説明

無段変速機の制御装置

【課題】運転者が手動で変速特性を設定する煩わしさを防止した上で、運転状態に応じてきめ細かに且つ主観を排除して客観的に変速特性を設定できる無段変速機の制御装置を提供する。
【解決手段】運転者の運転操作、車両の旋回状態、登坂路の勾配に応じて余裕代Kresを学習し、運転者のアクセル操作量及び車速から求めたエンジンの目標パワーを達成可能な等パワー曲線を特定し、等パワー曲線上において燃費重視の運転点と加速応答性重視の運転点との間で余裕代Kresに基づいて最適な目標運転点を決定し、決定した目標運転点に基づいて変速制御を実行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は無段変速機(CVT)の制御装置に係り、詳しくは変速特性を変更可能な無段変速機の制御装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、広く実用化されている無段変速機は変速比を無段階に制御可能であり、この特性を活かしてエンジン側が常に最良燃費で運転される運転点を目標にして変速比を制御している。また、このような燃費重視の制御では変速比を比較的高ギア側に保つことになるため、アクセル踏込みに伴ってエンジントルクが立上げられたときの加速応答性が良好でないことを鑑みて、キビキビした運転を好む運転者への対処として、変速特性の異なる2種の変速モードを設定した無段変速機もある。当該無段変速機では、上記燃費最良点の運転点を目標として変速制御するノーマルモードに加えて、変速比をより低ギア側に制御するスポーツモードが設定され、運転者のスイッチ操作に応じて選択された変速モードに従って変速制御を実行している。
【0003】
しかしながら、運転者のスイッチ操作を要することから非常に煩わしい上に、2種の変速モードでは多様な運転者の好みに対してきめ細かに対応できず、運転者に十分な満足感を与えることができなかった。しかも、全ての運転者が客観的に自己の好みを把握しているとは限らないことから、主観により不適切な変速モードを選択してしまう可能性もあり、このような場合には却って運転者の意に沿わない変速制御が実行されてフィーリング悪化の要因となるという不具合もあった。
【0004】
また、上記のように変速モードに応じて変速比を切換える無段変速機の他に、目標の変速比に到達するまでの変速速度を切換えるものもある(例えば、特許文献1参照)。当該特許文献1の技術では、快適性を重視したコンフォート走行モードとキビキビ感を重視したスポーツ走行モードとを運転者のスイッチ操作に応じて選択し、例えばアクセル踏込みに伴ってダウンシフトにより変速比を低ギア側に制御するときには、コンフォート走行モードでは低い変速速度で緩やかに変速して変速ショックを抑制するのに対し、スポーツ走行モードでは高い変速速度で速やかに変速を完了している。
【特許文献1】特許第3458541号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1の技術では、運転者による変速モードの選択に応じて上記変速比に代えて変速速度を切換えているだけの相違しかないため、上記問題の解決手段とはなり得ない。よって、上記先行技術と同じくスイッチ操作が煩わしい上に、運転者の好みを反映したきめ細かな対応ができないと共に、運転者による不適切なモード選択を防止できないという問題が生じた。
【0006】
本発明はこのような問題点を解決するためになされたもので、その目的とするところは、運転者が手動で変速特性を設定する煩わしさを防止した上で、運転状態に応じてきめ細かに且つ主観を排除して客観的に変速特性を設定でき、ひいては常に適切に変速制御を実行して最適な車両の走行特性を実現することができる無段変速機の制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、請求項1の発明は、運転者のアクセル操作に応じた要求エンジン出力毎に、要求エンジン出力を達成可能なエンジンの運転領域を予め記憶すると共に、各運転領域上においてエンジンが達成可能な最大トルクに対して大きな余裕代を見込んだ加速重視の運転点と最大トルクに対して小さな余裕代を見込んだ燃費重視の運転点とを記憶する運転領域記憶手段と、車両運転状態又は道路環境に基づき最適な余裕代を学習する余裕代学習手段と、運転者のアクセル操作に基づき要求エンジン出力を達成可能な運転領域を決定し、運転領域上で加速重視運転点と燃費重視運転点との間で余裕代学習手段により学習された余裕代に応じて目標運転点を決定する目標運転点決定手段と、目標運転点決定手段により決定された目標運転点でエンジンを運転させるべく無段変速機の変速比を制御する変速制御手段とエンジントルク制御手段とを備えたものである。
【0008】
