説明

多層レジストプロセス用シリコン含有膜形成用組成物及びシリコン含有膜並びにパターン形成方法

【課題】保存安定性に優れており、且つ、レジスト膜との密着性及びレジストパターンの再現性に優れると共に、現像等に用いられる現像液に対して十分な耐性を有し、レジスト除去時の酸素アッシングに対して十分なマスク性(エッチング耐性)を有するシリコン含有膜を形成できる多層レジストプロセス用シリコン含有膜形成用組成物等を提供する。
【解決手段】本組成物は、式(1)の化合物(a1)30〜80質量部、式(2)の化合物(a2)5〜60質量部、並びに、式(3)の化合物(a3)及び式(4)の化合物(a4)のうちの少なくとも一方5〜50質量部〔但し、化合物(a1)〜(a4)の合計を100質量部とする。〕に由来するポリシロキサンと、溶媒と、を含有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多層レジストプロセス用シリコン含有膜形成用組成物及びシリコン含有膜並びにパターン形成方法に関する。更に詳しくは、本発明は、多層レジストプロセスにおいて、基板にレジストパターンを形成する際に、その下地となる下層膜を形成するための多層レジストプロセス用シリコン含有膜形成用組成物及びシリコン含有膜並びにパターン形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体用素子等を製造する際のパターン形成においては、リソグラフィー技術、レジスト現像プロセス及びエッチング技術を適用するパターン転写法により、有機材料又は無機材料よりなる基板の微細加工が行われている。
しかしながら、回路基板における半導体素子等の高集積化が進むにつれて、露光工程において光マスクのパターンを正確にレジスト膜に転写することが困難となり、例えば、基板に対する微細加工プロセスにおいて、レジスト膜中に形成される光の定在波の影響により、形成されるパターンの寸法に誤差(狂い)が生じることがある。このような定在波の影響を軽減するために、レジスト膜と基板表面との間に反射防止膜が形成されている。
【0003】
また、シリコン酸化膜や無機層間絶縁膜等が形成された基板を加工する際、レジストパターンがマスクとして用いられるが、パターンの微細化が進むにつれレジスト膜及び反射防止膜を薄くする必要がある。このようにレジスト膜の薄膜化が進むと、レジスト膜のマスク性能が低下するため、基板にダメージを与えずに所望の微細加工を施すことが困難になる傾向にある。
【0004】
そこで、加工対象である基板の酸化膜や層間絶縁膜上に加工用下層膜(シリコン含有膜)を形成し、これにレジストパターンを転写し、この加工用下層膜をマスクとして用いて、酸化膜や層間絶縁膜をドライエッチングするプロセスが行われている。このような加工用下層膜は、膜厚によって反射率が変化するため、使用される膜厚に応じて反射率が最小になるように、組成等を調整することが必要となる。また、前記加工用下層膜には、裾引き等のないレジストパターンが形成できること、レジストとの密着性に優れること、酸化膜や層間絶縁膜を加工する際に十分なマスク性があること、レジスト材料のレジスト下層膜への染み込み量が少なく、レジスト膜/レジスト下層膜におけるエッチング選択性に優れること、溶液としての保存安定性に優れること等が要求されている。
【0005】
そして、これまでに提案されている加工用下層膜としては、例えば、特定のシラン化合物の加水分解物及び/又はその縮合物を含有する組成物からなる加工用下層膜(特許文献1〜3等参照)等を挙げることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平3−45510号公報
【特許文献2】特開2000−356854号公報
【特許文献3】特開2002−40668号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
近年、回路基板における半導体素子等の高集積化が進むにつれて、被加工基板上に形成されるフォトレジストパターンが微細化し、且つフォトレジストパターンの厚さが薄くなってきている。そのため、これまで以上に、裾引き等のないレジストパターンを形成(再現)できると共に、レジストとの密着性に優れ、十分なマスク性(エッチング耐性)があるシリコン含有膜を形成することができる多層レジストプロセス用シリコン含有膜形成用組成物が求められている。
しかしながら、十分な保存安定性を維持したまま上述の課題を克服できるものは未だ得られていないのが現状である。
【0008】
本発明の課題は、保存安定性に優れており、且つ、レジスト膜との密着性及びレジストパターンの再現性に優れると共に、現像等に用いられる現像液に対して十分な耐性を有し、レジスト除去時の酸素アッシングに対して十分なマスク性(エッチング耐性)を有するシリコン含有膜を形成することができる多層レジストプロセス用シリコン含有膜形成用組成物並びにパターン形成方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、以下の通りである。
[1]下記一般式(1)で表される化合物(a1)30〜80質量部、下記一般式(2)で表される化合物(a2)5〜60質量部、並びに、下記一般式(3)で表される化合物(a3)及び下記一般式(4)で表される化合物(a4)のうちの少なくとも一方5〜50質量部〔但し、化合物(a1)、(a2)、(a3)及び(a4)の合計を100質量部とする。〕に由来するポリシロキサン(A)と、
溶媒(B)と、を含有することを特徴とする多層レジストプロセス用シリコン含有膜形成用組成物。
【化1】

〔一般式(1)において、Rはそれぞれ独立に、水素原子、又は置換基を有していてもよい炭素数1〜4のアルキル基を示す。〕
【化2】

〔一般式(2)において、Rは1価の有機基を示す。Rはそれぞれ独立に、水素原子、又は置換基を有していてもよい炭素数1〜4のアルキル基を示す。aは1又は2である。〕
【化3】

〔一般式(3)において、Rはそれぞれ独立に、1価の有機基を示す。Xは水素原子、ハロゲン原子又は炭素数1〜4のアルコキシ基を示す。〕
【化4】

〔一般式(4)において、Rはそれぞれ独立に、置換基を有していてもよい炭素数1〜15のアルキル基を示す。Zは単結合、酸素原子又はイミノ基を示す。〕
[2]前記化合物(a2)が、下記一般式(2−1)で表される化合物である前記[1]に記載の多層レジストプロセス用シリコン含有膜形成用組成物。
【化5】

〔一般式(2−1)において、Rはそれぞれ独立に、水素原子、又は置換基を有していてもよい炭素数1〜4のアルキル基を示す。Rは水素原子、ヒドロキシル基、炭素数1〜5の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、又は−ORを示す。Rは炭素数1〜5の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基を示す。〕
[3]前記ポリシロキサン(A)のゲルパーミエーションカラムクロマトグラフィーにより測定されるポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)が、1000〜6000である前記[1]又は[2]に記載の多層レジストプロセス用シリコン含有膜形成用組成物。
[4]前記ポリシロキサン(A)が、ケイ素含有化合物を出発原料として、有機溶媒中において、水及び触媒の存在下で加水分解及び/又は縮合させて得られたものである前記[1]乃至[3]のいずれかに記載の多層レジストプロセス用シリコン含有膜形成用組成物。
[5]紫外光の照射及び/又は加熱により酸を発生する酸発生化合物を更に含有する前記[1]乃至[4]のいずれかに記載の多層レジストプロセス用シリコン含有膜形成用組成物。
[6]前記[1]乃至[5]のいずれかに記載の多層レジストプロセス用シリコン含有膜形成用組成物を用いて得られることを特徴とするシリコン含有膜。
[7](1)前記[1]乃至[5]のいずれかに記載の多層レジストプロセス用シリコン含有膜形成用組成物を被加工基板上に塗布してシリコン含有膜を形成する工程と、
(2)得られた前記シリコン含有膜上に、レジスト組成物を塗布してレジスト被膜を形成する工程と、
(3)得られた前記レジスト被膜に、フォトマスクを透過させることにより選択的に放射線を照射して前記レジスト被膜を露光する工程と、
(4)露光した前記レジスト被膜を現像して、レジストパターンを形成する工程と、
(5)前記レジストパターンをマスクとして、前記シリコン含有膜及び前記被加工基板をドライエッチングしてパターンを形成する工程と、を備えることを特徴とするパターン形成方法。
【発明の効果】
【0010】
本発明の多層レジストプロセス用シリコン含有膜形成用組成物は、保存安定性に優れており、且つ、レジスト膜との密着性及びレジストパターンの再現性に優れると共に、現像等に用いられる現像液に対して十分な耐性を有し、レジスト除去時の酸素アッシングに対して十分なマスク性(エッチング耐性)を有するシリコン含有膜を形成することができる。そのため、多層レジストプロセスにおけるパターン形成に好適に用いることができる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
[1]多層レジストプロセス用シリコン含有膜形成用組成物
本発明の多層レジストプロセス用シリコン含有膜形成用組成物(以下、単に「シリコン含有膜形成用組成物」ともいう。)は、ポリシロキサン(A)と、溶媒(B)と、を含有する。
【0012】
(1)ポリシロキサン(A)
前記ポリシロキサン(A)は、下記一般式(1)で表される化合物(a1)30〜80質量部、下記一般式(2)で表される化合物(a2)5〜60質量部、並びに、下記一般式(3)で表される化合物(a3)及び下記一般式(4)で表される化合物(a4)のうちの少なくとも一方5〜50質量部〔但し、化合物(a1)、(a2)、(a3)及び(a4)の合計を100質量部とする。〕に由来するものである。
【0013】
【化6】

〔一般式(1)において、Rはそれぞれ独立に、水素原子、又は置換基を有していてもよい炭素数1〜4のアルキル基を示す。〕
【0014】
【化7】

〔一般式(2)において、Rは1価の有機基を示す。Rはそれぞれ独立に、水素原子、又は置換基を有していてもよい炭素数1〜4のアルキル基を示す。aは1又は2である。〕
【0015】
【化8】

〔一般式(3)において、Rはそれぞれ独立に、1価の有機基を示す。Xは水素原子、ハロゲン原子又は炭素数1〜4のアルコキシ基を示す。〕
【0016】
【化9】

〔一般式(4)において、Rはそれぞれ独立に、置換基を有していてもよい炭素数1〜15のアルキル基を示す。Zは単結合、酸素原子又はイミノ基を示す。〕
【0017】
前記一般式(1)におけるRの炭素数1〜4のアルキル基は、直鎖状であってもよいし、分岐状であってもよい。具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、2−メチルプロピル基、1−メチルプロピル基、t−ブチル基等を挙げることができる。
また、このアルキル基における1以上の水素原子は置換されていてもよい。具体的な置換基としては、例えば、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子等)、フェニル基、アセトキシ基、アルコキシ基等が挙げられる。
尚、各Rは全て同一であってもよいし、全て又は一部が異なっていてもよい。
【0018】
前記化合物(a1)の具体例としては、例えば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラ−n−プロポキシシラン、テトラ−iso−プロポキシシラン、テトラ−n−ブトキシラン、テトラ−sec−ブトキシシラン、テトラ−tert−ブトキシシラン、テトラフェノキシシラン、テトラクロロシラン、テトラアセトキシシラン、テトライソシアナートシラン、テトラキス(ブトキシエトキシエトキシ)シラン、テトラキス(ジメチルシロキシ)シラン、テトラキス(エトキシエトキシ)シラン、テトラキス(2−エチルヘキシロキシ)シラン、テトラキス(2−メタクリロキシエトキシ)シラン、テトラキス(メトキシエトキシエトキシ)シラン、テトラキス(メトキシエトキシ)シラン、テトラキス(メトキシプロポキシ)シラン、テトラキス(メチルエチルケトキシミノ)シラン、テトラキス(トリクロロシリルエチル)シラン、テトラキス(トリメチルシロキシ)シラン、テトラキス(ビニルジメチルシロキシ)シラン等が挙げられる。これらのなかでも、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラ−n−プロポキシシラン、テトラ−iso−プロポキシシラン、テトラ−n−ブトキシラン、テトラ−sec−ブトキシシラン等が好ましい。
尚、これらの化合物(a1)は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0019】
前記一般式(2)におけるRの1価の有機基としては、下記式(a)で表される基、炭素数1〜15のアルキル基、炭素数6〜10のアリール基等を挙げることができる。
【0020】
【化10】

