速度等の性能が制限されるすべての電子デバイスにおいて、重要な課題である。この低消費電力化の課題を解決すべく、いわゆるクーロンブロッケードを利用して単一電子をスイッチングするスイッチング素子の研究が精力的になされている。クーロンブロッケードを利用することにより、非常に微小なキャパシタを通過するトンネル電流に現れる量子効果を使ってスイッチング動作を行うスイッチング素子が得られる。また、このようなスイッチング素子を用いて様々な論理回路やメモリ回路を構成することができる。
【0004】
上記単一電子をスイッチングするスイッチング素子としては、従来、図8に示すようなものがある。このスイッチング素子は、SiOで形成された絶縁膜1012中に、典型的には20nm以下の大きさの金属微粒子1014を、Si基板1010の表面と略同一平面上に、略等間隔かつ互いに孤立した状態で配列している(特開平11−195780号公報(特許文献1)参照)。上記金属微粒子が配列された絶縁膜1012上に、ソース又はドレイン電極1026を設けると共に、上記絶縁膜1012の側方にゲート電極1027を設け、上記Si基板1010をドレイン又はソースとして、トランジスタを構成している。
【0005】
上記金属微粒子1014を形成する方法としては、絶縁膜1012中に、Sn原子を加速エネルギー10keV及びドーズ量5×1015cm−2でイオン注入してアニールすることにより、上記絶縁膜1012中にSnの超微粒子を相互に孤立した状態で形成することが開示されている。
【0006】
また、従来、他のスイッチング素子としては、図9に示すような構造を有するものが開示されている(特表2003−522419号公報(特許文献2)参照)。このスイッチング素子は、ゲート1034の下側に、制御酸化物1036とトンネル酸化物1037を順次形成し、6nm以下の大きさのナノ粒子1018を、上記制御酸化物1036とトンネル酸化物1037との境界に接するように、上記制御酸化物1036に配置している。上記トンネル酸化物1037の下方かつ両側に、ソース1030とドレイン1032を形成している。
【0007】
上記制御酸化物1036中にナノ粒子1018を形成する方法としては、コロイド状に分散したSiナノ粒子を含む揮発性液体を粒子銃に供給し、この電子銃で上記Siナノ粒子を制御酸化物1036中に打ち込む方法が開示されている。
【0008】
しかしながら、図8に示した従来のスイッチング素子は、スイッチ機能が不十分であるという問題がある。その理由は、上記ソース又はドレイン電極1026及びSi基板1010は、上記金属微粒子1014に対する電荷の出し入れの効率が低いからである。また、ゲート電極1027への印加電圧に基づく電界の影響を受ける金属微粒子1014の数が、全体の金属微粒子1014の中の一部であり、オンオフ比を十分に得ることができないからである。
【0009】
また、図8の従来のスイッチング素子を用いてメモリ回路を構成した場合、蓄積された電荷の保持特性が比較的悪いので、電荷を蓄積できる時間が限られてしまう問題がある。
【0010】
また、図9に示した従来のスイッチング素子は、ゲート長が、微細加工で形成されるゲート1034の幅と同じになるため、最小加工寸法に依存する。現在の微細加工技術では、現実的な最小加工寸法は0.1〜0.25マイクロメートルのオーダーである。したがって、ゲート長に亘って直径約5nmのナノ粒子1018を約5nm間隔に配置した場合、ゲートソース間に並ぶナノ粒子1018の数は、最小加工寸法の制約により、少なくとも10個になる。上記ゲート1034への印加電圧により、ソース1030とドレイン1032の間の電流を制御する場合、この電流はナノ粒子1018間のトンネル電流である。ここで、上記電流は、少なくとも10個のナノ粒子618間を順次トンネルする必要があるため、電流値が低下してしまう。したがって、ゲート1034で制御できる電流の変化量が小さくなるので、ノイズの影響等を考慮すると、常温でのスイッチ動作が困難になるという問題がある。
【0011】
また、図9の従来のスイッチング素子は、コロイド状に分散したSiナノ粒子を含む揮発性液体を用いてナノ粒子1018を形成するので、コンタミネーションが生じやすいという問題がある。特に、スイッチング素子を集積してメモリセルアレイを作製しようとすると、メモリ駆動用のCMOS(相補型金属酸化膜半導体)デバイスはコンタミネーションの影響を受け易いので、COMSデバイスとスイッチング素子との混載が困難になる。つまり、実際に動作するセルアレイを作製することが困難であるという問題がある。
【特許文献1】特開平11−195780号公報
【特許文献2】特表2003−522419号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
そこで、本発明の課題は、単一電荷のスイッチ機能が十分に得られ、また、常温においても十分にスイッチ動作ができる半導体装置を提供することにある。また、単一電荷を操作することができ、かつ、CMOSデバイスと混載が可能な半導体装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するため、本発明の半導体装置は、
第1絶縁膜と、
上記第1絶縁膜の表面の一部の上に形成された第2絶縁膜と、
上記第1絶縁膜の表面の他の一部の上に形成されていると共に、上記第1絶縁膜と第2絶縁膜とで挟まれた部分の先端が鋭角断面を有するように形成された第1導電性層と、
上記第1絶縁膜中に形成され、かつ、上記第1導電性層の上記先端の近傍に形成された導電性微粒子と
を備えることを特徴としている。
【0014】
上記構成によれば、上記第1導電性層の第1絶縁膜と第2絶縁膜とで挟まれた部分の先端が鋭角断面を有するので、この第1導電性層と、上記第1絶縁膜中の導電性微粒子との間で、電荷の出し入れを効率良く行うことができる。したがって、例えば、上記第1導電性層をソース/ドレインとして用いることにより、ソース/ドレイン電流を上記導電性微粒子に効率良く流すことができ、その結果、良好なスイッチ機能を有するスイッチング素子を構成することができる。
【0015】
上記実施形態において、鋭角断面とは、直角よりも小さい角度の断面を言い、上記第1導電性層の上記第1絶縁膜と第2絶縁膜とで挟まれた部分の先端が直角よりも小さければよく、上記第1導電性層と第2絶縁膜との間の境界が曲面であってもよい。
【0016】
また、上記第1絶縁膜と第2絶縁膜とを同じ材料で形成してもよく、この場合、第1絶縁膜と第2絶縁膜との間の境界は観察できなくてもよい。
【0017】
一実施形態の半導体装置は、上記第1絶縁膜に関して、上記第1導電性層が形成された側と反対側に形成された第2導電性層と、
上記第1絶縁膜の表面の他の一部の上に形成されていると共に、上記第2絶縁膜に関して、上記第1導電性層が形成された側と反対側に形成された第3導電性層と
を備える。
【0018】
上記実施形態によれば、上記第3導電性層への印加電圧に基づく電界の影響を、上記導電性微粒子に効率良く及ぼすことができる。したがって、この半導体装置は、例えば、オンオフ比を十分に得ることができて、十分なスイッチ機能を有するスイッチング素子を構成できる。また、この半導体層が例えばメモリ素子として用いられた場合、上記第1絶縁膜中の導電性微粒子に電荷を効率良く受け渡して蓄積できるので、良好な電荷の保持特性が得られる。
【0019】
また、例えば、上記半導体装置でスイッチング素子を構成した場合、上記導電性微粒子が形成された第1絶縁膜の厚みによってゲート長が定義される。この第1絶縁膜の厚みは、最小加工寸法よりも小さい厚みに形成できるから、最小加工寸法の制限を受けることなく半導体装置の微細化を行うことができる。
【0020】
なお、上記第2絶縁膜と第3導電性層との間の境界が、上記第1導電性層と第2絶縁膜との間の境界と略平行であるのが好ましい。これにより、上記導電性微粒子が形成された第1絶縁膜に対して、上記先端が鋭角断面を有する第1導電性層と第2絶縁膜とを隔てた上記第3導電性層までの距離を小さくできる。したがって、第3導電性層への印加電圧に基づく上記第1絶縁膜中の導電性微粒子に対する電界の影響を、さらに大きくできる。
【0021】
なお、上記基板の表面部分を、上記第2導電性層として機能させてもよい。
【0022】
一実施形態の半導体装置は、上記第1絶縁膜の表面の他の一部の上に形成された第2導電性層と、