従って、車両の走行中には運転状態又は道路環境に基づき最適な余裕代が余裕代学習手段により学習される一方、運転領域記憶手段に記憶された運転領域と加速重視運転点及び燃費重視運転点とに基づき、運転者のアクセル操作に応じた要求エンジン出力を達成可能な運転領域が目標運転点決定手段により決定されると共に、運転領域上で加速重視運転点と燃費重視運転点との間で余裕代に応じた目標運転点が決定され、この目標運転点に基づいて変速制御手段による無段変速機の変速制御とエンジントルク制御手段によるエンジンのトルク制御が実行される。
【0009】
結果として、目標運転点の設定操作を運転者が手動で行う場合の煩わしさが未然に防止される。また、運転状態に基づき運転者の主観を排除した客観的な余裕代が学習され、その余裕代に基づいてきめ細かに目標運転点が設定されるため、常に適切に変速制御を実行して燃費と加速との相反する要件を共に満足する最適な車両の走行特性が実現される。
請求項2の発明は、請求項1において、余裕代学習手段が、余裕代を加速重視運転点と燃費重視運転点との間の割合として学習し、目標運転点決定手段が、加速重視運転点と燃費重視運転点との間で割合に応じた位置に目標運転点を決定するものである。
【0010】
従って、余裕代は加速重視運転点と燃費重視運転点との間の割合として学習され、学習された割合に応じて加速重視運転点と燃費重視運転点との間で目標運転点が決定される。
請求項3の発明は、請求項1または2において、余裕代学習手段が、運転者による運転操作の緩急、または運転操作に基づく車両挙動の緩急に応じて上記余裕代を学習し、目標運転点決定手段が、余裕代に基づき運転操作または車両挙動が急であるほど加速重視運転点寄りの目標運転点を決定するものである。
【0011】
従って、運転者による運転操作の緩急、または運転操作に基づく車両挙動の緩急に応じて余裕代が学習され、学習された余裕代に基づき運転操作または車両挙動が急であるほど加速重視運転点寄りの目標運転点が決定される。運転操作や車両挙動の緩急は運転者が要求する車両の走行特性を表す指標と見なせ、運転操作や車両挙動が急なときには加速重視運転点寄りの目標運転点に基づき良好な加速応答性が得られる一方、運転操作や車両挙動が緩やかなときには燃費重視運転点寄りの目標運転点に基づき良好な燃費が得られる。
【0012】
請求項4の発明は、請求項1乃至3において、余裕代学習手段が、車両の旋回状態の緩急に応じて余裕代を学習し、目標運転点決定手段が、余裕代に基づき車両の旋回状態が急であるほど加速重視運転点寄りの目標運転点を決定するものである。
従って、車両の旋回状態の緩急に応じて余裕代が学習され、学習された余裕代に基づき車両の旋回状態が急であるほど加速重視運転点寄りの目標運転点が決定される。車両旋回時には加速要求やエンジンブレーキの要求が高まるが、旋回状態が急なときには加速重視運転点寄りの目標運転点に基づき良好な加速応答性及びエンジンブレーキ作用が得られる一方、旋回状態が緩やかなときには燃費重視運転点寄りの目標運転点に基づき良好な燃費が得られる。
【0013】
請求項5の発明は、請求項1乃至4において、余裕代学習手段が、傾斜路での路面勾配に応じて余裕代を学習し、目標運転点決定手段が、余裕代に基づき路面勾配が急であるほど加速重視運転点寄りの目標運転点を決定するものである。
従って、傾斜路での路面勾配に応じて余裕代が学習され、学習された余裕代に基づき路面勾配が急であるほど加速重視運転点寄りの目標運転点が決定される。例えば登坂路では高いエンジントルクが要求されると共に、加速要求に応答するためにも大きなエンジントルクを要するが、路面勾配が急なときには加速重視運転点寄りの目標運転点に基づき大きな余裕トルクが確保される一方、路面勾配が緩やかなときには燃費重視運転点寄りの目標運転点に基づき良好な燃費が得られる。
【0014】
請求項6の発明は、請求項1乃至5において、エンジンと無段変速機との間に、所定車速以上で直結制御されるロックアップクラッチを備えたトルクコンバータが設けられ、目標運転点決定手段が、ロックアップクラッチの直結車速未満の領域では、トルクコンバータの速度比及びトルクコンバータ特性に基づき余裕代に応じて決定した目標運転点を補正するものである。
【0015】
従って、ロックアップクラッチの直結車速未満の領域では、トルクコンバータの速度比及びトルクコンバータ特性に基づき、トルクコンバータの滑りを考慮して目標運転点が補正されるため、ロックアップクラッチが直結されていない領域でも適切な目標運転点に基づいて変速制御を実行可能となる。
【発明の効果】
【0016】
以上説明したように請求項1,2の発明の無段変速機の制御装置によれば、運転者が手動で変速特性を設定する煩わしさを防止した上で、運転状態又は道路環境に応じてきめ細かに且つ主観を排除して客観的に目標運転点を設定でき、ひいては目標運転点に基づき常に適切に変速制御を実行して燃費と加速との相反する要件を共に満足する最適な車両の走行特性を実現することができる。
