説明

受け渡し機構及び処理装置

【課題】クリーニング処理開始前の被処理体の処理枚数に関係なく、ジャストエッチの時点を自動的に確実に把握することにより、エッチング処理の適正な終点時点を決定することが可能な処理装置を提供する。
【解決手段】真空引き可能になされた処理チャンバー16と、所定の処理が施される被処理体Wを載置する載置台20と、処理チャンバーへ必要なガスを供給するガス供給手段40と、途中に真空ポンプが介設されて処理チャンバー内の雰囲気を真空引きする排気系6とを有す処理装置において、排気ガス中に含まれるパーティクル数を計測するために前記排気系に設けられたパーティクル計測手段8と、処理チャンバー内にクリーニングガスを流してクリーニング処理を行う時にパーティクル計測手段の計測値に基づいてクリーニング処理の終点時点を決定するクリーニング終点決定手段14とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体ウエハ等に対してガスを用いて成膜する処理装置及びそのクリーニング方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、半導体集積回路の製造する場合、被処理体となる半導体ウエハ(以下、ウエハと称する)に対して、膜堆積(CVD)工程、熱酸化及び不純物拡散工程、エッチング工程、成膜(スパッタリング)工程、熱処理工程等の各製造工程において、種々の処理装置による処理が施されている。
膜成長工程においては、例えばCVD(chemical vapor deposition)装置を 用いて、ウエハ表面に絶縁層や絶縁膜として、シリコン酸化膜(SiO )、シリコンナイトライド(SiN)等の薄膜を堆積する。また、配線パターンや凹部の埋め込みとしては、タングステン(W)、タングステンシリサイド(WSi)、チタン(Ti)、チタンナイトライド(TiN)、チタンシリサイド(TiSi)、タングステンナイトライド(WN)、酸化タンタル(Ta )、タンタル(Ta)、タンタルナイトライド(TaN)、酸化ハフニウム(HfO )、酸化ジルコニウム(ZrO )、酸化プロタクチニウム(PaO )等の薄膜が堆積される。
【0003】
これらの処理装置によりそれぞれの処理を行なう場合、製品の歩留り低下の原因となるパーティクルの発生は極力避けなければならない。
この種のパーティクルは、一般に、処理チャンバーの内壁面や載置台やシャワーヘッド構造などの内部構造物の表面に付着した不要な膜が剥がれ落ちることで発生する場合が多く、従って、定期的、例えば1ロット25枚のウエハを成膜処理した時や、不定期的に処理チャンバー内にClF ガス等のクリーニングガスを流し、上記した不要な膜を除去することが行われている。このようなクリーニング処理を行うことにより、処理チャンバー内に付着している不要な膜が除去され、パーティクルの発生を抑制することが可能となる。
【0004】
ところで、上記クリーニングガスは非常に活性に富むことから、過度に長時間に亘ってクリーニング処理を行うと、処理チャンバー内壁面やチャンバー内の構造物の表面に付着した不要な膜のみならず、チャンバー自体やチャンバー内構造物自体の表面もエッチングにより少しずつではあるが削り取ってしまうため、短か過ぎず、且つ長過ぎないクリーニング処理を行うためにクリーニング処理の適切な終点時点を決定するのは、非常に重要である。
従来は、このクリーニング処理の終点時点を決定するには、例えば予め所定の枚数、例えば1ロット25枚のウエハを成膜処理する毎にクリーニング処理を行うものと決めておき、そして、25枚のウエハを成膜処理した時に、それまでに処理チャンバー内に累積した不要な堆積膜を除去するには、クリーニング処理をどの位の長さ実行すればよいか、予め決めておく。そして、実際にウエハを連続処理する時には、例えばウエハを25枚処理する毎に上述のよう定められたクリーニング処理期間でもって、クリーニング処理を実行することになる。
【0005】
上記クリーニング処理期間を定める方法には、例えばウエハを25枚成膜処理した処理チャンバーをクリーニング処理する際、処理チャンバーに設けた覗き窓から載置台の上面を観察していると、載置台表面の不要な膜が略完全に除去された瞬間に、載置台表面の色が、膜の色から載置台の構成材料の色へ瞬時に変化するので、この時、載置台表面の不要な膜が略完全に除去できたことを認識することができる。
尚、上述のように載置台の表面が堆積した膜の色から載置台の構成材料の本来の色へ瞬時に変化する時点を、”ジャストエッチ”と称する。
【0006】
実際のエッチング処理では、上記したジャストエッチの時期でエッチング処理を終了するのではなく、他の部分にも、例えば載置台表面よりも除去が困難な部分にも不要な膜が付着しているのでこの部分の不要な膜も完全に除去するために、ジャストエッチ時点よりも更に所定の期間だけエッチング処理を延長して継続し、そして、エッチング処理を終了することになる。この延長期間は、クリーニング処理開始からジャストエッチ時点までに要した時間の略1/2倍程度である。従って、クリーニング処理の開始からジャストエッチ時点まで300秒を要したとすれば、更に150秒継続して行い、結局、クリーニング処理は全体で450秒間行ってエッチング処理の終点時点となる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、多数枚のウエハを連続処理する時には、予め定めた規定枚数、例えば25枚成膜処理する毎に、上述のようにクリーニング処理を行えばよいが、実際には、25枚よりも少ない処理枚数、例えば数枚のウエハを成膜処理しただけで成膜装置を長時間のアイドリング状態にしなければならない場合等がたびたび生じ、この場合には長時間のアイドリングにより付着膜が変質等する恐れがあるので、アイドリング状態に入る直前に、上述したようなクリーニング処理を必ず実行しなければならない。
この場合、処理チャンバー内で付着している不要な膜の厚さは、予定された膜厚よりも遥かに薄いので、前述した規定の長さのクリーニング処理を実行することにより、チャンバー内の構造物、例えば載置台、シールドリング、シャワーヘッド構造等の表面が過度のエッチングで削られたり、その部材表面への腐蝕のダメージ等を受けてしまう場合も生じ、これらの構造物の寿命を短くしてしまう、といった問題があった。そして、上記構造物の交換の頻度が高まれば、その分、部品等を交換する等のメンテナンス回数が増え、装置の稼働率が低下し、スループットが低下する、といった問題もあった。
【0008】
更には、余分なクリーニング処理を行う結果、比較的高価なクリーニングガスを多量に消費する、といった問題もあった。
これに対して、クリーニング処理を行う前のウエハ処理枚数に応じて、クリーニング処理期間も適宜変更させるようなプログラムを作成することも考えられるが、この場合には、プログラム数が多くなるのみならず、既存のプログラムに対して大幅な変更を余儀なくされ、結果的にオペレータが実行する事になるので現実的ではない。
本発明は、以上のような問題点に着目し、これを有効に解決すべく創案されたものである。本発明の目的は、クリーニング処理開始前の被処理体の処理枚数に関係なく、ジャストエッチの時点を自動的に確実に把握することにより、エッチング処理の適正な終点時点を決定して、処理チャンバー内に堆積した不要な膜をクリーニングすることが可能な処理装置及びクリーニング方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者等は、クリーニング処理の方法について鋭意研究した結果、パーティクルの発生量とジャストエッチの時点との間に相関関係が存在し、パーティクル計測手段を用いることによりジャストエッチの時点を自動的に認識することができる、という知見を得ることにより、本発明に至ったものである。
請求項1に規定する発明は、真空引き可能になされた処理チャンバーと、所定の処理が施される被処理体を載置する載置台と、前記処理チャンバーへ必要なガスを供給するガス供給手段と、途中に真空ポンプが介設されて前記処理チャンバー内の雰囲気を真空引きする排気系とを有す処理装置において、排気ガス中に含まれるパーティクル数を計測するために前記排気系に設けられたパーティクル計測手段と、前記処理チャンバー内にクリーニングガスを流してクリーニング処理を行う時に前記パーティクル計測手段の計測値に基づいて前記クリーニング処理の終点時点を決定するクリーニング終点決定手段とを備えたことを特徴とする処理装置である。
【0010】
このように構成することにより、排気系に設けたパーティクル計測手段により処理チャンバーより排気されたパーティクル数を計測し、このパーティクル数が経時的にピークを迎えた後に、減少して所定量より少なくなった時をジャストエッチ時点であると自動的に認識し、これによりクリーニング処理の終点時点を適切に設定することが可能となる。
従って、クリーニング処理を実行する前の被処理体の処理枚数に関係なく、過度に長くクリーニング処理を実行することを防止できるので、チャンバー内の構造物の寿命が短くなるのを防止できるのみならず、クリーニングガスの無駄な消費も抑制することが可能となる。
【0011】
この場合、例えば請求項2に規定するように、前記クリーニング終点決定手段は、前記パーティクル計測手段の計測値が、所定のパーティクル閾値以下であるか否かを判断するパーティクル数判断部と、前記パーティクル数判断部の出力に基づいて前記計測値が所定の閾値以下の状態になっている継続時間を測定する低パーティクル数継続時間計測部と、前記計測部の出力に基づいてジャストエッチ時点を決定するジャストエッチ時点決定部と、前記ジャストエッチ時点までのクリーニング処理期間に基づいてオーバエッチング期間を決定するオーバエッチング期間決定部と、前記オーバエッチング期間に基づいてクリーニング処理の終点時点を決定する終点決定部とを有している。
また、例えば請求項3に規定するように、前記ジャストエッチ時点は、前記載置台の表面の大部分の不要な膜が略除去された時点である。
また、例えば請求項4に規定するように、前記排気系は、複数の排気管を有しており、この複数の排気管の内の少なくともいずれか一本に前記パーティクル計測手段が設けられる。
【0012】
また、例えば請求項5に規定するように、前記所定の処理は、前記被処理体の表面に薄膜を堆積させる成膜処理である。
請求項6に規定する発明は、上記処理装置を用いて行なわれるクリーニング方法を規定した方法発明であり、すなわち、真空引き可能になされた処理チャンバーと、所定の処理が施される被処理体を載置する載置台と、前記処理チャンバーへ必要なガスを供給するガス供給手段と、途中に真空ポンプが介設されて前記処理チャンバー内の雰囲気を真空引きする排気系とを有す処理装置のクリーニング方法において、前記処理チャンバー内へクリーニングガスを流した時に前記排気系内を流れる排気ガスのパーティクル数を連続的に計測する工程と、前記パーティクル数の計測値に基づいてクリーニング処理の終点時点を決定する工程とを有することを特徴とするクリーニング方法である。
【0013】
この場合、例えば請求項7に規定するように、前記エッチング処理の終点時点を決定する工程は、前記パーティクル数が所定の閾値以下となっている継続時間を測定するステップと、前記継続時間に基づいてジャストエッチ時点を決定するステップと、前記ジャストエッチ時点までのクリーニング処理期間に基づいてオーバエッチング期間を決定するステップと、前記オーバエッチング期間に基づいてクリーニング終点時点を決定するステップとを有する。
【発明の効果】
【0014】
本発明の処理装置及びそのクリーニング方法によれば、次のように優れた作用効果を発揮することができる。
本発明によれば、排気系に設けたパーティクル計測手段によりパーティクル数を計測し、このパーティクル数がピークを迎えた後に、減少して所定量より少なくなった時をジャストエッチ時点であると認識し、これによりクリーニング処理の終点時点を適切に設定することができる。
従って、クリーニング処理を実行する前の被処理体の処理枚数に関係なく、過度に長くクリーニング処理を実行することを防止できるので、チャンバー内の構造物の寿命が短くなるのを防止できるのみならず、クリーニングガスの無駄な消費も抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について詳細に説明する。
図1は、パーティクル計測手段を搭載する本発明の処理装置の構成例を示す図、図2は処理チャンバー内の透過窓と排気口との位置関係を示す平面図、図3はパーティクル計測手段の取り付け状態を示す図、図4はクリーニング終点決定手段を示すブロック構成図、図5はクリーニング処理の終点時点を決定する原理を説明するための説明図である。本実施例では、処理装置として、被処理体となる半導体ウエハ(以下、ウエハと称する)に対して成膜処理を施すCVD装置を一例にとって説明する。勿論、他にもスパッタリング装置やエッチング装置等のクリーニング処理を必要とする全ての処理装置についても同様に適用できる。また、ここではCVD装置及びパーティクル計測手段として本出願人が特開2001−59808号公報にて先に開示したものを用いる。
すなわち、図示するようにこのCVD装置2は、大別して、ウエハWに対して成膜ガスによる成膜処理を行う処理ユニット4と、この処理ユニット4内の大気や成膜ガスを排気する排気系6とで構成され、この排気系6を流れる排気ガス中のパーティクル数を計測するパーティクル計測手段8が設けられている。このパーティクル計測手段8は、計測本体10と、この動作を制御する制御・処理部12とを有している。この制御・処理部12は、処理装置全体を制御するシステム制御部(図示せず)に組み込まれていてもよいし、別個であってもよい。そして、このパーティクル計測手段8に、後に詳述するクリーニング終点決定手段14が接続されている。
【0016】
上記処理ユニット4は、例えばアルミニウム(Al)等により円筒状或いは箱状に成形された処理チャンバー16を有している。この処理チャンバー16内には、処理チャンバー底部から上方に延びる円筒状のリフレクタ18を配置している。また、このリフレクタ18の外周には、同心状の筒状の支持コラム54が設けられており、この支持コラム54上にウエハWを装着する載置台20が取り付けられている。上記リフレクタ18は、熱線反射性の材料として例えば、表面が鏡面コートされたアルミニウムにより形成されており、また載置台20は厚さ1mm程度のカーボン素材や窒化アルミニウム(AlN)、黒AlN等の熱線吸収及び熱伝達率の高いセラミック部材等により形成されている。
