説明

可変遅延回路及び半導体集積回路装置

【課題】 高い精度で遅延時間を制御できる可変遅延回路を用いた半導体集積回路装置を提供することを目的とする。
【解決手段】入力クロック信号を遅延させる第1のDLL回路3と、第1のDLL回路よりも高い精度で遅延を制御できる第2のDLL回路10とを有し、第1及び第2のDLL回路の位相比較(31、14)を独立に動作させ、かつ第2のDLL回路の遅延量制御を第1のDLL回路の動作に従属させることで、入力クロック信号に対し所定の位相関係を有する出力クロック信号を出力するように第1及び第2のDLL回路で遅延を与える半導体集積回路装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、可変遅延回路及びそれを利用したDLL回路(Delayed Locked Loop Circuit)並びにDLL回路を有する半導体集積回路装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体集積回路装置は高速化及び高集積化が進み、クロック信号に対しても、位相の同期したクロック信号を所定の回路へ供給することが必要になってきている。具体的には、例えば、シンクロナスDRAM(SDRAM)においては、DLL(Delay Locked Loop)回路を使用して外部クロック信号に位相同期した信号を複数の出力バッファ回路に対して供給するようになっている。DLL回路が高い周波数に対応するためには、精度の高いディジタルDLL回路が必要となる。この要求を満足させるためには、DLL回路を構成する可変遅延回路が高い精度を有することが必要となる。
【0003】
図45に従来の可変遅延回路を示す。この回路は、直列接続された例えば10個の遅延素子(以下、ゲートと称する)G1〜G10を有している。各ゲートの遅延時間はtdである。各ゲートの入力は、それぞれスイッチSW1〜SW10を介して入力ノードINに動作可能に接続されており、またゲートG10の出力は出力ノードOUTに接続されている。
【0004】
これらのスイッチSW1〜SW10の開閉は図示しない制御回路により制御される。制御回路は必要とする遅延時間に合わせて複数のスイッチSW1〜SW10のうちの1つを閉じる。図示する例では、スイッチSW7だけが閉じている。従って、入力ノードINにおける信号はゲート4段分、すなわち4tdだけ遅延されて、出力ノードOUTから出力される。そして、スイッチSW1〜SW10を適宜選択することにより、この可変遅延回路はtdから10tdまでの遅延時間を得ることができる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
図45に示すような従来の可変遅延回路は、単位遅延時間tdの倍数の遅延時間を得ることができる。しかしながら、このような回路構成では、例えば2.5tdのような、単位遅延時間より小さい刻み(ステップ)の遅延時間を得ることはできない。換言すれば、従来の可変遅延回路は精度が低いものであった。
【0006】
また、SDRAMのような半導体装置においてその動作周波数が遅い場合には、通常のディジタルDLL回路で対応できる。ディジタルDLL回路は、外部入力クロック信号から位相同期した内部出力クロック信号を生成することで、SDRAM内部のクロック配線等による遅れの影響を取り除いて、外部入力クロック信号に同期してデータを外部に出力できる。ところが、100MHzを超える動作速度のSDRAMに搭載されるディジタルDLL回路は、極めて高い精度の遅延制御を行えることが必要である。
【0007】
前述したように、ディジタルDLL回路は論理ゲートの組み合わせからなる単位遅延回路を複数個直列に接続した遅延回路を有する。通常、単位遅延回路の遅延量は最小で200ps程度である。100MHzを超える動作速度に対応するためには、それ200ps以下の遅延量を制御できる高精度なディジタルDLLが必要となる。原理的には、200ps以下の遅延量の単位遅延回路を使用することで、遅延制御の精度を向上させることができる。
【0008】
しかしながら、200ps以下の遅延量の単位遅延回路を使用する構成では、ある程度の遅延量を確保するには多数の単位遅延回路が必要となり、回路規模が増大してしまう。したがって、本発明は、高い精度で遅延時間を制御できる可変遅延回路を提供することを目的とする。
【0009】
また、本発明は回路規模を大きく増大させることなく高精度でスムースな遅延制御が行える構成を提供することを目的とする。更に、本発明は上記の遅延制御を用いた回路及び半導体集積回路装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するため、第1の発明は第1の遅延時間を有する少なくとも1つの第1のゲートと、該第1の遅延時間より長い第2の遅延時間を有する少なくとも1つの第2のゲートを直列接続した構成を有し、前記第2の遅延時間と前記第1の遅延時間の差が、前記第1の遅延時間より短いことを特徴とする可変遅延回路である。従って、第1のゲートの遅延時間と第2のゲートの遅延時間との差が単位遅延時間となるので、従来技術に比べ高い精度で遅延時間を制御できる。
【0011】
また、第2の発明は複数の第1のゲートを縦続接続して構成し、信号が入力される第1のゲート列と、該第1のゲートとは遅延時間の異なる第2のゲートを複数縦続接続して構成し、前記信号を遅延した信号を出力する第2のゲート列と、前記第1のゲート列の中間ノードと前記第2のゲート列の対応する中間ノードとの間に設けられた複数のスイッチを有し、該複数のスイッチのうちの1つを閉じることにより、前記遅延した信号を出力することを特徴とする可変遅延回路である。信号が第1のゲートと第2のゲートを通過する数に応じて、第1及び第2のゲートの遅延時間の差の精度で遅延時間を制御できる。
【0012】
第3の発明は、請求項1又は2において、前記第1のゲートはn個であり、該第1のゲート及び前記第2のゲートの遅延時間はそれぞれtd及び((n+1)/n)tdであることを限定する。第1及び第2のゲートの遅延時間を定義したものである。
【0013】
第4の発明は、複数の第1のゲートを縦続接続して構成し、信号が入力される第1のゲート列と、複数の第2のゲートを縦続接続して構成し、前記信号を遅延した信号を出力する第2のゲート列と、前記第1のゲート列の中間ノードと前記第2のゲート列の対応する中間ノードとの間に設けられた複数のスイッチを有し、該複数のスイッチのうちの1つを閉じることにより、前記遅延した信号を出力するものであって、複数の第1のゲート相互間を接続する配線負荷が、複数の第2のゲート相互間を接続する配線負荷と異なることを特徴とする可変遅延回路である。配線負荷に違いを持たせることで、第1及び第2のゲート列の遅延時間を異なるように設定することができ、信号が第1のゲートと第2のゲートを通過する数に応じて、配線負荷の差の精度で遅延時間を制御できる。
【0014】
第5の発明は、複数の第1のゲートを縦続接続して構成し、第1の信号が入力される第1のゲート列と、該第1のゲートとは遅延時間の異なる第2のゲートを複数縦続接続して構成し、前記第1の信号を遅延した信号を出力する第2のゲート列と、前記第1のゲート列の中間ノードと前記第2のゲート列の対応する中間ノードとの間に設けられた複数のスイッチと、前記第1の信号と第2の信号の位相差に応答し、前記複数のスイッチのうちの1つを閉じるように、該複数のスイッチを制御する制御回路を有することを特徴とする可変遅延回路である。スイッチを制御する制御回路で選択すべき1つのスイッチを決定することにより、信号が第1のゲートと第2のゲートを通過する数に応じて、第1及び第2のゲートの遅延時間の差の精度で遅延時間を制御できる。
【0015】
第6の発明は、複数の第1のゲートを縦続接続して構成し、第1の信号が入力される第1のゲート列と、複数の第2のゲートを縦続接続して構成し、前記第1の信号を遅延した信号を出力する第2のゲート列と、前記第1のゲート列の中間ノードと前記第2のゲート列の対応する中間ノードとの間に設けられた複数のスイッチと、前記第1の信号と第2の信号との位相差に応答して、前記複数のスイッチのうちの1つを閉じるように、該複数のスイッチを制御する制御回路を有し、複数の第1のゲート相互間を接続する配線負荷が、複数の第2のゲート相互間を接続する配線負荷と異なることを特徴とする可変遅延回路である。スイッチを制御する制御回路で選択すべき1つのスイッチを決定することにより、信号が第1のゲートと第2のゲートを通過する数に応じて、第1及び第2のゲートの遅延時間の差の精度で遅延時間を制御できる。
【0016】
第7の発明は、第5又は第6の発明において、前記第1の信号は内部クロック信号であり、前記第2の信号は外部クロック信号であることを規定した発明であり、第8及び第9の発明は、それぞれ第5又は第6の発明において、制御回路及び位相比較器の一構成例を規定した発明である。第10の発明は、入力クロック信号を遅延させる第1のDLL回路(実施例の第1のDLL回路3に相当)と、第1のDLL回路よりも高い精度で遅延を制御できる第2のDLL回路(実施例の第2のDLL回路10に相当)とを有し、第1及び第2のDLL回路の位相比較を独立に動作させ、かつ第2のDLL回路の遅延量制御を第1のDLL回路の動作に従属させることで、入力クロック信号に対し所定の位相関係を有する出力クロック信号を出力するように第1及び第2のDLL回路で遅延を与えることを特徴とする半導体集積回路装置である。異なる遅延量を制御できる2つのDLL回路を用いることによって、所定の位相関係を得るために、第1のDLL回路で比較的ラフな位相制御を行い、第2のDLL回路でより高精度な位相制御を行うことができ、回路規模を大きく増大させることなく高精度な遅延制御が行える。特に、第2のDLL回路の動作を第1のDLL回路の動作に従属させるため、第1のDLL回路と第2のDLL回路間の桁上げ桁下げ動作をスムースに行える。
【0017】
第11の発明は、第10の発明において、第2のDLL回路は第1のDLL回路がその遅延量を制御している時は第1のDLL回路からリセット信号を受けてリセットされており、第1のDLL回路で位相比較する前記入力クロック信号と前記出力クロック信号との位相が合っている時は第2のDLL回路は遅延量を制御できる状態にあることを特徴とする半導体集積回路装置である。上記従属関係を具体的に規定したものである。
【0018】
第12の発明は、第10又は11の発明において、第1のDLL回路の精度をtdとすると、第2のDLL回路は±tdを含む範囲の遅延量を制御することができ、第1のDLL回路の位相比較結果が±tdの範囲から外れた場合に第1のDLL回路はリセット信号を第2のDLL回路に出力し、第2のDLL回路の遅延量を所定値に設定することを特徴とする半導体集積回路装置である。第1のDLL回路の位相比較結果が±tdの範囲から外れた場合に第1のDLL回路での遅延量を1段階増減し、この時第2のDLL回路の遅延量を所定値に設定することで、第1及び第2のDLL回路の階層間のスムースな遅延制御が行える。
【0019】
第13の発明は、第12の発明において、前記第2のDLL回路は遅延回路(高精度遅延回路12に相当)を有し、前記第2のDLL回路の遅延量の所定値は、遅延回路が制御できる遅延量の範囲の中心であることを特徴とする半導体集積回路装置である。第2のDLL回路の遅延量の設定の一例を規定したもので、中心から遅延量が増える方向及び減る方向に制御することで、第1及び第2のDLL回路の階層間のスムースな遅延制御が行える。
【0020】
第14の発明は、第11又は12の発明において、第1及び第2のDLL回路はそれぞれ、入力クロック信号が通る第1の経路(遅延回路33と高精度遅延回路12を含む経路)と第1の経路と位相比較をするための第2の経路(ダミー遅延回路34及び高精度ダミー遅延回路14を含む経路)があり、第2の経路は第2のDLL回路がリセットされている時の遅延量と同一の遅延量を有するダミー回路(実施例中のダミー回路43)を有することを特徴とする半導体集積回路装置である。ダミー回路を設けることで第1の経路中と同一の遅延量としている。
【0021】
第15の発明は、第10の発明において、第2のDLL回路は遅延量が異なる第1及び第2の遅延素子を有し、第2の遅延素子は第1の遅延素子よりも遅延量が多く、第1及び第2の遅延量の差を第2のDLL回路の精度とすることを特徴とする半導体集積回路装置である。遅延量を与える実施の一形態を規定したものである。
【0022】
第16の発明は、第10ないし12の発明のいずれかの発明おいて、第1のDLL回路は、入力クロック信号から得られる第1のクロック信号(S3)を第3の遅延素子(遅延回路423)で遅延させた信号と出力クロック信号から得られる第2のクロック信号(S3)との位相比較を行い、及び第1のクロック信号と第2のクロック信号を第4の遅延素子(遅延回路430)で遅延させた信号との位相比較を行い、入力クロック信号と出力クロック信号との位相比較結果を出力することを特徴とする半導体集積回路装置である。これにより、第1のDLL回路での位相比較結果が±tdの範囲内にあるかどうかを判断できる。
【0023】
第17の発明は、第16の発明において、第1のDLL回路は第1及び第2のフリップフロップ(421、422)を有し、第1のフリップフロップは第3の遅延素子で遅延させた信号と第2のクロック信号をそれぞれセット及びリセット端子に入力し、第2のフリップフロップは第4の遅延素子で遅延させた信号と第1のクロック信号をそれぞれセット及びリセット端子に入力し、第1及び第2のフリップフロップの組み合わせで位相比較結果を出力することを特徴とする半導体集積回路装置である。位相比較の一実施の形態を規定したものである。
【0024】
第18の発明は、第16の発明において、第1及び第2のフリップフロップはそれぞれ第1及び第2のNANDゲートを有し、第1のNANDゲートの第1の入力はセット端子で第2の入力が第2のNANDゲートの出力と接続して出力Qとなり、第2のNANDゲートの第1の入力がリセット端子で第2の入力が第1のNANDゲートの出力と接続して出力/Qとなることを特徴とする半導体集積回路装置である。各フリップフロップの2つの入力信号に対する回路的条件を同じにすることで、より高い精度の位相比較が行える。
【0025】
第19の発明は、第16の発明において、第1及び第2のフリップフロップはそれぞれ第1及び第2のNANDゲートを有し、第1のNANDゲートの第2の入力はセット端子で第1の入力が第2のNANDゲートの出力と接続して出力Qとなり、第2のNANDゲートの第2の入力がリセット端子で第1の入力が第1のNANDゲートの出力と接続して出力/Qとなることを特徴とする半導体集積回路装置である。各フリップフロップの2つの入力信号に対する回路的条件を同じにすることで、より高い精度の位相比較が行える。
【0026】
第20の発明は、第18又は19の発明において、第1及び第2のNANDゲートの各々は第1及び第2のPチャネルトランジスタ(Q10、Q11)及び第1及び第2のNチャネルトランジスタ(Q12、Q13)を有し、第1のPチャネルトランジスタのソースは第1の電源、ゲートは第1の入力、ドレインは出力に接続され、第2のPチャネルトランジスタのソースは第1の電源、ゲートは第2の入力、ドレインは出力に接続され、第1のNチャネルトランジスタのソースは第2のNチャネルトランジスタのドレイン、ゲートは第1の入力、ドレインは出力に接続され、第2のNチャネルトランジスタのソースは第2の電源、ゲートは第2の入力、ドレインは第1のNチャネルトランジスタのソースに接続されていることを特徴とする半導体集積回路装置である。フリップフロップを電解効果トランジスタで構成した場合の一実施の形態を規定するものである。
【0027】
第21の発明は、第16の発明において、前記第3及び第4の遅延素子は、第1のDLL回路の遅延素子の1段を構成する回路と同一回路を有することを特徴とする半導体集積回路装置である。第1のDLL回路での位相比較結果が±tdの範囲内にあるかどうかを判断するために設けた第3及び第4の遅延素子の一構成例を規定するものである。
【0028】
第22の発明は、第12の発明において、前記第2のDLL回路は遅延回路(高精度遅延回路12に相当)を有し、前記第2のDLL回路の遅延量の所定値は、遅延回路が制御できる遅延量の範囲内の任意の遅延量であることを特徴とする半導体集積回路装置である。
【0029】