【0017】
請求項3の発明の無段変速機の制御装置によれば、請求項1,2に加えて、運転操作や車両挙動の緩急から学習した余裕代に基づいて目標運転点を設定することにより、運転者のドライビングスタイルに対して最適な走行特性を実現することができる。
請求項4の発明の無段変速機の制御装置によれば、請求項1乃至3に加えて、車両の旋回状態の緩急から学習した余裕代に基づいて目標運転点を設定することにより、車両の旋回状態に対して最適な走行特性を実現することができる。
【0018】
請求項5の発明の無段変速機の制御装置によれば、請求項1乃至4に加えて、傾斜路での路面勾配の緩急から学習した余裕代に基づいて目標運転点を設定することにより、路面勾配に対して最適な走行特性を実現することができる。
請求項6の発明の無段変速機の制御装置によれば、請求項1乃至5に加えて、ロックアップ領域のみならず非ロックアップ領域においても余裕代を反映した適切な目標運転点に基づく変速制御を実行することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明をベルト式無段変速機の制御装置に具体化した一実施例を説明する。
図1は本実施形態の無段変速機の制御装置を示す概略構成図である。本実施形態では無段変速機2がガソリンエンジン1と組み合わされており、エンジン1の出力軸1aがトルクコンバータ3及び発進クラッチ4を介してプライマリプーリ5を支持する入力軸5aに連結されている。トルクコンバータ3はロックアップクラッチ3aを内蔵し、ロックアップクラッチ3aの遮断時には滑りを伴ったトルク増幅作用によりエンジン1の駆動力を増幅しながらCVT入力軸につながっている。
【0020】
上記プライマリプーリ5は無端状ベルト6を介してセカンダリプーリ7と連結されている。セカンダリプーリ7を支持する出力軸7aには2次減速機構8が連結され、この2次減速機構8はデファレンシャルギア9を介して左右の駆動輪10に連結されている。プライマリプーリ5及びセカンダリプーリ7にはソレノイド11が接続され、図示しないオイルポンプからの作動油がソレノイド11の切換に応じて各プーリ5,7に供給される。作動油の供給状態に応じてプライマリプーリ5及びセカンダリプーリ7の有効径が調整され、これにより相互のプーリ比、即ち無段変速機2の変速比が制御され、変速比に応じてエンジン1の駆動力が変換されて駆動輪10に伝達される。
【0021】
車室内には、図示しない入出力装置、制御プログラムや制御マップ等の記憶に供される記憶装置(ROM,RAM,BURAM等)、中央処理装置(CPU)、タイマカウンタ等を備えたECU(電子制御ユニット)21が設置されており、エンジン1及び無段変速機2の総合的な制御を行う。ECU21の入力側には、エンジン1の回転速度Neを検出するエンジン回転速度センサ22、無段変速機2の入力軸5aの回転速度であるプライマリ回転速度Npを検出するプライマリ回転速度センサ23、無段変速機2の出力軸7aの回転速度であるセカンダリ回転速度Nsを検出するセカンダリ回転速度センサ24、アクセルペダルの操作量θaccを検出するアクセルセンサ25、同じくステアリングの操舵角θstを検出する操舵角センサ26、車両の前後方向の加速度Gを検出する前後Gセンサ27、車両のヨーレイトYRを検出するヨーレイトセンサ28などの各種センサ類が接続されて、それらの検出情報が入力される。また、ECU21の出力側には、エンジン1の図示しない燃料噴射弁や点火プラグ、及び上記無段変速機2のソレノイド11などのデバイス類が接続されている。
【0022】
ECU21は上記各センサからの検出情報に基づき燃料噴射弁や点火プラグを駆動制御してエンジン1を運転すると共に、検出情報に基づいてソレノイド11を駆動して無段変速機2の変速比を制御する。無段変速機2の変速制御に関して、本実施形態では学習処理により求めたエンジン1の目標運転点に基づいて変速制御を実行しており、以下、当該変速制御について述べる。
【0023】
まず、基本的な変速制御の概要を説明する。図2は変速制御に適用するエンジン1の目標運転点を示す特性図、図3は目標パワーを設定するためのマップである。車両の走行中においてアクセルセンサ25により検出されたアクセル操作量θacc及び車速Vから図3のマップに従ってエンジン1に対する目標パワーPwt0(要求エンジン出力)が算出される。目標パワーPw0はアクセル操作量θaccや車速Vが高いほど増加側に設定される。なお、車速Vは専用の車速センサで検出してもよいし、セカンダリ回転速度センサ24のセカンダリ回転速度Nsを2次減速機構8及びデファレンシャルギア9のギア比により補正して得てもよい。
【0024】
