説明

多層プリント配線板

【課題】 設計の自由度が向上するとともに、小型化を図ることができ、さらには、高密度配線にも対応し易い多層プリント配線板を提供すること。
【解決手段】 複数の絶縁層と、導体回路と、光配線とが積層形成され、光学素子が実装された多層プリント配線板であって、上記光配線は、上記絶縁層間に形成されていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光通信に使用することができる多層プリント配線板に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、高速インターネット網の整備に伴い、光通信は、基幹網の通信のみならず、基幹網と端末機器(パソコン、モバイル、ゲーム等)との通信や、端末機器同士の通信、端末機器内での通信にも使用することが提案されている。
基幹網においては、情報量の増大に伴い、交換機、ルータ等のスイッチング装置の高速化が進行しているため、例えば、ブックシェルフ型のバックプレーンボードにおいて、ドータボードとスイッチングボードとの間での信号伝送を光通信により行うことが検討されており、光コネクタを用いた光ファイバにより光通信が検討されている(特許文献1参照)。
また、端末機器に光トランシーバを配設し、光ファイバにより光通信を行うことも検討されている。
【特許文献1】特開平11−113033号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ドータボードや端末機器の内部で使用されるプリント配線板では、スイッチング装置や端末機器の高性能化、小型化を達成すべく、プリント配線板の両面に、電子部品が実装されており、さらに、実装部品点数の増加に伴い、小型化とともに、高密度実装が行われている。
また、上述したように、光ファイバを用いて光通信を行う場合、例えば、ドータボードを構成するプリント配線板では、その端部周辺に光コネクタが実装されることとなり、さらに、この光コネクタは、プリント配線板に実装された光電気変換素子に接続されることとなる。また、光トランシーバも、通常、多層プリント配線板に実装された状態で端末機器に配設されている。
【0004】
このように、光コネクタおよび光電気変換素子や、光トランシーバもプリント配線板上に搭載する必要が生じており、この場合、プリント配線板上に、新たな搭載スペースを確保する必要があり、プリント配線板が大きくなってしまうとの問題が生じており、さらに、光ファイバとの接続を必要とするため、その搭載位置がプリント配線板の端部周辺に限定されることとなり、その結果、設計の自由度が低下するという問題も生じている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
そこで、本発明者等は、鋭意検討した結果、端末機器等の小型化を図るべく、プリント配線板の小型化を図るとともに、その設計の自由度を向上させるには、光配線を多層プリント配線板の内部に形成すればよいことを見出し、本発明を完成した。
【0006】
すなわち、本発明の多層プリント配線板は、複数の絶縁層と、導体回路と、光配線とが積層形成され、光学素子が実装された多層プリント配線板であって、
上記光配線は、上記絶縁層間に形成されていることを特徴とする。
【0007】
本発明の多層プリント配線板では、上記光配線の両面のそれぞれに絶縁層と導体回路とが積層形成されていることが望ましい。
【0008】
上記多層プリント配線板では、少なくとも1層の上記絶縁層を貫通する光信号通過領域が形成され、
上記光信号通過領域の少なくとも一端と、上記光配線とが光学的に接続されていることが望ましい。
そして、この場合、上記光信号通過領域は、一方の最外層の絶縁層を貫通するように形成されており、
他方の最外層の絶縁層の外層側であって、上記光信号通過領域の上記光配線と光学的に接続された側の延長線上の位置には、導体回路および/またはパッドが形成されていることが望ましい。
【0009】
上記多層プリント配線板では、上記光配線が異なる階層に位置するように形成されており、
多層プリント配線板を一の主面に垂直な方向に透視した際に、
互いに階層の異なる光配線の、一の光配線の一部と他の一の光配線の一部とが、重なって視認されることが望ましい。
【0010】
上記多層プリント配線板では、上記光配線が、接着層を介して、上記絶縁層、上記導体回路および他の光配線のうちの少なくとも1つに積層されていることが望ましい。
【0011】
上記多層プリント配線板では、上記絶縁層を挟んだ導体回路間を接続するためのバイアホールが形成されており、
上記バイアホールは、貫通バイアホールおよび/または非貫通バイアホールであることが望ましい。
上記多層プリント配線板において、上記光配線は、コアとクラッドとを有しており、
多層プリント配線板を一の主面に垂直な方向に透視した際に、
上記コアと上記非貫通バイアホールの一部とが、重なって視認されることが望ましい。
また、上記多層プリント配線板において、上記光配線は、光導波路であることが望ましい。
【0012】
本発明の多層プリント配線板は、両面に導体回路が形成され、さらに少なくとも片面に光導波路が形成された絶縁層が、接着性絶縁材料からなる絶縁層を介して積層されているものが望ましい。
【0013】
また、本発明の多層プリント配線板は、光導波路フィルムまたは光ファイバシートの両面に、接着性絶縁材料からなる絶縁層を介して、両面に導体回路が形成された絶縁層が積層されているものも望ましい。
【0014】
また、少なくとも片面に光導波路が形成された絶縁層の両面に、接着性絶縁材料からなる絶縁層を介して、両面に導体回路が形成された絶縁層が積層されているものも望ましい。
【発明の効果】
【0015】
本発明の多層プリント配線板によれば、光信号を伝送するための光配線が多層プリント配線板の内部、即ち、絶縁層層間に形成されており、光学部品の実装位置や導体回路の形成位置等を考慮して、光配線の形成位置を適宜選択することができるため、多層プリント配線板の設計の自由度が向上するとともに、多層プリント配線板の小型化を図ることができる。
また、本発明の多層プリント配線板は、光配線が絶縁層間に形成されているため、多層プリント配線板の表面に、光学素子や各種電子部品を実装するスペースを充分に確保することができ、また、最外層の導体回路は、高密度配線にも対応し易い。そのため、各種光学部品や電子部品の高密度実装も可能となる。
【0016】
また、本発明の多層プリント配線板において、少なくとも一層の絶縁層を貫通する光信号通過領域が形成され、さらに、上記光信号通過領域の少なくとも一端と、上記光導波路のとが光学的に接続されている場合には、例えば、上記多層プリント配線板の両面のそれぞれに実装された光学部品間で、上記光信号通過領域を介して光信号の伝送を行うことができる。
なお、本明細書において、光信号通過領域と光導波路とが光学的に接続されているとは、両者の間で光信号を伝送することができるように構成されている状態をいい、その具体的な態様については後述する。
【0017】
さらに、本発明の多層プリント配線板では、光配線が多層プリント配線板の内部に形成されているため、多層プリント配線板の難燃化を図りやすく、より信頼性に優れることとなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の多層プリント配線板の実施形態について説明する。
本発明の多層プリント配線板は、複数の絶縁層と、導体回路と、光配線とが積層形成され、光学素子が実装された多層プリント配線板であって、
上記光配線は、上記絶縁層間に形成されていることを特徴とする。
【0019】
本発明の多層プリント配線板では、光配線が、絶縁層間に形成されている。
上記光配線が、絶縁層間に形成されている態様としては、後に、図面を参照しながら詳細に説明するが、例えば、(1)両面に導体回路が形成され、さらに少なくとも片面に光導波路が形成された絶縁層が、接着性絶縁材料からなる絶縁層を介して積層されている態様、(2)光導波路フィルムまたは光ファイバシートの両面に、接着性絶縁材料からなる絶縁層を介して、両面に導体回路が形成された絶縁層が積層されている態様、(3)少なくとも片面に光導波路が形成された絶縁層の両面に、接着性絶縁材料からなる絶縁層を介して、両面に導体回路が形成された絶縁層が積層されている態様等が挙げられる。
なお、上記多層プリント配線板においては、異なる階層に光配線が形成されていてもよい。
【0020】
上記光配線としては、光導波路、光ファイバシート等が挙げられる。
上記光導波路としては、ポリマー材料等からなる有機系光導波路、石英ガラス、化合物半導体等からなる無機系光導波路等が挙げられる。これらのなかでは、ポリマー材料等からなる有機系光導波路が望ましい。絶縁層との密着性に優れ、加工が容易だからである。
上記ポリマー材料としては、通信波長帯での吸収が少ないものであれば特に限定されず、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、感光性樹脂、熱硬化性樹脂の一部が感光性化された樹脂、熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂との樹脂複合体、感光性樹脂と熱可塑性樹脂との複合体等が挙げられる。
【0021】
具体的には、PMMA(ポリメチルメタクリレート)、重水素化PMMA、重水素フッ素化PMMA等のアクリル樹脂、フッ素化ポリイミド等のポリイミド樹脂、エポキシ樹脂、UV硬化性エポキシ樹脂、ポリオレフィン系樹脂、重水素化シリコーン樹脂等のシリコーン樹脂、シロキサン樹脂、ベンゾシクロブテンから製造されるポリマー等が挙げられる。
【0022】
また、上記光導波路のコアの厚さは1〜100μmが望ましく、その幅は1〜100μmが望ましい。上記幅が1μm未満では、その形成が容易でないことがあり、一方、上記幅が100μmを超えると、多層プリント配線板を構成する導体回路等の設計の自由度を阻害する原因となることがある。
また、上記光導波路のコアの厚さと幅との比は、1:1に近いほうが望ましい。これは、通常、上記受光素子の受光部や上記発光素子の発光部の平面形状が円形状だからである。なお、上記厚さと幅との比は特に限定されるものではなく、通常、約1:2〜約2:1程度であればよい。
【0023】
また、上記光導波路は、マルチモードの光導波路であることが望ましく、上記光導波路が通信波長0.85μmでマルチモードの光導波路である場合には、そのコアの厚さおよび幅は20〜80μmであることがより望ましく、50μm程度であることが特に望ましい。
マルチモードの光導波路が望ましいのは、シングルモードの光導波路に比べて、光導波路と光学素子との位置合わせが比較的容易で、また、位置ズレに対する許容値も大きいからである。
【0024】
また、上記光導波路には、粒子が配合されていてもよい。粒子が配合されることにより、光導波路にクラックが発生しにくくなるからである。即ち、光導波路に粒子が配合されていない場合には、光導波路と他の層(例えば、絶縁層等)との熱膨張係数が異なることに起因して光導波路にクラックが発生することがあるが、光導波路に粒子を配合して熱膨張係数を調整することにより、上記他の層との熱膨張係数の差を小さくした場合には、光導波路にクラックが発生しにくくなるからである。
【0025】
上記粒子としては、例えば、後述する光信号通過領域を構成する樹脂組成物に含まれる粒子と同様のもの等が挙げられる。これらの粒子は、それぞれ単独で用いても良いし、2種以上併用してもよい。
上記粒子としては、無機粒子が望ましく、シリカ、チタニアまたはアルミナからなる粒子が望ましい。また、シリカ、チタニアおよびアルミナのうちの少なくとも2種を混合、溶融させて形成した混合組成の粒子も望ましい。
また、上記樹脂粒子等の粒子の形状は特に限定されず、球状、楕円球状、破砕状、多面体状等が挙げられる。
【0026】
また、上記粒子の粒子径は、通信波長より短いことが望ましい。粒子径が通信波長より長いと光信号の伝送を阻害することがあるからである。
上記粒子径は、その下限が0.01μmで、上限が0.8μmであることがより望ましい。この範囲を外れる粒子を含んでいると、粒度分布が広くなりすぎて、樹脂組成物中に混合した際に、該樹脂組成物の粘度のバラツキが大きくなり、樹脂組成物を調製する場合の再現性が低くなり、所定の粘度を有する樹脂組成物を調製することが困難になることがあるからである。
【0027】
上記粒子径は、その下限が0.1μmで、その上限が0.8μmであることがさらに望ましい。この範囲にあると、スピンコート、ロールコート等を用いて樹脂組成物を塗布するの適しており、また、粒子が混合された樹脂組成物を調製する際に、所定の粘度に調製しやすくなる。
上記粒子径は、その下限が0.2μmで、その上限が0.6μmであることが特に望ましい。この範囲が、樹脂組成物の塗布、光導波路のコアの形成に特に適している。さらに、形成した光導波路ごとのバラツキ、特に、コアのバラツキが最も小さくなり、多層プリント配線板の特性に特に優れることとなるからである。
また、この範囲の粒子径を有する粒子であれば、2種類以上の異なる粒子径の粒子が含まれていてもよい。
【0028】
上記粒子の配合量は、その望ましい下限が10重量%であり、より望ましい下限が20重量%である。一方、上記粒子の望ましい上限は80重量%であり、より望ましい上限は70重量%である。粒子の配合量が10重量%未満であると、粒子を配合させる効果が得られないことがあり、粒子の配合量が80重量%を超えると、光信号の伝送が阻害されることがあるからである。
【0029】
また、上記光導波路の形状は特に限定されないが、その形成が容易であることから、フィルム状であってもよい。
また、上記光導波路がコアとクラッドとから構成されているものである場合、上記粒子は、コアとクラッドとの両方に配合されていてもよいが、コアには粒子が配合されておらず、該コアの周囲を覆うクラッドにのみ粒子が配合されていることが望ましい。その理由は以下の通りである。
すなわち、光導波路に粒子を配合する場合、該粒子と光導波路の樹脂成分との密着性によっては、粒子と樹脂成分との界面に空気層が生じてしまうことがあり、この場合には、この空気層により光の屈折方向が変わり、光導波路の伝播損失が大きくなることがあるのに対し、クラッドにのみ粒子が配合を配合した場合には、上述したような粒子を配合することにより、光導波路の伝播損失が大きくなるというような問題が発生することがないとともに、光導波路でクラックが発生しにくくなるとの上述した効果を得ることができるからである。
【0030】
また、上記光ファイバシートとしては、複数の光ファイバが並列に配置され、その周囲が樹脂組成物等からなるカバー樹脂層で覆われフィルム状に成形されたもの等が挙げられる。この場合、光ファイバは、並列にのみ一段で配置されていてもよいし、並列に配置された光ファイバが複数段に組み重ねられていてもよい。
上記光ファイバとしては、特に限定されず、石英ガラス系光ファイバ(SOF)、ポリマークラッド光ファイバ(PCF)、ハードポリマークラッド光ファイバ(HPCF)、プラスチック光ファイバ(POF)等が挙げられる。これらのなかでは、厚さを薄くすることができる点から、石英ガラス系光ファイバ(SOF)が望ましい。
また、1本の光ファイバのみを周囲を樹脂組成物で覆い、フィルム状に成形したものも上記光ファイバシートとして用いることができる。
【0031】
また、上記多層プリント配線板において、上記光配線が異なる階層に位置するように形成されている場合、多層プリント配線板を一の主面に垂直な方向に透視した際に、
互いに階層の異なる光配線の、一の光配線の一部と他の一の光配線の一部とが、重なって視認されることが望ましい。
光配線がこのような位置に配設されることとなる場合、光配線の設計の位置の自由度が向上することとなるため、光信号を最短距離で伝送することができるように設計することができ、多層プリント配線板内での伝播損失を小さくすることができる。
また、光配線の設計の自由度が向上することにより、多層プリント配線板の小型化、高密度配線を実装することができ、さらには、光学部品や電子部品の表面実装密度も向上することとなる。
なお、一の光配線の一部と他の一の光配線の一部とが、重なって視認される態様としては、両者が、直交、斜めに交差、並行で一部が重なっている等の態様が挙げられる。
【0032】
また、上記光配線には、光路変換ミラーが形成されていることが望ましい。光路変換ミラーを形成することにより、光路を所望の角度に変更することが可能となり、光信号通過領域の端部と光学的に接続することができるからである。この場合、光路変換ミラーは、空気や屈折率の異なる樹脂等と接することとなっていてもよいし、金属蒸着層が形成されていてもよい。上記金属蒸着層としては、例えば、金、銀、白金、銅、ニッケル、パラジウム、アルミニウム、クロム、これらの合金等が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、組み合わせて用いてもよい。
上記光路変換ミラーの形成は、後述するように、光配線を切削し、さらに必要に応じて、金属蒸着層等を形成することにより行うことができる。また、光配線に光路変換ミラーを形成する代わりに、光配線の端部の先に、光路変換部を有する部材を接着剤を介して配置してもよい。
また、上記光路変換ミラーを形成する場合、その形成角度は特に限定されず、光路に応じて適宜選択すればよいが、該光路変換ミラーは、通常、絶縁層に接する面とのなす角度が、45°または135°となるように形成する。特に、上記角度が45°となるように形成することが望ましく、この場合、その形成が特に容易である。
【0033】
本発明の多層プリント配線板においては、少なくとも一層の絶縁層を貫通する光信号通過領域が形成され、上記光信号通過領域の一端と、上記光配線の一端とが光学的に接続されていることが望ましい。
このような光信号通過領域を形成することにより、光配線の設計の自由度がより向上することとなるからである。
【0034】
上記光信号通過領域は、空隙のみから構成されていてもよいし、その一部または全部に樹脂組成物が充填されていてもよい。上記光信号通過領域の全部に樹脂組成物が充填されている場合、上記光信号通過領域は、樹脂組成物から構成されていることとなる。
【0035】
上記樹脂組成物の樹脂成分としては、通信波長帯での吸収が少ないものであれば特に限定されず、例えば、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、感光性樹脂、熱硬化性樹脂の一部が感光性化された樹脂等が挙げられる。
具体的には、例えば、エポキシ樹脂、UV硬化性エポキシ樹脂、ポリオレフィン系樹脂、PMMA(ポリメチルメタクリレート)、重水素化PMMA、重水素フッ素化PMMA等のアクリル樹脂、フッ素化ポリイミド等のポリイミド樹脂、重水素化シリコーン樹脂等のシリコーン樹脂、ベンゾシクロブテンから製造されるポリマー等が挙げられる。
【0036】
また、上記樹脂組成物には、上記樹脂成分以外に、例えば、樹脂粒子、無機粒子、金属粒子等の粒子が含まれていてもよい。これらの粒子を含ませることにより光信号通過領域と、絶縁層等との間で熱膨張係数の整合を図ることができ、また、粒子の種類によっては難燃性を付与することもできる。
上記粒子としては、例えば、無機粒子、樹脂粒子、金属粒子等が挙げられる。
上記無機粒子としては、例えば、アルミナ、水酸化アルミニウム等のアルミニウム化合物、炭酸カルシウム、水酸化カルシウム等のカルシウム化合物、炭酸カリウム等のカリウム化合物、マグネシア、ドロマイト、塩基性炭酸マグネシウム、タルク等のマグネシウム化合物、シリカ、ゼオライト等のケイ素化合物、チタニア等のチタン化合物等からなるものが挙げられる。また、少なくとも2種類の無機材料を混合、溶融した混合組成の粒子であってもよい。
【0037】
上記樹脂粒子としては、例えば、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂等からなるものが挙げられ、具体的には、例えば、アミノ樹脂(メラミン樹脂、尿素樹脂、グアナミン樹脂等)、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、フェノキシ樹脂、ポリイミド樹脂、ポリフェニレン樹脂、ポリオレフィン樹脂、フッ素樹脂、ビスマレイミド−トリアジン樹脂等からなるものが挙げられる。
【0038】
上記金属粒子としては、例えば、金、銀、銅、スズ、亜鉛、ステンレス、アルミニウム、ニッケル、鉄、鉛等が挙げられる。上記金属粒子は、絶縁性を確保するために、表層が樹脂等により被覆されていることが望ましい。
また、これらの粒子は、単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよい。