上記第1導電性層と第2導電性層との間に形成された第3導電性層とを備え、
上記第2絶縁膜は、上記第1導電性層と第3導電性層との間、上記第1絶縁膜の一部と第3導電性層との間、及び、上記第2導電性層と第3導電性層との間にわたって存在しており、
上記第2導電性層は、上記第1絶縁膜と第2絶縁膜とで挟まれた部分の先端が鋭角断面を有するように形成されている。
【0023】
上記実施形態によれば、上記第1絶縁膜に関して互いに同じ側に、第1導電性層、第2導電性層及び第3導電性層を形成するので、半導体装置を容易に作製できる。
【0024】
また、上記第1導電性層と第2絶縁膜は、上記先端が鋭角断面を有するので、例えば、一体の導電層をエッチングで分離して第1導電性層と第2絶縁膜とを作製することにより、上記第1導電性層の先端と第2絶縁膜の先端との間を、最小加工寸法よりも小さい長さに形成することができる。したがって、この半導体装置によってスイッチング素子を構成した場合、ゲート長を最小加工寸法よりも小さくできるので、高集積化が可能なスイッチング素子が得られる。
【0025】
一実施形態の半導体装置は、上記第1絶縁膜の表面の他の一部の上に形成された第2導電性層と、
上記第1絶縁膜に関して、上記第1導電性層と第2導電性層が形成された側と反対側に形成された第3導電性層とを備え、
上記第2絶縁膜は、上記第1導電性層の表面の上と、上記第1絶縁膜の表面の一部の上と、上記第3導電性層の表面の上とに亘って存在しており、
上記第2導電性層は、上記第1絶縁膜と第2絶縁膜とで挟まれた部分の先端が鋭角断面を有するように形成されている。
【0026】
上記実施形態によれば、上記第1絶縁膜に関して互いに同じ側に、第1導電性層と第2導電性層を形成するので、半導体装置を容易に作製できる。
【0027】
また、上記第1導電性層と第2絶縁膜は、上記先端が鋭角断面を有するので、例えば、一体の導電層をエッチングで分離して第1導電性層と第2絶縁膜とを作製することにより、上記第1導電性層の先端と第2絶縁膜の先端との間を、最小加工寸法よりも小さい長さに形成することができる。したがって、この半導体装置によってスイッチング素子を構成した場合、ゲート長を最小加工寸法よりも小さくできるので、高集積化が可能なスイッチング素子が得られる。
【0028】
なお、基板の表面に上記第1絶縁膜を形成し、この基板の表面部分を上記第3導電性層として機能させてもよい。
【0029】
一実施形態の半導体装置は、上記第1導電性層と第2導電性層は、上記第1絶縁膜に接している。
【0030】
上記実施形態によれば、上記第1絶縁膜に接する第1導電性層と、上記第1絶縁膜中の導電性微粒子との間に、効率良く電流を流すことができる。また、上記第1絶縁膜に接する第2導電性層と、上記第1絶縁膜中の導電性微粒子との間に、効率良く電流を流すことができる。
【0031】
一実施形態の半導体装置は、上記第1絶縁膜中に形成された導電性微粒子は、上記第1導電性層と上記第2絶縁膜との間の境界を含んで上記第1絶縁膜中に延長された平面の近傍に、配置されている。
【0032】
上記実施形態によれば、上記第1絶縁膜中に形成された導電性微粒子を介して、上記第1導電性層と第2導電性層との間に効率良く電流を流すことができる。
【0033】
一実施形態の半導体装置は、上記第1絶縁膜中に形成された導電性微粒子は、上記第1絶縁膜の表面と略平行に配置されている。
【0034】
上記実施形態によれば、上記第1絶縁膜中の導電性微粒子を介して、上記第1導電性層と第2導電性層との間に効率良く電流を流すことができる。
【0035】
一実施形態の半導体装置は、上記第1導電性層と第2導電性層との間に流れる電流が、上記第3導電性層に印加される電圧に対応して変化する。
【0036】
上記実施形態によれば、上記第3導電性層の印加電圧の制御により、スイッチ動作を行う半導体装置が得られる。したがって、この半導体装置を、例えばスイッチング素子やメモリ素子として機能させることができる。
【0037】
一実施形態の半導体装置は、上記第1導電性層と第2導電性層との間に流れる電流は、上記第1絶縁膜中の導電性微粒子を介して流れる電流である。
【0038】
上記実施形態によれば、いわゆるクーロンブロッケード現象を用いて、上記導電性微粒子間の単一電荷の移動を操作することにより、低消費電力の半導体装置が得られる。
【0039】
一実施形態の半導体装置は、上記第1絶縁膜上に形成された絶縁層と、
上記絶縁層に形成され、上記第1絶縁膜の表面に達する深さを有する溝とを備え、
上記絶縁層の溝内に、上記第1導電性層がサイドウォール状に形成されている。
【0040】
上記実施形態によれば、上記サイドウォール状の第1導電性層は、製造過程において、例えば、上記溝内に埋め込まれた導電体のエッチバック等により、マスクパターンを用いないで作製できる。したがって、上記絶縁層の溝を最小加工寸法の幅に形成することにより、この溝内に、上記最小加工寸法よりも小さい幅の第1導電性層を形成できる。その結果、高集積化が可能な半導体装置が得られる。また、上記溝内において、上記第1導電性層と他の導電性層とを、上記最小加工寸法よりも小さい距離に隔てることができる。その結果、例えば、最小加工寸法よりも小さいゲート長を有するスイッチング素子が得られる。
【0041】
また、上記サイドウォール状の第1導電性層は、上記溝の底面である上記第1絶縁膜の表面に接する下端部のうち、上記溝の側面から遠い先端が、直角よりも小さい鋭角に形成される。したがって、この第1導電性層の下端部の先端と、この先端の近傍に位置する第1絶縁膜中の導電性微粒子との間で、効率良く電荷の受け渡しを行うことができる。
【0042】
なお、上記溝の上記第1導電性層を形成する側面と対向する側面に、上記第2導電性層をサイドウォール状に形成してもよい。あるいは、上記溝の上記第1導電性層を形成する側面と対向する側面に、他の半導体装置の第1導電性層を形成してもよい。つまり、2つの半導体装置で1つの溝を共有してもよい。
【0043】
一実施形態の半導体装置は、上記第1絶縁膜は、上記基板側から順に第1層と第2層とで形成され、
上記第1導電性層は、下端面の一方の端部が上記第1絶縁膜の第1層の表面に接する一方、下端面の他方の端部が上記第2絶縁膜の第2層の表面に接している。
【0044】
上記実施形態によれば、上記第1導電性層の下端面を、この下端面の一方の端部から他方の端部に向かうに伴って、上記第1絶縁膜の表面から遠ざかるように傾けることができる。これにより、上記第1導電性層の下端の一端部を鋭角断面に形成できて、この第1導電性層と上記第1絶縁膜中の導電性微粒子との間の電荷の出し入れを効果的に行うことができる。
【0045】
また、上記第1絶縁膜中を2層で構成することにより、この第1絶縁膜の下側の基板を効果的に保護することができる。基板の保護の点から、上記第1絶縁膜の第1層を例えばシリコン酸化膜で形成し、上記第1絶縁膜の第2層を例えばシリコン窒化膜で形成するのが好ましい。
【0046】
なお、上記第2導電性層についても、下端面の一方の端部が上記第1絶縁膜の第1層の表面に接する一方、下端面の他方の端部が上記第2絶縁膜の第2層の表面に接するように形成してもよい。
【0047】
本発明の半導体装置の製造方法は、基板上に第1絶縁膜を形成する工程と、
上記第1絶縁膜上に絶縁層を形成する工程と、
上記絶縁層に、上記第1絶縁膜の表面に達する深さの溝を形成する工程と、
上記絶縁層の溝内に、この溝の側面と上記第1絶縁膜の表面とに接するサイドウォール状の導電性層を形成する工程と、
上記絶縁層の溝を介して、上記第1絶縁膜中に導電性微粒子を形成する工程と
を備えることを特徴としている。
【0048】
上記構成によれば、上記絶縁層の溝を、最小加工寸法の幅を有するように形成することにより、上記サイドウォール状の導電性層は、最小加工寸法よりも小さい寸法に形成できるから、半導体装置の微細化を行って集積度を高めることができる。上記サイドウォール状の導電性層は、例えば、上記溝内に導電体を埋め込み、この埋め込まれた導電体をエッチバックすることにより、最小加工寸法よりも小さい寸法に形成できる。
【0049】
なお、上記絶縁層の溝内には、互いに対向する2つの側面のうちの一方に接するようにサイドウォール状の導電性層を形成してもよい。あるいは、互いに対向する2つの側面の両方に接するようにサイドウォール状の導電性層を形成してもよい。
【0050】