【0017】
この載置台20の下方には、同時に上下移動する複数本、例えば3本のリフタピン22(図示例では2本のみ示す)が配置されており、図示しない駆動系により、リフタピン22を載置台20に設けたリフタピン穴24を通り抜けてウエハWを下面から持ち上げるようになっている。このウエハWは、これらのリフタピン22にリフトアップされ、図示しないアーム等を有する搬送機構との受け渡しにより、処理チャンバー内外への搬送が行われている。また、このリフタピン22には、これと一体的に、棒状のクランプ支持部23が形成されると共に、この上端にはクランプリング25を取り付け、ウエハWの周縁部を載置台20に押圧固定するようになっている。これにより、処理空間Sと載置台20の下側との間が気密にされ、ウエハWの裏面や載置台20の下側に成膜ガスが回り込んで成膜されるのを防止できる。
【0018】
さらに、載置台20直下の処理チャンバー底部には、石英等の熱線透過材料よりなる透過窓28がチャンバー内を気密するように設けられている。さらにその下方には、透過窓28を囲むように箱状の加熱室30が設けられている。
この加熱室30内には、加熱源として複数個の加熱ランプ32が反射鏡も兼ねる回転台34上に取り付けられている。この回転台34は、回転軸によりモータ36へ連結されており、モータ36の回転に従い回転される。この回転により、ウエハWへの加熱を均一的に行うことができる。
【0019】
この加熱ランプ32より放出された加熱用光は、透過窓28を透過して載置台20の下面側から照射して、ウエハW裏面を加熱する。尚、加熱源としては、加熱ランプ32に換わって、載置台20に抵抗加熱ヒータを埋め込んでもよい。
また載置台20と対向する処理チャンバー天井部には、成膜ガス等の処理ガスを処理チャンバー16内へ導入するための多数のガス噴射孔38を有するガス供給手段としてのシャワーヘッド部40が設けられている。このシャワーヘッド部40は、例えばアルミニウム等により円形箱状に成形され、図示しないガス導入系に接続してガス供給を行うためのガス導入口41、42、43が設けられている。そして、この内の2つのガス導入口41、42には、それぞれの成膜ガスが供給されてガス混合部45で混合され、この下方の拡散室47へ導入するようになっている。また、この拡散室47内には多数の拡散孔を有する拡散板27が設けられており、導入された混合ガスを拡散するようになっている。また、残りのガス導入口43には、クリーニングガス供給管44が接続される。このクリーニングガス供給管44には、流量制御器46及び開閉弁48が順次介設されており、クリーニング処理時に、クリーニングガスとして例えばClF ガスを流し得るようになっている。従って、このシャワーヘッド部40の上記ガス導入口41、42、43より供給された各ガスは、シャワーヘッド部40内の拡散室47内に流れて拡散板27で拡散された後に、ガス噴射孔38より処理空間Sへ噴射される。
【0020】
また、上記載置台20の外周側には、シールドリング26が設けられると共に、更にその外周には多数の整流孔50を有するリング状の整流板52が、環状に成形された支持コラム54により上下方向で支持されている。そして、この支持コラム54の側壁には、貫通孔57を設けて、そこにリリーフバルブ29を取り付けており、ウエハWの上下間の圧力調整を行うようになっているので、ウエハWの搬出入時に載置台20の下の圧力と処理空間Sとの間の差圧をなくしてウエハWのバタツキが生じないようにしている。また、上記整流板52の下方のチャンバー底部には、複数の排気口56が設けられる。
図2は図1の処理チャンバー内の透過窓と排気口との位置関係を示す平面図である。この図2に示すように、本実施例では、排気口56が底部周辺部に沿って略均等な間隙で4つ配置されており、各排気口56には排気ポート58が設けられている。
そして、この排気ポート58は、図示しないカップリングによりガスケット又は溶接等を介在させて排気系6の一部となる各排気管60へ気密に接続される。
【0021】
これらの排気管60は、立ち上がり部分が直管形状となっており、排出側が1つに集合されて比較的直径が大きい集合管62に接続される。この集合管62内には、処理チャンバー16内の圧力を調整するために例えばバタフライバルブ64が設けられている。この集合管62の排出側には、ターボモリキュラポンプ等の真空ポンプ66が接続され、さらにこの真空ポンプ66の排出側には、比較的直径が大きい主排気管68が接続される。チャンバー内の大気や成膜ガス等は、この真空ポンプ66でチャンバーから主排気管68を通じて外部へ排出される。
そして、このようなCVD装置の4つの排気管60のうちの1本或いは複数本の途中にそれぞれ、前述したようにパーティクル計測装置8の計測本体10を取り付けている。
【0022】
ここで、このCVD装置による成膜処理について説明する。
まず、処理チャンバー16の側壁に設けたゲートバルブGを開いて図示しない搬送アームにより処理チャンバー16内にウエハWを搬入し、上昇されたリフタピン24にウエハWを受け渡し、搬送アームを退去させてゲートバルブGを閉じる。そして、リフタピン24を降下させてウエハWを載置台20上に載置すると共に、クランプリング25の内側周縁部でウエハWの外周縁部を押さえた後、処理チャンバー16内の大気を排気系6で排気するが、この際、リリーフバルブ29の作動により、載置台20の下側の圧力とウエハW側の圧力差が小さくされて排気される。これは処理チャンバー16内を排気する際にウエハWのバタツキを防止して、パーティクルの発生を抑制するためである。
【0023】
次に、図示しない処理ガス源から処理ガスとして、各種のガスをシャワーヘッド部40へ供給する。例えばガス導入口42へはWF ガス(成膜ガス)とN ガスを供給し、ガス導入口41へはSiH ガスとH ガスを供給する。各ガスはガス混合部45にて混合され、拡散室47にて拡散板27の拡散孔を介して拡散され、そして、ガス噴射孔38から処理空間Sへ略均等に供給される。
この供給された成膜ガスも各排気口56から排気系6側へ吸引排気されて、処理チャンバー16内を所定の真空度に設定される。且つ回転台34を回転させながら加熱ランプ32を発光させて、載置台20の裏面側を加熱用光を照射して加熱する。そして、載置台20が加熱される事によって、ウエハWを迅速に所定の温度、例えば350〜700℃まで昇温させて維持する。
このような処理チャンバー16内の雰囲気において、成膜ガスは所定の化学反応が生じ、例えばW(タングステン)膜がウエハW表面に堆積する。
【0024】
また、処理チャンバー16内の成膜ガスは、排気ガスとして各排気口56から排気管60内を流下して集合管62内で全て合流し、更に、バタフライバルブ64で圧力調整されながら真空ポンプ66を通過して、主排気管68より系外へ排出される。ここで、排気ガス中に含まれるパーティクル数は、パーティクル計測手段8により計測される。
また、ウエハWがこのように、連続的、或いは間欠的に処理されて行くと、定期的(例えば25枚処理する毎)、或いは不定期的にクリーニング処理を行う指令が、例えば図示しないホストコンピュータ等より出される。このクリーニング処理は、ClF ガスを、クリーニングガス供給管44を介して処理チャンバー16内へ供給することにより行われ、これにより、処理チャンバー16の内壁やチャンバー内の構造物、例えば載置台20、シールドリング26、シャワーヘッド部40等の表面に付着している不要な膜を除去する。そして、このクリーニング処理の途中においても、クリーニング処理の終点時点を決定するために、排気ガス中に含まれるパーティクル数が、パーティクル計測手段8により計測される。
【0025】
次に、パーティクル計測手段8とクリーニング終点決定手段14について説明する。
まず、このパーティクル計測手段8の計測本体10は、図3に示すように、非常に細いビーム状のレーザ光Lを照射するレーザ素子を有するレーザ光照射部70と、排気管60の中心軸72を通って上記レーザ光照射部70と対向する側に配置されるストッパ部材74と、レーザ光Lの照射方向に対して略直交する方向の管壁に設けられた受光素子等よりなる散乱光検出部76とで構成される。ここで、前記レーザ素子は、小型化されたGaAlAs等の半導体レーザ素子を用いており、その出力は数W〜数十Wの出力のものが適正である。ここで半導体レーザ素子としては、高出力のYAGレーザを用いる事もできる。
【0026】
このレーザ光照射部70は、照射するレーザ光Lがチャンバー中心軸78とこの排気管60の中心軸72(図1参照)の断面中心点Oを結ぶ線分に沿うように管壁に設けられている。
また、照射されたレーザ光Lが断面中心点Oを通過してチャンバー中心軸78の位置する方向に向かうのであれば、照射方向はどの方向でもよい。但し、散乱光検出部71との相対的な位置関係は維持される。
そして、ストッパ部材74は、レーザ光Lを吸収することにより、レーザ光Lが排気管60内への例えば乱反射が発生しないようにしている。
【0027】
そして、図3に示すようにレーザ光Lの照射方向に対して略直交する方向の管壁には、例えば受光素子等よりなる散乱光検出部71が設けられており、排気ガス中に含まれるパーティクルPにレーザ光Lが照射されることにより発生する散乱光SLを受光し得るようになっている。そして、散乱光検出部71の中心は、断面中心点72に向かわず、図3に示すようにオフセットされたオフセット距離H3に配置される。そして、この散乱光検出部71の出力は、上記制御・処理部12へ供給され、ここで単位時間当たりのパーティクル数が計測される。ここでは、単位時間として0.1秒以上で設定可能であるが、ここでは例えば2秒が設定され、2秒毎のパーティクル数が測定値として上記クリーニング終点決定手段14へ向けて出力される。このクリーニング終点決定手段14の出力は、このCVD装置2の全体の動作を制御する装置ホストコンピュータ79へ出力され、例えば開閉弁48を制御する。
尚、予め制御するパラメータを組込んだ制御系を設けてもよい。このパラメータとしては、膜厚計測、圧力計、成膜ガス濃度、成分、膜質計測等の手段をチャンバー搬送系、搬出系に設けて最適な成膜形成方法も行うことが可能である。
【0028】
次に、図4及び図5も参照してクリーニング終点決定手段14について説明する。
図5に示すように、処理チャンバー16内にClF ガスを流して、クリーニング処理を開始すると、しばらくして多量にパーティクルが発生し、このパーティクル数が略数個程度まで減少した時点が、後述するように略ジャストエッチ時点になるので、この時点を自動的に検出して、これに基づいてクリーニング処理の終点を決定することになる。
図4に示すように、このクリーニング終点決定手段14は、前記制御・処理部12からの計測値を入力し、この計測値が、所定のパーティクル閾値以下であるか否かを判断するパーティクル数判断部と、上記パーティクル数判断部の出力に基づいて前記計測値が所定の閾値以下の状態になっている継続時間を測定する低パーティクル数継続時間計測部80と、この計測部80の出力に基づいてジャストエッチ時点を決定するジャストエッチ時点決定部82と、このジャストエッチ時点までのクリーニング処理期間に基づいてオーバエッチング期間を決定するオーバエッチング期間決定部84と、このオーバエッチング期間に基づいてクリーニング処理の終点時点を決定する終点決定部86とにより主に構成されている。 このクリーニング終点決定手段14は、例えばマイクロコンピュータ等よりなり、上記各部の動作はソフトウエア的に実行され、また、この動作は制御部89により制御される。
【0029】
本実施例では、前述したように単位時間として例えば2秒間隔でパーティクル数が計測されて、その計測値が制御・処理部12から出力されて、上記パーティクル数判断部81へ入力される。このパーティクル数判断部81では、パーティクル数が閾値、例えば10個よりも少ないか否かが判断される。そして、その判断結果は次の低パーティクル数継続時間計測部80へ入力されている。
ここで、この低パーティクル数継続時間計測部80は、パーティクル数が所定のパーティクル閾値、例えば10個以下である状態が継続した時間、すなわち低パーティクル数継続時間を出力する。尚、この時のパーティクル数の閾値”10個”の値は単に一例を示したに過ぎず、これに限定されず、1個以上で設定可能である。
また、上記ジャストエッチ時点決定部82は、上記低パーティクル数継続時間が所定の時間閾値、例えば16秒間(8単位時間に相当)以上継続しているか否かを決定し、この時間閾値以上になった時点で、その時点よりも、その時間閾値の時間だけ、すなわち16秒間だけ遡った時点をジャストエッチ時点であると決定する。
尚、上記時間閾値の時間、すなわち、16秒間経過した時の時点を、ジャストエッチ時点としてもよい。その時間閾値は、単に一例を示したに過ぎず、これに限定されず、例えば1〜300秒程度である。好ましくは、1〜60秒程度である。
【0030】
次に、上記オーバエッチング期間決定部84は、上記ジャストエッチ時点までのクリーニング処理期間Tに所定の係数kを乗算することによりオーバエッチング期間を定める。この係数kは、堆積膜の膜種や温度やクリーニングガス流量などのクリーニング条件により予め定められているが、通常は0.1〜1程度の範囲であり、好ましくは0.2〜0.6、本実施例では係数kとして例えば”0.5”を設定している。
次に、終点決定部86は、上記オーバエッチング期間が定められたならば、上記ジャストエッチ時点に、更に、オーバエッチング期間(k・T)を加えた時点がクリーニング処理の終点であると認識し、そして、上記ジャストエッチ時点からオーバエッチング期間だけ経過した時に、クリーニングガスの供給を停止するために開閉弁48と閉じるような動作を行うことになる。
【0031】
上述したクリーニング処理の終点決定の動作は、図5に示すように、クリーニングガスであるClF ガスの供給を開始した後のしばらくの間は、パーティクルはほとんど生じないので、一旦、パーティクル数の閾値以上のパーティクル数が検出された後に、開始するように制御する。