また、上記粒子の形状、最大長さ、その含有量等も上記光導波路に含まれる粒子と同様であることが望ましい。
【0039】
また、本発明の多層プリント配線板において、光信号通過領域に樹脂組成物が充填されている場合、この樹脂組成物の伝播光の透過率は、70%/mm以上であることが望ましい。上記透過率が70%/mm未満では、充分な光信号伝送能を得ることができないことがあるからである。上記透過率は、90%/mm以上であることがより望ましい。
なお、本明細書において、樹脂組成物の透過率とは、長さ1mmあたりの伝送光の透過率をいう。また、上記透過率とは、25〜30℃で測定した透過率をいう。
【0040】
また、上記光信号通過領域は、単チャンネルの光配線を介した光信号を伝送することができる形状であってもよいし、マルチチャンネルの光配線を介した光信号を伝送することができる形状であってもよい。
また、上記マルチチャンネルの光配線を介した光信号を伝送することができる光信号通過領域は、全てのチャンネルの光信号を伝送することができる一括貫通孔構造を有していてもよいし、各チャンネルの光信号ごとに伝送することができる個別貫通孔構造を有していてもよい。なお、どちらの場合も、そのチャンネル数は限定されない。
また、一の多層プリント配線板において、一括貫通孔構造の光信号通過領域と個別貫通孔構造の光信号通過領域とが混在していてもよい。
【0041】
上記一括貫通孔構造の光信号通過領域の形状としては、例えば、円柱、角柱、楕円柱、複数の円柱が並列に並べられ、互いに隣り合う円柱の側面の一部が繋がった形状、直線と円弧とで囲まれた底面を有する柱状体等が挙げられる。
また、上記光信号通過領域の形状が、複数の円柱が並列に並べられ、互いに隣り合う円柱の側面の一部が繋がった形状である場合には、その一部に、実際には、光信号通過領域として機能しないダミー円柱が形成されていてもよい。
【0042】
また、上記一括貫通孔構造の光信号通過領域の大きさは、縦、横のそれぞれが100μm〜5mmであることが望ましい。また、上記光信号通過領域の形状が円柱である場合は、その径が上記範囲にあることが望ましい。
上記断面の径が100μm未満では、光信号の伝送が阻害されることがあり、一方、5mmを超えても、光信号の伝播損失の向上はみられず、上記多層プリント配線板の小型化が難しくなる。
【0043】
また、上記個別貫通孔構造の各光信号通過領域の形状としては、例えば、円柱、角柱、楕円柱、直線と円弧とで囲まれた底面を有する柱状体等が挙げられる。
【0044】
上記個別貫通孔構造の光信号通過領域において、各光信号通過領域の大きさは、その断面の径の下限は100μmであることが望ましく、その上限は500μmであることが望ましい。上記径が100μm未満では、光路が塞がれてしまうおそれがあるとともに、該光信号通過領域に未硬化の樹脂組成物を充填することが困難となることがある。一方、上記径を500μmより大きくしても光信号の伝送性はあまり向上せず、多層プリント配線板を構成する導体回路等の設計の自由度を阻害する原因となることがあるからである。
より望ましい径の下限は250μmであり、より望ましい径の上限は350μmである。
なお、上記光信号通過領域の上記基板および上記絶縁層を貫通する部分の断面の径とは、上記光信号通過領域が円柱状の場合にはその断面の直径、楕円柱状の場合にはその断面の長径、四角柱状や多角柱状の場合にはその断面の最も長い部分の長さをいう。また、本発明において、光信号通過領域の断面とは、多層プリント配線板の主面に平行な方向の断面をいう。
【0045】
なお、上記光信号通過領域は、光信号伝送時に、伝送光がその壁面で反射しない大きさで形成することが望ましく、また、そのため、後述するマイクロレンズを配設することにより、光信号通過領域内をコリメート光が伝送するように設計することが望ましい。
【0046】
上記光信号通過領域の壁面は、樹脂または金属により構成されていてもよい。
ここで、上記光信号通過領域の壁面は、通常、絶縁層が露出しているため、絶縁層と同様の材質で構成されていることとなる。従って、絶縁層が樹脂からなるものである場合に、特に何ら処理を施さなくても、上記光信号通過領域の壁面は、樹脂により構成されていることとなる。
ただし、上記光信号通過領域の壁面には、別途、樹脂層を形成してもよく、この場合には、樹脂層がクラッドとして機能し、上記光信号通過領域の内部に充填される樹脂組成物がコアとして機能するように構成されていることが望ましい。
【0047】
また、上記光信号通過領域の壁面が、金属により構成されている場合、その材料としては、例えば、銅、ニッケル、クロム、チタン、貴金属等が挙げられる。
また、上記光信号通過領域の壁面が金属により構成されている場合、即ち、光信号通過領域の壁面に金属層が形成されている場合、この金属層は、1層から形成されていてもよいし、2層以上から構成されていてもよい。
また、上記金属層は、場合によっては、スルーホールとしての役目、即ち、基板を挟んだ導体回路間や、基板と絶縁層とを挟んだ導体回路間を電気的に接続する役目を果たすことができる。
【0048】
また、上記光信号通過領域の壁面に樹脂層や金属層を形成する場合、その表面(内部に充填される樹脂組成物と接する面)は、その表面粗さ(Ra)が0.1〜5μmの粗化面とすることが望ましい。樹脂組成物との密着性が向上することとなるからである。
なお、上記粗化面は、エッチング処理等により形成すればよい。
【0049】
一方、上記光信号通過領域の壁面に樹脂層や金属層を形成した場合には、この樹脂層や金属層で光を反射させながら光信号を伝送することができ、この場合には、壁面の表面粗さは小さいことが望ましい。光信号の伝播損失を小さくすることができるからである。
特に、高多層板である場合には、光信号通過領域の長さが長くなるため、光を反射させながら光信号を伝送する方法が有効となる。
【0050】
なお、本発明の多層プリント配線板において、上記光信号通過領域の形状や形成位置やその個数は特に限定されるものではなく、多層プリント配線板の設計、すなわち、光学部品の実装位置、光導波路や導体回路の形成位置等を考慮して適宜選択すればよい。
【0051】
ただ、上記光信号通過領域は、一方の最外層の絶縁層を貫通するように形成されており、
他方の最外層の絶縁層の外層側であって、上記光信号通過領域の上記光配線と光学的に接続された側の延長上の位置には、導体回路および/またはパッドが形成されていることが望ましい。
このような構成とすることにより、光配線および導体回路の高密度配線が可能となり、さらには、光学素子や各種電子部品の高密度実装が可能となる。
なお、上記パッドとは、光学素子や各種電子部品を実装するために設けられたものである。
【0052】
本発明の多層プリント配線板において、光信号通過領域が形成されている場合、該光信号通過領域の光配線と光学的に接続された側と反対側の端部等には、マイクロレンズが配設されていてもよい。上記マイクロレンズは、直接配設されていてもよいし、光学接着剤を介して配設されていてもよい。
マイクロレンズを配設することにより、光信号が、マイクロレンズで集光されることとなり、より確実に光信号を伝送することが可能となるからである。
【0053】
上記マイクロレンズとしては特に限定されず、光学レンズに使用されているものが挙げられ、その材質の具体例としては、光学ガラス、光学レンズ用樹脂等が挙げられる。上記光学レンズ用樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、エポキシ樹脂等の上記光信号通過領域に充填する樹脂組成物として説明したポリマー材料と同様の材料等が挙げられる。
【0054】
また、上記マイクロレンズの形状としては、例えば、片面にのみ凸面を有する凸形状レンズ等が挙げられ、この場合、上記レンズの凸面の曲率半径は、光信号通過領域の設計等を考慮して適宜選択すればよい。具体的には、例えば、焦点距離を長くする必要があるときには、曲率半径を大きくすることが望ましく、焦点距離を短くする必要があるときには、曲率半径を小さくすることが望ましい。
なお、上記マイクロレンズの形状は、凸形状レンズに限定されるわけではなく、光信号を所望の方向に集光することができる形状であればよい。
【0055】
上記マイクロレンズは、その通信波長光の透過率が70%/mm以上であることが望ましい。
通信波長光の透過率が70%/mm未満では、光信号の損失が大きく、光信号の伝送性の低下に繋がることがあるからである。上記透過率は、90%/mm以上であることがより望ましい。
【0056】
また、上記マイクロレンズには、樹脂粒子、無機粒子、金属粒子等の粒子が含まれていてもよい。
粒子を含ませることにより、マイクロレンズの強度が向上し、形状がより確実に維持されることとなるとともに、上記基板や絶縁層等との間で熱膨張係数を整合させることができ、熱膨張係数の差に起因したクラック等がより発生しにくくなるからである。
【0057】
上記マイクロレンズに粒子が含まれている場合、該マイクロレンズの樹脂成分の屈折率と、上記粒子の屈折率とは同程度であることが望ましい。そのため、マイクロレンズに含まれる粒子は、屈折率の異なる2種類以上の粒子を混ぜ合わせて、粒子の屈折率が樹脂成分の屈折率と同程度になるようにしたものであることが望ましい。
具体的には、例えば、樹脂成分が屈折率1.53のエポキシ樹脂である場合、マイクロレンズに含まれる粒子は、屈折率が1.46のシリカ粒子と屈折率が2.65のチタニア粒子とを混ぜ合わせて、溶解して粒子としたもの等が望ましい。
なお、粒子を混ぜ合わせる方法としては、混練する方法、2種類以上の粒子を溶かして混ぜ合わせた後、粒子状にする方法等が挙げられる。
なお、上記粒子の具体例としては、上記光信号通過領域に配合される粒子と同様のもの等が挙げられる。
【0058】
上記粒子の粒子径は特に限定されないが、その上限は0.8μm、その下限は0.01μmが望ましい。
上記マイクロレンズは、通常、インクジェット装置やディスペンサーを用いて配設されることとなるが、インクジェット装置の塗布ノズルの内径や、ディスペンサーのノズル内径寸法は、20μmが現在の最小寸法であり、粒子径が上記範囲にある場合には、ノズルが詰まることなく、塗布することができるからである。
また、上記粒子径の下限は0.1μmであることがより望ましい。
上記粒子径が、この範囲にあることはインクジェット装置やディスペンサー等による塗布での粘度の安定性や、塗布量のバラツキの観点からより望ましいからである。
【0059】
上記マイクロレンズに含まれる粒子の配合量の望ましい下限は5重量%であり、より望ましい下限は10重量%である。一方、上記粒子の配合量の望ましい上限は60重量%であり、より望ましい上限は50重量%である。粒子の配合量が5重量%未満であると、粒子を配合させる効果が得られないことがあり、粒子の配合量が60重量%を超えると、光信号の伝送が阻害されることがあるからである。
【0060】
なお、本発明の多層プリント配線板がマルチチャンネルの光配線を有しており、この多層プリント配線板にマイクロレンズが配設されている場合には、該マイクロレンズは、互いに独立したマイクロレンズであってもよいし、複数のレンズが並列に配置されたマイクロレンズアレイであってもよい。
【0061】
また、マイクロレンズを配設する場合において、発光素子と対向する側に配設されたマイクロレンズは、発光素子に対向する側と反対側の光導波路のコアに焦点が合うように設計することが望ましく、また受光素子と対向する側に配設されたマイクロレンズは光導波路から伝送されてきた光をコリメート光にするように設計されていることが望ましい。
【0062】
上記マイクロレンズは、上述したように、直接配設されていてもよいし、光学接着剤を介して配設されていてもよいが直接配設されていることが望ましい。
上記光学接着剤としては特に限定されず、エポキシ樹脂系、アクリル樹脂系、シリコーン樹脂系等の光学接着剤を用いることができる。
上記光学接着剤の特性は、粘度:0.2〜1.0Pa・s、屈折率:1.4〜1.6、光透過率:80%/mm以上、熱膨張係数(CTE):4.0×10−5〜9.0×10−5(/℃)であることが望ましい。
また、上記光学接着剤の厚さは、50μm以下であることが望ましい。
【0063】
また、上記マイクロレンズが配設される場合、その配設領域には、表面処理が施されていてもよい。
インクジョット装置等でマイクロレンズを形成するための樹脂を塗布した際に、ソルダーレジスト層を形成するまでの工程条件のバラツキや放置時間に起因するマイクロレンズを配設する部位の濡れ性のバラツキにより、マイクロレンズの形状、特にサグ高さにバラツキが発生しやすいのに対し、撥水コート剤による表面処理等を施すことにより、サグ高さのバラツキを抑えることができる。
【0064】
上記表面処理としては、例えば、フッ素系ポリマーコーティング剤(表面張力10〜12mN/m)等の撥水コート剤による処理、CFプラズマによる撥水処理、Oプラズマによる親水処理等が挙げられる。
【0065】
また、上記マイクロレンズは、レンズマーカを介して配設されていてもよい。
上記レンズマーカとしては、例えば、特開2002−331532号公報に開示されたもの等が挙げられる。
また、レンズマーカが形成されている場合、上記マイクロレンズは、撥水処理または親水処理が施されたレンズマーカに配設されていることが望ましい。
レンズマーカ表面が汚れていた場合、マイクロレンズの形成に用いる樹脂組成物(レンズ用樹脂組成物)が均一に広がらず、所望の形状のマイクロレンズを形成することができない原因になることがあるが、上述した撥水処理や親水処理を施すことにより、レンズマーカ表面の汚れを除去することができ、上記レンズ用樹脂組成物をレンズマーカ上に均一に広げることができるからである。
さらには、レンズマーカには、撥水処理よりも親水処理が施されていることが望ましい。
親水処理が施されている場合、レンズマーカ上にマイクロレンズを配設する際に滴下したレンズ用樹脂組成物が、レンズマーカ上の全体に広がりやすく、また、レンズマーカの外周でその樹脂の広がりが確実に停止するため、表面張力により所定の形状のマイクロレンズを形成するのに適しているからである。
【0066】
本発明の多層プリント配線板には、光学素子が実装されている。
上記光学素子としては、例えば、受光素子や発光素子等が挙げられる。
これらは、上記多層プリント配線板の構成や、要求特性等を考慮して適宜使い分ければよい。
上記受光素子の材料としては、Si、Ge、InGaAs等が挙げられる。これらのなかでは、受光感度に優れる点からInGaAsが望ましい。
上記受光素子としては、例えば、PD(フォトダイオード)、APD(アバランシェフォトダイオード)等が挙げられる。
【0067】
上記発光素子としては、例えば、LD(半導体レーザ)、DFB−LD(分布帰還型−半導体レーザ)、LED(発光ダイオード)、インフラ型または酸化狭窄型のVCSEL(面発光半導体レーザ)等が挙げられる。
これらは、上記多層プリント配線板の構成や要求特性等を考慮して適宜使い分ければよい。
【0068】
上記発光素子の材料としては、ガリウム、砒素およびリンの化合物(GaAsP)、ガリウム、アルミニウムおよび砒素の化合物(GaAlAs)、ガリウムおよび砒素の化合物(GaAs)、インジウム、ガリウムおよび砒素の化合物(InGaAs)、インジウム、ガリウム、砒素およびリンの化合物(InGaAsP)等が挙げられる。
これらは、通信波長を考慮して使い分ければよく、例えば、通信波長が0.85μm帯の場合にはGaAlAsを使用することができ、通信波長が1.3μm帯や1.55μm帯の場合には、InGaAsやInGaAsPを使用することができる。
【0069】
また、受光素子や発光素子等の光学素子は、マルチチャンネルの光学素子であってもよく、そのチャンネル数は特に限定されない。なお、光学素子がマルチチャンネルを有するアレイ素子である場合、受光部や発光部が直線上に配置されたアレイ素子であってもよいし、2次元に配置されたアレイ素子であってもよい。
また、上記光学素子は、フリップチップボンディングにより実装されるものでもよく、ワイヤボンディングにより実装されるものでもよい。
上記光学素子は、パッケージ基板に実装された状態、すなわち、光学素子実装パッケージ基板として実装されていてもよい。
【0070】
また、上記光学素子(光学素子実装パッケージ基板も含む)が実装された場合には、実装後、アンダーフィルが充填されてもよい。
上記アンダーフィルの材料としては特に限定されず、例えば、熱硬化性樹脂、感光性樹脂、熱硬化性樹脂の一部に感光性基が付与された樹脂や、これらと熱可塑性樹脂とを含む樹脂複合体等を用いることができる。また、市販のアンダーフィル用樹脂を用いることもできる。
【0071】
また、上記アンダーフィルは、その通信波長光の透過率が70%/mm以上であることが望ましい。通信波長光の透過率が70%/mm未満では、光信号の損失が大きく、光信号の伝送性の低下に繋がることがあるからである。上記透過率は、90%/mm以上であることがより望ましい。
【0072】
上記熱硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエステル樹脂、ビスマレイミド樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリフェニレン樹脂、フッ素樹脂等が挙げられる。
【0073】
上記感光性樹脂としては、例えば、アクリル樹脂等が挙げられる。
また、上記熱硬化性樹脂の一部に感光性基が付与された樹脂としては、例えば、上記した熱硬化性樹脂の熱硬化基とメタクリル酸やアクリル酸とをアクリル化反応させたもの等が挙げられる。
【0074】
上記熱可塑性樹脂としては、例えば、フェノキシ樹脂、ポリエーテルスルフォン(PES)、ポリスルフォン(PSF)、ポリフェニレンスルフォン(PPS)ポリフェニレンサルファイド(PPES)、ポリフェニレンエーテル(PPE)、ポリエーテルイミド(PI)等が挙げられる。
【0075】
また、上記アンダーフィルには、粒子が含まれていてもよい。粒子が含まれている場合、その配合量によって熱膨張係数を調整することができるため、アンダーフィルとパッケージ基板や光学素子との間で熱膨張係数の整合を図ることができる。
上記粒子の具体例として、上述した光信号通過領域に含まれる粒子と同様のもの等が挙げられる。
【0076】
また、上記粒子が上記アンダーフィルに含まれている場合、該粒子の配合量の下限は20重量%が望ましく、上限は70重量%が望ましい。通常、この範囲であれば、パッケージ基板や光学素子の熱膨張係数と整合させるのに適しているとともに、充填時に必要な流動性も有することとなるからである。
より望ましい下限は30重量%であり、より望ましい上限は60重量%である。
【0077】
また、上記多層プリント配線板では、絶縁層と導体回路とが積層されているが、さらに、上記絶縁層を挟んだ導体回路間を接続するためのバイアホールとして、貫通バイアホールや非貫通バイアホールが形成されていることが望ましい。
貫通バイアホールを形成した場合には、光配線が多層プリント配線板の内層(絶縁層間)に形成されている場合であっても、簡単な構造で、かつ、一括に各層の導体回路間を接続することができる。
また、非貫通バイアホールを形成する場合には、バイアホール径を小さくすることができるため、多層プリント配線板の高密度配線に適している。
なお、非貫通バイアホールや貫通バイアホールは、その一方または両方を多層プリント配線板の設計に応じて形成すればよく、これらを形成することにより、光配線が内層にあっても導体回路の設計の自由度を向上させることができ、高密度配線を達成することができる。
【0078】
また,上記非貫通バイアホールが形成されており、上記光配線がコアとクラッドとを有している場合には、多層プリント配線板を一の主面に垂直な方向に透視した際に、上記コアと上記非貫通バイアホールの一部とが、重なって視認されることが望ましい。
この場合、光配線を非貫通バイアホールが形成されていない箇所を迂回させて配線する必要がなく、非貫通バイアホールが形成されていない層に光配線を形成することができるため、光配線と導体回路とを高密度で配線するのに適していることとなる。
なお、この場合、上記コアと上記非貫通バイアホールとの上下関係は問わない。
【0079】
また、本発明の多層プリント配線板において、光配線(光配線のうちの光伝送能を有する部分)が多層プリント配線板の側面に露出している場合、多層プリント配線板の表面に光配線が形成されている場合、多層プリント配線板の表面に光部品(光コネクタ等)が搭載されている場合には、上記多層プリント配線板は、装置(ルータ、交換機、スイッチング装置等)内での多層プリント配線板間の信号伝送だけでなく、多層プリント配線板に実装したパッケージ基板間の信号伝送、多層プリント配線板内での信号伝送、装置間の信号伝送も光信号で行うことができる。
