波面収差測定機及び投影露光装置
【課題】高精度な波面収差測定を行うこと
【解決手段】波面収差測定機は、2次元的に配列された複数の第1ピンホールを有し光源からの放射光に基づいて第1の理想的球面波を発生させる第1のピンホール部材と;被検光学系による複数の第1ピンホールの複数の結像位置のそれぞれに対応した位置に配列された複数の第2ピンホールを有する第2のピンホール部材と;前記第1及び第2のピンホール部材の間の光路中に配置されて0次回折光を第2のピンホール部材へ到達させるように配置された回折格子と;回折格子による回折光のうち所定次数の回折光を選択的に通過させる回折光選択手段と;0次回折光が第2のピンホール部材を経由した際に発生する第2の理想的球面波と、回折光選択手段を通過した所定次数の回折光との干渉により得られた干渉縞から被検光学系の波面収差を算出する手段と;を有する。
【解決手段】波面収差測定機は、2次元的に配列された複数の第1ピンホールを有し光源からの放射光に基づいて第1の理想的球面波を発生させる第1のピンホール部材と;被検光学系による複数の第1ピンホールの複数の結像位置のそれぞれに対応した位置に配列された複数の第2ピンホールを有する第2のピンホール部材と;前記第1及び第2のピンホール部材の間の光路中に配置されて0次回折光を第2のピンホール部材へ到達させるように配置された回折格子と;回折格子による回折光のうち所定次数の回折光を選択的に通過させる回折光選択手段と;0次回折光が第2のピンホール部材を経由した際に発生する第2の理想的球面波と、回折光選択手段を通過した所定次数の回折光との干渉により得られた干渉縞から被検光学系の波面収差を算出する手段と;を有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はEUVLと呼ばれる波長10nm前後の軟X線を露光光として用いる露光装置に好適な投影光学系の波面収差を測定する波面収差測定機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来において、半導体素子や液晶表示素子、または薄膜磁気ヘッドなどのデバイスをリソグラフィ工程により製造する際に用いられるリソグラフィー装置では、露光光として193nm以上の光が用いられてきた。このようなリソグラフィー装置における投影光学系に用いられるレンズの面は、通常球面であり、そのレンズ面の形状精度は1〜2nmRMSであった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
近年においては、半導体回路素子上のパターンの微細化が進み、さらなる微細化を達成するために今まで以上の短い波長を用いた露光装置が求められており、波長11〜13nmの軟X線を用いた投影露光装置の開発製造が求められている。
【0004】
この軟X線の波長域においては、吸収のためレンズ(屈折光学素子)を用いることはできず、投影光学系として全て反射面からなる反射型投影光学系を用いざるを得ない。また、軟X線の波長域においては、反射面の反射率も70%程度しか期待できないため、投影光学系における反射面の数も3〜6面しか用いることができない。
【0005】
従って、投影光学系においては、少ない数の反射面で収差の無い光学系とするために、全ての反射面を非球面形状にする。ここで、4面の反射面を用いた投影光学系の場合では、反射面の形状精度として0.23nmRMSが要求される。この非球面形状の形成方法としては、干渉計を用いて実際の面形状を測定しつつ、この面形状を所望の形状とするために修正研磨機で形状を作り込んでいくことが考えられる。
【0006】
しかしながら、従来の面形状測定用の干渉計の測定精度は繰り返し再現性で0.3nmRMS、球面の絶対精度で1nmRMS、非球面の絶対精度は10nmRMS程度であり、到底要求精度を満たすことはできず、結果として所望の性能の投影光学系を製造することができなかった。
【0007】
そこで、本発明は、高精度な波面収差測定を行うことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
また、上記第3の目的を達成するために、本発明の1つの態様にかかる波面収差測定機は、被検光学系の波面収差を測定する波面収差測定機であって、例えば図8に示す如く、
所定波長の放射光を供給する光源と;
該光源からの放射光に基づいて第1の理想的球面波を発生させる第1のピンホール部材と;
前記被検光学系による該第1のピンホール部材の結像位置に配置された第2のピンホール部材と;
前記第1及び第2のピンホール部材の間の光路中に配置されて、0次回折光を前記第2のピンホール部材へ到達させるように配置された回折格子と;
前記回折格子による1次又は他の次数の回折光のうち所定次数の回折光を選択的に通過させる回折光選択手段と;
前記0次回折光が前記第2のピンホール部材を経由した際に発生する第2の理想的球面波と、前記回折光選択手段を通過した前記所定次数の回折光との干渉により得られた干渉縞から前記被検光学系の波面収差を算出する手段と;
を有し、
前記第1のピンホール部材は、前記被検光学系の光軸を横切る面に沿って2次元的に配列された複数の第1ピンホールを有し、
前記第2のピンホール部材は、前記被検光学系による前記複数の第1ピンホールの複数の結像位置のそれぞれに対応した位置に配列された複数の第2ピンホールを有し、
前記回折光選択手段は、前記複数の結像位置へ向かう複数の光束が前記回折格子を通過することにより生じる複数の所定次数の回折光のそれぞれを選択的に通過させるための複数の開口部を有するものである。
【0009】
また、本発明の好ましい態様にかかる波面収差測定機は、上記波面収差測定機において、
前記光源は、シンクロトロン放射光を供給する光源、レーザ光源、及びレーザプラズマX線源のうちの1つである。
【0010】
また、本発明の好ましい態様にかかる波面収差測定機は、上記波面収差測定機において、
前記光源はレーザプラズマX線源であり、
前記複数の第1ピンホールのそれぞれは、複数のピンホールからなるピンホール群で構成されるものである。
【0011】
また、本発明の好ましい態様にかかる波面収差測定機は、上記波面収差測定機において、
前記ピンホール群を構成する前記複数のピンホールは、所定の1次元方向に沿って配列されるものである。
【0012】
また、本発明の好ましい態様にかかる波面収差測定機は、上記波面収差測定機において、
前記所定の1次元方向に沿って配列される前記複数のピンホールの配列ピッチは、前記被検光学系の前記第1ピンホール側の開口数により定まるエアリーディスクの半径の10倍〜25倍である。
【0013】
また、本発明の好ましい態様にかかる波面収差測定機は、上記波面収差測定機において、
前記ピンホール群を構成する前記複数のピンホールは、所定の1次元方向に延びたスリット形状の開口部を有するものである。
【0014】
また、本発明の好ましい態様にかかる波面収差測定機は、上記波面収差測定機において、
前記第1のピンホール部材の前記複数の第1ピンホールのうちの一部を選択的に照明するための第1の選択照明手段と;
前記第2のピンホール部材の前記複数の第2ピンホールのうちの前記第1ピンホールの一部に対応した一部からの前記第2の理想的球面波と、前記複数の開口部のうちの前記第1ピンホールの一部に対応した一部を通過する前記所定次数の回折光とを選択的に受光する選択受光手段と;
を備えるものである。
【0015】
また、本発明の好ましい態様にかかる波面収差測定機は、上記波面収差測定機において、
前記回折格子を移動させて縞走査を行うためのフリンジスキャン手段をさらに備えるものである。
【0016】
また、上記目的を達成するために、本発明の別の1つの態様にかかる波面収差測定機は、被検光学系の波面収差を測定する波面収差測定機であって、例えば図17に示す如く、
コヒーレント光を供給する光源と;
該光源からのコヒーレント光を第1の光束と第2の光束とに分割するビームスプリッタと;
前記第1の光束に基づいて第1の理想的球面波を発生させる第1のピンホール部材と;
前記被検光学系による前記第1のピンホール部材の理想結像面に2次元的に配列されて前記第2の光束を通過させる複数の開口部と、前記被検光学系からの前記第1の光束を反射させる反射部とを有するピンホールミラーと;
を備え、
前記第2の光束に基づいて前記ピンホールミラーの前記複数の開口部から発生する第2の理想的球面波と、前記反射部にて反射された前記第1の光束との干渉により生じる干渉縞に基づいて前記被検光学系の波面収差を求めるものである。
【0017】
また、本発明の好ましい態様にかかる波面収差測定機は、上記波面収差測定機において、
前記第1の光束の光路長と、前記第2の光束の光路長とのうち、少なくとも一方の光路長を変化させるフリンジスキャン手段をさらに有するものである。
【0018】
また、上記目的を達成するために、本発明のさらに別の態様にかかる波面収差測定機は、被検光学系の波面収差を測定する波面収差測定機であって、例えば図12に示す如く、
レーザプラズマX線源と;
該レーザプラズマX線源からの放射光に基づいて、複数の第1の理想的球面波を発生させる複数の第1ピンホールからなる第1ピンホール群を備える第1のピンホール部材と;
前記被検光学系による該第1のピンホール部材の結像位置に配置された複数の第2ピンホールからなる第2ピンホール群を備える第2のピンホール部材と;
前記第1及び第2のピンホール部材の間の光路中に配置されて、前記第1ピンホール群を経由した光の0次回折光を前記第2ピンホール群へ到達させるように配置された回折格子と;
前記回折格子による1次又は他の次数の回折光のうち所定次数の回折光を選択的に通過させる回折光選択手段と;
前記0次回折光が前記第2ピンホール群を経由した際に発生する第2の理想的球面波と、前記回折光選択手段を通過した前記所定次数の回折光との干渉により得られた干渉縞から前記被検光学系の波面収差を算出する手段と;
を備えるものである。
【0019】
また、本発明の好ましい態様にかかる波面収差測定機は、上記波面収差測定機において、
前記第1のピンホール部材は、複数の前記第1スリット群を備え、
前記第2のピンホール部材は、前記被検光学系による前記複数の第1ピンホール群の複数の結像位置のそれぞれに対応して配置された複数の前記第2ピンホール群を備え、
前記回折光選択手段は,前記複数の結像位置へ向かう複数の光束が前記回折格子を通過することにより生じる複数の所定次数の回折光のそれぞれを選択的に通過させるための複数の開口部を有するものである。
【0020】
また、本発明の好ましい態様にかかる波面収差測定機は、上記波面収差測定機において、
前記複数の第1ピンホール群のうちの一部の第1ピンホール群を選択的に照明するための第1の選択照明手段と;
前記複数の第2ピンホール群のうちの前記一部の第1ピンホール群に対応した一部の第2ピンホール群を通過する前記第2の理想的球面波と、前記複数の開口部のうちの前記一部の第1ピンホール群に対応した一部の開口部を通過する前記所定次数の回折光とを選択的に受光する選択受光手段と;
を備えるものである。
【0021】
また、本発明の好ましい態様にかかる波面収差測定機は、上記波面収差測定機において、 前記複数の第2ピンホール群のうちの前記一部の第2ピンホール群を選択的に照明する第2の選択照明手段をさらに備えるものである。
【0022】
また、上述の目的を達成するために、本発明の他の態様にかかる波面収差測定機は、被検光学系の波面収差を測定する波面収差測定機において、例えば図12及び図14に示す如く、
レーザプラズマX線源と;
該レーザプラズマX線源からの放射光に基づいて、複数の第1の理想的1次元球面波を発生させる複数の第1スリットからなる第1スリット群を備える第1のスリット部材と;
前記被検光学系による該第1のスリット部材の結像位置に配置された複数の第2スリットからなる第2スリット群を備える第2のスリット部材と;
前記第1及び第2のスリット部材の間の光路中に配置されて、前記第1スリット群を経由した光の0次回折光を前記第2スリット群へ到達させるように配置された回折格子と;
前記回折格子による1次又は他の次数の回折光のうち所定次数の回折光を選択的に通過させる回折光選択手段と;
前記0次回折光が前記第2スリット群を経由した際に発生する第2の理想的1次元球面波と、前記回折光選択手段を通過した前記所定次数の回折光との干渉により得られた干渉縞から前記被検光学系の波面収差を算出する手段と;
を備えるものである。
【0023】
また、本発明の好ましい態様にかかる波面収差測定機は、上記波面収差測定機において、
前記第1のスリット部材は、複数の前記第1スリット群を備え、
前記第2のスリット部材は、前記被検光学系による前記複数の第1スリット群の複数の結像位置のそれぞれに対応して配置された複数の前記第2スリット群を備え、
前記回折光選択手段は,前記複数の結像位置へ向かう複数の光束が前記回折格子を通過することにより生じる複数の所定次数の回折光のそれぞれを選択的に通過させるための複数の開口部を有するものである。
【0024】
また、本発明の好ましい態様にかかる波面収差測定機は、上記波面収差測定機において、
前記複数の第1スリット群のうちの一部の第1スリット群を選択的に照明するための第1の選択照明手段と;
前記複数の第2スリット群のうちの前記一部の第1スリット群に対応した一部の第2スリット群を通過する前記第2の理想的1次元球面波と、前記複数の開口部のうちの前記一部の第1スリット群に対応した一部の開口部を通過する前記所定次数の回折光とを選択的に受光する選択受光手段と;
を備えるものである。
【0025】
また、本発明の好ましい態様にかかる波面収差測定機は、上記波面収差測定機において、
前記複数の第2スリット群のうちの前記一部の第2スリット群を選択的に照明する第2の選択照明手段をさらに備えるものである。
【0026】
また、上述の目的を達成するために、本発明のさらに他の態様にかかる波面収差測定機は、被検光学系の波面収差を測定する波面収差測定機であって、
レーザプラズマX線源と;
該レーザプラズマX線源からの放射光に基づいて、複数の理想的1次元球面波を発生させる複数のスリットからなるスリット群を備えるのスリット部材と;
前記スリット部材と前記被検光学系による前記スリット部材の結像位置との間に配置されて、前記スリット部材を経た光に基づいて回折光を発生させる回折格子と;
該回折格子による前記回折光のうち、所定次数の回折光と、該所定次数の回折光とは異なる次数の回折光とを選択的に通過させる回折光選択手段と;
該回折光選択手段を介した少なくとも2つの回折光を重ね合わせて干渉縞を形成するための重ね合わせ手段と;
前記干渉縞形成位置に配置された検出器と;
を備え、前記干渉縞から前記被検光学系の波面収差を算出するものである。
【0027】
また、本発明の好ましい態様にかかる波面収差測定機は、上記波面収差測定機において、
前記スリット部材は、複数の前記スリット群を備えるものである。
【0028】
また、本発明の好ましい態様にかかる波面収差測定機は、上記波面収差測定機において、
前記複数のスリット群のうちの一部のスリット群を選択的に照明するための第1の選択照明手段と;
前記一部のスリット群を経由した光に基づく干渉縞を検出するために前記検出器の検出位置を変更する検出位置変更手段と;
を備えるものである。
【0029】
また、上記目的を達成するために、本発明の外の態様にかかる波面収差測定機は、例えば図11に示す如く、
50nm以下の放射光を供給する光源と;
該光源からの放射光に基づいて、複数の理想的1次元球面波を発生させる複数のスリットからなるスリット群を備えるのスリット部材と;
前記スリット部材と前記被検光学系による前記スリット部材の結像位置との間に配置されて、複数の開口部を有するハルトマンプレートと;
前記結像位置を挟んで前記被検光学系とは逆側に配置されて、前記春と万プレートの前記複数の開口部を通過する光線群の位置を検出する撮像素子と;
を備え、前記撮像素子上に到達する前記光線群の位置に基づいて前記被検光学系の波面収差を求めるものである。
【0030】
また、本発明の好ましい態様にかかる波面収差測定機は、上記波面収差測定機において、
前記スリット部材は、複数の前記スリット群を備え、
前記複数のスリット群のうちの一部のスリット群を選択的に照明するための第1の選択照明手段と;
前記一部のスリット群を経由した光に基づく前記光線群を検出するために前記撮像素子の検出位置を変更する検出位置変更手段と;
を備えるものである。
【発明の効果】
【0031】
本発明によれば、高精度な波面収差測定を達成することができ、また、非球面干渉計における面精度測定の絶対精度を向上させることができる。また、優れた性能の投影光学系を製造することもできる。
【発明の実施の形態】
【0032】
以下、図面を参照して本発明にかかる実施の形態について説明する。
【0033】
[第1の実施形態]
図1は、第1の実施形態にかかる干渉計を示す図であり、図2は、図1の干渉計の要部を示す図である。図1に示す第1の実施形態の干渉計は、非球面形状を計測するための干渉計である。
【0034】
図1において、レーザ1からのレーザ光は、レンズ系を介して所望の径の平行光となりヌル(Null)素子2へ入射する。このヌル素子2は、被検面形状とほぼ等しい形状の波面を射出するものであって、所定の非球面形状に変換された波面は、非球面参照面3と非球面形状の被検面4とに垂直に入射する。ここで、非球面参照面3は、非球面形状の被検面と実質的に同一形状(凹凸は逆)を有し、その面上において入射光を振幅分割して、一方の波面を被検面4へ向かわせ、他方の波面を参照波面として元の光路へ戻すものである。
【0035】
この非球面参照面3は、被検面4に対して近接して配置され、このとき、非球面参照面3と被検面4とは、互いに相補的な形状となる。これらの非球面参照面3と被検面4とは、ホルダ6により一体的に支持される。
【0036】
さて、非球面参照面3からの光は、被検面4にて反射されて、計測波面として再び非球面参照面3へ入射する。
【0037】
上述の参照波面とこの計測波面とは、非球面参照面3を有する光学素子から射出された後、ヌル素子2に入射し、ビームスプリッタにて反射された後、CCDなどの撮像素子からなる検出器5の検出面上に干渉縞を形成する。この干渉縞をコンピュータで処理することによって被検面の形状誤差を測定できる。
【0038】
図1の干渉計においては、光源1からヌル素子2までを収納する本体部と、ホルダ6とは空間的に分離された状態となるように別部材で支持されている。
【0039】
この図1の干渉計は、基本的にはフィゾー型干渉計であり、この利点を説明するために比較例として従来のフィゾー型干渉計について以下に説明する。
【0040】
[比較例]
図20は、従来のフィゾー型干渉計の一例を示す図である。図20において、レーザ1からののレーザ光は、レンズ系を通過して所定の径の平行光に変換された後、フィゾープレート7に入射する。フィゾープレート7の裏面は高精度な平面に研磨されており、入射光の一部はこの裏面で反射されて平面波を有する参照光となる。フィゾープレート7を透過した光は、平面波を所望の非球面形状の波面に変換するヌル(Null)素子8を経由した後、非球面形状の被検面4に対して垂直に入射する。被検面4で反射された光は元来た光路を戻り、参照光と重なりCCD5上に干渉縞を形成する。この干渉縞をコンピュータで処理することによって形状誤差を測定できる。
【0041】
比較例として示した干渉計の第1の問題点は、絶対精度がヌル素子8によって悪化することである。ヌル素子8としては、通常数枚の高精度なレンズを組み合わせたヌルレンズ(Null Lens)やCGH(Computor genarated Hologram)等が用いられるが製造誤差により10nmRMS程度の誤差が生じる。 また、比較例の干渉計では、参照面(フィゾープレート7の裏面)と被検面4とが離れているため振動・空気の揺らぎ等の影響を受け易いため、繰り返し再現性も0.3nmRMSと低い。さらに非球面計測を行う場合では、ヌル素子8と被検面4とのアライメントが重要となるため、アライメント精度が悪いと測定再現性が数nm悪化する。
【0042】
干渉計の測定再現性を悪くしている原因は空気の揺らぎ、振動、音、気圧変動、温度変動、検出器のノイズ、縞走査の非線型誤差と走査振幅誤差、試料の位置再現性、試料ホルダーによる試料の歪みの再現性、光学系の収差等がある。これらのうち、空気の揺らぎ、振動、音、気圧変動、温度変動、及び光学系の収差は、図1の実施形態のように被検面と参照面を近接させ且つ一体化することにより大幅に低減できる。
【0043】
特に図1の実施形態の場合、ヌル素子2を用いていながら、ヌル素子2の精度にもヌル素子2と被検面4との位置合わせ(アライメント)精度にも測定精度が影響されないという特徴がある。これは、図1の実施形態では、ヌル素子2は、非球面参照面3に対してその非球面形状とほぼ同一形状の非球面形状の波面を与える機能を有し、被検面4に対して直接的に非球面形状の波面を与える機能を有していないからである。従って、図1の実施形態では、このヌル素子2は必須の構成ではないが、より測定精度を高めるためにはヌル素子2を用いることが好ましい。
【0044】
また、図1の実施形態では、試料の位置再現性は、被検物の周りに配置した図示無き位置センサ(電子マイクロメータ等)で保証し、試料ホルダーによる試料の歪みの再現性はホルダーを3点または多点支持の構造とすることによって向上させている。
【0045】
また、被検面と参照面とを近接することでアライメント誤差の検出も容易となり高精度なアライメントが可能となる。検出器のノイズは検出器を冷却し克つデータを積算することで十分小さくできる。縞走査(フリンジスキャン)の非線型誤差と振幅誤差はデジタルピエゾを用い、更に縞走査のバケット数を増やし信号処理することによって除くことができる。図1の実施形態に上記の構成を取り入れることによって、繰り返し再現性は0.05nmRMS以下、アライメント誤差や経時変化等を含んだ測定再現性も0.1nmRMS以下にすることができる。
【0046】
この干渉計の残った問題点は絶対精度であり、これは参照用の非球面の面精度に依存する。この誤差がこの干渉計のシステマティック(系統)誤差である。これの補正(校正)については後述する。