〔式(a)において、Rは炭素数1〜4の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基を示す。nは1〜4の整数を示す。〕
【0021】
前記式(a)におけるRの炭素数1〜4の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、2−メチルプロピル基、1−メチルプロピル基、t−ブチル基等が挙げられる。
また、式(a)におけるnは1〜4の整数であり、好ましくは1〜3の整数である。
【0022】
一般式(2)のRにおける炭素数1〜15のアルキル基は、直鎖状であってもよいし、分岐状であってもよい。具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、2−メチルプロピル基、n−ペンチル基、s−ペンチル基、2−メチルブチル基、3−メチルブチル基、2,2−ジメチルプロピル基、1,1−ジメチルプロピル基、1,2−ジメチルプロピル基、n−ヘキシル基、s−ヘキシル基、2−メチルペンチル基、3−メチルペンチル基、4−メチルペンチル基、1,1−ジメチルブチル基、2,2−ジメチルブチル基、3,3−ジメチルブチル基、1,2−ジメチルブチル基、1,3−ジメチルブチル基、2,3−ジメチルブチル基、1,1,2−トリメチルプロピル基、1,2,2−トリメチルプロピル基、2−エチルヘキシル基等を挙げることができる。
また、このアルキル基における1以上の水素原子は置換されていてもよい。具体的な置換基としては、例えば、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子等)、アミノ基、グリシドキシ基、オキセタニル基等が挙げられる。
【0023】
一般式(2)のRにおける炭素数6〜10のアリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基等が挙げられる。尚、このアリール基における1以上の水素原子は、炭素数1〜4のアルキル基、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子等)、アミノ基、グリシドキシ基、オキセタニル基、ヒドロキシル基、アルコキシド基等によって、置換されていてもよい。
【0024】
また、この一般式(2)におけるRの置換基を有していてもよい炭素数1〜4のアルキル基については、前記一般式(1)におけるRの説明をそのまま適用することができる。
尚、各R、各Rは、それぞれ、全て同一であってもよいし、全て又は一部が異なっていてもよい。
【0025】
また、前記化合物(a2)としては、下記一般式(2−1)で表される化合物が用いられることが好ましい。
【0026】
【化11】

〔一般式(2−1)において、Rはそれぞれ独立に、水素原子、又は置換基を有していてもよい炭素数1〜4のアルキル基を示す。Rは水素原子、ヒドロキシル基、炭素数1〜5の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、又は−ORを示す。Rは炭素数1〜5の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基を示す。〕
【0027】
一般式(2−1)におけるRの置換基を有していてもよい炭素数1〜4のアルキル基については、前記一般式(1)におけるRの説明をそのまま適用することができる。
一般式(2−1)のRにおける直鎖状若しくは分岐状の炭素数1〜5のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n‐プロピル基、i‐プロピル基、n‐ブチル基、2−メチルプロピル基、1−メチルプロピル基、t−ブチル基、ペンチル基等が挙げられる。
また、前記Rが−ORである場合における、Rの直鎖状若しくは分岐状の炭素数1〜5のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n‐プロピル基、i‐プロピル基、n‐ブチル基、2−メチルプロピル基、1−メチルプロピル基、t−ブチル基、ペンチル基等が挙げられる。
【0028】
前記化合物(a2)の具体例としては、例えば、トリメトキシシラン、トリエトキシシラン、トリ−n−プロポキシシラン、トリ−iso−プロポキシシラン、トリ−n−ブトキシシラン、トリ−sec−ブトキシシラン、トリ−tert−ブトキシシラン、トリフェノキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリ−n−プロポキシシラン、メチルトリ−iso−プロポキシシラン、メチルトリ−n−ブトキシシラン、メチルトリ−sec−ブトキシシラン、メチルトリ−tert−ブトキシシラン、メチルトリフェノキシシラン、メチルトリアセトキシシラン、メチルトリクロロシラン、メチルトリイソプロペノキシシラン、メチルトリス(ジメチルシロキシ)シラン、メチルトリス(メトキシエトキシ)シラン、メチルトリス(メチルエチルケトキシム)シラン、メチルトリス(トリメチルシロキシ)シラン、メチルシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、エチルトリ−n−プロポキシシラン、エチルトリ−iso−プロポキシシラン、エチルトリ−n−ブトキシシラン、エチルトリ−sec−ブトキシシラン、エチルトリ−tert−ブトキシシラン、エチルトリフェノキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、エチルトリアセトキシシラン、エチルトリクロロシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、n−プロピルトリ−n−プロポキシシラン、n−プロピルトリ−iso−プロポキシシラン、n−プロピルトリ−n−ブトキシシラン、n−プロピルトリ−sec−ブトキシシラン、n−プロピルトリ−tert−ブトキシシラン、n−プロピルトリフェノキシシラン、n−プロピルトリアセトキシシラン、n−プロピルトリクロロシラン、i−プロピルトリメトキシシラン、i−プロピルトリエトキシシラン、i−プロピルトリ−n−プロポキシシラン、i−プロピルトリ−iso−プロポキシシラン、i−プロピルトリ−n−ブトキシシラン、i−プロピルトリ−sec−ブトキシシラン、i−プロピルトリ−tert−ブトキシシラン、i−プロピルトリフェノキシシラン、
【0029】
n−ブチルトリメトキシシラン、n−ブチルトリエトキシシラン、n−ブチルトリ−n−プロポキシシラン、n−ブチルトリ−iso−プロポキシシラン、n−ブチルトリ−n−ブトキシシラン、n−ブチルトリ−sec−ブトキシシラン、n−ブチルトリ−tert−ブトキシシラン、n−ブチルトリフェノキシシラン、n−ブチルトリクロロシラン、sec−ブチルトリメトキシシラン、sec−ブチル−i−トリエトキシシラン、sec−ブチル−トリ−n−プロポキシシラン、sec−ブチル−トリ−iso−プロポキシシラン、sec−ブチル−トリ−n−ブトキシシラン、sec−ブチル−トリ−sec−ブトキシシラン、sec−ブチル−トリ−tert−ブトキシシラン、sec−ブチル−トリフェノキシシラン、t−ブチルトリメトキシシラン、t−ブチルトリエトキシシラン、t−ブチルトリ−n−プロポキシシラン、t−ブチルトリ−iso−プロポキシシラン、t−ブチルトリ−n−ブトキシシラン、t−ブチルトリ−sec−ブトキシシラン、t−ブチルトリ−tert−ブトキシシラン、t−ブチルトリフェノキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、フェニルトリ−n−プロポキシシラン、フェニルトリ−iso−プロポキシシラン、フェニルトリ−n−ブトキシシラン、フェニルトリ−sec−ブトキシシラン、フェニルトリ−tert−ブトキシシラン、フェニルトリフェノキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−トリフロロプロピルトリメトキシシラン、γ−トリフロロプロピルトリエトキシシラン、
【0030】
3−(トリメトキシシリル)プロピルメタクリレート、3−(トリエトキシシリル)プロピルメタクリレート、N−3−(メタクリロキシ−2−ヒドロキシプロピル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、2−(トリメトキシシリル)エチルメタクリレート、2−(トリエトキシシリル)エチルメタクリレート、トリメトキシシリルメチルメタクリレート、メタクリロキシプロピルトリス(メトキシエトキシ)シラン、トリエトキシシリルメチルメタクリレート、3−[トリス(トリメチルシロキシ)シリル]プロピルメタクリレート、3−[トリス(ジメチルビニルシロキシ)]プロピルメタクリレート、3−(トリクロロシリル)プロピルメタクリレート、3−(トリメトキシシリル)アクリレート、3−(トリエトキシシリル)アクリレート、
【0031】
ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジメチル−ジ−n−プロポキシシラン、ジメチル−ジ−iso−プロポキシシラン、ジメチル−ジ−n−ブトキシシラン、ジメチル−ジ−sec−ブトキシシラン、ジメチル−ジ−tert−ブトキシシラン、ジメチルジフェノキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、ジエチル−ジ−n−プロポキシシラン、ジエチル−ジ−iso−プロポキシシラン、ジエチル−ジ−n−ブトキシシラン、ジエチル−ジ−sec−ブトキシシラン、ジエチル−ジ−tert−ブトキシシラン、ジエチルジフェノキシシラン、ジ−n−プロピルジメトキシシラン、ジ−n−プロピルジエトキシシラン、ジ−n−プロピル−ジ−n−プロポキシシラン、ジ−n−プロピル−ジ−iso−プロポキシシラン、ジ−n−プロピル−ジ−n−ブトキシシラン、ジ−n−プロピル−ジ−sec−ブトキシシラン、ジ−n−プロピル−ジ−tert−ブトキシシラン、ジ−n−プロピル−ジ−フェノキシシラン、ジ−iso−プロピルジメトキシシラン、ジ−iso−プロピルジエトキシシラン、ジ−iso−プロピル−ジ−n−プロポキシシラン、ジ−iso−プロピル−ジ−iso−プロポキシシラン、ジ−iso−プロピル−ジ−n−ブトキシシラン、ジ−iso−プロピル−ジ−sec−ブトキシシラン、ジ−iso−プロピル−ジ−tert−ブトキシシラン、ジ−iso−プロピル−ジ−フェノキシシラン、
【0032】
ジ−n−ブチルジメトキシシラン、ジ−n−ブチルジエトキシシラン、ジ−n−ブチル−ジ−n−プロポキシシラン、ジ−n−ブチル−ジ−iso−プロポキシシラン、ジ−n−ブチル−ジ−n−ブトキシシラン、ジ−n−ブチル−ジ−sec−ブトキシシラン、ジ−n−ブチル−ジ−tert−ブトキシシラン、ジ−n−ブチル−ジ−フェノキシシラン、ジ−sec−ブチルジメトキシシラン、ジ−sec−ブチルジエトキシシラン、ジ−sec−ブチル−ジ−n−プロポキシシラン、ジ−sec−ブチル−ジ−iso−プロポキシシラン、ジ−sec−ブチル−ジ−n−ブトキシシラン、ジ−sec−ブチル−ジ−sec−ブトキシシラン、ジ−sec−ブチル−ジ−tert−ブトキシシラン、ジ−sec−ブチル−ジ−フェノキシシラン、ジ−tert−ブチルジメトキシシラン、ジ−tert−ブチルジエトキシシラン、ジ−tert−ブチル−ジ−n−プロポキシシラン、ジ−tert−ブチル−ジ−iso−プロポキシシラン、ジ−tert−ブチル−ジ−n−ブトキシシラン、ジ−tert−ブチル−ジ−sec−ブトキシシラン、ジ−tert−ブチル−ジ−tert−ブトキシシラン、ジ−tert−ブチル−ジ−フェノキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニル−ジ−エトキシシラン、ジフェニル−ジ−n−プロポキシシラン、ジフェニル−ジ−iso−プロポキシシラン、ジフェニル−ジ−n−ブトキシシラン、ジフェニル−ジ−sec−ブトキシシラン、ジフェニル−ジ−tert−ブトキシシラン、ジフェニルジフェノキシシラン等を挙げることができる。
【0033】
これらのなかでも、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリ−n−プロポキシシラン、メチルトリ−iso−プロポキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、3−(トリメトキシシリル)プロピルメタクリレート、3−(トリエトキシシリル)プロピルメタクリレート、3−(トリメトキシシリル)メチルメタクリレート、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン等が好ましい。
尚、これらの化合物(a2)は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0034】
前記一般式(3)におけるRの1価の有機基としては、下記式(b1)〜(b22)で表される基、炭素数1〜15のアルキル基等を挙げることができる。
【0035】
【化12】

