強化された銅のイオン化を伴うPVD銅シードオーバーハング再スパッタ
パターンが形成された基板上に金属を堆積させる方法および装置を提供する。金属層が,第1のエネルギーを有する物理蒸着工程で形成される。第2のエネルギーを用いて金属層上に第2の物理蒸着工程が行われ、ここで、堆積層は、脆性および塑性表面修正工程の相互作用を受け、基板上にほぼ同形の金属層が形成される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は基板を処理するための方法および装置に関する。特に、本発明の実施形態は、パターンが形成された基板上に金属層を堆積させる方法と装置に関する。
【背景技術】
【0002】
物理蒸着法(PVD)としても知られるスパッタリングは、集積回路の金属構成部を形成する重要な方法である。スパッタリングは、基板上に材料を層状に堆積させる。「ターゲット」が電界によって強力に加速されたイオンに照射される。この照射がターゲットから材料を放出させ材料は基板上に堆積する。
【0003】
スパッタリングは、従来平面基板上への材料の堆積に用いられていたが、最近では、基板上に形成されたトレンチや細い溝内に材料を堆積させることに適用されるようになった。誘電体層が,一般的に、導電体層や導電機構上に形成され、誘電体層はパターニングされて細い溝やトレンチの底面部の導電性機構が露呈する。層間の相互拡散を阻止するために、バリア層が一般に堆積されてから、金属がトレンチ内にスパッタリングされる。
【0004】
スパッタリングは、本来、基本的に弾道解析の対象である。高速運動するイオンがターゲットに突進し、ターゲット表面から粒子を放出する。粒子は、電荷転送機構を通じて入射イオンとの相互作用によって荷電される。あるいは、粒子は、空間に存在する電場との相互作用で荷電されるか、または、荷電されないままとなる。先行技術の図1に示すとおり、堆積は、一般に上表面領域上およびトレンチの側壁の頂部近くでより早く起こる。パターンが形成された誘電体12の基板10はスパッタされ、層14が堆積する。側壁16の頂点近くおよび上表面領域18でより早く堆積が起こる。このことは、放出された粒子が、基板表面に一般的に直角方向に移動するのではなく、全方向に移動することに原因し、そして、粒子はレンチ内に深く入る前に基板表面に接触する。
【0005】
粒子が基板表面に接触する前にトレンチ内に入るようにするために、粒子は、基板に適用された電気バイアスの元でイオン化し、加速される。加速されたイオンは、基板表面に直角な方向により均一に移動する。この粒子が基板の表面に接近すると、粒子の推進力が粒子をトレンチ内に運び、そこで、電気バイアスの影響で粒子はトレンチの側面に向かって屈折する。それにもかかわらず、トレンチ内により深く入り込むことによって、完全には除去できないが、側壁の頂点近くの「オーバーハング」の効果は減少できる。
【0006】
オーバーハングは、穴や空隙を持つ金属プラグを作る結果となる。もし、堆積工程があまりに長く行われると、2つのオーバーハング部がトレンチ上に成長し、それ以上の堆積によってトレンチを閉じ、そして穴を作る。そのような穴は導電性ではなく、形成された構造の電気伝導を著しく減殺する。半導体基板上に形成された装置はますます小形化が進み、基板上に形成されたトレンチや細い溝のアスペクト比や幅に対する高さの割合は、ますます大きくなっている。高いアスペクト比の配列は、空隙がないと埋められない。スパッタリング工程については、次第に増加する厄介なオーバーハングの問題を克服するために、持続的に挑戦が続けられている。
【発明の概要】
【0007】
本発明の実施形態は、基板の上表面領域に形成された開口部を有する基板を処理する方法を提供する。この方法は、基板上に第1の金属層を堆積し、基板上に第2の金属層を堆積しつつ、第1の金属層を脆性表面修正処理と可塑性表面処理によって修正する。
【0008】
その他の実施形態は、基板の上表面領域に形成された開口部内に同形の金属層を堆積させる方法を提供する。その方法は、プロセスチャンバ内の基板支持部上に基板を配置し、物理蒸着工程によって基板上に肉厚領域と肉薄領域を有する第1金属層を堆積させ、物理蒸着工程によって第1金属層上に第2金属層を堆積させ、第2金属層堆積中に第1金属層から材料を同時に放出させ、放出された材料を第2金属層に再堆積させ、第1金属層の肉厚領域から第1金属層の肉薄領域へ金属を押す。
【0009】
その他の実施形態は、上表面領域と、上表面領域内に側壁と底面部をもつ開口部を有する基板上に同形の金属層を堆積させる方法である。この方法は、処理チャンバ内の基板支持部上に基板を配置し、基板を第1の物理蒸着工程に暴露する。この工程は、100V未満の第1の電気バイアスを用いて金属イオンを基板表面に向かわせ、基板上に第1の金属層を堆積させる。ここで、第1の金属層は、側壁の頂上部と開口部の底面部に肉厚領域を持ち、開口部の側壁部に肉薄領域を持つ。次いで、第2の物理蒸着工程として、少なくとも250Vの第2の電気的バイアスを用いて、金属イオンを基板表面に向かわせ、基板上に第2の金属層を堆積させる。このとき、第1金属層を金属イオンで打撃して第1金属層から開口部の底面の材料を除去し、除去された材料を再配置して、側壁の頂上の肉厚領域から側壁の肉薄領域へ移動させる。
【0010】
簡略に上記に要約した本発明の特徴が詳細に理解されるように、本発明は、実施形態を参照して以下に記載され、ある特徴は添付した図面に記載された。しかしながら、添付した図面は本発明の典型的な実施形態を表すのみであり、本発明の範囲を限定するものではなく、本発明は、その他の有効な実施形態をも容認する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は先行技術の基板の概略の断面図である。
【図2A】図2Aは本発明の一実施形態による方法をまとめたフローチャートである。
【図2B】図2Bは、図2Aに示す方法の種々の段階における基板の概略の断面図である。
【図2C】図2Cは、図2Aに示す方法の種々の段階における基板の概略の断面図である。
【図2D】図2Dは、図2Aに示す方法の種々の段階における基板の概略の断面図である。
【図2E】図2Eは、図2Aに示す方法の種々の段階における基板の概略の断面図である。
【図3A】図3Aは、本発明の他の実施形態の方法をまとめたフローチャートである。
【図3B】図3Bは、図3Aの方法の種々の段階における基板の概略断面図である。
【図3C】図3Cは、図3Aの方法の種々の段階における基板の概略断面図である。
【図3D】図3Dは、図3Aの方法の種々の段階における基板の概略断面図である。
【図3E】図3Eは、図3Aの方法の種々の段階における基板の概略断面図である。
【図3F】図3Fは、図3Aの方法の種々の段階における基板の概略断面図である。
【図3G】図3Gは、図3Aの方法の種々の段階における基板の概略断面図である。
【図4】図4は、本発明の他の実施形態による装置の断面図である。
【図5】図5は図4の装置の一部の詳細図である。
【図6】図6は、リングコリメータの一実施形態の平面図である。
【図7】図7は、ハニカムコリメータの一実施形態の部分平面図である。
【図8A】図8Aは、基板支持部の一実施形態の断面図である。
【図8B】図8Bは、基板支持部のその他の実施形態の断面図である。
【0012】
理解を容易にするため、図面において共通の同一要素を表すために、可能な限り、同一の参照番号を用いた。ある実施形態に開示された構成要素は、特別の記載なしに他の実施形態にも有利に利用される。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の実施形態は、一般的に、半導体基板を処理する方法および装置を提供する。ここに記載の方法および装置は、基板上への金属堆積工程あるいは物理蒸着工程といった堆積工程の実行に適用される。一般的に、ここで用いられる「基板」という語句は、本来電気伝導能力を持つ材料、あるいは電気を伝導可能に修正できるすべての材料から形成される。典型的な基板材料は、以下に限定されないが、シリコン(Si)およびゲルマニウム(Ge)といった半導体、および半導体特性を示すその他の化合物を含む。そうした半導体化合物は一般に、III-V族、およびII-VI族化合物を含む。代表的なIII-V族化合物半導体は、以下に限定されないが、ガリウム砒素(GaAs)、ガリウム燐(GaP)および窒化ガリウム(GaN)を含む。「半導体基板」という語句は、一般的に、バルクの半導体基板およびその上に堆積層を有する基板も含む。その目的達成のために、本発明の方法によって処理された半導体基板の堆積層は、ホモエピタキシアル(例えば、シリコン・オン・シリコン)成長またはヘテロエピタキシアル(例えば、GaAs・オン・シリコン)成長のどちらかによって形成される。例えば、本発明の方法は、ヘテロエピタキシアル法によって形成されたガリウム砒素および窒化ガリウム基板を用いる。同様に、本発明の方法は、絶縁性基板(例えば、シリコン・オン・インシュレータ(SOI)基板)上に形成された比較的薄い結晶性シリコン層上に形成された、例えば、薄膜トランジスタ(TFT)といった集積装置を形成にも応用できる。
【0014】
本発明に記載の方法および装置を用いて、多くの種類の金属を基板上に堆積できる。特に、本明細書に記載された方法は、銅の堆積に有用であるが、アルミニウム、コバルト、チタン、タンタル、タングステン、モリブデン、白金、ニッケル、鉄、ニオブ、パラジウム、およびそれらの組み合わせあるいは合金等の他の金属も、上述の方法を用いて、堆積させることができる。
【0015】
図2Aは、本発明の一実施形態による方法200をまとめたフローチャートである。基板はステップ210において処理チャンバ内に配置される。図2Bは、本発明の方法によって処理される基板の模式断面図である。図2Bの基板は、下部層250と、その上のパターン層270を有する。下部層250は、導電性または半導性であり、パターン層270は、一般に誘電物質である。パターン層270は、一般に、上表面領域252と側壁254と底面部256をなすトレンチまたは溝を有する。パターン層の開口部は、約4:1より大きく、例えば、約10:1より大きい一般に1:1より大きいアスペクト比を示す。
【0016】
一般に、方法200に用いられる処理チャンバは、基板にイオンを照射することによって、基板上に材料を堆積させるように構成されている。こうしたイオン堆積型チャンバは、ある実施形態においては、物理蒸着(PVD)チャンバである。この種のチャンバの例を図4に関連して以下に示す。
【0017】
220において、第1の金属層が、第1のPVD工程を用いて、基板上に堆積される。第1のPVD工程は、堆積される材料のターゲットを準備し、ターゲットに隣接してプラズマを発生させて行われる。イオンはターゲットの近くに設けられた電磁界によってターゲットに向かって推進され、イオンの照射によってターゲットから材料を放出させる。放出された材料種は、電気的に中性かあるいは帯電され、その後、プラズマ中の他の粒子との相互作用でその状態を変化させる。ターゲットは基板上に堆積させたい材料を含む。ある実施形態では、ターゲットは銅である。その他の実施形態では、ターゲットは、例えば、アルミニウム、コバルト、チタン、タンタル、タングステン、モリブデン、白金、ニッケル、鉄、ニオブ、パラジウム、およびそれらの組み合わせといった銅以外の金属である。