図2において目標パワーPw0が等しい運転点はAやBなどの等パワー曲線(エンジン運転領域)として表される。エンジン出力はトルクと回転速度との積であることから、各等パワー曲線は、エンジントルクTqが高くエンジン回転速度Neが低い領域からこれと逆特性の領域にかけて設定される。そして、このパワー曲線上であれば何れの運転点でも運転者の要求する駆動輪10の駆動力、ひいては車両の加減速を実現できるが、以下の運転点の設定に対する制約、及び燃費と加速応答性に関する利害得失が存在する。
【0025】
即ち、エンジン1の最大トルクを上回る運転点は実現不能であるため、運転点は最大トルクの制約を受け、最大トルク以下の領域の等パワー曲線上に設定する必要がある。
また、エンジン固有の燃費特性に基づき、図中に破線で示すように最大トルク近傍且つ中回転域の最良燃費領域を中心として、外周側ほど燃費が悪化傾向となる。従って、この燃費特性と上記等パワー曲線の特性との関係から、燃費を重視した運転を行うには、等パワー曲線上の比較的エンジン回転速度Neが低くエンジントルクTqが高い領域(図の左方側相当し、具体的には回転を抑制したエンジン運転状態となる)に目標運転点を設定して、できる限り最良燃費領域近くでエンジン1を運転させることが望ましいことが判る。
【0026】
また、アクセルの踏込み操作により車両が加速する過程では、エンジン制御によるエンジントルクTqの増加と変速制御による変速比の変更とが並行して実行されるが、油圧によりプーリ5,7の有効径を変更する変速制御に比較して、燃料噴射量を増減するエンジン制御の方が格段に応答性が良好である。よって、例えば図2において、等パワー曲線A上の運転点aでの運転中にアクセル踏込みにより等パワー曲線Bの運転点bに移行する場合には、まず、エンジン回転速度Neが略一定のまま運転点aからエンジントルクTqが最大トルク近傍まで増加し、その後に変速制御により運転点は最大トルク上を辿って等パワー曲線Bに到達し、さらに等パワー曲線上を辿って運転点bに到達する。
【0027】
運転点bへの移行に伴って低ギア側の変速比に調整されることから駆動輪10の駆動力が高められて良好な加速が得られるが、このような変速完了前の加速初期においては主にエンジントルクTqの増加により車両の加速が開始される。即ち、運転点aから最大トルクまでのエンジントルクTqの増加幅が加速応答性の良否を決定する要因となる。よって、加速応答性を重視した運転を行うには、等パワー曲線上の比較的エンジン回転速度Neが高くエンジントルクTqが低い領域(図の右方側相当し、具体的には回転を高めたエンジン運転状態となる)に目標運転点を設定して、加速初期にエンジントルクTqを大幅に増加させることが望ましいことが判る。以下の説明では、この加速初期の最大トルクまでのエンジントルク増加幅を余裕トルクと称する。
【0028】
以上のように燃費重視の運転点と加速応答性重視の運転点とは相反するが、本実施形態では上記余裕トルクと相関する余裕代Kresの学習処理に基づき等パワー曲線上で最適運転点を求め、この最適運転点が達成されるように無段変速機1の変速比をECU21により制御している。
図4はECU21が実行する余裕代学習ルーチンを示すフローチャートであり、ECU21は車両の走行中において当該ルーチンを所定の制御インターバルで実行する。まず、ステップS2でドライビング係数Kdrvを算出する。当該ドライビング係数Kdrvは、運転者が行うアクセル操作やステアリング操作の緩急、或いは運転操作に基づく車両の加速や旋回の緩急に応じた値として算出される。例えばアクセルセンサ25により検出されたアクセル操作量θaccの単位時間当たりの変化量Δθaccや、操舵角センサ26により検出された操舵角θstの単位時間当たりの変化量Δθst、前後Gセンサ27により検出された車両加速度Gなどに基づいてドライビング係数Kdrvが算出される。従って、ドライビング係数Kdrvは、運転者による運転操作の緩急、或いはその結果を反映した車両挙動の緩急を表し、換言すれば運転者が要求する車両の走行特性、例えば加速時のキビキビ感を求めているか否かなどを示す指標と見なすことができる。
【0029】
なお、ドライビング係数Kdrvを算出するための要件は上記に限らず、例えばブレーキ操作したときの踏力、単位時間当たりのアクセル操作回数、ブレーキ操作回数、操舵回数などに基づいてドライビング係数Kdrvを算出してもよい。
続くステップS4ではカーブ係数Kcrvを算出する。例えばヨーレイトセンサ28により検出されたヨーレイトYRに基づいてカーブ係数Kcrvが算出される。当該カーブ係数Kcrvは車両の旋回状態を表す指標と見なすことができる。なお、カーブ係数Kcrvを算出するための要件は上記に限らず、例えば車輪速センサにより検出した内外の車輪速差及び左右方向の加速度Gに基づいてカーブ係数Kcrvを算出してもよい。
【0030】