【0047】
このように、図1の実施形態の干渉計は、基本的にはフィゾー型干渉計であるが従来のフィゾー型干渉計とは以下の点で異なっている。フィゾー面は非球面であり、形状は被検面と凹凸が逆であり被検面はフィゾー面に近接して配置される。フィゾー面のついたレンズはこの光学系からは分離した構造となっており、被検物と一体となった構造になっている。この構成により、比較例のような従来の干渉計よりも、繰り返し再現性や測定再現性を大幅に向上することができる。
【0048】
図2は、図1の干渉計におけるホルダ6の構成の一例を示す図であり、図2(A)は被検面4と非球面参照面3との間隔を可変に構成した例、図2(B)は間隔を固定にした例を示している。
【0049】
図2(A)において、非球面参照面3を有する参照素子は、干渉計本体とは別置きのホルダ43により保持されている。このホルダ43上にはピエゾ素子41が設けられており、このピエゾ素子41を介して、被検面4を保持する被検面ホルダ43がホルダ43に載置されている。このピエゾ素子41を駆動することにより、非球面参照面3と被検面4との間隔調整を行うことができる。さらに、干渉縞解析の常套手段でもある縞走査(フリンジスキャン)にも用いることができる。
【0050】
図2(B)の例では、非球面参照面3を有する参照素子をホルダ43により保持するのは図2(A)の例と同様であるが、非球面参照面3上の3箇所にスペーサ42が直接的に蒸着されている点が異なる。これらのスペーサ42の厚みは、1〜3μmであり、3箇所とも等しい厚さである。なお、このスペーサ42は、図2(B)において紙面上下方向を軸とした円周を3等分するように設けられている。そして、被検面4は3つのスペーサ42上に載置されており、これにより非球面参照面3と被検面4との間隔を一定に維持できると共に、重力による被検面4の歪みも常に一定にできる。この図2(B)の場合には、干渉縞解析のための縞走査は、レーザの波長を可変とすることにより達成でき、この場合干渉計へは何ら機械的振動等の影響を及ぼす恐れはなくなる。
【0051】
なお、被検面4の保持方法としては、この被検面4を有する光学素子から構成される光学系における保持方法と同じであることが好ましく、また当該光学系における被検面の重力に対する姿勢と同じ姿勢で保持されることが好ましい。これにより、実際に光学系へ組込んだ際の被検面の歪みによる面形状変化が生じたもとで測定を行うことが可能となる。
【0052】
また、非球面参照面3と被検面との間隔は1mm以下であることが好ましい。もし、この間隔が1mmを超える場合には、空気の揺らぎ、振動、音、気圧変動、温度変動、及び光学系の収差の影響が大きくなり、測定精度の悪化を招く。さらに測定精度を向上させるためには、非球面参照面3と被検面との間隔を100μm以下に設定することが好ましい。
【0053】
また、図2(B)のように非球面参照面3と被検面4との間隔を固定する場合には、非球面参照面3と被検面4との間隔は10μm以下に設定することが好ましい。
【0054】
[第1の実施形態の変形例]
さて、上述の図2(A)の例において、被検面4と非球面参照面3との間隔について、以下の手法で検出しても良い。
【0055】
図3は、第1の実施形態の変形例を示す図である。図3において、図1の例と同様の機能を有する部材には同じ符号を付してある。なお、以下においては、説明を簡略化するために図1と共通部分の説明は行わない。
【0056】
図3において、図1の例と異なる部分は、被検面4の裏側(非球面参照面3と反対側)にシアリング干渉計50〜54を設けた点である。このシアリング干渉計は、白色光源50からの光をビームスプリッタ51を介して被検面4及び非球面参照面3へ導き、被検面4で反射された光と、参照面3で反射された光とをビームスプリッタ51を通過させた後、ウォラストンプリズムなどの複屈折部材52により横ずらしさせ、検光子53を通過させてCCD54上に干渉パターンを形成するものである。ここで、CCD54上の干渉パターンの変化をモニタすることにより、被検面4と非球面参照面3との間隔を検知することができる。なお、図3の変形例においては、被検面4を有する光学素子を光透過性の材料、例えば石英、ゼロデュアなどとすることは言うまでもない。
【0057】
[第1の実施形態の干渉計の校正方法]
以下、図4を参照して、第1の実施形態の干渉計の校正方法について説明する。図4は、校正方法を説明するためのフローチャート図である。
【0058】
図4のステップS1を実行する前に、まず周知の技術により面精度10nmRMS程度で非球面加工を行う。
【0059】
<ステップS1>
ステップS1では、第1の実施形態の干渉計を用いて上記非球面の面形状の測定を行う。なお、第1の実施形態の干渉計は上記の非球面加工時から用いても良い。この測定時には、被検面を参照面に対して光軸の周りに少しずつ回転させるか、参照面を被検面に対して光軸の周りに少しずつ回転させながらデータを取り、このデータを平均化して非対称なシステマチックな誤差(参照面の誤差)を最小化することが好ましい。
【0060】
<ステップS2>
ステップS2では、ステップS1の測定データを用いて、非球面形状が設計データとなるように非球面形状の修正研磨を行う。この修正研磨を行うためのスモールツール研磨装置を図5に示す。図5において、スモールツール研磨装置は、回転するポリッシャ61とこのポリッシャ61を所定圧力で押圧するコイルばね62とを備えた研磨ヘッド63を有し、被検面4を有する光学素子を回転させて、被検面表面に垂直な方向から一定荷重をかけて研磨する。研磨量はポリッシャ61の滞留時間(ポリッシャ61が所定位置に留って研磨する時間)に比例する。ここで、ステップS1と同様に図1の干渉計を用いて被検面表面の形状測定を行い、その結果、測定された非球面形状が設計データのそれとは異なる場合には、サイドスモールツール研磨装置で被検面4の表面形状を修正する。この測定・修正工程を繰り返すことにより、測定される非球面形状と設計上の非球面形状とを一致させることができる。
【0061】
<ステップS3>
ステップS3では、ステップS2により得られた被検面4を持つ光学素子を光学系中へ組み込む。
【0062】
<ステップS4>
ステップS4では、ステップS3において組み立てられた光学系の波面収差を測定する。この波面収差測定にあたっては、SOR(シンクロトロン放射光:Synchrotron Orbital Radiation)のアンジュレータ(undulator)を光源としたPDI(Point Diffraction Interferometer)を用いる。この干渉計は測定波長が13nmと短いため0.13nmRMS以下の高い精度で光学系の波面収差の測定が可能である。なお、この干渉計の構成については、後述の図6〜図18に示す実施形態において説明する。
【0063】
<ステップS5>
ステップS5では、ステップS4にて測定された波面収差の発生原因を(各非球面の)アライメント誤差と各面の形状誤差に分解する。
【0064】
具体的には、例えば既存の光学系の自動修正プログラムを用いて、コンピュータ上で被検面の位置(間隔、傾き、シフト)と、被検面の形状とを変数とし、波面収差の測定値を初期値として、波面収差がゼロに近づくように最適化を行う。最適化された際の被検面の位置及び形状と、最適化する前の被検面の位置及び形状との差が、それぞれアライメント誤差(位置誤差)、形状誤差に対応している。
【0065】
<ステップS6>
ステップS6では、ステップS5にて求められたアライメント誤差が十分に小さい量であるか否かを判断し、十分に小さい量でなければステップS7へ、十分に小さい量であればステップS8へ移行する。
【0066】
<ステップS7>
ステップS7では、ステップS5にて求められたアライメント誤差に基づいて、光学系中の光学素子の調整を行い、ステップS4へ移行する。
【0067】
ここで、ステップS5において求められるアライメント誤差が十分に小さくなるまで、ステップS4〜S7が繰り返されることになる。
【0068】
<ステップS8>
上記ステップS6においてアライメント誤差が十分に小さいと判断されると、当ステップS8へ移行される。このステップS8では、最終的な波面収差(最近回のステップS4で求められた波面収差)中の形状誤差(最近回のステップS5で分解された形状誤差)と、ステップS2において最終的に測定された非球面形状データとの差を求める。この差が第1の実施形態の干渉計が有しているシステマチックな誤差に対応する。この誤差は非球面(フィゾー型)干渉計における参照面(フィゾー面)の形状誤差に相当する。
【0069】
<ステップS9>
ステップS8では、ステップS2において最終的に測定された非球面形状データを、上記ステップS8で求められたシステマチックな誤差の分だけ補正して、この補正された非球面形状データに基づいて、スモールツール研磨装置を用いて被検面4の再加工を行う。このとき、光学系から被検面4を持つ光学素子を取り外しておくことは言うまでもない。
【0070】
<ステップS10>
以上のステップS1〜S9までを実行した後に、光学系を再組立てし波面収差を測定する。その測定値を再度アライメント誤差と各面の形状誤差に分解して、形状誤差が小さくなっていることを確認する。
【0071】
以上において説明したような非球面加工、光学系組立て、波面収差測定、非球面干渉計システマチック誤差決定の一連の作業を何度も繰り返し行い、非球面干渉計のシステマチック誤差を追い込んでいく。なお、この誤差が大きい場合(例えば2nmRMS以上の場合)には、非球面干渉計の修正(非球面参照面の面形状の修正)も必要である。
【0072】
この手順により求められた干渉計のシステマチック誤差を、その後の測定加工において測定値から常に補正し修正研磨機のデータとすれば、精度の良い非球面加工が可能となる。
【0073】
上記第1の実施形態にかかる干渉計では、干渉計の測定精度、特に再現性が優れているため、上述の校正手法が極めて有効である。
【0074】
なお、その後の量産時の露光波長による波面収差測定等の計測でシステマチックな誤差が確認された場合には、その都度システマチック誤差を修正し、常に真値に近付くようにする。
【0075】
また本発明による加工計測では非球面加工後、光学系を組み立て波面収差を計測する前に各面に反射膜を付けなくてはならない。反射膜を付けたり(修正研磨のために)剥がしたりする場合膜の応力で面の形状が変化する場合がある。この変化の再現性は0.1nmRMS以下である必要があるがそれは不可能である。しかしながら、面変化は大部分2次と4次の成分(パワー成分、3次球面収差成分)であり、高次の成分は小さい。2次及び4次の成分の面変化に関しては、ある程度の大きさであれば面の間隔を調節することによって補償できる。すなわち高次成分のみに関する面変化の再現性を0.1nmRMS以下に押さえればよい。これは膜の応力を十分小さくすることによって押さえることができる。
【0076】
[第2の実施形態]
次に、図6〜図10を参照して、本発明の第2の実施形態にかかる波面収差測定機を説明する。第2の実施形態の波面収差測定機は、軟X線の露光波長を用いて投影光学系の波面収差を測定するものである。ここで、図6及び図7は、第2の実施形態の波面収差測定機の原理を説明するための図である。
【0077】
図6(A)において、SOR(Synchrotron Orbital Radiation:シンクロトロン放射光)のアンデュレータ(undulator)からの光は、不図示の分光機を通過して13nm前後の波長を持つ準単色光11となり、集光ミラーで集光された後、ピンホール12に入射する。このピンホール12は、被検光学系13の入射側(ピンホール12側)の開口数から決まるエアリーディスクのサイズよりも十分に小さい大きさの開口を有している。なお、エアリーディスクのサイズは、被検光学系13の入射側開口数をNAとし、準単色光11の波長をλとするとき、0.6λ/NAで与えられる。
【0078】
従って、ピンホール12からは、理想的球面波と見なせる波面を有する光が射出される。このピンホール12からの光は、被検光学系13へ入射し、その結像位置に配置されたピンホール付半透膜14に達する。このとき、ピンホール12とピンホール付半透膜14とは、被検光学系13に関して互いに共役な配置であり、かつ被検光学系13が実際に使用される際の物点及び像点の位置に配置される。
【0079】
図6(B)に示すように、ピンホール付半透膜14は、準単色光11の波長の放射光に対して光透過性を有する基板14c上に設けられた半透膜14bと、半透膜14bが設けられていない開口部14aとからなる。従って、ピンホール付半透膜14に入射する波面の一部は、波面形状を崩さずに通過するが、別の一部は、開口部14aにおいて回折される。ここで、開口部14aの大きさが十分に小さければ、開口部14aからの回折光を理想的球面波と見なすことができる。
【0080】
図6(A)に戻って、ピンホール付半透膜14の射出側(被検光学系13と逆側)にはCCD15が配置されており、CCD15の撮像面上には、開口部14aからの理想的球面波と、半透膜14bからの透過波面とが干渉することによる干渉縞が形成される。このとき、半透膜14bからの透過波面は被検光学系13の波面収差に応じた形状の波面であり、CCD15上の干渉縞は、この透過波面の理想的球面波(開口部14aからの波面)からのずれに応じた形状となる。従って、この干渉縞を解析することにより被検光学系13の波面収差を求めることができる。
【0081】
図7(A)〜(C)は、図6(A),(B)に示した計測手法をより高精度化したものである。なお、図7(A)〜(C)では図6(A),(B)と同様の機能を有する部材には同じ符号を付してある。図7(A)において、図6(A)に示した波面収差測定機とは異なる点は、ピンホール付半透膜14に代えて、ピンホール板17を配置し、ピンホール12とピンホール板17との間に回折格子16を挿入した点である。
【0082】
図7(C)はピンホール板17の構成を示す図であり、図7(B)は回折格子16とピンホール板17の機能を説明するための図である。図7(B)において、ピンホール板17は、ピンホールとして機能する微小開口部17aと、この微小開口部よりも大きな開口部17bとを有する。このとき、図7(C)に示すように、微小開口部17aと開口部17bとは、ピンホール板17が被検光学系13の結像位置にある場合に、回折格子16を経た0次回折光の光路に微小開口部17aが位置し、かつ回折格子16を経た1次回折光の光路に開口部17bが位置するように形成されている。
【0083】
従って、微小開口部17aを通過する回折格子16からの0次回折光は、ピンホールとしての微小開口部17aにおいて回折され、理想的球面波に変換されてCCD15へ向かう。また、開口部17bへ向かう回折格子16からの1次回折光は、被検光学系13の波面収差を有する測定光であり、この波面を維持しつつ開口部17bを通過し、CCD15へ向かう。ここで、回折格子16からの0次回折光及び1次回折光は、被検光学系13の波面収差に応じた波面を有する。ピンホールとしての微小開口部17aを経る方の光は、波面が理想的球面波に変換されるが、開口部17bを経る方の光は、開口部17bにおける回折の影響を受けずに、波面収差に応じた形状の波面が維持される。従って、CCD15の撮像面上には、微小開口部17aからの理想的球面波と、開口部17bからの測定波面とが干渉することによる干渉縞が形成される。ここで、CCD15の撮像面上の干渉縞は、測定波面の理想的球面波からのずれに応じた形状となり、図6(A),(B)と同様に、この干渉縞を解析することにより被検光学系13の波面収差を求めることができる。なお、図7において、高精度測定のための縞走査(フリンジスキャン)は、回折格子16を移動させることにより行うことができる。また、図7の例では、回折格子16が被検光学系13と開口部付ピンホール板17との間の光路中に配置されているが、回折格子16はピンホール板12と開口部付ピンホール板17との間の光路中に配置されていれば良く、例えばピンホール板12と被検光学系13との間に配置されていても良い。また、図7の例では、回折格子16による0次回折光と1次回折光との2つの回折光を用いているが、この回折光は2つには限られず、また0次と1次との組み合わせにも限られない。
【0084】
第2の実施形態の干渉計では、以上において説明した原理のもとで被検光学系の波面収差の測定を行うものであり、その構成を図8に示す。なお、図8においては、図6及び図7と同じ機能を有する部材には同じ符号を付してある。
【0085】
上記図6及び図7に示した干渉計では、被検光学系13像面上のある1点の収差のみしか測れない。光学系の収差を正確に知るには複数の像点での計測が必要である。図6及び図7において、複数の像点での計測をするためには、ピンホール12と、ピンホール付半透膜14またはピンホール板17とを所定の位置まで移動させて計測を行うことが考えられる。この場合、ピンホールが非常に小さいため、ピンホールを移動させる移動機構が振動の影響を受け、特に結像面側のピンホールにおいて安定して光を通過させることができない恐れがあり、測定が非常に困難になる恐れがある。また、ピンホールを移動させた場合には、ピンホールの開口部の位置を精度良く計測することが困難になり、特に結像点の位置の収差、すなわちディストーション計測の精度が十分でなくなる恐れがある。
【0086】
そこで、図8に示す第2の実施形態では、ピンホールを2次元的に配列してなるピンホールアレイ板25を用いた。
【0087】
図8において、SOR(Synchrotron Orbital Radiation:シンクロトロン放射光)のアンデュレータ(undulator)からの光は、不図示の分光機を通過して13nm前後の波長を持つ準単色光11となり、集光ミラー35で集光された後、ピンホールアレイ板25に入射する。なお、図8の例では、図6及び図7に示した波面収差測定機とは異なり、被検光学系13の像面側から光を入射させる構成としているが、その理由については後述する。
【0088】
ピンホールアレイ板25は、図9(A)に示す通り、被検光学系13の入射側開口数(像側開口数)NAから決まるエアリーディスクのサイズ(0.6λ/NA,λ:準単色光11の波長)よりも十分に小さい大きさの開口からなるピンホール25aをマトリックス状に配列してなる。このピンホール25aの位置が、測定したい被検光学系13の像点位置に対応している。
【0089】
そして、図8に戻って、集光ミラー35は、被検光学系13の像面内方向に沿って移動可能なステージ33上に設けられており、ステージ33を移動させることにより、ピンホールアレイ板25上の複数のピンホール25aのうちの一つを選択的に照明することができる。この照明されたピンホール25aが測定点に対応する。なお、ステージ33の移動に伴い、準単色光11の集光ミラー25への入射位置を変更しておくことは言うまでもない。また、複数のピンホール25aのうちの一つではなく、複数個をまとめて照明しても良い。
【0090】
さて、ピンホールアレイ板25の被検光学系13による結像位置には、図9(B)に示すような開口部付ピンホールアレイ板26が配置されている。この開口部付ピンホールアレイ板26は、ピンホールアレイ板25の複数のピンホール25aのそれぞれの結像位置にマトリックス状に設けられた複数のピンホール26aと、この複数のピンホール26aから所定の間隔で隔てられてマトリックス状に設けられた複数の開口部26bとを有する。ここで、複数のピンホール26aのそれぞれは、図7のピンホール17aと同様の機能を有しており、複数の開口部のそれぞれは、図7の開口部17bと同様の機能を有している。
【0091】
照明されたピンホール25aからは、理想的球面波と見なせる波面を有する光が射出されて、被検光学系13へ入射する。被検光学系13からの光は、回折格子16により回折され、0次回折光が開口部付ピンホールアレイ板26の複数のピンホール26aのうち、照明されたピンホール25aに対応するピンホール26aに達し、1次回折光が開口部付ピンホールアレイ板26の複数のピンホール26aのうち、照明されたピンホール25aに対応する開口部26bに達する。そして、ピンホール26aを介した光と開口部26bを介した光とは互いに干渉を起こす。
【0092】
さて、開口部付ピンホール板26の射出側には、被検光学系13の物体面内方向に沿って移動可能なステージ34上に取り付けられたCCD15が配置されている。このステージ34は、上述のステージ33と連動して移動するように構成されており、CCD15では、照明されたピンホール25aに対応するピンホール26a及び開口部26bのみを見込むことになる。従って、CCD15上には、照明されたピンホール25aに対応するピンホール26a及び開口部26bのみからの光による干渉縞が形成され、この干渉縞を解析することにより、照明されたピンホール25aの像面上位置における波面収差を求めることができる。
【0093】
図8の実施形態では、第1のピンホール部材としてのピンホールアレイ板25と、第2のピンホール部材としての開口部付ピンホールアレイ板26とが被検光学系13に対して固定された状態となっているため、測定の際にはステージ33,34の移動に起因する振動の影響を受けることがなく、安定した測定が可能となる。
【0094】
さて、ピンホールアレイ板25は、ピンホールアレイ板25を被検光学系13の光軸方向に沿って微動可能にする垂直ステージ36上に載置されており、ステージ36は被検光学系13を支持する架台に固定されている。また、開口部付ピンホールアレイ板26は、被検光学系13の物体面内方向に沿って微動可能なXYステージ37上に載置されている。このXYステージ37は、ピエゾを介して上記架台に取り付けられている。ここで、垂直ステージ36によるピンホールアレイ板25の移動によりフォーカス調整が達成でき、XYステージ37を移動させることにより、被検光学系にディストーションがある場合にピンホール26aの位置を合わせこむことができる。ここで、XYステージ37には測長干渉計などの微小変位センサが設けられており、この微小変位センサからの出力により被検光学系13のディストーションを計測することが可能となる。なお、本例では、ピンホールアレイ板25の複数のピンホール25aと開口部付ピンホールアレイ板26の複数のピンホール26aとの位置は、予め座標測定機を用いて正確に測定している。
