説明

実装構造体、電気光学装置、電子機器及び実装構造体の製造方法

【課題】突起電極にクラックが生ずる虞を低減し、接続抵抗のばらつきや増加を抑制することにより、電気的信頼性を高める。
【解決手段】本発明の実装構造体は、樹脂よりなる突出体13及び突出体上に配置された導電層14を備えた突起電極Pを有する第1電子部品10Sと、突起電極と導電接触した対向電極21を有する第2電子部品20Sと、第1電子部品と第2電子部品とを接着する接着剤30とを有し、突起電極は対向電極と当接して頂部が押しつぶされ、突出体には、その上に導電層が設けられて突起電極の頂部を構成する第1の頂部13Aと、第1の頂部より低く形成された第2の頂部13Bとが形成され、突起電極の頂部と第2の頂部の高低差Dsは、接着剤の硬化前の軟化温度にて突起電極の頂部を上方から高低差がなくなるまで押しつぶしたときに突起電極にクラックが生じない範囲に設定されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は実装構造体、電気光学装置、電子機器及び実装構造体の製造方法に係り、特に、電子部品に設けられた突起電極の構造に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、半導体装置等の各種電子部品には、基体の表面上に突設された突起電極(バンプ電極)を備えたものが知られている。この突起電極は、被実装側の基板等に密着させて導通を図るためのものであるが、一般的にはシード電極上にAuなどの金属を厚くめっきすることなどによって形成された金属バンプ電極が用いられている。このような突起電極を用いた実装方法としては、例えば、各種表示体の基板上に駆動用ICを実装する方法が知られている。
【0003】
また、上記突起電極として、基板上に樹脂製の突出体を形成し、この突出体の表面に導電層を形成したものを用いることが提案されている(例えば、以下の特許文献1及び2参照)。この種の突起電極には、従来の金属バンプ電極に比べて薄い導電層を用いることができるために微細なパターニングが可能になって電極の狭ピッチ化を図ることができ、また、樹脂製の突出体を用いることで突出体の弾性変形を利用して安定なコンタクト圧を確実に得ることができるために従来よりも電気的信頼性を向上できるなどという利点がある。
【0004】
【特許文献1】特開2005−136402号公報
【特許文献2】特開2005−101527号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、前述の特許文献1及び2に記載の突起電極の頂部は実装時に対向電極によって押しつぶされるが、突起電極の変形量が大きすぎると上記樹脂製の突出体やその上に形成される導電層にクラックが入ることなどにより突起電極の導電性にばらつきが生じたり抵抗値が増大したりし、電気的信頼性が低下するという問題点がある。
【0006】
すなわち、一般的には実装時の加圧力を突起電極のクラックが生じない範囲に設定して実装が行われるが、突起電極の形状、構成素材の弾性率、実装温度、加圧分布等にはばらつきが存在することから、予め設定された上記の加圧力で実装を行ったときでも突起電極の変形度合がばらつくため、突起電極にクラック等(クラックだけでなく、抵抗のばらつきや増大をもたらす導電層の変形なども含む。以下同様。)が生ずる虞をなくすことができない。一方、この虞を十分に低減するには加圧力を限界値よりも大幅に低く設定する必要があるが、このようにすると、突起電極の変形量の不足によりコンタクト圧やコンタクト面積を確保することができなくなる虞がある。したがって、いずれの場合にも、導電接続抵抗のばらつきや増大が生じ、極端な場合には実装不良となる。
【0007】
そこで、本発明は上記問題点を解決するものであり、突起電極にクラックが生ずる虞を低減し、接続抵抗のばらつきや増加を抑制することにより、電気的信頼性の高い実装構造体、電気光学装置及び電子機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
斯かる実情に鑑み、本発明の実装構造体は、樹脂よりなる突出体及び該突出体上に配置された導電層を備えた突起電極を有する第1電子部品と、前記突起電極と導電接触した対向電極を有する第2電子部品と、前記第1電子部品と前記第2電子部品とを接着する接着剤とを有する実装構造体であって、前記突出体には、その上に前記導電層が設けられた第1領域と、前記導電層を設けない第2の領域とを有し、前記突出体の前記第1の領域は、前記第2の領域よりも多く押しつぶされていることを特徴とする。
【0009】
この発明によれば、突起電極である第1の領域を第2の領域との高低差がなくなるまで押しつぶしたときに突起電極にクラックが生じない範囲に設定されていることにより、実装時において上記高低差がなくなるまで第1の領域が押しつぶされたときにもクラックが生ずることがなく、また、加圧力が過大であることにより、或いは、突起電極の弾性率が過小であることにより、上記高低差がなくなる以上に突起電極の頂部が押しつぶされる状況であっても、第2の領域も同時に押圧されることとなるため、第1の領域の変形量の増加が抑制されるとともに、第1の領域の形状変化も第2の領域による支持によって抑制されることから、突起電極のクラック等の発生を低減できる。したがって、突起電極のクラック等に起因する接続抵抗のばらつきや増加等を抑制し、電気的信頼性を高めることができる。