【0036】
【化13】

【0037】
【化14】

【0038】
【化15】

【0039】
前記式(b1)〜(b22)において、R10は、それぞれ、炭素数1〜4のアルコキシ基を示す。R11は、炭素数1〜4のアルキル基を示す。尚、式中の「Ac」は、アセチル基を示す。
前記R10の炭素数1〜4のアルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、i−プロポキシ基、n−ブチロキシ基、2−メチルプロポキシ基、1−メチルプロポキシ基、t−ブチロキシ基等を挙げることができる。
また、前記R11の炭素数1〜4のアルキル基は、直鎖状であってもよいし、分岐状であってもよい。具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、2−メチルプロピル基、1−メチルプロピル基、t−ブチル基等を挙げることができる。また、このアルキル基における1以上の水素原子は置換されていてもよい。具体的な置換基としては、例えば、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子等)、ヒドロキシル基等が挙げられる。
【0040】
一般式(3)のRにおける炭素数1〜15のアルキル基は、直鎖状であってもよいし、分岐状であってもよい。具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、2−メチルプロピル基、n−ペンチル基、s−ペンチル基、2−メチルブチル基、3−メチルブチル基、2,2−ジメチルプロピル基、1,1−ジメチルプロピル基、1,2−ジメチルプロピル基、n−ヘキシル基、s−ヘキシル基、2−メチルペンチル基、3−メチルペンチル基、4−メチルペンチル基、1,1−ジメチルブチル基、2,2−ジメチルブチル基、3,3−ジメチルブチル基、1,2−ジメチルブチル基、1,3−ジメチルブチル基、2,3−ジメチルブチル基、1,1,2−トリメチルプロピル基、1,2,2−トリメチルプロピル基、2−エチルヘキシル基等を挙げることができる。
また、このアルキル基における1以上の水素原子は置換されていてもよい。具体的な置換基としては、例えば、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子等)、アミノ基、グリシドキシ基、ヒドロキシル基、オキセタニル基等が挙げられる。
尚、各Rは全て同一であってもよいし、全て又は一部が異なっていてもよい。
【0041】
また、一般式(3)のXにおける、炭素数1〜4のアルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、i−プロポキシ基、n−ブチロキシ基、2−メチルプロポキシ基、1−メチルプロポキシ基、t−ブチロキシ基等を挙げることができる。
【0042】
前記化合物(a3)の具体例としては、例えば、トリメチルメトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、トリエチルメトキシシラン、トリエチルエトキシシラン、トリプロピルメトキシシラン、トリプロピルエトキシシラン、トリメチルモノメトキシシラン、トリメチルモノエトキシシラン、トリメチルモノ−n−プロポキシシラン,トリメチルモノ−iso−プロポキシシラン、トリメチルモノ−n−ブトキシラン、トリメチルモノ−sec−ブトキシシラン、トリメチルモノ−tert−ブトキシシラン、トリメチルモノフェノキシシラン、トリエチルモノメトキシシラン、トリエチルモノエトキシシラン、トリエチルモノ−n−プロポキシシラン,トリエチルモノ−iso−プロポキシシラン、トリエチルモノ−n−ブトキシラン、トリエチルモノ−sec−ブトキシシラン、トリエチルモノ−tert−ブトキシシラン、トリ−n−プロピルモノメトキシシラン、トリ−n−プロピルモノエトキシシラン、トリ−n−プロピルモノ−n−プロポキシシラン,トリ−n−プロピルモノ−iso−プロポキシシラン、トリ−n−プロピルモノ−n−ブトキシラン、トリ−n−プロピルモノ−sec−ブトキシシラン、トリ−n−プロピルモノ−tert−ブトキシシラン、トリ− iso −プロピルモノメトキシシラン、トリ− iso −プロピルモノエトキシシラン、トリ− iso −プロピルモノ−n−プロポキシシラン,トリ− iso −プロピルモノ−iso−プロポキシシラン、トリ− iso −プロピルモノ−n−ブトキシラン、トリ− iso −プロピルモノ−sec−ブトキシシラン、トリ− iso −プロピルモノ−tert−ブトキシシラン、エトキシジメチル(3−オキシラニルメトキシ−プロピル)シラン、アセトキシエチルジメチルエトキシシラン、アセトキシメチルジメチルメトキシシラン、アセトキシメチルエトキシジメチルシラン、3−アミノプロピルジメチルエトキシラン、3−アクリロキシプロピルジメチルメトキシシラン等が挙げられる。
尚、これらの化合物(a3)は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0043】
前記一般式(4)におけるRの置換基を有していてもよい炭素数1〜15のアルキル基については、前記一般式(2)におけるRの説明をそのまま適用することができる。
尚、各Rは全て同一であってもよいし、全て又は一部が異なっていてもよい。
また、一般式(4)におけるZは、単結合、酸素原子又はイミノ基であるが、酸素原子又はイミノ基であることがより好ましい。
【0044】
前記化合物(a4)の具体例としては、例えば、ヘキサメチルジシラザン、ヘキサメチルジシラン、ヘキサメチルジシロキサン、ヘキサエチルジシラザン、ヘキサエチルジシラン、ヘキサエチルジシロキサン、ヘキサn−プロピルジシラザン、ヘキサn−プロピルジシラン、ヘキサn−プロピルジシロキサン、ヘキサiso−プロピルジシラザン、ヘキサiso−プロピルジシラン、ヘキサiso−プロピルジシロキサン等が挙げられる。
尚、これらの化合物(a4)は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0045】
また、前記ポリシロキサン(A)において、このポリシロキサン(A)を構成する前記化合物(a1)に由来する構成単位、前記化合物(a2)に由来する構成単位、前記化合物(a3)に由来する構成単位、及び前記化合物(a4)に由来する構成単位の合計を100モル%とした場合、化合物(a1)に由来する構成単位の含有割合は、40〜70モル%であることが好ましく、より好ましくは45〜65モル%、更に好ましくは45〜60モル%である。(a1)を前記範囲内で含有することにより、エッチング耐性が向上するため好ましい。
また、化合物(a2)に由来する構成単位の含有割合は、10〜40モル%であることが好ましく、より好ましくは15〜35モル%、更に好ましくは15〜30モル%である。(a2)を前記範囲内で含有することにより、反射率の制御やレジストとの密着性を向上させることができる。
更に、化合物(a3)及び(a4)に由来する構成単位の含有割合の合計は、10〜50モル%であることが好ましく、より好ましくは15〜45モル%、更に好ましくは20〜40モル%である。(a3)及び(a4)を前記範囲内で含有することにより、保存安定性やレジストとの密着性を向上させることができる。
尚、このような各構成単位の含有割合は、例えば、29Si−NMRスペクトルの解析結果や、後述の重量平均分子量から推定することができる。
【0046】
また、前記ポリシロキサン(A)の、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定されるポリスチレン換算の重量平均分子量(以下、「Mw」ともいう)は、1000〜6000であることが好ましく、より好ましくは1000〜5000、更に好ましくは1000〜4500である。このMwが1000〜6000である場合には、レジストパターン密着性が良好であるため好ましい。
【0047】
本発明における前記化合物(a1)、化合物(a2)、並びに、化合物(a3)及び化合物(a4)のうちの少なくとも一方に由来する前記ポリシロキサン(A)の製造方法は特に限定されないが、前記化合物(a1)、(a2)、並びに、(a3)及び(a4)のうちの少なくとも一方を出発原料として用いて、加水分解縮合反応させることにより得ることができる。具体的には、例えば、前記出発原料を有機溶媒中に溶解し、この溶液中に水を断続的に或いは連続的に添加して、加水分解縮合反応させることにより調製することができる。このとき、触媒は、予め有機溶媒中に溶解又は分散させておいてもよく、添加される水中に溶解又は分散させておいてもよい。また、加水分解縮合反応を行うための温度は、通常、0〜100℃である。
尚、ポリシロキサン(A)を調製する際においては、(1)前記化合物(a1)、(a2)、並びに、(a3)及び(a4)のうちの少なくとも一方の混合物を加水分解縮合反応させてもよいし、(2)各化合物の加水分解物及びその縮合物のうちの少なくとも一方や、選択された化合物の混合物の加水分解物及びその縮合物のうちの少なくとも一方を用いて、加水分解縮合反応又は縮合反応させてもよい。
【0048】
また、前記ポリシロキサン(A)の調製の際に用いられる前記化合物(a1)、(a2)、(a3)及び(a4)の合計を100質量部とした場合、前記化合物(a1)の配合量は、30〜80質量部であり、好ましくは40〜70質量部、更に好ましくは45〜65質量部である。この配合量が30質量部未満の場合、十分なエッチング耐性が得られないおそれがある。一方、80質量部を超える場合には、組成物の保存安定性が悪くなるおそれがある。
また、前記化合物(a2)の配合量は、5〜60質量部であり、好ましくは10〜50質量部、更に好ましくは15〜40質量部である。この配合量が5質量部未満の場合、レジストパターン密着性が悪くなるおそれがある。一方、60質量部を超える場合には、組成物の塗布性が悪くなるおそれがある。
更に、前記化合物(a3)及び(a4)の配合量の合計は、5〜50質量部であり、好ましくは5〜40質量部、更に好ましくは10〜30質量部である。この配合量の合計が5質量部未満の場合、組成物の保存安定性が悪くなるおそれがある。一方、50質量部を超える場合には、組成物の塗布性が悪くなるおそれがある。
【0049】
前記加水分解縮合反応を行うための水としては、特に限定されないが、イオン交換水を用いることが好ましい。また、前記水は、原料として用いられる化合物のアルコキシル基1モル当たり0.25〜3モル、好ましくは0.3〜2.5モルとなる量で用いられる。上述の範囲の量で水を用いることにより、形成される塗膜の均一性が低下するおそれがなく、且つ、組成物の保存安定性が低下するおそれが少ない。
【0050】
前記有機溶媒としては、この種の用途に使用される有機溶媒であれば特に限定されず、例えば、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、1−ブタノール、2−ブタノール、2−メチル−1−プロパノール、2−メチル−2−プロパノール、1,4−ブタンジオール、ペンタノール、1−メチル−1−ブタノール、2−メチル−1−ブタノール、3−メチル−1−ブタノール、シクロペンタノール、ヘキサノール、4−メチル−2−ペンタノール、シクロヘキサノール、ヘプタノール、シクロヘプタノール、オクタノール、ノニルアルコール、デシルアルコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、トリプロピレングリコール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−iso−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノ−2−エチルヘキシルエタノール、ジエチレングリコールモノベンジルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、4−メトキシ−1−ブタノール、2−メトキシエタノール、2−iso−プロポキシエタノール、2−ブトキシエタノール、2−iso−ブトキシエタノール、2−ヘキシロキシエタノール、2−(2−エチル)ヘキシロキシエタノール、2−アリロキシエタノール、2−フェノキシエタノール、2−ベンジロキシエタノール、1−メトキシ−2−プロパノール、1−エトキシ−2−プロパノール、1−プロポキシ−2−プロパノール、1−ブトキシ−2−プロパノール、1−フェノキシ−2−プロパノール等が挙げられる。
これらは、1種のみ用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0051】
前記触媒としては、例えば、金属キレート化合物、有機酸、無機酸、有機塩基、無機塩基等が挙げられる。
前記金属キレート化合物としては、例えば、例えば、トリエトキシ・モノ(アセチルアセトナート)チタン、トリ−n−プロポキシ・モノ(アセチルアセトナート)チタン、トリ−i−プロポキシ・モノ(アセチルアセトナート)チタン、トリ−n−ブトキシ・モノ(アセチルアセトナート)チタン、トリ−sec−ブトキシ・モノ(アセチルアセトナート)チタン、トリ−t−ブトキシ・モノ(アセチルアセトナート)チタン、ジエトキシ・ビス(アセチルアセトナート)チタン、ジ−n−プロポキシ・ビス(アセチルアセトナート)チタン、ジ−i−プロポキシ・ビス(アセチルアセトナート)チタン、ジ−n−ブトキシ・ビス(アセチルアセトナート)チタン、ジ−sec−ブトキシ・ビス(アセチルアセトナート)チタン、ジ−t−ブトキシ・ビス(アセチルアセトナート)チタン、モノエトキシ・トリス(アセチルアセトナート)チタン、モノ−n−プロポキシ・トリス(アセチルアセトナート)チタン、モノ−i−プロポキシ・トリス(アセチルアセトナート)チタン、モノ−n−ブトキシ・トリス(アセチルアセトナート)チタン、モノ−sec−ブトキシ・トリス(アセチルアセトナート)チタン、モノ−t−ブトキシ・トリス(アセチルアセトナート)チタン、テトラキス(アセチルアセトナート)チタン、
【0052】
トリエトキシ・モノ(エチルアセトアセテート)チタン、トリ−n−プロポキシ・モノ(エチルアセトアセテート)チタン、トリ−i−プロポキシ・モノ(エチルアセトアセテート)チタン、トリ−n−ブトキシ・モノ(エチルアセトアセテート)チタン、トリ−sec−ブトキシ・モノ(エチルアセトアセテート)チタン、トリ−t−ブトキシ・モノ(エチルアセトアセテート)チタン、ジエトキシ・ビス(エチルアセトアセテート)チタン、ジ−n−プロポキシ・ビス(エチルアセトアセテート)チタン、ジ−i−プロポキシ・ビス(エチルアセトアセテート)チタン、ジ−n−ブトキシ・ビス(エチルアセトアセテート)チタン、ジ−sec−ブトキシ・ビス(エチルアセトアセテート)チタン、ジ−t−ブトキシ・ビス(エチルアセトアセテート)チタン、モノエトキシ・トリス(エチルアセトアセテート)チタン、モノ−n−プロポキシ・トリス(エチルアセトアセテート)チタン、モノ−i−プロポキシ・トリス(エチルアセトアセテート)チタン、モノ−n−ブトキシ・トリス(エチルアセトアセテート)チタン、モノ−sec−ブトキシ・トリス(エチルアセトアセテート)チタン、モノ−t−ブトキシ・トリス(エチルアセトアセテート)チタン、テトラキス(エチルアセトアセテート)チタン、モノ(アセチルアセトナート)トリス(エチルアセトアセテート)チタン、ビス(アセチルアセトナート)ビス(エチルアセトアセテート)チタン、トリス(アセチルアセトナート)モノ(エチルアセトアセテート)チタン等のチタンキレート化合物;
【0053】
トリエトキシ・モノ(アセチルアセトナート)ジルコニウム、トリ−n−プロポキシ・モノ(アセチルアセトナート)ジルコニウム、トリ−i−プロポキシ・モノ(アセチルアセトナート)ジルコニウム、トリ−n−ブトキシ・モノ(アセチルアセトナート)ジルコニウム、トリ−sec−ブトキシ・モノ(アセチルアセトナート)ジルコニウム、トリ−t−ブトキシ・モノ(アセチルアセトナート)ジルコニウム、ジエトキシ・ビス(アセチルアセトナート)ジルコニウム、ジ−n−プロポキシ・ビス(アセチルアセトナート)ジルコニウム、ジ−i−プロポキシ・ビス(アセチルアセトナート)ジルコニウム、ジ−n−ブトキシ・ビス(アセチルアセトナート)ジルコニウム、ジ−sec−ブトキシ・ビス(アセチルアセトナート)ジルコニウム、ジ−t−ブトキシ・ビス(アセチルアセトナート)ジルコニウム、モノエトキシ・トリス(アセチルアセトナート)ジルコニウム、モノ−n−プロポキシ・トリス(アセチルアセトナート)ジルコニウム、モノ−i−プロポキシ・トリス(アセチルアセトナート)ジルコニウム、モノ−n−ブトキシ・トリス(アセチルアセトナート)ジルコニウム、モノ−sec−ブトキシ・トリス(アセチルアセトナート)ジルコニウム、モノ−t−ブトキシ・トリス(アセチルアセトナート)ジルコニウム、テトラキス(アセチルアセトナート)ジルコニウム、
【0054】
トリエトキシ・モノ(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、トリ−n−プロポキシ・モノ(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、トリ−i−プロポキシ・モノ(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、トリ−n−ブトキシ・モノ(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、トリ−sec−ブトキシ・モノ(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、トリ−t−ブトキシ・モノ(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、ジエトキシ・ビス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、ジ−n−プロポキシ・ビス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、ジ−i−プロポキシ・ビス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、ジ−n−ブトキシ・ビス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、ジ−sec−ブトキシ・ビス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、ジ−t−ブトキシ・ビス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、モノエトキシ・トリス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、モノ−n−プロポキシ・トリス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、モノ−i−プロポキシ・トリス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、モノ−n−ブトキシ・トリス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、モノ−sec−ブトキシ・トリス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、モノ−t−ブトキシ・トリス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、テトラキス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、モノ(アセチルアセトナート)トリス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、ビス(アセチルアセトナート)ビス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、トリス(アセチルアセトナート)モノ(エチルアセトアセテート)ジルコニウム等のジルコニウムキレート化合物;トリス(アセチルアセトナート)アルミニウム、トリス(エチルアセトアセテート)アルミニウム等のアルミニウムキレート化合物等を用いることができる。
【0055】