また、上記導電性微粒子を、上記溝を介した例えばイオン注入等により、少ないコンタミネーションで形成することができる。
【0051】
本発明のセルアレイは、
基板と、
上記基板上に形成された第1絶縁膜と、
上記第1絶縁膜上に形成された絶縁層と、
上記絶縁層に、上記第1絶縁膜の表面に達する深さを有するように形成され、列方向に延びると共に行方向に並んだ複数の溝と、
上記絶縁層の複数の溝内に各々形成され、上記溝の側面と上記第1絶縁膜の表面とに接するサイドウォール状の導電性層と、
上記絶縁層の複数の溝内に各々形成され、上記サイドウォール状の導電性層に対して絶縁された複数のゲート電極と、
上記第1絶縁膜中に、上記ゲート電極の下方に形成された導電性微粒子と、
行方向に隣り合う上記ゲート電極に接続されていると共に、列方向に並んだ複数のワード線とを備え、
上記サイドウォール状の導電性層と、上記ゲート電極と、上記導電性微粒子とを含むセルが行列方向に配列され、
上記複数のサイドウォール状の導電性層のうちの1つと、上記複数のワード線のうちの1つとを選択することにより、所定の上記セルを選択するように構成されていることを特徴としている。
【0052】
上記構成によれば、所定の上記導電性層に所定電圧が印加されることにより、この導電性層が選択され、かつ、所定の上記ワード線に所定電圧が印加されることにより、このワード線が選択される。この選択されたワード線を介して、このワード線に接続されたゲート電極に所定電圧が印加されることにより、上記選択された所定の導電性層と、上記ゲート電極の下方に位置する導電性微粒子との間に電流が流れる。この電流の変化を検出することにより、上記導電性微粒子に蓄積された電荷の量が検出され、この蓄積された電荷の量で表される記憶状態が読み出される。このセルアレイは、上記絶縁層の溝内に位置するサイドウォール状の導電性層を、最小加工寸法よりも小さい幅に形成できるので、上記サイドウォール状の導電性層と、上記ゲート電極と、上記導電性微粒子とを含むセルを高い集積度で形成して、小型かつ低消費電力のメモリセルを構成できる。
【0053】
なお、上記サイドウォール状の導電性層は、上記溝の1つの側面に形成してもよいが、上記溝の互いに対向する2つの側面に形成することにより、1つの側面に導電性層を形成した場合の約2倍に集積度を向上することができる。
【0054】
本発明のセルアレイの製造方法は、
基板上に第1絶縁膜を形成する工程と、
上記第1絶縁膜上に絶縁層を形成する工程と、
上記絶縁層に、上記第1絶縁膜の表面に達する深さを有し、列方向に延びると共に行方向に並ぶ複数の溝を形成する工程と、
上記絶縁層の複数の溝内に、この溝の側面と上記第1絶縁膜の表面とに接するサイドウォール状の導電性層を各々形成する工程と、
上記サイドウォール状の導電性層の表面に、第2絶縁膜を形成する工程と、
上記絶縁層、第1絶縁膜及び第2絶縁膜上に、層間絶縁膜を形成する工程と、
上記層間絶縁膜に、上記絶縁層の溝内の第1絶縁膜と第2絶縁膜に達するコンタクトホールを形成する工程と、
上記コンタクトホールを介して、上記第1絶縁膜中に導電性微粒子を形成する工程と
を備えることを特徴としている。
【0055】
上記構成によれば、上記絶縁層の溝を最小加工寸法の幅に形成することにより、この溝内に、最小加工寸法よりも小さい幅の導電性層を形成できる。したがって、高い集積度でセルが集積されたセルアレイを製造できる。特に、上記溝の互いに対向する2つの側面に夫々導電性層を形成することにより、高集積度のセルアレイを製造できる。
【0056】
また、上記セルアレイの製造方法における工程は、CMOSの製造工程と同じ工程を用いることができるから、既存の製造設備を用いて安価にセルアレイを製造できる。また、共通の工程によってセルとCOMSとを製造できるから、セルとCMOSが混載されたセルアレイを容易に製造できる。
【0057】
また、上記層間絶縁膜のコンタクトホールを介して、上記第1絶縁膜中に、例えば注入等によって導電性微粒子を形成できる。したがって、セルアレイの製造工程のうち、コンタミネーションの虞が高い工程を少なくできる。その結果、コンタミネーションによる悪影響を受け易いCMOSを、上記セルが形成される基板と同一の基板上に形成できて、CMOSとセルとの混載を行うことができる。
【0058】
なお、本発明の半導体装置、半導体装置の製造方法、セルアレイ及びセルアレイの製造方法において、上記導電性微粒子は、Si(シリコン)、Cu(銅)、Fe(鉄)、Ag(銀)、Au(金)、Sn(スズ)、Pt(白金)、In(インジウム)、Sb(アンチモン)及びGa(ガリウム)からなる群から選択された少なくとも1つの金属元素で形成されるのが好ましい。これらの元素の導電体は、イオン注入によって上記第1絶縁膜に導入することができるので、比較的容易に導電性微粒子を形成できる。
【0059】
特に、上記導電性微粒子は、Agで形成するのが好ましく、注入エネルギーが約20keV以下に設定されたイオン注入で、Agを第1絶縁膜中に注入することにより、上記1絶縁膜中に適切に導電性微粒子を形成できる。注入エネルギーが20keVを越えると、Agが上記1絶縁膜を通過してしまう等の不都合が生じてしまうからである。
【0060】
また、上記導電性微粒子を形成するための導電体は、1×1013cm−2以上のドーズで導入するのが好ましい。
【0061】
また、上記導電性微粒子は、適切にクーロンブロッケード効果を得るために、1nm以上20nm以下の直径を有するのが好ましい。
【発明の効果】
【0062】
以上のように、本発明の半導体装置は、第1絶縁膜と第2絶縁膜とで挟まれた部分の先端が鋭角断面を有するように形成された第1導電性層と、この第1絶縁膜中に形成され、かつ、上記第1導電性層の上記先端の近傍に形成された導電性微粒子とを備えるので、上記第1導電性層と、上記第1絶縁膜中の導電性微粒子との間で、電荷の出し入れを効率良く行うことができる。したがって、例えば、上記第1導電性層をソース/ドレインとして用いることにより、良好なスイッチ機能を有するスイッチング素子を構成することができる。また、この半導体装置をメモリ素子に用いた場合、良好な電荷の保持特性が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0063】
以下、本発明を図示の実施の形態により詳細に説明する。
【0064】
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態の半導体装置としてのスイッチング素子を示す模式断面図である。
【0065】
このスイッチング素子は、基板としてのシリコン基板101と、このシリコン基板101上に形成されてシリコン酸化膜からなる第1絶縁膜としてのゲート絶縁膜102とを備える。上記ゲート絶縁膜102上には、ポリシリコンで形成された第1導電性層としての第1電極103と、ポリシリコンで形成された第3導電性層としての第2電極104とを備える。上記第1電極103と第2電極104との間には、シリコン酸化膜からなる第2絶縁膜105が形成されている。上記ゲート絶縁膜102中には、導電性微粒子としての金属微粒子106が形成されている。
【0066】
上記第1電極103と第2電極104とを隔てる第2絶縁膜105は、上記ゲート絶縁膜102の表面に対して傾斜している。これにより、上記第1電極103は、上記ゲート絶縁膜102の表面と第2絶縁膜105の表面との間の部分が鋭角断面を有している。また、上記第2電極4は、上記ゲート絶縁膜102の表面と第2絶縁膜105の表面との間の部分が鈍角断面を有している。
【0067】
上記第1電極103と第2電極104は、上記第2絶縁膜105によって電気的に絶縁されている。
【0068】
上記ゲート絶縁膜102中には、20nm以下の直径を有する導電性微粒子としての金属微粒子106が形成されており、この金属微粒子106は略同一平面上に並んでいる。この金属微粒子106が並ぶ平面は、上記第1電極103と第2絶縁膜105との境界が含まれる平面に対して、平行かつ近接に位置している。別の見方によれば、上記金属微粒子106は、上記第1電極103と第2絶縁膜105との境界をゲート絶縁膜102中に延長してなる平面に接するように、上記ゲート絶縁膜102中に配列されている。
【0069】
なお、図示しないが、上記シリコン基板101、第1電極103及び第2電極104は、金属配線に接続されている。