すなわち、この発明によれば、突出体には、その上に前記導電層が設けられた第1領域と、前記導電層を設けない第2の領域とを有し、前記突出体の前記第1の領域は、前記第2の領域よりも多く押しつぶされていることにより、実装時において第1の領域が押しつぶされる際に、第1の領域が押しつぶされやすくなるとともに、第2の領域による支持によって押しつぶす力が抑制されることから、突起電極のクラック等の発生を低減できる。したがって、突起電極を必要以上に押しつぶすことによるクラック等に起因する接続抵抗のばらつきや増加等を抑制し、電気的信頼性を高めることができる。
【0010】
ここで、上記第1の領域及び第2の領域を有する突出体を備えた突起電極としては、それぞれ水平な軸線を有する半円柱状に構成され、当該軸線方向に相互に隣接して一体化された第1の部分とこの第1の部分より小径の第2の部分とを有する突出体が設けられ、この突出体の第1の部分の円筒面によって第1の領域が構成されるとともに第2の部分の円筒面によって第2の領域が構成されてなり、第1の部分の円筒面上に導電層が形成されたものが挙げられる。
【0011】
また、本発明の別の実装構造体は、前記突出体の前記第1の領域が前記第2の領域よりも多く押しつぶされることによって、当該第2の領域が前記第2電子部品に対して前記突起電極と前記対向電極の当接方向に直接当接していることを特徴とする。
【0012】
これによれば、押しつぶされた突起電極と対向電極とが当接しているとともに、第1電子部品の第2の領域が第2電子部品に対して直接当接していることにより、前記第2の領域によって上記押圧力に対抗することができることで実装時における突起電極の余分な変形が抑制されることから、突起電極のクラック等を防止することができる。
【0013】
この場合に、前記突起電極の突出体の前記第2の領域は、前記第1の領域よりも低く形成されている。これによれば、突出体の第2の領域によって第2電子部品が当接支持されることにより、突起電極の突出体の第1の領域の変形そのものも抑制されるため、クラック等による抵抗のばらつきや増大をより確実に防止することができる。
【0014】
本発明において、前記第1電子部品には複数の前記突起電極が設けられ、該複数の突起電極は共通の前記突出体と、該共通の突出体の前記第1の領域上に前記第2の領域を挟んで相互に離間して形成された複数の前記導電層とにより構成されることが好ましい。これによれば、複数の突起電極と第2の領域とが交互に隣接配置されているので、過剰な加圧力が加わっても、或いは、突起電極の弾性率が不足していても、第2の領域による支持効果が十分に得られるため、突起電極にクラック等がより生じにくくなる。
さらに本発明の実装構造体は、前記突起電極の前記第1の領域と前記第1の領域よりも低い前記第2の領域との高低差は、前記接着剤の硬化前の軟化温度にて前記突起電極の頂部を上方から前記高低差がなくなるまで押しつぶしたときに前記突起電極にクラックが生じない範囲に設定されていることを特徴とする。
【0015】
次に、本発明の電気光学装置は、樹脂よりなる突出体及び該突出体上に配置された導電層を備えた突起電極を有する電子部品と、前記突起電極と導電接触した対向電極を有する電気光学パネルと、前記電子部品と前記電気光学パネルとを接着する接着剤とを有する電気光学装置であって、前記突出体には、その上に前記導電層が設けられた第1の領域と、前記導電層を設けない第2の領域とを有し、前記突出体の前記第1の領域は、前記第2の領域よりも多くつぶされていることを特徴とする。
【0016】
また、本発明の別の電気光学装置は、前記突出体の前記第1の領域が前記第2の領域よりも多く押しつぶされることによって、当該第2の領域が前記電気光学パネルに対して前記突起電極と前記対向電極の当接方向に直接当接していることを特徴とする。
【0017】
さらに、本発明の異なる電気光学装置は、前記電子部品には複数の前記突起電極が設けられ、該複数の突起電極は共通の前記突出体と、該共通の突出体の前記第1の領域に前記第2の領域を挟んで相互に離間して形成された複数の前記導電層とにより構成されることを特徴とする。
【0018】
さらに、本発明の電気光学装置は、前記突起電極の前記第1の領域と前記第1の領域よりも低い前記第2の領域との高低差は、前記接着剤の硬化前の軟化温度にて前記突起電極の頂部を上方から前記高低差がなくなるまで押しつぶしたときに前記突起電極にクラックが生じない範囲に設定されていることを特徴とする。
【0019】
電気光学パネルとしては、液晶パネル、電気泳動パネル、有機ルミネッセンスパネルなどが挙げられる。特に、ガラス基板等の硬質基板を用いたパネルに上記半導体装置を実装する場合には、当該硬質基板上に形成される接続パッド側の変形は期待できないので、半導体装置側の上記樹脂よりなる突出体を含む突起電極を用いる意義がある。
【0020】
本発明の電子機器は、上記のいずれかに記載の実装構造体を搭載したことを特徴とする。また、本発明の電子機器は、上記のいずれかに記載の電気光学装置を搭載したことを特徴とする。電子機器としては、モニタやテレビジョン受像機等の画像表示装置、プロジェクタ等の画像投射装置、電子時計、携帯電話機、コンピュータ装置、携帯型情報端末等が挙げられる。
【0021】
次に、本発明の実装構造体の製造方法は、樹脂よりなる突出体及び該突出体上に配置された導電層を備えた突起電極を有する第1電子部品と、前記突起電極と導電接触した対向電極を有する第2電子部品とを有する実装構造体の製造方法であって、前記第1電子部品に前記突起電極を形成する突起電極形成工程と、前記第1電子部品を前記第2電子部品に実装する実装工程とを少なくとも有し、前記突起電極形成工程では、前記突出体として、前記導電層が設けられる第1の領域と、前記導電層を設けない第2の領域とを形成するとともに、前記第1の領域の上に前記導電層を形成して前記突起電極を形成し、前記実装構造では、前記突起電極の前記第1の領域を前記対向電極と当接させて、前記第1の領域を前記第2の領域よりも多く押しつぶした状態とし、この状態で前記接着剤が硬化されることを特徴とする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
