説明

半導体装置及びその製造方法

半導体装置は、半導体基板上に形成された絶縁膜と、絶縁膜中に形成され、銅又は銅合金からなる埋め込み配線とを備え、絶縁膜と埋め込み配線との間に、白金族元素、又は白金族元素の合金からなるバリアメタル層を有しており、バリアメタル層は、相対的にバリア性が高くなる非晶質度を有する非晶質構造を一部に含んでいる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、銅配線若しくは銅合金配線を有する半導体装置及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1では、ルテニウムなど酸化されても導電性を失わない金属又は導電性を有する金属酸化膜をバリアメタルに使用することが記載されている。
【0003】
以下、従来の半導体装置の製造方法について、バリアメタル膜としてルテニウムを用いる銅配線製造技術を例として、図8(a)〜(e)を参照しながら説明する(例えば特許文献1参照)。
【0004】
まず、図8(a)に示すように、半導体基板800上の第1の絶縁膜801中に例えばルテニウム膜からなる第1のバリアメタル802を介して例えば銅膜からなる第1の配線803を埋め込む。その後、半導体基板800の上に第1のシリコン窒化膜804、第2の絶縁膜805を順次堆積した後、第1のシリコン窒化膜804及び第2の絶縁膜805に、第1の配線803までに達するビアホール806と配線用溝807を形成する。このとき、第1のバリアメタル802又は第1のシリコン窒化膜804は、第2の絶縁膜805を堆積するときの400℃程度の熱処理(例えばプラズマCVD(Chemical Vapor Deposition:化学的気相成長)法など)により、第1の配線803を構成する銅原子が第1の絶縁膜801又は第2の絶縁膜805などの内部に拡散する事態を防止する。すなわち、第1のバリアメタル802又は第1のシリコン窒化膜804は、銅原子の拡散に対するバリア性を有している。
【0005】
次に、図8(b)に示すように、例えばスパッタ法により半導体基板800の上に膜厚10nmのルテニウムからなる第2のバリアメタル808を堆積する。
【0006】
その後、例えばスパッタ法により第2のバリアメタル808上に膜厚30nmの銅膜からなる銅シード層809を堆積する。これによりビアホール806及び配線用溝807のそれぞれの底部及び側壁部が第2のバリアメタル808及び銅シード層809により覆われる。
【0007】
その後、図8(c)に示すように、電解めっき法により銅シード層809上に膜厚300nmの銅めっき層810を、ビアホール806及び配線用溝807のそれぞれが埋まるように成長させる。
【0008】
次に、半導体基板800をめっき装置から取り出した後、銅めっき層810の結晶粒を成長させるために銅めっき層810に対して熱処理(例えば100℃程度の温度下で2時間程度)を行う。これにより、図8(d)に示すように、銅シード層809と銅めっき層810とが一体化して配線用銅膜811が形成される。なお、銅めっき層810に対して前述の熱処理を行う代わりに、半導体基板800を室温下で2日間程度放置しておいてもよい。
【0009】
次に、図8(e)に示すように、例えばCMP(Chemical Mechanical Polishing:化学的機械的研磨)法を用いて、配線用溝807の外側の第2のバリアメタル808及び配線用銅膜811を除去して、配線用銅膜811からなるビア812及び第2の配線813を形成する。これにより、ビア812を介して、第1の配線803と第2の配線813とが接続される。
【0010】
その後、図示は省略しているが、必要に応じて、図8(a)〜(e)に示す断面図を用いて説明した工程(ただし、図8(a)に示す断面図を用いて説明した工程については第1のシリコン窒化膜804を堆積する工程以降)を繰り返すことにより、所望の多層配線構造を形成する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2002−075994号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、上述のようにバリアメタル層に導電性の金属又は金属酸化膜、若しくはルテニウム、レニウム又はそれらの合金を使用した場合、銅との密着性が向上するが、バリアメタルに求められるバリア性が劣化するという課題を有している。
【0013】
前記に鑑み、本発明の目的は、上記バリアメタル層よりもバリア性の高いバリアメタル層を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記の課題を解決するために、本発明の一側面の半導体装置は、半導体基板上に形成された絶縁膜と、絶縁膜中に形成され、銅又は銅合金からなる埋め込み配線とを備え、絶縁膜と埋め込み配線との間に、白金族元素、又は白金族元素の合金からなるバリアメタル層を有しており、バリアメタル層は、相対的にバリア性が高くなる非晶質度を有する非晶質構造を一部に含んでいる。
【0015】
この構成によると、絶縁膜と埋め込み配線との間に、白金族元素、又は白金族元素の合金からなるバリアメタル層が形成されており、そのバリアメタル層は相対的にバリア性の高い非晶質構造を一部含んでいる。このバリアメタル層は非晶質構造を含むため多結晶構造に比べて結晶粒界が少ない。そのため、銅がバリアメタル層を拡散するのを抑制するのに非常に効果的である。また、白金族元素の金属又は白金族元素の合金は比抵抗が小さいため、配線抵抗及びビア抵抗の増大を防止できる。さらに、白金族元素の金属又は白金族元素の合金は融点が高いため、熱安定性にも優れている。
【0016】
本発明の一側面の半導体装置において、バリアメタル層は、単層からなる構成であってもよい。
【0017】
本発明の一側面の半導体装置において、バリアメタル層は、積層からなり、非晶質構造を一部に含む層と多結晶構造の層とを有している構成であってもよく、さらに、絶縁膜から埋め込み配線の方向に向かって、非晶質構造を一部に含む層及び多結晶構造の層が順に積層されている構成であってもよい。
【0018】
この場合、絶縁膜と埋め込み配線との間に、白金族元素、又は白金族元素の合金からなる積層のバリアメタル層が形成されており、その積層バリアメタル層は相対的にバリア性の高い非晶質構造を一部含んだ層と多結晶構造の層を有する。この非晶質構造を一部含んだ層は多結晶構造に比べて結晶粒界が少ない。そのため、銅がバリアメタル層を拡散するのを抑制するのに非常に効果的である。また、白金族元素の金属及び白金族元素の合金は比抵抗が小さいため、配線抵抗及びビア抵抗の増大を防止できる。さらに、白金族元素の金属及び白金族元素の合金は融点が高いため、熱安定性にも優れている。また、白金族元素及び白金族元素の合金の多結晶構造をもつ層は銅などの配線材料との密着性に優れており、銅との濡れ性も良く、埋め込み特性に優れている。さらに、耐酸化性にも優れるため、配線形成プロセス中に金属表面が酸化雰囲気にさらされても密着性が劣化しにくい。
【0019】
本発明の一側面の半導体装置において、バリアメタル層は、絶縁膜から埋め込み配線の方向に向かって、相対的にバリア性が高くなる非晶質度が段階的に減少するように構成されている構成であってもよい。
【0020】
この場合、絶縁膜と埋め込み配線との間に、白金族元素、又は白金族元素の合金からなるバリアメタル層を有しており、バリアメタル層は、相対的にバリア性が高くなる非晶質度が段階的に減少するように構成され、すなわち、絶縁膜から埋め込み配線にかけて相対的にバリア性の高い非晶質構造を一部含んだ層から段階的に非晶質度を減少させた層を有する。この非晶質構造を一部含んだ層は多結晶構造に比べて結晶粒界が少ない。そのため、銅がバリアメタル層を拡散するのを抑制するのに非常に効果的である。また、白金族元素の金属及び白金族元素の合金は比抵抗が小さいため、配線抵抗及びビア抵抗の増大を防止できる。さらに、白金族元素の金属及び白金族元素の合金は融点が高いため、熱安定性にも優れている。また、白金族元素及び白金族元素の合金の非晶質度を減少させた層は銅などの配線材料との密着性に優れており、銅との濡れ性も良く、埋め込み特性に優れている。さらに、耐酸化性にも優れるため、配線形成プロセス中に金属表面が酸化雰囲気にさらされても密着性が劣化しにくい。また、バリアメタル層においては同種の白金族元素からなる金属をもちいるためバリアメタル層内部の密着性が向上する。