【0095】
また、図8の例では、ピンホール26aの位置を移動させているが、この移動ストロークは微小量であるため、精度良くピンホール26aの位置決めが可能である。さらに、図8の例では、被検光学系13の物体面側においてピンホール26aを移動させる構成としているので、被検光学系13が縮小倍率−1/βを有する場合には、被検光学系13の像面側のピンホール25aを移動させる場合に比べて、|−1/β|倍だけピンホール26a位置決め精度をゆるくすることができる。
【0096】
このように、図8の例では、ピンホール25aを移動させる構成ではなく、ピンホール26aの移動量も位置決め精度を保つことができる範囲であるので、安定した測定が達成でき、さらに結像点の位置の収差、すなわちディストーション計測の精度が十分とすることができる。
【0097】
なお、上記の例では、被検光学系13の波面収差の測定点位置に対応する複数のピンホール25aをマトリックス状に配置したが、このピンホールの配置はマトリックス状には限られない。例えば、図10に示すように被検光学系13の視野(露光領域)13Aが円弧形状である場合には、被検光学系13における同じ高さの物体高(像高)に沿って所定の間隔でピンホール250aを配置し、さらに別の物体高(像高)に沿って所定の間隔でピンホール250aを配置したピンホールアレイ板250を用いても良い。この場合、開口部付ピンホールアレイ板におけるピンホール及び開口部の配置も、ピンホール250aに合わせておくことは言うまでもない。
【0098】
また、図8の例では、回折格子16が被検光学系13と開口部付ピンホールアレイ板26との間の光路中に配置されているが、回折格子16はピンホールアレイ板12と開口部付ピンホールアレイ板26との間の光路中に配置されていれば良く、例えばピンホールアレイ板25と被検光学系13との間に配置されていても良い。また、図8の例では、回折格子16による0次回折光と1次回折光との2つの回折光を用いているが、この回折光は2つには限られず、また0次と1次との組み合わせにも限られない。
【0099】
[第3の実施形態]
次に、図11を参照して、本発明の第3の実施形態にかかる波面収差測定機を説明する。第3の実施形態の波面収差測定機は、軟X線の露光波長を用いて投影光学系の波面収差を測定するものである。図11においては、図6〜図10に示した部材と同様の機能を有する部材には、同じ符号を付してある。
【0100】
図11(A)において、SOR(Synchrotron Orbital Radiation:シンクロトロン放射光)のアンデュレータ(undulator)からの光は、不図示の分光機を通過して13nm前後の波長を持つ準単色光11となり、集光ミラーで集光された後、ピンホール12に入射する。このピンホール12は、被検光学系13の入射側(ピンホール12側)の開口数NAから決まるエアリーディスクのサイズ(0.6λ/NA、λ:準単色光11の波長)よりも十分に小さい大きさの開口を有している。従って、ピンホール12からは、理想的球面波と見なせる波面を有する光が射出される。
【0101】
第3の実施形態では、被検光学系13の結像位置(被検光学系13によってピンホール12と共役になる位置)と被検光学系13との間には、図11(B)に示す如く複数の開口部23aを有するハルトマンプレート23が配置されている。
【0102】
図11(A)に戻って、被検光学系13から射出されるピンホール12からの光束は、ハルトマンプレート23の複数の開口部23aにより、この開口部23aの数と同数の光線群となり、結像位置へ向かう。この光線群は結像位置で一度集光された後、広がった状態でCCD15に達する。このハルトマンプレート23中の複数の開口部23aを介した光線群は、被検光学系13の瞳面を複数の区画に分割した際の各区画を通過する光線に対応するため、CCD15上において各光線(光線群)の到達する位置を検出すれば、被検光学系13の横収差を求めることができ、この横収差より被検光学系13の波面収差を算出できる。
【0103】
なお、ハルトマンプレート23上に設けられる複数の開口部23aの配置は、図11(B)の例ではマトリックス状としているが、この配置には限られない。また、図11の例では、ハルトマンプレート23を被検光学系13と、被検光学系13の結像位置との間に配置しているが、このハルトマンプレート23の位置は、ピンホール板12と被検光学系13による結像位置との間であれば良く、例えばピンホール板12と被検光学系13との間の光路中であっても良い。
【0104】
[第4の実施形態]
次に、図12を参照して、本発明の第4の実施形態にかかる波面収差測定機を説明する。上述の第2及び第3の実施形態では、SORのアンデュレータ(undulator)を光源とする波面収差測定機であったが、SORのアンデュレータを光源とすると精度は極めて高くできるが、装置自体の大きさが巨大となり過ぎ、一般の工場で利用することが非常に困難になる。以下の第4の実施形態では、SORのアンデュレータに代えて、レーザプラズマX線源(LPX)を光源として用いる。レーザプラズマX線源(LPX)とは、ターゲットに強力なパルスレーザを集光したときに、ターゲットから高温度のプラズマが発生し、このプラズマに含まれるX線を利用するものである。本実施形態では、このレーザプラズマX線源からの放射光を分光器で分光して所定波長(例えば13nm)の光のみを取りだし、これを波面収差測定機の光源として用いている。
【0105】
このレーザプラズマX線源(LPX)の輝度は、SORのアンデュレータ(undulator)と比較して桁違いに小さいため、第4の実施形態では、上記第2及び第3実施例における1つの開口部からなるピンホールを、複数の開口部が微小領域に集積されたピンホール群に置き換えている。
【0106】
図12(A)において、レーザ光源18は、赤外域〜可視域の波長のパルスレーザ光を供給し、例えば半導体レーザ励起によるYAGレーザやエキシマレーザなどを適用できる。このレーザ光は集光光学系によりターゲット19上で集光する。このターゲット19は、高照度のレーザ光を受けて高温になりプラズマ状態に励起され、低ポテンシャル状態へ遷移する際にX線20を放出する。このX線20が図示無き分光器を通過することにより、13nmの準単色光のみが取り出され、集光ミラーを介して、ピンホール部材21上のピンホール群を照射する。
【0107】
ここで、ピンホール部材21は、図12(B)に示すように、被検光学系13の測定点位置の微小領域に複数の微小開口部からなるピンホール群21aを有している。図12(B)ではピンホール群21aとして4つの微小開口部のみを有するものを図示しているが、実際のピンホール群21aは、100個以上の微小開口部から構成される。これらの微小開口部の大きさは、被検光学系13の入射側(ピンホール部材21側)の開口数NAから決まるエアリーディスクのサイズ(0.6λ/NA、λ:準単色光11の波長)よりも十分に小さい大きさとなっている。また、図12(B)の例では、複数のピンホール群21aがピンホール部材21上に形成されているが、このピンホール群21aの形成される位置は、被検光学系の測定したい物体上の位置に応じて決定すれば良い。
【0108】
図12(A)に戻って、ピンホール部材21上の一つのピンホール群21aの領域全体が準単色光により照明される。この照明されたピンホール群21aの多数の微小開口部からは、複数の理想的球面波が発生する。これら複数の理想的球面波は、被検光学系13を通過した後、被検光学系13に関するピンホール部材21と共役な位置である結像位置へ向かって集光する。
【0109】
なお、図12では不図示ではあるが、本実施形態では、上述の第2の実施形態と同様に、ピンホール部材21上の複数のピンホール群21aのうちの1つが選択的に照明される。
【0110】
さて、図12の例では、被検光学系13と結像位置との間に回折格子16が配置されており、被検光学系13から射出されて回折格子16を通過する光は、この回折格子16により回折されて、ピンホール部材22へ向かう。
【0111】
図12(C)はピンホール部材22の構成を示す図であり、ピンホール部材22は、ピンホール部材21上の複数のピンホール群21aのそれぞれが有する微小開口部に一対一対応で設けられた複数の微小開口部からなるピンホール群22aと、複数のピンホール群21aに対して一対一対応で設けられた複数の開口部22bとを有している。すなわち、複数の微小開口部からなる1つのピンホール群21aに対して1つの開口部22bが対応している。
【0112】
このとき、複数のピンホール群21aと複数の開口部22bとは、ピンホール部材22が被検光学系13の結像位置に配置されている場合に、回折格子16を経た0次回折光の光路にピンホール群22aが位置し、かつ回折格子16を経た1次回折光の光路に開口部22bが位置するような位置関係となっている。
【0113】
従って、複数のピンホール群21aのうちの照明されたピンホール群21aからの理想的球面波群は、被検光学系13を経た後、回折格子16にて回折される。この回折光のうち、0次回折光は、ピンホール部材22上の複数のピンホール群22aのうち、照明されたピンホール群21aに対応するピンホール22aに達する。また、1次回折光は、ピンホール部材22上の複数の開口部22bのうち、照明されたピンホール群21aに対応する開口部22bに達する。これらの0次及び1次回折光は、被検光学系13の波面収差に応じた形状の波面を有するが、ピンホール群22aを通過する0次回折光は、このピンホール群22aにて回折されて第2の理想的球面波群に変換される。また、開口部22bを通過する1次回折光は、開口部22bによる回折の影響を受けることなしに開口部22bから射出される。これらの第2の理想的球面波群と開口部22bからの光とは互いに干渉を起こす。
【0114】
従って、ピンホール部材22の射出側(被検光学系13と反対側)に配置されているCCD15の撮像面上には、ピンホール群22aからの理想的球面波群と、開口部22bからの波面とが干渉することによる干渉縞が形成される。ここで、CCD15の撮像面上の干渉縞は、被検光学系13を経た波面の理想的球面波からのずれに応じた形状となり、前述の例と同様に、この干渉縞を解析することにより被検光学系13の波面収差を求めることができる。
【0115】
なお、図12(A)では不図示ではあるが、上述の第2の実施形態と同様に、選択的に照明されたピンホール群21aに対応しているピンホール群22a及び開口部22bからの光を受光できるように、CCD15は、被検光学系13の像面内方向に沿って移動可能に構成されている。これにより、被検光学系の物体面(像面)内の複数の測定点における波面収差を測定することができる。
【0116】
以上の通り、第4の実施形態によれば、一般の工場でも使える波面収差測定機を提供することができる。
【0117】
なお、図12の例では、回折格子16が被検光学系13とピンホール部材22との間の光路中に配置されているが、回折格子16はピンホール部材21とピンホール部材22との間の光路中に配置されていれば良く、例えばピンホール部材21と被検光学系13との間に配置されていても良い。また、図12の例では、回折格子16による0次回折光と1次回折光との2つの回折光を用いているが、この回折光は2つには限られず、また0次と1次との組み合わせにも限られない。
【0118】
[第5の実施形態]
以上説明した第4の実施形態では、ピンホール群21a,22aとして、所定の微小領域内に多数の微小開口を設けたものを用いたが、その代わりに、例えば図13(A)に示すように、多数の微小開口を所定の1次元方向に配列してなるピンホール群210aを用いても良い。この場合、被検光学系13の物体面(像面)内の複数の測定点に対応するため、ピンホール部材210はマトリックス状に配列された複数のピンホール群210aを備える。図13(A)ではピンホール群210aとして4つの微小開口部のみを有するものを図示しているが、実際のピンホール群210aは、100個以上の微小開口部から構成される。これらの微小開口部の大きさは、被検光学系13の入射側(ピンホール部材210側)の開口数NAから決まるエアリーディスクのサイズ(0.6λ/NA、λ:準単色光11の波長)よりも十分に小さい大きさとなっている。
【0119】
このピンホール部材210をピンホール部材21の代わりに用いる場合には、ピンホール部材22の代わりに、図13(B)に示すピンホール部材220を用いる。このピンホール部材220は、ピンホール部材210上の複数のピンホール群210aのそれぞれが有する微小開口部に一対一対応で設けられた複数の微小開口部からなるピンホール220aと、複数のピンホール群210aに対して一対一対応で設けられた複数の開口部220bとを有している。ここで、複数のピンホール群220aのそれぞれは、所定の1次元方向に沿って配列された多数の微小開口からなる。また、複数の微小開口部からなる1つのピンホール群21aに対して1つの開口部22bが対応している。
【0120】
このように、ピンホール群を所定の1次元方向に沿って配列した複数の微小開口から構成すると、これら複数の微小開口の間で光が混入することに起因するノイズを減らすことが可能であり、さらなる測定精度の向上を図ることができる。
【0121】
なお、所定の1次元方向に沿って配列した複数の微小開口の配列ピッチは、被検光学系13のピンホール部材210側の開口数により定まるエアリーディスクの半径の10倍〜25倍とすることが好ましく、16倍〜20倍程度であることがさらに好ましい。
【0122】
[第6の実施形態]
上述の第4の実施形態におけるピンホール群21a,22aの代わりに、スリット形状の開口部を用いることが可能である。図14(A),(B)は、複数のスリット形状の開口部を備えたスリット部材を示す図である。
【0123】
図14(A)において、スリット部材211は、被検光学系13の物体面(像面)内の複数の測定点に対応するため、マトリックス状に配列された複数のスリット形状の開口部211aを備えている。ここで、本実施形態でいうスリット形状とは、所定の1次元方向に延びた形状を指し、全体の形は矩形状には限られない。また、スリット形状の開口部211aの短手方向の幅は、被検光学系13の入射側(ピンホール部材210側)の開口数NAから決まるエアリーディスクのサイズ(0.6λ/NA、λ:準単色光11の波長)よりも十分に小さい大きさとなっている。従って、スリット形状の開口部211aが照明されると、ここからは短手方向に沿った断面方向では理想的な球面波(理想的1次元球面波)が射出されることになる。
【0124】
このスリット部材211をピンホール部材21の代わりに用いる場合には、ピンホール部材22の代わりに、図14(B)に示すスリット部材221を用いる。このスリット部材221は、スリット部材211上の複数のスリット形状の開口部211aに一対一対応で設けられた複数のスリット形状の開口部221aと、スリット部材211上の複数のスリット形状の開口部211aに一対一対応で設けられた複数の開口部221bとから構成される。
【0125】
これらのスリット部材211,221を、図12の第4の実施形態の波面収差測定機に組み込んだ場合の動作につき以下に説明する。
【0126】
まず、レーザプラズマX線源からの光により複数のスリット形状の開口部211aのうち、所望の測定点に対応する1つのスリット形状の開口部211aを照明する。この照明されたスリット形状の開口部211aからは、スリット短手方向において理想的1次元球面波が発生する。この理想的1次元球面波は被検光学系13を通過して、回折格子16にて回折され、0次回折光がスリット部材221のスリット形状の開口部221aへ達し、1次回折光がスリット部材221の開口部221bへ達する。
【0127】
ここで、スリット形状の開口部221aからは、スリット短手方向において理想的1次元球面波が生じ、開口部221bを被検光学系13の波面収差に応じた形状の波面が通過する。これらの理想的1次元球面波と開口部からの波面とが互いに干渉してCCD15上に干渉縞を形成する。この干渉縞を解析することにより被検光学系13の波面収差を測定することができる。なお、この第6の実施形態においては、スリット長手方向に沿った測定精度が落ちる可能性があるが、この場合にはスリット部材211、221と被検光学系13とを相対的に回転可能であるように設けるか、長手方向が互いに異なる複数のスリット形状の開口部を、図14のスリット形状の開口部211a,221aの代わりに設ければ良い。
【0128】
このように、スリット形状の開口部を用いることにより、1つの微小開口を持つピンホールや複数の微小開口からなるピンホール群を用いる場合よりも、さらに光量を向上させることが可能となる。この構成は、シアリング干渉計に相当する。
【0129】
ここで、図14のスリット部材221は、回折格子16による回折光のうち、0次回折光と1次回折光との2つの回折光を用いているが、0次と1次との組み合わせには限られない。
【0130】
[第7の実施形態]
図15に示す第7の実施形態にかかる波面収差測定機は、上述の図11の第3の実施形態の光源を、SOR(Synchrotron Orbital Radiation:シンクロトロン放射光)のアンデュレータ(undulator)に代えて、レーザプラズマX線源を用いた変形例である。
【0131】
図15において、レーザ光源18は、赤外域〜可視域の波長のパルスレーザ光を供給し、例えば半導体レーザ励起によるYAGレーザやエキシマレーザなどを適用できる。このレーザ光は集光光学系によりターゲット19上で集光する。このターゲット19は、高照度のレーザ光を受けて高温になりプラズマ状態に励起され、低ポテンシャル状態へ遷移する際にX線20を放出する。このX線20が図示無き分光器を通過することにより、13nmの準単色光のみが取り出され、集光ミラーを介して、ピンホール部材24を照射する。
【0132】
このピンホール部材24は、被検光学系13の入射側(ピンホール部材24側)の開口数NAから決まるエアリーディスクの直径(0.6λ/NA、λ:準単色光の波長)よりも十分に大きい(10倍以上)開口を有している。ここで、ピンホール部材24の開口を、被検光学系13の物体面内方向において均一な光量で、かつピンホール部材24の開口へ入射する光束の光束断面方向内において均一な光量で照明することができれば、前述の実施形態のように開口の大きさをエアリーディスクよりも十分に小さくする必要はない。
【0133】
本実施形態では、被検光学系13の物体面内方向において均一な光量で、かつピンホール部材24の開口へ入射する光束の断面方向内において均一な光量で照明しているため、このような大きな開口のピンホールを用いることができる。
【0134】
この第7の実施形態においてもピンホール部材24の開口からは、理想的球面波と見なせる波面を有する光が射出される。
【0135】
第7の実施形態では、前述の第3の実施形態と同様に、被検光学系13の結像位置(被検光学系13によってピンホール12と共役になる位置)と被検光学系13との間には、複数の開口部を有するハルトマンプレート23が配置されている。
【0136】
被検光学系13から射出されるピンホール部材24の開口からの光束は、ハルトマンプレート23の複数の開口部により、この開口部の数と同数の光線群となり、結像位置へ向かう。この光線群は結像位置で一度集光された後、広がった状態でCCD15に達する。このハルトマンプレート23中の複数の開口部を介した光線群は、被検光学系13の瞳面を複数の区画に分割した際の各区画を通過する光線に対応するため、CCD15上において各光線(光線群)の到達する位置を検出すれば、被検光学系13の横収差を求めることができ、この横収差より被検光学系13の波面収差を算出できる。
【0137】
[第8の実施形態]
以上説明した実施の形態では、光源として軟X線の波長域を供給するものを用いたが、通常の工場での光学系の組み立て調整の際には、X線源では無く通常のレーザ光源を用いるのが便利である。
【0138】
以下、第8の実施形態として、レーザ光源を用いた波面収差測定機について図16〜図19を参照して説明する。ここで、図16は、第8の実施形態の原理を説明するための図である。
【0139】
図16(A)において、レーザ光源18は所定波長のレーザ光を供給する。このレーザ光は、ビームスプリッタBSにより分割されて、分割された一方の光束は、折り曲げミラー及び集光レンズを介して、微小開口を有する第1のピンホール12へ導かれる。この第1のピンホール12は被検光学系13の像面位置に配置されており、その微小開口の大きさは、被検光学系13の射出側(ピンホール12側)の開口数NAから決まるエアリーディスクの直径(0.6λ/NA、λ:レーザ光の波長)よりも十分に小さい大きさである。従って、第1のピンホール12の微小開口からは第1の理想的球面波が発生する。
【0140】
第1のピンホール12からの第1の理想的球面波は、被検光学系13を通過して、被検光学系13に関して第1のピンホールと共役な位置に配置されたピンホールミラー30へ導かれる。
【0141】
ピンホールミラー30は、図16(B)に示す如く、光透過性の基板30cと、この基板30c上に設けられた反射面30bと、この反射面30bが設けられない領域である開口部30aとからなる。なお、ピンホールミラー30の開口部30aの大きさも、被検光学系13の射出側(ピンホールミラー30側)の開口数NAから決まるエアリーディスクの直径(0.6λ/NA、λ:レーザ光の波長)よりも十分に小さい大きさである。
【0142】
さて、図16(A)に戻って、ビームスプリッタBSにて分割された光束のうち、他方の光束は集光レンズ28を介した後、被検光学系13の物体面に配置されたピンホールミラー30の裏面(反射面30bと逆側)へ集光状態で導かれる。
【0143】
従って、ピンホールミラー30では、ピンホールミラー30の裏面からの光束が開口部30aを通過する際に、第2の理想的球面波が生じる。また、被検光学系13を通過した光束がピンホールミラー30の反射面30bで反射されると、この反射光は、被検光学系13の波面収差に応じた形状の波面を有する。
【0144】