【0018】
ターゲットと基板の間のガスをイオン化し、イオンをターゲットに推進させるために、ターゲットまたは基板に対して電気的バイアスがかけられる。バイアスは、DCかまたはRF電源を持ち、バイアス電圧は約10Vと約2400Vの間であり、約50ワットと約1000ワットの間の電力レベルが印加される。ある実施形態では、バイアス電圧は約20Vと約100Vの間、例えば約30Vと約70Vの間にあり、例えば、約50Vである。バイアス電力は、約100ワットと約200ワットの間の、例えば、120ワットである。ある実施形態において、バイアスは、低周波通過フィルタまたは高周波通過フィルタによって修正されているRF電源によって印加される。バイアスは正か負のバイアスであり、ターゲットまたは基板に印加される。
【0019】
基板は、一般に、基板にスパッタされる材料の蓄積を促進するように選択された温度に保持される。ある実施形態において、基板温度は、約0℃から約600℃の間、例えば、75℃に制御される。その他の実施形態において、基板温度は5℃より高く、約5℃と約600℃の間、あるいは、約20℃と約300℃の間、例えば、約50℃とされる。チャンバは通常真空に維持される。チャンバ圧力は約10Torr未満で、例えば、約1Torr未満、あるいは、約100mTorr未満、例えば約1mTorr未満とされる。
【0020】
ある実施形態において、基板に堆積する粒子の配列を増加させることは有効である。このことは、それを通過して粒子が基板に到達する物理的な配列装置、例えば、コリメータを介入させることによって達成される。強く傾斜した軌跡を持つ粒子は、基板ではなく、コリメータを直撃し堆積する。配列装置を用いることにより、粒子は、基板への入射角度が制御される。例えば、基板表面によって定義される面への入射角度が約60°未満の粒子が無いように、粒子の軌跡が制御される。ある実施形態では、例えば、約70°あるいは約80°というように、制御角度がより高くされる。しかし、制御角度が高くなるほど、より多くの粒子が配列装置によって除外されるので、粒子フラックスおよび堆積速度は遅くなる。入射角度を、例えば、約60°以上に制御する物理的配列装置を用いることによって、質量フラックスの純減は、約10%から約50%の間、例えば、約30%の結果となる。そのような装置を用いることによって、典型的な実施形態において、スパッタのエネルギーにも依存するが、約5μg/cm2・secと約100μg/cm2・secの間、あるいは、約10μg/cm2・secと約50μg/cm2・secの間、例えば、約30μg/cm2・secの質量フラックスが得られる。それに変わる実施形態では、PVDによって堆積されるイオンの軌跡を整えるために静電的手段を用いることが有利な場合がある。これで質量フラックスと堆積速度の減少を回避できる。
【0021】
図2Cに図示するように、第1金属層が基板上に堆積される。第1金属層258は、下地層250とパターン層270上に、上表面領域252、側壁254、および底面部256を覆うように堆積される。上述のように、第1金属層は、オーバーハング部260を有する。その部分では、第1金属層は側壁領域264より厚い。粒子が拡大するオーバーハング領域の拡大によって形成された制限された開口部に入ることは次第に困難となり、上表面領域252により多く堆積する。その結果、トレンチの底面部256を覆う第1金属層258の底面部262の形成速度が低下する。
【0022】
多くの実施形態において、第1金属層は、一般に、下地をなす基板の形状に倣った形状の曲面を有する。最小の曲率半径に対比して、オーバーハング領域と底面部は普通最大の曲率を持つ。ある実施形態において、第1金属層は下地をなす基板に形成された開口部の幅より小さい曲率半径を持つ。ある実施形態において、曲率半径は、開口部の幅の約半分より小さい。別の実施形態において、表面の曲線は開口部の頂上付近で急峻であり、下地の基板の開口部の頂上付近で一以上の基本的に角型構造部を形成する。そのような実施形態において、上表面領域をカバーする第1金属層の一部はキャッピング部を有する。一以上の基本的に角形構造部は、側壁が上表面領域と出会う開口部の頂上角の直上でもっとも薄い。
【0023】
230に記載のように、第2金属層が基板上に堆積される。第2金属層は,第1金属層と組成が等しくても、異なってもよい。ある実施形態では、第1金属層258の表面を修正することも含む堆積工程を支援するために、バイアスエネルギーが増加される。バイアスエネルギーは約500〜約5000ワット、例えば約800〜約3000ワット、例えば約1000ワットに増加される。バイアス電圧もまた、約100Vから約2500Vの間、例えば約200Vから約1000Vの間、例えば、約350Vに増加される。ある実施形態では、第2の堆積工程は、RFバイアスあるいはDCバイアスをターゲット又は基板に印加する方法とする。RF及びDCバイアスは、第2堆積工程において上述の出力レベルを適用することができる。
【0024】
第2堆積工程のより高いバイアスエネルギーは、基板とその上の堆積金属層により大きなエネルギーを付与する。このエネルギーは、脆性および塑性表面修正のプロセスを通じて、堆積された金属層の表面を修正する結果を与える。第1金属層に堆積された金属は、第2金属層が成長するまで表面修正処理がなされ、成長した時点で第2金属層が表面修正処理を受ける。脆性表面修正処理において、増加したバイアスによって加速されたイオンは堆積する金属の表面と衝突し、そこから材料を放出する。放出された材料は堆積された金属層表面の別の場所に再堆積される。可塑表面修正処理において、堆積された金属層からの原子は、ある場所から別の場所へ堆積された金属層の表面を、表面から離れずに押される。
【0025】
図2Dは、上述の第2堆積工程が行われている基板を模式的に図示している。イオン266が堆積金属層258の表面を叩く。イオン266は、コリメータや静電的配列装置といった物理的配列装置を用いることによって基板表面の方向の指向性軌跡を持つので、従って、パターン層270に形成された開口部に入射する。イオンのあるものは、堆積金属層の底面部262に衝突し、あるものは側壁部264に衝突、またあるものはオーバーハング部260に衝突する。衝突のエネルギーによって、堆積された金属層258、例えば、堆積金属層の底面部262からある材料が放出され、堆積された金属層上の、例えば、側壁部264に再堆積する。ある衝突は堆積金属層の表面に沿って、例えば、オーバーハング部260から側壁部264に材料を押す。
【0026】
これらの表面修正処理は240において、表面の金属層の厚さを均一化するために適用される。ある実施形態では、基本的に角形構造部や上述の外形のため、第2堆積工程での金属イオンの堆積は、開口部の頂上部付近の堆積金属層の厚さを増加させる。表面修正処理が、堆積した金属層を厚い部分から薄い部分に動かす。図2Eは、表面修正処理240を受けた基板を図示している。堆積された金属層258は、相互作用堆積230と表面修正処理240の結果として、基本的にパターン形状と同形の輪郭を持つ。
【0027】
図3Aは、本発明の他の実施形態による方法300をまとめたフローチャートである。302において、処理されるべき基板は処理チャンバ内の基板支持体上に配置される。典型的な基板を図3Bに図示する。基板は,下部層350とパターン層380を持つ。パターン層は、側壁354と底面部356を有する開口部と上表面領域352を持つ。ある実施形態において、底面部356は下部層350の露出部である。多くの実施形態において、下部層350は導電性または半導体であるが、パターン層380は絶縁体または誘電体である。従って、開口部は下部層350の導電性または半導性の材料が露出している。
【0028】
304において、基板は、第1のPVD工程における第1のエネルギーを持つ金属イオンに照射される。図3Cは、304の処理を受けている図3Bの基板を図示している。金属イオン358は、上述の物理的または静電的な配列手段を用いて基板方向に向けられ、基板表面に衝突する。金属イオン軌道の方向性が高いため、イオンの多くは上表面領域352、側壁354の上部、および開口部の底面部356と衝突する。306において、第1金属層が基板上に堆積される。図3Dは、上表面領域352、および開口部の側壁354および底面部356を覆う、基板上に堆積された第1金属層360を図示する。上表面領域352と側壁354上部への優先的堆積によって、第1金属層360のオーバーハング部362が形成される。オーバーハング部362が開口部を狭め、開口部内に入るイオンフラックスを減少させる。イオンの方向性のためにイオンフラックスが減少し、開口部の底面部356の堆積より側壁354への堆積が減少し、堆積した金属層に肉厚領域と肉薄領域が生ずる。
【0029】
図2Aから図2Eに関連して記載した実施形態と同様に、第1金属層360は,一般に、下地の基板の形状に沿った曲面あるいは輪郭を持つ。表面の曲線は、開口部の頂上付近で、基本的に角形構成を含む実施形態を含め、図2A〜2Eの実施形態と同様な特徴を持つ。
【0030】
308において、第1金属層は,第2PVD工程における第2エネルギーを持つ金属イオンに照射される。第2エネルギーは、金属層の表面の金属原子の塑性流動を支援するため第1金属層の表面エネルギーを低下させるように優先的に選択される。ある実施形態においては、第2エネルギーは、金属層の表面にある原子の結合エネルギーを減少させる。その他の実施形態では、第2エネルギーは表面の格子エネルギーを減少させる。大部分の実施形態において、第2エネルギーは、金属層の表面の金属原子の塑性流動を支援するため、第1金属層と第2堆積工程中に堆積される層の温度に適合させる。ある実施形態において、第2堆積工程中の金属層の温度は約50℃以上、約50℃と約200℃の間、または約80℃と約180℃の間であり、例えば、約150℃である。基板が金属の凝集開始温度に達することを防止するために温度管理が採用される。例えば、基板に熱的フラックスを授与するために、熱的に制御された基板支持体が用いられる。図3Eは、308の第2堆積工程を行っている基板を図示している。イオン368を基板に堆積された金属層360に照射し、イオンを表面上に堆積させて所望の温度に達するようにエネルギーを付与する。
【0031】
310において、イオンが堆積した金属層に衝突し、脆性表面修正工程によって堆積した金属層から材料を除去しまた移動させる。脆性表面修正工程は、衝突によって表面から粒子を物理的に分離することに特徴がある。図3Fは,310の工程が進行している基板の一部の詳細図である。典型例で述べれば、イオン368が堆積された金属層360のオーバーハング部362の間の狭くなった開口幅を通して進入し、堆積された金属層360の底面部366に衝突する。衝突のエネルギーは、材料370の粒子が表面から放出されるほどである。放出された粒子370は,堆積された金属層360の底面部366から離れて、軌道372に乗って移動し、堆積された金属層360の側壁部364上に再度堆積する。一般に100eVより大きいエネルギーを持つ粒子が金属層360から放出される。ある実施形態では、入射粒子は、約100eVから約1000eVの間、すなわち、約300eVから約700eVの間、例えば、約500eVのエネルギーを持つ。放出粒子の軌道は,放出粒子の統計的な出射角、開口部でのガス密度の上昇、放出粒子が帯電した場合の静電的効果によって、一般に金属層360の側壁部364に向かう傾向がある。