続くステップS6では勾配係数Kslpを算出する。例えば周知手法により現在のエンジン出力の推定値と車両の前後方向加速度Gとに基づいて登坂路の勾配を算出し、この路面勾配に基づいて勾配係数Kslpが算出される。当該勾配係数Kslpは登坂路での車両の負荷状態を表す指標と見なすことができる。なお、登坂路のみならず降坂路でも路面勾配に応じて勾配係数Kslpを設定してもよい。
【0031】
算出したドライビング係数Kdrv、カーブ係数Kcrv、勾配係数Kslpに基づき、続くステップS8では余裕代Kresを算出して記憶装置に格納し、その後にルーチンを終了する。余裕代Kresは、燃費重視の運転点と加速応答性重視の運転点との間で目標運転点を決定するための割合、より詳しくは燃費重視の運転点を余裕代Kres=0%とし、加速応答性重視の運転点を余裕代Kres=100%として表される。図2の特性図のように、予めエンジン特性に基づいて各等パワー曲線上における燃費重視の運転点と加速応答性重視の運転点とが特定され、各運転点を結ぶことによりハッチングで囲んだ運転領域が設定されている。
【0032】
目標パワーPw0に基づいて等パワー曲線が決定されると、等パワー曲線上の運転領域内でエンジン1が運転されるが、運転点を燃費重視寄りに設定するほど燃費向上が期待でき、運転点を加速応答性重視寄りに設定するほど加速応答性の向上が期待でき、結果として後述する無段変速機2の変速制御により余裕代Kresに応じた運転点でエンジン1が運転されることで、余裕代Kresを反映したエンジン特性(車両の走行特性)が実現される。
【0033】
ステップS8の具体的な処理としては、例えばドライビング係数Kdrv、カーブ係数Kcrv、勾配係数Kslpに対して予め設定された重み付けを反映させながら行われ、例えば予め余裕代Kresに設定に対してドライビング係数Kdrvの影響度が大に、カーブ係数Kcrv及び勾配係数Kslpの影響度が小に設定され、これらの影響度に応じて各係数Kdrv,Kcrv,Kslpが余裕代Kresの設定に反映される。余裕代Kresに対して各係数Kdrv,Kcrv,Kslpが影響する方向について述べると、運転者の運転操作が急であるほどドライビング係数Kdrvを介して余裕代Kresは加速応答性重視寄りの割合に設定され、コーナリング時の車両の旋回が急であるほどカーブ係数Kcrvを介して余裕代Kresは加速応答性重視寄りの割合に設定され、登坂路が急であるほど勾配係数Kslpを介して余裕代Kresは加速応答性重視寄りの割合に設定される。
【0034】
このようにして余裕代Kresは、運転者の運転操作、車両の旋回状態、登坂路の勾配に応じた値として所定時間毎に学習される。なお、運転者が交代した場合には、直前のドライビング係数Kdrvは不適切なものとなるため、例えばイグニションキーのオフ操作時にドライビング係数Kdrvをリセットするようにしてもよい。
一方、以上の余裕代学習ルーチンと並行して、ECU21は車両の走行中に図5,6に示す変速制御ルーチンを所定の制御インターバル毎に実行する。
【0035】
まず、ステップS12で上記図3に基づいて述べたように、アクセル操作量θacc及び車速Vから目標パワーPwt0を算出する。続くステップS14では無段変速機2の変速比i及び無段変速機2への入力トルクTiを設定する。この段階では変速比i及び入力トルクTiは判明していないため、予め運転領域毎に初期値として変速比i及び入力トルクTiをマップ設定しておき、ステップS4では現在の運転領域と対応する変速比i及び入力トルクTiを求める。
【0036】
ステップS16では次式(1)に従って変速比i及び入力トルクTiからトランスミッション効率ηtmを求め、続くステップS18でトランスミッション効率ηtmを加味した目標パワーPwtを求める。
ηtm=f(i,Ti)………(1)
Pwt=Pwt0/ηtm………(2)
ステップS20では上記余裕代学習ルーチンにより学習された余裕代Kresを読み出し、続くステップS22では、図2に示すようにステップS18で算出した目標パワーPwtに基づき等パワー曲線を決定すると共に、等パワー曲線上において余裕代Kresに応じた目標運転点(例えば図2中のa)を算出する。目標運転点はエンジン回転速度Ne及びエンジントルクTqの目標値として決定される。その後、ステップS24に移行してステップS22で算出した目標エンジン回転速度Ne、及びセカンダリ回転速度センサ24により検出されたセカンダリ回転速度Nsに基づき、次式(3)に従って実際の無段変速機2の変速比iを求め、続くステップS26でトランスミッション効率ηtmを上式(1)に従って再演算する。
【0037】
i=Ne/Ns………(3)
