説明

半導体装置およびその製造方法

【課題】ゲート電極である金属膜/多結晶シリコン膜間の接触抵抗が大きい場合であっても、ゲートコンタクトプラグに印加した電界を十分な速度で十分に金属膜に伝えることができる半導体装置、およびその製造方法を得ることを目的とする。
【解決手段】本発明の一実施形態における半導体装置は、半導体基板1と、半導体基板1上に形成されたゲート絶縁膜3と、ゲート絶縁膜3上に形成された金属膜4、当該金属膜4上に形成された多結晶シリコン膜5、を有するゲート電極6と、ゲート電極6上に形成された層間絶縁膜11と、層間絶縁膜11および多結晶シリコン膜5を貫通して金属膜4と接触するように形成されたコンタクトプラグ12と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置およびその製造方法に関し、特にMIPS(Metal Inserted Poly-Si Stack)構造を有する半導体装置およびその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、ゲート電極におけるしきい値電圧を調整する構造として、ゲート絶縁膜と多結晶シリコン膜との間に金属膜を有するMIPS(Metal Inserted Poly-Si Stack)構造が知られている。
【0003】
図4は、MIPS構造を有する従来の半導体装置の構成を示した断面図である。図に示すように、MIPS構造(ゲート絶縁膜3と多結晶シリコン膜5との間に金属膜4を有する構造)を有する従来の半導体装置は、ゲートコンタクトプラグ12が多結晶シリコン膜5の表層に形成されたシリサイド膜10とのみ接触する構造である。すなわち、ゲートコンタクトプラグ12に印加された電界は、多結晶シリコン膜5/金属膜4の接触を介してチャネル部に及ぶこととなる。このMIPS構造に関連した技術が下記非特許文献1に開示されている。
【0004】
【非特許文献1】H.T.Huang,et.al、45nm High-k/Metal-Gate CMOS Technology for GPU/NPU Applications with Highest PFET Performance、IEDM2007、p.285−288
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、金属膜と多結晶シリコン膜との間の接触抵抗が大きい場合においては、特に微細なMOSデバイスでは、コンタクトプラグからゲート上部の多結晶シリコン膜に印加した電界が十分な速度で十分に金属膜に伝わらないという問題があった。
【0006】
そこで本発明はかかる問題を解決するためになされたものであり、ゲート電極である金属膜/多結晶シリコン膜間の接触抵抗が大きい場合であっても、ゲートコンタクトプラグに印加した電界を十分な速度で十分に金属膜に伝えることができる半導体装置、およびその製造方法を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一実施形態における半導体装置は、半導体基板と、半導体基板上に形成されたゲート絶縁膜と、ゲート絶縁膜上に形成された金属膜、当該金属膜上に形成された多結晶シリコン膜、を有するゲート電極と、ゲート電極上に形成された層間絶縁膜と、層間絶縁膜および多結晶シリコン膜を貫通して金属膜と接触するように形成されたコンタクトプラグと、を備える。
【0008】
本発明の一実施形態における半導体装置の製造方法は、はじめに半導体基板を準備し、半導体基板上にゲート絶縁膜を形成し、ゲート絶縁膜上に金属膜、多結晶シリコン膜をこの順で積層してゲート電極を形成する。次に、ゲート電極上に層間絶縁膜を形成する。次に、金属膜が露出するように、層間絶縁膜および多結晶シリコン膜にエッチングを行いコンタクトホールを形成する。次に、コンタクトホールに金属を堆積してコンタクトプラグを形成する。
【発明の効果】
【0009】
本発明の一実施形態における半導体装置およびその製造方法によれば、ゲート電極のコンタクトプラグを多結晶シリコン膜を貫通して形成することで、コンタクトプラグとゲート電極との接触がMetal/Metal接触となる。これにより、接触抵抗は、〜10-9ohm・cm2となり、多結晶シリコン膜/金属膜間の接触抵抗に対して1桁〜7桁の低減を図ることができる。また、接触抵抗の低減を可能にすることにより、ゲートコンタクトに印加した電界を十分な速度で十分に金属膜に伝えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