【0032】
312において、イオンは堆積した金属層に衝突し、塑性表面修正工程によって、表面に沿って材料を肉厚領域から肉薄領域に押し出す。塑性表面修正工程は、粒子が物理的に表面から離れることなしに、粒子が表面のある位置から別の表面位置に移されることに特徴がある。粒子を保持する表面での結合が伸張され、その幾つかは切断されるが、粒子が表面から完全に非結合となることはない。図3Gは、312の工程が進行中の基板の一部の詳細図である。典型例で述べれば、イオン368が、金属層360の肉厚領域に衝突し、かつ,多分オーバーハング部362に衝突する。入射角が高く低エネルギーであれば、イオン368は金属層360の表面上に単に堆積する。然し、入射角が低く、エネルギーが十分高ければ、イオン368の運動量が表面の粒子374等の一以上の粒子に移転され、それら粒子を元の位置から移動させる。塑性表面修正工程において、粒子374は金属層360の表面から放出されないが、軌跡376に示すように、表面との接続は保持しつつ表面に沿って移動する。そのような多くの粒子は,金属層360の側壁部364近傍の肉厚領域から肉薄領域へ押し出される。粒子のあるものは表面に平行な運動のみを受けて原子を表面で押し出し、一方別の粒子は表面に垂直な運動をも受ける。垂直方向の運動力を受けた粒子は金属マトリックス中の位置を離れ、表面原子のトップ位置に移動し、新たな表面層又は核生成部位を形成し、別の位置で表面層に戻る可能性がある。その他の粒子は表面の下方にまで移動し、表面近くの層を隆起させる。308に於ける堆積の相互作用、310に於ける脆性表面修正、および312に於ける塑性表面修正は、金属層360の肉厚の均一化をもたらし、基板の上にほぼ同形の金属層が得られる。側壁部が上表面領域部に近づく開口部の上部近傍の一以上の基本的角型部がある実施形態においては、第2堆積工程の間、金属イオンが堆積につれて、堆積される金属層の肉厚が開口部の最上部の角部で成長する。
【0033】
ここで注意すべきは、図2Aおよび図3Aの方法200および300においては、基板表面に衝突するイオンという文脈で記載されているが、中性粒子の使用も有利に働く。また、注意すべきは、堆積工程、脆性表面修正時の粒子放出、塑性表面修正時の粒子移動は、同時に、一斉に、そして、独立に進行することである。ある実施形態において、第2堆積工程は、脆性表面修正処理あるいは塑性表面修正処理のいずれかの開始前に始まり、そして、脆性表面修正処理が塑性表面修正処理の始まる前に始まる。その他の実施形態において、2つの表面修正処理がほぼ同時に始まることができる。ある実施形態では、3つの処理工程は、同時に、しかも一斉に進行してもよく、あるいは異なった時間に始まってもよい。脆性表面修正処理は第2堆積工程の終わる前に始まり、そして、塑性表面修正処理は脆性表面修正処理の終了前に始まる。
【0034】
図4は、PVDチャンバ436の一実施形態を図示している。適切なPVDチャンバの例は、ALPS(登録商標)plusおよびSIP ENCORE(登録商標)PVDプロセスチャンバであり、両者は共に、カリフォルニア州サンタクララのアプライドマテリアルズ社から入手可能である。
【0035】
一般に、PVDチャンバ436は、ターゲット442およびその上に半導体基板を支持し、図示したチャンバ壁かあるいは接地されたシールドである接地した筐体壁450内に配置された半導体基板454を支持するための基板支持部452といったスパッタ源をもつ。基板支持体452は図4の実施形態に台座として示されているが、しかし、その他の実施形態では、その他のタイプの基板支持体、例えば、エッジリング、あるいはピンなどが用いられる。
【0036】
チャンバ436は、誘電体アイソレータ446を介して接地された導電性アルミニウムアダプタ444に、O−リング(図示しない)によって支持され、シールされたターゲット442を含む。ターゲット442は、スパッタリング中に基板454表面に堆積されるべき材料からなり、それは、例えば、銅、アルミニウム、コバルト、チタン、タンタル、タングステン、モリブデン、白金、ニッケル、鉄、ニオブ、パラジウム、およびそれらの組み合わせを含み、これらは金属シリサイド層あるいは導電体を形成するために用いられる。ターゲット442は、また、金属表面層の結合された複合体やより有効な金属の下地層を含む。
【0037】
基板支持体452は、ターゲット442の主表面に対峙した平面にスパッタ膜を作成するための基板454を支持する。基板支持体452といった基板支持体は、ターゲット442のスパッタ面と一般に平行に配置された平面的な基板受け面を有する。基板支持体452はチャンバ底面壁460に結合されたベロー458によって垂直方向に移動可能とされている。この機構によって、積載用ロック弁(図示していない)によって基板454をチャンバ436の底面部にある基板支持体452上に移動させ、その後、基板454を堆積位置まで上昇させることが可能になる。堆積処理時のガスは、質量流量調整器464を通して、ガス源からチャンバ436の底面部に供給される。ガスは、バルブ466を持つパイプ468を通して、チャンバから排気される。
【0038】
チャンバ436に連結された制御可能な直流電源478を使用して、ターゲット442に負の電圧またはバイアスを印加することができる。RF電源456が、基板454上に負の直流自己バイアスを誘導するために、基板支持体452に連結されている。しかし、その他の応用例では、基板支持体452は接地されるか、あるいは電気的に浮上されている。
【0039】
回転可能なマグネトロン470がターゲット442の裏側に配置され、マグネトロンはチャンバ436と基板454の中心軸と一致する回転シャフト476に連結されたベース板474に支持された多数の馬蹄形磁石472を含む。馬蹄形磁石472は、典型的にキッドニ形状を持つ閉鎖パターンに配置されている。磁石472はチャンバ436内に、一般にターゲット442の前面に平行で、近接している磁界を作る。その磁場は、電子を補足し、そうして局部的なプラズマ密度を上昇させ、それに伴ってスパッタ速度を増加させる。磁石472はチャンバ436の最上部周辺に電磁場を形成する。そして、電磁場を回転させるために磁石472が回転され、この結果、ターゲット442のスパッタリングがより均一に行われるようにこの工程のプラズマ密度に影響を与える。
【0040】
本発明のチャンバ436は、図5の分解断面図により明瞭に示されるように、接地された底部シールド480を含む。ここで、シールド480は、アダプタ444の棚484上に支持され、かつ接続されている上部フランジ482を有する。ダークスペースシールド486は底部シールド480のフランジ482に支持され、スペースシールド486の上面に埋め込まれたネジ等の固定具により、スペースシールド486とネジ穴が設けられたフランジ484がアダプタの棚484に固定される。この金属によるネジ締結によって、2つのシールド480および486をアダプタ444に接地させる。一方、アダプタ444は、アルミニウム製チャンバの側壁450に密閉され接地される。両シールド480および486は通常、硬質の非磁性ステンレス鋼から形成されている。
【0041】
ダークスペースシールド486は、このスペースシールド486とターゲット442の間のターゲット442の円環状の側面凹部とわずかな隙間488で勘合している上部を持つ。その隙間は、プラズマが侵入できないように十分狭いので、誘電体アイソレータ446がターゲット442と電気的に短絡しないように、アイソレータが金属層にスパッタ被覆されることを防止する。ダークスペースシールド486は、底面シールド480とダークスペースシールド486の境界面がスパッタ堆積した金属によって結合されないように、下方に延びるチップ490も有する。
【0042】
図4の全体図に戻る。底面シールド480は、アダプタ444の壁とチャンバの壁450におおむね沿って基板支持部452の上面の下側に達するまで、上部の第1直径の概略管状部494およびより狭い第2直径の下部の概略管状部496の下方に延びている。底面シールド480はまた、半径方向に延びる底面部498を含むボウル形の底面部と基板支持体452のすぐ外側の上方に延びる内側部400も有する。カバーリング402は、基板支持体452が下部の基板搭載位置にある時、底面シールド480の上方に延びる内側部400の上方に載置されている。一方、基板支持体452が上部の堆積位置にあるときは、基板支持体452をスパッタによる堆積から守るために、カバーリング402が基板支持体452の外側周縁部に載置されている。付加的な堆積リング(図示していない)基板454の周辺部を堆積から遮蔽するために用いられる。
【0043】
チャンバ436は、基板に材料の方向性スパッタリングを行うための装置を備えるように構成することができる。一態様では、方向性スパッタリングは、基板454上へ堆積材料をより均一かつ対称的なフラックスに投入するために、ターゲット442と基板支持体452との間に、コリメータ410を配置することによって達成される。
【0044】
接地されたリングコリメータなどの金属リングコリメータ410が図4の実施形態に図示されている。リングコリメータ410は、底面シールド480の棚部406上に載置されているため、コリメータ410が接地されている。リングコリメータ410は、外側管状部と、少なくとも1個の内側の同心円状の管状部、例えば図6に示す十字支柱418、420によって連結された3個の同心円状管状部412、414、416を含む。外側の管状部416は、底面シールド480の棚部406に載置されている。コリメータ410を支持するために底面シールド480を用いることは、チャンバ436のデザインとメンテナンスを簡素化する。少なくとも2個の内側管状部412、414は、スパッタされた粒子を部分的にコリメートするため、高いアスペクト比の開口を画成するに十分な高さを持つ。さらに、コリメータ410の上面は、特にプラズマ電子を基板454に近づけないため、バイアスされたターゲット442の反対の接地面として作用する。
【0045】
本発明に使用可能な他の種類のコリメータは、図7の平面図に部分的に図示したように、6角形の開口728を密充填に配列した6角形の壁726を持つメッシュ構造のハニカムコリメータ724である。ハニカムコリメータ724の利点は、必要であれば、通常は凸形状であるコリメータ724の中心からコリメータ724の周辺までの厚さを変えることができ、このため、開口728のアスペクト比がコリメータ724を横切って変更できることである。このコリメータは1個またはそれ以上の凸状の側面を持つことが可能である。このことは、基板全体のスパッタのフラックス密度を自由に制御可能とし、堆積の均一性を高めることができる。このコリメータの平均のスパッタフラックス密度は平均アスペクト比に影響される。多くの実施形態では、コリメータ724のようなハニカムコリメータのアスペクト比は2:1から5:1の間、例えば3:1である。
【0046】
基板支持体452の一実施形態を図8Aに示す。この基板支持体452はPVD工程での使用に適している。一般に、基板支持体452は、シャフト845と連結されたベース840上に配置された熱制御部810を含む。