【0080】
次に、本発明の多層プリント配線板の具体的な実施形態について、図1〜15を参照しながら説明する。
図1は、本発明の多層プリント配線板の一実施形態を模式的に示す断面図である。
図1に示すように、多層プリント配線板100は、両面に導体回路125が形成され、さらに片面に光導波路150aが積層形成された基板(絶縁層)121aと、両面に導体回路125が形成され、さらに片面に光導波路150bが積層形成された基板(絶縁層)121bとが、光導波路150a、150b同士が対向するように配置され、接着性絶縁材料からなる絶縁層122に介して積層されている。
ここで、光導波路150a、150bはともに、下部クラッド152a、コア151および上部クラッド152bから構成されている。
【0081】
また、多層プリント配線板100では、各基板121a、121bを挟んだ導体回路間は、非貫通バイアホール127により接続されており、基板全体および絶縁層122を挟んだ導体回路間、即ち、基板121a、121bのそれぞれの外層側(光導波路が形成された側と反対側)に形成された導体回路間は貫通バイアホール129により接続されている。
また、基板121a、121bのそれぞれには、光信号通過領域142a〜142dが形成されており、各光信号通過領域142a〜142dの一端は、光導波路150a、150bのいずれかと光学的に接続されている。従って、光導波路150a、150bのそれぞれには、各光信号通過領域142a〜142dに対応する位置に光路変換ミラー153が形成されている。そして、光路変換ミラー153には、金属蒸着層が形成されている。
【0082】
また、基板121a、121bのそれぞれの外層側には、伝送光に対して透明なソルダーレジスト層134が形成されており、さらに、受光素子138a、138bおよび発光素子139a、139bがそれぞれ実装されている。また、ソルダーレジスト層134には、半田バンプ137が形成されており、この半田バンプを介して各種電子部品を実装することができる。
なお、伝送光に対して透明なソルダーレジスト層とは、ソルダーレジスト層の厚さが30μmであるとした場合の伝送光の透過率が、60%/30μm以上であるものをいう。
【0083】
このような構成からなる多層プリント配線板100では、発光素子139aからの光信号が、光信号通過領域142b、光導波路150a、光信号通過領域142aを介して、受光素子138aに伝送されることとなり、発光素子139bからの光信号が、光信号通過領域142d、光導波路150b、光信号通過領域142cを介して、受光素子138bに伝送されることとなる。
【0084】
このように、多層プリント配線板100では、基板内の信号伝送を光信号により行うことができる。
また、多層プリント配線板100では、基板121a、121bのそれぞれ両方に光導波路が形成されているが、いずれか一方の基板にのみ光導波路が形成されていてもよい。
【0085】
図2は、本発明の多層プリント配線板の別の一実施形態を模式的に示す断面図である。
図2に示すように、多層プリント配線板200は、両面に導体回路225と絶縁層222とが積層形成され、さらに片面に光導波路250aが積層形成された基板(絶縁層)221aと、両面に導体回路225と絶縁層222とが積層が形成され、さらに片面に光導波路250bが積層形成された基板(絶縁層)221bとが、光導波路250a、250b同士が対向するように配置され、接着性絶縁材料からなる絶縁層222に介して積層されている。
【0086】
また、多層プリント配線板200では、各基板221a、221bを挟んだ導体回路間は、非貫通バイアホール227により接続されており、基板全体および絶縁層222を挟んだ導体回路間、即ち、基板221a、221bのそれぞれの外層側(光導波路が形成された側と反対側)に形成された導体回路間は貫通バイアホール229により接続されている。
また、基板221a、221bのそれぞれには、光信号通過領域242a〜242dが形成されており、各光信号通過領域242a〜242dの一端は、光導波路250a、250bのいずれかと光学的に接続されている。従って、光導波路250a、250bのそれぞれには、各光信号通過領域242a〜242dに対応する位置に光路変換ミラー253が形成されている。そして、光路変換ミラー253には、金属蒸着層が形成されている。
【0087】
また、基板221a、221bのそれぞれの外層側には、伝送光に対して透明なソルダーレジスト層234が形成されており、さらに、受光素子238a、238bおよび発光素子239a、239bがそれぞれ実装されている。また、ソルダーレジスト層234には、半田バンプ237が形成されており、この半田バンプを介して各種電子部品を実装することができる。
【0088】
このような構成からなる多層プリント配線板200では、発光素子239aからの光信号が、光信号通過領域242b、光導波路250a、光信号通過領域242aを介して、受光素子238aに伝送されることとなり、発光素子239bからの光信号が、光信号通過領域242d、光導波路250b、光信号通過領域242cを介して、受光素子238bに伝送されることとなる。
このように、多層プリント配線板200では、基板内の信号伝送を光信号により行うことができる。
【0089】
図3は、本発明の多層プリント配線板の別の一実施形態を模式的に示す断面図である。
図3に示す多層プリント配線板300は、図2に示した多層プリント配線板200と略同様の構成を有している。ただし、その機能が異なるため、それに応じて、若干、構成が異なっている。
即ち、多層プリント配線板200は、上述したように、基板内の信号伝送を光信号により行うためのものであるのに対し、多層プリント配線板300は、基板間の信号伝送を光信号により行うためのものであり、それに応じて、光学素子および光導波路が構成されている。具体的には、発光素子339から出射した光信号が、光路変換ミラー353で光路を変換され、光導波路350bを介して多層プリント配線板の側面から図示しない外部基板に伝送されるように構成されており、また、外部基板(図示せず)から伝送されてきた光信号が、光導波路350a(光路変換ミラー353を含む)を介して受光素子338に伝送されるように構成されている。
なお、図3では、貫通バイアホールは図示されていないが形成されている。
また、基板(絶縁層)321a、321b、導体回路325、非貫通バイアホール327、絶縁層322、ソルダーレジスト層334等の構成と、図2に示した多層プリント配線板200と同様である。
このように、本発明の多層プリント配線板は、基板間の信号伝送を光信号により行うものであってもよい。
【0090】
また、図3に示した多層プリント配線板300のように、光導波路の光路として機能する部分が、多層プリント配線板の側面に露出している場合、基板の側面に光ファイバアレイを接続したり、FCコネクタ、MTコネクタ、MPOコネクタ等の光コネクタを接続したりすることにより、光ファイバを利用して外部基板等との間で光信号伝送を行うことができる。なお、これらを多層プリント配線板の側面に接続する方法としては、光学接着剤を用いてアクティブアライメントで接続したり、多層プリント配線板の側面や上面に形成されたガイド穴にガイドピンを用いて、パッシブアライメントで接続したりすることができる。
また、例えば、光コネクタが設けられたバックプレーンボードに対しては、上記多層プリント配線板を差し込むことにより、バックプレーンボードの光コネクタと、光導波路とを光学的に接続することもできる。
【0091】
図4は、本発明の多層プリント配線板の別の一実施形態を模式的に示す断面図である。
図4に示すように、多層プリント配線板400は、両面に導体回路425と絶縁層422とが交互に積層形成され、さらに片面の一部に光導波路450aが積層形成された基板(絶縁層)421aと、両面に導体回路425と絶縁層422とが交互に積層形成され、さらに片面の一部に光導波路450bが積層形成された基板(絶縁層)421bとが、光導波路450a、450b同士が対向するように配置され、接着性絶縁材料からなる絶縁層422に介して積層されている。
なお、光導波路450a、450bはそれぞれコア451とクラッド452とから構成されている。また、光導波路450a、450bは、絶縁層間の全体ではなく、その一部分に形成されている。
【0092】
また、多層プリント配線板400では、各基板421a、421bを挟んだ導体回路間や、基板上に積層形成された絶縁層422を挟んだ導体回路間、基板と絶縁層の両方を挟んだ導体回路間は、非貫通バイアホール427により接続されており、基板全体および絶縁層422を挟んだ導体回路間、即ち、基板421a、421bのそれぞれの外層側(光導波路が形成された側と反対側)に形成された導体回路間は貫通バイアホール429により接続されている。
また、基板421a、421bのそれぞれには、光信号通過領域442a〜442dが形成されており、各光信号通過領域442a〜442dの一端は、光導波路450a、450bのいずれかと光学的に接続されている。従って、光導波路450a、450bのそれぞれには、各光信号通過領域442a〜442dに対応する位置に光路変換ミラー453が形成されている。そして、光路変換ミラー253には、金属蒸着層が形成されている。
【0093】
さらに、多層プリント配線板400の最外層には、伝送光に対して透明なソルダーレジスト層434が形成されており、このソルダーレジスト層434上であって、基板421a側のソルダーレジスト層上には、光信号通過領域442bの光導波路450aと光学的に接続された側と反対側に光学的に接続された光導波路450cが形成されており、また、基板421b側のソルダーレジスト層上には、光信号通過領域442dの光導波路450bと光学的に接続された側と反対側に光学的に接続された光導波路450dが形成されている。
なお、光導波路450c、450dもまた、コア451とクラッド452とから構成されている。光導波路450c、450dのそれぞれの光路変換ミラー453には、金属蒸着層が形成されている、
本発明において、光路変換ミラーを形成する場合、金属蒸着層は必ずしも形成しなくてもよいが、金属蒸着層を形成しなかった場合には、光路変換ミラーにおける透過による伝播損失が大きくなるため、形成することが望ましい。
また、多層プリント配線板の最外層に光導波路を形成する場合、光導波路は、全面に形成してもよいし、部分的に形成してもよい。
【0094】
ソルダーレジスト層434には、受光素子438および発光素子439がそれぞれ実装されている。また、ソルダーレジスト層434には、半田バンプ437が形成されており、この半田バンプを介して各種電子部品を実装することができる。
【0095】
このような構成からなる多層プリント配線板400では、発光素子439からの光信号が、光信号通過領域442c、光導波路450b、光信号通過領域442daおよび光導波路450dを介して、外部基板(図示せず)に伝送されることとなり、また、外部基板(図示せず)から伝送されてきた光信号は、光導波路450c、光信号通過領域442b、光導波路450aおよび光信号通過領域442aを介して、受光素子438に伝送されることとなる。
従って、多層プリント配線板400では、基板間の信号伝送を光信号により行うことができる。
【0096】
図4に示した多層プリント配線板400では、発光素子から出射した光信号が多層プリント配線板の内部(絶縁層間)に形成された光導波路を介して、多層プリント配線板の表面に形成性された光導波路に伝送され、また、外部から多層プリント配線板の表面に形成された光導波路に伝送された光信号が多層プリント配線板の内部に形成された光導波路を介して、受光素子に伝送されるように構成されている。
従って、光導波路が多層プリント配線板の表面に形成されていることにより、光コネクタや光ファイバアレイ等の光部品と接続しやすく、また、多層プリント配線板の表面における光導波路が占める領域は狭いため、電子部品の高密度実装も達成することができる。
【0097】
図5は、本発明の多層プリント配線板の別の一実施形態を模式的に示す断面図である。
図5に示すように、多層プリント配線板500は、両面に導体回路525と絶縁層522とが交互に積層形成され、さらに片面の一部に光導波路550aが積層形成された基板(絶縁層)521aと、両面に導体回路525と絶縁層522とが交互に積層形成され、さらに片面の一部に光導波路550bが積層形成された基板(絶縁層)521bとが、光導波路550a、550b同士が対向するように配置され、接着性絶縁材料からなる絶縁層522に介して積層されている。
なお、光導波路550a、550bはそれぞれコア551とクラッド552とから構成されている。
【0098】
また、多層プリント配線板500では、各基板521a、521bを挟んだ導体回路間や、基板上に積層形成された絶縁層522を挟んだ導体回路間、基板と絶縁層の両方を挟んだ導体回路間は、非貫通バイアホール527により接続されており、基板全体および絶縁層522を挟んだ導体回路間、即ち、基板521a、521bのそれぞれの外層側(光導波路が形成された側と反対側)に形成された導体回路間は貫通バイアホール529により接続されている。
また、基板521a、521bのそれぞれには、光信号通過領域542a〜542dが形成されており、各光信号通過領域542a〜542dの一端は、光導波路550a、550bのいずれかと光学的に接続されている。従って、光導波路550a、550bのそれぞれには、各光信号通過領域542a〜542dに対応する位置に光路変換ミラー553が形成されている。そして、光路変換ミラー553には、金属蒸着層が形成されている。
【0099】
さらに、多層プリント配線板500の最外層には、伝送光に対して透明なソルダーレジスト層534が形成されており、このソルダーレジスト層534上であって、基板521a側のソルダーレジスト層上には、光信号通過領域542bの光導波路550aと光学的に接続された側と反対側に光学的に接続された光導波路550cが形成されており、光導波路550cはさらに光コネクタ570aに接続されている。
また、光導波路550cおよび光コネクタ570aは、伝送光に対して透明な接着剤層571を介して、ソルダーレジスト層534aに固定されている。
また、基板521b側のソルダーレジスト層上には、光信号通過領域542dの光導波路550bと光学的に接続された側と反対側に光学的に接続された光導波路550dが形成されており、光導波路550dはさらに光コネクタ570bに接続されている。そして、光導波路550dおよび光導波路570bも接着剤層571により固定されている。
なお、光導波路550c、550dもまた、コア551とクラッド552とから構成されている。
【0100】
ソルダーレジスト層534には、受光素子538および発光素子539がそれぞれ実装されている。また、ソルダーレジスト層534には、半田バンプ537が形成されており、この半田バンプを介して各種電子部品を実装することができる。
【0101】
このような構成からなる多層プリント配線板500では、発光素子439からの光信号が、光信号通過領域542c、光導波路550b、光信号通過領域542daおよび光導波路550dを介して、光コネクタ570bに伝送され、されにこの光コネクタ570を介して外部基板等(図示せず)と接続されることとなる。また、外部基板等(図示せず)と接続さらた光コネクタ570aからの光信号は、光導波路550c、光信号通過領域542b、光導波路550aおよび光信号通過領域542aを介して、受光素子538に伝送されることとなる。
従って、多層プリント配線板500では、基板間の信号伝送を光信号により行うことができる。
なお、外部基板等との接続に際しては、光コネクタに、光導波路、光ファイバシート、光導波路等の光配線を接続すればよい。
なお、本発明の光学素子では、光コネクタに代えて、光ファイバリボンが接続された光ファイバアレイを接着してもよい。
【0102】
図6は、本発明の多層プリント配線板の別の一実施形態を模式的に示す断面図である。
図6に示した多層プリント配線板600は、図3に示した多層プリント配線板300と比べて略同様の機能を有するものの、その構造が若干異なっている。
即ち、多層プリント配線板600では、その両面に導体回路625と絶縁層622とが積層形成された基板(絶縁層)621aの両側に、接着性絶縁材料からなる絶縁層622を介して、導体回路と絶縁層とが積層形成され、さらに光導波路が形成された基板(絶縁層)621b、621cが積層されている。
なお、基板621b、621cの構成は、図3に示した多層プリント配線板300を構成する基板321a、321bと同様である。
また、貫通バイアホールについては、形成されているものの図示していない。
【0103】
このような構成からなる多層プリント配線板600では、発光素子639から出射した光信号が、光信号通過領域642および光導波路650bを介して外部基板等(図示せず)伝送されることとなり、外部基板等からの光信号は、光導波路650a、光信号通過領域642を介して、受光素子638に伝送されることとなる。
【0104】
図7は、本発明の多層プリント配線板の別の一実施形態を模式的に示す断面図である。
図7に示すように、多層プリント配線板700は、両面に導体回路725と絶縁層722とが積層形成され、さらに両面に光導波路750a、750bが積層形成された基板(絶縁層)721aと、両面に導体回路725が形成され基板(絶縁層)721b、721cとが、基板721aを中心にして、基板721bと基板721cとで挟み込むように、接着性絶縁材料からなる絶縁層722に介して積層されている。
【0105】
また、多層プリント配線板700では、各基板721a〜721cを挟んだ導体回路間は、非貫通バイアホール727により接続されている。
また、図示していないが、基板全体および絶縁層722を挟んだ導体回路間、即ち、基板721a、721bのそれぞれの外層側(光導波路が形成された側と反対側)に形成された導体回路間は貫通バイアホールにより接続されている。
また、基板721a、721bには、光信号通過領域242aが形成されており、基板721a、721cには、光信号通過領域242bが形成されている。なお、この光信号通過領域742a、742bは、光導波路や接着性絶縁材料からなる絶縁層を横切ることとなる。
さらに、各光信号通過領域742a、742bの一端は、光導波路750a、750bのいずれかと光学的に接続されている。従って、光導波路750a、750bのそれぞれには、各光信号通過領域742a、742bに対応する位置に光路変換ミラー753が形成されている。そして、光路変換ミラー753には、金属蒸着層が形成されている。
【0106】
また、基板721a、721bのそれぞれの外層側には、ソルダーレジスト層734が形成されており、さらに、受光素子738および発光素子739がそれぞれ実装されている。また、ソルダーレジスト層734には、半田バンプ737が形成されており、この半田バンプを介して各種電子部品を実装することができる。
なお、ソルダーレジスト層734の光信号通過領域を構成する部分には、光信号を伝送することができるように、開口が設けられている。
【0107】
このような構成からなる多層プリント配線板700では、発光素子739からの光信号が、光信号通過領域742b、光導波路750bを介して、外部基板等(図示せず)に伝送されることとなり、外部基板等(図示せず)から伝送された光信号は、光導波路750a、光信号通過領域742aを介して受光素子738に伝送されることとなる。
このような多層プリント配線板700では、基板間の信号伝送を光信号により行うことができる。
【0108】
図8は、本発明の多層プリント配線板の別の一実施形態を模式的に示す断面図である。
図8に示すように、多層プリント配線板800では、その両面に導体回路825が形成された基板(絶縁層)821a、821b、および、コア851とクラッド852からなる光導波路850について、光導波路850を挟むように基板821a、821bが接着性絶縁材料からなる絶縁層822を介して積層形成されている。
【0109】
また、多層プリント配線板800では、各基板821a、821bを挟んだ導体回路間が、非貫通バイアホール827により接続されている。
また、基板821a、821bのそれぞれには、光信号通過領域842a、842bが形成されており、各光信号通過領域842a、842bの一端は、絶縁層822を介して、光導波路850と光学的に接続されている。従って、絶縁層822は、伝送光に対して透明な接着性絶縁材料を用いて形成されている。また、光導波路850には、各光信号通過領域842a、842bに対応する位置に光路変換ミラー853が形成されている。そして、光路変換ミラーには、金属蒸着層が形成されている。
【0110】