ピンホールミラー30の開口部30aからの第2の理想的球面波と、ピンホールミラー30の反射面30bでの反射光とは、レンズを介してCCD29上に達し、このCCD29の撮像面上において干渉縞を形成する。
【0145】
CCD29の撮像面上の干渉縞は、被検光学系13を通過した波面の理想的球面波からのずれに応じた形状となり、この干渉縞を解析することにより被検光学系13の波面収差を求めることができる。
【0146】
図16に示した第8の実施形態の原理図では、被検光学系13の物体面(像面)上における所定の一点を測定点としたが、複数の測定点を測定する場合には、図16のピンホール12に代えて、複数の開口部が所定の配列に沿って並んだピンホールアレイ板31を用い、図17のピンホールミラー30の代わりに複数の開口部と反射面とを有するピンホールミラーアレイ32を用いれば良い。
【0147】
以下、図17を参照して、複数の測定点において被検光学系13の波面収差を測定することができる第8の実施形態について説明する。なお、図17において、図17に示した部材と同様の機能を有する部材には同じ符号を付してある。
【0148】
図17において、レーザ光源27からの所定波長のレーザ光は、ビームスプリッタBSにより分割される。ビームスプリッタBSにより分割された一方の光束は、被検光学系13の像面内方向に沿って移動可能なステージ33内に設けられた折り曲げミラー及び集光レンズを順に介してピンホールアレイ31に達する。
【0149】
図18(A)に示す通り、ピンホールアレイ31は、マトリックス状に配列された複数の開口部31aを有する。この複数の開口部31aの位置が被検光学系13の測定点の位置に対応する。ここで、複数の開口部31aのそれぞれは、被検光学系13の射出側(ピンホールアレイ31側)の開口数NAから決まるエアリーディスクの直径(0.6λ/NA、λ:レーザ光の波長)よりも十分に小さい大きさである。従って、ピンホールアレイ31の開口部31aからは理想的球面波が発生する。
【0150】
図17に戻って、ステージ33を移動させることにより、ピンホールアレイ31上の複数の開口部31aのうちの1つが選択的に照明される。なお、ステージ33の移動に伴い、レーザ光の折り曲げミラーへの入射位置を変更することは言うまでもない。また、複数の開口部31aのうちの一つではなく、複数個をまとめて照明しても良い。
【0151】
さて、ピンホールアレイ31からの理想的球面波は、被検光学系13を通過した後、被検光学系13に関してピンホールアレイ31と共役な位置のピンホールミラーアレイ32へ導かれる。
【0152】
ピンホールミラーアレイ32は、図18(B)に示すように、複数の開口部32aがマトリックス状に並ぶように反射面30bを設けたものであり、開口部32aには反射面30bは設けられない。ここで、ピンホールミラーアレイ32の複数の開口部32aのそれぞれの大きさは、被検光学系13の射出側(ピンホールミラーアレイ32側)の開口数NAから決まるエアリーディスクの直径(0.6λ/NA、λ:レーザ光の波長)よりも十分に小さい大きさである。
【0153】
さて、図17に戻って、ビームスプリッタBSにて分割された光束のうち、他方の光束は折り曲げミラー38及び集光レンズ28を順に介した後、被検光学系13の物体面に配置されたピンホールミラーアレイ32の裏面(反射面32bと逆側)へ集光状態で導かれる。
【0154】
従って、ピンホールミラーアレイ32では、ピンホールミラーアレイ32の裏面からの光束が開口部32aを通過する際に、理想的球面波が生じる。また、被検光学系13を通過した光束がピンホールミラーアレイ32の反射面32bで反射されると、この反射光は、被検光学系13の波面収差に応じた形状の波面を有する。
【0155】
ピンホールミラーアレイ32の開口部32aからの理想的球面波と、ピンホールミラー32の反射面32bでの反射光とは、折り曲げミラー及びレンズを介してCCD29上に達し、このCCD29の撮像面上において干渉縞を形成する。 CCD29の撮像面上の干渉縞は、被検光学系13を通過した波面の理想的球面波からのずれに応じた形状となり、この干渉縞を解析することにより被検光学系13の波面収差を求めることができる。
【0156】
さて、図17に示す第8の実施形態では、CCD29は、ピンホールミラーアレイ32からCCD29へ光を導く光学系、及び集光レンズ28と共に、被検光学系13の物体面内方向に沿って移動可能なステージ34上に取り付けられている。このステージ34は、上述のステージ33と連動して移動するように構成されており、CCD29では、照明された開口部31aに対応する開口部32bのみを見込むことになる。従って、CCD29上には、照明された開口部31aから生じて被検光学系13を通過する光と、照明された開口部31aに対応するピンホールミラーアレイ32上の開口部32aからの回折光との干渉による干渉縞が形成される。従って、この干渉縞を解析することにより、照明された開口部31aが位置する測定点での波面収差を求めることができる。
【0157】
このように、第8の実施形態においても、測定の際においてステージ33,34の移動に起因する振動の影響を受けることがなく、安定した測定が可能となる。
【0158】
さて、ピンホールアレイ31は、ピンホールアレイ31を被検光学系13の光軸方向に沿って微動可能にする垂直ステージ36上に載置されており、ステージ36は被検光学系13を支持する架台に固定されている。また、ピンホールミラーアレイ32は、被検光学系13の物体面内方向に沿って微動可能なXYステージ37上に載置されている。このXYステージ37は、ピエゾを介して上記架台に取り付けられている。ここで、垂直ステージ36によるピンホールアレイ31の移動によりフォーカス調整が達成でき、XYステージ37を移動させることにより被検光学系にディストーションがある場合において開口部32aの位置を合わせこむことができる。
【0159】
ここで、XYステージ37には測長干渉計などの微小変位センサが設けられており、この微小変位センサからの出力により被検光学系13のディストーションを計測することが可能となる。なお、本例においても、ピンホールアレイ31の複数の開口部31aとピンホールミラーアレイ32の複数の開口部32aとの位置は、予め座標測定機を用いて正確に測定している。
【0160】
また、第8の実施形態においては、折り曲げミラー38は振動可能に構成されており、この振動により、ビームスプリッタBSにより2つに分割された光路間の光路長が変化する。これにより、高精度測定を行う際の縞走査(フリンジスキャン)を実行することができる。
【0161】
[比較例]
図19は、第8の実施形態の比較例の構成を示す図である。この図19に示す比較例では、図6に示した波面収差測定機の光源を紫外線レーザとしたものである。前述のように、波面収差測定機の光源の波長を短くすればするほど測定精度は高まるのだが、紫外線レーザでは、被検光学系13の使用波長よりも20倍程度波長が異なるため、この比較例では図6のものよりも20倍だけ精度が悪くなる。
【0162】
それに対して第8の実施形態の波面収差測定機では、参照波面を測定波面とは別の光路を経由させているため、図19の比較例よりも高い精度での測定が可能となる。このように、第8の実施形態では、X線源を用いなくとも高い精度で波面収差を測定可能となる。
【0163】
なお、上述の第2〜第8の実施形態の波面収差測定機を、露光装置へ組み込むことも可能である。特に、第2及び第3の実施形態の波面収差測定機では、露光光としてSORのアンデュレータを用いる場合に光源部を露光光源と共用できるため好適であり、第4〜第7の実施形態では、露光波長としてレーザプラズマX線源を用いる場合に光源部を露光光源と共用できるため好適である。また、第8の実施形態の波面収差測定装置では、露光光源とは別にレーザ光源を用意する必要があるが、このレーザ光源として、露光装置におけるアライメント系の光源或いはオートフォーカス系の光源と共用することも可能である。また、各実施形態の波面収差測定機において、露光装置内の光源と共用する場合には、検出器としてのCCDが収められているユニットを露光装置から取り外し可能に設けることも可能である。この場合、メンテナンス時等の必要時にユニットを露光装置に取り付ければ投影光学系の波面収差を測定することが可能であるので、露光装置1台毎に波面収差測定機を設ける必要がなくなり、露光装置のコストダウンを測ることができる。
【0164】
また、上述の第2〜第7の実施形態では、検出器としてCCDを適用しているが、この代わりに、軟X線領域の放射光を可視光に変換する機能を持つ部材(例えば蛍光板)を検出器の位置に設け、この部材からの可視光をCCD等の検出器で検出しても良い。
【0165】
なお、上述の実施形態では、波長10nm前後の軟X線を露光光として用いる露光装置中の投影光学系の製造方法、この投影光学系の波面収差測定に好適な波面収差測定機、この投影光学系中の反射面の面形状を測定するのに好適な面形状測定用干渉計、及びこの干渉計の校正方法について説明したが、本発明は、この軟X線の波長に限定されるものではない。例えば軟X線よりも短い波長の硬X線用の投影光学系や波面収差測定機、硬X線用投影光学系の光学素子の面形状を測定する面形状計測用干渉計に適用できるばかりか、軟X線よりも長い波長の真空紫外域(100nm〜200nmn)でも適用できる。ここで、真空紫外域用の投影光学系や波面収差測定機、真空紫外域用投影光学系の光学素子の面形状測定に適用すれば、従来のものよりも極めて高い精度での測定・製造が可能となる。
【0166】
このように本発明は上述の実施形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の構成をとり得る。
【図面の簡単な説明】
【0167】
【図1】本発明の第1の実施形態にかかる干渉計の構成を示す図である。
【図2】第1の実施形態の干渉計の要部を示す図である。
【図3】第1の実施形態の干渉計の変形例を示す図である。
【図4】第1の実施形態の干渉計の校正方法を示すフローチャートである。
【図5】第1の実施形態の干渉計の校正方法において用いられる修正研磨機の構成を示す図である。
【図6】第2の実施形態の干渉計の原理を説明するための図である。
【図7】第2の実施形態の干渉計の原理を説明するための図である。
【図8】第2の実施形態の干渉計の構成を示す図である。
【図9】第2の実施形態の干渉計における要部を示す図である。
【図10】第2の実施形態の干渉計における要部の変形例を示す図である。
【図11】第3の実施形態の干渉計の構成を示す図である。
【図12】第4の実施形態の干渉計の構成を示す図である。
【図13】第5の実施形態の干渉計における要部を示す図である。
【図14】第6の実施形態の干渉計における要部を示す図である。
【図15】第7の実施形態の干渉計の構成を示す図である。
【図16】第8の実施形態の原理を説明するための図である。
【図17】第8の実施形態の干渉計の構成を示す図である。
【図18】第8の実施形態の干渉計における要部を示す図である。
【図19】比較例の干渉計の構成を示す図である。
【図20】比較例の干渉計の構成を示す図である。
【符号の説明】
【0168】
1 :光源
2 :ヌル素子
3 :非球面参照面
4 :被検面
5 :CCD
【技術分野】
【0001】
本発明はEUVLと呼ばれる波長10nm前後の軟X線を露光光として用いる露光装置に好適な投影光学系の波面収差を測定する波面収差測定機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来において、半導体素子や液晶表示素子、または薄膜磁気ヘッドなどのデバイスをリソグラフィ工程により製造する際に用いられるリソグラフィー装置では、露光光として193nm以上の光が用いられてきた。このようなリソグラフィー装置における投影光学系に用いられるレンズの面は、通常球面であり、そのレンズ面の形状精度は1〜2nmRMSであった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
近年においては、半導体回路素子上のパターンの微細化が進み、さらなる微細化を達成するために今まで以上の短い波長を用いた露光装置が求められており、波長11〜13nmの軟X線を用いた投影露光装置の開発製造が求められている。
【0004】
この軟X線の波長域においては、吸収のためレンズ(屈折光学素子)を用いることはできず、投影光学系として全て反射面からなる反射型投影光学系を用いざるを得ない。また、軟X線の波長域においては、反射面の反射率も70%程度しか期待できないため、投影光学系における反射面の数も3〜6面しか用いることができない。
【0005】
従って、投影光学系においては、少ない数の反射面で収差の無い光学系とするために、全ての反射面を非球面形状にする。ここで、4面の反射面を用いた投影光学系の場合では、反射面の形状精度として0.23nmRMSが要求される。この非球面形状の形成方法としては、干渉計を用いて実際の面形状を測定しつつ、この面形状を所望の形状とするために修正研磨機で形状を作り込んでいくことが考えられる。
【0006】
しかしながら、従来の面形状測定用の干渉計の測定精度は繰り返し再現性で0.3nmRMS、球面の絶対精度で1nmRMS、非球面の絶対精度は10nmRMS程度であり、到底要求精度を満たすことはできず、結果として所望の性能の投影光学系を製造することができなかった。
【0007】
そこで、本発明は、高精度な波面収差測定を行うことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
また、上記第3の目的を達成するために、本発明の1つの態様にかかる波面収差測定機は、被検光学系の波面収差を測定する波面収差測定機であって、例えば図8に示す如く、
所定波長の放射光を供給する光源と;
該光源からの放射光に基づいて第1の理想的球面波を発生させる第1のピンホール部材と;
前記被検光学系による該第1のピンホール部材の結像位置に配置された第2のピンホール部材と;
前記第1及び第2のピンホール部材の間の光路中に配置されて、0次回折光を前記第2のピンホール部材へ到達させるように配置された回折格子と;
前記回折格子による1次又は他の次数の回折光のうち所定次数の回折光を選択的に通過させる回折光選択手段と;
前記0次回折光が前記第2のピンホール部材を経由した際に発生する第2の理想的球面波と、前記回折光選択手段を通過した前記所定次数の回折光との干渉により得られた干渉縞から前記被検光学系の波面収差を算出する手段と;
を有し、
前記第1のピンホール部材は、前記被検光学系の光軸を横切る面に沿って2次元的に配列された複数の第1ピンホールを有し、
前記第2のピンホール部材は、前記被検光学系による前記複数の第1ピンホールの複数の結像位置のそれぞれに対応した位置に配列された複数の第2ピンホールを有し、
前記回折光選択手段は、前記複数の結像位置へ向かう複数の光束が前記回折格子を通過することにより生じる複数の所定次数の回折光のそれぞれを選択的に通過させるための複数の開口部を有するものである。
【0009】
また、本発明の好ましい態様にかかる波面収差測定機は、上記波面収差測定機において、
前記光源は、シンクロトロン放射光を供給する光源、レーザ光源、及びレーザプラズマX線源のうちの1つである。
【0010】
また、本発明の好ましい態様にかかる波面収差測定機は、上記波面収差測定機において、
前記光源はレーザプラズマX線源であり、
前記複数の第1ピンホールのそれぞれは、複数のピンホールからなるピンホール群で構成されるものである。
【0011】
また、本発明の好ましい態様にかかる波面収差測定機は、上記波面収差測定機において、
前記ピンホール群を構成する前記複数のピンホールは、所定の1次元方向に沿って配列されるものである。
【0012】
また、本発明の好ましい態様にかかる波面収差測定機は、上記波面収差測定機において、
前記所定の1次元方向に沿って配列される前記複数のピンホールの配列ピッチは、前記被検光学系の前記第1ピンホール側の開口数により定まるエアリーディスクの半径の10倍〜25倍である。
【0013】
また、本発明の好ましい態様にかかる波面収差測定機は、上記波面収差測定機において、
前記ピンホール群を構成する前記複数のピンホールは、所定の1次元方向に延びたスリット形状の開口部を有するものである。
【0014】
また、本発明の好ましい態様にかかる波面収差測定機は、上記波面収差測定機において、
前記第1のピンホール部材の前記複数の第1ピンホールのうちの一部を選択的に照明するための第1の選択照明手段と;
前記第2のピンホール部材の前記複数の第2ピンホールのうちの前記第1ピンホールの一部に対応した一部からの前記第2の理想的球面波と、前記複数の開口部のうちの前記第1ピンホールの一部に対応した一部を通過する前記所定次数の回折光とを選択的に受光する選択受光手段と;
を備えるものである。
【0015】
また、本発明の好ましい態様にかかる波面収差測定機は、上記波面収差測定機において、
前記回折格子を移動させて縞走査を行うためのフリンジスキャン手段をさらに備えるものである。
【0016】
また、上記目的を達成するために、本発明の別の1つの態様にかかる波面収差測定機は、被検光学系の波面収差を測定する波面収差測定機であって、例えば図17に示す如く、
コヒーレント光を供給する光源と;
該光源からのコヒーレント光を第1の光束と第2の光束とに分割するビームスプリッタと;
前記第1の光束に基づいて第1の理想的球面波を発生させる第1のピンホール部材と;
前記被検光学系による前記第1のピンホール部材の理想結像面に2次元的に配列されて前記第2の光束を通過させる複数の開口部と、前記被検光学系からの前記第1の光束を反射させる反射部とを有するピンホールミラーと;
を備え、
前記第2の光束に基づいて前記ピンホールミラーの前記複数の開口部から発生する第2の理想的球面波と、前記反射部にて反射された前記第1の光束との干渉により生じる干渉縞に基づいて前記被検光学系の波面収差を求めるものである。
【0017】
また、本発明の好ましい態様にかかる波面収差測定機は、上記波面収差測定機において、
前記第1の光束の光路長と、前記第2の光束の光路長とのうち、少なくとも一方の光路長を変化させるフリンジスキャン手段をさらに有するものである。
【0018】
また、上記目的を達成するために、本発明のさらに別の態様にかかる波面収差測定機は、被検光学系の波面収差を測定する波面収差測定機であって、例えば図12に示す如く、
レーザプラズマX線源と;
該レーザプラズマX線源からの放射光に基づいて、複数の第1の理想的球面波を発生させる複数の第1ピンホールからなる第1ピンホール群を備える第1のピンホール部材と;
前記被検光学系による該第1のピンホール部材の結像位置に配置された複数の第2ピンホールからなる第2ピンホール群を備える第2のピンホール部材と;
前記第1及び第2のピンホール部材の間の光路中に配置されて、前記第1ピンホール群を経由した光の0次回折光を前記第2ピンホール群へ到達させるように配置された回折格子と;
前記回折格子による1次又は他の次数の回折光のうち所定次数の回折光を選択的に通過させる回折光選択手段と;
前記0次回折光が前記第2ピンホール群を経由した際に発生する第2の理想的球面波と、前記回折光選択手段を通過した前記所定次数の回折光との干渉により得られた干渉縞から前記被検光学系の波面収差を算出する手段と;
を備えるものである。
【0019】
また、本発明の好ましい態様にかかる波面収差測定機は、上記波面収差測定機において、
前記第1のピンホール部材は、複数の前記第1スリット群を備え、
前記第2のピンホール部材は、前記被検光学系による前記複数の第1ピンホール群の複数の結像位置のそれぞれに対応して配置された複数の前記第2ピンホール群を備え、
前記回折光選択手段は,前記複数の結像位置へ向かう複数の光束が前記回折格子を通過することにより生じる複数の所定次数の回折光のそれぞれを選択的に通過させるための複数の開口部を有するものである。
【0020】
また、本発明の好ましい態様にかかる波面収差測定機は、上記波面収差測定機において、
前記複数の第1ピンホール群のうちの一部の第1ピンホール群を選択的に照明するための第1の選択照明手段と;
前記複数の第2ピンホール群のうちの前記一部の第1ピンホール群に対応した一部の第2ピンホール群を通過する前記第2の理想的球面波と、前記複数の開口部のうちの前記一部の第1ピンホール群に対応した一部の開口部を通過する前記所定次数の回折光とを選択的に受光する選択受光手段と;
を備えるものである。
【0021】
また、本発明の好ましい態様にかかる波面収差測定機は、上記波面収差測定機において、 前記複数の第2ピンホール群のうちの前記一部の第2ピンホール群を選択的に照明する第2の選択照明手段をさらに備えるものである。
【0022】
また、上述の目的を達成するために、本発明の他の態様にかかる波面収差測定機は、被検光学系の波面収差を測定する波面収差測定機において、例えば図12及び図14に示す如く、
レーザプラズマX線源と;
該レーザプラズマX線源からの放射光に基づいて、複数の第1の理想的1次元球面波を発生させる複数の第1スリットからなる第1スリット群を備える第1のスリット部材と;
前記被検光学系による該第1のスリット部材の結像位置に配置された複数の第2スリットからなる第2スリット群を備える第2のスリット部材と;
前記第1及び第2のスリット部材の間の光路中に配置されて、前記第1スリット群を経由した光の0次回折光を前記第2スリット群へ到達させるように配置された回折格子と;
前記回折格子による1次又は他の次数の回折光のうち所定次数の回折光を選択的に通過させる回折光選択手段と;
前記0次回折光が前記第2スリット群を経由した際に発生する第2の理想的1次元球面波と、前記回折光選択手段を通過した前記所定次数の回折光との干渉により得られた干渉縞から前記被検光学系の波面収差を算出する手段と;
を備えるものである。
【0023】
また、本発明の好ましい態様にかかる波面収差測定機は、上記波面収差測定機において、
前記第1のスリット部材は、複数の前記第1スリット群を備え、
前記第2のスリット部材は、前記被検光学系による前記複数の第1スリット群の複数の結像位置のそれぞれに対応して配置された複数の前記第2スリット群を備え、