第23の発明は、第10の発明において、第1及び第2のDLL回路がそれぞれ遅延回路を有し、この遅延回路は論理素子の組み合わせで構成されることを特徴とする半導体集積回路装置である。遅延回路の一実施の形態を規定するものである。
【0030】
第24の発明は、第15の発明において、第1及び第2の遅延素子が論理素子で形成され、第1の遅延回路の論理素子と第2の遅延回路の論理素子のファンアウトを異ならせて第1及び第2の遅延素子の遅延量の差を形成することを特徴とする半導体集積回路装置である。第2のDLL回路の遅延回路を構成する遅延素子の一実施の形態を規定するものである。
【0031】
第25の発明は、第15の発明において、第1及び第2の遅延素子は論理素子で形成され、第1の遅延回路の論理素子と第2の遅延回路の論理素子にそれぞれ印加する電源電圧を異ならせて第1及び第2の遅延素子の遅延量の差を形成することを特徴とする半導体集積回路装置である。第2のDLL回路の遅延回路を構成する遅延素子の一実施の形態を規定するものである。
【0032】
第26の発明は、第10の発明の第2のDLL回路が遅延回路を有し、この遅延回路は少なくともキャパシタと抵抗のいずれか一方を有することを特徴とする半導体集積回路装置である。第2のDLL回路の遅延回路の一実施の形態を規定するものである。
【0033】
第27の発明は、第10の発明の第2のDLL回路が少なくともキャパシタを有する遅延回路を有し、このキャパシタの容量を変化させることで遅延量を制御することを特徴とする半導体集積回路装置である。第2のDLL回路の遅延回路の一実施の形態を規定するものである。
【0034】
第28の発明は、第10の発明の第2のDLL回路が少なくとも抵抗を有する遅延回路を有し、この抵抗の抵抗値を変化させることで遅延量を制御することを特徴とする半導体集積回路装置である。第2のDLL回路の遅延回路の一実施の形態を規定するものである。
【0035】
第29の発明は、第10の発明の第2のDLL回路がキャパシタと抵抗を有する遅延回路を有し、このキャパシタの容量及び抵抗の抵抗値を変化させることで遅延量を制御することを特徴とする半導体集積回路装置である。第2のDLL回路の遅延回路の一実施の形態を規定するものである。
【0036】
第30の発明は、第12の発明の第2のDLL回路がシフトレジスタを有する遅延回路を有し、前記第2のDLL回路の遅延量の所定値は、シフトレジスタが制御できる遅延量の範囲内の中心であることを特徴とする半導体集積回路装置である。第2のDLL回路の遅延回路の一実施の形態を規定するものである。
【0037】
第31の発明は、第16の発明において、第3及び第4の遅延素子が少なくともキャパシタと抵抗のいずれか一方を有することを特徴とする半導体集積回路装置である。第3及び第4の遅延素子の一実施の形態を規定するものである。
【0038】
第32の発明は、第16の発明において、第3及び第4の遅延素子が少なくともキャパシタを有し、このキャパシタの容量を変化させることで遅延量を制御することを特徴とする半導体集積回路装置である。第3及び第4の遅延素子の一実施の形態を規定するものである。
【0039】
第33の発明は、第16の発明において、第3及び第4の遅延素子が少なくとも抵抗を有し、この抵抗の抵抗値を変化させることで遅延量を制御することを特徴とする半導体集積回路装置である。第3及び第4の遅延素子の一実施の形態を規定するものである。
【0040】
第34の発明は、第16の発明において、第3及び第4の遅延素子はキャパシタと抵抗を有し、このキャパシタの容量及び抵抗の抵抗値を変化させることで遅延量を制御することを特徴とする半導体集積回路装置である。第3及び第4の遅延素子の一実施の形態を規定するものである。
【0041】
第35の発明は、第10の発明において、第1及び第2のDLL回路はそれぞれ遅延回路を有し、第2のDLL回路の遅延回路は、第1のDLL回路の精度よりも大きい範囲を調節できることを特徴とする。これにより、第1及び第2のDLL回路の遅延回路間の桁上がり、桁下がりがスムースになる。
【0042】
第36の発明は、入力クロック信号を遅延させる第1のDLL回路(後述する実施例の第1のDLL回路3)と、第1のDLL回路よりも高い精度で遅延を制御できる第2のDLL回路(実施例中の第2のDLL回路10)とを有し、第1及び第2のDLL回路を独立に動作させて(位相比較と独立に行う)、入力クロック信号に対し所定の位相関係を有する出力クロック信号を出力するように第1及び第2のDLL回路で遅延を与えることを特徴とする半導体集積回路装置である。異なる遅延量を制御できる2つのDLL回路を用いることによって、所定の位相関係を得るために、第1のDLL回路で比較的ラフな位相制御を行い、第2のDLL回路でより高精度な位相制御を行うことができ、回路規模を大きく増大させることなく高精度な遅延制御が行える。
【0043】
第37の発明は、第36の発明において、第1のDLL回路は入力クロック信号と出力クロック信号とが所定の位相差となるような遅延量を決定する第1の制御部(実施例中の位相比較回路31、遅延制御回路32、遅延回路33、ダミー遅延回路34を含む構成に対応する)を有し、第2のDLL回路は入力クロック信号と出力クロック信号とが所定の位相差となるような遅延量を決定する第2の制御部(高精度位相比較回路14、高精度遅延回路12及び高精度ダミー遅延回路13を含む構成に対応する)とを有することを特徴とする半導体集積回路装置である。第37の発明は、第36の発明の一実施の形態を示したものである。
【0044】
第38の発明は、第37の発明において、第2のDLL回路は、入力クロック信号と出力クロック信号との位相差があらかじめ設定されたn個の位相差のどれに相当するかを判断する比較器(高精度位相比較回路14に対応する)と、比較結果に応じた遅延量を設定する遅延回路(高精度遅延回路12に対応する)とを有することを特徴とする半導体集積回路装置である。第2のDLL回路の一構成例を示したものである。
【0045】
第39の発明は、第38の発明において、遅延回路のn個の遅延の段階を設定可能であることを特徴とする半導体集積回路装置である。遅延回路の一構成例を示したものである。
【0046】
第40の発明は、第38の発明において、前記比較器が前記遅延回路と同一構成の遅延部(遅延回路102〜104、122〜124に相当する)を複数有し、各遅延部の遅延量は異なり、出力クロック信号を各遅延部で遅延させた出力と入力クロック信号との位相を比較することを特徴とする半導体集積回路装置である。比較器の一構成例を示したものである。
【0047】
第41の発明は、第36の発明において、第2のDLL回路は第1のDLL回路の出力側に接続されていることを特徴とする半導体集積回路装置である。2つのDLL回路の接続関係の一例を示したものである。
【0048】
第42の発明は、第38の発明において、前記第2のDLL回路の遅延回路は遅延量の異なる複数の遅延回路部を有し、各遅延回路は少なくとも抵抗とキャパシタのいずれかを有する(図32、図33の回路構成に相当)ことを特徴とする半導体集積回路装置である。遅延回路の一実施の形態を示すもので、例えば各遅延回路部の遅延量を異なるように設定する。
【0049】
第43の発明は、第38の発明において、前記第2のDLL回路の遅延回路は遅延量の異なる複数の遅延回路部を有し、各遅延回路は異なる遅延量の2種類の論理素子(NANDゲートやインバータ)を有する(図36、図37の回路構成に相当)ことを特徴とする半導体集積回路装置である。遅延回路部の別の実施の形態を示すもので、信号が通る2種類の論理素子の数を異なるように設定する。
【0050】
第44の発明は、半導体集積回路装置はメモリを有し、出力クロック信号に同期してデータをメモリから外部に出力することを特徴とする請求項1ないし43のいずれか一項記載の半導体集積回路装置である。半導体集積回路装置の具体的な構成例を示したものである。請求項45に記載の発明は、第1の信号及び第2の信号が入力され、該第1の信号のタイミングが該第2の信号のタイミングより早いか否かを判定する第1のフリップフロップ回路と、前記第1の信号を第1の遅延時間分だけ遅延する第1の遅延回路と、前記第2の信号を、該第1の遅延時間とは異なる第2の遅延時間分だけ遅延する第2の遅延回路と、前記第1の遅延回路の出力信号と前記第2の遅延回路の出力信号が入力され、該第1の遅延回路の出力信号のタイミングが該第2の遅延回路の出力信号のタイミングよりも早いか否かを判定する第2のフリップフロップ回路とを有する位相比較回路である。
【発明の効果】
【0051】
本発明によれば、高い精度で遅延時間を変化させることができる可変遅延回路を提供することができる。また、本発明の可変遅延回路を、内部クロック信号と外部クロック信号の位相同期回路に適用すれば、内部クロック信号と外部クロック信号をより高精度に同期させることができる。
【0052】
更に、本発明の可変遅延回路をDLL回路に適用すれば、外部クロックの立ち上がりタイミングと出力回路からのデータの出力タイミングとを高精度に一致させることができる。更に、本発明によれば、異なる遅延量を制御できる2つのDLL回路を用いることによって、所定の位相関係を得るために、第1のDLL回路で比較的ラフな位相制御を行い、第2のDLL回路でより高精度な位相制御を行うことができ、回路規模を大きく増大させることなく高精度でスムースな遅延制御が行える。
【発明を実施するための最良の形態】
【0053】
図1は本発明の可変遅延回路を示している。図1において、遅延時間tdを有する10個のゲートG1−G10が直列に接続されている。また、これらゲートG1−G10の遅延時間より長い例えば遅延時間1.1tdを有する9個のゲートG11−G19が直列に接続されている。
【0054】
図1の可変遅延回路はさらに10個のスイッチSW0−SW9を有している。スイッチSW0は、入力ノードINとゲートG1の間に設けられている。スイッチSW1−SW9は、ゲートG1−G10からなる第1のゲート列の中間ノードn1−n9と、ゲートG11−G19からなる第2のゲート列の中間ノードn11−n19の間にそれぞれ設けられている。
【0055】
信号は、入力ノードINに印加され、所定時間遅延されたのち、出力ノードOUTから出力される。前記10個のスイッチSW0−SW9の開閉は図示しない制御回路により行なわれる。制御回路は、必要とする遅延時間にあわせて、10個のスイッチSW0−SW9のうち1つを閉じる。
【0056】
図1の例では、スイッチSW6のみが閉じている。この場合、入力ノードINに印加された信号は、G11→G12→G13→G14→G15→G16→G7→G8→G9→G10を経由して出力ノードOUTに至るので、遅延時間は、6×1.1td+4×td=10.6tdである。一方、スイッチSW0のみを閉じた場合遅延時間は10tdとなり、スイッチSW1のみを閉じた場合遅延時間は10.1tdとなる。このように、図1の可変遅延回路では、10td乃至10.9tdの遅延時間を0.1td単位で得ることができる。
【0057】
従って、図45の従来の可変遅延回路と比較して、10倍の精度の遅延時間を得ることができる。尚、図1では、第1のゲート列のゲートの数を10個としたが、この数に限定されるものではない。n個の第1のインバータ列に対し、(n+1)/n・tdの遅延時間を持つ複数のゲートからなる第2のゲート列を組み合わせることで、様々な遅延時間を得ることができる。
【0058】
さらに、図1の例では0.1td単位で遅延時間を可変することが可能な可変遅延回路を説明したが、例えば、図1のゲートG11−G19に代えて、遅延時間が2.2tdの4個のゲートを用い、この各インバータの出力側にスイッチを設けるようにすれば、10td乃至10.8tdの遅延時間を0.2td単位で得ることができる。
【0059】
図1の例では、ゲートG11はゲートG1の1.1倍の遅延時間を有するが、ゲートの遅延時間を調整する方法は種々考えられる。ゲートがCMOS構成の場合、Pチャンネルトランジスタ及びNチャンネルトランジスタのサイズ(チャネル長、チャネル幅)を変えることで、様々な遅延時間を得ることができる。あるいは、ゲートの出力に容量あるいは抵抗を接続することで、遅延時間を長くすることができる。
【0060】
また、図1におけるスイッチとしては、例えばMOSトランジスタを用いることができ、その場合、このトランジスタのゲート電位を制御することによりトランジスタのオン/オフを制御することができる。次に、図1の可変遅延回路を、外部クロック信号と内部クロック信号との位相同期回路に利用した実施例を説明する。
【0061】
この位相同期回路は、図1の可変遅延回路と図2の位相比較回路から構成されている。図1の可変遅延回路の構成は先に説明したとおりであるが、位相同期回路に利用する場合、入力ノードINには、内部クロック信号Int.CLKが印加される。図1の可変遅延回路を使用することにより、内部クロック信号Int.CLKを10tdから10.9tdまでの所定時間、0.1td刻みで遅延させることができる。内部クロック信号Int.CLKをどれだけの時間遅延させるかについては後述する位相比較回路で判断する。
【0062】
図2は、図1の可変遅延回路を制御する位相比較回路の一例を示す。この位相比較回路は、遅延時間tdを有するゲートI1−I10の第1の列と、遅延時間1.1tdを有するゲートI11−I20の第2の列を有する。さらに、ゲートの第1の列の中間ノードN0−N10と、それらに対応するゲートの第2の列の中間ノードN0’,N11−N20との間に、複数の位相比較器0−10が設けられている。
【0063】
ゲートの第1の列には外部クロック信号Ext.CLKが印加され、このゲートの第1の列は、外部クロック信号Ext.CLKを10td遅延させた信号を出力ノードOUTより出力する。一方、ゲートの第2の列には、図1の可変遅延回路の入力ノードに印加されているのと同じ内部クロック信号Int.CLKが印加される。そして、この内部クロック信号は、第2の列を構成するゲートI11−I20により遅延される。図2の例では、ノードN0’には印加された内部クロック信号がそのまま現れ、ノードN11には印加された内部クロック信号を1.td遅延された信号が現れるというように、各中間ノードN1iには、印加された内部クロック信号をi×1.1td分遅延した信号が現れる。
【0064】
図2の位相比較器1−10の各々は、ゲートの第1の列の中間ノードの1つに現れる信号の位相と、そのノードに対応するゲートの第2の列の中間ノードの1つに現れる信号の位相を比較する。例えば、位相比較器1は中間ノードN1の信号の位相と中間ノードN11の信号の位相を比較する。そして、中間ノードN11における信号の位相が中間ノードN1における信号の位相よりも早い場合、位相比較器1は例えば論理1の信号をノードaから出力する。一方、中間ノードN11における信号の位相が中間ノードN1における信号の位相よりも遅い場合、論理0の信号をノードaから出力する。
【0065】
図2の位相比較回路はさらに複数の排他的論理和回路EOR1−EOR10を有する。複数の排他的論理和回路EOR1−EOR10の各々は、隣接する2つの位相比較器からの出力信号を受け、出力信号の論理レベルの一致/不一致を判定する。そしてその判定結果は、対応する図1の可変遅延回路のスイッチSW1−SW9に送られる。
【0066】
例えば、排他的論理和回路EOR2は、位相比較回路1及び2からの出力信号を受け、両者の論理レベルを比較する。両者の論理レベルが一致した場合、一方の論理レベルの出力信号を対応するスイッチSW1に対し出力する。また両者の論理レベルが不一致の場合、他方の論理レベルの出力信号を出力する。次に、図1の可変遅延回路及び図2の位相比較回路から構成されるクロック同期回路の動作について説明する。
(1)外部クロック信号Ext.CLKと内部クロック信号Int.CLKの位相がほぼ一致している場合この場合、中間ノードN0’における内部クロック信号の位相は中間ノードN0における外部クロック信号の位相よりもわずかに早いので、位相比較器0は、論理レベル1の出力信号を出力する。一方残りの位相比較回路1−9は対応する中間ノードの信号の位相に関して、外部クロック信号側の位相が内部クロック信号側の位相より早くなるので、論理レベル0の出力信号を出力する。
【0067】