[電子部品(半導体装置)の構成]
次に、添付図面を参照して本発明の実施形態について詳細に説明する。図1は本実施形態の電子部品、若しくは、半導体装置に設けられた突起電極の概略斜視図、図2は同突起電極の部分縦断面図、図3は同突起電極の突出体の延長方向に沿った断面を示す縦断面図である。
【0023】
本実施形態では、図2に示すように、単結晶シリコン等の半導体基板などで構成される基体10の表面上に、アルミニウム等よりなるベース電極11が形成され、さらに、ベース電極11の一部を露出する開口部12aを有する絶縁層12が酸化シリコンや窒化シリコン等により形成されている。絶縁層12上には突起電極Pが形成されている。この突起電極Pは、以下に詳述する突出体13及び導電層14で構成される。
【0024】
絶縁層12上には、上記ベース電極11或いは開口部12aを避けた領域において樹脂よりなる突出体13が形成されている。この突出体13は基体10の表面上より突出した任意の形状を有するものであればよいが、図示例では、図1に示すように所定方向に伸びる延長形状、具体的には基体10の表面に沿った軸線を有する半円柱状に形成されている。突出体13は、アクリル樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂、ポリイミド樹脂、シリコーン変性ポリイミド樹脂、エポキシ樹脂などの各種樹脂によって形成することができる。特に、上記各種素材よりなる感光性樹脂で形成されたものであることが好ましい。また、感光性樹脂としては、露光条件の調整によって形状を制御可能なアクリル系感光樹脂を用いることが望ましい。さらに、突出体の表面は、後述する導電層14との密着性を高めるために粗面化されていることが好ましい。
【0025】
突出体13の突出量は実装方法や実装部の特性等によって適宜に設定されるが、一般的には5μm〜1000μmの範囲内であり、半導体装置としては5μm〜50μm、特に、10μm〜20μm程度とされることが好ましい。
【0026】
突出体13上には導電層14が形成され、この導電層14は上記開口部12a上まで伸びて、上記ベース電極11に導電接続されている。導電層14の厚みは、一般的には100nm〜1μmの範囲内であるが、特に、300nm〜800nmの範囲内であることが好ましい。本実施形態において、導電層14は下地層14aと表面導電層14bの2層が積層されてなる積層構造とされている。
【0027】
ここで、下地層14aは導電性素材よりなるものに限られないが、導電性素材で構成されることが好ましく、当該導電性素材としては、例えば、TiW、Cu、Cr、Ni、Pd、Ti、W、NiV等が挙げられる。下地層14aは主として突出体を構成する樹脂との密着性を高めるためのものであるが、ベース電極11を構成する金属素材(例えばアルミニウム)の拡散を防止する拡散防止層としても機能するもの(例えばTiW)であることがより望ましい。下地層14aの厚みは100nm〜150nm程度であることが望ましい。なお、本実施形態では導電層14を2層構造としているが、導電層14が単層(例えば単一の金属層)で構成されていてもよいことはもちろんである。
【0028】
表面導電層14bは、後述する対向電極との接触抵抗が小さいなど、電極表面としての好適な機能を有する導電性素材で構成される。このような導電性素材としては、例えば、Au、Ag,Cu、Ptなどが挙げられる。表面導電層14bとしては、上記の導電接続性以外に、耐食性が良好な素材(Au,Ptなど)であることがさらに望ましい。表面導電層14bの厚みは300nm〜600nm程度であることが好ましい。
【0029】
電子部品(半導体装置)の実装面上には複数の突起電極Pが配列された形で形成される。本実施形態の場合、複数の導電層14が共通の突出体13上において当該突出体13の延長方向に複数配列して形成されている。複数の導電層14はそれぞれが別の上記ベース電極11に導電接続され、突出体13上にまで伸び、突出体13上において相互に離間している。
【0030】
本実施形態では、突出体13に2つの頂部、すなわち第1の頂部13Aと第2の頂部13Bとが設けられ、第2の頂部13Bは第1の頂部13Aより低く形成されている。ここで、上記の二つの頂部は基本的にそれぞれが突起を構成する形状部分を言う。図示例では第1の頂部13Aと第2の頂部13Bを含む突出体13自体は一体に構成されているが、相互に高さの異なる別の頂部を有するものとなっている。図示例の場合、突出体13には第1の頂部13Aと第2の頂部13Bとが突出体13の延長方向に交互に配置されている。そして、第1の頂部13A上に形成された導電層14によって突起電極Pの頂部が構成される。
【0031】
ここで、図1(a)は突出体13を形成した後に導電層14を形成した直後の製造途中の外観を示し、図1(b)は導電層14をマスクとして突出体13の露出部分をエッチングし、当該露出部分に設けた第2の頂部13Bを突起電極Pの頂部(第1の頂部13A上にある導電層14の頂部)に対して低く形成し、所定の高低差を有するように形成した後の完成構造を示す。すなわち、図1(a)に示す状態から突出体13をエッチングすることにより突起電極Pの頂部以外の部分に凹溝13dが形成されることで、この凹溝13dの内部表面である第2の頂部13Bが設けられる。