【0021】
本発明の一側面の半導体装置において、バリアメタル層は、絶縁膜から埋め込み配線の方向に向かって、第1の多結晶構造の層、非晶質構造を一部に含む層、及び第2の多結晶構造の層を順に有している構成であってもよい。
【0022】
この場合、埋め込み配線上にバリアメタル層が形成され、該埋め込み配線との接続部において非晶質構造を一部含んだ層と銅との界面が発生することがなくなる。白金族元素及び白金族元素の合金の多結晶構造からなる層は非晶質構造を一部に含んだ層に比べて活性化エネルギーが高いため、信頼性を高めることが可能になる。
【0023】
本発明の一側面の半導体装置において、バリアメタル層は、絶縁膜から埋め込み配線の方向に向かって、第1の多結晶構造を持つ非晶質度から段階的に増加して相対的にバリア性が高くなる非晶質度に変化すると共に、相対的にバリア性が高くなる非晶質度から段階的に減少して第2の多結晶構造を持つ非晶質度へ変化するように構成されていてもよい。
【0024】
この場合、埋め込み配線上にバリアメタル層が形成され、該埋め込み配線との接続部において非晶質構造を一部含んだ層と銅との界面が発生することがなくなる。白金族元素及び白金族元素の合金の多結晶構造からなる層は非晶質構造を一部に含んだ層に比べて活性化エネルギーが高いため、信頼性を高めることが可能になる。
【0025】
本発明の一側面の半導体装置において、白金族元素は、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム、又は白金であることが望ましい。
【0026】
本発明の一側面の半導体装置の製造方法は、半導体基板上の絶縁膜に凹部を形成する工程(a)と、凹部に、白金族元素、又は白金族元素の合金からなるバリアメタル層を堆積する工程(b)と、バリアメタル層の上に、銅又は銅合金からなる第1の導電膜を順次堆積する工程(c)と、第1の導電膜上に、凹部が完全に埋まるように銅又は銅合金からなる第2の導電膜を成長させる工程(d)と、第1の導電膜と第2の導電膜とを一体化して第3の導電膜を形成することにより、第3の導電膜からなる埋め込み配線を形成する工程(e)とを備え、バリアメタル層は、相対的にバリア性が高くなる非晶質度を有する非晶質構造を一部に含んでいる。
【0027】
この構成によると、凹部に、白金族元素、又は白金族元素の合金からなるバリアメタル層を形成することができる。このため、銅がバリアメタル層を拡散するのを抑制するのに非常に効果的である。また、白金族元素の金属、又は白金族元素の合金は比抵抗が小さいため、配線抵抗及びビア抵抗の増大を防止できる。さらに、白金族元素の金属、又は白金族元素の合金は融点が高いため、熱安定性にも優れている。
【0028】
本発明の一側面の半導体装置の製造方法において、工程(b)は、凹部に、バリアメタル層を構成し、白金族元素、又は白金族元素の合金からなる第1のバリアメタル層を堆積する工程(b1)と、第1のバリアメタル層の上に、バリアメタル層を構成し、白金族元素、又は白金族元素の合金からなる第2のバリアメタル層を堆積する工程(b1)とを有し、第1のバリアメタル層は、相対的にバリア性が高くなる非晶質度を有する非晶質構造を一部に含んでおり、第2のバリアメタル層は、多結晶構造を有する構成であってもよい。
【0029】
この場合、凹部に、白金族元素、又は白金族元素の合金からなる積層のバリアメタル層が形成されており、その積層バリアメタル層は相対的にバリア性の高い非晶質構造を一部含んだ層と多結晶構造の層を有する。この非晶質構造を一部含んだ層は多結晶構造に比べて結晶粒界が少ない。そのため、銅がバリアメタル層を拡散するのを抑制するのに非常に効果的である。また、白金族元素の金属及び白金族元素の合金は比抵抗が小さいため、配線抵抗及びビア抵抗の増大を防止できる。さらに、白金族元素の金属及び白金族元素の合金は融点が高いため、熱安定性にも優れている。また、白金族元素及び白金族元素の合金の多結晶構造をもつ層は銅などの配線材料との密着性に優れており、銅との濡れ性も良く、埋め込み特性に優れている。さらに、耐酸化性にも優れるため、配線形成プロセス中に金属表面が酸化雰囲気にさらされても密着性が劣化しにくい。
【0030】
本発明の一側面の半導体装置の製造方法において、工程(b)は、凹部に、バリアメタル層を構成し、白金族元素、又は白金族元素の合金からなる第1のバリアメタル層を堆積する工程(b1)と、第1のバリアメタル層の上に、バリアメタル層を構成し、白金族元素、又は白金族元素の合金からなる第2のバリアメタル層を堆積する工程(b2)と、第2のバリアメタル層の上に、バリアメタル層を構成し、白金族元素、又は白金族元素の合金からなる第3のバリアメタル層を堆積する工程(b3)とを有し、第2のバリアメタル層は、相対的にバリア性が高くなる非晶質度を有する非晶質構造を一部に含んでおり、第1のバリアメタル層と第3のバリアメタル層とは、多結晶構造を有する構成であってもよい。
【0031】
この場合、埋め込み配線上にバリアメタル層が形成され、該埋め込み配線との接続部において非晶質構造を一部含んだ層と銅との界面が発生することがなくなる。白金族元素及び白金族元素の合金の多結晶構造からなる層は非晶質構造を一部に含んだ層に比べて活性化エネルギーが高いため、信頼性を高めることが可能になる。
【0032】
本発明の一側面の半導体装置の製造方法において、工程(b)は、絶縁膜から埋め込み配線の方向に向かって、相対的にバリア性が高くなる非晶質度が段階的に減少するように、バリアメタル膜を形成する工程を含む構成であってもよい。
【0033】
この場合、凹部に、絶縁膜から埋め込み配線の方向に向かって、相対的にバリア性が高くなる非晶質度が段階的に減少するように、すなわち、絶縁膜から埋め込み配線にかけて相対的にバリア性の高い非晶質構造を一部含んだ層から段階的に非晶質度を減少させた層を形成することができる。この非晶質構造を一部含んだ層は多結晶構造に比べて結晶粒界が少ない。そのため、銅がバリアメタル層を拡散するのを抑制するのに非常に効果的である。また、白金族元素の金属及び白金族元素の合金は比抵抗が小さいため、配線抵抗及びビア抵抗の増大を防止できる。さらに、白金族元素の金属及び白金族元素の合金は融点が高いため、熱安定性にも優れている。また、白金族元素及び白金族元素の合金の非晶質度を減少させた層は銅などの配線材料との密着性に優れており、銅との濡れ性も良く、埋め込み特性に優れている。さらに、耐酸化性にも優れるため、配線形成プロセス中に金属表面が酸化雰囲気にさらされても密着性が劣化しにくい。また、バリアメタル層においては同種の白金族元素からなる金属をもちいるためバリアメタル層内部の密着性が向上する。
【0034】
本発明の一側面の半導体装置の製造方法において、工程(b)は、 絶縁膜から埋め込み配線の方向に向かって、第1の多結晶構造を持つ非晶質度から段階的に増加して相対的にバリア性が高くなる非晶質度に変化すると共に、相対的にバリア性が高くなる非晶質度から段階的に減少して第2の多結晶構造を持つ非晶質度へ変化するように、バリアメタル膜を形成する工程を含む構成であってもよい。
【0035】
この場合、埋め込み配線上にバリアメタル層が形成され、該埋め込み配線との接続部において非晶質構造を一部含んだ層と銅との界面が発生することがなくなる。白金族元素及び白金族元素の合金の多結晶構造からなる層は非晶質構造を一部に含んだ層に比べて活性化エネルギーが高いため、信頼性を高めることが可能になる。
【0036】
本発明の一側面の半導体装置の製造方法において、白金族元素は、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム、又は白金であることが望ましい。
【0037】
これらの白金族元素の金属は比抵抗が小さいため、配線抵抗及びビア抵抗の増大を防止できる。さらに、これらの白金族元素の金属は融点が高いため、熱安定性にも優れている。また、これらの白金族元素の多結晶金属は銅などの配線材料との密着性に優れており、さらに耐酸化性にも優れるため、配線形成プロセス中に金属表面が酸化雰囲気にさらされても密着性が劣化しにくい。
【0038】
本発明の一側面の半導体装置の製造方法において、工程(e)は、窒素雰囲気中において熱処理する工程を含む構成であってもよい。