<実施の形態1>
図1は、本発明の実施の形態における半導体装置の構成を示した断面図である。以下、図1を参照して本実施の形態における半導体装置の構成について説明する。本実施の形態における半導体装置は、素子分離領域2が形成されたシリコン基板1(半導体基板)、シリコン基板1上に形成されたhigh−kゲート絶縁膜3(ゲート絶縁膜)、high−kゲート絶縁膜3上に形成された金属膜4(本実施の形態ではTiN),多結晶シリコン膜5(poly−Si)からなるゲート電極6を備える。すなわち、本実施の形態における半導体装置はMIPS構造を有する。
【0011】
さらに、ゲート電極6の側面に形成されたオフセットスペーサー7およびサイドウォール8(本実施の形態では第1のサイドウォール8a、第2のサイドウォール8bからなる2層構造)、多結晶シリコン膜5の一部の領域の表層に形成されたシリサイド膜10(本実施の形態ではNi)、多結晶シリコン膜5の他の領域上(シリサイド膜10の形成されていない領域)及びサイドウォール8上に形成されたハードマスク9(本実施の形態ではシリコン酸化膜)、ハードマスク9上に形成された層間絶縁膜11(本実施の形態では第1の層間絶縁膜11a(シリコン窒化膜)、第2の層間絶縁膜11b(シリコン酸化膜)からなる2層構造)を備える。
【0012】
さらに、層間絶縁膜11、ハードマスク9および多結晶シリコン膜5を貫通して金属膜4と接触するように形成されたコンタクトプラグ12(本実施の形態ではバリアメタル膜12a(TiN)と金属プラグ12b(タングステン)からなる)を備える。
【0013】
図1に示すように、ゲート電極6のコンタクトプラグ12を多結晶シリコン膜5を貫通して形成することにより、コンタクトプラグ12とゲート電極6との接触はMetal/Metal接触となる。
【0014】
図2、図3は、本実施の形態における半導体装置の製造方法を示した断面図である。以下図1〜図3を参照して本実施の形態における半導体装置の製造方法について説明する。はじめにシリコン基板1に素子分離領域2、ウェル領域(図示せず)を形成する(図2(a))。
【0015】
次に、シリコン基板1上にhigh−kゲート絶縁膜3、金属膜4および多結晶シリコン膜5をこの順で積層し、フォト/ドライエッチング工程によりMIPS構造のゲート電極6を形成する(図2b))。次に、ゲート電極6の側面にオフセットスペーサー7、サイドウォール8を形成する(図2(c))。
【0016】
次に、ゲートコンタクトを形成する領域のゲート電極6、オフセットスペーサー7およびサイドウォール8上にハードマスク9を形成する。次に、このシリコン基板1上に金属膜を成膜した後に熱処理を行い、ハードマスク8が形成されていない多結晶シリコン膜5の表層にシリサイド層10を形成する(図3(d))。
【0017】
次に、シリコン窒化膜11a、シリコン酸化膜11b等のコンタクト層間絶縁膜11を堆積し、フォト/ドライエッチング工程により層間絶縁膜11、ハードマスク9および多結晶シリコン膜5を貫通して金属層4が露出するようにコンタクトホール13を形成する(図3(e))。
【0018】
次に、バリアメタル膜12aのTiNおよび金属プラグ12bのタングステンを堆積し、CMP法によりコンタクトホール13内のみにTiN12a/タングステン12bを残してコンタクトプラグ12を形成することで、図1に示す半導体装置が形成される。
【0019】
ここで、金属膜4は高融点金属の合金、高融点金属と希土類金属の合金、その窒化物、酸化物および炭化物を含む合金のいずれかを用いて形成する。さらに詳しくは、TiN、TaC、TaN、La化合物、Mg化合物およびAl化合物のいずれかを用いる。これらを金属膜として用いることにより、生産性の向上とともにしきい値電圧の低減を可能とする。
【0020】
以上より、本実施の形態における半導体装置、およびその製造方法によれば、ゲート電極6のコンタクトプラグ12を多結晶シリコン膜5を貫通して形成することで、コンタクトプラグ12とゲート電極6との接触がMetal/Metal接触となる。これにより、接触抵抗は、〜10-9ohm・cm2となり、多結晶シリコン膜5/金属膜4間の接触抵抗に対して1桁〜7桁の低減を図ることができる。また、接触抵抗の低減を可能にすることにより、ゲートコンタクトプラグ12に印加した電界を十分な速度で十分に金属膜4に伝えることができる。
【産業上の利用可能性】
【0021】