ここで、ジャストエッチ時点とパーティクル数の増減との相関関係を実際に検討したので、図6を参照してその検討結果について説明する。
図6(A)は5枚の半導体ウエハにWSi膜の成膜処理を行った後に、クリーニング処理を行った時のパーティクル数の増減を示し、図6(B)は25枚の半導体ウエハにWSi膜の成膜処理を行った後に、クリーニング処理を行った時のパーティクル数の増減を示す。
【0032】
ここではクリーニングガスとしてClF ガスを用い、また、処理チャンバー内の載置台の表面を、このチャンバー壁に設けた覗き窓を介して観察しており、この載置台の表面の色が変化した時点をジャストエッチ時点としている。尚、図6(A)と図6(B)とでは縦軸のスケールが異なる点に注意されたい。また、横軸の時間の数値は、時・分・秒を表している。
図示するように、ClF ガスを供給してクリーニング処理を開始すると、50秒程度はパーティクルがほとんど発生しない。これは、クリーニングガスの開閉弁48(図1参照)が開になってからクリーニングガスが処理チャンバー16に入るまでのタイムラグと考えられる。そして、50秒程度を経過した時点からパーティクルが急激に発生し、そして、一旦ピークとなった後に減少に転ずる。この時、図6(B)に示すウエハ25枚処理の場合には、1回大きなピーク値を突発的に検出した後に、10秒程度の間、パーティクルが非常に減少し、その後、再度、パーティクル数は増加して第2のピークとなり、その後、パーティクル数は徐々に減少している。この様に、付着膜厚によっては、計測パターンが異なるため、前述したようにジャストエッチ時点決定部82において、例えば単位時間(2sec)当たりのパーティクル数が10個以下の検出状態を16sec間程度継続した時点をジャストエッチ時点とするようにしてもよい。
【0033】
そして、図4にて説明したような条件で、すなわち、10個以下のパーティクル数の検出状態が16秒間継続した時に、その時よりも16秒前に遡った時点を、パーティクル計測手段8により定められるジャストエッチ時点とした。
この結果、図6(A)に示す場合には、ジャストエッチの時点は目視の時はクリーニング開始から57秒であり、パーティクル計測手段8の場合は54秒であり、その差は僅か3秒であった。
また、図6(B)に示す場合には、ジャストエッチの時点は、目視の時はクリーニング開始から135秒であり、パーティクル計測手段8の場合は134秒であり、その差は僅か1秒と、略相関がとれていた。
【0034】
このように、上述のようにパラメータ計測手段8を用いて決定されるジャストエッチ時点は、目視の場合に決定されるジャストエッチ時点と略同じ時点であり、略正確に、且つ自動的にジャストエッチ時点を決定できることが確認できた。すなわち、クリーニング開始前におけるウエハ処理枚数に関係なく、クリーニングガスによってエッチングされてパーティクルが発生した時間を計測し、これに基づいて自動的に正確にオーバエッチング時点を決定することができることになる。
従って、前述のように、このジャストエッチ時点を起点として、決定されたオーバーエッチングの時間、つまり所定の時間オーバエッチング処理を実行すれば、ウエハ処理の枚数に関係なく、また、オペレータによる操作等をしなくても、予め装置ホストコンピュータ、APC(Advanced Process Control)制御系に設定しておけば過不足のないクリーニング処理を常に実行できることになる。
【0035】
ここで、図7を参照して、エッチング終点時点の決定プロセスをより詳しく説明する。
まず、図示しないホストコンピュータ等よりクリーニング処理開始の指令が発せられると、クリーニングプログラムがスタートし(S1)、これにより、処理チャンバー16(図1参照)内へクリーニングガスの供給が開始される(S2)。そして、クリーニング処理の経過時間の計測も開始される。
次に、クリーニングガスの供給の開始後、初期時間t1(図5参照)が経過したか否かを判断する(S3)。これは、クリーニングガスの供給を開始しても直ちにパーティクルが発生するのではなく、クリーニングガスが処理チャンバー内に供給されてもしばらくはパーティクルが発生しないからであり、この間のパーティクル計測を行わないようにするためである。この初期時間t1は、クリーニングガスの供給量等にもよるが、例えば1〜120sec程度である。尚、この初期時間t1の間にもパーティクル計測を行っても、その計測値に基づくこれから説明する演算処理を行わなければ問題は生じない。
【0036】
そして、初期時間t1が経過したならば、パーティクル計測手段8により排気ガス中のパーティクル数の計測が開始される(S4)。この時点、すなわち初期時間t1が経過した時点においては、図5にも示すように、十分に多量のパーティクル数がクリーニング処理により発生している状態となっている。従って、この時のパーティクル数の計測値は確実に10個よりも遥かに大きな値となる。このパーティクル計測手段8の計測値は、クリーニング終点決定手段14のパーティクル数判定部81へ入力されて、パーティクル数が10個以下か否かが判断される(S5)。
次に、この判断結果が低パーティクル数継続時間計測部80へ入力され、パーティクル数が10個以下の場合には、直前の計測値もパーティクル数が10個以下か否かが判断される(S6)。ここで、NOの場合、すなわち直前の計測値でパーティクル数が10を越えて大きい場合には、ここでパーティクル数が初めて閾値よりも低下したことを意味するので、この時点がジャストエッチ時点になる可能性があることになるこから、クリーニングガスの供給開始から現時点までの経過時間Tを記憶する。この経過時間Tは、パーティクル数の計測値が一旦10個以下になって、再度10個以上になった後に再び10個以下になった時には、その値が、更新される。
【0037】
そして、次にパーティクル数の計測値が閾値(10個)以下の状態が所定の時間(16sec)継続したか否かが判断される(S8)。この判断は、上記ステップS6において、NOの場合、すなわちパーティクル数の計測値が連続して閾値以下の場合にも、ステップS7を経由しないで実行される。そして、このステップS8において、NOの場合、すなわち例えばパーティクル数の計測値が10個以下となる低パーティクル数継続時間が16sec以下の場合には、上記ステップS5へ戻り、パーティクル数の計測が継続される。換言すれば、ステップS5、S6、S7、S8で、パーティクル数の計測値が10個以下となる低パーティクル数継続時間が計測されることになる。そして、低パーティクル数継続時間が所定の時間閾値、例えば16秒間続いたか否かが判断され(S8)、その時間が16秒間続いた時には、その時よりも16秒間遡った時点をジャストエッチ時点として決定する(S9)。ここでステップS5、S6、S7、S8で上記低パーティクル継続時間計測部80及びジャストエッチ時点決定部82を構成する。
【0038】
そして、この16秒間遡ったときまでのクリーニング処理時間は先に記憶した時間Tである。尚、前述したように16秒間遡らないで、低パーティクル数状態が16秒間続いた時点を、ジャストエッチ時点としてよい。そして、この結果に基づいて、オーバエッチング期間決定部84では”クリーニングエッチング期間T・係数k”を実行することによりオーバエッチング期間を決定する(S10)。そして、このオーバエッチング期間に基づいて、終点決定部86はエッチング処理の終点時点を決定する(S11)。そして、クリーニング処理の終点時点に達したならば(S12)、上記クリーニングガスの供給を停止し(S13)、エッチング処理を終了することになる。尚、測定するパーティクルのサイズは、制御・処理部12にてパラメータを選択的に設定することにより、0.01μm以上の範囲内で種々選択できる。
【0039】
このようにして、前述したように、クリーニング処理の開始前におけるウエハ処理枚数に関係なく、適正で、且つ略正確なジャストエッチ時点を求めることができ、これに基づいてクリーニング処理の終点時点を決定し、予め装置ホストコンピュータ又はAPC制御系に設定しておくことで、常に過不足のない、オペレータによる操作等しなくて、自動的に適正な時間でのクリーニング処理を行うことができる。
従って、処理チャンバー内及びその構造物へのダメージを小さくする事ができ、長寿命化を図ることができ、しかも、高価なクリーニングガスを無駄に消費することも防止することができる。
【0040】
ここでは不要なWSi膜のクリーニング処理を例にとって説明したが、これに限定されず、どのような膜種のクリーニング処理時にも本発明を適用することができ、例えばTi膜、W膜、WN膜、TiN膜、Ta膜、TaOx膜、SiO 膜、SiN膜、SiON膜、TaN、HfO 、ZrO 、PaO 等のクリーニング処理時にも本発明を適用できる。
また、クリーニングガスに関してもClF ガスに限定されず、NF 、ClF、HF等の他のクリーニングガスでも本発明を適用できる。
また、ここでは、被処理体として半導体ウエハを例にとって説明したが、これに限定されず、ガラス基板、LCD基板、化合物半導体基板等の場合にも、本発明方法を適用することができる。
【0041】
<第1の変形例>
次に、TiN膜を形成する異なる形態の処理装置に本発明を適用した場合について説明する。
図8は本発明の処理装置の第1の変形例を示す構成図である。
すなわち、ここでは処理チャンバー90の底部の中心部を下方に凹部状に窪ませており、この凹部92の底部より支柱94を起立させ、この上端に、加熱ヒータ(図示せず)が内蔵された載置台96を取り付けて設けている。載置台96及び支柱94はAlN等のセラミックからなる。そして、この載置台96に対向する処理チャンバー90の天井部に、シャワーヘッド部98を設けており、実際の構造は原料ガスであるTiCl ガスと還元ガスを含むが、NH 、N 、Arとは別々に流れるようにしたマトリックス構造である。そして、この載置台96の下方には、ウエハを押し上げるリフタピン100が、チャンバーの下方に設けたアクチュエータ102により昇降可能に設けられ、TiCl ガス及び反応副生成物NH Clが液化、又は付着しないように例えば150〜170℃程度に加熱されている。
【0042】
また、処理チャンバー90の底部には、ペルチェ素子104と冷却ジャケット106とよりなる温度制御機構が設けられて、TiCl ガス及び反応副生成物NH Clが液化、又は付着しないように例えば150〜170℃程度に加熱されている。そして、上記支柱94内には加熱ヒータ用の配線108や熱電対配線110が設けられる。また、上記凹部92の底部側壁には、図示しない真空ポンプが介設される排気管112が接続されており、この排気管112に、先の実施例で説明したパーティクル計測手段8の計測本体10を設け、更に制御・処理部12、クリーニング終点決定手段14を設けるようにしてもよい。尚、上記凹部92の上端には、多数の通気孔を有するバッフルプレート114が設けられている。この様に、TiCl ガスとNH とN ガスをシャワーヘッド部98より処理チャンバー90内に供給して、所望の温度に加熱した載置台96上に配置されたウエハ表面上にTiNを成膜させる。
【0043】
WSi成膜の実施例のように、処理チャンバー内の不要な膜のクリーニングの際に、パラメータ計測手段8を設けてあるので、前述したように、クリーニング処理の開始前におけるウエハ処理枚数に関係なく、適正で、且つ略正確なジャストエッチ時点を求めることができ、これに基づいてクリーニング処理の終点時点を決定し、予め装置ホストコンピュータ又はAPC制御系に設定しておくことで、常に過不足のない、オペレータによる操作等しなくて、自動的に適正な時間でのクリーニング処理を行うことができる。
従って、処理チャンバー内及びその構造物へのダメージを小さくする事ができ、長寿命化を図ることができ、しかも、高価なクリーニングガスを無駄に消費することも防止することができる。
この第1の変形例では、1本になされた排気管112にパーティクル計測手段8を設けているので、排ガス中のパーティクル数を、より正確に捉えることが可能になる。
【0044】
<第2の変形例>
次は、プラズマCVDによりTi膜を形成するような処理装置に本発明を適用した場合について説明する。
図9は本発明の処理装置の第2の変形例を示す構成図である。
すなわち、ここでは処理チャンバー120の天井部に設けられるシャワーヘッド部122内は、原料ガスのTiCl ガス、Arガス及びクリーニングガスのClF ガス用の空間126と還元ガスのH ガス及びNH ガス用の空間124とに分離区画されており、原料ガスと還元ガスは、処理チャンバー120内に噴射するまで混ざらないで、上記各空間126、124を介して噴射孔、bより供給される。いわゆるポストミックス構造(マトリックス構造)のシャワーヘッド部122が用いられている。そして、各空間124、126はそれぞれ配管130、132と接続され、シャワーヘッド部122に450kHz〜60MHzの周波数のRF電力を供給した際の絶縁用として働き、処理チャンバー120内に、安定してプラズマを生成させる。そして、このシャワーヘッド部122には、マッチング回路134を介して高周波電源136が接続されており、このシャワーヘッド部122を上部電極としている。このシャワーヘッド部122は、アルミナよりなるリング状の絶縁物138を介して処理チャンバー120の天井部に支持される。
【0045】
また、シャワーヘッド部122の側面側には、例えば石英よりなるリング状の詰物140が配置されている。そして、このシャワーヘッド部122の上面にはヒータ142が設けられており、これを所望の温度、例えば100〜200℃で成膜ガス(TiCl ガス)が液化しないように加熱するようになっている。そして、シャワーヘッド部122の上側にはAl 等のセラミック又は樹脂等からなる断熱材144が設けられており、この上下の空間に冷却用の空気を供給できるようになっている。そして、シャワーヘッド部122の温度を適正な温度、例えば50〜500℃に制御可能である。また、このシャワーヘッド部122で上方全体を覆うようにして、高周波漏れを防止するシールドボックス146が形成されている。尚、145はシャワーヘッド部122を加熱する埋め込みヒータが埋め込まれている。
【0046】