【0032】
図示例では、水平な軸線を有する半円柱状の突出体13の軸線方向(延長方向)に沿って相互に離間した複数の凹溝部13dが形成されることによって、突出体13には半円柱状の第1の部分と、この第1の部分より小径の半円柱状の第2の部分とが設けられ、第1の部分と第2の部分とが隣接して一体化され、第1の部分の円筒面上に導電層14が形成され、第1の部分の円筒面の最上部(軸線方向に沿って直線状に伸びる稜線部分)が第1の頂部となり、この上にある導電層14の表面が突起電極Pの頂部となり、第2の部分の円筒面の最上部(軸線方向に沿って直線状に伸びる稜線部分)が第2の頂部13Bとなっている。そして、全体としては、上記の第1の部分と第2の部分とが軸線方向(延長方向)に交互に配列された構造を備えている。
【0033】
図3は上記の突出体13の延長方向に沿った断面を示す。上記のように、突出体13の第1の頂部13A上には導電層14が形成されて突起電極Pの頂部が構成され、第2の頂部13Bは突起電極Pの頂部に対して高低差Dsだけ低く形成されている。この高低差Dsは、後述する接着剤30の硬化前の軟化温度(実装時において未硬化の接着剤30が軟化する温度)、或いは、後述する実装工程と同じ温度(実装工程における突起電極Pの温度)にて、上記高低差Dsがなくなるまで突起電極Pの頂部を押しつぶしたときに、突起電極Pにクラックが生じない範囲、すなわち、突起電極Pの第1の頂部13A又はその上の導電層14にクラックが生じない範囲に設定されている。
すなわち、電子部品は導電層14が形成された第1の頂部13Aと導電層が形成されないともに、第1の頂部13Aよりも高さが低い第2の頂部13Bを有する突起電極Pを有し、突起電極Pが対向する別の電子部品若しくは電気光学パネル20Sの対向電極に当接して押しつぶされる際に、高さが高い第1の頂部13Aが第2の頂部13Bよりも先に押しつぶされる。第1の頂部13Aのつぶれ量が適正になったところで第2の頂部が、対向する別の電子部品若しくは電気光学パネル20Sに直接当接する。その時、第2の頂部に当接して第1の頂部13Aよりも少ない量が押しつぶされる。そのことによって、第1の頂部13A及び第2の頂部13Bの双方で押しつぶす力に対抗することができ、実装時における突起電極Pの余分な変形が抑制されることから、突起電極のクラック等を防止することができる。
【0034】
本実施形態では、突出体13における第1の頂部13Aと第2の頂部13Bの高低差Dsは、突起電極Pの突出量Dp(第1の頂部13A上の導電層14の最上部)の20%〜50%の値以下、特に、30%〜40%内の値以下となる範囲とされる。例えば、突起電極Pの突出量Dpが10μmの場合、高低差Dsが4μm以下となる範囲(後述する限界変形量Dtが4.5μmの場合)、突出量Dpが20μmの場合、高低差Dsが7μm以下となる範囲(後述する限界変形量が7.5μmの場合)である。
【0035】
[電子部品(半導体装置)の製造方法]
次に、上述の電子部品(半導体装置)の製造方法の実施形態について詳細に説明する。本実施形態の製造方法は、図2に示すように、基体10の表面上に蒸着法、スパッタリング法等を用いてアルミニウム等よりなるベース電極11を形成する。このベース電極11はエッチング等によるパターニング処理で基体10上の各種配線等と共に形成することができる。その後、基体10及びベース電極11上に、CVD法、スパッタリング法等により絶縁層12を形成し、パターニング処理によってベース電極11を露出させるための開口部12aを形成する。
【0036】
その後、絶縁層12上に図示しない感光性樹脂を塗布し、開口部を備えた図示しない露光マスクを用いて露光処理を施し、その後、現像処理を施すことによって各図に示す形状の突出体13を形成する。なお、上記の感光性樹脂として露光量を制御することで残存部の厚みが調整できる感光性材料(例えば、アクリル系感光性樹脂)を用いることにより、単純な開口形状を有する露光マスクで図示のような延長方向から見て上窄まり形状の突出体13を容易に形成できる。
【0037】
ここで、突出体13の表面を粗面化することが好ましい。突出体13の表面の粗面化は、例えば、酸素ガスを用いたプラズマ処理で実施することができる。当該表面の表面粗さRaが50nm〜500nmの範囲であることが好ましく、特に、100nm〜150nm程度であることが望ましい。
【0038】
しかる後に、突出体13上に導電層14を形成する。図示例の場合、下地層14aと表面導電層14bを蒸着法やスパッタリング法並びにパターニング処理により順次に形成する。下地層14a及び表面導電層14bはめっき処理(無電解めっき又は電解めっき)により形成してもよい。これによって図1(a)に示す形状の突起電極Pが形成される。
【0039】
次に、図1(a)に示すようにパターニングされた導電層14をマスクとして、酸素プラズマ処理等によって突出体13をエッチングし、図1(b)に示すように上記の凹溝部13dを形成する。この凹溝部13dの形成によって、図3に示すように突起電極Pの頂部と第2の頂部13Bの間に高低差Dsが形成される。すなわち、この突出体13に対するエッチング処理によって導電層14によって被覆された第1の頂部13Aと、露出した第2の頂部13Bとの間に高低差が形成され、その結果として突起電極Pの頂部と第2の頂部13Bとの間に高低差Dsが形成される。以上が突起電極形成工程である。なお、本実施形態では高低差Dsを所定範囲に設定する点に特徴を有するが、この点については後述する。
【0040】
[実装構造体及びその製造方法]