前記回折光選択手段は,前記複数の結像位置へ向かう複数の光束が前記回折格子を通過することにより生じる複数の所定次数の回折光のそれぞれを選択的に通過させるための複数の開口部を有するものである。
【0024】
また、本発明の好ましい態様にかかる波面収差測定機は、上記波面収差測定機において、
前記複数の第1スリット群のうちの一部の第1スリット群を選択的に照明するための第1の選択照明手段と;
前記複数の第2スリット群のうちの前記一部の第1スリット群に対応した一部の第2スリット群を通過する前記第2の理想的1次元球面波と、前記複数の開口部のうちの前記一部の第1スリット群に対応した一部の開口部を通過する前記所定次数の回折光とを選択的に受光する選択受光手段と;
を備えるものである。
【0025】
また、本発明の好ましい態様にかかる波面収差測定機は、上記波面収差測定機において、
前記複数の第2スリット群のうちの前記一部の第2スリット群を選択的に照明する第2の選択照明手段をさらに備えるものである。
【0026】
また、上述の目的を達成するために、本発明のさらに他の態様にかかる波面収差測定機は、被検光学系の波面収差を測定する波面収差測定機であって、
レーザプラズマX線源と;
該レーザプラズマX線源からの放射光に基づいて、複数の理想的1次元球面波を発生させる複数のスリットからなるスリット群を備えるのスリット部材と;
前記スリット部材と前記被検光学系による前記スリット部材の結像位置との間に配置されて、前記スリット部材を経た光に基づいて回折光を発生させる回折格子と;
該回折格子による前記回折光のうち、所定次数の回折光と、該所定次数の回折光とは異なる次数の回折光とを選択的に通過させる回折光選択手段と;
該回折光選択手段を介した少なくとも2つの回折光を重ね合わせて干渉縞を形成するための重ね合わせ手段と;
前記干渉縞形成位置に配置された検出器と;
を備え、前記干渉縞から前記被検光学系の波面収差を算出するものである。
【0027】
また、本発明の好ましい態様にかかる波面収差測定機は、上記波面収差測定機において、
前記スリット部材は、複数の前記スリット群を備えるものである。
【0028】
また、本発明の好ましい態様にかかる波面収差測定機は、上記波面収差測定機において、
前記複数のスリット群のうちの一部のスリット群を選択的に照明するための第1の選択照明手段と;
前記一部のスリット群を経由した光に基づく干渉縞を検出するために前記検出器の検出位置を変更する検出位置変更手段と;
を備えるものである。
【0029】
また、上記目的を達成するために、本発明の外の態様にかかる波面収差測定機は、例えば図11に示す如く、
50nm以下の放射光を供給する光源と;
該光源からの放射光に基づいて、複数の理想的1次元球面波を発生させる複数のスリットからなるスリット群を備えるのスリット部材と;
前記スリット部材と前記被検光学系による前記スリット部材の結像位置との間に配置されて、複数の開口部を有するハルトマンプレートと;
前記結像位置を挟んで前記被検光学系とは逆側に配置されて、前記春と万プレートの前記複数の開口部を通過する光線群の位置を検出する撮像素子と;
を備え、前記撮像素子上に到達する前記光線群の位置に基づいて前記被検光学系の波面収差を求めるものである。
【0030】
また、本発明の好ましい態様にかかる波面収差測定機は、上記波面収差測定機において、
前記スリット部材は、複数の前記スリット群を備え、
前記複数のスリット群のうちの一部のスリット群を選択的に照明するための第1の選択照明手段と;
前記一部のスリット群を経由した光に基づく前記光線群を検出するために前記撮像素子の検出位置を変更する検出位置変更手段と;
を備えるものである。
【発明の効果】
【0031】
本発明によれば、高精度な波面収差測定を達成することができ、また、非球面干渉計における面精度測定の絶対精度を向上させることができる。また、優れた性能の投影光学系を製造することもできる。
【発明の実施の形態】
【0032】
以下、図面を参照して本発明にかかる実施の形態について説明する。
【0033】
[第1の実施形態]
図1は、第1の実施形態にかかる干渉計を示す図であり、図2は、図1の干渉計の要部を示す図である。図1に示す第1の実施形態の干渉計は、非球面形状を計測するための干渉計である。
【0034】
図1において、レーザ1からのレーザ光は、レンズ系を介して所望の径の平行光となりヌル(Null)素子2へ入射する。このヌル素子2は、被検面形状とほぼ等しい形状の波面を射出するものであって、所定の非球面形状に変換された波面は、非球面参照面3と非球面形状の被検面4とに垂直に入射する。ここで、非球面参照面3は、非球面形状の被検面と実質的に同一形状(凹凸は逆)を有し、その面上において入射光を振幅分割して、一方の波面を被検面4へ向かわせ、他方の波面を参照波面として元の光路へ戻すものである。
【0035】
この非球面参照面3は、被検面4に対して近接して配置され、このとき、非球面参照面3と被検面4とは、互いに相補的な形状となる。これらの非球面参照面3と被検面4とは、ホルダ6により一体的に支持される。
【0036】
さて、非球面参照面3からの光は、被検面4にて反射されて、計測波面として再び非球面参照面3へ入射する。
【0037】
上述の参照波面とこの計測波面とは、非球面参照面3を有する光学素子から射出された後、ヌル素子2に入射し、ビームスプリッタにて反射された後、CCDなどの撮像素子からなる検出器5の検出面上に干渉縞を形成する。この干渉縞をコンピュータで処理することによって被検面の形状誤差を測定できる。
【0038】
図1の干渉計においては、光源1からヌル素子2までを収納する本体部と、ホルダ6とは空間的に分離された状態となるように別部材で支持されている。
【0039】
この図1の干渉計は、基本的にはフィゾー型干渉計であり、この利点を説明するために比較例として従来のフィゾー型干渉計について以下に説明する。
【0040】
[比較例]
図20は、従来のフィゾー型干渉計の一例を示す図である。図20において、レーザ1からののレーザ光は、レンズ系を通過して所定の径の平行光に変換された後、フィゾープレート7に入射する。フィゾープレート7の裏面は高精度な平面に研磨されており、入射光の一部はこの裏面で反射されて平面波を有する参照光となる。フィゾープレート7を透過した光は、平面波を所望の非球面形状の波面に変換するヌル(Null)素子8を経由した後、非球面形状の被検面4に対して垂直に入射する。被検面4で反射された光は元来た光路を戻り、参照光と重なりCCD5上に干渉縞を形成する。この干渉縞をコンピュータで処理することによって形状誤差を測定できる。
【0041】
比較例として示した干渉計の第1の問題点は、絶対精度がヌル素子8によって悪化することである。ヌル素子8としては、通常数枚の高精度なレンズを組み合わせたヌルレンズ(Null Lens)やCGH(Computor genarated Hologram)等が用いられるが製造誤差により10nmRMS程度の誤差が生じる。 また、比較例の干渉計では、参照面(フィゾープレート7の裏面)と被検面4とが離れているため振動・空気の揺らぎ等の影響を受け易いため、繰り返し再現性も0.3nmRMSと低い。さらに非球面計測を行う場合では、ヌル素子8と被検面4とのアライメントが重要となるため、アライメント精度が悪いと測定再現性が数nm悪化する。
【0042】
干渉計の測定再現性を悪くしている原因は空気の揺らぎ、振動、音、気圧変動、温度変動、検出器のノイズ、縞走査の非線型誤差と走査振幅誤差、試料の位置再現性、試料ホルダーによる試料の歪みの再現性、光学系の収差等がある。これらのうち、空気の揺らぎ、振動、音、気圧変動、温度変動、及び光学系の収差は、図1の実施形態のように被検面と参照面を近接させ且つ一体化することにより大幅に低減できる。
【0043】
特に図1の実施形態の場合、ヌル素子2を用いていながら、ヌル素子2の精度にもヌル素子2と被検面4との位置合わせ(アライメント)精度にも測定精度が影響されないという特徴がある。これは、図1の実施形態では、ヌル素子2は、非球面参照面3に対してその非球面形状とほぼ同一形状の非球面形状の波面を与える機能を有し、被検面4に対して直接的に非球面形状の波面を与える機能を有していないからである。従って、図1の実施形態では、このヌル素子2は必須の構成ではないが、より測定精度を高めるためにはヌル素子2を用いることが好ましい。
【0044】
また、図1の実施形態では、試料の位置再現性は、被検物の周りに配置した図示無き位置センサ(電子マイクロメータ等)で保証し、試料ホルダーによる試料の歪みの再現性はホルダーを3点または多点支持の構造とすることによって向上させている。
【0045】
また、被検面と参照面とを近接することでアライメント誤差の検出も容易となり高精度なアライメントが可能となる。検出器のノイズは検出器を冷却し克つデータを積算することで十分小さくできる。縞走査(フリンジスキャン)の非線型誤差と振幅誤差はデジタルピエゾを用い、更に縞走査のバケット数を増やし信号処理することによって除くことができる。図1の実施形態に上記の構成を取り入れることによって、繰り返し再現性は0.05nmRMS以下、アライメント誤差や経時変化等を含んだ測定再現性も0.1nmRMS以下にすることができる。
【0046】
この干渉計の残った問題点は絶対精度であり、これは参照用の非球面の面精度に依存する。この誤差がこの干渉計のシステマティック(系統)誤差である。これの補正(校正)については後述する。
【0047】
このように、図1の実施形態の干渉計は、基本的にはフィゾー型干渉計であるが従来のフィゾー型干渉計とは以下の点で異なっている。フィゾー面は非球面であり、形状は被検面と凹凸が逆であり被検面はフィゾー面に近接して配置される。フィゾー面のついたレンズはこの光学系からは分離した構造となっており、被検物と一体となった構造になっている。この構成により、比較例のような従来の干渉計よりも、繰り返し再現性や測定再現性を大幅に向上することができる。
【0048】
図2は、図1の干渉計におけるホルダ6の構成の一例を示す図であり、図2(A)は被検面4と非球面参照面3との間隔を可変に構成した例、図2(B)は間隔を固定にした例を示している。
【0049】
図2(A)において、非球面参照面3を有する参照素子は、干渉計本体とは別置きのホルダ43により保持されている。このホルダ43上にはピエゾ素子41が設けられており、このピエゾ素子41を介して、被検面4を保持する被検面ホルダ43がホルダ43に載置されている。このピエゾ素子41を駆動することにより、非球面参照面3と被検面4との間隔調整を行うことができる。さらに、干渉縞解析の常套手段でもある縞走査(フリンジスキャン)にも用いることができる。
【0050】
図2(B)の例では、非球面参照面3を有する参照素子をホルダ43により保持するのは図2(A)の例と同様であるが、非球面参照面3上の3箇所にスペーサ42が直接的に蒸着されている点が異なる。これらのスペーサ42の厚みは、1〜3μmであり、3箇所とも等しい厚さである。なお、このスペーサ42は、図2(B)において紙面上下方向を軸とした円周を3等分するように設けられている。そして、被検面4は3つのスペーサ42上に載置されており、これにより非球面参照面3と被検面4との間隔を一定に維持できると共に、重力による被検面4の歪みも常に一定にできる。この図2(B)の場合には、干渉縞解析のための縞走査は、レーザの波長を可変とすることにより達成でき、この場合干渉計へは何ら機械的振動等の影響を及ぼす恐れはなくなる。
【0051】
なお、被検面4の保持方法としては、この被検面4を有する光学素子から構成される光学系における保持方法と同じであることが好ましく、また当該光学系における被検面の重力に対する姿勢と同じ姿勢で保持されることが好ましい。これにより、実際に光学系へ組込んだ際の被検面の歪みによる面形状変化が生じたもとで測定を行うことが可能となる。
【0052】
また、非球面参照面3と被検面との間隔は1mm以下であることが好ましい。もし、この間隔が1mmを超える場合には、空気の揺らぎ、振動、音、気圧変動、温度変動、及び光学系の収差の影響が大きくなり、測定精度の悪化を招く。さらに測定精度を向上させるためには、非球面参照面3と被検面との間隔を100μm以下に設定することが好ましい。
【0053】
また、図2(B)のように非球面参照面3と被検面4との間隔を固定する場合には、非球面参照面3と被検面4との間隔は10μm以下に設定することが好ましい。
【0054】
[第1の実施形態の変形例]
さて、上述の図2(A)の例において、被検面4と非球面参照面3との間隔について、以下の手法で検出しても良い。
【0055】
図3は、第1の実施形態の変形例を示す図である。図3において、図1の例と同様の機能を有する部材には同じ符号を付してある。なお、以下においては、説明を簡略化するために図1と共通部分の説明は行わない。
【0056】
図3において、図1の例と異なる部分は、被検面4の裏側(非球面参照面3と反対側)にシアリング干渉計50〜54を設けた点である。このシアリング干渉計は、白色光源50からの光をビームスプリッタ51を介して被検面4及び非球面参照面3へ導き、被検面4で反射された光と、参照面3で反射された光とをビームスプリッタ51を通過させた後、ウォラストンプリズムなどの複屈折部材52により横ずらしさせ、検光子53を通過させてCCD54上に干渉パターンを形成するものである。ここで、CCD54上の干渉パターンの変化をモニタすることにより、被検面4と非球面参照面3との間隔を検知することができる。なお、図3の変形例においては、被検面4を有する光学素子を光透過性の材料、例えば石英、ゼロデュアなどとすることは言うまでもない。
【0057】
[第1の実施形態の干渉計の校正方法]
以下、図4を参照して、第1の実施形態の干渉計の校正方法について説明する。図4は、校正方法を説明するためのフローチャート図である。
【0058】
図4のステップS1を実行する前に、まず周知の技術により面精度10nmRMS程度で非球面加工を行う。
【0059】
<ステップS1>
ステップS1では、第1の実施形態の干渉計を用いて上記非球面の面形状の測定を行う。なお、第1の実施形態の干渉計は上記の非球面加工時から用いても良い。この測定時には、被検面を参照面に対して光軸の周りに少しずつ回転させるか、参照面を被検面に対して光軸の周りに少しずつ回転させながらデータを取り、このデータを平均化して非対称なシステマチックな誤差(参照面の誤差)を最小化することが好ましい。
【0060】
<ステップS2>
ステップS2では、ステップS1の測定データを用いて、非球面形状が設計データとなるように非球面形状の修正研磨を行う。この修正研磨を行うためのスモールツール研磨装置を図5に示す。図5において、スモールツール研磨装置は、回転するポリッシャ61とこのポリッシャ61を所定圧力で押圧するコイルばね62とを備えた研磨ヘッド63を有し、被検面4を有する光学素子を回転させて、被検面表面に垂直な方向から一定荷重をかけて研磨する。研磨量はポリッシャ61の滞留時間(ポリッシャ61が所定位置に留って研磨する時間)に比例する。ここで、ステップS1と同様に図1の干渉計を用いて被検面表面の形状測定を行い、その結果、測定された非球面形状が設計データのそれとは異なる場合には、サイドスモールツール研磨装置で被検面4の表面形状を修正する。この測定・修正工程を繰り返すことにより、測定される非球面形状と設計上の非球面形状とを一致させることができる。
【0061】
<ステップS3>
ステップS3では、ステップS2により得られた被検面4を持つ光学素子を光学系中へ組み込む。
【0062】
<ステップS4>
ステップS4では、ステップS3において組み立てられた光学系の波面収差を測定する。この波面収差測定にあたっては、SOR(シンクロトロン放射光:Synchrotron Orbital Radiation)のアンジュレータ(undulator)を光源としたPDI(Point Diffraction Interferometer)を用いる。この干渉計は測定波長が13nmと短いため0.13nmRMS以下の高い精度で光学系の波面収差の測定が可能である。なお、この干渉計の構成については、後述の図6〜図18に示す実施形態において説明する。
【0063】
<ステップS5>
ステップS5では、ステップS4にて測定された波面収差の発生原因を(各非球面の)アライメント誤差と各面の形状誤差に分解する。
【0064】
具体的には、例えば既存の光学系の自動修正プログラムを用いて、コンピュータ上で被検面の位置(間隔、傾き、シフト)と、被検面の形状とを変数とし、波面収差の測定値を初期値として、波面収差がゼロに近づくように最適化を行う。最適化された際の被検面の位置及び形状と、最適化する前の被検面の位置及び形状との差が、それぞれアライメント誤差(位置誤差)、形状誤差に対応している。
【0065】
<ステップS6>
ステップS6では、ステップS5にて求められたアライメント誤差が十分に小さい量であるか否かを判断し、十分に小さい量でなければステップS7へ、十分に小さい量であればステップS8へ移行する。
【0066】
<ステップS7>
ステップS7では、ステップS5にて求められたアライメント誤差に基づいて、光学系中の光学素子の調整を行い、ステップS4へ移行する。
【0067】
ここで、ステップS5において求められるアライメント誤差が十分に小さくなるまで、ステップS4〜S7が繰り返されることになる。
【0068】
<ステップS8>
上記ステップS6においてアライメント誤差が十分に小さいと判断されると、当ステップS8へ移行される。このステップS8では、最終的な波面収差(最近回のステップS4で求められた波面収差)中の形状誤差(最近回のステップS5で分解された形状誤差)と、ステップS2において最終的に測定された非球面形状データとの差を求める。この差が第1の実施形態の干渉計が有しているシステマチックな誤差に対応する。この誤差は非球面(フィゾー型)干渉計における参照面(フィゾー面)の形状誤差に相当する。
【0069】
<ステップS9>
ステップS8では、ステップS2において最終的に測定された非球面形状データを、上記ステップS8で求められたシステマチックな誤差の分だけ補正して、この補正された非球面形状データに基づいて、スモールツール研磨装置を用いて被検面4の再加工を行う。このとき、光学系から被検面4を持つ光学素子を取り外しておくことは言うまでもない。
【0070】
<ステップS10>
以上のステップS1〜S9までを実行した後に、光学系を再組立てし波面収差を測定する。その測定値を再度アライメント誤差と各面の形状誤差に分解して、形状誤差が小さくなっていることを確認する。
【0071】
以上において説明したような非球面加工、光学系組立て、波面収差測定、非球面干渉計システマチック誤差決定の一連の作業を何度も繰り返し行い、非球面干渉計のシステマチック誤差を追い込んでいく。なお、この誤差が大きい場合(例えば2nmRMS以上の場合)には、非球面干渉計の修正(非球面参照面の面形状の修正)も必要である。
【0072】
この手順により求められた干渉計のシステマチック誤差を、その後の測定加工において測定値から常に補正し修正研磨機のデータとすれば、精度の良い非球面加工が可能となる。
【0073】
上記第1の実施形態にかかる干渉計では、干渉計の測定精度、特に再現性が優れているため、上述の校正手法が極めて有効である。
【0074】
なお、その後の量産時の露光波長による波面収差測定等の計測でシステマチックな誤差が確認された場合には、その都度システマチック誤差を修正し、常に真値に近付くようにする。
【0075】
また本発明による加工計測では非球面加工後、光学系を組み立て波面収差を計測する前に各面に反射膜を付けなくてはならない。反射膜を付けたり(修正研磨のために)剥がしたりする場合膜の応力で面の形状が変化する場合がある。この変化の再現性は0.1nmRMS以下である必要があるがそれは不可能である。しかしながら、面変化は大部分2次と4次の成分(パワー成分、3次球面収差成分)であり、高次の成分は小さい。2次及び4次の成分の面変化に関しては、ある程度の大きさであれば面の間隔を調節することによって補償できる。すなわち高次成分のみに関する面変化の再現性を0.1nmRMS以下に押さえればよい。これは膜の応力を十分小さくすることによって押さえることができる。
【0076】
[第2の実施形態]
次に、図6〜図10を参照して、本発明の第2の実施形態にかかる波面収差測定機を説明する。第2の実施形態の波面収差測定機は、軟X線の露光波長を用いて投影光学系の波面収差を測定するものである。ここで、図6及び図7は、第2の実施形態の波面収差測定機の原理を説明するための図である。
【0077】
図6(A)において、SOR(Synchrotron Orbital Radiation:シンクロトロン放射光)のアンデュレータ(undulator)からの光は、不図示の分光機を通過して13nm前後の波長を持つ準単色光11となり、集光ミラーで集光された後、ピンホール12に入射する。このピンホール12は、被検光学系13の入射側(ピンホール12側)の開口数から決まるエアリーディスクのサイズよりも十分に小さい大きさの開口を有している。なお、エアリーディスクのサイズは、被検光学系13の入射側開口数をNAとし、準単色光11の波長をλとするとき、0.6λ/NAで与えられる。
【0078】
従って、ピンホール12からは、理想的球面波と見なせる波面を有する光が射出される。このピンホール12からの光は、被検光学系13へ入射し、その結像位置に配置されたピンホール付半透膜14に達する。このとき、ピンホール12とピンホール付半透膜14とは、被検光学系13に関して互いに共役な配置であり、かつ被検光学系13が実際に使用される際の物点及び像点の位置に配置される。
【0079】
図6(B)に示すように、ピンホール付半透膜14は、準単色光11の波長の放射光に対して光透過性を有する基板14c上に設けられた半透膜14bと、半透膜14bが設けられていない開口部14aとからなる。従って、ピンホール付半透膜14に入射する波面の一部は、波面形状を崩さずに通過するが、別の一部は、開口部14aにおいて回折される。ここで、開口部14aの大きさが十分に小さければ、開口部14aからの回折光を理想的球面波と見なすことができる。
【0080】