また、基板821a、821bのそれぞれの外層側には、ソルダーレジスト層834が形成されており、さらに、受光素子838および発光素子839がそれぞれ実装されている。また、ソルダーレジスト層834には、半田バンプ837が形成されており、この半田バンプを介して各種電子部品を実装することができる。
さらに、図示はしていないが、基板821a、821b、光導波路850および絶縁層822を挟んだ導体回路間、即ち、基板821a、821bのそれぞれの外層側に形成された導体回路間は貫通バイアホール(図示せず)により接続されている。
【0111】
このような構成からなる多層プリント配線板800では、発光素子839からの光信号が、光信号通過領域842bおよび光導波路850を介して外部基板等(図示せず)へ伝送されることとなり、また、外部基板等(図示せず)から伝送されてきた光信号が、光導波路850および光信号通過領域842aを介して、受光素子838に伝送されることとなる。
また、図7や図8に示したように、ソルダーレジスト層に光路用開口が形成されている場合には、ソルダーレジスト層は、必ずしも通信光に対して透明でなくてもよい。
【0112】
図9は、本発明の多層プリント配線板の別の一実施形態を模式的に示す断面図である。
図9に示すように、多層プリント配線板900では、その両面に導体回路925が形成された基板(絶縁層)921a、921b、および、コア951およびクラッド952からなる光導波路フィルム950a、950bについて、光ファイバシート950a、950bを接着性絶縁材料からなる絶縁層922を挟んで積層し、この両側にさらに、接着性絶縁材料からなる絶縁層922を介して基板921a、921bが積層形成されている。
【0113】
また、多層プリント配線板900では、各基板921a、921bを挟んだ導体回路間がは、非貫通バイアホール927により接続されている。
また、基板921a、921bのそれぞれには、光信号通過領域942a、942bが形成されており、各光信号通過領域942a、942bの一端は、絶縁層922を介して、光導波路フィルム950a、950bと光学的に接続されている。
また、光導波路フィルム950a、950bには、各光信号通過領域942a、942bに対応する位置に光路変換ミラー953が形成されている。そして、光路変換ミラーには、金属蒸着層が形成されている。
【0114】
また、基板921a、921bのそれぞれの外層側には、ソルダーレジスト層934が形成されており、さらに、受光素子938および発光素子939がそれぞれ実装されている。また、ソルダーレジスト層934には、半田バンプ937が形成されており、この半田バンプを介して各種電子部品を実装することができる。
さらに、図示はしていないが、基板921a、921b、光導波路フィルム950a、950bおよび絶縁層922を挟んだ導体回路間、即ち、基板921a、921bのそれぞれの外層側に形成された導体回路間は貫通バイアホール(図示せず)により接続されている。
【0115】
このような構成からなる多層プリント配線板900では、発光素子939からの光信号が、光信号通過領域942bおよび光導波路フィルム950bを介して外部基板等(図示せず)へ伝送されることとなり、また、外部基板等(図示せず)から伝送されてきた光信号が、光導波路フィルム950aおよび光信号通過領域942aを介して、受光素子938に伝送されることとなる。
【0116】
図10は、本発明の多層プリント配線板の別の一実施形態を模式的に示す断面図である。
図10(a)に示した多層プリント配線板1000は、図8に示した多層プリント配線板800と比べて、光導波路の構成が異なる以外は、その構成は同様である。
即ち、多層プリント配線板800では、光導波路として、コアとその周囲に形成されたクラッドとからなる光導波路850が用いられていたのに対し、多層プリント配線板1000では、光導波路として、コア1051a、1051bとクラッド1052a、1052b、1052cと交互に位置するように積層された光導波路1050が用いられている。
このような光導波路1050が用いられた多層プリント配線板1000でも、図8に示した多層プリント配線板800同様、基板間で光信号を伝送することができる。
【0117】
また、光導波路1050では、頂点の向きが上下方向に異なる光路変換ミラー1053が形成されているが、光路変換ミラー1053の向きはこのように限定されるわけではなく、図10(b)に示すように、頂点の向きが同一方向の光路変換ミラー1053′が形成された光導波路1050′も本発明の多層プリント配線板に使用することができ、この場合、光学素子を多層プリント配線板の同一表面に実装することができる。
【0118】
図11は、本発明の多層プリント配線板の別の一実施形態を模式的に示す断面図である。
図11に示すように、多層プリント配線板1100では、その両面に導体回路1125が形成された基板(絶縁層)1121a〜1121c、および、コア1151とクラッド1152とからなる光導波路1150a、1150bについて、基板と光導波路とが交互に位置するように、接着性絶縁材料からなる絶縁層1122を介して積層されている。
【0119】
また、多層プリント配線板1100では、各基板1121a〜1121cを挟んだ導体回路間は、非貫通バイアホール1127により接続されている。
また、基板1121b、1121cのそれぞれには、光信号通過領域1142a、1142bが形成されており、各光信号通過領域1142a、1142bの一端は、絶縁層1122を介して、光学素子1150a、1150bと光学的に接続されている。
また、光学素子1150a、1150bには、各光信号通過領域1142a、1142bに対応する位置に光路変換ミラー1153が形成されている。そして、光路変換ミラーには、金属蒸着層が形成されている。
【0120】
また、基板1121b、1121cのそれぞれの外層側には、ソルダーレジスト層1134が形成されており、さらに、受光素子1138および発光素子1139がそれぞれ実装されている。また、ソルダーレジスト層1134には、半田バンプ1137が形成されており、この半田バンプを介して各種電子部品を実装することができる。
さらに、図示はしていないが、基板1121b、1121cの外層側に形成された導体回路間は貫通バイアホールにより接続されている。
【0121】
このような構成からなる多層プリント配線板1100では、発光素子1139からの光信号が、光信号通過領域1142bおよび光導波路1150bを介して外部基板等(図示せず)へ伝送されることとなり、また、外部基板等(図示せず)から伝送されてきた光信号が、光導波路および光信号通過領域1142aを介して、受光素子1138に伝送されることとなる。
【0122】
図12−1、12−2は、それぞれ本発明の多層プリント配線板の別の一実施形態を模式的に示す断面図である。
図12−1に示すように、多層プリント配線板1200では、コア1251とクラッド1252からなる光導波路1250の両面に、接着性絶縁材料からなる絶縁層1222を介し、その両面に導体回路1225が形成された基板1221a(絶縁層)からなる2層板1220aと、その両面に導体回路1225と絶縁層1222とが積層形成された基板1221b〜1221dからなる6層板1220b〜1221dとが積層形成されている。
ここで、光導波路1225の一方(図中、下側)には、2層板1220aが絶縁層1222を介して積層されており、他方には、6層板1220b〜1220dが絶縁層1222を介して積層されている。従って、光導波路1225の他方(図中、上側)には、18層板が形成されていることとなる。
【0123】
また、多層プリント配線板1200では、各基板1221a〜1221dを挟んだ導体回路間が、非貫通バイアホール1227により接続されている。
また、2層板1121a、および、6層板1220b〜1220dが積層された18層板のそれぞれには、光信号通過領域1242a、1242bが形成されており、各光信号通過領域1242a、1242bの一端は、絶縁層1222を介して、光導波路1250と光学的に接続されている。従って、絶縁層1222は、伝送光に対して透明な接着性絶縁材料を用いて形成されている。また、光導波路1250には、各光信号通過領域1242a、1242bに対応する位置に光路変換ミラー1253が形成されている。そして、光路変換ミラーには、金属蒸着層が形成されている。
【0124】
また、2層板1121a、6層板1220dのそれぞれの外層側には、ソルダーレジスト層1234が形成されており、さらに、受光素子1238および発光素子1239がそれぞれ実装されている。また、ソルダーレジスト層1234には、半田バンプ1237が形成されており、この半田バンプを介して各種電子部品等を実装することができる。
さらに、図示はしていないが、2層板1121a、6層板1220a〜1220d、光導波路1250およびこれらの間に介在する絶縁層1220を挟んだ導体回路間、即ち、2層板1121a、6層板1220dのそれぞれの外層側に形成された導体回路間は貫通バイアホール(図示せず)により接続されている。
【0125】
このような構成からなる多層プリント配線板1200では、発光素子1239からの光信号が、光信号通過領域1242bおよび光導波路1250を介して外部基板等(図示せず)へ伝送されることとなり、また、外部基板等(図示せず)から伝送されてきた光信号が、光導波路1250および光信号通過領域1242aを介して、受光素子1238に伝送されることとなる。
【0126】
このように、本発明の多層プリント配線板では、多層板が複数枚積層されていてもよく、また、光配線を挟んだ両側で、積層される絶縁層の層数が同一でなくてもよい。
このような形態は、高多層板で光信号伝送を行うのに適している。なぜなら、高多層板は、電気配線(導体回路)が非常に多く、高密度配線が要求されるが、18層板(6層板を3枚積層)の部分で、導体回路の接続のほとんどを行い、2層板の部分には、光学素子や電子部品を搭載するためのパッドと導体回路を設けるようにすることにより、光導波路が内層(絶縁層間)による設定の自由度の低下という悪影響を最小限にすることができるからである。勿論、高多層板の層数も20層(18層+2層)に限定されるわけではない。
【0127】
図12−2に示す多層プリント配線板2200は、図12−1に示した多層プリント配線板1200と比較して、光信号通過領域の構成が異なる以外は、その構成は略同一である。従って、ここでは、光信号通過領域1242aの構成についてのみ詳細に説明する。
多層プリント配線板1200に形成された光信号通過領域は、18層板を一括して貫通するように形成されているのに対し、多層プリント配線板2200に形成された光信号通過領域1242aは、各6層板1220b〜1220dのみを貫通するように形成された光導波路2242が絶縁層1222を介して、光学的に連結されることにより構成されている。また、6層板間を介在された絶縁層1222は、伝送光に対して透明である。
なお、多層プリント配線板2200では、図示したとおり、基板1221a、1221dの外層側に形成された導体回路間は貫通バイアホール1229により接続されている。
【0128】
このような構成からなる多層プリント配線板2200では、発光素子1239からの光信号が、光信号通過領域1242b、光導波路1250、および、光信号通過領域1242aを介して受光素子1238に伝送されることとなる。なお、発光素子1239と受光素子1238との間で光信号を伝送することができるように、光路変換ミラー1253は形成されている。
このような形態もまた、高多層板で光信号伝送を行うのに適している。
【0129】
また、図12−1に示した多層プリント配線板1200と、図12−2に示した多層プリント配線板2200とは、光信号通過領域の構成が異なるのであるが、これらの形態の多層プリント配線板は、それぞれ製造工程を若干変更することにより製造することができる。
すなわち、両多層プリント配線板とも、配線板と光導波路フィルムをプリプレグを介して製造することとなるが、ここで、多層プリント配線板1200を製造する場合には、例えば、6層板3枚を、ピンラミネーション方式等で積層して18層板とし、この18層板を一括して貫通するように光信号通過領域を形成し、その後、18層板と光導波路フィルムと2層板とをプリプレグを介してピンラミネーション方式等で積層することにより、20層板の多層プリント配線板1200として製造することができる。また、多層プリント配線板2200を製造する場合には、例えば、6層板3枚を形成をした後、各6層板に光信号通過領域を形成しておき、この6層板2枚と、先に光導波路を形成した6層板1枚と、2層板とをプリプレグを介してピンラミネーション方式等で積層することにより、20層板の多層プリント配線板2200として製造することができる。
また、図12−1に示した形態は、基板間の信号伝送を光信号で行うものであり、図12−2に示した形態は、基板内の信号伝送を光信号で行うものであるが、逆に、図12−1に示したような形態で、基板内の信号伝送を光信号で行うものとしてもよく、図12−2に示したような形態で、基板間の信号伝送を光信号で行うものとしてもよい。
【0130】
図13は、本発明の多層プリント配線板の別の一実施形態を模式的に示す断面図である。
図13に示すように、多層プリント配線板1300は、その両面にコア1351とクラッド1352とからなる光導波路1350a、1350bが形成された基板(絶縁層)1321a、および、その両面に導体回路1325が形成された基板(絶縁層)1321b、1321cについて、基板1321aを中心にして、基板1321bと基板1321cとで挟むように、接着性絶縁材料からなる絶縁層1322を介して積層されている。
【0131】
また、多層プリント配線板1300では、各基板1321a〜1321cを挟んだ導体回路間は、非貫通バイアホール1327により接続されている。
また、基板1321aには、光信号通過領域1342a、1342bとして機能する、内部に伝送光に対して透明な樹脂が充填された開口1342′が形成されており、基板1321b、1321cのそれぞれには、光信号通過領域1342a、1342bが形成されており、光信号通過領域1342a、1342bの一端は、光学素子1350a、1350bと光学的に接続されている。
また、光学素子1350a、1350bには、各光信号通過領域1342a、1342bに対応する位置に光路変換ミラー1353が形成されている。そして、光路変換ミラーには、金属蒸着層が形成されている。
【0132】
また、基板1321b、1321cのそれぞれの外層側には、ソルダーレジスト層1334が形成されており、さらに、受光素子1338および発光素子1339がそれぞれ実装されている。また、ソルダーレジスト層1334には、半田バンプ1337が形成されており、この半田バンプを介して各種電子部品を実装することができる。
さらに、図示はしていないが、基板1321b、1321cの外層側に形成された導体回路間は貫通バイアホールにより接続されている。
【0133】
このような構成からなる多層プリント配線板1300では、発光素子1339からの光信号が、光信号通過領域1342bおよび光導波路1350bを介して外部基板等(図示せず)へ伝送されることとなり、また、外部基板等(図示せず)から伝送されてきた光信号が、光導波路および光信号通過領域1342aを介して、受光素子1338に伝送されることとなる。
【0134】
また、多層プリント配線板1300では、基板1321aに光信号通過領域として機能する、内部に伝送光に対して透明な樹脂が充填された開口が形成されているが、基板1321aとして、その材質が伝送光に対して透明なもの、例えば、ガラス基板や透明樹脂基板等である場合には開口を形成しなくてもよい。
【0135】
図14は、本発明の多層プリント配線板の別のの一実施形態を模式的に示す断面図である。
図14に示した多層プリント配線板1400は、図8に示した多層プリント配線板800と比べて、光導波路850の代わりに、光ファイバ1461の周囲がカバー樹脂層1462で被覆された光ファイバシート1460が形成されている以外は、その構成は同様である。
従って、多層プリント配線板1400もまた、外部基板等との間で光信号の伝送を行うことができる。
【0136】
具体的には、例えば、(b)に示すように、光ファイバシート1460の多層プリント配線板1400の側面に露出している部分がさらに延設され、光コネクタ1470に接続されるような形態とすることにより、外部基板等(図示せず)との間で光信号の伝送を行うことかできる。
【0137】
図15は、本発明の多層プリント配線板の別の一実施形態を模式的に示す断面図である。
図15に示した多層プリント配線板は、図1に示した多層プリント配線板と比べて、光学素子に代えて、光学素子実装パッケージ基板が実装されている以外は、その構成は同一である。
すなわち、受光素子138に代えて、受光素子1838が実装されたパッケージ基板1820a、1820bが実装されており、発光素子139に代えて、発光素子1739が実装されたパッケージ基板1720が実装されている。
パッケージ基板1720は、基板1721の両面に導体回路1725と絶縁層1722とが積層され、最外層にソルダーレジスト層1734が形成されており、さらに基板、絶縁層およびソルダーレジスト層を貫通する光信号通過領域1742が形成され、発光素子1739が実装されている。また、光信号通過領域1742の一部には、樹脂組成物1747が充填されている。
また、パッケージ基板1820は、基板1821の両面に導体回路1825と絶縁層1822とが積層され、最外層にソルダーレジスト層1834が形成されており、絶縁層およびソルダーレジスト層の一部に凹部形状の光信号通過領域1842が形成されている。
そして、光信号通過領域1842内には、ワイヤボンディング1849により受光素子1838が実装されている。
【0138】
このような多層プリント配線板1500においても、図1に示した多層プリント配線板100と同様、発光素子と受光素子との間で光信号を伝送することできる。
なお、本発明の多層プリント配線板に実装されるパッケージ基板のリード部品は特に限定されず、SOP、QFP等であってもよい。
【0139】
また、図1〜15に示した実施形態においては、光配線として光導波路に代えて光ファイバシートが形成されていてもよく、その逆に、光ファイバシートに代えて光導波路が形成されていてもよい。
また、図1〜14に示した実施形態では、光学素子が直接実装されているが、これに代えて光学素子が実装されたパッケージ基板が実装されていてもよい。
【0140】
本発明の多層プリント配線板の態様については、例えば、(1)両面に導体回路が形成され、さらに少なくとも片面に光導波路が形成された絶縁層が、接着性絶縁材料からなる絶縁層を介して積層されている態様、(2)光導波路フィルムまたは光ファイバシートの両面に、接着性絶縁材料からなる絶縁層を介して、両面に導体回路が形成された絶縁層が積層されている態様、(3)少なくとも片面に光導波路が形成された絶縁層の両面に、接着性絶縁材料からなる絶縁層を介して、両面に導体回路が形成された絶縁層が積層されている態様等が挙げられることは既に説明したが、これらと図1〜15に示した多層プリント配線板の関係について、簡単に説明しておくと、上記(1)の態様に該当する多層プリント配線板としては、図1〜6、11および15に示した多層プリント配線板が挙げられ、上記(2)の態様に該当する多層プリント配線板としては、図8〜12および14に示した多層プリント配線板が挙げられ、上記(3)の態様に該当する多層プリント配線板としては、図7および13に示した多層プリント配線板が挙げられる。
【0141】
以下、上述した態様に起因する効果について、簡単に説明しておく。
光導波路が絶縁層間に形成された多層プリント配線板を製造する場合、絶縁層と導体回路を交互に逐次積層を行うビルドアップ法で光導波路を内層化することもできるが、絶縁層を形成する際に何度もオーブン等で硬化を行う必要があるので、光導波路にかかる熱履歴(熱がかかる総時間)が長くなってしまう。そして、光導波路は、熱がかかるほど光伝播損失が大きくなる場合がある。また、熱履歴が長くなると基板、絶縁層、導体回路の熱膨張係数の違いにより、クラックが発生するという信頼性上の問題も発生しやすくなる。
これに対して、上記(1)の態様の多層プリント配線板では、多層プリント配線板の各部位を予め形成しておき、これらを一括積層した後、プレスすることにより製造することができるため、熱履歴を短くすることができ、光伝播損失を小さく、信頼性に優れるものとすることができる。