図4は上記実施形態の電子部品若しくは半導体装置10Sを、別の電子部品若しくは電気光学パネル20Sに実装する様子を示す概略断面図である。ここで、別の電子部品若しくは電気光学パネル20Sは、ガラス等の硬質材よりなる基体20と、この基体20上に形成された対向電極21と、この対向電極21を露出させた状態で他の部分を被覆する絶縁層22とを有している。
【0041】
電子部品10若しくは半導体装置10Sを別の電子部品若しくは電気光学パネル20Sに実装する場合には、両者間に熱硬化性樹脂等の接着剤30で構成される未硬化シートを配置し、電子部品10若しくは半導体装置10Sを加熱しながら別の電子部品若しくは電気光学パネル20Sに対して加圧する。このようにすると、接着剤30が加熱によって軟化し、上記の軟化温度、或いは、実装工程と同じ温度で、突起電極Pの頂部が対向電極21に当接し、加圧力によって突起電極Pの頂部が押しつぶされる。その後、接着剤30が硬化することにより、電気部品若しくは半導体装置10Sと別の電子部品若しくは電気光学パネル20Sとが接着され、これによって、突起電極Pと対向電極21との導電接続状態が保持される。以上が実装工程である。なお、上記の軟化温度若しくは実装工程と同じ温度とは、通常、150℃〜280℃の範囲内である。
【0042】
図5は、電子部品10若しくは半導体装置10Sを別の電子部品若しくは電気光学パネル20Sに実装した後の突出体13の延長方向に沿った断面を示す縦断面図、図6は、突出体13の延長方向とは直交する方向に沿った断面を示す縦断面図である。突起電極Pの頂部が対向電極21によって押しつぶされた結果、突起電極Pの頂部以外の部分、すなわち本実施形態では第2の頂部13Bが別の電子部品若しくは電気光学パネル20Sに直接当接した状態とされている。具体的には、第2の頂部13Bが基体20上に形成された絶縁層22の表面に当接している。
【0043】
図示例の場合、対向電極21の表面はその周囲にある絶縁層22の表面よりも基体20上において低く形成されているので、実装後においても突起電極Pの頂部は第2の頂部13Bよりも突出した状態となっている。しかしながら、対向電極21の表面と絶縁層22の表面の高さ関係は上記関係に限らないので、当該高さ関係に応じて実装後の突起電極Pの頂部と第2の頂部13Bの関係も変化することになる。例えば、対向電極21の表面と絶縁層22の表面とが同一高さとなっていれば、突起電極Pの頂部は第2の頂部13Bと同じ高さになる。
【0044】
いずれの場合でも、突起電極Pの頂部とは別の第2の頂部13Bが別の電子部品若しくは電気光学パネル20Sに対して実装方向(突起電極Pと対向電極21とが圧接される方向、すなわち図示上下方向)に直接(すなわち接着剤30を介することなく)当接していることにより、実装時の加圧力が変動したり、突起電極P(突出体13)の弾性率にばらつきがあったりしても、突起電極Pにクラックが生ずることを防止できる。すなわち、突起電極Pの頂部が押しつぶされて第2の頂部13Bが別の電子部品若しくは電気光学パネル20Sに軽く当接するときよりも実装時の加圧力がさらに大きい場合でも、当該加圧力は突起電極Pの頂部だけでなく第2の頂部13Bにも加わることとなるため、突起電極Pの頂部のそれ以上の変形が抑制される。したがって、突起電極Pの頂部の変形量が過大となって、突出体13の第1の頂部13Aやその上の導電層14にクラックが生ずることが防止される。
【0045】
ところで、図示例の実装構造体においては、電子部品若しくは半導体装置10Sの突起電極Pの頂部以外の部分、すなわち第2の頂部13Bが別の電子部品もしくは電気光学パネル20Sの一部、すなわち絶縁層22に直接当接している例を示しているが、本発明では必ずしも第2の頂部13Bが当接していなくてもよい。すなわち、第2の頂部13Bと絶縁層22との間に隙間が存在する状態で実装されていても構わない。この場合でも、電子部品もしくは半導体装置10Sが上述のように構成されていることにより、突起電極Pの頂部がさらに押しつぶされて第2の頂部13Bと同じ高さになったときであっても突起電極Pにクラックが生ずることがないため、実装時の加圧力、温度、突起電極Pの弾性率等にばらつきがあっても実装構造体の電気的信頼性が担保される。
【0046】
図7は、実装時の加圧力Fと突起電極Pの変形量Δhとの関係を示すグラフである。ここで、突起電極Pの実質弾性率にはばらつきが存在するので、当該実質弾性率のばらつき範囲を示すために、弾性率の大きい突起電極Xと、弾性率の小さい突起電極Yとを共に示してある。いずれの場合にも弾性変形を示す直線の傾きが弾性率を示す。弾性率のばらつき範囲Rsは状況によって異なるが、突起電極Pの形状のばらつき、突出体13の機械的特性のばらつきなどに起因するもので、完全に無くすことはきわめて困難である。
【0047】
図7において、変形量Δh=Dtは突起電極Pにクラックが生ずるときの限界変形量である。突起電極Pの頂部が限界変形量Dtに達すると突起電極Pにクラックが生ずる可能性がきわめて高くなる。クラックを生ずる要因は複雑であるので、上記の限界変形量Dtを一律に定めることは難しいが、現実には実験的にほぼ妥当な値を求めることができる。
【0048】
本実施形態では、突起電極Pの頂部と第2の頂部13Bの高低差Dsが存在するので、突起電極Pの変形量Δhが上記高低差Dsに対応する境界値Ds’(突起電極Pの頂部を押しつぶしていく過程で第2の頂部13Bが絶縁層22の表面に直接当接し始めるときの突起電極Pの頂部の変形量。これは、別の電子部品若しくは電気光学パネル20Sの表面が対向電極21及びその周囲において完全に平坦であれば、或いは、平坦とみなせるのであれば、高低差Dsに一致する。)になると、別の電子部品若しくは電気光学パネル20Sが突起電極Pの頂部だけでなく、第2の頂部13Bにも当接し始めるので、弾性率を示す直線の傾きは急増する。すなわち、変形量Δhが境界値Ds’を超えた場合には突起電極Pの頂部はそれ以上変形しにくくなる。