【0070】
上記構成のスイッチング素子は、第1電極3がソースとして働き、第2電極4がゲートとして働き、また、シリコン基板101のゲート絶縁膜102に接する部分の近傍部分がドレインとして機能する。つまり、上記シリコン基板101の部分は、本発明の第2導電性層として機能する。そして、上記第2電極104とシリコン基板101との間の電圧を制御することにより、上記第1電極103からシリコン基板101への電流を制御して、スイッチング動作を行う。
【0071】
ここで、上記第1電極103とシリコン基板101とに電圧を印加すると、第1電極103の先端に、つまり、第1電極103のゲート絶縁膜102と第2絶縁膜105との間に位置する鋭角断面部分の先端に、電界集中が生じる。ここで、上記第1電極103の側面の延長上に金属微粒子106が位置していると共に、この金属粒子106は直径が20nm以下と十分に小さい。したがって、上記第1電極103の先端と金属粒子106との間や、複数の金属粒子106の間に形成されているゲート絶縁膜102の部分による微細なキャパシタンスに、トンネル電流が通過する。このときにトンネルすべき微細なキャパシタンスの個数は、ゲート絶縁膜102の膜厚と、金属粒子106の粒径及び配置間隔とを定めることによって決定することができる。上記金属粒子106の粒径及び配置間隔は、上記ゲート絶縁膜102への金属元素の注入条件で決定される。例えば、5nmの金属粒子106を5nm間隔で配置した場合、ゲート絶縁膜102の膜厚を40nm程度にすれば、上記金属粒子106は約4個並ぶことになる。このように、本実施形態によれば、ソースとドレインの間に配置できる金属微粒子106の個数が、微細加工の最小加工寸法の制約を受けない。したがって、従来のようにゲート長が微細加工の最小加工寸法に制限されてスイッチング動作が困難になることが無くて、確実にスイッチ動作が可能な単一電子のスイッチング素子が得られる。また、従来よりもデバイスの設計の自由度を上げることができる。
【0072】
なお、ソースとドレインの間に配置する金属微粒子106の個数の設定には、第1電極103の側面の傾斜角度を考慮する必要があるが、膜厚の設定によって金属微粒子106の個数を設定できることに変わりはない。
【0073】
なお、金属粒子106は、上記第2絶縁膜105中に位置してもよい。上記第2絶縁膜105中に金属粒子106が位置する場合、上記第1電極103の先端よりもシリコン基板101から遠い側に位置する金属粒子106は、トンネル電流に関与しないからである。また、上記第2絶縁膜105中に位置する金属粒子106が第1電極103に接する場合は、この第1電極103に接する金属粒子106は互いに同電位になるので、スイッチ特性に関与しないからである。
【0074】
本実施形態のスイッチング素子では、ゲートとして働く第2電極104と金属粒子106との間の距離が非常に小さいため、金属微粒子106は、第2電極104に印加された電圧によって生ずる電界の影響を受けやすい。ここで、ソースとしての第1電極103からドレインとしてのシリコン基板101に電流が流れる際、複数の金属微粒子106間をトンネル効果によって電流が流れる。このような金属微粒子106に関して、ゲートとしての第2電極104の形状を調節することにより、各金属微粒子106が受ける電界を調節することができる。例えば、第2電極104の一部を鋭角断面にすることで電界集中を生成して、この鋭角断面部分の近傍に位置する金属微粒子106にかかる実効電界を高めることができる。このことを利用して、スイッチング素子のオンオフ比をあげることが可能である。また、このことを利用して、金属微粒子106に電荷を蓄えて、メモリ機能を与えることも可能である。
【0075】
本実施形態のスイッチング素子は、金属微粒子106を単体の金属で形成する必要はなく、例えば、金属結晶が金属酸化膜によって覆われた構造であってもよい。また、複数の元素を用いて金属微粒子や金属結晶を構成してもよい。また、導電性微粒子としての金属微粒子106の直径は、1nm以上20nm以下の範囲で適宜設定することができる。
【0076】
次に、本実施形態のスイッチング素子の製造方法の一例を説明する。
【0077】
まず、シリコン基板101の表面を酸化してシリコン酸化膜を形成して、ゲート絶縁膜102を作成する。このゲート絶縁膜102の表面にポリシリコン膜を堆積し、その後、微細加工により第1電極103を形成する。詳しくは、第1電極103の表面をゲート絶縁膜102に対して鋭角に傾斜させるため、ポリシリコン膜に例えばドライエッチングを施す際の反応種や雰囲気等の条件を、テーパ形状にエッチングする条件にする。その後、シリコン酸化膜を堆積して第2絶縁膜105を形成する。あるいは、上記ポリシリコンからなる第1電極103の表面部分を酸化して第2絶縁膜105を形成してもよい。次に、ゲート絶縁膜102中に金属微粒子106を形成する。詳しくは、注入によってゲート絶縁膜102中に金属を打ち込んだ後、熱処理によって金属を凝集させて、金属微粒子106を形成する。上記注入を行う際、注入エネルギーを調整して、注入された金属濃度が第1電極103と第2絶縁膜105との境界を含む平面において高濃度となるようにする。これにより、金属微粒子106が、上記第1電極103と第2絶縁膜105との境界を含む平面に近接して、上記ゲート絶縁膜102を斜めに横切るように形成される。この後、ゲート絶縁膜102及び第2絶縁膜105の表面にポリシリコンを堆積して、第2電極104を形成する。
【0078】
本実施形態のスイッチング素子の製造方法によれば、ゲート絶縁膜102中の金属微粒子106の数及び寸法を、金属元素の注入条件及びアニール条件で制御できるので、微細加工の最小加工寸法の制約を受けない。さらに、上記ゲート絶縁膜102の厚みによって、ゲート長が設定されるので、ゲート長が微細加工の最小加工寸法の制約を受けない。したがって、スイッチング素子の微細化を行うことができる。
【0079】
(第2実施形態)
図2は、本発明の第2実施形態の半導体装置としてのスイッチング素子を示す模式断面図である。
【0080】
第2実施形態のスイッチング素子は、第1実施形態のスイッチング素子に対して、第2導電性層が形成される位置と、第1絶縁膜中における導電性微粒子の配置形態が異なる。
【0081】
第2実施形態のスイッチング素子は、導電性基板201上に形成された第1絶縁膜としてのゲート絶縁膜202を備え、このゲート絶縁膜202上に、第1導電性層としての第1電極203と、第2導電性層としての第2電極207とを備える。上記第1電極203と第2電極207は、ゲート絶縁膜202に接する部分から上方に向かうにつれて、側面が互いに遠ざかるように形成されている。これにより、第1電極203と第2電極207は、ゲート絶縁膜202に接する部分が、鋭角断面を有する。上記第1電極203の表面と、ゲート絶縁膜202の表面と、第2電極207の表面との表面に、第2絶縁膜205が一体に形成されている。この第2絶縁膜205上に、第3導電性層としてのゲート電極204が形成されている。上記第1電極203と、第2電極207と、ゲート電極204は、上記第2絶縁膜205によって互いに絶縁されている。
【0082】
上記ゲート絶縁膜202中には、直径20nm以下の導電性微粒子206が、略同一平面上に並んで形成されている。この導電性微粒子206が並ぶ平面は、ゲート絶縁膜202の表面と略平行である。上記導電性微粒子206は、第1電極203と第2電極207が配置された幅方向において、上記第1電極203の鋭角部分の先端と、上記第2電極207の鋭角部分の先端との間に位置している。また、上記導電性微粒子206は、ゲート絶縁膜202の厚みの中心よりもゲート電極204に近い位置に形成されている。すなわち、上記導電性微粒子206は、ゲート絶縁膜202の表面から浅い位置に形成されている。ゲート電極204の下端部分は、第2絶縁膜205によって第1絶縁膜202から隔てられて、上記導電性微粒子206と略平行の下端面を有する。
【0083】
上記構成のスイッチング素子は、第1電極203がソースとして働き、第2電極207がドレインとして働く。第1電極203と第2電極207に電圧を印加すると共に、ゲート電極204に印加する電圧を制御することにより、ゲート絶縁膜202中の導電性微粒子206を流れるトンネル電流を制御して、上記第1電極203と第2電極207の間に流れる電流を制御する。