【0047】
熱制御部810は通常、熱伝導材料820と基板載置面875の中に配置された一又は複数の発熱体850を含む。熱伝導材料820は、発熱体850と基板支持面875との間での効率的な熱伝達のため、作業温度において、十分な熱伝導を有する材料であればよい。熱伝導材料の例はスチールである。基板支持表面875は誘電体材料を含むことができ、通常その上に配置される基板454の基本的に平面の受容面を含むことができる。
【0048】
発熱体850は、導電性材料820に埋め込まれたリード線を有する導電線といった抵抗加熱素子であって、この加熱素子は、導電性材料820を通して通電できる電気回路を構成している。加熱素子850の例は、熱伝導材料中820に配置された個別加熱コイルを含む。例えば、電圧源である電源896と電気的な抵抗加熱コイルの端部とを電線で接続し、コイルを十分に加熱するエネルギーを与える。コイルは基板支持体452の面をカバーするどのような形状でもよい。必要に応じて、付加的な加熱能力を与えるために、コイルの数は1個以上でもよい。
【0049】
熱制御部810の表面826に流体チャンネル890が連結され、基板支持体452の加熱、冷却に用いられる。流体チャンネル890は、遠隔地にある流体源894からの液体を循環させるための入口と出口をもつ同心円状のリング、一連のリング(図示されていない)、あるいはその他の必要な形状を有する。流体チャンネル890は、基板支持体452のシャフト845中に形成された流体通路892によって、流体源894と結合されている。電源896に接続された加熱素子850と、流体源894と接続された流体通路892を通した熱媒体によって冷却された流体チャンネル890、即ち、流体熱交換器との両方を含む基板支持体452の実施形態は、基板支持体452の表面875の熱的制御を可能とする。
【0050】
熱電対などの温度センサ860は、基板支持体452の熱制御部810の近傍に取り付けられるか埋め込まれ、通常の様式で温度を監視する。例えば、測定された温度は、基板温度が維持されるか、あるいは必要な温度範囲に制御されるように、電源896から加熱素子850に印加される電流を制御するためのフィードバックループに用いられる。制御ユニット(図示していない)が、温度センサ860からの信号を受信し、熱電源896や流体源894の応答信号の制御のために用いられる。
【0051】
加熱および冷却要素の電源896および流体源894は、通常チャンバ436の外側に配置される。流体通路892を含むユティリティ通路は、基板支持体452のベース840とシャフト845に沿って軸方向に配置される。保護用の柔軟なシース895はシャフト845周囲に配置され、基板支持体452とチャンバ436の内部の間の汚染防止のために、基板支持体452からチャンバの壁部(図示していない)まで設置されている。
【0052】
基板支持部452はさらに、熱制御部810の基板支持表面875と裏面ガス源(図示していない)とを流体結合しているガスチャンネル(図示していない)を含む。このガスチャンネルは、熱伝達ガスまたは熱制御部810と基板454の間のマスクガスの裏面ガス管を定義している。
【0053】
図8Bは、基板支持部452の温度制御部810に設置されるか、または温度制御部810を形成する静電チャックを持つ基板支持部452の他の実施形態を示している。温度制御部810は、電極830と誘電材料835が塗布された基板受容部875を含む。導電性ワイヤ(図示していない)が電極830を電源(図示していない)と連結している。基板454は、誘電材料835と接して載置され、直流電圧が電極830に印加され発生する静電吸引力に基板がとらえられる。
【0054】
通常、電極830は熱伝導材料820内に、その中に配置された加熱素子850と一定の間隔をあけて配置される。加熱素子850は、熱伝導材料820中の電極830から垂直方向に距離を空け、横方向に平行に配置される。典型的には、電極830は、加熱素子850と基板受容面875の間に配置されるが、その他の構成も用いられる。
【0055】
種々のガスが、ガス源872から基板支持体452の基板受容面875に供給される。そうしたガスが基板の裏面に接触することによって基板の温度制御の役割をなす。ガスはシャフト875の中心管路を移動し、基板受容面875、もしあれば、誘電体塗装面835内の開口部から排出される。
【0056】
上述の基板支持体452の実施形態は、基板を高真空除冷チャンバ内に支持するためにも使用できる。高真空除冷チャンバは、本明細書に記載されたチャンバ436等のPVDチャンバ内に配置される基板支持台452を含むことができる。この基板支持台452は、ブランクターゲットが配置されている、又はターゲットがなく、ターゲットあるいは基板支持台に連結されたバイアスもないものである。
【0057】
基板支持台452の実施形態は上述したが、この例は図示が目的であり、発明の範囲を限定すると解釈または理解すべきではない。例えば、支持台を支持するために用いるに適切な静電チャックは、カリフォルニア州サンタクララのアプライドマテリアルズ社製のMCA(登録商標)Electrostatic E−ChuckあるいはPyrolytic Boron Nitride Electrostatic E−Chuckがある。
【0058】
上述は本発明の実施形態として記載されたが、本発明の範囲を離れることなく、本発明のその他のあるいはさらなる実施形態が考案できる。
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は基板を処理するための方法および装置に関する。特に、本発明の実施形態は、パターンが形成された基板上に金属層を堆積させる方法と装置に関する。
【背景技術】
【0002】
物理蒸着法(PVD)としても知られるスパッタリングは、集積回路の金属構成部を形成する重要な方法である。スパッタリングは、基板上に材料を層状に堆積させる。「ターゲット」が電界によって強力に加速されたイオンに照射される。この照射がターゲットから材料を放出させ材料は基板上に堆積する。
【0003】
スパッタリングは、従来平面基板上への材料の堆積に用いられていたが、最近では、基板上に形成されたトレンチや細い溝内に材料を堆積させることに適用されるようになった。誘電体層が,一般的に、導電体層や導電機構上に形成され、誘電体層はパターニングされて細い溝やトレンチの底面部の導電性機構が露呈する。層間の相互拡散を阻止するために、バリア層が一般に堆積されてから、金属がトレンチ内にスパッタリングされる。
【0004】
スパッタリングは、本来、基本的に弾道解析の対象である。高速運動するイオンがターゲットに突進し、ターゲット表面から粒子を放出する。粒子は、電荷転送機構を通じて入射イオンとの相互作用によって荷電される。あるいは、粒子は、空間に存在する電場との相互作用で荷電されるか、または、荷電されないままとなる。先行技術の図1に示すとおり、堆積は、一般に上表面領域上およびトレンチの側壁の頂部近くでより早く起こる。パターンが形成された誘電体12の基板10はスパッタされ、層14が堆積する。側壁16の頂点近くおよび上表面領域18でより早く堆積が起こる。このことは、放出された粒子が、基板表面に一般的に直角方向に移動するのではなく、全方向に移動することに原因し、そして、粒子はレンチ内に深く入る前に基板表面に接触する。
【0005】
粒子が基板表面に接触する前にトレンチ内に入るようにするために、粒子は、基板に適用された電気バイアスの元でイオン化し、加速される。加速されたイオンは、基板表面に直角な方向により均一に移動する。この粒子が基板の表面に接近すると、粒子の推進力が粒子をトレンチ内に運び、そこで、電気バイアスの影響で粒子はトレンチの側面に向かって屈折する。それにもかかわらず、トレンチ内により深く入り込むことによって、完全には除去できないが、側壁の頂点近くの「オーバーハング」の効果は減少できる。
【0006】
オーバーハングは、穴や空隙を持つ金属プラグを作る結果となる。もし、堆積工程があまりに長く行われると、2つのオーバーハング部がトレンチ上に成長し、それ以上の堆積によってトレンチを閉じ、そして穴を作る。そのような穴は導電性ではなく、形成された構造の電気伝導を著しく減殺する。半導体基板上に形成された装置はますます小形化が進み、基板上に形成されたトレンチや細い溝のアスペクト比や幅に対する高さの割合は、ますます大きくなっている。高いアスペクト比の配列は、空隙がないと埋められない。スパッタリング工程については、次第に増加する厄介なオーバーハングの問題を克服するために、持続的に挑戦が続けられている。
【発明の概要】
【0007】
本発明の実施形態は、基板の上表面領域に形成された開口部を有する基板を処理する方法を提供する。この方法は、基板上に第1の金属層を堆積し、基板上に第2の金属層を堆積しつつ、第1の金属層を脆性表面修正処理と可塑性表面処理によって修正する。
【0008】
その他の実施形態は、基板の上表面領域に形成された開口部内に同形の金属層を堆積させる方法を提供する。その方法は、プロセスチャンバ内の基板支持部上に基板を配置し、物理蒸着工程によって基板上に肉厚領域と肉薄領域を有する第1金属層を堆積させ、物理蒸着工程によって第1金属層上に第2金属層を堆積させ、第2金属層堆積中に第1金属層から材料を同時に放出させ、放出された材料を第2金属層に再堆積させ、第1金属層の肉厚領域から第1金属層の肉薄領域へ金属を押す。
【0009】
その他の実施形態は、上表面領域と、上表面領域内に側壁と底面部をもつ開口部を有する基板上に同形の金属層を堆積させる方法である。この方法は、処理チャンバ内の基板支持部上に基板を配置し、基板を第1の物理蒸着工程に暴露する。この工程は、100V未満の第1の電気バイアスを用いて金属イオンを基板表面に向かわせ、基板上に第1の金属層を堆積させる。ここで、第1の金属層は、側壁の頂上部と開口部の底面部に肉厚領域を持ち、開口部の側壁部に肉薄領域を持つ。次いで、第2の物理蒸着工程として、少なくとも250Vの第2の電気的バイアスを用いて、金属イオンを基板表面に向かわせ、基板上に第2の金属層を堆積させる。このとき、第1金属層を金属イオンで打撃して第1金属層から開口部の底面の材料を除去し、除去された材料を再配置して、側壁の頂上の肉厚領域から側壁の肉薄領域へ移動させる。
【0010】
簡略に上記に要約した本発明の特徴が詳細に理解されるように、本発明は、実施形態を参照して以下に記載され、ある特徴は添付した図面に記載された。しかしながら、添付した図面は本発明の典型的な実施形態を表すのみであり、本発明の範囲を限定するものではなく、本発明は、その他の有効な実施形態をも容認する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は先行技術の基板の概略の断面図である。
【図2A】図2Aは本発明の一実施形態による方法をまとめたフローチャートである。
【図2B】図2Bは、図2Aに示す方法の種々の段階における基板の概略の断面図である。
【図2C】図2Cは、図2Aに示す方法の種々の段階における基板の概略の断面図である。
【図2D】図2Dは、図2Aに示す方法の種々の段階における基板の概略の断面図である。
【図2E】図2Eは、図2Aに示す方法の種々の段階における基板の概略の断面図である。