また、上記一括積層をピンラミネーション法で行うことができ、この場合、光導波路と導体回路との位置合せ精度を向上させることができる。具体的には、ガイドピンとガイド穴のクリアランスをできるだけ小さくし、ガイド穴を導体回路を形成する際に同時に形成を行ったアライメントマークを基準に穴明けを行い、光導波路の形成は光信号通過領域上に導体回路と同時形成したアライメントマークを基準にして光導波路のコアの形成、光路変換ミラーの形成等を行うことにより、基板上に搭載される光学素子と光導波路との光結合の位置精度を向上させることができる。
【0142】
また、上記(2)の態様の多層プリント配線板では、多層プリント配線板の絶縁層に直接光導波路を形成する必要がなく、予め別途作製していた光導波路フィルムや光ファイバシートを用いることにより、簡単に絶縁層間に光配線を形成することができる。
また、光導波路フィルムや光ファイバシートは、ガイド穴にガイドピンを挿入することで位置合せを行うことができるのでパッシブアライメントで精度良く位置合せを行うことができ、さらに、光導波路フィルムや光ファイバシートの光信号が伝送される部分(入射側光路変換部、コアおよび出射側光路変換部)の周辺にガイド穴を形成し、ガイドピンを挿入することとすることにより、光導波路フィルムや光ファイバシートをプレスする際に、上記光導波路フィルム等が延びたり縮んだりすることを防止することができるので、位置合せ精度を更に向上させることができる。
また、光導波路フィルムや光ファイバシートは、絶縁層間の全面に形成してもよく、部分的に形成してもよく、さらには、多層プリント配線板の平面サイズよりも大きくしてもよい。多層プリント配線板の平面サイズよりも大きくした場合には、光導波路フィルム等の端部に光コネクタを直接取り付けることができる。
通常、光コネクタを取り付ける際には、多層プリント配線板端面または多層プリント配線板上面の光配線に光コネクタ又は光コネクタが付いたファイバアレイをパッシブアライメントで接着固定することで行われており、この場合、接着固定部に外力が加わると壊れてしまったり、接続損失が大きくなってしまったりするという問題があるが、光導波路フィルム等の端部に光コネクタを直接取り付ける場合には、接続部をなくすことができるため、上述したような問題が発生せず,信頼性を向上させることに繋がる。
【0143】
また、上記(3)の態様は、光導波路の厚さが、90〜300μmと薄い場合に、特に有用である。
というのは、薄い光導波路(光導波路フィルム)を積層プレスで形成しようとすると、プレス時に、光導波路フィルムが熱によりが変形し、変形したままの状態で接着剤で固定される場合があり、このように、光導波路が変形して曲がってしまうと伝播損失が増加することがある。さらには、光導波路フィルムの伸び縮みが大きく、位置精度が悪くなる可能性がある。
これに対し、上記(3)の態様のように、先に光導波路を絶縁層に形成している場合には、積層プレス時の熱による影響(変形、伸び縮み)を少なくすることができ、位置精度、損失を小さくすることができるのである。
【0144】
また、本発明の多層プリント配線板では、上記光信号通過領域が、一方の最外層の絶縁層を貫通するように形成されており、他方の最外層の絶縁層の外層側であって、上記光信号通過領域の上記光配線と光学的に接続された側の延長線上の位置には、導体回路および/またはパッドが形成されていることが望ましい。
これについて、図面を参照しながら説明しておく。
図28は、本発明の多層プリント配線板の別の一実施形態を模式的に示す断面図である。
【0145】
図28では、図3に示した多層プリント配線板300の表面に、SMD型コンデンサ390と、QFP型LSI391が実装されている。
そして、多層プリント配線板300では、光信号通過領域342aの光導波路350aが形成された側の延長線上であって、最外層の絶縁層322の外層側には、QFP型LSI391を実装するための導体回路325Bやパッド336Bが形成されており、また、光信号通過領域342bの光導波路350bが形成された側の延長線上であって、最外層の絶縁層322の外層側には、SMD型コンデンサ390を実装するための導体回路325Aやパッド336A
が形成されている。
このように、本発明の多層プリント配線板では、光導波路が絶縁層間に形成されているため、光信号通過領域の端部が露出した側の多層プリント配線板の表面であって、光信号通過領域の延長線上には、光学素子や光学素子が実装されたパッケージ基板を実装することができ、光信号通過領域の光導波路が形成された側の延長線上の多層プリント配線板の表面には、各種電子部品を搭載することができ、また、最外層の絶縁層上には、ファインパターンの導体回路やパッドを形成することができる。
従って、設計の自由度に優れ、多層プリント配線板の小型化や、高密度実装に適していることとなる。
なお、これは、多層プリント配線板の両面に光学素子等を実装する場合であっても同様である。
また、光信号通過領域の光導波路が形成された側の延長線上の絶縁層上にパッドが形成されている場合、バッド全体が延長線上に位置していてもよいし、パッドの一部が延長線上に位置していてもよい。
【0146】
次に、本発明の多層プリント配線板の製造方法について、工程順に説明する。
(1)まず、絶縁性基板(ベースとなる絶縁層)を出発材料として、この絶縁性基板上に導体回路や、ベタの導体層を形成する。ここでは、絶縁性基板の一方の面に導体回路を形成し、他方の面にベタの導体層を形成してもよい。
上記絶縁性基板としては特に限定されず、例えば、ガラスエポキシ基板、ビスマレイミド−トリアジン(BT)樹脂基板、銅張積層板、RCC基板等の樹脂基板、窒化アルミニウム基板等のセラミック基板、シリコン基板、ガラス基板等が挙げられる。
上記導体回路は、例えば、上記絶縁性基板の表面に無電解めっき処理等によりベタの導体層を形成した後、エッチング処理を施すことにより形成することができる。
また、上記絶縁性基板を挟んだ導体回路間を接続するための非貫通バイアホールを形成してもよい。また、導体回路を形成した後には、必要に応じて、導体回路の表面にエッチング処理等により粗化面を形成してもよい。
上記非貫通バイアホールは、上記絶縁性基板にドリル等で穴あけを行い、その壁面にめっき処理を施すことにより形成することができる。
【0147】
(2)次に、上記(1)の工程で導体回路やベタの導体層を形成した絶縁性基板上に絶縁層や光配線を積層形成する。
ここで、絶縁層は、下記(a)の工程(絶縁層形成工程)を行うことにより形成することができる。また、上記絶縁層を形成した場合には、さらに、下記(b)の工程(導体回路形成工程)を行うことにより導体回路を積層形成するとともに、バイアホールを形成することが望ましい。
また、光配線は、下記(c)の工程(光配線配設工程)を行うことにより形成することができる。また、光配線を形成する場合には、必要に応じて、絶縁性基板に光信号通過領域を形成してもよい。
さらに、絶縁層の形成と光配線の形成との両者を行ってもよく、この場合、その形成順序は問わない。また、この場合、絶縁性基板と絶縁層とを貫通する光信号通過領域を形成してもよい。
【0148】
まず、(a)の工程(絶縁層形成工程)について説明する。
上記絶縁層は、熱硬化性樹脂、感光性樹脂、熱硬化性樹脂の一部に感光性基が付与された樹脂や、これらと熱可塑性樹脂と含む樹脂複合体等を用いて形成すればよい。ここでは、バイアホール用開口を有する絶縁層を形成することが望ましい。
具体的には、まず、未硬化の樹脂をロールコーター、カーテンコーター等により塗布したり、樹脂フィルムを熱圧着したりすることにより樹脂層を形成し、その後、必要に応じて、硬化処理を施すとともに、レーザ処理や露光現像処理によりバイアホール用開口を形成することにより絶縁層を形成することができる。
また、上記熱可塑性樹脂からなる樹脂層は、フィルム状に成形した樹脂成形体を熱圧着することにより形成することができる。
【0149】
上記熱硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエステル樹脂、ビスマレイミド樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリフェニレン樹脂、フッ素樹脂等が挙げられる。
上記感光性樹脂としては、例えば、アクリル樹脂等が挙げられる。
また、上記熱硬化性樹脂の一部に感光性基が付与された樹脂としては、例えば、上記した熱硬化性樹脂の熱硬化基とメタクリル酸やアクリル酸とをアクリル化反応させたもの等が挙げられる。
上記熱可塑性樹脂としては、例えば、フェノキシ樹脂、ポリエーテルスルフォン(PES)、ポリスルフォン(PSF)、ポリフェニレンスルフォン(PPS)ポリフェニレンサルファイド(PPES)、ポリフェニレンエーテル(PPE)ポリエーテルイミド(PI)等が挙げられる。
【0150】
また、上記樹脂複合体の具体的な組み合わせとしては、例えば、フェノール樹脂/ポリエーテルスルフォン、ポリイミド樹脂/ポリスルフォン、エポキシ樹脂/ポリエーテルスルフォン、エポキシ樹脂/フェノキシ樹脂等が挙げられる。また、感光性樹脂と熱可塑性樹脂との具体的な組み合わせとしては、例えば、アクリル樹脂/フェノキシ樹脂、エポキシ基の一部をアクリル化したエポキシ樹脂/ポリエーテルスルフォン等が挙げられる。
【0151】
また、上記樹脂複合体における熱硬化性樹脂や感光性樹脂と熱可塑性樹脂との配合比率は、熱硬化性樹脂または感光性樹脂/熱可塑性樹脂=95/5〜50/50が望ましい。耐熱性を損なうことなく、高い靱性値を確保することができるからである。
また、上記絶縁層は、2層以上の異なる樹脂層から構成されていてもよい。
【0152】
また、上記絶縁層は、粗化面形成用樹脂組成物を用いて形成してもよい。
上記粗化面形成用樹脂組成物とは、例えば、酸、アルカリおよび酸化剤から選ばれる少なくとも1種からなる粗化液に対して難溶性の未硬化の耐熱性樹脂マトリックス中に、酸、アルカリおよび酸化剤から選ばれる少なくとも1種からなる粗化液に対して可溶性の物質が分散されたものである。
なお、上記「難溶性」および「可溶性」という語は、同一の粗化液に同一時間浸漬した場合に、相対的に溶解速度の早いものを便宜上「可溶性」といい、相対的に溶解速度の遅いものを便宜上「難溶性」と呼ぶ。
【0153】
上記レーザ処理に使用するレーザとしては、例えば、炭酸ガスレーザ、紫外線レーザ、エキシマレーザ等が挙げられる。バイアホール用開口を形成した後、必要に応じて、デスミア処理を施してもよい。
また、この工程では、必要に応じて、絶縁性基板および絶縁層を貫通するバイアホール用開口を形成してもよい。
【0154】
次に、上記(b)の工程(導体回路形成工程)について説明する。
ここでは、絶縁層の表面に導体回路を形成する。また、上記絶縁層にバイアホール用開口を形成した場合には、同時に非貫通バイアホールを形成することが望ましい。
まず、セミアディティブ法による導体回路の形成方法を説明する。
具体的には、まず、絶縁層の表面に、無電解めっきやスパッタリング等により薄膜導体層を形成し、次いで、その表面の一部にめっきレジストを形成した後、めっきレジスト非形成部に電解めっき層を形成する。次に、めっきレジストと、該めっきレジスト下の薄膜導体層とを除去し、導体回路を形成する。
【0155】
上記薄膜導体層の材質としては、例えば、銅、ニッケル、スズ、亜鉛、コバルト、タリウム、鉛等が挙げられる。電気特性、経済性等に優れる点から銅や銅およびニッケルからなるものが望ましい。
また、上記薄膜導体層の厚さは、0.1〜2.0μmが望ましい。
また、上記薄膜導体層形成前には、絶縁層の表面に粗化面を形成しておいてもよい。
【0156】
上記めっきレジストは、例えば、感光性ドライフィルムを張り付けた後、露光現像処理を施すことにより形成することができる。
また、上記電解めっき層の厚さは5〜20μmが望ましい。上記電解めっき層を形成するための電解めっきとしては、銅めっきが望ましい。
【0157】
上記めっきレジストの除去は、例えば、アルカリ水溶液等を用いて行えばよく、上記薄膜導体層の除去は、硫酸と過酸化水素との混合液、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウム、塩化第二鉄、塩化第二銅等のエッチング液を用いて行えばよい。
また、上記導体回路を形成した後、必要に応じて、絶縁層上の触媒を酸や酸化剤を用いて除去してもよい。電気特性の低下を防止することができるからである。
【0158】
また、上記導体回路は、サブトラクティブ法により形成してもよい。
この場合は、絶縁層の表面に、無電解めっきやスパッタリング等により薄膜導体層を形成し、次いで、必要に応じて、電解めっき等により、導体層の厚付けを行う。
その後、導体層の表面の一部にエッチングレジストを形成し、エッチングレジスト非形成部に導体層を除去することより導体回路を形成する。
なお、電解めっきやエッチング等は、例えば、セミアディティブ法で用いた方法と同様の方法を用いることができる。
【0159】
次に、上記(c)の工程(光配線配設工程)について説明する。
ここでは、絶縁性基板上や絶縁層上の所定の位置(絶縁性基板上や絶縁層上の一部であってもよいし、全部であってもよい)に、光導波路や光ファイバシート等の光配線を形成する。
上記光配線として光導波路を形成する場合であって、上記光導波路の形成を、その材料に石英ガラス等の無機材料を用いて行う場合には、予め、所定の形状に成形しておいた光導波路を光学接着剤を介して取り付けることにより行うことができる。
また、上記無機材料からなる光導波路は、LiNbO、LiTaO等の無機材料を液相エピタキシヤル法、化学堆積法(CVD)、分子線エピタキシヤル法等により成膜させることにより形成することができる。
【0160】
また、ポリマー材料からなる光導波路を形成する方法としては、(1)予めガラス基板、シリコン基板、樹脂基板等上にフィルム状に成形しておいた光導波路フィルムを絶縁層上に張り付ける方法や、(2)絶縁層上に下部クラッド、コア、上部クラッドを順次積層形成していくことにより、上記絶縁層等上に直接光導波路を形成する方法等が挙げられる。
なお、光導波路の形成方法としては、ガラス基板等上に光導波路を形成する場合も、絶縁層等上に光導波路を形成する場合も同様の方法を用いて行うことができる。
なお、光導波路フィルムを形成する場合は、ガラス基板等にシリコン樹脂等の離形材を塗布しておいてもよい。また、光導波路フィルムは、形成後、フッ酸溶液等により剥離することができる。
【0161】
具体的には、反応性イオンエッチングを用いた方法、露光現像法、金型形成法、レジスト形成法、これらを組み合わせた方法等を用いることができる。
上記反応性イオンエッチングを用いた方法では、(i)まず、ガラス基板や絶縁層等(以下、単にガラス基板等という)の上に下部クラッドを形成し、(ii)次に、この下部クラッド上にコア用樹脂組成物を塗布し、さらに、必要に応じて、硬化処理を施すことによりコア形成用樹脂層とする。(iii)次に、上記コア形成用樹脂層上に、マスク形成用の樹脂層を形成し、次いで、このマスク形成用の樹脂層に露光現像処理を施すことにより、コア形成用樹脂層上にマスク(エッチングレジスト)を形成する。
(iv)次に、コア形成用樹脂層に反応性イオンエッチングを施すことにより、マスク非形成部分のコア形成用樹脂層を除去し、下部クラッド上にコアを形成する。(v)最後に、上記コアを覆うように下部クラッド上に上部クラッドを形成し、光導波路とする。
この反応性イオンエッチングを用いた方法は、寸法信頼性に優れた光導波路を形成することができる。また、この方法は、再現性にも優れている。
【0162】
また、露光現像法では、(i)まず、ガラス基板等の上に下部クラッドを形成し、(ii)次に、この下部クラッド上にコア用樹脂組成物を塗布し、さらに、必要に応じて、半硬化処理を施すことによりコア形成用樹脂組成物の層を形成する。
(iii)次に、上記コア形成用樹脂組成物の層上に、コア形成部分に対応したパターンが描画されたマスクを載置し、その後、露光現像処理を施すことにより、下部クラッド上にコアを形成する。(iv)最後に、上記コアを覆うように下部クラッド上に上部クラッドを形成し、光導波路とする。
この露光現像法は、工程数が少ないため、光導波路を量産する際に好適に用いることができ、また、加熱工程が少ないため、光導波路に応力が発生しにくい。
【0163】
また、上記金型形成法では、(i)まず、ガラス基板等の上に下部クラッドを形成し、(ii)次に、下部クラッドに金型形成によりコア形成用の溝を形成する。(iii)さらに、上記溝内にコア用樹脂組成物を印刷により充填し、その後、硬化処理を施すことによりコアを形成する。(iv)最後に、上記コアを覆うように下部クラッド上に上部クラッドを形成し、光導波路とする。
この金型形成法は、光導波路を量産する際に好適に用いることができ、寸法信頼性に優れた光導波路を形成することができる。また、この方法は、再現性にも優れている。
【0164】
また、上記レジスト形成法では、(i)まず、ガラス基板等の上に下部クラッドを形成し、(ii)さらに、この下部クラッド上にレジスト用樹脂組成物を塗布した後、露光現像処理を施すことにより、上記下部クラッド上のコア非形成部分に、コア形成用レジスト形成する。
(iii)次に、下部クラッド上のレジスト非形成部分にコア用樹脂組成物の塗布し、(iv)さらに、コア用樹脂組成物を硬化した後、上記コア形成用レジストを剥離することにより、下部クラッド上にコアを形成する。(v)最後に、上記コアを覆うように下部クラッド上に上部クラッドを形成し、光導波路とする。
このレジスト形成法は、光導波路を量産する際に好適に用いることができ、寸法信頼性に優れた光導波路を形成することができる。また、この方法は、再現性にも優れている。
【0165】
これらの方法を用いてポリマー材料からなる光導波路を形成する場合において、コアに粒子が配合された光導波路を形成する場合には、露光現像法に比べて、金型形成法が望ましい。その理由は以下のとおりである。
すなわち、下部クラッドに金型形成によりコア形成用の溝を形成し、その後、この溝内にコアを形成する金型形成法でコアを形成した場合には、コアに配合される粒子は全部、コア中に入ってしまうこととなるため、コアの表面は平坦で光信号の伝送性に優れるのに対し、露光現像法でコアを形成した場合には、現像後のコアにおいて、コア表面から粒子の一部が突出していたり、コア表面に粒子がとれた窪みが形成されていたりして、コアの表面に凹凸が形成されることがあり、この凹凸によって光が所望の方向に反射しなくなり、その結果、光信号の伝送性が低下することがあるからである。
【0166】
また、ここまで説明した光導波路の形成方法では、コア用樹脂組成物と、クラッド用樹脂組成物として別々の樹脂組成物を用意して光導波路を形成しているが、例えば、クラッド用樹脂組成物のみを用意し、フェムト秒レーザ等の単パルスレーザや露光により、クラッド用樹脂組成物の屈折率を変化させてコアを形成するフォトブリーチング法により光導波路を形成してもよい。
【0167】
また、光導波路を直接形成する場合において、導体回路上に光導波路を形成する場合には、下部クラッドを形成する際に、導体回路の厚さよりも厚くなるように形成することが望ましい。光導波路にうねり等が生じることを回避することができるからである。
また、下部クラッドの形成に際して、クラッド用樹脂組成物をスピンコータで塗布する場合には、塗布量を多くして、回転速度の調整を行うことにより、導体回路間に充分に樹脂組成物を供給し、表面の平坦な下部クラッドを形成することができる。
また、下部クラッドを形成時には、クラッド用樹脂組成物を塗布後、フィルムを載置し、さらに平板を介して圧力を付加する等の平坦化処理を施してもよい。
なお、光導波路用樹脂組成物(クラッド用樹脂組成物、コア用樹脂組成物)の塗布は、スピンコータ以外に、ロールコーター、バーコーター、カーテンコーター等を用いることができる。
【0168】
また、光配線として、光ファイバシートを形成する場合には、予め作製しておいて光ファイバシートを接着材等を介して、所定の位置に張り付ければよい。
また、光ファイバシートは、ポリイミド樹脂等からなるベースフィルム(カバー樹脂層)上に、必要本数の光ファイバを光ファイバ布線装置を用いて布線した後、その周囲をポリイミド樹脂等からなる保護フィルム(カバー樹脂層)で被覆することにより形成することができる。なお、市販の光ファイバシートを用いることもできる。
【0169】
また、光配線を光導波路フィルムや光ファイバシートを用いて形成する場合、これらは、シート状であるため光軸合わせが難しい。そのため、上記光導波路フィルムや光ファイバシートを張り付ける絶縁層としては、リジッドな材質からなるものを選択し、光導波路フィルム等が折れ曲がらないようにすることが望ましい。位置合わせが容易になるからである。
【0170】
また、上記光配線には、通常、光路変換ミラーを形成する。