前記有機酸としては、例えば、酢酸、プロピオン酸、ブタン酸、ペンタン酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、ノナン酸、デカン酸、シュウ酸、マレイン酸、メチルマロン酸、アジピン酸、セバシン酸、没食子酸、酪酸、メリット酸、アラキドン酸、ミキミ酸、2−エチルヘキサン酸、オレイン酸、ステアリン酸、リノール酸、リノレイン酸、サリチル酸、安息香酸、p−アミノ安息香酸、p−トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、モノクロロ酢酸、ジクロロ酢酸、トリクロロ酢酸、トリフルオロ酢酸、ギ酸、マロン酸、スルホン酸、フタル酸、フマル酸、クエン酸、酒石酸等が挙げられる。
また、前記無機酸としては、例えば、塩酸、硝酸、硫酸、フッ酸、リン酸等が挙げられる。
【0056】
前記有機塩基としては、例えば、ピリジン、ピロール、ピペラジン、ピロリジン、ピペリジン、ピコリン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、ジメチルモノエタノールアミン、モノメチルジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジアザビシクロオクラン、ジアザビシクロノナン、ジアザビシクロウンデセン、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド等が挙げられる。
また、前記無機塩基としては、例えば、アンモニア、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化バリウム、水酸化カルシウム等が挙げられる。
【0057】
これらの触媒のなかでも、金属キレート化合物、有機酸、無機酸が好ましく、チタンキレート化合物、有機酸が特に好ましい。
これらの触媒は、単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0058】
また、触媒の使用量は、原料化合物の合計100質量部に対して、0.001〜10質量部であることが好ましく、より好ましくは0.01〜10質量部である。
【0059】
また、加水分解縮合反応を行った後には、例えば、メタノール、エタノール等の低級アルコール類等の反応副生成物の除去処理を行うことが好ましい。これにより、前記有機溶媒の純度が高くなるため、優れた塗布性を有し、しかも、良好な保存安定性を有する組成物を得ることができる。
反応副生成物の除去処理の方法としては、加水分解物又はその縮合物の反応が進行しない方法であれば特に限定されず、例えば、反応副生成物の沸点が前記有機溶媒の沸点より低いものである場合には、減圧によって留去することができる。
【0060】
また、前記ポリシロキサン(A)は、前記化合物(a1)〜(a4)を出発原料として用い、加水分解縮合反応させて反応溶液を前述のように調製した後、この反応溶液を酸性溶液又は塩基性溶液と混合して中和することにより第2溶液を調製し、その後、この第2溶液からポリシロキサン(A)を分離することにより製造することもできる。尚、この際、第2溶液を調製後に、出発原料の一部を加水分解縮合反応させてもよい。
このように製造されたポリシロキサン(A)を用いた場合、組成物の保存安定性が良好であるため好ましい。
【0061】
前記第2溶液を調製する工程においては、前記反応溶液が塩基性である場合(即ち、加水分解縮合反応の際に、塩基性の触媒が用いられている場合)には、酸性溶液を用いて中和が行われ、前記反応溶液が酸性である場合(即ち、加水分解縮合反応の際に、酸性の触媒が用いられている場合)には、塩基性溶液を用いて中和が行われる。尚、反応溶液と、酸性又は塩基性溶液との混合方法は特に限定されず、反応溶液を酸性又は塩基性溶液に滴下してもよいし、酸性又は塩基性溶液を反応溶液に滴下してもよい。
特に、組成物の保存安定性が良好であり、且つ分子量の制御が容易であるという観点から、塩基性の反応溶液と酸性溶液を用いて中和を行うことがより好ましい。
【0062】
前記酸性溶液における酸性物質としては、前述の有機酸及び無機酸を挙げることができる。また、酸性溶液における溶媒としては、水、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール等が挙げられる。
【0063】
前記酸性溶液のpHは0.1〜1.5であることが好ましく、より好ましくは0.5〜1.5、更に好ましくは1〜1.5である。この酸性溶液のpHが0.1〜1.5である場合、第2溶液を得る際の反応制御が容易となり分子量制御ができるため好ましい。
【0064】
前記塩基性溶液における塩基性物質としては、前述の有機塩基及び無機塩基を挙げることができる。また、塩基性溶液における溶媒としては、水、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール等が挙げられる。
【0065】
前記塩基性溶液のpHは9〜14であることが好ましく、より好ましくは10〜13、更に好ましくは11〜13である。この塩基性溶液のpHが9〜14である場合、第2溶液を得る際の反応制御が容易となり分子量制御ができるため好ましい。
【0066】
前記酸性又は塩基性溶液の温度は特に限定されないが、5〜35℃であることが好ましく、より好ましくは10〜30℃、更に好ましくは10〜25℃である。この温度が5〜35℃である場合、第2溶液を得る際の反応制御が容易となり分子量制御ができるため好ましい。
また、前記反応溶液の温度は、0〜30℃であることが好ましく、より好ましくは5〜30℃、更に好ましくは10〜25℃である。この温度が0〜30℃である場合、第2溶液を得る際の反応制御が容易となり分子量制御ができるため好ましい。
【0067】
また、この工程で調製される第2溶液は完全に中和されている必要はなく、そのpHは、5〜8であることが好ましく、より好ましくは6〜8、更に好ましくは6〜7である。この第2溶液のpHが5〜8である場合、組成物の保存安定性が良好であるため好ましい。
【0068】
また、前記第2溶液からポリシロキサン(A)を分離する方法は特に限定されないが、具体的には、必要に応じて溶媒置換を行った後、液液抽出法により樹脂分の洗浄等の精製を行い、ポリシロキサンを分離することができる。尚、この工程により得られるポリシロキサンは、単離されていてもよいし、後述の溶媒(B)等の有機溶媒に溶解された樹脂溶液であってもよい。
【0069】
尚、前記ポリシロキサン(A)は、本発明のシリコン含有膜形成用組成物に、1種のみ含有されていてもよいし、2種以上含有されていてもよい。
【0070】
(2)溶媒(B)
前記溶媒(B)としては、例えば、n−ペンタン、i−ペンタン、n−ヘキサン、i−ヘキサン、n−ヘプタン、i−ヘプタン、2,2,4−トリメチルペンタン、n−オクタン、i−オクタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の脂肪族炭化水素系溶媒;ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、トリメチルベンゼン、メチルエチルベンゼン、n−プロピルベンセン、i−プロピルベンセン、ジエチルベンゼン、i−ブチルベンゼン、トリエチルベンゼン、ジ−i−プロピルベンセン、n−アミルナフタレン、トリメチルベンゼン等の芳香族炭化水素系溶媒;メタノール、エタノール、n−プロパノール、i−プロパノール、n−ブタノール、i−ブタノール、sec−ブタノール、t−ブタノール、n−ペンタノール、i−ペンタノール、2−メチルブタノール、sec−ペンタノール、t−ペンタノール、3−メトキシブタノール、n−ヘキサノール、2−メチルペンタノール、sec−ヘキサノール、2−エチルブタノール、sec−ヘプタノール、ヘプタノール−3、n−オクタノール、2−エチルヘキサノール、sec−オクタノール、n−ノニルアルコール、2,6−ジメチルヘプタノール−4、n−デカノール、sec−ウンデシルアルコール、トリメチルノニルアルコール、sec−テトラデシルアルコール、sec−ヘプタデシルアルコール、フェノール、シクロヘキサノール、メチルシクロヘキサノール、3,3,5−トリメチルシクロヘキサノール、ベンジルアルコール、フェニルメチルカルビノール、ジアセトンアルコール、クレゾール等のモノアルコール系溶媒;エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ペンタンジオール−2,4、2−メチルペンタンジオール−2,4、ヘキサンジオール−2,5、ヘプタンジオール−2,4、2−エチルヘキサンジオール−1,3、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、トリプロピレングリコール、グリセリン等の多価アルコール系溶媒;
【0071】
アセトン、メチルエチルケトン、メチル−n−プロピルケトン、メチル−n−ブチルケトン、ジエチルケトン、メチル−i−ブチルケトン、メチル−n−ペンチルケトン、エチル−n−ブチルケトン、メチル−n−ヘキシルケトン、ジ−i−ブチルケトン、トリメチルノナノン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、2,4−ペンタンジオン、アセトニルアセトン、ジアセトンアルコール、アセトフェノン、フェンチョン等のケトン系溶媒;エチルエーテル、i−プロピルエーテル、n−ブチルエーテル、n−ヘキシルエーテル、2−エチルヘキシルエーテル、エチレンオキシド、1,2−プロピレンオキシド、ジオキソラン、4−メチルジオキソラン、ジオキサン、ジメチルジオキサン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、エチレングリコールモノ−n−ヘキシルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノ−2−エチルブチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールジ−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−ヘキシルエーテル、エトキシトリグリコール、テトラエチレングリコールジ−n−ブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒;
【0072】
ジエチルカーボネート、酢酸メチル、酢酸エチル、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、酢酸n−プロピル、酢酸i−プロピル、酢酸n−ブチル、酢酸i−ブチル、酢酸sec−ブチル、酢酸n−ペンチル、酢酸sec−ペンチル、酢酸3−メトキシブチル、酢酸メチルペンチル、酢酸2−エチルブチル、酢酸2−エチルヘキシル、酢酸ベンジル、酢酸シクロヘキシル、酢酸メチルシクロヘキシル、酢酸n−ノニル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、酢酸エチレングリコールモノメチルエーテル、酢酸エチレングリコールモノエチルエーテル、酢酸ジエチレングリコールモノメチルエーテル、酢酸ジエチレングリコールモノエチルエーテル、酢酸ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、酢酸プロピレングリコールモノメチルエーテル、酢酸プロピレングリコールモノエチルエーテル、酢酸プロピレングリコールモノプロピルエーテル、酢酸プロピレングリコールモノブチルエーテル、酢酸ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、酢酸ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジ酢酸グリコール、酢酸メトキシトリグリコール、プロピオン酸エチル、プロピオン酸n−ブチル、プロピオン酸i−アミル、シュウ酸ジエチル、シュウ酸ジ−n−ブチル、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸n−ブチル、乳酸n−アミル、マロン酸ジエチル、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル等のエステル系溶媒;N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、アセトアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルプロピオンアミド、N−メチルピロリドン等の含窒素系溶媒;硫化ジメチル、硫化ジエチル、チオフェン、テトラヒドロチオフェン、ジメチルスルホキシド、スルホラン、1,3−プロパンスルトン等の含硫黄系溶媒等を挙げることができる。
これらの溶媒(B)は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0073】
(3)他の成分(i)
(4−1)酸発生化合物
本発明のシリコン含有膜形成用組成物には、前記ポリシロキサン及び溶媒以外に、紫外光の照射及び/又は加熱により酸を発生する酸発生化合物(以下、単に「酸発生剤」ともいう。)が含まれていてもよい。
このような酸発生剤を含有する場合には、レジストを露光することにより、又は露光後に加熱することにより、シリコン含有膜中に酸が発生し、該シリコン含有膜とレジスト膜との界面に酸が供給される。その結果、レジスト膜のアルカリ現像処理において、解像度及び再現性に優れたレジストパターンを形成することができる。
前記酸発生剤としては、加熱処理を行うことによって酸を発生する化合物(以下「潜在性熱酸発生剤」ともいう。)及び紫外光照射処理を行うことによって酸を発生する化合物(以下「潜在性光酸発生剤」ともいう。)が挙げられる。
【0074】
前記潜在性熱酸発生剤は、通常50〜450℃、好ましくは200〜350℃に加熱することにより酸を発生する化合物である。
この潜在性熱酸発生剤としては、例えば、スルホニウム塩、ベンゾチアゾリウム塩、アンモニウム塩、ホスホニウム塩等のオニウム塩が挙げられる。
前記スルホニウム塩の具体例としては、4−アセトフェニルジメチルスルホニウム ヘキサフルオロアンチモネート、4−アセトキシフェニルジメチルスルホニウム ヘキサフルオロアルセネート、ジメチル−4−(ベンジルオキシカルボニルオキシ)フェニルスルホニウム ヘキサフルオロアンチモネート、ジメチル−4−(ベンゾイルオキシ)フェニルスルホニウム ヘキサフルオロアンチモネート、ジメチル−4−(ベンゾイルオキシ)フェニルスルホニウム ヘキサフルオロアルセネート、ジメチル−3−クロロ−4−アセトキシフェニルスルホニウム ヘキサフルオロアンチモネート等のアルキルスルホニウム塩;ベンジル−4−ヒドロキシフェニルメチルスルホニウム ヘキサフルオロアンチモネート、ベンジル−4−ヒドロキシフェニルメチルスルホニウム ヘキサフルオロホスフェート、4−アセトキシフェニルベンジルメチルスルホニウム ヘキサフルオロアンチモネート、ベンジル−4−メトキシフェニルメチルスルホニウム ヘキサフルオロアンチモネート、ベンジル−2−メチル−4−ヒドロキシフェニルメチルスルホニウム ヘキサフルオロアンチモネート、ベンジル−3−クロロ−4−ヒドロキシフェニルメチルスルホニウム ヘキサフルオロアルセネート、4−メトキシベンジル−4−ヒドロキシフェニルメチルスルホニウム ヘキサフルオロホスフェート、ベンゾイントシレート、2−ニトロベンジルトシレート等のベンジルスルホニウム塩;
【0075】
ジベンジル−4−ヒドロキシフェニルスルホニウム ヘキサフルオロアンチモネート、ジベンジル−4−ヒドロキシフェニルスルホニウム ヘキサフルオロホスフェート、4−アセトキシフェニルジベンジルスルホニウム ヘキサフルオロアンチモネート、ジベンジル−4−メトキシフェニルスルホニウム ヘキサフルオロアンチモネート、ジベンジル−3−クロロ−4−ヒドロキシフェニルスルホニウム ヘキサフルオロアルセネート、ジベンジル−3−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニルスルホニウム ヘキサフルオロアンチモネート、ベンジル−4−メトキシベンジル−4−ヒドロキシフェニルスルホニウム ヘキサフルオロホスフェート等のジベンジルスルホニウム塩;p−クロロベンジル−4−ヒドロキシフェニルメチルスルホニウム ヘキサフルオロアンチモネート、p−ニトロベンジル−4−ヒドロキシフェニルメチルスルホニウム ヘキサフルオロアンチモネート、p−クロロベンジル−4−ヒドロキシフェニルメチルスルホニウム ヘキサフルオロホスフェート、p−ニトロベンジル−3−メチル−4−ヒドロキシフェニルメチルスルホニウム ヘキサフルオロアンチモネート、3,5−ジクロロベンジル−4−ヒドロキシフェニルメチルスルホニウム ヘキサフルオロアンチモネート、o−クロロベンジル−3−クロロ−4−ヒドロキシフェニルメチルスルホニウム ヘキサフルオロアンチモネート等の置換ベンジルスルホニウム塩;
【0076】
前記ベンゾチアゾニウム塩の具体例としては3−ベンジルベンゾチアゾリウム ヘキサフルオロアンチモネート、3−ベンジルベンゾチアゾリウム ヘキサフルオロホスフェート、3−ベンジルベンゾチアゾリウム テトラフルオロボレート、3−(p−メトキシベンジル)ベンゾチアゾリウム ヘキサフルオロアンチモネート、3−ベンジル−2−メチルチオベンゾチアゾリウム ヘキサフルオロアンチモネート、3−ベンジル−5−クロロベンゾチアゾリウム ヘキサフルオロアンチモネート等のベンジルベンゾチアゾリウム塩が挙げられる。
更に、前記以外の熱酸発生剤として、2,4,4,6−テトラブロモシクロヘキサジエノンを挙げることもできる。
【0077】
これらのうち、4−アセトキシフェニルジメチルスルホニウム ヘキサフルオロアルセネート、ベンジル−4−ヒドロキシフェニルメチルスルホニウム ヘキサフルオロアンチモネート、4−アセトキシフェニルベンジルメチルスルホニウム ヘキサフルオロアンチモネート、ジベンジル−4−ヒドロキシフェニルスルホニウム ヘキサフルオロアンチモネート、4−アセトキシフェニルベンジルスルホニウム ヘキサフルオロアンチモネート、3−ベンジルベンゾチアゾリウム ヘキサフルオロアンチモネート等が好ましく用いられる。これらの市販品としては、サンエイド SI−L85、同SI−L110、同SI−L145、同SI−L150、同SI−L160(三新化学工業(株)製)等が挙げられる。
【0078】
また、前記潜在性光酸発生剤は、通常1〜100mJ、好ましくは10〜50mJの紫外光照射により酸を発生する化合物である。
この光酸発生剤としては、例えば、ジフェニルヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート、ジフェニルヨードニウムピレンスルホネート、ジフェニルヨードニウムドデシルベンゼンスルホネート、ジフェニルヨードニウムノナフルオロn−ブタンスルホネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムドデシルベンゼンスルホネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムナフタレンスルホネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムノナフルオロn−ブタンスルホネート、トリフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、トリフェニルスルホニウムナフタレンスルホネート、トリフェニルスルホニウムノナフルオロn−ブタンスルホネート、(ヒドロキシフェニル)ベンゼンメチルスルホニウムトルエンスルホネート、シクロヘキシルメチル(2−オキソシクロヘキシル)スルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、ジシクロヘキシル(2−オキソシクロヘキシル)スルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、
【0079】