一方、下部電極を埋設する載置台147は、図8と同様に、チャンバー底部を凹部状に窪ませてなる凹部148の底部より起立させた支柱150の上端で支持されている。そして、上記凹部148の底部側壁には、図示しない真空ポンプが介設される排気管150が接続されており、この排気管150に、先の実施例で説明したパーティクル計測手段8の計測本体10を設け、更に制御・処理部12、クリーニング終点決定手段14を設けるようにしてもよい。
この様に、TiCl ガスとH 及びArガスを混合されないマトリックス構造のシャワーヘッド部128より処理チャンバー120内に供給して、所望の温度、例えば500〜700℃に加熱した載置台147を配置されたウエハ上にTiを成膜させる。
【0047】
WSi成膜の実施例のように、処理チャンバー内の不要な膜のクリーニングの際に、パラメータ計測手段8を設けてあるので、前述したように、クリーニング処理の開始前におけるウエハ処理枚数に関係なく、適正で、且つ略正確なジャストエッチ時点を求めることができ、これに基づいてクリーニング処理の終点時点を決定し、予め装置ホストコンピュータ又はAPC制御系に設定しておくことで、常に過不足のない、オペレータによる操作等しなくて、自動的に適正な時間でのクリーニング処理を行うことができる。
従って、処理チャンバー内及びその構造物へのダメージを小さくする事ができ、長寿命化を図ることができ、しかも、高価なクリーニングガスを無駄に消費することも防止することができる。
【0048】
<第3の変形例>
次は、処理装置として誘導結合プラズマ(ICP:Inductivelly Coupled Plasma)により自然酸化膜をエッチングする処理装置を一例にとって説明する。図10は本発明の処理装置の第3の変形例を示す構成図である。尚、この処理装置は本出願人が特願2001−1152号にて開示したものと略同じである。
図示するように、この処理装置726は、例えば天井部が開口された円筒体状のアルミニウム製の処理チャンバー728を有している。この処理チャンバー728の中心部には、その上面に被処理体である半導体ウエハWを載置する例えば窒化アルミ(AlN)等のセラミックよりなる円板状の載置台730が設置されている。この載置台730内には、必要に応じて加熱手段としての抵抗加熱ヒータ732や高周波電圧を印加するためのバイアス電極734が予め埋め込まれている。
【0049】
そして、この載置台730には、これを上下方向に貫通した複数、例えば3つのピン孔736(図1中では2つのみ記す)が形成されており、各ピン孔736には下端が連結リング738により共通に連結された例えば石英製の押し上げピン740が遊嵌状態で収容されている。そして、この連結リング738は、処理チャンバー728の底部を上下動可能に貫通する昇降ロッド742により、押し上げ可能になされており、上記押し上げピン740を上下動してウエハWを持ち上げ、或いは持ち下げ得るようになっている。また、上記昇降ロッド742の容器底部の貫通部には、金属製の蛇腹状のベローズ744が設けられており、上記処理チャンバー728内の気密性を維持しつつこの昇降ロッド742の上下動を許容している。
尚、図示されていないが、載置台730の周縁部の上方には、プラズマをフォーカスして、プラズマを安定に維持し、エッチング時にウエハ周縁部や載置台周縁部をエッチングから保護するためのシャドウリングも上下動可能に設けられている。
【0050】
また、上記処理チャンバー728の天井開口部には、例えば石英等よりなる円筒体の有天井のドーム状チャンバー746がOリング等のシール部材748を介して気密に設けられている、そして、このドーム状チャンバー746の周囲には、十数ターン程度巻回された誘導結合プラズマ用の高周波コイル750が設けられており、この高周波コイル750には、マッチング回路752を介して例えば450kHz〜60MHzの誘導結合プラズマ用の高周波電源754に接続されている。
【0051】
そして、処理チャンバー728の上部側壁には、ウエハWの搬入・搬出時に開閉されるゲートバルブ756が設けられる。上記処理チャンバー728の天井開口部とドーム状チャンバー746の接合間には、周方向に沿ってガス供給手段757が配置され、このガス供給手段757は、環状溝759が形成され、この溝759と連通する、例えば20個程度のガス噴射孔758が形成されており、このガス噴射孔758は、ドーム状チャンバー746内に向かって、所定の角度、例えば20〜60°の角度で形成され、流量制御されたプラズマガス等の処理ガス、例えばH 、Ar、He、O 、N ガス及びその組合せを処理チャンバー728内へ供給し得るようになっている。
【0052】
そして、この処理チャンバー728の底部760の略中央部には、処理チャンバー728の内径が略362mm程度に対して、直径が略210mm程度の大口径の開口762が形成されている。そして、この開口762に、その下方(鉛直方向)へ実質的に直線上に延びる同じく大口径の排気管路764がOリング等のシール部材766を介して気密に接続されており、排気コンダクタンスをできるだけ大きくしている。
具体的には、この排気管路764は、上記底部760に接続される上部管764Aと、この下端に管径を調整するために直径が順次縮小された管径調整管764Bを介して接続される下部管764Cとにより主に構成されている。上記各管764B、764Cの接合部には、それぞれOリング等のシール部材765、768が介設されて気密性を保持している。そして、この下部管764Cの下端には、真空ポンプ798が接続されており、この真空ポンプ798の側部に設けた排気フランジ799には、Oリング等のシール部材770を介して後流排気管772が接続されている。
【0053】
そして、上記排気管路764の上部管764A内の実質的に略中心部には、上記載置台730を支持するための例えばアルミニウム製の載置台支持支柱774が、同軸状に設けられている。具体的には、この載置台支持支柱774は、上部中空パイプ部材774Aと、この下端部にOリング等のシール部材776を介して気密に接合される下部中空パイプ部材774Bとよりなり、上記上部中空パイプ部材774Aの上端に、上記載置台730の下面を気密に接合して、この載置台730を支持するようになっている。
このようにして、上記下部中空パイプ部材774Bとこの外側の上部管764Aとであたかも2重管構造のようになされており、この両部材間のドーナツ状の空間を排気ガスが流下するようになっている。そして、上記下部中空パイプ部材774Bの外周壁と上記上部管764Aの内周壁との間を接続するようにして、複数の、図示例では4つの取付板778が略等間隔で設けられており、この載置台730と載置台支持支柱774の全体荷重を支えるようになっている。
【0054】
また、これらの取付板778は、排気ガスの流れ方向(鉛直方向)に沿って設けられており、排気抵抗をできるだけ抑制するようになっている。
そして、上記載置台支持支柱774の下部中空パイプ部材774Bの下端は、上記上部管764Aを横方向へ貫通させてガス流れ方向に直交するように内部を横断して設けた中空状のライン取り出し管780に互いに連通状態で接合されている。そして、このライン取り出し管780によっても上記載置台730や載置台支持支柱774の荷重を受けるようになっている。そして、上記取付板778の下端は、上記ライン取り出し管780の外周壁の上端部分に接合されている。尚、このライン取り出し管780が十分に上記荷重を受ける得る程に強度を高く設定しておけば、上記取付板778の取り付けを省略するようにしてもよい。
【0055】
そして、上記ライン取り出し管780の上部管764Aに対する貫通部にはOリング等のシール部材782が介在されており、排気管路764内の気密性を保持している。また、このライン取り出し管780内や載置台支持支柱774内は、外気と連通して大気圧になされており、このライン取り出し管780内には、電力供給ラインとして、上記抵抗加熱ヒータ732へ接続されるヒータ線784や上記バイアス電極734へ接続される高周波線786が挿通されている。そして、このヒータ線784の他端はヒータ電源(図示せず)に接続され、また、上記高周波線786の他端はマッチング回路788を介して例えば13.56MHzのバイアス用の高周波を出力するバイアス用の高周波電源790に接続されている。
【0056】
また、上記載置台支持支柱774の上部中空パイプ部材774Aと下部中空パイプ部材774Bとの接合部には、ここに設けたシール部材776の熱損傷を防止するための冷却ジャケット792が設けられており、この冷却ジャケット792に冷媒を流すための冷媒循環路794も上記載置台支持支柱774内及びライン取り出し管780内に挿通されている。
そして、排気管路764の下部管764Cには、3位置ゲートバルブよりなる流路調整弁796が設けられており、この排気管路764の全開状態及び全閉状態も含めて流路面積を調整し得るようになっている。尚、この流路調整弁796として、上記ゲートバルブに代えて任意に流路面積を調整できるバタフライバルブ等を用いてもよい。
【0057】
そして、この下部管764Cには、この流路調整弁796の真下において例えばターボ分子ポンプ等よりなる真空ポンプ798が直接的に介在されている。この場合、この真空ポンプ798の吸入口798Aは、排気ガスの流れに対して直交するように配置されており、排気抵抗をできるだけ少なくするようになっている。図中、781は例えばプラズマを均一に被処理体全面に形成されるようにフォーカスする石英製のフォーカスリングである。このフォーカスリング78は、載置台周縁に埋め込まれたWDC検出電極が露出する穴が複数円周上に開口している。
そして、上記した下部管764Cや後流排気管772に、先の実施例で説明したパーティクル計測手段8の計測本体10を設け、更に、制御・処理部12、クリーニング終点決定手段14を設けるようにしてもよい。
【0058】
<第4の変形例>
次に、WF ガスとH ガス、SiH ガス、Arガス、N ガスを用いて熱CVDによりタングステン(W)膜を形成する処理装置に本発明を適用した場合について説明する。
図11は本発明の処理装置の第4の変形例を示す図、図12は図11に示す処理装置の内部を示す断面図、図13はガス導入部の分解斜視図、図14はシャワーヘッド部のガス導入部を示す拡大断面図である。この処理装置は、パーティクル計測手段やクリーニング終点決定手段を設けた点以外は特開平2001−322847号公報にて開示した装置と略同じである。
【0059】
まず、図11(A)は処理装置の正面図、図11(B)は同側面図をそれぞれ示す。
この処理装置200は、H 、SiH ガス、Arガス、N ガス及びWF ガスを用いて被処理体である半導体ウエハW上にタングステン膜を成膜するものである。この処理装置200は、図11(A)、(B)に示すように、本体202を有しており、この本体202の下部にはランプユニット204が設けられている。本体202の上部には後述する排気流路と連通する2本の上部排気管206が設けられ、これらの2本の排気管は、2本が合流する集合排気管部207を介して本体202の下部には前記上部排気管206と後述する排気流路を介して接続された下部排気管208が設けられている。この下部排気管208は、本体202の前部左側のコーナー部であって、ランプユニット204から待避した位置に設けられている。
【0060】
図12に示すように、本体202は、例えばアルミニウム等により有底円筒状に形成された処理チャンバー210を有しており、その上にリッド212が設けられている。処理チャンバー210内には円筒状のシールドベース214が処理チャンバー210の底部から立設されている。シールドベース214上部の開口には、環状のベースリング216が配置されており、ベースリング216の内周側には環状のアタッチメント218が支持され、アタッチメント218の内周側エッジ部に突出する突起部に支持されてウエハWを載置する載置台220が設けられている。リッド212には、載置台220上に載置されたウエハWと対向する位置に、後述するシャワーヘッド部222が設けられている。
【0061】
載置台220、アタッチメント218、ベースリング216およびシールドベース214で囲繞された空間内には、円筒状のリフレクター224が処理チャンバー210の底部から立設されており、このリフレクター224には例えば3箇所にスリット部が設けられ(図11にはこのうち1箇所を図示)、このスリット部にウエハWを載置台220から持ち上げるためのリフトピン226がそれぞれ昇降可能に配置されている。リフトピン226は、リフレクター224の外側に設けられた円環状の保持部材228および継ぎ手230を介して押し上げ棒242に支持されており、押し上げ棒242はアクチュエータ244に連結されている。また、リフトピン226は、熱線を透過する材料、例えば石英で構成されている。また、リフトピン226と一体的に支持部材246が設けられており、この支持部材246はアタッチメント218を貫通してその上方に設けられた円環状のクランプリング248を支持している。クランプリング248は、熱線を吸収しやすいアモルファスカーボンのようなカーボン系の部材や、Al 、AlN、黒色AlNのようなセラミックスで構成されている。
【0062】
このような構成により、アクチュエータ244が押し上げ棒242を昇降させることによって、リフトピン226とクランプリング248とは一体的に昇降する。リフトピン226とクランプリング248とは、ウエハWを受け渡しする際にはリフトピン226が載置台220から所定長さ突出するまで上昇され、リフトピン226上に支持されたウエハWを載置台220上に載置する際にはリフトピン226が載置台220に没入されるとともにクランプリング248がウエハWに当接して保持する位置まで下降される(図11参照)。
【0063】
また、載置台220、アタッチメント218、ベースリング216およびシールドベース214で囲繞された空間内には、パージガス供給機構250からのパージガスが、処理チャンバー210の底部に形成されたパージ流路252、およびこのパージガス流路と連通する、リフレクター224内側下部の8箇所に等配された流路252aを介して供給される。このようにして供給されたパージガスを、載置台220とアタッチメント216との隙間から径方向外方に沿って流出させることにより、後述するシャワーヘッド部222からの処理ガスが載置台220裏面側に侵入することを防止すると共に、ウエハWの周縁部(ベベル部)及び裏面側に成膜することを抑制している。