上記光路変換ミラーは、光配線を絶縁層上に取り付ける前に形成しておいてもよいし、絶縁層上に取り付けた後に形成してもよいが、該光配線を絶縁層上に直接形成する場合を除いて、予め光路変換ミラーを形成しておくことが望ましい。作業を容易に行うことができ、また、作業時に多層プリント配線板を構成する他の部材、基板や導体回路、絶縁層等に傷を付けたり、これらを破損させたりするおそれがないからである。ただし、絶縁層上に取り付けた後に形成したほうが精度は向上する。
上記光路変換ミラーを形成する方法としては特に限定されず、従来公知の形成方法を用いることができる。具体的には、先端がV形90°のダイヤモンドソーや刃物、ブレードによる機械加工、反応性イオンエッチングによる加工、レーザアブレーション等を用いることができる。また、光導波路フィルム等の両端に光路変換ミラーを形成する場合には、該光導波路フィルム等を研磨機の冶具に固定し、両端を研磨することにより光路変換ミラーを形成してもよい。
また、光路変換ミラーを形成する代わりに光路変換部材を埋め込んでもよい。
また、光導波路に90度光路変換ミラーを形成する場合には、下部クラッドの基板または絶縁層と接する面と、光路変換面とのなす角は、45度であってもよいし、135度であってもよい。また、上記光路変換ミラーの反射面には、金属蒸着層を形成してよく、この場合、金、銀、白金、銅、ニッケル、パラジウム、アルミニウム、クロム等を1種類または2種類蒸着すればよい。
なお、この(1)、(2)の工程では、絶縁性基板の両面に絶縁層や光配線を積層形成した配線板を必要枚数形成する。
【0171】
(3)上記(1)、(2)の工程を経て形成した配線板を、例えば、2枚用意し、この配線板により、接着性絶縁材料を挟み、ピンラミネーション方式またはマスラミネーション方式で位置合わせを行い、これらをプレスすることにより、絶縁層と接着性絶縁材料とを一体化させる。
【0172】
上記接着性絶縁材料としては、例えば、プリプレグ、ガラス不織布プリプレグ、接着フィルム等のシート状材料、液状樹脂組成物等が挙げられる。また、上記接着性絶縁材料の材質としては、エポキシ樹脂、BT樹脂等が挙げられる。
また、上記絶縁層が樹脂材料からなるあるものである場合には、絶縁層の材料となる樹脂と接着性絶縁材料の材料となる樹脂とは同一であることが望ましい。
また、シート状材料を用いる場合、プレス前には、2枚の配線板間に介在させておくだけでもよいし、片方の配線板に予め圧着しておいてもよいし、両方の配線板のそれぞれに予め圧着しておいてもよい。なお、両方の配線板に圧着しておく場合には、2枚のシート材料を使用することとなる。
また、樹脂液状樹脂組成物を使用する場合は、予め、一方または両方の配線板に塗布し、Bステージ状態まで硬化させた後、プレスしてもよいし、一方または両方の配線板に塗布した状態でプレスしてもよい。また、上記液状樹脂組成物には粒子が配合されていてもよい。
【0173】
上記プリプレグ等の接着性絶縁材料は、光信号通過領域の一部を構成することとなる場合があり、その場合は、厚さ30μmにおける透過率が60%以上であることが望ましい。
透過率が60%/30μmである場合には、プリプレグ等に起因する伝播損失は2.0dBであり、80%/30μmである場合には、伝播損失は0.8dB程度であり、90%/30μmである場合には、伝播損失は0.4dB程度であり、この程度の損失であれば光信号を伝送することができる。なお、透過率は伝送距離に応じて選択してもよい。
【0174】
また、上記接着性絶縁材料としては、光導波路の形成に用いる樹脂と同様の樹脂等の透過率が高い、透明樹脂を用いることもできる。
このような透過率の高い樹脂、具体的には、透過率が70%/1mmの樹脂を30μmの厚さで用いた場合、その伝播損失は0.05dB程度、透過率が90%/1mmの樹脂を30μmの厚さで用いた場合、その伝播損失は0.01dB程度と極めて小さくすることができる。
【0175】
また、上記接着性絶縁材料からなる絶縁層を貫通するように、光信号通過領域が形成されることとなる場合、光路用貫通孔内に充填する樹脂組成物と、接着性絶縁材料との屈折率は同一であることが望ましい。両者の界面で、反射や屈折等が発生しないからである。
【0176】
また、上記接着性絶縁材料は、粒子を含有するものであってもよい。粒子を配合することにより、他の絶縁層との間で熱膨張係数を差を小さくすることができ、熱膨張係数の差に起因する基板の反りや、光軸のズレ等を防止することができるからである。
【0177】
具体的には、例えば、アクリル系樹脂(屈折率1.51、透過率93%/mm、熱膨張係数70ppm)に、0.1〜0.8μmの粒度分布を有する球状シリカ25重量%を添加した場合、透過率は、81%/mmに低下するものの、熱膨張係数は53ppmとなる。ここで、多層プリント配線板に絶縁層として汎用されるエポキシ樹脂基板の熱膨張係数が20ppm程度であることを考慮すると、他の絶縁層としてエポキシ樹脂基板を使用する場合は、粒子を配合したもののほうが好ましいということとなる。
なお、ここに記載した例では,粒子を配合することにより、透過率が低下しているが、この程度の透過率をゆうしていれば、接着性絶縁材料として用いることができることは、上述した通りである。
【0178】
上記粒子の具体例としては、上述した光導波路に含まれる粒子と同様のもの等が挙げられる。
【0179】
上記プレスは、ピンラミネーション方式またはマスラミネーション方式で位置合わせをした後、積層し、熱板(SUS板等)で挟み、加熱および加圧することにより行うことができる。また、上記プレスは、真空下で行ってもよい。
また、上述した方法でプレスを行う場合、最外層(熱板と接することとなる面)は、ベタの導体層で構成されていることが望ましい。例えば、最外層が導体回路が形成されている場合、熱板から伝わる圧力が不均一となり(導体回路形成領域に伝わる圧力が、非形成領域に比べて大きくなる)、その結果、各層を構成する導体回路、絶縁層、光配線にうねりが発生してしまうことがある。特に、光配線にうねりが発生した場合には、伝播損失が増大する原因となり、また、不均一な圧力は、光配線の位置ズレの原因ともなる。
【0180】
上記プレスの条件としては、例えば、圧力が20〜50kg/cmで、プレス時間が、温度180℃以上の時間が40分間以上で、トータルプレス時間が150分間等が挙げられる。
また、この工程において、配線板と接着性絶縁材料とを積層プレスする場合には、3枚以上の配線板を用意し、それぞれの配線板の間に接着性絶縁材料を挟んで、プレスしてもよい。
【0181】
また、工程では、配線板および接着性絶縁材料の他に、予め、フィルム状に作成しておいた光導波路(光導波路フィルム)や光ファイバシート等の光配線を準備し、例えば、これらを配線板、接着性絶縁材料、光配線、接着性絶縁材料、配線板の順序で積層し、プレスしてもよい。
【0182】
さらには、絶縁層基板(ベースとなる絶縁層)の片面または両面に、直接光配線を形成したものを介在させて積層プレスを行ってもよい。なお、この場合も、光配線の形成方法としては、上記(c)の工程で用いた方法と同様の方法用いることができる。
【0183】
(4)次に、必要に応じて、絶縁層全体を貫通するバイアホール(貫通バイアホール)を形成する。
上記貫通バイアホールの形成は、例えば、絶縁層全体を貫通する貫通孔をドリル加工等により形成し、その後、この貫通孔の壁面にめっき等により導体層を形成することにより形成することができる。
また、この工程では、絶縁層全体を貫通する光信号通過領域を形成してもよく、また、この場合、最外層に光配線を形成することが望ましい。
【0184】
また、絶縁層全体を挟んだ導体回路間は、複数の非貫通バイアホールにより接続されていてもよい。
このような非貫通バイアホールの形成は、例えば、内層に形成された一つの導体回路に向かって、積層された絶縁層の両面からレーザ加工により非貫通孔を形成し(この場合、それぞれの非貫通孔は、上記した導体回路の両面を底とする有低孔となる)、その後、非貫通孔の壁面(内部全体であってもよい)にめっき等により導体層を形成することにより行うことができる。
【0185】
また、本工程では、貫通バイアホールを形成した後、再度、上記(2)の工程、即ち、絶縁層や導体回路の積層工程や、光配線の積層工程を1回または複数回繰り返してもよい。
【0186】
(5)次に、必要に応じて、最外層にソルダーレジスト層を形成する。
上記ソルダーレジスト層は、未硬化のソルダーレジスト組成物を塗布した後、硬化処理を施したり、上記ソルダーレジスト組成物からなるフィルムを圧着し、さらに必要に応じて、硬化処理を施したりすることにより形成することができる。
【0187】
また、この工程では、ソルダーレジスト層として、透過率の高くないソルダーレジスト層を形成する場合には、ソルダーレジスト層の形成と同時に、光信号通過領域として機能することができる光路用開口を形成する。なお、伝送光に対して透明なソルダーレジスト層を形成する場合には、光路用開口を形成する必要はない。
上記光路用開口は、例えば、上記ソルダーレジスト組成物を塗布した後、露光現像処理を施すことにより形成することができる。
また、光路用開口の形成と同時に半田バンプ形成用開口(ICチップや光学素子を実装するための開口)を形成してもよい。勿論、光路用開口と半田バンプ形成用開口とは別々に形成してもよい。
また、ソルダーレジスト層を形成する際に、予め、所望の位置に開口を有する樹脂フィルムを作製し、該樹脂フィルムを張り付けることにより、光路用開口や半田バンプ形成用開口を有するソルダーレジスト層を形成してもよい。
また、この工程で形成した光路用開口内には、光路用貫通孔内に充填した樹脂組成物と同様の樹脂組成物を充填してもよい。
【0188】
(6)次に、必要に応じて、光信号通過領域の端部にマイクロレンズを配設する。
なお、マイクロレンズの配設は、上記ソルダーレジスト層として透明ソルダーレジスト層を形成した場合には、そのソルダーレジスト層上に配設すればよい。
【0189】
また、マイクロレンズを配設する場合には、予め、マイクロレンズを配設する部位に撥水コート材による処理、CFプラズマによる撥水処理、Oプラズマによる親水処理等の表面処理を施しておいてもよい。上記マイクロレンズを配設する部位の濡れ性によっては、マイクロレンズの形状、特に、サグ高さにバラツキが発生しやすいのに対し、表面処理を施すことにより、サグ高さのバラツキを抑えることができる。
【0190】
上記表面処理の具体的な方法について簡単に説明しておく。
上記撥水コート剤による処理を行う場合には、まず、マイクロレンズを形成する部分に対応する部分が開口したマスクを行い、次にスプレー塗布やスピンコータでの塗布により撥水コート剤を塗布し、その後、撥水コート剤を自然乾燥させ、さらにマスクを剥がすことにより表面処理を終了する。なお、撥水コート剤層の厚さは、通常、1μm程度である。ここでは、メッシュ版やレジスト形成したマスクを用いればよい。
なお、撥水コート剤による処理を行う場合には、マスクを用いることなく、ソルダーレジスト層全体に撥水コート剤による処理を施してもよい。
【0191】
また、上記CFプラズマによる撥水処理を行う場合には、まず、ソルダーレジスト層上のマイクロレンズを形成する部分に対応する部分が開口したマスクを行い、次に、CFプラズマ処理を行い、さらにマスクを剥がすことにより表面処理を終了する。ここでは、レジスト形成したマスクを用いればよい。
また、上記Oプラズマによる親水処理を行う場合には、まず、ソルダーレジスト層上のマイクロレンズを形成する部分に対応する部分が開口したマスクを行い、次に、Oプラズマ処理を行い、さらにマスクを剥がすことにより表面処理を終了する。ここでは、メタル版やレジスト形成したマスクを用いればよい。
また、上記撥水処理(撥水コート剤による処理含む)と親水処理とを組み合わせて行うことが望ましい。
【0192】
また、上記マイクロレンズは、直接配設してもよく、また、光学接着剤を介して配設してもよい。さらには、レンズマーカを介して配設してもよい。そして、レンズマーカを介して配設する場合には、このレンズマーカのマイクロレンズを配設する部位に表面処理を施しておいてもよい。
上記ソルダーレジスト層上にマイクロレンズを直接配設する方法としては、例えば、未硬化の光学レンズ用樹脂を樹脂組成物上に適量滴下し、この滴下した未硬化の光学レンズ用樹脂に硬化処理を施す方法が挙げられる。
上記方法において、未硬化の光学レンズ用樹脂をソルダーレジスト層上に適量滴下する際には、ディスペンサー、インクジェット、マイクロピペット、マイクロシリンジ等の装置を用いることができる。また、このような装置を用いてソルダーレジスト層上に滴下した未硬化の光学レンズ用樹脂は、その表面張力により球形になろうとするため、上記ソルダーレジスト層上で半球状となり、その後、半球状の未硬化の光学レンズ用樹脂に硬化処理を施すことで、ソルダーレジスト層上に半球状のマイクロレンズを形成することができるのである。
なお、このようにして形成するマイクロレンズの直径や曲面の形状等は、ソルダーレジスト層と未硬化の光学レンズ用樹脂との濡れ性を考慮しながら、適宜未硬化の光学レンズ用樹脂の粘度等を調整することで制御することができる。
【0193】
(7)次に、下記の方法を用いて半田パッドや半田バンプの形成を行い、さらに光学素子や光学素子を実装したパッケージ基板の実装を行う。
すなわち、上記半田バンプ形成用開口を形成することにより露出した導体回路部分を、必要に応じて、ニッケル、パラジウム、金、銀、白金等の耐食性金属により被覆し、半田パッドとする。
上記被覆層は、例えば、めっき、蒸着、電着等により形成することができるが、これらのなかでは、被覆層の均一性に優れるという点からめっきにより形成することが望ましい。
なお、半田パッドの形成は、上記マイクロレンズ配設工程の前に行うこととしてもよい。
【0194】
さらに、上記半田パッドに相当する部分に開口部が形成されたマスクを介して、上記半田パッドに半田ペーストを充填した後、リフローすることにより半田バンプを形成する。また、半田バンプに代えて金バンプを形成してもよい。
さらに、ソルダーレジスト層に光学素子(受光素子や発光素子)等を実装する。光学素子等の実装は、例えば、上記半田バンプを介して行うことができる。また、例えば、上記半田バンプを形成する際に、半田ペーストを充填した時点で、光学素子を取り付けておき、リフローと同時に光学素子の実装を行ってもよい。また、ここで用いる半田の組成は特に限定されず、Sn/Pb、Sn/Pb/Ag、Sn/Ag/Cu、Sn/Cu等どのような組成であってもよい。
また、半田に代えて、導電性接着剤等を用いて光学素子を実装してもよい。
【0195】
また、光学素子等を実装した後には、必要に応じて、この光学素子等にアンダーフィルを充填する。なお、アンダーフィルの充填方法としては、従来公知の方法を用いることができる。
このような工程を経ることにより、本発明の多層プリント配線板を製造することができる。
【0196】
なお、この製造方法では、絶縁層および導体回路の形成工程をセミアディティブ法を中心に説明したが、その他、フルアディティブ法、RCC法、ビアシートラミネート法、バンプシートラミネート法等で形成してもよい。
また、この製造方法では、非貫通バイアホールをフォトバイアホールやレーザバイアホールとして説明したが、上記非貫通バイアホールの形状は、コンフォーマルバイアホールや、フィールドバイアホール、スタッドバイアホール等特に限定されない。
【0197】
なお、ここまで、説明した多層プリント配線板の製造方法は、導体回路や光配線等が形成された絶縁層等を複数枚用意し、これらを接着性絶縁材料を介してプレスする方法であるが、上記のように、光配線が絶縁層間(内層)に形成された多層プリント配線板は、ベースとなる絶縁層を出発材料として、これに、導体回路や光配線、他の絶縁層等を設計に応じて積層していくビルドアップ法も可能であると考えられる。
しかし、このような方法で、多層プリント配線板を製造する場合、光配線上に絶縁層を積層した後、光信号通過領域を形成すべく絶縁層を開口する必要があるが、この場合、開口処理時に光配線を傷付け、伝播損失の増大に繋がるおそれがある。
従って、本発明の多層プリント配線板は、上述したような方法で製造することが望ましいといえる。
【実施例】
【0198】
以下、本発明をさらに詳細に説明する。
(実施例1)
1.配線板Aの作製
(1)厚さ0.8mmのガラスエポキシ樹脂またはBT(ビスマレイミドトリアジン)樹脂からなる絶縁性基板21の両面に18μmの銅箔がラミネートされ、表面導体層28が形成されている銅張積層板を出発材料とした(図16(a)参照)。まず、この銅張積層板をドリル削孔し、その壁面に無電解めっき膜27′を形成し、さらに穴9内に樹脂組成物30を充填した(図16(b)(c)参照)。
【0199】
なお、樹脂組成物としては、ビスフェノールF型エポキシモノマー(油化シェル社製、分子量:310、YL983U)100重量部、表面にシランカップリング剤がコーティングされた平均粒子径が1.6μmで、粒径0.4〜0.6μmのSiO球状粒子(アドマテック社製、SO−E2)170重量部およびレベリング剤(サンノプコ社製 ペレノールS4)1.5重量部を容器にとり、攪拌混合することにより、その粘度を23±1℃で45〜49Pa・sに調整したものを用いた。また、硬化剤として、イミダゾール硬化剤(四国化成社製、2E4MZ−CN)6.5重量部を用いた。
【0200】
(2)次に、ルータ加工により、基板21、絶縁層22、表面導体層28を貫通し、その断面形状が320×1000μmの長方形の両端のそれぞれに半径160μmの半円が付いた形状の光路用貫通孔16を形成し、さらに、光路用貫通孔16の壁面にデスミア処理を施した(図16(d)参照)。この場合、一括貫通孔構造の光路用貫通孔16が形成されることとなる。
【0201】
(3)次に、樹脂を印刷機の穴埋めマスク上に載せて、スクリーン印刷を行うことにより光路用貫通孔16内に樹脂組成物を充填した後、120℃で1時間および150℃で1時間の条件で硬化処理を施し、その後、光路用貫通孔16内から飛び出している樹脂を、♯3000研磨紙を用いて研磨し、さらに、0.05μmのアルミナ粒子を用いて研磨して表面を平坦化した。ここでは、樹脂組成物47からなる光信号通過領域の端部と、表面導体層28とが同一平面を構成するように、研磨処理を施した(図16(e)参照)。ここでは、ここでは、光路用貫通孔内に充填した樹脂組成物を研磨する際に、同時に上記(1)の工程で、穴9内に充填した樹脂組成物の穴内から飛び出している樹脂も研磨した。なお、(1)の工程で樹脂組成物を充填した段階で研磨しておいてもよい。
この工程で樹脂組成物としては、エポキシ樹脂(透過率91%、CTE82ppm)に0.1〜0.8μmの粒度分布を有する粉砕シリカを40重量%添加して、透過率82%、CTE42ppmとし、粘度を200000cpsに調整したをものを用いた。
【0202】
(4)次に、一方の表面導体層(図中、下側)上の一部とにエッチングレジスト3を形成し(図16(f)参照)、エッチング処理を施すことにより、基板の片面に導体回路25を形成した(図17(a)参照)。
【0203】
(5)導体回路25を形成した側に、下記の方法で光導波路を積層形成した。なお、光導波路としては、4つのコアが並列に配設された4チャンネルの光導波路50を形成した。
まず、コア形成用樹脂としてアクリル系樹脂(屈折率1.52、透過率94%、CTE72ppm)を、クラッド形成用樹脂としてアクリル系樹脂(屈折率1.51、透過率93%、CTE70ppm)に、粒径0.4〜0.6μmのSiO球状粒子(アドマテック社製、SO−E2)を25重量%添加して透過率を81%、CTEを53ppm、粘度を1000cpsとしたものを準備した。
【0204】
次に、基板21の導体回路25を形成した側に、スピンコータ(1000pm/10sec)を用いてクラッド形成用樹脂を塗布し、80℃で10分間のプリベーク、2000mJの露光処理、150℃で1時間のポストベークを行い、厚さ50μmの下部クラッド52を形成した。ここで、下部クラッドは、導体回路25の厚さよりも厚くあるように形成した。
次に、下部クラッド52上に、スピンコータ(1200pm/10sec)を用いてコア形成用樹脂を塗布し、80℃で10分間のプリベーク、500mJのマスク露光処理、1%TMAH(テトラメチルアンモニウム水溶液)を用いたディップによる2分間の現像処理、2000mJのベタ露光処理、150℃で1時間のポストベークを行い、幅50μm×厚さ50μmのコア51を形成した
次に、スピンコータ(1000pm/10sec)を用いてクラッド形成用樹脂を塗布し、80℃で10分間のプリベーク、2000mJの露光処理、150℃で1時間のポストベークを行い、コア上での厚さが50μmの上部クラッドを形成し、コア51とクラッド52とからなる光導波路50とした。
その後、光導波路50上であって、光信号通過領域に対応する部分に、90度の♯3000ブレードを用いたダイシング加工を施し、さらに、加工により露出した面にAu/Cr 蒸着膜を形成し、90度光路変換ミラーとした(図17(b)参照)。