【0084】
本実施形態のスイッチング素子の製造方法は、第1実施形態のスイッチング素子の製造方法に対して、導電性微粒子の形成位置が異なる点が大きな相違点である。本実施形態では、第1絶縁膜202中のゲート電極204に近い位置に導電性微粒子206を形成して、基板101に近い位置には導電性微粒子を形成しない。したがって、導電性微粒子206を例えば注入法で形成する場合、第1実施形態よりも低い注入エネルギーでゲート絶縁膜202に金属を注入して、このゲート絶縁膜202を貫通する粒子を少なく抑えることが必要となる。なお、ゲート絶縁膜202中の導電性微粒子206は、CVD(化学気相成長)法やスパッタ等の方法で形成してもよい。
【0085】
本実施形態において、ゲート電極204に電圧を印加したが、この電圧を導電性基板201に印加することにより、第1電極203から第2電極207に流れる電流を制御してもよい。この場合、ゲート電極204を形成しないで、第1電極203と第2電極207との間を絶縁膜で埋め込んでもよく、スイッチング素子の構造を単純にできる。
【0086】
(第3実施形態)
図3は、本発明の第3実施形態の半導体装置としてのスイッチング素子を示す模式断面図である。
【0087】
このスイッチング素子は、シリコン基板301と、このシリコン基板301上に形成されたゲート絶縁膜302と、このゲート絶縁膜302上に形成された分離絶縁膜309とを備える。この分離絶縁膜309にはゲート絶縁膜302の表面に達する溝が形成されており、この溝内に、第1電極303と第2電極307が形成されている。上記第1電極303と第2電極307は、上記溝の互いに対向する側面にサイドウォール状に形成されている。上記第1電極303と第2電極307の表面には、上記ゲート絶縁膜302の表面から分離絶縁膜309の溝の開口に亘って、絶縁膜306と絶縁膜308が夫々形成されている。この絶縁膜306,308の間を埋め込むようにゲート電極304が形成されている。上記ゲート絶縁膜302中には、このゲート絶縁膜302の厚み方向の中心よりも表面側に、このゲート絶縁膜302の表面と略平行に、導電性微粒子316が形成されている。この導電性微粒子316は、スイッチング素子の幅方向において、上記絶縁膜306の表面の下端と、上記絶縁膜308の表面の下端との間に亘って形成されている。図3において、導電性微粒子316は互いに接触しているが、実際には互いに分離して形成されている。
【0088】
本実施形態のスイッチング素子は、第1電極303及び第2電極307に電圧を印加した状態で、ゲート電極304に印加する電圧によって、第1電極303から第2電極307に流れる電流を制御することもできる。具体的には、図示しない金属配線を介して、第1電極(ソース電極)303と第2電極(ドレイン電極)307に5Vの電圧をかける。さらに、ゲート電極304に、0Vから5Vまでの電圧を0.1V刻みで徐々に増加させて印加すると、ソース・ドレイン間に流れる電流は、階段状に増加する。このように、ゲートにかける電圧をコントロールすることにより、スイッチング素子として機能させることができる。
【0089】
ゲート電極304への印加電圧によってソース・ドレイン間の電流を制御する場合、ゲート電極304の下端の幅であるゲート長L0は、フォトリソグラフィの最小加工寸法Lで形成された溝幅よりも小さくなる。すなわち、最小加工寸法Lよりも小さいゲート長L0を有する微細なデバイスが実現できるのである。なお、最小加工寸法Lとは、リソグラフィ装置の制約などで決まるパターニングを行なう際の最小線幅のことである。上記ゲート長L0は、分離絶縁膜309の成膜時の膜厚、及び、電極303,307を形成する際のポリシリコンのエッチバック量によってコントロール可能な値であり、安定して得ることができるから、安定して所定の特性のデバイスを製造することが可能である。
【0090】
また、上記第1電極303と第2電極307は、サイドウォール状に形成されているので、この第1電極303と第2電極307がゲート絶縁膜302に接する下端部において、この第1電極303と第2電極307が互いに向き合う側の端部を、直角よりも小さい鋭角の断面に形成できる。これにより、上記第1電極303と第2電極307と、上記ゲート電極302中の導電性微粒子316との間で、電荷の出し入れの効率を向上することができる。
【0091】
また、図示しないが、シリコン基板301のゲート電極302に隣接する部分に活性化層を作成し、この活性化層をゲート電極として機能させることもでき、この場合、ゲート絶縁膜302上のゲート電極304を省略することができる。
【0092】
本実施形態のスイッチング素子は、以下のようにして製造する。
【0093】
図4A乃至4Dは、本実施形態のスイッチング素子の製造工程を示す模式断面図である。
【0094】
まず、必要に応じて図示しない活性化領域や素子分離が形成されたシリコン基板上301の表面に、ゲート絶縁膜302を形成する。この絶縁膜302は、例えば、シリコン基板301の表面部分を熱酸化して作成する。この絶縁膜302は、図示しないが、上記シリコン基板301に混載する通常のCMOSを形成する際の絶縁膜と兼用することも可能である。上記シリコン基板301の表面部分を熱酸化して得たゲート絶縁膜302は、清浄でリークの少ない特性を有するので、デバイスが安定するメリットがある。
【0095】
次に、上記ゲート絶縁膜302上に、CVD法等により、300nm程度の厚みの分離絶縁膜309を形成する。続いて、マスクを用いて、フォトリソグラフィとドライエッチングを用いてパターニングを行い、図4Aに示すように分離絶縁膜309に溝を形成する。
【0096】
続いて、分離絶縁膜309とこの分離絶縁膜309の溝内に露出したゲート絶縁膜302上に、CVD法等でポリシリコンを100nm程度の厚みに堆積する。この後、塩素ガス等を用いてドライエッチングを行って、ポリシリコンのエッチバックを行なう。その結果、図4Bに示すように、上記分離絶縁膜309の溝の互いに対向する側面に、サイドウォール状のポリシリコンの電極303,307が形成される。なお、ポリシリコンに替えてチタンを用いて電極303,307を形成してもよい。要は、導電性を有してエッチバックによってサイドウォール状に形成できるものであればよい。
【0097】
その後、図4Cに示すように、熱酸化によってポリシリコンの電極303,307の表面部分に絶縁膜306,308を形成する。必要であれば、この熱酸化工程によって再度ゲート酸化を行う。ゲート酸化を行なわない場合や、絶縁膜306および絶縁膜308の膜厚が不足した場合は、CVD等で絶縁膜を堆積する。
【0098】
この後、ゲート絶縁膜302中に導電性微粒子316を形成する。すなわち、図4Dに示すように、注入機を用いて1×1015cm−2程度の濃度でゲート絶縁膜302にAg(銀)イオンの注入を行なう。なお、401は、分離絶縁膜309への導電性微粒子の形成を防止するためのレジストマスクである。なお、上記注入のエネルギーを30keV程度にすると、第1実施形態のようにゲート絶縁膜の裏面から表面に亘って導電性微粒子が形成され、10keV程度にすると、第2実施形態のようにゲート絶縁膜の表面近傍に導電性微粒子が形成される。イオン注入を行なった後、結晶回復のためのアニールを窒素雰囲気中で行なう。
【0099】
なお、CVD法を用いて導電性微粒子を形成する場合は、CVD法やスパッタ法等によって、微粒子となる条件でシリコンやその他の金属の堆積を行なった後、この導電性微粒子上にCVD法などで酸化膜を堆積する。
【0100】
導電性微粒子316を形成した後、通常のコンタクト形成工程やメタル工程を行って、電極303,307に図示しない配線を接続する。
【0101】
なお、基板をドレイン電極として用いて、複数のセルでセルアレイを形成する場合は、基板の所定部分に、図示しない活性領域を設けると共に素子分離が必要になる。
【0102】
また、同一の基板301上にCMOS回路を作成する場合は、微粒子を注入する前に、基板301上にCMOS領域を設け、公知のCMOS工程でメタル配線前の工程までを行っておく。これにより、本実施形態のスイッチング素子とCMOSとを容易に混載できる。
【0103】
また、イオン注入により導入される金属の元素はAgに限定されるものではなく、Cu,Fe,Sn,Au,Pt,In及びGa等の他の金属や、半導体を用いることも可能である。