そして、複数の排他的論理和回路EOR1−EOR10のうち、EOR1だけが入力信号の論理レベルが不一致なので他方の論理レベルを出力するが、残りのEOR2−EOR10は、入力信号の論理レベルが一致するので一方の論理レベルを出力する。従って、複数の排他的論理和回路EOR1−EOR10の出力信号をそれぞれ受ける図1の複数のスイッチSW1−SW9のうち、スイッチSW0のみが閉じ、他のスイッチは開いたままである。
【0068】
結局、図1の出力ノードOUTから、内部クロック信号Int.CLKを10td遅延した信号が出力される。他方、図2の出力ノードOUTから、外部クロック信号Ext.CLKを10td遅延した信号が出力される。もともと、内部クロック信号と外部クロック信号の位相は一致しているので、これら2つの出力ノードからそれぞれ出力される内部クロック信号の位相と外部クロック信号の位相は一致している。(2)内部クロック信号の位相が外部クロック信号の位相よりも進んでいる場合、例として、内部クロック信号の位相が外部クロック信号の位相よりおよそ0.1tdだけ進んでいる場合について説明する。
【0069】
この場合、図2の複数の位相比較器0−10のうち、位相比較器0と1だけが、論理レベル1の信号を排他的論理和回路に出力し、残りの位相比較器2−10は論理レベル0の信号を出力するので、複数の排他的論理和回路EOR1−EOR10のうちEOR2のみが他方の論理レベルの信号を出力する。したがって、図1の複数のスイッチSW0−SW9のうち、SW1のみが閉じる。
【0070】
結局、図1の出力ノードOUTから、内部クロック信号Int.CLKを10.1td遅延した信号が出力される。他方、図2の出力ノードOUTから、外部クロック信号Ext.CLKを10td遅延した信号が出力される。もともと、内部クロック信号は外部クロック信号より位相がおよそ0.1td進んでいたわけなので、これら2つの出力ノードからそれぞれ出力される内部クロック信号の位相と外部クロック信号の位相は一致する。
【0071】
図3は、図1の可変遅延回路の具体回路の一例を示している。尚、図1ではゲート10段G1−G10構成になっているが、図3ではゲート5段構成の例を図示している。図3におけるゲートG1−G5はNANDゲートとインバータで構成されており、これらが図1におけるゲートG1−G10と対応している。同様に、図3におけるゲートG11−G1TはNANDゲートとインバータで構成されており、これらが図1におけるゲートG11−G19と対応している。
【0072】
さらに、図3においてスイッチSW0−SW4はNANDゲートで構成されている。図2の排他的論理和回路からの出力信号がLのとき、図3のスイッチSW0−4の出力は、第2のゲート列G11−G15側からの入力信号の論理レベルにかかわらず、Hに固定される。したがって、この場合第2のゲート列側の信号は、第1のゲート列G1−G5側に伝わらない。また第1のゲート列の各ゲートG1−G5及び第2のゲート列の各ゲートG11−G15は単なる2段インバータとして機能する。
【0073】
一方、図2の排他的論理和下位からの出力信号がHのとき、図3のスイッチSW0−SW4は、第2のゲート列G11−G15側からの入力信号の論理レベルを反転した信号を第1のゲート列G1−G5に伝える。尚、この場合も、第1のゲート列の各ゲートG1−G5及び第2のゲート列の各ゲートG11−G15は単なる2段インバータとして機能する。
【0074】
図3の例では、スイッチSW2のみが閉じて、信号が入力ノードinから出力ノードoutに遅延されながら伝搬してゆく様子を示している。尚、図3において、第1のゲート列G1−G5を構成する各ゲートと第2のゲート列G11−G15を構成する各ゲートは、同じ回路構成及びトランジスタサイズを有している。すなわち、第1のゲートと第2のゲートそのものの遅延時間は同じである。しかし、第2のゲート列G11−G15の中間ノードn11−n14にはスイッチSW0−S4として機能しているNANDゲートの一方の入力が接続されているので、第2のゲート列G11−G15間の配線負荷は、第1のゲート列G1−G5間の配線負荷よりも大きくなっている。この配線負荷の違いにより、第2のゲート列G11−G15における遅延時間を第1のゲート列G1−G5における遅延時間より長くしている。
【0075】
図4は、本発明の第2の位相比較器の具体構成の一例を説明する図である。この位相比較器は、入力信号として内部クロック信号Int.CLK及び外部クロック信号Ext.CLKを受ける第1のフリップフロップ回路FF−12と、該内部クロック信号と外部クロック信号の両方がHレベルになったことを検知しその時点から一定幅のパルス信号を出力するパルス信号発生回路91と、第2のフリップフロップ回路FF−34と、前記パルス信号に応答して第1のフリップフロップ回路の出力信号を反転して前記第2のフリップフロップへ転送するためのゲート回路92を有している。
【0076】
次に、この位相比較器の回路動作を説明する。初期状態において、内部クロック信号Int.CLK及び該外部クロック信号はLレベルであり、第1のフリップフロップ回路の出力ノードa,bはHレベルである。第1のフリップフロップは、内部クロック信号Int.CLK及び該外部クロック信号のうち立ち上がりタイミングが早い側の出力ノードをHレベルからLレベルに反転させる。例えば、内部クロック信号の方が外部クロック信号よりも立ち上がりのタイミングが早い場合、出力ノードaはHレベルからLレベルに反転するが、出力ノードbはHレベルのままである。
【0077】
次いで、内部クロック信号Int.CLK及び該外部クロック信号の両方がHレベルに遷移し、第1のフリップフロップの出力状態が確定した時点で、パルス発生回路91はパルス信号をゲート回路92に出力する。ゲート回路92はこのパルス信号に応答して開き、第1のフリップフロップ回路の出力ノードa,bの出力信号はゲート回路において反転されて、第2のフリップフロップ回路FF−12の入力ノードに送られる。第2のフリップフロップ回路は、転送された信号をラッチするとともに、ノードdにおける信号を反転した信号を出力ノードOUTに出力する。
【0078】
このように、図4の位相比較器は、内部クロック信号Int.CLKの立ち上がりタイミングが該外部クロック信号の立ち上がりタイミングより早い場合は、Lレベルの信号を出力ノードOUTから出力し、内部クロック信号Int.CLKの立ち上がりタイミングが該外部クロック信号の立ち上がりタイミングより遅い場合は、Hレベルの信号を出力ノードCOUTから出力する。
【0079】
次に、本発明の可変遅延回路をDLL回路に適用した例を説明する。以下の説明から明らかなように、本発明のDLL回路は単に上記可変遅延回路を具備することのみを特徴とするのではなく、種々の改良を含むものである。例えば、2つの異なる精度のDLL回路の使用、分周器の使用、可変遅延回路の遅延量制御、位相比較回路の構成等の改良を含むものである。
【0080】
図5は、本発明の一実施例による半導体集積回路装置であるDLL回路を示すブロック図である。図示する半導体集積回路装置は、第1のDLL回路3及び第2のDLL回路10を有する。第2のDLL回路10は第1のDLL回路3の出力側に設けられ、第1のDLL回路3の精度よりも高い精度を有する。クロック入力パッド1及びクロックバッファとして機能する入力回路21を介して外部から入力される入力クロック信号を第1のDLL回路3で遅延させ、その出力を第2のDLL回路10でより高精度に遅延させることで、入力クロック信号に対して所定の位相関係を有する出力(内部)クロック信号を生成する。第2のDLL回路10の出力はクロック配線を介して、データバスに接続される出力回路51に与えられる。出力回路51は、第2のDLL回路10からの出力クロック信号に同期してデータバス上のデータをバッファリングした後、データ出力パッド6にデータを出力する。
【0081】
また、半導体集積回路装置は、ダミー出力回路41、ダミー入力回路42及びダミー回路43を有している。ダミー出力回路41は第2のDLL回路3から出力回路51までのクロック配線の遅延及び出力回路51内の遅延と等しい遅延量を有する回路である。ダミー回路42は入力回路21と同一の遅延量を有する。ダミー回路43は、後述する所定の遅延量を有する。
【0082】
第1のDLL回路3及び第2のDLL回路10は、それぞれ独立に動作(位相比較)する。すなわち、ダミー出力回路41からダミー入力回路42を介して得られるクロック信号を、入力回路21からの入力クロック信号と独立に位相比較し、それぞれ位相差が所定の関係となるように遅延量を制御する。所定の関係にある位相差とは、具体的には、ダミー側のクロック信号が入力クロック信号に対して少なくともk周期遅れている状態である(kは1以上の整数)。この状態ではダミー側のクロック信号と入力信号とは見掛け上位相差は存在しない。すなわち、出力回路51から出力されるデータは、クロック入力パッド1に与えられる外部からの入力クロック信号に同期している。
【0083】
ただし、第2のDLL回路10の遅延量制御は、第1のDLL回路3の遅延量制御に縦続している。具体的には、第2のDLL回路は第1のDLL回路がその遅延量を制御している時は第1のDLL回路3からリセット信号を受けてリセットされており、第1のDLL回路3で信号S0とS3との位相が合っている時(第1のDLL回路3の精度において、入力パッド1に入力される外部クロック信号とデータ出力パッド6から出力されるデータの位相が合っている)は、第2のDLL回路10は遅延量を制御できる状態にある。これにより、大きな遅延量が必要な場合(遅延量を大きく可変する場合)には、第1のDLL3でのみ遅延量を制御して信号S0とS3との位相を第1のDLL回路3の精度の下に一致させ、この状態で第2のDLL回路10でより高精度に遅延量を制御することで第2のDLL回路10の精度の下に位相を一致させる。
【0084】
このように、精度の異なる第1のDLL回路3及び第2のDLL回路10を設けることは、遅延量制御、すなわち位相制御を階層化する(図5に示す構成の場合、2つの階層からなる)ことを意味している。2つの階層を2桁に置き換えて考えると、下の桁(高精度)は第2のDLL回路10で制御され、上の桁は第1のDLL回路3で制御される。従って、第1のDLL回路3と第2のDLL回路10との間には桁上がり、桁下がりの動作が必要になる。例えば、第1のDLL回路3の精度をtdとすると、第2のDLL回路10は±tdを含む範囲の遅延量を制御することができ、第1のDLL回路3の位相比較結果が±tdの範囲から外れた場合に第1のDLL回路3はリセット信号を第2のDLL回路10に出力し、第2のDLL回路10の遅延量を所定値に設定する。上記リセット信号は、桁上がり又は桁下がりに相当する。上記±tdの範囲からはずれたということは、第2のDLL回路10での遅延量制御では間に合わないことを意味し、この場合には第1のDLL回路3で遅延量を制御(可変)する。この第1のDLL回路3による遅延量の可変動作は、桁上がり又は桁下がりが生じたことを意味する。
【0085】
なお、第1のDLL回路3の位相比較結果が±tdの範囲から外れた場合に、第2のDLL回路10の遅延量は所定値に設定されるが、この所定値とは例えば第2のDLL回路10で可変可能な遅延量の範囲の1/2である。すなわち、第2のDLL回路10がリセットされると、第2のDLL回路10で可変可能な遅延量の範囲の1/2に相当する遅延量(以下、基準遅延量という)が第2のDLL回路10で与えられる。そして、第2のDLL回路10が動作可能状態にある場合には、この基準遅延量を増減させることで第2のDLL回路10の遅延量を可変させる。なお、後述するように、先に記述したダミー回路43は、上記基準遅延量と同じ遅延量を与えるものである。
【0086】
以下、第1のDLL回路3及び第2のDLL回路10のブロック構成について説明し、その後各ブロックの詳細を説明する。第1のDLL回路3は、分周回路30、ディジタル位相比較器として機能する位相比較回路31、遅延制御回路32、遅延回路33及びダミー遅延回路34を有する。分周回路30は、入力回路21を介した外部クロック信号S1を分周し、外部クロック信号S1よりも低い同一周波数の信号S2、S3を出力する。信号S2はダミー遅延回路34に出力され、信号S3は位相比較回路31の第1の入力に出力される。位相比較回路31の第2の入力には、ダミー遅延回路34の出力信号が、ダミー出力回路41、ダミー入力回路42、及びダミー回路43を介して与えられる。ここで、ダミー回路43が出力する信号をS0とする。位相比較回路31は信号S0とS3の位相比較を行って、遅延制御回路32を制御する。具体的には、位相比較回路31は、信号S0とS3との位相差が±tdの範囲内にあるかどうかを判断する。範囲外であると判断した場合には、遅延量を大きく変える必要があると判断し、遅延回路33及びダミー遅延回路34の遅延量を1ステップ(可変可能な最小遅延量で、第1のDLL回路3の精度を意味する)可変する。なお、遅延回路33及びダミー遅延回路34には同一の遅延量が設定される。更に、この場合、位相比較回路31はリセット信号を第2のDLL回路10に出力して、後述する高精度遅延回路12及び高精度ダミー遅延回路13をリセットする。このリセット信号を受けると、高精度遅延回路12及び高精度ダミー遅延回路13の遅延量は、可変可能は範囲の遅延量の1/2に相当する遅延量に設定される。なお、遅延回路33の出力信号は、第2のDLL回路10の高精度遅延回路12に与えられる。
【0087】
第2のDLL回路10は、上記高精度遅延回路12及び高精度ダミー遅延回路13の他に、高精度位相比較回路14及び遅延制御回路15を有する。高精度遅延回路12は、遅延回路33よりも高精度に遅延量を制御できる。同様に、高精度ダミー遅延回路13の遅延量はダミー遅延回路34よりも高精度に遅延量を制御できる。高精度位相比較回路14は、分周回路30が出力する信号S3と高精度ダミー遅延回路13が出力する信号との位相比較を行って、高精度遅延回路12及び高精度ダミー遅延回路13に同一の遅延量を設定するように遅延制御回路15を制御する。高精度遅延回路12及び高精度ダミー遅延回路13の精度をtd’とすると、高精度位相比較回路14は位相差が0〜td’の範囲にあるかどうかを判断する。位相差がこの範囲外にあると判断したときには、高精度遅延回路12及び高精度ダミー遅延回路13の遅延量をtd’だけ増加又は減少させる。また、遅延制御回路15は、位相比較回路31からリセット信号を受け取ると、高精度遅延回路12及び高精度ダミー遅延回路13をリセットする。このリセットにより、高精度遅延回路12及び高精度ダミー遅延回路13は基準遅延量に設定される。
【0088】
次に、図6を参照して、位相が一致している場合の動作の概要を説明する。図6に示す外部クロック信号φextは入力端子1に与えられ、tinだけ遅延して信号S1として分周回路30の与えられる。位相比較回路31はダミー回路43から信号S0を受け取る。この信号S0は、上記信号S1が遅延回路33、高精度遅延回路12、出力回路51及び入力回路21でそれぞれ遅延された合計の遅延量を有する(便宜上、分周回路30の遅延を無視する)。従って、信号S0は、上記信号S1がダミー遅延回路34並びにダミー出力回路41、ダミー入力回路42及びダミー回路43を通り出力されたものと考えられる。いま、ダミー遅延回路34の遅延量をRtd、ダミー出力回路41、ダミー入力回路42及びダミー回路43のそれぞれの遅延量をtout、tin及びthとすると、信号S0は図6に示すようになる。ここで、ダミー回路43の遅延量thは高精度遅延回路12(高精度ダミー遅延回路13も同じ)の最大遅延量の1/2である。つまり、遅延調整できる範囲の中心点とthが等しい。例えば、高精度遅延回路12が10td〜10.8tdの遅延を調整できるとすると、thは10.4tdとなる。なお、図6の信号S0の網点領域は、前述した±tdの範囲に相当する。
【0089】
高精度位相比較回路14の入力は分周回路30からの信号S3と高精度ダミー遅延回路13が出力する信号S4である。信号S4は、信号S1がダミー出力回路41、ダミー入力回路42及び高精度ダミー遅延回路13を通って得られた信号に相当する。高精度ダミー遅延回路13の遅延量はPtdで、仮にPtd=thとすると、信号S4は信号S0と同一タイミングで立ち上がる。この状態において、遅延回路33の出力は図6に示すように、信号S1より遅延量Rtdだけ遅れており、更に高精度遅延回路12を通ることで更に遅延量Ptdだけ遅れ、図6に示すようになる。高精度遅延回路12の出力は、出力回路51の遅延量tout(クロック信号線の遅延も含む)だけ遅れるので、最終的に得られる内部(出力)クロック信号は外部(入力)クロック信号φextに同期する。