ジメチル(2−オキソシクロヘキシル)スルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、トリフェニルスルホニウムカンファースルホネート、(4−ヒドロキシフェニル)ベンジルメチルスルホニウムトルエンスルホネート、1−ナフチルジメチルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、1−ナフチルジエチルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、4−シアノ−1−ナフチルジメチルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、4−ニトロ−1−ナフチルジメチルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、4−メチル−1−ナフチルジメチルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、4−シアノ−1−ナフチル−ジエチルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、4−ニトロ−1−ナフチルジエチルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、4−メチル−1−ナフチルジエチルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、4−ヒドロキシ−1−ナフチルジメチルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、4−ヒドロキシ−1−ナフチルテトラヒドロチオフェニウムトリフルオロメタンスルホネート、4−メトキシ−1−ナフチルテトラヒドロチオフェニウムトリフルオロメタンスルホネート、4−エトキシ−1−ナフチルテトラヒドロチオフェニウムトリフルオロメタンスルホネート、4−メトキシメトキシ−1−ナフチルテトラヒドロチオフェニウムトリフルオロメタンスルホネート、4−エトキシメトキシ−1−ナフチルテトラヒドロチオフェニウムトリフルオロメタンスルホネート、4−(1−メトキシエトキシ)−1−ナフチルテトラヒドロチオフェニウムトリフルオロメタンスルホネート、4−(2−メトキシエトキシ)−1−ナフチルテトラヒドロチオフェニウムトリフルオロメタンスルホネート、4−メトキシカルボニルオキシ−1−ナフチルテトラヒドロチオフェニウムトリフルオロメタンスルホネート、4−エトキシカルブニルオキシ−1−ナフチルテトラヒドロチオフェニウムトリフルオロメタンスルホネート、4−n−プロポキシカルボニルオキシ−1−ナフチルテトラヒドロチオフェニウムトリフルオロメタンスルホネート、
【0080】
4−i−プロポキシカルボニルオキシ−1−ナフチルテトラヒドロチオフェニウムトリフルオロメタンスルホネート、4−n−ブトキカルビニルオキシ−1−ナフチルテトラヒドロチオフェニウムトリフルオロメタンスルホネート、4−t−ブトキシカルボニルオキシ−1−ナフチルテトラヒドロチオフェニウムトリフルオロメタンスルホネート、4−(2−テトラヒドロフラニルオキシ)−1−ナフチルテトラヒドロチオフェニウムトリフルオロメタンスルホネート、4−(2−テトラヒドロピラニルオキシ)−1−ナフチルテトラヒドロチオフェニウムトリフルオロメタンスルホネート、4−ベンジルオキシ−1−ナフチルテトラヒドロチオフェニウムトリフルオロメタンスルホネート、1−(ナフチルアセトメチル)テトラヒドロチオフェニウムトリフルオロメタンスルホネート等のオニウム塩系光酸発生剤類;フェニル−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、メトキシフェニル−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、ナフチル−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン等のハロゲン含有化合物系光酸発生剤類;
【0081】
1,2−ナフトキノンジアジド−4−スルホニルクロリド、1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホニルクロリド、2,3,4,4‘−テトラベンゾフェノンの1,2−ナフトキノンジアジド−4−スルホン酸エステルまたは1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸エステル等のジアゾケトン化合物系光酸発生剤類;4−トリスフェナシルスルホン、メシチルフェナシルスルホン、ビス(フェニルスルホニル)メタン等のスルホン酸化合物系光酸発生剤類;ベンゾイントシレート、ピロガロールのトリストリフルオロメタンスルホネート、ニトロベンジル−9,10−ジエトキシアントラセン−2−スルホネート、トリフルオロメタンスルホニルビシクロ[2,2,1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボジイミド、N−ヒドロキシスクシンイミドトリフルオロメタンスルホネート、1,8−ナフタレンジカルボン酸イミドトリフルオロメタンスルホネート等のスルホン酸化合物系光酸発生剤類等が挙げられる。
尚、これらの酸発生剤は単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0082】
前記酸発生剤の含有量は、ポリシロキサン(A)の固形分100質量部に対して、0.1〜10質量部であることが好ましく、より好ましくは0.1〜5質量部である。
【0083】
(3−2)β−ジケトン
また、本発明のシリコン含有膜形成用組成物には、形成される塗膜の均一性及び保存安定性の向上を図るため、β−ジケトンが含まれていてもよい。
前記β−ジケトンとしては、例えば、アセチルアセトン、2,4−ヘキサンジオン、2,4−ヘプタンジオン、3,5−ヘプタンジオン、2,4−オクタンジオン、3,5−オクタンジオン、2,4−ノナンジオン、3,5−ノナンジオン、5−メチル−2,4−ヘキサンジオン、2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオン、1,1,1,5,5,5−ヘキサフルオロ−2,4−ヘプタンジオン等が挙げられる。これらのβ−ジケトンは、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0084】
前記β−ジケトンの含有量は、β−ジケトンと前記溶媒(B)との合計を100質量部とした場合に、1〜50質量部であることが好ましく、より好ましくは3〜30質量部である。
【0085】
(4)他の成分(ii)
また、本発明のシリコン含有膜形成用組成物には、更に、コロイド状シリカ、コロイド状アルミナ、有機ポリマー、界面活性剤等の成分が含まれていてもよい。
前記コロイド状シリカは、高純度の無水ケイ酸を親水性有機溶媒に分散した分散液であり、通常、平均粒径が5〜30mμ、好ましくは10〜20mμ、固形分濃度が10〜40質量%程度のものである。このような、コロイド状シリカとしては、例えば、日産化学工業(株)製、メタノールシリカゾル、イソプロパノールシリカゾル;触媒化成工業(株)製、オスカル等が挙げられる。これらのコロイド状シリカは、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、前記コロイド状アルミナとしては、例えば、日産化学工業(株)製のアルミナゾル520、同100、同200;川研ファインケミカル(株)製のアルミナクリアーゾル、アルミナゾル10、同132等が挙げられる。これらのコロイド状アルミナは、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0086】
前記有機ポリマーとしては、例えば、ポリアルキレンオキサイド構造を有する化合物、糖鎖構造を有する化合物、ビニルアミド系重合体、アクリレート化合物、メタクリレート化合物、芳香族ビニル化合物、デンドリマー、ポリイミド,ポリアミック酸、ポリアリーレン、ポリアミド、ポリキノキサリン、ポリオキサジアゾール、フッ素系重合体等が挙げられる。これらの有機ポリマーは、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、前記界面活性剤としては、例えば、ノニオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、両性界面活性剤、シリコーン系界面活性剤、ポリアルキレンオキシド系界面活性剤、含フッ素界面活性剤等が挙げられる。これらの界面活性剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0087】
[2]シリコン含有膜形成用組成物の製造方法
本発明のシリコン含有膜形成用組成物の製造方法は特に限定されないが、例えば、(1)前記ポリシロキサン(A)と、前記溶媒(B)と、必要に応じて前記他の添加剤と、を混合することにより得ることができる。
また、本発明のシリコン含有膜形成用組成物において、樹脂分の固形分濃度は特に限定されないが、1〜20質量%であることが好ましく、より好ましくは1〜15質量%である。
【0088】
[3]シリコン含有膜
本発明のシリコン含有膜は、レジスト膜や他のレジスト下層膜との密着性が高く、レジスト現像液及びレジストを除去するための酸素アッシングに対して耐性を有し、再現性の高いレジストパターンが得られる。そのため、多層レジストプロセスにおいて好適に用いることができる。
このシリコン含有膜は、前述の本発明のシリコン含有膜形成用組成物を用いることにより得ることができる。具体的には、例えば、レジスト被膜や他の下層膜(反射防止膜)等の表面に塗布することにより、シリコン含有膜形成用組成物の塗膜を形成し、この塗膜を加熱処理することにより、或いは、潜在性光酸発生剤を含有する場合には、紫外光の照射及び加熱処理を行うことにより、硬化させ、シリコン含有膜(レジスト下層膜)を形成することができる。
シリコン含有膜形成用組成物を塗布する方法としては、スピンコート法、ロールコート法、ディップ法等を利用することができる。
また、形成される塗膜の加熱温度は、通常50〜450℃であり、加熱処理後の膜厚は、通常10〜200nmである。
【0089】
[4]パターン形成方法
本発明のパターン形成方法は、(1)多層レジストプロセス用シリコン含有膜形成用組成物を被加工基板上に塗布してシリコン含有膜を形成する工程〔以下、単に「工程(1)」という。〕と、(2)得られた前記シリコン含有膜上に、レジスト組成物を塗布してレジスト被膜を形成する工程〔以下、単に「工程(2)」という。〕と、(3)得られた前記レジスト被膜に、フォトマスクを透過させることにより選択的に放射線を照射して前記レジスト被膜を露光する工程〔以下、単に「工程(3)」という。〕と、(4)露光した前記レジスト被膜を現像して、レジストパターンを形成する工程〔以下、単に「工程(4)」という。〕と、(5)前記レジストパターンをマスク(エッチングマスク)として、前記シリコン含有膜及び前記被加工基板をドライエッチングしてパターンを形成する工程〔以下、単に「工程(5)」という。〕と、を備える。
本発明のパターン形成方法によれば、ドライエッチングプロセスにおいて、被加工基板にレジストパターンを再現性よく忠実に転写することができる。
【0090】
(4−1)工程(1)
前記工程(1)では、前述のシリコン含有膜形成用組成物を用いて、被加工基板上にシリコン含有膜を形成する。これにより、被加工基板上にシリコン含有膜が形成されたシリコン含有膜付き基板を得ることができる。
【0091】
前記被加工基板としては、例えば、酸化シリコン、窒化シリコン、酸窒化シリコン、ポリシロキサン等の絶縁膜、以下、全て商品名で、ブラックダイヤモンド〔AMAT社製〕、シルク〔ダウケミカル社製〕、LKD5109〔JSR社製〕等の低誘電体絶縁膜で被覆したウェハ等の層間絶縁膜を使用することができる。また、この被加工基板としては、配線講(トレンチ)、プラグ溝(ビア)等のパターン化された基板を用いてもよい。
【0092】
また、前記被加工基板には、予めレジスト下層膜(本発明のシリコン含有膜形成用組成物を用いて得られるシリコン含有膜とは異なる他のレジスト下層膜)が形成されていてもよい。
このレジスト下層膜は、レジストパターン形成において、シリコン含有膜及び/又はレジスト被膜が有する機能を更に補ったり、これらが有していない機能を得るために、必要とされる所定の機能(例えば、反射防止機能、塗布膜平坦性、CF等のフッ素系ガスに対する高エッチング耐性)が付与された膜のことである。
【0093】
前記レジスト下層膜は、「NFC HM8005」〔JSR社製〕、「NFC CT08」〔JSR社製〕等の商品名で市販されている材料等を用いて形成することができる。
【0094】
前記レジスト下層膜の形成方法は特に限定されないが、例えば、前述のレジスト下層膜形成用の材料を被加工基板上に、スピンコート法等の公知の方法により塗布して形成された塗膜を、露光及び/又は加熱することにより硬化して形成することができる。
この露光に用いられる放射線としては、例えば、可視光線、紫外線、遠紫外線、X線、電子線、γ線、分子線、イオンビーム等が挙げられる。
また、塗膜を加熱する際の温度は、特に限定されないが、90〜550℃であることが好ましく、より好ましくは90〜450℃、更に好ましくは90〜300℃である。
【0095】
尚、前記レジスト下層膜の膜厚は特に限定されないが、100〜20000nmであることが好ましい。
【0096】
また、工程(1)におけるシリコン含有膜の形成方法及び膜厚は、それぞれ、前述の説明(「[3]シリコン含有膜」における説明)をそのまま適用することができる。
【0097】
(4−2)工程(2)
前記工程(2)では、レジスト組成物を用いて、工程(1)にて得られたシリコン含有膜上にレジスト被膜を形成する。
この工程(2)にて用いられるレジスト組成物としては、例えば、光酸発生剤を含有するポジ型又はネガ型の化学増幅型レジスト組成物、アルカリ可溶性樹脂とキノンジアジド系感光剤とからなるポジ型レジスト組成物、アルカリ可溶性樹脂と架橋剤とからなるネガ型レジスト組成物等を好適例として挙げることができる。
【0098】
また、レジスト組成物の固形分濃度は特に限定されないが、例えば、5〜50質量%であることが好ましい。
また、レジスト組成物としては、孔径0.2μm程度のフィルターを用いてろ過したものを好適に用いることができる。尚、本発明のパターン形成方法においては、このようなレジスト組成物として、市販品のレジスト組成物をそのまま使用することもできる。
【0099】
レジスト組成物を塗布する方法は特に限定されず、例えば、スピンコート法等の従来の方法によって塗布することができる。尚、レジスト組成物を塗布する際には、得られるレジスト被膜が所定の膜厚となるように、塗布するレジスト組成物の量を調整する。
【0100】
前記レジスト被膜は、前記レジスト組成物を塗布することによって形成された塗膜をプレベークすることにより、塗膜中の溶媒(即ち、レジスト組成物に含有される溶媒)を揮発させて形成することができる。
プレベークする際の温度は、使用するレジスト組成物の種類等に応じて適宜調整されるが、30〜200℃であることが好ましく、より好ましくは50〜150℃である。
【0101】
(4−3)工程(3)
前記工程(3)では、工程(2)において得られたレジスト被膜に、フォトマスクを透過させることにより選択的に放射線を照射してレジスト被膜を露光する。
【0102】
この工程(3)において用いられる放射線としては、レジスト組成物に使用されている酸発生剤の種類に応じて、可視光線、紫外線、遠紫外線、X線、電子線、γ線、分子線、イオンビーム等から適切に選択されるが、遠紫外線であることが好ましく、特に、KrFエキシマレーザー(248nm)、ArFエキシマレーザー(193nm)、Fエキシマレーザー(波長157nm)、Krエキシマレーザー(波長147nm)、ArKrエキシマレーザー(波長134nm)、極紫外線(波長13nm等)等を好適例として挙げることができる。
また、露光する方法についても特に制限はなく、従来公知のパターン形成において行われる方法に準じて行うことができる。
【0103】
(4−4)工程(4)
前記工程(4)では、工程(3)において露光したレジスト被膜を現像して、レジストパターンを形成する。
【0104】
現像に用いる現像液は、使用されるレジスト組成物の種類に応じて適宜選択することができる。ポジ型化学増幅型レジスト組成物やアルカリ可溶性樹脂を含有するポジ型レジスト組成物の場合には、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、珪酸ナトリウム、メタ珪酸ナトリウム、アンモニア、エチルアミン、n−プロピルアミン、ジエチルアミン、ジ−n−プロピルアミン、トリエチルアミン、メチルジエチルアミン、ジメチルエタノールアミン、トリエタノールアミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、ピロール、ピペリジン、コリン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]−5−ノネン等のアルカリ性水溶液を用いることができる。また、これらのアルカリ性水溶液は、水溶性有機溶媒、例えば、メタノール、エタノール等のアルコール類や、界面活性剤を適量添加したものであってもよい。
【0105】
また、ネガ型化学増幅型レジスト組成物、アルカリ可溶性樹脂を含有するネガ型レジスト組成物の場合には、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、珪酸ナトリウム、メタ珪酸ナトリウム、アンモニア水等の無機アルカリ類、エチルアミン、n−プロピルアミン等の第一アミン類、ジエチルアミン、ジ−n−ブチルアミン等の第二アミン類、トリエチルアミン、メチルジエチルアミン等の第三アミン類、ジメチルエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルコールアミン類、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、コリン等の第四級アンモニウム塩、ピロール、ピペリジン等の環状アミン類等のアルカリ類の水溶液等を用いることができる。
【0106】
工程(4)においては、前記現像液で現像を行った後、洗浄し、乾燥することによって、前記フォトマスクに対応した所定のレジストパターンを形成することができる。
【0107】
尚、この工程(4)では、解像度、パターンプロファイル、現像性等を向上させるため、現像を行う前(即ち、工程(3)における露光を行った後)に、ポストベークを行うことが好ましい。このポストベークの温度は、使用されるレジスト組成物の種類等に応じて適宜調整されるが、50〜200℃であることが好ましく、より好ましくは80〜150℃である。
【0108】
(4−5)工程(5)
前記工程(5)では、工程(4)にて形成したレジストパターンをマスク(エッチングマスク)として、シリコン含有膜及び被加工基板をドライエッチングしてパターンを形成する。尚、レジスト下層膜が形成された被加工基板を用いた場合には、シリコン含有膜及び被加工基板と共にレジスト下層膜もドライエッチングする。
【0109】
前記ドライエッチングは、公知のドライエッチング装置を用いて行うことができる。
また、ドライエッチング時のソースガスとしては、被エッチ膜の元素組成にもよるが、O、CO、CO等の酸素原子を含むガス、He、N、Ar等の不活性ガス、Cl、BCl等の塩素系ガス、H、NHのガス等を使用することができる。尚、これらのガスは混合して用いることもできる。
【0110】
本発明のパターン形成方法では、これまでに説明した工程(1)〜(5)を適宜行うことにより、所定の基板加工用のパターンを形成することができる。
【実施例】
【0111】
以下、実施例を挙げて、本発明の実施の形態を更に具体的に説明する。但し、本発明は、これらの実施例に何ら制約されるものではない。ここで、「部」及び「%」は、特記しない限り質量基準である。
【0112】
[1−1]ポリシロキサン(A)の合成
後述の各合成例においては、下記構造の単量体を用いて、ポリシロキサンの合成を行った。
化合物(a1−1);テトラメトキシシラン
化合物(a2−1);メチルトリメトキシシラン
化合物(a2−2);フェニルトリメトキシシラン
化合物(a2−3);3−(トリメトキシシリル)プロピルメタクリレート
化合物(a3−1);エトキシジメチル(3−オキシラニルメトキシ−プロピル)シラン
化合物(a3−2);トリメチルメトキシシラン
化合物(a4−1);ヘキサメチルジシラン
【0113】
【化16】