【0104】
また、本実施形態において、絶縁膜は、シリコン酸化膜に替えて、シリコン窒化膜や樹脂膜等の他の材料を用いたものでもよい。
【0105】
本実施形態の半導体装置は、記憶素子として使用することも可能である。すなわち、導電性微粒子316は電荷の蓄積が可能であり、上記導電性微粒子316に電荷が蓄積されたときと蓄積されていないときとの間で、ゲート電極304に電圧を印加した場合の第1電極(ソース電極)303と第2電極(ドレイン電極)307との間を流れる電流が異なる。この電流の違いに基づいて、上記導電性微粒子316への電荷の蓄積状態に対応する記憶状態を判断することにより、記憶素子として機能することが可能になる。
【0106】
本実施形態の半導体装置を、単一電子トンネルダイオードや、単一電子トランジスタや、記憶素子として用いて、様々な論理回路やメモリ回路を構成することにより、低消費電力で小型のデバイスを作成することができる。
【0107】
なお、本実施形態のスイッチング素子は、ゲート電極304に印加する電圧によって第1電極303と第2電極307との間の電流を制御するものであるが、ゲート電極304に印加する電圧によって、第1電極303から基板301に流れる電流と、第2電極307から基板301に流れる電流とを制御してもよい。この場合、導電性微粒子は、ゲート絶縁膜302の表面に対して平行ではなくて、サイドウォール状の第1電極303及び第2電極307の下端部近傍における表面から、この表面を延長した平面近傍に並ぶように配列する。これにより、上記第1電極303及び第2電極307と、基板301との間に、ゲート電極304への印加電圧に基づいた値の電流を流すことができる。この場合、半導体装置の製造工程において、導電性微粒子の材料を、30keV程度の注入のエネルギーでゲート絶縁膜302に注入して、第1実施形態と同様にゲート絶縁膜302の裏面から表面に亘って導電性微粒子を形成する。このように、第1電極303及び基板301の各々から、基板301に流れる電流をゲート電極304で制御するように形成することにより、分離絶縁膜309に最小加工寸法Lの幅で形成された溝内に、2つのスイッチング素子を形成することができるので、溝内に1つのスイッチング素子を形成する場合と比較して、集積度を約2倍に高めることができる。
【0108】
(第4実施形態)
図5は、第4実施形態の半導体装置としてのスイッチング素子を示す模式断面図である。
【0109】
本実施形態では、図3に示した第3実施形態のスイッチング素子と比較して、基板501表面のゲート絶縁膜502上に、更に、絶縁膜511が形成されている点が異なる。この絶縁膜511上に第1電極503及び第2電極507が形成されており、この第1電極503及び第2電極507が形成される部分の絶縁膜511の表面が、幅方向の外側ほど高い傾斜面に形成されている。これにより、第1電極503及び第2電極507の下端面が、互いに遠ざかるにつれて高くなる傾斜面に形成されている。すなわち、第1電極503及び第2電極507の互いに対向する側の下端の先端部分が、鋭角の角度θに形成されている。これにより、この第1電極503及び第2電極507の先端部分に電界集中が起こりやすくなる。したがって、ゲート絶縁膜502中に幅方向において第1電極503と第2電極507との間に形成された導電性微粒子516に対して、第3実施形態よりも高い効率で電荷の出し入れを行うことができる。その結果、本実施形態のスイッチング素子は、さらに低い電圧でのスイッチ動作が可能となる。
【0110】
第3実施形態において、ゲート絶縁膜が特に薄い場合等に、導電体微粒子の形成前にゲート絶縁膜の再酸化を行なう必要があったが、本実施形態では、ゲート絶縁膜502の再酸化を行う必要が無い。その理由は、絶縁膜511によってゲート絶縁膜502を保護できるからである。具体的には、絶縁膜511をシリコンナイトライドで成膜し、分離絶縁膜509の溝形成のためのパターニングの際に、エッチストッパーとして用いる。この後、ウエットエッチやリモートプラズマ等により、ゲート絶縁膜502に対してダメージの少ない方法によって、絶縁膜511の一部を除去して傾斜面を形成する。この傾斜面上に、第1電極503及び第2電極507を形成する。そして、第1電極503及び第2電極507の表面部分に絶縁膜506,508を形成し、この第1電極503及び第2電極507の表面の絶縁膜506,508の間に、ゲート電極504を形成する。
【0111】
なお、上記ゲート電極504に替えて、基板501のゲート絶縁膜502に接する近傍部分に活性層を形成し、この活性層に電圧を印加して、この活性層の電圧によって第1電極503と第2電極507との間を流れる電流を制御してもよい。この場合は、第1電極503及び第2電極507の表面の絶縁膜506,508は不要であり、第1電極503及び第2電極507の間に絶縁体を埋め込めばよい。
【0112】
なお、本実施形態のスイッチング素子は、ゲート電極504に印加する電圧によって第1電極503と第2電極507との間の電流を制御するものであるが、ゲート電極504に印加する電圧によって、第1電極503から基板501に流れる電流と、第2電極507から基板501に流れる電流とを制御してもよい。この場合、導電性微粒子は、ゲート絶縁膜502の表面に対して平行ではなくて、サイドウォール状の第1電極503及び第2電極507の下端部近傍における表面から、この表面を延長した平面近傍に並ぶように配列する。これにより、上記第1電極503及び第2電極507と、基板501との間に、ゲート電極504への印加電圧に基づいた値の電流を流すことができる。この場合、分離絶縁膜309に最小加工寸法Lの幅で形成された溝内に、2つのスイッチング素子を形成することができるので、溝内に1つのスイッチング素子を形成した場合と比べて集積度を約2倍に高めることができる。
【0113】
(第5実施形態)
図6は、本発明の半導体装置としてのメモリセルを配列して形成したセルアレイを示す模式平面図である。図6では、簡単のため、金属配線は線で示している。
【0114】
本実施形態のセルアレイは、基板上に、素子分離によって電気的に分離されて列方向に延在する活性化領域A1〜A4が形成されている。G1〜G5は、ゲート電極に接続されて行方向に延在するワード線である。701は、ゲート絶縁膜上の分離絶縁膜に形成された溝である。この701溝の互いに対向する2つの内側面に、第1ポリシリコン膜705と第2ポリシリコン膜706がサイドウォール状に形成されている。上記第1ポリシリコン膜705及び第2ポリシリコン膜706は、図6に示すように、溝701の長手方向(セルアレイの列方向)に連なって形成されている。サイドウォール状の第1ポリシリコン膜705及び第2ポリシリコン膜706の端部は、溝701の両端部707,708においてエッチングで除去されており、互いに電気的に絶縁されている。さらに、第1ポリシリコン膜705及び第2ポリシリコン膜706は、コンタクトプラグ709,710によって配線S1,S2に接続されている。また、上記溝701とワード線G1〜G7とが互いに交差する部分において、コンタクトプラグC1〜C7が形成されている。このコンタクトプラグC1〜C7の下端部分は、第1ポリシリコン膜705及び第2ポリシリコン膜706の間に位置しており、ゲート電極として機能する。上記コンタクトプラグC1〜C7の下方には、ゲート絶縁膜中に、導電性微粒子が形成されている。さらに、活性化領域A1〜A4に関しても、図示しないコンタクトプラグによって配線に接続されている。これにより、各活性化領域A1〜A4に対して、コンタクトプラグを介して独立に電圧を印加することが可能になっている。
【0115】
上記構成のセルアレイにおいて、各セルに第1実施形態の半導体装置を形成する場合、第1ポリシリコン膜705及び第2ポリシリコン膜706の各々が、第1実施形態の第1電極103に相当する。また、コンタクトプラグC1〜C7の下端部が、第1実施形態の第2電極104に相当する。そして、ゲート絶縁膜中の各コンタクトプラグC1〜C7の下方に形成された導電性微粒子は、図示しないが、上記第1ポリシリコン膜705及び第2ポリシリコン膜706の側面を延長した平面上に配列されている。
【0116】