【図3A】図3Aは、本発明の他の実施形態の方法をまとめたフローチャートである。
【図3B】図3Bは、図3Aの方法の種々の段階における基板の概略断面図である。
【図3C】図3Cは、図3Aの方法の種々の段階における基板の概略断面図である。
【図3D】図3Dは、図3Aの方法の種々の段階における基板の概略断面図である。
【図3E】図3Eは、図3Aの方法の種々の段階における基板の概略断面図である。
【図3F】図3Fは、図3Aの方法の種々の段階における基板の概略断面図である。
【図3G】図3Gは、図3Aの方法の種々の段階における基板の概略断面図である。
【図4】図4は、本発明の他の実施形態による装置の断面図である。
【図5】図5は図4の装置の一部の詳細図である。
【図6】図6は、リングコリメータの一実施形態の平面図である。
【図7】図7は、ハニカムコリメータの一実施形態の部分平面図である。
【図8A】図8Aは、基板支持部の一実施形態の断面図である。
【図8B】図8Bは、基板支持部のその他の実施形態の断面図である。
【0012】
理解を容易にするため、図面において共通の同一要素を表すために、可能な限り、同一の参照番号を用いた。ある実施形態に開示された構成要素は、特別の記載なしに他の実施形態にも有利に利用される。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の実施形態は、一般的に、半導体基板を処理する方法および装置を提供する。ここに記載の方法および装置は、基板上への金属堆積工程あるいは物理蒸着工程といった堆積工程の実行に適用される。一般的に、ここで用いられる「基板」という語句は、本来電気伝導能力を持つ材料、あるいは電気を伝導可能に修正できるすべての材料から形成される。典型的な基板材料は、以下に限定されないが、シリコン(Si)およびゲルマニウム(Ge)といった半導体、および半導体特性を示すその他の化合物を含む。そうした半導体化合物は一般に、III-V族、およびII-VI族化合物を含む。代表的なIII-V族化合物半導体は、以下に限定されないが、ガリウム砒素(GaAs)、ガリウム燐(GaP)および窒化ガリウム(GaN)を含む。「半導体基板」という語句は、一般的に、バルクの半導体基板およびその上に堆積層を有する基板も含む。その目的達成のために、本発明の方法によって処理された半導体基板の堆積層は、ホモエピタキシアル(例えば、シリコン・オン・シリコン)成長またはヘテロエピタキシアル(例えば、GaAs・オン・シリコン)成長のどちらかによって形成される。例えば、本発明の方法は、ヘテロエピタキシアル法によって形成されたガリウム砒素および窒化ガリウム基板を用いる。同様に、本発明の方法は、絶縁性基板(例えば、シリコン・オン・インシュレータ(SOI)基板)上に形成された比較的薄い結晶性シリコン層上に形成された、例えば、薄膜トランジスタ(TFT)といった集積装置を形成にも応用できる。
【0014】
本発明に記載の方法および装置を用いて、多くの種類の金属を基板上に堆積できる。特に、本明細書に記載された方法は、銅の堆積に有用であるが、アルミニウム、コバルト、チタン、タンタル、タングステン、モリブデン、白金、ニッケル、鉄、ニオブ、パラジウム、およびそれらの組み合わせあるいは合金等の他の金属も、上述の方法を用いて、堆積させることができる。
【0015】
図2Aは、本発明の一実施形態による方法200をまとめたフローチャートである。基板はステップ210において処理チャンバ内に配置される。図2Bは、本発明の方法によって処理される基板の模式断面図である。図2Bの基板は、下部層250と、その上のパターン層270を有する。下部層250は、導電性または半導性であり、パターン層270は、一般に誘電物質である。パターン層270は、一般に、上表面領域252と側壁254と底面部256をなすトレンチまたは溝を有する。パターン層の開口部は、約4:1より大きく、例えば、約10:1より大きい一般に1:1より大きいアスペクト比を示す。
【0016】
一般に、方法200に用いられる処理チャンバは、基板にイオンを照射することによって、基板上に材料を堆積させるように構成されている。こうしたイオン堆積型チャンバは、ある実施形態においては、物理蒸着(PVD)チャンバである。この種のチャンバの例を図4に関連して以下に示す。
【0017】
220において、第1の金属層が、第1のPVD工程を用いて、基板上に堆積される。第1のPVD工程は、堆積される材料のターゲットを準備し、ターゲットに隣接してプラズマを発生させて行われる。イオンはターゲットの近くに設けられた電磁界によってターゲットに向かって推進され、イオンの照射によってターゲットから材料を放出させる。放出された材料種は、電気的に中性かあるいは帯電され、その後、プラズマ中の他の粒子との相互作用でその状態を変化させる。ターゲットは基板上に堆積させたい材料を含む。ある実施形態では、ターゲットは銅である。その他の実施形態では、ターゲットは、例えば、アルミニウム、コバルト、チタン、タンタル、タングステン、モリブデン、白金、ニッケル、鉄、ニオブ、パラジウム、およびそれらの組み合わせといった銅以外の金属である。
【0018】
ターゲットと基板の間のガスをイオン化し、イオンをターゲットに推進させるために、ターゲットまたは基板に対して電気的バイアスがかけられる。バイアスは、DCかまたはRF電源を持ち、バイアス電圧は約10Vと約2400Vの間であり、約50ワットと約1000ワットの間の電力レベルが印加される。ある実施形態では、バイアス電圧は約20Vと約100Vの間、例えば約30Vと約70Vの間にあり、例えば、約50Vである。バイアス電力は、約100ワットと約200ワットの間の、例えば、120ワットである。ある実施形態において、バイアスは、低周波通過フィルタまたは高周波通過フィルタによって修正されているRF電源によって印加される。バイアスは正か負のバイアスであり、ターゲットまたは基板に印加される。
【0019】
基板は、一般に、基板にスパッタされる材料の蓄積を促進するように選択された温度に保持される。ある実施形態において、基板温度は、約0℃から約600℃の間、例えば、75℃に制御される。その他の実施形態において、基板温度は5℃より高く、約5℃と約600℃の間、あるいは、約20℃と約300℃の間、例えば、約50℃とされる。チャンバは通常真空に維持される。チャンバ圧力は約10Torr未満で、例えば、約1Torr未満、あるいは、約100mTorr未満、例えば約1mTorr未満とされる。
【0020】
ある実施形態において、基板に堆積する粒子の配列を増加させることは有効である。このことは、それを通過して粒子が基板に到達する物理的な配列装置、例えば、コリメータを介入させることによって達成される。強く傾斜した軌跡を持つ粒子は、基板ではなく、コリメータを直撃し堆積する。配列装置を用いることにより、粒子は、基板への入射角度が制御される。例えば、基板表面によって定義される面への入射角度が約60°未満の粒子が無いように、粒子の軌跡が制御される。ある実施形態では、例えば、約70°あるいは約80°というように、制御角度がより高くされる。しかし、制御角度が高くなるほど、より多くの粒子が配列装置によって除外されるので、粒子フラックスおよび堆積速度は遅くなる。入射角度を、例えば、約60°以上に制御する物理的配列装置を用いることによって、質量フラックスの純減は、約10%から約50%の間、例えば、約30%の結果となる。そのような装置を用いることによって、典型的な実施形態において、スパッタのエネルギーにも依存するが、約5μg/cm2・secと約100μg/cm2・secの間、あるいは、約10μg/cm2・secと約50μg/cm2・secの間、例えば、約30μg/cm2・secの質量フラックスが得られる。それに変わる実施形態では、PVDによって堆積されるイオンの軌跡を整えるために静電的手段を用いることが有利な場合がある。これで質量フラックスと堆積速度の減少を回避できる。
【0021】
図2Cに図示するように、第1金属層が基板上に堆積される。第1金属層258は、下地層250とパターン層270上に、上表面領域252、側壁254、および底面部256を覆うように堆積される。上述のように、第1金属層は、オーバーハング部260を有する。その部分では、第1金属層は側壁領域264より厚い。粒子が拡大するオーバーハング領域の拡大によって形成された制限された開口部に入ることは次第に困難となり、上表面領域252により多く堆積する。その結果、トレンチの底面部256を覆う第1金属層258の底面部262の形成速度が低下する。
【0022】
多くの実施形態において、第1金属層は、一般に、下地をなす基板の形状に倣った形状の曲面を有する。最小の曲率半径に対比して、オーバーハング領域と底面部は普通最大の曲率を持つ。ある実施形態において、第1金属層は下地をなす基板に形成された開口部の幅より小さい曲率半径を持つ。ある実施形態において、曲率半径は、開口部の幅の約半分より小さい。別の実施形態において、表面の曲線は開口部の頂上付近で急峻であり、下地の基板の開口部の頂上付近で一以上の基本的に角型構造部を形成する。そのような実施形態において、上表面領域をカバーする第1金属層の一部はキャッピング部を有する。一以上の基本的に角形構造部は、側壁が上表面領域と出会う開口部の頂上角の直上でもっとも薄い。
【0023】
230に記載のように、第2金属層が基板上に堆積される。第2金属層は,第1金属層と組成が等しくても、異なってもよい。ある実施形態では、第1金属層258の表面を修正することも含む堆積工程を支援するために、バイアスエネルギーが増加される。バイアスエネルギーは約500〜約5000ワット、例えば約800〜約3000ワット、例えば約1000ワットに増加される。バイアス電圧もまた、約100Vから約2500Vの間、例えば約200Vから約1000Vの間、例えば、約350Vに増加される。ある実施形態では、第2の堆積工程は、RFバイアスあるいはDCバイアスをターゲット又は基板に印加する方法とする。RF及びDCバイアスは、第2堆積工程において上述の出力レベルを適用することができる。
【0024】
第2堆積工程のより高いバイアスエネルギーは、基板とその上の堆積金属層により大きなエネルギーを付与する。このエネルギーは、脆性および塑性表面修正のプロセスを通じて、堆積された金属層の表面を修正する結果を与える。第1金属層に堆積された金属は、第2金属層が成長するまで表面修正処理がなされ、成長した時点で第2金属層が表面修正処理を受ける。脆性表面修正処理において、増加したバイアスによって加速されたイオンは堆積する金属の表面と衝突し、そこから材料を放出する。放出された材料は堆積された金属層表面の別の場所に再堆積される。可塑表面修正処理において、堆積された金属層からの原子は、ある場所から別の場所へ堆積された金属層の表面を、表面から離れずに押される。
【0025】
図2Dは、上述の第2堆積工程が行われている基板を模式的に図示している。イオン266が堆積金属層258の表面を叩く。イオン266は、コリメータや静電的配列装置といった物理的配列装置を用いることによって基板表面の方向の指向性軌跡を持つので、従って、パターン層270に形成された開口部に入射する。イオンのあるものは、堆積金属層の底面部262に衝突し、あるものは側壁部264に衝突、またあるものはオーバーハング部260に衝突する。衝突のエネルギーによって、堆積された金属層258、例えば、堆積金属層の底面部262からある材料が放出され、堆積された金属層上の、例えば、側壁部264に再堆積する。ある衝突は堆積金属層の表面に沿って、例えば、オーバーハング部260から側壁部264に材料を押す。