図6(A)に戻って、ピンホール付半透膜14の射出側(被検光学系13と逆側)にはCCD15が配置されており、CCD15の撮像面上には、開口部14aからの理想的球面波と、半透膜14bからの透過波面とが干渉することによる干渉縞が形成される。このとき、半透膜14bからの透過波面は被検光学系13の波面収差に応じた形状の波面であり、CCD15上の干渉縞は、この透過波面の理想的球面波(開口部14aからの波面)からのずれに応じた形状となる。従って、この干渉縞を解析することにより被検光学系13の波面収差を求めることができる。
【0081】
図7(A)〜(C)は、図6(A),(B)に示した計測手法をより高精度化したものである。なお、図7(A)〜(C)では図6(A),(B)と同様の機能を有する部材には同じ符号を付してある。図7(A)において、図6(A)に示した波面収差測定機とは異なる点は、ピンホール付半透膜14に代えて、ピンホール板17を配置し、ピンホール12とピンホール板17との間に回折格子16を挿入した点である。
【0082】
図7(C)はピンホール板17の構成を示す図であり、図7(B)は回折格子16とピンホール板17の機能を説明するための図である。図7(B)において、ピンホール板17は、ピンホールとして機能する微小開口部17aと、この微小開口部よりも大きな開口部17bとを有する。このとき、図7(C)に示すように、微小開口部17aと開口部17bとは、ピンホール板17が被検光学系13の結像位置にある場合に、回折格子16を経た0次回折光の光路に微小開口部17aが位置し、かつ回折格子16を経た1次回折光の光路に開口部17bが位置するように形成されている。
【0083】
従って、微小開口部17aを通過する回折格子16からの0次回折光は、ピンホールとしての微小開口部17aにおいて回折され、理想的球面波に変換されてCCD15へ向かう。また、開口部17bへ向かう回折格子16からの1次回折光は、被検光学系13の波面収差を有する測定光であり、この波面を維持しつつ開口部17bを通過し、CCD15へ向かう。ここで、回折格子16からの0次回折光及び1次回折光は、被検光学系13の波面収差に応じた波面を有する。ピンホールとしての微小開口部17aを経る方の光は、波面が理想的球面波に変換されるが、開口部17bを経る方の光は、開口部17bにおける回折の影響を受けずに、波面収差に応じた形状の波面が維持される。従って、CCD15の撮像面上には、微小開口部17aからの理想的球面波と、開口部17bからの測定波面とが干渉することによる干渉縞が形成される。ここで、CCD15の撮像面上の干渉縞は、測定波面の理想的球面波からのずれに応じた形状となり、図6(A),(B)と同様に、この干渉縞を解析することにより被検光学系13の波面収差を求めることができる。なお、図7において、高精度測定のための縞走査(フリンジスキャン)は、回折格子16を移動させることにより行うことができる。また、図7の例では、回折格子16が被検光学系13と開口部付ピンホール板17との間の光路中に配置されているが、回折格子16はピンホール板12と開口部付ピンホール板17との間の光路中に配置されていれば良く、例えばピンホール板12と被検光学系13との間に配置されていても良い。また、図7の例では、回折格子16による0次回折光と1次回折光との2つの回折光を用いているが、この回折光は2つには限られず、また0次と1次との組み合わせにも限られない。
【0084】
第2の実施形態の干渉計では、以上において説明した原理のもとで被検光学系の波面収差の測定を行うものであり、その構成を図8に示す。なお、図8においては、図6及び図7と同じ機能を有する部材には同じ符号を付してある。
【0085】
上記図6及び図7に示した干渉計では、被検光学系13像面上のある1点の収差のみしか測れない。光学系の収差を正確に知るには複数の像点での計測が必要である。図6及び図7において、複数の像点での計測をするためには、ピンホール12と、ピンホール付半透膜14またはピンホール板17とを所定の位置まで移動させて計測を行うことが考えられる。この場合、ピンホールが非常に小さいため、ピンホールを移動させる移動機構が振動の影響を受け、特に結像面側のピンホールにおいて安定して光を通過させることができない恐れがあり、測定が非常に困難になる恐れがある。また、ピンホールを移動させた場合には、ピンホールの開口部の位置を精度良く計測することが困難になり、特に結像点の位置の収差、すなわちディストーション計測の精度が十分でなくなる恐れがある。
【0086】
そこで、図8に示す第2の実施形態では、ピンホールを2次元的に配列してなるピンホールアレイ板25を用いた。
【0087】
図8において、SOR(Synchrotron Orbital Radiation:シンクロトロン放射光)のアンデュレータ(undulator)からの光は、不図示の分光機を通過して13nm前後の波長を持つ準単色光11となり、集光ミラー35で集光された後、ピンホールアレイ板25に入射する。なお、図8の例では、図6及び図7に示した波面収差測定機とは異なり、被検光学系13の像面側から光を入射させる構成としているが、その理由については後述する。
【0088】
ピンホールアレイ板25は、図9(A)に示す通り、被検光学系13の入射側開口数(像側開口数)NAから決まるエアリーディスクのサイズ(0.6λ/NA,λ:準単色光11の波長)よりも十分に小さい大きさの開口からなるピンホール25aをマトリックス状に配列してなる。このピンホール25aの位置が、測定したい被検光学系13の像点位置に対応している。
【0089】
そして、図8に戻って、集光ミラー35は、被検光学系13の像面内方向に沿って移動可能なステージ33上に設けられており、ステージ33を移動させることにより、ピンホールアレイ板25上の複数のピンホール25aのうちの一つを選択的に照明することができる。この照明されたピンホール25aが測定点に対応する。なお、ステージ33の移動に伴い、準単色光11の集光ミラー25への入射位置を変更しておくことは言うまでもない。また、複数のピンホール25aのうちの一つではなく、複数個をまとめて照明しても良い。
【0090】
さて、ピンホールアレイ板25の被検光学系13による結像位置には、図9(B)に示すような開口部付ピンホールアレイ板26が配置されている。この開口部付ピンホールアレイ板26は、ピンホールアレイ板25の複数のピンホール25aのそれぞれの結像位置にマトリックス状に設けられた複数のピンホール26aと、この複数のピンホール26aから所定の間隔で隔てられてマトリックス状に設けられた複数の開口部26bとを有する。ここで、複数のピンホール26aのそれぞれは、図7のピンホール17aと同様の機能を有しており、複数の開口部のそれぞれは、図7の開口部17bと同様の機能を有している。
【0091】
照明されたピンホール25aからは、理想的球面波と見なせる波面を有する光が射出されて、被検光学系13へ入射する。被検光学系13からの光は、回折格子16により回折され、0次回折光が開口部付ピンホールアレイ板26の複数のピンホール26aのうち、照明されたピンホール25aに対応するピンホール26aに達し、1次回折光が開口部付ピンホールアレイ板26の複数のピンホール26aのうち、照明されたピンホール25aに対応する開口部26bに達する。そして、ピンホール26aを介した光と開口部26bを介した光とは互いに干渉を起こす。
【0092】
さて、開口部付ピンホール板26の射出側には、被検光学系13の物体面内方向に沿って移動可能なステージ34上に取り付けられたCCD15が配置されている。このステージ34は、上述のステージ33と連動して移動するように構成されており、CCD15では、照明されたピンホール25aに対応するピンホール26a及び開口部26bのみを見込むことになる。従って、CCD15上には、照明されたピンホール25aに対応するピンホール26a及び開口部26bのみからの光による干渉縞が形成され、この干渉縞を解析することにより、照明されたピンホール25aの像面上位置における波面収差を求めることができる。
【0093】
図8の実施形態では、第1のピンホール部材としてのピンホールアレイ板25と、第2のピンホール部材としての開口部付ピンホールアレイ板26とが被検光学系13に対して固定された状態となっているため、測定の際にはステージ33,34の移動に起因する振動の影響を受けることがなく、安定した測定が可能となる。
【0094】
さて、ピンホールアレイ板25は、ピンホールアレイ板25を被検光学系13の光軸方向に沿って微動可能にする垂直ステージ36上に載置されており、ステージ36は被検光学系13を支持する架台に固定されている。また、開口部付ピンホールアレイ板26は、被検光学系13の物体面内方向に沿って微動可能なXYステージ37上に載置されている。このXYステージ37は、ピエゾを介して上記架台に取り付けられている。ここで、垂直ステージ36によるピンホールアレイ板25の移動によりフォーカス調整が達成でき、XYステージ37を移動させることにより、被検光学系にディストーションがある場合にピンホール26aの位置を合わせこむことができる。ここで、XYステージ37には測長干渉計などの微小変位センサが設けられており、この微小変位センサからの出力により被検光学系13のディストーションを計測することが可能となる。なお、本例では、ピンホールアレイ板25の複数のピンホール25aと開口部付ピンホールアレイ板26の複数のピンホール26aとの位置は、予め座標測定機を用いて正確に測定している。
【0095】
また、図8の例では、ピンホール26aの位置を移動させているが、この移動ストロークは微小量であるため、精度良くピンホール26aの位置決めが可能である。さらに、図8の例では、被検光学系13の物体面側においてピンホール26aを移動させる構成としているので、被検光学系13が縮小倍率−1/βを有する場合には、被検光学系13の像面側のピンホール25aを移動させる場合に比べて、|−1/β|倍だけピンホール26a位置決め精度をゆるくすることができる。
【0096】
このように、図8の例では、ピンホール25aを移動させる構成ではなく、ピンホール26aの移動量も位置決め精度を保つことができる範囲であるので、安定した測定が達成でき、さらに結像点の位置の収差、すなわちディストーション計測の精度が十分とすることができる。
【0097】
なお、上記の例では、被検光学系13の波面収差の測定点位置に対応する複数のピンホール25aをマトリックス状に配置したが、このピンホールの配置はマトリックス状には限られない。例えば、図10に示すように被検光学系13の視野(露光領域)13Aが円弧形状である場合には、被検光学系13における同じ高さの物体高(像高)に沿って所定の間隔でピンホール250aを配置し、さらに別の物体高(像高)に沿って所定の間隔でピンホール250aを配置したピンホールアレイ板250を用いても良い。この場合、開口部付ピンホールアレイ板におけるピンホール及び開口部の配置も、ピンホール250aに合わせておくことは言うまでもない。
【0098】
また、図8の例では、回折格子16が被検光学系13と開口部付ピンホールアレイ板26との間の光路中に配置されているが、回折格子16はピンホールアレイ板12と開口部付ピンホールアレイ板26との間の光路中に配置されていれば良く、例えばピンホールアレイ板25と被検光学系13との間に配置されていても良い。また、図8の例では、回折格子16による0次回折光と1次回折光との2つの回折光を用いているが、この回折光は2つには限られず、また0次と1次との組み合わせにも限られない。
【0099】
[第3の実施形態]
次に、図11を参照して、本発明の第3の実施形態にかかる波面収差測定機を説明する。第3の実施形態の波面収差測定機は、軟X線の露光波長を用いて投影光学系の波面収差を測定するものである。図11においては、図6〜図10に示した部材と同様の機能を有する部材には、同じ符号を付してある。
【0100】
図11(A)において、SOR(Synchrotron Orbital Radiation:シンクロトロン放射光)のアンデュレータ(undulator)からの光は、不図示の分光機を通過して13nm前後の波長を持つ準単色光11となり、集光ミラーで集光された後、ピンホール12に入射する。このピンホール12は、被検光学系13の入射側(ピンホール12側)の開口数NAから決まるエアリーディスクのサイズ(0.6λ/NA、λ:準単色光11の波長)よりも十分に小さい大きさの開口を有している。従って、ピンホール12からは、理想的球面波と見なせる波面を有する光が射出される。
【0101】
第3の実施形態では、被検光学系13の結像位置(被検光学系13によってピンホール12と共役になる位置)と被検光学系13との間には、図11(B)に示す如く複数の開口部23aを有するハルトマンプレート23が配置されている。
【0102】
図11(A)に戻って、被検光学系13から射出されるピンホール12からの光束は、ハルトマンプレート23の複数の開口部23aにより、この開口部23aの数と同数の光線群となり、結像位置へ向かう。この光線群は結像位置で一度集光された後、広がった状態でCCD15に達する。このハルトマンプレート23中の複数の開口部23aを介した光線群は、被検光学系13の瞳面を複数の区画に分割した際の各区画を通過する光線に対応するため、CCD15上において各光線(光線群)の到達する位置を検出すれば、被検光学系13の横収差を求めることができ、この横収差より被検光学系13の波面収差を算出できる。
【0103】
なお、ハルトマンプレート23上に設けられる複数の開口部23aの配置は、図11(B)の例ではマトリックス状としているが、この配置には限られない。また、図11の例では、ハルトマンプレート23を被検光学系13と、被検光学系13の結像位置との間に配置しているが、このハルトマンプレート23の位置は、ピンホール板12と被検光学系13による結像位置との間であれば良く、例えばピンホール板12と被検光学系13との間の光路中であっても良い。
【0104】
[第4の実施形態]
次に、図12を参照して、本発明の第4の実施形態にかかる波面収差測定機を説明する。上述の第2及び第3の実施形態では、SORのアンデュレータ(undulator)を光源とする波面収差測定機であったが、SORのアンデュレータを光源とすると精度は極めて高くできるが、装置自体の大きさが巨大となり過ぎ、一般の工場で利用することが非常に困難になる。以下の第4の実施形態では、SORのアンデュレータに代えて、レーザプラズマX線源(LPX)を光源として用いる。レーザプラズマX線源(LPX)とは、ターゲットに強力なパルスレーザを集光したときに、ターゲットから高温度のプラズマが発生し、このプラズマに含まれるX線を利用するものである。本実施形態では、このレーザプラズマX線源からの放射光を分光器で分光して所定波長(例えば13nm)の光のみを取りだし、これを波面収差測定機の光源として用いている。
【0105】
このレーザプラズマX線源(LPX)の輝度は、SORのアンデュレータ(undulator)と比較して桁違いに小さいため、第4の実施形態では、上記第2及び第3実施例における1つの開口部からなるピンホールを、複数の開口部が微小領域に集積されたピンホール群に置き換えている。
【0106】
図12(A)において、レーザ光源18は、赤外域〜可視域の波長のパルスレーザ光を供給し、例えば半導体レーザ励起によるYAGレーザやエキシマレーザなどを適用できる。このレーザ光は集光光学系によりターゲット19上で集光する。このターゲット19は、高照度のレーザ光を受けて高温になりプラズマ状態に励起され、低ポテンシャル状態へ遷移する際にX線20を放出する。このX線20が図示無き分光器を通過することにより、13nmの準単色光のみが取り出され、集光ミラーを介して、ピンホール部材21上のピンホール群を照射する。
【0107】
ここで、ピンホール部材21は、図12(B)に示すように、被検光学系13の測定点位置の微小領域に複数の微小開口部からなるピンホール群21aを有している。図12(B)ではピンホール群21aとして4つの微小開口部のみを有するものを図示しているが、実際のピンホール群21aは、100個以上の微小開口部から構成される。これらの微小開口部の大きさは、被検光学系13の入射側(ピンホール部材21側)の開口数NAから決まるエアリーディスクのサイズ(0.6λ/NA、λ:準単色光11の波長)よりも十分に小さい大きさとなっている。また、図12(B)の例では、複数のピンホール群21aがピンホール部材21上に形成されているが、このピンホール群21aの形成される位置は、被検光学系の測定したい物体上の位置に応じて決定すれば良い。
【0108】
図12(A)に戻って、ピンホール部材21上の一つのピンホール群21aの領域全体が準単色光により照明される。この照明されたピンホール群21aの多数の微小開口部からは、複数の理想的球面波が発生する。これら複数の理想的球面波は、被検光学系13を通過した後、被検光学系13に関するピンホール部材21と共役な位置である結像位置へ向かって集光する。
【0109】
なお、図12では不図示ではあるが、本実施形態では、上述の第2の実施形態と同様に、ピンホール部材21上の複数のピンホール群21aのうちの1つが選択的に照明される。
【0110】
さて、図12の例では、被検光学系13と結像位置との間に回折格子16が配置されており、被検光学系13から射出されて回折格子16を通過する光は、この回折格子16により回折されて、ピンホール部材22へ向かう。
【0111】
図12(C)はピンホール部材22の構成を示す図であり、ピンホール部材22は、ピンホール部材21上の複数のピンホール群21aのそれぞれが有する微小開口部に一対一対応で設けられた複数の微小開口部からなるピンホール群22aと、複数のピンホール群21aに対して一対一対応で設けられた複数の開口部22bとを有している。すなわち、複数の微小開口部からなる1つのピンホール群21aに対して1つの開口部22bが対応している。
【0112】
このとき、複数のピンホール群21aと複数の開口部22bとは、ピンホール部材22が被検光学系13の結像位置に配置されている場合に、回折格子16を経た0次回折光の光路にピンホール群22aが位置し、かつ回折格子16を経た1次回折光の光路に開口部22bが位置するような位置関係となっている。
【0113】
従って、複数のピンホール群21aのうちの照明されたピンホール群21aからの理想的球面波群は、被検光学系13を経た後、回折格子16にて回折される。この回折光のうち、0次回折光は、ピンホール部材22上の複数のピンホール群22aのうち、照明されたピンホール群21aに対応するピンホール22aに達する。また、1次回折光は、ピンホール部材22上の複数の開口部22bのうち、照明されたピンホール群21aに対応する開口部22bに達する。これらの0次及び1次回折光は、被検光学系13の波面収差に応じた形状の波面を有するが、ピンホール群22aを通過する0次回折光は、このピンホール群22aにて回折されて第2の理想的球面波群に変換される。また、開口部22bを通過する1次回折光は、開口部22bによる回折の影響を受けることなしに開口部22bから射出される。これらの第2の理想的球面波群と開口部22bからの光とは互いに干渉を起こす。
【0114】
従って、ピンホール部材22の射出側(被検光学系13と反対側)に配置されているCCD15の撮像面上には、ピンホール群22aからの理想的球面波群と、開口部22bからの波面とが干渉することによる干渉縞が形成される。ここで、CCD15の撮像面上の干渉縞は、被検光学系13を経た波面の理想的球面波からのずれに応じた形状となり、前述の例と同様に、この干渉縞を解析することにより被検光学系13の波面収差を求めることができる。
【0115】
なお、図12(A)では不図示ではあるが、上述の第2の実施形態と同様に、選択的に照明されたピンホール群21aに対応しているピンホール群22a及び開口部22bからの光を受光できるように、CCD15は、被検光学系13の像面内方向に沿って移動可能に構成されている。これにより、被検光学系の物体面(像面)内の複数の測定点における波面収差を測定することができる。
【0116】
以上の通り、第4の実施形態によれば、一般の工場でも使える波面収差測定機を提供することができる。
【0117】
なお、図12の例では、回折格子16が被検光学系13とピンホール部材22との間の光路中に配置されているが、回折格子16はピンホール部材21とピンホール部材22との間の光路中に配置されていれば良く、例えばピンホール部材21と被検光学系13との間に配置されていても良い。また、図12の例では、回折格子16による0次回折光と1次回折光との2つの回折光を用いているが、この回折光は2つには限られず、また0次と1次との組み合わせにも限られない。
【0118】
[第5の実施形態]
以上説明した第4の実施形態では、ピンホール群21a,22aとして、所定の微小領域内に多数の微小開口を設けたものを用いたが、その代わりに、例えば図13(A)に示すように、多数の微小開口を所定の1次元方向に配列してなるピンホール群210aを用いても良い。この場合、被検光学系13の物体面(像面)内の複数の測定点に対応するため、ピンホール部材210はマトリックス状に配列された複数のピンホール群210aを備える。図13(A)ではピンホール群210aとして4つの微小開口部のみを有するものを図示しているが、実際のピンホール群210aは、100個以上の微小開口部から構成される。これらの微小開口部の大きさは、被検光学系13の入射側(ピンホール部材210側)の開口数NAから決まるエアリーディスクのサイズ(0.6λ/NA、λ:準単色光11の波長)よりも十分に小さい大きさとなっている。
【0119】
このピンホール部材210をピンホール部材21の代わりに用いる場合には、ピンホール部材22の代わりに、図13(B)に示すピンホール部材220を用いる。このピンホール部材220は、ピンホール部材210上の複数のピンホール群210aのそれぞれが有する微小開口部に一対一対応で設けられた複数の微小開口部からなるピンホール220aと、複数のピンホール群210aに対して一対一対応で設けられた複数の開口部220bとを有している。ここで、複数のピンホール群220aのそれぞれは、所定の1次元方向に沿って配列された多数の微小開口からなる。また、複数の微小開口部からなる1つのピンホール群21aに対して1つの開口部22bが対応している。