【0090】
図5に示す構成は、前述したように、第1のDLL回路3の精度をtdとすると、第2のDLL回路10は±tdを含む範囲の遅延量を制御することができ、第1のDLL回路3の位相比較結果が±tdの範囲から外れた場合に第1のDLL回路3はリセット信号を第2のDLL回路10に出力し、第2のDLL回路10の遅延量を所定値に設定する。以下、この桁上がり、桁下がり動作を含む第1のDLL回路3及び第2のDLL回路10の動作について、図7及び図8を参照して説明する。
【0091】
今、図5の回路が定常状態にあり安定して動作している(第1のDLL回路3及び第2のDLL回路10で設定された遅延量が保たれている状態)において、何らかの要因(例えば電源電圧の変化、温度の変化)によって入出力クロック間の位相同期状態が保てなくなった場合、次のような遅延量制御が行われる。
【0092】
ここで、図7及び図8において、一番上のグラフは縦軸を電圧、横軸を高精度位相比較器l14で位相比較している信号S3と信号S4の位相差(換言すれば、外部クロック信号と内部クロック信号との位相差)を示している。また、[0]〜[5]は位相比較のタイミングを示している。更に、遅延回路33の精度td(単位遅延量)は200psで、高精度遅延回路12の精度td’(単位遅延量)は60psであるとしている。更に、図7の[0]〜[5]の棒グラフは桁上がり時の遅延回路33と高精度遅延回路12の動きを示しており、特に信号S3とS4の位相差が0psから300psになるまで、60ps毎のそれぞれの遅延回路の状態を示してある。更に、遅延回路33は位相差が0psの時の段数(単位遅延量を有する遅延素子の数)をNとして、(N−1)、(N)、(N+1)段の状態を示し、他方高精度遅延回路12は全体を示している。更に、図7は桁上がり動作を示し、図8は桁下がり動作を示している。
【0093】
最初に、図7を参照して桁上がり時の動作を説明する。まず、位相差が0psの時に遅延回路33はN段目で高精度遅延回路12はセンタ(0psとする)とする(状態[0])。位相差が60psになると、高精度遅延回路12が1段アップする(状態[1])。位相差が120psになると、高精度遅延回路12が更に1段アップする(状態[2])。位相差が180psになると、高精度遅延回路12が更に1段アップする(状態[3])。位相差が240psになった時は、位相差が200psになった時に遅延回路33がN段目から(N+1)段目にアップして、高精度遅延回路12はセンタにリセットされる(状態[4])。位相差が300psになると高精度遅延回路12が1段アップする(状態[5])。
【0094】
次に、図8を参照して桁下がり時の動作を説明する。まず、図7に示した状態[4]を桁下がり時の状態[0]とする。すなわち、位相差が200psとなって遅延回路33がN段目から(N+1)段目にアップして、高精度遅延回路12がセンタにリセットされた状態である。位相差が−60psになると高精度遅延回路12が1段ダウンする(状態[1])。位相差が−120psになると更に高精度遅延回路12が1段ダウンする(状態[2])。位相差が−180psになると更に高精度遅延回路12が1段ダウンする(状態[2])。位相差が−240psになった時は、位相差が−200psになった時に遅延回路33が(N+1)段目からN段目にダウンして、高精度遅延回路12はセンタにリセットされる(状態[4])。位相差が−300psになるとまた高精度遅延回路12が1段ダウンする(状態[5])。
【0095】
以上のようにして、高精度遅延回路12から独立して遅延回路33を動作させ、遅延回路33が動いた時に高精度遅延回路12をセンタにリセットすることによって、自動的に遅延回路33の1段分の遅延を高精度遅延回路12が計ることができるので、温度や電源電圧の変化によってそれぞれ遅延回路33と高精度遅延回路12が変化する値が変わっても、スムーズに階層化DLLの桁上がり、桁下がりが行われる。特に、高精度遅延回路12の位相調整可能範囲を遅延回路33の精度である200ps以上に設定することで、温度や電源電圧の変化による第1のDLL回路3と第2のDLL回路10の遅延線の遅延時間の変化の割合が異なっても、よりスムースな桁上がり、桁下がりが行える。
【0096】
以上、本発明の基本構成及びその動作について説明した。次に、第1のDLL回路3の詳細について説明する。図9は、図5に示す分周回路30の一構成例を示す回路図であり、図10は図9の分周回路30の各ノードの信号波形を示す図である。図9に示すように、分周回路30は複数のナンドゲート及びインバータよりなる3段のカウンタ301〜303を具備し、信号S1(入力回路21を介した外部クロック信号)を分周して、信号S2、S3を生成する。なお、図10において、参照符号Aは1つ目のカウンタ301の出力信号、Bは2つ目のカウンタ302の出力信号であり、各信号波形は図10に示す通りである。また、分周回路30は、複数のナンドゲート及びインバータよりなる3段のカウンタで構成されるものに限定されず、様々な論理ゲートの組み合わせとして構成できる。
【0097】
図10に示すように、分周回路30は入力クロック信号S1を8分周して、外部クロック信号の1クロックサイクル分の期間がハイレベルHで、7クロックサイクル分がローレベルLとなる信号S2を生成する。また、分周回路30はこの信号S2に相補関係にある信号S3を生成する。図11は、信号S0〜S3の位相関係を示す図である。図示するように、位相比較回路31は、8周期に1回の割合で位相比較を行う。また、信号S0は1周期遅れで信号S1に同期している。これにより、出力回路51における出力クロック信号は、1クロックサイクル前の外部クロック信号に位相同期している。
【0098】
なお、分周回路30の信号S2の期間aを変化させることで、何クロック前の外部クロック信号から出力クロック信号を生成するかを調整することができる。例えば、信号S2の期間aを3クロック分の長さとすることにより、3クロック前の外部クロック信号に同期した出力クロック信号を生成することができる。また、信号S2の期間a+bを変えることによって、何周期毎に位相比較を行うかを調整することができる。
【0099】
入力回路21、遅延回路33の最小の遅延時間、高精度遅延回路12の最小の遅延時間、クロック配線の遅延時間及び出力回路51の遅延時間の合計が外部クロック信号の1クロック分の時間(1クロックサイクル)よりも短い場合には、1クロックサイクル前の外部クロックから位相同期した内部クロック信号を生成することができる。これに対し、上記合計の遅延時間が外部クロック信号の1クロックサイクルを超える場合には、2以上のクロックサイクル前の外部クロック信号に位相同期させる必要がある。この場合には期間aを2以上とする。
【0100】
図12は、同一構成の第1のDLL回路3の遅延回路33及びダミー遅延回路34の一構成例を説明するための図である。同図(a)は1ビット分の遅延回路(単位遅延回路)の構成を示し、同図(b)はこの単位遅延回路の動作を示すタイミング図であり、同図(c)は単位遅延回路を複数段接続した場合の構成と動作を示す。
【0101】
図12(a)に示すように、単位遅延回路は2個のNANDゲート401と402、及びインバータ403からなる。単位遅延回路の動作を図12(b)を参照して説明すると、入力φEは活性化信号(イネーブル信号)で、ハイレベルHの時に単位遅延回路が動作する。図12(b)は、イネーブル信号φEがハイレベルHになって信号のアクセスが可能になった状態を示している。なお、図12(b)において、INは単位遅延回路への入力信号を示し、またφNは複数段接続された遅延回路のうち隣接する右側の単位遅延回路からの信号を示し、OUTは単位遅延回路の出力信号を示し、4a−1及び4a−2は図12(a)において対応するノードの波形を示している。従って、OUTは左側に隣接する単位遅延回路の信号φNに対応する。
【0102】
信号φNがローレベルLの時には出力信号OUTは常にローレベルLになる。また、信号φNがハイレベルHで信号φEがローレベルの時には、出力信号OUTはハイレベルになる。信号φNがハイレベルで信号φEがハイレベルの時には、入力信号INがローレベルLであれば出力信号OUTはハイレベルHになり、INがハイレベルであればローレベルLになる。
【0103】
図12(a)の回路によれば、イネーブル信号φEがハイレベルHの状態で入力信号INが立ち上がると、その入力信号は矢印の経路に伝播するが、イネーブル信号φEがローレベルLの状態では、入力信号INが出力OUTに矢印の経路で伝播しないようになっている。図12(c)は、図12(a)に示す単位遅延回路を複数段カスケード接続した例であり、実際の遅延回路33、ダミー遅延回路34に相当する。図12(c)では3段のみ示されているが、実際には所望の遅延量が得られるように多数段接続されている。また、イネーブル信号φEの信号線は、回路要素毎にφE−1、φE−2、φE−3のように複数本あり、これらの信号は遅延制御回路32で制御される。
【0104】
図12(c)では、中央の単位遅延回路が活性化されており、イネーブル信号φE−2がハイレベルHになっている。この場合、入力信号INがローレベルLからハイレベルHに変化すると、左側の単位遅延回路と右側の単位遅延回路のイネーブル信号φE−1及びφE−3はローレベルであるから、太線のように入力信号INはNANDゲート401−1及び401−3で止められてしまう。
【0105】
一方、活性化されている中央の単位遅延回路のイネーブル信号φE−2はハイレベルHであるから、入力信号INはNANDゲート401−2を通過する。右側の単位遅延回路の出力信号OUTはハイレベルHであるから、入力信号INなNANDゲート402−2も通過して、出力信号OUTとしてローレベルLの信号が伝播されることになる。上記のように、右側の出力信号OUT、すなわちイネーブル信号φNがローレベルLの時には、出力信号OUTは常にローレベルLになるので、このローレベルLの信号が左側の単位遅延回路のNANDゲート及びインバータに順次伝達され、最終的な出力信号として取り出される。
【0106】
このように、活性化された単位遅延回路を介して、入力信号INは折り返されるように信号伝達され、最終的な出力信号になる。つまり、どの部分のイネーブル信号φEをハイレベルHにするかにより、遅延量を制御することができる。1ビット分の遅延量(単位遅延量)はNANDゲートとインバータの合計の信号伝播時間で決定され、この時間がDLL回路の遅延単位時間になり、そして、全体の遅延時間は単位遅延量に通過する段数を乗じた量になる。
【0107】
図13は、図5に示す遅延制御回路32の一構成を示す回路図である。遅延制御回路32は、上記と同じ単位遅延回路を有する単位遅延制御回路430−2を遅延回路33、ダミー遅延回路34の単位遅延回路の段数分だけ接続した構成になっており、各段の出力が遅延回路の格段のイネーブル信号φEになる。単位遅延制御回路430−2はNANDゲート432−2とインバータ433−2で構成されるフリップフロップの両端にそれぞれ直列に接続されたトランジスタ435−2、437−2、438−2、439−2及びNORゲート431−2を有している。トランジスタ438−2のゲートは前段の単位遅延制御回路のノード5a−2に接続され、トランジスタ439−2のゲートは後段の単位遅延制御回路のノード5a−5に接続されて、前段と後段の信号を受けるようになっている。一方、直列接続されている他方のトランジスタには、カウントアップする時のセット信号φSE及びφSOと、カウントダウンする時のリセット信号φRE及びφROが1ビットおきに接続されている。
【0108】
図13に示されるように、中央の単位遅延制御回路430−2では、トランジスタ435−2のゲートにセット信号φSOが供給され、トランジスタ437−2にリセット信号φROが供給され、トランジスタ437−2にリセット信号φROが供給され、また単位遅延制御回路430−2の前段及び後段の両側の回路の各対応するトランジスタのゲートにはそれぞれセット信号φSE及びリセット信号φREが供給されている。またNORゲート431−2には、左側(前段)の回路のノード5a−1と回路430−2のノード5a−4の信号が入力される構成になっている。なお、φRは単位遅延制御回路をリセットする信号で、電源投入後に一時的にローレベルLになり、その後はハイレベルHに固定される。
【0109】
図14は、図13に示す遅延制御回路32の動作を説明するためのタイミング図である。図14に示すように、まずリセット信号φRが一時的にローレベルLになり、ノード5a−1、5a−3、5a−5がハイレベルH、また5a−2、5a−4、5a−6がローレベルLにセットされる。そして、カウントアップする時には、カウントアップ信号(セット信号)φSE及びφSOが交互にハイレベルHとローレベルLを繰り返す。
【0110】
セット信号φSEがローレベルLからハイレベルHになると、ノード5a−1は接地されてローレベルLになり、またノード5a−2はハイレベルHに変化する。ノード5a−2がハイレベルHに変化したのを受けて、出力信号(イネーブル信号)φE−1はハイレベルHからローレベルLに変化する。この状態はフリップフロップにラッチされるので、セット信号φSEがローレベルLに戻ったとしても、イネーブル信号φE−1はローレベルLのままである。そして、ノード5a−1がローレベルLに変化したことを受けて、イネーブル信号(出力信号)φE−2がローレベルLからハイレベルHに変化する。ノード5a−2がハイレベルHに変化したのでトランジスタ438−2はオン状態になり、セット信号φSOがローレベルLからハイレベルHになると、ノード5a−3は設置されてローレベルLに、またノード5a−4はハイレベルHに変化する。更に、ノード5a−4がハイレベルHに変化したのを受けて、イネーブル信号φE−2はハイレベルHからローレベルLに変化する。この状態はフリップフロップにラッチされるので、セット信号φSOがローレベルLに戻ったとしても、イネーブル信号φE−2はローレベルLのままである。
【0111】
そして、ノード5a−3がローレベルLに変化したことを受けて、イネーブル信号φE−3がローレベルLからハイレベルHに変化する。図10では、セット信号φSE及びφSOが1パルスずつ出ているだけであるが、単位遅延制御回路が何段にも接続されており、セット信号φSE及びφSOが交互にハイレベルHとローレベルLを繰り返せば、出力信号(イネーブル信号)φEがハイレベルHになる段の位置が順次右側にシフトする。従って、位相比較回路31の比較結果により遅延量を増加させる必要がある場合には、交互にセット信号φSE及びφSOのパルスを入力すればよい。
【0112】
カウントアップ信号(セット信号)φSE及びφSOと、カウントダウン信号(リセット信号)φRE及びφROとが出力されない状態、すなわちローレベルLである状態が維持されれば、イネーブル信号φEはハイレベルHなる段の位置は固定される。従って、位相比較回路31の比較結果により遅延量を維持する必要がある場合には、信号φSE、φSO、φRE及びφROのパルスを入力しないようにする。
【0113】
カウントダウンする時には、リセット信号φRE及びφROのパルスを交互に入力すると、カウントアップ時と逆に出力φEがハイレベルHになる段の位置が順次左側にシフトする。以上説明したように、図13に示した遅延制御回路32では、パルスを入力することにより、イネーブル信号φEがハイレベルHになる段の位置を1つずつ移動させることが可能であり、これらのイネーブル信号φEで図12(c)に示した遅延回路を制御すれば遅延量を1単位ずつ(単位遅延時間毎に)制御することができる。
【0114】
次に、図5に示す位相比較回路31の構成を説明する。位相比較回路31は図15に示す位相比較部と、図17に示す増幅回路部とからなる。始めに、図15に示す位相比較部について、図16を参照して説明する。図16において、参照符号φout及びφextは、この位相比較回路で比較する出力信号(S0)と外部クロック信号(S3)を示し、信号φextを基準として信号φoutの位相が判定される。また、φa〜φeは図17に示す増幅回路部に接続される出力信号を示している。
【0115】