ステップS28ではステップS26までの処理が1回目のものであるか否かを判定し、判定がYes(肯定)のときには上記ステップS18に戻って再度ステップS26までの処理を実行する。再演算されたトランスミッション効率ηtmに基づきステップS18ではより実状に即した目標パワーPwtが算出され、この目標パワーPwtに基づき再びステップS22で等パワー曲線及び余裕代Kresに応じた目標運転点が決定される。
【0038】
ステップS28の判定がNo(否定)になると、ステップS30に移行してロックアップ領域か否かを判定する。本実施形態では20km/h以上の車速域がロックアップ領域として設定されてロックアップクラッチ3aが直結制御され、当該領域以上の車速域のときにはYesの判定を下してステップS32に移行する。続くステップS32では無段変速機2の変速比フィードバック制御を実行し、ステップS34では目標エンジントルク制御(エンジントルク制御手段)を実行した後にルーチンを終了する。
【0039】
ステップS32の変速比フィードバック制御は上記ステップS22で算出された目標運転点に対応するエンジン回転速度Neの目標値に基づいて実行され、ステップS34の目標エンジントルク制御は目標運転点に対応するエンジントルクTqの目標値に基づいて実行され、結果としてエンジン1は目標運転点で運転される。これらの処理は周知であるため詳細は述べないが、ロックアップクラッチ3aの直結中にはエンジン回転速度Neとプライマリ回転速度Npとが同一であることから、変速比フィードバック制御では、エンジン回転速度Neの目標値を目標プライマリ回転速度Npと見なして処理が実行される。
【0040】
一方、上記ステップS30で非ロックアップ領域であるとしてNoの判定を下したときには、図7に示すマップに従ってアクセル操作量θacc及び車速Vから目標プライマリ回転速度Npを算出する。続くステップS38では次式(4)に従ってギア比gを算出し、算出したギア比gが無段変速機2の実際の変速可能範囲、例えば0.4〜2.7を外れるときには範囲内に制限する。
【0041】
g=Np/V………(4)
続くステップS40では算出したギア比gに基づいて実際の無段変速機2の変速比を制御し、その後、ステップS42に移行する。なお、ステップS40の処理も詳細は説明しないが周知のものである。
ステップS42では車速Vが予め設定された判定値V0以上であるか否かを判定する。当該判定値V0は、後述するトルクコンバータ3の滑りを反映した目標運転点に基づく変速制御を実行できる領域であるか否かを判定する閾値であり、例えば12km/hに設定されている。ステップS42の判定がNoのときにはルーチンを終了し、判定のYesのときにはステップS44に移行する。
【0042】
ステップS44では次式(5)に従って無段変速機2に入力されるべき目標入力トルクTiを算出し、続くステップS46では次式(6)に従って速度比eを算出する。
Ti=Pwt/Nw/g………(5)
e=Np/Ne………(6)
ここに、Nwは車輪速であり、例えば全車輪の平均値が適用される。車輪速はセカンダリ回転速度Nsから換算してもよいし、専用の車輪速センサの検出値を適用してもよい。
【0043】
上式(5)の目標パワーPwtとしては、上記ステップS18で再演算された値が適用され、当該目標パワーPwtはステップS22での余裕代Kresに基づく処理を反映した値となっている。即ち、ステップS22で設定される目標運転点を反映してステップS26でトランスミッション効率ηtmが算出され、ステップS18の再演算ではトランスミッション効率ηtmに基づいて目標パワーPwtが算出されるため、目標パワーPwt自体も余裕代Kresを反映した値となる。
【0044】
その後、ステップS48で次式(7)に従って目標エンジン回転速度Neを算出する。
Ne=√Ti/τ(e)/c(e)………(7)
ここに、τはトルクコンバータ3のトルク比(トルクコンバータ特性)、cはトルクコンバータ3の容量係数(トルクコンバータ特性)であり、それぞれ速度比eの関数として所定のマップから設定される。結果として目標エンジン回転速度Neは現在トルクコンバータ3に発生している滑りを考慮した上で、上記ステップS44の目標入力トルクTiを達成可能な値として算出される。
【0045】
続くステップS50では変速比フィードバック制御を実行し、その後にルーチンを終了する。ステップS50の制御内容は上記ステップS32と同じく目標エンジン回転速度Neに基づくものであるが、上記のようにトルクコンバータ3の滑りが考慮されることで目標入力トルクTiが達成され、目標入力トルクTiには余裕代Kresが反映されていることから、非ロックアップ領域においてもエンジン1はステップS22で設定された目標運転点で運転される。
【0046】