【0026】
これらの表面修正処理は240において、表面の金属層の厚さを均一化するために適用される。ある実施形態では、基本的に角形構造部や上述の外形のため、第2堆積工程での金属イオンの堆積は、開口部の頂上部付近の堆積金属層の厚さを増加させる。表面修正処理が、堆積した金属層を厚い部分から薄い部分に動かす。図2Eは、表面修正処理240を受けた基板を図示している。堆積された金属層258は、相互作用堆積230と表面修正処理240の結果として、基本的にパターン形状と同形の輪郭を持つ。
【0027】
図3Aは、本発明の他の実施形態による方法300をまとめたフローチャートである。302において、処理されるべき基板は処理チャンバ内の基板支持体上に配置される。典型的な基板を図3Bに図示する。基板は,下部層350とパターン層380を持つ。パターン層は、側壁354と底面部356を有する開口部と上表面領域352を持つ。ある実施形態において、底面部356は下部層350の露出部である。多くの実施形態において、下部層350は導電性または半導体であるが、パターン層380は絶縁体または誘電体である。従って、開口部は下部層350の導電性または半導性の材料が露出している。
【0028】
304において、基板は、第1のPVD工程における第1のエネルギーを持つ金属イオンに照射される。図3Cは、304の処理を受けている図3Bの基板を図示している。金属イオン358は、上述の物理的または静電的な配列手段を用いて基板方向に向けられ、基板表面に衝突する。金属イオン軌道の方向性が高いため、イオンの多くは上表面領域352、側壁354の上部、および開口部の底面部356と衝突する。306において、第1金属層が基板上に堆積される。図3Dは、上表面領域352、および開口部の側壁354および底面部356を覆う、基板上に堆積された第1金属層360を図示する。上表面領域352と側壁354上部への優先的堆積によって、第1金属層360のオーバーハング部362が形成される。オーバーハング部362が開口部を狭め、開口部内に入るイオンフラックスを減少させる。イオンの方向性のためにイオンフラックスが減少し、開口部の底面部356の堆積より側壁354への堆積が減少し、堆積した金属層に肉厚領域と肉薄領域が生ずる。
【0029】
図2Aから図2Eに関連して記載した実施形態と同様に、第1金属層360は,一般に、下地の基板の形状に沿った曲面あるいは輪郭を持つ。表面の曲線は、開口部の頂上付近で、基本的に角形構成を含む実施形態を含め、図2A〜2Eの実施形態と同様な特徴を持つ。
【0030】
308において、第1金属層は,第2PVD工程における第2エネルギーを持つ金属イオンに照射される。第2エネルギーは、金属層の表面の金属原子の塑性流動を支援するため第1金属層の表面エネルギーを低下させるように優先的に選択される。ある実施形態においては、第2エネルギーは、金属層の表面にある原子の結合エネルギーを減少させる。その他の実施形態では、第2エネルギーは表面の格子エネルギーを減少させる。大部分の実施形態において、第2エネルギーは、金属層の表面の金属原子の塑性流動を支援するため、第1金属層と第2堆積工程中に堆積される層の温度に適合させる。ある実施形態において、第2堆積工程中の金属層の温度は約50℃以上、約50℃と約200℃の間、または約80℃と約180℃の間であり、例えば、約150℃である。基板が金属の凝集開始温度に達することを防止するために温度管理が採用される。例えば、基板に熱的フラックスを授与するために、熱的に制御された基板支持体が用いられる。図3Eは、308の第2堆積工程を行っている基板を図示している。イオン368を基板に堆積された金属層360に照射し、イオンを表面上に堆積させて所望の温度に達するようにエネルギーを付与する。
【0031】
310において、イオンが堆積した金属層に衝突し、脆性表面修正工程によって堆積した金属層から材料を除去しまた移動させる。脆性表面修正工程は、衝突によって表面から粒子を物理的に分離することに特徴がある。図3Fは,310の工程が進行している基板の一部の詳細図である。典型例で述べれば、イオン368が堆積された金属層360のオーバーハング部362の間の狭くなった開口幅を通して進入し、堆積された金属層360の底面部366に衝突する。衝突のエネルギーは、材料370の粒子が表面から放出されるほどである。放出された粒子370は,堆積された金属層360の底面部366から離れて、軌道372に乗って移動し、堆積された金属層360の側壁部364上に再度堆積する。一般に100eVより大きいエネルギーを持つ粒子が金属層360から放出される。ある実施形態では、入射粒子は、約100eVから約1000eVの間、すなわち、約300eVから約700eVの間、例えば、約500eVのエネルギーを持つ。放出粒子の軌道は,放出粒子の統計的な出射角、開口部でのガス密度の上昇、放出粒子が帯電した場合の静電的効果によって、一般に金属層360の側壁部364に向かう傾向がある。
【0032】
312において、イオンは堆積した金属層に衝突し、塑性表面修正工程によって、表面に沿って材料を肉厚領域から肉薄領域に押し出す。塑性表面修正工程は、粒子が物理的に表面から離れることなしに、粒子が表面のある位置から別の表面位置に移されることに特徴がある。粒子を保持する表面での結合が伸張され、その幾つかは切断されるが、粒子が表面から完全に非結合となることはない。図3Gは、312の工程が進行中の基板の一部の詳細図である。典型例で述べれば、イオン368が、金属層360の肉厚領域に衝突し、かつ,多分オーバーハング部362に衝突する。入射角が高く低エネルギーであれば、イオン368は金属層360の表面上に単に堆積する。然し、入射角が低く、エネルギーが十分高ければ、イオン368の運動量が表面の粒子374等の一以上の粒子に移転され、それら粒子を元の位置から移動させる。塑性表面修正工程において、粒子374は金属層360の表面から放出されないが、軌跡376に示すように、表面との接続は保持しつつ表面に沿って移動する。そのような多くの粒子は,金属層360の側壁部364近傍の肉厚領域から肉薄領域へ押し出される。粒子のあるものは表面に平行な運動のみを受けて原子を表面で押し出し、一方別の粒子は表面に垂直な運動をも受ける。垂直方向の運動力を受けた粒子は金属マトリックス中の位置を離れ、表面原子のトップ位置に移動し、新たな表面層又は核生成部位を形成し、別の位置で表面層に戻る可能性がある。その他の粒子は表面の下方にまで移動し、表面近くの層を隆起させる。308に於ける堆積の相互作用、310に於ける脆性表面修正、および312に於ける塑性表面修正は、金属層360の肉厚の均一化をもたらし、基板の上にほぼ同形の金属層が得られる。側壁部が上表面領域部に近づく開口部の上部近傍の一以上の基本的角型部がある実施形態においては、第2堆積工程の間、金属イオンが堆積につれて、堆積される金属層の肉厚が開口部の最上部の角部で成長する。
【0033】
ここで注意すべきは、図2Aおよび図3Aの方法200および300においては、基板表面に衝突するイオンという文脈で記載されているが、中性粒子の使用も有利に働く。また、注意すべきは、堆積工程、脆性表面修正時の粒子放出、塑性表面修正時の粒子移動は、同時に、一斉に、そして、独立に進行することである。ある実施形態において、第2堆積工程は、脆性表面修正処理あるいは塑性表面修正処理のいずれかの開始前に始まり、そして、脆性表面修正処理が塑性表面修正処理の始まる前に始まる。その他の実施形態において、2つの表面修正処理がほぼ同時に始まることができる。ある実施形態では、3つの処理工程は、同時に、しかも一斉に進行してもよく、あるいは異なった時間に始まってもよい。脆性表面修正処理は第2堆積工程の終わる前に始まり、そして、塑性表面修正処理は脆性表面修正処理の終了前に始まる。
【0034】
図4は、PVDチャンバ436の一実施形態を図示している。適切なPVDチャンバの例は、ALPS(登録商標)plusおよびSIP ENCORE(登録商標)PVDプロセスチャンバであり、両者は共に、カリフォルニア州サンタクララのアプライドマテリアルズ社から入手可能である。
【0035】
一般に、PVDチャンバ436は、ターゲット442およびその上に半導体基板を支持し、図示したチャンバ壁かあるいは接地されたシールドである接地した筐体壁450内に配置された半導体基板454を支持するための基板支持部452といったスパッタ源をもつ。基板支持体452は図4の実施形態に台座として示されているが、しかし、その他の実施形態では、その他のタイプの基板支持体、例えば、エッジリング、あるいはピンなどが用いられる。
【0036】
チャンバ436は、誘電体アイソレータ446を介して接地された導電性アルミニウムアダプタ444に、O−リング(図示しない)によって支持され、シールされたターゲット442を含む。ターゲット442は、スパッタリング中に基板454表面に堆積されるべき材料からなり、それは、例えば、銅、アルミニウム、コバルト、チタン、タンタル、タングステン、モリブデン、白金、ニッケル、鉄、ニオブ、パラジウム、およびそれらの組み合わせを含み、これらは金属シリサイド層あるいは導電体を形成するために用いられる。ターゲット442は、また、金属表面層の結合された複合体やより有効な金属の下地層を含む。
【0037】
基板支持体452は、ターゲット442の主表面に対峙した平面にスパッタ膜を作成するための基板454を支持する。基板支持体452といった基板支持体は、ターゲット442のスパッタ面と一般に平行に配置された平面的な基板受け面を有する。基板支持体452はチャンバ底面壁460に結合されたベロー458によって垂直方向に移動可能とされている。この機構によって、積載用ロック弁(図示していない)によって基板454をチャンバ436の底面部にある基板支持体452上に移動させ、その後、基板454を堆積位置まで上昇させることが可能になる。堆積処理時のガスは、質量流量調整器464を通して、ガス源からチャンバ436の底面部に供給される。ガスは、バルブ466を持つパイプ468を通して、チャンバから排気される。
【0038】
チャンバ436に連結された制御可能な直流電源478を使用して、ターゲット442に負の電圧またはバイアスを印加することができる。RF電源456が、基板454上に負の直流自己バイアスを誘導するために、基板支持体452に連結されている。しかし、その他の応用例では、基板支持体452は接地されるか、あるいは電気的に浮上されている。
【0039】
回転可能なマグネトロン470がターゲット442の裏側に配置され、マグネトロンはチャンバ436と基板454の中心軸と一致する回転シャフト476に連結されたベース板474に支持された多数の馬蹄形磁石472を含む。馬蹄形磁石472は、典型的にキッドニ形状を持つ閉鎖パターンに配置されている。磁石472はチャンバ436内に、一般にターゲット442の前面に平行で、近接している磁界を作る。その磁場は、電子を補足し、そうして局部的なプラズマ密度を上昇させ、それに伴ってスパッタ速度を増加させる。磁石472はチャンバ436の最上部周辺に電磁場を形成する。そして、電磁場を回転させるために磁石472が回転され、この結果、ターゲット442のスパッタリングがより均一に行われるようにこの工程のプラズマ密度に影響を与える。