【0120】
このように、ピンホール群を所定の1次元方向に沿って配列した複数の微小開口から構成すると、これら複数の微小開口の間で光が混入することに起因するノイズを減らすことが可能であり、さらなる測定精度の向上を図ることができる。
【0121】
なお、所定の1次元方向に沿って配列した複数の微小開口の配列ピッチは、被検光学系13のピンホール部材210側の開口数により定まるエアリーディスクの半径の10倍〜25倍とすることが好ましく、16倍〜20倍程度であることがさらに好ましい。
【0122】
[第6の実施形態]
上述の第4の実施形態におけるピンホール群21a,22aの代わりに、スリット形状の開口部を用いることが可能である。図14(A),(B)は、複数のスリット形状の開口部を備えたスリット部材を示す図である。
【0123】
図14(A)において、スリット部材211は、被検光学系13の物体面(像面)内の複数の測定点に対応するため、マトリックス状に配列された複数のスリット形状の開口部211aを備えている。ここで、本実施形態でいうスリット形状とは、所定の1次元方向に延びた形状を指し、全体の形は矩形状には限られない。また、スリット形状の開口部211aの短手方向の幅は、被検光学系13の入射側(ピンホール部材210側)の開口数NAから決まるエアリーディスクのサイズ(0.6λ/NA、λ:準単色光11の波長)よりも十分に小さい大きさとなっている。従って、スリット形状の開口部211aが照明されると、ここからは短手方向に沿った断面方向では理想的な球面波(理想的1次元球面波)が射出されることになる。
【0124】
このスリット部材211をピンホール部材21の代わりに用いる場合には、ピンホール部材22の代わりに、図14(B)に示すスリット部材221を用いる。このスリット部材221は、スリット部材211上の複数のスリット形状の開口部211aに一対一対応で設けられた複数のスリット形状の開口部221aと、スリット部材211上の複数のスリット形状の開口部211aに一対一対応で設けられた複数の開口部221bとから構成される。
【0125】
これらのスリット部材211,221を、図12の第4の実施形態の波面収差測定機に組み込んだ場合の動作につき以下に説明する。
【0126】
まず、レーザプラズマX線源からの光により複数のスリット形状の開口部211aのうち、所望の測定点に対応する1つのスリット形状の開口部211aを照明する。この照明されたスリット形状の開口部211aからは、スリット短手方向において理想的1次元球面波が発生する。この理想的1次元球面波は被検光学系13を通過して、回折格子16にて回折され、0次回折光がスリット部材221のスリット形状の開口部221aへ達し、1次回折光がスリット部材221の開口部221bへ達する。
【0127】
ここで、スリット形状の開口部221aからは、スリット短手方向において理想的1次元球面波が生じ、開口部221bを被検光学系13の波面収差に応じた形状の波面が通過する。これらの理想的1次元球面波と開口部からの波面とが互いに干渉してCCD15上に干渉縞を形成する。この干渉縞を解析することにより被検光学系13の波面収差を測定することができる。なお、この第6の実施形態においては、スリット長手方向に沿った測定精度が落ちる可能性があるが、この場合にはスリット部材211、221と被検光学系13とを相対的に回転可能であるように設けるか、長手方向が互いに異なる複数のスリット形状の開口部を、図14のスリット形状の開口部211a,221aの代わりに設ければ良い。
【0128】
このように、スリット形状の開口部を用いることにより、1つの微小開口を持つピンホールや複数の微小開口からなるピンホール群を用いる場合よりも、さらに光量を向上させることが可能となる。この構成は、シアリング干渉計に相当する。
【0129】
ここで、図14のスリット部材221は、回折格子16による回折光のうち、0次回折光と1次回折光との2つの回折光を用いているが、0次と1次との組み合わせには限られない。
【0130】
[第7の実施形態]
図15に示す第7の実施形態にかかる波面収差測定機は、上述の図11の第3の実施形態の光源を、SOR(Synchrotron Orbital Radiation:シンクロトロン放射光)のアンデュレータ(undulator)に代えて、レーザプラズマX線源を用いた変形例である。
【0131】
図15において、レーザ光源18は、赤外域〜可視域の波長のパルスレーザ光を供給し、例えば半導体レーザ励起によるYAGレーザやエキシマレーザなどを適用できる。このレーザ光は集光光学系によりターゲット19上で集光する。このターゲット19は、高照度のレーザ光を受けて高温になりプラズマ状態に励起され、低ポテンシャル状態へ遷移する際にX線20を放出する。このX線20が図示無き分光器を通過することにより、13nmの準単色光のみが取り出され、集光ミラーを介して、ピンホール部材24を照射する。
【0132】
このピンホール部材24は、被検光学系13の入射側(ピンホール部材24側)の開口数NAから決まるエアリーディスクの直径(0.6λ/NA、λ:準単色光の波長)よりも十分に大きい(10倍以上)開口を有している。ここで、ピンホール部材24の開口を、被検光学系13の物体面内方向において均一な光量で、かつピンホール部材24の開口へ入射する光束の光束断面方向内において均一な光量で照明することができれば、前述の実施形態のように開口の大きさをエアリーディスクよりも十分に小さくする必要はない。
【0133】
本実施形態では、被検光学系13の物体面内方向において均一な光量で、かつピンホール部材24の開口へ入射する光束の断面方向内において均一な光量で照明しているため、このような大きな開口のピンホールを用いることができる。
【0134】
この第7の実施形態においてもピンホール部材24の開口からは、理想的球面波と見なせる波面を有する光が射出される。
【0135】
第7の実施形態では、前述の第3の実施形態と同様に、被検光学系13の結像位置(被検光学系13によってピンホール12と共役になる位置)と被検光学系13との間には、複数の開口部を有するハルトマンプレート23が配置されている。
【0136】
被検光学系13から射出されるピンホール部材24の開口からの光束は、ハルトマンプレート23の複数の開口部により、この開口部の数と同数の光線群となり、結像位置へ向かう。この光線群は結像位置で一度集光された後、広がった状態でCCD15に達する。このハルトマンプレート23中の複数の開口部を介した光線群は、被検光学系13の瞳面を複数の区画に分割した際の各区画を通過する光線に対応するため、CCD15上において各光線(光線群)の到達する位置を検出すれば、被検光学系13の横収差を求めることができ、この横収差より被検光学系13の波面収差を算出できる。
【0137】
[第8の実施形態]
以上説明した実施の形態では、光源として軟X線の波長域を供給するものを用いたが、通常の工場での光学系の組み立て調整の際には、X線源では無く通常のレーザ光源を用いるのが便利である。
【0138】
以下、第8の実施形態として、レーザ光源を用いた波面収差測定機について図16〜図19を参照して説明する。ここで、図16は、第8の実施形態の原理を説明するための図である。
【0139】
図16(A)において、レーザ光源18は所定波長のレーザ光を供給する。このレーザ光は、ビームスプリッタBSにより分割されて、分割された一方の光束は、折り曲げミラー及び集光レンズを介して、微小開口を有する第1のピンホール12へ導かれる。この第1のピンホール12は被検光学系13の像面位置に配置されており、その微小開口の大きさは、被検光学系13の射出側(ピンホール12側)の開口数NAから決まるエアリーディスクの直径(0.6λ/NA、λ:レーザ光の波長)よりも十分に小さい大きさである。従って、第1のピンホール12の微小開口からは第1の理想的球面波が発生する。
【0140】
第1のピンホール12からの第1の理想的球面波は、被検光学系13を通過して、被検光学系13に関して第1のピンホールと共役な位置に配置されたピンホールミラー30へ導かれる。
【0141】
ピンホールミラー30は、図16(B)に示す如く、光透過性の基板30cと、この基板30c上に設けられた反射面30bと、この反射面30bが設けられない領域である開口部30aとからなる。なお、ピンホールミラー30の開口部30aの大きさも、被検光学系13の射出側(ピンホールミラー30側)の開口数NAから決まるエアリーディスクの直径(0.6λ/NA、λ:レーザ光の波長)よりも十分に小さい大きさである。
【0142】
さて、図16(A)に戻って、ビームスプリッタBSにて分割された光束のうち、他方の光束は集光レンズ28を介した後、被検光学系13の物体面に配置されたピンホールミラー30の裏面(反射面30bと逆側)へ集光状態で導かれる。
【0143】
従って、ピンホールミラー30では、ピンホールミラー30の裏面からの光束が開口部30aを通過する際に、第2の理想的球面波が生じる。また、被検光学系13を通過した光束がピンホールミラー30の反射面30bで反射されると、この反射光は、被検光学系13の波面収差に応じた形状の波面を有する。
【0144】
ピンホールミラー30の開口部30aからの第2の理想的球面波と、ピンホールミラー30の反射面30bでの反射光とは、レンズを介してCCD29上に達し、このCCD29の撮像面上において干渉縞を形成する。
【0145】
CCD29の撮像面上の干渉縞は、被検光学系13を通過した波面の理想的球面波からのずれに応じた形状となり、この干渉縞を解析することにより被検光学系13の波面収差を求めることができる。
【0146】
図16に示した第8の実施形態の原理図では、被検光学系13の物体面(像面)上における所定の一点を測定点としたが、複数の測定点を測定する場合には、図16のピンホール12に代えて、複数の開口部が所定の配列に沿って並んだピンホールアレイ板31を用い、図17のピンホールミラー30の代わりに複数の開口部と反射面とを有するピンホールミラーアレイ32を用いれば良い。
【0147】
以下、図17を参照して、複数の測定点において被検光学系13の波面収差を測定することができる第8の実施形態について説明する。なお、図17において、図17に示した部材と同様の機能を有する部材には同じ符号を付してある。
【0148】
図17において、レーザ光源27からの所定波長のレーザ光は、ビームスプリッタBSにより分割される。ビームスプリッタBSにより分割された一方の光束は、被検光学系13の像面内方向に沿って移動可能なステージ33内に設けられた折り曲げミラー及び集光レンズを順に介してピンホールアレイ31に達する。
【0149】
図18(A)に示す通り、ピンホールアレイ31は、マトリックス状に配列された複数の開口部31aを有する。この複数の開口部31aの位置が被検光学系13の測定点の位置に対応する。ここで、複数の開口部31aのそれぞれは、被検光学系13の射出側(ピンホールアレイ31側)の開口数NAから決まるエアリーディスクの直径(0.6λ/NA、λ:レーザ光の波長)よりも十分に小さい大きさである。従って、ピンホールアレイ31の開口部31aからは理想的球面波が発生する。
【0150】
図17に戻って、ステージ33を移動させることにより、ピンホールアレイ31上の複数の開口部31aのうちの1つが選択的に照明される。なお、ステージ33の移動に伴い、レーザ光の折り曲げミラーへの入射位置を変更することは言うまでもない。また、複数の開口部31aのうちの一つではなく、複数個をまとめて照明しても良い。
【0151】
さて、ピンホールアレイ31からの理想的球面波は、被検光学系13を通過した後、被検光学系13に関してピンホールアレイ31と共役な位置のピンホールミラーアレイ32へ導かれる。
【0152】
ピンホールミラーアレイ32は、図18(B)に示すように、複数の開口部32aがマトリックス状に並ぶように反射面30bを設けたものであり、開口部32aには反射面30bは設けられない。ここで、ピンホールミラーアレイ32の複数の開口部32aのそれぞれの大きさは、被検光学系13の射出側(ピンホールミラーアレイ32側)の開口数NAから決まるエアリーディスクの直径(0.6λ/NA、λ:レーザ光の波長)よりも十分に小さい大きさである。
【0153】
さて、図17に戻って、ビームスプリッタBSにて分割された光束のうち、他方の光束は折り曲げミラー38及び集光レンズ28を順に介した後、被検光学系13の物体面に配置されたピンホールミラーアレイ32の裏面(反射面32bと逆側)へ集光状態で導かれる。
【0154】
従って、ピンホールミラーアレイ32では、ピンホールミラーアレイ32の裏面からの光束が開口部32aを通過する際に、理想的球面波が生じる。また、被検光学系13を通過した光束がピンホールミラーアレイ32の反射面32bで反射されると、この反射光は、被検光学系13の波面収差に応じた形状の波面を有する。
【0155】
ピンホールミラーアレイ32の開口部32aからの理想的球面波と、ピンホールミラー32の反射面32bでの反射光とは、折り曲げミラー及びレンズを介してCCD29上に達し、このCCD29の撮像面上において干渉縞を形成する。 CCD29の撮像面上の干渉縞は、被検光学系13を通過した波面の理想的球面波からのずれに応じた形状となり、この干渉縞を解析することにより被検光学系13の波面収差を求めることができる。
【0156】
さて、図17に示す第8の実施形態では、CCD29は、ピンホールミラーアレイ32からCCD29へ光を導く光学系、及び集光レンズ28と共に、被検光学系13の物体面内方向に沿って移動可能なステージ34上に取り付けられている。このステージ34は、上述のステージ33と連動して移動するように構成されており、CCD29では、照明された開口部31aに対応する開口部32bのみを見込むことになる。従って、CCD29上には、照明された開口部31aから生じて被検光学系13を通過する光と、照明された開口部31aに対応するピンホールミラーアレイ32上の開口部32aからの回折光との干渉による干渉縞が形成される。従って、この干渉縞を解析することにより、照明された開口部31aが位置する測定点での波面収差を求めることができる。
【0157】
このように、第8の実施形態においても、測定の際においてステージ33,34の移動に起因する振動の影響を受けることがなく、安定した測定が可能となる。
【0158】
さて、ピンホールアレイ31は、ピンホールアレイ31を被検光学系13の光軸方向に沿って微動可能にする垂直ステージ36上に載置されており、ステージ36は被検光学系13を支持する架台に固定されている。また、ピンホールミラーアレイ32は、被検光学系13の物体面内方向に沿って微動可能なXYステージ37上に載置されている。このXYステージ37は、ピエゾを介して上記架台に取り付けられている。ここで、垂直ステージ36によるピンホールアレイ31の移動によりフォーカス調整が達成でき、XYステージ37を移動させることにより被検光学系にディストーションがある場合において開口部32aの位置を合わせこむことができる。
【0159】
ここで、XYステージ37には測長干渉計などの微小変位センサが設けられており、この微小変位センサからの出力により被検光学系13のディストーションを計測することが可能となる。なお、本例においても、ピンホールアレイ31の複数の開口部31aとピンホールミラーアレイ32の複数の開口部32aとの位置は、予め座標測定機を用いて正確に測定している。
【0160】
また、第8の実施形態においては、折り曲げミラー38は振動可能に構成されており、この振動により、ビームスプリッタBSにより2つに分割された光路間の光路長が変化する。これにより、高精度測定を行う際の縞走査(フリンジスキャン)を実行することができる。
【0161】
[比較例]
図19は、第8の実施形態の比較例の構成を示す図である。この図19に示す比較例では、図6に示した波面収差測定機の光源を紫外線レーザとしたものである。前述のように、波面収差測定機の光源の波長を短くすればするほど測定精度は高まるのだが、紫外線レーザでは、被検光学系13の使用波長よりも20倍程度波長が異なるため、この比較例では図6のものよりも20倍だけ精度が悪くなる。
【0162】
それに対して第8の実施形態の波面収差測定機では、参照波面を測定波面とは別の光路を経由させているため、図19の比較例よりも高い精度での測定が可能となる。このように、第8の実施形態では、X線源を用いなくとも高い精度で波面収差を測定可能となる。
【0163】
なお、上述の第2〜第8の実施形態の波面収差測定機を、露光装置へ組み込むことも可能である。特に、第2及び第3の実施形態の波面収差測定機では、露光光としてSORのアンデュレータを用いる場合に光源部を露光光源と共用できるため好適であり、第4〜第7の実施形態では、露光波長としてレーザプラズマX線源を用いる場合に光源部を露光光源と共用できるため好適である。また、第8の実施形態の波面収差測定装置では、露光光源とは別にレーザ光源を用意する必要があるが、このレーザ光源として、露光装置におけるアライメント系の光源或いはオートフォーカス系の光源と共用することも可能である。また、各実施形態の波面収差測定機において、露光装置内の光源と共用する場合には、検出器としてのCCDが収められているユニットを露光装置から取り外し可能に設けることも可能である。この場合、メンテナンス時等の必要時にユニットを露光装置に取り付ければ投影光学系の波面収差を測定することが可能であるので、露光装置1台毎に波面収差測定機を設ける必要がなくなり、露光装置のコストダウンを測ることができる。
【0164】
また、上述の第2〜第7の実施形態では、検出器としてCCDを適用しているが、この代わりに、軟X線領域の放射光を可視光に変換する機能を持つ部材(例えば蛍光板)を検出器の位置に設け、この部材からの可視光をCCD等の検出器で検出しても良い。
【0165】
なお、上述の実施形態では、波長10nm前後の軟X線を露光光として用いる露光装置中の投影光学系の製造方法、この投影光学系の波面収差測定に好適な波面収差測定機、この投影光学系中の反射面の面形状を測定するのに好適な面形状測定用干渉計、及びこの干渉計の校正方法について説明したが、本発明は、この軟X線の波長に限定されるものではない。例えば軟X線よりも短い波長の硬X線用の投影光学系や波面収差測定機、硬X線用投影光学系の光学素子の面形状を測定する面形状計測用干渉計に適用できるばかりか、軟X線よりも長い波長の真空紫外域(100nm〜200nmn)でも適用できる。ここで、真空紫外域用の投影光学系や波面収差測定機、真空紫外域用投影光学系の光学素子の面形状測定に適用すれば、従来のものよりも極めて高い精度での測定・製造が可能となる。
【0166】
このように本発明は上述の実施形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の構成をとり得る。
【図面の簡単な説明】
【0167】
【図1】本発明の第1の実施形態にかかる干渉計の構成を示す図である。
【図2】第1の実施形態の干渉計の要部を示す図である。
【図3】第1の実施形態の干渉計の変形例を示す図である。
【図4】第1の実施形態の干渉計の校正方法を示すフローチャートである。
【図5】第1の実施形態の干渉計の校正方法において用いられる修正研磨機の構成を示す図である。
【図6】第2の実施形態の干渉計の原理を説明するための図である。
【図7】第2の実施形態の干渉計の原理を説明するための図である。
【図8】第2の実施形態の干渉計の構成を示す図である。
【図9】第2の実施形態の干渉計における要部を示す図である。
【図10】第2の実施形態の干渉計における要部の変形例を示す図である。
【図11】第3の実施形態の干渉計の構成を示す図である。
【図12】第4の実施形態の干渉計の構成を示す図である。
【図13】第5の実施形態の干渉計における要部を示す図である。
【図14】第6の実施形態の干渉計における要部を示す図である。
【図15】第7の実施形態の干渉計の構成を示す図である。
【図16】第8の実施形態の原理を説明するための図である。
【図17】第8の実施形態の干渉計の構成を示す図である。
【図18】第8の実施形態の干渉計における要部を示す図である。
【図19】比較例の干渉計の構成を示す図である。
【図20】比較例の干渉計の構成を示す図である。
【符号の説明】
【0168】
1 :光源
2 :ヌル素子
3 :非球面参照面
4 :被検面
5 :CCD
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検光学系の波面収差を測定する波面収差測定機において、
所定波長の放射光を供給する光源と;
該光源からの放射光に基づいて第1の理想的球面波を発生させる第1のピンホール部材と;
前記被検光学系による該第1のピンホール部材の結像位置に配置された第2のピンホール部材と;
前記第1及び第2のピンホール部材の間の光路中に配置されて、0次回折光を前記第2のピンホール部材へ到達させるように配置された回折格子と;
前記回折格子による1次又は他の次数の回折光のうち所定次数の回折光を選択的に通過させる回折光選択手段と;
前記0次回折光が前記第2のピンホール部材を経由した際に発生する第2の理想的球面波と、前記回折光選択手段を通過した前記所定次数の回折光との干渉により得られた干渉縞から前記被検光学系の波面収差を算出する手段と;
を有し、
前記第1のピンホール部材は、前記被検光学系の光軸を横切る面に沿って2次元的に配列された複数の第1ピンホールを有し、
前記第2のピンホール部材は、前記被検光学系による前記複数の第1ピンホールの複数の結像位置のそれぞれに対応した位置に配列された複数の第2ピンホールを有し、
前記回折光選択手段は、前記複数の結像位置へ向かう複数の光束が前記回折格子を通過することにより生じる複数の所定次数の回折光のそれぞれを選択的に通過させるための複数の開口部を有することを特徴とする波面収差測定機。
【請求項2】
前記光源は、シンクロトロン放射光を供給する光源、レーザ光源、及びレーザプラズマX線源のうちの1つであることを特徴とする請求項1記載の波面収差測定機。