【0039】
このようにすると、熱処理中での非晶質構造のバリアメタルの結晶化を抑制ができ、バリア性を失うことを確実に防止できる。
【0040】
本発明の一側面の半導体装置の製造方法において、工程(b)は、スパッタ法を用いて、同一チャンバー内で窒素流量を制御しながら行うことができる。
【発明の効果】
【0041】
以上のように、白金族元素、又は白金族元素の合金を含み、相対的にバリア性の高い非晶質構造を一部含んだバリアメタルによれば、従来のバリアメタルよりもバリア性の高く、配線抵抗及びビア抵抗の増大を防止でき、熱安定性にも優れたバリアメタルを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】図1(a)〜(e)は、本発明の第1の実施形態に係る半導体装置の製造方法の各工程を示す断面図である。
【図2】図2は、本発明の各実施形態に共通するバリアメタル成膜中の窒素分圧と成膜後のバリアメタルの非結晶度の関係を説明するためのグラフである。
【図3】図3、本発明の各実施形態に共通するバリアメタル成膜中の窒素分圧と熱処理後のバリアメタルの非結晶度の関係を説明するためのグラフである。
【図4】図4(a)〜(e)は、本発明の第2の実施形態に係る半導体装置の製造方法の各工程を示す断面図である。
【図5】図5(a)〜(e)は、本発明の第3の実施形態に係る半導体装置の製造方法の各工程を示す断面図である。
【図6】図6(a)〜(e)は、本発明の第4の実施形態に係る半導体装置の製造方法の各工程を示す断面図である。
【図7】図7(a)〜(e)は、本発明の第5の実施形態に係る半導体装置の製造方法の各工程を示す断面図である。
【図8】図8(a)〜(e)は、従来の半導体装置の製造方法の各工程を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0043】
以下、本発明の各実施形態について図面を参照しながら説明する。
【0044】
(第1の実施形態)
図1(a)〜(e)、図2、及び図3を参照しながら、本発明の第1の実施形態について説明する。図1(a)〜(e)は、本発明の第1の実施形態に係る半導体装置の製造方法の各工程を示す断面図である。図2は、本発明の各実施形態に共通するバリアメタル成膜中の窒素分圧と成膜後のバリアメタルの非結晶度との関係を説明するためのグラフである。図3は、本発明の各実施形態に共通するバリアメタル成膜中の窒素分圧と熱処理後のバリアメタルの非結晶度との関係を説明するためのグラフである。
【0045】
まず、図1(a)に示すように、半導体基板100上の第1の絶縁膜101の溝の中に例えばルテニウム膜からなる第1のバリアメタル102を介して例えば銅膜からなる第1の配線103を埋め込む。その後、半導体基板100の上に第1のシリコン窒化膜104及び第2の絶縁膜105を順次堆積した後、第1のシリコン窒化膜104及び第2の絶縁膜105に、第1の配線103までに達するビアホール106と配線用溝107を形成する。このとき、第1のバリアメタル102又は第1のシリコン窒化膜104は、第2の絶縁膜105を堆積するときの400℃程度の熱処理(例えばプラズマCVD(Chemical Vapor Deposition:化学的気相成長)法など)により、第1の配線103を構成する銅原子が第1の絶縁膜101又は第2の絶縁膜105などの内部に拡散する事態を防止する。すなわち、第1のバリアメタル102又は第1のシリコン窒化膜104は、銅原子の拡散に対するバリア性を有している。
【0046】
次に、図1(b)に示すように、例えばスパッタ法により半導体基板100の上に膜厚10nmのルテニウムからなる単層の第2のバリアメタル108を堆積する。このときスパッタのターゲットをルテニウムとし、スパッタ時の雰囲気に窒素を含める。ここで、以下の実験結果で説明するように、非晶質構造を一部に含んでいる単層の第2のバリアメタル108の窒素濃度は、2%〜10%であることが好ましく、さらに、4〜10%であることがより好ましい。
【0047】
図2では、横軸にスパッタ時の窒素分圧すなわち[N]/([N]+[Ar])値が示され、縦軸にはルテニウムの非晶質度が示されている。ここで、非晶質度について説明する。窒素分圧0%時の結晶配向強度(例えば結晶配向強度の総和)をXとし、ある窒素分圧時の結晶配向強度がY(YはX以下)であったとする。このとき、非晶質度は[(X−Y)/X]×100[%]で表される。
【0048】
図2に示すように、スパッタ時の窒素分圧が増加すると非晶質度も増加することが分かる。このように、スパッタ時の窒素ガス量を制御することで、ルテニウム又はルテニウム合金の結晶構造を容易に制御できる。ここでは、ルテニウムについて説明を行ったが、他の白金族元素及び白金族元素の合金についても同じ傾向が得られる。また、バリアメタル膜成膜後における、窒素分圧と窒素濃度との関係を実験により検証したところ、[N]/([N]+[Ar])値が70%の場合、窒素濃度が4%であり、[N]/([N]+[Ar])値が80%の場合、窒素濃度が6%であり、[N]/([N]+[Ar])値が90%の場合、窒素濃度が8%であった。ここで、窒素濃度は、「バリアメタル膜中の窒素原子数/バリアメタル膜中の原子数」で定義される。
【0049】
図3は、横軸にスパッタ時の窒素分圧すなわち[N]/([N]+[Ar])値が示され、縦軸には熱処理後のルテニウムの非晶質度が示されている。図3に示すように、熱処理を加えても非晶質度は0%にはならず、スパッタ時の窒素分圧が増加すると非晶質度も増加することが分かる。このように、スパッタ時の窒素ガス量を制御することで、ルテニウムの結晶構造を容易に制御できる。ここでは、ルテニウムについて説明を行ったが、他の白金族元素及び白金族元素の合金についても同じ傾向が得られる。
【0050】
また、我々は、バリア性評価を行うために、シリコン基板上にダマシン構造の配線パターンを形成し、配線パターン内に熱酸化膜を堆積した。その後、バリアメタルを堆積し、さらにダマシンプロセスにより銅配線を形成し、電極としてアルミニウム電極を形成した。その後、シリコン基板の温度を50℃まで上昇させ、シリコン基板と電極間に電圧500mVを印加し、10分間保持することにより、電圧温度試験を行った。この電圧温度試験前後での熱酸化膜の容量の変化を測定し、バリア性が高い場合は容量が変化しないことを確認した。この方法により、バリア性の評価を行った結果、スパッタ時の窒素分圧を50%以上にすることにより、容量は変化せず、高いバリア性を示すことがわかった。
【0051】
これらの結果と、図2及び図3のデータから、スパッタ時の窒素分圧を50%以上にすることにより、バリア性の高い非晶質構造を含んだバリアメタルが形成されていることが分かる。なお、本データはアプライドマテリアルズ社製のスパッタ装置を使用して取得したデータであるが、他装置を使用した場合は本データと異なる可能性があることは言うまでもない。
【0052】
その後、例えばスパッタ法により第2のバリアメタル108上に膜厚30nmの銅膜からなる銅シード層109を堆積する。これによりビアホール106及び配線用溝107のそれぞれの底部及び壁面が第2のバリアメタル108及び銅シード層109により覆われる。
【0053】
その後、図1(c)に示すように、電解めっき法により銅シード層109上に膜厚300nmの銅めっき層110を、ビアホール106及び配線用溝107のそれぞれが埋まるように成長させる。
【0054】
次に、半導体基板100をめっき装置から取り出した後、銅めっき層110の結晶粒を成長させるために銅めっき層110に対して熱処理(例えば100℃程度の温度下で2時間程度)を行う。これにより、図1(d)に示すように、銅シード層109と銅めっき層110とが一体化して配線用銅膜111が形成される。なお、銅めっき層110に対して前述の熱処理を行う代わりに、半導体基板100を室温下で2日間程度放置しておいてもよい。
【0055】
次に、図1(e)に示すように、例えばCMP(Chemical Mechanical Polishing:化学的機械的研磨)法を用いて、配線用溝107の外側の第2のバリアメタル108及び配線用銅膜111を除去して、配線用銅膜111からなるビア112及び第2の配線113を形成する。これにより、ビア112を介して、第1の配線103と第2の配線113とが接続される。