【0040】
本発明のチャンバ436は、図5の分解断面図により明瞭に示されるように、接地された底部シールド480を含む。ここで、シールド480は、アダプタ444の棚484上に支持され、かつ接続されている上部フランジ482を有する。ダークスペースシールド486は底部シールド480のフランジ482に支持され、スペースシールド486の上面に埋め込まれたネジ等の固定具により、スペースシールド486とネジ穴が設けられたフランジ484がアダプタの棚484に固定される。この金属によるネジ締結によって、2つのシールド480および486をアダプタ444に接地させる。一方、アダプタ444は、アルミニウム製チャンバの側壁450に密閉され接地される。両シールド480および486は通常、硬質の非磁性ステンレス鋼から形成されている。
【0041】
ダークスペースシールド486は、このスペースシールド486とターゲット442の間のターゲット442の円環状の側面凹部とわずかな隙間488で勘合している上部を持つ。その隙間は、プラズマが侵入できないように十分狭いので、誘電体アイソレータ446がターゲット442と電気的に短絡しないように、アイソレータが金属層にスパッタ被覆されることを防止する。ダークスペースシールド486は、底面シールド480とダークスペースシールド486の境界面がスパッタ堆積した金属によって結合されないように、下方に延びるチップ490も有する。
【0042】
図4の全体図に戻る。底面シールド480は、アダプタ444の壁とチャンバの壁450におおむね沿って基板支持部452の上面の下側に達するまで、上部の第1直径の概略管状部494およびより狭い第2直径の下部の概略管状部496の下方に延びている。底面シールド480はまた、半径方向に延びる底面部498を含むボウル形の底面部と基板支持体452のすぐ外側の上方に延びる内側部400も有する。カバーリング402は、基板支持体452が下部の基板搭載位置にある時、底面シールド480の上方に延びる内側部400の上方に載置されている。一方、基板支持体452が上部の堆積位置にあるときは、基板支持体452をスパッタによる堆積から守るために、カバーリング402が基板支持体452の外側周縁部に載置されている。付加的な堆積リング(図示していない)基板454の周辺部を堆積から遮蔽するために用いられる。
【0043】
チャンバ436は、基板に材料の方向性スパッタリングを行うための装置を備えるように構成することができる。一態様では、方向性スパッタリングは、基板454上へ堆積材料をより均一かつ対称的なフラックスに投入するために、ターゲット442と基板支持体452との間に、コリメータ410を配置することによって達成される。
【0044】
接地されたリングコリメータなどの金属リングコリメータ410が図4の実施形態に図示されている。リングコリメータ410は、底面シールド480の棚部406上に載置されているため、コリメータ410が接地されている。リングコリメータ410は、外側管状部と、少なくとも1個の内側の同心円状の管状部、例えば図6に示す十字支柱418、420によって連結された3個の同心円状管状部412、414、416を含む。外側の管状部416は、底面シールド480の棚部406に載置されている。コリメータ410を支持するために底面シールド480を用いることは、チャンバ436のデザインとメンテナンスを簡素化する。少なくとも2個の内側管状部412、414は、スパッタされた粒子を部分的にコリメートするため、高いアスペクト比の開口を画成するに十分な高さを持つ。さらに、コリメータ410の上面は、特にプラズマ電子を基板454に近づけないため、バイアスされたターゲット442の反対の接地面として作用する。
【0045】
本発明に使用可能な他の種類のコリメータは、図7の平面図に部分的に図示したように、6角形の開口728を密充填に配列した6角形の壁726を持つメッシュ構造のハニカムコリメータ724である。ハニカムコリメータ724の利点は、必要であれば、通常は凸形状であるコリメータ724の中心からコリメータ724の周辺までの厚さを変えることができ、このため、開口728のアスペクト比がコリメータ724を横切って変更できることである。このコリメータは1個またはそれ以上の凸状の側面を持つことが可能である。このことは、基板全体のスパッタのフラックス密度を自由に制御可能とし、堆積の均一性を高めることができる。このコリメータの平均のスパッタフラックス密度は平均アスペクト比に影響される。多くの実施形態では、コリメータ724のようなハニカムコリメータのアスペクト比は2:1から5:1の間、例えば3:1である。
【0046】
基板支持体452の一実施形態を図8Aに示す。この基板支持体452はPVD工程での使用に適している。一般に、基板支持体452は、シャフト845と連結されたベース840上に配置された熱制御部810を含む。
【0047】
熱制御部810は通常、熱伝導材料820と基板載置面875の中に配置された一又は複数の発熱体850を含む。熱伝導材料820は、発熱体850と基板支持面875との間での効率的な熱伝達のため、作業温度において、十分な熱伝導を有する材料であればよい。熱伝導材料の例はスチールである。基板支持表面875は誘電体材料を含むことができ、通常その上に配置される基板454の基本的に平面の受容面を含むことができる。
【0048】
発熱体850は、導電性材料820に埋め込まれたリード線を有する導電線といった抵抗加熱素子であって、この加熱素子は、導電性材料820を通して通電できる電気回路を構成している。加熱素子850の例は、熱伝導材料中820に配置された個別加熱コイルを含む。例えば、電圧源である電源896と電気的な抵抗加熱コイルの端部とを電線で接続し、コイルを十分に加熱するエネルギーを与える。コイルは基板支持体452の面をカバーするどのような形状でもよい。必要に応じて、付加的な加熱能力を与えるために、コイルの数は1個以上でもよい。
【0049】
熱制御部810の表面826に流体チャンネル890が連結され、基板支持体452の加熱、冷却に用いられる。流体チャンネル890は、遠隔地にある流体源894からの液体を循環させるための入口と出口をもつ同心円状のリング、一連のリング(図示されていない)、あるいはその他の必要な形状を有する。流体チャンネル890は、基板支持体452のシャフト845中に形成された流体通路892によって、流体源894と結合されている。電源896に接続された加熱素子850と、流体源894と接続された流体通路892を通した熱媒体によって冷却された流体チャンネル890、即ち、流体熱交換器との両方を含む基板支持体452の実施形態は、基板支持体452の表面875の熱的制御を可能とする。
【0050】
熱電対などの温度センサ860は、基板支持体452の熱制御部810の近傍に取り付けられるか埋め込まれ、通常の様式で温度を監視する。例えば、測定された温度は、基板温度が維持されるか、あるいは必要な温度範囲に制御されるように、電源896から加熱素子850に印加される電流を制御するためのフィードバックループに用いられる。制御ユニット(図示していない)が、温度センサ860からの信号を受信し、熱電源896や流体源894の応答信号の制御のために用いられる。
【0051】
加熱および冷却要素の電源896および流体源894は、通常チャンバ436の外側に配置される。流体通路892を含むユティリティ通路は、基板支持体452のベース840とシャフト845に沿って軸方向に配置される。保護用の柔軟なシース895はシャフト845周囲に配置され、基板支持体452とチャンバ436の内部の間の汚染防止のために、基板支持体452からチャンバの壁部(図示していない)まで設置されている。
【0052】
基板支持部452はさらに、熱制御部810の基板支持表面875と裏面ガス源(図示していない)とを流体結合しているガスチャンネル(図示していない)を含む。このガスチャンネルは、熱伝達ガスまたは熱制御部810と基板454の間のマスクガスの裏面ガス管を定義している。
【0053】
図8Bは、基板支持部452の温度制御部810に設置されるか、または温度制御部810を形成する静電チャックを持つ基板支持部452の他の実施形態を示している。温度制御部810は、電極830と誘電材料835が塗布された基板受容部875を含む。導電性ワイヤ(図示していない)が電極830を電源(図示していない)と連結している。基板454は、誘電材料835と接して載置され、直流電圧が電極830に印加され発生する静電吸引力に基板がとらえられる。
【0054】
通常、電極830は熱伝導材料820内に、その中に配置された加熱素子850と一定の間隔をあけて配置される。加熱素子850は、熱伝導材料820中の電極830から垂直方向に距離を空け、横方向に平行に配置される。典型的には、電極830は、加熱素子850と基板受容面875の間に配置されるが、その他の構成も用いられる。
【0055】
種々のガスが、ガス源872から基板支持体452の基板受容面875に供給される。そうしたガスが基板の裏面に接触することによって基板の温度制御の役割をなす。ガスはシャフト875の中心管路を移動し、基板受容面875、もしあれば、誘電体塗装面835内の開口部から排出される。
【0056】
上述の基板支持体452の実施形態は、基板を高真空除冷チャンバ内に支持するためにも使用できる。高真空除冷チャンバは、本明細書に記載されたチャンバ436等のPVDチャンバ内に配置される基板支持台452を含むことができる。この基板支持台452は、ブランクターゲットが配置されている、又はターゲットがなく、ターゲットあるいは基板支持台に連結されたバイアスもないものである。
【0057】
基板支持台452の実施形態は上述したが、この例は図示が目的であり、発明の範囲を限定すると解釈または理解すべきではない。例えば、支持台を支持するために用いるに適切な静電チャックは、カリフォルニア州サンタクララのアプライドマテリアルズ社製のMCA(登録商標)Electrostatic E−ChuckあるいはPyrolytic Boron Nitride Electrostatic E−Chuckがある。
【0058】
上述は本発明の実施形態として記載されたが、本発明の範囲を離れることなく、本発明のその他のあるいはさらなる実施形態が考案できる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上表面領域に開口部を有する基板の処理方法であって:
基板上に金属層を堆積させて堆積された金属層を形成し;
堆積された金属層に脆性表面修正処理を施し;そして、
堆積された金属層に塑性表面修正処理を施す
ステップを含む方法。
【請求項2】
前記脆性表面修正処理は、前に堆積された材料が開口部の最上部のオーバーハング部から放出されて基板上の他の部分に再度堆積するように、堆積された金属層に金属イオンを衝突させるステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記塑性表面修正処理は、材料を、堆積された金属層から開口部の最上部のオーバーハング部から堆積された金属層の表面に沿って他の部位に押し出すステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