尚、式中の「Me」はメチル基を示し、「Et」はエチル基を示し、「Ph」はフェニル基を示す。
【0114】
合成例1[ポリシロキサン(A−1)]
シュウ酸:2.3部を水:108部に加熱溶解させて、シュウ酸水溶液を調製した。その後、3−(トリメトキシシリル)プロピルメタクリレート〔前記式(a2−3)〕:2部、フェニルトリメトキシシラン〔前記式(a2−2)〕:5部、メチルトリメトキシシラン〔前記式(a2−1)〕:17部、テトラメトキシシラン〔前記式(a1−1)〕:56部、及び1−エトキシ−2−プロパノール:268部を入れたフラスコに、冷却管と、調製したシュウ酸水溶液を入れた滴下ロートをセットした。次いで、オイルバスにて60℃に加熱した後、シュウ酸水溶液をゆっくり滴下し、60℃で4時間反応させた。その後、反応溶液の入ったフラスコを放冷してからエバポレーターにセットし、生成したメタノールを除去して1−エトキシ−2−プロパノール樹脂溶液を得た。得られた樹脂溶液中の固形分(樹脂)の含有割合は、焼成法により測定した結果、16.3%であった。
次いで、この1−エトキシ−2−プロパノール樹脂溶液:240部を入れたフラスコに冷却管とエトキシジメチル(3−オキシラニルメトキシ−プロピル)シラン〔前記式(a3−1)〕:20部、及びメタノール:1500部を入れた滴下ロートをセットした。その後、オイルバスにて50℃に加熱した後、メタノール溶液をゆっくり滴下し、50℃で2時間反応させた。反応終了後、反応溶液の入ったフラスコを放冷した。次いで、反応溶液をエバポレーターにセットし、反応により生成したエタノール及びメタノールを除去して、ポリシロキサン(A−1)を含有する1−エトキシ−2−プロパノール樹脂溶液を得た。
得られた樹脂溶液中の固形分(樹脂)の含有割合は、焼成法により測定した結果、14.3%であった。また、固形分(ポリシロキサン)の重量平均分子量(Mw)は1400であった。
【0115】
<重量平均分子量(Mw)の測定>
東ソー社製のGPCカラム(G2000HXL:2本、G3000HXL:1本)を用い、流量:1.0mL/分、溶出溶媒:テトラヒドロフラン、カラム温度:40℃の分析条件で、単分散ポリスチレンを標準とするゲルパーミエーションクロマトグラフ(検出器:示差屈折計)により測定した。
【0116】
合成例2[ポリシロキサン(A−2)]
テトラメチルアンモニウムヒドロキシド:18.3部を水:54.7部に加熱溶解させて、テトラアンモニウムヒドロキシド水溶液を調製した。その後、調製したテトラアンモニウムヒドロキシド水溶液:73部、水:23部、及びメタノール:200部を入れたフラスコに、冷却管と、3−(トリメトキシシリル)プロピルメタクリレート〔前記式(a2−3)〕:2部、フェニルトリメトキシシラン〔前記式(a2−2)〕:5部、メチルトリメトキシシラン〔前記式(a2−1)〕:17部、テトラメトキシシラン〔前記式(a1−1)〕:56部、及びメタノール:250部を入れた滴下ロートをセットした。次いで、オイルバスにて40℃に加熱した後、前記滴下ロートの内容物をゆっくり滴下し、40℃で1時間反応させた。反応終了後、反応溶液の入ったフラスコを放冷した。
その後、無水マレイン酸:25部を、水:93部、及びメタノール:93部に溶解させて別途調製したマレイン酸メタノール溶液(pH;1):211部に対し、放冷させた反応液(pH;12)を滴下し、30分間攪拌した。
次いで、4−メチル−2−ペンテノン:250部を添加してからエバポレーターにセットし、反応溶媒及び反応により生成したメタノールを除去して4−メチル−2−ペンテノン樹脂溶液を得た。得られた樹脂溶液を分液ロートへ移してから、水:400部を添加して1回目の水洗を行い、水:200部を添加して2回目の水洗を行なった。分液ロートよりフラスコへ移した4−メチル−2−ペンテノン樹脂溶液に、1−エトキシ−2−プロパノール:250部を添加してからエバポレーターにセットし、4−メチル−2−ペンテノンを除去して1−エトキシ−2−プロパノール樹脂溶液を得た。得られた樹脂溶液中の固形分(樹脂)の含有割合は、焼成法により測定した結果、13.6%であった。
次いで、この1−エトキシ−2−プロパノール樹脂溶液:250部を入れたフラスコに、冷却管と、トリメチルメトキシシラン〔前記式(a3−2)〕:20部、及びメタノール:3000部を入れた滴下ロートをセットした。その後、オイルバスにて50℃に加熱した後、メタノール溶液をゆっくり滴下し、50℃で2時間反応させた。反応終了後、反応溶液の入ったフラスコを放冷した。次いで、反応溶液をエバポレーターにセットし、メタノールを除去して、ポリシロキサン(A−2)を含有する1−エトキシ−2−プロパノール樹脂溶液を得た。
得られた樹脂溶液中の固形分(樹脂)の含有割合は、焼成法により測定した結果、12.3%であった。また、固形分(ポリシロキサン)の重量平均分子量(Mw)は4000であった。
【0117】
合成例3[ポリシロキサン(A−3)]
シュウ酸:2.3部を水:108部に加熱溶解させて、シュウ酸水溶液を調製した。その後、3−(トリメトキシシリル)プロピルメタクリレート〔前記式(a2−3)〕:2部、フェニルトリメトキシシラン〔前記式(a2−2)〕:5部、メチルトリメトキシシラン〔前記式(a2−1)〕:17部、テトラメトキシシラン〔前記式(a1−1)〕:56部、及び1−エトキシ−2−プロパノール:268部を入れたフラスコに、冷却管と、調製したシュウ酸水溶液を入れた滴下ロートをセットした。次いで、オイルバスにて60℃に加熱した後、シュウ酸水溶液をゆっくり滴下し、60℃で4時間反応させた。その後、反応溶液の入ったフラスコを放冷してからエバポレーターにセットし、生成したメタノールを除去して1−エトキシ−2−プロパノール樹脂溶液を得た。得られた樹脂溶液中の固形分(樹脂)の含有割合は、焼成法により測定した結果、16.3%であった。
次いで、この1−エトキシ−2−プロパノール樹脂溶液:240部を入れたフラスコに、冷却管と、ヘキサメチルジシラン〔前記式(a4−1)〕:20部、及びメタノール:1500部を入れた滴下ロートをセットした。その後、オイルバスにて50℃に加熱した後、メタノール溶液をゆっくり滴下し、50℃で2時間反応させた。反応終了後、反応溶液の入ったフラスコを放冷した。次いで、反応溶液をエバポレーターにセットし、反応により生成したエタノール及びメタノールを除去して、ポリシロキサン(A−3)を含有する1−エトキシ−2−プロパノール樹脂溶液を得た。
得られた樹脂溶液中の固形分(樹脂)の含有割合は、焼成法により測定した結果、14.3%であった。また、固形分(ポリシロキサン)の重量平均分子量(Mw)は1400であった。
【0118】
[1−2]比較用ポリシロキサンの合成
合成例4[ポリシロキサン(AR−1)]
シュウ酸:2.3部を水:108部に加熱溶解させて、シュウ酸水溶液を調製した。その後、3−(トリメトキシシリル)プロピルメタクリレート〔前記式(a2−3)〕:2部、フェニルトリメトキシシラン〔前記式(a2−2)〕:5部、メチルトリメトキシシラン〔前記式(a2−1)〕:17部、テトラメトキシシラン〔前記式(a1−1)〕:56部、及び1−エトキシ−2−プロパノール:268部を入れたフラスコに、冷却管と、調製したシュウ酸水溶液を入れた滴下ロートをセットした。次いで、オイルバスにて60℃に加熱した後、シュウ酸水溶液をゆっくり滴下し、60℃で4時間反応させた。その後、反応溶液の入ったフラスコを放冷してからエバポレーターにセットし、生成したメタノールを除去してポリシロキサン(AR−1)を含有する1−エトキシ−2−プロパノール樹脂溶液を得た。
得られた樹脂溶液中の固形分(樹脂)の含有割合は、焼成法により測定した結果、13.6%であった。また、固形分(ポリシロキサン)の重量平均分子量(Mw)は1300であった。
【0119】
尚、前述の合成例1〜4における、単量体の仕込み量、得られた樹脂溶液における固形分の重量平均分子量(Mw)を、表1にまとめて示す。
【0120】
【表1】