このような工程を経ることにより、配線板Aを完成した。
【0205】
2.多層プリント配線板の作製
(6)次に、上記配線板Aを2枚と、厚さ80μmの高Tgエポキシ製プレプレグ(日立化成社製、MCL−E−679)1枚とを用意し、このプリプレグの両側に配線板Aを、光導波路50が内側に位置するようにピンラミネーション方式で位置合わせをしながら積層した後、圧力が30kg/cmで、プレス時間が、温度180℃以上の時間が45分間で、トータルプレス時間が150分間の条件でプレスした(図18(a)参照)。なお、配線板Aには、ガイド穴(図示せず)を予め空けておいた。
【0206】
(7)次に、上記(6)の工程で形成した積層板全体を貫通する貫通孔19をドリル加工により形成し(図18(a)参照)、この貫通孔19の壁面に導体層27′を形成した。
導体層27′は、貫通孔19の壁面にパラジウム触媒を付与した後、基板表面にマスクを形成し、以下の組成の無電解銅めっき水溶液中に、基板を浸漬することにより、無電解めっき銅めっき膜形成し、その後、下記の組成の電解銅めっき膜で厚付けを行うことにより形成した。
【0207】
〔無電解めっき水溶液〕
NiSO 0.003 mol/l
酒石酸 0.200 mol/l
硫酸銅 0.030 mol/l
HCHO 0.050 mol/l
NaOH 0.100 mol/l
α、α′−ビピリジル 100 mg/l
ポリエチレングリコール(PEG) 0.10 g/l
〔無電解めっき条件〕
30℃の液温度で40分
【0208】
〔電解めっき液〕
硫酸 2.24 mol/l
硫酸銅 0.26 mol/l
添加剤 19.5 ml/l
(アトテックジャパン社製、カパラシドHL)
〔電解めっき条件〕
電流密度 1 A/dm
時間 65 分
温度 22±2 ℃
【0209】
(8)次に、壁面に、導体層27′が形成された貫通孔19内に、樹脂組成物30を充填し(図19(b)参照)、積層板表面の導体層(配線板Aに形成した表面導体層28)上に、エッチングレジストを形成し(図20(a)参照)、その後、エッチング処理を施すことにより最外層の導体回路25を形成した(図20(b)参照)。
【0210】
(9)次に、最外層にソルダーレジスト組成物の層を形成した。
上記ソルダーレジスト組成物としては、DMDGに溶解させた60重量%のクレゾールノボラック型エポキシ樹脂(日本化薬社製)のエポキシ基50%をアクリル化した感光性付与のオリゴマー(分子量4000)を46.67g、メチルエチルケトンに溶解させた80重量%のビスフェノールA型エポキシ樹脂(油化シェル社製、エピコート1001)15.0g、イミダゾール硬化剤(四国化成社製、商品名:2E4MZ−CN)1.6g、感光性モノマーである多価アクリルモノマー(日本化薬社製、商品名:R604)3g、同じく多価アクリルモノマー(共栄社化学社製、商品名:DPE6A)1.5g、分散系消泡剤(サンノプコ社製、商品名:S−65)0.71gを混合し、さらにこの混合物に対して光開始剤としてのベンゾフェノン(関東化学社製)を2g、光増感剤としてのミヒラーケトン(関東化学社製)を0.2g加えて、粘度を25℃で2.0Pa・sに調整したものを用いた。
なお、粘度測定は、B型粘度計(東京計器、DVL−B型)で60rpmの場合はローターNo.4、6rpmの場合はローターNo.3によった。
【0211】
(10)次いで、半田バンプ形成用開口のパターンが描画された厚さ5mmのフォトマスクを透明ソルダーレジスト組成物の層に密着させて1000mJ/cmの紫外線で露光し、DMTG溶液で現像処理し、半田バンプ形成用開口98を形成した。
さらに、80℃で1時間、100℃で1時間、120℃で1時間、150℃で3時間の条件でそれぞれ加熱処理を行ってソルダーレジスト組成物の層を硬化させ、半田バンプ形成用開口43を有するソルダーレジスト層34(図21(a)参照)。
【0212】
(11)次に、ソルダーレジスト層34を形成した基板を、塩化ニッケル(2.3×10−1mol/l)、次亜リン酸ナトリウム(2.8×10−1mol/l)、クエン酸ナトリウム(1.6×10−1mol/l)を含むpH=4.5の無電解ニッケルめっき液に20分間浸漬して、半田バンプ形成用開口48に厚さ5μmのニッケルめっき層を形成した。さらに、その基板をシアン化金カリウム(7.6×10−3mol/l)、塩化アンモニウム(1.9×10−1mol/l)、クエン酸ナトリウム(1.2×10−1mol/l)、次亜リン酸ナトリウム(1.7×10−1mol/l)を含む無電解金めっき液に80℃の条件で7.5分間浸漬して、ニッケルめっき層上に、厚さ0.03μmの金めっき層を形成し、半田パッド36とした。
【0213】
(12)次に、ソルダーレジスト層34上であって、光信号通過領域42の端部に相当する位置に、インクジエット装置を用いて、下記の方法によりマイクロレンズ49を配設した。
すなわち、UV硬化型エポキシ系樹脂(透過率91%/mm、屈折率1.53)を室温(25℃)で、粘度20cpsに調整した後、この樹脂をインクジェット装置の樹脂容器内で、温度40℃、粘度8cpsに調整し、その後、上部クラッド上の所定の位置に塗布し、UV硬化させることにより、直径220μmの凸状レンズを配設した。
なお、マイクロレンズのサグ高さは、後工程を経て、受光素子を実装したパッケージ基板に対向することとなる側では、伝送光をコリメート光とできる形状で、発光素子を実装したパッケージ基板に対向することとなる側では、その焦点が光導波路のコアと一致する形状で形成した。
【0214】
(13)次に、半田バンプ形成用開口(光学部品実装用開口を含む)43に半田ペースト(Sn/Ag=96.5/3.5)を印刷し、半田バンプ37を形成した(図21(b)参照)。
次に、半田バンプを介して、受光素子38としてPDが実装されたパッケージ基板、および、発光素子39としてVCSELが実装されたパッケージ基板を実装し、多層プリント配線板とした(図1参照)。
【0215】
なお、パッケージ基板としては、基板1721上に導体回路1725と絶縁層1722とが積層形成され、一括貫通孔構造の光信号通過領域1742が形成され(図15参照)、さらに、光信号通過領域の多層プリント配線板側の端部にマイクロレンズが配設されたものを用いた。
【0216】
(実施例2)
1.配線板Bの作製
(1)厚さ0.8mmのガラスエポキシ樹脂またはBT(ビスマレイミドトリアジン)樹脂からなる絶縁性基板21の両面に18μmの銅箔がラミネートされ、表面導体層28が形成されている銅張積層板を出発材料とした(図22(a)参照)。まず、この銅張積層板をドリル削孔し、無電解めっき処理27′を施し、さらに穴内に樹脂組成物30を充填し、パターン状にエッチングすることにより、基板21の両面に導体回路25を形成するともに、非貫通バイアホール27を形成した(図22(b)〜(d)参照)。
【0217】
(2)次に、基板より少し大きめの絶縁層用樹脂フィルムを基板上に載置し、圧力0.4MPa、温度80℃、圧着時間10秒の条件で仮圧着して裁断した後、さらに、以下の方法により真空ラミネータ装置を用いて貼り付けることにより絶縁層を形成した。
すなわち、絶縁層用樹脂フィルムを基板上に、真空度65Pa、圧力0.4MPa、温度80℃、時間60秒の条件で本圧着し、その後、170℃で30分間熱硬化させた。
【0218】
なお、絶縁層用樹脂フィルムは、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(エポキシ当量469、油化シェルエポキシ社製エピコート1001)30重量部、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(エポキシ当量215、大日本インキ化学工業社製 エピクロンN−673)40重量部、トリアジン構造含有フェノールノボラック樹脂(フェノール性水酸基当量120、大日本インキ化学工業社製 フェノライトKA−7052)30重量部をエチルジグリコールアセテート20重量部、ソルベントナフサ20重量部に攪拌しながら加熱溶解させ、そこへ末端エポキシ化ポリブタジエンゴム(ナガセ化成工業社製 デナレックスR−45EPT)15重量部と2−フェニル−4、5−ビス(ヒドロキシメチル)イミダゾール粉砕品1.5重量部、微粉砕シリカ2重量部、シリコーン系消泡剤0.5重量部を添加しエポキシ樹脂組成物を調製した後、得られたエポキシ樹脂組成物を厚さ38μmのPETフィルム上に乾燥後の厚さが50μmとなるようにロールコーターを用いて塗布した後、80〜120℃で10分間乾燥させることにより作製した。
【0219】
(3)次に、絶縁層上にマスクを載置し、波長10.4μmのCOガスレーザにて、ビーム径4.0mm、トップハットモード、パルス幅8.0μ秒、マスクの貫通孔の径1.0mm、1ショットの条件で、バイアホール用開口を絶縁層22に形成した(図22(e)参照)。
【0220】
(4)次に、バイアホール用開口の内壁面を含むその表面に粗化面を形成し、その後、絶縁層の表面に導体回路を形成するとともに、非貫通バイアホールを形成した。
また、この工程では、並行して絶縁性基板および絶縁層を貫通する光信号通過領域を形成した。
すなわち、まず、絶縁層22の表面(バイアホール用開口の内壁面を含む)にパラジウム触媒を付与した後、無電解銅めっき水溶液中に、基板を浸漬することにより、無電解銅めっき膜からなる薄膜導体層を形成し、その後、上記薄膜導体層上に電解銅めっき膜を形成した(図中、薄膜導体層と電解銅めっき膜とを合わせて33と示す)。
なお、無電解めっき処理および電解めっき処理は、それぞれ実施例1の(7)の工程と同様の条件で行った。
次に、実施例1の(2)および(3)の工程と同様の方法を用いて、内部に樹脂組成物47が充填された光信号通過領域42を形成した。
その後、実施例1の(4)の工程と同様の方法を用いて、配線板の片側の表面に導体回路25を形成した(図23(a)、(b)参照)。
【0221】
(5)次に、上記(4)の工程で導体回路を形成した側に、実施例1の(5)の工程と同様の方法を用いて、導体回路を形成した側に光導波路50を積層形成した(図23(c)参照)。
このような工程を経ることにより、配線板Bを作製した。
【0222】
2.多層プリント配線板の作製
(6)その後、配線板Aにかえて、配線板Bを用いた以外は、実施例1の(6)〜(12)と同様にして多層プリント配線板を製造した(図2参照)。
【0223】
(実施例3)
光導波路とパッケージ基板との構成を変更した以外は、実施例2と同様にして多層プリント配線板を製造した(図3参照)。
本実施例では、多層プリント配線板の表面において、各面に、受光素子を実装したパッケージ基板および発光素子を実装したパッケージ基板のいずれかのみを実装することとし、さらに、光導波路の介した信号伝送において、多層プリント配線板の側面に露出した光導波路の端部と、パッケージ基板に実装された光学素子とが光学的に接続されるように、光路変換ミラーの形成位置を調整した。
本実施例の多層プリント配線板では、基板間の信号伝送を光信号により行うことができる。
【0224】
(実施例4)
1.配線板Cの作製
(1)実施例2の配線板Bの作製と略同様の方法を用いて配線板を作製した。但し、ここでは、光導波路を形成する際に、最外層全体でなく、最外層の一部にのみ光導波路を形成した。また、光導波路は、配線板に直接形成せず、下記の方法で、光導波路フィルムを別途作製しておき、所定の位置に、接着剤(ダイキン工業社製、オプトダインUV−1000)を用いて張り付けた。
具体的には、まず、ガラス基板上において、実施例1の(5)の工程で用いた方法と同様の方法により、クラッドとコアとを積層形成し、さらに、光路変換ミラーを形成し、最後に、3%フッ酸溶液でガラス基板を剥離することにより光導波路フィルムを作製した。
次に、配線板の所定の位置に、上記接着剤を塗布しておき、光導波路フィルムを高精度フリップチップ実装機のヘッドに吸引固定し、光導波路フィルムに予め形成しておいたアライメントマークと、配線板に予め形成しておいたアライメントマークとを利用して位置決めを行い、配線板との間で平行を維持しつつ、接着剤上に光導波路フィルムを押し当て、高圧水銀ランプ(10J/cm)で仮硬化し、さちに、オーブンを用いて60℃、1時間の条件で本硬化することにより光導波路を取り付けた。
なお、光導波路フィルムの張り付けは、調芯機を用いてアライメントマークで位置合せを行って張り付けてもよいし、調芯機を用いて光導波路フィルムの両端に光を入射または出射を行い、光信号通過領域と光路変換ミラーとの光軸を合わせて張り付けてもよい。
【0225】
2.配線板Dの作製
(2)上記配線板Cの作製と略同様の方法を用いて配線板を作製した。但し、ここでは、絶縁層と導体回路とを基板の片面につき、1層ずつ多く積層した。
【0226】
3.多層プリント配線板の作製
(3)次に、上記配線板C、Dを1枚ずつと、厚さ80μmのエポキシ製ガラス不織布プレプレグ(日立化成社製、AS−5000GP)1枚とを用意し、このプリプレグの両側に配線板D、Eそれぞれを、光導波路50が内側に位置するようにピンラミネーション方式で位置合せをしながら積層した後、圧力が30kg/cmで、プレス時間が、温度180℃以上の時間が45分間で、トータルプレス時間が150分間の条件でプレスした(図18(a)参照)。
【0227】
(4)次に、実施例1の(7)〜(12)の工程とを同様にしてマイクロレンズの配設までを行った。なお、マイクロレンズは、後工程でパッケージ基板と対向することとなる光信号通過領域の端部にのみ形成した。
【0228】
(5)次に、別途、光導波路フィルムを下記の方法で形成しておき、この光導波路フィルムを最外層のソルダーレジスト層上に、接着剤(ダイキン工業社製、オプトダインUV−1000)を用いて張り付けた。
上記光導波路フィルムは、ガラス基板上において、実施例1の(5)の工程で用いた方法と同様の方法により、クラッドとコアとを積層形成し、さらに、光路変換ミラーを形成し、
最後に、3%フッ酸溶液でガラス基板を剥離することにより作製した。また、光導波路の張り付けは、上記(1)の工程で用いた方法と同様の方法で行った。
【0229】
(6)その後、実施例(13)と同様の工程を行うことにより、パッケージ基板が実装された多層プリント配線板とした(図4参照)。
【0230】
(実施例5)
1.配線板Eの作製
(1)実施例2の配線板Bの作製と略同様の方法を用いて配線板を作製した。ただし、本実施例では、基板間の信号伝送を光信号で行う多層プリント配線板を製造するため、光信号通過領域の形成位置、個数、および、光路変換ミラーの形成位置を調整した。
【0231】
2.配線板Fの作製
(2)実施例2の配線板Bの作製において、光信号通過領域および光導波路の形成を行わず、また、両面の表面導体層にエッチング処理を施して、両最外層を導体回路とした以外は、実施例2の配線板Bの作製と同様にして配線板を作製した。
【0232】
3.多層プリント配線板の作製
(3)次に、上記配線板Eを2枚と、上記配線板Fを1枚と、厚さ80μmの高Tgエポキシ製プレプレグ(日立化成社製、MCL−E−679)2枚とを用意し、配線板Fを中心にして、その両側にプリプレグを介して、配線板Eを光導波路50が内側に位置するようにピンラミネーション方式で位置合わせをしながら積層した後、圧力が30kg/cmで、プレス時間が、温度180℃以上の時間が45分間で、トータルプレス時間が150分間の条件でプレスした。なお、配線板には、ガイド穴(図示せず)を予め空けておいた。
【0233】
(4)その後、実施例1の(7)〜(12)と同様にして多層プリント配線板を製造した(図6参照)。
【0234】
(実施例6)
1.配線板Gの作製
(1)厚さ0.8mmのガラスエポキシ樹脂またはBT(ビスマレイミドトリアジン)樹脂からなる絶縁性基板21の両面に18μmの銅箔がラミネートされ、表面導体層28が形成されている銅張積層板を出発材料とした(図24(a)参照)。まず、この銅張積層板をドリル削孔し、その壁面に無電解めっき膜27′を形成し、さらに穴9内に樹脂組成物30を充填した(図24(b)(c)参照)。
なお、樹脂組成物としては、実施例1の(1)の工程で用いたものと同様のものを用いた。
【0235】
(2)次に、ルータ加工により、基板21、絶縁層22、表面導体層28を貫通し、光路用貫通孔16を形成し、さらに、光路用貫通孔16の壁面にデスミア処理を施した(図24(d)参照)。ここでは、断面が他の光路用貫通孔よりも大きな一括貫通孔構造の光路用貫通孔16が形成した。
【0236】
(3)次に、樹脂を印刷機の穴埋めマスク上に載せて、スクリーン印刷を行うことにより光路用貫通孔16内に樹脂組成物を充填した後、120℃で1時間および150℃で1時間の条件で硬化処理を施し、その後、光路用貫通孔16内から飛び出している樹脂を、♯3000研磨紙を用いて研磨し、さらに、0.05μmのアルミナ粒子を用いて研磨して表面を平坦化した。ここでは、樹脂組成物47からなる光信号通過領域の端部と、表面導体層28とが同一平面を構成するように、研磨処理を施した(図24(e)参照)。
この工程で樹脂組成物としては、実施例1の(3)の工程で用いたものと同様のものを用いた。
【0237】
(4)次に、表面導体層28上にエッチングレジスト3を形成し(図24(f)参照)、エッチング処理を施すことにより、基板の両面に導体回路25を形成した(図25(a)参照)。
【0238】
(5)次に、導体回路25を形成した基板の両面に、実施例1の(5)の工程と同様の方法を用いて光導波路50を形成した(図25(b)参照)。
このような工程を経ることにより、配線板Gを作製した。
【0239】
2.配線板Hの作製
(6)厚さ0.8mmのガラスエポキシ樹脂またはBT(ビスマレイミドトリアジン)樹脂からなる絶縁性基板の両面に18μmの銅箔がラミネートされ、表面導体層が形成されている銅張積層板を出発材料とし、まず、この銅張積層板をドリル削孔し、その壁面に無電解めっき膜を形成し、さらに穴内に樹脂組成物を充填した。
なお、樹脂組成物としては、実施例1の(1)の工程で用いたものと同様のものを用いた。
【0240】
(7)次に、片側の表面導体層上にエッチングレジストを形成し、エッチング処理を施すことにより、基板の片面に導体回路を形成した。
このような工程を経ることにより、配線板Hを作製した。
【0241】
3.多層プリント配線板の作製
(8)次に、上記配線板Hを2枚と、上記配線Gを1枚と、厚さ80μmの下記の方法で作製した接着性絶縁フィルムA2枚とを用意し、配線板Gを中心にして、その両側にプリプレグを介して、配線板Hにピンラミネーション方式で位置合わせをしながら積層した後、圧力が30kg/cmで、プレス時間が、温度180℃以上の時間が45分間で、トータルプレス時間が150分間の条件でプレスした。なお、配線板には、ガイド穴(図示せず)を予め空けておいた。
【0242】
接着性絶縁フィルムAの作製は、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(油化シェルエポキシ社製、E−1001)40重量部、フェノールノボラック型エポキシ樹脂(油化シェルエポキシ社製、E−154)60重量部、イミダゾール型硬化剤(四国化成社製、2PHZ)5重量部およびブチルセロソルブアセテート75重量部に、粒径0.4〜0.6μmのSiO球状粒子(アドマテック社製、SO−E2)30重量部を添加し、3本ローラで攪拌した。
その後、この樹脂組成物を基材上にスピンコータで塗布し、UV照射で仮硬化させることより、接着性絶縁フィルムを作製した。なお、接着性絶縁フィルムは、屈折率1.58、850nm光の透過率97%/37μmである。
【0243】
(9)その後、実施例1の(7)〜(12)と同様にして多層プリント配線板を製造した(図7参照)。
【0244】
(実施例7)
1.光導波路フィルムの作製
(1)実施例4の(5)の工程で用いた方法と同様の方法で、光導波路フィルムを作製し、この光導波路フィルムについてガラス基板から剥離した後、所定の位置に光路変換ミラーを形成した。
【0245】
2.多層プリント配線板の作製
(2)次に、上記(1)で作製した光導波路フィルム1枚と、実施例6で作製した配線板H2枚と、厚さ80μmの接着性絶縁フィルムA(実施例6参照)2枚とを用意し、光導波路フィルムを中心にして、その両側にプリプレグを介して、配線板Hにピンラミネーション方式で位置合わせをしながら積層した後、圧力が30kg/cmで、プレス時間が、温度180℃以上の時間が45分間で、トータルプレス時間が150分間の条件でプレスした。なお、配線板および光導波路フィルムには、ガイド穴(図示せず)を予め空けておいた。
【0246】
(3)その後、実施例1の(7)〜(12)と同様にして多層プリント配線板を製造した(図8参照)。
【0247】
(実施例8)