図15に示すように、位相比較回路31の位相比較部は、2個のNANDゲートで構成されたフリップフロップ回路421及び422、その状態をラッチするラッチ回路425及び426、ラッチ回路の活性化信号を生成する回路424、外部クロック信号φextを単位遅延量だけ遅延させる遅延回路423、及び信号φoutを単位遅延量だけ遅延させる遅延回路430とを備えて構成される。フリップフロップ回路421は−tdの範囲、フリップフロップ回路422は+tdの範囲の位相比較を行っている。
【0116】
図16(a)は比較対象信号φoutが比較基準信号φextよりも位相がtdを越えて進んでいる場合、すなわち信号φoutが信号φextより先にローレベルLからハイレベルHになる場合を示している。信号φoutと信号φextが共にローレベルLの時には、フリップフロップ回路421及び422のノード6a−2、6a−3、6a−4、6a−5は全てハイレベルHになっている。
【0117】
信号φoutがローレベルLからハイレベルHに変化すると、ノード6a−4がハイレベルHからローレベルLに変化し、ノード6a−0が1遅延分(td)遅れてローレベルLからハイレベルHになることで、ノード6a−2がハイレベルHからローレベルLに変化する。その後、信号φextがローレベルLからハイレベルHになり、また1遅延分遅れてノード6a−1がローレベルLからハイレベルHになるが、フリップフロップの両端の電位はすでに確定しているので、何ら変化は生じない。結局、ノード6a−2はローレベルL、ノード6a−3はハイレベルH、ノード6a−4はローレベル、そしてノード6a−5はハイレベルを維持する。
【0118】
一方、信号φextがローレベルからハイレベルHに変化したのに応じて、回路424の出力信号φaはローレベルLからハイレベルHに変化し、ノード6a−6には一時的にハイレベルHになるパルスが印加される。このノード6a−6はラッチ回路425及び426のNANDゲートの入力となっているので、このNANDゲートが一時的に活性化されて、フリップフロップ回路421及び422の両端の電位状態をラッチ回路425及び426に取り込むことになる。最終的には、出力信号φbがハイレベルH、出力信号φcがローレベルL、出力信号φdがハイレベルH、そして出力信号φeがローレベルLになる。
【0119】
次に、図16(b)は比較対象信号φoutと比較基準信号φextの位相がほぼ同じ(±td内)で、信号φoutが信号φextとほぼ同時にローレベルLからハイレベルHになる場合を示している。信号φoutの立ち上がり時点とノード6a−1の立ち上がり時点との時間差内に信号φoutがローレベルLからハイレベルHに変化した時、まず信号φextがローレベルLからハイレベルHになることによってフリップフロップ421のノード6a−3がローレベルLからハイレベルHに変化する。フリップフロップ422では、ノード6a−1がローレベルLのままなので、逆にノード6a−4がハイレベルHからローレベルLに変化する。その後、ノード6a−1がハイレベルHからローレベルLに変化するが、フリップフロップ422の状態は既に決まっているので、何ら変化は生じない。その後、ノード6a−6が一時的にハイレベルHになるので、ラッチ回路にはこの状態が記憶され、結局、出力信号φbがローレベル、出力信号φcがハイレベルH、出力信号φdがハイレベルH、そして出力信号φeがローレベルになる。
【0120】
図16(c)は、比較対象信号φoutが比較基準信号φextよりも位相がtdを越えて遅れており、φoutがφextより後にローレベルLからハイレベルHになる場合を示している。この場合には、φextによって2個のフリップフロップ回路421と422に変化が生じて、6a−3と6a−5がハイレベルHからローレベルLに変化する。そして、最終的には、φbがローレベル、φcがハイレベルH、φdがローレベルL、φeがハイレベルHになる。
【0121】
このように、信号(比較基準信号)φextの立ち上がり時間を基準として、信号(比較対象信号)φoutの立ち上がり時間がそれ以前にハイレベルHになったか、ほぼ同時であったか、あるいは遅れてハイレベルHになったかを検出することが可能になる。これらの検出結果を出力信号φb、φc、φd及びφeの値としてラッチしておき、その値に基づいて遅延制御回路32をカウントアップするか、カウントダウンするかを決めることができる。
【0122】
次に、図17を参照して、位相比較回路31の増幅回路部の一構成例を説明する。なお、図18は図17に示すJKフリップフロップの動作を説明するためのタイミング図である。図17に示すように、位相規格回路31の増幅回路部は、JKフリップフロップ427と、NANDゲート及びインバータで構成される増幅部428との2つの部分を備えて構成されている。JKフリップフロップ427には、図15の位相比較部からの出力信号φaが入力され、信号φaがローレベルLであるかハイレベルHであるかに応じてノード7a−9及び7a−11の電位が交互にローレベルLとハイレベルHを繰り返す仕組みになっている。増幅部428は、JKフリップフロップ427の出力信号と、信号φb及びφdの信号を受けて増幅して出力する。
【0123】
まず、JKフリップフロップ427の動作を図18のタイミング図を参照して説明する。時間T1で、信号φaがハイレベルHからローレベルLに変化すると、ノード7a−1及び7a−10がローレベルLからハイレベルHに変化する。一方、ノード7a−1の変化に応じて、ノード7a−5、7a−6、及び7a−7が変化するが、信号φaがローレベルLであるために、ノード7a−8は変化しない。結局、出力(ノード)7a−9は変化せず、出力7a−11のみがローレベルLからハイレベルHになる。次に、時間T2になって、φaがローレベルLからハイレベルHに変化すると、時間T1での動きと逆にノード7a−8はハイレベルHからローレベルLに、7a−10は7a−7が変化しないので変化せず、出力7a−9はローレベルLからハイレベルHに変化し、出力7a−11は変化しない。このように、JKフリップフロップ回路427は、信号φaの動きに応じて出力7a−9及び7a−11が交互にハイレベルHとローレベルLを繰り返す動きをする。
【0124】
図19は、上記増幅回路部のカウントアップ時の動作を示すタイミング図(カウントアップ時)であり、図20は増幅回路部のカウント維持時の動作を示すタイミング図であり、図21は増幅回路部のカウントダウン時の動作を示すタイミング図である。これらの図を参照して、図17に示す増幅部428の動作を説明する。
【0125】
図19は、比較基準信号φextの立ち上がりに対して、比較対象信号φoutが先にローレベルLからハイレベルHになる場合を示している。この場合の位相比較部からの入力信号は、信号φbがハイレベルH、信号φcがローレベルL、信号φdがハイレベルH、信号φeがローレベルLである。結局、ノード7a−12がハイレベルHになり、ノード7a−13がローレベルLに固定され、セット信号φSO及びφSEはJKフリップフロップの状態に応じて変化するが、リセット信号φRO及びφREは7a−13がローレベルLのため変化しない。
【0126】
図20は、比較対象信号φoutが比較基準信号φextとほぼ同時にローレベルLからハイレベルHになる場合を示している。この場合の位相比較部からの入力信号は、信号φbがローレベルL、信号φcがハイレベル、信号φdがハイレベル、信号φeがローレベルである。結局、ノード7a−12及び7a−13がローレベルLに固定され、リセット信号φSE及びφSOはJKフリップフロップの出力が増幅部に影響することなく、信号φSO、φSE、φRO及びφREはローレベルLに固定されたままになる。
【0127】
図21は、比較対象信号φoutが比較基準信号φextの立ち上がりに対して遅れてローレベルLからハイレベルHになる場合を示している。この場合の位相比較部からの入力信号は、信号φbがローレベルL、信号φcがハイレベルH、信号φdがローレベルL、信号φeがハイレベルHである。結局、ノード7a−12がローレベルLに固定され、ノード7a−13がハイレベルHに固定され、リセット信号φRO及びφREはJKフリップフロップ427の状態に応じて変化するが、セット信号φSO及びφSEはノード7a−13がローレベルLのために変化しない。
【0128】
また、図17には、信号φb及びφeからリセット信号を生成する論理回路431が図示されている。φoutがφextに対し±tdの範囲を越えている場合にはリセット信号はHにあり、その範囲内であればリセット信号はLである。次に、第2のDLL回路10について詳細に説明する。図22は、高精度遅延回路12の一構成例を示す回路図である。高精度遅延回路12は各段ごとに、図12に示すNANDゲート401−1、402−1及びインバータ403−1に加え、NANDゲート404−1及びインバータ405−1を設け、1段につき2つの遅延線を形成している。網掛け部分の論理回路、すなわちNANDゲート404−1及びインバータ405−1を付加することで、NANDゲート402−1とインバータ403−1で構成される単位遅延回路の単位遅延量(例えば200ps)を下回る遅延量を制御可能とするものである。1段当り2つ設けられた単位遅延回路の遅延量の差は、NANDゲート402−1とインバータ403−1の遅延とNANDゲート404−1とインバータ405−1の遅延の差であり、これが高精度遅延回路12の精度となる。
【0129】
例えば、図示する場合、入力信号inは2つの網掛け部分の単位遅延回路と3つの単位遅延回路を通り出力信号outが得られる。また、例えば右隣りのNANDゲート401のみが開いた状態では、入力信号inは3つの網掛け部分の単位遅延回路と2つの単位遅延回路を通る。上記2つの場合における出力信号の遅延量の差は、2つの単位遅延回路の遅延量の差となる。例えば、NANDゲート402−1とインバータ403−1からなる単位遅延回路が200psの遅延量を有し、NANDゲート404−1とインバータ405−1からなる単位遅延回路が260psの遅延量を有する場合は、その差60psが高精度単位遅延回路12の精度となる。よって、NANDゲート401を制御することで、60ps、120ps、180ps、240psの遅延量を設定できる。なお、どのようなルートを通っても必ず1つのNANDゲート401を通るので、この回路の遅延量は必ず含まれる。換言すれば、遅延量の差に影響しない。また、図7、図8の構成(−300ps〜300ps)に対応させれば、高精度遅延回路12は11段構成となる。
【0130】
異なる遅延量を得るためには、種々の方法が考えられる。例えば、異なる特性のNANDゲートとインバータを用いる。例えば、異なる特性のトランジスタを用いてNANDゲートとインバータを構成する。また、同一特性のトランジスタを用いるが、これに印加する電源電圧を異ならせる。更に、同一特性かつ同一電源電圧であってもファンアウトの差で異なる遅延量が得られる。図22の同一論理素子は全て同一特性とした場合において、インバータ405−1のファンアウトは2であるが、インバータ403−1のファンアウトは1である。このファンアウトの相違により、図22の同一論理素子は全て同一特性とした場合でも、60〜70psの差が得られる。
【0131】
なお、高精度ダミー遅延回路13も高精度遅延回路12と同一構成である。第2のDLL回路10の高精度位相比較回路14は、次の点を除き、図15及び図17に示す位相比較回路31の構成と同じである。上記相違する部分を図23に示す。図23は高精度位相比較回路14の位相比較部を示す図である。図23の構成では、図17に示す遅延回路430はフリップフロップ回路421と422との間に設けられている。また、NANDゲートゲート431が遅延回路430と423との間に設けられ、遅延回路430のインバータの出力はNANDゲート431を介して遅延回路423のNANDゲートに入力されている。
【0132】
遅延回路423及び430は高精度遅延回路12の単位遅延回路と同一構成である。図示する構成では、遅延回路423及び430はNANDゲートとインバータからなる。なお、遅延回路423のインバータのファンアウトは1なのに対し、遅延回路430のインバータのファンアウトはNANDゲート431を設けたことで2である。すなわち、遅延回路430のインバータの負荷は、遅延回路423のインバータの負荷よりも大きい。このような遅延回路423及び430をフリップフロップ回路421と422との間に設けることで、信号S0(φout)と信号S3(φext)とが0〜td’の範囲内にあるかどうかを判断することができる。なお、位相増幅回路部等を含む他の構成は、図15及び17に示す構成と同じなので、その説明を省略する。
【0133】
図24は、図23に示す高精度位相比較回路14の位相比較部の動作を示すタイミング図である。図24(a)はカウントアップ時の動作を示す。φoutがローレベルLからハイレベルHに立ち上がると、ノード7a−2はローレベルLに変化する。また、ノード7a−0は遅延回路430の作用により、信号φoutの変化時からtd+td’だけ遅れてハイレベルHに変化する。その後、信号φextがハイレベルHに変化し、ノード7a−1は遅延回路423の作用により、上記変化時からtdだけ遅れてハイレベルHに変化する。なお、ノード7a−3及び7a−5はハイレベルHのままで変化しない。よって、ノード7a−6電位変化に応答して、φb=H、φc=L、φd=H、φe=Lとなる。
【0134】
図24(b)はカウント維持時の動作を示す。図示するように、信号φoutとφextが0〜td’の範囲内にある時は、φb=L、φc=H、φd=H、φe=Lとなる。また、図24(c)はカウントダウン時の動作を示す。図示するように、φb=L、φc=H、φd=L、φe=Hとなる。図25は、遅延制御回路15の構成を示す回路図である。図25中の破線の左側部分は図13に示す回路構成と実質的に同一である。破線の右側部分は、左側部分と多少異なる。これは、リセット信号を位相比較回路31から受けたときに、高精度遅延回路12及び高精度ダミー遅延回路13を中央にリセットするために、対応するNORゲートのみハイレベルHを出力するようにするためである。破線の左側に隣接するNANDゲート432−3の出力は前段のNORゲート431−2に入力されており、インバータ433−3の出力はNORゲート431−3に入力されている。破線の右側に隣接するNANDゲート432−4の出力はNORゲート431−4に入力されており、インバータ433−4の出力はNORゲート431−3に入力されている。リセット信号がアクティブ(ハイレベルH)になると、各ノードのレベルは図25に示すようになり、高精度遅延回路12及び高精度ダミー遅延回路13の中央に対応するNORゲート431−3のみハイレベルHを出力し、その他のNORゲートはすべてローレベルLを出力する。なお、シフト動作は図13及び図14を参照して説明したシフト動作と同様である。
【0135】
実際の回路構成においては、特に次の点を考慮することが好ましい。位相比較回路31及び高精度位相比較回路14の位相比較部を構成するフリップフロップ回路421及び422のNANDゲートをMOSトランジスタで構成する場合には次の点を考慮する。図26はNANDゲートの回路図である。NANDゲートは、2つのPチャネルMOSトランジスタQ10、Q11と2つのNチャネルMOSトランジスタQ12、Q13とからなる。PチャネルトランジスタQ10のソースは第1の電源Vccに接続され、ゲートは第1の入力IN1に接続され、ドレインは出力OUTに接続されている。PチャネルトランジスタQ11のソースは第1の電源Vccに接続され、ゲートは第2の入力IN2に接続され、ドレインは出力OUTに接続されている。NチャネルトランジスタQ12のソースはNチャネルトランジスタQ13のドレインに接続され、ゲートは第1の入力IN1に接続され、ドレインは出力OUTに接続されている。NチャネルトランジスタQ13のソースは第2の電源(グランド)に接続され、ゲートは第2の入力IN2に接続され、ドレインはNチャネルトランジスタQ12のソースに接続されている。
【0136】