【0064】
更に、シールドベース214の複数箇所に開口254が設けられており、この開口254の内周側にはシールドベース214内外の圧力差が一定以上となった場合に動作して、シールドベース214内外を連通させる圧力調節機構256が複数設けられている。これにより、シールドベース214内外の圧力差が過大となってクランプリング248にバタツキが生じたり、いずれかの部材に大きな力が作用して破損したりすることを防止することができる。
【0065】
載置台220の真下の処理チャンバー210底部には、リフレクター224に周囲を囲まれた開口258が設けられており、この開口258には石英等の熱線透過材料よりなる透過窓260が気密に取り付けられている。透過窓260の表面にはサファイヤコーティングが形成されている。そして、上記ランプユニット204は透過窓260の下方に設けられている。ランプユニット204は、加熱室262と、この加熱室262内に設けられた回転台264と、この回転台264に取り付けられたランプ266と、加熱室262の底部に設けられ、回転軸268を介して回転台264を回転させる回転モータ270とを有している。また、ランプ270は、その熱線を反射する反射部を有しており、それぞれのランプ270から放射される熱線が直接またはリフレクター224の内周に反射して載置台220の下面に均等に到達するように配置されている。このような構成により、回転モータ270により回転台264を回転させながら、ランプ266から熱線を放射させることによって、ランプ266から放出された熱線が透過窓260を介して載置台220の下面に照射され、載置台220を均等に加熱し得るようになっている。
【0066】
前述したシャワーヘッド部222は、その外縁がリッド212上部と嵌合するように形成された筒状のシャワーベース272と、このシャワーベース272の内周側上部と嵌合し、さらにその上部に後述するガス導入部274が設けられた円盤状の導入板276と、シャワーベース272の下部に取り付けられたシャワープレート278とを有している。図12及び図13にも示すように導入板276には、その中央に主ガス流路280が形成され、この主ガス流路280を囲むように複数(図12には1本のみ図示)の周辺H ガス又はSiH ガス等の還元ガス流路282が形成されている。また、シャワープレート278には、載置台220と、アタッチメント218と、ベースリング216とに対応した位置に1〜3mm径の主ガス吐出孔284が多数、例えば格子状または放射状に設けられており、シャワープレート278の周辺側の最外部には1〜3mm径の周辺H ガス吐出孔286が円周上に等間隔またはランダムに、鉛直に設けられている。シャワープレート278下部には環状の冷媒流路288が設けられており、この冷媒流路288に冷媒供給管290を介して冷媒供給機構292からの冷媒を流すことにより、シャワープレート278は温調可能になっている。シャワープレート278およびシャワーベース272の外周にはスペーサリング294が配置されており、シャワープレート278およびシャワーベース272と処理チャンバー210の側壁との間隙を埋めるようになっている。
【0067】
処理チャンバー210の上記シャワーヘッド部222には、処理ガスを導入するシャワーヘッド部222が配置されている。このシャワーヘッド部222は、シャワーベース272とガス導入板276およびシャワープレート278で囲繞する様に構成されている。処理ガスを導入するガス導入部274は、最下端に配置されたガス導入板276の上側に接続され、そのガス導入板276は、シャワーベース272に接続さている。シャワーヘッド部222の内部は、シャワーベース272に一体に形成された略円環状の隔壁296と、この略円環状の隔壁296の下部に接続された円筒状の隔壁298と、この円筒状の隔壁298と、シャワープレート278の間に配置され、複数の主ガス通過孔300が形成され、有蓋円筒状の整流板302が円環状の隔壁296とシャワープレートに嵌合して接続して設けられている。
【0068】
そして、シャワーヘッド部222内の空間は、略円環状の隔壁296、円筒状の隔壁298および整流板302によって実質的に形成された第1の空間部304aと、この第1の空間部304aの外側おいて円筒状の隔壁298および整流板302によって実質的に形成された第2の空間部304bと、第1の空間部304aの上方において略円環状の隔壁296によって実質的に形成された第3の空間部304cと、第1の空間304aの下方において整流板302によって実質的に形成された第4の空間部304dとに区画されている。すなわち、シャワーヘッド部222内の空間は、中央に形成された第1の空間部304aと、第1の空間部304aの下方に形成された第4の空間部304dと、第1および第4の空間部304a、304dの外側に形成された第2の空間部303dと、第1の空間部304aの上方に形成された第3の空間部304cとに区画されている。第1の空間部304aは、その上部において導入板276に設けられた主ガス通過孔280と連通しており、その下部において整流板302に設けられた主ガス通過孔300を介して第4の空間部304dと連通している。そして、第4の空間部304dはシャワープレート278に設けられた主ガス吐出孔284と連通している。第3の空間部304cは、その中央部において導入板276に設けられた周辺H ガス流路282と連通しており、その周辺部において略円環状の隔壁296とシャワーベース272との間に形成された周辺H ガス通過孔306を介して第2の空間部304bと連通している。そして、この第2の空間部304bが周辺H ガス吐出孔286と連通している。
【0069】
従って、主ガス流路280から供給されたガスは、第1の空間部304aから整流板302に設けられた主ガス通過孔300を介して第4の空間部304dに至り、第4の空間部304dからシャワープレート278に設けられた主ガス吐出孔284を介してウエハWに向けて垂直にガスが吐出される。また、周辺H ガス流路282から供給されたガスは、第3の空間部304cから周辺H ガス通過孔306を介して第2の空間部304bに至り、第2の空間部304bからシャワープレート278に設けられた周辺H ガス吐出孔286を介してウエハWの周辺部に向けて垂直に吐出されるようになっている。
【0070】
次に、ガス導入部274について説明する。
前述したガス導入部274の中心部の凹部には、ガス導入板276の上部に嵌め込まれた有蓋円筒状の整流板314と、下プレート316と、中プレート318と、上プレート340とがケーシング342内に嵌合してに収容されている。そして、これら各プレートとケーシング342は、図14に示すようにそれぞれ必要な箇所にシール部材304を介設してボルト346で締め付け固定される。ケーシング342の上部には、それぞれ後述するガス供給機構348と接続された周辺H ガス導入口350、第1の主ガス導入口352および第2の主ガス導入口354を有している。
【0071】
図13は、上述したガス導入部274におけるケーシング342内部の構造を示す斜視図である。上プレート340には、ケーシング342の周辺H ガス導入口350と連通するキャビティー356と、ケーシング342の第1の主ガス導入口352と連通する流路358と、ケーシング342の第2の主ガス導入口354と連通する流路360とが設けられており、また、キャビティー356の底面には周辺H ガス流路362がキャビティー外周側の5箇所に設けられている。この流路362は5個より少なくとも、多くてもよく、ガスの均一性を良くする最適な個数であればよい。第1の主ガス導入口352と連通した流路358は、中プレート318の外周側の半円周部に設けられた溝364を介して、中プレート318の中央に形成する溝366に連通し、溝366内にはガスを混合しやすい様に突出する凸部367に複数の鉛直方向に溝が形成され、中プレート318および下プレート316の溝366、372に連続して連通している。
【0072】
また、第2の主ガス導入口354と連通した流路360は、中プレート318に設けられた流路368を介して下プレート316の外周側の半円周部に設けられた溝370を介して下プレート316の中央に形成する溝372に連通し、溝372内には、ガスが混合されやすい様に突出した凸部316Aに複数の鉛直方向に溝が形成され、下プレート316と整流板314の空間に連通している。この空間は整流板314の開孔374を介してガス導入板276と整流板314で形成する空間371を介し、主ガス流路280に連通している。このような構成により、溝372においてH ガスとWF ガス等が混合され、この混合ガスが主ガス流路280を介してシャワーヘッド部222から処理チャンバー210内に供給されるようになっている。一方、周辺H ガス流路362は、中プレート318に設けられた流路376および下プレート316に設けられた流路378を介して、導入板276に主ガス流路280を囲むように5箇所に設けられた周辺H ガス流路282とそれぞれ連通している。
周辺H ガスは、第3の空間部304Cに放出され、第2の空間部704bを通って、ガス吐出孔286より処理チャンバー内に供給される。
【0073】
図14のガス導入部274の構造、前述の図12、13で説明した上プレートにキャビティーがなく、周辺H ガスを供給しない構造である。
上記ガス導入部274において、第1の主ガス導入口352、第2の主ガス導入口354には、H 、SiH 、Arガス等が供給される。以後は図13にて説明したと同様に流れて混合されて主ガス流路280からシャワーヘッド部222内に供給される。また、クリーニングガス用のClF ガス導入口350に供給されたClF ガスは、上プレート340の中央に形成するクリーニングガス流路362を介し、中プレート318の凸部318Aの溝と下プレート316の凸部316Aの溝を介して、ガス流路28を介してシャワーヘッド部222内に供給される。
【0074】
そして、主ガス流路280に供給された第1と第2の主ガスが混合されて、シャワーヘッド部222内の第1の空間部204aから整流板302の主ガス通過孔300を通って第4の空間部304dにおいて拡散されて、主ガス吐出孔284からウエハWに向けて均一に吐出される。また、処理チャンバー内に成膜された不要な膜を除去するためのクリーニングガスClF ガスは、クリーニングガス流路280に供給され、主ガスと同様に、シャワーヘッド部222内の第1の空間部304aから整流板302の主ガス通過孔300を通って第4の空間部304dにおいて拡散され、主ガス吐出孔284からウエハWに向けて吐出して処理チャンバー内に付着した不要な膜を除去する。
以上の実施例は、周辺からH ガスを流さない場合のガス導入部であり、この構成からなる処理チャンバーでW膜を成膜することができる。
【0075】
このように、主ガス吐出孔284と周辺H ガス吐出孔286とは、別々にガス供給されるので互いに組成の異なるガスを吐出することが可能である。
前述したガス供給機構348は、ClF ガス供給源400、WF ガス供給源402、Arガス供給源404、H ガス供給源406、N ガス供給源408、SiH ガス供給源410を有している。ClF ガス供給源400には、ガスライン412が接続され、このガスライン412はマスフローコントローラ414とその前後の開閉バルブ416、418とを介してガス導入部274に設けられた第1の主ガス導入口352に接続されている。WF ガス供給源402には、ガスライン420が接続されており、このガスライン420はマスフローコントローラ422とその前後の開閉バルブ424、426とを介してガス導入部274に設けられた第1の主ガス導入口352に接続されている。Arガス供給源404には、ガスライン428が接続されており、このガスライン428はマスフローコントローラ430とその前後の開閉バルブ432、434とを介してガス導入部274に設けられた第1の主ガス導入口352に接続されている。
【0076】
ガス供給源406には、ガスライン436と438とが接続され、このガスライン436はマスフローコントローラ440とその前後の開閉バルブ442、444とを介して周辺H ガス導入口350に接続され、また、ガスライン438はマスフローコントローラ446とその前後の開閉バルブ448、450とを介して第2の主ガス導入口354に接続されている。N ガス供給源408には、ガスライン452が接続されており、このガスライン452はマスフローコントローラ454とその前後の開閉バルブ456、458とを介してガス導入部274の第2の主ガス導入口354に接続されている。SiH ガス供給源410には、ガスライン460が接続されており、このガスライン460はマスフローコントローラ462とその前後の開閉バルブ464、466とを介してガス導入部274の第2の主ガス導入口354に接続されている。
【0077】
一方、図12に示したように、シールドベース214と処理チャンバー210の側壁との間には、その全周に亘って開孔500aが設けられた円環状のバッフルプレート500が取り付けられており、このバッフルプレート500はシールドベース214と処理チャンバー210の側壁との間で形成される空間を上下に区画するようになっている。そして、バッフルプレート500の下方に形成する環状の空間部502は、この空間部502の外周に設けられ、処理チャンバー210の対角となる下部位置に形成する排気空間505、506が連通して設けられている。この一方の排気空間、例えば564には、処理チャンバー210の側壁およびリッド212内に設けられた排気流路507の一端に連通しており、この排気流路507の他端には上部排気管206が接続されている。
【0078】
この上部排気管206は、処理チャンバー210の他の角部においてリッド212および処理チャンバー210の側壁を貫通して設けられた排気流路507の上端と排気管207に接続されており、この排気流路の下端には下部排気管208を介して真空ポンプを有する排気機構510が接続されている。また、他方の排気空間506近傍もこれと略同様の構造となっている。つまり、処理チャンバー210の対角となる2箇所に接続された2本の上部排気管206は、処理チャンバー210の他の角部において一本の排気流路に合流しており、この排気流路は処理チャンバーの下方に設けられた1本の下部排気管208を介して排気機構510に接続されている。そして、排気機構510を作動させることにより、処理チャンバー210内の雰囲気は、バッフルプレート500のそれぞれの開孔500aから下方に流出して排気空間502、504に至り、チャンバー側壁に設けた図示しない排気流路を介して上方に排気され、次いで上部排気管206から排気流路(図示せず)を介して下部排気管208に集合し、これより排気される。