【0056】
その後、図示は省略しているが、必要に応じて、図1(a)〜(e)に示す断面図を用いて説明した工程(ただし、図1(a)に示す断面図を用いて説明した工程については第1のシリコン窒化膜104を堆積する工程以降)を繰り返すことにより、所望の多層配線構造を形成する。
【0057】
以上に説明したように、第1の実施形態によると、ビアホール106及び配線用溝107のそれぞれの底部及び側壁部に、相対的にバリア性の高い非晶質構造を一部含んだ第2のバリアメタル108を形成することが可能になる。このため、バリア性が高まり、銅の拡散を防止できる。また、第2のバリアメタル108は単層であるため積層構造のバリアメタルよりも薄膜化(10nm以下)の制御も容易にできる。
【0058】
なお、第1の実施形態において、第2のバリアメタル108の材料として、ルテニウムを用いたが、これに代えて、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム、白金、又はそれらの合金などを用いてもよい。
【0059】
また、第1の実施形態において、第1の配線103、銅シード層109又は銅めっき層110の材料として純銅を用いたが、これに代えて、銅合金を用いてもよい。
【0060】
また、第1の実施形態において、第1のバリアメタル102としてルテニウム膜を用いたが、これに代えて、タンタル膜又は窒化タンタル膜などを用いてもよい。
【0061】
また、第1の実施形態において、第1の絶縁膜101又は第2の絶縁膜105として二酸化珪素膜、塗布膜、又は炭素を含む誘電率の低い膜などを用いてもよい。
【0062】
また、第1の実施形態において、ビアホール106と配線用溝107とを同時に導電膜により埋め込むデュアルダマシン法を用いたが、これに代えて、ビアホール106と配線用溝107とを別々に形成すると共に別々に導電膜を埋め込んでもよい。
【0063】
また、第1の実施形態において、配線用銅膜111形成時の熱処理を、窒素雰囲気中において行うことにより、相対的にバリア性の高い非晶質構造を一部含んだ第2のバリアメタル108の結晶化を抑制することができ、バリア性を高めるのにより効果的である。
【0064】
また、第1の実施形態において、第2のバリアメタル108成膜後にイオン注入により窒素を添加する方法を用いてもよい。
【0065】
(第2の実施形態)
図4(a)〜(e)、図2、図3を参照しながら、本発明の第2の実施形態について説明する。図4(a)〜(e)は、本発明の第2の実施形態に係る半導体装置の製造方法の各工程を示す断面図である。
【0066】
まず、図4(a)に示すように、半導体基板400上の第1の絶縁膜401の溝の中に例えば相対的にバリア性の高い非晶質構造を一部含んだルテニウム膜からなる第1のバリアメタル402と例えば多結晶ルテニウム膜からなる第2のバリアメタル403を介して例えば銅膜からなる第1の配線404を埋め込む。その後、半導体基板400の上に第1のシリコン窒化膜405、第2の絶縁膜406を順次堆積した後、第1のシリコン窒化膜405、及び第2の絶縁膜406に、第1の配線404までに達するビアホール407と配線用溝408を形成する。このとき、第1のバリアメタル402、第2のバリアメタル403又は第1のシリコン窒化膜405は、第2の絶縁膜406を堆積するときの400℃程度の熱処理(例えばプラズマCVD(Chemical Vapor Deposition:化学的気相成長)法など)により、第1の配線404を構成する銅原子が第1の絶縁膜401又は第2の絶縁膜406などの内部に拡散する事態を防止する。すなわち、第1のバリアメタル402、第2のバリアメタル403、又は第1のシリコン窒化膜405は、銅原子の拡散に対するバリア性を有している。
【0067】
次に、図4(b)に示すように、例えばスパッタ法により半導体基板400の上に膜厚5nmのルテニウム又はルテニウム合金からなる単層の第3のバリアメタル409を堆積する。このとき、スパッタのターゲットをルテニウムとし、スパッタ時の雰囲気に窒素を含める。
【0068】
具体的には、上記第1の実施形態において図2及び図3を用いて説明したように、スパッタ時の窒素分圧を50%以上にすることにより、バリア性の高い非晶質構造を含んだバリアメタルを形成することができる。ただし、非晶質構造を含んだ膜を形成することができれば、第3のバリアメタル409内に含まれる物質は、窒素に限定されることはない。
【0069】
また、第1の実施形態で説明したように、非晶質構造を一部に含んでいる単層の第3のバリアメタル409の窒素濃度は、2%〜10%であることが好ましく、さらに、4〜10%であることがより好ましい。
【0070】
その後、スパッタ法により膜厚5nmのルテニウムからなる第4のバリアメタル410を堆積する。このときスパッタのターゲットをルテニウムとし、スパッタ時の窒素分圧を第3のバリアメタル409堆積時よりも下げる。
【0071】
さらに、例えばスパッタ法により第4のバリアメタル410上に膜厚30nmの銅膜からなる銅シード層411を堆積する。これによりビアホール407及び配線用溝408のそれぞれの底部及び側壁部が第3のバリアメタル409、第4のバリアメタル410、及び銅シード層411により覆われる。
【0072】
その後、図4(c)に示すように、電解めっき法により銅シード層411上に膜厚300nmの銅めっき層412を、ビアホール407及び配線用溝408のそれぞれが埋まるように成長させる。
【0073】
次に、半導体基板400をめっき装置から取り出した後、銅めっき層412の結晶粒を成長させるために銅めっき層412に対して熱処理(例えば100℃程度の温度下で2時間程度)を行う。これにより、図4(d)に示すように、銅シード層411と銅めっき層412とが一体化して配線用銅膜413が形成される。なお、銅めっき層412に対して前述の熱処理を行う代わりに、半導体基板400を室温下で2日間程度放置しておいてもよい。
【0074】
次に、図4(e)に示すように、例えばCMP(Chemical Mechanical Polishing:化学的機械的研磨)法を用いて、配線用溝408の外側の第3のバリアメタル409、第4のバリアメタル410及び配線用銅膜413を除去して、配線用銅膜413からなるビア414及び第2の配線415を形成する。これにより、ビア414を介して、第1の配線404と第2の配線415とが接続される。
【0075】
その後、図示は省略しているが、必要に応じて、図4(a)〜(e)に示す断面図を用いて説明した工程(ただし、図4(a)に示す断面図を用いて説明した工程については第1のシリコン窒化膜405を堆積する工程以降)を繰り返すことにより、所望の多層配線構造を形成する。
【0076】
以上に説明したように、第2の実施形態によると、ビアホール407及び配線用溝408のそれぞれの底部及び壁面に、相対的にバリア性の高い非晶質構造を一部含んだ第3のバリアメタル409を形成することが可能になる。このため、バリア性が高まり、銅の拡散を防止できる。また、第3のバリアメタル409と第4のバリアメタル410の材料を同種金属又は同種の合金にした場合、同一チャンバーでの堆積も可能となる。
【0077】
なお、第2の実施形態において、第3のバリアメタル409及び第4のバリアメタル410の材料として、ルテニウムを用いたが、これに代えて、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム、白金、又はそれらの合金などを用いてもよい。
【0078】
また、第2の実施形態において、第1の配線404、銅シード層411又は銅めっき層412の材料として純銅を用いたが、これに代えて、銅合金を用いてもよい。
【0079】
また、第2の実施形態において、第1のバリアメタル402及び第2のバリアメタル403としてそれぞれ非晶質ルテニウム膜及び多結晶ルテニウム膜を用いたが、これに代えて、タンタル膜、又は窒化タンタル膜などを用いてもよい。
【0080】
また、第2の実施形態において、第1の絶縁膜401又は第2の絶縁膜406として二酸化珪素膜、塗布膜、又は炭素を含む誘電率の低い膜などを用いてもよい。
【0081】
また、第2の実施形態において、ビアホール407と配線用溝408とを同時に導電膜により埋め込むデュアルダマシン法を用いたが、これに代えて、ビアホール407と配線用溝408とを別々に形成すると共に別々に導電膜を埋め込んでもよい。