基板の上表面領域に形成された開口部内に同形の金属層を堆積させる方法であって:
基板を処理チャンバ内の基板支持体上に配置し、
物理蒸着工程によって基板上に肉厚領域および肉薄領域を持つ第1金属層を堆積させ、
同時に、物理蒸着工程によって第1金属層上に第2金属層を堆積させつつ、第1金属層から材料を放出させ、放出された材料を第2金属層上に再堆積し、および、第1金属層の肉厚領域から第1金属層の肉薄領域に金属を押す
ステップを含む方法。
【請求項5】
基板は、第1金属層の堆積の期間に第1のエネルギーレベルの電気バイアスを受け、第2金属層の堆積期間に第2のエネルギーレベルの電気バイアスを受け、そして、第2のエネルギーレベルは第1のエネルギーレベルよりも少なくとも3倍高い、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
基板は、第1金属層の堆積期間に約50ワットから約150ワットの間の第1のエネルギーレベルの電気バイアスを受け、第2金属層の堆積期間に約800ワットから約1200ワットの間の第2のエネルギーレベルの電気バイアスを受ける、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
第1金属層の堆積および第2金属層の堆積のステップの各々において、基板の上表面領域に対して少なくとも60°の入射角で基板に向かって荷電粒子を誘導するコリメータを使用するステップを含む、請求項4に記載の方法。
【請求項8】
第1金属層の肉厚領域から肉薄領域に金属を押すステップが、第1金属層の表面エネルギーを少なくとも約50%減少させ、第1金属層にせん断力を適用するステップを含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
基板は、第1金属層の堆積期間に第1エネルギーレベルの電気バイアスを受け、第2金属層の堆積期間に第2エネルギーレベルの電気バイアスを受け、第2エネルギーレベルは第1エネルギーレベルよりも少なくとも3倍高い、請求項8の方法。
【請求項10】
第1金属層の堆積および第2金属層の堆積の各々において、基板の上表面領域に対して少なくとも60°の入射角で荷電粒子を基板に誘導するステップを含む、請求項9の方法。
【請求項11】
上表面領域と、側壁部を有する開口部と、上表面領域の底面部を有する基板上に同形の金属層を堆積させる方法であって:
処理チャンバ内の基板支持体上に基板を配置し;
約100V未満の第1の電気バイアスを用いて、基板表面に金属イオンを誘導するステップを含む第1の物理蒸着工程を基板に施すことによって、基板上に、側壁の頂上部と開口部の底面部に肉厚領域があり開口部の側壁上に肉薄領域がある第1金属層を堆積し;
少なくとも250Vの第2の電気バイアスを用いて、基板の表面に向けて金属イオンを誘導するステップを含む第2の物理蒸着工程を基板に施すステップを含み、ここで第2の物理蒸着工程は:
基板上に第2金属層を堆積させ;
第1金属層を金属イオンで照射して、開口部の底面部の第1金属層から材料を放出させ、放出された材料を再配置し;そして、
側壁頂上部の肉厚領域から側壁の肉薄領域へ材料を移動させる
ステップを含む方法。
【請求項12】
第2金属層を基板上に堆積させるステップが、第1金属層の表面エネルギーを少なくとも約50%低下させることを含む、請求項4または11の方法。
【請求項13】
第1金属層の表面エネルギーを少なくとも約50%低下させることをさらに含み、第1の電気バイアスは150ワット以下の電力を印加し、第2の電気バイアスは約600ワット以上の電力を印加する、請求項11の方法。
【請求項14】
第2物理蒸着工程の間、基板温度が約200℃未満に制御される、請求項13の方法。
【請求項15】
堆積終了前に放出が始まり、放出が終わる前に移動が始まる、請求項11の方法。
【請求項1】
上表面領域に開口部を有する基板の処理方法であって:
基板上に金属層を堆積させて堆積された金属層を形成し;
堆積された金属層に脆性表面修正処理を施し;そして、
堆積された金属層に塑性表面修正処理を施す
ステップを含む方法。
【請求項2】
前記脆性表面修正処理は、前に堆積された材料が開口部の最上部のオーバーハング部から放出されて基板上の他の部分に再度堆積するように、堆積された金属層に金属イオンを衝突させるステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記塑性表面修正処理は、材料を、堆積された金属層から開口部の最上部のオーバーハング部から堆積された金属層の表面に沿って他の部位に押し出すステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
基板の上表面領域に形成された開口部内に同形の金属層を堆積させる方法であって:
基板を処理チャンバ内の基板支持体上に配置し、
物理蒸着工程によって基板上に肉厚領域および肉薄領域を持つ第1金属層を堆積させ、
同時に、物理蒸着工程によって第1金属層上に第2金属層を堆積させつつ、第1金属層から材料を放出させ、放出された材料を第2金属層上に再堆積し、および、第1金属層の肉厚領域から第1金属層の肉薄領域に金属を押す
ステップを含む方法。
【請求項5】
基板は、第1金属層の堆積の期間に第1のエネルギーレベルの電気バイアスを受け、第2金属層の堆積期間に第2のエネルギーレベルの電気バイアスを受け、そして、第2のエネルギーレベルは第1のエネルギーレベルよりも少なくとも3倍高い、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
基板は、第1金属層の堆積期間に約50ワットから約150ワットの間の第1のエネルギーレベルの電気バイアスを受け、第2金属層の堆積期間に約800ワットから約1200ワットの間の第2のエネルギーレベルの電気バイアスを受ける、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
第1金属層の堆積および第2金属層の堆積のステップの各々において、基板の上表面領域に対して少なくとも60°の入射角で基板に向かって荷電粒子を誘導するコリメータを使用するステップを含む、請求項4に記載の方法。
【請求項8】
第1金属層の肉厚領域から肉薄領域に金属を押すステップが、第1金属層の表面エネルギーを少なくとも約50%減少させ、第1金属層にせん断力を適用するステップを含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
基板は、第1金属層の堆積期間に第1エネルギーレベルの電気バイアスを受け、第2金属層の堆積期間に第2エネルギーレベルの電気バイアスを受け、第2エネルギーレベルは第1エネルギーレベルよりも少なくとも3倍高い、請求項8の方法。
【請求項10】
第1金属層の堆積および第2金属層の堆積の各々において、基板の上表面領域に対して少なくとも60°の入射角で荷電粒子を基板に誘導するステップを含む、請求項9の方法。
【請求項11】
上表面領域と、側壁部を有する開口部と、上表面領域の底面部を有する基板上に同形の金属層を堆積させる方法であって:
処理チャンバ内の基板支持体上に基板を配置し;
約100V未満の第1の電気バイアスを用いて、基板表面に金属イオンを誘導するステップを含む第1の物理蒸着工程を基板に施すことによって、基板上に、側壁の頂上部と開口部の底面部に肉厚領域があり開口部の側壁上に肉薄領域がある第1金属層を堆積し;
少なくとも250Vの第2の電気バイアスを用いて、基板の表面に向けて金属イオンを誘導するステップを含む第2の物理蒸着工程を基板に施すステップを含み、ここで第2の物理蒸着工程は:
基板上に第2金属層を堆積させ;
第1金属層を金属イオンで照射して、開口部の底面部の第1金属層から材料を放出させ、放出された材料を再配置し;そして、
側壁頂上部の肉厚領域から側壁の肉薄領域へ材料を移動させる
ステップを含む方法。
【請求項12】
第2金属層を基板上に堆積させるステップが、第1金属層の表面エネルギーを少なくとも約50%低下させることを含む、請求項4または11の方法。
【請求項13】
第1金属層の表面エネルギーを少なくとも約50%低下させることをさらに含み、第1の電気バイアスは150ワット以下の電力を印加し、第2の電気バイアスは約600ワット以上の電力を印加する、請求項11の方法。
【請求項14】
第2物理蒸着工程の間、基板温度が約200℃未満に制御される、請求項13の方法。
【請求項15】
堆積終了前に放出が始まり、放出が終わる前に移動が始まる、請求項11の方法。
【図1】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図2D】
【図2E】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図3D】
【図3E】
【図3F】
【図3G】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8A】
【図8B】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図2D】
【図2E】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図3D】
【図3E】
【図3F】
【図3G】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8A】
【図8B】
【公表番号】特表2012−506638(P2012−506638A)
【公表日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−533256(P2011−533256)
【出願日】平成21年10月19日(2009.10.19)
【国際出願番号】PCT/US2009/061184
【国際公開番号】WO2010/048094
【国際公開日】平成22年4月29日(2010.4.29)
【出願人】(390040660)アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド (1,346)
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【Fターム(参考)】
【公表日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年10月19日(2009.10.19)
【国際出願番号】PCT/US2009/061184
【国際公開番号】WO2010/048094
【国際公開日】平成22年4月29日(2010.4.29)
【出願人】(390040660)アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド (1,346)
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【Fターム(参考)】
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