【0121】
[2]多層レジストプロセス用シリコン含有膜形成用組成物の調製
前述の各合成例で得られたポリシロキサン(A)[ポリシロキサン(A−1)〜(A−3)、及び(AR−1)]と、溶媒(B)(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)と、必要に応じて酸発生剤と、を用いて、下記のように、実施例1〜4及び比較例1の多層レジストプロセス用シリコン含有膜形成用組成物を調製した。
【0122】
<実施例1>
前記ポリシロキサン(A−1)100部を、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート3000部に溶解した。その後、この溶液を孔径0.2μmのPTFE製のメンブランフィルターでろ過して、実施例1の多層レジストプロセス用シリコン含有膜形成用組成物を得た。
【0123】
<実施例2>
前記ポリシロキサン(A−1)の代わりに、前記ポリシロキサン(A−2)を用いた以外は、実施例1と同様にして、実施例2のシリコン含有膜形成用組成物を得た。
【0124】
<実施例3>
前記ポリシロキサン(A−1)の代わりに、前記ポリシロキサン(A−3)を用いた以外は、実施例1と同様にして、実施例3のシリコン含有膜形成用組成物を得た。
【0125】
<実施例4>
前記ポリシロキサン(A−1)100部、及びジフェニルヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート(光酸発生剤)25部を、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート3000部に溶解した。その後、この溶液を孔径0.2μmのPTFE製のメンブランフィルターでろ過して、実施例4の多層レジストプロセス用シリコン含有膜形成用組成物を得た。
【0126】
<比較例1>
前記ポリシロキサン(A−1)の代わりに、前記ポリシロキサン(AR−1)を用いた以外は、実施例1と同様にして、比較例1のシリコン含有膜形成用組成物を得た。
【0127】
[3]シリコン含有膜形成用組成物(実施例1〜4及び比較例1)の評価
前述のようにして得られた実施例1〜4及び比較例1の各シリコン含有膜形成用組成物について、以下の各種評価を行った。それらの結果を表2に示す。
【0128】
(1)溶液の保存安定性
シリコンウェハの表面に、スピンコーターを用いて、回転数2000rpm、20秒間の条件でシリコン含有膜形成用組成物を塗布し、その後250℃のホットプレート上で60秒間乾燥させることによりシリコン含有膜を形成した。得られたシリコン含有膜について、光学式膜厚計(KLA−Tencor社製、「UV−1280SE」)を用いて50点の位置で膜厚を測定し、その平均膜厚(初期膜厚=T0)を求めた。
更に、温度23℃で3ヶ月間保存した後のシリコン含有膜形成用組成物を用いて、前記と同様にしてシリコン含有膜を形成して膜厚を測定し、その平均膜厚(貯蔵後膜厚=T)を求めた。
そして、初期膜厚T0と貯蔵後膜厚Tとの差(T−T0)を求め、平均膜厚T0に対するその差の大きさの割合〔(T−T0)/T0〕を膜厚変化率として算出し、その値が5%以下である場合を「○」、5%を超える場合を「×」として評価した。
【0129】
(2)密着性
シリコンウェハ上に、下層膜形成用組成物(商品名「NFC HM8005」、JSR(株)製)をスピンコーターによって塗布し、250℃のホットプレート上で60秒間乾燥させることにより、膜厚が300nmの下層膜を形成した。
その後、この下層膜上に、多層レジストプロセス用シリコン含有膜形成用組成物をスピンコーターによって塗布し、250℃のホットプレート上で60秒間焼成することによりシリコン含有膜を形成した。
次いで、前記シリコン含有膜上にレジスト材料「AIM5056JN」〔JSR(株)製〕を塗布し、90℃で60秒間乾燥させた。このときのレジストの膜厚は120nmに制御した。その後、ArFエキシマレーザー照射装置「S306C」〔(株)ニコン製〕を用い、32mJ/cmの条件で照射した後、基板を115℃で60秒間加熱した。次いで、2.38%テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド水溶液で30秒間現像処理し、80nmのライン・アンド・スペースパターンのレジストパターンを形成した。
前記のようにして基板上に形成されたレジストパターンを走査型電子顕微鏡(SEM)で観察し、該レジストパターンの現像剥離が生じていない場合を「○」とし、現像剥離が生じている場合を「×」として評価した。
【0130】
(3)レジストパターンの再現性
前記(2)と同様の手法で形成したレジストパターンをSEMで観察し、レーザーが照射された箇所にレジストの膜残りが生じておらず、光マスクの80nmのライン・アンド・スペースのパターンが忠実に再現されている場合を「○」とし、忠実に再現性されていない場合を「×」として評価した。
【0131】
(4)耐現像液性
シリコンウェハの表面に、スピンコーターを用いて、回転数2000rpm、20秒間の条件で多層レジストプロセス用シリコン含有膜形成用組成物を塗布し、その後、250℃のホットプレート上で60秒間乾燥させることによりシリコン含有膜を形成した。
次いで、シリコン含有膜を2.38%テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド水溶液で30秒間浸漬した。
そして、現像液に浸漬する前のシリコン含有膜の膜厚と、浸漬した後のシリコン含有膜の膜厚とを比較し、その差を算出した。両者の差が1nm以下である場合は、良好なシリコン含有膜であり、評価を「○」とした。一方、この差が1nmを超える場合を「×」とした。
【0132】
(5)マスク性(耐酸素アッシング性)
シリコンウェハの表面に、スピンコーターを用いて、回転数2000rpm、20秒間の条件で多層レジストプロセス用シリコン含有膜形成用組成物を塗布し、その後、250℃のホットプレート上で60秒間乾燥させることによりシリコン含有膜を形成した。
シリコン含有膜を、エッチング装置「EXAM」(神鋼精機社製)を用いて、300Wで15秒間酸素アッシング処理を行い、処理前のシリコン含有膜の膜厚と処理後のシリコン含有膜の膜厚との差を算出した。両者の差が5nm以下である場合は、良好なシリコン含有膜であり、評価を「○」とした。一方、この差が5nmを超える場合を「×」とした。
【0133】
【表2】