【0082】
また、第2の実施形態において、配線用銅膜413形成時の熱処理を、窒素雰囲気中において行うことにより、相対的にバリア性の高い非晶質構造を一部含んだ第3のバリアメタル409の結晶化を抑制することができ、バリア性を高めるのにより効果的である。
【0083】
また、第2の実施形態において、第3のバリアメタル成膜後にイオン注入により窒素を添加する方法を用いてもよい。
【0084】
(第3の実施形態)
図5(a)〜(e)、図2、図3を参照しながら、本発明の第3の実施形態について説明する。図5(a)〜(e)は、本発明の第3の実施形態に係る半導体装置の製造方法の各工程を示す断面図である。
【0085】
まず、図5(a)に示すように、半導体基板500上の第1の絶縁膜501の溝の中に例えば、窒素雰囲気中で窒素分圧を段階的に減らしながら、スパッタ法により、第1の絶縁膜501から第1の配線503にかけて相対的にバリア性の高い非晶質構造を一部含んだ層から段階的に非晶質度を減少させた第1のバリアメタル502を介して例えば銅膜からなる第1の配線503を埋め込む。その後、半導体基板500の上に第1のシリコン窒化膜504及び第2の絶縁膜505を順次堆積した後、第1のシリコン窒化膜504及び第2の絶縁膜505に、第1の配線503までに達するビアホール506と配線用溝507を形成する。このとき、第1のバリアメタル502又は第1のシリコン窒化膜504は、第2の絶縁膜505を堆積するときの400℃程度の熱処理(例えばプラズマCVD(Chemical Vapor Deposition:化学的気相成長)法など)により、第1の配線503を構成する銅原子が第1の絶縁膜501又は第2の絶縁膜505などの内部に拡散する事態を防止する。すなわち、第1のバリアメタル502又は第1のシリコン窒化膜504は、銅原子の拡散に対するバリア性を有している。
【0086】
次に、図5(b)に示すように、例えばスパッタ法により半導体基板500の上に膜厚10nmのルテニウムからなる単層の第2のバリアメタル508を堆積する。このとき、スパッタのターゲットをルテニウムとし、スパッタ時の雰囲気に窒素を含める。
【0087】
具体的には、上記第1の実施形態において図2及び図3を用いて説明したように、スパッタ時の窒素分圧を50%以上にすることにより、バリア性の高い非晶質構造を含んだバリアメタルを形成することができる。ただし、非晶質構造を含んだ膜を形成することができれば、第2のバリアメタル508内に含まれる物質は、窒素に限定されることはない。
【0088】
そこで、このことより、第2のバリアメタル508堆積時の窒素分圧を制御し、段階的に減らす、例えば窒素分圧90%で2秒堆積後、窒素分圧80%で2秒堆積、その後窒素分圧60%で2秒堆積することにより、相対的にバリア性が高くなる非晶質度が段階的に減少するように、すなわち、相対的にバリア性の高い非晶質構造を一部含んだ層から段階的に非晶質度を減少させた第2のバリアメタル508が形成できる。また、第1の実施形態と同様に、非晶質構造を一部に含んでいる第2のバリアメタル508の窒素濃度は、2%〜10%であることが好ましく、さらには、4〜10%であることがより好ましい。
【0089】
その後、例えばスパッタ法により第2のバリアメタル508上に膜厚30nmの銅膜からなる銅シード層509を堆積する。これによりビアホール506及び配線用溝507のそれぞれの底部及び壁面が第2のバリアメタル508及び銅シード層509により覆われる。
【0090】
その後、図5(c)に示すように、電解めっき法により銅シード層509上に膜厚300nmの銅めっき層510を、ビアホール506及び配線用溝507のそれぞれが埋まるように成長させる。
【0091】
次に、半導体基板500をめっき装置から取り出した後、銅めっき層510の結晶粒を成長させるために銅めっき層510に対して熱処理(例えば100℃程度の温度下で2時間程度)を行う。これにより、図5(d)に示すように、銅シード層509と銅めっき層510とが一体化して配線用銅膜511が形成される。なお、銅めっき層510に対して前述の熱処理を行う代わりに、半導体基板500を室温下で2日間程度放置しておいてもよい。
【0092】
次に、図5(e)に示すように、例えばCMP(Chemical Mechanical Polishing:化学的機械的研磨)法を用いて、配線用溝507の外側の第2のバリアメタル508及び配線用銅膜511を除去して、配線用銅膜511からなるビア512及び第2の配線513を形成する。これにより、ビア512を介して、第1の配線503と第2の配線513とが接続される。
【0093】
その後、図示は省略しているが、必要に応じて、図5(a)〜(e)に示す断面図を用いて説明した工程(ただし、図5(a)に示す断面図を用いて説明した工程については第1のシリコン窒化膜504を堆積する工程以降)を繰り返すことにより、所望の多層配線構造を形成する。
【0094】
以上に説明したように、第3の実施形態によると、ビアホール506及び配線用溝507のそれぞれの底部及び側壁部に、相対的にバリア性の高い非晶質構造を一部含んだ層から段階的に非晶質度を減少させた第2のバリアメタル508を形成することが可能になる。このため、バリア性が高まり、銅の拡散を防止できる。また、第2のバリアメタル508は、同一チャンバーでの窒素ガス量の制御により堆積できるため、薄膜化(10nm以下)の制御も容易にできる。
【0095】
なお、第3の実施形態において、第2のバリアメタル508の材料として、ルテニウムを用いたが、これに代えて、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム、白金、又はそれらの合金などを用いてもよい。
【0096】
また、第3の実施形態において、第1の配線503、銅シード層509又は銅めっき層510の材料として純銅を用いたが、これに代えて、銅合金を用いてもよい。
【0097】
また、第3の実施形態において、第1のバリアメタル502としてルテニウム膜を用いたが、これに代えて、タンタル膜、又は窒化タンタル膜などを用いてもよい。
【0098】
また、第3の実施形態において、第1の絶縁膜501、又は第2の絶縁膜505として二酸化珪素膜、塗布膜、又は炭素を含む誘電率の低い膜などを用いてもよい。
【0099】
また、第3の実施形態において、ビアホール506と配線用溝507とを同時に導電膜により埋め込むデュアルダマシン法を用いたが、これに代えて、ビアホール506と配線用溝507とを別々に形成すると共に別々に導電膜を埋め込んでもよい。
【0100】
また、第3の実施形態において、配線用銅膜511形成時の熱処理を、窒素雰囲気中において行うことにより、非晶質構造の第2のバリアメタル508の結晶化を抑制することができ、バリア性を高めるのにより効果的である。
【0101】
また、第3の実施形態において、第2のバリアメタル成膜後にイオン注入により窒素を添加する方法を用いてもよい。
【0102】
(第4の実施形態)
図6(a)〜(e)を参照しながら、本発明の第4の実施形態について説明する。図6(a)〜(e)は、本発明の第4の実施形態に係る半導体装置の製造方法の各工程を示す断面図である。
【0103】
まず、図6(a)に示すように、半導体基板600上の第1の絶縁膜601の溝の中に例えば多結晶ルテニウム膜、相対的にバリア性の高い非晶質構造を一部含んだルテニウム膜、そして多結晶ルテニウム膜からなる第1のバリアメタル層602を介して例えば銅膜からなる第1の配線603を埋め込む。その後、半導体基板600の上に第1のシリコン窒化膜604、第2の絶縁膜605を順次堆積した後、第1のシリコン窒化膜604及び第2の絶縁膜605に、第1の配線603までに達するビアホール606と配線用溝607を形成する。このとき、第1の積層バリアメタル602又は第1のシリコン窒化膜604は、第2の絶縁膜605を堆積するときの400℃程度の熱処理(例えばプラズマCVD(Chemical Vapor Deposition:化学的気相成長)法など)により、第1の配線603を構成する銅原子が第1の絶縁膜601又は第2の絶縁膜605などの内部に拡散する事態を防止する。すなわち、第1のバリアメタル層602又は第1のシリコン窒化膜604は、銅原子の拡散に対するバリア性を有している。