【0049】
ここで、上記弾性率のばらつき範囲Rs内の平均的な弾性率を有する突起電極Pを想定して実装時の加圧力FをF1に設定したとする。このとき、突起電極Pの頂部と第2の頂部13Bの高低差Dsが限界変形量Dtよりも大幅に大きかったとすれば、或いは、第2の頂部13Bが形成されていなかったとすれば、図示点線で示すように境界値Ds’で実質的な弾性率が変化しないので、突起電極Pの頂部の変形量Δhのばらつき範囲はR1となる。図示例の場合、このばらつき範囲R1内に限界変形量Dtを超える部分が存在するため、突起電極Pにクラックが生ずる虞があることになる。
【0050】
一方、図示実線で示すように、突起電極Pの頂部と第2の頂部13Bの境界値Ds’が限界変形量Dt以下である場合には、実質的な弾性率が増大することにより突起電極Pの変形量のばらつき範囲はR2となり、突起電極の変形量のばらつき範囲が大幅に低減されることがわかる。図示例では変形量のばらつき範囲R2が限界変形量Dtよりも低い領域にのみ存在するため、突起電極Pにクラックが生じる虞がないことがわかる。
【0051】
すなわち、境界値Ds’が限界変形量Dtより小さい場合には、突起電極Pの頂部の変形量のばらつき範囲が小さくなるので、突起電極Pと対向電極21の接触面積を十分に確保できるだけの加圧力を与えても、突起電極Pにクラックが生ずる可能性を低減できる。また、突起電極Pの頂部の実質的な弾性率は、変形量Δhが境界値Ds’となる場合を境にして急激に増加するので、加圧力Fを或る程度ラフに設定しても、突起電極Pの頂部の変形量Δhが境界値Ds’に近い値に安定するという利点もある。
【0052】
なお、上記の図7を参照した説明では、加圧力Fを一定としても突起電極Pの弾性率のばらつきに起因して突起電極Pの変形量Δhにばらつきが生ずる場合について示したが、例えば、加圧力Fのばらつきも上記弾性率のばらつきと同様に突起電極Pの頂部の変形量がばらつく原因となる。
【0053】
また、上記の説明では境界値Ds’を基準にしているが、境界値Ds’の代わりに高低差Dsを基準としてもそれ相応の効果を得ることができる。すなわち、相手方の別の電子部品若しくは電気光学パネル20Sの構造が未定である場合には、電子部品若しくは半導体装置10Sにおいて高低差Dsを限界変形量Dtよりも小さくすればよい。この場合には、相手方の構造によって厳密には異なる状況とはなるものの、一定の効果を得ることができる。
【0054】
上記の高低差Dsを求めるには以下のようにする。まず、予め突起電極Pの変形量Δhとクラック等の発生との関係を実験やシミュレーション等によって上記の限界変形量Dtを決定する。次に、高低差Ds又は境界値Ds’が限界変形量Dtより小さくなるように設定する。ここで、境界値Ds’を設定した場合には、電子部品若しくは電気光学パネル20Sの構造に基づいて境界値Ds’からさらに高低差Dsを求める。
【0055】
上記の限界変形量Dtの決定は、突起電極Pの頂部の押しつぶしを上記軟化温度若しくは実装工程と同じ温度に突起電極Pがなった状況で行う場合に、突起電極Pにクラックが生ずるか否かを基準として決定される。すなわち、限界変形量Dtを決定するための実験やシミュレーションにおいては、これらの温度で実験を行い、あるいは、これらの温度であると仮定してシミュレーションを行うことで、実際の実装工程における突起電極Pの変形量に対応した限界変形量Dtを決定できる。
【0056】
また、上記の場合において、高低差Ds又は境界値Ds’と限界変形量Dtの差である安全変形量ΔD又はΔD’を所定値以上に設定するようにしてもよい。この安全変形量ΔD又はΔD’は、限界変形量Dtの5%〜50%の範囲であることが好ましく、特に、10%〜30%の範囲であることが好ましい。この範囲を下回ると、突起電極Pにクラック等が生ずる虞が高くなり、上記範囲を上回ると、突起電極Pの頂部の変形量が確保しにくくなり、突起電極Pと対向電極21との間のコンタクト圧を得ることができなかったり、両者間に十分なコンタクト面積を得ることができなかったりする可能性が高くなる。
【0057】
なお、実験結果によって限界変形量Dtを定めようとするとき、クラックが発生した突起電極Pの変形量の値にばらつきがある場合には、適宜の方法でばらつきを定量化して、ばらつきが存在しても安全に実装できるように限界変形量を決定すればよい。例えば、上記の値の分布を求めてクラックの発生確率が所定の十分に小さな値になる値を限界変形量Dtとすればよい。もちろん、実験で得られたクラックが発生した突起電極Pの変形量の最小値を限界変形量Dtとしても構わない。
【0058】
[実装構造体及び電気光学装置の構成]
次に、図8を参照して、本発明の実装構造体及び電気光学装置の実施形態について詳細に説明する。図8に示すように、本実施形態の電気光学装置100は、液晶表示体(液晶パネル)を備えた液晶装置であり、ガラス等よりなる透明な基板110と120をシール材130で貼り合わせ、基板110と120の間に液晶を配置したものである。シール材130は駆動領域Aを取り囲むように形成され、液晶を注入する開口部130aが封止材131によって閉鎖されている。
【0059】
基板110は、ガラスやプラスチック等の基材111の内面上に、AlやAg等の金属その他の反射性材料からなる反射層、カラーフィルタ、絶縁膜、ITO(インジウムスズ酸化物)等の透明導電体からなる電極116、ポリイミド樹脂等からなる配向膜等を必要に応じて適宜に積層したものである。