以上のようにロックアップ領域(ステップS30がYes)、及び非ロックアップ領域であっても車速Vが判定値V0以上のとき(ステップS42がYes)には、余裕代Kresを反映してエンジン1の目標運転点が設定され、無段変速機2の変速制御の結果、エンジン1が目標運転点で運転される。そして、余裕代Kresは、運転者の運転操作に基づくドライビング係数Kdrv、車両の旋回状態に基づくカーブ係数Kcrv、登坂路の勾配に基づく勾配係数Kslpから学習されるため、各要件に応じて目標運転点と共に車両の走行特性は以下に述べるように変化する。
【0047】
運転者の運転操作に関しては、運転操作が急であるほどドライビング係数Kdrvを介して余裕代Kresが加速応答性重視寄りの割合に設定されるため、運転操作が急なときには図8に示すように加速応答性重視寄りに目標運転点aが設定される。従って、図中に矢印で示すように目標運転点aと最大トルクとの間には十分に大きな余裕トルクが確保されることになり、目標運転点aから加速が開始されたときにはエンジントルクTqが大幅に増加する。このときの運転者はキビキビ感を求めている場合が多いが、良好な加速応答性が得られることから、ストレスのない爽快な運転操作を実現することができる。
【0048】
また、運転操作が緩やかなときには図9に示すように燃費重視寄りに目標運転点aが設定される。従って、図中に矢印で示すように目標運転点aと最大トルクとの間の余裕トルクは減少し、それに伴って目標運転点aからの加速時にエンジントルクTqはそれほど増加しなくなる。しかしながら、このときの運転者はキビキビ感を求めてないため、多少加速応答性が悪くてもストレスを与える虞はなく、一方、この燃費重視寄りの目標運転点aの設定により燃費向上のメリットが得られる。
【0049】
一方、車両の旋回状態に関しては、車両旋回が急であるほどカーブ係数Kcrvを介して余裕代Kresが加速応答性重視寄りの割合に設定されるため、図8に示すように加速応答性重視寄りに目標運転点aが設定されて、大きな余裕トルクが確保される。車両旋回時には車速Vを落とし、旋回後に加速する走行パターンが多いため、運転者が加速応答性を要望し、且つ、車両旋回中はエンジンブレーキ作用を利用する機会が多いが、大きな余裕トルクの確保は必然的にエンジンブレーキ作用の高い低ギア側への変速制御に繋がる。結果として加速応答性およびエンジンブレーキ作用の何れの要望も達成され、車両旋回時のドライバビリティを大幅に向上させることができる。
【0050】
また、車両旋回が緩やかなときには図9に示すように燃費重視寄りに目標運転点が設定されるが、このときには加速応答性やエンジンブレーキ作用がそれほど要求されないため支障を生じることはなく、代わりに燃費重視寄りに目標運転点aが設定されることで燃費向上のメリットが得られる。
一方、登坂路の勾配に関しては、勾配が急であるほどカーブ係数Kcrvを介して余裕代Kresが加速応答性重視寄りの割合に設定されるため、図8に示すように加速応答性重視寄りに目標運転点aが設定されて、大きな余裕トルクが確保される。急な登坂路では元々路面勾配に対抗する高いエンジントルクTqが要求される上に、運転者の加速要求に応答するためにも大きなエンジントルクTqを要するが、大きな余裕トルクが確保されることから、これらの要望を十分に満足でき、登坂路でのドライバビリティを大幅に向上させることができる。
【0051】
また、登坂路の勾配が緩やかなときには図9に示すように燃費重視寄りに目標運転点aが設定されるが、路面勾配に対抗する高いエンジントルクTqや加速要求時のエンジントルクTqがそれほど要求されないため支障を生じることはなく、代わりに燃費重視寄りに目標運転点aが設定されることで燃費向上のメリットが得られる。
以上のように本実施形態の無段変速機の制御装置によれば、目標運転点の設定操作を運転者に要求することなく車両走行中に学習した余裕代Kresに基づいて自動的に決定している。従って、目標運転点の設定操作を運転者が手動で行う場合の煩わしさを未然に防止することができる。また、運転者の運転操作、車両の旋回状態、登坂路の勾配に基づき運転者の主観を排除した客観的な余裕代Kresを学習でき、その余裕代Kresに基づいてきめ細かに目標運転点を設定できるため、常に適切に変速制御を実行して燃費と加速との相反する要件を共に満足する最適な車両の走行特性を実現することができる。
【0052】
しかも、2種の変速モードを選択する先行技術では、例えばスポーツモードを過剰に低ギア側に設定するとノーマルモードに対して走行特性がかけ離れて扱い難くなるため、必然的にスポーツモードの変速特性を制限せざるを得ないが、本実施形態のように連続的に目標運転点を設定できる場合には上記問題が発生しないため、目標運転点の設定範囲をより拡大できるという利点も得られる。
【0053】
以上で実施形態の説明を終えるが、本発明の態様はこの実施形態に限定されるものではない。例えば上記実施形態ではベルト式無段変速機の制御装置に具体化したが、無段変速機の形式はこれに限ることはなく、例えばトロイダル式の無段変速機に適用してもよい。