【0104】
次に、図6(b)に示すように、例えばスパッタ法により半導体基板600の上に膜厚3nmのルテニウムからなる第2のバリアメタル608を堆積する。このとき、スパッタのターゲットをルテニウムとする。
【0105】
その後、スパッタ法により膜厚3nmのルテニウムからなる単層の第3のバリアメタル609を堆積する。このとき、スパッタのターゲットをルテニウムとし、スパッタ時の雰囲気に窒素を含める。具体的には、上記第1の実施形態において図2及び図3を用いて説明したように、スパッタ時の窒素分圧を50%以上にすることにより、バリア性の高い非晶質構造を含んだバリアメタルを形成することができる。ただし、非晶質構造を含んだ膜を形成することができれば、第3のバリアメタル609内に含まれる物質は、窒素に限定されることはない。また、第1の実施形態と同様に、非晶質構造を一部に含んでいる単層の第3のバリアメタル609の窒素濃度は、2%〜10%であることが好ましく、さらには、4〜10%であることがより好ましい。
【0106】
さらに、スパッタ法により膜厚3nmのルテニウムからなる第4のバリアメタル610を堆積する。このとき、スパッタのターゲットをルテニウムとする。
【0107】
その後、例えばスパッタ法により第4のバリアメタル610上に膜厚30nmの銅膜からなる銅シード層611を堆積する。これによりビアホール606及び配線用溝607のそれぞれの底部及び側壁部が第2のバリアメタル608、第3のバリアメタル609、第4のバリアメタル610及び銅シード層611により覆われる。
【0108】
その後、図6(c)に示すように、電解めっき法により銅シード層611上に膜厚300nmの銅めっき層612を、ビアホール606及び配線用溝607のそれぞれが埋まるように成長させる。
【0109】
次に、半導体基板600をめっき装置から取り出した後、銅めっき層612の結晶粒を成長させるために銅めっき層612に対して熱処理(例えば100℃程度の温度下で2時間程度)を行う。これにより、図6(d)に示すように、銅シード層611と銅めっき層612とが一体化して配線用銅膜613が形成される。なお、銅めっき層612に対して前述の熱処理を行う代わりに、半導体基板600を室温下で2日間程度放置しておいてもよい。
【0110】
次に、図6(e)に示すように、例えばCMP(Chemical Mechanical Polishing:化学的機械的研磨)法を用いて、配線用溝607の外側の第2のバリアメタル608、第3のバリアメタル609、第4のバリアメタル610及び配線用銅膜613を除去して、配線用銅膜613からなるビア614及び第2の配線615を形成する。これにより、ビア614を介して、第1の配線603と第2の配線615とが接続される。
【0111】
その後、図示は省略しているが、必要に応じて、図6(a)〜(e)に示す断面図を用いて説明した工程(ただし、図6(a)に示す断面図を用いて説明した工程については第1のシリコン窒化膜604を堆積する工程以降)を繰り返すことにより、所望の多層配線構造を形成する。
【0112】
以上に説明したように、第4の実施形態によると、ビアホール606及び配線用溝607のそれぞれの底部及び側壁部に、相対的にバリア性の高い非晶質構造を一部含んだ第3のバリアメタル609を形成することが可能になる。このため、バリア性が高まり、銅の拡散を防止できる。また、ビアホール606の底部において第1の配線603上に第2のバリアメタル608を形成することにより、ビアホール606と第1の配線603との接続部において非晶質構造を一部含んだ層と銅との界面が発生することがなくなる。これは、白金族元素及び白金族元素の合金の多結晶構造からなる層は非晶質構造を一部に含んだ層に比べて活性化エネルギーが高いため、信頼性を高めることが可能になる。さらに、第2のバリアメタル608、第3のバリアメタル609、そして第4のバリアメタル610の材料を同種の金属又は同種の合金にした場合、同一チャンバーでの堆積も可能になる。
【0113】
なお、第4の実施形態において、第2のバリアメタル608、第3のバリアメタル609、及び第4のバリアメタル610の材料として、ルテニウムを用いたが、これに代えて、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム、白金、又はそれらの合金などを用いてもよい。
【0114】
また、第4の実施形態において、第1の配線603、銅シード層611又は銅めっき層612の材料として純銅を用いたが、これに代えて、銅合金を用いてもよい。
【0115】
また、第4の実施形態において、第1のバリアメタル層602として積層ルテニウム膜を用いたが、これに代えて、タンタル膜、又は窒化タンタル膜などを用いてもよい。
【0116】
また、第4の実施形態において、第1の絶縁膜601又は第2の絶縁膜605として二酸化珪素膜、塗布膜、又は炭素を含む誘電率の低い膜などを用いてもよい。
【0117】
また、第4の実施形態において、ビアホール606と配線用溝607とを同時に導電膜により埋め込むデュアルダマシン法を用いたが、これに代えて、ビアホール606と配線用溝607とを別々に形成すると共に別々に導電膜を埋め込んでもよい。
【0118】
また、第4の実施形態において、配線用銅膜613形成時の熱処理を、窒素雰囲気中において行うことにより、相対的にバリア性の高い非晶質構造を一部含んだ第3のバリアメタル609の結晶化を抑制することができ、バリア性を高めるのにより効果的である。
【0119】
また、第4の実施形態において、スパッタ時の雰囲気に窒素を含めるのではなく、窒素を含有しない第3のバリアメタル609成膜後にイオン注入により窒素を添加する方法をもちいてもよい。このようにしても、第3のバリアメタル609に窒素を含有させることができ、窒素を含有しないバリアメタル膜と比較して、相対的にバリア性の高い非晶質構造を含んだバリアメタル膜を形成することができる。ただし、非晶質構造を含んだ膜を形成することができれば、第3のバリアメタル609内に注入する物質は、窒素に限定されることはない。
【0120】
また、第4の実施形態において、バリアメタル層をスパッタ法により、同一チャンバー内で窒素流量を制御しながら堆積することにより、1チャンバーでの処理が可能となり、コストの低下又は処理能力の向上が可能になる。さらに、バリアメタル層の薄膜化に対する制御性も高まる。
【0121】
(第5の実施形態)
図7(a)〜(e)を参照しながら、本発明の第5の実施形態について説明する。図7(a)〜(e)は、本発明の第5の実施形態に係る半導体装置の製造方法の各工程を示す断面図である。
【0122】
まず、図7(a)に示すように、半導体基板700上の第1の絶縁膜701中の溝に、第1の絶縁膜701から第1の配線703の方向に向かって、第1の多結晶構造を持つ層、多結晶構造を持つ層から非晶質度が段階的に増加している層、相対的にバリア性の高い非晶質構造を含んだ層、相対的にバリア性の高い非晶質構造を一部含んだ層から段階的に非晶質度が減少している層、第2の多結晶構造を持つ層の順にそれぞれの層を有してなる第1のバリアメタル層702を形成する。第1のバリアメタル層702を形成する方法としては、ターゲットをルテニウムとしてスパッタ法により、第1の多結晶構造を持つ層を形成する。次に、スパッタ時の雰囲気に窒素を含め、雰囲気中の窒素分圧を段階的に増やしながら、多結晶構造を持つ層から非晶質度が段階的に増加している層を形成する。その結果、最終的に、多結晶構造を持つ層と比較して相対的にバリア性の高い非晶質度を含んだ層が形成される。次に、雰囲気中の窒素分圧を段階的減らしながら、相対的にバリア性の高い非晶質構造を一部含んだ層から段階的に非晶質度が減少している層を形成する。非晶質度が減少した結果、第2の多結晶構造を持つ層が形成されることとなる。以上のようにして、第1のバリアメタル層702が形成される。
【0123】