【0060】
一方、基板120は、ガラスやプラスチック等の基材121の内面上に、配線122及びこれに接続された素子(TFD等の二端子非線形素子、或いは、TFT等の三端子非線形素子)、絶縁層、透明導電体からなる電極、ポリイミド樹脂等からなる配向膜等を必要に応じて適宜に積層したものである。
【0061】
基板110上に設けられた電極と、基板120上に設けられた電極とが平面的に交差する領域は、両電極に挟まれた液晶の配向状態を独立して制御可能な画素を構成し、図示の駆動領域A内には複数の画素が縦横に配列された状態とされている。
【0062】
また、基板120は、基板110の外形より外側に張り出した基板張出部120Tを有し、この基板張出部120T上に液晶駆動回路などを内蔵した半導体装置135が実装されている。この半導体装置135は、上記電極116及び配線122に導電接続され、基板張出部120T上に引き出された配線117、118に導電接続されている。また、基板張出部120Tの端部には半導体装置135に導電接続された入力端子136が設けられ、この入力端子136は、基板張出部120Tの端部に実装された配線基板(例えばフレキシブル配線基板)137に形成された配線(図示せず)に導電接続されている。
【0063】
さらに、基板110と120の間には接着剤等で構成されるスペーサ(図示せず)が介在し、このスペーサが両基板の間隔を規制している。このスペーサはいずれか一方の基板に固定した状態で形成されることが好ましい。さらに、基板110,120の外面上には必要に応じて位相差板及び偏光板(図示せず)が貼着等の方法で配置される。
【0064】
上記の半導体装置135には、上記の電子部品(半導体装置)の実施形態において形成された突起電極Pが形成され、この突起電極Pが基板張出部120T上に形成された配線117,118の先端に設けられた対向電極(接続パッド)に導電接続されている。この場合、上記と同様に、半導体装置135を熱硬化性樹脂よりなる接着剤を介して基板張出部120Tに対して加圧しつつ加熱し、接着剤を軟化させながら突起電極Pを対向電極に押し付け、突起電極Pの頂部を変形させる。その後、接着剤が熱硬化することにより、突起電極Pと対向電極の導電接続状態が維持される。
【0065】
なお、上記半導体装置135と基板張出部120Tとの間の実装方法及び実装構造は図4乃至図6並びにこれらを参照して説明した事項と同様である。また、上記実施形態では、電子部品(半導体装置)である半導体装置135と、電気光学パネルとからなる実装構造体が形成され、この実装構造体の実装構造として上記突起電極Pを有するものが想定されているが、例えば、上記実施形態の半導体装置135(第1電子部品)を別の電子部品(第2電子部品)である配線基板(たとえば、フレキシブル配線基板)上に実装し、この配線基板を上記電気光学パネルの基板張出部120T上に実装するようにしてもよい。
【0066】
[電子機器]
最後に、上述の電気光学装置100を電子機器に搭載してなる構成例について説明する。図9は、本発明に係る電子機器の一実施形態であるノート型パーソナルコンピュータを示している。このパーソナルコンピュータ200は、複数の操作ボタン201aや他の操作装置201bを備えた本体部201と、この本体部201に接続され、表示画面202aを備えた表示部202とを備えている。図示例の場合、本体部201と表示部202は開閉可能に構成されている。表示部202の内部には上述の電気光学装置(液晶装置)100が内蔵されており、表示画面202aに所望の表示画像が表示されるようになっている。この場合、パーソナルコンピュータ200の内部には、上記電気光学装置100を制御する表示制御回路が設けられる。この表示制御回路は、電気光学装置100の半導体装置135内に設けられる駆動回路(液晶ドライバ回路など)に対して所定の制御信号を送り、その表示態様を決定するように構成されている。
【0067】
なお、本発明に係る電子機器としては、図9に示す電子機器の他に、液晶テレビ、カーナビゲーション装置、ページャ、電子手帳、電卓、ワークステーション、テレビ電話、POS端末機などが挙げられる。そして、これらの各種電子機器の表示部として本発明に係る電気光学装置を用いることができる。
【0068】
尚、本発明の実装構造体、電気光学装置、電子機器、及び、実装構造体の製造方法は、上述の図示例にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
また、上記の説明では、第1の頂部13A、第2の頂部13Bというように、頂部がある突出体を例に挙げてきたが、頂部に限られるものではない。すなわち、突出体13には、その上に導電層が設けられた第1領域(第1の頂部)と、導電層を設けない第2の領域(第2の頂部)とを有し、突出体13の第1の領域は、前記第2の領域よりも多く押しつぶされている。この構成によれば、実装時において第1の領域が押しつぶされる際に、第1の領域が押しつぶされやすくなるとともに、第2の領域による支持によって押しつぶす力が抑制されることから、突起電極のクラック等の発生を低減できる。したがって、突起電極を必要以上に押しつぶすことによるクラック等に起因する接続抵抗のばらつきや増加等を抑制し、電気的信頼性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】本発明に係る電子部品(半導体装置)の突起電極の形成領域の製造途中の概略斜視図(a)及び製造完了後の概略斜視図(b)。