また、上記実施形態では、運転者の運転操作、車両の旋回状態、登坂路の勾配に応じて最適な目標運転点が存在するとの観点の下に、各要件に基づいて余裕代Kresを学習したが、何れかの要件を削除したり別の要件を追加したりしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】実施形態の無段変速機の制御装置を示す概略構成図である。
【図2】変速制御に適用するエンジンの目標運転点を示す特性図である。
【図3】目標パワーを設定するためのマップを示す図である。
【図4】ECUが実行する余裕代学習ルーチンを示すフローチャートである。
【図5】ECUが実行する変速制御ルーチンを示すフローチャートである。
【図6】ECUが実行する変速制御ルーチンを示すフローチャートである。
【図7】目標プライマリ回転速度を設定するためのマップを示す図である。
【図8】加速応答性重視寄りの目標運転点に基づく変速制御状況を示す特性図である。
【図9】燃費重視寄りの目標運転点に基づく変速制御状況を示す特性図である。
【符号の説明】
【0055】
1 エンジン
2 無段変速機
3 トルクコンバータ
3a ロックアップクラッチ
21 ECU(運転領域記憶手段、余裕代学習手段、目標運転点決定手段、
変速制御手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
運転者のアクセル操作に応じた要求エンジン出力毎に、該要求エンジン出力を達成可能なエンジンの運転領域を予め記憶すると共に、各運転領域上において上記エンジンが達成可能な最大トルクに対して大きな余裕代を見込んだ加速重視の運転点と上記最大トルクに対して小さな余裕代を見込んだ燃費重視の運転点とを記憶する運転領域記憶手段と、
車両運転状態又は運転環境に基づき上記最適な余裕代を学習する余裕代学習手段と、
上記運転者のアクセル操作に基づき上記要求エンジン出力を達成可能な運転領域を決定し、該運転領域上で上記加速重視運転点と燃費重視運転点との間で上記余裕代学習手段により学習された余裕代に応じて目標運転点を決定する目標運転点決定手段と、
上記目標運転点決定手段により決定された目標運転点で上記エンジンを運転させるべく無段変速機の変速比を制御する変速制御手段とエンジントルクを制御するエンジン出力制御手段と
を備えたことを特徴とする無段変速機の制御装置。
【請求項2】
上記余裕代学習手段は、上記余裕代を上記加速重視運転点と燃費重視運転点との間の割合として学習し、
上記目標運転点決定手段は、上記加速重視運転点と燃費重視運転点との間で上記割合に応じた位置に上記目標運転点を決定することを特徴とする請求項1記載の無段変速機の制御装置。
【請求項3】
上記余裕代学習手段は、運転者による運転操作の緩急、または該運転操作に基づく車両挙動の緩急に応じて上記余裕代を学習し、
上記目標運転点決定手段は、上記余裕代に基づき上記運転操作または車両挙動が急であるほど上記加速重視運転点寄りの目標運転点を決定することを特徴とする請求項1または2記載の無段変速機の制御装置。
【請求項4】
上記余裕代学習手段は、車両の旋回状態の緩急に応じて上記余裕代を学習し、
上記目標運転点決定手段は、上記余裕代に基づき上記車両の旋回状態が急であるほど上記加速重視運転点寄りの目標運転点を決定することを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の無段変速機の制御装置。
【請求項5】
上記余裕代学習手段は、傾斜路での路面勾配に応じて上記余裕代を学習し、
上記目標運転点決定手段は、上記余裕代に基づき上記路面勾配が急であるほど上記加速重視運転点寄りの目標運転点を決定することを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載の無段変速機の制御装置。
【請求項6】
上記エンジンと無段変速機との間に、所定車速以上で直結制御されるロックアップクラッチを備えたトルクコンバータが設けられ、
上記目標運転点決定手段は、上記ロックアップクラッチの直結車速未満の領域では、上記トルクコンバータの速度比及びトルクコンバータ特性に基づき上記余裕代に応じて決定した目標運転点を補正することを特徴とする請求項1乃至5の何れかに記載の無段変速機の制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−269199(P2007−269199A)
【公開日】平成19年10月18日(2007.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−98136(P2006−98136)
【出願日】平成18年3月31日(2006.3.31)
【出願人】(000006286)三菱自動車工業株式会社 (2,892)
【Fターム(参考)】