次に、第1のバリアメタル層702を介して例えば銅膜からなる第1の配線703を、第1の絶縁膜701中の溝に埋め込む。その後、半導体基板700の上に第1のシリコン窒化膜704、第2の絶縁膜705を順次堆積した後、第1のシリコン窒化膜704及び第2の絶縁膜705に、第1の配線703までに達するビアホール706と配線用溝707を形成する。このとき、第1のバリアメタル702又は第1のシリコン窒化膜704は、第2の絶縁膜705を堆積するときの400℃程度の熱処理(例えばプラズマCVD(Chemical Vapor Deposition:化学的気相成長)法など)により、第1の配線703を構成する銅原子が第1の絶縁膜701又は第2の絶縁膜705などの内部に拡散する事態を防止する。すなわち、第1のバリアメタル702又は第1のシリコン窒化膜704は、銅原子の拡散に対するバリア性を有している。
【0124】
次に、図7(b)に示すように、例えばスパッタ法により半導体基板700の上に膜厚10nmのルテニウム又はルテニウム合金からなる単層の第2のバリアメタル層708を堆積する。このとき、スパッタのターゲットをルテニウムとし、スパッタ時の雰囲気に窒素を含める。具体的には、上記第1の実施形態において図2及び図3を用いて説明したように、スパッタ時の窒素分圧を50%以上にすることにより、バリア性の高い非晶質構造を含んだバリアメタルを形成することができる。ただし、非晶質構造を含んだ膜を形成することができれば、第2のバリアメタル708内に含まれる物質は、窒素に限定されることはない。
【0125】
本実施形態では、窒素分圧を段階的に制御して、多結晶構造を持つ非晶質度から段階的に増加して相対的にバリア性が高くなる非晶質度に変化すると共に、相対的にバリア性が高くなる非晶質度から段階的に減少して第2の多結晶構造を持つ非晶質度へ変化するように、第3のバリアメタル709を形成する。すなわち、例えば窒素分圧0%で3秒堆積することによって、第1の多結晶構造を持つ層を形成する。その後、3秒間に窒素分圧が90%になるまで、窒素分圧を段階的に増やしながら、多結晶構造を持つ層から非晶質度が段階的に増加している層を形成する。その結果、最終的に多結晶構造を持つ層と比較して相対的にバリア性の高い非晶構造を含んだ層が形成される。次に、3秒間に窒素分圧が0%になるまで、窒素分圧を段階的に減らしながら、相対的にバリア性の高い非晶構造を含んだ層から段階的に非晶質度が減少している層を形成する。非晶質度が減少した結果、第2の多結晶構造を持つ層が形成されることとなる。以上のような工程を経て、単層の第2のバリアメタル708が形成できる。ここで、バリアメタル膜に含まれる窒素分圧を段階的に制御することによって、窒素を含まないバリアメタル膜よりも、相対的にバリア性の高い非晶質構造を含んだ膜を形成することができる。ただし、非晶質構造を含んだ膜を形成することができれば、バリアメタル膜内に含まれる物質は、窒素に限定されることはない。また、第1の実施形態と同様に、非晶質構造を一部に含んでいる第2のバリアメタル708の窒素濃度は、2%〜10%であることが好ましく、さらには、4〜10%であることがより好ましい。
【0126】
その後、例えばスパッタ法により第2のバリアメタル708上に膜厚30nmの銅膜からなる銅シード層709を堆積する。これによりビアホール706及び配線用溝707のそれぞれの底部及び側壁部が第2のバリアメタル層708及び銅シード層709により覆われる。
【0127】
その後、図7(c)に示すように、電解めっき法により銅シード層709上に膜厚300nmの銅めっき層710を、ビアホール706及び配線用溝707のそれぞれが埋まるように成長させる。
【0128】
次に、半導体基板700をめっき装置から取り出した後、銅めっき層710の結晶粒を成長させるために銅めっき層710に対して熱処理(例えば100℃程度の温度下で2時間程度)を行う。これにより、図7(d)に示すように、銅シード層709と銅めっき層710とが一体化して配線用銅膜711が形成される。なお、銅めっき層710に対して前述の熱処理を行う代わりに、半導体基板700を室温下で2日間程度放置しておいてもよい。
【0129】
次に、図7(e)に示すように、例えばCMP(Chemical Mechanical Polishing:化学的機械的研磨)法を用いて、配線用溝707の外側の第2のバリアメタル層708及び配線用銅膜711を除去して、配線用銅膜711からなるビア712及び第2の配線713を形成する。これにより、ビア712を介して、第1の配線703と第2の配線713とが接続される。
【0130】
その後、図示は省略しているが、必要に応じて、図7(a)〜(e)に示す断面図を用いて説明した工程(ただし、図7(a)に示す断面図を用いて説明した工程については第1のシリコン窒化膜704を堆積する工程以降)を繰り返すことにより、所望の多層配線構造を形成する。
【0131】
以上に説明したように、第5の実施形態によると、ビアホール706及び配線用溝707のそれぞれの底部及び壁面に、相対的にバリア性の高い非晶質構造を一部含んだ第2のバリアメタル層708を形成することが可能になる。このため、バリア性が高まり、銅の拡散を防止できる。また、ビアホール706の底部において第1の配線703上に第2のバリアメタル層708を形成することにより、ビアホール706と第1の配線703との接続部において非晶質構造を一部含んだ層と銅との界面が発生することがなくなる。これは、白金族元素及び白金族元素の合金の多結晶構造からなる層は非晶質構造を一部に含んだ層に比べて活性化エネルギーが高いため、信頼性を高めることが可能になる。
【0132】
なお、第5の実施形態において、第2のバリアメタル層708の材料として、ルテニウムを用いたが、これに代えて、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム、白金、又はそれらの合金などを用いてもよい。
【0133】
また、第5の実施形態において、第1の配線703、銅シード層709又は銅めっき層710の材料として純銅を用いたが、これに代えて、銅合金を用いてもよい。
【0134】
また、第5の実施形態において、第1のバリアメタル層702としてルテニウム膜を用いたが、これに代えて、タンタル膜、又は窒化タンタル膜などを用いてもよい。
【0135】
また、第5の実施形態において、第1の絶縁膜701又は第2の絶縁膜705として二酸化珪素膜、塗布膜、又は炭素を含む誘電率の低い膜などを用いてもよい。
【0136】
また、第5の実施形態において、ビアホール706と配線用溝707とを同時に導電膜により埋め込むデュアルダマシン法を用いたが、これに代えて、ビアホール706と配線用溝707とを別々に形成すると共に別々に導電膜を埋め込んでもよい。
【0137】
また、第5の実施形態において、配線用銅膜711形成時の熱処理を、窒素雰囲気中において行うことにより、相対的にバリア性の高い非晶質構造を一部含んだ第2のバリアメタル層708の結晶化を抑制することができ、バリア性を高めるのにより効果的である。
【0138】
また、第5の実施形態において、バリアメタル層をスパッタ法により、同一チャンバー内で窒素流量を制御しながら堆積することにより、1チャンバーでの処理が可能となり、コストの低下又は処理能力の向上が可能になる。さらに、バリアメタル層の薄膜化に対する制御性も高まる。
【産業上の利用可能性】
【0139】
本発明に係る半導体装置及びその製造方法は、高バリア性をもつ白金族元素の非晶質バリアメタルを有し、銅配線又は銅合金配線を有する半導体装置等として有用である。
【符号の説明】
【0140】
100 半導体基板
101 第1の絶縁膜
102 第1のバリアメタル
103 第1の配線
104 第1のシリコン窒化膜
105 第2の絶縁膜
106 ビアホール
107 配線用溝
108 第2のバリアメタル
109 銅シード層
110 銅めっき層
111 配線用銅膜
112 ビア
113 第2の配線
400 半導体基板
401 第1の絶縁膜
402 第1のバリアメタル
403 第2のバリアメタル
404 第1の配線
405 第1のシリコン窒化膜
406 第2の絶縁膜
407 ビアホール
408 配線用溝
409 第3のバリアメタル
410 第4のバリアメタル
411 銅シード層
412 銅めっき層
413 配線用銅膜
414 ビア
415 第2の配線
500 半導体基板
501 第1の絶縁膜
502 第1のバリアメタル
503 第1の配線
504 第1のシリコン窒化膜
505 第2の絶縁膜
506 ビアホール
507 配線用溝
508 第2のバリアメタル
509 銅シード層
510 銅めっき層
511 配線用銅膜
512 ビア
513 第2の配線
600 半導体基板
601 第1の絶縁膜