【請求項3】
前記光源はレーザプラズマX線源であり、
前記複数の第1ピンホールのそれぞれは、複数のピンホールからなるピンホール群で構成されることを特徴とする請求項2記載の波面収差測定機。
【請求項4】
前記ピンホール群を構成する前記複数のピンホールは、所定の1次元方向に沿って配列されることを特徴とする請求項3記載の波面収差測定機。
【請求項5】
前記所定の1次元方向に沿って配列される前記複数のピンホールの配列ピッチは、前記被検光学系の前記第1ピンホール側の開口数により定まるエアリーディスクの半径の10倍〜25倍であることを特徴とする請求項4記載の波面収差測定機。
【請求項6】
前記ピンホール群を構成する前記複数のピンホールは、所定の1次元方向に延びたスリット形状の開口部を有することを特徴とする請求項12記載の波面収差測定機。
【請求項7】
前記第1のピンホール部材の前記複数の第1ピンホールのうちの一部を選択的に照明するための第1の選択照明手段と;
前記第2のピンホール部材の前記複数の第2ピンホールのうちの前記第1ピンホールの一部に対応した一部からの前記第2の理想的球面波と、前記複数の開口部のうちの前記第1ピンホールの一部に対応した一部を通過する前記所定次数の回折光とを選択的に受光する選択受光手段と;
を備えることを特徴とする請求項1乃至6の何れか一項記載の波面収差測定機。
【請求項8】
前記回折格子を移動させて縞走査を行うためのフリンジスキャン手段をさらに備えることを特徴とする請求項1乃至6の何れか一項記載の波面収差測定機。
【請求項9】
被検光学系の波面収差を測定する波面収差測定機において、
コヒーレント光を供給する光源と;
該光源からのコヒーレント光を第1の光束と第2の光束とに分割するビームスプリッタと;
前記第1の光束に基づいて第1の理想的球面波を発生させる第1のピンホール部材と;
前記被検光学系による前記第1のピンホール部材の理想結像面に2次元的に配列されて前記第2の光束を通過させる複数の開口部と、前記被検光学系からの前記第1の光束を反射させる反射部とを有するピンホールミラーと;
を備え、
前記第2の光束に基づいて前記ピンホールミラーの前記複数の開口部から発生する第2の理想的球面波と、前記反射部にて反射された前記第1の光束との干渉により生じる干渉縞に基づいて前記被検光学系の波面収差を求めることを特徴とする波面収差測定機。
【請求項10】
前記第1の光束の光路長と、前記第2の光束の光路長とのうち、少なくとも一方の光路長を変化させるフリンジスキャン手段をさらに有することを特徴とする請求項9記載の波面収差測定機。
【請求項11】
被検光学系の波面収差を測定する波面収差測定機において、
レーザプラズマX線源と;
該レーザプラズマX線源からの放射光に基づいて、複数の第1の理想的球面波を発生させる複数の第1ピンホールからなる第1ピンホール群を備える第1のピンホール部材と;
前記被検光学系による該第1のピンホール部材の結像位置に配置された複数の第2ピンホールからなる第2ピンホール群を備える第2のピンホール部材と;
前記第1及び第2のピンホール部材の間の光路中に配置されて、前記第1ピンホール群を経由した光の0次回折光を前記第2ピンホール群へ到達させるように配置された回折格子と;
前記回折格子による1次又は他の次数の回折光のうち所定次数の回折光を選択的に通過させる回折光選択手段と;
前記0次回折光が前記第2ピンホール群を経由した際に発生する第2の理想的球面波と、前記回折光選択手段を通過した前記所定次数の回折光との干渉により得られた干渉縞から前記被検光学系の波面収差を算出する手段と;
を備えることを特徴とする波面収差測定機。
【請求項12】
前記第1のピンホール部材は、複数の前記第1スリット群を備え、
前記第2のピンホール部材は、前記被検光学系による前記複数の第1ピンホール群の複数の結像位置のそれぞれに対応して配置された複数の前記第2ピンホール群を備え、
前記回折光選択手段は,前記複数の結像位置へ向かう複数の光束が前記回折格子を通過
することにより生じる複数の所定次数の回折光のそれぞれを選択的に通過させるための複数の開口部を有することを特徴とする請求項11記載の波面収差測定機。
【請求項13】
前記複数の第1ピンホール群のうちの一部の第1ピンホール群を選択的に照明するための第1の選択照明手段と;
前記複数の第2ピンホール群のうちの前記一部の第1ピンホール群に対応した一部の第2ピンホール群を通過する前記第2の理想的球面波と、前記複数の開口部のうちの前記一部の第1ピンホール群に対応した一部の開口部を通過する前記所定次数の回折光とを選択的に受光する選択受光手段と;
を備えることを特徴とする請求項12記載の波面収差測定機。
【請求項14】
前記複数の第2ピンホール群のうちの前記一部の第2ピンホール群を選択的に照明する第2の選択照明手段をさらに備えることを特徴とする請求項13
記載の波面収差測定機。
【請求項15】
被検光学系の波面収差を測定する波面収差測定機において、
レーザプラズマX線源と;
該レーザプラズマX線源からの放射光に基づいて、複数の第1の理想的1次元球面波を発生させる複数の第1スリットからなる第1スリット群を備える第1のスリット部材と;
前記被検光学系による該第1のスリット部材の結像位置に配置された複数の第2スリットからなる第2スリット群を備える第2のスリット部材と;
前記第1及び第2のスリット部材の間の光路中に配置されて、前記第1スリット群を経由した光の0次回折光を前記第2スリット群へ到達させるように配置された回折格子と;
前記回折格子による1次又は他の次数の回折光のうち所定次数の回折光を選択的に通過させる回折光選択手段と;
前記0次回折光が前記第2スリット群を経由した際に発生する第2の理想的1次元球面波と、前記回折光選択手段を通過した前記所定次数の回折光との干渉により得られた干渉縞から前記被検光学系の波面収差を算出する手段と;
を備えることを特徴とする波面収差測定機。
【請求項16】
前記第1のスリット部材は、複数の前記第1スリット群を備え、
前記第2のスリット部材は、前記被検光学系による前記複数の第1スリット群の複数の結像位置のそれぞれに対応して配置された複数の前記第2スリット群を備え、
前記回折光選択手段は,前記複数の結像位置へ向かう複数の光束が前記回折格子を通過
することにより生じる複数の所定次数の回折光のそれぞれを選択的に通過させるための複数の開口部を有することを特徴とする請求項15記載の波面収差測定機。
【請求項17】
前記複数の第1スリット群のうちの一部の第1スリット群を選択的に照明するための第1の選択照明手段と;
前記複数の第2スリット群のうちの前記一部の第1スリット群に対応した一部の第2スリット群を通過する前記第2の理想的1次元球面波と、前記複数の開口部のうちの前記一部の第1スリット群に対応した一部の開口部を通過する前記所定次数の回折光とを選択的に受光する選択受光手段と;
を備えることを特徴とする請求項16記載の波面収差測定機。
【請求項18】
前記複数の第2スリット群のうちの前記一部の第2スリット群を選択的に照明する第2の選択照明手段をさらに備えることを特徴とする請求項17記載の波面収差測定機。
【請求項19】
被検光学系の波面収差を測定する波面収差測定機において、
レーザプラズマX線源と;
該レーザプラズマX線源からの放射光に基づいて、複数の理想的1次元球面波を発生させる複数のスリットからなるスリット群を備えるのスリット部材と;
前記スリット部材と前記被検光学系による前記スリット部材の結像位置との間に配置されて、前記スリット部材を経た光に基づいて回折光を発生させる回折格子と;
該回折格子による前記回折光のうち、所定次数の回折光と、該所定次数の回折光とは異なる次数の回折光とを選択的に通過させる回折光選択手段と;
該回折光選択手段を介した少なくとも2つの回折光を重ね合わせて干渉縞を形成するための重ね合わせ手段と;
前記干渉縞形成位置に配置された検出器と;
を備え、前記干渉縞から前記被検光学系の波面収差を算出することを特徴とする波面収差測定機。
【請求項20】
前記スリット部材は、複数の前記スリット群を備えることを特徴とする請求項19記載の波面収差測定機。
【請求項21】
前記複数のスリット群のうちの一部のスリット群を選択的に照明するための第1の選択照明手段と;
前記一部のスリット群を経由した光に基づく干渉縞を検出するために前記検出器の検出位置を変更する検出位置変更手段と;
を備えることを特徴とする請求項20記載の波面収差測定機。
【請求項22】
50nm以下の放射光を供給する光源と;
該光源からの放射光に基づいて、複数の理想的1次元球面波を発生させる複数のスリットからなるスリット群を備えるのスリット部材と;
前記スリット部材と前記被検光学系による前記スリット部材の結像位置との間に配置されて、複数の開口部を有するハルトマンプレートと;
前記結像位置を挟んで前記被検光学系とは逆側に配置されて、前記春と万プレートの前記複数の開口部を通過する光線群の位置を検出する撮像素子と;
を備え、前記撮像素子上に到達する前記光線群の位置に基づいて前記被検光学系の波面収差を求めることを特徴とする波面収差測定機。
【請求項23】
前記スリット部材は、複数の前記スリット群を備え、
前記複数のスリット群のうちの一部のスリット群を選択的に照明するための第1の選択照明手段と;
前記一部のスリット群を経由した光に基づく前記光線群を検出するために前記撮像素子の検出位置を変更する検出位置変更手段と;
を備えることを特徴とする請求項22記載の波面収差測定機。
【請求項24】
投影原版上の回路パターンを感光性基板上へ投影する投影光学系と、
前記投影光学系の波面収差を測定するための請求項1乃至23の何れか一項記載の波面収差測定機と、
を備えることを特徴とする投影露光装置。
【請求項1】
被検光学系の波面収差を測定する波面収差測定機において、
所定波長の放射光を供給する光源と;
該光源からの放射光に基づいて第1の理想的球面波を発生させる第1のピンホール部材と;
前記被検光学系による該第1のピンホール部材の結像位置に配置された第2のピンホール部材と;
前記第1及び第2のピンホール部材の間の光路中に配置されて、0次回折光を前記第2のピンホール部材へ到達させるように配置された回折格子と;
前記回折格子による1次又は他の次数の回折光のうち所定次数の回折光を選択的に通過させる回折光選択手段と;
前記0次回折光が前記第2のピンホール部材を経由した際に発生する第2の理想的球面波と、前記回折光選択手段を通過した前記所定次数の回折光との干渉により得られた干渉縞から前記被検光学系の波面収差を算出する手段と;
を有し、
前記第1のピンホール部材は、前記被検光学系の光軸を横切る面に沿って2次元的に配列された複数の第1ピンホールを有し、
前記第2のピンホール部材は、前記被検光学系による前記複数の第1ピンホールの複数の結像位置のそれぞれに対応した位置に配列された複数の第2ピンホールを有し、
前記回折光選択手段は、前記複数の結像位置へ向かう複数の光束が前記回折格子を通過することにより生じる複数の所定次数の回折光のそれぞれを選択的に通過させるための複数の開口部を有することを特徴とする波面収差測定機。
【請求項2】
前記光源は、シンクロトロン放射光を供給する光源、レーザ光源、及びレーザプラズマX線源のうちの1つであることを特徴とする請求項1記載の波面収差測定機。
【請求項3】
前記光源はレーザプラズマX線源であり、
前記複数の第1ピンホールのそれぞれは、複数のピンホールからなるピンホール群で構成されることを特徴とする請求項2記載の波面収差測定機。
【請求項4】
前記ピンホール群を構成する前記複数のピンホールは、所定の1次元方向に沿って配列されることを特徴とする請求項3記載の波面収差測定機。
【請求項5】
前記所定の1次元方向に沿って配列される前記複数のピンホールの配列ピッチは、前記被検光学系の前記第1ピンホール側の開口数により定まるエアリーディスクの半径の10倍〜25倍であることを特徴とする請求項4記載の波面収差測定機。
【請求項6】
前記ピンホール群を構成する前記複数のピンホールは、所定の1次元方向に延びたスリット形状の開口部を有することを特徴とする請求項12記載の波面収差測定機。
【請求項7】
前記第1のピンホール部材の前記複数の第1ピンホールのうちの一部を選択的に照明するための第1の選択照明手段と;
前記第2のピンホール部材の前記複数の第2ピンホールのうちの前記第1ピンホールの一部に対応した一部からの前記第2の理想的球面波と、前記複数の開口部のうちの前記第1ピンホールの一部に対応した一部を通過する前記所定次数の回折光とを選択的に受光する選択受光手段と;
を備えることを特徴とする請求項1乃至6の何れか一項記載の波面収差測定機。
【請求項8】
前記回折格子を移動させて縞走査を行うためのフリンジスキャン手段をさらに備えることを特徴とする請求項1乃至6の何れか一項記載の波面収差測定機。
【請求項9】
被検光学系の波面収差を測定する波面収差測定機において、
コヒーレント光を供給する光源と;
該光源からのコヒーレント光を第1の光束と第2の光束とに分割するビームスプリッタと;
前記第1の光束に基づいて第1の理想的球面波を発生させる第1のピンホール部材と;
前記被検光学系による前記第1のピンホール部材の理想結像面に2次元的に配列されて前記第2の光束を通過させる複数の開口部と、前記被検光学系からの前記第1の光束を反射させる反射部とを有するピンホールミラーと;
を備え、
前記第2の光束に基づいて前記ピンホールミラーの前記複数の開口部から発生する第2の理想的球面波と、前記反射部にて反射された前記第1の光束との干渉により生じる干渉縞に基づいて前記被検光学系の波面収差を求めることを特徴とする波面収差測定機。
【請求項10】
前記第1の光束の光路長と、前記第2の光束の光路長とのうち、少なくとも一方の光路長を変化させるフリンジスキャン手段をさらに有することを特徴とする請求項9記載の波面収差測定機。
【請求項11】
被検光学系の波面収差を測定する波面収差測定機において、
レーザプラズマX線源と;
該レーザプラズマX線源からの放射光に基づいて、複数の第1の理想的球面波を発生させる複数の第1ピンホールからなる第1ピンホール群を備える第1のピンホール部材と;
前記被検光学系による該第1のピンホール部材の結像位置に配置された複数の第2ピンホールからなる第2ピンホール群を備える第2のピンホール部材と;
前記第1及び第2のピンホール部材の間の光路中に配置されて、前記第1ピンホール群を経由した光の0次回折光を前記第2ピンホール群へ到達させるように配置された回折格子と;
前記回折格子による1次又は他の次数の回折光のうち所定次数の回折光を選択的に通過させる回折光選択手段と;
前記0次回折光が前記第2ピンホール群を経由した際に発生する第2の理想的球面波と、前記回折光選択手段を通過した前記所定次数の回折光との干渉により得られた干渉縞から前記被検光学系の波面収差を算出する手段と;
を備えることを特徴とする波面収差測定機。
【請求項12】
前記第1のピンホール部材は、複数の前記第1スリット群を備え、
前記第2のピンホール部材は、前記被検光学系による前記複数の第1ピンホール群の複数の結像位置のそれぞれに対応して配置された複数の前記第2ピンホール群を備え、
前記回折光選択手段は,前記複数の結像位置へ向かう複数の光束が前記回折格子を通過
することにより生じる複数の所定次数の回折光のそれぞれを選択的に通過させるための複数の開口部を有することを特徴とする請求項11記載の波面収差測定機。
【請求項13】
前記複数の第1ピンホール群のうちの一部の第1ピンホール群を選択的に照明するための第1の選択照明手段と;
前記複数の第2ピンホール群のうちの前記一部の第1ピンホール群に対応した一部の第2ピンホール群を通過する前記第2の理想的球面波と、前記複数の開口部のうちの前記一部の第1ピンホール群に対応した一部の開口部を通過する前記所定次数の回折光とを選択的に受光する選択受光手段と;
を備えることを特徴とする請求項12記載の波面収差測定機。
【請求項14】
前記複数の第2ピンホール群のうちの前記一部の第2ピンホール群を選択的に照明する第2の選択照明手段をさらに備えることを特徴とする請求項13
記載の波面収差測定機。
【請求項15】
被検光学系の波面収差を測定する波面収差測定機において、
レーザプラズマX線源と;
該レーザプラズマX線源からの放射光に基づいて、複数の第1の理想的1次元球面波を発生させる複数の第1スリットからなる第1スリット群を備える第1のスリット部材と;
前記被検光学系による該第1のスリット部材の結像位置に配置された複数の第2スリットからなる第2スリット群を備える第2のスリット部材と;
前記第1及び第2のスリット部材の間の光路中に配置されて、前記第1スリット群を経由した光の0次回折光を前記第2スリット群へ到達させるように配置された回折格子と;
前記回折格子による1次又は他の次数の回折光のうち所定次数の回折光を選択的に通過させる回折光選択手段と;
前記0次回折光が前記第2スリット群を経由した際に発生する第2の理想的1次元球面波と、前記回折光選択手段を通過した前記所定次数の回折光との干渉により得られた干渉縞から前記被検光学系の波面収差を算出する手段と;
を備えることを特徴とする波面収差測定機。
【請求項16】
前記第1のスリット部材は、複数の前記第1スリット群を備え、
前記第2のスリット部材は、前記被検光学系による前記複数の第1スリット群の複数の結像位置のそれぞれに対応して配置された複数の前記第2スリット群を備え、
前記回折光選択手段は,前記複数の結像位置へ向かう複数の光束が前記回折格子を通過
することにより生じる複数の所定次数の回折光のそれぞれを選択的に通過させるための複数の開口部を有することを特徴とする請求項15記載の波面収差測定機。
【請求項17】
前記複数の第1スリット群のうちの一部の第1スリット群を選択的に照明するための第1の選択照明手段と;
前記複数の第2スリット群のうちの前記一部の第1スリット群に対応した一部の第2スリット群を通過する前記第2の理想的1次元球面波と、前記複数の開口部のうちの前記一部の第1スリット群に対応した一部の開口部を通過する前記所定次数の回折光とを選択的に受光する選択受光手段と;
を備えることを特徴とする請求項16記載の波面収差測定機。
【請求項18】
前記複数の第2スリット群のうちの前記一部の第2スリット群を選択的に照明する第2の選択照明手段をさらに備えることを特徴とする請求項17記載の波面収差測定機。
【請求項19】
被検光学系の波面収差を測定する波面収差測定機において、
レーザプラズマX線源と;
該レーザプラズマX線源からの放射光に基づいて、複数の理想的1次元球面波を発生させる複数のスリットからなるスリット群を備えるのスリット部材と;
前記スリット部材と前記被検光学系による前記スリット部材の結像位置との間に配置されて、前記スリット部材を経た光に基づいて回折光を発生させる回折格子と;
該回折格子による前記回折光のうち、所定次数の回折光と、該所定次数の回折光とは異なる次数の回折光とを選択的に通過させる回折光選択手段と;
該回折光選択手段を介した少なくとも2つの回折光を重ね合わせて干渉縞を形成するための重ね合わせ手段と;
前記干渉縞形成位置に配置された検出器と;
を備え、前記干渉縞から前記被検光学系の波面収差を算出することを特徴とする波面収差測定機。
【請求項20】
前記スリット部材は、複数の前記スリット群を備えることを特徴とする請求項19記載の波面収差測定機。
【請求項21】
前記複数のスリット群のうちの一部のスリット群を選択的に照明するための第1の選択照明手段と;
前記一部のスリット群を経由した光に基づく干渉縞を検出するために前記検出器の検出位置を変更する検出位置変更手段と;
を備えることを特徴とする請求項20記載の波面収差測定機。
【請求項22】
50nm以下の放射光を供給する光源と;
該光源からの放射光に基づいて、複数の理想的1次元球面波を発生させる複数のスリットからなるスリット群を備えるのスリット部材と;
前記スリット部材と前記被検光学系による前記スリット部材の結像位置との間に配置されて、複数の開口部を有するハルトマンプレートと;
前記結像位置を挟んで前記被検光学系とは逆側に配置されて、前記春と万プレートの前記複数の開口部を通過する光線群の位置を検出する撮像素子と;
を備え、前記撮像素子上に到達する前記光線群の位置に基づいて前記被検光学系の波面収差を求めることを特徴とする波面収差測定機。
【請求項23】
前記スリット部材は、複数の前記スリット群を備え、
前記複数のスリット群のうちの一部のスリット群を選択的に照明するための第1の選択照明手段と;
前記一部のスリット群を経由した光に基づく前記光線群を検出するために前記撮像素子の検出位置を変更する検出位置変更手段と;
を備えることを特徴とする請求項22記載の波面収差測定機。
【請求項24】
投影原版上の回路パターンを感光性基板上へ投影する投影光学系と、
前記投影光学系の波面収差を測定するための請求項1乃至23の何れか一項記載の波面収差測定機と、
を備えることを特徴とする投影露光装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【公開番号】特開2008−135745(P2008−135745A)
【公開日】平成20年6月12日(2008.6.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−302507(P2007−302507)
【出願日】平成19年11月22日(2007.11.22)
【分割の表示】特願平10−268582の分割
【原出願日】平成10年9月22日(1998.9.22)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年6月12日(2008.6.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年11月22日(2007.11.22)
【分割の表示】特願平10−268582の分割
【原出願日】平成10年9月22日(1998.9.22)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】
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