ここで、入力信号IN1と出力OUTとの入出力応答特性と、入力信号IN2と出力OUTとの入出力特性とは上記回路構成に起因して多少異なる。このようなNANDゲートを2つ用いてフリップフロップ回路421及び422を構成する場合には、可能な限り高精度を得るために、各フリップフロップ回路の2つの入力信号を同じ条件で受け取るように接続する。例えば、フリップフロップ回路421の第1のNANDゲートのセット端子が図26に示すIN1として信号φoutを受け取る場合には、第2のNANDゲートのリセット端子はIN1として信号φextを受け取る。なお、この場合、第1のNANDゲートのリセット端子IN2は第2のNANDゲートの出力と接続されQ出力を構成し、第2のNANDゲートのリセット端子IN2は第1のNANDゲートの出力に接続され/Q出力となる。逆に、フリップフロップ回路421の一方のNANDゲートのセット端子が図26のIN2として信号φoutを受け取る場合には、他方のNANDゲートのリセット端子はIN2として信号φextを受け取る。なお、この場合、第1のNANDゲートのリセット端子IN1は第2のNANDゲートの出力と接続されQ出力を構成し、第2のNANDゲートのリセット端子IN1は第1のNANDゲートの出力に接続され/Q出力となる。
【0137】
以上のこれにより、2つの入力信号に対する回路構成上の条件は同一となり、高い位相比較の精度を保つことができる。図27は、高精度遅延回路12及び高精度ダミー遅延回路13の別の構成例を示す図である。図示する構成は2段構成であり、各段に遅延素子としてキャパシタC1、C2を設けてある。キャパシタC1、C2はトランジスタQ1、Q2を介して選択的に遅延線に接続される。トランジスタQ1、Q2の制御は遅延制御回路15で行われる。例えば、25fFの容量は50psの遅延量になり、50fFの容量は100psの遅延量になる。よって、このようなキャパシタを用いることで、遅延回路33よりも高精度な高精度遅延回路12を実現できる。
【0138】
なお、その他の構成として複数の抵抗を直列に接続し、各抵抗の両端をショートするスイッチを設け、入出力間で直列に接続される抵抗の数を変化させることで、遅延量を可変する構成でもよい。更に、このような抵抗と上記キャパシタとを組み合わせた遅延回路であってもよい。なお、最終的な遅延量は図27に示すインバータINV1とINV2の遅延量も含む。
【0139】
図28は、図5に示す構成の変形例を示す図である。図28に示す変形例は、図5に示す分周回路30を取り除き、入力回路21の出力信号S1を直接ダミー遅延回路33、位相比較回路31及び高精度位相比較回路14に出力している点で、図5に示す構成とは異なる。前述したように、分周回路30を設けることで、位相比較すべきクロックを確実に特定することができる。しかしながら、クロック周波数が非常に低く、入力回路21からのクロックとフィードバックされたクロックとの相対的位置関係が1サイクルを越えて変動することがなく、かつ比較すべき両方のクロックがハイレベルになっている時間があれば、分周回路30はかならずしも必要ではない。図28に示す変形例は、この観点から図5に示す分周回路30を除去したものである。なお、図28に示す変形例の動作は、図5〜図27を参照して説明した動作と同様である。従って、図28に示す変形例の動作の説明は、ここでは省略する。
【0140】
次に、本発明の別の実施例による半導体集積回路装置(DLL回路)を説明する。図29は、この実施例による半導体集積回路装置を示す。なお、図29中、前述した図に示される構成要素と同一のものには同一の参照番号を付けてある。図示する半導体集積回路装置は、第1のDLL回路3及び第2のDLL回路10を有する。ただし、図5に示す構成とは異なり、階層化構成ではなく、第1のDLL回路3と第2のDLL回路10とが独立に動作し、それぞれの遅延量制御も独立して行う。
【0141】
以下、図29の構成及び動作を詳細に説明する。第2のDLL回路10は第1のDLL回路3の出力側に設けられ、第1のDLL回路3の精度よりも高い精度を有する。クロック入力パッド1及びクロックバッファとして機能する入力回路21を介して外部から入力される入力クロック信号を第1のDLL回路3で遅延させ、その出力を第2のDLL回路10でより高精度に遅延させることで、入力クロック信号に対して所定の位相関係を有する出力(内部)クロック信号を生成する。第2のDLL回路10の出力はクロック配線41を介して、データバスに接続される出力回路51に与えられる。出力回路51は、第2のDLL回路10からの出力クロック信号に同期してデータバス上のデータをバッファリングした後、データ出力パッド6にデータを出力する。また、半導体集積回路装置は、クロックバッファとして機能するダミー入力回路22、ダミー配線42、出力バッファとして機能するダミー出力回路52、及びダミー負荷容量7を有している。これらのダミー入力回路22、ダミー配線42、及びダミー出力回路52はそれぞれ、入力回路21、クロック配線41及び出力回路51と同一の回路構成であり、同一の遅延量を有する。また、ダミー負荷容量7は、データ出力パッド6に結合している負荷容量に等しい。
【0142】
第1のDLL回路3及び第2のDLL回路10は、それぞれ独立に動作(位相比較及び遅延量制御)する。すなわち、ダミー出力回路52からダミー入力回路22を介して得られるクロック信号を、入力回路21からの入力クロック信号と独立に位相比較し、それぞれ位相差が所定の関係となるように遅延量を制御する。所定の関係にある位相差とは、具体的には、ダミー側のクロック信号が入力クロック信号に対して少なくともk周期遅れている状態である(kは1以上の整数)。この状態ではダミー側のクロック信号と入力信号とは見掛け上位相差は存在しない。すなわち、出力回路51から出力されるデータは、クロック入力パッド1に与えられる外部からの入力クロック信号に同期している。
【0143】
第1のDLL回路3は、分周回路30、ディジタル位相比較器として機能する位相比較回路31、遅延制御回路32、遅延回路33及びダミー遅延回路34を有する。分周回路30は、入力回路21を介した外部クロック信号S1を分周し、外部クロック信号S1よりも低い同一周波数の信号S2、S3を出力する。信号S2はダミー遅延回路34に出力され、信号S3は位相比較回路31の第1の入力に出力される。位相比較回路31の第2の入力には、ダミー遅延回路34の出力信号が、後述する高精度ダミー遅延回路13、ダミー配線42、ダミー出力回路52及びダミー入力回路22を介して与えられる。ここで、ダミー入力回路22が出力する信号をS0とする。位相比較回路31は信号S0とS3の位相比較を行って、遅延制御回路32を制御する。遅延制御回路32は、位相比較回路31の出力信号(位相比較結果)に応じて、遅延回路33及びダミー遅延回路34に同一の遅延量を設定する。遅延回路33の出力信号は、第2のDLL回路10の高精度遅延回路12に与えられる。
【0144】
第2のDLL回路10は、この高精度遅延回路12、高精度ダミー遅延回路13及び高精度位相比較回路14を有する。高精度遅延回路12は、遅延回路33よりも高精度に遅延量を制御できる。高精度ダミー遅延回路13の遅延量は所定値に固定されている。高精度位相比較回路14は、信号S0とS3の位相比較を行って、高精度遅延回路12の遅延量を制御する。第1のDLL回路3の作用により、出力回路51における出力クロック信号は外部クロック信号にほぼ同期が取られており、高精度位相比較器14の比較結果に応じて高精度遅延回路12の遅延量を制御することで、高精度に位相制御を行うことができる(第1のDLL回路3の精度の間を第2のDLL回路10で埋める)。
【0145】
なお、図5に示すダミー回路41は図29に示すダミー配線42、ダミー出力回路52及びダミー負荷容量7を含むものである。また、図29に示す出力回路51は、図5に示すクロック配線41を含むものである。次に、第1のDLL回路3の各部を詳細に説明するが、図5に示す第1のDLL回路3の各部と同一部分の構成の詳細については、その説明を省略する。
【0146】
図29に示す位相比較回路31の構成を説明する。位相比較回路31は図30に示す位相比較部と、前述した図17に示す増幅回路部とからなる。始めに、図8に示す位相比較部について、図9を参照して説明する。図30において、参照符号φout及びφextは、この位相比較回路で比較する出力信号(S0)と外部クロック信号(S1)を示し、信号φextを基準として信号φoutの位相が判定される。また、φa〜φeは図17に示す増幅回路部に接続される出力信号を示している。
【0147】
図30に示すように、位相比較回路31の位相比較部は、2個のNANDゲートで構成されたフリップフロップ回路421及び422、その状態をラッチするラッチ回路425及び426、ラッチ回路の活性化信号を生成する回路424、及び外部クロック信号φextの位相許容値を得る単位遅延分の遅延回路423を備えて構成される。
【0148】
図31(a)は比較対象信号φoutが比較基準信号φextよりも位相が進んでいる場合、すなわち信号φoutが信号φextより先にローレベルLからハイレベルHになる場合を示している。信号φoutと信号φextが共にローレベルLの時には、フリップフロップ回路421及び422のノード6a−2、6a−3、6a−4、6a−5は全てハイレベルHになっている。
【0149】
信号φoutがローレベルLからハイレベルHに変化すると、ノード6a−2及び6a−4は共にハイレベルHからローレベルLに変化する。その後、信号φextがローレベルLからハイレベルHになり、また1遅延分遅れてノード6a−1がローレベルLからハイレベルHになるが、フリップフロップの両端の電位はすでに確定しているので、何ら変化は生じない。結局、ノード6a−2はローレベルL、ノード6a−3はハイレベルH、ノード6a−4はローレベル、そしてノード6a−5はハイレベルを維持する。
【0150】
一方、信号φextがローレベルからハイレベルHに変化したのに応じて、回路424の出力信号φaはローレベルLからハイレベルHに変化し、ノード6a−6には一時的にハイレベルHになるパルスが印加される。このノード6a−6はラッチ回路425及び426のNANDゲートの入力となっているので、このNANDゲートが一時的に活性化されて、フリップフロップ回路421及び422の両端の電位状態をラッチ回路425及び426に取り込むことになる。最終的には、出力信号φbがハイレベルH、出力信号φcがローレベルL、出力信号φdがハイレベルH、そして出力信号φeがローレベルLになる。
【0151】
次に、図31(b)は比較対象信号φoutと比較基準信号φextの位相がほぼ同じで、信号φoutが信号φextとほぼ同時にローレベルLからハイレベルHになる場合を示している。信号φoutの立ち上がり時点とノード6a−1の立ち上がり時点との時間差内に信号φoutがローレベルLからハイレベルHに変化した時、まず信号φextがローレベルLからハイレベルHになることによってフリップフロップ421のノード6a−3がローレベルLからハイレベルHに変化する。フリップフロップ422では、ノード6a−1がローレベルLのままなので、逆にノード6a−4がハイレベルHからローレベルLに変化する。その後、ノード6a−1がハイレベルHからローレベルLに変化するが、フリップフロップ422の状態は既に決まっているので、何ら変化は生じない。その後、ノード6a−6が一時的にハイレベルHになるので、ラッチ回路にはこの状態が記憶され、結局、出力信号φbがローレベル、出力信号がハイレベルH、出力信号φdがハイレベルH、そして出力信号φeがローレベルになる。
【0152】
図31(c)は、比較対象信号φoutが比較基準信号φextよりも位相が遅れており、φoutがφextより後にローレベルLからハイレベルHになる場合を示している。この場合には、φextによって2個のフリップフロップ回路421と422に変化が生じて、6a−3と6a−5がハイレベルHからローレベルLに変化する。そして、最終的には、φbがローレベル、φcがハイレベルH、φdがローレベルL、φeがハイレベルHになる。
【0153】
このように、信号(比較基準信号)φextの立ち上がり時間を基準として、信号(比較対象信号)φoutの立ち上がり時間がそれ以前にハイレベルHになったか、ほぼ同時であったか、あるいは遅れてハイレベルHになったかを検出することが可能になる。これらの検出結果を出力信号φb、φc、φd及びφeの値としてラッチしておき、その値に基づいて遅延制御回路32をカウントアップするか、カウントダウンするかを決めることができる。
【0154】
図32は、高精度遅延回路12の一構成例を示す回路図である。高精度遅延回路12は、2つのインバータが直列に接続されたインバータ回路INV1、同じく2つのインバータが直列に接続されたインバータ回路INV2、2つのnチャネルトランジスタQ1、Q2、及び2つのキャパシタC1(例えば50fFの容量)、C2(例えば25fFの容量)を具備して構成される。トランジスタQ1、Q2を介してキャパシタC1、C2を選択的に信号遅延線に接続することで、遅延量を可変できる。すなわち、高精度遅延回路12の遅延量は、インバータ回路INV1、INV2の固定遅延量とキャパシタC1、C2で決まる遅延量との合計である。トランジスタQ1及びQ2のゲートにはそれぞれ、図29に示す高精度位相比較回路14が出力する制御信号N12及びN03が印加される。例えば、25fFの容量は50psの遅延量になり、50fFの容量は100psの遅延量になる。前述した遅延回路33及びダミー遅延回路34の単位遅延量は例えば200psなので、高精度遅延回路12は高精度な遅延制御を可能とする。
【0155】
図33は、高精度ダミー遅延回路の一構成例を示す回路図である。高精度遅延回路13は高精度遅延回路12と同様に、2つのインバータ回路INV3、INV4、2つのnチャネルトランジスタQ3、Q4、及び2つのキャパシタC3(50fF)、C4(25fF)を具備して構成される。ただし、トランジスタQ3、Q4のゲートはグランドレベルに固定されているので、キャパシタC3、C4は信号遅延線から切り離されている。従って、高精度ダミー遅延回路13の遅延量は2つのインバータ回路INV3、INV4で決まる固定値である。キャパシタC3、C4は遅延に機能していないが、高精度ダミー遅延回路13を高精度遅延回路12と同一回路構成とすることで、クロック信号に対する回路条件を同一にしている。
【0156】
図34は、高精度位相比較回路14の一構成例を示す回路図である。高精度位相比較回路14は、分周回路30が出力する外部クロック信号S3を基準信号とし、ダミー入力回路22が出力する信号S0に複数の異なる遅延量を与え、これにより得られた複数の信号を上記信号S3と位相比較することで、高精度遅延回路12の遅延量を決定する。
【0157】
図34に示すように、ダミー入力回路22が出力する信号S0に対し、3つの異なる遅延量を持った遅延回路102、103及び104が設けられている。各遅延回路102、103及び104の回路構成は、図32を参照して説明した高精度遅延回路12の回路構成と同一である。ただし、異なる遅延量を設定するために、各遅延回路102、103及び104の2つのトランジスタのオン/オフの制御が異なる。遅延回路102は25fFのキャパシタが信号遅延線に接続され、遅延回路103は50fFのキャパシタが信号遅延線に接続され、遅延回路104は25fFと50fFの両方のキャパシタが信号遅延線に接続されている。このような遅延回路102〜104と同一の回路条件とするために、基準信号S3に対しても同一回路構成の遅延回路101が設けられている。ただし、2つのキャパシタはいずれも信号遅延線から切り離されている。
【0158】
また、高精度位相比較回路14は、2個のNANDゲートで構成されたフリップフロップ回路105、106、107、その状態をラッチするラッチ回路109、110、111、これらのラッチ回路の活性化信号を生成する回路108、ラッチ回路109、110、111の出力から高精度遅延回路12のトランジスタQ2に対する制御信号を3つのNANDゲートを用いて生成する論理回路112とを備えて構成される。
【0159】
図35は、図34に示す高精度位相比較回路14の動作を示すタイミング図である。このタイミング図は、遅延回路33及びダミー遅延回路34の単位遅延回路の単位遅延量は200psで、信号遅延線の容量が25fF増えると50psの遅延が生じるものとした場合の回路動作である。図35(a)、(b)、(c)、(d)はそれぞれ信号S0がS3よりも40ps、90ps、140ps、190ps速い場合の動作を示している。また、図35中、参照記号A〜D及びa−1〜a−7、N01〜N03、N11〜N12、N21〜N22はそれぞれ図34に示す回路部分の信号を示している。