第1実施形態の半導体装置をメモリセルとして備えるセルアレイは、以下のように動作する。すなわち、複数の活性化領域A1〜A4のうちの1つと、2つの配線S1,S2のうちの1つに対して電圧を印加する。このとき、複数のワード線G1〜G5のうちの1つに対して電圧を印加することにより、このワード線G1〜G5に接続された所定のセルのゲート電極(第2電極104)に対して電圧を印加する。このとき、導電性微粒子に蓄積された電子の多寡により、選択された活性化領域A1〜A4と、選択された配線S1,S2との間を流れる電流に変化が起こる。この電流の変化を、センスアンプを介して検出することにより、上記導電性微粒子における電子の蓄積状態が判断されて、この蓄積状態に対応する記憶状態が判断される。上記センスアンプはCMOS回路で形成され、本実施形態の半導体装置はCMOS回路との混載が容易であるため、センスアンプをメモリセルと同一の基板上に作成することが可能である。
【0117】
本実施形態のセルアレイは高集積化が可能であり、メモリを低コストで製造することが可能になる。また、必要とされるメモリ容量等によっては、1列の溝701について、第1ポリシリコン膜705及び第2ポリシリコン膜706のうちのいずれか一方のみを形成すれば十分な場合もあり、さらなる高集積化と製造の簡易化を図ることができる。この場合は、溝内701に形成したポリシリコンをエッチングによって分離する工程は不要となる。この場合、コンタクトプラグC1を形成するためのコンタクトホールの位置を適切に設定し、このコンタクトホール内において、ポリシリコンを適切に成形してゲート絶縁膜に接する部分の先端を鋭角断面にして第1電極を形成すればよい。そして、コンタクトホールを介して金属の注入とアニールを行うことにより、メモリセルを形成すべき位置のみに導電性微粒子を形成する。これにより、不要な位置に導電性微粒子が形成されることを防止でき、また、セルアレイの製造工程を簡略化できる。
【0118】
また、上記メモリセルには、各セルに第2実施形態の半導体装置を用いることもできる。この場合、第1ポリシリコン膜705及び第2ポリシリコン膜706の各々が、第2実施形態の第1電極及び第2電極に相当する。また、コンタクトプラグC1〜C7の下端部が、第2実施形態のゲート電極204に相当する。第2実施形態の半導体装置を各セルに形成した場合、素子分離と活性化層の形成は省略可能である。また、この場合、導電性微粒子は、ゲート絶縁膜中に、ゲート絶縁膜の表面に対して平行に配列する。
【0119】
本実施形態のメモリセルは、CMOS回路等を作成する通常の半導体プロセスと同様のプロセスで作製でき、コンタミネーションが生じる虞が少ない。したがって、メモリセルとCMOS回路との混載を容易に行うことができる。図9に示した従来のスイッチング素子をメモリセルに用いた場合、微粒子形成工程においてコンタミネーションが生じ易いので、メモリセルの形成プロセスとCMOS回路の形成プロセスとを同時に行うことはできない。
【0120】
このように、本実施形態によれば、高集積のメモリセルを製造でき、しかも、メモリセルとCMOS回路を容易に混載することができる。
【0121】
(第6実施形態)
本実施形態では、本発明の半導体装置を配列してなるセルアレイを、CMOSデバイスと共に作製するセルアレイの製造方法について説明する。
【0122】
図7A乃至7Fは、本実施形態のセルアレイの製造方法における工程を模式的に示したものであり、図7A乃至7Fにおいて、左側部分がメモリ形成領域であり、右側部分がCMOSデバイス形成領域である。
【0123】
本実施形態の製造方法は、本発明の半導体装置と、従来と同様の構造を有するCOMSデバイスとを、同一ウエハ上に作製する。
【0124】
本実施形態では、第4実施形態のスイッチング素子をメモリとして用いるが、他の実施形態のスイッチング素子をメモリとして用いてもよい。
【0125】
まず、図7Aに示すように、シリコン基板800上に、シャロートレンチ等の素子分離801によって活性化領域802を形成する。さらに、このシリコン基板800上に、熱酸化によってゲート酸化膜803を形成する。さらに、CVD法によってシリコン窒化膜804を形成し、その上に、HTO(高温熱CVD酸化膜)等の酸化膜805を形成する。各層の膜厚は、例えば、ゲート酸化膜803を5nmに、シリコン窒化膜804を120nmに、酸化膜805を250nmにする。
【0126】
次に、上記酸化膜805について、フォトリソグラフィを用いたレジストのパターニングを行ない、ドライエッチング等によって溝を形成する。その際、CMOSデバイスの作成領域では、酸化膜805が全てエッチバックされる。ここでシリコン窒化膜804はエッチストッパーの役割を果たす。
【0127】
その後、等方エッチングを用いて、表面に露出しているシリコン窒化膜4を取り除く。
【0128】
続いて、ポリシリコンを250nmの厚みに堆積し、CMOS領域にレジストマスクを形成して、ドライエッチングを行う。これにより、メモリ領域では、酸化膜805の溝内にポリシリコンのサイドウォール807が形成される一方、CMOS領域にはポリシリコンが残る。この後、レジスト膜を形成し、フォトリソグラフィによるパターニングを行ってレジストパターン808を形成する。
【0129】
そして、CMOS領域では、ゲートエッチングを行うと共に、メモリ領域では、ポリシリコンサイドウォール807の長手方向の端部においてポリシリコンの一部を除去するためのエッチングを行う。これにより、図7Bのように、CMOS領域にゲート809が形成されると共に、メモリ領域では、酸化膜805の溝の両側面に形成された2つのポリシリコンサイドウォール807を互いに電気的に絶縁する。図7Cは、図7Bの工程を示す平面図である。
【0130】
次に、CVD法で酸化膜とシリコン窒化膜を堆積する。膜厚は例えばそれぞれ50nmと70nm程度にする。そして、この膜をドライエッチングによってエッチバックする。これにより、CMOS領域では、ゲートの両側面に絶縁体サイドウォール902を形成すると共に、メモリ領域では、ポリシリコンサイドウォール807の表面の絶縁膜901を形成する(図7D参照)。この絶縁膜901は、後のコンタクトエッチの際のエッチストッパーとなる。
【0131】
その後、層間絶縁膜904を堆積し、この層間絶縁膜904にコンタクトホールを形成する。コンタクトホールは、C48等のガスを用いてドライエッチングで行なう。まず、CMOS領域のゲート809に達するコンタクトホールを形成し、このコンタクトホール内に金属を埋め込んで、コンタクトプラグ905を形成する。続いて、メモリセル領域に、別マスクを用いて、ポリシリコンサイドウォール807の表面の絶縁膜901に達するコンタクトホール907を形成する(図7E参照)。このコンタクトホール907は、上記絶縁膜901(シリコン窒化膜)と選択比の大きい条件のエッチングで形成する。続いて、このコンタクトホール907を介して、イオン注入を行い、アニールを行うことにより、ゲート酸化膜803に導電性微粒子を形成する。その後、コンタクトホール907内に金属を埋め込んでコンタクトプラグ908を形成する。このコンタクトプラグ908は、下端部がゲート電極となる。
【0132】
続いて、図7Fに示すようにメタル配線910を形成して、混載のセルアレイが完成する。
【0133】
本実施形態の製造方法によれば、本発明の半導体装置を、CMOSを製造する通常のプロセスに対してマスクを数枚追加するだけで製造できる。このことは、メモリセルアレイを、周辺回路と混載して低コストで製造できることを意味している。
【0134】
また、コンタミネーションについても、イオン注入工程以降の工程のみについて汚染対策を行えばよいため、従来例のメモリセルの製造方法と比較して、製造方法を簡易にできて製造コストを低く抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0135】
【図1】本発明の第1実施形態の半導体装置としてのスイッチング素子を示す模式断面図である。
【図2】本発明の第2実施形態の半導体装置としてのスイッチング素子を示す模式断面図である。
【図3】本発明の第3実施形態の半導体装置としてのスイッチング素子を示す模式断面図である。
【図4A】第3実施形態のスイッチング素子の製造工程を示す模式断面図である。
【図4B】図4Aに続く工程を示す模式断面図である。
【図4C】図4Bに続く工程を示す模式断面図である。
【図4D】図4Cに続く工程を示す模式断面図である。
【図5】第4実施形態のスイッチング素子を示す模式断面図である。