本発明は、MOSトランジスタを利用した製品全般に適用することができる。特に、45nmノード以降のSoC(System-on-chip)製品全般に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明における半導体装置の構成を示した断面図である。
【図2】本発明における半導体装置の製造工程を示した断面図である。
【図3】本発明における半導体装置の製造工程を示した断面図である。
【図4】従来技術における半導体装置の構成を示した断面図である。
【符号の説明】
【0023】
1 シリコン基板、2 素子分離領域、3 high−kゲート絶縁膜、4 金属膜、5 多結晶シリコン膜、6 ゲート電極、7 オフセットスペーサー、8 サイドウォール、8a 第1のサイドウォール、8b 第2のサイドウォール、9 ハードマスク、10 シリサイド膜、11 層間絶縁膜、11a 第1の層間絶縁膜、11b 第2の層間絶縁膜、12 コンタクトプラグ、12a バリアメタル膜、12b 金属プラグ、13 コンタクトホール。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板と、
前記半導体基板上に形成されたゲート絶縁膜と、
前記ゲート絶縁膜上に形成された金属膜、当該金属膜上に形成された多結晶シリコン膜、を有するゲート電極と、
前記ゲート電極上に形成された層間絶縁膜と、
前記層間絶縁膜および前記多結晶シリコン膜を貫通して前記金属膜と接触するように形成されたコンタクトプラグと、を備える半導体装置。
【請求項2】
前記多結晶シリコン膜の一部の領域の表層に形成されたシリサイド層と、
前記多結晶シリコン膜の他の領域上に形成されたハードマスクと、をさらに備え、
前記コンタクトプラグは、前記層間絶縁膜、前記ハードマスクおよび前記多結晶シリコン膜を貫通して前記金属膜と接触するように形成される、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記金属膜は、高融点金属の合金、高融点金属と希土類金属の合金、その窒化物、酸化物および炭化物を含む合金のいずれかからなる、請求項1または2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記金属膜は、TiN、TaC、TaN、La化合物、Mg化合物およびAl化合物のいずれかからなる、請求項3に記載の半導体装置。
【請求項5】
(a)半導体基板を準備する工程と、
(b)前記半導体基板上にゲート絶縁膜を形成する工程と、
(c)前記ゲート絶縁膜上に金属膜、多結晶シリコン膜をこの順で積層してゲート電極を形成する工程と、
(d)前記ゲート電極上に層間絶縁膜を形成する工程と、
(e)前記金属膜が露出するように、前記層間絶縁膜および前記多結晶シリコン膜にエッチングを行いコンタクトホールを形成する工程と、
(f)前記コンタクトホールに金属を堆積してコンタクトプラグを形成する工程と、を備える半導体装置の製造方法。
【請求項6】
(g)前記工程(c)の後、前記多結晶シリコン膜上であって前記コンタクトプラグを形成する領域にハードマスクを形成する工程と、
(h)前記工程(g)の後、前記多結晶シリコン膜の表層であって前記ハードマスクが形成されていない領域にシリサイド層を形成する工程と、をさらに備え、
前記工程(e)は、前記金属膜が露出するように、前記層間絶縁膜、前記ハードマスクおよび前記多結晶シリコン膜にエッチングを行いコンタクトホールを形成する、請求項5に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項7】
前記工程(c)は、高融点金属の合金、高融点金属と希土類金属の合金、その窒化物、酸化物および炭化物を含む合金のいずれかからなる金属膜を形成する、請求項5または6に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項8】
前記工程(c)は、TiN、TaC、TaN、La化合物、Mg化合物およびAl化合物のいずれかからなる金属膜を形成する、請求項7に記載の半導体装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−302320(P2009−302320A)
【公開日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−155521(P2008−155521)
【出願日】平成20年6月13日(2008.6.13)
【出願人】(503121103)株式会社ルネサステクノロジ (4,790)
【Fターム(参考)】