1.多層プリント配線板の作製
(1)実施例7で作製した光導波路フィルム2枚と、実施例6で作製した配線板H2枚と、厚さ80μmの接着性絶縁フィルムA(実施例6参照)3枚とを用意し、2枚の光導波路フィルムをプリプレグを介して積層し、さらにこれを中心にして、その両側にプリプレグを介して、配線板Hにピンラミネーション方式で位置合わせをしながら積層した後、圧力が30kg/cmで、プレス時間が、温度180℃以上の時間が45分間で、トータルプレス時間が150分間の条件でプレスした。なお、配線板および光導波路フィルムには、ガイド穴(図示せず)を予め空けておいた。
【0248】
(2)その後、実施例1の(7)〜(12)と同様にして多層プリント配線板を製造した(図9参照)。
【0249】
(実施例9)
積層する光導波路フィルムを変更した以外は、実施例7と同様にして多層プリント配線板を製造した。
光導波路フィルムとしては、3層のクラッドと2層のコアが交互に位置するように形成され、所定の位置に光路変換ミラーが形成されたものを用いた。なお、その作製方法は、実施例4の(5)の工程で用いた方法と略同様で、この方法において、コアとクラッドの積層工程を1回ずつさらに繰り返した(図10(a)参照)。
【0250】
(実施例10)
1.配線板Iの作製
(1)厚さ0.8mmのガラスエポキシ樹脂またはBT(ビスマレイミドトリアジン)樹脂からなる絶縁性基板21の両面に18μmの銅箔がラミネートされ、表面導体層28が形成されている銅張積層板を出発材料とした(図26(a)参照)。まず、この銅張積層板をドリル削孔し、その壁面に無電解めっき膜27′を形成し、さらに穴9内に樹脂組成物30を充填した(図26(b)(c)参照)。
【0251】
(2)次に、表面導体層28上の一部とにエッチングレジストを形成し、エッチング処理を施すことにより、導体回路25と非貫通バイアホール27とを形成した(図26(d)参照)。
このような工程を経ることにより配線板Iを完成した。
【0252】
2.多層プリント配線板の作製
(3)次に、上記配線板Iを1枚と、実施例7で作製した光導波路フィルム2枚と、実施例6で作製した配線板H2枚と、厚さ80μmのエポキシ製ガラス不織布プレプレグ(日立化成社製、AS−5000GP)4枚とを用意し、配線板Iの両面に光導波路フィルムをプリプレグを介して積層し、さらにその両側にプリプレグを介して、配線板Hにピンラミネーション方式で位置合わせをしながら積層した後、圧力が30kg/cmで、プレス時間が、温度180℃以上の時間が45分間で、トータルプレス時間が150分間の条件でプレスした。なお、配線板および光導波路フィルムには、ガイド穴(図示せず)を予め空けておいた。
【0253】
(4)その後、実施例1の(7)〜(12)と同様にして多層プリント配線板を製造した(図11参照)。
【0254】
(実施例11)
1.配線板K(6層板)の作製
(1)実施例2の(1)〜(3)の工程と同様にして、両面に導体回路が形成された基板の両面に絶縁層を形成した。
(2)次に、絶縁層の表面(バイアホール用開口の内壁面を含む)にパラジウム触媒を付与した後、無電解銅めっき水溶液中に、基板を浸漬することにより、無電解銅めっき膜からなる薄膜導体層を形成し、その後、上記薄膜導体層上に電解銅めっき膜を形成した。
なお、無電解めっき処理および電解めっき処理は、それぞれ実施例1の(7)の工程と同様の条件で行った。
その後、実施例1の(4)の工程と同様の方法を用いて、エッチング処理により配線板の両面に導体回路と非貫通バイアホールを形成した。
【0255】
(3)実施例2の(2)および(3)の工程、ならびに、上記(2)の工程を再度繰り返し、絶縁層と導体回路とをさらに積層形成した。また、ここでは、最外層の導体回路間を接続する非貫通バイアホールも併せて形成した。
このような構成を経ることにより、6層板である配線板Kを完成した。
【0256】
2.配線板K′の作製
(4)上記(3)の工程において、配線板の最外層には、一方の面のみ導体回路を形成し、他方の面はベタの導体層のままにしておいた以外は、上記(1)〜(3)の工程と同様にして配線板K′を作製した。
【0257】
3.配線板L(18層板)の作製
(5)配線板K1枚と、配線板K′2枚と、厚さ80μmの接着性絶縁フィルムA(実施例6参照)2枚とを用意し、配線板Kを中心に、その両側に配線板K′を、ベタの導体層が外側に位置するように、プリプレグを介して、ピンラミネーション方式で位置合せをしながら積層した後、圧力が30kg/cmで、プレス時間が、温度180℃以上の時間が45分間で、トータルプレス時間が150分間の条件でプレスした。
【0258】
(6)次に、実施例1の(2)および(3)の工程と同様の方法を用いて、18層板全体を貫通し、その内部に樹脂組成物が充填された光信号通過領域を形成した。
そのご、実施例1の(4)の工程と同様の方法を用いて、18層板の片面の最外層に、導体回路を形成し、配線板Lを完成した。
【0259】
多層プリント配線板の作製
(7)次に、実施例7で作製した光導波路フィルム1枚と、実施例6で作製した配線板H (2層板)1枚と、上記配線板L(18層板)1枚と、実施例6で使用した接着性絶縁フィルム1枚とを用意し、光導波路フィルムを中心に、その両側に、ベタの導体層が外側に位置するように、接着性絶縁フィルムを介して、ピンラミネーション方式で位置合せをしながら積層した後、圧力が30kg/cmで、プレス時間が、温度180℃以上の時間が45分間で、トータルプレス時間が150分間の条件でプレスした。
なお、配線板および光導波路フィルムには、ガイド穴を予め空けておいた。
【0260】
(3)その後、実施例1の(7)〜(12)と同様にして多層プリント配線板を製造した(図12参照)。
【0261】
(実施例12)
1.配線板Jの作製
(1)厚さ0.8mmのガラスエポキシ樹脂またはBT(ビスマレイミドトリアジン)樹脂からなる絶縁性基板21を出発材料とし(図27(a)参照)、この絶縁性基板21に、ルータ加工により、光路用貫通孔16を形成し(図27(b)参照)、さらに、光路用貫通孔16の壁面にデスミア処理を施した。
【0262】
(2)次に、樹脂を印刷機の穴埋めマスク上に載せて、スクリーン印刷を行うことにより光路用貫通孔16内に樹脂組成物を充填した後、120℃で1時間および150℃で1時間の条件で硬化処理を施し、その後、光路用貫通孔16内から飛び出している樹脂を、♯3000研磨紙を用いて研磨し、さらに、0.05μmのアルミナ粒子を用いて研磨して表面を平坦化した。ここでは、樹脂組成物47からなる光信号通過領域の端部と、絶縁性基板21の表面とが同一平面を構成するように、研磨処理を施した(図27(c)参照)。
この工程で樹脂組成物としては、実施例1の(3)の工程で用いたものと同様のものを用いた。
【0263】
(3)実施例1の(5)の工程と同様の方法を用いて、絶縁性基板21の両面に光導波路50を積層形成した(図27(d)参照)。
このような工程を経て、配線板Jを完成した。
【0264】
2.多層プリント配線板の作製
(4)次に、上記配線板Jを1枚と、実施例6で作製した配線板H2枚と、厚さ80μmの下記の方法で作製した接着性絶縁フィルムB2枚とを用意し、配線板Jの両面にプリプレグを介して配線板Hにピンラミネーション方式で位置合わせをしながら積層した後、圧力が30kg/cmで、プレス時間が、温度180℃以上の時間が45分間で、トータルプレス時間が150分間の条件でプレスした。なお、配線板および光導波路フィルムには、ガイド穴(図示せず)を予め空けておいた。
【0265】
接着性絶縁フィルムBの作製は、アクリレート系モノマー10重量部、イミダゾール型硬化剤4重量部、ベンゾフェノン(重合開始剤)5重量部および乳酸エチル(溶剤)40重量部に、粒径0.4〜0.6μmのSiO球状粒子(アドマテック社製、SO−E2)30重量部を添加し、3本ローラで攪拌した。
その後、この樹脂組成物を基材上にスピンコータで塗布し、UV照射で仮硬化させることより、接着性絶縁フィルムを作製した。なお、接着性絶縁フィルムは、屈折率1.51、850nm光の透過率80%/mmである。
【0266】
(5)その後、実施例1の(7)〜(12)と同様にして多層プリント配線板を製造した(図13参照)。
【0267】
(実施例13)
光導波路フィルムに代えて、光ファイバシートを用いた以外は、実施例7と同様にして多層プリント配線板を製造した。
ここで、光ファイバシートとしては、コア径50μm、クラッド径125μmのマルチモードのGI光ファイバが4本布線された光ファイバシートを使用した(図14(a)参照)。
【0268】
(実施例14)
受光素子(PD)が実装されたパッケージ基板として、凹部形状の光信号通過領域を有するパッケージ基板を実装した以外は、実施例1と同様にして多層プリント配線板を製造した(図15参照)。
【0269】
(比較例1)
絶縁性基板の両面に導体回路(非貫通バイアホールを含む)を形成するとともに、この絶縁性基板を貫通し、内部に受光素子が充填された光信号通過領域を形成し、その後、一方の面には、実施例1の(5)の工程と同様の方法により、光導波路を形成し、他方の面には、光学素子(VCSEL、PD)が実装されたパッケージ基板を実装して、多層プリント配線板を完成した。
本比較例の多層プリント配線板では、最外層に光導波路が露出していることとなる。
【0270】
(比較例2)
光導波路を覆うように、ソルダーレジスト層(日立化成社製、RPZ−1)を形成した以外は、比較例1と同様にして多層プリント配線板を製造した。
本比較例の多層プリント配線板では、最外層の絶縁層のさらに外層側に光導波路が形成されていることとなる。
【0271】
実施例1〜14および比較例1、2に係る多層プリント配線板では、光信号通過領域の大きさは、伝送光が、その壁面に当たることなく伝送することができる大きさで設計した。すなわち、多層プリント配線板の厚さ(光信号通過領域の長さ)とマイクロレンズを配設することを考慮して、設計した。
また、実施例1〜14および比較例1、2に係る多層プリント配線板の導体回路は、サブトラクティブ法で形成したこととしたが、サブトラクティブ法に代えて、ビルドアップ法で形成することもできる。
【0272】
実施例および比較例に係る多層プリント配線板について、信頼性試験を行い、信頼性試験の前後で、光信号伝送性を伝播損失値により評価した。
上記信頼性試験は、高温多湿(85℃、85%)下で100時間放置後、48時間自然放置の条件で行った。その後、多層プリント配線板を4、6、8、10cmに切断したものを測定サンプルとし、カットバック法で伝播損失を求めた。
なお、各多層プリント配線板を2枚ずつ作製し、1枚は信頼性試験前の伝播損失値(イニシャル損失)を測定するのに使用し、もう1枚は、信頼性試験後の伝播損失値を測定するのに使用した。
【0273】
光信号の伝送性の評価は、下記の方法を用いて行った。
すなわち、基板内で光信号の伝送を行う多層プリント配線板では、パッケージ基板にICチップをしておき、テスト用コネクタにパルスジェネレータで、2.5Gbpsの電気信号を入力し、ドライバーICを経由して、VCSELで発光させ、多層プリント配線板に光信号を伝送し、さらに、多層プリント配線板(光信号通過領域および光配線)を介して伝送されてきた光信号をPDで受光して電気信号に変換し、アンプICを経由して、テスト用コネクタから電気信号を取り出し、オシロスコープによって、光信号伝送が正常に行うことができたかをアイパターンで判断した。
【0274】
また、基板間で光信号の伝送を行う多層プリント配線板では、パッケージ基板にICチップをしておき、テスト用コネクタにパルスジェネレータで、2.5Gbpsの電気信号を入力し、ドライバーICを経由して、VCSELで発光させ、多層プリント配線板に光信号を伝送し、さらに、多層プリント配線板(光信号通過領域および光配線)を介して伝送されてきた光信号を、多層プリント配線板の側面の光配線が露出した部分に接続したマルチモードのGI光ファイバを介して、別のパッケージ基板に実装したPDで受光して電気信号に変換し、アンプICを経由して、テスト用コネクタから電気信号を取り出し、オシロスコープによって、光信号伝送が正常に行うことができたかをアイパターンで判断した。
なお、多層プリント配線板の側面のGI光ファイバを取り付ける部分には、マッチングオイルを塗布しておいた。
【0275】
結果を表1に示した。
なお、実施例13に係る多層プリント配線板では、光配線として、GI光ファイバを布線した光ファイバシートを使用しており、このGI光ファイバの伝播損失は、3.0dB/kmと非常に小さいため、伝播損失値の測定自体は行わなかったが、実際には、確実に光信号を伝送することができた。
【0276】
【表1】

【0277】
表1に示したように、信頼性試験前評価(イニシャル損失)は、実施例、比較例ともには0.09〜0.14dB/cmであり、距離30cmの伝播損失値を計算すると2.7〜4.2dBとなり、30cmを十分に伝送できることが明らかとなった。
また、上記実際の伝送評価でも30cmの光伝送を行うことができた。
【0278】
一方、信頼性試験後の評価(信頼性試験後損失)は、実施例では損失が0.18〜0.24dB/cm(0.06〜0.13dB/cmの増加)となり、距離30cmの伝播損失値を計算すると5.4〜7.2dBとなり、距離30cmで伝送可能であることが明らかとなった。
【0279】
一般に、2.5Gbpsの光信号をVCSELの発光部からPDの受光部まで光伝送が可能になる許容損失は一般的に18dB程度であり、実施例に係る光配線の損失分を引いた許容損失は、10.8〜12.6dBとなる。そして、この値であれば、光信号通過領域、光学素子と光配線とのアライメント精度、アンダーフィルによる損失等を考慮した場合に、光伝送が可能な値である。
【0280】
一方、比較例では損失が0.82dB/cm、0.67dB/cm(0.58dB/cm、0.68dB/cmの増加)となり、距離30cmの伝播損失値を計算すると24.6dB、20.1dBとなり、18dBを超えるため、距離30cmで伝送可能を行うことができないことが明らかとなった
【図面の簡単な説明】
【0281】
【図1】本発明の多層プリント配線板の一実施形態を模式的に示す断面図である。
【図2】本発明の多層プリント配線板の別の一実施形態を模式的に示す断面図である。
【図3】本発明の多層プリント配線板の別の一実施形態を模式的に示す断面図である。
【図4】本発明の多層プリント配線板の別の一実施形態を模式的に示す断面図である。
【図5】本発明の多層プリント配線板の別の一実施形態を模式的に示す断面図である。
【図6】本発明の多層プリント配線板の別の一実施形態を模式的に示す断面図である。
【図7】本発明の多層プリント配線板の別の一実施形態を模式的に示す断面図である。
【図8】本発明の多層プリント配線板の別の一実施形態を模式的に示す断面図である。
【図9】本発明の多層プリント配線板の別の一実施形態を模式的に示す断面図である。
【図10】本発明の多層プリント配線板の別の一実施形態を模式的に示す断面図である。
【図11】本発明の多層プリント配線板の別の一実施形態を模式的に示す断面図である。
【図12−1】本発明の多層プリント配線板の別の一実施形態を模式的に示す断面図である。
【図12−2】本発明の多層プリント配線板の別の一実施形態を模式的に示す断面図である。
【図13】本発明の多層プリント配線板の別の一実施形態を模式的に示す断面図である。
【図14】本発明の多層プリント配線板の別の一実施形態を模式的に示す断面図である。
【図15】本発明の多層プリント配線板の別の一実施形態を模式的に示す断面図である。
【図16】本発明の多層プリント配線板の製造方法の一部を模式的に示す断面図である。
【図17】本発明の多層プリント配線板の製造方法の一部を模式的に示す断面図である。
【図18】本発明の多層プリント配線板の製造方法の一部を模式的に示す断面図である。
【図19】本発明の多層プリント配線板の製造方法の一部を模式的に示す断面図である。
【図20】本発明の多層プリント配線板の製造方法の一部を模式的に示す断面図である。
【図21】本発明の多層プリント配線板の製造方法の一部を模式的に示す断面図である。
【図22】本発明の多層プリント配線板の製造方法の一部を模式的に示す断面図である。
【図23】本発明の多層プリント配線板の製造方法の一部を模式的に示す断面図である。
【図24】本発明の多層プリント配線板の製造方法の一部を模式的に示す断面図である。
【図25】本発明の多層プリント配線板の製造方法の一部を模式的に示す断面図である。
【図26】本発明の多層プリント配線板の製造方法の一部を模式的に示す断面図である。
【図27】本発明の多層プリント配線板の製造方法の一部を模式的に示す断面図である。
【図28】本発明の多層プリント配線板の別の一実施形態を模式的に示す断面図である。
【符号の説明】
【0282】
100 多層プリント配線板
121 基板(絶縁層)
122 絶縁層
125 導体回路
127 非貫通バイアホール
129 貫通バイアホール
134 ソルダーレジスト層
137 半田バンプ
150 光導波路
153 光路変換ミラー
138 受光素子
139 発光素子
142 光信号通過領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の絶縁層と、導体回路と、光配線とが積層形成され、光学素子が実装された多層プリント配線板であって、
前記光配線は、前記絶縁層間に形成されていることを特徴とする多層プリント配線板。
【請求項2】
前記光配線の両面のそれぞれに絶縁層と導体回路とが積層形成されている請求項1に記載の多層プリント配線板。
【請求項3】
少なくとも1層の前記絶縁層を貫通する光信号通過領域が形成され、
前記光信号通過領域の少なくとも一端と、前記光配線とが光学的に接続されている請求項1または2に記載の多層プリント配線板。
【請求項4】
前記光信号通過領域は、一方の最外層の絶縁層を貫通するように形成されており、
他方の最外層の絶縁層の外層側であって、前記光信号通過領域の前記光配線と光学的に接続された側の延長線上の位置には、導体回路および/またはパッドが形成されている請求項3に記載の多層プリント配線板。
【請求項5】
前記光配線が異なる階層に位置するように形成されており、
多層プリント配線板を一の主面に垂直な方向に透視した際に、
互いに階層の異なる光配線の、一の光配線の一部と他の一の光配線の一部とが、重なって視認される請求項1〜4にいずれかに記載の多層プリント配線板。
【請求項6】
前記光配線が、接着層を介して、前記絶縁層、前記導体回路および他の光配線のうちの少なくとも1つに積層されている請求項1〜5のいずれかに記載の多層プリント配線板。
【請求項7】
前記絶縁層を挟んだ導体回路間を接続するためのバイアホールが形成されており、
前記バイアホールは、貫通バイアホールおよび/または非貫通バイアホールである請求項1〜6のいずれかに記載の多層プリント配線板。
【請求項8】
前記光配線は、コアとクラッドとを有しており、
前記プリント配線板を一の主面に垂直な方向に透視した際に、
前記コアと前記非貫通バイアホールの一部とが、重なって視認される請求項7に記載の多層プリント配線板。
【請求項9】
前記光配線は、光導波路である請求項1〜8のいずれかに記載の多層プリント配線板。
【請求項10】
両面に導体回路が形成され、さらに少なくとも片面に光導波路が形成された絶縁層が、接着性絶縁材料からなる絶縁層を介して積層されている請求項1〜9のいずれかに記載の多層プリント配線板。
【請求項11】
光導波路フィルムまたは光ファイバシートの両面に、接着性絶縁材料からなる絶縁層を介して、両面に導体回路が形成された絶縁層が積層されている請求項1〜9のいずれかに記載の多層プリント配線板。
【請求項12】
少なくとも片面に光導波路が形成された絶縁層の両面に、接着性絶縁材料からなる絶縁層を介して、両面に導体回路が形成された絶縁層が積層されている請求項1〜9のいずれかに記載の多層プリント配線板。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12−1】
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【図12−2】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【公開番号】特開2006−120956(P2006−120956A)
【公開日】平成18年5月11日(2006.5.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−308782(P2004−308782)
【出願日】平成16年10月22日(2004.10.22)
【出願人】(000000158)イビデン株式会社 (856)
【Fターム(参考)】