【0160】
図35(a)は、信号S0がS3よりも40ps速い場合である。この場合には、図32のキャパシタQ1、Q2の両方を切り離して、高精度遅延回路12の遅延量を最小値にする必要がある。各回路部分の信号は図35(a)に示すように変化し、制御信号N12、N03ともローレベルLに設定される。図35(b)は、信号S0がS3よりも90ps速い場合である。この場合には、図32のキャパシタQ2のみを接続して、信号遅延量を50ps増やす必要がある。各回路部分の信号は図35(b)に示すように変化し、制御信号N12はローレベルL、制御信号N03はハイレベルHになる。
【0161】
図35(c)は、信号S0がS3よりも140ps速い場合である。この場合には、図32のキャパシタQ1のみを接続して、信号遅延量を10ps増やす必要がある。各回路部分の信号は図35(c)に示すように変化し、制御信号N12はハイレベルH、制御信号N03はローレベルLになる。図35(d)は、信号S0がS3よりも190ps速い場合である。この場合には、図32のキャパシタQ1及びQ2の両方を接続して、信号遅延量を150ps増やす必要がある。各回路部分の信号は図35(d)に示すように変化し、制御信号N12、N03ともはハイレベルHになる。
【0162】
このように、第1のDLL回路3で200psの精度で遅延量を制御し、第2のDLL回路10で50psの精度で更に遅延量を制御することで、高精度な遅延制御を行うことができ、外部クロック信号CLKに高精度に同期した内部クロック信号を生成することができる。次に、第2のDLL回路10の別の構成例について説明する。
【0163】
図36は、高精度遅延回路12の別の構成例を示す回路図である。図36に示す高精度遅延回路12は、図12(c)に示す遅延回路に対し、網掛け部分の論理回路を付加して、単位遅延回路400の単位遅延量200psを下回る遅延量を制御可能とするものである。NANDゲート401、402及びインバータ403からなる各単位遅延回路400に対し、異なる遅延量の単位遅延回路400’を接続する。単位遅延回路400’はNANDゲート402’とインバータ403’とからなる。単位遅延回路400と400’との遅延量の差は、NANDゲート402’とインバータ403’の遅延とNANDゲート402とインバータ403の遅延の差であり、これが高精度遅延回路12の精度となる。例えば、制御信号N03’を受けるNANDゲートのみが開いた状態では、入力信号inは2つの単位遅延回路400’と2つの単位遅延回路400を通り出力信号outが得られる。また、制御信号N04’を受けるNANDゲートのみが開いた状態では、入力信号inは3つの単位遅延回路400’と1つの単位遅延回路400を通る。上記2つの場合における出力信号の遅延量の差は、単位遅延回路400と400’の遅延量の差となる。例えば、単位遅延回路400が200psの遅延量を有し、単位遅延回路400’が250psの遅延量を有する場合は、その差50psが高精度単位遅延回路12の精度となる。よって、NANDゲート401を制御することで、50ps、100ps、150psの遅延量を設定できる。なお、どのようなルートを通っても必ず1つのNANDゲート401を通るので、この回路の遅延量は必ず含まれる。換言すれば、遅延量の差に影響しない。また、図36の制御信号N01’〜N04’は、図38を参照して後述する高精度位相比較回路14から出力されるものである。
【0164】
図37は、高精度ダミー遅延回路13の別の構成例を示す図である。高精度ダミー遅延回路13は、図36に示す高精度遅延回路12と同一構成である。ただし、初段のNANDゲート401のみハイレベルHに設定され、残りの対応するNANDゲートはローレベルLに設定されているので、入力信号inは全て単位遅延回路400を通り出力される。
【0165】
図38は、図36及び図37に示す構成を用いた場合の高精度位相比較回路14の構成例を示す回路図である。なお、前述した図34に示す構成要素と同一のものには同一の参照番号を付けてある。ダミー入力回路22からの信号S0に対し、異なる遅延量を有する3つの遅延回路122、123、124が設けられている。各遅延回路122、123、124の回路構成は、図36に示す構成と同一である。ただし、異なる遅延量を設定するために、NANDゲートのレベル設定がそれぞれ異なる。例えば、遅延回路122のNANDゲートのレベル設定は左から順にL、H、L、Lとなっている。また、回路条件を同じにするために、信号S3に対して遅延回路122〜124と同一回路構成の遅延回路121が設けられている。また、図34に示す論理回路112に代えて、NANDゲートとインバータからなる論理回路125が設けられている。この論理回路125から、制御信号N01’〜N04’が出力される。
【0166】
図39は、図38に示す高精度位相比較回路14の動作を示すタイミング図である。このタイミング図は、遅延回路33及びダミー遅延回路34の単位遅延回路の単位遅延量は200psで、遅延回路122〜124の切り替えを右に1つずつずらして単位遅延回路400’の数が1つずつ増える毎に50psの遅延量が増える構成とした場合の回路動作である。図39(a)、(b)、(c)、(d)はそれぞれ信号S0がS3よりも40ps、90ps、140ps、190ps速い場合の動作を示している。また、図39中、参照記号A’〜D’及びb−1〜b−7、N01’〜N04’はそれぞれ図38に示す回路部分の信号を示している。
【0167】
図39(a)は、信号S0がS3よりも40ps速い場合である。この場合には、図36の高精度遅延回路12の遅延量を図38に示す遅延回路121と等しく設定する(最小値)必要がある。各回路部分の信号は図39(a)に示すように変化し、制御信号N01’のみがハイレベルHに設定される。図39(b)は、信号S0がS3よりも90ps速い場合である。この場合には、図36の高精度遅延回路12の遅延量を図38に示す遅延回路122と等しく設定する必要がある。各回路部分の信号は図39(b)に示すように変化し、制御信号N02’のみがハイレベルHに設定される。
【0168】
図39(c)は、信号S0がS3よりも140ps速い場合である。この場合には、図36の高精度遅延回路12の遅延量を図38に示す遅延回路123と等しく設定する必要がある。各回路部分の信号は図39(c)に示すように変化し、制御信号N03’のみがハイレベルHに設定される。図39(d)は、信号S0がS3よりも190ps速い場合である。この場合には、図36の高精度遅延回路12の遅延量を図38に示す遅延回路124と等しく設定する必要がある。各回路部分の信号は図39(d)に示すように変化し、制御信号N04’のみがハイレベルHに設定される。
【0169】
このように、第1のDLL回路3で200psの精度で遅延量を制御し、第2のDLL回路10で50psの精度で更に遅延量を制御することで、高精度な遅延制御を行うことができ、外部クロック信号CLKに高精度に同期した内部クロック信号を生成することができる。なお、高精度遅延回路12及び高精度ダミー遅延回路13の回路構成は上述したものに限られず、複数の抵抗を直列に接続し、信号が通る抵抗の数を可変することで異なる遅延量を設定する構成や、抵抗とキャパシタとを組み合わせた構成等、種々の構成で実現できる。
【0170】
図40は、本発明に係る半導体集積回路装置(DLL)が適用される一例としてのシンクロナスDRAM(SDRAM)の構成を示す図であり、図41は図40のSDRAMの動作を説明するためのタイミングチャートである。本発明が適用される半導体集積回路装置の一例としてのSDRAMは、例えばパイプライン方式が採用され、16M・2バンク・8ビット幅のものとして構成されている。
【0171】
図40に示されるように、SDRAMは汎用DRAMのDRAMコア108a、108bの他に、クロックバッファ101、コマンドデコーダ102、アドレスバッファ/レジスタ&バンクアドレスセレクト(アドレスバッファ)103、I/Oデータバッファ/レジスタ104、制御信号ラッチ105a、105b、モードレジスタ106、コラムアドレスカウンタ107a、107bを備えている。ここで、/CS、/RAS、/CAS、/WE端子は、従来の動作とは異なり、その組み合わせで各種コマンドを入力することによって動作モードが決定されるようになっている。各種コマンドは、コマンドデコーダで解読されて、動作モードに応じて各回路を制御することになる。また、/CS、/RAS、/CAS、/WE信号は、制御信号ラッチ105aと105bにも入力されて次のコマンドが入力されるまで、その状態がラッチされる。
【0172】
アドレス信号は、アドレスバッファ103で増幅されて各バンクのロードアドレスとして使用される他、コラムアドレスカウンタ107a及び107bの初期値として使用される。クロックバッファ101は、内部クロック生成回路121及び出力タイミング制御回路122を備えている。内部クロック生成回路121は、外部クロック信号CLKから通常の内部クロック信号を生成するものであり、また、出力タイミング制御回路122は、前述したようなDLL回路を適用して正確な遅延制御(位相制御)を行ったクロック信号を発生させるためのものである。
【0173】
I/Oデータバッファ/レジスタ104は、データ入力バッファ13及びデータ出力バッファ(出力回路)51を備え、DRAMコア108a及び108bから読み出された信号は、データ出力バッファ51により所定のレベルに増幅され、出力タイミング制御回路122からのクロック信号に従ったタイミングでデータはパッドDQ0〜DQ7を介して出力される。また、入力データに関しても、パッドDQ0〜DQ7から入力されたデータは、データ入力バッファ13を介して取り込まれる。ここで、クロック配線41は、出力タイミング制御回路122から各データ出力バッファ51までの配線に対応している。
【0174】
上記SDRAMの読み取り動作を図41を参照して説明する。まず、外部クロック信号CLKは、このSDRAMが使用されるシステムから供給される信号であり、このCLKの立ち上がりに同期して、各種コマンド、アドレス信号、入力データを取り込み、又は出力データを出力するように動作する。
【0175】
SRAMからデータを読み出す場合、コマンド信号(/CS、/RAS、/CAS、/WE信号)の組み合わせからアクティブ(ACT)コマンドをコマンド端子に入力し、アドレス端子にはローアドレス信号を入力する。このコマンド、ローアドレスが入力されるとSDRAMは活性状態になり、ローアドレスに応じたワード線を選択して、ワード線上のセル情報をビット線に出力し、センスアンプで増幅する。
【0176】
更に、ローアドレスに関係した部分の動作時間(tRCD)後に、リードコマンド(Read)とコラムアドレスを入力する。コラムアドレスに従って、選択されたセンスアンプデータをデータバス線に出力し、データバスアンプで増幅し、出力バッファで更に増幅して出力端子(DQ)にデータが出力される。これら一連の動作は汎用DRAMと全く同じ動作であるが、SDRAMの場合、コラムアドレスに関係する回路がパイプライン動作するようになっており、リードデータは毎サイクル専属して出力されることになる。これにより、データ転送速度は外部クロック信号CLKの周期になる。
【0177】
SDRAMでのアクセス時間には3種類あり、いずれも外部クロック信号CLKの立ち上がり時点を基準にして定義される。図41において、tRACはローアドレスアクセス時間、tCACはコラムアドレスアクセス時間、tACはクロックアクセス時間を示している。図42は、図40のSDRAMの要部構成を概略的に示すブロック図であり、SDRAMにおけるパイプライン動作を説明するためのもので、一例としてパイプが3段設けられている場合を示している。
【0178】
SDRAMでのコラムアドレスに関係する処理回路は、処理の流れに沿って複数段に分割されており、分割された各段の回路をパイプと呼んでいる。クロックバッファ101は図40を参照して説明したように、内部クロック生成回路121及び出力タイミング制御回路122を備え、内部クロック生成回路121の出力(通常の内部クロック新尾久)がパイプ−1及びパイプ−2に供給され、出力タイミング制御回路122の出力(位相制御された内部クロック信号)がパイプ−3の出力回路51(データ出力バッファ)に供給されるようになっている。
【0179】
各パイプは供給された内部クロック信号に従って制御され、各パイプの間には、パイプ間の信号の伝達タイミングを制御するスイッチが設けられており、これらのスイッチもクロックバッファ101(内部クロック発生回路121)で生成された内部クロック信号により制御される。図42に示す例では、パイプ−1において、コラムアドレスバッファ116でアドレス信号を増幅してコラムデコーダ118にアドレス信号を送り、コラムデコーダ118で選択されたアドレス番地に相当するセンスアンプ回路117の情報をデータバスに出力し、データバスの情報をデータバスアンプ119で増幅するまで行われる。また、パイプ−2にはデータバス制御回路120のみが設けられ、パイプ−3はI/Oバッファ104(出力回路51)で構成されている。なお、I/Oバッファ104におけるデータ入力バッファ13は図42では省略されている。
【0180】
そして、各パイプ内の回路も、クロックサイクル時間内で完全に動作完了するならば、パイプとパイプとの間にあるスイッチをクロック信号に同期して開閉することで、リレー式にデータを送り出す。これにより、各パイプでの処理が並列に行われることになり、出力端子にはクロック信号に同期して連続的にデータが出力されることになる。
【0181】
図43は、本発明に係る半導体集積回路装置における出力回路(データ出力バッファ51)の一構成例を説明するための図である。図42及び図43に示されるように、図43におけるData1及びData2は、セルアレイ115から読み出され、センスアンプ117とデータバスアンプ119とデータバス制御回路120を介して出力された記憶データに対応する信号であり、Data1及びData2は、出力データがハイレベルHの場合には共にローレベルLであり、出力データがローレベルLの場合には共にハイレベルHである。なお、出力データがハイレベルHでもローレベルLでもないハイインピーダンス状態(ハイゼット状態)をとることも可能であり、その場合にはデータバス制御回路120において、Data1がハイレベルHに、Data2がローレベルになるように変換される。信号φofは、出力タイミング制御回路122(図29中の高精度遅延回路12)の出力信号(クロック信号)に対応するもので、出力回路のイネーブル信号として機能するものである。
【0182】
クロック信号φofがハイレベルHになると、Data1とData2の情報がデータ出力パッド6(DQ0〜DQ7)に現われる。例えば、データ出力パッド6にハイレベルHを出力する場合を想定すると、クロック信号φofがローレベルLからハイレベルHに変化し、ノード8a−1がローレベルLに、ノード8a−2がハイレベルになって、トランスファゲートがオンしてData1及びData2がノード8a−3及び8a−6に伝達される。その結果、ノード8a−5がローレベルLに、ノード8a−8がハイレベルになると、出力用のPチャネルトランジスタ81はオンとなり、またNチャネルトランジスタ82はオフとなって、データ出力パッド6にはハイレベルHの出力が現われることになる。また、クロック信号φofがローレベルLになると、トランスファゲートはオフして、それまでの出力状態が保持される。
【0183】
図44は、図29に示すダミー出力回路52の一構成例を示す図である。ダミー出力回路52は図43の出力回路51と遅延時間がほぼ等しくなるように、出力回路51と同様な回路構成を有している。出力回路51と異なる点は、出力回路51のラッチ部51−3、51−4がインバータとNANDゲートからなるラッチ回路52−3、52−4に置き代わっており、このNANDゲートの一方の入力に、図29に示す高精度遅延回路12からダミー配線42を介して供給される内部クロック信号が与えられる。ラッチ回路52−3、52−4は受け取った内部クロック信号の反転信号を出力し、このダミー出力回路52の出力ノード8a−9からは、内部クロック信号に応答して、HレベルとLレベルの信号が交互に出力される。さらに、このダミー出力回路52の出力ノード8a−9にはダミー負荷容量7が接続されている。このダミー負荷容量7の容量値は、出力回路51の出力端子6に接続される外部負荷の平均値と等しい値に設定されている。本発明は上記実施例に限定されることはなく、種々の変形例が可能である。例えば、遅延回路を構成する遅延素子として機能する論理素子はNANDゲートやインバータに限定されず、NORやEOR等の論理素子を用いて構成することができる。