【図2】突起電極の導電層の延長方向に沿った縦断面図。
【図3】突起電極の導電層の配列方向に沿った縦断面図。
【図4】実装構造体の実装工程における実装前の状態を示す断面図。
【図5】実装構造体の実装工程における実装後の状態を示す断面図。
【図6】実装構造体の実装工程における実装後の状態の導電層に沿った断面図。
【図7】実装時の加圧力と突起電極の変形量との関係を示すグラフ。
【図8】電気光学装置の例を示す概略斜視図。
【図9】電子機器の例を示す概略斜視図。
【符号の説明】
【0070】
10…基体、10S…電子部品若しくは半導体装置、11…ベース電極、12…絶縁層、13…突出体、13A…第1の頂部、13B…第2の頂部、14…導電層、14a…下地層、14b…表面導電層、P…突起電極、Ds…高低差、Ds’…境界値、Dt…限界変形量、R1,R2…変形量Δhのばらつき範囲、Rs…弾性率のばらつき範囲、100…電気光学装置、200…電子機器。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂よりなる突出体及び該突出体上に配置された導電層を備えた突起電極を有する第1電子部品と、前記突起電極と導電接触した対向電極を有する第2電子部品と、前記第1電子部品と前記第2電子部品とを接着する接着剤とを有する実装構造体であって、
前記突出体には、その上に前記導電層が設けられた第1領域と、前記導電層を設けない第2の領域とを有し、
前記突出体の前記第1の領域は、前記第2の領域よりも多く押しつぶされていることを特徴とする実装構造体。
【請求項2】
前記突出体の前記第1の領域が前記第2の領域よりも多く押しつぶされることによって、当該第2の領域が前記第2電子部品に対して前記突起電極と前記対向電極の当接方向に直接当接していることを特徴とする請求項1に記載の実装構造体。
【請求項3】
前記第1電子部品には複数の前記突起電極が設けられ、該複数の突起電極は共通の前記突出体と、該共通の突出体の前記第1の領域に前記第2の領域を挟んで相互に離間して形成された複数の前記導電層とにより構成されることを特徴とする請求項1又は2に記載の実装構造体。
【請求項4】
前記突起電極の前記第1の領域と前記第1の領域よりも低い前記第2の領域との高低差は、前記接着剤の硬化前の軟化温度にて前記突起電極の頂部を上方から前記高低差がなくなるまで押しつぶしたときに前記突起電極にクラックが生じない範囲に設定されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の実装構造体。
【請求項5】
樹脂よりなる突出体及び該突出体上に配置された導電層を備えた突起電極を有する電子部品と、前記突起電極と導電接触した対向電極を有する電気光学パネルと、前記電子部品と前記電気光学パネルとを接着する接着剤とを有する電気光学装置であって、
前記突出体には、その上に前記導電層が設けられた第1の領域と、前記導電層を設けない第2の領域とを有し、
前記突出体の前記第1の領域は、前記第2の領域よりも多くつぶされていることを特徴とする電気光学装置。
【請求項6】
前記突出体の前記第1の領域が前記第2の領域よりも多く押しつぶされることによって、当該第2の領域が前記電気光学パネルに対して前記突起電極と前記対向電極の当接方向に直接当接していることを特徴とする請求項5に記載の電気光学装置。
【請求項7】
前記電子部品には複数の前記突起電極が設けられ、該複数の突起電極は共通の前記突出体と、該共通の突出体の前記第1の領域に前記第2の領域を挟んで相互に離間して形成された複数の前記導電層とにより構成されることを特徴とする請求項5又は6に記載の電気光学装置。
【請求項8】
前記突起電極の前記第1の領域と前記第1の領域よりも低い前記第2の領域との高低差は、前記接着剤の硬化前の軟化温度にて前記突起電極の頂部を上方から前記高低差がなくなるまで押しつぶしたときに前記突起電極にクラックが生じない範囲に設定されていることを特徴とする請求項5乃至7のいずれか一項に記載の電気光学装置。
【請求項9】
請求項1乃至4のいずれか一項に記載の実装構造体を搭載したことを特徴とする電子機器。
【請求項10】
請求項5乃至7のいずれか一項に記載の電気光学装置を搭載したことを特徴とする電子機器。
【請求項11】
樹脂よりなる突出体及び該突出体上に配置された導電層を備えた突起電極を有する第1電子部品と、前記突起電極と導電接触した対向電極を有する第2電子部品とを有する実装構造体の製造方法であって、
前記第1電子部品に前記突起電極を形成する突起電極形成工程と、前記第1電子部品を前記第2電子部品に実装する実装工程とを少なくとも有し、
前記突起電極形成工程では、前記突出体として、前記導電層が設けられる第1の領域と、前記導電層を設けない第2の領域とを形成するとともに、前記第1の領域の上に前記導電層を形成して前記突起電極を形成し、
前記実装構造では、前記突起電極の前記第1の領域を前記対向電極と当接させて、前記第1の領域を前記第2の領域よりも多く押しつぶした状態とし、この状態で前記接着剤が硬化されることを特徴とする実装構造体の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−135687(P2008−135687A)
【公開日】平成20年6月12日(2008.6.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−146544(P2007−146544)
【出願日】平成19年6月1日(2007.6.1)
【出願人】(304053854)エプソンイメージングデバイス株式会社 (2,386)
【Fターム(参考)】