602 第1のバリアメタル
603 第1の配線
604 第1のシリコン窒化膜
605 第2の絶縁膜
606 ビアホール
607 配線用溝
608 第2のバリアメタル
609 第3のバリアメタル
610 第4のバリアメタル
611 銅シード層
613 銅めっき層
614 ビア
615 第2の配線
700 半導体基板
701 第1の絶縁膜
702 第1のバリアメタル
703 第1の配線
704 第1のシリコン窒化膜
705 第2の絶縁膜
706 ビアホール
707 配線用溝
708 第2のバリアメタル
709 銅シード層
710 銅めっき層
711 配線用銅膜
712 ビア
713 第2の配線
800 半導体基板
801 第1の絶縁膜
802 第1のバリアメタル
803 第1の配線
804 第1のシリコン窒化膜
805 第2の絶縁膜
806 ビアホール
807 配線用溝
808 第2のバリアメタル
809 銅シード層
810 銅めっき層
811 配線用銅膜
812 ビア
813 第2の配線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板上に形成された絶縁膜と、
前記絶縁膜中に形成され、銅又は銅合金からなる埋め込み配線とを備え、
前記絶縁膜と前記埋め込み配線との間に、白金族元素、又は白金族元素の合金からなるバリアメタル層を有しており、
前記バリアメタル層は、相対的にバリア性が高くなる非晶質度を有する非晶質構造を一部に含んでいることを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
前記バリアメタル層は、単層からなることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記バリアメタル層は、積層からなり、前記非晶質構造を一部に含む層と多結晶構造の層とを有していることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
【請求項4】
(第2の実施形態の積層順の特定)
前記絶縁膜から前記埋め込み配線の方向に向かって、前記非晶質構造を一部に含む層及び前記多結晶構造の層が順に積層されていることを特徴とする請求項3に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記バリアメタル層は、前記絶縁膜から前記埋め込み配線の方向に向かって、前記相対的にバリア性が高くなる非晶質度が段階的に減少するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記バリアメタル層は、前記絶縁膜から前記埋め込み配線の方向に向かって、第1の多結晶構造の層、前記非晶質構造を一部に含む層、及び第2の多結晶構造の層を順に有していることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
【請求項7】
前記バリアメタル層は、前記絶縁膜から前記埋め込み配線の方向に向かって、第1の多結晶構造を持つ非晶質度から段階的に増加して前記相対的にバリア性が高くなる非晶質度に変化すると共に、前記相対的にバリア性が高くなる非晶質度から段階的に減少して第2の多結晶構造を持つ非晶質度へ変化するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
【請求項8】
前記白金族元素は、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム、又は白金であることを特徴とする請求項1〜7のうちのいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項9】
半導体基板上の絶縁膜に凹部を形成する工程(a)と、
前記凹部に、白金族元素、又は白金族元素の合金からなるバリアメタル層を堆積する工程(b)と、
前記バリアメタル層の上に、銅又は銅合金からなる第1の導電膜を順次堆積する工程(c)と、
前記第1の導電膜上に、前記凹部が完全に埋まるように銅又は銅合金からなる第2の導電膜を成長させる工程(d)と、
前記第1の導電膜と前記第2の導電膜とを一体化して第3の導電膜を形成することにより、前記第3の導電膜からなる埋め込み配線を形成する工程(e)とを備え、
前記バリアメタル層は、相対的にバリア性が高くなる非晶質度を有する非晶質構造を一部に含んでいることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項10】
前記工程(b)は、
前記凹部に、前記バリアメタル層を構成し、白金族元素、又は白金族元素の合金からなる第1のバリアメタル層を堆積する工程(b1)と、
前記第1のバリアメタル層の上に、前記バリアメタル層を構成し、白金族元素、又は白金族元素の合金からなる第2のバリアメタル層を堆積する工程(b2)とを有し、
前記第1のバリアメタル層は、前記相対的にバリア性が高くなる非晶質度を有する非晶質構造を一部に含んでおり、
前記第2のバリアメタル層は、多結晶構造を有することを特徴とする請求項9に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項11】
前記工程(b)は、
前記凹部に、前記バリアメタル層を構成し、白金族元素、又は白金族元素の合金からなる第1のバリアメタル層を堆積する工程(b1)と、
前記第1のバリアメタル層の上に、前記バリアメタル層を構成し、白金族元素、又は白金族元素の合金からなる第2のバリアメタル層を堆積する工程(b2)と、
前記第2のバリアメタル層の上に、前記バリアメタル層を構成し、白金族元素、又は白金族元素の合金からなる第3のバリアメタル層を堆積する工程(b3)とを有し、
前記第2のバリアメタル層は、前記相対的にバリア性が高くなる非晶質度を有する非晶質構造を一部に含んでおり、
前記第1のバリアメタル層と前記第3のバリアメタル層とは、多結晶構造を有する請求項9に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項12】
前記工程(b)は、前記絶縁膜から前記埋め込み配線の方向に向かって、前記相対的にバリア性が高くなる非晶質度が段階的に減少するように、前記バリアメタル膜を形成する工程を含むことを特徴とする請求項9に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項13】
前記工程(b)は、 前記絶縁膜から前記埋め込み配線の方向に向かって、第1の多結晶構造を持つ非晶質度から段階的に増加して前記相対的にバリア性が高くなる非晶質度に変化すると共に、前記相対的にバリア性が高くなる非晶質度から段階的に減少して第2の多結晶構造を持つ非晶質度へ変化するように、前記バリアメタル膜を形成する工程を含むことを特徴とする請求項9に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項14】
前記白金族元素は、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム、又は白金であることを特徴とする請求項9〜13のうちのいずれか1項に記載の半導体製造装置の製造方法。
【請求項15】
前記工程(e)は、窒素雰囲気中において熱処理する工程を含むことを特徴とする請求項9〜14のうちのいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項16】
前記工程(b)は、スパッタ法を用いて、同一チャンバー内で窒素流量を制御しながら行われることを特徴とする請求項9〜15のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2010−536159(P2010−536159A)
【公表日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−519684(P2009−519684)
【出願日】平成20年7月29日(2008.7.29)
【国際出願番号】PCT/JP2008/002019
【国際公開番号】WO2009/019827
【国際公開日】平成21年2月12日(2009.2.12)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】