【0134】
[4]実施例の効果
表2から明らかなように、実施例1〜4の多層レジストプロセス用シリコン含有膜形成用組成物は、保存安定性に優れており、且つ、レジスト膜との密着性及びレジストパターンの再現性に優れると共に、現像液に対して十分な耐性を有し、レジスト除去時の酸素アッシングに対して十分なマスク性(エッチング耐性)を有するシリコン含有膜を形成できることが分かった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1)で表される化合物(a1)30〜80質量部、下記一般式(2)で表される化合物(a2)5〜60質量部、並びに、下記一般式(3)で表される化合物(a3)及び下記一般式(4)で表される化合物(a4)のうちの少なくとも一方5〜50質量部〔但し、化合物(a1)、(a2)、(a3)及び(a4)の合計を100質量部とする。〕に由来するポリシロキサン(A)と、
溶媒(B)と、を含有することを特徴とする多層レジストプロセス用シリコン含有膜形成用組成物。
【化1】

〔一般式(1)において、Rはそれぞれ独立に、水素原子、又は置換基を有していてもよい炭素数1〜4のアルキル基を示す。〕
【化2】

〔一般式(2)において、Rは1価の有機基を示す。Rはそれぞれ独立に、水素原子、又は置換基を有していてもよい炭素数1〜4のアルキル基を示す。aは1又は2である。〕
【化3】

〔一般式(3)において、Rはそれぞれ独立に、1価の有機基を示す。Xは水素原子、ハロゲン原子又は炭素数1〜4のアルコキシ基を示す。〕
【化4】

〔一般式(4)において、Rはそれぞれ独立に、置換基を有していてもよい炭素数1〜15のアルキル基を示す。Zは単結合、酸素原子又はイミノ基を示す。〕
【請求項2】
前記化合物(a2)が、下記一般式(2−1)で表される化合物である請求項1に記載の多層レジストプロセス用シリコン含有膜形成用組成物。
【化5】

〔一般式(2−1)において、Rはそれぞれ独立に、水素原子、又は置換基を有していてもよい炭素数1〜4のアルキル基を示す。Rは水素原子、ヒドロキシル基、炭素数1〜5の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、又は−ORを示す。Rは炭素数1〜5の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基を示す。〕
【請求項3】
前記ポリシロキサン(A)のゲルパーミエーションカラムクロマトグラフィーにより測定されるポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)が、1000〜6000である請求項1又は2に記載の多層レジストプロセス用シリコン含有膜形成用組成物。
【請求項4】
前記ポリシロキサン(A)が、ケイ素含有化合物を出発原料として、有機溶媒中において、水及び触媒の存在下で加水分解及び/又は縮合させて得られたものである請求項1乃至3のいずれか1項に記載の多層レジストプロセス用シリコン含有膜形成用組成物。
【請求項5】
紫外光の照射及び/又は加熱により酸を発生する酸発生化合物を更に含有する請求項1乃至4のいずれか1項に記載の多層レジストプロセス用シリコン含有膜形成用組成物。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれかに記載の多層レジストプロセス用シリコン含有膜形成用組成物を用いて得られることを特徴とするシリコン含有膜。
【請求項7】
(1)請求項1乃至5のいずれかに記載の多層レジストプロセス用シリコン含有膜形成用組成物を被加工基板上に塗布してシリコン含有膜を形成する工程と、
(2)得られた前記シリコン含有膜上に、レジスト組成物を塗布してレジスト被膜を形成する工程と、
(3)得られた前記レジスト被膜に、フォトマスクを透過させることにより選択的に放射線を照射して前記レジスト被膜を露光する工程と、
(4)露光した前記レジスト被膜を現像して、レジストパターンを形成する工程と、
(5)前記レジストパターンをマスクとして、前記シリコン含有膜及び前記被加工基板をドライエッチングしてパターンを形成する工程と、を備えることを特徴とするパターン形成方法。

【公開番号】特開2010−113328(P2010−113328A)
【公開日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−13646(P2009−13646)
【出願日】平成21年1月23日(2009.1.23)
【出願人】(000004178)JSR株式会社 (3,320)
【Fターム(参考)】