【図6】第5実施形態のセルアレイを示す模式平面図である。
【図7A】セルアレイの製造工程を模式的に示した断面図である。
【図7B】図7Aに続く工程を示す模式断面図である。
【図7C】図7Bに続く工程を示す模式断面図である。
【図7D】図7Cに続く工程を示す模式断面図である。
【図7E】図7Dに続く工程を示す模式断面図である。
【図7F】図7Eに続く工程を示す模式断面図である。
【図8】従来のスイッチング素子を示す断面図である。
【図9】従来の他のスイッチング素子を示す断面図である。
【符号の説明】
【0136】
101 シリコン基板
102 第1絶縁膜
103 第1電極
104 第2電極
105 第2絶縁膜
106 金属微粒子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1絶縁膜と、
上記第1絶縁膜の表面の一部の上に形成された第2絶縁膜と、
上記第1絶縁膜の表面の他の一部の上に形成されていると共に、上記第1絶縁膜と第2絶縁膜とで挟まれた部分の先端が鋭角断面を有するように形成された第1導電性層と、
上記第1絶縁膜中に形成され、かつ、上記第1導電性層の上記先端の近傍に形成された導電性微粒子と
を備えることを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
請求項1に記載の半導体装置において、
上記第1絶縁膜に関して、上記第1導電性層が形成された側と反対側に形成された第2導電性層と、
上記第1絶縁膜の表面の他の一部の上に形成されていると共に、上記第2絶縁膜に関して、上記第1導電性層が形成された側と反対側に形成された第3導電性層と
を備えることを特徴とする半導体装置。
【請求項3】
請求項1に記載の半導体装置において、
上記第1絶縁膜の表面の他の一部の上に形成された第2導電性層と、
上記第1導電性層と第2導電性層との間に形成された第3導電性層とを備え、
上記第2絶縁膜は、上記第1導電性層と第3導電性層との間、上記第1絶縁膜の一部と第3導電性層との間、及び、上記第2導電性層と第3導電性層との間にわたって存在しており、
上記第2導電性層は、上記第1絶縁膜と第2絶縁膜とで挟まれた部分の先端が鋭角断面を有するように形成されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項4】
請求項2又は3に記載の半導体装置において、
上記第1導電性層と第2導電性層は、上記第1絶縁膜に接していることを特徴とする半導体装置。
【請求項5】
請求項2に記載の半導体装置において、
上記第1絶縁膜中に形成された導電性微粒子は、上記第1導電性層と上記第2絶縁膜との間の境界を含んで上記第1絶縁膜中に延長された平面の近傍に、配置されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項6】
請求項3に記載の半導体装置において、
上記第1絶縁膜中に形成された導電性微粒子は、上記第1絶縁膜の表面と略平行に配置されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項7】
請求項2又は3に記載の半導体装置において、
上記第1導電性層と第2導電性層との間に流れる電流が、上記第3導電性層に印加される電圧に対応して変化することを特徴とする半導体装置。
【請求項8】
請求項7に記載の半導体装置において、
上記第1導電性層と第2導電性層との間に流れる電流は、上記第1絶縁膜中の導電性微粒子を介して流れる電流であることを特徴とする半導体装置。
【請求項9】
請求項2又は3に記載の半導体装置において、
上記第1絶縁膜上に形成された絶縁層と、
上記絶縁層に形成され、上記第1絶縁膜の表面に達する深さを有する溝とを備え、
上記絶縁層の溝内に、上記第1導電性層がサイドウォール状に形成されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項10】
請求項9に記載の半導体装置において、
上記第1絶縁膜は、上記基板側から順に第1層と第2層とで形成され、
上記第1導電性層は、下端面の一方の端部が上記第1絶縁膜の第1層の表面に接する一方、下端面の他方の端部が上記第2絶縁膜の第2層の表面に接していることを特徴とする半導体装置。
【請求項11】
基板上に第1絶縁膜を形成する工程と、
上記第1絶縁膜上に絶縁層を形成する工程と、
上記絶縁層に、上記第1絶縁膜の表面に達する深さの溝を形成する工程と、
上記絶縁層の溝内に、この溝の側面と上記第1絶縁膜の表面とに接するサイドウォール状の導電性層を形成する工程と、
上記絶縁層の溝を介して、上記第1絶縁膜中に導電性微粒子を形成する工程と
を備えることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項12】
基板と、
上記基板上に形成された第1絶縁膜と、
上記第1絶縁膜上に形成された絶縁層と、
上記絶縁層に、上記第1絶縁膜の表面に達する深さを有するように形成され、列方向に延びると共に行方向に並んだ複数の溝と、
上記絶縁層の複数の溝内に各々形成され、上記溝の側面と上記第1絶縁膜の表面とに接するサイドウォール状の導電性層と、
上記絶縁層の複数の溝内に各々形成され、上記サイドウォール状の導電性層に対して絶縁された複数のゲート電極と、
上記第1絶縁膜中に、上記ゲート電極の下方に形成された導電性微粒子と、
行方向に隣り合う上記ゲート電極に接続されていると共に、列方向に並んだ複数のワード線とを備え、
上記サイドウォール状の導電性層と、上記ゲート電極と、上記導電性微粒子とを含むセルが行列方向に配列され、
上記複数のサイドウォール状の導電性層のうちの1つと、上記複数のワード線のうちの1つとを選択することにより、所定の上記セルを選択するように構成されていることを特徴とするセルアレイ。
【請求項13】
基板上に第1絶縁膜を形成する工程と、
上記第1絶縁膜上に絶縁層を形成する工程と、
上記絶縁層に、上記第1絶縁膜の表面に達する深さを有し、列方向に延びると共に行方向に並ぶ複数の溝を形成する工程と、
上記絶縁層の複数の溝内に、この溝の側面と上記第1絶縁膜の表面とに接するサイドウォール状の導電性層を各々形成する工程と、
上記サイドウォール状の導電性層の表面に、第2絶縁膜を形成する工程と、
上記絶縁層、第1絶縁膜及び第2絶縁膜上に、層間絶縁膜を形成する工程と、
上記層間絶縁膜に、上記絶縁層の溝内の第1絶縁膜と第2絶縁膜に達するコンタクトホールを形成する工程と、
上記コンタクトホールを介して、上記第1絶縁膜中に導電性微粒子を形成する工程と
を備えることを特徴とするセルアレイの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図4D】
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【図5】
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【図6】
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【図7A】
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【図7B】
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【図7C】
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【図7D】
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【図7E】
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【図7F】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−88281(P2007−88281A)
【公開日】平成19年4月5日(2007.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−276337(P2005−276337)
【出願日】平成17年9月22日(2005.9.22)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】