【0079】
そして、このように形成された装置の下部排気管208の途中に、或いは上記上部排気管206の途中に、先に説明したパーティクル計測手段8の計測本体10を設け、更に、クリーニング終点決定手段14(図1参照)を設けるようにしてもよい。尚、クリーニングの終点決定手段14は、排気ラインであればどこでもよいが、好ましくは、より処理チャンバーに近い排気ライン部がよい。
【0080】
次に、上記処理装置を用いて行われるタングステン膜の成膜工程およびその時のプロセス条件の一例について説明する。
まず、ステップ1にて排気を行って処理チャンバー210内を所定の圧力まで真空引きし、次にステップ2にて載置台220を所定の温度に維持する。次に、ステップ3およびステップ4にてSiH ガス等を流すようにしてイニシエーション(1)およびイニシエーション(2)の処理を順次行ってSiをウエハ上に形成する。この時、イニシエーション(1)では低分圧状態となるようにSiH を供給し、イニシエーション(2)では高分圧状態となるようにSiH を供給する。このイニシエーションステップは、W膜の埋め込み性の向上及び異常成長を抑制する事ができる。このステップで加熱すると良い効果が高い。次に、ステップ5にてパージを行って先に導入されたガスを一掃する。次に、ステップ6にてWF を僅かに流し初めてプリフロウを数秒間行い、更にステップ7にてニュークリエション処理を行ってタングステンの結晶核を形成する。
【0081】
次に、ステップ8にてニュークリエーションステップより多い量のWF ガスを供給して上記結晶核を中心として、タングステン膜を所定の厚さだけ堆積させる。タングステン膜の堆積処理が完了したら、次に、ステップ9にてパージ処理を行って成膜時に流したガスを一掃する。そして、次にステップ10にて排気処理を行って、タングステン膜の成膜工程を終了することになる。
上記成膜処理の各ステップのプロセス条件は以下の通りである。
WF ガス : 5〜200sccm
Arガス : 500〜6000sccm
SiH ガス : 1〜300sccm
ガス : 200〜4000sccm
ガス : 0〜3000sccm
バックサイドガス(Ar): 1000〜5000sccm
圧力 : 1〜100Torr(133.3〜13330Pa)
温度 : 350〜500℃
プロセス時間 : 2〜120sec
また、ニュクリエーションの成膜は、WF を含むガスとSiH を含むガスとを交互に供給して形成してもよい。
【0082】
本実施形態では、クリーニング処理により除去すべき不要な膜として、WSi膜を一例にとって説明したが、これに限定されず、どのような膜種に対しても本発明のクリーニング処理方法を適用することができる。例えば、Ti、W、WN、TiN、Ta、TaOx、SiO 、SiN、SiON、TaN、HfO 、ZrO 、PaO 等の膜に対するクリーニング処理にも本発明を適用できる。また、クリーニングガスに関しても、ClF ガスに限定されず、NF 、ClF、HF等の他のクリーニングガスでも本発明に適用できる。また、プラズマクリーニングのエンドポイントにも応用できる。プラズマ源としては、容量静電型(平行平板)、ICP、ヘリコン波、マイクロ波(ラジカルラインスロッスアンテナ型)等のプラズマ処理装置に応用できる。ここでは、被処理体として半導体ウエハを一例として説明したが、これに限定されず、ガラス基板、LCD基板、化合物半導体基板等の場合にも、本発明のクリーニング方法を容易に適用することができる。
【0083】
<チタン膜とチタンナイトライド膜の連続成膜>
次に、本発明の関連発明としてチタン膜とチタンナイトライド膜の連続成膜について図15および図16を参照して説明する。この技術は、本出願人が先に提案している特開平10−106974号公報にて開示した技術の関連技術である。図15はプラズマ成膜装置を示す図、図16は成膜の工程を示す工程図である。ここでは、被処理体、例えば半導体ウエハの基板表面に、チタン膜と、チタンナイトライド膜を連続的に成膜する方法である。
【0084】
最初に、図17のフローチャートを参照して、チタン膜の成膜方法について説明する。
まず、処理チャンバー内を不活性ガスでパージしつつ、排気を行う(ステップS21)。
次に、処理チャンバー内が所望の真空度まで到達するとそれを維持する(ステップS22)。
図示しない真空ロードロック機構を介して、真空状態のまま、処理チャンバー内の載置台にウエハを載置する(ステップS23)。
その後、処理ガス(例えばArガス、H ガス)を処理チャンバー内に導入しつつ、ウエハをプリヒートする(処理前にウエハを成膜処理の温度と同じ温度まで予め加熱する)(ステップ24)。
【0085】
次に、ガス供給系からTiCl ガスをチャンバー内に導入せずに、バイパス的に設けられた排気ライン(evac line)に所定の時間流して流量が安定した後、図示しない切り替えバルブ(preflow valve)を動作させて、処理チャンバー内へ導入する(ステップS25)。
これは、TiCl ガスの流量を安定させた後、処理チャンバー内へ導入するためである。
そして、前記ステップ25でTiCl ガスの流量が安定すると、前記切り替えバルブを切り替え、処理チャンバーへTiCl ガスを導入し、プラズマ放電を開始する(ステップS26)。この際、処理チャンバー内に到達までのタイムラグが発生する。しかし、切り替えバルブの切り替えと同時に高周波電源をオンしても、高周波マッチング装置の応答が遅いため、プラズマ放電の遅も発生する。従って、前記タイムラグとマッチング応答の遅れで相殺され、結果的に、プラズマ放電がスムーズに開始されることになる。但し、ガスラインの長さが短く処理チャンバーへのTiCl ガスの導入にタイムラグがなかった場合には、高周波マッチング装置の応答を早くさせるか、高周波マッチング装置の応答に合わせたTiCl ガス導入を行うように、タイミング調整する必要がある。
このプラズマ放電に伴いウエハ上にTi膜が成膜される(ステップS27)。TiCl ガスの供給を停止し、プラズマ用ガス(Ar、H ガス)をチャンバー内に導入したままチャンバー内の残留物(成膜成分)を前記プラズマ用ガスで置換しつつ排気する(ステップS28)。
【0086】
次に、NH ガスを処理チャンバー内にさらに導入して、成膜されているチタン膜をプリ窒化処理する(ステップS29)。その後、高周波電源をONして、プラズマを発生させて、窒化ガス(Ar、H 、NH ガス)により、プリ窒化されたチタン膜をさらに窒化させる(ステップS30)。その後、プラズマ放電を停止し、続けて、窒化ガスを導入して、処理チャンバー内の残留物を排気して除去する(ステップS31)。次に、成膜処理されたウエハを処理チャンバー内から外部へ搬出する(ステップS32)。
【0087】
前述したステップS29におけるプリ窒化処理のプロセス条件は、H ガス流量が500〜4000sccm、Arガス流量が280〜3500sccm、NH ガス流量が200〜3000sccmであり、好ましくは、H ガス流量が1000〜3000sccm 、Arガス流量が750〜2250sccm、NH ガス流量が650〜2100sccmである。全ガス流量に対するNH ガス流量の比が0.026〜0.8、好ましくは、0.16〜0.36である。H 流量の比は、0.07〜0.9、好ましくは0.18〜0.68である。またH ガスに対するNH ガスの流量比は、0.05〜3、好ましくは0.2〜2である。また、ステップS30における窒化処理のプロセス条件は、ステップS29と同じガス流量でプラズマを生成して、Ti膜をプラズマ窒化する。前記ステップS27のTi膜の成膜条件は、TiCl ガス流量が2〜20sccm、Arガス流量が500〜10000sccm、H ガス流量が500〜10000sccmであり、好ましくはTiCl ガス流量が4〜16sccm、Arガス流量が800〜3200sccm、H ガス流量が200〜7500sccmである。全ガス流量に対するTiCl ガス流量の比が0.00017〜0.02、好ましくは0.00037〜0.0057であり、H ガスに対するTiCl ガス流量の比が0.0002〜0.038、好ましくは0.00053〜0.008の流量比で成膜することにより良質のチタン(Ti)膜が形成される。
【0088】
次に、図18のフローチャートを参照してチタンナイトライド膜の成膜方法について説明する。
まず、処理チャンバー内を不活性ガスでパージしつつ、排気を行う(ステップS41)。次に、不活性ガスの導入を停止して、処理チャンバー内が所望の真空度まで到達するとそれを維持する(ステップS42)。図示しない真空ロードロック機構を介して、真空状態のまま、処理チャンバー内の載置台にウエハを載置する(ステップS43)。
そして、TiCl ガス以外の処理ガス(例えばN 、NH ガス)を処理チャンバーに流量が徐々に増大するように導入する(ステップS44)。これは、処理チャンバー内へ急峻に処理ガスのガス流量を増加するように導入すると、ウエハに反りが発生する虞れがあるためである。
その後、前記処理ガス(N 、NH ガス)を処理チャンバー内に導入しつつ、ウエハをプリヒートする(処理前にウエハを成膜処理の温度に同じ温度まで予め加熱する)(ステップS45)。
【0089】
次に、前記処理ガス(N 、NH ガス)を処理チャンバー内に導入しつつ、ガス供給系からTiCl ガスを一旦、チャンバー内に導入せずにバイパス的に設けられた排気ライン(evac line)に所定の時間流して流量が安定した後、図示しない切り替えバルブ(preflow valve)を動作させて、処理チャンバー内へ導入する(ステップS46)。これはTiCl ガスの流量を正確に安定させて、処理チャンバー内へ導入して正確な膜厚を形成するためである。より非常に正確に薄膜を形成する点では、原料ガスの流量の変動により膜厚が変動するので重要である。
このガス雰囲気中でウエハ上にTiN膜が成膜される(ステップS47)。そして、TiN膜が所望する膜厚まで成膜されたならば、NH 、TiCl ガスの供給を停止し、N ガスをチャンバー内に導入したまま、チャンバー内の残留物(成膜成分)をパージ排気する(ステップS48)。
【0090】
次に、N ガスを処理チャンバー内に導入したまま、NH ガスをさらに導入して、TiN膜をさらに窒化する(ステップS49)。これは、成膜されたTiN膜中に塩素成分をNH により還元窒化して除去するために行う。そして、NH ガスの導入を停止し、N ガスを処理チャンバー内へ導入したまま維持し、処理チャンバー内の残留物を排気して除去する(ステップS50)。次に、ウエハを処理チャンバー内から外部へ搬出する(ステップS51)。
尚、前記ステップS47のTiN膜の成膜処理のプロセス条件は、TiCl ガス流量が10〜100sccm、NH ガス流量が20〜2000sccm、N ガス流量が500〜12220sccmであり、好ましくはTiCl ガス流量が25〜60sccm、NH ガス流量が100〜1000sccm、N ガス流量が500〜6000sccmである。全ガス流量に対するTiCl ガス流量の比は0.000087〜0.16であり、好ましくは0.0036〜0.09であり、NH ガスに対するTiCl ガス流量の比は0.005〜5であり、好ましくは0.025〜0.6である。また、前記ステップS49の窒化処理のプロセス条件は、全ガス流量に対するNH ガスのガス流量比が、0.0016〜0.8であり、好ましくは0.016〜0.66で成膜することにより良質なTiN膜が形成される。
【0091】
次に、例えば図15に示すようなプラズマ成膜装置を用いた具体例について説明する。
このプラズマ成膜装置において、処理チャンバー201内に設けられた載置台202内には抵抗加熱ヒータ(図示省略)が埋め込まれている。この抵抗加熱ヒータによりウエハWを所定のプロセス温度、例えば400〜700℃程度に加熱し、成膜用の処理ガスとして例えばArガス、還元ガスとして例えばH ガス、又はSiH ガス及びTiを含むガスを、シャワーヘッド部204から、それぞれ所定量ずつ処理チャンバー201内へ導入し、シャワーヘッド部204には450kHz〜60MHzの高周波電圧を印加し、プラズマを生成してチタン成膜を形成する。例えばチタンを含むガスとしてTiCl 、TiI 、TiBr 、有機Ti、例えばTi(C ガスがある。
【0092】
この時のプロセス圧力は、0.5〜10Torrで、好ましくは1〜5Torrである。この条件下において、図16(A)に示すように、絶縁層306に開口されたコンタクトホール302の底部に露出している導電体(基板)301上にチタン膜303が選択的に堆積される。この場合、Tiが成膜されると同時に、基板のSiと反応してTiSi が自己整合的に形成される。このチタン膜303の厚みは、例えば5〜50nmで、好ましくは10〜30nmである。
このようにして、チタン成膜工程が終了したならば、次に、基板301を同じ載置位置でチタン窒化工程を行う。まず、チタン成膜用の処理ガスの供給を停止させた後、処理チャンバー201内の処理ガス雰囲気をAr、H ガスを供給しつつ排気する。次に、プラズマ窒化用ガスとして、ArガスとH ガスと少なくともN 、NH 、MMH(モノメチルドラジン)ガスの1つを混合したガス、又はそれぞれのガスを個別にシャワーヘッド部204から処理チャンバー201内へ供給し、チャンバー内部で混合させる。この窒化用ガスを導入して、処理チャンバー201内を窒化ガス雰囲気にする。次に高周波電源205から450kHz〜60MHzの高周波電圧をマッチングボックス206を介して、上部電極となるシャワーヘッド部204に印加して、チャンバー内に窒化用プラズマを生成させる。
【0093】
これにより、前記チタン膜303の表面を窒化処理して、図16(B)に示すように窒化膜304を形成する。また、H +N 又はN +NH 、H +NH の混合ガスを供給しても窒化させることができる。より好ましくはAr+H +NH である。この場合、チタン膜全部が窒化されてもよい。