【0184】
以上の説明では、本発明の半導体集積回路装置をSDRAMとして説明したが、本発明はSDRAMに限らず、外部から入力される信号に同期して出力信号が出力される半導体集積回路装置であれば、どのようなものにも適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0185】
【図1】本発明の可変遅延回路の一実施例を示す図である。
【図2】本発明による位相比較回路の一実施例を示す図である。
【図3】図1に示す可変値片回路の一具体例を示す図である。
【図4】本発明の位比較回路の一実施例を示す図である。
【図5】本発明の一実施例による半導体集積回路装置のブロック図である。
【図6】図5の半導体集積回路装置の動作概要を示す図である。
【図7】図5の半導体集積回路装置の桁上がり動作を示す図である。
【図8】図5の半導体集積回路装置の桁下がり動作を示す図である。
【図9】図5の半導体集積回路装置における分周回路の例を示す回路図である。
【図10】図9の分周回路の各ノードの信号波形を示す図である。
【図11】図9の分周回路を使用した半導体集積回路装置の動作を説明するためのタイミング図である。
【図12】本発明の半導体集積回路装置における遅延回路の一構成例を説明するための図である。
【図13】本発明の半導体集積回路装置における遅延制御回路32の一構成例を説明するための図である。
【図14】図13の遅延制御回路の動作を説明するためのタイミング図である。
【図15】本発明の半導体集積回路装置における位相比較回路31の位相比較部の一構成例を説明するための図である。
【図16】図15の位相比較部の動作を説明するためのタイミング図である。
【図17】本発明の半導体集積回路装置における位相比較回路31の増幅回路部の一構成例を説明するための図である。
【図18】図17の増幅回路部におけるJKフリップフロップの動作を説明するためのタイミング図である。
【図19】図17の増幅回路部の動作を説明するためのタイミング図(カウントアップ時)である。
【図20】図17の増幅回路部の動作を説明するためのタイミング図(カウント維持時)である。
【図21】図17の増幅回路部の動作を説明するためのタイミング図(カウントダウン時)である。
【図22】図5の高精度遅延回路12の一構成例を示す回路図である。
【図23】本発明の半導体集積回路装置における位相比較回路14の位相比較部の一構成例を説明するための図である。
【図24】図23に示す高精度位相比較回路14の位相比較部の動作を示すタイミング図である。
【図25】図5の遅延制御回路15の一構成例を示す回路図である。
【図26】フリップフロップ回路を構成するNANDゲートの構成を示す回路図である。
【図27】図5の高精度遅延回路12の別の構成例を示す回路図である。
【図28】図5に示す構成の変形例を示す図である。
【図29】本発明の別の実施例による半導体集積回路装置のブロック図である。
【図30】図29に示す位相比較回路31の位相比較部の一構成例を説明するための図である。
【図31】図30の位相比較部の動作を説明するためのタイミング図である。
【図32】図29の高精度遅延回路12の一構成例を示す回路図である。
【図33】図29の高精度ダミー遅延回路13の一構成例を示す回路図である。
【図34】図29の高精度位相比較回路14の一構成例を示す回路図である。
【図35】図34の高精度位相比較回路14の動作を説明するためのタイミング図である。
【図36】図29の高精度遅延回路12の別の構成例を示す回路図である。
【図37】図29の高精度ダミー遅延回路13の別の構成例を示す回路図である。
【図38】図29の高精度位相比較回路14の別の構成例を示す回路図である。
【図39】図38の高精度位相比較回路14の動作を説明するためのタイミング図である。
【図40】本発明に係る半導体集積回路装置が適用される一例としてのシンクロナスDRAMの構成を示す図である。
【図41】図40のシンクロナスDRAMの動作を説明するためのタイミング図である。
【図42】図40のシンクロナスDRAMの要部構成を概略的に示すブロック図である。
【図43】本発明に係る半導体集積回路装置における出力回路(データ出力バッファ回路)の一構成例を説明するための図である。
【図44】図28に示すダミー出力回路の一構成例を示す図である。
【図45】従来の可変遅延回路を示す図である。
【符号の説明】
【0186】
3 第1のDLL回路
10 第2のDLL回路
12 高精度遅延回路
13 高精度ダミー遅延回路
14 高精度位相比較回路
21 入力回路
30 分周回路
31 位相比較回路
32 遅延制御回路
33 遅延回路
34 ダミー遅延回路
41 ダミー出力回路
42 ダミー入力回路
43 ダミー回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力クロック信号を遅延させる第1のDLL回路と、第1のDLL回路よりも高い精度で遅延を制御できる第2のDLL回路とを有し、第1及び第2のDLL回路の位相比較を独立に動作させ、かつ第2のDLL回路の遅延量制御を第1のDLL回路の動作に従属させることで、入力クロック信号に対し所定の位相関係を有する出力クロック信号を出力するように第1及び第2のDLL回路で遅延を与えることを特徴とする半導体集積回路装置。
【請求項2】
第2のDLL回路は第1のDLL回路がその遅延量を制御している時は第1のDLL回路からリセット信号を受けてリセットされており、第1のDLL回路で位相比較する前記入力クロック信号と前記出力クロック信号との位相が合っている時は第2のDLL回路は遅延量を制御できる状態にあることを特徴とする請求項1記載の半導体集積回路装置。
【請求項3】
第1のDLL回路の精度をtdとすると、第2のDLL回路は±tdを含む範囲の遅延量を制御することができ、第1のDLL回路の位相比較結果が±tdの範囲から外れた場合に第1のDLL回路はリセット信号を第2のDLL回路に出力し、第2のDLL回路の遅延量を所定値に設定することを特徴とする請求項1又は2記載の半導体集積回路装置。
【請求項4】
第2のDLL回路は遅延回路を有し、第2のDLL回路の遅延量の所定値は、遅延回路が制御できる遅延量の範囲の中心であることを特徴とする請求項3記載の半導体集積回路装置。
【請求項5】
第1及び第2のDLL回路はそれぞれ、入力クロック信号が通る第1の経路と第1の経路と位相比較をするための第2の経路があり、第2の経路は第2のDLL回路がリセットされている時の遅延量と同一の遅延量を有するダミー回路を有することを特徴とする請求項2又は3記載の半導体集積回路装置。
【請求項6】
第2のDLL回路は遅延量が異なる第1及び第2の遅延素子を有し、第2の遅延素子は第1の遅延素子よりも遅延量が多く、第1及び第2の遅延量の差を第2のDLL回路の精度とすることを特徴とする請求項1記載の半導体集積回路装置。
【請求項7】
第1のDLL回路は、入力クロック信号から得られる第1のクロック信号を第3の遅延素子で遅延させた信号と出力クロック信号から得られる第2のクロック信号との位相比較を行い、及び第1のクロック信号と第2のクロック信号を第4の遅延素子で遅延させた信号との位相比較を行い、入力クロック信号と出力クロック信号との位相比較結果を出力することを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一項記載の半導体集積回路装置。
【請求項8】
第1のDLL回路は第1及び第2のフリップフロップを有し、第1のフリップフロップは第3の遅延素子で遅延させた信号と第2のクロック信号をそれぞれセット及びリセット端子に入力し、第2のフリップフロップは第4の遅延素子で遅延させた信号と第1のクロック信号をそれぞれセット及びリセット端子に入力し、第1及び第2のフリップフロップの組み合わせで位相比較結果を出力することを特徴とする請求項7記載の半導体集積回路装置。
【請求項9】
第1及び第2のフリップフロップはそれぞれ第1及び第2のNANDゲートを有し、第1のNANDゲートの第1の入力はセット端子で第2の入力が第2のNANDゲートの出力と接続して出力Qとなり、第2のNANDゲートの第1の入力がリセット端子で第2の入力が第1のNANDゲートの出力と接続して出力/Qとなることを特徴とする請求項7記載の半導体集積回路装置。
【請求項10】
第1及び第2のフリップフロップはそれぞれ第1及び第2のNANDゲートを有し、第1のNANDゲートの第2の入力はセット端子で第1の入力が第2のNANDゲートの出力と接続して出力Qとなり、第2のNANDゲートの第2の入力がリセット端子で第1の入力が第1のNANDゲートの出力と接続して出力/Qとなることを特徴とする請求項7記載の半導体集積回路装置。
【請求項11】
第1及び第2のNANDゲートの各々は第1及び第2のPチャネルトランジスタ及び第1及び第2のNチャネルトランジスタを有し、第1のPチャネルトランジスタのソースは第1の電源、ゲートは第1の入力、ドレインは出力に接続され、第2のPチャネルトランジスタのソースは第1の電源、ゲートは第2の入力、ドレインは出力に接続され、第1のNチャネルトランジスタのソースは第2のNチャネルトランジスタのドレイン、ゲートは第1の入力、ドレインは出力に接続され、第2のNチャネルトランジスタのソースは第2の電源、ゲートは第2の入力、ドレインは第1のNチャネルトランジスタのソースに接続されていることを特徴とする請求項9又は10に記載の半導体集積回路装置。
【請求項12】
前記第3及び第4の遅延素子は、第1のDLL回路の遅延素子の1段を構成する回路と同一回路を有することを特徴とする請求項7記載の半導体集積回路装置。
【請求項13】
第2のDLL回路は遅延回路を有し、前記第2のDLL回路の遅延量の所定値は、遅延回路が制御できる遅延量の範囲内の中心であることを特徴とする請求項3記載の半導体集積回路装置。
【請求項14】
第1及び第2のDLL回路はそれぞれ遅延回路を有し、この遅延回路は論理素子の組み合わせで構成されることを特徴とする請求項1記載の半導体集積回路装置。
【請求項15】
第1及び第2の遅延素子は論理素子で形成され、第1の遅延回路の論理素子と第2の遅延回路の論理素子のファンアウトを異ならせて第1及び第2の遅延素子の遅延量の差を形成することを特徴とする請求項6記載の半導体集積回路装置。
【請求項16】
第1及び第2の遅延素子は論理素子で形成され、第1の遅延回路の論理素子と第2の遅延回路の論理素子にそれぞれ印加する電源電圧を異ならせて第1及び第2の遅延素子の遅延量の差を形成することを特徴とする請求項6記載の半導体集積回路装置。
【請求項17】
第2のDLL回路は遅延回路を有し、この遅延回路は少なくともキャパシタと抵抗のいずれか一方を有することを特徴とする請求項1記載の半導体集積回路装置。
【請求項18】
第2のDLL回路は少なくともキャパシタを有する遅延回路を有し、このキャパシタの容量を変化させることで遅延量を制御することを特徴とする請求項1記載の半導体集積回路装置。
【請求項19】
第2のDLL回路は少なくとも抵抗を有する遅延回路を有し、この抵抗の抵抗値を変化させることで遅延量を制御することを特徴とする請求項1記載の半導体集積回路装置。
【請求項20】
第2のDLL回路はキャパシタと抵抗を有する遅延回路を有し、このキャパシタの容量及び抵抗の抵抗値を変化させることで遅延量を制御することを特徴とする請求項1記載の半導体集積回路装置。
【請求項21】
第2のDLL回路はシフトレジスタを有する遅延回路を有し、前記第2のDLL回路の遅延量の所定値は、シフトレジスタが制御できる遅延量の範囲内の中心であることを特徴とする請求項3記載の半導体集積回路装置。
【請求項22】
第3及び第4の遅延素子は少なくともキャパシタと抵抗のいずれか一方を有することを特徴とする請求項7記載の半導体集積回路装置。
【請求項23】
第3及び第4の遅延素子は少なくともキャパシタを有し、このキャパシタの容量を変化させることで遅延量を制御することを特徴とする請求項7記載の半導体集積回路装置。
【請求項24】
第3及び第4の遅延素子は少なくとも抵抗を有し、この抵抗の抵抗値を変化させることで遅延量を制御することを特徴とする請求項7記載の半導体集積回路装置。
【請求項25】
第3及び第4の遅延素子はキャパシタと抵抗を有し、このキャパシタの容量及び抵抗の抵抗値を変化させることで遅延量を制御することを特徴とする請求項7記載の半導体集積回路装置。
【請求項26】
第1及び第2のDLL回路はそれぞれ遅延回路を有し、第2のDLL回路の遅延回路は、第1のDLL回路の精度よりも大きい範囲を調節できることを特徴とする請求項1記載の半導体集積回路装置。
【請求項27】
入力クロック信号を遅延させる第1のDLL回路と、第1のDLL回路よりも高い精度で遅延を制御できる第2のDLL回路とを有し、第1及び第2のDLL回路を独立に動作させて、入力クロック信号に対し所定の位相関係を有する出力クロック信号を出力するように第1及び第2のDLL回路で遅延を与えることを特徴とする半導体集積回路装置。
【請求項28】
第1のDLL回路は入力クロック信号と出力クロック信号とが所定の位相差となるような遅延量を決定する第1の制御部を有し、第2のDLL回路は入力クロック信号と出力クロック信号とが所定の位相差となるような遅延量を決定する第2の制御部とを有することを特徴とする請求項27記載の半導体集積回路装置。
【請求項29】
第2のDLL回路は、入力クロック信号と出力クロック信号との位相差があらかじめ設定されたn個の位相差のどれに相当するかを判断する比較器と、比較結果に応じた遅延量を設定する遅延回路とを有することを特徴とする請求項28記載の半導体集積回路装置。
【請求項30】
遅延回路のn個の遅延の段階を設定可能であることを特徴とする請求項29記載の半導体集積回路装置。
【請求項31】
前記比較器は前記遅延回路と同一構成の遅延部を複数有し、各遅延部の遅延量は異なり、出力クロック信号を各遅延部で遅延させた出力と入力クロック信号との位相を比較することを特徴とする請求項29記載の半導体集積回路装置。
【請求項32】
第2のDLL回路は第1のDLL回路の出力側に接続されていることを特徴とする請求項27記載の半導体集積回路装置。
【請求項33】
前記第2のDLL回路の遅延回路は遅延量の異なる複数の遅延回路部を有し、各遅延回路は少なくとも抵抗とキャパシタのいずれかを有することを特徴とする請求項29記載の半導体集積回路装置。
【請求項34】
前記第2のDLL回路の遅延回路は遅延量の異なる複数の遅延回路部を有し、各遅延回路は異なる遅延量の2種類の論理素子を有することを特徴とする請求項29記載の半導体集積回路装置。
【請求項35】
半導体集積回路装置はメモリを有し、出力クロック信号に同期してデータをメモリから外部に出力することを特徴とする請求項1ないし34のいずれか一項記載の半導体集積回路装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図42】
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【図43】
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【図44】
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【図45】
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【公開番号】特開2006−92730(P2006−92730A)
【公開日】平成18年4月6日(2006.4.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−294447(P2005−294447)
【出願日】平成17年10月7日(2005.10.7)
【分割の表示】特願平9−127586の分割
【原出願日】平成9年5月16日(1997.5.16)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】