この時の窒化処理条件として各ガスの供給量は、H :250〜3000sccm、N :50〜1000sccm、NH :50〜1000sccm、MMH:1〜100sccm程度である。プロセス圧力は、0.5〜10Torr程度、好ましくは1〜5Torr、プロセス温度は、350〜700℃程度である。また、高周波電力は、100〜2000Wであり、好ましくは500〜1000Wである。尚、H ガス、N ガス、NH ガス及びMMHガスの流量は、それぞれ適宜選択すればよく、前記流量に限定されるものではない。
【0094】
この窒化工程はTi膜とTiN膜の密着性を向上させる。つまり、Ti膜中及びTi膜表面上のTiCl 等の未反応生成物を還元して、Ti膜を窒化することである。また、Ti膜の成膜後にTiN膜を成膜する際に成膜ガスであるTiCl がTi膜をエッチングしてしまうのでこれを抑制することもできる。
このようにしてチタン窒化処理が終了したならば、この基板301を予め真空状態に維持されている別の成膜装置内へ移動し、その成膜装置内で、従来から公知な処理方法を用いて、図16(C)に示すようなチタンナイトライド膜を形成するための成膜工程を行う。コンタクトホール302の内壁面及び絶縁層306の上面全体に、バリヤメタル層として機能するチタンナイトライド膜305をCVDにより形成する。
【0095】
この時の処理ガスとしては、例えばTiCl 、NH 及びN を用いることができる。また、プロセス温度は、略400〜600℃程度、プロセス圧力は、略0.1〜10Torr程度で、好ましくは0.5〜5Torrである。また、TiNの成膜は、TiCl ガスとNH ガスを交互に流して、成膜する事も可能である。これによれば、更に塩素不純物の濃度が低減され、高バリア性の膜が形成される。
このチタンナイトライド成膜工程が終了したならば、処理済みの基板301を成膜装置から搬出し、その後、図16(D)に示すように、このコンタクトホール302内にタングステンやアルミニウム、銅などの導電性材料307を埋め込む。
【0096】
このように、チタン膜303の表面を窒化処理する際に、ArガスとH ガスと、少なくともN ガスとNH ガス、MMH(モノメチルヒドラジン)ガスの1つとの混合ガス雰囲気中でプラズマを生成して、Ti膜の表面の窒化を行うようにしたので、TiN膜との密着性が良くなり、基板からの剥がれを抑制することができる。従来のN ガスのみ、或いは、NH ガスのみを使用する従来からの方法においては、窒化させる能力の高い窒素ラジカルが多く発生してTi膜表面及び膜中のTiClx副生成物が還元されないのでTiを窒化させるのが抑制されて密着が低下して剥がれてしまう。
【0097】
しかし、前述したArガスとH ガスと、少なくともN ガス、NH ガス、MMH(モノメチルヒドラジン)ガスの1つとの混合ガスを用いてプラズマ処理を行った結果、活性な水素原子がTi膜表面及び膜中のTiClx副生成物が還元して、Clを除去し、活性なTiと活性なNラジカルが反応してTi膜表面が効率的に窒化されることで、TiN膜との密着性が良好となる。その検証のために、本出願人が実際に、上述したチタン成膜処理と窒化処理を行ってバリアメタルであるTiN膜を成膜して、スクラッチテストを実施したが基板からの膜の剥がれは確認されなかった。
【0098】
更に、このようにArガスとH ガスと、少なくともN ガス、NH ガス、MMHガスの1つとの混合ガスを用いてプラズマ処理を行った場合、コンタクト抵抗を大幅に小さくするという結果が得られる。この理由は、チタン膜中に残存するTiCl 原料をH ガスが強力に還元してClを引き抜いてしまうこと、及びバイプロダクトからの脱ガスによってCl 、HCl等のガスとして系外へ除去されるので抵抗増加の原因となる塩素(Cl)が膜中及び膜表面に残留しなくなるからである。
このように、チタン膜表面の窒化処理を、ArガスとH ガスと、少なくともN ガス、NH ガス、MMHガスの1つとの混合ガス雰囲気下でプラズマ処理することにより行うため、コンタクト抵抗を大幅に低下でき、さらに、チタン成膜時に生じたチャンバ内のバイプロダクトも安定な窒化物が形成されるので、それが剥がれてパーティクルの発生を防止することができる。
【0099】
ここで、前記各ガスの存在の有無、或いは流量を変えた時のチップ数の度数(%)の変化の評価を実行して、その評価結果について説明する。
図19(A)〜図19(D)は、各ガスの存在の有無、或いは流量を変えた時のチップ数の度数(%)を示す図である。ここでチップ数の度数は、抵抗値として示しているが、任意の抵抗値の範囲内におけるチップの割合である。また、図26(A)は、全ガスに対するNH ガス比とチップ数の度数の関係を示し、図26(B)はH ガスに対するNH ガス比とチップ数の度数の関係を示す図である。
図19(A)は、NH ガスを用いないでH ガスとN ガスを用いて、H ガスの流量を変えた時のチップ数の度数を示す。図19(B)は、N ガスを用いないでH ガスとNH ガスを用いてNH ガスの流量を変えた時のチップ数の度数を示し、図17(C)と図19(D)は、N ガス、H ガス及びNH ガスを共に用い、NH ガスの流量を変えた時のチップ数の度数を示している。また、図17(C)は、N ガスを50sccmとし、図19(D)は、N ガスを500sccmとしている。その他にプラズマガスとしてArガスがそれぞれ用いられる。
【0100】
図19(A)に示す例では、H ガスの流量を増加する程、チップ数の度数は増加している。しかし、H ガスを例えば2000sccm程度に多量に流す必要がある。また、図19(B)に示す例では、NH ガスの流量を増加する程、チップ数の度数は増加しているが、その増加の程度は低い。NH ガスが400sccm程度では、チップ数の度数は、90%程度で100%に達していない。これに対して、図19(C)に示す例には、N ガスの流量は50sccmであり、NH ガスの流量を増加する程、チップ数の度数は増加している。その増加の程度は高く、NH ガスが400sccm程度でチップ数の度数は略100%程度に達している。更に、図19(D)に示す例では、N ガスの流量は500sccmとして多く設定しており、NH ガスの流量が50sccm以上でチップの度数は、略100%程度を安定的に維持している。
【0101】
以上説明した第3の実施形態の成膜装置のクリーニング方法によれば、実際に排気系に流れるパーティクル数を計測する。このパーティクル数がピークを経て減少し、予め定めた所定量より少なくなった時をジャストエッチタイミングとして判定する。この判定に基づき、クリーニング処理を終了させるエンドポイントの設定を適切に設定することができる。従って、クリーニング処理前における処理を行った被処理体の累積枚数に影響されず、クリーニング処理における過度のオーバーエッチングを防止できる。このため、チャンバー内の構造物の寿命が短くなるのを防止できるだけでなく、クリーニングガスの無駄な消費も抑制することができる。
【0102】
ここで、本実施形態に採用した載置台における被処理体(例えば、ウエハやガラス基板)の受け渡し機構について説明する。
前述した図1に示したような従来から周知な受け渡し機構は、ウエハを支持するための複数の押し上げピンが、それぞれに載置台のピン挿入孔を貫通して上下移動する構造である。この構成において、ウエハの受け渡しのために押し上げピンが上下に昇降してピン挿入孔の通り抜ける際に、摺動精度の悪さや熱変形が発生すると、ピン挿入孔の内壁に接触しつつ摺動してパーティクルを発生させる虞がある。発生したパーティクルは、ウエハ近傍のガス雰囲気内に入り込み、成膜時にウエハ表面に付着して、回路パターン欠陥を招いたり、またウエハの裏面側に付着して、ウエハ搬送時にパーティクルを他のチャンバーに持ち込む原因となる。また、場合によっては、ピン挿入孔の開口部に押し上げピンの先端が衝突して押し上げピンを破損する虞がある。
【0103】
また、ウエハが昇降した際に、押し上げピンの摺動による振動やウエハ裏面と載置台の載置面との間の空間に存在する気体(但し、処理チャンバーの真空度による)の存在により、載置面におけるウエハの載置位置がずれたり、押し上げピン上からウエハが落下する場合がある。
そこで、本実施形態で採用した受け渡し機構は、載置台の複数のピン挿入孔のそれぞれに押し上げピンが挿入される。この押し上げピンは、ピン挿入孔の深さの範囲内に収まる長さで形成される。それらの押し上げピンを下方(ピン挿入孔に沿った方向)から押し上げる押し上げ部材が連結される。この押し上げ部材(位置決め駆動ピン)を所定のストロークで上下移動させることにより、載置台の上面(ウエハ載置面)から押し上げピンがスムーズに昇降する構成である。
【0104】
具体的には、図20(A)、図20(B)に示すように、押し上げピン311は、全体がアルミナ等のセラミックス又は石英等により形成され、載置台202に複数設けられたピン挿入孔312にそれぞれ嵌入されている。この場合、押し上げピン311の外径は、ピン挿入孔内径よりもやや小さくなっており、僅かな隙間313ができるようにする。このピン挿入孔312は、ウエハWの裏面と載置台96の上面との間の空間S1と、載置台202の裏面側(下方)の空間S2とを隙間313を介して連通している。
この押し上げピン311は、上端面が平坦であり、下端には、貫通しない範囲で嵌合穴314が形成されている。この嵌合穴314には、位置決め駆動ピン315の上端部分が挿入され固定されている。前記位置決め駆動ピン315の下端は、押し上げ部材316に貫装して固定されている。この押し上げ部材316は、後述する図15のアクチュエータ317Aに連結され上下駆動される。位置決め駆動ピン315の下方には、上昇制限を行うためのストッパ317が設けられている。上昇させる際にこのストッパ317に当て付けて停止させることにより、押し上げピン311の上昇位置を規定してもよい。
【0105】
このような構成により、図20(A)に示すように、押し上げ部材316の上昇駆動により、位置決め駆動ピン315及び押し上げピン311が上昇して図示しない搬送アームとの間でウエハWの受け渡しが行われる。反対に、図20(B)に示すように、押し上げ部材316の下降駆動により、位置決め駆動ピン315及び押し上げピン311の上面が載置台202のピン挿入孔312の上面と平坦、若しくはそれより沈み込むように下降して、支持するウエハWを載置台202の上面に載置させる。ウエハWは載置台202に設けられた図示しない静電チャック機構により保持される。
【0106】
次に、図15は、このように構成された押し上げピン及びその駆動機構を搭載する処理装置の構成例を示している。これを参照して昇降動作について説明する。
この処理チャンバー201は、図示しないロードロック室とゲートバルブを介して接続され、共に内部を排気して真空状態を維持することが可能である。図示しない搬送アームによりこれらの間でウエハの搬送が行われる。また、ウエハWを載置する載置台202は図示しない抵抗加熱ヒータが埋め込まれており、所望の温度までウエハを加熱して安定的に維持することができる。
【0107】
まず、ロードロック室及び処理チャンバー201の内部は高真空度に保持される。処理すべきウエハWが搬送アームに保持され、ロードロック室から開いたゲートバルブ及び搬入口を経て処理チャンバー201内の所定位置に搬入される。この時、アクチュエータ317Aを駆動させて、図20(A)に示すように押し上げ部材316を上昇させると、それと共に待機位置(最下位置)から受け渡し位置(最上位置)まで位置決め駆動ピン315が上昇する。この位置決め駆動ピン315の上昇によりピン挿入孔312から押し出されるように押し上げピン311が押し上げられる。この押し上げピン311の上端は、搬送アームが保持するウエハWを押し上げて、結果、搬送アームから押し上げピン311へウエハWが受け渡される。その後、搬送アームは退避する。
【0108】
そして、アクチュエータ317Aを駆動させて図20(B)に示すように押し上げ部材316を下降させると、それに伴い、位置決め駆動ピン315と押し上げピン311が下降して、押し上げピン311はピン挿入孔312へ完全に没入する。この時、ウエハWも下降して載置台202の上面(載置面)に載置され、図示しない静電チャック機構により保持される。その後、前述したようなTi、TiN膜の成膜処理や窒化処理等の種々のプロセス処理がウエハWに施される。
さらに、そのプロセス処理が終了した後、再度、押し上げ部材316を上昇させる。この上昇で位置決め駆動ピン315が押し上げられると共に、ウエハWを載置する押し上げピン311が上昇される。そして持ち上げられた状態のウエハWの下方に搬送アームが差し入れられ、押し上げピン311の降下により、ウエハWが搬送アームに受け渡される。この搬送アームの退避と共にウエハWは、外部に搬出される。
【0109】
このような構成により、上記受け渡しの際に、ピン挿入孔312に挿入された押し上げピン311が僅かな接触でスムーズに昇降するため、パーティクルを発生させるような接触や押し上げピンが破損するような衝突や摺動を防止することができる。
また、ウエハWの裏面と載置台202の載置面との間の空間S1と、載置台202の裏面側(下方)の空間S2とが隙間313を介して連通しているため、ウエハの下降の際に空間S1に存在する気体を空間S2へ逃したり、またウエハWの上昇の際に、ウエハWの裏面と載置台の載置面とが密着した状態から空間S1ができる際に発生する載置位置のずれやウエハ落下を防止することができる。
【0110】
次に、図21には、前述した受け渡し機構の第1の変形例の断面構成を示す。前述した受け渡し機構では、位置決め駆動ピン315の上端部で押し上げピン311を支持する構成であったが、本変形例では、位置決め駆動ピン315の途中にツバ部315cを設けて、位置決め駆動ピン315のツバ部315cで押し上げピン311を支持する構成である。これ以外の構成は、前述した受け渡し機構と同等である。
この位置決め駆動ピン315は、押し上げピン311の嵌合穴318に嵌合する上部315aの外径が嵌合穴318の内径よりも僅かに小さく、押し上げピン311との間に隙間を有している。また位置決め駆動ピン315のツバ部315cの外径は、ピン挿入孔312の内径よりも僅かに小さく、ツバ部315cとピン挿入孔312の内壁との間に隙間313を有している。さらに、位置決め駆動ピン315の下部315bの外径はピン挿入孔312の内径よりも小さく、下部315bとピン挿入孔312の内壁との間に隙間を有している。
【0111】
この構成によれば、前述した受け渡し機構の作用効果に加えて、押し上げピン311が嵌合穴318内で略垂直に保持されているため、移動時の押し上げピン311の傾斜を防止して、接触が少なくスムーズに押し上げピン311を昇降することができる。
また、押し上げピン311の基準位置(下降位置)及び受け渡し位置(上昇位置)は、位置決め駆動ピン315と押し上げ部材316との固定位置を調整することにより、容易に調整できる。
この変形例では、位置決め駆動ピン315の下端部315dが押し上げ部材316にナット等320で固定されている。しかし位置決め精度に高い要求がない場合には、その下端部315dと押し上げ部材316とを、ある範囲内で摺動可能に装着してもよい。このような構成により、押し上げ部材316に熱による伸縮が発生しても、押し上げピン311の上下変動の影響を軽減させることができる。尚、この第1の変形例においても押し上げピン311とピン挿入孔312との間に隙間313を設けているため、昇降に際してこの隙間313を気体が通り抜け、ウエハWの載置面における位置ずれや押し上げピン311からの脱落等を防止することができる。
【0112】
次に図22には、前述した受け渡し機構の第2の変形例の断面構成を示す。この第2の変形例では、嵌合穴318の壁面と、これに嵌合する位置決め駆動ピン315の上部側面との間に隙間319を設けて、上端部のみが当接したフリーの状態となっている。尚、この押し上げピン311は、載置台202に複数設けられる構成である。これらの押し上げピン311と各ピン挿入孔312との隙間313におけるクリアランスは同等であり、これらの押し上げピン311はフリー状態でも同じ速さで一斉に降下するものとしている。また、位置決め駆動ピン315の下端部は、押し上げ部材316にナット等320で固定されている。
このような構成によれば、前述した受け渡し機構と同等の作用効果を得ることができ、さらに、押し上げピン311と位置決め駆動ピン319を設けているため載置台202で発生した熱が位置決め駆動ピン315へ伝わりにくくなり、位置決め駆動ピン315の熱変形等を防止することができる。
【0113】
次に図23には、前述した受け渡し機構の第3の変形例の断面構成を示す。
この第3の変形例は、載置台202に形成されたピン挿入孔312を貫通しない範囲で複数の押し上げピン311が短く形成される。これらの押し上げピン311を降下させた場合に、ストッパー的機能により確実に押し上げピン311を引き下げるための構成を有している。
図23に示すように、位置決め駆動ピン315の上端部には、ツバ状に張り出した膨出部321が形成される。また押し上げピン311の嵌合穴318の最下部に狭窄部322が形成される。膨出部321の最大外径寸法は狭窄部322の最小内径寸法より大きくなるように形成され、即ち、膨出部321が狭窄部322に引っ掛かって嵌合穴318から抜け出なければよい。膨出部321と狭窄部322とは、雄ねじと雌ねじの関係にあり、膨出部321をネジ込むことにより、嵌合穴318内に位置決め駆動ピン315の上端部を挿入する。尚、膨出部321と狭窄部322は、ネジ形状による係合だけではなく、例えば、狭窄部322にキー溝を形成し、膨出部321を一部が突出したキー突起部(キー溝と嵌合する)を形成し、嵌め入れて回転させて係合させてもよい。但し、キー突出部が簡単に抜け出ないようにキー溝を2段の積層構造にしたり、内部にストッパーを設ける等の必要がある。また、位置決め駆動ピン315の下端部は、押し上げ部材316にナット等320で固定されている。
【0114】
このような構成によれば、位置決め駆動ピン315を下降させて押し上げピン311を載置台202の中に戻す場合に、押し上げピン311に狭窄部(又はキー溝)322を設けたことにより、膨出部(又はキー突出部)321に係合して、強制的に引き下げることができる。また、押し上げピン311と位置決め駆動ピン315との間に隙間319を設けているため、載置台で発生した熱が位置決め駆動ピン315へ伝わりにくくなり、位置決め駆動ピン315の熱変形等を防止することができる。さらに、狭窄部322を嵌合穴318の底から膨出部321の長さ分だけ上の位置に設けることにより、嵌合穴318に対する位置決め駆動ピン315の上端部のアソビがなくなり、押し上げピン311を同一に引き下げることができる。
【0115】
次に図24には、前述した受け渡し機構の第4の変形例の断面構成を示す。この変形例は、前述した図22の構成に押し上げピン311のストッパー機能を追加した構成である。つまり、載置台202のピン挿入孔312の開口部分にツバ部323を設けて、押し上げピン311が下降(ピン挿入孔312に収納)した際のストッパーとして機能させている。このツバ部323に押し上げピン311の下端部が当接する。この時、押し上げピン311の上端部の上面は、載置台202の載置面と同一面又は載置面より下がった位置で停止するように構成されている。
このような構成により、載置台202に収納された際に、押し上げピン311がツバ部323により係止及び支持されるため、押し上げピン311が常に適正な位置で停止することができる。また、押し上げピン311と位置決め駆動ピン315との間に隙間319を設けているため、載置台202で発生した熱が位置決め駆動ピン315へ伝わりにくくなり、位置決め駆動ピン315の熱変形等を防止することができる。
【0116】
次に図25には、前述した受け渡し機構の第5の変形例の断面構成を示す。この変形例は、前述した図23の膨出部及び狭窄部の構成と図24のツバ部の構成とを組み合わせ、位置決め駆動ピン315と押し上げ部材316とを分離した構成である。押し上げ部材316と位置決め駆動ピン315の下端部と当接する箇所に、ピン支持皿324が設けられている。
この構成において、押し上げ部材316が図示しないアクチュエータ等により上昇されると、位置決め駆動ピン315の下端部と当接して、位置決め駆動ピン315を押し上げる。次に、位置決め駆動ピン315の上端部が上昇して、押し上げ部材316が嵌合穴318の最上部(底)に当接して、押し上げピン311がピン挿入孔312から押し出されるように上昇する。そして、押し上げ部材316の上昇停止により、押し上げピン311がウエハ受け渡し位置で停止する。
【0117】
また、押し上げ部材316が下降すると、位置決め駆動ピン315及び押し上げピン311の重さにより、これらが一体的に下降する。そして、押し上げピン311はツバ部323に当接して係止され、さらに位置決め駆動ピン315は下降して、位置決め駆動ピン315の膨出部321が狭窄部322に当接して係止される。この第5の変形例の構成により、前述した第3、第4の変形例を併せ持つ作用効果を得ることができる。
以上説明した被処理体の受け渡し機構は、押し上げピンが載置台を貫通して上下移動せずに、載置台の厚さと同等以下の長さの押し上げピンが載置台のピン挿入孔に挿入される。そのピン挿入孔に沿った方向つまり、垂直に移動可能に支持されており、押し上げピンが位置決め駆動ピンによりスムーズに昇降する。従って、パーティクル発生を抑制し、ピン挿入孔の開口部への押し上げピン先端の衝突による押し上げピンの破損を防止する。ウエハの裏面と載置台の載置面との間の空間と載置台裏の空間がピン挿入孔と押し上げピンとの間にある隙間により連通して、ウエハを載置台の載置面に載置及び離脱の際に気体の移動をスムーズに行い、ウエハの位置ずれやウエハ落下を防止することができる。さらに、載置台と押し上げピンの摺動により発生する振動によるウエハの位置ずれやピンからの落下を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0118】
【図1】パーティクル計測手段を搭載する本発明の処理装置の構成例を示す図である。
【図2】処理チャンバー内の透過窓と排気口との位置関係を示す平面図である。
【図3】パーティクル計測手段の取り付け状態を示す図である。
【図4】クリーニング終点決定手段を示すブロック構成図である。
【図5】クリーニング処理の終点時点を決定する原理を説明するための説明図である。
【図6】ジャストエッチ時点とパーティクル数の増減との相関関係を検討した結果を示す図である。
【図7】エッチング終点時点の決定プロセスを示すフローチャートである。
【図8】本発明の処理装置の第1の変形例を示す構成図である。
【図9】本発明の処理装置の第2の変形例を示す構成図である。
【図10】本発明の処理装置の第3の変形例を示す構成図である。
【図11】本発明の処理装置の第4の変形例を示す図である。
【図12】図11に示す処理装置の内部を示す断面図である。
【図13】ガス導入部を示す分解斜視図である。
【図14】シャワーヘッド部のガス導入部を示す拡大断面図である。
【図15】プラズマ成膜装置を示す図である。
【図16】成膜の工程を示す工程図である。
【図17】チタン膜の成膜方法を示すフローチャートである。
【図18】チタンナイトライド膜の成膜方法を示すフローチャートである。
【図19】各ガスの存在の有無、或いは流量を変えた時のチップ数の度数(%)を示す図である。
【図20】受け渡し機構を示す断面構成図である。
【図21】受け渡し機構の第1変形例を示す断面構成図である。
【図22】受け渡し機構の第2変形例を示す断面構成図である。
【図23】受け渡し機構の第3変形例を示す断面構成図である。
【図24】受け渡し機構の第4変形例を示す断面構成図である。
【図25】受け渡し機構の第5変形例を示す断面構成図である。
【図26】NH ガス比とチップ数のと数の関係を示す図である。
【符号の説明】
【0119】
2 CVD装置(処理装置)
4 処理ユニット
6 排気系
8 パーティクル計測手段
10 計測本体
14 クリーニング終点決定手段
16 処理チャンバー
20 載置台
32 加熱ランプ
40 シャワーヘッド部(ガス供給手段)
70 レーザ光照射部
76 散乱光検出部
80 低パーティクル数継続時間計測部
81 パーティクル数判断部
82 ジャストエッチ時点決定部
84 オーバーエッチ期間決定部
86 終点決定部
89 制御部
W 半導体ウエハ(被処理体)


【特許請求の範囲】
【請求項1】
真空引き可能になされた処理チャンバーと、
所定の処理が施される被処理体を載置する載置台と、
前記処理チャンバーへ必要なガスを供給するガス供給手段と、
途中に真空ポンプが介設されて前記処理チャンバー内の雰囲気を真空引きする排気系とを有す処理装置において、
排気ガス中に含まれるパーティクル数を計測するために前記排気系に設けられたパーティクル計測手段と、
前記処理チャンバー内にクリーニングガスを流してクリーニング処理を行う時に前記パーティクル計測手段の計測値に基づいて前記クリーニング処理の終点時点を決定するクリーニング終点決定手段とを備えたことを特徴とする処理装置。
【請求項2】
前記クリーニング終点決定手段は、
前記パーティクル計測手段の計測値が、所定のパーティクル閾値以下であるか否かを判断するパーティクル数判断部と、
前記パーティクル数判断部の出力に基づいて前記計測値が所定の閾値以下の状態になっている継続時間を測定する低パーティクル数継続時間計測部と、
前記計測部の出力に基づいてジャストエッチ時点を決定するジャストエッチ時点決定部と、
前記ジャストエッチ時点までのクリーニング処理期間に基づいてオーバエッチング期間を決定するオーバエッチング期間決定部と、
前記オーバエッチング期間に基づいてクリーニング処理の終点時点を決定する終点決定部とよりなることを特徴とする請求項1記載の処理装置。
【請求項3】
前記ジャストエッチ時点は、前記載置台の表面の大部分の不要な膜が略除去された時点であることを特徴とする請求項2記載の処理装置。
【請求項4】
前記排気系は、複数の排気管を有しており、この複数の排気管の内の少なくともいずれか一本に前記パーティクル計測手段が設けられることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の処理装置。
【請求項5】
前記所定の処理は、前記被処理体の表面に薄膜を堆積させる成膜処理であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の処理装置。
【請求項6】
真空引き可能になされた処理チャンバーと、
所定の処理が施される被処理体を載置する載置台と、
前記処理チャンバーへ必要なガスを供給するガス供給手段と、
途中に真空ポンプが介設されて前記処理チャンバー内の雰囲気を真空引きする排気系とを有す処理装置のクリーニング方法において、
前記処理チャンバー内へクリーニングガスを流した時に前記排気系内を流れる排気ガスのパーティクル数を連続的に計測する工程と、
前記パーティクル数の計測値に基づいてクリーニング処理の終点時点を決定する工程とを有することを特徴とするクリーニング方法。
【請求項7】
前記エッチング処理の終点時点を決定する工程は、
前記パーティクル数が所定の閾値以下となっている継続時間を測定するステップと、
前記継続時間に基づいてジャストエッチ時点を決定するステップと、
前記ジャストエッチ時点までのクリーニング処理期間に基づいてオーバエッチング期間を決定するステップと、
前記オーバエッチング期間に基づいてクリーニング終点時点を決定するステップとを有することを特徴とする請求項6記載のクリーニング方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【公開番号】特開2010−50483(P2010−50483A)
【公開日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−256710(P2009−256710)
【出願日】平成21年11月10日(2009.11.10)
【分割の表示】特願2006−26396(P2006−26396)の分割
【原出願日】平成14年12月25日(2002.12.25)
【出願人】(000219967)東京エレクトロン株式会社 (5,184)
【Fターム(参考)】